大蔵委員会 第38号
- 発言数
- 119 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/05/06
会議録
○山中委員長 これより会議を開きます。 国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、これを許します。武藤山沿君。
○武藤委員 ただいま議題になっております国民金融公庫法の一部を改正する法律案に関連をして、大臣の所見を承っておきたいと思います。 田中さんも御承知のように、旧地主に対する二十億円の特別融資を考えて、この法案が提案をされて、昭和三十七年の三月十五日に衆議院に当初提案をされたわけでありますが、すでに二年の歳月が流れ、しかもその間、参議院の審議状況をも入れるならば、四回の国会においてこれが成立を見なかった法案であります。四回も国会を経過しても成立をしないような法案を、今回もぜひとも、どうしても成立をさせなければならないと大臣は考えておりますか。現在はどのように考えておりますか。
○田中国務大臣 政府が農地被買収者に対しまして生業資金その他を何かごめんどうを見たいという気持ちでこの法律案を三十七年以来お出しをいたしておるわけでございます。現在も国会に御審議をいただいておるわけでございますので、何とかひとつ御審議をお願いを申し上げ、もう引き続き三年目にもなっておるのでございますから、本件に対しては相当御審議をいただいておりますので、できるだけ早く通過をせしめていただきたいという考えでございます。
○武藤委員 もうすでに二年の歳月が流れたのでありますから、情勢が非常に変化しておると思うわけです。おそらくこの法案を出すときの田中さんの心境は、政調会長をやっておりまして腕をふるっておる当時に、どうも地主連盟がだいぶうるさく陳情に押しかけてくる。報償を出さぬ、出さぬということでは逃げ切れぬ。この辺で何かひとつ中和剤を考えようじゃないかという意図から国民金融公庫を通じて金をちょっぴり貸してやれば一応名目がつくのではないか。こういうような、地主連盟の運動に対して考慮した点からこういう法案が出てきたと思うのであります。それがいまやいよいよ、旧地主に対して何らかの報償をやろうじゃないかという考え方まで政府与党が固まってきた段階ですね。こういう段階にさらに金融公庫を通じて貸す必要があるのかどうか。積極的な理由があるのかどうか。私はまずこの生業資金を貸さなければならぬという積極的な理由を、だいぶ情勢が変化しましたから、ここであらためて大臣にお伺いをしておきたいと思います。
○田中国務大臣 本件を国会の審議にゆだねましたのは、前任者水田大蔵大臣のときでございます。政府・与党十分検討した結果、御審議をいただいておるわけでございますし、また三月三十一日現在で農地被買収君の生活実態等も調査が終わりましたが、この上なお何らかの処置をしなければならぬ、こういうことさえもわかっておる現状でございますし、三年たった今日、農地被買収者の状態がよりよくなって、他の金融機関から融資が受けられるというような変化はないわけでありますので、この法案の御審議をすみやかに進めていただきたいという考え方は、政府としては変わっておらぬわけでございます。
○武藤委員 政府はときどき、議員立法で予算の伴う法案はあまり出さぬでくれ、こういうことを官房長官が要望し続けてきたわけであります。この国民金融公庫法案は、すでに繰り越し明許の期限も切れて予算がついていないのですね。予算のついていない法案を、そう無理やりに、ぜひ成立をさせなければならないというほど、官房長官談話や何かに反するような方向でこれを上げなければならぬという理由が私はよくわからないのでありますが、予算がついていないこの法案が通った場合に、大臣としてどういう処置をおとりになるつもりでありますか。
○田中国務大臣 政府・与党といたしましては、十二月末の次年度の総予算を決定しますときに、十分意思の疎通をはかりまして、党の了解を得て政府原案がきまるわけでございます。でありますので、その後予算を伴う法律等はなるべく出さないでほしいという趣旨のことは、毎度党に対して要請をしておることは事実でございます。それとこれとは全然違うではないかという御意見でございますが、そうではございません。この法律は三十九年の三月三十一日までに通していただきたかったのであります。衆議院を二回通ったこともございますから、いずれにしましても三月三十一日までには何とかものにしていただける、こう考えておったわけでございます。でございますが、三月三十一日までに通りませんでしたので、予算は執行したわけでございます。予算は執行いたしましたが、三十九年度になりましてこの法律が通過をした場合には、三十九年三月三十一日で使えなくなりました金とは別に、三十九年度に何とか処置しなければならぬということは事実でございますので、予備費等を充てて法律の趣旨を実現しなければならないという考え方でございます。
○武藤委員 この法案はもうすでに予算がなくて新たに処置をしなければならぬ。大臣のお考えでは、この法案が通った場合にはどういう処置をするのですか、あなたの考え方をひとつお聞かせ願いたい。
○田中国務大臣 いまの段階で申し上げるとすれば、本法を通していただければ、予備費を支出しまして、そして国民金融公庫に出資をし、そこからこの法律の趣旨を具現してまいるということになると存じます。
○武藤委員 三月三十一日までにこの法案は通してほしかった、また成立するであろうという見込みで十二月の閣議では一応これを再提出することにきめた、こういう説明でありますが、三月三十一日までにこれが通過しなかった、不成立になった、そういう状況でしたら、国会の意思がそうなのですから、政府はすなおに、抵抗がこれだけある、なるほどこれはどうも不合理な点がある、地主報償の問題もこれから固めなければならぬ、三月三十一日までに通らぬものだったら、まあひとつあきらめよう、こういう考え方になることは、私は最もすなおな政府としての態度ではないかと思うのですが、なぜそういうすなおな態度がとれないのですか。何か理由があるのですか。
○田中国務大臣 三月三十一日までに通らなかったから、これを取り下げてまたあらためて出し直すということも一つの考え方かもわかりません。政府といたしましては、農地被買収者の生業資金その他に対しては何らかの処置をやらなければならぬという考え方は変わっておらぬのでありますから、三月三十一日までに通らなくとも、できるだけ早くひとつお通し願いたいという考え方も——ILO条約のように、何回か出しましたが、通りませんけれども、やはりこういう重要なものは必要である、批准をすることが正しい、こう考えれば、農地報償よりももっともっと長いこと国会にお出しをしておるわけでございますから、こういう考え方も、政府は四月一日以後取り下げないのはすなおじゃないというふうにお考えにならないで、本法に対する政府の奥意を御理解になっていただきたいと思います。
○武藤委員 それでは、大臣、旧地主で、通常の金融機関から借り入れできなくて生活に困っている者、これを救うための法案であるというならば、一体旧地主で、生活困窮者で、国民金融公庫から貸さなければならぬと思われる対象人員は何名おりますか。
○田中国務大臣 これは何名おるというようなことはつまびらかにはできないと思いますが、被買収者の方々で、とにかくほかの金融機関から金は借りられない、戦後の日本の経済復興のために協力をしたわれわれが生業資金を借り得るように政府は何とか道を開いてくれという陳情はあるのでありますから、とにかく国民金融公庫等に窓口をつくって差し上げるその対象人員は相当あるという事実だけはおわかりになると思います。
○武藤委員 大臣のその答弁は、私は事実に反すると思うのです。内閣の前回の調査会の結論ですでに、旧地主で今日生活困窮者が一般の農民と比較してどうであるか、また地域における地位がどうであるか、詳細なデータは出ているはずです。その資料の中では、特に旧地主が生活に困るというような数字は出ておらないのですよ。今度の内閣で調査をした結論を見ましても、そういう結論は何も出ておらぬじゃありませんか。それは大臣の主観で、陳情があるから、あるいは国家のために農地を提供して協力をしたからという主観でものごとを、国の大事な予算をきめるような法案を軽率に取り扱うべきでないと私は思うのです。それでは、具体的にどの程度の希望者があるであろうかという予想を立てておりますか。
○田中国務大臣 何人ということは申し上げられませんが、三月三十一日までに総理府で検討しましたものも、すべてをあらわしておるわけではないのであります。限られた予算で、短い時間で抽出調査をやったわけでございますから、とてもそのようなものだけですべてを律するというわけにはまいらぬわけでございます。同時に、自民党の衆参両議員も四百五十名もおるのでございますが、この方々は大体、とにかく農地被買収者で何とか金を借りたいという人がたくさんおるんだ、こういうことを私のところへ陸続と言ってきておるわけでございますし、自民党の議員の方々がそういう実態を全部把握しておりますし、政府の立場から考えましても、この法律案を出した当時と比べまして、悪くなってもよくなっているというような認識を持てないのでありますから、これをもしお通しになっていただいて、国民金融公庫の窓口にどのくらい人がくるかということは、私も大体想像はつくわけでありますので、政府の考えは間違っておらぬという立場でございます。
○武藤委員 この申し込みの手続等を検討してみると、被買収者またはその遺族ですね。遺族という場合には、必ずしも相続人一人に限らず、四人の子供がおれば、四人の子供も全部遺族の中に入ると思うのですが、そういうものが全部この借り入れ資格があるということになりますと、これは私はどうも筋が通らぬような気がするのです。そういうような場合は世帯主一人、そういうことに限ってやろうと考えておるのですか。 もう一つは、一般の商工業者には年九分で、旧地主だけは六分五厘で貸すという、この不公平さ、しかも普通の金融ベースの紊乱ですね。旧地主なるがゆえに六分、五厘、商工業者だけ九分、この差というものは、私はどう見ても筋の通った、全国民の納得のいく貸し付けのしかただとは考えられない。そういう点、大臣は全く公平を欠いておらない、旧地主なるがゆえに報償金も出す、低利の融資もやる、一般業者とはこれだけの差があっても不公平でない、政治の姿勢として当然なんだ、あなたはこうお考えですか。
○田中国務大臣 五十万円までは六分五厘、五十万円こすものは九分ということでございます。それから、恩給担保のものは六分でございます。ですから、六分よりも少し高く、こういうことでございます。 一体、こういう中小企業者も困っておるにもかかわらず、このような処置をどうしてとるのか、こういう考えは自民党政府と皆さんの考えの差がそこに端的にあらわれておるわけでございます。あなた方はもう農地被買収者に対しては当然のことであるから、何もやることはない、こういう考え方に立っておるわけであります。私たちのほうは、世界の歴史を見るまでもなく、農地問題を解決するということが非常に大きな歴史をつくっておるわけであります。第一次農地解放、第二次農地解放、皆さんがおっしゃった第三次の農地解放、いわゆる山林解放、こういうことをテーマにして、昭和二十一年、二十二年の総選挙をやったわけでありますが、その時代から自由民主党の考え方、社会党さんの考え方とは相当違うわけであります。このように、世界の歴史で例のない農地解放というものが行なわれたという歴史的な事実、またそういうことが円満に行なわれたために、立ち得べからざると判断された日本の経済がここまで大きくなったということも考え得るわけであります。そういう意味で、戦後あのような革命的な大きな事業が行なわれた陰には、いろいろなつらい面もあるわけでありまして、そういう方々が生業資金に困っておられる、こういうことにつきましては、やはり恩給受給者が恩給を担保にして生業資金を借りるというものに近い配慮を政府は考えておるわけでございまして、ひとつその立場や考え方は御理解いただきたい。
