法務委員会 第25号
- 発言数
- 154 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/04/10
会議録
○三田村委員長代理 これより会議を開きます。 本日は委員長が所用のため出席がおくれますので、その指名により私が委員長の職務を行ないます。 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件並びに裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 私は、本日、特にお許しを得て、法務行政の一般的な質問をいたすわけでありますが、本件は起訴をされております問題でありますから、なるべくその内容には触れないようにして、その中にひそむ理論的な問題について政府側の御意見をただしたいと思うのであります。 最近、法律時報を見ましたならば、ここに東京地方裁判所の判事をやっていらっしゃる長谷部さんの論文が出ておるわけでありますが、それを引用したほうが一番話が早いと思うのであります。その一節を見ますと、「中小企業の株式会社が事実において株主総会を開かず、ただ、法がその開催を強要しているためその開催を偽装した議事録を作成することは、私のしばしば述べたとおりであり、中小企業の株式会社には株式総会開催の必要がないことも、私のすでに指摘したとおりである。それ故に、私は、株主総会は原則として大会社にのみこれを認め、中小株式会社においてはこれを不要とすべきものと考える。資本額が寡少であって株主数も少ない中小株式会社に、現在のような厳重な手続による株主総会の開催を強制することは、その必要がなくむしろ有害である。株主数が一人または数人の会社に厳粛な招集または議決手続を強いることはナンセンスであるだけでなく、会社はその負担に堪えず、すべて議事録の作成によって総会の開催を偽装し、ためにかえって会社経営権の争奪戦を展開する端緒を与えるからである。のみならず、法は株主総会の価値を過大に評価しているだけでなく、その現実の運営に配意を示していない。まず、法は株主総会を国家における国会と同じく討議の場としているが、これは、討議の意義ないし価値が両者の間に著しい差異のあることを無視したものである。第一に、国会における討議は国民批判の対象となるに反し、株主総会における討議は批判さるべき対象を有しない。第二に、国会では一般施政の方針を討議によって評しうるが、株主総会では特定の議事を審議するだけである。第三に、国会における討議は政権ないし次期政権の所在に影響を及ぼしうるが、株主総会における討議は浮動株の動向によって議決の帰すうが左右される異例の場合のほかは実効がない。」云々となって、最後に「以上の理由により、私は少なくとも中小株式会社については株主総会の制度を廃止し、その意思決定につき特別の制限を設けず、ただ、いわゆる少数株主権の行使として株主総会開催の請求をすることができることとするか、株主の請求にもとづき一定の制限の下に取締役は議案の説明をしなければならないこととするを妥当と考える。」中間的な結論を出して、あとまたずっと広範な中小企業における株主総会論を展開をしておられるのであります。私も実は数多くの中小企業に関係したり、あるいはまたその相談に乗ったりしておるわけでありますが、現実の問題として、今日、全国どのくらいありますか、百数十万でありましょうが、企業の九七%が中小企業といわれるのであります。その中小企業の中で、現実に法に基づく株主総会を開いておるというところは私はまさに皆無ではないかと思うのであります。法が開催を要求しておるけれども、現実に株主総会が開かれておるのはまさに皆無ではないか、こう考えるのでありますが、その実態についてどうお考えになっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
○平賀政府委員 中小企業で株式形態をとっているもので、ただいまお話しのような実情であるということは、私どももよく聞かされるのでございます。しかしながら、いやしくも商法の定めておりますところの株式会社という形態をとって企業を経営していく以上は、法律の要求している手続を踏むべきものであろうと考えます。
○横山委員 それではあなたは現実問題として、中小企業が法に基づく株主総会なり、有限会社が社員総会を開いておらないことはお認めでございますね。
○平賀政府委員 その実態は私具体的には存じません。ただ、そういうことが一般に言われており、私どももそういう実情ではないかということを想像するだけでございます。ただ、株式会社にしましても、有限会社にしましても、株主あるいは社員から出資を募りまして、それを会社の経営者が運用していくわけでございますので、株柱総会を開きあるいは社員総会を開き、出資者の意思を尊重するという手続は当然踏まるべきものであると考えるのであります。
○横山委員 あなたはことばをなるべく避けようとしておるのでありますが、その実態を——商法の運営をされるにあたって、私は実態は知りません、しかし法はこうなっておりますということだけでは行政の運営は全うできないと私は思う。少なくとも法においては、定時株主総会を開かない場合は商法第四百九十八条第一項十七号によって三十万円以下の過料ということになっている。三十万円以下の過料になっているが、現実問題としては、中小企業ではもう同族会社がほとんどでございますから、さあこれから社員総会、さあこれから株主総会とやっているところは皆無であるけれども、これが実態を御存じないのかということを私は聞いている。私は知りませんでは済まない。いま法がどういうふうに運営されているかということは、知らぬということはないでしょう。実態をあなたはどういうふうにお考えですか。
○平賀政府委員 いま仰せのような実情にあるということは私も聞いております。ただ、私どもは個々に当たってその会社について調査したわけではございません。また、そういう調査権も法務省にあるわけではございませんので、具体的には私どもは事実は知りませんけれども、そういう実情であるということは私どもも聞いておりますし、多分そうであろうと思うのでございます。ただ、しからばどうするか。先ほどお読みしげになりました論文の内容、これは立法論でございますが、法制審議会におきましても、真に株式会社にふさわしい大会社と、そうでない中小企業の株式会社と分けて別段に規定すべきではないかという議論が実はあるわけでございます。法律制度のたてまえとしましては、個人企業とほとんど変わらないような中小企業のためには、有限会社あるいは合名会社、合資会社という道があるわけでございます。寝際問題としましては、有限会社はかなりございますけれども、合名、合資というような形態をとらずに、やはり名称がそちらのほうがいいということでございましょうか、株式会社という形態をとることが多いのでございます。法制審議会におきましても、中小企業にふさわしいようなそういう株式会社法を別につくってはどうかという議論もございまして、私どもも実は検討をいたしておるわけであります。しかし、これにはいろいろの問題がございまして、今日までまだ結論は出ておりません。そういうわけで、ただいま仰せのような実情にかんがみまして、私どもといたしましても、これで十分であるとは必ずしも考えていないのでございますけれども、なおこれは検討を要する問題がたくさんございますので、慎重に私どもとしては考えたいと思っておる次第でございます。
○横山委員 お話を承りますと、法制審議会において、とにかく大企業と中小企業の間に株主総会、社員総会その他の区別を設けたらどうかという議論があるというのですが、それは私が聞いておるように、現実問題として中小企業においては株主総会、社員総会が開かれていない。その実態論を踏まえてそういう議論が起こった。これは何も株主総会ばかりでなくて、見せ金の問題やらいろいろな中小企業に付随いたします問題からそういう議論が起こっておる。その議論をどうするかについては、新しい問題があるから慎重に検討しておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○平賀政府委員 大体仰せのとおりでございます。
○横山委員 海法二百二十四条には、第一項に「定時総会ハ毎年一回一定ノ時期ニ之ヲ招集スルコトヲ要ス」第二項に「年二回以上利益ノ配当ヲ為ス会社ニ在リテハ毎決算期ニ総会ヲ招集スルコトヲ要ス」、こうなっていますね。これは法律によって毎年一回一定の時期にこれを招集しなければならない。それが現実論としてほとんどの会社がやっていないわけです。しかしながら、株主総会をやったという議事録をつくらなければならないという現実の必要性は、会社経営上、運営上いろいろあるわけです。そうすると、現実にやってはいないけれども、やったことにするということが、実際問題としてこれまた多くあるわけであります。そういうことが議事録手続に差しつかえなければ、議事録手続の正当性が立証されるならば、手続的な書き方に間違いがなければ、世間もこれをまず認めて、実際問題としてはその議事録が有効に使用されておるという実態論をあなたは御存じでございますか。
○平賀政府委員 そういうこともあろうかと思います。 〔「それはわからぬよ」と呼ぶ者あり〕
○横山委員 では同僚諸君にもう一ぺん聞いてもらいます。中小企業では株式総会なり社員総会も開かれているところはないのです。同僚諸君も会社に関係しているでしょうが、開いているところは実際にない。ないけれども、税務署なり、いろいろなところに登記なりしなければならぬから、株主総会を開いたということにしなければならぬ。その議事録を適当につくらなければならぬというのが実態なんです。そこで民事局長もそういうのが実態であるとお認めになった。 ところが、ここに一つの事件で起訴された人がある。これは内容にあまり入らないようにしたいと思うのですが、例示でございますから御了承願いたいと思います。会計事務所事務員多久泰則は、「昭和三十八年一月下旬頃、前記会計事務所において、同事務所法規課主査斎藤喜三九等と共謀の上、真実は新里工務店では従業員に対し、利益還元別段賞与を支出する件について社員総会を開催した事実がないにも拘らず、「昭和三十七年十月二十八日同会社本店において臨時社員総会を開催し、従業員に対し、総額百八十五万円の前記賞与を支出し同額を右会社にて借入れる」旨等の議事の経過の要領及びその結果を記載した臨時社員総会議事録と題する文書を、情を知らない同事務所タイプ係をして印書させた上、その頃、右有限会社新里工務店において、同文書の右会社代表取締役新里幸造外三名の出席取締役名下にそれぞれ同人等の印を押捺し、右会社の従業員に対する利益還元別段賞与を支出する件につき虚偽の記載をした議事録を作成し、」云々、こうなっているわけです。そこで問題になります別段賞与につきましてはあとの問題として、ここにいうところの社員総会を開催した事実がないにもかかわらず、社員総会を開催をした議事録を作成したゆえをもって、その依頼をした本人が起訴されずに、会計事務所の事務員が起訴された、こういうことであります。 ここで問題が二つあるわけです。一体臨時社員総会の議事録を会計事務所の職員が書くということは当然であります。しかしながら、かってにそれが書いたということが常識上考えられないことも当然です。会社において社員総会開催の必要性、議事録作成の必要性というものが生じていることは当然である。その会社が脇町社員総会を法によって開かなければならぬけれども、一般通念、一般常識によって社員総会を開かなかった。そうして役員たちが集まって議事録に署名をした。これは一般通念としてあり得ることであります。それを架空と言い、しかも依頼した本人でなくして、依頼を受けて書いた職員がこれによって起訴されるということなんです。私の申し上げたい点は、まず一般論として、株主総会開催を中小企業はどこもしていないではないかと思う。民事局長は、そういう実情であると思い、それがゆえに法制審議会その他において何か実情に合わせるようなことを考えておる、検討しておると言う。したがいまして、今日税理事務所といい、会計事務所といい、計理事務所といい、あらゆるところが中小企業の依頼を受けて議事録を作成しておる。作成をしたことが証拠隠滅だの私文書偽造だというようなことで追及をされるということは、法の運用の実態をあまりにも小児病的に追い回しておるという感じを強く抱くのでありますが、法運用の実態に当たっておられる民事局長としては、どう考えておられますか。
○平賀政府委員 ただいま二つの例をお読み上げになりましたが、それはいずれも株式会社ではございませんで、有限会社の社員総会に類するものでございます。法制審議会でも、先ほど申し上げましたように、大企業の真に株式会社にふさわしい株式会社と、そうでない中小の小規模の株式会社とを区別して立法してはどうかという意見はあるのでございますけれども、株式会社について申しますれば、株主総会なるものは全然やめてもよろしいという意見は全然出ておりません。やはり株式会社は、いやしくも株主から出資を募りまして、その株主の出資しました資金を運用して企業を営んでいく以上、株主の意思を重んじ、株主の利益の保証をはかるために、株主総会はやはりあるべきものである。ただ、その招集の手続につきまして、必ず二週間前に招集しなければならぬというこまかい規定がございますが、そこまで厳格にしなくてもいいだろうという議論があるようでございます。なお、法制審議会におきましては、こういう議論もあるわけです。本来、中小の小規模の企業のためには有限会社というものがあるのである。そういう株式会社形態をとっておる中小企業は有限会社に移すべきであるという意見もあるのでございます。ところが、有限会社におきましても、やはり社員から出資を募りまして、その社員の出資を運用しておるわけでございます。社員総会というものはやはりなくてはならぬ会社の機関だろうと考えるのでございまして、法制審議会におきまして、有限会社の社員総会はやめてもよろしい、やめなくてはいけないというような議論は、いまだかつて出ておりません。その点を申し上げておきます。
