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46回国会衆議院1964/03/03

内閣委員会 第5号

発言数
44
登壇者
7
会派数
3
開催日
1964/03/03

会議録

綱島正興自由民主党

○綱島委員長 これより会議を開きます。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を継続いたします。質疑の申し出がございますので、これを許します。田口誠治君。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 いま言われておるように、定員がなかなかこのごろやかましくなりまして、正常な運営をするということで、非常にそういう点を社会党としても重要視して、理事がオーケーと言っても、今度だれか回って見にきて、そうして自民党さんのほうの委員の少ない場合には、理事がつるし上げを食うということになります。そういうことから開会するということになりましたので、ひとつ委員の方は、開会したからいいからといって出ていかないように、また出ておいでにならない方も出ていただくように、委員長のほうからも催促をお願いをいたします。  そこで、私は主としてこの設置法の改正で、課、事務所の新設の関係についての関連した問題について申し上げたいと思うわけです。先日の委員会におきまして、教科書無償給与の拡充に伴う教科書給与課の新設の問題については、若干村山委員のほうから質問をされて、そして課員がわずか四名くらいではどうもならぬじゃないか、その程度ならあまり課を新設する必要もないのではないか、こういうようなことを主に質問をされたわけでございまするが、私もその点についてちょっとお伺いをいたしたいと思いますることは、主としてこの四名の方はどういうようなお仕事をするために課を新設されるのかということ、もちろんこれは無償給与に対していろいろな事務処理関係があることであろうから、その面で主として事務をされるのであろうけれども、ただ四名程度くらいで課を新設するということもおかしいので、もう少し、この間村山先生の質問に回答なさった以外に補充する面について、ひとつ承りたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 先般の委員会におきましても概要を申し上げましたのでございますが、現在教科書課で取り扱っております仕事といたしましては、教科書の発行に関する仕事だとかあるいはまた検定に関する仕事だとか、現在の教科書の発行に関する臨時措置法並びに昨年制定していただきました教科書の無償措置に関する法律等に基ずく仕事を取り扱っているわけでございます。現在教科書調査官四十名を除きますと、事務系統は約三十人でございます。今後、教科書の無償措置に関連する仕事が、相当ふえてまいります。たとえば三十九年度におきましては、三十八年度に比較いたしまして、無償給与いたします児童の範囲もかなり——ことしは一年生だけでありますが、来年三十九年度は三年生まで、さらに四十年は五年生までというように拡大されていくわけでございます。したがって、三十九年度の事務といたしましては、そういう児童数の拡大に伴います仕事というものが、かなりふえるわけでございます。また、教科書の購入、契約あるいは供給等に関します仕事も、ここで扱うわけでございます。また定価も決定されるわけでございますので、定価の決定等に関連します仕事も、かなりふえてまいります。そういった関係の新しくふえます無償関係の仕事をいたします人員といたしましては、わずかに四名でございますので、私どもとしては、この四名の人員でもってできる限り効率的に事務を運営していきたいという趣旨から、この前も申し上げましたように、現在の約三十名の事務系統の職員を分かちまして、この四名にプラス約十五名を、現在担当いたしております職員の中から十五名ばかりさきまして、そして約十九名で無償措置の関係の仕事をする一課を創設したい、こういう趣旨でございます。したがいまして、四名は新しく課を創設いたしましたので、課長と課長補佐、そのほかに事務職員二名、そういうことになっているのでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 私、内容に入ってお伺いをいたしたいと思いまするが、最近この教科書の検定ということが、なかなか問題になっておりまするし、これを重要な問題として文部省としても取り扱っておられるわけです。この検定のしかたは、たとえば社会の初等の六年生の場合にはこういうような内容のものを載せるんだというようなことを、一つの審議会なり、また今度できる課の全体会議式なところで検討してなさるのか、それともやはり局長が考えておられることをそのまま課長を通じて検定する方法をとられるのか、ちょっとその検定のしかたについてお伺いをいたしたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 教科書の検定に関します事務の進め方でございますが、検定図書の申請が出てまいりますと、私どもとしては、現在、現場の先生などに依頼をいたしまして——調査員と申しまして、教科書の調査員、その調査員の方々にその申請された原稿を見ていただくわけでございます。そうして一つの教科書について大体三人ぐらいが調査に当たっておりますが、その三人の調査員から調査した結果を出していただく。その出してもらいました結果を、さらに文部省の教科書課に配置しております四十名の調査官、これはそれぞれ専門の各教科ごとに担当いたし、その教科ごとの教科書調査官にさらに詳細に調査をしてもらいまして、その意見を付して、文部大臣の諮問機関でございます教科用図書検定調査審議会というのがございます。その検定審議会に諮問をいたしまして、その検定をパスさせてよろしいかどうかという意味の諮問をいたしまして、その検定審議会でよろしいということになりますと、文部大臣としてはそのままそれをパスさせる。それからこれは不可であるという場合におきましては、これはパスさせない。その検定に合格するかどうかということは、調査員、調査官の調査の結果に基づきまして、それを検定審議会で審議をしましたその結論によってこれを処理するわけでございます。ただいまお述べになりましたおことばの中に、私どもが具体的に何かその教科書の検定についてするかというお話のようでございましたが、いま申しましたような筋道で検定が行なわれている現行のやり方は、この教科書の課ができましても、全く従来と同じやり方をするわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 答弁をお聞きいたしますと、事務の進め方としては、一応民主的なルールにのっとって検定をされるように承るわけです。  そこで、こまかいところに入って失礼ですけれども、この調査員の現場の先生というのは、教鞭をとっておられる先生を三名指定するのか。それともそうした関係に有能な方を調査員として別に指名して、それだけの職務をさしてあるのか。その辺はどうですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 調査員は、現場の学校の先生でございます。指導主事も若干入っておると思いますけれども、大部分は、現場の先生に全国的に委嘱申し上げるということになっております。