○武藤委員 全然理解できないのです。それは農地解放のときにすでに陣地の代金を払い、最高裁の判決では報償もちゃんとしておる。代金を払い報償をしておるものを、強力な圧力団体を結成して陳情すれば、そういう筋の間違ったことも予算措置をするという政治の姿勢は公平じゃないですよ。大臣、こういう措置を公平だと思いますか。私が先ほどから聞いておるのは、公平な政治の姿勢であるかどうかと聞いておる。あなたの判断ではこういう措置が公平だと言い切れますか。
○田中国務大臣 その公平というのは、一と一は公平だ、十と十は公平だ、こういう公平論もございますが、そうではなく、やはり国のために、われわれのために何らかの犠牲を払った人に対して特別な措置をやっても、公平の原則を害するものではありません。こういう考え方を十分考えていただきたい。中小企業というものには特別な金利や特別な税制をやりなさい、こういうことは絶えず国会の議論になっておるわけであります。また石炭とかいろいろな重要産業に対しては特別な金利や特別な償還年限、特別の税制をとるわけであります。こういうことは公平の原則を全く乱るものであるという考え方に立っておらぬわけであります。ですから、農地被買収というものが精神的にもまた物質的にも相当な苦労があった、またそのためにわれわれは恩恵を受けておるのであります。だから、恩恵を受けておるわれわれの考え方を全然計算に入れないで、あたりまえの代価をもらって、あたりまえの解放をしたんだから、一般国民と何ら区別をすることはない、こういう考え方を政府や自民党はとっておらぬのでありますから、どうももののはかり方、尺度が違うんだ、こういうことをひとつ御理解いただきたい。
○武藤委員 見解の相違だと大臣は盛んに力説をしておりますが、もしそういうことで公平の原則に反しない意見だというならば、ほかの在外資産の人たちはどうするのか、あるいは満州義勇隊に行って国のために奉仕して、戦後帰ってきた人たちはどうするのか、あるいは八月十五日を境にして、強制疎開で半分うちをこわされて敗戦になった、そういう人たちはどうするのか。そういう戦中、戦後——戦後だけの処理の問題をめぐってもかなり放置されておるものがある。今日旧地主なるがゆえにこういうことをまっ先にやるということは権衡を欠くんじゃありませんか。もし公平だと言うとすれば、バランスを欠くんじゃありませんか。大臣はそういう反省は全く持っておりませんか。国民の税金を大臣の地位にある者が、見解の相違であります、考えの違いでありますと言って、筋の通らぬそういう支出をやることに何ら反省をしないという大臣ですか。あなたはこのバランスを欠くという点についてはどうですか。
○田中国務大臣 反省もいたしましたし、慎重熟慮の結果、政府案として提案いたしておるわけであります。先ほどからるる申し述べておるのでありますから、重ねては申し上げませんが、この貸し出しのワクをつくるということが一般国民に対して公平を欠くというふうには政府は考えておらぬのであります。見解の相違だとは申し上げませんが、いずれにしても世界の歴史もみなお読みになっておるわけでございますから、戦後の農地解放というものがいかに大きな仕事であり、今日われわれの国力培養、われわれの生活向上のためにいかに稗益したかということは御理解がいただけると思うのでありまして、一律にあらゆることと、まだこういうものは残っておる、こういうものは残っておるといえばそのとおりかもわかりませんが、いずれにいたしましてもすべてのものが片づくわけのものでもなく、国力に応じて一つずつでも前向きに片づけるということで、御承知の引き揚げ者に対しては生業資金をやったりまた引き揚げ給付金をやったり、それから戦傷者に対しては戦没者遺族に対しての措置をやりましたり、だんだんと片がついてきたわけでございますので、これが公平の原則をおかすというふうにおとりにならないで、ここまで日本が大きくなってきたのだから、やはりこういう犠牲になった方々であり、生業資金に困っておる方には窓口を開いてやろう、これが政治なんだ、こういうふうに立場を変えて御理解をいただければ幸いだと思います。
○武藤委員 きょう来ておるのは国民金融公庫の副総裁ですか。
○山中委員長 そうです。
○武藤委員 通常の商工業者が借りる場合には年九分ですね、旧地主なるがゆえに六分五厘、こういう金利体系を乱すことは国民金融公庫の資金運用上あなたは好ましいと思いますか。政治論は一切抜きにしていいですよ。あなたはその担当の監督最席責任者の一人として好ましいかどうか、この点はどう考えますか。
○酒井説明員 好ましいか好ましくないかという問題でございますが、これは農地被買収者に対して何らかの措置をしなくちゃいかぬという政府の方針でございます。たとえば災害等の場合には六分五厘を適用いたしております。そういったようなものの融資との権衡を考えました場合に、これは権衡を欠くという見方もございます。しかしそういう事実から申しますれば、六分五厘になりましても別に権衡を欠くということに考えなくてもいいんじゃないかと思います。
○武藤委員 もう一つ、被買収者またはその遺族に貸す、遺族という場合の範囲をもしこの法案が通った場合にはどこまで広げておるのですか。次男、三男、四男もみな遺族に入るのですか、それとも一切の財産を相続した者だけを遺族と規定をして貸そうとしているのですか、その辺はどうですか。
○酒井説明員 原則としてはやはり遺族というのはその継承者の一世帯と考えております。これからどういうふうに運用するか御相談いたしますので、例外は出てくるかもしれませんけれども、結局一人、一世帯というのが原則だろうというふうに考えております。
○武藤委員 国民金融公庫がどうして、だろうなどというそんな答弁をしておるのですか。二年も前にこの法案は出ているのですね。もうすでに業務方法書の中の変更すべき点は変更し、具体的にこの法案が通った場合にはどういうふうに運用をしようか、どういう対象になろうとしておるか、そういうような状況は、二年もあるのですから、すでにできているのじゃないですか。できておるとしたらそれを委員に直ちに全部配ってもらいたいと思う。
○酒井説明員 本件は別に業務方法書を変更しないで執行いたすつもりでおります。ちょうど災害貸し付けの場合も特別の低利を適用いたします場合に、別に業務方法書を変更しないで、現行の業務方法書で生業資金が貸せるわけでございますから、別段そういう方法書を変更いたしておりません。今後もするつもりはございません。
○武藤委員 そうしますと、先ほど私の質問に対して一被買収者当たり一人かもしれません、一人でありますとはっきり答弁できないのはどういうわけですか。一被買収者に対して一世帯、一人だというのだったらはっきりぴちっと答弁したらいいじゃありませんか。
○酒井説明員 ただいまのところ原則として一人と考えております。ただ、将来どういう問題が起こってくるか、そのときに特別の事情がある場合に大蔵御当局と御相談してどうしてもこれは例外扱いにしなければならぬというものが出てくるかもしれないということで申し上げたのであります。先ほど原則として一世帯と申し上げましたのは、目下のところ一人というふうに考えておるということでございます。
○武藤委員 銀行局長にちょっと尋ねておきますが、普通の商工業者、一般国民には年九分で、旧地主なるがゆえに六分五厘という取り扱いのしかたは、政治的配慮からだといえばそれまででありますが、金融体系というものを、国民金融公庫のあり方の体系というものを乱すおそれがあると思う。こういうことをばたばた政治的判断でやられたら、政治が逆に国民の公平や福祉やそういう点を乱す、悪を起こす原因になると私は思うのです、政治の姿勢がこういうことで通るということになりますと。このように旧地主なるがゆえにという身分ですか地位ですか、そういうものによって金融の体系を変えるということを一体銀行局は監督の立場にあってどんなお考えで見ておりますか、銀行局長の考えはどうですか。
○高橋(俊)政府委員 金利体系というものを一般の民間のベースで考える場合にはいろいろな別な角度からの議論もございますが、こういう国民金融公庫のような政府機関が行ないます貸し付けにつきましては、民間の場合とは違った意味の体系というものもあり得るわけでございまして、現に国民公庫の場合に遺族の国債担保貸し付けとか母子家庭貸し付け、恩給担保その他一般の九分の標準金利と違った金利を実施しております。これは言ってみれば、政治的なとかあるいは政策的な考え方からこういう特別な金利を適用するわけでございますので、その辺は民間の金融機関の金利体系というものとは違った角度で、今度の場合におきましても先ほどから大臣がいろいろと答弁をしておられますところからおわかりでありましょうが、やはり一つの政策のあらわれとしての措置でございますから、他との権衡という点に問題はありましょうけれども、五十万以下だけに限っては、すなわち零細な部分につきましては貸し付けを六分五厘、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。
○武藤委員 旧地主に六分五厘で融資するならば、いま盛んに自己資本充実だの零細企業に対する何らかの中小企業振興策を考えなければならぬというときでありますから、当然この際国民金融公庫の金利を六分五厘にすべきだと思うのです。それに対する見解はいかがですか。
○高橋(俊)政府委員 一般的な標準金利をこの際動かす考えは毛頭ございませんが、これは旧地主全般についてこういう金利を適用するというわけではございません。現に二十億円という金で融資できる範囲を考えてみますと、旧地主の数が百七十五万戸くらいと推定されておりますが、それに対しましてたとえば二十万円ずつ貸したといたしましても一万世帯しか対象にならない。ですから、旧地主でありましても、一般的な標準的なものを対象にするのじゃなくて、その中でどちらかといえば困っておる、しかし、生活に困っている者の生活資金を見るのじゃありませんで、比較的困窮している方々の中から選びまして、そしてその生業資金として十分に役に立つというものだけを見ようということでございますから、百七十五万戸の旧地主を対象に六分五厘という特利をすべて適用するのだということになると問題は大きくなりますが、そうではなくて、そのほんの一部の方にだけ特別にこういう政策的な金利を適用しようというのでありまして、標準金利を動かすというふうな問題には発展しないのじゃないかと思います。
