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46回国会衆議院1964/05/28

石炭対策特別委員会 第21号

発言数
69
登壇者
9
会派数
3
開催日
1964/05/28

会議録

中村寅太自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、鉱山保安法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本案に対する質疑はすでに終局いたしております。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————

中村寅太自由民主党

○中村委員長 この際、始関伊平君外八名から、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者に趣旨の説明を求めます。始関伊平君。

始関伊平自由民主党

○始関委員 ただいま議題となっております自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提出にかかる、鉱山保安法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、その提案の趣旨を御説明いたします。  案文はお手元に配付したとおりであります。     —————————————    鉱山保安法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、最近の石炭鉱山における重大災害のひん発等にかんがみ、鉱山保安法制全般に再検討を加え、速やかにこれを整備し、十分な予算措置を講ずるよう配慮するとともに、左の諸点について、適切な措置を講ずべきである。  一、鉱山保安施設に対する財政措置の拡充を図るとともに、鉱山保安監督行政の強化、機構の充実等について配慮すること。  二、保安監督員補佐員の人数及びその制度の運用については、各鉱山の実情に即応し、労働者の意見が十分反映されるよう配慮すること。  三、鉱山における保安教育の徹底を期すること。  四、保安委員会が十分活用されるよう監督指導すること。  五、ぼた山崩壊防止事業に対する国の補助率を引上げ、地元負担については地方交付税の交付を考慮すること。  六、ぼたの海岸集積について、漁業、港湾等に著しい影響を及ぼすおそれのある場合については、その防止措置を講ずること。  七、鉱山における著しい騒音の防止について、早急に立法化の準備を進めるとともに、さしあたり適切な指導を行なうこと。     —————————————  今回の改正は、審議の過程ですでに明らかになりましたように、最近の三池三川鉱の大災害等重大災害の頻発にかんがみ、保安管理組織の整備等、当面緊急を要する事項に関するものでありますが、鉱山保安の万全を期するためには、これらのほか鉱山保安法、各保安規則の全般に再検討を加え、早急に整備することが必要であり、それに対して十分な予算措置を講ずるよう配慮することが必要であります。また、かような基本的措置とともに、当面次の諸点について適切な措置を講ずべきであると思うのであります。  第一は、本年度から実施された保安施設に対する融資等財政措置の拡充をはかり、保安監督機構を充実する等、鉱山保安監督行政をさらに一段と強化するよう配慮することであります。  第二は、保安監督員補佐員のうち一人は労働者の代表を選任することになっておりますが、鉱山の規模等によってそれぞれ実情が違いますので、保安監督員補佐員の人数、選任の方法等については、各鉱山の実情に即応した運用を行ない、労働者の意見が十分反映されるよう配慮することであります。  第三は、保安教育の徹底でありますが、鉱山災害の防止の最も根底をなすものは、現場に働く労働者一人一人が保安について十分な知識と関心を持つことでありまして、このためにはさらに一段と保安教育の徹底を期することが必要であります。  第四は、現在各鉱山に置かれている保安委員会が、時として必ずしもこの制度の趣旨を十分生かして運営されていない場合もあるので、これが十分活用されるよう監督指導することであります。  第五は、ボタ山崩壊防止事業について現在五〇%となっている国の補助率をさらに引き上げ、地元負担については地方交付税の交付によって、地元負担を軽減するよう考慮することであります。  第六は、伊万里湾等においては、ボタの海岸集積によって、漁業、港湾等の障害となる事例もあるので、これらに著しい影響を及ぼすおそれのある場合には、これを防止する措置を講ずることであります。  最後は、鉱山における騒音の防止であります。市街地等の鉱山においては、選炭機その他によって著しい騒音を発し、付近住民に迷惑を及ぼしておりますので、早急にこれに対する立法措置の準備を進め、さしあたり適切な指導を行なうことが必要であります。  以上が附帯決議案提案の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

中村寅太自由民主党

○中村委員長 これより本動議について採決いたします。  始関伊平君外八名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所見を承ることといたします。福田通商産業大臣。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 ただいま御決定をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨に沿って善処いたしたいと存じます。     —————————————

中村寅太自由民主党

○中村委員長 ただいま可決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村寅太自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

中村寅太自由民主党

○中村委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  炭鉱災害等について質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 国会で、鉱山保安法に対する質疑が行なわれ、きょうは法案が委員会を通過したあとで、また炭鉱災害に対する質問をしなければならないとは全く皮肉な状態でありますけれども、現実に災害が発生いたしておるのでございますから、まことに遺憾ではございますが質問いたします。  長崎県西彼杵郡の伊王島炭鉱で、マイト事故で坑内で七人の重軽傷を出しております。操作のミスで至近距離で爆発をしたという記事が載っておるのでありまして、私はさっそく保安当局に実情調査の上報告をしてもらいたいという連絡をいたしたわけであります。昨日報告書が手に入ったのでありますが、新聞に報道されていることと大体変わりはないようであります。どうしてこのマイト爆発という事故が発生をしたのか、その原因であるとか、あるいは重軽傷者が相当出ているようでありますから、事故後の状況はどうなっているか、それらの経過について局長から御説明いただきたいと思います。

川原英之通商産業事務官(鉱山保安局長)

○川原政府委員 ただいま中村先生から御指摘のございました伊王島炭鉱の爆発災害につきまして御報告を申し上げます。  伊王島におきまして、ただいま御指摘のとおり昭和三十九年五月十二日九時四十五分に坑内において爆破の事故が起きまして、重傷者二名、軽傷二名の罹災者を発生いたしました。まことに遺憾に存ずる次第であります。  この事故は、少し詳細に御報告をいたしますと、坑内の状況といたしまして、災害を発生いたしましたE一号払いは、払いの面長九十メートル、払い傾斜約二度のホーベル払いで、採炭を開始いたしましてから約十メートルほど進行いたしております。その当日一番方として係員以下十六名が入ったのでありますが、七時に入坑したきた採炭本隊の十三名と一緒になりまして、払い面のせん孔作業をやりまして、九時ごろまでに百一本のせん孔を完了いたした後に、それぞれに火薬を装てんいたしたのであります。火薬を装てんいたしたあとで、ハッパの準備といたしまして各雷管の脚線相互間の直列に結線いたしまして、ハッパ母線の補助をいたします補助線を四カ所に布設いたしました。そのハッパ準備が完了いたしました後に、その中の二十六本だけを先にハッパする目的をもちまして、二十六本目と二十七本目の脚線の結線を解きまして、二十六本目及び一本目の脚線をハッパ母線にそれぞれ結線いたしまして、ハッパ個所から約二十一メートル離れました払いの上部を点火位置といたしまして点火いたしたわけでありますが、ハッパ予定個所の二十六本の中の二本と、同時に予定をしていなかった別の個所の二十本が爆発いたしたわけであります。ハッパ予定の個所から離れておりました、係員を含む四名は、ちょうどその目的でない爆発した火薬の近所におりまして罹災をいたしたということを報告を受けております。  ただいま御指摘の災害の原因でございますが、ハッパ予定個所以外の個所の装薬が爆発した原因といたしまして、最初の二十六本をハッパするために、二十六本目と二十七本目の脚線の結線を解きましてハッパ母線に結線いたしました際に、二十七本目のほかの脚線がハッパ母線の結線部またはハッパ母線のほかのところの心線の露出部と接触をし、他の脚線部の裸部がトラフまたはホーベルチェーンという電導体に接触いたしまして、ハッパ予定個所以外にも電気回路をつくりまして起爆したものではないかという疑いが考えられるわけであります。この点につきましてはなおいろいろと当時の配線の状況をもう一度再現いたしまして、どういうふうな現象になるか、これをさらに実験をいたしました上で最終的に原因を突きとめたい、かように存じておる次第でございます。  なおお尋ねのございました罹災者でありますが、重傷二名、軽傷二名が現在入院中でございますが、他の二名は微傷でございまして、全然休業なしに出ております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 炭鉱の坑内のダイナマイトの爆破作業というものは、常時行なわれておるわけです。こういう事故は珍しいのか、実際は、あまり明らかにされていないが、重軽傷といったようなことがいつも起こっておるのか、これらの作業に対する監督指導といったようなことはどのように行なわれてきておるのか。これは、ダイナマナトの爆発事故が起こるということになってくると、いつもマイトを使っておりますから、危険きわまりないということになるわけです。あなたのほうではこういうことに対する注意というものを怠っておったのではないかというようにも思われるのですが、それらの点についてお答え願います。

