農林水産委員会 第10号
- 発言数
- 38 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/02/21
会議録
○高見委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について、質疑を続行いたします。東海林稔君。
○東海林委員 私も本日は昭和三十九年度の農林関係予算並びに予算に関係して、政府から三十九年度に実施しようとする農業施策、こういう報告書が出ておりますが、その中でいろいろと疑問の点があるわけでございます。先日、予算委員会の一般質問におきまして、赤城農林大臣にもそれらの点につきまして若干お尋ねいたしたのでありますが、時間がございませんのと、それから大臣に対する御質問でございますので、あまりこまかいところまでいろいろとお尋ねすることができませんでしたので、きょうは関係局長に、それぞれさらに具体的な点まで含めてお尋ねをいたしたい、こう思います。 最初に、構造改善事業でございますが、御承知のように、これは政府の農業基本法の具体化の最も中心的な仕事であるわけであります。私ども社会党の立場からしては、政府の農業基本法の施策の考え方には、いろいろと疑問の点を持っておるわけでありますが、しかし現在の農村、このままではよくない。何とかこの構造改善をしなければならないという立場については、同じ考え方を持っておるのでありまして、これまでも本委員会におきまして、そういう観点からほんとうにこれを農村の実情に合った、農民の納得するような構造改善事業にしたいという熱意からして、いろいろと論議を重ねてきたわけでございます。もちろん農林省におきましても、本委員会におけるいろいろな要望等もくみ入れまして、その後若干の改善はされておるようでありますが、しかし現在、まだとうてい農村の実態に合った、ほんとうにこれは農民から喜ばれる構造改善事業ということとは、ずいぶん縁遠いように思うわけでございます。したがって、たとえばこれまでの実施成績を見ましても、昭和三十七年度におきましても、予定の二百カ所に対して百七十四、三十八年度におきましては三百の予定に対して二百二十九というようなぐあいで、計画の実施町村がそれに及ばないというような実績を示しておりますし、また実際に実施に着手したところにおきましても、実施の過程においていろいろと困難な事態に逢着して、困っておるというような実例も非常に数多いわけでございます。 当初、政府当局あるいは構造改善事業に賛意を表した人たちが、声を大にして非常に宣伝した成田の豊住地区の例を見ましても、あるいは一昨年、私どもが本委員会から派遣されまして、兵庫県で農林省に先がけて、県として非常に力を入れて実施しておるあの桑原田地区を見せていただいたのであります。桑原田地区は御承知のように、兵庫県としては非常に県費も多額に投じまして、水田はたしか一区画六反歩、さらに山地を開墾しましてブドウ園を造成する。そこにさらに大規模な酪農を取り入れる、こういうような画期的な計画でございまして、私どもが見学に参りました際も、毎日全国から模範地区だということで、非常にたくさんの人が見学に来られて、係はそれの応接に忙殺されておるというような状態であったわけです。私は当時見せていただきまして、確かにこの山地を開墾して、具体的に経営規模の拡大をしておる。それから非常に共同化を高度に取り入れておるというような点において、計画自体としては非常にけっこうなようにも考えましたが、しかしあまりにも従来の状態とかけ離れておるので、はたして農民がそれについていけるかどうかというような懸念を若干持ってまいったわけでありますが、最近の雑誌等に出ておる報告を見ますると、あのように県が力を入れて、また計画としても、りっぱな計画のように思われる桑原田地区におきましても、相当数の者がこれから離反して出ていっておるというような報告が出ておるわけでございます。さらにまた私の群馬県では、第一年度に六カ所の予定のところが四カ所の実施でございますが、その実例等を見ましても、一つの村は非常に村有林が多いので、税外収入がある。もう一つの村は競艇をやっておりますので、これまた税外収入がある。そこで農民負担分を町村が肩がわりして負担するというようなことで、初めは農民も喜んでこれに賛成した。ところが最近の経過を見ておりますと、資材費や労力が非常に上がってきたために、当初の計画ではとてもこれは実施ができない。そこで今度は農民にも負担させようとしても、初めから農民には負担させないで村で心配するということだったのですから、農民は負担しようとしない。ところが村の中ではどうかというと、ごく限られた地区の一部の農民に対して、村費をそんなにたくさんつぎ込むということは妥当じゃないというような、農業関係以外の方あるいは該当地区以外の方から、非常に批判が出て問題になっておる。こういうような実例が私の身近なところにもあるわけであります。そういうふうに考えてみますと、現在実施中のものも私は決してうまくいっていない、こういう例が非常に多いように思うわけでございます。先日赤城農林大臣は、こういうように計画どおりになかなかいかないことについては、主として農民の理解の不足というような趣旨の御答弁をされておるわけでございますが、私は、決してこれは農民の理解の不足ではなしに、やはり計画自体、事業の内容に問題があるのじゃないか、このように考えるわけでございますが、担当局長としては、なかなかうまくいっておらぬということについて、その根本的な理由がどこにあるというふうに把握しておられますか、まずその点からお伺いしたいと思います。
○昌谷政府委員 構造改善事業を、私どもも何とかして地についたものにいたしたいと思っていろいろと努力をいたしておるつもりでございますが、なお十分の成果をあげていない点は、今後大いに充実をはかっていかなければならないと思います。まあ農村の現状から見ますと、かなり内容的に質の違ったと申しますか、程度の高いと申しますか、あるいは少し欲の深い事業を計画したわけでございますので、その意味で、一般の土地改良事業で逢着する困難よりも一そう大きな困難が、いろいろと現地の実情に応じて出てまいることは、ある意味では覚悟いたさなければいけないのかと思います。 御承知のように、従来長年続けております土地改良事業につきましても、それぞれの土地ごとに、従来の非常に愛着のある土地の問題でありますだけに、いろいろとむずかしい問題が起こります。特に構造改善事業というようなことで農地を集団化するとか、あるいは区画の整理をするとか、交換分合するというようなことを主要内容とする土地改良事業でございますだけに、そういった意味合いの困難さは、非常に通常の場合の土地改良事業以上にそういう意味合いで出てくるわけだと思います。十分の説得と申しますか、結局地元の皆さんと時間をかけ腹を割って十分御相談をし、御納得をいただくということが、やはり土地改良事業全体を円滑に進めるゆえんでもありますが、構造改善事業の場合には、その程度がますます強い。そういった点で、事業が三十七年度に始まりましたけれども、計画地域ということで一年以前に計画を立て、御相談は始めていただきますけれども、現地のそういった諸情勢が十分熟していないところで事業をやるというような場合に、往々にして、そういった現地の御相談の不十分さが、いざ実行段階になっていろいろの形であらわれてくるというようなことが、この事業のぶつかっております困難の一番大きな問題だというふうに考えます。 そういった困難を乗り切る方法といたしまして、たとえば一般の団体営事業と比較いたしますと、格段に高い助成の率などもあるのでございますけれども、そういった補助率が高いとか、融資の金利が有利であるとかいうことは、もちろん問題の解決に推進力としての非常に重要な役割りをになうことは、これは間違いございませんけれども、しかしいかに高い補助率、有利な融資がありましても、やはり事業主体であります皆さんのほんとうのやろうじゃないかという気持、やる必要があるというお気持ちが足並みがそろいませんことには、これはどうにもやはりそういった外形的な援助だけでは、このむずかしい問題は乗り切れないで、どこかで破綻が生じてくるというようなことがあるように、私ども実例を通じてそういったことを痛感いたし、大臣が先般の委員会でお答えになりましたように、そういう趣旨で理解が少ないというふうに言いますと何かあれでございますが、要するに十分の時間と十分の手間をかけて納得のいった計画をつくって、その納得のいく計画を実行するという一番大事なプロセスをまだ十分に踏まないままで、事業実施に突入したところに問題がある。だんだん二年目、三年目ということで、このものの考え方も各町村でもおわかりいただいてきましたし、また先にお始めになったところにとってははなはだ私どもとしては感謝にたえないのですが、そういった貴重な経験をごらんになって、これからだんだん始まります地区については、そういった点がよほど改善、緩和されて、いままでよりも順調になる。また私ども県、市町村の計画を御指導申し上げる側でもそういった点の何と申しますか、未熟さがだんだんとれてまいりますので、それに応じて私どもが念願しておりますようなしっくりした計画が立てられ、それに従って事業が進むようになるということを期待をいたしております。確かにそういう意味で初年度、二年度目くらいには、そういういざ事業という段階になって、いろいろ問題の起こったところがあったことも事実でございまして、私どもとしてはいま申しましたような形で反省を加え、今後の事業の成功に資してまいりたい、かように考えております。
○東海林委員 構造改善事業に対する昭和三十九年度のやり方の中で、若干従来と変わった点があるわけですが、その点は一つは単独融資の平均額をまあ一カ所一千万ふやしたということと、もう一つは一度指定した町村も再指定するという考え方でございまして、計画としては四百カ所のうち五十カ所は再指定を考えておる、こういうことでございます。私は融資のワクをふやすということもけっこうだと思うのですが、しかし一番中心をなしておる基盤整備等の助成の点でありますが、この点は何もワクがふやされていない。そうなりますと、賃金だあるいは資材、こういうものが高騰しておる現在では、むしろワクとしては減ってくるというような形になるわけでありますが、その点も一つの問題だと思うわけです。それからさらに先日もお伺いしたのですが、当初のこの事業を実施する際の説明では、七カ年間で全国の三千百町村に及ぼして、三カ年継続ですから、十カ年で一応行き渡るのだ、こういうことであったと思うわけですが、再指定をしていくということになりますと、そうするとそれだけダブつてくるわけですから、全体としての進捗度がおくれてくるという結果になるわけであります。私は、これは先ほども申しますように、農業基本法具体化の中心的な事業だと政府が言っておるわけですから、やはりこれは十カ年計画というようなものは目標としてははっきりしておかなければならぬのじゃないか、こういう点でお尋ねしたところ、まあそういう点も考えられるが、一応これでやってみるのだというような趣旨の御答弁があったような気がするわけです。そういう点は私はこういう政府で特に重視している事業として、何か計画が非常に漫然として、見通しがはっきりしないじゃないかという点で不安を持つわけでございますが、担当局長としてはそういう点はどういうふうにお考えになっておるか、もしこれが当初の期間中に再指定を含めて三千百町村に及ぶとすれば、来年度以降は予算面でも実施個所数を年々相当ふやしていかなければならぬということになると思うのですが、それと再指定との関連は一体どういうふうに考えたらいいのでございましょうか。その点をひとつお伺いしておきます。
