P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
46回国会衆議院1964/06/09

法務委員会 第42号

発言数
45
登壇者
5
会派数
2
開催日
1964/06/09

会議録

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより会議を開きます。  法務行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。竹谷源太郎君。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 私は、まず第一に、矯正関係、保護関係をまとめて御質問したいと思います。  最初に、監獄法という法律がございますが、これと法務省設置法、それから刑務所に関する組織規定、そういうものとの関連が、しろうとばかりではない、専門家が見ても非常にややこしくて、錯綜した、意味がよくとれないような法律で、非常にぐあいが悪い。それから、中には死文化したものもありましょうし、いろいろ改正を要するものが非常に多いと思うのですが、これに対して法務省はどういう考えを持っているかお尋ねをしたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 まず第一点の監獄法につきましては、これは明治の法律でございまして、文意等につきましてきわめて古い形で、現在非常に難解な部分もございますし、また、内容的に見まして、旧憲法のもとにおいてつくられました法律でございまして、御指摘のように、現在死文化している点もあるのでございます。しかし、この根本的な問題でございますが、要するに、刑が人の自由というものを制限するという根本におきまして、現在の新憲法のもとにおきましても、これはいまの監獄法というものは抵触する点がない。その点、終戦後法務省当局におきまして検討いたしました結果、早急に改正する必要はないという結論になりまして現在に及んだわけでございます。しかし、矯正当局といたしまして、現在の刑事政策と申しますかまた行刑思潮の進展に伴いまして、新しい制度を盛り込んでいきたいという意欲もございまして、寄り寄り監獄法改正につきまして協議を進めているわけでございます。大体われわれ事務の面におきまして、逐条の問題、あるいはまた新しい制度の取り入れという点について検討をいたしたのでございますが、何ぶんにも監獄法は刑の執行法でございまして、刑法の刑の概念というものが変わりません限り根本的な変革は加えられないということで、現在刑法の改正の準備が進んでおりますから、われわれの持っております考え方というものを、刑法の改正の準備の進展に応じまして、それとにらみ合わして制度の条文をつくっていきたいというので、刑法の改正の進展とにらみ合わせながら準備を進めておるという段階でございます。  なお、組織につきまして、現在各刑務所、少年院、あるいはまた少年鑑別所というものの所管を法務省がいたしておりまして、それを法務当局が所管しているわけでございます。ただ、施設が非常に多いということ、また、現場施設でございまして、その運営いかんでは治安にも影響することが多いというので、全国八カ所に管区を置きまして、その事務を分掌せしめているわけでありまして、目下のところ、この制度の組織をどうするかということについて、変更するという考えは持っておりません。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 そうしますと、監獄法は刑法の全面的改正後になるのですか。それと歩調を合わせてやる、それ以前にはまだ改正の意向はない、こういうふうに理解していいのですか。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 現在事務当局におきましては、刑法改正と軌を一にして改正に踏み切りたいというふうに考えているわけであります。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 われわれ人類の社会から犯罪を絶滅する、かりに絶滅できなくてもこれを減少せしめるためには、もちろん福祉国家を建設して、そして人々が犯罪を犯すような理由も必要も起こらないような社会をつくることが万全でございますけれども、そこへ進むまでの間も、できるだけ犯罪をなくすようにしていかなければならない。そのためには、道義を高揚するなり、風教を刷新するなり、教育的、社会的にいろいろな手段を講じなければならないのであるが、一面、従来の人類社会の伝統もあり、刑罰という懲罰方法で当分の間犯罪者に刑罰を科するということはやむを得ないのであります。この刑罰は、死刑は別といたしまして、自由の拘束、懲役、禁錮が刑罰の大部分を占めるのでありますが、これは人間の自由を拘束し、その間に教化改善をやろうという、自由の拘束と教化をするという二つの方向で進んでいるわけであります。そういう意味からいいまして、監獄というものは教化改善という点から効果があるわけであります。この矯正という仕事、したがいまして、裁判所が刑罰を科する、これは自由を拘束するこの因果応報、また自懲他戒式な方法よりも、教化ということに刑事政策の重点が置かれなければならない、こういうふうに考える。そういう矯正手段とあわせて、一応自由の拘束は解かれたが、また、保護観察の執行猶予等によって、刑罰は科していないが、強制的な保護観察が加えられるというような手段によって、自由はあるが監視のもとに教化を受け遷善改過をする、そういう方向の二つがあるわけであります。したがって、矯正と保護というものは一体になっていかなければならぬ。そういう意味で、この矯正、保護、これはあわせて刑事政策上非常に重要なものだと思うのでありますが、この矯正のやり方について、できるだけ社会との接触をさせたり、いろいろ社会に順応性を持たして教化していくというような関係から、最近アメリカあたりでは、なるべく構外、監獄以外で作業をさせたり、そういうような方向をとっているということであります。これについて、日本のいまの矯正政策なりはどんな現状であるか、それに対して矯正局として何か新しい考え方や見解がありましたら承っておきたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 矯正のあり方につきまして、ただいま御指摘のございましたように、刑罰の執行にあたりましては、自由の制限という大きな制約がありますが、その根本におきまして、刑は教育である、その者の人格を改善して、社会的に有益な人間にまで仕立て上げるという大きな使命を持っておるのであります。いま御指摘のように、ただ囹圄の中に拘禁して、それで教育がはたしてできるのかという御意見でございまして、われわれも全く同感でございます。世界の監獄関係の会議におきましても、ただいま仰せのいわゆる開放施設というものが矯正にきわめて効果があるという説明もございまして、現在矯正局におきましても、その線に沿いまして、刑法の規定します監獄に拘禁するという解釈の許します範囲内におきまして、教育を中心に進んでいきたいと考えておるわけでございます。現在、われわれといたしまして、拘禁するというのは、必ずしも二つの舎房の中にかぎをかけて入れておくということに限らぬわけでありまして、われわれの官の施設の中、あるいは施設外でありましても、一つの監視の中にあれば、拘禁の概念に入るというところまで考えを広げまして、現在御承知のような、農場等におきまして鎖等もなく、自由に日のもとで勤労に親しむというような方法もとっております。また現在、釧路の奥のほうの標茶の農林省の森林の植樹事業に受刑者が釧路刑務所から出ております。これらのものにつきましては、幸いその地域が人里離れて、その事業所だけでございまして、そこではへいのない施設の中で起居いたしまして、植林事業に従事する。あるいはもう仮釈放も近い、あるいはまた罪質も悪質でないという受刑者を集めまして、造船所の一角で造船技術を覚えかたがた刑に服するという方途もとっておるのであります。この点、さらに世界各国でとっております純粋の開放ということにつきましては、これまた刑法改正とにらみ合わして、その点等も進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。