川原英之通商産業事務官(鉱山保安局長)

○川原政府委員 先生すでに御高承のごとく、鉱山保安法の石炭保安規則におきまして、ハッパについてはハッパの資格を持ったハッパ係員でなければハッパをしてはいけないというふうになっておりまして、この点につきましては、その資格を持った者がハッパをすることを厳重に監督いたしておりますことは当然でございます。なおこの係員の訓練、教育等につきまして、従来も再々監督をいたしておるのでございますが、そのようなことにもかかわりませず、非常に珍しい事例でございますが、こういう事態が起こりましたことは残念に存じでおります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 屋外におけるダイナマイトの爆破作業というのは、十分注意してというか、そう危険がないような形で行なわれるのですね。しかし坑内はなかなかそうはいかない、それだけに特に注意を払わなければならない、私はこういうことになると思う。しかも今回の爆発したところの層は、三尺層というのです。三尺層の中でダイナマイトの爆破作業をやるということになってくると、これは特別の注意というものがなければならぬと思う。そういう点についてどのような指導をしておられるのか、ひとつそれらの点について具体的にお聞かせ願いたいのです。

川原英之通商産業事務官(鉱山保安局長)

○川原政府委員 仰せのごとく、この伊王島の炭層は比較的かたい炭層でございまして、ホーベル払いになっておりますけれども、なかなか歯が立ちません。そのために、盤をゆるめるためのハッパをやっておるのが実情でございます。ハッパにつきましては保安規則に特にいろいろのこまかい規制を加えておりまして、この規制が厳重に行なわれるように、もちろんその知識経験等から考えました資格を有する者だけがハッパをやる、またハッパの際にいろいろ注意すべきことにつきましては、保安規則及び保安規程に十分規定いたしたことを守らせるように、巡回をいたしますたびにこれが指導をいたしておるつもりでございます。しかしながら現実にこういう事態が起きましたことは、まことに遺憾に存じます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 保安規則等においていろいろな規制、規定があるということはわかるのです。今回の事故はそうした規制事項であるとか、あるいは規定というものに違反をしておるのかどうか。資格を持った者でなければできないのだ、資格を持っているからそれでよろしいということにはならない。資格を持っている人にやらせるということは、事故が起こらないということでなければならない。それが現実には起こってきている。いまいろいろとあなたから事故の原因等についての御説明があったのですが、お答えのようないわゆる規則というものに照らしてみて間違っていないか、またいろいろ監督指導をやっておるというのですが、坑内におけるマイト爆破の作業というものは、案外教育訓練というものが行なわれていないのじゃないか。あなたは珍しい事故であるとおっしゃるが、確かにそういう面から案外おろそかにされておったのじゃないかと考えられます。起こったことは、事実はいかんともいたし方ありませんが、二度とこういうことを繰り返してはならないのだ、そういうことに対しての具体的な指導がどうなされておったのか、率直にひとつお答えを願いたいのです。

川原英之通商産業事務官(鉱山保安局長)

○川原政府委員 このハッパの爆発が具体的に鉱山保安規則の違反があるかどうかということでございますが、この点につきましては、先ほど御説明いたしましたように、二十七本目の結線がたまたま池の語物あるいは金物等に触れておって、そこに予測外の回路ができたということであるのか、あるいはまたほかの事由であのるのか、それによっておそらく違反の有無がきまってくるかと思うのでございますが、その点につきましては、いろいろわれわれといたしましては、もり少しさらに現実の原因を実験によりまして究明いたしてまいりたい、かように存じております。なお、この災害状況をもう一ぺん再現いたしました上でないと、違反があるかどうかの点になりますと、これは厳密な調査を要しますので、先生からの御質疑もございます次第でありますし、われわれといたしましては、今後さらに近々に監督官を立ち会わせまして、どういうふうなハッパをやったのか、それを立ち会い検査をいたしたい、その上で今後違反かどうかの点を追及していきたい、かように存じております。  なお、ハッパ係員及び有資格者の教育については、いろいろ係員の再教育その他によりまして、監督局の研修所その他におきましても、特に重点を置いて教育をいたしておる次第でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この種の災害は、率直に申しまして比較的少ない災害でございます。しかしながら、現実にこういうことが起こりました以上は、なお今後さらに綿密な教育をいたしてまいりたい、かように存じておる次第であります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この事故が起こったのは五月の十三日ですよ。あなたのほうに私が調査をしてもらいたい、そして状況を御報告願いたいということを依頼をしてからもう一週間以上になるのです。きょう質問をしているのに、もう少し。詳しい調査報告というものがあなたのほうではでてこないのですか。これは昨日いただいたのですが、十三日の新聞記事に報道されておるほうがよほど詳しいです。  それからいま、予測しなかったものだとおっしゃるけれども、マイトを詰めておったことに間違い、ないのです。そして爆発するからというので、そこで合い図をやった。そして五十五メートル離れたところに退避したというのです。ところが、退避したところから三メートル離れたところで爆破したと言っている。だから、予測しなかった個所、予測しなかった時刻に爆発をしたということはわかる。しかしその五十五メートルといったようなことが、かりにその指示、指令どおりに退避をした、その五十五メートルというのも、これは保安規則等からいって、あるいはその他小さい規定等からいって違反があったのか、違反でないのか、そういうことも一つの問題なんです。それから予測しなかったというけれども、そういうことについては、マイトを詰めておったんだから、爆発をしておったと思った、ところが実は残っておったということじゃないわけですね。そこいらの注意というものが実は十分に行なわれていなかったんじゃないか、おろそかにされていたんじゃないか、そういうことが感じられるわけです。そういう態度でやられたんでは、何ぼ資格を持っておっても、かえって資格を持っておることが注意力を払わないということになる。十分注意力を払わせることがあなたの監督指導というものでなければならないと思うのです。ともかく監督指導の不徹底ということがあることは間違いありません。しかも、この事故が発生したのは五月十三日である。私が依頼してからも一週間以上たっている。にもかかわらず、ただいまのようなあいまいな報告をされる、答弁をされるというに至っては、私はあなたのほうの職務怠慢ということも指摘しなければならぬと思う。そういうことでは、炭鉱に次から次に発生をしておる、続発をしておるこの事故を防止することはできませんよ。どうですか。

川原英之通商産業事務官(鉱山保安局長)

○川原政府委員 ただいま中村先生からいろいろと御指摘を受けたのでございますが、たびたび繰り返しますように、このハッパに際しまして、先に百一本せん孔いたしまして、そこに装薬いたしたわけであります。普通はそのうち二十六本だけを結線いたしまして、あとは二十六本に点火しましてから次々に結線をかえていくという手順でいくわけでありまして、そういうふうな手順を運ぶつもりであったかと思います。ただ先ほど来申し上げましたように、その結線してハッパを予定しておったところと、その脚線をはずしましたその切れ目のところが、ほかに何らかの伝導体に触れて、そこに二つ回路ができたのではないかというようなことも想定されますし、その辺の問題につきましてなおいろいろ突きとめるべき問題があるかと存じます。非常にそういう点の監督が不十分ではないかという御指摘でございまして、まことに遺憾に思うわけでございますが、われわれといたしましては、まずこの具体的な原因をさらに調査いたしまして、その具体的な事例に基づいて、先ほど申し上げましたように監督を強化し、かつそういうハッパ係員その外の資質を上げていくということについて努力をいたしたい、かように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 その調査報告はいつまでにできますか。

川原英之通商産業事務官(鉱山保安局長)

○川原政府委員 いまその準備をいたしておりますので、私どもとしましては十日ぐらいで報告をとりたい、かように存じます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 その後会社がこの事故によって措置した重軽傷者に対する措置、あるいはこうした事故を再び繰り返さないように、特にどういう措置を行なってきたのか。それから、組合が会社側に対していろいろ交渉をやっておる、その交渉内容はどういうことなのか。あなたのほうでそこらの調査もある程度しておられるのではないかと思いますが、その点どうですか。   〔委員長退席、始関委員長代理着席〕

川原英之通商産業事務官(鉱山保安局長)

