石炭対策特別委員会 第18号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/05/08
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、鉱山保安法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。 質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
○細谷委員 前会、鉱山保安法の問題について御質問申し上げたわけでありますが、いろいろと答弁いただきましたけれども、きわめて不満足な点がございますが、きょうは残りの部分について若干質問をいたしたいと思います。 まず第一番にお尋ねいたしたい点は、三十七年の二月二十日に、鉱山保安法改正委員会が「鉱山保安法改正についての中間報告」というものを出しておりまして、いわゆる一次の答申でありますが、これに「請負に関する規制」というものがございます。これに基づきまして法が改正されまして、新しく二十三条の二というのが入ったわけでございますけれども、この答申の中でも、「請負の関係する災害で、世間の注目を引くものが相当発生し」と、こういうことで、二十三条の二というものが新しく設けられたわけでございますが、先だって日炭高松の炭鉱の事故でも、前会申し上げましたように、非常な危険性が予知されたので、保安局ではこれを三日ないし四日ストップさせた、そういうことで慎重を期したにもかかわらず、またガス爆発を起こしまして、九名の労働者がなくなっております。これも請負です。こういうことになりますと、二十三条の二というものが請負に関する問題として出てまいったのでありますが、その後の事故というのがやはり請負に関連するものとして出てまいっております。この二十三条の二という形でいいのかどうか、設けたけれども、法を改正したけれども、実効があらわれておらぬじゃないか、こう思うのですが、これについてどうお考えなのか、お尋ねします。
○川原政府委員 ただいま細谷先生から御指摘がございましたように、三十七年に二十三条の二という項目を追加いたしました。鉱業権者は省令の定めるところによって、一定の、請負関係の者につきまして保安のため講ずべき措置を講ずる、同時にその内容について届け出をさせるという項目が入ったわけであります。その後さらにこれを受けまして、坑内における作業であって、一月以上のものにつきまして、具体的に必要な保安の指揮系統あるいは訓練、保安教育というような問題に関します、いわば請負の管理機構についての届け出をさせるというふうに定めたわけであります。なおこれば合理化法の関係でございますが、別途合理化法の中でも、一定の作業に限って組夫に対する作業を認めるということで、作業の種類を、起業関係でありますとか撤収関係、あるいは専門的なものあるいは臨時的なもの、特に臨時的な作業に限定をいたすように措置をいたしてまいったわけであります。しかるにもかかわらず、御指摘のように、先般高松炭鉱におきまして請負関係の組夫が罹災をいたしました、まことに遺憾に存ずる次第であります。ただ保安法の関係といたしまして、一般的に請負に関して懸念せられます保安に関する指揮及び監督に関する問題、それからその請負関係の教育に関する問題、そういうことにつきましての監督が保安法では主体をなすわけでありますが、従来もこの届け出によりまして、もし管理機構、つまり指揮命令系統が非常に不確実であるというような場合には、当然これは監督局長がそれを訂正させるということもいたしておりますし、また保安教育につきましても、必ず一定の教育をさせるということをやらしてまいったわけであります。少なくとも私どもといたしましては、この規則を生かしていきますことによりまして、請負関係の災害は減らし得るというふうに考えておるわけであります。死亡率その他につきまして考えますと、これはいろいろ統計にもよりますが、請負死亡率はむしろ減少する傾向にございます。ただ具体的な事故につきまして、先生御指摘のように、いろいろ注意をするにもかかわらずなお事故が起こるということにつきましては、私どもといたしましてさらに監督を厳重に行なっていくという覚悟でおります。
○細谷委員 この二十三条の二が追加された三十七年から今日まで、請負が関係した災害件数というのは、全体の件数のどの程度を占めておるのか、お示しいただきたい。年度別でもけっこうです。端的にいいますと、この法律ができましてから、全体として請負の労働者の数はどのくらいなのか、それから、それの関係した災害回数というのはどのくらいなのか。それから請負の稼働、たとえば千人当たりなり、百人当たりでもけっこうです、その災害率というのはどのくらいあるのか、罹災者数はどのくらいあるのか、これをお示しいただきたい。