われわれ現在新しい思潮に基づきまして、現在の法の解釈の許す範囲内におきまして、教育的な処遇を行なうという方針で進む、十分ではございませんが、これを実施しておるわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 いま、開放して作業をさせるようなお話がありましたが、英国に開放刑務所というものがあるというのだが、そういう事情を御承知なら、簡単に御説明願いたい。それからアメリカでは、囚人に外泊を認める場合がある、あるいは看守なしで細君に合わせるというようなこともあるそうですが、こういうことは日本の法制上可能なのかどうか。こういうことがまた自由の拘束を主眼とする刑罰、懲役、禁錮等に対してはどういう関係になるか御意見を伺いたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 私、不敏にして英国の実情は存じないのでございますが、私が、実際に見聞いたしました東南アジア地域におきます開放施設について、その実情を申し上げたいと思います。  香港あるいはマニラ、あるいはセイロン等において見てきた点でございますが、その開放施設におきましては、刑期が短くて危険性が非常に少ない、あるいはまた、重要な犯罪であって刑期が長いものでありましても、相当期間修養を積んで、近く社会に復帰する、間もなく出る人間というものを集禁いたしまして、それらの施設におきましては、大体各家庭のような家を方々に建てまして、それぞれに数名ずつ居住せしめまして、そして刑務所の農場で通常の農業と同じように従事しておるわけでございます。そして定められた時間内だけ刑務所農場で働いて、それ以後の余暇につきましては、それぞれ貸与せられた住居に付設しました農場で、自己のために生産するというような方法で、全然かぎもなければ、またその広大な地域の周囲に障壁もございません。全く農業移民と申しますか開拓農村というような風景でございます。しかし、かようなことにつきまして、日本の刑法上どうなるかということになりますと、現在日本の懲役、禁錮というものにつきましては、これを監獄に拘禁するという規定があるのでございます。われわれとしまして、さように全然目の届かないところ、夜間も全然離れて監視の目の届かないところにあるということは、やはり拘禁というものの性質上これは許されないというふうに考えておるわけでございます。ただ拘禁が先ほど申しましたように、一室に閉じ込めるのであるが、あるいは部屋の中にかぎをかけて入れておくとかいう物理的なものでなくして、刑務川の役人と申しますか、その監獄の職員の管理下に十分入っておる、実力支配が及び得る範囲というのが最小限度いまの拘禁の範囲内には必要ではないかかように考えておるわけであります。したがいまして、日本の開放施設も勢い常にその管理下に入っておるという状況以外には入れられないと考えておるわけでございます。その点につきまして、監獄法の改正に基づきまして、刑法改正等とにらみ合わせまして、また決定していきたいと思っておるわけでございます。われわれとしまして、刑法改正の特別部会におきまして、その点についての意見を申し出ておるわけでございます。  なおまた、次にお尋ねの外泊制度でございますが、これも外国においては方々で実施しておるようでございます。外泊制度も、刑務所から釈放しまして一泊なり三泊なり自宅に戻してやる、そうして指定期日に刑務所に帰ってくるという制度であります。これまた、先ほど申しました日本の拘禁の概念から申しまして不可能でございます。われわれが現在行なっておりますのは、万やむを得ないような場合、どうしてもうちに本人をやらなければならぬという場合においては、職目付き添いで出すという形で実施しておるわけであります。まだ外泊制度、帰休制度というものはいまの刑法下においては不可能ではないかと考えておる次第でございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 それから、受刑者を刑務所に送ると、刑務所では何か分類をしてやるということでありますが、そういう場合に、聞くところによると、十五日か三カ月くらいの短い期間に分類をして、少年に対して少年鑑別所がやるようなことをやると思うが、非常に短期間において十分の調査もできないのではないか。特にこれは刑務所ばかりでないかもしれませんが、医療専門の者が少なくて、そういう方面からもどうも十分な分類ができないのじゃないかという疑いがあるのですが、現状はいかがでしょうか。医者については、これは給与の関係もあろうかと思うのですが、この点満足な状態で分類が行なわれ、刑務所内における適正な矯正が行なわれておるかどうか、この点についてお尋ねをいたします。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 現在矯正におきまして、受刑者をそれぞれその性格、罪質あるいは刑期、年齢、健康等によりまして分類いたしまして、その者に最も必要なまた最も適した処遇を行なっておるのであります。その根本になることが、ただいま御指摘くださいました分類の業務でございます。これにつきまして、現在東京管区におきましては、中野刑務所をモデル的に充実いたしまして、約二カ月ないし三カ月間分類をいたしまして、そしてそれを結果によって分類して、それに相応の刑務所に移送するという形をとっておるのでございます。その他の各管区につきましては、現在分類センターを指定いたしまして、それと同様の十分な分類をいたしたいという構想のもとに、昨年来これに必要な鑑別技官あるいは心理の職員、あるいは医師等を各指定の刑務所に配置する方針をとりまして、まず本年度はその中心となります分類のセンターになります刑務所に分類の課長を置きまして、必要な人員を配置したわけでございます。さらに現在——いままで全然行なっていなかったわけではございませんが、中野に比較いたしまして不十分でございますので、本年からその充実に当たったわけでございます。  なお、現在建築中の中野刑務所あるいは福岡刑務所というところには、分類センターを設置する予定でございまして、必要な建物も間もなくでき上がるわけでございますので、それらにつきまして、現在中野で行なっております分数センターとしての機能を充実するように、人的あるいは物的な施設を目下整備しつつあるわけであります。来年度くらいからは相当程度のまとまった形で分類センターが活躍、運営し得るのではないかと考えております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 次に、受刑者が作業をした場合の賃金のことをお尋ねしたいのですが、いま労働状況によって賃金程度が違うかもしれませんが、どんな支給状況であるか、それが十分であるかどうか御意見を伺いたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 受刑者の労働に対する報酬と申しますかこれが賃金と見るべきか、あるいはまた作業に従事したことの賞与金と見るべきかという大きな問題がございますが、われわれといたしましては、現在作業賞与金といたしまして、これを更生資金として給付するという考えに立ってやっておるわけであります。しからば刑務所から出ました者が、一銭も金がないというためにまた再犯におちいるということになりますれば、われわれとしても、せっかく教育をしたのが、あすからだめになるということでは困りますし、また、社会としても何のための矯正かということになりますので、彼らが社会に出まして、また悪に染まるようでは困るというので、ある程度の給与をしなければやっていけないんじゃないかというふうに考えられるのであります。しかし、全般的に考えまして、大きな社会制度の組織の中におきましては、社会にこれらが入りました場合には、厚生省所管の社会保障がそれを受け継ぐわけでございますので、われわれとしまして、刑務所から出た場合にそれらのものとのつなぎと申しますか、生活のつなぎ資金としての賞与金を考えるのが相当ではないかというような考え方から、現在、作業の賞与金につきましては、大体一年五カ月くらいの平均釈放期間でございますので、生活保護の一カ月分ないし一カ月半分を支給しようというめどで現在予算要求もし、それを実施しているわけでございますが、昭和三十九年度におきましては大体一カ月分、と申しますと約五千円になりますが、その給与を目途に予算を要求したわけでございます。