大蔵委員会 第19号
- 発言数
- 70 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/03/12
会議録
○山中委員長 これより会議を開きます。 金融に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 本日まで、衆議院の本会議あるいは予算委員会等において、歩積みの問題と両建ての問題については政府も公取委員長も厳重にこれを取り締まるというか改善をするという発言をしておられるわけであります。ただ、この歩積みと両建ての問題が国会の論議になってからすでに十年近くを経過いたしておりますけれども、何回もそういう答弁がありながら内容においてはほとんど改善されていないというのが現在の実情だと存じます。そこで、本日は少し詰めた論議といたしまして、当委員会はこれらの問題の主管委員会でありますから、大蔵大臣及び公正取引委員長のおのおのの立場において、今後一体いつになればこの問題が常識的に解消されたものということになるかという点について、少し具体的な答弁を得たいというふうに考えておりますので、まず、私の本日の質疑の目的及びその成果といいますか、そういうものはそこに置くのだということを頭に置いてお聞きをいただきたいと思います。 そこで、この歩積みと両建ての問題を二つに少し分けたいと思います。歩積みの問題というのは、その金融機関が相手方に対する信用の程度においてある程度の歩積みをとるという商慣習というものは、これはやむを得ない点があるかと思うのであります。ですから、歩積みが不当になるという問題は、その歩積みの量的な問題の中に関連があるというふうに私も確認をいたします。ただ両建てについては、これは本質的に両建て預金をとるということはもう間違いであります。だから両建てのほうには私は量的な問題の前に質的な不当性の問題がある、こういうふうに判断をいたしますけれども、これについて大蔵大臣の見解及び公正取引委員長の見解をお伺いいたします。
○田中国務大臣 歩積み、両建ての解消につきましては、できるだけ努力をいたしておるわけでございます。いま、堀さん、歩積みに対しては信用問題もあるからというお話でございましたが、実際問題からいたしますと、中小企業等については歩積みのほうがより問題であります。歩積みが、百万円の貸し出しに対して三十万円、五十万円というような歩積みを要求するということになると、これは非常に問題があるわけであります。しかも政府資金等三機関からの貸し出しに対して市中金融機関が協同融資をする部分に対して非常に強い歩積みを要求する。昔は歩積みとは二%、三%というような非常に小さな歩積みをやったのですが、近ごろは二%、三%の歩積みというのではなく、もう貸し出す金額の何割を歩積みにしてくれというような状況もありますので、これらの問題に対しても相当強い指導をしなければならないだろうということを考えております。 第二の両建て問題につきましては、これは債務者預金が両建てになっておる面もありますし、初めての取引を行なう場合に預金を要求しまして、その預金に見合う金額を第一回に取引を行なって、第二回、第三回というふうにだんだんとこれを大きくするということになりますが、しかし貸し出しのたびに歩積みを要求しますので、一番初めの口座開設に対して必要とされた債務者預金と、毎回積み立てられる歩積みが非常に大きくなって、貸し出しておるものよりも預金のほうが多いというような例もあるわけであります。これは全く正常ならざる状態でありまして、かかるものは両方とも相当強く規制をすべきであるという考え方であります。できれば、一回の歩積みというものは一体どの限度であればいいということがきめ得れば一番合理的だと思います。しかしながら、これはなかなかきめられないわけでありますが、まあしかし二%とするか三%とするか、そういった問題はやはり一つのめどというものはつくるべきだろうというふうに考えております。 それから両建ての問題は、これはなかなか捕捉がむずかしいのでありまして、少なくともこれは金利の問題として私はこの間から銀行局等にも調査を命じておるのですが、通達はしておっても、守られておらない。同一人が同一金融機関から借り出しておるというものは、同一人がその金融機関に預金を持っておる場合、その部分に見合う金利は非常に安い金利——いま一銭六厘という通達をしておりますが、これは少し無理なようであります。ですから、実際守られる金利——一銭七厘でも一銭八厘でもいいと思うのです。私はそういう実際に合った債務者預金、俗に言われる両建てに見合う金額に対しては実質上非常に低い金利で計算をするというような合理化は当然はかっていかなければいかぬだろうというふうに考えておるわけであります。
○渡邊政府委員 私、まだもう少しこの問題を研究してみたいと思って目下検討の最中でございますが、現在到達した一応の結論としましては、いま堀委員のおっしゃったこととおおむね私は同じような考え方を持っております。 両建て預金につきましては、いわゆる何をもって不当な両建て預金とするか。これは主として質的な問題といいますか、単に債務者が片方で預金を持っていて片方に借り入れ金を持っているとしましても、債務者が自分の経営の都合からやはりある程度の運転資金を持っていなければならぬ、これはよくあることでございます。これは不当な両建て預金とは考えておりません。問題になるのは拘束性のといいますか、拘束された両建て預金でありますが、この場合におきましても、それが債務者の都合によってといいますか、そうしたことが起こり得る場合があると思います。これをしも銀行のほうの罪だ、銀行がその優越した地位を乱用しているということは言い切れないと思います。ところが遺憾ながら現状におきましては債務者の都合とか、そういったものでなくて、銀行があるいはそれによって実質的な高い金利をかせごうという趣旨でしょうか、あるいは預金の高をそこでもってふやそうという趣旨であろうかとか、いろいろ推測はされますが、そういった意味における拘束性の両建て預金、こういうものについては不当な両建て預金といったようなものが考え得るのじゃないか。 それから歩積みの問題につきましては、お話のように過去の商習慣といいますか、正常な時代の商習慣といいましても、ある程度の歩積みが行なわれてきたのじゃないだろうか。そうなりますと、それが度が過ぎたか過ぎないかということで問題が出てくるのじゃないだろうか。まあもう少し、私もいろいろ事情は聞いておりますが、突っ込んで検討している最中でございますので、最終的な結論としてまだ申し上げる段階ではありませんが、一応現在までわれわれのほうで勉強した結果としては、考え方としては、いまあなたのおっしゃったような考え方でものを考えていくべきではないか、かように考えております。
○堀委員 いまの問題は、大蔵大臣も大体すみやかに是正しなければいかぬという答弁であります。公取委員長のほうでは、ものの考え方としては私の考え方と大体同様だとおっしゃるので、そこで話を前に進めますが、実は三十八年の三月三十日に、大蔵省が蔵銀第三八五号で通達を出しております。この中で、終わりのほうに、「金融機関の検査に際しては、今回の自粛措置に照らし、過当な歩積、両建預金について、その整理状況等を確認し、不良と認められるものについては、別途行政上の措置を講ずる等により整理の促進を図ること。」という通達をしております。 そこでお伺いをいたしますが、これは三十八年の三月三十日でありますから、ちょうど約一年が経過をいたしておるわけでありますが、その間、銀行検査を行なって整理状況等を確認し、不良と認められるものについて別途行政上の措置をどういうふうに講じたのか、そういう不良と認められるものがあったのかなかったのか、それから、あったとするならば、どういう行政上の特別措置を講じたのかをお伺いをいたしたいと思います。
○柏木説明員 お答えいたします。 個々の金融機関の検査に際しまして、昨年三月三十日の通達の趣旨もございますので、過当な歩積み、両建ての実績がありました場合には、その金融機関の検査の終了いたします際のいわゆる示達の際に、過当な歩積み、両建てはすみやかに是正するようにということを明確に指示をいたしております。そしてそういう示達に基づきまして、示達を受けました金融機関は、それに基づいてどういう措置をしたかということを事後報告することになっておりまして、かように検査の際において摘発せられました過当な歩積み、両建てというものは解消させておるようにいたしております。
○堀委員 答弁になっておりません。不良と認められるものがあったのか、なかったのか、あったのなら、不良と認められたのは何行あったのか、それについて、ここにいう別途行政上の処置を講じたか、そうしてそれについて報告がどういう形であったのか、なかったか。これを答えなければ私の質問に答えたことにならないのです。
○柏木説明員 一年間に非常に数多くの金融機関を検査いたしておりまして、その検査の際に何件そういう過当な歩積み、両建てを摘発したか、手元に資料がございませんのでちょっと具体的に申し上げることができませんですが、そういうものを発見のつど、それは示達をいたしております。もし御必要があれば個々の銀行のどの銀行がどういうことをしたかということにつきましては、これは各行の銀行検査の内容でございますけれども、(堀委員「そんなことを聞いているのじゃない」と呼ぶ)全般としてどういう程度になっておるということは、調べれば御報告できると思います。
○山中委員長 関連質問を許します。有馬輝武君。
○有馬委員 堀委員の質問に対していまみたいな答弁をするんだったら、この委員会で特に歩積み両建ての問題についてこのように真剣な討論をする必要はないのですよ。質疑をする必要はないのです。当然、事前からこの委員会で何を扱うかということについてはわかっているはずです。あまりにも委員会に対する政府の態度、大蔵省の態度というものはなっとらんですよ。なんですか、いまみたいな答弁は。いま少し真剣に準備をし、どのような審査が行なわれるかという点について配慮というものが必要だと思います。直ちに調べなさい。
○山中委員長 ただいまの有馬委員の抗議を内容とする質問の趣旨はもっともであります。というのは、当委員会ではだしぬけにこれをやっておるのではありませんで、予算委員会その他と違いまして、金融所管のただ一つの委員会でございますから、慎重な事前の小委員会段階における数回の調査等も経てきて本委員会を開いておるわけでありますから、したがって当委員会としてはさらにこの次にもう一段階関係者の意見も徴して、さらにこの歩積み、両建ての問題についてどのように収拾すべきかの小委員会段階も経ようと考えておる次第でありますから、いまの抗議は与野党関係なく当然の抗議であると思いますので、大蔵省においては、小委員会等においても質疑のなされた経過から見て、当然資料はあり得ることだと思いますから、直ちにそのようよ資料をそろえて、審議を円滑にされるようお願いいたします。
○堀委員 ひとつ当委員会が本日終了するまでに報告をお願いいたします。 その次に公正取引委員長のほうにお伺いをいたします。公正取引委員会が昭和三十八年四月十一日全国銀行協会、相互銀行協会、信用金庫協会に対して一種の勧告を出しておいでになります。その勧告の中に「もしこのままの状態が続くならば、当委員会は、これを是正するための必要な措置をとらざるを得ないと考える。」とかように記載をされております。これは昨年の四月十一日に出された通達でございますから、これも約一年間を経過しております。「もしこのままの状態が続くならば」——続いておると私どもは認めておりますが「当委員会は、これを是正するための必要な措置をとらざるをえないと考える。」とお書きになっておるわけでありますから、この「必要な措置」とは一体何か、お答えをいただきたいと思います。
○渡邊政府委員 この問題は、私が昨年の三月二十五日に着任したその翌日だったと思いますが、大蔵委員会で議論になりまして、そして私のほうとしてはやはりこの問題はまともに取り組むべきだ、公取としてそれまで一、二申告があった事件について一応審査を開始し、そのほんどは銀行のほうで自発的にやめたということで、審判にまで至らないで一応問題を処理しましたが、しかしそれはたまたま表にあらわれた一、二の事件だけの問題で、表にあらわれない問題がたくさんあるということで、銀行のほうで自粛措置を講ずる、大蔵省も指導する。しかし公取としてもこれを自粛措置にまかしておくわけにはいかない。そこでいまおっしゃった警告を出したわけですが、いまお話しの必要な措置となりますと、公取としてなし得る必要な措置とすれば、第二段のかまえとしては、私は金融機関の不公正取引に関する特殊指定をするということが第二段のかまえである、その意味におきまして、私のほうとしては事態を見ておりましたが、同時に特殊指定をする場合にはどういうふうなかっこうでするかということについては、絶えず検討々続け、現在もまだ、かなり具体的な案になってはきておりますが、検討を続けている。したがって、第二段のかまえとしては特殊指定をする、こういうことを考えております。もちろんその次に第三、第四の手段がありますが、一応必要な措置としては第二の措置をまず講ずるということが、私としては必要な措置であると考えております。