○川原政府委員 会社側といたしましては、さしあたりこの罹災者の入院その他についての給付をいたしますと同時に、この当核係員につきましては配置がえをいたしたと報告を受けております。  なお、組合関係からもこれに対するいろいろな意見が出ておりまして、報告によりますと、その結線の誤りがあるのではないかという点についての意見が強く出ておるということは聞いております。なお、その点につきましてそういう意見もございますし、またさらに、これが法規違反の問題でございますれば、当然きめ手になる根拠を得なければいけませんので、そういう意味でわれわれも考えておりますし、また先生の御指摘もございますので、至急に立ち会い検査を実施するというつもりでおるわけでございます。  なお、会社といたしましてはもちろん直ちに担当の課長を現地に派遣いたしまして、原因を調べておる段階であると聞いております。ほかの炭鉱にこのような同じ災害が起こりませんように、われわれとしてはさらに監督をいたしてまいりたいと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この事故が発生してからあなたのほうとしては、各現地の監督局に対してどのように注意を喚起されたか。いま、これから十分注意をしていきたいと言ったのだが、今回の事故に対して、珍しい事故であるから当然あなたのほうとしては注意を喚起されるべきであると私は思う。また現地の監督局はそれそれの炭鉱に——これは長崎県の監督局だけであってはならない。すべての保安監督局というものがとるべき措置でなければならぬと私は思う。各山に対してどのような注意を喚起されたか、具体的に実施したことをひとつお答え願いたい。

川原英之通商産業事務官(鉱山保安局長)

○川原政府委員 先ほど来申し上げましたように、係員の教育その他につきましては、これはもちろん平素いろいろと監督局長会議、あるいはそれぞれの課長会議、さらに通達等によりまして、その法規の順守を励行させるように指導はいたしておるのでありますが、今回の問題につきましては、さらにハッパ事故の原因を具体的に突き詰めました上で、こういう場合についてこういうことがあるということを調査いたしまして、それに従ってさらにこまかい指導を各監督局並びにほかの炭鉱にも指導してまいりたい、かように存じまして、先ほど来申し上げましたように、立ち会い検査をいたしました上でその対策を早急に立てたい、かように存じておるわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまのお答えのことも必要です。やはり規制が非常に弱い。規定を改めなくてはならぬとか、いろいろ今回の事故にかんがみておやりになることは当然おやりにならなければならぬ。しかしあなたがお答えのとおり、珍しい事故であった。坑内におけるマイトの爆破作業ということから今回のようなことが起こったということは、そういう具体的なことは別として、やはり注意を喚起するということはすぐおやりにならなければならぬと私は思う。何も一回でなければならぬということはないはずなんです。そういう点に対して、どうもあなたのほうでは注意が足りないのですよ。人の命にかかわることだ。いかに人命を守るか。人命尊重という立場からもっと真剣に取り組んでもらわなければならぬ。鉱山保安法の一部改正案も、これは委員会を通過して、成立することは間違いありません。いかにりっぱな法律をつくっても、あなたのほうが、もう事故を起こさないんだというようなかまえを持って取り組んでもらうのでなければ、事故というものを防止することは決してできないのです。いつも議論されることでありますが、ともかく保安思想の普及ということも十分徹底していかなければならぬと思う。さらにまた、こういう事故が起こってくると、マイトの爆破作業であるから、資格を持っておる者がやっておったのであるから、これは怠慢であったということから、その人を処罰するということになるかもしれない。重大な責任があったということに対しては、私はそれなりの処分というものもやらなければならぬと思うけれども、それよりも鉱業権者の態度というもの、それに対して十分注意もし、処分もしていくという態度でなければならぬと思う。えてして、先日も申し上げたとおり、下には重く罰するけれども、上には非常に軽い。事故の原因がわからない、責任がどうもはっきりしないということで、うやむやになってしまって、そういうほんとうの意味の責任者というものが、何回事故を起こしても問題にされないということがいつも繰り返されている。そういうことから保安思想というものがどうしても普及されない、徹底しない。こういうことになろうと思います。そういう点に対しては、十分に注意を怠らないようにやってもらいたいということを強く注意を喚起して、私の質問を終わります。      ————◇—————

始関伊平自由民主党

○始関委員長代理 次に、石炭鉱山等における施業案の問題について質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君。   〔始関委員長代理退席、有田委員長代理着席〕

井手以誠日本社会党

○井手委員 本日は、石炭鉱山における施業案を中心とした財産権と他の財産権との関係などについて、主として法律上の問題について内閣の見解を承りたいと思います。大臣には、忙しい中でございますが、ぜひとも結論をいただきたいと思いますので、しばらく御出席をいただきたいと思います。  政治論ではございませんで、純粋な法律論です。その前に私は実態を一、二お話をして、その上に立って論議したいと考えます。私の近くにある炭鉱で七、八年前に、採掘によって四百メートルくらいの山の中腹が幅百メートル、高さ五、六メートルにわたって陥没をいたしました。これは鉱害であるということが地元ではいわれておったのでありますが、通産局はその鉱害については秘密を守ってまいりました。学者の見解を聞きますると、調査によりますると、炭鉱が採掘をしていないから鉱害とは思われないという見解を発表いたしました。ところが最近になりまして、その佃町は当時採掘をしておったので、鉱害であったということが明らかになってまいりました。また、近くの場所においてもそういう事態が起こって、警察の避難命令に基づいて農家が七、八戸移転をいたしました。鉱害であるというので炭鉱に交渉いたしましたが、掘っていないというので全然相手にいたしませんでしたが、最近になって、移転の費用が一戸当たり百八十万円要るのに対して、二万円の見舞い金を出そうと言っておりますが、ごく最近になりまして、一部鉱害であるということを明らかにいたしました。  さらにいま一つの炭鉱は、最近施業案が認可になりましたが、その地区は炭鉱の鉱害に対する負担がトン当たり四百円といわれております。その認可された施業案の区域における炭鉱側の鉱害負担額は、七億七千万円といわれております。その採掘される鉱区の上には人家が密集しておりまして、最近裏山から大石小石がどんどん落ちてまいりますので、危険になって、集団移転の話が進んでおります。その近所のため池、これ三十町歩ばかりの水田に必要なため池ですが、それも渇水するであろうといわれております。しかしそういう地上に重大な影響を与える施業案が、全然秘密にされておりますために、いかに地上の権利者が不満があっても、被害を受けても、これに文句を言うすべがないのであります。施業案が今日秘密になっておるために起こった悲劇を、私はいま一、二申し上げました。この点についていまから見解を承りたいのであります。  まず大臣に、鉱業権は国のいわゆる公権が付与した私権であることは申し上げるまでもないのでありますが、この公権的私権は、私有財産とは異なって、公共の福祉に合致せねばならぬと私は考えます。しかるがゆえに、鉱業法第一条の目的には、「公共の福祉の増進に寄与するため」と特にうたっておるのでありまして、お互いが苦労してたくわえた財産と、採掘によって公共の福祉の増進に寄与しようという鉱業権という財産権とは、そこにはおのずから違いがあらねばなりません。すなわち公共の福祉に合致するということは、多くの事業の中で一番鉱業が重んぜられねばならぬと私は考えております。したがってまた、鉱業というものは秘密ではなくして、ガラス張りの中に運営されねばならぬと私は根本的に考えておりますが、この根本的精神について国務大臣の福田さんにお伺いいたします。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 私は、鉱業権を実施することによって非常な災害を起こしたり、そういうことがあるということについては、われわれとしても考慮すべき面はあると思います。しかし原則論を言えば、すべての職業、すべてのことがやはり公共の福祉を常に考えながら事業というものは行なわれなければならない。そういう意味でいえば、いま鉱害の問題も出てきておりますし、あるいはまた同じ公害ではあっても、たとえば排水施設が十分でない、あるいは何か原材料を使った残り水を流すと魚がどうなるというような問題等もあったり、いろいろございますが、とにかく鉱業権を一応与えました以上は、鉱業権者としては一つの業を営んでおるのでありますから、その内容を全部公開すべきであるという原則に立つことは、私は、現行法のもとにおいてはむずかしいのではないか、こういう感触を持っております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私は、大臣がただいま言われた営業のすべてを公開すべきであるとは申し上げていないのであります。運営の基本的方針は公共の福祉に合致するように特に留意すべきではないかと聞いているのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 公共の福祉に合致すべきように留意するということであれば、そのとおりだと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 法制局にお伺いいたしますが、国の行政処分が第三者に重大な利害関係がある場合には、当然その行政処分を利害関係人に知らせる、知っておくべき状態に直かすのが、私は現代法制の通則であると心得ております。また、学者あるいは法律家においては一致した見解であると私は信じております。ある行政行為によって第三者に重大な影響を与える、端的に申しますならば、被害を与える可能性がきわめて大である場合には、当然第三者、大体予想される利害関係人に知らせておくべき状態に置くのが、そういう通告をするのが私は鉄則であると考えますが、いかがでございます。