われわれとしましてそれで十分とは考えませんので、目標としては、やはり一カ月半分くらいを目途に増額をしていきたいと考えておるわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 そうしますと、一カ月五千円ですか。月に二十日働くとして二百五十円くらいということになるわけですが、何か日額ではとれておりませんでしたか。予算上、一日働くと一百五十円くらいになるような計算ですが、どうなるのですか。こういう金額では——一カ月五千円。その間にいろいろ小づかいも使いましょうから、かりに一年の刑期であるとすれば、刑務所を出るときに幾らくらいの金をもって更生資金に充てられるのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 ただいま五千円くらいを持たして出すという考えでやっているわけでございまして、計算金額では五千五、六百円くらいになるわけであります。本人がはがきを出したり、家に連絡をするというような、本人の受刑中に一部を使用せしめますので、それを引きまして、大体出るときに手元に五千円くらい持って出られるという目途でやっているわけであります。計算額は五千五、六百円くらいになるわけであります。  かようにいたしまして、一日一日の計算高は、われわれとしまして大体五千円持たして出すという計算から逆算いたしまして、また本人たちの勤労意欲の向上ということも見まして、一等俸から四等俸の段階をつけて、またその勤惰によりまして割り増し、あるいは歩引きという制度を設けまして、勤労意欲の養成、そして働くことの楽しみをその制度の中でも持たせまして、大体さような金額を持たそうというので、細分いたしまして一等俸から四等俸、また仕事の内容に応じましても重作業から軽作業というふうに、それぞれこれは技術的に結論から出た分け方でございますが、さような意味を付加しまして、日額をきめておるわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 一年か一年半刑務所におって、五千円から六千円くらいの金を持って出るのでは、遠いところだったら汽車賃でなくなっしまうように思うのですが、これはあまりにも貧弱に過ぎる。一カ月五千円くらいなら話がわかるのですが、一年か一年半で五千円くらいではだいぶ問題があるのではないですか。私の調べたところでは、予算上の日額が二百四十円くらいになるのではないかと思うのです。そうすれば、はがきを出したり——たばこ、酒はのませないようですが、衣類や紙や本などということになったら、そんなに金がかかるはずはないので、一日二百五十円もらっても一かりに三百円とすると、二十日間働いても四千円、一年で四万八千円、一年半おれば五万円から十万円くらいの金を持って出られるということになれば、更生資金として非常に役立つのではないか五千円くらいの金を持って出たのでは意味をなさないと思うのだが、どうですか。少々計算が間違っていませんか。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 現在作業収入を就業人員で割りますと、一日一百円から二百五十円という本人の働きになるわけであります。しかし現在、本人の生活関係経費、つまり食べましたり、着ましたり、あるいはまた病気にかかったりする医療関係の経費、あるいは教育に要する経費等がかかるわけでございまして、それらが大体現在の予算面では、人件費とかその他を除きまして、純粋に本人が食べて着て、医療をして、あるいは必要な教化図書を与えるという費用で刑務所は約百円かかるわけであります。これを刑務所のいわゆる収容費と申しますか、それから作業の原材料費その他本人の食ったり寝たり、あるいは作業にかかった経費というものを作業収入と比べますと、賃金関係から見ますと、まだ赤字でございまして、いわゆる民間企業でいう利潤と見るべきものが出ておらない。現在作業収入としておりますのは、現在の作業の材料費、あるいはそれに必要とする副資材、光熱費と、その作業収入との差を出しておるわけでございます。生活関係費その他全部を入れますと、現在赤字でございまして、民間企業でいう人件費を出し得る段階には至っていないのであります。したがいまして、われわれといたしましては、どこまでもこれは生活保護を受けられるまでのつなぎの面というふうに考えて、大体五千円持っていけば、生活保護の必要な人ならば約一カ月の間には職安等との連絡もつく。また住む家のない人には、これは同じ法務省の保護局の所管でございまして、常に刑務所と連絡をとっておりますので、保護局と当該所在地の保護観察所と連絡がありまして、更生保護団体において宿泊の保護もいたし、つなぎ的にはそこえ一応落ちついて、そうして本人が社会の普通の生活関係に入っていくという方途を請じているわけであります。さような意味合いで大体一カ月あればいいというふうに考えるわけであります。また帰住等につきましては、必要なときには帰住旅費として国の経費の中から支出することができますので、必要な場合には支給しております。また、相当刑期の長かった人で、着て帰る着物がないという人についても被服を給与しております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 アメリカあたりの例では相当作業手当が多い、したがって家族に送金もしているということでありますが、それらに比べると非常に雲泥の差と言わなければならぬ。刑務所に収容中の受刑者の医療とか食料とかあるいは通常使う衣類とか、そういうものは国家が持つのがほんとうじゃないかと思う。そういうものを作業の収入のうちから差し引くというのはどうかと思うのです。そういうことになりますと、半年の刑期で十倍以上の超重労働に従事しておりながら、出るときには赤字で、二円の帰住旅費だけもらって刑務所を解放せられるという、昔北海道に監獄部屋というのがあったのでありますが、文字どおりこれは北海道の監獄部屋と同じように国家の監獄も扱っているという結果になるので、大きな人権問題じゃないかと思うのですが、これは法務省でもひとつ研究し、御再考を願いたいと思います。衣料や食事や日用品や、そういう一般通常使うものの費用まで差し引かれて、結局働いても赤字になるということでは、これは、非常に問題じゃないかこう思うのです。  食事のことですが、私、ある刑務所へこの間行ってみた。主食を除いて二十何円か今度三十九年度から実少し上がるそうでありますが、材料はぜいたくなものはありませんけれども、味も食えないことはない。御飯は相当量が多い。麦を六、七〇%入れているようですが、最も多い。カロリーは一等食から五等食まであって、三千カロリーとか二千七百、三千四百、二千、そういうふうに段階があるようであります。そのほかに、ここに強制収容されている人々はいろいろなものを食いたがるのは当然だと思うのです。しかし、そういう一般通常の人間として生活する最低限度のことは国家予算で見なければならぬし、働いた分については、これはやはり将来の更生資金としてできるだけ多額を持って刑務所を出られるように、そしてまた悪いことを重ねないようにしてやる。これは国家としての、行刑執行者としての当然の責任じゃないかと思うのですが、その点どうなんですか。給食のほかにたくさん食いものも要る、あるいはいまの通信費その他の小づかい、そういうものを差し引いて赤字になる、そして作業してもろくな収入が得られない、こういうことについては、私、多大の疑問があるので、いま局長の説明を聞いて驚いたのですが、その点もっとはっきりお答えを願いたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 ただいま三百五十円の収入があるからそれを支給してはどうかという御意見でございましたので、私といたしまして、賃金としてそれを見た場合にどうなるかという点で作業収入等と関連して申し上げた次第でございまして、現在予算面につきましては、受刑者に対するさような給与と作業の収入との間に何ら関連はないのでございます。われわれとしましては、当然受刑者に対する衣食住というものは国が保障しなければならないと考えておるわけでございます。年々その内容の充実につとめておるわけでございます。また、刑務作業が赤字であるというのは当然のごとでございまして、われわれが労働者を搾取するという立場で労働をさせておるわけじゃない。労働に従事しながら勤労意欲の養成ということをはかり、また、彼らが社会に出ました場合に有用な技術をつけられるというような意味合いから、作業訓練等も活発に実施しているのでございます。