○堀委員 そこで実はこのままの状態が続くならばということでありますから、そこにはいろいろと判断の問題が入りますけれども、まずしかし過去の例から見て、なかなか実はこの自粛措置というものが自主的に行なわれにくい諸条件があると思います。その第一は、御承知のように金融が非常に締まってまいりましたから、その金融が締まった中においてはおのおのがその預金量をやはり何とか拡大をしたいということは、必然的にこの両建て預金及び歩積み等を減らすことを困難にする客観的な条件が一つあると思います。 そこで公正取引委員長にお伺いをいたしますが、その判断は別途といたしまして、目下準備を事務的に特殊指定についてお進めのようでありますが、この準備は大体いつになれば完了、その第二段の特殊指定を発動するについてはその状態の判断が入るわけですから、その判断は別としまして、いつでも特殊指定を行ない得る条件というのは、大体今日から向こうどのくらいの期間あれば準備は完了いたしますか。
○渡邊政府委員 いまタイムテーブル的にいつになったら準備が完了するということをちょっと申し上げる段階まで来ておりません。と申しますのは、どうも問題を詰めていけば詰めていくほどいろいろな問題が出てまいります。私は、一応自粛措置というものが大体大蔵省との話し合いもあって出たものだと了解しまして、したがいまして、その自粛措置というものをある程度法文的に書き直せば特殊指定ができるんじゃないだろうか、きわめて幼稚な考え方を持って参りました。しかしその自粛措置というものを詰めていけば詰めていくほど、非常にあいまいなアンビギュアスな線が出てまいります。銀行のほうの話を聞いてまいりましても、たとえば両建て預金にしましても、こういう場合は両建て預金があっていいんだという話がありますが、必ずしもわれわれは納得していないといった問題がまだあります。したがってそういった問題をやはり詰めていかなければならない。たとえば前のほうの例でいいますと、自粛措置の中に、債務者の都合または事情によってやる場合はこの限りでないといったような文言がありますが、都合といえばこれはわりあいに債務者の主観的な点が中心になると思いますが、事情ということになりますと、多分に銀行の判断も入るというようにとれないでもありません。したがって一体この自粛措置の趣旨として、「債務者の都合または事情」といった場合の「都合」と「事情」をどういうふうに判断しているかといったような問題もありますが、しかし私はそういった特殊指定の問題について、少なくともその準備段階をじんぜん日を延ばしていくつもりはありません。
○堀委員 じんぜん日を延ばすつもりはないとおっしゃったわけですが、私が前段に申し上げましたように、この問題はいろいろの問題から見て、ある日限のところを限っていろいろの問題を解決される必要があると思います。私は、いますみやかにとかいろいろなことばが使われておりますけれども、すみやかにというような抽象的なことはではこの問題は解決しない、過去における例があるわけです。そこで私は何も一カ月のうちにおやりいただきたいとか、三カ月のうちにおやりいただきたいとか、こういうことを言っているのではないのであって、十分検討すれば六カ月たてば準備はできる、その発動をするかどうかはそのときの情勢によるわけですから、私はその発動の時期を伺っておるわけじゃない、要するにいつでも発動できるという条件は、大体向こう六カ月くらいたてばできるということなら、私はそれでけっこう。もし一年かかるなら、一年かかってもやむを得ません。一年かかったらできるということがわかれば、そのポイントというのは、それを発動するしないにかかわらず、一つのめどとして生まれてくる問題でありますから、その点で、ちょっとしつこいようでありますけれども、事務的なそういう措置を詰める期間をお答え願いたい。
○渡邊政府委員 私は、現在の仕事の段階から見まして、少なくとも準備段階が今後一年以上かかるなどということは考えておりません。もっと早い時期に準備段階は完了できると思っております。
○堀委員 それでは、私は一年以内と了承いたします。 そこで、ちょっと委員長、私非常に遺憾だと思いますのは、この間二回小委員会をやりましたときには、銀行局長が出ておるわけです。その銀行局長の答弁の中に、本日われわれがかなり問題にしなければならぬものがあるにかかわらず、きょうは銀行局長が出ないで財務調査官が出ておる。ここで、銀行局長の発言を土台にしてものを言いたくても、彼は全然知らないわけです。この取り扱いは私は不適当だと思いますので、局長は一体どうなっておるのかちょっと……。
○山中委員長 局長はいま参議院の大蔵委員会に出ております。そこで、所管の輸銀法の問題で質疑を受けている当事者になっておりますから、向こうが済んだら、いまおっしゃったような事情を知っておりますから、すみやかにこちらに来るようにということを委員長から申してあります。御了承願います。
○堀委員 そこで、大蔵省にお伺いをいたしますが、いま小委員会で明らかになったところでは、通達等で処理をしないで自粛措置に待ちたい、こういう答弁があるわけです。ところが、自粛措置という中に二通りあるわけですね。相互銀行及び信用金庫は、債務者預金率が三〇%を超過するものにおいては、今後二カ年間に、その超過部分について三割に相当する率の引き下げを行なうというのが、相互銀行と信用金庫側の自粛措置の内容です。それから、銀行協会のほうは、拘束性預金を分子とし、債務者預金を分母とした比率を各行ごとに、三十八年十一月末を基準として向こう二カ年間に二割引き下げるよう努力する。こういうふうになっているわけです。これは全然角度が違うわけですが、一体あなた方は、銀行と相互銀行、信用金庫に対して、その自粛措置をこのように全然角度の通うものでよろしいと言っておるのはどういう理由に基づくのか、ちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
○柏木説明員 お答えいたします。相互銀行と全国銀行とでは、その債務者預金と申しましても、預金の性質が違うと申しますか、相互銀行のほうにおきましては、定期性預金が主たるものになっておるのが非常に多い。それに対しまして銀行の場合には、同じ債務者預金の中でも、当座預金とか通知預金、普通預金というものが比重が多いという観点がございまして、おのおの銀行、相互銀行の預金の構成が違っている関係上、それぞれに適応する自粛方式をそれぞれの協会で考えられて、その結果が、いま先生からお話ありましたような漸減方式をおとりになった次第でございます。具体的に申しますと、相互銀行の場合には、定期預金は全体の頭金のうちの六二・五%、定期積み金が五・四%——三分の二以上というものが定期性預金になっている。一方全国銀行の場合で申しますと、当座頭金が一七・四%、通知預金が九・五%、普通預金が一五・五%——ほとんど半額近いものが定期性でない預金、定期預金は五〇%、そういうところに着目いたしまして、それぞれの預金構成に適応する自粛方式としては、いま申し上げたような方式が考えられておる次第でございます。
○堀委員 そうすると、ただ、債務者預金の中に占める定期性預金の大きさだけが、これを変更さした主たる理由ですか。いまのお話では、相互銀行は、債務者頭金の中に占める定期性預金は三分の二だ、それから片方は二分の一だ、差があるからということのようですが、もしそれだけなら、その比例に応じた処理ができてもいいんじゃないですか、いまの答え方からすると。
○柏木説明員 自粛の方式といたしましては、いろいろな方法が考えられるかと思います。相互銀行の場合におきましては、歩積み、両建て預金のうち非常に目立っておりますのは、債務者の定期性預金に歩積み、両建てが多いということでございまして、三分の二もその定期性預金に依存していくという体制ではたしていいかということで考慮いたしまして、相互銀行としては、一方では歩積み、両建ての解消問題とあわせまして、純預金を確保していくという相互銀行の体質改善の問題と関連して、定期性預金の比率を減らしていくという方式を考えておるわけでございます。
○堀委員 納得できません。実は二月十三日の小委員会におきまして、銀行局長はこう答えております。いろいろと相互銀行その他の自粛の方針に触れたあとで、「言ってみれば、経営の収益性その他に非常に影響する問題がございます。どう出るかと思いましたが、一番協力的でございまして、先にやってくれた、それを自主的にきめまして、現在その方針でやっておるわけでございます。」こういうふうに答えておるわけですから、私はやはり、債務者預金の三〇%をこえる部分について二年間に三割を減らすということが、一番協力的だと銀行局長が言っている以上、そのほうのあり方が正しい姿ではないか。ところが、銀行のほうは、債務者預金に対してのいろいろな問題があった。「全部ではございませんが、とにかくいろいろな意見がありまして、かなりもみにもんだあげく、結局債務者預金の中で、不当に債務者の意思を無視して拘束しているものを減らすようにしたい」云々ということで、銀行の中でも、こういうルールでもいいんではないかという意見もあったけれども、要するに一部の横車が通って、銀行のほうはこのようになった、こういうふうな答弁になっているわけですよ。それは横車が通ったとかいうことは答えていないけれども、この形を読めばそういうふうに読めるわけですね。そこで、私は第一、銀行の場合には、いまの歩積み、両建てが問題になるのは、大企業に対して問題になってないと思んですよ。これは多く中小企業に対して問題が起きておる。ところが、その中小企業の特に都市銀行におけるところの最近の貸し出しの状態というのは、私は昨年の暮れに大蔵委員会で論議をいたしましたが、実は全体の中で、比率としては年々減少傾向にあるわけですよ。その減少傾向にあってこういう問題が起きておる。もし、あまりやかましいことを言われるなら、貸さないほうがいいじゃないかというようなことも、私の耳には入ってくるわけですね。これは実に重大な問題であって、大蔵大臣、よく聞いておいていただきたいのですが、政府は中小企業の金融については非常な関心を示しておられると思います。ところが、最も資金量が多い銀行が、だんだんとその比率を下げていく。これはどちらかといえば、その全体の中のごく小部分にしかすぎない中小企業向けのこれらの問題について、最も非協力であるということは、これは政府の側からすれば、もう少しきぜんたる態度をもって臨むべきではないのか、一番資金コストの高い信用金庫、相互銀行がそういう資金コストの中で、収益性が問題であるにもかかわらず協力的であるときに、日銀から安い資金コストの金を借りられる都市銀行その他が、そしてごくわずかな部分しか中小企業金融をしていないその人たちが、この銀行局長の答弁からするならば、まあ非協力的ではないでしょうけれども、協力の順位が低いのだということは私はどうも納得ができないと思いますが、大蔵大臣いかがですか。
○田中国務大臣 都市銀行の中小企業向けの金融に対しましても、できるだけこれを拡大していくようにという指導方針をとっておるわけで、三〇%程度を目標として貸し出すようにという皆さんの御発言もございますが、現在二五%ちょっと割っておるように思います。三〇%を目標にということは私も銀行協会等でいつでも話をしておりますし、できるだけそのような状態で拡充をしていくべきだというふうに考えております。今度の銀行協会と地方銀行との合併その他が行なわれた例等に見ますと、中小企業専門のセンターをつくるというようなことに対しては相当熱意を有しておるようであります。
○堀委員 今後金融が引き締まってきますと、都市銀行の場合には中小企業向けの貸し出しの率がまた下がるのではないかということを私は非常に心配をいたします。ですから特に歩積み、両建ての問題というのは、実はその中身を考えてみるならば、一つは金利が問題になっておるわけですね。高い金利を中小企業が結果として払わざるを得ない状態、同時に借り入れ資金量もこれらのために制約を受けてきておる。こういうふうな問題があるわけですが、この歩積み、両建ての問題というのは主として中小企業金融における問題点であって、大企業金融の中には問題が出てこない。そうなってくるならば、やはり政府が中小企業というものの今後の正当な育成を考えるならば、これは金融機関個々の問題ではなくて、総体として一本の筋の通った指導が行なわれなければならないのではないか。ところが、現実には銀行の中の中小企業のほうにしわがかえって寄る——寄るという表現はおかしいですが、大企業であるほうの都市銀行その他のほうはまあまああまり手をつけないで、相互銀行、信用金庫のほうにしわが結果として寄るようなことが起きてくる。信用金庫も相互銀行も金融機関の中ではやはり中小企業のほうだ。だからそういうものが片手落ちのかっこうになるというのでは、おそらくこれらの中小企業側からするならば、政府あるいは公正取引委員会は大企業のほうには手をつけないで、中小企業である金融機関のほうにばかりきびしくくるのではないかということになって、問題が発展をしていかないということになるおそれが十分にあると私は思う。そこで少なくともこれらの問題についてははっきりしためどをまず立ててもらいたい。 そこで、大蔵大臣にお伺いをいたしますが、私最初に申し上げたように、これはいまのこういう形では、一体何年たったらほんとうに歩積み両建てがなくなるのかめどが立たないと思うのです。この自粛は向こう二年間ということになっておりますが、二年たって終わりと見たのではしようがないと思うのです。そこで少なくとも今後一年間——当委員会でこの前論議をしてからもうすでに一年たっておるわけです。通達を公正取引委員会、銀行局が出されたのも一年前ですから、今後一年間にこれらの検査を厳重に行なうことによって、その一年後の経過を明らかにして、少なくともその上あとの一年間にこれらの問題が解消できるような措置を——一年目には公正取引委員会のほうも大蔵省のほうも手を携えて明らかにするぐらいのかまえでこの問題を処理していただかなければ、私はこれは無期限のようなかっこうになるのではないかという感じがするわけです。特に公正取引委員会は事務局が必ずしも強力ではありませんから、これらの問題について、とかく通産省も大蔵省も公正取引委員会のいろいろな仕事に対して協力を十分にしておるとは言いかねる現状だと思います。そこで私は、少なくとも今後の銀行検査の実情について、歩積み、両建てのこれらの問題のあった部分については、われわれと公正取引委員会に報告をするということを大蔵大臣に本日約束をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○田中国務大臣 公取の権限でお仕事をやられることに対しては、非常に私たちも協力的な立場でおります。公取から将来とも大蔵省の銀行検査その他の問題に対して協力の要請があれば、私のほうで拒むなどという考えはありません。また権限争いをしようなどという考えもありません。私自身がこの歩積み、両建てというような悪弊はできるだけ早く片づけたい、金融の正常化をはからなければならないという考え方を持つものでありますので、公取の意見も十分調整をはかりながら遺憾なきを期したい、このように考えます。