○川原政府委員 たいへん恐縮でございますが、いまその数及び災害の件数につきましての資料をちょっと持ち合わせがございませんので、これはさっそくに取り調べることにいたしたいと思います。ただ常用労務者と分けまして災害率について申し上げますと、昭和三十五年におきまして常用夫が千人当たりの死亡率で二・八一、臨時夫が一、請負夫が四・四六、職員が二・七六と平均二・八八という数字になっております。三十七年におきましては、これが常用夫は二・一七、臨時夫が〇・三六、請負夫が二・〇四、職員が〇・八計一・九七、こういう数字に相なっておりまして、災害率といたしましてはただいま申し上げましたように減少いたしております。
○細谷委員 それでは年度別にいま申し上げたような資料を後ほど出していただくことにお願いしまして、いまお聞きしました数字、三十五年には請負関係が四・四六で三十七年が二・〇四、三十八年がどういうふうに変わったかはいま数字をお示しいただかなかったのでございますけれども、それにしても請負夫は三十七年の実績を見ましても常用夫と同じ災害率になっておるということを物語っております。これは三十五年と比べますと激減したということは言えますけれども、ここに問題点があるのではないか、こう私は思います。 そこでお尋ねいたしたい点は、せんだって労働大臣が九州のほうにおいでたんですが、その節、どしどしと炭鉱労働者というのは減っていってしまうので、労働大臣は現地で、石炭離職者については特別の優遇措置を講じておるけれども、炭鉱に帰山する人たちに対しての優遇措置を考えなければならぬということを談話で発表しております。このことはどういうことかといいますと、今後の出炭計画を推進していくにあたって、常用労働者はどしどし減っていって、そして低賃金のいわゆる人夫、組夫、こういうものが増加するという懸念が十分あるのではないかと思うのです。そうなってくると、これは炭鉱災害上非常に重要な問題でございます。そこでお尋ねしたい点は、そういう組夫は、いろいろな保安機構がございます。保安委員会とかあるいは補佐員とか、こういうものがございますが、こういうもののらち外に置くのか、そういう中のメンバーとして保安に参画するようにしていくのか。これは非常に保安上の重要な点ではないかと思うのですが、こういう点についてどうお考えですか。
○川原政府委員 鉱山保安法におきまして鉱山労働者と申します場合に、これは鉱山に労働いたします者をすべて含みますので、請負も当然その中に入ることになっております。
○細谷委員 入るとおっしゃいますけれども、現実問題としては保安委員会等に入らないんじゃないですか。労働組合をつくっておるわけじゃありません。大体二十三条の二というこの問題については、これは届け出制である。それからそれには「鉱山において坑道の掘さく、鉱物の運搬その他の作業にその使用人以外の者を従事させるときは、当該作業にその使用人以外の者を従事させることに伴い保安のため講ずべき措置を定め、鉱山保安監督局長又は鉱山保安監督部長に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」こう書かれております。届け出制なんですね。あとのほうで必要な命令等が出せるのですが、答申を見ますと、さしあたり請負に関しては届け出制を実施してというように書いてあります。あくまでも暫定措置です。今日まで何年も経てきております。そしてやはり災害の原因になっております。そういうことになってまいりますと、このさしあたりというこういう措置に対して、その後の実績からいって、もっと抜本的にこの問題についてなぜ改正に手を触れなかったのかという問題が起こってくると思う。この辺の問題についてお伺いいたします。
○川原政府委員 ただいま御指摘のございました、請負関係を、届け出でなしにさらに強化したらどうかという御質疑でございます。まことに御意見ごもっともだと思います。ただ先ほど来申し上げておりますように、保安法上の問題といたしまして、請負夫の具体的な保安教育、それから保安の指揮系統というものが確立されることが、われわれとしては保安的には一番大事なことであるということでございますので、その関係につきましては、実際の保安及び指揮系統の確立という面を確保するための措置を、届け出に基づきまして変更させることができるということになっておりますので、これを十分活用いたしますれば、いま直ちにさらに強い承認制というようなところまで持っていくまでもないじゃないかというふうに考えられるわけであります。なお別途合理化法におきましては、この作業の種類を限定いたしまして、たとえば特に専門的な施設関係あるいは撤収作業というようなものに限りまして、これは通産局長のほうの所管になっておりますが、承認を与えるという制度をとっておるわけであります。
○細谷委員 この法律が「鉱山において坑道の掘さく、鉱物の運搬その他の作業に」ということでございますから、これはあくまでも私は出炭に関する補助的なものだと思うのです。現実に請負夫、組夫がどういう仕事をなさっておるか御存じですか。
