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46回国会衆議院1964/04/16

大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第4号

発言数
50
登壇者
6
会派数
2
開催日
1964/04/16

会議録

原田憲自由民主党

○原田小委員長代理 これより会議を開きます。  小委員長所用のため、私が小委員長の職務を行ないます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日の政府側の出席者は纐纈大蔵政務次官、政府委員の高橋銀行局長及び渡邊公正取引委員長でございます。  質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 最初に銀行局長にお伺いをいたしますが、十三日から、銀行局におきましては日本銀行と共同で各金融機関に対して立ち入り検査を行なって、この歩積み、両建てについての調査を始められておると思いますが、この調査の状況を最初にちょっとお答えいただきたいと思います。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 十三日から着手しました今回の歩積み、両建て関係の特別検査、この概況を簡単に申しますと、対象として選びましたのは都市銀行が十二行でございます。おおむね一銀行につき二店でございますが、中に一店のところもございますので、十二行で二十一店、地方銀行は九行を選びまして十五店、相互銀行八行で十四店、信用金庫十金庫で十九店、合計いたしまして全体では三十九行六十九店、こういう数にのぼっております。従来のものに比べまして比較的その幅を広げております。  どういう調べ方をするかということでございますが、その対象となる債務者の選び方といたしましては、各店舗における取引先のうちで旅館とか、興行娯楽というようなものは一応除きまして、普通の中小企業に属するものを大体対象にいたしておりますが、貸し出し額がきわめて小さいものを除きまして、大体一店につきまして五十人程度の債務者を選んでおります。なお、一店当たりの債務者数というものは、こういう支店でございますので、大体銀行の場合にはおおむね二百五十人前後でございます。相互銀行の場合でございますとやや数が多く四百数十名程度にはなっておりますが、それらのもののうちからいま申しました特殊なものを除くということになりますと数はかなりしぼられて、そのうちから五十人程度のものをランダム式に選びまして、それは数としましては多くないように見られますが、五十人といたしましても六十九店やるわけでございますから、全体としてはかなりの数に上るということになります。なお検査の日程でございますが、最初十三日にまいりましてその二日間はまず対象となる財務書をこちらの検査官が指定する。それについての財務と預金貸し出しと、銀行から申しますれば貸し出し額と預金について一件一件記載してもらうというような方法でございます。そうしてそれが終わりましてから、調書ができたあと具体的なケースにつきまして検査官が査定を行なう。この査定は非常に微妙なものもございます。向こう側で両建てではないというものをこちらから見ればいや両建てとしか思われないということで、一件一件につきましてある程度銀行側の説明を聞きながらやるということになります。大体今回の場合にはこちらとしてはやや辛目に考えるという点から、銀行側でそれが見かけ上両建てと思われるようなものであっても、両建てではないというならば、言ってみれば銀行側のほうに挙証責任があるというふうな態度で臨むことになっております。終わりますのは大体九日ないし十日くらいたてば実地についての検査は一応終了する、こういうことになっております。以上でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 そこで実は私この前の委員会で要望いたしましたし、聞くところによると閣議においても総理その他もこの特別調査についてぜひやれということで今日行なうことになったと思います。いま伺いました銀行調査のあり方でありますけれども、三十九行ございますが、この中で都内と地方と区別は一体どういう形になっておりますか。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 本省関係の検査と、それから日本銀行が一部担当しておりますが、それはやはり都内を選んでおります。都内と申しましてもこれは都内の中心部という意味ではございませんが、広い意味で都内でございます。それで銀行の数から申しまして都市銀行の大蔵省担当の分は十五行は都内、それからその残りの十五行が地方でございます。もちろん地方と申しましても、それは村落部という意味ではございませんで、地方都市と考えていただきたいと思います。それからそれ以外の日銀担当の分は全部都内ということになっておりますが、どちうかといえば都内のほうの銀行のほうが数は多いことになっております。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 日銀が行ないますのはそうするといまの計算で九行になるのですか。日銀は都市銀行と地方銀行までを行なうことになるのですか。大蔵省と日銀との配分の状態は大体どうなっておりますか。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 日銀の担当いたします分は、都市銀行は三行でございます。これは都内でございますが、地方銀行のほうを三行三店、それから相互銀行は二行二店、信用金庫一金庫一店。この地方銀行以下の分につきましては、大体地方でやる。しかし一部相互銀行あるいは地方銀行でも、銀行別の表を見ればわかるのでございますけれども、大体そんなことになっております。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 実は私いまそれをこまかく伺っておりますのは、日銀がこれまでやはり検査のようなことをやっておられると思うのですけれどもも、日銀の検査と大蔵省の検査とは、これまででも銀行検査のあり方が多少違うのではないか。本来の角度が違うはずでありますから、違うのではないかと思うのです。そうしますと大蔵省の、皆さんのほうでは、おそらく日銀と打ち合わせをして検査が行なわれるんだろうと思うのですが、実はこの検査というのはいまも局長の御答弁にあったように非常にむずかしい検査だと思うのです。ありきたりに業務状態の調査をすることはこれはわりあいだれがやっても結果は一つに出る。ところが今度のこの検査は、判断の基準といいますかそういうものの動き方によって、かなり結果が異なってくる可能性はあると思うのです。その場合に、日銀の検査と大蔵省の検査というものが、まあ結果を見ないとわかりませんけれども、どういう形でつながるかという点に、私は率直に言うと少し疑問があるわけです。前段のほうの日銀の検査と銀行局の検査は、私は日常業務における検査も多少違いがあると思うのですが、七の点はどうでしょうか。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 確かにいま堀さんのおっしゃるように、日本銀行の場合には考査と称しております。つまり法律上の権限に基づく立ち入り検査ではございません。日本銀行がすでに取引をしておる金融機関と、言ってみれは一種の契約関係におきましてやるのでございますから、非常な強制的な権限をバックにしてはおりません。しかし一般の検査の場合でございますと、大体こちらが二年に一回一つの金融機関をやる。その間にはさまれまして、これも二年に一回ございますので、結局受けるほうから言うと毎年交互にやってくるということであります。それらの場合を見まして、通常の検査ですと大蔵省が検査した分につきましては日本銀行が連絡を受ける。日本銀行か考査したものについて主要な点につきましては連絡を受けておる。どういう点に問題があったかという点は十分連絡はとられているわけでございます。ただその検査にあたっての態度等に若干のニュアンスの差が出ることはやむを得ないのではないかと思います。それから昨年やはり日本銀行の協力を得て歩積み、両建ての検査をやったのですが、そういう場合におきましては確かに連絡が十分でなかったという点もございましょう。日本銀行が臨席した分については何かあまりはっきりしなかった。受けたほうが何かあまり文句を言われなかったというふうな印象を受けております。そのために自分のところにはたいして問題はないんだというふうな思い違いをしたところもあったようです。今度の場合には前回の例がわかっておりますので、わりあいに日数をかけまして、どういう検査をするかという点について、日本銀行の担当者を入れまして相当な程度にわたって連絡を保っております。先ほどもちょっと申しましたが、両建てであるのかないのか、つまり本人の意思に基づくものかどうかというふうな点が一番問題になりますので、そういう点は、半ば機械的といっては何ですが、こういう程度の挙証がなければ両建てと見るぞというような見地でかなり詳しい打ち合わせを遂げております。前回のこともあるので、相手に思い違いをされないように両建てでやって、これは自粛の申し合わせにも触れるというものはちゃんとその金額の例を指摘してやってくる。大蔵省から行った場合と日銀から行った場合とで非常にニュアンスの差が出ないように、その点に特に力を置いて打ち合わせをやっておりますから、今度はあまりそういうことはないのじゃないか。それから日本銀行も、私ども日本銀行の幹部の方とこの問題について話し合いをしましたが、非常に熱心といいますか、やはりこれだけの問題になった以上、積極的に何とか解決しなければいかぬだろう、できるだけの協力を日本銀行としてもしたいというふうなことで、幹部の人も相当認識を変えております。その点では従来のようなことはないというふうに思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 そこで、いまの調査のいろいろな、こまかいことは伺いませんけれども、五十人をひとつ出しまして、いまのお話のように、銀行側として疑わしき部分については挙証責任を明らかにさせておるということになりますと、同時にもう一つの面は、五十人の借りておる側についてもやはり、背面調査というふうなことでなくても、何らかの調査を行なっておかないとあとに少し問題が残るのではないかという感じがしますが、この点はもちろん銀行局として、その人たちの検査能力の問題は別個といたしましてせっかく調査をしたのであるならば、それらの人たちを含めて、その人たちの意見等をも聞くといいますか、そういう考え方があるかどうかちょっと伺っておきたいと思います。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 その点はたいへん微妙な点でございまして、むろん法律上の権限はないわけです。そして非常に具体的になってまいりまして、検査した店と取引があって、しかも調査対象に選ばれておるという場合に、たとえこれは非常に秘密を保つというような約束をいたしましても、面談するということは非常に問題がある。