○堀委員 いまの一年後をめどとして、区切りをつけて、その次の一年後にこれが終わるようにするということのために必要な措置をいまからの一年間に措置してもらいたい。これについてお答え願います。
○田中国務大臣 非常にむずかしい問題でございますが、私も一刻も早く正常化したいという気持ちでありますから、めどはできるだけ短い間につけたいという考えでございます。しかしこれがことし一年、来年一年くらいでもって片づけられれば非常にいいのでありますが、なかなかそこまでは、全部やりたいということは言えても、やるということは申し上げられないわけであります。これはどういうことか、率直に申し上げますと、これが戦前のように資金量が比較的潤沢であって、企業意欲というものが低ければ、こういう問題はないわけであります。金利はどんどん下がるし、金利が下がるような状態になれば、歩積み、両建てはなくなります。ところが、戦後は資金量に比べて需要が非常に大きいというところに、歩積みを要求し、両建てを要求し、金利は実質金利を上げるという問題が出てきておるわけであります。八条国移行等開放経済に向かうのでありますから、国民自体がやはり何とかして国際競争力に耐えるという考えで、設備の近代化とか、いろいろな問題もあると思います。資金需要が戦前のように少なくなるという考え方は当分なかなか持てないわけであります。持てないし、またそういう状態にあるだけに、金融機関が座してふところを満たすというようなことは許さるべきではありませんので、そういう問題を十分実情を把握しながら妥当な金融行政を行なってまいりたい、このように考えるわけであります。これはあまり性急にやりますと、今度は資本金に対して何割しか貸してくれない、こういうことに押せ押せですぐなるわけであります。非常にむずかしい問題でありますから、もう資金量だけでもって画一、一律的な規制ということはなかなかむずかしいのであります。だから金融機関が公的使命ということを十分考えて、できるだけ正常な金融ということに徹せられるように、あなたがいま言われたようなことを目標にしながら、われわれもひとつ鋭意努力を重ねてまいりたい、このように考えます。
○堀委員 私の割り当ての時間がなくなってきましたから結論を急ぎますが、少なくともこれまでのような検査の状態であるならば、この一年間に問題は解決しないと思っております。だからこの一年間の検査は、集中的に窓口を広げて、この歩積み、両建ての問題を中心に相当広範囲に検査をやり、その検査の結果を、少なくとも一年先にわれわれはここで報告を受けて、われわれも公正取引委員会も、一年たてば特殊指定の条件はできるわけですから、そういう特殊指定の条件ができて整ったところで、この一年間の歩積み、両建てに関する調査を、これまでの銀行検査よりもワクを広げて、たくさんの金融機関にやって、その結果を集めて、大蔵省と公正取引委員会と当委員会に、その客観情勢に基づいて、今後の一年間にどうすればいいかということを、少なくともそこでかなりの結論を出すということにして、その後の一年間に問題が解決する方向にやるくらいのかまえにならなければ、これまでとちっとも変わらないのですよ。こんな通達を幾ら出したところで、この委員会で何回やったって変わらない。だから私は、少なくともそこまでは大蔵省が踏み切ってやってもらいたいし、同時に公正取引委員会も、片方においてはそういう特殊指定を行ない得る事務的な条件を整備するとともに、大蔵省側に資料を要求して、大蔵省が検査をしたその内容を逐一吸い上げることによって、一年先における当委員会においては、この問題に対するもう少し明確な態度を公正取引委員会、大蔵省、当委員会ともに打ち出せるだけの仕事をこの一年間にやらなければ、何回こういうことをやっても、これは百年河清を待つがごとしで問題は解決いたしませんから、その点を一つ特に要望いたしておきます。これについての大蔵大臣及び公正取引委員長の御答弁をいただきたいと思います。
○田中国務大臣 できるだけ御趣旨に沿うようにいたします。私もその意味で、昨年の末から、銀行検査を直ちにやるということまで言い切るのはと思いましたので、十分の配慮をしながら不渡り手形の状況それから倒産の状況——倒産会社に対して金融をやっておった金融機関の状態等を各地方の財務局で検査をすべし、そして大臣のところへ報告を求める、こういうことをやったわけであります。銀行検査が非常に慎重を要する重大な行政であるということで本省から直接やっておるわけでありますが、そういう意味で地方財務局等の活用が足らないという面もあります。これも長い伝統がありますけれども、私もこの問題と取り組むためには地方財務局の機構さえも動員をしようという立場に立っておるわけでありますから、大蔵省の考え方もそうなまぬるいものではないということは理解願えると思います。
○渡邊政府委員 公取としての考え方としましては、先ほども申しましたように、まず基準をつくる。それはおそらく少なくとも準備段階は一年はかからぬと私は思っています。したがってこれは堀委員の御趣旨じゃないと思いますが、一年まで特殊指定を待つということをここで言うつもりは私はありません。したがってその間において特殊指定をする必要が出てくれば、あえて一年を待つ必要は全然ない、そういう意味でなら、私は今後一年間といいますか、今後の情勢を見て、そしてその間に公取としての措置をとる、こういうふうなことを考えております。
○堀委員 いま私が言いましたのがちょっとあれがあるようでありますが、私は、いま公取委員長がお答えになったように、特殊指定を一年後にやれと言っているのじゃないのです。ただ、準備が一年以内というなら、その前にできる。特殊指定をしても、あとの問題については個々にはやはりあなたのほうだけで全部調査ができないでしょうから、銀行局が調査をしたものがどんどん上がってくれば、それに基づいて今度はその第三段の処置がとられなければならないわけです。そういうことを含めてのいまの私の発言ですから、そのように御了承をいただきたいと思います。
○渡邊政府委員 私もおそらくそういう趣旨であろうと思います。したがってその意味では私としては堀委員の御要望に沿うように努力します。
○堀委員 あと一つだけ。実は農林中央金庫が異常な余裕金を持っていることが最近の調べでわかりました。一月末現在で、短期資金——いろいろありますが、インターバンクに八百十八億、コールに一千五百二十四億出しているのですね。二千三百億円という金が、農林中金としては完全な余裕金のかっこうで、本来の金融目的以外のかっこうで使われておるという実情があります。特にコールに一千五百億出しているというのは異常な状態だと思うのでありますが、これらについては時間がありませんから要望だけしておきますが、大蔵省側として、農林省と協議の上、もう少し適切な運用方法を考慮すべきではないかということを注意を喚起いたしまして、私の質問を終わります。
○山中委員長 堀君の先ほどの質問で資料が出ませんでした問題について答弁させます。柏木財務調査官。
○柏木説明員 先ほどおしかりをこうむりましたが、昨年三月、四月に歩積み、両建ての預金の状況につきまして特別調査をいたしました。そのとき、これは直すべきだという判定をいたしました預金の件数、金額が、三百九十六件、二十三億千八百万円あったわけでございますが、昨年のたしか九月末から十月だと思いますが、そのときまでにどうなったかという調査をいたしまして、その結果の数字が、そのときにおきまして三百二十三件、十八億二千九百万円がすでに改善されておる。なお九十件、四億八千万円余りが残っておる。しかしその後、九月、十月以後すでに四、五カ月たっておりまして、また検査の際には厳重に示達いたしておりますので、すでに当然これは直っておるものと思いますが、さらにこれを追及いたしたいと思います。 それから特別検査以外に、定例検査の際にやはり歩積み、両建てがどうなっているかということを抽出的に検査いたしておりますが、その状況によりますと、抽出検査でございますけれども、本年上半期の検査の際、都市銀行で百四十八の債務者につきまして調査したところ、自粛すべきというか当然是正すべき預金の割合が、その預金に対して一五・七%ありました。それから同じく地方銀行につきましては、八百九の債務者につきまして調査いたしましたところ、やはり自粛対象となるべきものは二三%ありました。相互銀行におきましては、九百二十七の債務者に対しまして自粛すべき預金の割合が三八%ある。以上でございまして、いずれも検査のあとすみやかに是正するように示達いたしております。これは当然直っておるものと思っております。
○山中委員長 田中武夫君。
○田中(武)委員 私は先日予算委員会でこの歩積み、両建ての件につきましてお伺いいたしましたが、勝間の関係で最後の詰めができなかったので、その点だけについてお伺いしたいと思います。 まず公取委員長ですが、先ほど堀君の質問を聞いておりますと、あなたは予算委員会における答弁とちょっと変わっている。予算委員会の私の質問に対しては、特殊指定を行ないます、こういうことだった。今度、行なわないとは言っていないが、自分の都合がどうとかこうとかいうことなんですが、まずお伺いするのは、特殊指定を、いつまでに準備を完了して、 いつやるか。そして特殊指定を行なった場合に、現在の公取委員会の機能で、特殊指定を行なったという上に立っての監督といいますか、取り締まりといいますか、こういうことが十分やれるかどうか、これをお伺いします。特殊指定をいつまでにやるか、はっきり言ってください。
○渡邊政府委員 私は先日予算委員会で答弁したことと違ったことを申し上げているつもりはありません。あるいは御質問に対する答弁として、ことばのニュアンスが多少そういうふうに受け取れるようなことがあったかもしれませんが、私の気持ちは、予算委員会のときと現在と、ちっとも変わっておりません。 それで特殊指定をするという問題につきましては、先ほども申し上げましたが、まず第一に、われわれのほうで準備段階が必要である。これはわれわれのほうとして、何をぐずぐずしているかとおしかりをこうむってもやむを得ませんが、実は問題に取り組んでいけばいくほどいろいろ問題があるために、まだ準備段階が終わっておりませんが、私は少なくとも準備段階は早急にやるべきだと思っております。 同時に、その発動の時期でございますが、これは大蔵省もいろいろやっておりますから、われわれのほうの準備段階の進行と並行しながら、その自粛措置の効果というものを見ながら、その上で、発動すべき必要があれば発動する。正直いいまして、私はどうも何か発動せざるを得ないのじゃないかと思っておりますが、いまここでもってまず発動することをきめてしまうというほどのことを申し上げるつもりはありませんが、とにかく要すれば発動する、こういうふうに考えております。 それからもう一つの点につきましては、これは昨年の委員会でも御発言がありましたが、結局、一罰百戒的な意味においても、公取として特殊指定をし、その違反事実は摘発すべきじゃないかというようなお話もございまして、正直言いまして、全部シラミつぶしにこれをやるということは、おそらく大蔵省の銀行検査部程度の機構を持ちましても、なかなか困難じゃないだろうか。したがいまして、どういう点からその問題を詰めていくか、もちろん現在の私のほうの陣容は限られておりますし、きわめてわずかでございますから、どの程度効果が上がるかということについては、いろいろ問題があろうと思いますが、私としましてはできるだけ効果的にそれをやっていきたい、同時に、大蔵省の指導にもやはり大いに期待したい、かように考えております。
○田中(武)委員 やらざるを得ないような心境である、こういうことなんですが、前には、やりますとはっきり言われたと思うのです。もう一ぺんはっきりと、特殊指定を行ないます、その目標は本年何月ごろまでに準備を完了いたします、そういうふうな答弁はできませんか。
