大蔵委員会 第53号
- 発言数
- 203 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/06/16
会議録
○山中委員長 これより会議を開きます。 公認会計士特例試験等に関する法律案及び税理士法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 本日は、両法律案についてそれぞれ参考人より意見を聴取することにいたしております。 まず税理士法の一部を改正する法律案について税制調査会税理士制度特別部会長松隈秀雄君、日本税理士連合会会長前田幸蔵君及び日本弁護士連合会税務対策委員長阿比留兼吉君の各参考人から御意見を聴取いたします。 参考人各位には御多用中のところ御出席をいただき、ありがとろございます。本日、参考人各位の御意見を伺いますことは、本委員会の審査に多大の参考になるものと存じますので、参考人各位におかれましても何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いを申し上げます。 まず各参考人から本案について御意見を述べていただき、そのあとに質疑を行なうことといたします。まず松隈参考人からお願いいたします。
○松隈参考人 私、ただいま御紹介を受けました松隈であります。 税制調査会の中に設けられました税理士制度特別調査会の委員長をいたしております関係で、今日参考人としてお招きを受けたことと思いますので、税理士制度の改正に関しまして税制調査会がどういう態度をとったかということについて説明を申し上げたいと思います。 税制調査会に税理士制度の改正についての諮問がございましたので、特に税理士制度特別部会というものが設けられまして、その部会は昨年の四月二十五日から十二月二日までの間におきまして、前後十七回にわたって会議を開いて慎重審議をいたしました結果、特別部会の案を税制調査会の総会にかけまして、総会においてこれを承認いたされましたので、調査会長の中山伊知郎先生から総理大臣池田勇人殿といたしまして、昨年の十二月六日に税理士制度に関する答申というものを差し出してございます。おそらくこの委員会にもその答申が配られておるからすでにごらんになったと思うのでありますが、問題になりましたおもなる点につきまして少しく説明を加えたいと思います。 その答申の目次は、第一「税理士制度の意義及び税理士の職責について」、第二「税理士業務について」、第三「税理士となる資格について」、第四「税理士の権利義務について」、第五「税理士に対する懲戒処分について」、第六「税理士の組織団体について」、第七「その他の問題について」となっております。 以下順を追うて申し上げますが、時間の関係上重要なところだけないしは議論が相当ありまして意見の分かれたような点を中心に御参考までに申し上げてみたいと思うのであります。 第一、税理士制度の意義及び税理士の職責につきましては、従来の法律において「税理士は、中正な立場において」云々といろことばがありましたが、この「中正な立場」という字句は必要がない、こういう意見が税理会のほらから出ておったのでありまするが、税制調査会といたしましては、この字句必ずしも不必要とは思わない、したがってこれは税理士の公共的な立場を明らかにするためのものであって、意義深いものと認められるから残したほうがいい、ただこの税理士の職責というような表現でなくして、これを一そう高い次元から税理士の使命というふうにすることが適当であるというふうに答申いたしております。 第二は税理士業務についてでありますが、税理士業務について、御承知のとおり税務代理、税務書類の作成、税務相談という三項目になっておりまするが、この内容が必ずしも明確でないので、これを明らかにする必要があるということで答申しておりまして、改正法案にもその点が具体化されておりますが、ここで問題になりましたのは、税務代理から一歩進んで、訴訟になった場合の訴訟代理権まで税理士に与えてほしい、こういう要望が税理士会のほうから出たのでありますが、これにつきましては、法曹界のほうから賛成しかねる――税理士会のほうの主張は、納税者の便宜を中心として、せっかく税務官庁との交渉を行なってきて、それが解決つかずに訴訟の段階になったのであるから、このまま訴訟の代理権まで得るということになれば、納税者としても非常に便宜である、こういう主張でありましたが、法曹会のほうからは、法曹を中心として司法の一元的な運営をはかっていくという司法制度の根本に顧みると、どうも便宜論だけで結論を出すことは必ずしも適当でない、こういう御意見でありましたので、調査会としても、この点についてはまだ時期尚早と認めて答申には入れませんでした。しかし税務訴訟の現状を見ると、訴訟法上認められている補佐人制度というものがあるのでありますが、その利用がわりあいに少ないから、この制度を活用することが当面必要なことであると思われる、こういう意見を付しております。つまり、まず現実の問題として現行法上認められている補佐人制度というのをもっと活用すれば、その点幾らか納税者の便宜を増すのではなかろうか、そうしてそういう実績を積み上げた上、弁護士会等の今後の話し合いの場をたくさん持っていって、漸進的にそういう方向にいくということであるならば、それは検討する価値があるけれども、いま直ちに法制化することは時期尚早である、こういうことにしたのであります。これはあとにも出てまいりますが、この税理士制度を審議する場合におきましては、税理士会はもちろんでありまするが、弁護士会、公認会計士、計理士、それぞれの団体がございまして、それぞれの立場というものがあるものですから、これらの団体がその主張される全部を復活される、こういうことは困難でありまして、それぞれ事情を伺いまして議論をして、そして落ちつけるところに落ちつけるというような方法を講じて、調査会としては答申を全会一致でまとめるように努力をしたのであります。この問題もそういう経緯のあらわれの一つでございます。 それから税務書類の作成でありますが、これにつきましては、税理士が税務書類の作成にあたってその関与の程度を個別に明らかにすることは、その責任の範囲と限界を明らかにする意味において当然の要請と言わなければならない、したがって税理士が税務書類を作成した場合には、その納税者に対する関与の程度を明らかにする一定の書類を添付させることとすべきである、こういう結論を答申としては出しておりますが、これにつきましては、税理士会のほうで、それは少し行き過ぎではないかというような御意見がありましたので、答申としては一応まとめましたが、立法の段階においてはこの点は削られております。 それから税務相談につきましては、いやしくも独占業務であるのであるから、税務相談というばく然とし過ぎていることばではぐあいが悪い、やはり納税者からの個別的、具体的な税務事案についての税務相談がこの項に該当するのである、こういう点を明らかにするべきであるという趣旨を答申しておりますが、これはそういうような趣旨で改正されております。 それから税務書類の監査についてでありますが、これは税理士会のほうから、税務書類の監査を税理士業務に加えるべし、こういうような御意見が出されておって審議したのでありますが、御承知のとおり、このことは公認会計士法に規定している独占業務との関係において、調整の非常に困難な問題であります。そこで税理士会のほうに譲ってもらうような意味におきまして、特に新たなる業務として追加する必要は認められないという趣旨の答申を出しておりますが、現実の問題としますると、立法化にあたりましては、業務の中には加えませんで、権利義務の中に業務書類の審査に関する書面添付制度を創設する、すなわち税理士が納税者の作成した申告書について納税者から相談を受けてこれを審査し、その申告書が適正に作成されていると判断した場合には、その旨を記載した報告書を申告書に添付する制度を設けてはというわけでありまして、ある意味で税理士会の要望がかなえられておると見ることができると思います。 それから税理士の名称を用いた財務諸表の作成について税理士会の要望があったのでありまするが、財務諸表の作成ということは自由でありまして、したがって税理士の名称を用いて財務諸表をつくることは法律上一向差しつかえないことであるが、特に法律でその旨を規定しなくてもいいであろう、その必要は乏しいと考えられるというような答申を出してございますが、この点については立法にあたっては、やはり税理士会の要望も参照して、税理士の付随業務として税理士の名称を用いて会計業務ができる旨の規定が入れられてございます。 それから税理士業務の対象となる税金の種類につきましては、御承知のとおり現行法は国税のうちの直接税、地方税のうちの市町村民税、住民税、固定資産税といった特定税目に限られておりまして、その対象の税金の種類が少な過ぎる。ことに間接税についても、申告納税制度が施行された現状においては、納税者のために書類を作成する、あるいは税務相談に応ずる、こういうことが予想されますので、ごく特別の例外を除きまして、広く国税及び地方税に税金の種類を広げるということが取り上げられました。これについては皆さんの意見が一致しておりまして、税制調査会もその旨を答申し、今回の立法にあたってもこれが実現されております。 それから税理士業務を行なうことができる者についてという項がございますが、税理士会といたしましては、登録と入会とが別個の手続になっているのは取り締まり上困る。ぜひ登録と入会とを同時にしてほしいということでありましたが、これはいろいろ実情も調査したのでありまするが、登録即入会という制度に改めるかどうか一応問題となるけれども、試験制度によって税理士となるための資格要件を付与することを考えると、資格獲得即業務開始とすることには問題があろうし、現行のままで特に弊害も認められないので、改正の必要はないものと考えられるという答申に落ちついたわけでございます。 それから「臨時に税務書類の作成等ができる者」という項がございますが、これは税理士法第五十条の問題でございまして、税理士会としては現在ではこの必要がないから削除すべきである。こういう御主張でありまして、調査会としてもその問題についていろいろ意見が分かれて審議いたしたのでありまするが、結局この制度は公共的な要請から設けられたものであるが、そうだからといって、税理士業務を税理士の独占業務としている税理士法のたてまえから言って、この制度を不当に拡大することは適当でない。こういう結論は出しましたが、零細な納税者層が相当存在し、税理士さんに相談するとか指導を受けるという点について、不便とかあるいは実行困難な面もあって、いわゆる空白地帯というものもあることを考えれば、削除までは行き過ぎである。こういう結論を出して、不当に拡大することのないよう、そしてこういう制度の運用については、政府がよく税理士会、それと他の納税協力団体である青色申告会とか法人会等と連携しながら運用すべきである、こういうような趣旨を述べております。 それから税理士となる資格につきましては、附帯決議の関係もありまして、特別試験制度がそう長く存続できない。これを廃止するという前提のもとに審議を行なったのでございまするが、現在の試験制度には長所もありますけれども、一方短所としては、あまりにも記憶にたよる試験であって、実務経験者がこれを受けてパスすることが非常にむずかし過ぎる。こういう欠点もあるから、これを他の試験等とにらみ合わせた上で改正するのが適当ではなかろうかということで、予備試験と本試験とに区分をする改正案を答申しておりますが、それを受けて立法されておりまするので、この点は法律をごらん願えばわかることでありまするので、省略いたしておきます。それから通知義務についても、いろいろ税理士会のほうから要望がありまして、答申といたしましては、現行法りたてまえはこれを維持することが適当であって、通知を励行する等適切な運用を希望するところであるというので、運用面の改善方を政府当局に要望して結論といたしております。 次に、報酬の制限の問題でありますか、これは国税庁長官の認可を得る必要はない、税理士会が自主的に規定したい、こういう趣旨でありまして、現在では、税理士会の要望するところがもっともである。そこで国税庁長官の直接的な規制の必要は必ずしも認められない。税理士会の自治にゆだね、監督官庁の監督は、会則変更の認可等を通ずる監督の方法によることとするのが適当である、こう答申いたしまして、税理士会の要望に沿うております。これも立法化されております。 次に、事務所設置の義務でありますか、税理士事務所を増設することは、いろいろな弊害がありますので、原則として、事務所を一ヵ所に限定したいという税理士会の要望がございます。調査会で審議した結果、税理士会の要望がごもっともであり、したがって結論としては、従来の許可制度の運営の実情を見ても、増設事務所に対する社会的要請は一般にさほど強いとも認められないので、例外許可の制度を廃止して、事務所を一ヵ所に限定する方向で検討することが適当である。こういう趣旨の答申を行なっております。 それから帳簿作成義務についてでございますが、これは現在税理士業務に関しまして、帳簿を作成して、税務代理の場合にあっては、一件ごとに委嘱者の住所、氏名または名称、その他こまかい記載義務が規定してあるのでございますが、税理士会としては、これはあまり法律に規定して強制することは望ましくない。したがって規定としてははずして、必要があれば会則等で定めればいいというような御趣旨の意見だったと思うのでありますが、調査会といたしましては、これを法律規定からはずすことは、税務行政の面からいってだけでなく、納税者の権利の保護からいっても適当でないのではないか。そこで帳簿の記載内容については、あまりこまか過ぎることは必要ないので、現状を改善する、そして関与した業務のすべてについて、事件の要領及びそのてんまつを記載せしめることとするとともに、その記載にあたっては実務の担当者の氏名を明らかにするよう改むるべきである、こういう答申をいたしております。なおその際、この帳簿作成義務に違反しますると刑事罰を科するような規定があったのでありますが、そういう規定は必要がないという趣旨のもとに、義務違反に対し刑事罰を科する必要はないものと考える、こういう改正は行なってきたとこうしまして、その点が取り入れられていると思うのであります。 それから業務の制限については、税理士会もこれを一そう強くすることを要望しておりますので、税制調査会も現行離職後一年とあるのを二年にするというような答申をいたしております。 なお、この例外規定で国税庁長官が承認した場合の規定が必要であるか、それを削るべきかというようなことについても議論があったのでありますが、一応前条の例外承認の規定を法律上制限を付して明らかにして置いておく、こういうような改正になっております。 税理士に対する懲戒処分については税理士会のほうから、主として自主性というようなたてまえから、懲戒処分の権限を税理士会に持たしてほしい、こういう要望がございまして、それを議題として議論がかわされたのでありまするが……。
○武藤委員 議事進行について。委員長、定数が欠けておりますから、私ども定数の欠けておる委員会は出席できませんから、このままで暫時休憩にしてもらいたい。しからずんばわれわれは退場いたしますから。
○松隈参考人 それでは引き続いて説明を続けますが、時間も少なくなりましたので、簡単に申し上げます。 税理士の懲戒処分については、税理士会の自主性にまかせてほしいという要望でありましたけれども、まだ時期尚早であるから、さしあたりは、新たに国税庁に学識経験者を含む権威ある懲戒委員会を設けて、国税庁長官が懲戒処分を行なうに際しては、あらかじめこの委員会の意見を必ず徴することにすべきである、こういうことにいたしました。 それから懲戒処分の発生時期の関係がございますが、これは省略いたします。 それから税理士の組織団体のあり方について、税理士会から希望があったのでありますが、これは弁護士連合会の場合のようにしたいというお考えであって、先例があることはあるけれども、税理士会の場合にすぐにそこまでいくのはどうか、もう少し検討をしたほうがよかろうというような趣旨に扱われております。 それからその他といたしましては、税理士に対する研修制度、これは税理士会が規約を設けて一元的な運用のできるように、要望の点に沿うことになっております。 それから、税理士の登録に有効期限をつけるかどうか、この問題については税理士会もちゅうちょしておられます。したがって、答申も今後の検討問題として見送っております。 最後に税理士法人の問題でありますが、これについては議論が分かれておりますが、この問題も現状であればまだこれを法制的に認めるのは早過ぎる、将来の問題としてはとにかく、現時点において時期尚早であるといわざるを得ないと思われる、こういう結論になっております。 それから、いままでのところでちょっと申し落としておりますが、税理士となる資格につきまして、税務職員が比較的簡単な試験によって税理士となる事項については、税理士会のほうは反対の意見を持っておって、その説明がありました。これについては、他の委員の方々の意見によりまして、現在の税務行政の実情、また外国の事例等からいって、税制調査会としては一定の実務経験、たとえば二十年以上を有する税務職員でかつ一定期間管理的地位以上の地位にあった者、たとえば三年以上というような者については、簡易な試験で税理士の資格を付与してもよろしいという結論を出しておりますが、具体的な法律としては、国税に関する事務については二十年、地方税に関する事務については二十五年、それから管理監督的な事務に従事した期間については五年として立法され提案されていることは御承知のとおりであります。 なお公認会計士さんと弁護士さんを会員にしてほしいという要望が税理士会からあったのでありますが、これについては公認会計士、弁護士ともその団体としては反対でありましたので、調査会としては苦心しまして表現を慎重にいたしまして、弁護士さんのほうは少しむずかしさの程度が強いと思って、税理士業務に関する行政事務を円滑に運営していく上において入会することが望ましいといわなければなるまいという表現にし、公認会計士さんのほうについては、もう少し強く表現しまして、制度を改めて税理士会に入会すべきものとすることが適当であるというような表現を用いましたが、現実の立法としてはこの点は見送られております。 以上申し上げましたように、税理士会の出しておる諸問題はもちろん審議の途中において議題にされました。それから立場上また仕事の関係上、公認会計士さんなり計理士さんなり弁護士さんの立場からも発言がございました。それを調整しまして、できるだけ一本の答申にまとめる努力をしたわけでございます。したがってそれぞれの団体から言えば、必ずしも百点満点の答申にはなっておらないと思うのでございます。また答申のとおりではなくて、多少それを手直しして立法されておることも事実でありますが、私、税理士制度特別部会の委員長といたしましては、学識経験者も加えまして広い視野から議論をしてせっかく取りまとめた答申でございます。そして中山会長も、政府がこの答申に基づいて税理士制度の改正を実現することを希望しますと申しておりますので、目下提案されております税理士法の改正案が国会において承認されることを希望するものであることを申し添えて、私の一応の説明を終わります。
○山中委員長 次に、前田参考人にお願いいたします。
○前田参考人 本日、この権威ある衆議院大蔵委員会におきまして、このたび提案されました税理士法の一部を改正する法律案につきまして、業界の意見を開陳する機会を与えられましたことは、業界にとりましてまことに光栄に存ずる次第であります。全国一万数千名の会員とその従業員を代表いたしまして、当委員会に深く敬意を表しますとともに、衷心より感謝の意を表する次第であります。 先ほど松隈参考人からお話がありましたように、今回の税理士法の改正にあたりましては、昨年の四月二十五日から十二月二日までの間に行なわれた税制調査会の税理士制度特別部会の審議に際しまして、わが税理士業界の改正要望意見書を提出いたしまして、この間業界の要望意見を強く主張いたしてまいったのであります。去る四月二十二日付をもちまして、日本税理士会連合会から衆議院大蔵委員会の先生の方々に、本法案の修正方をお願いいたしました。この要望書に記載されております要望事項等につきましては、ついに特別部会の段階におきまして少数意見として答申に盛られなかったというのが実情でございます。 今回の税理士法の改正に対する政府原案につきましては、部分的には先ほど説明がありましたように、幾つかの改善された点が見られるのであります。しかしながら、率直に申しまして、全体として、いわゆる法体系を貫く基本的な考え方といたしまして、われわれ業界の考え方との間にはなはだしい懸隔が見られるのであります。すなわちわれわれが、現在の租税制度のもとにおいては、真に民主的かつ理想的な税理士制度の本質は、あくまでも納税者の権利を保護する、いわゆる納税者の代理制度でなければならないと強く主張しておるのに対しまして、政府原案は、その本質を税務行政の円滑化にウエートを置くべきであるとして、いわゆる税務行政の補助制度として把握しようとしておるのであります。したがいまして、税理士業務につきましても、現在の税理士業務は、高度の簿記会計の基盤の上に立って税務調整を行ない正確な所得を把握することによって初めて納税者の信頼にこたえ、同時に適正納税実現に寄与するという税理士本来の使命を果たすことができるのであります。いわゆる高度の簿記会計の知識なくしては、とうてい納税者の要請にこたえることは不可能であると言ってもあえて過言ではないと信ずるのであります。現在の申告納税制度は、いわゆる正規の簿記の原則に従いまして、正確な所得を申告し、納期に完納して、自後のいわゆる税務折衝等を通じ、修正等は行なわれないということが最も理想的な姿であるのであります。しかるに政府原案による要綱は、税理士業務がもっぱら税務折衝を中心として行なわれるとしておるのであります。これは政府が税理士制度を税務行政の補助制度として把握しようとしており、この制度によって現行申告納税制度の理想実現を促進しようとしておるものとすれば、税理士業務の実態を知らないばかりでなくて、矛盾もはなはだしいといわざるを得ないのであります。 以上の見地からいたしまして、シャウプ勧告に基づいて制定されました現行試験制度におきましては、簿記、財務諸表を必須科目の筆頭に掲げております。そうして所得税、法人税は、そのいずれかを必須選択とし、そのほかの税法で三科目を選択としておるのであります。現行税理士法制定当時におきましても、いかに簿記会計が税理士業務遂行の上に重要なものであったかということの認識がされておることがうかがわれるのであります。しかるに、政府の改正原案は、本試験の論文式におきまして、簿記、財務諸表をともに選択科目といたしておるのであります。したがって簿記会計をあまり知らなくても合格できるような仕組みになっておって、全く簿記会計軽視の立場をとっておるのであります。このことは、最近の企業が特に税務会計を重視いたしまして、この面の指導について税理士に大きな期待を寄せておるという事実がございますときに、政府の意図に対してはわれわれといたしましては全くその理解に苦しむところでございます。 以上申し上げました点は、税理士制度に対する税理士業界のいわゆる基本的な考え方であり、また全国数百万の納税者の賛同を得ているところのものであります。このような税理士制度に対する政府の基本的な考え方が、本税理士法改正の法律案の中におきまして、納税者に対する代理権限を幅狭いものとし、税理士業務の範囲を狭め、税理士及び税理士会の自主性の確立につきましては、時期尚早として、依然として大蔵省の監督下に置き、税理士の資質の向上のため高度の国家試験制度を採用しながら、他方これに逆行する税務官吏の無試験的資格認定制度を併用するという結果になってあらわれているものと考えざるを得ないのであります。 われわれは今回の税理士法の改正にあたりましては、あくまでも国民経済、税務行政の実態に即応するとともに、特に税務代理士法制定の当時から今日まで、実に二十有余年の歴史を持つ税理士業界の実情と要請に対しまして、十分な御理解を願うことによって初めて民主的な税理士法の改正が望めるものと信ずるのであります。 税理士法の改善のあり方は、税理士業務の明確化と業務範囲の拡大強化、代理権の確立、税理士業務の公共性の明確化、資質の向上、自主権の確立を基調とするものでなければならないと信ずるものでありまして、この理念は単に税理士業界ひとりの意見だけではなくして、広く一般納税者の切望するところであります。 そこで、われわれは今度の国会の審議の過程におきまして、先ほど申し上げましたように、去る四月二十二日付をもちまして、大蔵委員の諸先生にお願い申し上げました要望書の線に沿った修正方を切に強く要望いたしたいと存ずる次第であります。 最後に、時間の関係上、簡単に四月二十二日付の修正要望項目について御説明を申し上げたいと存じます。 第一、「(税理士の使命)」のうちから「中正な立場」を削っていただきたい。と申しますのは、先ほど申し上げました税理士制度というものの意義を、ここで納税者の利益を擁護する立場におる税理士、いわゆる納税者の代理人であるという性格を明らかにしていただきたい、こういう目的で、「中正な立場」を第一条から削除していただきたい、こういうふうにお願いしておるのであります。 第二番目は、いわゆる資格認定制度でございますが、従来一般試験のほかに特別の経験者による特別税理士試験というものがございます。この制度は当時五年間の時限立法であったのであります。これを五年後の期限に廃止しないので、当分の間ということで、これは後ほどこの税理士制度一般を検討する際まで延ばすという条件のもとに継続されていたのであります。この特別試験にかわって資格認定制度というものが新設されようとしておるのであります。これはいわゆる国家試験の公平の原則に従いまして、一般本試験の中に繰り入れて、この制度そのものは新設しないというふうな修正をお願いいたしたい、第三条第一項第四号の規定を新設しないというふうにお願いする次第であります。 なおこの試験制度で、本試験の中に、いわゆる論文式の試験で、簿記、財務諸表、簿記論と財務諸表論が先ほど申し上げましたように選択科目になっております。これはいわゆるわれわれ税理士業務の実態を把握しないあらわれであるというふうにわれわれは解するのでありまして、ぜひ従来どおり簿記、財務諸表を必須科目とするということに修正を願いたい、かようにお願いする次第であります。 したがいまして、この結果受けて立つ試験審査会の委員は、この法律では租税に関する学識経験者ということになっております。これを租税または会計に関する学識経験者のうちから任命するというふうに御修正を願いたい、かように考える次第であります。 次に第五番目に、税理士の代理権を明確にする、そのためにこの改正法律の中に次のような修正を加えることを要望するわけであります。第三十三条に税理士の自署押印の規定がありますが、この効果を強化していただきたい。また三十四条に調査の事前通知の規定がありますが、これをこの法文の中におきまして、従来の一片の通達行政でなくして、厳格性を持たしていただく、この法文の中で十分通知の義務が励行されるように御規定願いたい、かよう要望するものであります。 次に、意見聴取の問題がその更正決定の効力に影響はないということになっております。これは現在の税理士の業務の上から言いまして、いわゆる代理権を尊重する、納税者の信頼にこたえるというたてまえから、この更正決定等の場合に関与税理士に意見の聴取を求めなかった場合は、その決定の効果は無効となるというふうにお改めを願いたい、かよう要望する次第であります。 なお従来是認処分の決定がわれわれ関与税理士の何ら知らないうちに行なわれている、そのために納税者と税理士の間の業務というものがスムーズに行なわれていないという弊害があったわけであります。これらをぜひ是認、更正等の場合は関与しておる税理士に対して通知をしていただくというように御修正を願いたい、かよう考えております。以上がいわゆる代理権の明確化についての修正意見であります。 第六番目に、税理士の使用人等に対する監督義務が規定されておるわけであります。四十一条の二であります。これは私どもは責任を持って従業員を従来とも監督してまいっております。したがいまして、ここにいわゆる法律規定となるような新しい監督義務というものは監督権限の強化になりますので、この際これを削除していただきたい、かよう考える次第であります。 七番目の、公務員であった者の税理士業務の制限について、先ほど松隈参考人からお話のありましたように、制限を設けて例外規定を残したということであります。これは当初一年間で例外規定を削除してあったはずでありますが、これが二年となって例外規定が入ったのであります。これもわれわれは二年が当然妥当だと思います。したがってこの例外規定というものは会といたしましてぜひ削除していただきたい、かようお願いする次第であります。 