荒井勇内閣法制局参事官

○荒井政府委員 ただいま井手先生のおっしゃいましたことは、国民の幸福というものを守らなければならないという行政処分の本質からいいまして、非常に当たるところがあると思うのでありますが、その場合に、第三者の利害に関係するという事柄の内容が、私人の営業上の秘密であるとか、財産権の自由というものに抵触する場合にそれをどうするかということは、一つの立法政策の問題であろうかと思うわけでございます。いま申し上げました点は、それがその事業者の財産権に関する問題であるといいます場合、憲法二十九条の第一項では「財産権は、これを侵してはならない。」こう規定しております。その財産権が不可侵という意味は、財産権の行使を制約することは原則としてできないたてまえであるということは、一応の原則としてうたわれております。ただしかしながら、されば野放図に何をやってもいいということではない。その二十九条第二項におきまして、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」こう書いているわけでございます。このように財産権の行使の自由ということも、公共の福祉に対する適合ということをその内容上の制約、内在的な制約として持つというふうに解されるものでありますから、財産権としての鉱業権の内容とその行使の自由の範囲を、公共の福祉に適合するように法律で定めるということはもとより可能でありますし、いま先生がおっしゃいましたような一般的な議論を展開いたしましても、そのようなことになろうかと思います。ただその場合に、ではしからばどういう限度においてそのような立法政策を講ずるかということは法律に課された使命でございまして、現在の立法にそのような面で不備があるとすれば、そういう面についての改正の手当てをするということが必要ではなかろうか、このように考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 もっと問題をしぼってお伺いいたしますが、特定の区域内の特定の人に重大な被害を与える例を私は先刻申し上げました。鉱害のために移転しなくてはならぬということ。   〔有田委員長代理退席、委員長着席〕 そういうふうに重大な被害を与える利害関係人に対して、そういうことを予測される行政処分を行なう場合には、そういう特定の地域の特定の人にはこれを通知をしておく必要はないのか、行政官庁として国の当然の義務ではないかと私は考えておりますが、その見解を承りたいと思います。

荒井勇内閣法制局参事官

○荒井政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、鉱業権の設定の許可をするという場合には、これを登録して閲覧し得るという状態にし、あるいはその関係の地元の市町村長に対して通知するとか、何かそういうような立法的な措置が講ぜられておると思いますし、国民が全然そのようなことについて知悉し得ないという状態にあるとは必ずしも思わないわけでございますが、それについてなお、そのような公共の福祉に関連するような問題を事前に周到に知り得るような措置を講ずることがよいか悪いかという点になりますれば、それは立法政策の問題として大いに考えなければならぬのではないか、こういうふうに存じます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 施業案については、あらためてお伺いたします。私は基本論をお伺いしておるのでありますが、特定の区域の特定の住民が、その住家を移転しなくてはならないような事態が予測される行政処分に対して、国はその利害関係者をほうっておいてよいのですか。これはすべての問題ですよ。あなたもおっしゃったように、そういう関係人が知り得る状態に置かるべきではないのですか。施業案のことはあとでお伺いしますが、基本論として。

荒井勇内閣法制局参事官

○荒井政府委員 施業案と申しますのは鉱業権実施の基本計画であるという意味におきまして、それが関係の住民等に間接的に影響してくる面がある。同時にそれは、鉱業権者が財産権の行使をするという上において非常に重大な関係を持っているものではないかと思えるわけでございます。その意味で施業案全体を公開する、あるいはその鉱業権の設定の許可をしました行政官庁が、その鉱業監督上必要として聴取するところの施業案を、国の機関という立場で、そのままの形で公表するということは、その内容がだれに知られても差しつかえないものである、それが営業上の秘密として秘匿したいというような要素が何もないというようなものでございましたら、これはかまわないと思いますけれども、そのような要素がある限りにおいては、特段の規定がない限り、その職務上知り得た秘密を漏らしてはならない、国家公務員法の百条の規定によりまして禁止されているのではないか、かように考えます。その点は、鉱業権の実施の内容であって第三者の利害に関するようなものを一切説明したり公表したりすることは立法政策論としても許されないとか、憲法論として許されないということを申し上げているわけではございませんで、その必要がございましたら、先ほども申し上げましたように、特段の規定がない限りそのようなものを公表することは、職務上知り得た秘密を漏らすということになって禁止されているということを申しましたように、特段の規定があって立法政策の問題としてそれを解決していただくことが必要ではなかろうかと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 第三部長の御意見はあまり考え過ぎた意見ですよ。現実に合わせようとした意見ですよ。私は立法論として申し上げているのです。しかも法律には、施業案を公開してはならぬとかいいとか書いてないのです。いずれが正しいか、いまの憲法のもとでいかにあるべきかということを私は論じているのですよ。国家公務員が秘密を守ることを聞いているのではないのです。「財産権は、これを侵してはならない。」と書いてある憲法第二十九条第一項に基づいて、私はお伺いしているのです。財産権についてさらに申し上げますが、いま私が聞いているのは、そんなに重大な被害を与える可能性が予測されるものに、行政処分を行なう役所がその関係者に黙っておいていいのかと聞いているのです。これは原則論です。利害関係人には通知することが、現代法制の鉄則ではないですか。ある権利を与えたために、隣の人に重大な影響を与えるならば、隣の人に知らせる義務があるのではないですか、それがいまの法制のたてまえではないですか、それを聞いているのです。ある人に権利を与えたためにその隣の人に重大な影響を与えた場合には、異議申し立てとか訴願とか、いろいろな救済の道がどこでも講じてある。あるいは公聴会を開く、聴聞会を開く。多くの人の公共の福祉のためには、公益事業を見てごらんなさい、バスその他すべて意見を聞くじゃございませんか。それほど公共の福祉に合致するように運用しなければならないのに、住家を移転しなくてはならないほどの重大な影響を与える関係者に通知せぬでもいいのか、秘密を守るのがほんとうか。そういう原則論を聞いているのです。

荒井勇内閣法制局参事官

○荒井政府委員 この点につきまして、たとえば地元の公共団体というようなものが、ある場合にそのような方面の意見を聞くとか、どのような方法によってそういうようなことについての通知の手段をはかるかというようなものについての立法政策論はいろいろあろうかと存じます。そういうような措置を講ずることは一切鉱業権の面からいってあり得ないというようなことは、絶対にないわけでございます。その財産権というものも、鉱業権者によって保持されているところの財産権もあれば、地上の権益を持っている側の財産権もある。それらがいかように調整されるかという問題は、まさに憲法二十九条第二項が「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということを書いているゆえんだと思いますので、そのような双方の権益をどのような線で調和させるかという立法政策の問題として非常に真剣に考えなければならないものであるというふうに存じます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 国民の複雑な社会生活を法律で規制しようとする今日、その法律をいかに解釈すべきか、内閣法制局はもっとすっきりした答弁をしなくてはならぬ。いかようにもとれるような——何もいまのは結論らしいものはないじゃないですか。見解らしいものはないじゃないですか。憲法二十九条の第一項に「財産権は、これを侵してはならない。」という大原則が立てられておる。その財産権が侵害される。しかも住家まで移転しなくてはならないような事態が予想されるのに、それを利害関係者に秘密にしておいていいのかということを私は聞いておるのですよ。当然国の義務があるじゃないかということを聞いておるのですよ。いまの鉱業法が悪ければ、改正すればいいのです。またいまの鉱業法に、施業案を公開してはならぬとか、あるいは秘密を守れとか、公開しなければならぬということは書いてないのです。いままでは運営でやっているのです。運営ですよ。これは立法じゃないのです。日本の資本主義が石炭鉱業によって栄えてきた。その特権的な考えで今日まで石炭鉱業が運営されてきた。だから、そういうふうにいま鉱業法はなっている。それほど重大な影響を与える鉱業の実施について、なぜ利害関係者に知らせてはいけないのか、いつどこをどう掘るということを知らせてはいけないのか。自分の家が傾いたり、つぶれたり、山がくずれたり、そうなってもなお知らせてはならないのですか。それを聞きます。