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 そこでこういうような民主的なルールをたどって検定されるということになりますれば、その内容について非常に私疑義が出てくるわけでございます。御承知のとおり、日本の国だけは戦争はやらない、戦力は持たないという憲法を持っております。それを基調としてあらゆる政治が行なわれています。特にそういう点を重要な点として文部行政はとられなければならないと思います。そこで戦後発行しておりました教科書と、最近の検定をするようになってからの教科書と、内容的に相当相違が出てきておるわけなんです。私は、いまここに教科書を持っておりませんので、読み上げて比較はいたしませんけれども、たとえて言うなれば、日清、日露の戦争があった。この場合には、指導要領の中に確実に、これは侵略であったというような内容のことが示されております。ところが、最近のものはどうかといえば、そうした戦いのあとに、日本が大陸に大きな力を伸ばして国の発展になったんだというようにとられる書き方がなされておるわけなんです。こうなりますと、この検定をするようになってから、一つの問題を取り上げても、思想的に左右するようなことになりかねないということなんです。私が申し上げるまでもなく、先生が子供に教える教科書、その他質問に答えることも、全く中立的な立場でそのままを教えなくてはなりませんけれども、現在の場合は、児童から質問をされても、どうも教科書に書いてあることと実際社会にあることが相違しておるので、先生が非常に苦慮して、そうしてどちらかといえば偽りのあるような回答をしなければならないというようなことも出てきておるのでございますので、私は、こういうような点については、単なる審議会とか、また調査員が目を入れただけでなしに、文部省としては、そのことがほんとうに正しいかどうかということを判断をされて、そうして出版社に許可をされることが妥当であろうと思うわけなんです。それで私は、ただいまの御答弁を聞く前までは、どちらかといえば、審議会なり調査員の方が結論を出されたものを、一つの思想の上に立って、まあ、文部大臣がこういう点まで目を通されるかどうかはわかりませんけれども、局長の線のところまででしょうが、やはりそれを曲げた出版社への支持をしておられるのじゃないか、こういうような疑念を抱いて質問をいたしておったのですが、ただいまの答弁では、そうではないということがわかりましたけれども、前段に申しましたようなことが、検定前と後とやはり教科書にあらわれておりますので、こういう点についてどういうように考えられ、また計らっておられるのか、ひとつその点を承りたいと思うわけです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 ただいま御質問のありました点について誤解のないように申し上げておきたいと思いますのは、先ほど検定の仕組みを申し上げたのでありますが、この教科書を検定するにあたりましては、もちろん学校教育においてどういう内容のものを教師として教えるかという問題につきましては、学校教育法の定めるところによりまして、学習指導要領というものを文部大臣が定めておるわけでございます。その学習指導要領は、検定審議会とは別個に、教育課程審議会あるいは教材等調査会等、多くの学識経験者を入れました審議会、調査会でこれがきまって、そのきめられた指導要領が基準となって学校教育の内容になっておるわけでございます。したがいまして、そういうやり方をとっておりますが、終戦直後あたり進駐軍の指導の非常に強かった時代におきましては、あるいは過去の日本が経験しました戦争等の扱いにつきましても、進駐軍の指導によっていろいろの解釈が行なわれておったかもわかりませんけれども、現在の学校教育、特に小中学校におきましては、昭和三十三年以来、新しい学習指導要領を基準にして教育は行なわれているわけでございます。この中では、もちろんたとえば中学校の学習指導要領を一例にとりますと、この日清、日露戦争の扱いなどにつきましても、当時わが国の地位がどのように向上しつつあったかを理解させる、そういう観点から、日清、日露戦争の扱いを指導要領としては教育的な配慮のもとに扱うということがきめられておるわけでございます。したがって、各教科書会社は、この指導要領に準拠した教科書をつくるべく原稿を依頼して、著作者が書いた原稿ができ上がりますと、その教科書というものを検定に申請してくるわけでございます。したがって、このもとは学習指導要領になるわけでございます。決していままでの扱いと特段変わったということではございませんが、学校教育の場においての扱い方というものは、現在においては、いま申し上げましたような当時の複雑な国際関係の中での政治的、経済的あるいは文化的ないろいろな発展等を考えまして、わが国の地位をどういうぐあいに理解していくかという点に十分力点を置いて、指導要領としては扱っておるわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 指導要領の面については何ら従来と変わっておらないということを答弁されたわけですが、教科書の書き方はやはり完全に変わっておるのですね。教科書の書き方は完全に変わっておるが、指導要領も、私が先ほど指摘をいたしました日清、日露の戦争は侵略であったというようなことに完全になっておったものが、そのまま手を加えられておらないかどうかといえば、指導要領についてはやはり手が加えられておるのであって、私は、そういう点についてどうも途中で教育のしかたが変わってきたというように解釈をしておるわけなんです。もう一回その点を明確にしてもらいたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 指導要領が変わらないと申し上げたつもりはないのでございます。指導要領は、戦後何回も改訂をされております。現行の指導要領になるまでには数回の改訂を施しまして、現在の学校教育の中で、国民として実際に適合するような教育を行なうというたてまえで指導要領ができておるわけであります。したがって、終戦直後あたりにできましたそういう教科の内容とは、変わってきていることは事実でございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 こまかくこれを掘り下げて質問するとずいぶん長くなりますから、この点について私の意見を申し上げたいと思いますが、いずれにいたしましても、一つの子供を教育する指導的な教科書というものが、日本の平和憲法にのっとって当初できたものが大きくゆがめられておるというように私どもは解釈をいたしておるのであって、そういうことは絶対にあってはならないと思うので、その点については、これは文部大臣は、将来の文部行政を含めて、やはり平和憲法、教育基本法、学校教育をそういうものにのっとって完全にするんだ。また、それについて何か疑義がございますれば意見を述べていただいてもいいのですが、この点をやはり明確にしておいていただいて、私はこの課の新設を認めていかなくてはならぬと思うのです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 学習指導要領を中心にいたしまして、教科書の編さんが行なわれるわけであります。