農林水産委員会 第61号
- 発言数
- 136 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/06/17
会議録
○高見委員長 これより会議を開きます。 凍霜害等による長野県下における農作物の減収状況調査のため、去る十三日から三日間、現地に委員を派遣したのでありますが、この際、派遣委員より報告を聴取することにいたします。亀岡高夫君。
○亀岡委員 私は、去る六月十三日から十五日までの三日間にわたり、長野県下における凍霜等による農作物の減収状況の調査をするために派遣されました委員を代表いたしまして、調査の概要を御報告申し上げます。 本調査は、災害対策特別委員会と合同して調査をいたしたのでありまして、本委員会から派遣されました委員は、足鹿委員、稲富委員と私の三人でありますが、地元選出議員の吉川委員及び中澤委員が全日程に参加されたほか、地元衆参両院議員多数が関係地で参加をいただいたのであります。 今回長野県下に大被害をもたらした異常気象は、去る四月二十八日朝大陸に発生した高気圧が日本海南部から東北地方を通過した際に起きたもので、高気圧におおわれた地方は、無風快晴となり、地上の熱が逃げる現象、すなわち、放射冷却現象を起こしたものであり、これにより、所によっては零下数度というきびしい寒さが長時間続いたのでありまして、各種農作物及び幼齢林等に凍霜害の発生を見るに至ったのであります。その後、五月十三日から十五日には降ひよう及び凍霜、同十六日及び二十七日に凍霜害、同二十八日、二十九日及び六月八日にはひよう害がありましたが、これらの気象状況も、四月二十八日の気象状況とほぼ同様であったようであります。そのほか、六月三日には、南シナ海に発生し、日本海南部を東進した九百八十ミリバールの台風の影響により、県下各地に突風が発生し、農作物にかなりの風害が見られるのであります。また五月中旬には、降雨が少なく、全県的に相当深刻な早害による被害が発生しているのであります。 以上のように、連続的に発生した災害によりまして、開葉期にあった桑園は、新葉及び開葉は凍霜害を起こし、まっ黒に焦げ、春蚕の掃き立ては不可能に立ち至ったのであります。そればかりではなく、七月二十日までに掃き立てをしなければ夏秋蚕に間に合わない長野県下の養蚕業にとりまして、夏秋産用桑園がいまだ枯死状態になって新芽を見ないところが、大多数の養蚕専業地方に見られ、夏秋蚕も放棄しなければならない実情にあるのであります。 また、長野県の農業のうち、最も重要な農産物であるリンゴ等の果樹にありましても、芽及び胚珠が凍霜害により枯死状態に長時間置かれていたため、結実を見ないものも随所に見られ、枯死を免れ、結実を見た果樹にあっても、再三にわたる降ひようにより果実に著しい損傷を受け、成育したとしても商品としての価値を有すると見られるものは皆無ではないかと危ぶまれているのであります。そのほか、バレイショ、トマト等の蔬菜にありましても、また特用作物であるたばこ等にありましても、早害、凍霜害による枯死、育成不良に陥り、改植はできず、収穫を見込むことはとうていできぬ状態にあったのであります。 さらに、高冷地における幼齢林、特に一年生から七年生くらいまでのカラマツは凍害をこうむり、新芽が伸び始めた時期であったため、大被害をこうむっており、苗畑も造林地同様の被害を受け、苗木の需給にも支障を来たしている状況にあったのであります。 さらに、水稲も水不足に悩まされ、苗しろ被害、植えつけ不能の水田が各地に散在していたのであります。 今回の災害の特徴といたしましては、凍霜及び降ひよう等が四月下旬から数度にわたり六月上句にかけて連続的に襲来、特に五月二十七日の凍霜は、気温氷点下十二度を三時間にわたり記録するという、六十年来の深刻な災害であった上に、四月からの水不足による干害と相重なったため、各種農作物は微底的な打撃を受け、特に桑園においては、春蚕はもちろん、夏秋蚕の掃き立てを不能にしたばかりでなく、樹勢回復用の肥料の効果が水不足のためあらわれず、樹勢回復が翌年度に持ち越される地域が相当見られ、被害が二年以上にわたるものがあることであります。 さらには林業被害でありますが、前にも述べましたように、標高八百メートル以上の苗畑及び九百メートル以上の造林地における幼齢林がほとんど枯死したことであります。これは、長野県の苗木等の生産地域のほとんどが標高八百メートル以上の高冷地にあるという本県特有の地理的条件が、このような特異な災害をもたらしたのであります。 以上のような各種災害により、全農作物及び林業は大被害をこうむったのでありますが、その被害総額は、県の報告によりますと四十三億八千万円となっており、農作物が四十億五千万円、林業関係が三億三千万円でありまして、その内訳は、桑園の被害による蚕繭収入減見込み額十七億五千万円、春夏作用蔬菜、すなわち、バレイショ、トマト、インゲン、白菜、カンラン、レタス等の播種、定植遅延、育成不良による減収見込み額は十億六千万円、リンゴ、桃、ブドウ、ナシ、クルミ等の果樹は、凍霜による結実不良、ひよう害損傷による商品価値低下による減収見込み額は五億九千万円、タバコ、ホップ等特用作物の成育不良、ひよう害損傷による減収見込み額は三億三千万円、肥飼料作物の成育不良による減収見込み額は六千万円菊等春夏作の花卉の成育不良による減収見込み額は一億一千万円であります。その他、林業被害の三億三千万円は、苗畑の凍霜による苗木の被害が一億円、造林地における幼齢林の枯死、枯死状態による被害見込み額は二億三千万円となっているのであります。 以上のような大被害をもたらした災害の発生に際し、被害農家は当局の指示を信頼し、被害を最小限度に食いとめるべく、重油及び枯れ草の燃焼、散水、おおい等による防寒措置について不眠不休、あらゆる努力を尽くした苦労ははかり知れないものがあったようでありますが、その努力も報いられず、このような大被害をこうむったのであります。まことに気の毒のきわみであります。営々辛苦育ててきた農作物の損害だけに、簡単にあきらめきれず、まだ幾ばくかの収獲を期待して努力を続けている切実な姿には、胸を打たれるものがあったのであります。特に激甚被害地域は、畑作偏重の低位生産地帯であり、春蚕、夏秋蚕の掃き立て不能となった地域の養蚕専業農家に至っては、以降一年間の現金収入の道はなく、農家経済に及ぼす影響は甚大であり、被災農家の失望落胆は目をおおうものがありました。これら被災農家のわれわれ国政に携わる者に対する救済の期待はまことに大きいものがあるのでありまして、われわれはこの惨状を胸に刻み、限りなき同情と可能な限りの救済措置を早急に実施すべきであると思うのであります。 次に、調査をいたしました被災地を順を追って申し上げますと、まず状月十三日は、諏訪地方事務所及び伊那市自治会館において、両地区管内の被害状況並びに陳情を聴取し、茅野市湖東、豊平、泉野地区、原村、高遠町、南箕輪等の被災地を調査いたしました。 翌十四日は、松筑地方事務所において、管内の被害状況並びに陳情を聴取した後、朝日村、山形村の被災地を調査して県庁に入り、同庁において、知事及び各農業団体代表より県下の被害状況並びに陳情を聴取し、さらに上水内郡三水村役場において、上水内地区の被害状況並びに陳情を聴取いたしたのであります。 十五日は、上小地方事務所、北佐久地方事務所及び南佐久地方事務所において、各管内の被害状況並びに陳情を聴取し、浅科村、佐久市平根、小海町、南相木村の被災地を調査しまして、全日程を終わったのであります。 次に、県並びに地元からの要望のうち、特に重要な点につきまして、その要望と、これに対する調査団の意見を付しまして申し上げます。 第一の要望は、激甚災害法に基づく天災資金の貸し付け及び貸し付け条件の緩和であります。激甚災害法に基づく天災資金の貸し付けができる災害の規模は、農業被害見込み額が全国農業所得推定額のおおむね〇・五%をこえるもの、または同推定額がおおむね〇・一五%をこえ、かつ一つの都道府県内に特別被害農業者の数が専業農家のおおむね三%をこえる都道府県が一以上あるものと、激甚災害の指定基準が定められているため、今回の深刻な災害も、被害の査定額不足のもとに恩恵を受けられないのではないかと心配されるのでありまして、このような深刻な災害に対しては、法の柔軟な運用によりあたたかい救済の手を差し伸べるべきであると思うのであります。 また貸し付けにあたっては、貸し付け限度額の大幅な引き上げはもちろん、災害金利としては高利に失するとの悪評のある金利の大幅な引き下げ措置を講じるようにすべきであると思うのであります。 特にこの際申し上げたいことは、天災資金の貸し付け限度額についてであります。天災質金の貸し付け限度額は十五万円となっているのでありますが、天災法により災害を指定する場合に、その政令事項において、初めての被害者に対する貸し付け限度額はその三〇%、二年連続被害者に対してはその五〇%、三年以上の連年被害者に対してはその六〇%を貸し付けることと、貸し付け率を政令により制限しておるのでありまして、この限度額の制限をこの際緩和する必要があると思うのであります。 第二の要望は、自作農維持資金の特別融資ワクの設定による貸し付けと貸し付け条件の緩和であります。今回のような凍霜害等は公共施設等諸施設災害と異なって、復旧土木事業等の実施がなく、したがって、被害農民の現金収入の機会が全くないといった状態でありまして、現金を得るためには、自作農維持資金の借り入れにたよるほかはない実情にあるのであります。したがいまして、この維持資金に対する期待が非常に大きいのであります。 政府は、この際、十分被害者に行き渡る融資ワクを確保して貸し付けることとし、貸し付けにあたっては、貸し付け限度を引き上げるとともに、金利の引き下げについても早急に適切な措置を講ずるようにすべきであると思うのであります。 第三の要望は、農業近代化資金等、制度資金の償還の猶予及び借りかえの措置を講じられたいというのであります。以上のことは例年災害時においては実施されているところでありますが、今回は償還期にある資金のみを償還延期することにとどまらず、据え置き期間の設置または延長、再貸し付けによる貸し付け金の実質的な緩和をはかるべきであると思うのであります。特に農業構造改善資金の貸し付け金に対しては、構造改善事業の計画的事業実施の推進に支障を来たさないように特段の優遇をはかることが肝要であろうと思うのであります。 第四の要望は、農業災害補償法に基づく共済金の仮払いと再保険金の概算払いをすみやかに実施されたいということであります。被害はきわめて深刻であり、被害額はすでに概算払いを行なう基準をはるかに超過いたしていると思われますので、政府は各関係機関を総動員し、一日も早く支払いができるよう特段の努力を期待するものであります。 第五の要望は、樹勢回復用肥料、病害虫防除用農薬代及び防除機具について助成をされたいというのであります。樹勢回復用の肥料については、農協を通じて購入し、本災害のために特に使用したことが明確である肥料のうち一定量につきましては、その購入費の一部を補助することが必要でありますし、また病害虫防除に対しても、防除機具の購入補助のほか、農薬に対しても、共同実施したものについては補助すべきであると思うのであります。 第六の要望は、被害農作物の植えかえ、代作等に要する種苗購入費について助成されたいというのであります。農業団体等が自己の保管する種子を被害農家に安売りしたときは、その保管料及び安売りに必要な費用を、また苗につきましても、農業団体等のあっせんによるものについては、その費用及び輸送費を国において補助する必要があると思うのであります。 第七の要望は、夏秋蚕における掃き立ての増加分に要した費用について助成をされたいというのであります。春蚕の減収を補うため実施する掃き立て増加分に対しては、蚕種及び桑の購入費等について助成すべきであると思うのであります。 第八の要望は、林業の幼齢林に対する国営保険の適用を実情に即して実施されたいというのであります。森林国営保険は、その対象が補助造林に限定されており、林業者が造林し、国の補助の支給を受けたときに保険に加入することになっており、林業者が造林を完了し、その認定を申請したとしても、当局の認定がなければ保険に加入できないとなっているのであります。今回の林業被害の中に、造林を完了し、認定を申請している者が、その申請中今回の災害あったため、加入者をみなされず、何らの補償もされないという例が数多く見受けられたのであります。当局は、財政的な理由による係官の不足及び旅費等の関係により認定がおくれていると言っているのであります。林業者が申請し、当然加入しておるべき時期を経過したものが、このように当局の都合により加入がおくれたことによる損害については、これを補償の対象とすべきであると思うのであります。また、このような事態を解消するため、今後適切な係官の増員、旅費等の増額をはかり、林業者の要望をいれてやるべきだと思うのであります。 第九の要望は、被害農民に対する現金収入の道を開くため、救農土木事業を実施されたいというのであります。第二の要望で述べたとおり、今回の災害は農作物災害でありますので、災害復旧公共土木事業がございません。新たに救農土木事業を積極的に実施する必要があります。これがため、現施行事業の事業量の増大、施越し事業の繰り上げ実施、新規事業の実施を行なうべきであると考えます。新規事業としては、被害地の近郊造林地の整地事業、林木保育事業の実施、災害跡地の復旧造林事業、明年度実施予定の各種公共土木事業を国と県との間において了解事項として実施することがあると思うのでありまして、若干の無理はあっても、被災者の実情にかんがみ、鋭意現金収入の道を開いてやるべきであると思うのであります。 以上、調査の概要について申し述べたのでありますが、政府は、今次災害の特異性を考慮して、各要望事項について慎重に検討を加えるとともに、被災農家の期待にこたえるべく、すみやかなる対策に万遺憾なきよう強く要望いたしまして、報告を終わります。(拍手) ————◇—————
○高見委員長 内閣提出、林業基本法案、川俣清音君外十二名提出、森林基本法案、稲富稜人君外一名提出、林業基本法案、右三案を一括して議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。湯山男君。
○湯山委員 昨日は、主として林業教育の問題、それから国有林の職員の問題、こういうことをお尋ねいたしましたが、林野庁長官以下、今日までの状態の中では、それぞれある意味で犠牲をこうむっているということが明らかになったと思います。そこで、きょうは角度を変えまして、それじゃどこかにそういう犠牲の半面に、非常に有利になっているところがあるのじゃないかという問題をお尋ねいたしたいと思います。 国有林材の販売方法別の資料をいただいておりますが、これで見ますと、本来国有林材の販売というのは、原則は一般競争入札でなければばならないはずなのですが、その一般競争が実際は二〇%程度であって、指名競争が三〇%程度、半分は随意契約、こういう形で処分されております。これは国有林材処分の方法としては、若干妥当性を欠くのではないかというように感じますが、その点についてはどういうふうなお考えを持っておるか、伺いたいと思います。
○田中(重)政府委員 国有林材の売り払い方法につきましては、お説のとおりに、原則として一般公売、あわせて指名競争入札と随意契約、三つの方法による売り払いがあることは、そのとおりでございます。ところで、その実態が、随意契約による売り払いが多いということでありますが、これは方向としては一般競争入札の方法をとっておりますので、年々若干ではありますけれども、一般競争入札の比率というものは上がっているわけでございます。ところで、国有林の経営につきましては、それぞれその国有林の所在する地元の地域経済に寄与するという立場を尊重しなければなりませんし、そういう意味から、国有林の所在する地域の製材工場その他へ、あるいはその地域内にある産業への売り払い、そういうものが、沿革的に随意契約の方法によって売り払われておるということがございます。それで、この一般競争入札の場合には、いままでのように需要と供給の均衡がとれていないというような場合、価格の面で相当な競争による高騰という場合も考えられるわけでございますが、そういうような供給のしかたも、地域の産業の育成という点から言いますと、問題がございますので、そこで、数量の面で工場の資材として十分でない場合であっても、少なくとも一定の量が見通しを持って入手できる。しかも価格においても、その市況等を勘案しながら、一応の見当がつけられるというような資材の入手のしかたは、地元経済からいうと好ましいということもございます。そこで、国有林といたしましては、原則は一般競争入札ではあるけれども、そのような地域の産業の保護という意味からいいまして、随意契約と一般競争入札をあわせ採用をしておるということでございます。
○湯山委員 資料によりますと、いまのように一般競争入札が本体であって、それと併用して指名競争、随意契約ということをやっておられるというのですが、その付随といいますか、原則が一番少なくて、そうして実はいろいろ問題がある随意契約での売り渡し、これが一番多い。これはどうも逆じゃないかという感じを持ちますので、随意契約が大体全体の数量の半分くらいという実態は、一体どこから出るかということをお聞きしたいと思うわけです。
○田中(重)政府委員 国有林の所在する地域の産業を保護、奨励するというような立場からの売り払いは、ある程度沿革的なものでございます。それぞれ歴史を持っておる。そういうような実態がまずございまして、その売り払いについては、いまも申し上げましたような意味で、やはり地元の産業保護、育成という点にこの趣旨がございます。その場合、随意契約の方法による場合には、いまも申し上げましたような一応見通しを持って資材の入手ができるという点に、業者のほうとしては利点があるわけでございますが、そういう点は国有林の経営としても考慮していかなければならない、そういうことで以前から売り払いが行なわれてきておるのを、やはりそこに公正な競争による売り払いというものを漸次加味して、そうして競争による入手も相当の部分を占めるように誘導しつつあるというのが、現在の段階でございます。
○湯山委員 これは将来改善されていくという含みを持っておられる御答弁ですから、それはそれとして、今度は随意契約の対象でございます。これもいただいた資料によると、大体過去数年にわたって国策パルプ、王子製紙、十条製紙、岩倉組、北海道炭砿汽船、三井木材、大昭和製紙、東北パルプ、こういった大手の紙パルプ事業に対して随意契約での払い下げが行なわれている。ほとんど大体上のほうは固定していると言ってもいいのじゃないかと思いますが、いまの長官の御答弁のように地元産業というのにしてはあまりにも大きいのばかりで、こういうところへそういう形で、しかも希望はこんなにたくさんあるわけですから、払い下げなければならないということは必要ないのじゃないか。むしろ地元の中小企業、そういうところへはどんどん、いまのような地元産業を保護育成するという観点から、随意契約で払い下げられるというのなら了解できますけれども、過去数年間の上位十社というのをとってみると、ほとんど大きな紙パルプ資本に限られている。これはどういうことでしょうか。
○田中(重)政府委員 このパルプ工場の数量が多いのは、主として北海道でございますが、そこで、この量が多いために、全国的な量においてもこのような順位であらわれてくるということになります。北海道の場合、このパルプ工業に売り払われる資材につきましては、いわゆる低質材といいますか、一般の製材工場、特にまた高級な原木を必要とするところの合板であるとか、床板であるとかいうような資材とは競合しない、それで製材資材にあまり適当でない、そういう数量、そういうものがパルプのほうに向けられておる。そういう林分が特に北海道の国有林としてもウエートを占めているということになるわけでございます。そこで、製材工場等の資材とあまり競合はしない、そういうことでございますが、その次に、この一般競争の方法でこれを売ったらいいではないかという考え方があり得るわけでございますけれども、その場合に、いまも申しましたように、この需要供給の関係が不均衡である場合、そこにさらに業者間の独占的な集中といいますか、そういう傾向があらわれまして、市場を支配するということも見通さざるを得ない。むしろそういう見通しに立って、そうしていたずらに自由な競争にまかせるよりは、適切な配分によって資材を分ける、しかもいまも申しましたように、それぞれの用途に向くような資材をそれぞれの用途に配分していくということで供給をすることが、より妥当ではないか、そういう考え方にも立っているわけでございます。そこで、この随意契約の場合には、これははっきりした基準を設けまして、そうしてそれぞれの工場のいままでの消費した実績であるとか、工場の生産性であるとか、あるいはその工場の付加価値の努力であるとか、そういういろいろのファクターを加味しまして、そして工場ごとに一定の配分の数量を配材基準という名前できめておるわけでございます。そういうことで随意契約が行なわれておる、こういうことでございます。
○湯山委員 いま長官のおっしゃったことは、逆に裏返してみると、国有林というものがそういう紙パルプ資本に従属している。つまり、どこの山のどれだけはどこの会社へ持っていく、どこのはどこへ持っていくというような形になって、結局、まあ国有林がその系列下に入ったような形になるんじゃないか。こういう必配は、これは過去においても指摘されたこともあると思います。これだけ低質の木材にしても需要は非常に大きい、しかもそれを要求しておる会社はたくさんあるというのであれば、それはある基準をきめての競争、そういうことも可能ではないか。 ここでもう一つ、それと関連して考えなければならない問題は、これらの諸会社に対する国の投資です。国もしくは県、道、そういう公の投資、たとえば農林金融公庫なり、あるいは中金なり、そういうところからの融資がこれらの会社には相当いっておるというのですが、そういう実態はお調べになったことがございますでしょうか。
○田中(重)政府委員 この資料にございますような会社への金融機関からの融資は、調査いたしまして、その実態を御報告したいと思います。 そこで、お話がございましたように、一般の競争入札であるにしても、一定の基準を設けたワクの中での競争という売り払いのしかたもあるのではないか、これは確かにそういう御説のとおりでございます。そこで、同じく競争といいましても、無制限の競争でなく、たとえば地域を限定するとか、あるいはまたその材種を限定するとか、用途を限定するとかいうことによる、限定の一般競争入札という方法もあるわけでございまして、要するに、競争を加味した、しかも無制限な競争に走らないような、そういう売り払いの方法をきめまして、そうして進めているわけでございます。ただ、いま御参考までに申し上げますと、この国有林全体といたしまして、三十七年度の実績で申しますと、国有林の立木処分による全体の販売量が一千八十五万八千立方メートルでございますが、その中で、随意契約あるいは指名によるパルプの売り払いの数量は立木では一七%、それから随意契約による売り払い数量は六%、素材で売り払う場合には随意契約一指名による売り払いが八%、随意契約だけでいいますと四%、まあそういう比率になっております。いずれにしましても、方向としては、地元に必要な資材を確保しながら、しかもそれを公正な競争で売り払うというくふうを進めながら、販売をやっていくべきであるというふうに考えている次第でございます。