荒井勇内閣法制局参事官

○荒井政府委員 施業案等の内容の公開を義務づける規定も現在の鉱業法にはないし、さればといってこれを禁止する規定もないということを先ほどもおっしゃったわけでございますが、その場合に、鉱業権者のほうがみずから進んでこれを関係の者に必要な部分についての説明をするというようなことは、現行法上禁止されているということはないと思いますけれども、それが制度的な義務として課されておるということもないというのが、率直なところ現行法制の姿であろうと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 だからどうなんですと聞いておるのですよ。片一方は、鉱業権者は財産権だといって、通産局も鉱業権者も秘密を守りておる。どんな被害を与えても、私のほうは掘っておりませんとうそを言っておる。ところが一方の財産権者は、財産権は侵害されておる。明らかに侵害されたものに対して、なお秘密を守らなければならぬのか。そういう運営が民主国家の憲法かと聞いておるのです。それじゃひとつここで国務大臣の見解を承ってまいりましょう。大体見当はついておるだろうと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 私は、法理的な解釈からいえば、法制局が言ったとおりだと思っております。しかし、政治的な問題から考えれば、そういうことが当然予測されているような場合には、鉱業権者は道徳的にもそういうことを知らせるべき筋合いのものだろう。私は、それをするしないは、これはやはりその人の考え方で、しかし明らかにそれが予測されているときと——明らかに予測されるというのは、一体だれが認定するのか。鉱業権者が認定するのか。要するにこれは、財産権の競合問題です。あなたの言われるのは、一般の、上にいる人の財産権、片方は、下の、仕事をする人の財産権、これも財産権です。この両方がぶつかり合ったときにどういうふうにやっていったらいいか。その場合に、法制局の言うのは、法律でそれを明らかにするのは施業案というような形で明らかにすることもいい、こういうようなことを言っておられるのだろうと思います。私は、いまの法律の解釈からいえば、どっちにも——どっちにもというより、鉱業権者に義務があるとはいえない。義務があるという解釈はなかなか困難である。しかし、実際問題として、もう掘ったら上が陥落するかもしれぬと思ったときに、知らさないでそれでいいのかと言われれば、いいとはいえない。しかしそれはするのかしないのかはわからないのですから、だれが認定するかという問題、そこに私は問題があるのじゃなかいと思う。だから、あなたの言われるように、そういう場合には知らせる努力をすべきだ。しかしそれは法律上の義務になるのか、あるいは道徳的な義務になるのか、こういうところに問題が帰着してしまうと思うのでありまして、やはり法律で明足しないとなかなかこの問題は実行がしにくいのじゃないか。たとえば法律でそれをきめた場合でも、被害があるかないかという認定は一体だれがするのか、私はそこが一番ポイントになってくるのじゃないかと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 被害があるかないかは通産局がよくわかっているのです。初めから通産局はわかっているのです。どこを掘ればどのくらいの鉱害が出るということは初めからわかっている、統計も出ているのだから。私が承っておるのは、これは何回も聞くようですけれども、あなたのほうもはっきりしないから申し上げておるのですが、鉱業権者は地上権者に知らせる義務がないのは、これは私はわかるのです。鉱業権者は、これは国から付与された権利ですから、公権的私権ですから、いまの法制からいって、地上権者に言う義務はないわけです。私の申し上げておるのは、採掘の権利を付与した国が利害関係者に知らせる義務があるのじゃないかと申し上げておるのです。法制局はこうおっしゃる、それは法律で定むべきである、公開するかしないかは法律で定むべきである。法律で定めないから私は申し上げておる。福田さん、私は最初に申し上げた。それほどの被害を与えても、通産局に行っても全然教えませんよ。秘密ですから教えられない。私が行っても教えない。炭鉱に行ったら、なお教えないのはあたりまえです。通産局に行ったら、それは秘密になっておりますから言われません。それでは通産局長は、それほど被害を与えることが予測されてもなお教えられないのか。それが行政なのか。  それじゃ、もう少し法理論を何ですから申し上げますが、この間連合審査会に徳本教授を呼んで意見を聞きました。私は速記録で承知しておりますが、その人の公述によりますと、採掘によって地表支持の機能を失うとおっしゃる。そうでしょう。地下を採掘してまいりますと、地表を支えておった地下の機能を失いますから、地下表に影響を及ぼし土地が不安定になる、地上権行使の円満性を侵害されるのは当然であります、常識であります、とおっしゃっておる。民法によりますと、所有権はその土地の上下に及びます。しかし、鉱業権が設定されますと、鉱物を採掘する権利が与えられるけれども、地下全部の使用権が認められたものではありません。依然として、地下の使用権は地上の物権者にある。その一部が鉱業権によってへこむのであります。これは当然地上権、いわゆる財産権に制約を加えることになるのであります。鉱業権を与えることによって、地上の土地所有者の物権に制約を加えることになる。いわゆる財産権に制約を加えることになる。これは明らかなことです。そしてその土地が不安定になる。ひどくなりますと、一メートルも二メートルも陥落する。住まいができなくなる。鉱業によって土地の所有者の使用権、所有権にそういう重大な影響を与えるものに対して、なおそれは知らせる義務はないのですか。法制局にお伺いいたします。

荒井勇内閣法制局参事官

○荒井政府委員 所有権が鉱業法に基づく鉱業権の設定によって制約されるということは、結局国の政策として、鉱物というものを有効に採掘し利用するためにそういう制度をつくることが必要であるということで、公共の福祉に適合するように財産権の内容を定めるという憲法第二十九条二項の規定に基づいてそのようなことになっていると思いますが、その場合に両者の利害の調整をどのように行なうかという権益の調整の問題がございまして、財産権の内容をどのように両者の関係を規律し調整していくかということは、憲法上法律で定めることになっているという意味で、そのような合理的な法制をつくるべく真剣に努力しなければならない、そういう問題だと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 だから、法制の不備ということが言えるわけです。かつて松山の区裁判所で判決されたのが、判例として載っております。「仮令鉱区内ノ土地ト雖モ自ラ占有シ使用シ得サルハ勿論土地所有者若クハ使用者カ之ヲ占有スルコトヲ制限シ若クハ禁止シ得ヘキモノニ非ス……土地所有者使用権者等ハ鉱区内ノ土地二付テモ其ノ形質ヲ変更シ工作物ヲ新築スルノ自由ヲ有スルカ故二仮令隧道工事ノ施行ニ因リ土中ノ鉱物ヲ掘出スル如キコトアリトスルモ鉱権業ノ侵害ト目スヘキモノニ非ス」という判例もある。これは鉱業法の中にもあるように、もし地下権を全部占有しようとするならば、それは土地の使用権を獲得しなくてはならぬ、収用権を発動しなくてはならぬことは明らかであります。そういう道はちゃんと開かれておる。採掘権によって土地の全部を、それは地上はもちろんでありますけれども、地下を全部占有するものでないはずです。その占有できない鉱業権者が採掘によって地上に重大な影響を与えるものであるなら、行政処分を行なう者は、当然これは土地の所有者に告知する義務があるのではないでしょうか。先刻申し上げたように、鉱業権者は地上権者に通知する義務はありません。これは国から与えられた権利ですから、義務はないはずです。しかし行政官庁は当然だと思う。あなたは先刻から、鉱業権は財産権だとおっしゃる。しかし、地上権もりっぱな財産権です。第一項に、財産権を侵してはならないと書いてある。財産権を侵すことが明らかな場合に、なぜ知らせることができないのですか。幾ら尋ねても、秘密ですからこれは公開できません、内容は知らせませんと言う。通産省が秘密を守らなければならぬ理由がどこにありますか。私はそれが聞きたいのです。私どもが行ったって、秘密ですといって絶対教えない。本省から通達がきているから教えられないとおっしゃる。それほど重大な影響を与えたものに対して、なぜ教えられないのか。先ほど私は自分の土地のことを申し上げた。掘っていないから鉱害とは認められぬと学者は言っている。あとで調べたら掘っておる。その根本問題を私は聞きたい。ああだ、こうだじゃない。民主国家における地上権者の権利はどう確保するか。私はここではっきり申し上げておきますが、鉱業権も必要である。今日まで私は石炭鉱業を守る立場でやってまいりました。しかしあまりに殿様のお通りみたいなやり方に対しては、今日までずいぶん泣かされてきた。施業案の秘密主義か公開主義か、これは明らかでない。これは通産省がかってに秘密を通してきた。だからここで私はあらためて内閣の見解を聞いているのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 施業案を出しますときには、それがはたして地上に大きな影響を与えるかどうかということを一応考えてみまして、大きな影響を与えると予測されるときは施業案は認可しないということは、御案内のとおりだと思います。だから通産省としては、その施業案を認めたときには、影響を与えないものだ、こういう認定のもとに与えておるのでありまして、その後大きな事情の変更があったということになれば、あなたのおっしゃるようないわゆる知らせるということも必要になるかもしれませんけれども、大きな変更がその後加わっていないと認定しておるときには、害がないと思っておるのですからお知らせしなかったのだと私は思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 大臣のお話のごとくなら、それは大へんなことです。通産局長の見識を疑わざるを得ないことになります。そういうことでは通産局のお役人さんが困ります。私の関係しておる炭鉱でも鉱害が十五億円、実際に復旧工事をやれば二十億円をこえるといわれておる。一炭鉱で二十億円にもなるような被害を与えることが、これは大したことじゃないのだ、一般の公益に対して影響を与えないというような考えで施業案を認可されたとするならば、大へんなことです。これほど鉱害が問題になり、地元に紛争が絶えないというのは、施業案を認可する態度に問題があったのではないですか。紛争はほとんど起きぬであろう、鉱害はほとんど起きぬであろうということで認可されたはずである。ところが現実にたくさんの紛争、鉱害が起こっておる。きのうから論議がありましたが、残っておる鉱害は三百億円どころではない、八百億円をこえるであろうということがいわれた。それほどの被害を与えるわけはないはずです。良識ある通産局長であるならば、施業案を認可するにあたって、そういうような事情を勘案して認可されるものであるとするならば、ばく大な被害は起きないはずである。現に多くの紛争被害が起こっておるのです。  それでは話を進めまして、もう少し法律の問題で法制局に伺います。地上の権利者は鉱業権者に予防排除、妨害排除の請求権があるという学説は一部にあります。しかしほんとうにこれを実証する判例がございましたか。