○川原政府委員 現在組夫について認められておりますのは、起業関係、撤収関係、それから掘進施設、特に臨時に必要な場合というので、そういう特殊な作業と、さらに時期的に短期間のものということで限定をいたして合理化法を運用している次第であります。
○細谷委員 少しことばがはっきりしないのですけれども、現実には使用人と変わらない仕事をしているということを御存じじゃないでしょうか。変わっておらないですよ。いかがですか。
○川原政府委員 現実の事情につきまして先生から具体的な御指摘があったわけでありますが、われわれといたしましては、組夫についてそういうふうな臨時的なものに限って、しかもその保安指揮系統が確立されるということを担保した上でやっておるわけでありまして採炭、仕繰り、掘さく、運搬、立て坑の開さくその他が当たるわけでありますが、これらのうち承認をしておりますのは、起業及び臨時的なもののみに限って承認をいたしておるわけであります。
○細谷委員 臨時的ということでございますが、本来使用人がやらなければいかぬような仕事をやっておるということは、私は例をあげたいのですけれどもあげませんが、現実はそうなんですよ。許可制で届け出さしてこういうことをやっておると言っておりますけれども、そのとおりやっておらぬというのが現実の姿です。白炭高松のああいう事故もはっきりそれを証明しておるでしょう。そういうところに、私は問題があると思うのです。ですから二十三条の二はあくまでも補助的なものとしての組夫ということであり、答申もまたさしあたり請負に関しての届け出制ということであるが、現実にはそういう問題になっておる。根本的にはこれはやはりきちんと法の精神にのっとって運営してもらわなければならぬという問題があるが、そういっておらぬという問題がある。そうなってまいりますと、これはさしあたって二十三条の二というものを設けたのですから、今日まで二カ年間の実績において現実に事故が起こっておるのですから、この問題についてやはりもっと規制すべきじゃないか。やり得る作業はこれこれだと、それは合理化法の例がありましたが、規制すべきだ。あるいは抜本的にいえば、先ほど申し上げたように、これからもっとこういうものが増大する懸念が十分あるわけですから、手を打っていきませんと、保安法だけどんどん改正したけれども、しり抜け、ざる法ということになるのじゃないかと私は思うのです。これについてもっとはっきりと問題に対処していただかなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
○川原政府委員 ただいま御指摘のございました点につきましては、先般来高松の事例もございましたので、さらにその規制、監督を厳重にいたしますように各現地に指令をいたしますと同時に、今後の運用は、先生の御指摘のございましたように、この法律をさらに十分徹底的に活用していくという方針で進んでおるわけであります。
○細谷委員 少なくとも届け出制ということだけでなくて、きちんと規制をしていく。許可か何かでなければ、これは規制できないと思うのです。どういう作業をしたかということは、おそらく保安局あるいは監督局では一々把握できないでしょう。そこから災害が起こってくる。災害は労使とも大損害なんですから、単に労働者の問題ばかりではないのです。そういうことで、ひとつ十分にこの保安の問題だけでも考えていただかぬといかぬのじゃないかと私は思います。 そこで私は労働省にお尋ねしたいのですけれども、この答申において、請負については職業安定法との関係が深いので、これらの法規の運用との関連について配慮する必要がある、こう書いてありますが、どういうように配慮なさってきたのかお尋ねいたします。
○石黒政府委員 職業安定法の関係につきましては、後ほど職業安定局の担当官のほうからお答えを申し上げます。 日炭高松で事件が起こりましたように、組夫の関係につきましては、労働省といたしましては非常に災害の度合いが大きくかつ強いということで、従来からできる限り注意をし、また通産省とも御連絡をとってまいったところでございます。日炭高松の事件につきましても、請負が三段階になっておる。したがってその間形式はともかく、実質的に保安上なかなか行き届かない面があるのじゃなかろうか。また組夫は移動が非常に激しいので、保安教育等もなかなか徹底しがたいのではなかろうかというふうに考えまして、その点につきまして労働基準局が県の職業安定課、鉱山保安局等と連絡をとって、十分に調査するように指示をいたしております。またそのほかの炭鉱につきましても、労働省として直接的にやる権限を持っておる点は少ないのでありますけれども、組夫につきましては特に注意をいたしておりますが、まだなかなか十分でないので、さらにこの点は今後炭鉱に関する重点の一つとして強力に推し進めてまいりたいと思います。
