予算委員会第一分科会 第8号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/02/26
会議録
○植木主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 昭和三十九年度一般会計予算中大蔵省所管、昭和三十九年度特別会計予算中大蔵省所管、昭和三十九年度政府関係機関予算中大蔵省所管を議題といたします。 質疑の通告があります。順次これを許します。帆足計君。
○帆足分科員 私は平素外務委員をいたしておりまして、かねて大蔵大臣のけいがいに親しく接したいと存じておりました。実はもともと経済のほうが私は専攻でございますから、要望もいたし、御助言も申し上げたいことも多いのですけれども、きょうは分科会でございますから、日常の私どもの生活に関することで、痛感いたしておりますことを申し上げまして御参考に供し、また国民を代表して御要望いたしたいのでございます。 議員は質問という形式をとりますが、私はいつも申しておりますが、政府に問いただすことも必要でありますが、私どもの要望を申し上げ、そしてその中でごもっともと思われる節は直ちに御研究願うとか、実現できることは実現していただくとか、実現の困難なことはそれに近い程度にだけでも研究して取り上げていただくことが望ましいことであると思っておる次第でございます。 基本的に痛感いたしておりますことは、何と申しましても、戦後十数年インフレーションが続いております。もちろん、古典的な、機械的なデフレーションというものだけでは、もはや経済の調節はできません。したがいまして、一九二九年の世界恐慌のころから、いわゆるケインズ学説と申しまして、中央銀行のマーケット・オペレーションや、また財政政策等によりまして景気の調節をはかるという考え方が各国において取り上げられておることは御承知のとおりですが、終戦以来の日本のインフレーションは敗戦に伴うインフレーションでありまして、依然として悪性の要素を含んでおるのでございます。そのために、大資本は早目に金融の手当てをいたしまして、膨大な固定資産、土地、工場、設備等々をしつらえまして、インフレーションが進みますと急激に借金から抜けていく。明治初年に官有の富岡工場、その他官有工場を三井、三菱が安い値段で払い下げを受けまして、雪だるま式にいわゆる原始的蓄積として膨脹したといわれます。それよりももっと大きな恩恵をインフレーションによって大資本が受けておる一面もあるのでございます。もちろん、それはドイツ以上に日本の資本が急激に発達したという誘因にもなっておるプラスの面もありますけれども、他面、その負担がアンバランスに国民大衆にかかりまして、ある者は非常にもうかり、ある者は非常に悲境に沈む、すなわち、社会現象としては正直者が損を見るという現象が至るところに起こった。これ終戦のインフレーションの混乱の副産物でありまして、それが生活に及ぼす影響はきわめて深刻でありまして、ある経済学者は、インフレーションとはハトを鳴かせずして羽をむしる方法だ、とまで言っておるのでございます。労働組合が周期的に年中行事としてストライキをするというような現象も、大局から見るならばこのインフレーションヘの抵抗作用として起こっておるように私は思います。まことに通貨の安定が精神の安定でありまして、教養があまり高からざる池田首相が人つくりを呼号なさるよりも、大蔵大臣と相談して通貨の安定にもっと心をそそがれるほうがさらに適切であろう、こう思っておる次第でございます。 大衆の生活は戦前をある部分は越えたといわれます。農村の解放によりまして確かにその一面も見られますけれども、おおむねの大衆の生活は、生計費の戦前比較に統計学上の多くの欠点がありまして、日常生活を例にとりますと四百倍前後ということも一応いえるのでありますけれども、たとえば旅館に泊まれば千倍、土地家屋に至っては五千倍というようなことにもなっておるのでございます。したがいまして、みみっちい家庭内の生活では四百倍前後でありましょうけれども、ちょっと行事がありますと千倍、老後の生活の安定と関連のある終着駅、家屋土地の場合には五千倍にも達しておるのであります。これを生計費のうちに占める部分を算定して考えますと、賃金のベースァップだけでは解決つかない深刻な生活問題にぶつかるのでございます。 したがいまして、戦後のンイフレーシヨンに対して大蔵大臣が誠意をもって対処し、国民生活の安定をはかろうとお考えくださるならば、単に賃金問題だけとして取り上げるのでなくして、やはり住宅対策、健康保険、教育費、それから各種のレクリエーション施設が伴わなければならぬ。そのレクリエーション施設は、この前私はオリンピックに連関して質問したのですが、悪質の、バー、カフェー、キャバレー等がほしいままな暴利をむさぼっておる例があまりにもひどい。ギリシアを旅行したときのあの評判の悪いギリシアの暴利バーに似た現象が至るところに見られることは、オリンピックを前にして非常に寒心にたえない。私はオリンピック委員会の注意を促しておるような次第でございます。税金の賦課率につきましても深刻な問題があります。したがって、これら諸政策をもって国民生活の安定に寄与する、協力するという考えでなければならぬ。また、野党側も、賃金一本でもって、ベースアップ、それで問題が解決するほど問題は単純でないのでございます。したがいまして、大蔵大臣はやはり総合施策に思いを寄せられまして、住宅関係、社会保障関係、レクリエーション関係、特に、また健康保険の問題、予防医学の問題等々に心を寄せられまして、総合的に国民生活の安定、そしてまた通貨の安定をはかる必要がある、こう思うのであります。これは根本的な問題でありますから、適当な機会が与えられましたら、むしろ予算委員会において、私は、学問的に、統計的に、論理を明らかにして、政府の参考にも供し、政府の反省も求めたいと思っておる次第でございます。 そういった前提のもとに、日常の生活において気がついたところを申し上げますと、本年度は住宅を新築いたしました場合、特にまた不燃住宅に対しては、一そう政府は奨励の意味をもちまして固定資産税の緩和の方策を講ぜられるということが伝えられております。私はこの点に着目せられたことは非常によいことであると思っておりますが、一般的に固定資産税が、税率は小さくなりましても、漫然と土地価格の暴騰のためにそのあぶりを受けて評価額が高くなりますために、結果としては逆に固定資産税の値上げというような結果をもたらしがちでございます。この点に国民は危惧の念を感じておりますから、特に御注意を願いたいのです。 なかんずく、収益を生まないわが家の相続税のごときにおきましては、その憂慮は一そう切なるものがあるのでございます。自分の家、百坪か二百坪の庭、また二十坪か三十坪のわが家、これは収益を生まないのでございます。聖書にありますように、キツネには穴あり、人の子は住むところなし、こうイエスは嘆きました。今日、孟母三遷の教えなどと申しましても、もう三たび家をかえることは困難でありまして、さすがの孟子さんのおかあさんもとほうにくれて、孟子は、長じて聖人になる前に非行青年になっていたかもしれない、こう思うぐらい住宅難は深刻でございます。一たび住んだわが家を収益の対象として移るということは困難でございます。したがいまして、収益の対象でないものが、まわりの値段が暴騰したために、その固定資産税が上がる、相続税が上がるということは迷惑千万なことでありまして、今日住宅難の現状におきましては、九尺二間のわが家というものは、からだの一部のようなものでありまして、肝臓にも当たり、すい臓にも当たる、キツネの穴にも当たる場所でございまして、収益を生む場所ではないのでございます。その部分に対して過当なる相続税をかけることは、未亡人の涙に追い討ちをするものであると私は痛感いたします。したがいまして、収益を生む土地、不動産その他の利益財産と、収益を生まざる、すなわち、もうわが身の一部になっておるような今日の状況の住上宅部分に対します相続税とは、峻巖に区分する必要があると思います。これに対しまして大蔵省当局の言いわけは、その評価額をそう高くしてないから配慮が払われておるではないか、という御答弁もありましょうが、私どもは、その法定評価額というものが年々やはり上がっておることを心配しております。たとえば私並びに私の親戚の家庭にしましても、坪百円ぐらいで買いました土地が、坪二十万円にもなっております。えらい金持ちになりましたね、などと冗談で言われますが、売るのでありませんから何の影響もないので、金持ちになったのでも何でもないのです。