○武藤委員 通告をされておる只松君が見えておりますから最後にいたしますが、私は資料を要求いたします。 その一つは、百七十万世帯の被買収者のうち一万戸くらいを対象に二十億円の予算を組む、こうなりますと、申し込みが殺到した場合にどうにもならない、結局押せ押せでそれが一般大衆、普通の商工業者の分まで食い込んでいくことは明らかであります。もし食い込んでいかないとするならば、年々旧地主融資のワクが増額されていかなければ運営がつかないという事態が予想されます。そういう事態が起こることは、私どもは一般大衆と旧地主というものを比較した場合に好ましくない。したがって今後この二十億円をどう貸し付けするのかという貸し付けの運用規定というか、対象をどのように把握をするか、申し込みがあった場合にはどういう基準で審査をするか、そういう基準もひとつ詳細に私どものほうへ資料として提供を願いたい。これが一つ。 それから大蔵大臣に最後にお尋ねしておきますが、旧地主に二十億円の低利資金を貸し与えると同時に報償を考えておるようでありますが、この報償は新聞に報道されておるような姿でいま議論されておるのでありますが、いつごろ国会に提案をするつもりでおりますか、またその内容の概観はどんな程度のものを報償しようとしておるのか、報償のことについてちょっとお尋ねしておきたい。
○田中国務大臣 政府関係閣僚が集まりまして一案をつくったわけでございます。この一案に対しまして党側でいま検討をいたしておるのでございます。党の意向も十分伺いながら、できるだけ早い機会に成案を得たいという考え方でございます。 これをいつ一体出せるのかという問題に対しては、ここでさだかに申し上げることはできないのでございますが、党側はこれを十二、三日までとか言っておりますし、しかしなかなかたいへんな問題でありますので、党側の意向も十分お聞きをしながら最終的に政府案をつくりたいということでございますので、いまどのような内容でいつまでということを申し上げられない段階でございます。
○武藤委員 通告者の只松委員がお見えになっておりますから私の質問は終わりますが、私は今後この国民金融公庫法について質問をすることを留保して私の質問を終わりたいと思います。
○山中委員長 只松祐治君。
○只松委員 まず、いま武藤委員から御質問がありました旧地主に対する農地報償金がいろいろ党側と政府側と折衝されておりまするが、いまお聞きしますとまだ固まっておらないので言えない、こういうお話しでございますが、これはこの国民金融公庫法の一部改正案ときわめて重大な密接不可分の関係を持っておりますので、もう少し具体的にひとつお答えをいただきたいと思います。いまあなたのほうから、なかなか微妙な段階で答弁できない、こういうことでございますけれども、しかしこの法案を審議するためには当然にそのことが重要になってくるわけでありますから、いつもの大蔵大臣の調子でひとつ明快にお答え願いたい。
○田中国務大臣 政府といたしましては、三月三十一日までの総理府の農地被買収者実態調査の結果を待ちまして何らかの措置をとらなければならない、こう国会で申し上げておるわけでございます。三月の末には御承知の調査結果が発表せられたのでございます。調査結果は発表文のとおりでございます。この調査結果に基づきますと、やはり何らかの報償措置を必要とするという考えに立ったわけでございます。でありますから、政府といたしましてはいい一案をまあ作成中ということでございます。その過程において党側の御意見も聞いておるわけでございます。党側では大体三千億、こういう金額を明示をされておるようでございますが、御承知のとおり農地被買収者の実態というものは大ざっぱに申し上げて百七十五万世帯もあるわけでございますし、町歩にいたしますと二百万町歩にもなっておるわけでございます。でありますがもうすでに十七、八年も時を経過しておりますために、これが均分相続になったり、また被買収者がなくなられたり、この実態の把握という問題に対してはなかなかそう一挙にすべてが解明できるという状態にはないわけでございます。また党側は未墾地や牧野や、また物納者も対象にすべしというように考えておられるのでございますが、政府側も先ほどから御意見がございますように、農地被買収者の実態に即応して何らかの報償措置をとろうということでありますので、党側の御意見は伺っておるわけでございますが、政府原案としての作業はいまだ完結しておらないというのが事実でございます。
○只松委員 新聞その他の報ずるところでは、当初政府側は一千億であるとか、一千三百億であるとか、そういう話が出ておりました。大体いまのところ大蔵大臣は千五百億程度までは云々、こういうことがほとんどの新聞に報ぜられておるわけでございますが、そういう点をにおわされたり、あるいはお口をすべらされたり、何かそういう折衝の具体的な金額を発表する段階まで来ておるのか、あるいはそういう線は誤りであるのか、はっきりしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 千五百億円ということを考えておりません。またそういうことを言ったこともございません。はっきり申し上げておきます。
○只松委員 本法案に提示されておる金額は二十億円であるのでありますが、いまは自民党では三千億とか、いま大臣はそういう具体的案は提示したことがないということでございますが、一千五百億前後のうわさというのが出ておるわけでございます。そういたしますと、この一千数百億に対して、二十億というような金は非常に微々たる金になってくる。いわばいままで何年間かこの国民金融公庫法の改正案を提示をされてこられた、いわばこれが序の口といいますか、ここいらで突破口を開いて本案を提示したい、こういう自民党なり、政府側の考え方ではなかったかと思いますが、現存このように本法案らしきものが今国会に提示されよう、こういうふうな事態になってきておっても、なおかっこうやって執拗に金融公庫法案を改正なさるという意図はどういう点にあるのか、大臣並びに国民金融公庫副総裁にお尋ねしておきたいと思います。
○田中国務大臣 これは政府提案でございますから、政府からお答えをいたします。 先ほどから申し上げておりますように、農地被買収者は非常に多数にのぼっておるのでございますが、生業資金でお困りになっておるという方がたくさんございます。いままでの例を見ましても十万円未満とか、二十万円未満とか、三十万円未満とかいう小さな生業資金にお困りになっておられる方も相当ございます。そういう方々に対してすべて一まとめにして解決すればいいではないかという議論も一つの議論でございますが、しかしなかなか大きな問題を一挙に解決することはしがたいわけでございまして、政治の上から考えますと、いいことは一日でも早く少しでも政策を行き渡らせるためにという立場から、この金融公庫法の改正案をお願いいたしておるわけでございます。これがきょうにでも農地報償法案が全部きまっておるということであるならば、また皆さんの御意見も伺いながら、こういう案が政府できまりましたので、国民金融公庫法の改正もこんなものではとてもだめなので、証券担保というようなことで百億にしてくれとか、二百億にしたほうがいいということは申し上げられるかもわかりませんが、何分にも農地報償というのは戦後十何年間もかかっておる案でございまして、そうとてもいますぐに片づくというようなことも考えられませんので、やはりそういう立場からもせめてこのくらいのことは一日でも、いっときでも早くしてあげたいという、こういうやっぱり誠意、気持ちというものは具現をしたいという考えに立っておるわけでございます。
○只松委員 いまたいへん重要な発言があったと思います。農地報償金の本法案というものが提案されるならば、当然に国民金融公庫法改正案の内容も違ってくる。百億くらい云々という話があったわけですが、そういうことがあるから本法案が——しかもこの改正案はもう二年来にわたって流れてきているわけです。あとでお聞きいたしますが、もう予算もない。こういうときに、別に本国会に出される、あるいは本国会で成立しなくても、次期国会ということになるわけですが、そういうときにしゃにむに今国会でまた通さなければならない、こういう理由というものは私どもは見受けられないわけです。いまの大臣の答弁だけでも私たちはなかなか納得できないといいますか、理解に苦しむ点があるわけです。もう少し本法案の成り行きを見た上で、この案も委員会で具体的審議に入る、こういう形にしたほうがいいのではないかと思います。そんなに待てませんか。
○田中国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおりに、大きなもの全部片づけてからやったほうがいいではないかという議論は確かにございます。しかし、そんなことをやっておるうちにつぶれてしまう人もおるわけであります。時はどんどんたっておるのでございますし、しかも農地被買収者に対しては、二十年近い歳月を経ながら、ようやくこの三月三十一日で一応の調査を終わっておるということでありますので、私はやはり政府が、国がやらなければならないといういいことに対しては——国民の利益を剥奪をする、制約をするということであればだんだん延ばすことはいいのでございますが、少しでも国民のためになるということであるならば、やはり一日も早く、こういう考え方が政治の基本だという考え方に立っておるわけであります。
○只松委員 だれがどの程度生活に困っておるか、それに対して政府なり、あるいは政治の場においていろんな救済の手を打っておるということはきわめて大事なことです。しかし、政府の調査によりましても、たとえば農業関係だけの所得を見ましても、三十万円未満というのが被買収者では五〇・五%、一般の農業所得者には六五%もあるのです。あるいは総合所得にいたしましても、総合所得三十万以下が多少生活にゆとりがないといたします場合にも、被買収者は三二・七%、一般は三九・二%、一般の国民のほうが旧地主さんよりもよけい困っておる、こういうことは政府の調査によっても明らかに出ておるところなんです。あるいは一般的な戦争の被害についても、別に旧地主だけが格段の被害を受けておる——もちろんいろんな意味において大きな変化を来たしておるわけでございますけれども、特別被害を受けておる、そういうことではないのです。まあそう言っては何ですが、私も戦争に行って、私の学友なんか予備学生で行って六割から死んでいるのですが、わずかな一時的な金だけでほとんど遺族の方はほうり出されております。現に土地を持って、そうして一般の国民よりもそれほど生活は困っておらない。困っておるといえばいろいろな立場で困っておる人がおるわけです。一般的立場からいって困っていない人に対して、先ほどの本法案との関係から見て、私はそれほど取り急ぐ必要はないと思うのです。あとで、政府から出されております資料がありますから、どういうふうに困っておりますか、どういうふうに要求しておられますか、そういう点についても順次大臣から御意見をお伺いいたしたいと思いますが、まず、その点をお伺いいたします。