次に、先ほど問題になっております。特別部会でも相当問題になったのでありますが、いわゆる懲戒権の問題であります、これは納税者のいわゆる権益を擁護する税理士の立場からいたしましても、その税理士が税務官庁の監督の下に置かれておる。特に中正の立場という表現で税理士の使命が規制されておるということにかんがみまして、これはその中正な立場というものを削除していただきたいという一貫した税理士会の考え方からまいりましても、いわゆる税理士の自主性を確立するという意味で、これは税理士会の会員の懲戒権に関する限り、税理士会におまかせ願いたい。したがって、今回の改正によって新設される予定になっております懲戒審査会は国税庁に置かれるようになっておりますが、これを税理士会に置いていただき、その委員の半数以上を税理士会員のうちから任命する――このことは現在の原案では六名の委員が、たしか学識経験者から二名、官庁から二名、業界から二名というふうに予定されていると聞いております。しかしこの会員の懲戒という問題につきましては、税理士会が会活動を行なう上におきまして、大きな影響を及ぼすのであります。少なくとも会員の身分を規制する条項であります。したがって、少なくとも半数は税理士の中から任命していただくというふうに強く要望いたしたいと考えるのであります。また懲戒に関する最終の権限が国税庁長官になっております。これを懲戒審査会の会長に帰属するということにより客観的な立場を私どもは希望いたすのであります。 次に、やはり自主性の問題で、いわゆる自律的な規範である税理士会の会則等の変更は大蔵大臣の認可をすべて必要としない、この程度は少なくともこの問題については税理士会にすべて御一任願いたい。税理士会の自主監督、統制によりまして、この会則等は少なくとも全国連合会において統一できる、かように考えておる次第であります。 その他、税理士及び税理士会に対する大蔵大臣及び国税庁長官の監督権は、この際全面的に御排除願いたい。それによってわれわれ税理士業務というものが真に納税者の信頼にこたえる制度として理想的な改善が期待できると考える次第であります。 次に、先ほどの臨時の税務書類の作成につきましては、昨年以来国税庁、青色申告会、連合会等の三者協定のありますいわゆる五十条問題として大きく議論された点でございます。この点につきましても、税理士制度特別部会におきまして相当の議論があったわけであります。次いでわれわれは、この五十条の職責といいますか、仕事といいますか、これをわれわれの税理士会の組織を通じて全国的に小企業者、災害時期並びに申告時期等にすべて主体性を確立するということのもとに削除を要請したのであります。諸般の事情によっていろいろ討議の結果、やはり現状のとおり残すということになっておるのであります。私どもは、特にこの五十条を少なくとも現状以上に拡大しないということは、先ほど松隈参考人からもそういう約束のもとに答申がつくられているということではございますけれども、不当に拡大しないということは 不当という約束は非常に解釈が困難な場合が生じてくることが予想されるのであります。したがってこの政令で、いつでも拡大できる政令の委任規定を少なくとも削除していただきたい、かようにお願いする次第であります。 最後に、税理士制度の、現在登録しておる税理士で開業しておる者と未開業の税理士とがあります。このためにいわゆる名義貸しとか、それから、入会しなければ税理士の業務を行なうことができないということになっておりますが、入会してない税理士に対する監督がわれわれ税理士会では行なわれないのであります。したがって、税理士会がその会を監督する――全国的に税理士制度の統一運営をはかるというためにも、登録即入会といいますか登録をした場合は入会する、先ほど税理士試験に合格即入会という御説明がありましたが、これはそうではなくて合格した者は合格証書さえ持っておれば開業するときいつでも登録できるということでありますので、合格者と登録者をここで分けて、少なくとも登録した場合は入会する、登録税理士で未開業税理士をなくするというところに税理会の統一的運営がはかられる、にせ税理士の温床がなくなるというふうに考える次第であります。 以上概要を申し上げました。私どもがこの国会におきまして、従来より一貫して要望しておりますこの税理士制度が真に民主的な理想的な制度として確立されることを心から念願いたしまして、またこの大蔵委員の方々が本税理士会の要望を体しまして、ぜひ御協力をいただき、強力な御支援をお願いいたしまして、私の意見を終わらせていただきます。
○山中委員長 次に、阿比留参考人にお願いいたします。
○阿比留参考人 日本弁護士連合会の阿比留でございます。時間の関係上いろいろなあいさつは抜きにいたしまして、直ちに意見を開陳申し上げます。 現行税理士法第五十一条は、「弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。」と規定されております。しかるに弁護士法第三条第二項には、「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と規定されております。現行の税理法第二条には、「税理士は、他人の求に応じ、所得税、法人税、相続税、贈与税、事業税、市町村民税、固定資産税又は政令で定めるその他の租税に関し左に掲げる事務を行うことを業とする。」弁護士法第三条は「事務」とありまして、税理士法第二条は「業とする」という違いがあることにまず目をとどめていただいて、結局弁護士法と税理士法と比較してみますと、税理士のできない仕事と申しましては、訴訟事件、非訟事件の代理、税の官公署以外に対する審査請求、異議申し立て、再審査請求等行政庁に対する不服申し立て事件の代理、一般の法律事務、弁理士の業務、このように税理士ができない仕事がはっきりとわかるわけでございます。結局これらの行為は、高度の法律知識と実地経験とを必要とするためでありまして、弁護士はそれがゆえに司法試験に及第した上、さらに二ヵ年の司法研修所の終了合格者に限定せられておるから、先ほど松隈先生から、弁護士と一緒に訟訴代理人になるようにということは、今度の案にはなっておりませんが、結局そういう意味におきまして、日本弁護士連合会としては、訴訟代理人になるということは賛成ができないのでございます。昭和二十四年の六月十日に、現行弁護士法が施行せられましてから、弁護士法第三条第二項によって、当然弁護士は税理士の事務を行なうことができ得たのでありますが、その後昭和二十六年の六月十五日に施行された現行税理士法の五十一条によって、「弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。」となりましたので、あとに施行された税理士法五十一条によって、弁護士法第三条二項は著しい制限を受けるようになったのでございます。すなわち税理士法第五十一条施行前は、弁護士は日本全国においていずれの国税局の管内においても、税理士の事務を当然に行ない得たのでありますが、右施行後は、所属弁護士会から各国税局ごとに通知をしなければ、その国税局の管内においては弁理士の事務を行なうことができないこととなったために、この税理士法第五十一条は、弁護士の既得権または職域を制限する規定であると存じますので、日本弁護士連合会としては、本来ならばこの五十一条をぜひ削除してもらいたい。それはどういう理由であるか。結局弁護士法と税理士法と、改正案の税理士法第二条と比較いたしますと、次に申しますようないろんな支障が生ずるのでございます。改正案の税理士法第二条によりますと、「税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し次に掲げる事務を行なうことを業とする。」とありますから、改正案にあっても、弁護士法のいわゆる税理士の事務だけを行なう弁護士は、業としなければ、税理士会に登録、加入の必要があるのかないのか。それから改正案の第四十四条のいわゆる通知税理士たる弁護士は、税理士としての懲戒処分を受けた場合、弁護士の資格そのものには何の影響もないのだ。弁護士の資格は、弁護士懲戒委員会によって資格を剥奪されなければ、結局弁護士の資格はそのまま維持ができるが、ところがこの税理士法によって税理士の資格を剥奪された、いわゆる弁護士、税理士は、片方においては弁護士の資格がありながら、税理士の資格を剥奪されるという、その矛盾はどこでこれは解決つけるのか。 なおその他四十九条の六によりまして、税理士会に強制加入させられるのかさせられないのか。それからまた、最も問題になりますのは、第五十五条の監督権の問題でございますが、弁護士法第二十三条によって、弁護士は秘密保持の義務があります。これは結局行政庁の監督によって、この秘密義務は一体どうなるのか。そういう点について本改正案は少し足らない点があるのじゃないか、こう思考をいたしておりますから、そういう点を十分考慮の上改正していただけば、その他の点につきましては、たとえば第三条の、官公署に長くつとめていた官公吏の方に資格を与えるとかいうようなことは、これは他の官庁にも、たとえば司法書士、行政書士というような例もありますから、十分その選任について厳格な規定を設ければ、そう弊害はないんじゃないか、こういうことも考えております。ただ問題は、これは直接弁護士のほうには何にも関係がございませんが、改正案の第二条の二号の、税理士の付随業務として、税務書類の作成、この新設規定は公認会計士法その他の関係でどうなるのか。その点については委員各位の十分な御研究をお願いしたい。簡単でございますが私の意見陳述を終わります。 ―――――――――――――
○山中委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 松隈参考人に三、四点お伺いしたいと思います。松隈さんは御承知のように、主税局長、大蔵次官、最近までは専売公社の総裁をやっておられまして、たびたび委員会でお口にかかっております。そういう方であります。今度税理士制度特別部会長にもなられておるようでありますが、いま税理士会の前田会長、弁護士会からも話がありましたが、どうして現在の税理士法を改正しなければならぬか、そういうことを簡単に御説明願いたいと思います。
○松隈参考人 税理士法が施行されたのが昭和二十六年であります。しかもその税理士法制定の当時においては、ある程度シャウプ勧告その他外的条件も影響しておりましたし、その後十四年を経ておりますので、やはり時勢の変化に応じて、改正すべき点は改正していくというのが適当ではないかという意見が一般にあるわけであります。それに加えまして、これはもう御承知と思うのでありますが、特別試験の廃止ということに関連して、それは税理士制度の一般改正とからめて、特別試験を廃止する方向において検討して、成案を得るようにということであったので、政府もせっかく税制調査会が設けられて、学識経験者が委員になっておるのであるから、そこで審議をして、そしてまとまったものがあれば、それを参考に政府に提出したほうがいいだろう、こういうことになったのであります。したがって、先ほど申し上げましたように、税理士制度特別部会が設けられまして、相当の時間をかけて各方面の意見を聞き、そうしてそれぞれの意見を調整して取りまとめを行なったという結果が今回の政府の提案になったと承知しているわけであります。
○佐藤(觀)委員 時間がたくさんあれませんので簡単に申し上げますが、実は税理士制度に関する答申関係の資料を拝見いたしました。もともとこの御制調査会というのは政府が任命したのであって、民間人から入っている人は非常に少ない。そこで最初に松隈さんは中正の立場からというようなことを言われましたが、もともと松隈さんは御承知のように大蔵省の出の人であって、失礼でございますけれども、官僚の臭味が腹についてしまっておる。それだから、いま税理士がやっておる、納税者の立場に立って、不当な課税などに対していろいろな反駁をして、税務署と対立するようなことがあるのですが、そういうことであってこそ初めて税理士の立場があるので、何も政府の言うとおりの税金を納めるくらいなら、税理士なんか頼む人は一人もいないわけです。松隈さんは御承知のように大蔵省にずっといて、権威のある人でもあるし、あなたはいま蒸留酒協会の会長をやっておられるそうでありますが、これは民間の仕事でありますが、何といっても民間の立場に入って考えられる必要があったのじゃないか。御承知のように中山さんが税調の会長をやっておりますけれども、私らはそういうような民衆の声を聞かぬとは申しませんけれども、松隈さんも池田総理もそういうところがあるのです。金を取ることばかり考えておって、払う身になって考えたことがない。こういう点で松隈さんは、非常に失礼でございますけれども、どうも納税者の立場になる考え方が薄いのじゃないか。だから、一応りっぱな筋の通ったお話ではございますけれども、われわれ民間人にとっては、どうも納税をする立場にならぬというところに、私がこの税理士法の改正などにつきましても――改正でない、改悪という問題が出てくるのじゃないかというふうに思いますが、そういう点に対して松隈さんは一体納税者の立場に立ってお考えになったことがございますかどうか、はなはだ失礼でありますけれども、聞いておきたいと思います。
○松隈参考人 私ももう役人をやめて十八年ほどになりまして、その間もっぱら民間の仕事をやっておりまして、納税義務者としての苦労もいたしておるのであります。したがって、納税義務者の立場を離れてこの問題を審議いたしておりません。この審議にあたりましては、税理士会の代表も加わっておりまするけれども、公認会計士、計理士会、弁護士会からも代表が出ておりまするし、それから学者の方も出ておられます。学者の方の意見として私が覚えておるのは、この文章は実によくできておる、決して間違いではない――学者の人ももちろん納税義務を負っている方でありまするけれども、「中正な立場」というところにも何とも言えない味があるのだ、それは納税者と税理士がぴったり重なり合ったものというのはどうも受け取りがたい、やはり税理士さんは相当の権威があり、見識があるのですから、納税者を指導する立場に立つべきではなかろうか、そうすると密着じゃなく、一歩離れる、それがうまく「中正な立場において」というふうに言いあらわされているから、これを削ることは反対だということは、現に――名前はあげませんけれども、学者の方が言っておられた。そういう意見もあったものですから、委員会でこれは削らぬほうがいいだろう、しかし前のことばのように「職責」といったり、「努力しなければならない」というと、何か押しつけられのようだから、そうじゃない、やはり税理士さんの公共的使命からは、納税義務、納税道徳をそこまで上げていくべきだ、密着して――これは少しことばが行き過ぎで、誤りかもしれませんが、納税者の言うなりというのでは、かえって権威をそこなうのではないか。そこにやはり広い立場から意見を述べていく余地があるほうがいいのじゃないかという意見があったものですから、ああいう答申になったわけであります。
○佐藤(觀)委員 それは私らとしては受け取れない問題があるわけです。 御承知のように、税理士が生活しておる収入は、やはり納税者の側から金をもらっておるわけで、政府が出しておるわけではないのです。政府が税理士にある程度まで、たとえば基本給くらいは与えてやるということになれば公平な立場になると思いますが、御承知のように、いま出しておる方は、やはり納税者の方が、とても不当なあれだからといって税理士に頼んでやっておられるのが現実ですね。そういう点を考えなければ、中立公正だと言ったところで、やはり税理士は食っていかなければならないのですから、――松隈さんなんか恩給もあるからいいけれども、恩給もない。だから、そういう立場に立って考えないと、たとえば弁護士さんが被告の立場に立って弁護をする、そういうような立場であるし、また私どもが税理士法の改正に反対するのは、どうもいまの政府が――国税庁や主税局の泉さんも来ておられますが、そういう人に何とかいうことを聞くようにこれを押しつけようとするところに、私は税理士法に非常に欠陥があると思う。これは松隈さんたちは系統的な学問をしておられますし、それからやはり系統的に税務の代表者のような方でありますけれども、何といっても根は大蔵省で税務署の署長をやって、取ることばかりやった人なんです。取られたことはない。昔から取ることばかりやっておる。だからあなたでも池田さんでも納務者に対して同情がないということを私は言うのですけれども、そういう観点に立って、せめて税理士に弁護してもらうから、どうにか不当な――私は全部が全部不当とは申しませんけれども、不当ないまの税法に対して弁護してくれる立場から税理士の存在があって、その税理士は何で食っておるかというと、納税者から金をもらわなければ食うことができません。それは多少人間がやっておることだからそういう点はありがちだけれども、中正な立場というのはあり得ないと思う。国家からある程度補助でもあげれば、それは税務署のお手伝いをするようなことがあると思いますけれども、現実にはそうでない。この点は一体どういうようにお考えになっておるかお伺いしたいと思います。
○松隈参考人 ただいまお述べになったような趣旨は、税理士会側が調査会でも主張したのであります。それに対して他の委員の方の大多数がやはりどうもそれは行き過ぎだ。それはなるほど職業であるから依頼人から報酬ももらうけれども、依頼人のほうに巻き込まれてしまってはやはり権威がなくなるのではなかろうか。そうしてこれだけの権威を認め、独占業務として保護しておる点もあるのだから、中正な立場において、依頼人の不明な点はこれを適当に指導をするくらいの気魄を持たせるほうが、あとに主張された税理士会に自主性を与えろというようなことを言ってくれば、なお中正な立場において指導的な働きができるというふうなことと合わせないと、あとの主張にも響くのではないかという気がするのですが、そういう主張もあったりしたものですから、これは字句をこの程度に直したらどうですかということで折り合いがついた。主張はわからぬことはありません。確かにそういう主張をされたのであります。
○佐藤(觀)委員 最後に、松隈さんばかりで悪いのですけれども、私らこれは大臣や主税局長や国税庁長官にもあとで聞くつもりでおりますけれども、税制調査会の委員のあれも、民間の税理士さんという人は入っているけれども、選んだのじゃなくてやはりつけたりで出ている程度だと思う。この答申案を見ると、正直言ってそういうふうな感じがいたします。だから私は、松隈さんばかり責めて悪いけれども、そういう観点に立って、やはり公正な立場といえば民間の声も十分にいれるということがないと、何といってもあなたは大蔵省の出身ですから、昔から取るほうばかりの人ですから、ほんとうにとられるほうの立場になっていない。私は、現在の税理士という、ものは、それは欠陥もあります、けれども今日この法案に反対してくる理由というものは、やはり自由職業である税理士が国税局の管轄下に入るようなそういう隷属的な立場があるんじゃないかということを杞憂もするし、また力があるんですから、何といっても国家の力があって大蔵省がある点まで――国税局というものがやはりあれすればどうしても無理がある。そこにおいて、どうにか税理士がおるからこそまあある点まで開かれる窓口があるということで、むしろ私たちはこういうとても税理士を圧迫するような法律なら、いままでどおりのほうがいいんじゃないかというように私は考えておりますが、そういう杞憂があるのかないのか、もう一点お伺いしたいと思います。
○松隈参考人 これは結局字句の問題であるでしょうけれども、税務執行の当面の政府の責任の問題でもあると思うのであります。字句につきましては税制調査会がとにかく先ほど来申し上げたようないきさつによりまして意見を取りまとめておりますので、私はこれ以上に申し上げかねるわけであります。運用につきましては政府のほうに十分御注意は加えていただき、まあ国会として必要なら政府を叱咤勉励していただく、こういうことになるんじゃないかと思います。
○山中委員長 武藤山治君。
○武藤委員 私もたいへん時間が詰まっておりますので、一、二点簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。 実は私どもは、今回の税理士法あるいは公認会計士の特例試験の問題、こういうような問題が国会審議の段階に入る以前に、すでに各団体の意見が利害対立をしておる。それぞれの団体が陳情請願をいたして、これはまあ容易ならぬ法律だ、こういう認識のもとに政府に党として正式に河上委員長名で申し入れをいたしたわけです。関係の各界の調整がきわめて不十分で対立を呼んでおる、多くの混乱を起こしており、本案はもう少し時間をおいて十分調整をしてから法案にして提出すべきだ、こういう私どもは強い意見を総理大臣に申し入れておったわけであります。当時松隈さんは部会長として税理士会や弁護士会あるいは受験生、大学生、こういうようなところからいろいろなとにかく陳情や意見があるということを承知の上で何でもかんでもこれは今国会で成立をさしてもらわねばならぬのだというせっぱ詰まった緊急性というものを認識してこの法案は出してきたのですか。そこいらの情勢認識というものはどの程度あなたはいたしておったわけですか、この点ひとつお伺いいたします。
○松隈参考人 先ほど申し上げましたように、昨年の四月に特別部会が設けられまして、そうして十二月の初めまでかかって審議をいたしました。その間、たびたび申し上げまするとおり、税理士会から代表の方が出ておられるほかに弁護士会、公認会計士協会ですか、それから計理士会の代表の方が出ておられ、それぞれ文書にしての、もしくは口頭での意見が調査会の特別部会、さらにその取りまとめをいたしまする小委員会、その段階においても出されまして、そこで団体の立場としてはいろいろ主張がある、うしろに多数の会員があることであるからまあその会員の立場を主として考えればこういう主張をしたいんだというようなことが述べられました。それからいまお話がありましたように、一部の学生のような方々で面会したいという方にはお会いしてその希望等も聞いております。それらの意見はいずれもこの部会なりあるいは小委員会の段階は紹介されまして、そうして議論した結果、譲るべきは譲り、認めるべきものは認めて大局的にまとめていったほうがよろしかろう、こういうことが大勢を支配しましたので、まず小委員会の原案ができまして、それが特別部会で審議されて承認され、そうして総会でもこれを審議可決した、こういうことで答申ができたわけです。その答申に基づいて政府は税理士法の一部改正案を国会におはかりしていると思うのであります。
○武藤委員 前田さんにちょっとお尋ねしますが、この成案が国会に出るまでにはかなりの期間もあり、主税局長などは再三税理士会とも話し合いをしてきた、あるいは税理士会の会合には多く出席をして調整をしてきた、そのときに多くの反対はなかった、こういうことを正式に大蔵委員会の席上で主税局長は述べられておられる。そこで一体税調の部会なりあるいは政府与党の政調会なりそういうところでいろいろ手直しをしたり審議をする際におそらく会長は出席をいたしておるのじゃないか。そういう際にあなたは今回の修正点の要望などを率直に述べておったのかどうか。それとも組合員から突き上げられて急に、ずっと後日になってからこういう修正意見というものがばっと出てきたのか、会長としてはそこら辺いかがなのですか。
○前田参考人 先ほど私申し上げましたように、この税制調査会の特別部会の審議の段階におきまして、業界の要望につきましては強硬にこの採用を強く主張いたしたのでありますが、しかしながら御案内のとおりこの委員の構成は十四人の中でわれわれ業界、税理士は二人ということになっております。なお公認会計士協会、計理士会、弁護士会、それぞれ関係団体として利害が対立する場合もございます。この中でいわゆる、ただいま申し上げました四月二十二日の修正要望言に盛られておる事項につきましては遺憾ながら多数決によって少数意見で葬り去られたというのが実情でございます。したがいましてこの中で税理士会として意見の保留をいたしております。またその後特別部会の答申を終わりまして、大蔵当局でいわゆる税理士法改正要綱、原案を作成される段階におきまして、これは税理士会の中でそれぞれ機構がございます。税理士制度部とか、いろいろございまして、そのほうの関係者がそれぞれ主税局なり国税庁と密接に関係をいたしまして、いろいろ話し合いをして、その段階におきましては当初のいわゆる大蔵省原案、大蔵省の素案と申しますか、大蔵省で改正要綱作成の当時の素案よりは相当の修正をしていただいたということも聞いておるわけです。しかしながらここにまあおのずから限界がございまして、先ほど申し上げましたように部分的には相当の修正を見たわけでありますが、最後の段階におきまして、われわれの先ほど申しました基本的な要望事項等につきましては、ついに調整に至らないで、自由党の財政部会に提出されたという段階になったわけであります。 なお、財政部会に出される段階におきまして、われわれ業界が財政部会の委員の方々にいろいろお話し合いをいたしまして、この段階におきましてもある程度の――この場合は一応全面的な要望というよりむしろ最も重要と思われる、また可能と思われる部分にしぼって話し合いを進めるべきだということで、この際数項目にしぼりまして財政部会の段階で手直しをいただいたのも事実でございます。 なおその後政審の段階、総務会の段階におきましても若干の修正を見たわけでありますが、いずれにいたしましても、この基本的な大きな問題につきましては、われわれの要望意見というものが、根本的な問題については修正はとうてい不可能であるということで、ついにいれられなかったということが実情でございます。
○武藤委員 松隈さんにお尋ねいたしますが、先ほど佐藤委員の質問で中正な立場ということを非常に力説をされておる。どうも法案の中身を個々に検討すると、中正というのがほんとうの中正ではなくて、法案自体は何か徴税行政に協力をさせるあるいは国税庁の権力に屈服をさせる、そういう方向が具体的な修正の条項として出ておるような気が私の判断ではする。そこでシャウプ勧告当時の税理士に対する認識と、今回改正しようとする税理士に対する見方というものが、税調の内部でもあるいは国税庁でも大転換をしておるのではないかと私は思うのです。というのは、シャウプ勧告の当時の文章を見ましても、はっきり納税者の代理者だということをいっておるわけですね。おそらくあなたは部会長なんですから、そういう点はよく御存じだと思いますが、私は一番端的に表現している点はここだと思うのです。納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度をもってしようとすれば、かかる専門家の一段の援助を料ることが必要である。納税者は援助を受けるととが必要である。結局精通をしておる税務官吏に対抗するための団体なんだあるいは税理士なんだ、はっきり代理者ということをシャウプ勧告は規定をしておるわけですね。ところが今回のは、だんだん中正の立場という表現でもっと徴税権力が強化されていくという方向じゃないかと思うのです。具体的な内容については、懲戒権の問題とかあるいは通知義務の問題とか、先ほど修正要望として税理士会から出されている内容を見れば一目りょう然ですよ。これは幾ら弁解してみても個々の内容がそうじゃないかと私は思うのです。そこで一体部会長として中正な立場という表現を使わずに、もっと弁護士会なら弁護士会のような使命の規定のしかたのように、税理士というのは納税者の代理となって税法上の権利を擁護する、同時に租税正義を実現するんだ、そういう表現だっていいじゃないですか。中正の立場を守らせるには、あえて中正の立場という概念を使わずに、租税法定主義の日本なんですから、この租税正義というものを実現する任務があるんだ、さらに納税者の税法上の権利を守ってやるんだ、おのずからそこで良識的に私は税理士の態度というものは出てくると思うのです。それをあえて中正なことばというものに固執して、十年間支障がなかったからこのことばはそのまま存置したというのが主税局長の答弁でありましたけれども、そういう中正な立場とか職責を使命に直すことによって税理士が何か使命感を持つ、こういうことを主税局長は使命感ということばで述べておるのですが、一体その使命感というのはあなたはどんなものだと考えますか。国税庁の考える、税務所管庁の考える一つの税収を実現するために税理士が使命を感じてこうやるという使命感なんですか。それとも納税者が法にうといから税法がむずかしいから、税法に規定されていないいろいろな特典があるから、そういう納税者の利益というものを守るという使命感がウエートを占めておるのか、一体今回の改正でそういう使命感というのが主税局長の答弁の中に出ておるのですが、あなたはどういうぐあいにこれを考えますか。その点ちょっとお尋ねいたします。