○昌谷政府委員 最初に来年度の事業ワクの問題でございますが、御承知のように一地区平均にいたしますと、事業量としては補助事業九千万円、融資単独事業二千万円ということで発足をいたしましたが、実施の過程におきましてはかなり町村によって開きがございます。いわゆる標準補助額に対しまして、少ないところは六、七割程度で計画ができ上がっておる町村もございます。また町村によりましては標準補助額の三割あるいは五割くらいをはみ出したような地区もございます。それらは県段階あるいは国段階の調整費等の運用によりまして、そういう弾力的なことで必ずしもワクにはめてというふうには私どもならないように、運用上極力注意をいたしておるわけでございます。そういったことをやってみましても、初年度それから第二年度の計画を見てまいりますと、土地基盤整備に対する需要がやはり圧倒的に多いわけであります。もちろん例外的に都市近郊地帯でございますとか、非常に土地基盤整備のむずかしいところでは、必ずしもそうでない場合がございますけれども、全国つっくるんで見てまいりますと、私どもが当初九千万円の補助額の中で、四割程度が土地基盤整備で、残りの六割程度は近代化施設、いわゆる共同化施設であろうというふうに一応見込んでおりましたところ、実際やってみますと特に米どころのようなところはそうなんでございますが、全国平均でも五〇%ちょっとこえたところが、土地基盤整備の事業計画というふうな結果が得られたわけであります。そこでその結果といたしまして、当初私どもが六割程度は近代化施設のほうと思っておりましたその近代化施設のほうが、土地基盤整備に食われていっている傾向がございます。この傾向自身は、私どもが当時新農村等の計画からして非常に心配しておりました事柄とは逆な事柄でございまして、農家の皆さんが構造改善事業に正面から取り組んでいただいておる一つのあらわれだろうと私ども喜んでおるわけであります。したがってそういうふうに土地基盤整備の需要が上がるのを、今後大いに奨励してまいりたいと思いますが、そうなりますと、限られたワクの中ではおのずから近代化施設が十分できない。そこでその面の欠陥を補うために融資単独事業をふやすことで、その辺の調整をとったわけでございます。近代化施設の中には御承知のように、融資でも低利であれば十分農家のほうはやっていける、場合によっては融資のほうがかえっていいのだというお方もあるくらいのものでございます。そこで標準補助額の中で、土地基盤整備事業が予想よりも伸びた結果、十分でなくなった近代化施設のほうを、三分五厘融資をふやすことで補うというのが、農家の需要の実態にかなっておるというふうに私どもは判断をして、そういう措置をとった次第であります。 なおワク自体の拡大という問題の可能性も判断をしてみたのでございます。それはすでに取り組まれた市町村との権衡の問題、またワクをふやすことよりも後ほど申し上げます同じ町村の別の地区で、第二次事業と俗に言っておりますが、むしろこれをやっていただくことのほうが、そういう各般の事情からいって実行が容易であるというようなことを判断して、事業ワクのほうとしては近代化資金の構造改善資金の融資ワクをふやすことで対処したわけであります。 なお御懸念になりました物価の値上がりの問題は、確かに私どもとしても軽視できない問題だと思っております。そこで逐年やるわけにもまいりませんので、原則としてはこれは三カ年で仕上げることになっております。三十七年度に始めました地区の大部分は、三十九年度でおおむね土地改良事業のおもなものはやってしまう予定になっております。そこで最終年度に物価値上がりに伴う必要最小限度の手当は、全体の予算の調整の中で手当をしてまいろうということで、財政当局とも実行上の打ち合わせをいたすということに手配をいたした次第でございます。 なお、第二次事業を始めることと年次計画との関係でございますが、御承知のようにおおむね三千百の地区について十カ年間は、——指定はと申しますか、計画認定は七年間でということで私どもは念願をいたしております。いまのところその考え方を変えておりません。ただおおむね三千百と言っておりますのは、これは都市化されるところあるいは工業化されるところで、すでに用途地域あるいは転用予定地域ということになって、もう構造改善事業ということの必要性の薄くなったところを全国で目の子で除いて、三千百というふうに言っておったわけであります。この関係は七年間の推移を見ませんと、実はほんとうのところはわからないわけであります。そこでいまのところとしてはそういうものとして一応三千百を予定をいたしました。しかし最近の新産都市の問題でございますとか。激しい工業化のテンポを見てまいりますと、はたしてそういったところが三千百であるのかどうか、私どもとしても実際のところはその場になってみないとわかりません。そういう状態でやれるかやれないかわからないところが一方である半面、同じ村の中で事業規模を拡大したい、あるいはあの部落がやるならば自分の部落でも置き去りをされては困るという、そのほうのお気持ちがたいへんに強いわけでございます。私ども村を歩いてみましても、ある特定のところだけがよくなって、自分らのところが取り残されるという問題が、市町村長にとっても非常な頭痛の種であります。また農家の皆さんにとってもそこが非常に割り切れない問題であることに、至るところでぶつかるわけです。そこでこれは何とかしなければいけないということで、それを事業ワクを拡大することでカバレージを広げていくのも一つの方法かと思いますけれども、私どもとしては、そういたしますとまた計画の変更とか、いろいろとかえって事務が混雑をいたしますので、せっかく三年目になって関係行政当局がやっとこの事業に手なれてきたばかりでございますから、あまりひっくり返すようなことをやって、また混乱させるのはいかがかというようなこともございまして、事業ワクの拡大のかわりに、同じ町村の中でぜひやりたいというようなところで熱意があり、また村の体制もこれだけの体制のゆとりがあり、指導のゆとりがあるというところでは、第二次事業というような形でお始めいただくのが、むしろ村の実情に合っているのではなかろうか、さように判断して、三十九年度からそういった事業を始めることにいたしたわけであります。したがいまして私どもとしてはおおむね三千百の市町村を七カ年間でやっていくという当初の構想を、いまの段階では変える必要もございませんし、また変えるべき判断基準も持ち合わせておりませんので、さしあたってはそれで参ります。なお今後第二次事業の希望の出てくる度合い、また都市化、工業化に伴って、構造改善事業を必要としなくなってくる市町村のふえてくる度合い、それらを見ました上で必要があれば、また必要な時期にこの計画の改定をすることがあるかもしれませんが、当面いまの段階では、わからないことをわからないままでやってみても実益のないことでございますから、三千百という当初の目標はそのまま続けてまいりたい、かように考えております。
○東海林委員 再指定の問題は、三十七年度、三十八年度の経験からして、すでに指定した町村についてもう一度指定するという点は、私は理解できるのです。ただ事業ワクの拡大との関連は実は二回にわたって指定するよりは、一度に、かりに二度指定するならば、初めにやるほうが実は計画も立てやすいし、仕事もむだがなくていくと思う。そういう意味で三十七年度、三十八年度やったものについてこれは不十分だからといって再指定することは、私も同じ考え方ですけれども、それならばむしろ今後指定するものは再指定という考えでなしに、二度分一括していくほうがいいのではないかと私は思うのです。これは見解の相違ですから、私はそう考えるということだけ申し上げておきます。ただ、いまの説明の中で二つばかり若干問題があると思うのです。一つは、これまでの実績の中で当初四割程度を考えておった基盤整備のほうがそれを上回っておって、近代化のほうに食い込んでおった、こういうことです。しかしこれを予算の実際のやりくりの面から見ますと、これまでは予定個所数に達しなかったから、そういうやりくりができたと思うのです。しかし今後計画どおり、たとえば来年の四百個所というものをぴしっとやるとすれば、補助部面の助成予算をふやすことなしには、そういうことにはならないのじゃないかと考える点が一つと、もう一つは最終年といいますか、三年目のことだろうと思いますが、そこで何とかやりくりをする。それはやはり予算の範囲でやりくりすることになりますと、そこのところでまた今度四百カ所というような予定個所の消化ができないということが、予算のやりくりから私は出てくるのじゃないかと思うのです。その点は私としては四百カ所を確実に実施するという考え方を持っておるとすれば、それとの関連で、いまの点が、予算の計算上の問題になりますけれども、理解できないのですが、それはどういうふうに考えていますか。
○昌谷政府委員 前段の土地改良事業が当初予定した四割程度というのが五割程度になったのは、わかりやすいから標準補助額で申し上げますと、九千万円の事業費の中で四割、三千六百万円が土地基盤に使われて、残りの六割が近代化施設に使われるという想定で立てておったわけでございます。ところが実際計画を練ってまいりますと、三十八年度の実績で申せば約五二%でございますが、約五千万円近いものが基盤整備のほうの補助金事業になったわけであります。そこで先ほど申しましたように調整ワクもございますから、ある程度は標準補助額をこえて計画費をつけて近代化施設のほうも不自由のないように手当てできるところもございますが、やはりそれには限度がございますから、理想的に申さば近代化施設のほうが補助事業から融資事業にどうしても送り込まれることになる場合がある。またこれはいろいろと御議論いただくことが必要だと思いますが、近代化施設は先般も足鹿委員の御質向に対してお答えいたしましたように、同じ施設をやります場合でも、個人のものであります場合には補助の対象にいたしません。それが協業経営ということになりますと補助の対象にしておるわけでございます。たとえば多頭羽飼育をやりましても、その経営主体が協業であると補助になり、個人であると補助にならない。村の実態としては補助金との関係で非常に悩まれる場合がございます。むしろその場合は、 ある程度小人数のような団体の場合には、そういうものも個人並みに単独事業にしたほうが村の計画としては立てやすい、実情に合っているという場合が往々にしてあります。そこで土地基盤整備の事業の伸びによって圧縮を余儀なくされました近代化施設を補助事業で補うよりも、融資事業で補うほうが村の実情に合っておるというふうに私どもは見たわけでございます。そこで先ほど申しましたようにやったわけでございまして、決して土地基盤事業が四割から五割になったために、よその地区の分を食って五割ができたのだということではございません。先ほど先生は四割が五割になったという実績を示したということは、結局三百予定したのが二百二十九しかできなかった、そのゆとりを食ってやったのではないかという御趣旨の御疑問があったようでございますが、そうではございません。むしろそのゆとりは計画進度を上げることに使わしていただきました。と申しますのは、御承知のように一般地区は三・四・三というのを一応標準的な計画進度と見ております。しかし地区数が減ったというような関係で、計画進度を若干繰り上げる等のことに使ったのが主要な使い道でございます。 それから第二点の単価の値上がりを三年目で見るという見方でございますが、御承知のように調整額というものを県段階、地方農政局段階で持っておりますので、第一次的にはそれでやるのが手当てのしかたでございます。大部分はそれで応じ切れると思っております。そういうことで特に個所数にゆとりがなければできないというふうな問題ではございません。