○湯山委員 私のところの資料、大蔵省理財局経済課の資料ですけれども、三十八年九月現在で、王子製紙にはたとえば開発銀行、東北開発公庫、それから農林漁業金融公庫、農林中金、あるいは北海道、あるいは北海道内の市、そういう公共団体、それらからの融資といいますか、長期借り入れ金ですね、これが大体二十四億あります。それから国策パルプで二十七億、本州製紙で二十八億、十条製紙で九億二千幾ら、こういう非常に大きい金がそれらには出ている。農林金融公庫からも王子製紙には約十億、九億六千万ばかり出ています。こういうことで全部あげていけば相当な額にのぼっていますが、一方においてこういう国の融資を受けている。一方ではいまおっしゃったように、随意契約で安く原木の提供を受けている。ずいぶん保護されている状態ではないか。一方において零細な山の経営なんかはその資金に非常に困っています。昨年の雪害なんかについても、金融公庫からの貸し出し、これなんかも必ずしも零細業者、山林経営者の期待にこたえるものではなかったし、木を起こすためのくいとかなわとか、そういう資材については、これはほとんど補助が出なかったというような状態です。この辺少し優遇され過ぎているのではないかという感じがいたします。ことに昭和三十八年でしたか、緊急に林野庁のほうで手当てをして、原木が少ないというので、それぞれの地域へ割り当てをして、しかもその支払いは概算であって、あとで精算すればいいというような形で、これは各営林局ことの——もう出ておりますけれども、割り当てのような形で、これに原木を供縛したというようなことも伝えられておりますが、そういう事実があったのでしょうか。
○田中(重)政府委員 昨年、長雨で相当にそれぞれ山の伐出の事業が延びまして、計画どおりに木が出てこなかったという事態がございまして、そのときに、その年における一定の配分の数量を一時的にパルプの用途に充てたということはあったように記憶しておりますが、特にそれはパルプの工場を保護するということよりも、むしろそうすることによって、パルプの工場がいたずらに資材の入手に狂奔しまして、そうして価格のつり上げが行なわれることを防ぐというような配慮から出たことでございます。そういう意味では、特別にパルプを保護して売り払いを進めるというふうには考えていないわけであります。
○湯山委員 いまお尋ねしておる趣旨は、そういう事態があってけしからぬとか、けしかるとかいう意味ではありません。そうではなくて、そちらのほうへウエートがかかり過ぎるということの懸念を申し上げておるわけです。 いま昨年の雪害のお話が出ましたが、実はその直前に、昨日もお尋ねしましが、国有林の事業場で定年退職した人、家族、そういう人が企業組合をつくっておりました。その企業組合は、従来はチップをつくっておりましたので、その最初国有林から払い下げを受けるときの資金というものは、あるパルプ会社が前渡ししておったのです。ところが、それが急に前渡しはしないということになりまして、わずか百名足らずの人ですけれども、二百万の金をつくるのに非常に困って、これは私も林野庁のほうにいってお願いもするし、それからその会社へ話しもしてもらうしして、結局会社のほうは何にも言うことを聞かないで、林野庁のほうで、その払いはあとになってもいい、本来は二百万という金を先に払わなければならないのだけれども、あとでもいいということで、延ばしてもらって、つないだ事実があります。一方、それだけきびしい、しかも長年国有林で働いておる人にはそういう仕打ちをさせて、一方において国がいまのように一つの会社に何十億という国の資金を貸す。それからそのパルプの用、材については安く提供する。その材料が不足のときには、いまのような割り当てのようなかっこうで、林野庁が指令をして供給してやる。一方でそんなに手厚く保護していながら、一方ではそんなわずか二百万円をとめられて、それの処置ができない。そういう矛盾を私は非常に遺憾だと思う。そういう気持ちでお尋ねしておるわけです。これは事実あったことですから、一体それだけ保護しておって、それらの会社に対して林野庁長官は、何らかの形で監督なりあるいはそれを指示、指令、そういうことをする権限がおありになりますか。その点はどうでしょうか。
○田中(重)政府委員 いまお話の初めにございましたチップ生産者、これなどは特に零細な業者が多いわけでございます。また、製材工場等において、チップもあわせて生産しておるという製材工場も、それぞれ中小企業とはいいましても、非常に零細でございます。そういう工場は特に手厚く保護をしなければならないので、これは国有林野の行政上の観点から、その適当な資材についてはできる限り供給することが、そういう工場の保護にもなり、また山の遺棄されておる資材の利用の合理化にもなります。そういう点は十分に心得て進めておりますし、今後も、そういう意味では、そういう零細な業者の保護育成という点に十分に配意しながら進めていくということが必要だと思っております。 一方パルプの工場につきましては、特別にこれは保護しなければならないという考え方で進めているわけではないのでございまして、これは、それぞれその産業に必要な資材を、全体の総量の中で差しつかえのない範囲で、随意契約の場合には供給をするという考え方に立っておりますが、全体といたしまして、あくまでも公正な方法、公正な価格でそれが供給されるように、十分に今後とも努力しなければならぬ、こう考えている次第でございます。
○湯山委員 いま私が申し上げたのは、長官のおっしゃったように、零細あるいは中小企業に対しては保護を加えていかなくちゃいけない。それはもちろんやっていただく。それからいま例に引きましたのは、実は昨日質問に出ました定期作業員、この人たちが切れている期間にやっておる仕事です。それから常用の人たちの家族、この人たちがその事業場を離れるわけにいかぬものですから、そこに住み込んでしまってやっておって、仕事がないからといって働きに出るわけにはいかない。ほかの内職もできない。それから定年でやめた人も、もうそこで定着している。つまり、長官のいわば部下といいますか、その人たちが、あるパルプ会社からそんな目にあわされている。一方ではいまのようにどんどんその便宜をはかっていく。こういうことですから、昨日お尋ねしたようなことが完全に解消しておれば、いまのようなことはないわけですけれども、そういった問題があるわけで、これは単に一カ所だけの問題じゃなくて、どこも大なり小なりそういう問題があると思います。こういう点はつい忘れられがちでしょうけれども、ぜひひとつそういうつもりで取り組んでいただきたい。 それから、同じく随意契約で払い下げを受けている紙パルプ資本の人たちが、いまのような形で払い下げを受けているということから、原木購入カルテルを結成する、こういう動きがあって、これはある協会の委員会ですか、それに類するようなことを決定しているということですが、そういう動きはございませんか。
○田中(重)政府委員 その点につきましては、まだ聞き及んでおりません。
○湯山委員 国有林から払い下げを受ける場合、安く受けられる、そういうことについての理由も分析して、そして長官がいまおっしゃったように、何といっても、いま原木問題がアキレス腱だ、しかし、今日のような状態では、競走していけば、どこまで上がっていくかわからない、そこで、いまのように随意契約で払い下げを受けるときは、お互いひとつその価格についてはある程度規制といいますか、了解し合ってやろうというようなことが進められているという。これはかなり正確な資料ですけれども、あるのですが、そういうことはございませんか。
○田中(重)政府委員 そういう点についてもまだ聞き及んでおりませんが、随意契約による価格につきましては、それぞれの用途についてそれぞれの取引市場で適正な方法でその取引価格を調査をいたしまして、それに基づいて協定価格をつくるわけでございますから、そこで、安くということではないわけでございます。その売り払いの時点における価格で売り払う、そういうことにいたしておるわけでございます。
○湯山委員 この議論は避けたいと思いますけれども、産業構造調査会のパルプ小委員会がこれについて答申をしているわけです。その答申の中に、国有林の場合は民有林よりも安く買える。それは、国有林の場合は過去の木材市況を織り込んでの逆算方式によって価格が算定される。したがって、材料が上がっているときには、民有林の場合は現時点における最高価格が次の販売価格になるようになっておるけれども、国有林の場合はいまの逆算方式によって算定されるから、材価の上昇がおくれがちである。それだけ安く買える。非常にこまかい分析までしておるわけです。 それはそれとして、最後に、お尋ねもし、要望もしておきたい点は、いまのようなことで、大きいところへは随意契約で出されている。それが実勢よりも安くなっているというようなことから、それじゃひとつ国有林の払い下げをしてもらおうじゃないかという空気も出てくると思います。そこで、この払い下げの方式、それからそのやり方というものは、厳正におやりになるとすれば、資料でいただいたように、ともかくも国有林の払い下げを受ければもうかるのだ、大きな会社にはああやって随意契約でどんどん出しているじゃないかという空気も、そこで防止できると思います。それからまた国有林で働いている人も、そういうことがきちっと行なわれるならば安心もできますし、従来どおりほんとうに国有林を愛して働くということになると思います。こういうところが、お聞きしておって、不明朗だとは申しませんけれども、何か釈然としない感じがする。こういうことは、本来あるべき競争入札を本体としていく、それから特に大きいところへ便宜をはかるような印象を受けないようなやり方をやっていただく。そうしないと、そんなにどんどん払い下げをしてやる、資金も融通してやる、一方でそうしながら、国有林で働いている人たちのその小さな組合に先払いをやめてしまうという事態があったのでは、私は国有林の明朗な経営ということにはならないと思います。そこで出てくる批判は、大企業には手厚くしておる、働いておる者には、先ほど申し上げましたようなしわ寄せがきている、こういうことになってはね返る。これは無理のない点があると思いますので、それらの点ひとつ十分留意してやっていただきたいと思います。 あとは大臣に質問が残っておりますから、それは大臣がお見えになったときに聞くことにいたします。
○田中(重)政府委員 売り払いを特に明朗かつ公正にやれというお話は、全くそのとおりでございまして、私どもも常にそういうふうにあるように努力しておるわけでございますが、売り払いにつきましては、いまもお話のございましたように、なかなかむずかしい面がございます。すべてを一般競争入札にすることについても、いまの自由な競争の面からくる問題点もいろいろございます。また随意契約にいたしましても、これもよほどその方法について適正でなければ弊害が出てくる。売り払いの方法は特に重要でございますし、いろいろ問題を呼ぶことになりますから、今後さらに、その売り払いの方法については十分に公正なものであるような努力を重ねていきたい、こう考えております。
○高見委員長 西村関一君。
○西村(関)委員 まず第一の質問は、林業生産の増大化をはかってまいりますために、林業経営の共同化を推進していかなければならないという問題があると思うのでございます。林野庁の林業構造改善事業の構想は、二十ヘクタール以上の規模の自立経営林家を育成していこう、また企業的な林家を育成していこう、こういうところにねらいがあると思うのでございますが、この考え方の裏を返してみますと、農業構造改善事業もしくは自立経営農家の育成という政府の考え方の反面、零細農家が犠牲になる、そういう面が一方において出てまいっておりますのと同じように、零細林家が見殺しにされるというような事態が起こってきはしないだろうか。上層の林家を育成していくということは、一面において大切なことではありましょうけれども、しかし、同時に、零細林家を保護していく、またその生産を増大化していくということのためには、これらの零細な林家を共同化の方向に持っていくことが大事であることは、申すまでもないと思うのでございます。上層林家に対しましては、山林の買い取り資金の融資でありますとか、あるいは部落有林の入り会い権を解体いたしまして、下層の林家の入り会い権を上層林家へ兼併をしていくということを促進する、あるいはまた国有林家を優先的に上層林家に払い下げをするといったような、いろいろな便宜を与えておりますが、しかし、下層の零細な林業家に対しましては、むしろ冷酷無残な一弱肉強食的な措置のままに放置している。零細な林業農家は立ちいかなくなってくるというような状態もあるのではないかということが考えられるのであります。そういうことに対しまして、それを救う道はやはり共同化以外にはないと思うのでありますが、その点につきまして、二十ヘクタール以下あるいは十ヘクタール以下の規模の小さな林家に対する政府の方針、特に経営の共同化を推進していかなければならないと考えますが、これらの点につきまして、どういうふうにお考えになるのか。
○田中(重)政府委員 この林業構造改善事業は、決して零細林家の切り捨てという考え方は毛頭ないわけでございまして、むしろ、そういう零細な林家であって、しかも林業経営に非常に熱意を持っていると考えられる人たちを、できるだけ助長していこうという考え方に立っておるわけでございます。林業経営の近代化の場合には、特にその近代化の中核的なにない手というものを規定することが困難でございますので、そこで、零細的な林家であっても、今後その経営を刷新していこうとする山林所有者に対しましては、できるだけ助長をするし、また大規模な山林所有者に対してはそれなりの助長をしまして、これも近代化の方向に進めることによって、林業経営のにない手としたい、そういう考え方でございます。 そこで、零細なものについては、これはこの基本法の趣旨にもございますように、その林地の保有の規模をできるだけ拡大していくという考え方に立っておりまして、そのためには、民間同士の交換分合についての資金その他の面での助長なり、あるいは入り合い林野の活用なり、また国有林の活用なりを極力織り込んでいきたい。どの程度の規模がいいのかという点につきましては、これは所得の面と関連して考えますと、この零細な林家はほとんどが農家でございまますし、農家収入の補完的な意味で林業収入があるという形でもございますので、自立林家という考え方にも立ちにくい。そこで、要するに林業収入における所得の増大というふうな方向で考えていきたい、そういう考えでございます。で、事業の経営規模にいたしましても、計画的に造林と伐採が行なわれるよう、それが連年作業であることは望ましいけれども、そこへ持っていくこともすぐには困難でございますから、そこで、ある程度の暫定的な事業のできるような方向へ持っていこう、そういう考え方で、どの階層以下はこれは切り捨てという考え方は全然ないわけでございます。 さらに、そういう零細な人たちの事業につきましては、そこに協業化をできるだけ推進してまいりたい、所有者自体のごく単純な労務の相互提供による協業から、さらにそれの下請的に森林組合等が作業班をつくって、装備された機械で造林なり伐採なりの仕事を進めていくというような、そういう協業化も考えていきたい、そういうことが林業構造改善の中心になっております。
○西村(関)委員 要は、自立経営林家を育成していくのであって、農業と兼業のところが多いのであるから、その農業、林業兼業の自立経営ができるように育成していけばいいのだ、どれだけの規模でなければならないのだというようなことではなく、むしろ、上層林家に対しましては、さらにこれを規模を拡大していくということも考えられるが、決して下層の零細な林家を初り捨てにするという政策ではないのだ、こういう趣旨の御答弁でございましたが、零細な林家に対しましては協業を助長していく、単純な労務の提供をし合うことによって林業経営の共同化をはかっていくということも考えられるし、林地の交換分合ということをはかるということもできるだろう、そういうようなできるところから協業化をはかっていくのだ、こういう御答弁であったと思いますが、私のお伺いいたしたいと思っておりますのは、零細な林家によるところの共同組織、ただ経営の仕事の協業というのでなくて、組織上の共同、共同組織をつくっていくということが大切になってくると思うのでございますが、そういう場合に、規模の拡大ということだけでなしに、経営それ自体の共同化、ただ単に一緒に仕事をするというだけでなくて、組織的な共同化をはかっていく、こういうことが、生産規模の拡大から、さらに進んだ技術や機械を導入していく上において、必要な条件になってくるのではなかろうかと思うのでございます。そこまで組織的な共同化をやらなければ生産性を高めるということがむずかしいのじゃないかと思うのでございますが、そういう意味における零細林家の組織的な共同化に対しまして、林野庁としてはどいううふうにお考えになっておりますか。
○田中(重)政府委員 その組織的なという意味が、いま私の申し上げました、ごく萌芽的なものとしての労務の相互提供から始まって、さらにその山林所有者の共同で機械を持つとか、あるいはさらに進んで、先ほど申し上げましたように、労務班を持った施設組合等にその施業を委託するとかいうようなことも含むのでありますれば、組織化は先生と同じ考えではないのかと、こういうふうな考え方でございます。
○西村(関)委員 私が端的にお伺いをいたしたいと思っておりますのは、従来の森林組合から生産協同組合の方式を持ったものに、あるいは森林組合から別個にそういう生産協同組合をつくっていこうという傾向がございますし、また社会党の森林基本法案の中には、そのことが一つはっきり出ておるのでございますが、そういうような点に対しまして、国が林業従事者の生産協同組織を育成して、零細な山林所有者もひとしく共同組織の中においてその経営を向上さしていくことができるように奨励しながら、しかも共同組織という範囲で見れば、林業経営の規模が大規模化されて、進んだ技術や機械を導入することができるようになっていけるんだ、こういうことが社会党の法案の趣旨説明の中にうたわれておるのでございますが、こういう考え方に対しまして、現に生産協同組合をつくって着々成果をあげつつある事例もあるのでございますが、そういうような行き方に対して、本委員会において長官から、そういう行き方に対してはまことにけっこうだという御答弁があったわけでございますが、むしろ、零細な林家または山林労務者の生産協同組合を助長していくという方向を進めることが、この問題の解決に大切なことではなかろうかと思うのでございます。この点につきまして、生産協同組合の問題につきまして、いま一度長官の御見解を承っておきたいと思います。
○田中(重)政府委員 いまお話しのような形での具体的なあらわれとしては、生産森林組合、これがございます。それで、生産森林組合については、御承知のとおりの入り合い山等から発生をした森林組合が多いわけでございますが、そういう森林組合が、その所有しておる山の経営の近代化という方向で、経営の刷新をいまはかりつつあるものが相当ございます。それからいまの零細な、現在では個々の所有者である山林の所有者が、先生がお話しになりましたようなそういう共同の組織に持っていこうとする自主的な意欲があれば、それも経営の近代化の一つの方法だと存じます。そういう意味でけっこうだと存じますが、現在の生産森林組合、これはこれなりにそのいろいろの面での近代化をはかるような助長をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○西村(関)委員 その場合に、いま長官もお触れになりましたように、従来の入り会い権の問題がひっかかってくるわけなんでございます。各地にございます部落の財産区の問題でございますが、昔からの慣習によりまして入り会い権が設定されておる。部落有の財産区の中に入り会い権が設定されておる。この場合に、生産協同組合をつくってやっていこうという上から、入り会い権をどう処理していくか、旧来の入り会い権をどう近代化していくかということが、一つの問題ではなかろうかと思うのでございますが、その点につきまして、入り会い権の近代化の問題につきまして、何らかの方途をお持ちになっておいでになるでしょうか。たとえば明治初年から続いておりますところの入り会い権に対する権限は、大体において部落の区長が握っておる。これは行政区の区長としてのいわゆる地方自治法の範囲からはみ出ておる、あるいは法の盲点になっておる点ではなかろうかと思われるのでございますが、従来の入り会い権を支配しておりました部落の総代というものとは、現在の区長というものの性格がだいぶ変わってきていると思うのでございます。しかし、やはり区長が依然として入り会い権の大きな権限を握っておる。そこにその部落住民の入り会い権に対する私権を設定するということがなかなかできない、あるいは不明瞭である、こういう問題が、生産協同組合をつくろうという上においてひっかかってくる問題であろうと思うのでございますが、そういう点に対しまして、入り会い権の近代化をどのようにはかっていくかということが、林業生産の合理化をはかり、林業生産の向上をはかっていくという上において、具体的な一つの問題としてぶつかってくると思うのでございます。この点に対する林野庁のお考えはどうでございますか。
○田中(重)政府委員 入り会い山につきましては、その面積が相当に膨大であって、しかも粗放に放置されておるというだけに、今後の農林業的な利用の対象として看過できない問題でございます。そこで、この入り会い山の農林業上の利用の近代化のために、まず、いまお話のございましたその権利について改変をしていく必要があるということは、以前から考えられていたわけでございます。そこで、現在、私どもとしても、この入り会い権を明確な近代的な権利に改変することについて検討を重ねてまいったわけでございまして、この林業基本法案の成立に伴いまして、この面の関連法案としてその具体化に入りたい、こう考えているわけでございます。 ところで、入り会い権自体の法律上の論議については、なお学説の上で解決されない点もなかなかございますので、そこでそれはそれといたしまして、要するに、その入り会い山の権利を持っている入り会い集団、そういう人の自主的な意思によって、その権利を近代的な所有権あるいは利用権に改変しようという意欲があり、さらにそれを入り会い権を持っている入り会い集団の一人一人が合意をすれば、そこに新しい権利が設定できるように持っていけるような、そういう制度化を考えたいということで、いま進めているわけでございまして、それには市町村あるいは県等がその指導あっせんに参画をいたしまして、そしてそこに封建的な入り会い権のかわりに、近代的な所有権なりあるいは利用権が設定されるように持っていこう、そういう考え方でございます。
○西村(関)委員 政府においても、入り会い権の近代化、合理化をはかっていくために検討を加える法案を用意していきたい、目下着々その準備中であるということでございますから、その成果を期して待ちたいと思のでござますが、参考までに申し上げておきたいと思いますことは、ダムをつくる場合において、たとえば多目的ダムあるいはかんがい用のダムをつくる場合において、そこに部落の入り会い山が介在をしておって、その水没をするところの部落から、ダムに協力をして先祖伝来の土地を離れていくというときには、入り合い権も喪失してしまわなければならない。先祖から受け継いでおるところの入り会い権というものを放棄してしまわなければならない。別なところに入植をしていくということのために、その土地を離れる。しかし、そういうことのために、出たくも出れない。また水没に反対するところの人は、入り合い権が設定されておりますから、そこに残ることによってその権利を続けて保有する。こういうような問題のために、ダム建設が非常におくれる。したがって、農業の近代化、山村の開発ということもおくれるというような事例があることも御承知だと思うのでございますが、そういったようなところからも、いまお話しになりました入り会い集団が合議の上でその帰趨をきめるということのできるように、国や県が指導に当たる。そういうあくまでも私権の侵害をしない範囲において、そういう指導を行なっていくことを積極的に考えていくということが、いま政府においても取り上げられておるということは、私は少しおそきに失すると思いますけれども、ぜひやってもらいたいことだと思うのでございます。 そこで、川俣先生にお伺いいたしたいのですが、その点について社会党の案はどういうふうに考えておりますか。
○川俣委員 いまちょっとよく聞いておりませんで、聞き落としがあるといけませんから、どうぞもう一度お尋ね願いたい。