○松隈参考人 ただいま中正な立場においてという字句についての御議論があったのですが、中正な立場というのは、あなたのおっしゃるシャウプ勧告によって入ったのです。シャウプさんは、納税者は税法上の知識が少ないから、納税者に税法に精通している税理士をつけて、そうして納税者の知識を補充する、こういうのであるけれども、なおその立場を認めつつも、納税の義務ということは大事な国民の義務であり、それから見方を変えれば、納税の権利なんですね。納税なくして国家は成り立たないのですから、やはり正しい納税が行なわれるということが必要だ、そういう頭もあったから、私はこの中正な立場という字句が二十六年の税理士法に入ったと思うのです。その後の情勢は、中正な立場というものを削らなければならぬという情勢でなくて、やはり中正な立場において納税者の知識を補充してそうして正しい納税をする、これは納め過ぎを防ぐと同時に、納め足りないのも困るのであって、ある程度上げていかなければならぬ、こういうような点もあるとすると、この中正な立場という字句を残しておいていいのじゃないか。それと同じような考えがやはり委員の諸君を支配したから多数がこれに賛成してくれたと思うのです。 弁護士さんの例が出たのですけれども、私、弁護士でないからよくわからないので、間違っていれば訂正しますけれども、刑事弁護士の場合なんかは、場合によっては本人に不利のことを言わないでいいと思うのです。ところが納税上の場合には、納税者がこれは何とかしてごまかしてくれというような――これはことばは少し行き過ぎかもしれませんが、安く済ませたいといっても、それはやはりこの範囲までは経費に認められるけれども、これからは資本支出になりますよというくらいの納税者をリードするといいますか、指導する個所があるべきじゃなかろうか。そういう点からいうと、やはり納税者に、先ほど密着ということばを使ったのですけれども、密着も大事だけれども、密着だけではいけない。多少は学識経験者といいますか、税務それから簿記、会計の知識のある人としてそこに意見を加えていってほしいものだ、また行くべきじゃなかろうかというような意見が出まして、したがってこの中正なということばに対する愛着といいますか、賛成が多かった、こういうわけです。 以上申し上げたようなことは、ある意味からいえば、税理士さんの誇りとすべきものじゃないか。私は、使命感というのを主税局長がどうお使いになったか知らぬけれども、ある意味での税理士の自負心、誇りというようなものがあってしかるべきだという気もするから、使命でもいいのじゃなかろうか、こういうふうに思っているわけです。
○武藤委員 それは中正な立場という概念を使わなくても、租税正義の実現だっていいじゃないですか。租税正義の実現ということは、納税者の利益を守るというだけではないのです。国家の歳入全体を常に考慮して、租税正義を実現するということは、税理士の大きな使命ですよ。その中正な立場という形で何か納税者から特に引き離して国税庁なり税務所管庁なりのくちばしが大いに出せるような形に、おまえらは国家公務員に準ずるような立場なんだぞと言わんばかりの法の改正の中身が出ている、これが今日の傾向として私は非常に危険だと思う。ますます徴税権力というものが強化されていく、税理士は全くそういう機関の協力団体にすぎないような形に転落をしていく危険がある。ここは私は税理士会としてもたいへん心配をしていることだと思うのです。しかしその中身について参考人のあなたとここで議論をするわれわれは時間がありませんからやめますが、そういう点の検討をあなたは賛成している学者もおるから中正な立場でいいのだ、こういうようにおっしゃいますが、反対する学者もおるのです。中川一郎さんというのははっきり反対していますね。こういう表現は、先ほど私が申し上げましたような理由でまずい、これはやはり租税正義の実現という形に切りかえるべきだ、こういう学者だっておるのですよ。だから国税庁なりあるいは税調の言うなりになる学者と、いや、もっと次の段階を考え、国税庁の権力の乱用ということを心配したりして、こう直したほうがいいという意見もあったわけです。そういう点を部会としてもっともっと掘り下げ、慎重に討議をして、そういう討議の経過というものを税理士会にも発表するし、われわれにもその具体的な中身の重要な点についての経過は、ただこれだけの資料でなくて、もっと提出をしてしかるべきだと思う。そういう点の今後の会の運営については、私は十分反省をしなければならぬ点があったのではないだろうか、かように考えますが、いかがですか。
○松隈参考人 ただいまおっしゃった租税正義の実現ということについては、全幅の賛成でありまして、趣旨はこれでそれが出るという趣旨に調査会の意見が一致したわけなんです。調査会でも、この第一条の文句をめぐりまして相当の議論が行なわれておりますので、もし必要があればその速記録を国会のほうに提出しますれば、このことばはなくていいとか、租税正義感実現でいいとか、いやあるものを削ればかえってマイナスになりはしないかとか、それぞれの意見が出まして、これは多数決といいますか、空気を察して取りまとめを行なった、こういうわけで、したがって内容についていろいろの意見が出たことはおっしゃるとおりであります。
○武藤委員 時間がありませんから、要点だけちょっとお尋ねしておきます。あなたはいま税理士会の会長さんからいろいろ修正要望の項目が出されておるのをお聞きになっておったわけですが、この税理士会の修正の要望意見に対しては、現時点であなたはどう考えておりますか。将来において、ただいまの要望事項をどう処理することが適当だとお考えになりますか。その意見をひとつお聞かせ願いたい。
○松隈参考人 きょうは税理士制度特別部会の会長というような意味で出てまいったので、主として税理士制度特別部会はどうして、お手元に差し上げた答中を取りまとめたかということを中心に申し上げたのでありますが、個人的な意見となればそれぞれ問題点について意見は持っているわけなんです。しかし、税理士制度特別部会の部会長として、いろいろ意見があったまのを大局的見地から譲歩してもらい、一つの答申に取りまとめた私が、税理士会の修正意見について、これは賛成である、これは反対であると、中には賛成していいものもあり、中には反対する点が個人的にはあるのですけれども、いかに個人的な意見としてでも、公の席で、これは答申にはあるけれども、反対である、これは答申どおりだ、答申どおりのほうはまだいいのですが、そういうことは立場上非常に言いにくいということをぜひ御了察願いたいのであります。
○武藤委員 最後に一つ部会長にお尋ねしますが、先ほどのあなたのあいさつの中で、この答申は百点満点ではないと思うけれども、まあまあだとはっきり言われた。一体あなたはこの答申は点数につけたら何点ぐらいの答申だとお考えになりますか。
○松隈参考人 結局、その時点において、どの程度改正をしていくかという問題であります訴訟代理権は否決されております。しかし将来にわたって、訴訟代理権を与えないほうがいいのかどうかという問題になるならば、これは必ずしも将来ともノーという必要はないかもしれない。もちろん弁護士法との調整をはからなければなりませんから、介護士法との調整をはかる必要がある。それには今後時間をかけてやるべきではないか。まず補佐人の制度があるからそれを活用して、なるほど補佐人としてあれだけの働きをすれば、今後は共同訴訟人になる、あるいは独立してその訴訟代理権を与える、こういう問題に前進していき得るのじゃないか、こういう気がします。 それから税理士会に自主権を与えろ、これも方向として否定は非常にむずかしいと思います。弁護士会と同じようになりたいという点があるのですけれども、やはり弁護士会のほうからも意見が出まして、われわれもそれに同意したのですけれども、税理士制度が施行されてまだ二十年じゃないか。少し歴史も残い。その点では弁護士のほうがはるかに兄さんであり、おとうさんである。やがては自主権を持ち、監督権を離れ、懲戒権も持つ、こういう時期がくるかもしらぬが、一方、税務行政と民事なり刑事なりとの事件の差もあるから、そういう点はもっと時間をかけて検討し、なお税理士会の今後の成長も見た上検討していいので、現時点においてはそういう点も一応消極の返事だ。こういうことになりますので、今日税理士会からお出しになっている諸提案というものは、かなり先まで見通して、どうせ改正があるから、ここで一挙に獲得しよう、そこまで行きたい、こういうので、その希望はもっともといいますか、無理からぬことと私は思うのでありますけれども、やはりものごとは漸を追うていく必要があるし、ことに関係諸団体との調整というようなことも控えておるのですから、今後は実績をあげなさい、それと同時にPRももっとなさい、そうすればおのずからこういう道は開けてくるのじゃなかろうか。ですから点数は、いまの段階では、この程度ならば、百点とはいかなくても九十点くらいだと思います。しかし将来の希望が盛り込んでないということになれば、それは六十点になるかもしらぬけれども、それはもう少し時間をかすべきだ。答申の中にも、現時点とか、将来はこうすべきだというふうに、そこはかなり税理士会の立場を考慮して書いてある。その辺はひとつ御了察願いたい。
○武藤委員 われわれ部会がございますので、これで質問を終わります。
○山中委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 私は前川参考人に、二、三のお尋ねをいたしたいと思います。 税理士の代表が本法案に反対しておられる大きな理由の一つに、国税、地方税の実務経験二十年以上、五年以上の管理的地位にあった者に無試験で税理士の資格を与えるという点にあろうと思います。そこでお伺いいたしたいのは、常識的に考えてみまして、税務官吏を二十年以上、しかも管理職に五年以上もつとめた長期勤務の経験を持っておる税務官吏が税理士の能力に欠けておるということはなかなか断定できないと思います。十分の能力を有する者であると考えるほうがわれわれ常識的だと思いますけれども、税理士今はこの点について、長期勤続の税務官吏には税理士の能力が欠けておるというような前提でお考えになっておるかどうかを伺いたいと思います。
○前田参考人 いわゆる税務経験者に対する試験といいますか、税務経験者が税理士業務を行なう適格者であるかどうかということの判定は非常にむずかしい問題でございます。先ほど申し上げましたように、私どもは、現在の税理士業務というものが、この答申にありますように、もっぱら税務折衝を中心にして行なわれておるということには根本的に賛成できないのであります。いまの税理士業務の実態というものは、現在社会の企業がわれわれに要請しているものは単に税務折衝ではない。特に申告納税制度というものは、会計業務を基盤にしまして正しい申告所得を算出して、これにいわゆる税法に基づく税務調整を行なって申告するわけでございます。そういう意味では、会計税務を通じての高度の知識が必要だということが考えられるのであります。したがいまして、税務官吏であるから会計の知識がないのだということを申し上げているのではないのであります。ただ税務に関する実務、たとえば地方税にいたしましても、地方の役場の収人役を二十年、二十五年つとめたすべての者が、はたして税務とか税法とか会計を十分そしゃくして税理士業務を行なえるかどうか。そういう意味で適格性があるかどうかということの判定は非常にむずかしいのであります。したがいまして、高度の知識を備えておる税理士業務を行なう適格考であるという判定は、現在の税理士法は一般国家試験に比べてないのであります。したがいまして、国家試験に合格した者をもって、一応適格者であるというふうに判定をしております以上は、改正の段階におきましても特例なしに、一応国家試験という中で適格性を判定してもらいたい、かように主張をしておるのであります。
○竹本委員 ただいまの点は、いろいろ見解の相違ということもありますのて、時間もありませんので、これ以上追及はいたしません。 次に第二の問題をお伺いいたしたいと思いますけれども、税理士協会のほうで反対される表に立っての理由ということでないかもしれませんけれども、一つの理由として、なわ張りを荒らされるといいますか、そういう問題があるのではないかという点があろうかと思うのでございますけれども、現在の税理士の登録数か一万三千六百程度で、一般にまだ二万人は足りないのだということがよく言われておりますが、そういう意味からいたしまして、これを認めるということになりましても、税務代理業者はまだ多数必要である。実害は実際問題としてあまりないのじゃないかと思いますが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
○前田参考人 現在一万三千人全国におりますが、私どもはこの税理士の数が決して多いとも考えておりませんし、また極端に少ないとも考えていない。したがいまして、いわゆる資格認定制度によって多数のと言いますか、それに該当する方が税理士として資格を獲得されるその数については、私どもは何ら考慮は払っておりません。また先ほどの御発言のような多くの税理士がふえることによって、われわれの職域が侵害されるということも毛頭考えておりません。ただ税務官庁に長くつとめておいでになる方、個人的に言えば、たとえば主税局長さんとか直税部長さん等に対しまして、私どもは適格者じゃないという考えは毛頭持っておりません。しかしながら全国的に見て、二十年とか二十五年とかそういう一つの線を引っぱった場合に、その線に乗っかった人が必ずしも全部適格者とは考えられない、かように考えるのであります。たとえば現在あります特別試験は、税務署に二十年勤務されている方は特別の試験、しかも経験年数をしんしゃくした試験を受けておるわけであります。これとても全受験者が一〇〇%合格していないという事実に照らしましても、必ずしも経験者即適格者であるという判定は非常にむずかしいのではなかろうか。とすれば、いわゆる国家試験のワクの中で税務経験というものを生かしながら、いわゆる公平の原則という筋を通していきたい、かように考えております。
○竹本委員 いまお尋ねいたしました二つの点につきましては、税理士会の皆さんと私どもの考えとは違うのですけれども、それ以外の点につきましては、税理士会がいまいろいろ要望されておる点は十分理解できる客観的な根拠もあるというふうに、私どもは理解をいたしておるわけであります。 そこで、この法案をスムーズに実現していくという意味において、最後に一つ重大な点をお尋ねいたしたいと思うのでございますけれども、税理士会側の私どもが正当なる要求であると考えております次の諸点について、四つばかりございますけれども、そういう点についてあるいは修正あるいは附帯決議というような形で、税理士会の皆さんの要望に沿う、こういうような態度を決定いたした場合に、なおかつ税理士会のほうでは反対をされるのであるかどうかという点をお伺いいたしたいと思います。 問題の点は四点ございまして、一つは先ほど来御議論になっておりますが、税理士会の自主性の問題につきまして、社会情勢の伸展と、税理士制度の運営の経験にかんがみて、計理士の地位の向上と税理士会の自主性を確保するために、制度及び運営の両面にわったて改善と検討をはかる。 第二番目は、税理士試験の執行にあたっては試験審査会の中正かつ権威ある運営を確保するとともに、いたずらに暗記力のテストに偏しないように、試験場に税法等の参考のものを備えつけるといったような、具体的な措置を講じて、暗記力中心の試験にしない。 第三点は、税理士の税務代理権を尊重するとともに、納税者の権利、利益の擁護に遺憾なからしめるために、税務調査における事前通知の励行に万全を期するということ。 最後に第四点としましては、税理士に対する懲戒処分の問題は非常に重要でございますので、懲戒審査委員会の運営にあたっては、中正妥当な審議が行なわれるように、委員の人選に慎重適正を期するとともに、その審査会の自主的な運営をはかり、その議決を尊重するようにつとめる。 こういう四点について特に格段の注意を払い、またそういう意味での附帯決議なり修正案なり出せば、おおむね税理士協会の言っておられる点は、その要望をかなえることができるのではないかと思いますが、そういう場合においてもなお絶対反対という態度でいかれるのであるか。その点を伺いたいと思います。
○前田参考人 突然の御提案でございます。私ども従来この点に関しまして検討し、今日までまいったわけでございます。自民党の政審の段階におきましても、これらの点に関しまして、いろいろと意見を具申してまいったのであります。今日この制度の中で最も問題になっておりますのは、総論としまして、この税理士制度というものが、いわゆる納税者の権益を擁護するために、納税者の代理制度としてわれわれは把握したいということ。 それから自主性の問題につきましても、いわゆる懲戒権の問題でありますが、これらも現在われわれの全国組織の中でいろいろな問題が起きております。また税理士会自体が、自主的に会員の規律を規制しつつまいっておるのでありますが、今回改正にあたりましては、われわれが従来主張しております重要な問題につきまして、今回の政府提案との間に、相当の開きがあるということを考えておるわけであります。ただ、ただいまの御提案に対しまして、私どもは今回は四月二十二日のこの税理士制度全般に対して、もう一回総括的な修正意見というものを決議しておるのでありまして、この御提案に対しましてはその趣旨がよくわかるわけであります。しかしながらこれについてはわれわれの会の組織というものがございます。それに慎重に審議してはかってまいりませんとこの場ではちょっと御即答申し上げかねる、かように考えるわけであります。単に私どもは、この制度がいまわれわれが要望しております事項を何が何でも全部実現したいということをのみ考えておるわけではないのであります。しかしながらこの制度が、われわれの期待しております民主的な、理想的な制度というものが確立されるように希望しておるのであります。したがってただいまの御提案は、できますれば私どもの会の中で十分に審議をいたしたい、かように考えております。
○竹本委員 これで終わりますが、問題が非常に重要でございますし、従来の行きがかりも非常に複雑でありますので、参考人の御意見も結論としていろいろむずかしい点があったろうかと思いますけれども、私どもは、先ほど来いろいろ論議がありましたように、漸進的に制度の民主化をはかっていくという立場において、しかも税理士協会が言われておる納得できる点についてはできるだけの要望にこたえるというような線におきまして、いまの問題を前向きで取り上げてみたいと思っておりますので、この上とも慎重に御検討をいただき、また御賛成もいただきたいと思っております。 これで終わります。
○山中委員長 渡辺美智雄君。
○渡辺(美)委員 ごく簡単に前の人たちから質問にあったものをなるべくはずしまして、そうでない部分について御質問申し上げたいと存じます。端的に結論だけをお伺いできればけっこうだと思います。 松隈先生はかつて税理士会長もやられまして、税理士会の内部の問題等についてはどういう希望があるかということはよく私は御存じあったはずだと思います。今回の税理士法の答申をつくるにあたって、政府が考えておることと税制調査会の税理士部会の考えていることと必ずしも全部が一致しておるかどうかということになると、私は非常に大きな点で疑問を持ったわけです。その一つは、今回の無試験認定制度というものを取り入れるということは、これは公には言っていないけれども、労働組合の諸君が言っているように、団体交渉によってわれわれは二十年、係長三年によって無試験で税理士になれるということを獲得をしておるのだというふうなことを言っておるわけであります。はたしてそれが真実であるかどうかは私はまだ確かめていないわけでございますが、しかしながらどうもこの法律案というものは、それを裏づけるような点が多々ある。また先生が答申の過程で、そういうふうないまのような労働組合対策として打ち出されている面があるというふうなことをお気づきであったかどうか、この点を伺いたいと思います。
○松隈参考人 税理士となる資格につきましては白紙で検討をいたしました。特別試験というものが暫定的な制度であるので、これは廃止しなければならないということについては意見が一致しておりますので、その後の形が現行の一般制度だけでいいのかどうかという点について、他の同じような政府によって資格を認定されている何々士とつく者の資格を与えられる条件、さらに外国のアメリカなりイギリスたりの制度等も参酌した結果、やはり現在の税理士のあり方としては、主として記憶力がものをいう一般試験、それもいままでのような試験は、どうも長所もあるけれども弊害が相当多い。そこでこれに改正を加えるほかに、税務代理という中には税務交渉ということもあり得る。そこで多年の税務経験があり、ことに管理職もつとめた人たちならば、簡易な試験によって税理士の資格の認定を与えることは制度として決してほかの制度と違った、ちぐはぐなものではない。外国の立法例にも相反するものでない。むしろ特別試験をやめて一般試験だけにしてしまうと、税理士だけが特別のものになってしまう。税理士だけそう特別なものにする必要性がどこにあるのかということを言う人のほうが多かった。ですから、たまたま税務労組の要望することに近寄っているかもしれませんけれども、労組の要望があるからというのじゃなくて、制度を白紙に戻して特別試験なきあとの一般試験のあり方から検討し、それから他の類似の資格認定制度、それから海外の資料まで調査して討論した結果、まあこれがよかろうということに意見がまとまった。その間に税理士会としては好ましくないという意見が出たので、満場一致というわけではありませんけれども、大多数が賛成して答申ができた、こういう実情であります。
○渡辺(美)委員 もっと簡潔にひとつ結論だけをお答え願えばいいのですが、どうもいまの御答弁を聞いておると、前の答弁の繰り返しであって、私の質問した部分についてはなるべく触れないというふうな私は感じに受け取ったわけなんです。特別試験を税理士会ではなくしてくれという要望は、何のためにあったのかということをお考えを願いたいと思います。特別試験をなくしてくれということは、税理士会で考えておったことは、要するに特別試験は非常にやさしい試験をやる。そのほかに実務経験ということで非常にたくさんの特典をくれる、こういうことで、税理士の質を一方において一般試験で高めていこうとしながら、他方においては甘くなっておる、こういう不均衡なことをいつまでもやるということは不合理である。したがってこういうものは法律でも当分の間と、最初は五年間と区切ったのですが、そのうち当分の間と限ったのだから、当分の間でやめるべき筋合いであるということから、税理士会ではなくしてくれという主張があったものと思います。しかしながら松隈先生のお話を聞くと、特別試験をなくすのだから、この際全体的に考え直すのだというふうなお話なので、どうもそういう点がひとつ納得いかないのであります。 それからもう一つは、特別試験をやったときには、大体七五%くらい受かっているのです。七五%の合格率というのは試験では相当高等学校の入学試験よりもやさしいのじゃないか、非常にやさしい試験であろうと思います。その落っこった二五%の中には非常にひどいのもあるようであります。ところがそれは相当管理職的な地位にある方もある。しかし今回は、たとえば点数はかりに今度は試験をやらせれば零点しか取れなかった人も、管理職で五年やったから、実務交渉はできるから税理士にするのだというふうな、学科試験はできなくてもいいのだというようなお考えですか。
○松隈参考人 税務行政に二十年以上従事し、管理職五年以上やった人というのであれば、税理士の資格の認定を与えても税理士業務はやっていけるというのが調査会の委員の大多数の意見であったから、この答申がまとまったわけであります。なるほど記憶力中心で若い者でないと受からない、そういう試験もけっこうですけれども、税務の職に長くあって、そして税務行政の実際を知っておる人が税理士になり得ないかというと、そういうことはない。現に現在の税理士の約半数の人というものは、この税務職員であった人が認定でもらっておる。その人が大部分不適任かといえば、それはりっぱに税理士業務をやっておられる。やはりこれは本人の勉強するという心がまえの問題と思います。それから簿記、会計のことについて、税理士は使用人を使うこともできる。ですから、使用人を使い、そして自分が判断するということもできる。それから自分が勉強すれば、自分も相当の知識を養うことができるというふうに考えるのが常識的だ、かように考えます。
○渡辺(美)委員 これは非常に重大なお話をいま承ったわけでございますが、簿記、会計のことはわからなくてもいいとはおっしゃらないけれども、まあそういう意味だろうと思うのです。使用人を使えばいいんだというふうなお話でございますが、これは私は非常に問題だと思うのです。いままでの税務というものは折衝ということが中心でしたが、いわゆる青色申告制度が取り入れられて、課税標準が客観的に成規な簿記の原則に従って決定をされるというふうなことになってきた。したがってこれからの税理士の業務というものは、むしろ折衝なんかは何にもないほうがいいのじゃないか、調査なんかもないほうがいいのじゃないか。あまりにも整然と明瞭にできておって、そして終局的には、税理士が出したものは無審査というくらいまで持っていこうというのが、私は税理士法というものをつくられたところの一つの理念じゃないかと思うのです。したがって、いま税理士の方は、税務官吏からなった人もたくさんいるじゃないか、だから、もとのとおり、税務代理士法時代に逆戻りしたっておかしくないのじゃないかという先生のお考えのように私はお見受けしたのですが、やはりこれからの税理士法というものは――いま私が言ったように、レベルを上げていくという方向でいままで進んできたんだから、現在の改正というものは、その点から見るとちょっと後退だというような気がするのですが、御意見はいかがでございますか。
○松隈参考人 税理士の資質を向上させるということについては、もちろん税理士自身が心がくべきことであり、同時に税理士会もそれを一つの仕事とすべきことで、そういう点の改正についても一歩前進していると思うのであります。それはそれとして、試験制度なり資格付与について考えれば、いまのような記憶力一点ばりといえば少し強過ぎますが、そういう試験だけよりは、実務経験者を簡易な試験によって資格認定していくという制度をあわせ用いることは一向差しつかえない、それを排撃するものではない、その資質の向上の処置については方法はある、かように思っております。
○渡辺(美)委員 どうも私の質問の核心に触れてもらえないと思うのですけれども、いまの先生のようなお考えで、つまり簿記や会計なんかは、自分がわからなくたって使用人がわかるんだからいいのだ、だから使用人を使ってやればいいじゃないか、こういうふうなお考えで、要するに簿記、会計というものを税理士会は尊重しているにかかわらず、これを試験の必須科目から選択科目に移した、そういう答申を出した、そういうことでございますか。
○松隈参考人 簿記、会計を軽視しろなんて決して言っておりません。簿記、会計は大事なんです。だけれども筆記試験という試験があって、それが記憶を中心としている制度一本ということは、制度のあり方として不適当だ、他の制度と比較し、外国との比較においても、それは一種の、何といいますか、制度としては常識的に受け入れがたい制度だという意見が多数であったから、こういう答申になったわけであります。
○渡辺(美)委員 先生は簿記、会計を軽視しろと言わないと言うのですが、私も、ともかく暗記にたよる筆記試験でなくてはだめだということも言っているわけじゃないのですけれども、とにかく実務経験をしんしゃくしたいままでのような特別試験のようなものを税務官吏に続けていったからといって、特に暗記にたよる試験とはいえないのじゃないか、いままでどおりの特別試験というものをやっておいたほうが、税理士会も無試験認定よりは反対が少ないのではないか、そのほうが筋が通るのではないか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがでございますか。
○松隈参考人 特別試験制度を存続すべしという意見がなかったわけではありませんけれども、特別試験制度というのは計理士さんの処遇なんかともからみ、それに合わせて税務官吏の経験者も受験者にしましたけれども、特別な理由において設けられた暫定制度であるから、これを廃止するほうを先にし、あとは十年間の税務行政の実績、それから税理士制度の運用から顧みて、この際税理士法を根本的に改正するとして、資格付与の制度はどうあるべきかということを議論した結果の取りまとめ、こういうわけでございます。
○渡辺(美)委員 これで最後でございますが、簿記、会計を試験からはずしたという思想については、答申をされた会長の御意見がよくわかりました。あとは委員会において政府側に質問をしてまいりたいと思います。 以上で私の質問を終わります。