○渡邊政府委員 先日もやはり私は同じようなことを言ってまして、別に本日の発言と違ったことを、これは速記録を見ないとわかりませんが、申し上げたつもりはありませんが、しかし私としては、いま申し上げたような心境にある。これは予算委員会でも同じような答弁をしたつもりでおります。
○田中(武)委員 私の受けた予算委員会での印象では、行ないます、こういうことであったのだが、いまあなたがそう言われるなら、現在の心境がそうだろうと理解をいたしましょう。しかし、準備がかかるとか、そうせねばならないとか、こういう弱腰ではいけない。少なくとも公正取引委員会は、今日物価の問題、あるいはいま問題になっている歩積み、両建ての問題、あるいは下請け代金の問題、これすべて公取委員会にかかる問題であり、多くの中小企業あるいは大衆が公取委員会に期待をいたしております。したがって、あなたはもっとしゃきっとしてやってもらわなくちゃ困ります。
○渡邊政府委員 私は弱腰であるつもりは一向ございません。ただ要するに、いたずらに鬼面人を驚かすようなものの言い方をすることがいいとも思っておりません。だから、私としては、要するにこういう問題は、むしろじわりじわりと締めつけるほうが実効が上がるのじゃないか、もちろんやるべきことは当然やります。
○田中(武)委員 公取にもう少ししゃきっとした姿勢で、この問題の解決はおれの手にかかっているのだ、このくらいの気持ちでやってもらいたいことを要望します。 それから大臣にですが、これも時間切れで十分に論議できなかったし、きょうもまたあまり時間がないようです。あとで春日大先輩がおやりになるそうですか、それに時間を譲りたい、こう思うので、簡単にやります。 この歩積み、両建てについては、本年に入りましても、商工、予算、大蔵各委員会でもう何回か取り上げています。また銀行局といたしましても、何回かにわたって通達を出しておる。ところが、いまだにそれが解決をしない。そこで私は、それを解決する清涼剤というか、頓服剤は、銀行法二十三条、相互銀行法二十一条にある、こう申し上げた。ところがあなたは、これは預金者保護の規定であるから、この二十三条または二十一条による歩積み、両建てについて大臣命令は出されない、こういう答弁であった。なるほどこの銀行法ができたときには、やはり預金者保護ということに考えを及ぼして立法せられたものと思う。だが、この銀行法あるいは相互銀行法その他の金融機関の法律を見ても、あなたのおっしゃるように預金者保護のことに限るとは書いてないわけです。しかも二十三条をごらんになると、法令または定款もしくは主務大臣の命令に違反し、または公益を害する行為、こうなっております。公益とは何ぞやということになると、また問題がありますか、歩積み、両建てが今日のように社会問題化し、そうして国会においてもこれだけ取り上げられておるということは、公益といってもいいのじゃないか、大きな社会問題である。その上に立って、まず二十三条による大蔵大臣の歩積み、両建てについてのびしっとした大臣命令を出す、そしてその大臣命令がいれられぬときには、いわゆる業務の停止、解除、役員の改任、こういうことをやる姿勢をとれば、これは一服の頓服剤として直ちに正常化すると私は思う。さらに、この大臣命令が出されないとすれば、私は公取委員会としてこれがやれないことはないと思うが、どうですか。この二十三条ではそういう大臣命令は出されないということだったのですが、出してはいけないという規定が一体この中のどこにありますか。
○田中国務大臣 一服の頓服剤になるというよりも劇薬になる、こういうことでございます。そこで、その法律解釈は厳密にやっておるわけでございます。私もあなたの言うことはわからぬわけではないのです。で昭和十四年でありますか、十四年につくられた当時の解釈は、私が前に予算委員会で申し上げたとおり、一貫してそういう答弁をしておるようであります。しておりますから、私はそう申し上げたわけであります。しかし、いまその当時想定しなかった新しい事態が起きた場合、その後つくられた法律で禁止規定がない場合、当然その条項が援用せられる、こういうこともあります。いま郵便法七十九条が刑事事件として審理中でありますから、あの当時は全くそういうことを想定しなかったものが適用されて、立件せられておるということから考えても、この二十一条ないし二十三条までの大蔵大臣の権限というものを銀行法に基づいて拡大解釈できるかもわからぬというふうには私自身としては考えますが、しかしまあそれをやるならば、その法律条項に対して、新しい事態に対処して銀行法の改正をやるか、何かやはりそうすることが妥当ではないか、というよりも、私も大臣になってから約一年半この問題に対しては自分で研究をしております。戦後できた農林大臣の主管法律、通産大臣の主管法律、あらゆる法律を見ますと、そういう条文はすべてに適用しております。おりますから、まあ適用できないということもないと思いますが、法律制定当時の精神から考えるとやはり狭義に読むべきだろう、これは私も立法府の議員でありますので、そういう意味で、法律は厳密に解釈するということで、直ちに二十三条の発動、歩積み、両建てに対して大臣命令をやらなくとも、銀行行政でもって十分検査もできますし、他にもいろいろな行政手段があるのですから、いま直ちに二十三条を、あなたの言うとおりそのとおりでありますという統一見解は出しにくいというのが、偽らざる考えであります。
○田中(武)委員 法律というものは移り行く世相、社会に対して適用するように動かすべきであります。もちろん、この種の罰則に類するもの、こういうものは厳格に読むことがたてまえでありますが、最初立法したとき考えられなかったことであったとしても、それを禁止しなければあなたのおっしゃるとおり出し得ると考えます。あなたは出せないとおっしゃったのでありますが、私は出し得ると考えるのであります。もしこれを出せない、あるいは問題かありとすれば、そういうことができるように法律を改正する必要がある。そこで、私は頓服剤としてこれを出せば直ちに解消する、こう申しました。あなたはその頓服剤が劇薬になってはかなわぬ、こういうことです。そこで、先ほどの堀委員の質問に歩調を合わすわけではありませんが、私は一年待つということもまだ気に入らないのですが、それでは堀委員の提案のように一年間、大蔵省あるいは公取その他が全力をあげてこの解消のためにつとめる、だが、しかしほんとうに強権を持たなければ、今日の金融機関なんというのは、言うことを聞きませんよ。やはりどんぴしゃっとやることが必要です。そこで、私は直ちに発動せよと言いたいのだが、まあ同僚の堀君が一年と気の長いことを言ったので私もそれに同調いたしまして、一年間ともかく努力してください。そしてなお改まらないときには、二十三条による大臣命令、これで直ちに違反者には、役員の改任、業務の停止、これを行なう。もしそれができないとするならば、もし法制局の解釈が、二十三条でまだ疑問があるとするならば、出し得るように法改正をする。一年間の執行猶予を与えますので、その間十分なる検討をしていただきたい。そして努力してもらいたい。これは大蔵大臣それから公取委員長にしかとお約束をいたしまして——この点について答弁をもらえますか。
○田中国務大臣 やはりここはむずかしいところですから、幅を持たしたほうがいいと思います。
○山中委員長 春日一幸君。
○春日委員 ただいま田中君の御質問の中で公取委員長が答えられて、何か確信がない。いうならば意欲的な気配がない。これはまことに残念だという御指摘がございましたが、私も同感でございます。と申しますのは、なるほど公取の職員機構というものはまことに小さなものではありますけれども、法律の構成は非常に強烈なものでございます。たとえば第四十条においては、公正取引委員会は必要ならば官公署の役人、特別法人、事業者、それに対して出頭を命じ、資料、情報の提出を求めることができる。第四十一条においては調査能力がなければそれを充足することのために嘱託することができる。国家の機構をことごとくあなたは使うことができるのです。よろしいですか、独禁法第十九条においては、わが国における経済活動、事業者は不公正な取引を行なってはならない。公正な取引を確保することのために、公正取引委員会に対して、法律ではあらゆる官公署をあなた方は援用することができるようになっているのです。そういうような強大な権限であり、そのような大いなる国民の信託を受けておられますあなたが、やってやれるような気もするからやってみたいというようなとぼけたことを言っておられては、まことに残念です。あなたに御銘記を願いたいことは、かつてあなたが長いこと大蔵省におられて、主税局長、国税庁長官としてその職責を実にりっぱに果たされた。だからあなたが大蔵省を去られるときに、自民党も社会党もみんな理事があなたの功績をたたえて、乏しき中からさいて、あなたにりっぱな書だなまで贈ったんだ、実際の話が。そのような志操堅固な人が、公取の大きな権限を握って、どうもやれるかやれないかわからないので、なるたけ効果のあがりそうなところからやっていくなんというようなとぼけたことを言っておられて、一体どうなりますか。きょうも会議前の理事会で雑談の中で話されておったんだが、これはひとつあなたも印象にとどめておいていただきたい。あたかも公取というもののあり方は、あると言えばある、ないと言えばないという、水に映った二十日月みたいなものだ、こういう酷評すらあったのでございますよ。ですからあなたはこの問題についてほんとうに深刻な気持ちで取り扱ってもらいたい。本日は論議が煮詰まってまいっております問題でありますから、私は、克明にこの法律に基づいて、かつはまた実態に即して、この歩積み、両建ての弊害、これが何であるか。これを除去することのための手法は何であるか。これをひとつ十分究明いたしたいと考えますので、ひとつ大臣もその気持ちでこれをお聞き取りを願いたいと思います。委員長から冒頭お話のございましたとおり、本件についてはすでに専門的に調査をいたしますことのために小委員会が数回開かれまして、それらの論議について深耕細打の形でこれが尽くされておるのでございます。結論的なことを申し述べて、ひとつ問題の解決をはかりたいと思うのでございます。 そこで、その不当な歩積み、両建ての弊害でありますが、これは本日ここにこつ然として論じられておるのではないのでございまして、すでに衆参両院各委員会、本会議等において激しく論じ立てられました。かくて一月二十四日、本会議における総理大臣の本件に関しまする答弁は、歩積み、両建て預金につきましては、私はもう十年来の主張である、最近においてはこの声がはなはだ強くなってきたので、大蔵大臣も決意しておるようであると総理は述べられておる。公取委員長もこの点については重大関心を持って着々この解決に進んでおられる、こうあなた方の決意とその態勢を述べられておる。総理みずからもこの問題については以前以上に力を入れていくことをここに御誓い申し上げますと申されておる。これは国民に対する誓約である。もはや解決が焦眉の急に迫られておるものであるということ、国民に対する誓約でございますね。このことを念頭に置いてお考えを願いたいと思います。 すなわち、ここに歩積み、両建ての弊害を整理いたしまするならば、大体次の三つに集約をすることができると思うのでございます。 すなわち、第一点は、わが国が開放経済態勢に移行するに伴いまして、何といっても国内企業の金利負担軽減、これが国際競争力を強化することのための絶対要件である。しかるに、このような歩積み、両建てというものが企業に対する実質金利の負担を増大せしめておることが一点である。 それから第二点は、こういうような悪習慣が容認されておりますことが、一個の要因となって金融市場の中で実質金利が政府の政策に離反した形で横行いたしておる。しこうして、このことが政府や日本銀行の金融政策の効果を減殺せしめるの役割を果たしておる。これが第二点。 それから第三点は、この種の預金の強制は、特に、中小企業に対して行なわれやすい立場にありまするために、中小企業に対して金利負担や資金操作の困難性を加重しておる。このような不利な条件が、中小企業に対して、大企業との間に企業間の所得格差、そのことが関係従業員の階層間の所得格差を発生せしめて、またそのような結果として設備の近代化をずらしておる。中小企業対策上、こういう弊害があるばかりではなくて、間接的にはやはり消費者物価の値上がり、こういうところに悪い影響を与えておる。 この間、小委員会で調査をいたしまして、高橋銀行局長が答弁されたところによりますと、全国銀行、相互銀行及び信用金庫の全預金約十九兆五千億円の中で、債務者預金のうち、拘束性預金、これが約三兆円にのぼっておることが述べられておる。だといたしますと、この三兆円なるものは、一年ものの定期として、金利が五分五煙、貸し出しが行なわれる場合は、平均まずざっと九分五厘と押えましょうか。そういたしますると、年四分の歩積み、両建ての利ざやが、結局は三兆円年四分ということになると、一千二百億円という巨額にのぼる。このことは、一方において金融機関が一千二百億円を中小企業から収奪すると同時に、中小企業者の側からすれば、一千二百億円というものを不出に略奪をされておるということでございます。こういうような事柄は許されていいかどうか。 私はこの際、公取委員長にお答えを願いたいと思うのでございますが、以上申し上げました三つの弊害というものは、わが国産業経済の現状に徴して、きわめて重大な大問題であると思うが、これを是正することのために一体公取委員長はどういうことを考えておられるのか。第十九条において、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」と断定的に宣言しておる。だからそれを確保するため、あなたに強大な権限を行使することを義務として課しておる。だからこれを一体どうしようと考えておられるのであるか。まず基本的なその認識をひとつ公取委員長から伺って、次いでこの問題について大蔵大臣の見解をあわせてお述べを願いたいと思います。