○田中国務大臣 三月三十一日に発表されました調査は百七十五万世帯ある中の一万世帯についてやったわけであります。でありますから、実態というものすべてをつかんでおるものではないということも御承知のとおりであります。しかも、実際農地被買収者の中でたいへんお困りになっておるという事実はたくさんあるのでございます。これは、一般の国民の方々の中でこれだけ困っている人があるじゃないかというような統計は案外よくできておりますけれども、農地被買収者という特別な状態にあられる方々の実態調査というものは十分進んでおらないわけであります。百七十五万世帯の中で今度の二十億というのは、先ほど銀行局長が申し述べましたように、二十万円ずつにして約一万世帯でございます。百七十分の一でございます。こういう方々にさえも窓を開くことは必要ないという考え方にはどうしても政府は立てないのでございます。先ほども申し上げたとおり、三十七年に出したときも、三十八年も、現在も、悪くなっておってもなかなかよくなる状態ではないのでありますし、こういう方々を対象にしてこの窓口を開くということは、一つの政治の姿勢であるし、政策であるという考え方に立っておるわけであります。
○山中委員長 関連質問を許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 関連してちょっとお伺いしますが、先ほど来の質疑応答を聞いておって私はわからないのです。この法律の改正案を見ると、二百億を二百二十億にするというだけです。提出理由は、「国民金融公庫の業務の円滑な運営に資するため」なんです。そうじゃないのですか。特に目的があって融資をするなら、なぜそのことを目的に明記しないのです。
○田中国務大臣 そこは非常に政府のまじめなところでございます。これは三十七年から何回もこうして御審議を、いただいておるわけでございますが、ある人は、これはいまの資金の中でもって貸し付けができるじゃないか、業務方法書も改正しないでいいんだし、貸し付けができるじゃないか、こういうことでございましたが、やはり特利で六分五厘というものを五十万以下に適用する、しかもおおよそのワクを二十億円だけ貸し付けたいということでありますので、これが先ほども御議論がございましたように、中小企業に、また国民の零細な資金に食い込んではならないという議論が当然起こってまいりますので、政府は一般会計からこれに該当する二十億を繰り入れますと、こういうことを明らかに御説明を申し上げておるわけでございまして、またこの二十億の繰り入れができなければ、資金の余裕があっても黙って農地被買収者に対して貸し付けを行なうというようなことをしないのは、国会の意思を尊重しておるからでございます。この事実はひとつ御理解いただきたい。
○田中(武)委員 提案理由になぜそれを書かないのです。国民金融公庫の業務の円滑をはかるためというのが提案理由です。読み上げたことを言っているのじゃない。提出せられた法案を言っているのです。これはこの農地被買収者の生活困窮者を救おうということですか。
○田中国務大臣 提案理由の中で御説明を申し上げておりますことは御承知のとおりでございます。「その他の諸貸し付けのうち、農地被買収者で銀行その他一般の金融機関から生業資金の融通を受けることを困難とする者に対し、二十億円の貸し付けを行なうことといたしております。」こう提案理由で明らかに申し上げておるとおりでございます。
○田中(武)委員 私が言っているのは、農地被買収者のうちで、生活困窮者に対して行なうのですかと聞いている。
○田中国務大臣 生活困窮者と言っても間違いではないと思いますが、いずれにいたしましても、零細な方々であり、零細な生業資金に困っておられ、他の金融機関から融資を受け得ない方々を対象にして生業資金を貸し付けようということでございます。
○田中(武)委員 それなら現在の国民金融公庫法及びその業務方法書によってできることです。なぜ特別にやるのか。あなたはと言うてもいいとこう言われたのですが、かりに生活困窮者に対してということなら、国民金融公庫法第十八条二項の違反ですね。
○田中国務大臣 先ほども申し上げたとおり、実際やろうとすれば、年九分で貸すということであれば、現在の中でもできるわけでございます。しかし先ほどから申し上げましたとおり、農地被買収者の中で特に生業資金を必要とされながら、他の金融機関からお借りできないということで困っておられる方々に五十万円までは年六分五厘、五十万円以上九分、こういう状態で貸し付けをしたい、こういう政策的意図がはっきりいたしておりますので、国会に対してはそういう事実を申し述べて、御理解、御判断をいただくことが正しい政治のあり方だ、こういう考え方でこの法律案の改正の提案理由の説明の中で、二十億というものは別にワクを設けるのでございますが、この二十億を六分五厘にするためには他の中小企業や零細な方々に迷惑がかからないように別に一般会計から二十億出します、とこう理由を明らかにいたしたわけでございます。何しろこれは二十年も三十年もかかると思えば、実際政治的にもっと考えれば、その当時当時の手持ち資金の中でやればやれたじゃないかという議論が確かにあります。ありますけれども、私たちは、国会というものの尊厳を考えて、政府が意図することを事実明らかに申し述べて御審議をわずらわすということが、新しい政治の行き方だという考え方で御審議をいただいておるのでございます。
○田中(武)委員 業務方法書に年九分、特別の金利を定めることができる、とこうなっております。それから、このために特別の資金ワクを置くということですね、二十億。その根拠はどこにあります。法及び業務方法書のどこに根拠を求めて別ワクを置くのですか。そういう根拠になる規定なり条文がありますか。
○田中国務大臣 法的に必要としないわけでございますが、予算の資金計画の中に二十億だけ別にワクをつくりまして農地被買収者の生業資金、こういう運営をしたい、こういう考えでございます。
○田中(武)委員 私の言っているのは、国民金融公庫法及び業務方法書の中に特別の資金を別に設けることになっておるのですか、それを聞いておるのです。 それからもう一つ、関連質問だからあとでまたゆっくりやりますが、いままで政府は、中小企業金融公庫法、あるいはこの国会で、当委員会で輸銀法、あるいは開発銀行法、すべて予算の範囲内で云々というふうに変えてきたのですね。ところが、今度は逆に予算がないのですよ。一貫性がないじゃないか。出直しなさいよ。出直したほうがほんとうじゃないですか。
○田中国務大臣 金融公庫法は予算の定める範囲内ということになっております。でありますから、この法律が出ますれば、予備費から二十億出せば……。
○田中(武)委員 どこに書いてあります。いまのものとは違います。中小企業金融公庫法も輸銀法、開銀法も今度改正したでしょう。あの趣旨とこれとは違いますよ。違いませんか。
○田中国務大臣 違いません。三十九年度予算は全部御審議をいただいて通っておるわけでございます。その中に予備費は二百億ございますから、この中で二十億を国民金融公庫に支出をするとすれば、それが予算で定めるワクということに当然読みかえられるべきものが法律論だと考えます。
○田中(武)委員 私の言っているのは、輸銀も開銀も中小企業金融公庫その他公庫、公団、いままでは具体的に何億何十万円を資本金とすると書いてある。それを今度は予算の定める範囲内においてということで、一々法審議を免れようとしてあなた方は改正をやったのでしょう。そうじゃないですか。輸銀法もそう、開銀法もそうじゃないですか。中小企業金融公庫法もそうじゃないですか。そうでしょう。ところがこれはなぜそうしないのか、これは逆に予算の定めるところはないのです。そうして二百億を二百二十億と、こう具体的に書くのですね。一貫性がないでしょう。ことに予算がないのです。それならいろいろとやってきました政府のとりました、先ほど言っている輸銀あるいは開銀、あるいは中小企業金融公庫と法律の条文の立て方が違うし、考え方が違う。したがいまして具体的な予算もない。予備費の流用というようなことで逃げようとしておりますが、この三月三十一日で予算はなくなっている。そうするなら、もう一度すべての法律が一貫したような体系をとるように出直してくるのが一番いいと思う。出直されることを勧告いたします。
○田中国務大臣 大体そういう考えなんです。あなたの考えと大体同じことです。ですから、いままでは一々法定主義でございましたが、予算という国会でもって御審議をいただいているものを二重にも三軍にも法律でがんじがらめにするということは弾力性を欠くということでいろいろお直しいただいたわけでございますが、これは三十七年から継続審議になっておりますし、もう二回も通ったのですからまた通していただけるだろう、こう考えたわけでございますが、継続審議になっておりますので、これを途中から変えるということもどうかと思いまして、本件に関しましては二百二十億をと、こういうことになっております。この間の事情は御理解いただきたいと思います。
○田中(武)委員 私は、いままでの改正は、具体的に国会の審議権を剥奪するということで、輸銀、開銀すべて反対してまいりました。したがいましてそれがいいとは言っていないが、そういう方針をとりながら、なぜこの国民金融公庫だけまだ具体的な金額を書くようにして残っているか。しかもそれに対して予算がない。これは予算の定める範囲内ということにはならない。予備費を使うと言うが、これは言いわけにすぎない。したがって、ほかの同系の法律と同じタイプにするために出直しなさい。それが一番シャープである。こう言っている。
○田中国務大臣 出直すことも一つの方法でございますが、本件は長い間国会に御審議を委託してございますから、本件はこのとおりにお願いいたします。
○只松委員 続いて御質問いたします。 この二十億円というわずかなというか、百七十万戸の被買収者あるいは二百万町歩の買収面積、あるいはさっきから繰り返し政府側は、非常に困った人が多い、こういうことを力説され、いるわけですが、そういう観点をかりに認めるといたしますれば、二十億円というようなこういう金額をどういう理論的な根拠でお出しになっておりますか。あるいは先ほどからおっしゃっているように本法が通れば、一応二十億円ではあるけれども申し込み者が殺到する、こういうことになれば、これは順次これを五十億なり百億なりに将来変えていく、この場合はただ単に公庫法の資金のワク内だけではなくて、今度こういうふうに出資金を変えてきておられるわけですから、また毎年毎年変える、こういう事態が起こらないとも限らない、こういうこととも関連いたしますが、この二十億という出資金のワクはどういうところから考えられたか。
○田中国務大臣 二十億以上のほうがよろしいという強い要請がございました。党側は二百億を一歩も引かないということを言ったこともございます。予算編成中は、これほどでかい仕事に対して百億といえば最低であるということもございましたが、一般会計から繰り入れるのでございますし、財源等の問題もありまして、政府は十分熟慮いたしました結果、二十億でひとつごかんべん願いたい、こういう考え方に立ったわけでございます。先ほど申し上げたとおり二十億、二十万円ずつで二万件、こういうことで新しい制度ができるときといたしましては、政府といたしましても誠意を持ってかかる措置を考えた、こういうことでございます。じゃ将来これが百億にも二百億にもなるのかという御質問になると思いますが、そう絶対にならない、こういうことも言えませんけれども、現在の段階においてこれを百億にし、二百億にし、三百億にしようという考えには立っておらぬわけでございます。せめてかかる措置ぐらいは政府としても政策上当然すべきである、こういう観点に立っているわけでございます。