作業訓練に従事する者につきましてはほとんど収益がない。われわれは全国各地の刑務所で労働省の所定の職業訓練法に基づきます一カ年課程の職業訓練を実施しているわけでございます。それらの者につきましても、それをいわゆる作業とみなしまして、賞与金の計算をしておるわけであります。さように刑務作業というものは決して利潤追求のものではないし、われわれもそのつもりで教育手段として実施すべく努力しておりますので、それらの収入と生活とを関連せしめて考えていることは全然ありません。ただ賃金の二百五十円というものをかせいでおるじゃなかろうかという御質問でございましたので、関連して申し上げましたが、決してさようなわけじゃありません。  また、食料の給与につきまして、われわれとしまして彼らの健康を維持する、また進んで増進するということについて考えなければならないのでありまして、その点につきまして常に日本人の栄養所要量の比較等について考えまして、現在ではカロリーにつきましては一般の社会生活よりも多量に摂取させているわけでございます。ただ御指摘にありましたように、主食にやや偏しております。その点、栄養中の各元素というものについての不足も考えるわけでございますが、この点につきましても蛋白、脂肪等あらゆる栄養素に分けまして、国民の平均量の摂取を目途にいたしまして、局のほうにも栄養士がおりましていろいろ検討し、現在のところ、必要栄養というものは一般国民と同等、あるいはものによってはそれ以上摂取する献立等を考えているわけでございます。そして各管区へ栄養士が配置されておりまして、それらが献立表を作成しまして、それから各施設に回わし、その献立によって必要な栄養を補給しているわけでありまして、現在同年輩の成人あるいは青年と比較しまして決して見劣りのする状況じゃありませんし、また病気の発現率も、都市よりも劣りますが、農村地帯よりも低いと考えております。われわれとしてこれで十分だとは思いませんが、受刑者の健康の維持という点については努力を払い、ますます今後その増進にまでいきたいと考えておるわけであります。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 いま私と矯正局長との質疑応答で政務次官もお聞きになったとおり、アメリカあたりでは、受刑者が刑務所内で作業をしてその手当をたくさん家族へ送金しておるという事例もあるそうでありますが、日本においてはいまおっしゃったような現状です。これは刑余者が社会に出てから更生してりっぱな人間になるように、それをこうした経済面から援助し得るように、そして刑務所で一生懸命まじめに働けば十分な手当がもらえる、そうすると社会に出てから活動できるという奨励の面もありますし、それには予算も相当かかるわけでございますが、むろん刑務所作業というものは独立採算制でやらなければならぬものでもないことはもちろんでありますが、これは将来の問題として十分ひとつ法務省としてもお考えを願いたい、こう思うのであります。  それから給食の問題ですが、最近発行された犯罪白書によりますと、主食を除いた刑務所の一日の費用が三十四円五十銭、自衛隊は六十九円二十銭、三倍近い。生活保護では五十一円六十六銭、生活保護でさえもが倍も見ている。これは主食をのけた費用であります。これでは十分な栄養価のある食事を調理するのに刑務所ではずいぶん頭の痛いことたと思います。一体どうしてこういうふうにひどい差異があるのか。自衛隊は六十九円二十銭、生活保護では五十一円六十六銭、刑務所では二十四円五十銭、刑務所の分は三十九年度予算では一〇%ぐらい上がったはずではございますけれども、自衛隊も生活保護も上げたわけです。非常にこの差が激しいのでありますが、一体どういう関係で刑務所では食いものまでまずいものを食わしていじめなければならぬという懲罰の意味を含めているのか、法務省の見解を承りたい。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 現有御指摘のように副食費だけで見ますと、成人受刑者が、三十九年度では三十七円五十銭、少年受刑者が三十一円九十銭というふうに、自衛隊あるいはその他のものと比較しまして金額的には劣っているわけであります。その給与栄養励と申しますものにつきまして、われわれ十分努力いたしまして、国民の平均を下回らない、むしろ上回る給与をなしておるわけでございます。これはどういうふうにしてそういう忍術を使うのかという御疑問があろうかと思いますが、幸い刑務所等につきましては広大な農場等も自営いたしておりますので、それらのものからの収穫というもので、通常市場価格よりもほんとうの生産費だけで受刑者の給食のほうに回すというような手段をとりまして、また共同仕入れ等をいたしまして、その質の向上をはかっております結果、先ほど申し上げましたように、必要カロリーあるいは必要栄養というものの確保はただいま十分しておるわけでございます。しかし、遺憾ながらカロリー全体としまして主食に偏重しております。この点さらに検討を続けていきたいと考えておるわけであります。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 時間がないから、もっと突っ込んでお聞きしたいけれども、この問題はこの程度にします。  それから受刑者の人権問題ということについてお尋ねしたいのですが、何か受刑者が悪いことをすると減重罰にする、あるいは皮手錠をはめたりする。あるいは狂暴で気違いになったりする、そういうことのために必要な場合も起こるかもしれませんが、通常の、そうでもないのにどうしてこういう皮手錠などをはめる必要があるか。ことに減食罰というのは、これは人権侵害ではないか。一体実施の状況はどうなっているかお聞きしたい。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 減食罰は現在行なっている施設はございません。  皮手錠につきましては、狂暴なものあるいは自殺のおそれのある者というものにつきましては、各所実施しておりますが、それらにつきましても、一日常に視察いたしまして、その必要がないという場合は直ちに撤去するという方法で、その皮手錠の実施にあたりまして十分配意しておりますし、また実施する場合につきましては、必ず所長の決裁を得るというふうに、実施についても慎重を期しておるわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 減食罰は全然実施しておらないということをお聞きして、たいへん安心をいたしましたが、次に未決囚に対しては新聞の閲読を禁止しているかどうか。それから一般の受刑者は新聞を読んでもいいかどうか、それをお聞きしたい。  また、たばこは吸わせない。外国では吸わしている例があるようでありますが、吸わせない理由、それについては火災等の危険、日本は木造のところもありましょうから、そういう点もありましょうが、これはある一定時間を看守づきのもとにのましても差しつかえないのではないかと思われる節もありますが、それらに対する御見解を承りたい。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 受刑者につきまして、新聞紙の閲読につきましては、われわれとしまして、教育の面から差しつかえない限り、いま壁新聞等をもちまして閲読を許しているわけであります。現在の新聞紙は、御承知のように粗悪な犯罪記事が充満しております。これらのものが、決して受刑者に対して有益なものではございませんので、それらのものを抹殺しましたものを読ましているわけであります。また刑事被告人未決につきまして、その者に関する犯罪記事の出ているものは、その拘禁の本旨に照らしまして、そのものを削除して読ますという方法をとっております。  次にたばこでございますが、外国ではたばこを許している国がほとんどでございます。わが国におきましては、明治以来その管理上と申しますか、ほとんどが木造建物で、火災の危険が非常に多い。あれだけ大ぜいの者を、夜間等はかぎを施した監房に収容している場合に、万一火災になりました場合に、不慮の災害が予想されますので、建物の火災予防というような大きな見地からたばこは禁止しているわけでございます。