キツネは穴なくして住むことができないのですから、お前の肝臓は近ごろ値段が高くなったなどと言われても、ありがた迷惑であります。(笑声)そうでしょう。私はこれは超党派的に申し上げておるのでございます。未亡人の涙に追い討ちをかけるな。今日生活に余裕のある人は非常に少ないのであります。三等重役になってもまだ、御主人がなくなったら娘を女子大からやめさせねばならぬ。また部長になっても、子供は、スキーに行くのにも、また学校の寄付金を出すのにも、アルバイトしてかせいでおる。重役の子であってなおかつアルバイトしてかせいでおります。私の息子なども、お父さんに言おうかな、でもパパ気の毒だな、近ごろまた盛んに印刷物をつくって、そして国会報告をしているようだから、と二人の子供が隣の部屋で話をしている。半額だけ、二人でペンキ塗りでもしてパパの負担を軽くしようかな、そういうしおらしい相談を隣の部屋で聞きますと、ほんとうに子供というものはかわいいものでありますが、この健全な少年たちの心持ちをやはり大蔵省は心にとめていただきたいのでございます。したがいまして、この問題を研究していただきたい。すなわち、わが家の相続税に対しては格別の配慮を願いたい。収益を止まざるものに対する相続税に対しまして追い討ちをかけないでもらいたい。また、家が家庭によって多少広過ぎましても、子供の数が多いときは、それを幾つかに切って、一戸のうちに表札が三つも四つも出ておる、こういう状況でございます。二等重役のお嬢さんが結婚しましても、やはり公団の抽せんを持っているというような深刻な状況でございます。 ついでに申し上げます。同時に、たびたびこの席でも、大蔵委員会でも、文部委員会でも注意を促しておりますが、学校の寄付金です。私のうちの子供なども比較的成績には恵まれておりまして、寄付金なしに入学いたしました。しかし、入学したあとに、やはり学校増築、内部充実といって莫大な寄付金を求められるのであります。また卒業した母校のほうからも、追い討ちで番付金を求められる。子供かわいさのあまり、また教育施設を充実することは悪くないというので、相当の額を引き受けざるを得ません。その金額は、ときとしては総合所得税の金額より多い場合すらあるのであります。これらに対して、私は、諸外国の例に見まするように、本来教育の固定資産費というものは国家が引き受けるべきものである。過渡期の状況においてそれができなくて、特定の個人が寄付という形をとるならば、これに対する金額といかなくても、半額なり七割なり税金控除の措置があるならば、学校当局もやりやすいし、父兄の負担も軽くなるし、これは当然至急研究し実現すべき、また国会議員が要求しなければ一体だれが要求するかというほどの問題であると思います。私は、今日の税法にたくさんの矛盾がありまして、よくそ税務署の署員の中で傷害――傷害というのは、納税者がおこって切りつけたり、ふんなぐったりすること――の起こらない、国民の善良さと忍耐力を感嘆しておるものでありまして、私は、これはとうてい耐えられないと思うような事例、身の上相談にもときどきぶつかるのでございます。したがいまして、大蔵大臣はそれらのことをさらに深刻に考えていただきたい。 時間が限られておりますから、答弁は一括して願います。大体われわれは、相撲の呼び出しやっこではありませんから、政府から説教を聞くよりも、やはり人民が政府に対して説教する、これが国会の本来の使命であろうと思いますから、お許しを願いたいのです。 第三には、芸術家に課せられる税金の問題でございます。私もかつて文筆の一端に携わったことがありますから、このことを痛感いたしますが、文筆業というものは非常なる精神の過労でございます。特にまた芸術に属する仕事は、ある、哲学者が魂の技術者と言ったくらい、人の心と真剣に取り組む仕事でありまして、宗教家にも似たようなところがあるのでございます。少なからざる数の芸術家は陋巷に窮死し、後世に名が残り、また命をかけて人生と取り組んだために自殺をした芸術家の数も数知れずでございます。後世文名非常に高く、その国の文化の水準を高め、諸外国から尊敬されるほどの芸術を残した方々の中では、あるいは発狂し、あるいは自殺した作家の数多いことも、大蔵大臣の知られるとおりでございます。一人の作家が認められる年齢は大体四十歳前後でありまして、数カ年流行作家になる。二十年、三十年流行作家として筆力の続く作家は、この国の食べものの関係でしょうか、民族のエネルギーの関係でしょうか、比較的多くありません。谷崎潤一郎氏とか、その他数えるほどしかないのでありまして、志賀直哉氏のごときすぐれた古典的文学者でも、その健筆をふるわれた期間は非常に短いのでございます。 そこで、第一の問題は、芸術家はサラリーマンと違って、安定した固定給をもらっておりません。退職金ももらっておりません。たとえば水上勉君か、からだの悪いお子さんをかかえて苦しんで、総理あてに手紙を書かれておるのを私は見まして、大いに感銘を受けました。この人が非常に人道主義的であり、同時に多少ニヒリスティックなよい作品を書いております。しかし、それを書くまでの三十五年間は筆舌に尽くしがたいほどの貧苦の生活を通過いたしておるのでございます。その期間は、いわば工場でいうならば建設期にも当たるコストを払っておるのでございます。そうしてまた、病気のお子さんをかかえていつ倒れるかわからない。しかるにそれを、固定した収入のある勤労者にかけるような税率、あるいはまた安定した事業が継続する会社にかけるような税率をもって遇するとするならば、それは非常に不合理である。大蔵省当局も多少そのことを考えて、多少の控除を認めておりますけれども、その控除が、検討してみると、一貫した理論、一貫した実際の上に立っておりません。まず基礎的に課税が一制も平等にかけられます。源泉課税です。したがいまして、一割も取られておりますから、私はそれで相当額になっておるものと思います。それにさらに追い討ちをかけて総合所得税がかかるわけでございます。もちろん、控除額は若干の控除額がありまして、百万円までは五側でしたか四割でしたか、百万円以上は何割という控除額があります。しかし、作家が、たとえば外国に旅行してきます。井上靖君が「敦煌」というすぐれた作品を書きました。あの作品一つ書くためにも、どれほど多くの勉強、蔵書、書物の収集、また新疆省あたりまでの旅行、どれほど多くのエネルギーがかかったか。「川」という小説を書きましたが、それは一つの川でありません。たぐいなく多くの川を彼は見学して、そしてその何十年か後にそれが蓄積し、発酵して「川」という小説を書きました。それらに対しまして、控除を要求いたしますると、税務署では一つ一つ、どの旅行が一体どういう恋愛と、どういう美人の描写と関係があったか、関係がないやつはそのコストと認められない。どういう書物を買ったか、その書物がどういう作品と関係があったか。こういうことを大蔵大臣から、言われるならば、大蔵大臣は浪花節の大家ですから芸術家としてわれわれ尊敬しておりますけれども、税務署のみつぎ取りからそういうことを言われることは、芸術家にとっては非常な苦痛であろうと思います。また、芸術家は、たとえばサロンに集まりまして、談論風発する。これは李白、杜甫の昔から文人墨客の風習でありまして、そういうときの議論が集積して、おのずから芸術品が発酵する。あるいは、ときには魔女に迷い、ブランデーを飲み過ぎ、そして人生の切実なる悲劇にぶつかることもあるでしょう。あるいはまた、適当な仕事場も持たねばならぬ。うちでは電話がかかってきてうるさいから旅館で隠れて執筆をすることもあるでしょう。あるいはまた、すぐれた芸術品はいまは輸出産業として大きな役割を演じております。「羅生門」にいたしましても、その他の多くの作品にいたしましても、その原作はすぐれた文芸作品であります。そうしますると、その民族の品位を高める、だけでなくて、PRにもなる。また外貨の獲得にもなっております。輸出産業には、御承知のように輸出産業に対する税の特例というものがあって、外貨収益に対して政府は若干の優遇もいたしております。間接的にそういう面からも芸術家は優遇されてよいという一面もある。こういういろいろな諸点がありますのに、外務大臣が御多忙のためか、それが税務当局に徹底しておらず、合理的な文化保護政策の一環としての税体系、継続的収入のない仕事に対する実際的な配慮、芸術家の健康、短命、その苦痛に対する配慮、それらのことが行なわれている節がありません。 私はよく聞きますが、東京国税局でいま税の部長をしております植松君という善良な青年です、が、この植松君は、どうも芸術的素養かあるように思われません。