どこかへ出頭してもらうということになると、全く銀行局の権限にない——相手は普通の民間人でございますから、そういうものに対してまであたかも検察庁が呼び出しをかけるとかあるいは税務署が——税務署は権限に基づきますけれども、こちらは、ただ銀行の取引先であるというだけでそういう行為までやるべきものかどうか。それは今回検査をやってみると、お互いの意見の食い違いが大き過ぎる。どうしてもある程度は債務者の意見も聞かなければわからぬのじゃないかというふうなことになれば、何らか便宜的な手段も考えたいと思いますけれども、私どもとしては、これはあくまで銀行の問題として、銀行の考え方が変わらなければだめなんですから、何か債務者の側から証拠をつかんで詰め寄るということは実際問題としてはできないわけですね。ある具体的なケースについて、かりに債務者側から私どもが事実を聞いたといたしましても、当該銀行に対して、この点は債務者はこう言っておるぞということを言うことは、そういうことを言われやせぬかということで債務者の側からいえばおそれるわけですね。大蔵省に向かって銀行と違った申し立てをするということ、銀行は、これは自発的なものであると言い、債務者はそうでないと言っておるということになると、いわば明らかに銀行に不利な証言を債務者はしておることになる。そういうことは、債務者にとっては銀行取引上あとで非常に困る。銀行に対して不利な証言をさせられるというので、そこは答える者にとっても非常に困難な問題をこちらで要求するようなことになるのじゃないか。やはり取引で、みんな引き締め下において金繰りということは非常に心配しておるときでありますから、そういうときに債務者があるいは銀行の見解と違ったことを申し立てる、そういう結果になることを考えながら問いに答えるというふうなことは非常にむずかしいのではないかと思います。そういう点で私どもとしては、なるべくならそういう手段はとりたくないと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 私もいま局長のおっしゃることはそのとおりだと思います。そのとおりだと思うのですけれども、実は今度の検査でやはり問題になるのは、本来非常に判断のむずかしいものなんです。率直に言って非常に判断がむずかしい。挙証責任をあげろといってみたところで、これまた実は非常にあいまいなことになってくると思うのです、率直に言って検査官が行った場合に。そうすると一番きめ手になるものは何かというと、債務者の言っておることと銀行の言っておることと、二つ並べてみて——債務者の言うことすべてを全部認めろとは私は言いませんけれども、債務者が言うのはまさに挙証しておるわけですね。これが一番正確な挙証をしておるわけで、銀行側が言っておる挙証なるものはどこまで見ていいのか。卒直に言いますともう一ぺんその先を挙証させるということになってくるのではないかという点があるわけです。ですからいまの中で一番問題なのは、いまの銀行局長の発言の中にあると思うのですが、要するに借りておるほうは、金詰まりの中で借りておるのだからということで、きわめて弱い立場にあって、片一方はきわめて強い立場にあるわけです。言うならば公取法の中で言うあの問題の中にぴしゃっとはまるような条件になっておるのですから、この人たちが何か言ったら仕返しがくるのではないか——ちょうど町で暴力団にあって警察に通告すると、やりやがったなといってお礼参りに来るのと同じことを銀行に許していいかどうかという問題点があると思うのです。そうすると逆にやはり業者のほうが言っておることは内輪だと思うのです。卒直に言いまして、実際ないことまで、借りておる業者が自分の取引先銀行について言うはずはないわけですから、おそらくそういう関係から見たらきわめて内輪のことしか言わない。そのきわめて内輪なことを知っておって調査するのとしないのとでは挙証のあり方が非常に変わってくるのではないかと思います。あとで公取にも伺いますが、これまでは何かわれわれが常識で考えては正当でないと思うことが金融機関によりましてはあたかも正当であるかのごとき判断で行なわれておる。そのことはこの間相互銀行協会と銀行協会に来ていただいたときに、彼らが自粛対象になっておるものから減らす以外に減らしようがないからあのようにこの問題を取り上げたけれども、銀行局長はこれだけの預金量の中で自粛対象がそのくらいしかないとは思いませんと言っておりますね。思いませんと言っておるくらいに実はたくさんあるということは、もうすでに彼らの頭の位置が銀行局長が見てもちょっと違うという判断があったと思うのです。私ももちろん違います。そこの判断の差を一体どこで規制をするかということになれば、これはやはり債務者を一応——それはおいでにならぬ方もあるでしょうし、いろいろあるでしょう。それは別個として、銀行局としては完全に秘密は保持いたします、あなた方の発言をてこにしてどうこういうことはいたしません、しかし実情については一応ありのままをお話しいただきたいという程度のことをやって、私どもはそういうことをてこにして金融機関を締めませんけれども、そういうことがあったということでもし不当な取り扱いを受けたとしたならば銀行局に言っていらっしゃい、やります、お礼参りに来るものを野放しにしておいて、ともかく暴力を避けようというようなことでは暴力行為は避けられないと思っておるのです。お礼参りに来たらそれをもう一ぺん警察に言ってきなさい、がちゃっとやる、またお礼参りに来たらやる。力関係が逆転してこない限りこんなことは私は絶対に姿勢は正されないと思うんです。ですから私は何も今回ここまでやっておるんですから、調査結果が出てからでもいいし、調査結果という疑問のあることでもいいですが、やはりかなりそういうあいまいな点が生まれてくる性格の問題でありますから、せっかくここまで調査をやるということになったのなら、この調査を生きた調査に私はしてもらいたい。これは実は私、年に非常に何回も、二カ月に一ぺんくらいずつやるということならまあいまの形でもいいかもしれませんが、銀行局の能力に限界があるから、そう何回もやれないと思うんですよ。そうなると、やはりやった一回のこの検査がきわめて有効に働くような検査にしてもらいたいということを私は要望したいわけですね。私の言っているおそらくいまのこの力関係、暴力団を例にとっておるのは必ずしも適当ではないけれども、ニュアンスとしては非常に似たようなかっこうがあって、要するに債務者としては何かあとで報復されやしないかということを極度におそれておるわけですから、そのことを遮断しておかない限り——私はその報復をするような金融機関なんというのは、これはもうまさに今度銀行法を改正をして、何かもうその銀行側に対するそういういまのいろんな規定というのは純粋に預金者保護だけの問題になっていて、そういう面についての公正な取り扱いをはずれた場合における処分なんかの規定がこの中には一つもないんです。そうすると、何らかの規定を設けざるを得ないのではないかという感じがするわけですが、その点についてもう一回ひとつあなたのほうの考えをお聞かせ願いたいと思います。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 確かに貸し手の側と借り手の側と並べてみれば、貸し手のほうが強いからこういう問題が起こるんだ、そういう判断、見方につきましては、私も一面においては同調するわけでございます。しかし、これは言ってみれば、あくまで日本における特殊事情といいますか、戦後の異常な回復、それから成長、そういう中にあって金融機関というものの経済界に占める地位が全体として非常に強くなってきている。これはまあ金融機関に対する依存度が強いということですね、一つはそこに根本的に問題がある。これがまあ自己資本で相当調達されて設備などは大体自己資本でやるというふうな経済でございましたら問題ないんですけれども、大企業初め中小企業に至るまで、銀行から金を借りるということは結局自分の企業の成長を意味するんだ、こういうことで今日までやってきておるわけです。これから先、開放経済になりましてそういうことが続くかどうか問題ですけれども、いままでは少なくともそうだったし、現在の時点においてもまだそうであろうと思います。だからこそ、銀行に変にさからうようなことをしてもつまらぬという考え方が債務者にあるということは否定できません。ただ私はそういった現象的な問題とこの両建ての問題をどういうふうに解決するかということば別の問題として考えたい。つまり、何百万という債務者についてほとんど全部がおそらく何らかの形で私は両建てがあるんだろうと思います。一部のよほど強大なる、たとえば電力会社などは比較的あまり預金を有していないんです、調べてみますと。だから、銀行のほうはあまり喜んでおりませんが、ごく一部ですね、両建てらしきものを置かされてないのは。きわめて例外である。大部分のものは何らかの形で相当な両建てを置いているのが実態でございます。これを一つ一つ追いかけ回して、そうしてそれをこちらが指摘する、そのはね返りをまた押えるという検察的な、似たような業務までやるということは、とてもわれわれのところの陣容でこなし切れるものじゃないと私は思うんです。ですから私は全体として両建ての問題を相当大幅に減らしたいというふうに考えております。そのためには、今回のような検査をときどきやる。私は年に一回とは申しておりません。またやることがあると思います。まあ、経費、人員の関係で制約があっても年に一回くらいで済ましてしまうということでは把握できませんから、今回のは主として肝実態をよくできるだけ深くつかむしいうことが第一の目的で、同時にこういった具体的なケースについてはこれだけのまあ自粛違反があるではないか、だから銀行側が非常に少ないと言っているのは間違っておるんだということをはっきりさせるという意味で私はこれはやってきたと思っています。検査にあたりまして、債務者のことばを聞いても、むしろ控え目に言うじゃないかというくらいの問題でございます、確かに。でありますから、腰癖に考えまして、一〇〇%、あるいは一〇〇%までいかないまでも、九十五点まではっきりするというふうなことは私はなかなか望めない。やはりどちらだかはっきりしないものがあるということを覚悟しておかなければいかぬと思います。いってみれば灰色のものが、白か黒かでなくて中間の灰色のものがある程度は出ざるを得ない。こちらから見れば両建てだけれども、銀行の言い分を聞いてみればある程度もっともだ、これは必ずしも銀行が強制してやっているわけではないというものも出てくるでしょう。ただこれは日にち別にたんねんに債務と預金を突き合わしていきますから、いわばそういう意味での関連といいますか、表面から見た関連は十分につかめているだろう、その上でのことでございますから、灰色といってもそれほど、大部分が灰色でわからないということじゃない、どちらかといえばそちらのほうが少ないだろう、その程度のことであるいは満足せざるを得ない、それは検査の限界であると私どもは見ております。たとえばこれは債務者に無記名でいろんなことをかってに書かしたとしても、これだって一〇〇%信用できないわけです。