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46回国会衆議院1964/04/23

商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会 第3号

発言数
106
登壇者
8
会派数
2
開催日
1964/04/23

会議録

中村重光日本社会党

○中村委員長 これより商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  商工委員長との協議により、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出、鉱業法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私は、鉱業法の一部改正についてたくさんの問題がございますが、特に公益の調整を中心として、鉱区の調整問題、鉱害問題などについて、特に福田通産大臣の御意見を承りたいと存じます。若干重複する場合があるかもわかりませんが、その場合はお許しをいただきたいと思います。  昭和三十三年の衆参両院の国会の決議、当時炭鉱の掘進によって他産業、公益との調整が非常に問題になってまいりましたので、社会経済の推移にかんがみて独占的な排他的な鉱業権の内容や他経営との調整、鉱区の調整などの根本的な改正を行なうべしという決議を行なっております。ところが今回の改正を拝見いたしますと、その根本には触れないで部分的手直しの面が非常に多いように考えられまして、非常に私は不満に存じております。大臣は、この改正が衆参両院の決議に沿っておるかどうか、大臣も体験なさったように、あれほど国の重要な問題になり、二千数百億円という国家資金を投入した石炭に対して、この程度の改正で、鉱区の調整問題、鉱区の統廃合などにはほとんど触れておりませんが、この程度でその決議に沿うとお考えになっておるかどうか、まずこの点をお伺いしたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  今度の鉱業法の改正にあたりましては、御案内のように、審議会においても十分審議をいたしていただきましたし、また、ただいま御指摘がありました昭和三十三年十一月四日の参議院の附帯決議の内容等を十分考慮に入れつつ改正案を作成したつもりでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 大臣はもともと鉱業の専門家ではないのですから、核心に触れた御答弁ができかねるとは思いますけれども、石炭政策の責任者でございましたから、大体のことはおわかりになると思うのです。これは鉱業法ですから石炭ばかりではございませんが、ほとんどは石炭になるわけです。石炭の採掘によって一般公益、市街地、農林漁業などの産業に重大な影響を及ぼしておりますので、その調整が必要であるというのが当面の非常に大きな問題である。ところが、私はあとで内容に触れてまいりますが、他産業との調整はむしろ鉱業の絶対的な、独占的な立場をさらに強化しておるのでありまして、逆な行き方である。決議に沿い得たかどうかについては私は多くは申し上げません。その内容について私はお伺いいたしますが、その一般公益なり他の産業との調整を行なう場合に、なぜ審議会の委員に一般公益代表なり他産業の代表をお入れにならなかったのか、これを聞きたい。なぜそう申すかと申しますと、三十三年の、時の通産大臣の高碕さんは次のとおり言明をされております。お説のとおり、審議会委員には地方公共団体の代表、それに鉱害代表、さらに進んで従業員の代表も入れて御趣旨に沿いたいと思いますという答弁をなさっておるのです。私はここに通産省から配られました鉱業法改正要綱を持っておりますが、この審議会委員に一体一般産業の公益代表はだれなのか、これは入っていないじゃありませんか。炭鉱の代表はたくさん入っておるけれども、農林漁業の代表は入っていないじゃないですか。商工関係は入っていないじゃないですか。こういう状態だから、この鉱業法の改正はきわめて不十分である。逆の方向に向かっておる。  私ここであなたにお尋ねしたいのは、こういう国会の決議がある。公益との調整をしなくちゃならぬ。大臣もまた地方公共団体の代表や鉱害関係者代表を加えると言明をされたのに対して、全然これを無視されておること、なぜそういうことをなさったのか、その点をお伺いいたします。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 まず、他産業とのいわゆる利害の調整あるいは公益性との利害の調整の問題でございますが、これは私、もちろんこの鉱業法というもの自体がそういう問題を当初から考えて立案をされておるし、制定もされておると思います。われわれとしては、それは一つの大きな問題として頭の中に描きつつ今度の改正をいたしておるつもりでございます。鉱業権の立場から見れば、これはできるだけ鉱業権者が鉱業をできるようにしなければならないという考え方があり、一方ほかの産業から見れば、自己の事業がこれによって侵害を受けないようにしなければならないという考えがあります。公益性の立場からいえば、公益が害されないようにということでありまして、そこに利害の対立というものが必然的に起こってまいりますから、それをどのように調整するかということが、井出さんが言われるように、一番問題になると思うのであります。しからば、それがそれほど問題であるならば、なぜ審議会の委員にそういうものを加えなかったか、こういう御質問と承るのでありますが、われわれとしてはもちろん、委員のうちには入れてはおりませんですけれども、しかし参考人としてそういう人たちにも何度も来ていただいて、十分意見を聞かしてもらいましたし、委員だから発言が十分にできる、参考人だからできないということでもないと私は思います。とにかく、法律事項でございますから、純法律の立場から審議会委員というものを選んで、そうして答申を得ようと企図いたしたのでございます。その答申は、決定までの過程においては井出さんの言われるような、いわゆる利害関係者あるいはまた公益を代表する人たち等々の意見も十分にお伺いした上で、公平な第三者が加わった審議会で答申ができた、こういうふうに私たちは了解をいたしておるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 参考人はあくまでも参考人であります。発言権は委員にある。通産大臣が入れますと言っておったのを入れない、これは私は国会無視だと思います。一般公益代表なり他産業の代表を入れないところに、今度の改正の性格がはっきり出ているのです。これは他産業の調整などということはほとんど考えていない。部分的には若干ありますけれども、根本的な流れとしては、あくまでも独占的な、排他的な鉱業権の拡大をはかっていこうというところにねらいがある。私はその点に対して非常に不満であります。そこで、それじゃ一体一般の公益代表はだれか、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。私の考えは、地方自治法の二条でございますか、地方行政の基本原則というところにその点が明らかにされておると思います。地方公共の秩序を維持し、住民の安全、福祉を保持するのが地方自治の本義である、基本原則であるとうたわれておる。鉱業は都会じゃございません。地方である。地方の福祉を守っていくのは地方公共団体である。その一般公益を守り、代表するのは私は当然知事であり、市町村長であると考えております。大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 地方自治の代表はもちろん知事であり、市町村長であると思います。その場合においても、専門委員等々には副知事等を入れまして、十分にその意見を聞いている、こう思っております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 大臣は、参考人であるとか専門委員として公益代表の意見も聞くということをおっしゃる。それじゃなぜ一般の審議会の委員として、あるいはいろいろな意見を聞く相手として、そういう人を正式にお入れにならないのか。炭鉱の人は何人も入れて、他の産業の人はどうしてお入れにならないのか。地方の一般公益を守っていくのは知事であり、市町村長であるならば、なぜそういう人を入れないのか。炭鉱の人はたくさん委員に入っておりますよ。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 私はその場合の審議会の委員の選考に当たったわけではございませんから、必ずしも意見が正鵠を得ているかどうかわかりませんが、しかし鉱業法を改正する審議にあたっては、やはり公平な第三者あるいは技術者あるいは法制的にものを考える人等々の人を入れて、そうしてその地方自治を代表するとか、ほかの公益を代表するような人たちの意見も十分に参考の意見として、あるいは専門委員として聞いて、そうして答申をされておると思うのでありまして、井出さんの言われるような審議会にしたほうがよかったではないかということでございますれば、実は私が大臣になる前の昭和三十三年の話ですから、私に御質問があっても、これは事務のほうから答弁したほうがいいと思います。その事務もまた審議会ができたときのことをよく知らないわけですから、お答えいたしかねる面もあると思うのでありますが、しかし問題は要するに利害の調整がうまくできるかどうかということですけれども、もしいま井出さんの言われるようなところへ重点をあまり置き過ぎると、今度は鉱業なんて全然できません。地面の下なんかを掘ったら陥没する、そんなことではおちおち寝ていられないではないかというような話になったら、鉱業なんか認められないという極端な意見も出てくるわけであります。そこに利害の調整というものを考えるということは、これは当然だれでも考えておるところだと思うのであります。また一方において、もしそういう公益の問題をうんと前に押し出して鉱業権の問題を考えるときは、これは国営にしなければだめでしょう。おそらく私はそうなるだろうと思う。それをうんと推し進めていくと、国営論に結びつく。もしこれを自由企業の形においてやるということであれば、ある程度のところでとめていくほかに私は調整の方法がないのではないか、こう考えるのでありまして、私たちとしては、これは少しワクを離れたお答えになるかと思いますが、いわゆる自由主義経済のもとにおいて鉱業を営むことを認めるという立場でございますならば、どの程度にこれを調整するかということで問題の解決をはかるというほかいたし方がないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 審議会発足の当時にさかのぼっていつまでも私は論議しようとは思っておりません。あなたの責任ばかりではございません。しかし原案ができたときにはあなたは見ておられるはずです。あなたも頭のいい、勘のいい人ですから、さらっと見れば、これはいいとか悪いとか大体見当がつくはずです。公益との調整があるならば、一定の基準以上の地上施設をつくる場合に、それによって鉱業が侵害を受けたときは損害賠償の請求ができるということがある。それが加えられておることは明らかです。そうであるならば、一方鉱業によって他の施設が被害を受けた場合どうなるんだということを事務当局にお聞きになるのが、私は当然だと思う。あとで触れますが、そういうのが出てきておる。なぜ私がここにお尋ねしておるかと申しますと、こういう業界関係の人が多数入って審議された鉱業法改正ですから、一方的になっておるということを特に申し上げたいから述べておるのであります。けしからぬと私は思う。公益代表も入れない、農業、林業代表も入れない。そういう改正審議会というものは私はけしからぬと思う。  次に進んでお伺いしますが、鉱業権の設定にあたっては、これほど地元住民との紛争が起こっておるのでありますから、当然一般公益代表としての知事なり市町村長の意見を聞くべきではないのか、そういう改正があってしかるべきではないのかと考えるのであります。四十三条の二によりますると、知事、市町村長に通知をしてということが強くうたわれておる。鉱業権を設定して知事や市町村長に通知をする。通知をすることが調整になるとは思われません。住民との紛争があるから調整しなければならぬ。通産局長が自分が認可して、鉱業権が設定されますよと言って通知したことで調整になるものではございません。さらにまた二十六条の施業予定書というものが今回新たに設けられておりますが、その予定書の提出を求められたら、調整のために出願人にいろいろな調査なり報告を求めることができるとなっておる。しかし一般の紛争を解決するために事前に調整しようという——当局の資料によりますると、他産業との権益調整のためにそういう項目が設けられておるという説明があったので申し上げますが、施業予定書をわざわざ提出させる場合に、なぜ出願人にお聞きになるのか。他産業との権益を調整しようというなら、当然市町村長や利害関係者の意見を聞くべきではないか。出願人に聞いてわかるものじゃございません。それは、当然自分に都合のいいことしか言わないはずです。  もう一ぺん結論的に申しましょう。鉱業権設定にあたって、なぜ知事なり市町村長の意見を聞かれないのか。施業予定書を提出される場合に必要があれば調査を命ずるということは、調査を命ずるなら、なぜ出願人でなくて、市町村長や利害関係者に聞かれないのか。他産業との権益の調整という意味でこの改正が行なわれておりまするから、私はお尋ねしておるわけであります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 公益代表の意見は、条文は忘れましたが、たしか知事に聞くことになっておると思うのであります。これは条文上ございます。  それから、いま仰せのような他産業の意見をなぜ聞かないか、こういうことでありますが、これは私は、いわゆる国の持っておる一つの行政権、または国に与えておる権限ということからきておると思うのでありまして、行政官をどう見るか、信頼するかしないかという問題がかなり加わってくると思うのであります。およそ調整をやります場合には、それが公益のためになるかどうか、あるいはほかの人の権益を害さないかということを考えるのが、第一義的の問題。もしこれを考えないで行政をやっておる者がありとすれば、これは、そういう行政官は罷免すべきだ。そういうものは認めるべきではない。もちろんそういうところまでこまかく目が届くかどうかということになると、これは非常に問題がございますが、私はやはり政治をやる場合には、ある程度まかせるということがなかったら、政治はできないと思うのでございます。いま仰せになったような原則は、これはもう行政官として一番大事な点なんであって、それを考えない行政官というものは、条件にかなわない人である。行政をやる上においては条件にかなわない人だと思っている。だから、そういう問題について、通産局長なりあるいはそういうような関係者が問題を審議する場合には、また認可の問題を考える場合には、十分いま仰せになったようなことを考えて、必要に応じて、心配であったらそれば何かほかに影響がないかどうかということを、法律的に規定がなくても聞いてみる必要は当然ある。それくらいのことをしていいんじゃないか、またしているはずだといまは確信を持っておるわけでございまして、そういう意味でそこまで問題を広げなかった。もしそれを法文上明らかにするというようなことになってきました場合には、これは際限がないことになってくる。森羅万象ほとんど全部聞かなければならない。理屈を言い出すとそういうことになるわけだと感ずるわけでありまして、そこいら辺どこで打ち切るかということに相なろうかと思うのであります。非常に大事な、第一義的な御質問でありますから、非常に大事なことではありますが、われわれとしてはそういう感触を持ってこの法案を出しておる、決して井出さんの言われる点を軽視してそういうものを入れなかったんじゃなくて、そういうことは当然措置をとるべき場合には考えるべきものである、こう私どもは考えておる次第であります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 行政官庁、その衝に当たる者の心得をお説きになりました。当然そうあるべきだと私も考えます。しかし行政組織法によって、それぞれいかなる心がまえで仕事を行なうべきかについては、これは幾らか違う点があると思う。一般的には言えます。それは共通した問題でありますが、通産省の設置法によりますと、あなたのお話ばかりで割り切れるものじゃございません。最近、大臣なかなか話がうまくなったから、いかにももっともらしく聞こえるけれども、そうじゃないのです。通産省の設置法に何と書いてありますか。通商産業の開発、指導を行なう行政機関であると書いてある。他産業のことについて考えなければならぬけれども、通商産業の開発、指導が通商産業省の任務である。それに携わっておる人が考えないじゃないでしょうけれども、他の産業の権益をそれほど重く見ることができるかどうか。このあとにいろいろな問題が出てまいりますが、通産局長が権限を持っておる、行政権だとおっしゃる。それはそれでいいでしょうけれども、自分が認可したものを、これを取り消したり、あるいは訂正をさせたりいろいろなことをする場合に、それがはたしてうまくいくかどうか。通産局長は検事の役割りでしょう。検事の役割りの者が裁断をする場合に、判事の役が一緒に勤まるかどうかという問題が出てくるでしょう。判事と検事は別でなくちゃならぬはずです。いかに有能な通産官僚といえども、そういう他産業のことを均衡を保っていくというわけには参りません。通産局長に、地元の農村はどうであろうか、林業はどうであろうか、商工関係にどういう影響を与えるであろうかということがわかっているはずはないのです。もしあなたのおっしゃるようにするならば、いままで鉱業に関する紛争は起こっているはずはございません。起こらないはずです。それがだんだん日を追って鉱業に関する紛争がふえているということは、これは施業案に問題があった、鉱業権の認可に問題があったはずです。他産業との関係に問題があったはずです。だから、なぜ行政官庁である通産局長が地元の意見をお聞きにならないのか、聞く必要はないのか、私はそれを反問したい。一番知っておるのは市町村長じゃないですか。一番関係するのは利害関係者じゃないですか。そういう人になぜ意見を聞かないのかと言っておる。出願人に聞いて何になるか。出願人は自分が仕事がしたいから、自分の都合のいいことや理由をあげるでしょう。紛争が起きないように意見を聞くのならば、なぜ地元の意見を聞かないかと私は申し上げておるのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田(一)国務大臣 私は、先ほどもお答えいたしましたとおり、公益を代表する者は、当該地区においては知事である。市町村長ももちろん代表しておりましょうが、その総元締めをしておるのは知事でありますから、知事の意見を聞く。知事がもしその事情をつまびらかにしなかったならば、おそらく市町村長の意見を聞くでありましょう。そうして意見を述べるでありましょう。また、知事というものはそういう性格を持つべきものであります。だから知事が入っておれば、十分そこで公益を代表した意見が出てくる、こういう考え方に立っておるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 知事に対しては、鉱業権の出願があった場合には意見を聞くだけである、協議するだけである。私はいまのようなお考えに対しては納得しかねるのでありますが、さらに質問を進めたいと思います。  土地調整委員会の事務局長がお見えになりましたから伺いますが、鉱区の制限にあたって一体だれが発案できるのか、だれが考えるのか、だれが必要性を認めるのか、東京におって全国すみずみまでわかるはずはないのですが、それはどういうわけですか。どういうふうな手続で鉱区の制限ができるのか伺いたい。