○西村(関)委員 簡単に申し上げますが、入り会い権の問題について、今後これをどう近代化し、合理化していくかということについては、社会党の案ではどうなっておりますか、どのようなお考えを持っておられますか。これが協業化の上からも、また林業経営の近代化の上からも、一つの問題点ではなかろうかと思いますので、いま政府の見解を伺ったのですが、この点に対する社会党の考えはどこにありますか。その点をお伺いしたいと思います。簡単でけっこうでございます。
○川俣委員 林業の問題及び農業の問題で入り会い権の問題は、一番むずかしい問題でございます。なぜかというならば、入り会い権は、判例等によりましても、慣習法的取り扱いを受けておりまするので、画一的に法律的に定めることは非常に困難な状態にございますけれども、これが農業及び林業の近代化の障害になっておることもまた明らかでございます。 そこで、どう整理するかということになりますと、私どもの考え方は、近代化と申しておりますが、これを共同経営の形式に持っていくならば、慣習とも衝突をしないであろう。御承知のように、入り合い権は大体部落共有の形をとっておりますので、慣習と近代化とを衝突させないで調整をするということになると、従来の封建的な非近代的な慣習を尊重しながらも、近代的に持っていくとするならば、共同経営の方式に持っていくべきであろう。しかも、私どもの基本法の構造改善につきましては、単にこれを耕作農業として持っていくばかりでなくて、入り会い権全体から見ましても、その後人口あるいは戸数の増加によりまして、一人当たりの経営面積あるいは共有面積は必ずしも大きくはありませんので、これをどう構造改善として持っていくかというならば、農牧林混合農業、農業をやりながら、畜産もやる、あるいは林業も兼ねるということによって、農業の新しい改革を目ざしての共同経営という形をとるのが、一番望ましく、実態的ではないかという考え方で、政府も考えておられるようでありますが、私どもは、入り会い権の近代化の何らかの法律上の措置が必要であろう、その措置を講ずるにあたっては、いま申し上げましたような、共同経営による農牧林混合農業でいくのが一番望ましいのではないかという考え方でございます。
○西村(関)委員 この前にも私は長官にお伺いをしたのでございますが、入り会い権の問題につきまして、日本全国に散らばっております六千部落三百万人といわれておりますいわゆる未解放部落——この前、長官は普通の一般部落の問題としてお答えをいただいたようでございますが、私の申し上げておるのは、いわゆる未解放部落と称せられている、理由のない身分的、社会的、経済的差別を受けている同胞等についてでございます。これらの六千部落、三百万人の未解放部落の方々は、約半分は農業、林業もしくはこれに関係のある仕事に従事をしておられるのでございますが、そのうちの九割九分までは入り会い山を持たない、入り会い権を所有してないという人たちでございます。これは御承知のとおり、明治の当初、そういうところにも差別をつけられて、その差別の実態が今日まで続いておるというのが現状でございます。山に入って下刈りの木を拾ってくることもできなければ、炊飯用の草を刈る、あるいは家畜の飼料としての草刈り場も持っていない、そういう状態に放置されている人たちが、農林業及びこれに関係のある事業に従事する未解放部落の方々の九割九分を占めておる。こういう現状に対しまして、入り会いの問題を合理化、近代化していこうという上において——これはそこには私権が伴っておりますから、今日これを入り会い権を持たない人々に分けるということはなかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、どうしても近代化、合理化をはかっていくという上において、これをそのままに素通りをしていくということのできない問題ではなかろうかと思うのでございます。三十九年度の農林関係予算の中で、一億円ほどがこれらの未解放部落の対策費として、いわゆる同和地区の改善費としてついておりますが、これは一戸一万五千円ずつ渡して、若干の農業経営の改善をはかっていくというような、まるで二階から目薬のような計画のようでございますが、今後こういう入り会い山を持たない未解放部落の人たちに対する政府の施策、たとえば国有林野の解放については優先的に考慮するとかいうような点、あるいは国有林野の立木の払い下げとか、あるいは草を刈る権利を与えるとか、そういうような点について、優先的な配慮をしていただく必要があるのではないかと私は思うのでございます。ただ、地域的に国有林野の非常にたくさんある東北とか北海道というようなところには、これらの未解放部落がほとんどない。大体関東以西、関西から瀬戸内海沿岸、九州にこれらの部落が非常に多いわけでございますが、そういうところには国有林野がそれほどたくさんない。その付近にはないという実情もございますが、そういうような点につきましても、入り会いの問題と関連をいたしまして、政府の何らかの施策が必要ではなかろうか。理由のない差別を受けて、今日までその差別が続いておるというこの現状におきまして、私は、林野行政の中においても、特にこの基本法が制定せられようといたしております場合に、十分取り上げなければならぬ問題ではなかろうかと思いますが、この点に対する御見解を承りたいと思います。
○田中(重)政府委員 いまお話しの問題につきましては、農林省といたしましても、農山漁村同和対策というのを打ち出して、その改善につとめているということでございますし、林野庁としても、この施策の上で何らかの方法を考慮いたしまして、この農林省としての対策に協力しなければならない、こういうふうに考えますが、そこで、林業基本法が制定され、林業構造改善事業が積極的に進められていく場合、その構造改善事業の中で、何らかの方法でこの農山漁村の同和対策の上で役立ち得る面があるとすれば、極力その面を取り上げていきたいということで検討をいたしたい、こう考えております。 〔委員長退席、坂田(英)委員長代理着席〕
○西村(関)委員 私のいただきました大阪営林局管内の貸し付け資料の表を見ましても、たとえば電気事業用地とか、道路及び水路線、工業用地等々は、国有林野の貸し付けが相当面積に及んでおりますが、採草地、放牧地等については、一、二の県を除きまして、ほとんどないというところが、多いのでございますが、こういうことも、私は、採草地あるいは放牧地として、あるいは農耕用地として、国有林野の貸し付けの面で、もっと同和対策と申しますか、部落解放の一助に資するような施策が行なわれていいのではないか、そういう余地がまだあるのではないかということを思うのでございます。鋭意協力していきたい、協力するための検討を進めていきたい、こういうお答えでございますが、私のいただきました大阪営林局管内の表だけから見ましても、私はそういう感を深くいたしますので、その点につきまして、なお詳細な資料があれば——ただ単に大阪営林局だけではなしに、他の面においてどのような貸し付け現況になっているか、そしてまた、それらの点についても、もう少しく前向きの姿勢で協力していただくように配慮願いたい、こう思うのでございます。 それから、かねてから申し上げていることでございますが、これらの未解放部落の調査、これは部落対策審議会においても常に主張され、政府もこの調査を進めるということで、鋭意調査を進めているのでございますが、しかし、いまだに十分な調査の集計ができていない。特に林野庁関係においては、いま私の指摘いたしました入り会い権を持たない未解放部落がどれだけあるか、私はきわめて概括的な数字をあげて、九九%が農林業に関係ある事業に従事しているところの、都会地外の未解放部落についての話を申し上げておるのでございますが、もう少し的確なデータがほしいと思うのでございます。こういう点についても、調査はやっているのだというだけで、一向まだ的確な資料が上がってきていないということも、私は非常に遺憾に思うのでございます。こういう点につきまして、なおもう一度長官の御見解を承りたいと思います。
○田中(重)政府委員 国有林野の利用につきまして、開放地の中に農耕地が少ないというお話でございますけれども、国有林野の農耕的利用については、先生も御承知のとおりに、例の未墾地買収のあのときに、所属がえし得るものは極力所属がえをしまして、現在その所属がえをしたものは約三十三万ヘクタールに及んでおります。そこで、その細別の中に出てこないということでございますし、それから一方また、国有林野の利用の方法として、共用林野制度というものがございます。共用林野の制度は、あるいは薪炭のために、あるいは肥料のために、落葉、落枝を取るとか、こういうものでございますが、これが百八十三万ヘクタールもございます。そういうことでございますから、細別の中には出てこないということでございますが、国有林野の所在する地域の地元農民、これが利用するわけでございますから、もしその中に同和地区の方がおられるとしますと、それはその利用者の中に入っているのではないか、こういう気もいたしますが、いずれにしましても、細別の中に農耕用地がないということで、その面での利用をはばんでいるということではございません。 それから、これからのことに同和地区に対する国有林野の利用につきましては、先ほど申し上げましたような趣旨でおりますので、何らそういう差別等は考えておりませんから、そこで、林業構造改善の地区内であれば、そして国有林野がそこに存在すれば、当然、林業面においては、部分林なり適当な利用の方法の中へ組み込んでいくということになると思います。
○西村(関)委員 長官の御趣旨はよくわかりました。ただ、部落解放同盟の大会などに出まして、あるいは地区の会合などに出まして、部落の入り会い権を返せという声が非常に強いのでございます。事実草刈り場もないというような状態にあるために、困っているという現状です。確かにこの表にはあらわれてない共有地等を利用しているところもあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、ほかの一般部落よりは国有林野の利用または入り会いの問題等においては弱い、差別がつけられておる。現状においては差別の実態から抜け切っていないということがありますので、その点、今後も一そう綿密な調査をせられまして、十分協力をしていただくということをお願い申し上げる次第であります。 次の問題に移りたいと思いますが、林業金融の問題でございます。造林融資につきましては、このたびの農林漁業金融公庫法の一部改正によりまして、金利の引き下げが行なわれた。これは林家にとりましては非常に喜ばれておるところでございますが、しかし、融資の事務の簡素化をはかるということがもっと必要ではなかろうかと思うのでございます。そうでないというと、上層林家はいろいろな便益を受ける、また先ほど湯山委員の質問にもございましたように、二重、三重の利便を受けているところの今日の企業家、大資本系列と比べまして、零細な林家は、農林漁業金融公庫等の融資を受ける場合におきましても、事務的にいろいろな繁雑な手続を必要といたしましては、なかなか円滑に融資を受けることができないという実情が一部あると思うのでございます。たとえば組合等におきまして金を借りようと思いましても、生産共同化の立場から必要な資金の融資を受けようと思いましても、一たん支払ってからでないと、支払いの領収書を持ってこないと、金を貸してくれないという実情があるように聞いているのでございます。正規の領収書を差し出さなければ金を借りることができないということでは、実際の間に合わないと思う。金がないから金を借りるのでございます。領収書をつけてなければ借りられないというのでは、その効果が半減すると思うのでございまして、そういう場合に、必ずしも領収書をつけなくても、借り入れのワクの半額くらいは査定が終わったら貸してやるというような計らいができないものだろうか、あるいは金を借りる場合に信用保証の問題等につきましても、もっと林家の立場に立って便宜を与えていくといったような保証方式ができないものだろうか。これは中小企業の金融の場合におきましても、信用保証協会が保証して借りるということもあるのでございます。そういうようなことは一体どう考えておるのでございましょうか。この零細林家に対する金融の手続の簡素化につきまして、もう少しく親心を持ってやっていただきたいということを思いますが、実情いかがでございましょう。また、これに対する政府のお考えはいかがでございましょうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○田中(重)政府委員 貸付手続の現況につきましては、あとで係から御説明を申し上げますが、いずれにしましても、この貸付の手続が繁雑であることは確かでございまして、これを簡素化すべきであるということは、全く同感でございます。今後特に私どものほうから申しましても、林業の経営の近代化をはかっていくための方途として、この金融の道をさらに大幅に活用していく必要があるというふうに考えておりますだけに、その手続の面でそれがチェックされる、非常に押えられるということでは、その趣旨に合わないわけでございますから、できるだけこれを借りやすいような手続にしていくようにしたいということは、全く同感でございます。ただ、金を貸すことでございますから、その金がほかへ流れたりしないような、いろいろな取り締まり的な意味での手続、そのために手続が繁雑になっておるということもあるかと存じますが、その点も十分に配慮しながら、その簡素化を進めなければならない、こう考えております。 なお、その手続につきまして御説明申し上げます。
○杉山説明員 長官からただいま申し上げましたとおりで、特別に御説明するほどのこともないのでございますが、いま御発言のありました領収書がなければ貸さないという問題につきましては、これはもっぱら他目的への流用を防止するために行なわれているものであると思います。かっては一括して融資額全額を当初に貸しつけるということも行なわれておったのでございますが、中には、他目的へ半額なりあるいは全額を流用してしまうというような事例も間々ありましたので、そういうことを防止するために、ある程度領収のはっきりしたもの、出来高に応じてこれを貸し付けるというようなやり方をとっているのかと思います。しかしながら、出来高を確認するためにいろいろ添付資料をとる、その際、たとえば工事などにつきましては、人夫賃の一々の払いまでもとるということもやっておるように聞いております。そういった点は少しこまかいところまで追及し過ぎているのではないかというような反省もございまして、目下この点につきましては検討して、できるだけ簡素化の方向に持っていきたいと思っております。
○西村(関)委員 事務の簡素化をはかっていきたいという当局の御答弁でございますから、そのように期待をするのでございますが、たとえば県の林務課が保証するとか、あるいは出先の県事務所の担当で保証するとか、そういう他目的に流用されることがないということが保証された場合、そういう方法ででも防止ができると思います。このために非常に困っている事実、一たん支払ってしまって、領収書をつけなければ金が借りられないというのでは、どこかでまた高い利子で金を借りてきて、融資がおりてからそっちへ戻すというようなことで、手間もかかるし、金もかかるし、またそうような金を借りることにも非常に困る、こういう羽目におちいっている面もありますので、いま当局のお答えのように、実情をよく調査して、行き過ぎは是正していただくし、林家の立場に立って親心を持って、もちろん他に流用されることを防止する措置は監督上当然でございますが、これらの点について今後とも十分に御配慮をいただきたい、こう思う次第でありますが、よろしゅうございますか。
○田中(重)政府委員 その点につきましては全く同感でございまして、できる限り、特に零細な人たちの利用を妨げることのないような手続の簡素化をはかって、林業の近代化を進めてまいりたい、こう考えております。
○西村(関)委員 次に、お伺いをいたしたいと思いますのは、林業の振興をはかってまいります上において、いま林業基本法の審議に当たっているのでございますが、その根本となるべき林業に関する試験研究機関の充実をはかっていくことが大事ではなかろうかと私は思うのでございます。この点につきまして、国においては各種の試験研究機関を持ち、これが内容の整備充実をはかっておられると思うのでございますが、私は諸外国の実例と比べてみまして、まだ十分なデータを突き合わして申し上げているのではございませんけれども、私の狭い見聞から考えましても、日本の試験研究機関はまだまだ十分とは言えない状態であると思うのでございます。国の将来の施策として国土を緑化する、特に戦争によって荒らされたところの国土を緑でおおうてしまう、このような基本的な国策を樹立していく上から申しましても、林業に関する試験研究機関の充実は、私は必須の問題だと思うのでございます。この点につきまして長官の御見解を承りたいと思います。
○田中(重)政府委員 林業の近代化をはかります上から、その投術の革新がまず必要であることは、この提案申し上げております法案の中にも明記をされております。これは先生のおっしゃいますとおりに、試験研究機関の充実、これが何よりも重要である、こう考える次第でございます。それで、現在といたしましては、特にこの試験研究機関の面での重点的な項目について、その整備をはかっていくように予算の面でも力を入れまして、三十九年度以際その方針で進めている次第でございます。
○西村(関)委員 現在の試験研究機関の内容を充実していく上に、予算的な措置を逐次はかっていくのだということでございますが、その内容につきまして、どういうところに重点を置いて充実をはかっていこうとなさいますか。
○田中(重)政府委員 まず、林業生産の増大をはかっていくということのために、品質の改良、林地の肥培、森林病害虫の防除の技術の改善、そういうことをまず考えなければならないと思います。このための国立林業試験場のこれらの研究部門の拡充強化、林木育種場の充実、都道府県の林業試験指導機関に対する助成、これをはかってまいりたい、こういうふうに考えております。 それからさらに、林業の生産性の向上をはかってまいりますために、林業用機械、それから薬剤、これの開発改良を促進することにいたしまして、国立林業試験場、それから都道府県の林業試験指導機関の機械部門の拡充強化、それから群馬県の沼田に機械化センターというのがございますか、これの整備、それから薬剤開発利用の研究に対する助成、これを考えてまいりたいと考えております。 第三番目に、林産物の加工、それからそれの利用の増進をはかることが、またいわゆる林業者の利益であるわけでございますので、その面の充実をはかる意味で、木材の材料としての特性の究明、それから木材の保存、加工、それからその科学的利用の試験研究を促進する、そのために、国立林業試験場の林産部門の充実、それから都道府県の試験研究機関、指導機関の助成、さらに民間に対する企業合理化試験研究等の助成を拡充してまいりたい。 さらに最後に、林業経営の近代化を促進する意味で、経営階層に対応しました技術体系の確立を考えていく、そのために、技術の相互の関連なり、経営の分析、そういう方式について解明していくというための国立の林業試験場の部門——これは主として経営部でやっておりますが、それの充実、さらに林家経済の調査等を強化してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○西村(関)委員 ただいま申されましたような重点的な改善充実をはかっていくということにつきまして、国立の試験場とか育種場のそれぞれの特色といいますか、どの国立の育種場は松なら松をやるとか、あるいはどの育種場はカラマツならカラマツだけに重点を置いてやるとか、何かそういう特色をもってやっておられますか。あるいは国立試験場の中においてもそれぞれの部門部門で同じような研究をそれぞれの試験場がやっておられるのか、あるいはどの試験場はどの研究については特に特色があるというふうな経営指導、経営の方針を立てておるのか、その点はいかがでございますか。
○田村説明員 お答え申し上げます。 育種場におきましては大体各種の試験をやっておりますが、いま御質問のありました特色があるかどうかということに対しましては、北海道につきましてはトドマツ、エゾマツというような北海道の特殊な樹種を中心に育種の事業並びに研究を進めております。それから東北、関東の育種場でございますが、この二育種場におきましては、大体杉、ヒノキ、そういったようなものを中心にいたしております。それから長野に関東林木育種場がございますが、ここは長野県地方の特産でありますカラマツに重点を置いて研究するという体制をとっております。なお、九州におきましては、杉のさし木が非常に民間で行なわれております。そういった面からも、さし木技術の向上といったような面に重点を置いて、それぞれの研究を進めておるような状態であります。
○西村(関)委員 それぞれ特色を持って試験研究をやっておいでになるということはけっこうだと思います。それにつきまして、たとえば場長とかあるいは技術者とかいうような、それぞれ研究に従事しておられる方々の在職年月が、非常に短いように私は思うのです。一つの試験場、育種場に、場長とかあるいは高級の技術者とかいうような方々は、大体平均どのくらいの年月在勤しておられますか。どうも次から次へと移っていかれる。これは栄進のためにそういうことが必要であるかもわかりませんが、そういうことでは、一つの研究に身を入れて打ち込んでやることができない。ある程度までやって、またぽっとかわっちゃう、違った試験場あるいは育種場にかわってしまうというのでは、せっかくの研究の成果が十分実りを見ることができないまま、次の人に渡していかなければならないということになると思うのですが、その点は、一つの試験場、育種場に在職する平均年月はどのくらいになっておりますか、また、こういうことに対して実情はいかがでございますか。
○田中(重)政府委員 在職年限の問題につきましては、昨日もいろいろ御意見を伺ったわけでございますが、この国立の試験研究機関について申し上げまする場合には、これは一般の行政官に比べまして、その在職年限は非常に長いということを申し上げ得ると思います。まず国立の林業試験場をはじめ、その下の部長、課長あるいはまた林木の各地の育種場長その他につきましても、それ以外の行政に関与をする技術者に比べまして、相当に長い。それはやはりいま先生の御趣旨のとおり、試験研究が一朝にしてなるものではないということであるだけに、それに深く打ち込む必要がございまますので、そういうことにいたしております。しかし、不適当なものは別といたしまして、方針としてはそうであり、事実また相当に長いということを申し上げていいと思います。
○西村(関)委員 それはまことにけっこうだと思います。ただ、試験研究に従事しておられる技術者といえども、やはり人間でございますから、栄進のことを考えられるでしょうし、家族の教育のことも考えられるでしょうし、また具体的な処遇の問題等も考えられると思うのです。そういういわば貴重な技術者を一つの研究に没頭させるためには、やはりそれ相応の処遇の問題を考えなければいけないと思うのです。特別な給与を考えるとか、何らかの方法を講じないと、一つの研究の題目に対して生涯打ち込んででもやるという意欲だけでは長続きしないと私は思うのでございます。そういうような点に対して、そういうことが考えられておるということよりは、むしろ、それがあまり考えられてないんじゃないか。たとえば公舎の問題一つを取り上げてみましても、僻地にあるところのそれらの方々の公舎は、都会地の公舎よりは盆弱である。また暖房設備であるとか、水道設備もないというようなところも、私があちこち行って見たところではだいぶあるようです。むしろ、ほかの方々の家屋と比べて一段と劣る。そういう僻地において研究をやっている場合においては、子弟の教育等にも便を欠き、そういう場合にも、特別な子弟の教育に対する——これは国家公務員法のきめがありますから、なかなかむずかしいではありましょうが、それはもし法律がそういう点を許さないならば、法律の改正をやってもいいと思うのでありますが、何らかの優遇の措置を講じなければ、一つの研究に没頭して成果をあげていくというのはなかなかむずかしい。そういう願いを持っておられる科学者、技術者の方であっても、やはりそういう具体的な解決を一方においてやっていくことが必要である。そういう意味から、長官はどういう配慮をしておられるか、それを私は伺いたいと思う。 それからもう一つは、研究手当といいますか、試験場にはついており、育種場にはついていない。こういうことは私は不合理だと思う。それらの点に対してはどうお考えになっておられますか。
