予算委員会 第21号
- 発言数
- 247 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/10/05
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 予算の実施状況について調査を進めます。 この際おはかりいたします。先般予算の実施状況調査のため委員を各地に派遣いたしましたが、その調査報告書が委員長の手元に提出されております。これは会議録に掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。さよう取り計らいます。 —————————————
○荒舩委員長 これより予算の実施状況に関する件について質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。 成田知巳君。
○成田委員 池田総理が御病気のために本委員会に出席を願うことができないことをまことに残念に考えます。政治家の仕事、特に総理の職務というものが非常に激職で、精神的にも肉体的にも過労をしいられる、そのことは私たち政治家の日常の経験からも十分理解できるわけであります。池田総理の今回の御病臥が過去四年にわたる総理としての激務にその大きな原因があったということは言うまでもないと思いますが、まことに同情にたえません。私は、総理が療養専一にされまして一日も早く元気な姿をこの議場に見せられんことを念じてやまない次第であります。 去る先月二十五日の医師の診断によりますと、最低まだ三週間から四週間の療養を要する、こういうことでございますが、総理が病臥されておることは政局に微妙な影を落としております。国民も政局の動向に重大な関心を持っておる、この事実は否定できないと思います。 そこで、私は、日本社会党を代表いたしまして、政府の当面の政局に対する見通し、これに対処する方針を質問したいと存じますが、私の質問は勢い総合的に高度の政治判断を要する問題にも触れると思いますが、これらの質問に対して一体政府を代表して責任ある答弁をされるのはだれなのか、それをまずお伺いしたいと思います。
○鈴木説明員 成田さんから、社会党を代表されまして、総理の病気につきまして心からなるお見舞いをちょうだいいたしましたことを、深く感謝をいたす次第であります。 政局に対する問題につきましては、総理の御意向も私伺っておりますので、官房長官からお答えをすることにいたしたいと思います。
○成田委員 ただいま鈴木さんの御答弁によりますと、総理の意向をも承っておるので、鈴木さんから御答弁されると言いますが、総理が御出席なさっておりまして、この問題は官房長官に答弁さす、こういう場合、私たち理解できると思うのです。しかしながら、総理はいまのところ御出席願えない状況でございます。そこで、官房長官は国務大臣でもないと思うんですね。その国務大臣でない官房長官が、高度の政治的な判断を要する問題、——総理から何らかのお指図はあっていると思いますが、それだけにも限らないと思うんですね。ここで判断をしなければいけない問題があると思うんです。そういう問題について、国務大臣でない鈴木さん、鈴木さん個人はりっぱだと思いますが、国務大臣でない鈴木さんが、総合的な内閣を代表して答弁ができるか、委員長はどうお考えになるか、それが筋だとお考えになるか。
○荒舩委員長 委員長は閣員でございませんので、この判断には法制局長官から答弁をいたさせます。
○成田委員 これは、いま開かれておりますこの委員会の運営としまして、先ほど私が申しましたように、高度な政治的判断を要する問題もある。政府を代表して答弁をしていただかなければならぬ。それに対して国務大臣でない鈴木さんが答弁されるということは筋じゃないと思う。したがって、常任委員会の執行の責任者である委員長が一体どうお考えになるか。法制局長官の法律的な見解を聞いているわけじゃございません。
○荒舩委員長 ただいまの御質問でございますが、法的な解釈もございますので、法制局長官から答弁をさせることが適当だと思いますので、さよう決定をいたします。
○林説明員 ただいまの委員長の御指名でございますので、私から、あるいは御満足いくかどうかわかりませんけれども、一応御答弁をさせていただきたいと思います。 委員会の運営でございますが、これは、総理大臣が出ておられればもちろん総理大臣がいろいろ答弁されるわけでありますが、総理大臣がいま病気、特に本日は病気で委員会に出席されない。また、従来も閉会中の審査の場合にはその他の理由で御出席にならない場合も大体慣例であったと思います。そういうような例もございまして、その場合には、原則としてはそれぞれの所管大臣が政治的問題については御答弁になる。総体的問題については、やはり官房長官が内閣全体のとりまとめ役をしておられますので、官房長官からお答えすることにならざるを得ない、かように考えるわけでございます。先ほど官房長官からもお答えがございましたけれども、総理の意向も聞いておるということでございますから、それによって先生のほうの御判断を願うよりほかないのではないかと思います。
○成田委員 法制局長官は、劈頭に、御満足をいただけないかもわからない、こう言っておられた。そのとおりだ。私はちっとも満足できません。従来国会閉会中に総理が出られなかった、こう言われるのでありますが、それは過去の経験ではありましょうが、やはり当時の政治状況というものがあると思うのです。きょう予算委員会が開かれたというのは、重大な問題が山積をしておる、こういう意味で予算委員会が開かれたのですから、この際総理が出られないとすれば総理にかわりまして責任のある政府の答弁をする大臣を当然もうけるべきだと思う。 それで、いまお尋ねしますが、官房長官の地位というのは、まことに要領を得ないあいまいなものなんですね。政府委員なんですか。
○林説明員 官房長官の職務は、御承知のとおりでございまして、内閣の全体の事務を内閣におきまして総合整理する職務でございます。もちろん官房長官は国務大臣をもって充て得ることにもなっておりますが、現在はさようでございません。したがって、国会に御出席になっておられる資格は政府委員でございます。
○成田委員 政府委員の任命はやってありますか。
○林説明員 政府委員というのは、ちょっといま間違いました。政府委員は開会中のことでございまして、閉会中の場合は、それぞれ、何といいますか、説明員と申しますか、当然その委員会に出席を要求される者として出てきておるわけであります。
○成田委員 いま法制局長官の答弁を見ましても、政府委員でもないというんですね。そうすると、説明員というんですよ。説明員では事政府の重大方針について責任ある答弁をするということは許されないと思うのです。問題は、私だからといってきょうここで質問しないということは申しません。質問いたしますが、この点は保留しておきます。そして、いかに官房長官の答弁ではだめであるかということを具体的な質問の過程で明らかにして政府に善処を要求したい、このように考えるわけであります。 まず最初にお尋ねいたしますが、すでに政府も御承知のように、社会党は憲法の規定に基づきまして臨時国会の召集要求をいたしました。これに対しまして、政府は、いままでの政府首脳あるいは与党首脳の公式非公式の見解として、臨時国会は十月の終わりか十一月の初めに召集する、その期間は約四十日、こういうことを表明されておったのでありますが、その方針は現在でもお変わりになっていないかどうか、これを承りたいと思います。どなたがお答えになりますか。
○鈴木説明員 臨時国会の召集につきまして社会党から成規の手続によって御要求がございました。政府といたしましても、準備の整い次第できるだけ早く開催をいたしたい、このような考えでおります。
○成田委員 準備が整い次第できるだけ早くと言われたのですが、先ほど私具体的に質問したのですが、従来、公式、非公式の見解としては、十月末、十一月初め召集、そして約四十日、こういう談話をたびたび得ておったのですが、その方針に御変更があったかどうか、それを具体的にお答え願いたい。
○鈴木説明員 ただいま大蔵大臣が中心になりまして補正予算の作成に当たっておるわけであります。財源の見通しその他をいま極力詰めて、関係閣僚との間に、またその他の諸問題につきましても話し合いをいたしておるということで、時期につきましてはまだはっきりきめておりません。しかし、できるだけ早く開きたいと考えております。
○成田委員 いまの御答弁を承りましても、政府を代表して答弁をされるにはやはり資格がない。総理なら当然言われると思うのです。現にいままでは十月末か十一月初めと言っておられた。ところが、最近になりまして、これに変更があるやに伝えられておる。いま準備中と言われるのですが、政治というものは相当な見通しを立てるべきだと思うのです。大体準備がいつごろ終わり、——たとえば予算の関係をおっしゃいましたが、予算の関係といえば歳入の問題だと思う。これは九月決算に関係ある。これも十月半ばには終わると思うのです。そうしますと、早目にやるという御意思があれば十月の末には臨時国会の召集が可能だ。おそくとも十一月の初めには可能なはずだ。準備の進捗状況から言って現在見通しは一体いつごろ臨時国会をお開きになるか、それを承りたいと思います。
○鈴木説明員 先ほど申し上げましたように、あらゆる問題につきまして関係閣僚の間でこれを詰めております。また、大蔵大臣も関係閣僚と連絡をとりながら補正予算の編成を急いでおるわけでありまして、いまはっきりした時期につきましては申し上げかねますが、準備のでき次第早く開きたいと考えております。
○成田委員 これでは答弁にならないと思うのです。やはり準備の過程というのは大体おわかりなんです。したがって、総理から指示も受けておると言われるのですが、きょうの質問は臨時国会の開会時期というものが問題になることは、事務当局から、どういう問題を質問されるかと聞かれたときにも、私は臨時国会の問題を聞くと言っておる。当然総理の指示を受けてこの問題についての御答弁があってしかるべきだと思う。事前にその点は通知してある。それさえ言えないということは、一体どういうことですか。ほかの大臣で言える方いらっしゃいますか。どなたか明確にしていただきたいと思うのです。
○鈴木説明員 昨日も総理大臣が大蔵大臣と会われまして、予算の問題につきましていろいろ御相談をいたしたのでありますが、大体その話し合い、大蔵大臣の御意見等を伺って、十一月下旬ごろには開催できるのではなかろうか、こう考えております。
○成田委員 これだけの簡単なことを言われるのに、二、三回も質疑応答をやる必要はないと思うのですよ。率直に最初から言っていただきたいと思うのです。十一月下旬開会。 そこで十一月下旬召集ということになりますと、従来の方針とは相当食い違ってきている。私たち非常に遺憾だと思うのですが、これだけおくれた。それから、会期は一体どれくらいの予定でおやりになりますか。
○鈴木説明員 ただいま問題を整理いたしておりますので、まだはっきり臨時国会にどういう案件を提出するか最終的に固まっておりません。したがって、会期につきましてもいまのところきまっておりません。
○成田委員 会期についてはまだおきまりになってないというのですが、十一月下旬ということになりますと、通常国会の召集との関連でおのずから会期というものは限定されると思います。これでは長くとも二十日だと思うのですね。従来は、十月の末、十一月初め召集、約四十日間ということを表明されておったのですが、召集期日も非常におくれる、会期も非常に短縮された、こういうことになるのですが、そういう大きな政治上の方針の変化があったことも、召集がおくれて会期が短縮された、これも総理の御病気と私は無関係ではないと思うのですね。こういうように考えますと、後ほど触れます臨時総理代理設置の問題というのは当然常識的に考えられなければいけない、こういうことになると思うのでありますが、この臨時国会で審議されるただいまお話しの補正予算の大きな柱が、人事院勧告に基づく国家公務員の給与の問題なんです。これについてもまだ政府の方針はきまってないように私は承っております。 そこで、まず労働大臣にお尋ねしたいのですが、先般ILOの調査委員会の証人として政府の代表として行かれたその席で、日本において人事院勧告が尊重されてない、人事院勧告どおり実施されてない、これに対して相当ILO当局の不満の意思表示があったやに聞いておりますが、事実でございますか。
○石田国務大臣 ただいま御質問の案件、すなわち労働権制限とこれに対する代替措置の問題ということが審問の課題になったことは承知いたしております。ただ、この委員会は秘密会議でありますので、その審問がどういう態度でなされ、どういう意思表示をなされたというようなことについては、お答えいたしかねます。
○成田委員 次に人事院総裁にお尋ねいたしますが、今度の勧告は、御承知のように、過去四年にわたり毎回給与改定の実施が十月に繰り下げられているために、一般職公務員の給与は常に民間給与におくれる結果となっておる、こういう事実を鋭く指摘されております。そして五月一日実施を強く勧告しておられるわけであります。したがって、政府は勧告を尊重すると言っておりますが、勧告が尊重されるかされないか、この基準の判断は、実施が五月一日にさかのぼって行なわれるかどうか、これによって判断すべきだと思うのです。勧告にもありますように、過去において十月に繰り下げられて実施されたということは、政府は勧告を尊重しなかったものだ、このように判断すべきだと思いますが、人事院当局の御見解を承りたいと思います。
○神田説明員 法文の上では、公労法の仲裁裁定は両方の当事者を拘束する規定になっております。しかし、人事院のほうの国家公務員法にはその規定はないのであります。しかし、人事院は直接に国会にも勧告をしておるのであります。それは勧告権を尊重するものと認めておる趣旨であると思います。それから、仲裁裁定の予算の場合にも、予算不足の場合には国会でこれが当然修正されております。法文上の規定は違ってはおりますが、政府の態度も、これは当然同じであると思っておる次第であります。
○成田委員 いまの御答弁十分理解できないのですが、私の質問は、人事院勧告で、いままで十月に人事院勧告が実施されておる、そのために民間給与との差がひどくなっているのだ、こういう鋭い指摘が行なわれている、したがって、人事院勧告を尊重すると言う以上は、十月実施ではだめなんだ、五月一日に遡及して実施される、これが尊重の意味だ、こう人事院は理解すべきじゃないかということを質問しているのですが、それに対する端的な御答弁をお願いいたします。
○荒舩委員長 マイクが悪いので、答弁を大きな声でお願いします。
○神田説明員 人事院勧告が五月に実施されておらないのはまことに遺憾なことだと思っております。
○成田委員 ただいまの神田さんの御答弁は、五月一日に実施されなかった過去の例というものは勧告を尊重したことにならない、遺憾なことだ、こう言われたのですが、この人事院総裁代理の御答弁に対して、労働大臣は一体どういう御見解を持っておられますか。
○石田国務大臣 公務員は労働権の制限を受けております。それに対する代償、補償措置として人事院勧告の尊重ということがあるのでありますから、この人事院勧告は期日を含めて実施さるべきものと考えております。
○成田委員 そこで、さらに労働大臣にお尋ねしますが、そういう精神から申しますと、四月十七日のスト収拾にあたりまして、総理は、総評の代表者と会って、公労委の仲裁裁定は尊重する、こう言われた。事実、仲裁裁定が出ました結果、そのとおり実施されたわけです。公共企業体労働者の場合は裁定どおり実施されているわけですね。したがって、一般職公務員の場合は人事院勧告のとおり実施するのが当然だと思いますが、いかがでございますか。
○石田国務大臣 私は、そう考えておりますので、そういうふうに努力をいたしておるつもりでございます。
○成田委員 政治力のある石田労働大臣ですから、必ず御答弁のとおり実現さしていただけるものと、こう確信いたします。 次に、いま大きな政治問題になっております原子力潜水艦の問題について一、二お尋ねしますが、政府は原子力潜水艦寄港受け入れ体制を非常に急いでおられるようですが、これに正比例いたしまして国民の側の反対運動も加速度に高まっております。 そこで、お尋ねするのですが、原子力潜水艦寄港の際には、政府の説明によりますと、二十四時間前にその旨の通知がある、これを国民に政府は周知徹底する、こう言われるのでありますが、入港のときは通知がありますが、原子力潜水艦が港から出るときに通知はあるのでしょうか。
○椎名国務大臣 入港のときは、いろいろ準備の都合もございますので、アメリカ側から少なくとも二十四時間以前に事前通告があるということになっておりますが、出港の際はさような取りきめはございません。
○成田委員 入港のときは準備の都合があるから二十四時間前に通知があるが、出港の場合はその必要はない、こういう認識だから私は問題が起きると思うのです。御承知のように、いま問題になっておる原子力潜水艦の安全性の問題の一つは、原子力潜水艦が出す放射能の廃棄物です。これは、出港のとき、港を出るときに原子炉が始動する、その際の第一次冷却水の中に放射能廃棄物が一番たくさん出る。これが安全性の問題の中心なんです。したがって、出港のときこそ事前に通知すべきだ。これに通知がないということはどうなんですか。それで安全性の問題が心配ないと言えますか。
○椎名国務大臣 冷却水の問題については、すでに原子力委員会におきまして再三検討いたしまして、その滞在日数あるいは出港のときのいかんというものにかかわらず、きわめて安全性が保たれ得る、さような確信を持った次第でございます。
○成田委員 それは安全性の確信があると言うのですが、万全を期するためにすでにいまバックグラウンドの調査なんかやっておるんでしょう。したがって、出港時の放射能の問題というものは一番大きな問題なんです。これについて通知を受けないということは、今度の原子力潜水艦の寄港というのが単なるレクリエーションではなくして作戦行動の一部だということの証拠なんです。直接的にはインドシナのアメリカの戦略と関係があるということの証拠であります。 そこで、次にお尋ねするのでありますが、原子力潜水艦が事故の場合補償問題を協議しておられますが、補償問題を協議するということは、事故があることを前提にしたことなんです。事故があるから補償という問題が起きる。しかし、事故があって補償を考えるのではおそいと思う。いま受け入れ準備をどんどん進めておられるのですから、その災害対策についても政府は十分の準備ができておると思います。事故が起きた場合の災害対策の詳細を国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
○椎名国務大臣 事故が起こるかもしらぬというような懸念がいやしくもある以上は、その寄港の問題を根本的に考えざるを得ないのであります。すでにあらゆる点から研究いたしまして安全性はだいじょうぶであるという確信を得たので寄港を許した次第でございまして、万一起こった場合にはどういう規定で救われるかということにつきましてはすでに十分の研究をしておるのでございまして、万々一さような危険性はないという確信のもとに寄港を承認した次第であります。
○成田委員 補償の問題を協議されるということは、事故があるということを前提にしておるのです。そして、いま万一ある場合は万般の対策を研究中だというのですが、その研究の結果をここで明らかにしていただきたい。政府は一方的に受け入れの準備を進めている。その災害対策については何ら国民の前に明らかにされておりません。万一起きた場合、たいへんなんです。したがって、国民の前にそれを明らかにしていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 原子力潜水艦の安全性の問題につきましては、原子炉自体の安全性の問題、それから先ほど御指摘のありました第一次冷却水の問題、それから廃棄物の処理の問題というような点が重点であると思いますけれども、いまお尋ねの点は、主として原子炉自体の安全性の問題、それから運航上の安全性の問題というふうに理解してよろしいかと思いますが、これらの点につきましては、過去一年八カ月間にわたりまして、いろいろ問題となり得るような点につきまして、外交交渉を通していろいろの点について照会をいたし、その結果が去る八月二十六日の原子力委員会の総合見解の中に明記されておりますように、かくかくの点についてアメリカ側が保証するような措置がそのまま実行される場合においては国民生活に支障を来たすものではない、こういう判定をいたしたわけでございますから、万々一にも事故というようなものが起こるとは予想いたしておりません次第でございます。しかしながら、万々一事故が起こったというような場合におきましての補償の問題等については十分措置をすることになっておるわけでございます。なおまた、いわゆるモニタリングとかバックグラウンドとかいうような調査についてもできるだけのことをして、国民に御安心を願いたい、かように考えておるわけであります。
○成田委員 事故が起きた場合に補償して国民生活に心配のないようにするというのですが、そうじゃなしに、事故が起きた場合の災害対策をどうしているか。たとえば、平和利用の場合でも、災害対策書というものを原子力安全審査委員会で討議するはずです。したがって、当然災害対策があるはずだ。その災害対策の詳細をひとつ明らかにしていただきたい。国民が安心するように、その点を明らかにしていただきたい、こういうことです。
○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、事故とか損害が起こらないようにするということが何よりも必要なことであって、私どもの見解といたしましては、さような心配をする必要はない、こういうふうな見解を持っておるわけでございます。しかし、いま御指摘もありましたように、たとえば国内の原子炉につきましても万々一の損害を国民に与えるというような場合を予想した規定もございますが、それらの問題についても、従来のたとえば地位協定と申しますような規定ではカバーできないような点につきましても十分に措置をするような措置を講じておりますから、万全の措置と申し得ると思います。
○成田委員 抽象的に万全の措置を講じているというのではわからないですよ。具体的にこの委員会にお示し願いたいと思う。よろしゅうございますか。きょうあるいはあすの間に具体的に出していただきたいと思います。
○愛知国務大臣 繰り返すようでありますが、根本は安全性の問題でございますから、安全性について、われわれとして安全であるという見解を持つに至りました経緯等については、すでに衆議院科学技術特別委員会等においても明らかにいたしておるつもりでございます。それから、万々一の損害の補償というようなことについても、政府のとるべき措置については明らかにいたしておりますから、そういう点については、資料は公表しておるようなものでございますから、いつでも差し上げる用意はございます。
○成田委員 損害補償の内容を私は言っているのじゃないですよ。事故が起きた場合の災害対策はどうか。平和利用の場合でさえ災害対策書というものを出しているじゃないですか。ましてや、原子力潜水艦が事故を起こした場合の災害対策がないはずはない。もしないとすれば、全く政府はアメリカの要望に屈して日本人の生命、財産を軽視しておるという証拠だと思う。災害対策を当然出すべきだと思います。きょうあすの予算委員会中にぜひ出していただきたい。委員長としてもひとつ要請していただきたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。
○荒舩委員長 よろしくありません。
○成田委員 もう少し委員長まじめにやってください。
○荒舩委員長 まじめです。科学技術庁長官から答弁がありますから、科学技術庁長官にお聞きを願いたい。
○愛知国務大臣 御質問と答弁とが多少食い違ったかもしれませんが、災害対策につきましても、われわれの考え方として考えておりますことは別に資料を提供いたします。
○成田委員 次にお尋ねいたしますが、消費者米価、医療費の値上げ、公共料金の値上げがいま大きな政治問題になっておりますが、そのうちで消費者米価の値上げはおやりになるのかどうか、これについて政府の御見解を承りたい。
○赤城国務大臣 消費者米価につきましては、いろいろ問題はあると思いますけれども、私はこれを引き上げるというつもりでいろいろ工作をしております。
○成田委員 消費者米価引き上げのために工作されたのでは国民は迷惑しごくだと思うのです。この問題について総理から官房長官に何か御指示はございませんでしたか。いま農林大臣は、消費者米価を引き上げるために工作している、こう言われた。
○鈴木説明員 消費者米価の問題につきましては、関係閣僚の間でただいま検討中でございます。総理といたしましては、昨日も大蔵大臣とお話をされました際に、低所得者に対する影響もあり、また他の物価との関係もありますので慎重に扱っていきたい、こういうことであります。
○成田委員 いま農林大臣は、消費者米価を引き上げる方針で工作をしておる、官房長官は、総理の意向は低所得階層の関係もあるから慎重に検討する、ここに大きな食い違いがあると思いますが、これに対して官房長官、総理大臣の意向を代表して言われたのですが、いまの御発言をお認めになるのですか。
○鈴木説明員 私は食い違っていないと考えております。この問題は慎重に扱っていきたい、こういうのであります。
○成田委員 引き上げるために工作するということと、慎重に取り扱うということとが食い違っていないとすれば、やはり総理の御意向も引き上げるということですね。引き上げるために工作する、慎重に考えて引き上げるということになる、そのように理解してよろしゅうございますか。
○鈴木説明員 ただいまは関係閣僚の間で検討中でございまして、まだ総理はこれに対して最終的な判断を下しておりません。
