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46回国会衆議院1964/06/17

大蔵委員会 第54号

発言数
354
登壇者
18
会派数
3
開催日
1964/06/17

会議録

山中貞則自由民主党

○山中委員長 これより会議を開きます。  税理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松委員 税理士の中正という問題について、まず御意見をお伺いしたいと思います。  大蔵省のほうでお考えになっておる税理士の中正というものはどういうことを意味しておるか。民法でいえば「私権ノ享有ハ出生ニ始マル」ということで、その私権と同じぐらいウエートを占めておる重要な問題ですから、法理論的にも、あるいは実際上からもひとつ詳細に御答弁をいただきたいと思います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話の税理士法の第一条に規定されておりまする「税理士は、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めることを使命とする。」その点の中正という意味についてでございますが、これにつきましては、昨日来、税理士特別部会における審議の状況につきまして、松隈部会長からお話し申し上げましたように、税理士は、納税者の依頼を受けてその納税者の権利の擁護をはかることにつとめるわけでございます。しかし、それは職業会計人として純粋に納税者と重なり合った立場ではなくて、一つの権威ある職業人として、納税者が誤った方向に進まないように、正しい納税の実現につとめる、そういう意味で単に税務官庁と納税者との間に入っておるというだけでなしに、全く正しい立場において納税義務者の信頼にこたえて租税法規に規定されておる納税義務を適正に実現するようにつとめるのだ、こういう趣旨とわれわれは解しておるのでございます。そういう意味では納税義務者の依頼にこたえてその権利を擁護するにつとめるものではありますけれども、納税義務者とぴったり重なり合った立場ではない。そういう意味での中正な立場、そういうように解しておるのであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 中正というのは、空間にでも物体が存在する、あるいは社会の場合にはある事態が発生する、そのまん中に立つ、こういうことか。中正というのはどういうものが中正であるか。あとで国際的なスイスの中立や弁護士の中正や、いろいろお聞きしょうと思っておりますが、中正というのはその人の見方によっていろいろ出てまいります。だから大蔵省の言う、あなたがいま言われるような常識論的な中正ではなくて、これだけ法文の第一条にうたう中正というものはどういう意味か。あなたが言う説明では、国民と大蔵省の関係、こういうことになるのだろうと思うのだけれども、そういうことだけでなくて、私が言うように、中正という意味をまず抽象的な概念から始まって、それから実際上の大蔵省が考えておる税理士の中正、こういうものについてひとつ御説明をいただきたい。いま説明されたようなことは、常識的にあなたたちがそういうことを考えておるだろうくらいは前からわかっておるし、きのうあたりも盛んに言っておるのだから、きょうあらためて聞かなくてもわかっておるのだから、そういう説明をしてもらいたい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この条文は御承知のように、昭和二十六年の法律として、その当時議員立法でできたのでございまして、中正な立場というのは、私が先ほど申し上げましたような常識的な意味において中正な立場、それが税理士の公共的な使命をあらわしておるものだ、こういうふうに解しておるのでございます。それ以外、先ほど申し上げましたように、税務官庁と納税者との間に立つというだけではない、そこに税理士の公共的な立場というものが強調されているものと考えるのでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 大蔵省の税務当局の言うておる中正は国民と税務当局との間における厳正中立、こういうことなんですか。とにかく何かばく然と中正ということを言ってあるけれども、法理論的な中正論争はしないとするならば、説明ないならば、聞かなくてもいいけれども、具体的には納税者と徴収する税務署とのそのまん中だ、こういうことを言ってあるわけですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 それは先ほど申し上げましたように、単に税務官庁と納税者との間のまん中という意味ではなしに、中正な立場ということで税理士の公共的な立場をあらわす。納税者にぴったりくっついた姿でなしに、職業人として権威のある立場でという意味でございまして、物理的に納税者と税務官庁との間のまん中、こういう意味ではございません。

只松祐治日本社会党

○只松委員 物理的ではないとおっしゃいますけれども、はかりでも、こう二つあって、まん中でちょうどつり合った。中正というのは同じ重さでなければいけません。片一方に水が少しよけい入っておると、片一方は下がってしまう。こういう場合、均衡というものはない。大体均衡がとれて、そのまん中というのが世の常識でいう中正なわけですね。ところがきのうあなたもおいでになったと思いますが、きのう税理士会の新聞問題その他について小林さんが長々と高説を述べられましたが、その過程を通じてあなたがずっと答弁してきたことば何か。税理士というのは大蔵大臣の指揮監督下にある、こういうことを非常に強調されておる。そういうことに対してあの程度の文章でも逸脱しておるのだ、こういうことを繰り返し言っておられたわけですが、これと中正との関係はどうお考えになるか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、中正な立場というのは、単に納税者の言うとおりにその納税者とぴったりくっついた立場でないという趣旨でございまして、その意味において、独立の職業人として権威ある見識を体していくのだということでございまして、昨日お話のありました税理士会の新聞記事の問題は、これは別の条文に基づく日本税理士会連合会に対する大蔵大臣の監督権の発動の問題でございまして、それは税理士会連合会がこの税理士法に基づきまして設立された法的機関であるということに基づく、四十九条の十九の規定に基づく問題でございまして、この一条の中正な立場、これは税理士個々人が税理士として事業活動を営む場合の問題でございまして、そこはやや違う点があると考えるのでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 一つも違わないわけですが、しかしそれを別にしまして、あなたが言うように税理士個々人に例をとってごらんなさい。試験から始まって懲罰までほとんど、大蔵大臣といえども実際上国税庁長官等の指揮下に全部ある。それだからきのうあたりの態度というのが出てきておるわけです。税理士個々人、税理士会というものを大蔵省の指揮監督下にむしろ隷属ということばのほうがぴったりすると思うが、隷属でなくて従属だというあれもあるが、とにかくそういうふうに隷属か従属させる。弁護士会が裁判所にある形とは違う。あなたたちはきのうも終始違う形ということを言っておる。会としても違うし、個々人としても試験制度から全部違うのです。こういうふうに税務署の従属下に置きながら、それで税理士だけに中正を求める、これはどういうことですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 先ほど来申し上げておりますように、弁護士会は別に監督官庁がございませんので、これは全く独立の職業人としての立場を持っております。したがって、懲戒処分権は弁護士会自身が持つということになっておるのでございまして、そのほかの公認会計士、税理士、計理士というものにつきましては、それぞれ監督官庁がございます。ただ、この監督というのは法令に違反する行為があった場合にそれを取り締まるというだけでございまして、法令に違反しない行為についてまで一々指揮命令するといったような性格のものではございません。したがって、税理士の方がその業務を遂行される場合におきまして、法令に違反しない限りとやかくの問題が起こるべきものではないのであります。そういう意味では独立の職業人としての立場があるわけでございます。そういった意味で、税理士の方が業務を遂行される過程におきましては、先ほども繰り返して申し上げておりますように、独立の職業人として見識ある立場でその仕事をやっていく、これが税理士としての使命である、こういうふうに考えるのでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 法律とか法律の範囲内でということを盛んにおっしゃいますが、これもこの改正の出てくる過程、これに対する税理士会のとられておる態度、こういうことをお考えになればすぐわかるように、多少は税理士会の方々の意向も盛られてきておるわけでございますけれども、まだまだ税理士会としては非常に不満である。こういう立場において監督官庁のあなたたちが大体思うようなことがずっとつづられておる。法律といえども――そう首をひねらなくたって、われわれは反対だから前に押しかけて反対しているわけです。賛成ならそんなことしませんよ、そういうエネルギーを使って、あるいはばく大な金を使って。だから、要するにこの法律それ自体が、あなたたちは立法当時は議員立法という形をとったか知らぬ、ぼくらいなかったから知らぬけれども。現在の法改正それ自体は、御用であるかないかは別として、とにかく政府当局の大体気に入る学識経験者その他を並べ、そうして自分たちにできるだけ都合のいい法律をつくっていく。これはだれが考えても当然にそういうことを権力者はやるわけだ。こうやって改正法が通ってきておる。その法律の範囲内においてきめられておることに従って中正にやっていけ、こういうふうなことをおっしゃっておるわけですが、法律はまるっきり一方的とは申しませんけれども、御自分たちでつくっておいて、それを守って、その法律の範囲内において中正にやっていく、こういうことと、それから弁護士関係法その他をつくられる場合の、いままでの弁護士対法務局との関係とは全然違うのです。ぼくも多少弁護士の業務をやったこともあるし、ぼく自体法科を出ているわけだけれども、これは違うのです。同じじゃないのです。だからそういう意味で厳密に弁護士の中正――弁護士は大体社会的に中正なものである。ある場合には国家権力の立場に立って、あるいは支配の立場に立って、あるいは権力と対決した場合の弱い立場に立って、しかもその上には裁判官というものがある。刑事事件の場合は検事というものがある。こういう形の中で人身保護をやっている。弁護士の中正というものはこういう中正である。スイスの国家的中正というものを見てごらんなさい。どのくらい諸外国に対して、いろいろな外国の出先の一つ一つが神経を使って中正のために尽くしておるか。こういうほんとうのいままで使われておる国際的な中立、あるいは弁護士会その他のとられてきた中正というのと、あなたたちが一方的に言っておるこの税理士会の中正というものは違うのです。実証は私はあとから試験の問題など全部お教えいたしますけれども違うのです。だからそういう意味の中正というものは私はあり得ないと思う。あくまで税理士会というのはあなたたちが考えて、ほんとうに中正と思っておられるか。もし私が中正ということをあくまで要求するならば、試験制度から全部変えてこなければならない。たとえば長年昔警察官をやっておった者が代書屋をやることができたような――ただ税務署員だけに特権を与えて、税務署員であった者のほとんどが税理士にすべり込んでこういうことをやって税理士に中正を求めたってどこに中正があるか。根本的に弁護士の中正とは違うのです。概念的に日本国民が使っておる中正というものをあなたたちは考えておられるのか、あるいはそういうふうにお求めになっておるのか、どうです。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 まず第一に税理士特別部会は十四人の委員で構成したのでございますが、これにつきまして昨日来何か役所のほうのかってなというような御発言がございますけれども、これは昨日松隈特別部会長からもお話がございましたように、この十四人は学者が三名、税理士が二人、公認会計士から一人、計理士会から一人、弁護士会から一人、法人会から一人、青色申告会から一人、そのほか実業界から二人、それからほかに税理士で現在税理士会の役員はしておられませんけれども、かつて税理士会の役員をしておられた方が二人、こういう構成でできたものでございまして、こういう方々がお集まりになりまして論議されたわけでございます。何も私どもが一つの案を持っておりましてその案を押しつけたという性質のものではございませんことを御了承いただきたいのでございます。  それから中正な立場というのが、先ほどお話しのように弁護士の場合と税理士の場合とは違う。お話しのようにその点は弁護士は先ほど申し上げましたように監督官庁のない独立の職業人として、もちろん一番自主性の高い性格のものでございまして、それとそのほかの税理士とか公認会計士あるいは計理士というのは同じ士族ではございましても、やはり性格の違いがあるわけでございます。もちろんこの税理士につきましても、その自主性を今後ますます高めていくということが必要であるということを私どもも感じておるのでございます。ましてそれには税理士に対する社会的な信用とかそのほかそういう税理士に対する評価の問題、これらが相まってだんだんに自主性が高まっていくということが望ましいと考えておるのでございます。そういう意味では弁護士のような状態にまではたしてなり得るかどうか、いまから予測できませんけれども、できるだけ独立の職業人としてその自主性を高めていく方向は望ましいと思っております。そういう意味で現在の段階ではまだお話しのように弁護士の場合の立場とはやや違っておる、これは確かでございます。私どもはそれを認めざるを得ないと思っております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いますなおに弁護士の中立的なものとは違っておる、こういうお話がございました。私もそのとおりだと思います。そうするとどの程度どの程度と言ってはなかなか答えにくいかもしれませんが、主要な点でどういう点が――弁護士なとはほんとうに中正な仕事をしなければならぬ、こういう立場の弁護士なら弁護士の権力があるわけですが、それと現在改正されようとしておるものを含んで税理士の立場とは違っておるか、ひとつ基本的に違っておるような点を、私はあとで申し上げたいと思いますが、あなたのほうからお答えをいただきたいと思います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 その点につきましては、何といたしましても先ほど申し上げましたように弁護士会は法務省というものがございますけれども、これは別段法務省が監督官庁ではないわけでございます。ただ連絡的なことをやっておるだけでございます。ところが税理士会及び税理士会連合会につきましては、監督官庁というものがあるわけでございます。その点におきまして違っております。  それからまた先ほど申し上げましたように、懲戒の制度といたしまして弁護士の場合には弁護士会に懲戒委員会がございまして、会が自主性を持ってやるわけでございますが、税理士の場合におきましては国税庁長官が懲戒権を持っておる。もちろん今回の改正によりまして懲戒審査会が設けられまして国税庁長官が懲戒処分するときには、その懲戒審査会の意見を聞いてやらなければならないというふうになっておりますけれども、いずれにしても懲戒権が長官にある、そこに大きな違いがあるわけであります。  そのほかこまかい点につきましては、弁護士の場合におきましては代理訴訟を進行する関係上、いろいろな裁判所からの通知はすべて弁護士に通知することになっております。しかし税理士の場合におきましては更正決定の通知は本人に通知する。したがって本人に通知するだけで税理士には通知しないというようなことになっております。こういった柄が大きな相違点でございます。そういう根本的な立場が違いますので、そのほかの個々の条文につきましてもそういったことがあらわれてくる点があるわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いろいろいまあげられましたが、まだたくさん相違点がございます。いわゆるこの社会で通常使われておる中正ということばと、税理士業法の中で国税当局なり大蔵当局が求めておる中正というのは、私は根本的に違うというふうに判断せざるを得ません。中正というのは先ほどから言いますように、これは空間の中であろうとあるいは物体が存在しようと何しようと、とにかくだれがどこから見ても聞いても中立的なほんとうのまん中にあるという状態が中正であることは常識的に明らかであります。ところが一言にして言うならば、この税理士法で言おうとしておる中正というのは、とにかく国税当局に対して中正であれということである。これは試験制度から始まって――税理士法を全部読んでごらんなさい。ぼくも税理士の中正というのは原告対被告という形でもないし、これはなかなかむずかしいなと思っていろいろ研究してみたり読み返してみたりした。結論は、とにかく税理士は税務当局に対して中正であれ、もっと突き詰めて言うならば、徴税業務にまっこうから対立するという形をとってくれるなというのが大体ここで述べられておる税理士に対する中正、こういうことに結論するところはなると私は思うのです。だからこういう意味の中正ということはあり得ない、私はそういうことを初めから言っておるわけです。したがって、あくまで中正ということをあなたたちが求めるならば、税理士法の体系そのものを変えなければならぬ。こういうことをやっておいて税理士だけに中正を求めるというのは基本的に誤まっておりますよ。だからこういう試験制度から始まって税務職員の特別試験というものを置きながら、税理士に仕事の中正を求めるということは無理です。そういうことじゃない、あなたたちが言うように、率直に税務当局に対する中正を求めているのだということならばこの中正でいいけれども、ほんとうの意味の中正を求めておるのであれば、この法体系を変えるか、あるいはこの中正ということばを抜くということでないと、これはきょう参考人を呼んでおりませんから何ですが、いずれそういうことになれば、この問題について本委員会としても法律学者を呼んで、この法律そのものが中正を求める法体系をなしているかどうかについて論争したって十分にその価値があると思う。きょうは私は行ないませんけれども、とにかくこういうふうに非常にあなたのほうにウエートを重く置く、あなたがみずから認めたように指揮監督あるいは懲戒権――懲戒というのは生殺与奪、やめることまで含んでいるのですから、税理士の首切りというものができるわけなんです。首切というのは簡単に言いますけれども、これは監獄にぶち込みはしないけれども、生活権を剥奪するのですから、長年やっておった税理士までほっぽられてごらんなさい。そういうことまでして税理士だけに中正を求めるということがどこにあるのですか。こういう中正というのはあり得ないのです。そういうことがあると思いますか。これは大臣は来ていないけれども、政務次官からもそういう意味の中正というものが世界にどこか存在するかどうか、ひとつお伺いをしておきたいと思う。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 中正の問題につきましては、本委員会においてこの法律案の趣旨につきましてしばしば論議がかわされたところであり、昨日は松隈君からもその問題で御答弁を申し上げたわけでございます。ただいま只松委員の御質問は、これが税務署に対する中正と解する以外にないという御意見のように私は聞いたわけでございますが、これはいままでの応答の中においてもはっきりいたしておりまするように、われわれはさような意味で解釈するということはむしろ正しくないように考えております。この中正ということばの法律的の解釈というものを申しますと、なかなかむずかしいものでございますけれども、いずれにいたしましても、税理士の権威を高めるという意味合いにおきまして、いま局長からもるる申し上げておりますように、納税というものは国民の義務であり、税理士は納税者の利益のためにこれを助けるということが大きなつとめでありますけれども、中には納税者におきましても、もちろん税金が高いことは一般の風評でありますが、できればごまかしたいというような気持ちを持っておる者も相当おるわけでございます、率直に申しましてですよ。だからそういう問題につきましてもやはり税理士といたしましては、はっきり法律がきまっているのですから、その法網をくぐるというような、あまり好ましくないものに対する依頼を受けた場合におきましては、国民の義務を果たす上については正しいところで落ちつかなければならぬという意味も私はあるのじゃないかと思うわけであります。そこで必ず税務署が言うとおりにやらなければいかぬというふうに解釈されるのは少し狭いのじゃないか、もちろんそれは納税者の依頼を受けるのですから、ことに税法の規則というものはなかなかむずかしいものでございまして、納税者に了解ができないような方がありますから、そういう者に対して正しき知識を与えて、そうして公益性を持っておりまする税理士の品位を高からしめる、こういう意味合いにおきましてわれわれはこの中正という字を解釈いたしておるわけでございます。税制調査会におきましても相田審議をいたしまして、それにおきましても、学者、学識経験者等においても、昨日の松隈参考人の答弁の中にもあったように、中正という問題はさような意味合いにおいて残すべきだという意見が多かったからこれを残したということで、調査会において論議された多数意見というものは、私はいまの只松委員の解釈でなく、政府委員が答弁しておるような意味に解釈することがむしろ常識的である、私としてはこういうふうに考えております。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 中正と申しますのは、繰り返して申し上げておりますように、徴税当局の立場にも偏せず、また納税者の立場にも偏せず正しいという意味でございまして、法律に規定されておりまする納税義務を適正に実現していくという態度で臨むということでございます。もちろんお話のように、税理士は納税者の依頼を受けてその利益をはかるという点にございますので、納税者の利益をはかるということでございますが、またその納税者が先ほど政務次官のお話のように間違った考えでおる場合にはそれを正していただく、また税務官庁におきましても、税法を正しく執行するたてまえでございますけれども、事によって税務官庁の税法の解釈が誤っている場合もあろうかと思います。そういった点におきましてはやはり税理士のほうがそれを直すという態度でやっていただくわけでございまして、ただいま政務次官の御答弁になられたような意味におきまして、私どもも、中世な立場というものは、只松委員のおことばではございますけれども、税理士の方が業務をやっていく上においてとられ得る立場であるというふうに考えておるのでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 泉さんだけの答弁を聞いたって、支離滅裂なんですよ。何か裁判官みたいな中立を求めてあるかと思えば、そうでないときもあるし、それから政務次官とももちろん違います。それは私がずばり言えば、中正ということはそれほど重要に考えておられない。さっきから俗語的に言われておるような意味で、いろいろ納税者のほうでも間違ったことがあればそれを直してもらいたいというような意味での中正程度にしかお考えになっていない。ところがこの税理士法の第一条に、とにかく「中正な立場において、」という、民法の私権と同じくらいのウエートを持ってここに書かれてあるのですよ。だから、そういうところにも税理士さんたちがとってくれとか、反対されておる一つの面もあると思う。税理士さんの場合は多少角度が違う面もあるでしょうけれども、しかしこういうふうに第一条のここに、「中正な立場に」とこれだけうたう以上は、この税理士法そのものがそういう法体系をなしておかなければならないのですよ。たとえばあなたが言われるように、懲戒権から試験から何から全部大蔵大臣のほうが権限を持っておって、そういう法律があとずっと何項とあるわけですから、そういうことをしながら、ここだけは税理士に中正を、こう言ってみたって、中世というものはどこからも出てこないのです。だからぼくが言うように、税理士というものは、どこに対して、国民と税務当局の間に対してか、あるいは物理的に目盛りがどっちも同じまん中であるか、こういう意味であなたたちがこの中正ということばを言おうとしておるか、あなた自体もわかっておらないし、制定当時もわかっておらない。また論争された中でこれを見たって、どこにもそんなことは出てきておりません。ところが今度の場合は、幸いにそれを高めることを使命とするということに強まってきているんだ。ということはざらに中正ということを非常に重要視してきているわけです。にもかかわらず、その中身というものは、あなたたちは一定したものはない、こういうことを意味しているのです。だから、もしあくまでそれだけ高めなければならぬというほど税理士の中正ということをあなたたちが慫慂し、重んじるならば、もっと具体的にこの中正という解釈を、もちろん統一でございますけれども、規定し、中正の中身というものをつくっておかなければならぬ。そうじゃなくて、あなたたちがさつきから言っている程度のことならば、これは税理士さんの別な角度からの品位を高めたり、あるいはまだ発足後それほどたっておらないわけですから、税理士会等をあなたたちがほんとうに有形無形、善導して、そうして協力体制をつくっていって、また税理士さん自体もそういう努力をしていただいて、こういう中から税理士の品位というものが出てきますし、そういう立場というものはおのずから確立されてくるのです。それから基本的には税務行政というものもあるわけです。そういうことを抜きにして、ただここに突然中正ということばだけ出てきて、しかもこれはあなたたち、この税理士法は守ってもらわなければならぬ、この範囲内で、こう言っております。そのとおり、少なくとも法治国家である以上は。この税理士法の一番しょっぱなに、しかも今度さらに高めなければならぬと書いてあるこの中正というものは、全然あなたたちが言っていることはチンプンカンプンだし、それからあなたたちが答弁している中身というものは統一されておらないし、こういうことでは困るのです。税理士さんとしても、どういうふうに中正にしたらいいか、この法の適用を受ける税理士さんたちはたいへん困るだろう。ぼくが税理士だったら困りますね。どうやったら中正なのか、どういうことが中正なのか、困りますよ。この法律に従え従えと言いながら、中正の中身がわからない。税理士さんたちがたくさん来ているけれども、聞いてごらんなさいよ。どうやって中正を果たしたらいいのか。税理士法第一条に書いてある中正、その使命を高めなければならない。高めようと思うけれども、その中正の中身がわからない。どういうことか。あなたが税理士だったらどうします。どうやって中身をつかみますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 今回、第一条の趣旨でありますところの、従来「税理士の職責」と脱走されておりましたのを「税理士の使命」というふうに直しましたのは、従来の「税理士の職責」という表現でございますと、何か役所のほうからそういう職務を負わされて、その職務上の責任であるかのごとく解されるというきらいがございますので、税理士はそういうのではなくて、やはり一定の国家試験を通って税理士になるわけでございます。そういう意味では、弁護士が法律上の正義の実現につとめることを使命とすると同じような意味におきまして、役所から与えられた職務上の責任ではなくて、独立の職業人としての使命であるという意味でことばを直したのでありまして、「納税に関する道義を高めることを使命とする。」という表現になっておりますが、この点につきましても、従来は「道義を高めるように努力しなければならない。」というふうに、何か命令されてそういう努力をしなければいかぬかのごとく解される表現になっておりましたので、それは適当でない、本来税理士というものは独立の職業人としてこういう使命のもとに生まれたものであるということをあらわすということでございまして、中正ということにつきましては、具体的な立場に立った場合におきましてどうするのが中正な立場かということになりますと、いろいろむずかしい問題もあろうかと思います。先ほど来何度も繰り返して申し上げておりますように、税務官庁が誤っておる場合もございましょうし、納税者の誤っておる場合もありましょう。いずれにも偏せず、独立の職業人としての見識を持ってやっていくんだ、こういう常識的な意味に御解釈願いたいと思うのでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 それではその中の中身の一つとしてお尋ねをいたしますが、第二章の税理士の試験の項で、税務署に長年おつとめの方は実際上ほとんど無試験で税理士におなりになっている。今度もいろいろそこのところが改正になっております。その内容はあとでお聞きいたしますが、こういうふうに税務署におつとめになっておる、これは、中正というのは、私なりに言えば、国民と税務署の間に立つのが中正、こういうことなんです、この税理士の一番具体的な中正は。そうすると、税務署につとめておった人、こういう人々は、いままでほとんどあれがないと思いますが、無試験で入って税理士になっていく。こういう人々がどういう立場に立つか。こういう人々が中正な仕事ができる、こういうふうにお考えになりますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 今回、経験年数の多い税務職員に対しまして資格認定制度を設けました趣旨につきましては、お話があとでおありになると思いますので、その際申し上げたいと存じますが、税務職員であったから、その後税理士になった場合に役所のほうに迎合することを旨として、税理士として納税者の利益を擁護することがおろそかになるざようなことは私はないと思うのであります。資格付与は、要するにどういう識見なり知識、能力を持っている人に税理士としての資格を与えるかどうかという問題でございまして、そういう資格を与えられた者が、その業務を遂行していく立場において中正な立場を保ってやっていくということは、私は矛盾しないものと考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私が言っているのは、これだけ第一条に原則的にうたわなければならない中正を果たしていくのに、いままで徴税していたのですから、徴税官の立場にあったのです。その人たちがやめて一年か二年、こういうことで今度は手のひらを返したように中正という形で出てきますか。こういうことを具体的に聞いておるのだ。これは私見の一端を私は言っているのです。中正を確保していないのですよ、この税理士法は。懲戒権、懲罰権というのは大蔵大臣にありますね。それから税理士会そのものの指導監督も大蔵大臣のもとにある。税務署と国税庁と納税者との間にあって中正でなければならぬ税理士が、その生殺与奪の権、飯塚事件じゃないけれども、何とかすればすぐ首にするぞ、こう税務当局ばおどかす、また実際上その権利を持っている、そういう人たちがどうやって中正な行為をすることができるか。だからあくまで中正をとるならば、大蔵大臣の監督権もやめなさいよ。税理士会に対して、広報の文書の書き方一つ悪ければ、これだけおこりちらしてそうしてとっちめる。こういう状態にある税理士さんに、どうして中正を求めることができるのです。あなたたちは自分のことだから首をかしげる程度かしらないけれども、とにかく弁護士が一から十まで法務省の指揮監督下にあったとして、へたなことを裁判所で言えば、弁護士をやめさせるぞ、裁判官を不信任したり、ついたりしたら、それこそ裁判官の不信なんというものは広報に書いた程度のものじゃないのです。そうしたら弁護士をやめてもらう、一カ月、一年以内の業務停止をするとか、あるいは首切りとか、そういうことをやってごらんなさい。どうしてまともな国民の権利が守られますか。どこに中正な裁判官の態度が出てきますか。たいへん失礼な例だけれども、あなたがもし贈賄か収賄か何かでひっかかった場合に、弁護士さんを頼みに行った。その弁護士さんがちょっと強いことを言えば法務局から首にされる。こういうことで弁護士の中正が行なえますか。この中正というのは、あなたたちに対する、国税当局に対する中正ということを意味している。繰り返して私は言っているが、そのとおりなんです。そのときに指導監督から生殺与奪の権まで全部あなたたちが持っておって、どこに税理士さんが中正な立場をとれますか。いまぼくが言った法律問題の場合に例を引いて、あなた答えてごらんなさい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 まず第一に、従来国税の賦課徴収に従事しておった職員が税理士になった場合に、従来は徴税を行なっておったのだから、納税者の立場に立ってその利益を保護するということはなかなかできないじゃないかというお話でございますが、これはやはり違うと思うのでございまして、公務員は御承知のとおり、憲法の規定によりまして、全体の奉仕者であるべきものでございます。税務職員も国民全体のために奉仕しておるのでございまして、国民に対抗するといったものではないことは御承知のとおりであります。税法に規定されておる適正な納税義務の実現につとめるということで、国税の職員として働いておるわけでございます。しかしまた一たん官をやめまして、税理士という立場に立って納税者の利益を保護するということになりますと、これは実際上の立場として、これは人間のことでございますので、国税の賦課徴収に従事しておった場合と、それから納税者の利益を擁護するという場合に立った場合とでは、おのずからそこにいろいろ考え方も違ってくる場合もありましょう。現に大蔵省の諸先輩の中にも、みずから徴税の仕事をやっておられた当時と、それから役人をおやめになって、その後弁護士とか税理士になっておられる方がございます。その場合とではいろいろ考え方も違ってくるというような述懐をなさっておることも、私はしばしばお聞きしておるのであります。そういう意味におきまして、人間立場が変われば、やはりそういった点において、納税者の利益を保護することができるわけでありまして、現に現存の税理士一万三千名余りおられますが、その中に、かつて税務職員であった者が四千五百名もあるわけでございます。そういう方が納税者から依頼を受けて、税理士の仕事をやっておられる。かつて税務官吏であったから、その人が税理士の仕事をやっていく上において適当でないということは、私は言えないと思うのでございます。その意味におきまして、私は税理士は税理士としての中正な立場で仕事を行なえるものというふうに考えるのでございます。  弁護士の点は、先ほど申し上げましたように、監督官庁があるないということで根本的に違っております。弁護士との比較で税理士の問題を論ずることは、私は適用でないと思うのでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 弁護士との比較でなしに、裁判の場合に弁護士が中正な立場をとるということと、税理士が国民と税務署との間にあって中正な立場をとる、中立といったって、税金は取られるけれども、あなたのほうからいえば、あまり反税闘争になるようなことはやってくれるな、飯塚事件みたいなことをやってくれるな、私の側にすれば、だれだって、国会議員だって何だかんだといって少しでも税金をかけないようにしておるみたいに、だれだって税金は一銭だって安いほうがいい。それをできるだけ安くしてくれるなというのがあなたの立場です。中正ということを具体的にその例をあわせて答えなさい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 弁護士の方が、たとえば刑事被告人の弁護を行ないます場合におきましては、まず第一は、その刑事被告人が真実に、犯罪を犯しておるのかどうか、無筆の罪ではないかどうかということを弁護するのが第一でございます。不幸にしてその人が犯罪を犯しておったならば、その犯罪の動機は何であったか、その動機の中に情状酌量し得る余地がございますれば、その情状酌量を求めて、幾らかでもその刑が軽くなるようにということがその仕事だろうと存じます。税理士の場合におきましては、お話のように、納税者はできるだけ税負担の軽からんことを望んでおると思います。しかし税理士の方が、納税者から依頼を受けて仕事をしていく場合におきまして、場合によっては、先ほど申し上げましたように、税務官庁が間違っておる場合もございましょう。それはやはり正していただかなければならない。また納税者が税法に認められておらないようなことで、税を軽減してもらうという考えを持つ場合もあろうかと思います。しかし税法で認められておらないやり方で、税の軽減をはかることはできないわけでございます。また他方税法にはいろいろの軽減、免除の規定、特例措置がございます。納税者がそれを知らない場合がございましょう。そういった場合には、納税者の方にそういった特例措置があって、こういうふうにすれば、合理的に税の軽減が受けられるということでそれを知らせる。そういう意味では、日常の仕事をやっていく上におきまして、税法の範囲内におきまして、独立の識見を持って税理士の方が仕事をやっていく余地は非常に多いと思うのであります。なるほど懲戒権があり、あるいは監督権がありましょうとも、しかしそれば法律に反しておらない限りにおきまして、ちょっとことばが過ぎたとか、態度が悪いとかいうようなことで一々なにするものではございません。法律に反することをしない限り、懲戒処分になるわけではございませんから、そういう意味では懲戒権があるからといって、それにおびえてどうこうということは、私ないものと考えるのでございます。もちろん先ほど繰り返して申し上げておりますように、弁護士の場合には、監督官庁がございませんし、懲戒権自身が弁護士会が持っておられる。そういう意味で、税理士及び税理士会の場合とは、いろいろ様子が違っております。したがって、税理士の場合におきましても、理想的なことは、だんだんとその自主性を高めていくということであろうかと思いますが、その自主性を高めていくには、やはり漸を迫っていかなければならないので、一挙に行なうことはまだなかなかできにくい、それが現状であろうと思うのであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私は、泉さんと本あろう人が、この社会の基本原理や何かを忘れてこういう答弁をやるとは思わないのだけれども、どうも聞いていると、わからないところがあるようだから、少しその問題に触れて話してみたいと思います。  戦前、内務官僚というのはどれだけ大きな権力を持っておったか、これは御承知のとおりだと思う。戦時中は軍閥、いまはだれが権力を持っておると思いますか。だれよりもいま権力を持ち、また国民もそう思い、おそれられておるのは、これはだれが何と言おうと、大蔵官僚、中でも国税庁なんです。いわば日本のこの国家社会の中で、いま最高の権力機構と化しておるのは、大蔵国税官僚なんです。その人たちの一般国民に対する態度あるいは税理士に対する態度、それと、何でもない人がものを言うのとは全然違うのです。懲戒権や何か持っていたって、悪いことをしなければたいしたことはございませんとかいうことを言われますけれども、あなただって、いま社会もだいぶ民主化したから、下から突き上げればということもあるけれども、大蔵官僚は下のほうのだれかが何と言ったって何でもありませんが、大臣なんかがとにかくちょこっと言ったら、あなただって違いますよ。何でもない人間が言うんじゃなくて、懲戒権から全部持っておる、しかも常時指揮監督権を持っておる者から、ちょっと言うことを聞かなければ、懲戒権を持っておる人間がちょこっと言っても、何でもなければびくびくすることもありませんよという、世の中はそういうものじゃないですよ。現に、ぼくたちがあなたたちとこうやってずっと論争している、税務行政のやり方が悪いじゃないかといえばどうするか。あなたたちは実はしっぺ返しをしている。平岡さんなら平岡さんがこれだけ飯塚事件をつっついていれば、この前話が出たように、所沢の税務署にその名刺を持って行ったって、税務署長はおっかながって平岡さんの名刺を受け取らないで突き返している。こういう非常識なばかなことが日本国中どこにある。なぜそういうことが出てくる。税務署長が、少なくともその地区から出ている、その埼玉二区から出ている平岡代議士が名刺を持ってきて、その名刺を何で突き返す。そういうことが常識的にありますか。私は自分自身のことはまだ一つも例に引きませんけれども、じゃ、あなたたち何しているのです。執拗にあなたたちは、国家権力を使って、自分に敵対してくるものをいじめでいるのです。代議士をどういう呼ばわりをしておるか。あなたは私自身のことについて知っていますか。あなたたちは、代議士に対してだって、力をもって反発してくるのです。まして指揮監督下にある税理士をひねりつぶすくらい、君らは朝めし前じゃないか。悪いことをしていなければ何でもありません、それは何と言うことだ。そういうことは取り消せ。そういうことじゃなくて、やはり悪いことをしようがしまいが、あなたたちのように力を持っているもの、あなたたちは基本的にそういう内務官僚にとってかわった戦後の官僚として力がないとしても、直接に税理士に対して生殺与奪の権力を持っているわけですよ。そういう国家権力機構のあり方ということは、あなたたちは東大を出ているのだろうからすぐわかるはずだ。それから、そういうことを、もし昔東大を出たから忘れたとしても、指揮監督権を持っておれば下の者がおっかながるくらいのことは、これは子供を持っていればわかるだろう。子供を持たないでも、部下を持っていればわかるだろう。言うことを聞かぬと言われてびくびくする、そういう最も常識的なことをごまかしたり、逃げて、そうしてこういう基本的な法体系というものを誤って――法律用語というのは一語一語非常にシビアに解釈されていくのです。私権の享有は出生にある。私権とは何だ。発声説から露出説からとにかくいろいろあるでしょう。したがって、あなたたちが言うように、こういうあいまいなものであるならば、この中正ということばは取るべきなんですよ。さもなくんば、中正ということばを置くならば、本来の中正という、社会通念上やはりだれもが認める中正という税理士とあなたたち大蔵当局との関係に返すべきだ。それならば、大蔵大臣の権限をもっと弱める。あなたが言うように、一挙になくすということは発足間もなくで多少無理な点があれば、こうやって強めるような形じゃなくてもっと弱めていく、こういうことをしてはじめて税理士に対しても中正を求めることができる。そうじゃなくて、一方的にあなたたちの権限を強化しながら、税理士にだけ中正を求めるなんといったって、弱い税理士さんがどうして中正を保てるか。あなたたちに隷属するだけなんです。隷属をしいるだけなんです。これはあなたは、全然逆の立場に立ち返って考えてごらんなさい。あなたたちはそういうことは一つもないだろうけれども、たとえば代議士なら代議士というものは、一ぺん落っこちた場合、落選した場合は、みじめなものですよ。その立場というのはすぐわかる。あなたたちは、よほどのことがないことには官僚をやめることがないから、そういうことを想定しろといったってなかなか無理かもしれぬけれども、税理士さんと立場をかえてみてやってごらんなさい。あなたたちは税理士さんを指揮監督する立場で、そうして法律でいう中正ということばを結びつけて考えた場合、中正ということばを置くならば、あなたたちは大蔵大臣の指揮監督権をとりなさい。それから、あくまであなたたちが指揮監督権を持ち、まだ税理士だけは一人前じゃないからだめだ、こう言うならば、中正ということばを取る。どっちかしないと、この法体系をそのままにしておいて中正を求めるということは困難なんだ。いわばイロハのイみたいなそういうことを、ほんとうは私がくどくどと大蔵官僚の俊才に対して言う必要はないのだけれども、あなたたちはおそらく知っていて知らないようにとぼけてそういう答弁をしておるのだろうと思うから、私はそういうことを繰り返して言っておるわけだ。しかも、そういうふうに知っていてとぼけで答弁をしないで、実態は税理士は苦しい立場に追い込まれてきている。さらにこの法改正によってそういうふうに追い込まれてくる。そういう点を直していくということになるはずだと思う。そういうふうに思いませんか。どうです。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 私どもといたしましては、税理士法の今回の改正によりまして、むしろ、税理士あるいは税理士会の自主性というものは、今後、従来よりも高まるようになると考えておるのでございます。そういった点は、先般来申し上げましたように、懲戒委員会を設けるとか、あるいは研修制度を設けていくとか、あるいは申告書類を添付して、そういった番数の添付がある場合は、更正決定をする場合に税理士の意見を聞かなければならないというふうにするとか、こういったいろいろな点で自主性を高めるようになっておると思うのでございまして、これは三十六年の改正のときに、従来国税庁にありました税理士の登録権を税理士会連合会に委譲したこと、こういった一連の考え方に基づいておるのでございまして、どうも私どもとしてはお話のように第一条に「中正な立場」があるから、全体の法体系とその中正な立場とが矛盾しておるというふうには考えないのでございます。自主性を高めるということは今後とも努力すべきことでありまして、それはもちろん必要なことでありますが、それはやはり世界経済の伸展と税理士に対する納税者の信頼の向上、こういった事柄と相まっていくべきものでありまして、第一条の理想はなかなか達成しにくい点はあろうかと思いますけれども、いまこれを削除することは必ずしも適当でないというふうに考えておるのでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 大蔵当局は税理士会をちょうど自分の子供かなにかで、従属関係にある、したがってそういう観点から中正ということは、いま言うように試験制度から始まって懲罰制度まで大蔵大臣が実際上の権限を持っておる。持っておりながら中正にしろ――ちょうど自分の子供にりっぱになれ、まじめになれ、全部生殺与奪の椛までじゃないけれども、とにかく自分が子供を自由にできる、だからひとつやれ。あなたたちが言っていることはこれと同じことなのです。しかし、税理士会はまだ弁護士会のように歴史はないし、あるいは運営のまずさその他いろいろあるかもしらぬけれども、少なくとも税理士さんというのはこの社会で先生といわれて、とにかく一人前の人が集まった会で、会そのものはまだ歴史が浅いかしらぬ、あるいは税理士制度そのものもいろいろまだ欠陥があるかもしらぬけれども、それはお互いの平等な立場から努力して直していくということであって、一方指導監督、生殺与奪の権を持ちながら、中正になれ中正になれというのは、これはちょうど親子の間の関係のようなことを、あなたたちがあくまでも権力を握って、封建的なきずなの中で中正を求めていこう、こういうことをしているのと同じなのです。違いますか。だからほんとうに中正を求めようとするならば、そういう従属関係ではなくて、この社会、民衆というのは平等が原則なのです。だから税理士会と対等の立場において――弁護士と法務省とが対等の立場、ある場合はいま弁護士のほうが強い、こういう立場にあって中正なる弁護士の立場が守られていく。税理士会が全部従属的な立場にあって中正ということは、どんなことをしてもできないのです。そういうことができますか。子供だってある一定の年齢になれば飛び出すけれども、小さい子供に飯を食わせ、学校に行かしておいて、それで子供に中正にしろなんて言ってごらんなさいよ。いまの子供はおやじのばかやろうって言いますよ、小学校の子供だって。税理士さんはもっと一人前なのです。さっきから言うように、会そのものの運営なんかは未熟なところがありましても、だから税理士に中正を求めて、税理士がもっと道義を高めていくのは税理士の自主性にまたなければならぬ。あなたたちが指揮監督して、親が子供に対するような立場になっちゃいけないのです。むしろ反発して仲が悪くなるだけなのです。とにかく税理士会とこれだけまっこうから対立して、あなた方が、なに、おれたちのほうが権力を持っているから強い、そういう考えがあるから、これだけまっこうから対立しても、強行突破しようとするのです。そうじゃなくて、平等の関係にあるのに、これだけ税理士さんから反対されて、税理士協会とうまくいかない。こういうことは、普通の団体だったら必ず直しますよ。どういう点をどう直そうかということになります。あなたたちはさっきから言うように、日本における最大の権力を持っておるから、税理士ががたがた言ったって、なにこれだけ通してしまえばあとはおれたちがやってやる、こういう考えがあるから強行突破作戦をやるのでしょう。そうでなかったらなぜ修正に応じないか、なぜ訂正に応じないか。しかも答弁の中では、さっきから言うように、悪くありませんからとか、中正というのはあたりまえですとか、それは弁護士と違うということは認めたけれども、ほとんど改める態度をとっていないじゃないですか。この法案は正しいという態度で押し通している。それは税理士さんはあなたたちに世話になるかもしれぬが、あなたたちも多かれ少なかれやはり税法の正しい解釈だとか、そういう税金をちゃんとするように国民にPRしてもらいたい、あなたたちもいろいろとお世話になる。お世話になる立場だったら、なぜもう少し税理士会と話し合わないで、これだけ税理士会とまっこうから対立して法案を強行するのですか。こういうところに根本的な誤りがあると思うのです。これは法案とは関係がありませんから、ぼくはこの問題はそうしつこく取り上げようと思わないが、私はこの「中正」ということば一つで論議してもいい。あなたたちの態度は全部そこにある。そういうことであなたたちはあと徴税行政がうまくいくと思っておりますか。あなたたちがいじめちらかせば逃げちらかす税理士さんもあるかもしれませんが、やはり立ち上がってくる税理士さんもあるのですよ。そういうことで、税理士業務がうまくいくと思っておりますか。そういうことを含んで、この「中正」ということばが、あなたは誤りでないと言うけれども、ぼくは誤りであると思うし、それならば、大蔵省側の権限を弱めるか、「中正」ということばを取るかどっちかだ。あくまで「中正」ということばが税理士法体系の中核として必要だというならば、今後大臣の権限を弱めていき、監督官庁の権限を弱めて、税理士会の自主的な運営発展というものを望む、こういうようにいくのが当然だと思いますが、そういうように思いませんか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 いろいろおことばがございまして、われわれの立場と税理士さん並びに税理士会の立場、これはいろいろの経緯がございますので、いまこれを繰り返して申し上げようとは存じませんけれども、われわれがいろいろ心がけるべき点は確かにあると思います。ただ税理士法の今後のあり方といたしまして、おことばではございますけれども、私どもとしては、今後とも税理士並びに税理士会の自主性を高める方向へ行くべきものである。したがって、いま指揮監督というおことばでございましたが、監督権があるわけでございます。指揮権は別にあるわけではございません。したがって、そういう監督権がありましても、その監督権の行使のやり方につきましては、だんだん税理士会の自主性を尊重する立場でやっていくべきものだ、かように考えておるのでございます。もちろん「中正な立場」というこの数文字を削る削らぬということがそれほど大きな意義を持っておるとは私は考えませんけれども、しかし、そういう点でやはり権威ある職業人としての見識を持ってやっていくのだという立場は今後も貫いていただきたいものというふうに考えるのでございます。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 関連質問を許します。田中武夫君。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 只松委員の質問に関連をいたしましてお伺いいたしますが、先ほど来懲戒の問題がいろいろ論議せられておるようであります。そこで、税理士という職業はいわゆる職業別からいえば自由業というのでしょう、そうですね。現在俗に自由業といわれる種類の人がどのくらいありますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 自由業は、申し上げるまでもなく、弁護士、税理士、公認会計士、計理士、行政書士、司法書士、公証人、弁理士、海事代理士、計量士、測量士、土地家屋調査士、技術士、中小企業診断員等でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いまお読み上げになられた職業のうち、税理士、公認会計士、弁護士、弁理士、薬剤士、技術士、司法書士、行政書士、公証人、これらの懲戒の規定はどうなっていますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 懲戒制度につきましては、弁護士が所属弁護士会の懲戒に対する議決に基づいて行なう以外はそれぞれ監督官庁、公認会計士につきましても、弁理士につきましても、司法書士につきましても、それぞれ監督官庁がございまして、その監督官庁が懲戒処分権を持っている、このように思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それでは教えてあげますからよく覚えておきなさい。税理士は税理士法の四十四条、四十五条、四十六条等にあります。これは先ほど議論になっておるように国税庁長官が生殺与奪権を持っている。公認会計士はその法律二十二条でこれは大蔵大臣、ところが公認会計士審査会の意見を聞くことになっている。次に弁護士は弁護士法五十六条にその規定があって、これはいま申しましたように自主的にやる、弁護士会において懲戒委員会をつくってやる、こういうふうになっております。この理由は調査会の答申等を見ますと、弁護士は監督官庁がないからということのようですが、これはあとで触れます。次に弁理士、これは法十七条において通産大臣が弁理士懲戒審議会の意見を聞いてすることになっております。それから薬剤師、これは厚生大臣が行います。この場合に特定の事項については知事の具申によって行ないます。それから次に技術士、あなたのほうで技術士の名前をあげなかったが、これは試験制度では予備試験と本試験とありまして相当高度なものです。知らないようですから教えてあげますが、三十二年の法律第百二十四号によってきまっております。次に司法書士、これはその十二条によって法務局長及び地方法務局長がやることになっております。それから行政書士は十四条、これは知事であります。それから公証人、これは法の八十一条で公証人審査会の意見を聞いて法務大臣がやる。  ところでタイプが四つできましたがわかりますか。血液型ではないが、A、B、C、D型とこの四つになるのですが、わかりますか。すなわち弁護士会はA型です。そしてあとは第三者の意見を聞いて大臣が行なう。それから次は大臣が行なう。行政庁長官といいますか、これが行なうのが弁理士と司法書士だけなのです。税理士法と司法書士法の業務、こういうことについてどういうふうにうたってあるかと見ますと、税理士法には職責としてうたっております。それから業務、こうなっておるでしょう。その社会的地位等からいってこの四つに分けたタイプで、一体現在の法四十四条以下が定めるような――国税庁長官そこにおられるようですが、それが生殺与奪の権を握る、そういうことではたして十分な仕事ができますか。このあげましたこれらの自由業をささえておる高度、これは試験制度がわからなかったら試験制度がどうなっておるか教えてあげますから、その資格等を見た場合にこのバランスをどう考えますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話のように、この自由職業人の場合におきまして懲戒制度にはいろいろのタイプがございます。先ほどのおことばでございますが、技術士は科学技術庁長官が技術士審議会の意見を聞いて行なうことになっております。お話のようないま四つのタイプがあると思うのでございます。この税理士の場合、国税庁長官に懲戒権が与えられておりまして、今回は懲戒審査会を設けましてその意見を聞いてやるということになるわけでございまして、この国税庁長官が懲戒権を持っておりますのは、大蔵省の中の仕事の配分上公認会計士は内部部局であります理財局で所管いたしておりますので、そこで大蔵大臣が懲戒権者になるわけでございます。ところで税理士の場合におきましては、外部部局であります国税庁がその所管になっておりますので、その長である国税庁長官が懲戒権を持つということになるのでございます。内部部局がそういった仕事をやることになりますれば、当然大蔵大臣が権限を持つわけでございますが、しかし国税庁等はいま外局になっております。そういう関係に相なるわけでございます。しかし長官がやるからあるいは法務局長がやるから、通産大臣がやるからということ、この点は全く行政組織内の事務の配分の点でございまして、なるほどタイプには四つのタイプがあろうかと存じますけれども、そういう意味で弁護士が最も自主性が高いということは先ほど私が繰り返して申しましたとおりでございます。したがって税理士の場合におきましても、そういった点につきましてもっと自益性の高まる方向へ今後やっていくことが望ましいということもまた申し上げたとおりであります。現状におきましてはそういった行政事務の配分上そうなっておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 これはあなたに言ってもしかたがないと思うのだが、といって次官は答弁ができぬかもわからない。一体大臣が懲戒権を持つものと、一行政庁長官が持つ場合と、やはりその人たちの身分に関係してくる。したがってあなた方は税理士を司法書士並みに見ているのですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 司法書士の場合はその所轄の法務局長さんが懲戒権を持っておられるのでありまして、それとはやはり国税庁長官は違うと思うのでございます。私どもは決して税理士を司法書士並みに見るというようなことはいたしておりません。できるだけ弁護士を理想といたしまして、そういった状態に高まるように今後とも考えるよう努力していきたいと思っておるのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いま私が言った四つのタイプのD型に属するのがこの税理士と司法書士だけなのです。したがってあなたがそういうように言われても行政の長は事務官ですよ、それが生殺与奪の権を持っておるのは司法書士とこの税理士だけなのです。そして第一条には一体何とうたってあるのです。しかも相当高度な試験制度、資格を要求しているのでしょう。そうするなら身分をはかるのはやはり懲戒権者をもってはかるのが一つのはかり方だと思うのですよ。そうじゃないですか。この一事をもってしてもあなた方が税理士をどんなに下に見ておるといいますか、地位をどの程度に評価しているかがわかるのです。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 一応いまあげましたようなこの種のいわゆる自由業者と称せられる人、武士の士を書く人たちと人という字を書く人とどんなに違うか一ぺん聞いて見ましょうか、代書人、それが司法書士になったのだ。士と人とどんなに違う。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 弁護士とか、公認会計士とか、税理士というふうに、いわゆる士がついておりまするのは、独立した自由職業人の意味というふうに考えておるのでございます。税理士につきましても、かつて代弁人時代があったわけでございます。それをまず税務代理士ということで士をつけまして、それが自由職業人として独立であるということを明らかにしました。それから昭和二十六年からまた税理士というふうに改めたのでございます。その点は、したがって、そういうことばが改まった点におきましてやはり地位の向上とそれから自由職業人としての立場があらわれてきておるというふうに考えておるのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それじゃ公証人の人とどう違うかということを聞きたいのですが、いずれにしても、この士を使うのは、あなたが言ったように自由職業、これは相当社会的地位をあらわしておるわけなんです。しかも法律には名称の使用制限の規定があって、税理士の資格のない者が税理士をうたっちゃいかぬということなんです。これは士のつくもの全部そういう規定が入っていますよ。いわゆる名称独占の権利があるわけです。そうでしょう。そういう人たちに対して、いま申しましたように四つのタイプに分かれておるということ、これは失礼かもしれませんが、司法書士及び行政書士、これはいわゆる昔の代書人だから、試験も、最近試験するようになったが、いままでは経験だけでやっておったわけです。試験の内容もやさしいのです。民法と不動産登記法ぐらいのことをやっておけばそれで済むのですよ。それと同じような程度の身分しか認めてないじゃないですか。いや、といっても、そうじゃないですか。たとえば君たちの懲戒をするにしても、いまは一級官から何級官とかあってどうなっておるか知らぬが、片は判任官の懲戒権者はだれ、高等官はだれ、高等官の奏任官はどこ、勅任官はどこ、親任官はどこといったようにきまっておったはずだ。すなわち懲戒権者の地位によってその被懲戒権者の身分は定まるのですよ。そうじゃないですか。だのに司法書士並みの、一行政官、事務官、これが生殺与奪の権利を握っておるというような状態で、はたして法が望むような税理士の仕事ができますか。出直しなさい。私は幾らでも質問はあります。この点について私の了解がい、答弁ができるまではもう一度勉強してきてください。私が了解できるまで、いまあげましたこれらの法律の条文をあげて比較検討して答弁を願います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 司法書士の場合は、先ほど申し上げましたように、法務局、つまり支分部局の長でございます。(田中(武)委員「それも事務官だよ」と呼ぶ)もちろん事務官でございまして、その点では国税庁長官と同じ事務官でございますけれども、しかし一支分部同の長と、それから全国の国税庁の便宜とは、やはり違いがあると考えるのでございます。私どもとしましては、それは先ほど田中委員の御分類になりましたA型が弁護士としますと、その次の大臣が審査会の意見を聞いてやるというB型の一つの変形というふうに考えておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 司法書士の場合は法務局長ですよ。条文のとうり読むと「法務局又は地方法務局の長」と書いてある。条文はそう書いてあるでしょう。だから、その主体は法務局長ですよ。そうでしょう。いずれにしろ、事務官ですよ。たとえば行政書士は知事ですよ。昔は知事は地方長官であったかもしれないが、いまは公選の知事ですよ。身分が違うのです。そうすると、結局税理士だけじゃないですか、こういう安い扱いを受けておるのは。だから、あなた方は、先ほど只松君も言っておりましたが、頭からなめておる。なめておる証拠に、税理士法一条の規定を読んでごらんなさい、これは自由職業と認める規定ですか。徴税の一機関としか見てない。第一条を一ぺん大きな声で読んで解釈してください。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 税理士法の第一条は、今度の改正案で申し上げますと、「税理士は、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めることを使命とする」というのでございまして、先ほどから只松委員にお答え申し上げましたように、税理士は納税者の依頼を受けてその利益を保護することを行なうわけでございますが、その場合におきましては、中正な立場、つまり、納税者とぴったり同じ立場でなくて、独立の職業人としてその高い識見に基づいて、その立場に立って、納税義務者の信頼にこたえ、租税法規に規定された納税義務を適正に実現する、そして納税の道義を高めることを使命とするものだ、そういうので、崇高な職業人としての使命が与えられておるという、ふうに考えるのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 その崇高な職業人としての地位と、この懲戒規定はどうです。一行政庁長官がその進退を握るということです。しかしそれは税理士が隠仕事をする、税金のことについての長官ですよ。それではたしてあなたが言うような崇高な任務が遂行できるような地位にありますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この点につきましては、今回の改正で懲戒審査会が設けられまして、学識経験者、税理士会の代表の方、そして官庁の代表、この六人の懲戒審査会におきまして議決を行ないまして、その議決を尊重して国税庁長官が処分を行なうわけでございますので、国税庁長官が独断的に処分するわけではございません。その意味では、先ほど申し上げましたように、なるほど国税庁長官は事務官でございまして、この点大臣とは違いますけれども、しかし懲戒審査会の意見を聞いてやるという形におきましては、私は、従来の規定より以上に懲戒についてその処分権の行使が慎重になる、重みを増してきたというふうに思うのであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 今度の改正で審査会を置く、いままでは生殺与奪の権を握っておった、そうでしょう。じゃ、ここで私がABCDの型にあげている、これをB型に持っていったらなぜ悪いのです。なぜいけないのです。  それから、ここに中正な立場ということが書いてありますね。税金の問題について相談を受け、いま改正の第一条を読んだような使命のもとに仕事をしている。一方においてその徴税の元締めである国税庁長官が結局は生命権を握っておるわけですよ。それではたして中正な仕事ができますか。なるほど弁護士と比べた場合に、介護士は古い歴史を持っています。あるいはその試験においてある程度の違いはあるかもしれませんが、少なくとも今日やはり税理士たらん者も大学ぐらい出なくてはできないと思うのです。その点において、私は公認会計士、弁護士、税理士の間にそれほど大きな開きはないと思うのです。なぜ大臣にしてばいけないかということ、徴税の元締めである国税庁長官がその生命権を握る、これで中正な立場において十分与えられた使命が遂行できるかどうか、そういう点を一ぺん考えてごらんなさい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話のように、税理士の懲戒権者をなぜ大蔵大臣にしないか、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、大蔵省の中の仕事の配分で、主税局は税法の企画立案ということをやる、国税庁はそのでき上がりました租税法規に基づいての執行の仕事をやる、こういうことで主税局と国税庁との間の仕事の配分が行なわれておるわけでございます。そういった点からいたしまして、国税庁長官がそういう権限を持つ、そういう意味で国税庁は大蔵省の外局にあって独立の権限を持っておるという形になっておるのでございます。その権限の配分を直すべきかどうかということにつきましては、主税局がそういった租税法規の企画立案の仕事以外に、執行上のいろいろな責任を負うことが妥当かどうかという問題に関連しまして、いろいろ検討しなければならぬ点があるわけでございます。そういう意味で現在の組織はそういうふうになっておる、それを改めることが適当かどうか、今後よほど検討しなければならぬ問題だと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そこでいかぬと言うのですよ。いいですか。税の執行権の元締めは国税庁長官なんですよ。そしてその徴税についての依頼を受けて、そしてこの法律でいうなら中正な立場に立って云々というこの使命を果たすのが税理士なんですよ。その執行をする者が国税庁長官が、その中正な立場に立って相談を受けてやる、しかもそういう使命を持つ者を握るということがおかしいんですよ。いいですか。だから税についてのいろいろな高度のことは大蔵省でやる、責任は大臣でしょう。片一方はきめられたことを忠実に番犬のごとくやるだけを使命とする事務官じゃないですか。それが自由職業人たる、しかも相当高度な教養なり専門知識を必要とする者に対して、あえて言う、税の番犬が握るということがはたして法体系上あるいは自由人たる税理士の懲戒という制度のしに立って正しいとあなたは考えますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この点につきましてはいろいろの御意見はおありになることと思うのでございますが、私どもが懲戒審査会を設けまして、その審査会の意見に基づいて懲戒処分を行なうという制度にいたしますれば、なるほどお話のように国税庁長官は税法の執行の大きな責任を負わされております。その意味で税理士さんとの間でいろいろ問題があることはわかりますけれども、しかし審査会の意見に基づいてやるという限りにおきましては、国税庁長官が懲戒権を持っておっても支障はないのではないかというふうに考えます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 あなたはよほど頭が悪いですね。ばか者と言ったらまた取り消してくれということになるから、あえて言いませんが、あなたはよほど頭が悪い。私の言うことがわかっているのですか。ひとつ塗板にでも書いてあげましょうか。国税庁長官というのは税の執行機関の元締めですよ。そこに身分を握られておったならば自由職業人と言、えるのですか。税の執行の一補助機関にすぎないじゃありませんか。そうでしょう。ここに懲戒というものの問題があるのですよ。あなたは、懲戒とは何ですか。ひとつ行政法上の観念を等えてください。懲戒とは何ぞや。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 公認会計士の場合におきましても、先ほど申し上げましたように、大蔵大臣が公認会計士審査会の意見を聞いて行なうということになっておりますが、これは大蔵省の組織が先ほど申し上げましたように、内部部局と外部部局とになっております。その内部部局でやっておるから大蔵大臣が懲戒権者になる、そういった行政組織上の問題に基づくのでございまして、その点は違うと思うのでございます。  なお懲戒ということは、特別の身分関係内におきます規律ないし秩序の維持のために一定の義務違反に対しまして制裁を課することを言うわけでございまして、税理士の場合におきましては、税理士法におきまして脱税相談をしてはいけない、あるいは秘密を守らなくてはいけない、あるいは会則を守るとか品位を保持するといったようないろいろ税理士の義務が課されております。その法律に規定されておる義務違反を行なった場合一定制裁を行なう、これが懲戒でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 あなたがいま言った懲戒とは、規律の保持のために一つの身分的関係の上に立って行なう行政措置ですよ。行政処分ですよ。それならば国税庁長官が懲戒権を持つということは、身分的関係を基礎としておるのですよ。したがって、税理士はそれでは国税局の付属機関だ、そういうことになるのですよ。懲戒とは、いいですか、あなたがいま言ったでしょう。その内部の規律の保持のために身分関係に立って行なう行政処分を懲戒と言う。ちょっと行政法の本を読んでください。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話のとおりでございますが、ただ国税庁長官と税理士との関係は、国税庁長官が監督権を持っておるというだけで、国税庁長官が税理士を雇用したとかそういうふうな身分関係ではないわけでございます。一般的な法律に基づく監督権の立場におきまして懲戒を行なう。したがって会社の従業員としての身分という場合におけるあれとは違うわけであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いいですか。懲戒というもののまず一つの観念は、身分的関係のあるところに懲戒が出てくるのです。そうじゃないですか。ここで大臣とか知事とか、これは特別公務員です。違うのですよ。したがって大臣等がその関係において自由職業人に対して懲戒権を持つとか、あるいはあくまでも自由職業ということを尊重して弁護士のところまで発展させるということなら話はわかるのです。しかし少なくとも懲戒ということは身分関係を前提とする。身分関係のないところに懲戒はありません。  委員長、ひとつ行政法の大家を呼んでください。参考人に田中二郎さんか――杉山さんはだめだ、一ぺんやり込めたことがあるから、だから田中二郎さんかだれか、行政法の大家を呼んでください。そしてこの懲戒というものが自由職業との間にあってどういう体系をとるべきがいいのかということをもう少し掘り下げてやってみたい、こういうことでこの懲戒の問題は保留いたします。委員長、どうですか。