全然無記名でやれば、どんな無責任な回答が出てくるかわからないわけで、そちらはそちらでまた極端な事例が出てしまうのではないか、要するに神さまでない限りほんとうの意味で確実に一〇〇%両建て預金を把握するということは、私は不可能ではないか、だから灰色の部分があるんだということを、そうしてこの是正にあたりましてある程度のアローアンスを認めるということが必要ではないかと思うんです。銀行取引をしておる場合に預金を全然持たなくていい、債務者は預金すべからずというような原則はないわけでありますから、その灰色に当たる分くらいのものがそれが何割だということははっきり申しませんけれども、ある割合は、債務に見合ってある程度の預金取引をしておるというのか常態でございます。銀行としてはむしろ当座制の預金というものはある程度ないと困る、取引の態様というものを、手形の振り出しその他いろんなことでわかるわけでありますから、そういうことで手形、小切手等の動きを見る上においても当座制の預金のごときは当然あっていい。問題は定期のようなもので、そういうものが一体どの程度あってしかるべきかという点、たいへん問題はございますが、まあ検査を探り返しているうちに私は必ずこれがある程度適当だと思われるものは——これは信用度その他で違いますけれども、まあしかたがないのじゃないかという程度のものは、アローアンスの限界というものは出てくるのじゃないか、だからそういうことを考えますと潔癖に全貌を完全に把握するというところまでそれは望まなくてもいいのじゃないか、実態に近いものは把握される、そういう考えで検査を指導をしております。だから検査官の見方からすればこうだ、しかし相手はそうでないということと、その理由はかくかくである、こういったことがわかってくれば、かなり合格点をいただいていいのじゃないかと私どもは思っておるわけです。是正のあり方と関連いたしましても、先ほど申し上げたようにアローアンスというものを考えていく、それは灰色の分が大部分その中に含まれるのじゃないかというふうに考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)小委員 関連。銀行局長にお尋ねしますが、銀行局が銀行のいろいろ帳簿を調べるという権限はどこらまでなのですか。どのくらいのところまでやっておられるのですか。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 銀行の業務に関する分についてはすべて権限がございます。ただ引き出しをあけて秘密書類を自分でさがし出していいかどうかというような点は問題がありますけれども、普通の業務及び財産に関する検査は一切がっさい含まれるというふうに考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)小委員 その歩積み、両建てがある意味で悪いことは、ここでたびたび論及されておるわけですが、商習慣としていつごろからこういうことが行なわれておるのか、これは戦後やかましくなったと思うのですが、やはり戦争前にもこういう問題は問題にされなかったのかどうか。また相当古くから行なわれていることであるかどうかということ、これをお尋ねしておきたい。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 戦前におきましても、取引先の預金をある程度確保するということは、銀行の業務としてあったと思います。ただしいま行なわれているような、実質金利を確保するためにやるというふうなものはなかったと思います。つまり取引先の形態を把握する意味においては、その預金を銀行が持つということ、これは必要なことでございますから、それはあったのでございます。たとえばそういう点におきまして非常に目立っておりますのは、戦前は当座貸し越しがかなりあったわけです。当座貸し越しの契約がございまして、当座預金がプラスのときはいいですけれども、マイナスになったら貸し越し契約に基づいてその限度までは手形を割る、小切手の支払いをするということ、これが戦後には非常に少ないわけです。戦前は貸し出し資産の一割前後が当座貸し越しじゃなかったかと思います。そういうのはいまは微々たるものでございまして、自分で当座預金を置いて、それでその範囲で決済をしていくというふうなことになっております。ですから、戦前の状態では銀行がいつもこういうふうに強い立場にあったとも限りませんし、非常に弱い時代があったわけでございます。借り手に頭を下げているというふうな時代もあったわけでございますから、戦前の特に恐慌以後などは、しばらくの間銀行は今日とは比較にならないほど低姿勢であったわけであります。とても両建てを強制するような立場にはなかった。しかし金利としてはいまよりはもっと自由な体系にあった。戦後こういう両建てが激しくなったのは、一方では預金量をふやすということとともに非常にメリットを感じた。実際あるわけでございますけれども、業容が大きくなるということ、そのためには債務者の預金であろうが何であろうがかまわない、一応預金が大きくなったほうが大銀行である、それから日本銀行の取引においても優遇されるというふうなことがあるものですから……。そういうことで預金競争が相当にからんでいるということが一つ。その上にたとえば相互銀行、信用金庫等におきましては、かつては三銭をこえておった金利を一生懸命表面だけ下げてきた。表面だけ下げてきたけれども、コストの引き下げと資金需給がそれに見合いませんから、両建てのほうで十分カバーをしておる。だから両建ては一向よくなっておらない。長期的に見れば金利水準も確かに下がっておりますけれども、しかし表面金利が下がったほどの割合で下がったわけではないという感じがいたします。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)小委員 もう一問だけ……。いま高橋さんがちょっと触れられましたが、大蔵省が低金利政策を固持するところに一つの原因があるんじゃないかと思われるのです。それから金利というものは、御承知のように資本主義の社会では自由であるべきで、需要供給の関係で上がったり下がったりするのは当然で、日本が、国際的にいうと、絶えず金利が高過ぎる、高過ぎると言われますけれども、その点は日本の事情によるのであって、私はこの点がどうも——あとで堀君からも質問があると思うのですが、自由主義の経済の中で金利を押えるというところに無理があるんじゃないかというふうに考えるのですが、この点はどうでしょうか。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 原則的にはもういまおっしゃるとおりだと思います。ただたとえば臨時金利調整法というのがございます。もちろんこれはいまそのとおり働いているというよりも、むしろその内輸で、それよりも低いところで大企業に対しましては金利が押えられている。全く自由にしたら一体どういうことになるのかということも、これはやってみなければわかりませんけれども、つまり、金利は資金需給で動くのであるから、完全に自由であるべきだというのは一つの徹低した考え方で、それでいいと思うのですけれども、一つの指導的な考え方としては、銀行が資金需要が非常に強いという理由で金利水準を幾らでも高く取るというふうにもし向くとすれば、これは好ましいことだと言えない。銀行のコストから見れば十分にもうかる、しかし需要が強いんだから、もっともっと高く取ってもいいんだというふうには指導できない。いま日本で非常に自由な金利は何かといったらコールレートだと思う。これは限界需要でございますから変動幅があたりまえじゃないんでございますが、二銭くらいのときもあれば、四銭にも五銭にもなることがある。自由に変動しております。これは原則としては押えていないわけです、ある程度日本銀行が指導するということはありますけれども。そういうふうに需要が強ければ四銭でも五銭でもいいのかという問題、普通の貸し出しでなく銀行と金融機関同士の話ですから、それで一つの体系が成り立つのですけれども、民間企業に対して資金需要の強さにまかせて幾らでも取ってもいいという考え方もとれない。だから、一般的に言いますと、表面金利を下げろ下げろという指導を何となく行なってきたことは事実でございます。そのために両建て問題は少しも改善されずに残ってしまったので、実質金利を考えますといまの表面金利でやれるはずがない。と申しますのは、私ここであえてその点皆さんに御参考に申しますが、相互銀行で掛け金と給付の制度がございます。もともとこれが大部分だった。いまはごくわずかになっております。むしろ年々減っておるくらいです。あれは完全な両建て方式だったわけです。それを両建ては好ましくないというので残債式に改めさせた、そのときに金利を幾らにするかということがだいぶ問題になりました。きまったのは普通の場合が年一割二分になっております。つまり両建てでない場合の給付金の金利は年一割二分というと三銭三厘、この三銭三厘では当時非常につらいという話だった。いまでもそうだと思います。だから相互銀行から言えば非常に妙味のない制度になってしまった。その程度ではいかぬということですね。その上に一割四分というのがございます。それから日掛けの場合でございますと小さなやつは一割六分、これは堂々と表面に出しておるわけです。別に隠しておるわけではありません。そういうものだということが表面に出ております。つまり三銭三厘ないし四銭四厘というのがあの制度の金利になっておるわけです。両建てがなければ、この程度は最低いただかなければやっていけません、だからいま減っておるところを見ますとこれがやっていけないというので、三銭三厘ではだめだということをあらわしているわけでございます。もちろん両建てでやったほうがむしろ金利がかせげるのだということになっておるわけでございます。これが日本の金利水準だというふうに考えていただいたほうがいいのじゃないかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 そこでちょっと前の続きになりますけれども、今回の調査というのはこれはやはり銀行検査ですか、今度のは何でしょうか。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 大蔵省に関する限り検査でございます。ただ日本銀行から一一向わせれば考査でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 そこで銀行法三十四条の解釈を伺っておきたいのですけれども、三十四条の二項に「本法ニ依ル検査ニ際シ帳簿書類ノ隠蔽、不実ノ申立其ノ他ノ方法ニ依リ検査ヲ妨ゲタルトキ」は「一年以下ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金二処ス」という規定がありますね。そこで書類は隠蔽しないでしょうけれども、不実の申し立てという問題ですね。これは私は使いようによっては相当に有効に作用する法律ではないかと思っておるわけです。いま私が債務者の調査の問題を含めて言っておりますのは、銀行側の申し立てが不実であるかどうかということの、それの挙証責任を債務者のほうに求めれば非常にはっきりするわけです、率直に言いますと。