農林水産委員会 第70号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1964/10/09
会議録
○高見委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 去る三日から五日間、北海道における異常低温による農作物の減収状況調査のため、現地に委員を派遣したのでありますが、この際、派遣委員より報告を聴取いたします。細田吉藏君。
○細田委員 私は、去る十月三日から七日までの五日間にわたり、北海道における異常低温による農作物の減収状況の調査をするために派遣されました委員を代表して、調査の概要を御報告申し上げます。 本調査は、災害対策特別委員会と合同して調査をいたしたのでありまして、本委員会から派遣されました委員は、栗林三郎委員と私のほか赤路友藏委員でありますが、現地において芳賀貢委員、松浦定義委員及び地元選出議員多数の参加をいただいたのであります。 まず、今回、北海道各地に大きな被害をもたらした気象状況について、その概況を申し上げます。 四月初旬は、北海道全道にわたり気温はやや高めであり、例年より融雪が早かったため、農作業は順調に進み、四月下旬から五月上旬にかけて若干の低温の日があり、水稲の発芽と稚苗の成育がおくれがちでありましたが、五月中旬からは苗の生育は回復し、移植も順調に進むという典型的な豊作型の天候に持ち直ったのであります。しかるに、六月に入るや、道東を中心として、全道各地に平年度の二倍から三倍に達する激しい集中豪雨があり、各河川ははんらんし、田畑、特に水田地帯に大被害の発生を見たのであります。七月中旬に入るや、大陸から張り出した冷たい高気圧が全道をおおい、天候は概して快晴であったにもかかわらず、気温は上がらないまま八月に入り、冷たい高気圧が去った後も、北海道南方に停滞する寒冷前線のため、雨天または曇天がちの悪天候が続き、気温は依然として低温を示し、道東及び道北地区は平年に比較して三度から四度、その他の地域においても一・五度から二度以上の低温のまま、八月下旬までの約五十日間続いたのであります。また日照時間を見ますと、全道平均で平年度の七五%、道北地区は五〇%、十勝支庁管内にありては、八月下旬の開花受精期の十日間にはわずか七時間の日照時間を記録するという、極度の日照不足となったのでありまして、この記録は、昭和二十九年及び昭和三十一年の大冷害発生の年の記録を大きく上回るという、北海道においては戦後最悪の日照記録であるといわれておるのであります。このような気象異変により、水稲をはじめ、各種農作物は激甚な被害を受けたのでありますが、さらに九月二十七日から二十八日の二日間、所によりまして二十九日までの三日間にわたり、全道は例外なく十日間も早い霜に襲われたのでありまして、その日の気温は零下三度ないし六度に下がり、結氷を見るに至り、収穫期に入らんとする水稲、豆類の完熟期が凍霜障害を起こし、追い打ち的被害を与えたのであります。その他の農作物もすべて凍霜害を起こし、特に飼料作物は甚大な損害を受けるに至ったのであります。 以上がおもな異常気象の状況でありますが、局地的には、このほか四月の降ひょう、五月の異常乾燥、六月には長雨等があり、特に長雨によってバレイショが大きな被害を受けているのであります。このように北海道の農家は、四月の融雪時から農作業を終わる晩秋に至るまでの半年の間、いろいろの災害の発生に攻め立てられ、防災のために戦い、大被害に苦しむ、全く災難の年であったのであります。 以上の災害により、被害額は、九月二十八日前後の凍霜害の被害を除き、九月二十日現在で、被害面積は七十三万ヘクタール、被害総額は四百二十八億円にのぼっているのであります。このうち、水稲は十八万ヘクタールで二百三億円、豆類は十五万ヘクタールで百十五億円、飼料作物は二十三万ヘクタールで三十二億円、バレイショ二十六億円、野菜二十一億円、てん菜九億円、果樹八億円、雑穀六億円、麦類三億円等となっているのでありますが、前にも述べましたとおり、この被害額には凍霜害による被害は加算されておらないのでありまして、現地にあっては被害調査を急いでおりますが、凍霜害の被害額は冷害等の被害額の二割から三割に達するものと推定されるようであります。したがいまして、凍霜害を加えた今次災害の総被害額は五百億円を突破することは確実と見られているのでありまして、北海道としてはまさに未曾有の災害となったのであります。 次に、調査いたしました被害地を順を追って申し上げます。 まず、十月三日は、札幌において道庁から今回の災害の総括的な説明と要望を、また道議会及び農業各団体からの陳情を聴取いたしたのであります。 翌四日は、岩見沢市において空知支庁管内の被害状況及び陳情を聴取した後、美唄市に参り、水稲激甚地の現地調査を行ない、さらに滝川市において市管内の被害状況と陳情を聴取後、十勝支庁管内調査のため帯広市におもむいたのであります。 五日は、音更町の被害を調査しながら、帯広市に参り、市民会館にて十勝支庁管内、釧路支庁管内及び根室支庁管内の被害状況及び陳情を聴取し、次いで上士幌町、足寄町、陸別町の被害地を調査し、さらに網走支庁管内の置戸町において網走支庁管内の被害状況と陳情を聴取した後、留辺蘂町の被害地を調査し、引き続き上川支庁管内である上川町に至り、上川支庁長及び管内市町村長及び農業団体から被害状況と陳情を聴取いたしたのであります。 六日は、上川町菊水地区の開拓地水稲地帯の被害状況調査をした後、上川町、愛別町、比布町、蘭留地区、和寒町管内の被害地を調査して、剣淵町に入り、剣淵町において被害状況と陳情を聴取するとともに、現地調査を行ない、さらに士別市、風連町、下川町を経て名寄市に調査を進め、名寄市においては特に上川北部二市八町村の被害状況と陳情を聴取したのであります。 七日は、米作の北限といわれる美深町の水稲の被害を調査し、音威子府村、中川町において現地調査を行なうとともに、被害状況と陳情を聴取した後、北上して留萌支庁管内の米作の北限である遠別町の現地調査を行ない、さらに天北地域といわれる天塩町、幌延町の被害地を調査いたした後、幌延町において留萌支庁管内全市町村及び農業団体から被害状況と陳情を聴取いたし、引き続き、宗谷支庁管内の豊富町を経て日本最端の稚内市に参り、宗谷支庁管内の各代表者から畑作、特に飼料作物の被害状況の説明と酪農問題、開拓問題等についての強い要望を承り、五日間にわたる調査を終了したのであります。 次に、今回の農作物被害の概況を申し上げます。 まず水稲でありますが、水稲は、生育期の七月中旬、穂ばらみ期の同下旬、出穂期の八月上旬及び開花受精期の八月中旬の、稲作としては最も大切な全期間を異常低温と著しい日照不足のうちに経過したのであります。それがため、生育期においてすでに稲の生長障害を起こし、背たけは短く、生長を押えられる半面、やたらに多く分けつする短稈多けつ型となり、現在にても水田にはそのまま出穂を全く見ないものが各所に見受けられたのであります。出穂し、幾らかの収穫を期待できるものでありましても、ことごとく短稈多けつ型の生育不良でありまして、七月中旬の冷害の激しさが現地の水稲状況から容易に想像できるのであります。さらに、その後の穂ばらみ期または出穂期には特に低い低温に襲われ、稔実不良は調査地域全域に広くあらわれ、われわれの調査いたした被害地は、収穫皆無に近い十勝支庁管内をはじめ、今年度における作柄の最上といわれる地区であっても平年度の半作を下っていたのでありまして、調査した支庁管内はととごとく完熟粒はわずかにまじっているという程度であったのであります。このような受精障害を受けた稲は、手にとって見ればわかりますが、多くの場合、外見で判別することは困難というのが常識でありますが、われわれの調査した地域の水稲は、ほとんど白穂が目立って多く、穂は黄色に色ばんでおりながら、茎がいまだに青く、または穂先がまっすぐに突っ立っているという珍現象となっているため、遠方から見ても、作柄が明瞭に判明できたのであります。このように各種災害により大被害を受けた水稲は、さらに九月二十八日前後において数回にわたり降霜を見たのでありまして、これにより、凍霜害はさらに追い打ちをかけるように、水稲被害を大きくし、穂は茶褐色に変色し、収穫皆無におとしいれたのであります。 このような被害を受けた哀れな農家は、反当たり一-二俵の収穫を得ることも困難であると知りながらも、辛苦、半年にわたり汗とあぶらとの努力の結晶により育てあげた水稲であるだけに、一粒でも多く収穫を得るため、重い気持ちにみずからむちを当て刈り取りに励んでいる姿が、あちらこちらに見られたのでありまして、切々胸に迫るものがあったのであります。 また、畑作におきましても、水稲同様に、発芽から開花期に至る間を低温に災いされたのでありまして、特に豆類にあっては着粒稔実はきわめて悪く、被害率は全道平均に見ても実に六三%となっていたのでありますが、この統計は水稲同様九月二十日現在のものであり、冷害を免れた残り三七%も、九月下旬の凍霜害でほとんどが凍傷害を起こし、枯死または腐敗を来たし、調査地においては、そのほとんどの地域は全滅状態となっており、刈り取りもしないまま捨て置かれていたのであります。 バレイショにおきましても、冷害に次ぐ八月の長雨により、土中にて腐敗したものが非常に多く、寒冷地畑作農業の主要作物であるだけに、打撃はまことに著しいものがあったのであります。また、その他の農作物につきましても、被害額に見られるごとく、被害は想像外であったのであります。 このように冷害という特殊な災害は、その防災方法もないため手の施しようもなく、また被害の発生時期も容易に判明しないため、災害対策も結果的にはおくれがちとならざるを得ないものであり、それだけに農家の心残りも多いものと思うのであります。また、これに反し、凍霜害につきましては、その発生が前もって予測できる関係上、関係農家は、降霜と同時に当局の指示に従い、またはみずから被害を最小限度に食いとめるべく、重油、枯れ草、自動車の古タイヤ等を燃焼し、燻煙作業について不眠不休、あらゆる努力を尽くしたのでありまして、被害地各地には随所にその努力のあとが見られたのであります。しかしながら、この苦労の効果もあらわれず、このような大被害となったのでありまして、まことに気の毒にたえぬものがあったのであります。 北海道の農家は、内地と異なり、水稲においても耕作の北限地であり、豆類、バレイショ、てん菜等に依存せざるを得ない営農諸条件の劣悪下にあり、昭和二十八年、昭和二十九年及び昭和三十一年の冷害等による大凶作のつめあとがいまだ消えず、支庁管内一戸平均五十万円から九十万円の大きな負債を背負って営農を維持している農家の実情であります。特に開拓者にあっては、全道一戸平均の負債は七十七万円で、本年度の収穫金により償還を迫られている負債は平均一戸当たり十四万円となっているのでありまして、生活費に事欠く被災農民の現況を考えるとき、まことに痛々しい災害と言わなければならないと思うのであります。去る三十一年に発生した冷害の際においては、被害から立ち上がり営農を続けていくことができず、離農した農家は一万戸といわれているのであります。 以上のような劣悪な条件下にある北海道の農業を維持し、再生産に励まんとする被災農家が、われわれ国政に携わる者に対する救済の期待はいよいよ大きいものがあるのでありまして、われわれはこの実情を胸に刻み、限りなき同情と、必要可能な限りの救済措置を早急に実施すべく勇気をもってこれに当たり、被災者の期待にこたえるべきであると痛感してまいったのであります。 次に、道並びに地元から各種の熱心な要望がありましたが、各位のお手元に道よりの陳情書も配付してありますので、時間の関係上、ここでは要望事項のうち、特に重要な点につきまして、調査団の意見も付しまして申し上げたいと存じます。 第一の要望は、激甚災害法に基づく天災資金の貸し付け並びに貸し付け条件の緩和であります。激甚災害法に基づく天災資金の貸し付けができる災害の規模は、農業の被害見込み額が、全国農業所得推定額のおおむね〇・五%をこえるものと激甚災害の指定基準が定められておるのであります。昭和三十九年の全国の農業所得推定額を一兆八千億円から二兆円程度の間にあるものといたしますと、その〇・五%は九十億円から百億円となりますので、北海道の今回の凍霜害を除いた九月二十日現在の被害額四百二十八億円は、当然適用されると思うのであります。したがいまして、激甚災害法を早急に適用するとともに、北海道農業の特殊性からいたしまして、災害金利といたしましては高利に過ぎるとの悪評のある天災資金の金利を、この際大幅に引き下げる必要があると思うのであります。特にこの際申し上げたいのは、融資限度額の二十五万円は少額に過ぎ、実情に合わない時期に来ていると思うのでありまして、この限度額につきましても、この機会に引き上げておくべきであると思うのであります。 第二の要望は、自作農維持資金の特別ワクの設定による貸し付けと貸し付け条件の緩和であります。今回のような低温等による災害は、公共施設等諸施設に損害を受けていないがゆえに、公共土木事業の実施が容易でなく、したがって、被害農家は救農土木事業等の実施による現金収入の道が少ないのでありまして、現金を得るためには、自作農維持資金の借り入れにたよるほかはない実情にあるのであります。したがいまして、この維持資金に対する期待が非常に大きいのであります。政府は、この際、十分被害者の要望する融資を確保するものとし、これに必要な資金ワクを設置し、早急に貸し付けるとともに、貸し付けにあたっては、個人の限度額五十万円を大幅に引き上げ、また、金利年五分についても思い切って引き下げるよう、早急に適切な措置を講じ、被災者の期待にこたえるべきであると思うのであります。 第三の要望は、開拓者に対しては、開拓者資金を貸し付けるとともに、償還の延期をされたいというのであります。前にも触れましたとおり、北海道の開拓者は、二戸平均七十七万円の負債を背負い、うち、償還期が過ぎ、返済期にあるものが、このうち平均十四万円となっているのであります。収入は年間平均四十万円といわれているのでありますが、この収入を今回の災害でその大半を失ったのでありまして、離農を余儀なくされている開拓者は相当数に上り、昭和三十一年の冷害時における離農者は一万戸といわれておりますが、政府の対策いかんによりましては、三十一年同様の非常な混乱を見るのではないかと思うのでありまして、開拓者資金の融通につきましては特段の配慮を要すると思うのであります。この際、開拓者資金の融通を受けられる開拓者の基準を、農作物の減収が七〇%以上の農家であるのを五〇%に引き下げるよう、所要の措置を講ずべきであると思うのであります。 第四の要望は、農業近代化資金等制度資金について、被害農家の要償還額のうち償還不能分について、償還猶予の措置を講ぜられたいというのであります。今回の災害を受けた農家の負債につきましては、前述した開拓者はもちろん、一般農家にあっても、三十九年度要償還額一戸当たり十万円以上のものが大多数である実情に考えをいたし、償還延期または猶予の措置を講ずるにとどまらず、据え置き期間の設置または延長を行ない、さらに再貸し付けを行なう等の措置を講じ、実質的な貸し付け条件の緩和をはかるべきであると思うのであります。 第五の要望は、被害農民に対し、現金収入の道を開くため、救農土木事業を実施されたいというのであります。第二の要望で述べましたとおり、施設被害を受けていない関係上、災害復旧公共土木事業がありませんので、今年度実施予定の土木事業及び明年度予定事業の繰り上げ実施を行なうよう、国及び道は了解事項として実施することが必要であると思うのでありまして、若干の無理はありましても、災害の実情にかんがみ、鋭意現金収入の道を開いてやるべきであると思うのであります。聞くところによりますれば、所により、土木事業として積雪下におきましても実施できる事業として、排水溝の改修及び設置、暗渠排水、客土、農道の補修、土地改良、砂利採取事業等があるとのことでありますので、政府においてもこれが実施できるよう万全の協力と措置を講ずべきでありますし、客土事業は団地事業となっているようでありますが、これをこの際一カ所五ヘクタール以上のものに分割し実施できるよう、条件緩和をするようにすべきであると思うのであります。北海道の今回の災害により収入源を失った被災農家の農業維持経営を可能にするかしないかは、一つにこの救農土木事業の適切なる実施のいかんにかかっているという印象を強く受けてまいったのであります。また、これが実施にあたっては、労賃単価の改訂を行ない、真に救農の効果があらわれるように努力を願いたいと思うのであります。 第六の要望は、農産物検査規格に特例を設け、米の下級品の政府買い上げ措置を講じてほしいということであります。現行農産物検査規格には、一等から五等までと等外上の規格がありますが、今回の北海道冷害及び凍霜害による水稲被害は、生育過程における障害が主であります関係上、青米と等外上すれすれ以下の品質が過半量を占めているのでありまして、等外中または等外下の規格を特例として設けて、買い上げの対象に願いたいとのことであったのであります。理論的には種々の意見があると思うのでありますが、農民側からの意見としては、まことに現実的かつ素朴なものでありましょうが、農業共済の収穫対象となっている目合一・七ミリ以上の米粒がすべて収穫とみなされて、共済金が差し引かれているにかかわらず、政府買い上げ規格により不適格品として除外されるということは、被害農民、あすのかてに苦しんでいるものに対しては適用しない理屈といわなければならないと思うのでありまして、同じ政府の関係制度である点を考えて、救農措置としてばかりでなく、双方一致した規格にするように何らかの措置を講ずるか、何かの関連性において納得のいく方法を考えるべきであると思うのでありまして、第五の要望の救農事業とともに、真剣な要望として全地域で陳情されましたし、われわれ調査団も、何らかの適切な措置を講ずるよう努力することを約束してまいったのであります。 第七の要望は、越冬用飼料の確保についてであります。デントコーン、燕麦等の飼料作物が甚大な被害を受け、越冬用の飼料の大半は他から購入しなければならない現状にあるのでありまして、濃厚飼料の政府払い下げ、及び牧草、稲わら等の購入費に対し特段の助成を行なうべきであると思うのであります。今回の災害を調査いたしまして強く感じましたことは、これからの農業は、特に北海道の農業は、酪農に大きなウエートを置いた農業経営に移行さすべきであるということであります。今回の災害によって受けた打撃を酪農兼業農家に見ますと、被害の打撃は大きく、営農と生活は極度に悪化はしているものの、酪農による日々の現金収入源がわずかながらも確保されておりますのに反し、水田または畑作専業農家は、完全に現金収入の道が絶たれ、その日の生活にも事欠く、全くのお手上げという気の毒な状況が各地に見られたのであります。このような災害を契機として、政府は、関係機関とはかり、農業経営の改善計画を立て、適正規模の家畜を導入した酪農農家育成に万全を期すべきであると思うのであります。 第八の要望は、昭和三十九年産米の時期別格差の適用期間の延長についてであります。冷害によりまして、生育から収穫までの期間が所により異なっておりますが、現地においては、ただいま稲刈りの最中であり、平年に比べて二週間以上収穫作業が遅延している状況であります。この際、被災農家の実情を参酌し、時期別格差の適用の最終期日を十一月十日までの二十日間延長を行なうべきであると思うのであります。 以上のほか、再生産に必要な種子及び肥料の確保と購入費に対する助成、昭和三十九年産米にかかる予約概算金の返納の猶予、共済金概算払いの早期実施及び国及び地方公共団体の税の減免等がそのおもなるものであります。 以上、調査の概要について申し述べたのでありますが、政府は今次災害の特異性を考慮され、各要望事項について慎重に検討を加えられるとともに、これが期待にこたえるべく善処されるよう強く要望いたしまして、報告を終わります。(拍手)
○林委員 お手元に御配付の要望書というのですが、われわれの手元には北海道からの要望書は配付してないのです。ですから、それは配付するなら配付してもらいたい。そういう重要な要望があるなら、われわれに早く知らせる必要があると思う。
○高見委員長 わかりました。 ―――――――――――――
○高見委員長 この際、質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
○芳賀委員 ただいま当委員会の北海道冷害調査の派遣委員を代表して、細田委員から、詳細にわたる被害状況の調査の報告と、並びにこれに対応して行なうべき重要な施策等についても、報告の中で述べられておるわけでございますが、この際、調査団の各位に深甚な敬意と感謝を表する次第であります。 現地において参加しました委員の一人といたしまして、ただいまの細田調査団代表の報告等に関連しまして、二、三問題を提起して政府の所信を明らかにしてもらいたいと思うわけでございます。同時に、聞くところによりますと、明日舘林政務次官を筆頭にいたしまして、農林省の中西官房長並びに政府各関係当局の担当者が北海道の冷害実情の調査におもむくことを承知いたしまして、まことに時宜に適せる農林省の措置と考えておるわけでございます。 そこで、第一にお尋ねしたい点は、ただいまの報告にもありましたとおり、九月二十日現在の北海道における冷害による被害の総額は、おおよそ四百二十八億と推定されておるわけでございますけれども、その後、九月の二十八日、九日に及ぶ強度の凍霜害によりまして、被害の度合いはさらに総額に対して二〇%ないし三〇%上回るということが確認されておるわけであります。そうしますと、被害総額は、推定いたしますと五百数十億に及ぶことは必至であります。このように北海道の地域において五百億をこえる農作の被害が生じたということは、昭和三十一年の全国的な冷害に比べても決して劣らない被害の度合いであるということを私たちは痛感しておるわけです。したがって、このような激甚な農作上の災害というものは、たとえば現在国の制度における災害対策基本法、あるいはまた災害基本法に基づく激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律並びに天災融資法等の制度にこれを照らした場合において、政府としてはこれらの制度の適用というものを北海道の災害の実情に合わせた場合に、どのように判断され、あるいは対処されんとしておるか、その点について明らかにしてもらいたいと思います。
○舘林説明員 先ほどから細田視察団長の御報告も承りましたし、また要望等についても詳しく承りました。また、ただいま芳賀委員から、北海道としては未曾有の被害につきましてどう思うかという御質問でございます。全く今度の北海道の被害は未曾有のことでございまして、せっかく本年はすばらしい豊作、史上最高の豊作と期待されておりましたが、二十号台風とかあるいは北海道の冷害で、夢のごとく消え去ったことは非常に残念に思います。したがって、農林省といたしましては、今日ほんとうに最大限の力をあげて北海道の救済に当たりたい、かような気持ちであります。いまお話のとおりに、災害に対しましては、災害対策基本法はもちろんでございますが、天災融資法あるいは激甚災害についての特別法というようなものがございますし、かような適用につきましては、十月の月末に大体農林省の統計調査部で正確な被害がわかりますから、そのときに最後的な決定をいたしますけれども、いまお話のように、これから先も被害が相当ふえましょうし、現在のところ、統計調査部の被害状況、被害額は三百二十七億でありますけれども、今後さらにふえるだろう、あるいは芳賀委員のおっしゃいますように五百億になるかもしれません。したがいまして、十月月末に天災融資法の実施を決定いたしますけれども、ここではっきり申し上げることができますことは、天災融資法もはっきりと適用いたします、激甚法もはっきり適用いたしますということはお約束できると思います。さようないろいろ特殊な特別法の適用も行ないますし、また、開拓者への資金融通とか自作農維持資金の融資とか、あるいは制度金融の償還の延長とか、そんないろいろ金融上やらなければならぬことがたくさんありますが、かような問題につきましても、最大限度に私たちは努力いたしまして、北海道の苦しい農民の気持ちにこたえたいという気持ちでございます。