学習指導要領の趣旨に反したものは、検定上認めるわけにはまいらないのであります。この学習指導要領につきましては、ただいま局長からお答え申し上げましたように、終戦後数回改訂を加えられております。最近のものは、独立を回復して後の日本の立場におきまして、学習指導要領を改訂したつもりでございます。しかし、何にいたしましても、教育の基本は、新しい憲法並びにそれに基づいてつくられております教育基本法の趣旨にのっとって教育を進めていくということに、何の変わりもないつもりでございます。将来ともにその精神でもって教育行政を運営してまいりたいと思っております。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 大臣の答弁どおりに事を進められることは当然のことであって、私はそれなれば異議がございませんけれども、実際問題として問題が起きておりまするので、私は、その問題を一々ここで取り上げると長くなりますから、質問はやりませんが、やはり大臣のいま御答弁の内容をそのまま行政の上に生かしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  そこで私は、その矛盾の点で現場の先生が困っておられることを申し上げて、それに対してお答えをいただきたいと思うのですが、いずれにいたしましても、従来これこれの戦争というのがあった。ところが戦争は悪いんだ、いけないんだ、そして日本は戦争はしないようになっておるんだ、こういう教えを先生がするわけなんです。そうすると、生徒のほうからは、それでは自衛隊はどうしてあるんだ、こういう質問があるらしいのです。そこで先生が非常にその一貫しておらない点から苦慮されて、先生によっては、自衛隊は災害とか内乱とか、そういうようなときに備えてあるのであって、大きな伊勢湾台風のような災害のあったときには、自衛隊を動員して災害を防ぐ、こういうようなことに自衛隊を使うようになっておるんだといって、親が子供もいいかげんになだめるような回答をしますると、そうすると、それじゃ戦闘機はどうしてあるんだ。ここまで子供が質問をしてくると、先生がいまの教科書に載っておる内容を教えて、質問を受けるのに非常に困ると言われるのです。事実こういうことがあるわけなんです。それで私は、実際にただいま申したように、自衛隊が災害対策にも大きに役立つようにできておるんだとか、もし日本に内乱が起きたときには、これはやはりいまの警察だけの力ではなかなか手に負えないから、それで自衛隊というものはできたんだが、もとは自衛隊を警察予備隊といっておったんだ、こういうことろまで話して上手にそういう点を教え込もうとしても、次から次へ出てくる質問に対して答えていくと、さて戦争はやってはいけないのだということ、戦争は悪いのだということ、このことが教科書に書いてあることと一貫して教えることができぬということで先生方が非常に困っておられるわけなんですが、こういう点について、文部省としては、いままで耳に入れられておるのかどうかということと、そうして入れられておらないとするなれば、いま初耳だとすれば、こういうような実態が現場の学校には事実あるわけなんですから、それを今後どうするかということを、ひとつ局長さんのほうからお答えをいただきたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私どもとしては、そういう御指摘のような話もあるやに聞いておりますが、そう多くの先生方がそういう問題について困っているというのは、考えていないわけでございます。現在の自衛隊は、もちろん国土を守るために法律でもって設置された自衛隊でございますから、法律の趣旨に従った活動というものは当然あるわけでございます。その限りにおいては、教科書において自衛隊の活動あるいは任務というものを当然取り扱うべきだと考えております。一部の教科書では、そういうことも書いておるかと思いますが、したがって、学校の教育の場において、自衛隊の任務なりあるいは活動というものを、先生がそのとおりに教えて、少しも悪いことはないと思います。また、災害などの場合に非常に大きな活躍をしておりますことも、これは事実でございますから、そういう災害の際の救助作業などの活動状態についても教えることは、これはけっこうだと思っております。いま御指摘のありましたような点でもし不安があるといたしますると、学習指導要領の中でも、過去の戦争などの扱いについて、特に戦争の惨害と申しますか、そういうものについては、やはり事実は事実として教えろというような扱いをしておるわけでございます。また、日本の憲法が平和主義を目的にいたしておりますから、平和的な国土の建設という面から、学校教育ではいろいろ取り扱っておると思います。しかし、それと自衛隊とは矛盾をいたさないと私どもは考えておるわけであります。そういう趣旨から、自衛隊自身の活動あるいは任務というものは、十分子供に正しく教えていただいたほうが、より適切であろうと考えております。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 ただいまの自衛隊の関係についての正しい認識を得させるという点については、これは当然のことでございますから、何ら異議はないと思いまするが、一番最初に私が質問申し上げておりまする検定前の教科書と後の教科書との戦争のとらえ方というものが、やはり完全に侵略であるから、侵略戦争というものは、これはいけないのだという、はっきりとした教え方のできにくいような内容になっておるというところに問題があるのでございまするから、教科書の内容を検定される場合に、文部省としてもこの点には十分意を置いていただいて、そうして正しいことを正しく教えるような教え方、また容易にそのことが解明できるような内容にしてもらわなくては困るということなのです。その点を強く申し上げておきたいと思います。  それからこれは小学校の六年生の社会だと思いまするが、このごろは、私どもの子供のときと違いまして、相当教科書の内容が進んだことが書いてありまして、日本の経済の発展内容というようなものにつきましても、触れられておるわけなんです。そこで私一つの疑問を持ちますことは、いまの新産業都市の関係でも、農業基本法の関係におきましても、これは池田さんの所得倍増計画がいつの間にか高度経済成長計画に変わり、そういうようなことから新産業都市、また農業基本法というものができまして、そして日本が、私どもの口からいえば、資本主義発展の中において経済の発展をさせるのだという考え方の上に、こういうもろもろの法律ができたわけでございます。それを最近の教科書の中には、経済の所得倍増について若干触れられ、そうしてそのあとに新産業都市の計画がなされておる、農業基本法ができておる、そして経済の拡大がこういうようにはかられていこうとしておる、こういう意味合いの文章が教科書の中に載っておるわけなんですが、ここが、国会におきましても、各委員会なり、また本会議でも、予算委員会でも争点となって、問題となって論議されておるところでございますが、それを教科書にそのまま是なりとして子供に教え込むことがいいか悪いかということは、こういう内容はよほど慎重に取り扱わなくてはならないと私は思うのです。