○渡邊政府委員 不当な歩積み、両建てが不公正な取引であり、それがいわば一番中小企業を中心とした弱い企業に非常な圧迫をかけている。これを直さなければ中小企業は浮かばれませんし、同時にこうしたことを直さなければ、政府なり日銀が行なっている金利政策というものもいわばから回りしている。こういう点については私春日委員と全然同じような見解を持っております。したがいまして、これをどうしてなくしていくかという問題でございますが、かなり長い年月こういうような悪習慣があるわけでございますので、われわれとしては、やはりそれだけにその根の深さを片一方で考えながら、同時にこれに向かってこれをなくすることについて有効な手を打っていくにはどうしたらいいか、こういうことを考えながら、ずっと過去においてやってまいりました。したがいまして、現在においてわれわれのほうとしてやり得ることといえば、特殊指定をやるということがまず第一の段階じゃないか。したがって先ほどお答えしましたようにもう少し全体の状態を見てまいりますが、要すれば特殊指定をやっていくということでまず第一の段階の手を経る、こういうふうに考えております。
○春日委員 大臣の答弁はあとでまた伺うことにしまして、それでは私は公取委員長に金融機関の自粛措置に対する公取の見解を伺いたいと思うのでありまするが、これは昨年の三月から四月にかけて、全国銀行協会連合会、それから全国相互銀行協会、全国信用金庫協会でそれぞれ申し合わせがなされまして、それから九月には相銀方式なるものが、先ほど堀君から述べられたように、発表されました。これに対して大蔵省がこの金融機関の自粛措置という、いわゆる漸減方式というものを何か一応了承した形で、以後その実行を厳重に監視する、こういう態度に出ておられることが現状だろうと思うのでございます。ところが私がここに公取委員長の見解を求めたいことは、相銀方式にしろ、全銀連方式にしろ、これは何ら不当な歩積み、両建てを根絶するための根本にメスを入れたものとは認めがたい。その文言も、適当な、いわゆる度を過ぎたという文言を用い、不当なという、われわれの指摘しているそのことに対してこれを対象としていない。こういうようなところから、この自粛措置というものは、この不当な歩積み、両建ての一部を何かしら温存する、こういうようなあり方を容認する、それであたかもこれが合法視されるような印象と誤解を与えておるおそれがありはしないかどうか。したがいまして、いままでの相銀方式にしろあるいは全銀連方式にしろ、こういうような問題はほどほどならばまあまあよろしいというように容認できる態度であって、こういうようなあり方は非難されております事柄あるいは独禁法の条章に照らしてのその違法性、この立場から研究判断をいたしまして、これは満足し得るものではないと私は思う。適当なものではないと思う。公取委員長の見解は、研究されていかがでありますか。
○渡邊政府委員 いわゆる相銀方式といいますかあるいは銀行方式というのか私よく知りませんが、相銀方式というものは、御承知のように債務者預金に対する拘束性預金といいますか、その率でもって考えている、あるいは銀行方式というのは預金に対する債務者預金の割合で考えている。債務者預金の中にはこれは何もわれわれのほうで問題にしなくてもいい債務者預金がずいぶんあると思います。それは自発的に、その会社としては借り入れ金をしても、絶えずある得度預金を持たなければ会社経営ができないということもあるわけであります。したがってそういったものはそういった角度でもって問題を扱っているわけですが、しかしそうしたものの割合がどの程度になろうがなるまいが、不当な歩積み、両建ては不当な歩積み、両建てであるわけであります。したがいまして、私のほうとしてはそうした割合の問題等は抜きにして、不当な歩積み、両建ては不当な歩積み、両建てとして当然排除さるべきものであります。しかし大蔵省がいわばマクロ的に監督する一つのめどとしてそういうものをお使いになるのも一つの方法じゃないかと思っておりますが、私のほうとして問題にするものは、どこまでも不当な歩積み、両建てであって、それは量の問題が、それが少なかろうが多かろうが、不当なものは不当なものである、かように考えております。
○春日委員 その点さすがに御検討が正しいと私は思います。 私は、ここに金融行政の二元化の問題が当然問題点として究明されていいと思うのであります。大蔵省は、事、金融行政に関しまする限り、大蔵省設置法その他銀行法等においてしかじかの取りきめがなされております。金融機関の融資及び金利を規制すること、これは大蔵省の権限がこういうことになっておりまして、これは金融行政を一元的に掌握するというたてまえからなされております。したがいまして、不当な歩積み、両建ての規制については、このような見地から大蔵省が取り締まることが適当である。だから大蔵省は基本的にまず金融機関の相互の協力を求めてそうしてできるならば自主的規制でこの問題をなくしていこうという、その考え方であれば、これは私は了承するにやぶさかではない。こういう法のたてまえになっており、行政の仕組みになっておる。ところが、一方公正取引委員会は、独禁法第二十七条によって設置されておる。独禁法の各条章を私はずっといろいろ調べてみたが、二十七条、二十八条、三十五条の三から五、四十条、四十一条、特に一条、十九条というようなところを読み合わせてみれば、やはりこれは金融についても公正取引委員会が独自の、固有の権限を持っておる。それは権限を持っておるというよりも国民に対してその義務を課せられておることは明確であります。時間がありませんから、こういう問題を論ずることはできませんけれども、いずれにしても、公正かつ自由な競争を促進して、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにして、雇用及び国民所得の水準を高めて一般消費者の利益を確保して、国民経済の健全な発展をはかる、こういうことの中に、いろいろなことがずっと網羅されておるわけでございます。でございまするから、不当な歩積み、両建てが、不公正な取引方法に該当いたしまする限り、公取が独禁法に基づいてこれを取り締まらねばならぬ。その結果として二元行政になってきても、片一方は正常に運営さるべしと行政を執行していく、にもかかわらずここに不公正な銀行行政があるならば、これはやはり独占禁止法によって負荷されておる権利、権限かつは義務として公取委員会がその問題の解決にあたる、そのことをなくするために適切なる措置をとるということは、これは論議のないところであります。そのことをしも二元行政であるというならば、日本じゅうの行政は、公取を加えるならば全部二元行政になっておるのです。だからその二元行政を妨げるものでないという大まかな理解の上に立たなければならぬ。割り切って判断をしなければならぬ。 そこで、不公正な取引方法という問題についてはしばしば論じてまいったところでありまするけれども、これは二条七項に定義その他が設けられておる。不公正な取引方法とは何ぞや。これは第一号から第六号まで六つの指定の基準が定められておりまして、第五号の、自己の取引上の地位を乱用して正常な商習慣に照らし相手に不利益をしうる取引行為、これは取引上の地位の不当乱用、こういうことで明確に不公正取引である。これは決定事項でございます。論議の余地はございません。この第二条七項の規定に基づいて、あなたのほうがこの一般指定とそれから特殊指定を行なっておられるのでございまするが、いま一般指定ではなかなかその効果が確保できないとすれば、このことについて特殊指定で踏み切られるというようなことはあたりまえのことである。現に新聞でありますとか百貨店でありますとか、十何業種についてその特殊指定が行なわれたことが、かくのごとく衆参両院各委員会において論じ立てられながら、かつはまた全国の中小企業者がほんとうに怨嗟の声を上げておるこの現状にかんがみて、なおかつあなたのほうがこのことを本日までなし得ていないということは、まことに職務怠慢である。国民に対してその信頼を裏切っておることである。私はほんとうに責任を痛感してもらわなければならぬと思うのでございます。 私はこの問題を大蔵大臣にもよく聞いてもらいたいと思うのでありまするが、この不当な歩積み、両建てが不公正取引であるということを明確に論証するためには、私は三つの条件が必要であると思うのです。 第一の条件は、まず優越的地位の乱用であるかどうかということ。これはいまここで申し上げるまでもなく、日本の金融市場は貸し手市場でありますから、したがいまして貸すほうが借りるほうに優越しておることは、金融の需給の現状から徴してこれは論ずるまでもございません。金融機関が優越的な地位にある。 それから正常なる商習慣にそむく行為であるかどうかという問題は、現実にそういうことが行なわれておるというその実態が正常な商習慣であるというのではなくて、金を借りたい人から金をせしめ取ってこれを拘束性預金にくぎづけるというようなその行為が道義、条理に照らして、正常なる商習慣の中において容認される行為であるかどうか。こういうことですね。現実に行なわれておるならば、悪いことをやってもこれは正常なる習慣であるということはできません。やはりそのことが道義、条理、社会通念上容認され得る行為であるかどうか。こういうものはやはり正常なる商習慣にそむく行為である。 それから第三には、相手方に不当に不利益をしうる行為であるかどうかということでありますが、私はここに問題点が集約されると思うのでございます。一年もの定期で、貸すときにはとにかく平均九分五厘取る。預けるときには五分五厘の金利しか払わない。ここに四分の利ざやがある。銀行局長の答弁された三兆円の総額なら一千二百億円の年々の不当の利益が収奪される。片方が得をして片方が損をするのでありますから、これに不当に不利益を相手方にしうるの行為である。こういうわけでありますから、私はこれは独禁法違反行為であることは明白であると思うが、公取委員長はこれについてどう考えられておりますか。ただ歩積みは不公正な取引であると思うと言っておられるけれども、その思われる根拠をかくのごとくに分析してくれば、思うとか思わぬとかではない。これはもはや論議は終結しておる。断定的に不公正取引である。人から物を盗んだと同じように、これはどろぼう行為である。独禁法というものは、盗んだり脅迫をしたりあるいは恐喝をしたり、こういうものは刑法なりあるいは民法なりによってきちっとそういうものができないようになっておる。やった者については処分、処罰が明確になっておる。だから、そういうような民法的なものあるいは刑法的なものに触れざる行為であるといえども、自由にして公正なる競争の原則を確保してわが国の国民経済の健全なる発展をはかることのためにはこういうことをやってはいかぬといって、これはもうあなたのほうが一般指定をやっておるのですね。それでいま申し上げたように、この三つの要因、すなわち優越的地位の乱用である、しこうしてこれに対しては正常なる商習慣を逸脱して行なっている行為である、そして不当な不利益をしいておる行為である、だからこんなものは論議の余地はない。どろぼうを見たらすぐ民間の者でもとらえなければならない。いわんや警察は逮捕しなければならぬ。それなのに独禁法の権限の信託を受けておるあなたが、これに対して今日なおかつ特殊指定を行なわざる理由は何であるか。一年間先、半年先、一週間先とかいうのではもはやおそきに失する。大蔵大臣も決意なさったと総理大臣は述べておられる。公取委員長も解決に向かってとにかく対処をしておると言っておる。一月二十四日からすでに二カ月を経過しようとしておる。何をぼやぼやしておるのです。早く特殊指定をおやりなさい。
○渡邊政府委員 春日委員が御指摘になった要件に該当するものは、当然それは不公正取引だと私は思います。ただ問題は、具体的にある個々の取引が問題になるわけです。具体的にある個々の取引がその要件に該当するかしないかということが問題になるわけです。したがいまして、特殊指定をやろうというのは、結局個々の取引が具体的にその要件に該当するかしないか、そのめどをつくろうというわけです。したがいまして、あるのは具体的な取引なんですから、この取引は該当する、この取引は該当しない、そういう一応の差別をしなければなりません。その差別のものさしをどういうふうにつくっていくか。たとえばあなたのおあげになりました一つの正常な商習慣に照らして是認されるものと、されないものとの差別は一体どこにあるのだ、こういう問題があるわけです。したがって、私のほうとしては、そういった点についていろいろ業界の意見も聞き、あるいは借りておる中小企業者の意見も聞きながら、そこのはっきりしためどをつけたい。その意味で努力をしておるわけです。
