石炭対策特別委員会 第22号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/06/11
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 この際、石炭対策の強化に関する件について、神田博君外七名から、決議をすべしとの動議が提出されております。 まず、提出者に趣旨の説明を求めます。神田博君。 —————————————
○神田委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党共同提出にかかる石炭対策の強化に関する決議案について、その提案の趣旨を御説明申し上げます。案文はお手元に配付したとおりであります。 御承知のとおり、石炭鉱業については、去る昭和三十六年十月、エネルギー消費構造の変革に伴う深刻な事態にかんがみ、衆議院本会議において、石炭鉱業危機打開に関する決議が行なわれ、政府もこれに基づき諸般の対策を講ずるとともに、石炭鉱業調査団を派遣し、その答申によって石炭対策大綱を決定したのであります。 現在、石炭鉱業は、石炭鉱業調査団の答申及び石炭対策大綱に基づき、昭和四十二年度を目標年次として、自立と安定の達成のため努力を続けているのでありますが、調査団の答申以降、最近における情勢の変化は想定を上回る労働者の離山によって深刻な労働力不足の様相を呈する等、情勢の変化は著しいものがあり、いまや鉱業は新たな事態に直面しているのであります。 このような新たな情勢に対処して、この際政府は特別調査団を派遣して、その後の石炭鉱業の実情、産炭地域の振興、鉱害、地方財政等の実態を調査する必要があると思うのであります。また目標年次における石炭鉱業の自立と安定の達成、特に五千五百万トンの需給の確保について、強力な措置を講ずることがぜひとも必要であります。同時に、いわゆる一次エネルギーの輸入依存度が、四十二年度には六二%、四十七年度には七二%になり、これに要する外貨は、四十七年度実に三十一億ドルに達することが予想されていることにかんがみ、エネルギーの安全保障、国際収支等の見地から、四十三年度以降の総合エネルギー政策における石炭鉱業の長期ビジョンを確立すべきであります。さらに石炭生産の基本である鉱山保安については、特にその万全を期することが必要であります。しかしてこれに要する財政資金の一そうの拡充をはかり、産炭地域の振興、鉱害の処理等について一段と積極的な対策を推進すべきであります。 政府は、このような基本的な観点に立ち、すみやかに次の諸点について適切な措置を講ずべきであります。 第一は、鉱山保安の確保であります。申すまでもなく、鉱山保安の確保と生産は一体不可分のものであり、炭鉱労働者の生命の安全を守ることが石炭鉱業発展の基盤であります。また今日の深刻な労働力の不足も、炭鉱における災害の頻発に基因する点が大きいのでありまして、鉱山保安の確保については万遺憾なきを期すべきであります。 第二は、生産体制の確立であります。昭和四十二年度を目標年次とする自立安定達成のためには、生産体制の確立をはかることが必要であります。それには設備投資の拡充、石炭技術の振興等によって石炭鉱業の近代化を一そう促進することが必要であります。また長期にわたる生産体制を確立する見地から、新鉱の開発を積極的に推進すべきであります。 第三は、雇用の問題であります。さきにも述べたように、石炭鉱業における労働力の不足は深刻であり、これを放置するならば、石炭生産に重大な支障を生ずることは必至であります。したがって、炭鉱離職者に対する施策は引き続きこれを進めるとともに、労働者の離山の防止、新規労働者の雇用の確保につとめることが必要であります。このため政府は、石炭鉱業のビジョンを明確にすることはもちろん、労働環境の改善に対する助成等を行ない、石炭鉱業を魅力ある職場にするよう努力すべきであります。 第四は、需要の安定的確保であります。需要の確保については、電力、鉄鋼の長期引き取り等が行なわれておりますが、その安定的確保をはかるためには、石炭引き取りに伴う負担増対策を充実することが必要であります。また産炭地発電等、石炭火力発電の建設を促進すべきであります。 第五は、流通の合理化であります。流通の合理化を推進するため、共同販売体制を促進し、電力用炭代金精算会社の機能の拡充を検討するとともに、石炭のスラリー輸送等について早急に検討することが必要であります。 第六は、鉱害の問題であります。鉱害については総合的、計画的な復旧の実施が肝要でありますので、終閉山炭鉱を中心とする鉱害の実態調査を行なうとともに、現在の鉱害賠償基金、鉱害復旧事業団を総合するような、国の機関による強力な処理体制の樹立について検討すべきであり、また、鉱害予防についても対策を講ずべきであります。