大山隆総理府事務官(土地調整委員会事務局長)

○大山(隆)政府委員 現在鉱区禁止地域指定の請求は、各省大臣及び都道府県知事からの請求ということになっております。それによりまして土地調整委員会のほうは受けて立つ、こういうたてまえであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 市町村長はどういう関係になるわけですか。知事必ずしも全般を掌握しておるとは思われません。地方自治法にも明らかにされております。市町村長は、申請する権利はないので、市町村長が必要と見ても、知事がしない場合はどうなるのです。

大山隆総理府事務官(土地調整委員会事務局長)

○大山(隆)政府委員 現在の設置法によりましては、都道府県知事まででございまして、市町村長まで請求を認めておりません。この点につきましては、立法の過程におきましてどういう事情でそうなったか私よく存じておりませんけれども、私の聞いておりますところでは、市町村長まで下げるということは、公益的見地のほうで問題があるのじゃなかろうか、こういう御意見があったように私は聞いておりますけれども、さだかではございません。

井手以誠日本社会党

○井手委員 市町村長を加えることは公益的見地からどうかというお話、それはちょっと聞こえませんね。地方の公益を代表しないということになるのか、それはどういうわけですか。

大山隆総理府事務官(土地調整委員会事務局長)

○大山(隆)政府委員 お答え申し上げます。  市町村長を加えるか加えないかという問題につきましては、委員会の中でもだいぶ議論が出まして、設置法を改正したらどうかという問題もあったようでございます。ただ、そのときにいろいろ御議論の結果、まだ市町村長を加えなくてもいいのではないか、都道府県知事の程度でいいのじゃないかというような結論になったように私聞いております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 通産省にお伺いをいたします。これは大臣でなくてもけっこうです。  最近国土の高度利用という面から、いままでお話ししました各産業間の調整が非常に強調されておるわけでありますが、この鉱業法の中に随所に出てまいります公共の福祉、それは時代によって、経済の推移によって、石炭と他産業との比重に変わりがあることは当然であろうと思います。その公共の福祉の基準を、いまどこに置いておるのか。鉱害が非常に多い場合に、それは鉱業権として進めていくものか、他産業との経済的な判断、経済価値の問題、これをどこに置いておるのか。トン当たりの鉱害が数百円にものぼるような、そういうばく大な鉱害を及ぼすような石炭の採掘権を認めていけるのかどうか、一方において、農林水産業に非常に重大な影響を及ぼすような場合、その基準をどこに置いておるのか、公共福祉の基準をどこに置いておられるのか。一方は鉱業権であるといって主張する、一方は先祖伝来の農地がつぶれていく、家屋が傾いていく、そういう場合に、どこに公共福祉の基準を置いておられるのか。これはやはり一定の基準がなくてはならぬはずです。経済的判断の基礎がなくてはならぬはずです。それを承りたい。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 御指摘のように、鉱業法の中に随所に公共の福祉という文字が出ておるわけでございます。一般的に申し上げますと、ある地域に鉱業権を認めることによって得る国民経済的見地から見ました利益と、それを認めることによって失われる地上権益その他の損失があるわけでございますが、この利益と損失を国民経済的な見地から見て、どちらを認め、どちらを犠牲にするほうがよりベターであるか、こういう判断に基づいて、たとえば設定の場合には設定するかどうかをきめる、こういう考え方であります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 一つの基準としては、鉱害がきわめて多く発生を予想される場合には採掘を中止させる、これは当然のことだと思います。そこに一定の基準がなくてはならぬじゃないか、トン当たり八十円なり百円というものは、これはどこでも発生しておりますが、数百円にのぼるような鉱害、あなた方は一体その比較をされたことがあるのでしょうか。これは石炭局にお伺いいたします。その公共の福祉の基準ですね、施業案を認可されるような場合に、採掘によって生ずる他産業の被害と、それから石炭の採掘による利益をどういうふうに評価されておるのか、具体的にもしそういう考えがございますればこの機会に聞いておきたいと思います。

新井眞一通商産業事務官(石炭局長)