○只松委員 将来都合によって百億、二百億にならないとも限らない、こういう話でございますが、私はおそらく当然にそうなるだろうと思う。一般の金利の九分のものを六分五厘に変えられる、こういうふうになれば、これは必然そこに人々は集まって殺到してくるのは理の当然でございます。それからそう簡単に変えられるということになれば、そこにたくさんの人が集まってくるのは人情のしからしめるところだと思うのです。そこで重ねてお伺いいたしますが、将来百億、二百億、こういうふうに、たとえば一万人じゃなくて五万人も十万人も、あるいは一割の十七万五千人もの強い希望があった、こういう場合には将来それをずっとお広げになることがあるのかどうか、確認しておきます。あるいは絶対にないとお考えになりますか。
○田中国務大臣 いまのところは二十億円で御審議いただいておるのでございますから、現段階において二十億円をふやすという考えはございません。将来の問題はその時点に立って、国家財政やその他各般のことを検討しなければならない問題でございますので、現段階においては御審議いただいておるとおり二十億円を限度として貸し出すという考えでございます。
○只松委員 現在のところと将来のところと非常に区分けしておりしゃっておるわけで、おそらくそうだろうと思います。さっき武藤料も聞いておりましたけれども、二十億の範囲内で将来も絶対に広げないということであるならば、この金利の問題にしたって、六分五厘ということは、政府側がいろいろ御答弁なさっておるように、ある意味ではそれほど金利体系を乱すとか大きな問題はないかもしれない。しかしこれが二百億ということになりますと、現在の資金が二百億で倍の四百億になる。四百億になったときに、片一方は九分で貸している、片一方は六分五厘だ、こういうことになりますと国民金融公庫の金利体系というものは完全に乱れてくることになる。だから、ただ単に現在は二十億だ、あるいは六分五厘だ、こういう当面のいろんな御説明がありますけれども、政治というものは、当面も大事でありますけれども、将来にわたって行なわれる。特にこういう金利体系なり、金融機関の操作というものは、信用を第一とする金融でございますから、長期的な展望に立たなければならない。ところがさっきから聞いていると、否定はされないで、あるいは百億、二百億になることもあり得るというような答弁もあったわけでありますが、そういうことになると完全にこれは国民金融公庫そのものの性格が変わってくる、こういうことになりますが、そういうふうにお考えになりませんか。
○田中国務大臣 現在のところは、先ほど銀行局長が申し上げたり私が申し上げたとおり、国民金融公庫の金利体系を乱るというものでもないと思いますから二十億ということに限定しておるわけでございます。将来一体あなたがいま懸念されたようなことが起こり得るとすれば、そのときはそのときにまた国会の御審議を経ると思います。でありますから、そういうときには法律でやるようになると思いますから、私は、国会の意思がきまって国民金融公庫というものは新しい事態に対してこうあるべきだということになれば、またその時点で変わるわけでありますから、いまこの法律を御審議いただいておる段階においては、先ほどから申し上げておるとおりでございます。
○只松委員 そういう答弁は聞かなくてもわかっているわけです。そういうことでなくて、二百億にかりになって計四百億の資金になったという場合に、その二百億を六分五厘で貸し出しをするということになれば、金利体系も乱れるし国民金融公庫法の趣旨と違ってくるのではないか、こういうことをお尋ねしておるわけなんです。したがって、逆論すれば結局、そういうことは絶対しない、金利体系が乱れたり国民金融公庫法の趣旨に反するようなことはしないという御答弁があれば別だけれども、そのときはそのときで国会の御審議をいただく。そういうことになるのはあたりまえのことです。そういう当然のことを聞いておるのではなくて、いまの大蔵大臣として将来大幅にふやすというお考えはありませんか、こういうことを聞いている。
○田中国務大臣 先ほどから申し上げておるとおり、いま二十億のワクをつくるということを御審議いただいておるのでありまして、現段階においてこれが大きく二百億にも三百億にもなるというようなことは考えておらないのであります。あなた方の申されたとおりの答弁をすればいいのかもしれませんが、私の言っていることもよく御理解いただきたい。現在は二十億で御審議いただいておるのであります。二十億はせめてやらなければいかぬ、こうやることが正しいことだ、こうお願いしておるのでありまして、これを将来二百億にする、三百億にするという考えは持っておらないのだということを申し上げておるのでありますから、それで御理解いただきたい。
○只松委員 さっきからお話を伺っておりますと、百七十五万戸の多きに及んでこういう方々がおいでになるし、生活困窮者が多い。したがって、こういうことをしているのだ、こういうことを繰り返し提案理由に言っておるわけです。そういうことになれば、六分五厘という一般金利よりも安い金で、しかもわりあい簡単に地主であるという形で借りられるならば、借り手がたくさん殺到しやしないか、こういうことを前提にして私は聞いておるのです。あなたの言うように借り手が一万人しかなければ二十万円で終わるわけですが、これが十万人も二十万人も借り手が押し寄せてきた。政府のおっしゃるように生活困窮者も当然来るということが想定されるわけです。その場合には一万人にとどまらず、二十万人も三十万人も来て、二十万円の二万人ということでは済まない事態が当然出てくるだろうと思うのです。政治というものは、当面多少の見通しも持たなければいけませんし、行き当たりばったりではいけない。そういうことを想定して、政府側の答弁のような形になると、そういう事態がくればおふやしになるのか。おふやしになるならば、国民金融公庫法の趣旨と違ってくるのではないかということを言っている。あなたがおっしゃるように、一万人以上来ないというならば、私はそれ以上質問いたしません。一万人以上来ないならば、逆にあまり借り手のないようなものをしゃにむに通すという論理もなくなってくる。あなたがおっしゃるように、たくさん借り手があるという前提に立って私はお尋ねしておるわけです。重ねていまの点について御答弁願います。
○田中国務大臣 借り手は非常にたくさんあると思います。借り手は非常にたくさんあると思いますから、最小限かかる処置をお願いしておるわけでございます。でありますが、これは申し込みを受けてみなければわからぬものでございますし、申し込みを受けてこれが非常にたくさんである。これをどうしてもふやさなければならぬ、こういう事態がくれば、また皆さんから御審議をいただくということでございます。しかし二十億出せば——引揚者に対しては三十億でもってワクをつくって回しておるというようなこともございます。回収金もあるわけでございますし、これを全部やり切るというようなものではございませんから、二十億というものは二十万円が二万件、こういうことにはならないわけでございますが、やはりそのときの状態によって、もしこれをふやさなければならぬというような場合は、また御審議をお願いするでありましょう、こう申し上げておるわけでございます。そういうときになれば、今度六分五厘というのがたくさんになってくると、国民金融公庫そのものの金利体系が乱れてくるのではないか。国民金融公庫法には、御承知のとおり九分及びその他の特別な金利を認めておるわけでございます。これは災害などが非常に大きくなって、六分の貸し付けがうんとふえたとしても、国民金融公庫の金利を乱ったり法体系を乱ったりすることにはならない、同じことになるのでございます。
○只松委員 私はほんとうは最初の国民金融公庫法の目的からお尋ねしたかったのですが、そういうことになりますと、国民金融公庫法の第一条に目的が明らかにうたってあります。この目的と、いま政府が提案されておることとはだいぶ異なってくると私は思う。法律は広義に解釈すれば無限にといっていいくらいいろいろな解釈がございます。憲法の自衛隊の問題では、政府はきわめて広義に御解釈になっておるわけですから、これは限りなく広がります。しかし少なくとも法律学を一応学んだ者がこの第一条を見た場合に、地主さんや何か、またいまおっしゃるようにたくさん借り手があるだろうという前提に立って、将来そういうふうな金の貸し方をする、あるいは金利を一分引き下げて貸すということになりますと、この目的から変わってくるのです。政府がきわめて正直ならば、この目的から変えて本改正案を提案してくるということが必要だと思いますが、目的に反するとはお思いになりませんか。
○田中国務大臣 国民金融公庫法の第一条には、「銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金の供給を行なうことを目的とする。」と書いてございます。農地被買収者につきましても一般金融機関から融資を受けることの困難なものということが書いてあるわけでございますから、私はこの国民金融公庫法の第一条に合致するものである、こういうふうに考えておるわけでございます。あなたが言われるのは、六分五厘という特利を使うことが一体この目的に合っているのか、こういうことでございますが、特利については、恩給担保につきましては六分でございますし、災害に対しても六分でございますし、そういうものの一つのケースである、こういうふうに考えておるわけでございます。
○只松委員 大前提を抜きにしてあとのほうだけをお読みになるからそういうふうに解釈されるのですが、前提は「庶民金庫及び恩給金庫の業務を承継し、」こうなっているのです。この前提の上に、いま後段お読みになったことが書かれてあるわけです。 副総裁にお尋ねいたしますが、国民金融公庫の一般業務というのは、いままでどういうようなお仕事をなさってきたか、あるいは基本的にどういうふうな目的で設置されたか、そういうことをお伺いします。
○酒井説明員 私のほうのやっております仕事でございますが、これは前提としてまず政府機関でございます。それから庶民金庫、恩給金庫、これは戦争前に昭和十三年にできた機関でございます。これが昭和二十四年に合体いたしましてその業務を引き継いでやっております。これはおっしゃるとおりです。 それで、できましてからいたしました仕事でございますが、引き継ぎの仕事もございます。恩給金庫から引き続いて恩給担保金融をやっております。それから庶民金庫時代の甲種貸し付けというようなものもございます。いろいろな普通貸し付け、これが一般的に一番多いのでございますが、そのほかに、たとえば特別小口貸し付け、これは高利貸し等によって非常に困窮しておる連中の高利貸しに肩がわる資金というような目的を持って一口五万円程度、これもいたしております。それから遺族国債担保の貸し付け、これは御承知のとおりであります。それから引き揚げ者国債担保、それから更生資金の貸し付け、これは戦災者、引き揚げ者等に対しまして生業資金にお困りの方に貸し付けております。現在新規の貸し付けはほとんどなくなっておりますが、更生資金がございます。それからそのほか特別更生資金、これは中国大陸から引き揚げてこられた方のために更生資金と同じ性質のものの貸し付けをいたしております。そのほかに母子家庭貸し付けというような、これは額は小そうございます。そういうような政策金融もいたしております。いろいろやっておりますが、金額的に一番大きいのは御承知のように普通貸し付けと恩給担保貸し付け、こういうことになっております。