○芳賀委員 政務次官の熱意のほどはおおよそ了承したわけでありますが、そこで、もう一歩具体的に、ただいまの細田団長の報告を尺度とした場合、たとえば災害対策基本法の第二条には災害の定義がなされておるわけでありまして、私の判断によると、この異常な冷害、低温等による農作災害というものは、第二条の異常な自然現象による災害というふうに判断すべきものと考えるわけでございますが、これに対する政府の所見を明らかにしてもらいたいわけであります。したがって、この基本法に基づいた激甚災害に対する財政援助法の適用については、たとえばその第二条で、激甚災害の政令による指定の規定があるわけでございます。この点については、先ほど細田団長の報告にもありましたとおり、当該年度の推定総農業所得の〇・五%以上その地域において損害が生じた場合においては指定を行なう、こういうことになっておるわけでございますので、当然これに該当するということは、疑う余地のないことであるというふうにわれわれは考えておるわけでありますが、この点に対する政府の判断、さらにまた、この激甚災害財政援助法には、天災融資法の特例措置がその第八条に規定されておるわけでございますが、激甚地域に政令で指定された場合には、これらの天災融資法あるいは地方財政に対する援助措置等は当然適用になる、こういうふうにわれわれは考えておるわけです。また、政務次官が現地におもむかれた場合には、おそらく現地の地方団体、被害農民あるいは関係団体の強い要望がこの点に集中されるというふうに考えられますので、この点について、重ねて政府の見解というものを明確にしてもらいたいわけであります。
○舘林説明員 災害基本法にいう異常の災害であることはもちろんでございますし、また天災融資法に掲げております国民経済に重大な影響を及ぼす災害であることは申すまでもない。これは決して一北海道の問題ではないわけでございまして、ほんとうに国民経済に最も重大な影響を及ぼすものと私は考えております。さような意味で、具体的な問題につきましては、あともし御質問でもございましたならば、主管課長からお答えいたさせたいと思いますが、とにかく法律に基づく最大限度の処置を講じたいという気持ちでおります。
○芳賀委員 ただいまの次官の答弁で、およそ御趣旨のほどは了承いたしました。 次にお尋ねいたしたい点は、これは北海道に行かれた場合直ちに当面する問題でありますが、細田団長の報告あるいは施策として行なうべき事項にも指摘されておるわけでありますが、米の共済事業の損害評価等が現在もうすでに完了に近づいておるわけであります。それとまた、いま次官の発言にありましたとおり、統計調査部における水稲の実収の調査、あるいはまたこれに関連して、食糧庁の食管法に基づいて買い上げるべき米の検査規格の問題等が同時的にどのように善処されるかということが、最大の期待であり、注目の的になっておるわけであります。特に今年の水稲の被害の特徴は、生育が非常に遅延してまいりまして、平年に比べて約二週間以上生育が遅延しておった。したがって、九月二十七日、八日にかけての強度の凍霜害というものが、この遅延しておった水稲の生育を停止させ、枯死の状態に追い込んだわけでございます。したがって、そのような生育がとまり、枯死したような状態から収穫される米の品質あるいは内容というものは、おおよそ想像がつくわけであります。これに対して、たとえば共済制度による損害の評価については、経済局長の通達による損害評価基準要領に基づいて査定をしておるわけでありますが、これは収穫されるいわゆる玄米の規格については、一・七ミリの目盛りのふるいにかけて、そのふるいの上に残る米がいわゆる収穫量ということになっておるわけでありまして、この数量と、農家が共済の契約を結んで、基準反収に基づいて契約したその数量との比較によって、損害の度合いが何%であるかということが損害評価として決定されるわけであります。したがって、この共済制度によると、一・七ミリの目盛りのふるいの上に残った米はすべて収穫量とみなすわけであります。損害の対象にはこの分はならないのであります。もう一方、政府の統計調査の実収調査についても、大体この共済の損害評価と同様の方法によって、もちろん坪刈り等が中心になるわけでございますが、認定されておるわけです。このやり方は大体共通しておるわけでありますが、ただ問題は、この共済制度のもとにおいて、あるいは統計調査部の実収の認定の中において、その農家は反収どれだけとれるということが認定された場合であっても、その収穫されたとみなされる米の全量が政府の買い上げ米の対象にならないというような実例が、ことしは生じてくるわけであります。先ほど中山調査員からその標本をそちらにお上げしておると思うわけでありますが、それを政務次官におかれましてもしさいに検討されると、これは一目瞭然であります。したがって、問題は、この共済制度あるいは統計調査の結果に基づく米の実収量というものが、その収穫された米全体が政府の買い上げ対象になるということであれば問題は生じないわけでありますが、ここに大きな差異が生じてくるわけです。これが今年度の北海道における、特に水稲の冷害における特徴といわれるわけでありますので、現地の生産者は、これに対して一日も早く政府の方針というものを明らかにして、これに対応する措置を講じてもらいたいということを強く要望しておるわけでありますし、われわれ調査に参加した者といたしましても、これは当然国の制度のもとにおいて、統一された方針によって解決すべきものであるというふうに考えてきたわけでございますけれども、これについては、政務次官はもちろんでございますが、担当の経済局長あるいは統計調査部長、食糧庁のそれぞれの担当者から、この取り扱いについての責任ある見解というものを明らかにしてもらいたいわけであります。
○舘林説明員 いろいろ御質問がありました。青米の買い入れの問題とかあるいは等外の米の買い入れの問題等、御質問がありましたが、いまお話しのとおり、私たち農林省の一行は明日から出張いたしまして、現場をつぶさに見るつもりでございまして、ぜひいま芳賀委員の御趣旨のとおりにいたしたいと思います。なお、詳細につきましては、買入課長その他からお答えいたさせます。
○宗像説明員 ただいま政務次官から申し上げましたように、食糧庁からもそのほうの担当の検査課長がおともしてまいりまして、いただきましたサンプルは少量なものですから、東京では内容的にはなかなかわかりかねますので、われわれのほうで現地にまいりまして、多量のものをある程度精米をしたり、いろいろやりまして、その利用価値というものなどを検討いたしまして――従来あります等外上のもの、これはすでに買い上げをいたすようになっております。それからいろいろな規格外も買い入れをいたすようになっておりますが、そういうものでどういうふうに救えるか救えないか、あるいはどういう利用価値のものだからどうしたらいいかというようなことを、今度現地へまいりましてよく見せてもらいまして、それからやりたいということになっております。
○久我説明員 統計の場合の実収量の出し方でございますが、確かに一・七ミリのふるいでふるいましたものを基準にするということでやっております。御承知のように、毎年毎年の収量を比較いたします場合に、基準をやたらに変えますと比較できませんから、そういうものを基礎にいたしております。しかし、被害が激甚になりました場合には、本年に限らず、従来から、いま先生のおっしゃいましたふるいでふるいまして残りましたものの中で、なお被害粒と考えられるものを取り除きまして実収量にするようにいたしておりますから、北海道につきましても、今年は特にその点につきましては注意をしてやるようにすでに指示してありますし、そのようにいたす所存でございます。
○安藤説明員 ただいまの問題、この間農林省内部で相談いたしまして、実はこの問題が出たわけです。それで、食糧庁のほうと共済組合関係の保険課のほうと相談いたしまして、その間に矛盾のないように研究しようということを申し合わせました。細部につきましては、先ほど政務次官がお答えいたしましたとおり、政務次官以下の調査団が北海道にまいりますので、現地をつぶさに見た上で処置いたしたい。結局、先ほど御指摘のように、矛盾があれば困りますので、その点はないように措置いたしたい、かように考えます。
○芳賀委員 これは非常に大事な点なんです。たとえば調査報告にもありますけれども、上川支庁管内の名寄市におきましては、現地において刈り取った乾燥した稲を脱穀いたしまして、そのもみをもみすり機にかけて、そしてたとえば一・七ミリのふるいあるいは二ミリのふるいにそれを実際にかけてみたわけです。その場合、大体共済の損害評価で認定されたいわゆる一・七ミリ以上の分については収穫量とみなされるわけでございますが、これはおおよそ二俵半程度の収穫とみなされたものでありますが、それをもみすり機にかけて一・七ミリのふるいにかけた場合は、そのうちの大体二〇%程度が一・七ミリのふるいの下に落ちるわけです。さらにこれを平年時における検査等級の規格に照らす場合には、大体二ミリの目盛りのふるいにかけた場合、その全体の八〇%程度が二ミリのふるいにかけた場合には下に落ちてしまうわけです。そうすると、規格米にはほとんど入らないというような、そういう事実をわれわれは確認してきたわけです。そうしますと、従来のようなやり方でいくと、統計調査部あるいは共済制度の中で、実収がこれだけあったということを一方的に判断されても、その収穫された米というものは、全量その部分がすべて政府買い上げの対象になれば問題はないわけですが、そのうちのあるいは三割、五割が規格に入らない、対象にならぬということになると、これはゆゆしい問題になるわけであります。統計調査部が調査した場合であっても、共済制度で調査した場合においても、収穫された米というものは、現在の食管制度のもとにおいては、人間の食糧に供される米であることには変わりはないはずなんです。それが米としてとれたと認定されたものが国の買い上げにならないということになると、一体その取り扱いはどうなるかということは、これは政府の責任においてもゆゆしい問題になると思うわけであります。ですから、この点は、統計、共済、政府の買い上げの三者の国の行政的な取り扱いあるいは米の買い入れ業務の扱いというものを、統一して一本の尺度でこれを扱うということにしない限り、問題の解決はできないわけです。これは従来にはこういう例はほとんどないわけです。特にことしの強度な凍霜害による結果として、こういう異例な現象があらわれたわけでありますが、これは政府、政務次官はじめ各経済局あるいは食糧庁統計調査部も行かれるわけでございますからして、前向きに現地においてその実情というものを十分判断して、そうして迅速な方針というものを決定してもらわないと、やはり北海道においても十月下旬には雪が降るわけですから、どうしても今月中に収穫を完了しなければならぬということになると、そのあとで統計の実収調査とか損害の再評価というのはできがたいわけでありますので、この点はぜひ舘林政務次官におかれても強く念頭に置かれて、現地において十分な調査と判断の上に立って、統一ある方針というものを明らかにきめてもらいたいというふうに考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
○舘林説明員 明日から参ります一行はそれぞれ責任者でございまして、私といたしましては、そこでただ調査研究するという回答をしたくはありませんし、なるべく現地の実情に即してそこで解決するものは解決いたしたい、かように考えております。
○芳賀委員 さらにこれに関連して、たとえば政府と契約しました米の予約売り渡しの問題等についても、収穫遅延の関係上、ほとんどまだ政府に対する販売の行為が進んでないわけです。したがって、北海道等においては、以前は早場地帯とも言われたわけですが、いまの時期別格差の奨励制度に照らした場合、すでに九月末までの第一期は終わり、第二期は十月十日までが第二期の終了日となっておるわけですが、この一期、二期は北海道においてはほとんど米の出荷が行なわれていないわけです。この時期別格差の対象になる最終の第三期も十月二十日までということになっておるわけでありまして、平年でありますと、この第三期にほとんど集中して八〇%以上が完了するわけでありますが、本年度はこの第三期においてもほとんど出荷の数量というものは大きく期待できないわけです。そうしますと、冷害の被害に基づいてたとえば米の質が低下しておるとしても、政府に売り渡す場合、このせっかくの時期別格差の恩恵さえも浴することができないということになれば、これに対してもやはり適宜な救済措置というものが講ぜられてしかるべきであるというふうに考えておるわけであります。 これらも現地において実情を十分調査していただけば判明することでございますが、現地の強い要望等といたしましては、せめて第三期の一石当たり二百円、一俵わずか八十円でございますが、この分については、平年度政府に売り渡しができた数量部分程度は対象になるようにしてもらいたい。それを行なうためには、この第三期の時期別格差の期限を少なくとも二十日間程度は延長をしてもらわなければならぬという強い要求があるわけでございます。そういたしますと、大体十月二十日に第三期が終わるわけでありますけれども、二十日というと、おおよそ十一月十日ごろまでに出荷されたものについては、この第三期の奨励金の恩恵に浴することができる。このくらいの配慮は政府として進んで――これはおみやげというわけではありませんけれども、できれば舘林政務次官から政府を代表して、現地においても政府の意のあるところをぜひお示し願いたいと考えるわけでございますけれども、いかがでございますか。
○舘林説明員 時期別格差の問題につきましては、先般長野とか福島その他全体で四県にわたりまして、第一期の供出の時期を三日間延長したのでございます。しかし、そのときも、北海道をどうするかということをいろいろ研究いたしましたが、北海道については早場米がない、第一期がないということで、今日見送っておるわけでありますけれども、いまお話のように、北海道は第二期、ことに第三期が多いというたてまえから、当然これを延長いたしたい。ただ、その日をどのくらいにいたしますか、十月二十日をどれくらい延長いたしますかということにつきましては、現地の食糧事務所の意見とかあるいは知事の意見等を勘案いたしまして、皆さん方の御期待に沿うようにいたしたいと思います。
○芳賀委員 最後に、あと二点だけ申し上げまして、本日は終わらせたいと思いますが、その一つは、おおよそ五百億に及ぶ損害というものは、五百億円の農業上の所得というものが喪失するということになるわけです。北海道において農業所得が五百億減少するということは、農家にとっては致命的な打撃であることは言うまでもないわけです。したがって、この際、脱農を防いで明年度の再生産を意欲的に持続してもらうためには、やはりその間における農家の現金収入あるいは所得確保の道を政府として開いてもらうことは、当然なことであるというふうに考えるわけであります。従来も災害対策の一環といたしまして、各地において救農土木事業等が興された前例は多々ありますけれども、われわれの判断あるいは現地の要望としては、この際土地改良事業あるいは農業基盤の整備事業に重点を置いて、たとえば客土事業であるとか、あるいは暗渠の事業であるとか、その事業を行なうことによって明年度以降農地を整備し、あるいは農業の生産基盤が強化されて、生産力が高まるというふうな、そういう施策をあわせてこの際救農事業として行なってもらいたい。あるいはまた冷害を今後防止するためには、どうしても水田のあぜを高くして、そうして深水、温水のかん水をすることによって水温あるいは気温の上昇をはかることが、冷害防止の対策上非常に効果的な問題であります。したがって、これらの事業等についても、この際、現地の希望あるいは農林省としても前向きの救農事業を興すという考え方の上に立って、方針を立ててもらいたいと思うわけでございますが、この点につきましては、農林省並びに北海道を担当する北海道開発庁としても、いかような救農事業に対する根本的な考えを持っておるかという点について明らかにしてもらいたいわけであります。
○舘林説明員 救農土木事業につきましては、現在北海道庁並びに北海道開発庁で一応試算として希望されておりますのは、総額で十二億でございます。そのうち七億だけは、既定予算の執行とまだ着手しないものの早期着工というようなことで実施いたしたいと思いますし、その他五億円の問題は、これは道並びに市町村の単独事業でございますが、これは起債等の特別便法を講じまして、すみやかに着手いたしたい。と同時に、いまお話のように、恒久的な対策と当然関連さすべきでございまして、あるいは開拓道、林道の問題、あるいは農道の問題、あるいは土地改良の問題等ありましょう。かような問題につきましても、現地の事情等勘案いたしまして、いまの芳賀委員の御期待に沿いたいと私たちは考えております。
○芳賀委員 最後に、対策の一環としての金融措置、並びに特に畜産地帯における飼料対策等についてお尋ねしておきたいわけでありますが、冷害対策の金融措置としては、もちろん天災融資法はじめ、あるいは開拓者に関する金融の措置、あるいはまた激甚災における金融の特例措置等があるわけでございまして、これらの金融措置は、その被害農家の被害の実情に応じて、当然政府としては手当てをされることに間違いのないところでありますが、もう一つは、先ほどの細田団長の報告にもありましたとおり、特に北海道の農家の特徴としては、固定負債が非常に多いという点であります。平均的に一戸当たり五十万、あるいは開拓においては七十万というような実情でありますので、これらの年賦償還の延期等はもちろんでございますけれども、天災融資法等の少額な金融だけではこれは解決ができないわけでございますので、でき得ればこの際、農家の経営維持をはかり、農家経済をこの際最低限度にささえるために、やはり国の制度としては、現在あります自作農維持資金等の措置というものを、ワクが足らなければ、当然十一月の臨時国会において補正措置等を行なうことにして、強力に、この自作農維持資金あるいは農地取得のための自作農創設資金等についても、従来の消極的な態度を捨てて、積極的に、北海道における被害農家が農業を守り、農地を維持し、そうして来年度の再生産に意欲を燃やして進めるという、そういう金融的な措置というものが必要なことになるわけでございますので、この点に対するお考えを聞いておきたいわけであります。 もう一点は、今回の冷害の実情を調査した場合に、報告にもありますけれども、たとえば十勝地方、根釧地方、あるいは網走支庁管内、あるいは上川支庁管内北部、あるいは天北地帯といわれる宗谷支庁管内、留萌支庁管内の畑作を重点とする地帯の冷害の実情については、豆作を中心とする地帯において非常に致命的な打撃を受けておるわけでございますが、これらの問題についても、政務次官一行が視察をされればわかることでありますが、ある町村のごときは、耕作面積八千町歩のうち、六〇%も豆作に依存しておるというような経営の実態も実はあるわけでございます。これは豆が豊作で価格がよければ、大きな所得をあげることができるわけでございますが、一朝今年のような冷害に遭遇したような場合には、農家の経済が根本的に破壊されることは必然であります。ですから、当面の問題はもちろんでありますが、今後の冷害対策を恒久的な計画を立てる場合においては、やはり畑作地帯における営農の形態というものに対しても、この際再検討を加える余地のある分については、政府としても適切な指導を加える必要があると考えるわけであります。あわせて、これと異なって、三十一年当時の冷害以降、すでに自覚して営農の形を転換した農家の場合においては、大部分が畜産農業を主体とし、あるいは酪農の経営形態に入っておるわけです。ですから、そういう地帯は、以前は一朝冷害がきますとたちまちどうしようもないような状態になるわけでございますが、それらの地域に行ってみますと、すでに乳牛の一戸当たりの飼養頭数にしても七頭あるいは八頭というような、そういう平均的な飼養頭数が増加しておるわけであります。もちろん、これらの農家も被害を受けていないわけではありませんけれども、酪農を中心とし、畜産を主体とした経営に入った農家の場合には、今次の冷害に対する抵抗力が非常に高まっておる。そういうことが実は特徴的に明らかになっておるわけであります。七頭あるいは八頭の乳牛からは毎日牛乳が生産されるわけでありますから、毎日毎日の最低生活を維持するということはどうやらしのげるというような実情であります。ですから、この点に思いをいたした場合に、北海道における畑作地帯、特に将来畜産農業、酪農業に切りかえるべき条件を整えた地帯については、単に当面の対策ということではなくて、将来恒久的なゆるぎない農業の形態というものを確立させる積極的な政府の方針というものを、現地においても明らかにしてもらいたいと私どもは考えておるわけでございますので、この点に対する政府の見解を示してもらいたいわけであります。 同時に、これらの地域は長期間にわたる長雨あるいは湿潤によりまして、自給飼料、いわゆる牧草とか飼料作物の収穫が完全に行なわれていないわけであります。したがって、自給すべき飼料が確保できない農家が非常に多いわけでございますので、これらの畜産農家については、当然飼料対策、飼料の不足分に対する確保対策並びに濃厚飼料の確保等に必要な資金上の措置等についても、積極的に政府の援助措置が必要であるというふうに痛感されるわけでございます。この金融上の措置の問題とあわせて、畑地帯における今後の農業経営の転換の基本的な対策の問題あるいは酪農家の飼料対策の問題等について、主要な点だけでいいですから、政務次官から明快に答弁願いたいわけであります。
○舘林説明員 北海道の農業につきましては、私まだしろうとでございますが、農業技術の非常な進展のために、内地と同じような農業形態が非常に進んでおるのじゃないか。しかし、こんな異常な冷害ということを考えますと、やはり北海道は北海道として独特の寒地農業の確立ということは、私は非常に大事だと思います。先日も参議院におきまして、赤城農林大臣が、北海道につきましては特殊の一つの営農の形態を立てなくちゃならないということを言っております。また、農林省といたしましても、北海道につきましては、寒地農業並びに畜産の振興ということにつきましては、内地と異なった特別の措置も今日までとってきておるわけでございまして、この冷害ということを、いわば禍を転じて福となすというような意味から、北海道につきましては、これから先も芳賀さんがいまおっしゃいましたように、ひとつ特別の指導をやることが必要だと私思っております。いずれ現地を視察させていただきまして、また私の所感等はあらためて申し述べさせていただきたいと思います。
○芳賀委員 もう一つ申し上げておきたいことは、畑作物に対する共済制度が今日まだ確立されていないという点であります。ことしの場合、北海道におきましては、水稲が全損の場合、収穫皆無の場合には、選択による掛け金の度合いにもよりますけれども、おおよそ最高は、皆無の場合には一万八千円程度共済金が交付されることになるわけです。ところが、畑作物の場合は、全滅しても、三分作であっても、全然国の共済制度がそこに手を差し伸べていないわけです。この点については、昨年まで毎年のように、共済制度の検討の場合、あるいは根本改正をいたしました共済制度の附帯決議の場合においても、すみやかに畑作物については、あるいは果樹等もそうでありますが、共済制度を確立して、畑地帯における主要作物あるいは果樹等につきましても、この共済制度を及ぼすべきである、こういうことに国会の方針も附帯決議として明確になっておるわけであります。これに対して政府としても、できるだけ検討を進めて実現を期したいというような態度を示されておるわけでございますが、こういうような激甚な災害が生じた場合には、何としても共済制度があるのとないのとでは大きく違うわけでありますので、こういう点についても、農林省は北海道に対して三カ年間にわたるいわゆる畑作共済制度の実験を委託して、この結果というものはすでに出ておるわけです。したがって、これらの実験の結果等を参考にして、すみやかに畑作共済等についてもその実現に当たるようにこの機会にすべきではないかというふうに考えるわけでございますが、この点についても次官の明快な答弁をお願いしたいわけであります。
○久宗説明員 畑作物の共済につきましては、ただいま御指摘のございましたように、たびたび御要求もあり、私ども畑作物についての何らかの措置が要るということで、鋭意検討を進めているわけでございます。おことばにもございましたように、相当の年数もたっておりますので、資料もやや整いつつあるわけでございますが、技術的に非常にむずかしい問題がございまして、また一部には希少物資であるものもございます。さような点で、委託との関係で非常に割り切りにくい問題があるわけであります。さようなことで基礎的なデータが集まるに従いまして、やや専門的な分析も含めまして、いま鋭意検討しているわけでございます。まだお答えできるところまでいっておりませんので、非常に申しわけないと思っておりますが、ただ、非常に困難があるということを痛感いたしておるわけでございます。できるだけ早く問題を整理いたしまして、具体的に御返答できるようにしたいと思います。