○成田委員 全くこの問題については政府は支離滅裂だと言わなければいけませんが、こういう問題について、もうすでに補正予算の問題もあり、来年度予算の、審議の問題もある、そのときにこの消費者米価の問題についてまだ結論が出てないということ自体、これは現在の政治状況のもとで許されないと思うのです。 私たち社会党は、去る一日に、総理に病気療養に専念していただく、他方いま一日もゆるがせにできない政治問題が山積しているという立場から、首相代理を置くことを政府に強く申し入れたわけなんです。いま私がこの質問を通して取り上げた二、三の問題を考えてみましても、官房長官の言うように、支障はない、首相代理を置く必要はないということは言えないと思うのです。 そこで、まず具体的にお尋ねするのでありますが、政府は、臨時国会が召集された場合、総理がなお国会に出席できないような病状のときには首相代理を置かれるやに承っておるのでありますが、政府の方針はいかがですか。
○鈴木説明員 内閣法の九条に、内閣総理大臣に事故があるとき、または欠けたとき、あらかじめ指名をいたしました国務大臣がその職務を行なう、こういうことが規定をされておるのでありますが、現在の池田首相の病状は、のどを痛めてはおりますけれども、その他はきわめて健全でございます。病院におきまして政務をとっておるわけでありまして、官房長官を通じまして閣議の模様を詳細に報告を求め、また、閣議の前日、案件につきましての総理のお考えについて必要な指示を与えまして、国政に渋滞のないようにいたしておるわけであります。したがいまして、総理が事故あるときと、こういうことには私は該当していないと考えます。また、必要な国務大臣を病院に招きまして適切な指示を与えております。また、さらに重要な案件の際には、総理は閣議にも出席をすることができる、こういう状態にあるわけでありまして、当面臨時首相代理を置くことを考えておりません。 ただ、成田さんのお尋ねのございましたように、臨時国会等を召集する場合にどうか、こういうお話でございますが、総理の病気はだんだん快方に向かっておりまして、臨時国会を開くというその時点において総理の健康等も考えて適切な判断を下したい、かように考えております。
○成田委員 必ずしも私の質問に真正面からお答えになっていないのですが、事故の問題については後ほど内閣法の解釈で御質問いたします。そうじゃなしに、私が御質問申し上げたのは、政府が臨時国会を召集する、十一月下旬には召集されるわけなんです。そのときに不幸にして総理がまだ病気がよくなられない、国会に出られる状況じゃない、こういう場合に政府は臨時首相代理を置くやに伝えられておるのでありますが、それについての政府の方針を承りたい。だから、一つの前提があるわけです。臨時国会が召集される段階になった、——私は一日も早く総理が御全快なさって臨時国会に出られることを期待いたしますが、不幸にしてまだ一カ月、二カ月の長期療養が必要だ、臨時国会には出られない、こういう医者の判断があったときに臨時首相代理を置かれるのかどうか、当然政府としても置かれるべきだと思うのですが、それについての見解を承っているわけです。
○鈴木説明員 国会が召集されました場合に、内閣総理大臣として野党の御質問に答え、また政府の方針を国会を通じて明らかにするということは、総理大臣の職務の重要な部分を占めておると考えております。したがいまして、まだ十分時間もあり、療養が幸いにして快方へ向かっておりますので、いま私が申し上げたようなことを念頭に置きながら、その時点において適切な判断を下したい、かように考えております。
○成田委員 ただいまの御答弁によりますと、国会に出て政府の方針を明らかにするというのが総理の職務である、そういうものを念頭に置いてその時点で判断する、こうおっしゃったのですが、私は当然のことだと思うのです。臨時国会になって総理がもし御病気で出られないというときには、臨時代理を置くということは当然だと思います。 そのように理解して、さらに私申し上げたいのですが、単に臨時国会を召集された段階になっていまおっしゃったように総理が国会に出席できない、そこで臨時代理を置かれるというのではまだ十分でないと思うのです。なぜならば、先月二十五日の医者の診断では、最低三、四週間の入院を要するというまことに微妙な表現になっております。三、四週間入院したあと今月末——ちょうど先月の二十五日の診断から計算いたしますと、大体今月の二十五日になると思いますが、二十五日になってもさらに入院継続の必要がある場合、二十五日には医者の診断が発表されると私たち聞いておりますが、この二十五日に医者の診断があってさらに一カ月程度の入院継続が必要だ、こういう場合が当然予想されると思うのです。したがって、臨時国会になったときに判断されるのじゃなしに、もう今月の二十五日には政府としては判断しなければいかぬ事態になると思うのです。その場合当然、御病気がなおらないということはまことに不幸なことではございますが、政務をゆるがせにしないという立場からいけば、この二十五日の段階で首相代理を置くという決意をすべきときだ、このように私は理解する。これが政治の常識だと思うのです。それについての見解はいかがでございますか。
○鈴木説明員 成田さんの御指摘の時期における医者の診断の結果、また総理大臣として職務を支障なく行なえるかどうか、そういうことを総合的に判断をしてきめたいと考えております。
○成田委員 私は一つの前提を立ててお話ししているのですが、その前提も私個人の主観で申し上げているのじゃない。責任ある診療をやっているお医者のほうで、二十五日に、最低三、四週間の療養は必要だ、その後二十五日にはさらに診断の結果を発表する、こう言われておる。その診断の結果が、不幸にしてまだ一カ月程度の入院加療が必要だ、こうなった場合は、ちょうど政治のシーズンに入るわけです。当然政府の責任ある人がいなければいけない。政務がとれる体制になっていなければいけない。その点から考えましても、その段階では総合的判断の立場に立っても首相臨時代理を置くべきだと思うのです。これが責任ある政治の態度だと思うのですが、いかがですか。
○鈴木説明員 ただいま申し上げましたように、二十五日ころの時点における医師の診断の結果にもよるわけであります。快方に向かっておって間もなく退院できる、かりに若干の延長があるにしても間もなく退院ができる、——また、職務についても、国会が開かれなければ、先ほど申し上げましたように病院において十分総理としての政務を見ておるわけでありますから、その二十五日の時点における医師の診断の結果、また総理が職務を行なっていくに支障あるような健康状態であるかどうか、そういうことを総合判断してきめたいと考えております。
○成田委員 そこで、先ほど官房長官が九条の問題についての解釈をしておられましたが、その点についてお尋ねするのですが、官房長官は、首相代理を置けば総理の権限がすべて首相代理に移ってしまう、そのことはかえって政治の混淆をもたらすのだ、こういうことを非常に心配しておられるようでありますが、臨時首相代理を置いた場合に総理の権限がすべて臨時首相代理に移るというこの官房長官の見解は内閣の統一見解でございますか。
○鈴木説明員 法制的な点につきましては後ほど法制局長官から答弁をお願いすることにいたしたいと思いますが、内閣法第九条による臨時首相代理、これは、あらかじめ内閣総理大臣が指名をしたところの国務大臣でなければならないということが第一点であります。その指名をされておる国務大臣に臨時に総理大臣の職務をかわってやっていただく、こういうことになるわけでありますが、その際におきまして、この内閣総理大臣が、国会において首班として指名をされたその内閣総理大臣の専属する権限というものがあるわけであります。総理大臣を辞職するとか、あるいは閣僚の任免権、こういう固有のものは総理大臣に専属をいたしておるわけでありますが、その他の内閣総理大臣の職務は臨時代理において執行してもらう、こういうことになると考えています。
○成田委員 いまのお答弁をお聞きしますと、世上官房長官談話として伝えられたのと少しニュアンスが違ってきたと思うのです。最初官房長官は、首相代理を置けば首相の権限がすべて首相代理に移譲される、そこでかえって混淆を来たす、こう言われたのですが、任免権と辞職の問題、総理大臣の地位を去る場合と任免権の問題は固有の総理の権限である、これは移らない、こうおっしゃったのですが、それ以外に、たとえば解散権、予算編成権、こういう問題はどうなるのでありますか。
○林説明員 先ほど官房長官からお答えしたことで、法律的権限はあれで間違いないことだと思います。それで、ただいまもう少し詳しく申しますと、大体内閣総理大臣の地位というものはいろいろの地位を実は含んでおります。国会において内閣総理大臣として指名された地位に基づく地位、指名されたという事実に基づく地位、それから内閣の首班であるということ、それから行政府としては総理府の首長である、いろいろな地位を含んでおります。その中で内閣法九条で臨時に内閣総理大臣の職務を行なうということから申せば、原則としては、一応総理大臣が職務を行なえないときに臨時代理を置かれるのでございますから、当然それを前提とすれば、普通の内閣総理大臣の職務はすべて臨時代理が行なう。ただ、先ほど官房長官も申しましたように、内閣組織の権限と申しますか、組織の地位と申しますか、国会において指名された総理大臣の地位というものに基づく、それから出てくる職務権限、これは一身専属的なもので移らないであろう、かように考えるわけでありまして、その代表的なものは国務大臣の任免権あるいは総辞職と言われましたが、総辞職、もちろんそれもそう言ってもいいと思いますが、実は総辞職は内閣の総辞職でございまして、総理大臣個人の問題ではございません。したがいまして、内閣できめて総辞職をするわけでございますが、そのイニシアチブをとるのは何といっても総理大臣。こういうものはすべて国会において指名された総理大臣がイニシアチブをとるべきものだと思います。ただ、これはなお詳しく申せば、いわゆる総理大臣が欠けた場合あるいは総理大臣がほんとうに意識不明で回復の見込みのない場合、こういう場合は欠けた場合と見ざるを得ない。したがって、欠けた場合は、これはもう総理大臣がおらないのでございますから、代理者が辞職の手続をとらざるを得ないと思います。そういう例外はあると思いますが、原則は先ほど官房長官が言われたとおりでございます。 それから、次に御質問でございました解散権と予算編成権の問題でございますが、これは、どちらも法律的に申せば実は内閣の権限であります。内閣総理大臣の権限ではございません。いわゆる閣議できめて、解散については天皇が衆議院を解散する権限を持っておられ、それに対して内閣が助言と承認をすることになっております。それから、予算編成は、これもまさに憲法七十三条で内閣の権限でございます。したがいまして、総理大臣個人がどうこうという問題ではございませんが、まず予算編成の問題を申しますと、予算編成はある意味においてはこれはルーティンの仕事でございますから、時期が来れば予算あるいは補正予算を編成しなければならない問題でございまして、これは私は総理大臣臨時代理が実際閣議を主宰しておる場合においても可能なことと思います。政治問題は別でございますが、法律的には可能だと思います。それから、解散の問題も、突き詰めて言えば、先ほど申し上げましたように内閣の問題でございまして、総理大臣個人の問題ではございません。したがって、法律的にはそこいらまで突き詰めて可能、不可能とはちょっと言えない。可能な場合もあり、おかしいという場合も、両方あると思います。しかし、政治的に考えれば、そういうように、つまり解散をすれば当然に選挙があった後においては内閣は総辞職をしなければならない立場になっております。憲法上なっております。したがいまして、内閣の運命をみずから縮めると申しますか、そういうような解散は臨時代理がすべきものではなかろう、かように考えます。ただ、しかし、その場合においても、かりに国会においてたとえば内閣不信任が通った、そういう場合に、内閣は総理大臣がたまたま病気のために内閣総辞職の一途をとらなければならないか、解散ができないかということは、これは私は必ずしもそうは言えないのじゃないか、かように考えております。
○成田委員 次にお尋ねしたいのですが、臨時首相代理を置いて、ある程度権限を移す。移りますね。その場合に、総理本人の権限、これは臨時首相代理を置いて臨時首相代理にまかされた権限の範囲内で総理自身の権限もなくなるのですか。
○林説明員 これは、法律的に申しますと、そこいらはいろいろ議論のあるところでございまして、一説には、内閣総理大臣に事故があってもある若干のことは総理大臣ができるものもあるのじゃないか、そういうものについては総理に残るのだという説もございます。しかし、そうなりますと、一々の問題についてこれは事実認定をしなければ、総理が自分でできることか、あるいはできないことかということは非常に問題になります。したがいまして、多数の学説あるいはわれわれもそう考えておりますが、もちろん内閣法第九条でいいます内閣総理大臣の臨時職務代理の問題は、いわゆる学者の言います全部代理であるというふうに考えております。原則として全部が臨時代理のほうに移る、先ほど申しましたが、例外を除きまして全部移る、こういうふうに考えるべきものだと思います。したがって、法律的には、それが外部にあらわれます場合で顕著な場合は、たとえば法律の施行の署名とか政令の署名とかというような問題が出ます。あるいは閣議の資料にサインするというような問題が出ますが、こういう問題はもちろん臨時代理がやるべきものだと思います。それで、ただ現実の問題として、総理大臣がある範囲において実は相談に乗るくらいのことはできるという場合には、これは事実問題としていろいろ相談があるということになるのじゃないかと思っております。
○成田委員 いまの御答弁を聞きまして、官房長官が考えておられたように全面的な権限の移譲というものはないということなんですね。それで、解散権の問題なんかも、これは法律論というよりは非常に政治論的なものですね。こういうことを考えますと、そんなに官房長官御心配なさるように、臨時首相代理を置くことが重大な影響を池田総理にもたらすとは私は思わない。たとえば河野さんが臨時首相代理になって直ちに解散をやる、そういう御心配をしなくてもいいので、閣議が決定するということなんですから、そういう心配もないのじゃないかと思う。そこで、もう少しすなおにこの臨時首相代理のことはお考え願っていいのじゃないかと思うのです。現に、いままで吉田さんのときには緒方副総理というのがあったわけです。それから、最近でも、総理が外遊されたとき、二、三週間の外遊でも首相代理が置かれている。いま交通通信が非常に発達しているときなんで、総理がいまの状態で入院されているよりは政務は支障ないと思うのです。その外遊のときでも首相代理が置かれているのですから、もの少しすなおに解釈されたほうがいいと思うのです。 そこで、第九条の解釈の問題に移りたいと思いますが、よく官房長官は、いまは事故とみなさない、いまは事故とみなさないと言うのですが、この事故がはたして首相代理を置く要件かどうかという問題についても問題があるのですが、一体事故というのはどのように解釈すべきか、今後の問題もあると思いますので、事故の解釈というものを明らかにしていただきたいと思います。
○林説明員 事故と申しますのは、結局内閣法で総理大臣に事故がある場合には臨時にあらかじめ指定する者がその職務を行なうという規定がございますから、その前提としては、要するに総理大臣が職務を行ない得ない状態ということに解釈すべきものだと思います。それでその場合に、たとえばごく一部のことはできるけれども、大部分はできない、あるいは半分ぐらいのことはできるけれども、半分ぐらいはできない、いろいろな問題が現実の問題としてはあろうと思います。私どもの解釈といたしましては、やはり臨時代理を置くということは、内閣総理大臣がその職務を行ない得ない状態ということでございますから、一〇〇%とは申しませんけれども、全般的に申して総理大臣がその職務を行ない得ない状態、こういうことをさすものと実は考えるわけでございます。そうでなければ、ここで臨時代理を置くという前提が成り立たないのじゃないかというふうに考えます。 そこで、事故でございますが、先ほど仰せられましたような外国出張は従来事故と見てやっておりますが、これは将来の問題として、もっと飛行機等が、いわゆるスーパーソニックというような飛行機ができまして、もう少し交通、通信が便利になれば、私は、あるいは事故と見なくてもいい時代も来ると思います。現に国内出張の場合は事故とは見ておりません。国内出張と外国出張がほとんど違わないような状況になる時代もあると思います。そういうことが来れば、外国出張必ずしも当然の事故とはならない時代になると思いますが、総理の病気の場合が一番認定問題が出てくるわけでございまして、これも結局は医者の診断、あるいは病気というのはやはり御自身の判断問題もございますから、やはり自分はまだできるのだという主観的な判断もやはり加味しなければならないと思います。しかし、主観的判断だけでは、幾ら自分ができると言われても、客観的に無理だという場合もございます。やはりそういうようなことを総合して事実認定をしていくほかはなかろう、かように考えるわけでございます。
○成田委員 官房長官にお尋ねするのですが、いままでの官房長官の談話で、いまの入院の状況は職務を行なうことができない状態ではない、したがっていまの御答弁のように事故とは言えない。だから臨時首相代理を置かない、こう言われるのですが、内閣法九条をすなおに読みますと、こうありますね。「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」と書いてある。事故の解釈は別といたしまして、この事故というのは、内閣総理大臣が臨時代理を置く要件ではなくして、あらかじめ置かれた臨時代理がその職務を行なう要件なのです。ところが、いままで官房長官はそう言われない。事故が臨時代理を置く要件のように言われるのですが、その事故というのはそうじゃないのです。職務を行なう要件なのです。あらかじめ指定する大臣があるはずなんです。したがって、その解釈は非常に間違っておると思うのです。いま直ちにでも、あらかじめ指定する大臣を置かなければいけない。法律違反を犯しておると思うのです。これに対する官房長官の御見解を承りたい。
○鈴木説明員 法制上のことは法制局長官から補足説明を願うことにいたしますが、いままでいわゆる副総理といわれるあらかじめ指名をする国務大臣、これはいままでの各歴代の内閣で、あらかじめ事故いかんにかかわらず置いたこともございます。また置かない場合もございます。現内閣は発足以来まだ副総理を置いておりません。
○成田委員 だから私が申し上げているのは、事故を副総理を置く条件にすることは間違いだと言うですよ。いま、事故のいかんにかかわらず置いた場合もあり、置かない場合もあると言われるのですが、その先入観念が間違っておるのです。事故があった場合に副総理を置くのではないのです。内閣法には、「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」あらかじめ副総理は指名されておるのですよ。事故があったときに初めて職務を現実に行なうようになる。職務を行なう条件なんですね。したがって、あらかじめ置いておかなければいけない。このことは第十条と比較すればはっきりしておる。第十条は一般国務大臣の場合ですが、「主任の国務大臣に事故のあるとき、又は主任の国務大臣が欠けたときは、内閣総理大臣又はその指定する国務大臣が、臨時に、その主任の国務大臣の職務を行う。」「予め」とは書いてないのです。第九条が「予め」というのを特に書いたのは、内閣総理大臣の地位の重要性から考えて、組閣と同時に、あるいは組閣の直後に、あらかじめ事故があった場合、また欠けた場合を予想して、総理大臣の職務を行なう国務大臣を指名するということなんです。あなたは事故が指名の条件のように考えておるから間違っておる。この点は私はひとつ明確にしていただきたいと思うのです。今後の問題があると思うのです。もう第九条と第十条の比較解釈からいっても当然なことです。それから、たとえば欠けたときにあらかじめ指定できますか。それから事故というのは心神喪失の状況だ、こう言われておる。そういうときに総理大臣が指定できますか。事故があった場合、総理大臣が欠けた場合、あらかじめ指定できますか。そういうことから考えましても、当然いま——いまというのはもうおそいのですよ。組閣と同時に、組閣直後に総理大臣についてはあらかじめ臨時代理を指名する。事故を指名の条件にすることは絶対に間違いなんです。官房長官の明確な御答弁を承りたいと思う。(林説明員「委員長」と呼ぶ)いや、これは官房長官がいままで言っておられたことなんです。
○林説明員 ちょっと法律的問題を先に答弁させていただきます。 いま成田先生おっしゃいましたとおりに、いわゆる事故がある場合の内閣総理大臣の指名、事故があった場合に総理大臣の職務を行なうべき者の指名と、それから事故が発生した場合の職務代理と、これはもちろん別の観念でございまして、内閣法九条のたてまえといたしましては、まず事故があった場合に、総理大臣の職務を行なうべき者をまず指定をいたしまして、その指定された者が事故が発生した場合に当然に代理をする、こういうのが法律的なたてまえでございます。これは成田先生のおっしゃるとおりでございます。(成田委員「ぼくはそんなこと言いません」と呼ぶ)その指名をいわゆる法定代理の問題で——これは法定代理と解釈されております。したがいまして、いわゆる総理大臣の代理を行なうべき者の指名、これが事故より先行するということは、これは観念的にはおっしゃるとおりでございます。それは従来の例を申せば、組閣の当初にそういう指名が行なわれた場合もございます。ずっと行なわれなかった例もございます。したがいまして、これは結局そういう事故の発生が予想されるときにやればいいのじゃないかというふうに従来考えられております。したがって、ある普通の状態においてやらなかったことが直ちに違法とか適法という問題にはならないと思います。それは結局総理大臣の判断の問題になってくると私は思うわけでございます。 そこで、これは一つの前例はございますけれども、石橋内閣のときに、実は石橋総理大臣が組閣後間もなく病気になられまして、あの場合に岸外務大臣が臨時首相代理になられました。その前にもちろん第九条に基づく指定が行なわれております。それはほとんど時間的に接続して行なわれたと思いますが、その指定はいわゆる病気引きこもり中総理大臣たるべきものとしてまず指定をするという指定がございまして、それを受けて、今度はいよいよ総理大臣に事故が発生したという形によって指定を受けられた——通称これを副総理と言っておりますが副総理と言わない場合もございますが、これは全く俗称でございます。法律的にはそういう名称はございませんが、そういう方が実際に現実に職務を代理する、こういうことが石橋内閣のときにも行なわれました。観念的には、おっしゃるとおりにまず事務代理者たるべき者の指名が先にあって、それから事故があった場合、いわゆる欠けた場合にその次の段階になるということはお説のとおりでございます。ただ、それが時間的に非常に接着して行なわれた前例もあるということが石橋内閣の例でございます。 それから、欠けた場合にはあらかじめ指名の方法がないじゃないか、指名されない間に、かりに総理大臣が欠けたという場合にはどうなるのだという御質問でございます。これはしばしば従来国会で、私が内閣委員会あたりで御質問を受けてお答えしておりますが、もちろん、その場合にはほかにしようがございません。結局残った国務大臣が閣議において相談をして、臨時に代理者たるべき者をきめていく、こういうこと以外には方法がないと思います。欠けたときには当然に内閣総辞職ということに憲法でもなっておりますから、ごく短期間のことではございますけれども、それは残った国務大臣で閣議で相談をしてきめていくという以外にはないと思っております。
○成田委員 日ごろ非常に明確な法律的な答弁をされる林さんも、この問題についてはまことにあいまいですね。いま現に観念的にはそうだと言われるのですが、観念的じゃないのですよ。総理がたとえば欠けた場合、その場合はやむを得ないから処置として閣議で決定してやるというのですが、それほど総理の地位というものは重大だから、第九条は、あらかじめ指定しておきなさい、たとえ半日でも一日でも、総理の地位というのは重大なんだから、あなたの言うようにやむを得ずやるというようなことはやるべきじゃない。そこであらかじめ総理の職権を代行する臨時代理を設けろということを明文に書いてある。それから死んだ場合は総辞職と言いますが、たとえば心神喪失の状況におちいった、一時判断できないという場合、あらかじめ指定できますか。あなたはやむを得ないからこうすると言う。そういうやむを得ない処置をとらないように、総理の地位の重要性からいって第九条ではあらかじめ指定しろということを書いてある。観念的じゃないです。これは実際問題です。観念的には私の言うことを認めるというのですが、実際問題として政治的な配慮として第九条の趣旨があるわけなんです。特に第十条と比較したらはっきりしているのです。第十条の一般国務大臣の場合は、あらかじめとはないのです。事故があった場合に指名すればいいのです。総理大臣はそうはいかないというので、あらかじめ指名するのですから、この点は非常に明確だと思うのです。官房長官、あなたは先入観で間違って事故云々というものを条件にしておられたからそういうことになっているのですから、この点はひとつ明確にしていただきたいと思います。
○鈴木説明員 成田さんと政府側の質疑応答でも明らかでありますように、臨時首相代理を置きます場合には、その前にまず第九条によりまして国務大臣を指名をいたすわけでありますが、しかる後に臨時代理を置くということにつきましては、意見の相違は成田さんとの間にはないと思います。その指名される国務大臣を事故が起こるずっと前、極端に言いますと、組閣と同時にそれを置くべしという御意見のように承るわけでありますが、この点につきましては、歴代内閣の例を見ましても、置いた場合もあり、置かない場合もある。池田内閣はその置かない場合でやっておるということでございます。