○只松委員 いまいろいろ御説明がありましたし、資料もいただいておりますが、帰するところ、政府の、特に非常に必要とするそういう施策に対して小口貸し付けをなさっておる、こういうことだろうと思います。そういたしますと、さっきも申しますように、きわめて広義に解すれば今回のような場合でもそういうものに含めることはできるかと思いますけれども、しかしいままでの趣旨とは異なってくるのではないですか。今度の旧地主に貸し付けることといまの業務内容とすべて一致しておる、こういうふうにお考えになりますか、それともこれで金融公庫の貸し付けの内容が大きく異なってくる、こういうふうにお思いになりますか。
○酒井説明員 ただいま申し上げましたように、たとえば引き揚げ者国債担保の貸し付けでございますとか、更生資金の貸し付けでございますとか、銀行その他から資金が借りられない方に対して、金融面で政府の施策に応じて何らかの生業資金の貸し付けをしていく、こういうことが国民金融公庫の本来の仕事でございます。それが政府機関たるゆえんだろうと思います。今度の農地被買収者の貸し付けにつきましても、これをやりますことによって公庫の目的が阻害される、全然性質が違う、かようなものではないと思います。 また、金利等につきましても、先ほど大蔵大臣から種々御説明がございましたように、普通貸し付けの中におきましても、大災害というような場合につきましては特別金利を適用するということが実行されておりまして、そういう政府の政策金融ということを担当するのが私どもの役目でございますから、別にこれをいたしましたからといって公庫の性格が変わるというふうには私は考えておりません。
○只松委員 それでは次に大臣にお尋ねしますが、すでにこの二十億円という予算は本年度にはないわけです。先ほどから予備費の中にある、こういうことを御答弁になっておりますが、私たちが一般財政の問題でここでいろいろ御質問したときに、本年度は六千八百億という非常に大きな自然増収を見積もっておられる、そういうことで大きな災害や何かできた場合に、二百億程度では足りないのではないか、こういうことを指摘をしたことがあるわけでありますが、そういう自然増収を非常に見積もって、ことしはあまり余裕がない、こういう財政状況の中で、二百億、そこの中からこれを回すというようなことは、政府の操作ですからできるといえばできるでしょうけれども、そういうものがほかにもいろいろあるのかどうか、こういう一般予算の中に繰り越していくものが……。この際ひとつお聞きをしておきたいと思います。 それからいままで——私も初めて国会へ出てまいりまして先輩や何かにいろいろ聞いてみますと、こういうふうに予算にないものが法案として上程されることはほとんど例がないというふうに聞いておるわけでございますが、いままでもこうやって予算がないのを法案だけから法案を出してくる、こういうことがたびたびあったかどうか、まずその点をお伺いいたします。
○田中国務大臣 予備費は二百億ではなく今年度は災害の百億を入れて三百億であります。本法が通過をいたせば予備費の二百億の中から二十億を支出する、こういうことになると考えます。 それから、前にこういうことはなかったのか、例がなかったわけではございませんで、過去にもこのような例があったようでございます。それから、将来一体こういうものはどういうのかということですが、この法律は三十八年度の予算でもって二十億が繰り越しになっておりますから、その意味で三十九年三月三十一日までに成立をお願いしたいということでございましたが、ついに四月、五月になってしまったわけでございます。これが三月三十一日までに通らなかったために、三十八年度までに繰り越したものは今度昭和四十年の財源になるわけでございます。でありますから、三十九年度といたしましては予備費の二百億の中から支出をする、こういうことに考えられるわけであります。
○山中委員長 関連質問を許します。有馬輝武君。
○有馬委員 先ほどから田中委員並びに只松委員の質問に答えられて、予備費の中からこれを充当するという答弁があったわけでありますが、少なくとも予備費というのは、財政法の第二十四条によりまして「予見し難い予算の不足に充てるため、」計上されておるものだと理解いたします。この国民金融公庫の場合には予見しがたいものではなかったわけです。繰り越し明許費が切れた、こういう事態になっておりまして、私はこの第二十四条と、それから第三十二条の予算の目的外使用を禁じられておることをやることになるのではないかと思いますが、この点についての大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
○田中国務大臣 これは全く予見しがたいものでございます。三月三十一日までに通していただけるという考え方でおったわけでございますが、通らなかったわけでございますから、全く予見し得ざる事態——国会の審議に対しましては、先ほど申し上げたとおり、ILOでも、早くこれを通していただきたい、こう言って何回も宣言してもなかなか通らない。これは内閣として、三権分立のたてまえからいって、国会の独自の権能に対して、内閣としては全く予見し得ざるということでございます。ですから、議員提案——これは新憲法において、国会議員で議員提案をすることは憲法の前提になっておるわけでございますから、こういうところでもって、できるだけ与党の皆さんに対しては、予算が成立をしましたら、もう予算を拘束するような、補正予算を組まなければならないようなものは何とかごかんべんを願いたいということを内閣から申し上げておりますけれども、これはもう国会の権能でございますから、財政法に基づく全く予見し得ざる事由ということになると考えております。
○山中委員長 関連質問を許します。有馬輝武君。
○有馬委員 全くいまの大臣の答弁は三百代言的な答弁でありまして、この法律案を提案したのはいつですか。そういった答弁がなされることはきわめて遺憾であります。 委員長、法制局を呼んでいただきたいと思います。
○山中委員長 ただいまの有馬君の御要求の法制局は、明日の委員会に呼ぶことにいたします。
○田中(武)委員 私は、もう出直しなさいという上に立って言ったのだから、あなたの答弁に対して私が言ったことに対して答えていない。したことに対して言わなかったのです。資金の運用上ワクということはあり得ても、一つの法人の資本金の中を区別することができますか。一つの法人の資本金、その中で、これはこれ、あれはあれというような、資本金の中で区別できますか。
○田中国務大臣 どういう意味でそういう御議論をなさるのかわかりませんけれども、これは先ほど申し上げたとおり、実際やろうとすればできるのであります。農地被買収者に対して貸し付けを自己資金でやるということになれば。だんだんと小口貸し付け、災害、遺族国債担保、母子家庭、恩給担保、引き揚げ者国債担保、厚生資金貸し付け、中共からの引き揚げ者に貸すときには金をあらためて入れてワクをつくったわけじゃないのです。ですから、こういうことは実際からいえばできるのでございますが、なぜこのようにして農地被買収者に対しまして二十億を貸し付けます、二十億というものは政府が金を入れます、とこういうことを言ったかといいますと、この農地被買収者に対して六分五厘の貸し付けをやるために他の原資を食うというような議論が生まれるということになると、政府としては施策上まずい問題が起きますから、この問題に対しては、二十億の金を一般会計から入れます。そうして、貸し付け資金の中に勘定科目として二十億の勘定をとります。そしてこれを限度として農地被買収者に貸します。こういう行政上のおもんばかりをやったわけでございまして、これは法律で資金を設けるとか、食管の中に砂糖勘定、飼料勘定を設けるというようなことと同じであって、国会に対して政府の考えを明らかにするという立場で二十億円を入れまして、この二十億円というものは別な勘定に立っておりまして、これでもって農地被買収者を対象にして貸せということを明らかにしておるにすぎないのであります。
○田中(武)委員 資本金と回収金等々で、本年度なら本年度の国民金融公庫が貸し付けるに当たっての資金ワクというものができると思うのですけれども、一つの法人の資本金の中に、これだけはどの分でこれだけはどの分だというような資本構成があり得ますかということを聞いているのです。
○田中国務大臣 そういうことはありません。二百億が二百二十億になるだけであります。でありますから、二十億足した金のワクを資金の中に繰り入れますというのであって、資本金は国民金融公庫全体で二百二十億、こういうことになると思います。
○田中(武)委員 ともかく、先ほどからの議論からいくと、たいへん違うわけです。だから私は、別に法改正を要しない、いまの法律でできるじゃないか、改正を必要としない、いまでもできる。かりに特別金利の問題にしても、業務方法件でできる。資本金をふやすというのは、いままで法定事項であるからしておるだけでしょう。その二十億円を別のことに使うという説明がいけないというのですよ。資本金と自己資金、回収金、その他等々総括をして、その中で本年度の貸し付けのワクをあらためて見るということなんでしょう。それならあなたの説明は全部違います。一つの法人の資本金で、このうち何億はどの分、何億はどの分ということは絶対にあり得ない。そういうことがあり得るとおっしゃるなら、ひとつ徹底的に議論をやりましょう。
○田中国務大臣 田中さんがいま言っていることはあまり必要のない議論です。この問題は一体何に関係がありますかというと、こういうことです。三十六年度の貸し付けの総ワクは、千二百三十九億円普通貸し付けがあります。それから、恩給担保貸し付けが百二十八億円、その他六億円、合計千三百七十三億円であります。三十七年度におきましては、普通貸し付けが千三百八十六億円、恩給担保貸し付けが百三十六億円、その他一億円、合計千五百二十三億円であります。三十八年度におきましては、普通貸し付け千六百十五億円に対して、恩給担保貸し付けが百六十五億円、その他一億円で、千七百八十一億円の貸し出しを行なっているわけです。ですから、国会を通さぬでやろうと思えばこの中ででも回収金がこれよりも多いということのために、二十億の幅があるということになれば、これは中共から帰って来た方々に貸し付けをしたときに、政府が金を入れないで、二百億の資本金と回収金の中でちゃんとやっているので、なぜ同じことをやらなかったかということが言い得るわけであります。だが、政府としましては、そういうことよりも、農地被買収者に貸し付けるということによって回収金等を使いますと、当然一般貸し付けや災害、そういう人たちに貸し付けるワクを農地被買収者にとったじゃないかという議論が起こってくるわけであります。ですから、国民金融公庫の資金の中からこれを使わないで、一般会計から出資金として二十億を出して、それと同じワクを限度として貸し付けるという万全の態勢をとったわけです。ですから、二百億が二百二十億になってその出資金を増したということと、この農地被買収者に対して貸すということとは直接関連がないではないかという御議論はよくわかります。そのとおりなんです。そのとおりなんですが、先ほど言ったとおり、あなた方から、政府がこれを出さないで国民金融公庫から二十億貸せば一般大衆に貸す金をそれだけ被買収者にとったじゃないか、しかも六分五厘である、こういう御議論が先ほどから出ている。それが出てきては困りますので、政府は別に二十億入れる、こういう至れり尽くせりのことをやっているわけでありまして、そういう議論というものは全然起こってこないわけであります。