なお、これを外国並みに喫煙させようかという意見もあったわけでございますが、現在は幸いに建物も鉄筋になりましたし、火災の危険も非常に少ないというような点でさような議論が出たわけでございますが、これを給与するということになりますと、自由に許しますと、金のある者が、差し入れのある者たちが自由に吸い、金のない者が吸えないということになりますと、刑務所の中に入ってまでも差別待遇ということになりますので、処遇の平等をはかるためにきわめてむずかしいのではないか。しからば官で給与するということになりますと、ばく大な予算を要します。特に最近、この春でございましたかそれについてたまたま議論をしたときに、たばこによる肺ガンの記事が出まして、あの一発で、そんな悪いものはやめたほうがいいという意見になったわけでございます。さように喫煙を許すか許さないかということにつきましては、外国では大体許しているわけでございますが、わが国ではそういうような風潮が出てまいっておりますので、まだそこまで踏み切る段階には達していないわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 それから、もうそういうことはないと思いますが、確かめておきたいと思いますが、重閉禁というのですか、暗いところに一日ぶち込んでおくというようなこと、あるいは鎮静衣を消せたり、声が出せないようにくつわをはめるのでしょうか、防声具をつけたり、そういうことはないと思いますが、確かめておきたい。  もう一つは、頭の髪の毛を伸ばしてはいけない。坊主頭に無理に切ってある。こういうもの実に対してどう取り扱っていくか。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 いわゆる処罰というような点の重閉禁は現在実施しておりません。ただ鎮静衣、これは精神錯乱等に陥りまして、舎房に頭をぶっつけて自傷するというようなおそれもございますので、この場合は先ほど申し上げました皮手錠と同様に、その者の生命身体の安全を守るために実施をする場合がございますが、これも十分監現しながら実施しているわけでございます。  それから頭髪についてでございますが、現在頭髪剪除ということは衛生上の見地からわれわれは行なっているわけでございまして、少ない水、少ない入浴回数また少ない行けん等でありますので、衛生上害があるというところから剪剃しているわけでございますが、釈放の近い者につきましては、いわゆるGI刈りと申しますか、角刈りと申しますか相当程度釈放が近づいてきた者につきましては蓄髪を許し、社会に出るころには醜くない程度の蓄髪ができておるという配慮のもとに、釈放間近になりますと蓄髪を許しておるわけであります。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 次に刑務職員の問題をお聞きしたいと思いますが、ある雑誌に書いてあるところを見ると、ある出獄者が、刑務所において一番同情されなければならないのは囚人ではなくして下級刑務職員である、こういうふうなことを極言しておった。こういう記事を見たのでありますが、現状において刑務職員は一日九時間労働、普通の公務員より一時間拘束時間が多い上に、一週九時測労働ですと面十一時剛になるわけであるが、実際は週に六十七時間くらい労働に従事する。したがって、十六時間くらい超過勤務がある。そのために一カ月に休む日は二日ぐらいしかない。普通の公務員は普通の月で四回か五回、祭日等があればまたまたふえる。ところが、一年を通じて月平均二日ぐらいしか休日がとれない。非常に労働が過重になる。しからば超過勤務手当はどうかというと、予算の関係で、支給を受ける権利のある超過勤務手当も半分ぐらいしかもらえない。こういうふうにして非常に労働が過重である、残酷な扱いをしているように見えるのであります。これを解消するためには、職員の定員を増加しなければならぬ。また待遇もよくして刑務職員にたくさん希望者があるようにしなければならぬといういろいろな問題があると思いますが、これについて法務省はどのような御見解を持っておるか、どういうふうに改善しなければならぬとお考えか、それをお尋ねしたいと思います。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 現在、刑務所の第一線職員であります看守が非常に多忙な勤務についておるという点は御指摘のとおりでございまして、中には宿直明けの非番がとれなかったという例もございます。また週休も完全にとれないという事例も各地に見られるわけでございます。刑務所の職員のうちの庶務、会計等のいわゆる事務、あるいは分類とかいうような事務系統につきましては、一般官庁とほぼ同様の勤務をしておるわけでございまして、休日には全員が休めるという状況でございますが、ただ御指摘のありましたのは一線の保安職員のごとでありまして、これら実の者は、最近刑務川におきまする職業訓練の強化あるいはまた日曜祭日等に受刑者に対する教化活動等のために、その行事に従事する必要上、休日のとれない者が出てくるわけでございまして、この点、われわれとしましても、勤務体制の合理化という点につきましてここ二、三年来、実情に応じて実施するようにというふうに常に指示し、三交代制をとりまして完全な休日休養、休日には休みをとれるという体制を整えている施設も相当あるわけでございます。まだ二、三にとどまらず、相当の施設がさような勤務体制をまだとれないというようなところもございまして、この点につきまして、過般北陸東北方面に係員が参りまして、実際はどうすればいいかということを検討し、実施しているわけでございます。  しかしながら、なおそれでも超過勤務ということは避けられません。現在刑務所職員につきまして、一カ月三十二時間の超過勤務の予算をもらっておるわけであります。一般公務員は、庁によって違いますが、大体八時間から十八時間というところでございますが、刑務所につきましては、その実情、現状にかんがみまして、三十二時間の超過勤務手当を予算上計上しておるわけでございます。できるだけ実際上勤務につかなければならない保安職員の保安勤務については一〇〇%支給しようという線でおるわけでございます。今後われわれとしまして、幸い刑務所の在所人員が定員を判るように減ってまいりました。そこでこの際、先ほど御指摘がございました、いわゆる分類収容をさらに強化して、軽警備のところには配置人員を減らして、そうして重警備のところに人員を回すというような、刑務所の分類に応じまして職員の定員数を定め、そして手の抜けるところは抜いていく、そして重要なところには配置するというような定員の改正を実施いたしまして、その上勤務体制の合理化をはかって、過重勤務を避けていきたい。かような線で努力し、過般の矯正管区長会議でもその線に沿って研究しておるわけであります。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 いろいろお尋ねしたいのですが、時間もだいぶ迫ってきておりますの者、なるべく簡潔に質問したいと思うのですが、国家としては刑務所その他の矯正関係の充実などに非常な努力をして、だいぶ改善されてきておることは私も認めるにやぶさかではないのでありますが、この矯正と、それから刑を終えて出ていった人々、あるいは保護観察等に付して保護関係のほうに移るわけでございますが、昔は法務省の中で行刑局というのがあって、保護と矯正とを一緒にやってきたと思うのです。それがいま局が分かれた結果、どうも横の連絡が不十分になってきていやしないか。保護関係の保護観察官も、刑務所における矯正の施設や教育の程度、効果等についても十分承知して保護観察をやる、また刑務職員も、出ていったあとに保護を受けてどんな状況になっておるか、これは矯正刑務所ではやり方を変えなければならぬというふうな、相互連関によって保護矯正の効果をあげる面が非常に多いのではないか。これがどうも二つに分かれた結果、独立し合ってお互いに介入はしないかもしれぬが、同時に協力して矯正保護の実績をあげるという点でうらみがあるのではないか。こういうふうに疑われるの実でありますが、保護観察官が刑務所に一時出向して勉強をする、あるいは刑務所職員が保護観察官をしばらくやってみて、その実情によって刑務所におけるやり方を改善するとかこういうふうなことをはじめとして矯正と保護とが中央においても現場においても一体となってやることがほんとうの行刑の目的を達し得るのではないか、抽象論としても、また具体的な現状から見ても、そういうふうに私は感ずるのでありますが、法務省としてはこれをどう考えておるか。政務次官、いかがでございましょうか。