○東海林委員 その点も調整額と、それをあとで調整する程度の問題なんで、あなたが考えているようにそういうごくわずかな限度で済めばいまの議論は成り立つけれども、なかなかそうでないように私は心配するわけです。しかしそういう点は実際やってみなければわからぬ問題でもあるから、それ以上ここで議論してもはっきりした結論にはならないと思いますけれども、しかしそういうふうに簡単にだけは私は実際いかないのではないかということを心配しますから、そういうことはもう少し検討してもらいたいと思います。 もう一つの構造改善についての基本的な考え方の問題でありますが現在合併して非常に大きくなった市町村に、かりに一千万の融資ワクをふやしても一億二千万という仕事ですから、これはやはり再指定を認めるにしても、町村全体から見ればその地域はいわゆる展示的なものにしかならないというふうに考えるわけです。一億二千万なりあるいは二度やって二億四千万で、村全体の構造改善ができるとはだれも考えないと思いますが、そうなりますと展示的だと考えられるし、これまでも農林当局はそういう説明できたと思います。そこでこの問題は現在のように農村の経済が非常に苦しい時代に、この補助金なしに、なるほどあの仕事をやったらいいからやろうということになるかどうか、補助金にはいまさら申すまでもなく、一つはこういうことをやれば確かにそろばん上もいいのだ。しかし新しいことで農民はまだ理解してないから、理解させる一つの方便としてまず補助金をやって、農民の実施意欲をかき立ててやらせる、やってみれば確かにそろばんもいいからまねして、あとは補助金なしにやれるという補助金と、もう一つは、経済的にある程度国なり県で助成したほうがいいということはわかっておりても、そろばん上できないという意味での補助金があると思う。ところでこの構造改善事業の中における補助金の内容は、やはりある程度助成してやればいいということはわかっておっても、そろばん上農民としてはやり得ないという内容の事業が相当含まれておると思うのです。そういう点からしますと、確かに一部展示的だということもわかるのですが、実際にはそれだけでは解決できないのではないか、こう思うわけです。そうなると十カ年間に三千百町村を目標として一応行き渡るということで、この仕事がいいのだというふうにはどうも理解できないのですが、その基本的な点をどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
○昌谷政府委員 初めに先生からもお話のございましたように、単価の値上がりの問題の見方でございますが、私どもは先ほど申しましたようなことを第一次的には考えておりますことは、御理解いただけると思います。もちろん実際の値上がりの影響がどの程度の金額的と申しますか、量的な問題としてあらわれてくるかというようなことをよく確かめませんと、それでいいとか悪いとかいうような議論はなかなかできません。三十九年度に地方農政局に地区別に検討させますので、その過程を通じて最終的には講ずべき手段は講じなければならぬと思いますが、一応いまの段階では先ほど申し上げたようなことで対処する、また結果を見て、要すれば第二段の対策も必要であれば考えさせていただきたいと思います。 それから、この事業が何といっても一部に限られる事業であって、全体をおおうことにはならないではないかというお話、私どももその点はそのとおりであろうと思います。決してそうでないとは申し上げられません。実情を申し上げますと、過去二年間の計画の様子で見ますと、地区外事業を含めまして、大体村の農家の二五%程度がいまの一単位の事業で受益をするおおむねの範囲のようでございます。もちろん村によりましてもっと多いところもございますし、もっと少ないところもございますが、全国平均して達観いたしますと、おおむねそういうところです。したがいまして、かりに第二次事業が同じような程度の規模で行なわれるといたしましても、この事業だけで村の全部をおおうということは、なかなか実際問題としてできがたい。問題は、そこで他の地区との関係をやはり考慮いたしてもらわなければならぬ。その問題に対する対策としては、農林省がやっております全部の施策が、構造改善という目標に向かって総合調整をされて使われていくのが本筋だと思います。したがいまして国県営、団体営として一連の従前やっております。年々農林予算の相当大部分を占めておりますあの事業が構造改善と無縁であると考えるお方は現今はございませんけれども、私どもとしては、あれの事業をやはり構造改善そのものというふうに理解して進めてまいることも、先生のおっしゃたような意味合いでの局部的な効果でなくするということの一番大事なところではないか。農林省がやっております全部の仕事を、広義の構造改善ということに結びつけて、お互いに総合的に有機的に手を取り合って、村のためになるように仕組んでいくというものの考え方が、構造改善事業の一つの意味だろうと思います。農家に対する展示的効果という点ももちろんありますけれども、私ども行政担当者の心がまえを、あの構造改善事業をやったと同じようなものの考え方で、ほかのいろいろな助成手段をお互いに脈絡をとってやっていくことが、現状ではまだ不十分な点があるように私どもは反省いたします。そういった点に今後一そう力を入れていくことで、足らざるところを補っていくことが、さしあたっての一番大事なことではないかと思います。 それからまた融資、その他の問題として処理のできる問題もあろうかと思います。そういう意味合いで、大臣がよく言われますように、構造改善というのは、この構造改善事業だけが構造改善ではないというお話をよくなさいますが、私どももそのとおり心得えて、国県営、団体営といった問題、あるいはその他のいろいろな助成を同じ心がまえで、村の実情と結びつけて有機的にやっていくということで、今後一そうそういう方向をはっきりいたしたい。地方農政局の主要任務もそこらにあるのではないかと私は思っております。
○東海林委員 一応現在の実績からいうと、構造改善事業をやった場合に、それに関係する農家が全体の農家の二五%程度だ、これは確かに完結する農家はするかもしれませんが、しかし二五%程度の農家のいろいろな経営の近代化とかそれらのことが、それで全部でき上がるということではないので、一部に関係することだと思う。したがって農家全体から見ると、この仕事の量がそうたいして大きくないことがわかるのです。 それからいまのお話の全体の農政のいろいろな施策は、やはり構造改善全体の方向として考えなければいかぬという点もわかりますが、そういう言い方になりますと、それでは構造改善事業というのは、どういう意味なんだという点がまたちょっとわからなくなってくるのです。その点はどうなるのですか。
○昌谷政府委員 構造改善事業そのもの、従前のばらばらでやっておりました仕事の中身は、先生御承知のように土地改良といい、近代化施設といい、決して農林省がいままでやったことのないものではなく、ばらしてみますといままで農林省が手がけたことのある事業でございます。ただ従来農林省が手がけましたいろいろの仕事を、構造改善という一つの目標に結びつけて、しかも村の実情に合わせて、村の計画を先行して、村の計画に合わせて私どものほうの助成を仕組んでいくというところに、私は構造改善事業の特色があると思います。したがいましてその意味では、農家にとってはそういった大型技術、大規模耕作、大規模販売の利点を認識していただくための、広い意味でいえば展示的効果を持っておると思うのです。しかしそれを単に、従来のようなぽつんぽつんと県に一カ所、二カ所という展示ではなしに、少なくとも全国の、農業で成り立っておる村に最小限度一カ所はそういうものをつくっていくという意味では、従前使われていました展示的というよりも、事業的の意味のほうが強くなっておる。そういうのが率直な実情だと思います。 また行政面から申しますと、先ほど申しましたように、いままでやったことのない事業、新機軸の事業をやるわけではございませんので、私ども行政担当者が、従前いわば、悪いことばでいえば、個々ばらばらにやっておりましたことを、村の希望を先行させて、それに結びつけてやっていくというところに、むしろ行政のやり方としての一つの新しい意味があるのではないかと思っております。これは本来の構造改善ということとは少し離れますけれども、しかし広く一般に効果を及ぼすという意味では、私は非常に貴重な行政のやり方としての訓練ではないかと思います。そういうふうに私は考えておる次第でございます。 なお先ほどことばを途中で切りましたけれども、そういったいわば全体をおおわない事業の対策として、他のいろいろの事業をそういう同じような気持ちで実行していくということのほかに、農業団体のほうでも考えておられますし、主産地というようなことを申せば、当然次の段階として考えなければならない問題として、いわばもう少し広い区域での主産地、あるいは流通圏というものを育てていくということが必要になろうかと思います。主産地というようなものがぽつんぽつんとあったいままでのような零細個別販売よりは、もちろん強力なものになりますけれども、やはりそれだけでは十分な威力を発揮いたしませんので、それらの育ちました村々の主産地を、今度はもう少し広域に結びつけて、より広い経済的な範囲に育てていかなければならないと思います。それが団体等で考えておられる営農団地でございます。私ども、そういったものに当然今後育てていかなければならないし、その点につきましては三十八年度以来、御承知と思いますが、広域経済圏の調査というものをいま県のほうにお願いをし、地方農政局にも調査させていただいております。これはそういった意味で、村を越えたもう少し広い範囲で、物資の流れ、あるいは流通のセンター、その流通のセンターと消費市場を結ぶ問題、それらを経済圏調査ということでいま調べております。それを調べました上で、今後構造改善事業で育ちました主産地をさらに結びつけて、もう少し強力なものに育てていくための対策というものも、いまのカバレージを広げていくことと少し意味が違いますけれども、私どもとしては、第二段の問題はそこらにあるのではなかろうかと考えております。
○東海林委員 それでは農政局長、もう一つ最後に質問いたします。先日の足鹿委員の質問に対して、農政局長は盛んに近代化、近代化ということばを使われておったわけですが、私はお聞きしておっても、どうも近代化ということがどういうことかということが、ちょっとはっきりわからないのですがね。農政局長だけでなしに、本委員会における質疑の中で、大臣もいろいろと近代化ということばで御説明されるのですが、農林省では、近代化ということばの定義といいますか、考え方は一体どういうことになっておるのか、この際、農政局長から、簡潔に明瞭にひとつお話ししていただきたいと思います。
○昌谷政府委員 実は基本法の案文を練りますときも、近代化ということばの意味について、法制局などでもいろいろと御議論をいただいたことを記憶いたしております。何と申しますか、法律用語としては、近代化ということばは——構造改善ということばは非常に新しかったために、法制局でも特に定義を入れさせられたわけでございますけれども、近代化のほうは、ほかの省でも、あるいはほかの法律でも、いろいろ従来使われておるから、もうわかるのではないかということで、実は定義もしないで使わせていただいた経過がございます。 では、どういうことだとおっしゃられますと、なかなか一言で明快な定義は実はむずかしいのだろうと思うのでございますが、私、せんだって足鹿先生の御質問に対しましてお答えいたしました私の気持ちだけ申し上げますと、先般、共同化あるいは協業化を育てることについて、農林省が非常に消極的であるという御指摘に対しまして、耕作技術、販売技術の大型化、近代化ということと、それから農家の意識の近代化、家族関係の近代化、たとえば父子契約というようなものを通じて出てまいります意識の近代化、あるいは貨幣経済に対する熟練と申しますか、貨幣経済に対する精神的ななれといいますか、そういう両面から農家に習熟をしていただくというのが、やはり共同化を進める一つのポイントではございますまいか。外形的に助成を出して、近代化、協業化というような外形をつくりましても、御承知のようになかなか長続きしない場合がございます。そういう意味で、やはり大型の技術、協業化を必要とするような、協業をしなければ取り入れられないようなりっぱな技術が育って、その技術を使うことが、いままでよりも目に見えて労働力が節約になる、あるいは反収は上がらないまでも、少なくとも反収を落とさないで労働力が目に見えて節約になるというような、大型の技術を早く農家のものとして育てること、そういう方向でそういうものができさえすれば、農家はこちらが黙っていても協業化の方向に進んでいただけるのではなかろうかというような意味合いで、私ども使っております。それからそうは申しましても従来のような家族関係から、すぐに協業化というようなことになりますと、利益分配の問題でございますとか、それから農地分配の問題でございますとか、協業化ということになるとすぐぶつかる、そういう貨幣経済的なむずかしい問題が出てまいりますから、その場合に何と申しますか、ある程度近代的な意識、よくわかりませんけれども、おおむねおわかりいただけると思いますが、近代的な意識というものが農家に育っておりませんと、協業という形をつくっただけではなかなかうまくまいりません。私どもとしてまあ少しテンポはのろうございますが、その両面から協業組織の育成の問題に取り組んでおるのでございますということを申し上げましたので、その過程で近代化とか近代的とかいうことばをいろいろ使ったと思いますが、特に何と申しますか、普通に使われることばと違った意味合いで使ったことではございません。