○成田委員 置いた場合と置かない場合がある、それは事実としてあったというだけで、それが適法であるか、政治的に妥当であるかということは別問題だと思います。当然組閣直後に置くのが第九条の精神だと思う。なぜならば、心神喪失の状況があったときにあらかじめ置けますか。内閣総理大臣の地位の重要性からいって当然組閣直後に置くべきだ、これが第九条の精神だと理解すべきだと思う。たとえばきょうの委員会で意思統一の必要があった場合にどうするのですか。内閣としての意思統一の必要があった場合にどうされますか。臨時代理がなくてだれが主宰しますか。この委員会で、ここで直ちに意思統一しなければいかぬ問題があった場合、だれがやりますか。
○鈴木説明員 このあらかじめ指定された国務大臣を置くか置かぬかという問題は、総理の政治判断によってきめて差しつかえないもの、こう考えるわけです。 なお、この委員会で内閣としての意思統一をはかる必要があるという場合には、直ちに電話等におきましてそれは十分できるわけでありまして、従来も内閣の意思統一をやる場合には、暫時休憩等をお願いいたしまして、そして政府の見解の統一をいたしております。こういうことであります。
○成田委員 私、反論するにはあまりに答弁がばかげているから、反論もいたしかねます。ただ、臨時首相代理をだれにするかということは、ぼくは総理の権限で、判断でやると思う。しかし、臨時首相代理をあらかじめ指定するということは法律の明記しているところである。これは総理といえども、この法律を無視するということはできません。全く違法を犯している。そしていまの意思統一の問題でも、暫時休憩しますとか、電話連絡するとかいうばかげた答弁をしなければならぬ。そういう点からいっても、あらかじめ臨時首相代理が必要だということは明らかになっている。法律的にも政治的にもこれは明らかだということを申しておきます。 それであくまでも、いま非常に苦しい答弁をされるのですが、それはやはり総理のお立場をお考えになっていると思うのですよ、あなたは側近として。私はその気持ちはわかります。しかし、それは国民に対する責任ある態度じゃないと思う。どうも鈴木さんの御答弁を聞いておりますと、党内事情に目が向けられて、国民には目が向いていないと思うのです。決して国民に責任ある政治の態度じゃないと思う。そういうことは議会政治の権威を失墜すると私は思うのです。権威を守る意味からも、すなおにこの問題は御理解なさって、すみやかに臨時総理を置くべきだと思う。あなたが総理の立場を心配される私情はわかります。私情と公の仕事は別なんだ。また、私情においても、いま言ったように何も問題ないのですから、法律の命ずるとおりにやればいいのですから、党内事情さえ考えなければ臨時首相代理を置いて、総理が政務に心配されることなく養生に専念される、こういう立場に総理を置いてあげることが、むしろ総理に対する誠実なゆえんだと思う。そのことがまた国民に対する責任を果たすゆえんだと思う。そういう意味で、私は強く臨時総理の設置を要求いたします。 特に先ほどの質問で明確を欠いておったのですが、今月の二十五日ごろには病状についての発表があるはずです。あった際、引き続き一カ月以上入院の必要がある、こういうときは当然いま申しました趣旨からいっても、臨時首相代理を置いて政務に遺憾なきを期するのが政府の責任ある態度だ、こういうことを強く要求いたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
○荒舩委員長 これにて成田君の質疑は終了いたしました。 次に質問の通告がございます井手以誠君、多賀谷真稔君、淡谷悠藏君でありますが、時間の都合上暫時休憩をし、午後零時五十分より再開いたします。 午前十一時四十九分休憩 ————◇————— 午後一時八分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 井手以誠君。
○井手委員 補正予算並びに来年度の予算に関連して二、三お伺いをいたします。 最初に、本年は不幸にして相次いで災害に見舞われましたが、二十号台風までの災害の被害総額は、どのくらいになっておりますか、総務長官。
○臼井説明員 ただいま井手先生から御質問の昭和三十九年度主要災害の被害につきまして概数を申し上げますと、総額公共土木関係で八百七十九億五千八百七十三万九千円、大体八百八十億。それから、そのほかの農地等を合わせますると、総計で二千九十六億九千万円、大体三千百億でございます。ただ、まあこの中には四月、五月、さらに四月から五月までの間の凍霜害が一部入っておりますが、全体の額はそうでございます。その中で農地関係では農地と農作物、中小企業等がわりあいに多い。
○井手委員 ただいま災害の被害総額は承りましたが、これらに要する災害復旧の本年度における国庫負担、補助を加えた負担はどのくらい見込まれておりますか、大蔵大臣。
○田中国務大臣 三十九年度における暫定法及び負担法関係に関連する災害総額は千四百七十三億六千四百万円という数字が計上せられております。ただし、先般の台風災害等、まだ未確定の部分も相当ございますことをつけ加えて申し上げます。予算的措置は二百億の一般予備費のうち流用するものが大体百億程度は考えられると思います。また災害分に百億の予備費を新たに計上いたしておりますので、最大に使用できるとしても二百億未満ということになるわけであります。でございますから、初年度三、次年度五、三年次目が二という比率で行なうとしても、補正予算財源として当然財源措置を必要とするということになるわけでございます。なお、新潟地震災害等三、五、二の比率でやれない部分もございますので、これらの要素を考えますと、財源的措置を必要とするということが考えられるわけであります。
○井手委員 予備費のほかにさらに追加しなくてはならぬ国庫負担の分はどのくらいであるかということをお伺いしておるわけです。
○田中国務大臣 これはまだ確定的な数字を申し上げるわけにはまいりません段階でございますが、まあ少なくとも三、四百億ということは概算数字として考えられるわけであります。
○井手委員 そこで大体の数字はわかりましたが、災害復旧は申すまでもなく急を要するものでございます。特に今年の災害は積雪地帯が多いのであります。そうなりますと、もし臨時国会が十二月にわたるということになりますれば復旧工事は来年になるのであります。急を要する災害復旧工事が本年度に着手できない。もちろん予備費で相当はできますけれども、なお三、四百億の追加が必要であるということを考え、また初年度三割ということを考えてまいりますと、臨時国会はもっと早急に開いて、十一月一ぱいでも国会の審議を経ることが私は必要ではないかと考えておりますが、特に災害地に関係する新潟県出身の田中大蔵大臣、いまのままで参りますと、先刻の午前中の答弁によりますれば臨時国会は十一月末、これが通常国会に引き継がれるということになりますれば、災害復旧の予算は来年の二、三月に着工しなくてはならぬようになります。それでいいんでしょうか。いつもならば災害復旧は、これは急いでやらなくちゃならぬのがたてまえでございますが、差しつかえないのですか。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたように予備費で措置をいたしておりますので、現在まで三、五、二の比率で考えた場合の工事に支障を起こしてはおりません。補正予算の時期が十一月によしんば入ったといたしましても、年末までには工事に支障のないように交付税の繰り上げとか、また短期資金の補給等十分道を講じておりますので、災害復旧に対して査定が終わっており、しかも災害復旧工事の設計ができておるにもかかわらず、予算上の制限によって事業がおくれるというようなことはありません。
○井手委員 私は、現地を回って査定が非常におくれておることの不満を訴えられました。災害が起こったならば、その年度内に少なくとも三割は竣工させるというそういう予算措置をしなくてはならぬはずです。十一月、十二月まではまだ日にちがあるわけですから、早急に臨時国会を一日も早く開いて国会の協賛を経べきではないか。私は、臨時国会は十一月早々には開いて災害復旧の予算を審議せなければならぬと考えますが、その点は、どうでございますか。急いでやるということ、十一月末に開会しようという臨時国会を、災害復旧のためにはもっと繰り上げてやるべきではないかと私は特に主張しておるわけであります。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、諸般の財源措置を考えておりますので、災害復旧事業の、復旧に遺憾があるというようなことは考えておりませんし、また遺憾のないように各般の措置を行なっておるわけであります。臨時国会も早いにしくはありませんか、御承知のとおり財源の問題その他もございますので、早急にいま開くということが好ましいことであっても、事実上の問題として時期的に相当繰り上げた時期に開会をすることが難いということは御理解がいただけると思うわけであります。それから、実際の災害の査定が終わりましても、原形復旧というよりも新しいやり方、すなわち災害に対しまして助成計画を立てたり、また改良復旧に重点を置いて、二度も三度も同じところが災害にかからないような方向で設計を進めておりますので、そういう事情とも勘案をして実情をつまびらかに調査をいたしますと、予算上の制約によって災害復旧がおくれるというような事実はありませんし、またないように各般の施策を行なっております。
○井手委員 災害復旧に支障を来たすおそれが多分にございますから私は特に相談をいたしておるわけであります。そこで、今月の二十日前後には九月末の税収の見込みは立つわけですから、今月一ぱいに補正予算が組まれないはずはないと思うのです。ほんとうに熱意を持って真に災害復旧を急いでやろう、人事院勧告を実施しようという誠意があるならば、今月末には臨時国会が開かれるはずだと思うのですが、どうしても開けないのですか。毎月の統計によりますと、二十日過ぎには前月の税収は推定ができるはずです。そうであるならば今月一ぱいには、補正予算の編成はできるはずです。
○田中国務大臣 御指摘のとおりできないというわけではございませんが、非常に不確実なものでございます。御質問があればお答えをいたしますが、今年度の自然増収は大体五百億、せいぜい見積もっても五百五十億、こういわれておることは御承知のとおりであり、御専門である井手さんも私が言わなくてもそれしかないなということはおわかりでしょう。そういうことを前提にして補正予算をばたばたと組んでしまうというような問題になりますと、あまりにも重大でありますし、人事院の勧告が一体何月からやれるのかという問題、また一体最終的に何月から行なうというようなことをやって財源が不足した場合、各地方で既定経費の削減が一体どの程度できるのか、各町村別や府県別の単独事業費にどういうふうな影響が起こるのか、こういう問題をつまびらかにしないで補正予算の審議をわずらわすということは、これはもう軽率のそしりを免れない。こういうことでありまして、これは政府が前向きに、また人事院勧告等も可能な限り最大に尊重するというたてまえをとれば、どうしても十月一ぱいに補正予算を編成するということは時期的に不可能である、こういうことが言い得るわけであります。
○井手委員 その財源の問題ですが、その前にお伺いいたしますが、補正の要因と見られるものの財源はどのくらい必要であるか。人事院勧告を完全に実施したり、あるいは災害復旧の予算を計上したり、そういうことをやりますと、総額どのくらい必要でございますか。
○田中国務大臣 まだ総額、どのくらい必要であるかということを申し上げられる段階になっていないことははなはだ遺憾でございますが、大体補正予算の要因となるべきものを申し上げますと、五、六項目ということになると思います。これはいつでもやらなければならない事務費の精算不足額の補てんがございます。それから公共施設の災害復旧費の計上があるわけであります。医療費と社会保障費という問題が出てくる可能性もあるわけであります。公務員の給与の改定がございます。米価算定に伴いまして、米価を引き上げるということになれば、生活保護費等の問題も考えなければならないということになるわけであります。米価を引き上げないということになれば、財源をどこからか見つけてこなければいかぬ、こういう問題になります。それに地方交付税の主税の増収を見込みます場合には、地方交付税の二八・九%の歳出が予定せられるわけでありますから、総額どのくらいになるかということは、現在のところ申し上げられませんが、相当の金額になる、こういうことだけは推定がつくと思うわけでございます。税収が五百億、どんなにやっても五百五十億程度ということであれば、大ざっぱに考えて七、八百億の財源が足らない、こういうことが言い得るわけであります。しかし、これは一月実施になれば七、八百億ではなくて六、七百億ということになるでしょうし、十月実施ということを想定すれば七、八百億の不足ということになりましょう。しかし、それは米の値段をそれまでに上げられた場合には一体それから幾ら引けるのか、また上げない場合にはもっと多くなるか、こういう不確定要素が大体ございますので、その辺の事情はひとつ御推察いただけると思います。
○井手委員 大蔵省事務当局でもけっこうですが、法人企業統計による三十七年下期の営業収益、それから三十八年下期の営業収益、総計だけでけっこうです。
○田中国務大臣 御質問の三十七年度の下期における営業利益は七千六百八十五億円であります。三十八年度の上期の分は八千七百六億円でございます。三十八年度の下期は一兆四十三億円でございます。
○井手委員 大臣、あなたはいま非常に財源が困るという話でしたが、あなたは五百億しか補正予算の財源はないとおっしゃるけれども、その点についてどうも大蔵省は、あなたは、この補正予算の財源を過小に見積もっておる傾向があると考えます。なぜならば、いま全産業における法人の営業収益は、三十七年の下期に対して三十八年の下期は三割以上をこえておるのであります。ばく大な営業収益を上げておる。また現実に税収を考えてまいりましても、法人税の収入割合はどんどん最近上がっておる。今後どんどん上がるでしょう。九月期は私はうんと上がると思っております。これを考えなくちゃならぬ。また経済企画庁の月例報告によりますと、物価のほかは非常に楽観的な内容になっていることは、大蔵大臣も御承知のところと思うのです。これらを考えてまいりますと、三十七年の下期よりも三十八年の下期は、営業収益が三割以上も上がっておる。こんなことはめったにないことです。そうであるならば、かりに当初予算にかなりの自然増収を見込んでおったとしても、予想以上の自然増収があると考えておるのです。昨年の補予正算においては千三百億円以上の財源を組まれた。少なくともこの補正予算においては、千二百億円以上の補正予算の財源はあり得ると思う。その点はどうですか。
○田中国務大臣 井手さんも御承知のとおり、確かに三十八年度の上期は対前年同期比は一一三・三%でございます。三十八年度の下期は一一五・三%でございまして、三十八年下期の対前年同期比は、御指摘のとおり三〇・七%というものでございます。しかし、これはあなたも十分当委員会で御専門的に御承知のとおり、三十五年度は実質一六・七%の成長率が実績として出ているわけでございます。これは当初の見通しは七・八%でございました。その七・八%であったものが一六・七%に伸びておったということで、当初の三千九十六億の自然増収見込みが四千百二十六億になったということでございます。ところが三十六年度は、御承知のとおり二〇・九%の実績でございます。二〇%というときには、皆さんから超高度と言われたゆえんはここにございます。そのときの当初の成長率は九・八%しか見ておらなかったわけですが、九・八%に対して二〇・九%という高度の成長を遂げましたので、その差額が四千九百四十一億の自然増収になってあらわれたわけでございます。しかし、そうはいっても、三十六年度は三千九百三十億が四千九百四十一億になっただけであって、総額において一千億の自然増収の増加ということになるわけであります。三十七年度は五・四%の当初見通しに対して八・九%ということでございまして、また三十八年度は八・一%、が一三・六%、こういう高い成長率がいま判明をいたしているわけでございますが、しかし、その数字をずっと見ますと、三十五年度の実質の自然増収は四千百二十六億、三十六年度は四千九百四十一億、三十七年度は三千四百八億であります。三十八年度は、いま御指摘になったパーセンテージでやりますと、いろいろな議論が生まれますが、実績は四千百十五億でしかないわけでございます。それを三十九年度は名目九・七%に押えながら、六千八百二十六億の自然増収を目一ぱい見積もっているということを考えますと、三十八年度の下期と三十九年度の下期をそのまま比べて、四十年度にずれ込む税収が相当伸びるであろうというようなことは考えられませんし、また三十九年度の上期の経済成長の実績を見ますと、下期にずれ込む、本年度の下期の税収が大きく伸びるというようなことは、前年までの実績に比較して、そのままスライドするという議論は成り立たないというのが実情でございます。
○井手委員 私は、いま大蔵大臣と数字の論争をしようとは考えておりません。しかし、三十八年度は、二、三日前の企画庁の発表によりましても、予想以上に経済は成長しているのです。法人税は翌年に入るというのがいままでの政府の答弁でございました。法人税は三割以上のいままでにない利益を上げているならば、当然法人税の増収は明らかであります。昨年千二百億の補正予算が組めて、昨年三十八年よりももっとことしはよけい法人税が入る見込みなのに、なぜ五百億しか見込めないのか。これは明らかに消費者米価を上げるための、あるいは人事院勧告の実施を繰り下げるための作為的な見積もりであると私は考える。そうでしょう。消費者米価の問題や人事院勧告給与の実施の問題があるので、財源がないから、財源がないからという、そういう財源難のムードをつくって抑えようとしておるのじゃございませんか。私は、明らかに昨年以上の補正財源があると考える。もう一回、端的にわかりやすく説明してください。数字では一般にはわからぬのです。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、三十六年は三〇・九%、初めの計画は九・八でございますから一一・一%も伸びているわけです。ですからその後、三十七年の上期にずれ込んだものに対しては増収があったということは言い得るわけでございます。三十八年度は、現在のところ、実績としては一三・六%の増でございますから、三十九年度に対して多少ずれ込んでおるということは事実でございますけれども、三十八年度の当初は三千百三十一億でございます。それが実績は四千百十五億でございます。今年度の財源として見積りましたものは六千八百二十六億でございます。そういう意味から考えまして、一体三千億、四千億程度見込んでおったときと、六千八百億を見込んだとき——六千八百億というのは、御承知の三十八年度の一三・六%の経済成長率分が二千億ございますから、二千億を引いても四千八百億でございまして、実績数字に比べて非常に大きな数字であるということは言い得るわけでございます。でありますから、いままでの租税及び印紙収入の収入実績を申し上げますと、それでおわかりになると思います。——お手元にございますれば、あえて申し上げません。
○井手委員 私は、税収の見積りをこれ以上申し上げようとは思いませんけれども、確かに補正財源は千二百億以上出てくるのです。いまははっきり勝負がつかなくても、来年の春には勝負がつくのです。間違いないのですよ。あれほど法人がもうけておる。三割以上ももうけておって、どうして五百億くらいの自然増収しかないと言えるのか。私は不可解しごくだと思う。私が先刻言ったように、人事院の給与の実施時期の問題、消費者米価の問題があるというので、そういうムードをつくって抑えようとなさる作為があると私は考える。もし来年の春になっても自然増収が五百億、六百億しかないというなら、私は責任をとりましょう。あなたもそれじゃ責任をとりなさいよ。これは間違いないのです。今月の末には大体その推定が出てくるのです。どちらがほんとうであったか、あとで証明はつきます。 そこで大蔵大臣にもう一言聞いておきますが、仲裁裁定は完全実施になった。その財源措置は、今度補正予算でなさらないのですか。
○田中国務大臣 国鉄及び電電、郵政等でございますが、現在のところ補正要因としてこれを要求しておるというような段階ではございません。しかし、これからの段階においてどうなるか、実際の収入が、どう伸びるかということでございまして、既定経費の中の移流用でやれるということにはなっておりますが、これからの問題として検討しなければならないときがくるかもわかりません。
○井手委員 仲裁裁定に要する財源は五百十五億です。それは年度当初ですよ。年度当初に五百十五億円というばく大な金が部内で融通できるような、そんなにあめのように伸びたり縮んだりかってにできるような、そういう伸縮性のある予算ですか。 まず郵政大臣に聞きますが、あなたのほうは百二十四億円の財源が要ることになっておりますが、郵政省はそんなに年度当初から百二十四億円も融通がつくような予算になっておりますか。
○徳安国務大臣 ただいまの御質問でございますが、仲裁裁定実施に要する郵政関係の経費は百二十四億でございまして、その財源措置といたしましては予備費が十億円、これは郵政事業特別会計に予備費として計上してございます。それから郵便収入の伸びと申しますか、増加が三十八億円、既定予算の節約が九億円、合計五十七億円想定してございます。さらに受託業務に対する経費はそれぞれの会計から受け入れることになっておりますが、郵便貯金関係から二十億円、簡保会計から二十四億円、日本電電公社から二十三億円、これが六十七億円、両者を合計いたしまして百二十四億円、大体裁定実施が完全に行なえる見通しでございます。
○井手委員 私は数字を聞いておったのではございません。五百十五億円、郵政省だけで百二十四億円、そんなばく大な金額が年度当初から細工ができるような甘い予算ですかと聞いておるんですよ。こんな幾らでも伸び縮みができるようなものであったならば、私は予算審議を考え直さなければならないと思います。郵政省で百二十四億円というばく大な金が年度当初からそんなに自由になるのですか。あなたには聞きません。官房長官か総理大臣の代理に聞きます。もしおわかりにならないならば、電話でお聞きを願いたいと思います。そんなに予算というものが年度当初から——五百十五億円ですよ。そういうものが節約なりやりくりでできるものですか、そんなに甘い予算ですか。私は国民の税金によってまかなわれる予算というものは、もっと厳粛に考えなければならないと考えております。年度当初から五百十五億というばく大な金が自由にできるということは想像できないのです。そういう甘い予算ですか。
○鈴木説明員 当委員会でも慎重御審議を願っておる予算でございますので、私は適正にできておるものと考えております。
○井手委員 私は今後予算審議にあたっては、そういう伸び縮みのできるような、かってにやりくりができるような予算であるならば、考え方を改めて審議いたします。 次に、来年度予算に関連して二、三お伺いをいたします。 来年度予算については、池田三選内閣の公約として、安定成長のもとにひずみを是正することが公約されております。そこで経済企画庁長官にお伺いいたしますが、安定成長の目標は何であるか、どこであるか、具体的には安定成長下におけるところの成長率と物価、私は物価については特に責任ある答弁を求めておきます。
○高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、過去三年間ばかり卸売り物価は安定してまいっておりますが、消費者物価が相当高い騰貴率を示してきましたことは御承知のとおりでございます。政府は昨年の暮れ以来、金融の引き締めを通じまして物価の安定に専念して努力してまいったわけでございますが、幸いにして昨年の下半期、消費者物価は大体安定の傾向を見せまして、今年に入りましてからもずっとその情勢は続いてまいっております。ただ四月、五月のごろにおきましては、授業料等の値上がりがございまして、前月比においてわずかなる上昇を見ましたが、大体安定の方向に向かってまいっておる次第でございます。年度当初、昭和三十九年度の見通しといたしまして、消費者物価の上昇率を四・二というふうに一応予定をいたしました政府といたしましては、この範囲で何とかしてとどめていきたい、かような考え方のもとにただいまも努力をいたしておる次第でございます。
○井手委員 長官、少し私の答弁を聞き違えておるようでございます。私がお伺いしておるのは、来年度予算に関して承っておるのです。池田三選内閣の公約、安定成長のもとにおける成長率と物価の目標をどこに置いておるかを承っておるわけであります。安定成長とは名目何%であるか、実質何%であるか、物価は二%であるか二・五%であるか、私は物価などという国民最大の関心の問題については責任を持った答弁を求めておるわけです。
○高橋(衛)国務大臣 ただいま昭和三十九年度を基点とするところの中期五カ年計画というのを策定いたしておるのでございます。政府といたしましては、この計画はまだ検討中でございまして、結論を得るのに多少時間がかかるかと存じますが、政府の考え方といたしましては、この目標、最終年次でありまするところの昭和四十三年度、それまでに漸次消費者物価の上昇率を低めていって、そうして完全な安定に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
○井手委員 私は中期五カ年計画を承っておるのじゃございません。来年度予算編成が迫っておりますから、来年はどうなさるおつもりなのか、来年の一月からは、新聞によく出ておりますように、公共料金が軒並み上がるだろう。長官、すでに八月の消費者物価は昨年の八月に比べて四・四%上がっておるのですよ。一年前に比べて四・四%すでに上がっておるのですよ。その物価がどんどん上がっておる、この非常に国民が心配しておる問題について来年は、どうお考えになっておるかと聞いておるのです。また成長率は、来年は安定成長とは何%を考えておるのかということを聞いておるのです。