○田中(重)政府委員 試験研究に専念していく、そのために、特に、その研究者を優遇しなければならないというお説には、全く賛成でございまして、一般会計におきましては、そういう趣旨もこれあり、たとえば例をあげますと、一般の行政職の場合、それから林業試験場に勤務をした場合、その場合に、大学を出た者を取り上げて比較をしますと、役職につかないという場合を申し上げましても、研究職の場合が行政職の場合に比べて有利にしてある。初任給においてはあまり開きはございません。ほんの若手研究職のほうがよくなっておりますが、それが十年たち、十五年たちますと、一般の同じ人間が行政職を適用された場合に比べて、たとえば二千八百円あるいは三千円近い差がついておるというようなことで、一般会計のほうは優遇をされておるということが言えると思いますが、一方林木育種場の場合は、これはお話しのとおりに、その差がないわけでございます。それで、これが国有林野事業特別会計の中でまかなわれており、その給与特例法の中で一般職と同じ扱いをされておるという点は、お説のとおりでございます。この点について、やはり一般会計の場合と同じように、研究に従事する者であるがゆえの研究職というような一つの特別の扱いをするようなことも考えなければならないと存じておりますが、これは給与の準則をきめる場合に、管理者でない場合は団体交渉事項の問題でもございますし、とにかくそういう面からも方法について考えなければなりません。そこで、予算の問題もございますけれども、いろいろ関係するところの手続について、それの検討を加えながら、何とかして林木育種場についても改善をはかっていきたい、こういう考えでございます。 なおまた、官舎その他環境の整備についても、これは技術者一般の問題として、農林技術会議でもいろいろ考慮をしておりますが、そういうほうと協力しながら、地方の特に僻地の研究者の優遇をはかりたい、こう考えております。
○西村(関)委員 これで終わりますが、なぜこのことを強調いたしておるかというと、日本の林業を伸展していく上からいって、試験研究機関の重要性、またこれに従事するところの技術者をもっと優遇しなければいかぬという見地から申し上げておるのでありまして、長官においては、予算とか、あるいは準則とか、法律とかというような制約があって、なかなか思うようにいかないという点もよくわかりますが、私は、もっともっとこの点について問題があれば問題を掘り起こして、改正するところは改正していって、また予算が足りなければ予算をつけて、もっと技術者を大事にするということをしなければ、ほかの法律をいじくってみたって、十分な効果を上げることはできないと思うのです。先般、私は欧米各国を旅行いたしましたときに、アメリカの加州の国立林業試験場兼育種場を見ました。これは施設もりっぱですし、やっている規模もなかなか相当なものだと思ったのですが、特に私が感心しましたのは、技術者を優遇しているという点です。ここの場長などは、終身ここでやるのだ、こう言っておりました。子供の問題なんかどうしているかと言って聞きましたら、子供の教育は全部国がめんどうを見てくれているから、心配は要らない。奥さんと二人山の中に住んで、もう世界じゅうの松を育成しているので、御承知かと思いますが、まるで自分の子供のようにかわいがっている。私はこの状態を見まして、やはりわが国においてももっともっと考えなければいかぬ。打ち込んで試験研究に生涯をささげられるといったような待遇改善をはかっていかなければならぬし、環境の整備をやっていかなければならぬ。そうでなければなかなか落ちついた研究ができないと思うのです。その点から、あえてこの法案の審議にあたって私は当局の見解を伺ったわけでありまして、今後それらの点についての改善に鋭意努力を払っていきたいという長官のお話ですから、私は、きよう大臣がおられれば大臣にその点を伺って質問を終わりたいと思っておりましたが私の申し上げている趣旨は、長官からも大臣にお伝え願って、これが改善についてぜひ一段の努力を願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○田中(重)政府委員 いまの先生の御意見は、全くそのとおりでございまして、林業技術者の優遇なくしては林業の近代化も期待し得ないわけでございます。その御趣旨は大臣にも十分伝えまして、その具体化に対して努力をしたい、こう考えております。
○坂田(英)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ————◇————— 午後二時六分開議
○高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、林業基本法案外二案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。森義視君。
○森(義)委員 私は、きよう先輩議員のお許しを得まして、商工から差しかえていただいて、質問をさせていただくことになったわけですが、きょうまで十数年間、主として民有林の組織のお世話をさせていただいてまいりました。山林で働く、特に民有林労働者の、社会保障から見放された劣悪な労働条件、あるいは文化から隔絶された悲惨な生活環境、あるいはまた封建的な、あるいは不安定な雇用の中で苦しんでいる労働者の問題を、いやというほど実はきようまでながめてきたわけでありますが、何らかの政府の抜本的な政策がない限り、林業労働者というものは一代にして終わっていくであろうという不安を実は持っておったわけであります。たまたま今回政府から、林業基本法という形で林業の経済的な機能を合理的に発揮するんだということで、宣言的な立法が出されました。私は、この法案に大きな期待を寄せております一人として、この法案の中に、このような民有林で働く労働者の皆さんの今日置かれている立場というものを抜本的に改善するような明らかな規定をぜひ設けていただきたい、こういう趣旨から、質問に加えさせていただいている次第であります。したがいまして、私が質問いたします中心になる問題は、主として民有林労働者の労働条件、あるいは政府が企図しておられます林業労働者の確保の問題について、お尋ねをしたいと思うわけであります。 今回、政府から出されました林業基本法につきましては、本会議における大臣の提案理由の説明を聞くまでもなく、この法案を一読いたしますと、いわゆる林業が持つ経済的機能をいかに合理的に発揮せしめるかという立場に立った産業立法である、このように私は理解をするわけでございます。従来わが国の林政の中心に据えられてきたいわゆる公益的な機能については、大臣は、森林法に譲る、こういうふうに御答弁をされておりまするけれども、私は、経済的機能と公益的機能を宣言立法の中で分離するという考え方については、異論がございます。しかし、その点については、わが党から出しておりまするところの森林基本法の中で、今日までの段階にいろいろと御質問があっただろうと思いますので、その点については割愛するといたしまして、まず最初に、本法案はいわゆる産業立法である、こういうふうな理解に立っていいかどうか、この点について大臣にお尋ねしたいわけでございますが、御病気だそうでございますので、かわって林野庁長官からお伺いしたいと思うわけであります。
○田中(重)政府委員 産業立法かどうか、その点については、まさに産業立法と申し上げていいと思います。と申しますのは、特にこの法案が、林業政策の一つの側面である産業としての林業を確立するということを第一条、第二条に明記をしております趣旨からいいましても、御理解願えると思います。 そこで、いままでの林業政策は、もちろん産業の面に考慮を払わなかったわけではございまんが、たびたび御説明申し上げましたように、やはりその政策の基調が森林法に置かれておりまして、そうして森林法は、その立法の趣旨からいいまして、あくまでも国土の保全、治山治水の面から規定をいたしておるわけでございます。その面は、今日においても将来に向かっても、ますますその重要性は失わないわけでございますが、もう一方の側面であるところの産業としての林業を見ていく、産業政策としての林業の政策、この面をこの法案では取り上げていくという意味で、産業としての立法である、こう御理解をいただいてけっこうでございます。
○森(義)委員 実はそういうわかり切ったことを確認していただきましたのは、これから私が質問するいろいろな条項に関連するからであります。幸い、私の理解と同じように、林野庁は、いま提案している、政府提出にかかわる林業基本法はいわゆる産業立法である、こういうふうに御確認をいただきました。 そこで、お尋ねしたいわけでありますが、木材の長期にわたる需要の見通しについてであります。林野庁長官も御存じのように、経済の法則というものは、需要と供給の相対的関係から発生します。その相互のからみ合いの中で無限に発展を遂げていくわけでありますが、今日、木材という供給の前提になる生産に三十年−六十年という長期を要する特殊産業、このような木材の供給と需要の関係において需要を見通す場合においては、少なくとも三十年ないし六十年先の需要の見通しに立たなければならないと思うわけです。ところが、巷間、権威ある学者の言として、五十年先の木材の経済的利用価値は繊維と糖分だけである、こういうことをおっしゃっておられます。すなわち、パイプ材としての木材の需要はどんどん拡大していくけれども、建築材としての木材の需要価値は、新しい科学的な建築資材に駆逐されていくのではないか、こういうことを私は意味しているのではないかと思うわけです。そういう木材の長期にわたる需要の見通しというものが、きわめて不安定であるために、今日山林労働者は、私どもが行きますと、いま植えている木は五十年先にどうなるのでしょう、こういう不安を私どもに訴えます。私は、その点について、少なくとも産業立法という見地に立って、需要と供給という経済行為の原則を確認しておられる以上、少なくとも三十年ないし六十年先の需要の見通しについて、何らかの見識と洞察を持っておられるのじゃないか、こういうふうに考えますので、ひとつぜひ長期にわたる木材需要の見通しについてお答えを願いたいと思います。
○田中(重)政府委員 木材の生産がきわめて長期にわたるものであるだけに、また木材の需要の見通しについても長期の見通しを持つ必要がある、それはお説のとおりでございまして、そこで、木材の需要と供給、それから資源蓄積の状況、そういう面についても長期の見通しを持つように、この法案の中で規定をいたしておるわけでございます。 ところで、将来の木材の需要がはたしてどうなるのかという点については、これはまたいろいろの見方があろうかと思いますし、さらにまた繊維なり糖分だけの原料として扱われるにすぎなくなるだろうというような見通しも、一部のものにはあるかもしれない。しかしながら、私どもといたしましては、やはり木材の利用方法が変化を遂げるにしろ、木材の需要というものは将来に向かってますます増大していくというふうに考えている次第でございます。ただ、木材の供給されるその価格、その価格のいかんは木材の需要と消費に非常に関係があるわけでございますが、そこで、もし木材の価格が非常に高い、その木材の価格に見合って、木材以外のものを原料とするところのいわゆる木材代替品、これが相当に進出をしてまいります。すでに木材以外の材料でできた製品が相当に出てきておりますけれども、これはやはりその代替品のいろいろな物理的、化学的性質の特徴にもよりましょうが、やはり何といっても価格であろうと思います。そこで、木材の生産に従事する者としては、この木材の生産がやはり引き合う価格であると同時に、市場に歓迎される価格、そういうもので供給される限りにおいては、木材の将来は何ら危ぶむべきものではないという考え方もあるわけでございまして、そういう面から、この林業の産業としての、そうしてしかも生産性を高め得るような方法による木材の経営を考えていく必要があるのではないかという趣旨が、この法案の重要な骨子でございます。いままでの戦後だけの木材需要の動向を見ましても、確かに大径木の需要はある程度減退をして、逆に小径木の需要が非常に伸びておる。したがってまた、小径木、中径木あるいは大径木の格差というものも縮まってきておる。また、いわゆる産地によるところの優良材とそうでない普通の材との格差も縮まっておる。いわば木材の評価というものが平準化してきておるということは言えるわけであります。そういう意味で、木材が昔のように構造材として、もくなりあるいはつやなり、そういうものが評価されていた時代とはだいぶ変わっておりますけれども、将来は木材の量としての相当の需要、これは国民生活の向上なり経済の発展なりに対応して伸びていくことは間違いない。しかし、その価格いかんによっては代替品が相当進出もするだろう、そういう考え方でございますが、絶対量の需要は伸びていくことを私どもは見通しておるわけでございます。
○森(義)委員 いまの御答弁ではまだちょっと納得いたしかねる面がございますので、重ねてその点について質問をしたいと思います。 木材の今日的な需要は、いわゆるパルプ材、建築材、これが大口の主たる需要だと思います。そこで、建築材としての将来の需要の問題について、長官のお話では、価格との関係である程度長期にわたる需要の増が見込まれるのじゃないか、こういう要旨の御答弁であったと思うわけです。御承知のように、産業の発達段階において、自然と科学との競争は、絶えず科学が自然を駆逐しております。私は、将来の建築用材としての木材の需要というものは、いま鉄骨、セメント、プレハブからあらゆる科学的な製品が建築用材としての主要な役割りを果たしつつあるということのスピードは、いわゆる近代的な産業構造の中でどんどんと無限の発展と拡大を遂げていくと思うわけです。その中で、いわゆる自然生産的な木材が価格の競争に勝ち得て、なおかつ建築材としての需要が拡大していくというような見通しをほんとうにお考えになっておるのかどうか。私はその点についてはなはだ疑問に思うわけです。価格の競争さえ勝てば木材の需要がある、確かにそうです。需要と供給の中で、価格が低くて利用価値があるならば、これは勝ちます。ところが、これからいわゆる近代的な産業構造の中で大量生産をされていく科学的な建築材との競争で、いままでの自然的生産にたよらざるを得ない、先ほど申しましたような植樹から伐採まで三十年ないし六十年かかるというこの第一次産業が、価格的競争で勢ち残って、なお需要が拡大していくのだということについては、もう少しその自信のほどについての説明を願いたいわけです。
○田中(重)政府委員 その点につきましては、木材がどういう利用方法で将来利用されるかという点につきましては、いろいろ見方があると存じます。建築様式の変化なりあるいは生活のしかた等によりましても、将来の木材の需要について、坪当たりの木材の消費というものがいろいろ移動していくということはありましょう。現に坪当たりの原単位の木材の消費量としては下がっているという傾向もございます。その点は、木材の価格と代替品のそれに対応する進出ということもあって、そういう現象が出ておると思いますけれども、将来の総需要において、建築材が他の代替品に押されて逆に減っていくという見通しも、あまり根拠がないように思いますし、一方確かに繊維としてパルプの原料、あるいはまた繊維板その他の用途による需要は、相当にふえていくということは見通し得るのではないかと考えるわけですが、いずれにしましても、現在の木材生産の長期性あるいはまたいろいろな生産過程におけるところの非合理性を排除することによって、いろいろな被害に対する抵抗性の強い、そして成長の早い、そういう品種を培養しながら、それによって将来の総生産の増大をはかっていくということが、林業従事者としてぜひとも必要ではなかろうか、こう考える次第でございます。
○森(義)委員 あまりこの問題で時間をとりたくないわけでありますけれども、一つお尋ねしておきたいのでありますが、現在植林があまり行なわれない。いわゆる立木一代という形で、切られたあとの山が荒廃しているところがたくさんあるのです。いわゆる木材の将来の需要に対する非常な不安定は、そういうところに大きな原因の一つがあると私は思うのです。と同時に、もちろん、今日産業界における資金の回転率という問題から考えて、いろいろ原因があるでしょう。しかし、一つの原因は、今日植林した木材がどういう価値を生み、どういう需要があるかはっきりつかめないということが、私は、植林の問題について荒廃した林野が放置されておる原因の一つになっているのじゃないか。そういう点についていまの林野庁長官のお話では、用途の問題なり価格の問題なりいろんな面で、総需要は減らないのではないかというような認識の上に立っておるところの御説明でございますけれども、そういう点について、さらに科学的な検討を加えて、林業に従事する者が、山林家、労働者を含んで、不安を持たずに林業に安住できるような、将来にわたっての経済的な需要供給の見通しについて、はっきりしたものをお示し願いたいと思うわけでございます。 それでは引き続きまして、林業において非常に重要ないわゆる林業労働力の需要の見通しでございます。本法案では第二条で、木材総生産の増大あるいは生産性の向上というものをはかるために、合理的な生産基盤を整備強化する、こういうことが、産業立法としての見地からこの法案の中に明らかにされておるわけです。そのために、現在の生産基盤であるところの林業の構造性における基本的な問題について、いろいろと林業の構造の改善という形で、いわゆる生産基盤の合理的な整備という角度からとらまえられておるわけでありますが、林業のように人間労働に依存する度合いのきわめて大きい産業において、生産の増大あるいは生産性の向上を期待するためには、まず何といっても有効な労働力の確保という問題がきわめて重要だと思うわけです。ところが、ここでは生産性の基盤の合理的な整備ということにかなりの重点が置かれておりますが、その生産基盤が経済的な機能を発揮するところの労働力確保の問題については、きわめて従的な取り扱いしかされておらないわけです。他産業と違いまして、一次産業、特に木材産業における労働力確保の問題は、生産基盤の確立と同等のウエートにおいて考えられなければ、林業の今後の発展を確保することはできないのじゃないか、こういうふうに私は実は考えるわけです。そういう点から、林業の労働力の需要の見通し、これは先ほど申されました木材の将来の需要の増大、あるいは労働力に加えられるところの新しい機械化とも関連するわけです。そういう労働力に加えられる新しい機械化あるいは木材の需要力の増大、そういう問題の関連ともにらみ合わせて、将来の産業面における必要労働力というものはどのくらいのものであるか、そういうことをひとつお尋ねしたいわけであります。
○田中(重)政府委員 いまお話のございました、将来の林業の発展のためにいろいろな施策をして労働力を確保する必要があるという御説には、全く同感であります。ただどの程度の量が将来必要かという点の数字の上での見通しについては、なかなかむずかしい問題でございます。なお、資料としていま手持ちがございませんが、林業経営の場合には、御承知のように、まず山林所有者の約九四%というものは農家でもあるということで、自家労力の減少ということが相当あるわけであります。雇用労働による分については、山林所有者の数からいいますと、むしろわずかな所有者に雇用されることになっておるということもございます。そこで、その総量の見通しはなかなかむずかしいわけでございますが、しかしながら、今後労務の需給計画、こういうものを進めていく場合にも、一応の見通しを持つ必要はある。そういう意味からよく検討をいたしたい、こう考えております。いずれにしましても、現在の農山村、特に山村における急激な労働力人口の減少、これは一方において保有山林の規模の拡大というような面からは、一つの意義はあるかもしれませんけれども、一方において山林経営者の減少という点でゆゆしい問題だと思います。この問題は、また常に言われますところの山村の振興、したがって、山村を住みよくしていくための諸施策との関連もあると思うわけですが、要するに、山村を住みいい環境に置いていくと同時に、山村の特に中堅的な人たち、そういう人たちへの林業経営の知識の普及、枝術の向上なり、そういう意味で、いわば一つの人つくりの分野に入ってまいる、こう思いますけれども、そういう点に考慮を払う。同時に、先ほども先生のお話のございました、特に重要な社会保障、そういう面でおくれている点を十分に刷新を加えていく必要がある、そういうふうに考えるわけであります。
○森(義)委員 長官、私の質問していることだけ答弁してもらってけっこうです。どうも私の質問していることにはきわめて不明快な答弁であって、ほかの派生的なほうに答弁しておられるように思われます、私は木材の長期にわたる必要労働力を聞いておるわけです。ところが、それはたいへんむずかしい問題だ、こういうお話ですが、少なくとも木材産業を一つの産業立法という見地でこれを立案された以上は、将来の需要の見通しあるいは機械化されていく見通し、そういうものに立って、その需要労働を満たす労働力というものがどれだけ必要であるかということの前提なくして、労働力の再生産というものはできないと思う、そういう見通しがないものだから、青年労働者、いわゆる若い労働者というのは、こういう需要の見通しのないところに住みつかなくなるわけです。だから、長期にわたって労働力の需要について見通しが立たなくとも、少なくとも当面労働力がどのくらい必要であるか、このくらいのことは見通しを立てていただきたい、こういうように思うわけです。あとの質問の中でこれとあわせて答弁をしていただいたらけっこうです。 そこでそれに関連をいたしまして、先般本会議でこの林業基本法が提案され、わが党の代表質問に答弁されました労働大臣の数字を拾ってみますと、昭和三十年の五十六万をピークとして、昭和三十八年には三十五万に激減しておる。このような労働力の一産業における大激減というものは、他産業にその例を見ないわけであります。わずか八年の間に生産労働者の数が四割も減る、こういうふうな産業というのは、ほかに例を見ないわけであります。これが大幅な機械化の導入によって、いわゆる合理化によって減った、こういう産業は別といたしまして、そうでない面における労働力の激減というのはほとんどないわけです。そこで、労働力の山村からの流出についてたいへん御心配をされておるようでございますが、それの管轄庁である林野庁として、山村からの労働力の流出の原因がどのようなところにあるかということについて、多角的な面からお考えのほどをお聞かせ願いたい、こういうように思うわけです。先ほどちょっと触れましたけれども、もっと多角的な面からこれをどのように分析しておられるのか、その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○田中(重)政府委員 山村からの労働力の減少は、林業労働力を含めた山村一般の問題だと思いますが、やはり山村に対応する都市なり他地域との所得の格差、そういう面から都市、それから他の産業、それへの流出が見られると思います。それからまた、それぞれ山村の近郊における他の勤務地への流出もございます。いずれにしても、山村における生活環境の劣悪性と、それから都市の諸産業へのあこがれといいますか、そういうこと等が少なくとも一番大きな理由で、農山村、特に山村の人口の流出を見ていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