○新井政府委員 先ほど鉱山局長からお話がありましたとおりでございまして、石炭採掘とそれに伴います鉱害問題、そのほか、それだけではありません、いろいろな問題はあろうかと思います。そういうものを彼此考量いたしまして施業案の認可をやるということでございます。御承知のように、鉱害につきましては特に予想いたしまして、積み立て金その他のこともございますので、鉱害だけにつきましてはある程度の計量はやっておるわけでございます。そのほかの点につきましても、やはりいまの公益的な見地からものを考えてやっておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 鉱害については積み立て金制度があるから、基金制度があるからそれでいいというわけにはまいらぬ。それには炭鉱も負担しなくちゃならぬでしょうし、国もばく大な補助金を出さなくちゃならぬのでありますから、積み立て金や基金制度によってカバーできるものじゃない。国家の利害としていずれが大事であるかということを基準に置かねばならぬと私は思うのです。  それから、四十二条の三に、通産局長は調整上必要な指示をなすことができるというふうになっておりますが、これも先刻お尋ねしたのと同じです。通産局長は万能の神ではない。万能の行政担当者じゃないのです。他産業のことについて適正な指示ができるか。ここにもほかの行政官庁なり、公益代表の意見を聞く必要が出てくるのじゃないか。何もかにも通産局長が自分の判断でやれるということになっております。事務を進める場合にそういうことも必要であるかもしれません。しかし、他産業のことを考える場合に、通産局長一個で判断するのは私はどうかと思う。その判定を下す前には、それは必要な場合は意見は聞くこともできるでしょう。しかし、それは法制上にやはり規定すべきじゃないか。これほど重要な他産業との権益調整であるならば、一般公益代表あるいは利害関係者の意見を聞く道を開いておくことが私は当然じゃないかと思うのですが、必要な指示が通産局長にできるかどうか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 一般公益との調整につきまして、鉱業権を設定する段階にそういった代表する者の意見を聞く必要があるのじゃないかという御質問であるわけでございますが、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、現行法の二十四条を見ていただきますと、鉱業権設定の出題がございましたときに、第二十四条の趣旨は、特に一般公益上の見地から当該鉱業権の設定を認めることについて支障があるかどうかということを、一般公益を代表する人として、関係の都道府県知事にその意見を聞く、こういう趣旨でございまして、実際の運用といたしましては、この協議がございますと、都道府県知事は必ず関係の市町村長の意見も聞いて、その意見の結果をいろいろと知事の手元でおまとめになりまして、当該知事としての鉱業権設定についての意見を通産局長に回答していただく、こういうたてまえに相なっておるわけでございます。設定の場合にそういった手続、方法によりまして十分公益上の見地を尊重をしておる、こういうことにわれわれは了解いたしておるわけであります。  それからただいま御指摘になりました四十二条の三でございますが、これは地上の権益との調整のために、頭から鉱業権の設定を不許可にするということまでいかなくても、ある程度制限つきで鉱業権の設定を認めることによって地下の資源の開発ができるじゃないかという見地から、これはいわば条件つき、制限つきの鉱業権をこの新しい規定によって認める、こういうわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 知事に協議を求めることができるから十分であるという答えでございました。これは従来の規定そのままでありますが、もし十分であるしいうならば、今日これほど鉱害に対する、鉱業に関する紛争は起こっていないはずです。規定が悪かったのか運用が悪かったのか、何かわかりませんけれども、当時知事との協議が十分行なわれておるならば、いろんな紛争が起こるはずは——全然ないとは申しませんけれども、少ないはずです。それが依然として、いな、だんだん紛争が広がっておるということは、それが十分でなかった証拠であると私は申し上げたいのです。だからこの規定で十分配慮しておるということは、それはどうも納得しがたいお答えです。これはこの程度にとどめておきますが、きわめてこの点は不十分です。何回も申し上げるように、なぜほんとうに地元の意見を聞かないのか。  次にお伺いしたいのは、百八十七条に、利害関係者は説明を求めることができるとある。炭鉱に施業案その他について説明を求めることがある、炭鉱が承知しない場合は通産局長に申請ができるという規定がある。救済規定です。補則で、ほんとうに申しわけのような条文になっております。これは本来ならもっと前のほうに、補則じゃなくて、本文として堂々となぜお書きにならないのか。これは規定上の問題ですからお答えは要りません。利害関係者の救済をはかろうというなら、なぜ堂々と条文をもっと前のほうにお書きにならないのか。つけたりです。そこで、説明を求めるならば、実施については、となっておりますから、事業に着手してから地元に悪い影響を及ぼしかけたときに説明を求めることができることになっておりまして、いわゆるこれは事後の問題です。事前ではございません。事前調整にはならないわけです。その施業案の認可によって、たとえば鉱害がトン当たり何百円も起きるというようなことが明らかなときに、なぜ事前に調整の手を打つことができないのか、なぜ救済の措置を講じないのか。採掘に着手してから悪い影響が、あるいは鉱害が起きそうになってから初めて説明を求めることができるということでは、ほんとうにこれは補則としてはいいかもしれませんけれども、救済規定にはなりませんよ。しかも、私はあとで土地所有者と鉱業権との、あるいは法律上の問題もお尋ねしたいと思うが、いやしくも鉱害が多量に発生を予想されることが明らかな場合に、土地所有権が、使用権が侵害されることが明らかな場合に、なぜ事前に説明を求めることができないのか。炭鉱の事業に着手してからでなくては説明を求めることができないということでは、これではあまりにも炭鉱業者を守り過ぎてはいないのか、鉱業権者を保護し過ぎてはいないのか、この点をお伺いいたします。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 この百八十七条の、利害関係人が鉱業の実施に関する事項の説明を要求できるという規定、字句の問題でございますが、必ずしも鉱業の実施が始まってから後でなければいけない、こういう趣旨ではございません。私どもの考え方としては、まず、先ほどちょっと御指摘になりましたが、四十三条の二という新しい規定を設けまして、いままで関係の市町村長なり、あるいは当該地域の住民が、その地下にどういうぐあいに鉱業権が設定されておるか、どういう鉱物の鉱業権があるのかということが全然わからなかったわけでございますので、そういうことでは相ならない、今後問題がいろいろ、鉱害問題その他で起こる可能性があるわけでございますので、事前に地下の鉱業権の状況をまずはっきり示す必要があるのじゃないかということで、関係の市町村長に、鉱業権の設定がありますとこれを通知をいたしまして、これは単に市町村長が、通知を受けっぱなしではございませんでして、鉱区の状況等の図面も一緒にあるわけでございますから、これを市町村役場等に備えつけて一般の縦覧に供する。いままでですと、わざわざ通産局に参りまして、鉱業原簿の閲覧を申請しないとそういうことがわからなかったわけでございますが、今度のこの規定によりまして、一般の利害関係人、住民は当該市町村役場に行けばそういう資料がいつでも見られる、こういうことにいたしたわけでございます。その結果、自分がたとえば地上の土地を持っておる、あるいは地上の施設を持っておる、その施設に対して将来鉱害等が起こりはせぬかという心配があるわけでございますが、そういう心配のある場合には、いま申し上げました百八十七条のこの規定によって、今後どういうふうに地下の仕事をしていくんだということも説明を求めることができる。条文の初めにもございますようにこの地上権者が施設の設置をこれからしたい、あるいは現にある施設の保全のために地下の作業がどういうふうに行なわれるか心配である、あるいはまた鉱害が起こるかもしれない、この鉱害を予防するためにいろいろ地下の鉱業権者に注文も出さなければいかぬ、こういう場合にすべてこの百八十七条の規定によりまして説明を求められる、こういうふうに考えておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 局長の説明によりますと、鉱業権が設定された場合には市町村長に通知ができるから、事業着手前に説明を求めることができる、施業案についても説明を求めることができるというお答えです。施業案はお話しになりませんでしたけれども、そういうことになるわけです。しかしあなたのほうのこの説明書、あるいは条文によりますと、鉱業の実施に関する事項の説明、実施ということ、またあなたのほうの説明によりますと、鉱業の実施状況についての説明を求めることができる。鉱業の実施状況ということは事前もいうのかどうか、その点を明確にしておいてもらいたい。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、現に実施しているその状況だけではなくて、今後どういう方法なり規模で実施をされるか、こういうこともこの条文によって聞き得るというふうに解釈をいたしております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 その点ははっきりしておいていただきましょうか、非常に問題ですから。鉱区が設定されたあと、すなわち市町村長に鉱区設定を通知され、公示をされたあとでは、利害関係者は炭鉱に対して鉱区の事情、それから今後行なわれようとする開発計画あるいは施業案の予定、そういったものについても説明を求められるというわけですね。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 そういう解釈でおります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 ひとつその点は十分はっきりしておいてもらいたい。  次に、この点はすでに御質問あったかと思いますが、五十三条に「著しく公共の福祉に反する」こういう文字がございますが、取り消し等の処分の場合に、著しく公共の福祉に反するかどうかのいわば発案権と申しますか、発議権と申しますか、一たん鉱業権を設定させた通産局長が、自分のやった仕事に対して取り消し処分などの、いままでやった行政権の発動を改める行為が通産局長にできるかどうか。先ほどの判事と検事の話と同じですが、それがうまくいけるかどうか。通産局長の主観だけではたしていいのかどうか。他の一般公益との調整が必要であるから取り消しその他が出てくるということになりますと、調整に適当な意見ということになりますと、それは通産局長以外の意見を聞く必要が出てくるのではないか。その点について一たん認可したもの、許可したものを改める場合、取り消す場合に、同じ通産局長でうまくいけるかどうか。それは実際問題として、あるいは理論からいっても、何人か他の公正な人の発案などというものが必要ではないのか。たとえば先刻来強調されておる県知事の発案も認めていいのではないか。市町村長の、ぜひひとつこれは著しく公共の福祉に反するから変更してもらいたい、取り消してもらいたいという申請は認めてもいいんではないか。通産局長の主観だけにまかせておくということは、私は少し筋が通らぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 この条文ではおよそ鉱業権の設定なり変更なりあるいは消滅、こういった処分をいたしますのは、全部通産局長の権限にいたしてあるわけでございまして、したがいましてこの条文に基づいて取り消す場合、その判断は最終的には通産局長がいたす、こういうたてまえになっておるわけでございます。それで実際問題といたしまして、第二項にもございますように、こういう場合にはあらかじめ鉱業審査会の意見も聞くわけでございますし、それから現在でも取り消す場合のほか、いろいろ地上権益との問題が問題になるような場合には、必ず地元の市町村長なり、あるいは関係都道府県知事からの御意見なり御要望を聞き入れまして、これを慎重に検討の結果、もし取り消す必要があるということになれば、この条項によって取り消すということでございまして、事実上そういった一般公益を代表する方からの御意見は事前に十分聞ける、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから自分が最初に設定したものをその後取り消すということが、はたして通産局長としてできるのかどうかというお話でございますが、この条文の実際に適用になりますのは、鉱業権の設定をいたしまして、地下の採掘を相当おやりになり、相当時日等も経過いたしまして、その後地上の利用形態、利用の態様が変わってまいったり、あるいは地下の採掘の状況等も、当時予測しなかったような事情でいろいろ変わってまいる。要するに鉱業権設定の当初には予測しなかったような事情の変更によって、設定のときには公益の害にならぬと思ったけれども、その後の事情の変更によってこれをやはりこのまま認めるわけにいかないという場合に、この条項によって取り消しをやるわけでございまして、御指摘のような御心配はないというふうに考えるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 心配がないとは言えないのであります。自分が正しいと思って認可した鉱業権が、その後著しく公益に反する事態になった場合には、なるほど審査会の意見を聞く道はあるでしょう。けれども著しく公益に反しますよということは、これは通産局長以外の者が言うべきではないのか。通産局がやった行政行為に対して、それを著しく公共の利益に反するのだということは、通産局長がやるべきものじゃないでしょう。あるいはあっても、県知事や市町村長にそういう発案の道も開いておくことも必要ではないか。他の産業の利害関係者、団体代表も入れておく必要はないのか。通産局長がやった行政行為に対して、それが著しく公共の福祉に反する場合は、ほかの第三者かあるいは利害関係者の代表者が、通産局長のやった行為に対して異議を申し立てる、変更の処分を求めるという道は、当然開くのが私は立法の道ではないかと思うが……。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、法律にはそういう条文がなくて、審査会の意見を聞くということになっておるわけでございますが、事実上都道府県知事なり市町村長、そういった方面の御意見を十分拝聴し、尊重して進めてまいっておるわけでございますので、今後ともそれで十分であろうというふうに存じておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私は鉱業権の問題は、通産局の主観でばかり考えてもらっては困ると思うのです。一般公益との調整ということであるなら、行政処分を行なう通産局長に対して他の機関がこれに異議を申し立てたり、あるいは発案する権利を認めておくことが必要ではないか。これは立法論です。自分の行為を守ろうとするあなたのほうのやり方、一般の公益を自分のほうで見てやろうという考え方は間違いじゃないですか。——大臣、それを読みながらお聞き願いたいと思いますが、これも先刻来お話しておりましたことと同様でございまして、通産局長が正しいと思って行政処分を行なった鉱業権の認可が、その後公共の福祉に著しく反した場合には、その鉱業権の認可の変更なり取り消しを行なうことができることになっておる。そういういわゆる弁疎の道と申しますか、法律的に解釈しても、原告であるはずの通産局長、処分した通産局長がまた自分の手で取り消す。それはその発案も必要でしょう。それは経済情勢の推移その他の事態の変化によって、局長が変更を求めるような場合も起きてくるでしょう。しかし他産業との調整の意味ですから、当然知事なり市町村長からその取り消しなり変更の申請の発案ができてもいいはずです。自分のほうで何もかもやってしまおうという考え方に、鉱業法の問題があると思う。これは一貫してみんな関連しておる問題です。通産局長が何でもやってしまう。公益代表も通産局長がやる。なぜ知事なり市町村長にその変更処分の申請をすることが認められないのか、その点をお聞きしたいと思う。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 先ほどお答え申し上げたと同様に私考えておるわけでありますが、この権利の取り消しというのは、財産に対する非常な制限でございまして、一番慎重にやるべきではなかろうかという気がするわけでございます。それから五十三条の規定による、著しく公共の福祉に反するという場合は、実際に見てまいりますと非常に少ない。むしろまれでございまして、当事者の利害の衝突というふうな場合が非常に多いのじゃなかろうか。そういった当事者の利害の衝突の問題を解決するためにこの取り消し権を行使するということになりますと、これは非常に問題があるわけでございます。そういった面の問題の解決は、そのほかいろいろ条文がございますが、地上権益との利害の調整のためにいろいろ設けた制度によって処理すべきではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。何回も申し上げますが、どうしても必要な場合には、地元なり関係都道府県知事の御意見等はとくと伺いまして、通産局長としても善処をいたしたい。いままでもそういうことでやってまいったわけでありますので、私は問題の性格から見まして、この程度の条文で十分やっていける、こういうふうに存ずるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 局長が通産局の立場をお話しになるのはけっこうですが、あまりだいじょうぶだとか、自信を持ったお話は私はどうかと思う。五十三条についてはいまお話がありましたけれども、五十三条の相手は公共の福祉が中心です。三十五条によってきたものです。なるほど処分権は通産局長にあるでしょう。けれども、いままで言ったように、一般公益の代表者から行政処分の変更を求める発案権くらいは認めていいじゃないかと思う。  次に移ります。鉱業審査会を非常に重要視されておりますが、どういう構成ですか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 地方鉱業審査会、これの規定は百六十五条以下にあるわけでございまして、条文といたしましては、「会長及び委員三十人以内をもって組織する。」そのほか「特別の事項を処理させるため必要があるときは、審査会に、臨時委員を置くことができる。」こういうことになっております。それからどういう人が委員に任命されるかということにつきましては、次の第三項に「関係行政機関の職員及び前条に規定する事項に関し学識経験のある者のうちから」と、こういうことになっておりまして、私どもの考え方といたしましては、この審査会の権限等にかんがみまして、この構成につきましては、一般の公益を代表する者を中心にいたしまして、鉱業界並びにこれと密接な関連のある他の産業の権益を代表する者、こういった方々でこの組織を考えたいというふうに考えております。   〔中村石炭対策特別委員長退席、二階堂商工委員長着席〕