大体聞きますと、評判があまりよくありません。しかし、税務吏員としてはやはり誠実な吏員でありますから。彼の経歴に傷をつけたくありません。よき税務吏員です。しかし芸術関係の税務吏員としての彼のものの考え方こ対して、芸術家諸君が受けている印象等を聞きますにつけまして、どうも適切でない。おそらく高等学校時代の芸術的教養において欠くるところがあったのではないか。ひとつ大蔵大臣のところに出入して浪花節でもけいこしたらどうであろうか。世間では、浪花節は庶民の芸術であり、あまり高級ならざるものであると言う人もありますけれども、私はそうは思いません。あれはなかなかたくましくて、庶民の心に切々として訴えるところがある。芸術はいろいろなジャンルがありますから、長うたは高尚であるが浪花節はあまり高尚でないなどということは独断論でありまして、私は大蔵大臣のために大いに浪花節礼賛論をやりたいくらいであります。 芸術というものは、このように非常に複雑な心の内容を持っておるものでありまして、慎重に取り扱わねばならぬものでありますが、一向慎重に取り扱われておりません。したがいまして、外務委員たる私がわざわざこの分科会に出てきて、しかも礼儀正しく大蔵大臣に切々として訴えている心中をお察しくださいまして、他面においては法律的及び制度上の改革を至急実行せられることを切に望む次第であります。大蔵大臣がこのことをなされたならば、芸術家からの評判はよくなり、いよいよ国民の信用が高まって、一大臣のためだけでなく、日本の文化に貢献するところ多かろう、こう思う次第です。したがいまして、この問題に対しては、私は、大臣のはっきりした御答弁をお願いいたしますとともに、御答弁が不満足であるならばもっと峻烈な御質問もいたさねばならず、また継続して大蔵委員会において検討を続けていただかなければならぬ、こう決心いたしている次第で、あくまでこれは食い下がって実現させるという決意で申し上げておるのでありますから、ひとつ深くお心にとめていただきたいと思うのでございます。 〔主査退席、田澤主査代理着席〕 最後にもう一つ。文化財に対する、音楽会入場税、レコード等についての税金の問題でございます。 先般私は、厚生大臣に、「日本昆虫記」を見てくださいと言いました。ところが、善良なる小林厚生大臣は、私にすすめられたからといって、見まして、それほどの映画でなかったというお答えでした。私は、これが非常にすぐれているといって申し上げたのではない。あの映画は暗く、そして技術的にもすぐれておりません。ただ、左幸子さんの演技は名演技で、そのために賞をもらった。小林大臣向きには、むしろ「名もなく貧しく美しく」または「五番町夕霧楼」でもおすすめすればよかった、こう思っている次第でありますが、政治家は映画や演劇、音楽等に接触する機会が少ない。これは忙しいためですけれども、非常に残念なことだと私は思う。政治はやはり時代に先んじて庶民の感覚をくみ取らねばならぬ仕事でございますから、もう少し映画や演劇に関心を持つ必要がある。その欠点があるために、ほとんど知らないのです。すなわち、一時は四割の入場税が課されておりました。芸術作品である、ベートーベンのオーケストラを聞いて四割の入場税を払う。この国では舞踊、オペラ、バレエ、音楽会等は、経営は非常に困難です。たとえば藤原義江氏があの困難なオペラをとうとう日本のものにした。また三浦環女史でもそうです。その芸術的価値に対する判断はまだまだ後世論ずべきことが多いのですが、とにもかくにも、このアジアの一角の国一でオペラをわが民族のものとしたという功績、だけでも大したものであると思います。シンフォニーの会、オペラの会、バレエの会などを私はいつも感嘆して見ております。とにかくミルクの消費量もわずか、骨つぎのビフテキを食べるわけでもなく、バター、チーズなどの消費量もわずかで、おみおつけとたくあんを食べながら、しかもすばらしいバレエの水準に達しつつある。バレエの学校に行くたびに、私は子供たちに、ミルク、バター、チーズなどを豊富に差し上げてください、健康のバランスが必要です、ということをよく言うのですが、これらについて税務当局は何ら配慮がない。しかも、利益があった場合は所得税がかかるのですからそれでいいのです。入場税というものは補完税であって、利益はなくてもかかるのですから、こういうバレエ、音楽会、舞踊こういう困難な仕事に対しては、私は、入場税に対してもう少し配慮の必要がある、映画と同一視すべきものではないと思います。また、映画も大衆娯楽でありますから、映画の入場税に対しても、いろいろ御配慮がありまして、前に比べれば安くなってきました。入場税というものは補完税でございますから、その芸術の対象によって多少の区別があってしかるべきであると思います。能などに至りましては、もう完全にいまクラシックでございます。こういうものの保護のことも考えねばなりません。ほんとうの税金はやはり法人税とか所得税を中心とすべきであって、補完税の問題については、やはり大蔵大臣としても、文化政策上慎重な御考慮があってしかるべきである。あのいたいけなバレエなど、入場券を売るのにすら非常に困難をして、いつも赤字、赤字が続いておる。オペラやバレエに対して過酷なる税金がかかっておるということに対して、大蔵省当局の御注意を促したい。やがて古典劇場、国民劇場が政府の手によってできましても、税務対策がこのような片手落ちでありますならば、まことに遺憾といわねばならぬと思うのでございます。どうかその点をひとつ再検討願いたい。 最後に、日本に労音という機構がありまして、労働者に多くの、普通見ることのできない古典、近代劇、音楽その他を見せる自治組織でございます。一部の方は、労働組合が主体になっておるからこれはイデオロギー的なものであるといって、反感を持たれている官庁の方もあることも聞いております。しかし、私が見ますと、大体においてそうイデオロギー的ではなくて、公平に多くのジャンルの芸術を大衆に紹介しておる。これは自治組織でございまして、初めての機構で従来なかった機構でございます。すなわち、法人でもなく、株式会社でもなく、営業機構でもありません。これに対する税金のかけ方というものについては、やはり研究を必要とすると思います。私は、無税であること、かほんとうであると思いますが、かりに税金が必要、だとするならば、これはもっと実態をよく研究なさって、識者の意見を聞きまして、そして研究すべきである。これは私は税をかけることが適当でないと思っておりますが、電話でもって税務署のほうから税金の督促がある、また課税がある、というような過渡期の状況でございます。報告を聞きますと、非常に不合理な点に満ちております。したがいまして、労音に対しまするこの課税の問題は、原則的には無税、そして、もしさらに必要であるとするならば、これはもう少し実際的に検討をいたしまして、筋の通ったことにしていただきたい。でないと、せっかく大衆に普及しつつある民族の芸術、古典の芸術の普及というものがはばまれる。いまは創価学会、経営者連盟等におきましても同じ試みがありますが、営利を目的とせざる自治機構に対しましては、自治機構としての取り扱いをしていただきたい。これは大臣として即答は困難でございましょうし、私もまた、間違った結論で即答をいまいただきたくありませんので、厳重なる御注意をひとつ大蔵省当局に促しておきたい。 最後に、先ほどの作家の問題ですが、おまえの案は何だ、どうすればよい、というならば、私は、一律に一〇%もう源泉所得税を取っておるのでございますから、それで相当解決はついておるのでございます。 〔田澤主査代理退席、主査着席〕 一つの方法は諸外国でいたしておりますように――作家の命は短い、特に女性の作家は、有名なことばで、「花の命は短ぢかくて苦しきことのみ多かりき」とありますが、私はまことに芸術というものはそういうものだと思うのです。――十年、十五年、二十年、平均して税金をかける。そして、取り過ぎたときはあとで戻す。こういう制度も考え得られます。また、一律に、ただいまある金額は五〇%、ある金額は三〇%などとありますのを、私は一律控除を三〇%なら三〇%全部して、さらにコスト控除を三〇%ぐらいする。コスト控除三〇%に対して、海外旅行その他でそれよりこえたというときは、いずれか多いほうを認める。すなわち六〇%の控除は認めてしかるべきである。なぜかというと、源泉所得がすでに一〇%控除されておるのです。私の案は、そういう一案で、その案でも芸術家諸君はおそらく不満とお考えでしょう。また、私のしろうと案であって、まだ思いやりが足らぬ、配慮が足らないのではなかろうかと心配するくらいでございます。この問題は、ひとつ至急、相ともに再検討を必要とする。現状は絶対にわれわれは認めることができません。また、国税庁の、先ほど名前をあげましたよきみつぎ取りの官僚の方も、自分、か芸術に対して問題を引き受けておる、そして大蔵大臣もまた芸術に対して理解のある力である、総理も近ごろは人つくりなどということをお考えになって、多少文化問題について関心を持たれておる、というような状況もお考えくださって、今日の芸術家に対する課税のしかたについては徹底的再検討が必要である、ということで、御検討を願いたいということです。