○森(義)委員 たいへん重要な山村労働力の流出の問題について、頭を悩ましておられる林野庁長官の答弁としては、きわめてありきたりの常識的な答弁であったと思うわけです。したがって、そういう答弁をされては困るので、私は念を押して、もっと大きな多角的な見通しに立った労働力流出の原因についてお尋ねしたわけでありますが、さらにもう少し検討された労働力流出についてのお答えがありましたら、お答え願いたいと思います。——それでは私のほうから申し上げたいと思います。私はこういうふうに考えております。今日の山村労働力の流出の原因は二つに大きく分けられる。一つは、いわゆる自動的な原因によるもの、いま林野庁長官のおっしゃったような、主として自動的な面からくる原因によるものだと思う。すなわち、教育、医療、文化、交通から隔絶された生活環境、それから労働条件の低いということ、これはもう低賃金、重労働、過酷な労働、雇用の不安定、いろいろな問題がありましょう。そういう生活環境と労働条件の低いこと、こういう自動的な原因における労働力の流出。いま一つは、他動的な面における労働力の流出。この面について私はお尋ねをしたいと思うわけでありますが、池田内閣の高度経済成長政策は、御承知のように、急速な膨大な設備投資によりまして、企業の拡大と新規工場の増設等を見まして、このことは、実は農山村から若い労働力を吸収した最大の原因である、私は、このように考えます。労働力というものは、御承知のように、水の反対です。低いところから高いところに流れていくわけです。今日このような高度経済成長政策下における労働力の流出をどうして防ぐかという問題は、たいへん重大な問題です。一般産業におきましても、中小企業においては労働力の若年労働力の充足率は、十人を必要とするのに二、六人です。大企業においては十人に対して五、七人、したがって、現在、わが国の産業の発展段階において、若年労働力を必要とする傾向は弱まりそうにございません。どんどんと若年労働力の吸収力を持っているわけです。このような一般産業の労働力の吸収に対抗して、山村における労働力を確保するということになれば、たいへんなことだと思うわけです。池田さんに、一時高度経済成長政策の手をゆるめてください、農山村から青年がいなくなって困る、こういう泣きを入れるしかない。しかし、経済というものは、池田さんに泣き込んだからといって、いまの経済成長政策はとまらないと思うのです。どんどんと都会へ都会へと流れていく、大都会、大工場中心主義の労働力の吸収力というものは、きわめて大きいものがあるわけです。そういう中で、一般産業の労働力の吸引力と競争して山林労働力を確保しようとするならば、どうすればいいかということについて、どのようなお考えを持っておられるか。あと自動的な面については一つ一つお尋ねしたいと思いますが、いま申し上げました、他動的な山林労働力を吸収していく力と、山林労働力を確保しようとする林野庁長官の考え方は、どういうところで競争し合えるか、その点についてどんな考え方を持っておられるかをお尋ねしたいと思います。
○田中(重)政府委員 その点につきましては、ひとり林業のみならず、農業の面でもいろいろ出ておる問題でございますが、いずれにいたしましても、農山村を守り、農山村の経済を支えていくという人たちは必要なわけでございますから、それに対してそれぞれ適切な施策を講じなければなりませんが、要は、林業の面で申します場合には、やはり高賃金だけを目ざして大都市へ流れていくという考え方ばかりがその人にとって幸福なわけでもございませんし、やはり山を守っていくということのその人たちの責任といいますか、そういう自覚に立って、しかも健康で、かつ安定した事業の経営ができるような、林業の場合でいえば、林業生産の場を国ができる限り助成をして、そこに培養していく、そこで安心して山村青年が落ちつけるような環境をつくっていく必要があろうか、こう考えるわけであります。
○森(義)委員 いまの産業構造の拡大発展を遂げていく中で、犠牲産業における労働力確保という問題は、非常にむずかしい問題です。そこで、そのような他動的な力による労働力の流出を防ぐ一番手近な方法として考えられるのは、いま長官が御答弁されましたような、労働条件、労働環境、生活環境、そういうものを改善をしていく、こういうことだと私も思います。ところが、やはりこれは総理に聞かなくちゃいかぬわけでありますが、日本の経済の均衡した発展という経済政策全体のながめの中でもそういうものを考慮していただかなければ、いかにこちら側で内面的な面だけで充実をいたしましても、その勢いを食いとめることは完全ではない、私はそういうふうに思うわけです。 そこで、この労働力の流出を促進をしている山林における生活環境なり労働条件なりについて、引き続いてお尋ねをしたい。これは関係各省の係官にもお尋ねするわけでありますが、まず今日の山林の生活環境でございます。私は、ことしの正月に奈良県の吉野郡の十津川村と北山村を回ってまいりました。ところが、どこの村長に聞きましても、成人式をやろうにも青年がおらない、こういう話です。盆の休みか正月の三日間の休みのうちに成人式をやってほしい、こういうお話だったわけです。あるいは奈良県の一番南にある十津川という村では、県立の高等学校があるわけですが、そこの高等学校のことしの春の卒業生をぜひ役場の吏員に雇いたい、そうしたところが、やっと頼み込んで女の子一人雇えた。あと全部村を離村してしまった、こういう実情を聞いております。これは今日に特徴的にあらわれた現象ではなしに、ここ数年そういう傾向が連続してあらわれているわけでございますが、そのような青年労働力がどうして流出するのだろう、こういうことについて私なりにいろいろと考えました。そこで、若い人たちに聞いてみますと、いろいろな原因がありますけれども、その一つに、こういうことを言っております。私たちはこの山で生まれたためにしんほうしてきましたけれども、私たちの子供が、この山であのような低い教育しか受けられない学校設備ではかわいそうだ。御承知のように、山村では複々式教育と申しまして、一年、二年、三年が先生一人、あるいは六年まで先生一人という学校がたくさんあるわけです。新しく着任された女の先生に、途中がこわいのでついてきた両親が、その先生を連れて帰ってしまって、先生の補充がつかないという学校もございます。そういうきわめて劣悪な教育環境というものが、将来の子供のことを考えると、とうていしんぼうできない。したがって、いまのうちに山村を離村するのだ、こういう考え方があるわけです。私は、毎年吉野の山村地帯に入って、いろいろと村の人々とも話し合うわけでございますが、実際山村で教育をしておられる先生をとらまえて聞いてみますと、複々式の学校では一年、二年、三年を一人で先生が預かっている。ところが、実際は保育所も兼ねておるのです。一年、二年、三年の生徒に、学校へ行けない子供がついてきているわけです。おとうさんおかあさんは朝早くから山へ働きに行く。そこで子供は学校が唯一の慰安場所です。学校へ行くと、小さい子供は一緒に手をつないで教室へ入る。一つの教室に一年、二年、三年が一緒におって、その横っちょに小さい子供が遊んでいる。にいちゃんおしっこや、にいちゃんうんこや、こういう環境の中で山村の子供たちは教育を受けているわけです。そういう教育環境というものが、実は青年労働者が再び自分の子供に経験させたくないという気持ち、そういう気持ちが実は非常に強いわけでございますが、そういう点について、きょうは山村の僻地における教育の問題で、初等中等教育局の岩間財務課長がお見えになっておりますが、そういう実態が、実は山村の青年労働力の流出の大きな原因になっておる。こういう山村教育の問題についてどのような対策を持ち、将来についてお考えを持っておられるかをまずお聞かせ願いたいと思います。
○岩間説明員 小規模学校の問題につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、非常に教育上いろいろ問題がございまして、私どもも頭を悩ましているところでございます。数字的に申し上げますと、現在全国で小中学校の学級が四十二万学級ほどございますが、複式あるいは複々式というふうな学級が一万三千程度ございます。先生の御指摘のような単級というものも、千足らずでございますけれども、あるわけでございます。私どもこういう学校におきます教育につきましても、やはりほかの学校と同じような教育効果というものを得られますようにいろいろ考えておりますけれども、なかなか問題がございまして、遅々として進まないというのが現状でございます。しかしながら、たとえば本年度から、学級編制につきましては、従来三十五人あるいは三十人というのが最高でございました複式学級につきましては、これを二十五人に引き下げる、それから単式の学校につきましては、二十人を十五人に引き下げるというふうな学級編制の改善等も行ないまして、また小規模学校につきましては、どんな小さな小学校あるいは中学校でも、小学校の場合は少なくとも二人の先生が確保できるように、中学校の場合には三人の先生が確保できるようにというふうに、教員の配置の改善もあわせて行ないたいと考えているような次第でございます。 なお、教育効果をあげますためには、学校の設備等の内容の改善も必要でございますので、教材費あるいはテレビ、そういうものの普及、あるいは最近ではシート式磁気録音機というふうなものも備えつけるような補助金を用意しておるわけでございます。 なお、本年度から、そういう学校につきましては、特に中学校でございますが、中学校につきましては寄宿舎を設けまして、そういう小規模学校を解消するというふうな道も、わずかでございますけれども、開いた次第でございます。 以上でございますけれども、今後ともそういう小規模学校の教育効果の向上という点につきまして、私どもできるだけ努力をしたいと考えております。
○森(義)委員 いま岩間さんから、いろいろと教育効果が大体同じにあがるように、こういうことで配慮をしておるのだという御説明をいただいたわけでありますが、私は奈良の女子大附属の育友会長をずいぶん長くやっておりました。これは特殊学校でございますから、ずいぶん差があると思います。しかし、同じ子供でも、あの女子大の付属の小学校の子供と複々式、単式の子供とを見て、これが教育効果が同じようにあがるというようなことは、神さまでないとできないと思います。そこで、そういうことを言っておってもしようがないわけでありますが、私はこういう方法はどうだろうかと思います。つまり、学校を統合して、スクールバスを配置する。もちろん山村僻地でスクールバスを買えるというようなところは少ないだろうと思いますけれども、政府の補助によってそういうことを考えたらどうだろうか。吉野の十津川というのは、御承知のように、電源開発の公共補償で、ずいぶんと村自体が豊かでございます。したがって、私は、村長に、スクールバスを買って、学校を統合して、そのスクールバスで子供を集めて、普通の学校と同じような教育のできるような環境をつくってやれ、それなくしてこのような劣悪な教育環境に自分の子供を再び経験させるということには耐えられないというのが青年の願いなんだ、こういうことを実は言ったわけなんです。あるいは山村における中学校ではもちろん寄宿舎制度を設けております。だから、そういうことを考えないと、三十人を二十五人に下げたとか、あるいは先生を二人配置するとか、そういうことは、山村からの労働力の流出というものは決して防げないのではないかと私は思うわけでございますが、林野庁の長官は、そういう点について、山村労働力を確保するというために、青年労働力を特に確保するためには、教育の問題が非常に重要な要素になっておるということを御配慮願って、文部省とも御相談をしていただいて、十分な施策を考えていただきたい、こう思うわけでございます。私がいま申し上げましたのは、スクールバス等で学校を統合する、そういうことも一つの方法ではないか。しかし、もちろん、これは国の補助がなければ、山村の貧しい村ではできないことなんです。だから、そういう点についても、これだけじゃないと思いますけれども、御配慮をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 それから次に、生活環境の中で重要な問題になっておりますのは、医療の問題です。まだまだ無医村が山村にはたくさんございます。特に山林労働者の場合においては、病気になっても、作業現場が自分の住宅地よりかなり遠いところに離れているわけです。そこでは、もちろん救急箱を背負う程度のものであって、仲間に担架をつくってもらって帰ってくるわけです、帰ってきても、そこでは十分な医療の施設がない。結局トラックかバスにゆられながら、町まで出てこなければならない。その途中において当然なおるべき病体が悪化して死んでいく、こういうみじめな医療状態が今日の山村の実態だと思うわけでございます。こういう問題について、厚生省の総務課長お見えでございますか——こういう山村の医療問題について、労働力確保という面から——そういう環境にあることが実は一つの大きな流出の原因になっておる。そういう観点から、医療問題について格段な御配慮を願いたいわけでございますが、現在お考えになっている考え方と、将来にわたってのお考えをお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
○渥美説明員 いまお話にありました僻地医療の確保対策でございますが、厚生省におきましては、国民皆保険の現下の体制下におきまして、そういった医療を受けられない住民がいなくなるというために実は昭和三十一年から年次計画をもちましてこの対策を講じておるところでございます。 大体の概要と申し上げますと、そういった僻地におります住民の数によりまして、幾つかの対策を講じておるわけでございます。その住民の数によって対策を分けておりますという意味は、比較的その地域に住民が多い場合におきましては、診療所を設けまして、お医者さまを配置する、そこではお医者さんが毎日勤務することができるわけでございます。ところが、その地域における住民の数が少ない場合におきましては、患者の数も少ないとか、現在のように医師の確保が非常にむずかしいという事情がございまして、診療所を設けずに、そこの地域の患者さんをマイクロバス——巡回診療車と申しますか、これでもよりのお医者さまのところまで連れてきてあげる、こういう施策。それからもう一点は、非常に人口がまばらでありますような地域におきましては、マイクロバスもなかなかそうたびたば行けないわけでございますので、これは県がやはり巡回診療車でありますとか巡回診療の船でありますとか、あるいは雪上車、こういうものを回しまして、診察に当たる、こういうふうな三つの種類の施策を講じておるわけでございます。 第一の、僻地の診療所をつくって患者を診察するというのは、昭和三十一年から現在までに三百カ所程度診療所をつくってございます。なお、昭和四十二年までには、いま申し上げた三百カ所の分を合わせまして四百二十一カ所、診療所を設置するということにしております。 それから患者を輸送しますマイクロバスでございますが、これも昭和四十二年までに九十五台、開拓村の分も合わせまして二百二十二台ばかり計画をしております。このマイクロバスの方式につきましては、昭和三十八年から実施しておるわけでございます。 それから第三の、県なりがいわゆる特別僻地と申しますか、僻地点と言ったほうが正しいわけでありますが、そういった僻地点に対しまして、巡回診療車なりあるいは巡回診療の船なりを現在まで四十八台ばかり配置しておりますが、昭和四十二年までにはこれを百八十三台、その中には船が九隻ございますが、それを配置していく計画を立てておりまして、これは現在のところ、財政当局との折衝の結果も、順調にこの計画が実施されることに確信を持っておるわけでございます。 たた、一番問題となりますのは、医師の確保の問題でございまして、先ほど申し上げましたような診療所をつくりまして、現在三百カ所くらいの診療所もございますが、医師の確保が非常に困難でございまして、市町村有の診療所でございますか、医師はもよりの公的医療機関、たとえば県立病院、市町村立病院、日赤とか済生会、こういった病院に頼みまして、それをいわば親元の病院としまして、医師を出していただくということでございます。先ほどお話にありました救急の患者の問題につきましては、こういった親元病院に救急患者の輸送車を配置いたして、できますればそれが飛んでいって患者を輸送してくるというふうなことも考えておるわけでございます。 対策の概要はこういうことでございます。
○森(義)委員 時間の関係もありますので、まだ若干労働関係のことをお聞きしたいので、そのくらいにしておいて、次に文化関係で、実はこういう山村というのは交通の不便なところでございますので、文化というものに対して実に飢えているわけでございます。いろいろ聞きたいことがあるわけでございますが、公民館の文化的な教養レベルアップについての活用なんですが、これは林野庁長官にお願いしておきたいのですけれども、先ほど申しましたような山村の教育の問題、それから医療の問題、文化の問題、交通の問題、こういういわゆる生活環境の劣悪な条件をつくっておる要素、こういう与件をどういうふうにしたら解決できるかということについて、林野庁としては、山林労働力の確保という大前提を満たすために、ぜひ関係各省と連絡をしていただきまして、十分な配慮の上に立って施策を講じていただきますように要望いたしておきます。 次に、林業労働者の問題についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。 山林労働者の労働災害でございますが、これは建設業に次いで二番目という、きわめて労働災害が多い業種になっております。私の資料によりますと、三十九年の四月分で、林業労働者の労働災害の件教が二千七百九十七件、これは製造業の全体の二千七百四十九件より一産業だけで多いという実態です。建設業の六千七件を除きまして二番目の労働災害を出しているわけです。このような労働災害の多発産業に対する災害防止の対策を特別にどのようにお考えになっておられるか、この点について、まず最初にお尋ねをしたいと思います。
○村上(茂)政府委員 労働災害の発生状況を見ますると、産業別には、御指摘のように、建設業とか林業、それから港湾荷役あるいは貨物取り扱い業といったような業種が、災害の発生率が高くなっております。そしてそれを規模別に見ますと、零細企業の多い産業が災害が高くなっておりますが、たまたま林業関係につきましては、産業としても災害が多発する産業であり、かつ規模から見ましても、雇用労働者の数があまり多くないという意味合いにおきまして、中小企業的な性格が強い。一般の中小企業におけると同様に災害率が高いというふうな観点から災害対策上、特に問題のある業種であるというふうに考えております。 それにつきましては、これらの業種は、単に労働災害のみならず、一般の労務管理そのものが近代化されていないという基本的な問題もございまするので、これらの中小企業的企業につきましては労務管理の近代化という問題とあわせまして、産業災害対策という問題を取り合わせまして、集団的な指導を行なってきておる次第でございます。しかし、これらの産業におきましては、ややもすれば労働者の組織も十分ではないというような問題もございまするので、他の産業のように労使協定による災害に関する基準の設定といったようなことも、なかなか行なわれないというような問題があるわけでございます。 そこで、基本的な態度といたしましては、そういう災害多発業種につきましては、ただいま御審議をいただいております労働災害防止に関する法律、題名を改めまして、労働災害防止団体等に関する法律の成立を待ちまして、林業とか建設業、港湾荷役といったような業種につきましては、自治的な団体を結成せしめまして、経営者に対する指導啓蒙と相並びまして、自主的な労働災害防止規定を設定させる、それを基準にして、きめのこまかい具体的な対策を推進していきたいと考えておる次第でございます。
○森(義)委員 基準局長には、先般、商工で、昭電の爆発事件で労働災害問題についてお聞きしたので、きょうここで重ねて詳しくお聞きしようとは思いませんが、いま申されておるようなことを机上プランに終わらせずに、実際に指導なり監督なりを完全にやろうとすれば、先日も申し上げましたように、何といっても人の数をふやすということ、それから質的向上をはかるということ、このことが大切だと思うので、ぜひそういう点についての配慮を格段にお願いしたいわけでございます。 そこで、労働災害の問題につきまして、民有林労働者の場合においては、いろいろと給付内容なりあるいは決定基準が、官有林労働者との間に差が設けられております。たとえば決定基準の問題について、官有林労働者の場合ですと、集合解散時点から作業現場までの間における事故も労働災害の適用を受けております。ところが、民有林労働者の場合におきましては、作業現場からしか労働災害の適用を受けないわけなんです。このことは、林野庁長官御存じだと思うわけでありますが、その他、国有林労働者と民有林労働者との間にはいろいろと差があるわけでございますが、こういう問題について将来是正していく方針なのか、あるいは民有林労働者の問題については特別な何か立法的な措置を考えておられるのか、そういう点についてお聞かせ願いたいと思います。 〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕
○田中(重)政府委員 国有林労働者の場合の災害発生の現場として集合解散場所というのは、これは事業に着手する場所として、労働協約で集合解散の場所というものをきめております。そういう点で、国有林労働者の場合には明確なわけでございますけれども、民有林の労働者の場合には、そういう点が必ずしも明確でないかもしれません。そういう意味からいいまして、そういう点の明確さにつきましては、将来林業経営者の側の自覚、それから労働者側のこれも自覚、そういうものが重要であろうと思いますけれども、国といたしましては、この法案で提案もいたしておりますように、林業労働に従事する者のいろいろな面での啓発、そういうことを通じ、あるいはまた林業経営者の指導を通じて、そういういろいろな社会保障的な面での改善をはかりたいし、またそういう立法については、これは関係当局とよく協議をいたしまして、その中の災害防止についての努力をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
○森(義)委員 基準局長にお尋ねいたしますが、民有林の山林労働者で現在労災保険に加入している状態はどうです。
○村上(茂)政府委員 現在労働省で把握いたしております数でございますが、手元に昭和三十八年十二月現在の数しかございませんが、適用労働者数は三十五万七千四百十二名というふうに相なっております。 なお、先ほどの御質問でございますが、労災保険を支給する場合の業務上災害の観点からの御指摘だろうと思います。これは他の産業の労働者にもあることでございまして、基本原則としては、どの時点から使用者の指揮下に入ったかどうかということの判断の問題であろうと思います。これは民間の同じ産業でも、工場が遠隔の地ある、あるいは島にあるということで、会社提供の交通機関を利用するという場合としからざる場合がある。いろいろございまして、具体的な使用者の指揮下に入って、業務上どの時点から、ないしはどういう形態から認定すべきかという認定の問題であろうかと思うわけでございます。たまたま国有林のほうは明確に把握できる、民間の林業労働については明確でない場合も間々あるので、業務上の判断につきましても、いろいろ調査をし、実態把握に手数がかかるというような業務上の問題もあるわけでございますので、その点はできるだけ実態に合うように処理する必要があると常々私ども考えておるわけでございます。参考までに関連して申し上げておきます。
○森(義)委員 いま基準局長がおっしゃいました三十八年十二月の林業労働者の労災保険の加入人員三十五万七千四百幾らですか。これは官有林労働者も含んであるのだと思います。民有林労働者だけですか。そうすると、民有林労働者の中で、まだ労働災害保険に入ってない部面が相当あると思うのです。私のほうでございます。こういう問題の加入の促進について、先ほどの第一問の質問の中で、特に労働災害多発地域における労働者の問題の救済措置として、完全に山林労働者を労働災害の適用に入れる、こういう面における配慮がまだ若干欠けておるのではないか、そういうことを考えるわけでございますが、大体山林に労働しておる民有林労働者の何%くらいが加入しておる計算になりますか。