荒井勇内閣法制局参事官

○荒井政府委員 その点は、所有権の本質からいって理論的にかようにあるべきものであるという点は、学説等からいって当然そのように考えられますが、具体的にそのような判例があるかと言われますと、どうも調べました範囲では、ないようでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 学説で民生安定を期待することはできません。学説はあくまで学説である。判例が証拠である。この間ここに呼んだ加藤教授が、こういう公述をなさっておる。判例で統一した見解を示すことは期待できないとおっしゃっている。また、学説も必ずしもまとまったものではないとおっしゃっておる。それでは、かりに地上の所有者や物権者、権利者が、予防排除、妨害排除の請求権ありといたしましても、あなたがおっしゃる予防排除、妨害排除の請求権があるという学説はありますというおことばでありますが、それではその予防排除の前提は何です。その鉱業を施業する内容を知らなくては、予防排除の請求はできないはずです。妨害排除の請求の理由、根拠にはならないはずです。通産局が秘密にしておいて、どこに妨害排除の請求ができますか。予防排除の請求ができますか。それを承っておきましょう。

荒井勇内閣法制局参事官

○荒井政府委員 その地上の権利者の利益というものをいかにして保護するかという、二つの権益間の利害の調整でございますけれども、その一つの対応策として、現在立法されていることは、鉱害に関しての鉱業権者の側の無過失賠償責任ということであろうかと思いますが、ただいま井手先生のおっしゃいましたような妨害排除の請求をするには、現にどのような施業がなされておるかどうかということがわからないではできないではないか。おっしゃいます点は、現実がそれに近い状態になっているその鉱業権者の側で施業の状況をお示しするということは、別に禁止されているわけではないという意味で、理論的には鉱業権者にその点を聞いて、鉱業権者もフランクにその点について答えたとした場合に、そのような民事上の請求をするということは考えられるだろうと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 そんなおかしなことを言いなさるな。通産局長自身、秘密主義と言っているではありませんか。教えられませんと言っているではありませんか。ましてや、営利会社や炭鉱がどうして内容を知らせますか。あり得ないことを前提にして予防請求権がどこにできますか。秘密だ、秘密だとはっきり言っているではありませんか。通産局では、施業案は秘密ですよと言っているではありませんか。法律に書いてないのに秘密を守っている。行政の運営でそうしている。通産局自身が秘密にしているものを、どうして知り得ますか。そんな理論は成り立ちませんよ。  もう一つ。鉱業法の百七十一条でございますが、行政処分に対しては通産大臣に異議申し立てができる。これは包括的などこにもある規定で、当然のことです。行政処分に対して不服があるものは通産大臣に異議申し立てをする、あるいはものによっては、土地調整委員会の裁定を求めることもできる。これは当然の規定であると思う。この行政処分、行政行為、通産局長の行政行為に対して、不服がある者は異議申し立てを通産大臣にすることができると救済の道が開かれている。異議申し立てをすることができるのになぜ、秘密にした。施業案に対して異議申し立てができないのか。異議申し立ての道を開いているならば、当然施業案というものは利害関係人に知らせておくべき状態に置かねばならないではないか。秘密にしておいて、どこに異議申し立ての道が開かれますか。規定はあるけれども、ふさいでしまっている。通産局自身が……。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 これは、考え方の問題はいろいろ承っておるわけでございますが、施業案というものをつくるときには、その施業案自身は大した影響はない、私は、そういう意味で施業案というものを認めておるのだと思う。私は、もしあなたの議論を徹底していけば、鉱業権というものは認めていかぬということになると考える。それは、全然影響がない、地面の下を掘って全然影響がない、そういうことは言えないけれども、現実に引力というものがあるの、だから、下のほうへ引っぱられるから、引力で当然全然影響がないとはだれも言えない。だから、これは影響がある。しかし重大な、人命とか財産権に影響があるという、そういうことが問題である。そこで、財産権には一応——これも一応なんです。全然ということばは使わない。一応影響がないということで施業案というものを認めているわけです。ですから、その施業案を認めているが、しかし実際には、あなたのおっしゃるとおり鉱害がある。たとえば五年たった、十年たったというときにだんだん陥没したとか、そういう問題は出てくるので、いますぐ、掘っているときに一メートルも下がるということではたいへんな問題でございます。そういうようなことが予測されるということを局長が明らかに自分で、そういうところがどうもあるかもしれぬというようなときには、その施業案の一部について話をすることはよいでしょう。しかし、施業案自体を公表すべきであるということではないので、問題はもっと常識的なことで解釈をしないと……。法理論でこの問題を片づけようということになったらたいへんな問題で、なかなかあなたのおっしゃるように法理論でやろうと言われても、これはむずかしい。実際問題として、どこら辺を掘っているだろうと聞きに行ったときに、全然それは知りません。これは少しおかしいと思うのです。それでは、どこをどうしてというように施業案の内容を全部見せろ、こういうことになると、これはやはり何といいますか、営業権というものを侵害することになるおそれがあるから、そこまでは言えない。しかし、一千メートルくらい下、あなたの家の下くらい入っているかもしれませんよというようなことくらいは言うてもよい。こういう感じで私はおるわけで、全然そういうことを言っちゃいかぬとかそういう意味じゃありません。そこら辺はやはり常識でやらねば……。政治というものは常識が非常に大事なんです。これは私説教するつもりではないけれども、そう法理論で四角四面に森羅万象をみんな割り切って考えようといったってとてもできない、こういうふうに私は思っているわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 通産大臣の常識論が出てまいりました。それじゃ私も常識論でいきましょう。常識論ですよ。下を掘っていけば、地表に重大な影響を来たすことは当然ですよ。しかし、それが少しばかり下がったから重大だとは私は申し上げておりません。御承知のとおり、私は未開発炭田も大いに開発しろと言って、大いにこの間も主張したくらいです。岩鉱は炭鉱で守っていかなければならぬけれども、炭鉱のためにほかのその土地の住民がどうなってもかまわぬというようないまの行き方はいけないと思う。どんな迷惑を受けても、いや、そこは掘っておりません、いや、掘っておるかどうかについては私のほうではお知らせできませんという、そういう体制はけしからぬと思う。これはあなただって常識でわかるでしょう。その下を掘って、いや、掘っておりませんと言ったけれども二、三年先になって、実は掘っておりました。少し私のほうの炭鉱で掘ったために影響があるでしょう、二万円ぐらい出しましょう、こう言っておるのですよ。もう危険だからあなたは移転しなさいと、警察から避難命令が出た。百八十万くらいで移転した。それほど重大な影響を及ぼしておるのに、いや、そこは掘っておりません。いや、それは知らせられませんというのが常識でしょうか。それが人間の道徳でしょうか。それを炭鉱業者はやらない。そういう常識では考えられないことを、通産局は秘密主義だと言って守っておる。それはけしからぬじゃないか。少し考え直されてはどうかと思って、きょうは質問に立っておるわけです。だから施業案の内容を全部、膨大な書類を全部公開しろとは、私はそこまでは問い詰めてはいませんよ。