吉田重延自由民主党

○吉田(重)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

吉田重延自由民主党

○吉田(重)委員長代理 速記を始めて。

荒井勇内閣法制局参事官(第三部長)

○荒井政府委員 いま懲戒の問題が取り上げられておりますが、懲戒というものは監督権の一つの発動の態様であるというふうに解されているわけでございます。その場合に、その監督関係が雇用上の関係なりあるいは委任に基づく関係なり、そういった身分関係というものを前提として生ずる場合もありますし、あるいは大学における教育を受けている関係あるいは国と地方公共団体との間で事務を委任している関係であるとか、あるいは刑務所における受刑者というような、特殊な営造物の中に対する関係でありますとか、各種の態様によって懲戒関係が生ずるのであり、別にその身分というもののみに基づいて懲戒関係ということになるわけではないというふうに考えます。  それから外局の長官につきましては、この点は税理士法が昭和二十六年に議員立法で制定されたというその趣旨で私どもが考えてみますと、その議員立法で制定された当初から国税庁長官が監督するのだという規定があり、そして国税庁長官がこういう懲戒の処分を行なうのだという規定がございました。その議員立法をされたという趣旨で考えますと、それは国家行政組織法等を見まして、行政組織の面から見た場合に、外局の長官というものにつきましては、たとえば同法の十二条でありますとか十四条でありますとか、あるいはその任命関係につきましては、たとえば公務員法の五十五条でありますとか、こういうふうなところで結局行政大臣に準じた権限を並列して書かれておる、こういうような点に着眼されまして、議員立法として外局の長官にそのような権能を与えられたものであろう、このように私どもは理解するのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 議員立法だからそう理解するというのなら政府の改正案を出すのはやめなさい。撤回しなさい。  もう一つ、身分関係と同時にそれは監督関係にあるのだ、こういうことだったですね。だから懲戒の要素に身分関係ないし監督関係ということが言える。それをもってしてもこの中正という立場と、税理士の仕事の範囲と国税庁長官の権限、これを見た場合に、法体系としていいのかということ、あなたはあのときいなかったから、言いますが、弁護士、公認会計士、税理士、それから弁理士、薬剤師、技術士、司法書士、行政書士、公証人、まだまだあります。こういうものに対して一つの一覧表をつくってきておるのです。   〔吉田(重)委員長代理退席、委員   長着席〕  何ならこれによって法制局としてのどうあるべきかという答えを出してくれますか。私はいまABCDの四型に分けたわけです。それは法制局としては行政組織法の長官の権限を引いてきたり何かしたことは、それは法制局としてはそうかもしれぬ。私の言っておるのは、立法論としてこういうまちまちな体系でいいのかどうかということですよ。ことにこの中正なという使命ですね。この基本的な態度、それが監督関係にある者に身分を握られておる、懲戒権を握っておるということでいいのかということです。  そこで、委員長が変わられましたが、どうも答弁が私は納得できないし、まちまちなんですよ。そこで田中二郎さんがだれか私が納得いくような行政法の大床を呼んできてもらって、こういう懲戒はいかにあるべきか、こういうところを十分に教えてもらった上で審議を進めたい、こう提案したのです。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 田中武夫君を納得させることはなかなか困難でしょうから、どうぞ。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 困難でしょうから、どうぞということは……。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 その方はいまここへすぐ呼んでこられる立場の人じゃないんでしょう。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 参考人として呼んでもらったらいいのです。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 それは急にはできませんよ。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それでは理事会で相談してください。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 いずれ相談します。それはできないです。部外者をここへ来なさいということはできないです。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 参考人を呼ぶのは委員会の決議等が必要ですから、一ぺん理事会で相談してください。  それでは簡単にいままで申しましたことをもう一度申しますから、法制局長官から権威ある御答弁をお願いしたいと思います。  私の申し上げておるのは、いわゆる自由業といわれる税理士、公認会計士、弁護士、弁理士、薬剤師、技術士、司法書士、行政書士、公証人、これだけを一ぺんあげてみて、懲戒の規定がどうなっているか、こう見たときに、まず弁護士はあくまでも自主的にやれるようになっている。これがA型です。それから第三者機関すなわち審議会なり審査会といったようなものの議を経て、そして主務大臣が行なう、これがB型です。それから、そういう第三君機関の意見を求めずして大臣のみが行なうものがC型、そして最後にD型として行政庁の長官が行なう。こういうABCDの四つの型にはまるわけです。そのうち、いままでの税理士法でいくと、その懲戒権は国税庁長官が持っておる。今度は第三者機関をつくるということですがね。そういう行政官が懲戒権を持っておるというタイプは、司法書士と同じタイプです。そこでこの懲戒ということは身分、監督関係からきておる。したがって国税庁長官が税理士の懲戒権を握るということは、今度の改正で第三者の意見を求めるにしても、握るということは、この税理士法の第一条の中正な立場云々から始まるあの使命達成との関係においておかしいじゃないか。こういうことになるのです。

林修三内閣法制局長官

○林政府委員 いわゆる自由業と申しますか、一定の業務を行なうについて特別の法律の規定によって特別の保護を与えられ、あるいは特別の監督に服するようになっておりますいろいろの自由業の制度につきましての懲戒制度、いろいろのタイプがあることはいま田中先生のおっしゃったとおりだと思います。立法政策的見地から、いままで考えられておりますところであります。それぞれの業態に応じて適切だというところで考えられてきたものだと私たちは考えております。その場合に、結局弁護十のごときものについては、おっしゃるとおりの自主的な制度をとっております。しかし原則としては、結局そういう特別の監督関係として、行政庁の長が懲戒権を持つというたてまえをとる例が多いわけであります。これについて第三者的な機関に諮問するかどうかということについては、これもいろいろ型があるわけであります。今度の税理士法についてはそういう型を取り入れようというわけであります。従来の型、私は必ずしも非常に不妥当な型だとは言えないのじゃないかと思うわけであります。いまおっしゃったように、司法書士は法務局が懲戒権を持っております。行政機関必ずしも中正ならざるものではもちろんないわけで、行政機関というものは中正な立場で行政を行なうべきものであることば当然でございます。それからいまの税務行政は、御承知のとおりに、国税庁が全面的に大蔵省の外局としてこれを所管している役所でございます。したがいまして、国税庁長官がやりますということは、必ずしもそういうへんぱなことが起こるとは私は考えられません。行政機関を構成する公務員というものは、当然に中正な立場で行政をなすべきである。その場合に所管官庁に監督権を与えるということが行政のたてまえから言えば妥当だ、かように考えて行なわれたものと考えます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 特許庁は通産省の外局ですね。弁理士の懲戒権はだれが持っていますか。

林修三内閣法制局長官

○林政府委員 あれは通産大臣になっております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そうでしょう。外局だからやれるのだということなら、通産省の特許庁と、大蔵省の国税庁とはどんなに違うのです。

林修三内閣法制局長官

○林政府委員 これは田中先生よく御承知だと思いますが、結局これは大きな一つの立法政策の問題でございまして、外局は現在の国家行政組織法のたてまえから言えば、実は制度的には相当独立性の強いものになっております。その範疇において、ことに合議制の機関については規則制定権も認めております。それから告示とか訓令を発する権限も認めております。それから国家公務員のほうから言えば、職員の任命権も認めております。制度的には外局の立場というものは、相当独立性を強くて出しいる。しかしそれぞれの大きな立法政策で、外局といえどもその省の一つの機関であるということで、もちろん省の大臣がこれまたもう一つ上の監督権をっていることは当然のことであります。そこでそれをどっちに持っていくかということは、実は立法政策の問題でございまして、国税庁、特許庁に限らず、外局は相当独立性が強いということは、これは田中先生制度的にはお認めになるところだと思います。したがいまして、国税庁もある仕事についての監督権の場合に、国税庁長日をそういう監督権者にすること、必ずしも法律的におかしいことじゃないと思うのでございます。結局立法政策の問題に帰すると思います

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 私はあなたと法律論をやるときにいつも感じることだが、あなたは法律家として法の解釈に忠実でなければならない。内閣法制局長官だからといって政治的な答弁はいけません。外局を理由に言うならば、特許庁は何の外局だということならば、国税庁と特許庁とはどう違いますか。その身分において、その仕事において、やることは違うけれども、大体社会的地位、その試験の程度、弁理士と税理士とどう違います。しかも一方は手続を主としたものですよ。税理士のほうはただ手続だけじゃない。第一条の今度直そうとするところにも掲げておるように、使命ということがあるでしょう。いまの職責を使命に直すんでしょう。それから弁理士のほうはただ業務、こうなっておるのです。あなたが国家行政組織法に基づく外局の権限云云というならば、特許庁と同じようにしなさい、弁理士と同じようにしなさい。

林修三内閣法制局長官

○林政府委員 これはおことばを返すようでございますけれども、どちらをもってその制度に合うように適切と考えるかは、それぞれ考え方があるわけでございます。一つの考えに全部を合わせなくてはならないものでは私はないと思います。それぞれの制度に最も適切なように考えていって私はいいものだと思います。法律的に、ある制度が主務大臣の監督権に持っていっておるから、ほかのものも全部そうしなくてはならないというものでは私はないと思います。そういう意味において、国税庁というものが、御承知のとおりにこれをそもそもつくりますときの沿革から申しまして、国税の実施事務につきましては、相当自主性を持って、全面的な権限を国税庁に与えようという考え方でできておる実は役所であります。そもそも税理士法をつくるときから、そういうたてまえでこれはできております。  それから特許庁については、これは沿革を申し上げなければならないのでありますが、御承知のように戦前から弁理士の制度はもちろんあるわけでございまして、特許庁も戦前は特許局という外局でございました。しかし戦前の外局は実は現在の国家行政組織法に基づく独立した制度ではありません。そのころから通産大臣がそういうことをやっております。その制度が、特許庁が現在の国家行政組織法のもとにおける新しい制度になった場合に、特に取りかえるほどの実は要請もなかった。したがってそういう制度を続けておるわけであります。こういう沿革上の理由もお考え願わなければなりません。

只松祐治日本社会党

○只松委員 これは私の発言の中正論から発展してきて、田中さんのいまの法理論にきた経過があるわけですから、それが突如と来て部分だけを取り上げて特許庁とあれだけだとか、そんなことで答弁されるといまの論争は何にもならなくなっちゃうのです。だから、法理論なら法理論、そのことだけに限定したことで答弁するならする。それができないならばそういう答弁は必要ありません。これはさっきから言ったさむらいの話から始まって、全部そういうことを論争したあとの問題だから、それをちょっと来て、そんなでたらめな答弁をやったって、われわれ聞く必要はない。いままでやった論議は何にもならなくなっちゃうから、帰ってくれ。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いま私がつかんとするところは、あなたなりあなたの部下である第三部長が、いわゆる外局というこの国家行政組織法の上に立って、そしてそれを一つの根拠として御答弁になった。だから外局ということにあっては特許庁とどう違うか、弁理士と税理士とはどう違うか。なるほど戦前と戦後においては、行政組織においては違います。しかし戦後になって弁理士法を改正したでしょう。あなたのおっしゃるようなことであるならば、なぜ弁理士法を改正するときにそうしなかったか。ともかく外局という上に立って、外局は独立の云々ということに立っての、根拠としての答弁であったから、私は特許庁を言ったのですよ。それだから答弁は当たらないと言うのです。しかも、いいですか、先ほど来何回も繰り返しておりますが、この税理士法の第一条の使命――いま職責、今度は使命となるのですね。その中正な立場ということ、この立場とこの懲戒権を国税庁長官が握るということ、これは矛盾しませんか。いいですか。大蔵省においては租税の制度とか、いろいろな根本的なことをやるわけです。国税庁は、きめられた法律の範囲内において忠実に徴税の仕事をやる。いわば税法の番人なんだ。そうでしょう。違いますか。その懲戒ということは、少なくとも身分関係があるか、監督関係があるところに起こるわけですよ。それがないところには懲戒はないわけですよ。そこで、徴税ということについての忠実な番犬たるべき国税庁長官のもとにあって、その監督、その身分を握られておって、そうしてこの中正な高度な税理士としての仕事ができるか、この矛盾を言っておるわけなんです。あなたではわかりません。いままで何回もやったけれども、あなたは法律論を答えたことがないんだ。法制局長官なら、あくまで法律の解釈に忠実になりなさい。だからいつも茶坊主だと言うんだよ。これは外局ということで答えたけれども、外局なら、特許庁とどこが違うのか、弁理士とどこが違うのか、これの解明にはなりません。

林修三内閣法制局長官

○林政府委員 国家行政組織法のたてまえから言えば、特許庁も外局であり国税庁も外局でございます。しかし、そういう特殊の事務あるいは業務につきまして、同じ外局だから必ずある仕事について同じように取り扱わなければならないという法律上の要請は必ずしもございません。これは立法政策の問題ということを私は初めから申し上げております。それは一つがそうだからあとは全部そうでなくちゃならないというものではないわけであります。そういう制度はないわけで、これはそれぞれの仕事の性質から最も適切と思われる立法政策をとればいい。法律論で答えておるつもりでおります。これは立法政策論でございます。そういうことで実はお答えしているわけであります。  それで、しからば国税庁長官に税理士の懲戒事務を行なわせるのが適切かどうか、これは御意見があり得ると思います。しかし、いまおっしゃったように、国税庁が税の実施事務をやっているから、それだから中正な立場では監督できないとおっしゃるなら、これは私はちょっと当たらないと思います。それはあるいは見解の相違になるかもわかりませんけれども、公務員である以上は、その与えられた仕事を最も中立的な立場でやることはもちろんでございます。そういう業務を与えられた以上、これは法律に最も忠実に職責を執行することは、これは公務員の職責でございますから、その点は私は、税の実施事務をやっているところがやはり――税理士というのは税の実施関係の仕事でございますから、私はこれは立法政策的にそう不適当であるということはないと思います。これは御見解はいろいろあると思いますが、私はそう考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 なぜこう質問するのかと言えば、たとえばいま出ました弁理士だとか公認会計士あるいは薬剤師あるいは技術士、これは全部主務大臣になっておるわけです。ところが税理士だけが国税庁長官になっておるのがおかしいじゃないか、こう言ったときに、国家行政組織法による外局であるからと、こういう答弁をしたんですよ。それならば、税理士と弁理士の身分と国税庁と特許庁の関係はどうなんだ。これは通産大臣になっているじゃないか。これは大蔵大臣にしたらなぜいけないのか。