だから私は何も罰するのが目的だとは思わない。目的は罰するのではなくて、そういうことをやめてもらいたいということであるけれども、しかし現在のこれまでの長い慣習を改めてもらうためにはやや強き態度が必要ではないかという感じがいたします。そうすると、実はこの銀行法をずっと見ましてもあまり何というか規定はあっても、これまではどういう慣行で金融機関側が大蔵省からのあれに言うことを聞いてきたのかわかりませんけれども、ただどうも歩積み、両建て問題に関してだけは、率直に言って聞かなかったわけですね。ほかのことはおおむね金融機関が聞いてきたのじゃないかと思うのですが、これだけ聞かなかった。それはなぜ聞かなかったかというと、いまの法律なり制度の中では、まあ言われたって、やったって別に処分される条項も何もないしいけるというのが、私は裏側の一つの要素ではないかという気がするのです。しかしいまのは検査であれば、向こう側の言っておることが、もしあなたのほうが間違っていたことを言った場合は三十四条で、これでいきますよ、不実の申し立てをしないという宣誓をさせる必要はないけれども、こういう問題はあるのですよというくらいのかまえでいけば、これはやはり「左ノ場合ニ於テハ取締役、監査役、支配人、清算人又ハ本法施行地外ニ本店ヲ有スル銀行ノ本法施行地ニ於ケル代表者ヲ」こうなっているのですから、これは向こう側の罰則も「一年以下ノ懲役又ハ八十万円以下ノ罰金」ですから、金額量刑の多寡はともかくとして、きわめて不名誉な事態になることは明らかでありますから、不実の申し立てというものは行なわれなくなるのではないかという感じがいたしますが、その点についての銀行局長の見解を伺いたい。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 こういう法律にある罰則の運用は非常にむずかしい問題だと思うのです。いま堀先生のおっしゃるのは、歩積み、両建てについてだけははっきりうそを言っているではないか、ほかの問題については不実のことはあまりないかもしれませんけれどもとおっしゃいましたが、実はこの一項の一号だって問題があるのです。「業務報告書又ハ監査書ノ不実ノ記載、虚偽ノ公告其ノ他ノ方法ニ依リ官庁又ハ公衆ヲ欺圏シタルトキ」これは預金のドレスなど、例外なくやっているといってもいいくらいです。この金額がばかにならない。時によると一五%、ひどい場合には二割のドレスをやっているという実例がある。むしろこのほうはあとからばれてしまう、実例がつかまれておりますので。含み貸し出しもそうでございますけれども、ちょうど預金のドレスの反対のことをやる場合、こういうのは過去においてもはっきり事実がつかまれておるということがあるわけです。あとから見れば含み貸し出しを四千億近くもやっていたじゃないかというふうなこと、それでもこの罰則を適用して告発をし刑事事件にしたという例はいまだかってない。銀行というものに対して、従来のあれからいいますと、その点、ちょっと大蔵省は甘いのかもしれませんけれども、ですから、もしそれがほんとうにいろいろな点で実害を生ずる、ことに日本経済の方向を誤らせるというようなことになれば、罪は非常に重いわけでありますから、まずそういったもののほうが悪質じゃないかということもあって、どうしてそういったあとから事跡のはっきりつかまれたものまでほっておくのかという御意見もあろうかと思いますけれども、長年にわたって指導を中心にやってきている、金融機関の信用といいますか、信用保持というところに非常に重点を置きまして、それにふさわしいだけの、銀行の品位を傷つけないようにせよということを言っているわけでありますが、実際問題としてはいろいろの不祥事件もあるし、経営者は経営者でもって背伸びをしたことをやっている、こういうこともあるので、ただこういう罰則を置くだけで全然適用しないことにつきましては確かに御批判もあろうかと思いますが、にわかに急カーブは切れない。今後の問題としては非常に悪質なものから取り上げて刑事罰を科するということもあってもいいのではないかと思いますけれども、この歩積み、両建ての問題について債務者のほうから挙証をさせてそれを裁判所に持ち込んでやるということになると、債務者はおそらく証人としては立ちたがらないということになって、やってみても実際は挙証できない。裁判上は匿名やその他では心証を得ることはできても、証言を得ることが実際問題としてはまず不可能に近いのではないかというふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 さっき銀行局長が、戦前金融が非常にゆるんだり、あるいは倒産が起きたりしたときには、銀行の取りつけが起きた当時には、銀行の姿勢は非常に低かった、いま高くなった一つの理由は、いまあなた方のほうがこういう問題を含めて全体として少しルーズになっている点と、もう一つは、日本銀行がともかく預貸率を越えて金を貸してやって取りつけが起きっこないことにしているのですよ。だから、銀行とすればあぐらをかいている。何をやったって、ともかくも日本銀行がうしろにいて取りつけなんか来っこない。だからそういう意味で、都市銀行についていうならば、都市銀行だけじゃありませんが、日銀と取引のある銀行についていうならば、預金者保護の問題というのは非常に薄くなっていると思うのです。この間の不動産信用金庫ですか、あんなようなまことに零細なものにおいてはああいう事故が起きて非常な迷惑をかけている。ところが、そういうものも実際起きておるということで私はこれはやはり問題があると思うのですよ。むしろ都市銀行その他においてはその点は非常に安易な考え方になっているのではないか。私は何もこれを適用して処罰しなさいということを言っているのじゃないですよ。しかし少なくともこういうことを前へ出して、あなたが、もし不実の申し立てをしていたらこれを適用される場合がありますよというくらいの姿勢でいかないと、この前もあったけれども、まあまたどうせ別に大したことはなかろうというようなことでこれが終わったのでは、現行法規の中で銀行局としてやれる限界というのは、この間も、春日さんもよく言いますけれども、非常に限界があるわけですね。だからやはり何かがてこにならなければ私はなかなか問題は解決をしないと思うので、そこらの点は十分に考慮をして、今回やった検査を有効ならしめるためにはあらゆる措置が考えられていいのではないか。後段の最初におっしゃった、どうも話が検査官と当事者側の両者の判断とで食い違って調査の必要がある場合は、債務者も調べますということはけっこうだと思うのです。要するに何らか債務者を抜きにした問題だけで解決しようということでは私はこの問題の解決ができないのではないかという気がいたしますので、少しそういう点をはっきりしておいてもらいたいと思います。  それからいまの場合、この該当いたしております銀行は、都市銀行については特殊銀行を除いては全部一応ワクの中へ入っておるのではないかという気がいたしますが、地方銀行以下の対象行数は非常に小さいわけですね。相互銀行はたしか七十幾つかあったはずですから、十分の一近い程度しか実は今回調査対象にならないということになりますと、相互銀行、信用金庫ともにこれだけではカバリッジが非常に少ないと思うのです。実はやはり歩積み、両建ての場合には、都市銀行はもちろん重要でございますけれども相互銀行、信用金庫等にも問題がありましょう。その場合に、さっきこれまでの給付掛け金方式から残債式に変わりましたけれども、実は私どもが当委員会はじめ商工委員会等で非常に相互銀行の金利負担が大き過ぎるということであそこまで発展してきたものだと思うんですよ。しかしそうだからといって、おそらく私はいま一割二分くらいに両建てがなっているなんというのは金利負担としてはきわめていいほうだと思うのです。実質金利が二割、三割というのがあるということはわれわれはしょっちゅう聞かされているわけです。だからそうなると少なくともさっきお話の一割四分くらいまでは、これは四銭四厘くらいまではやむを得ないかもしれませんけれども、これを上回るものはやはり何とか——それでもなおかつその自粛対象にならないなんということは、これはやはり私はいかがかと思う。この間実は私ちょっと証券会社の友人と話をしておりましたら、彼はこういうことを言うのです。今度大蔵委員会なり政府等で歩積み、両建ての問題をやってもらって非常にけっこうである。私のところにはこういう例があるというので、九州地方のある相互銀行に割引興業債券を買ってくださいといって持っていった。よろしい買いましょう、二百万円買いましょう、ただし百万円は定期預金をしてください、こう言われたというんです。そうすると支店長は、競争になっているものだから、百万円の定期預金をするにしても二百万円の割引興業債券を買ってもらったほうがいいということで、そういうことが起きておる。これなども、なるほどケースは違いますよ。ケースは違いますけれども、現在いろいろなそういう政府保証債券等の問題はこれは証券会社等も一生懸命何とかしてはかそうと思って努力する、そうして金融機関へ持っていくと結局それは定期預金をしろということで、裏返していうならばもうブラックマーケットに売ったと同じことですよ。そんなことが地方相互銀行ではあるということを聞いて、私はちょっと実はあ然としておるわけです。だからもう預金者だけの問題ではなくて、そういう債券をそういうふうにして買ってくれ、相互銀行やその他がある程度債券を保有するようにあなた方のほうも指導しているだろうと思うのですが、その指導をしておる債券を買うときにも、定期預金と両建てでかぶせるというようなことはもってのほかだと思うのです。だからそこらの点を含めてちょっとお考えを聞いておきたいのは、今度の検査等の場合に、いまの実質金利がどうなっているかということもあわせて、この対象については、この五十人は全部出していただけるのかどうか、その点をひとつ伺っておきたい。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 いま御指摘のような、債券消化にあたっても定期預金をとられるというふうな実例は、私も実は承知しております。割引債券もそうでありますが、普通の社債等は引き受け者の数が非常に多いのです。引き受け協会に入っているメンバーがかなりの数がおります。しかし、圧倒的に大きな部分は四社でとる。非常にささいなものがそんな証券会社に割り当てられる。それを同じような金融機関に行ってはめ込むわけです。通常行なわれておりますのは、通知預金くらいの短い期間でありますが、させられる。結局証券業者も無限に金があるわけじゃありませんから、また二週間もたてばおろしてしまって、そしてまた次の月にやるというようなたらい回しでやっている。実にばかげていると私は思うのですが、どこからも金はほんとうはふえてこない。証券業者がそんなに金を持っているわけじゃない。ことに中小証券業者にゆとりがありませんから、おかしなことになっているわけです。とにかく一時的にもせよ預金を確保したい。金利を計算してみますと、二週間くらいの通知預金をいただいただけではたいしたことにならないのですが、要するに預金の平残ができるとかなんとかいうことがございまして、実にばかげた競争を金融機関がやっておるわけです。