○横山委員 本件は、少し刑事局長に聞きたいのでありますが、この飯塚会計事務所事犯につきましては、大蔵委員会で私が取り上げた根本的な別段賞与の問題もありますが、これについては国税庁はそのもの自体については違法性はない、合法的である、こう言っておりますが、それに派生をいたしまして、架空の臨時社員総会を開催したということに問題がすりかえられまして、税理士法違反から証拠隠滅のほうへ行ったわけであります。 ここに一つの手紙がございます。これは問題になりましたある商店からもらった手紙でありますが、「拝啓、早速ながらお手紙にてお願ひ申上げます私ごと三月九、十日の二日間、宇都宮税務署の調査を受けました、其の時の調査員は平塚さんと渡辺さんの二人でした。其の時役員総会と議事録の事を繰返し繰返しきかれました、平塚さんが役員総会を開いたかどうかと云われました、私がやりましたと云ふと、場所はどこか議長は誰か、どんな書類を置てやったかと尋ねるのです。私がこれから総会を開きますと云ふような正式な事はやら無いが皆んな話し合ったのですと云いましたところ、渡辺さんが何か本を開き有限会社の本当の総会の有方を読んで聞かせ、こう云ふ事はどうかどうかと尋ねるのです。私が其のやうな事はやりませんと云ふと、やっぱりそうでせうやらないんですよねと云われ、いくら私が正式ではないが役員で話合ったのですと云っても、やっぱりやらないんですねと云って何か経紙に書いていました、私も目が老眼で其れに字も読めないものですから何を書いたかわかりません、其れから議事録の事ですが、誰が書いたかいつかいたか、之の文面を誰がかんがいたかと何回も何回も繰返すのです。私は書いたのは主人(社長)で文面は会計事務所の方にもおしいて戴いたり前年度の議事録を参考にして書きましたと云ふと、会計事務所の誰かと云ふのです、其れで大分決算をして戴いた本間さんか福田さんと申しますと、いつおしいでもらったと云ふのです、私が十一月の中旬頃決算に来ていただいた時と思ひますと云ふと、其れぢゃこの議事録はいつ書いたかと聞かれました、私もはっきりはおぼいていないが十一月末頃と思ひますと云ふと、どうもおかしい其れはうそだろうと云ふのです。其れに私共にて書きました議事録が日が違って居りましたので四の字を壱字入て上に壱字加入と書きました、其れは社長が書くのを間違いたので外に何の理由も無いのですのに、何で違ったのか何か都合が有ったのだろう、又会計事ム所で云われで日を直したのだろうとか、何回も何回も聞き正されるのです。又三月二十七日にも后後一時間ほどでしたが前と同じやうな事を繰返し繰返しきかれました、末だおわらないやうですから其の中又よび出される事でせう、何とも困ってしまいました、私共のような無学者ばかりでは何んでこんな調べを受けるのか少しもわかりません、主人等は之んなに会社はむづかしいのでは私共にては出来ないからと困って居ります、先は取急ぎお知らせ迄飯塚毅様マル有大原商店大原ケイ」これを読みますと、また問題が幾つも出てくるわけです。これは鹿沼税務署の税務職員が、役員総会をいつ、どういうふうにやったかといって、こんなへたな文章でありますから、大体想像ができますように、零細企業の有限会社のところへたずねていって、その役員総会がどうであったか、こうであったとか言って、追及に追及を重ねておる状況なのであります。一体税務職員が、現在起訴されており、その間も地検のほうにおいていろいろと調査をされておることを、並行してどんどんとこういう役員総会の内容を根掘り葉掘りして聞くということが必要であるかどうか。何かそこに意図あるものと考えなければならぬと思うのでありますが、お差しつかえなければ、刑事局長のほうでお調べ願ったと思うのでありますが、本件については国税庁と地検との関係は一体どうなっておるであろうか。地検が一回取り上げたものを、国税庁が全力をあげて起訴に応援したりなんかしておるという状況については、私は適切ではない。もしも地検がこういう問題を取り上げて起訴をし、調査を始めたとするならば、これは地検にまかすべきであって、税務当局がかかる地検のごときやり方をするのはまさに権限逸脱の状況ではないか。それとも地検のほうから、手が回らぬから国税庁当局にもっと資料を出してくれとか、手伝ってくれというようなことがあるのかないのか。伝えるところによりますと、ある中小企業者は税務署へ呼び出されて、そして課長が言うことには、地検の検事が出頭を求めているから行ってくれと言う。それで地検に行って検事に会いました。こういうわけでありますので、一体地検が呼び出しを、任意出頭であろうと何であろうと、税務署の課長に伝言を頼むというようなことがあり得るのであるかどうか。そういうことがなければ、なぜ一体そういうことにまで積極的に国税庁なり税務署がやらなければならぬものであるか。このような役員総会の開催手続から何から何まで国税庁がやるということは越権行為ではないか、こう考えるのでありますが、どうでありましょう。
○竹内(壽)政府委員 事件が検察庁の手にあります場合に、これを補助する目的で、たとえば査察官が検察官のする捜査に協力するということは、これは従来もあり得ることでございまして、一般的に申しまして、そのことをもって違法である、不当であるというふうには私は考えておりません。しかし、できることならば検察庁が独自にやるのが相当でございますし、特に呼び出しなどにつきまして、査察官あるいは税務署を使うということは避くべきことだと思います。その点につきまして私のほうで調査しましたところ、この件につきまして査察官あるいは税務署員に頼んで呼び出しをしてもらったというようなことはないというふうに報告を受けておるのでございます。これは、査察官は検察官とは違いますけれども、検察官のところで捜査をいたします場合に、査察の段階で調査をいたします場合におきましても、事前に密接な連絡をとりまして、検察官も側面から応援してやるということもやっておるのでございまして、そのように権限逸脱というような問題じゃなくて、やはり終局的には起訴するかどうかという証拠収集の問題でございますので、そこは国家機関としまして相互に密接に連絡をとってやるのがむしろ相当だというふうに考えております。
○横山委員 そのような事実はないとすれば、税務署の某課長が、地検から要請があるからおまえ行ってくれと言うたことは、あなたのほうは頼んだ覚えがない、そうすれば、その課長がもしそういうことを言ったとすれば、これは一体どういうことになりますか。余分なことをした、頼まれもせぬことを地検の検事の名称を偽って行かせるようにしたことは逸脱行為ですね。
○竹内(壽)政府委員 これも先ほど申しましたように、密接に連絡をしながら調査を進めておるわけでございますので、本件につきまして、呼び出しをかけて税務署の方に取り次いでもらったということはないというふうに検事は申しておりますが、それ以前の段階で、たとえば調査をするのが主体になっておって、検事が側面から応援するというような調査段階においてそういうことがあったかどうかということは、検察庁から私は確かめておりませんので、ないとは保しがたいのでございますけれども、この件につきましての検事が受け取ってから後の呼び出し、検事の取り調べに対しまして税務署員を使ったということはないというふうに聞いております。
○横山委員 いずれにしても、検事が中小企業者を呼び出すのに税務署の幹部を使って呼び出すというようなことはあり得ないことだとぼくは思っている。あなたもそう思っていらっしゃる。そうだとすれば、もしもそういう事実があったとすれば、その税務署の課長が言ったことは越権行為である、こういうふうに考えてよろしゅうございますかと言っているのです。
○竹内(壽)政府委員 検事が頼んでいないのにかかわらず、検事の名前を使うということになりますと、越権行為と言いますか、どういうふうに申すのが相当かよくわかりませんが、とにかく不当であることは申すまでもありません。
○横山委員 それからこういう起訴は、私が最初民事局長に確かめたのですが、どこの会社でも株主総会なり社員総会もやっていない。やっていないやつを、一つ起訴を取り上げる。そうしてこれで十日間なら十日間引っぱる。十日間をやっておるうち、今度はまた、こういう社員総会をやっていない会社を取り上げる。それで調べて十日引っぱる。それが済んだら、また新しい会社の社員総会をやっていないやつを引っぱる。そうしてずっと何回も何回も引っぱるということは、これはどうでございますか。
○竹内(壽)政府委員 法律的に違法かどうかということになりますと、これは別の事件でございますので、違法だということは一概に言えないと思いますが、そういうやり方が適当であるかどうかということになりますと、私は避くべきことである、できるだけ避けていきたい、こういう考えでございます。
○横山委員 ところが、そういうことらしいのであります。これはあまり内容に入るのもいかがかと思うのでありますが、これによってこの会計事務所の職員が勾留されているのはすでに三十日近くになっているわけです。三十日になって、税務署で漏れ聞いた話、それから地方において漏れ聞いた話によりますと、次から次へとこういうことで最後まで引っぱる。そして本人たちがそのような事実がないと言っておるにかかわらず、証拠隠滅ということであくまでやる。それから税理士法違反なり何なり以外の、ほんとうのねらいのところに、問題が急所にいくまで、今度は横山商店、今度はどこそこの商店の有名無実の社員総会、今度は鈴木商店の有名無実の社員総会、こういうことで、そんなにむずかしい問題じゃないのでありますね。ないけれども、証拠隠滅ということにかこつけようとすれば、連続どんどん引っぱれるんだという立場で、きわめて簡単な事実でもう三十日近くも四人が引っぱられておるということは、ほんとうに私はいやらしいやり方をしているなと感じます。 それからもう一つ感じますことは、この会計事務所の職員がこれを書いたことがどうも私にはよくわかりません。かりに事実だとしても、本犯は一体だれだということです。事務所の職員で税理士ではありませんよ、職員ですけれども、職員が、自分がかりにつくったことが事実だといたしましても、依頼をしたのは法律上中小企業であるべきはずですね。現に判こを押しているんですから。本犯が訴追されずに、書いた人間が起訴されておるということについて、私は理論上きわめて不可解に存じますが、どうお考えでございますか。
○竹内(壽)政府委員 これは本犯と証拠隠滅との関係と同じ議論になるわけでございますが、本犯が自分の刑事事件につきまして証拠を隠滅するということは、これをまた証拠隠滅罪で罰するというようなことになりますと、被告事件で罰せられるほかに、なお証拠隠滅で罰せられるということになりますと、非常に過酷になるわけでございまして、本人の証拠隠滅については法律では問わない立場をとっております。しかしながら、第三者がその証拠隠滅に出たとしますと、これは証拠隠滅として処罰する、これが刑法の基本的な考え方でございます。
○横山委員 私はしろうと論議が得意でございますから、そういうことに了解願いたいのですが、常識上考えても、会計事務所の職員は頼まれてこの書類をつくったのですね。かりにそれが虚偽の社員総会の議事録であっても、頼まれてつくった。頼んだ人間はほうりっぱなしになっておる。そして書いたおまえが悪いんだ、おまえが悪いんだということで盛んに追及を受けている。きょう新聞を持ってこなかったのは非常に残念でございますが、地元新聞によりますと、国税庁のえらい方及び局のえらい方が納税者を二、三十人鹿沼の税務署に集めて言ったことが漏れ伝わっておる。どういうことかといいますと、あなた方には今度は迷惑をかけぬから、あなた方にかりに脱税の状況があったとしても、今度は何とか穏便にするから、この飯塚事務所の証拠になるようなことをぜひ言ってもらいたい。言ったら、あなた方については今度は穏便にする、こういうことを言っておる。それが国税庁の方針として新聞にも載っておるのです。そうすると、ますます本犯から遠ざかってしまう。現に政治的にそういうようなやり方が行なわれておる。私は、地検が国税庁の方針に協力するのか、国税庁が地検の方針に協力するのか知りませんけれども、本事件については非常に感情的なものが強過ぎる、それから徴税の行政のやり方についても非常に持って回ったやり方だ、それからこういう起訴のやり方についても、いまあなたが不適当だと思うというようなことが現実に行なわれ過ぎると私は思うのであります。内容的な問題については、これは税法のことでございますから、失礼な話でありますが、私はむしろ専門家でありますので、この間も大蔵委員会でずいぶんやったのでありますが、きょうはその内容を離れて、検察行政のあり方なりあるいは徴税行政のあり方についてあまりに感情的であり過ぎる。あなたもこれをごらんになったと思うのでありますが、かかることで三十日も引っぱる、まだ引っぱりそうだということは考えられないような気がいたします。何かほかにねらいを持っているのじゃなかろうか、ほんとうのねらいのためにわざと引っぱっているというような感じが私はしてならない。しかも根底に宿っておるものは、法律によって規定されておる社員総会を聞かないにかかわらず、社員総会をやったごとく見せかけたということがその起訴の拠点になっておるわけでしょう。そういうことが一体起訴の拠点になり得るか。社会常識上、通念上、そういうことを起訴の拠点にするということは、もうすでに私は何かねらいが別にある。そういうやり方というのは不適当である、不穏当である。それではその四人の職員が——税理士を引っぱるなら税理士を引っぱる、納税者を引っぱるなら納税者を……。まん中に立っておる事務の職員を三十日も引っぱる。その都合でこっちへ行こうか、あっちへ行こうか考えてるような感想さえ生まれるわけです。本件について一体あなたに具体的な返事をそう聞くわけにもいくまいとは思いますけれども、私は、まことに本件については芳しからぬことがある。あなたのほうで公訴したならもうあなたのほうで全部やりなさいよ、国税庁に協力させずに、そういう感情的なものが宿っておるならあなたのほう自身でしっかり見定めてやりなさい。どうも失礼な話でありますけれども、感情的に国税庁のほうにあなたのほうが動かされ過ぎておるのではあるまいか。こういう起訴状によって起訴して三十日も引っぱるということについて、すでに検察行政が何か国税庁の感情的な動きに支配をされておるような感じがしてならなかったのでありますが、御意見を伺いたいのであります。
○竹内(壽)政府委員 私は感情的に捜査をしておるとは思いませんけれども、そういうふうに先生の目には映るということでございますと、まあそういうふうに映っちゃいけないわけなので、冷静に事を運んでもらわなければならぬと思います。捜査に入ったら全部こちらでやるという方針でいくのがいいんじゃないかという話も一つの御意見でございますけれども、実際の問題としましては、これは税理士法違反の容疑で捜査に入り、現在起訴されておりますのは証憑湮滅罪という刑法の規定で起訴されておるわけでございますが、これには当然に先生も御承知のように脱税という問題が一方にあるわけでございまして、そういう問題を現に調査をしておるやに聞いておるわけであります。そういう点になりますと、一度告発したならば、それに関連する事項は全部検事がやるべきだという、これも御議論ではございますが、それはなかなか言うべくして行なわれ得ないので、脱税の事件は査察官が職権を持っておるわけでありまして、そういう人々の調査にまって処理をするということは当然でございますから、やはりそこは程度問題。要は社会通念に照らしまして、やり方がおかしいじゃないかというようなことは避けなければならぬ。そこはほどほどにやっていかなければならぬ。私は、検察のあり方としましても、これはあくまで冷静でなければならぬし、公平でなければなりませんし、また同時に、法の執行につきましては厳正な態度でいかなければならぬ、これが検察の進むべき態度、方針であろうと思っております。ただ、考え方につきまして、現地の当局がもしそういうような基本的な方針に反するような態度があるということでございますれば、私どもも注意を喚起していきたいと思いますが、何と申しましても、いま熱心に捜査を進めている段階のように聞いておりますので、私も深く立ち入ってかれこれ申すことは適当でございませんので、差し控えているような状況でございます。