○東海林委員 まあこの問題はいつかひとつ懇談的に少し教えていただくことにしまして、次に移ります。それでは農政局長、ありがとうございました。 次に蚕糸局長にお伺いしたいのですが、先日も私は大臣にお伺いしたのですが、どうも納得できませんので、今度は担当局長に少しお伺いしたいと思います。ことしから養蚕については増産に踏み切られまして、この三十九年度において講じようとする農業施策の十五ページを見ましても、「養蚕業の安定した発展を図るため、生産性の向上と繭生産の増大を目途として、養蚕主産地の形成を図りつつ省力養蚕技術の普及を基軸として養蚕経営規模の拡大と協業の推進により経営の合理化を進めることとし、つぎの施策を講ずる。」こういうふうに繭生産の増大ということをはっきり今度表に出されたわけです。これは従来養蚕については幾変転いたしまして、あるときには増産を奨励したが、あるときには国が補助金を出して桑園の転換をやったというような経過もございましたし、基本法の制定の際には選択的拡大の中には入れずに、現状維持ということであったわけでありまして、そういう点から見ると、これは一つの大きい方針の転換であろう、こう思うわけであります。そうしていろいろと具体的な施策を見ますると、確かに技術面においていろいろと新しい技術の普及について具体的な施策が出ておるわけであります。ところが一番大事な繭糸価格の安定と流通の合理化という、四十七ページから四十八ページに記述してあるところを見ますると、全部が抽象的なんです。念のために読んでみますると、「三十八年度における生糸価格はきわめて変動が激しく、繭生産と生糸需要の安定的拡大を阻害する傾きがあった。価格変動を極力抑制するため、三十九年度においては現行繭糸価格安定制度の適切な運用によって、繭および生糸の異常な価格変動を防止するとともに、標準生糸の最高価格および最低価格ならびに最低繭価については、養蚕経営の安定と生糸需要の増進に資するよう決定する。また、生糸取引所における取引の一層の公正化を図るため、関係業者に対する指導を強化する。繭取引の円滑化を推進するために三十七年から養蚕業者団体と製糸業者が採用している比率配分方式による繭価協定の実施とその一層の改善を指導する。」きわめて抽象的なんですね。と同時にここに書いてあるようなことは、これまでだって長い間やってきたはずなんです。しかし御承知のように、ここで一番初めに書いてありますように、三十八年度の実績を見ましてもまことに変動が激しいのです。生糸一俵四十八万円もしたり、それが二十四万円になったり、繭の値段が一貫目三千七百円したかと思えば、今度は二千円前後に下がる、こういう激しいことなんです。なぜ増産に踏み切ったのかという私の問いに対して、農林大臣は世界の生糸需要が増加の傾向にあるから、こういうことでございました。確かに昨年度の秋の世界生糸協会の理事会の御意見でも、年々五%程度は増加するだろう、こういう見通しであったということでございますから、そういう面では私は確かにそうであろうと思います。しかし農林省の資料によりまして、わが国の生糸の輸出関係を年次的に見てみますると、三十四年度は十七万七千九百三十一俵ですね。それから三十五年が十四万二千百八十俵、三十六年が十三万一千四百九十五俵、三十七年が十万八千六十二俵、毎年下がってきておるのですね。日本の生糸が売れるかどうかということは、一つは内需にもよりますけれども、一つは輸出しなければならぬ。大臣の言うように、世界の生糸の需要はふえておっても、日本から輸出される生糸がこれだけ減っておるということは、決して世界の需要がふえておるからイコール日本の生糸の需要がふえるのだ、繭も増産していいのだ、こういうことには私は直結しないと思うのです。この数字が逆に年年増加しておる、輸出も増加しておるのだ、内需もだんだんふえているのだ、だから増産するというなら話はわかるのだけれども、はっきりと統計は毎年減っているのですよ。だからすぐ増産するというのでは、私はちょっとそこらが説明としては不十分でわからないのですが、その点をひとつはっきりしてください。
○久宗政府委員 計数的にはいま御指摘のありましたような経過をたどっておるわけでございます。ただ多少御説明いたしますと、御承知のとおり三十三年、四年にああいう危機を経過いたしまして、当時基本問題の検討に入るちょうどその過程と同じであったわけでありますが、当時の見通しといたしましては、使用できます一連の計数が過去のものでございますので、三十四、五、六とああいうような大きな経済成長が、しかも三年続いて行なわれるといったような需要の見通しができかねたわけであります。したがいまして御指摘のございましたように、立案過程におきましては横ばいといったような考え方を一応とらざるを得なかったのでございます。その後基本法ができましてから、各品目につきましてあらためて基本法に基づきまして、将来の需要を測定いたしました際に、これはすでに国会のほうに御報告いたしておりますが、二割ないし四割の増という新しい需要を盛り込みました計画が、現在できておるわけでございます。ただ輸出につきまして御指摘のように減っておるではないかということでございますが、三十三年、四年にああいう形で買い上げをいたしまして、それを放出したわけでございます。したがいまして三十四年、五年の数字が非常に大きく出ておりますのは、その放出したものが出ましたために、前と比べましてもそこが非常に極端にふくれておるわけでございます。そこでそのあとがいわば正常になってまいるわけでございますが、御承知のとおり、この時期がちょうど海外におきましてもEECの発足その他で相当大きな需要が、これも予測しない形で出ました時期でございますし、国内的に申しますと、超異常な高度成長でございましたもので、やや価格といたしましては国内価格のほうに引きずられまして、また国内需要が非常に多かった結果、輸出としての数量が必ずしもふえていないのであります。それが御指摘の価格のアンバランスとなってあらわれましたのが、昨年の六月の暴騰でございまして、その間におきましては内需はずっと伸びてまいりましたが、海外におきましてもいわば価格が逐次すっと上がってまいりましたので、量的にはふえておらないのでございます。しかしながら数量的にそれがふえなかったのは、主として内需のほうにものが行き過ぎたということで、輸出の可能性がそれだけなかったのかどうかという点につきましては、やはり輸出価格の問題がそこにあると思います。そういった矛盾が全部からみまして、六月暴騰という形をとったものと思うのでございます。ただ今後の見通しといたしましては、昨年の御指摘のございましたEECの理事会におきましても、海外からの話では繭の生産がああいう下降状態をたどっておりましたので、少なくとも先進諸国におきます経験から見まして、養蚕家が繭をつくらなくなってしまうと元も子もないことになってしまうので、ある相当高い水準がある程度やむを得ない、しかし六月の暴騰のような形をとられたのでは、少なくとも生糸を消費する工業家、つまり機屋としてはまことに処理ができないわけでございますので、やや高い水準において安定してもらいたい、さようなことを前提とすれば、需要としては過去三年の経験から見て、御指摘のございましたように五%程度の需要は確実にあるだろうというお話がございました。私どもも輸出価格につきまして、取引所の問題とも関連いたしますが、確かに内需価格とのアンバランスがあり、そういう形で輸出を伸ばすということは非常に困難だと考えまして、あとでまたお話がございましたらお話しいたしたいと思いますが、取引所自体についての規制は必要な限度にいたしましたけれども、さらに糸価安定そのものにつきましては、単に繭糸価格安定法の上限、下限だけの操作ではなくて、やはり生糸の売り方と申しますか、製糸家が内需に売ります場合、あるいは輸出関係者にものを渡します場合のやり方、この辺に実は糸価暴騰の相当大きな原因があるというふうに考えまして、さような面に行政の指導の面を向けてまいりたいと考えているのでございます。
○東海林委員 一応三十四年度、三十五年度は輸出の数字が多くなっていることはわかるのですが、しかし三十七年度を見ますとそれ以前の数字よりもまた減っているわけです。これは主として内需が景気よくて内地の価格が高かった、いまこういう説明なのですが、私が言わんとするところは、要するに結局海外における需要は、価格が安定すれぱ伸び得るということはだれもが認めていることだと思うのです。それについてはいまの取引所とかあるいは機構の問題を考えているというのですけれども、たださっきも読みましたように抽象的に考えているというだけでは、問題の解決に何らならないのではないか、こういう点を具体的にどういうふうに考えているかということをお伺いするために聞いたのです。そういう点もう少し具体的でないと、考えているということは書いてありますし、いままでも考えておらないわけではない、長い歴史のある生糸ですから。それが依然として改善されずに問題を残しておるというところに、非常に懸念があるわけです。その点もう少し具体的に、どういうふうに考えているかという点が出てこないと、抽象的なことばだけでは困ると思うのです。
○久宗政府委員 やや具体的に申し上げますと、繭糸価格制度そのものと取引所関係と、もう一つは製糸家から糸というものがどういう形で出てくるか、三つの問題に分れると思うのであります。繭糸価格安定法そのものにつきましては、いろいろな御批判があるわけでございますが、正直に申しまして三十三年、三十四年の経過があまりショッキングでございましたので、行政当局といたしましてはやむを得ず、ある程度消極的にならざるを得なかったということが言えると思います。したがいましてその過程を見ますと、たまたまああいう犠牲によりまして、しかも生糸を多少安く売った関係もございまして、マーケットが非常に拡大されまして、価格水準がずっと三十四年、三十五年、三十六年と棒上げに水準の訂正をしてまいったわけでございます。そこでその間糸価安定制度の下値なり上値を見ますと、さような実需から見ました需給均衡価格の動きに対しまして、結果から見て図を引いてみますと、まるでそれとかけ離れてしまっている、こういう点があったわけでございます。この点はしばしば養蚕家からも御非難のある次第でございまして、また生糸製造業者なり輸出関係者はその床が低過ぎるために、実際価格に対して何らか糸価安定制度がフォローするといたしましても、あまりかけ離れておりますので、意味がないのではないかというような御指摘があったわけでございます。そういう経過を経まして、そういった問題の可否というようなことが六月の暴騰によって、事実をもって証明されてしまったと思うのです。需給についてもやや消極的になり過ぎておったということと、安定制度の運用につきましてもややへっぴり腰と申しますか、そういう点がございましたので、これは昨年の十二月に糸価安定審議会のほうの建議もございまして、とにかく糸価安定法というものが根底にあるのだから、この運用に つきまして、もう少し実際の動きに近づける必要がある。これが私どもが適正にいたしたいという内容でございまして、来年度価格の決定のしかたなり、またその決定の時期なりにつきましても、さようなことを具体的に考慮してきめたいというのが第一点でございます。 