しかし何年後にはどの地区の下を掘る予定です、そこは鉱害がありそうですから充てんをしましょう。掘ったばかりでは陥没しますから、岩石を充てんしましょう。いろんな方法があるはずです。そういう、どこをいつごろ掘る、どういう鉱害が起きるであろうなどということについて、少なくとも関係者に聞かれたならば、それはこうなります、ああなりますくらいは知らせてもいいじゃないか。これは百歩も千歩も譲っての話ですよ。それが常識じゃございませんか、大臣。それを、いや秘密主義ですから絶対にお教えできません、いや私のほうは掘っておりません。ところが、掘ってどんどん炭を出しておる。毎日どかんどかんと音がする。あとで調べてみると、そこを掘っておった。いや、もう去年掘りましたよと言う。それでも秘密主義で知せられないのか。それを知らせるのがほんとうじゃございませんか。自分の大事な農地が、先祖代々受け継いできた美田が一メートルも二メートルも下がる、家は傾く。見てごらんなさい。障子は一年に何べんもかえなければならぬのです。そういうものは鉱害じゃございません、私のほうでは掘っておりません。いや知らせられませんという行政官庁の態度が正しいのですか。私は常識論でいまお話し申し上げておる。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 常識論でそうおっしゃれば、こっちもよくわかるのです。法理論をおっしゃって影響云々というようなことをおっしゃるから、私は頭が悪いからわからなくなってしまう。お説のようなことであれば、しかも掘っておったのに掘ってないというのはけしからぬ。私はそういうことはいけないと思います。その程度は当然教えてしかるべきことだと思っております。しかし、いずれにしても、先ほど法制局でもいろいろ言うておりましたが、こういうことはほんとうははっきり書いておいたほうがわかりがよくていいわけです。だから今度の鉱業法で、そういうことをはっきり書こうというので書いておるわけでございます。あの鉱業法の改正案をごらんくださっても、われわれの意図しておる常識論はちゃんと出ておると私は実は考えておるわけです。ただ、いまの法律解釈からやっていきますと、なかなかこれは賛否両論が対立して、限界論が出てくると思います。どこでという限界論が出てくる。私はそういう法律論でなくて、いまあなたのおっしゃったように財産権の調整の問題ですから、これは常識的にどこかで話し合いをつけていくというのがいいと思います。いまあなたのおっしゃったように、下を掘っておったのに掘っているかいないか、聞きに行ったら全然知らせない、これはおかしいと思う。そういうことなら、それは改めさせます。しかし施業案の内容はどうなって、その何千メートル下はどうなって、いまあなたのおっしゃったように、これは鉱害があるから岩石を詰めるとか何とか——岩石を詰めなければならぬようなところで掘らせることがいいかどうかという問題もあろうかと思います。あなたの言うようなことだと非常にむずかしくなると思う。いずれにしても、常識的に見てどうも被害がありそうだと思って心配して聞きに行ったのに、あなたの下は掘っていませんよというような、うそを教えるというようなことはいけませんね。そういうことはぼくはさせないようにいたしたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 大臣のような人が、そういう心がまえの人が皆役人さんにいらっしゃれば、世の中は何にも問題は起こらぬ。お釈迦さんばかりいらっしゃれば、世の中は何も法律は要らない。現実はそうではないのです。だれがどこの炭鉱が掘っておるというようなことを教えるものがございましょうか。それは一年延ばし、三年延ばし、五年延ばし、十年延ばして、鉱害の賠償を少なくしょう、なるべく少ないほうが係の人は栄転していくでしょう、これが炭鉱のやり方ですよ。だれが教えますか。私は炭鉱にはいろいろ言いませんよ。むしろそれは通産局長がやるべき仕事ではないですか。今度の改正の意図というものも御理解いただけたと思うとおっしゃった。しかし私はあの改正には不満がある。それは非公開を前提にして、知らせることができるとなっている。大臣、改悪ですよ。いまの条文のままであれば、公開でやるか、非公開でやるかは全然触れてない。それは行政の運営にまかせられておる。ところが今度の改正案によりますと、利害関係人は炭鉱に内容を聞くことができる、炭鉱が拒否したい場合は、拒否することもできる。拒否した場合は通産局長に説明を求むることができるとなっている。その前提は何か。それは教えないことを前提にしておる。そういう頭がけしからぬと私は思う。だから私は財産権すべてについて——抵当権を設定するような場合もあるでしょう。ほとんどいまやっております。そういう財産のすべてについて公開しろとは私は申し上げておらぬ。施業案を認可する、本来ならば施業案というものは、通産局長は常識で運営しなければならぬことは、これは国家公務員として当然。しかし、通産局長は産業を守る立場ですよ。鉱業を守る立場です。一般の公益というもの、あるいは農業、商業というものは、ほかの産業というものは、これはほかの知事なり市町村長なり、あるいはほかの官庁が担任すべきものである。通産局長の任務というものは判事も検事も兼ねたものでないことは、この前も申し上げました。それは国家公務員としての当然の職責です。  もう十二時を過ぎましたから、私は法理論をもっとやりたいのですが——準備もしてきておりますし、判例もたくさん持ってきております。しかしそれはそれとして、私がほしいのは、いままで通産省は、施業案は財産権として秘密を守るという立場でやってきた。長年秘密だとして守ってきた通産省がいま直ちに、いや、それでは公開いたしますということが簡単に言える立場でないことも、私はよく理解しているのですよ、大臣。お役人さんの立場もわかる。だから、すべて公開しなさいとは言わないけれども、施業案を認可した場合には、少なくとも市町村長に概略だけは知らせ、利害関係人にはその内容を知らせるくらいの親切があっていいじゃないか、言ってくれば教えてやろうという程度ならば、これはいけませんよ。農村の人が、いつ自分の下を掘ってくるのか全然わからない人が、毎日毎日通産局に行って掲示板を見るわけには参りません。集団移転しなければならぬ、あるいは農村を出て、農業を部落的に放棄しなければならぬというような、そういう重大な施業案の認可に当たっては、本来ならば市町村長などの意見を聞いて認可すべきである。いままでほとんどしたためしはございません。万能の神様ではございませんから、農業のことなり、あるいは商売のことを考えて認可するとは私は思わぬ。しかしこれは本来は公開すべき立場であるけれども、いろいろの事情があるから、鉱業法改正を提案したその機会に——成立はわかりませんよ。提案した機会に、いままでの方針を改めて、施業案を認可した場合には、その概要を市町村長に通知をする。そうして利害関係人への周知に便宜を与えようという、そういう態度はできませんか。これが私の結論です。そのくらいは福田さんやれそうなものではございませんか。それほど常識円満な人ですから。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 そのときの事情によると思います。原則として必ずそうしなければならないということでなくて、やはりそういうおそれが非常にあるというような場合にはそういうふうにするということにしてはどうかと思います。全然してはいかぬ、教えてはいかぬという意味じゃない。それからもう一つ、先ほどあなたのお話のうちで、今度の新しい法律で規定しておるのは、聞きに行った場合にもそれを言わない、鉱業権者は言わない場合があるとおっしゃいましたが、それはちょっと誤解で、不十分な……

井手以誠日本社会党

○井手委員 拒否された。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 いや、拒否というのは不十分な場合というので、言わないという意味ではありません。