○田中(武)委員 それは勘違いなんです。あなたの説明しているのは資金の運用計画なんです。いま問題にしているのは、法律によって資本金を二十億ふやそうという問題です。一つの法人の資本金の中にいろいろと色がつけられますかと聞いているのです。つけられないのがあたりまえである。だから、いまの説明は全部ピントが狂っておるということでしょう。出資金をふやして後に資金運用の面において講ずるということでしょう。それではいままであなたの提案説明とか、言ったことは違うことになる。だから、これは出直したほうがよろしいですよ。
○田中国務大臣 田中さんの議論は私もわかるが、私の議論はあなたがわからぬ、こういうことです。私の立場に立ってお考えいただかなくちゃならない。これは、こういうケースで御説明をすれば、おわかりになると思う。国民金融公庫の資金を二百億から二百二十億にします、こういうことだけで、何に使うのか何にも言わないで、とにかく国民金融公庫の資金を二十億ふやしたいから通してくださいというならば、一日で通ったと思うのです。ところが、そのときに政府が、この二十億ただ入れたわけではない、農地被買収者に二十億を貸し付けるというワクをつくるために入れる二十億の金で、ちゃんと提案理由で、農地被買収者に二十億を限度として貸し出しのワクをつくるために、本法の改正をお願いします、こうほんとうのところをしゃべっておるわけです。ですから、政府には隠し看板はない。こういう政府の真意をお考えいただきたい。だから、二百二十億になっても、それには色がないからということでなく、国民金融公庫の資金の中から二十億のワクをつくるのに、他の原資を食ってはならないので、政府が出資金を二十億ふやして、その金が行くとか行かぬじゃなくて、三十億を片一方でふやして、総ワクの中から二十億のワクをつくるということならば、同じ二十億でありますから、バランスはとれているのであります。二十億をこさない以上、一般大衆の資金を食わない、こういうことになるわけです。
○田中(武)委員 あなたは私の言うことがわかって、私があなたの言うことがわかぬというのは、いかにも私が頭が悪いように聞こえますね。私が言っているのは、一般会計から法改正をして出資金をふやす。その出資金の中に色があるのかと聞いているのです。ないでしょう。色はつけられないのです。言いかえるならば、運用部資金の財投でもやれるわけです。したがって特別な法改正をしなくても、いままでだってこの法律なりあるいは業務方法書に該当するものは、農地被買収者といえども金は出ておるわけです。いままでシャット・アウトしておったわけじゃない。だから、いままでどおりでいいじゃないか、何で特別なことで、しかも資本金まで出して、一つの法人の資本金に色分けをつけるという考え方は間違いだと言っておるのです。
○田中国務大臣 どうも田中さん、私の考え方をもう少しわかっていただけたらいいのですが、色があるとかないとかではなく、確かにあなたの言うとおり、財投資金を入れればできる。入れればできるというのは、ただ六分五厘にすると逆ざやになるという問題があります。ですから、御承知のとおり一般会計から資金を入れるということに対して二十億を貸し付けるけれども、五十万円以下は、無利子の出資があって六分五厘でありますから、その六分五厘の金利差だけは国民金融公庫の原資が増すということになるわけでございます。ですから、あなたが言うことをすなおに申し上げますと、ちょうど勲章の問題があります。さんざん国会に出しておりましたが、法律が通らないから、行政措置でやった。それと同じケースをとればやれない問題じゃありません。しかし私たちは少なくともこうして三十七年、三十八年と御審議を願っておるのでありますから、しかもこの国民金融公庫から二十億の農地被買収者に対する貸し出しをしてやっても、一般の万々の原資は食いませんよということを明らかにするために、こういう二十億を——法律案を読んでみても、何にも書いてないのですよ。二十億出資するというだけにすぎない。ですから、そのぐらいの誠意を持って真意を国会にさらけ出して御審議を願っておる、こういうことであります。ですから、あなたの二十億の出資をやらなくてもいいじゃないかという議論は、確かにやらぬでもできないことではありませんが、いずれにしても、いままで申し上げたような理由に基づいて、二十億のワクをつくりますけれども、二十九億は一般会計から入れます、こう言ったわけです。食管の中に砂糖勘定をつくるのと同じことであります。飼料勘定をつくるというときに、飼料勘定に入れるのじゃないので、食管の予備費の中にぽんととって、その中から飼料勘定に移すとか、そういうことであって、出資をすることが議論になること自体がちょっとおかしい。議論にならないために、出資をしたのであります。 〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
○田中(武)委員 縁なき衆生は度しがたしで、これ以上議論しても、平行線でありますから、いたしませんが、ともかく大臣はよく物事を御存じのようであって、案外ポイントが違う。勲章の問題とは違います。特別会計の問題とは違います。法人の資本金と特別会計とは性質が通います。同じと言うならば、いつか特別会計で私とあなたと議論したことが逆になります。特別会計をやったときの議事録を見れば、いま言ったことと逆のことを、言っておりから、一ぺん見てやりましょう。 関連ですから、やめます。
○只松委員 政府は、非常に生活困窮者が多い、したがってきわめて関心が高い、こういうことを前提とされて本法案を出されている。政府の調査によりましても、この問題を知っているかというのが五七・二%で半数と少し、この問題に関心があるかということになりますと、わずかに一六・六%、こういうことで、少なくとも一般的な問題を論ずる場合でも、こういうパーセンテージはきわめて低いわけであります。まして自分が当面している——きわめて関心の深い政府側のことばで言うならば、ものすごく重大関心事である、こうおっしゃっている問題が、地主さんたちの関心はこんなに薄いわけであります。こういう点は政府の答弁とだいぶ食い違うようでありますが、どのようにお考えですか。
○田中国務大臣 これは御承知のとおり、一万人の抽出調査でございまして、その整理をしたものでございます。「あなたはこの問題に関心がありますか。ありませんか。」というのに対して、「ある」というのが一六・六%、「少しはある」が二二・三%、こういうことでありますが、この統計ということよりも、実際において農地被買収者の方々で、これだけのことを、さしておいて何とか生業資金ぐらい出す道はないのかという人が多いということは確かでございます。あなたも、自分の近くにおる方々で、何らかの道を講ずべしという考え方の人が多いということは御承知だと思います。
○只松委員 ものの見方でありまして、私たちはそういう人はあまりない。特に一般論的に言うならば、地主さんはそれほど生活に困っておられないという立場に立っているから、社会党では反対を今日までしてきたわけであります。政府側のおっしゃるとおり、さようでございます、こういうふうに私が言うならば、反対でなしに、賛成を今日までしてきておるわけであります。私たちは一つもないとは申しませんけれども、そういうふうにそれほど今日生活に困っておられないならば、まだほかに生活に困っている人がたくさんある、こういうことを言っておるわけであります。したがって、一般の人対旧地主さんという問題を対比して私たちは言っている。政府もおそらくそういうことをお気づきになって、一般の方々と旧地主というものを対比して調査をされたものと思います。その結果を見ても、旧地主さんは生活に困っておらないということが明らかになってきているわけであります。政府の言っておられることと私たちが言っておることは、一万人であろうが十万人であろうが、抽出対象というものは、これだけではなく、憲法問題であれ、一般の政治的な関心を新聞社が調査する場合に、やはりこういう抽出をやって世論調査をやるわけです。一般のときはこういうふうに政府を支持しております、日の丸は上げるということを言っております、こういう答弁をして、自分の都合の悪いときには、わずか二万人なんです。これはさっきから言っている詭弁に類する論法だろうと私は思う。それなら、一万人が当てにならなければ政府はばく大な金を委託して調査しなければいいわけです。一応調査した以上はやはり政府としてもこれを何らかの参考にする、こういうことだろうと思います。そういたしますと、この調査というものは政府側にとってはあまり芳しいものではないわけです。たとえば住民税の例をとりましても、上、中の上、中の中、中の下というふうに分かれて、住民税がないというのは被買収者で二八・九%なんです。しかし買い受け世帯のほうでは四六・九%、こういうふうに、住民税一つとりましても買い受けたほうがいかに低いかということが端的にあらわれてきておる。したがいまして、どこの政府の統計を見ても——私繰り返しいろいろ見てみたわけですが、特別地主さんが一般国民に比して困っておられる、こういうこともそう見受けられない。あるいはそうせっかちにこれをしなければならない、——先ほどから言いますように本法案が政府の間で討議されておる、こういう段階に取り急ぎこれをぜひともしなければならない、こういう理由が一つも見受けられないわけです。政府のほうでこの調査その他から見まして、単に勘ではなくて、一番具体的なものは調査だろうと思います。これ以上に確かにお困りになって急いでしなければならない、こういう理由がありますかどうか、ひとつ伺いたい。
○田中国務大臣 旧地主の方々で、あります。これはもう相当何とかしてくれと言う方もあるわけであります。自由民主党の議員の方々にもそういう要請が非常に強くございますし、わずか二十万円ずつ一万人ということにしぼっておるこの農地被買収者に対する貸し付けはもう三年近くもお願いをいたしておるわけでございますから、なるべくすみやかに通していただきたい、こういう考えでございます。
○只松委員 私は、自民党や政府当局にそういう強い要望をなさっておるのは生活に非常に因っておられる人ではなくて、むしろ生活に相当余裕がある、たとえば東京のあたりでもときどき来られて陳情ができる、あるいは極端なことばを言えば遊びに来られる、そういう人々が政府や自民党に非常に強い要望をなさっておるのではないか、こういうふうに逆に考えるのです。私は決して政府が言っておられるようには思いません。むしろ政治的な問題として、今日この問題を与党政府は何とかしなければならない、こういう立場に立ってあせっておられるのではないか、これが事実だろうと思います。 それはそれといたしまして、いま私が言うように、むしろ運動をなさっておるのは金に困っておらない人々だと思う。ほんとうに借りたいのは、大臣は生活困窮者である、こういうことをおっしゃっておられますが、それでは何を基準にしてお貸し出しになりますか。その貸し出し基準をひとつお示しいただきたい。