これは金利の問題よりもむしろ預金競争が非常にかんでいるのだろうと私は思います。  それで金利の問題ですが、実質金利が幾らになっているかという点です。先ほどのように、灰色のものがありますので決定的な数字は出ませんが、しかし条件つきでならば、ある程度向こうの言い分を認めた場合でも、両建てを入れて計算すると、実質金利は三銭五厘になるとか、四銭になるとか、こういうのは出てくると思います。その大体の程度についてはわれわれも把握できると思うのでございますが、がっちりしたものは出しにくい。それから非常に高いものがあるというのは、確かに私ども先ほど申した一割二分や一割四分程度ならまだましだけれども、四分をはるかにこえるようなものがあるのじゃないかというお尋ねですが、私も何も確証は持っておりませんが、そのような例を承知しております。一般的な事例だとは思いません。ただしこの点について、私どももまだほんとうの意味では金利をどうすればいいかという点について自信を持てないのですが、べらぼうな五銭あるいは十銭に近いような金利だってあり得るわけです。それはどういう場合かと申しますと、大企業が言ってみれば片足を高利貸しの段階に突っ込んでおる場合がある。高利貸しからはそういうものは十銭でも借りられない。十五銭、二十銭というようなものが通り相場になっている。かなり一流の手形を持っていっても十銭なんですから、十銭以下ではなかなか貸してくれない。だから怪しげなものになるともっと高い。そうするとたとえ五銭でも十銭でもそれよりははるかに安いという感じになる。だから非常に事業が怪しくなってきて、どうしても高利貸しに走らざるを得ないような段階にまできますと、金利というものは高利貸しのほうに近づくわけです。こういうものに対して金融機関が貸すべきか、貸さざるべきかという問題がある。たとえ金利を高くとっても高利貸しへ持っていくよりもはるかにましなんだから、危険度ははるかに高いのだけれども、そういうものは救ってやれというように指導をしていいかどうか。しかしおよそ政府の認可を受けて、言ってみればフランチャイズの権利を持った金融機関があるのだから、高利貸しと同じような考え方で金を貸すべきじゃない。大体どんなに高い場合でも先ほど言った四銭四厘もありますが、五銭なら五銭というようなところに線を引いて、これ以上高いような金利をとる、こういうものはもう貸し付けの対象にするな、はずしてしまえという指導をするかどうか、この辺が非常に微妙だと思います。ただ全体の金利水準が二銭をはるかにこえているということであれば、これはけしからぬと思います。そういう不良なものばかり相手にしている金融機関はわれわれは取り締まるわけです。もっと普通の中小企業だって健全なものは幾らでもある。将来性のあるものは幾らでもある。そういうものを育てていくというのは、原則としては政府から許可を受けた金融機関の使命じゃないか。といって、こういう引き締め時になれば特に多いわけですが、非常に怪しげなものが出てくる。それをなるべく救え、連鎖倒産などをさせるなと言ってわれわれは指導しているわけであります。ところが一方では非常な痛手を受けている。これに対して安い金利で金を貸すべきであるという指導をいたしましても、金融の法則から言うとちょっとおかしなことになる。危険度は非常に高い、信用力が薄弱になってしまった、そういうものに低利の金を貸すというのは、政府機関なら考えられますけれども、民間の自己の責任でやっている金融機関に対しては、そこまで金利も安く、しかも危険も承知で貸しなさいということを言うのはどうかという感じがあるものですから、その辺については私どもも私自身がまだはっきりした確信を持っておらない、正直なところを申し上げてそんなことなんです。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)小委員 ちょうど高利貸しのことについてお伺いしたいと思ったのです。いま御説明のとおりに、だいぶ金融の引き締めでそういうほうへ追い込まれると思うのですが、いま高橋さんのほうで、大蔵省の調べた東京における高利貸しの現状、そういうものを把握されておったら、高橋さん以外の銀行局の係長でも課長でもいいのですが、あなた方がつかんだ程度でけっこうですから、ひとつ御説明願えませんか。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 高利貸しの実態調査ということは私どももまだやっておりません。むしろ話に聞いた程度でございますが、しかし倒産した実例の場合などはちょいちょい出てくるわけでございます。かなり大口のものでありますと金利は大体八銭から十銭ぐらいのものがございます。実は具体的な例を申しますと、帝石が相当に高利貸しを利用したのです。ただし高利貸しの出どころが一カ所ではございませんで、中には外人関係のものも入っております。わりと安いのでは日歩六銭くらいなんです。しかしこれは非常に大口でございますので、何億とまとまった金で出ている場合には六銭のものもある。しかしこれは日本のはありませんから、日本の場合を言いますと、大体八銭、十銭というふうなところじゃないかと思う。しかし通常小口の中小企業などが利用するものですと、これは一番最低が十銭というふうに聞いております。最低と申しますのは、先ほど申しましたように、一流会社の手形などを割ってもらう場合の金利が十銭ぐらいになる。だから実情はもう二十銭ぐらいのものが当然普通じゃないかと言われております。これは引き締めが強くなって浸透してきますとこの金利も高くなるように聞いております。これは大体担保が非常に薄弱で、ない場合もございますから、担保がある場合とない場合とではだいぶ違います。前にも質屋と比較されたことがありますが、質屋の場合だと相当の掛け目で現物の担保をとっているわけです。だから月の金利で四分ないし六分ということになっております。高利貸しに比べてかえって安いのじゃないかという気がする。これは比較的処分しやすい現物の抵当をとっておるために金利がその辺で済んでいるのじゃないか。だから担保がほとんどないような場合には、金額としては相当リクスを織り込んだ高いものになる。これもいろいろな説がありましてわからないのですが、日本じゅうで一体高利貸しの金がどれくらい動いているのかという点ですが、低い数字で言うと三千億という数字があります。それから五、六千億あるのじゃないかということもありますが、大体この中間あたりに資金量の実態があるのじゃないかと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 なるほどいまお話の例外的な問題が私も確かにあると思います。その貸すべきか貸さざるべきかというところは、これは多少問題はありますが、どこかの相互銀行なら相互銀行が貸さないために倒産をする。そこで最後でアウトだというのも、これもいまの現況からいって必ずしも適当でないかもしれない。そこでこういうことはできないでしょうか。たとえば日歩四銭五厘なら四銭五厘、実質金利が四銭五厘、まあ五銭までいいでしょうが、それをこえて貸す場合にはひとつ届け出なさい、これはこういう事情でわれわれとしてはいろいろな調査をした結果、非常にもう企業として弱っておるので、われわれとしても保全上どうしてもこの程度の——これは金利の問題を越えて、実はこれは両建ての問題だと思うのです。担保保全の意味における両建てというかっこうになってくると思うのです。あるいは歩積みになってくると思うのです。そういう表面の実質金利がある限度を越えてそういうことをしなければならぬような貸し付けをする場合には一応届け出なさい。そうしてそれは届け出るということになれば、向こうとしてもやはり慎重にやらなければいかぬでしょうから、どれもこれもそういう挙証責任もくっつけて届け出ることになるわけです。そういう指導をすると、これはだいぶん変わってくるのじゃないかと思うのですが、そこはできませんか。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 一つの考え方としてはおもしろい考え方だと思うのですが、実際やります場合に、私どもそれをかりに実行するとしますれば、相当徹底的に金利という観点から実態調査を進める。そうしてかりに例外五銭としますと、例外が非常に多いということになりまして、届け出をやらしてもさばき切れない。どうにもならない。やはり例外は少ない、非常に極端な場合であるというふうな線はどこかということを把握した上でないといかぬ。確かに同じ金融機関が貸すのならば、高利貸しのような金利を取るのでは相手はやはり救われないわけです。金利で参ってしまうわけです。普通の営業利潤というものから利子率が生まれてくるとすれば、営業利潤というものには高低がありますけれども、大体平均したものがあるわけです。つまり、一体二割の金利を払っても商売をやっていけるものとはどういうものがあるんだ。私ども検査の場合に娯楽興行は除きましたが、つまりバーやなんか、そんなものに貸している例があるわけです。こんなものは当たれば十割の金利だって払えるけれども、当たらなければ普通の企業より悪くなる。非常に水商売といいますか、波があるわけです。そういったものを一応除外して、普通の中小のメーカーであるとか、小売り商であるとか、そういうものが払い得る利子率というものは一体常識的にはどの辺であるかというふうな点をある程度検討した上で利子率の一応の最高限度を考え、それが金融機関としての限度じゃないか。それを越えて出さざるを得ないような場合は、何か特殊な理由がなければいかぬ。おそらくたいていの場合には担保不足である。非常に危険度が高いということであろうと思うのです。ですから、そういうものについては別に許可制をしろというふうな指導をするのが一つの着想としておもしろいことだと思いますが、その線をどこに引いたらいいかということはもっと私どもは研究してみなければいかぬと思うのです。大体数年前からこの問題については、預金の実態というものは、通常の実態の場合にはグロスでは調査さしているわけです。これはあまりきびしくいたしますと、しまいに不実の記載じゃないですが、債務者じゃないことにされてしまう。その実態さえ把握できない。そこに私どもこの歩積みの問題につきましても、それから両建てというものも債務者預金の中にある債務者預金そのものについて真実を書かなくなる。申し出なかったらたいへんだ。だから金融機関のやはり協力的な気持ちを利用していかなければこの問題はほんとうには解決されないんだということを私ども思っているわけなんです。債務者預金そのもの、債務者はいま偽名でも匿名でも何でもいいわけです。それをあえて書かしているわけです。いままでの債務者預金の調査には本人だけではないのです。本人が会社の社長であって、個人名義でも定期預金をしている、こういう場合が非常に多い。あるいは妻の名前、子供の名前、こういうものでも関連するものはみな債務者預金だぞ、それを書いてくれという指導をしております。それを逃げられてしまう。こちらからも発見できないという事情があります。ですから、いま話がちょっとそれますけれども、私ども金融機関をただ痛めつけるんじゃなくて、ほんとうの意味で協力するといいますか、せめて私どもの政策に協力するという気がまえをこわさないようにしていただかなければならぬ、この点をたいへん重視しているわけです。