さらに上水道の整備については、特に意を用うべきであります。 第七は、産炭地域の振興であります。産炭地域振興の現状はまだ必ずしも十分ではないので、昨年末策定された産炭地域振興計画を強力に推進することが基本的にまず必要であります。特に産炭地域振興事業団については、業務の拡充、資金の充実、自主的運営の確保等をはかり、事業団の機能が十分効果をあげ得るようにすべきであります。また工業用等用水確保については、早急に措置することが必要であります。 第八は、産炭地域における教育の振興であります。これについては、産炭地域の特殊性を十分考慮に入れ、教職員の確保、就学奨励費等について格段の措置を講ずべきであります。 最後は、地方財政の問題であります。産炭地域における地方公共団体の財政は、現在非常な苦況にありますので、公共事業費、社会保障費等について、補助率の引き上げ、地方交付税の交付等、地方財政の負担を軽減するための措置を強化することが必要であります。 以上が、本決議案提出の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いし、趣旨説明を終わります。(拍手)
○中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○中村委員長 本件について討論の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 ただいま提案になりました石炭対策の強化に関する決議案について、日本社会党を代表して賛成の意を表するものであります。 昨年の十月開催されました国際石炭大会において、英国石炭庁の経済顧問シューマッハーは、ヨーロッパのエネルギー政策をめぐる戦いと題する演説において、一九八〇年代のヨーロッパのエネルギーの不足を述べ、ヨーロッパの石炭産業は、大幅に減少すると、地質的にもまた社会的にも取り戻すことはできない。一九六〇年代に規模の縮小を行なうと、一九八〇年代における石炭の供給量を増加する機会並びに現在の供給量に復帰させる機会は、永久に失われるであろうと述べ、よって一九八〇年代の石炭の供給力は、一九六〇年代の政策いかんによっておると言っております。このことはわが国においても同様でございます。いま神田委員から、今後におけるエネルギー源の海外依存度の状態を述べられましたが、実に昭和四十七年度においてはエネルギー源の海外依存度の示す状態は七二%に達し、その金額は三十億ドルといわれ、まさに輸入量の三分の一を占める結果になるわけであります。そこで、現下のわが国の国産エネルギー源の主柱である石炭産業についてこれを見ると、有沢答申は五千五百万トンを基調として答申をいたしたのでありますが、三十八年度においては三池の災害もございましたけれども、五千百万トンに終わりました。三十九年度においても五千四百万トンの目標がはたして達せられるかどうか危惧されておるわけであります。一体これはどこに基因しておるか。まず私は生産体制について述べてみたいと思います。 現在確かに、有沢答申が四十二年度の能率目標として、当時の、三十七年度の二十六トンから三十八・六トンと、こう計画したのに対して、すでに大手においては三十九年の三月において三十九・六トンに達しておるのであります。しかし全体として私は、日本の石炭の生産体制を見ると、スクラップの代替としてのビルド鉱の増産、能率化は頭打ちにきつつあるのではないか、こういうように考えられます。今後の増強の期待される山は、まことにりょうりょうたるものがあると考えられるのであります。まず第一に機械化の問題についても、切り羽の機械化、立て坑の開発の状態を見ましても、前進というよりも、若干の側面において停滞並びに後退の傾向を示しておる。この坑内構造の改善と全般的機械化の導入が遅々たる進行状態にあるにかかわらず、生産能率だけは目をみはるように上昇をしておる。これはどうわれわれは解釈をしてよいだろうか。まず第一に、生産能率といわれるものは、月間の出炭量を常用労働者で割った数字であります。ところがこの常用労働者だけでなくて、最近は請負夫、いわゆる組夫といわれる労働者の増加、また臨時夫の増加、これによって逆に生産能率が高められておる、要するに見せかけの能率が上がっておる、こういうことが第一に指摘される。第二には、同一労働者の労働力の強度化ということが指摘されるのではないか、こういうように考えられます。しかし、御存じのように、炭鉱の労働者の平均年齢は四十歳をこえんとしております。でありますから、労働力の強度化ではもう救い得ない状態にきつつあると考えるわけであります。そこで、はたして政府が考えておりますような五千五百万トン体制が維持できるかどうか、一度失いました市場というものは永久に返らない、こういうように考えるわけです。 