○田中国務大臣 基準の大原則は他の一般金融機関から貸し出しを受けられない、こういう方々でございます。他の基準は貸し付け利率が六分五厘、貸し付けの限度願は五十万円、据え置き期間は一年以内、償還期限は五年というふうに考えております。しかしこういうことよりも、相手は一体どういう人間、こういうことを言っておられると思います。年収幾ら以上とか幾ら以内とかいうことでございますが、こういう問題はひとつこれから検討をいたしたいということでございます。
○只松委員 いまの答弁はたいへん不謹慎な御答弁だと思います。初めてではなくて、二年間もこの問題を論議しておって三年目になってきて貸し出し基準はいまから討議するのだ、これは非常にたいへんだ、困っているのだ、こういう答弁をしながら、さて貸し出す基準はまだきまっていない、いまから討議いたします、こういう不謹慎な答弁はないだろうと私は思う。当然にこれはすでにきまって、こういう基準でこういうふうな人に貸すのだから出してくれ、こういうことになるのであって、大まかに二十億ぐらい一つかみ持ってきて、生活に困っているとわあわあ言ってくるからこれで出すのだ、こういう形のあれは、先ほどから言うようにほかに国民にはたいへん困っておる人もおるのに、そういう答弁というものはきわめて不謹慎だと思います。何なら取り消しをいただきたいし、具体的にこういう基準の人に貸す、こういうことを私のほうから、どの程度困っておる人があるというパーセンテージも出ておりますから、そこいらをあげてお伺いしてもけっこうでございますけれども、その前に皆さん方のほうから答弁なさるのが当然だと思いますので、お伺いいたします。
○田中国務大臣 取り消すというわけにもまいりません。これはまだ実際においてきめてないのでございますから、ほんとうのことを申し上げたわけでございまして、取り消すということになれば一体いまあるのか、こういうことになりますから、これは私が申し上げたとおりでございます。 基準を一体つくってないのかということでございますが、これはいまの交付金、いわゆる未亡人交付金をやったように年所得幾らということではなくて、二十億を限度として、農地被買収者の方で他の金融機関から生業資金を借りられないという原則ができておるわけでございます。でありますから、あとはケース・バイ・ケースで検討していくというのがいままでのやり方でございます。がしかし、これももう二十億しかワクがないのでありますから、ある一定期間に申し込みを受けて、これは非常に多いからもっとしぼらなければいかぬというようなことは臨機応変といいますか、その実態に即した状態になって初めて決定をするわけでありまして、初めから年収幾ら、税金を幾ら納めている人とか、またこういう事業でなければ貸せないとか、そういう基準はいままででもしておらぬわけでありまして、二年間も国会で審議を願っておるのだから、せめてこまかい内規くらいつくっておけばいいじゃないかということをお考えになるかもわかりませんが、これは農地被買収者に対してこういう資金を貸そうということになれば、ケース・バイ・ケースで検討しておってだんだんとしぼっていくということになるのがいままでの例でございます。仮定でもいいからつくっておけばよかったじゃないかという御議論はあるとは思いますが、この法律が通っていよいよ貸すというときになって支障が出てくるようなものではないわけであります。
○只松委員 私は、一般の金融機関なりそういうあり方からして、いままでのこの運動の経過等から見て、これが貸し出されるということになれば、政府が答弁をしておるような生活困窮者ではなくて、そういう人よりもむしろ金融機関に顔がきく、あるいは支払い能力がある、いわば不必要な人々が借りにくるという可能性がきわめて多いのじゃないか、こういうことを憂慮いたしております。あるいはまた資金の回収能力がない、そういう人々には公庫側としてもなかなか貸したがらないだろうと思います。したがって、基準がないということになれば、今後するのだ、ケース・バイ・ケースだ、こういうことになればなおさら本法案提出の趣旨とは異なって、借りなくてもいい人が借りる、借りる必要がある人が実際借りられない、こういう不幸な事態が起こってくる、そういうことを懸念して言っておるわけです。そういうことは絶対ありませんか、どうです、公庫の関係者。
○飯田説明員 具体的な貸し出しに関しましての公庫の窓口から見た審査の基準的なものに関するお尋ねに限定してお答えいたしますが、結局中心になるのは、一般の金融機関から借り入れる機会がないかどうかの判断にかかってくるかと思います。この点につきましては、私ども一般の普通貸し付けの場合にもその観点から審査しておるわけでございまして、むしろ非常に余力のある方というのは御遠慮願っているわけでございます。その観点と同じような意味合いにおいて調査をいたしておるということでございます。結局大臣からお話がありましたケース・バイ・ケースということになると思います。その着眼点は、いまの他から借りられるかあるいはすでに余裕をお持ちの方かどうか、これであればお断わりするということになろうかと思います。
○只松委員 余裕があるかないか、あるいは他の金融機関から借りておられるかおられないか、こういうことは、借りておりますからけっこうでございます、こういうことで公庫に借りにくる人はだれもいないわけであります。この趣旨を多少とも知れば、借りておっても借りてないから、こういうことになるだろうと思います。公庫の出先でそれほど調査するだけの能力もないわけです。それからこの調査を見ましても、関心がない、あるいは知らない、あるいはそういう必要がないというようなことをいっておられる人もたくさんあるわけなんですから、そういうことからするならば、実際上はいま運動をされておるような方々が中心になって借りにこられる危険性が非常に強いということを私は繰り返しここで指摘をいたしておきます。 それと同時に、先ほどから問題になっております、いま政府・自民党の間で折衝されておる農地報償金との関係は一体どういうことになりますか。この二十億のワクの中で借りた人には報償金というのは交付しないことになりますか、それともダブっても交付する、こういう形になりますか、その点はどうですか。
○田中国務大臣 まだ農地報償に関する法律案の全貌が確定をいたしておりませんので、いまの時点で確たる御答弁を申し上げることはできないと思いますが、報償金というものが何らかの形で決定をするということになりますと、交付公債でやるということになれば、その交付公債を担保にしての金融ということも一つの方法として考えられるわけであります、過去にもございましたから。そういうことになれば、いまの、農地被買収者を対象にして貸し付けておった方々との関連は、そのときにおいて十分検討をして——いまの段階で農地被買収者に対して報償金も出し、また金も、全然関係なしに、担保金融ということではなく貸すということまではいま考えておりませんので、やはり報償金という新しい方法が確立をせられるという段階においては、この法律によって国民金融公庫から貸し付けたものとの関連ということは、その時点において十分考えなければならぬ。いままで借りたものに対しては交付公債で、延納を認めるかとかいろいろな問題が出てくると思いますが、その関連は報償法案が全部できてしまわないと、いま申し上げられるものではないわけであります。
○只松委員 さっきから政府側は繰り返し、あるいはこの法案の趣旨には反しておらないということで、他のいかなる金融機関からも借りられないということを前提にして、そういう人々に対して二十億貸すのだ、こういうことを答弁しておられる。全部速記録はそうなっておる。そうすると農地報償金というものが出てまいりますと、それを担保にしてどこの機関からでもこれは借りられるのです。政府の裏づけのある交付公債が出ますと、たいていのところは貸します。そうすると、今日この二十億出す意義は、その段階にはなくなるのじゃありませんか。もしあるとするならば、きょう説明されておることは違ってくるのじゃないですか、そこいらの関係はどうなんです。
○田中国務大臣 もし報償法案が全部きまるとして、しかも交付公債だ、こういうふうに限定をして考えた場合には、記名式譲渡禁止ということになると思います。そういうことになると、やはり特別な処置をしなければ、これは担保として金融はできない、こういうことでありますから、やはり国民金融公庫でワクをつくるのか——新たに法律で御審議をわずらわすということになると思います。
○只松委員 だからそういうふうに、この本法といいますか、政府自民党が本格的に考えておる旧地主に対する報償問題、こういう問題が解決しないことには、この問題とタブってきてしまう。あるいはさっきから趣旨説明されておることと違ってくることになるのですね。いまどうしても、こういう一般的に貸し出しができない、借り出すことができない、こういう人々に対してこういうふうな措置をするのだということを繰り返し言ってあって、そして今度こういうふうに一般地主に交付公債を出すということになれば、譲渡禁止なりその他の法律を持ってくれば多少むずかしいことになると思いますけれども、しかしこれは、やみ金融に行ったって一般に貸しますよ。やみ金融の場合は別にしたって、借りるほうは便法は出てくる。そうすると、このあれは、交付公債の法案が迫ったと同時に、ある意味では時限立法的に立ち消えしなければならぬ。さっきからの政府の答弁がそのとおりとするならば、そういうことにもなるわけです。だから一番最初私が言いましたように、本法案ができるまではこの法案というものは見合わすべきだ、こういうことを繰り返し言ってきておるし、また旧地主の生活の実態調査を見てもその他を見ても、そういう必要はあまりない、むしろ、そういう特にお困りの方があれば、一般的な社会保障制度の中で問題を処理すべきであるし、あるいは武藤委員が言っておられましたように、戦争被害者という面のみから、あるいはそういう戦争と関連した問題という面からとらえるならば、これは別個に戦災で焼け出された人だって何十万とあるわけです。ほかにたくさんの困っておられる人々がある。あるいはそういう直接目には見えないけれども、われわれみたいに学徒動員で引っぱり出されて、大学も途中でやめなければならない、あるいはたくさんの者が死んで、わずかな金でそのまま葬り去られておるという——死んでいっておりますから、これは何も騒ぐわけにいきません。(「残っている者が騒ぐ」と呼ぶ者あり)しかし、これは——有馬君だって同じです、われわれはこういう問題を一つも問題に出しておりません。しかし、ほんとうにこういう戦争被害者という立場から問題を論議してくるならば、こういう声なき声、あるいは隠れた問題というものは山ほどあるわけです。だから政府としては、もしこういうことをあくまで一部の旧地主の、ある意味ではブローカー的な連中におどかされてやるならば、もっと生活困窮者というものがあるわけです、そういう者に優先的に行なうべきである、こういうことを主張いたしまして、午前中ということだそうでありますから、一応質問を終わります。
○吉田(重)委員長代理 次会は、明七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十九分散会