○山中委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人には御多用中のところ長時間にわたり御出席をいだき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お述べいただきました御意見は今後当委員会の審査の参考に資してまいりたいと存じます。 厚く御礼申し上げます。 ――――◇―――――
○山中委員長 続いて、公認会計士特例試験等に関する法律案について、日本公認会計士協会会長辻真君及び全日本計理士会会長平木信二君の両参考人から御意見を聴取いたします。 両参考人には御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。本日両参考人の御意見を伺いますことは、本委員会の審査に多大の参考になるのと存じますので、両参考人におかれましても、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 まず、両参考人から本案について御意見を述べていただき、その後に質疑を行なうこといたします。 それではまず辻参考人からお願いをいたします。
○辻参考人 時間がございませんので、きわめて簡単に意見を述べろという御命令がございましたので、公認会計士協会が考えております最も重要な点若干について申し上げてみたいと思います。 特例試験法案に対しまして、日本公認会計士協会が意見を定めるにつきまして、その基礎になりました考え方が幾つかございますが、その考え方のうちの一つ、二つについてまず申し上げてみたいと思います。 第一は、公認会計士というものは、制度としては日本の公認会計士の制度はすでに世界的な水準にまで達しているといわれております。私どももそう考えております。この事実は、すでにこれが米国とかヨーロッパの各国に知られようとしている段階になっておりまして、たとえばアメリカのある州におきましては、日本の公認会計士の資格者は向こうの試験を経ずして、アメリカで業務が行なえるような登録をしてやろうというほどの話まで出ている段階でございます。それは何かと申しますと、先般アメリカのカリフォルニアの公認会計士、あちらの公認会計士の試験委員長が参りましての話に、日本の公認会計士制度をつぶさに調べまして、ことに試験制度その他につきまして調査をいたしました結果、大体アメリカの公認会計士と同じ水準に来ていると思うから、それで特別にアメリカの試験を受けずしてアメリカにおいて業務が行なえるような取り計らいをするように努力しようということで別かれておりますようなわけでございます。やはり世界的な水準に達しておるということは、まあいろいろ問題もございますが、日本におきます現在の試験制度が非常に高度の試験を行なっているということがそうした現状を持ち来たした大きな理由だと考えておるわけでございます。 それから、日本の経済界の現況はアメリカ、ヨーロッパに大きな資本を求めなければならないという状況でございまして、アメリカにおきましてはADRと呼ばれております日本の会社の預託証券がアメリカの市場に上場されておりますが、これらはまあ現在はアメリカの公認会計士の監査証明をつけることを条件にして向こうに登録されておりますものでありますが、それが日本の公認会計士が高い水準の制度であるということが認識されてまいりますることによりまして、必ずしもアメリカの公認会計士の監査証明でなく日本の公認会計士の監査証明でもよろしいんだという方向に向けるべくわれわれは運動をしてPRをいたしております。これは最近の状況ではかなり耳を傾けてきておりまするようにわれわれは見受けておるのであります。その例といたしまして、昨年の末、日本の数会社が、アメリカでございませんでロンドンの市場で預託証券を上場するようなときに、日本の公認会計士の監査証明でもよろしいだろうという話が現実に出ていたのでございます。こういうふうな実例が積み重ねられまして、徐々にアメリカの公認会計士の監査証明でなくとも日本の公認会計士の監査でよろしいということになりつつあるように私どもは見受けているのでございます。これは日本の公認会計士の――まあ私どもは世界的な水準だとひそかに誇っているのでございますが、何といたしましても日本の公認会計士になりますについて、高度の試験があって、そしてそういう試験を受けることによって公認会計士になれるのだということが世界の信頼を集める基準になるんだ、こう私どもは考えておりますので、私どもは、公認会計士法の改正に関するいろいろな措置が行なわれたとき、第一に現在の試験水準をくずさないということが絶対必要なんだ、こう考えておるわけでございます。 次に、日本の公認会計士制度は戦後できましたものでございますが、これは一般大衆投資家のために設けられたものであることは申すまでもございません。ところで、そのためには一般大衆投資家に対しての期待にこたえるようなわれわれは姿勢を整えなければならないはずでございます。そのためには、まず一般投資家の信頼がなければならないということを私どもは常に考えておるのでございます。ところで、信頼をつなぐためには、結局われわれは質のいい仕事をしていかなければならないということでございますが、現在のわれわれの仕事の現実の姿を見ますと、われわれとしてははなはだ遺憾でございますが、必ずしも一〇〇%いい仕事を全部がしているとは言えない事例をときに見ることがたいへん私ども遺憾なのでございますが、正直に申し上げまして、そういう仕事の内容が不十分であるという若干の仕事の実例を見るのでございます。これは私ども全くみずから謙虚に反省をいたしまして、これは何とかして社会の信頼をかちうるようないい仕事をしなければならぬということにわれわれは全力を上げようと、公認会計士協会はそう考えて努力を重ねているわけでございます。こういうふうな二つの事柄が――そのほかたくさんございますが、時間がございませんので、省略いたしますが、この特例法案の賛成か反対かという意見をわれわれがきめます上の基礎的な、基本的な考え方になっているのでございます。これを要約いたしますと結局いかなる法律改正でありましても、現存の公認会計士の質を低下させるような、あるいは質を低下せしめるであろう危険を持っているような改正には応対せざるを得ないというのがわれわれの立場でございます。このことは公認会計士の試験のあり方につながる考え方でございます。 そこでちょっと試験というものにつきまして一言ここで申し上げたいと存じますが、たとえば筆記試験というものをできるだけむずかしくすればそれが直ちに公認会計士の資質の向上を結果するものだとはもちろん言えないと思います。しかしながら試験が厳格であり高度であるということが公認会計士の質を高め、そうして社会の信頼をかちうる一つの要素になるであろうということも疑いないところだろうと存じます。私は現在の試験制度、特に三次試験の制度につきまして、その制度そのものや運営の方法の内容に改善を要する点がたくさんあると考えております。しかしそれだからといって現在の試験を安易に、試験の質を下げるということは私どもは反対するところでございます。 そこで、時間がございませんので具体的にこの特例試験法案に対しまするわれわれの考え方を申し上げますると、まあ職業会計事務の制度が現在計理士と公認会計士の二本立てでございますこれは昭和二十四年以来の制度でありまして、この二本立ての制度で約十五年近く経過して現在に至っております。その間公認会計士、計理士ともに平穏無事に職業に従事いたしまして、そして車の両輪のような関係において経済界に貢献をしてきて現在に至っていると思うのであります。本案では、監査制度の上から見まして、職業会計事務の一体化が集まれているということが立案の出発点のように考えられますが、一体十五年の歴史を無事に経過して現在に至って特に今日ここで、急速に一本化を行わねばならないという動機がどこにあるか、これは私どもちょっと理解に苦しむ点なのでございます。ことに、これはちょっと脇道にそれますけれども、関連がございますので申し上げたいと思いますが、先ほど来、税理士法の改正の論議が重ねられておりましたが、税理士法の目的の中に、付随業務ではございますが、財務諸表の調製その他の会計事務も加えられるような政府案が出ております。一方におきまして、公認会計士制度の中に、職業会計専務としての一本化が望まれているという主張があって、そういうふうな一項がございますと同時に、税理士法におきましては、税理士が、付随業務ではあるけれども、財務諸表の調製の業務をはっきりと明文できめるというふうな考え方が出ておりますが、これはちょっと政府のほうで考え方において矛盾をしておるのではないかと私どもは考えております。 次に、職業会計人制度を一本化するために、本案は計理士を廃止しようと考えておいでになります。もしいうがごとく特例試験の水準を三次試験と同程度にいたしますれば、従来の過去の実績から見まして相当多数の不合格者が出るのではないかと想像せられます。この不合格で終わった方々は税理士のほうへ移向することになるという考え方が入っておりますが、しかし私は、計理士の皆さん全部が計理士の名称を捨てて、看板を捨てて、この場合職業会計人制度の一本化のためにあえて犠牲を払う、犠牲を惜しまないという覚悟を一体していられるのかどうか、こういう疑念を持っているものでございます。このことは特例試験の水準がしんしゃく点その他によりまして程度の低い試験になるおそれがあるのではないかという疑念につながるものなのでございます。この点につきましては、大蔵省側の三次試験と同程度の試験を行なうのだからということの言明のほかには何にも保証がなされていないと考えられるものなのでございます。 次に、特例試験は前後五回施行せられることのようでございます。従来の特別試験の前例を見ましても、数回この特別試験の制度が延期せられております。そこで、特例試験の場合も、今回の特例試験をかりに実施されました場合も、臨時措置は実際は延期に延期を重ねて半ば恒常的な試験制度となるのではないかという疑問を私どもは抱かざるを得ないわけなのでございます。 そこで次に、これは私どもとして特に御記憶願いたいのでございますが、われわれの立場から申しますと、今回の立法は簡単に申しまして特例試験法という単独立法の形をとっておられますが、しかしこれは公認会計士制度の一つの変革であろうと存じます。ところで、われわれの業界におきましては、急速にここで解決をしなければならない大きな問題をたくさん持っているわけであります。たとえばわれわれが行なっております監査業務が当面しているもろもろの、いろいろなむずかしい問題を持っております。これは制度的にも何とかして解決していかなければならないと考えております。それから、三次試験の制度そのもの、それから三次試験の実際の運営の内容、これらにつきましても再検討を特に必要とすることをわれわれは痛感しておるのでございます。それと、二次試験を受かりました会計士補のインターンの制度でございますが、この制度が必ずしも十分に行なわれていないという現状でございます。これも急速に再検討いたしまして、何とか改善の道を講じなければならないという問題を私どもは現に持っておるものなのでございます。こういう問題をあと回しにいたしまして、特に特例試験をここで上程せられてこれを法律化なさろうということには、私どもは反対せざるを得ないものであります。 ここでついでに申し上げておきますが、三次試験の内容の改善と、それからインターン制度の改善、この二つの問題は、急速に政府においてお取り上げを願って、そして何とか解決の道をつけていただきたいということを、特にこの委員会にもお願いをいたしたいと思うのでございます。 さようなことでございまして、結論といたしますれば、本案には、前にも申しましたような理由によりまして、これはごくわずかな理由でございますが、時間がございませんのでこの程度にいたしておきますが、とにかく反対ではございます。しかし、最後に一言申し上げておきますが、この計理士、公認会計士の間の問題は毎年のごとく蒸し返されて十年の経過を見ております。これはお互いに不利益であり、お互いに好ましい姿ではございません。これが現実の姿とすれば、私どもも早くかかる姿を払拭するように努力いたしたいことを私どもは念願をいたしております。できるだけ早く抜本的な解決をしたいということを私ども念願として抱いております。ただ、この場合におきまして、この特例試験法案には残念ながら賛成申し上げるわけにはいかない、こういうことでございます。 大体私の意見は以上でございます。
○山中委員長 次に、平木参考人にお願いいたします。
○平木参考人 簡単にという要望がございますので、計理士会を代表いたしまして簡単に要旨を述べさせていただきます。 御承知のとおり、計理士法が昭和二年に制定されまして以来三十七年に相なる次第でございますが、その間、昭和十七年には税務代理士法がつくられ、また二十三年の占領下には公認会計士法がつくられまして、計理士の職域を大きく剥奪されたわけでございます。そして二十六年には税務代理士法が税理士法になりまして、従来、税務代理士時代には計理士の権威というものが認められ、計理士はそのまま税務代理士になれることになっておったのでございますが、二十六年にはそれをとってしまって公認会計士に入れかわっておる。そのために数年間に実は計理士は数人の自殺者を出したわけでございます。特に二十九年は二人も自殺。何がゆえであるか。と申しますのは、従来先生として商売しておった、それが税務署もどこも行けぬ、そのために得意先がみな逃げてしまう、そういう関係で、二十九年には二人の自殺者を出しました。今日までに、大体三十一年に税理士の特別試験が実施されますまでの間五年から六年間に七、八名の自殺者を出したのでございます。それが先ほど来論議になっております特別試験とつながっていくわけでございます。 一方、公認会計士法も二十三年にできまして、何ら計理士に対する措置々講ぜずにそのままぶった切る。ちょうど計理士をへそのような役割りに当局が使われたというふうな結果に相なっておるわけでございます。日本の職業法規また世界のどこを調べましても、従来法律に認められてその職をやってきた権益を侵す場合においては、その善後措置を必ず講じておるわけでございます。戦争中、いろいろ得業士というものを認めた。その人命にかかわる得業士でも戦後は医師として認めて売るじゃありませんか。それが、何がゆえに計理士だけ今日まで何一つ認めずにきたかということでございまして、この点、二十三年に公認会計士法ができまして以来今日まで十六年間、毎年国会に陳情してまいった次第でございまして、計理士としては、それらの措置を何らかの形で講じてもらいたいという念願でございます。そのためには、当時特別試験というのがあったわけでございますが、その特別試験は公認会計士法をつくりますときにどうしても司法制度をもっていくという考え方で、究極、公認会計士法をつくらざるを得ないような立場にあったわけでありまして、そういう関係から、計理士、税理士それから官吏の方、また会社の十年以上経理をやった経理マンででも同じ条件において試験を受けさせたわけでございます。あれが計理士だけの特別試験ならばわれわれも喜んで応じたはずであります。そのために当時計理士会におきましては、そういう不当な試験は受けないということで、不受験同盟を結びまして、受けぬ決議をいたしたのでございます。今日御出席の辻参考人はじめ公認会計士の幹部の方々は計理士会を脱退して受けられた方々でございます。われわれは決してやさしい試験を受けようとは申しておらぬ。当時の特別試験と同じ程度のものを受けるならば――先ほど来、辻参考人が申されたように、日本の公認会計士制度が決して程度の低いものではない。現存の公認会計士の約七百人近い――計理士から受けられて、しかも会長をはじめ、幹部を占められておる方々がその特別試験によってしんしゃく点をもらってやられた方々でございます。その方々が今日、社会的に認められる制度である、非常な高度の試験であるこれは第三次試験をさされるのかもしれませんが、それをもって決してやさしい試験ということはわれわれは申しておらぬ。今日まで十六年間戦ってきて、そしてわれわれはここで初めて試験を受けようじゃないか、と申し述べますのは、御承知のとおり公認会計士法ができましたときに計理士制度が廃止になりまして、そして公認会計士法の附則に載っておるわけでございます。現在は一名もふえておらぬ、最年少者が三十七、八歳でございます。そして五十三歳近い平均年齢を持っております。どちらかといえば、死ぬのを待たれておる制度が今日の計理士の制度でございまして、もう十年すれば六十何歳の平均になる。われわれは今日二千人なり三千人なりまとまっておるときに、どうせ死ぬのを待たれておるのならば、ここにいさぎよく計理士制度を廃止して、われわれも十六年間毎年国会へ陳情し騒がしておったが、ここらでもう終止符を打とうではないか、そのためには計理士だけの試験にしていただきたい。そして現在の公認会計士の幹部の方々が受けられた程度の試験で、同じ程度のしんしゃく点をいただきたいということをお願いしておるわけでございます。現在公認会計士の幹部の方々も、二十三年当時はそういう不当な試験があるかと言うて非常に立腹され、そしてGHQに陳情された方々であります。いまから三年前に公認会計士審査会がレポートによる試験という答申を大臣に出しておるわけでございます。このレポートならばわれわれは非常にうれしいのでございますが、その後、二年前に私が計理士会の会長に就任いたしまして以来、辻公認会計士の会長、その他副会長の方々とたびたび折衝いたしました。そして公認会計士側の意向としては、何とか試験にしてくれ、こういう御要望がありましたために、私は会の幹部と、もうここらで終止符を打たなければならぬ、このために十六年間、絶対試験は受けぬといってがんばってきたが、われわれもだんだん一年々々年を取るから、ここらで勉強して、若い君に何とかよけい勉強さして、年寄りはどうでもいい、とにかく試験を受けよう、そうすれば、公認会計士協会も反対せぬからということで、実は一年有半にわたりまして幹部のものが一致結束いたしまして、全会員を口説いたわけでございます。そのために十六年間――昨年の国会だけは国会陳情をしなかったのはなぜかと申しますと、全会一致で計理士制度の廃止と、そしていままでの看板をおろして試験を受けよう、この意思の統一のために昨年は何ら国会に陳情をせずにもっぱら会員を説いて回ったような次第でございます。 ここにおきまして政府案の試験の問題でございますが、私たちといたしましては、もうこれ以上譲歩できない最低の段階でございまして、あの試験の中ででき得るならば、税理士の資格を、持っている者は、会計実務の中に税法を含むことになっておりますが、それを除いていただきたいと思いますのは、二十六年に税理士法ができまして計理士が削られて公認会計士が税理士になるということになりましたときに、初めて公認会計士第三次試験に税法が入ったのでございまして、そういう趣旨、それから商法でございますが、ただばく然と商法となっておりますが、第三次試験の検定試験に商法がありますが、その中に海商法と手形法、小切手法を除く、こういうふうになっておりますが、この商法も第三次試験の検定と同じようにこの三法は除かれるように私は解釈いたしておるのでございますが、でき得るならばはっきりその中に書いていただきますならばまことにけっこうではないか、かように考えておるわけでございます。十六年間、しかも日本の経済発展に伴いまして今日の職業会計士制度の発展を思いますときに、計理士が果たしてきた役割りというものを十分御認識願いまして、そして、今日まで全部ぶった切りで何一つ打ってない。建築士から産婆からあらゆる法案というものは全部見ておるのでございますが、大蔵当局がつくっております職業法規の中で、この計理法だけがぶった切りの捨てぎりというような状態でありまして、どうか国会で十分に御審議願いまして、われわれの十六年間の意図を十分くんでいただきたいということを特にお願いいたしまして、簡単ながら意見の開陳を終わります。 ―――――――――――――
○山中委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 公認会計士の代表の方にお伺いをいたします。 公認会計士の今後のあるべき制度の問題につきましては、私金曜日に約三時間にわたりまして当委員会において論議をいたしましたので、私の真意は追って会議録等によってごらんをいただきたいと思います。 そこで、現在のこの第三次試験のあり方につきましては、私もやはり何らか改善がされるべきであるという判断に立っております。そこでその改善につきまして私どもは次のような考え方に基づいて改善をしよう、こういうふうな考え方をいましておるわけでありますが、それについて公認会計士の代表の立場でお答えをいただきたいと思います。 まず第一点は、現在の法律では筆記試験の合格者だけに口頭試験を課するということになっておるわけでございますが、しかしこれでは実は口頭試験を課するについてのメリットというものが十分ございません。筆記試験に合格するということは、それだけで本来ならこれまでは合格をしておったわけでありますから、その点について少し幅を広げることによって、そこに口頭試験を受けられるものを二通りに考えまして、たとえば筆記試験で四十点以上とった者は口頭試験の受験資格を与える、たとえば五十点以上をとった者については今回の法律どおり口頭試験の受験資格が向こう二年間与えられるということにいたしまして、できるだけ多くの方が口頭試験を受けられることによってその能力の総合的判断が行なわれる機会を開いたらどうかということを第一点として考えております。 それから第二点としては、公認会計士の第三次試験は技能に関する試験だけに限られておりますけれども、私は金曜日の論議でも明らかにしてまいりましたけれども、公認会計士につきましては、技能ももちろん必要でありますけれども、現在投資家保護の立場から要請をされております公認会計士のあり方というものは、やはり高い一般的な知識及び資質を備えていただかなければならない、こういう判断をいたしておりますけれども、現在の三次試験というものはやや技能に片寄り過ぎておるという判断をいたしました。そこで、この一般的な知識、資質の問題につきましても、一応論文を提出をしていただいて、それに基づいての口頭試験が行なわれるということになりますならば、あるべき公認会計士の制度により近づき得るところの高い資質の公認会計士が三次試験によって生まれることになるのではないか、こういうふうに判断をいたしまして、これらにつきましては、当委員会において現在の法律に関してあらためて修正をいたしたらどうか、こういう考え方をわれわれは持っておるわけでありますが、片方でいまの一般的知識、資質の判断のための論文提出を三次試験に求めますので、同様に特例試験におきましても一般的知識及び資質を判断するための論文提出を求めることにいたしたらいかがであろうか、特例試験においてもさような措置を講じてはいかがか、こういう考え方を持っておるわけでありますが、これにつきまして、公認会計士及び計理士の代表の方から御意見を承りたいと思います。
○辻参考人 ただいま御意見がございましたが、私で先ほど申しました三次試験の内容とインターン制度、これは相関連があることでございますが、それを急速に再検討することにいたさせていただきたい、こういう希望を述べたのでございますが、ただいまの御意見を伺いますと、それの一つのあらわれのようにも感ぜられます。ただ、これは団体とすれば当然かもしれませんが、協会の正式の意見としてただいま賛成とか反対としか申し上げてないのでございますが、私のただいま伺いました印象からしますれば、私どもが考えております三次試験の内容の再検討、それの一つである、こういう意味合いに受けとれますので、大体賛成することができるんじゃないかというふうに考えます。なお、それだけでわれわれが考えております三次試験の改善とは必ずしもならないし、もっとほかに問題はたくさんある。そこでできますならば、三次試験の再検討、それからインターン制度の再検討、こういう二点につきまして、この委員会で附帯決議でもしていただきますと、私どものほうでもたいへん張り合いが出るということだと思います。なお特例試験に同じような制度を設けるということでございますが、これは私どものほうでは特例試験のやり方は反対をいたしておりまして、ちょっと私ここで申し上げることは矛盾するんじゃないかと思いまして、この程度にいたしておきたいと思います。
○平木参考人 第三次試験の問題につきましては、私のほうは別に考えはございませんが、特例試験の問題でございますけれども、大体監査というものは、学科の理屈じゃなくて実際は人格の反映なんです。膨大な会社を少ない人員で精密に監査できるわけはないのでございます。こういう意味におきまして、この口頭試問が学科的な口頭試問ではなくて人物本位のものであるならば非常にけっこうじゃないか、かように私は考えておるわけであります。それで試験の内容が論文形式もけっこうでございます。
○堀委員 公認会計士の問題につきましては、インターン制度等につきましては私どもも改善の余地があると思いますから、それらにつきましては政府に対して要望をしていく考えでございます。 ただいま計理士会のほうでちょっと誤解があるといけませんので申し上げておきますが、特例試験にいまの一般的知識、資質の判断のための論文の提出を求めますについては、これは論文の提出にとどめたいと思っております。と申しますことは、特例試験には御承知のようにしんしゃくの問題も加えられております。ただしかしそれだけではやはり一般的な知識、資質の判断をいたしますのに不十分であるという判断をして、現在が七科目でありますならば、一科目ふやして八科目として、資質その他についての一般知識を含めて特例試験というものが行なわれるようにしたほうが、より公認会計士たるにふさわしい条件になるのではないか、こういう判断でございますので、そういうことで大体もうおおむねよろしいとお考えになるかどうかをちょっと伺います。
○平木参考人 大体よくわかりました。いまのような御趣旨ならそれに反対はないと考えております。
○山中委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 最初に平木参考人にひとつ伺います。 特例試験が第三次試験より平易な場合には、いわゆる計理士会員の皆さんの横すべりということになります。ところが三次試験と同様にむずかしいものであるということになりますと、先ほど来御論議がありましたように、これをパスする人は一割程度になるだろうということも言われておりますが、一割になるか二割になるかは別といたしまして、この試験に落第して、しかし計理士制度が廃止されたということになりましたそのあとの計理士というものは、既得権を失うというようなことになると思います。その点についての協会のお考えはどうですか。
○平木参考人 現在の形自体が、法律の上では公認会計士と税理士、この二本建てになっているわけでございまして、計理士自体は公認会計士法の附則に載っておって、新しくふえておらぬ。毎年死ぬ者また転業もありまして、漸次減っていく状態でございます。そういう状態のときでありますから、現在税理士業によって生計は維持できる、こういうふうに言っておるわけでございます。また試験でございますから、私は相当数やることを心の中では希望いたしておると思っておりますが、それと同時にしんしゃく点も経験年数によってございますから、本人が一生懸命に勉強するならば、私は第三次試験の率そのものがこっちに当てはまるというふうには思っておらないのでありまして、初めから入学試験や入社試験ではございませんので、一定の点数がとれればいかれるものである、かように考えております。
○竹本委員 次に、辻参考人にひとつ伺いたいと思います。 今度の問題につきまして、公認会計士協会の一部からはいわゆる怪文書が出たり、週刊誌がまたそういうものを取り上げたりしたようでございますけれども、そう問題の取り上げ方、あり方というものについてどういうお考えを持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○辻参考人 いわゆる怪文書ということで御質問をいただきましたわけでございますが、公認会計士の資格を持っております一部の者が、ああいう文書を配りましたりいろいろなことをいたしたのでございまして、公認会計士協会は全然関知しておらないのでございます。まあ内容の問題は別にいたしまして、ああいう手段と申しますか、ああいうやり方が公認会計士としていいか悪いかということになりますと、これは協会といたしまして正式にどう考えているかということを申し上げる段階ではございませんが、これは私自身の個人的な考えといたしますれば、私どもはああいうやり方は、少なくとも公認会計士としては適当ではない、私はさように考えております。