○横山委員 あなたに質問をいたしますことは、正直の話、くつの裏から足をかいているような気がするわけであります。あなたも事実ここでしばしば検察行政についての説明をされるときに、私が直接どうやってこうやってと申し上げる立場ではございませんというのがいつも先っぽにつくわけであります。私は本件ならずとも、きのうでありますか、理事会で申し上げたわけでありますけれども、これが直接の機縁だという感じを持たれては迷惑をいたすのでありますが、検察行政が必ずしも適正にして適法といいますか、そういうことばかりではない、ときには間違いなきにしもあらずと私は思います。ときにはまた感情に動かされることなきにしもあらずと思います。それで私はきのうも理事会で申し上げたのでありますが、委員長はじめ同僚諸君にもひとつ考えてほしいと思うのでありますが、検察当局も、ときにはぜひ委員会に出席をして、みずからの意見も述べ、その適正な検察行政を進めてもらうためにも、政府委員として出席をされるということが、各政府機関、現場官庁の実例から申しましても、最高裁も出てくる、国税庁も国会に出てくる、食糧庁も出てくる、林野庁も出てくる、あらゆるところが出てきているにかかわらず、なぜ一体、検察当局だけがここに出ないのかという点について、私は常識上きわめて不可解に思う。決してあなたをなおざりにするわけではありません。あなたはあなたの本来の直接の職務を持っていらっしゃるし、間接的に検察行政に、場合によれば注意を促すこともあり得るのでありますけれども、しかし、本来的に検察当局が政府委員としてここに出席されることを、私はこの機会にあらためて委員長はじめ同僚各位にひとつ御考慮を促しておきたいと思うのであります。 そこで、まとめて本件につきましての注意をあらためて喚起して、私の質問を終わりたいと思うのでありますが、冒頭申しましたように、まず第一に、中小企業の社員総会なりあるいは株主総会の実態論につきましては、政府側委員と私の考えとは、実態論の認識については違うところはございません。要するに、そういうものは実際問題として開いていないのだ、開いていないから、この次の商法改正なり、いろいろな法律の改正において、何か実態に合わせるようなことを考えなければならぬだろうという点についても、私もさこそと考えておったわけであります。 ところが第二番目に、そういうような実態を承知しているにかかわりませず、この社員総会なり株主総会を開かなかったということがこの起訴の一つの根源になっているということであります。第一の実態としてどこも開いていない、しかしそれを開かなかったのは違法であるということが問題であるとするならば、これは重箱のすみっこをつつくようなやり方ではないか。 第三番目には、そういうやり方で今度は横山商店で引っぱり、十日たったら今度は鈴木商店で引っぱり、それが済んだら佐藤商会の総会不開催の事実を取り上げてまた勾留期間を延長する、こういうようなやり方が想像される。かかるやり方は、刑事局長としても、もしそうであるとしたならば、適法であってもきわめて不適当なやり方である、とするならば、そういうような御答弁にも私は全く同感でありまして、私の強く指摘いたしたいところであります。 第四番目に問題になりましたのは、この事務員を引っぱる。事務員が一体本事件の本体であるかというと、だれしもそうとは思わない。むしろ事務員をそれだけ引っぱっていくことは、ほかに何かねらいがあるのではないかと容易に想像される。ほかにねらいをつけてやるためには、その人間をいつまでもそういうやり方で引っぱっていくということが、かりに譲って万一適法であっても、不適当きわまるやり方ではないか。本犯の問題が何ら追及されない。税務署が納税者を集めて、あなた方今度は脱税があっても何とか穏便にするから何か証拠を出してくれ、こういうようなやり方や、それから、この手紙にありますような全くへたくそな字を書かれるような納税者に対する突き詰め方というものは、これまたいかがなやり方であろうかということ等枚挙にいとまがない。税法の点については必ずしも本委員会で議論すべきことではありませんから、私は割愛をいたしますけれども、先般も大蔵委員会でやりました点、つまり別段賞与そのものについては違法ではない、こういう結論になりました。こう考えてまいりますと、まことに今日の中小企業に対するやり方については、この事件のみならず、考え直すべき点が多々あるのではないか、こう考えるのであります。 整理をして申し上げましたが、政務次官に最後にひとつ感想をお伺いしたいのであります。私は、本事件がきわめて感情的に何かねらいを別に持って、そのねらいのために罪ならぬ人を、と私は申し上げられるのではないかと思うのでありますが、そういう会計事務所の若い事務員を三十日も引っぱって、今後も釈放の見通しを持たぬというようなやり方についてどうお考えでございますか。適切な措置をしていただきたいと思うのであります。
○天埜政府委員 私も感情的な点はあるまいというふうに考えておりますけれども、お話しの点よく検討をして遺憾なきを期したいというふうに思います。
○三田村委員長代理 坂本泰良君。
○坂本委員 私は裁判所の職員組合、いわゆる全司法に関連した問題で若干お尋ねいたしたいと思います。 前橋地方裁判所の管轄であります全司法の高崎支部におきまして、組合の情宣その他組合員に通達する掲示板を裁判所内に特設をいたしまして、十年来組合の掲示はそこで組合が自主的に管理してやっていたわけですが、それに対して昭和三十七年の九月、当時の奥野前橋地方裁判所所長が、突然、文書図画等の掲示についてという通達を出された。その通達は、裁判所当局において掲示板をつくって、組合の文書等は、個人、団体を問わず、所長が内容を検閲してから掲示を許可する、こういう内容のものであります。そこでこれに対しまして組合側は、従来十年間も慣行があるし、さらに組合の掲示板として特設したものを、庁舎管理権ということでこれを通達で変更することは不適当だということで交渉を重ねておるわけですが、この点についてまず御意見を伺いたい。
○守田最高裁判所長官代理者 裁判所庁舎内における掲示板に高崎分会の掲示をやらせるかどうかということは、ただいま御指摘のように庁舎管理権に基づく所長の権限に属するものと思います。しかし、その取り扱いについてどういうふうなことが行なわれたかというようなことは、最高裁判所におきましては、一々報告がございませんので、そういうことがあったかどうかは存じません。
○坂本委員 それじゃ具体的問題から入ることにしますが、あとでこれは関連することになりますから……。 問題は、昨年四月の地方選挙にあたりまして、高崎市会議員に立候補して当選しました福島正市という人、これはたぶん教員組合の方だと思いますが、告示前である四月一日に、前衆議院議員の山口鶴男氏と群馬県教員組合の本多氏と高崎分会の職場を訪れまして、たまたま応接に出ました情宣部長の高橋与四郎氏が職場を紹介して回るということを断わりましたから、それじゃ山口前代議士並びにこの福島氏は、個人として職場にあいさつしたい、こういうことで選挙運動には全然触れずに、いろいろ給与問題その他の討議資料を持ちまして、そして組合の方々にあいさつをして回った。これに対して当時の前橋地方裁判所の奥野所長は、強硬な態度で一方的な調査に乗り出して、五月二十三日に高橋与四郎氏と一緒について回ったという点で懲戒戒告処分に付したわけであります。その懲戒戒告処分の内容は大体三つに分かれておりまして、立候補予定者の普通どこでも行なっておるところの、告示前に行なう準備活動をやったのを選挙運動と推定した、事前運動と推定したことが一つ。それからこの処分は裁判官自身でやられた。それから裁判官が調査をするにあたりましては、本庁のほうから書記官二名と、それから高崎支部の総務課長ですか、わざわざ調査にやってきて、そして調査に乗り出した。その結果がこういう処分の決定になったものですから、組合のほうでは、これは組合活動に対する偏見とでっち上げだ、こういうことで交渉を持とうと主張しましたけれども、その交渉を拒否しておる。こういうような事件であります。そこで、こういうようなわずかな問題についても、本庁から首席書記官ですか、そういう人が二名も来て調査する。さらにまた奥野所長は東京高等裁判所のほうに連絡をして、そしてこれの処置をやっておる。こういう点も推測できるようですが、全然この点については関係ないことかどうか。 さらにまた、先ほどの掲示板の通達ですが、この通達なんかも、これは所長は自分独自でやるのではなくて、やはり最高裁、東京高裁と連絡をとってやっておる、こういうふうに思われるわけですが、この点いかがでございますか。
○守田最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、庁舎管理権に基づいて掲示板にどういうものを張らせるかどうかというようなことは、最高裁判所に報告がございません。これはそれぞれ所長が裁判官会議にはかってきめてやっているものと思います。 それから、ただいま述べられました前橋地方裁判所岡崎支部の書記官の高橋与四郎という人が、昨年の四月三十日に行なわれました高崎市の市議会議員選挙に関連いたしまして、勤務時間中に事前運動を行なったということに関連しまして、戒告処分を行なったということ、しかもいわゆる戒告処分というのは一つの懲戒処分でございますが、その懲戒処分をなすにあたりまして、支部長外二名の裁判官、それから簡裁の判事——支部長というのは高崎の支部の支部長で、裁判官でございますが、そのほか書記官二名を補助者としまして、調査を十分に遂げて、その結果、ただいま申し上げましたような事実があったということで、戒告処分に付したということは報告がございましたので、その処分説明書きも送付されて、よく知っておるわけでございます。
○坂本委員 そうすると、これは高橋氏の処分問題は、処分決定の報告がきただけで、その結果の報告を聞いただけなんですか。その内容等については、その際に最晦裁としては知られましたか、あるいは事前に知っておられたか、その点はいかがですか。 〔三田村委員長代理退席、委員長着席〕
○守田最高裁判所長官代理者 内容につきましても、具体的なことはわかりませんが、こういう事態が起こっていま調査中だ、その結果のいかんによっては処分をせざるを得ないのではないかと思うという報告がありました。これは高等裁判所のほうを通じて報告がございました。
○坂本委員 この事件に対して公平審査の請求があって、審査会が設けられておることは御存じですか。
○守田最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。
○坂本委員 この点はどうなっておりますか。
○守田最高裁判所長官代理者 その事件につきまして、被処分者側から最高裁判所に対しまして、この処分に対する異議審査の請求がなされまして、昭和三十八年六月十九日に異議の審査の受理を決定したわけでございます。そういたしまして、最高裁判所といたしましては、公平委員を選定したわけでございます。その委員の名前を申し上げますと、弁護士会の長老である弁護士伊藤清、それから中堅、と申しましても五十五、六歳でございますから、中堅以上でございましょうが、やはり弁護士の野村雅温、それから東京地方裁判所の刑事の首席書記官の竹内種藏、この三名を公平委員に任命いたしまして、公平審査をする運びになっているのでございます。そういたしまして、第一回の期日は三十九年一月十八日に初めて開きましたが、竹内委員につきましては忌避の申し立てがあって、いまそのままになっておる状況でございます。
○坂本委員 そうすると、竹内委員に対する忌避でそのままになっておるわけですね。
○守田最高裁判所長官代理者 そうでございます。
○坂本委員 そうすると、この忌避の判断と申しますか、これはだれがやるわけですか。
○守田最高裁判所長官代理者 忌避の判断は最高裁判所がやることになっております。いわゆる最高裁判所の裁判官会議でやることになっております。
○坂本委員 そうすると、一月ですともうずいぶん期間がたっておるわけですが、これはどういうような状況になっておりますか。
○守田最高裁判所長官代理者 一つは、組合側からいろいろな陳情がございまして、公平委員会において忌避の申し立てがなされておりまして、御承知のように司法修習生の修習がいよいよ終わりまして、修習生の二回試験、それからさらに判事の採用面接等なんかがずっと続きましたために、具体的な事情の調査がおくれておりますが、主として組合のほうから申し出られた理由は、実は裁判所書記官につきまして四号俸の調整をする、一六%の調整をしたときがございますが、その調整に際しまして、裁判所法の一部改正が行なわれたわけでございます。その一部改正につきまして、組合側としてはこれに対して反対をしておったわけでございますが、その一部改正案の審議の途中におきまして、どういうところから聞き込んだか私どもにはわかりませんが、竹内種藏首席書記官が他の書記官に対して、赤旗を振るようなそういう書記官には、そんな調整をつけることはおかしいじゃないか、ないしは、そういう人に裁判官の事務の補助をさせるというのはおかしいんじゃないかということを、ある代議士さんが言っているということを報告したということをしゃべったそうでございます。そういうふうなのは適当でないということが組合側の主張でございまして、忌避の申し立てをしておるわけでございます。ところが、私どもの調べた範囲におきましては、そういうことを聞いておる、この裁判所法の一部改正も、四号俸の調整も、なかなか困難であるということを説明したにとどまるというふうに本人は申し立てております。その点さらに詳しく調べる必要がございますが、ただいま申し上げましたような事情で、まだ十分に調査を遂げておりませんのと、一つは伊藤弁護士及び野村雅温両弁護士の意見も聞く必要もありますが、ただいま申し上げましたような事情で、双方忙しい関係で十分協議を遂げていないので、まだそのままになっておる、決定を留保しているという状況でございますが、やがて、本日の閣議におきまして新任判事補も定まりますし、十分委員の意見も聞き、調査も十分できるようになりますので、早急に解決いたしたいと考えております。
○坂本委員 もちろん公務員の選挙違反等については、刑事上の処分を受けたら、それに対する懲戒問題が起きてくると思うのですが、そういうような事前運動の問題は全然ないし、われわれが法律的に常識上考えても、全国の公務員は、ことに参議院選挙なんかは、局長とか次官が当選するのは、やはりその地位を利用するし、やめてあいさつ回りをする、そういうことが重要な問題になっておると思うのですが、この事件なんかは、立候補予定者としての福島としては組合は断わっておる、高橋氏が。分会長がいないから……。それであいさつに討議資料を持って回ったのを、ただついて一緒に回っただけで、もちろん処分は軽いのですが、処分を受けておる。こういうことがさつき申しました掲示板に対する十年来の慣行を破って通達をするとか、こういうような所長であるからこういう問題が発生したと思われるわけです。ですから、公平委員というのは、こういうことまで持ち出してやるべきでなくて、こんなのは撤回して、もう少し事情を調べて撤回すべきが相当じゃないか、こう思うのですが、その点要望してこの問題は打ち切ります。 そこでもう一つ掲示板の問題、一昨年ころから最高裁判所は、そういう組合の掲示板として、組合、個人の問題、それから組合の組合員に対する通達等の問題についても、特設の掲示板を従来認めておるのを、それを認めないという方針に出ておるのじゃないか、こういうふうにも推察できるわけですが、最高裁としてはそういうことはあるかないか、その点いかがですか。