○村上(茂)政府委員 私どもは、これは強制適用でございますので、全部適用しておると申し上げたいのでございますが、問題は立木伐採の現場が絶えず動きます。中にはきわめて小規模な現場がございますので、一般の工場、事業場の場合と違いまして、把握がきわめて困難である。土建の現場よりもさらにさらに把握が困難であるという場合が少なくございません。また、常時立木伐採を業としない者がたまたま山林の伐採を行なうというような場合になりますと、これまた把握が非常に困難であるというのが実情でございます。したがいまして、適用漏れがあるであろうということは、私どもも予想いたしまして、できるだけ完全把握につとめておるわけでありますが、そのための手段といたしましては、現在そういう小規模な立木伐採事業につきましては、地域ごとにできるだけ一括適用をさせるという方針で指導を行なってまいった次第でございます。現在の労災保険経済の現状から見まして、できるだけ完全に把握いたしまして、全員加入せしめたいというのが、ここ七、八年来一貫してとってきた方針でございまして、適用漏れがあるであろうという業態の状態を前提にいたしまして、そのような努力を主として払ってきておりますが、その他、賃金調査等いろいろな機会がございますので、そういう労働基準局全体の活動部面と合わせまして、できるだけ完全適用にいたしたい。法の示すとおり強制適用でございますから、全部適用にいたしたいと念願いたしておる次第でございます。遺憾ながら、何%漏れがあるかという点につきましては、ちょっとお答えをいたしかねるような現状でございます。
○森(義)委員 林野庁長官、いま労働災害の保険の問題について、基準局長から詳細に説明をお伺いしたわけですが、実は山林へ参りますと、お年寄りの方々は、私は健康だから困ったことです、こうおっしゃるのです。もう働けなくなれば、せめて手か足か指がとれて、労災適用でもしてもらって金をもらっておったら、孫や子供に必配をさせずに余生を暮らせたのに、こういうことばを山林労働者、特に年老いた労働者から聞くのです。それほど山林労働者というものは悲惨だということです。これは一人や二人じゃございません。手をとって働けなくなった、しかし、健康だから何の収入もない、せめて労災保険の適用を受けられるようなけがを——若いときは困るけれども、年とって働けなくなる直前にけがでもしておりますと、老後の生活は若干の安定があったのだ、こういう悲惨な状況を、環境の問題とあわせてぜひ考えておいていただきたいと思うわけです。 次に、雇用の安定の問題について職業安定局長に伺っておきますが、山林労働者の場合においては、気象条件によって左右され、こま切れ労働という形なんですが、特に山林地区は雨量が多い、雪が多い、こういう環境なんですが、非常に雇用の安定という面から考えるならば、他産業に類を見ないような状態でございます。こういう雇用の不安定な状態にある山林労働者が、先ほど何回か繰り返して申し上げておりますように、一つの流出の大きな原因になっている。それを流出を食いとめ、山林労働力というものを確保するためには、雇用の安定という見地から、どういうふうな措置を講じたらいいとお考えになっておられるか、安定局長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○有馬政府委員 林業の労働者が生活安定して、しかも林業に必要な労働力を確保していくということは、先ほどから先生の御指摘のありましたように、なかなかむずかしい問題でございます。私どもとしましては、産業に必要な労働力は、一次産業、二次産業の種類を問わず、できるだけ需要に対して公平に確保してまいりたい、こういうことが職安行政の原則でございますが、何せ労働力は、先ほどから御指摘がありましたように、労働条件の高いほうへ流れていくというのが自然の姿でございます。したがって、この林業の場合にその自然の流れにさからって所要労働力を確保し、あるいは森林労働者の生活を安定させるということは、非常にむずかしい問題で、結局基本的には林業の体質改善、あるいは生活環境なり、労働条件なりをよくすることによって、林業労働者の確保をはかるという以外には、結局のところは方法はないと思います。結局季節的な業務の繁閑に従って、仕事がないときの生活の安定をどうするかということについて、この前から足鹿先生からもお話がございました。従来失業保険で食いつないでいこうということできておりますが、これも本来正道ではないわけでございますし、また、現在の保険の事情からいきますと、いつまでもこの方法で保険でかかえていくということはできかねる状態にございます。失業保険の受給者は必ず求職者として立ち向かってくる。したがって、他産業においてよりいい労働条件の求人があれば、そちらに振り向けざるを得ない。これはかえって林業の労働力確保ということよりは分散のほうになる傾向にも相なりますので、失業保険で確保をはかるということは、決して正攻法ではないと思います。したがって、林業における休業の場合の生活保障の問題は、失業保険制度でない別の角度から根本的に検討すべき時期にきておるのではないか。私どもは決して失業保険を出し惜しみをするわけではございませんが、筋として間違っておるし、また保険経済からいっても限界にきつつありますので、その点を御指摘申し上げた次第でございます。しかしながら、一挙に根本的な改善策が見当たらないままにわれわれの保険をきめていくということは、実情に合いませんので、そういうことはするつもりはございませんので、根本問題をお考えいただきたい、かように申し上げた次第でございます。
○森(義)委員 そちらで考えていただきたいという質問をしているのに、こちらで考えていただきたいということでして、なかなか名案がなさそうです。そこで、林野庁長官、あなたのほうの立場から、雇用の安定ということについてどのようにお考えになっておられるか、いま有馬さんが正直に、失業保険で食いつなぐといってもこれは無理だ、他に何らかの策を考えなければならない、こういうふうな御答弁であったわけでございますが、たとえば強力な施業案によって計画伐採をやってこれを続けていくとか、何か林野庁という立場から雇用の安定について抜本的な対策を持っておらないと、流出を食いとめることできません。そういう点から、林野庁のほうがむしろ職業安定局よりも先んじて、しかも中心になって考えなくちゃならない課題だと思うわけです。そういう点で、林野庁長官から何らかの具体的な案をお持ちならばお聞かせを願いたいと思います。
○田中(重)政府委員 林業労働に従事する者を確保する意味からいっても、労働者の側からいいましても、雇用の安定ということは必要なことでございますし、その点について、私どもといたしましてもいろいろ考えているわけでございます。林業労働は御承知のとおりに、季節に支配されて行なわれる面が非常に多いということで、春は植えつけ、夏は下刈り、また雪上の運材であるとか、あるいは出水期の流送であるとか、そういう自然力の利用によって、あるいは雪のないときに仕事をするとかいうことで、農家の余剰労力をもって充てられてきたという経緯がございます。そこで、その就労の状態をでき得る限り通年化していくということがまず必要だと存じます。季節に支配されないような仕事の仕組みに持っていくということと、それからその現場だけではつながらない場合に、幾つかの現場をつなぎ合わせることによって、極力通年化するというくふうが必要でございまして、そのためには、まず季節に支配されないための機械化の導入、この機械によって、雪のない間だけ仕事をするとか、雪のある間だけ仕事をするとか、あるいは雨期だけ仕事をするとかいうような制約から解放される就労形態が必要だ。現在、そういうことで、国有林等においてはできる限り春から冬へかけての仕事をつないでいく仕組みを考えております。一般民有林の事業につきましては、所有形態が零細でありますから、つなごうとしてもなかなか無理がある。そこで、幾つかの所有者の山を仕事の面から結合いたしまして、たとえば森林組合の施設組合等が作業班をつくって、その下請的な仕事をやるような、そういう形で、この民間の山林労働者が、一つの団体によってその仕事を一年間つないでいくというようなくふうも必要かと存じますが、いずれにしましても、今後のこの山林労働確保、それからそのための雇用の安定のために、一そうくふう努力をしなければならない、こう考えております。
○森(義)委員 私は、雇用の安定の根本的な解決にはならないと思いますけれども、こういうことが一つの原因になっているのではないか、それを排除することを考えたらどうだろうか。それはいまの山林の所有形態が国有、公有、私有、こういう形に分かれ、しかも私有の中には、零細規模と財産保全的な財産林的なものと、非常に多角的な所有形態に分かれているわけです。そういうところからくる植林、伐採の不統一性とか無計画性が、今日雇用の不安定を惹起している大きな原因になっている、私はそういうふうに考えます。したがって、雇用の安定をほんとうに確保するためには、いまの多岐にわたる所有形態、そういう問題をまずひとつ解決の方途を見出すと同時に、強力な施業案によっていわゆる統一した計画を持った伐採をやる、そういうことによって山林労働者の雇用の継続を考えていく、そういうことを現在の時点で直ちにはやれないと思いますが、そういう配慮を前提にして、雇用の安定について何らかの抜本的な施策を考えない限り、山林労働者のあのような他産業に比較して問題にならないような流出、激減ぶりを食いとめることは困難であろう、こういうふうに思うわけですが、その点どういうふうにお考えですか。
○田中(重)政府委員 その点につきましては、全く同感でございまして、この山林の所有者がそれぞれ計画的に仕事をするように、個別経営計画というものの作成と、それによって仕事を進めていく指導を強化をしてまいりたい、こう考えているわけでございまして、仕事を計画的に進めていくことが、雇用の面でも計画的に使用者自身が考え得ることになるわけでございますし、また通年的な仕事を組み合わせるためにも、これまた林業経営が計画的であることが必要である。そういうことで個別経営計画の樹立と指導、それを今後できる限り進めて、指導してまいりたい、こういう考え方でございます。
○森(義)委員 だいぶいろいろな問題についてお尋ねしましたが、最後に一つ、私は林野庁の長官に——大臣がおられたら大臣にお願いしたいわけでありますが、冒頭に申し上げましたとおり、この法案は産業立法である。産業立法であるということを確認をする以上は、一般産業立法のもとにおいていろいろな法規の保護と適用を受けている一般産業労働者、これとの格差をぜひなくするということが前提にならなくちゃならないと思うわけです。そういう意味で、労働力の確保の問題について、労働条件を社会保障というような形でこま切れ的にこの法案の中には書かれておりますけれども、宣言立法である以上は、山林労働者の労働法規の適用については、一般産業労働者と差別のないようにする、こういう明らかな規定を、宣言立法の趣旨からいうならば、ぜひ設けていただきたい。そうでなければ、産業立法的な性格で幾らこれを運営しようとしても、冒頭に申し上げましたように、産業基盤を経済的に稼働する労働力が確保できません。だから、そういう意味で、私ども民有林労働者のお世話をしてきた立場から申し上げますならば、この法案にそういう面における大きな期待を寄せているわけです。だから一ぜひ、そういう宣言立法の中には宣群立法らしい一つの規定を設ける、そのためには、一般産業労働者が保護されておる関係諸法規を山林労働者の場合においても適用する、こういう明確な規定をぜひ入れていただきたいことをお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○小山(長)委員長代理 林君。
○林委員 最初に、林業基本法の根本的な性格についてでありますが、去る一月二十二日に都道府県の林務部長会議が開かれまして、その際、政府当局がこういう言明をしているのであります。国土保全の問題は災害基本法に入れるべきで、林業基本対策の範疇に入らない。林業は山村振興に関係はあるが、山村の振興をねらいとするところでもないという説明をして、国土の保全とか山村の振興とかいうような公共性の達成については、従来これを非常に前面に押しておりましたけれども、これをうしろに追いやって、そして非常な露骨な増産主義といいますか、こういうことを意図した法案のように思われるわけであります。そのことについてまず政府のお考えを聞きたいと思うわけです。もっとも、法律の目的の中には、字句としては「あわせて国土の保全に寄与するため、」という字句はありますけれども、具体的な施策については何らこれを裏づけるものはないので、本法の目的は、国土保全とか山村振興という公共性よりは、むしろ経営主義、増産主義というようなことを真のねらいとした法案ではないかということについての政府の考えをお聞きしたいと思います。
○田中(重)政府委員 その点につきましては、本国会でたびたび論議になったのでございますが、基本的な考え方といたしまして、林業政策の面で、国土保全、治山治水の重要性を森林に付与するという面とそれからこの森林を林業という産業の経営の場としてその振興をはかっていくという面と、両方あるという考え方に立っておるわけでございます。そこで、この両面は、常に国の発展のためにともに重視をしなければならない両面でございます。 ところで、従来は、この国土の保全、治山治水の面におきまして、森林法なりあるいは治山治水緊急措置法等、あるいはまた保安林整備臨時措置法等で、これは明治以来一貫した政策がとられてまいりました。それに比べますと、産業としての林業の振興は、これを考えなかったわけではございませんけれども、必ずしも同じく重要であるという程度に政策の面で出てきていなかった。しかしながら、現在の山村における産業の振興の中で、林業の振興という面の重要性を考える場合には、言うまでもなく、そこに所得の増大の必要性も林業として出てまいりますし、林業の経営を産業として見ていく場合には、生産性の向上ということも考えなければならない。さらにはまた、日本全体の木材の需要の推移から見て、それに対する供給が追いついていないことについてのもろもろの問題がございます。これは供給量、つまり総生産を拡大していくことによって解決しなければならない。あるいは日本林業の基本的な経済政策の面で、近年非常に問題が出てきておる。そこで、この林業政策を大きく転換をいたしまして、産業政策の面を重視していく必要があるという観点に立ったわけでございますが、国土保全あるいは治山治水が決して軽視されるわけではなくて、これはいままで以上に重要であるという認識に立っていることは間違いがないわけでございます。ただ、そういうような政策の立場を森林法に置き、そして産業政策としての立場をこの基本法に置いた。しかしながら、この産業政策としての森林の造成が、あわせてまた国土の保全になり、治山治水の面に寄与することは言うまでもないという、考え方の整理をしておるということでございます。
○林委員 いろいろの御説明はあるのだけれども、やはり真の目的が経営主義と増産主義、要するに、従来の公共的な林業政策からそういう企業的な面への強調へ移行したということは、否定できないように私は思います。 そこで、本法は非常に抽象的な規定が多いのでありますが、その中でやや具体的と思われます第三条、「林業経営の規模等により類型的に区分される経営形態の差異を考慮して、林地の集団化、機械化、小規模林業経営の規模の拡大その他林地保有の合理化及び林業経営の近代化(以下「林業構造の改善」と総称する。)」こうあるわけですが、これが非常に重要な規定になると思うのであります。そこで、経営主義、増産主義という観点から日本の林業行政をやっていくということになりますと、池田内閣の資本主義的な諸政策を基本とした立場に立てば、これはだれでもみながよくなるというわけにいかないので、合理化あるいは集中化が、資本の必然の法則として行なわれてくると思うのであります。したがって、それがどのような見通しを持つかということをわれわれは考えなければならないと思うわけです。ことに自民党と立場の違うわれわれでございます。そこで、日本の山林所有の規模と山林所有者の戸数とを数字で出してみましたところが、山林を持っておる総数が二百五十四万四千九百四十戸でありますが、このうち、五町歩以上の山林を持っている戸数は、山林総所有農家のうちのわずか一割でありまして、二十三万八千三百四戸、これは政府統計にもございますが、五町歩以上の山林所有農家は戸数にして一割、五町以下の山林所有農家は九割、二百三十万六千六百三十六戸になるわけです。ところが、保有の土地面積はどうかといいますと、この一割にすぎない山林所有農家が全山林の六〇%、六割を占めており、九割の山林所有農家は四割しか山林を所有しておらない。平均に割りますと、五町以上の山林所有農家は十六町三反、五町以下の農家は一町六反という数字が出てくるのでありますが、大まかではありますけれども、こういう日本の山林所有者の構造の中で、いまこの法案でいう林地の集団化、小規模林業経営の規模の拡大という政策が行なわれた場合に、一体、五町歩以下の、山林所有農家の九割を占めている農家というものはどういうことになるのか、山林所有者としての立場が維持できるのか。これは、集団化され、あるいは規模の拡大化へ解消されて、山林所有者としての立場を失わなければならないのか、この辺は非常に重要でありますので——丹羽政務次官もえらい眠いようでございますが、非常に重要な問題でございますので、この点、これは農業構造改善事業についても非常に重要な点でありましたので、丹羽政務次官と長官と両方にお聞きしておきたいと思うのです。われわれの見解としては、これは整理されるよりほか道がないじゃないか、こういうように考えるわけです。農業構造改善事業ですと、六割の農民が農業外の収入の道を求めて離農するということは、これは池田総理みずからがしばしば国会で言明しておるのであります、そのいわゆる農業構造改善事業の六割の農民の離農、日本の農業の、いわいる池田内閣のいう拡大化、それが山林の面へ持ち込まれたのが、この林業基本法の本質ではないかとわれわれは考えるわけです。その点について、ひとつ政府の考えをただしたいと思います。
○田中(重)政府委員 日本の山林の保有形態は、いまお話がございましたように、五町歩未満が林家数の総数の九割を占めておるというような零細規模の保有形態でございます。そして一方にまた大山林所有者がある。そういうように、保有のしかたにおいて相当な幅があります。またその中間の段階もいろいろある。そこで、それをつかまえてきて、ここに、いまお読みになりました「林業経営の規模等により類型的に区分される」というのは、そういうことをさしておるわけでございます。これを大きく分けまして、五町歩未満の零細階層あるいは何百町歩とか何千町歩とかいうような大規模保有、そういうものを数型的に分けると分かれる。それぞれの所有のしかたに応じてということが、この「差異を考慮して、」という意味なのでございますが、その次に続いてまいります「林地の集団化、」というようなことば、これは零細所有の人たちを対象にしていっているわけなのでございまして、それで、そういう零細な所有の形では、それの所有者の合理的な林業経営は期待することがなかなか困難であるから、そこでその零細な所有の形態には、お互いの自由な意思による交換分合の場合があれば、それを融資その他の面で助成をしましょう、あるいはまたその近傍に入り会い林野等があったり、あるいは国有林野で部分林等で活用のできる山があれば、そういうものを組み込んで、そういう零細な所有の面積を拡大をしまして、そうしてその拡大された場を生産の場として、これを計画的に伐採あるいは植栽の仕事をやっていけるようにしましょう、こういう意味でございます。ですから、あくまでも零細所有の人たちを対象にした政策として、この「林地の集団化」ということばを掲げているわけでございます。
○丹羽(兵)政府委員 小さな山に対する高度な活用、またそれによって林業をより需給をよくしようとするその具体的なやり方につきましては、林野庁長官から御説明を申し上げたわけでありますが、ただいま先生から御指摘のありましたように、なるほどわが国の山持ちは、一割の人で六割を持ち、こまかい五町以下のもので九割もあって、そうしてその四割しか持っていない。こういうようなことからいいますれば、御指摘のありましたように、山が非常に零細と申しますか、非常に面積が狭いわけであります。こういうような小さな山で、完全な林業として生計を立てていくということも考えられませんし、先ほど先生おっしゃいましたように、やっぱり山自体の規模を大きくしていかねば、経営ばかりでなくて、治山治水の面にも万全を期していくことができないのでございます。ですから、ただいま長官の申しましたように、個々に持っております規模の小さいものは、申し上げたような方法でできるだけ規模を広げて、林業としての経営も全体的に成り立つように、そうしてまた、もっと広く申すところの治山治水の面も果たしていこう、こういう考えであることは、御承知願っておることと思います。わけても農業構造改善事業との関係、最後にお尋ねがございましたが、やはり山地における農業の規模がこまかい、狭いせいもありまするし、また農業規模をできるだけ大きくしていくという面から考えれば、先日来問題が出ておりますように、ある程度農地として活用をする、あるいはまた牧草地としてこれを使っていくというやり方もあるのであります。農業規模の拡大ということも、これは当然軽視していくわけにはいかない。そこで林業とあわせて考えていく、こういう考え方であります。
○林委員 率直に言って、丹羽次官の言うことのほうが正直だと思うのです。長官が、零細山林所有者を、国有林など払い下げてやったり、それからいろいろの公有地などを分けてやって、そして零細な五町以下の林業農家を救うなんて、そんなことできっこないですよ。現に林産の比率からいっても、民間の林産、これは製材の率からいいましても六割八分、国有林が三割二分という比率なんですから、圧倒的に私有のほうが面積も大きいし、それから製材の量からいっても多いのですから、そのわずか持っている国有林を零細農民の利益のために開放してやって、それで零細農民を救うなんということは、それは本心じゃないと思うのです。しかも、私のほうの持っている数字を見ますと、自家経営の林業家というのは、だんだん数が減ってきておるわけです。これは政府の統計の数字にあります。一方、林業に雇用されるほうの数は、漸次わずかではありますけれども、数がふえてきておるわけです。政府提出のものの三十五ページを見ますと、自営者と家族従業者というのは、ずっと数字が減ってきておりまして、そして今度は雇用者の総数がふえてきておるわけです。ということは、やはり零細な林業経営者はもう林業を放棄して、そして自然に土地が集団化されていく。さらにそれを促進するために、山林の土地の流動を促進するような立法措置も考えておられると思うし、入り会いの解体も考えておられると思います。そして漸次経営規模を拡大していき、資本主義的な意味で採算の合う林業に再編成していくということが本心であれば、私は、この九割の零細山林所有者がこの法律によって生きる道が見出されるということはないと思う。それは長官正直に考えられて、正直に言っていただきたいと思うわけです。言えなければ言えないでやむを得ません。そしてむしろ、雇用を他の賃金労働者へ漸次転化していく、そういうこと、じゃないでしょうか。そうでなくて、九割に該当する零細林業農家を救う道というのは、この政府の考えておる林業基本法でなしに、法律の中では考えられないのじゃないか。むしろ丹羽次官が言うように、これも正直だとかうそだとか言っても限度があるでしょうけれども、率直に言って、林業の近代化のためには、零細林業農家は整理されていく面も出てくる要素があるのだということのほうがほんとうじゃないでしょうか、どうでしょう。