林修三内閣法制局長官

○林政府委員 それは、私は先ほどから立法政策の問題だと思うと申し上げておりまして、したがって大蔵大臣にして法律的に違法だなどという問題は何もございません。それは立法政策の問題だということを先ほどから申し上げております。それから特許庁の場合、弁理士の場合通産大臣がもちろんそういう権限を持っておりますが、その弁理士関係の仕事を補佐しているのが特許庁でございます。ただそのヘッドが通産大臣になっておる。結局、この場合でも、たとえば税理士の仕事をかりに立法的に大蔵大臣に持っていく場合、やはり補佐するのは国税庁以外にないと考えます。結局ヘッドとして国税庁長官がいいのか大蔵大臣がいいのか、そこの問題に帰する、かように考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 大臣、いま法制局長官が答えたとおりです。大臣ではいけないという理由はない。しかも弁理士と税理士の試験の内容、その教養、専門知識等を見られたときには、ほぼ同等、あるいは税理士のほうが上かもわかりません。ぼくは弁理士なら試験は通るかもしれぬが、税理士なら通らぬ。弁護士なら通してみせる。それほど高度なんだよ。それをなぜこうしておるのか。しかも使命の中正なる立場ということ、これと関連して、大蔵大臣に修正するあるいは大蔵大臣と書き直して出ず用意があるのかないのか、それが一つ。  さらにもう一つは、この税理士の使命ということを考えて、これは弁護士とどう立場が違うのか考えてみましたら、お互いにいわゆる依頼者から依頼を受けて、その人のために、弁護士は社会正義ということをうたってあります。いわゆる法が厳正に解釈せられ、行なわれるように弁護士というのは他人に依頼を受けてやるわけですよ。税理士は徴税ということが適正に行なわれるように、あるいは税法についての知識が足りない人に対してそれを指導するというのであって、他人の依頼を受けてその者のために行なうということに対して、どこが違います。  さらに第二条において、なぜ税理士がやれるところの業務の範囲を何々税、何々税、何々税というふうに列挙的に書いたのかということ、税に対して一般的に全部行なうというような考え方がなぜ持てないのか。なるほど弁護士法にもいろいろ書いてあります。書いてありますが、とにもかくにも法律解釈についてはすべてやります。なぜこれだけを所得税、法人税、相続税云々、云々と書く必要があるのか。税理士というものの身分、その制度から考えて、税に対してすべてが行なえる、こういう観念ではなぜいけないのか、なぜ限定的に列挙主義をとらなければいけないのかということを御答弁願います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 税の技術的な問題は主税局長か国税庁長官から答えさせますが、まず一番大きな問題は懲戒の問題であります。懲戒の問題が現行法はどうなっておるかというと、国税庁長官が持っておるわけであります。国税庁長官が持っておることは沿革からきておって現行法になっておるわけでありますが、現行法の改正案をいま審議しておる過程においては、国税庁長官が持っておることも違法ではない、現行法ではそう認めておるのだが、しかしこれは人に関する問題であるから、これをより慎重にするために大臣にしたらどうか、こういう御発言をしておられるわけです。でありますが、私はいまこの段階においてすぐ大臣に全文を修正いたします、こういうことを申し上げるには沿革も歴史もあります。しかしこれは将来の問題として私たちもまっこうから取り組んで、こういう問題はより慎重のほうがいいのはさまっておりますから……。国税庁長官というものは私は税に関しては大蔵大臣ということよりもより専門的でありますし、私は信頼をしておりますが、しかしそれがあなた方から見ますと、実際の仕事をしておるので、特に大臣がやるということよりもよろしくないという考えに立ってあられますから、この問題に対しては近い将来の問題として、私たちも皆さんの御発言を十分考えながら検討してまいりたい、こういうふうに考えます。現在の状態ですぐこれを大蔵大臣に移す、また監督権との問題その他法文の整理、相当膨大なものでありますから、かかるものを全部整理をするというようなことではないのでありまして、せっかく御発言でありますから前向きに検討いたします。こういうことでございます。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 税理士法第二条になぜ税目を限定列挙しておるかというおことばでございますが、それは現行法の点でございまして、改正法におきましてはそういう限定列挙をやめまして、関税とかとん税とかいった、これはカストムブローカーという別の制度がございますので、そのほうでやること、また税理士制度になじまない登録税とか印紙税を除きまして、間接税を含めた全部の税目に広げるというのが改正案の内容になっておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 やはり列挙制はいまでも、改正でもとっておるのでしょう。だから国税、地方税に対すると書くとか、税についてと書いたからなぜいかぬ。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 今度は「税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し次に掲げる業務を行なうことを業とする。」ということになっておるのでございまして、ただ「租税」にカッコ書きがございまして、たとえば地方税のうちでも、法定外普通税というのは、設けておる市町村もあれば設けてないところもございます。そういったもの、それから先ほど申し上げました関税、とん税、特別とん税というのはカストムブローカーの仕事になっておりますので、税理士の独占業務にするのは適当でない、それから登録税とか印紙税、取引所、特別税というのは、これは特別の税でございまして、納税義務者が税理士の援助を受ける場合に、独占業務としなければならぬというほどのものでない、こういうことで若干の除外はいたしておりますけれども、御趣旨のように租税に関する全般的の代理、代行、税務書類の作成、租税相談、こういうものを税理士の独占業務といたしておるのでございまして、御趣旨の線に沿った改正であると存ずるのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 まず第一点のほうから詰めていきましょう。大臣、前向きに検討すると言うけれども、いまそのことについて改正しようとしておるのでしょう。しかもこのことは、少なくとも税理士の身分は向上という方向をたどっておると思うのです、改正は。まあほかにいろいろ特例があったりしてあれですが、それなら、いま大蔵大臣と変えたらなぜいけないのか。少なくとも先ほど来の質疑応答の中で、積極的な理由のないことだけははっきりしたのですよ。最初の理由は、国家行政組織法の外局であるからと言ったが、それなら特許庁なり何なりと関係がある。だから積極的な理由はないのです。それならいま直したらなぜいけないのか、そういうこと。  もう一つは、なるほど税金には登録税だとかいろいろあります。不動産堂記をするときに登録税を、これは司法書士が張る、張るけれども、なぜこういう列挙的な、カッコの中に入れるのか、一般的にすべてやるようにしても、その性格上委任できないようなものもあるのです。それはたとえば委任状に印紙を張る、これも税法でしょう。それを一々税理士に頼むばかもないですよ。やはり税理士の地位というものと、この一条の規定の改正及び二条とにらみ合わして、それと懲戒ということ、これはやはり身分というものにつながるわけなんです。懲戒という制度が一体だれによって握られておるかというこのことが、その従業者の人たちの社会的地位につながるわけなんです。わかりますか、大臣。わかったらいま直したらどうです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 いまの改正がたいしたことじゃないと言いますが、たいしたことなんです。あなたのような方向でだんだんとよくしていこう、いままでは国税庁長官が独自にやれるようになっておりましたものを、審査会をつくりましてやろう、こういうことですから、非常に前向きになっている。しかし、それよりももっと進めれば大蔵大臣にしなさい、こういうことになるのでしょう。しかし、大蔵大臣というふうにいますぐするという前には、先ほども申し上げたとおり、条文の中に国税庁長官の税理士に対する監督権とかいろんな問題が規定されております。こういうものと懲戒権だけを全然分離していま取り出すということは時間的になかなかたいへんでございます、こう申し上げておるわけであります。しかし、人間の問題でありますから、より慎重に、より合理的にということも、私も政治家だからよくわかりますので、前向きに検討いたします、こう言っているのですから、この種の法律を出したものにしては非常に誠意を持ってお答えをしている、こういうことをひとつよく御理解をいただきたい。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いま突如として懲戒規定を直せと言っているのじゃない、たまたま改正案が出ておる、だから言っているわけです。しかも積極的な理由はない、こういうことだけは明らかになったのですよ、そうでしょう。そうすると立法論だと、こういうことになる。何でしたらあとで渡しますが、先ほど来こういう制度についての一覧表をつくってきておるのですよ。この上に立ってもおかしいじゃないか、こう言っているわけです。しかも懲戒という身分関係ないし監督関係がなくてはいけないわけなんです。その監督をしておるのが国税庁長官であり、身分を握っておるのが国税庁長官であって、そうしてかつ中正にして他人の依頼を受けて云々ということができますか。矛盾していますよ、立法論としては矛盾しておる。したがって私は、先ほど来言っておるように、より高度な、あなたのように政治論で――人の顔色、大臣の顔色を見ながら法律論を展開するような人でなく、ほんとうに法律について制度的に、行政組織から考えてあるいはこういう従業者の身分、懲戒制度というものについて深く検討をいたしたいので、権威者を呼んでください、こう言ったわけです。ところが来たのは権威者じゃないのです。委員長どうしてくれます。だから出直したらどうです。いま直ちに、きょう、あすにこの法律を通す必要はないでしょう。そうしたら法を整備して出直しなさいよ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 懲戒権を国税庁長官から大蔵大臣に移すということは、立法政策論としてはありますということをお答えをしております。でありますが、なぜ国税庁長官が現行法において懲戒権を持っておるかということは、国税庁の沿革、歴史からも重大な関係があり、今日の現行法になっておるのです、こういうことを申し上げておるわけであります。あなたは立法政策論として、大臣よりも、弁護士会のように弁護士会自体がやるという方法もあるじゃないか、こういうことを言っているわけですから、一体税理士会でやるという方法はあるのか、大臣に上げたほうがいいのか、現行でも大臣に上げたとじくらいなのかということは十分検討する必要があるのであって、いますぐこれを直せ、こう言われることは多少無理だ、だから私は、あなた方の発言をよく代議士として理解しますから、前向きに検討します、こういうのですから、この程度のことは御理解ができるだろう、こう思うのですが……。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 関連質問を許します。有馬輝武君。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 大臣としての慎重な発言にこだわって、本委員会の審議の経過に即さない答弁をしておりますから問題が起こっております。簡明率直にお伺いしますが、院の決議で、いま田中委員並びに只松委員からの質問のあったような形に修正するということであれば、これに応ずる用意があるかどうか、この点をお伺いいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 すぐ大蔵大臣に懲戒権を移すといえば、先ほど申し上げたように監督権その他も全部大修正をしなければならない、条文整理もしなければならぬというような問題もありますので、私が先ほどから申し上げておりますように、大臣に移すという問題に対しては前向きに検討いたしますということで御理解願って、今日の段階においては国税庁長官ではあるが何かもう少しいい方法がないか、こういうことを御検討願うのが私はいまの段階においては筋だ、こういうふうに考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 関連して。けさ十一時四十分から大臣に対する質問の材料をこれだけ持っておりますが、大臣が一時半に出られるということであれば私はできませんので、大臣が帰ってこられるまでは絶対この法律は通さぬようにしてもらいたいと思います。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 承りました。  ただいまの有馬君の御発言ですが、大臣の答弁は、現在の問題をとらえての答弁でありますからそれまた当然といたしまして、委員会の運営としては委員会において院議となるべき決議がなされましたら、当然政府はこれを実行しなけれ、ばならぬ義務がある、かように考えます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 委員長がそういうことを言うのは当然なのですが、どうも大臣、私が大蔵委員になってからまだ三カ月か四カ月ですが、私が質問したらみんなこないになったでしょう。あるいは特別会計と一般会計の問題もそうだったし、その前の公益法人の問題についても特殊法人のことについてもそうだったし、これは前向きでとか、常識論でごまかそうということじゃ私は納得しないのです。この際もどうですか、まだ勝負を残しているのが今国会中に三つか四つあるのですからこれだけ勝負をつけましょう、どうです、直して出直しませんか。なぜ直して出直す期間がないといまおっしゃるのか、なぜきょうあすにこの法律を通し、今国会に成立しなければいけないという積極的な理由があるのです。今国会に成立せしめなくちゃならないという積極的な理由がありますか。これは法案を提出した大臣を含むといいますか、大蔵官僚のメンツだけでしょう、どない積極的な理由があるのです。たとえばいまこれを通さなければあすから徴税事務がとまるとか、税理士に対するいろんな制度が持たないとかいうような積極的な理由はないでしょう。なければもう一度検討するなら検討し直して出してくるなら今国会でも成立させましょう。一応検討してください。きょうあす通さなければならない積極的な理由はどこにありますか。あなた方のメンツ以外に何かあるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほど来申されておりますように、田中さんの御発言非常に示唆に富まれたことでございます。でございますから私もあなたの御発言に対しては非常に誠意をもって答えたい、こういう気持ちでおるわけでございます。しかしなぜ誠意をもっておって実現しないか、これは現行法と理想論との間の調和をそう一ぺんにつけられないという問題があるわけでございます。でありますから政府は理想的な体系に持っていくために毎日努力をいたしておりますし、皆さんの示唆に富まれた御鞭撻に対しては誠意をもってこたえたいと考えておりますけれども、現行制度よりもだんだんよくなるということをやはり一つの問題としてお願いしておるわけでございますので、大蔵省のメンツというようなものではありません。国会の尊厳に対して政府が現在の段階において最もよき案として提案をしておるのでございますから、そういう意味でやはり御審議をいただいて、すみやかに御賛成を賜わればはなはだ幸いだと考えておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 この法律が通ることによって、この改正案が成立することによって直接影響を受けるのはどなたです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 それは国会に提案をいたしました政府が、通していただかないということになりましたならばたいへんなことでございます。昔、重要な法案が通らなければ内閣総辞職ということもあったのでありますから、いやしくも出した法律案がいつでもけっこうでございますなどということでありますと、三権分立のたてまえからいっても、そのような軽い考えは持っておりません。これは通していただければ一番いいのは政府でございます。  それから問題は資格法として御審議をいただいておりますが、何人かという問題ではありますけれども、国税庁の職員がこの問題に対しても非常に注目もしているわけでございますし、こういうものを長く引っぱっておって、たくさんの時間をかけていろいろなことを慎重審議をするということも必要でありますが、やはり一つの問題を一つずつ解決をして前向きに漸進態勢をとっていくということを考えれば、やはり一日も早く通していただくのが一番いいことではないかと考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 私は政治論をやっておるのではないのですよ。政府が出した以上、通らなくては政府のメンツといいますか、政府としては出した以上は通してもらいたいというのは当然だろうと思います。河野大臣はどうでもいいと答弁したことがあるのですよ。それはそれとして、私の聞いているのはそういうことではないのです。あなたは最後はうまくごまかすからその点あなたは確かに上手な答弁をしております。そのときは何が何だかわからなくてもっともらしく聞こえて、あとで読むと何も残っていないのが国会答弁の一番上々だそうです、その面からいえばあなたに合格点を上げます。しかし私の言っているのは、この法律が通った場合に直接影響を受けるのはだれかと聞いているのです。税理士でしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私は税理士が被害を受けるとは考えておりません。こういうふうに議論をし、審議をし、だんだんと合理的な税理士法が誕生していくのでありまして、少なくとも懲戒の部分だけを取り上げまして税理士の方々がすべて懲戒に値するということを前提にして考えておればそういう問題になりますが、そんなことはない、税理士というのは少なくとも国家の要請に沿って正しい業務を行なうということが前提でありますから、その上になお少数の人でも懲戒に値するような場合にはより合理的に、より慎重にすべきだという考え方はよくわかりますけれども、この税理七法の改正というものはだれが得をするということよりも、より合理的に水準の高い税理士をつくるためにこそつくられたものであって、私はこういうものが税理士の方々の権利を大きく制約するものなどとは全然考えておりません。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 とにもかくにも一番直接影響を受けるのは税理士ですよ。その税理士の諸君があげて反対をしておる。それをなぜ今国会に、きょうあすにでも衆議院を通さなくてはならないという積極的な理由があるのか、こういうことですよ。あなた、時間がなかったら帰ってこられてからにしましょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私、います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 積極的な理由があるのですか、ないでしょう。おそらく直接影響を受けるのは税理士諸君です。その税理士の諸君がこれだけ反対をしているのです。しかもいま言ったようになぜそうせねばならないかという積極的な理由はない。立法論としてもそのほうがシャープである、他のそれぞれ関連する自由職業者と称せられる人々の懲戒制度を比較検討した場合でもそのほうがシャープである、ならばこの際直したらどうです。そんなに積極的に急ぐべきじゃないでしょう。これが通らなかったといって池田総裁の二選に差しつかえありますか。池田総裁を出すのにそれほど重大なものではないでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 それはこの国会に通さないで何がいいか、こういう議論は全く政治論でありますから、私もあえてまっこうからお答えしょうという考えには立っておりませんが、いずれにしても、こういう問題は長いこと検討しながら一歩ずつ前進し、より合理的なものをつくろうという考え方であります。でありますから、私は税理士の方々もいま七十万の法人があって、しかも中小企業などに対しては税理士の方々が必要なんです。実際そこまでまだ手が回らないような実態にあるということは事実じゃありませんか。皆さん方も、国税庁と納税者の中に入って、税理士をもっと多くして、もっと合理的にして完全に、国税庁が一方的にやるような体制をなくしなければいかぬ、こういうことを言われておるのでありまして、七十万、八十万という法人の中でいまの税理士の方々が努力しておられるわけですが、これをだんだん法制を整備しながらより高い水準に持っていこうという考え方にまっこうから取り組まないと、私はこの問題は解決しないと思うのです。でありますから、そういう立場に立ってこの法律案の御審議をお願いしているのですから、いつまで延ばせばいいんだという考え方ではなくて、やはりこの国会に出したものはこの国会で片づけるというお気持ちで、あなたが将来どうしろと言えばそれに対しては前向きに検討いたします。私がお答えできる最大のことをお答えしているわけでございますから、その間の事情をひとつ御理解、御賛同を賜わりたい。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ついでに第二条の問題を答えてください。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 それは先ほど主税局長からお答えしましたとおりに、いままでは税目別に列挙をしておったわけですが、今度は体系としましては、租税一般というふうにしたわけであります。カッコの中に入っているものは、税理士の専業として、税理士の職分、業務に固定をせしむるには多少筋が違うというようなものだけを特別列記してはずしたわけでありますので、その間の事情は十分御理解いただけると思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 関連質問でもございますし、大臣は新潟行きの御予定もあるようだし、私は武士の情けを存じておりますので、あらためてまた論議をするとして、きょうはこれでおきたいと思いますが、大臣は私の言っていることはわかると思う。いままでも何回か私はあなたに言っているのです。言うことはわかる、しかし、私の言うことをあなたがわからぬだけだということを言ったことがありますね。私の言うことをあなたがわからぬ。あなたの言うことを私がわかるということは、私のほうがよりシャープなことを言っているということです。したがって、ともかくこれを検討してください。同時に第二条の問題、あるいは第一条の問題、懲戒の問題、やはり三点関連があります。そういうことの再検討を要望いたしまして関連質問を終わります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 関連質問からだいぶ長くなってきたのですが、私の本論に入る前の中正論議だけでたいへん時間がかかりました。いま聞くと大臣が新潟の震災地に行かれるということですから、私も一応これを中断いたしまして、佐藤さんが朝から用意されておるので、佐藤さんとかわります。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 佐藤觀次郎君。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 ただいまは同僚只松委員、田中委員からいろいろ質問があったことですが、この税理士という自由職業のこういう非常に大事な仕事を、国税庁の中の一つの補助機関にするような、こういう税理士法案というものをお出しになったということは、一体どういう理由によりますか、これは大臣から直接伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 税理士は国税庁の補助機関だとは全然考えておらないのであります。これだけはひとつ御理解いただきたいと思います。ただ現行の体系が先ほども申し上げましたとおり、生々発展の沿革、歴史として税理士制度が生まれましたときには、国税庁長官が監督をし、それから懲戒も行なうという制度になっておりました。この現行体系の上で、今度は長官だけでもってやるということよりも、第三者機関いわゆる審査機関をつくりましてそれに付議をいたしまして、より合理化をはかろう、こういう考え方になりまして改正案を御審議いただいておるわけでございますので、これを補助機関にする、国税庁長官がかってに部内のものと同じようにやるというような思想は絶対に持っておらないわけであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 きのうも松隈参考人からいろいろ聞いたのでありますが、実は第一条に中正の立場でというようなことが書かれております。しかしこれは一体こういうような立場になれば納税者というものはどういうような運命になるか。御承知のようにいまの税の公平という問題についてはいろいろ問題があります。しかし私は大臣の時間がありませんからかいつまんでお話ししますけれども、少なくともいまの立場で納税者がどうにか信頼していけるのは税理士であって、その税理士がいわゆる国税庁の監督下に置かれるということになれば、一体納税をする者の立場はだれが擁護してくれるのか、この点について田中さんは御承知のように民間出の大臣であります。したがって、これはおそらくあなたがおつくりになったのじゃない、政党政治といっても官僚が現在はつくっておる。それだから私たちは、ただいまも田中委員が言ったように、こういうような法律はなぜもっと業者の立場と税理士の諸君や関連する人とよく相談してやってやらないかということがどうも納得いかないのであります。この点大臣はどのようにお考えになりますか、伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国税庁と国民、納税者との間に入って納税者の利益を守ると同時に、国税の徴収を円滑にするということに対して税理士の任務が非常に重いということはそのとおりでございます。そういう意味でこそ税理士の制度が設けられたわけでございます。そうであれば、税理士というものが全く第三者的なものであるということが一番理想的だという考え方はよくわかります。わかりますが、何ぶんにも先ほど申し上げましたとおり、税理士法の沿革、国税庁との沿革、歴史からいきまして、現行の制度は国税庁長官が監督をし、懲戒もできるということになっておることは事実でございます。この現行法で私たちは今度審査会をつくって審査会の議を経てやろうということがいまよりも前向きだと考えておりますが、考え方によっては、まあ現行法自身がどうもまずい――もちろん国税庁長官も中正な立場でやっておりますが、やはり外観から見ますと中正、中庸であるべき税理士の制度が徴税側の監督を受けているということがうまくない、少なくとも大臣にその権限を移せということを御発言になっておるわけでありまして、そういうものは考え方としてはわかりますから、私は前向きにそういう問題を検討いたします、こう答えておるわけでございます。でありますから、一挙にこれを大臣に持っていくとか、また弁護士会のようにして懸案を行なうという状態は好ましいことであるという御発言については理解いたしておりますが、いまの段階において少なくとも現行法よりも前向きな制度をとっておりますから御了解を願いたい、こう申し上げておるのであって、少なくとも観念的に考えれば私もこれは国税庁長官が監督、指揮、懲戒まで持っていれば、どう見たって中庸ではあり得ないな、こういう考え方はわかりますが、国税庁そのものは中庸なものなんです。少なくとも法律に基づいて法規裁量を行なっておりますから、国税庁長官がえこひいきするというような考え方に立てば、これはおかしいことでありますが、国税庁はもう絶対的に中正であるという考えで、私は特に税に関しては大臣もあまりいろいろなことを言わないで、報告を聞いたことに対しては報告だけを聞いておる。で、国会で問題になったことについては事実をただすという範疇からは出てはいかぬというぐらいに厳密にものを考えておるのでありますから、いまの国税庁が中正であるということもひとつ理解をいただければ、現行法の修正に対して相当前向きな理解がいただけるのじゃないかと思うわけであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 田中さんは事業もおやりになっておられるし、それから政調会ではなかなかよくおやりになったということを私どもも聞いております。しかし御承知のように田中さんは東大出の秀才でもない、民間から出た人で、非常に苦労をした力だからもののわかる方だということは、これは田中さん自身も、またわれわれも反対党であるけれども認めております。しかし私が考えることは、きょう田中君や只松君も言いましたけれども、どうも大蔵省のああいう機構に人ってしまうと非常に官僚的になってしまう。私は調べましたけれども、大蔵省の官僚の人は九二%ぐらいが東大出の秀才であります。秀才というのは、これは軌道に乗って事を処理するのはいいけれども、しかしほんとうに素朴な民間の側になって税を執行するというようなことには欠点があるのではないか。たとえばここに泉さんもおられるし鳩山さんもおられますけれども、これは非常にいい人であります。けれども機構の中に入ってしまうと、だんだん大蔵省の気風に固まってしまって、だんだん自分たちの考えておるのが絶対正しい、われわれ野党の議員の言うことなんかはただいいかげんな答弁をしておけばいいというような形になってしまう。田中さんは大蔵大臣を二年やっておられますが、初めはそうでなかったけれども、だんだん官僚の渦の中に入ってしまって――イサキという魚は渦になって回るのですが、あなたは大蔵省の官僚のとりこになってしまったのではないか。私は、あなたのような人が大蔵大臣になられたので、せめてもう少し大蔵省の秀才の考え方を押えて、民間の立場になってやられることを非常に期待しておりました。ところが、今度の税理士法を見ますと、やはり何といってもこの法律は民間の税理士がやっておることに対して――私は、税理士だって全部神さまであると思いません、悪い人もおると思います。けれども、何といっても自由職業で、納税者の立場を十分に理解して、納税者の気持ちになって仕事をやっていかれるその立場をやはり堅持しなければならない。その精神を貫かなければ、私は納税者の立場は全然理解されないと考えております。それだから、国税庁の長官とかあるいは国税局長というようなそういう立場でなくて、末端まで行き届く場合には、田中さんのような民間の出の人でもなかなかそれが通ってない。それだから今日御承知のように私どもが郷里へ帰りましても一番文句の多いのは税金の問題でございます。私たちがくにへ帰って、十のうち八つくらいまでは税金が納められないで差し押えを食った、何とかしてくれぬかということで、私たち野党の議員でもそうなんですからおそらく与党の人もそういう経験をされておると思う。そういう立場からこの税理七法案が出たのでありますから、私たちはこの法律こそは――もし田中さんがこれを通すならば、あの田中さんという人は民間の出であるけれども、官僚の渦に巻き込まれてこういう悪法を通した、そういう悔いを千載に残すというふうに私は考えるわけでございますが、この点についてどのように田中さんはお考えになっておるのか。こんな法律をあなたがおつくりになって、そうして自分でこうやったというのならいいけれども、少なくとも田中さんはただ上のほうだけを見て判を押した程度じゃないかと思いますが、この点は一体どのようにお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 朱に染まれば赤くなるということもございますから、私も二年もおれば大蔵省的なにおいになったと言われてもしようがありませんが、しかし私は秀才でもございませんし、あまり官僚になり切れるような性分ではございません。でございますから、官僚機構の中から生まれてくるいいものはすなおにこれを受け取って、また直すべきこと、正すべきことは正すということに対しては何ら私は拘束を受けておらないという気持ちでございます。しかし見方によっては何かやるかもしれぬと思ったのがあまりやらないので官僚に巻かれたなんという結論が出るかもしれませんが、それは私の不徳のいたすところで、将来はひとつ大いにおほめにあずかるような方向で勉強してまいりたいと思いますが、この問題はひとつすなおに考えていただくと、先ほどからるる申し述べましたように、これは最上の案としては――あなた方が先ほどから言っておるように、弁護士会は自律制度をとっておる、弁理士等に対しては通産大臣がこれをやっておる。そういう意味からいって、税理士が特に納税者との間に入らなければならぬ問題であるから、理屈は通っておっても、現行法はどうあっても、これは少なくとも大臣に上げるというような配慮が必要であるということに対しては、私も相当理解をいたしまして前向きに検討いたします、こう言っているのです。これは私としてはまだまだ党人だという考え方で申し上げておる。ただそれをいますぐ直せ、こういう御議論でありますが、これは日々よくなっていく、こういうことで、現行制度よりもより前向きに修正案を出しておるのでございまして、この次に修正案をお願いをするようなときは十分皆さんのお考え等も検討いたします、こう言っておるのですから、そこらはひとつ私の考えを理解をいただきたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 私がもう一つ申し上げたいのは、実は税務職員の待遇の問題についてわれわれはよく事情を知っておるわけです。御承知のように、いま優秀な税務署の課長なんというのはどんどん税務署をやめて税理士になったり、いろいろほかのところへ行くようになったりしております。そこでそういうことの代がえかどうか知りませんけれども、そういうことのために結局試験をやらせないでおこうというようなことがこの中にあるのですが、私は、待遇の問題についてはこういうことと別個にやはり扱うべきではないかと思う。私たちも税務署の諸君と一緒に親しくもしておるし、同時にその中にはこの法案を通してもらいたいという人もあります。けれども、こういう便宜的な、十五年か二十年やれば無試験で税理士のあれがもらえるというような資格の問題と待遇の問題とは違うと思うのです。私は、少なくとも金銭を取り扱うような税務署の職員とかあるいは金融公庫の職員などは、同じ公務員の中でもやはり銀行やその他と関係が深いので、ある程度まで国としてめんどうを見てやる必要があるのではないかという考えを今日持っています。そういう点で今度の税理士法案の中で何年やったら無試験にしてやるというようなことは、一方において非常にむずかしい試験――大学生やなんか盛んに来ていますが、そういうような中で、こういう待遇を変えるということはどうも片手落ちのように感ずるのですけれども、こういう点は大臣はどのようにお考えになっておりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 税務職員に対する優遇策というものは私はもっともっとやらなければいかぬと思います。私自身が大蔵省に参りましたときに一審の問題として取り上げましたのは、税務官の宿舎の問題でございます。これは税務署員には宿命を貸せないということがいわれておりますが、貸せないというのではなくて、税務署のほうでもって、あまり長く同じところに置かないとか、それから人の世話になってはいかぬとか、非常に無理な注文をしております。しておるかわりに、それじゃ宿舎を提供しておるかというと提供しておらぬ。中には二年前に馬小屋を改造したところが宿舎になっておる。このような中で税務署員が一体待遇されておるのか。私はまじめに非常に不満を感じまして、この税務署の職員の待遇問題に対しては和みずから予算の配慮をするからとさえ言ったほどでございまして、今度国有財産法の改正等をやっていただきまして、国有地の問題等につきましても建て交換ができるようになっておりますので、こういうことでます税務署の職員等の住宅の確保という問題に対しては積極的にやらなければいかぬ。もう一つは税務署員には警察官と同じようにいろいろな制約をしておりながら、待遇の問題は一般職と同じようにものを考えておるということで、今度の給与の改定につきましても、佐藤人事院総裁に私みずから訴えて、この実情をひとつ検討してもらわなければいかぬということで、多少是正をしたわけでございます、なお税務署の一日の交通費が六十円とか八十円とか、こういうことで一体まじめな仕事ができるのかというようなことで、実情を十分調査いたしまして、可及的すみやかに税務職員の待遇問題等は解決してまいりたいという考え方でございます。そういう意味で、今度御承知のとおり専門官の職制を認めていただきましたりいろいろなことをやっておるわけでありますが、これで足れりとは考えておりません。いろいろ積極的にやっていきたいと考えます。今度の税理士の問題は、これは税務署の職員の待遇――出る者を滞留させるというような考え方だけではないわけであります。資格試験としまして、当然税務署で専門の職務にこれだけ携わった者はやれるのだ、こういう考え方に立っておりまして、御承知のように西ドイツとかアメリカとかでは全く無試験という制度があるわけでありますが、これは税務職員の待遇というよりも、税理士制度の中の一つの問題として考えたわけでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 税理士試験を受けずに税理士になるということについて税理士の諸君が非常に反対をするのは、その点が大きなわなになっておるからです。  それからもう一つ申し上げたいのでございまするが、税務署は、おそらく木村長官や泉さんたちは税務署側の公平な事務のために協議団本部というものを設けておるではないか、もし文句であればそこへ行けばいいではないか、こう言われるのですが、実際は協議団本部というのは、大体税務署の古手でどうにもならないような人を持っていって――全部が全部とは言いませんが、少なくともそういう人が多い。そうしてせっかく行ってもそういう人がああでもないこうでもないということで、国税庁では公平だといいながら実際の役を十分に果たしてないと私は思う。そういう点では税理士の諸君はやはり納税者の立場になって同じような職業であるし、同時に報酬をもらっておるのだから、報酬をもらうところに熱心にやる点があると思う。ところが今度のように中正の立場に立つという、非常に国税庁、主税局のほうではいいことばのように言っておりますけれども、片方は権力者であり片方の税理士は権力者ではない。私はきのうも松隈さんが来たから、あなたは税務からの出身で主税局長をやって大蔵次官までやった人じゃないか、そういう人が公平だと言っても、あなた方ちゃんと大蔵省の臭味がついておる人がそんな公平なんということができるかといって参考人にも話したのですが、私はそういう立場から、せっかく民衆のどうにか穴になっておるこういう窓をふさいでしまうのが今度の税理士改正法案だと思う。そういう点で、田中さんのような苦労人がこんな世の中の安全弁であるこの穴をふさいで密閉をする。夕べ山谷でも騒いだようでありますけれども、いま日本のこういうような状態の中で警察よりももっと税務署はいやがられておりますよ。これは金を取るのだからしようがありません、こう言いますけれども、税金を取られることはだれでもあれだけれども、私は芸術振興連盟の関係もやっておりますし、この間池田さんに官邸によばれたとき言ったんですが、一番の不平は税金を取る不平なんです。だけれども、田中さんはこのごろ強気なんです。収入のあるのは当然取るべきじゃないか、こう言われますけれども、それならば池田さんや河野さんたちが税金をどのくらい納めておるか、ぼくらに教えてください。佐藤さんや河野さんや池田さんはどのくらい――佐藤さんというのは佐藤観じゃないですよ。佐藤榮作さんです。そういう人が年に五百万か四百五十万でどうして家が建つのか。河野さんは焼けてああいうりっぱな家を建てたが、うらやましがるわけではないが、民衆は政治家はどういうことをやっておるかと思うだろう。ぼくらが反対している法律が、社会党が罪をかぶって、そしてあなた方に奉仕するようになってしまう。こういう点は、私は官僚出身の池田さんならこんなこと言いません。田中さんは苦労に苦労を重ねて小大閤といわれておりますし、少なくともあなたは民の声を知っておるのに、どうしてこんな理不尽な、一方的にさっき言ったように泉さんや木村さんのような東大出の秀才が書いたような大蔵官僚の考え方にどうして吸い込まれるかということを私は憂えるわけです。そだから、こんな法律を無理やりに通さぬでももう少し――税理士だってそうおこってばかりいません。やはり納得のいくことは納得してやっていくのでありますけれども、このような法律では納得しないのですから、これはまだ通っておりませんから、いまからでもおそくはない。そういうひとつ反省をしていただけないかということをお伺いします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 税は御承知のとおり、租税法定主義を貫いております。また徴税官に対しても自由裁量権を与えず、法規裁量権を与えておるわけであります。でありますから、違法でないという考え方だけをとっておりますと、納税をする方々は法律はそのとおりだが、実際はいま払えないのだというようなものがあるわけであります。でありますから、ただ法規裁量だからといって税務署の職員が全く血も涙もないことをやっておるわけではないのであります。これは法規裁量でありながらも、法律にはいろいろ特例を設けておりまして、延納の制度もありますし、通則法の制度もありますし、いろいろなことをやっておってなお不満がある者に対しては、協議団やいろんな道を開いておるわけでありますから、税務署というものが、税務職員の立場から見ますと、非常につらい仕事である。もう当然の法規裁量でもってやっておることであって、まじめにやっておっても、警察よりきらわれるということをあなたは言われましたが、何人かがやらなければならないこの仕事に対して努力しておる税務署の職員の姿というものも、これはやはりまじめに認識をする必要があります。同時に、その税務署と民間との間に入ってより円滑にやろうというのが税理士の制度でありますから、将来税理士制度が完ぺきになるように、税理士制度がつくられたことによって国も納税者も安んじてこの方々に代理権を委任するのだ、自分の生命、財産をまかせるのだ、こういう制度を完ぺきなものにするために私も大いに努力いたします。またあなた方が先ほどから申された懲戒権の問題、こういうものに対しても、法律が私の名前になっても、国税庁長官でも同じことですという議論ではなく、より信頼をされ、より合理化されるという問題に対してはまじめに検討し、それが実現に向かって大いなる努力をいたしたいと思います。でありますから、このいま御審議願っておるものが悪法だという考え方をひとつ払拭されて、これはこういう段階を経ながらより合理的なもの、完ぺきなものになる過程にあるのだ、こういうことでひとつ御理解をいただきたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 大臣がわざわざ飛行機まで延ばされて新潟県の地震のために行かれるので、あまり時間をとりませんが、もう二、三点だけお伺いしたいと思います。  実は大蔵委員会はたくさんの法律を通しましてもう一、二件になっております。ところが大蔵省の役人の皆さん方は法律を出して、どんな理不尽でも通さなければならぬという観念がずっとあるわけです。しかし、今回のこの法律がいい法律なら私はいやでも賛成しますけれども、残念ながら私らは計理士でもなく、計理士出身でもございませんけれども、あなた方の都合で計理士というものを今度試験を受けさせたり、公認会計士と税理士という二本立てでやるということは役所は都合がいいでしょう。だんだん整理されていく、おしの統制にはぐあいがいいということになりますけれども、何といってもこういう法律を無理やりしゃにむに通していかなければならぬ、こういう観念は、どうも大蔵省の日英の方が考えられる悪い習慣ではないか、こう思いますが、この点については田中さんは理解のある人でございますから、まあひとつ考えてみようじゃないか、野党があれだけむきになって反対するのは何か大きなあれがあるじゃないか、理屈はあろうともそれだけの寛容の気持ちを持たなければ私は政治家としての資格がないと思います。そういう点でもう一ぺん考え直すようなお考えがあるかないか。どうかそういう点であなた方は大きな目で――こういう法律を無理やり今国会で通さなければならぬ、御承知のようにあと八日か九日しかありませんが、こういう点を反省していただく考え方がおありであるかどうか、お伺いしておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、ぜひ通していただきたいという基本的な考えは変わっておりません。しかし、先ほどからいろいろな議論もございますし、それから税理士の審査会の議決というような問題に対しても、いま私たちが出したものよりもより税理士の資格、身分というものを保障するためには、何か少し手を入れたらどうかというような御議論も存在するように私も承っております。そういう考え方で本委員会がこの法案に最終的な御判断をなさるということに対しては、私もまじめな意味で皆さんの御決定に従いたいという考え方でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 最後に申し上げたいのですが、実際何かこの法律を通さなければならぬほど差し迫った事情があるかどうか。税理士法案をこうやって会期末最後になってきて通さなければならぬというほどの理由があったらお聞かせ願いたい。それからいろいろ関係方面等の意見ももう少し当局が聞かれて――あなたのほうはこういうことを言うだろうと思います。私らのほうでは税制調査会にはかってやったのだからそれはいいじゃないか、こう言われるかもしれませんが、税制調査会というものは大蔵省の都合のいい人だけを委員に選んで、そこに二、三名の税理士の人を入れてやったものです。会長は中山さんでありますけれども、大体は大蔵省の息のかかった人ばかりでやっております。ほんとうに民衆の声、納税者の立場に立ってやっておる委員はわずかでございます。だから、そういうのは技術的にまずいものだから、結局大蔵次官をやっておった松隈さんがこの改正法案の部会長になって作成されたものであります。こういう点を考えると、このやり方はどうしても非民主的であるし、また法の中にどこか国税庁の隷属機関にするような精神がずっと入っておる。こういう点、われわれのような官僚の経験のない者にとっては、昔の官僚統制のような考え方でもう一度やるのじゃないか、背軍人や官僚がいばったときがありますけれども、そういうような思想がここに流れておるじゃないかということについて、私は自由な立場から非常に危険な法律だというふうに考えております。この思想を私たちは言っておるのでございまして、そういう点について、大臣お急ぎのようでありますが、最後にひとつ、あなたがせっかくの民間出の大臣でありますから、ああなるほど田中さんも人の意見を聞くだけの気持ちがあるかないかということになりますので、どうかあなたの明快な答弁をお願いします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほどからるる申し述べておりますように、あなた方の御発言になられた懲戒権というものは国税庁長官というものでなく、大臣にしたほうがいいというような御発言に対しては、私もその御発言を体しまして前向きに検討いたします。こういうことを申し上げておるわけであります。でありますからこの法律は一挙にそこまで持っていかないにしても、少なくとも現行法よりも前向きであり合理的であるという立場でお願いをしておるのでありますから、最後にあなたが私に言われることに対して、もし私が率直に言うとすれば、あなた方の御心配のような少なくとも税理士の身分をいまより拘束をしたり不利益になるような、そういう一方的な行政はいたしません。こういうことは申し上げられると思います。この法律ができたために、こういう制度ができたために、何でもないまじめな税理士の職務や身分が侵される、こういう御心配があればそういうことは絶対いたしません。いまよりもよりよく正しい意味の税理士制度を完ぺきなものにしていくための過程におけるものだというふうに御理解いただきたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 田中さんの抱負経綸というものは非常にいいけれども、やはり法律ができますればそれに縛られるというのが日本の現状でございます。そういう点について田中さんの御発言は、これは速記録に載るわけでございますけれども、私たちはどう考えましてもこの法律に賛成するわけにいきませんが、あなたの時間もありますし、只松君の質問中に私はお許しを得たのでございますからこれ以上は申しませんが、どうかひとつ――この法律だけは衆議院を無理やりに強行されるらしいのでありますけれども、反省の余地のあることをお願いいたしまして、私の質疑を終わります。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後二時二十一分休憩      ――――◇―――――    午後三時十四分開議