○春日委員 それでは私は公取委員長に申し上げますが、あなたが金融機関に対して警告を発せられた文言の中に、これは非難さるべき事柄である、独禁法に照らして問題がある、疑わしい、だからやめるように勧告をしてきたが、一向やめられない、やめられないという認識はすでに得られておるのですね。しかも本委員会において日本銀行総裁も日本の低金利政策を論じたところで歩積み、両建てをやっておれば何にもならぬ、このことがすみやかに解消することが望ましいと述べられておる。日本銀行の総裁も公取委員長も、勧告の中でそういう不公正な歩積み、両建て、独禁法に違反するとおぼしきその行為が実在をしておるということを認識しておる。認識したらすみやかに特殊指定を行なわなければならぬ。どういうふうにやったらいいかという問題がいろいろと研究中であると言われておりますけれども、しかし特殊指定というものは予防措置ですよ。主たる点は、かくのごときことをやってはならぬという点ですね。そして審問審決の基準を示すことですから、それは必ずしも予防措置とのみ言えないけれども、その効果はかくのごとき取引をやればすなわち独占禁止法に触れる、不公正取引だ、こういうことを明示することによって予防的効果があがるのですね。だから新聞においてもあるいは百貨店においてもやられておる。たとえば下請代金支払い遅延の防止に関する法律だって、その必要がありと認めたらああいう特別立法もなし得ておるのでございますから、したがってこれはあなたのほうがそういう事実がありと目したならば、もはやこれはどういうやり方でやるか——私は三日や四日でこれを研究し成案をし、直ちに行使しろというのではございません。あなたのほうが特殊指定をやろうとすれば公聴会も持たなければならぬであろうし、少なくとも公聴会においていろいろとさらに意見を網羅してこれがリファインされていくという、だから私は少なくとも特殊指定に踏み切って多くの意見を求めていく、そこへ踏み切るだけの断をとらなければならぬ段階であると思う。このように特殊指定をやろうとしてあなたが言われてからもうすでにだいぶんになります。かれこれ半年くらいになります。われわれ本委員会で論じたのは昨年六月、あなたが就任直後でございました。あなたが着手すると思って期待しておったけれども一向にらちがあかない。私は、いまあなたが堀君に特殊指定をするということを述べておられますから、あなたの決意はわかりますがいつやるかが問題である。いまや開放経済に対処していくについての問題、これを解決する、中小企業と大企業の所得格差の解消、ことごとくが大々問題、緊急焦眉の問題として立ちふさがっておる。なぜもっと早くおやりにならぬ。
○渡邊政府委員 春日委員もよく御存じだと思いますが、特殊指定をするということになります。それは確かにもうはっきり黒だというやつは、これはもちろん問題はありません。しかしはっきり黒だということだけを特殊指定でもってこれを不公正取引だということは、その次の灰色はこれは黒じゃないということを意味するわけです。したがってそのいろいろな段階がありますが、どこまでは黒だということを指定して、あなたのおっしゃるように、従来ともそれは私は早急にそうした特殊指定の基準はつくるつもりでおりますが、問題は、これはいかぬということを一応線を引きますと、それじゃそれに該当しないものはいいのか——これは全然別の問題なら別です。しかし歩積み、両建てに関する限りは、こういう種類のものはいかぬという線を引けば、それに該当しないやつはいいということに反対になるわけです。したがってそこの線の引き方をどこに置くかという問題、たとえば先ほど言った正常な商習慣に照らすということを、ただそのまま言うならこれは簡単です。しかしどういうものが正常な商習慣に照らして是認され、どういうものが是認されないかということも、やはりできるだけ具体的な線を示すことが、借り手にとっても貸し手にとっても、一つの基準としてものをいうのではないか、そういう問題がありますから、私どもとしてはある程度時間のおくれていることは恐縮でございますが、いままで検討しており、今後もやはりその線で検討していく、そういうつもりでおるわけです。
○春日委員 私はあなたの決意のあるところを認識いたしました。けれども、それはむずかしい、むずかしいと言っておればいつまでたっても手が出ませんよ。あなたは所得税法から法人税法、租税特別措置法から、あらゆる難解な問題について、とにかく政令から通達から規則から、ものすごいものを組み立てて、抜け穴のないような完全無欠な、ああいう一つの徴税行政の体系を組み上げておられるのですね。だから歩積み、両建て、いかなる場合においてこれが不公正な歩積み、両建てであり、独占禁止法に違反をする歩積み、両建てであるかを明示するということが、あなたの従来の経験、能力の実績にかんがみてできないことはない、そんなことはできる。できぬといったってできるんですよ。あなたが全然できないというなら、私が代行してあげてもいいくらいなんだ、こんなことは。とにかく金を借りたい人に対して、歩積みを取ることはいけない、特に両建てで拘束することはいけない、そのときは貸し出し金利と預金金利と同等ならばよろしい、一銭でも一毛でも定期金利と貸し出し金利との間が違っておったら、そこに格差のある限り、すなわち貸し出しと預金との金利格差のある限り不公正、そんなことはだれが書いたってすぐ書けるんですよ。余分なことを書けというんじゃないです。だれが考えたって不公正なもの、不当なもの、自分の地位の不当乱用、正常な商習慣に違反するもの、そうしてその利益、不利益の問題の論証、こんなことは客観的に論証できますよ。できぬ、できぬと言っておるのは、私はこれは金融機関なりいろいろな方面からきた圧力だと思う。圧力があなたに直接加わらなくても、何となくあなたが長い間そういう立場におられて、いろいろな意見、陳情というようなものを聞いておられて、結局そこにあなたに不測のためらいがある。あなたは行政庁であると同時に経済検察庁ですよ。だから二つの性格を持っておられることを銘記して、ある一定の段階において踏み切らなければならぬ。六月以来すでにかれこれ十カ月間、あなたは踏み切っていないんです。これからさらに慎重と言っておれば、一年やそこらつかの間にたってしまう。だから私は、書こうと思えば書けるんですから、あなたはいまそんなようなことを言っておる段階ではないということを申し上げておきます。 田中大蔵大臣に質問しますが、金利政策上の見地と独禁法上の合法か違法かの判断との関係について、私は申し上げたいと思うのでありますが、この間うち銀行局長が通達されましたね。あれはやはり政策的には私は意味がある、これはこれで容認できると思う。金利負担を軽減するためにひどい歩積みはできるだけ減らしておけ、時間がかかりそうだが全然やらないよりもいいからまずはやっていけ、こういう意味でこれはこれで全然ないよりはましという意味のプラスがあると思う。私はそんなことはやってはならないと断定的に言うわけじゃありませんが、私は大臣に十分御反省願いたいことは、この歩積み、両建て預金の問題は、事の性質上そのような政策的な問題ではないということなんですね。政策的な問題ではなくして、合法か非合法かの法律上の問題なんですね。それは具体的事件の判定において、どんなに困難が伴いましょうとも、どういう歩積みが違法であり、どういう両建てが合法か、この問題は政策的な考慮にまかしておいて済まされる問題ではないのであるという、このことだけは御認識を願わなければならぬと思います。いま公取委員長も述べられましたように、いま私が三つの要件を言いました。それにことごとく触れるものは、これは独禁法に違反する不公正取引であると言われた。だとすれば、そのような歩積み、両建てが行なわれておる、これをなくするということを目して通達を出されるのであるとするならば、それはその気持ちでお出し願わなければならぬ。あなたのほうが出されておりますその通達の中には、独禁法のほうはこれは公取委員長がおやりになるからわれわれのほうは関知したところではない、だから私は全然金融政策上の立場からこういう指導を行なうんだということならば、それはそれでよろしい。ところが実際この通達の文面をつぶさに読んでみますと、そこにはあるときには不当なということばが出てくる。ただこれが全部過当なということならば、これはよろしいけれども、不当なということは独占禁止法に違反をする疑いがあるということを念頭に置きながら、あなたのほうはこの勧告を出されておる。だから、こういう問題はいろいろな心理的な影響が与えられておる。大蔵省の勧告は銀行側はどう受けておるかといえば、ほどほどのものならばいい、過度のことはいかぬけれども、ほどほどのものはいいというふうにあなたのほうが言っておられるというふうに受けておるんですね、歩積み、両建てについて。ところが公取のほうからはそういうふうには言うてはいない。やはりこれは法律上の問題であって、こういうものは合法か非合法かの立場で公取は取り扱っておる。取り扱っておるにもかかわらず、あなたのほうはその問題を念頭に置きながら勧告を出されておるから、ほどほどならばいいと言っておるし、ほどほどであろうと何であろうと公取はいかぬものはいかぬ、こういう態度で臨んでおる。だとすると、金融機関はこれを受けてどっちがほんとうだ、公取は行き過ぎだ、政府の中で大蔵省はほどほどならばいいと言っておるじゃないか、公取やかましいことを言うなということで、自粛の問題というのか、あるいはそれをなくするようにするための意識というもの、言うならば犯罪意識をぼやかしているのですよ。そういう意味で、銀行通達というものが非常な悪影響をもたらしておるんです。ただいま渡邊委員長は、どんな小さな歩積みであろうと、両建てであろうと、程度の問題でない、これは質の問題だ、こう明言されておる。私は特に大蔵大臣に聞いてもらいたい。あなたもお忙しいにもかかわらず特に聞いておいていただくのは、公取の見解をなまで大臣に聞いていただきたかったからにほかなりません。これは質の問題であって程度の問題ではないと公取委員長は言っておられる。それにもかかわらず、あなたのほうが、過度の歩積みはいけない、ほどほどならいい、あまりひどいことは慎しめ、こういうような対処のしかたというものと、この公取委員会の、独禁法上の不公正取引であるならば摘発するし、審問審決するぞ、どうしてもいかなければ禁錮二年以下に処すぞ、こういう態度が、同じ行政機関の中で全然違っておる。私は、この点が非常に重大だと思うのでありまするが、あのような勧告、あるいは相銀方式にしろ全銀連方式にしろ、そのような自粛措置というものは、全然価値のないものである、ピントはずれのものである。だから、そういうようなものを容認したり、それの推移を監視するというようなことは、間違った行政指導のあり方である。このことについて御見解はいかがでありますか。
○田中国務大臣 大蔵省が、銀行に歩積み、両建ての自粛に対する通達を出しておることは、非常に前向きであり、実際的にこれを解決しようとする熱意のあらわれであるというふうに御理解いただきたい。歩積み、両建てというものに対して、全然違法であるというふうには考えておらないのであります。御承知のとおり、金融機関というものが、一面において、窓口においては預金業務を扱うことを業務としておる。同時に、その原資をもって貸し出すことも業としておるわけでございます。また貸し出しを受けた人が、同日付をもって一ぺんに、借り出したワクを全部消費をするわけではないのであります。消費が終わるまでは、その間同じ銀行に預金をしておくのであります。でありますから、同じ窓口でやらないで、郵便局のように、預かるところは窓口だけにして預かる。これを使うときには、財政投融資として別な窓口から使うということならば、歩積み、両建てなんという問題は起きてこないのであります。金利が高いかどうかという問題しか起きてこないのであります。でありますが、各金融機関は、私が先ほど申し上げましたように、一つの窓口で預金と貸し出しの両方の業務を行なっておるということでありますので、貸し出すときに歩積みを要求するということがあるわけであります。これは貸し出すということは、百万円貸したならば一万円の歩積みを要求してはならないというけれども、そこに今度金融機関の実態を見ますと、担保の徴求とか、またいろいろなことをするために、長いつきあいをするために、将来のために、また手形が落ちなくなるときもあるだろうから、そういう場合に安全を確保するためと、同時に借り主の不時の準備のために、歩積みを求めるということは、世界各国でやっておるのであります。でありますから、あらゆる角度から考えて、歩積み、両建てというものが不法であるということには断じられないのであります。が、しかし、借り主の意思に反して歩積み、両建てを要求しておるものが拘束性預金であります。しかも、その拘束性預金も、本人の払い戻し解除の意思があれば、払い戻すものもあるわけであります。しかし、絶対に払い戻さぬ。あなたは現在持っておるものを取りくずすならば、私の店とおつき合いしませんよ、こう言う。地位を利用しながら、不当な歩積み、両建てを要求しておるということが問題になるわけであります。私は、その後いろいろな方面から考えてみましたが、公正取引委員会に対しましては、前の予算委員会で、公取も特殊指定をやるということを言っておられますので、ということを私はお答えを申し上げました。しかし、重大な問題でありますので、その後各国の例等を調べてみましたが、金融機関に対して公正取引委員会が指定をしておるというような例はないようであります。では、日本はそういう問題に対して、一体何がどこでどうしておるかということになりますと、先ほど春日委員が言われたとおり、銀行法とか大蔵省設置法とか、そういうものが、一体現在のような状態に対処できるように法制が整備されておるかという問題に帰結をするわけであります。