○芳賀委員 経済局長は困難であると言われても、すでに漁業関係については、漁業災害補償法というものが先般の国会で成立しておるのです。ですから、国が法律として制定した漁業災害の内容と、まだ実現を見ておらない畑作共済とを比較した場合は、いずれが運営上困難かというと、当然これは漁業災害の制度の運用のほうが困難性が多いと思うわけです。それさえも政府が提案し、あるいは国会で修正して、もう制度としてこれは発足さしておるわけですから、畑作共済が困難です、困難ですといって、いつまでもこれを放任しておくことはできないのです。ですから、すみやかに結論を急いで、少なくともこの次の通常国会等には成案を得て、やはり現在の農災法の改正の中にそういうものを打ち出すべきであるというふうにわれわれは考えておるわけですけれども、その点は、久宗さんも責任を持ってやるということくらいここで言明しておいたらどうですか。その程度のことは……。
○久宗説明員 時期の点をはっきり申し上げられないのは非常に残念でございますが、ただ、御指摘のように、漁災との関連で割り切ってもいいのじゃないかというお話もよくわかるのでございますが、多少地域問題も入ってまいりますし、畑作関係につきましては、一般的な漁業共済とも違うような点もあるように思いますので。若干慎重を期しておるわけであります。鋭意検討をいたしますが、もうしばらく御猶予をいただきたいと思います。
○中澤委員 関連して一問。 いま芳賀委員からも触れられたけれども、ことしは二十号台風以後の天候が御承知のように非常にくずれているわけです。現に第一期四県は三日間だけ延期したが、三日間延期しても、ほとんど長野県の場合なんか出ていない。そこで、実は政務次官に初めてお目にかかりますが、だいぶ歯切れのいい御答弁をなさっておりますが、本日私は大蔵省へ行って澄田次長や諸君に会って、二期がこれだけ出ないのならば延ばしたらどうだというお話をしたところが、農林省から何にも言ってこないと言うのです。これでは一体農林省は何のための農林省かと私は言いたいのです。これだけ多くの全国の農民が、新潟、長野はじめ福島、山形等、いま多数の陳情者が東京へ来ておる。そして何とかして二期を延ばしてくれなければ、いまの供出状況じゃどうにもならない、こういう陳情が各県から続けられておるにもかかわらず、大蔵省のほうへ農林省から何にも言っていかないということは、一体どういうことか。これはいま政務次官にお聞きしても、政務次官は事情はわからぬかもしれませんが、そういうことで、私は、農林省がほんとうに農民のために努力しているかどうか、疑問を持ったわけです。この点は、きょうは食糧庁来てないようですが、とにかく政務次官ひとつはっきりとしていただきたい。同時に、この天気状況が続くならば、これは芳賀委員から出たように、北海道はもちろん内地と差をつけて、一カ月くらい延期しなければいかぬと私は思っておる。内地もこの天候が続く限りは、第三期においては相当大幅延長をやらなければならない、こういうふうに私は考えておるわけですが、きょう実は大蔵省へ行ってがく然としたのです。農林省から何も言ってこない、担当省が言ってこないのに、私のほうでかってにやるわけにはいかぬと言う。そんなばかなことはないと私は思うのですが、そういう点、食糧庁はだれも来てないようですが、もう少し熱意を持ってもらいたい。長野県が特に出が悪いのです。五日現在で締め切った先ほどの食糧庁の報告で、昨年が三十万俵ちょっとこえておるのに、まだ十万俵いかない。新潟県もだいぶ悪いようです。だから、その点において、政務次官がひとつ役人諸君を激励して、とにかく大蔵省で、これだけ農民が騒いでいるのに、担当省が言ってないなんという、そういうぶざまなことはしないように、今後御注意をしてもらいたい。これが一点。 それから、これは国会運営の問題で委員長に要望したいのですが、実は先ほど陳情者が来て、一体これは災害特別委員会へ行くのがほんとうなのか、農林委員会へ陳情に行くのがほんとうなのかという意見がある。これは実は前の台風や総合災害のとき、災害特別委員会というものをつくったわけですが、今度の北海道の場合など農業災害が圧倒的に多いのだから、いままでのいろいろな経過、いきさつ等から、やはり農林委員が真剣に取り組まないと、これはなかなか前進しないのじゃないか。そういう点について、災害特別委員会と農林委員会が、この大冷害、二十号台風、これらのものをからめて、どういうふうにしたらいいのか。まあああいう制度をわれわれが国会でつくってしまった以上、災害特別委員会が中心になるのだといえばまたそうだと思うのですが、その辺は今後の運営上一体どういうふうにしたらいいのか。災害特別委員会とこっちと両方で、そうして役人の諸君は両方へ出て適当な答弁をしているが、ちっとも前進しないという形は、実はことしの春の凍霜害で出たんですよ。私も災害特別委員会へ行って凍霜害をやり、農林委員会でもやったが、どっちも中途はんぱで、ちっとも前進しない。あの委員会というものをどういうふうにするのか。まあ建設とか学校、文教、台風などという場合は、総合的に幾つかの委員会にかかりますから、この場合私は災害特別委員会で総合的な大臣に出てもらってやるのがいいと思うが、しかし、今度の災害の場合、私はやはり農林委員会が責任を持ってこれをやってやる、こういう態度でなければいかぬと思うのです。この点はひとつ中山災特委員長と高見委員長が話し合って、運営上の問題ですが、十分協同歩調がとれるような態度で、この未曾有の北海道の大冷害に取り組んでいただきたい。これは委員長に対する要望でございます。 先ほどの第一問は、政務次官のほうから一応御答弁を願いたいと思います。
○舘林説明員 時期別格差の第二期以後の繰り延べにつきましての御質問でございますが、大蔵省に対しましてまだ交渉してないというようなことはないと私は思っております。現に昨日も夜おそく私は食糧庁長官を呼びまして、ぜひひとつ、北海道その他の希望があるから、できるだけ延長するようにということも指示した次第でございまして、その点は御注意の点十分注意いたしております。
○高見委員長 中川一郎君。
○中川(一)委員 オリンピックの非常にめでたい時期に、みんなうきうきしているときに、こんな質問をしなければならぬことを非常に遺憾とするものでありますけれども、先ほど細田委員から御報告がありましたように、北海道の冷害は深刻そのものであります。集中豪雨、さらに低温による冷害、それから湿潤、日照不足、それから最後にきめ手となったのが霜害、そして凍害、もう踏んだりけったりの状況であります。被害総額は約五百億と推定はされておりますけれども、それは平均的な数字でありまして、これが個々の農家あるいは農村に入ってまいりますと、全くゼロ、壊滅的現況であります。この点について、ただいま芳賀委員から、天災融資法あるいは激甚災害に対する処置あるいは米の問題について触れられました。しかし、これだけでは解決をいたしません、そのほかに開拓者資金の問題もあります。これも千戸がもう逃げていかなければならぬ。戦後はなばなしくやりました開拓も、いまや情けないことに、千戸の人はもうどうにもならないという苦しい状況であります。これらに対して一体どうするのかという問題、あるいは自作農創設維持資金を、これも三十万限度でありますが、これを五十万にしていただく、その資金は一体あるのかどうかというような点、あるいは制度資金の償還猶予ができるという話でありますが、具体的にそれはできるのかどうか。それからまた、再生産のための種子の購入、これも行なって見ていただけばわかりますけれども、ここにありますように、もう種切れ、アズキなどはもう種を求めることすらできないのじゃないか。一俵一万円といわれておりますが、今度一俵一万円のはね返りは、種を買うときに農家が苦しまなければならぬというような状況であります。聞くところあるいは資料によりますと、三分の一の補助だそうでありますが、三分の一の現行補助ではどうにもならない。どうしても三分の二あるいは全額いただかなければいかぬ、あるいは農業共済金の早期支払いの問題もしなければならぬ、あるいは越冬用の飼料もない、いろいろやらなければならぬことが一ぱいあります。この点については、すでに農林省がもう各方面から聞いておられて、私がここで申し上げるまでもないことだと思っております。そこで、北海道へ参りますと、いろいろ調査団は来るけれども、一体どうなっているかわからないという現況でありますので、ひとつ懇切丁寧に、農林省が御研究あるいは御検討いただいた総まとめを、この機会にお答えを願いたいと思います。
○舘林説明員 まず第一に、明日からの私たち農林省の一行の視察につきまして申し上げたいと思います。 特に責任者の方をあとから連れてまいりますのは、検討するとかあるいは研究するとかいう問題を最小限度にとどめて、ぜひひとつその場で即決したいという意気込みで参りたいと思います。なるべく道民の希望に沿うように、これから先の立ち上がりに沿うような気持ちで参りたいと思います。どうぞひとつ皆さん方、よろしく御指導願いたいと思います。 なお、具体的な金融の問題について御質問がありましたが、先ほど芳賀委員からの御質問に対しましてもお答えいたしましたとおりに、一番大事な天災融資法並びに激甚災害法につきましては、必ずこれは適用いたすつもりであります。ただ、適用の時期につきましては、十月の三十一日に統計調査部で正式の被害額がわかりますから、それに基づいて、中央防災対策本部でございますか、防災会議でございますか、これにかけまして、正式に決定いたしたいと思います。 なお、開拓者の資金融通の問題、あるいは自作農維持の資金融通の問題、あるいは制度金融の償還の猶予の問題、かような問題につきましては、それぞれ関係の部課長からお答えいたしたいと思います。 なお、農業の再生産を確保するために、種子の問題とかいろいろあるわけでございまして、こんなものにつきましても、明日から出張いたしまして十分に研究いたしまして、みな、いま中川委員のお話しのとおりに、地元民の御期待に沿うことをお誓いいたしまして、私の答弁にかえたいと思います。
○中川(一)委員 最後にもう一点、今度の冷害でつくづく感ぜられますのは、北海道の農業が曲がり角にきておるということであります。それは、米の場合については共済制度あるいは特別会計等でめんどうを見る制度がありますけれども、そういったものが北海道等の畑作については全くございません。その結果何が残っておるかというと、千億あるいは千五百億にのぼる負債がある。非常に苦しいところに今度の冷害でありまして、これを機会にひとつ、先ほど芳賀委員からもお話がありましたが、北海道の農業をどうするのだというよりは、日本の畑作農業をどうするのだということについても、農林省当局はこの機会によく御検討願いたい。この点は先ほどお話がありましたので、この点も舘林次官が現地に行かれましたら、よく見てきていただきたい。これは要望といたしまして、私は時間がございませんので、質問を終わります。
○高見委員長 倉成正君。
○倉成委員 私は、朝鮮海域の安全操業に関しまして、政府の基本的な考え方について一お伺いいたしたいと思うわけであります。 本日はいろいろな関係から、関係大臣がお見えになっておりませんので、あらためて関係の大臣にはお伺いすることといたしまして、政府部内における意見が、はたしてこの問題に対して十分統一されているかどうかという問題を焦点にして、お尋ねをいたしてみたいと思います。そこで、非常に限られた時間でありますから、御答弁も簡潔に要領を得た御答弁をいただきたいと思うわけであります。 まず、農林省にお尋ねを申し上げたいと思いますが、最近韓国政府による日本漁船に対する逮捕が非常に強化されておるという事実であります。最近の事例をとってみましても、八月二十六日に第二十八源福丸が拿捕されました。これはまき網の船。九月十一日には同じくまき網の運搬船の第八十二源福丸が拿捕されました。さらに九月十八日にはまき網運搬船の第六十五昭徳丸が拿捕されました。しかも九月二十二日には、皮肉にも政府が対韓二千万ドルの援助を決定いたしました。その後におきまして今月の五日、第五十八宝洋丸が韓国の警備艇によって沈没させられるという不祥事件が起こっておるわけであります。こういった一連の事件は、先ほどから北海道の天災のお話がございましたけれども、今日朝鮮海域に起こっているこれらの不祥事件は、決して天災ではなくして、韓国政府による人災でございます。しかもきょう、きのう始まったことではなくして、十三年間続いておる事件でありますから、これに対してやはり政府が確固たる意思と方策がないということでありますならば、いずこに独立国の面目があるかというくらいに私どもは考えるわけであります。私がきょう御質問するのは、血のにじむような寒風にさらされながら、生命、財産を危険におかされておる漁民の心情を背景として、御質問を申し上げておりますから、そのつもりでお答えをいただきたいと思います。 そこでまず、李ラインの漁業的価値について、いわゆる季ライン付近の漁業の種類、漁船、また関係する従業員、漁獲量、こういうものについて、簡単でけっこうですから、まず水産庁長官からお答えいただきたいと思います。
○松岡説明員 いわゆる李ラインの海域に操業しておりますわが国の漁船は、かなりの数にのぼっておるわけでございます。特にこの付近は優良な漁場でございますので、以西底びき関係の漁業、これは許可の隻数で約八百隻でございます。それから沖合い底びきの漁業が許可の件数で約二百三十隻、まき網関係が許可数約百七十統、そのほか、釣り、はえなわ、その他沿岸の零細な自由漁業でございますが、これはちょっと隻数を把握することは困難でございますが、その他を合わせまして、出漁し得る隻数といたしましては三千隻を若干上回るのではないか、こう考えておるのであります。もちろん、この隻数が全部常に出漁しておるわけではございません。そのほか、従業員の数といたしましては、隻数が相当数ございますから、自由漁業の沿岸の零細漁民等を含めますと、これはちょっと数を正確には申し上げかねまするけれども、相当な数にのぼるのでございます。 漁獲量といたしましては、これは非常に海域が入り組んでおりまして、いろいろな漁業が含まれております。これを推定することはなかなか困難でございますけれども、漁獲高におきまして四十万トンを上回るのではないか、こういうふうに推定いたしております。
○倉成委員 ただいま御説明がありましたように、以西底びき、以東底びきあるいはまき網、その他零細な沿岸漁民がこの地域において操業しておるわけでありますが、西日本地区における唯一の漁業資源として、この付近は漁民のいわゆる生命線であります。この生命線が自由に操業できない。しかもこれは農林省の許可によって行なわれている漁業が大部分であります。したがって、かってにこの地域に出ていっているわけではない。そういった漁業の漁民が、安全に操業ができないで相当な被害をこうむっておるという事実であります。そこで、今日までいわゆる李ラインが設定されまして、漁船が拿捕されたり、あるいはいろいろな関係で操業が不能になったり、こういう関係でどの程度の損害をこうむったかということを水産庁で御推計になったことがあれば、お答えをいただきたいと思います。
○松岡説明員 この損害の額を算定いたしますことも、非常にまたむずかしいわけでございます。操業の状態が非常に変わりまするので、どのくらいの操業になるかということを推定することも困難でございますし、また、韓国の警備艇の妨害を受けるためにどれだけ操業が下がったということを推定することも、これまた容易ではございません。しかしながら、比較的信憑し得る数字といたしましては、日韓漁業協議会がつくりました資料によりますると、船体、装備、積載物、推定収益等を合わせまして、三十八年末までにこうむりました損害は大体七十四億円ぐらいではないか、こう推定いたしております。また最近の盛漁期におきまして、警備艇の妨害によりまして操業が下がっておりますが、これはなかなか推定困難でございますけれども、大体関係の業界の見込みによりますと、操業率は通常の五割ぐらいではないか、こう見ておるのでございます。
○倉成委員 こうむった損害について、金額その他、これは推計のしかたによっていろいろ相違があると思いますし、またいろいろな今後の交渉の過程の議論になりますので、これ以上御質問申し上げませんけれども、ただいまもお答えになりましたように、ことしの盛漁期であります九月、十月、十一月、特に最近の韓国警備艇の活動状況から見ますと、その操業は半分以下だということも、水産庁長官がお答えになったとおりであります。そこで、これらのこれまでこうむりました損害に対して、国として一体どういうあたたかい措置をやってこられたか、それをもう少し端的に申しますと、国としてこれらの漁民に対する財政的な措置をどの程度なされてきたかということをまずお伺いしたいと思います。
○松岡説明員 ただいまの御質問は、拿捕された場合におきまして、国がその拿捕された船の船主、従業員及びその家族に対してどのような措置をとってきたかということが主眼であろうかと思いますが、これにつきましては、御承知のごとく、特殊保険制度によりまして、船価に対しましては、大体船価の九割まで保険をいたしております。その九割の保険に対しまして、国の財政によってさらに九割負担をいたしております。また、人の関係の損害に対しましても、労務の給付について同様の措置をとっておるのでございます。そのほか、保険に加入していなかったために困難に陥った船主等に対しまして、従来代船建造のための補助金というような形で、相当額の財政支出をしてまいるといったような措置によりまして、できるだけ被害を少なくし、また再建の方法を講じてまいるという措置をとってまいったわけでございますが、さらに韓国に対しましては、常に損害賠償の請求権を留保いたしまして、日韓交渉が成立いたしました際に、その損害賠償を実現する、かりに実現されなかった場合におきましても、その場合には何らか政府において措置するという考え方によりまして、損害賠償請求権を留保しておる次第でございます。
○倉成委員 政府がとった財政措置としてどの程度あるかということを、もしおわかりだったらお答えいただきたいわけです。
○松岡説明員 特殊保険制度及び給与保険制度によりましてやってまいりました支出の額でございますが、まずこの二つの制度で、制度発足以来ことしの九月までに韓国関係で起きました事故は、特殊保険におきまして事故の累計が百件でございます。支払いました再保険金は七億九千八百万円でございます。給与保険におきましては、抑留人員千二百三十一人、支払い再保険金三億八千九百万円でございます。それから先ほど申し述べませんでしたが、抑留乗り組み員等に対する救済措置といたしまして、抑留乗り組み員及びその留守家族のための救済対策といたしまして、昭和二十八年以降政府が支出してまいりましたものは、見舞い金その他の合計で二億五千六百万円でございます。それから拿捕漁船の船主でありまして、未帰還の船の船主でありますが、弱小なために特殊保険に加入できなかった船主に対しまして、代船建造の補助金としまして四千万円を三十八年度におきまして交付いたしております。
○倉成委員 ただいま水産庁長官からいろいろお話がございましたけれども、政府としていろいろ措置した財政措置というのは、この漁民の損害、政府で大体予想されておる損害と比較いたしましても、ほんとうにその一部分にしかすぎない。しかも漁船保険の例をとりましても、一カ月以上の抑留であるとかいろいろな制限がございますから、この表面に出たものと実際の損害ということになりますと、さらに大きく上回ってまいります。そのほかに精神的な有形無形の損害ということを加えますと、これらの漁民の犠牲に対する政府の施策ということは、私はまだ非常に微々たるものであると思うわけであります。ほとんど漁民の負担において、犠牲において、今日までやってきたと申さなければならないわけであります。 そこで、水産庁長官にお尋ね申し上げたいのは、水産庁という役所は、漁民の生活の安定と向上を目ざすために設けられた役所でございますけれども、先般農林大臣の談話として新聞に載っておったわけでありますが、日韓交渉をこれから再開するにしましても、こういった拿捕事件を中止するということが前提であって、そういう拿捕事件が続く限りにおいて、日韓の漁業交渉等は続けるべきでないというような談話を新聞で拝見したわけでございますが、この点についてどういう考え方をお持ちでありますか、この点については政務次官からお答えになったほうが適当かと思いますので、政務次官からお答えいただきたいと思います。
○舘林説明員 日韓交渉――いずれの国と国との交渉にいたしましても、やはり相互の信頼と善意というものが中心でございまして、その信頼と善意がなかったならば、当然交渉は続くべきものでないと思っております。今日いまお話しのように、李ライン上におきましてたびたび日本漁船が拿捕され、日本の漁民は非常な被害を受けておる。かようなさなかにおいて日韓交渉を続けるということは、外交の原則でありまする親善あるいは信頼というようなものに全く反するものでございまして、さような立場から、日韓交渉はさような一切の日本漁船の拿捕というようなことがなくなった場合において続けるべきであるというのが、われわれ農林省の考え方でございます。と同時に、たとえばノリの問題とか、アジ、サバの問題、あるいは漁船の輸出の問題とか、いろいろあるわけでございますが、さような問題も、やはりさような拿捕がないということが確認されて初めて続くべきであるというのが、私たちの考えでございます。
○倉成委員 ただいま政務次官から非常に御明快なお答えがございました。そこで、これと関連して、外務省も全く同じ考え方であるかどうかということを、この際政務次官から明らかにしていただきたいと思います。
○永田説明員 対韓国の経済援助の関係につきまして、漁船の拿捕ということがまことにけしからぬ、まことにごもっともでございます。ただ、韓国に対する経済の援助という問題は、韓国の経済状態が非常に悪化をしてまいりまして、だんだん国の政治方面にまでも影響いたしますし、さらに経済の悪化ということが、韓国の国民生活にも非常に悪い影響をいたしてまいりました。それで、わが国といたしましては、善隣友好のたてまえから、人道上の意味もありまして、何とかこの経済状態を助けてやらなければならない、こういう考えを持っておりましたし、さらに韓国のほうからも、こういう要望がございました。ちょうどことしの六月に戒厳令がしかれておるころでありますが、政府の内部でも十分に検討いたしまして、去る九月二十二日の閣議におきまして、韓国に緊急の経済援助をするということをきめたわけであります。 その内容につきましては、遊休しておる工場を動かすために原材料を送るとか、あるいは部品を送るとか、こういうことによって経済を復興させ、韓国の国民生活も安定させていきたい、こういう意味で二千万ドルの援助をきめたわけでございます。したがって、漁船の拿捕という問題とは本質的には別の問題でございます。しかし、これは韓国という一つの国に対してやっておることでありますから、経済援助は経済援助、漁船の拿捕はけしからぬとはっきり区別することも、あるいは困難になるかと思うのでありまするが、現在までの時点におきましては、経済援助はいま申し上げましたような理由によっていたしております。 さらに、漁船の拿捕につきましては、その一つ一つの事態が起こるたびに、巖重に韓国に対して抗議を申し込み、補償の問題あるいは抑留者の返還の問題をそのつど厳重に申し入れて、交渉いたしております。
○倉成委員 ちょっと御答弁が私の質問申し上げたこととずれているようでございますから、もう一度お尋ね申し上げたいと思います。 農林政務次官は、ノリの輸入とか漁船の輸出とかいうのは、これは拿捕事件というような不祥事件がなくならない限りやるべきじゃないという御見解を明らかにされたわけであります。これについて外務省としてどうお考えになるかということを伺っておるわけであります。
○永田説明員 韓国側からの主としてノリその他の水産物の買い付け要求の問題と、それから漁船の拿捕の関係でございます。実は韓国側は、前から機会あるごとに、韓国の産品の買い付け増大ということを要求してきておるのであります。これは経済援助ではございませんで、韓国側からの申し出もありまして、エイドではなくて、トレードの形でやっていきたい。それはノリであるとか魚貝類であるとか、こういうものがおもなものでございます。いままでの韓国に対するわが国の輸出額というものは、昨年が大きかったのでありますが、一年間に一億六千万ドルあるわけであります。それに対して韓国からわが国に輸入されるものは、昨年が最高でありましたけれども、二千七百万ドルしかない。この輸入と輸出を比べてみますると、日本から韓国にいきますものと韓国から日本に入ってくるものは、六対一という非常に不均衡なものでございます。それで政府としては、何とかしてこの不均衡を――あまり六分の一しか輸入しておらないということが、日韓今後の国際関係の改善にも悪い影響があるのではないかと考えまして、なるべく韓国の産品を買い付けることをいたしたいと思っておるのでありますが、韓国の産品はやはり多くわが国の産品と競合いたすのであります。それからまた、品質なんかの点もございまして、思うように韓国の言うとおりにはなかなか入っておりませんが、いま申しました六対一というような非常なアンバランスでありますので、この点は将来の日韓関係正常化のことも考えまして、入れていきたいということを考えておるのでありますけれども、しかしながら、昨今起きておりますような不法な漁船の拿捕というようなことがたび重なってまいりますと、これは外交問題というよりも国民的な感情の問題もありまして、韓国が希望するようなことは、当分行なうことはむずかしい状態になったのではないかと考えられるのであります。