○田中国務大臣 税問題を中心にして御質問がございましたが、税に対してはこれでいいという考え方は持っておまりせん。税は常にできる、だけ合理的かつ理想的な体系でなければならないということで、税制調査会の答申等を待ちながら日々これ前進態勢をとっておるわけであります。なお、その時点におけるいろいろ施策をおこなわなければならないということもまた当然考えなければならない問題であります。しかし、相対的に考えますと、先進諸外国との例と比較をいたしましても、日本の税制は戦後十八年間で先進諸外国と比べ得る相当程度今状態まで向上しておるということは、これも厳然たる事実であります。また、あるものに対しては諸外国よりもより優遇措置が講じられておるということも事実であります。 具体的な問題につきましては、居住用の財産等の特定資産に対する免税制度をつくるべきだということであります。この問題に対しては、私も税制改正につきまして十分の意見を述べて、検討をいたしたものでございます。その意味で、農地の問題と、農業を将来維持していかなければならないというものに対しては、戦後の均分相続の制度がとられましたけれども、このままの制度でいくことによって農山漁村の壊滅的な将来を招来してはならないという考え方で、かかる問題に対しては特例を設けて、相当程度まで相続をする場合には控除の制度を設けておるわけであります。 なお、今度の固定資産税の評価がえの問題につきましても、農地に関しては、地代評価が変わっておっても、売買せられたときには確かに益金を生ずるわけでありますけれども、これを農耕の用に供しておる場合には、反収の生産物はふえるわけではないのでありますので、これが評価がえを行なわないというようなことを基本にいたしておりますのも、かかる考えに立っておることでございます。居住用の住宅という問題に対しては、二つの考え方があります。一つは一般的な問題であって、住宅は特定の財産であるという考え方で、かかる問題に対して一般論として、住宅を持たざる人と特定の財産を持っておる人との問題を考えれば、当然特例を認むべきではないという考え方。もう一つは、近来、住なるものはもう生活そのものであるという考え方から、すべての国民が住宅を持たなければならないという新しい観念に立つ住宅論であります。そういうものを、両方にいろいろな議論があるのでありますので、この調和点を見出して、より妥当なものとしていま税制上考えておりますのは、特定財産でありますから、これを全部相続税を免除するということにはなかなか問題があります。特定の種類の資産を有する者にのみ特典を与えるということに理論的になるわけでありますので、遺産にかかる基礎控除額を現行二百万円を二百五十万円に引き上げた。この二百五十万円でも少ないという御議論がありますけれども、財政上の問題としてだんだんこれを引き上げていくという考え方で、相続税法の一部改正案を提案いたしておるわけであります。これらは時代の要請に応じながら、また国民的理解を得ながら、われわれの生活というものと関連させながら、十分検討を進めながら解決をしていくべき問題だと考えておるわけであります。 第二の問題として、芸術家の問題でありますが、芸術家に対しては相当配慮をいたしてきたわけであります。しかし帆足さんは、一〇%の源泉をとられておるのであるから、できれば分離課税式なものにしてはどうかということでありますけれども、芸術家と称する者に対してはなかなか区別がむずかしいのであります。確かに大芸術家もあり、また、あそこにおられる新聞記者君も大芸術家でありますし、私も小なりといえど芸術家だと考えておるわけでありまして、なかなかむずかしいのであります。帆足さんなど自体も、こうしていろいろな御研究をなされ、膨大もない資料の上に立って国会議員の活動をしておられるのでありますから、なかなかその区分がむずかしいのであります。しかし文化の向上、芸術の将来にわたっての発展を願うために、確かに一般の勤労所得とは別に控除を認めておることは、御承知のとおりであります。いままでも、大体あなたが先ほど申されたような状態で控除を認めておるわけでありますが、百万円以上というような芸術家の収入というのは、東京と大阪に大体片寄っておるということで、東京、大阪の両国税局が問題になっておるわけであります。 お名ざしでございましたが、植松君というのは、これは非常にりっぱな男であります。これは主税局にずっと長いことおりまして、今度東京の直税部長に出したわけでありますが、彼は人格も非常にりっぱでありますし、私もこの問題を耳にしましたときに、植松君たるもの芸術を解するのか、浪曲でもたしなむのか、こういう質問をしましたら、浪曲はどうかわかりませんけれども、とにかく芸術に対しては相当の造詣を持つ者でありますので、特に東京に出しますときには、かかる問題もありますから、そのような状況を十分勘案して、彼ならば合理的に、また十分共鳴を得られる実力を有する者として転出せしめたという国税当局の報告であります。私は植松君自身には会っていませんけれども、そのほうのいろいろな問題に対しては非常に緻密な男であり、優秀な官吏であることは事実であります。 なぜこのような問題が帆足さんの耳にまで入ったかといいますと、これはただ何割――六制、七割というお話かありましたが、控除をするということになると、いろいろ国会議員の問題、その他の方々との区別が非常にむずかしいわけでありまして、そういう意味で、実際の実費というものに対しては事業所得と同じように控除を認めるという制度で考えておるわけであります。サンプル調査を行なった。その調査を行なわれた方々が、少し植松君は芸術を解さないのではないかというようにお考えになっておるのだと思いますが、私は実際調査をした実際の数字――外国に行かれて、用の問題等いろいろ調べてきたというお話でありますが、そのとおりであります。外国等に対して実際に支出をしたものは、支出経費として全部認めておるのであります。中には、芸術家はそのときの環境を変えなければいかぬというようなことで、私たちとは違って、どこかあるところへ行って杯を傾けて静かにものを考えなければならない、銀座裏も一歩かなければならない、バーにも一日に二、三軒入らなければならない。これは事実、私も必要だと思います。そういう中からこそいろいろなものが生まれるのでありますから、そういう意味でいろいろなものを調べておるのであります。調べ方がひどいときにはこれは問題でありますが、中には、御自分が払ったと言われておって、よく調べてみたら相手の新聞社が払っておったとか、雑誌社が払っておったとかいうような問題もありますけれども、とにかくこんなこまかい問題を全部調べて、これでやるのだ、現在五〇%控除しておったものが三〇%しか使っておりません、二〇%ですということになりますと極端でありますが、そうではなく、ほかの税を納めておる国民各位との振り合いも十分考えながら検討して、大体この程度であれば、大蔵省、徴税当局としても認められると思いますし、またうんとえこひいきをしているという国民の考え方もなくなると思いますし、いままでやってきたものと大体違わないということでありますので、この程度でやりたいというような非常に慎重な配慮を行なっておるわけであります。これは個人植松君の将来のためにだけ私はこうした時間をいただいてお話を申し上げておるのではなく、国税当局は一律、画一的な基準をもって徴税をやっておるのではない、そのケース、ケースに対して特殊性を十分配慮をしながら、しかも各税のバランスも十分考えながら、納税する国民の側に立っても十分考えながら配慮をいたしておるということを申し上げて御理解を得たい、こう考えるわけであります。しかしこの問題に対しては、まだ、いろいろ調べたものよりも、私たちが出したものよりも、つけ落ちばあるけれどもつけ足しはない、こういう御議論もあります。私たちは特に三十九年度の徴税に対してはかかるものを十分しんしゃくし、調査をしながら全きを期してまいりたい、こう考えるわけであります。