でありますから、私は先ほど、歴代の大蔵大臣は、昭和十七年法律制定以来、十九条、二十条、二十二条以下のものは狭義に解釈し、かかる問題に対しては発動すべきではない、こういう発言をしておりますから、私もそのとおりお答えをしましたけれども、さて公取が権限を発動するというような事態であって、そういうことをするほうがいいのか、また銀行法やそういうものを整備をするほうがいいのかという問題に対しては、真剣に取り組まなければならないという考え方を私は現在持っておるのでありまして、大蔵省が現在の状態において、また現在の法制下において、歩積み、両建てというような悪弊を排除して、正常な金融にだんだんと推し進めていくためには、いまやっておるものは相当前向きなものであるということだけは、ひとつ御理解いただきたいと思うのであります。私たちも、この問題に対していいかげんにお答えだけすればいいとは考えておらないのであります。四月一日から八条国に移行するのでありますし、非常に真剣に問題と取り組んでおるわけであります。将来に禍根を残したくないという考えを持っております。ですから、歩積み、両建てをいまの状態で禁止するということになれば、表面金利だけ下げる、実質金利は、歩積み、両建てによってカバーしておるものは、実質二銭五厘まで上げますよ、臨時金利調整法はもう廃止だ、こうなってしまっては、これはなかなかたいへんなのであります。でありますから、高い立場、広いいろいろな立場で見ながら、また急激に一挙にやってしまうと——私はこの間も、そういうこともあるので、銀行合併等も一つの道であります、こう言ったのですが、私は小さい金融機関は、歩積み、両建てというよりも、拘束性預金はもちろんそうでありますが、あなたが考えておられるとおりのやり方をどんびしゃっと短い時間にやれば、経営できなくなる面もあると思うのであります。そういうような状態であるからといって、そのまま野放しにしておくのはいかぬ、こういう御意見は、私はわかります。ですから、どうしてもやはり一年とか二年とか三年とか、事実に徴して、だんだんと合理的な、理想的なところまで追い込んでいくということが正しい方法でありまして、公取とも十分意見を調整しながら、春日さんの発言されておるような事態を招来するために、前向きに、しかし、せいて、角をためて牛を殺すことのないように、十分慎重かつ勇気を持って配慮をしてまいりたい、こう考えておる次第であります。
○春日委員 私はこの限られた時間の中で十分大臣の認識を得ることが困難であると思うのでありますが、小委員会等においてさらに長い時間論ぜられておりますから、あわせてお読み願いたいと思いますが、私はここで特に大臣の御判断を願いたいことは、この歩積み、両建てを金融機関が何のために求めてくるか、これは大体四つ目的があると思う。一つは貸し出し債権保全のため——これは担保、根抵当を設定しておる。必要をオーバーしておりますけれども、しかしこれはこれで考えてもいい。次は金融機関の資金量の増大のため——これも目的の一つでありましょう。それからもう一つは、実質金利の引き上げによる収益性の向上、これがあると思います。それから第四点は、銀行の資金量によっていろいろなランクができておりますが、金融機関のこういうところに粉飾預金をつくろうという、この四つがその目的である。私は、四つ、みないかぬというのじゃございません。私も歩積み、両建ては全部だめだと言っておるのではございません。問題点は第三のすなわち違法性の核心は金利条件にあると思うのです。貸す金は九分五厘とる、そして預かる金は五分五厘、そこに四分あるでしょう。それが三兆円ならば千二百億円でございましょう。いま金融機関は収益性の問題があるから金利を三分五厘にするといったら困るとおっしゃるけれども、あの金殿玉楼は一体何ですか。無尽会社は、ものすごい黒大理石のクレムリン宮殿も見劣りするような、そういうところでみな仕事をしております。収益性の問題を論ずるならば、私はまずその経営内容等についても大いに改善の余地があると思う。今日日本の中小企業の状態はどうでありますか。いまこれが論ぜられておるが、御言及のとおり大企業に比べて従業員の所得格差は三十六年度において四九・七%、三十七年度において五七%、三十八年度にいって幾らかきたけれども、それにしても大企業、官公吏のそれに比べて中小企業関係従業員の賃金はざっと半分です。そのことはなぜか。一年間に千二百億円である、十年間に一兆二千億、複利にすれば三兆円というような資金を金融機関に収奪されて、中小企業者が骸骨のごとくにやせ衰える。片方は金殿玉楼、豚のごとくに太るということは当然のことですよ。これを解消しなければならぬということが本日ここで論じておる焦点なんです。不公正な取引の違法性の核心は金利条件にある。だからこれが不当な取引でない、不公正な取引でないことを認めるためには、五分五厘なら五分五厘で定期を預かるならば、百万円貸したときに百万円預かっても五分五厘、日歩にするならばこれが一銭六厘五、六毛になりますか、とにかくそういう安い金利で貸し与えれば不公正取引にはならないのである。相方手にみずからの優越した地位を利用して不利な取引をしうる行為ということは利ざやをとることですよ。金を借りたい人は何のために銀行預金をしますか、このようなことはああだこうだ言わないでも、それは客観的に挙証できますよ。借りたい人が金を預金するはずはありません。金を借りたい人から金をとって、そこに利ざやが現存するという金利条件は収益的に不公正取引である。だから預金の額が大きいとか度合いがああだこうだということは枝葉末節で、それは問題の本質をそれておる金利条件なんです。その点お考えはどうですか。
○田中国務大臣 春日さんのお気持ちは非常にわかるのですが、やはり少し事実と違うところがあるわけであります。三兆円ということを言われましたが、これに対して千二百億の過当な利息を中小企業から年間吸い上げておる。これは全十九兆円の中で、拘束性預金と認められるものが三兆円というのでありますから、これは大企業もすべての企業がその拘束を受けておるものということでありまして、中小企業に限って千二百億というようなことにはならないわけであります。しかしこれはならないというよりも、一円でも十円でも合理的に実態に即したものでなければならないという議論には同感を覚えておるわけであります。しかしこれはいままで法制上いろいろ春日さんも承知をして言っておられるわけでありますが、大蔵大臣が認可をする金融機関は、いかなる場合も日歩三銭をこえてはならないとか、五銭をこえてはならないとか、こういう法律があれば問題は非常に簡単になってくるのです。ところが金利に対する法律は日歩三十銭をこしてはならないという法律があるだけであります。だから銀行法その他によって認可をしておる企業体でありますから、公益性を持っておることは当然であります。そういう意味において、できるならば、一律年間純貸し出し高の本店割掛というものは、大体において、普通であれば二%くらいの企業もありますから、大企業も年間八%、一割をこすようなことはないわけであります。そういうことで逆算をしていきますと、銀行というもの、金融機関というものの経費はかくあるべきものだ、こういうことまで厳密にできるかというと、なかなか業態さまざまでありまして、そこまではできないわけであります。でありますから、みな違うものをある一定のレベルまで引き上げるために金融行政を遺憾なくやっておるわけでありますから、あなたが言われる第三の問題、いわゆる歩積み、両建て等をやっておるために全く座して金もうけをしておるのだから、五分で預かったならば九分の差額四分はとらないで同額でもって貸せるということになれば、一つの議論でありますが、同額というわけにはいかないわけであります。月給を払っておりますし、償却もしなければならぬから、年五分で預かったら、少なくともその両建てになっておる部分の金額に対しては、六分をこしてはならないとか、七分をこしてはならないとかいう常識的なめどがつけば、そういうところまで引き下げるべきだという行政指導をしておるわけであります。両建ての貸し出しに対しましては一銭六厘で貸し出せということを行政指導しておりますが、一銭六厘では多少原価を割るかもしれない。月給を払っていけないかもしれませんから、そういうことにしておりまして、なかなかあなたの言うとおりに直ちにどんぴしゃりとやりますと倒産をしてしまう銀行も出てくるかもしれない。それでは困るので育成強化という大蔵大臣の義務もあります。そういう意味で、結局あなたの言うようなことを百歩譲って、あなたの言うような事実があっても、これを不当に使ってはいかぬということで、いやしくも免許企業でありますから、配当は制限しておるわけであります。そうして店舗も金殿玉楼と言われましたが、今度は、昨年から数はよけいやるかわりにもっと簡易店舗にしろ、威風堂々あたりを払うようなやり方はいかぬ、こういうことをごく強く要求しておるわけであります。でありますから、銀行が不当だといま言われていますが、あなたの言うように不当と言われても浪費をするような状態にないのであります。でありますから、私はもう一歩進めて中小企業の実質金利を引き下げる方向にやると言っておりますから、ひとつ大蔵省の苦衷も合理性も御理解を賜わりたいと思います。
○春日委員 大臣は十二時半までということでありますので、私は結論に入りますが、ただあなたも苦労人であり、またわが国の経済行政の事実上最高責任者であられる。だから御銘記を願いたいことは、この際金融というもののわが国産業経済の中における地位というものは何であるか、これを誤たず、御認識を願わなければならぬと思います。金融というものは産業のために奉仕するんですよ。産業に向かって君臨するような現状を直さなければ事実上日本経済の正常化はできない。産業のために奉仕するものが金融であるが、いまは金融天皇です。ずっと金融天皇ですね。そのような場合において、金利政策を論ずる場合に収益性の問題というようなものは、国際経済に対処して日本が低金利政策が必要であるならば、法律はなるほど二十七銭かの最高金利が認められておる。だからそれをやるというならばやらせたらよろしい。それが弊害をもたらしたら法律によって禁止すればいい。金融機関の金というものはどこの金ですか。預金者大衆の金ではありませんか。だから国家の金である。国家の金を免許を受けて信託を受けておる彼らがもうかるの、もうからないのと言うもおこがましいことだ。金融機関の国有化、社会化という問題が出てきて、日本の全体としての産業に奉仕する体制を整えていかなければならないのである。金融があるために、そういうような歩積み、両建てをして、中小企業者が年間千二百億をこえるというような得べかりし利益を収奪されて、どうして日本経済の均衡ある発展というものがはかれますか。所得格差の解消がはかれますか。だからあなたは金融機関様々なことを言う、政治力も大きいけれども、わが国の国民経済の健全なる発展を庶幾することのためにいま一番大きなガンは何であるかというならば、私は金融だと思う。商売は元手次第。あなたも商売でずいぶん苦労されておるからおわかりであろうと思うが、この元手の中の要因であるところの金融政策は、今日相互銀行なんかの相互掛け金方式なんかでやって、歩積み、両建てをたんまりやったら、まるで銀行のために商売をやっているみたいなものですよ。その辺の痛切なことは、ほんとうに中小企業の現場におる当事者たちでないと、切実感がないかもしれませんけれども、実際その点に思いをいたしまするならば、この歩積み、両建てなんかはあなたが公取をけしかけて、早くやってくれと言わなければならぬのですよ。あなたがブレーキをかけておるようなことはきわめて遺憾なことでございます。まだ申し上げたいのですが、いかんせん長答弁をしてしまって——今後慎んでもらいたい。 こういうような意味合いにおいてどうかこいねがえれば、本委員会はこの問題について伝統的に論じ、そうして小委員会で念査をして、ここにあなたに聞いてもらいたい、公取の委員長の見解を聞いてもらいたい、こういうことで特に審議の場所を持ったわけでありますから、どうかひとつ十分われわれの意見を玩味されて、そうして問題の解消のために一日も早く踏み切っていただきますように要望して、私の質問はこれで終わります。
○堀委員 先ほど柏木財務調査官の報告を受けましたけれども、時間を守って、私はそれに対する質疑は保留をいたしました。 そこで銀行局長はちょっと不在でありましたからあらためてもう一ぺん申し上げておきますが、昭和三十八年三月三十日の蔵銀第三八五号で大月銀行局長が事務局その他に通達を出しました中に、「金融機関の検査に際しては、今回の自粛措置に照らし、過当な歩積、両建預金について、その整理状況等を確認し、不良と認められるものについては、別途行政上の措置を講ずる等により整理の促進を図ること。」とこうなっておるわけです。そこでここでいう不良なものが一体どれだけあったのか、その不良なものに対しては「別途行政上の措置」をどういうふうに講じたのか、こういうふうに質問をいたしましたら、ちょっとそのときは答えられなくて、私の質疑の最後に実はちょっと報告がありました。ただしその報告は、前段のほうは特別にこの問題が出てから銀行局として歩積み、両建てを調査するという目的で何行かを抽出しをして五月であったか六月であったか、行なった報告の点が一件あります。このことはすでにわれわれは承知をいたしておるわけであります。ただここでこう書かれておるのは、何もそういうことに対して書かれておるのではなくて、「金融機関の検査に際しては、」とこうあって、一般的な銀行検査、相互銀行その他の検査に際してこういう措置をしなさい、こういうことを事務局長あてに通達を出しておるわけだから、そこでその一般的な昨年度の銀行検査というのは、全数の何行に対して——支店を一行とみなしていいですが、何カ所に対して銀行検査を行なったのか、その行なった中で、当然私はこういう通達が出されておる以上は、その「金融機関の検査に際しては、今回の自粛措置に照らし、過当な歩積、両建預金について、その整理状況等を確認し、」とありますから、通達を出した以上一応これはすべてその整理状況等が、検査された全金融機関に対して確認をされたはずだと思うのです。確認をされた中で不良と認められたものが一体どれで、不良でないと認められたものがどうであったかということを尋ねたけれども、さっきの答弁はきわめて不十分でありましたから、あらためてこの点についてもう一ぺん局長からひとつお答えを願いたい。