天埜良吉自由民主党法務政務次官

○天埜政府委員 お話しのように、刑務所の関係と、それから保護観察の関係とはきわめて密接な関係がございますので、これらの点について十分なる連携を保ち、お話のような点も考えていくべきであるというふうに君も考える次第でございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 それから少年のことをちょっと聞いておきたいのですが、少年刑務所や少年院の場合には、職員の勤務時間は、また刑務所の看守以上に長い。拘束七十四時間ということになっているようでありますが、これはまた、もっとひどいので、その結果ますます少年刑務所や少年院の職員の希望者がなくなってくるということになってやしないかということを心配するのでありますが、この点、常井保護局総務課長、どういうふうな現状ですか、お伺いいたしたい。

常井善検事(保護局総務課長)

○常井説明員 実は少年院の所管は矯正局でございますので、矯正局長からお答えいたします。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 少年刑務所につきましては、ただいま刑務所と同じ組織でございますので、刑務所で申し上げたとおりでございますが、少年院につきましても、ただいま御指摘のように勤務時間が非常に長いという点があるわけでございます。実は昨年度より少年院の教化活動を強化いたしますために、少年院をそれぞれ分けまして、ある者はまだ年齢が小さくて学校も出ていない、義務教育未修了者というものは、学科教育専門の少年院に集める。また、将来社会に出てどうしても職業につかなければならぬ境遇の子供につきましては、先ほど刑務所のほうで申し上げました職業訓練を実施する少年院に収容しておるわけでございます。さように、少年院の教化活動を強化いたしましたために、少年院の教官の勤務が非常に長くなりまして、少年院の教官が疲れるばかりでなく、せっかくの教育効果もあげられないという結論に達しましたので、本年度におきまして、各少年院の少年を各四十名ないし五十名ずつの組に分けまして、それに四名の指導教官が専従するという指導体制を建てました。それによりまして、現在の少年院の職員数等を配置いたしまして、どうしても五十名足りないというので、本年度少年院教官の五十名増員を要求いたしまして、過般の予算において可決をみたわけでございます。設置法の成立次第、われわれとしましても直ちに必要な教官をその施設に分配いたしまして、少年院教官の勤務過重をさけていきたいと考えておる次第でございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 そちこちになりますが、時間がないので必要な点だけ質問しますけれども、青少年の犯罪が非常に激増して、これに対する対策というのは、なかなかむずかしいし、きわめて重要なものでありますが、これについて一般の保護司は非常に高年齢の人が多い。そこで青少年の補導や保護には非常にこと欠く結果になるので、最近BBSという、ビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズ・ソサエティーとでも言うのですか、何かBBSという会ができているということでありますが、一体国家ではこれに対する予算なんかどう取っておるのか、聞くところによると、何ら予算はない。そこで、いろんな保護司の金やあるいは保護協会や、そういう団体の金を集めたり、地方の寄付を集めたりしてやっているということでありますが、これはどうなっているのか、保護局から御答弁を願いたいと思います。