○高橋(衛)国務大臣 八月の消費者物価の前年比較は四・三%でございます。それで四月から八月までの、平均……(井手委員「そんなことはいい」と呼ぶ)いや、これは申し上げなければおわかり願えぬかと思いますから申し上げますが、四月から八月までの平均の値上げ率は三・三%でございます。同じように、昨年の四月から八月までの消費者物価の上昇率は七・八%でございます。したがって、相当安定的な傾向にきている、かように申し上げていいかと存じます。 なお、大体年間の消費者物価の騰落を見てみますると、八月、九月に上がって十一月、十二月に下がるという傾向がずっといままでの波でございますので、そういうことも考え合わせて、ぜひとも当初見通しで立てました四・二%、これを実現していきたい、かように考えております。なお、来年度の問題についても、今年度より上がらないということをぜひとも実現いたしたい、かように考えておる次第でございます。 なお、ただいま御質問の来年度の成長率をいかにするかという問題につきましては、これからのあとしばらくの、たとえば鉱工業生産その他の各種の指標を検討いたしまして、もう少し近い時期において確実な見通しを立てたい、かように考えておる次第でございます。
○井手委員 これ以上企画庁長官にお聞きいたしません。なるほど成長率を幾らにするかという確定的なことをいま聞くのは無理であることは重々承知しております。しかし、いやしくもこの成長政策が論議され、物価問題がいろいろと論議されておる今日に、経済企画庁長官としてはもう少し信念を持った答弁がほしいのです。安定成長とは何%程度であるか、物価はどのくらいに押えなければならぬかというそのくらいの信念はあってほしいと思う。しかし、私はこれ以上問いません。 そこで大蔵大臣にお伺いいたしますが、池田内閣の公約はひずみの是正であります。ひずみとは設備投資を中心とした高度成長政策によって事業が非常にふえたところに原因があるといわれておる。これば政府を除いた全部の見解が一致したものです。私は、ひずみの是正というものは、どういう原因で起こって、そういう認識のもとに、反省の上に出発しなければならぬと考えております。都会と農村、大企業と中小企業のひずみ、このひずみが起きた原因は大蔵大臣、どういうふうにお考えになっておりますか。私は、本日は特に政策の失敗であるとかなんとか、そういうことを突き詰めて聞こうとは考えておりません。私は、ほんとうにひずみを是正しようとするならば、その原因にさかのぼって深い反省の上に出発しなければならぬからお伺いをいたしておるわけであります。
○田中国務大臣 ひずみということばは非常に幅の広いことばでございます。いわゆる高度成長によりまして、重工業部門等は非常に成長率もよくなり、またそれに勤務をする方々の給与は非常に上がったけれども、中小企業や農村の給与は上がらないということも、その現象が一つのひずみと言われております。また、東京や大阪に産業、人口、文化等が過度に集中するような現象ができた。この現象もひずみの一つでございます。輸出が非常に伸びる、輸出が伸びるという反面、成長率を押えることができない。その意味で資本市場は需要と供給のアンバランスを持って、今度自己資本比率を上げなければならない過程にありながら、一時的に増資を抑制しなければならないというのもひずみの一つでございます。また、東京、大阪に産業が発達をしておりますので、地方から労働力が移動してくる。移動してくると住宅がない。これもひずみの一つでございます。それから東京や、三次産業、三次産業に労働力が固定をしてしまうので、農山漁村や中小企業に人手不足という現象も起きてきた。俗にあなた方が三ちゃん農業とか、二ちゃん農業とか言われますが、これもひずみの一つである。物価も上がりぎみであったということもひずみの一つである。このひずみというものはあらゆる意味から言われるわけでございますが、そういうものがすべて高度成長によって起きたのだ、こういうことをあなたは表現しておられますが、しかし、その高度成長はしなければならないのだ、無資本から十八、九年間の間に日本人がとにかく国際競争力をつけながらここまでくるには、超高度はいかぬけれども、ある意味における人と同じような成長率ではどうにもならないのだ、高度成長の中であらゆるひずみを解消していくのだ、高度成長ではなくて、ひずみがあるから成長をうんと下げて、戦前のように四%、四・五%に下げれば、ひずみが解消するかというと、それは解消するかもわかりません。解消するかもわかりませんが、しかし、これは縮小生産による解消でありまして、これはただ数字的な解消であって、そういうものに耐えられるほど簡単な日本人の生活にはなっておらないわけであります。でありますから、合理的な成長を安定的に長期確保していく過程において、その収益によってひずみを解消していくという方向をとらざるを得ないことも御承知のとおりでございます。でありますから、文教とか、社会保障とか、そういうものが全部ひずみの部類になっているということを見る場合、ただに文教予算を増し、社会保障費を増すことによってひずみの解消はできないのであります。これはやはり安定的に、ある意味において外国よりも高い成長率を長期的に維持していく過程においてひずみを吸収していくという方法以外にないわけでございます。でありますから、来年度を初年度とする中期経済五カ年計画を策定する場合において、この中に現在起こっているひずみ、これから起こり得るひずみというものをどういうふうに吸収をし、ひずみの解消をはかるかということが政策の焦点になるわけであります。
○井手委員 大臣はひずみの内容を三つ、三つおあげになりました。私もいずれもひずみだと思う。しかし、そのひずみを起こした原因というのは、工場設備、設備投資を中心として物と金と人を集中したからこういう結果になっている。端的にいえばそういうことになるのです。そういう生産第一主義の結果、都会と農村、大企業と中小企業、さらにまた大臣がおっしゃる工業地帯、過密地帯におけるひずみが起きているのです。それは設備投資——物と金と人とをあまり一部に集め過ぎた結果なんです。そういう結果が、物価が上がり、人手が足らぬようになった。農村が困ってきた。そうであるならば、そういう認識の上に立って、いままでの一〇%か十何%という成長率というものは、これは押えなくてはならぬ。そこが私は一番大事だと思う。だから、従来のような十何%などという、そういう成長率を考えてはならぬと思う。そうでしょう。池田総理は、こういうことを言われた。こちらのほうは三十歩進んだが、一方においては十歩しか進んでいない、その十歩のほうをかけ足でやらせるのだ、こう言われる。しかし、かけ足のできない農村や中小企業は一体どうするのですか。だから、生産第一で大企業だけ太るような、そういう政治ではなくて、政治の目標が違う。生産じゃない。生産は手段です。国民生活の安定のために政治があるのですから、生産はその手段ですから、ひずみのために国民が非常に困っておるならば、成長政策というものは根本から変えなくてはならぬじゃないですか。私が聞きたいのは、いままでの一〇%内外という成長政策というものを変えなくてはならぬじゃないか。生産ばかりどんどん上がっても、国民生活が困るようでは、これは政治じゃございません。その根本的な認識があるかどうかをお伺いいたします。
○田中国務大臣 御指摘の面はそのとおりだと思います。現在のように、三十五年に一六・七、しかも七・八の目標に対して一六・七、倍以上の成長率を遂げております。三十六年は九・八に対して、これも倍以上、二〇・九。それから三十七年は五・四%に対して八・九%伸びておるわけです。それから、三十八年は八・一%と見ておりましたものが二三・六になっておるわけでございます。この過程における税収の伸びは、先ほど御指摘になったような状態でございまして、対前年度比、三十六年に二四・六、三十七年に二四・四、三十八年に一七・四、三十九年に一四・二というふうに、一般会計のワクもだんだん正常なものになっておる。同時に、今年度の成長率は、三十八年度の成長実績一三・六にはいかない。今年度の当初見込み六千八百二十六億を計上いたしましたときは、御指摘のとおり実質七%、名目九・七でございます。でありますが、私は九・七で押え切れるとは思っておりませんが、しかし、一〇%をはるかに越す、一一%を越し一二%になるというような状態は、いまの状態において想定できないわけでございますから、来年はそれよりもちょっときびしくという考えからいいますと、高橋長官先ほどから言われておりますとおり、全く未定ではございますが、安定成長ということを考えると、所得倍増政策の次年度以降、いわゆる七・二%を目標にした七%ないし七・五%の、実質であり、名目は九%ないし一〇%、こういうことが大体安定成長の目標になるのではないかと、これは全く私個人の試算でございますが、そういう程度になりますと、安定成長ということが言い得る状況である。しかし、これよりももっと下げなければいかぬということになると、今度は企業整理の問題とか、ここまで大きくなっておる日本の産業を、名目九%以内に下げて今年度は四・二%という、物価を絶対に据え置きもしくは下降ぎみに抑えることが経済的に見ても一体可能であるかというと、そこには非常に大きないろいろな摩擦が起きますので、摩擦なしに安定成長というと、大体そんなことになるのではないかといま想定される数字でございます。
○井手委員 ただいま大蔵大臣から安定成長、安定経済の目標をお話しになった。しかし、従来八%のものが一五%にふえる、政府の予想以上に成長が高まったというのは、これは設備投資が予想をはるかに越えておるからである。最近開発銀行の調査によりますと、三十九年の設備投資の希望は、四兆六千億円と言われておる。このどんどん工場をつくるという、ここに問題がある。抑えようとなさるけれども、押えがきかない。きかないから結果においてはこういうひずみが出ておるのですから、この膨大な設備投資をもっと押えるくふうはないのか、これが私は根幹だと思うのです。なるほど、品物をどんどんつくるためには工場をつくらなければいかぬでしょう。しかし、工場をどんどんつくったためにひずみがこれほど深刻に起こっておるというものであるならば、国民生活が政治の目標で、使命でありますならば、この膨大な設備投資、旺盛な設備投資を押えなくちゃならぬはずです。現に、幾ら政府が押えても、来年の二月から増資統制をしようとしても、大企業はどんどん増資の意欲を燃やしておるじゃありませんか。この設備投資を押える、これに対して、もっと革新的な政策はないのですか。たとえば、もっと資金の面から、行政の面から、設備投資は政府の想定以内に押える、聞かないものはこうするという計画的な調整ができないのか。いまのように、走るものは、大きいものはどんどん太らせていく、そうしてひずみを何とか直そうとしたって、これはできる相談じゃございませんよ。片一方が伸び続けておるからひずみが起っておる。それを改める御意思がおありになるかどうか。
○田中国務大臣 あなたが御発言になっておる趣旨が非常に明確になりましたので、お答えいたします。 確かに、設備投資が行き過ぎた、そのために生産指数が落ちない、輸入も高原横ばいであるということはわかります。その過程においてひずみというものが生じつつあり、また生じたということも、ある意味において一部私も認めます。ですから、これを押えるということにつきまして、一体今年度はどのくらいの設備投資かということになりますと、三兆七千億から三兆九千億だろうと考えておったものが、四兆一千億になり四兆三千億になる、こういう数字も散見をいたしております。でありますから、昨年から調整を約十カ月近くも行なっておりまして、まだ引き締めを解除する段階に至っておらないと、あえて申し上げておるわけでございます。でありますから、金融調整を続けておる過程において、きめこまかな施策を行ないながらひずみの解消をはかってまいる。しかし、オーソドックスな方法としては調整の方針を堅持をしてまいって、その過程においてひずみの是正ということをやってまいるということが一つございます。 もう一つは、その設備投資という考え方がどこででもこの二、三年来言われておりますが、設備投資の内容、これは西ドイツにおける設備投資などと違いまして、非常に特殊なものがあることは、いま私もよく判明いたしました。それは、百億の投資のうち、四〇%というものは生産に一体直結しているのかどうか、こういう問題でございます。これは、御承知の生産に直結をしないもの——東京に林立しておるビルなどはそういうものでございます。ビル以外にもございます。非生産的といいますか、そういうものに対して相当大きな投資が行なわれておる。でありますから、一般会計の中における合同庁舎などは必要である。がしかし、無制限にこれも伸ばしていくということにも相なりませんでしょう。またしかし、道路とか港湾とか鉄道とか、そういうどうしても生産コストに直接影響のあるものは、これはある程度先行投資をしなければいかぬし、地方開発のように政策的に必要なもの、住宅のように政策的にどうしてもそれを解決しなければひずみの解消にならないというものに対しては、もちろんきめこまかく積極的に配慮いたしますが、同時に私は、一割とか一割五分とか、前年度までの実績を金融的に縛っても、それはただ生産に直結しないものだけの投資が幾らか減る、しかも、それは証券の換金、とかまた不動産の換金によってある時期まかなえていけるということであるならば、正常化は道遠しということになりますので、四十年度の予算には、少なくとも財政金融の一体化、健全均衡という線に沿って不要不急のもの、生産に直結しないもの、あなたが真にかかる投資こそ設備投資の抑制の対象にすべきだと言外に述べられておるようなものに対しては、積極的に調整を行なってまいる、これが物価抑制に大きく影響する、こういう考えに立っております。
○井手委員 あれほど言われたひずみの是正について、なお大蔵大臣の考え方はなまぬるいのです。大企業が任意にどんどん設備投資をする。力を持っておりますからやりますよ。それを伸ばしておいて、そして片一方おくれておる中小企業、農業のひずみを直そうとしたって、直せるものじゃないのです。もともと差があるものに対して、片一方はその力にまかせてどんどんふくれていく、片一方はそれに押されてしぼんでいくというこのひずみの是正は、そのくらいの考えではとても成功はいたしません。 次に、もう一つのひずみの問題だけ申し上げておきたいと思うのです。それは大企業が任意に工業地帯に設備投資を行なう。その設備投資の結果、そこに社会資本が不足であるとか公共投資が不足であると言って、港湾とか道路とか住宅とかあるいは通信、運輸その他一切のものをそこに集中なさろうとするこのやり方は、私は是正すべきであると思う。そのために公害が起きる、交通地獄が起きてくる、住宅難が起きてくる、ますますそれは民間企業を独走させる結果、悪循環が拡大していくのです。したがって、私は、第二のひずみ是正としては、過密都市といわれる工業地帯、そういうところには、工場をむしろ規制するというよりも、これを地方に分散させる、そういう規制を行なう。そして今後の投資というものは、地方開発のほうに主力を向けるべきではないのか。そうすれば、住宅の問題も起こってまいりません。交通の問題もさほど起こってまいりません。民間企業、大企業がやったしりぬぐいを政府がいまやっているのです。大企業の設備投資のしりぬぐいをやっておる。それはますます悪循環が拡大いたしますから、この過密都市対策といたしましても、大都市集中の設備投資あるいは公共投資を根本的に改めて、地方に分散すべきではないか。この点について大蔵大臣の所信を承っておきます。
○田中国務大臣 ただいまの井手さんの発言全くごもっともでございます。これが私は四十年度の政策の一つの大きな目標になる、また政策の重点になるということをはっきり申し上げておきます。それで、きのう総理の意見もただしたわけでございますし、私自身も意見を申し述べておきましたが、東京とか大阪とか、いわゆる理想的な都市改造を行なわなければならないところに無制限な民間投資を許しておくことによって、社会資本の、そうでなくてもどうにもならない状態からより深刻な問題を起こさないように、具体的な問題としましては、地方に分散をせしむるということを前提にしまして、また地方開発に重点を置く国内均衡をはかる、こういう面から、いままで設備投資促進の特例がございましたが、これはひとつ廃止をするか、もしくは東京や大阪のように過密都市から他の地方に転出をするものに対して特例を認める、これに置きかえなければいかぬ。今日までなぜ一体そういうことを考えなかったか、私ちょっとうかつでございました。法律があまりにもたくさんあるというところに、重要な問題を忘れておったということかもわかりません。こういうものがございます。でありますから、増資を大いに促進をして自己資本比率を上げるためにこそ税制上の特例等を与えるべきであるにかかわらず、増資抑制をしなければならぬという状態がありますとちょうど同じように、東京や大阪から、また大都会から地方開発のためにより合理的な、水とか道路とか住宅とか、自然環境また立地的条件に恵まれておるところに移るものに対してこの法律を置きかえる、こういうことは、私もきのう申し述べ、総理もそれを重点施策として行なうように——これは総理から先に、この法律を廃止をして切りかえろという発言があったわけであります。でありますから、これは全面的に井手さんの御発言に賛成をして、そのような措置を行ないたい、こう考えます。
○井手委員 この機会に赤城農林大臣並びに櫻内通産大臣にお伺いいたします。 農業と中小企業のひずみ、これは内容を申し上げるまでもございません。中小企業では倒産、農村においては出かせぎで端的に表明されると思います。そこで先刻来お話したように、ひずみの是正について根本的な対策はどういうふうに用意されておるのか、なまやさしいものじゃございません。農地の管理事業団をつくる程度のものでは、私はとても大した突っぱりにはならぬと思う。ほんとうに農村の生活安定をはかろうとするなら、出かせぎをなくそうとするなら、農村に嫁さんをもらおうとするならば、一日働いたならば八百円ないし千円の日当に当たるような農産物、畜産物の価格補償制度を確立することが、何よりひずみ是正の農村における根本対策だと私は考えておる。中小企業においてもまた、ただわずかばかりの金融措置でやっていけるものではございません。大木の下には雑草もはえないと言われておるが、大企業がこれほど盛んになり、しかも生産会社が問屋を兼ねあるいは販売会社まで行なうような今日の事態において、根本的な中小企業の対策が必要であると私は考える。あるいは零細企業に対しては無担保金融であるとか、あるいは大企業と同じような税制の改正であるとか、企業合同であるとか、総理が言われるように、片一方は三十歩進んでおる、片一方は十歩ほか進んでいない、その十歩のものを三十歩にかけ足させる、その具体的な革命的な政策がもしおありになるならば、私はこの際お伺いしたいと思うのです。もしおありにならなければ、ぜひあらねばならぬと思っておりますから、お伺いしたいと思います。
○赤城国務大臣 お話しのとおり、農村のひずみ是正ということは、言うべくして簡単に行なわれるものではございません。お説の農産物の価格を上げて農家の一人当たり所得が七、八百円くらいの補償をすればいいじゃないかという御議論も一応ごもっともな点がありますけれども、すべての農産物が国家管理をしているわけでもございません。補償をするということでも、需給価格というものもありますので、全部その程度に引き上げなくてはならぬということは、やはり言うべくしてなかなか行ない得ないことだと思います。しかし、価格政策が農村のひずみ是正に非常に大事な一つのポイントであるということは、私も深く考えております。そのほかどういうことをするのかということでございます。やはり根本的には、生産性の向上とか、あるいは生産の維持とか、あるいは流通とか、いろいろ問題があります。基盤の整備もございます。一日にして、あるいは一年にしてなかなかこれは、価格政策を除いては、ひずみを是正するということは容易にはできないと思います。いま御指摘のような零細規模の農家経営を共同によりあるいは自立経営によって拡大していこうというようなことも、数年を要する問題でございますが、ひずみ是正の一つの目標として行なっていきたい、こう考えているわけでございます。一つの方法をもってこのひずみを一年あるいは二年、こういう短期間に是正していくということは、全く困難であると私も考えておりますが、極力いろいろな総合的な政策によってひずみを是正していかなくてはならぬということに力をいたしていきたいと考えております。
○櫻内国務大臣 井手委員のお尋ねであります中小企業に対する革新的な施策は、どうか、実は正直なところを申し上げまして、即効的な革新的な施策というものはなかなか見当たらないと思うのであります。やはりこれはじみちに財政の上で、あるいは金融の上で、あるいは税制の上でと、あらゆる角度から中小企業に対するひずみに対処していかなければならないと思うのであります。大体中小企業の一番の問題は、一言で言うと、まことに常識的でございますが、近代化がおくれておると言わざるを得ません。技術の上において、あるいは機械設備の上において、また経営の状況におきまして、すべておくれておると思うのであります。でございますから、現在一番心を砕いておりますのは、これらの中小企業に対しましてできるだけ低利の資金を供給したい。そのために政府の三機関が相当な金融措置をしておるのでありますけれども、御承知のように、なかなかこれが全体の中小企業の所要の資金の上からいえば、思うようにはいっておらないのでございます。また、税制につきましてもいろいろ考えてまいりました。いま御承知のように、明年度の予算の編成期でもございますから、中小企業に対する事業主の控除であるとか、あるいは専従者の控除を思い切ってやろうとか、また法人税について三百万円以下はこれを相当下げてみたいとか、いろいろくふうをしておるわけでございます。もしお許しがあるならば、事新しい施策と井手委員も無担保金融のことをお触れでございましたが、これを私どもも取り上げて考えております。信用保証協会が、従来担保能力のない、保証能力のない方々に対して補完制度をやっておるわけでありますが、しかし、実際はどうかというと、どうもある程度の担保をとるとか、保証人を要求するというようなことがございますから、この信用保証のほうに対しまして、保険公庫のほうからできるだけのてん補をいたしまして、無担保、無保証にいたしたい。大体私どもが大蔵省のほうへ申し出ておるのは、三十万円以下はぜひ無担保、無保証にいたしたいということで、いま折衝しておるようなわけであります。あるいは小規模の事業主に対します共済制度を実施いたしまして、同時にその共済制度による集まった金は還元融資をするというような方策、井手委員のおっしゃるように、いろいろといま考えながら、中小企業に対するしわ寄せをできるだけ少なくするように努力をしておるということを申し上げておきたいと思います。
○井手委員 保守党の政権として、革命的な政策はなかなか困難であろうとは、私も考えております。しかし、そのくらいの農林大臣なり通産大臣のお考えでは、とてもとてもひずみの是正はできません。 最後にお伺いいたしますが、減税の問題、これは物価がどんどん上がっておりますから、減税は当然であると考えておりますが、来年度どのくらいの減税を予想なさっておるのか。承れば千億円という話がありますが、大臣はどういうお考えでございますか。
○田中国務大臣 減税につきましては、私がいまここで言明できるような状態にございません。これは、御承知のとおりいま税制調査会で検討いたしておりますので、税制調査会の答申を待って、この答申を尊重しつつ税制改正をやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。しかし、実際の予想せられる財政収入を基礎にいたしまして積算をいたしますと、減税をしないで、また消費者米価を引き上げて——大蔵省が言っております大体二〇%程度引き上げて、そして減税はなしにして、ちょうど去年くらいの、すなわち三十九年くらいの予算が組めるかどうか、こういう数字が一応想定されるわけでございます。でありますから、この上消費者米価をどのくらい引き上げていただけるか、またその引き上げ幅と減税の関連というものがどの程度出てくるのか。総理大臣に、きのう、消費者米価を引き上げまして、答申が出ましたらばそれを尊重する、こう言いましたら、消費者米価の引き上げに対しては慎重になさいということでございましたので、慎重にはいたしますし、十分配慮はいたしますけれども、上げたいですな、上げて減税の姿勢はどうしてもくずしたくない、しかも今年だけではなくて、今年、来年、再来年というような三年間くらいを見通して所得減税はどうあるべきか、また企業減税は、四十三年度までの中期経済計画の中においてどうあらねばひずみの解消はできないかというような問題を解決してまいりたい、こう言ったのですが、いずれにしても、私におまかせ願えませんか、そうすれば、各閣僚の意見を十分聞き、党側の意見、また国民の意見に耳を傾けながら、慎重に配慮しますがと言ったのですが、いまのところ君にはまかせませんねということで終わっておるわけでございます。(井手委員「電話でですか」と呼ぶ)いや、これは電話でなくて、一時間十五分にわたる長期会談の結果を御報告申し上げたわけであります。
○井手委員 減税の問題を消費者米価にからみ合わせるというのは、少しずるいやり方ではございませんか。減税は減税、米価の問題は米価の問題、そういう言い方は、私はあまり聞きたくないのです。減税はしなくちゃならぬ、これは当然ですよ。物価が上がっておる。名目所得がふえてまいりますと、生活に食い込むような税金に対しては、当然減税を行なうべきである。しかも税制調査会の一致した意見によりますと、物価の値上がりによる調整だけでは済まない。もっと減税を行なえというのが一致した見解なんです。 もう一ぺんあなたにお伺いしますが、減税はなさる方針ですかどうですか。どのくらいの考えを持っておられるか。このかね合いじゃなくて、当然やらねばならぬ減税は、どのくらいお考えになっておるか、千億円か、もっと多いのか、その点だけお伺いいたします。すなおに言ってください。