そこで、昭和三十四年に政府が想定いたしました合理化計画において、政府は相当の新鉱開発を予定しておりましたけれども、それがはたして完成されたかというと、そういう状態にはなっておりません。三十四年度の石炭鉱業審議会答申は、三十八年度において新鉱開発等が十七鉱、年産にして百七十五万トンを予定しておりましたけれども、その新鉱開発というのはほとんど見るべきものがなかった。私たちが一応これを採算ベースで見まするならば、年産百万トンの出炭をする炭鉱をつくるためには、トン当たり大体一万二千円要ります。そういたしますと、百万トンの炭鉱をつくるためには百二十億要る。この炭鉱開発というのは、資金の懐妊期間が非常に長い。一応いろいろな諸経費を入れての金利を加算いたしますと、一割として十二億、同額の償却を見ると同じく十二億、要するにトン当たり二千四百円が金利並びに償却でつくのであります。そういたしますと、いま政府が予定しております送炭単価というのは三千二百円である。三千二百円のうちで金利と償却が二千四百円要るということになると、はたして採算がとれるか。こう考えてまいりますと、ここにも大きな問題点があります。 そこで石炭企業としては、自分の企業を維持するためには、縮小生産の方向にいかざるを得ない。現在の状態で推移いたしますと、石炭企業は立ら直りができても、石炭鉱業の自立目標は達成できないという結果になる。ここに大きな問題があると思うわけであります。要するに、五千五百万トンは確保できない。しかし石炭量を減らして、石炭企業は立ち直った、こういう結果を招来すると思うわけであります。これが一番大きな問題ではないか、かように考えるわけであります。そこで、先ほど決議案にありました生産体制の確立ということが非常に必要であり、これがためには抜本的な対策が必要であると思います。 次に、生産のにない手である労働者の確保の問題は、御存じのように昨年、四万一千名が離職いたしました。そうしていまだ就職をせざる者がその中で一万七千名、本年度はまた一万九千名の新しい失業者を見る予定になっております。そういうような状態でありますから、この方々の離職対策を進めることは当然のことでありますけれども、一方において、新しい労働力の雇用はほとんど絶望視されておる。でありますから、炭鉱の労働条件の改善ということは緊急な問題であると考えるのであります。先般、炭労が傘下の各支部に対してアンケートを出しまして、あなたの子供を親の職業につかせたいと思いますか、という問いを出したところが、私一代限りという回答が実に三九。五%でありました。子供の希望どおりにしたいというのが五八・三%、親の職業につかせたいというのがわずかの二・二%であったわけであります。これを考えましても、今後炭鉱の労働力、ことに新規労働力を採用することは不可能である、かように私は考えるわけです。 そこで、一体炭鉱の労働力を確保するためには、どういう労働条件の改善を必要とするか。まず第一に賃金の問題があるでしょう。第二には、炭鉱自体に対する不安が一掃されない。ことに炭鉱は資源でありますから、生命があります。そうすると、自分が中年になった場合に炭鉱が終わったときはどうするか、こういう不安がつきまとうわけです。でありますから、少なくとも一度炭鉱に入った労働者を逃がさないようにするためには、どうしても炭鉱を次々にかわりましても、たとえば退職金は通算をするとか、その退職金は政府が必ず保障して、炭鉱がつぶれても支払ってやるとか、あるいは年金制度をさらに拡充をするとか、こういった制度も必要ではないか、かように考えるわけであります。 次に私は、いま産炭地で一番大きな問題になっております諸点について述べてみたいと思います。それは、第一は鉱害の問題であります。現在鉱害はすでに四百億にのぼると言われておる。あるいは実際調査をすれば、八百億から一千億になるかもしれません。しかしその鉱害の復旧は、関係者が非常に努力をしておりましても、次から次へあらわれてまいります累増鉱害には、その復旧が追いつかない状態になりつつあります。おかげで無資力の鉱害の制度がかなり進捗をいたしましたけれども、いわゆる操業している炭鉱自体が鉱害の復旧ができない状態になっておる。そこでどうしてもこれを強力に推進するためには、現在の被害者、加害者という形の当事者主義を一てきして、どうしても私は、強力な処理機構を国の責任においてつくり、さらに第三者の権威ある認定機関の設置が必要ではないか、こういうように考えるのであります。たとえば労災保険のごとく、監督署から政府の責任において労災補償金を支払うという制度がありますが、そういう方法も考えられます。要は、政府の責任において鉱害を復旧し、そうして炭鉱から納付金なりあるいは相当の賠償金を取り、政府の補助金と一緒に推進することが必要ではないかと思います。