それから取引所につきましては、先生もうよく御存じでございますので省略いたしますが、これ自体につきましては、確かにそれまでの間、取引所に対しましては、一般的にあの法律が関係者の自主的な運営にひどくウェートを置いておりますので、さような意味で、売買そのものについて常時国が介入するというやり方は、極力避けてまいりたい。しかしながら六月の事態と申しますのは、まさに国が介入すべき時期だったと思うのでありますが、残念ながら介入しようとして考えますと、その前に事前に当然打っておかなければならない一連の規制ということが、いわば欠けておりましたために、もしあの段階で不用意に介入いたしました場合には、むしろそういう相場をやっている面に有利な結果になってしまう。しかもさような、急にたとえば取引を停止するというような方法をとりました場合に、あとにどのような尾を引くか、これはその後、毛紡関係で起こった事件の経過を見ましても、そういうことが考えられますので、これはその段階では介入できなかったわけでございます。その結果といたしまして、九月に海外からもその問題につきまして、非常に懸念を持って関係者が集まる直前でございましたので、取引所自体といたしまして、ああいう暴騰のような事態が起こりました場合に、自動的にある規制が発動されるような措置をつけたわけでございます。それは取引所自体といたしましては、少なくとも理論的にはさような自動調整措置が当然ついておらなければならぬわけでございますが、その点指導がおくれまして、六月の段階で間に合わなかったことは非常に残念でございますけれども、取引所自体で、ああいう暴騰が過熱いたしました場合の一応のブレーキは、この段階で必要な措置は一応とられたわけでございます。これは他の商品取引所におかれましても、その後人絹なりあるいは毛なりで問題が起こりました場合に、大体それにならった方式をとっておられますので、この段階におきまする取引所側の措置といたしましては、一応これでよろしいのではないかと考えておるわけでございます。 それから一番最後に残りました問題は、糸価安定制度についても関係いたしますし、取引所とも関係いたすわけでございますが、どうも糸価安定、糸価安定と言ってまいりましたけれども、いままでの措置は、どちらかと申しますと、糸価は需給によってきまってしまうので、しようがない。それを結果として、たとえば国がある数量を引き抜いたり、あるいはさらに国が放出したりしまして、それをある一定の幅におさめていくというようなやり方でまいったわけであります。どうも突っ込んで六月の暴騰の経過なり、その後の様子を見ておりますと、どうも蚕糸業の本体の中に、糸価の不安定をもたらす、これは当然でございますが、要因が非常に大きい。その点がいわばいままで十分突っ込んでおりませんでしたので、その点をこれから本格的に取り組みたいという気持ちでございます。具体的に申しますと、これは釈迦に説法で恐縮でございますが、製糸がそのつくった商品をいかに売るかという点に関連があるのです。普通の輸出産業でございますと、メーカー段階で内需価格なり、輸出価格の調整なり、さようなことをいたしまして、全体のバランスをとってまいるわけでございます。製糸業におきましては、昔からの経緯から、逆算されてそういうものがつくられております。製糸段階では、このつくられたものが実需者にどういくかというところがぷつんと切れてしまいまして、そこにさらに取引所というものが出てまいる。さようなことで、どうしても糸価を安定いたします場合に、やはり製糸がどういうかっこうの売り方をするか、特に輸出の問題がございますが、現在のように、この前のように内需価格が非常に高くて、輸出は競争関係がございますので、それよりも低い価格で出さなければならぬという場合に、棒上げに上げておりますので、ここ二、三年の経過といたしましては、みんな生産のほうに頭を向けてしまいまして単に工業利潤に甘んじるということではなくて、そこに商業利潤も獲得できる具体的なチャンスがございましたので、そちらのほうにみんな顔が向いてしまったわけでございます。その結果、輸出商といたしましては、しかるべき現物がとれないわけでございます。さようなことから、清算取引所の事業関係におきましても、それがややゆがみまして、清算取引所、生糸取引所におきまして現物を確保して、ある価格差をもって外国に出す、しかもそのカバーをさらに取引所取引を通じて埋めていく、こういうような非常な変則な形が実は出てきておったわけであります。これがむしろ価格を暴騰いたします一番具体的なきっかけでございまして、もちろん根底には生糸の需給関係の大きなバランスの破れ、つまり需要に追いつかないという問題が根底にございますけれども、その二つがからみ合って六月暴騰になったと理解されますので、その後の指導といたしましては、従来もある程度は話し合ったようでございますけれども、そこはタブーということで、全然固まっておりませんですが、輸出業者と製糸業者の話し合い、これをまず逐次始めていって、さらにそういうようなことによりまして、養蚕関係者に対しましても、結局糸が売れなければいかんともしがたいわけでございますので、その内容を御理解いただきまして、その体制に協力していただけるような行政を進めてまいりたい。これは予算面には何も出ないのでございますが、一応私どもとしてはさような努力のほうに行政の重点を移してまいりたいというふうに考えております。
○東海林委員 これは繭糸だけでなしに、いまの政府の農産物価格の安定策というか、いまもちょっと一部お話がありましたように、要するに需給均衡した価格をたてまえとして、なるべく上下の振幅を狭くするというようなことで、一応価格形成は自由競争できまってくるけれども、ある一定の限度に下がった場合あるいは一定限度を越えて上がった場合に、そこで初めて手を打って、結局あとから追っかけた価格安定ということで、この点はわれわれと基本的に違うわけですが、しかしかりに自由主義の経済の立場をとるにしても、価格が需給によって動くにしても、決定される段階においてはやはり適正に決定されるということについて、あとから追っかけるのではなしに、その段階でもう少し考える必要があるのではないか。これは全般的な農産物価格政策で考えているわけです。それでいまもお話がありました取引所の問題、あるいは製糸家と輸出商との取引の関係、いろいろ問題があるわけです。しかし私どもは考えますに、この前の三十三年、三十四年にあれだけの苦い経験があったものですから、その後何らか法制的に、機構的に手を打ってしかるべきではなかろうか、こう思うわけです。それが昨年またああいう苦い経験を繰り返した。私は悪口を言わせていただけば、ずいぶん遠慮深いというか、消極的な蚕糸局でも、この辺で何らか法制的な、あるいは機構的な、ことを具体的に出すべきではないか。私は四年ばかりこの委員会にお世話になっているのですが、三十三年、四年のときにだいぶ議論しましたが、その後一つも蚕糸局関係の法律が出てきたことはない。予算を見ましても、画期的だという予算が出てこない。このごろ行政調査の委員会の中で、蚕糸局はなくてもいいという、われわれが見るとまことに反対なんですが、そういう話が出るのも無理からぬな——私どもは非常に蚕糸びいきなんだが、そういう感じを持たざるを得ないような気もするのですよ。この辺でひとつ蚕糸局長、大いに勇気をふるって、これはむずかしい問題だけれども、大いにがんばってもらいたいと思うのですが、何かそういうことについて、具体的に言えなくても、少し考えておるような何かがあるならば、そこらをもう少し答弁できないものですか。
○久宗政府委員 糸価安定という問題は、もうこれは蚕糸行政の悲願でありまして、一番初めからこれを言って今日まだこれができないのであります。ただ不肖私どもの経験といたしましては、三十三年の手痛い経験と、この六月の高い授業料を払いまして、先ほどちょっと申し上げましたような、整備と申しますか、蚕糸業でつくられた商品をいかに売るかという点につきまして、この考慮が意外に足りなかったのではないかということに気がついたわけでございます。これはまことに説明のしようのないおかしな話でございますが、機構的には非常に整備されております。先ほどさっぱり法案も出てこぬとおっしゃいましたが、実は持ち過ぎておるほどあるのでありますが、残念ながらそれが活用されていないのがどうも実際のようでございます。そのほかに私どもといたしましては、やはり今度の六月のような事態を経験いたしまして、確かに他の繊維との関係におきまして、できました生糸の処理——ほかの繊維ではそこに全力を尽くしておるわけでございますが、その辺の考慮が、まことに足りなかったという点も考えるわけでございます。その辺のことから少しずつ整備なり輸出なり、それに伴う養蚕なりの体制を、向きを変えてまいりまして、そしてこれはいきなり機構の改革ではないように思うわけでございまして、実際の方向を少し変えた中で、やがてそこに一つの制度ができてくる。まず、二、三年がかりで素材の向きから変えていかなければならぬという感じを持っているわけでございます。幸い業界におきましても、六月の経験が非常に深刻でございましたから、この段階におきましても、たとえば来年度の問題——いまきょうも大会があるということで、みな真剣に心配しておりますが、やはり生糸というものは売っていくべきものだ、ほんとうに売っていけば、マーケットは開けていくのだという考え方が、非常に具体的に出てまいりまして、それぞれの部門に分かれておりました養蚕、製糸、繭糸という間でも、相当突っ込んだお話し合いが進行しかけておりますので、私どもといたしましては、さようなお話し合いの線を逐次固めていくことによりまして、たくさんすでに与えられておりますいろいろな制度の組み合わせにつきまして、適切な運用をはかってまいりたい、こう思うのであります。現在はいろいろな武器が与えられておりながら、肝心なところが抜けておりましたために、制度があってもそれが荷やっかいになる、目的と手段が変わってしまったというようなところが相当ございました。外からも御批判を受けるわけでございますが、若干の時間はかかりますが、すでにその機運は芽ばえてきておりますので、それを引き出してまいりたい、さような意味でこの一年間、ちょうどあの六月の暴騰のあと、現在もゆれはありまして、糸価が依然として不安定でございますので、相当思い切った措置をとって、たとえば来年の価格につきましても、従前でございますれば、三月末にわきめておるわけでございますが、この前大臣から予算委員会でも御説明いたしましたように、三月初めにはっきりきめてしまう、そして先行き輸出を振興いたすようにいたしまして、本来われわれが解くべき課題のほうに頭を向けてまいりたいというふうに考えております。
○東海林委員 最近は農家もなかなか頭を使って、いわゆる考える農業ということになってきているわけで、よく現在の農政に対する批判で、政府のやることと反対をやれば、大体相場が間違いないということをよく言われる。その中でも養蚕が最もそういうことを的確に言われているわけです。私この間予算委員会でも言ったのですけれども、三十四、五年度で桑を引き抜けと言ったら、私の知っている養蚕家が、これでようやく今度は繭糸価が安定するから、ひとつ桑を植えようと植えまして、八反歩も増産して、従来の五反と合わせて一町三反歩になって、昨年は三百貫も取ってよかったと喜んでいる。そんなことです。いまもいろいろとお話があったのですが、そういう抽象的な考え方はわかるのですが、そういう程度のお話では、私はむしろいままでの養蚕農家の経験からいって、増産は今度はあぶないから、ひとつ引き締めようということに簡単になるおそれが多分にあるように思うのです。これはなるべく近いうちに、具体的に養蚕農家が安心して、皆さんの意図しているような増産ができるように、ぜひしてもらいたい。私ども決して農林省を攻撃するとかなんとかでなしに、私は群馬県で、ここに長谷川先生もおられますが、養蚕は群馬県にとって生命なのであります。そういう意味から真剣に考えてもらいたい、こういう意味で申し上げておるわけでありますので、ぜひお願いしたい。 そこでもう一つお伺いしたいのですが、輸出を増進していく上において、価格の安定ということは当然で、言わなくてもいいのですが、いま農林省でも生産調整をやっておられるわけですが、三十八年度の生産費は最終決定になっておらぬというお話でありますけれども、大体いまの国内における生産費から考えて、国際生糸価格と大体マッチして増産を進めていくことができるというような、はっきりした見通しがあるかどうか。日本の生産費が高くて、需要は増加の傾向にあるとはいいながら、世界生糸価格の点から見て高過ぎるということであれば、決して輸出増進にならないと思う。そういう点についての見通しはどういうふうに考えておられるのか、その点伺いたい。