常井善検事(保護局総務課長)

○常井説明員 BBS関係についてお尋ねでございますが、会員が全国に約二万人おりまして、おっしゃるように若い層から出て保護観察の仕事も手伝っておるというのが実情でございます。おっしゃいますように保護司の年齢層がたいへん年をとっておるというのに比べまして、若い対象者の友だち活動という点で、同じ世代としての話し合い、あるいは指導というようなことによりまして効果をあげておるのは事実でございますが、実は保護観察の仕事を手伝うというのは、比率としてはそれほど多くお願いはしておらないのでございます。むしろ地域の浄化活動、その他地域社会にお役に立つような仕事にいまのところ重点が置かれておるように思うのでございます。そういうわけでございまして、法務省といたしましては、中央組織の日本BBS連盟を通じまして研修——現に昨年度におきましては二回に分けまして百何名かの中央研修をいたしましたが、本年度もまた同じような、さらに増加した規模で研修をいたしたいと思っておりますが、これに要する経費が百万ないし百二十万ぐらいでございますが、こういうのを連絡助成の協会でございます日本更生保護協会から補助をいたしております。大体ここのところ二、三年、いま申し上げました日本更生保護協会から百万ずつの補助がそのほかに計算をいたしてみますと出ておるようでございます。  なお、国の予算からめんどうを見るという点につきましては、非常に純粋なボランティア組織でございますので、いろいろの点を考慮して検討したいと思っております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 これは青少年犯罪対策として非常に重要な問題でありまして、政府においては、いまは中途はんぱで仕事がなかなかむずかしいようでございますから、十分検討して青少年犯罪対策として大いに取り上げてもらいたいと私は希望するものであります。  次に保護観察官の処遇の問題についてでありますが、何か号俸調整の結果、家庭裁判所の調査官や検察事務官などから、保護観察という仕事の重要性にかんがみてぜひ保護観察官をやってみたいと希望をいたしましても、号俸調整の関係で俸給が下がるので非常に困る。したがって、逆に保護観察官から調査官や検察事務官等に出ていくものが多い。こういう実情があるというのでありますが、これは非常に不公平なことだと思うので どういうわけで保護観察官が俸給が低い、号俸調整がそういうことになるのか、またそれに対する改善策をひとつ保護局のほうから聞きたいと思います。

常井善検事(保護局総務課長)

○常井説明員 ただいま仰せのように、保護観察官につきましては、行政職一の俸給表が適用され、調整額は八%支給されておるのが現状でございます。家庭裁判所の調査官におきましては一六%ということでございますから、ちょうど半分に当たるわけでございますが、実は調整額がつきました当初からいまのような比率を保って今日に至っておるものでございますので、その実績の上に立ちまして私ども事務的に検討あるいは要求をしなければならないために、なかなかこの差が一気に縮まるわけにはいかないのでございます。しかし、一般の行一の俸給表が適用されます公務員に比べますと、調整額八%がついておりますので、そういう面からいたしますと、これだけ高いということは言えると思うのでございますが、職務の重要性にかんがみまして、私どもといたしましても、今後ともこの引き上げについて先生のおっしゃるように努力したいというふうに考えております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 法務省内に保護矯正等の行政事務について改善策を研究する機関があるかどうか。そういうことは法制審議会とかあるいは法務省の研究所というようなものもあるようでありますが、そういうところでこういう問題の実研究をしているのかまた研究しているのであれば、どんな研究の成果ができているのであるかお尋ねしたい。

常井善検事(保護局総務課長)

○常井説明員 私どもの面から知っている範囲で申し上げますと、官房の秘書課におきまして、これらの事務の改善、能率化に関しまして、各原局の総務課長を中心としました委員会組織がございます。ここで事務改善が中心ではございますが、組織のいろいろな問題、仕事の分担の問題、これもあわせて研究を重ねております。また仰せの法務省の研究所におきましても、原局から各研究官が出まして、総合調整した観点から、刑事政策の網の目と申しますか、すき間と申しますかそういう点がないように、いわばそういうところに重点を置いて仕事の配分を考えているというふうに承知しております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 私、保護だけのことを聞いたのではなく、矯正と保護をひっくるめた行刑全体に関する法務省としての——矯正、保護の仕事は、日進月歩のこの社会に対処して、なかなか複雑多岐なむずかしい仕事なんで、あらゆる人間の英知で、いわゆる医学的に、あるいは心理学的に、あるいは社会学的にいろいろな方面から検討しなければならぬ。単なる刑政としてではなしに勉強していかなければならぬ仕事だと思うのです。そういう根本的な基礎的な方面から矯正並びに保護の行政はどうあるべきかという点を研究するような機関が一体あるのかどうか、どういう研究がなされているのであるか、それをお聞きしたいと思うわけです。

大澤一郎法務事務官(矯正局長)