徴税官吏といえども芸術を解すること人後に落ちないものであるということだけは、ひとつ御理解賜わりたいと思います。 それから入場税の問題をちょっと申し上げますが、入場税は御承知のとおり、三十七年に間接税の大幅減税を行ないまして、現在は大体これでいいという考え方を一般国民の方も持っておるようであります。しかし免税点が三十円であるというようなことは、諸外国に比べ、特にアメリカ等に比べてもっとこれを上げるべきであるので、百円までは無税にすべきであるというような議論が存することは承知をいたしておりますが、これも税制調査会の答申を待ちながら、前向きで検討してまいりたいという考え方でございます。現在の段階においては、三十七年は間接税、三十八年、九年引き続いて直接税の減税を行なっておるわけでありまして、現在の段階において入場税を大幅減免をしなければならないというふうには考えておらないわけであります。 また、第四点目に、労音等に対してのものでございますが、これはいろいろ皆さまには御議論がございますけれども、国民である以上、個人、法人たるとを問わず、収益の存するところ収益税をいただき、入場という事実のあるところ入場税をいただくということは、これは税法のたてまえ上当然のことであります。こういうものに対しては、これは会費制度であって、普通の音楽を聞いたり演芸を見たりする入場ではない、こういうことを言っておる方もありますけれども、衆目の見るところ、一般人が行なっておる一つの事業であり、収益がそこに発生しておるという事実は否定できないのであります。かかるものに対しても現在、徴税を行なうような方向で進んでおるわけでありますけれども、この問題に対しては、バーやキャバレーやその他にレコードを流しておるような人に対して徴税をしておらぬじゃないかというような反対議論がありましたが、かかる個人及び法人等に対しても、その後徴税を行なっております。また将来もかかる収益の存するところ、入場という事実のあるところに対しては、当然課税を行なうという方針をとっておりますので、免税点の三十円という限度額を引き上げろというような問題は存すると思いますけれども、収益のあるところ、入場のあるところに、労音なるがゆえに課税をしないというようなことは、現在はできないという考え方でございます。まあこうして申し上げると、大蔵省のやっていることが非常に正しくて、あなたの言うことをさっぱりお聞きをしないようではありますけれども、基本的には税制調査会の答申を待ちながら、しかも税の不公平論が国民の間に出てこないように、実情に即しながら、しかもその業種、その人の特性を考えられるだけ配慮をして適切な徴税を行なっております、また行なう考えでございますということを申し上げたわけでございます。
○帆足分科員 時間がございませんから、したがいましてもう一言だけで、あとの同僚議員の質問の時間がございますから……。 第一には、ただいまの大蔵大臣の御答弁に、私は残念ながら不満の点が多々ございます。大蔵大臣はおおらかなお人柄の方でありますから、その点私は敬意を表しておるのですが、やはり大蔵省として、みつぎとりの性格からなかなか脱却はできないものかと、まことにいま残念に思いながら伺いました。また、植松君を弁護される上司のお情けには大いに理解できますけれども、しかし植松君もみつぎ取り的性格が少し過度に発達して、芸術人に対して理解ある態度と私は納得することができません。と申しますのは、まず入場税の問題に対しましては言い尽くしました。バレエやそれからオペラ、踊り、能などがどんなにいま苦しんでおるか、しかも、赤字になっても取るのが入場税でございますから、私はこれは検討してもらいたい、こういうわけです。 それから、作家の場合につきましてもすでにもう言い尽くしましたが、私は現在の状況に対して日本のように――英語国民ならは、全世界に英語の本が売れますけれでども、日本語で書いた書物には減会もありますし、生活もきわめて不安定で、マスコミの流行も変動が非常にはなはだしいという場合において、もう一度再検討を強く要望する次第でございます。 それから農地の場合と並べまして、自家用住宅について御意見を承りましたが、戦前におきましては自家用であるものと借家であるものとの区別がありましたが、戦後におきましては借家でありましても借家権が成立いたしまして、公団におきましてもそこへ住むことができるのでございまして、借家であっても自分のうちであっても、もう肉体の一部になっておることは大同小異なのでございます。したがいまして、大蔵大臣が税制調査会その他の専門家の意見を考慮されたお気持ちはわかりますけれども、戦後においてはもう肉体の一部になっておるということで、この自家用の非収益住宅の相続税については、どうも疑問の余地はないようでございますから、もう一ぺん再検討願って、そうして適切な措置を願いたい。 それからレコード税の問題につきましては、べートベンのステレオ一枚買いまして、二千円盤でありますと、原価の二割だから、二百十六円の物品税がかかります。べートベンのステレオ一枚買って二百円払わねばならぬとするならば、いわば教会に行って、教会の入口で入場税をとるようなもの、私はそういう感じがいたすのでございます。したがいまして、二割のレコード税というものは高過ぎる。これはスポーツその他と比べましてひとつ再検討を願いたい。それから、文部省の方も見えておりますが、そういうような状況のレコードが、放送局において放送されますのは、放送局の公共性から見て、私はこれはまあ恕し得ると思うのです。しかし有線放送の場合には、あれは純然たる商売です。小商売です。その小商売でそれを使う。あるキャバレーで月に三万円買っておったものを有線放送にすれば三千円か四千円の放送料で使えるというので、無断で使っておる。これが裁判になりまして、結局どう裁判所が間違えたのか、無線放送と同じような、まあ差しつかえないという判決を下したが、ただしそのレコードを出した会社の名前を放送することということを裁判所は条件にしました。ところが市内におきまして私どもが聞きますと、そのレコード会社の名前を全然放送しておりません。一体だれがそういう監督をされておられるのか、郵政省のほうか、文部省のほうか。そういう無理な裁判が下ったけれども、裁判所もまた配慮して、せめてレコード会社の名前を言うべきである、であるのに、少しもそれが実行されておりません。したがいまして監督官庁においては一体どうしてそれを監督されておらないのか、これを伺いたい。同時に、今後文部省において著作権の問題が起こりましたときには――無線放送の場合は公共性が大きいから恕し得ますけれども、有線放送の場合においてはこれは純粋の営業体でございますから、文部省、著作権法の改正の審議がいま行なわれておりますから、今度はこの問題を審議の中に入れていただきたい。 限られた時間でありますから、以上の見解を申し上げまして、重ねて大蔵大臣の再考慮と御検討を強く要望する次第でございます。また、必要に応じましては大蔵委員会に、同僚議員諸君のお許しを得て私どもは出席いたしまして、ときどきお催促いたしますから、せめて心持ちのほどだけでもお察しくださって、そうして十歩前進でなくとも、八歩前進という方向にひとつ理解を示していただきたい、こう思う次第でございます。
○植木主査 次に滝井義高君。
○滝井分科員 日韓会談の政治的な動きと申しますか、そういう動きがここ二、三日非常にあわただしくなったような感じがするわけです。そこで日韓会談に伴う予算処理上の問題について一、二質問をし、時間があれば、厚生年金の改正に伴う調整年金の問題をお尋ねしたいと思うのです。まず政治的な動きが非常にあわただしくなったというのは、具体的に見てみますと、二月十四日に自由民主党が四役会議を開いて、今国会の会期を大幅に延長して、そして日韓の問題なり、ILOの批准というものをぜひやり遂げたい、こういう意思表明を四役会議で出しておるわけです。同時に、二十四日のソウル放送によると、金鶴烈韓国経済企画院次長は、二十四日の午前の国会外務委員会に出席をして、日韓会談の請求権使用計画について国内基幹産業施設と水産業、工業の発展に直接的に貢献する事業並びに輸出産業に限って使用する計画であると、請求権の使用計画について述べているわけです。さらに二十四日の新聞等を見ますと、日程がきわめて具体的に今度は日本内部でも出てきておるわけです。それは四月中旬までに懸案一括解決、五月調印、七月批准。二月十四日の大幅会期延長というのは、結局七月のぎりぎりまで会期を延長して批准をしよう、こういうことのようでございます。さらに昨二十五日大平外務大臣は、今月末までにめどをつけたい。こういうように、きわめて具体的に日韓会談の政治的日程が組まれるという情勢が出てきておるわけです。そこで私この機会にまず、いままで大平さんが予算委員会等で言明したことを外務省に確認をいたしたい。