井手以誠日本社会党

○井手委員 それではひとつ大臣から承っておきたいのです。これは質問が途中になりましたけれども、地方鉱業審査会の意見を聞くことが再々出てくるのです。ところが従来の仲介の制度には、仲介員の候補基準というものが法文に明記されております。農林業関係も入っておる、公益代表も入っておるのに、今回の改正案によりますと、通産局長の任命一本です。法文的には公益代表を入れるとは何も書いてない。いままでは書いてある。今回は書いてない。むしろ後退しておるのです。大臣のおっしゃったことも、次の大臣になるとなかなか信用ならぬことになりますから、この機会にひとつはっきりしてもらいましょう。公益代表、農林漁業代表だれとだれ、どういう人を入れるということをはっきりしてもらいたい。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 先生御指摘のように、鉱害問題について紛争のある場合に、現行法では和解のためのいわゆる仲介員制度、これを設けているわけでございますが、今度の新しい規定によりますと、これをさらに強化いたしまして、これを行ないます機関は地方鉱業審査会でございますが、いままでの仲介だけではなくて裁定までも行なう、こういうふうに一歩前進した規定を置いているわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 機能としては一歩前進であることは私も認める。しかしその委員の顔ぶれがどうなるかについては、私は数歩後退しておると思います。和解の仲介の場合には、仲介員の候補者を「一般公益を代表する者並びに鉱業、農業、林業又はその他の産業に関し」と書いてあるのです。それは、裁定の権能を持っているでしょう。今回ほんとうに権限を拡張しようとするならば、そういう公益なり農林漁業関係の代表者を入れることを、なぜ規定にうたわないのか。全部通産局長の任命になっておるじゃございませんか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 先ほどちょっと触れましたが、この地方鉱業審査会の組織でございますけれども、百六十七条の三項の後段に「前条に規定する事項に関し学識経験のある者」こういうふうになっておりまして、現行の地方鉱業協議会に該当するわけでございますが、いま申し上げました事項に該当する規定のしかたとしては、「鉱業に関し学識経験がある者」というふうになっておりまして、範囲が非常に変わっております。それで「前条に規定する事項」というのは何かと申しますと、百六十六条に「審査会は、この法律によりその権限に属させられた事項」というふうになっておるわけでございまして、各条文一々引用することは省略さしていただきますが、要は地上のもろもろの権益、他の産業と鉱業の実施との調整をやるためのいろいろ仕事をやるわけでございまして、そういった面について学識経験のある者というふうにこの百六十七条の第三項を読むわけでございますので、具体的に農業、林業そういった書き方はいたしてございませんけれども、考え方は全く現在の仲介員を選考する範囲と同じである。こういうふうに解釈していただいてけっこうでございます。実際の運用もそういうふうにしてやるつもりでおるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 それでは委員構成、審査会構成、どういう人を選ぶかの基準をひとつ示してもらいたい。たとえば農林業関係は何名、公益代表は何名、そういうものを示していただきたい。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 いまここで具体的に、どういう業界から何名ということは、まだ今後検討してまいるわけでございまして、はっきりとは申し上げられないわけでございますけれども、一般の公益の代表者といたしましては当然都道府県知事、これは入っていただくつもりでおります。それから地方公共団体といたしましては、適当な方がおられれば市町村長の代表、これは特定の市町村、利害関係のある市町村ということではなくて、府県以下の段階の地方公共団体の意見も聞く必要があるということも当然考えられるわけでございますので、そういう方についても考慮をいたしたい。それから国の出先の機関、農林省関係あるいは建設省関係、運輸省関係、いろいろあるわけでございますが、そういった鉱業の実施と非常に密接な関係のある他の産業を公平な立場から見られる者として、国の出先の長等もやはりこの中に入れる。その他一般の学識経験者と申しますか、広く公平な見地からものごとを判断できるような、たとえば大学の先生方であるとか、こういった方もこの中に入っていただく、こういうふうに考えておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 そうすると林業、農業はどうなりますか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 これは通産局の場所によってあるいは違ってくるのじゃなかろうかと思いますので、具体的に必要がある場合には、そういう方にも入っていただくことも考えられております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 必要であるかないかは、もう鉱業は明治以来続けられておりますからわかっておりますが、入れますか入れませんか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 林業との関係につきましては、主として鉱害問題についていろいろ問題が出てくるのじゃなかろうかと思いますが、過去の鉱害を見てまいりますというと、いわゆる林業関係についての鉱害は、むしろ一般のメタル山の鉱煙の排出といった面で鉱害が起こるという場合があるわけでございますが、石炭等につきましては、そういった林業界との利益が衝突するという例は数が少ないのではなかろうかと思いますので、一般の農業に比べて、感じとしては少しウエートが低くなるのではなかろうか、こういう感じがいたしますので、具体的なそれぞれの通産局の事情等によって判断をいたしてまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 いや、この点はそう判断だけにまかせるわけにまいりません。鉱業権の設定などについては、これは行政権でしょうけれども、いまあなたお答えできないならば二、三日うちにひとつまとめてここに出してもらえませんか。林業については地域によって違うでしょう。しかし農業は当然入るべきだ、商工業も入るべきだ、その点についてお答えができれば、私は二、三日ということは申し上げません。その点はっきりおっしゃってください。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 一般的に申し上げますというと、特に鉱業の実施と関係の深い、そういった、いま先生の御指摘のような産業の利益を代表すると申しますか、そういった方々は入っていただくというたてまえでまいりたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 次に進みます。百条の十四の「土地掘さくの制限」であります。この点が若干改正になろうとしております。そこでまずお伺いしたいのは、最近の土地利用の高度化によって、地表地下五十メートルの範囲というものが、このままでいいかどうかということになってまいるのであります。この五十メートルの科学的な根拠をこの機会に伺っておきたいと思います。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 この五十メートル以内という掘さくの制限の規定でございますが、これは一般的な場合を想定いたしておりまして、普通の利用方法、これに対する地下の掘さくの及ぼす影響につきましては、過去の経験等から見まして、大体五十メートル以内ということで制限すれば足りるのではなかろうか、こういうことで、今度の場合もこの規定を変えておらないわけであります。諸外国の立法例等を見ますと、むしろこれよりももう少し距離が小さくなっておる、こういうわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 外国の例は、その国の広狭、土地利用の密度に私はよると思う。何もそのことがわが国の鉱業法の立法に直接影響があるとは考えません。土地利用が高度化してまいりますと、五十メートルでは不十分ではないかということを私は体験を通じて申し上げておりますが、なぜ五十メートルに限定されるのか、その根拠を私は聞いておる。五十メートル以上はほとんど影響がないとか、その点を聞いておるのです。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 今度新しく規定をいたしました地上の権益との調整のことでございますが、土地の一般的な普通の利用形態、これを前提にいたしますと、過去の経験等に徴しまして、五十メートル以内で十分である、こういうことに相なるわけです。問題は先生御指摘のように、土地利用が高度化した、いわゆる第百八条の二に書いております特殊施設を設置するという場合に、あるいは設置した地域について、これで十分かどうかという問題があるわけでございますが、そういった地上権益と鉱業権との利害の調整の問題につきましては、新しく設けましたいろいろの制度がございます。事前にいろいろ協議をする規定なんかもあるわけでありますが、そういった問題で解決をいたしたい、こういうようなわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私が聞いておるのは、五十メートルの根拠を聞いておるのです。私は百メートル、いやもっと地表地下の半径を広げるべきじゃないかという意見を持っておるのです。炭鉱地帯におる私の体験から言えば……。だから五十メートルがどこに根拠があるのか、それを聞いておるのです。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 これは実を申しますと、地下を掘さくいたしまして鉱物を掘採するときに、ぎりぎりの制限、要するに当該地上の施設についての、現行法ですと管理人ということになっておりますが、今度は管理人だけでは十分ではないので、当該施設の所有者、これも入れまして、そういった方々の承諾を受けなければ、絶対的に掘れない。法律上のぎりぎりの制限をこれで書いておるわけでございまして、確かに先生御指摘のように、百メートル掘ったという場合でも地上にいろいろ損害を及ぼすという問題は当然出てくるわけでございまして、そういった場合の救済規定と申しますか、ただいま申し上げました地上権益との調整のいろいろの新しい規定も入れましたので、そういう規定を活用いたしまして、地上利益の調整をうまくはかっていきたい、こういう考え方でこの地下の掘さくについてのぎりぎりの絶対的な利限がこの規定の五十メートルである、こういうふうに御解釈を願いとう存じます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 先刻最初に申し上げたように、土地の利用が高度化したから改正しなくちゃならぬというのが理由だったのです。土地の利用が高度化してまいるならば、五十メートルでは狭過ぎるではないかという考えをわれわれ持っておりますので、五十メートルというのはどういう根拠か聞いておるのです。ほかの問題は要りませんから、五十メートルならだいじょうぶだ、被害を与えないなら、与えないんだ、それでいいのです。その根拠、信念を私は聞いておる。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 何回も申し上げましたが、地上の一般の利用としての施設の設置、ここに並んでおりますのは、前段にございますいわゆる公共施設、それと並んで建物、この二つを目的にして制限をいたしておるわけでございまして、こういうここに書いておるようなものの保護のためには、過去の経験に徴しても、五十メートルで十分である。ですから、地下を掘ることによって土地が陥落する、それによって鉱害が起こる、こういう問題とは別であろうと存ずるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 別ではございませんよ。公共施設は公共の用に供するものですから、特に制限をきびしくしておるわけです。ほかのものについては五十メートルの制限はないけれども、公共の用に供するものですから、特に制限をきびしくしてある。その五十メートルというものの根拠は何かと聞いておりますけれども、おっしゃらぬから、それはいいです。聞きません。  それでは、新たに農地や宅地の三十メートル以内という制限を加えておる。こういうものを加えたことはけっこうだ。しかし公共用の建物施設は五十メートルであって、農地、宅地はなぜ三十メートルと差をつけられたのか。昭和二十七年でございましたか、資源庁の通達によりますと、公共の用に供するものについて実際に供されておるかどうかということは問題ではないという通達が出ている。人が住んでおっても、それは別だということです。住んでおろうが住んでおるまいが、それは別だ。そうなってまいりますと、いわゆる人命尊重、財産、地上権保護の立場から考えますならば、そこに居住しております者の生命、財産に危険を及ぼすような浅い土地での採掘、片一方は五十メートル、人が住んでおってもおらぬでも、それは名前だけで問わないということが出ておるのですから、まして人が住んでおる、居住しておる宅地、農地、その場合になぜ三十メートルという差をつけられたのか。