○田中国務大臣 重要な問題でございますので、慎重にお答えをいたしておりますが、私は相当前向きなお答えをいたしておるわけでございます。これは消費者米価とひっからめて、消費者米価が上がらなければ減税ができないというように関連を持たして申し上げておるわけではございません。いま想定せられる数字を簡単に申し上げますと、とにかく減税をしまして、今年度、三十九年度は三千五百億ばかりの使える金が予定せられたわけであります。ところが、今度は四千五百億という歳入を仮定いたしまして、それをもととして、昨年と同じ計算でやりまして、その中から二つの重要な問題、いわゆる生産者米価は引き上げる、食管繰り入れ額を昨年どおりとする、減税はしない、減税なしの数字を見ましても、三千百億ということで、三十九年度の基礎数字よりも四百億不足をしておるわけであります。でありますから、この中で昨年度どおりやれば、減税千億やらなければいかぬわけです。そうすれば、三千五百億に見合う金は二千百億になります。その上なお消費者米価が引き上げられないということになると、千百億になるわけでございます。ですから、そういう事実を私が前提として想定をいたしますと、非常にむずかしい問題でございますが、しかし、税制調査会の答申を尊重いたしますということがこの内閣、自民党の政策の基本でございますので、答申を待って、十分慎重に各般の情勢を検討し、遺憾なきを期してまいりたい。遺憾なきを期すではいかぬ、こういうことを言われると思いますので、答申は尊重すべく最大の努力をいたしたい、こう申し上げておきます。
○井手委員 これで終わりにいたしますが、税制調査会の答申というものはなかなか尊重されないのが、いままでの実績でございました。私は、減税は幾らするという公約は、なかなかやりにくいことはわかります。しかし、ここではどうしても大蔵大臣に聞いておかねばならないのは、企業減税と所得減税の問題です。先刻も私が数字を指摘しましたように、法人は非常にもうかっておる。前年に比べて三割以上ももうかっておるのでありますから、企業減税のために所得減税が犠牲になるようなことであってはなりません。私は、こんなにもうかっておる法人に対してなお減税しなくてはならぬ理由は、どこにもないと思う。私は、あくまでも所得減税一本にやるべきだと思うが、大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。この点私は、強く二千億円に上る特別租税措置、大企業を中心とするこの特別減税、これを廃止して、むしろ法人税はもっと課税率を高めるべしという意見を持っております。そういういまアンバランスがあるのに、ひずみがあるのに、なおあれほどもうかっておる大企業に対して法人税を軽減しなくてはならぬ理由は、どこにもございません。あくまでも所得減税一本にやってもらいたいということ、これだけは特にあなたに私は強く要望しておきます。あなたの御意見を伺いたい。
○田中国務大臣 井手さんの持論に対しては、私も非常に傾聴いたしておりますし、尊重いたしてまいるということは、間々申し上げておるとおりでございます。しかし、自民党内閣といたしましては、池田内閣の姿勢をずっとごらんになるとわかるとおり、過去十年間で一兆一千億単純累計の減税をやっておりますが、この九〇%は所得税減税でございます。じゃ安いのか、こういっても、まだまだ減税をしなければならないし、いたしたいと思います。こういう姿勢でございますから、これは御理解いただけると思います。しかし、企業減税を全然やめてしまって所得税減税一本にやるべきだという考えには立っておりません。企業減税というものと所得税減税のバランスをとりながらやらなければならない。しかも、そうすることによってひずみの解消ということもおのずからできるのでございまして、これをやらないで、ひずみの解消をやるとか、国際収支をよくするとか、国際競争力をつけるとか、長期安定的な経済成長をはかるとかいうことは、なかなかできないわけでございます。企業減税と所得税減税と一口に言いますが、これは全く一体のものでありまして、企業収益がどんどんと下がりつつあるというようなことを考えますと、全然企業減税を排除して所得税減税一本にすべきだという議論には、遺憾ながら首肯いたしません。しかし、あなたの御発言は十分理解できますし、私も所得税減税をやりたいという論者でございますので、実際問題は、よくバランスをとって、おほめにあずかるようなひとつ改正案をまとめたい、こう考えます。
○井手委員 大蔵大臣は、いつも昭和三十二年から一兆一千億円の減税をしたと言われる。しかし、物価の値上がりによって、このわずか四年の間に国民は四兆円近くの損をしておるのです。預貯金では、これまた四兆円の財産を減らされておるのです。片一方ではうんと取っておいて、少し減税した。減税した分だけおっしゃるのは、これはどうも政治家としてはおかしいのじゃないか。私は、これほど法人が収益をあげておるのに、それはその人人にとって大いに減るにこしたことはございませんが、国民全体から考えますと、国民生活安定という政治の使命から考えますれば、当然これ以上企業減税を行なう必要はない、断固として所得減税を行なうべしということを繰り返し強調いたしまして、私の質問を終わります。
○荒舩委員長 これにて井手以誠君の質疑は終了いたしました。 次に、多賀谷真稔君の質疑を許します。
○多賀谷委員 今日、公務員の給与について人事院の勧告どおり実施するかどうかということは、単に公務員の熾烈な要求にこたえるかどうかというだけでなくて、今日、御存じのように、公務員の労働基本権の問題を中心として、ILOのドライヤー実情調査調停委員会においても論議の対象になり、あるいは臨時行政調査会においても論議の対象になっておりますから、スト権の代償としての人事院がその機能を十分果たしておるかどうかというのは、これは院の内外だけでなくて、国の外まで影響のある問題であります。でありますから、ひとつ十分慎重に御答弁を願いたいと思います。 まず、一般的な感じとして、公務員の賃金は安いという感じを与えておる。私自身もそう考えておる。そこで、おそれ入りますが、官僚出身のかつて公務員の給料をもらった経験のある国務大臣は、一体いま後輩である公務員の賃金が、安いかどうか、ひとつ感じでいいからお答えを願いたいと思います。
○増原国務大臣 感じとしてどういうことかと言われまして、たいへんお答えしにくい問題でございますが、このたびの人事院勧告で、御承知のように、本年四月を基準といたしまして、公務員の給与が八・五%の開きがあると認定をされておるわけでございまして、この認定は、その資料等を拝見いたしましても、妥当な調査結果に基づく認定であろうと考えております。感じといたしましても公務員の給与が高いものとは言えないという感じを持つわけでございます。
○吉武国務大臣 多賀谷先生の御質問でございますが、私も、高いか低いかといっても、一般の給与との関係で言わなければならないかと思うのでありますが、人事院の勧告は、民間給与との関係を勘案をして先般の勧告が出たわけでございますから、それは私どもも尊重をしていきたい、かように存じておるわけでございます。
○多賀谷委員 私も、昭和三十三年以来今日までずっと勧告が出ておるし、大体民間給与に比べれば均衡がとれておるんだ——それだけの勧告が出ておるのですから、当然民間給与との比較が行なわれておる、ですから、当然とれておるんだと、こうまあ感じを持つのですが、実態上、どうも、君は幾ら給料をもらっておるか、結婚できるかと聞くと、できないと言うのです。 〔委員長退席、野田(卯)委員長代 理着席〕 給料を聞いてみると、民間に比べてやはりかなり低いですね。ですから、どこにそんなに欠陥があるのか。皆さん、若い連中みんなに聞かれてごらんなさい。どうも感じとして低いですよ。あなた方がかつて役所に入って、あるいは数年つとめておったときよりもずっと暮らしにくい。一体人事院はどういう統計のとり方をしておるのか、漸次私はその点を明らかにしていきたいと思う。 まず第一に、公務員の給料は民間に比べて年おくれの給料であると言われておる。本年も四月の時点をとられておるけれども、残念ながら本年の春闘のべースアップのファクターというものは、ほとんど顧みられていない。これについて一体人事院はどういう調査をされたのか、これをまずお聞かせ願いたいと思います。
○神田説明員 ただいまの御質問でございますが、国家公務員の給与は、大きな会社に比較しては確かに安いと思います。それで、あと事務的なこまかい数字につきましては、給与局長からお答えいたさせたいと思います。
○多賀谷委員 簡単なことを私は聞いておるのです。あれだけ大きな問題になりました春闘のべースアップの成果は、今度の勧告の中には入っておりますかと、こう聞いておるのです。ごく簡単です。数字はあとから聞きます。
○神田説明員 従来五十人以上でやっておった調査を百人以上でやっておりますので、それは入っております。
○瀧本説明員 ただいまの人事官の説明を補足さしていただきます。 人事院としたしましては、従来公務員の給与を民間の事業所規模五十人以上におきまする民間の、公務員と同じような仕事をしております者の給与と全般的にバランスをとるということでやっておったのでございます。ところが今年は、この五十人以上というものを百人以上にいたした次第でございます。そこで、もしかりに従来どおり五十人以上で比較いたしたといたしまするならば、本年は民間との格差が七・六と、こういうことに相なるのでございまするが、官民比較を民間の百人以上ということでいたしました結果、今年は八・五、こういう格差に相なったのでございます。すなわち、そういう比較方法を変えますことによりまして、〇・九高くなっております。また、いわゆるボーナス、特別給でございまするが、これは五十人以上で比較いたしております場合と百人で比較いたします場合につきましては、やはり差が出てまいるのでございまして、これはパーセントに直しますると約一・六%、こういうことに相なります。両者加えますると二・五%、こういうことに相なるのであります。すなわち、もし従来どおりのやり方で官民比較をしておったとしまする場合に比較いたしまして、二・五%高い勧告にことしはなっておる、こういうことであります。で、ことしの春闘が非常におくれましたので、われわれが四月現在に実際に支払われましたものを調査いたしました後において賃上げがあったところがあるわけでございます。それがどれくらいな割合になっておるであろうかというのを十分調べたのでございまするが、それは約一・九%、こういうことになっております。そこで、企業規模を百人にする問題と、それから春闘のおくれを問題にする問題は、全然別問題ではないかという一つの議論はございまするけれども、人事院といたしましては、従来五十人以上でやっておったものを今回踏み切るということでございまするので、これは直接に春闘のおくれを問題にしたものではございませんけれども、それは数字において十分考えておる、このように思っております。
○多賀谷委員 それは結局春闘のことは全然考慮に入れてない、こういうことですね。四月以後に払われた給料の値上げについては、この調査からはネグレクトしておる、こういう意味ですね。
○瀧本説明員 春闘というものを先ほどちょっと私強調し過ぎたきらいがあるのでございまするけれども、春闘から漏れたもの、われわれの調査から漏れましたものが平均的にいって一・九%ぐらいということでございまして、ことしの賃上げの全部が漏れておるというふうにはわれわれ理解いたしておりません。
○多賀谷委員 一・九%というと、民間との給与が八・五%格差がある、それに一・九%、計一〇・四%と、こういう意味ですか。
○瀧本説明員 人事院が従来どおりの方式によりまして官民の比較をいたしたといたしまするならば、本年の格差は七・六でございます。したがいまして、春闘のおくれが一・九、こういうことに相なるのでございまして、七・六に一・九を加える、すなわち九・五と、こういうことに相なるかと思います。
○多賀谷委員 もう少し役人らしく答弁をしたらどうですか。政治家のような、私が聞くことに対してことごとく違う答弁をしたでしょう。私は、本年の官民の比較は八・五%ですと、こう言っておるんですよ、それについて一・九%がネグレクトされておる、こういうのでありますから、八・五に一・九を足して一〇・四%になりますねと、こう言ったら、いや、五十人のときの去年やった方式でいけば七・六でありますから、それに一・九を加えればと、こういう答弁をしておるのですよ。なっておらぬですよ。もう一ぺんやり直しなさい。
○瀧本説明員 ちょっと答弁が不十分で、はなはだ失礼いたしました。人事院といたしましては、ことし従来の官民比較の方式を変えたわけでございます。御承知のように、先ほどから申しておりますように、従来は五十人以上の民間企業の賃金というものを問題にいたしたのでございまするが、本年は百人以上に改めました。このことをまず申し上げておきたいと思います。そこで、お示しのように、百人以上の基盤に立って申せば、これは春闘のおくれということは問題にいたしたことになっておりません。しかし、われわれといたしましては、春闘のおくれ自体をやはり相当大きな問題に気持ちの上ではいたしたのでございます。そこで、従来どおりかりにやったとした場合の比較を先ほどは申し上げた次第でございます。
○多賀谷委員 よくわかりました。結局春闘によるべースアップは大部分要素の中に入れていない、こういうことに尽きると思う、百人規模以上の対象とすれば。それはそうでしょう。毎勤統計を見てごらんなさい。毎勤統計を見ると、これは本年の二月から四月までの間は、四百九十円しか上がってないですよ。あなたは四月現在をとられたというから、四月をとれば四百九十円しか上がっていない。ところが、四月から六月にかけて、その倍以上の千九十四円上がっている。要するにことしは春闘の妥結が非常におくれたわけです。おくれたから四月に支払われる給与の中には、大部分の春闘のベースアップというものは本年は入っていないのです。であるから、二月と四月の時点を比べれば四百九十円であるのに、この四月と六月の時点を比べればその倍以上の千九十四円という額が上がっている。これは、どこでもそうです。鉄鋼三社にしても、四月に妥結しても五月にしか支払っていない。あなたのほうは、支払われた日を計算に入れて、四月に支払われた給料の統計をとるわけです。当然そういう問題が出てくるのです。あれだけベースアップになった化学のごときは、みな四月に妥結して、五月、六月に支払っている。こういう状態になっておる。ここに一番問題があるのですよ、いままでの給与のとり方に。従来のやり方は三月にとっておった。三月という時点は、一年間で一番低い時点です。なぜ低いか。日給者の統計が入っておりますから、日給者はあと払い賃金でしょう、あと払賃金であるから、二月は二十八日しかない、二月の二十八日の賃金が三月に払われているのですよ。ですから、従来のようなこういう統計をとれば、一年間で一番低い時点、三月の時点でとっておったということが問題になった。すなわち、月給者はその月に払うでしょう。日給者はその次の月に払うのですよ。あと払い賃金です。しかし、月給者の中にも、その次に払う、鉄鋼大手三社などはその翌月に払う。ですから、ここにきまった支払い賃金の中に非常に問題が起こった。ですから、従来のように三月の時点を調査して、そうして七月に勧告をして、翌年の四月に実施をすれば、二年おくれのベースアップということになる。ことしのように春闘がずれた時点において、六月の時点にぼっと上がっておるのです。毎勤統計を見ると、六月に上がっておる。あなた方が公務員と民間との比較をされても、五月、六月が一番上がっているはずです。そうすると、五月、六月をネグレクトしたというところに重大問題がある。一年おくれのベースアップをしたというところにあるのです。だから、どうも感じとこの比較が違うのです。どうも公務員の賃金は安いという感じをわれわれ持つけれども、実際は人事院から出ている場合は、いつでも均衡がとれておる、こういう資料が出ておる。ところが、よく調べてみると、本年においても最も大きなベースアップの要素が全然加味されていないということになるでしょう。これは一体どういうように答弁されるのですか。
○瀧本説明員 先ほどもちょっと申し上げかけたのでございますが、民間の給与が上がります状況を見ておりますと、やはり春季に非常にこれがかたまっておる。ことにここ数年、総評を中心とされまして、いわゆる春闘というものが組まれるわけでございまして、その間に総評傘下の労働組合の所属しております会社等における賃上げの状況というものは、やはり春闘の一連の問題となりまして、春闘全体がずれるとずれるというような現象がございます。そのことはわれわれも否定いたしません。ただしかし、全体に給与が上がっていく状態を見ますと、いろいろな要素で上がるのでございまして、たとえば中学校、高等学校、あるいは大学というようなものの新規学卒者の需要が非常に多いというようなことから初任給が上がるというような現象、それに伴いまして在職者の給与調整をする必要がある、そういうような問題をめぐりまして、事業場の給与が上がるということがあるわけでございます。そこで、先ほども私が申し上げましたように、われわれの調査は、四月現在で調査をいたしております。これは昭和三十五年以降、四月現在でいたしております。その前は、御指摘のように三月でいたしておったのでございますが、これは三十五年以降、四月現在で調査をいたしておるのでございます。四月現在で調査をいたしますと、春闘のおくれのものは入ってこないということはございます。そこで調査の問題、事務的と申しますか、技術的と申しますか、春闘が六月ごろあるいは五月ごろに妥結しまして、四月分として支払われるものがあるのであります。しかし、それはなかなか調査し切れない。われわれがやります事業場としましても、実際七千事業所ぐらい調べるのでございますから、それを調べるのにある期間がかかる。たとえば一月ぐらいかかるわけでございまして、その初めの時期に調べたら妥結していない、それが一カ月おくれた時期に調べれば妥結しておるというようなことがございます。したがいまして、そういうことを厳格に調べるということは、非常に困難でございます。そこで、御指摘のように、多少春闘の上がりによりますものが残っていくということは、調査の性格上やむを得ぬことではないかというようにわれわれは思っております。そこで、重ねて申し上げて恐縮でございますけれども、ことしは従来のやり方を変えまして、従来は五十人以上の比較をいたしておりましたものを百人にいたすということにいたしました結果、従来の方式をやっておりましたならば春闘のおくれというものがずいぶん大きく残るであろうということになるのでございますが、方式を変えましたために、言い方は違うことになるのでございますけれども、事実上それを考慮した結果に相なっておるということと、それからまた、次年度の調査におきましては、やはりこの問題を取り上げ得る、このようになっておるのでございまして、御了承願いたいと思います。
○多賀谷委員 インチキと言えば非常にことばが失礼だけれども、あなたのほうは全くインチキですよ。五十人規模であったものをことしは百人規模にしました、これはけっこうです。ところが、肝心なベースアップを全然——と言ってもいいでしょう、統計上を見れば、全然ネグレクトしておる。一年間のアップというものを全然ネグレクトしておる。本年における仲裁裁定をはじめとして、多くの民間給与の相当額上がったベースアップというものがほとんど考慮されていないでしょう。すなわち毎勤だけをとりましても、六月の時点を見てごらんなさい——これは毎勤だけでいかないで、あなたのほうの人事院独自で調査されておりますが、一応傾向値はわかります。毎勤を見てごらんなさい。昨年の四月と本年の四月を比べれば九・九%上がっておる。ところが、六月を比べてごらんなさい。昨年の六月と比べれば一二・八七%上がっておるじゃないですか。これだけ差があるのですよ。要するに、五月から六月に向かって賃金は殺到して上がっておる。それを全然調査の対象から除外しておるということで、一体人事院がつとまりますか。こういった重大な要素が欠けておるでしょう。あなたのところの勧告に、それを入れてないということも書いてないでしょう。何のために民間の給与との均衡をとるのですか。一年おくれの給与の均衡をとって何になりますか、一体人事官はどういうお考えですか。
○神田説明員 ただいま給与局長から御説明申し上げましたように、給与の決定、調査というものは、あの時点においてやらなくてはならない、これは継続的な事業であります。したがいまして、その後上がったからそれは入れろ、そういうことになりますと、これはとても切りがなくて、いつ調査が果てるか、とうてい想像つかないことであります。でありますから、四月ということがこれは基点になっております。ただ、いろいろ各方面からの要望もありましたし、とにかく、五月になってきまったが四月に支払われるものについては、調査しております。それが一・九%ということになります。でありますから、われわれといたしましては、とにかく期限もあり、人員の問題もあり、機械の問題もあり、できる限りのことはしたつもりでございます。
○多賀谷委員 そうすると、一時金か何かであとの差額は出されるのですか。追加して一時金の勧告か何かされますか。これだけの大きなベースアップがあったわけでしょう。そのベースアップの要素を全然無視をして勧告を出されるところに問題がある。勧告は八月に出たのですよ。それは作業がなかなか困難であることはわかる。しかし、こんな大きなファクターを全然除いて勧告を出すことがけしからぬ、こう言っておるのです。例年のように、三月あるいは四月に入って妥結した、一部が五月になったというなら、私は言いません。しかし、今日御存じのように、仲裁裁定が出たのも五月中旬ですね。それから民間もそれに応じて妥結をして、給与の展開をした。当然六月にほとんどが支払いになっておるわけです。こういう要素を全然無視して勧告をする。それで一体人事官がつとまるか、こう言いたい。これで一体公務員と民間との給与の均衡がとれたという勧告になっておりますか。こう開いておる。
○神田説明員 四月現在においては均衡がとれたものだと思っております。それで、一時金というふうな考えはありません。私どもは、むしろ五月実施ということを希望しておる次第であります。
○多賀谷委員 五月に実施をしても、その給与は一年おくれるでしょう。私は、人事院の事務当局あるいは人事官は何をしておったのかと思うのです。いまあとから、第一回目からずっと今日までの勧告を私は批判してみたいと思う。政府が実施をしない前に、もう人事院でものすごく政治的な圧力かどうかわからぬけれども、全くインチキな勧告をしておるでしょう。第一回くらいですよ、しっかりした勧告をしておるのは。あとはずっとインチキをしておる。はなはだしきは、ベースは上がったけれども、民間ベースとはこれだけ差がある、当然上げなければならぬけれども、一時勧告を保留するなんていうとんでもない勧告をしたり、そういうことをやっておる。ですから、この点が問題になっておる、まず私はこの点を指摘しておきたいと思う。 続いて、次の点に入りたいと思います。次に、今度指定職というものができた。私は不敏にしてよくわからないのですけれども、国家公務員法には一般職と特別職しかない。ところが今度は指定職ということばを使って、指定職の給与表というものをつくられた。これは一体どういうことですか。国会には大体一般職と特別職しか出していないのに、指定職という奇妙なものができた。この理由を人事官から答弁願いたい。
○神田説明員 いかにも指定職という名前は出ております。しかしこれは、ただ一般職でありまして、それを格づけする意味において使っているにすぎないのであります。
○多賀谷委員 何のために格づけしたのですか。どういう理由でされたのですか。
○瀧本説明員 補足さしていただきます。 従来とても、一般職給与法をごらんいただきますれば、一等級というものは二等級以下と違った取り扱いになっておるのでございます。すなわち、二等級以下には昇給制度というものがございまして、一定期間良好なる成績でつとめますれば、一つの等級の号俸を昇給してまいる、こういう仕組みになっておるのであります。ところが一等級には、形の上で一号俸から九号俸までございます。そのほか昨年新設いたしました特号俸というのがございまするが、この一号俸から九号俸までは昇給するという性質のものではないのでございます。そのことは給与法に規定してございます。それは、一等級三号がたとえば外局の長官であるとか、あるいは、去年から次官は特号俸になりましたけれども、その前の話をいたしますれば、一等級五号俸が次官の給与である、こういうふうに号俸が意味を持つ、で、昇給ということが原則的に行なわれない、こういうたてまえになっておるのであります。で、それに該当いたしまする一等級というのは、行政職俸給表の(一)と、それから教育職俸給表(一)、すなわち大学関係であります。それから医療職俸給表(一)、これは病院の院長さんの関係、それから研究職俸給表、このただいま申し上げました四つの俸給表における一等級というものは、もう同様の取り扱いをいたしておったのであります。昨年特号俸というものが出てまいったわけでございまして、これは東京大学等七大学の学長、それから次官だけを特号俸にする、一官一給与ということにいたしたのでありますが、これは大学関係について見ましても、七大学だけをそういうことにいたしておくよりも、むしろ全部の大学につきましてそういうふうな取り扱いをするほうがよろしい、こういう見地から、そういう方々をみな、従来、去年の意味で申しまする特号俸にしたい。そこで、俸給表の形を考えまする場合に、ただいま申し上げましたように、四つの俸給表の一等級というものは全然同一の取り扱いをいたしておるのでありまするから、これを便宜一つの俸給表にまとめまして、そういう上位官職を指定するという意味におきまして指定職俸給表、こういうことにいたした次第であります。