○細谷委員 主管の局長さんが見えていらっしゃらないのですが、問題は、特にこの答申の際にわざわざ断わっておるわけですね。人夫供給業というものは四十四条で禁止されておるわけです。そういう点を懸念して、とにかく断わってある。私が二十三条の二について保安局長さんに御質問した点で、非常に混乱しておる。そこに保安上の問題があり、しかも安定法との関連という形で出ております。これはどうしてもやはり実質的には、単なる人夫の供給という昔のような姿になっておるのじゃないか。そうなってまいりますと、安定法違反という懸念が十分にあるのじゃないか。現に答申がそれをおそれておるわけであります。これは現実の保安上の面から見ても非常に重要だと思いますので、この点についてはひとつ十分にやっていただかなければいかぬ。 そこでちょっと御質問したいと思うのですが、労働大臣が通産大臣にこの保安問題について勧告をいたしておりますけれども、その中においてこの問題については触れておらぬように記憶しておるのですが、いかがですか。
○石黒政府委員 先日三池の事件に関連いたしまして行ないました勧告の中には、御指摘のごとく、組夫の問題については直接には触れておりません。しかし三十七年に鉱山保安法が改正になったことにつきましては、労働省として請負という名前のもとに労務供給が行なわれやすいのではないか、その弊害を除去するように法令の上でも考慮すべきじゃないかということを考えまして、私ちょっといま正式の勧告を行なったかどうかは記憶いたしませんが、そういう観点から通産省といろいろお打ち合わせをしてこれができたというように考えております。
○細谷委員 少しくどいようでありますが、先ほど保安局長は、やはり保安の一元化といいますか、そういうものが必要なんだ、組夫といえどもやはりこの保安委員会等に参画していただいて、そうして保安を一体となってやらなければいけないということを言っております。ところが現実には組夫というものは、たとえば賃金というものは別から出てくるのです。やはり雇用関係というものがないわけで、なかなかむずかしい問題だろうと思います。そういう点からいって、保安上一体としてやるということであれば、しかも安定法との差しさわりもないということであれば、これはやはり使用者をもってこのあぶない炭鉱保安というものを克服していく、あるいは出炭計画というものを推進していくということがよいと思うのですが、労働省としてのお考えはいかがですか。
○石黒政府委員 私、労災補償部長でありますので、労働省を代表して正式に御答弁することができないわけでございますが、しかし私の知る限りでも、労働省の方針といたしましては、炭鉱の組夫というものは非常に危険を伴うものである、これを全部廃止するということは、事柄の性質上困難であろうと思うけれども、必要最小限にとどめたいというのが労働省の方針でございます。
○細谷委員 必要最小限度というのは、たとえば完全な補助的な仕事という意味ですか。
○遠藤説明員 これは先ほど保安局長から御説明ございましたように、坑内の補助的作業と申しますか、坑内の掘進作業とか坑道の掘さくとか、坑道の進み切り工事とか、そういった特殊なものに限って労働者供給事業でないと認定されるような考え方がとられておるわけであります。
○細谷委員 この問題はせっかく鉱山保安法の改正というのに取り組んでも、保安上、事実が示していることですから、ひとつ十分に労働省としても対処していただきたいし、せっかくの法律がざる法にならないように、この点についてもひとつ特別の配慮を願いたいと思っております。答弁非常に不満でありますけれども、時間がございませんから次に進みます。 五十三条に保安技術講習所というものがございまして、通産省に保安技術講習所を置く、こういうふうになっております。私不敏にして通産省の保安技術講習所というのがどこにあるのか、どの程度の規模で運営されておるのかということを存じませんので、それを教えていただきたいということが一つ。もう一つはこの中央審議会の答申の中に、保安教育の問題というのが重点的に答申されておるわけですね。ところがこの第二次の答申については、ただ答申を受けたということで過ごしておるのが現況だと思うのです。そこでこの教育というものをもっと重点的に扱う意味において、産炭地の中心たとえば北海道なり九州、そういうところに保安教育の専門的な機関というものを設置する御意思があるかどうか、以上お尋ねします。