山中貞則自由民主党

○山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松委員 午前中の私の分が関連質問その他で中断いたしましたので、二、三、今度は具体的なこまかい問題をお尋ねいたしたいと思います。  国民は、特に公務員はすべて法のもとに平等であらねばなりませんし、あるわけですが、この四十二条の関係を見ますと、かつて国家公務員の中の税務関係あるいは地方公務員の中の税務関係、そういう関係者が特例でもって税理士になれる、こういうことが書かれてあります。今度またこれが若干改められまして、一見こういう条件が強化される、こういうふうに書かれてあります。しかしこれは何も徴税官だけが、税務署員だけがきついわけではなくて、国鉄労働者であろうと、あるいはたとえば全逓の人は、雨の日も雪の日も山の中でも一生懸命で郵便を配達しておられる。これはみんな働く者は平等に、多少そこに問題はありましょうとも、つらい立場の仕事をしておる。だからそこで当然のいろいろな報酬を受けておるし、また待遇も受けておるし、老後におきましては、過日行ないましたような共済制度もあって、それぞれの処遇がなされておるわけです。ところが税務署員だけ、税理士制度の発展的な過渡期と申しますか、そういう関係や何かいろいろなことはあるとはいえ、非常に特権的なものがここに打ち出されておる、こういうことを言っても過言ではないと思う。だから何も税務署員だけこういう特権的なものを与える必要はないのではないか、やはり国民としての当然の義務を果たしておるにすぎない、こういうふうに思います。そういうことを言うと、税務署の職員の人から憎まれるとかあるいはいろいろなことがあるかもしれませんけれども、私たち立法的なりあるいは法を守っていく人間としては、働く者にすべて平等にしていかなければならない、こういうように思います。  そういう観点から二、三お聞きいたしますが、ここにます「職の所掌」と出ておりますが、当局としては「職の所掌」というふうなものはどういうものをさしておられるかお伺いいたしたい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 四十二条の規定は、税務職員であった者が税務職員をやめました後税理士になる場合に、税務職員であった当時取り扱った事件につきまして税理士行為をやるということになりますと、在官中にそういうことを予定して情実的なことが行なわれては困る、こういう意味で、税務職員であった者が税理士になった場合におきましては、自分が退職前年間に占めておったその職責に属しておる仕事の事件については税理士の行為はできないというふうに制限を課しておるのでございます。これは二十六年の税理士法の立法の際にこういう規定が設けられたわけでございます。この「職の所掌」というのは、文字どおり、たとえば京橋の税務署長でございますれば、京橋の税務署の管轄しておる法人税、所得税、いろいろの仕事があるわけでございまして、その具体的な京橋管内の個人、法人のそういった事件につきましては、その京橋署長をやめてから、現在の規定でございますと、離職後一年間はそういう事件を扱うことができない、今度の改正におきましてはこの点を強化いたしまして、離職後二年間はそういうことができない、こういうことになっておるわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 この「職の所掌」というのは、いろいろ通達や何か出ておりまして、非常にむずかしいようでございます。本来なら、時間があれば私はこの四十二条を少し討論しよう、こういうふうに思って勉強してきておったのですが、長くかかるし、ほかのことで時間をとられましたので、これは簡単にそういう点を省略していきたいと思います。  次に、税務署の関係者でこの特別試験を受けておる人が何人くらいおるかざらにその中で何%くらいが合格しておるか、それを全税理士試験の受験者と、それから合格率、そういうものと対比してひとつ御説明をいただきたいと思います。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 お答え申し上げます。昭和三十一年の第一回から三十八年に至ります側聞の合計で申し上げます。受験者の数は三千百八十五人でございます。そのうち合格者が二千七百五十五人でございまして、合格率が八六・五%に相なっております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 全受験者のパーセンテージを……。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたのは、特別税理士試験の合格者のみでございます。一般試験につきましては、第一回の昭和二十六年から昭和三十八年までの合計で申し上げますと、受験者の数が全体で三十四万五千九百人でございまして、そのうち合格者が四万七千七十四人、合格率が一三・六%でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 このパーセンテージから見ましても、特別試験の合格者が八六・五%というのは、まあ通例でいえば八十点以上は優でございますから、よほどの人を除いては大体合格している。しかし逆に一般の受験者というのは二二・六%というきわめて低率の合格者しかおらぬ。こういうことが歴然と出てきておる。いかに税務職員に優遇的なものであるかということがいえると思います。私は午前中に中正論をやったわけでございますが、ただ単に一般論から見れば、税務署の職員が税理士になったから中正ではない、こういう論議が行なわれないこともない。しかしこういう試験、その他全部の税理士個人の問題から、税理士の内容、こういうものを見てみた場合に、こういうものを論議すればするほど、いかにこのいわゆる子飼いといいますか、こういう税務職員から上がってくるのは税務当局から見れば子飼いでしょう、こういう人たちからたくさんの税理士をつくって、そして中正である、こういうことが言えないということは、端的にこういうところに出てまいります。こういう実態でございます。そしてこの四十二条に「離職後一年間は、その離職前一年内に占めていた職の所掌に属すべき事件について税理士業務を行ってはならない。但し、国税庁長官の承認を受けた者については、この限りでない。」こういうことで、今度若干修正案が出ておりますが、国税庁長官に承認を求めた者が現在まで何人くらいいるか、あるいは何人承認を求めて、何人許可されたか、統計がありましたら、ひとつ教えてください。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 現在までに承認を求めた件数は六件でございます。そのうち二件を却下して、四件を承認しております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 その二件却下した理由を言ってください。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 却下しました理由は、その地における税理士の数がよその地と比べて特に少ないという理由がないということ、それからこれは国税庁で昭和三十一年に通達を出しておりますが、その通達に承認の基準が書いてございまして、その承認基準に該当しないというのがおもな理由でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 その三千八十五人の中で特別試験を受けて、何人が現在税理士として税理士業を開業されたか、おわかりになりませんか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 特別試験合格者のうち税理士になった者は三百八十九名でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 六人中二人がペケですから四人、そうするとその二百八十五人の人たちは、事実上長官のもとに全然届け出というものがなくて税理士になられた、こういうことになるわけですが、こういう人たちは、この四十二条に全然該当しないものであった、こういうふうにお思いになりますか、それとも実際上はそういうことは有名無実で、サボって長官に届け出なくても、身内同士のことだからほとんど問題がない、こういうことで無届けで勝手に開かれた、こういうふうにお思いになりますか、どっちですか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 先ほど申し上げましたように、国税庁としましては、承認の基準をつくりまして、これを昭和三十一年に各局署にまで通達をいたしております。そこで各局なり署におきましては、この通達を十分知っておりますので、それによってこの通達の基準に該当するかしないかという判断をいたしているわけでございまして、局なり署としては厳重な指導監督をいたしているわけでございます。その結果、やはりその基準に当てはまらない場合には、承認を申請してくる、承認基準に当てはまる場合には、そこで税理士としての承認を与える、こういうことになっていると思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 時間がございませんので、一つ一つ問題を突っ込んで討議することができなくてたいへん残念ですが、私たちが開いている範囲では、必ずしもそういうことではなくて、このただし書き以下はほとんどなきにひとしい、こういうふうに聞いております。訴えを受けております。今度多少これがこういうふうに改正されても、いままでもそうだから、実際上はなかなか有名無実だ、こういうふうに言われている。これも確かに私が調べたわけではありませんが、たとえば訴えを受けた人の中で、日本橋の署の法人税の係長か何かしておられた人がおやめになって、一年後くらいで七百万円ぐらいの申告で、もちろん税理士になられて、それで高額所得者名簿に載っておる、こういうこともある、こういうふうに聞いております。これはあとでお調べいただければわかると思いますが、いまのお話しのように、表面上だけから見ればあまり問題ないものである。特にさっき大臣が言ったように、多少税理士の数が少ないとか、こういう問題もありましょうが、やがてはこういうふうにどんどん税理士さんがふえてくる。それで一年か二年で税理士になって新しい事務所を開設していく。こういうことになりますと、現在の税理士さんにとってはたいへんなことになる。現在の税務署員からすれば、こういう制度があればいいということになりますけれども、現在の税務署員がやめて将来税理士になるという場合には、必ずあとから追われてくる。だから現在の税務署の人から憎まれてもいたし方ないということを言ったのは、法というのは、確かに過渡的にいろいろな措置も講じなければならぬけれども、立法そのものはやはりだれにも平等にいかなる事態にも適用し得る、こういうものをつくっておかなければならない、こういうふうに思うのです。四十二条というようなものは、ある意味では全く過渡的な措置であって、これを根本的に正しい、こういう前提に立って認めていくならば、将来は私は税理士の体系そのものが問題になってくるだろうと思います。したがいまして、これに対して十二分に御考慮をいただくとともに、現在行なわれておる、ほとんど無届けで開業されておる、そういう問題については、監督官庁としての非常に強い権限がある、監督しなければならぬ、こういうことでございますから、一般の税理士ではなくて、皆さん方の子飼いと言われるような税理士に対して、十分ひとつ監督をしていただきたい、このように思います。  それからこの改正によりまして、いままで十年あるいは十五年で特定の課目の試験を受ければよかった人々が、そういうものがなくなる、あるいは五年以上ですか、管理職の職制にあった人は、今度はほとんど無条件で試験をパスする、こういう形になってきます。ここにも端的に言えば職制の支配の強化がある、こういうことになるわけですけれども、そういうイデオロギー的な対立は別にいたしまして、やはり一部特権的な人々にだけ優先的に税理士となる資格を与える、法の不平等というものがここにもあるわけです。やはり税務署に何年以上おれば受験資格がある、こういうことは、法の前に国民は平等であるべきで、特定の職にあった者だけが無条件で、係長や何かそういう管理職にない者は一般の者と同じように受けなければならない、こういうことはさっき大蔵大臣が言っていた、まあ長年税務署に働いて、いやな仕事をしておった者に云々というようなその精神とはだいぶ違うものが改正法律にあらわれてきております。この点についての所感を伺うとともに、時間もありませんが、ひとつこういう点――おそらくこの法案は今国会ではなかなか成立しないでしょうが、こういう矛盾点というものは調べればたくさんこの税理士法改正案に含んであります。私は午前中、中正の論について一いま四十二条の一部だけやっておりますけれども、これを逐条にやっていきますと相当大きな全体としての矛盾もあるし、個々の条例について問題点がございます。こういう点についてひとつ十二分に御検討をいただいて、やはり法のもとに全税務署員が平等に受験資格がある、一部の人から言うと今度のは後退をしておるわけです。直税、徴収とかそういう人からいうと悪くなっている。そういう人にとっては改正しないほうがいい。こういう人々も税務署員の中にあるわけですから、一部の者からは既得権を剥奪して、そして管理職なんかにおる者は特権的なものを与える、こういうことは皆さん方が税務行政を行なっていく上にも、一時的に第二組合をつくったり何か職制を支配するということにはいいかもしれませんけれども、長く税務署員を皆さん方が指導していく、こういう立場からは好ましいものではないと思うのです。そういう点についてひとつ御感想などお述べいただくとともに、ぜひ善処を要望いたしまして、私の質問を終わります。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話しのように税務署員につきましては、従来一定年限以上従事いたしておりますれば税法科目の免除の制度がございまして、また国税の場合におきましては二十年以上税務の仕事をやっておりますれば特別試験の受験資格ができる、こういう制度があったのでございます。今回は一般試験の改正と関連いたしまして試験科目の免除制度というのは一切廃止するということにいたした関係からいたしまして、国税職員で従来十年あるいは十五年以上たっておりますれば税法科目の試験免除がございましたのを、それをなくいたしました。その反面お話しのように国税でございますれば二十年以上在職しておって、しかも管理職的地位に五年以上在職しておった者につきましては主として簿記及び会計に関する口答試問を受験することによって、それによって資格認定を行なうという制度に改めたのでございます。只松委員は法の前の不平等ではないかという御意見でございますが、結局これはどういうものに税理士としての資格を与えることが適当であるかということに関連いたしておりますので、税務署員二十年以上ということ、そのお仕事をそれだけ勤めておったということだけでいいのか、それともやはりいかに税務署員で困難な仕事をやっておりましょうとも、ただ二十年勤めたというだけではなくて、二十年勤めてその上で管理職的な立場の仕事も五年以上やったというような人であれば、ほかの一般試験を受験して合格してきた人と比べて遜色のない、りっぱな税理士になられる、こういうふうに認めて資格を与える、こういう点から見て、まあ管理職的な地位に五年以上もおったというような人であれば世間からも信頼できる人であろうということで認めたのでございます。なるほど一部の人から見ますれば従来の二十年たつと特別試験が受けられた、その権利を剥奪するものだという御批判もあろうかと思いますけれども、やはり税理士の資格付与の考え方からいたしますればその辺が穏当なところで、単純に年限だけ勤めておったということだけではいかないのではないか、というふうに考えるのでございます。  なおお話しの税理士法の中におきましてはいろいろ論議の的になるような規定がございます。これにつきましては昨日来から申し上げておりますように、一挙に理想的な姿に達することはなかなかむずかしい点がございます。世の中の進展に応じまして、また税理士の業務の動き方あるいは税理士会の今後の発展によりまして、そういった点を逐次解決してやっていくのが筋ではないかというふうに考えておるのでございます。私どもといたしましても、今後そういう意味で税理士法のいろいろの規定につきまして、検討するのにやぶさかでない次第でございます。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 渡辺美智雄君。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 私はただいまから大蔵省の主税局長並びに税理士の取り締まり監督官庁であるところの国税庁長官に対しまして御質問を申し上げたいと存じます。  この税理士法が制定をせられましたのは昭和二十六年であります。しかしながら税理士法というものができる前に、明治のころから税務の代理人と申しましょうか、営業税法に関連をして税務相談を行なう者ができたのでございます。ところがその後日露戦争等によって非常に税金が重くなった。そのために大阪あたりで報酬を不当に取る者が非常に多い。こういうふうなところから税務代弁者取締規則というものをつくって、警察で免許証を交付するようになった。ところが昭和二年になりましてから計理士法ができまして、一応専門家らしいかっこうになってきたわけであります。その後昭和八年になって税務代理人法案というのが議員提案によって提案をされたそうでございますが、これはともかく不成立に終わった。昭和十七年に税務代理士法がつくられて、いまの税理士法の前身になったわけであります。  それで昭和二十六年にいわゆる税務代理士法が廃止になって税理士法、こういうものがつくられたのでございますが、税務代理人取締規則から税務代理士法に至るまでのいわゆる思想というものは、大体似たり寄ったりのものであります。ところが税理士法になってからは非常に懸隔の相違がある。また税務代理士法から一躍税理士法になっても、その指向するところはきわめて民主的な、きわめて理想的な税務行政というものをやっていこうという趣旨によってつくられたものである、こういうふうに思いますが、これは政務次官でけっこうでございますが、それらの過去の法律と現在の税理士法との違い、特徴というものを、ごく簡単に一口でいいからひとつ御説明をいただきたいと存じます。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 お答えします。  ただいま渡辺委員から今日の税理士法に至るまでの沿革を、いろいろ御説明を承りましたが、御承知のように戦後わが国の税制は、非常にシャウプ勧告等によって複雑多岐になり、同時に戦後の復興というものが驚異的に行なわれてきたというようなことで、税制にいたしましても非常に複雑多岐にわたるように相なりました。そこで大事な税理士の仕事をほんとうに円滑にやって、税理士としての職務を全うせしめ、同時に税理士の地位を向上せしめるというような意味合いからいたしまして、だんだん法の改正もいたしまして今日のように相なったわけでございます。改正は要するに税理士の方々がほんとうにその地位を布くし、ますます向上して大事な仕事をやっていかれるためにという気持ちから、われわれといたしましては今回の改正につきましてもそういう気持ちで改正をいたしておる。しかもそれも決して役所が独自で考えたわけではなく、御承知のように審議会等にもはかってやったわけでございまして、要するに税理士の地位を向上せしめて、そうしてこの複雑多岐な税制に対し、国民の、納税者の利益をはかり、また税理士の地位を高からしめという気持ちを持っておるということを申し上げておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうしますと、これは大臣にお聞きするところですが、副大臣の纐纈先生にお尋ねするのですが、この税理士法というものは、今回改正されても、税理士法成立当初の精神というものを守っていくのだ、その精神が、税理士法制定当時の精神というものはまだ完全に具現化されていないけれども、なおよくそれをもっともっと税理士法制定当時の精神を生かしていくのだ、そういうお考えですか。それとも税務代理士法時代に逆戻りさせようとするという反動的なお考えですか、その点簡単に結論をお述べいただきたいと存じます。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 先般来この委員会でも論議をされて、質疑応答が行なわれておるところでもある程度御了解いただいたと思うのでありますが、われわれ決して戦前のもとに返すということでなく、やっぱり民主的に、しかも税理士の地位を向上せしめてざらに地位を高からしめ、国民一般の信頼を博するようにしたい。そういう意味におきまして、その気持ちは局長等も御説明申し上げておるようでございますが、いわゆる税理士の方々からの御要望の、自主性を与えるとかいろいろの御要望がありまするが、今日なおいろいろ検討いたしまして、その線に沿ってはいくが、いま直ちに自主性を与えるということは、まだまだ税理士の歴史も浅いことでございまするので、われわれといたしましても自主性を与える方面にざらに税理士の方々が向上されることを希望しておるということでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 それでは国税庁長官にお伺いをいたしますが、ただいまの政務次官の御発言は、大体私が御質問をしたように、税理士法制定当時の気持ちによって今後は運営されていかなければならぬし、そういうふうな努力をしていくつもりなんだ、こういうことでございますが、国税庁としては、実際それと同じようなつもりで税理士に対処いたしておりますか。それとも税理士全体とすれば役に立つのだが、どうも近ごろじゃまになってきた、国税庁の気に食わぬようなやつも出てきたから、この際そういう者は特にチェックしていかなければならぬというふうなおつもりで対処しておられるのか、簡単にひとつお答えを願いたいと思います。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 私たちは、現在の税法というものは非常に複雑であって、一般の納税者の方々に理解しにくいという前提に立って考える場合に、どうしてもやはり専門家である税理士の方々の協力を得なければならぬ。ことに相当の資力のある方で専門の人を雇うというようなわけにはいかないような層の納税者の方については、やはり税理士さんなり青色申告会なりの協力も得て、そうして税法の知識の普及あるいは記帳等についての指道庁あるいは相談というようなことを積極的にやらなくちゃいかぬという考えのもとに、御承知かと思いますが、昨年の十月に税理士会、青色申告会及び国税庁の三者で協議いたしまして、そういう面についての全面的な協力をお願いをしておるのでございます。したがってわれわれとしては、税理士の協力なくして現在の税法を適正に執行していくということは、まず考えられないという認識のもとに、その協力を仰ぐように、全体の仕事の進め方をやっておるわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 いまの長官の御答弁は、要するに税理士の方はいろいろ協力をしてもらわなければならぬ、こういうふうなことに尽きると思うのであります。私は質問をなるべく短くやれという要望を受けておりますので、なるべく短くやりたいのでございますが、それにはピント狂いの、質問もしないようなことをあんまり長々と答弁されておると、結局それにつられて質問も、長くなりますから、その点は答弁者のほうでも御協力を賜わりたい、かように存ずるわけであります。  そこで、長官にお尋ねしますが、税理士法というものができたときには、きわめて民主的な方向に税務行政を持っていこうというふうなことでつくられたわけですけれども、それは官僚独善の思想を廃止をして、納税者にかわって税理士はその権利と利益を擁護するのだ、こういうふうな根本思想があるわけです。この点をお認めになりますか、それともお認めになりませんか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 私は、税理士はやはり納税者の権利、利益を擁護すると同時に、税法の適正なる執行について納税者に対して的確な助言を与える、こういうことが税理士の職務だと存じます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 お忘れにはなっておらないだろうと思いますが、この前に税理士法ができたときの質疑応答がございます。念のために、その質疑応答の要点を、簡単でありますから確認をしておきたいと思います。  これは有田さんという議員が、税理士制度ができても、いままでややもすると税務署は税務代理士というものさえもじゃま者扱いして毛ぎらいをするような傾向がある、ましてこういうふうな税理士法というりっぱなものをつくると、それらの点が一体どうなんだというふうな質問をしたのです。そのときに主税局長である平田という政府委員の方が、こういうことを言っておる。古くは、御承知のような点は確かにありまして、たいへんおもしろくなかった。しかしながら、最近はそういうふうなものがなくなって、ややよくなってきた。将来においてはさらに一そう発展をいたしまして、税務代理士は単に税務官庁の都合ばかりを聞くというのではなくして、納税者の正当な利益と権利を納税者にかわって擁護するという機関に発展をしていってもらいたい。これはいまから十何年も前に言っているのです。どうも私は、いまの国税当局者よりもこの人たちのほうが幾らか頭が進んでいるのではないかというような気がいたすのであります。さらに続けてどういうことを言っているかというと、平田さんはこう言った。税理士はみずから勉強をして力を養い、むしろ堂々たる態度で正しい納税者の利益と権利を擁護して、大いにひとつ活躍してもらいたい。これはなかなか自信があるのですね。そうしてお互いに切磋琢磨して、税務行政というものをやっていこう。やたらに、税理士会の新聞に国税庁に都合の悪いことを書かれたといっては呼びつけて、とにかく取り消し記事を出せとかなんとか、そういう思想ではない。どんどんとやりなさい。国税庁は国税庁で何十億という金を持ってPRもやっているのですし、税理士会もずいぶん国税庁に対しては協力しておる。青色申告会の話もございましたが、青色申告会で税務指導をやるといえば、とにかく税理士は何日何日と割り当てとなって、これは税理士会で日程を組んで、無料相談というものは大体税務署の言うとおり、日本至るところで協力しておる。そういうふうな状態であるのですから、私はその当時よりももっともっと税理士の地位というものを考えてもらいたい。税理士に対しましては、それは思うようにいかない点もあります。もともと税理士というものの制度ができた起こりを考えてみれば、これは徴税権者たるところの国税庁と、納税者の争いが起きて、納税者にかわって税理士がそういうことに対する主張、陳述をするということでありますから、おもしろくないような点もありましょう。思うようにいかないような点もありましょうが、そういう個々の現象にとらわれて全部の税理士制度を抑圧するがごときものの考え方、そういう取り扱い、こういうことに対しましては、われわれは厳にこれを戒めていかなければならない、かように考えておるわけであります。  それで話は戻りますが、平田という主税局長は、むしろ税務行政官体が改善されていくところまで活躍してくれと頼まれているのですよ。税理士会がどんどん主張をすることもけっこうだ、大いにやってくれと頼まれているのです。さらに同局長はこう言っている。法律に基づく公正な税務の運用と税務官吏だけがややもすると起こしやすい独善的な弊害をチェックする機関になってもらいたい。いいですか、これはちゃんと見越しているのですよ。中には、数のうちだから、少しのぼせ上がった税務官吏もおるであろう。したがって、いままでのようにともかく官尊民卑ではなくして、これからの納税というものは少なくとも自主申告制度によってやるのだ。しかも青色申告制度という、いままで日本にはなかった制度を取り入れてやるのだ。根本的に、どこまでも税金は自発的に、自主的に納めるというのが原則なのだ。この制度を伸ばしていくためには、ややもすると税務官吏だけが独善的なことをやるというふうなことは抑制していかなければならぬ。こういう面において弊害を除去するための機関になってくれ。こういうふうなことが税理士法制定の趣旨だということを弔う一度認識をしてもらいたいし、そのとおりにお考えになって実施をされているかどうか、その点を伺いたいと思います。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 ただいまお読みになりました平田さんの答弁は、私はそのとおりだと思います。全く同感であります。やはり税理士という職業は、納税者の権利、利益を擁護するということ、また、税法について適正な執行を行なうために、税法の正確な知識を納税者に与えていくということが一番大きな点だろうと思います。もちろん、そういう意味におきまして、税理士あるいは税理士会がわれわれ税務の執行に当たります行政機関に対して正当な批判をし、また個々の問題について独善に流れるような面がありますならば、これを容赦なく批判をしてもらって、反省すべきところは反省をしていく、それによって全体としての税務の執行が正しい方向に行くということは理想でございまして、私はいまお読みになりました平田さんの答弁には全く同感でございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうしますと長官は、今後は、かりに税理士会の会報等に国税庁、国税局が気に食わぬような記事が載っても、中の内容が違っていればその一部の訂正ということはあり得るかもしらぬけれども、謝罪文をとるというがごときことはございませんね。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 私は、ただいまお答えをいたしましたように、あくまでも税理士の税務執行機関に対する批判というものは建設的な批判であり、正当な批判であり、また独善的な点があればそういうことに対する指摘である、こういうことでありまして、昨日お答えをいたしましたように、われわれが何か特定の人となれ合ってやっておるというような、こういう誹謗的なことまでもそういう批判という意味で申し上げたわけではございません。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そこでよくお考えを願わなければならないことは、ただ独善的にこういうことが誹謗だとか、これは批判だ、これは勧告だ、これは何だということを考えるのはなかなかむずかしいのですよ。こういう国会の立場においても、それは人がかわれば意見も違うのですから、所変われば品変わるで、これはみな考え方が違うのです。大正時代の考え方でいいと思ったって、昭和になれば通用しないことで、税務署の役人だって、在職したときとやめたときでは、考え方だって違うのです。ですから、これは長官の個人的な判断や税務当局だけの判断で、これは誹謗である、これは批判である、これは勧告である、これは何であるというふうに一々区分けをつけるということはできない。具体的に一つの事実や数華が間違っておるというなら、それは指摘ができるかもしれぬけれども、一つの思想的なものが中に入っておったり、そういうふうな、なかなか区分けをつけられないものがたくさんあるわけなんです。そういう点は今後行き過ぎのないように、ひとつとくと担当官のほうへ申しつけていただくことをお願いをします。その点をひとつ明快なる御答弁を願いたいと存じます。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように、何が誹謗であり、何が正当な批判であるということは、確かにいま御指摘のように、なかなかむずかしい問題だと思います。したがって、やり方としては、やはり相当客観性がなくてはいかぬ。その客観性というものがあれば、おそらく税理士会の代表の方々は、おのずからそれを見て、なるほどこれは行き過ぎだとか、あるいはこれはわれわれの言うことが正しいというような、そういう批判はある程度、いかなる立場においても客観的に出てくるだろうと思います。したがって、今後もしそういうような場合がかりにあって、いろんな問題について、誹謗であるか批判であるかというような面が問題になった場合におきましては、やはり税理士会の代表の方々と話し合いをして、そうしてその後の自覚に待つという方向が正しいやり方だろうと思います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 この問題はそれ以上なにしておると、時間がなくなってしまいますから、次の問題に進んでまいりたいと思います。  今回の税理士法の改正案というものは、私はどうもふしぎでならないのです。たいてい税理士法の改正案というものは喜ばれるのが普通なんです。税理士会の要望によってやる、喜ばれるのが普通なんです。しかし、私は田中大蔵大臣の御意見を聞いても、政務次官の御意見を聞いても、主税局長の御意見を聞いても、これは税理士のためになる法律案だ、税務署の職員のためにもなる法律案だ、したがって、これは国民のためにもなる法律案だと非常にみんな八方いいことばかりなんです。ところが、いいはずなのが、何で一体反対をするのか、そこらのところを一つも考えようとしないのだ。自分がいいと思うからいいんだというような思想、これを独善と言わずして何を独善というのか、独善ということばの使い道がないじゃないかと私は考えるわけです。ですから、そういうふうな点、非常に疑問を持っておる。実際問題として、いままでは米のめしを食っていたのだけれども、米のめしを食うと、君これはまずいぞ、とにかくパンを食いなさい、牛乳を飲みなさいというふうなことを言っても、米のめしがいいかパンがいいかというふうなことを言っても、いやおれは米のめしがいいんだという人には、パンがいいパンがいいと言って無理にすすめているというふうなかっこうではないのかというふうな気がしてならないわけであります。それで、私は税理士法というものがそれだけ反対をされるということは、はたしてその税理士会の要望というものと税理士法の内容というものが一致しておるかどうか、これは一致していないというところにやっぱり問題がある。それは確かに、政府の言う点にももっともな点もございます。税理士会の言い分もわかっておるけれども、現行制度においてはなかなかそこまで踏み切れないというふうな行政者の立場というものもございましょう、立場が違うから。それはわかっておる。そういう点もあろうかということは、私も率直に認めなければならないと思います。しかしながら、それ以外の点について、たとえば特別試験のようなものを一つ取り上げてみると、税理士会は特別試験をなくしてくれと言ったから特別試験をなくしたんだという説明があるのです。だから、税理士会の言うとおりやったんじゃないか。このことだけを聞けば、なるほど税理士会は特別試験をなくしてくれと言いました。税務官吏に対して、当分の間やさしい試験を実施して、当分の間しんしゃく点をつけて、すぐに税理士にさせますというのが特別試験、これは五、六回やりましたが、約九〇%合格しております。それで税理士会でわいわい騒いで、幾らやさしくしてくれと言っても、九割合格という試験ではひどいではないか、弔う少しともかく辛くしてくれないかということで陳情をやった。その結果は、大体七〇%から七五%になった。実際問題としてそれが現況であります。この七五%ということでも、実際に試験委員その他から聞いてみると、簿記、会計などわからない、白紙に近いような状態の君もある。それに対して口頭試問をして、プラス点数をつけて、何とか送り出しておるというふうなことですから、これでは公認会計士協会が騒ぐと同じように、やはり税理士会においても、税理士法という法律をこしらえて、それで高度の試験を実施をして、税務代理士法と違って一般には非常にむずかしい試験にしておるんだから、それとのつり合いがとれないじゃないか。だから、特別試験というものは廃止してくれというのがほんとうの税理士会の主張であった。ところが、それを廃止した、今度は九割の合格ではなくて、まるまる合格にしようではないかという考え方が出てきておる。こういうところに一段と税理士会をおこらした一つの原因があるのではないか。むしろそれならば、現行制度を温存しておいたほうが――税務官吏にある程度恩典を与えることに異議はないと思うのです。極端な恩典を与えるか、ある程度の恩典を与えるかというだけの問題であって、税務官吏にしんしゃく点をくれるとか、自分が担当して五年も法人税をやっておった人には法人税法を免除する、あるいは相続税、あるいは所得税をやっておった人にはそれを免除する、そういうことは私は当然であろうと思うし、そこまでは税理士会だって反対するわけがない。ところが、そういうものを除いて、要するに全般的に無試験認定制度を導入するというふうなことになったので、非常に時代逆行だというふうに解釈をされておるというのが真相であろうと私は思いますが、これらの点につきまして、纐纈政務次官、どうでしょう、御反省なさる点はございませんか。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 ただいま渡辺委員の指摘された点につきましても、御趣旨はわかるのでございます。御承知のように、今度の試験の問題につきましては、いわゆる記憶力にたより過ぎるというようなことで、それを必ずしもそうでなくてもいいんじゃないかというふうにやったのでございます。またいままで税務官吏を税理士にいたしましても、相当の数があるようでございますが、中には間に合わぬ人があるかもしれないけれども、税理士として相当活躍しておられる方が多いと私も聞いておるわけでございます。さようなことからいたしまして、いま渡辺委員が御指摘になるような、そんな意図を持ってわれわれとしては今度の特別試験を考えたわけではなくして、もう世間ではこの税理士、公認会計士の試験はどの試験に比べても一番むずかしいんだということ、しかもそれがどうも記憶力をためすようなことになっておる。そうなりますと、頭のいい者は通るかもしれませんが、必ずしも頭のいい人が、世間に出てほんとうにりっぱな人になるとも限りませんから、そういう点につきましてはやはり今度のような試験制度においてりっぱな人間をとるんだ、また実務に公平というか良識的と申しますか、いわゆる税理士としてのつとめを果たすことのできる人ならば、やはりこれは採用してもいいのじゃないか、こういうことを考えて今度の特別試験の制度を設けた、こういう趣旨でございますので、その辺の点につきましてはひとつ御了解を得たいと思うわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 特別試験についてのただいまの政務次官の御説明を拝聴したのでございますが、どうも私なかなか納得できないのであります。この特別試験というふうなものはもともと五カ年間ということで時限立法だった。三十一年に五カ年ということにきめて、いよいよ時期がきたからやめなければならぬという問題になった。そのときに、いますぐといっても何だからもう少し待ってくれということで、三十六年に時限立法で当分の間ということで延ばした。だから当分の間というのはそんなに長いことじゃないでしょうから、二、三年でやめるんだろうと思っておったらば、これがだんだん流れてきた。いよいよ今度はやめになった。なったけれども、いままでは曲りなりにも暗記力にたよらない実務試験で、暗記力にたよった試験はやっておらないのです、暗記力にたよらない試験をやっていたのです。ところが今度は暗記力にたよらない試験さえも廃止するというふうなことになったので、問題が起きておる。これは私は非常に上の官僚が天下り的にいろんな会社、官庁の重役になる。これは大蔵省が一番多いんです。いろんな銀行あるいは政府関係の開発銀行とか、その他いろいろございます。これはやはり人材が多いから多いといえば話はそれまででございますが、非常に多い。部課長、係長クラスでは外郭団体、一般の税務職員は税理士に横すべりというふうにとられるのですよ。現に上の人がそういうことを意識しているのです。意識しているから、上から下までずうっとそういう思想がある。私は組合の人をどうこう言うのじゃないですよ。そういうふうな官僚的な考え方は民主主義的な納税をやる上において非常に問題がある。現実に長官、見ましたか、税務署の封筒を使って税務官吏から税理士のところへ脅迫文が来るんですよ。それを私はたくさん持っているんですが、重いから持ってこないだけです。ごらんになりましたか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 国税労働組合全国会議からの申し入れ書は写しを私のところへも一部送ってきております。これは見ております。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 こういうふうな申し入れば非常に問題がある。これは労働組合の名においてやろうと、何においてやろうと、すべて組合員であると同時に権限を持った税務職員なんです。私はこういう考え方はファッショの思想だと思う。この中にこういうことが書いてあります。簡単ですから、その中の一、二文を読んでみたいと思います。    申入書   われわれ国税職員は、自らの組織する労働組合を通じ、労働条件を改善し、より良き待遇と身分保障を確立することによって、人間的寛容を備えられ、公務の改善と発展に寄与することになり、延いては国民的利益に通ずるものであると確信して、社会的に公認された組合運動を展開しております。 まあこれはけっこうなことです。かまわない。   そしてわれわれは、あなた方税理士に対し、かねてから、共通の職場を持つ友人、であると認識しております。また、われわれは、自らの国家的職務を円滑に遂行するためには、あなた方税理士の存在と意義を能く理解している積りですし、それだけに従来も、あなた方に対し、好意を持つことこそあれ、敵意を抱いた事実はありません。   われわれが、低賃金と労働過重に悩む中で、将来への精神的保障のよすがとすべく、在職二十年にして税理士資格を獲得する、要求を起し、政府、国税庁との団交を重ねた結果、この要求が政府の方針として採用されることとなり、改めて内閣総理大臣の諮問機関である税制調査会附属「税理士制度特別部会」において政府並びに学識経験者、それにあなた方税理士の代表である日本税理士会連合会の正式役員が加わって、「在職二十年にして役付三年以上の経験を条件に認定資格付与」を一致して決定し、内閣に対する答申となったことは御承知の通りであります。 ここまでは私はそう問題にするようなことはないと思いますが、ただ一つお聞きしたいことは、国税庁長官は団交を重ねた結果、この国税労働組合全国会議に二十年と三年で税理士を上げましょうということをお約束になったかどうか、その点を御答弁願いたいと存じます。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 団体交渉の際に、在職二十年で税理士資格を獲得するように努力してもらいたいということは申し入れを受けております。しかしながら、御承知のように、われわれはこの法律の改正については何らの権限を持っておりません、執行部門でございまして、そういう点については権限を持っておりませんし、したがってこれにこたえる方法はございません。私たちは団交によってこういうことをするとか、約束をするとかということは、その立場でもございませんし、したことは絶対にございません。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると、要するに国税労働組合全国会議の言っていることはうそだ、こう御答弁になるわけですね、二つに一つしか真実はないのだから。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 ここにも「団交を重ねた結果、この要求が政府の方針として採用されることとなり、」こうございますけれども、しかしながら私たちはその団交によってそういう要求をいれましょうとか、あるいはそういうふうな改正案をどうしましょうというような立場でもございませんし、したがって、ここに書いてあることはうそだとは言いません、団交の席上でそういう協力をしてもらいたいという要求は受けておりますので、これは先ほど申し上げたとおりであります。しかしながらその約束をする立場にございませんので、そういうことは約束しておらないということを申し上げておるのであります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そこで団交の結果こういうことになった、内閣できまったんだということを、これは向こうでは言っているんですよ。どっちがほんとうか、そんなことは私はかまいませんが、これだってほんとうは問題なんですよ。   然るにあなた方は、自ら参画した決定に対し、俄かに態度を変え、税務職員の無試験横滑り反対、などと真向からわれわれの要求を誹謗し、次いで回答申に基く法改正の大蔵原案が、自由民主党の与党としての党議にかしるや、連日一〇〇人にも上る陳情隊を国会内に導入して、納税者の味方、と称する職業専門家としては、余りにも良識を疑わせるような行動を以て政党の審議に介入し、大蔵原案を、「在職二十年役付五年、学科を含む口頭試問を条件とする」旨改悪修正することに成功すれば、次ぎには、無試験的横滑り、徴税強化、税務職員の特権拡大、であると、われわれに対し、全面的に挑戦する態度に出ていることは黙視できない事態であると考えます。 ここいらから私は少し問題が出てくるのではなかろうかと思うのであります。一般に声明書を出すとか、あるいは政府に対して要求するとかというなら、われわれはある程度黙認をするのでありますけれども、税理士の個々にわたって、全部ですよ。この付近の関信越、東京局あたりはほとんどです。一軒一軒全部に配達している。そればかりでなく、税理士の部会長さんのところへどさっと持ってきて、税理士全部に配れ、そういうことを要請したところもあるわけですよ。燃してしまえというので、みな燃してしまった。そういうふうなことで、こういう思想は、少なくとも税務官吏というものはもっと民主的におやりになるとすれば、私は非常に問題が多いと思う。幾ら労働組合であろうと何であろうと、実体というものが税務官吏で、権限のある官吏である。そういう人たちが見解を表明するにしても、個々の税理士に対して一体何のためにそういうことをやる必要があるのであろうか。そうしてどういうことを言っておるか。のぼせ上がるもはなはだしいと思う。   われわれの要求は、当初からあなた方並びに業界の利益にも寄与するものと信じており、 これは国税庁長官もよくそういう答弁をします。これは一方的に信じているんだという。これだけ反対しているのに税理士会のためになる法律案なんだからと私どもは信じておるのだということは、やはり少しのぼせ上がったものの考え方ではないか。しかもこれは、全国何だか中央会議とかなんとかで決定したんだもというに至っては、一個人の、配った人の考え方ばかりじゃないというふうに私は考えられるのであります。   そのうえ、われわれの要求があなた方の反対行動によって相当部分拒げられたとしても、未だ諒とする度量を示して来た積りですし、現在でも、不満足ではありますが、あなた方との妥協の産物として政府原案成立を期待しております。 その次が問題なんですよ。いいですか。こういうことを言っておる一人一人の税理士に全部行ったんだ。税務署の封筒に入れて配ったんですよ。   あなた方が、われわれとの接触と提携なくして、一日として円満な業務の繁栄が図られるものでないことは明らかであると思います。 結局これは、あなた方がわれわれと円満にやらなくちゃ、あしたからめしの食い上げになっても知らないぞという、簡単に言えばおどかしみたいなものですよ。これは恐喝みたいなものだ。  然しながら、あなた方税理士が、今後飽く迄もわれわれに挑発と挑戦を仕掛けて来るのであれば、われわれの組織も徒らに供手を俟つものではありません。当然これに応ずる具体的な措置を講じなければならなくなります。 さすがに、この労働組合議長というのは査察官をやった者だそうでありますが、権力主義の権化みたいなものじゃないか。職制支配によってこういうものができているということについては非常に問題があると私は思うのです。こういうふうなことで、今回も職制支配というものを強化することは、ある点においては税務行政しやりいい点があるのかもしれぬけれども、現実に末端の職員がこういうものを持って税理士のととろへともかく配って歩く。あるいは横浜税務署のごときは、横浜税務署の封筒を用いて、それで全部の税理士に送ったんです。しかも税理士会のほうで大会をやるというときに、何とか話し合いの会合をやるのだと言って、税務署から連絡をとらして、なるべく出ないように工作をさしておる。むしろ、こういうことは国税庁の士気が少しゆるんでいるのじゃないかと思うんですよ。長官、どう思いますか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 これは国税会議という国税庁の中にあります労働組合が作成して配付したものであります。私たちは組合がこういう内容のものをつくるという事前の相談は絶対に受けておりません。またこういうものをどこに配付するとか、あるいはどういう内容のものであるとか、あるいはこういうもの自体をつくることすら相談を受けておらないのであります。したがって、組合自体の活動としてこういうことをやられるということに対して、われわれは干渉するわけにはまいりません。ただ先ほど御指摘になりました一点、横浜税務署でございますか、そこの税務署の封筒に入れて出したという点は、私いま初めて聞きました。この点は真偽を確かめまして、もしそういうことがあればこれは厳重に注意をいたすつもりであります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 私は、これは実際問題としてこういうふうなものの考え方が国税庁の中にはあるのだ、上から下まであるのだということを知ってもらうために出したのですよ。この責任追及を長官にどうこうするという意味じゃないのです、これは労働組合がやったのですから。そういう思想があるわけなんですよ。だから、こういうふうなものの考え方というものは、民主的な税務行政というものを非常に妨げているというのが現実だろう、こういうことを私は知ってもらいたいためにお話を申し上げただけなんです。この税務署の方が二十年たてば税理士として適当だというふうなことになれば、やはり公認会計士の監督官庁であり、公認会計士を監査し、処分をし、監督をしておる、財務諸表を検査し、審査をしておる大蔵省理財局の何課長というのか、そういうふうな者はおそらく公認会計士になる資格があるものと私は思いますが、政務次官どうお考えになりますか。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 公認会計士と税理士とは仕事の内容が違っているわけでございますからさような意味合いにおきまして、ただいまの御質問に対してはそのとおりであるといたしますれば、私どもとしても少しどうかと考えるわけでありますが、しかしこの問題は組合のやったことでございますので、将来そういうことのないようにわれわれも注意はいたしますが、それに対してどうこうということは、私としてはいまのところ……。   〔発言する者多し〕