○守田最高裁判所長官代理者 裁判所における庁舎の一部に掲示板を設けさせるかどうかというようなことは、それぞれ所長と当該支部の組合員とが、いろいろ話し合ってきめているのじゃないかと私は思います。もちろん最高裁判所といたしましては、あらゆる種類の人が出入りする役所でございますから、したがいまして、その掲示される内容につきまして、あるいは所長がこういうものは裁判所としては適当でないというようなチェックをすることを留保して、話し合いをしておるかもわかりませんが、その辺のところ、最高裁判所として、どういうものは掲示板を設けさせる、どういうものはチェックしてしまえということは、何ら指示したことはございません。これはもっぱら当該裁判所における常識の範囲内において決定しておるものと考えます。
○坂本委員 当該裁判所といいますと、地方裁判所をさして言うわけですか。その管内、こういう意味で了解していいのですか。
○守田最高裁判所長官代理者 庁舎管理権は、たとえば高等裁判所、地方裁判所が一つの建物の中にある、そういう合同庁舎の場合における庁舎の管理権は、高裁長官が持っておって、地方裁判所長は持たない。それからたとえば前橋のような独立の地方裁判所におきましては、庁舎の管理権は所長にあると思っております。
○坂本委員 この問題はこれで終わります。 次に、去る四月五日、町田市に米軍機が墜落しまして四名死亡、二十六名重軽傷、こういう悲惨事まで発生したわけですが、これは日米安保条約の際から、われわれがこの条約に基づく裁判権について、強力にこの条約に反対した一つでありましたが、その犠牲がいま具体的に出ておるのでありまして、これは裁判権の問題に関連いたしまして、現段階の捜査について、われわれは重要な関心を持っておるわけであります。かつて武蔵野音楽学校の学生であった宮村氏が電車に乗っていたのに発砲した、ロングプリーですか、この射殺事件の際にも、これは米軍のほうで捜査をいたしまして、そうして裁判をする際には浦和の地方裁判所に移送したという経過を持っておるわけですが、その裁判についても、あの殺人事件についての裁判が非常に軽いというような点も、これは捜査に重要な関係をいたしておると思うのであります。さらにまた七日には、市政現場に埋まったエンジンを、町田署が警視庁と検察庁と話し合って、米軍の了解を得てエンジンの埋没した大きい穴を埋めてしまった。これはまた重要な本件事故に対する証拠物を埋没した、こういうふうに考えられるわけですが、この点に対する検察庁の捜査はどういうような方針をとっておられるか、その点をお伺いしておきたい。
○竹内(壽)政府委員 町田のジェット機墜落事件につきまして、五日午後四時過ぎに事故が発生いたしましたが、所轄の検察庁におきましては、同日の七時のテレビニュースでございますか、それによりまして事故の発生したことを知りましたので、直ちに所轄警察に連絡いたしましたところ、所轄警察では、とりあえず被害防止の処置をいま講じておるが、正式の実地検証というようなことは、夜でもあるし、六日の朝からやりたい、こういうことでございましたので、両者協議の結果、六日十時ごろから現場の検証に当たるとともに、被害者の司法検視等をいたしておるようでございます。この処置は、この事件がはたして裁判の対象になる事故であるかどうか、これはまだわかりませんし、またかりに裁判の対象になる事故でありましても、わが方が裁判権を持つか米軍側が裁判権を持つかということももちろんまだわかっておりませんが、日本人の死んだ事故でもございますし、物件の事故も日本側に被害が発生しておるのでございますので、わがほうの人権並びに利益の損害という点も考えまして、検察官としましては、将来事件がどう取り扱われるかは別としまして、可及的すみやかに集めるべき証拠は集めておくという態度で事に臨んでおるのでございます。その後引き続き可能なる限りの捜査をしているというふうに聞いております。
○坂本委員 これは衆参両院でも緊急質問等がありましたけれども、これはただ死亡者に対する補償の問題だけではなくて、もちろんこれも重要な問題でありますが、これは日本の独立を主張するところのわれわれとしては、重要な裁判権問題に関係することであって、これが安保条約に基づいてわれわれが裁判権も剥奪され、そうして一切その捜査を米軍にまかせるというようなことであっては、ほんとうの捜査はできないのじゃないかと思う。宮村氏の射殺事件においても、やはり米軍のほうで捜査したから、裁判権なり裁判は日本の裁判所にやらせたけれども、やはり執行猶予をつけた軽い結果に終わるという経験を持っているわけです。そういう点から考えまして、ことにエンジンを埋めたということになれば、これは事故についての大きいキーポイントになるんじゃないかというような問題でありまして、こういう点は米軍にまかせておくべきじゃないと思うのです。さらにまた操縦士ですが、これは落下傘でおりて生きているわけなんですね。そういうようなことで、やはり重要な捜査が長引けばだんだん証拠が影が薄くなって、そして何ら刑事上の責任はないというようなことになれば、現在日本においては交通事故に対しては相当峻烈な、重い判決が言い渡されておる。こういう時勢にあたりて、四名死亡、二十六名重軽傷を負ったというこういう事件を無視するわけにはまいらないと思うのです。この点については、やはり主任の検事か何かを選ばれて、そして綿密、迅速な捜査をやられる方針かどうか、その点伺っておきます。
○竹内(壽)政府委員 仰せの御趣旨は私も全く同感でございまして、検察側でなし得ることで遺憾なきを期してまいりたい所存でございます。一応八王子支部検察庁で二名の検事をこれに断たらせて処理を進めておるように承知しております。
○志賀(義)委員 関連して。人権擁護局長に池袋の警察官の事件のことを伺うつもりでしたが、これはまたあとで伺います。 検肝が二名出られたのですが、その報告はありますか。
○竹内(壽)政府委員 その報告は私ども受けております。
○志賀(義)委員 それを前提にしておきますが、四月六日の新聞によりますと、F8U機またはRF8A型機といわれる艦上戦闘機を改造した写真偵察機であるということですが、この写真偵察機というのはどういうことをする飛行機か、そういう点はお調べになりましたか。
○竹内(壽)政府委員 そういう戦闘機の性能とかいう問題につきましては、まだ報告は受けておりません。とりあえずの現場の処置と、検察官の行なった行動につきまして、とりあえず報告を受けておるわけでございます。
○志賀(義)委員 そうしますと、これは指揮官機と二機編成で、岩国−嘉手納−厚木−岩国間の通常訓練飛行中だったといっておりますが、今後検察庁でジェット機の所属部隊、指揮官機の乗員あるいは通常訓練飛行中とは、飛行の訓練の意味か、あるいは写真偵察の訓練の意味か、そういう点はまだお調べになっておりませんか。
○竹内(壽)政府委員 まだそういうところまでは調べていないようでございます。
○志賀(義)委員 では、いかなる任務でどこから出発してきたかということも、今後検察庁のほうにおいてお調べ願いたいと思います。そういう点をアメリカ軍からお聞きになるのかどうか、そういう点も十分お調べ願いたいと思うのでありますが、なお事故を起こした乗員は、これは日本で飛行機が事故を起こしました場合に、これが何年訓練を経た人か、機長になってから何年かというようなことも必ず問題になりますから、あわせてそういう点もお調べおきを願いたいと思います。法務省としては、いままでのお調べで、これが業務上の過失致死罪になるかどうかというようなことについては、まだ結論は出しておられませんか、どうですか。
○竹内(壽)政府委員 いま御趣旨のありますところは現地のほうに伝えまして、万遺漏なく調査をしてもらうことにいたしたいと思いますが、なお、その事件が業務上過失致死傷等の事件として見込みはどうかという御質問につきましては、まだ私どもとしては判断をする材料を持っておりません。
○志賀(義)委員 検事がそういうふうに二名出かけられるについては、令状を持って行かれたのか、また持って行かれたとすると、どういう内容のものか、その点はいかがでしょうか。検事が出かける場合にはそういうことはわかると思いますが。
○竹内(壽)政府委員 死体の解剖等もありまして、令状をちゃんと持参をいたしまして出かけました。
○志賀(義)委員 その内容はどういう令状、これを伺っておきませんと……。
○竹内(壽)政府委員 死体解剖の許可令状をもらってまいりまして、死者につきまして司法検視として解剖をいたします。
○志賀(義)委員 一般的にいってこの事故は、裁判権についていえば日米の裁判権が競合する場合もあったと判断することもできますが、法務省はこの問題についてはどういう御見解でしょうか。検事の報告に基づいてさらにその点をはっきりされたことがありますかどうか。
○竹内(壽)政府委員 従来、この飛行機事故につきまして刑事処分の対象と申しますか、裁判権の問題はいずれにあるやは別にいたしまして、刑事処分の対象として取り扱ったケースが多いのでございます。したがいまして、そういう見解を一応持っておるのでございますが、なおこの問題につきましてはさらに検討すべき点があるように思うのでありまして、いわゆる正当な軍の行動ということでありますと、刑事事件以前の問題でございます。そういう問題をはっきりさせることは捜査の立場からはなかなかしにくいのでございまして、私ども被害の調査によって明確にしなければならぬ前提問題でございます。そういう問題を解決いたしまして、これが個々の搭乗員が刑事罰の対象になる行為であるということになりますれば、それから先は、裁判権がわがほうにあるか、軍側にあるかということが次の問題となってまいります。いずれにいたしましても、私どもとしては、その場合に対処できるようにできるだけ証拠を収集しておくということが当面私どもに課せられた職務だと思って、そのように処置をいたしております。
○志賀(義)委員 関連質問でありますし、また今後の法務委員会での質問について明確にしていただきたい範囲に限って、まだあとに質問者が残っておりますが、ただいまのお話ですと、軍の行動ということになりますと、これは公務中の事件であったかどうかということを認定されるということに関連してくるわけでございますか。
○竹内(壽)政府委員 さようではございません。地位協定の十七条は、その行為が刑事罰の対象になるということを前提といたしまして、その刑事罰の対象になる行為であってその裁判権が競合する場合に、いずれの裁判権をきめるかというような手続が書いてあるわけでございます。その刑事罰の対象になるという場合に、初めて公務の執行中であったかどうかということが一つ問題になります。それ以前の問題といたしまして、軍の正当な行動ということになりますと、これはまた刑事罰の対象外になる、こういうことになると思います。それらの問題はわれわれ捜査当局が捜査をしてきめ得ることではございませんで、その点はまた別個の調査によりましてはっきりする問題だと思います。それらのことが逐次検討されていると思いますが、なおそれにもかかわらず、もし刑事罰の対象になってきた場合の証拠保全の方法に万全を尽くしていくというのがわれわれの立場でございますので、いまやっております捜査は、正確に申しますと、犯罪の嫌疑ありとして捜査をしているというよりも、それ以前の準備的な活動として進めておるというふうに性格を見ていったほうがいいのではないかということを考えております。
○志賀(義)委員 ただいまの局長のお答えは非常に重大であります。現実には町田市において多くの犠牲者が出、また家屋も多く破壊されております。これは動かしがたい事実であります。新聞発表によれば、アメリカ軍のほうは公務中のできごとであると言っている。しかしながら、あなたの言われるところによると、これがそもそも行政協定第十七条による犯罪を前提としてのことであるかどうか、そこにもまだ立ち至っていない。しかし現実は多くの日本人が死傷しているし、それから損害も受けている、こういうことになっております。それは全然不可抗力のものとしての場合もあり得る、さように考えての軍の行動中、これは戦時国際法ではございませんから、平時ですから、その点についてもっとはっきりおっしゃっていただきませんと、きわめてこれは重大な発言であると思います。その点をお答え願いたい。
○竹内(壽)政府委員 不可抗力であるかどうかという問題と、軍の正当な行動ということとは私は違う事項だと思っております。不可抗力というのは過失を予見するといいますか、過失を認めることができなかったという場合のことでございまして、過失があるかないかということを前提としてのことでございますが、これはすべて刑事事件の対象になるということの中での議論でございます。それ以前の議論もあるということを申し上げたわけで、それらの検討を進めつつあると思いますが、刑事事件になってきた場合の処置としまして、万全の処置をとっていく、こういうことを申し上げているわけでございます。
○志賀(義)委員 刑事事件の以前の問題だと言われる。こういうふうになりますと、それは法務省なり検察庁なりでは、これはもはやそれが決定されるまでは何ともいたしがたいことであって、その決定を見た上で行政協定第十七条に当たる犯罪事項とすればそのように手順を踏んでやる、こういうお考えなのですか。
○竹内(壽)政府委員 たてまえとしてはいま仰せのとおりでございますが、それらの問題につきまして政府のほうでも御議論があると思います。しかし、日米合同委員会の刑事分科会というのがございまして、その刑事分科会の事項としましては、法務省刑事局がその担当をさせてもらっておりますので、その関係で、私のほうとしては、私のほうの独自の立場で軍とその点、刑事事件として取り扱うかどうかについての軍の意向も聞き、われわれの意見も述べて、早く処置をきめていきたいという考えで、実は本日分科委員長を現地の軍当局と話し合いをさせることにいたしております。
○志賀(義)委員 そうしますと、この日米合同委員会刑平分科会には、法務省からもしかるべき人が出席しておられる。そしていまのお話では、アメリカ軍の意見も聞き、こちらの意見も述べるということでございますが、たとえばこの事件、公務執行中の作為あるいは不作為に関する認定、そういうふうなことは、そうしますと向こうもそれを認定する権限があり、こちらも認定する権限がある、こういうふうにお考えなのでしょうか。その点はどうでしょうか。
○竹内(壽)政府委員 刑事事件という範疇に入れてこの事件を処理します場合に、いまお話しのような公務執行中の作為、不作為という問題は、わがほうにも主張する権利を持っておりますし、向こう側もそれを主張する権利を持っております。手続といたしましては、わがほうはそれでないという立場をとった場合に、向こう側がこれは公務執行中のできごとであるという意見を述べることになる。両者の間で意見が調整できない場合には、さらにまた合同委員会で論議をする、場合によっては外交問題として処理するということもあり得るのでございますが、実例としましては、そこまで持っていかないで事は解決しておる、ジラード事件等におきましては解決を見ております。