○川原政府委員 現在保安技術講習所といたしましては、大体各監督部にこれを設置いたしております。場所は札幌、仙台、平、東京、名古屋、大阪、広島、宇部、四国、福岡、この十ヵ所に設置をいたしております。ただこれは、現在のところでは、先生御指摘のございましたように非常設でございます。年延べ四十回ほどの講習を開くわけでございます。それからさらに別途、研修所、これは鉱務監督官の再教育でありますとかに充てるものでございますが、東京、札幌、福岡をここに充てておるわけでございます。なお、御指摘のございました先般の保安答申によりまして、これは法律的な措置ではございませんけれども、予算的に百七十万円ぐらいから八百万円ぐらいに予算をふやしまして、その回数もふやし、かつ規模もふやしたということで今日まで運営をいたしてまいっておる次第であります。 なお、ただいま御指摘のございました専門の常設の教育センターを置く意思はないか、こういう御指摘でございます。申すまでもなく、われわれといたしまして、結局保安の一番大きな問題はやはり保安教育という問題をどういうふうに徹底をしていくかという点にございますことは、先生の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても心から同じ考えを持つものであります。今後常設の研修所を置く問題につきましては、われわれとしましてはこれは望ましいことであるというふうに考えておりますが、今年度の予算としては計上してございませんけれども、これはなお今後、先生のいま御指摘になりましたような問題につきましては、前向きの姿勢で検討いたしてまいりたい、かように存じております。 〔委員長退席、中村(重)委員長代理着席〕
○細谷委員 抽象的な前向きということでなくて、ここまで問題がきているわけですから、非常設のそういう講習会のようなものはあるようでありますが、常設の教育機関というものを設置しなければならぬ、こう私は思っておるわけですが、それも今年はともかく、来年なら来年設置するということで努力するとか何とか、前向きということでなくて、その辺のお考えいかがですか。
○川原政府委員 その点に関しまして私どもといたしましては、そういうふうな方向に努力いたしたい。これから予算の折衝が始まるわけでありますから、そういう考えを私どもとしては持っております。
○細谷委員 三十九年度はともかくとして、四十年度の予算にはこういう問題についての予算を要求する、こういうふうに受け取ってよろしいわけですか。
○川原政府委員 これは相手のあることでございますけれども、私どもといたしましてはそういうつもりを持っております。
○細谷委員 そういうつもりでいるということでありますから、私としてはそういうふうに理解をして、次に進ませていただきます。 私は本会議で、保安監督行政の一元化という問題を総理に質問いたしたわけであります。正確な答弁は得られませんでした。これは通産大臣なり労働大臣なりにおいでいただいて所見をお伺いしたいのですが、その前に私がお尋ねしたい点は、これはなかなか聞きにくい問題であるわけでありますけれども、現実に現地で直接私が耳にしておることは、一酸化炭素の後遺症の問題です。これは通産省であるのか、あるいは労働省が担当しておるのか、厚生省ではないと思うのですが、性の問題が非常に深刻な問題になってまいっておるわけなんです。私は具体的に災害にあった人から、それもきわめて軽度な、ただ病院に通っておるという程度の人から、しみじみとその問題を過日お聞きしました。北海道の過去の実績もございます。こういうことは聞きにくいし、言いにくい問題でありますけれども、非常に大きな問題でございますので、どういうふうに受け取っているのか。これは労災問題とも関連があるわけです。補償部長さんにもお聞きしたいと思いますが、まず保安局長さんから通産省の、それから補償部長さんから労働省の御意見を伺いたい。
○川原政府委員 三池炭鉱の爆発によりまして多数の中毒患者が出て、その後遺症の問題がございますことは、私ども承知いたしておりまして、これは何とも申しようもないお気の毒な、かつ胸の痛む気持ちでおります。その入院患者及び通院患者さらに罹災者の取り扱いにつきましては、これは主として労災関係の問題、あるいは療養の関係というような問題もありまして労働省、厚生省といろいろと御協議を申し上げておるわけでありますが、われわれとしましては、もちろん入院患者並びに通院患者の方が一日も早く快方に向かわれるということが私どもの願いでありますが、いまなお必ずしも大きな変化が見えないということについては、非常に心を痛めておる次第であります。 なおこれは労働省の労災部長のほうからいろいろとお答えがあるかと思いますが、労災補償及び入院患者の問題につきましても、さらに三年たったあとの問題につきましても、これは労働省としていろいろと配慮を願っておる次第であります。