山中貞則自由民主党

○山中委員長 政務次官は声を大きく、委員席は静粛に願います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 ちょっといまよく聞こえなかったのですが、もう一度簡潔に言ってくれませんか。簡潔でけっこうですから。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 立法政策の上からまいりますれば、われわれは行政府として、審議の上に皆様方の御協議を得ておるわけでございますので、いまの問題に対しましては、試験の問題等につきましては、公認会計士と税理士との間では、相当仕事の内容というものが違うのでございますから、これに異なった試験方法をとることも決して私は悪いことではない、こういうふうに考えております。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 これは非常に問題がある。いずれ別の他の関係の官庁から同じような問題が要求として出てくる可能性が強いんじゃないかということをおそれるからこそ申し上げておるわけでございます。  その次に中正な立場について私は御質問しようと思ったのでございますが、これについてはもう相当いろいろな方からお話が出尽くしておるような気がします。これは結論的に申しますと、中正なる立場は私は必要ないということが結論であって、この中正な立場というものはさきに泉局長が言ったように――泉局長は、これは取ってもいいんだ、取ってもいいんだけれども、しかしながらこれを取ると、取ったことのほうがむしろ誤解をされて、反動的に税理士法を解釈されるということのほうがおそろしいのだということをおっしゃっておりますが、私は現在の段階において、税理士が納税者の立場になってやると申しましても、それは租税法規というものを十全に活用するという以外にはないのでありますから、それ以外の方法はないのでありますから、これは別に混乱を生じるというふうな問題は起きないであろう、かように私は考えております。しかしながらこの点については答弁を別に求めません。  そこで、税理士法の改正をするときに、税理士の数は倍くらい必要だ、一人六、七十件持っておったのでは多過ぎる、三十件くらいがいいというふうな御説明がありましたが、この点は現在でも主税局長はそういうふうにお考えになっておりますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 税理士さんがどれだけの件数を担当するのがいいかということは、それぞれその人の能力とか、その問題によって違うわけでございまして、一がいに三十件が適当である、四十件は多過ぎるというようなことは、私はなかなか言いにくいと思います。ただ、私どもが、昨年税理士法の改正に関連いたしまして、税制調査会で実態調査をいたしました。そうして各地の納税者の方にお会いいたしまして、税理士のお世話になっているかどうか、税理士をお願いして十分満足しておられるかどうかというようなことをお聞きいたしたのでございますが、その際の納税者の方々のお答えは、異口同音に税理士の数をもう少しふやしてもらいたい、そうしないと、自分らがお願いしょうとしても、いい税理士さんは非常に忙し過ぎて、とても自分らのような中小企業のことにはかまってもらえないというようなことをお聞きしたのでございます。そういった点からいたしましても、税理士の数をもう少しふやすことは必要であるというふうに感ずるのでございます。それが幾らが適当かということになりますと、これは納税者の方々の要望もあるわけでございまして、一がいに現在の数を倍にするのがいいとかどうとかいうことはなかなか判定しにくいので、これは結局社会的な需要が今後どういうふうになっていくかということによるものと思うのでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 税理士が倍くらいあってもいいということは何回か私は聞いておったわけでございますが、その理由として、今回の税理士法の改正をして、税理士の税目というものをうんと広げるのだ、広げるから要するに職域権限が多くなるのだというようなお話があったわけです。しかし、私は、今回の法改正が通って、あなた方の説明が通ると、法律的には税理士の職責というものは非常に狭められるというふうに思っておるわけです。その理由を申し上げますと、第一は税目を広げたということ、これは税目を広げても、現実には税理士にはあまり関係がないということ、いろいろな税目を広げられても、所得税、法人税あるいは相続税以外はあまり関係ないのですよ。皆さんが監査しているというなら、事件簿を調べてもらえばよくわかるわけであります。そういうことはほとんどない。一〇%とはない。件数からいったら、もう三%、もっとそれ以下かもしれない。したがって、収入の度合いというふうなものも、それから言うと非常に少ないというのが現況なのです。  ところで私は、主務局長が先般の答弁において、要するに申告に際して税務書類に添付する決算書類というものは税務書類じゃないというふうなことをおっしゃいましたが、それはそのとおりでございますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 なるほど納税者が税理士に仕事をお願いしたいのは所得税、法人税、相続税、これが大きな税目であることは私どもも認めます。ただ、たとえば申告所得税で申し上げましても、申告所得税の納税者は二百万人おるわけでございますが、そのうち税理士の援助を受けておりまする者はわずか十八万人でございまして、一〇%足らずということになっております。もちろん申告所得税の納税者の全部が税理士の援助を受ける必要はないものと思いますけれども、しかし、このうち営業所得者だけでも約百万おるわけでございますから、十八万人というのはまだ低い。もう少し税理士の援助を受ける必要のある人が事実上援助を受けられていないということがあるのではないか。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、昨年の実態調査の結果から見ても、やはり税理士の数をふやす必要があるのではないかというふうに考えるのでございます。またこのように税理士の独占業務の範囲に属する税目を広げるということは、税理士会の要望事項でこうなっておるわけでございます。したがって、所得税、法人税、相続税以外に、件数は少ないかもしれませんが、やはりそういう申告納税のとられておりまする間接税等におきましても、税理士の援助を受ける場合は出てくるものというふうに考えるのでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 ただいまの答弁は非常にピントが狂っておるのですよ。私がお開きしておるのは、税目を広げたのは意味がないと言っておるのではない。それは広げないより広げた方がいいけれども、そのほかに税務書類というものをあなたはどういうように御解釈になっておるか。税務書類というもの、要するに独占業務としての税務書類というものは決算書を含むのか含まないのかという点を開いておるわけです。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 これは渡辺さんも税理士の資格がおありになるわけですからすでに御承知かと思うのでありますが、法人の決算書、これは法人税の申告書に添付して提出いたしますけれども、その決算書自体は税務書類ではございません。これはひとり私が申すのではなくて、現在の税務のあり方といいますか、国税庁の通達でそういうふうになっておるわけでございまして、税務書類と申しますのは、なるほど法文には税務官公署に提出する件数、こうなっておりますけれども、法人の作成する決算書はこれは単に税務官庁に提出するだけでなしに、株主総会にも出します。そういう書類でございまして、それは税務書類ではございません。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そこが問題なんですよ。今までの解釈は、法人の出す件数あるいは個人の青色申告の決算書というものは、それを調製をして、税務的な判断によって税務署に出すことが目的でつくられて税務署に出した書類は、現在までは要するに税務書類として取り扱うという考え方なんですよ。それは変わったのですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 個人の事業者の場合のあるいは不動産所得の場合の青色申告につきましては、御承知のように所得税法、所得税法施行規則及び施行細則におきまして、それぞれ規定がございまして様式がきめられております。この様式がきめられておる場合のあれは、これは税務書類でございます。単純な法人の作成する決算書とは違います。個人の作成する青色申告の基礎になる決算書は、これは税務書類でございます。これは今回の改正におきましても、所得税法なり法人税法で様式をきめておる書類、そうして税務官庁に提出する書類は税務書類である、こういたしておるのであります。その点は改正前と改正後で変わりございません。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 これは非常に同順があると思います。いままでの、改正前にどういうことを言ったかというと、判例があるのです。昭和三十五年七月十八日の判決で南正雄という人が税理士法違反で懲役六カ月を食っておるわけです。ところが、このときにどうして懲役六カ月食ったかというと、懲役六カ月食った一つの原因として、税務書類というものが問題になった。会社をうんとつくって、法人をこしらえてやったわけです。それで、そのとき桜井四郎という、これは主税局の課長補佐か何かですね。それから亀徳という二人の人がおったわけですが、その人の話、あるいはまた法人税課の課長補佐の市丸古左衛門、久田重次郎、こういうふうな人の話が非常に問題であろうと思います。その人はどういう証言をしているか。裁判町の記録によると、六月六日の第二回公判おにいて、亀徳証人は、「税務番数とは、申告書に添付される決算書類をも含める、税務書類の作成には、税務調整を行うため専門的知識が必要であり、そのために税理士という専門職業人をおいているのである。」こういうふうなことを言った。桜井証人は――これは税理士会のことですから、省略しましょう。証人調べのあと検察官はどう言ったかというと、「企業会計番数の決算書自体ば税務書類ではないが申告書に添付する目的で作成した企業会計書類は税務番数とみなされる。例えサービスとして報酬を得ないで申告書を帯いた場合でも、多数の者から継続的に依頼を受けているのであるから税理士法上の業を行ったことになる」と言っている。この点はなぜ私が申し上げるかといいますと、これは税理士の取り締まりという問題とからんでくるわけであります。それで、おそらくただいまの主税局長のような御答弁がほんとうに実施をされたらば、税理士法はあってもなくてもほとんど変わりないでしょう。これは私は非常ににせ税理士が横行するであろうということは、予言できると思います。どうしてそれが予言できるか、そのほうを私は実際の活をしてみたいと思います。会社の決算書は税務書類でない、そのこと自体は間違いでないと思います。商法の規定に基づいてつくられる決算書というものは、税務書類でない。しかし、大会社の場合は別として、中小企業の会社、ちっちゃな会社等の場合に、その決算をつくる場合は、むしろ株主といっても同族会社のような場合はうちの中ぐらいの者が多いというのが実例では多いのですよ。八割くらいは――もっとでしょう。同族会社は何割ですか、ひとつそれから聞きましょう。同族会社は全法人の何割ですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 同族会社は全法人数の約九五%であります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 それが実情であります。法人数からいうと同族会社は九割五分。これがともかく同族会社。これは税法上の同族会社というのは、必ずしもとうちゃんとかあちゃんとうちの中だけでつくっている同族会社ばかりでなくて、同族数人主義をとっておりますから、他人が三、四人集まってつくっても、同族会社の取り扱いを受けます。しかし、いずれにしても同族会社であります。ともかく、大部分の商店、その辺の飲食店、くつ屋さんなんか、ほとんど同族会社なんです。これは決算書をつくるときには、やっぱり税金という問題を考えてつくります。もともと法人成りというふうなものについては、法人のほうが家族の給与というものを経費に見てくれる。個人経営の場合には、専従者控除しか認めない、法人の場合には豪族の給与を見てくれる、こういうふうな点から法人成りになったものが実際問題として多いと思う。この場合、決算をつくるときには、どうしても税務的なことも非常に盛り込んでつくってあります。たとえば減価償却の問題、貸し倒れ準備金の問題、あるいは価格変動準備金の問題、あるいはそのほかいろいろな税法に規定されておるようなことをやっておって、純粋に企業的な立場からそれらの引き当て金、準備金というものをつくっているのではない。あるいは交際費、寄付命、こういうふうなものの科目配置等についても、非常に税務的な、税法というものを基礎にして決算書が調製されておることが事実多い。こういうふうな事実を主税局長はお認めになるかどうか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話しのように、わが国の企業会計原則はできておりますけれども、この企業会計原則といえども、やはり税ということとその取り扱いが著しく異なっては納税者が迷惑をこうむるわけでございますので、その点はいろいろな項目につきまして税務調整を行なえば、その企業会計原則に基づいた財務書類に税務調整を行なえば、税法の申告書が作成できるというような意味で、財務書類が税法を意識していろいろ作成されるということは事実でございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると、取り締まり官庁の国税庁長官にお伺いいたしますが、これはやはり税務書類の解釈というものをいままでと変えたような考え方できますと、税理士の取り締まりは実際問題としてできませんよ。どうしてできないかということは、ともかく決算書をつくること自体は、税務調整をしてもそれ自体は差しつかえないんだということになれば、皆さん、事務所を二カ所持っちゃ悪いなんという制限の法律を出すことが第一間違いじゃありませんか。実際問題として、決算書つくるまでならば何官社決算してもいいということになれば、税理士の称号を用いなくても決算書つくることはいいのだから、そういうふうなことで税務調整までしたところの決算書を、もうともかく株式会社制度にして何百社も持たして、あっちこっちにつくらして、そうして申告書を書くことだけが税理士の業務というふうなことになれば、ちゃんとつくった決算書を見て、それに申告書だけ書いて税理士が出せばいい、こういうふうなことになった場合、現実の問題として弊害が起きませんか。長官、いかがですか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 法人において作成します決算書が、これが先ほどもお話しのように、中小法人につきましては、大体税法というものを頭に置いて作成しておるということは事実でございますけれども、しかしながら、それがすべてこの税務書類だということは、これはいかがかと思います。と申しますのは、そういうことになりますと、一体その出された決算書というものが、税務署に出す目的でつくられたのか、あるいはそうでなくて、一般的な決算のためにつくられたのかということのせんさくをいたさなければなりません。また大会社と中小、ことに小会社、同族法人とで区別をしなくちゃなりません。そういうことはできませんので、われわれとしてはやはり税務関係、税法関係事項が含まれておるようなそういう書類、たとえば先ほど主税局長が申し上げましたように、所得税におきます青磁申告書の決算書につきましては、税務関係事項が中に含まれております。そういうものはこれは税秘書数だ。しかしながら、法人の決算書にはそういう内容は含まれておりませんので、これは税務関係群類ではない、こういう判断をいたしておるのでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 それは長官のお考えは非常に間違っています。現実に同族会社等の決算書は、税務調整をして税務署に提出するためにつくられているというのが、同族会社なんかの場合には実態なんですよ。ですから、そういうふうな決算、税務署へ提出されるものがだれでもつくっていい、税理士は申告番を書くだけだというふうなお考えになられたんでは、これはもう税理士法の意味もないし、税理士に対して、税理士の称号を用いて財務諸表をつくれなんということを書いてみたところで、それも意味がないし、私は非常に問題があると思います。これはよく考えられて答弁をされないと、あとで引っ込みがつかなくなりますよ。すでにこれらの人は、それじゃ裁判所で偽証したことになりますか。これは裁判記録ですから、それによって罪におとしいれられた人もあるんだから……。それじゃ無罪だった者が罪になったということになるでしょう。そこらはよく考えておやりにならないと、私は困ると思います。  それから、もう時間がないというふうなことで督促を受けておるので、やめなくてはならないのですが、私はあなた方のその考え方が税理士部会長にも入っておるのではないかと思うのです。税理士部会長は、この間の答弁のときにどういうことを言ったかというと、私はこういう質問をしたのですよ。税務官公吏に対して、ともかく簿記会計の試験くらいはやらしたらどうか、あるいはまた一般の試験科目に簿記会計というものを必須科目に入れるべきではないかというような質問をしたときに、いやそういう簿記会計がわからなくたって、それは使用人に頼んでやってもらえば税理士の仕事はつとまるという意味の御発言をなさっておるわけでございますが、これは現実問題として非常に根本的な問題なのです。それはどうして根本的な問題かというと、税理士というものに対する考え方が、税理士とは争いがあった場合に、ます税務代理をして、いろいろな仕事をするというのが本業でございます。しかしそれだけにくぎづけすべきなのか、税理士の理想という点からすれば、税理士がつくって、税務調整をして、実態を調べて出した決算書というものは非の打ちどころがない、したがって、フリーパスだというふうなところまで将来は持っていくべき筋合いのものなのか。そういうことになれば、実際の会計帳簿、こういうふうなものと税法と両面に非常に明るくて、はじめて帳簿の監査、書類の監査、審査というものができるわけです。簿記会計というものがわからなくて、税法だけでほんとうの課税標準というものを、客観的に税法を駆使して十全の課税標準をきめることがはたしてできましょうか。税理士というものはどういうふうにあるべきなのですか。税理士のつくった決算書というものが会計学の上からも、簿記の上からも間遠いがない、税法の上からも間違いがない。こういうふうにあるべきものでしょうか。それとも税理士は争いがあったときには、まず税務署に行って、折衝をし、交渉をするというふうなところに重点を置くべきでしょうか。ひとつその点をお伺いいたします。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話のように、税理士は簿記会計の知識を十分必要といたします。もちろん税法がわかる、特に法人税法がわかるということは、結局簿記会計の知識なくしては法人税法はわかりません。したがって、簿記会計の知識をもとにし、さらに税法の知識をもって納税者の信頼にこたえるということになるわけでございますが、ただ他の職業人と比較いたしますと、たとえば公認会計士あるいは計理士という人と比べてどこに税理士の特徴があるかというと、税理士も同じく財務諸表の作成という仕事を担当いたします。しかし税理士はただ単に財務諸表を作成するだけでなしに、そこに税法を適用して申告調整をいたしまして、法人税の申告書を作成して提出する。そしてまたそれについて税務官庁のほうからその内容がおかしいではないかというようなお話があれば、それについて陳述し、意見を述べるということが税理士の業務の特色であるわけでございます。お話のように、私どもは理想としては、本来税理士がそういった簿記会計の知識を十分持ってそれを駆使し、税法を十分適用し、活用して作成した申告書については一点の非の打ちどころがないというようになることが理想でございまして、そういう方向に今後持っていくべきものと考えておるのでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうしますと、この税理士法の非常な疑問というものは、やはり税理士の業務をふやしていくと言いながら、現実の問題として、決算書をつくることは税理士の業務ではない。いままでは税務調整をして出す決算書というものはやはり税務書類だ、こういう解釈をしてきたのですが、それは違うということになると非常に問題なんです。この法律案を見たって、第二条のところでは、いままで税務番数となっていたものをこれを申告書等と直しております。ところがずっとあとへいって三十何条かでは、税務書類ということばを使っておる。申告書等と、税務書類というものとは一体どういうふうに違うのか。いままでは申告書等も全部税務書類の中に入っておった。今度は税務書類と申告書等というように違う。その点をひとつ説明してください。間違ってそれだけ残しておいたのじゃないですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 繰り返して申し上げておりますように、財務諸表は税理士だけではなしに、計理士の方も作成できるわけでございます。したがって、独占業務としての税務書類の作成の範囲につきましては、私の申し上げておりますのは、従来と全然変わっておらないのでございます。決算書をつくるということ自体、それは税理士の独占業務ではないわけでございます。その決算書に基づいて税務調整を行なって、そして申告書を作成する、あるいは申告書以外のその他の申請書、請求書または不服申し立ての書類、こういったものを作成する。これは税務書類の作成でございますが、しかし決算書自体は税務書類ではない、これは従来と何ら変わっておらないのでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると、改正法の三十三条二項には「税理士は、税務代理をする場合において、租税に関する申告書類を作成して税務官公署に提出しようとするときは、当該申告書等に自署し、かつ、自己の印を押さなければならない。」こう書いてあって、税務書類の作成というのは「(第二条第一項第二号の業務をいう。)」こうなっております。ところが第二条第一項第二号というのを見ると、旧法ではそれは税務番数と言っておった。しかし新法ではそれを削って、申告書等、こういうふうに直してしまった。申告書等と税務書類とはどういうふうに違うのですか。付属別表だけが税務書類で、いろいろな税務上の調整をしたところの決算書であっても、それは税務書類には入らない、こういうのですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 これは第二条第一項第二号と第三十三条第二項とを比較してごらんになれば、おわかりになりますように、第二条第一項第二号にございます申告書、申請書、請求書その他税務官公署に提出する書類、この書類を申告書等と言ったのでございます。三十三条二項では、そういった税務書類の作成ということに重点を置きましたので、申告書等の作成と言わず、税務書類の作成ということで、税務書類の作成、そこまで続けて読んでいるから、三十三条第二号はそういう表現になっているのでございます。税務書類というのとその辺が違うわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると税務調整をして、それで税務署に出すためにつくった決算書であっても、それは税務書類に入らない、こういうのですね。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 おことばではございますが、法人税に添付するのは、商法に基づくところの財務諸表でございまして、税務調整を行なった場合には、それが商法のあれとは違ってくるわけでございます。したがって、どうもことばの上でどれが税務書類だというふうにお話しになるとはなはだ困るのでございまして、税務書類というのは、同法の規定に基づくところの考課表に税務調整を行なうことによって初めて申告書ができる。その申告書を作成することが税務書類の作成であるというふうになるのでございます。したがって、具体的には、その添付書類の様式が大蔵省令あるいは自治省令等で定められておるものをいうと申しておりますので、したがってその様式の定められておらない決算書では、申告調整をその上に加えておりましても、それは税務書類にはなりません。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 どうも私はよくわからないのです。ただ様式があればとか、定められていれば税務書類だとかどうとか言いますが、それでは所得税の申告書というのは、あれは法律できまっているのですね。省令できまっているのですね。毎年何千万人の人に書かしている所得税の申告書は……。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 所得税の申告書は、記載事項がきまっております。したがって、様式は必ずしも明確にきめてはありませんけれども、記載事項がきまっておりますので、これは税務書類でございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 極端な話を聞くようだけれども、あの記載事項は五、六カ所しかないのですね。十カ所とはないのです。便せんに書いたって、ノートに書いたって、記載事項は五、六カ所です。必要経費が何、控除が何、それで税額幾ら、こういうふうに書けば何でも差しつかえないのですね。それでもそれは税務書類である、そうですね。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 申告書は、ここに申告書、申請書、請求書、こういうふうになっておりますので、申告書はこのこれらの書類に添付される書類とは違いまして、そのもとになる書類でございます。したがって、これは別に様式がきまっておりませんでも、当然申告書は税務番数になるというわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 ここで非常に問題があるのは、法人税はいろいろな点についてこまかい書式まで全部省令できめてあるのです。ところが所得税では、あれほど書かせておる申告書というものは、あのひな形というものはどこにもきめてないのです。どの法規を見たって書いてない。こういうことは私は非常にいろいろな問題を起こしやすいというふうな気がするわけです。だから、別の便せんに書いても何でもいい。しかもこれは税務書類になるのだ。便せんに書いたって、紙のきれっ端に書いたって、これくらいの紙に書いたって、何も悪いという規則はない。これは中身がこうであるという御説明だし、事実そのとおりなんです。何に書いてもいい。手帳のきれ端に書いて、これが申告書だといって持っていったって、受け付けないわけにいかないのです。したがってそれでも税理士以外の者が書いたら処罰する。一つこれは問題でしょう。その次には、一般に決算書をこしらえるのだが、それは商法に基づくところの決算書は必ずしも税務決算にならないのです。商法に基づく決算をこしらえても、税法上から見ればそれは認める認めないという問題がいろいろ出てくる。したがって、いろいろな損益計算の面においても、これは修繕費になるか、資本支出になるか、あるいはこれはともかくいいかげんに寄付金として書いちゃっているのだけれども、これは寄付金と書くべきではなくて交際費に入れるべきか、あるいは雑費に入れるべきものをいいかげんに交際費に入れれば否認されるとか、交際費に入れれば認められるとか、問題がいろいろあるわけです。したがって、やはり決算書そのものは相当な税務的判断を要しなければ現実になかなかできないのです。それで、この税務的判断をして、しかも税務署に出すということが目的でつくったものも税務番数に入らないということになれば、いかなる名目をもっても税理士は二つの事務所を持ってはいけないということが法に書いてありますが、片方は税理事務所だ、片方は経理事務所だということにすれば、経理事務所のほうはただ決算だけやればいいのだから、もう一つくらいつくったっていいのだから、税理士のほうの事務所だけはそこでできた決算書を持ってきて、それに申告書をくっつけて出すということもまかり通るわけですね。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 先ほど申し上げましたように決算書だけですぐに申告書が書けるものではございません。その上に税務上の判断を加えまして税務調整を行なって、そうして申告書を書き、その申告書は付属書類といたしまして明細書をつけまして、さっきお話の寄付金の計算であるとか、あるいは減価償却の計算であるとか、そのほかにこまかい付属書類がいろいろついて、そして申告書ができ上がるわけでございます。したがって、その決算書自体は、あくまでも税務書類ではございません。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 渡辺君、今度だけに願います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると、結局二つの事務所をつくってもよろしい、決算だけならば三つの事務所をつくってもよろしいというふうな結論になると思います。  まだ私は実際質問することがたくさんある。たとえば税務指導の限界はどこかというような大事な問題も、どなたも質問になっていないので、税務指導というのは税理士は一体どこまでやったらいいのかというふうな問題等もあるのでございますが、委員長からの督促でもございますので、またあとで時間を見てやらせていただくことにいたしまして、一応質問を保留したいと思います。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ずっと質疑応答を開いて私も勉強しておるわけでありますが、立法論その他になりますと、とかく水かけ論になりやすいきらいがございますから、私はひとつ政務次官に常識的にまず二、三伺いたいと思うのであります。  第一の私の疑問といたしますのは、この法律は何のためにつくられるのか、いまさらおかしな質問でありますけれども、本朝来のいわゆる中正論議やいろいろなことを聞いて考えておりますと、もう一度あらためてそこに直面するような気持ちがいたします。御相談なさっても、あなたのまことに素朴な常識的な御意見でけっこうでありますが、この法律はもとよりその第一条に使命とか目的とかいうことが記載をされておるのでありますけれども、どうも議論をする根底が違いやせぬかという気がしてならぬのであります。われわれは、議論をし質問をする前提として、いわゆる法に触れた、違法脱税、そういうことの土俵場で議論をしているわけではありません。弁護士法はもちろん、税理士法はもちろん、あらゆる法律において法律を守るということについては何人も異論がないところである。そういう、法律を守って税金が納められるという土俵場、この土俵場に一緒におらなければ議論というものは空転をすると思うのです。質問の点はこぞってそういう質問になっているのですが、政府側の答弁が、どうもけさほどもありましたように、納税者というものは大体脱税をしたがる、したがって、という先入主が潜在意識として強く流れておるように考えられてならぬのであります。だから、議論を整理する共通の土俵場として、そういうことは一応論外である。まあ言うなれば問答無用とでもいうべき問題である。法律は守る、同じ土俵場の中で。この法律はいかなる根拠に立ってつくられておるのかということであります。私の言うことはおわかりでございましょう。それでは、その意味において、この法律は何のためにつくられんとするのかという点について、ますお伺いをいたします。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 お答えいたします。  御承知のように、三十六年の国会におきまして、登録の問題ですが税理士法の一部改正をいたしました際におきまして、委員会における附帯決議が出たのでございますが、その附帯決議は横山委員は御承知のことだと思うのでございますが、税理士法を改正すべきだ、しかも試験制度まで含めてやるべきだという、そういう附帯決議がつけられたわけでございまして、大蔵省といたしましてはその附帯決議の主張を尊重いたしまして、自来この法案の作成につきまして、あるいは審議会等にはかって慎重審議を続けた結果今回の法改正を提案した、こういういきさつでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の言うことが政務次官にはよくわからないようでありますが、きわめて常識的に現状認識を政務次官にしてもらいたい、いわゆる法律を守るという同じ土俵場ではあるけれども――理屈抜きですよ、一方は税金を取る側である。一方は税金を取られる側である。この問題についてはもう現実問題としてます理解をしなければなりますまい。一方は法律を駆使して税金をいわゆる適正に取ろうとする、他方はまた法律を駆使して税金をなるべく安くする。そういう利害が対立をしておる。どんなにていさいのいいことを言おうと、それが現実の問題ではないか。ただ、その土俵場を逸脱してはいかぬ。これは先ほど何回も言いますように、常識外の問題である。その土俵場における納税者側と国側という現実問題の認識については、政務次官も御意見は同じであると思いますが、いかがでありますか。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 御承知のように日本の税金は必ずしも安くない。そこで、ようやく財政状態がよくなってまいりまして、できるだけ減税を続けてまいったのですが、今日も必ずしも安いとは言えないのでございます。しかも税法が非常に複雑でございまするので、一般納税者に対してもなかなか徹底をしない点もあるわけでございますがさようなことで、ただいま横山委員が御指摘なさったように、政府といたしましてはいろいろの財政上の都合によりまして、いわゆる税法というものによって基準を定めて徴税するわけでございます。また納税者のほうにありましては、御承知のように税金が高いということでできるだけ安くさしていただきたい、こういうことでございまするから、そこに法を超越した――私は、その意味におきましても、法に違反して政府がよけい取っているというようなことはあり得ないことであり、また税のほうを安くしょうということについては、国民も法律に反してまで税金を安くしてもらいたいということを望むことは、やはり納税の義務という点から、また国家の仕事をやっていき、国家が発展していく上につきまして、これは国民の義務だと思うわけでございます。さような意味合いにおきまして、利害相反するということばは必ずしも適当ではありませんが、政府としては法によって取ろうとする、また納税者のほうではできるだけ安くしたいというようなことで、そこに利害がある程度相反することがありますがさような意味合いにおきましては、その中間に立ちまして中正な態度によって税理士がその納税者の依頼を受けて公正な立場において仕事をやっていただきたい、そういう観点のもとに今回の法改正も行なったことであり、同時に先ほども一言申しましたが、試験制度についてもいろいろ議論がありますので、これらの点も含めて今度の改正の必要を考慮いたしまして、ここに法改正を提案した、こういうことでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次官は私の言うことをおわかりになっておると思うのですけれども、ひとつ、きわめて簡潔に現状認識から始まるわけでありますから、私の言う実情認識というものが違っておれば違っておる、それに間違いないなら間違いないという答えだけでもけっこうです。私の言うのは法律を守るという土俵場である、そして片一方は法律をもっていわゆる適正に税金を取ろうとする側である、片一方は法律を駆使して、できるならば税金を安く済ませたいという側である、その同じ土俵場における争いが現状の問題であって、理屈抜きにして、現状というものは納税というものはそういう状況にある。この認識については私も政務次官も同様だと思う。ところが片一方のほうは法律を全部知っている、片一方のほうは法律がわからないと、こうきている。そこで税理士を頼んで、ひとつ法律の範囲内においてなるべく安くしてくれ、こういうことである、ここまではいいですね。じゃ、それは御理解を願ったとして、そこで納税者はその税理士さんに頼むために報酬を出す、銭を払って私の利益を代表してひとつがんばってもらいたい、こういうことになる。この点についても判断に誤りありませんね。銭を払って仕事をし、その納税者の利益を代表する、こういう立場が税理士である、こう考えてよろしゅうございますね。いいですか。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 大体いいです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 では、きわめて常識的な御判断としておわかり願ったと思うのです。銭を払って納税者の税法上の権利をひとつ守ってもらいたいという、その頼まれた人が銭をもらって納税者の立場について税務当局と交渉をするという点について、弁護士と何らの変わった立場はないと思いますが、いかがですか。イエス、ノーでけっこうです。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 ただいまの横山委員のおっしゃった限りにおきましては、私もイエスと申します。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうすると納税者の税法上の権利を擁護する、ただし、それはもちろん言うまでもなく税法を守りながらということである。弁護士もまた同様に法律を駆使して依頼者である人々のために守る、この点については同様だと仰せられるなら、なぜ一体法律上第一の使命に違いが生じてくるのであるか。そこのところが私どもが今朝来盛んに政府側に追及をしておるところなんです。法律論から言いますと、中正とは何だかんだといろいろな議論があります。しかしながら実際問題から出発をしていきますと、納税者が自分の利益を代表してもらうのに、この法律にもございますけれども、そのために頼んでおいた税理士さんがいわゆる中正な立場というと着物を着せられておる。私は政務次官がおっしゃるように、税理士と弁護士と何ら変わりないというものであるならば、税理士だけが中正な立場という何か意味のわからないことをここでかぶされておる理由がわからない。中正な立場というものがなかったらいかなる間違いが生ずるか、現実問題として第二条に「税理士は、他人の求めに応じ、」と書いてある。求めということは依頼である。依頼によって委託契約が結ばれる。委託された人々のために一生懸命にやる、そして報酬を受ける、何ら介護士とは違いがないではないか。それにもかかわらず、なぜ一体ここに中正というものをもう一ぺんかぶさなければならぬか。これが、何回ここで議論をしてもあなたのほうから答弁が十分でない一つの問題点なんです。この中正の立場というものを削除すると、この法律及び現状に非常な問題が起こるのかどうかという逆の立場から、政務次官に感想を伺いたい。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 中正の問題につきましては、もうすでに本委員会においてしばしば論議されてまいったことでございます。この中正ということは、これは、正しいということは、私は主観的の問題になるかと思うのですが、要するに税理士の皆さま方の心がまえを、いわゆる主観を交えぬ正しいところの判断は、これはまことに議論の多いことでございまして、たとえば公共の福祉というような問題につきましても、これは憲法以来、各法律においてそういう問題がいつも議論になっておるようなことでございまして、私はさような問題と大体似通った問題ではないかと思うのでございますが、ただ私どもといたしましては、提案者といたしましては、税制調査会のほうの答申にも、議論になって、しかもこれを残せということで載っておることでございますし、私はさような意味合いにおきまして、少なくとも税理士の品位を高めるという意味におきましては、もとより報酬をもらって仕事をされることでありまするけれども、あなたもおっしゃいましたように、依頼者におきましては、法律を千分に知らない、そういうことでむやみに減税をしてもらいたいというようなこと、理屈なしに減税してもらいたいというようなことをされる場合には、報酬はもらっておりまするけれども、やはり法律上考えてみて正しい要求ではないというようなことであるならば、全幅的に報酬をもらっておるからといって法に違反するようなことにまで税理士が加担することがあっては困る。そういう意味合いからいたしまして、私は、この中正の立場においてということをうたっておることは必ずしも無用でないというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の土俵場の話は何回も言っておるのですから、そういう土俵場から踏みはずれた議論ではないのです。弁護士も同様なんですから、人殺しが正しいという場合はそんなにないでありましょう。したがって、いまもあなたも言われるように、納税者の税法上の権利を擁護するというのがきわめて常識的であり現実的であるということであるならば、それ以外の問題というものは、その中正という立場でなくして、いわゆる租税正義の立場ではないかと言いたいのです。中正というあいまいなことばでなくして、納税者の税法上の権利を擁護して、そして租税正義を実現するというなら、筋は通るしわかりやすい。何か中正ということばが、けさから、言われておるように、納税者とそれから税務当局のまん中に立ってという意味に解される、それではいかぬのだと私は言っているのです。政務次官、どうですか。中正ということばが、税務署とそれから納税者のまん中に立つということが、現実問題として、あなたがお認めになったように、あり得ないではないか。その中正ということばは、税法上の権利を擁護し、租税正義を実現をする、こういう解釈であるべきだと思うが、いかがです。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 その問題もいろいろ論議をされた問題でございますが、私どもといたしましては、租税正義ということ自体も、論議をすればなかなかむずかしい問題でございまして、中正ということばを議論をすれば同じことになるだろう。ただ租税という問題が入っておるだけでありまして、範囲が狭められるかもしれませんが、これまた必ずしも議論が一致することは、論じてもなかなか尽きない問題であろうというふうに考えます。したがいまして、従来よりこの問題が用いられていままでそのままになってきておるわけでございますし、またこの問題につきましては、おそらく税理士の方々につきましては、税理士の自主性を認めろ、こういう御主張が根本的にはありまして、今回の改正のこれは主眼点だということを申されておりますが、その点もわれわれとしてはわからぬではないのですけれども、御承知のように税理士法というものができましてからまだ日も浅いことでございますので、われわれといたしましては今後自主性を認めるようにお互いに協力しつつ、税理士の方々がいわゆる権威ある地位に上っていただきたいということを希望いたしておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 くどいようでありますが、その中正ということは、政務次官、納税者とそれから税務署のまん中に立つという意味ではないですね。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 まん中に立つということは、いささかどうもはっきりわかりませんが、はたしてそのまま報酬をもらっているからといって納税者のほうにばかり――納税者とあまり一体になって、納税者の誤りを正す点に努力をしない。法に違反した点について、誤りのないようにしていただかなければならぬということで、まん中に立つという意味でもなく、やはり税法の示すところによって、正しい意味においての納税の義務が実施することができるように希望いたしているという意味合いにおきまして、中正ということばを残したわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたの言っていらっしゃることは、正面なことを言って何を言っておるか全然わからぬ。ここがこの法案の一番の根本問題ですからね。私は少なくとも中正ということばについての定義ぐらいは、まあ政府側としては明確にされておく必要があると思います。いまのあなたの話を聞けば、私の言う租税正義とそれから中正の区別もようわからぬとか一緒だとか、そんなことをおっしゃるようでは困ると私は思うのです。ここがこの法案の中心の題目でありまするがゆえに、何回も議論されておる。いまや聞くところによれば、この税理士法は本日上がるというのですけれども、そうならそうで、政府見解として中正とは何ぞやという統一見解ぐらいははっきりなさらなければだめですよ。あなた自身も中正ということばはどういうことか実際わからぬのじゃないですか、どうなんですか。もっとはっきり――あなた相談されるなら相談されるでもいいから、一ぺん記録に残す中正ということばを、政府側の見解を統一してくださいよ。ちょっともう一ぺん言いますが、私の質問は、第一税務署と納税者のまん中に立って、裁判官のような中正ではないだろう、これが一つです。それからあなたがお認めになりました納税者の税法上の権利を擁護する、これは間違いない、これが第二です。第三番目には、租税正義の実現を期するというのは、違法な脱税をするという場合の議論を私どもはしているんじゃないのだから、法律を守るという立場においてやっているのだ。依頼に応じてやっているのだ、その利益代弁者である、これが税理士だ、こういう規定をするのに何が悪いか、こういっているのです。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 中正ということについて政府の答弁がまちまちだとおっしゃいますが、いままで私どもの答弁では、言い回し方が多少は変わっておるところがあるかもしれません。ことばのあやで変わっておるところがあるかもしれませんが、私ども政府当局といたしましては間違った答弁はしていないと思います。  要するに、中正ということは、いずれの側にも偏せず、正しい形におきましていわゆる憲法に定められたところの納税義務を法律の示すところに従って適正に行なっていくということを私は意味しておるものだろうと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次官、泉さんにいろいろと知恵をつけられていらっしゃるようだが、あなたが先ほど言われたことといま言われたことと違うということで、あなたは矛盾撞着を感じませんか。先ほどあなたは納税者の税法上の権利を擁護する場である、こう言われた。ところがいまはいずれにも偏せず、こうおっしゃる。そして同じ土俵場で取るほうと取られるほうとが法律を駆逐して争っておる。その一方の側に銭をもらって権利を代表しておるのだ、こう言っておりながら、いずれにも偏せずというばかげた定義がありますか。あなたは自分で矛盾撞着を感じませんか。どうです。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 私の申した趣旨につきましては矛盾は感じておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それではなぜでしょう。あなたの言われた、納税者の税法上の権利を擁護すると言いながら、いずれにも偏せずというのはどういうことなんです。国税庁からも税務署からも頼まれる。税務署の権利をある場合には擁護する。納税者の権利をある場合には擁護する。それなら税務署からも報酬をもらいなさいよ。裁判官的性格だから、税務署からも納税者からも報酬をもらって仕事をしているようなものじゃありませんか。その両方の利益を代表するようなばかな言い方がありますか。片一方からも委任を受けて委任契約を結んで、その利益を代表しておる人ですよ。  ただ一点私がくどく言うのには、そういう脱税相談とかそういう点については問題外だ。これは弁護士だって一緒だ、こう言っている。弁護士にはない規定をなぜ設けなければならぬか。弁護士法にはない中正ということばを、なぜここで設けなければならぬかという積極的な理由が全然皆無ではないか。あなたと私とまじめにそれだけひとつ――ほかのそばからの意見を受けないで、率直に答えてくださいよ。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 弁護士と趣旨は違わないということは、さっき私が御了承を申し上げたわけでありますが、やはり弁護士の制度というものは、ずっと以前から行なわれてまいりまして、これはすっかり確立いたしておるわけでございまして、今日、先ほども申しましたように、税理士法というものはまだできて日も浅いことでございます。そういう成立の過程において私は多少の違った点があると思うのでございまするし、先ほど私がいずれにも偏せずということは、いわゆる法律の解釈におきまして、法の示すところに誤ったものがあった場合に、それでも報酬をもらっておるから、納税者のほうに味方するというようなことになっては困るという意味合いにおいて、私はいずれにも偏せずということを申し上げたのでございまするから、その意味におきまして、いま私が御答弁申し上げたところと何ら趣旨においては変わっていないということを御了解願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 わかりました。そうすると納税者の法律を知らないがゆえに生ずる問題については、それを教えなければいかぬという意味においておっしゃったのである。いずれにもということは、納税者と税務署のいずれにもというふうに聞こえたものですから私は誤解したわけですが、そうすると税務署、納税者のいずれにもでなくして、納税者のほうにだけちょっとチェックがかかる、こういう意味でございますね。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 税務署のほうの誤った問題につきましても、それは税理士があくまでも戦っていくわけですから、いずれにもということは、やっぱり税務署のほうと納税者と両方を私は含んでいる意味において申し上げておるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それではもう一ぺん初めに返りますよ。いいですか。税理士は納税者の税法上の権利を擁護する、この点は間違いないですね。よろしゅうございますね。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 それはよろしいです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうすると、税務署の利益を代表するようなことはございませんね。いいですね。どうですか。税務署の利益を代表するようなことはないですね。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 法に違反していない以上はありません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法に違反していない限りにおいてはということは、納税者の問題です。税務署の問題ではございません。税務署の利益を代表するようなことはない。こういうふうに解釈してよろしいですね。そうしますと、この中正ということばの意味は、私はもうてんからこういうことは必要ないと思うのですが、要するにその意味は、中というのはまん中に立つという意味ではなしに、納税者の問題について、税法を守るというチェックがかかるだけの意味である。こういうことですね。御相談なさらなくてもあなたの常識でけっこうです。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 税務署が法律を誤ったことで無理じいに徴税をするというようなことはあり得ないことでございますから、そういう意味におきまして、いま横山委員がおっしゃったように、法の無知によって納税したくない。しないようにしてくれというような問題につきましては、やはりこれは正しい考え方によって税理士が仕事をしていかなければならぬ、こういう意味に私は考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 先ほどあなたがおっしゃった弁護士と税理士とは、その依頼者の権益擁護については変わりはない立場である、けれども、いま税理士は発足間もないから、こういうおことばがございました。そうすると、本来的には同一水準であるのであるから、いま当面としてはこういう弁護士法にないようなことばがあるのだけれども、将来はこのようなことばはとっても差しつかえない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 先ほど来申し上げましたように、要するに税理士の権威を苛めて、ほんとうに国民の信頼を得るようなことになりまするならば、私どもは税理士会の皆さんが希望されておるような、いわゆる自主的な行き方をしようという点については、十分の力添えをしたいということを申し上げておるわけでございまするから、いまおっしゃったような意味におとりくださって差しつかえないと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうすると、本来的には中正ということばは不必要であるけれども、税理士会の条件及び税理士の水準というものがまだ低いから、さしあたりはこれを残しておかなければならぬ、こういうように理解をいたしたのであります。この理解については、立法を担当された泉さんのほうでも同様でありますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 私どももただいま政務次官がお答えになったと同じ立場でございます。  ただ横山委員のおことばの中に、税理士の水準が低いからというようなことばがございましたが、これはいささか語弊があると思うのでございます。弁護士に比較してまだそこまでいっておらないというだけでございまして、そういう意味でなら私も同様意見でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 その弁護士に比較してまだそこまでいっていないからという点は、どういう点が指摘されるのでございますか。私はいま法務委員をやっておりますから、弁護士会の状況もまあ大まかには知っておりますが、弁護士会といえども、いろいろな非違行為をする弁護士なしとしないのであります。これは何も弁護士や税理士だけでなくて、われわれの周囲にいかなる強固な団結があり、切瑳琢磨の組織があろうとも、これはもう何ともいたしかたのない現実の問題としてあるわけであります。いま他に比較して水準が低いからとの中正の立場を残さなければいかぬと言うが、そうすると返す力で言えば、中正ということは、本来的なあり方でなくして、一ぺんそこでかぎをかけてやらなければいかぬ、税理士及び税理士会について注文をしていかなければいかぬという監督的立場、そういうものがそこに含まれておると解釈されるわけですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この点は監督的立場と言われますと語弊があるかと存じますけれども、もちろん弁護士の中にも先ほど横山委員のお話のようにいろいろの方がおられます。税理士の中にもいろいろな方がおられます。ただ世間的な評価におきまして、税理士の場合におきましては、まだ税理士の関与されて作成された申告書につきましてもいろいろ更正を受けるといったようなことがございますので、そういう意味において社会的な信頼がまだそれほど十分でない。したがって今後そういった社会的な信頼を得るようになる、これが大切なことであると考えるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私は議論をするのは避けたいと思うのでありますが、それは税理士会及び税理士に対する侮辱だと思うのです。おまえらはまだ信用ができないよ、こういうことに通ずると思うのです。子供を例にとって悪いのですが、子供がだんだんと成長をする場合に、おまえはまだ赤ん坊だからだめだ、おまえはまだ子供だからだめだ、まだ親が監督していなければならないのだという言い方は私はよくないと思うのです。今日日本の税理士会が組織を持って切磁琢磨し、よりよき法律によって自分たちみずからをきたえ上げようとしておるときに、おまえたちはまだ水準に達しないんだ、よそを見てごらんというような言い方は私は適当でないと思う。もしも税理士会のみずからの切瑳琢磨のうちに欠けるものがあるとすれば、これは世論というものがある。私ども国会議員もそれに応ずる批判の余地もある。それを何かわけのわからぬ中正ということばによってその水準をいやしめ、その水準に達しないからおまえたちにはまだ一人前の着物を差せてやらないというようなことはいかがなものかと私は思う。いわんやこれが第一条の「税理士の使命」というところに置かれておるということですね。いやしくも使命として創設する以上は、税理士諸君にとっては永久不変の原理でなくてはならぬ。ちょっこらちょいとここが変わるようなことがあってはいけない。その永久不変の原理というところに、おまえたちは一人前でないよというような侮べつが含まれるようなことばがあるとすれば、私はいかがなものかと思う。しかもすぐに二条に「他人の求に応じ、」と書いてある。人の依頼について言うことを聞いちゃいかぬよと規定をさせるのでありますから、これは逆であります。少なくとも第一条において不変の原理、理想をうたい、第二条、第三条の方向で多少ともチェックをかけるというならばいいけれども、最も基本的な目標に示しておまえさん方はという言い方は、法体系からいっても私はいかがなものかと思う。政務次官、私の言わんとすることがおわかりですね。どうお考えになりますか。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 御承知のように従来は「職員」ということばが使ってあったように私は聞いております。そういう意味から言いますと、「使命」ということは「職責」ということからいたしますれば相当進んだ考え方であると解釈していいと思うわけでございます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては成立以来日なお浅いのでございますから、少しでも早くこういった税理士会の方々が非常に要望されております税理士会のいわゆる自主性を認めるという点について、一日も早くそういうふうにしたいという実は親心をもってこの改正をやったことと私は考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の言う法理論を政務次官はおわかりになっていない。第一条の「職責」を「使命」とする以上は、一つの理想を掲げるものではないか。その長期にわたる理想の中に短期的なそういうことを書くこと自身が間違いではないか、こう言っておるのであります。わかりますね。その意味において私はそういうあなた方のお立場は本来的に間違っていると思う。この際こういうあいまいな侮べつ的なことばは取って、そうしておのずから切磋琢磨し、りっぱな組織に自分たちでやってみろ、こういう立場をとるべきではないかと私は言っている、その点についてどうお考えですか。