この点については、どういうような御認識の上に見ておられるか、ひとつそのほどを承りたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 最近の経済の成長等につきましての記述の御指摘がございましたが、私、小学校の教科書の記憶ちょっとございませんけれども、高等学校の段階におきましては、政治経済の教科書におきまして、最近の経済の成長発展等をかなり記述している教科書が多いのでございます。そういう際には、農業基本法の問題あるいは所得倍増計画といったような、国民として当然に知っておかなきゃならないような経済関係の法律あるいは制度の趣旨というようなものについては、かなり詳しく取り扱っておるようでございます。そういった際におきまして、やはり最近の日本の経済の成長ということは非常に目ざましい傾向であり、またそういった実態でございますから、高等学校の段階においては、かなり詳しく取り上げておるのでございます。小学校におきましては、私ちょっと記憶がございませんが、あるいはさような趣旨のことがあるかもわからないと思います。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 そこで、教科書というものは実際を教えるものであるということ、そうしますと、ただいま私が申し上げたことを教科書で先生が教えた場合に、子供は、所得倍増の問題は国会でいつも問題になっておるのじゃないか、これがいいのか悪いのか、先生どうなんですか、こういった質問があった場合に、先生によってそれは答え方が違ってくるのじゃないかと思うのです。そしてこういうような質問をされると、先生は非常に困ると思います。それからいまの農業基本法の問題も、農業基本法を成立せしめるときに国会の混乱をした事実を知っておる子供たちが、農業基本法の問題が出ておるが、国会では、国会議員というえらいさんでも取っ組み合って、この問題を阻止したり、強行採決したりしておるんだが、これはどうしてそんなことをやったのか、悪いことがあったのかどうか、こういうような質問があったときに、先生としては非常にお困りだろうと思う。したがって、私は、こういう問題を取り上げるときには、もう少し一方的に寄らない、事実をそのまま子供に教えていくことと、そうしてまた、争点として残っておって、国会なんかで論議されておるような重要問題についての取り扱いは、よほど慎重を期してもらわなければならないのじゃないか、かように考えておるわけなんですが、この点については、どういうようにお考えですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 もちろん教育の現場において使います教科書でございますから、小学校の段階には小学校の段階、中学校の段階には中学校、高等学校の段階には高等学校というように、子供の発達段階に応じまして、その取り扱いというものは非常にむずかしいわけでございます。したがって、その発達段階に応じた教材を与えるということが、教科書としては一つのねらいでございますから、そういう趣旨で教科書は書かれておることと思います。したがって、小学校において取り扱いとしては非常にむずかしい問題を、そこでわけのわからないような扱い方としてやるということは、適当ではございません。おそらくそういう意味に書いているとは私は思っておりませんが、また同時に、そういういろいろな考え方がある場合に、教科書として取り上げる場合は、もちろん公正な態度で取り扱うということが、検定の一つの大方針でございます。検定の方針に従って、そういう片寄った一方的な見方でそれを取り上げるという記述のしかたは、してないはずでございます。そういうことで、もちろん生徒の発達段階に応じて取り扱い得るように、また公正な態度でそれを取り扱えるように、常に私どもは考えて、そういう方向で調査官竜審議会もともに検定を実施しておるわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 局長の答弁どおりなら私はまことにけっこうだし、これは絶対にそうあらなければならないと思うのですが、ただいま申し上げました日本の所得倍増問題の書き方をずっと一貫してみますと、先生が子供に質問をされたときに、非常にそれに答えにくい場合がある。また、先生の感覚によってそれぞれ違った答え方もでき得る内容にもなっておるから、こういう問題については、いま局長のお話しになった、中学は中学、高等学校は高等学校、やはりそれに応じた教科書の内容にしておるんだが、内容は絶対的に中立で、公平で、そうしてうそをいわない内容にするんだ、そういう御答弁であれば、私もいまここに教科書を持ってきておって読んで御質問ができないので、それ以上突っ込んでやってもどうかと思いますから、そういう点をひとつあくまでも公平に取り扱っていただくように強く要望を申し上げておきたいと思うわけでございます。  特に私は、教科書の中でも、満州事変の取り上げ方で、満州国というものは、独立はしたけれども、これは日本の植民地であったというようなことが前置きになっておって、そうだけれども、どうもソビエトのほうから侵略してくるというような憂いがあったので、日本の大軍を満州にも駐とんさしておったのだというような、その当時のことは事実ですけれども、書き方によっては。解釈のしかたによっては、何か日本の国は、そういう時代でも全然悪いことをしたのでのうて、ソビエトのほうが悪い考え方を持っておるから、日本としてはそれを防衛するためにこうしておったのだというように、簡単に解釈のできるような内容になっております。したがって、教科書は非常に子供に一つ一つの知恵を与え、そうしてそれによって成長をさせるものであるから、私は教科書の問題については特に取り上げて、いまの課の新設の問題について関連をしてお伺いをいたしたような次第でございますから、私は他意があったのでやったのじゃございませんし、事実現在の教科書が、教える上において、先生方が子供の質問に対して答えるに非常にちゅうちょしなければならないというような点も多々ありますので、その点も強く文部省にも認識をしていただいて、今後の教科書の内容をほんとうに正しいものにし、日本の平和憲法を基調とし、そうしてそれによってできた教育基本法にのっとってこの教科書というものの内容をつくってもらうように、お願いしておきたいと思います。要望しておきたいと思います。それでこの点については、この程度で終わります。本来なれば私、本を持ってきて、教科書を持ってきてやればもっとぴんとくるものがあるのですけれども、私、きょう持ってきておりませんので、抽象的に申し上げておるので、抽象的なお答えで満足のいったように聞こえるかもわかりませんけれども、実際に本を読んだ私自身としては、そういう点を非常に憂慮しておりますから、その点は重ね重ね文部省に要望をいたしておきます。  それから次に、国立の文教施設の整備による工事量の増大に伴う工事事務所の関係でございますが、この点につきまして、従来までは、どういうような個所でどの程度の陣容になされておられて、今度あらためて設置法の改正の提案をしなければならなかった理由を、ひとつ詳細にお答えをいただきたいと思います。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 国立文教施設整備の工事の実際のやり方を申し上げますと、文部省がいわば直営するものについては、文部省内に工営課という課がございます。