○石黒政府委員 一酸化炭素中毒患者の性の問題につきましては、これはあまり大っぴらにいろいろと調べたり公表したりできない筋合いでございますが、今後の被災者の生活の上に非常に深刻な問題でございますから、私どもといたしましても手を尽くして調査いたしております。三池患者の状況につきましては、入院患者を御承知のごとくときどき外泊させております。そのときの状況を、外部に発表しないという条件でアンケートを病院当局、療養所当局などでとってもらっております。その結果を抽象的にしか私ども聞けませんですが、全く不能の者も若干あります。しかし、相当多数の者が不可能ではない。それからまた、当初不可能であった者が可能に回復しておる場合が相当ある。また非常に衰えた者が漸次回復の徴があるというふうに聞いております。それから一酸化炭素中毒の中毒症とそういった影響との関係につきましては、特に北海道の夕張炭鉱の例が前例になるわけでございます。夕張でかなり深刻な状況にある方がいまなお残っておるわけでありますので、その結果に基づいて関係者が非常に憂慮されておることもよく承知しております。私どものほうからも、夕張の状況をできるだけ詳細に調べております。現在なお通院中の方あるいは障害を残した方につきましては、かなり問題があるわけでありますが、しかし当時一酸化炭素中毒で罹災した者六十六名のうち、死亡した者が四十二名、したがって二十四名がその後治療を受けたわけでございますが、二十四名中の十六名につきましては、全く障害を残しておりません。そのほかの方々につきましても、御指摘の点につきまして全く不能であるという方は比較的少ないというふうに考えております。 なお、この点につきましては精神的な面がかなり影響する問題でございますので、言動には十分注意して、むしろ鼓舞激励するように持っていく。さらに外国におきまして、そういう点につきましての刺激療法的なものもあるやに仄聞しておりますので、労災病院の医師が海外に渡航する機会もございますので、そういうことも研究してもらうように依頼をしておる次第でございます。
○細谷委員 昨日中村委員の御質問に対して、その後あまり目立った高低というものが患者には見当たらないという御答弁があったように記憶します。セックスの問題というのは、よほどの人でないとほんとうのことを言わないのです。これは一々聞いても、おそらくアンケートをとってもほんとうのことはわからないと思う。その実力以上のことを言ったり、実力以下のことを言ったり、ほんとうのところわからないのです。ところがやはり夕張の例も私は聞いておりますけれども、何年かしている間にそれが家庭の中に出てくる。それはおっしゃるように何人かということでありまして、夕張の場合何人ということも私は聞いておる。その何人の中の特に何人というところに問題があるということも、私は伺っておるわけなんですけれども、私の非常に親しい人からせんだって聞きました。その人はやはり災害を受けたが、非常に軽症の人です。最初入院していなかった。ところがどうもやはり二、三カ月してから頭が非常に重くなるということから、病院通いを始めたわけなんですけれども、その人に洗いざらい私は教えていただいたのですけれども、非常に私は深刻な問題と受け取っておるわけなんであります。不可能だとは申しませんけれども、きわめて限定された条件のもとにおいてしか可能ではない。そういう軽症の人がこういうことなんであります。そこで、この病気というものはなかなか実相はつかみにくいというわけなんでありますけれども、これは当然何らかの形で労災関係の補償の対象にするなり、あるいは特別な立法措置を講ずるなりしなければいかぬのじゃないか。たとえばじん肺法とかなんとかいう形のものとして、そういうケースとしてということでなくてということが考えられるわけですが、補償部長さんいかがですか。
○石黒政府委員 御指摘のごとく、実相は非常につかみにくい問題でございます。しかし何人かは正確にはわかりませんが、不能もしくは非常に減退という現象があるであろうということは、過去の経験に徴しても明らかであります。現在の労災保険法に基づきましては、その補償ということは考えられておらないわけでございます。また労災保険のたてまえといたしましては、労働能力の喪失度合いに応じて補償するということでございますから、その点との関連からも非常にむずかしい問題であるというふうに考えておるわけでございます。御承知のごとく、現在労災保険法の全面的な改正を労災保険審議会で審議中でございまして、その過程におきまして、御指摘のような議論も出ております。審議会において十分考慮されることを私どもとしても期待しております。
○細谷委員 私もあまりこの問題を深く突っ込みますと、速記がかりにそういう心配をしている当事者の目に映りますと、あるいは精神的にマイナスにもなるのじゃないか、こう思うので、あまり突っ込んだことを申し上げないし、あるいはお答えしている部長さんもまたそういう気持ちがあるのじゃないかと思うのですけれども、やはりこれは非常に深刻な問題として、ただ労働能力がどうのこうのということではなく、長い目で見た場合、一見健康そうであっても、これは決定的な欠陥というのが出てきておるのですから、そういう点でいま労災問題について総合的な検討をなされておるそうでありますが、この問題についてはひとつとくと実態を把握して、ということばは、これもまたなかなか言うはやすくつかみにくいことではございますけれども、ひとつ十分な対策を講じていただきたい、こう思います。 