○後宮政府委員 お答え申し上げます。 日韓交渉は、御承知のとおり、目下漁業問題を中心として動いているわけでございます。交渉実務担当者としてわれわれが上司から受けております御指示は、昨日大臣が申されましたとおり、納得のいく内容でできるだけ早くということでございまして、特に瞬間的のリミットを切るということもございませんし、特に内容とタイミングの点では内容のほうにまず重点を置く、そういう御指示を得ております。
○滝井分科員 内容に重点を置くのだそうですが、しかし一応今月中にめどをつけるということは、各紙の報ずるところでございます。そこでアジア局長さんに、過去において大平さんがこの予算委員会で答弁したことを、私四つ、五つ個条書きにしてまとめてきておりますから、その一つ一つについてちょっと確認を求めておきたいのです。 まず第一は、韓国への無償供与三億ドル、有償二億ドル、いずれも十ヵ年間の分割供与とする。これはそのとおりに確認して差しつかえないでしょうね。
○後宮政府委員 そのとおりでございます。
○滝井分科員 次は、有償供与年三分五厘、七年間据え置き、償還期限二十年とする、この金は経済協力基金を通じて出す。
○後宮政府委員 そのとおりでございます。
○滝井分科員 次は、無償供与はわが国の財政能力に応じて、日韓両国の合意の上支払いを繰り上げることがある。
○後宮政府委員 そのとおりでございます。
○滝井分科員 日本の韓国に対する焦げつき債権四千五百七十三万ドルは一定期間内に返済すること、これについては返済にあたって利子をつけない。
○後宮政府委員 そのとおりでございます。
○滝井分科員 そこで確認するのですが、以上により韓国の請求権問題は解消することになる。
○後宮政府委員 そのとおりで、ございます。
○滝井分科員 いままでこの予算委員会でされたのを大まかにまとめると、大体そういうように骨子がなるようです。そこで今度は大蔵大臣になるわけです。まず第一に、無償供与三億ドル、十カ年間で払うとすると、これは財政力に応じてもっと早く繰り上げることは可能ですけれども、まあ一応十年で払うとすると、一年三千万ドル、百八億円を払うことになる。これは一体どういう経理を通じてお払いになることになるのですか。
○田中国務大臣 賠特で払うようにするか、それから一般会計で払うようになるかという問題については、きまりましたときに、これはきっと国会に法律を提案しなければならないというふうに考えております。いまの段階ではそのように考えられます。
○滝井分科員 そうしますと、問題は、一般会計で払うか賠償等特殊債務処理特別会計で払うか、いずれかきまっていない、こういうことなんです。そこで、賠特で払うという理論的な根拠、これをひとつ御説明願いたいと思うのです。とにかくいずれかで払う。しかし、もし賠特で払う場合には、こういう理論的根拠があるから賠特で払うことになるだろうし、あるいは一般会計で払うなら、こういう理論的根拠があるから一般会計で払うことになるだろう、こうなるわけです。二つしかないのですから、どっちを選ぶかは御自由です。しかし、賠特で払うというのはいかなる理論的根拠で払うことになるのですか。
○田中国務大臣 ですから、最後にいずれにしても法律案等を提案して御審議を願うことになるでありましょう、こう言ったのは、それを言ったわけです。賠特で払うということになれば、法律で、本支払いは賠償特別会計をもって行なうというふうにしますか、賠特の中に韓国に対する請求権等の支払い業務というふうに入れるか、ちょうど産投会計法でもってガリオア・エロアを払うときに法律で処理をしていただいたということになりましたから、いずれにしても国会でもって御審議を願うであろうということを申し上げたわけであります。
○滝井分科員 賠特と一般会計と二つしか出ていないのですよ。ほかのもので払うとは、言っておらぬわけです。そこで限られてきているわけです。その他のものがまだあるというのなら問題ですけれども、いまあなたは二つに限っている。
○田中国務大臣 あなたからいま御質問がありましたので、オウム返しに私が間髪を入れず申し上げたわけでありまして、一般会計か賠特であろう。そのほか、韓国に対する無償供与支払いに関する機関に関する法律か何か出るかもわかりませんし、そういうものはまだ全く未定であるということであります。
○滝井分科員 練達たんのうの、しかも財政金融については日本一権威の田中さんの直観から出てきたものというのは、やっぱりそういうところでなければ――大体いま日本の特別会計、その他のところを検討してみても、まず二つですよ。これのどちらかだということになるわけです。そこで、一般会計で出すというのなら、これは大して問題がないかもしれないけれども、やっぱりこれは少し問題が出てくると思う。特に一番考え得るのは賠特です。そうすると、あなたが賠特でというそういう直観を持たれたというのは、何かあれ以外にないな、この日韓会談の十年の歴史を見て、そしてやっぱりあそこだろうということをあなたの大脳のどこかにもう整理されて入っておるわけだ、だから出てくるわけだ。人間というものは、無意識の中に出てくる意識というものは非常に貴重なものですよ。そういう意味で、それならば賠特でやるとすれば、一体どういう理倫づけで請求権問題というものをやることになるのかということを私は一応ここで聞いておきたいと思うわけです。賠特ということばが出たわけですから。これが出ないで産投特別会計くらい、が出ておればこうも言わないのですよ。これは大事なところなんです。ここで言えないことはない。いま言ったように、今月中にめどをつける、韓国ではもうすでに請求権の使用計画まで国会で論議されているわけですから、日本の国会で、払うほうの日本の側でどこの会計を通ずるかもわからないということでは困ると思うのです。
○吉岡政府委員 ちょっと補足的に御説明申し上げます。日韓関係の無償がきまりました際にどの会計から払いますかは、いま大臣が申し上げましたようにまだ全然きまっておりません。一般会計から払うという方法が一つの方法でございますし、賠特からという話がちょっと出ましたのは、御承知のように無償で払うことになりましても、現金で払うという約束にはなっておりません。日本国の生産物または日本人の役務で払うということになっておりますので、そういたしますと、その辺がいま賠償関係で払っております払い方と非常に似てくる一わけでございます。そういう意味からいって、賠特の会計を使うと便利ではないかという議論がある程度でございます。ただその賠特の会計でこういう日韓関係の無償、のものを負担させるということは、いまの法律ではおそらくできないと思います。したがって、ただ事務的な観点から便利ではないかという議論がある程度でございまして、全然賠特というようなことで検討しておるわけではござい議せん。
○滝井分科員 私はいまのあなたの言うたことが本筋だと思うのです。いまの賠償等の処理特別会計では法律を改正しなければ払えないのではないか、というのは、韓国と日本は交戦関係にもなかったし、これは賠償ではないわけなんですからね。そうしますと賠特ではだめだ、法律を改正する以外にだめだ、こういう観点ですね。いまの姿ではだめだ、この確認をちょっとしっかりしておいてください。これは大臣にしておいてもらいたいと思います。
○吉岡政府委員 いまの賠特会計の法律ではおそらくできないと思いますが、あるいはこれは主計局の法規課あたりの権威のある御回答をしたほうがいいかと思いますが、ただいまの感じでは疑問があるというふうに考えております。
○滝井分科員 それならひとつ主計局長なりこの交渉をやったアジア局長さんでもかまわぬです。
○田中国務大臣 賠償等特殊債務処理特別会計法の第一条に、「連合国その他」という条文がありますから、払えないということにはならないとは思いますけれども、これは韓国はその後できた国である。しかし法律論からいえば、その後できた国であろうが「その他」というものはこの法律が存在する限り適用せられるという法律論もありますから、これはやはりもう少し時間をかけて政府部内でその意見を十分にまとめていただかた恥いと、ここで、法制局長官を呼んでいただいても直ちに結論を出せというのは多少御無理な御質問のような気がしますが、御了解いただければ幸いだと思います。