そこと、それから地方に工事事務所を大体ブロックに一カ所設けておりまして、そこが文部省の直接の手足になって各大学と連絡しながら工事を進めていく、こういうふうな仕組みができております。しかし、それでは膨大な国立学校の施設整備の仕事は消化できませんので、大学における技術職員の充実しておる大学には、多く施設課が設けられておりますが、その中でも、スタッフの充実しているものは、大学に工事を委任いたしまして、大学で工事を実施する。もちろんその前に大ワク、それからまた工事の基本的なものについては、事前承認の手続をとるようにいたしておりますけれども、しかし、大体において大学にまかせて工事を実施しております。だから、国立文教施設整備のことは、文部省が直接やる。それから文部省内の工営課と工事事務所を通じてやる。それからもう一つは、大学に委任をいたしましてやります。この両方に分かれております。なお、今回わずかながら定員増の措置をいたしておりますが、これは主として工事事務所の充実に資しておるわけでございます。ことに高専の設置については、これは工事事務所が直接担当いたしておりますが、その場合には、工事監督のために現場に人を派遣することが絶対必要になってまいります。そういうふうな意味をも兼ねまして、工事事務所の人員の充実をはかったわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 その点はわかりました。大臣が十二時までということでございますので、大臣にお伺いいたしたいことをこれから質問申し上げたいと思いますが、私は、これは現在の現象面から考えて、非常にこれではいけないと思うことを申し上げるのですが、御案内のとおり、学区制が解かれまして、そうしてどこの村に住んでいてもどの高等学校へ入学してもいいということになったわけなんです。したがって、そうなりますと、今度は学校の順位というものが、各都道府県では一応できておるわけなんです。したがって、生徒の試験の点数によって、おまえはこの高等学校——何位まではAの高等学校、何位まではBの高等学校、何位まではCの高等学校というぐあいに、高等学校へ入学するに、もうそれで学校の順位というものがつけられており、もう中学生のときから、生徒そのものに優劣の格差が完全に明確に発表されるわけなんです、内容的には。したがって、そういうことから、子供は優劣感を抱いて、非常にそのことがおとなになってからにも影響があり、特に学校を卒業した当時、学校を卒業する時期にそういう問題が頭へきまして、いろいろな問題を起こしておるわけなんでございます。私どもはあくまでも学区制を廃止してはいけないんだという主張をしてきたたてまえから、それ以来ずっとその実態を見ておりまして、非常に悪い現象が起きておりますので、そういうような点を文部省はどういうようにとられておられるかということをお伺いいたしたいし、それから現在お嫁さんをもらう場合に、あの娘さんはどこの短大を出たり大学へ行っておる、こう言ってみても、短大やあるいは私立の大学は、いろんなことから入学もでき、卒業もできるんだ。これからの子供というのは、ほんとうに親が子供の能力を非常に重視しておるから、やはりいい娘をお嫁さんにもらいたいのだということで、どこの短大を出ておろうが、どこの大学を出ておろうが、短大とか大学というものは除外して、高等学校はどこを出たのだと、その高等学校によってその娘さんが学生時代にどの程度頭がよかったか悪かったかということを判断するように世間がなっておるわけなんです。(「なっていないよ」と呼ぶ者あり)いや、それは事実そうなっております。(「一部だよ」と呼ぶ者あり)一部じゃございません。そうなっておるのです。だから、私は、そういう点はどこからきたかといえば、やはり高等学校の学区制をはずして学校の順位がつけられ、子供の試験だけの点数によって、何位まではどの学校、何位まではどの学校という、このことがやはり今日お嫁さんをもらうときに、どこの高等学校だったと、ここまで親が考えなければならないようになってきておるんだから、この学区制をはずしたことに対してこういうような現象があらわれておるということを私が報告申し上げたのだから、それも含めてこの問題についての今後の考え方、いまどのようにこの問題をとらえておられるか、これは大臣のほうからひとつお答えをいただきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 高等学校の間に格差といいますか、いわゆる学校差という問題があるかないかということでございますが、現実の問題といたしましては、やはり格差がないと言い切れないものがあると思うのです。親といたしましては、なるべくいい学校へ入れたいという気持ちはよくわかるわけでありますが、そのままにしておきますと、特定の学校に無理をしてでも志願者が集中するというようなことにも、相なるわけであります。現実問題といたしまして、やはり入学についての調整をある程度行なわないと、ぐあいが悪いという実情があるわけであります。そういうふうなことから、現在だんだんと一学区に高等学校が一つというようなやり方が、変わってまいってきておるわけであります。実際の状況から考えまして、現在の状況のもとにおきましては、一学区に数校の普通科の高等学校があって、進学する学校を選択することができるほうが、入学調整というような見地からいたしまして実情に即しておる、このように認めざるを得ないのであります。高等学校の通学区域、特に普通科の通学区域の定め方につきましては、したがって一つの通学区域内に数校の高等学校が含まれるようにすることが、今日の事態のもとにおきましては適当である、かように考えておるわけであります。この場合におきましても、生徒の通学の便とか地域の要望等を考えまして、通学区域の広さやその中に含まれる学校数を適切に定めることが、必要であろうかと思います。現在は、中学区と申しますか——小学区、中学区、大学区というようなことばがあるようでありますが、文部省といたしましては、普通科の高等学校につきましては、中学区制をとるのが時代に適応したやり方ではないかと思うのであります。ただ問題は、各高等学校の間にいろいろな差等があるというこの現実でありますが、これをそのまま捨て置いてよろしいかどうかということになりますれば、文部省といたしましては、各高等学校間のいわゆる学校差というものをできるだけなくするという方向に努力すべきものと、さように考えておる次第でございます。現実の事態として考えますれば、ただいまのところは、いわゆる中学区というところがまず妥当なところじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 抽象的にお答えをいただいたのですが、ただいま私が最後に申し上げて、そんなことはないというやじも出た内容は、これは就職の場合でも実際上あり得るわけです。だから、私は、そういうような学力の程度は別としても、その学校によって就職がしやすいとか、お嫁さんをもらうときにどこの高等学校を出たからというようなことを調べなければならぬようなことは、好ましくないと思う。