そこで最後に、時間もございませんからお尋ねしたいわけでございますけれども、現在の保安行政、たとえば労働災害というのは大体主管省である労働省がやるべきもの、この一元化というのが非常に望まれております。ところが、鉱山保安関係については通産省がやっておる。そしてそれは生産もやれやれという、保安もやれやれという、二面的な性格を持っております。なるほど今度の法律では、それはやはり生産第一で保安が軽視されないようにという形で、統括者というのができましたけれども、やはりこれはどうしても生産というものに傾きやすい、こういう問題がございます。少なくとも官庁では、その労働災害についての一元化ということが必要ではないかと思うのですが、鉱山のものは分かれておる、あるいは船員関係のやつはおそらく運輸省にあるんじゃないかと思うのですが、こういう現状でいいとお思いになっているのかどうか。これは大臣の所見を伺うのがなんですけれども、ひとつ通産省のお考え、保安局長としてのお考え、労働省としてのお考えを聞かしていただきたい。率直な意見を……。
○川原政府委員 先生すでに御高承のように、鉱山につきましては、若干他の一般の工場と態様を異にしておりまして、一つは坑内の作業であるということ、同時に、自然条件そのものが絶えず変化をしているということにからみまして、たとえば坑道の掘進そのものが、一面においては保安と直接にからんでくるという関係もございます。これに関係いたしまして、鉱業法あるいは石炭の合理化法というようなものと一緒に、全体的な行政として行なわれておるわけでありますが、何と申しましても、いま申し上げましたように、坑内そのものは、相手が機械のようにじっとしておるわけではなくて、工場そのものが言うならば移動していくという関係もございます。したがいまして、こういう点から見ますと、通産省が従来も所管をしてまいりましたし、私はこういう方向のほうが、やはり災害の問題から考えましても鉱山の特殊性に合っているんじゃないか。こういった原因もございまして、大体世界各国とも同じように、鉱山保安と鉱山の生産行政というものを大体一カ所で扱っておるという実情も、おそらくそういうところに理由があろうかと思います。ただ、もちろん鉱山保安行政につきましても、労働省で所管しておられます一般労働者の保護と密接な関係がありますことは申すまでもないことでございますが、これまでも十分通産、労働両省で連絡を保ちながらやってまいったわけでありますが、今後さらにいろいろの面におきまして、この連絡を特に強く協力をしていくという方針で、今後の鉱山保安の問題に遺憾のないようにやっていきたい、かように存じておる次第であります。
○村上(茂)政府委員 わが国の労働基準法が戦後制定されましてから、この法律がほとんどの産業に適用されます。これは諸外国の例から見ますと、労働基準法のように幅広く各種の産業に適用されるという、単行法として適用範囲の広い法律も少ない、かように私ども考えております。保安等につきましても、船員であるとか、鉱山労働者というごく小部分のものが例外とされておるわけでございまして、そういう点から見ますると、そういった特殊の労働者についても、労働省ないしは法律では労働基準法的なものの中に一括して扱うというのはどうか、こういう御意見がございますことは、現在の日本の労働基準法的な法律構造から見まして考えられ得ることであると思います。しかしながら、ただいま鉱山保安局長からもお話がありましたように、それぞれの産業の特殊性から見まして、現在のような態様になっておるわけであります。私どもは所管問題につきましては、所管の問題よりもむしろ制度の実質にあるというふうに考えておるわけであります。すなわち、欠陥がありますならば法律、命令、行政指導等によりましてその体制を整備していくことが問題の基本であるというふうに考えるわけでございまして、そういう観点から、今回鉱山保安法の改正が行なわれますことも、実質的に体制を整備するということでありまして、非常に有意義なことであろうと思うわけであります。そういう実質的な面の改善強化と相まって所管というものが考えらるべきであろう。それはそれなりに適切に行なわれるならば、制度の改変ということは要らないわけでございます。そういう点で、私どもは過日労働基準局長名をもちまして勧告をいたした次第でありまして、そういうわれわれが期待いたしておりますもろもろの点が改善されることが先決であるというふうに考えております。それとの関連におきまして、今後の所管問題はさらに検討されるべきではないか、こういうふうに考えておるような次第でございまして、その制度の改善と相まって、労働者保護の見地からの監督が適切に行なわれますように、ただいま鉱山保安局長からもお答えがありましたように通産、労働両省の連絡協調体制をさらに緊密化いたしまして、労働者の保護に当たるというふうな仕組みも考えております。そういう手段を尽くしつつ考えていきたい、かように思っておる次第でございます。