五十メートルのよしあしは別にいたしましても、五十メートル、三十メートルという差をなぜつけねばならぬのか。いまでも裏山から石が鉱害のためころげ落ちることが再三あって、飛んで逃げる人があるのを私は知っております。そういう生命、財産に危険を及ぼすような鉱業の採掘によって起こる被害、それをなぜ三十メートルにされたのか、なぜ差をつけられたのか。公共建物は住んでおろうがおるまいが、名前だけでもけっこうだということですよ。それと、人間が居住しておる宅地の場合は三十メートルというふうになぜ差をつけられたのか、私はその点がふしぎでならぬ。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 この宅地の中に住宅等があります場合には、この一項の規定にあります建物、これは広く一般の建物に適用されるのでありますから、その建物から五十メートル以内の制限を受ける、こういうことになります。そういう建物がある場合は全部この一項にかかりますので、そういう場合を除きますと、この農地あるいは宅地の土地の利用形態、上に施設がなくて、立毛がある、農作物あるいは庭木等の樹木があるというようなことでございまして、一項に列挙されているような、そういった立毛等よりは地盤の四囲の面からやはり注意を要するものについては五十メートルは必要である。二項のこういう農地だとか宅地については、そういった面から五十メートルよりもまだ少し少なくていいのじゃなかろうか、こういうことでございまして、答申にもございますように三十メートル以内ということで制限をゆるくしたわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私の誤解であるかもしれませんが、それでは第一項に「その他の公共の用に供する施設並びに建物」というこの「建物」というのは、必ずしも公共用でなくて、一般の家屋も該当するのですか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 これは文字どおり、そこにございますように建物でございまして、公共の施設である建物であるかいなかを問わないわけでございます。また、住宅であると工場であると倉庫であると、こういうものを問わない。およそ建物の地表地下五十メートル以内のところを掘る場合は承諾を要する、こういうわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 さらに関連してお尋ねいたしますが、法律によりますと、採石業、砂利採取業には、鉱業権と事業実施については相互に協議することになっておりますね。採石業とかあるいは砂利採取については、相互に事業実施について協議する道が開かれておる。これは鉱業権が設定せられたあとの場合があり得ると思う。それが多いと思います。ところが先祖代々家業としておる農業経営の農地の地下を掘っておる場合、農業との相互協議というものはないのですか。採石業なり砂利採取には事業の実施について協議することができるけれども、農林業については協議する道はないのですか。ずっと昔から百姓をしておるところに、地下に鉱業権が設定される。鉱業権が設定せられたあとに、採石業を行ない、あるいは砂利採取業を行なう者は事業実施について相互協議することができるというのは、私は矛盾があると思うのですが、どうですか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 これは鉱業権と一般の土地所有権両方の権利の行使につきまして、権利の行使がまつ正面に衝突する、その程度を考えてまいりますと、採石業なり砂利採取業というものは、一般の地上の普通の土地所得権の利用の形態よりも、鉱業と非常に競合し、利害が衝突する場面が多いということで特別の規定を置いておるような次第でございまして、地上の一般の利用でございます農業等との関係につきましては、これは一般の保安上の問題といたしまして、鉱害の予防のためのいろいろの監督規定をするとか、そういったことでできるだけ他の産業に及ぼす影響を少なくする、こういうたてまえでおるわけでございます。鉱山保安法の一つの柱である鉱害の予防、これはまさにそういった趣旨からの監督でございまして、国が責任を持って監督して、両方の権利の行使について支障のないようにしたい、こういうわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 ちょっといま理解しにくい点がありますが、私はこれは法文の統一整備が欠けておると思うのです。何もそういう関係があるとか、深いか浅いかの問題ではないのです。この権利の調整に、わが国の法律制度が統一されていない点がたくさんあるのです。この鉱業関係の権利関係にはそこに私は一つの欠陥があると思うんですよ。何も関係が深いから、浅いからという問題ではないはずですよ。それならそれでけっこうです。私は何もそれを深く追及しようとは考えておりません。そういう点については、もっと農林業との協議の道を開く方法がありはしないか。これは施業案その他の問題にも関連してくるのじゃないか。そういう点で一貫性が少ないのじゃないか、こういう点でお尋ねしているわけです。何もこだわる必要はないのです。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 砂利採取業の場合の協議規定でございますが、これはあらゆる場合に協議をしなければできないというわけのものではございませんで、この規定を置いた趣旨は、おそらく一般の河床で砂利を採取いたしますときに、いままでもそういう例が多いと思いますが、いわゆる砂鉱を採取する、従前は砂鉱権と言っておりましたが、砂利じゃございませんで、やはり河床から地表を露天掘りで砂鉱、砂鉄だとか砂金、これはいまどの程度あるか存じませんが、そういう砂鉱類を採取するということになると、たまたまそこに砂利のりっぱな資源があるというような場合には、両方の権利の行使を調節する必要がある。そういう場合にとりあえず当事者に話し合いをさせる、こういう趣旨だと存ずるわけでございます。たとえば砂鉱のような地表の露天掘りで作業を行なわなければならぬという場合に、一般の地上の権益との調整の問題につきましては、これは土地所有権が優先いたしておりますので、土地所有権者との契約に基づいてその承諾なり同意がなければ絶対的に、地表を掘ってそういう地表鉱物を採取することが不可能になるわけでございまして、先生御承知のように、鉱業権よりも、その場合にはむしろ土地所有権が優先するというように考えていただけばけっこうでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 昭和二十九年、十年前ですが、あなたのほうから出ている通達によりますと五十メートル、今回新たに三十メートル以内も加わりましたが、それ以内で採掘する場合には所有者の同意が必要である、しかし正当な理由がなくては同意を拒否することができないということになっているのです。その正当な理由ということに対して、あなたのほうの通達によりますると、被害が明らかなときには地上権者は賠償金の供託を条件とすることができる、もし鉱業権者がそれを断わった場合は地上権者が保護されるということが、あなたのほうの通達に出ております。そういたしますと、たとえば農地や家屋に鉱害の明らかな場合には、その賠償金というものを供託することを条件にできるではないか。鉱害賠償金を供託して同意することになるわけです。それが正当の理由になるわけです。同意を要するという道は開けておるのですけれども、正当な理由がなければ同意を拒否することができないとなっている。ちょっとばかり日の目を見せたけれども、また暗やみになるわけです。だから、同意をする場合には賠償金の供託を条件とするというふうにはっきり理解してよろしゅうございますね。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 私いま御指摘の通牒をよく見ておりませんので、帰りましてよく検討いたしたいと思いますが、この法律上の解釈といたしましては、正当な理由がありますれば所有者は承諾を拒むことができるわけでございます。それでも鉱業権者としては困る場合には、現行法にも規定がございますが、通産局長の決定の申請ができる。通産局長は自分だけがこれをやるのではございませんでして、現在は土地調整委員会の承認が条件になっておりますが、改正法では地方鉱業審査会の意見をよく聞きまして認めるかどうかを決定する、こういうたてまえになっておるわけであります。鉱害が起こるにきまっておる、しかしそれは賠償金の積み立てさえすれば、相手方は承諾を拒めないのだという法律上の解釈には相ならないわけであります。いま御指摘の通牒等につきましては、帰りましてよく検討いたしたい、もし事実だといたしますればよく検討いたしたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 二十九年の四月十六日の日付です。これは常識的に、重大な被害を及ぼすような場合は正当な理由になる、しかし若干の被害は予想されることであるから、必ずしも正当な理由とは言えない、しかしその場合は賠償金の供託を条件にすることができる、これは私は常識だと思う。その条件にしたものを炭鉱が拒否した場合は正当な理由に当たるぞということが、あなたのほうの通達に出ておるのですよ。だから地上権に大きな被害を及ぼすことが明らかな場合は、賠償金を条件にすることができるではないか、こういうことになるわけです。私はこれをはっきりここで示してもらいたいというわけです。これは当然なことだと思うのです。何もあなたのほうが異例な通達を出したとは思っておりません。当然な措置だと思っております。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 ただいま申し上げましたように、その通牒をよく見てからでないとはっきりお答え申し上げかねるかとも思いますが、最近石炭に対する見方がだいぶ変わっておりまして、おそらくそういう通牒があるとすれば、多少の鉱害があっても、これは損害を賠償すれば足りるわけでありますから、やはり地下の石炭を国の立場としてもどうしても掘採する必要があるという考え方に基づいて、あるいはそういう通牒が出ておるのではなかろうかと思いますが、やはりそういった現時点における石炭に対する考え方と、十年前における石炭に対する考え方は多少違っておるかと思います。そういう一般的な経済状況等もやはり勘案してこの法律の運用、解釈をやるべきではなかろうかと思いますので、恐縮でございますが、よく通牒を見て検討いたしたいというふうに思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私が申し上げておるのは、地上権者を守る立場でやっている、私はそう理解しておるのです。要するに、ばく大な被害の起きそうなときには、同意しないことは当然だ、正当な理由だと思うのです。しかしいかなる事業にしろ、若干の被害を及ぼすことがあり得るということは常識です。その若干の被害でも正当な理由になるかどうかという判断の場合、その場合には若干の被害はやむを得ないけれども、そのかわりに賠償金を供託させるということも必要である。それは地上権者としては当然の主張ではないか、私はそういう意味で通達が出されたものだと思うのです。これは当然だと思うのです。若干の被害まで全部だめです。だめですと言うわけにはいかぬだろう。そういう場合には十分賠償することができる、賠償に足る賠償金の供託が必要である、それは私は当然だと思う。何も石炭企業の情勢の移り変わりではないと思うのです。よく調べておいてもらいたい。  それから次に、今度あなたのほうが特に一章を設けて加えられた、この鉱業と他の権益との調整、一定以上の施設をした場合は、損害賠償の請求権と施設設置の停止などの請求を求めることが鉱業権者にできる、今度の鉱業法改正はこういう意味で頼んだわけではない。先刻来申し上げたように、石炭の採掘その他の採掘によって他の権益が侵される場合の調整をいかにすべきかということが問題であった。ところが逆に石炭業を守る調整になっておる。私はこの点は非常に不快に感じておりますが、あなたのほうは原案を出されたのだから原案を主張されることはわかりますから、その点について論議はあまりいたしません。  そこで、鉱業権者は、一定以上の設備をした場合には損害賠償なり施設変更の停止の請求ができる。地上権者は鉱業権者にそれができるのか。地上権者の権益、たとえば人命の危険ということも考えられるでしょう、家屋の損壊も考えられるでしょう、営業上の損失も考えられるでしょう、こういうものの損害賠償の請求権、事業停止の請求権と他の権益との調整がなぜできないのか。そういう調整をするのが今度の鉱業法改正の一つの主眼であったはずなのに、鉱業を優先的に考えていく、鉱業にじゃまになるものは押えていこう、殿様のお通りだといういままでの絶対的、排他的、独占的な鉱業権というものを、さらに拡張されていくというのは非常に遺憾に思う。  これからこの点について聞きますけれども、まず鉱業権者はそういう施設の撤去を求めることができる、損害賠償請求もできるが、それでは地上権者は鉱業権者にそれができるのか、なぜ片手落ちになったのか、これは事務じゃございません。政治的な問題ですから政務次官にお伺いいたします。たとえば東京の地下に、あり得ないことでしょうけれども、鉱業権が設定されておる、採掘するために地価がずっと下がっていった、営業ができない、家は損壊した、人命は危険におちいったというような場合に、あのビルは一定以上の施設だから鉱業権者は損害賠償ができる、けれども被害を受けた者は地下の採掘については文句が言えないということはおかしいじゃないですか。その点をお伺いいたします。