○高橋(俊)政府委員 前局長の通達は、確かに自粛措置のあれと相前後しておりますが、その後自粛措置ができまして、それをどのようにやっておるかということを、これは検査のつどに調べられる範囲においてはやるようにということを厳重に伝えております。上期中に検査した数をまず申し上げますと、三十八年度の上期でございますが、都市銀行は二行、地方銀行が十行、相互銀行が十一行、合計二十三行を検査いたしております。これは通常の検査でございますが、一行当たり大体三店舖程度を選びまして、それから一店舖につきましては、まあ大体三十名程度、それもあまり両建て、歩積みが少ないものは除きまして、多そうなものを一店舖で三十名ぐらいは最小限度やってみるというふうに指示しております。その結果を見ますと、これは銀行別に申しまして、預掛け金に対する自粛の対象となるものの比率は、大体都市銀行の場合におきましては、その店棚の預掛け金に対して一五%程度ある、それから地方銀行の場合には二三%程度ある、相互銀行の場合には三八%程度ある。つまりあの自粛措置というものはかなり厳格なものでございます。言ってみると、あの自粛措置が全く正直なところを申しまして、文字どおりやったとしますと、これは金融機関の存立にも関するような相当きびしいものでございます。ですから、どうしてもこういう、いまだに検査のつど自粛措置にひっかかるのじゃないかという案件がかなりの割合で発見されるわけでございます。これをいかにして是正させるかということでございますが、むろんこれはこちらの検査官が相手の銀行に指摘をいたしまして、これはいかぬじゃないかということを言う、また是正をいつまでにするかということになるわけですが、実情といたしまして、たとえば相互銀行の場合に三八%もあった場合、これを全部自粛のあれに沿うように一挙に是正するということはなかなか困難でございます。そこでこれは自粛措置にはかかるのだけれども、問題は、われわれが別途に漸進的、計画的に強制的な過当な両建て、歩積みを減らせといった線に十分おさまっていくかどうかということは一つのめどにしなければならぬと思います。ですから、個々の問題につきましても、これらのものの中で非常に過当なものについては特に指摘をいたしまして、これはよろしくない、非常に両建てが多過ぎるじゃないかということを指摘して、これを是正するようにということを個々には指導しております。またその結果についてもあまりひどい場合にはあとからも報告を求めるということにはしておりますが、しかしまだ実を言いますと、例の相互銀行方式が——自粛措置ですが、できましたのがこれ以後でございますので、大体その上半期の終わりごろでございますから、これはこれからのめどとして活用していかなければならぬ。ですから個々の問題について整理をさせるということも必要でございますが、同時にその銀行全体としてあの計画のとおりにいくのかいかないのか、その点を非常に厳格に要求するという考えでやっております。
○堀委員 先ほど結局大臣に確認をしてもらったのは、そこでこの一年間に、いまの銀行検査全体の問題としてやるならば、おそらくいまの検査官の能力をもってするならば半期この程度の能力しかないと思います。そこでこれだけわれわれがこの問題を取り上げ、これは総理大臣以下政府、公取委員長を含め、あらゆる関係者が一致をして、できるだけすみやかな解消を希望するという段階にきておる時期でもありますから、そこで検査官の中に歩積み、両建て特捜班のようなものを設けて、もう少したくさんの銀行に対して歩積み、両建てだけを中心にして大幅にこの一年間に少しエネルギッシュに点検をしてもらう、そういう姿勢をとるかとらないかが、いまの自粛申し合わせがどのようなかっこうで行なわれるかということにつながってくると私は思うのです。二年間でいまの拘束預金と債務者預金の割合を二割減ずるという銀行の考えも、それは二年間だからといえば、ことしの一年はちっともしなくてもいいんだということにもなりかねませんよ。来年の一年間でやればいいということかもわからないしいたしますから、最終のめどがそういうところに置かれておるとするならば、さっきここで申し上げたのは少なくとも前の一年間でそれがほぼ完了する程度の意気込みでやってもらうくらいでなければ、二年間でその自粛措置すらもなかなか十分に実行し得ないのではないかという感じが私はしましたから、大臣を含め、公取委員長を含めて、そういう措置をとってもらいたい。 その具体的な措置は、いま言ったように、一般的な銀行検査をやる中でも当然こういう処置をしてもらいたいけれども、それだけでは検査官の手が足りないであろうから、要するに歩積み、両建て特別調査班というものを設けて、その問題を中心にどんどん広範囲な調査を行なって、この一年間にこれらの自粛措置がどのような形で行なわれておるのかということを明らかにしていくというかまえをとらない限り、なかなか問題は解決しないのではないか。だから、ここの通達にあるようなこの精神を具体的に生かして、不良と認められるものについては別途行政上の処置を講じてもらいたい。そうすることによってこの問題を具体的に解決をしていかなければ、すみやかにとか、なるべく早くなどというような抽象的な問題では解決をしないということを私は前段で取り上げて、大臣もその線に沿って努力をしようという約束をしておられるわけでありますし、それについては具体的な方針として私はそういう提案をしておるわけですから、それについての事務当局側としての態度を明らかにしてもらいたい。
○高橋(俊)政府委員 ただいまの御質問、まことにもっともと存じます。私どもも、かねてこの両建て問題は普通の検査だけでは十分でない。検査を一回りするのには平均いたしまして二年はかかるわけでございますから、二年後にならなければ検査対象にならない金融機関もある。そういうことでありますので、今年度、金額はまだ初年度でわずかでございますが、そのための特別旅費も要求いたしましてついたわけで、そこで御趣旨のように、両建て、歩積みの是正の進捗状況を検査によって発見するために、そういう特別な組織を考えていくつもりでございます。検査部だけの要員は限られておりまして、普通の検査に対する割り当てをしますと、人間はあまり浮いてこないのでございますけれども、しかし、ほかの問題もさることながら、これが非常に大切なことだと思いますので、他の一般銀行局の要員で適当な者もそれに動員するということで、特別の検査を何回か実施して一般的な傾向を調べたい。特に二年後によくすればいいんだというふうな、二年後に何か一時的なドレスでごまかすというふうなことのないように、一年経過したときには大体目標の半分を達成しておるということでなければいかぬと思うのです。少なくとも、目標まで減らしていく割合を、半分くらいは一年後に達成するというふうなことを確認していかなければならぬと思います。そういう決意でこの問題に対処していきまして、願わくはあまり法律問題として処理することなく、金融の問題として私ども自身がその解決をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
○堀委員 そこでもう一つだけ……。もちろんそれは金融上の問題として処理されれば、それに越したことはないわけです。しかし過去の例では必ずしもそれでなかなか成果が上がらなかったという結果もありますから、そこで、いまのそういうことで銀行局が調査されましたいろいろな実情については、ひとつ公正取引委員会とよく連絡をされて、この間の状態を密にされて、そして実効か上がるためには、公取側としても今度は逆に大蔵省にその資料を要求されて、その実態をつまびらかにしながら両者相携えて問題の処理をしていただかないことには、私はなかなか簡単にいかないと思います。その点はいまのような、銀行局側も少し姿勢を改めて検査に臨まれるということを確約していただいたので、これに伴ってひとつ公取側もそういう銀行局の活動と相まって十分な施策をとられることを希望いたしまして、私の質問を終わります。ちょっと答弁だけ。
○渡邊政府委員 御趣旨の線に沿いまして努力いたします。
○春日委員 最後に一つだけ明らかにしておきたいと思うのでありますが、高橋銀行局長がおられませんでしたことはまことに残念でありますが、どうかひとつ速記録によって審議の内容を把握願いたいと思うのでございます。 ただ問題点は、大蔵省の出された自粛措置なるもの、現に厳重にその推移を監視されておりますそのものは、それは一個の金融政策上のあり方として、これはこれとしてあり得るであろうが、いやしくも歩積み、両建ての問題はそういう金融政策上の問題ではないのであって、全然別個の問題である。それは独禁法上の適法性の問題として論じなければならない。いうならば、それは量の問題ではなくて質の問題である。こういうことがこの委員会の質疑応答を通じて、明確に、かつ断定的に渡邊公取委員長から述べられておりますことを十分御銘記の上、その自粛指導措置というものをひとつ運営を願いたい。御本人がおられますから、うそならうそでも、ここで取り消していただいていいのでありますが、そのとおり述べられておるのであります。程度の問題ではないのである、これは質の問題である、金融行政上の問題ではなくして独占禁止法上の適法性の問題である、こういうことでございます。 それで私は最後に公取委員長にお伺いいたしますが、いま高橋さんが何かごちゃごちゃやっておるというその自粛勧告、そしてまた業界でやっております自粛措置なるもの、これは私もつぶさにこれを点検いたしました。しかるところ、その中はきわめてずさんなもの、まるで抜け穴だらけですね。たとえば、貸し付けと同時に貸し付け金の一部をもって創設された担保、見返りまたは見合い預金は拘束性領金として自粛措置の対象となる、しさいありげにここに述べておる。ところがすぐそのあとで、きわめて例外的なことであるが、債務者の都合または事情によって置かれていることが明らかな拘束性預金はこれに該当しない、やってもよろしい、こういうことがちゃんと書いてある。それから他の留保条項の中にもずっとありますが、正当な理由がある場合はこの限りでないとか、こういうようなことが自粛措置の中に書かれておるのです。これら一連の留保条項なるものは、ことばとしては、聞けば何となく筋が通っておるような言い方ではありますけれども、問題を実質的に考えた場合、優越せる地位にある銀行が債務者の任意性を形式的に立証するというふうなことはきわめて容易なことである。そんなことはだれでもできることだ。本人がやってくれと言ったから、すなわち明示しなくても、これを暗示することによって、そういう拘束の実行効果は確保できるのでございます。でありますから、こういうような留保条項を設けておくということは、これは本文の立言を全然無意義ならしめるものである。どうかひとつ、ほんとうに銀行側にこれをやめようという意思がある、また大蔵省もこれはやめさせなければならぬと考えておるのであるならば、こういうようなことばの表面からではなくて、債務者の自発的意思に出たものだと推測し得るような客観的事情というものを、これは銀行の側において文章の中で十分に挙証し得るので、文言を書き改めなければ全然効果はございません。とにかくこういうような問題は、私は公取委員長にいまここであなたの御見解を求めることはむしろためらいまするが、こういうような大蔵省で程度の問題、言うなればほどほどにやればやってよろしいという行政指導のあり方、あなたのおっしゃったように、たとえどんなに少なくても、五十円でも五百円でもどろぼうしてはいけない、どろぼうはどろぼうだという立場と、三万円や二万円以下のどろぼうならこんなものはどろぼうとして問題にしないという銀行局の立場と、これは正面対決しておるのです。これは全く悲しむべきことです。こんなことでは問題解決はできません。また金融機関もなめてしまっている。あなたのおっしゃったことで、大蔵省が、同じ政府がほどほどにやれと言っている、公取の渡辺さん一人あんなことをやってもだめだ、こんなものは検挙するぞと言っておっても、その印象というものはぼやけてしまいますよ。すみやかに国の行政の中においてこの思想統一をはかられて、とにもかくにもすでに数万言をこのことで費やしておるのでありますから、国家全体としてこの問題についてほんとうに有効な政策効果が確保できますように、すみやかに善処されんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○山中委員長 午後一時三十分より、社会労働委員会との連合審査会を開会いたします。 なお、当委員会は明十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時二分散会