○大澤政府委員 刑事政策全般につきまして、法務省に法務総合研究所が設立せられております。そこに矯正、保護、検察、裁判、あらゆる面のエキスパートが、専門家が研究員に命ぜられておりまして、それそれの分野に応じて、多岐にわたる研究項目をあげまして研究しているわけでございます。私、個々については存じませんが、矯正関係につきましては、先ほども御意見のございました開放処遇、あるいは医学的な分類とか性格分類、あるいは分類処遇というようなあらゆる面につきまして、われわれのほうからも注文を出しまして、研究官の手元で研究し、またわれわれの施設におります職員も臨時に研究を命ぜられまして、その庁にあって研究して、それに対して法務総合研究所で便宜を与え、補助を与えるという方途で各般にわたって研究をしているわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 矯正と保護の刑政の仕事は、刑罰として人間に懲罰を加えるという意味よりも、今日では教育研修といいますか、そういう受刑者をりっぱな人間に立て直すという仕事に非常に重点が置かれているわけであります。そういう観点からすれば、この矯正、保護の仕事というものは、犯罪の検挙にあずかる検事のみの考えではおもしろくないんじゃないか。検事出身の法務省のお役人を前に置いて言うのは失礼でありますが、ここに名簿がございますけれども、この間検事総長をやめた清原君以下ずっと六、七人矯正局長になった人の経歴を見ますと、中尾文策君だけが検事ではないので、その他は全部検事、保護局長はあるいは判事が入っておるのかもしれませんが、これまた全部検事、こういうことでございまして、むしろ刑罰は、いわゆる昔流の考えの刑罰ではなくて、改過遷善のほうに重点が置かれる保護並びに矯正の時代だ。だとすれば、これをもっと教育なりその他の観点からこの仕事を進める者がその長になって、熱情を込めてやるほうが矯正、保護の行政の実績があがるのではないか、検事である方々は二年なり三年なりそのポストに出世の段階としてとどまるにすぎない。終世の大切な天職として打ち込んでこれに全精力を傾倒するというような点において欠ける場合があるのじゃないか。これは人にもよります。その人の熱意にもよるのでありますが、検察官としての仕事が専門の方々にはそれを要求するのは無理ではないか。むしろ、矯正なり保護の実務を長年やった、十分経験のある、また非常に熱情を持っている人材があれば、これを起用して奨励するということは矯正、保護という行政の事務を進める上において効果があるのではないか。これは法務大臣の意見を聞かなければならないのでありますが、そのうち法務大臣が出席されたら尋ねたいと思いますが、ひとつ政務次官のお考えを伺いたい。これが一点。  次は、これはいろいろお考えがあるわけでありますが、矯正、保護に関する根本的な行政組織の問題として、これは先ほどちょっと触れましたが、矯正と保護は一体になって連携をとってやったほうがいい。したがって、昔の行刑局のように矯正、保護を一つの局にして、まとめて一体にしてやるほうが行刑の実績があがるのではないかこういう考えを持っていますが、この点に対する政務次官の御見解をお尋ねしたい。  またもう一つ、イギリスでは行刑の仕事は内務省所管になっているらしい。これはやはり刑罰というよりも、刑政というよりも、もっと広い観点から内務省所管にしているのではないかと思うのでありますが、しかも内務省所管であって、そこにプリズン・コミッティという名前ですか、そういう委員会制度の合議制の官庁、単独制の官庁ではなくて複数制の委員会制度の官庁で行刑の仕事をやっているということを聞くのでありますが、この行刑という仕事は単なる刑政ではなくて、教育であり、そうして社会をよくすることであり、犯罪者をなくなすことであり、医学的に、あるいは心理学的に、哲学的に、社会学的に、いろいろな人間の物的、精神的英知をしぼってこの仕事をやらなきゃならぬ。だとすれば、三人なり五人なりの委員会制度によって、それぞれの専門の優秀な人たちの多数の文殊の知恵をしぼって行刑の仕事の実績をあげるほうがいいのではないかこれは考究の余地があるのではないかこう思うのでありますが、この行刑の最高機関である矯正局、保護局、これらの官庁のトップをどうするか委員会制度にするかあるいは単独制にする場合には一つにまとめたらいいかまた現行のように矯正と保護は別々のほうがいいか、そういう場合には、単独制の行政機関であります場合には、検事出身の人をとるのがいいか、矯正、保養の専門家の中から優秀な人を抜てきしてやらせるほうがいいかどうか、これは法務省としての根本的な一つの大きな問題でございますが、これについてひとつ政務次官の御答弁が願いたい。もし、きょうでは困る、十分検討した上でというならば、それをよく大臣にお話しになって、適当な機会にひとつ大臣の御所見を承りたい。これは根本的な問題であります。  私は、検事をもってやっていることを適当だとか不適任だというわけではございません。よりよい仕事の実績をあげるためにそういう点も考究をしたらどうかというのです。足かけ二、三年、検事の専門家が矯正局長なり保護局長をやって、いいかげんの仕事をやっているというわけではありませんが、その方は、三年であろうと、一年であろうと、全英知を、また精力をしぼって、この大切な仕事のために長大の努力をしていることは認めるものでありますが、よりよい行刑の行政効果をあげるためには、そういう点も検討する必要があるのではないかこう考えますので、その点について政務次官のお考えを承りたいと思います。

天埜良吉自由民主党法務政務次官

○天埜政府委員 お尋ねの三点でございますが、これはなかなかただいますぐお答えできるような、法務省としての方針というわけにもまいりませんが、矯正なり保護なりのトップがそういう広い範囲で選考されるべきだというような御意見については、十分検討の必要があろうかと存じます。なお、その以下の各要所のポストにつきましては、これは現在も広く適用するように、必ずしも検事とかそういうような関係でなしに、専門家を充てているようでありますが、あとで補足して政府委員から御答弁申し上げたいと思います。  なお、刑政という意味から、矯正とそれから保護観察等を一本の機構にしてはどうかというお話でございます。これも十分検討しなければならない問題でございますが、現在も、これについてはしばしばお話があり、お答え申しておるように、十分なる連絡はとっておりますが、機構としてやはり検討すべきものというふうにも考えます。なお、イギリスその他のように多頭制といいますか多数、委員制でやっていくという問題につきましても、やはりこの際十分検討すべきものというふうに考えます。よくお話の点を大臣にも報告いたしまして、法務省としては十分検討を加えたいというふうに考えております。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 この際、委員の方々に申し上げますが、先般理事会の決定によりまして、本日午後五時から警視庁に皆さま方のお集まりを願い、少年犯罪及び暴力犯罪の都内における多発地区を視察し、将来の国政調査の資料にすることに相なりました。御多忙中恐縮でございますが、右御了承の上ぜひ御参加のほどをお願いいたします。  議事はこの程度にとどめます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後零時三十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