○倉成委員 外務省として高い次元から、また長い将来のことから、いろいろ御苦心されていることは、よく理解できるわけであります。そこで、二千万ドルの援助ということを御決定になったと思うのですが、そのお返しが十月五日の第五十八宝洋丸の沈没という不祥事件になって起こったということは、現地の漁民の気持ちとしてはとうてい納得できないことであります。しかもこの二千万ドルの援助について、先ほど舘林政務次官はいろいろお話になられましたが、農林省は一体どういう気持ちでこの二千万ドルの援助に御同意になったか、伺いたい。
○舘林説明員 いま外務政務次官からお答えがありましたように、二千万ドルの融資につきましては、やはりこれは韓国の経済復興、また国民生活の安定というようなことが中心だったと私は思います。しかし、農林省としての立場と申しますのは、やはり漁業交渉をすみやかに妥結するということが第一前提でございます。ただ、その漁業交渉を妥結するためには、やはり外交の常道であります善意と信頼ということが一番前提でありまして、さような立場から、日本の漁船を拿捕するということは、どうしても国民感情から申しましても、また農林省といたしましても、納得できない。したがいまして、先ほど申し上げましたように、漁業交渉を続けるためには、ぜひ漁船の拿捕は取りやめていただきたい。また、いま外務政務次官がお話になりましたように、漁船の輸出とか、あるいはアジ、サバの輸入とか、あるいはノリの輸入等についての向こうからの強い要請等もありますけれども、そんなことははっきりと日本の漁船が拿捕されないということの保障を得てからというのが、私たちのいつわらない感情でございます。
○倉成委員 そこで、今度は外務政務次官にお尋ねいたします。 二千万ドルの援助はまだ実施されていないと思うのですが、二千万ドル援助を決定されるまでのいろいろなお考え方はよく理解できるわけであります。その後に第五十八宝洋丸の沈没事件というような事件が起こってきた新事態に即して、この二千万ドルの実施についていろいろと条件をつけるというか、そういう事態を考慮に入れるということはいろいろお考えになっておりますか、伺いたい。 〔高見委員長退席、野原(正)委員 長代理着席〕
○永田説明員 ただいまの御質問、まことにごもっともと思うのでありますが、漁船の拿捕につきましては、外務省といたしましても、そのつど厳重なる抗議を申し込んで、賠償なりあるいは抑留漁民の返還ということを強く主張を繰り返しておるのであります。こういう時期に経済援助をするということが時期を得ておらぬではないかという御質問でございます。まことにそれはごもっともだと考えるのでございますが、先ほどちょっと私間違って先に申し上げましたが、日本の韓国に対する経済援助というものは、韓国の国民経済を立て直すためにやったものでございます。しかしながら、最近に至ります韓国のこの不法なる漁船の拿捕、あるいは最後には沈没させるというようなむちゃなことが起きてまいりますと、これは当然いままでの外交方式だけでは解決できない事態がくることを予測できないこともございません。外交というものは、国民の感じ方あるいは国民の要望することを実現するのが民主外交でありますから、われわれは初めにきめたことはあくまでそのとおりだということは決して印しておりません。これから後の韓国の出方などを見まして、二千万ドルの経済援助というものは、なるほど紙の上ではきまりましたけれども、実施はまだこれからでありますから、そういう事態を十分見きわめて、将来においてはあるいはこれを中止するというような事態が起きないとも言えないと考えます。
○倉成委員 非常に力強い御答弁でございましたが、私は外務省にもう少し基本的な問題を伺ってみたいと思います。 公海上において、日本政府の許可を得た漁船が継続的に生命財産の危険にさらさらされておるというのが、いわゆる李ライン内の問題であります。しかも半年や一年のことではなくて、十三年間も続いておる。交渉はそのつどやられるかもしれませんが、さっぱり結論が出ていない。しかも韓国政府は、この拿捕事件に対して日本政府が幾ら抗議しましても、自分たちのやっておることが正しいと考えるというところに、両者の考え方が平行線にあるということでございます。 そこで、お尋ね申し上げたいのは、この朝鮮海域における日本漁船の操業というのは、国際的に見ましても、あらゆる点から見ても正当であるということ、これをもっと国際世論に訴えて明らかにするということが必要ではないかと思うのですけれども、これらの点についてはどういうことをこれまでやってこられたか、お伺いしたい。
○後宮説明員 御指摘のとおり、李ラインが国際法的にも認められない、非常に不法なものであることは、そのとおりでありまして、一九五二年に初めて李ラインが設定されましたときも、詳細なる資料を国連の各メンバーに配付いたしまして、意のあるところを訴えたこともございます。ただ、よく申されますように、これを国際司法裁判所に持っていくとか、あるいは国連に正式に提訴するということにつきましては、もちろん法律的にはできるわけでありますけれども、いろいろ利害得失を考えまして、結局国連に加盟してない韓国を無理にそこに――なかなか出てくるということも応じないだろうし、むしろやはりさしの二国間の交渉をできるだけ早く妥結することによって拿捕事件を収束するように、李ラインの撤廃を実現するように持っていくのが、迂遠のようでも結局これよりほかに道はないのではないかということで、いままでやってきたのであります。
○倉成委員 外交上、韓国というような特殊な国家を相手にして非常に御苦心なさっておることは、よく理解できます。しかし、十三年間同じことをずっと繰り返してきて、依然として解決がつかない。一体いつ解決の見込みがつくのか、交渉のきめ手は何かということを考えてまいりますと、もう少し何か強硬な外交手段によって、あらゆる手段を尽くしてこの問題の解決に当たらなければならないと思うのであります。そういうめどがなくて、ただしばらく待て待て――半年や一年のことならわかるのですが、十三年間もそういうことを続けてきた。これから先も一体いつ解決されるかわからないということで、ただ高い次元に立っての交渉ということでは、現地の漁民の感情として、あるいは国民感情としては、これは納得できない。泣く子と地頭には勝たれないから、ひとつおまえたちはしんぼうして泣き寝入りしろ。先ほど水産庁長官からお答えもあったように、有形無形の損害額に対しましても、国家のこれにとられました施策というものはごくわずかなものにすぎないということであります。そういうことについて何かもう少し、十三年間もやってこられた御経験からして、外交上のきめ手というものはないものか、全然処置なしかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○永田説明員 倉成委員のおっしゃるとおりでありまして、私どもも国民の一人としてまことに歯がゆい気持ちがいたしておったのでありますが、私はからずも外務政務次官を拝命いたしまして、その衝に当たることになりました。 〔野原(正)委員長代理退席、委員長着席〕 もともと、寛容と忍耐は池田内閣のトレードマークであります。この寛容と忍耐にも限度があると思うのでありますが、さればといっで、それならばどういう方法で解決したらいいかと申しますと、これはなかなかよい方法が見つかりません。昔でありますれば、日本の帝国海軍の軍艦がずっと並んでおれば、外交もまことにやりやすいのでありますが、そういう圧力もございませんし、向こうの誠意を信頼して、誠心誠意、こちらの正しいということを説いて、向こうを説得するという以外にはないと思われるのであります。
○倉成委員 外務省としていろいろ御苦心のことはよくわかります。しかし、結論から言いますと、きめ手はないというお答えだと理解せざるを得ないわけでございまして、まことに遺憾なことでありますけれども、そういうことになる。そうなりますと、やはりどうしても現在われわれが国内法あるいは国際法上においてやり得る限りの自衛手段を講ぜざるを得ないということになってくると思います。そこで、一体日本の政府部内において、これらのことについて万全の施策が講ぜられているかどうかという点についてお尋ねを申し上げたいと思います。 海上保安庁法の第一条によりますと、「海上において、人命及び財産を保護し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎮圧するため、運輸大臣の管理する外局として海上保安庁を置く。」と明記されております。そこで、海上保安庁は、これらの朝鮮海域における漁船の保護、人命、財産に対する保護の任務を持っておられると思うわけでありますが、現在における警備配置状況について、ひとつ簡繁にお答えをいただき、同時に、漁船との連絡をどうしておられるか、拿捕地点の確認はどういう方法でやっておられるか、こういう問題もあわせてお答えをいただきたいと思います。
○今井説明員 韓国の周辺海域の警備の状況につきましては、第七管区の巡視船を主体にいたしまして、第八、第十の両管区の応援船を加えまして、常時同海域に約六隻程度の巡視船を配備して警戒に当たっております。さらに最近先ほど御指摘のありましたような状況になりましたので、五管区から一隻応援船を派遣いたしまして、現在のところでは、大体七隻の体制を維持いたしております。 それから次に、通信関係でございますが、漁船との通信の方法はやや詳細にわたりますので、警備救難部長からお答えさしていただきたいと思います。
○猪口説明員 漁船との連絡は、短波の無線電信または電話を持っております漁船は、巡視船と直接または陸上の電信局と連絡をとることになっております。ただし、二十七メガサイクルの電話だけしか持っていない以西の底びきのとも船またはまき網のとも船、運搬船等につきましては、その親船を通じて連絡をとっておる次第でございます。
○今井説明員 さらに拿捕地点の確認につきましては、巡視船が現場に近接いたしております場合には、レーダーあるいはロランというふうなものを使用いたしまして、正確な位置をはかるように努力いたしております。と同時に、不幸にして巡視船がその拿捕地点近くにおらなかった場合には、僚船その他から拿捕地点の情報を得て、できる限り確認するように努力いたしております。
○倉成委員 いろいろな不測の事態が起こってくるのに対して、保安庁としてひとつ率直な御意見を伺いたいと思うのですが、海上保安庁、特に第七管区を中心とする保安庁の方々が、日夜を分かたず非常に御努力されておることには、深く敬意を表します。私も先般赤城農林大臣とともに李ラインの視察に参りまして、つぶさにその実情を見てまいった一人でございますから、よくわかっておるつもりです。しかし、この広い海域を六隻ないし七隻の監視船で警備をしておるということでございますけれども、もし巡視船の数がもっと多い、あるいは巡視船の速力がもっと早い、あるいは現在の巡視船でありましても非常体制をとって、もう少しよけいに盛漁期だけでも配置するという処置ができれば、もう少し不測の事態の発生を予防することができるのじゃないかということを考えるわけですけれども、率直な御意見を伺いたい。
○今井説明員 まことにおっしゃるとおりでございまして、私どもとしては、現在御承知のように、巡視船は全部で八十八隻持っておりまして、その隻数にして四分の一程度、しかも中でわりあいに優秀な船を韓国周辺の海域に集中しておるという状況でございますが、何ぶんにも全国の広い海域におきまして、海難その他の事故も相当ございまして、各管区とも相当多忙をきわめておる状況でございますので、やはりほんとうの気持ちを言いますと、できる限り船がほしいということと、それからもう一つ、巡視船の速力は大体平均十二ノットから十四ノット程度でございまして、これもやはり何とかスピードアップの方法はないものか、できればもう少し足の早い船をほしいという、非常に強い希望を持っておるのでございます。 それから今日のような事態において、さらに巡視船のもっと周密な行動計画、稼働率を高めるという面につきましても、われわれとしては、現在警備救難部で研究いたしておる段階でございます。
○倉成委員 九月から十一月が大体盛漁期でございますので、この時期に現在の装備率をもってしても、さらにもっと非常体制をおとりいただくことを特に御要望申し上げます。 それからもう一つ、巡視船の数をふやすとか、あるいは速力の早い船に切りかえるとかいう問題について、毎年大蔵省にも御要望になっておると思いますけれども、来年度は一体どういう御要望をされているかということをお伺いしたいと思います。
○今井説明員 来年度の予算要求の内容を申し上げますが、千トン・クラス――先生がおそらくお乗りになったと思われますさつま級の千トン・クラス一隻、それから三百五十トン型一隻、それから百三十トン型二隻、あとは警備艇でございますので、いわゆる巡視船につきましては、現在四隻を要求いたしております。
○倉成委員 この非常事態、十三年間もずっとやってきて、相手が相手だけに、外交手段としてもなかなかきめ手がないという事態において、漁民の生命、財産を守るというのが政府の責任である以上は、この問題は、金に糸目をつけずと言うと言い過ぎかもしれませんが、万難を排してやらなければならぬことではないか。また、いまから船をつくっておっても間に合わなければ、政府部内にある船の流用、具体的な内容は私はここで申し上げませんけれども、いろいろな手段を講じて警備を強化することは、やろうと思えばできないことはない。そういうことについて、ひとつ保安庁長官としても、どこにも遠慮することなく、御要望をされたいと思います。私どももこの点については強力に推進をしてまいりたい。大蔵省の嶋崎主計官見えていますが、お聞きのとおりの状況です。保安庁の予算の要求については、担当主計官としても十分理解をしていただいて、これに協力していただきたいと思いますが、御所見があればひとつ伺いたい。
○嶋崎説明員 御承知のように、予算関係につきましては、現在各省の概算要求に基づきまして、大蔵省主計局のほうで鋭意検討中の段階でございます。したがって、運輸関係、特に先ほど保安庁からお答えがありましたような予算につきましては、いまからいろいろ検討する段階でございますので、御質問の御趣旨を十分に反映いたしまして、検討をしていきたいというぐあいに考えております。
○倉成委員 主計官の御答弁としては満点でありますが、この点は十分頭に置いていただきたい。 保安庁長官にもう一つお尋ねしたいのですが、保安庁の警備船は砲や機銃を積んでおられますけれども、実際にたまを持っていないという状況、これはいろいろなことを考慮されてのことであろうかと思うのでありますが、保安庁の隊員の士気に関する問題でもあるし、また、ほんとうに不測な事態が起こった場合に、これに対応できないという問題もあるわけでありますが、これらの点について、保安庁長官としてどうお考えになっておりますか、お伺いいたしたい。
○今井説明員 現在、砲並びに大型機銃につきまして、弾丸を搭載さしておらないという点につきましても、漁船保護創設以来の事情につきましては、先生も十分御存じだと思いますが、しかしながら、今日のようなこういう事態に直面し、われわれとしては、今後さらに海上保安庁のあらゆる使命の限度においてこれを極力保護し、強化していこうということを目下内部で検討いたしておる段階でございます。しかしながら、直接海域において韓国の警備艇と接触しておる立場におきまして、私どもの行動そのものが直接中央政府の大きな問題になるという点から、私どもとしては、政府の最高方針を十分御決定をいただいて、その下で全力をあげて働く、こういうたてまえでおります。
○倉成委員 保安庁長官としてお答えになる限界は、いまの御答弁のとおりだと思います。ただ、一つ忘れてならないことは、十三年間こういう不祥事件を繰り返してきた。もしかりに最近この沈没事件が突如として起こったということでございましたら、ほんとうに大きな外交問題になる。場合によっては国交の断絶というところまで発展する可能性のある大きな問題です。しかし、ややもすれば、少し政府部内もこの不祥事件についてなれっこになっている、また、業界もううやむを得ないという気にある程度なっておる面が若干あると思っております。しかし、私は、事柄の性質上、これはもっとほんとうに真剣に考えておかなければならない問題であると思います。まあしかし、保安庁のお立場としてはよく了解ができます。 そこで、こういう日本人の生命財産が公海上において継続的に十三年間も不法に脅かされておる事実を、防衛庁として一体どういうふうにお考えになっておるか。防衛局長お見えになっておりますから、ひとつ率直な御意見を伺いたい。
○海原説明員 先ほど海上保安庁長官からのおことばにもございましたように、現在李ライン付近におきまする漁船保護の方針は、昭和二十七年以来政府のレベルで決定されております。私ども防衛庁内部におきましても、いろいろな事件が起こりますたびに、これにつきまして防衛庁としてできることがあるかということにつきましての検討は、そのつどいたしております。しかし、結論的に申しますと、一応自衛隊法の八十二条に、防衛庁長官は、海上における人命もしくは財産保護または治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得まして、海上自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずるわけであります。こういう規定がございます。特別の必要がある場合ということになってまいりますから、いままでのところ、そのような海上自衛隊の船が八十二条に基づきました警備行動をとるというような必要は認められないということで、過去十数年推移しておるわけでありまして、この点につきましては、何ぶんにも海上自衛隊の護衛艦というものは、国際法的に見ますと、一応軍艦というような扱いになります。したがいまして、自衛隊の船が出てまいりますことは、たとえそれが警備行動でありましても、影響が非常に大きいという点におきまして、非常に高い政治的な御配慮があって、このようにきまったものと私ども承知しております。したがいまして、今日の事態も、やはり海上保安庁のほうで処理をしていただくことが適当だ、このように考えております。
○倉成委員 政府の基本方針に関することでありますから、防衛庁に対する御質問はこれ以上いたしません。しかし、お聞きのとおりに、農林省についてもきめ手はない。外務省についても特別のきめ手はない。海上保安庁についても、やはりいろいろな警備の限界がある。自衛隊に至りましては、なおさらいろいろな国際的な関係から考えて、なかなか実行というものはむずかしいということになりますと、その最後のしわは結局漁民諸君にやってくるということでございます。これも大きな目的のために、高い次元の政策のために、一年や二年しんぼうしろということならわかりますけれども、十三年間やってきて、そしてこれに対するいろいろな施策も十分でないということになりますと、私は、これらの政策に対して、いま一度基本的な対策を確立することが必要ではないかと思うわけでありまして、外務省の外交方針にいたしましても、御苦心のほどは繰り返して申し上げますようによくわかりますけれども、やはりこの事態を十分直視して、き然たる外交方針を立てていただくことが必要であると思います。また、主管の農林省といたしましても、いままでやってこられた施策をさらに一歩進めて、思い切ったことをいろいろやっていただく必要があるのじゃなかろうか。具体的な例をあげますと、たとえば水産庁の持っております監視船でも、この海域にもう少し活用するというような方法も一つの問題でありましょうし、あるいは倒産寸前にある漁業者に対するいろいろな配慮についても、お考えいただくことが必要でございましょうし、ここでは具体的に申し上げませんけれども、さらに従来の施策を一歩も二歩も進めてお考えになっていただかなければ、漁民の信頼を失う、また、国の権威も全くなくしてしまうと考えるわけでありますから、あらためてまた主管大臣その他責任者の御答弁をいただくといたしまして、強くこの点を御要望申し上げまして、質問を終わります。 ――――◇―――――
○高見委員長 この際、でん粉等価格対策に関する小委員長より、昭和三十九年産カンショ及びバレイショの原料基準価格並びにでん粉及びカンショなま切り干しの政府買い入れ価格に関する問題について、小委員会の経過報告をいたしたい旨の申し出があります。これを許します。野原正勝君。
○野原(正)委員 でん粉等価格対策に関する小委員会は、九月十日の当委員会でその設置を決定し、九月十四日委員長が小委員長及び委員の指名をいたしましたが、当小委員会といたしましては、さっそく農産物価格安定法に基づく昭和三十九年産カンショ及びバレイショの原料基準価格、でん粉及びカンショなま切り干しの政府買い入れ価格について調査を行なうため、九月三十日及び本日の両日にわたり、小委員会を開会し、調査を取り進めてまいりました。まず、九月三十日の第一回の小委員会におきましては、農林当局より昭和三十九年産イモ類等の価格算定についての経過を聴取し、質疑を行ないました。その結果明らかにされました諸点のうち、重要な事項について御報告申し上げます。第一に、農林当局の説明によりますれば、昭和三十八年産でん粉につきましては、生産初期は砂糖市況が高水準であり、このためでん粉市況も好調が期待されましたが、当初の見通しに反し、粗糖の自由化後糖価の暴落を契機として、でん粉市価は暴落し、需要の減退と相まって、でん粉価格は本年六月において支持価格を下回るに至りましたため、昭和三十九年度予算の全部を充当し、二万五千トンの第一回政府買い入れを行ないました。しかしながら、この措置をもってしましても、一向に市況は回復しないため、第二回分として五万トンにつき、全販連、全澱連等の調整団体をして買い入れ保管せしめ、このために要する金利、倉敷料を政府が助成する措置をとりました。さらに第三回分としてぶとう糖協同組合にでん粉三万トンを買い入れさせ、これを原料として生産されるブドウ糖二万五千トンを買い入れ保管させることとし、これに要する金利、倉敷料を政府が助成する措置を講じてきたということであります。第二に、昭和三十九年産イモ類等の価格につきましては、九月一日の作況は判明しておりますが、これによりイモ類等の価格を算定することは当を得ないため、十月一日の作況を基準としてイモ類の価格を算定する方針でありますが、この価格決定のめどは、統計の処理時日等を勘案すれば、十月中旬ころになるのではないかということであります。第三に、でん粉の需給につきましては、昭和三十八年産カンショでん粉の生産は七十万トン、バレイショでん粉の生産は十五万五千トンであり、年末繰り越しはカンショでん粉八万トン、バレイショでん粉約三万トンであり、昭和三十九年産の生産につきましては、カンショでん粉六十七万トン、バレイショでん粉十五万八千トンと見込まれているということであります。この政府説明に対しまして、小委員会の意向を総合して申し上げますると、大要次のとおりであります。第一に、イモ類等の価格の決定にあたっては、農政全般の立場から決定されるべきものであり、ことに後進畑作地帯農家の所得確保と他産業との格差是正につとめ、米麦価の上昇等を勘案して行なうべきであること。第二に、粗糖の自由化に伴う糖価下落にかかわらず、国産でん粉等に悪影響を与えないよう、基準価格は保証されるべきであること。第三に、本年産イモ類はすでにでん粉すり込みに入っているが、仮払いされている安値のイモ代金が、あたかも決定価格のごとくみなされ、農民を不安におとしいれているので、イモ類価格の告示時期については、十月十日以前に価格告示を行なうべきであること。第四に、現在調整団体が買い入れ保管しているでん粉について、補正予算の措置を講じ、政府買い入れすべきこと。第五に、本年産でん粉について、需給上余剰分が生じたときは全量政府買い入れを行なうこととし、このための予算措置を講じておくこと。第六に、コーンスターチの生産増大に伴い、国産でん粉の分野を侵食し、重大な脅威となっているので、この規制措置につき、検討を行なうとともに、でん粉工場の合理化を促進すべきであること等が主要な事項でございます。次いで、本日午前の小委員会におきましては、農林当局から十月一日の予想収穫高の説明があり、これに基づきました政令附録算式によるイモ類等の価格試算が明らかにされ、カンショ二十八円五十銭、バレイショ二十二円五十銭、カンショでん粉千六百十五円、バレイショでん粉精粉二千百十五円、カンショなま切り干し千七十円となるということであります。なお、各般の事情を勘案して試算数字を検討し、生産農家の要望に沿い努力したい旨の説明があったのであります。 この価格算定に関連しまして、農林省当局が昨年を下回る算定作業を行なったことは不当であるとの指摘がなされ、第一に、供給量に政府手持ち及び団体の調整保管のでん粉を入れないこと、第二に、バレイショでん粉の基準歩どまりにつき、災害等の事情を勘案し、実態に即応した歩どまりとすること、第三に、諸物価、人件費等の上昇を反映した加工経費とするとともに、副産物の評価についても適正にすること、なおまた、前年度の価格を下回るべきではない等の質疑並びに意見の開陳があったのであります。 以上が小委員会の調査の概況であります。 この機会に、以上で小委員会の一応の報告を終わりますが、すでにこの報告の中にも明らかにされましたように、カンショ、バレイショ、特にでん粉全体の価格の問題は、農政上の非常に深刻な問題と考えておるわけであります。今日におきましては、特に農業と他産業との格差の是正、あるいは大きく言うならば、経済成長のひずみを是正するという大きな政策が考えられなければならぬ段階において、特にイモ作農家の多くは最も恵まれない地帯の農民であるという点からいたしまして、現在の糖価水準その他の事情から考えますれば、でん粉の価格は昨年いろいろと政府も努力したにもかかわらず、現実の実態は政府の支持価格を下回るような事態でございまするので、この際、この委員会が取り上げましたような方向において十分検討を加え、そしてできるだけ早く生産者を安心させていただきたい。今日、イモ作農家の心配は、はたしてどういうことに相なるのか、物価もあるいは賃金も上がっております。その際に、自分たちの生産したカンショ、バレイショが昨年よりも下回るようなことがあったならば、はたしてどういうことになるかということが、われわれの小委員会でたいへん心配をされ、論議されたのであります。 政務次官にお答えをいただきたいと思いますが、われわれといたしましては、本来ならば当然農産物の価格は相当上がらなければならぬ。米価等の事情等を考えましても、でん粉だけが据え置かれるととは、むしろ不自然であるわけでございます。できるならばある程度値上げをしてほしいという農民の強い要望等を考えられ、少なくも昨年を下回ることがあっては断然ならない、そう考えておるのでありますが、その辺についての政府の御所見、まだいろいろ作業をしておるそうでございますから、あまり詳しいことはお答えがあるいは困難かと思いますけれども、政務次官からでん粉あるいはイモの価格についての御決意をお伺いできれば幸いだと思います。