纐纈彌三自由民主党大蔵政務次官

○纐纈政府委員 その点は、横山先生のお考え方はまことにごもっともなお考えと思いますが、私どもの考えておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、いまここで大いにやれということよりも、できるだけ早くいま横山先生がおっしゃるような理想に向かって進んでいただく意味合いにおきまして、この一条を残しておいた、こういうことでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この点については全く意見の違うところであります。あなた方のこれをあえて残そうとする――本来的にはこういうものは不必要だけれども、残そうとする気持ちの中に権力意識的なものがあると私は思う。税理士というものは自分が監督していなければだめだ。自分の自家薬龍中のものにしておかなければだめだという権力意識というものがある。それがいろいろのところに頭を出している。例は別ですけれども、飯塚事件についても十分それが見られるところである。あなた方と立場が違うのです。税理士は納税者の代弁者なんです。その代弁軒である税理士について、これを自分たちの監督下にどうしても置かなければならぬ。そして相手側に力一ぱい出させることを防がなければならぬ、こういう立場というものが全然私どもには納得できないのです。  それから今度は泉さんにお伺いをいたしますが、この第一条に「租税に関する法令に規定された納税義務者を適正に実現、」とありますが、ここで法律という点についてはわかるのですが、その政令、省令というものを残されるゆえんはどういうわけでありますか。国民は租税法定主義に基づいて法律を守るということについてはわかる。税理士を税務会計の専門家としてということばが答申の中にもちらほらするのでありますが、なぜ一体税務会計の専門家としなければならないか。試験制度の中には税法が一ぱいあるわけであります。なぜ税法の専門家としなければならぬかというところにも関係を持ってくるわけであります。法律によって規定された納税義務を適正に実現をする、そういうのがしかるべきではないか。もし法令というならば、法令並びに通達とこなければならぬ。通達を削除して法令の令をここへ出す理由は一体何であるかお伺いをします。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 ここに規定されておりますのは、納税義務ということにつきまして、それは租税に関する法令に規定された納税義務であるその納税義務を適正に実現するのである、こういう表現でございまして、法令ということば、これはよく通常使われることばでございますが、いま横山委員のおっしゃいましたように、法律、政令、省令、こういう形式的なあれだけでなしに、納税義務を規定されていますのは、その大綱はもちろん御承知のとおり租税法定主義でございますから法律でございます。ただそのほかのいわゆる法令、条例、それから条約、そういったものも全部含めての話でございます。そういう意味で法令ということばを使っておるのでございます。通達というのは通達で、納税義務を規定することはありません。そういう意味での法令と解していただきたいのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうしますと、ここにいう法令というのは議会を通過した法律ないしは条例、こういう意味であって、政令を含まないと解釈してよろしゅうございますね。当然じゃありませんか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 法律の委任を受けた政令は当然入るわけでございます、この法律と一体になるわけでございますから。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それじゃ通達は一体になっていないのですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 通達は、これは国税庁長官が税務職員に対する訓示規定でございまして、これは違うわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 わかりました。通達は法令とは一体でない、内部訓示規定であるから、これに税理士諸君が縛られることはない。その点はわかりました。しかし、そうすると、法律によって委任を受けた政令については従わなければならぬ、こうおっしゃる。しかしながら、租税法定主義という立場というものは――政令が法律から逸脱しているとは考えられないのでありますけれども、しかしながら法律によって国民は拘束を受けるのでありますから、政令もまた政府の内部規定であって国民を拘束する、絶対拘束するという考え方は私はあり得ないと思う。政令に含まれるものは即法律なんですから、法律を守るということが国民の義務であって、政府の行政の内容である政令並びに通達というものに国民は直接縛られることはない。政令で文句を言わないで、法律で文句を言うのが普通なんです、当然なんです。そこに租税法定主義の根拠があるわけです。どうですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話しのように法律の委任を受けました政令は法律と一体となるわけでございます。そういう意味での法令に規定された納税義務でございまして、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、通達は国税庁長官が部下職員に対する訓示規定でございまして、これで縛られるというわけではございません。またその法律の委任を受けた政令が法律の委任を越えて法律違反であるかどうか、こういった点につきまして意見があれば、もちろんそれを税理士の方が主張なさっても一向差しつかえないわけであります。それは結局、その政令が法律の範囲内であるかどうかということは裁判によって決するわけであります。そういう意味では差しつかえないわけであります。そういう意味で縛られるというわけではございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 税理士は税務署に行っていろいろと納税者の利益を代表して折衝するわけでありますが、税務職員が内部の通達というものを金科玉条にしておる。この点は、内部の訓示規定であるからあなた方が税務職員に対して徹底するのは当然なんであります。当然なことではありましょうとも、税務職員がこの内部の訓示規定である通達を金科玉条のようにして、それをもって納税者ないしは税理士に対抗するという態度はいかがなものかと思いますが、いかがですか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 ただいま主税局長から答弁を申し上げましたように、通達は申し上げるまでもなく内部訓令の形の性質を持っておるものでございます。しかしながら、末端の税務署に対する訓令であるとはいっても、これはやはり納税者にとっては反射的に非常に大きな影響を持っております。したがって、われわれは通達を出します場合には十分合否をしておるのでございますけれども、万が一、通達が法令に違反しておるというようなものがありますならば、これは当然無効でございまして、そういうことはあってはならぬわけでございます。  そこで、その税務署員の態度でございますが、もちろん通達をたてにとってとやかく言うという態度は、私としては好ましいものとは思いません。ただ法令の解釈が税務署により国税局によって違うということになりますと問題がありますので、統一的な解釈を出しておる。したがってその訓令を受けた職員としては、こういう取り扱いになっておりますということを説明しておる場合が相当多かろうと思います。いずれにいたしましても、通達がこうなっておるからこうしてもらわなければ困るというような言い方は穏当な言い方とは思いません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 その長官の御意見は適当だと私も思います。私どもがいろいろと局なり税務署を回ってみますと、常にその通達というものが全く金科玉条のように取り扱われておるわけであります。これは内部の問題としては、一つの国税庁という組織でありますからあなたの考えが徹底をすることは、それを決していなむものではありません。けれどもそこのけじめの問題が私は必要だと思う。税理士は税理士で法律を勉強し、政令を勉強し、通達を参考のためによく見るわけであります。私どもが税理士諸君に会いますと、この通達はおかしいと思う、おかしいと思うけれども税務署は何ともならぬから、ひとつ横山さん国会で取り上げてくれ、こういう立場が多いのであります。あなたのほうはそういう場合においてはすなおに税理士諸君の意見も聞いて、そうしてそういう意見があったということについてはすみやかに局なりあるいは本庁なりへ意見を反映せしめるような方法をとらなければならぬ。ここはけじめの問題でありますから、通達をあなたのほうで軽んずるというわけにはいきますまい。しかしながら他にこれを押しつけるべきではない。税理士並びに税務職員対等の立場で議論をするのであるから、それが適正な意見であり、なるほどおかしいと思われるところがあるならば十分これを職務を通じて上司に伝達しよう、こういう立場で通達というもののけじめをきちんとする必要がある、かねがね私はそう思っておるわけであります。この点について措置をしていただけますか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 私はただいまの横山委員の御主張はそのまま受け取っていいと思います。少なくとも訓令である以上部内の職員がこれに服従するという義務は負うておるわけでございますから、したがって、それによって仕事をしていくということは当然のことでございます。しかしながら対外的に、通達がこうなっておるからこうやってくれというようなことは穏やかではございませんので、もし、これは一般の納税者の方々でも税理士を職業としておられる方々でも同じでございますけれども、この通達が法令に違反しておる、この解釈はおかしいというような点がございましたならば、これは十分発言をしていただいて、われわれとしてもそういう意見は十分聞かなければならぬ。ただ最終的に意見が相違をして、国税庁としてはこういう解釈だ、しかし納税者の側から見ればこういう解釈だということで最終的に意見が相違しました場合におきましては、これはやはり法の救済規定、不服申し立てなりあるいは訴訟という手段がございますので、最終的には裁判所の判断に待たなければならぬと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この機会にひとつ法案の審議の雰囲気を通じて長官に要望したいわけでありますが、この法案を機会にして、また飯塚事件を経緯にして、国税庁、その傘下職員の税理士諸君を見る目が変わってきているのではないかという感じがしてならぬのであります。聞くところによりますと、名古屋の税理士会の話でありますが、税理士の中で青色申告をしておる人はいいけれども、白色申告をしているものについては調査をしろ、こういう通達が出ておるやに聞いておるわけであります。これは一体いかなる根拠、いかなる立場においてそういうことをなされるのであるか、またあなたにはほんとうに痛い思いがしておるらしいのでありますが、飯塚事件についてでもそうであります。何か私どもが感じ取るような雰囲気では、この税理士法を通過する過程において、飯塚問題で一歩でも引いたら税務署の権威にかかわる、国税庁の権威にもかかわる、何か一つ問題を探し出して罪に落とさずんば、これはいまや単なる飯塚問題ではない。税理士法通過に関連する重大な政治的な問題である、こういう雰囲気が漂っておるように思われるわけであります。もしそうだとするならば、まことに感情的で遺憾千万なことと言わなければなりません。名古屋における単なる問題でありますけれども、白色の税理士ならば特に調査をやれ――どういう意味でそれが出たか知りませんけれども、そういうようなことがあちらこちらにある。この法律の審議及び税理士会の反対運動等々を通じて、公正妥当に審議さるべき問題が、背後にそういう精神的な雰囲気を持って税理士会を見るということがあったならば、まことに言語道断だと私は考える。あなたのほうとしては、納税者の利益を代表し、その税法上の権利を代表する税理いうことでなければならぬ。もちろんくどく言いますように、税法上の土俵を出てはならぬことは言うまでもありませんが、納税者というものは脱税をするものなり、税理士はその脱税を何かかんか援助するものなり、そういう感覚というものがいまもって残っていやせぬか。その点を私どもは最近非常に痛切に考えるわけです。いかがでございましょう。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 この税理士に対する国税庁あるいは国税関係の職員の目が変わってきておらないかというお話でありますが、私たちは、この委員会の冒頭に申し上げましたように、現在のむずかしい税法を申告納税制度のもとにおいて納税者にかみくだいて理解していただくためには、どうしても税理士という職業人の協力を待たなければならぬわけでございまして、そういう考え方は一貫して持っております。現に昨年の十月も、税理士会、青色申告会あるいは国税庁の間においていろいろな協定を行なっており、また各地の国税局におきましても同じような協議会を開いて意思の疎通をはかっておるわけでございまして、そういう点については私は変わっておらないと思います。  それから名古屋の問題でございますが、私たちは、平素青色申告の慫慂というものをできるだけ行なうように、青色申告者についてはいろいろな特典もあることでございますから、そういう特典を教えて、そしてまた青色申告をすることによって、正確な記帳ができ、それが企業者の経営の合理化にもて手数も省け、ほんとうに申告納税制度を充実さしていくためには青色申告者の増加をはからなければならぬということで、いろいろな形で青色申告の慫慂をいたしております。そこで名古屋におきましても、税理士会と局とが相談をいたしまして、できるだけ税理士さんの手で青色申告の慫慂をしていただく、こういう話し合いをしておるのでございます。ただしかしながらいまご指摘のように、青色申告を税理士会でいろいろ勧奨していただくためには、みずからが青色申告者であるということが望ましいのでございますけれども、しかしながら、白色であった場合にはその人に限って実態調査をするというようなことは、これは御指摘のとおり稔やかでございません。この点は行き過ぎだと思いますので、名古屋の国税局に指示いたしまして、こうい誤解を生ずるおそれのあるような問題については撤回をするように申し伝えたいと思います。  それから最後に飯塚税理士の問題でございますが、これは私は別にこの税理士法の改正法案との関連において考えたことは一度もございません。そうではなくて、私たちが問題にいたしましたのは、いつか大蔵委員会で横山委員に答弁を申し上げましたように、特定の人が税務の指導について脱税になるようなことを指導されておる、それが相当広範囲に影響が及んでおるということになりますと、税法の執行に当たりますわれわれとして、これを見のがすということになると、これがだんだん広がってくるおそれがありますこの法案とは何ら関連づけて考えてはおりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 名古屋のほうを直ちに措置をされたのは適切だと思います。ただ私が感じますのは、それをだれがどういうふうにやったかは別にいたしまして、いまのこの雰囲気が知らず知らずのうちにそういうような人たちにそういうふうな気持ちを持たせておる。この税理法の審議、それから飯塚事件、それから何がしというふうに、あなた方がかっかとなっている問題は、部下もこれにならって、それじゃわしのほうもひとつ考えてそうしようかという雰囲気になっていることを指摘したいのです。私の言いたいことは、あなたがもしおっしゃるとおりの気分であるならば、国税庁及び税務署の持っておる雰囲気について、百歩譲って、これはこれ、あれはあれというふうにしなければだめなんだと思う。あなたがそのまま考えておれば、飯塚問題にかっとなり、あるいは税理士法にかっとなると、上そう思っておれば、これにならうという雰囲気ができるわけです。したがって、もしあなたがいま言ったことに偽りなくんば、よけいに任意に注意を重ねて、係とか責任者をおこらぬように注意をしなければならぬ。またいまうわさされておる――うわさでありますから、そういうつもりで聞いていただきたいと思うのでありますが、一部の雰囲気には、これがもし通らなかったならば、税理士会の反対運動によって通らなかったのではあるまいかということになる、したがってこの際税理士の懲戒問題を一挙に数多くやる、そうしれておるとか、そういううわさもまた広がっておる。これが通れば通ったって、今度は法律に従って迫上厳正にやるという考え方があるとか、そういう雰囲気というものをあなたとしては――あなたも各方面の情報を持っていらっしゃるのですから、これらのことは私は言わざるを得ないのでありますが、そういう雰囲気がこの法律案の問題あるいは飯塚問題を取り巻いてあるのでありますから、出所進退、言語については特に注意をしてもらわなければならぬ。いわんやそのうわさが偶然にもあるいは計画的にもあるとすれば、意趣晴らしといわなければならないのではないか。法律の運用、法律による審査については、あなた方としてはその点について十分注意をなさる必要があると思うが、いかがですか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 この法律案が通りましょうが、通りますまいが、国税庁としては現在ある法律によって仕事をしていくつもりでございます。したがって、かりに通らないことがあったといたしましても、それはわれわれの態度に何ら変更を来たすものではございません。ただいま何か税理士の懲戒を進めるとかいうようなお話でございます。また飯塚事件についてもただいま御指摘がありましたけれども、横山委員のおっしゃったように、それはそれ、これはこれであります。決してかっとなってほかの面にまでその影響を及ぼすというようなことはございませんし、また局署に対しても、現行法のもとにおいて適切な税務の執行を行なうように、その点は十分注意をいたします。