○志賀(義)委員 実は私はその点を心配して伺ったのでございます。はたして私の心配するとおりでございます。認定権は相互にあって、意見を調整するというお話でありましたが、そうではないでしょう。昭和二十八年十月二十六日最高裁判所刑一第一五一四二号、事務総長通達として、高等裁判所長官、地方裁判所長、家庭裁判所長あての通達がございます。それの別添で、「改正行政協定第十七条および公式議事録に関する政府の解釈等」、これの第五にはっきりとこのように書いてあります。公務執行中の作為または不作為から生ずる罪のことに関して、それに当たるかどうかを認定する場合には、「具体的事件において、それが公務執行中の作為又は不作為から生じたものであるかどうかの認定権は日本側にある」、はっきりこう書いてあります。あなたのおっしゃるのと違います。あなたのおっしゃるところは、向こうにもある、こちらも主張することは主張する、それで相互の折れ合ったところで認定するということになっております。あるいは日本政府は向こうの不同意にもかかわらず一方的に主張する場合もあるというような御解釈でございますが、最高裁判所の通達では、明らかに認定権は日本側にあるとなっております。これがはっきりしませんと、検事が行かれても、あるいは日米合同委員会の刑事分科会に法務省の方が参加しておられても、主張すべき点がはっきり主張できないことになるのではありませんか。その点いかがでしょう。はっきりしてもらいたい。
○竹内(壽)政府委員 ただいまお話の点は、私の申したことはいまの通牒と違うということでございますが、私は、私の述べたとおりにいままで与件の処理を運用してまいっております。公務執行中であるかどうかということは、検察官が捜査の結果、これは公務執行中ではないというふうに考えました場合には、わがほうの裁判権を主張するわけでございます。これに対しまして向こうが意見が違うということでありますと、公務証明書というものを検事正あてに出すことになっております。その公務証明書に対してわが方が反駁をすることもできるわけでございます。公務証明は公務だという人が証明するわけでございますから、その間に意見の食い違いということが起こり得るわけであります。これをきめる手続は何にも書いてない。したがって、その場合には合同委員会で議論をして、話ができて、やはり公務中とは認められぬというふうにするか、公務中ではあるが裁判権は主張しないというふうな処理をするか、そういう二つの実例が過去においてございます。いずれにしましても、それで国内で処理はついておりますが、もしどこまでも譲らぬということが両国の間で、これは理論としてはあり得ることでありますが、そうなれば、日米間の外交問題として処理されることになるのじゃないか、これが私の考え方でございまして、そのように私は運用してまいっております。
○志賀(義)委員 それじゃ、その公務に関する証明書をアメリカ軍に要求されたのですか、また要求するおつもりはございますか。
○竹内(壽)政府委員 これは要求するのじゃなくて、こちら側が公務執行中の作為、不作為でないという前提に立って裁判権を主張するときに、向こう側がそうではなくて公務執行中であるということを言うときに、向こうが発行するものでございまして、こちらから要求して取る性質のものではございません。
○志賀(義)委員 しかし、認定権がこちらにある場合、そういう点の書類も当然請求してしかるべきものではありませんか。あるいは請求しなくても、こちら側にはっきり認定する権限がある。その点をはっきりしておいてくださらないと、この次に差しつかえると思います。
○濱野委員長 議事進行上ちょっと申し上げておきたいと思うのだが、公務であるとかないとかいうことと、それから飛行機操作中の作為とか不作為とかいうようなものを別々に論議してください。こんがらからせてやっているから論議が合いませんよ。別々にやってください。公務であるかどうかということが一つ、それから飛行中パイロットの不作為によってできた事故か不作為でない事故か。これは日本の認定だというのですから。こんがらかってくるとわからないでしょう。
○志賀(義)委員 そうではない、認定権はこちらにある。こういうことを私は主張しているのです。
○竹内(壽)政府委員 認定権はわが方にあります。向こう側も公務証明ということで自己の意見を主張することもできます。私はこのことを終始申しております。本件につきましてそういうような手続が進められておるかどうかという御質疑でございますが、これは先ほど申し上げましたように、ただいままだその段階まで至っていないということでございます。
○志賀(義)委員 その点をもう少しはっきりしていただきませんと、議事録を見たらいまの刑事局長の言われることはだいぶ論点が変わってきておると私は思うのであります。そういう点も明らかにしてこの次にほかの問題を尋ねますから、もう少しその点をはっきりしていただきたいと思います。 あとでまた委員長ともよく相談してやりますから……。
○濱野委員長 細迫兼光君。
○細迫委員 刑事局長にお尋ねをいたします。 私が取り上げたいと思っていることは、本人は山口県豊浦郡豊田町加藤新一氏という人に関することでありますが、これが二十三歳のときに殺人強盗罪によって無期懲役の判決を受け、最近出獄をして出てきておる。これが終始吉田事件と同じように無罪を主張し続けてきておるのであります。最近再審の申し立てをいたしまして、これが広島高等裁判所に係属しておる。去る三月二十四日、この再審申し立て事件において高等裁判所の村木裁判長を主班として事前調査が行なわれました。この際もとの裁判、第一審における重要な中心的な証拠となった安西茂太郎というお医者の鑑定証言、これが実はかえ玉証人の証言であるらしいということがあらわれてまいりました。私としては、かえ玉に違いないという確信を持っておりますが、これに関連して、検察官のあり方ということが問題になってくると思うのであります。つまり事件の処理をする態度として、真相を明らかにするということ、真犯人を的確にということ、これらを追及するという態度が検察官の態度としてほしいと思うのでありますが、一たん自分が目星をつけた犯人の公訴を維持するということから、それに熱心なあまり、証拠提出に手段を選ばないというような態度が出てまいりまして、裁判の威信を傷つけるような結果になることが間々あることを遺憾とする。検察官の態度として、たとえば松川事件における諏訪メモの問題のごとく、その後もしばしばあらわれることでありますが、一体検察官のあり方として、こういうかえ玉証人までこしらえて証拠を提出するという、手段を選ばぬというようなことについて、法務省としてはいかがお考えでございますか。また将来に対する指導方針なんかについてもいかがお考えになりますか。
○竹内(壽)政府委員 検察官のあり方についての御意見まことにごもっともでございまして、先生の御意見のように、私は従来からさように考えております。検察官は公益の代表者として捜査並びに公訴権を行使するのでありますが、その行使はやがて裁判の威信にもつながりますので、検察官の一挙手一投足というものはあくまで公平、厳正、法の前に良心に従って処置をしていかなければならぬのでございます。いやしくも外部から、検察官の処置がへんぱであるとか、あるいは何らかの恣意に基づいてやるというふうに疑われますことそのこと自体、検察の威信のためにもとらざるところでございまして、仰せのとおりその運用につきましては、あくまで厳正公平な態度で、いやしくも疑惑を受けることのないように処置をしてまいらなければならぬ、かように私は確信いたしております。
○細迫委員 この事件はなお再審申し立ての過程にありますので、裁判に介入するようなところまでいきたくないと思いますから、中断をいたしておきますが、いまの検察官のあり方に対する間違いを防止する方法の一つとして、検事、警察が職権で捜査する過程において集めた証拠、これを全部残りなく公判に提出するというように刑事訴訟法を改めるということも、一つのこういう悪弊が除去せられる手段ではないかと私は思うのでありますが、こういう意見について法務省のほうでの世論と言いますか、御意見と言いますか、いかが相なっておりましょうか。
○竹内(壽)政府委員 いまの検察官の公平を担保するために、捜査中に集めました証拠書類等すべてを裁判所に提出する、これは確かに一つの方法でございます。この点につきましては、ただいまの現行刑事訴訟法では、旧刑群訴訟法と違いまして、起訴状をまず裁判官に差し上げておきまして、それから検事が立証すべき証拠を、証拠能力に従って出していく。証拠書類に伝聞禁止の規定などもございまして、証拠番数によらないで本人を直接裁判官が尋問するという形を原則としております。そういう関係から、すでに証人として呼ばれました者につきましては、その証人の捜査過程において述べた供述調書のようなものは不要となる場合がしばしばあるわけでございます。そういうたてまえの訴訟法をとっておりますので、いまのような御疑念が随時出てきておるのでございます。しかし、そういう訴訟手続をとっておりましても、なお関係人からの要望がありました場合にどの程度出すかということは、法律である程度きめることもできるのでございまして、その点につきましては当局におきましても、訴訟法の改正の一つの問題点といたしまして、ただいま検討いたしております。
○細迫委員 さっき言いましたように、まだ裁判中の事件でありますから、干渉にわたるようなところまでまいることをやめまして、中断をいたしますが、安西証人、お医者さんは、幸いにまだかくしゃくとしてお医者の業務に従事しておる、まだしっかりした能力を持った人であります。それが、私は法廷に出たことはないと言うておる。それで裁判記録上安西証人がこうした証言をしたということが出ておれば、それはかえ玉に違いないということを申しておる。これはゆゆしいことでありますから、事件に将来とも注目しておっていただきたい。 終わります。
○濱野委員長 松井誠君。
○松井(誠)委員 私は、在日朝鮮人の現在における法的地位の一つの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 順序としまして、簡単にお尋ねをいたしたいのですが、日本にいる朝鮮人が、以前は日本の国民であった。現在は日本の国籍がないことは間違いないのですが、日本の国籍をいつどういう形式で失ったのか、それから最初にお伺いをしたいと思います。
○平賀政府委員 日本政府の解釈としましては、平和条約発効によって日本国籍を失ったという解釈でこれまで一貫してまいっておるのであります。
○松井(誠)委員 日本国籍を平和条約で初めて失ったと考えるか、あるいはそれより前に、終戦とともに失ったと考えるか、一つの問題だと思います。その点は、この前大平外務大臣の日韓交渉の中間報告のときに、平和条約以前は在日朝鮮人は名実ともに日本人として扱われておるというくだりがありますけれども、実は平和条約以前にも朝鮮人は、形式的には別ですけれども、実質的には一種の外国人として扱われておったことは間違いない。しかし、その点は、私はいまお尋ねをしようとは思いません。かりに平和条約以降、日本の国籍を失ったとすると、その国籍を失って、さてどこの国籍を取得したのか、あるいはどこの国籍も取得しないのか、この点はどうなのか。
○平賀政府委員 平和条約の第二条によりまして、日本国は朝鮮の独立を承認することになっておるわけでございますから、その独立をした朝鮮国の国民であるというような解釈を私どもとしては、いたしているわけでございます。
○松井(誠)委員 朝鮮国の国籍を取得した、朝鮮国の国籍を取得をしたけれども、現実には朝鮮国の正統政府を名のる政府が二つある。したがって、一つの朝鮮という国の中に、お互いに正統性を主張する政府が二つある。しかし、国籍は朝鮮の国籍だ。このように理解をすべきものなのですね。
○平賀政府委員 私、ただいま申し上げましたのは、平和条約の第二条に即して申したのでございまして、朝鮮の独立を承認するということにより、その朝鮮の国籍を取得したのであろうというふうに思っているわけでございます。また、現実には、ただいま仰せのように朝鮮の地域が南北二つに分かれておる現状でございまして、この南北二つに分かれておる現状に対してどうなるかということになりますと、これは国際法上もかなりむずかしい問題で、そこをいずれというふうにはっきり割り切ることは困難ではないかと思います。
○松井(誠)委員 いずれと割り切ることは困難だということは、もう少し具体的に言えばどういうことになるわけですか。現実には二つの政府があって、どちらも朝鮮全土を自分の支配領域だという主張をしておる。このこと自体は間違いがない。そして日本政府は、まだ両方ともの政府を正式には承認をしていない。このことも間違いはない。したがって、一つの国家に二つの政府があって、在日朝鮮人は一つの国である朝鮮の国籍を持っておる。繰り返しますけれども、そのように理解をしてもいいのですね。
○平賀政府委員 ただいまの問題は国際法上の問題でございまして、また、朝鮮地域の現状がああいう状況でございますので、法務省の民事局長の立場におきまして御答弁することは差し控えたいと思うのでございます。それは私どもの所管外のことでございますから、外務省のほうからしかるべきお答えを願いたい、こういうふうに思います。
○松井(誠)委員 私は、きょうそのことをお聞きをするつもりではございませんので、また別の機会にお尋ねをいたしたいと思います。 ともかく平和条約とともに日本の国籍を失った。そのときに、いままでの普通の国際的な慣例ですと、一つの国から領土が割譲される、あるいは一つの国の一部が独立をする、そういうときには、たとえば具体的に言えば、日本におる朝鮮人が日本の国籍を取得をするか、朝鮮という国の国籍を取得するか、いわゆる国籍の選択の自由を与えるのがいままでの通例のやり方だと聞いておるのですけれども、これは民事局長にお尋ねをしてもしかたがないかもしれませんが、そういう問題について、平和条約の当時、法務省としてはどういうお考えを持っておったか。国籍の選択権を与えないで、本人の意思にかかわらず、おしなべて朝鮮国籍を取得をするということにする結果、具体的にどういう問題が起きてくるかというようなことをお考えになったかどうか。いかがでしょうか。
○平賀政府委員 平和条約締結当時のことは、私は、率直に申し上げまして存じません。その後におきまして選択権を持たないということは、御承知のとおりであります。
○松井(誠)委員 もう一ぺんお尋ねをしたいのですけれども、日本の国籍を平和条約によって失う。その中には、たとえば日本人の女の人で朝鮮人と戦前結婚した。したがって、朝鮮戸籍に登載をされている。その人も日本の国籍を平和条約の発効と一緒に失うということになるのかどうか。
○平賀政府委員 平和条約発効以前に、たとえば当時は朝鮮人、台湾人、内地人というような身分しの差別があったのでございますが、内地人の女が朝鮮人の妻になっておるということでございますれば、条約の発効と同時に日本の国籍をその女の人は失うということになる、そういう解釈でまいっております。
○松井(誠)委員 おそらく養子縁組みの場合も同じであると思う。日本人であって、日本人であるつもりでその当時は朝鮮人と結婚した、あるいは朝鮮人と養子縁組みをした。ところが、平和条約の結果、日本人でありながら、そして日本の国籍を持とうとする意思がありながら、日本人でなくて朝鮮国籍を取得させられた、このこと自体が非常に不合理な問題であると思う。それもやはり婚姻が継続している、あるいは養子縁組みが継続しているという状況が続いておればまだ事情がよいのですけれども、たとえば離婚をする、あるいは養子縁組みを離縁をする、この場合もやはり日本の国籍の取得はできないでしょうか。
○平賀政府委員 平和条約以前に結婚をしておったために、条約の発効とともに日本の国籍を失った、あるいは条約発効前朝鮮人の養子になったため、条約発効により日本の国籍を失った。そういう人が離婚、離縁を平和条約発効後にいたしましても、日本国籍は当然回復しない、そういう解釈でございます。