○久宗政府委員 見通しの問題は非常にむずかしいわけでございます。端的に申しまして、かりに昨年の六月のような暴騰をしなかったら、どうだったろうという一つの想定がございます。これは三十三年以降着実に価格水準を形成してまいりまして、大体一俵当たり三十万といったようなことが常識的に通り、そして内需も外需もさばけておったのでありますが、これが三十万をこえ四十万をこえるというようなことになりましてから、はっきり実需がのきまして、今日のような事態を迎えたわけであります。したがいましてこの前の東京理事会におきましても、あれはたいてい儀礼的な会議であったわけですが、珍しいことに価格問題で相当白熱的な議論がありまして、幾らなら買えるのだという議論を相当やったわけであります。その際にはヨーロッパにしてもアメリカにしても、ああいう暴騰の背景には、やはり日本の養蚕がああいう成長過程におきまして、相当下降していくのではないかという心配から、今後は非常に高いものを買わざるを得ないという感じで、いままではたたいてきたものに対しまして、養蚕家がとにかくある程度安定してつくっていけるような価格をまず考えようじゃないか。それにしていくには一体どのくらいになるだろうというので、私のほうではこのくらいなら買えるがといって出た数字が、大体二十七万から三十万くらいのところで安定してくれれば、需要は十分伸びるということで、むしろ激励を受けたような形になったわけであります。ただ今日は若干、六月のああいう暴騰のあとで、すっかり内外の市場を荒らしてしまいましたので、そのひずみが今日まで及んでおりまして、そして御承知のとおり、向こうさんが買うといった値段よりさらに一日下がり一日下がりして一月に入った。そこで皆さん非常に心配されまして、どうしようかという議論が盛り上がったわけであります。これはやはり六月暴騰のあとの処理が必ずしも適切にいきませんでしたし、これは異常な事態でございましたので、製糸家の方も相当高い繭を買っておりますので、採算から見てほとんどもうからぬという気持ちがございまして、多少糸をつり上げるような運動がありましたために、なかなか実需がついてこないという事情であります。ただ客観的な見通しで申し上げますと、ちょうど三十四、五年にもございましたように、三十八年度の需要はたいへん縮小しておるわけであります。そしてもうこの辺で買いたいというのに、日本からずるずる下げるものでありますから、一日延ばしに買い延ばしておるわけであります。要するに底値さえ入ってくれば——自分たちが手当てしたあとで安い原料が入ったということでは困るわけで、底値をきちっときめてもらえば、のどから手が出るほどほしいというのが実情でございます。さようなことで私どもといたしましては、少し長期の客観的な見通しといたしましては、現在の生産費からいろいろ計算いたしまして、それが将来の需要と大きなギャップができた、とてもいかぬとは見ておりません。ただ残念ながら養蚕の部面におきましては、まだ相当上簇関係の合理化とかいろいろございますが、製糸の段階は一応自動化があるところまで進みましたけれども、先の生産性の見通しにつきまして懸念があるわけでございますので、この辺も先ほどの生糸の販売方法と関連いたしまして、製糸につきましては相当徹底した統合なり生産費を落とす強力な指導が要るのではないか。それをいたしませんと、おっしゃるような懸念なしとしないというふうに考えておるわけでございます。ただ糸価水準といたしましては、まだここ当分の間需要の見通しを計数的にはじきました場合、はっきり生産費の向上線とクロスしてしまう、とてもいかぬという見通しではございません。そういうふうに見ております。
○東海林委員 そうすると、いまの問題は結論的に言えば、養蚕の面あるいは製糸の面で非常に改善すべきものを改善していけば、生産費を償うような価格で、国際生糸の価格というものも期待できる、こういうことだということですか。——そこで、もう時間がだんだんなくなりましたので、養蚕関係を終わりたいと思いますが、御承知のように、昔はわれわれの小学校の読本には生糸は輸出の大宗にして、こういうことを書いてあったわけです。生糸だけは原料を外国から買って輸出するというのでなしに、これは出せばそれだけ外貨の獲得ができる。これはいまの国際収支の悪化を防止するなどという点から見ても、もっともっと大きく取り上げられるべきじゃないか。ただ、私は常に率直に申しているのだが、養蚕は地域的に限定されておりまして、国会の論議でも、養蚕問題というと長野、群馬、埼玉、福島くらいはある程度熱意があるが、ほかの方は何だということになるので、とかくそういう点で軽く見られがちなような点がございますけれども、これは決して私どもの地域だけでなしに、国際収支の改善というような面から見ても、やはり非常に重大な問題だと私は思いますので、ぜひひとつがんばっていただきたい。特に農民が安心して養蚕ができるような繭糸の価格安定について、格別な御努力をお願いしたい、これを要望しておきます。 そこで次に、園芸局長に来ていただいておるわけですが、園芸局長さんにただ一点だけお伺いしたいと思います。やはりこれも価格問題です。従来主要農産物については、米麦以外には先ほどから話がありますように需給均衡価格といって、われわれから見ればきわめて不満足な、また実際にもあまり効果のない価格安定方式ですけれども、でも一応あるわけです。ところが選択的拡大としてせっかく太鼓をたたいておる果樹とか蔬菜面について、価格安定の方策がない。タマネギだとかハクサイ、カンラン等については非常に暴落した場合に、相互共済というようなものがこのごろようやくできてきておりますけれども、これは価格安定対策ではなくて、農家の経済に対してなるべく安定さすようにという趣旨でしかない。せっかく園芸局も局にまで昇格したのに、こういうような点ちっともはっきりした対策が出てこないのは、私ども非常にもの足りないのですが、どういうように考えているのか、その点お伺いしたい。
○酒折政府委員 御指摘のとおり、青果物につきましての価格安定対策はきわめて貧弱でございます。現在やっておりますカンラン、タマネギも、価格安定制度からいえば実験的なものとしてやっております。ところが最近の値下がりに対処いたしまして、この状況を見ておりますと、きわめて多くの矛盾点、問題点を持っておるわけであります。そこで現在われわれといたしましては、根本的に果樹なり野菜の価格安定の方策について検討したほうがいいと思ってやっておるわけでございますけれども、特に問題は野菜でございまして、これは御承知のとおり生産農家約五百万、五畝程度の栽培規模を持つものが大部分を占めております。しかも共販体制はきわめて微弱である。そういう条件のもとに一体どうすればいいのだろうかということを、実は私たちまことに頭を悩ましておるわけでございます。しかしこれはむずかしい、むずかしいと言っておったのでは、おしかりを受けるばかりで損ですから、この際ひとつ思い切って積極的な対策を考えてみてはどうかということを内心考えておるわけでございます。そう申しましても、どうせわれわれのことでございますから、常識的なものにだんだんなっていくというふうなことだろうとは私は思っておりますけれども、しかしそれにいたしましても、できるだけ積極的な対策をこの際考えたいということでございます。ただこれには相当な金がかかるということは、もういまから予想できる問題でございまして、その辺のかね合いがございますので、どうすれば最も効率的にやれをかという技術論なり経済論について現在検討中でございます。
○東海林委員 いまお話があったように、確かに蔬菜の価格対策というものは非常にむずかしいと思います。生産量というものが天候によって非常に変動する。しかし政府で選択的拡大として蔬菜も果樹も入れておるのですから、考えておるだけでは済まないのです。それについて責任があると思うのです。そういう意味でぜひやっていただかなければならぬ。最近御承知のように各地で蔬菜の価格安定についての大会なんか開いております。数年前群馬で、りっぱなネギ畑に立て札が立ちまして、どうぞネギを御自由にお持ちください。ただしあまり畑を荒らさぬでください、こういう立て札が立ったのを私は記憶しております。二、三日前、日農の大会が開かれましたが、埼玉の農民代表がネギをたくさん持ってきました。深谷ネギを持ってきた。いま収穫の手間賃もないくらいだから、これはどうせただだから、農林大臣におみやげをたくさん持っていこうということで持ってきた。まことに皮肉な話です。そういうことでは困るのじゃないか。これは確かにむずかしいと思いますけれども、ぜひ何とかしていただかなければならぬ。たとえば今度の予算で、いまの生鮮食料品の市場の改善というようなことが出ておるわけですが、ああいう問題と結びつけましてこの問題も検討さるべきではないか。これは私の一つの思いつきですけれども、ああいうふうに市場規模が整備されてくる、一面主産地形成というようなことで、主要農産物の生産地というものは相当計画栽培ができておるわけです。そういう条件がだんだん出てきておるのです。それと、少なくとも主要な都市における消費量というものは大体わかっておるわけでありますから、今度年間需要量の半量程度のものは予約出荷というようなことにしまして、その分だけについては価格も安定させる、そういうことになりますと、これは生産者だけでなしに、消費者にとっても非常にいいのじゃないか。半量程度のものがそういうふうに安定した価格で確実に入るということになれば、他の半分がいかにそのときの需給関係で動いても、その振幅というものは非常に小さくなるのじゃないか、これは一つの思いつきですけれども、そういうようなことも一つの方法ではないかと思います。ともかくそういう点も含めて、国が奨励する以上、また国民の日常生活にとって重大な問題ですから、そういう消費者、生産者両方の立場から、ぜひこの問題は真剣に検討して、なるべく近い将来において具体的な対案を確立していただきたい、このことを強くお願いしておきたいと思います。 畜産局長が御用でおいでにならぬようですから、参事官でけっこうですが、一つだけお尋ねしたいと思います。 先日大臣にお尋ねしたのですが、ことしの予算書を拝見いたしますと、輸入ふすまの予定価格がキロ当たり六百四十円ということで、昨年の六百十七円に比べて二十三円上がっておるし、専増産ふすまは六百六十五円ということで、昨年に比べて四十八円上がっておるわけです。飼料需給安定法によりましても、政府の売り渡し価格というものは原価によらずに、畜産経営の安定を目的としてきめるというふうにきまっておりますし、私は飼料という問題、特に輸入ふすまの飼料の中に占める地位から見て、この価格問題はきわめて重要だと思います。 それからもう一つは、先日も指摘したのですが、政府は一般の消費者物価の騰貴を抑制するという意味からして、公共料金や政府で規制し得る物価を上げないということを約束されている。大臣は、ふすまは規制し得る物価ではないのだ、こういうようなことですが、政府が規制する物価どころか、これは政府自身が売る価格ですね。なおまたこの飼料需給安定法に関連して、大臣は競争入札をすることもあるのだということを言っておりますが、しかし、この規定には何も競争入札しなければならぬとは書いてないわけです。指名の方法でもよい。それからほかの随意契約でもいいというような規定であります。それからまた会計を見ても、赤字が出た場合には一般会計からこれを補てんするというたてまえになっている。どう考えてもこの際輸入ふすまみたいなものを上げるということは、政策としても非常な間違いだ。また政府のこれまでの公約と非常に違うということを私は考えざるを得ないわけです。最近は、御承知のように選択的拡大のトップということになっている酪農が、もうそろそろ飼育頭数も減るというような形も出ている。農林省の統計を見ましても、昨年十月の月間の成牛の屠殺頭数なんかは、前年の同期に比べて五割もふえている。群馬なんかは特に気が短いせいか激しいのでありまして、五倍ぐらいふえております。こういう状態にあるときにふすまの値段を、政府みずから自分で売る値段を上げるということは、何としても納得できないのですがね。私はこの間予算委員会で質問して時間がなかったけれども、実は与党の委員からももっとやれもっとやれというような応援のことばが出るぐらい、この問題は与野党を問わず、きわめて重大な関心を持たなければならぬ問題だと思います。これは酪農民としては問題です。そういう点、どういうことか私にはわからないのですが、もう少し説明してもらいたい。