○舘林説明員 でん粉等小委員会の野原委員長からのただいまの報告、ありがたく拝聴いたしました。カンショ並びにバレイショ等の価格の決定、いわゆる原料基準価格の決定、あるいはカンショでん粉、バレイショでん粉の価格の決定につきましては、いま委員長からお話しのように、生産農民は非常に注目していることは申すまでもありません。また、農林水産委員会あるいは小委員会におきましても、非常に御熱心に御討議いただきましたし、関係国会議員は非常にこれにつきまして深く注目されておるのでございます。先ほど小委員会におきましては、一応農林省の案といたしまして、カンショにつきましては二十八円五十銭、バレイショにつきましては二十二円五十銭という一応の価格を算定いたしまして、御報告申し上げましたが、われわれとしても、農林省といたしましても、決してこれで満足しておるわけじゃありませんので、ただいま野原委員長の御報告の趣旨並びにその中に盛られておりまする要望を十分参酌いたしまして、生産農民に安心を与えるような価格を、しかもすみやかに決定いたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ――――◇―――――
○高見委員長 この際、松岡水産庁長官から日米加漁業問題について発言を求められておりますので、これを許します。水産庁長官松岡亮君。
○松岡説明員 本年の九月九日からカナダのオタワにおきまして、日米加漁業条約、正確には北太平洋の公海漁業に関する国際条約に関する改定会議が開かれました。私ども水産庁、外務省、現地大使館及び民間から十二名の代表団が出席いたしまして、その条約の改定についてアメリカ及びカナダ両国代表と折衝しましたので、その経過について御報告申し上げたいと思います。 この日米加条約は、御承知のごとく、昨年の六月、十年間の有効期間を満了いたしたわけでございます。その後におきましては、いずれの時点においても廃棄通告をいたしますと、その通告後一年後には失効いたすことになっております。しかしながら、これにかわるべき条約が成立いたしませんと、北太平洋における漁業関係の秩序が乱れ、貴重な資源が乱獲におちいるおそれもございます。また、そのほか、日米関係の全体から見ましても、無条約状態になるということは好ましくないということからいたしまして、政府といたしましては、昨年の六月、ワシントンで開かれました第一回会議におきまして、現行条約にかわるべき新条約案を提案したわけでございます。 現行条約の内容につきましては、もうすでに御承知のとおりでございますが、いわゆる自発的抑止という原則がございまして、北太平洋のサケ・マス漁業及びオヒョウ漁業につきましては、日本は西経百七十五度以東の水域に日本の漁船は出漁できないという原則になっております。この自発的抑止の原則は、日本側から見ますと、一方的であり、かつ、過当な制限であるという見地からいたしまして、その廃止を求め、それにかわるものとして、北太平洋のこれら魚族資源の共同の保存、それから公海の自由の原則という立場に立ちまして、新しい条約案を提案したのでございます。 この会議では、昨年の六月ワシントンで、また第二回目を東京で昨年の九月開きましたが、その過程におきましては――なおこの際、お願いを申し上げたいのでございますが、第一回のワシントン会議以来、この会議は秘密会として、国際交渉の通常の形でございますが、三国間の申し合わせによりまして、内容を公表いたさないことになっております。ここではできる限り申し上げたいと存じますが、限度がございますことにつきまして御了承をいただきたいと思います。ワシントン会議以来、三国の、主として日本と米加の主張は全く対立してまいったのでございます。ただ、昨年の秋の九月の東京会議におきましては、米国側がはじめて日本側の要求しております抑止という原則の形式的撤廃につきましては応ずる形をとって、日本の条約案をベースにいたしましての交渉に入ったのでございます。しかしながら、いずれにしましても、実質的には対立が相当はっきりいたしておりまして、第三回交渉をオタワで開くにあたりましても、交渉の前途は難航を予想されたのでございます。 そこで、私ども代表団といたしましては、オタワ会議におきましては、従来の基本方針を堅持しながら、なおアメリカやカナダの実際的ないろいろな困難な事情等も十分お互いに理解し合うため、本会議のみでなく、小委員会を十数回にわたりまして開くことにいたしまして、この交渉が始まって以来初めて、話し合いあるいは自由な議論の機会をつくったのでございます。そういう経過を経まして、内容的にはかなり具体的な問題に至るまで論議を尽くしたのでございます。 その結果といたしましては、大体日本が提案しました条約をベースにいたしまして、多少米側の意見あるいはカナダ側の意見を組み入れた本条約案につきましては、大体起草上の問題を残す程度になってまいったのでございます。ただ、内容的には本条約そのものは一般原則でございますので、むしろ具体的には、サケ・マスに関する付属議定書及びオヒョウに関する付属議定書が実体的な問題の内容をなしておりますので、その点につきましては、非常に議論が伯仲いたしました。双方の基本的立場もございますが、実際的な解決につきましてはいろいろな困難があったのでございます。しかし、サケ・マス及びオヒョウにつきまして、サケ・マスにつきましては、一般的な考え方について従来よりは若干の歩み寄りを見せるに至ったと私どもは感じておるのでございます。また、オヒョウにつきましても、重要な部分については、日本側の考え方と米加の考え方が相当近くなってきているというように考えておりまするが、しかし、サケマスにつきましても、オヒョウにつきましても、現実的な、しかも非常に困難な問題につきまして、なかなか解決の方法が見当たらず、また、これらの問題もいずれも基本的な立場の相違に関連いたしておりますので、それらの問題は、今回の会議におきましてはついに意見の一致を見るに至らなかったわけでございます。 以上のようなことでございまして、今回の会議におきましては、前二回の会議に比較いたしますと、論議が非常に自由な形で展開されまして、話し合いとしては相当進んだものと考えておりますが、その結果としては、条約本文につきましては、ただいま申し上げましたように、条文整理の問題になり、その他の問題につきましては、問題を整理し、しぼってきたということでございまして、若干の進展を見た、こういうように考えておるのでございます。 内容の点につきまして、いろいろ申し上げなければならない点を触れられないのは遺憾でございますが、また、国会等の御鞭撻もあり、国民世論の非常な御支持もあったのでございますが、遺憾ながら完全な合意に達し得なかったということは、まことに残念に思っておる次第でございます。 以上をもって報告を終わります。 ――――◇―――――
○高見委員長 この際、おはかりいたします。 北海道における異常低温による災害対策に関する件について、災害対策特別委員会に連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 ――――◇―――――
○高見委員長 質疑の通告があります。これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 本日は、過般九月九日からカナダのオタワで行なわれました第三回日米加漁業交渉の問題について、経過の報告がただいま代表でありました松岡さんからありましたが、その報告の経緯と今後の方針問題、さらに実は倉成委員の質問に引き続きまして、日韓の当面の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに考えておったわけでございますが、それぞれ両大臣所用がありますのと同時に、外務政務次官のほうは、先ほどの倉成委員の質問に対する答弁で非常に問題点があったわけでありますが、四時半からフィリピンの経済審議庁長官とどうしても会わなければならぬ日程になっておるということで、了解を求めてまいりまして、いずれ機会を改めてやらなければならぬということで、やむを得ず了承した経緯もございまして、まず、日米加漁業交渉の問題に力点を置きながら、後ほど、日韓の当面の問題についても、外務省から参事官がおられるようでありますので、若干触れてみたいと思います。 日米加の漁業交渉の問題は、いま松岡代表から御報告がありましたけれども、これは申し上げるまでもなく、第一回のワシントンで行なわれた交渉に代表団が出発する前に、衆議院の本会議で、私が日米加の漁業交渉に臨む政府の方針について代表質問を行ないました。それに対して池田総理並びに農林大臣の方針に対する答弁等もございまして、交渉が始まったわけでありますが、日米加漁業交渉はいまさら申し上げるまでもなく、昭和二十八年の六月から発効いたしました。日本の漁業関係といたしましては、まことに不平等な条約でありまして、今回の条約の期限満了を通じて、日米加対等の立場で新しい条約を結ぶべきだというのが、われわれの基本的な主張でありますが、しかし、政府といたしましては、いわゆる第十一条の二項で認められておる、加盟国のうちの一国が条約の廃棄を通告することによって、一年でその条約が効力を失うという、いわゆる廃棄通告を通じての新条約の締結という方針を今日までとることなく、いまも御報告のありましたように、第一回はワシントン、第二回目は東京、第三回目はさらにオタワで交渉が持たれ、三次の交渉が今日まで続いておるわけでございます。日本の代表団として行かれました松岡さんをはじめ、代表団の方々の御苦労については、われわれも敬意を表したいと思いますけれども、しかし、今日までの経緯を通じて、われわれが基本的に主張する立場がはたして実現の方向にいくのか、あるいは回を重ねるごとに日本が若干ずつ譲歩しながら、いわゆるアメリカ・カナダ・ペースにいくのかどうかということについては、詳細な内容の報告がありませんので、必ずしも明確ではありませんけれども、しかし、当初日本が新条約案を提案をし、そして第二回目アメリカから条約案の提示があり、そしてその後において日本は二次、三次というふうに条約の手直しの提案をやってきておる経緯からいたしますと、何となく日本がアメリカ・カナダ・ペースの中でだんだんと譲歩しているのじゃないかという感じが払拭できないわけでありますけれども、これらの点についてはそういうことでないのかどうか、具体的に日本が当初主張した第一次案からその後の経緯の内容の骨子について、さらにお触れ願いたいというふうに思うわけであります。
○松岡説明員 第一回のワシントン会議に新条約案を提案いたしまして以来、第二回、第三回とまいったわけでありますが、今回の会議であらためて修正提案をいたしております。その内容につきましては、条約本文の一般的原則につきまして、特に手続とかいろいろなものがございますが、それらについてアメリカ、カナダ側の意見を若干入れて修正をいたしております。しかしながら、実体的な内容を定めておりますサケ・マスに関する付属議定書及びオヒョウに関する付属議定書案につきましては、手直しもいたしておりますけれども、実体的な譲歩をいたしておるとは私どもは考えておりません。もちろん、国際交渉でございますから、相手側にもっともな事情があれば、これはある程度理解を持たなければならぬと思います。日本側としてはすでに当初から、米加側が、サケ・マスの資源にいたしましても、オヒョウの資源にいたしましても、ほんとうに真剣な資源保存の努力をし、漁民に厳重な規制を加え、それで、オヒョウにつきましては、一九三〇年代に非常に資源が減少したのを往時の漁獲まで回復するだけの努力をし、サケ・マスにつきましては、北米大陸の川で発生しておるサケ・マスの管理につきまして、これまた非常な犠牲を払って管理をする、たとえば河川に発電所をつくる計画も中止して、サケ・マスの産卵場を確保する、あるいは漁民に対して漁獲規制を考えていく、そういうようないろいろな規制を加えて資源の維持増大につとめてきたという事情は、日本側は当初から理解を持って、それらの努力は尊重しておる。これは、特にサケ・マスにつきましては、その生態から言いまして、大陸の川で発生するものでありますから、その大陸に所在する国々の資源管理の努力というものもやってもらわなければ、日本も漁獲ができないわけでごさいますから、それらの点につきましては、当初から米加側の立場を尊重して提案しておるのでございます。それ以外に実体的な譲歩をいままでしてはいないと考えます。
○角屋委員 日本側は第一回目のワシントン交渉のときには伊東さん、第二回目の東京交渉のときには塩見さん、第三回目は松岡さんというふうに、こちら側は代表団のいわば中心になる者が次から次へ交渉を重ねるごとにかわっておりますが、相手側はおおむねアメリカ、カナダともに恒常的なメンバーで交渉に当たっておるというふうに承知をいたしております。したがって、常に日本側の今日までの段階では、それぞれ担当の長官が交渉の矢面に立ち、相手側は大体それぞれのコンスタントなメンバーが交渉に当たるというふうなことで、松岡さんが行かれて、交渉そのものに特にそういうメンバーの変更ということを通じて支障的なことがあるのかないのか、でき得べくんばやはりこういうものは、交渉をまとめるまでの過程を通じて、いわゆる中心になるべき者は大きな変更なしにいくという形のほうが望ましいのかどうか、実際に交渉に当たった気持ちからいかがです。
○松岡説明員 これは今回の漁業条約の交渉に限りませんが、どちらかといいますと、日本はいろいろな会議において代表がかわるという傾向がございます。小麦会議にいたしましても、アメリカやカナダの代表というものは、昔からよく小麦会議に出た人が出てまいっております。日本側はよくかわる。こういう傾向があるわけでございますが、その利害得失は一がいに言えないのではないかと私は考えております。ただ、この漁業条約につきましては、確かに首席代表は日本側はかわっておりますが、代表代理あるいは随員はほとんどその専門家が常に出席いたしております。ここにおられますアメリカ局の参事官は、第一回会議以来の専門家でございます。ただ、漁業条約につきましても考えるのでございますが、アメリカ代表団とかそういった特定の代表団をさして言うことは差し控えますが、漁業関係につきましては、どうもいろいろな業界の圧力、あるいは専門家的、生物学的な頭の人だけで問題を論ずる傾向があるように思うのでございます。したがって、今回の交渉でも感じたのでございますが、資源保護と漁民の保護とを混同するような議論をする人が多いと私は個人的に感じたわけであります。論理的には非常に別なことでございますけれども、そういう誤った主張をする代表団がおったと私は個人的に考えます。したがって、あまり専門家だけで交渉される代表団というものは、こういう基本的な条約の交渉においては必ずしも適切ではないのではないか、そういうように考えるのでございます。
○角屋委員 外務省関係の参事官が結局残られたわけですけれども、したがって、参事官でやむを得ないかと思いますが、日米加の漁業交渉第一回目をやる段階においても、アメリカのなくなられたケネディ大統領は、非常に強い姿勢で日米加漁業条約に臨むアメリカの見解を表明された。今回のオタワにおける会議の直前においても、ジョンソン大統領がこの問題に対するアメリカ側の相当強い見解を表明された。しかし、考えてみますと、いまさら申し上げるまでもなく、この日米加の現行条約というものは、国際海洋法の関係から見ても全然認められていない、そういう立場に立った不平等条約である。第二回目にアメリカ側から修正案といいますか、そういうものが提案されてまいりましたけれども、関係業界の判断としては、むしろ現行条約よりもさらに悪いという見解さえ出ておるわけでありまして、日米の親善友好という立場をアメリカ自身も考えておるはずであり、また民主国家を標榜しておるはずであるにもかかわらず、なぜに最高責任者である大統領が、交渉の直前に特にこういう問題について強い姿勢で見解表明をやるのか、そういう問題に対するアメリカ内部の情勢判断というものを外務省としてはどういうふうに理解をしておられるのか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
○西堀説明員 確かにいまお話しのとおり、第一回の会議の直前に、前ケネディ大統領から非常に強硬な抑止原則の維持をうたったところの声明が発表されました。それから今回もまた会議の直前に至りまして、ジョンソン大統領から強硬な声明を発表されたのでございます。この間の事情でございますが、これはアメリカと申しますか、他国のことでございますから、ここで批評は私から差し控えたいと思うのでございますが、これは何ぶんにもいま松岡水産庁長官からお話のありましたとおり、米国――カナダにおきましてもそうでございますけれども、背後に非常に強力な産業のプレッシャー・グループがございまして、またその上に立ちますところのマグナソンというような非常な勢力のある上院議員をはじめ、議員の先生方がおられますので、これらの先生方からのプレッシャーというものをやはり大統領としてもむげに退けるわけにはいかない。交渉の直前にああいった声明が出されるに至ったと私は考えるのでございます。第一回の場合に出されましたケネディの声明は確かに強硬でございましたが、今回の会議の直前に出されました声明、われわれも実は出発のまぎわにそれを電報で見たのでございますけれども、向こうへ行きまして、その全文を取り寄せまして詳細に検討いたしましたのですが、第一回のときに比べますと、まあ強硬であるかのごとく見えて、そこは非常に考えた声明の内容とわれわれは判断したようなことでございまして、これはやはり大統領選挙を直前に控えましたジョンソン大統領としては、いま申しましたマグナソン上院議員その他の、非常な勢力ある先生方からのプレッシャーというものをむげに退けるわけにいかなかったという、こういう事情が私はあるのじゃないかと思いますが、先ほど申しましたように、他国のことでございますから、これは批評ないしは批判というものは差し控えたいと存じます。
○角屋委員 外務省の立場というのは、対アメリカの関係は相当に配慮して発言しなければならぬということもあろうかと思いますが、最初から交渉に参事官として参画をされておられまして、アメリカ側も、日本が国際海洋法の原則に基づいて、しかも水産日本という非常に重要な比重を持っておる立場からの主張というものについては、十分理解をし、またその主張を認めておるというふうに判断をされておるのかどうか。いま言ったように、アメリカ国内のプレッシャー・グループの影響というものも配慮して、アメリカ自身やはり少しく国際的には気おくれのするような気持ちを持ちながら、アメリカ自身の今日までの主張というものがなされておるのかどうか、そういう判断はどうなんです。
○西堀説明員 ただいまの点につきましては、むしろ松岡水産庁長官からお答え願ったほうがよろしいのではないかと私存じますけれども、私なりにお答え申し上げますと、アメリカないしカナダは、現在の条約の基本となっております抑止の方式が、現在の北東太平洋の漁業態勢というものを規律する上には――いま松岡水産庁長官が申されました大体生物学者を中心といたします米加の代表団としては、これがいまの漁業態勢を規律する上のものとしては、彼らの考え得るところではまあいいのじゃないか、こういう確信を持っていたやにわれわれは考えるので、ございます。しかし、その後第一回、第二回、第三回の会議を通じまして、日本側の主張というものを、第三回におきましては特にそうでございましたけれども、非常に具体的な点に立ち入ってこちらのほうの主張を開陳いたしました結果、彼らといたしましても、これは必ずしもこの抑止原則、抑止方式というものによらなくても、これを規律することができるのではないかというように、彼らの考え方が変わってきたのではないか。これは非常に楽観的な見方とあるいは申されるかもしれませんけれども、私は私なりに、彼らの考え方をその方向に変えつつあるのではないかと考えておるのでございます。
○角屋委員 松岡代表にお聞きしたいのですけれども、この自発的抑止原則というものは、第二回のアメリカ案の中で字句上では姿を消しておる。しかし、私ども直接交渉の衝に当たっておるわけではありませんが、依然として、特にサケ・マス等については実績主義というものをできるだけ新しい取りきめを通じて貫きたいということは、変化していないのじゃないかという感じを判断として持っておるわけですけれども、しかし、日本が提示しておりますように、サケ・マスについては科学的な共同調査をやって、その結果に基づいて日本自身もそこで必要な漁獲ができるようにという提唱について、相当の理解と歩み寄りを見せてきておるのか、やはり依然としてサケ・マスについては過去の実績主義、いわば実質的には自発的抑止原則が内容的に貫かれる方向というものについては一歩も譲歩していないのかどうか、この問題については、第三回目の交渉の経緯の中ではどうなんですか。