最近の傾向として、周囲の炭鉱がつぶれるに従って、残りました炭鉱の坑内の湧水量が増大して、トン当たり数百円の電気料を払っておるような炭鉱も出てまいりました。こういう問題は総合的にひとつ考えていただきたい、かように思うわけであります。 次に産炭地の振興でありますけれども、本院において産炭地域振興法をつくり、事業団法をつくりました。確かに制度はできました。しかし、政府当局もかなり努力をされてはおりますけれども、現地の住民としてはまことに微々たるものという感じを受けておるわけであります。政府は先般、産炭地域振興実施計画想定指標として、今後四千億の設備投資をし、二十九万六千人を雇用するということを発表いたしましたけれども、しさいにこれを検討いたしますと、たとえば筑豊地区においてこれを見ますと、いわゆる産炭地というのは、政府が一千四百億円と予定しておりますうち、わずかに百八十億であります。また政府が十万人と予定しております雇用者のうちで、いわゆる産炭地というのはわずかに二万人の雇用である。こういう状態でありますからして、実際はいま一番苦しんでおる産炭地域の振興には、あまり役立っていないと言えると思います。現実に産炭地域振興事業団で資金を貸し、そうして工場を建てますけれども、ほとんど零細企業であり、その大部分が残念ながら炭鉱離職者を雇用する状態にない。炭鉱の子弟、若い労働力は雇用いたしますけれども、離職者を雇用する状態にないということは残念に思います。特に用水の問題、これの対策が十分できていない。制度的にもできていないし、そして現実に水がなくて困っておる。工場の誘致もむずかしい。こういうことになっておるわけであります。この点十分ひとつ対策を立てていただきたい、しかも実効ある対策を立てていただきたいと思います。 次に、産炭地域の教育の振興についてでありますが、実は長期欠席者また不良化の傾向が非常に激しくございます。そこで全国統一の教職員の定数でなくて、ひとつ教職員についても特別定数について配慮をしていただき、さらに就学奨励金等についても格段の処置をしていただきたいと思います。 さらに、市町村財政でありますが、これは現実に息をしておるだけという市町村が相当多いわけであります。そこで公共事業につきましても、また社会保障費につきましても、ひとつ補助率を引き上げるとともに、財政補てんの万全の処置をしていただきたいと考えるわけであります。 以上申し上げまして私の討論を終える次第でありますが、ひとつ有沢調査団の答申後の、非常に急変いたしましたこれらの状態をすみやかに改善するために、調査団を派遣していただきまして、少なくとも四十年度の予算を、審議する国会において、四十年四月一日から法律が発効し実施を見るように処置をしていただきたいことをお願いし、賛成の討論にかえる次第であります。(拍手)
○中村委員長 伊藤卯四郎君。
○伊藤(卯)委員 ただいま説明されました石炭対策強化の決議に対しまして、民社党を代表いたしまして賛成の意見を申し述べたいと思います。ちょうど幸いに、福田通産大臣以下政府委員もたくさんおられるようであります。この際何点かにわたって要点をあげて申し上げたいと思いますから、真剣にひとつ聞いていただきたい。 池田内閣は、さきに有沢調査団の答申を受けましてから、石炭対策に対する政府の施策はこれをもって能事終われりと考えてきておるようであります。したがいまして、石炭対策に対して池田内閣は、前向きにその対策を立ててやっておりません。むしろ残務整理、そういうようなことでやってきておることは、これは弁解の余地はございません。というのは、たとえば非能率炭鉱を整理する、これを買いつぶすということのみに非常に重点を置いてやってきておることは、これは御承知のとおり。そういう点から、炭鉱には非常に不安ムードが大きく起こってまいっております。そういうところから、炭鉱に若い労働者諸君が御存じのようにだんだんいなくなっておる点も、当局も十分認めておるわけであります。先ほど多賀谷委員からも、その点について具体的な数字をあげておられた点で明らかでございます。このような状態であれば、炭鉱は人的に老朽、老廃化してしまうことは、議論の余地もございません。そういう点から今後のこの炭鉱対策、本日ただいまのこの石炭対策を強化するという決議案は、これに真剣にひとつ政府側は取り組んでもらわなければならぬということでございます。よくこういう決議の場合に、主管大度は、御趣旨のほどごもっともでございます。十分心得てその御趣旨に沿います。こういうきまり切ったあいさつをされるという程度にすぎないのであります。きょうはまさかそういう程度でお茶を濁すようなことは、福田通産大臣もこの決議に対しておやりになるとは思っておりません。