それで私は、こういうことをいつの時期にかやはり解消をしていく方向に文教行政を持っていってもらわなくてはならないと思うので、それには従前あった小学区制そのものでよいのか、それとも中学区制——それはいろいろありますが、いずれにいたしましても、現在そういうような現象があらわれておりますから、事実はこれ事実として、こういうような悪いものは廃するような方向に行政を持っていってもらいたいので、私は質問申し上げたのでございますが、この点は、別に社会党の家庭だからそういうことを調べるのではなくて、これは自民党さんでも、民社党さんのところでも、どこの家庭でも、最近就職だけではなしに、お嫁入りにまで影響があるというようなことでは、私は非常にどうかと思いますので、こういう現象が出てきておるということをひとつ文部省では認識していただいて、こういう問題の解消に今後の文部行政の上においてひとつ努力をしていただきたい、この点を強く要望いたしておきます。  大臣がお見えになる間に受田先生がどうしても質問をやらなければならないということでございますから、こういう点はあまり突っ込んでやっておれませんので、もう一つ二つ承っておきたいと思いますが、ここに国立青年の家の新設ということがありまして、これは昭和三十七年、八年、九年と、今年も一カ所つくるのですが、このものは実際どのように役立っておるかということと、そうして将来の計画としてどの程度こういうものを置くつもりがあるのかということを、ひとつ御説明いただきたいと思います。

齋藤正文部事務官(社会教育局長)

○齋藤(正)政府委員 国立青年の家は、文部省設置法の二十五条の三にありますように、団体宿泊訓練を通じて健全な青年の育成をはかるためのものでございます。少しふえんして申しますれば、青年に対して団体生活による共同宿泊訓練の機会を与えまして、いろいろな研修、体育、野外活動等の行事を通じて規律、協同、奉仕等の徳性を涵養し、教養の向上をはかる一助にするというものでありまして、その利用の率は年々ふえてまいりまして、たとえば中央青年の家におきましては、本年の実績から言いますと、月間一万三千人程度の青年に利用されておりまして、特に青年が規律ある行動を自主的に身につけて、勉強もし活動もするということに役立っておるものと思います。なお、現在まで中央青年の家と阿蘇にあります阿蘇青年の家は、すでに発足いたしましたが、今年度予算におきまして、第三の青年の家をつくりたい。将来につきましては、文部省としてまだ具体的に検討はいたしておりませんけれども、いずれは、私どもの所管する範囲内では、なおこれ以上の数が必要ではないか、かように考えておるわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 それは学校を卒業してから、心身ともに健全な青年を育成するために、ただいま申されたような目的をもってつくられておるのですが、これがどうせ必要なら、私はもう少し多くつくる必要があろうと思うのです。さっそく各県に一カ所ぐらいはつくらなくてはならないと思うのですが、これは何年かかったら——四十年ぐらいかかれば全部の県に行き渡るのかわかりませんが、必要なものなら、もう少し積極的にやらなくてはならないと思うのです。だから、その目的と必要性に応じた計画がマッチしておらないので、その点々将来の展望も含めてひとつ承りたいというのが、私の質問でございますから、必要ならひとつ積極的にやるという計画を述べていただけばいいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 国立青年の家の趣旨につきましては、ただいま局長が申したとおりでございます。私どもとしましては、国立青年の家としましては、全国数カ所の程度にいたしたらどうかと考えております。各府県には、また県立の青年の家というものも漸次普及してまいっておるところでございます。国立としましては、各府県に一カ所ずつというふうなことまで、現在は考えておりません。全国数カ所にとどめたらよろしいのじゃなかろうか。またそれにつきましては、ただ施設さえつくればそれでいいというものでもないと思います。充実した施設として進めてまいりたいと思いますので、候補地その他につきましても、慎重に検討を加え、また予算等につきましても、充実した施設ができるような予算をとってやってまいりたいと考えておる次第でございます。明年度は一カ所でございます。これは今後何年間というふうな具体的なそこまでの計画もございませんけれども、漸次増設いたしまして、全国に数カ所は置きたい、このように考えております。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 そこでただいまの青年の家も、やはり団体訓練云々ということもございましたし、私やはり人つくりの問題について考えてみまするに、人つくりの問題は、その人その人によっていろいろな意見を持っておられますが、ほんとうに心身ともに健康な健全な人つくりをしようといたしますれば、これは文部省と厚生省が協力をしてやらなければならないと思うのです。こまかいことから言えば、子供さんがおなかへ宿れば、母体保護から厚生省が責任を持ってやり、生まれた子供は——ちょうど岩手県でしたか、三十九年度の予算に、国民健康保険に県の補助金を出して、結局一〇〇%の給付金をする、こういうことを決議したようでございますが、私は、こういうことはやはり地方自治体も協力して、これはおそらく厚生省の関係ですけれども、二歳、三歳ごろまでは、生まれた子供は完全に健康に育つ、どんな貧乏人の家でも、お金持ちの家でも、子供さんが健康で心配なしに育てられるような内容を、やはり政治の上につくっていかなければならないと思うのです。この辺は厚生省の関係ですから、私は言いませんが、いま学者が言われておりますことは、人間を構成するに一番大切な時期は、団体訓練というようなことを教え込む上においても、基礎教育をする上においても、五歳、六歳というときが一番大切だということを言われておるのです。したがって、一部には、政治家の方でも、いまの義務教育の年齢をもう一歳引き下げたらどうかという意見も出ておるくらいでございます。それは一歳引き下げればそれにこしたことはございませんけれども、まあ厚生省との関連もございまするが、少なくとも一番大切な時期の満五歳、六歳というときには、厚生省の関係なれば、幼稚園を義務的に設置して、そこで必要な団体訓練をし、そうして学校へ上がるまでの必要なところの勉強をさせたり、団体訓練をさすような、基礎教育をさせる必要があろうと思うのです。したがって、こういうことから考えて、いま話題に出ておりますところの義務教育の一年下げたらどうかという問題については、大臣はどういうようにお考えになっておるのか。これはこのことだけでなしに、国家全体の人つくり、身心ともに健全な人つくりをするには、先ほど申したように、もう子供がおなかに宿ったら、母体保護からやっていって、そうして身体障害者とかあるいは精薄児というものを防いでいくということも含めて考えなければなりませんけれども、文部省のやれる行政の範囲内でやはり考えられることは、いまの一年下げるかどうかということ、そしてなお厚生省との関連がありまするが、五歳以上六歳までは、これは義務的に保育所に入れ、幼稚園に入れて、そうして学校へ上がるまでの必要な団体訓練なり教育をさせる必要があろうと思うので、こういう点について、すぐできる、できないは別問題としても、大臣としてのお考え方を承って、私の質問を終わりたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 いわゆる人つくりの問題について、厚生省の果たされる役割りも非常に大きいのであります。