○竹本委員 ごもっともな御意見を承りました。われわれはすべてフェアー・プレーで前向きに事態が処理されるように希望しておる意味でお尋ねいたしました。 次に、もう一つだけお伺いいたしたいと思いますが、計理士は御承知のように、母法を失ったままに従来なっているわけで、年々その数も減少していることはただいまもお話のございましたとおりでございます。この計理士制度に対しまして、母法というか何らかの基本法というのが必要であるのかどうか。公認会計士協会はいろいろ反対をしておられるわけでありますけれども、この法案に反対であるとすれば、計理士に対しては具体的な法が必要である、あるいは必要でないというお考えでございますか。その点、一点伺いたいと思います。
○辻参考人 計理士の制度というものについて、その基本になる法律制定を必要とするかどうかということが御質問の第一点だと思います。 それから計理士をどういうふうに制度的に扱っていくか、こういうことの御質問だと思いますが、先ほど平木参考人の御説明にございましたように、計理士が公認会計士に衣がえをいたしますときに、何も措置がなかったのだという御意見がございました。私はさように考えていないのでございます。なるほど特別試験は計理士さんばかりが受けた試験ではございません。ほかの目的も持っておりまして、公認会計士を急速に頭数をそろえる必要があるのだということで、ほかの受験資格者が同時に受けております。しかし計理士さんも全部受けられたのでございます。しかもそれが、初め何回でございますか、五、六回の規定のものが三べんほど延期されまして、十一回試験が行なわれております。さらにその上に特別試験が完全に終止符を打つときに、検定試験というような試験も設けられておりますので、まずこの程度で計理士さん方に対する措置は一応いいんじゃないか、かように考えております。それで現在の姿でございますが、これは先ほども申しましたとおり、現在の姿であっても差しつかえはないんじゃないかというのが私どもの考えでございます。
○竹本委員 以上でございます。
○山中委員長 関連質問を許します。坊秀男君。
○坊委員 非常に大事な点でございますので、平木参考人に一言御質問を申し上げたい。明確にお答えを願いたい。 今度の特例試験法案が三十九年七月一日から、四十二年の三月三十一日までの間五回を限って特例試験を実施する。こういうふうに法律案としては明定しております。明定しておりますが、従来の例によりますと、往々にしてこういう場合の期限というものは事後において引き延ばされるというようなことがあるわけです。ところが本法案における期限というものは 他の法案の期限は単純なる期限というものがたくさんある。だけれども本法案における期限というものは、これは法案の趣旨の性質上、まさに法案の眼目でありまして、これは動かすべからざるものである。つまり法案の要素である単純なる期限であるというような考えで、この法案がつくられたのではないと私は思います。さような意味におきまして、この法案が期限のあとで往々にしてあるかのように、計理士の皆さんが思惑どおり、これに合格するかせぬかは試験を受けてみなければわからない。試験を受けた結果は予想どおりいかなかった。そこでこれを引き延ばせというようなことがあっては本法案を殺してしまうことになる。ここが私は非常に大事なところだと思います。この際、計理士会の会長として、平木さんがどういう決意でいらっしゃるか。そこの決意のほどを承っておきたい。
○平木参考人 計理士会といたしましては、われわれが試験を受けようと決意をいたしましてから、もう昨年から講習会等を開きまして、一生懸命にみな勉強さしておるわけであります。いままでの国会に時限立法で、延びなかった法案は一つもないと聞いておりますが、少なくともわれわれは、もって模範となるように、この悲願どおりにベストを尽くして、そのあと残ったものはこのままほっておいて殺されるくらいなら、いさぎよく退いて、税理士の職業において生きていこう、かような決意を持っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○山中委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人には御多用中のところ、長時間にわたり御出席を賜わり、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。なお、あらかじめ御通知申し上げました時間が大幅にずれまして、たいへん御迷惑をおかけいたしましたが、ごらんになっておられておわかりのように、委員各位の審議に対する熱意のもたらした結果であることを御了解いただきまして、御了承くださるようお願いいたします。本日お述べをくださいました御意見は、今後の当委員会審議の参考にいたしたいと存じます。厚く御礼申し上げます。 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時五十八分休憩 ――――◇――――― 午後三時五十七分開議
○山中委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑を続行いたします。小林進君。
○小林委員 私は大蔵大臣にお伺いいたしますが、先ほどの情報によりますと、新潟市の沖合い二十キロが震源地で大きな地震がございまして、そのために新潟市が関東大震災に次ぐがごとき大きな被害を受けている、こういう情報を得たのであります。まだ細部はわかっておりませんが、何か新潟の信濃川の水が逆流をいたしますとともに、万代橋、旭橋という、あの長い旭橋が落ちた。なお駅前がほとんど地盤が沈下いたしまして、そのために建物が――あのコンクリートの永久建物がほとんど傾斜をいたした。まあ新潟市三十数万の人口の中で、満足な家は三割程度ではないか。七割くらいは大小それぞれの被害を受け、特に昭和石油のタンクあたりは、ガソリンが爆発をして、いま火災を起こしておる最中である、そういうような情報が入っておるのでございます。 ヘリコプターで与党代表六名、社会党代表三名、民社党代表一名、急遽三時二十分で現地に派遣をせられていったのでありますが、私どもも第二陣としてかけつけたいと思うのでございまするが、これに対しましても、やはり先立つものは金でございまするから、さいふを握っておいでになります大蔵大臣といたしましても、また新潟県出身の田中代議士というお立場におかれましても、これは特別の御配慮を得なければならないと思うのでございます。国税の減免の問題、地方税の問題、固定資産税の問題あるいは交付税の問題から特別交付税の交付の問題まで、いろいろ打つべき手は全部打って、まず人心の収攬につとめてもらわなければならぬと思うのでありますけれども、いまこの大震災のために周章ろうばいをいたしております地元新潟市民に、大蔵大臣のお口を通じてひとつ心強い御声明といいますか、市川に近いような御決意をお示しいただきたいと思うのであります。
○田中国務大臣 御指摘のとおり、きょう一時三分ごろから五分間ぐらいにわたりまして、相当大きな地震が新潟周辺に起こったわけでございます。気象庁はこれを新潟地震と名づけました。震度は五でございますが、東京の大震災と福井地震の中間ということでございますので、相当規模の大きい地震であることはただいま申し上げたとおりでございます。何ぶんにも非常に大きい地震でございますので、交通、通信等、すべてとだえておりまして、詳報はまだ政府に届いておりません。しかし信濃川の本流にかかっております万代橋そのものが通れないような状況のようでございますし、いまちょうど竣工いたしましたばかりの昭和大橋が落橋いたしておるという状態でございます。また御承知のとおり、新潟には昭和石油、日本石油等がございまして、石油タンクの爆発等に加えて火災が起きておるようでございます。気象庁そのものに対しましても、信濃川本流の水が逆流しておって現在取材ができないというような状態でございます。新潟の空港も現在海水が約一メートルくらいたまっておるようでございまして、空路による連絡もできがたい状態でございます。 政府といたしましては、これが非常に大きな災害であることにつきましては、赤澤自治大臣に現地に急行をしていただくということを決定いたしたわけでございまして、近く出発をせられると思います。 それからなお、この地震によりまして、山形、秋田等にも相当な被害があったようでございます。特に山形、秋田につきましては人家の倒壊または立木の倒壊等によりまして人命事故が報道せられておりますが、その詳報はまだ入手をいたしておりません。通産大臣とも相談をいたしまして、電灯等が夕方までつかないということになりますと困りますので、東京電力から、管轄は違いますが、応援を求めて、民心の不安なからしあるように措置をしていただきました。それから、電電公社は信越から直ちに現地に相当多数の人たちを派遣をいたしまして通信網の確保のために対策をいたしておるわけでございます。先ほども申し上げましたとおり、何ぶんにも大きな被害のようでございまして、現在山地にある新潟大学構内に続々と避難しておるというところまでしか報道せられておらないわけでございまして、これが復旧また応急な措置等に対しましては、自治大臣の現地報告を待つわけでございますが、可能な限り、政府といたしましても、過去の例もございますので、万全の措置をとって、罹災者がすみやかに再起できるように万般の措置ををいたしたい、このように考えておるわけでございます。
○小林委員 現地の実情を正しく把握されなければ、いかに大蔵大臣といえどもそう適宜適確な手段を打つというわけにもまいらぬと思うのでございまして、いま仰せのとおり、自治大臣をはじめ各省それぞれ実情調査並びに応急処置のために御努力願っているという報告を聞いてまことに感謝にたえない次第でありますが、それにいたしましても、あるいはたき出しとか、さしあたって、夏分でございますけれども、家屋が倒壊したために寝る場所にも困るわけでございますので、激甚地指定等のそういう処置は一体お済みになっているのかどうか。この激甚地指定というのは閣議でおきめになるわけでございますけれども、そういうような処置はもうお済みになっているのかどうか。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたとおりまだ公の報告がまいっておらないわけでございます。でありますから気象庁とか日本放送協会とか各新聞社というところを網羅をいたしまして現地の報告をいま徴しておるわけでございます。これだけの大きなものでございますから、当然応急には災害救助法が発動せらるべきでありましょう。これは厚生大臣との協議でございますが、知事が事後に承諾を求めるということで直ちに発動できることでございますので、そういう処置は現地においてとられておると思いますが、いずれにしても現地の状態がさだかでございませんので、政府といたしましては、いまの状態においていろいろな措置をするということは不可能なわけでございます。ただ非常に大きな地震にしましては人身事故が新潟地区においては少ない、これは昼間であったということもあると思います。一時二、三分といいますとちょうど昼休みが終わった直後でございますので、そういう意味では不幸中の幸いといいますか、大きな人身の被害がなかったということのようでございます。災害の復旧その他の問題につきましては状況の判明次第、しかるべくすみやかに措置をいたしたい、こう考えております。
○小林委員 それは大臣のおっしゃるとおりやはり現地の実情を調査をせられることが何より先決と思っておりますので、御答弁のとおりでありますが、それにいたしましても、古くは福井の地震から伊勢湾台風等々、そういう大きな災害には順次処置をせられたもろもろの政策も経験があるのでございますから、どうかそれに準じてひとつ国税の問題、地方税の問題、交付税の問題、固定資産税の免除の問題等もしかるべくやっていただきますることを、これは質問ではございませんが、ひとつお願いをいたしておきたいと思うのでございます。いかがでございましょうか。
○田中国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、非常に大きな地震である。ただ交通途絶、通信途絶等により現地の状況を把握することがむずかしい現状にございます。しかしいま御指摘のございましたように、関東大震災と福井地震の中間というような大きな地震でございますから、当然発動せられるものは発動せられるでございましょうし、政府としましては実情判明次第現地の不安を取り除き、再起のために必要な措置は万般遺憾なきを開したい、こう考えておるわけでございます。
○小林委員 新潟地震の問題につきましては大臣から的確な御答弁をいただきましたので、これをひとつ罹災新潟県民並びに山形、秋田等関係罹災者に対する贈りものといたしまして、一応これで質問を打ち切りまして、私の本来お尋ねいたしたいという問題に移りたいと思うのであります。 公認会計士特例試験等に関する法律案あるいは税理士法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、法案の内容に入りまする前に、この際この機会にぜひお伺いいたしておきたいことは、われわれのところへしばしば怪文書と言っては何でありますが、正式に名前が人っておりますから怪文書ではない、公式の文書でございましょう、そういう文書がまいっております。それは大蔵省の税務行政そのものに対する、これは意見書であります。そういう意見書がきておりまするが、その中の問題を一つ二つに集約をいたしまして、一つの問題は、これは公認会計士法の一部を改正法律案に関係する大蔵省の理財局の経済課長の塚本孝次郎なる者に対する、そういう文書に関する問題でございまするし、いま一つの問題は税理士法の改正に関しまして、「税理士界」と称する機関紙、税理士業界の機関紙に対する大蔵関係当局の不当なる弾圧介入の問題であります。この二つの問題について、ひとつお伺いをいたしておきたいのでございまするが、私は時間の都合で、何か新潟まで行く交通の機関ができ次第直ちに同志とともに新潟に行くことになっておりますので、その時間との見合いの関係上まず二番目の「税理士界」と称す税理士会報に対する大蔵当局の不当なる弾圧の問題からひとつ御質問をいたしてまいりたいと思うのでございます。これは今年の一月十六日に「税理士界」という日本税理士会連合会発行の機関紙に載せられた「拝啓大野伴睦様」という記事を、一対関係監督局長は御存じになっておりますかどうか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○木村(秀)政府委員 読んでおります。
○小林委員 お読みになりまして、その所感、あなたの所見であります、どういうお感じをお持ちになりましたか、承りたいのであります。
○木村(秀)政府委員 私詳しいことは記憶いたしておりませんが、一番問題になる点は、特定の政治家とコネクションがあるような団体、そういうものに加入すれば税金が安くなるんだとかなんとかいうような、そういう事実無根の記事が出ておったように記憶をいたしております。
○小林委員 あまり長い文章でもございませんから、私がひとつここで読み上げまするので、どこがおかしいか、ひとつあなたのほうでチェックをしていただきたいと思うのです。私のような頭の悪い者はよくわかりません。なかなかこの文章はうまくできておる。九千万国民がひとしく申し上げたいというほんとうに国民の気持ちを代表した古今まれなる名文章だと私は思う。「拝啓大野伴睦様」、この大野伴陸先生がもし生きていられたら、私自身がこれを持っていって大野先生の御所見を承りたいという、こういう切々たるものを感ずるのでありますが、惜しむらくは大野伴睦先生、いまは幽明境を異にして帰るを得ず、火に悲しいのでありまして、お聞きできないから、これは大蔵大臣を前にいたしまして関係機関の責任者たる国税庁長官木村君にお伺いしたいのでありまするが、読み上げますが、それによりますと、「長い政治歴、党人派の一方の雄であるあなたに私のこの拙ない一文を送る前に、私の職業的立場を明らかにして置きます。私は税理士です。税理士は中正な立場において納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務者を適正に実現し納税に関する道義を占めるように努力しなければならないと規定されております。民主々義の法治国にあっては、すべての法律は国民の発意によりなされるべきであり、それを守って国家行政が適正に実現出来るのであります。」実にごもっとも。「然るに租税に関する法令は徴税の適正という名において、すべて大蔵官僚立案により難解、複雑の屋上屋を重ね、殆んどが政令、通達行政で、とり易い税制となり、納税者の自発的な納税とはほど遠いものになっております。又国民の財産権を擁護する立場にある税理士は国税庁長官の監督下に置かれ、国税庁の徴税の補助的存在とされているのであります。税制調査会の中の税理士制度特別部会の答申にもこれは無視されました。これらの委員諸氏も大蔵省任命の所謂官製委員で、原案作成者に同調するのも当然といえるのでしょう。自主権も持たず中正な立場で如何にして納税者の真の信頼が得られるでしょうか。最高の立法府である国会に訴えるよりすべのない事情がこれでお判りになると思います。次に、敗戦から立ち上る過程に於て驚異的に成長をなしとげたものの中に、官僚閥があります。しかもその中でマッカーサーから解体をさせられなかった大蔵官僚が一番成長したのも当り前といえます。池田総理大臣を初めとして大平外務、福田通産、黒金官房、前尾幹事長等を頂点としてピラミッドの如く各界に居並んでおられます。これらの後援会に入れば税金が安くなるとかいわれることにも、私達一般納税者は大きな疑問を持っております。又、高級大蔵官僚に失業者なしといわれる事例として、一流会社の会計担当者に横すべりするものは数え切れたいほど多く、その層も町のパチンコ屋に至るまで厚いものと思われるのです。それらはすべて税金のつながりで国民も企業も市税から少しでも楽になるための苦肉の策の現れであります。これと同調するかの如く、税理士は大蔵官僚に無試験で与えるとか日本税理士協会という大蔵官僚出身者のパラダイスに国家予算を一千万とか一千五百万とか出して、その勢力を強めようとしております。日本税理士連合会は昨年十一月に全国納税者政治連盟を結成しました。全中小企業法人の七〇%は税理士が関与し企業の育成と納税指導をしておりますので、その立場から納税者の政治指導まで行うのが理想であります。現状のままでこの運動を強力に押し進める時、之が反税運動につながることを恐れる次第です。元を正さなければ、私達の民主的運動が大きな誤りを冒すことになるわけです。政治に背を向ける者に政治は下を差し伸べないといわれる如く、私達は党人派の大野伴睦様を選んでこれらの根源を断つ断乎たる施策を期待する次第であります。敬具(東京会・宗 団兵衛)」こういう名前でございますが、このとおりでございましょうか。あわせて国税庁長官のこれに対する御所見を承りたいと思うのであります。
○木村(秀)政府委員 ただいま小林委員がお読み上げになりました記事はそのとおりでございます。これに対しましては私たちは非常な異論を持っておるのでありまして、少なくとも「税理士界」という税理士の全国の連合会の機関誌であるものにこういう記事を載せられた。少なくともこういう記事を載せられる以上は、事実の真否を確めて、それが事実であるという確認の上に載せられるべきであったのじゃないか。これはなるほど投書という形はとっておりますけれども、投書ならば無名のものでございますから何を取り上げてもいいというわけのものではないと私は思うのであります。そこでその内容について私たちが最も問題にいたしております点は、まず内容全体のうち特に問題にいたしております点は、税制調査会の税理士制度特別部会というものがいわゆる官製委員であって、これが大蔵省の言いなりほうだいになるのだというような点でございますが、この委員は、税理士会の会長も入っておられるわけでありますけれども、税理士会、弁護士会、計理士会等、おのおのその責任者の立場にあられる方、また学識経験者、大学の教授のような方に入ってもらっておるのでございまして、これが官製の委員で、あって大蔵省の言いなりになるかいらいだというような趣旨の点は事実と相反していると思います。 それから第二点といたしましては、特定の政治家の後援会に入れば税金は安くなるとか言われておる、こういうことを言っておるのでありますけれども、こういうことは断じてございません。われわれ税務の執行は常に公平に行なっておるのでありまして、特定の政治団体に加盟しておるからそのために税金が安くなる、あるいはほかの団体に加入しておるからどうのというようなことは絶対にございません。 それから第三点としては、日本税務協会が大蔵官僚出身者のパラダイスだというようなことを書いてございますけれども、これはなるほど会長は大蔵省出身者でございます。しかしながら、この会長は無給でございまして、ほんとうに奉仕的な気持ちで税界のことに熱意を入れて、そうして少額納税者の税務相談に当たっておる、こういう施設でございまして、これを何かそこへ入って高禄をはむというような感じを受ける、パラダイスだというような文句は妥当ではないと思います。はっきり断言はしておらなくても、そういう誤解を一般に生ぜしめるような文言を使って投書が行なわれ、しかも、その投書がそのまま税理士会の中央機関紙である会報に載っておるということは、これは穏やかでないということで、われわれといたしましては、税理士会に対して記事の訂正方、また今後こういうふうな投書を取り上げられる場合には、事実の真否を確かめて、そして慎重に掲載をされるようにということを申し入れたわけでございます。
○小林委員 いま、あなたは三点をあげられましたが、第一点の税制調査会の税理士制度特別部会の答申にもこれは無視されました。これは事実でありましょう。無視されたことが事実なんだ。ただその無視されたという理由は、われわれいわゆる業者のほうから考えてみれば、無視される裏には、これらの委員諸氏も大蔵省任命のいわゆる官製委員である、こういうのでございまして、あなた方の任命せられた人たちなんだから、あとは官製ということばも、何も火のないところで煙が立ったほどの大きな開きがある話じゃない。私どもは、国会で任命いたしまするそういう審査委員会の委員さえも、特にわれわれの立場から、それは政府の御用であり官製だと言ってしばしば国会の中で論議をいたしておりますけれども、まだそれを取り消せなどという思い上がったことばを聞いたことがない。大蔵省が任命する者は自分に都合のいいものにきまっている。その都合のいい部会員をいわゆる官製だということばで表現した、それがなぜ悪いのですか。そういうところにあなた方の特権意識が強過ぎるのですよ。そんなことは日常の茶飯事です。 第二番の特に言いたいことは、これらの後援会というのは、すなわち大蔵高級官僚の出身者にして政界にすべり込んだ人たちのことをいう。そういうような大蔵官僚にして政界にすべり込んだ者の後援会に入れば税金が安くなる、こんなことはあなたが言わなくたって国民はそう思っていますよ。だから大蔵官僚で直ちに国会議員に当選して、落選したのはいますか。地元の出身でも何でもない者が、官僚をやめて半年か一年で立候補してゆうゆうと当選する。その中に入れば税金も安くしてくれる、脱税もしてくれる、まけてくれる、だからこの後援会をやらなければならない。現実にあなた、やっているじゃないですか。これが何で事実と反するのだ。あなたもそのうちにひとつやるのじゃないか。その顔を見るとやらないかもしれないけれども、現実にその例が幾つも行なわれてもおる、後援会が選挙民に呼びかけている、その事実をすなおに表現したことばなんだ。どういうふうに間違っていますか。 第三番目にあなた何をやったか。税理士は大蔵官僚に無試験で与えるとか、税務協会は大蔵省出身官僚のパラダイスだ――これがパラダイスじゃないですか。パラダイスであるかないか、あとでまたゆっくり議論しましょう。税理士協会というものがあるのに、税務協会と呼ぶものをつくって、大蔵出身の局長、長官の何とかいうのを会長・理事にして、各県の商工会議所に税務協会の支所を設けて、各県の商工会議所の会頭を全部理事に据えて、そうして大蔵省出身じゃないが、あなたのひもをつけた税理士をその中に税務相談員なんかに配置しておいて、そうして税務行政をやっておる、これがパラダイスじゃないのかね。問題は、会長が無給だとか無給でないとか、いう末端の問題じゃないのですよ。こういう末端の問題を言っておるのじゃないので、これがパラダイスでないとどうして言えるのですか。そういうふうなあなたの答弁の中には大蔵官僚独特の特権意識があるということをまずあなたは反省しなければいけませんよ。そうたばこばかりぷかぷかふかさないで、少し落ちついて私の言うことを聞きなさい。そこで言うのだが、この税理士連合会の機関紙、これは全国に流される機関紙だから、その中で事実と反する種類のことを流されたというが、しからば一体この税理士協会と大蔵省とあなた方の国税庁とはどういう関係があるのですか。あなたのほうから補助金でももらって、あなたのほうの監督下に出す一体機関紙なのか、その関係をひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
○木村(秀)政府委員 この日本税務協会について多少誤解があるのでございますが、日本税務協会は何も各県の商工会議所に支部を設けてはございません。もっぱら東京その他若干の都市に支部がございますけれども……。(小林委員「若干の支部はどこに置いてあるのか。商工会議所の中に置いてあるじゃないか」、呼ぶ)東京、名古屋、仙台、熊本、新潟、その程度です。それからこの協会は戦前からある協会でございまして、その補助金も一億以上になった時代もございますけれども、だんだん金額が減ってきまして、昨年度は六百万円くらいに減っております。今年度これを千五百万円に増額をいたしまして、もっぱら中小商工業者の税務指導、記帳指導に当たらせる、こういう構想でおるわけでございます。したがって、大蔵省が何か自分のところの出身者を出して、そのパラダイスになっておるということは誤解であろうと思います。それから日本税理士会の中央連合会には特別に補助金は出しておりません。もちろんその税理士そのものが大蔵省の監督下にあることは御承知のとおりでありますけれども、それ以上に特別の関係と申しますれば、やはり税の執行について税理士の皆さんは非常な関係を持っておるわけでありまして、そういう面の多少のつながりはございますけれども、それ以外の監督、被監督という立場にはありません。
○小林委員 まことにあなたのおっしゃるとおりです。税理士会はあなた方の監督下にもなければ、協力下にもない。独自の自主的な協会であることは間違いない。自主的な協会がいやしくも自分たちの機関紙を発行した。それをあなた方は取り消しを命じたり、監督をしたり、いろいろなことをやっている。 それではいまの日本税務協会の問題から入りますが、税務協会の会長は松隈秀雄、間違いありませんか。もと専売公社総裁、もと国税庁長官だ。理事の中に木村さん、あなた入っていないですか。税務協会に入っておりませんか。理事には木村長官や鳩山直税部長、入っているじゃないですか。入っていませんか。そうして、いまおっしゃった地区にそれを置いて、国税庁出身の税理士をして何とか税の相談に応ぜしめる。そういったシステムをおつくりになって、今年度もいまお話しのとおり一千五百万円の補助金だ。何も税理士協会というものがあるんだから、税の指導があるならその税理士協会という自主的な団体にやらしたらどうですか。なぜそうして屋上屋を重ねるような――明治からあろうと大正からあろうと、戦前からあろうと、歴史のいかんを問わず、なぜこんなものを設けて、あなた方が理事の中に入って蟠踞して一千五百万円も国税を取り上げて補助金にして、そうして税務の指導なんかやっておる。新潟にもありますよ。かんこ鳥が鳴いていますよ。税理士のところにこそ税務の相談にいくけれども、こんな税務協会なんかに税金の相談に行くなんて気のきいたものはいませんよ。なぜ一体こういう組織をつくっておく必要があるのですか。なぜこの補助金をやる必要があるのですか。これだから私はパラダイスだと言うのです。お聞かせください。
○木村(秀)政府委員 今月この日本税務協会の会長がかわって松隈さんになられたことはそのとおりであります。しかしながら、先ほど申しましたように、こういう会長とか、私なり直税部長、もちろん理事で入っておりますが、そういうものは無給でございます。何か補助金をして、それを利用して、それで大蔵省出身者のパラダイスだというような言い方は私はどうかと思うのでありまして、これはそういう意味ではなくて、たとえばもちろんいまおっしゃたように税理士会で相談事務をやっております。しかしこれは無料ではございません。有料でございます。これはもちろんこの税理士という職業から見れば無料というのはあるいは無理があろうかと思います。したがって、こういう日本税理士会ではなくて日本税務協会が無料でもって相談事務を担当するということに意味があるわけでございます。また税法が改正になるような場合に、その税法をわかりやすく説明をしたようなパンフレットを出すとか、あるいは税に関する広報紙を出すとか、こういうことによって一般に税の知識を普及させるという役割りを持っておるわけであります。そういう意味では税理士会とはまた違った意味の一つの役割りを果たしておるものと思います。