相当責任を持ってこれと取り組んで実績を上げますというような確約の御意見をおそらく述べられるだろうと思っております。また、それでなければ意味もないと思っております。 御存じのように、石炭産業は日本の全産業、経済の食糧ともいうべきものである。また、国民生活、経済にとっては心臓部的なエネルギー源でございます。これなくして日本の産業、経済、国民生活を論ずることはできぬほど、きわめて重要な産業である。したがって、政府も重要な産業国策として万全の対策を立てられることが根本的な問題であるということも、福田通産大臣は、耳の穴にたこができるほどお聞きになっておられると思います。しかしながら、一向具体的に成果があがってまいりませんのですから、どうも、あまり耳の穴にたこができて慢性化してしまっているのではないかという気がしますから、少しいやみの言い過ぎかもしれませんけれども、しかしながら、言わざるを得ませんから言うわけです。どうか石炭対策に対しては、今日までやってきましたような、非能率な山を買いつぶしてしまうということだけのやり方ではなくて、先ほど申し上げたように、地下資源は日本の産業経済にきわめて重要な役割りを占めておるものであるから、石炭は一トンたりとも、地下に埋没さしてそのまま消してしまうということは、これはやるべきでない。炭のある限りは、何としてもそれを重要な地下資源として採掘をやらす。そして、それが経営上引き合うような対策を立ててやらす。従来のうしろ向きを前向きに、今後の対策を立ててもらいたいということです。 さらに、将来性ある山、いわゆるビルド炭鉱でございます。これに対しても、思い切った財政投融資というか、設備の近代化というか、あるいは能率化というか、そういう点に対して積極的な施薬、あるいはまた指導性を持ってやっておられません。あなたまかせである。でありますから、非常に積極的にやっておる山は、在籍一人当たり五十トンも六十トンも能率をあげております。ところが、全体的にいうと、おそらくまだ三十何トンでございます。そういうことで、あげられる能率があがらないでおるということは、やはり政府の施策の足らざるところに原因があるわけでございます。この点は、政府側が肝に銘じて石炭対策をお考えになってもらいたい。というのは、この能率が三十トンであるか五十トンであるかということは、経営上の問題だけではなくて、これは労働者に与える影響、あるいは山に働いておる者全体に与える影響というものに重大な関係を持つものでありますから、したがって、この点は政府の責任にあるということを十分肝に銘じてもらいたいと思います。エネルギーの消費量がいかに増加しておるかということは、通産省側でお出しになっておられるものを見ましても、昭和四十七年度には、たしか現在の倍近くエネルギーの消費量が激増するようになっております。たとえば七千カロリーの石炭に換算して四億四、五千万トン消費されることになっております。石炭のほうはどうかというと、現在エネルギーの総量のうち三〇%強ぐらいのものが、四十七年になるとその半分になっております。ほかのものはふえるが、石炭だけ半減する、こういう状態をおつくりになって平気でおられることは、いかに石炭問題というものを軽くお考えになっておるか——それならは、それにとってかわるエネルギーの完全なものがあるかといえば、水力にしても、あるいは外国から入れる油にしても、これが相当困難なものがある。せっかく恵まれた日本の地下資源であるところの石炭を、そういうように軽く、粗末にお考えになっておるということは、これは私は許されぬと考えております。こういう点も、日本の将来にとって重要な問題であるという点を肝に銘じてもらいたい。ついては、やはり石炭の数量を、エネルギーの増加に伴ってこれをふやしていく。現在総エネルギーの三割強でありますから、これを少なくとも二割——エネルギーの消費量の激増するのに二割程度は石炭を使うということになりましても、昭和四十一年になれば約一億トンくらいの石炭を使うということになる。でありますから、こういう数量の保障、さらにはやはり価格を安定さしてやる。これが私は石炭対策の根本的な問題だと思います。こういう点も、どうも政府は一向これにさわろうとしません。これに積極的に取り組んでいこうという施策は、全然やっておられません。だから、石炭対策に対しては、政府はなすことを知らず、無能であると私は論じなけりゃならぬと思っております。私のことばが言い過ぎだったら、言い過ぎでないように今後ひとつしていただきたい、こう思います。 さらに、能率は、有沢調査団以来だんだん、ある程度は上がってまいっております。能率があがっておる率と炭鉱労働者へ支払われておる賃金とを計算してみますと、むしろ下がっております。