○松井(誠)委員 そういう非常に不合理な状態が起きてくるわけです。私はそのことを聞きたいのではなく、問題は別にあるのですけれども、ついでですからお聞きをするのですが、国籍法の改正か何かでそういう問題をとりあえず救うということはできませんか。そういうことをお考えになったことはございませんか。二重国籍になってもよいと思いますが……。
○平賀政府委員 それは領土の割譲という国際法上の原因に基づく国籍の変更でございまして、やむを得ないことであると考えております。
○松井(誠)委員 領土の変更といっても、もともと同じ民族じゃなくて、朝鮮人と日本人だったわけです。そして朝鮮の人と結婚をしたのは外国人とするつもりで結婚したのではない。日本国民であると思って結婚したわけです。しかし、自分は平和条約のおかげで日本人でなくなった。日本国籍を失った。今度は離婚をするが、依然として日本国籍を取得できない。非常に不合理じゃないですか。形式的な論理としてはそれは通るでしょう。しかし、そういう形で本人の意思に反して国籍を奪うということ自体非常に不合理じゃないですか。ですから、ほんとうは平和条約の発効をするときに国籍の問題について何らかの措置をとるべきであったと思う。しかし、それをとらなかった現在となっては、国内法的に措置の方法はないかということを聞いている。そういうお考えはないかということを聞いている。こういう結果が不合理だとはお考えにならないかということを聞いている。どうです。
○平賀政府委員 領土の変更の場合には、多くの場合こういう国籍の変更が生ずるのでありまして、これは必ずしも不合理とは考えておりません。そして、平和条約の発効によりまして国籍を失いましても、現に日本に住んでいる限りは帰化によりまして再び日本国籍になる場合もあるのでありまして、現に朝鮮人と結婚して、あるいは養子になったというような人で帰化の申請をする人が相当あるわけでございます。私ども必ずしも不合理とは考えておりません。
○松井(誠)委員 帰化の問題はまた別ですよ。いま、領土の割譲の場合にはこういうことが往々ある、往々あるからこそ、そういうときには、あらかじめ国籍選択の自由ということをやっておるわけです。それをやらなかった不合理をいま直す必要もないかということを聞いているのです。領土の割譲の場合にはそういうことはあるでしょう。あるでしょうから、国籍の選択をさせるべきだということで、国籍選択の自由というやり方、そういうしきたりができてきたのじゃないですか。まあ、このことはまたいずれ機会を見てもう一度お尋ねをします。 そこで、私がきょうお尋ねをしたいのは、民事局で昭和三十四年の十二月に出しておる通達のことなんです。つまり、在日朝鮮人は、それが南鮮人であろうと北鮮人であろうと、ということばは通達にはなかったかもしれませんが、とにかく在日朝鮮人の身分法については韓国法を適用する、韓国民法を一律に適用する、そういう趣旨の通達をお出しになっておることは間違いないですか。
○平賀政府委員 昭和三十四年に、仰せのような民事局長通達が出ておることは事実でございます。
○松井(誠)委員 それは、どういうわけで韓国民法を適用するのですか。
○平賀政府委員 平和条約発効後におきまして、日本におきまして、朝鮮人相互間あるいは朝鮮人と日本人、あるいは朝鮮人と第三国人との間で、婚姻であるとか養子縁組みであるとかということがなされます場合には、わが国の国際私法を定めておりますところの法令の規定が適用になるわけでございますが、法令の規定によりますと、たとえば婚姻でございますと、婚姻の要件が具備しているかいなかについては各当事者の本国法によるということになっておりまして、その関係で、朝鮮人の本国法は韓国法であるという解釈の通達を出したわけでございます。
○松井(誠)委員 在日朝鮮人は朝鮮国という国籍を持っておるわけでしょう。その朝鮮国籍を持っておる在日朝鮮人の本国法は、なぜ韓国法なんですか。どうして韓国法がなければならないのですか。
○平賀政府委員 これは法務省の身分法、身分関係に関する限りにおいての通達でございますが、先ほどからもお話がございましたように、朝鮮が事実上南と北に分かれておりまして、それぞれ朝鮮全土の正統政府は自分であるという主張をしておるわけでございます。また、外国にある朝鮮人は自分の政府の治下の人民である、そういう主張をしておるわけで、非常に異常な状態なのでございます。その限りにおきまして、川本政府としましては、韓国政府を暗黙の承認と申しますか、とにかく日本国にその代表部の存在を認め、また現に韓国政府を交渉の相手といたしまして現在の日韓交渉もいたしておる実態でございます。これは国際法上は、いわゆる暗黙の承認というのに当たるのではないかと思うのでございます。日本政府は、承認をしておる韓国政府の制定しました韓国民法をもって朝鮮人の本国法と考えるというのが、この通達の趣旨でございます。
○松井(誠)委員 この法令にいう本国法というのは、その相手の国の本国、その本国を承認しておるかどうかということが重要な要素になるのですか。
○平賀政府委員 本国法という場合にはさように解すべきものと考えております。
○松井(誠)委員 むしろ、日本の普通の学者の通説では、承認しておるかどうかということは、適用すべき木国法が何かということとは関係がないというのが多数説じゃないですか。
○平賀政府委員 本国法に関しましては、日本政府の承認しない国家あるいは日本政府の承認しない政府の制定した法律を本国法と認めるわけにはいかぬと考えております。
○松井(誠)委員 私が聞いておるのは、どういう理由か、私も不勉強でよくわかりませんが、外国では、承認をしておる政府の法律が本国法だという考え方が通説だそうです。ところが日本では、逆に、承認の有無というものは本国法を選択するときには関係がないというのが多数説だということ、そうして具体的な学者の名前もたくさんありますけれども、そういうように日本の学者は考えておるということは御存じかということをいま聞いておるのですよ。あなたがどう考えるかということを聞いておるのじゃない。
○平賀政府委員 私申しましたのは、法務省におきましては戸籍行政を所轄しておりまして、この戸籍行政の立場において申しておるのでございます。戸籍の取り扱いにおきましては、在日朝鮮人の本国法は韓国の民法である。私一個の見解というものじゃございません。法務省の取り扱いがそうなっておるということを申し上げておるのでございます。
○松井(誠)委員 私が聞いているのは、身分法は何を適用するかということでしょう、戸籍のことは。ですから、身分法を適用するその本国法というのは韓国法だというふうに法務省はお考えになっておる。そして、その理由としては、いまおっしゃったのは、事実上承認しておるからというのが唯一の理由になっておる。しかし、その唯一の理由というのは、つまり法律的にはむしろ日本では少数説だということを御存じかということを聞いているのですよ。
○平賀政府委員 ただいま松井委員の仰せられるような意見もあるようでございますが、それが少数説か多数説かは私は存じません。ただ、法務省の取り扱いといたしましては、日本政府が承認しております韓国政府の制定した法律を本国法と見るべきものであるという取り扱いをいたしております。
○松井(誠)委員 私は、孫引きですから、直接に当たったのじゃありませんが、これは国際法学者じゃないのですけれども、田中耕太郎さん、江川教授、長谷川教授、それから実方教授、つまり多数説ということ自体は、これを占いた人は京都の溜池という助教授、これは国際私法の専門家ですが、その人の説はそういうことになっておる。私は、直接に一つずつ当たったわけじゃありませんから、断定的なことは申し上げられませんけれども、そういうことになっておる。ですから、御存じのように、下級裁判所が、一体本国法とは何かということを考えるときに、承認をしておるからという理由で韓国法を適用しようとしておる例は非常にまれじゃなかったですか。私は、時間がありませんから、実はこの次に、こういう場合に下級裁判所がどういう本国法を適用しようとしたか、そうして、それはどういう理由で適用をしてきたかという統計をひとついただきたいと思いますけれども、とにかく下級裁判所では、承認をしておるということを理由にして、本来韓国法を適用すべきだという考え方を持った判決というものは、むしろ少なかったのじゃないか。この辺の事情は御存じありませんか。
○平賀政府委員 私、申し上げますのは、本国法という場合のことでございます。たとえば法令では、行為地法、住所地法という用語もございます。行為地法とか住所地法ということになりますと、ただいま仰せのような、この住所地法あるいは行為地法を制定した国家なり政府なりを承認しているかいないかということにはかかわりはないという議論は成り立ちます。むしろ、そちらのほうが正しい意見ではないかと私も考えます。しかし、いやしくも本国法、本国の法律という以上は、その本国なるものを日本政府が承認していなければ、やはり本国法とは言い得ないということでございます。ちょっと補足いたしておきます。 それからなお、下級裁判所の判決も若干ございます。これもいろいろの見解が述べられておるようでございます。ただ、最帯裁判所の判決はまだ出ておりません。そういう関係で、法務省としては、従来の考え方を踏襲して、先ほど来御説明しましたような解釈で事件を処理をいたしておるわけでございます。
○松井(誠)委員 国際法のことは私はよくわかりませんから、水かけ論になるかもしれませんけれども、本国法は承認をした国の法律であるという、それが必要だという理由は、一体その国際私法で適用すべき法律は何かというそのことを考えるときに、身分法なら身分法について一体どの法律をこの関係に適用するのが一番いいのか、その国際私法で身分法はどの法律を適用すべきかという探す理由として、国際私法の理屈の中で基本的に二つの考え方の違いがある。ここで韓国法を適用するというのは、つまり韓国の立法権の範囲というものをここまで及ぼすという考え方でやろうとすれば、これは韓国法を適用することになる。しかしそうではなしに、その身分関係というものに一番ふさわしい法律を適用するのが国際私法の考え方とすると、その人がかりに北鮮に住んでおる、あるいは北鮮と何がしかの深いつながりを持っておる。そうすると、北鮮の法律で規律をするのが一番適当だという考え方が国際私法の中にある。そうしてその考え方がむしろ多数説である。だから本来ならば、その日本におる朝鮮人が北か南かどっちに縁故が濃いか、縁故という意味はいろいろありましょうけれども、ともかくどっちに一番いろいろな意味でつながりが深いかということによって、その適用すべき法律をきめるというのが国際私法の考え方なんです。そういう考え方のほうがむしろ多数説だというのです。しかし、この点についてはいまここでそんな議論をしておってもしようがありませんからやめますけれども、そうしますと、ともかく本国法というのは日本が承認をしておるからだ、こういうことなんですけれども、しかし、御承知のように北と南とは、先ほども言ったようにお互いに全土を自分の領域だと言って主張をしておる。そうして現に日本に住んでおる朝鮮人の中には、自分は北鮮へ帰りたい、自分は北鮮の支配圏の中に入りたい、そういう人たちもずいぶんおるわけです。むしろそういう人たちのほうが圧倒的に日本の中で多いわけです。そういう人たちにとって、一体自分は国籍を選ぶという権利を初めから与えられない、今度また南か北かという元来自分が判断をすべきその問題について、日本政府はわざわざ、これは国籍の問題ではありませんけれども、韓国を選ばせるような事実上一つの圧力をかけるということになりませんか、つまり政治的に……。そういう意味で、韓国に帰ろうとする朝鮮人にとっては、それはそれでいいでしょう。しかし、韓国ではなくて北朝鮮に自分は所属をしようと願っておる人に韓国の法律を適用する、これは事実上北朝鮮系の朝鮮人と南朝鮮系の朝鮮人とに対して差別待遇をするということになりはしませんか。
○平賀政府委員 差別待遇ということはかかわりないと思うのでございますが、ただ国際私法というものの趣旨がどういうものであるかということは、ただいま委員の仰せられるとおりでございます。ただ、日本の法令におきましては、本国法というものを準拠法といたしております関係で、どうしてもやはり本国の法律というものをきめなくてはならない。たとえば現に北鮮地域に住んでいる朝鮮の人、あるいは南鮮地域に住んでおる朝鮮の人にはかかわりはないわけでございます。日本にいる朝鮮の人々でございます。朝鮮の地域には三十八度線をほぼ境にしまして軍事境界線がございますが、日本におる朝鮮人にはそういう境はないのでございます。ただいま仰せのように、南鮮を支持する南鮮系の人あるいは北鮮政府を支持する北鮮系の人がいるということは事実でございますが、そのどちらでもないという朝鮮人も、これは多数あるわけでございます。そういう南鮮系とか北鮮系ということも、要するにこれは思想、信条の問題でございますからして、私ども戸籍の所管の関係におきましては、思想、信条によって南か北かに国籍を分けるということは、国際私法の趣旨から申しましても適当でないと思うのでございます。なお、朝鮮人の中には多数の未成年軒もおるわけでございます。そういう未成年者は一体どうするのか。母親は南鮮系だが父親は北鮮系である。その間の未成年の子供は一体どっちに持っていくか、非常にむずかしい問題で、思想、信条の問題につきましては非常にむずかしい問題が出てくるのでございます。そういう考え方も根底にはあるわけでございます。
○松井(誠)委員 この通達が出る前は、それじゃ実際にはどういう法律を適用するように指導をしておったわけですか、
○平賀政府委員 ただいまの御質問の趣旨、私よく理解できませんが……。
○松井(誠)委員 平和条約以降この通達が出るまでの間、在留朝鮮人の本国法はどういう取り扱いをしてきたかということです。何か通達によりますと、今度はやっと韓国民法ができました。だから韓国民法を適用するのだという趣旨のようですけれども、韓国民法のできなかった前にはどういう取り扱いをしてきたかということです。
○平賀政府委員 韓国の比法が制定される以前におきましては、韓国におきましては、旧日本統治下にありました日本統治下当時の法令がそのまま効力が残っておったのでございます。そういう措置が韓国ではとられておりました。戦前におきましては、この身分関係につきましては、朝鮮民事令あるいは朝鮮戸籍令というのが現地にございまして、それが引き続き効力を持っておったのでございます。したがいまして、平和条約発効後韓国民法が制定施行されるまでは、この朝鮮民事令を朝鮮人の本国法ということで戸籍事務が処理されてまいっておったわけでございます。
○松井(誠)委員 そうしますと、日本が韓国を事実上承認をしたのはいつか知りませんけれども、事実上承認をする前から朝鮮の民事令ですか、戸籍令ですか、それを平和条約発効後適用しておったということになるわけですか。私の聞きたいのは、韓国を事実上承認をしておるから韓国の本国法というものが必要なんだ。しかし韓国には本国法としてはその当時朝鮮戸籍令、朝鮮民事令というものがあった。だから朝鮮民事令というのをやはり韓国の本国法として適用しておったという趣旨に聞いたものですから、それならば韓国承認以前には一体何を適用しておったか。承認以前の末期にブランクがあったと思うが、そのときはどうなんですか。