○小林委員 まあ、こういう問題で議論しても始まらないが、これは大蔵大臣お聞きのとおりだ。税理士連合会、税理士協会というものがあって、しかも新しい税法の改正によれば、そこでちゃんと統一して学習やら教育を行なうようにもなっておる。なぜそういう民主的な団体を活用しないで、そのほかに同じような税務行政を、特に税理士協会の中から、会長を国税庁長官の古手を持ってきたり、あるいはその中にあなたや直税部長の鳩山君が理事として入ったりして、そうして各地区にその出店を持って、しかもその中で君たちの都合のいい者だけを選び出して、税務相談員か何かにして、国費を一千五百万、去年は六百万、ことしは一千五百万、所得倍増ではなく、所得三倍増みたいなものだ。急に上げておる。一体なぜそういう組織をつくっておく必要があるのか。税務官僚をやめていった下級官僚の税理士なんかをやっている者に特権のようにして相談事務をやらせておる。長官や直税部長が理事になっておって、その下で働いておる。その税務協会に入った税理士のところへものを頼みに行けば、さっきの話ではないけれども、税金を負けてもらえるという。そうすると、やはりこっちのほうの税金で弱いものはついていくという、そういう税務管理の中にも二重行政が生まれてくる懸念があるのはあたりまえではないですか。何といってもこれはむだです。大蔵官僚のセクト、税務官僚のセクト、特別にうまいことをやろうとする、民間の税理士の大蔵官僚の税理士と区別をつけようとするあさましい二重構造の一つであると断ぜざるを得ない。だからあなた自身に言わせると、あなたは無料で働いて理事になっておるからパラダイスではないなんて子供みたいな答弁をしてはいけませんよ。あなたは国税庁長官として高給をはんでおるのだから、これ以上にまた税務協会から金を取られたのではこっちがたまらない。そんなあたりまえのことを、おれは特別に二重、三重と月給をもらっていないからパラダイスではないというような子供だましのような答弁をしてはいけない。国税庁長官たるものは、もう少しちゃんとした答弁をしなさい。そういうことで、はたから見れば税務協会なんていうのは、ほかの協会から見ればパラダイスですよ。こっちはみんな出し合って税理士協会をつくって運営しておるにもかかわらず、片方の特別の税理士だけが一千万円も一千五百万円も国からの補助金をもらって、税務相談でございますからと言って、お客さんがもらえるのだから、これでパラダイスでなくてなんです。そんなあたりまえのようなことがわからないだけ、あなた方はもう庶民の生活から遊離しているのです。頭がいびつになっているのです。それを直さなければいけないと私は申し上げているのでございます。さっきも税務調査会の中のいわゆる特別委員に税理士上がりが何名入っている、たった二名じゃないですか。あとはみんな官僚上がりじゃないか。そういう欺瞞するような形で大衆をだましたってだめですよ。もとへ返るのだが、一体日本税理士会連合会というのは、あなた方の、いわゆる国税庁の付属機関ですか、あなた方の隷属機関ですか、独立機関ですか。それを長官ひとつお聞かせください。
○田中国務大臣 ちょっと小林さん誤解があるようですから、その誤解をまず正してから、国税庁長官からお答えをいたします。 御承知のとおり、税理士会及び日本税理士会連合会は税理士法に基づいて要求されておる団体会でございます。日本弁護士会、医師会と同じものでございます。でありますから、資格を有する税理士会及び連合会はつくらなければならない、法定のものでございます。 それから税務協会というのは社団法人でございまして、医師会があるから社会保障協会をつくっちゃいかぬとか、また弁護士会があるから法律の救済を得るために任意社団法人をつくって、そういう人たちを救済する会をつくってはならぬという議論と比較してお考えになっていただければいいのでありまして、税理士会連合会は法定のものでございますし、当然つくらなければならないし、またこの四十九条にございますとおり、この会がやらなければならない任務を規定いたしておりまして、任務に反する者に対しては、大蔵大臣はこれの矯正を求めるとこれに法定してあるわけでございます。しかし税務協会は国民の税知識を普及したり、また新しく税法が変わりましたら国民のために、よりょく理解をしてもらうためにつくられた社団法人でありまして、社会的にはこういう制度が必要であるということがたくさんあるわけでございますから、法律で設立を要求されておる税理士会及び連合会と税務協会とは全く性質が違うものである。でありますから、税務協会というものは必要でない、こういう議論にならないと、税務協会というものは御承知のとおりだれもなり手がない。非常に必要な機関でありながら、優秀な人を得るにはたいへん困っておる。そんなことで今度松隈さんがみずからなってもらうことに対して、大蔵省も非常に敬意を払っているという段階でございますので、そういう意味で税務協会というものは必要ないのだ、こういうことになるのか。税務協会は必要であるが大蔵省はこのメンバ一からはずれたほうがいいという議論なのか。そういうものを分けてお考えいただきたい、こう考えております。
○小林委員 現行制度では、税理士となる資格を有する者のうち、税理士試験に合格した者は直ちに税理士連合会に入らなければならないという意味において、法に定められた完全なる機関であることは間違いありません。私の申し上げておりまするのは、その法で定められた税理士連合会が、国税庁の指導監督下にあるのかどうか。大蔵省の国税庁とは独立した機関であるのか、大蔵省の監督機関であるのかということをお伺いしたのです。大臣のおっしゃいました社団法人の税務協会につきましては、私は自分の結論としては、税理士会の中においたらいいじゃないかと考える。税理士会にこの仕事を委託したらよろしいじゃないか、そう思います。私は国税庁のうば捨て山みたいな、そういう機関はなるべくつくらないでやめてもらったほうがよろしいという所見でございます。これは大臣と見解が違いましたからよろしゅうございます。前段のほうの国税庁といわゆる法定の税理士連合会との関係をひとつお聞かせを願いたい。
○木村(秀)政府委員 税理士会または日本税理士会連合会は、大蔵大臣の一般的な監督のもとにある団体であります。
○小林委員 大蔵大臣の一般的な監督にあります、その規定は何条にありますか。
○木村(秀)政府委員 税理士法四十九条の十九に、「大蔵大臣は、税理士会又は日本税理士会連合会の適正な運営を確保するため必要があるときは、これらの団体から報告を徴し、その行う業務について勧告し、又は当該職員をしてこれらの団体の業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。」これは表題が一般的な監督となっておりまして、こういう規定があるわけであります。
○小林委員 そういたしますと、この税理士会が業界に出しました新聞を、先ほどもおっしゃいますように事実と相違があるとあなたは言われる。私に言わせればちっとも税理士が事実に相違があるわけではない。「拝啓大野伴睦様」、これは実に切々として、国民の言わんとするそのままの事実を書いておると思ったが、あなたは事実と相違しておるとおっしゃいましたが、それは別として、あなたが間違っておることは明らかになった。大野伴睦黙して答える弁もなし、それは当然でありますが、それにしてもこの新聞記事に対して、大蔵省の総務課長はこういう命令を発しておる。その新聞記事の、「拝啓大野伴睦様」はけしからぬから、第一には税理士会報に謝罪取り消しの広告をすることという、こういう要求をされておる。第二番目、この「拝啓大野伴睦様」を書いた筆者の氏名をひとつ明かにせい、こういう命令をされておる。第三番目には、今後かかる記事を書かないということを保証せよという、保証確認の要求をされておる。第四番目には、以上三つのことを実行した上で、税理士連合会の会長が、直接国税庁長官におわびにこいという、右四項目を実行しなければ、断固たる処置をとる、こういう厳達をせられておる。しかもその命令は、国税庁総務課長から税理士会副会長、広報部長に申し入れがせられておるのでございます。一体この事実があるかないか。どういう権限でそういうような、いわゆる直属の部下にでもものを言うようなこういう厳達をせられておるのか。その根拠をひとつ。
○木村(秀)政府委員 先ほど申し上げたように、この記事の中には事実に反するような記事が載せられておりますので、こういうことが一般の税理士会の会員の方々に変な疑いを持たせるということになりますと、税務執行上問題があります。それでわれわれとしてはこういう事実に反するような記事々載せられると、非常に迷惑をするということで、連合会の幹部の方にお話ししましたところが、幹部の方はそういう記事はいま初めて見る。自分たちは全然それは知っていないという話でありましたので、それでは、それをひとつ読んでもらって、そしてそれが事実でないということならば、ひとつ訂正をしてもらいたい。それからまた、今後そういういかがわしい記事を載せるいうことはやめてもらいたい、こういうことを申し入れたのであります。なお、これはだれであるかはっきりしろというようなことは、私のほうでは申した記憶がございません。それが事実であります。
○小林委員 あなたさっきは事実に反すと言われたが、今度は事実に反するようなと言われた。だんだんことばが変わってくるんだが、どこが一体事実に反するようなことばがあるのですか。先ほど私が言ったでしょう。ないじゃないか。みんなこれは事実じゃありませんか。そういったらどこに反するのですか。どこに反するんだ。一体あなたはそれでもそれが反するようななどと言うんだが、それでは一つずつ読みますよ。そこに総務課長いますか。第一番目には税理士会報に謝罪取り消しの広告を出すこと。これは言いませんでしたか。
○谷川説明員 私から申し上げましたことは、先ほど長官が申し上げましたように、こういう記事は非常に税務行政の執行にあたりまして困りますから、今後こういうことはなさらないよりに御協力をいただきたいし、事実に反することでありますので、これはひとつお取り消しをいただきたい。そうして責任のある方から、お取り消しをいただければしあわせだと申しましたこころ、先ほど長官から申し上げましたように、御存じないと申し出がありましたので、かつどこが間違っておるか指摘をしてほしいという申し出がありましたので、私からこういう点だ、これはこういう点だということを申し上げたのであります。
○小林委員 何も説明なんというものはべらべらしゃべらなくてもよろしい。大臣みたいに答弁しなくたって説明員は説明員らしく答弁しなさい。税理士会報に謝罪取り消しの広告を出すこと。そういう命令をしなかったかどうかということを聞いているのです。
○谷川説明員 命令できるはずがございません。
○小林委員 それをやらなかったのですか。
○谷川説明員 いたしません。私が先ほど申し上げましたようなことを申し上げましたところ、訂正文を出すから私にその文章の案文を書いてほしいという申し出がございましたことは事実でございます。
○小林委員 それはここにいるわれわれも知っているけれども、いますべての官僚機構の中で一番権力主義者は大蔵官僚ですよ。大蔵官僚の中でも国税庁の官僚なんです。いいですか、その中でこれを否定する者があったら私は聞こうじゃないか。あなたたちが一番権力を乱用しているんだ。国税庁の中でも総務課長などというものが特に悪いんだ。これは悪の元凶なんだ。それがいま国会に来て、われわれの前でもそういう思い上がった答弁をしている。
○山中委員長 小林君、なるべく表現を注意してください。
○小林委員 いやいや、悪うございましたら、私のほうからいつでも訂正いたします。いつでも取り消しますけれども、これが国民の世論なんですよ。小林進の声じゃないんだ、神の声である、天の声なんだ、天はそう言うのです。その中で君たちが言われたからこそ、いいですか、その二月の二十一日の金曜日のこの税理士会報の中で取り消しの広告文を泣く泣く出したのです。その出した文章は「昭和三十九年一月十六日付本紙号外(岐路に立つ税理士法)(「拝啓大野伴睦様」の投書)記事および同月二十一日付本紙「流れ星」欄の記事のうち大蔵当局等関係者に対し、その権威を傷つけあるいは納税者の誤解を招くかのごとき表現がありましたことは誠に遺憾であります。 本会といたしましては、大蔵当局等関係とは、相互の信頼と協調を保持するよう常に努力を重ねているものであり、かかる記事を掲載して関係各位にご迷惑をおよぼす結果を招くことは本会の真意に反するところであります。 よってこれら関係記事を取消しいたします。」取り消しをいたしました。あなたはこれで了承いたしましたか。
○木村(秀)政府委員 先ほどもお話ししましたように、税理士会の幹部の方が御存じない前に、そういう間違った記事が流布されておって、しかもそれが普通の新聞紙ではなくて、「税理士界」という公的な機関紙に載っておるという点から、あらためて幹部の方がそれを見て、そうして穏当でないところはいさぎよく取り消されたということでわれわれは十分了承をしたのでございます。
○小林委員 あなたはいろいろなことを言う。税理士会報が公的な機関だ、新聞はみな公器です。何も税理士会報だけが公的機関ではない。一業界の新聞なんですよ。むしろその権威や信憑性などというものは巷間に流れる日刊紙なんかから免れば、むしろその価値は低いと見なくてはいけない。しかしその公的、非公的などという、そんなことばの問題ではなくて、しかもあなたは幹部、幹部とおっしゃったが、その幹部諸君は、あなたが活用された幹部が泣いていますよ。国家権力を握っておるあなた方ににらまれれば、あしたから商売は上がってしまう。そういう弱い方々をお互いに権力を持たない者の対等の立場でお話し合いができたような、そういうことばの魔術を使われるところにあなたたちの悪があるのですよ。私はあえて言う。そんなものではない。言われた者はおびえていますよ。おびえて取り消したが、あなたそれで了承されましたか。了承されなかったでしょう。されましたか。
○木村(秀)政府委員 これは先ほども申し上げましたように、税理士会というのは大蔵大臣の一般的監督のもとにある法律上認められた公的な機関であります。したがってそこでもって税務の執行に対する誹謗的な記事をそういう機関紙が載せるということは、これはわれわれとして黙認するわけには参りません。そこで先ほど申し上げたような経過で税理士会のほうとしてはこれを取り消されたのでありまして、取り消されたという事実でもってわれわれは快く了承したというのが経過でございます。
○小林委員 これは快く了承していないのだ。まだこの記事の掲載のしかたの場所がいいの悪いのと言われて、掲載の場所を変えて、その次の新聞にさらにもっと懇切丁寧な広告を出しているじゃありませんか。間違っておりますか、あなた間違っておりますか。
○木村(秀)政府委員 初めの話し合いでもって一面の適当な個所に掲載をするという話でありましたが、事実は二面の隅っこのほうに載っておったということで、その点について税理士会に話しましたところ、二回目にまん中に掲載した、こういう経過であります。
○小林委員 私の読み上げましたこの記事は、これは私は何面だか知らない。これが一面でなくて二面なんですか。私は新聞というものは、「税理士界」というのがあって、その一番の表紙のあるところが一面だと私は思っておる。これは一面の一段、二段、三段、四段、六段目と七段目だ。一番目に見えるところに広告を出した。それがお気に召さない、この場所では気に入らないとおっしゃる。それも話し合いですか。
○木村(秀)政府委員 小林委員がいまごらんになっておるのは二回目の記事でございます。一回目は二面のすみっこにあった、こういうことでございます。
○小林委員 そういうふうにあなた方は権力で、二面へ出せばお気に召さない、一面へ出さねばいかぬ。場所までも指定をおやりになって、ヘビのごとくに業者を追い込んでいる。これをヘビのようなしつこい国税官僚の業者に対する圧迫行為とわれわれは言うのだ。これは圧迫行為じゃないですか。あなた方はそれはあたりまえだとおっしゃいますか。同時にお尋ねいたしますけれども、そういう新聞の一つの記事にまでそれほど厳格な規制を加えるのが大蔵大臣の監督権ですか。私は監督権というものは、方々で聞いているけれども、その記事の掲載の場所から取り消しの場所まで、それほど峻厳にヘビのごとく権力を使うのが大蔵大臣の監督権だとは思わない。これは李承晩よりもひどい、朴よりもひどい言論の統制ですよ。戦時中の東条さんもこれはやらなかった。大蔵大臣、あなたの権限、監督権はそんなに強いものでございますか。
○田中国務大臣 非常に重要な問題でありますから私からお答えをいたします。 小林さんも十分お考えになっていただきたいことは、国民の権利を守らなければならないということはけだし当然でございます。しかし、法律の権威もまた守らなければならぬというウェートは同じく置いて考えていただきたいと思います。少なくともこの税理士会、税理士会連合会というのは、任意な団体ではないのであります。先ほどから申し上げましたように、法律で規定をしてつくらなければならない大蔵大臣の認可事項に基づく団体であるということを十分考えていただきたい。しかもこの四十九条の二項には、「税理士業務の改善進歩に資するため、会員の指導、連絡及び監督に関する専務を行う」と、明らかにその使命が規定されておるのであります。でありますから、この四十九条の一、二項に反する行為があれば、当然法律に基づいて大臣が矯正を行なうということで、御承知のとおり、大臣も、国会で決議になった法律に対して違反を行なうことができないわけでありますから、こういうものに対してはやはり峻厳な考え方を持っていかなければならぬことは言うをまたないわけであります。もちろんこの四十九条の第二項を受けて四十九条の一九の一項に、「大蔵大臣は、税理士会又は日本税理士会連合会の適正な運営を確保するため必要があるときは、これらの団体から報告を徴し、」云々、その他を検査させることができる旨規定されております。これはこの法律だけでなく、弁護士会に対しても、それから医師会に対しても、これは法律で規定をしておる公的機関であり、そして政府と同じ権能と義務を持つ機関でありますから、そういうところでこの法律の趣旨を逸脱をした行為があれば、これを取り締まることは当然な法律上の責務である、さように考えておるのであります。
○小林委員 私は一般論として大蔵大臣の考え方をまっこうから否定はいたしませんよ。いたしませんけれども、いまおっしゃいましたように、弁護士会あるいは医師会、特に医師会のごときは政府の監督機関でありますけれども、医師会は時の政府のやり方に対してあれほど痛烈な批判をいたしております。あれほど猛烈な反撃を加えております。弁護士会もそのとおりです。刑事行政その他に対してももっと峻烈な政府の批判をいたしております。けれども、その弁護士会や医師会に対して、特に医師会の政府の批判攻撃のごときは痛烈無比だ。けれども、それに対しても、かくのごとき失敬千万なわび状を書けの、取り消し文書を書けの、そういうふうな権力の乱用の例を私は知らない。一体そういうような例がありますか。知らないでしょう。ひとり大蔵官僚、国税官僚のみじゃありませんか。しかもその文章も、まっこうから大蔵官僚行政を攻撃したものではございません。同じ自民党の中の政党政治でございましょう。政府の裏は政党だ、政党の裏は政府だ。不離一体のその政党の副総裁といわれる、総理大臣池田勇人に次ぐ大野伴睦様に泣きの涙で業者が訴えたこれは悲しみの手紙ですよ。一体どこに政府を批判しておりますか。副総裁にお助けを願いたいという救済の涙のことばじゃありませんか。何度も言っているように、これほど痛めつけられ、これほど苦しめられている、われわれの救いは政党人である大野伴睦先生、あなたをおいてほかにない。どうかひとつかよわいわれわれを助けてもらいたいというこの文章が、一体どこに大蔵大臣の監督権を侵害しておりますか。もしこういう言論にまであなたたちが監督権を主張する権限があるというならば、なぜ医師会をやらないのか、なぜ弁護士会をやらないのか。同じ政府の監督機関でありながら、これほど大きな差別を一体つけていいのか。池田内閣は差別内閣だ、こう私は論断しなければならぬのでありますけれども、その点いかがですか。
○田中国務大臣 そうでなくとも税というものは国民の権利義務の問題でありまして、非常にむずかしい、厳密にものを考えなければならない問題であります。でありますから、医師会が政府攻撃をしている記事を出したということとはいささか違う。税理士会というものは国民と徴税当局である国との中間にあって国民の権利を守らなければならない、しかもその業務は明確に法律で規定されている。その連合会、税理士会というものはすなおに法律を解して、あまり刺激的なものを公にすることは妥当性がないということはいままでの定説であります。でありますから、国税庁の徴税官吏が少しでも自由裁量を行なったり、いろいろなことをすれば、すぐに大問題になるように、こういう問題は国民の立場から考えましても、また政府の立場から考えましても、不穏当だと言われるようなことはしないことが一番いいのだということが常識であります、定説であります。そういう意味でひとつ御理解を賜わりたいと思います。
○小林委員 大蔵大臣がそれほど、税務行政は国民の権利義務とし至厳な業務だ、だからそういう弁護士会や医師会などと違ってさらに慎重にかまえてほしいとおっしゃるならば、反対にそのことばそっくり大蔵官僚、国税官僚みずからに対して大臣の訓示がなければいけない。いいですか。その大蔵官僚みずからが、国税百僚みずからが権力を乱用してわがまま一ぱいの仕事をしておきながら、税理士や国民の側にこそ慎重にかまえてもらいたい、常識を持って行動してもらいたいということは、おのれのくささを隠して人だけを責めることであって、これは間違った行為であるといわなければならない。そんなことをおっしゃるならば、大野伴睦様、これらの大蔵官僚から政界に出た者の後援会に入れば、税金が安くなるとかいわれるようなことに一般国民の納税者は大きな疑問を持っておりますというこの事実は、何といっても国民の世論じゃないですか。なぜ国民からこういう疑いを持たれるようなことをやるんですか。中小企業や事業家が、大蔵省出身といえば税をまけてもらえる、脱税もかんべんしてもらえる、脱税の一千万円も五百万円にまけてもらえる、うまくいけばただにしてもらえる。小林先生、あなたの選挙を応援してきたけれども、大蔵官僚に税金でいじめられているから、あなたとは個人的には切りがたい情があるけれども、大蔵官僚出身のところへ行って応援しますからよろしく、こういうことがちまたに満ち満ちているじゃありませんか。私でもその経験は幾つもある。わかるでしょう。私のその苦しみはどれほど切ない思いでその経験を積んでおるか。みずからが李下に冠を正さずに、季下にそういうことをやっておきながら国民にだけ税制を厳格にしてなどという、そんな話がどこにありますか、国税庁長官。
○木村(秀)政府委員 特定の大蔵省出身者、あるいは大蔵省出身の代議士さんだからといって税金をまけたり、あるいは脱税をもみ消したり、そんなことは絶対にございません。それは、そういうことをおっしゃるのは何を根拠におっしゃるのかわかりませんが、そういうことをもし言っておるとしたらこれはたいへんな間違いでありまして、そんはことはあろうはずもないし、絶対にございません。
○小林委員 国税庁長官としてはありますとは言えないでしょう。言えないけれども、被害を受けている国民の側からはたくさんあるんだ。私は大蔵省出身で国税庁長官と同期生なんだ。国税庁長官とは先輩後輩の間にあるんだ。おれはおまえの税金なんかは、あれに頼めばうまくいくわい、そういう話がちまたに満ち満ちていますよ。あなた自身はそんなことはないとおっしゃるだろうけれども、あるとは言えないだろうけれども、あるんだから、そういう話が。火のないところに立つ煙をわれわれは言っているのじゃないのです。第一、だれが考えたところで、あらゆる選挙を通じて、大蔵省の官僚出身者ほどはでに事前運動をやる者はないじゃないですか。これは事実でしょう。どこから金を出すのか知らぬけれども、一番はでに選挙運動をやっている。ばく大な金を使って大蔵省や国税庁――そういう方々がどれだけの金をお持ちになっているか知らぬけれども、金のなる木をお持ちになっているか知りませんけれども、実にはでにおやりになっている。巷間、これを人は一体何と解釈するか。また、現実にその後援会に入ったから税金をまけてもらいましたという人がいるんだからしかたないじゃないですか。連れてきましょうか。御要求があればいつでもあなたのところに私はおともしてもよろしいのです、ないことを言うんじゃないんだから。そういう国民を愚弄して、この委員会だけをうまく通り抜けようとしたってだめなんですよ。国会というところはそういう甘いところじゃないんだからね、木村君。そういう甘いところじゃない。ただあなた方ここら辺で、そう肩を怒らしてやったところで空々寂々たるところだ。とうとうあの先生まで私の言うことに同調しているようじゃないですか。私の言うのは、そういう大衆、国民の疑惑をこうむるようなことをみずから――みずからと言ったってあなたのことでなくて、あなたの機関を言うのですよ、あなた個人を言うのじゃない。そういう機関の中にいながら、みずからのくささを知らないで、大衆や税理士や会計士や計理士にそういう至厳な要求をするという言論の統制をするというようなことは反省をしなければならない。あなたには反省の余地はありませんか。一分の反省の余地もないとおっしゃるのか、お聞かせを願いたい。
○木村(秀)政府委員 私は、何回も申し上げますとおり、特定の政治家、ことに大蔵省出身者であるがために税金をまけるだのごまかすだの、そういうことをやったこともございませんし、その点については何ら反省する余地はございません。
○小林委員 私はあなた個人のことを言っているのじゃない。あなたの国税庁の機関の中から、出身者を取り巻くそういう風評のあることをあなたは聞いていないかと言うのだ。そういうことを聞いて、反省するところがないかと聞いているのです。あなた個人のことを聞いているのじゃないのですよ、ありませんか。
○木村(秀)政府委員 私は、大蔵省出身者がそういう税金をまけてやるとか何とかといったような、そういうことは聞いたことがありません。
○小林委員 聞いたこともありませんか。全然そういう風評を知りませんか。いま一回。
○木村(秀)政府委員 全然知りません。
○小林委員 あなたは長官としては価値がない。そういう巷間にみなぎっているこれほどの大きな怨嗟の声と恨みの声、そういう満ち満ちている風評もみんな聞かないと言うのだ、あなた毎日何をしているのです。高禄をはんで何をしているんだ一体。まさか理財局のその塚本何とかいう課長のように、マージャンばかりやっているわけじゃないでしょう。マージャンばかりおやりになっているとか、あるいは何とかいう料亭に行って、酒でも飲んで大蔵踊りをやっているというなら、そういうこともわからぬということもあるでしょうけれども、少しは世評を聞きながら、生きた税務行政をおやりになるという一片の良心があるならば、そういうことは聞いていられるはずである。ほんとうに聞いていられないかどうか、いま一回お聞かせ願いたいと思います。
○木村(秀)政府委員 私のみならず国税の機構というものは、まじめな税の賦課徴収の事務をやっておるわけでありまして、だれがそういううわさをしたか知りませんが、私はそういうものを真に受けませんし、現にそういう話を直接耳にしたこともございません。
○小林委員 私は国税庁の、長官として、これほどの反省のない思い上がったあなたに対して、全く失望を感じました。そういうことを直接にはお聞きにならないが、間接にそういう風評をお聞きになったことがありますか。いま一回お聞きいたしたい。
○木村(秀)政府委員 たとえばいまの税理士会なんかの記事では読んだことがあります。しかしながら私は直接そういう非難を受けたことはございません。
○小林委員 それであなたの思い上がっている、人間として反省力のない、これは官僚の本質です。私どもはあなたと立場を変えたならば、こういうように速記をつけて、この議員諸君や、聴衆をあとにして、もしこういう質問をせられたとするならば、私ならば反省をいたしますよ。ないにしても、そういう風評が巷間にあるとするならば、国税庁長官の不徳のいたすところである。これは将来とも私は反省をいたしまして、毛筋ほどもそういう風評のないように十分注意をいたします。人間ならばそう言いますよ。それが国民大衆に使われる公務員たる者のこれは責任です。いろはのいの字ですよ。そういうあなたは反省さえもないが、人間としてまさに偏執変質で、これが長い間権力の王座にすわるというと、そういう大きな間違いに反省も持たなくなってくる。それはいけません。それはいけませんが、次にいきます。第二番目の、こういう新聞記事を書いた筆者の氏名を明らかにしなさいということをくどく言われたというようなこと、筆者の氏名を明らかにせい、こういう事実があったかないかお聞かせ願いたいと思います。