そういう状態でありますから、炭鉱で働く労働者、特に若い人たちが、不安ムードとともに、労働賃金が安い、待遇が悪い、退職金が少ない、こういう点から、炭鉱にいなくなってしまうわけであります。でありますから、炭鉱を人的に老朽、老廃化することを防止しようとお考えになるならば、やはり能率に準じた賃金体系、危険な坑内作業に対して特殊な賃金対策を講じてやる。政府も積極的にこういう問題に対して指示をし、あるいは国自身もまた、この特殊な作業、危険作業という点に対してその対策を考える必要があると思っております。こういう点について魅力を持たすところに、初めて若い労働者が入ってきて永続して働らくという希望も出てくるわけであります。こういう点にひとつ十分留意してもらいたいと存じます。 最後に、先ほど多賀谷委員も言われましたので、もう多く申し上げませんが、鉱害の問題もなかなかはかどりません。どうせやらなければならぬものなら、またやらなければならぬのですから、二十年でやるものなら十年、十年でやるものなら五年で仕上げていく。これをやることがまた。炭田地区の不安な気持ちを持っておる鉱害被害者に対して一つの安心感を与え、これがまた産炭地振興事業の基礎的条件を確立するということでもありますから、もっと鉱害復旧には積極的に取り組んでもらいたい。 それから産炭地振興に対しても、かけ声だけえらいことを言っておりますけれども、この間も福田通産大臣に一言意見を伺いましたところ、いままでは一つの事業体に二千万円ぐらい、今度は一億円ぐらいにするというように、貸し金もそのくらい増額するということを言われておりますが、やはり大企業を今後持っていこうとするならば、二千万円ぐらいのことでは問題にもならぬ。もちろん一億円だって問題になりません。やはり大企業を持っていこうとするなら、三億でも五億でも融資をして、そうして大企業を持っていってやる。それに伴って関連産業や下請産業というものはおのずからくっついてくるのですから、こまかいものをたくさんつくるということもですけれども、それより大きいものを幾つか持っていけば、それにおのずからこまかい関連産業はみなくっついて建設されてくると思うから、そういう点もひとつ十分対策として考えていただきたいと思います。どうも産炭地振興、産炭地振興といって、えらくかねや太鼓で宣伝だけしたけれども、遅々としてそれが具体的に進まなくて、なるほど政府もしっかりやるなというような希望を持たせることはありません。それから福田通産大臣も、田中大蔵大臣も、産炭地域のほうに政府直営工場を持っていくというようなことも、新聞に発表されておりますから言われたのだろうと思いますが、そういう気配は見えません。だからどうかひとつ不渡り手形にならぬようにしてやってもらいたい。そうして政府の言ったことは必ず実行する。福田通産大臣の言われたことは必ずよってくだんのごとしという正確なものだというように、責任ある対策を立ててやっていただきたい。 以上、そういう点等を強く希望というより要請申し上げまして、私の賛成の討論を終わります。(拍手)
○中村委員長 これにて討論は終了いたしました。 これより神田博君外七名提出の、石炭対策の強化に関する件を本委員会の決議とすべしとの動議について採決をいたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立総員。よって、動議のごとく、石炭対策の強化に関する件を本委員会の決議とするに決しました。 ただいまの決議について、政府の所見を求めます。福田通商産業大臣。
○福田(一)国務大臣 ただいま当委員会で決議されました石炭問題に対する諸問題は、いずれも重要な内容を含んでおりまして、われわれとしてはできるだけその趣旨を尊重して善処いたしたいと思います。こういうことを言うと、すぐそれは紋切り型で何を言っておるかわからぬ、こう言われるが、私はそういう気持で実は言っておるのではないのでありまして、いま石炭産業は最低のところに落ちてきておる。スクラップ・アンド・ビルドの計画が一応進んで、これ以上悪くならないというところまで大体落ち込んだと私は思う。気の毒だと思っております。いままでは、処理をするということであったと思う。しかしこれからは、やはり新しい一つの目途をもって、これを基礎にして前進する、こういうかまえでなければならないし、またそうやらなければ政治にならないと思っております。決して私はそういうかまえはくずすつもりはございません。これからもそうしてやっていきたいと思っております。具体的なことになりますとそう簡単に明言するというわけにはいきませんが、私はこの趣旨を体して善処いたしてまいりたいと思っております。(拍手)
○中村委員長 なお、本件の政府への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十六分散会