○多賀谷委員 もう少しすなおにおっしゃられないのですか。とにかく、要するに七・九%のアップでは、次官や事務次官あるいは外局の局長あるいは長官、こういう方々の給与が安いから、指定職というものをつくって、事務次官なら五万円、こういうようにぽっと上げるのに、一般職は七・九%しか上げないのですから、これだけを特別に上げるというのはかっこうが悪いからあなたのほうはこれをつくったのでしょう。それで、特別職というのは、いや、今度は大臣が上がったから、次官も上げろ、この前十六万円上げたから、二十一万円にせい、こういうように、これだけは別ワクだから、とても一般職のベースアップの率ではもうおかしい、こういうところから指定職というのができたのでしょう。はっきりおっしゃったらどうですか。意図は明らかにそれですよ。理由がないでしょう。
○瀧本説明員 昨年、次官を十六万と勧告いたしまして、これは、現在御承認願っておるわけでございまするが、それは大臣が十九万のときに、次官を十六万にしていただきたい、こういう勧告をしたわけです。お示しのように公務員給与、これは全体の問題でございまして、たとえば初任給の問題あるいは下位等級の諸君の問題、中位等級の諸君の問題、これは全部いろいろな意味におきまして大切でございます。大切でございまするが、また同時に、上級職員についてほっておいていいというものではないというようにわれわれ考えております。おおむね戦前の状態を見ましても、あるいは諸外国の状況を見ましても、事務次官、すなわち一つの省におきまして、実際上大臣を補佐して省を統轄するというような非常に高位の官職の給与というものは、たとえば次官というものは大臣の七割ないし八割ということが大体常識のようでございます。そういうことがございまするのに、直さずに置くということは、これはやはりそういう公務に対しまするそういう方々の処遇の道でないということで、これは御指摘のように大臣とのバランスをとって考えたということはございます。しかし、それをやりたいからこの指定職にしたというよりも、やはりそういう上位官職は、これは一官一給与として考えていくほうが正しいという見解にも立っておるのでございまして、先生の御指摘の点だけでやったという次第ではないのでございます。
○多賀谷委員 これは行政の姿勢の問題だと私は思うのですよ。人事院の勧告も全うできないような状態において、そうしていま私が指摘いたしましたように、本年度の春闘のベースアップは考慮に入れていないような状態の中で、この高級な職員だけを指定職という別ワクを設けて、その一般のベースアップと関係なくぽっと上げるというようなことが私は問題だと思うのですよ。私は、この次官の給与が、現在出されておる勧告の額が高いとか低いとか言っておるのではないのです。しかし今日まで、ほとんど人事院の勧告は守られていないでしょう。そうしてやっと本年百人という規模にした。その百人規模にしたけれども、本年のベースアップは入れなかった、こういうような状態の中で、指定職というものを設けて、そうして高級職員だけ別ワクで、そうして比較にならないような率で上げるということ自体が問題だと思うのですよ。全くごまかしですよ。いままでの一般職の給与表に、次官等が入っておっても一つもおかしくないのですよ。それが一官一給与であってもおかしくないのですよ。特給を設けて一官一給与にしておけばいい。それを指定職という全然別表にしたところに問題があるのです。政治的意図がある。それで行政の姿勢がいいかということを私は言いたい。一体給与担当の大臣増原長官は、どういうようにお考えですか。
○増原国務大臣 人事院勧告の新しく設けられました指定職の俸給表というものについての御質問でございまするが、人事院勧告全体を検討をいたしました結果、おおむね妥当と認めるということでございました。全体としてこれを尊重して勧告のとおりに実施をしていきたいというふうに考えるわけでございます。
○多賀谷委員 初任給を除きましてはほとんど七・九%からあるいは八%、こういうようなベースアップでしょう。それに次官だけが三一%、そういうものを出すほうが問題じゃないか。しかもそれは、いまの給与表で出すならすなおでいいですよ、何も高いと言っておるんじゃないのだから。ところが、全然給与表を変えて、そうして指定職給与表を別につくって出すというその心がまえがけしからぬ、こう言っているわけですよ。それなら一体下級の職員はそういうようになっていますか。私が官民のそれを比較してみると——あなたのほうが出された資料ですよ、二等級は三・一%しか差がないのにかかわらず七・九%上げられておる。三等級は二・七%しかないのに七・八%上げられておる。それから四等級は一一・八%あるのに、これは逆に七・四%で抑えられておる。五等級は九%あるのにかかわらず七・七%で押えられておる。六等級は一〇・九%あるにかかわらず八・一%で抑えられておる。そうして七等級は一五%あるにかかわらず九・三%で抑えられておる。初任給だけは一九・八%あるのを、これはかなり上がりましたが、それでも少ないのですが一三・九%になっておる。いま申したように、四等級から下は民間に比べて差があることを認めながら、それだけ上げてない。ところが三等級から上は、差はそれだけないにかかわらずアップをしておる。こういう考え方ですね。こういう姿勢で、一体財源がないから我慢をしろと言えるかどうか、どうです大蔵大臣、——私は非常に問題だと思うのです。こういう点が下部の公務員に不満があるのですよ。だからいますわり込みをしておるでしょう。政治というものは、財源がないならないように公平にやらなければならぬですよ。人事院の勧告の、みのに隠れて、こういうことが現実に行なわれておる。私は非常に残念だと思います。 一体本省の係長、これは民間ではどういう人々と比べておるのですか。
○瀧本説明員 官民対応でどういうふうにやっておるか、公務の係長というものと民間の係長というものを、どういうふうに比較しておるかという御質問でございます。そこでわれわれ従来から公務の組織段階と申しますか、それと民間の組織の段階というものを見ておりますと、どうも非常に違うような感じがいたすのであります。と申しますのは、公務におきましては、本省段階で申しますと、課長というのがもちろんおります。その下に課長補佐というのがおるのでございますが、おおむねこれは一つの課に四、五人程度おるのであります。その下に係長というのがあり、それから一般係員、これが公務における一般の段階のようでございます。ところが民間におきましては、これはやはり規模の大きいところと小さいところでよほどまた話が違ってくると思うのでありますが、一般的に申し上げまして課長の下にすぐ係長となるのであります。民間の場合におきましても、課長代理とかあるいは副課長とかいうような職務の人がおります。しかしこれは、全体的に調べてみますと、全部で課長がかりに一万人おるといたしますと、ただいま申しました副課長であるとか課の次席というようなものは三千人程度しかいないというようなんで、これは一つの組織の段階としては確立していない、このように、公務と比較した場合におきましても、組織の段階としては確立していないというようにわれわれ考えておるのでございます。 そこで、公務のいわゆる課長補佐、一つの課に大体四、五人おります課長補佐というものを、民間におきまする課の中の係長、これも平均の人数にいたしますと大体それくらいになるのでございますが、その段階と比較するのが適当であろう、このように考えております。もっとも民間におきまする組織の段階が、五百人以上と五百人未満に分けまして、われわれは組織の大きいもののほうを一段ずらして比較をいたしておる次第でございます。
○多賀谷委員 私は、百人以上の全規模の場合に——本省の係長でしょう、重大な仕事を持つ本省の係長が、民間の係長の給与がなくて、係長の場合は、これは民間では上級職員と同じように考えるという考え方が私は納得できない。地方の出先の係長なら別として、本省の係長が民間の係長としての比較をしないで職員と比較する、こういったところに実態的に見て均衡がとれていないのです。あなたのほうは今度統計を出されて、全規模百人以上の係長の場合は、平均して大体四万五千八百六十二円というのを出されておる。ところが、現実に公務員の給与、係長の場合、五等級の場合は三万数千円になっているでしょう。これは一体、どうしてこういう差が出ておるのか。しかるに、本省の課長の場合はまた違うですね。課長の場合は、あなたのほうは五百人以上の規模の課長と比較をされるし、五百人未満の場合は支店長、工場長、事務部長、技術部長、事務部次長、技術部次長と比較されておる。ですから私は課長の分が高いと言っているのではないのです。しかし、係長をなぜこういう冷遇をするのですか、こう聞いている。会社だって最近みな課長補佐はありますよ。ほとんどの会社に最近課長補佐はあります。ですけれども、そういう実態であるにかかわらず、なぜ係長の五等級の場合は、率直にいっていじめるのですか、こう言いたい。
○瀧本説明員 先ほど申し上げましたように、民間におきまする組織の段階と公務におきまする組織の段階が違うということがございます。そこでわれわれのほうといたしましては、本省における係長段階の者が民間におきまする五百人未満の係長、それから五百人以上の上級職員、主任というような方方と、いろいろと比較しておる。なぜ押えつけるかという話でございますが、われわれは押えつけるというつもりはないのでありまして、やはりその名称だけにとらわれずに公務と民間とを比較いたすのに適当であるものを対応さしておるということでございます。しかしながら、この問題は絶えずいろいろ御指摘もございますし、われわれとても従来からこの比較のやり方につきまして、漸次改良を加えてきておるような問題もありまして、今後におきましてもそういう問題は十分研究してまいりたい、このように考えております。
○多賀谷委員 民間の上級係員でも四万円をこえていますよ。しかるに、あなたのほうは係長として、五等級の六号ですが、三万六千八百円でしょう。ですから率直に言って、結局この層、五等級あるいは六等級の層というのが非常に安いのですよ。要するに将来特権階級にならない人、しかしこれは下積みでかなり仕事をしている中堅のところが非常に安い。ですから、本来ほんとうに事務をとり、自分で起案している層というのが非常に冷遇されているということになる。これが一番私は問題だと思うのです。いやしくも国の仕事をやるわけでしょう。しかも本省の係長というのでしょう。それが百人以上の規模の係長になれないで、係員の給与と比較するというのは問題でしょう。
○瀧本説明員 ただいま資料等に基づきまして御指摘になりました点は、おおむね行政職(一)との比較におきましての御指摘のように承るわけでございます。ところで現にわれわれ公務と民間とを比較いたしてみまして、たとえば大学関係の職員の俸給表ということになりますると、これは公務のほうが高いということがあるわけでございます。しかしながらこれは、それであるから大学教授を上げぬでよろしいということではないというように理解しております。また看護婦等につきまして見ましても、これは公務のほうが高いのでございます。というように、俸給表別に見てまいりますと、公務のほうが高いかあるいは民間が高いか、おおむね民間のほうが高いのでありますが、その中におきまして公務の高いものもあるのであります。しかしながら、公務部内において、それでははっきり民間と俸給表別にそれぞれ合わせればよろしいということが事実問題としてできるかというと、そうはまいりません。したがいまして、われわれは民間のほうが高い職種だけにつきまして、全体平均した形において、公務をベースアップするという形でものを考えておる。また俸給表というものは、上下の関係あるいは昇給等の問題がございまして、それぞれ上下等級あるいは一つの等級の中における上位号俸、下位号俸等の関係もございますので、そういう万般のことをあわせて研究を進めておる次第でございます。
○多賀谷委員 私は実態に全くそぐわないと思うのですよ。学校あるいは病院等で、比較的、それだけの規模の病院や学校が民間にないような場合、それは確かに公務員のほうが高いでしょう。比較する対象が、一方があまりにもみじめな病院等の場合そうでしょう。しかし、それによって全体が高いということは言えない。しかし、普通やっぱり基準をいろいろ見る場合には、行政職の(一)で論議しているわけです。それが高いかどうかということを論議している。ですからその場合には、あまりにも実際いわゆる中堅官吏として仕事をしている層が低いじゃないか、こういうことを言っている。大学を出た特権階級の連中は、早く上がるのですから、それはもうどんどん上がるのですから、民間に比べものにならないような上がりですから、これを基準とするとたいへんなことになる。しかしおおむね大多数を占める公務員の給与の比較が妥当でない、こういうことを言っておるわけです。 続いて、期末手当も年おくれでしょう。率直に認めたらどうですか。期末手当も年おくれ、本年は四・二カ月やっておるけれども、本年各組合が当然期末手当の要求を出します。毎年大体〇・三ぐらい上がっていますね。ですからこれも一年おくれだ、こういうことをお認めになりますか。
○瀧本説明員 人事院といたしましては、調査の結果に基づきまして、公務と民間を判断するということに相なるのでございまして、推定ということはこれは判断の基礎に入れておりません。したがいまして、どうしても調査の結果に基づいてものを言うということになりますれば、過去の実績を調査し得る時期ということで、どうしてもその間に時間的におくれが出るということはやむを得ぬ次第でございます。
○多賀谷委員 そうすると一年おくれであるということはお認めになりますね。昨年度の実績です、これでいいですね。
○瀧本説明員 いわゆるボーナス、特別給につきましては、おおむねそういうことにならざるを得ない次第でございます。
○多賀谷委員 あなたのほうから出された資料に、標準生計費の問題がありますね。こまかいことは聞きません。要するに東京における世帯員数の標準生計費というのが出ております。これによりますと、一人が一万四千七十円、二人が二万七千七十円、三人で三万六千七百七十円、四人で四万三千五百二十円、五人で四万八千七十円、こういうことになります。ところがこれを号俸に引き伸ばしてみると、たとえば三人であるならば、二万七千三百七十円というのは大体七等級の八号俸の二万七千三百円と対応する、こう見ますと、大体十八歳で高等学校を卒業して役所に入って、そうして十三年間つとめて、三十一歳になってやっと二人分の標準生計費になる。ですから共かせぎなら別として、夫婦暮らしていくには、三十一歳にないないと結婚できないということになるのですよ。それから三人ですからね、当然これは子供が入っておる。ですから初めからカロリーが低いです。そうするとこれは十八年つとめて三十六歳にならないとその三人世帯が養われない。それから四人は四十二歳、五人世帯で四十三歳で、そうして、五等級の十四号俸になる、こういう計算になる。一体公務員は共かせぎでないとつとまらないということですね。とても子供や何か養っていけない。あなたのほうから出した表ですよ。それを私のほうで号俸でやってみた。そうして結論的には、子供を一人生活さすためには夫婦で三十六歳にならなければその号俸をもらえない、こういうことになりましょう。
○瀧本説明員 ただいまお示しになりましたのは、本俸だけを等級と号俸に結びつけたお話というふうに承るわけであります。ただ、実際問題といたしましては、扶養手当というもの、これは若干でございますがございますし、また通勤手当もあるわけでございます。これは今回多少増額することをいたしております。そこで標準生計費を最初に人事院が計算し出しましたときには、ほとんどいわゆる特別給というものがなかった時代の話でございます。その当時におきましては、かりに本俸の数字で議論するということは多少問題があるとしてもやむを得ないということがあるかもしれませんが、現在は、今度の勧告で多少増額をお願いいたしておりますので、特別給すなわち期末・勤勉手当、六月、十二月、三月を含めまして、平均四・二月分あるのでございます。そうすると、この四・二月分、これは月額に換算しますと約三五%ということになりますが、これを全然度外視していまのような御議論をされますことは、多少不適当ではなかろうかというように思っております。 なお、三人世帯、三人世帯と申しますが、これは個人差が非常にございますので、それを年齢と結びつける、あるいは世帯人員別のものを俸給表の号俸と結びつけるということは非常にむずかしいのでございます。しかしながら、かりに無理をして結びつけてみましても、たとえば二人世帯でありますれば、おおむね二十五歳、七等級二号俸というくらいに、特別給まで勘定に入れますとこれはいくのでありまして、そういう意味におきまして、現在の公務員給与が必ずしも十二分のものとはわれわれ毛頭思っておりません。しかしながら、ただいまお示しのようなものでもない。少なくも特別給まで考慮に入れますならば、二人世帯は七等級二号俸ぐらいのところで、これは非常に仮定が入った勘定になりますけれども、二十五歳ぐらいになるのではなかろうか、また三人世帯は六等級四号、三十歳ぐらいになるのではなかろうか、このように考えておる次第であります。
○多賀谷委員 それは当然期末手当その他を入れなければ生活できませんから、入れておるけれども、本来そういった性格のものでもないでしょう。大体月々もらうものでやっていけるというのが制度ですよ。それはたくわえだって要りますし、住宅だって永久に借り家というわけにもいかぬでしょう。ですから、それらを含めれば何とかなるのだということでは、何のために標準生計費をつくったかわからないでしょう。 まあとにかく、これだけ賃金は低いのですよ。あなたのほうはこれが妥当だというけれども、民間との比較においてもかように、私が指摘いたしましたように年おくれである。そしてその内容は、必ずしも民間給与と合致していない、こういうように言えると思うのです。 大体私は、過去昭和三十三年十一月九日、臨時人事委員会、続いて公務員法の改正があり、人事院が発足して、十二月九日に政府及び内閣に勧告して以来ずっと見ますと、一体人事院は争議権を剥奪をした代償としての機能を果たしておるかどうか、非常に疑わしいと思う。そうしてこういうようなでたらめの勧告をして、義憤を感じて人事官をやめた人の話も聞かない。また人事院の公務員の諸君が、こんなに押えつけられてたまらぬ、こう言ってやめた人の話も聞かない。以下、私は若干時間をさいてもらって、ごく簡単に一回から述べてみたいと思う。こういうでたらめのことが平然として行なわれているわけですよ。 第一回は、これはいま申しましたように、臨時人事委員会が政府に勧告して、公務員法の改正がありましたから、翌月人事院があらためて政府並びに内閣に勧告をしたのですが、これは大体ベースはのみました。しかし扶養手当は三分の一ぐらいに削減をいたしました。しかし勧告があったとき、十二月に実施しました。第二回は、これは当時七千八百七十七円ベースですら低いと言われたのですが、吉田総理は完全に無視する、本年は実施しないという旨を声明して、それで終わったわけです。何もしません。これはもう全部パーになった。次に第三回、二十五年八月九日、これは勧告がありましたが、ベースはダウンをされて、そうして翌年の一月一日に実施された。三十六年八月二十日の勧告は、これはさらに政府によってベースは切り下げられて、そうして八月実施ということが明記されておったにもかかわらず、十月一日から実施をされた。 〔野田(卯)委員長代理退席、委員長着席〕 二十七年の八月一日はさらにベースは切り下げられて、勧告は切り下げられた。さらに実施時期は五月と明記されてあったにかかわらず、十二月一日から実施をされた。第六回は二十八年七月十八日です。これはベースはそのまま、実施時期は書いてありませんでしたから翌年の一月一日実施をされた。三十九年七月の勧告は、これはむしろ一時勧告を留保する、こういう答申がなされた。しかも消費者物価は九・四%上がっておるということを報告書に入れておる。それから毎勤統計では一年間に九・二%アップをしたことを書いている。人事院自体の調査によっても民間は九・五%アップしている、こういうことを書いておるにもかかわらず、勧告は一応保留すると答申をした。これは非常に私は問題だと思う。三十年の七月十六日は、これは本年もベース改定勧告は保留すると報告している。本年は消費者物価は若干下がった。しかし毎勤統計や人事院自体の調査によると、三・五%ないし三・八%アップしているけれども、失業者の増大、賃金支払いの悪化等で本年も勧告を保留すると、昨年のことは全然触れないで保留している。しかしこの時期から神武景気にかかっておるわけです。三十一年の七月十六日の勧告を見ると、これは消費者物価はわずかしか上がらなかったけれども、労働省の毎勤統計では四・〇%、人事院の調査では六・六%アップになっておる。そこでそれを基礎にして——ここずっと保留しておりますからね、調査をしたところが官民比較が一一・〇%出てきた。私はこういう点も問題だと思うけれども、人事院自体が理想的な方式であるというフィッシャー方式だけでいくと一二・四%になるものですから、ラスパイレス方式とパーシェ方式とを入れて一一・〇%というのを出した。ところが出して、それを勧告すればよかったのだけれども、出して、それを人事院自体が値切っておる。どういう理由で値切ったかというと、先ほども話があったけれども、税務職、公安職、海事職、教育職というのは本来民間よりも高いから、この分だけは差し引くのだというので、差し引いて六%の勧告をしておるでしょう。ところが六%も、勧告の形がベースアップという勧告をしないで、一号俸上げるという勧告をした。そこで政府は、これはベースアップではない、給与体系の是正であると称して、翌年の四月一日から実施をした。この間は一体人事院は何をしておったのか、私はこう言いたい。ですから、人事院無用論が出たのはこの時期です。続いて三十二年の七月、これは、ベースの改定はしておりません。三十三年もベースアップの改定はしておりません。初任給と期末手当だけです。それから三十四年もベースアップの改正はしない、中だるみ是正と期末手当だけです。しかしこの時期は、大蔵大臣も先ほど少しお話がありましたけれども、三十年から三十一年にかけて岩戸景気だ、あるいは三十二年の中ごろから三十三年にかけては下降をたどりましたが、三十三年から三十五年にかけては繁栄の時期だ、こう言われておる。その時期に三年間ベースアップしてないのです。それから三十五年から以降今日まで五回ですが、これは皆さん御存じのようにベースアップの勧告をしておる。しかし、十月一日という実施時期に五月一日が引き下げられておる、こういうような状態になっておる。 そこで労働大臣、スト権の代償とした人事院がこういうていたらくですよ。政府だって、ほとんど勧告を実施しないと言ってもいいぐらいですよ。この状態をあなたはどう考えられますか。この人事院の勧告の実施という問題は、要するに公務員の団結権、基本的人権の問題と非常に関連があるんですよ。かように踏みにじられて、そうしてあなたのほうは、人事院がありますからスト権の代償になっておる、でありますからこれによって勧告をさして政府は実施しておりますと、こう言い切れるかどうか。本年はどうするつもりであるか。本年は、先ほどの成田さんに対する答弁によって明らかなように、労働大臣は実施をする、時期を含めてと、こういうことであるから私は安心をしておるのだけれども、過去の例を見てあなたは一体どういうふうに判断をされますか。
○石田国務大臣 三十五年以前は時期の勧告はございませんでした。しかし、この人事院勧告というものは、ただいまお話がありましたとおり、政治的には労働権の制限の代償補償措置だと私は考えております。したがって、時期を含めて完全実施されるのが望ましいことでありまして、私は当該担当のものではありませんけれども、私の立場としては、これは時期を含めて完全実施するように努力をいたすつもりであります。そうすべきだと思う立場から努力をするつもりであります。いままでの状態は遺憾な状態であると思っております。
○多賀谷委員 給与担当の増原長官は、どういうように考えられますか。すなわち、仲裁裁定は最近は実施をされていますね。ところが、同じやはり政府の管理下にある公務員のほうは、おとなしいから、黙っておるから時期はずらしてもいいということなら、政治はありませんよ。七月の十七日を前にして、池田・太田トップ会談が開かれ、そうして仲裁裁定は完全実施をするという前提で話はついておる。ところが国家公務員のほうは、汽車がとまったりあるいは通信がとまったりすることがないからというので、実施時期が勧告どおりできないということでは、私は非常に相済まぬと思うのです。どういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
○増原国務大臣 人事院勧告の内容につきましても御質疑がございまして、御異論のある点は十分承りました。人事院の勧告内容につきまして、われわれももとより検討いたしたのでございまするが、おおむねこれを妥当と認めておりまするが、このままで将来もよろしいという意味の考え方ではございません。人事院当局も申しておりますように、いろいろの点でさらに将来これを大いに検討是正をすべき点はあろうというふうに考えておるわけでございます。そうした前提で人事院の勧告を受け取りまして、これは労働大臣も申されましたように、公務員の労働基本権がいろいろと規制をされておることにかわるべきものでございます。したがいまして、人事院の勧告は最近は五月一日という実施時期を明示をいたしておるわけでございます。実施時期を含めましてこれを尊重すべきものと考えるわけでございます。仲裁裁定のほうは、三十二年以来おおむね裁定どおりに実施をされておる。法律の文言の書き方は違いはありましても、その裁定、勧告を尊重すべき趣意は同様のものであろうと理解をいたしておるわけでございまして、公務員諸君がおとなしいからどうというふうなことでは絶対にございません。したがいまして、今年度人事院の勧告は、実施時期を含めまして、これを尊重するように十分努力をいたしてまいるつもりでございます。