○松岡説明員 他国の代表団の国内における立場などもございますので、あまり具体的に申し上げることは差し控えまするが、自発的抑止原則にあまり固執しなくなったという感じは、いま西堀参事官が答えられましたように、私どもも感じておるのであります。日本側で出しております、科学的調査に基づいて三国の共同規制措置ができ上がってから日本も出漁するという考え方に対しましては、かなりの程度においてわかってきたというように私どもは感じました。これは非常に率直な意見の交換をやりました。しかしながら、やはり国内における現実の産業の利益の立場とか、そういうものがございますから、実績主義という表現が適当かどうかわかりませんが、表面においては依然として独占的、排他的権利を持つ、あるいは特殊な権利あるいは利益を持っておるという主張を続けてまいっております。今度の会議の結果として、そういった主張が全く消え去ったとは私ども見ておりません。やはりアメリカやカナダの基本的立場は、サケ・マスというものはアメリカやカナダの川で生まれて、またその川に帰ってきて、われわれが育てておるのだ、だからほかの国の漁船はとっちゃいかぬという気持ちが非常に強い。それからオヒョウにつきましても、オヒョウの資源を三十年間大事に守って育ててきたのは自分らの努力である、こういう気持ちは変わっていないと思います。それを独占的、排他的権利の根拠にしておると思うのであります。われわれはそれに対して、そういった努力及び規制に対しては尊重をする、しかし、それは実績主義だという表現が適当であるかどうかはちょっと問題であろう、そういった排他的なものではないはずだ、資源保存にはお互いに協力してやろうということで、その努力に対しては敬意を払う、こういう立場に立っておるのであります。
○角屋委員 サケ・マスの具体的な今後の問題の中で、話し合いの過程で、いわゆる北米系のサケ・マスあるいはアジア系のサケ・マスというものは、いま暫定抑止線になっておる西経百七十五度のある程度の幅の範囲内では混淆しておるというように判断されておるわけですが、かねてからアメリカは、この暫定抑止線である西経百七十五度の東のほうにおいて、北米系のサケ・マスのいわゆる幼魚といいますか、そういうものが相当に日本漁船でとられておるということに対して、関心ばかりでなしに非常に注目をして、むしろ規制を東にまで拡大をいたしたい、こういうことが非常に強いのではないかというふうに見られておるわけですけれども、今回の交渉を通じて、そういう点はアメリカ側から強く出たのか、あるいはそういう問題は出なかったのかという点はいかがですか。
○松岡説明員 具体的な表現でお答えできないのは残念でございますが、アメリカ側が独占的、排他的権利を持つ、こう言っておりますのは、アメリカの川で、アラスカのブリストル湾の川から発生して百七十五度以西まで泳いでくるサケ・マスはおれのものだ、こういうことを含んでおると考えるのであります。したがって、お前のほうがかってにとるのは許されない、規制すべきである、こういう主張になるかと思います。それは第一回、第二回会議を通じて強く主張されたことであります。第三回会議におきましては、これはアメリカ代表団の立場がございますので、具体的には申し上げませんけれども、私どもとしては、その問題についてお互いの立場がかなり理解されてきておるという感じを持っております。しかし、この問題は非常に困難な問題である。この条約交渉の解決の最も大きなポイントの一つではないか、かように考えております。
○角屋委員 いまの問題については、第三回の交渉の過程では、日本としては、西経百七十五度以東の地区に及ぶということには絶対反対であるという立場から、強く主張をしてこられたのですか、どうなんですか。
○松岡説明員 私どもと申しますか、日本代表団といたしましては、資源の保存という、ほんとうに資源の保存をはかる目的のための共同の規制ならば、これは行なうべきであると考えます。しかしながら、理由もない抑止線、資源保存と関係のない抑止線のごときものを前提としての一方的規制というようなものは絶対に受け入れられない、こういう立場に立っておるわけでございます。
○角屋委員 オヒョウの問題について、昨年から一部オヒョウの捕獲が認められるように相なったわけですが、今度御承知の日米加漁業委員会の第十一回定例年次会議が日本で行なわれるということで、十月二十六日の底魚小委員会をはじめとして、幾つかの小委員会なり特別委員会が開かれ、さらに来月の十六日から本会議が外務省で持たれる。これは特に今度の定例会議では、オヒョウの共同規制問題というのが主要なる議題の一つになるのじゃないかというふうに言われていたわけですけれども、したがって、その意味では、松岡さんが行かれた代表団の話し合いを受け継いだのが、今度の会議に持ち越された形が出てきているのではないかとある意味では思うのですけれども、オヒョウ問題については、昨年の漁獲量、本年度の漁獲実績というものでは、相当に漁獲が減少してきている。日本が去年とった漁獲量、ことしとった漁獲量というものは、十分の一くらいですか、非常に減ってきているということで、このことのために、日本が東ベーリング海のオヒョウの捕獲に参画をして以降、資源が減少をしてきたのではないかという言い方が、会談の中で出てきたのではないか、あるいは今度の定例年次会議の中で、その点から、来年はオヒョウの捕獲を、いわゆる三角地区といいますか、そういうところではやめていこうというふうな提唱がなされるのではないかということも言われているのですが、これらオヒョウの問題について、第三回の会合の中で、そういったような問題がどういうふうに議論され、また今後の問題としては、定例年次会議の中でどういう方針で政府としては臨もうしておられますか。政府ということになると、長官答えにくいでありましょうから、農林省として方針を立てておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○松岡説明員 第三回の定例会議に対する態度につきましては、私も二、三日前に帰ったばかりでございますので、まだ検討いたしておりません。事務的には準備は進められておりますが、方針の検討をいたしておりません。 それからオタワ会議でそういう問題をどういうふうに議論されたかということは、ちょっと申し上げかねますが、今度の定例会議で、アメリカ側が、東部ベーリング海におけるオヒョウの抑止が解除になって、日本が漁獲に参加するようになってから、あそこの資源が減少した――昨年、ことしと漁獲は非常に減っておりますが、そういう主張をして、日本をかりに不当な責め方をいたしますとすれば、それは当たらないと考えております。昨年とことしの漁獲の減少は、日本が漁獲に参加したから起こったという根拠はきわめて不明確であります。それから、ただ、資源が減ったということは多少の問題がございますが、どうもそういった傾向のあることは事実でございます。したがって、これについて一緒になって三国が共同規制をやるということは、これは理由のあることではないかと私どもは思うのであります。あの資源が減ったのは日本のせいだと言われるのは当たらないと思いますけれども、資源が減った状態に対応した対策を一緒に立てようということならば、これは話に応ずる用意があると申し上げていいかと思います。
○角屋委員 この第三回の今回の会合の正式の議論の中で出たかどうかわかりませんけれども、先ほどのお話のように、幾たびか小委員会が非公式に話し合いをした――大体松岡さんは本会議の舞台のタイプじゃなしに、そういう小委員会の舞台では非常にふさわしい代表だと思うのですけれども、それはともかくとして、その小委員会のそういう舞台の中では、当然バートレット法の成立に伴うところのこれからの日米の問題をいろいろ話し合われたのではないかと思うのです。また、特にオタワを終わられてから、アメリカのほうにもその問題を兼ねて寄られてから帰られたのではないかと判断しておりますが、バートレット法の問題にからんで、ひとつ情勢をお話し願いたいと思います。
○松岡説明員 オタワ会議は、これはもう条約の改定に関する会議でございますから、条約の改定に関係のない論議は、小委員会でも行なわれなかったのでございます。ただ、私どもとしては、実はその機会に、アメリカの国務省あるいは内務省なり、民間人でもタラバガニに関係のある人々が相当来ておりましたので、できれば準備的な話し合いでも行ないたいということを考えておったのでございますが、アメリカの首席代表のスミス大使は、大使の資格でございますけれども、民間人でございます。権限としては、漁業条約の改定に関する会議の代表たる権限しか持っていないわけでございます。タラバガニには全然権限も関係もないという人でございますので、私どものほうから話し合いを遠慮をいたしました。これは来たる十五日からワシントンで別途協議されるということにいたした次第でございます。
○角屋委員 今度の日米加の第三回の交渉の過程で、先ほどもちょっと触れましたけれども、東ベーリング海におけるオヒョウ資源の減少の問題の指摘とか、あるいは西経百七十五度以西で北米系サケ・マスの稚魚を混獲したことに対する米側の意見、そういうことに加えてまだ問題は残っているわけでありますけれども、第十九次の南氷洋捕鯨の総ワクの九千頭の決定問題にからんで、アメリカ側から強い不満の意思が表明されておると思います。それらの問題についてひとつ状況と、こういう問題に対する今後の農林省としての方針について、ひとつお伺いをしたいと思います。
○松岡説明員 これは条約改定会議には関係のない問題でございますから、正式の場でとやかくの論議はされなかったわけであります。まあ、いろいろなパーティなんかの席で個人的に話をしておるときに、人によっては日本はけしからぬというようなことを漏らす人があったことは事実でございます。しかし、われわれとしましては、アメリカやカナダは、これは国としてではないですけれども、そういう非難をする人に対してでありますけれども、アメリカやカナダの、南氷洋に出漁していない、自由な立場にある人々、特に生物学者的な人は、資源保存ということだけを考えて、現実に大産業として南氷洋に出漁しておる船団を持つ国のいろいろな考え方を、フリーな立場にある人があまりかってな批判を加えるのは適当ではない、こういうような話というか、これはほんの私的な話でございますが、そういう話をしたことはございます。
○角屋委員 冒頭に、外交交渉の問題だから、内容問題についてはいろいろ言えない点がある、そういう話が出ておりまして、お話を受けたあと、さらに突っ込んで聞くのはいささかちゅうちょがあるわけでありますけれども、しかし、第一回目以降の交渉を通じて――詳細はわれわれ交渉の衝に当たっていないので知らされないのは残念でありますけれども、何となくこういう交渉を通じて回を重ねていく場合には、アメリカ側あるいはカナダ側の譲歩というよりも、日本側の譲歩を通じて、相手側のペースで話がきまっていくのじゃないかという懸念と不安を率直に言って持つわけであります。しかもアメリカ側では交渉の前に若干の変化があったというように参事官から申されましたけれども、大統領みずからこういう問題について発言をする。日本では総理なり農林大臣がこういう問題で強い姿勢の発言をしたということを必ずしも聞かないわけでありますけれども、これはやはりこういう交渉に臨む日本全体としての姿勢、しかも主張するところは、国際的に見て日本の主張が正当であり、アメリカは内部事情はあるかもしらぬけれども、やはり主張の点に少しく問題点が多いということでありますから、私は、今日まで三回の経緯を通じて――さらに来年の春ごろ以降に第四回交渉をやろうという気持ちかもしれませんけれども、大体事務局レベルというところで話し合う段階は一応今回の段階で終わって、もっと政治レベルのところで大所高所から日米加漁業条約の問題についてまとめなければならぬ、そういう情勢にきているのじゃないかという感じを持つわけであります。その点は、交渉に当った代表としての立場からどういうふうに思われるか。
○松岡説明員 だんだん問題点、対立点がきわめて明確な、しかも具体的な形になって、その意味では一面進展でございますけれども、一面においてはまた困難になっておる。問題が煮詰まれば煮詰まるほど、国内におけるいろいろな折衝でもそうでございますが、ハイレベルになるということがあり得ることは当然でございますけれども、私どもがいままで感じたところでは、事務的な折衝で一応進んでおる、楽観はできませんけれども、まだ打開の余地があるのではないか、こういうように考えておりますので、いま軽々に政治的な解決をはかる、あるいはもっと極端な言い方をすれば、廃棄に持っていくというようなことは、現在交渉が進行している段階ではちょっと申し上げにくいと思うのであります。
○角屋委員 日米加漁業条約の今後の方針の問題について、最後に政務次官のほうからお答えを願いたいのでありますが、この問題は、水産日本という日本の立場から見まして、非常に重要な条約の問題であります。私どもはこの問題が始まりました当初から、条約で許されておる廃棄通告を通じて新条約締結ということでいくべきだという主張を基本的には持っておったわけでありますけれども、御承知のように三回までの交渉が続けられた。交渉は交渉として、それなりのある程度の双方の理解、認識が進んでいくということもあろうかと思いますけれども、国際的に見て、日本とアメリカという立場の中で、日本が正当な主張を事務局レベルのような今日の交渉の段階で貫き得るかどうかという点は、率直に言っていささか懸念なしとしないのでありまして、来年のおそらく春以降に持たれる第四回の交渉というものの推移いかんによっては、条約の十一条の二で認められておる廃棄通告を通じて新条約締結というところまでの強い姿勢が、日本自身として必要ではないかということを強く感じておるわけでありますが、日米加漁業交渉の今後の問題について、政務次官として政府を代表して御方針を承りたいと思います。
○舘林説明員 北太平洋における魚族保存と申しますか、オヒョウ、サケ・マスの保護につきまして、占領中、マッカーサーラインという、まことに不平等なものを押しつけられたことは事実でございます。かような不平等なものを平等のものに回復するために、日米加の漁業条約が締結されたのでございまして、これは明らかに一歩前進だと思うのであります。ただ、漁業条約の中に、先ほどからいろいろお話しになりましたとおり、自発的な抑止の原則というような、不平等とまでは言えないかわかりませんけれども、いわば過度規制の条件を押しつけられたことも事実でございます。したがいまして、松岡長官が申し上げましたように、この自発的抑止というような過度の規制を何とかして回復いたしたいということで、三回にわたりまして今日まで交渉を重ねたわけでございます。 しこうして、日本といたしましても、海洋における魚族資源の保護ということにつきましては、世界経済の立場から、これに協力することは当然なことでございまして、ことにオヒョウとかサケ・マスにつきましては、いま長官が申し上げましたように、カナダとかアメリカにおきましては、その資源の保護に全力をあげて今日まできている、この努力もわれわれ認めなければいけないと思います。しかし、さような魚族保存につきましては協力いたすにいたしましても、魚族保護以外の立場から日本としては主張すべき点は明らかに主張してきたことも、また長官の説明のとおりでございます。したがいまして、さような立場で三回の交渉を通じまして私が長官からの報告を受けたところによりましても、決して日本がアメリカのペースに引きずられて今日まできたという感じはいたさないのでございまして、日本としては主張すべき点はあくまでも主張してきた。だからこそ、今日妥結を見ないで、首席代表以下が引き揚げてきたのは事実でございます。 したがいまして、今後直ちに、先ほど申し上げましたように、政治交渉に移るかどうかという問題でございますが、これもいま長官が説明したとおりでございまして、第四回の交渉の過程においてまだ事務的に相当煮詰める可能性がある。また、ケネディ前大統領あるいは今度のジョンソン大統領も相当強いことを言っておりますけれども、これはもちろん向こうの水産関係者のプレッシャーというものがあるでしょう。しかし、やはり今度の大統領選挙ということの影響もあるでしょうし、今後大統領選挙が済みまして、さらに日米加で交渉を重ねることによって妥結の道もあるような気がいたします。あくまで日本の立場から主張すべき点は主張いたしますが、ただ、直ちにこれを廃棄に持っていくというようなことは、私まだ早いような気がするので、いましばらく外交交渉のルートを通じまして努力いたしたい、かように考えております。
○角屋委員 私は、今日の時点では、三回までの交渉を続けてきたわけですから、今日直ちに、われわれが当初主張したような、廃棄通告を通じ一新条約締結という主張を必ずしも固守するわけではございません。しかし、第四回目の交渉の経緯いかんによっては、やはり条約の十一条の二で認められておる、廃棄通告を通じて新条約締結という、そういう強い姿勢で関係漁業者の期待にこたえるということが、私は日本政府の方針でなければならぬということを述べたわけであります。しかも、言うまでもなく、二年後には日ソの漁業条約の改定期を控えておる。同じ北洋の関係で日米加の問題があり、日ソの漁業条約の改定の問題がある。この日米加の漁業条約のまとまり方いかんということは、直ちに日ソの漁業条約の改定に重大な影響を持ってくる。また、先ほど倉成委員がいろいろ質疑を展開されました懸案の日韓の漁業交渉の問題にも直ちに波及するという、単に日米加だけの問題におさまらぬという重大問題でありますから、私は、もう四回目の交渉というのが、いわゆる条約廃棄という形を通じて新条約を結ぶという姿勢に移るかどうかの分かれ道になるんじゃないかという感じを持ちましたので、そういう政府の強い姿勢というものを求めたわけであります。最初私は、倉成委員の質問に関連して、日韓の問題についても、当面の問題をただしたいと思いましたが、外務政務次官もやんごとない理由でお帰りになりましたので、いずれ他の機会に譲りたいと思いますけれども、ただ、先ほど倉成委員との質疑応答で外務政務次官が答えられた中で、見解の問題点というものを私は特にこの際指摘して、参事官からぜひお伝えを願いたいと思うわけであります。 韓国に対する九月二十二日の経済協力問題、これはわれわれとして基本的に賛成できかねる問題でありますが、それにいたしましても、韓国に対する経済援助の問題と、李ラインにおける非常に不当な拿捕の強化という問題は、外務政務次官の答弁では別個の問題だという当初のすべり出しの発言がございました。これは鈴木官房長官が関係業界に会ったときにも答えて、関係業界の諸君から非常な反撃を食った問題であります。相手国は一つであり、しかも漁業者の犠牲においてこの経済協力がなされるというようなことになりますと、国民的な感情としてもこれは納得できないという問題になるわけであります。しかも、ああいうことを閣議決定をいたしましても、なおかつその後において、むちゃくちゃな拿捕あるいは漁船に対するところの沈没事件まで生ずるというふうな事態でありますから、経済協力そのものにわれわれは基本的に問題を持ちますけれども、少なくとも漁業者の犠牲における経済援助というふうなものは即刻中止するというくらいの強い姿勢で、韓国問題に当たる必要があるのではないか。自民党の与党内部では、最近の拿捕問題等と関連をして、警備強化というふうなことがいろいろ議論されておるやに聞きますけれども、私はこの警備強化ということは必ずしも好ましいことではないと思います。力には力でというところに落ちつくところは、非常に危険な方向に走らないとも限らない。むしろ、そういうものの強化の前に、日韓の間で漁業の問題については打つべき手を最大限に打っていくということが、前提条件でなければならぬというふうに思うわけであります。 さらに経済協力の問題と関連をして、韓国からの水産物の輸入問題、これは深く触れませんけれども、たとえばノリの問題等については、昭和三十六年だったと思いますが、本委員会において、私から韓国ノリの輸入制限問題について提案をして、与野党満場一致で決議した趣旨もございますし、今日浅海養殖として伸びておるノリの現状等から見まして、本年の場合は千葉等の災害の関係から、緊急輸入を生産時期をはずしてやりはいたしましたけれども、それは特例であって、あくまでも韓国からの水産物輸入、これ はノリだけに限りませんけれども、日本の立場において、これらの問題については農林省としてはあくまでも善処されなければならないというふうに考えておるわけであります。 前段の部分は、参事官を通じてぜひひとつ政務次官のほうにも強くお伝え願いたいと思います。後段の部分については、先ほども舘林政務次官から農林省としての見解表明がございましたが、御見解の内容については私ども了承できる点があるわけでありまして、そういう考え方で、あくまでも農林省は漁民の立場あるいは水産業界の立場に立って、これらの問題に対処していただくように強く希望いたしまして、本日はこの程度で質問を終わらせていただきます。
○赤路委員 関連して。 日米加の問題では、角屋委員のほうから詳細に質問をされておりますので、重ねて申し上げませんが、一点だけ私は注文をつけておきたい。 これはいままでの御答弁を聞いておりますと、角屋君が指摘をいたしましたように、この問題を単なる日米加の問題とのみ考えておるのではないかという懸念があるわけであります。これは日米加の問題だけではなく、他に影響を及ぼすことの大きいことを十分腹に入れておくこと、これが急務です。この点をひとつ忘れないようにしていただきたい。これが一つ。 それから御答弁を聞いておりますと、どうもいまの長官の答弁の中にも、西経百七十五度、要するに自発的抑止線を前提とした上での百八十度への拡大、そういうものはとうてい認められませんし、話い合いもできぬというような基本態度ははっきりしておるわけです。それだけはっきりしていながら、何か腰が重たくて上がらない、われわれはちょっと理解に苦しむ。こういう点少しやはり腹をきめてかからなければ問題は解決ついていかぬと思う。先ほど次官のほうから、今日まで何とか三回やってきた――これは歌の文句になりますよ。何とか三回、これから何回ということになる。こんなことをやっておれば解決つかぬ。腹をきめてやっていただきたい。これが一点。 それから韓国問題で一つ、参事官のほうから特に上層部のほうへ言っておいていただきたいと思う。御承知と思いますが、二千万ドルという経済協力をやる前後から特に拿捕の状況がひどくなっておるという事態ですね。これは角屋君が指摘したとおりで、別のものではない。そこで、私は一点言っておきたいのですが、それは御承知のとおり、水産庁のほうでは極力反対いたしておりますが、韓国ノリの輸入の問題、かってこれが問題になって、本年度分は一億枚、外貨割り当てをして入れることになった。あとまた一億枚を追加いたしました。これは九月に入りましたね。もういよいよノリの生産に入ろうとする前に一億入っておる。しかも今日外貨割り当ても何もないのに、五千万枚から七千万枚保税倉庫に入っておるそうですね。こちらのほうは受け付けていないですよ。韓国がかってに持ってきて押し込んだ。そんなばかな話がありますか。相手を見て法を説けと私は言った。そういう相手なんですよ。なぜもっと断固とした処置がとれないのか。経済断交をやればいいのだ。そのくらいの腹を持たなければ、この問題はいつまでたっても解決せぬ。まるで漁民の犠牲の上でべらべらやっているようなものだ。この点ひとつ外務省の上層部のほうへは特に伝えておいていただきたいと思う。この二点だけを要望いたしておきます。
○松岡説明員 前段の二つの点につきましては、私どもも、日米加漁業条約は、それだけの問題でなく、日韓交渉あるいは日ソ条約にも重大な影響があるということから、絶対に悪影響のないということをあくまでも念頭に置いて交渉をいたしております。 それから第三点は、外務省のほうにお話がございましたが、前にも韓国ノリが保税倉庫まで持ってこられたことがございます。保税倉庫の段階ではまだ輸入になっていないわけであります。外貨割り当てがなければ保税倉庫から通関はできません。割り当て証明書がない限り絶対通関はできないわけであります。インポーターは保税倉庫までは自由に持ってこられるということでございまして、これは日本側で、通産省にいたしましても、水産庁にいたしましても、いままで外貨割り当てをやったことはございませんし、今後もやることを考えておりません。御了承いただきたいと思います。
○赤路委員 松岡さんはまことに正直だから、そうおっしゃっているが、いままでの韓国ノリの輸入の状況をお調べになっていますか。最近のやつじゃないですよ、始まって以来のやつ。保税倉庫に入っていると、いつの間にやらなくなっている。そういう事態があるから、やかましく言う。それを承知の上で、向こうはほおかぶりして入れてくる。そんな相手をまともに相手にして何ができる。少ししっかりしてもらわなければ困るということです。
○高見委員長 足鹿覺君。