○細谷委員 保安法の五十四条に、労働大臣の通産大臣に対する勧告権というものがございます。いままで労働大臣から通産大臣に、三回勧告が行なわれておると思うのです。その勧告というのは、事故が起こったあとに勧告しておるように私は思っておる。労働基準局長からは、むろん鉱山保安局長に対する勧告権が法で規定されておると思います。いままで何べんこれをやられて、そしてその実効はどの程度と労働省としては評価なさっておるのか、お尋ねいたします。
○村上(茂)政府委員 御指摘のように、従来三回にわたりまして勧告を行ないましたが、たとえば三十五年の十一月二十五日に行ないました勧告では、ガス爆発、坑内出水というような点に関連した事項について勧告を行なったのでありますが、たとえばガス抜きの装置につきまして特殊な措置をするようにというような内容もございましたが、それに対応した鉱山保安規則の改正を見ております。 それから今回も幾つか勧告をいたしておりますが、保安管理体制の強化という点につきましては、御審議をいただいておりますような形で、法律段階で改善措置を講じておる。その他幾つかの事項につきましては、規則または行政指導の面でいろいろ御措置をなすっておるわけでありまして、私どもは従来行ないました勧告が、ほとんどの面におきまして規則——従来は法律の段階で処置されたものはございませんでしたが、鉱山保安規則及び行政指導の面で改善をされておるというふうに考えております。今回行ないました勧告の結果につきましても、鉱山保安局と連絡をいたしまして、今後規則ないしは行政指導の面で改善され得る問題につきまして、いろいろ連絡をしておるような次第でございます。勧告が単なる勧告に終わらぬようにという点につきましては、われわれも十分留意しておる次第でございます。
○細谷委員 おそらくここでははっきりとした御答弁が聞けないと思うのですけれども、鉱山保安局がつくりました三十七年二月二十日の資料によりますと、「第二回および第三回委員会において鉱山保安法改正について関係団体から意見のあった事項」という表を見ますと、石炭協会は鉱山保安法について改正の必要はない、こう言っておる。しかし、これに基づいて三十七年に改正が行なわれたことは事実であります。通商産業省が、やはり必要だということでやられました。それから日本石炭鉱業連合会、これも改正の必要はない、こう言っております。それから日本鉱業協会でも改正の必要はない、こう言っております。 ところが、それじゃ労働者の団体はどう言っておるかと言いますと、日本炭鉱労働組合はやはり、鉱山保安の監督の権限は労働省に移管すべきだということを主張している。金属鉱山の労働組合はどういうことを言っているかというと、やはりこれも、労働災害の問題は一元化すべきだということを言っております。これを見ますと、極端な差があるのです。鉱山保安法はやはり不十分だということで通産省が踏み切っておる段階において、経営者側のほうは、いや、もういじる必要はないんだという意見なんです。ところが労働者側のほうは、もっと進んで労働行政の一元化ということで労働災害、保安問題を強化すべきだということを強く主張しております。非常な大きなギャップがあります。端的に言うと、白と黒です。こういう中において、せんだっても指摘しましたように、炭鉱災害というのは増加しておる。こういう観点からいきますと、私は、ここで政府においては、過去のなわ張りとかなんとかにとらわれないで、生産は生産について全責任を持つ、労働災害についてはやはり全責任を持つ、そういういい意味においての、前向きの形においてのなわ張り争いはけっこうだと思う。そういう形において抜本的に労働行政の一元化ということをはかるべきじゃないか。しかも労働者の組織は、これを強く当時から主張しております。私はこう思うのですが、鉱山保安局長は必要なし、労働省のほうは、いまでもやれるのだが、さらに状況等を見た上で検討してもいいんじゃないか、こういうお話で、運営の問題だ、とこういうふうに片づけているわけですが、この点についてはひとつやはり抜本的に、法律ばかりじゃなくて、機構上の問題を解決していくということが必要であろう。特に私が指摘しておくことは、経営者側にも責任があります。と同時に、あるところまではりっぱに指摘をしつつも、最後の点が足りないために災害が起こるという事例が最近非常に多いわけですから、この点についてひとつとくと御研究をいただいて、抜本的な保安行政の強化、あるいは労働災害が絶滅するような方向で対策を練っていただきたいということを要望いたしまして、時間がございませんから私の質問を打ち切ります。
○中村(重)委員長代理 次会は来たる五月十一日月曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十四分散会