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 まあ銀行局もそれは過去の経緯がありますから、高橋さんなかなか姿勢をきちんとしておられるのだけれども、これはそう簡単にいかないと私は思いますけれども、どうもやはり私どもお話を聞きながらちょっとひっかかるのは、いまの最後の点なんです。要するに協力を要請するかっこうでないと名前まで変えてしまうのではないか。名前を変えることはまさに不実の記載なんですよ。しちゃいけないことで、銀行法で処分できることすらもやはり協力していかなければならないというところに、私はそれじゃこの法律は一体何のためにあるのだと裏返して言うならばそういうことになってくると思うのです。この法律が今日このまま設けられて残っておることは、国民の意思としてそういうことをさせてはならないという規定があるので、池田さんは、きょう公労協の問題はどうなるか知らないけれども、三公社五現業に対して政府は法律に違反した違法のことをしちゃいけないということを労働者にやかましく言う。金融機関には違法のことも協力していきましょうでは、これは銀行局長、やはり筋が通らないですよ。力の強いものには御協力、弱いものには違法だ。ここらはやはり姿勢を正してやってもらわないと、私はこの問題はなかなか解決しないと思うのです、率直に言って。私は何も処分をすることが目的だとは一言も言っていないのですよ。しかし少なくとも国の法律で定めたことを曲げてまで企業をどうこうしようという考えは、少なくとも経営者から末端の支店長に至るまでやはり排除しなければ、金融機関というのは何も金融機関のために金融機関があるのではなくて、国民全体のためにあるのだし、そのことは同時に預金者のためにもあるけれども、債務者のためにもあるので、債務者がだれも金を借りてくれなければ銀行は即日つぶれてしまうのです。だから私はどうしてもそういう意味で銀行局は、あなたは姿勢を正しておるほうだけれども、もう一つ姿勢を正してもらいたい。やはり行政担当者としてはわれわれの定めた法律の定めるところに従って適法なる行政の運営をするという姿勢でひとつお願いをしたいし、いま私が申し上げた問題はひとつ検討していただいて、それが何銭にきめるかは別にして、上からきめていっておろしていってもいいと思うのです。とにかく八銭なら八銭以上は出せ。それを徹底的に取り締まって、なくなったら七銭から出せ、六銭から出せ、これでもいいと思うのです。これは何とか一ぺん銀行局として検討していただいて、特に問題のある相互銀行、信用金庫等の中小機関についてはお願いをしたいと思うのです。都市銀行については、そんな五銭も六銭もあったらもってのほかだろうと思うのです、率直に言って。これは金利コストも安いし、とにかく日本銀行から安い金利で、コストの安い金をさっさと持ってくる。おまけに公定歩合が上がった、預金金利はとまっているというような状態では、もうかるにきまっておるのだ。私はこの都市銀行における歩積みの問題は、企業経営の問題ではないと思うのです。ですからそういう諸般の情勢を勘案をして、ともかくわれわれこれからここで何らかの決議なり、いろんな問題をしたいと思いますけれども、少なくとも銀行局もこれほどこの問題について与野党、政府一致して、ともかく姿勢を正そうという機会はないわけですから、ひとつこういう意味で前向きに行っていただきたい。  それから銀行検査の今回の問題につきましては、われわれの委員会としてはこの国会中にあらましの報告を得て、それを土台としてひとつわれわれなりの考え方をきめたいと思いますので、今回の国会の今期は五月十七日まででありますから、少なくとも五月十日ごろまでに、こまかいところまでは無理でしょうが、大略の報告をまとめて当委員会に報告をしていただきたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)小委員 ちょっと関連して。これは制度にわたるかもしれませんけれど、大蔵大臣の発言からだいぶ銀行の合併問題がやかましくなって、第一と朝日銀行が合併した。こういうことでその後同じようなケースが出てこないのですが、これは政府でとめておられるのか。あるいは大臣が銀行合併のことを盛んに、これは放談居士だから多少放談があるでしょうが、その点銀行局としてはどのように考えておるのですか、具体的な問題としてお聞きしたいと思うのです。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 合併のことにつきましては、実際に行なわれたのは朝日銀行だけでございます。そのほかにも話題にのぼる程度のものでございましたら、ないわけではございませんが、どうも従来のいきさつ、銀行間のいろいろな関係からいいまして、必ずしもスムーズにいかない。合併をしようとすれば一種の併呑合併になってしまう。大きな銀行が小さな銀行をのみ込んでしまうということになる。それがやはり力ずくで合併するような形のものしか考えられない。つまりされるほうで必ずしも喜んでいない。喜んでいないどころか猛烈に反対しておるという事例もあります。そういうものについては、私ども前に合併の基準を定めておりますが、基本的には両方非常に意見が一致して、これは一種の結婚でございますから、されるほう、言ってみれば被合併銀行も喜んで一緒になろうというふうなことが基本になければいかぬ。それから外部から見ておってもっともである。力ずくで組み伏せたんじゃないというふうなことでないと好ましくない、認可したくないというふうな基準ができておるわけでございます。銀行合併につきましては前にもお答えしたことでございますが、いまとなって銀行合併をそういう意味で、大銀行が小銀行を合併するほどの一体メリットがほんとうにあるのかどうか疑わしいと思うのです。私どもとしては、大銀行同士の合併がもし非常に円滑に行なわれるのであれば、それは歓迎するという考え方なんです。言ってみれば銀行間で合併しよう。ちょうど海運界が五つのグループになったように、そういう点でさらに、いまでもかなり大きいけれども、何ら問題なしにこの際資金コストを、むだな経費を避ける。店舗などは非常に重複しておるわけですから、そういう意味において、合理化のためにやろうというのですと、これはまた一つの意義を持っておると思うのです。このほうはちょっといまのところそういうきざしが全くない。理論として言う人はありますけれども、そういう機運がどこかにでもあるかというと、まずないという状態でございます。そうしますと、大銀行が小さな地方銀行を合併する問題について、われわれがむしろそれを積極的にやれというふうな態度をとるべきかという点については、私どもはむしろ消極的に考えております。地方の小銀行には、それはそれなりに中小企業金融などについての存在意義がある。しかもそれは初めは非常に怪しかったけれども、現在においては相当基盤もしっかりしている、一本立ちになっておるという段階において、なぜ合併しなければいかぬかということになると、ちょっと説明のしょうがない。何のことはない。結果を見ると、賃金ベースからいえば差があるというわけです。これはただ高くなるというだけで、コストの上からいって別段安くなるわけでもない。中小企業金融の問題としても、やはり本来独立しておった場合に比べれば、どうしても金が大企業のほうに吸い取られる結果になりはせぬか、そういうこともございますので、いまの銀行の数からいって非常に多過ぎるというところまでは考えておりません。どっちかといえば消極的な態度で見ていなければならぬ、そんな状態になっております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)小委員 いま高橋さんから店舗の話が出ましたが、これは銀行側で競争している以上は、相当店舗の増設許可の申し出があるのじゃないかと思うのですがその辺のことと、これは山際さんにもそう言ったのですが、銀行の本店はいいけれども、大銀行が大都市の、たとえば東京の銀座あたりでも大きな支店の店舗をかまえて——銀行なんというものは私は裏通りでもかまわぬと思うのですけれども、ああいうようなことを、これは銀行局の権限であるのかどうか知りませんけれども、この傾向は、私は日本の健全な金融の形からいけば好ましいことではないと思っておるのですが、この点について、支店の増加の問題と、それから銀行支店の広大な建物、こういうものについてどうお考えになっておりますか、お伺いしたい。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 支店の増設につきましては、すでに銀行等につきましては大体三十九年度の分としては内示をしております。銀行で申しますと、ふえ方の程度でございますが、現在の店舗数に対して大体四%くらいの増加率になります。現在の店舗数が多いか少ないかということにつきましても、いろいろ諸外国では、特に先進国の店の数と比較してみまして、かなり国によって特殊性がありまして、割りに多いところとそれほどでもないと思われるところ、日本の場合は、銀行の店舗、これは相互銀行その他小さなものに至るまで全部ひっくるめて支店の数、それを人口等に対して比べた場合、必ずしも全体としては多くないというほぼ結論になったのですが、外国のそういう増加率なども参考にいたしまして、それでも日本のいまの経済の程度を考えまして、結果においては大体四%くらいの増加を認めたことになっております。ただ銀行の希望する地域は非常に片寄っております。都市銀行等で申請をしてきた希望支店を見ると、やはりいなかはあまりない。東京都並びにその周辺でいわゆるベッドタウンになっているところも含まれますが、片寄っておる。地方の府県などには全然申請がないわけです。増加する地域が片寄っているという点。ですから今日になってみますと、銀座周辺の表通りが夜になるとさびれましたが、その原因の一つに銀行の店舗が並んでいるという点がある。確かにそういう点があると思います。最近は銀座の表に店舗を許していないのですけれども、従来の実績であれだけ並んでしまったわけですね。これをいま表通りにやるのは必要ないから、それを売って裏へとりかえてくれというふうに、そこまで指導するところまで実はいっていないのであります。確かに民間の世論というものが非常に強くなればいいのですけれども、先ほど申したような事情で商店街の方々も、初めは銀行を歓迎したというようなこともある。そのうちに銀行が競争して、あまり多くなり過ぎたので、町がさびれるからというので好ましくないとは思っておると思いますが、さあどいてくれというところまで町並みの運動にならないのですね。そういう運動でも出てくれば私ども指導しやすいのですけれども、私ども一方的にこれはいかぬということが言えないという、そんな事情でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 実は、公正取引委員会で今度中小企業の皆さんのほうに何か照会をされて、今回の歩積み、両建てについて債務者側のいろいろな調査を始めたように新聞紙上で拝見をいたしましたが、その点について少し御報告をいただきたいと思います。