○足鹿委員 酪農の問題について、当面する重要な問題数点にしぼって、政府の対策に関連してお尋ねをいたしたいと思います。 委員長も御承知のように、四十六通常国会中で一番当委員会が重視しておったのは、この生産者乳価について配分乳価の問題を取り上げ、全会一致の決議もしておりますし、また、政府管理飼料の値上げについては、当委員会を通じてやらないという言明を農林大臣から聴取しておりますし、当委員会としては重視し、今日に至っておることは御存じのとおりであります。言うなれば、全会一致の決議が十分生かされないままに今日に至っておることを私は遺憾に思いますが、委員長も御同感であろうと存じます。ただ決議のしっぽなしで私は満足するものではないのです。一たん決議をした以上は、これは与野党を通じての一致した決議でありますから、国会の権威にかけて、私どもはこれを政府の施策の上に反映せしめずんばやまぬという気持ちを持っておるやさきに、また十月以降の乳価を引き下げするという状態が起きておるのであります。この問題についてこれからお尋ねをいたしますが、舘林農林政務次官に最初からこういうお尋ねをすることはお気の毒に存じますが、前次官からお引き継ぎになっていることと思いますし、六月二十六日の当委員会の生産者乳価についての配分乳価問題に対する措置は、その後どのようにお取り扱いになったか、また今後どういうふうに措置される御所存でありますか。大臣が御都合が悪くて御出席ないようでありますので、しかとその方針をお示し願いたいと思います。
○舘林説明員 生乳のことにつきましては、まだ十分に勉強しておりませんけれども、本年の六月二十六日の当委員会の決議の趣旨もありまして、値上げの部分についてはその五〇%を生乳生産者に配分するように措置することということになっておりまして、大体この趣旨に従いまして努力いたしたいと思っております。
○足鹿委員 九月十日の当委員会で、同僚芳賀委員からこの問題について質問が行なわれたことは御承知のとおりでありますが、その際、檜垣畜産局長は、一合当たりの配分は大体九十九銭になっておる旨を答弁されておりますが、これはいまだにそういうお考えでおられますか。そういうことだといたしますと、内容をしさいに検討してこまかく私どもは申し上げざるを得ない。ただいまの政務次官の御答弁には、あなたがいろいろこまかいことを言われたようだが、一片の反省もないのですか。そういうことでは、当委員会の形だけの決議を数字的につじつまを合わせるというだけで、意味がないじゃないですか。どういうふうに反省をされておりますか。
○檜垣説明員 六月二十六日の当委員会におきます御決議につきまして、私どもその御趣旨を尊重して、その方向で努力いたしたいということを申し上げたわけでございます。九月十日の当委員会におきまして私が申し上げましたことは、その後全国的に見ますと、生産者団体と乳業者との間におきます乳価の配分の交渉は漸次進捗をいたしておるようでございまして、当時におきますメーカー側の提示しました条件を、三十八年度の生乳の生産量というものと、それから提示の条件とを基礎にいたしまして、普通牛乳及び加工牛乳の値上げ分二円のうち、おおむね九十銭が御承知のように小売りのマージンになり、残り一円十銭のうち、ただいまのような前提を置いて計算をいたしてみますと、普通牛乳、加工牛乳の二円値上げのうち、九十九銭に近い数字のものが、メーカー側からの全体の酪農家に対する乳代としての追加払いといいますか、還元されるような数字もございます。しかし、これはまだ全体として乳価の交渉が続いておる段階でございますので、はっきりした最終的な数字あるいは確定的なものとして申し上げるわけではございませんが、全体の様相はそういうことでございますということを申し上げたわけでございます。その後も乳価の交渉は継続をいたしておるのでございまして、私どもも地域的になお妥結に至らない地区に対しましては、それぞれ問題が地域的な特質による交渉のように見受けられますので、私どもも都道府県に対して行政上の指導なり援助をいたすべき必要があれば、これに対して指導援助を惜しまないということで、先般の市乳値上げに伴います乳価の配分についての結論について、妥当な結果を得たいとして、引き続き努力をいたしておる次第でございます。
○足鹿委員 そうしますと、ただいまの政務次官の御答弁と違うのじゃないですか。政務次官は大体決議の線に沿って善処している旨御答弁になったが、最終的結論としては、まだ九十九銭という数字になるかならないかということはわからない。せっかく行政的に指導中だというようにいまの檜垣君の御答弁は承ったわけですが、おかしいではないですか。私ども無理な決議をしておるのじゃないのです。与党も含めて満場一致やっておるのです。ですから、一例をあげますと、私は鳥取県ですが、大山酪農というものがありますが、これは今年の配分の分を含めて年間六十二円です。伯耆酪農という組合酪農がありまして、朝日農業賞を受けた組合が六十二円五十銭、美保酪農が六十三円、鳥取乳業が六十七円五十銭、しかもこれは集乳所渡しになっておる。岡山県の場合は七十七円、島根県の場合は七十四円ですよ。私は全国的な詳しいデータはここで申し上げませんが、私が先日国に帰って実情を調査した結果、こんなアンバランスが出ているのですよ。だから、政務次官がいま言われるような御答弁の結果は出ておらぬ。今後いかように対処される御所存でありますか。あまりこまかいやりとりよりも、太い線でお互いが決定したことに対して実行していく、こういうかまえのない限り、この委員会で饒舌を繰り返すことはナンセンスだと思う。相手が手ごわいからといってしり込みをするようなことは、檜垣さんは武道の達人ですから私はないと思うのですが、この問題に対しては少し勇気に欠くるところがあるのじゃないですか。きょうはかぜをひいているそうですが、あまりきびしくやることもどうかと思いますけれども、少し勇気のあるところで統一的に、次官にももっと太い線であなたがなさんとするところを――次官はかわられて間もないことですし、前の丹羽政務次官のときには、政府も決議を尊重してやるということになっておる。数字の組み合わせや全国的な組み合わせでそうなっておっても、それは高低があるから九十九銭ということになる。低いところはあくまで低いのですからね。そうでしょう。乳業メーカー別に、地域別に、また用途別にみんな違うのですから、そういう答弁では私どもは納得できないと思いますが、もっと良心的に、誠実な人柄を買われておるといわれるあなたは、もっとまじめな答弁をしていただきたいと思います。要するに、その理由としては、いろいろ私ども巷間伝えられるところを聞いておりますし、あまりこまかく入ると事務的になりますから、私は入りません。入りませんが、たとえば乳製品は価格の変動が多いから、一定時期だけの市況で判断ができない。したがって、値上がり問題を織り込むということは、配分乳価の対象にはなるとかならぬとか、あるいは乳飲料については、これは第二次、第三次製品だから、今回の乳価配分の対象にはならぬからとか、そういうメーカー側の言い分に追随をされるような印象を酪農民代表に与えられることは、私は畜産局の自主性において遺憾に思いますが、そういった点も含めて、この九十九銭配分の問題は、先回芳賀委員に御答弁になったようなことを、これは一ぺんもとへ戻して、これは計算が違う、もっと自分たちとしては検討を加えて、実質当委員会の決議に沿うべく今後具体的な措置を講ずるのだ、こういう決意と対策を示されぬ限り、決議を尊重したことにならないのじゃないですか。舘林次官にはたいへんお気の毒で、最初からかみつくようで恐縮ですが、もう少し性根をきめたところを見せていただきたいと思うのです。
○檜垣説明員 当委員会の御決議については、私どもここで再びその御趣旨について尊重するということを繰り返す必要はなかろうと思いますが、私が申し上げておりますのは、私も、今回の配分が始まりましたときに、われわれが二円の値上げを認める――認めるというのもおかしなことですが、それもやむを得ない状態だということを容認するということで、酪農民の現在の経営状況から見て、非常に苦しい事情にある、また小売りも確かに人件費の値上がり等で苦しい事情にある。したがって、この二円の配分については、農民についてもっと重点的に考え、また小売りについても考える。また、小売りはそれの従業者に対する処遇ということについて必ず善処するというようなことを行政の方針として要望をいたしたわけであります。その際、私も大体今回二円値上げをせられます普通牛乳及び加工牛乳の農民への還元額は、少なくとも九十銭をこえ、一円に近い程度のものを返してしかるべきではないだろうか、その際の考慮の事項としまして、本年の二、三月ごろから、乳製品は、昨年の非常な不況を示しました価格水準から回復をしてまいっておったのでございますから、したがって、五〇%に近いものを還元する、また五〇%を目標にして、農民への還元に、指導に努力をするということを考えてまいり、また、そういうふうに当委員会でも終始申し上げてきたように思っておるのであります。 あと、こまかい問題としましては、乳飲料につきましては、これは私のほうは、乳飲料の価格について、いままでもまた将来も、乳飲料の価格の動きについてとやかく言う気持ちはございません。これは一種の清涼飲料の種類のものであって、その中に乳製品あるいは脱脂乳等を混合して利用しておるということで、全くわれわれの行政と無関係ではありませんが、私は、これの価格についてまでとやかく言うことは、われわれの酪農行政、乳業行政という立場から少し範疇を異にするのではないかと思っておるのでございます。乳飲料も、今回の普通牛乳の値上げの際に引き上げられたようでありまして、またそのメーカーへの還元額も、メーカーの卸売り価格の引き上げ額も区々のようでございます。しかし、大体平均しまして、メーカーが乳飲料の卸売り価格について九十銭ないし一円程度の値上げを行なったようでございます。でございますから、その分がメーカーの全体としての企業経理にプラスになっているということは、私は言えると思います。これはメーカーに対してもあるいは酪農家の方々に対しても、私はそう言っているのでございます。でございますが、乳飲料の分まで入って議論をいたしますれば、それは他のアイスクリームでございますとか、あるいはマーガリンでございますとか、そういう経営の中で行なわれる商品全部について口を出さなければ手の施しようがないということに、私は行政上なると思うのでございます。でございますから、私どもとしては、もちろんそういう事情を背景に持ったメーカーの経理状態というものは、おそらく三十八年の下期に比べて、九年度の上期の経理は好転するだろうと思うのでございます。ただ、これも結果を見ませんとわかりませんが、そういう事情にあるだろうということでございますから、そういう状態を頭に置きました場合、農民への還元額をできる限り厚くし、メーカーの取り分というものは最小限度でがまんすべきであるという指導は続けてまいったつもりでございますが、個々の取引団体における価格の折衝について、農林省、中央の官庁においてそれに行政介入をするということは、一定の手続を経まして出てきました事案につきましては別でございますが、これは実際問題として不可能でございます。でございますので、私は都道府県なりあるいは中央の乳業団体なり農業団体なりを指導するにあたりましては、おおむねこの委員会の御決議の趣旨に従って努力をしてまいったつもりでございます。 なお、未解決の部分の組合等もございますので、なお引き続き、私どもとしては、それぞれの事情についてわれわれが明らかにすることができ、またそれについて解決の方途が見出せるよう、原則としての方向はただいま申したような方向で、努力をしたいということを申し上げておるわけでございます。
○足鹿委員 いまのあなたのお話はお話として、それでは承りますが、それは、乳業メーカーはそういうあなたの見解とほぼ同じような見解を示すでしょう。しかし、酪農民、生産者の場合にとってみましたときには、加工乳であろうが、あるいは飲用牛乳であろうが、それが何に使われるかということは酪農民の知ったことではありません。別個の問題です。それをあなた方は念頭に入れて判断され、善処されなければならぬと思うのです。いまのあなたのお話は、あまりにもいわゆる加工乳や飲用牛乳の乳飲料を製造するものの立場に立って見解を述べておられるように私は聞かざるを得ないのです。同僚諸君もそういうふうに聞かれたろうと思うのです。六月二十六日の決議には、「一、飲用牛乳の値上げ部分については、その五〇%を生乳生産者に配分するよう措置すること。二、原料乳地域の生乳生産者乳価については、加工乳、乳飲料等の値上げの現況にかんがみ、右に準ずる措置を講ずること。右決議する。」となっているのですよ。それはわれわれは、あなた方がそういう見解を持ち、ややもすればそういう方向へ走ることを考えて、当委員会は多くの決議をせず、肝心な二項目をちゃんと態度をきめておるのです。それをいまあなたは一方的な乳業メーカー的な立場に立ったお話をなさいますが、消費の現況を見ましても、飲用乳のごときは、前月対比で九州のごときは八割四分六厘の増加を示している。これはあなた方が出した三十九年九月二十九日公示農林省統計調査部からの資料です。生乳、乳製品の生産・消費量三十九年八月分、それによると、そういう数字が出ておるのです。全国平均で乳飲料三割五分二厘の割加をし、加工乳については二割七分五厘も増加をしておる。そしてどんどんもうかっておる。そのものがあなた方の対象になるかならぬかということは、これは行政上いろいろな問題が出てくるでしょうが、ならないならば、関係方面と緊密一体の連絡をとるなり、行政的に、いわゆる三省協議会もできておりますし、どんどんおやりになって解決されるのが、私は妥当だと思うのです。もうかっておるだろうから、今後善処するだろうという含みのある御答弁もありました。ありましたが、私どもの決議しておるのは、二項目を決議しておるのです。ですから、もう一ぺん畜産局は、成長株として酪農を奨励した、その酪農民の立場に立ってものを考えて、その立場から今後講ずべき具体的な方針なり措置を示されることを私どもは期待しておるのです。いまの御答弁では何人といえども同調できません。感心はできません。了承もいたしかねます。政務次官、いかがでありましょうか。従来から当委員会の問題については、決議したことについてはとにかく実行することで、今日まで成果をあげてきているのです。ですから、無理な決議は私どもはいたしておりません。いつも現実を踏まえ、そして努力によっては可能であるという立場に立って、建設的にやっておる所存でありますが、このような御答弁では今後の酪農が案じられます。とにかく私の県の事例によりましても、非常に屠殺数がふえている。酪農に絶望して、漸次屠殺に回しておる事例は多いのであります。これは統計の上でも、去年と一昨年との対比の面から明らかになっておることでありまして、重大な酪農危機に直面しておると私は思うのです。ですから、いまの檜垣さんの御答弁は、酪農民の立場に立った御答弁とは理解しがたい。そういう点を御反省になって――先ほど、先回における芳賀委員の質問に対しては、今後九十九銭、とにかく五〇%に達するように努力すると答弁を御訂正になったようでありまして、現実にあなた方が地域別、メーカー別にそれぞれの事情に基づいて善処するという御答弁でありますから、これ以上はその結果を待ちましょう。いつまでも待つわけにはいきませんが……。しかし、いまの加工乳と乳飲料との問題については首肯いたしかねます。もう一ぺんとくとお考えになって御答弁を願いたいと思います。
○檜垣説明員 普通牛乳につきましては、これは農家からの生乳をただ単純な殺菌処理をして出すだけでありますから、これはその値上げが直接に農家の生乳価格に響く、結ぶはずであります。また加工乳も、殺菌処理をしましたものにビタミン、ミネラル等の添加物を加えるだけでありますから、これは農家の生乳生産者価格に直接結ぶものである。でございますから、その分については、先ほど申し上げましたように、第一項のような努力、それを目標として私どもは指導してきたつもりであります。ただ、乳飲料になりますと、これは製造の形態でいろいろ違うようでありますが、そう言いますと、足鹿先生のお気にさわるかもしれませんが、コーヒー牛乳だの、フルーツ牛乳だの、あるいはヤクルトだのということになりますと、原料比の構成もまちまちでありますし、しかもその原料は、一度乳製品に変わりました脱脂粉乳を使う場合が大部分でございますから、これを農家の生産者価格、今回扱いました生産者価格に結びつけて議論をいたしますことは、少なくとも私のような頭の悪い者には、これは相手が乳業者であれ、だれであれ、私はなかなかやりにくい、行政的にやることはむずかしい。ただ、その経営の中に、こういう乳飲料のようなものでもうけておるものがあるということは、これは乳価の配分なりあるいは乳価の交渉における私どもの指導上の配慮事項である。それは十分配慮して指導しなければならないという点は、あるいは仰せの御趣旨はそれ以上のものかと思いますが、その限りにおいて私も同様に考えておるつもりでございます。
○足鹿委員 この前の決議の前後の委員会に、稲富委員から今後色もの牛乳の成分規制等を通じて考慮する余地はないかというので、具体的に成分分析表の数字を示して政府の見解を求められたことがあったと思うのです。当時の記録、たまたま私ここに持っておりますが、コーヒー牛乳は原乳二九%、脱脂乳が六六%、濃縮乳が〇・三%、カラメル〇・七%、水あめ二%、人工甘味が〇・一%、コーヒー一・一%、全脂加糖練乳〇・八%ということになっておるそうであります。反論がなかったらこれはお認めになると思うのですが、原乳二九%は確かに農民がつくったものであります。脱脂乳も、アメリカの輸入したものもありましょうが、日本の原乳を原料にして製造されたものもあるでありましょうし、全脂加糖練乳にいたしましてもそうでありましょうし、濃縮乳にいたしましても、わずかでありますが、やはり原乳を使って製造したものでありましょう。どうしていまのような御見解が生まれますか。またフルーツ牛乳に至っては、これはまたひどいもので、CMCというのですか、シェルコールとかなんとかというものだそうですが、五〇%、これは何だかわけのわからぬ、安定剤だかだそうですが、何だか知りません。人工甘味料が四〇%、水あめが〇・四%、砂糖が〇・二%、原乳が六%、フルーツベース〇・六%、バナナベース〇・二%、エッセンスが〇・八%、こういうふうになっているそうであります。これにしましても、これはいわゆるはっきり乳飲料と銘打って市販もされ、そして政府の統計にもはっきり出てきておるのです。あまりくどくは申しませんが、つくって出しておる立場の者は、何に使われようと、それはあえて関知せざるところです。解釈は御自由に、それぞれのベースでおやりになるわけですから、それはやむを得ないと思うのですよ。出す者の立場になれば、いろんなものを総合していけば、やはりこれは大きな量になるのです。用途別では、どういう原料乳が使用されておるかということは、私は資料もここに持っておりませんから、つまびらかにいたしませんが、今後の伸び率を見ておりますと、すごい勢いで飲んでいく、そういう傾向を持っておる。乳飲料が少なくとも三五%もふえる、加工乳が二七・五%もふえるというような事態は、これはつまり白ものを圧迫をし、そしてこれに振りかえてくるのでありますから、全体としての牛乳問題でわれわれは取り上げてしかるべきものだと考えるのです。いまのあなたのそういう御認識でこの問題を取り扱われるから、本委員会の決議の精神にももとるような結論が出てくるのではないですか。
○檜垣説明員 私の御説明も不十分なところがあろうかと思いますが、お手元に同じ資料をお持ちのようでございますが、たとえば牛乳の生産量のうち、生産されまして農家が工場に渡しましたものは、いわゆる普通牛乳と加工牛乳という形になりますものと、乳製品とに一度分かれるのが大部分でございます。もちろん、乳飲料として統計上出てまいりますものは、牛乳を必ずしも使用していない液体飲料の製造業者の製品も入っておるわけでございます。ですから、なま牛乳を買ってそれを使うという場合もあり得ます。大体全体としてのウエートからいえば、よくわからない点がございますけれども、乳飲料というのは、一度乳製品になったものの二次製品と申しますか、三次製品と申しますか、そういう性質のものでありますから、農家との関係では、一度工場へ出荷した関係における経路は、一応終わっているという性質のものが多いわけであります。それと問題は、農家に還元をするということにしましても、理屈としてはそれぞれ製造の中におけるウエートをどう見るのだということになりましても、ちょっと私ども手の出ない点がございます。でございますので、乳飲料を製造しておるということによる経営の有利性と申しますか、そういうことでもうけておる。確かにもうけておるという事実も私ども認めるのでございますが、それを飲用乳価格の引き上げということに伴って、生乳価格として農家に還元する場合の計算の中にいかに入れるか、きわめてむずかしいと私は思うのです。ただ、そういうことを勘案して、乳価の決定あるいは乳価の配分について指導すべきであるという点は、私も十分了承をいたしておりますし、そうしたいということを申し上げておるわけでございます。
○足鹿委員 政務次官お聞きのとおりなんですね。勘案をするというのが限界だというのですね。勘案をしていろいろ行政上に措置したい、こういうことなんですね。加工乳にしましても、乳飲料にいたしましても、とにかくその含んでおる。パーセントは、会社によって、またその品目によってみな違うでしょう。それは私どもよく存じております。いま私がこまかにデータで正確にお伝えしたとおりなんですが、しかし、あななた方はそれを一つの包括される立場において、総合したいわゆる生乳生産者乳価対策として、これをどう取り上げるかという、いわゆるウエートの置き方を考えられなければならぬ段階がきておると私は思うのです。先ほど私が指摘したとおりです。ですから、たとえばあたりまえの生乳だといったって、それがほんとうのなまのままの生乳であるかどうか。いわゆる脱脂粉乳が、ある程度水をまぜて脱脂粉乳で濃度を保っておるものもないとは言えないでしょうし、北海道の現地で飲む牛乳と、東京で飲む牛乳との鮮度には差があるでしょうけれども、とにかくいま取りざたされておるのです。あなたのいまの議論をもってすれば、市販の飲用乳そのものにも疑問を持つような見解にも通ずるようなことになりかねない御答弁ですよ。これは畜産局としてはたいへんなことになると思うのですね。畜産局は何のために存在するのか、私はわからなくなる。ですから、くどくは申し上げませんが、この点については再検討して、少なくともあなたたちが勘案するというような程度ではなくして、いわゆる配分乳価の対象として一〇〇%に近い、われわれの委員会の決議によれば、二円値上げの五〇%、つまり一円ですから、九十九銭に達するようにやると、いま先回の言明をひるがえして、それぞれの事情によって善処するというのですから、それはそれでよろしい。よろしいから、その点についても、それぞれの事情とは、加工乳、飲用乳等の場合も対象にして、そして少なくとも当委員会の二項目の決議が生かされるように、知事による調停あっせんの促進、農林大臣の積極的な行政的指導ないしは介入、そういう点について、一歩を進める決意をお持ちですかどうか。この問題についてあまり時間を費やしましても、まだ二つ問題がありますので困りますから、政務次官に御見解、御決意を承っておきたいと思いますが、いかがですか。
○舘林説明員 飲用牛乳とか加工乳、乳飲料、かような乳価の配分につきましては、いま足鹿委員から詳細に御質問もありましたし、また、当委員会の二項目にわたる大事な決議もありますので、十月以降の乳価の配分につきまして、十分に御趣旨の点を尊重いたしたいと思っております。
○足鹿委員 六月にいわゆる市乳の値上げを農林省がお認めになって、二円の値上げになった。その配分の問題から私はいま入っておるのです。それで、九十九銭になっておるなどと、この間の芳賀委員の質問に檜垣さんが答弁をされるから、納得できないので、この点についてあなたが前言をひるがえされたことに対して、次官の確認を求めると同時に、いま述べた加工乳や乳飲料の問題を、それぞれの事情によっていわゆる行政指導の面において配分乳価の対象としていかれるならば、問題は当委員会の決議の趣旨に沿われることになると思うのです。ですから、そういう御答弁でなければ、これは何時になってもやめられませんわ。そのようなあまりに事務的なことではなしに、私ども番いま大事なときにきているのですから、しつこく言うのです。十月以降のことはこのあと言いますよ。
○檜垣説明員 いま足鹿委員から御指摘がございましたが、飲用牛乳、この中には普通牛乳と加工乳があることは、先ほども申し上げたとおりでございまして、その点については、私どもも先ほど来申し上げておりますように、おおむね農民への還元額が五〇%になるような努力を続けてきたし、今後もいたしますということでございますが、乳飲料の扱いの問題については、これを普通牛乳ないし加工乳と同じように扱って、今回の問題の財源的なものとして扱うことについては、これはもう少し私どもの検討をさしていただきたい。これをもってその分を全部当然農家に還元すべきものであるというふうには、実は私どもよう考えなかったのでございますが、その点に関しましては、私は、いままでは乳飲料がふえる、またそういうことによって乳業メーカーの経理を潤しておると いうことは事実でございますから、そういうことは少なくとも乳価の配分において農民側で勘案事項として有利に判断すべき事項だというふうに思っておりましたが、なお私どもも御指摘ございましたので、検討さしていただきたいと思います。