○田中(重)政府委員 その点につきましては、この法案の考えておりますのは、零細農家、そしてその農家のうち、山を持っている人たち、そしてそういう人たちの中で、特に林業経営に熱意のある人たち、そういう人たちの林業経営を助長していこうという考え方でございまして、これは決してうそではないのでございます。それで、ただ、どの程度以下は切り捨てて、どの程度以下はこの対象にするという考え方は別にないわけでございます。 そこで、この山林所有者の自主的な意欲が非常に重要なことになってまいりますので、ここでいっております林業構造改善事業、これは特に林野の比率がその市町村の中で非常に高い地域、そして相当に民有林のあるというような地域であって、その林業経営者の意欲が非常に高い、あるいは零細だということになるかもしれませんが、そういう山林所有者の経営規模を拡大し、機械化を進め、生産性を上げて、そして収入の補完として用いられておる林業所得を上げていきたいというのがねらいなわけでございます。
○林委員 それは長官が弁解なさる立場がわからないわけではない、あなたの立場ですから。しかし、率直に言いまして、 〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕 林野庁の「林業構造改善事業促進対策の概要」というのが出ておりますけれども、これは四十年から四十九年までの十カ年間に実施する林業の構造改善事業の要綱でありますが、これを見ますと、さしあたって経営基盤の充実、生産基盤の整備、資本装備の高度化、早期育成林業経営のモデル実施、協業の推進という大体五つが出ておりますけれども、これは率直に言って、五町歩、十町歩程度の林野所有者であって、家族労働力を主体としているような人たちへ、このような林野庁の示しておる林業構造改善事業促進対策の概要は適用にならないと思うのですよ。これは率直に言って、こういう五町以下の林業農家へ、生産基盤の整備、資本装備の高度化なんということを言ったって、これは当てはまらぬことですよ。だから、やはり林業基本法を推進する限り、零細林業農家が整理されていくということはやむを得ないんじゃないか、こういうように思いますが、特に経営規模拡大の対象となっている家族経営的林業というのは、これは家族労働力、妻や子供を労働力の主体としたものでなくて、やはり将来他人を雇っても林業経営をやっていけるような方向へ拡大していく、そういう方向を考えておられるのではないでしょうか。その点もう一つ聞いておきます。
○田中(重)政府委員 零細林家の場合には、やはりその労働力は家族労働力を主体にしたのもを前提として考えているわけでございます。ただ、先生のおっしゃいます場合は、いまのように山村人口の流出とかいうようなことがございますから、そういうことの中で、あるいは零細所有者の山が他の所有者に兼併されるというような場合があるかもしれませんが、それは結果としての規模の拡大にはなりますけれども、ここでいっておりますのは、そういう切り捨てといいますか、そういうものを前提としての規模の拡大ではないのでございまして、できる限りその所有の面積は広げていきたいし、またそれにも限度がございますので、そこで今度は、各保有される面積を通じた一つの経営単位、そういうものを協業の場として、それを一体とした個別経営の計画を立てて、そうしてその計画の中へ組み込まれた各所有者が、ごく初歩的な面を言いますと、労働力の出し合いということで、植伐を進めていく場合がありましょうし、あるいはまた森林組合等にその施業を委託する場合があるかもしれないということは考えられます。とにかく自家労働力の減少と協業、そういう面で林業経営の近代化をはかっていきたい、そういう考え方であります。
○林委員 それじゃその問題はいつまでいっても並行ですから、将来事実がどちらの考えが正しかったかということを証明してくれると思います。 その問題はそのくらいにして、次に、木材の輸入の問題でありますが、こそもだいぶ当委員会で審議されましたけれども、林野庁の山河林産課長という人おいでですね。——この山河林産課長が六月十日に日本南洋材協議会の総会で発言されたことが、だいぶ重要な問題が発言されておりますので、この点について、ひとつ政府の考えをただしたいのでありますが、それを要約いたしますと、そのときの山河課長の講演は「林業基本法と外材輸入」と題する講演であった。これは林材新聞に出ておるのでありますが、山河氏はこの中で、林業基本法は現下の木材需給と流通面での硬直性を解消することがねらいであると前提し、一、林業政策は生産、構造だけでなく、流通対策の充実が必要である。二、外材輸入に対して関税の引き上げなど、一連の規制策はとるべきでない。三、昭和四十三年の木材需給は、需要が七千百万から約八千百万立方メートルに達し、これに対応する供給面で外材輸入は千四百万から二千万立方メートルになると見ている。しかし、国内産のうち、民有林産は三千九百万立方メートルに増大しなければならない。この点で懸念が残って、外材の輸入は昭和四十三年の見通しのもとでは二千万立方メートルにとどまるかどうかあぶない。さらにそれよりふえるかもしれない、この点については何ら規制はとらない。外材の輸入についてはこういう見通しだ。民有林産の増大もあまり期待されないと思う。こういうことを講演されているのですが、これは御承知ですか、長官。
○田中(重)政府委員 その講演は、私は存じません。存じませんが、その講演の内容について見解を申し上げますと、関税の問題につきましては、これはおそらく、本人は、現在の開放経済体制下ということを意識しながらものを言っている、こういうふうに考えるわけでございます。戦後、外材の輸入につきましては、御承知のとおりのような日本の木材需給の関係にあり、また、木材価格がああいうように高騰を続けてきたということがございましたので、従来といえどもこれの制限的な取り扱いは行なってまいらなかったわけでございます。現在丸太の形での輸入は無税でございますし、製材でもやや加工度の高いものに対しては若干の関税がかかっておる、あとは南方の材に対して奢侈税的な税金がかかっておる、こういうことでございます。そこで、将来に向かってはどうかということになります。それで、日本の林業生産、それから木材価格の安定的な維持、あるいは木材の加工業者の保護、そういう面から言いまして、いまの外材輸入の状況がどのように推移するか、その推移のいかんによって、この関税問題も問題点として取り上げられてくる時期があると思います。これはまたその時点で十分に検討を要する問題だと思いますけれども、現在の日本の貿易政策、この面から言いまして、そういう方法でできる限り国内の総生産を高めるということと、しかもその生産が合理的な経営をされることによって、その引き合う価格で販売し得るというようなところへ持っていくことの政策のほうが重要ではないか、そういうことを言っていると考えるわけでございます。
○林委員 これは当委員会が和歌山県と札幌と両方で林業基本法の公聴会を開いたのでありますが、そのいずれの公聴会におきましても、参加者が外材の圧迫ということについて痛烈な訴えを当委員会にしているわけです。一例を申しますと、和歌山県の地方公聴会で、和歌山県の木材協同組合連合会の柏木永一参考人は、無制限な外材輸入で製材業は倒産する、外材、特に製材の輸入は制限をして、関税をかけるなどして製材業を保護してもらわぬと、これはたいへんな圧迫を受けるのだということを言っておるのです。そして、これは御承知かと思いますけれども、カナダのマックミラン社が入ってきて、それから日本の国における総代理店をテナント社にやらせるとか、あるいはカナダのB、Cスプルースセールス、リミテッド会社が入ってくるとか、非常に膨大な外材が入ってきておりますし、ことにそれが製材として入ってくる場合には、日本の製材業に非常に大きな圧迫を与える。何とかその点についても、将来日本の木材の国内総生産童と調整をしながら、適正な規制をしてもらいたいということが業界の強い要望であるときに、事もあろうに、林野庁の課長が、このような抑制政策はとらない、しかも輸入量は将来二千万立方メートルをこすことも考えられるようなことをこの林業基本法の講演とからんで言うということ、これは慎しむべきことではないか。少なくとも日本の製材業者や日本の弱小林業者のそういう痛切な叫びを考えるときには、このようなことを言うべきでないと思いますけれども、この点について次官や長官はどうお考えになりますか。また昭和四十三年の需給関係は、外材の輸入が二千万立方メートルでとどまるかどうかわからない、さらにこれをオーバーするかもしれないということ、これは林野庁の権威ある見解と聞いてよいのですか。
○丹羽(兵)政府委員 事務当局はどのように考えているか、打ち合わせをしておりませんが、私は、政務次官としての立場でお答えをさしていただきたいと思います。 課長がそういうことを述べたというのは、いわゆる現在政府がとっております経済政策と申しますか、これの筋道をしゃべったというか、政府がとりつつある方針、その原則論に立ってお話を申し上げたのだと思います。将来も、わが国の現在から判断し、見通しをして、絶対量が足らぬので、その程度の輸入が必要になるのではないかという見通しを申し上げたのでありまして、不都合とは考えておりません。しかし、ただいま御指摘がありましたように、今後のわが国の総生産量並びに総需要量というものをよく見比べまして、今日のような姿で、幾らでも自由に無制限に入れるということは、わが国の広い意味の林業に影響する、特に製材業等を圧迫することになるようなおそれがあるときには、それこそ政府として新しい手を打つことを考えていかなければならぬ、かように私は思っておる次第であります。
○林委員 これはもう言うまでもなく、御承知だと思いますけれども、外材の輸入が約四億ドル、千四百六十億円で、わが国の主要輸入物資のうちでは、石油、綿花に次いで、非常に大きな輸入額になっているので、これがこのまま将来拡大されるというようなことを林野庁自身が考えているということは、日本の経済全体にとって非常に重要な問題であると思うのです。このような赤字がさらに拡大されるということになりますと、貿易の自由化による日本の外貨の問題、金準備の問題からいって、これは非常に重要な影響を及ぼすのです。ですから、少なくとも腹の中ではどういうことをお考えになろうとも、林野庁としては、こういう国家に大きな負担をかけている外材の輸入の問題については、将来は自主的な需給関係を考えるということが、私は日本の国の林野行政の最高の責任者として言うべきことだと思うのです。問題はいろいろございます。たとえば、これがさらにちり紙だとか高級な和紙の問題になりますと一御承知のとおり、山陽パルプとスコット会社との合弁会社ができまして、これは日産三十トン、月間九百トンという能力を持つわけでありますが、そういうことになりますと、トイレットペーパーの三十八年度の日本の生産量は月間千七百トンですが、千七百トンのうちの約九百トンが、山陽スコットの生産能力であるということになって、これは容易ならぬ問題になると思うのです。さらには十条キンバリーという合弁会社ができてきておる。これは直接パルプを持ってきて生産することを前提として、当面は輸入と販売だけを目的としているということのように言っておりますけれども、これも容易ならぬことであります。ことに機械すき和紙同業者の中からは、このような状態が放置されるならば、アメリカの製紙会社が日本に上陸を始める、合弁で市場の確保をねらう、今年の東京オリンピックまでに日本の薄葉紙市場独占の意気込みであると大々的に報道しておるというようなことが、非常に脅威を感じさしておるわけです。ことに機械すき和紙は、生産力が約四百の中小企業であって、年間生産額が三百七十億円、ところが、十条製紙と山陽パルプだけで合わせて四百九十億、約五百億になるわけです。だから、十条製紙と山陽パルプだけでも、四百の中小機械すき和紙の生産量をこえておるというときに、さらにキンバリーだとか、スコットというような、一社でもって年産この四百の会社の五倍もの巨大な生産能力を持っておる——たとえはキンバリーにしても、年産千四百七十八億円、スコットが千百九十九億円というように、こういうものが十条製紙、山陽パルプ等と合弁会社をつくって、そしてちり紙だとか、すき和紙だとかいう小さい企業や、それによって生活を立てている四百もの中小企業があるというときに、これが席巻をしてくればどういう状態になるか、これは心配するのは無理ないと思います。現に私たちのところに静岡県のちり紙工業組合から陳情もきております。その陳情の中には、「われわれ業界に於ける不安感の増大」、それから「重大社会問題惹起の懼」というのがありまして、「われわれ業界に於ける不安感の増大」という中には、「大企業の衛生紙業界進出は、われわれ業界並に流通面の販売店筋に、一大混乱を招くこと必至との疑懼から、前途に対する不安感が日増しに増大している。一方中小企業安定法、中小企業業種別振興法等に基く行政指導も、今日の現実にてらし余りにもかけ離れた、旧時代的感強く、業界の団結は崩れ、工業組合の運営も頓挫を来し、行政に対する矛盾を痛感している。」また「重大社会問題惹起の懼」としては、「中小企業に甚しい混乱を起し、倒産続出等の事態発生の際は、関連産業にも直ちにその類を及ぼし、重大なる社会問題を惹起する懼、極めて大であります。以上の理由、並に影響からわが業界に甚しい混乱をもたらすものと考えられますので、左記の如く強力なる政治的、行政的措置を早急に樹立されるようお願いする次第であります。」こういうような前提で、「永年われわれ中小企業が開発した、わが国の衛生紙業界に、甚しい混乱をもたらすこと明白なる、上陽スコット社並に十条キンバリー社の同業界に対する進出を、直ちに中止せしめられたい。尚、今後前記二社以外の新規の同業ケースの衛生紙業界進出は押さえられたい。」というように、いろいろこまかいことはありますけれども、こういう外材輸入あるいは林業加工業に対する外国資本の進出が、非常に大きな日本の業界の危惧の的になっております。現に当委員会の公聴会でも、和歌山や札幌でも、先ほど申しましたように、この点について規制をしてもらいたいという意向が強いわけであります。数字を申し上げますと、米材が全部立方メートル単位でありますが、三十五年が五十五万三千立方メートル、それが三十八年には三百五十六万二千立方メートルで、約六倍になっております。このような膨大な米材の輸入が、製材界あるいは林産加工業界に非常に大きな影響を与えておるのであります。これに対して政府は、それは将来の需給からいってやむを得ないのだといって済まされるのかどうか、その点について責任ある御答弁を次官と長官の両方からいただきたいのです。
○丹羽(兵)政府委員 将来の見通しから考えてやむを得ないと私が申し上げたようにお聞き取り願ったら、ひとつ御訂正願いたい。私のことば足らずか、言い回しが悪かったので、御訂正いたいと思います。 先ほど私が申し上げましたのは、現在の国がとっておりまする経済政策からいって、その足らないもの等を−現在絶対量が足らぬわけであります。これは先生お認めいただけると思いますが、戦争以来乱伐とまでは言いませんが、木を切り過ぎておる傾向がある。しかも木はそう一朝一夕に成長するものではないですから、国内需要と現在出しております生産総量というものは、これはもう明らかにアンバランスなんです。そこで、そういう事実から考えて、今日貿易自由化という面から考えて入れておるわけでありまして、将来においてどうしてもこういう状態が続くならやむを得ないことでありますが、そうではなくて、努力をし、また方法を講じた結果、生産量と需要量が何とか合っていくというようになり、そうしてまた、輸入しておることが製材業、林業に大きな影響を与え、圧迫をするというような事態が考えられるならば、明らかに新しい転換をしていかなければならぬ、こういうことを考えておるのであります。だから、この日本の産業、特に林業や製材業等を圧迫するような事態が考えられるということになりますれば、そのまま放任するというような考え方はとるべきではない、考えを変えていかなくちゃならぬ、こういう考え方をしておるのである。だから、現在の段階に立って、先ほど一課長が申し述べたことは決して不届きではない、不都合ではない。政府としてのまじめな行政方針に従ってのやむを得ない意見の開陳ではないか、こういうように考えておるのであります。
○田中(重)政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、材木で四億ドルも輸入しておるということ、国内で生産すればできるはずのものをそれだけ輸入しておるということは、これはまことに考えものでございまして、だからこそ、国内生産を増大する必要があるということが、この林業基本法のねらいでもあるわけでございます。国内の総生産を高め、しかもそれが引き合う林業であるために生産性を高めていく。そして林業従事者が意欲を持ってこれの経営に当たれるように、所得の増大もはかりたい。そうすれば、またそれは循環して総生産が拡大されていく。その結果は、そのような四億ドルも輸入されているものを駆逐できるじゃないかという考え方に立っておるわけでございます。そこで、国内の木材需要はどこまでも国内の供給でまかなっていきたい。外材の輸入はあくまでもごく補完的な意味でこれを扱っていくというのが私どもの考え方でございます。
○林委員 ですから、私は先ほど山河課長の発言を注目したのですよ。そういう四億ドルもの膨大な外材、ことに米材を輸入している。これが日本の貿易の赤字に大きな圧迫を加えている。もしあなたがそれを改善するために林業基本法をつくるというならば、これから先四十三年になったって、あなたの最高の部下が、依然として輸入量は減らない、むしろふえるだろうと言っているじゃありませんか。では何で林業基本法をつくる必要があるか。どういうことがこれで改善されるのですか。そうじゃなく、実際は大山林地主が売り惜しんでいる、それをどう処置するかということが大事なことでしょう。だから、昭和三十六年に、あなた方のほうも木材価格安定緊急対策というのを講じたりいろいろしたけれども、思うような成績があがらないでしょう。ここへあなた方はメスを入れなくて、大山林地主が売り惜しんでいることについては、公共的な立場からの何らの強制権も発動しなくて、なまぬるいような林業基末法、字句から見れば、何が何だかよくわからないような林業基本法で、四億ドルの赤字を解消するのだとあなたは言っている。というが、あなたの部下の山河課長は、四十三年になっても輸入量は減らない、ふえますと言っている。めちゃくちゃじゃないですか、筋が通っていません。私はそう思います。 さらに私が心配なのは、木更津のコンビナートにアラスカパルプが今度進出するわけです。これはパルプ自体を持ってきてしまうわけです。向こうから材料を持ってきて、それを日本でパルプにするなら、パルプにする仕事が日本に許されるからまだいいけれども、パルプ自体を向こうから持ってくる、そして紙にして売り出すというのでしょう。こうなったらこれはたいへんです。ほんとうに笑いごとでないのですよ。ところが、それの改善が林業基本法だというのだけれども、その林業基本法による昭和四十三年の見通しは、依然として輸入量は減らない、むしろふえるかもしれない。いま農林省のこれで見ますと、三十八年が千三百九十八万二千トンですね。これが昭和四十三年に二千万トンこすというのでしょう。林業基本法によってちっとも減らないじゃないですか。これはちゃんと山河さんがそう言っています。それじゃ改善にならないのではないですか。そう思いますが、どうでしょう。
○田中(重)政府委員 いまの林産課長の発言が問題になっておりますが、ただいま政府の当初の所得倍増計画がそのアフターケアをやっておりますが、その過程で、試算の面で、材木の供給についてもいろいろな数字が作業の過程で出てきておる。そういうものをつかまえてあるいは発言をしたのかもしれません。いずれにしましても、木材輸入に対する私どもの考え方としては、木材需要に対しては、極力国内の供給でこれを補っていく、そしてなお足りない部分だけについて、補完的に輸入材を考えておるというのが基本的な考え方でございます。
○林委員 私は、日本の林業の総生産を高めるということの基本的な方針としては、やはり大山林地主が持っておる、そして売り惜しんでおる立木を、どのように公共的な面に提供させるかという、これだと思うのですよ。これには大山林地主の思惑や値上がり、そういう不健康な考えを是正しながら、大所高所に立って処置していかなければならない。もっとも、今度の林業基本法の中にも、奥地林道の開発とかいろいろなことをいっておりますから、これが将来どういう性格を持ってくるかわからぬけれども、林野庁も全然考えてないことはないと思うけれども、やはりそこにメスを入れなければ、問題の根本的な解決に手ぬかりになるのではないかと思います。 時間の関係で、いろいろじっくり討議を重ねているわけにいきませんので、はなはだ残念ですが、その次に、そういう意味で、国有林野の開放ということが非常に問題になっておりまして、これは先般の総選挙に、ことに自民党の皆さんのほうからも、このことが選挙まぎわにいろいろ言われまして、そして場合によっては、われわれの見方によると、これが選挙のえさに使われたような感もするわけです。昨年の九月ですか、選挙直前の青森市で開かれました一日内閣では、質問に答えて池田首相は、農業経営規模の拡大、農業の多角化のために国有林を開放するということを言われ、赤城農相も団体に払い下げるというようなことを言っているわけです。この運動の実情を調べてみますと、この運動をしている諸県は東北六県、北海道、栃木、群馬、山梨、山梨では県有林の開放も含めています。岐阜、新潟、長野、高知、鹿児島、宮崎の十六道府県で全国国有林野開放対策協議会というものをつくっている。運動の最も盛んなのは東北六県で、国有林野開放対策連絡協議会というのをつくっている。いずれも農業会議が運動の中心になっておるけれども、特に青森、福島、秋田、宮城、岩手では県知事が会長になっている。こういう運動になっていて、これをこのまま手放しでおくと、大きな政治問題になると思うのです。この際、われわれはこのことに対する明確な言明を政府からさせることが重要な段階にきていると思いますので、私はこの点をお聞きするのでありますが、林業基本法の四条を見ますと、四条には、「国は、前条第一項の施策を講ずるに当たっては、国有林野の管理及び経営の事業について、その企業性の確保に必要な考慮を払いつつ、その適切な運営を通じて当該施策の遂行に資し、とくに、国有林野を重要な林産物の持続的供給源としてその需給及び価格の安定に貢献させるとともに、奥地未開発林野の開発」云々というようなことを言っております。そうしますと、「国有林野を重要な林産物の持続的供給源としてその需給及び価格の安定に貢献させる」ということになりますと、東北六県を初めとしての全国十六道県の国有林野開放運動を満足させるような措置を政府がとれるはずがないと思うのです。これについて、政府は一体どういう責任ある処置をとられるつもりか、次官と長官とお二人にお聞きしておきたいと思います。単なる選挙の宣伝としてやったことが、下のほうにいけば、これを真剣に受け取って、そういうことができると思ってやっておるということになると、これはたいへんなことになります。また、そういう方向は事実は不可能であるならあるということを、この際、はっきり言明しておく必要があるんじゃないかと思いますので、お聞きするわけです。