○吉岡説明員 えさの問題は、畜産の振興の上に非常に大きなウェートを占めておるということは、私がここでいまさら申し上げる必要もないほど、特に東海林先生はよく御存じだと思いますが、実は三十九年度の予算におきましては、先ほど御質問になりましたように、輸入ふすまにつきましては、現行三十八年度六百十七円としておりましたのを六百四十円にしたわけでございます。また専増産ふすまにつきましては六百十七円としておりましたのを六百六十五円、麦価を織り込む価格にしたわけであります。この理由について御説明申し上げますと、飼料需給安定法によりまして売却の値段をどうするかということも関連するわけでございますが、私たちが考えておりますのは、他のえさの価格と一応均衡のとれた価格、そういうようにするということが、最も妥当であろうというふうに考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、ふすまの価格は昭和三十七年十月から三十八年九月までの海外からの輸入のえさの価格が非常に高騰する前の平常的な時期をとりまして、そのときの大豆かすとトウモロコシの値段とを基準として、同程度の飼料成分は同価格、同じようなえさの価値を持っているものは同じ価格である、私たちはこれをピーターソン方式と言っておりますが、前の例に準じてピーターソン方式によりまして一応六百四十円、こういうように算定したわけでございます。それから専増産ふすまにつきましては、ふすまの需要の急増、そういう事態に対処するものでございまして、これは六〇%ということになっております。これを先ほどのピーターソン方式ではじきますと七百七円、こういうことでございますが、これはえさの値段でございますので大幅に上げるのはどうかと思いまして、一応六百六十五円にしておるわけでございます。ふすまにつきましてどのような値段にするか、これはいろいろな計算のしかたもあるわけでございますが、各畜産物の価格パリティの方式なりいろいろございますが、そういうような方式で算定いたしましても、現在の六百四十円ないし六百六十五円というよりはむしろ高目になる、それより値が上がる、そういうような計算も一応出ております。私たちが考えておりますえさの値段というものは、それぞれのえさの成分に合わせまして、均衡がとれておるということが最も必要であり、またこれが現在の飼料需給安定法で規定しておる市価にかかわらず、畜産の再生産をもう少し上げるというもののきめ方であろう、そういうように考えておるわけでございます。それから政府公共料金との関係でございますが、政府公共料金の範囲というものは、限界をどうつけるかというのがなかなかむずかしい問題でございますが、一応それは畜産局といたしましては飼料価格を規制しておる、そういうものでない飼料需給安定法によっておる予算の価格は、公共料金でないというように政府部内の意見の統一をいたしておるわけでございます。
○東海林委員 農林省の悪い癖は、よく高等数学の計算だとか、ピーターソン式だとか、耳なれないことばを言うが、農民にもさっぱりわからない、われわれにもわからないことばなんです。いまもちょっと話がありましたが、飼料需給安定法の第五条に価格のことが書いてあるが、そこにピーターソン方式なんということはちっとも書いてないし、どういう計算をやれということも書いてない。「原価にかかわらず、」ということが書いてあるし、「畜産業の経営を安定せしめることを旨として定める。」ということをちゃんと書いてある。会計的にも赤字が出たら一般会計から補てんするという道も講じてある。にもかかわらず、さっき私が言うように、成牛の屠殺が前年の同期に比べて五倍もふえておるという事態に対して何ら考えず、ただ計算機のかわりに手を動かしましたらそういう数字になりましたということで、畜産の振興、特に政府が中心になって指導しておる酪農とか養豚の振興ができると畜産局は考えておるのかどうか。頭が変ではないかと、私はそこまで言いたいのです。 それからこれは政府の規制する価格でないとか言われるが、タクシー料金だとか電気料金まで規制しておる。これは政府自身が売るのですよ。ほかの人の価格を政府が規制するのではなくて、政府が自分で売る価格ですよ。それは観念的に規制する価格ではないということは、あるいは理屈であるかもしれません。しかしそれよりも逆に上げてはならない自分で売る価格ですよ。そんな形式論で計算機のかわりを畜産局がやっていって、それでけっこうなような顔をしておるのでは、これは畜産局信頼できないのですよ。ピーターソン方式というものを何か金科玉条のように皆さんがおっしゃるのは——飼料需給安定法の価格に関する規定を見てごらんなさい。どこにもそんな考え方はない。これはどうしてもいまのような説明では納得できない。この間の大臣の説明でも納得できないが、特に実際に仕事を担当しておる皆さんがそんな考えでやっておられたのでは、ほんとうに畜産の振興というものは、絵にかいたもちどころか、こんなことでははなはだ迷惑だと思うのです。いまの自分たちの考え方が間違っておるというふうに思われないか、そこら辺はどうですか。
○吉岡説明員 飼料需給安定法の性格なり価格のきめ方につきましては、一応原価にかかわらず、畜産の再生産を旨とする、そういうように書いてございます。そこでそれを現実に計算の上に他のえさの価格との関連を持って、どのようにはじくかということが問題であろうかと思います。そこで「原価にかかわらず、」という点は確かにそのとおりでございまして、三十八年度の予算におきましても一応三十五億、三十九年度におきましても三十六億という赤字を計上しておるわけであります。これは主として海外から輸入するふすまと、専増産のふすまをつくるための小麦を売却するのと、特に三十九年度からふえました大麦を売却するための赤字でございます。そういう意味におきましては、私たちも財政の許す限り赤字を補てんをしていく、そういうような考えに立っております。その意味におきまして、えさの価格というものが安定的な方向でいくということにつきましては、私たちも終始その方向でやっておるわけでございますが、ただ問題はその飼料需給安定法の性格でございますが、これは長期的な価格の趨勢というものに対して、これをどのように運営するかという問題につきましては、これはなかなか問題がございます。御承知のように現在のえさの輸入量というものは、三十九年度で一応推算いたしますと、五百万トンをこえるということでございます。そしてその大半は、三百六、七十万トンは、トウモロコシとマイロになろうかと推定いたしておるわけでございます。そしてこれは御承知のように自動承認制、AA物資として一応入ってくるわけでございます。三十八年度では政府が管理操作します飼料の量というものは百八万トン、要するに百中万トン前後でございまして、このうちの二割程度。それから三十九年度につきましても、百四、五十万トンのものを政府が操作をする、そういう仕組みになっておるわけでございます。そういう意味におきまして、飼料需給安定法というものの性格は、やはり全体の五百万トンの中において、調整的な補完的な性格というものが相当あるのではないか、こういうように考えておるわけでございます。これは全量政府が管理してどうするというような全体の仕組みになっておりません。そういう意味におきまして、私たちは、政府が売るえさの価格というものは、飼料というものが代替関係がある限りは、やはり全体の価格の中で一つのバランスがとれた価格でないと、かえって全体の需要と供給とのバランスがくずれるのではないか。そういう意味におきまして、同質の価値の飼料は同種の価格を持つ、そういうような方法で計算をする、それを私たちは均衡のとれた価格である、そういうように考えております。そういう意味におきまして、私たちは今回の価格——計算機ではないか、そういうおしかり、確かに痛いわけでございますが、そういうような全体の中において均衡のとれた価格、そういうような観点に立って、私たちは現在の三十九年度の価格が妥当なものである、そういうように考えておるわけであります。
○東海林委員 私はいまの答弁は非常に不満なんです。トウモロコシやマイロが高いからふすまも高くするのだ、簡単に言えばあなたの答弁はそうでしょう。それで一体政府の奨励している乳牛や畜産の振興ができると考えているのですか。ほかのえさが高いからそれに均衡をとれるようにふすまもみな上げるのだ。私どもから言わせれば、トウモロコシの値段は高い、マイロも高いから、何とかこれを安くして、畜産が安定するように考えるのが畜産局のたてまえだ。さしあたってトウモロコシやマイロに及ばなくても、その中で二割か二割五分かしらぬけれども、せめてふすまだけは下げたい、こう考えるのが畜産局の考えでなければならないと思うのです。農林省はそういう努力をしたが、残念ながら力足らずして大蔵省に押し切られましたと頭を下げるなら、これはあきらめ方の問題はあるけれども、ほかの飼料が高いから、それに均衡がとれるようにふすまの値段も上げるのだ、こういう説明では、これは畜産振興を担当する畜産局の考え方として、全然なっておらないと思うのですが、どうですか。これは参事官に聞いてもしようがないのですが政務次官、いまの質疑を聞いておられて、どういう感じを持たれますか。
○丹羽政府委員 ただいままでのお尋ね、また事務当局からお答えしておるのを聞いておりまして、私は政治家として率直に申し上げますると、なるほど政府は低物価政策をとっておる、公共料金は上げないように努力をしておる。お話のありましたように地方のバス、水道、電気、こういうものに対してでも、直接政府が手をかけてないものでも、国民の直接の生活に大きな影響のある公共料金等と考えられるようなものについては、お説のような処置をとっておるやさきであります。そういうときにこの飼料が公共料金であるとかないとかいう論議は論議といたしまして、それはそれとして、政治家として考えることは、政府も低物価政策を打ち出しておるときであり、しかも畜産物の振興をはかるためには、何と言っても価格の定安と生産費を安くしていかなければならぬ。飼料も安いのは当然のことであります。 〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕 そこでいろいろ考え方はあろうが、お説のように他のものは高くなっておるのだから、それにあわせて払い下げするものを高くしていくという説明では、これは私としてもどうかと思うのです。率直に申し上げてどうかと思う。しかしいろいろ事情があって、御納得のできる説明ができぬのだろうと思いますので、私のほうとしては、私どもが受ける感じ、聞いておる気持ちなどから考えましても、これは政府の考え方とは相反するものに近い結果になっておる。しかしそれをどうしてもやらなければならぬというのなら、筋立った説明を申し上げなければならぬと思います。もう少し事務当局のほうで検討を加えまして、どうしても御納得を願わなければならぬ、また御承認を願わなくてはならぬことになりますならば、それのできるような説明をひとつさせていただくことにいたしたいと思います。