田中榮一自由民主党通商産業政務次官

○田中(榮)政府委員 鉱業権設定につきまして、もちろんこうした被害防止につきましては行政官庁としての十分な監督権の行使をいたしますと同時に、被害をこうむりました者につきましては、損害賠償の責任を追求するために、被害を発生した者に対しましての訴訟手続等の道も当然開かれております。さような関係から鉱業法の中にはそれを入れませんで、別途救済法によりまして被害の賠償を求める、要求する権限が付与されておりますので、さような点で本法の改正案の中にはそれを規定しなかったわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 石炭局長にお伺いいたしますが、いま政務次官のお話では別途に救済の規定があるとおっしゃいましたが、営業上の損失、家屋の損壊、地価の減価、そういう問題についての規定はどうなっておりますか。

新井眞一通商産業事務官(石炭局長)

○新井政府委員 いま政務次官のお話にございましたように、そういう一般的な問題は民法上のいろいろな規定によりまして損害賠償があるわけで、臨時石炭鉱害復旧法の関係は、特定の物件について法制上いろいろな対策を講じております。したがいましてどういう条文があるかとおっしゃいますと、民法上の権利からいろいろな補償ができる、こういうふうに考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 いまお聞きになったでしょう。一般民法の中に規定されておる。民法にあるなら、わざわざ鉱業権が優先するような規定をここに設ける必要はないじゃないですか。採掘によって地盤が一メートル五十も沈下する例が方々にある。ちょっと雨が降れば全部畳を上げなくちゃならぬような被害を再々受けるのです。家は傾いてまいります。営業はできなくなる、あるいは土地の値段が下がってくるという問題は、民法でしか救えないとおっしゃる。そうであるならば鉱業権についても、他権益との調整は民法で規定すればいいじゃないか。わざわざ鉱業権だけを絶対の権限を拡大するような規定を設けて、そうして鉱業権によって他の権益が侵害された場合には一般の民法の規定による、それじゃ話は合わないです。政務次官御存じかどうか知りませんけれども、鉱害復旧については営業の損失は復旧の対象になっておりません。家屋の場合は地盤を上げるだけです。家屋はどうなろうと、それはたまに何年かに一ぺん障子の取りかえということはあり得るでしょうけれども、正式には認められておりません。一般の民法でやるというなら、なぜ鉱業権だけ殿様のお通りみたいに権限を拡張されるのか、片手落ちじゃないかと私は申し上げておる。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 先ほどから先生御指摘のこの五章の二の新しい規定を見てまいりますと、いずれも鉱業権者の側からの請求権の規定でございまして、確かに仰せのように鉱業権者の保護のみをはかったように見えるわけでございますが、これは法律的に見てまいりますと、決してそういうわけのものではないわけでございます。問題は二つあるわけでございますが、地下の掘採作業によって地上の権益者がいろいろ損害を受けたという場合に、その損害を賠償するための規定でございますが、これは民法の特例といたしまして、特に無過失賠償責任を課するという意味合いから、鉱業法に特別の第六章鉱害の賠償という規定がございまして、地上権益者が鉱業の実施によっていろいろ損害を受けた場合は、この民法の特例規定としての六章の規定によって救済がはかられる。これとちょうどうらはらになりますが、今度は地上に特殊の施設を設置いたしました場合に地下の掘採ができなくなった、そのために鉱業権者に損害が起きてきた、こういう場合につきましては、実は従前は民法の一般原則でこの問題を処理しておったわけでございますが、過去の例を見ますと、たとえば賠償請求を目的として試掘権を乱用する、相当その権利の乱用が実はございましたわけで、そういう権利の乱用、特に試掘権の乱用によって地上の権益者が間々お困りになる場合が非常に多いわけでございますので、そういった意味から、権利の乱用をできるだけチェックするという意味で、いままでの民法の一般的な解釈から行なっておりました鉱業権者の側から地上権益者に対する損害の賠償を、特にこの百八条の二で規定いたしたわけでございまして、ここにもございますように非常に制限的、列挙的にはっきりと賠償請求権の内容を規定いたしておりますので、これはむしろ鉱業権の乱用を防止するために新しく規定を設けて、いままでの民法の一般解釈をはずしたというふうに御理解になっていただきたいと思います。  それからもう一つは、損害が起きる前にできるだけそういう損害を防止しなければならないわけでございますが、その損害を防止するために、鉱業権者なりあるいは地上の権益者に権利を認める必要があるわけでございます。地上権益者が地下を掘採する鉱業権者に対する請求権につきましては、これは民法上当然認められますところのいわゆる物権的請求権、妨害排除請求権なり妨害予防請求権、これの行使によりまして地上の権利の保護がはかられるということで十分でございまして、逆に地上の施設に対する鉱業権者側からの妨害の予防措置につきましては、いままで必ずしも民法上の解釈もはっきりいたしておりません。鉱業権そのものが鉱業法に基づく特別の権利であるわけでございまして、その権利に基づくいわゆる物権的な請求権の内容を、新しく差しとめ請求権という規定によりましてはっきりいたしますと同時に、先ほどの損害賠償の請求権の規定と同じように、場合を非常に限定的に列挙いたしまして、この点につきましても権利の乱用を防止する、こういう趣旨で第百八条の六の規定を設けたわけでございます。したがいまして、これに対応する地上権益者の措置といたしましては、これに十分民法上の物権的な請求権として確保されております。そのことは、この鉱業法に特に規定する必要もないという法律的な見地に立ちまして規定が入れてない、こういうわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 どうも聞いておるとおかしなことになりますが、それじゃいまの一般の民法には、地上権者を特に優遇して、鉱業権者は優遇しないようになっておりますか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 先ほども申し上げましたように、地上の権益者がいろいろ土地所有権の利用形態としての施設をなされる場合に、いままでの例を見ておりますと、たとえば試掘権を持っておる、この試掘権に基づいて、今後作業をやるために非常に困るからということで、間々こういう例がございますが、試掘権者がこれからこういう仕事をしたいからということだけで裁判所に仮処分の請求をする。それによりまして、地上の権益者が土地の立ち入りさえできないという例が間々あるわけでございます。そういうふうに、非常に鉱業権が乱用されているというふうな例も過去においてございますので、そういう乱用をできるだけ防止するために、法律にはっきりその権利の内容を書きたいということで、百八条の六の規定を設けてある次第であります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 民法一般にこれは平等に適用されるものですから、それだけでは足りないというので、特に鉱業権者に損害賠償の請求権なり施設設置の停止の請求権を認める。しかし、地上権者には施設の撤去の請求権は認められておるはずがないのです。地上権者には鉱業権の施設の撤去については認められてないわけです。これは利害関係者からの請求権です。通産局長の判断とはまた別です。しかも百七条の二には、新たに土地に対する権利を鉱業権者に与えておる。あなたは列挙とおっしゃいましたけれども、列挙もあれだけあれば十分ですよ。あれ以上何がありますか。鉱業施設についてはもう網羅されております。列挙して限定したとおっしゃるけれども、網羅されておるのです。予想されるものは全部網羅されておる。それを確保するために今回百七条の二によって土地に関する権利をさらに拡張された。そしてまた、いま論議しておりまする地上権者に対する損害賠償なり施設撤去の請求権さえ認めておる。地上権者は民法では救えるけれども、なぜこれで救えないのですか。他の権益との調整をはかるのに、鉱業権を中心にして他の権益を押えるようなことばかり書いて、地上権者の権益はどうして守れますか。そこが片手落ちじゃないかと申し上げているのです。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 同じようなことを繰り返して恐縮でございますが、土地所有権その他一般に民法上認められております物権的な権利、この権利の保護につきましては、民法にそういった保護のための規定があるわけでございます。この鉱業権というのは、御承知のように、鉱業という特別法に基づいて認められた権利でございまして、この権利のための保護について特別の規定が必要ということになります場合には、やはりこの鉱業法の中に入れるべきではないか、こういうことで、ちょっと見ると片手落ちという感じがするわけでありますが、要するに、鉱業法という特別法によって認められた権利の保護のための規定はこの鉱業法でやるけれども、民法上認められている土地所有権等の保護については、民法の原則によって権利の保護をやる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。  それからもう一点、御指摘の百七条の二の土地に関する権利まで今度は行使できるようになったではないかということでございますが、これは過去の経験に徴しまして、土地の所有権だけを使用なり収用できるといたしましても、ここに例挙されているような他の領域の物権がある場合には、それだけでは不十分であるということでございまして、これは土地収用法にも同じようにこれに該当する規定があるわけでございます。過去の経験に徴し、土地収用法の規定にもならいまして、この百七条の二という新しい規定を入れた、こういうふうに御理解を願いたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 田中さん、私は二、三年前から、重油に押されておる石炭鉱業を守らなくちゃならぬということで努力してまいりました。いまでもその考えに変わりはございません。石炭鉱業は守らなければなりません。けれども、この鉱業法くらい日本資本主義の中で所有権の保護をはかった法律はないのです。絶対的なものです。鉱業権を守らなくちゃならぬという気持ちは、通産省の意見としてはわかります。けれども、現地においては、実際の状態から見ますと、全く問答無用です。土地収用法で何にもできぬ。住民が何を言おうと、災害関係があろうと、おかまいなしです。先刻来言っているように、全く殿様のお通りと同じです。そうであるから、他の権益が侵害されるので調整しようというのが今度の改正法案の主眼であった。それが逆になっておる。これはパンを求めるのに石を投げ与えたようなものです。私はこの改正については非常に不満を持っております。私は、炭鉱は守らなければならぬけれども、そのために一般住民がたいへんな被害を受け、他の権益が侵されるということは、許すわけにまいりません。  次に、百条の三、施業案です。これまた、他産業との調整をはかるために施業案の改正が行なわれているはずであります。石炭対策特別委員会や商工委員会でも、もう何回かこの点は論議されております。施業案は、財産権とおっしゃるけれども、鉱区は国のものです。これは採掘する権利を国が出願者に付与したものですから、何も秘密にしなくちゃならぬはずはない。なぜ公開できないかということを中心にお伺いをしたい。  私は、公開をされ、一般関係者に周知させてこそ他産業との調整ができるものと信じております。したがって、今度の改正規定では、先刻論議しました百八十七条でございますか、説明を求めることができるというので、求めることはできるでしょう。しかし、説明を求めただけで調整の役は果たさないのであります。説明を求める前に、そういう救済規定ではなくして、なぜ施業案を認可した場合に市町村長に通知をし、関係者に説明して意見を聞かないのか。先刻来の鉱業権の設定と同じような趣旨になるわけです。一番関係の深い施業案について、そういう関係者に周知をさせる方法をなぜとられないか。文句があったら炭鉱に言いなさい、話がさばけないならば通産局長に相談しなさいということでは親切が足りな過ぎるので、他の産業、林業なり農業との調整をはかろうとするならば、知らせなければ調整をはかるわけにまいりません。知るわけがないではないですか。一般の者が、いまのように秘密主義では知るわけがございません。私は一々名前はあげませんけれども、その採掘によってトン当たり三百円、四百円の鉱害が起きるという、そういう施業案を承知いたしております。そのために人が住んでおる家屋が数十戸も集団移転しなくてはならぬという悩みを持って、いま寄り寄り協議されていることも承知をしております。そういう利害関係のあるものをなぜ公示できないのか、進んで公示されないのか。国が付与した鉱業権、本来ならば国のものです。その施業案、施業する場合に、いろんな方面に影響を与える関係があるのに、説明を求めることができるということじゃなくて、進んで市町村に通知をし、公示をして、利害関係者に周知させるという方法がどうしてとれないのか、その点をお伺いいたします。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 施業案は地下における鉱業を実施するための基本になるわけでございまして、最も重要なものであるというふうに存ずるわけでございます。これをそのまま一般に公開するということにつきましては、やはり各鉱業権者の秘密に属する事項でありますので、事業内容を公開するというふうなことにもなりますので、そういうことについても疑問があるというふうな、審議会でもそういう答申をいただいておるわけであります。それで私どもといたしましては、施業案そのものは所管官庁としてこれを一般に公開することはできませんが、新しく設けました百八十七条の規定によって、利害関係人が当該鉱業権者に鉱業の実施に関する事項について説明をお求めになるときに、相手方が了承の上で施業案を見せるというのであれば、これは別にこれをとめる必要はないというふうに考えておるわけでございます。それから施業案というのは、御承知のように、しろうとが見ても複雑でわかりにくいわけでございます。したがいまして、そういうものよりも、実際の説明を求められた場合に、地下はどういうふうに掘っているのか、そういうことをしろうとにもわかりやすいような図面での説明ということも、その説明の要求の内容としては当然考えられる。第二項に、通産局長に申し出て、通産局のほうから説明を求めることもできるという規定になっておりますが、これは単に口頭により説明するということのほかに、必要があれば地下の実際の状況はどういうふうになされておるか、こういうことを図面をもって御説明をするということも当然考える必要があるだろうというふうに考えておりますので、施業案そのものを公開することに問題はございますが、それと同じ目的をいま申し上げました百八十七条の規定によって達せられる、これで十分ではなかろうか、こういうふうに存じておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 私が一番力を入れて論議したいのは、この施業案の問題です。そういう考えに問題があると思うのです。鉱業権者をたくさん審議会に入れて、その答申を中心に改正されるということそのものに問題があるので、先刻来申し上げておるわけです。大体地下資源というのは国のものじゃございませんか。国が合理的開発のために民間に採掘の権利を与えるのです。自分たちが営々としてきっきょ経営してつくり上げた財産なら秘密もあるでしょうが、国が与えたものです。そこに出発に違いがあるのです。国が与えたものじゃないですか。その権利をどうして秘密にしなければならないのですか。一枚の出願書が数十億という財産になっておる。それが取引されておる。そういうものをいま許していい時代でしょうか。自分たちが苦労してつくり上げた財産であるならば、秘密も要るでしょう。一枚の出願、今度は能力主義も若干加えられておりますが、先願主義で得られた鉱業権の施業案に対して、それほど秘密にしなければならない理由がどこにあるか。地上権者は、土地の所有者は、これは地表、地下に向かって権利があるはずです。ただ鉱業権によって鉱石を採掘することができる権利が与えられておりますけれども、それによってすべてが、地下が土地所有者の権限を剥奪されたものにはならないわけです。鉱石を採掘する部分だけが、地上権者の、土地所有者の権利がへこんでおるわけです。その部分だけがなくなっておるわけです。そういうように、法律論から申しまして、地上権者の権益の侵害とは申しませんが、剥奪、削減するようなこの鉱業権の設定、施業案の認可にあたって、相手の国民の権利を、所有権を分割する、あるいは縮小するような権利の付与にあたって、なぜそれを示すことができないのか。土地所有者は当然それは地下権を侵害されることになるわけですが、それは鉱業権の本旨ですからやむを得ません。当然のことと思いますけれども、しかし利害関係者になぜそれを示すことができないのか。当然これは立法上の理由だと思うのです。相手の権利を削減する場合に、それを知らせないのはおかしいじゃないか。あとで文句を言われたら説明をいたしましょうというのでは、これは立法論としては成り立ちません。当然公開すべきではないですか。相手の権利を縮める場合、今後利害関係が非常に出てくるようなものに対して、これがなぜ進んで説明ができないのですか。当然の権利である。鉱業権者の義務である。通産局の、行政官庁の責務であると私は思うのです。公開するのがあたりまえではございませんか。秘密にせなければならない理由がありますか。鉱業権者を中心に審議会の答申をまとめるからそういうことになるのですよ。他の経営と調整をしようとするのがあたりまえです。公開すべきです。これは事務ではない、政務次官からお答え願いたい。