私どもは、厚生省の仕事もますます伸びてまいります、同時にまた、われわれの担当しております文教の仕事も伸びていく、両々相まって健全な身体、健全な精神を持った国民を一人でもたくさんつくるということでなければならぬと思います。お考えの御趣旨につきまして、私は同感でございます。同時に、いわゆる義務教育年齢を下げるか、あるいは幼稚園、保育所を義務制にするかという問題につきましては、今日ただいまそのような方向で実施するというようなことは困難であろうかと思いますが、文部省といたしましては、当面幼稚園の普及をはかってまいりたいと思うのであります。まだまだ日本では幼稚園の数も少ないと存じます。同時にまた、厚生省の立場におかれましては、保育所の整備、保育所の拡充をはかっていかれる必要もあろうかと思うのであります。双方が、やはり現状においてはこれらの施設の整備拡充をはかってまいることをまずやるべきではないかと思のです。ある程度の段階になりましたら、そこでいわゆる義務制というふうな問題も、具体的に検討される時期がくるのじゃなかろうかと思います。小学校の義務教育の年齢を一年下げる方式がよろしいのか、あるいはまた幼稚園教育というふうな方式を義務制にするのがよろしいのか、これらも今後なお十分皆さん方の御意見も承り、われわれも検討いたしてまいりたいと思います。ただいまのところは、文部省といたしましては、幼稚園の普及をはかっていく、厚生省としては保育所の普及をはかっていく、しかもその間、両者が互いに連絡をとりまして調整をとりつつ進めていくということが、実情に合うのじゃないかと思います。同時に、保育所の中におきまして取り扱われる子供さんも、年齢的に見れば幼稚園の子供と同じであります。保育所の内部におきましても、その保育内容としましては、幼稚園で受ける程度の教育は受けさせるようにいたしたいもの、かように考えまして、厚生省とも相談ができておるようなわけでございます。御了承願います。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)委員 質問を終わります。

綱島正興自由民主党

○綱島委員長 次に受田委員。

受田新吉民主社会党

○受田委員 短い時間でありますので、大臣にお答え願います。  今度提案されておりますこの設置法の審議をするにあたっては、国立学校のほうの設置法とにらみ合わせながら審議をしなければ、この定数をはっきりさせることはできないわけであります。当委員会としては、その点を十分勘案して、その定数増の必要性について根拠を明らかにしながら審議を進めていくべきだと思います。しかし、きょうは、学校教育法という、教育基本法に相対立する重要な法律の中で、学制の基本的な問題にちょっと触れて御答弁願いたいと思うのであります。  それは学校教育法のおしまいのほうに、吉田内閣の初期であったのですけれども、私自身も関与して審査した短期大学の設置規定が百九条にあります。すなわち、修業年限を当分の間、二年または三年にして短期大学を置くという規定があるわけです。この短期大学制度なるものについて、大臣は現時点においてどのような構想をお持ちになっておられるか、御答弁願いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 現行の短期大学制度は、わが国の新しい学制の実施に伴いまして、昭和二十五年に当分の間の暫定措置として置かれたものであることは、御承知のとおりであります。その後十四年を経過いたしました現在では、国公私立を合わせまして三百二十一校、在学生約十万人に達しておりまして、この短期大学は、わが国の高等教育における重要な役割りを今日果たしておるのであります。短期大学が、暫定措置にもかかわらず、このような実績を示しておりますことは、この制度が、経済的負担の軽減や、短期間における実務者の養成あるいは女子教育に適応する等の点から、社会の要望にこたえておるものであることを示しておると思うのでございます。  さらにまた、大学進学者急増期等に直面いたしまして、今後ますます短期大学が増設されることも、予想せられないわけでもございません。したがって、世間のほうでも、この短期大学の恒久化を要望せられる声も強いのであります。私ども考えましても、この短期大学の発展の実態及びその社会的要請にかんがみまして、この際、学校教育法の一部を改正して、短期大学に関する規定を整備いたしまして、明確な目的を持った短期大学制度を、これは恒久的なものとして確立いたしまして、学校当事者及び学生による充実した教育の展開をはかるようにしたい、このような実は気持ちを持っておるわけでございます。  そこで、現在いろいろこの恒久化に伴う法制の整備につきまして、部内におきまして真剣に検討いたしておる段階でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 いま大臣の構想は、短期大学をさらに恒久化し、拡充強化して、事実問題として国民が非常に利用し、期待しているこの制度を一そう進めていきたいという御答弁であると了解します。したがって、これが法制化について具体案を目下検討中である、そのように了解してよろしゅうございますね。  そこで、私確認をしておきたいことは、私自身も、短期大学が学校教育法に追加せられた当時、これほど短期大学が重く用いられるという予測をしていなかったわけですが、現時点における短期大学は、まさに長期にわたる四年制の大学よりも、短期間であること、女子の場合はきわめて適切な高等教育を受ける機関であること、いろいろな点で非常に重用されておる。したがって、「当分の間」を削除して、もっと強固な短期大学の大学としての使命を果たす方向に法制を改正していただくことを要望しておきます。この点において、私の要望にこたえるような形でいくかどうかをもう一度お答え願います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 短期大学は、短期大学として明確な目的を持った制度として確立いたしたいと思っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 したがって、大学という性格はもちろんこれは保持されると了解してよろしゅうございますね。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 学校教育法の第一条にいっております大学のうちに、四年制の大学あり、短期大学あり、このような構想で進んだらどうかということで検討いたしておる次第でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 非常に明確なお答えです。  そこでいま大臣の御答弁に国公私立を通じて大学の増置も考えられるのだというお答えでございましたが、昭和三十八年のピーク時における高校急増と、また三年後にくる急増とにらみ合わせてみたときに、昭和四十年、四十一年、四十二年と、どんどん大学生は希望者がふえてくる。そこで大学増置関係、国公私立各般にわたって、文部省としては大学の新しい設置、あるいは既設の大学の学部の増設、増員というような計画を、具体的に構想を持っておられるかどうか、御答弁を願います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 大学入学志願者の急増ということは、予測せられておるところでございます。