○荒舩委員長 多賀谷君、時間が来ておりますから、どうぞ……。
○多賀谷委員 最後に、臨時国会の開会と関連をして、ILO八十七号条約並びに国内法の取り扱いについて一言だけお聞かせ願いたいと思います。ドライヤーの対日実情調査調停委員会は事件の審査をしている。でありますから、伝えられるところによると、何か条約だけをやったらどうか、こういう話もあるそうですけれども、事件、すなわち団結権の侵害事件そのものが継続しておったのでは、審理の打ち切りはないのです。ですから当然これらの問題を含めて国内法の改正が必要であるから、いままで政府も努力するし、われわれも努力してきた。そこで労働大臣としては、この問題をどういうように対処するつもりであるか。当然事件がそのまま継続し、国内法の改正がない以上は、ドライヤーの審理は続けられると思う。もし臨時国会が短期間にして、ILOについて審議ができないとするならば、一体来年の一月に来るということがいわれておるドライヤー調査委員会は、来日ということが確定をする可能性が非常に強い。これらを含めてあなたの御所見を承りたい。
○石田国務大臣 ドライヤー委員会は、八十七号条約のわが国の国内における批准がどういう形で行なわれるか、あるいは行なわれないか、そういうこととは直接関連なく行動をされるものと考えております。したがって、一月に来るか来ないかということは、ドライヤー委員会が自主的におきめになることだと思っております。 それから、八十七号条約の批准案件の取り扱いについて、新聞紙上にいわゆる分離案その他のことが出ておりますが、政府としてそういう方針をきめたことはございません。私は、これはできるだけすみやかな機会に批准をすべきものだという方針のもとに努力を傾注いたしておりますけれども、具体的にどういうふうにするんだということを早い時期に公にすることは、かえってこの問題の処理に悪い影響を与えると思いますので、これは具体的に申し上げたくないのであります。
○荒舩委員長 これにて多賀谷真稔君の質疑は終了いたしました。 次に、淡谷君の質疑が通告されております。これを許します。 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 赤城農林大臣は、さっき成田委員の質疑に答えまして、消費者米価については目下工作中という御答弁でございました。私はことしの通常国会の予算委員会で、赤城農林大臣が、消費者米価は値上げをいたしませんという答弁をしたことを知っております。したがって今回の工作は、消費者米価を値上げしない工作だと思っておりますが、その点はそう考えてよろしゅうございましょうか。
○赤城国務大臣 昭和三十九年におきましては、消費者米価を値上げしない、こういう方針で進めておるわけでございます。ただし、昭和三十九年が済みまするならば、これは値上げをすべきものだという前提のもとに工作を進めておる、こういうことでございます。
○淡谷委員 私、不敏にして農林大臣のそういう気持ちがわかりませんで、非常に喜んでおったわけですが、四十年からはそれでは消費者米価を値上げをするという前提のもとにさまざまな工作を進めておられる、こうなりますと、事はいささかやっかいになってまいります。 そこで、田中大蔵大臣にお聞きしたいのですが、世間では大蔵大臣が中心になって消費者米価の引き上げを考えておるということを言っておるのでありますが、今回池田総理を病床にたずねられまして、この米価の問題でも打ち合わせをしたように伺っておりまするが、大臣御自身の消費者米価に対するお考えと、池田総理が病床にあって思いわずらわれながら考えております消費者米価の問題と、あわせてご報告を願いたいと思うのであります。
○田中国務大臣 三十九年の十二月三十一日までは、政府の決定もございますので、消費者米価は引き上げないということははっきり申し上げます。しかし、私の考え方からいいますと、四十年度の予算及び三十九年度の補正予算編成のことを考えますと、消費者米価の引き上げをやらざるを得ないという考えにいま立っておるわけでございます。消費者米価につきましては、御承知のとおり、今年度の引き上げによりまして当初よりも八百五十五億の国内米勘定の赤字を生ずるわけでございまして、食糧勘定の損益の計は千八百九十九億にも及ぶわけでございます。しかも御承知の、コストと売り渡し価格との差額は石当たり四千三百二十七円にもなるわけでございます。こういう状態において諸般の情勢を考えながらひずみ是正等の重点施策を行なう、また特に減税等を行なわなければならない、また補正予算におきましては、できる限り人事院勧告を尊重しなければならないというような重要施策を考えますときに、一月一日からおおむね二〇%の幅をもって上げなければならない、こういう考え方を私は持っております。しかし、農林大臣等とも私、話をしておりますが、私が一番消費者米価の値上げの急先鋒である、こういう御判断であれば、財政当局者でございますから、やむを得ません。 昨日、総理大臣にお会いをいたしまして、三十九年度の補正予算財源の問題、四十年度の財源等を十分御説明を申し上げて、減税もやらなければならないし、公務員給与の問題に対してもできるだけ積極的に対処しなければならないというような事情をるる説明をいたしまして、補正予算編成も急がれておりますので、消費者米価を値上げをせざるを得ない、時期及び幅等に対しては私が党及び閣内で発言をしながら、いろいろな措置をしなければなりませんので、おまかせ願いたい、こう申し上げましたら、先ほど申し上げましたように、いまの段階ではまだまかせませんね、とこういうことでございました。なぜ一体——あなたも長いこと大蔵省におられた大先輩でございますし、おわかりになっていただけると思いますという私の発言に対しまして、よくわかりますが、減税をするために消費者米価を引き上げるということは非常にむずかしい問題であって、もっともっと慎重に考えなければならない。物価問題だけではなく、低所得者に与える状況等も、十分高度の立場で検討をすべきである、こういう発言がございました。私はそれに対して、前からあなたの御意見は十分承知をいたしておりますが、低所得者に対して米価の値上げによって影響を与えないように農林大臣とも知恵をしぼりながら適切の施策を万全に行なうつもりでありますので、御了解願えませんかと申し上げましたが、総理大臣の立場として、君よりもより高い立場から考えると、現在かかるものに直ちに踏み切るわけには相ならぬということでございましたので、慎重にもっと各般の情勢を十分検討なさい、こういうことでございましたので、しいてとも申し上げられませんから、私はそのまま引き下がってまいったわけでありまして、新聞記事に出ておりますように、総理は強い難色を示されたということは事実であります。
○淡谷委員 非常に率直に大蔵大臣と総理との意見の食い違いを御答弁くださいまして、むしろ感謝するのでありますが、しかし米価についての考え方は、まさに病める総理のほうが、健康な大蔵大臣よりも健康であったというふうにほめなければならない。これはやはり慎重にお考えになるということばの中には、もっと事態を冷静に見つめまして、この消費者米価の値上げということが、日本の全体の経済にどのように影響をするか、また今後の物価政策にどのような影響を持つか、この病める総理の良識に率直にこたえるように、この問題をあらためて御検討願いたいと思うのであります。 先立ちまして、労働大臣にお聞きしたいのです。実はもっとあとでお聞きしたいと思うのですが、あなたは早いほうがいいというのですから、御希望をいれまして先に質問いたしますが、消費者米価を上げろということについては、総理はまだ慎重にやれというようなお考えがあるようですが、大蔵大臣、赤城農林大臣はすでに、時期を見て、幅を考えてこれを値上げしようという腹を固めておるようであります。労働大臣としましては、この消費者米価の値上がりが直ちに賃金に及ぼす影響、賃金を上げなければ生活の上に大きなマイナスが生ずるのであろう、そういう観点から考えまして、労働者の立場から、消費者米価の値上げは歓迎すべきものであるかどうか、これまた率直にお答えを願いたいと思うのであります。きょうは先に質問しましたからひとつ……。
○石田国務大臣 消費者米価の値上げは、消費者物価に当然影響してまいります。また生計費にも影響してまいります。したがって、勤労者をあずかっておりまする立場から言えば好ましくないことだと考えております。
○淡谷委員 たいへんありがとうございました。もうお引き取り願ってけっこうです。それ以上の答弁は要りませんから。 赤城農林大臣にあらためてお聞きしたいのですが、一体あなたが明年から消費者米価を値上げしなければなるまいという決意は、どういう理由から出たのでございましょうか。私からあらためて言うまでもなく、食管法第四条の二項に基づきまして米穀の売り渡し価格については「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ売渡ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と書いてあることは、これはすでに御承知のとおり。このうちのどこに相当するから消費者米価を上げるというのでございましょうか。この家計費及び物価その他の経済事情、各項目について農林大臣のお考えをお聞きしたい。
○赤城国務大臣 消費者米価は家計費を害さない程度において決定する、こういうことになっています。数年来の情勢を見ますと、消費者の家計の中における食糧費の割合も非常に減って低くなってきます。それから家計費の中で米価の占める割合が、たとえば三十五年では全世帯の平均が一〇・三%、勤労者で言えば九・五%であった。三十八年になりますと、一月から六月、これは全世帯では七・一%、勤労者の場合には六七%、家計費の中で米の支出に占める割合はそのように低くなっております。だから、従来から考えてみまするならば、家計費の安定というものはもう少し米のほうでしょってもらってもさしつかえないという数字が出るわけでございます。そればかりでなく、生産者のことしの米価決定につきましては、労賃及び物価等の値上がりがありましたので一万五千一円というふうにきめたのでございますが、こういうふうに生産者の米価をきめる、今度は非常に消費者の米価は安いということで、実は生産者のほうでも全部政府に売って、そうして買ったほうがこれは得になるというような逆ざやが相当出てきました。ある程度はこれは必要だと思います。逆ざやも当然のあれだと思いますが、限度があります。あまりに逆ざやできておるというようなことでは困る。やはり消費者にも一部分をしょってもらうといいますか、負担してもらうということが、これは当然である。食管制度の中では家計の安定を害しない、家計の安定の範囲ということがありますから、その範囲内においては引き上げをすることは、これは食管法の趣旨に反しない、こういうふうに考えております。
○淡谷委員 私は赤城農林大臣からいまのような御答弁を聞くことは非常に心外なんです。あなただけはもう少しこの経済成長のひずみを受けております農民あるいは中小企業、労働者の実際の生活について、地についたお考えを持っていられるかと私は思っておりました。確かに、国全体の階層を考えますと、いまの米ほど安いものはないでしょう。けれども、御承知のとおり、階層別食料消費支出の動向を調べるために、全国平均と五分位に分けまして、勤労者を五つの階級に分けて食料消費の実態を調べた表ができているのでありますが、これを見ますと、第五の階層、この線が一番伸びているのであります。同時に、第一の階層、これは思うように伸びていないのです。この階層の中で、全国平均以上のものが二つ、平均以下のものが三つというふうに、明らかに消費者の生活の上にも階層の分化、ひずみが出ているのであります。したがって、あなたがおっしゃる生活における米の比重を考えることは、この五分位の階層のどこを目標にして考えられるのか。私は、この最低の線を考えませんと、決して正しい消費者米価の対策は出てこないと思う。特に三十七年度は消費者米価を値上げしておりまするが、三十八年度からまさに全階層を通じて逆に食料消費の支出が減っているのであります。米が安いから、生活が豊かになり、副食物その他の関係も伸びますけれども、米がちょっとでも高くなりますと、直ちに消費生活に逆に及ぼすことは、この一事をもっても明らかなのであります。簡単にお考えにならないで、生活の上でも決していまは値上げをすべきときではないということをお考えを願いたいと思う。 さらに、他の経済事情を考えて、確かに経済の状態は成長しておりましょうけれども、中小企業者あるいは農民、労働者、こういったような広範な勤労大衆の生活は、決して企業家、大資本家のような成長は遂げていない。このことなども農林大臣としてはひとつ十分にお考えを願いたいと思う。特に、逆ざやなどで生産者の農民が自分の飯米まで売って安い政府米を買って食べるなんということは、まさにばかばかしい迷信に属するものであって、これはおそらく農林大臣まじめには考えておられないだろうと思う。さっき田中大蔵大臣の御答弁の中に率直に言われておりましたが、要するに、今度の消費者米価を上げたいというのは、財政負担が大きくなってくるから、食管会計の赤字がふえてくるから、これを埋めるために消費者米価を上げたいのだということは、これは明らかな理由じゃないですか。さまざまな理由はつきますけれども、おそらくはこの財政負担の問題が消費者米価の値上げの一番大きな原因になっていると思いますが、その点は大蔵大臣どうでございますか。これはあなたは心中考えておられましょうけれども、すでに一たんは値上げの腹をきめられたようでありますから、その点からお聞きしたいと思います。
○田中国務大臣 食管制度の中の問題については所管大臣である農林大臣からお答えをすると思いますが、御指摘がございましたように、生産者米価の引き上げを行なった結果相当大きな財政負担が必要になる、こういう考え方で、財政上の理由が一つございます。それから、もう一つは、食管制度そのものを考えましても、無制限に赤字を予定いたしております特別会計ではございませんので、消費者米価と生産者米価の間には当然調和すべき点、関連性を十分持つべきものだという考え方でございます。第三点は、これを引き上げることによって、いま御指摘になりましたように、五分位の所得の層と、今度政府が、いや政府というよりも大蔵省が考えております三〇%の引き上げというものは、その後各階層別の所得が年間一〇%ぐらいずつふえておりますので、三十五年から三十八年までには平均四一・二%ふえておるわけであります。五分位においても四一・一%ふえておるという事実から考えまして、その範囲内に吸収をせしめ得る数値、すなわち二〇%程度の引き上げは可能であるという想定に基づいて消費者米価の値上げをお願いしたいという考え方に立っておるわけであります。
○赤城国務大臣 私のほうで消費者米価の改定を考えている一つの理由は、こういうこともあるのです。というのは、生産者の米価も十分生産者の立場を擁護しているかどうかということにはまだまだ疑問もあろうかと思うのです。ところが、毎年毎年こういうふうに生産者米価を上げなくてはならぬというような事態が続くのではないか。一方には、生産者米価は天井知らずに上がっていく、消費者米価はいつまでもそれでとどめておくということになると、結局私は食管制度そのものが自壊作用を起こすことになりはしないかということを心配しているのです。私は食管制度の支持者なんです。食管制度というものをなくしたならば、消費者にも、安定を失って米が偏在したり高低があったりして非常な混乱が来る。また、生産者にしても営農計画などができない。こういうことですから、私は健全にこの食管制度というものを維持していきたい。ところが、いまのような状態で生産者米価は天井知らずに上がるようなことになり、消費者米価は絶対に上げてはいかぬというようなことでおきますと、こういう点から食管制度が崩壊するというような形、——私は崩壊さしたくないと思いますけれども、そういうふうな心配もいたすのでございます。そういう点におきまして、ある程度消費者にも負担をしてもらって、この食管制度というものを健全に維持していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
○淡谷委員 これは企画庁の長官にも聞いておいていただきたいのですが、この消費者米価の値上げについては、非常に簡単な常識が一つのムードをつくっています。一般が簡単な常識に立つのは当然でありますが、大臣自体も米価について常識的な考えを持つことは、私は許されないと思う。食管法をつくりましたのは、御承知のとおり昭和十七年です。あの戦争最中の国民の食糧が非常に窮迫を告げてきた場合、農家には労力がなくなり、肥料がなくなる、このままではとうてい需給保ちがたいというあの食糧危機の場合にできたのが食管法なのであります。したがって、これは明らかに価格の面においても政治価格が貫いている。コスト価格ではございません。今日の米価は、すでにこの政治価格であることを忘れまして、コスト価格に何かあき足らないものがあるということを盛んに言われるところに一つの混迷がある。いまは需給がさほど国民全体に及ぼすような窮迫を告げていないように見えますけれども、この底を考えますときに、戦争中の食糧生産と非常に相似た形態が随時出てまいっております。当時は若い青年の諸君はことごとく戦場に引っぱられました。いまは農村の若い連中はことごとく経済戦の戦場に引っぱられていっている。前には天皇陛下の御命令であったかもしれませんが、いまは資本の利益が誘うままに農村を捨てておりますのが現状なのであります。しかも、農村では若い働き手を失いまして、一たんその業務ができなくなりますと、手がわりはないのです。農民の離散、すなわち食糧の非常に大きな不安を起こして、農業問題が直ちに国民全体の食糧問題に影響を及ぼすという大事な時期に立っているのが、いまの食糧問題の実情なのであります。それについて、さっき田中大蔵大臣は、やはりこの食管会計の赤字、財政負担の問題は、値上げをしたいという大きな要素になっておると申しましたが、一体三十九年度の予算であなたは食管会計の赤字を幾らに見積っておられますか。
○田中国務大臣 食管会計の赤字は、御承知のとおり、千九十五億でございます。
○淡谷委員 それは生産者米価を上げた高で千九十五億ですか。それにとどまりますか。
○田中国務大臣 生産者米価を上げない前の数字でございます。
○淡谷委員 昨年の赤字は幾らでございましたか。
○田中国務大臣 ただいまの数字をちょっと訂正をいたしますが、米だけで換算をいたしますと、千二十五億でございます。三十八年は八百八十六億ということでございます。
○淡谷委員 大臣、少しデータが古いデータじゃないですか。もう三十八年は決算できていますよ。予算においては三十八年度の食管会計の赤字は八百七十三億九百万円、決算は七百八十六億三千二百万円になっておりますが、その資料を出しておりませんか。
○田中国務大臣 先ほど申し上げたとおり、国内米の勘定は、決算において八百八十六億、それから、全部入れました食管特別会計の最終じりが七百八十六億、こういうことでございます。
○淡谷委員 そうしますとこの主計課の事務官というのは、これは大蔵省ですか、斎藤正年さんという方。食糧管理月報の十月号に、「昭和三十八年度食管会計の損益の概要」というのを書いていますが、いまの大臣の答弁と少し違いますよ。明らかにこの一割に近いものは決算によって変わった金高だというふうに説明しているのですが、これはもうすでに公刊された書物ですからね。そのとおりなんですか。
○田中国務大臣 私の申し上げるほうが正確でございます。三十三年から簡単に申し上げますと、食管会計のしりは、三十三年には三十億の赤字、それから三十四年には百三億の赤字、三十五年は二百八十五億の赤字、三十六年は五百八十六億の赤字、三十七年は六百三十五億の赤字、三十八年は七百八十六億の赤字、この内訳は、国内米では八百八十六億、国内麦の管理勘定において六十五億の三角、輸入食糧の管理勘定において百九十三億の黒でございますので、食糧管理勘定の計が七百五十八億、それに、農産物等安定勘定はゼロ、砂糖勘定が三角一億、輸入飼料勘定が二十七億の三角、整理をいたしますと、三角が七百八十六億と、こういうことになるわけであります。
○淡谷委員 大蔵大臣、この資料は、編集者が食糧庁内の食管月報編集委員会が出しておる資料なんです。これで明らかに——少し説明しましょうか。「予定損益との対比」という項の中に、「売買価格の逆ざやによる損失は、予定では、四百二十一億六千万円と見込んでいたものが、決算では、三百九十億六千万円となって、三十一億円好転している。」、以下こまかくこの各項目について寄せまして、当初予算額と決算額とが少なくともこれくらいの違いができたと説明しているのですね。少なくとも大臣の持っているデータよりもこっちのほうが一応合っていると思うのです。はっきりその点は……。
○田中国務大臣 いま食糧庁長官の意向も聞きましたが、私の数字のほうが正確でございます。
○淡谷委員 じゃ、この食糧管理月報というのはでたらめなんですね。こういうでたらめな記事を載っけていいわけですね。
○齋藤説明員 食糧管理月報の数字を私いま承知しておりませんけれども、ただいま大蔵大臣の御答弁になられました数字をもってわれの数字といたしております。
○淡谷委員 それくらいの答弁じゃ私は満足できないのです。「三十八年度麦価、あるいは米価決定の過程において、財政負担の問題として論議を呼んだ食管会計の昭和三十八年度決算の結果が、このほどまとまったので、損益の概要を述べて、関係読者の参考としたい。」というのが、これが前書きなんです。これは全然当たっていないというふうに見てかまわないですね。予算と決算の間には開きがない、予算一ぱい使った、そう思っていいのですか。一割違っておりますからね。八百七十三億の一割じゃ大体八十七億になりますが、八十六億七千七百万円の違いがあっておる。これだけ決算の損失は減っておる。もし三十九年度が生産者米価を値上げをしないで一千九十五億の損失と見るならば、さっき大臣のお話によって八百五十五億加えますと、大体一千九百億の食管会計の赤字というふうに出てくるでしょう。これの一割がかりに決算で浮いたとすれば、百九十億浮きますよ。これは惜しくないですか。どっちがほんとうか知りませんが、百九十億という決算が、このほうが誤り、私のほうが正しいのだというと、これはいずれ時をあらためて食管会計をもう一ぺん洗ってみる必要がある。食管会計というのは、ことほどさように、まことにだらしがないところがあるのです。率直に申し上げます。 第一に、生産者米価が上がれば何か消費者米価も上がらなければならないような一般のムードがございますが、これは明らかに食管法から言えば間違っておる。生産者米価と消費者米価はスライドすべきものじゃない。その間には価格構成上の有機的なつながりを持ってない。この点は確認しておきたいと思いますが、農林大臣いかがですか。あなたはスライド制にしますけれども、食管会計の食管法の実態から言って、これは決して相関連さすべきものじゃない。あくまでも独自の立場に立って生産者米価、消費者米価は決定すべきものと私は考えますが、その点の認識はどうですか。
○赤城国務大臣 お話のとおり、食管制度においては、生産者の米価の決定方式があり、消費者の米価の決定方式があって家計の安定という一つのワクがございます。そういう形でおのおのの米価を決定しておるわけでございますが、しかし、全然関連がないということには、私言い切れないと思います。同じ米なんですから。生産者米価が上がるということであれば、その一部分は、政府の負担すべきものと、あるいは消費者に負担してもらうべきものがあってしかるべきだ。これは価格の、そういう食管制度以前の問題として、一つの米の値段というものが、やはり需給の関係もありましょうし、経済事情の関係もありましょうし、いまのお話のように政治的な観点できめるという点もありましょうから、食管制度に違反しない、食管制度の価格の決定に反しない程度においては、これは生産者米価と消費者米価の間に関連を持たしてしかるべきだと、私はそういうふうに考えております。
○淡谷委員 これはしかし、大臣のことばですがね、関連を持たせて食管法を解釈するということは明らかに間違いであります。これは持たすべきじゃない。農村が非常に犠牲をこうむって、もう普通の価格では米が出てこなくなった、その場合に食糧確保の目的をもってあえてこの関係を切ってつくったのが食管法でしょう。それをいままたコスト価格で貫こうとするような関連性を認めるならば、これは私は食管法の破壊であると思う。これはきょうは議論はしませんけれども、その点だけははっきり申し上げておきます。 さらに、この財政負担の問題ですが、大蔵大臣、この食管会計の赤字この分をこまかく御検討願いたいと思うのですが、この中には行政費に相当すべきものがあるのではないですか。食糧の売買によって全部一千億円というような赤字が出てくると私思えません。この中には財政法上から言っても疑わしいような行政費その他の項目に入るべき費用がたくさん入っておると思いまするが、この分析はおやりになったでしょうか。
○田中国務大臣 御承知の、三十九年度生産者米価が一万五千一円でございまして、コストの原価は一万六千二百八十四円になるわけでございます。これは、いま値上げをしないで考えておりますと、政府売り渡し価格は一万一千九百五十七円でございます。なお消費者価格は一万三千七十七円ということでございます。でございますので、消費者価格と政府買い入れ価格、すなわち生産者価格の差額は石当たり千九百二十四円あるわけでございます。しかも、コスト価格と政府売り渡し価格の差額は石当たり四千三百二十七円ございます。しかも、先ほどから申し上げておりますように、コスト価格の中に占める政府経費というもの、これは石当たり千二百八十三円、こういうものでございます。