田中榮一自由民主党通商産業政務次官

○田中(榮)政府委員 ただいまの井出先生の御意見は、一般の地上権者、土地所有者、その他非常に公益に関係のあることであるから、施業案を認可した場合には当然一般に公開をなすべきであるという御意見と承ったのでありますが、この答申案の内容を拝見いたしましても、そういうような要請があることは、答申案を作成されるときにもいろいろ考慮されたようであります。この施業案はもともと通商産業局長による鉱業監督という見地から作成されたものでございまして、その内容をすべて一般に公開することにつきましては、いろいろ財産権の問題にも関係がございますので、これは一応公開はいたしませんで、後にございまする百八十七条の規定によりまして、そうした問題が起こりましたときには、通商産業局長も十分に説明いたしまするし、また第三項の規定によりまして、通商産業局長から鉱業権者あるいは租鉱権者に対して十分に説明をせよということを指示する権限まで規定されておりますので、まずそういうような規定の活用によりまして、この土地所有者なり、あるいは地上権者なり、一般の方々の権益を保護する上においては、この規定等の活用で十分できるのではないか、かような見地から公開制は採用しなかったわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 せっかくの御答弁ですけれども、だいぶ行き違いがあるようです。私の疑問に答えていただきたいのです。  この内容を見ますると、同じ通産省という役所の中で、保安に関しては鉱山保安監督局長に相談してとあるのですよ。これは役所内部の事務の問題ですよ、保安監督局長に相談するということは。法の体系としてはおかしいのですよ、通産大臣の権限内で、鉱業権の認可については通産局長であるけれども、こういうものは内規でいいのです。内規でいいはずの通産局長の認可にあたって、保安に関しては鉱山保安監督局長に相談しなさいとある。一番利害関係のある者になぜ相談しないのですか。内輪同士には相談をする。内輪同士相談するのは、通産省としてはあたりまえですよ。課長に相談しなさい、課長補佐に相談しなさい、あたりまえの話です。内輪の問題です。内輪のものに、わざわざ法律の中で鉱山保安監督局長に相談してと書いてある。これは内規です。規則、手続です。田中さん考えてごらんなさい、地上権者の地下権については、今度は鉱業権の設定によって制限を受けますよ。鉱業権の設定によって土地所有権者の権限のあるものに制限を受けるのです。制限を受けるものについて、その権利が縮小するものに対しては公開するのがあたりまえじゃございませんか。国民の権利を縮小する場合です。利害関係です。単なる利害関係じゃない、法律上の問題です。地上権者のこの重大な利害に関するものになぜ告示ができないのか、それが一番大事な点です。問題はこれです。しかも鉱害が明らかであり、損害を与えることが明らかなものに対して——これは石炭その他を採掘していけば、被害を及ぼすことは、これは地域によって違いはありますけれども、一応起こり得ると思わねばなりません。発生することが予想される関係者にどうしてそれが進んで公開ができないのか、これが第二点。  それからこれは根本論ですけれども、自分たちがっくり上げた財産なら秘密もあるだろう、国の財産を民間に、合理的開発のために採掘の権利を付与したものにどうして秘密があるのか。そういう問題点について、次官から、ひとつはっきり、法制上の問題、立法上の問題それから政治的な最後の問題、それをお答えいただきたい。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 法律的な考え方につきまして、私のほうから御答弁させていただきます。  鉱業権は、確かに先生御指摘のように、権利を設定する段階におきましては国の特別の設権行為がございまして、これによって権利が初めて設定されるということになっておるわけでございますが、そこで認められました権利の性質そのものにつきましては、一般の土地所有権と同じように一つの財産権である、こういう解釈でおるわけでございます。その規定が十二条にあるわけでございます。したがいまして、一たん付与されました鉱業権の行使、いわば財産権の行使は、一般の他の財産権を行使する場合と同じように、それぞれの個人の秘密でございまして、設権行為を行ないました国がすぐその秘密を一般に公開するということについては、法律上非常に個人の秘密の保障という面において問題があるというふうに考えるわけでございますので、御指摘のような面につきましては、何回も答弁申し上げますが、新しく規定を置きました百八十七条の規定の活用によって十分目的が達せられるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。

田中榮一自由民主党通商産業政務次官

○田中(榮)政府委員 ただいま法律的の答えをいたしましたが、最近の、鉱山保安監督局長または鉱山保安監督部長に協議してと、内規的なものまで法律的に規定しているにかかわらず、一般の土地所有者または地上権者に何ら協議の事項を明記せぬのはまことにおかしいじゃないか、こういう御意見でございまして、この点は、通商産業局長としては、もちろん認可にあたりましてはそうしたことも十分に考慮いたしまして、第百条の五の中の規定の一から四号の中にもいろいろ規定されておりますが、「一般公益又は他の産業の利益を害し、公共の福祉に反するとき」というようなときにはもちろん認可はできないのでございますので、そういう点は十分に考慮いたしました上で認可を与えるのでございます。そういう点は協議をしなくても、まず通商産業局長の権限内におきまして十分にそうしたことも考慮いたして認可いたしますから、この点は特に明記する必要はないのではないかと考えておるわけでございます。  それから、いま申し上げましたように、もちろん国の財産でございまして、国の財産を採掘するのであるから、これを一般に公示するのは当然ではないかというお話でございますが、従来もこうした監督官庁として、あるいは行政官庁として権限を付与する場合におきまして、これを一々一般に公示するという慣例もあまりないようでございまして、そうしたことは先ほど私が説明いたしましたごとくに、百八十七条の各項の規定を十二分に活用することによって、そうしたいろいろな今後のトラブル等は十分防止できるのではないかという政治的な考え方もあるわけでございますので、さような意味におきまして本案には、いまのような公示の規定あるいは協議の規定というものは入れなかったわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 原案を守られるという主張でしょうから、意見の相違ということもあるでしょう。しかし、いまの改正の趣旨には私は賛成できかねます。  端的に鉱山局長にお伺いいたします。あらゆる権利が制限を受ける場合には、これを公示して、異議があった場合には申請を受けつけるというのがたてまえですね。個人の権利が制限を受ける場合、地上権者が制限を受ける場合には、その意見を聞く機会はどこにございますか。意見を聞く機会です。事後に通知する機会ではございません。地上権者が鉱業権の設定によって制限を受ける場合に、土地所有者はどういう救済の方法が事前にございますか。あらゆる法律の根源には必ずそこに抗弁と申しますか、弁疎と申しますか、利害関係人の意見を聞く機会が与えられておる。これがたてまえです。それはどこにございますか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 鉱業権はこの鉱業法によりまして特別に認められた権利でございまして、先ほど先生も御指摘のように、その鉱業を実施するについて必要な範囲での地下の使用、これは当然付随的にこの権利内容として認められておるわけでございます。したがいまして問題は、土地所有権等の権利の乱用にならない範囲内で認められる権利行使と衝突を起こすような場合に、やはり御指摘の調整するための措置が必要であろうと思います。そういう場合の典型的な例といたしましては、たとえば地表に近い鉱物を掘採する、こういった鉱種の鉱業権を付与するときに出てくるのじゃなかろうかと思います。その面については特に鉱業法の現行二十五条に、特定の鉱物についての鉱業権を設定する場合には事前に土地所有者の意見書を出していただく、こういう措置を講じておるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 質問にだいぶ近くなってまいりましたが、私がお伺いしておるのは、地上権者が鉱業権の設定によって権利の制約を受ける、これは明らかです。地上権者の権利が縮小される場合には、縮小される権利者の意見を聞く機会がどの法律にもあってしかるべきはず、あらねばならぬはずです。しかも鉱害を受けることが明らかなような場合には、さらにそれが必要になってまいりますが、その関係者、土地所有者、権利を持っておる者の意見を聞く機会がどこにあるかと私は聞いておるのです。五十メートルの場合はわかりました。公共物、建物のほうはわかりました。三十メートルも今度新たに加えられている。それ以外にどこにあるかと聞いている。同意を求める。あるいは意見を求める機会がどこにあるのか。権限を縮小されるのですよ。所有権を制限されるわけですよ。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 そういう場合の典型的な例として、いまお答え申し上げましたが、第二十五条には、これは特定の鉱種についてだけでございますけれども、土地所有者の意見も提出する機会を出願を処理する場合に与えなければいけない、こういう規定があるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 石炭局長に、立法じゃなくて運用についてこの点をお伺いしておきますが、石炭局長になればもう現地の紛争についてはよく御存じですからおわかりと思いますが、この利害関係者に周知させる方法について、実際の運用でどうお考えになっておるかをお伺いしたいと思います。この前の特別委員会ではかなり前進したお話があったようでございます。立法のたてまえとしては私は了解いたしませんけれども、運用の点についてかなり前進したものがあれば、また私は考えてもいいと思っております。

新井眞一通商産業事務官(石炭局長)

○新井政府委員 鉱業法のたてまえ論は、いま鉱山局長からいろいろお話がございました。やはり一つの財産権でございますので、国が権利を与えておりますことには問題があろうかと思いますが、実際石炭鉱業におきます最近の諸問題等からいたしまして、私もできるだけ施業案の段階におきまして、特に市町村の、全体の利害関係人とまではまいりませんけれども、市町村長等はその地域の代表者になりますから、できるだけ御通知を申し上げるような運営をやってまいりたい、こう考えております。しかし情勢によって若干、やはり運用問題でございますので、幅があろうかと思いますが、特に鉱害のおそれの非常に多いところ、あるいは非常に住民が心配されているところ、そういう点につきましては、逐次作業の実態というものを反映させていくようにつとめてまいりたい、こう考えておるわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 よろしゅうございますか。鉱害の発生が明らかなような施業案についてはと、前提があるわけですね。鉱害の発生が明らかなような施業案については、市町村長や関係者の代表を集めて進んで説明をいたしたい、そして紛争がなるべく起こらないように調整をいたしたい、こういう御方針である、さように理解してよろしゅうございますか。

新井眞一通商産業事務官(石炭局長)