○丹羽(兵)政府委員 ただいまのお尋ねに対する政府側の答えは、非常に政治的に大きな影響を来たすものと思いまするが、私は、今日林業基本法案を御審議いただいておる立場からも、また先ほど来先生からもお尋ねがあり、政府側としても認めておりまするように、木材需要というものが増大してくる、これを国内であらゆる努力を払い、もちろん、これに携わる従業員諸君の生活もよくしていくことは当然でありまするが、それをはかりつつ、わが国の林業を振興させる、木を生長させる、そうしてまた大きな意味の治山治水の役割り、国土保全の任務を山に持たしていく、そういう意味から、特に国内の材木の供給源と申しまするか、それにつきましては、国有林野を重要な林産物の持続的供給源としてというこの考え方は、少しも変わりございません。もちろん、民有林にも私ども大きな期待をかけておりまするけれども、国有林野を重要な林産物の持続的供給源としてというこの基本的な考えは、変えようという考えは少しもないのであります。そういう意味から、すでに私のお答えしようとする気持ちはおわかり願えると思いまするが、もちろん、農業基本法をおつくりいただいたとき、御審議の過程において、どうしても国有林を農業規模の拡大のためにあるいは特別措置として考えねばならないというときには、政府としても開放する、広い意味の農業のために国有林を活用していただく、それからもっと率直に言いますならば、開放するということはやむを得ない、またそうすべきだ、こういう考え方はしております。しかし、私どもはときどき国有林の所在いたしておりまする地方へ参りますと、軒下まで国有林だ、だから開放してくれという議論が出る。私は、国有林が軒下だから開放しなくてはならぬという議論は成り立たないと思う。だが、もちろん、国有林をたくさん持っておるその地方が、財政的に非常に乏しい、財政が貧弱であるということ、これは認めなくてはならぬのでありますが、国有林がその地方の総じて一般的な開発に幾らか一面は役立っているかもしれませんが、一面はじゃまになっている面もありましょうけれども、それだからといって、地方財政の援助のために国有林等を開放したり、あるいは政治家が選挙のために開放を叫んで利用したり、あるいは特定の者が利益をはかるためにこの国有林の払い下げを受けるとか、あるいはまた国立の公園等以外の何か利権的な観光事業をやるために国有林を開放してくれというような一こういう行き方は許すべきではない。あくまでわが国の木材需要、パルプの需要というものを考え、民有林にも期待するものもあるけれども、国有林野を重要な林産物の持続的供給源として確保していくべきである。しかしいま申し上げましたように、農業関係との関係で、国会でも答弁いたしておりますとおり、農業規模の選択的拡大のためには、林業と農業とを一体に考えていかなければなりませんので、ある程度開放する場所もありましょうし、現在もまたそれをとりつつある。こういうことでありますので、だから、世間で騒いでいるような、あるいは表面切って運動をしているような国有林の開放が実現されるものとは考えておりません。またすべきではない。現在政府はさような考え方をとっておるのであります。 くどくどしい説明の仕方で、御了承願えたかどうかわかりませんが、要点だけごしんしゃくしていただければ幸いだと思います。
○田中(重)政府委員 いま丹羽政務次官が詳しくお答えになりましたように、私の考えも政務次官の申し上げたとおりであります。
○林委員 私たちは、実際に国有林を営農の資として利用しているような零細農民に部分的に開放するということについては、何も反対するわけではありませんけれども、いま私の申し上げました、いわゆる選挙前に自民党の諸君が旗を振ってやった国有林野開放運動というのは、都道府県に国有林の管理権を委譲してしまうのだ、そして国家としては造林部門あるいは管理部門ですか、そういう面だけを国の仕事として残し、伐採やそういうものは地方の自治体に権限を移すというようなことで、これは結局国有林の権限を地方自治体に移し、そしてその地方自治体に巣食う、われわれから見れば、一部の反動的なボスの食いものにする、そういう意味での国有林野開放運動、ことにそれが選挙の具に使われているような国有林野開放運動というものは、これは政府の責任ある答弁としては、そのような国有林野開放運動の求めているようなものには政府はこたえるわけにはいかないのだということを、私は、はっきり政府自身から言明をし、そしてむしろそれを民主的に、実際利用している農民のために、これをそういう方向に行政的な指導をしていくべきだ、こう考えたので、お聞きしたわけでありますけれども、そうしますと、今後こういうような十六道県、ことに一部は知事などを会長にしているような国有林野開放運動というようなものは、政府みずからが手をかすようなことはないんだということをもう一度お聞きしておいていいですか、はっきり言っていただきたいと思います。
○丹羽(兵)政府委員 国有林の開放、その主張が選挙の具に供されたと申しますか。選挙に利用されたかどうかということは、私、実際存じませんが、ただいま先生から御指摘のありましたように、国有林の管理を県のほうにまかせるとかいうような考え方は、全然政府部内では持っておりません。また、そのことによって地方財政を助けるなんというようなことも道じゃないと思っております。ほかに方法はあるはずでございますから、そちらのほうで考えていただけばいいことで、私どもは国有林をさようなことに使っていただくことは全然考えておりませんし、なおまた、その運動に対しまして政府自身が手を加えるというような考え方もいたしておりません。政党政治でありますから、自民党の政府のようにお思いになるかもしれませんが、国民の政府でございますから、国民の利益をはかっていくことをあくまでもお約束を申し上げておきます。
○林委員 それではその問題は、時間の関係がありますので、それにとどめておきまして、これももう委員会で各委員の皆さんからいろいろ質疑があった問題でありますが、林業労務者の生活権の問題であります。 整理をしてみますと、二つの問題があると思うのです。一つは、林野庁の職員の諸君に対する待遇の問題と、もう一つは、公有林で林業の業に従っている人たちに対する社会保障、労働諸立法の適用の問題があると思うのであります。私は、林野庁で働いている職員の諸君の労働条件もはなはだ気の毒な状態で、やはり非常に僻地で、しかも強化された労働に従っているのでありますから、これに対して根本的に改善をしてやる必要があると思いますので、まずその点を一つ、それから公有林に働いている労務者の諸君の問題を若干、これは十分質疑が尽されていると思いますが、触れてみたいと思います。 林野庁に働いている諸君の労働条件の問題について、いろいろ賃金の問題、そのほかの問題については、もうこまかい質疑が社会党の皆さんからもありましたので、私は違う面からひとつ問いただしたいと思うのであります。 機械化がされて、チェーンソーとか、いろいろ持ち込まれてきてから、職業病が林野庁の現場で働いている諸君にだいぶ問題になっておるようであります。ことに仕事を始めて一年目あたりからもうその職業病の状態を自覚してきている。これは私の資料では、全林野の長野地方本部の資料でありますが、職業病のおもなものは、指が突然青白くなるとか、手の指がしびれるとか、胸部に圧迫、痛みを感ずる、疲労によって息切れがする、胸部から肩にかけて疲労を激しく感ずる、肩の関節がはれたり痛んだりする、ひじの関節がはれたり痛んだりする、手首の関節がはれたり痛んだりする、指の関節がはれたり痛んだりする、耳鳴りがする、目が充血して目やにが出る、神経痛、リューマチ、神経炎、皮膚炎、関節の負傷、心臓病、高血圧等が著しい。これで私が非常に問題にしたいのは、長年働いていてそうなったということでなくて、仕事を始めてもう一、二年もたたぬうちにそういう症状が出てきて、それがずっと慢性化してきておるということです。心臓の故障、脊髄の故障、肩の関節の故障が予想以上に高い比率を示している。中でも、造林部門で胸部に圧迫を感じ、痛みを感ずる者が、調査人員のうち、百一人、胸部、肩にかけて疲労を激しく感ずる者が百十六人、肩の関節がはれたり痛んだりする者が百四、さらに下刈り機使用による胃病と診断され、手術を行なった者が四人もある。こういう状態で、これは長野県の全林野の地本の資料であります。 それから、全林野の本部から私のほうで取り寄せた資料によりますと、災害が非常にふえてまいりまして、三十六年中の林業労働者の災害は、死亡が四百人、それから八日以上の休業が二万九千百三十六人、非常に高い率である。これは全産業では、死傷率が千人のうち二三であるのに、林業部門は七三・九、他の産業の約三倍も高い比率を示しておる。こういう数字が出てきております。それから機械化は、重い労働から解放されるということが大きな目的の一つであったはずであるのに、機械を使用するようになって、使用前に比べて疲労が激しくなっておる。危険度が高い。危険を感ずる者が四割以上を占めているというような報告もきておるのでありますが、このような林野庁で働いている職員の中の、ことに造林部門等を中心にしての職業病や、あるいは災害の問題について、どのような数字を持っておられるか、また、それに対したどのような対策を考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○田中(重)政府委員 まず、初めの機械導入に原因したいろいろな症状の発生の問題でございますが、この点につきましては、チェーンソーあるいは下刈り機、そういうものの導入が原因なのか、あるいはまたそれ以外の何らかの原因によるものなのか、その辺はまで明確でございませんけれども、耳鳴りであるとか、その他身体の故障についての訴えがあることはございます。そういう点につきましては、それぞれの営林局並びに林野庁の厚生課におきまして、科学的にいろいろの面から検討を加えておるのが、現在の段階でございます。それで、その資料の整理と、それの科学的な分析との結果によって、それぞれに対応した措置をとってまいりたい、こう考えている次第でございます。 それから労働災害の点でございますが、労働災害は近年のものを申し上げますと、昭和三十五年に、ごく軽症のものを入れまして五千三百八件、それから三十六年には五千二百六十件、三十七年が四千七百四十八件、三十五年を一〇〇としまして、三十七年は九〇というふうに減少をいたしております。これは国有林の関係の分でございます。なお、その中の死亡だけを取り上げましても、これもこの三カ年で減少をしてきております。傾向としましてはそういうことでございますのは、やはり労働災害の防止の対策が漸次徹底し、浸透しつつある効果であろう、こう考えております。
○林委員 他産業とのの比率からいうと、若干の数字はそういう状態にありましても、依然として非常に高い。たとえば死傷者の比率が他産業の比率の約二倍から三倍の高い比率を示しているという数字が、全林野の組合の諸君から私の手元にきてておるのですが、それはどうですか。
○田中(重)政府委員 林業災害として申し上げましょう。林業災害では、これは歴年でございますけれども、昭和三十三年が二万八千百九十一件、三十七年が二万八千十件と、一%でありますけれども、減っております。それをたとえば建設に比べますと、建設の場一合は三十三年が十一万二千百八十五件、それが三十七年では十三万七千二百八十二件。三十三年を一〇〇としまして、一二二というふうにふえておりますのに比べますと、傾向は減少傾向であるということが言えるのではないか。全産業との比率におきましても、全産業はやはり三十三年を一〇〇にしました場合に、三十七年が一一六となっておりますのに対しましても、傾向としては、わずかではありますけれども、減少の傾向をたどっておるということであります。
○林委員 私の聞いているのは、災害のうちで死傷者の比率を聞いているのです。
○田中(重)政府委員 死傷者につきましては、林業の場合、千人率で申し上げますと、三十三年が九二、九、それが三十七年は六九、九、これは死傷率でございます。それから建設の場合は、これは死傷率としては減少の傾向にあります。死亡率としては建設はかえって上がっております。ついでに数字を申し上げますと、死傷率としては、建設は三十二年が八九、九に対して、三十七年は五一、六。ただし、死亡のほうは、三十三年を一〇〇にしますと、三十七年が二二三、それから全産業でいきますと、死傷率は三十三年が二七、四、それが三十七年は二一、三。しかし、死亡のほうは、三十三年を一〇〇にしまして、三十七年が一一四、こういう傾向に比べますと、林業の場合は減少傾向にはあるというふうに言えるのではないかと思います。 〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕
○林委員 私のほうへの報告では、他産業に比べて、災害のうちの死亡者と傷害者の比率は非常に高いという報告がきております。この中で特に問題になりますのは、長野県の臼田では、林地の除草剤を散布したところ、牛がそれを食べて、この報告によりますと、三頭ほどそのことのために死亡したというような報告もありますが、これはいろいろ問題があると思いますけれども、造林部門でそういう激しい薬をまいたり、チェーンソーを使っての激しい労働をしておるということが報告をされているわけですが、その労働条件もまた、ああいう飯場で働いていますから、世間的な空気から離れておりまして、軍隊的な、たとえばみんなが一ぱい飲んで喜んでいるところへ職制が来て、「気をつけ」と言ってすわらせるとかいうような、浮き世で考えられないような前時代的な労働条件があるという報告も受けておりますが、そういう点については、林野庁としても十分注意をすべきではないか。ことに労働条件が、ああいう人里離れた、非常に劣悪な労働条件の中で働いておる。そうしてそういう中で、賃金の問題につきましても、非常な低賃金だということをあらわす数字がいろいろありますので、参考までに政府に申し上げておきますが、全林野の諸君の報告によりますと、生計費の受け取り方ですが、全林野の諸君の生活状態は、組合調査のうちで、非常に苦しいというのが四六・七%、非常に苦しくはないけれども、少し赤字が出るというのが二六・八%、収支とんとんは二三・四%、しがたって、七三・五%が非常に苦しいか赤字が出るという状態である。それから借金を見ますと、五千円以下の借金が二〇・七%、五千円から一万円の借金をしておる者が一七・三%、一万円から二万円が一六・四%、二万円から三万円が一三・七%、二万円以下の借金で苦しんでいる人が圧倒的に多いということを示している。こんなわずかな金でも借金をしなければならないという数字が出ております。月賦の残金を持っておる者の調べでは、六千四百九十六人のうち四千七百五十六人で、七三・二%はいつも月賦の残金を持っている。それから五千五百四十二人の調査のうち、預貯金をしておらないというものが五六・三%、これは全然貯金などができないという人の数字です。それから肉を食べられるかどうかの調査では、月に一回肉を食べるのは無理だという報告が二三・二%、月に一回肉が食べられるというのが二七・八%という数字になっておる。すなわち、この調査の対象となった人の中で約半数のものが、せいぜいよくて月に一回か、あるいは月に一回肉を買って食べることも無理だという報告であります。また一週間にたまごを二個食べるものは四七・四%だというような数字も出ております。こういう状態で、いま言ったように、労働条件は過酷な労働条件で、職業病が出ているという状態は、幾ら木ばかり大きくなったって、その木を伐採し、あるいは植林する資本である労働力が、このような不健康な枯渇した状態では、林業基本法もへったくれもないと思うのですが、この点について、林業基本法の中にある、ことに林業従事者の生活の安定、向上ということについては、具体的にどういうこと政府は考えておられるのか、次官と長官に聞いておきたいと思います。
○丹羽(兵)政府委員 やはり木を育てるとかなんとかいいましても、やはり働いてくれる人がもとであります。働く者が労働意欲を感じ、また少しでも希望の持てるようにしてあげねばならない。そうしなければやはり能率はあがらないということは、御指摘のとおりであり、私どもも認めております。そういう意味から、できるだけ労働状況をよくしよう、いろいろことを考えていこうという具体的なことを、先日来皆さん方の御質問に答えておるのでありますが、私からその具体的のことを申し上げますと、違うと御迷惑をかけますし、かえって今後責任を問われますので、私の言いましたような方針を今後とっていこう、基本法の中で考えていこうとしております具体的なことは、事務当局から御説明さしていただきます。
○田中(重)政府委員 いま先生のお話しになりましたのは、要するに、林業労働に従事する者の福祉の向上ということになるかと存じますが、それはこの法案の第十八条で、林業労働に従事する者の職業訓練の事業の充実なり、就業の安定化なり、あるいは社会保障の拡充、そういう面について十分に施策を講じていくということをいっております。この点は具体的な問題としましては、やはり林業経営を適正な賃金を払えるような、そういう経営に持っていく必要があるし、またその経営体としても、やはりそれなりの福利施設を備えていくというような方向に指導する必要がありましょうし、その他もろもろの社会保障の徹底払充、これも必要でありましょうし、ことに雇用の安定はさらにそれ以上に必要であろうかと考えますので、この点は、法案の成立を待って、その具体的な施策を急速に講じてまいりたい、こう考えている次第でございます。
○林委員 もう少し具体的に、たとえば福利施設をどういうように改善したいとか、あるいは給与体系についてどのような改善をしたいとか、これはもちろんあなた一人できめるわけにいかないいろいろな要素があると思いますけれども、しかし、ああいう立地条件の悪い中で働いておる労務者たちからいろいろな要求が出ておるのでありますから、その労働条件については、具体的に福利施設やいろいろな点については、こういうふうに改善していきたいという何かあるのですか、ないのですか。そういう抽象的な一般的な方針しかないのですか。
○田中(重)政府委員 いま給与体系とかいう話も出ましたが、そうしますと、国有林の労働に従事しておる者のお話でございますれば、これはやはり相当に林業労働の環境としては日本では進んでいるというふうに考えておるわけでございますが、それにしましても、山間僻地の生活環境としてはまだまだ十分でございませんので、そういう労働に従事する人たちの医療なり教育なり、その他生活に必要な面での改善、これは現にはかってまいりましたが、今後もさらに積極的にはかってまいる考えでございますし、さらに給与の体系の面につきましては、これもさらに改善されるよう検討を加えてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○林委員 そういう給与の体系と同時に、労務者の民主主義的な権利、労働運動に対する民主主義的な保障ということも、私は非常に必要だと思うのですよ。これは立場が違うから、あなたはそういうことをどの程度まで理解いただけるかどうかわかりませんけれども、私のほうに来ている例を見ますと、長野県の隣の岐阜県にある坂下営林署の川上事業所で、ことしの二月二日の夕方、仕事を終えて、現場の労働者が宿舎で一ぱい始めようとしていたところへ、管理官、署長の次の人ですが、その管理官に同行してきた製品事業所の主任が、まあ名前もありますが、宿舎の土間に入るなり、つくばれと大声でどなって、続いて管理官が正座してくださいと言うので、みんなは何か重要なことがあるのだろうと判断して、帽子をとって、そして不承不承すわったら、昨年の秋十月十八日の時間内の職場大会についての忠告をした。それから上松運輸営林署では一月の末、運転関係者の職員研修が開かれた際、同署の運輸課長が訓示をやりにやってきた。そして署長が入るなり、起立、気をつけ、礼、と言って、軍隊そのままの号令で全員を強制して、そして問題を起こしておる。それから職員が業務上のことで署長室に入ろうとしたら、会議中だから入ってはいかぬと、大声で中からどなって、入らせないというような、これは人里離れたところでやっておりますので、皆さんの耳にとってはちょっと奇異に感ずるかもしれませんが、私のほうの報告にはこういうことがあるわけです。賃金が安い上に、民主主義的な権利が保障されてないということになりますと、これは全く林業の労務者としての生きるかいがないと思いますので、そういう点について十分改善をしていく必要があると思いますが、その点はどうですか。 〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(重)政府委員 この事項については聞き及んでおりませんが、よく調べまして、非常識にわたることがございましたら、よく注意をいたしたいと思います。
○林委員 時間の関係で、あと一問だけお聞きいたしておきたいのですが、米軍の演習地の問題についてですが、大体いまどのくらいの土地が、米軍の演習場として、射撃場も含んで使れておるか、御存じですか。
○田中(重)政府委員 国有林野を米軍が基地として使っておるという資料は、いまちょっと手元に用意いたしておりませんので、後ほど調査をいたしまして御報告したいと思います。
○林委員 私のほうの調査ですと、民公有土地で、北富士の演習場が一千五百二十九万八千坪、東富士が民公有土地で一千四百二十七万二千坪、それから三沢対地射撃場が三十一万三千坪、それから国有地では、北富士が七百二十七万六千坪、それから東富士が一千百七万坪、それから日出生台、十文字原演習場が一千六百十二万八千坪、三沢が百四十六万五千坪、水戸の対地射撃爆撃場が三百四十七万七千坪、それから芦屋対地射撃爆撃場が九十五万七千坪ですか、こういう膨大な数字になっておるわけでありますが、これについて補償の関係はどうなっておるか、御存じですか。ことに民公有地について……。
○田中(重)政府委員 林野庁所管の国有林野につきましては、先ほど申し上げましたようにちょっと資料はございませんが、おそらくないと思っております、米軍の基地としては。よく調べて御報告いたします。
○林委員 これはあなたのほうから取り寄せた資料ですが、やはり日本の大事な農地、山林原野がアメリカ軍隊の演習場として使われておるのですから、やはりあなた日本人であるならば、よくお考えになって、なるべく早く返してもらう、そしてこれを農民の利用に資するようなことをお考えになるのが当然だと思いますが、これは林野庁から取り寄せた資料ですよ。そこで、これについてのどのような補償がなされておるか。演習場にするときの補償、その後の演習による被害の補償、そういうようなことは、あなたお考えになっておらないわけですか。知らないというわけですね、面積もわからないくらいだから。
○田中(重)政府委員 その点につきまして、いま申し上げましたように、手元に資料がございませんので、急いで調査をしまして御報告したいと思います。
○林委員 最後に、一つだけ聞いておきますが、資料がなくて答えられなければやむを得ませんけれども、このような膨大な農地、山林原野が、米軍の演習地価千万坪という土地がなっているわけですが、これについての返還、いつどのように返還されるのか、返還されるときの条件について、何か米軍と政府あるいは林野庁の間に話し合いがあるのか、その点について、丹羽さんと長官と両方に聞きたい。
○田中(重)政府委員 その点につきましては、私の記憶では、林野庁所管の国有林野を米軍に直接使用させているということはないように思うのでございますけれども、その点はよく調査をしまして御報告をしたいと思っております。したがって、その補償についても、あわせてその有無について御連絡をしたいと思います。
○丹羽(兵)政府委員 林野庁所管に関する国有地につきましては、ただいま長官から申し上げましたような次第で御了承願っておきたいと思います。かりにそういう土地があるにいたしましても、返還の時期だとかあるいは補償問題等につきましては、安保条約等の関係がありますので、政府としては、その条約に基づいて交渉することが当然だと考えております。
○林委員 それでは私のほうの資料では、民公有土地はもちろん、国有土地の中の山林部門で、米軍の演習に使われている土地が相当ありますので、これは調査願うということと、どのような補償のもとにこれが取り上げられ、現在どのような被害をこうむり、それに対してどのような補償の交渉をされるつもりか、また返還のことについてどのように考えておるかということについての質疑は、後刻に保留しておきたいと思うのです。ただ、私が非常に遺憾だと思うのは、私たちも富士の演習場に行ってみましたけれども、実弾の演習をしておりますのに、立木の中に砲弾の破片などが入りまして、そうしてこれを製材しようと思いましても、チェーンソーや何かが砲弾のかけらにかみ合って木が切れないという状態ですね。それが約束した一定の地域以上に広がって、非常に大きに被害を山林所有者がこうむっておりますので、この点については、やはり泣き寝入りさせるのではなくて、適正な補償を米軍に請求するのが当然だと思いますので、この点を私は政府に要求しますし、また、この点についての質疑は非常に重要でありますので、次会に留保して、きょうの私の質疑はこれで終わります。
○高見委員長 次会は、明十八日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十五分散会