○滝井分科員 これは、無償三億ドルを十ヵ年間で払う、しかも日本の財政状態によっては繰り上げてもよろし、い、ここまでものを言うときには、一体どこの会計を通じて払うかということをきちっとしておかなければならぬわけですよ。話はずんずん進んでいっておるわけです。しかもこれで請求権問題は解決します、こういうことでしょう。私もそう考えたから質問したわけです。ところがいまあなたは直観的に、財政金融については日本一権威の田中さんが、やはり常識的に考えるともうそれ以外にないわけです。ところがこれはよく考えてみると請求権でもないし、しかも大平外務大臣はこれは韓国独立のお祝い金です、こう言っているんですからね。お祝い金をこういうところから出すということは、賠償等の特別会計と守はついておりますけれども、そういう範疇ばいままで前例かないわけですよ。私はこれはやはり、いみじくも理財局長さんが、言われたように、やるとすれば法律改正をしなければいかぬと思うのです。そうしますと、あとは一般会計ということになるのですよ。これは田中さん、内閣で検討しなければならぬとおっしゃるけれども、ここで支払う袋ぐらいははっきりしておいてもらわなければ、百八十億の金が宙に迷ってしまったのでは困るのです。無償、有償五億ドル――有償のほうはあとで尋ねますけれども、宙に迷っちゃ困るわけです。これは、ここで質問をちょっと保留しておいていいですから、私が続けておる間にひとつここで政府の公式見解を出してもらいたいと思うのです。ぜひそうしていただきたいと思うのです。 そこで、次に移ります。今度は第二点の有償ですが、二億ドルで三分、五煙、七年間据え置き、償還期限が二十年、支払う袋は経済協力基金、こうなっているわけです。そこで、現在の経済協力基金の三十九年までにおけるすでに決定をしているもの、そして具体的にお金をもう出しておるもの、それと同時に三十七年、三十八年、三十九年、この大ざっぱな計画と、その資金の所要量、これをちょっと簡単にここで御説明願いたいと思います。
○庭山説明員 お答え申し上げますす。 経済協力基金は昭和三十六年に発足いたしましてから最近に至りまして順次その仕事が軌道に乗ってまいったわけでございますが、昭和三十九年一月末現在におきまして融資承諾をいたしましたのが八十六億ございます。そのうち現実に実行いたしましたものが三十四億でございます。そのうち三十八年度に入りましてからいたしましたものは三十四億のうちで十六億でございます。三十七年、三十六年はそれぞれ九億程度のものでございます。そういうのが現状でございます。
○滝井分科員 総理府参事官の羽柴さんですか、三十七年十二月五日の大蔵委員会で武藤山治君の質問に答えて、三十七年、三十八年のいろいろの予定の計画を御説明になっておるわけです。まず三十七年度の貸し付け見込み百億、三十八年度の見込みは二百七十億、三百六十億をこえる出資貸し付けを行なう予定になって、そして、まず、三十七年の内容は、台湾ウルシ開発事業、台北市のガスの拡張工事、ずっとそういうのがペルーの開発まで九つぐらいあるわけです。三十七年に百億なんです。これだけの計画がございます。その後、三十八年の計画もできているわけです。これは間違いないわけでしょう。
○庭山説明員 その当時、当時の説明員が申し上げましたのは、その後国会のほうの御要求もございまして資料を提出いたしたのでございますが、それは昭和三十八年度予算を要求いたします場合の要求の説明資料でございまして、御提出いたしました資料にもその旨断わってございます。そういうのもどうかと思いますが、この予算を要求いたしますときには、万一この資金に不足があったら困るというので、起こり得る可能性のあるものと申しますか、基金にその当時お話のあったものを全部あげましてその要求の資料をつくったわけでございます。何ぶんこういう海外投資の問題は、話が始まりましてから決着いたしますまで非常に期日を要するものが多うございますので、途中で話がなくなったというものもございます。私、先ほど申し上げましたのは現在の実績でございます。百億とか二百七十億という数字は昭和三十八年度の予算要求をいたしますために三十七伊の秋ごろにつくりました資料でございます。これは誤解のないよう御説明申し上げておきます。
○滝井分科員 予算要求の資料であって、あんなものはたいして信憑性のないものですと言われたのでは困るのです、これは権威ある大蔵委員会で、三十七年十二月五日に羽柴さんが説明しておるのですから。ところがあなたがここに来て、あれは三十八年度の予算を要求するときの資料で、別に根拠はありまりまんと言うと、それではあなたのほうはいまの八十六億、そうして実行済み三十四億ということは、これは三十八年度も入っておるわけではないのだから、当時すでにこのくらいのものは見込まれておったのですから、その後に三十八年が一年あるわけでしょう。三十八年の計画があるわけです。あなたのほうは三十八年度の予算要求 のときに二百億金が足らぬから出してくれと言っておるはずなんです。そんなものは全部うそでございました。金を取るために出しておったというような、そんないいかげんなことを言ったのでは許されませんよ。
○庭山説明員 御答弁申し上げます。 おことばを返すわけではございませんが、全然でたらめなものを出したのではございませんで、先ほど申しましたように、この予算要求の場合に非常に慎重を期しまして、当時基金に話があったようなものを一応あげまして予算の要求資料にいたしたわけでございますが、その後去年の二月に私どものほうの富津企画庁長官から国会で答弁申し上げましたように、その後いろいろ検討いたしまして、三十八年度の予算は要求する必要がないとして、予算要求をいたさなかったわけです。その予算要求をいたしますための、何と申しますか、検討の資料としてつくりましたものを、当時国会から御要求がありまして提出いたしたわけでございますので、あしからず御了承いただきたいと思います。
○滝井分科員 そうしますと、あなたのほうが三十七年度の投融資の見込みとしてお出しになったものだけでも八十億あるわけです。したがって、これらのものは大体ずっと消化をしてきておるわけです、八十億になっておるわけですから。そうすると三十八年度は一つもなかったのですか。あなたのほう、か今度投融資の見込みとして出したものは二百二十三億ある。二百二十三億のうちに一つもなかったとは言えぬと思うのです。それは相当の時間はかかるでしょう。時間はかかるけれども、調査はしていっておるわけです。しかもその当時、武藤さんが質問をした三十七年十二月に明白にそれだけのことを言われておるわけですから、全然架空なものを予算要求のときに出すはずはないわけです。やはり何らかの話が何ぼかなければやらなかったわけです。そうすると経済企画庁として、その当時から全然話は詰めてないということになるのですか。だから、ここで私がお尋ねいたしたいのは、一体あなたのほうは三十七年にどの程度のものを要求し、三十八年にどの程度の投融資をやる見込みをしておったのか、そうして三十九年度の予算審議ですから、三十九年はどうなのかということなんです。これは総額だけでいいから言ってください。
○庭山説明員 先ほど申しましたように、予算要求をいたします場合の資料といたしましてつくりましたのですが、御承知のように、予算要求にはいろいろ段階がございまして、経済企画庁と大蔵省で最後にきめましたものが、先ほど申しましたように三十八年度はゼロであったわけでございます。それで、もう一度申しますが、お手元にお持ちでございます資料にあわせて申しますと、昭和三十七年は百億ということでございましたが、そのうちで実行いたしましたものは九億でございます。それから三十八年度は二百七十億とその資料には書いてございますが、その中で三十九年一月までの十ヵ月間で実行いたしましたものは十六億でございます。
○滝井分科員 実行するためにはその計画がきちっと固まらなければいかぬわけです。固まらなければ実行できない。しかしいつ固まるかわからぬわけですから、これから十二カ月の間に固まれば出さなければならぬわけですから、したがって私があなたに御質問申し上げておるのは、三十七年に一体幾らの計画をお持ちになったか。三十八年にはどうですか。それからことし、いま予算を審議しておるのですから、三十九年度に一つも海外の投資を、経済協力をやらぬというわけにいかぬでしょう。東南アジアは大いに開発しなければいかぬとおっしゃっておる。あるいは吉田さんが台湾に行って蒋介石と話をすればいろいろ投資のことも話に出ておるでしょう、台湾の開発については、王道楽土をつくりなさい、それには日本も一はだ脱ぎますよという暗示を与えたということが書いてあるでしょう。そういう関係があるわけですから、したがって台湾ウルシ開発事業、台北市のガス拡張工事というものもあるのですからね。だからあなたのほうの計画がここで全然わからぬとは言わせないですよ。三十八年と三十九年の計画を言ってくださいよ。