○東海林委員 局長もおられないので、非常に参事官に迷惑だったと思うのですが、それでこれはお願いです。いま私どもが議論をしておる六百四十円とか六百五十五円というのは予算価格ですから、実施の面においてぜひ考えていただきたいと思うのですが、幸い飼料の勘定には六十億という予備費が上がっておるわけです。三十六億の一般会計からの繰り入れがあるわけですけれども、一面予備費に六十億というものを計上されておるわけです。この六十億円についてはいろいろ世間に憶測もあるようですが、そういうものではなしに、いまのように輸入ふすまの値段を上げない、むしろ下げる、そういう方向で努力されて、赤字がふえていく分はその六十億の予備費を活用すれば、私はこの予算でも何とかそこに打開策もあるのではないかというふうに考えるわけです。ぜひそういう点を含めて、農林当局の最大の善処を要望しまして、以上でもって私の質問を終わらせていただきます。
○谷垣委員長代理 長谷川四郎君。
○長谷川(四)委員 園芸局長に伺いますが、園芸局を農林省に新たに設けなければならなくなってきた、したがって、輿望にこたえて設けた。さてその園芸局の最も大きな使命は何だろう。こういうことをまず一つお伺いしてみたいと思います。
○酒折政府委員 園芸局の所管を物資の面から申しますと、果樹、蔬菜、それからいわゆる特用作物、この三つでありまして、いわば今後の選択的拡大という方向に即した品物が多くその中に含まれておるわけでございます。そこでこれらのものは、農林省として従来比較的政策面において片すみに追いやられておったような気もいたしますので、この際そういう選択的拡大の方向に即して、ひとつ積極的な施策を講じていきたいというふうな考え方のもとに、園芸局はできたものであると考えております。
○長谷川(四)委員 そのとおりでよろしいとは思います。しかし、御承知のように国民の生活というものが日に増し向上していっておる。それに伴うべきものはただ食糧のみでものが解決できるものではない。食糧というものは三つの柱の一つであるけれども、人間という人類が生活をしていく。その生活が向上し、その文化に伴ったものがなければならないはずだ。私、この間花の市場へ行ってみたのですが、市場が非常に狭隘なために、市場の中に入ってきてから、私の目で見て三〇%くらいのむだがありはしないかと思う。そうするとあれを一本一本奨励し、そうして一つの大きな目的のもとにつくられて、そうして輸送してきたものが、せっかく東京の市場まで運賃を払ってきてむだが多くなっていくということになれば、最末端の消費価格のほうへ、当然その分がかけられていかなければならないことになるわけです。国民の生活は、これらと切り離した生活というものは絶対あり得ない。現在農業地帯を回って歩いてみてもわかりますように、農民が大自然を相手にして、毎日畑で生活をしている人が、家庭に帰って、一つの植木ばち、一つの花器に花をいけて、そうしてその家庭の潤いをしめしておる。こういうような現実の上に立って、何かお考えになっていることはありますか。狭隘だから、これを何とか方法を考えなければならないだろう。もっと国民全体が要望しておるものの解決をつけたならば、一般の大衆にももっと簡単に安く手に入る。そういう方法を何か考えてやらなければならない。それが指導機関でなくてはならないと思いますが、そういう点はどうでしょう。
○酒折政府委員 だんだん経済が伸びまして、生活の面も余裕ができてきますと、花等に関する関心が高まってまいりまして、最近特にその傾向が強いようになっております。われわれといたしましても、従来ほとんど花の問題はタッチしておりませんでしたが、最近ある程度これには力を入れる方向を打ち出す必要があるということで、たとえば段ボールの輸送試験というものをやっております。また来年度予算については、花の取引情報事業をやろう、そういうふうなことを考えております。それで御指摘の市場の問題につきましても、至急検討する必要があるであろうということでございますが、実はこの花の前と言うとちょっと語弊がありますけれども、野菜につきまして、中央卸売り市場以外のいわゆる地方市場というものが相当あると思います。これについて一体農林省はどうするのだという問題が、非常に最近議論されております。それに対しましてわれわれといたしましては、従来地方市場は道都府県の監督のもとにゆだねまして、ほとんど農林省としてはノータッチであった。しかしこれもまたやはりいわゆる国民の生活面、あるいは生産者の立場から見まして、中央市場と特に区別してやることが不適当であると思われる部面もたくさんあるわけです。そこで地方市場についてどうすべきかという問題をいま検討しつつあるわけでございますけれども、それとあわせまして、花の市場の問題についても現在ある程度調査もやっておりますし、今後の対策も検討していきたい、そう考えておるのであります。
○長谷川(四)委員 現在近代化、構造改善が唱えられておるが、一足地方へ出てみればわかるように、長年花づくりというか、園芸というものについて、農民が関心を持って進められておるという現実もお考えにならなければならぬと思う。ただ農林省だからといって、食うものはもちろん必要だろうけれども、食うものだけでは困る。たとえば香水と人間の生活とは何にも関係がない。香水、化粧品はやはり生活程度に伴って、あなた方の御努力によって国民生活が高まっていけばいくだけ、その必要性というものが高まってくる。同じことであって、要は花というものが、今日はただ単に高ねの花だというお考え方であってはならないから、私は一言申し上げているのです。たとえばそれに対する輸送についても、いまお話が出ましたから申し上げるのですが、段ボールもあまりまちまち過ぎるから、運ばれてきたものが片方は一メートル、片方は一・五メートルあるとか違っておる。あるいは小さいものにしても、輸送するものの規格をつくるべきだと思うのです。そうすれば、いたみというものも当然その中から幾らか減少することができる。ですから、輸送する箱の段ボールの規格をまず考えてやるべきである。この規格でなくてはならないのだ、花としてはそうでなければ東京の市場へ送ってはならないのだ、こういうようになってくれば、そこらの市場へ行ってみても、あれだけの大きなむだが出てくることはないと思う。行ってごらんなさい。非常なむだです。あれだけのむだが出れば、全部消費者にかけなければならぬ。はなはだしいのは三〇%のむだです。こういうようなものを業者が消費者にその分だけ安くしてやれば普及する。いま花が非常に高い。こんなに高い花は買いたくても買えない。それを買えるような、与えられるような方途を考えてやるところに、園芸がますます発展性が出てくるのじゃないかということを、この間しみじみと感じて見てきましたから、そういう点について特別な御考慮をお願い申し上げたいと思います。 きょうは時間だから長い話はしていられないが、蚕糸局長さんにちょっと……。とにかく四百六十七人いる中で代表的におとなしい東海林さんの質問だから、ごくやわらかいようにお考えになっておるけれども、蚕糸の問題はもう少しお考えになっていいじゃないですか。あなたの御答弁を聞いていても、ごもっとものようには考えられるけれども、答弁だけでは済まないじゃないか。現在農民は繭を高く売りたい、糸を高く売りたいという考え方は毛頭持っておりません。つくれば売れるのだという安定をさせてくれないかというのが、生産者の声ですよ。さっきもお話があったように、再び四千五百円になったり、また二千円台になったということでは、輸出ができるわけはないじゃないですか。日本の輸出の一番隘路になっておるのは、価格の高低があり過ぎる。なかんずくその標本みたいなのは生糸じゃないですか。だから、こういう点に対してもっと安定をして、幾らつくってもこれだけのものなら売れるのだという価格を、一日も早く考えてやることが振興策だと思う。ぜひともそういう考え方に立って、養蚕の振興をやってもらいたい。世界各国で人類がいま三十四億いる。この人口の中で、シルクを着たくないという方があると思いますか。三十四億の人間は全部シルクを身につけたい、これが一人残らずの気持ちですよ。しかしながら、残念ながら天然資源には限度がある。限度があるから着られないだけです。これだけの者に着せようといっても着せられない。そういうようにひとしく着たいのだけれども、それを与えることができない。できないから化学繊維というものが出てきている。その化学繊維に全部満足しているか、合成繊維に満足しているかというと、決して満足しているのじゃないです。ですから生糸だって、今後価格の安定がつきさえすれば、幾らつくっても幾らでも海外には出ていけると思う。いろいろあなた方もずいぶん調べておるでしょうが、イタリアがどうとか、あるいはフランスがどうといってみても、イタリアの生糸は日本から出したもので、イタリアまでいって、それが再生産されて、新たにまた加工されたものが各地に出ていっている姿を見てもわかるように、シナがどうだとか、朝鮮で繭をつくり始めたからどうだとかといってみても、ちっともそんなに驚くことも何もないじゃないですか。中共で繭をつくったから、そのあおりを食ってこちらがどうでこうで、フランスで今度やるという計画を立てたからどうだ、そんなことに驚くことはちっともないと思う。日本人だけの技術と、これだけの歴史の上に立った技術を持っている業者というか、農民というものは全世界の中におりませんよ。あなた方のほうでもう少し考えて思い切ってやるならば、たとえば三眠の上簇から上を自動的にやるのだ。三眠までやる。三眠から上をあなたのほうでコンベヤーで運んでいく。いよいよズになったら、それが自動的に今度は蚕が繭になっていくのだということになって、その繭を機械でもってとっていくのだ。こんなことをやるなんて、ちっともむずかしいことも何でもないことだ。もう少し国が真剣に考えて、そして科学的な方法を考えてやりさえするならば、技術的に考えてやるならば、これこそ何でもない簡単なことですよ。人間の力で宇宙を征服しているのですぞ。いま月の世界へ人間が飛んでいくのですぜ。三眠になってからあとの期間が一週間だ。これがコンベヤーでめしを食わせて、それが自動的に上族できないということが考えられないはずがないじゃないですか。人間というものが宇宙を征服する。これだけの科学でもってやっているのに、そんなことができないことはない。できないのではなくて、それをさせないのではないか。あなた方のほうで説明もさることながら、もう少し真剣味を持って大蔵省に、こういう研究をここまできたのだから、これをなすべきだとするようなことで、大蔵省に折衝等をしていただくことができるならば、あなた方でできないならばわれわれ幾らでもこんなにたくさんいるのですよ。あなた方が考え出してくれなければ、われわれは折衝できないけれども、あなた方がやってくれるならば、幾らでもわれわれはあなた方の御期待に沿うような方向に努力を傾けることができると思う。ですからそういうふうな点についてもう少し養蚕の面も考えてやる必要があると思う。さっきのお話の中にごもっともだと思って聞いたのは、何でも農林省の反対をやりさえすれば農民はもうかるのだ、そんなばかなことはないじゃないですか。そんなら農林省なんて必要ないじゃないか。さっきの話ではないが、畜産の問題のふすまと同じように、農林省なんというものは要らないじゃないかということになってしまう。われわれは農林省の必要性を認め、そうして農林省の指導によって全農民をして、九千万の国民がすみやかに生活ができるような方途を切り開いてもらいたいということが、われわれの念願である。それをしていくのが私たちの政治家としてやっておるわれわれの役目なんだ。どうかそういう点についてわれわれも大いに努力をさせてもらいたいと思うので、局長さんも思い切った方途を切り開いてもらいたい。一言申し上げてこれで終わります。
○久宗政府委員 御激励をいただきまして、まことにありがたいと存じております。いろいろな可能性がありながらそれが結集できないということは、まことにじくじたる気持ちでございますが、私どもといたしましても六月以降重大な危機でございますので、つとめていろいろな問題と取り組んでいきたいと思います。
○谷垣委員長代理 次会は来たる二十五日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十五分散会