横山利秋日本社会党

○横山委員 飯塚事件に言及するのは避けたいと思います。ただ、いまあなたのお述べになりましたように、飯塚税理士が脱税を広範に指導しておるという言い方について、私は見解を異にするということだけははっきり申し上げておきたいと思います。先ほど渡辺委員から労働問題について話がございました。税理士法とは直接関係はないのでありますが、税理士と対等の立場で働いておる税務職員は、またこの法案について非常な関心を寄せておるわけであります。私はその税務職員の気持ちというものをそんたくをいたしまして、いろいろと意見も聞いたわけでありますが、問題は、むしろこの法律案による、税理士になりたいというものの考え方の根底にあるものは一体何であろうかということに、やはり累次の大蔵委員会で、私が大臣をはじめ皆さんに追ってきた問題に帰着をせざるを得ないのであります。時あたかも七月でありますか、大異動をなさる時期に直面をしています。特にことしは五新税務署ですか、新税務署が設立をされる段階でもある。先般名古屋へ帰りまして、税務職員に会いました。そしてこの新税務署ができることについてのいろいろな意見も聞いてみたわけであります。ところが、私がいつもここで言っていますような点が特に厳秘にせられて、そしてどうなるやら全然わからない。私はあれだけの大異動が年年歳々行なわれるから、住宅が確保されればいいのだけれども、住宅が確保されない今日の段階においてば、できる限り小規模配置転換を行なうべきであると進言をし、長官もこれを了として、先般、税務職員を長く置いておくと、ろくなことはせぬという考え方はいかがなものかという点で、できる限りの小規模な配置転換に当時とどめられたわけであります。しかしながら、私の言うております、事前に内示をすべきである、そうして事後に苦情処理機構を設けるべきである、そして住宅を飛躍的に建設すべきであるという点については、これは一こう実現を見ていません。各官庁、民間の各会社におきましても、この事前における内示、そして本人の意見聴取というものは、あなた方のやっていらっしゃる六カ月も前に希望調書をとるということでなくして、転勤の指示が出ます前に、少なくとも直前に大体の内示が出る。下級職員はそれが全然行なわれていない。ところが、上級職員は全部内示が行なわれておるのであります。内示があったからといったって、それによって波乱が生ずるものとは私は思いません。転勤というものは国税庁にとってまさに重要な問題であり、税務署におきましても年じゅう内示でたいへんな問題であるならば、この際ひとつ百尺竿頭一歩を進めて、内示制度、そしてそれに伴う苦情処理制度、そういうものを創設すべきである、それが第一組合、第二組合を問わない転勤の非常に大きな国税庁の労使関係の――労使というか、その意味は対組合問題ではない、税務職員個々の問題としてその考えを取り入れるべきであると強く何回も主張しておるのでありますが、いまに至ってもこれが実現されないのであります。私はどういう考えでそれが実現されないのか知りませんけれども、まあ、いまの税務署がどんどんどんどん定期異動になりますと、まさに首のすげかえ、二分の一に匹敵するほどの人間がいやおうなく飛ばされて、中には病気の者、あるいは非常に家庭事情の気の毒な者、あるいはたいへん理由のある者等についての苦情処理というものが正規のルートで行なわれない。一ぺん発令した以上は、もうどうしても行かなければならぬのだ、こういう立場で行なわれておるということは、全く他の役所においては類例がないと私は考えています。この点について改善をなさるお気持ちがないのであるか、伺いたいのであります。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 先般の問題でもお答えをいたしましたように、税務職員は五百以上の税務署に配置されておりまして、希望をとるということになりますと、どうしても都会地あるいはその周辺に希望が集中いたすわけであります。特に僻地であるとか離島であるとかいうところにはだれも行き手がない、こういうような実情にございます。しかし、われわれとしては、やはりどんな僻地であっても、どういうところであっても、場合によっては希望に沿い得ない場合でも行ってもらわなければならぬ、こういう事情があるわけであります。そこで、できるだけ役所の都合で配置がえをしなければならぬ場合でも、本人の希望に沿うようにして、身上申告書に希望をこまかく書いてもらって、そうして、それによって判断をする。また、署長の内申をとるという方法をとっているわけであります。  そこで、内示の問題でございますが、過去において内示をした時代もございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、職員の希望というものが片寄って出てきておりますので、過去の実情を見ますと、かなり紛争が生じておりまして、そのたびに人事の異動、配置がえが非常にやりにくくなったという実例がございます。そこで、われわれとしては、やむを得ずいまの身上申告書なり署長の内申でもって配置がえをやる、こういうところで内示をするまでにはどうしても自信がないと申しますか、踏み切れない実情でございます。  また、苦情処理の問題でございますが、これも、われわれの指導としては、できるだけ自分の芳情を上司を経て申し出てもらいたい、こういうことを言っておるのでございます。しかしながら、必ずしも、直接の上司に自分の一身上のことを申し出るということが言いにくい場合が非常に多うございますので、昨年からカウンセラー・システムを採用いたしまして――これは普通民間の大企業筆で一般に最近導入されておりますけれども、これによって、あるいは税務署におった先議の人であるとか、あるいは直接身分に関係のない監督官であるとか、あるいは民間の弁護士さんであるとか、そういう方に依頼をいたしまして、職員の苦情を受けつけて、これを適当な方法でもって管理者に反映させておる。もちろん、これもまだ始めた段階でございまして、今後いろいろ改作をする余地はあると思いますけれども、しかし、一応こういう方法でもってやってみるという気持ちでおるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 内示によって一、二の問題があったからといってそれをやめるというならば、他の官庁は一体どうしてやっておられるのか。なぜ国税庁だけがそれができないのか。なぜそういう度胸がないのか。少なくとも人一人転勤をさして住宅を変え職場を変える以上は、六カ月も前にとったやつだからそれで意見を聴取したということにはならぬわけであります。話し合いで初めて本人の希望、本人のものの考えのニュアンスということもはっきりわかるわけであります。いわんや、最近伝えられるところによりますと、その転倒なり何なりというものが労働運動に悪用されて、不当配転だとかあるいは不当労働行為のような傾向が見えると言われております。このようなことに利用されるということになれば、全く何のための転勤ぞやといわなければなりません。労働問題とこの配置転換というものは画然として区別をして、いやしくも公正なる転勤、業務の必要に基づく転勤と労働問題が混濁しないように厳に戒めなければならぬと思います。その点についてはくどく私言ったのでありますが、いまもってそういう声が絶えぬ。したがって、私は、長官がこの配転について、引き続いてできる限り規模を縮小すること、そうして住宅を確保されること、そして内示をされること、そして苦情処理の機構を――私はカウンセラーについてはまだ不十分なものだと思う。ほんとうの代弁者ということにはならぬと考えておるのでありますが、この苦情処理機構の処理について十分に検討されること、これを望んでやまないのでございますけれども、いかがでございましょう。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 ほかの役所でもってやっておることが国税でどうして内示ができないかというお話でございますが、これも御承知のように、国税の異動というものは一年に一回で、その定期異動はかなり大幅でございます。集中的に大幅にやらなければならぬという点でほかの役所とは比べものにならぬぐらい配置転換の実情が違っておるという点を御了解いただきたいと思います。しかしながら、先般の大蔵委員会でも申し上げましたように、できるだけ配置転換の規模を縮小するという横山委員の御発言には私は賛成でございまして、意味のない惰性に流れるような転勤はやめるべきだ、やむにやまれぬ配置転換にしぼっていくべきだ、こういう考えは私は同感でございます。そういう方向で現在各局にも指示をいたしております。また宿舎につきましては、先般の大蔵委員会でもいろいろ御激励をいただいたのでございますけれども、おかげさまで昨年あるいは今年かなり思い切った予算がいただけましたので、この点についてはこの一、二年で国税の宿舎というものはおそらく相当早いテンポで改善をされるものと私は期待をいたしております。  それから内示と苦情処理につきましては、先ほども御答弁を申し上げましたように、いまの段階では自信がないと申しますか、踏み切れない。しかしながら内示につきましては、この身上申告書はなるほど一年に一回でございますけれども、これは七月の異動川前にはその修正を職員にさせておりまして、新しく出た修正を加味した身上申告書によって判断をいたしておるのでございます。また苦情処理につきましても、現在やっておるカウンセラー制度というものがほんとうに価値のないものかあるものか、その点は若干の時日をかしていただきたい、その上で判断をすべきである、こういうふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 泉さんに伺いますが、この改正法案の三十四条並びに三十五条の調査の通知と意見の聴取というものは、税理士にとりましては一つの特権であり、必ず通知をしなければならぬ、意見を聴取しなければならぬという税務署の義務規定になっておる。ところがこの三十四条、三十五条という税理士に与えられておる権利、税務署の義務というものが実際問題としては履行されない。簡単に言うと、どうでもいいやつは通知をする、都合の悪いやつは一切通知をしない、こういう傾向が見える。これはこの税理士法で税理士の一つの非常に中心的な特権にもなっておるにかかわりませず、この実行面がきわめて希薄である。これは法案の示すところと実態とは違うと私どもは日ごろから指摘をしておる。こういうような傾向についてはこの現行法でもそうでありますが、実際この法律の示す調査の通知、意見の聴取というものがどの程度行なわれておるかということをあなたは立案にあたって調査をされたかどうか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この点につきましては、横山委員御指摘のように従来国税局または税務署によりまして、いわゆる調査の事前通知の励行につきまして、やや差があるということを聞きまして、それらの実態につきましては、国税庁のほうにお願いいたしまして、実態の調査はいたしております。これによりますと、国税局別に申し上げますと、比較的東京から北のほうの税務署は、その国税局の管内におきましては事前通知が比較的励行されておる。ところが名古屋から西のほうの国税局の管内におきましては、その励行の程度が東のほうに比べてやや劣るというような意見も聞いております。しかしこのようなことがありましては適当でありません。法律の規定に従って各国税局、省税務署が同じような態度でやっていただかなければならぬというふうに感じておるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の感じておるところと同様でございます。私は地域的なアンバランスは別にいたしまして、全般的にこの法律が示すところの税理士の権利、税務署の義務というものが履行されてない。履行されてないからといって文句を言っても受け付けない。これは税務料の自由裁量だと言わんばかりの話であります。この三十四条、三十五条は抜け道があるわけであります。「しなければならない」という最後については、これは絶対的な義務であるけれども、改正法の二十四条におきましても、「租税の課税標準等を記載した申告書を提出した者について、」これが第一のかぎ。「当該申告書に係る租税に関しあらかじめその者に日時場所を通知してその帳簿書類を調査する場合において」、第二のかぎであります。第三は、「当該租税に関し第二十条の規定による書面を提出している税理士があるときは、」三つのかぎがかかってある。この三つのかぎを適当に利用して、しかもこれは自分たちの自由裁量権にあるのだという解釈をしておる税務職員が非常に多いのであります。本来、一番最後の「当該租税に関し第三十条の規定による書面を提出している税理士があるときは、」そこだけでよろしい。前のほうは私は不必要だと思うくらいなのであります。あなたにお伺いしたいのでありますが、「租税の課税標準等を記載した申告書」、これは現行の「所得税法第二十六条、」云々「若しくは第二十八条の規定による申告書を提出した者について、」と一体どこが違いますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 これは、御承知のとおり今回税理士の独占業務となる税目の範囲を広げましたので、そういった広げられた全部の租税についてその課税標準税額等を記載した申告書を提出した者というわけでありまして、従来のように所得税法、法人税法、相続税法というようにこの条文に掲げますと、税目が多いだけに非常に長たらしくなりますので、簡単に租税の課税標準等を記載した申告書というふうにくくったわけであります。従来よりは税目の範囲が広がるだけだというふうに御了解いただいてけっこうかと存じます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 三十三条の二で、私の読み違えかもしれませんが、「税理士は、国税通則法第十六条第一項第一号に規定する申告納税方式又は地方税法第一条第一項第八号若しくは第十一号に規定する申告納付若しくは申告納入の方法による納税の課税標準等を記載した申告書を作成したときは、」ここにいう租税の課税標準、申告納税方式ということがずっと出てまいりますが、調査の通知並びに意見の聴取について申告納税方式ということについて一つのかぎをかっておるということはありませんか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 これは三十三条の二の第二項に、「税理士は、前項に規定する租税の課税標準等を記載した申告書で」とこう出ております。これと同じことばが三十四条に「租税の課税標準等を記載した申告書」というふうに出てくるわけでございまして、この申告納税方式あるいは申告納付もしくは申告納入の方法によるということ、これは今回の税理士の独占業務になる税目はこういうものであるということからできておるわけでございまして、ここで特にくくっておるわけではございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 重ねてお伺いしますが、この調査の通知、意見の聴取について、改正法によってこの調査の通知及び意見の聴取をしなければならない場合について変更をなされ、権限を縮小なされ、義務を縮小なさるということは、こざいませんね。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 そういうことはございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次に四十九条「税理士は、国税局の管轄区域ごとに、一個の税理士会を設立しなければならない。」となっております。数年前の改正の場合に、われわれはすみやかにこの実現を望んだのであります。しかしながら、先般大阪が合同いたしましたけれども、まだ東京、名古屋においてはこの趣旨が生かされておらないのであります。これは税理士会自身の問題でありますけれども、この法律が「一個の税理士会を設立しなければならない。」と明確に規定をいたしておりますのに、実際問題としては実現ができていない。私どもとしては、あの際に、いろいろ加入方式について意見を言い、そして適正なすみやかな合同の税理士会を設立することを望んだのでありますが、どうしてこれが実現されていないとお考えでありますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この本法におきましては、「税理士は、国税局の管轄区域ごとに、一個の税理士を設立しなければならない。」ということになっておるわけでございますが、附則におきまして、「同一の国税局の管轄区域内において設立された二個以下の新税理士会は、なお、存続することができる。」という規定がございまして、その規定に基づきまして存続いたしておるのでございます。この点につきましては、今回の改正におきましていろいろ検討いたしたのでございますが、しかし、法律上一個の国税局、同一の国税局管内におきましては、一個の税理士会だけしか設けることができないということにいたしましても、現実にそういった二個以下の税理士会がある場合に、法的手段でそれをなくするということはなかなか容易でございません。したがって、こういう点につきましては、税理士会におかれまして、その法の趣旨をくまれまして、自主的に一個の税理士会になるように御努力いただかなければならないし、また国税局、国税庁といたしましても、そういう方向で指導してまいることになっているわけでございます。ただ、法律でそれを規制することはなかなか困難でありますので、従来は「なお、存続することができる。」ということになっておったのでございますが、今回さらに、この改正法案の附則十九項におきまして、従来「なお、存続することができる。」とありましたのを「当分の間、存続することができる。」という表現に改めまして、その同一国税局管内に、二個以上の税理士会があることは、そう長くは続かないんだ、早く直していただくんだ、こういう趣旨の改正を施すことにいたしておるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは行政をもって強制をすべきではございませんが、本委員会を通じて、税理士会にすみやかに合同して大同団結をされるよう、私は衷心より希望いたしたいと存じます。  次に、四十一条並びに四十一条の二、帳簿作成の義務と税理士の使用人等に対する監督義務、こういうことはどうしてこの税理士法の中に設けておかなければならぬのだろうか。このようなことは税理士会の会則なり、あるいは税理士会において自主的に作成するということが、税理士会の自主権を守る上において当然であります。これらに関する条項はまだ二、三ほかにもあると思うのです。このように帳簿をどうしても作成しろ、使用人に対して十分に監督しなければならぬぞというような税理士自身の問題について、おこがましくもこの法律で規制をしなければならない積極的な理由がどこにあるであろうか。何かここにも先ほどから申しておりますように、税理士会に対する侮べつ感といっては恐縮でありますが、余分な監督、余分なものの考え方がひそんでおるような気がしてならぬ。これらの条文はないほうがよろしい。そしてこの条文があることによってどういう効果が期待されるかといいますと、何らの効果もない。むしろ削除して、税理士会の自主的な運営、総合的な指導、そういうことにまかせるべきであると思いますが、これをどうしても置かなければならぬという積極的な理由があるのかどうか、伺います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 まず第一に、第四十一条の帳簿でございますが、これにつきましては、税理士の方が税理士業務を行なう場合におきまして、納税者からいろいろ依頼を受けまして、それのてんまつを記載しておく、そしてだれにどういうことを依頼されて、その結果がどうなったかということを記載しておくことが、やはりあとあと納税者のためにもなる。この前こういうことがございまして、先生にお願いしてこうなった、そういうことを明らかにしておくことがやはり必要でありまして、そのことは同時にまた税理士の方が業務をやっていかれる際にも、そういう記録を残しておられることがためになるというふうに考えるのでございます。ただ、従来の帳簿作成の義務の中におきましては、報酬金額を書けとかいうようなことが書いてございます。これは帳簿のあり方として適当でないということからいたしまして、今回はそういうことまでは書かなくてもいいんだ、しかし依頼される納税者の便利と、それから税理士の方自身の便利のために、こういう帳簿を作成しなければならないというふうにしておるのでございます。  また、四十一条の二の使用人等に対する監督義務、これはお話のように、使用人を使っておられれば、その使用主として当然のことでございまして、その使用人を監督し、業務の遂行に欠けることのないように注意しなければならぬことは言うまでもないことでございまして、特に法律で規定しなくともいいのじゃないかという御意見もあろうかと存じますが、やはり最近特に税理士の使用人の方がふえてまいりまして、そしてその使用人の方がふえるだけに、税理士の方としてはその使用人の監督を十分していただく必要があろうかと思います。そういう意味で、注意規定としてこういう規定を設けたのでございます。具体的にどのような監督をするかというようなことにつきましては、これは会則できめていただくということにしておるのでございます。その意味で、四十一条の二につきましては、罰則の規定も設けておらない、こういう事情でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたの御説明によるならば、これは法律に記載する必要はありません。帳簿をつくるということは、どこの商売屋さんだって当然だし、税理士自身にしたところでそんなものは自分かってのものであります。それから監督義務なんていうものはどこの商売だって同じことなんであります。自分が使っている以上、自分が指導しなければならぬというのは当然であります。それを法律でもって命じられる必要はどこにありますか。私は税理士会の会の規約にしたところで、かかることは本人の自主性を侵すもはなはだしいと思っておるくらいだけれども、法律の中でおまえは使用人を十分監督しなければならぬというばかばかしいことを書かなければならぬという理由は一切私はないと思っておるのです。それじゃ大蔵省設置法に国税庁長官は部下を監督、指導しなければならぬと書いてありますか。当然のことじゃないですか。税理士だけに部下を監督しなければならぬという、何の益もないことを書いて、そうしていかにも税理士は使用人を監督、指導していないかのごとき感じを与えるのはよろしくない。帳簿についても同様なことが言えると思うのであります。あなた方の税理士に対するものの考え方ば、どっかに何か文句をつけてやろうという考え方が台頭してしかたがない。そうじゃないとおっしゃるなら、そんな気持ちがないとおっしゃるなら、どうしてこういうものを書かなければならぬのであるか。また、帳簿の作成の義務というものは、まだ現行法の中に若干根が残っておったからそれをなくしたというのならそれはしかたがない。それはそれだけの理由がある。けれども、使用人の監督義務というものをおこがましくも書かなければならぬというのは何ごとであるか。どういうことなんですか。何でそんな余分なことを書かなければならぬのですか。そういう税理士が使用人を監督、指導していないという具体的な証拠が一体あるのかどうか。それは他に比較して税理士が最も監督、指導していないというのであるか。おこがましい話だと思うのです。ほかの法律でこういうことをどっかに書いてありますか、どうですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この点につきましては医療法に同様の趣旨の規定があるわけでございます。もちろん使用人を多数使用しております場合に、使用主が使用人を監督し、その業務の遂行に欠けるところがないように注意しなければならぬということはあたりまえのことでありまして、法律の規定を待つまでもないとおっしゃられればそういうことかもしれませんけれども、また私どもとしては税理士の方が他の職業の方に比べてその点が欠けておるというふうに考えてのことではございませんけれども、とかく先ほど申し上げましたように、最近使用人の数が相当ふえております。この点を十分注意をしていただきたい、こういう意味での注意喚起規定になっておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたの説明は当を得ないと思います。あなた自身もいま私に答弁をされながら心中じくじたるものをお持ちになって、積極的な説得力がないということを自分でもたばこを吸いながらお考えになっておるのじゃないかと思うのです。こういう法律論を展開するときに、何ぼ何でも顔色を見、声色を聞いていると、これは自信がないな、泉さん、腹の中で因っているなということはわかるのです。立案をしたときに、そういうへでもないことを書いて、そうして国会でいじめられる――いじめているんじゃない。堂々たる当然のことを言っているんだが、そういうことをおやめになるのがしかるべきかと思います。  時間もたってまいりましたが、最後に一つこの問題についてお伺いをしたいのであります。日本大学会頭古田重二良、明治大学、総長武川さん、専修大学学長相馬さん、中央大学升本さん、立教大学松下さん、早稲田大学大濱さん、拓殖大学波多野さん、上智大学大泉さん、東洋大学川西さん、法政大学谷川さん、慶応大学塾長高村さん、あなたのほうにも出ておると思うのですが、各大学学長が連名でわれわれのところへ要望書を出しております。それは言うまでもなく、  現法第八条各項該当者は右三項を害するものでなく、以上の改正理由において現法第八条の削除は当を得ないものである。   公認会計士法及弁護士法においても現法に免除規定があり、税理士法にだけ免除規定を削除される理由と根拠薄弱である。以上の理由により現第八条規定の存続を要望いたします。  各大学学長が連名でわれわれのところへよこしております。また学生諸君は痛切に現行法の存続を希望しておるわけであります。その点についてあなた方はどうお考えでありますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 従来八条におきましては、税理士試験を受ける場合に、試験科目の免除制度が規定されておりました。この第一号から第九号まで相当広範囲にそういう免除の制度があったわけでございます。しかしこの今回の改正におきましては、従来と異にいたしまして、予備試験と本試験という制度を設けまして、予備試験はどなたでも受けることができる。そういうふうにいたしまして、従来のようにまず試験を受けるのに一つの資格が要るのだということにして、その資格のある者のうちから試験をするというのではなしに、予備試験はだれでも受けることができる。そうして予備試験に合格した場合に、木試験を受けることができる。こういうふうに直したのでございます。その関係からいたしまして、従来試験科目の免除制度が一号から九号まであったわけでございます。これらにつきまして検討しますと、いろいろ理由があってそういう試験の免除制度が行なわれておることとは思いますけれども、しかし今回の場合を考えますと、まず予備試験を受ける。その予備試験について、予備試験を受ける必要のない人はもうけますけれども、本試験については試験免除の制度を設けない。これがほかの司法官の試験とか、そのほかの国家試験においてもとられているところでございますので、そういうふうにしたわけでございます。このようにたくさんの免除科目がございますと、制度が非常に複雑になります。そうしてまたこの一部試験の免除がございますと、試験を受ける科目について試験をかえってむずかしくするということがございますので、一次、二次という段階を行なう試験につきましては、そのほかの公認会計士でも、先ほど申しましたようないろんな国家試験におきましてそういう免除の制度を設けておりませんので、このようにしたわけであります。ただそういたしますと、従来大学院におきまして学位を授与された者というものが、いろいろ試験免除の制度がございまして、税法あるいは会計学に関する試験免除を受けておった。ところが今回の改正によりまして、その試験免除を受けられなくなる。たまたま今年入学したそういう大学院の学生につきましては、それを期待しておったにもかかわらずその制度がなくなるということは困るという御陳情でございます。その点につきましては、権利とは申し上げかねるかとも思いますが、一種の期待権を侵害するようなことでございますので、その点につきましてはしかるべき措置を構ずることが適当であろうというふうに考えておるのであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 現行法第八条による内容というものは、たしか私の推察するところによりますと、われわれ国会議員をも含んでおったと思います。われわれのことはともかくとして、これだけの権利を有しておった。それらを一朝にしてそういう期待、そういう努力というものを放棄させてしまうということは、今日までの法律立案の場合におきましてもあまり例がないと私は思っております。いわゆる既得権というか、期待権というか、そういうものに対して、一朝にしておまえさん方もうおしまいだ、おまえさん方の専門的な知識もだめだ、一般的な学力を有するかどうかの予備試験だけ免除をする。得意なあなたの専門的学識というものについては、これは信用ができぬとでも言わぬばかりの話というものは、各学長をはじめ各学生、それからそのほかいろいろな階層にわたって非常な憤激を呼んでいることは、あなたも御想像にあまりあると思うのです。あなたの言うところの期待権を尊重するというのは、いかなる手段をもって行なわれるのであるか、伺います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 本法におきましては経過規定を設けまして、従来試験免除を受ける者につきましては、今後三年間はこの課目免除の効果を持たせる。その間に他の受験すべき課目に合格していただくという制度を設けておるのでございます。ただ先ほど申し上げました本年入学した人にいきましては、その経過措置につきましては、本年十二月三十一日現在でこういう資格を持っているかどうかということに限定されておりますために、本年大学院に入学した人につきましては、その資格が得られませんので、その人たちが一定の間、今後大学院を卒業する期間というのがございますから、その期間内に卒業してそういう資格を得た場合におきましては、本年十二月三十一日現在におきまして免除資格を持っている者と同様に扱う、こういうことになれば適当であろうというふうに考えるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 まだたくさんの質問が残っておるわけでありますが、同僚委員の時間をあまり制限してもいかぬから、私の質問はこれで終わります。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 小松幹君。

小松幹日本社会党

○小松委員 だんだん時間もおそくなりましたから、私は二、三点について質問をします。今度の改正案で、税理士法の、言うならば交通整理がきちっときちょうめんにできたというような形になっておる、管轄がはっきりした。公認会計士は会計士、税理士は税理士、弁護士は弁護士、こういう区画がはっきりしたということになるのではないか。その面から見ると、きちんとしたようになりますけれども、税理士の面から考えますと、私は背の税務代理人の位置に非常に引き下げられたような感もするわけです。問題点はそういうところよりも、その接触点をどう判断するかという実務の点について私は一、二質問したい。  特にこの接触点でで問題になるのは、さっき渡辺さんが質問をしたと思いますが、財務諸表の今度のあれは、税務相談のところに相談に乗るということになっておりますが、財務諸表のとり方、特に決算書をどう判断するか。いまの考えで言えば、企業のほとんど、九・五%という中小零細企業の決算書というものは、実は企業そのものとしては決算書は要らないと見るのです。要らないというか必要ない。ただ税金のために決算書が必要になってくるとするならば、私はここに二重の決算書というものができ上がるのじゃないか、こういうように判断するわけです。いままでの企業は、別に税務署に関係なければ決算書をだれに見てもらうわけでもなし、自己満足をして、ただ自己経営の参考にする程度でございまして文句を言われる筋はなかった。しかし事税務署に出すとなれば、決算書もやはり税務的な要素の上に決算書をとらなければならぬ。こういう点、大蔵省としてはやはり二重の決算書というものを必要としているかしていないか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 財務諸表と申しますものは、申し上げるまでもなく、その企業の経営の実態を表示するものでございまして、それは不当なことをしない限り正しいものが一つあるだけでありまして、それが二重にあるということは適当ではないと考えます。

小松幹日本社会党

○小松委員 そうならば、たとえばこうした例を具体的に申し上げます。ある企業があるところの施設を百万円で借りた。ところが百万円で借りる場合に、そこに付設設備があったために、戸だなとかあるいはルームクーラー、こういうものを一緒に百万円で借りた。ルームクーラーは二十万円しないものだだろうけれども、そんなものを突っ込みでぽんと借りた。そこでそのときの決算には百万円を購入費として落とす。百万円をそのときの欠損で落とした。ところがあなたのほうでは、いやそれは権利金じゃないか。権利金ならば三年の減価償却の問題でこれは問題点があります。一ぺんに落とせば百万円はその年に落とされてしまいます。しかしこれを減価償却三年とあなたたちのほうできめれば、三年間に三十万円ずつ落としていかなければならぬということになる。企業としての単なる決算ならば、百万円一ぺんに落としても実際はかまわぬじゃありませんか。いろいろあったものを突っ込みで百万円で借りたんだから、百万円ぽんと落としてもいいわけです。ところがあなたのほうでは、それは権利金が入っているのじゃないかということになれば、これは税務関係ではたいへんな決算の食い違いになってくる。百万円一ぺんにその年でぽん落とすのと、三年間で減価償却するのとは、落とし方にたいへんな違いがあります。税務署は無理にそれを三年間で減価償却で落とせと言う。一方では一ぺんに落とした。理屈は両方ありますよ。そうした場合、どうとりますか。こういうときの経理上の問題と税法上の問題とは、考え方に非常に食い違いがくると思う。そうした場合にどう判断をしますか。税務署の判断はおそらく、それは減価償却だから三年で落とせ、あるいは五年で落とせと言うけれども、しかし実際問題として経費は一ぺんに落としていいじゃないですか。こういう場合にどう判断するのですか。どうすればいいのですか。どっちの経理が正しいのですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 事業会計の場合に、事業会計原則は、いまお話のような権利金を出した場合に、それを一事業年度の損金にすべしというふうにまでこまかく規定されておりません。したがって、これは正規の簿記の原則の範囲内でどういうふうに処理するのが正しいかという問題であろうかと思いますが、税法の場合におきましては、それは権利金として減価償却をやっていただかなければならない。したがって、もし企業のほうで財務諸表を作製される場合に、それを一時の損金として処理されている場合には、法人税の申告にあたりまして申告調整をしていただきまして、それは一時の損金でなくて減価償却で処理していただく。また一方におきましては資本的支出とし、そして減価償却をやっていただく、こういうことになるわけであります。その税務調整をした申告書を提出していただくということになるわけであります。

小松幹日本社会党

○小松委員 企業者にとっては、税金を抜きにしてあたりまえの経理のいわゆる決算書をつくれば、そのときのこれは権利金ではない。ルームクーラーを含めて、少々高かったけれどもそんなものはへっちゃらだと百万円で借りたということになれば、それは一ぺんに落としてもその企業としては決算は成り立つと思うのです。そうした場合に、税務決算は別なものだということになれば、そのことのとり方は、あなたたちのいいようにとるでしょうが、受ける個人の企業者としては、ほんとうに判断に迷うわけです。そのときに税理士が、その企業の経営の決算というところまで事こまかに一つの責任を持ってくれるかどうかという問題にも影響してくる。責任は持たない、おれは税務署に出す書類だけしか持たぬ。あとはほかの者が持てということになれば、公認会計士を雇ってきて、そしてその決算は公認会計士がやる、税務は税理士でやる、問題があって裁判所に行けば弁護士だというようになってくれば、零細企業としては、判断のとりようでどっちでもなるようなものだ。公認会計士に頼まなければならぬし、税理士に頼まなければならぬし、問題が起これば弁護士も頼まなければならぬというたいへんな負担が実際はかかってくる。いままでの法規では、あるいは税制調査会の答申の中から見ると、どうもあいまいな点があったから、税理士が企業の中まで、いろいろ財務諸表の当たり方まで指導したために、かえって脱税を幇助したという見解をとっておると思います。しかしそれをはずしてしまって、ここからこっちは税理士、ここから向こうはだれでもよい、計理士がなくなったら公認会計士ということになれば、企業者としては非常にむかずしい判断なり、そういうものを全部いろいろなところに頼まなければならぬということになれば、個人なり企業者としてはたいへんな負担になると思うのです。そういう意味で、特に税務署用の決算書をつくらねば、税務署が通らぬとあるならば、九五%の範囲にまで、小さな企業というものは、少なくとも決算書、財務諸表のとり方にまで計理士を参与させていただくことのほうがたいへんありがたい話、たいへん好都合、便利がいいといいますか、そういうことにもなるわけです。この点、今度の改正案はあなたたちのほうにはたいへん都合がいい。交通整理はりっぱにできましたけれども、企業者はたいへん困るのじゃないか。こういう点を考えておるのですが、その辺はどうなんでしょうか。実際企業者の立場になった場合には……。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 少し誤解がおありになるのじゃないかと思うのでございますが、今回の改正によりまして、特に第二条の第二項をつけ加えまして、税理士は付随業務といたしまして、財務書類の作成ができるんだということを、また財務に関する相談に応じ、その他財務に関する事務を行なうことができるんだということにいたしてございますので、いまお話のように税務件数を作成して、そして申告する、その申告の事務を行なうということは独占業務でございますけれども、しかし付随業務としてそういう業務もできるわけでございますので、そういった業務を税理士以外のほかの人に頼まなければならぬといいことはないわけでございます。したがって御趣旨のように、税理士の方にお願いしておけばそういうことはできる。ただし公認会計士の監査の仕事、大蔵省に提出いたします財務報告書につきましての監査の仕事、これは公認会計士でなければならない。公認会計士の独占業務になっております。これは公認会計士にお願いしなければなりませんけれども、財務書類を作成したり、財務に関する相談に応ずることは、これは税理士にお願いできるわけでございます。

小松幹日本社会党

○小松委員 ちょっと、あなた間違っていませんか。この法律は財務の書類の作成ができるようには、なっていませんよ。私の見解は間違いですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 改正案の第二条第二項にあります。「税理士は附随業務として、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、財務書類を作成し、財務に関する相談に応じ、その他財務に関する事務を行なうことができる。」こういうふうになっております。

小松幹日本社会党

○小松委員 三項のいわゆる税務相談の部数に入っているんじゃないですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 三項のほうではございませんで、二条二項のほうに書類の作成、相談、こういったことが付随業務としてできることになっております。

小松幹日本社会党

○小松委員 それじゃ、決算書は税理士のほうで適当にこしらえてもいい、それは間違いないですね。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 間違いございません。

小松幹日本社会党

○小松委員 そこで問題点が次に出てまいりますのですが、これが訴訟になることが非常にあると思うのです。その場合に税務関係の訴訟はかなり繁雑であるので、それを一々弁護士に頼まねばならないというようなことは、それはときにもよりけりでしょうけれども、税理士にある程度の訴訟代理というものをやらせるという権限を与えるべきしではないか。繁雑ないまの税務の関係の争いごとにこれが最も適切なる問題ではないか、こういうふうに考えるわけです。特に税理士を頼みまた弁護士を頼む、こういう二重の負担になる、面がある。そしてしかも相当込み入った、いま言うた財務書類からあるいはそういうものの決算書のとり方までの扱いをしなければならないとするならば、計理士にその代理をまかせる、こういうことはやらせるべきじゃない、そう思うのですが、どうでしょうか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この点につきましては、昨日参考人からの意見の御開陳等もございましたように、税理士会のほうから、税理士に訴訟代理権を認めてほしい、こういう御要望があったのでございます。しかしながら、その点につきましては小松委員御承知のとおり、裁判というのはやはり弁護士が、法曹一元的運営ということで、弁護士の独占的業務とされておりますので、そういう意味で税理士会のほうからの御要望があったのでございますけれども、その税理士に、訴訟代理権を認めるということにつきましては、他の業界との業務の範囲の調整を要します。そこでいろいろ折衝いたしましたが、現在の段階におきましては、昨日もお話がございましたように、訴訟の場合に補佐人の制度がございますので、この補佐人制度がまだ活用されておりませんので、まず第一には補佐人制度を活用することによってやっていただく。訴訟というものは小松委員御承知のとおり、この進行にはいろいろ訴訟手続がなかなかやっかいなわけでございまして、そこに訴訟手続を進行していく上においては、やはり弁護士さんが中心になっていただく、そして税理士の方がその補佐人として専門的な知識を提供することによって、その訴訟の進行をはかるということが望ましいという結論に達しましたので、まだ訴訟代理権までを認めるのは時期尚早であるということで、今回の改正案には入っておらないのであります。企業家としては、なるほど税理士に財務書類の作成から申告書の提出まで、あるいはまた異議の申し立て、審査の請求までは税理士の方にお願いできるけれども、訴訟となるとどうしても弁護士の方にお願いしなければならぬということで、お手数のかかることとは存じますけれども、やはり税理士業務と他の弁護士業務といったものとの業務の調整上、この点についてはやむを得ないものと考えるのでございます。

小松幹日本社会党

○小松委員 私は、特許法の中の九条の何項か忘れましたが、その中には、確かに、その特許事務に関する限りについては、弁理士が訴訟代理をやることができるという規定があると思います。私は、それをりくったのはいつかはっきりしませんけれども、この特許事務も相当繁雑であります。だから、こういう特許事務に関する訴訟の問題については、これはもうわざわざ弁護士をわずらわさないでも、事こまかに実情を知っておるところの弁理士に、訴訟の代理をさしておるわけである。この点から見れば、私は、税務に関する訴訟、そんなにしょっちゅう訴訟があるわけじゃありません。わずかな訴訟でございますけれども、こういうのをやはり弁護士に委託しないで、その面だけでも税理士がやるということができたら、これは私は、税理士が助かるという意味でよりも、納税者が都合がいい、こういうように思うのですが、弁理士さえもそれができるのに、税理士はどうしてできないのか。これは法の均衡上から見ても、どうもおかしいんじゃないか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話のように、弁理士法におきましては、弁理士の方が訴訟代理ができるという規定がございます。これは国会修正で成立した規定と承っております。ところが、税理士の場合におきまして、関係の向きといろいろその点につきまして御相談いたしたのでございますが、それは弁理士法の規定はともかくとして、税理士法でそういう規定を設けることは因るということでございまして、そのためにこういう結果になっておるわけであります。これも昨日、松隈税理士制度特別部会長からお話がございましたように、それからまた、ただいま小松委員からお話がございましたように、ひとり税理士のためというのでなしに、納税者のために、そういうふうになることが将来望ましいと考えますので、将来、そういう方向に進んでいければ幸いだと思っておるわけでございます。

小松幹日本社会党

○小松委員 その次に、私はこれで最後にしたいと思いますが、税理七が、税務あるいは財務諸表から見て申告したのを、更正を税務署が言ってきた場合に、これは税理士とは関係なく更正を要求してくるわけなんですが、これなどについて、更正決定のような場合に、税理士のいわゆる意見を聞くということは考えていないのですか。その点……。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 この点につきましては、税理士法三十五条の規定がございまして、税理士が申告番を作成しまして、その申告書の作成に関しまして、計算し、整理した事項を記載した書面を添付いたしております場合におきましては、そういう事件につきまして、税務署におきまして更正をしようという場合におきましては、その関与税理士の意見を聞かなければならないという規定になっておるのでございます。

小松幹日本社会党

○小松委員 それで、決算をとる時期において、私は、期間の損益というものが相当問題になってくると思う。その場合に、税務署は、とかく押えつけて更正決定を言うてくる、あるいは抑えつけてこうしろ、こういうふうに言ってくる場合が多い。そのときに私は、税理士の権限というものが非常に弱まっておれば、税理士にたよっても結局、税務署の更正決定を押しつけられてくるのでどうにもならぬ、こういうような訴えもあるし、私もそう感じているんですが、その辺のあなた方の指導というのは、どういうふうにしているのか。そういう場合に、税理士の考えなり、あるいは税務署の考え方なりの相違点についてはどう考えるのか。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 ただいま御指摘のとおりに、期間損益の問題につきましては、往々これが意見の食い違いとなってあらわれてきておることは事実でございます。私たちの指導といたしましては、期間損益でも軽微なもの、今期否認をするが、次の期において是認をしなきゃならぬというふうな軽微なものについては、できるだけこれを更正しないようにという点と、それから、やはり同じような間違いを何回も何回も繰り返すということは、税務署の側としても指導に不十分な点があるのでございまして、したがって、できるだけ更正をした場合には書面でもって、こういう点については今後間違いのないようにしてくださいということをお知らせしたり、あるいは決算後、申告前に、前の期においてこういう誤りがあったから今期においては御注意くださいというようなことをできるだけ指導するように、こういうことを申しておるわけでございます。ただ、大都市におきましては、税務署の事務が非常に多忙をきわめておりまして、必ずしもそういう指導が徹底して行なわれているかというと、遺憾ながらそれほどとは申し上げられませんが、われわれの指導としては、事務的にでき得る限りそういう事前の指導をするようにということを申しておるのでございます。

小松幹日本社会党

○小松委員 私は、法改正の趣旨がどうも税理士の力というものを弱めたというように判断しておるわけです。それだから、判断しておると勢い、税務署の押し返してくるのに、遠慮がちになる。いま言ったような期間損益の取り方についても、私は、企業者は相当不利な立場に立たせられるのじゃないか。また、純損の取り方ですね、あるいは雑損とか純損の取り方、いわゆる決算書における純損の取り方、こういう場合の税務署の判断と、企業者が判断する場合と、税理士の判断する純損の取り方というのは、非常に微妙な差異があるんじゃないか。これは実際問題として出てくるわけです。その点についてやはり企業者がたよるのは、これはもう弁護士でもないしだれでもない、税理士以外に代弁してくれるものはほんとうのところないのです。訴えだけはもう税理士が何とか弁護してくれなければ、実ははしにも棒にもかからない。その純損の取り方あるいは雑損の取り方について、税務署が、そうじゃない、そんなものは損があるわけはないんだ、こういうようなふうに押えつけられて――たとえば保険金の問題でも、一億円の品物に対して、保険料が高いから、しかたがない、四千万円かけておこうかというわけで、焼けた。そうした場合に、保険金は値切られて三千八百万円しかもらえなかった。ところが、本人としてみれば、これはもう純損として、雑損として、少なくとも一億円でつくったけれども、八千万円ぐらいは損害だ、こう思い詰め思い込んでおっても、税務署のほうとしては、そんな焼けたあとで、一億円なんていったって通らぬじゃないか、八千万円なんて君がかってに思っているんだ、やはり保険会社が言った三千八百万円のこれが純損だ、こういうふうに切られたんじゃ、泣くにも泣けぬじゃありませんか。しかし、保険金を、一億円の財産にすべて一億円かけるとは限らぬですよ。一億円の財産でも二千万しかかけぬ場合もあるわけです。それはあなた、掛け金が高いから、中小企業なんてしょうがないから、保険会社が言うから二百万、三百万とかけていく、そういう場合があると思うのです。そういう場合にだれが弁護してくれるかという問題なんです。そういう場合の弁護人に税理士はなってもらいたいと思うのです。そうでないと訴え先がないわけです。相手はお力の強い税務署だ、こっちは突けば返るような中小零細企業だ、訴え先がないから、少なくと本税理士でもちゃんとしておって、そんなことはない、そんなことあるものか、雑損のとり方はこれが正しいのだと企業者の立場でがんばってくれる税理士でなければ、どうも企業者は泣くに泣けないという場合があるわけなんですが、そういう場合に、やはり私はこの税理士というものの権限を強化しておいたほうがいいんじゃないか。あまり中立、中立というて、何だか税務署の使命感だけを押しつけられたのでは、税理士としてはほんとうに納税者の立場に立っての鷲見が出てこないのではないかと思うのです。これは考え方でいろいろ相違があるから、皆さんにやかましく言ったってしかたありませんけれども、これは私の判断でございますが、この辺どういうふうに考えますか。皆さま方の考えるように、税理士というものは皆さんの手足のように動く執達吏みたいな税理士をこしらえておいたほうがいいか。私はもう少し権限を与えて納税者に力強いバックアップをするような制度にしたほうがいいんじゃないかと思うのですが、その辺がやはり私はこの法律案の賛成かいなかの分かれ目になっておるのだと思う。第一条の問題でも、理屈を言うけれども、そういう点だろうと思うのです。その辺をどう判断しますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 いま例をあげて純損失のとり方についてのお話がございましたが、これは御承知のとおり、法人の帳簿に記載されておりまする財産価額、それが滅失いたしました場合におきましては、それだけの損害が起きる。ただし、それが損害保険をかけていることによって、保険金によって補てんされますと、その損害額から補てんされたもの々引いたその残りが純損失になる。これは税法に規定しておるところでございます。それは税務署の認識も、また税理士の方の認識も変わりないと思うのでございます。そういうふうに帳簿に書いて、そしてまた保険金をもらった額ははっきりしておるのでございますから、そういう点について争いが起こることはないんじゃないかと私は思うのでございます。しかしながら、そのほかの面におきまして、税法の解釈におきまして、税務官庁の解釈と税理士の方の解釈あるいは納税者の解釈、これはいろいろ違う場合があろうかと存じます。しかし、その場合におきましても、先ほども申し上げましたように、またるる申し上げておりますように、税理士の方は独立の職業人として権威ある見識を持ってやっていただけばけっこうなんでありまして、それが税務署の解釈と違う場合がありましょうとも、それは私は差しつかえないととだと思うのです。最終的には、両者の見解が合わなければ、裁判によってきめられるということになるわけでございまして、私どもは今回の改正によりまして、税理士の方の権限が弱まるというようなことは毛頭考えてもおりませし、またそういうことをすべきものでもございません。税理士の方の権限を強く、そしてその自主性をだんだんと高めていく。それによって納税者のほんとうの信頼に値する税理士の制度が生まれてくるものと考えておりまして、またそういうふうになることを期待いたしておるのでございます。

小松幹日本社会党

○小松委員 最後は運用の問題ということにもなりましょうけれども、私最後に申し上げておきたいのは、こういうことを中小企業の人が言ったのです。実は私のところに税務署からの更正決定というのがきましてどうもたいへんだ、それはほんの小さな企業者でございましたが、君のところはそんなに税金を納めてけっこうな話じゃないか、うんと税金を納めると表彰されるぞとひやかしましたら、そんなひやかさぬで、何とか考えがないですか、それはお前税理士に頼めばいいじゃないか、税理士に頼んで何とかしてもらえよと言いましたら、親方さんが言うのに、税理士を頼むと税理士から金を取られる、それはいい、半分くらいになればいいけれども、税理士さんはどうも近ごろ税務署の肩を持つから、結局税務署から取られ、税理士さんから取られ、結果は同じになるからこの辺でもう泣き寝入りしましよう、そういうことを言うたことがあるのです。これは事実なんです。それは先生そう言うけれども、税理士さんに取られた分だけ損になりませんか、そんなことあるもんか、税理士さんはみんなお前たちの味方だ、近ごろそうでもないようです、税務署のほうが強いから、これは民の声であります。そういう点は法律の文面にも出てきませんからよくお考えになって、法律をしゃにむに通すことはけっこうでございましょうけれども、皆さん方にここいらに民の声があることを申し上げて、私の質問を終われます。     ―――――――――――――

山中貞則自由民主党

○山中委員長 ただいま委員長の手元に、本案に対しまして渡辺美智雄君外二十五名より修正案が提出されました。で当該学位を授与された日後に行なわれるもの」と、昭和四十四年十二月三十一日まで」とあるのは「当該学位を授与された日の翌日から昭和四十四年十二月三十一日までの間」と、当該試験科目のうち旧法第七条又は第八条の規定により旧税理士試験につき試験の免除を受けることができるものについては、その申請により、試験を免除する」とあるのは「法律学又は財政学に属する科目に関する研究により学位を授与された者については当核試験科目のうち旧法第六条第一号に規定する税法に関する科目の試験を、商学に属する科目に関する研究により学位を授与された者については当該試験科目のうち同条第二号に規定する会計学に属する科目の試験を、その申請により、それぞれ免除する」と読み替えるものとする。     ―――――――――――――