○平賀政府委員 平和条約発効以前から事実上、これは韓国の代表部というものがございまして、平和条約発効のときにはすでに代表部があったのでございます。日本政府は平和条約を発効したにかかわらず、なおその韓国代表部の日本における存在を承認したということは、これすなわち暗黙の承認であろうと思うのでございます。なお、日韓間の交渉も予備交渉が、私の記憶によりますと、平和条約発効の直前からすでに始められておりまして、発効と同時に正式の交渉になりまして、今日まで続いておることもそういうわけで、日本政府が暗黙の承認をする以前の状態というものは、平和条約発効のときには現にあったといっていいのではないかと思うのでございます。中間のギャップはないように考えております。
○松井(誠)委員 この通達によりますと、平和条約の発効後も南鮮人であると北鮮人であるとを区別することなく、引き続き従前どおり慣習によるものとして処理されていた。しかし、慣習の内容が必ずしも判然としないためということになっておって、慣習ということになっておりますが、これは慣習というのと、いまおっしゃった朝鮮民事令、戸籍令の適用というのとはどういう関係にありますか。
○平賀政府委員 慣習の内容というのは、朝鮮民事令に、いま朝鮮民令を持っておりませんが、事柄によって慣習によるという条文が相当あるのでございます。はっきりした身分の規定を設けないで、この点については慣習によるということが朝鮮民事令にございまして、その慣習が一体どういう内容のものであるかということがわからないという関係で、戸籍事務の取り扱い上困難を生ずる事例があったわけでございます。しかし、昭和三十五年の一月一日から韓国民法が施行になりました関係で、そういう問題は解消したわけでございます。
○松井(誠)委員 私は、この問題は、きょうは局長の答弁ではどうしても承服ができません。やはりこの通達を撤回するか、もう少し考え方を変えていただく必要がどうしてもあると思います。これは国際私法の理屈の上からもそうですし、それをまた法務省がわざわざこの南北の争いの中へみずから巻き込まれていこうとする姿勢そのものも基本的に間違いがあると思います。いままでのとおりでやっておってちっとも支障がなかった、それをわざわざ韓国民法を適用するという形にする。この韓国民法というのは、内容を直接私は存じませんけれども、日本の旧民法に非常に近い、そして北鮮の民法というのはむしろ非常に日本の新民法に近い。北と南とは身分法の考え方もこれだけ非常に違うわけであります。したがって、どういう法律で規律をしてもらいたいかという在日朝鮮人の考え方もいろいろあるわけです。ところが、さっきおっしゃったように、北にも属しない、南にも属しないという朝鮮人もおるわけです。その人は、統一をしたら朝鮮人になりたいと考える人もおるでしょう、あるいはいっそのこと日本の国籍がほしいと考えておる人もおるでしょう、いろんな人がおるでしょう。いろんな人がおる中で、この韓国民法をどうして適用しなければならぬか。これは参議院でいつか稻葉委員が質問をしたときに、たぶんあなたじゃなかったかと思いますけれども、全部に対して韓国民法を適用するんだから差別待遇じゃないんだという答弁をせられておる。たぶんあなただったと思うのですけれども。私は、これほど形式的な議論はないと思う。つまり、自分は北のほうを志望をしておる、北のほうを望んでおるという人にも韓国民法を適用する、私は南のほうを望んでおるという人にも韓国民法を適用する、みんなに韓国民法を適用するのだから差別待遇じゃないんだ、これほど形式論理はないと思う。つまり、北のほうを願っておる人にとっては、韓国民法を適用されるということはたえられないことだ、実質的には非常に差別待遇になるわけです。そういう結果、しかたがないから、それじゃ韓国でという事実に合わすようになる可能性がある。そういうことを一体法務省はお考えになっておるのかどうか。何も平地に波瀾を起こすようなこういう通達を出す必要はちっともなかったと私は思う。いままでのとおりでちっとも差しつかえなかったじゃないですか。これがつまりほんとうに政治的に中立であるべき、法による支配という、そういう最後の牙城であるべき法務省が、何か好きこのんで南北の争いの中に身を投ずるというような姿勢に見えてしようがない。そういう政治的な効果というものを十分お考えの上でこういう通達を一体出されたんですか。
○平賀政府委員 差別待遇のお話が出ましたが、確かに参議院の法務委員会におきまして稲葉委員の、差別待遇ではないかという御質問がございましたので、差別待遇ではありませんと言ったわけでございます。 なお、国際私法におきましても、たとえば契約なんかでございますと、当事者が準拠法を定めることができるわけでございますが、事身分法に関しましては、自分はどちらの法律が好きだから、どちらがきらいだからというようなことで個人に選択権はないというのが国際私法の考え方なのでございます。それから、南とか北とかいう問題、先ほども御説明申し上げましたように、本人の思想、信条の問題、思想、信条によって準拠法が変わるということは、事身分法の関係におきましては、これはきわめて不合理な解釈であろうと思うのでございます。先ほども申し上げましたように、南でもない北でもない、どちらでもないという朝鮮人も相当あるわけでございます。意識的にどちらでもないというそういう信念を持っておる人もおるわけでございます。現在の朝鮮自体は、国際私法の適用の関係におきましても非常に異常な事態でございまして、従来の先例の中にもこういう事態にはどうなるかという確たる先例が実はないのでございます。法務省におきましてもいろいろこの点は検討いたしまして、現在の解釈をとっておるわけでございます。 それからなお、従来の解釈と仰せられましたが、従来の解釈は、先ほど申し上げましたように朝鮮民事令によっておったのでございます。これは朝鮮民事令が平和条約発効後もなお韓国において効力を認められておりました関係で、朝鮮民事令によっておったのでございますが、朝鮮民事令というものは、韓国民法の制定によって効力を失った以上、朝鮮民事令を本国法として適用することは、これは何としてもできない。そういうわけで従来の解釈にはよることができなくなったのでございます。
○松井(誠)委員 くどいようですけれども、いま局長は、北か南かということは思想、信条の自由にすぎないのだということを言われましたけれども、そうじゃなくて、北か南かということは、どっちの国を選ぶかという問題なんです。これを二つの国と見るか、一つの国の二つの政府と見るかは別として、とにかくどっちの支配権に服そうとするかということの問題であって、単なる思想、信条の問題ではない。それはそうでしょう。 それからもう一つは、なるほど本人の意向によってそっちの法律を適用したりこっちの法律を適用したりというわけにはもちろんいかぬでしょう。通常の状態の場合にはそうだと思う。しかし、たとえば難民条約というのもあって、難民がよそから、たとえば日本なら日本に亡命をしてくる。そういう難局に対しては本国の法律を適用しなくて、むしろその本人の意思によって、本人の意思を尊重して、たとえば亡命をしてきたそこの国の法律を適用するということもあると私は聞いておる。そういうことを類推をして本人の意思を尊重すべきだという判決があることも私は知っておる。ですから、こういう異常な事態であるからこそ、本国法は韓国民法だなどという、私はあえて言いますけれども、非常に非常識な画一的な考え方そのものをとったということも、私は基本的に間違いだと思う。異常な事態であるからこそ、法務省はもっと真剣に、慎重に、政治的な中立というワクを越えないような形でかまえるべきであったと思うのです。これは私は理論的にも政治的にも非常に間違いだと思う。このことは、私はきょうこれで終ろうとは思いません。やはりあくまでも撤回を求めてもう一度質問をいたします。もう一度局長に、再考を求めるために質問いたします。その点を保留いたしまして、きょうは終わります。
○濱野委員長 田中織之進君。
○田中(織)委員 私は、奈良法務局で出てまいりました人権擁護委員の部落問題に対するアンケートの集約による文書のいわゆる部落差別問題、これは一度予算委員会で取り上げたのでありますが、文書の出ました奈良法務局が、これは本省の問題だということで関係者に面会を拒否しております。そんなことでは——ここでこのときは人権擁護局長、賀屋法務大臣も答弁に立たれたのでありますが、国会で答弁されていることが末端にまで徹底していないというようなことではいけませんので、あらためて取り上げたいと思うのでありますが、刑事局長の他の委員会への出席の都合もあるということでありますから、それは後日に譲りまして、刑事局長のおられる間に二つだけ質問をしたい。時間の関係も迫っておりまするので簡潔に質問いたしますから、お答えも要点をお答えいただきたいと思います。 一つは、一口に申し上げれば検察行政のあり方の問題だということになるわけであります。これは同僚の坂本委員なりあるいはわが党の山田委員等が、たびたび本委員会においても取り上げておりまする近江絹糸事件、この問題にあらわれる検察庁の態度というものは、刑事局長もたびたび本件の捜査段階の差しつかえない範囲でお答えになっておりまするように、相当事実関係が明白になってきておるけれども、まだ本件についての検察庁としての最終的な態度がきまらないのです。そこにどうもやはり検察当局が、これは行政機関の一部でありますけれども、広い意味における司法部内の問題といたしまして、何らかそういう政治的な、ことに政界等に関係のあるような問題については、検察当局でてきぱきとした結論が、捜査の関係もございましょうけれども、なかなか出ないというような一面があるかと思いますと、私がこれから申し上げる事件は、たまたま高松地検において提起されました四国電力に関する告発事件の問題でございます。この問題は、やはり公益事業としての電力会社の経理の問題、いわゆる背任容疑の問題でございます。さらにその問題は、大森川の発電所のダム建設にかかわる事案でございまするので、そのダム発電工事の使用セメントの問題あるいは掘さく量の問題等が科学的に調べられまするならば、先年フランスあるいはイタリア等においてりっぱな設計のもとに進められたダムの決壊事件というような問題が出て、大きな社会問題を引き起こしておる関係があるわけです。ことに使用セメントは、この種の高堰堤には使えないといわれておる高炉セメントを、仕様書も何もなくて相当多量に使用いたしたのであります。その結果ダムに亀裂を生じまして、その亀裂の問題を究明いたしましたために、その会社の土木部長が工学博士の学位までもらったというような深刻な問題を含んでおるような事件にまつわる背任容疑の告発事件でございます。 ところが、この事件に関連いたしまして、公益事業令違反の問題がございます。これは決算委員会で私宅取り上げたことがございまするけれども、永久保存のダム掘さくのための最終設計書というふうなものが、現在四国電力にないというような事態もあるわけであります。捜査の段階から実地調査を行ないまして、あらためてそういう図面が国会にも提出をされてきたというような問題も含んでおる告発事件なんであります。 ところが、関係の事件はまだほかにも二つあるのでありますけれども、そういうようなものと切り離して、これがたまたま、たしか昨年の十一月二十七日であったと思うのでありますが、四国電力の中川社長に対する背任容疑の告発与件というものが不起訴処分になった。たまたま翌日、四国電力が定時株主総会を開いておるわけであります。待ってましたというように。この問題について株主の一部から告発がなされたのでありますけれども、検察庁で不起訴処分になって会社に対する容疑は晴れたんだということを得々として経営者側が株主に報告しているという事実があるわけなんです。関連した幾つかの告発事件がいまだ検察庁の関係で残っておるのに、特に株主総会にとって重要だと思われるような事件を抜き出した形で不起訴処分にするというような問題が実は起こっておるのであります。 それから、この事件と関連いたしまして、昭和三十八年の九月三十日に、これは会社の嘱託関係の者で別の脅迫事件でございますが、香川県警に告発されました。その後警視庁にまで捜査官が参られまして、実情調査等を行ないまして、昨年の十一月二十七日、その告発事件が不起訴になった日に、香川県警より高松地検に書数が送付されている事件がございます。この事件については、まだ高松地検では起訴、不起訴等の決定がなされていない。 それからもう一つの問題は、やはり四国電力に関しまする石炭納入権の譲渡、この問題は電力会社の経理に非常に関係の深い石炭納入権にまつわる問題でございまするが、実はこの問題についての告発事件が三十八年の八月十日に特別背任容疑ということで地検に出されておるのであります。ところが、三十九年の三月になりまして、東京地検を通じて、調書をつくるために出頭してくれるように、こういうことの通知が告発人に対して出てまいったのであります。これは電話、電報、あるいは東京地検を通ずるというような関係で、主任検事からの連絡の問題であったのであります。たまたま告発人の弟さんが、先般の大分空港における富士航空の事故でなくなりまして、その葬式その他の関係で結局出られなかったのでありますが、たまたまその担当検事が機関の異動で、現在大阪高検に移っておると思うのでありますが、異動の内命というものが出ましたので、こういう懸案事項の調査を急がれよう、こういう意図ではないかという点は推察するにかたくないのでありますけれども、最後は電話でもいいから出てくれないか、こういう形の催促と言いますか、告発人の出頭要求ということが出てきておるのであります。電話で告発人に事情を聞くということによってその告発事件の最後の結論を出そうというのであるといたしまするならば、あまりにもこの事件を軽く扱っている。昨年の八月十日に出されたもので、それまでに十分調査をしなければならぬ。あるいは内面的な調査が行なわれておったのかもしれませんけれども、三月異動を前にして、その方は三月二十五日に高検へ異動されておるようでありますけれども、異動直前になって——まあ告発人本人の事情等もあったのでありますけれども、現在それはまだ後任者によって捜査が進められておるような段階になってきているのであります。私どもちょっとその点、電話に出てもらいたいというような形でこの関連の事件の捜査について結論をもし出そうとする意図であったといたしまするならば、これはきわめて重大な問題を含んでいるのではないか、このように実は考えるのであります。 最初に申し上げました近江絹糸の事件等の問題についても、刑事局長は当委員会でもたびたび質問があるたびに、あれは進行段階であると御報告になりますけれども、私どもはそういう意味でも、いまだに使途不明の金が四千数百万円もあるというような金額まで出ているのに、この事件の決をとらないというところに疑惑を持つと同時に、高松地検の、私がいま申し上げました事件については、実は総会の前日に結論を出す、待ってましたというように会社がやっておる。そこで次席検事にお会いいたしましたときには、犯罪の容疑というものは起訴するに足りるだけのものはないのだ、しかし事実関係につきましては疑惑は残っているということは、検察庁のほうでは告発人に説明をされておるようでございます。ところが、会社のほうは不起訴処分ということになったので、青天のへきれきだというような形で、総会を乗り切るために、これは検察庁の意図ではないだろうと思うのでありますけれども、結果的にはきわめて政治的に、検察庁のとった態度というものが利用されている。