○木村(秀)政府委員 これはございません。
○小林委員 ありませんか。これは確かにそういう政治的な論争では解決する問題ではございません。氏名だけは明らかにせよということを正確に言われましたと言うのですね。これは証人の問題でありまするが、いま一回聞きますが、ありませんか。
○木村(秀)政府委員 いま一度お答えしますが、ありません。
○小林委員 ありませんね。この問題の黒白は後日に残す楽しみといたしまして、次に移りましょう。これは重大問題ですよ。ないとおっしゃるならば、私のほうで必ず証人を出して、この問題を明らかにいたしますから、次の会議にいたしましょう。 それから、今後かかることのないよう保障せよという保障の要求をせられたというが、この問題はいかがでございますか。
○木村(秀)政府委員 これは先ほども申し上げたように、今後こういうような記事を出さないように、たとえ投書であっても事実の真否を確かめてからということは申しております。
○小林委員 以上の三つを実行した上で、会長は、長官におわびに来いということを命令せられたというのでありますが、この点はいかがでありますか。
○木村(秀)政府委員 これもありません。
○小林委員 これもおわびに来いということを確実に言われたというのでありますから、言わないとおっしゃるならば、これも後日にこの問題は残しておきます。決して政治問題じゃなくて、明確な問題でありまするから、私自身も決してうそを言っているわけじゃないんでありまするから、しかし、あなたのほうで、それほど言明をせられたのでありまするならば、この次の大蔵委員会にも、同僚各位のお許しを得て、この問題の確証を持ってまいりまして、会計士法、税理士法の法案の通過をしない前に、いま一回、私はここでこの問題を必ず質問さしていただきます。委員長も、お話し中でございまするが、どうですか、委員長、こういうわけでございまして、税理士法の改正に関連いたしまして、国民の側からはこういう明確なことをいわれておるのであります。それを、いま申し上げましたように、こういう文章を書いた筆者の名前を明らかにすること、以上を実行した上で、税理士会の会長は、長官におわびに来ることという二点を確かに言われた。いかにして名前を言おうか、言うまいかと、急遽首を並べてみんなは、死ぬか生きるかの心配を毎日毎日している。まことにこれは弱いものにとっては、名前を出せばどんな処分を受けるかわからぬのでありまするから、毎日毎日、この問題で相談をしている。早く名前を出せ、名前を出せという厳格なる指令を受けたというのでございますが、この真偽の問題は、この法案を審議する過程において重大な課題でございまするから、どうかこの法案の審議の途中において、いま一回これを明らかにする時間をお与えくださいますることを、賢明なる山中委員長にひとつお願いをいたしておく次第でございます。第四点は、以上を実行した上において、税理士会の会長みずからが、国税庁長官におわびに来い、おわびに来なければ了承しない、こういうことも念を含めて言われたというのであります。しかし名前を出さなければおわびに行くわけにはいかない。筆者の名前を出すべきか、出さざるべきかということで、非常に悩んで、まだおわびに行ってないというのが今日の状況でございます。この二つの点をこの委員会で明らかにした上において、法案通過の順序に持っていかれるように委員長に特にお願いをする次第でございます。
○山中委員長 小林委員の御意向はよくわかりました。しかるべく処理いたします。
○小林委員 委員長の御答弁をいただきまして、まことに感謝にたえません。概して言いまして、私は結論として申し上げたいのでございますけれども、こういうような文章をそういう機関紙やあらゆる書籍を通じて、この程度の文章にこれほど厳格な言論の圧迫を受けたという、これほど峻厳なる指令、命令系統を通じて弾圧をせられたという例は、私は不幸にしていままで経験ないのであります。終戦後初めてであります。もしどうしてもこれくらいの記事さえも自分たちの機関紙に書けないというならば、一体税理士会は、自分たちの機関紙の中にどの程度のものを書けばよろしいのか。いまの徴税に対して、官僚行政に対して、国税行政に対して一言半句も批判がましいことを言っちゃいけない、ちょうちん記事やおせじ記事以外は書いちゃいけない、こうおっしゃるのかどうか、ひとつお示しを願いたいのであります。
○木村(秀)政府委員 私たちは、正当な批判、われわれのやっておる税務行政についての正当な批判、また、税理士法改正案についての正当な意見なり批判というものは、これは十分慎重に耳を傾ける用意があるのであります。ただ、税務行政に対する一方的な誹謗記事についてはあくまでも是正をしていかなくちゃならぬ、こういうふうに考えております。
○小林委員 その正当なる批判の記事というのは、あなたが考えた、木村君の考えた正当な批判でございますか。その正当の根拠はどこでございますか。あなたのお気に召す正当なる批判記事ならばよろしいとおっしゃるのですか。
○木村(秀)政府委員 客観的に見て正当な批判、冷静な政策論争あるいは税の執行に関する冷静な批判、そういうものならば私は正当な批判だと思います。
○小林委員 「拝啓、大野伴睦様」は、私はだれにも聞いていないのじゃない、これくらい正当な、血も涙もある名文章はないとみんなおっしゃった。実に遠慮がちな、しかも野党の河上丈太郎とか小林進に、拝啓、小林進様というならば、まだそこに誹謗のことばがあるかもしれませんが、時の政府の最高頂にいられる池田さんの次の大野伴睦先生にお願いを申し上げるという記事なんでありまするから、どこに一体誹謗の記事がありますか。どこに一体不誠意がありますか。私は、大野伴睦先生も地下の中において、小林進よくやった、おまえはおれにかわってよくも正しいことを言ってくれたと、私は伴睦先生から必ずおほめにあずかると思っておるのであります。私は、どこに一体誹謗がありますか。だから、言いかえるならば、あなたの言わんとすることは、あなたのお気に召さぬ記事を書いちゃいけないということになるのでしょう。あなたのお気に召さぬ記事は正当な批判の記事にならないとおっしゃるのでしょう。いかがでございますか。その正当の根拠を一般とおっしゃるその一般はだれをさすのか、正当な批判とおっしゃる正当は何をさすのか、それをひとつお示しを願いたいのであります。
○木村(秀)政府委員 先ほどから何回も否定をしておりますように、これらの後援会に入れば税金が安くなるとか云々というような、こういう事実に反する税務の誹謗記事、こういうものは正当な批判とは思いません。
○小林委員 先ほども言っているように、大蔵官僚の後援会に入れば税金が安くなると言われることにも、私たち一般納税者は疑問を持っていますと言って、こんなことを知らないのはあなただけだとさっきから言っているじゃありませんか。それはあなたの言うのは正当な批判じゃありません。それが正当な批判でないというところに、あなた自身、大蔵官僚として長い間権力の座に立っている者の思い上がりがある。それは思い上がりです。そういう反省がなければ、これはもうどんな記事も書けない。こんなことはもうあたりまえだ。私は、その意味において、あなたのいままでの主張は、全部了承することはできません。できませんから、この問題は、先ほど委員長にも申し上げましたように、残された二つの問題の確かなる証拠とともに、いま一回、これはあなたが深くわびて、心の中からわびて、両手で拝んで、悪うございましたという心境になるまで、私は、この問題はおさめるわけにはいきません。 私は、次に、第二点の問題に移りまするが、これは第一問として申し上げておきました、われわれのところに来ている訴願書の写しであります。昭和三十九年五月一日、訴願書、東京都杉並区荻窪一丁目九十六番地、公認会計士高木勇二から、行政管理庁長官山村新治郎殿という文書が出されて、われわれのほうに配付をせられております。なお、あわせて、それと一緒に、わが国の経済を守るため、国会議員各位の良識に心から訴えますという、大体似通った文書が来ておりまするが、これに対して、行政管理庁はどういうような御処置をおとりになりましたか、お伺いをいたしておきたいのであります。
○川上政府委員 ただいま話がありましたように、ことしの五月一日に高木勇二さんから、私のほうの長官に対しまして、さような陳情がまいっております。そこで、私どものほうとしましては、これはきわめて重要な問題と考えましたので、大臣のほうから、大蔵大臣も含めまして、ほかの閣僚に対しましても、こういうような陳情書が来ておるので、この問題は非常に重大と思うから、十分にひとつこの問題については調査をして、かつまた善処してもらいたい、こういう話をしておきましたが、さらにまた五月の八日に、私のほうの総務課長から理財局長あて、文書をもちまして、こういう陳情が来ておるからその陳情の写しも添えまして、これに対しましては十分ひとつ善処をしてくれ、こういう通知を出しております。
○小林委員 それに対して、理財局長から行政管理庁長官のところに――いや理財局長からではなしに大蔵大臣になりましょうかな、回答はありましたか。
○川上政府委員 まだその正式の返事はありません。
○小林委員 大蔵政務次官、行政管理当局のお話のとおりでございますが、まだ御返事をお出しにならないのでございますか。這般の経緯はどうなっておりますか。
○纐纈政府委員 まだ大蔵省からはその行政管理庁のほうには返事は申し上げていないようであります。
○小林委員 返事は出さないにいたしましても、そういうふうに公式の文書をもって申し入れがあったのでありますから、その文書に対して何らかの処置を講ぜられたと思いますけれども、ひとつ大蔵当局からその申し入れ文書に対するその後の経緯を承りたい。
○吉岡政府委員 ただいまの経緯についてお答え申し上げます。 ただいま行政管理庁の政務次官から御答弁もありましたように、行政管理庁長官官房総務課長の名前で、大蔵省理財局長、私あてに書簡が参っております。これは「貴省所掌事項に係る陳情について」という表題でございまして、「標記について、当庁長官あて別添のとおり陳情がありました。つきましては、この陳情の趣について指導監督上、御留意願いたく命により通報いたします。」という文書でございます。事務的な話し合いの際に、こういう意味の書類であるから特に回答は要らないというようなお話がございました。私どもとしては、この陳情を拝見いたしまして、行政上のいろいろな参考にはいたしておりますが、特に回答は差し上げておらないわけでございます。
○小林委員 行政上の参考にとどめるたけで、そういう内容に盛られたような具体的なケースについて御調査にはなりませんでしたか。
○吉岡政府委員 もちろん、内容について調査をいたしました。私、だいぶ前のことでございますので正確な記憶ではございませんが、その陳情の中のこの法案改正に関連いたしますおもな事項は、この法案が大蔵省の経済課長という一官僚がもっぱら計理士会の利益をはかるために立案したものである。計理士会長が特殊の関係にあるある特定の衆議院議員を動かし、その衆議院議員が特定の関係のある経済課長を動かした、計理士会の利益のみをはかる法律の改正案であるということと、その経過によってできた法律案が公認会計士制度の根幹をゆるがすと申しますか、公認会計士制度を破壊するものであるというような趣旨の点が、重要な点であったと存じます。それらの点につきましては、私どもいろいろ調査したと申しますか、経過を十分承知いたしておりますが、この公認会計士の問題は、御承知のように十数年来の問題でございます。いろいろな経過をたどって今日に至った問題でありますが、三十六年、約三年前に、大蔵省の公認会計士審査会と申します公認会計士の試験その他の重要な事項を審議しております審査会におきまして、この問題の解決の答申が実は出ております。その答申の内容は、ごく簡単に申し上げますと、公認会計士と計理士の問題を解決するために、特に論文の試験をもって計理士を公認会計士にする方法を考えることが最も適当な解決方法であるという答申でございました。そういう経緯をたどって今日に至っておる問題でありまして、もし陳情のような趣旨で申しますと、今回の法律案は公認会計士審査会が中立的な立場から出しました答申よりは、もっと計理士にきつい案になっておるわけであります。陳情のような趣旨をもっていたしますと、公認会計士審査会が、全部が計理士会のみの利益をはかって意見を出したというようなことになるわけでありまして、これは事実に反すると判断をいたしております。それからその経過につきまして、ただいま申し上げましたように特定の官僚、特定の会長というようなものの関係で絶対に生まれたものでないことを申し上げたわけでございますが、でき土がりました法律案が公認会計士制度を破壊し、あるいは根底からゆるがすというようなことも、私どもの判断としては絶対にないと考えております。今回の法律案の改正によりまして計理士に特例試験をいたすわけでありますが、この特例試験の内容は法律案で御承知のとおり、従来やりました特例試験と同じように、公認会計士の本来の試験であります第三次試験と全く同様な専門的な知識の試験を予定をいたしております。そういう意味から言いまして、決して公認会計士を非常に質を低下させる、そういうような性質のものではないと考えておるわけでございます。
○小林委員 税理士法と会計士法の一部改正案の内容の問題については、私はまたこの質問が済んだあとで、第三間として質問させていただきます。いま、第二問としてお伺いいたしております。 個人の問題で、はなはだお気の毒ではありますけれども、その問題に対してこういう訴願書が来たり陳情書が来ているばかりではない、現に週刊新潮の六月一日号にこういう記事が麗々しく載せられているのだから、この問題をやはり私は国政を監督する国会議員の立場から明らかにしてもらいたい。政務次官にお尋ねいたしておりますことの重点はむしろこれなんだ。この問題をお尋ねしている。内容の問題はあとで入ります。「不良と名指された大蔵省課長」――税理士会やあるいは公認会計士だけに厳正なる批判をして、大蔵行政に対しては一言も批判がましいことをやってはいけないなどという思い上がった言明をしておきながら、あなた方の部内は一体どうだということを私は申し上げている。「不良と名指された大蔵省課長」、「小汀利得氏に指摘された背景」、さっきのは大野伴睦さんだ、今度は小汀利得さんだ。みな政党側の重要なる地位にある方々が大蔵省、あなたたちを批判している。まず第一ページの初めからいけば、「白昼、大蔵省内で「経済課長の塚本孝次郎という男」が「トランプによるトバク行為」をやった、とハッキリ名ざした」、こういうことであります。この問題が一体どうなったか、私はそれをお尋ねしているのであります。これはひとつ具体的に――訴願の理由です。「一、塚本孝次郎は大蔵省理財局経済課長の要職にあり、わが国事業会社の経理ならびに、公認会計士の業務および紀律を監督し指導する責任者の立場にあるに拘らず、事業会社の役員、経理責任者ならびに公認会計士等が、不断に多数出入する大蔵省経済課の課室において、常時しかも昼間に課員を集めてトランプによる賭博行為に打興じて居るのでありまして、この事態は多数の公認会計士や会社経理部員が目撃しているところであり、私自身も五、六回目撃いたしました。 かように事態は、全く官紀びんらんも甚だしきところでありまして官庁に対する国民の信頼を裏切り監督官庁の威信を傷け、ひいては、国民の政治不信を招来する因ともなり、指導的立場の百僚の行動として絶対に許すことの出来ない不徳行為と考えるものであります。」という、これが行政管理庁の長官にこのままの文書で訴願されている。それがあなたのほうへ回ったのですから、それをどう処置されたかということをお尋ねをいたしているのであります。
○吉岡政府委員 ただいま最初のお尋ねが訴願書について審美を調査しているか、どう考えておるかというお尋ねでございましたので、私どもといたしまして訴願書の中で、この法律案に最も重要な関係を持つと考えております点について御答弁を申し上げたわけでございます。 重ねてただいまのお尋ねの点についてお答えを申し上げますが、ここに書いてあるようなことがありましてはまことに申しわけないことであります。事実を調査いたしたのでありますが、確かに昼間の休みの時間において、ほかのところにも見られますように碁、将棋をやりましたり、トランプをやったりというような事実はあるようであります。しかしながら常時、しかも昼間課員を集めて賭博行為に打ち興じておるというような事実はなかったと聞いております。 なおこの際多少この経過を御説明することを許していただきたいのでありますが、この訴願書の出る前に、先ほど御指摘のありましたように、わが国の経済を守るため国会議員の各位に泣いて訴えますという。パンフレットが相当広範囲にわたって配付されたのであります。そのパンフレットは五十数名の公認会計士の名前を連署してあったのであります。そこで私どもといたしましては。
○小林委員 それはあとで聞く。おれの質問にだけ答えてくれ。いま昼間のトランプをやったというこの行為は、一体事実あったかないかということを私聞いているのです。いまこういうところでちゃんと情報としてきているけれども、塚本課長は昼間トランプ遊びをやっているというこのことが賭博行為と言われると思っているが、聞くところによれば何か仲間の間では勝負が早い、トランプがばくちとして行なわれているというのが非常に流行をしている。塚本課長も子供ではあるまいし、昼間からトランプ遊びを子供のように、幼稚園上がりの子供のようにトランプ遊びをしているわけはないじゃないか。明らかにばくちであると思われる要素が多い。方々でいま短時間でばくちをする一番早手の勝負として、このトランプが行なわれている。これを直ちにひとつ追及をしてくださいという記事がちゃんと載ってきている。いかがでございますか。
○吉岡政府委員 ただいまお答えを申し上げましたとおり、昼間の休み時間に碁、将棋あるいはトランプをいたしておったことは事実でございます。ただ常時課員を集めて賭博行為をやっておったというような事実はなかったと聞いております。この問題は私の局の問題であり、私どもといたしましても十分責任のある問題であると同時に、官房の問題と申しますか官紀の問題でもございまして調査をいたしたのでありますが、事実はただいま申し上げたようなことであると思っております。
○小林委員 ありませんか。私はあなたの身近なところからも、そのとおりですという情報が入ってきていますよ。それはまたあとで言いましょうかね。その前に、小汀利得氏がそのことばを受け継いで「その者は、」その塚本という男は「大蔵省官吏として」――これは国家公安委員の小汀利得氏が時事放談の中でそれを受けてこう言われている。それで山村行政管理庁長官あてに「その者は大蔵省官吏として不適格者と信じますので調査の上断固たるご処分に相成るようお願いいたします、という訴願君が出されているんだ。とにかく、この塚本という男のやっていることはよくないね。このね、投書者の高木という人は知ってるんだよ。この人の後援会か何かで一度会ってるからね。まあ、行政管理庁のほうも戦後できた役所なんだけどね。こういう不良官僚はどんどん調べて善処してもらわんとね……」困るね。こういうことを国家公安委員の小汀利得氏がテレビを通じて全国に報道せられておる。どうでありますか。国家公安委員がこういうことまで言われてあなた方の善処を要望しておられるのでありまするが、いかがでございましょうか。大蔵省に単に一ぺん注意書を出して、それで返事は要らぬというようなかっこうで行政管理庁の任務が終わったとお考えになるのかどうか。それで国民の官吏の粛正を行なうべき行政管理庁の任務が完了せられたとお考えになるか、まずあなたからお聞かせ願いたい。
○川上政府委員 小汀さんからそういうような話があって、週刊新潮に載っておるということも私も聞きました。先ほど申し上げましたように、われわれとしては大蔵省に対しましてそういうような話もあるし、また訴願書も来ておるから善処しろ、こういうことを言っておるわけでありますが、さっきも申し上げましたように、正式には別に回答は来ておりませんけれども、私どもとしましては大蔵省の善処を期待いたしていたわけであります。
○小林委員 理財局長、返事はありませんか。
○吉岡政府委員 行政管理庁に対するお尋ねだと思って聞いておりまして失礼をいたしましたが、私どものほうといたしましては、事実はただいま申し上げたようなところでございます。 小汀利得さんのテレビでの発言は私も直接は聞いておりませんが、私の聞いたところによれば、こういう投書がある、投書のようなことであればよろしくないというような御発言であったように聞いております。
○小林委員 一昨日ですか、一昨々日ですか忘れましたが、まあ、二、三日前の話だ。同じく国家公安委員の小汀利得氏が同じく時事放談をおやりになっておる。同じくこの問題を取り上げられておる。お聞きになりましたか。公安委員というものが一回ならず二回もテレビの時事放談の中に言われておる。塚本という男はそのような男だ、だからこれは早く処分すべきであるという、そういう意味の論評を小汀利得氏が二回も重ねて繰り返しておられる。お聞きになりましたか。
○吉岡政府委員 私は直接に聞いておりません。ただそういうお話があったことは承知をいたしております。しかし小汀さんはそういう事実を御存じあるわけはございませんし、塚本個人を御存じのわけでもございません。全くこの高木さんの訴願書によって、そういうことであればという前提でお話しになっているように伺っております。
○小林委員 私は先ほどからも国税庁長官が実に失敬千万な答弁をしておったのだけれども、こういうような事実があること自身が、いかに大蔵官僚というものが国民をないがしろにして思い上がっているか。これは一国家公安委員の小汀利得氏が、そんな事実があればなどという不謹慎な、人の風評くらいで、テレビやラジオを通じて二回も三回も同じことを繰り返してやられるとあなたはお考えになりますか。それほど公安委員の小汀利得さんという人は軽佻浮薄な人であるとあなたはお考えになりますか。そういうことを一々検事や判事のようにものごとをきちっときめつけたらあなた方もお気の毒だろうがといって、血も涙もあるようなそういう御見解で放送をせられているものと私は判断をするのであります。そこら辺にあなた方がお気づきにならぬという、そんな頑迷固陋な頭で、一体国民に奉仕をする公僕の責任が果たされますか。ひとつこの二回にわたる小汀利得さんの放送を、「時事放談」を借りてきて、一回みんなで聞こうじゃありませんか。それをおやりになりませんか。大臣いかがでしょうか。
○田中国務大臣 私も公安委員の方が公開のテレビ、ラジオを通じてお話になった、また週刊誌がこれを取り上げた――私もその週刊誌を読みました。いやしくもそういう事実があるならば、当然処分もしなければならないという考え方で、本件に関して私みずから取り調べをいたしました。しかし、そういう事実は、小林さんがまた私の発言に対してお取り上げになるかもわかりませんから、私も慎重に申し上げるわけでありますが、そういう記事にあるような事実はないようであります。しかもそういう悪意に満ちたようなものが、本人が目撃をされたとか、いろいろな方々が知っておる事実だとかいうことではなく、ちょうど公認会計士法の成案過程におきまして、私は反対だという方が指摘をされたことであります。根拠になっているのはそれだけであります。そのほかにいろいろなものがあるということになれば別でございますが、そういう問題につきましては、私も十分調べてみましたが、非難をしなければならないという状態ではありません。トランプをやっておる事実――トランプをやって悪いということはございません。これは十二時からの昼食の時間にやった、こういう事実でございます。でありますから……(「ばくちじゃないか、ばくちでなくて何だ、あなたやりますか」と呼ぶ者あり)皆さんがばくちをやっていられるからそう言うのかもしれませんが、そんなことではないと言うのであります。あなたがいま不規則発言をされておるような金をかけたり、そういうようなことはないという事実は私が確認をしたのであります。でありますから、現在の状態におきまして、私はこの課長のいままでの状態も全部調べてみましたが、週刊誌に述べられておるような具体的な事実が存在しないという確信を得ましたので、私はどういうふうに処分をしなければならぬというような結論には達しなかったわけであります。しかし、いやしくもこういうことを書かれたり、また人に言われるということ自体でも、大蔵省としては困ることでありますから、将来とも十分注意をして、いやしくも人の口の端にのぼらないようにということを、事務次官をはじめ所管局長を集めまして、私の意思を通じておりますので、そういう事実も十分お考えになられて、ただ私の見たところではということだけで、前途有為な官吏の一人でございますし、まじめに勉強しつつあるのでございますから、そういう事実もひとつ御認識をいただきたい、こう思うわけであります。
○小林委員 私は決して個人になき罪をすりつけて殺すだけが私どもの能じゃありません。できれば有能な人物は生かしていきたいという感じは、大蔵大臣と同じなんです。同じだが、いまも理財局長が、確かに大臣が言われるように昼休みにトランプをやっていることは認めた、けれども金はかけていないとおっしゃる。ところが先ほど言うように、いま小学校の子供だってトランプ遊びなんかしません。ほんの幼稚園の子供なんかがやるだけで、いまここらで大の男がやっておるトランプなんです。短時間で勝負を争う賭博行為はトランプが一番いいというので流行の先端を行っておる。みんな、はやっておる。トランプをやれば金をかけておるというのは世界の常識なんです。そこに碁や将棋とトランプ遊びの違いがあるのです。あなたは先ほど大蔵省の官僚は、大蔵行政は国民の権利義務に関する大切な業務だから慎重にかまえてくれと言って国民の側に要望せられた。なぜ一体あなたの足元のその官僚にその要望を――いまも要望せられたとおっしゃったけれども、一体これほど大きく火を吹かれるまで黙認されておったかということが問題の一つなんです。 いま一つあなたの来られる前に私が追及しておることは、これは小林進が言うのではない、この週刊誌が言うのではない、国家公安委員というりっぱな政府の最も信頼に足る警察行政、賭博を取り締顧るその最高責任者の地位にある小汀利得氏が、テレビを通じて「時事放談」の中でそれを明らかにされた。しかもそれも一回ならよろしい。一回じゃないのです。やられたのは五月二十何日か知りませんが、同時に最近の、きのうかおとといかききおとといかこの両三日間以内にその問題を再び繰り返して「時事放談」をしていられるじゃないか。「時事放談」の中でそれを論じていられるじゃないか。国家公安委員がそれを言われるのを、どこかの無責任な人が言われる放談のごとく軽く扱うというその心情自体が、私はいかにも反省力がないじゃないかと言うのだ。小汀さんはそんな事実があればというお話なんでしょうという、そういう軽く受け流しをするところに、いかにもことば巧みに逃げようとする官僚のずるさ、無理押しさ、ごまかしさ、太さがあるのだ。そんなのがみんな役人をやっているときには虫も殺さぬような、行政の中立を守っておるような顔をしながら、ひとつ選挙なんかに出ると、ばく大な金をかげて、そういうやつに限っていわゆる選挙を濁す本質を持っておると私は思わざるを得ない。これは私が思わざるを得ないというのでありまして、私の主観でありまして、あなたがやるというのではない。そこに私は危険性があるというのでありまして、もし小汀公安委員がそういうようなことを二回も放送をせられるような事実があるとするならば、謙虚に門をたたいてその事実を確かめてくるくらいの反省力がなぜないかと私は言っておるのです。だから、テレビで放送したその放談の記録があるだろうから、それをひとつお借りしてきて、みんなで聞いて、反省すべきところがあったら反省しようじゃないか。それをおやりになるかどうかを聞いておるのです。おやりになる意思があるかどうか。