○淡谷委員 私のほうでもいろいろ検討いたしましたが、この一千億円に余る食管会計の赤字部分ですが、これを食糧庁のほうから提出された資料に基づいて申し上げているわけなんでございますが、この資料が間違っているとすれば、これは食糧庁がでたらめな資料を提供したと私は言わざるを得ない。三十九年度の食糧管理特別会計の損益書を見ますと、国内米の管理勘定は売買損益で四百三十三億の損ですね。経費は五百九十二億です。一千二十五億の損は、これは国内米の管理勘定、以下ずっと取りまして、最終的には一千百三十一億の合計が出ております。これは損のほうです。これは米価審議会でちょうだいした資料ですから、これが違っていますと米価審議会をやり直さなければだめなんです。 それから、経費の内訳を見ますと、この中に大体人件費として百九十二億二千七百万円、これは食糧庁の人件費であります。旅費が八億五千八百万円、庁費のたぐいが十二億三千六百万円、施設関係が二億五千五百万円、さらに大きな管理勘定の経費を見ますと、集荷経費が九十二億七千七百万円、集荷手数料が八十八億六千六百万円、管理協力費その他たくさんありまするが、運賃が百一億四千八百万円、保管料が百八億一千二百万円、こんなことがあるのですね。 そうしますと、実際米価をいじって生まれてくる損金というのはこのうちの四百三十三億。四百三十三億というこの米の売買損を二〇%の消費者米価を上げることによって埋めるとなったならば、一体幾らになりますか。二〇%で大体概算して千二百億でしょう、売買損が四百三十三億しか出ていないものを千二百億上げるという話が一体ありますか。結局、これは、理論なしに、食管会計の赤字が出るから、こいつを消費者米価で埋めたいといったような非常にざっぱくな、浅薄な思想であったと私は断ぜざるを得ない。その点はどうお考えになります。消費者米価を値上げをして補う前に、もっと克明にこの食管会計の赤字の出る原因を検討すべきが正しいと思いまするが、農林大臣どうですか。
○赤城国務大臣 国内米勘定の赤字について申し上げますと、経費は別として、純粋の売買によって生ずる差損が大きいのでございます。生産者の米価改定によって、損失額といいますか、それは約八百三十九億円と見込まれておりますので、現在のところでは、その差額は千二百七十二億、こういうようになっています。経費としては予算上五百九十億円程度を見込んでおりますので、赤字の大半というものは売買の価格差から生じておることとなっておるのが実情でございます。でありますので、経費の五百九十億の内訳を調査してみましても、集荷経費が九十三億、運賃が百一億、保管料が百八億、人件費及び事務費が百六十五億、金利が百二十六億、こういうことになっていますから、差損によるものが赤字の大半だ、こういうような計算になっております。
○淡谷委員 そういう食い違いは簡単なんであります。私のここへいただいたのは、消費者米価値上げをする前の当初予算なんです。この四百三十三億に今度の値上げ分が加わりますが、それでも千二百億一ぱいでしょう。 しかも、食管会計の内容を見ますと、いろいろな農政上の問題がなおある。第一、百億以上の運賃というのは需給不安から生じて出る必要経費なんです。需給が十分できておりますと、何も北海道の米を鹿児島に配り、鹿児島の米を青森に配り、出しては取り、出しては取りといったような二重の運賃をかける必要はない。需給の不安定からそういうふうな操作が必要になってくる。この百二十六億の金利にしましても、要するに、生産者米価が満足な点まで上がらないので、それを打破するための行政措置に要する資金の利息が百二十六億なんです。それが全部生産者の米価が高くて消費者の米価が安いからなんだというふうに簡単に片づけるのでは、私は日本の食糧政策の根本が狂うと思う。特に私心配しますのは、えさはどうですか。えさの損失はだんだんふえてきていますよ。ことしは三十六億でしょう。一体食管会計には米麦のほか何々が入っているのです。ひとつそれをお答え願いたいと思う。
○齋藤説明員 お答えいたします。 いま食管会計で扱っておる物資は、勘定ごとにそれぞれ分かれておりますが、勘定で言いますと、国内米勘定、米と麦を扱っております。それから輸入食糧管理勘定におきましては同様に米麦を扱っております。それ以外に、飼料勘定、農安勘定がございまして、飼料勘定につきましては飼料でありますが、農安勘定では現在ではでん粉を扱っております。それから砂糖類勘定がございますが、現在直接的にはまだ扱っておりませんけれども、たてまえとしましては、国内の甘味資源、ビート、カンシャ糖、ブドウ糖を扱うというたてまえになっております。
○淡谷委員 大蔵大臣、あの食管会計の赤字をなくするために最も簡単な手は消費者米価を上げることなんです。食管会計の赤字を埋めるための最も簡単な手は、これは消費者米価を上げることなんです。消費者米価が社会に及ぼす影響を考えます場合に、あなたのような鍛練を積んだ大蔵大臣はイージーな道をとってはいけないと私は思う。食管会計をあなたの特有の鋭い頭をもって解剖されましたら、まだまだこの赤字を解消する方法は出てくると思うのです。 砂糖類がちょっと項目に入っていますけれども、これは日本の国内でできる甘味資源、ビートの砂糖を扱うので、輸入の砂糖は扱っていないでしょう。食管会計で輸入糖を扱ってはならないという法律的根拠が何かありますか、扱えない理由はありますか、まず伺っておきましょう。
○田中国務大臣 扱えないということはないでしょうけれども、扱う場合、ほんとうに国会を尊重し、この法律の精神を生かすとすれば、やはり法律改正でもしたほうがいいかもわかりません。御承知の国内糖につきましては、砂糖勘定を設けなければいかぬ、経費は明らかにしなければいかぬ、こういうことの御要請がございまして、砂糖類勘定を別ワクにしてございます関係からいって、輸入勘定全部を食管会計の中に入れて国内糖価を上げるようにすれば、そうすると、米の赤字くらいそれで埋められるという企業会計式なお考えをお持ちだと思います。普通でしたら大蔵省がそういうことを考えるわけでございますが、現在の状態で輸入糖をここに設けて、もうける。いまでも砂糖はようやく国際的な砂糖——まだ高いわけです、関税が高いですから。砂糖を一番高いものをなめさせるというのでえらく国民に批判されておる現在、これまた米の赤字を砂糖でもってもうけてということになると、なかなかそううまくいかないのじゃないか、こういうことで、いまそんなことはやるつもりはございません。
○淡谷委員 私、申し上げたいのは、食管会計の赤字を気になさるから言っているのです。これは食糧政策上幾らあってもいいというならば言いませんよ。食管会計の赤字を問題にするならば、なぜ損をするものだけ集めておいて、もうかるものは入れないのですか。砂糖に限りませんよ。砂糖だって、損をするような国内糖を扱う、差益のたくさん出る外国糖は扱わない。バナナはどうですか。七〇%の関税をとってまだもうかるでしょう。レモンはどうですか。同じ外国産のくだものでありながら、バナナは七〇%であり、レモンは一〇%でしょう。たくさんあるじゃないですか。しかも最近は麦はほとんど輸入でしょう。その輸入も、食糧にするための小麦の輸入は減って、ふすま用の小麦がふえているじゃないですか。しかも、このふすま用の小麦は損を出すものですよ。これはこの後どんどんふえていくでしょう。酪農を振興するとともにふえていくでしょう。農林大臣、一体ふすま用の小麦以外に飼料輸入の総額はどれくらいになりましたか。
○赤城国務大臣 事務当局から答弁いたさせます。
○桧垣政府委員 お答え申し上げます。三十八年度におきます輸入飼料の総量は約四百九十五万トンでございまして、三十九年度は五百三十八万トン程度を見込んでおります。三十九年度の飼料の総輸入量の金額は、今後の価格の推移にもよりますが、三億五、六千万ドルという程度に達すると思います。
○淡谷委員 赤字を気になさるならば、少なくとも食管会計の根本に手を触れてお考え願いたい。砂糖はしばしば食管会計に入れようという動きがあったんです。その差益は入れないで一体どこへどう行っているのですか。これは池田さんなんかもとうに御存じだろうと思う。藤山さんも御承知でしょう。あまり知っているから入れられないのでしょう。赤字を気になさるならば、赤字要因だけを食管会計にぶち込まないで、少なくとも国民食糧に関して黒字がたくさん出るものまでもお入れなさいと率直に申し上げます。 なおたくさんございますが、あらためて時期を見て質問申し上げますが、さらに気になりますのは、米の値上げをした場合に——それは総理の良識に従って消費者米価の値上げを思いとどまった場合は別ですよ。あくまでもこの消費者米価を値上げした場合に、これが他の物価に与える影響はどうでしょうか。まず企画庁長官から消費者米価の二〇%値上げに関して、どのような物価に影響があるかお聞き申し上げたい。
○高橋(衛)国務大臣 先ほど大蔵大臣からお話のありましたとおり、大蔵大臣からは非常に強い消費者米価値上げの御要請がございます。農林大臣も同様な御意見のように承っております。しかし、総理から非常に慎重な態度でもって物価と取り組めというお話もございます。またようやく昨年の下半期から物価全般が落ちついてまいりました。この機会にこれが原因になって、これがつけ火になって、全般にまた物価の引き上げムードが起こるというようなことがあってはたいへんだというようなところから、非常に慎重に検討しておる段階でございます。ただいまお尋ねの消費者米価を上げた場合に、それが他の物価にどう影響するかという問題につきましては、これはその時点におけるところの経済政策全般、物価に対するところのムードの関係等もございまして、軽々にはなかなかお答え申し上げかねる次第でございますが、たとえば配給米の米価を上げました場合に、非配給米にもある程度の影響を与えたことは、従来の実績から事実でございます。しかしながら、これは輸入米を含めて米全体の需給の関係、また現実に非配給米の値段がどうであるかというその位置づけ等の関係から、その影響は区々になっているのが従来の実情でございます。したがって、これをただいま的確に、この程度になるだろうということを申し上げることは非常に困難でございます。 ただ、そのほかにお酒の値段等の問題もございますが、これは以前から原価主義でございまして、生産者米価に関連いたしておりますので、消費者米価の関係はございません。
○淡谷委員 酒米はすでに値上げをしたのじゃないですか。消費者米価がまだ値上げときまる前に、酒米は値上げをしたでしょう。これはどういうわけなんです。
○赤城国務大臣 これは消費者米価とは関連ございませんで、生産者米価と直結して、コスト価格で売り渡すというふうにきまっておりますので、コスト価格からことしは一〇%引いた価格で決定いたしました。
○淡谷委員 コスト価格から一〇%引いたことになると、厳重なコスト価格じゃありませんね。やはり政策価格ですな。これによって酒類の値上がりを来たすのではないかというふうに考えられておりますが、この点はどうですか。企画庁長官の御返答でございますが、これは総理が病気をしておられますからこれで済みますけれども、総理がここにすわっておって、消費者米価に対して、大蔵大臣は上げたい、総理は慎重に考えたい、率直に言えば上げたくない、この意見の不統一は、これはまさに倒閣ものですよ。まあ幸い——幸いじゃないけれども、病気をしているからこれで済みますけれども、その場合、そうしたことは、やはり企画庁長官、はっきりあなたの企画において見通しをつける必要があるのじゃないですか。総理に対しても、これと反対の意見を持っております大蔵大臣に対しても、いま消費者米価を上げるとこういう影響がありますよということを、はっきりきめるのが企画庁じゃないですか。きまったことのあとをついて歩くなら企画庁は要らぬです。少なくともそういうふうな迷った場合は、この方針が正しいといったような自信を持って企画を立てなければ、企画庁長官と言えないと私は思う。一体こういうふうに消費者米価がどんどん上がっていくとするならば、他の物価はやはり影響を受けるでしょう。受けないわけないからよろしい。労働賃金も上がるでしょう。一切の物価がこのムードにつられるじゃないですか、その点どうですか。
○高橋(衛)国務大臣 先ほど井手委員にお答え申しましたように、昨年の下半期から物価が相当安定してまいりました。先ほども申しましたとおり、昨年は、年度初めの四月から八月までの実績が七・八%前年比較によって上昇でございましたが、今年はそれが三・二%という程度で、非常に落ちついてまいっておるのでございます。しかも、年間の消費者物価の騰落を、ずっと波を、従来のパターンを考えてみますると、大体八、九月に上がって、十、十一、十二月ごろに下がってくるというようなパターンでございます。それで、もう少し物価の動きというものを見ていきたい。と申しますのは、昨年下半期においてあのように物価が安定しましたゆえんは、暖冬のおかげで野菜の生産が非常に好調でございました。くだものもよかった。そういうことが影響いたしました。また、冬物の繊維類が下がったというふうな関係もございまして、そういう関係もありましたものですから、これは非常に外部的な要因によって動きやすいところの消費者物価という性格がございます。そういう関係から、もう少し経過を見た上で判断をいたしたい。こういう趣旨でございまして、ただいまは、まだ経過を慎重に見守りながら最後の結論をそのうちに出したい、かように考えている段階でございます。
○淡谷委員 確かに、せっかく安定しかけた消費者の物価を、この消費者米価の値上げなどで狂わすべきものではないと私は思う。第一、卸売り物価とは若干違って、消費者米価は非常にムードの影響を受けます。もう値上げをするんだということが伝わると同時に、一切のものがどんどん上がってきているでしょう。やはり非常な値上がりがきているのです。そのうちにデーターの上にもあらわれてくるでしょう。それを農林省でも大蔵省でも消費者物価の値上がりをかき立てるようなムードづくりは、これはやめていただきたい。第一、食管法に基づきますというと、いまの酒米の点もそうですが、酒米というのはないじゃないですか。売り渡し価格ですよ。消費者米価というのでもない。政府の買い入れた米の売り渡しをする場合の価格が消費者米価というふうに呼ばれていますが、これは酒米であると飯米であると、違いはないはずなんです。一体酒米だけが消費者米価じゃないという根拠はどこにあるのですか。少しずさんじゃないですか、押えた方が……。
○赤城国務大臣 消費者米価は消費者の家庭で米そのものを消費するから消費者米価、消費者の米価をきめるという形になっていますから……。酒米は酒をつくる原料米で、これは消費者米価とは違う範疇に入っているので、酒米の価格は別にきめるというたてまえになっております。
○淡谷委員 消費者米価というものと飯米とはどうです。酒だって、間接的には、これは消費するのです。酒の中にも価値が入っているでしょう。卸売りといえば何ですが、食糧の販売者に売るものは売ってもいいのですか、消費じゃないから。そこらはやはり食管法というものをもう少し厳密にお考え願いたいと思う、ムードつくりになるから。これは必ずしも大蔵大臣、農林大臣、ともに消費者物価を上げてはならないと思っておられるでしょうか、一体公共料金はどうなる。運輸大臣、国鉄料金を値上げしますか。
○松浦国務大臣 お答えいたします。現在国鉄料金は、国鉄基本問題懇談会において、輸送の増強並びに大都市間における緻密ダイヤ、これの解消、国鉄の近代化というような問題に対しましていろいろと審議していただいております。現在の過密ダイヤの状況においてはどうしても危険が伴うのでございますから、この際相当な財源を得なければならないという現状に置かれておりますから、その審議を待って善処いたしたいと思っております。
○淡谷委員 これも上げたいというムードですな。それから電気、水道、ガスといったようなものに対しこの公共料金をどうなさるつもりですか。これは担当大臣からお答え願いたい。
○高橋(衛)国務大臣 淡谷委員御承知のとおり、今年の一月から公共料金は一応一年間オールストップをかけたわけでございます。これは非常の措置でございますけれども、これくらいの腹がまえでなければなかなか物価の安定というものは困難であるという趣旨をもちまして、そういう措置をとった次第でございます。しかしながら、その閣議了解の中におきましても、中小企業等であって、そうして私企業に属するものにありましては、経営が非常に困難であるというようなものについては、例外的にそれぞれ措置をするというたてまえになっておるのでございます。ただいまお尋ねの電気料金、ガス、水道料金は、あるいは電力会社にかかる、または地方公共団体にかかる問題でございますが、こういう問題も、いずれも一年間の経過した後において、個々の問題についてケース・バイ・ケースに検討いたしまして、そうして、全体の物価になるべく影響しないように慎重な措置をとっていきたい。また、こういうことも全部含めまして、今後の物価の動きをどうするかという見当をつけながら措置をしていきたい、かように考えている次第であります。
○淡谷委員 大体もう公共料金も上げざるを得ないような御答弁なんですが、一体これに消費者米価を二〇%上げる、消費者米価というのは、これは国民全部が影響をこうむるわけなんですから、この消費者米価二〇%と、国鉄料金の、新聞に伝えるところによりますと三二%、かりにこれをやった場合に、物価に及ぼす影響はどれくらいです。寄与率はどうですか、企画庁長官。
○高橋(衛)国務大臣 お話しのとおり、私どももそれぞれ大口のお客さんがたちまちたくさんやってきたんではとても受け切れぬ、こういうように考えまして、非常に慎重に措置していきたい、かように考えます。 米価につきましては、三十五年のCPIの米のウエート、配給米のウエートが七・二五になっておりますから、これがかりに二〇%上がるということを仮定いたしますると、一・四%上がる、こういうことに相なるわけでございます。 国鉄料金については事務当局から、記憶しておりませんので、お答えします。
○松浦国務大臣 事務当局にかわって答弁いたします。(笑声) 三二%というのは、国鉄が基本問題懇談会に提案いたしました内容でありまして、運輸省といたしましては、これにまだ検討を加えつつあるのでありまして、また、基本問題懇談会のほうにおきましても、これが適当であるかどうかという問題について検討中でございますから、これは三二%と決定したものでございませんことを御了承願いたいと思います。
○淡谷委員 すでに閣僚の諸君が値上げムードに浮かされてしまって歩き出しておるような印象を受けますが、一体これで物価を安く保っていくといったような政策の根本が保てますか。米の値上げだけで一・四%の値上がり、他のものはさらに数倍するでしょう。私、許容し得る物価の値上がりは一体どこに押えたらよいかと迷わざるを得ない。長官、一体経済成長に伴って物価の値上がりは、どの程度まで許容できるのですか。インフレーションの危険を感じないで済むような物価値上がりとはどの程度までさすのですか。
○高橋(衛)国務大臣 先ほど井手委員にもお答え申し上げましたが、ようやく公共料金の一年間ストップというような措置等々によりまして物価の安定のムードをつくってまいった次第でございますので、これをこわすということは絶対いたしたくないというのが、これは非常な決心でございます。しこうして、昭和三十九年度におきましては、予算を編成いたします当初の見通しが、年度間を通じまして四・二%の上昇まではやむを得ないというふうに考えたわけでございますが、その程度まではやむを得ないもの、かように考えておるわけでございます。しこうして、来年度の問題につきましては、これはまだ確たる見通しを立てる段階ではございませんが、今年度よりもそれがさらに上がるというふうなところに持っていくことは絶対いたしたくない。なお、御承知のとおり、三十九年度を起点とするところの中期五カ年経済計画をただいま検討中でございますが、この中におきましも、昭和四十三年度においては相当安定した、少なくとも二%台の物価の上昇率まで持っていくという考え方のもとに、全体の経済の運営を考えておる次第でございます。
○淡谷委員 経済成長には一本調子は許されない。ときには景気変動はやむを得ないだろうと思いますけれども、一般国民にとっては好況不況の起こるたびごとに水につけ込んだり、火で鍛えたり、一体どこに連れていくのかわからぬというような空気が非常に多いのですよ。これはやはり物価政策についても、一本の線を守るならば、この際き然たる態度をとって公共料金についても米価についても上げないという方針のもとに進めていくべきだと私は思う。そこで赤城農林大臣、いまつぶやいておりますけれども、農林大臣はそんなことをつぶやくものではないのです。生産者米価を上げて消費者米価を上げないという手があるかということをあなたは考えておられるに違いない。あなたは食管法をわかっておられないのですよ。生産者米価を上げるというのは生産費が高くなっているからなんでしょう。米価が上がる前にあとの物価は上がっているんじゃないですか。生産費と所得の補償をするというならば、物価が上がった場合にこれは上がるのが当然なんです。これは農林大臣、当然でしょう。ただし、農家のほんとうにねらっているのは生産費部分の値上がりじゃないのです。所得をもっと豊かにしたいのです。所得を豊かにしたい場合に二つの方法がある。一つは米価をどんどん高く上げる。一つは合理的に農家の所得がふえるような形で生産費を下げることなんであります。やっていないじゃないですか。いまの農業では個人個人の農民に比べてもこれは下がりません。少なくとも所得は増しながら生産費が下がるというこの前向きの姿勢をとることが農政の根本じゃないですか。農民大臣、そう思いませんか。伺っておきます。高米価が必ずしも農家の利益を意味しないことは知っております。しかし、国が生産費を合理的に下げるような施策をとっていないじゃないですか。構造改善はどうです、その他の施策はどうです、ことごとくと言ってよいくらい失敗じゃないですか。生産者米価を上げなければならぬというのは、これは国の責任です。農政の責任です。私はその点を強くあなたに申し上げたい。御答弁を承りたい。
○赤城国務大臣 おっしゃられるまでもなく、農民の農業生産の生産費を低下することに全力を尽くしているわけであります。これは米でも何でも生産費は低下しています。低下している以上に、実際問題として生産者の米価はことしは上げています。生産費を低下するということは、もうあなたの言うとおりで、農政の根本でございますよ。その方針でやっているのです。やり足りないということは言えるかもしれませんが、それをやらぬと言われては私も困ります。実際そのとおりやっています。
○淡谷委員 生産者米価を上げろ、消費者米価を上げるなという主張が一つの矛盾をはらんでおるようにお考えかもしれませんが、この矛盾をつく前に、生産者米価の持っておる米の生産構造の矛盾がまず取り上げられなければならない。それは長い日本農業の伝統で小作料の五割収奪というこのやり方は、農業の進展を阻害してきたのです。米の生産方法に発展と進歩を許さなかった。この前近代的な生産方法を資本主義経済のもとでも続けざるを得なくされた矛盾からきておるのが、この二つの消費者米価、生産者米価の矛盾なのであります。これを考えないで、ただ食管会計をいじって、生産者米価が上がったのだから消費者米価を上げたら済むだろうといっても、これは連鎖反応的に他の物価をどんどん引き上げます。また当然来年度は生産者米価は上げなければならない。これはおそらく農林大臣言ったとおり、食管会計が保てなくなるほど財政負担がふえるかもしれない。これはしかし消費者の犠牲によって直すべきものじゃない。大臣が先頭に立ってこの根本的な矛盾を切るような方針を立てませんと、これは非常に悪い物価値上げの循環が始まると思う。その点はどうですか。消費者米価というものに対して安易に値上げを考える前に、こうした根本的な矛盾をつかないと、私は農政の革命的改革とは言えないと思う。この点は農林大臣どうですか。
○赤城国務大臣 御趣旨はよくわかります。しかし、生産者米価等も上がった場合に、政府だけが負担するということではなくて、消費者も負担する余裕があったならば負担してもらってもいいじゃないか。その余裕というのはどうなのか。家計の安定という面から見て、家計の中で米価の占める割合が非常に減ってきてそういう余裕が出てきた。これはベースアップもありましたし、いろいろな面で賃金も上がりましたから、そういう余裕が少し出てきた。その出てきた範囲内程度ならばこれは負担してもよかろう、こういう関係です。ですから、できることなら上げないほうがいいでしょう。しかし、食管制度が破綻するようにだんだんなっていくということは、生産者にとっても、消費者にとっても好ましいことではございませんから、負担できる範囲内においては負担してもらう、こういう考え方でございます。
○淡谷委員 消費者が消費者米価の値上げにたえるかたえないかは見方はございましょうけれども、少なくとも先ほどから論議されておるように、経済のひずみが中小企業、農民のほうに片寄り、労働者大衆の上にも広まってきておる今日で、私はこの消費者米価値上げによってもたらされるのは経済の混乱であると思う。したがって、この食管会計のさまざまな困難というものは、安易な道をとって、ただ上げたらいいだろうといったような気持ちではなくて、基本的に考え直すことを、これは閣僚各位に希望したい。総理大臣がその点を心配しまして、おそらくは慎重な考慮を促したろうと思う。これは食管会計の失敗だけではなくて、政策全体の失敗なんです。農政と経済政策の失敗なんです。倒れるのはひとり食管会計ではなくて、この方法をもし誤るならば、私は自民党内閣全体の運命に関する重要な意味を含むのが消費者米価の値上げの問題だということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
○荒舩委員長 これにて淡谷君の質疑は終了いたしました。 次会は、明六日午前十時から開会することといたします。 明日の質疑者は永末栄一君、岡田春夫君、永井勝次郎君であります。時間割りを発表いたしますが、永末君の質疑は十時から十一時半、そこで一時間休憩をいたしまして、十二時半より一時四十分までに岡田君の質疑を終了いたします。続いてIOCの総会に全部の大臣が出席いたしますので、約二時から四時半まで休憩をいたしまして、続いて永井勝次郎君の質疑に移ります。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十分散会