こういうような問題が出てきておるし、一面同じ地検の関係では、それに関連して、二つの事件についてはいまだに結論が出ないでいる。これは捜査の段階である。ところが不起訴処分になったということの事情を伺いに告発人等が参りましたときには、別途出ておる告発事件等担当の検事が、実は知らなかった、それは急速に調べなければならぬというようなことで、これはいずれも関連する事件でありますけれども、そういう事態が出ている。私は、この関係については、専門的な技術しの知識も要する問題もある中を、検察当局がかなり突っ込んだお調べをされているという一面も承知しておるわけでありますけれども、少なくともあらわれた結果については、近江絹糸事件とはまた違った意味において、どうも検察当局が政治的に動かされたのではないかというような疑惑が持たれるような事件が出ておりますので、これは私は検察の威信のためにも、一度ひとつ検察の首脳部である刑事局長のほうで、この間の事情をやはり調査をしていただかなければならぬのではないかと思うのです。きのうようやく連絡をしたようなことでありまするから、あるいは事実についての調査もまだできていないかもしれませんけれども、検察行政のあり方がいろいろ問題になっているやさきでございますので、当局の御意向を伺いたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 四国電力の事件の処理につきまして、検察官のあり方、その姿勢というようなものにつきまして御質問をいただきまして、まことに恐縮に存じます。仰せのような事情でございますと、告発事件や告訴事件が別々に出ておるとはいいながら、合一して考慮すべき事件を別々に処理をするかのごとき印象を与えたり、あるいはまた、総会の前日に一部の不起訴処分の結果を発表するというようなことは、仰せのように、とりようによりましてはいろいろな見方を生むわけでございまして、公平でなければならぬ検事の立場としましては、いろいろな御批判を招くおそれもあるように私も思います。この点につきましては、よく事情を調査いたしましてお答えを申し上げたいと思いますが、私といたしましては、従来検察官のあり方につきましては、あまり政治的なことを考え過ぎてはいかぬ、やはり法律に忠実に処置していくのがいいのだという考え方をいたしておるわけでございます。この株主総会の前日に発表するというようなことは、私はむしろ政治的に考えなさ過ぎた処置じゃないか。少し目を開いて、あしたが総会だというならば、そういう時期を避けるというぐらいな考慮、そういう政治的考慮を払ったほうがよかったのではないかとさえ私は思うのでございますが、その間の事情もつまびらかにいたしませんので、よく事情を聴取いたしました上で、私の意見も申し上げてお答えを申し上げたいと思います。
○田中(織)委員 ことにこの大森川のダムの問題は、最近においてイタリアであったダム決壊のような問題を幸いに包蔵しておらなければなんですが、途中から高炉セメントの使用を中止したというような事情もございます。それから建設省の関係で調べてみますると、実は、少なくとも十メートル以上の高堰堤——この大森川のダムの場合は、たしか六十メートルくらいの高堰堤であります。十メートル以上の高堰堤には、乾燥等の関係が技術的にあるのだろうと思うのですが、高炉セメントは使用しない。使用する場合においても、仕様書というものを出しまして、セメントの性格、搬入されてから使用するまでの時間等の制約があるわけでありますが、そういうことを全然やられていない。それからセメント使用法の研究費というような名目で、関係会社から数百万円の金が出ておる。これは中川社長、常務の大内さんが決算委員会に出ましたので、そういう事情が国会の記録に残っております。ところが問題のあるセメントについて仕様書をとっておらないし、しかもそのセメント会社から、研究費名目ではありますけれども、若干のというか、数百万円の金が出ておる。実際に研究のために使ったものであるかどうかというような点についても、これは疑惑に包まれておることなんです。四国電力関係については、ほかにも派生的な幾つかの事件が高松地検に係属しておる関係の事情もあろうと私は思いますので、そういうような関係におきましても、随時やはり証人の証書その他の点から、そういうような点をほんとうに時間をかけてもお調べになるということが私はきわめて重要ではないかと思うので、あわせて調査を願いたいと思います。 それからもう一つの問題は、これは警察関係と刑事局長に伺いたいのでありますが、最近、いろいろな興信所、秘密探偵社というようなものがずいぶんたくさんできておると思うのであります。こういうのは、憲法にいう営業上自由の原則に従いまして、別に許可制の卒業でも何でもございませんけれども、その活動しておる業務の内容は、結婚の場合には、ことに個人の身上についての調査であるとか、最近は、卑近な例では、手形取引等の関係で相手方の信用調査の関係であるとかいうような形の調査を、これらの興信所あるいは秘密探偵社というようなところにそれぞれ依頼をする。私らも、名前は申しませんけれども、調査を依頼したことがあります。たまたま、名称を申し上げるのもなんでありますが、帝国興信所の横浜支社で、ある会社の調査を、これはもちろんどこかの府社関係でありますが、依頼を受けたのであります。その結果、これは相手の会社は東洋機工という会社でございますが、どこが調査を帝国興信所にお願いしたかということはよくわかりませんけれども、調査をされた取引先との関係で従来の取引条件がまるきり変わってきたので、どうしたことだということになって、いわゆる興信所の調査結果に基づいて、君の会社の内容が全然なっていないということになったので、こうやったということが出ておる。そういうことでございますので、逆にある調査機関を通じまして、その興信所の調査内容というものが何であるかということを調べてみますと、まるきり資本金額から取引内容、その他について事実無根というか、若干事実との差があるというのなら問題外でございますけれども、違う内容のものが送られておるということであります。そのためにいまその調査された東洋機工が非常にピンチになっておるという事態があるわけです。その興信所の横浜支社のほうでは、非常に調査粗漏であったので申しわけない、関係者を処罰をする、あるいは調査内容について再調査をして関係方面に再報告をするからというようなことを申しておるようでありますけれども、私はその横浜支社なるものの本店は、興信所の中ではやはりおそらくトップに位する信用のあるところではないかと思うのです。そういうようなところにおいても、関係者のところへ一度も訪問した事実もございません。出てまいりましたものがそういうこと。私はこれから類推いたしまするならば、最近は中小企業の倒産が頻発しておると思うのですが、そういうことについて、あるいは銀行関係から調べるというようなことについても、その調査の対象になった会社が、そういう調査機関の、極端なことばで言えば、でたらめな報告の犠牲になっておるという事実がほかにはないとは私は考えられないと思うのです。そういうことになりますれば、これらの個人あるいは会社の事情等についての調査をする者については、何らかの法的な規制というものを、私は必ずしも好みませんけれども、考えなければならない問題も起こり得るのではないか。いろいろ身上調査等の関係から、恐喝事件というようなものが起こったという事例を、私の乏しい経験の中でも幾つか過去において記憶がございますが、たまたまそういう企業の調査の問題に関連して、そういう問題が起こってまいりました。関係者から私に訴えてまいりましたので、実はきょうそこの名前を出して、これはそれぞれの興信所などの調査機関の権威のためにも警告の意味にもなるから自分は国会で取り上げたいと思う。しかし向こうもやはり信用機関でありますから、私はその意味で何かこの事件については本社で具体的にお調べになったらどうかということの好意ある連絡もいたしておいたのですが、約束の時間までに私には一片の回答もございませんので、私はあえてこれは具体的な事実でありますから、その興信所の名前をここへ出して申し上げるのであります。この点については、この種の事件が頻発をしないということの犯罪防止の観点からもお考えを願わなければならない問題だと思うのですが、この点についての刑事政策の立場からの刑事局長の所見あるいは取り締まり当局としての警察庁刑事局長の御見解があれば伺いたい。
○竹内(壽)政府委員 ただいまお話の秘密調査、これが私企業としてもっぱら信頼を基礎としてやっておる事業だと思いますが、この種の事業の遂行の過程において調査粗漏と申しますか、あるいは不誠実な調査のために思わぬ迷惑がかかるという事例、あるいはそういう調査をして何がしかの事実をつかんだ、これは秘密にしておくべきにかかわらず、それを種に何らかの犯罪に出るといったような事例もあったやに私記憶しておるのでございますが、こういう点につきましては、刑事政策的な観点から申しましても、私は検討を十分しなければならない問題じゃないかと思うのでございます。御承知のように三百代言というようなものが弁護士法の中に禁止規定を持っておりまして、資格のない者が法律問題に介入していくことが一つの危険な、社会に害毒を及ぼすようなことになるおそれがあることでございますので、これをかたく禁止しておるのと同じように、捜査、調査というようなことは、なかなか専門家をもってしましても十分その目的を果たしがたいのでありますが、秘密という隠れみのの中にあって、たやすく事実に相違することが相手方に通告されるということになりますと、迷惑を及ぼす事例が起こってくるわけでありまして、私も刑事政策的な観点から、事態の実態をよく研究いたしまして、いろいろ考えてみたいというふうに考えております。
○日原政府委員 お話しのように興信所式なものが恐喝をするというような事例がときどきございまして、最近の大きな事件としては、一昨年東京秘密探偵社、帝国秘密探偵社の社員が恐喝したという事件で二十数名検挙したことがございます。さればと申しまして、こういう興信所の持つ社会的な効用もあるわけでございますので、まあ、いい意味での社会的な働きをしながらやってもらうことが一番望ましいことでございますが、先ほど申しました事件などで見ますと、結局、この会社に雇われておる人たちが非常に安い月給で、しかも歩合制というようなことで、勢い恐喝を働いてくる、あるいはでたらめな調査をするというような事例が非常に多いようでございます。ただいまのお話のような事案に対しまして、民事上の問題は別問題であります。また刑事政策しの問題につきましては、ただいま法務省からお話がありました。それらを別にいたしまして、私どものたてまえとしては、事件にできるものはどしどし事件にしていきたいという考え方でおるわけでございますが、先ほど申しましたような恐喝事件に当てはまれば恐喝として、あるいは虚偽の肝炎の流布ということになるような下案でありますれば、あるいは偽計というようなことになりますれば、信用棄損になる、あるいは業務妨害なり、名誉棄損なり、そういうようなものに当てはまるものは、どしどしそういう面で検挙をしていくことによってそういう悪例を一掃いたしたい。それ以外の政策面につきましては、また法務省なりその他の機関でそれぞれ考えていただく、こういう考え方で警察庁としてはおるわけでございます。
○田中(織)委員 最近、警視庁でありますか、産業スパイ事件というものが取り上げられて、すでに関係者七名ですか、起訴されたようでございまして、新聞紙上を通じて承知する限り、いわゆる企業の秘密というようなものについて、それぞれの関係者に一つの大きな問題を投げかけておると思うのでありますが、ともすれば、やはりそういうようなものの温床にならぬとも限らないという面もあります。警察庁刑事局長がお答えになりますように、興信所、調査機関というようなもの、たとえば民間のものでありましても、一つの社会的な任務を持っておるという点は、私も十分それを認めるにやぶさかではないのであります。しかし、それだけに、やはり他人の秘密あるいは会社の業務内容というようなことについて触れるわけでありますから、秘密の保持の問題と事実の適確な調査という点については、関係の業者と申しまするか、そういう調査機関の関係者は大いに自粛してもらわなければ、業務としても営業としても成り立っていかないのではないか、私はこういう点も考えるわけであります。ただいま私が指摘しました事件につきましては、いま、まるきりでたらめな調査のために、申し上げたその会社が深刻な影響を受けているという段階で、それ以上の問題には実は発展をいたしておりませんけれども、その調査結果というものが、相当広範な取引先を持っております関係で、相当広範囲に行き渡った形で、やはり全面的な影響を持ってきておりますので、あるいは名誉棄損なり営業妨害なり、そういうような関係の問題に将来発展するやもしれない問題でありますけれども、きょうの段階といたしましては、ここで私があえて当局の見解をただしたという点は、そういうところが自粛自戒して、そういう社会的な任務を果たしてもらいたいという気持ち以外にないのでございます。しかし、これに付随するそういう事案は、両刑事局長のお答えのとおり、これはやはり検察あるいは警察当局としては、絶えず配慮していただかなければ大きな問題になる可能性もございますので、今後十分配意をしていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
○松井(誠)委員 資料の要求をしておきます。 さっき私が問題にしました通達というのは、これは軽々に看過しがたい問題を含んでおると思うのです。そこで、またあらためて徹底的にひとつお尋ねをするつもりでおりますので、その資料をひとつ委員長からお取り計らいを願いたいと思います。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、結局、具体的には、在日朝鮮人の身分に関する本国法は何かということについて、いろいろ下級審が模索をし、しかも方々でいろいろまちまちな判決がたくさん、といってもそんなに数はありませんが、出ております。ですから、どういう本国法を最終的に適用したかという結論と、それから、その本国法を適用するのに、どういうことでその本国法を適用するに至ったかという、その考え方の筋道の要旨だけでも書いた資料をお願いしたいと思います。
○濱野委員長 三十四年に通牒を出しましたその以前の判決の事例ですか。
○松井(誠)委員 三十四年以前と以後も含めてです。
○濱野委員長 それはたいへんな判決になるのじゃないですか。
○松井(誠)委員 いや、そんなに数はないでしょう、まれな例ですから。
○濱野委員長 それじゃ次官、ひとつその旨を了承して、出せるものなら出してやってください、審議上必要ですから。
○松井(誠)委員 それから、事情は同じですから、在日中国人、これはやはり台湾の法律を適用するか、大陸の法律を適用するかという、これも判決があるわけです。同じですから、在日朝鮮人と在日中国人それぞれの身分に関する本国法の適用についての下級審の判決の要旨、それをお願いしたいと思います。
○濱野委員長 次官、いいですね。
○天埜政府委員 いいです。
○濱野委員長 本日はこれにて散会することとしますが、来たる十四日に次の委員会を開会いたします。 午後一時四十五分散会