○足鹿委員 政務次官、どうですか。これはやはり行政担当者としての畜産局長の答弁の限界一ぱいだとぼくは思うのです。いまのところは、まだ勉強していないと言うから、きょうのところはあれですが、政務次官の判断によって、少なくとも当委員会の趣旨を尊重して実現につとめる旨を御言明になっておられるわけでありますから、いまさら乳飲料についてはどうも検討が足らなかったということでは、なぜそのときにいわゆる異なった見解を有するなら有するということを言わなかったかということになりますよ。複雑な決議をしているのではないのです。たった二カ条決議をしているのですから、尊重するとおっしゃったのですから、そういう点ではやはりそれを受けて、舘林政務次官の乳価政策の力量のあるところをひとつ示してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○舘林説明員 御質問の点並びに決議の趣旨につきましては、これからぜひひとつ実現するようにいたしたいと思います。
○足鹿委員 ではひとつ、いまの御答弁をこの際信じまして、せっかく御奮闘、御活躍していただき、酪農民の期待にそむかないように、農林大臣の積極的な行政指導、場合によっては行政介入によって、配分乳価問題が解決されますように、強く要請をして、次に移ります。 先ほど次官は一緒に御答弁になったので、十月以降の乳価の問題についてはもう質問する余地もないようでありますが、先ほどの御答弁で私はけっこうでございますが、もう一ぺん御確認を願います。
○舘林説明員 十月以降の乳価につきましても、先ほど申し上げましたとおりでございます。
○足鹿委員 乳業者のほうが十月以降に一瀞当たり二円の乳価の値下げをやる。上げるものは上げないで、下げる場合は、今度はお互いの契約条項だといって下げる。いままで言いましたように、配分乳価が不適正のまま解決されておらないときに、需給並びに乳業市況の好調が伝えられておるのですよ。先ほどもあなたが言ったとおりですよ。乳業会社は生産がふるわないのに、需要は伸びておるので、乳業市況は好調だといわれておる。そういうときに、なぜ十月からまた二円下げなければならぬのですか。これはおかしいですよ。ですから、第一の配分乳価の問題と十月以降の問題とを少なくとも一体的に考えられて解決をはかられなければならぬ責任が政府にあると私は思うのです。価格の基本問題として、脂肪の含有率の問題とか、あるいは時期別の奨励金の問題とか、現在は基本乳価を下げておいて、これに加算制をとって、一応の総合乳価を打ち出しておる。一定の時期がくると上げるし、一定の時期がくると加算だから下げるという、乳業メーカーは旧態依然たる政策をとっておいでになる。これは私どもは間違いではないか、これはもう議論の余地はないと思うのです。そういう政策をおとりになっておる限り、あなた方がいわゆる主食料として酪農の基本方針を検討なさろうとしても、これは酪農民のほうから返上いたします。そういう一方的な乳業メーカーの手玉にとられるような乳価算定方式を基礎にして、これを抜本的に改める決意なしに、酪農の基本方針もへったくれも私はないと思うのです。ですから、大上段に振りかぶった議論をして、農民に大きな太鼓をたたかれることもいいでしょう。しかし、現実の問題が処理されずにおって、基本法も基本方針もないじゃないですか。そのことを私は言っておるのです。これはもう他の同僚委員から口がすっぱくなるほど言われておる問題でありますから、十分にお考えになって、いわゆる値下げを阻止する、そのために積極的に努力する、こういう御答弁をお願いいたします。
○檜垣説明員 お答えを申し上げることばが冗長になることが恐縮なんですが、私は別の機会にも当委員会で申し上げたように記憶しておるのですが、乳価の取引につきましては、生乳の取引価格につきましては、需給の事情を反映する乳価が形成されることは、必ずしも不合理であるとは思わない。ただ、従来のようにメーカーの都合によって、冬になると一方的に値下げを通告して、切り捨てごめんのようなことをやるということは、これは乳価の取引の秩序の上からも、あるいはそれによって生ずる酪農の振興の上からも、適当でない、有害であるということで、それには反対をいたしたいということを申し上げてきたのでございます。ただ、そういう時期、季節によって需給の変動がありますから、そういうことをお互いに了解の上で、季節別の乳価を設定するということは、必ずしも農林省としても反対する理由はないというふうに申し上げましたし、いまもそう思っておるのでございます。現に農民の出資にかかわります乳業工場につきましても、双方、これはまあ内輪でございますから当然でございますが、生産者と加工の段階とで季節別乳価を設けておる例は、必ずしも、二にとどまらないわけでございます。 でございますが、ただ、その場合に問題となりますのは、予測された需給事情と違ったもの、つまり、需給事情というのは、通常の需給事情のいいような場合、いわゆる飲用乳の生産、飲用向けの消費比率というものが落ちないとか、あるいは乳製品の価格条件が好況であるというような場合に、一方的といいますか、あるいは季節別であるということだけで乳価を引き下げるということは、穏当を欠く、妥当でない。でございますから、われわれとしましては、機械的におよそどういうときに値を下げる、双方が合意しておるものでも、これは値下げは認めない、あるいはそういうことを反対するというわけには私はまいらぬというふうに思っておるのでございますが、需給事情というものを適正に反映した乳価の形成というものは、そういうものを守るということには、私どももできる限り、われわれが持っております力、あるいは都道府県等の力、あるいは農業団体の力を結集して、この問題については解決に当たりたいと思っております。
○足鹿委員 季節別な若干の加算というのですか、季節別の乳価は、原則として認めるという趣旨ですか。私は現在の基本乳価が低いという現実の時点を踏まえて考えた場合に、まず基本乳価を是正していく、それがまず基調だろうと思うのです。そしてさらにあなたが言われるような、百歩譲って季節的な価格をかりにかげんをすることの必要が生じた場合は、それはお互いに共歓共苦という意味において、乳業メーカーが喜びを酪農家に分かったというたてまえになってこそ意義があると思うのです。そうでなしに、いまほ酪農民を押えるためのいわゆる加算の方式をとられておる。だから、一方的に現時点において上げたり、加えたり、引いたりされるところに問題があるわけなんです。 そこで、あまり抽象的な論議をいたしておってもしようがありませんから、需給状況というものをひとつ見ますと、三十八年と三十九年の状態をいわゆる供給の面から見ますと、八月の前年同月対比では九・五%、七月は二二・七%というふうに、生産が伸び悩んでおるのですよ。これは先ほども述べましたように、屠殺の問題もありましょうし、もう酪農民が失望しておるために、生産の減退を来たしておる場合もありましょう。ところが、一方乳製品の市況におきましては、これはもう好調の一途をたどっておるのです。資料の数字を申し上げることの煩は避けますが、乳業市況の好調は先ほどもあなたはお認めになっておる。そういう時期になぜ二円の値下げを放任しているかということを私は言っておるのです。ですから、原則的な問題は、これはまたあとで議論しましょう。議論しますが、とにかく現時点で飼料をはじめ生産資材は上がっておる。一方、乳業者のほうは好調を呈して今日まできておる。しかも、配分乳価の問題についても、不適正のまま放置されておる。こういう好条件が重なっておるにもかかわらず、なぜ酪農民が二円の十月からの値下げを甘受しなければならないのか、農林省はそれをお認めになるのですか。なるのなら何をか言わんやです。これはしかと腹を据えた御答弁を願いたい。あなた方はこれをいいかげんな、先ほど檜垣君が言われるような、いわゆる原則として、需給事情その他によって季節的なものについては考える余地があると言われることについては、私どもは反対です。原則としては、現時点において基本乳価を上げた上にこれは考えるべき問題であって、日本の場合は少なくとも基本乳価が低く、一方的に力関係において支配者がさじかげんをしておるという形のもとにおいて行なわれる季節別乳価については、原則的に私どもは了解いたしかねるのです。そういうふうに整理して考えてみた場合においては、何ら下げなければならない事情というものはないですよ。それを夏場は終わった、十月からは不需要期の期間に入っておるから、慣行上やっておることをまたやろうとしておるのですよ。それをどうして、それはおやめなさい、酪農振興の上からいっても、大局に立ったときには、それはあなた方のプラスにもなりませんよ、農林省も確固として酪農農民の立場に立ってやりますぞ、そういう立場に立ってその処理ができないのですか。できないということになれば、われわれは引っ込むわけにまいりません。これは大臣の御出席を求めます。この前、この問題やったときに、重政さんに何べんも出てもらって、誠意のある御答弁を聞いておるのです。なぜこういう段階になってできないのですか。檜垣君の答弁は、もうそれ以上あなたの限界一ぱいだから、この問題はもうよろしい。政務次官の判断で、農林大臣にかわってこれにどう対処するか。先ほどのような通り一ぺんと言うと語弊がありますが、そのまま一行ほどの文字を了承をいたすということでは、いまの段階があまりにも深刻だから、私はしつこく申し上げておるのであります。
○舘林説明員 乳価の問題につきましては、まだ十分勉強しておりませんで、足鹿委員の御質問に対しまして十分のお答えができませんことを申しわけなく存じております。しかしながら、いろいろ御質問の趣旨を考えますと、乳価の問題につきましては、いろいろ根本的な問題が伏在しておるようでございまして、十分に御趣旨に沿うように研究したいと思います。
○稲富委員 関連して一言だけ。 先刻畜産局長の御答弁を聞いておりますと、農林省というものは、やはり生産者の立場においてものを考えてもらわなければならぬ。逆だと思うのですよ。需給関係において価格が変動することはやむを得ないのだというのは、これはメーカー側の考え方なんです。この基本的な考え方が私は非常に違うのじゃないかと思う。それであなた方は、今日の乳価というものが幾らにしなければ生産者は成り立たないかという、この原則の上に立って、そし てこの基本的な価格の上に立って、需給の多いときにはこれだけ上げるのだという考え方、これが私は主客転倒されておるのじゃないかと思うのですよ。先刻からの乳飲料の問題もそこにあるのじゃないかと思うのです。この基本的な考え方を変えて検討するということが一番大切なことじゃないかと思うのですが、どうなんですか。この点を一つだけ……。
○檜垣説明員 乳価問題に対しまする行政の姿勢として、農林省としてば農民のサイドに立った姿勢をとるべきではないか、そういう心がまえでおるべきじゃないかという御説につきましては、私どもも全く同様の心がまえでおるつもりでございます。
○稲富委員 それならば、さっきのような、需給関係において価格の変動はやむを得ないのだというような考え方というものは、これはやっぱりメーカー側の考え方なんですよ。そういうような基本的な考え方を立てているのだとおっしゃるけれども、実際はそうじゃない。たとえば乳飲料、乳製品なんかのごときも、どうもメーカー側のほうにおって考えられている。その点、あなたのおっしゃっていることと、やられていることが、非常に違っていると思うのですよ。この点を基本的に考え直してもらわなければもこの問題は、われわれどんなに要求いたしましても、農林省は結論が出ないと思うのですよ。そういうような考え方を農林省が持っているから、ここにメーカーが出てきて、メーカーはそれを企画して、メーカーの主張をそこに持ってくる。常に生産者乳価がかってにきめられるというのはここにあると思う。どうしても農林省がいまあなたのおっしゃったような考え方であるならば、その基本線をもってメーカーに当たる、これが一番大切なことじゃないか、これが欠けているのではないかと思うのですよ。これはひとつ全体の考え方として農林省としては考えてもらいたい。次官に答弁を求めます。
○舘林説明員 乳価の決定並びに配分につきましては、もちろん生産者の立場が大事でございます。ただ、先ほどから足鹿委員、またいまの御質問にもありましたように、この実施の決定の問題につきましては、いろいろ根本的に研究しなくちゃいけない点が実はあるという感じがするわけであります。ぜひひとつ、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。
○足鹿委員 とにかくこの生産者乳価問題が二つある。配分乳価の問題と十月以降の乳価の値下げの阻止の問題と、二つあると思う。この点を、勉強とおっしゃいますが、早急に勉強なさいまして、農民の立場に立った結論を、当委員会の決議の趣旨に沿った太い線の対策をぜひ講じていただきたい、このことを強く申し上げておきます。 最後に、政府の管理飼料の値上げが伝えられておりますが、この問題についてお尋ねをいたしておきたいと思います。 これは檜垣さんが有名なピーターソン方式という新語を発表されまして、前年対比輸入ふすまを二十三円ことしの予算で上げようとし、増専管ふすまを四十八円上げようとされた。ピーターソン方式に基づいて大麦をトン当たり四百三十円上げようとなさる予算案を提出されて、当委員会で問題になって、当分の間値上げをしないということになった。ところが、ほんとうかどうか知りませんが、値上げを阻止されたので、苦しまぎれに今度は配給量でチェックしたという話があるのです。これはまことに芸がこまかい。なぜそんなこまかいわざをやるのですか。あなたも柔道の大家、剣道の大家ですが、そんなこまかい芸当をしていいんですか。やはり必殺のかまえで相手と仕合いをするくらいの勇気をふるって、もう少し元気を出さぬと、桧垣徳太郎のこけんにかかわると私は思うのですが、非常災害用としてたな上げにした専増産用の原麦八十一万トンの一〇%に相当するふすまを、ふすま量、つまり、歩どまりを六〇%と従来踏んでおったものを五五%に引き下げて、ふすまの生産を減量したという話があるのですが、ほんとうですか。そういうふうにして当委員会が決議をした赤字の範囲をなるべく狭めよう、こういう量見でおやりになったのですか。それから今後もそういうことによってふすまを減量しておいでになる方針でありますか。いろいろなふすまの減量分を計算すると、三万九千三百十トンにもなるというふうにも聞いておりますし、それからその他のものが約十四万トンばかり減量になる、減配にするという話も伝わっておるのであります。これは政府がやるのだから、操作権は自分らの行政権にあるのだと言われれば、それはそうかもしれません。しかし、当委員会が赤城農林大臣に迫って、値上げを思いとどまった。ところが、その当分の間とは六カ月程度だともいあれておるし、いや一年間だ。私どもは、国会において大臣が答弁したことだから、その当該年度中のことをさすものだと思っておったら、量をへずるわ、今度はまた飼料の値上げが一面に取りざたをされておる。これは酪農家を踏んだりけったりという目にあわすと同様ではありませんか。なぜそういう方針をおとりになったのか、従来この減量したいきさつ、量、今後の対策いかん、それをはっきりしてもらいたい。
○舘林説明員 ことしの三月三十一日でございますか、予算にかかわりませず、農林大臣と大蔵大臣の協議によりまして、六百十七円でございますか、に据え置いたことは御承知のとおりでございます。しかし、これはお話のとおりに、四月ないし九月までの上半期のことでございますが、下半期につきましても、現在の飼料需給の状態から考えまして、これを据え置きたいということで、今日交渉しておりまして、必ずこれは実現するだろうと思います。
○足鹿委員 必ず実現するということでありますから、重大な御言明として、再びまたここで取り上げなければならないようなことのないように、十分御配慮願いたいと思います。 さらに、この機会に申し上げておきたいことは、十月以降の価格を据え置くということにとどまらず、酪農政策の総合的な一部門として、飼料の占める地位が非常に大きいことにかんがみられまして、積極的に価格の引き下げをもっと考えてもらいたい。これは酪農民の切なる要望であり、声であります。同時に、農民の実需団体に限定をして払い下げをする方針を徹底してもらいたい。現在までの実績を見ますと、このことは必ずしも実行されておらないと思いますので、この点について政務次官の誠意ある御答弁を承っておきたいと思います。
○舘林説明員 六百十七円でことしの下半期も据え置くということで努力しておりますことは、いま御説明のとおりでございます。ただ、これをさらに引き下げるということにつきましては、もちろん今日の酪農の安定のためには必要でございますけれども、市価が今日たぶん六百八十円かしておる状況でございまして、さような意味から申しましても、予算の執行の上から言いましても、引き下げるということは、私はなかなか困難だと思います。しかし、今後十分に努力いたしたいと思います。 なお、実需団体に対しまして配給するかどうかということにつきましては、畜産局長からお答えいたします。
○檜垣説明員 さきの政務次官からお答え申し上げました中で、お答えの残っております部分と、いまの配給といいますか、受配者の問題をお答えをしたいと思います。 本年の三月末に、御承知のように、輸入ふすま及び専増ふすまの価格を当分据え置くということに両大臣の間で決定をいたしたのでございますが、その際、実は私はその以前からふすま歩どまり六〇%というのは、粉の需要との関係でやむなく制約を受けておることから始まったものであるが、元来正常な姿であるとは思えない。したがって、非常に長期に申せば、糟糠類としてのふすま、人間の食糧に利用し得る部分は、これは粉として利用し、家畜の利用すべき部分を利用することが正常な姿だと思うというふうに考えておりまして、紛との関係で、許されるならば歩どまり比率は下げたいというふうに考えておったのでございます。そこで、四月以降、従来ふすまの歩どまり率六〇%でございましたものを五五%に引き下げたのでございますが、当初需給計画で計画されました専増産ふすまの総量を供給するためには、さらに七万四千トンの原麦の増加を必要とするわけでございます。でございますので、実は行政庁内部には関係する部局がございますので、先般までその点についての協議をいたしておりましたが、協議がととのいましたので、七万四千トンの原麦の追加買い付けをすることで手続きは完了しております。当初の供給量を出すということにいたしたいと思っております。 それから第二点の、災害用の保留と季節調整のワクでございますが、毎年大体九月ないし十月の初めに災害が地域的に起こりまして、従来はそういう際に機動的に動くべき専増産ふすま等がなかなか動かないという事実がありまして、主として月々の放出を加工メーカーの経営の都合で平均的に出しておったというやり方でございましたが、よいか悪いかはともかくといたしまして、私としてはどうも適当でないように思うということで、災害用のワクとして下半期に至るまでの災害多発の時期のために五%を保留いたしたのでございます。そのほか、これは四月からではございませんで、専管と増産とでは時期を異にしております。ちょっと正確でございませんが、五、六月ごろから夏場の青草の多い時期のふすまはできるだけ調整用のふすまの性格から保留すべきだということで、一〇%を七月まで保留いたしております。この保留のものは、すでに八月に若干ふすまの需給に難点が見受けられましたので、従前の実績よりは割り増しの払い下げをいたしております。九月以降今後青草の減る時期に、いままでたな上げしました数量を年度末までに全量計画的に放出していきたいというふうに考えております。 次は、実需団体に限れというお話でございますが、現在も形式的実需団体ということで、発足以来払い下げ団体を指定いたしているわけでございます。農業団体が大部分でございますが、そのほかに、もうすでに御承知かと思いますが、配合飼料工場の中小企業協同組合であります飼料工場会というのが配合原料の実需者団体ということで、受配、払い下げ団体に入っておるのでございます。これは過去三十二年に発足以来の経過がございまして、私は、先生のおっしゃいます実需者の団体を通じてやることが適当なのではないかということについて、御趣旨はわからぬことはございません。ただ、実際のものの扱いといいますものは、一挙にこの問題をやることは不可能に近いのでございまして、財政当局とも話し合いをしておるのでございますが、専増産のふすまの扱いについて、どういう基本的な考え方なり処理をすることが適当か、専増産に対します政府のものの考え方というものを一度両省の間で議論を干してみたいということで、そういう事務的な検討をいたしたいと思っております。その上で、この問題についても、かりに一挙にいけないにいたしましても、漸進的にできるだけ現実に即して合理的な方向へ進むということにいたしたいと思っております。
○足鹿委員 最後に、一つお尋ねなり意見を申し上げておきますが、これは飼料需給調整法をつくったときから問題になっているのです。私はそのときもやはり折衝の衝に当たって、それは各党で持ち寄った案を最大公約数で割ったような形で、形は議員立法の形式をとっておりますが、その経過もこのごろ振り返ってみて、記録等も見ております。そのときから問題になっております、いわゆる農民の実需団体にはたして届くかどうか、農民に、実需者にはたして専増産ふすまが届くかどうか、政府が犠牲を払って奨励的な意味で出したものが届くか届かぬかということが、その当時議論になって、それを加えようとしたところが、異常な抵抗のために今日に至っておるのです。ですから、あなたがこれを一挙に解決は困難だとおっしゃることはよくわかります。しかし、先刻から申し上げておるような酪農の実情、また開放体制下において、畜産そのものが酪農をはじめ全面的な危機にさらされ、価格は不安定で、畜産農家はおののいておる。その間に飼料のみがいつも値上がりの傾向をたどっておる。そういう場合に、政策的効果をあげるためには、農民の実需者に確実に渡る最適の方法というものをこの際考えなければ、私は政策効果があがらないという立場から、これはもう十年の長い間われわれは主張し、お互いが考えていたことでありますから、議論を干してみたいというその熱意を買いまして、いましばらく経過を見ますが、かってはマニトバ五号は愛知の飼料新聞に堂々と値段が載ったときもあるのです。当然これは実需者の団体に配給されておらない証拠なんですよ。これは専増産ふすま用として原麦そのものが一時飼料月報などに載って、大騒ぎになって、追及した結果、いろいろ混入物を加えるとかいろんな方法で、ある程度これを処置された実例もあるのです。ですから、この問題はなかなかあなたの行政手腕をもってして一挙に解決するとは思いませんが、少なくとも危機段階にある畜産の現状から考え、特に購入飼料に依存度の高い酪農対策の重要な一環として、この点には力点を置いてやっていただきたい。同時に、単味飼料で払い下げてもらいたいという声が強いのですよ。ですから、その点も含めて御答弁をわずらわしておきたいと思います。これは切り離して一つ一つがどうこうということじゃなしに、みんな関連しておるわけでありまして、ある点では十分でなくても、ある点では積極的な施策が講ぜられる場合には、総合的な成果があがるわけでありますので、少なくとも単味としてもらいたいというのが、実需者団体また実需者の声でありますから、そういう点についても十分御配慮を願いたいと思います。その点をお尋ねいたします。次官の御答弁を最後にお願いをいたします。
○舘林説明員 政府手持ちの輸入ふすまとか専増産ふすまが、実際末端の酪農民の手に渡っておるかどうかということにつきましては、私もいろいろ疑問があると思うのです。やはりこれは配給機構が正常じゃない。ふすまの一般の市場価格が、先ほど申しましたように六百八十円もする。政府手持ちのものが六百十七円でございます。そんな関係から、やはり配給の過程におきまして、正常な形で流れていないという感じがいたすわけでございます。これはやっぱり低廉な飼料を末端の農民に配給するためには、どうしてもいまお話しのように十分にひとつ処置を講じなければいけないと思っております。
○高見委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十三分散会