○田中国務大臣 小汀さんは私も個人的には非常に偉い人だと思っておりますし、私淑もいたしております。大体小汀先先の言われることはいいことだと思っておりましたが、今度のこの問題は、私が十分調査しました結果は、小汀先生が指摘されたような事実はなかったわけでありまして、そういう意味から言うと、現実問題としましては、やり玉にあがった課長は非常にかわいそうだった、こういう気持ちでおります。しかし、こういうことが社会に公にせられるということは、どこかでやはりトランプをやったりいろいろなこともあるのだろうから、そういう問題はすべて正しなさい、いやしくも大蔵省が人に指弾を受けるようなことがあってはならない、こういう問題を契機にして、えりを正して綱紀の粛正というものに対しては特に十分考えてほしいという私の考え方を省内に徹底をせしめております。私としましては、ちょうど秘書課の若い男が事故を起こした直後でもありましたので、非常にまじめな立場でこの問題を調査いたしました。その結果、小汀先生の言われたような、またある文書に指摘をしておるような、そういう事実はなかったようでありますので、私自身も、これからもそういうことがあってはならない、こう言っておるわけでございます。また、きょうあなたがそう言われれば、あらためてえりを正しながら、いやしくも人に批判をせられるような――私はトランプなどはだれでもやっておると思っておりましたが、このごろはトランプをやっておれば、ばくちをやっておるんだという世相だそうでございますので、私も新しく一つ認識をいたしましたので、きょうからトランプなどをしてはならない、省に対してこういう私の考え方をひとつ申し上げましょう。そういうことで、ほんとうにこういう事件を契機にしまして、大蔵省自身もえりを正そう、国民の理解を得よう、こういうまじめな気持ちになっておるのでございますから、その問題はどうぞひとつここらで御理解を賜わりたい。
○小林委員 大臣の非常に真剣な御答弁をいただきまして、大臣の御心情をくみ取って了承するにやぶさかではございませんけれども、ただ、その間に若干の時間のずれがございまして、これはもう五月の半ばに起こったことで、大臣のお調べになったのはこれが出た直後だと思います。ところが、いまも言うように、小汀さんが、それもきのう、きょう、この二、三日のうちにもそういうことを再び繰り返しておいでになるという事実、それからいま一つは、実は私それを貸してくれと言ったのでありますけれども、つい時間も間に合いませんで、いま手元に持ってきませんでしたが、大蔵官僚の塚本君がつとめておる最も身近なところから、それは事実みんなほんとうなんだ、それほど悪いやつなんだから、これをやってくれという投書が来ていることも事実です。しかし、私は投書の信憑性というものはそれほど一〇〇%信用しようとは思いませんけれども、しかし、なかなか官僚というものは自己防衛力の本能は実に天才的能力を持っておりまして、ともすると大臣あたりをくるくるっとごまかすというか、だますくらいの知能もお持ちになっていらっしゃる方もある。全部だとは言いませんが、お持ちの方もあるのでありますから、私どもは、一方に大臣の至厳なる御答弁を受け入れたいと思いながらも、一方にはそういう事実を裏づけするようなそういう投書もきているという事実にかんがみまして、どうしてもいま一度大臣の手元でひとつ御調査をしていただきたいという考え方を深うするのであります。 なおそれにつけ加えまして、これに対し、今度は小汀利得氏ではありませんで、政治評論家の細川隆元氏はことばを続けて、自分のところにも別の投書が来ていると話し出されたというのであります。これは週刊新潮に書いてある文章でありまするから、私自身が隠してもしようがありませんから、このままを読み上げまするけれども、「別の投書が来ていると話し出し、それは現職の札幌国税局長が大阪第五区で選挙日あての後援会みたいなものを作っている、うんぬんというものであった。」こういうことをこれは細川隆元氏が同じく証言をしていられたのであります。いかがでございましょうか、大臣、やはり書いてあるものはお尋ねしなくちゃなりません。
○田中国務大臣 御指摘になりました事案につきましても調査をいたしました。調査の事実を申し上げますと、土曜日に東京へ参りました。本省と事務連絡に参りましたおりに大阪に参って、日曜一ぱい大衆の声にこたえておった、こういうことでございます。しかし、これは、選挙に出るとかなんとかということではなく、おとうさんの関係などで、十八年か十七年の卒業だと思いますが、もう後援会をつくってやるから来たらどうかというような地元の声にこたえたのだそうでありますが、私は、この問題に関しまして、この男がもしも次の総選挙に立候補するというような場合、これは大蔵省職員全部がかぶらなければならないことになるのだから、出るというのだったならやめて出てくれ、いま後援会等をつくっているのは一体選挙に出るのか出ないのか、こういう事実をひとつ十分調査をして、本人の意思を明らかにしてもらいたいということを事務次官を通じて調査をいたしております。これは日曜日だけでございますから個人の自由だというようなことを言わないで、日曜日であろうが、いわゆる大蔵省の局長という立場に立って、十分その身を正すように、こういうことを言っております。その雑誌が出た直後私がそのような指示をいたしましたので、その後は後援会に出席などはしておらぬと思います。これは私もそういうことを考えているわけであります。将来この人がどうするのかということについては、近く私もひとつ本人に会ってただしてもみたいと考えているわけでございますが、いまの状態では、次期選挙に出るということを前提にして後援会等に出席しているのではないという事実だけが明らかになっているわけでございます。しかし、いやしくも御指摘を受けるようなことがあってはならないということを基本にいたしまして、本人の自重を促したいという考えでございます。
○小林委員 大臣がそれほど厳格に御注意をされたというのでございまするから、大臣の御誠意はわかりますが……。
○田中国務大臣 ちょっとおそれ入りますが、訂正をいたします。私も国税局長とは言っておりませんが、いま税理士法等をやっておりますし、また国税の問題がありましたから、国税局長と御理解になると悪いので申し上げておきますが、国税局長ではなく、財務局長でございます。それから局長ということを、いわゆる国税局長ではないという事実を細川氏あてに訂正抗議の文書を出しているようでございます。
○小林委員 それでは札幌の財務局長ですか。財務局長ということでひとつ了解をいたしまして、こういうような事実があるということをやはり行政管理庁は御存じになって、何かこれに対する手当その他をおやりになったことがあるか、行政管理庁側の御意見を伺っておきたいと思います。
○川上政府委員 行政管理庁といたしましては、ただいまの問題につきましては全然私どもは知りませんし、また調査もしておりません。
○小林委員 行政管理庁がお知りにならぬ前に大蔵大臣が早手回しに御注意をおやりになったというから、それでもいいようなものでありまするけれども、やはり巷間週刊新潮も百万部以上出ているとかいうような話でありまして、この浸透力というものは非常に大きいのであります。人のみんな知っていることを、その責任の官庁である行政管理庁がお知りにならぬというようなことも、これも至厳な責任度は別として、やはり政治上、道徳土少し怠慢で、まさかトランプやマージャンをおやりになったからではないでしょうけれども、いま少しく注意力を敏感に働かして、応急に事前にそういう弊害がないように御処置をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○川上政府委員 私ども、そういうような問題についてもなるべく調べたり、あるいは読んだりしたいと思うのですが、不幸にして、その週刊新潮につきましては、私は今度は読んでいなかったものですから、全く知らなかったわけであります。
○小林委員 将来ともひとつ十分御注意をいただくことにして、週刊誌をあなた自身が読まなくても、行政管理庁という庁の中にはそれぞれ多くの関係者がおいでになるのでありますから、その中の一人くらいは、これはおかしいじゃないかと思えばちゃんと上司のところに耳打ちをして処理をしなければいけない、その良心が麻痺して、こんなことは大蔵官僚としてはあたりまえのことだ、そういう気持ちがあると、こんなのを見ても軽々に見のがしてしまうということです。そこに問題のとらえ方、行政管理庁の姿勢ということを私どもはやはり考えざるを得ないのであります。あなたがお読みにならぬでも、だれかが読んだら、こういうことはすぐチェックして手当てをするぐらいの敏感さを持っていただきたいということをお願いしているわけであります。せっかく大臣もいろいろ御誠意のある御答弁をされましたから――私は実はこの問題でも資料がありまして、まだまだ微に入り細をうがってお伺いしたかったわけです。たとえば赤坂の料亭松室等において塚本課長と米里課長補佐がともにここでよく歌などを歌われたというようなことに関してもいろいろお尋ねしたかったのでありますけれども、これは暴露するのが能じゃございませんで、大臣のほうで十分御承知の上で御審査になったといえば、そこら辺はひとつ省略をいたしまして、この問題は納得したわけではございません。いずれまた、何らかの反応、反響があるものと期待をいたしまして一応打ち切ります。実は税理士法の内容について同僚諸君の質問の時間をあまりとっても失礼でございますので、内容の問題について若干お伺いをいたしたいと思うのでございます。 それでは同僚各位のお話もございますので結論を先にして、前置きが長くなりまして現実に法案の内容に入れなかったのでありますが、約束もあるそうですから、かいつまんで申し上げたいと思います。 この税理士法の中にも改正の要点が三つ、四つあるわけでありますけれども、特にその中で実務経験者に対する資格認定制度の導入という件がございまして、国税事務にもっぱら従事をした期間が二十年以上、地方税事務にもっぱら従事した期間二十五年以上の者、五年以上の一定の管理的地位にあった者に、ほんの口頭でものを聞く程度で税理士の資格を与えるという規定がございますけれども、その中の管理的地位というのは一体何をさすのか、もっぱらというそのもっぱらは何を意味するのか、また税理士試験審査会の構成は一体どういうふうになっておるのか、だれが一体これを任命せられるのか、あるいはこの制度によって新しく税理士になり得る資格者がどの程度になるのかどうか、こういうことをお尋ねしておきたいのでございます。
○泉政府委員 お答えいたします。 まず第一に管理的地位につきましては、宜公署におきまして国税または地方税に関する事務を管理しまたは監督することを職務とする職ということでございます。具体的にそのことは政令で規定することになっておりますが、その内容を申し上げますと、まず税務署、国税局、国税庁または大蔵省主税局における事務を担当する係長以上の職またはこれと同等以上と認められる国税調査官、国税徴収官等の特別の職をさしておるのでございます。なお、地方税の職員につきましては、地方団体を分けまして一定人口数以上の市町村あるいは道府都県におきまして地方税の賦課徴収に関連する事務または自治省の税務局における事務を担当する係長またはこれに相当する職以上の職に従事しておる者、それから一定人口数未満の市町村におきましては、課制を採用して地方税の賦課徴収にもっぱら従事する職員を擁しておる課の課長以上の職の管理職ということにいたしまして、そういうような限定を加えることにいたしておるのでございます。 次に、もっぱらと申しますのはこれはことばどおりでございまして、専門的にその仕事に従事しておる大蔵省の職員の中には、税務に従事しておる場合とそうでない仕事に従来しておる場合もございますが、もっぱらそういう仕事に従事しておったということでございます。 なおこの資格認定制度につきましては、従来国及び地方税の職員につきましては試験免除の制度とそれから特別試験の制度があったわけでございますが、今度の改正におきましては試験免除の制度をなくしまして、特別試験をやめまして、この資格認定制度を導入するということにいたしたものでございます。 なおこの改正によりましてどの程度税理士になるかということの見込みにつきましては、国税庁長官のほうからお答えいただきます。
○木村(秀)政府委員 今度の改正案で資格認定を得ます者は、初年度千四百人、それから六百人、千三百人、九百人というふうにいたしまして、十年間をとってみますと大体一万七百人程度でございます。その中で税理士となりました者の数を従来資格認定を得まして税理士となった者につきまして調べてみますと、初年度が三百七十人、二年度目が三百六十人というふうにいたしまして十年間で合計三千八百八十人程度になるものと推定をいたしております。
○小林委員 実務になれておるからということだけでこういうふうに税理士をおつくりになる。そうしてこの人たちは長い間大蔵省に生活した人たちですから、そこには縦の連絡、横の連絡が密になっておる。結局新しく税理士の試験を受けようなどといって税理士になる者は将来仕事の分野が自分たちにくるのかどうかということで非常に希望を失っておる。そういう問題が起きておるのでありまして、私はこれは当然だと思う。大蔵省をおやめになって大蔵省はえ抜きの人たちが税理士になって民間の業務をやろうとするならば、大蔵省に関係のない税理士諸君の職域が荒らされるというのはだれが考えても常識でありますから、私は実に重大な問題だと思います。そういう点においても実にこの法律は危険であると言わざるを得ないのであります。けれども、時間がなくて、あとで何か修正案でも出るそうでございますから、そういう理論のやりとりは別にいたしまして、特にここでお伺いいたしておきたいことは、この税理士の新しい事務所を法人化することを遮断をしておいでになっておる、やってはいけないということになっておるが、これは憲法違反ではないかと思うことが一つ。憲法論争から重大問題でございますから、明確にお答え願いたい。 第二番目といたしましては、国税庁長官が、これは何か審査会の委員の意見も聞くようにはできておりまするけれども、懲戒権というものをお持ちになって、非常に国税庁長官の権限を拡大せられているが、裁判の確定も待たずして、議決も待たずして、長官の権限で即日に税理士事務所の営業を停止したり、その業務を中断せしめるというがごときは、実に人の権利を剥奪する点においてあまりにも安易なやり方ではないか。権力集中主義、あまり権力を大きく行使し過ぎるのではないか、かように感ずるのでございまして、この点をひとつお聞きして、私の質問を終わりたいと思うのであります。
○泉政府委員 まず税理士法人の問題についてお答えいたします。この問題につきましては、けさほど松隈税理士制度特別部会長からもお話し申し上げましたように、税制調査会に設けられました特別部会におきまして、いろいろ検討をいたしたのでございます。ただ西ドイツにおきましては、税理士法人というものを認めておるのでございますが、わが国におきましては、御承知のように弁護士はそういう法人組織ができないということになっております。これはその仕事が委嘱者との間の個人的な信頼関係がきわめて強いということに基づいておるものと思われるのでございます。ところが税理士につきましては、もちろん弁護士と同じように依頼者と税理士の方との間の個人的な信頼関係が強いのでございますが、しかしまた一面におきまして、税理士の仕事の中には、会計的な業務が相当大きな部門を占めておる点もございます。そういった意味におきまして、その会計業務を行ないます場合には、相当大きな組織でやっていく、その場合にはそういった法人組織でやるほうが会計業務をやるのには適当である、こういったような面もございます。したがって、税理士法人を認めるべきかどうかということにつきましては、そういったいろいろの面を検討いたしたのでございますが、しかしまだ一般社会におきまして、税理士法人に対する要望がそれほど強くない、したがって、この問題につきましては、将来なお検討することといたしまして、今回は、税制調査会の答申におきましても、この点は一応結論は出さないで今後検討すべきであるということになっておりますので、今回の税理士法改正におきましても、その点につきましては改正をいたしておらないのでございます。今後検討いたしたいということでございます。 次に、懲戒の問題について申し上げますが、これは従来は国税庁長官が懲戒権を持っておったわけでございますが、この点につきましては、税理士会のほうから懲戒処分権を税理士会にもらいたい、こういう御要望があったのでございます。これはほかの職業については小林委員御存じのとおり、弁護士の場合におきましては監督官庁がございませんので、弁護士みずから懲戒委員会を設けまして、弁護士会におきまして懲戒処分を行なうことになっておるのでございます。それ以外の公認会計士、税理士、こういったものにつきましては監督官庁がございまして、監督官庁が懲戒処分権を持っておるわけでございます。税理士につきましては従来国税庁長官が懲戒処分権を持っておったわけでございますが、これにつきまして先ほどお話がございましたように、従来のように懲戒処分を行なった後、それが確定するまで行政処分の効果は発生しないという考え方をとっておりますと、行政処分としての効果が発生するのが非常におくれまして、行政処分としての価値がおかしくなるといったような点がございますので、今回の改正におきましては、行政処分は直ちに効力を発生するように改正する。しかしながらその懲戒権の行使につきましては、国税庁に懲戒審査会を設けまして、学識経験者、税理士会の方、それから国税及び地方税の職員、これを加えまして、六人の懲戒審査会におきまして審査をいたしまして、国税庁長官は、懲戒処分をするときには、その審査会の意見を十分聞いてやらなければならないということにいたしておるのでございまして、その意味で、従来以上に懲戒処分につきまして厳格な措置がとられることになるわけでございます。
○小林委員 私はいまの答弁に満足するわけにはいきませんけれども、もう質問の時間もないし、同僚諸君もやめいと言っておりますから、これで私はやめます。やめますが、結論として、あなたの御説明を聞いたままにしておきますと、いかにも私は納得したようでありますので、最後に一言だけつけ加えて申しますけれども、この税理士法の改正といい、公認会計士法の改正のしかたといい、第一においてその過程、そのやり方においていかにも非民主的であり、これは納得できません。その結論とするところは、やはり税務行政という国家権力、一番国民がおそれておる国家権力をむしろ集中するように、やりやすいように行使をするようにでき上がっておるのでございまして、その税務行政をやりやすくする外郭をむしろ強めるような形でこの改正が行なわれておる、それだけ税金を納める国民の権利やあるいはまた一般税理士の職業等をそれによって非常に侵犯をせられるおそれがありますし、かお先ほど言いましたように、この中には憲法の問題、憲法に抵触する基本的な問題も含まれておりますので、私どもはどうしても了承をすることができません。反対をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。 ―――――――――――――
○山中委員長 ただいま議題となっておりまする両案中、公認会計士特例試験等に関する法律案について引き続き議事を進めます。 本案に対し、木村武千代君外三十八名より修正案が提出されております。 ――――◇―――――
○山中委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。木村武千代君。
○木村(武千代)委員 私は、ただいま議題となりました公認会計士特例試験等に関する法律案に対する修正案について、自由民主党、社会党、民主社会党三党を代表し、その趣旨について御説明いたします。 修正案の案文は、お手元にすでに配付してございますので、朗読を省略さしていただきます。 修正の第一は、公認会計士は、高度の一般的識見を持っていなければならないので、第三次試験及び特例試験に論文試験を追加することにいたしております。これにより独立の職業会計人として公認会計士の適格性が広い視野から判定されることになると思うのであります。 第二点は、原案によりますれば、第三次試験の口述試験は、筆記試験に合格した者についてのみ行なうこととされているのでありますが、口述試験を追加したことが、会計事務の専門的応用の能力を判定するためには筆記試験のみでは合理性に欠けるという理由に基づくことを考慮いたしますれば、口述試験は筆記試験の合格者よりも広い範囲のものについて行なう必要があると考えます。したがって口述試験の受験資格者を筆記試験の合格者よりも範囲を広くいたしたのでございます。 第三点は、技術的な理由による修正でございまして、その第一は、先ほど御説明いたしましたように、論文試験を追加したことによりまして、特例試験の試験委員の数を一名追加いたしたことでございます。 第二は、昭和三十九年四月一日現在におきまして主として計理士業務を営む者で税理士資格を有していない計理士は、税理士資格の付与に関する認定申請書を大蔵大臣に提出することになっております。しかしその提出期限が、原案によりますれば本年七月三十一日となっておりますのを、本法の施行が当初の見込みよりおくれましたため、これを九月三十日に延期することといたしたのでございます。 以上が修正案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。
○山中委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。 本案並びに修正案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 ―――――――――――――
○山中委員長 これより本案並びに修正案について討論に入ります。 通告がありますので、これを許します。武藤山治君。
○武藤委員 私は、ただいま上程になりました公認会計士特例試験等に関する法律案に対する修正案、さらに本法案である公認会計士法の試験制度の改善について、賛成の討論をいたしたいと存じます。 当委員会ですでに堀委員が鋭く調査を進めましたとおり、今回の特例試験制度による計理士を公認会計士に切りかえていくという措置は体系を乱すという意味で好ましくはないという立場に私どもは立っておりましたが、今回の修正によりまして第三次試験の中に口述試験も含めるという改正をいたされますので、この体系が同様になり、私どもが指摘しておった点が幾ぶんか改善をされるという点で修正案に賛成をいたすわけであります。公認会計士法第十条による試験の制度をさらに合理的に改正をしようというわれわれの主張でありますが、今回の改正でその点がわずかではあるが前進をいたしたことで賛意を表するわけであります。しかしながらまだまだ、公認会計士法をめぐる試験制度のあり方、運営のやり方あるいは答案の作成のしかた等、多くの問題が本委員会において指摘をされましたので、この修正に賛成をする際に、今後はそれらの点についても十分当局は参酌をして検討すべきであると私どもは考えます。 さらに、私たちが本修正案に賛成をする第二の点は、後刻問題になると思いますが、本法案に対する附帯決議を付しまして、今後インターンの人たちに政府みずからがもっと積極的な研修機関を設けるとか、何らか適切な措置を考える必要があるであろう。第二の点は、いま公認会計士会が最も心配をいたしておる点は、過去において数回計理士を公認会計士に切りかえる措置をとったにもかかわらず、今日かような特例措置をしなければならないというところに大きな不満を抱いておるようであります。したがって私たちは、今回の三年間に限りという試験制度を、その時点が到来したときにさらに延長するがごとき愚は決していたさないという当局のかたい決意を附帯決議によって確認いたしますので、本修正案に賛成をいたす次第であります。 当同においてはこの委員会における質疑の経過を十分参酌して今後の万全を期していただきたいと要望して賛成をいたす次第であります。(拍手)
○山中委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 ただいま議題となりました公認会計士特例試験等に関する法律案並びにその修正案に対し、私は民社党を代表して賛成の討論をいたしたいと存じます。 公認会計士法は数回に及ぶ改正によりまして、第三次試験を受ける資格を検定によって与える等、計理士が公認会計士になれる道を幾多講じてまいったのでありますが、今回の改正案はさらに一歩を進めて、公認会計士特例試験なるものを昭和四十二年三月末までの間に五回に限って行ない、この試験に合格できなかった者には税理士の資格を付与することによって、以後計理士の制度を全廃しようとするものであります。 この際留意すべきことは、もし今度の特例試験が従来の第三次試験よりもやさしい試験を実施して多数の計理士が公認会計士となる道を開くのであるならば、高度の水準を目ざす公認会計士制度の立法の趣旨に反し、その国際的信用を失墜するのみならず、また既存の公認会計士及び公認会計士たらんとしておる会計士補との間にもバランスを失することの、不公平が出てまいろうかと思うのであります。したがいまして、これが運用については格段の注意を行なう必要があります。特にただいま提案されました修正案は原案の内容を一歩前進せしめて、民主的にこれを充実したものとしようとするものであろうと理解をいたします。 以上の趣旨によりまして、私はこの両案に賛成するものであります。(拍手)
○山中委員長 これにて討論は終局いたしました。 続いて採決に入ります。 まず木村武千代君外三十八名提出の修正案について採決いたします。 本修正案を可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。 これを可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決いたしました。 ―――――――――――――
○山中委員長 次に、本案に対し坊秀男君より発言を求められております。これを許します。坊秀男君。
○坊委員 私は、自由民主党、社会党、民主社会党三党を代表して、本案に対しまして、附帯決議を付するよう動議を提出いたします。 まず附帯決議の案文を朗読いたします。 公認会計士特例試験等に関する法律案に対する附帯決議 一、公認会計士特例試験の実施措置は、計理士制度を廃止して職業会計人制度の整備統一化を図ることを目的とすることにかんがみ、政府は、計理士制度の廃止、特例試験の実施期限が延長されることにならないよう最善の努力をつくすべきである。 二、政府は、公認会計士試験第二次試験合格者が履習しなければならない実務補習等の成果がさらにあがるよう積極的に配慮すべきである。 案文は以上のとおりでございまして、賢明なる皆さんはすでに御了解のことと思いますが、簡単に趣旨を説明させていただきます。 今度の特例試験の実施期限が昭和四十二年三月三十一日となっておりますが、この期限と計理士制度を廃止する期限とが軌を一にしております。ここがこの法律案の非常に重大なる眼目であろうと私は思います。したがって法律上はかくのごとく期限が明定されておることは、これはもう十分な規定であろうと思います。しかしながらかような法律案につきましては往々にして、過去の実例から考えてみましても、期限が終了後いろんな方面から陳情等がありまして、特例試験等の期限を延長するようなおそれがなきにしもあらずということが事実としてあらわれてくるわけでございます。この法律の期限は断じて延ばすべきものではない。さようなムードによって動かされるべきでない。これが動かされると本法律案は立法の趣旨がくずれてくるというほど、この期限が重大なる意義を有しておるものであります。そうでありますから、この法律案が成立いたしましても、大蔵当局におかれましては、十分各関係方面を強力に指導せられまして、そうしてさような要請とかそういったようなものは起こらないように善処してもらいたい、これが第一点であります。 第二点は、第二次試験を受けたいわゆる公認会計士補というものはできるだけ勉強をさせまして、そうして第三次試験を通過させて公認会計士に登用すべきものだと私は思います。そこで、今日までも大蔵当局におかれましては、この第二次試験通過者についてはいろんな措置を講じられて、そうして勉強をさせて第三次試験を通過せしめるような措置をとっておることは私もよくわかっておりますが、この際さらにこの士補に対する研修制度というものに対して大蔵当局が当局としてでき得る限りの方法を検討せられて、せっかく第二次試験を通った士補をできるだけ公認会計士に登用するようにいろいろな最善の努力を傾けていただきたい、こういうわけでございます。 以上、簡単に趣旨を御説明いたしました。
○山中委員長 ただいま坊秀男君より、公認会計士特例試験等に関する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されましたので、本動議について議事を進めます。 おはかりいたします。 坊秀男君提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、坊秀男君提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。 ―――――――――――――
○山中委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
○山中委員長 次会は、明十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十三分散会