○新井政府委員 井出先生よく御承知だと思いますが、石炭鉱業はああいう炭層条件でございますから、必ず鉱害が起こるわけでございます。したがって、鉱害が起こるものは全部というふうには申し上げなかったわけで、鉱害でいろいろ問題を生ずる、特に関係者一同が非常に心配しておるというふうな状態の場合には、進んで作業の実態を反映させていくべきであろう、こういうふうに考えております。鉱害があるものは全部進んでどうするというふうには、運用上の問題でございますので、その場合その場合によって判断をしていかなければならぬかと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 時間がだいぶ経過しましたので、さらにたくさん問題がありますが、鉱区の統廃合なり鉱害賠償について触れておきたいと思います。まず、鉱害賠償についてお聞きをいたします。  鉱害賠償については、国土保全という大事なたてまえがございます。ところが今回の改正について、常に問題になっておる金銭賠償というのが依然として残っておる。これは政府の発言ですから政務次官お聞きを願いたいのですが、かつて通産大臣の高碕さんは、原状回復が終局の目的でございますから、さように改正したいということを約束なさいました。次の根本的改正には、原状回復が終局の目的でございますから、そのように改正いたしたいという約束がございました。また、政府の石炭政策の中には、鉱害復旧を促准するということが大きな柱になっております。今日の鉱害復旧はほとんど農地あるいは水、さらに家屋です。その中でも農地が非常に多いのですが、いわゆる政府の言明並びに石炭対策の政府の国民に対する約束、あるいは現状から考えてまいりますと、当然原状回復をたてまえとして、原状回復でまとまらない、あるいは不適当な場合には金銭をもってこれにかえることができるという、そういうたてまえに変えなくちゃならぬと思うのです。変わっておりません。約束が履行されておりません。また、石炭対策の政府の約束にももとっておる。なぜこれを変えられなかったのか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 この点、従前からそういう御要望がございまして、鉱業審議会でもいろいろと御検討を願ったわけでございますが、結論的に申し上げると、たてまえとしてはやはり現行法の立て方を踏襲すべきである、こういうことに相なったわけであります。ただ、御指摘のように、国土の保全あるいは民生の安定という見地から、どうしても金銭賠償だけで能事終われりというわけにいかない場合があるわけでございまして、そういう場合に対処する制度といたしまして、御承知の臨鉱法による制度があるわけでございます。私どもはいま御指摘のような点については、臨鉱法等の特別の制度によって考えていくべきだと思います。いま民法その他の一般のわが国の法制上のたてまえからいたしますと、やはり金銭賠償主義が原則になっております。鉱業法も同じように、その経費に比べて著しく多額の費用が要らない場合には、原状の回復を請求することができるというたてまえになっておるわけでありますが、御指摘のように、鉱業権の場合にのみ原状回復を義務づけるということになりますと、実際の損害に比べまして著しく多額の負担を、鉱業権者であるがゆえに一般の損害賠償の原則以上の負担をかけさせなければいかぬという問題もございまして、そういった賠償責任の負担の公平の見地からも、鉱業権だけそういう特例を認めることはどうだろうか、こういう議論があるわけでございます。  それから、御承知の金属山等につきましては、そこで起こります鉱害というのは、たとえば煙害あるいは坑内水、廃水、これのために出てくる鉱害が多いわけであります。これはむしろ原状回復というよりも、金銭賠償でそれを行なうというのが原則的な考え方にもなるわけであります。鉱業法一般の原則としては、先ほど来申し上げましたように、現在の考え方を踏襲していくべきである。特に原状復旧等につきましては、個々ばらばらに個々の鉱業権者と被害者の間でこれを処理することについて、いろいろ問題があるわけであります。鉄道だとか、あるいは農地等になりますと、これを広く組織的に計画的に原状に復旧するということも当然考える必要があるわけでございますので、そういった面から特別の制度として臨鉱法という法律に基づく事業をやっておるわけでございまして、今後ともそういう考え方でいくべきではなかろうか。こういうことで、特に御指摘ございましたけれども、今度の鉱業法の改正につきましては現行法どおりに維持をいたした、こういうことでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 あなたはよく審議会のことをおっしゃいますが、これは憲法調査会と同じですよ。一方的なものです。鉱業権者は何人も入っておるけれども、農業関係だとか一般公益が入っていない。そういう一方的な意見を集約した改正意見は、これはあまり権威のあるものじゃございません。これは申し上げておきます。私が申し上げておるのは、原状回復がたてまえでございます。公共の福祉という終局の目的のためには原状回復がもう中心でなくちゃなりません、そういう大臣の約束があっておるのに、なぜほごになさったか、約束に違反なさったかと聞いておるのです。とかく一部の人は、被害を与えたものは金で償えばいいじゃないかと言う。しかし、親代々農地を生活の手段としている農民にとっては、かけがえのないものであります。ボルト、ナットのような工業製品とは違うのです。幾らも同じようなものとかえられるもの、工業製品とは違う。いかに農民が農地に執着をしておるか。また、農業を離れたら、陸に上がった魚同然ですよ。そういう農民にとって、被害者にとって、原状回復を求めておるのに、なぜ依然として、約束に反し、政府の公約に反して原状回復の方法をとらなかったのか。臨時鉱害復旧法というのは時限法である、補完法である。これは鉱業法の基本法典です。基本法ですよ。基本法になぜこれを改めないのか。金銭賠償というものが鉱業の基本法にあればこそ、いろいろな紛糾が起こっておる。現実にはなるほど臨時鉱害復旧法によってかなりの復旧はできておりますけれども、やはりたてまえというものはどこに置くべきか、工業製品とは違うことをはっきり私は認識してもらいたい。  私は政務次官に聞きたい。石炭政策は鉱害復旧を促進しますと約束しておる。鉱害復旧は原状回復である。高碕通産大臣は現状回復のために法律を改正いたしますと約束しておる。それがなぜされなかったのか。

田中榮一自由民主党通商産業政務次官

○田中(榮)政府委員 ただいまの御意見、私は、すべて損害が発生した場合におきましては、それは鉱害はもちろんのこと、他のいろいろな損害がある場合のことを一般的に考えますると、やはり損害が発生した場合におきましては、原則としてその原状回復をすることがたてまえだと思います。これはもう、ひとり鉱害だけではございません。すべての災害、損害におきまして、これはやはり原状回復することが一番最上の策であり、またそうせねばならないものと考えております。そこで現在臨鉱法におきまして、この法制は先生も御案内のように、あくまでこれは臨時法でございますが、この法律の規定によりまして原状回復ということが規定されております。現在、政府といたしましては、臨鉱法によりまして原状回復をいたしており、どうしてもできない場合におきましては他の方法によって損害賠償の責任を果たしておりますが、ただこれを今後、いま先生がおっしゃったように、高碕大臣のあくまで政府は原状回復をなすべきであるという大原則を、今後恒久的な原則としてやるためには、やはりこの臨鉱法というものでなくして、何らか恒久的な法律的の規定を明定することが、私は一番最上の策ではないかと考えております。しかし政府としましては、現在臨鉱法の規定によりましてこの原状回復の責任を果たしておりますので、今後これを恒久的にどうするかということにつきましては、今後われわれは十分にひとつ検討を加えていきたい、かように考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 政務次官の考え方はわかる。そういう考えを持っておられるなら、なぜ第百十一条を改正されなかったのか。第百十一条の第二項「損害の賠償は、金銭をもってする。但し、賠償金額に比して著しく多額の費用を要しないで原状の回復をすることができるときは、被害者は、原状の回復を請求することができる」というたてまえです。これは、著しく多額の費用を要しないために、金を少なく賠償するために金銭だということになるわけですね。なるべく原状回復しないで、なるべく少ない金額を賠償させようじゃないかという腹が、この中にあると思うのです。だから私言っているのです。政務次官のおっしゃるようなら、なぜ原状回復をもってするとお書きにならないのか。原案を修正しなさいよ、それだけのお考えがあるなら。田中さんなかなか信念のある人で、いまのお話はりっぱでございましたから、ひとつここで原案修正をやっていただけませんか。

田中榮一自由民主党通商産業政務次官

○田中(榮)政府委員 その百十一条の規定によりますれば、「損害の賠償は、金銭をもってする」とうたつておりますのは、現在の鉱業権者だけが多額の損害賠償の責任を負うことによって、いろいろ事業の今後の遂行に支障を来たすというようなことを非常に考慮いたしまして、いま一応損害の賠償は金銭をもってするということにいたしたのでございます。ただし、「賠償金額に比して著しく多額の費用を要しないで原状の回復をすることができるときは、被害者は、原状の回復を請求することができる。」こういう規定になっておるのでございます。そこで、炭鉱業者、鉱山業者、そうした鉱業権者のみが原状回復によりましていつも損害を償うということは、鉱業権者といたしましてやはり非常な負担になりますので、現実の問題といたしましては一応、損害の賠償は金銭をもってする、こういうようにいたしておるのでございますが、将来は、いま先生のおっしゃったように、やはり損害というものは原状回復が一番適当であろうと私は思います。また、原状回復することか一番金がかかることでございますから、そうしたことにつきましては今後ひとつ十分検討させていただきたいと考えております。

井手以誠日本社会党

○井手委員 田中さん、鉱害賠償には、農地には五割五分という高率の補助が国からあるのです。国土保全のたてまえから。民法上の一般損害賠償については、国の補助があるものはありませんよ。それほど国が、国土保全のために原状回復をしなくちゃならぬというので、その場合には多額の費用を負担する。これはいわば鉱業権者がやるべきものを国がかわってやる。先願主義で権利を与えましょう、鉱害が起これば国が半分以上補助しましょう、県を加えれば六割五分ですよ、それほど鉱業権者には特別の恩典を与えておるのに、その鉱業権者の権利を拡張するような今回の改正は、私はどうしても納得できないのです。石炭対策には、民生安定のために二千数百億円の金を払われる。これは本来ならば国営でやるべきです。西欧諸国のように。同じ資本主義の国であっても、もう少しぐらいは進歩的な法律をつくっていいはずです。もう明治時代、大正時代の鉱業法とは違っていいはずです。なるほど鉱害賠償については無過失賠償という規定が戦後加えられました。それは非常にけっこうなことです。それで助かっておることは事実ですけれども、これほど国が保護しておるものならば、もう少し筋を通した法律をつくったほうがいいのじゃないですか。私は今度の改正で鉱害賠償の点についてほとんど改正のあとが見られないのを、非常に残念に思っております。本来ならば鉱害については、これは供託金制度を強化して、加害者と被害者の相談であれこれいざこざを起こすのじゃなくて、第三者の機関が公正な立場で、被害が起きたならばさっそく復旧してやろう、損害を賠償してやろうというたてまえをとることが、私はほんとうの損害賠償のたてまえじゃないかと思う。それがほとんど今度の改正に含まれていない。私は非常に残念に思う。こう一つ見ていただいても、いかに改正審議会というものの性格、委員というものが一方に偏しておるかということがはっきりするのです。そういういままでの通産省の頭、一般権益と調整しようというのじゃなくて、鉱業権をいかにして守ってやろうかという立場に立っておる。通産官僚としては言い分はあるでしょう。それは主観であって、政治じゃない。一般産業との権益をいかに調整しようかという立場じゃないのです。  意見になりましたが、それでは担保の供託について、二十円をこえてはならぬというのはどういう意味ですか。これほど被害がふえておるのに、担保の供託が二十円をこえてはならぬという規定が依然として存続しておる。鉱業はトン当たり三百円、四百円のものがいま起きておる。平均すればトン当たり八十円から百円という炭鉱の負担がかかっておる。そういうのに、なぜ二十円のままに据え置いておりますか。あるいは鉱害賠償基金制度というものが設けられておるとお答えになるかもしれませんが、それは現実にしようがないからああいう措置がとられておるので、鉱業の基本法典に対して、数字まではっきりされておる。二十円をこえてはならぬと書いてある。これでは現状に反するもはなはだしいといわなければなりません。百円内外の鉱害が起こっておるのにわずか二十円の供託金、これであなた方はいいと思いますか。

加藤悌次通商産業事務官(鉱山局長)

○加藤政府委員 御指摘のように、鉱業法の中では石炭、亜炭についての供託金のトン当たりについての金額は変えておらないわけでございます。しかし、この点につきましては昨年臨時の立法ができまして、新しい積み立て金制度というものが発足いたしておりますので、私どもといたしましては、その実績を見まして、必要があれば今後、いまの積み立て金制度をどうするかということと関連いたしまして、もしこの規定の改正をする必要があれば検討いたしたい、こういうことで、とりあえずこの二十円という規定はそのまま据え置いたということでございます。

井手以誠日本社会党

○井手委員 とりあえずというが、もう審議会は三十三年の決議から審議を行なったじゃございませんか。二十円をこえるということの改正の必要があるならば、積み立て金制度運用の実績によって改正をしたいという。必要があればこそ積み立て金制度というものができたんじゃないですか。基本法ですよ。基本法にずっと前の、経済情勢が変わる以前の二十円をそのままに据え置いて、時限法の、しかも補完的な積み立て金制度でやむを得ずやっておるというものを、基本法でそのまま置いておくことはおかしいじゃないですか。こういうものは二十円そのもの、金額を書くこと自体に無理がある。これは積み立て金制度なり何なりに書くことはいいかもしれません。基本法には必要ないかもしれませんよ。必要であるなら、もっと実際に適応するような金額を書きなさいよ。これでも鉱害賠償についていかに冷淡であるかということが私はわかると思う。あなた方を責めるわけじゃないけれども、今度の法律改正は私どもかなり期待しておったのですよ。心配だから、通産局の何とかいう部屋に行って、どうなっておりますかと何回も聞いた。ところが、不幸にしてこういう結果になってきた。私は、いまの時代に沿うような、経済情勢の変化に応じたものが、あれほど優秀な人が通産官僚の中にはそろっているのだから、いま少しいいものができそうなものだと思った。たとえ審議会の意見がどうあろうと、もう少しりっぱなものができそうなものだ。加藤さん、あなたは頭悩明晰だという評判ですよ。そのあなたがこういう法案を出すのはおかしいです。  ほかにもいろいろありますが、時間がまいりました。私はまだ鉱区の問題で意見を聞きたいことが残っております。委員長、まことに長時間で恐縮ですが、しかしこれは基本法でございますから、全面的改正というこの打ち出しに対しましては相当聞かなければならぬ点が残っておりますので、それを留保いたしまして、本日はこれで打ち切っておきたいと思います。

二階堂進自由民主党

○二階堂委員長 本日はこれにて散会いたします。    〔午後一時七分散会〕

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