井手以誠日本社会党

○井手委員 腹の中で読みかえるわけだ。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 腹か胸か知りませんが、不十分な場合にはそうする、こういうことでありますから、それは誤解のないようにお願いしますが、いずれにしても全然秘密主義で、聞きに行ってもそんなのは非公開だから言いません。こういうことは私はおかしいと思いますが、進んで市町村長までそれを発表しなければならないかどうかということについては、もう少し研究さしていただきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ちょっと関連して。いま井手さんからいろいろ御質問がございましたが、こういう場合にはぜひひとつ前もって知らしてもらわなければならぬと思うのです。というのは、実は御存じのとおり、いなかの学校は広い校庭を持っておる。炭鉱地帯ではいままで人口が多くて、千五百人とか二千人の子供がおる。したがって相当大きな校舎と広い校庭を持っておるわけです。突如としていままで豊富であった学校の井戸水が脱水してき始めた。そこでこれはどうもふしぎだ、いままで二千人の子供をまかなう十分な井戸の水もあったし、その井戸の水をくんでプールにも入れておった。ところがいつの間にか脱水陥落してしまって、これは一体どこが原因だろうかということになったわけです。そうして調べたところが、付近に炭鉱があって、いつの間にか学校の下を堀ってきておるわけです。そこでどうして学校の下を掘ったのだといったら、学校の下を掘ってその先にたくさんの石炭があるというわけです。そこでどうしても学校の下を通って、その石炭のたくさんあるところに行かざるを得ない、だから掘ったのです、こういうわけです。そこで強引に今度は市のほうで文句を言って、通産省に行ったところが、通産省の石炭局では、いや、そんなところは掘ることになっておらぬはずだということなんですね。ところが鉱業権者にしてみれば、学校の下を通ってその石炭のある炭層に行けば一番近くて能率が上がる、こういうことになる。ところが学校の下を掘っていき始めたところが、学校の下にも石炭があるということになると、行きがけのだちんということになって掘ってしまうのですね。こういうときに、たまたまわれわれの市会にも強引なのがおって、坑内に入ろうということで入ってみたところが、学校の下はずっと掘られてしまっておるということがわかってしまったのです。これは盗掘ではないのですね、自分の鉱区の中を掘っていくわけですから。そういうようなときにはやはり監督を厳重にして、公共物という、そういうばく大な鉱害復旧その他のために費用のかかるところを通るのですから、前もって通知をしなければいかぬそういうときは鉱業権者は知らぬ顔をしておる。地元のPTAなり市町村が行って、初めてそうであったかということなんですね。これがいまの施業案の実態なんです。あるいは施業実績簿というのですか、そういうものの実態なんですね。だからもう少しこういうところを、一体どういう程度に採掘が進んでおるのかということは、少なくとも一カ月に一回くらいは、私がこの前から言っておるように、見る必要がある、こういう場合にやはりすなおに前もって言ってもらうし、見せてくださいといったら見せる。少なくとも、利害関係人にはぐあいが悪くても、市町村長あたりが行ったら、すなおに教えてもらわなければ困ると思うのです。  それからいま一つ問題になるのは、破断角です。一体このうち滝井義高の鉱区の被害が及ぶところであるかどうかという破断角のところが、一番問題になるわけです。このときにやはり、施業案というものがものを言うわけです。なるほどそこまで掘っておるからそれは影響を及ぼします、こういうことが出てくる。こういうときに通産省がはっきりした立場を示してくれないと、鉱業権者は負担がふえるのですから、断じて私は掘っておりません、そういうところに影響を及ぼすはずはない、こう言うわけです。いわばすれすれのところなんですね。こういうすれすれのところにいったときに、滝井義高鉱区から影響が及んだのか、井手以誠鉱区から影響が及んだのか、これが問題なんです。そのときにはっきりと、それは滝井義高のほうがいっているのだ、ここまで言って、少なくとも影響を及ぼすということを明白に示してもらわないと、どうにもならぬ場合がある。こういう場合はやはりすなおに見せて、両方の鉱区はこういうところまで採掘がいっているということを示してくれぬと、そんな場合は私らが言うのは困るから、ひとつ調停に出しなさい、和解仲介に出しなさい、こうなるわけです。和解仲介に出すと、これがまた両方からもめて、いつの日に解決するかわからぬ、こういうことなんです。そうなると、両方の鉱業権者の同意がなければ復旧はできないのですから、どちらも同意しないのです。どちらも同意しないでずっと長引いてしまう。それで井手以誠が出てきてこれを解決しなければいかぬ、こうなるわけです。それでいつもボタをかぶるのは石炭局の鉱害課じゃなくて、井手以誠がかぶる、こういうことになるわけでしょう。これは井手さんの苦衷はわかるわけです。  それからもう一つ、こういう場合が出てくる。というのは、大きな鉱区を持っておって、AとBの上と下は売りに出してしまうと、まん中を石炭を掘らせるわけです。そうしますと、Aのほうの売ったところは、農地の復旧をやる、Bもやるわけです。上と下の復旧をやって、まん中を残して石炭を掘らせるために陥没が起こってくるわけです。そのときに、残したものをどういうぐあいに一体石炭を掘るのですか、その石炭の掘りぐあいでわれわれの復旧の計画が違ってくるのです。そうすると、B地区のまん中を掘り出していって陥没されたら、AとCとが鉱害復旧をやっても意味が全然なくなるわけです。国費の乱費になるわけです。そういうことが平然と行なわれているわけです。そこでこの場合は被害者はまだ全然関係がないわけですから、施業案を見せてもらって復旧計画その他をやりたいと思うのだけれども、そんなことははしにも枠にもかからね、全然見れる状態ではないわけです。まだ被害がない状態ですからね。ところが鉱害に関係のない炭政課か何かが平気で許可をするわけです。鉱害課と別のところが、石炭を掘るほうの課が許すわけです。全然無関係です。しばらく掘って、陥没した上と下の復申したところは、もう一ぺんやりかえになるわけです。こういうときには市町村は、やはり復旧をやるほうの側に、あとの残った炭鉱はどうなるのですか、どういうぐあいになるかということを、施業案を見せてもらわなければ国の金がむだになる。でありますから、こういう二つ、三つのケースをあげたのですけれども、そういう場合はやはりすなおに見せてもらわぬといかぬ。いままでなかなか見せないのです。われわれが辞を低うして、あの手この手を使ってようやく、かいま見るというやつですよ、かいま見ることができる、こういうことです。大臣の言うように、常識論でという常識ですよ、まさにその常識がまかり通らないのだ。こういう点はひとつ行政指導上もうちょっと、法律論のかみしもを着る前に、あまり井手以誠や滝井義高や伊藤卯四郎がボタをかぶらぬようにしてもらいたいと思うのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 井下さんのお話になっのも、あなたのお話になったのも、大体同じような御趣旨だと思う。私は、常識の範囲でひとつ行政運営をやるようにいたしたいと思いますと申し上げておる。具体的なことについては、ひとつ事務当局のほうに勉強させまして、また先生方からもお話を承って処理をいたしたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 それでは、常識論で解決いたしましょう。近々のうちに、いままでの方針とは変わって、われわれの意思を尊重して、できる限り説明をしょう、こういう御方針のように承っております。私はきょうはおそくなっても結論を得たいと思っておりましたが、法理論からも常識論からも、両面から理解できないということであれば、きょう必ずしも結論を得ぬでも、いわゆる常識の範囲内で私も引き下がってもいいと思う。しかし、いままでの秘密主義だけは改めてもらわなくちゃならぬ。だから、どの程度にできるかということを近々結論を得てもらえますか。それだけを約束してもらいましょう。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 承知しました。

伊藤卯四郎民主社会党

○伊藤(卯)委員 さっきから質問をだんだん伺っておりますと、どうもAの鉱害かBの鉱害かということについては、常識をもって解決するよりほかにしようがないじゃないか、こういうような大臣なり政府側の答弁のようでありますが、それでは私は非常にあいまいだと思うのです。そのためにちゃんと測量制度というものを法律上認めてあるのですから、その測量制度によって測量すれば、必ずBの鉱害かAの鉱害かというのがはっきり出てくる。それによってその鉱害責任をBに負わすか、Aに負わすかということはちゃんときめられてある。ただそれを、測量制度をとること、それからそれによって結論の出たものを、通産局長が鉱業権者に気がねをしてようやり切らねというのが、今日までの延び延びになっておる醜態なんです、ですから大臣、常識によってきめられるのじゃなくて、測量制度によってきめることになっておるのです。ただそれを通産局長が、AのものかBのものかということを勇気をもって断を下すことを気がねをしてなかなかようやり切らぬというのが、今日までの延び延びの状況なんです。だからわからないのじゃないのです。ちゃんとすでに測量制度というのがある。この測量制度を設けるという場合は、炭鉱経営者が非常に反対をしたのです。それはなぜかというと、いままで鉱害をお互いにA、B、Cでなすり合いをしておったのに、測量制度を用いられると非常にはっきり出てくるから、それをおそれて、測量制度をつくるということについて鉱業権者が反対をしておった。しかし、そういうことじゃいかぬというので測量制度が作られたわけです。常識じゃなくて、測量制度によって判定されたものによって、鉱害は判定された者が責任を追及される、こういうことになっておるのですから、この点をひとつお間違いにならぬようにしておいてください。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 いまの問題ではそのとおりやらねばいけないと思っております。どこに影響があるなんということをおそれてやっちゃいけない。いままでもそうさせておるつもりでございますが、今後一そう徹底させるようにいたします。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会

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