渡邊喜久造公正取引委員会委員長

○渡邊(喜)政府委員 この歩積み、両建ての問題につきましては、銀行側のほうについて調べた実績というのは、これは昨年の銀行局の一応の検査があります。それから今度、先ほど来お話しになっている大蔵省と日銀が共同して検査しているのと、これも私非常にけっこうなことで、いろいろな——先ほど来そこから出る結果について、どこまでそこに信頼性のおける結果が出るかどうか、これはいろいろ議論のあるところです。とにかくつかみ得る資料として一つの相当重要な参考資料になると存じます。それから債務者側について調べたものとしては幾つかあります。中政連が調べましたり、それから最近は中小企業金融公庫、これも調査されたものがあります。しかし公正取引委員会としては、やはりそうしたよその調査は調査として、私のほうで場合によっては特殊指定というところまで踏み切ろうとすれば、やはり自分のところの調査も持ちたい。それを全部総合した上でもって判断をすべきではないか、こういう観点に基づきまして、アンケート調査というかっこうで照会を出しています。  ごく概要だけ申しますと、大体第一次の調査というつもりで始めましたのですが、東京都と近県といいますか、千葉、埼玉、神奈川の中小企業者というものを対象としまして、この場合の中小企業者というのは中小企業基本法でいっている中小企業者を頭に置いております。それで一応調査対象を二千四百としまして、その中で製造業関が千二百、建設業が百、卸売り業が七百、小売り業が二百、サービス業が二百、これをアトランダムに選びまして一応照会を出しております。もちろん記名による回答というのはいろいろ出しにくいこともあろうと思いますので、回答としましては業種と資本金の額、それから従業員の数、年間の売り上げ金額というもの程度は書いていただくとして、もちろんその調査を出していただく方のお名前を要求はしません。そんなことも多少配慮もしまして、封筒も私のほうで公正取引委員会あての封筒をつくりまして、調査票と一緒にお送りするということで出しております。どの程度の回答が期待できるか、過去の中政連などの調査の事績によりますとアンケートに対しての回答率というのはかなり低かったようであります。私のほうもできるだけ多く回答されることを期待はしておりますが、一応の回答期限を二十日にしております。締め切りはやはりその後今月一ばいくらい待ってみた上で集計なりなんなりをやっていく、こういうつもりですでに十日、十一日発送はいたしました。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 アンケートをまたあとでいただきますから一々はけっこうですけれども、重点を置いていらっしゃる調査目標というのは大体はどういうことになりますか。

渡邊喜久造公正取引委員会委員長

○渡邊(喜)政府委員 その調査票をお書き願う企業において、借り入れ金としてどういう程度のものがあるか、それを長期借り入れ金、短期借り入れ金、それから商手の割引残高、商手差し入れによる借り入れ金、この程度に一応分けまして、そしてその総計額を書いていただく、あるいは割引のワクがきまっていればその割引のワクを書いていただく、これが借り入れ金に対する事項であります。  それから、預金につきましては預金額を書いていただきまして、そのうちいわゆる拘束性預金、これには一応どういうものが拘束性預金かということは説明はしておきましたが、その中で定期預金あるいは普通預金と通知預金と当座預金、これは一括してあります。その他の預金、こういうものがどの程度あるか、それから拘束性預金の種類としまして両建て預金、歩積み預金、それから根担保預金、こういうものについてどういうふうになっているか。それから歩積み、両建てにつきまして一つのタイプを考えまして、どのタイプに当たるか。両建て預金につきましては、たとえばそれがいつも行なわれているとか、大体行なわれているとか、全然行なわれていないとか、行なわれているかどうか不明であるとか、あるいは歩積み預金につきましても、幾らたまっても歩積み預金をさせられるとか、歩積み預金が一定額に達するまでは割引のつどさせられるが、それをこえた場合はさせられない、一定額に達しても拘束は解かれないが、それは根担保預金に繰り入れられて手形割引のワクが拡大されるか、こういったようなことにまるをつけていただくような意味のアンケート。それから金利が調整されているかどうかといったようなことが自粛措置のほうにも多少出ておりますが、そういったようなことがあるかないか。それからもう一つ、最近の借り入れ金の一件だけにつきまして借り入れた日、それから金融機関、これは名前は書いてもらうことにしておりませんが、一応都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、こういうふうには分けてあります。そこでその借り入れ額について金利がどんなふうになっているか、借り入れ期限がどんなふうになっておるか、あるいは借り入れに際して両建て預金がさせられたかさせられないかといったようなこと、あるいは金利調整がなされたかなされなかったか、あるいは手形割引につきましても同じような点、こういう問題をごく簡単に書いてもらうということを中心にしまして、ねらいとしましては実態はどうなっておるかという点を債務者の立場から見てみたい。ただ、もうすでに三十何通か回答がきておるのをちょっと見てまいりますと、多少回答の中に矛盾した事項といいますかありそうです。ただ無記名で照会しておりますから、本来ならその人について聞いてみたいところなんですが、これはできません。もっともこれを出しますにつきましては、一応商工会議所の中小企業関係の部会がありますが、そこへこういうふうなかっこうでもって大体書けるだろうか書けないだろうかといったような意見とかそういうものを求めまして、まあ何とか書き得るのじゃないだろうかというふうな点、あるいはここはちょっとどうもむずかしいぞというような点は直しまして、そして一応そういう方々の御意見である程度補正しましてアンケートの調査票をつくり、これを発送しておるというのが現況であります。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 大体いま月末までに集計ができるとすると、解析、製表などをなさいまして整理が終わるのは大体いつごろをめどになさっていらっしゃいましょうか。

渡邊喜久造公正取引委員会委員長

○渡邊(喜)政府委員 月末までと申しましたのは、月末まで回答の集まるのを待ってみよう、二十日という期限になっております。郵便の期間もあり得ますし、それから多少期限がおくれても回答さえあればわれわれのほうとしてはそれで目的を達するわけですから、やはり少し猶予期間を置いてみよう、月末に一応の集まったものをそろえましてその上で集計をしてみようというので、事務的にやってまいりますと五月は御承知のように連休などもあるせいもありますが、一応いまの事務的な考え方として事務方が考えておるのが、五月の半ばころまでかかるのじゃないだろうかと言っておりますが、こちらの委員会の御希望などによって場合によってはもう少し早めることも考え得るかどうか、これはもっと検討してみたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 この際、実はさっき銀行局にお願いいたしましたけれども、私どもとしても非常に参考になる資料でもございますので、正確な御報告をいただくことは無理かと思いますが、中間報告程度でもけっこうでございますから、中旬ごろまでに資料を御報告いただいて、それをもとにして私ども当委員会で結論を出す参考にさせていただきたい。もし御協力でさましたらお願いいたしたいと思います。

渡邊喜久造公正取引委員会委員長

○渡邊(喜)政府委員 中旬というのは十日ごろですか。

堀昌雄日本社会党

○堀小委員 十二、三日くらいにお願いできれば幸いであります。

渡邊喜久造公正取引委員会委員長

○渡邊(喜)政府委員 あるいは最終的な結果というのは無理かもしれませんが、一応御希望の日時までにできれば完全なもの、できなかったら中間的なもの、どうもアンケートの性格からしまして出た数字をそのままとり得るかとり得ないかという問題、といいますのは、その調査票の中自体に矛盾したことが書いてある場合にどう処理すべきかというような問題などが残りますが、そういったことを一応あと回しにしてとにかく集まった数字をただ集計してみるということでしたらわりあいに簡単にできますし、その上でさらにもう少し分析的なことをやって最終報告するというふうな二段がまえに考えますが、これは御希望に沿い得ると思います。   〔原田小委員長代理退席、吉田(重)小委員長代理着席〕

吉田重延自由民主党

○吉田(重)小委員長代理 原田君。

原田憲自由民主党

○原田小委員 もう時間がだいぶきておりますから、簡単に銀行局長にお尋ねしたいと思います。  歩積み、両建て問題で先ほど堀委員からも御発言がありましたが、この問題については与野党といいますか超党派でひとつ積極的態度で取り組もうということで臨んでおることは事実でありますが、この歩積み、両建て問題というのは、われわれが聞いておりましても非常にむずかしい問題である。この問題が金融界を混乱させるようなことはないと思いますけれども、角をためて牛を殺すということもことわざにありますように、今度は立ち入り検査の問題でも、われわれも実は知らなくて、銀行局でよくやったなと思っているのですが、こういうことで非常に積極的に望んでおる。また公取委員会では特殊指定がなされるのじゃないかということも話がされておって、銀行のほうでもこれはもう相当本腰を入れてかからなければならぬと考えておるとは思うのですけれども、そういうことを銀行関係が考えることによって起こってくる問題の一つとして、この間からの委員会でも聞いておりましたときに、先ほど佐藤君から質問がありました預金競争ですね、こういうことについて、いま質問がありました銀行の合併、これは大臣も一ぱい飲んで放電というようなことで終わっておりますけれども、先ほどの答弁では、都市銀行の合併は望むところである、しかし都市銀行と地方銀行の合併というようなことは望んでおらないというお話が出ましたが、そこのところ、もう一度聞かしてください。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 地方銀行につきましては、現在の銀行法がいってみれば合併促進法なのでございます。昭和二年につくられましたが、それまでの間にもおびただしい数の銀行がだんだんに減ってきておりますが、この昭和二年につくられました現在の銀行法は、その合併を一段と促進するためにつくられたもので、その効果が非常に出まして、その後銀行の恐慌がございました、それがまたさらに拍車をかけたわけでございます。さらに戦争の末に至るまで一貫して地方銀行の合併——地方銀行だけにとどまりませんで、これは大銀行についても行なわれたわけでありますが、主としては地方に非常にたくさんあった銀行を合併しまして、一県一行ないし二行といっております。一行が原則であって、例外としては二行はやむを得ないという程度まで縮小してまいったわけでございます。いまの状態が銀行の数から申しましても、大体一県一行ないし二行主義になっておる、例外としまして、たとえば大阪のようなところに戦後新設銀行もつくられました。これはいろいろな事情によるものと思いますが、主としては大銀行が中小企業のめんどうを見ないのではないかというふうなことからつくられたものと思います。そういうことで若干の例外、つまり二つでなくてもっと多い府県もできておりますが、現状からいって、戦前一貫してとられてきた銀行合併の理由からみると、いまは銀行が多過ぎて困るというふうな状態ではない。非常に厳格にものを考えれば、合併をもう少ししてもいいのじゃないかという点もありましょうけれども、大体県単位にものを考える癖がまだ残っておる。つまり、いま府県連合というようなことが問題になっておりますが、府県のほうが整理されない前に、銀行のほうだけが府県をまたがって合併を遂げるとどういう結果になるかといいますと、あとから府県の合併が行なわれればけっこうでございますが、そうでないと、自分の県には本店のある銀行がなくなったということから、また設立する運動が起こる、こういう変なことになってしまう。それではかえってつまらないことになりますので、ここでしいて一県一行主義を二県一行まで持っていくというようなことは必要ないじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ですから、大銀行が合併の対象として選ぶ場合には、おそらく一県に一行しかないものを対象には選ばないだろうとは思いますが、それにしても、どれをどう接近するかによって、こちらの態度によっては、東京近郊にある、たとえばある県の昔からの銀行を、株を買い占めて合併したらどうだというふうなことだって起こりかねないわけで、そういうことに対しましては、私どもは、それより、地方銀行にはそれぞれの使命があるのであるから、この際、たって合併する必要はないし、場合によっては弊害さえあると考えられるという態度を持っておるということです。都市銀行間の合併ですと理論上は考えられることであるし、都市銀行間の競争が非常に激しい、その結果店舗の重複等、経費の点において非常にむだがあるのじゃないかという批判が一部にございます。私どももそういう点はある程度同感という気持ちもありまして、もし気持ちよく両行が合併するという動きが出てくるならば、それを阻止する考えは毛頭ない、それはけっこうであるという考えをとりたい。しかしこれは現実問題としてはなかなかむずかしいのじゃないか。都市銀行はプライドを持っております。合併すれば、最初は、とにかく数年の間を見ればむだが省かれていくわけですから、重役の数も減るでしょうし、店舗についても整理統合が行なわれる場合がある、そういうことで、職員間にも不安の目をもって見られるいろんな事情がございまして、現実の動きとして出てくるのはまだまだ先のことではないだろうか。と申しますのは、海運会社のような場合ですと、採算が非常に苦しくなって、追い詰められて合併にいったという事情もございますが、銀行の場合にはまだまだいってみれば高収益を誇っておる段階でございまして、そういう必要に迫られて合併するというところにいってない。もちろんこれは、今後とも経費の節約、コストの低減には私ども強い指導を続けますが、少しも困る状態にはないものですから、そういう機運が生じてこないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。