文部省といたしましても、明年度の予算におきまして御審議を願っております国立学校設置法の改正というふうなことも、この急増に若干はお役に立つことであろうかと思うのであります。また、最近私立大学の方面におきましても、ことにまた短期大学の増設というふうなことが、盛んに行なわれている実情にもあります。こういう点もお役に立つことと思うのでありますが、この四十一年を控えましての急増対策というものにつきましては、目下いろいろ各方面とも協議をいたしまして、検討いたしておるところであります。願わくは来年度予算からは、これをその心持ちをもって予算の増額もはかってまいりたいと考えておりますが、具体的に幾つ、どういう学校をどうするというところまでは、まだ結論は出ておりませんけれども、いろいろ関係方面とも協議を重ねまして、急増対策を確立いたしたいと考えて、せっかく検討中でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 いま一つ大臣に、国公私立のアンバランスを是正する問題を提起したいと思うのです。それは国費をもってまかなう国立学校は、一応国のお世話でつくっている大学ですから、財政的に問題はないといたしましょう。公立はこれに次いで安定性を持っている。そこで問題は、私立の大学から以下の各学校ですけれども、この私立の学校の職員の給与というものは、人事院が調査した民間給与との比較対照表を拝見いたしましても、国家公務員の七割から八割程度の給与しかもらっておりません。その点は、民間の給与のほうが逆に低い。民間給与とにらみ合わせをすると、国立の学校の先生の給与を下げなければいかぬというような低い水準にあるわけですが、しかし、優秀な先生たちを迎えて国立の学校と比較して遜色のない教育をしていただくためには、職員の待遇ということを考慮に入れなければならないと思うのです。各私学ともその点は非常に苦心して、寄付金その他でまかなってきつつあるようでございますが、授業料を値上げしたり、入学金をふやしたりすると、また一般の国民が非常に影響を受けるという苦心のほども承るわけです。どうでしょう、この国公立と私立学校の教職員の給与差というこの一点を取り上げても、何とかアンバランスを是正する必要はないか。これは私学に対する補助政策としては、私学の自治性を失わないという限界があると思いますけれども、もつと勇敢に自治性を侵害しない範囲内の援助政策というものを考える必要はないか。それが一つ。もう一つは、教職員の立場では、私立学校の教職員共済組合法なるものが、二十九年以来できております。しかし、退職金制度というのがないということで、国家公務員等退職手当暫定措置法などに対応するような、やはり国がある程度めんどうを見る制度も創設してやる必要はないか。そういうことによって私学に勤務する先生たちに希望も与えられると思います。そういう方面への国の補助政策というものは、決して私学の自治を侵害する立場にはならないと思うのですが、いかがでございましょう。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 私立学校の本質から考えまして、また私学の自治を尊重するたてまえから、国あるいは地方公共団体がみずから設置する国公立の学校に対する場合と私学に対する場合とでは、その具体的な方策につきましては同様にはまいらない点もあろうと思うのであります。従来私学に対して政府がその振興策としてとりました方策は、もう受田さんもよく御承知のとおりでありまして、くどいことは申し上げませんが、従来とってまいりました方式は、私はまだまだこれを進めていかなければならぬと考えておるわけでございます。いまお話になりました点の実情は、おっしゃるとおりだろうと私も思うのであります。ことにまた、私学の財政は、授業料とかあるいは入学金というふうなものにかなり大きく依存いたしております。それだけに私学が困っておるのじゃなかろうかということも考えられるわけであります。さりとてまた、私学の人件費でありますとか、あるいは運営費というふうなものに援助するとすれば、一体どういうふうにやったらいいのか、こういう問題も、私学の本質上問題が出てくるかと思うのであります。私は、その問題についてはよほど考究しなければならぬと思っておりますが、心持ちとしましては、私学に対する国の助成の方式について根本的に考える段階がきておるのではないか、こういうふうなつもりで、部局の諸君にも、ただ従来の方式にこだわることなく、もっと根本的に私学助成のことを検討してほしいという注文を出しておるようなわけであります。いま具体的に人件費についてどうするとか、あるいは退職関係の問題についてどうするとかいうことも含めて検討いたしたいと存ずる次第であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 時間が参っておりますので、私の質問を終わりますが、大臣の熱意が非常にあることを了承さしてもらいます。と同時に、いま私立学校振興会法があって、そこに国から融資を適当にされておるわけです。予算書を見ると、今年度は十五億と拝見できるのですが、この中で今度各種学校を融資の対象にしよう、こういう御計画のようですが、従来の学校教育法による学校が、その部分だけお粗末にされないように——まあ、増額されるので問題はないように思いますけれども、各種学校にどういうふうに融資するかということはなかなかむずかしい問題で、どういう各種学校に融資をするかということを考えたときに、従来の学校教育法による学校にさえろくに融資されていないのに、新しく各種学校に割り当てるという問題は、なかなか骨が折れると思うのですが、自信がおありでしょうか。従来の私立学校教育法による学校に対する助成を十分果たして後に各種学校におりるという筋ではないかと思うのですが、そこをひとつお答え願いたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 各種学校を私学振興会の融資の対象の中に含める、この問題につきましては、近く御審議を願うことになろうかと思うのでありますが、われわれとしましては、今日各種学校の果たしておる役割りも相当大きいと思うので、特に現在必要とされておりますところの技術者をつくっていく、こういうふうな問題につきましては、国としても相当考えなければならぬ、かように思いますので、具体的にどういう方向にこの融資を持っていくかということにつきましては、政令できめるようにいたしておりまして、あまり手広くやろうとは実は思っておらないのであります。同時に、従来からやっておりました融資、これをそのために狭めるというような心持ちは、毛頭持っておりません。融資のワクを拡大することによりまして、対処いたしてまいりたいと考えております。

綱島正興自由民主党

○綱島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる五日午前十時理事会、十時半に委員会を開会いたします。  これにて散会いたします。    午後零時八分散会

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