山中貞則自由民主党

○山中委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。渡辺美智雄君。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 税理士法の一部を改正する法律集に対する修正案の提案理由の説明を申し上げます。  私は、自由民主党、民主社会党の両党を代表いたしまして、右二党の共同提案による税理士法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由の説明を申し上げます。  戦後、申告納税制度が実施せられ、税務の民主化が推し進められるに及びまして、昭和二十六年税務代理上法にかわって現行税理士法が施行されました。税制調査会の答申に基づきまして、今回税理士法の一部を改正する法律案が上程せられ、税理士制度全般にわたって検討された次第でありますが、税務の民主化、税理士業務の拡大、試験制度の合理化、近代化並びに円滑なる徴税行政のあり方などにつきましては、徴税当局と税理士会側との主張は必ずしも一致しておらない現状であります。両党は、それぞれ現行法及び改正案に対しまして詳細検討をしてまいりましたが、税理士会側の要望する幾つかの問題点を認めながらも、現時点においては、それら全部について意見の一致を見るには至っていないのであります。したがいまして、残された問題点については、今後引き続き前向きの形で検討することといたしまして、とりあえず意見の一致を見た二点について両党共同の修正案を提出することとした次第であります。  第一は、第四十七条の税理士の懲戒の手続きについての修正をしようとするものであります。従来国税庁長官が税理士の懲戒処分権存、有していたのでありますが、いつから処分の効力が発生するのか、いかなる手続を経て処分すろのかが必ずしも明確ではなかったのであります。したがって、今回の改正案は、懲戒処分の手続を定め、審査委員会の意見を聞いて処分をすることといたしました。  一方、処分の効力の発生につきましては、旧法第四十八条懲戒処分の公告の条項において、処分が確定したときに遅滞なく官報をもって公告しなければならないと規定し、処分の確定とは、訴訟が提起された場合においては、まず裁判の終結、しかる後の公告を待たなければならないと解釈をされていたのであります。  今回政府は、公認会計士の場合と同じように、行政処分はその旨の官報公告と同時に効力を発生せしめようとしているのであります。しかしこの際手続の慎重を期するために、新たに税理士及び卓識経験者をも交えました税理士懲戒審査会なる制度を設けてこの意見を聞いて、しかる後に処分をすることとしたのであります。一方、税理士会側の意見によりますれば、むしろ多くの場合、税理士と争いの当事者となるべき国税当局の最高責任者たる国税庁長官に懲戒権を行使されることは適当でないとし、むしろ税理士の自主性確立の立場から、権威権、監督権は、弁護士会のごとく、税理士会自体に委譲すべきことを強く主張しておるのであります。当大蔵委員会の大勢は、税理士会の主張は一応の見解と見る人もございますが、時期尚早というのが多いのであります。しかし、直接個人の生活権の清和にかかわる懲戒権の行使は、一たんあやまてば重大なる個人の人権侵害にもなりかねないこともあわせ考えました結果、層一そうの慎重を即するために、懲戒権者たる国税庁長官は、現在の改正案のように単に懲戒処分をしようとするときは税理士懲戒審査会の意見を聞かなければならないとの規定を改めしまして、懲戒処分をするときは、税理士懲戒審査会の議決に基づいてこれをしなければならないと修正をし、懲戒審査会の議決が処分の有無、軽重を結論づけるように期待をするものであります。それによりまして、税理士会側が心配する国税庁長官の恣意を防止し、処分の慎重と公正を期さんとするものであります。  第二は、従来の税理士試験は一定の条件のもとに一部科目が免除せられ、または一科目ずつ受験をすることができたのでもりますが、今回の改正により、これを短答式による予備試験と短答式並びに論文式による本試験とに分けたため、それぞれ一度に合格しなければならないこととなったのであります。ところがすでに従来の方法により、本年十二月末までに一部の科目に合格した者及び一部科目の免除を受けた者から試験が改正によって一度にむずかしくなり過ぎるという声が高いので、経過的措置といたしまして、附則四項において、これらの人たちには新法による予備試験を免除するとともに、本試験中、短等式の試験を免除し、改正法にかかわらず、向こう五カ年間、従来と両様の方法により、合格をしていない残りの科目を一つずつ受験する方法を、改正法による試験と並行して継続することとしたのであります。この措置とのつり合い上、本年十二月末日現在におきまして大学院に在学をする者で、昭和四十年一月一日から同四十一年三月三十一日までの間において法律学、財政学、または商学に属する科目に関する研究により、学位を授与された者に対しても予備試験を免除し、かつ昭和西十四年十二月末日までの間に行なわれる本試験中の短答式による試験を免除し、そのほか学位を受けた日の翌日から昭和四十四年十二月末日までの間に、法律学、財政学で学位を取った者に対しては、本試験科目中税法を、商学で学位を取った者に対しては会計学を、その人の申請によって免除しようというものであります。これは旧法によって税理士たるの資格を得ようとして大学院に入学した者に対して、既得権的立場を認め、これらの人たちを保護しようとする趣旨であります。  以上が修正案を提案いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

山中貞則自由民主党

○山中委員長 修正案の趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――

山中貞則自由民主党

○山中委員長 本案並びに修正案について質疑を続行いたします。春日一幸君。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は、この税理士法なるものが、その資格を有する者に対して特定の権限を付与するものでございまして、また付与されたその税理士がこの法律に違反をした行為を行ないます場合は、懲役、罰金の刑罰に処せられます。わけてこの税理士の処分を通じて国民の財産権に至大の関係を与えるものでございますから、したがってこの税理士の職員あるいは使命、こういうようなものはやはり明確に理解されなければならぬと思うのでございます。しかるところ、さきに社会党の諸君から、また自民党の諸君からも、その職責について相当突っ込んだ御質問がございましたけれども、私もそれらの質疑応答を謹聴いたしておりましたが、なお十分に解明されないのみならず、私をもってしてもなお理解せしめることができなかったのであります。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 現行法の第一条というものは、これは昭和二十六年――われわれには責任はございません。またあなた方にも責任はございません。当時立法されたけれども、しかしこの法律の条文を解釈しようとすれば、どうも理解ができないものである。したがってこれを改正しろという要請が強いのでございます。非難をするならば、あえてその改正の要望にこたえていないところにあると思うの、でございます。  そこで私は、この第一条を後日改正するにしても、あるいは改正しないにしても、いずれにしてもこの第一条が何を言わんとしておるのであるか、これは立法府として、特にまた所管をいたします本委員会として、第一条の解釈はこれを正確に理解をいたしておかなければならぬと存ずるのでございます。したがいまして、局長も長官も政務次官も何ら従来の経過というようなものにこだわることなくして、率直に、読んで字のとおりいかにこれを解釈し得るのであるか、また現在その解釈に非常に困難を来たしておるのではないか。とにかく悪ければ後日改正することもやぶさかでない。三党の意見が妥結すれば本日これを改正することもまたこれは妨げるものではない、そういう意味で私は率直なる見解を御表明を願って、そうしてこの税理士というものが国民の権利義務のしにおいて、またわが国の国民経済の円滑なる発展の上において、その使令と職分を十二分に果たさせしめるの態勢を確保しなければ相ならぬと存ずるのでございます。  こういう意味で、第一条についてまずお伺いをいたしますが、ここの末尾にはこういうことが書いてございます。「租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現し、」特にわからないのは、「納税に関する道義を高めるように努力しなければならない。」と書いてあるわけでございます。したがって税理士というものは、この第一条に書いてありますこの職責、これは職務上の責任でございますが、職務上の責任としてうたわれております第一条は、少なくとも「納税に関する道義を高めるように努力しなければならない。」、一体道義を高めるような努力行為をだれを対象にして行なうものであるのか、これは国税庁が理解されておりますところ、主税局が理解されておりますところ、これをひとつ明らかにされたいと思います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 税理士がその税理士の業務を遂行するにあたりまして納税「道義を高めるように努力しなければならない。」というのが従来の規定でございまして、今回の改正におきまして「、道義を高めることを使命とする。」というふうに改正することになっておりますが、これはだれにということでなしに、税理士という職業はそういう使命を負った職業であるということを明らかにいたしまして、税理士がその職業をやっていく場合におきましての心がけを明らかにしておるものと解しておるのでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 税理士なるもの一つの職業事務をここに新しく特別に設定せなければならぬというその社会的意義、またその理由、こういうものは当然あると思うのでございます。したがいまして、ここにある納税に関する道義を高めることがその職務上の責任であるといたしまするならば、その対象というものがなければならぬ。したがって、ここに関係者、国民の中で関係者は、納税しない者、これは関係者ではございません。したがって特定の利害関係者という局限された範囲の中においてこの第一条を読みますると、それは国税庁すなわち徴税官庁、それから納税者、これだけが関係者でございます。したがいまして、その関係者の中の一体だれにそういう努力をするのでございましょうか。たとえば介護士なんかは九千四百万の国民に対する基本的人権、これを擁護することのためにいろいろと社会的使命があると思うわけでございます。ところがこの税理士というものは国民全体を対象とするものではございません。これは国税庁とそれから納税苦と、この局限されたる一定の利害関係者のその中にあって、これらの諸君に対してその納税道義を高めるようにその努力をするのであるといたしまするならば、その町方にするのか、あるいはその片方にするのか、あるいはそういうものではなくして国民全体に向かってこういう啓蒙宣伝運動をやることを委託されておるのであるか、いずれかでなければ相ならぬと思うのでございます、そのいずれでございましょうか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 税理士の関係するのは、春日委員のお話しのとおり、納税者とそれから税務官庁でございます。納税に関する道義を高めるという点におきましては、これは何といいましてもその納税者のほうに大きなウエートがかかることは当然でございます。しかしながら納税に関する道義ということは必ずしも納税者だけの問題ではございませんで、税務官庁におきましてもそういう点におきまして正しい道義~秩序を持たなければならないわけでございます。そういう意味では両者に関係するとも申せましょうが、しかし何と申しましてもウエートは納税者のほうに多いと思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は、そういう解釈というものが、あなたが良心に基づいて公正に確信を持って答弁をされておるのでもるか、いまかりにこの時点においてあなたがたまたま主税局長という立場にあるので、こんなふうに解釈をしておかなければしかたがないではないか、またこんな答弁をしておくしか、お茶を濁しておくしかないではないか、こういう意味でお述べになっておるのか、これは聞く者をして十分その心証は得られると思うのでございますが、私は冒頭に申し上げましたように、実際問題としてわれわれは立法の府にあります。したがいまして、この質疑応答を通じて論理の合わないものであったり、あるいは間違いなものであったりなんかいたしますならば、これは本日あるいは後日において修正せなければならぬ、改正せなければならぬのでございますから、したがってあなたは是は是、非は非なりとして確信を持った答弁を願わなければ、貴重なる質疑応答は意味をなさないと思うのでございます。したがいましてここに納税関係者、税に関する租税行政関係者といえば、徴税当局であり納税者で-かございません。   〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕 この二つのものを対象としてその納税道義を高めるように努力することが税理士に対する職務上の責任であると法律でうたわれました以上は、すなわちその両方に対してであるのか、あるいはその片一方に対してだけであるのか、それかひとつ明確にしてもらわなければならぬ。両方なら両方でけっこうではございましょうが、片一方であるならば、すなわち納税者に対して、そういうような脱税をしてはならぬぞ、そういう説得行為を行なっていくことが本来的職分であるのか、この第一条がいわんとするところは一体何であるのか、どのような認識のしに立たれておるのであるか、これをひとつお答えを願いたいと思います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、納税者に対するウエートが非常に高いと存じますけれども、しかし納税道義を高めるということは、単に納税者だけの問題でございませんので、徴税官庁の曲におきましてもそういう必要がございます。もちろん税務官庁側といたしましては、そういう税理士の方に御注意を受けるまでもなく、みずからの努力によってそれをつとめていくべきことは当然でありますけれども、しかしやはり人間でございますから、税理士の方から御指摘を受けまして自分の態度を正すべき場合もあろうかと存じます。そういう意味では、やはり税理士の方が税務官庁側に注意して、そして納税の道義というものを高めていく場合もあろうかと思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 そういたしますると、国は税理士に対しまして、官吏はむろん公務員法の定めるところによりまして、すなわち誠実に法律の執行を行なうことが当然のことではあるけれども、もとより人間であるから瑕瑾なしとはいいがたい。だから誤ったようなことがある場合はひとつ税理士からもいろんなアドバイスを受けて、そうしてその公正的確を期するように、そういうことを意識しながら、第一条はその事柄を目してこの納税道義の高揚ということを法律の条文で明定いたしておるのだ、こういうぐあいに理解してもよろしゅうございますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 さようでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 そういたしますると、これは第一条と第二条との関係においてこの法律は相克矛盾を来たすようなことはないであろうかというのでございます。たとえばいまおっしゃったような、それは一〇〇%でないといたしましても、あるいは五〇%にしても四〇%にしても、たとえ一〇%にいたしましても、国があやまつことがあってはならぬが、万が一あやまつようなことがあるかもしれない。万が一あやまつようなことがあった場合は税理士諸君によってそのあやまちを正してもらうという、そういうような行為をこの税理士諸君に期待をいたしておる、そうしてこの法律によってこれを委託いたしておる、こういうぐあいになってまいると思うのでございまするが、そういたしますると、第二条は、この税理士なるものは納税者の依頼にこたえて税務代理業務を行なうことに相なっておるのでございます。申し上げるまでもなく、それらの事柄もひっくるめて民事契約と称することができるでございましょうが、民法の中には、権利の行使それから義務の履行、こういう原則を民法で定めておると思うのでございまするが、そのときに明らかにその大原則としては御承知のとおり双方代理禁止の原則、利害相反するものの依頼を同一人桁のものがこれを受けてはならないという規定があるわけでございます。したがいまして、税をできるだけ安くするように、財産権の侵害を防衛することのために納税者は税理士にこれを頼むのである。すなわちできるだけ軽くしたいという立場にあるものと、そうしてまたできるだけたくさん取りたいというそういう立場にあるものを、同一人格者が両方の代理的な立場に立ってその職分を行なうことがこの法律によって期待されておるということは、私は民法に規定いたしておりまする双方代理禁止の原則にこれは違反をするの寸法ではないかと思うのでありまするが、いかがでありますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 それは第二条にありますように、税理士がその業務を遂行するにあたりましては、もちろん第二条の規定にありますように、納税者の依頼によりまして業務を遂行するわけでございまして、私が先ほど申し上げましたのはそういう意味で、具体的に税理士の方にその代理を委託しておるという関係のものではございません。したがって、民法の言う双方代理の禁止の規定に反するものではございません。ただ税理士の方がその業務を遂行するにあたって、もし税務官庁の間違いがあるということを発見した場合におきましては、それを指摘して是正するということがやはり税理士に期待されておるわけでございまして、これはシャウプ勧告にもそういうふうに説明されておるのでございまして、そのシャウプ勧告に基づきまして昭和二十六年の改正が行なわれたのでございます。そういうふうに経緯から見ても言えると思うのでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は他の立法例もいろいろと検討をあわせて行なったのでありまするが、たとえば弁護士法なんかの構成は、たとえばその使命というものはどういうものであるか。それは「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」こううたいまして、そうしてその職責の基準という別の一項目を設けまして、そうしてこの納税に関する道義に該当するような内容、すなわち「弁護士は、常に、深い教養の保持と商い品性の陶やに努め法令及び法律事務に精通しなければならない。」と、弁護士みずからの努力目標とその心がまえをこの第二条の中に明示いたしております。したがいまして、私は納税に対する道義高揚の職責というものは、税理士に期待されておる本来的な職責であるのかどうか、この点は疑義があると思うがいかがなものでございましょうか。少なくとも税理士の本来的使命というものは、弁護士の立法例から考えましても、社会的使命は何であるか、その者の本来的職分は何であるのか、これがきちっと明定いたしてございまして、このそれらの条文を解釈するのに何ら不可解なところがございません。けれども多くの諸君が質問をし、私もわからないということは、意地悪くこの質問をいたしておるのではございません。わからないからわからないと申し上げておるのでございまして、でございますからあなたのほうもこの問題についてさらに分析をいたしまして、十分ばりっとした形にしなければ、いやしくも法律が解釈のしようによってまちまちでありまするとか、相当の押し問答をせなければ統一解釈に到達できないというようなことであっては相ならないと思うのでございます。重ねて私は伺いまするが、ならばこの税理士の立場というものは一体何でございますか。税理士の立場というものはここに「中正な立場において」と書いてはございまするけれども、ならば具体的にその立場というものは一体何であるのか。それは納税者の立場であるのか、それとも第三者的な全く公正な立場であるのか、それともまた署と納税者との中間的な立場、あるいは媒介をしたり調停したり、あっせんしたりするような立場であるのか、この第一条からは職責としてなかなかこれは判断ができないと思う。いいですか、中段にはこれはただいま横山君から強調されましたように、納税正義の実現ですね、これをはかりつつ、最終的には納税道義を高めるように努力することが職責とされておる、こううたっておる。その立場は何であるかというと中正な立場というのであるが、それはわからない。だから具体的に教えてくださいということになれば、それは納税者の立場に立つものであるのか、あるいはそれは全く公正な、中正ではなくして公正なる立場に立つ第三者的なものであるのか、それとも両者の中に立って調停、あっせんをする、そういう機能を期待されておるものであるのか、法律は一体どういうことを期待しておるのでありますか。この点をひとつ明確にいたされたいと思う。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 これはるる申し上げておりますように、税理士のほうは納税者から依頼を受けてその業務を行なうわけでございますから、やはり納税者の依頼を受けたという立場が基本になりまして、しかしながら繰り返して申し上げておりまするように、納税者が間違っておる場合もございまするので、そういう場合におきましては、間違った納税者にそのまま密着した立場でなくて、そこはやはり専門的な職業人として権威ある態度をもって処理していただく、こういうことが期待されておるわけでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は、この問題をよく把握、理解できるために、一つの仮定の問題をここに例として設けまして、お伺いをいたしたいのでありまするが、たとえば国民の基本的人権が侵害された場合は、たとえば罪なき者が罪におちいった、拘留を受けたという場合、これはやっぱり国家が賠償の責任に任ぜなければならないことが、これは法律によって保証されておると思います。それでかりに更正決定を賦課徴収されました。ところが後日その税理士のその介在とその努力によって、あるいはそれが異議申請、再調査の過程を経てそれが修正された場合、一体そのときまさしくその中正な立場に立っての執行になるでございましょうが、このときの不当に、すなわち法律に違反をして侵害を受けた財産権に対する補償、これは一体どういう処理をなさるべきものとお考えになりますか。現在は何も、ただ返すというだけのことでございまして、損害賠償とか、何らかそういうような国民が不当に受けた損失に対する補償の制度はないと思うのでありまするが、この税理士の職務、権限、それから中正性、公正性、いまおっしゃったようなそういう職分をこの税理士が持つとするならば、それらの人々の介入、介在、努力によって国の誤った行為というものがここにはっきりと有権的に処理された場合、国は当然何らかの補償をせなければならぬ筋合いのものと思いますが、この点いかがでありますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 そういった場合におきましては、現在国家賠償法の規定がございますので、もし国家賠償法の規定に該当する場合がございますれば、それによって賠償が行なわれるということになるわけでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 そういたしますると、かりにまあ百万円の所得のある者に誤って二百万円の課税が行なわれた。税理士諸君の努力によってこれが申告百万円にさらに再更正された、こういうような場合、その決定に至るまでの百万円のいろいろな利子でありまするとか、さらにまたそのような百万円を運営することによって得べかりし利益の損害でありまするとか、またそういうような誤った調査を受けたことによるショッキングの精神的慰謝でありますとか、そういうものについては国は賠償の責任に応じなければならぬことになると思うが、現在の法律はそれをどのように取り定めておりますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 国家賠償法の第一条におきましては、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」ということになっております。したがって要件といたしましては、公務員がその職務を行なうについて、故意または過失によって違法に損害を加えたということが要件になるわけでございまして、そういう事実がございますれば、国または公共団体におきまして損害賠償を行なうということになるわけでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 そういたしますと、不当な賦課を行ない徴収を行ないまして、その結果それぞれの負担をした、後日再更正されたというような場合は、国は当然事項として、そういうような要求があった場合それを支払わなければならぬ、こういうことになるわけでございますね。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 いま申し上げましたように、故意または過失とか違法ということが要件になっておりますから、そういう要件を満たさなければなりませんけれども、そういった要件を満たす場合におきましては、損害賠償をしなければならぬということでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それは、租税法定主義でございますから、法律に違反しておるか、あるいは故意に相手からたくさん取ってやろうというようなことは考えられませんから、したがって、法律の解釈をあやまつとか、そのような過失によってそういう誤った課税を行なった場合は、ことごとく国家賠償の対象になる、このことはひとつ明記いたしておきたいと思うのでございます。第一条の関係において、私はこの条文をこのとおり読みますと、税理士というものが、その本来的職分が何だか税務署員と何も違わぬような形になってくると思うのです。租税法定義ですから、法律によらずんば課税されることはないのであります。しかもそれは法律に規定されたとおり税理士がやるということになるわけですね、実際の話が。そういたしますと、徴税官吏は税金を賦課徴収する、それから税理士はこれについて、結局はそれに似たようなことをやる。誤ったことがあった場合において、これを納税者の立場に立つというよりも、むしろ法律の立場に立って厳正なる法の執行を求めていくというのにとどまるのでございますから、これは納税と徴税との関係におきましては、弁護士や何かのような情状酌量でありますとか、心身耗弱者とか、正当防衛とか緊急避難とか、いろいろなことはないのでございますね。でございますから、徴税官吏は法律に基づいて執行しなければならないでしょう。それからこの第一条からくれば、税理士は法律に基づいて公正なる、中正な立場に立って、納税正義の実現をはからなければならぬ。こういうことでは、税理士のやることと税務署の税務官吏のやることとどこが違うのでございますか、その点を御説明願いたい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 繰り返して申し上げておりますように、税理士は納税者の依頼を受けて、その納税者のために利益をはかるということが基本的になっておるわけでございます。公務員は国家全体の奉仕者といたしまして、税法の執行に当たるということでございますので、そこには大きな差異がある、こう考えます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それでは、どういうような場合に利益をはかり得る余地があるのでございますか。租税法定主義でございますから、所得のある者は課税をなす、こういうのでございますから、納めなくてもいい税金を賦課された場合に、税理士がそういうような不当課税についてその権利を防衛するという職分以外に何もない、利益を守るというのはそのことをさすのでございますか。その利益を守る行為は、すなわち法律に違反して課税した疑いのあるものを是正する、その行為でございますから、当然、法律に違反をするような課税や執行をする徴税官吏は処罰の対象になるべきものであると思うのでございますが、いかがでございますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 税理士の方は、単に税務官庁が間違った課税をした場合に納税者のためにその間違った課税を是正させるというだけではなしに、納税者の方が税法をよく知らない場合がございます。特にいろんな特典がございます場合に、その特典を知らないために、本来納めなくてもいいような税金を納めている場合もございます。そういった場合におきまして、やはり納税者の方に援助いたしまして、それはもちろん法律に規定されておることでございますけれども、それを納税者に知らせて有利な特典を受けるということも大きにあるわけでございます。したがって、その意味におきましてはやはり税理士の方の活躍すべき部分というのは相当多いものと考えるのでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 そうだといたしますと、これはもっぱら第二条に明定されております職務の執行ということになるのでございまして、第一条に書かれておりますことは、いまお答えになりましたこととは違うのでございます。しかも第一条には、これが税理士の職責と銘打って書かれておるのでございます。でございますから、税理士の本来的職責というものが、やはり、納税者が納税知識あるいは税法に通暁していないというような場合、その知識を提供することによって、その権利の伸長とか侵害の防衛とかいうことでなしに、当然の税の執行を受けられるように努力するものであるとするならば、税理士の職責というものがそれであるならば、それであるように、文言はそれに該当するような文言をもって税理士の職分を明定せられる必要があると思うのでありますが、この点についていかがでございますか。  なお重ねて私は伺いますが、いま泉局長の御答弁によりますと、私はこのことは国税庁長官の有する懲戒権、これに相当のつながりが生じてくると思うのでございます。たとえば、国税庁長官が納税道義を高揚するとかあるいは納税正義の実現をはかるとか、こういうようなことは本来的に国税庁長官の職務であり、また行政義務だと思うのでございます。ところが、この法律に書いてあるところ、また御説明によりますと、それの一部を税理士に委託しておる、あるいは税理士に期待しておる。ただで期待するということもよろしくありませんけれども、納税者は税理士に頼むときにはお金を払って御依頼をする。ところが国税庁長官は握りきんたまというか、何にも出さないで、そういう大いなる納税正義の実現、納税道義の高揚、どんな至大の、すなわち国税庁当局に国がゆだねておるところの義務をこの税理士に付託しておるのでございますから、したがいまして、ただでやるということはいけないから、今後は相当の費用、たとえば年間何億か何十億か知りませんけれども、それらの努力をして成果を得るように必要なるところの費用というものをやはり支弁ずる必要がある。そのような支弁をすることによって、初めて懲戒権というものは国税庁長官につながりを持ってくると思うのです。国税庁長官とは何も関係のない、また純粋に納税者の利益だけを代表するというような立場にあるものならば何も国税庁長官とは関係がない、関係のないものを懲戒権だけを固持するということは何か論理が合いませんですね。だから、つながりがあるとするならば、そのつながりを持っておることに対する給付というものがなければならぬ。すなわち納税正義の実現と納税道義の高揚につとめなければならないと義務を課せられたらそれをやらなければならぬ。間違った納税者があったらどんどん訓示を施さなければならぬ、訓戒を施さなければならぬ。啓蒙宣伝を行なうにはえらい費用がかかる。だからその費用を払う。費用を払っておるからしたがってそれを監督もしなければならぬし、また法律に違反したならば私が懲戒する権能もみずからある。税理士はそういう形で初めて懲戒権というものが発生してくるので、弁護士法においては弁護士会がみずからその懲戒を行なうのですから、これは私はよく道義条理にかなっておると思うのです。ところが、いまの法律の構成、それから御説明等によって理解したところによりますと、どうも論理が合わないのです。この点――政務次富は眠たいようですね。泉局長どうですか。あなたは何といっても専門家のように思うから……。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 税理士に期待されている使命は大きいわけでございますが、それゆえにこそ第二条以下におきましてそういう税理士の独占業務というものを規定いたしまして、これは税理士という資格を持った人でなければできないのだということにしておる。これは非常に大きな保護を税理士の方に与えておるわけでございまして、具体的にそれではそういう納税正義の実現に税理士の方がつとめたからお金をあげましょうというようなことは、かえって私は税理士制度をスポイルするものだというふうに考えるのでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 泉さんも良心的な方ですから私は切に期待をいたしたいのであります。あなたも近くなかなか大きい責任をになわれるであろうと思うが、そういう重責にもる人は悪いことは悪い、間違ったことは間違ったと言って、いまここでどうこうしようというのじゃございませんから、ほんとうに後日に備えてやはり政策論議の方向というものは明らかにしていくだけの見識をお持ちになる必要があると思うのです。私は渡邊長官の当時、それから池田勇人氏が大蔵大臣の当時ここで質問をやって、たとえばお知らせ制度、これは違法だ、そうだやめましょう、翌日ぱあっと通達を出す。そういう大いなる改善、改革を説いてきた。そこに国会論議の真の意義と価値があるのです。何をいっても私は前論者諸君の質問の中にも、また、強調されたにも、いいことがずいぶんあると思う。後日研究して善処しましょうとかなんとかしか答弁のないことははなはだ遺憾です。私のようなこんな名論卓説についても依然として詭弁を弄して答弁を糊塗するがごときは、将来を期待される泉君のためにまことに惜しんでも余りあるものである。この問題は委員長におかれてよくこの論旨を念頭に置かれて、将来この税理士法が納税者のためにも、わが国の徴税秩序を確立することのためにも、ひとつ本委員会の責任においてさらに十全の検討を加えられることを強く要望いたしまして質問を先に進めます。  それで私が次に伺いたいことは、税制調査会の答申には税務実態の経験に富んだ者を税理士の資格者の中に含めることが税理士制度運営上実情に沿うものであるといたしまして、その税務実務に従事した期間二十年以上でかつ管理職であった期間三年以上の者を資格認定の基準とするように答申がなされておるのでございます。しかるところ今回の政府案では、国税事務に従事した者では二十年、それから地方税はこれを二十五年にいたしまして、しかも管理職にあった期間三年以上と答申にありましたものをことさらにこれを五年に延長されました。これは答申に比べてだいぶきびしくなっておりますが、答申に沿うてこれを法制化することのできなかった積極的理由は何でありますか、これをひとつ明らかにお示し願いたいと思います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 お話のとおりの経過をたどって今日の提案になっておるわけでございますが、この点につきましては税制調査会の答申は管理職的地位に三年以上ということになっておりましたけれども、まあ世間的ないろいろの評価からすれば三年はどうも少し短いじゃないか、やはり五年くらい以上であったほうがそういう税理士という職業人としての資格を与えるのには適当ではないかということで、三年ということを五年ということに延長するほうがより社会的に望ましいという考えで、このように変更いたしたわけであります。

春日一幸民主社会党

○春日委員 少なくとも税制調査会というような第三者機関というものは、あらゆる角度から公正に判断し慎重に検討をして、政府に向かって答申を行なっておると思うのでございます。そういうような権威高き機関の答申を、あなたのほうがそのような一方的独断と恣意によってこれを巧みに圧縮することは私は適当ではないと思う。私はこの際伺いますが、たとえば国税事務に二十年従事したけれども管理職には三年しか在職の経歴がなかったということで、この法律があり施行されてもその資格を付与されないような者がありはしないか。せっかく税制調査会があらゆる角度から責任ある検討を加えて答申したのに、しかもその答申ということは二十年もつとめたならばその管理職には大体何年くらいあり得るであろうというデータの上に立って、事実上の資料の七に立ってこの答申がなされておると思う。ところが現在の資料のしに立って答申したものが、あなたの一方的独断とも称すべきそんな考え方によって、これが五年に延長されてしまった。管理職五年、そうすると事実上現状にそぐわないような結果が出てきはしないか。私はことことを深く憂うるのであります。そういうような意味合いにおきまして、現在そのような実例が生じてくるようなことがないであろうか、長期勤続の税務職員の実情について、この際ひとつつまびらかにその現状を御説明を願いたいと思います。すなわち二十年つとめて五年の管理職にある者、三十年つとめて三年の管理職にある者、これは一体どういうような数字になりますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 先ほど春日委員のおことばの中に、何か三年を五年に直したのは私の独断的意見であるかのごときお話がございましたが、決して私独断でやっておるわけではございません。各方面と折衝いたしましたあげくこのほうが適当であるという結論に達しまして、五年に修正をいたし三して御提案申し上げておるのでございます。  なお三年と五年との差異によってどういうふうな事例を生ずるかは、国税庁のほうからお答えいたします。

木村秀弘国税庁長官

○木村(秀)政府委員 在職二十年で管理職を三年以上つとめた場合と、それから本案にございございますように管理職を五年以上つとめた場合とでどれだけの違いがあるかと申しますと、昭和三十九年度を初年度といたしまして、十年間をとってみますと、三年の場合は二万一千九百二十五人になります。それから五年以上の場合は一万七百五人でございます。したがって、員数においてはこれだけの差が出てまいるわけでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 いま泉さんは、私は独断でやったことはない、各方面の意見というけれども、各方面とは一体何でありますか。少なくとも税制調査会の構成は、その筋のいわゆる各方面の権威者を網羅しておるのですよ。その権威の名において、またその責任で答申をしておいて、それでさらに各方面の意見を徴するとは何事でありますか。私は税制調査会を冒涜するの最もはなはだしき暴言であると思うのですね。このことは、私はいろいろな政治的な圧力に屈して、そうしてその正しき執行をゆがめたという、すなわち、政府に信念のなきその態度をここに露呈をしたものでございまして、この点は将来に向かって十分注意を喚起いたしておきたいと思うのでございます。現に、いま国税庁長官の御答弁に徴しましても明らかなとおり、三年のものならば二万一千九百人、五年のものならば一万七百人、かれこれ一千二巨人という膨大な権利が、ここにあなたの独断によって、誤った執行によって、その権利を圧殺しておる。まことに暴虐、理不尽な措置と申さなければならぬ。この点をよく御銘記を願っておきたいと思います。  次は、もう一つ伺っておきたいと思うのでありまするが、今回の改正によって代理並びに代行ということがありますね。いままでの法律によりますと、旧法の税理士業務というものは、税務代理業務、税務書類の作成業務、税務相談業務、これが明定されておりました。また区分も明確になっておりました。今度の改正案によりますと、こう書いてありますね。「税務官公署の認否若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること」とあるわけでございます。代理業務と代行業務とはどういうぐあいに違うのでございましょうか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉政府委員 その点につきましては、法律上の行為を代理する場合と、それから事実行為を代行する場合、こういうように二つに分けて解しておるのでございます。  この一号の前のほうにございますように、「税務官公署に対する租税に関する法律に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て」こういうのは法律行為でございまして、これについて代理するというわけでございます。あとは「税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述」これについて事実行為を代行するということになるわけでございます。

藤井勝志自由民主党

○藤井委員 原案並びに修正案に関する質疑終結の動議を提出いたします。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 採決いたします。  藤井君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔「質疑中に何だ」と呼び、その他   発言する者あり〕

山中貞則自由民主党

○山中委員長 起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山中貞則自由民主党

○山中委員長 起立多数。よって、藤井君提出の動議のごとく決しました。     ―――――――――――――

山中貞則自由民主党

○山中委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、渡辺美智雄君外二十五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山中貞則自由民主党

○山中委員長 起立多数。よって、本修正案は、可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。   これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山中貞則自由民主党

○山中委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。

山中貞則自由民主党

○山中委員長 次に、本案に対しまして、竹本孫一君より発言を求められております。これを許します。竹本孫一君。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 私は、本案に対しまして、自由民主党、民主社会党両党共同提案による附帯決議を付するよう動議を提出いたします。  附帯決議の案文を朗読をいたします。    税理士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一、社会情勢の進展と税理士制度運営の経験にかんがみ、税理士の地位向上と税理士会の自主性を確保するため制度及び運営の両面にわたり、改善と検討を図かること。  二、税理士試験の執行にあたつては、試験審査会の中正、かつ、権威ある運営を確保するとともに、いたずらに暗記力のテストに偏しないよう、試験場に税法等を備えつける等の措置を講ずること。  三、税理士の税務代理権を尊重するとともに、納税者の権利利益の擁護に遺憾なからしめるため、税務調査における事前通知の励行に万全を期すること。  次に、その趣旨について簡単にご説明をいたします。  第一点は、一個独立の人格、事業体としての税理士の地位の向上と、税理士会の自主性を確保するための努力を要請する点であります。これは、単に税理士の地位向上や税理士会の自主性を確保するためだけではなくて、公正中正なる立場から、納税者の代理人たる性格を貫くためにも必要な問題であります。ただし、税理士の歴史の浅い点を考え、また徴税の実務の実態から考えまして、今日税理士会の地位を弁護士会と直ちに同一なものにするということについては、慎重なる考慮が必要であろうと思います。  第二の点は試験の問題でございますけれども、従来の試験が暗記力中心に行なわれておれまして、税務応用能力を十分に反映しなかった点は非常に遺憾でありまして、当局においても、この点についてはいろいろと御苦心があるようでございますけれども、今後は特に試験場には税法等を備えつける――若干の負担も必要であろうと思いますけれども、あえてそういう税法等を備えつけて、試験のあり方を、暗記力中心のテストに偏しないように万全の工夫を要請したいと思うのであります。  第三の点は、税理士の税務代理権を尊重するとともに、納税者の権利、利益の擁護に遺憾なからしむるために、事前通知の励行を要諦したいと思う点であります。税務調査に際しまして、税理士が立ち会うことが、納税者にとってまことに望ましいものであるとして、事前通知の対象となる税目の範囲も、今回、所得税、法人税、相続税等に限定しておりました従来の制度を改めまして、すべての税目に拡大されるようになりましたことはまことにけっこうでありますが、この機会に、税務調査における事前通知の励行についてはさらに一段の御努力を要請いたしたいと思うのであります。  これらの三点は、さきの修正案とともに反対論、特に税理士協会の提起された重要なる問題点について、われわれが謙虚に耳を傾け、その合理性のある主張については、できるだけその要望に沿わんことを期したものでありまして、私はそのことをはっきり申し上げて、委員会の慎重なる審議と可決を望みたいと思うのであります。  なお、この機会に、法案並びに修正案につきまして賛成をいたしておりまするわれわれ民社党の立場を一、二つけ加えで説明をしたいと思います。  御承知のごとく、今日の税理士業界におきましては、その数の不足に多くの納税者は困惑をしている状態であります。現在一万三千人の税理士がおりますけれども、なお二万人程度不足しておるという状況でありますので、税務実務に多年豊富な経験を有する税務職員が、税理士となって納税者のためによき相談相手となり、税務代理を行なうことは、その経験から申しましても、また書類作成の業務の実態から考えましても、むしろ適正妥当なる措置であると思うのであります、  さらにまた、修正案につきましては国税当局の権力的、独善的偏向を押える意味におきまして、われわれは心から賛成をするものであります。  特に、懲戒権者を大蔵大臣にすることよりもむしろこの修正案のほうが、現在の時点において、より妥当なるものと考えるのであります。何となれば、政党大臣が懲戒権者となって、あるいは党利、党略、派閥中心の徴税やあるいは懲戒か行なわれたり、もしくは行なわれるような疑いを国民に持たせることは、納税の飯南なる使命にかんがみまして、絶対に避けるべきであると思うからであります。  以上で終わります。(拍手)

山中貞則自由民主党

○山中委員長 採決いたします。  竹本孫一君提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山中貞則自由民主党

○山中委員長 起立総員。よって、竹本孫一君提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。     ―――――――――――――

山中貞則自由民主党

○山中委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山中貞則自由民主党

○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕

山中貞則自由民主党

○山中委員長 次会は、明後十九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時三十二分散会

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