原田憲自由民主党

○原田小委員 そこで、いまの銀行局の考え方はわかりましたが、この歩積み、両建て問題というのは非常にむずかしい問題で、銀行業務というものはいわば両建て業務をやっておるのです。金を預って、そうして貸し付けをやって、その中の不当なものはいけないということをわれわれは言っておるので、今日問題になっておるのは、その不当なものをやらしてはいけない、こういうことを言っているのですが、この間参考人として来てもらった一方の井上さんは、全国銀行の代表として出てきて、その答え方の態度から見ていても、あれは六百九十二億ですか、自粛対象——まあもっとあるでしょうけれどもこれぐらいのことなら簡単だというような態度、一方の相互銀行の代表は、なかなかこれはむずかしいがやってみるというような態度から見ましても、やはり銀行でいうと地方銀行あるいは相互銀行、そういう下になってくるほど両建てによって、あるいは歩積みによって生きてきた、それを今度はきつく取り締まられるということになってくると、非常に銀行の経営というものが苦しくなってくる。それをどこでやるか、いま局長の話では、経営の合理化をやりなさいとか、いろいろ指導していくということですけれども、どこへ持ってくるかという場合に、いまの都市銀行は非常な預金競争をやっておる、都市銀行のほうにはまだせっぱ詰まった状況はない、こういうが、逆に預金競争をやって、おれのところのほうが大きいのだという、誇示せぬでもいいようなことまでやっておる、そのことが一方では困るなというところに入っていくということは、銀行局長の言われておる、地方銀行においてはやはり一県一行ぐらいはやっておくほうが、またこれは合併してなんといったら、逆につくれというようなことになるのであって、地方の銀行においては合併ということは考えてないというけれども、こういうところから望まないことが起こってきはせぬかということが考えられるわけなんです。  きょうは時間もありませんし、このことについてどうしてもらいたいとかいうようなことはおいておきますけれども、やはりこの歩積み、両建て問題と銀行行政のあり方ということについて問題点の一つであろうと私は思いますので、このことについて一応今度また質問をさせてもらって、きょうは通告もしてありませんし、あなたのほうでも用意がないと思うから、この次の機会にお聞きすることにして、私はこれでおきます。

高橋俊英大蔵事務官(銀行局長)

○高橋(俊)政府委員 御質問の趣旨に全く沿うかどうかわかりませんが、私どもはやはり両建て問題につきまして、事の起こった始まりからいいますと、中小企業の金利負担が高いから、それは歩積み、両建てでやられているから、それを大幅に減らしてくれ、減らすのがいいんだということだったと思うのです。しかし、先ほども金利の問題について話が出ましたように、金利水準というものは需要と供給を見て計算されるものじゃない。その根幹には企業の利潤率というようなものがあると思いますけれども、すべてがそういう合理的な基準から生まれるんじゃないんで、質屋の金利にしましても、これはそういう利潤というふうなところとは結びついてない、非常に原始的な形態で生まれるものもある。すべてがすっきり合理的にいかないものでございますが、しかし全体として見た場合に、需給関係を全く無視した金利引き下げなどをやりますと、結果は非常に害悪をもたらす、悪いことばかり出てくる。無理な金利引き下げをやったりしますと、景気の行き過ぎも起こりましょうし、中小企業の場合でも、金利を極端に引き下げるという方策をとると、まず借り手の側には非常にけっこうなことかもしれませんが、もっともっと借りろということになるわけですね。借り入れ負担を軽くしてやって借りやすいようになる、同じ金利を支払ってよけい借りられるということになりますので、資金需要を一そう刺激するということになる。ですから、両建て問題は、私は両建ては両建てとして減らすべきだと思いますけれども、実質金利をこの際大幅に下げるという考え方は、にわかにとりにくいのじゃないか。  そこで私いま考えておりますことは、両建てとしてはあまり明朗なやり方じゃありませんから、これは大幅に減らすことはやったほうがいい。しかし、そのために相互銀行等小さな金融機関が採算が苦しくなってやっていけないということになる。それはおかしい。そういうふうにならないようにすべきである。いずれこれは長い目では中小企業の金利といえども下げていくように指導はいたしますけれども、いまの段階では採算が非常に苦しくなって追い詰められるようなところまで引き下げを指導してやるべきじゃないという考え方です。ですからある程度金利の引き上げもやむを得ない。自分がやっていけないならばやっていける程度に表面金利を引き上げるのはしかたがないのではないかという考えを持っておるわけです。その証拠といたしまして、相互銀行では業務方法書ではっきり両建てなき場合は一割二分という線を出しておるじゃないか。三銭三厘が最低金利でございますと出しておるんだから、それを無理して二銭四厘だ、五厘だというふうにがんばるから両建てが減らせないのであって、これをせめて二銭七厘でも二銭八厘でも、二厘から三厘上げるだけでも両建て分としてもかなり減らせる。そのほうがもっと金利の体系としても望ましい姿であるし、これは決して金利負担の増加にはなりません。いま金融界でたとえば相互銀行などと話をしましても、表面金利を上げろと言われても、相互銀行だけ上げるわけにいきません、なかなか競争がございますから、お得意さんを確保する上に非常に不利な立場になる、ほかの銀行も信用金庫もみんな同じ歩調でやってくれれば、両建てを相当大幅に減らして、ある程度それをカバーする程度に金利を引き上げてもよろしいけれども、その場合でも実質的には引き下げになってしまう、上がることは万々あり得ないというわけですが、完全に損失を埋め合わすだけの引き上げはむずかしいのである。いままで表面金利を安くしたことはお客さんに対してサービスというふうに思わせたために、この段階へきて両建ては減らすけれども、実質金利はあまり変えないというようなことで、表面金利をいじくることはやりにくいことである。しかし、すべての金融機関がそういう考え方に立って歩調を合わせてくれるなら、それならできます、こういう考え方です。  それから都市銀行につきまして、両建ては非常に少ないような印象を与えておりますが、これは事実じゃありません。中小企業をとってみれば、かなり都市銀行でも非常にうまい方法で両建てやっております。借りるほうの側から言いますと、確かに都市銀行の実質金利を計算しますと安いと言えません。相互銀行等に比べれば少しは安いのでありますが、そうひどく違うわけじゃない。しかし、都市銀行と取引を願うという点でたいへんメリットがありますから、その分は債務者のほうでもほかの金融機関に対すると同様な態度で両建ての要請に応ずるということがございますので、一番巧妙な手段で言いますと、当座性の預金でそれが実質的に拘束されている場合もありますが、都市銀行の申し立てによれば、両建て、拘束、どちらでもいいのですが、その中に当座預金、普通預金あるいは通知預金のような当座性預金の分はゼロだという回答になっております。これは実態をあらわしているものではないと私は思います。そういうものでも実際上かってに引き出しはできないような黙約になる場合が多い。これは見合い預金というふうに言っておりますが、表面は何ら拘束の形になっていないが、実際は引き出しは許されていないという場合もございます。だから私は規模の大きさによって、あるいは信用度によって両建ての割合がたいへん違っているという事実は認めますが、同じような規模、同じような信用程度のものを比べれば、やはり両建ては都市銀行等にも共通の問題である。でありますから、今度の調査にあたりましても都市銀行十二行全部取り上げたのは、特にそういう実態を把握するという意味において重点を置いたというわけでございまして、いま原田さんの御心配になりました都市銀行はともかくとして、確かにそのとおりでありますが、地方銀行以下の小さなところでこの両建ての是正のために追い詰められて、合併まで無理してしなければならぬような事態が生ずるのではないかという御懸念に対しましては、私はそのようなことのないようにこの問題の解決をはからなければいかぬ、非常に採算的に追い詰めるということは、裏返せば金利を引き下げて、そうしてその資金需要をさらに刺激するというようなことにもなりますので、そういう解決のしかたは好ましくないのじゃないかというふうに考えております。

吉田重延自由民主党

○吉田(重)小委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会

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