○庭山説明員 お答え申し上げます。計画が全然なくていたしておるのではございませんが、経済協力基金も発足いたしましてまだそれほど日もたっておりませんので、話を聞きましてから、それが実際にいきますまでにいろいろな話を聞くわけでございますけれども、それが実際に可能かどうか、それからこういうことを申しましては失礼かと存じますが、御承知のように基金は税金の金でございますので、その運用にも非常に慎重を期しておりますので、なかなか話がきまらぬ場合も多うございまして、三十八年度、つまりことしは現在まで十六億実行いたしておりますが、あと二十億程度は出るのではないかと考えております。これは新しく話がきまるものもあるでしょうし、それから現在もうきまっております融資承諾しておりますものが実行に移るものもございますので、大体二十億くらいは出るのではないかという見通しでございます。きのうも一件、先ほど申しました金額のほかに一億一千万円のチリの銅鉱山の探鉱に関しまして融資承諾をいたしております。それから三十九年度でございますが、三十九年度は現在のところまだ大体何十億くらいだということをはっきり申し上げる段階にまでいっておりませんが、本年度よりは相当多く出るということが現在のところ見通されております。
○滝井分科員 毎年予算を編成するときには海外経済協力基金の投融資は一体どういうところとどういうところにどの程度やるという見込みを立てずして予算を組むはずはないわけですよ。だから三十七年と三十八年の見込みを十二月にわれわれにあなたのほうは答弁しておるわけでしょう。いまは二月なんですから、三十九年度の投融資の見込みをここで言えないはずはないわけでしょう。それは幾らですかと聞いておるのです。
○庭山説明員 これは話の進行によりましてあるいはおくれるかもしれませんが、私のほうでごく事務的に検討いたしまして――実はこの三十九年度予算におきましても経済協力基金の新たな出資を要求すべきかどうかということにつきまして、いろいろ政府内部で検討いたしたのでございますが、まあ現在のところは要求しないでいいという結論に達したわけでございます。そのときに、われわれのほうでごく事務的につくりました数字では、大体九十億くらいを三十九年中に出すことになるだろうという見通しで、そのようにきめたわけでございます。
○滝井分科員 そうしますと、この九十億という中には韓国の有償二億ドルは入っていないわけですね。
○庭山説明員 入っておりません。
○滝井分科員 わかりました。どうもあまりわれわれ国会議員をちょろまかすようなことをしてもらいたくないのです。そうしないと議論ができないわけですよ。予算要求をするだけでこの資料を出したのですということになれば、これは大蔵委員会に行ってぼくはそれを言おうと思っているのですがね。そんな大蔵委員会だったら権成がないわけです。だから、ことしはわかりました。三十七年百億、三十八年二百七十億、三十九年九十億。そうするとこの九十億は、三十七年、三十八年の投融資の見込み、してもらいたいと申し込んだものの中からだんだんセレクションをして確実なものが九十億になってきた、こう理解して差しつかえありませんか。重なっている分があるわけでしょう 。
○庭山説明員 お答え申し上げます。九十億の中には三十九年度になってまた新しく承諾いたしまして、それによって出ますものと、それから三十七年、三十八年、前に承諾いたしましたものが出て実行に移りますものと、それらを含めましての合計でございます。
○滝井分科員 これでわかりました。そうしますとこの会計は、あなたの言われるとおり、三十六年三月十六日に発足したのですから、まだ足かけ四年ぐらいにしかならぬわけですね。これ、いま資金総量は幾らあるのですか。利子と分けて言ってください。
○庭山説明員 お答え申し上げます。現在の基金の資金のボリュームは大体育八十億でございます。そのうち当初と申しますか、三回にわたりまして出資いたしましたが、その総額は百六十九億でございます。あと十億は積み立て金でございます。これは基金の出資額を国債に運用し、あるいは貸し付けをいたしておりますので、その利子、これが積み立てられた金額でございます。
○滝井分科員 そこで今度大蔵大臣に聞くことになるのです。さいぜん外務省の後宮局長さんからお答えになっていただいたように、二億ドルは十カ年間で三分五里、七年間据え置き、償還期限が二十年、これで経済協力基金から出すことになるわけですね。十年ですから一年に二千万ドル、七十二億円出すことになるわけです。そうしますと経済協力基金、金がないわけです。これは一体どういうことになるのかということです。いま言ったように、経済企画庁は、昨年も要求をしたけれども、もう必要ない、今年も必要ない、こうなってきておるわけです。経済企画庁のほうは、個々にはもう財投の金を持ってくることの必要なしということで、予算要求をしたけれどもけられてしまった。ところが国会では外務大臣は堂々と、経済協力基金から金を出します、こうおっしゃっているわけです。この内閣の矛盾、まあ外務省と経済企画庁違っておったって田中さんがその両者の仲介をとればいいことになるので、これはどうしますか。
○田中国務大臣 まだ日韓交渉は妥結をしておらぬのであります。妥結をすれば当然財政負担が起こるわけでありますから、この場合には無償のものをまず一般会計で出すのか、それから賠特法の改正でもお願いして出すようになるのか、現在の賠特法でもってできるという解釈になればそこで出すにしても、補正の問題が起きてくるわけでありますので、いまの有償二億ドルの問題につきましても、国会で財政的な面から御審議を願う段階になると思います。
○滝井分科員 そうなると、当然財政投融資計画を変更しなければならぬことになるわけですね。そうして、これは明らかに、前の無償のように袋をどこにするかということじゃなくて、袋はかきっともう言明しておるわけですね。海外経済協力基金から出しますかと確認をしたら、そのとおりだとおっしゃっておるのですから、これはもう間違いないところだと思うのですよ。そうしますと、いまここでは二年間にわたって必要なし、こういうことになった。そうすると、ことし九十億すでに予定したものがあって、それを充てるということになると、すでに確約済みが八十六億ですから、金がないわけですよ。七十二億の金がないわけです。九十億全部ばあにすれば、ことし分は何とか間に合うけれども、これはまた国際信義上、外交問題につながっておるのですから、まさかそういう韓国が大事で他のものはだめだというわけにもいかぬと思うのですね。そうすると、そのときには当然財政投融資計画を変更し、そして資金をここに入れる、こういう形に理解して差しつかえございませんね。
○田中国務大臣 当然補正問題が起こってくる、起これば国会の御審議をわずらわすということになります。
○滝井分科員 まあこの問題はこのくらいにしておきましょう。 次に、さいぜんの結論は出ましたか。どちらですか。
○田中国務大臣 賠償等特殊債務処理特別会計法の第一条を検討いたしましたが、前にカンボジアやラオスの問題がございましたときに、特にカッコ書きとして改正をしておるわけであります。こういう意味から考えまして、戦争の遂行の結果または何々に関連して負担する債務ということでありますので、やはりこの賠特の特別会計で負担をするとすれば、法律改正を必要とするという考えであります。
○滝井分科員 賠特でやるとすれば、法律改正をする必要があるという見解に一致しましたから、この問題はそれでけっこうです。一応答えが出ておればいいわけですから、あとはそのとき議論をすればいいわけです。 次は、時間がだいぶきましたが、年金の問題だけちょっとやらしていただきます。――これはまたにしましょう。
○植木主査 以上をもちまして本分科会における質疑は全部終了いたしました。
○植木主査 この際、おはかりいたします。 本分科会所管の予算各案に対する討論採決は、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。 分科員各位の御協力によりまして、円満に議事を終了することができましたことをここに深く感謝いたします。 これにて第一分科会を散会いたします。 午後零時四分散会