社会労働委員会 第32号
- 発言数
- 327 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/04/14
会議録
○田口委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。山田耻目君。
○山田(耻)委員 大臣におもに春闘のことについて御質問をいたしたいと思います。 十七日に公労協が中心となりまして、半日のストライキ宣言をいたしまして、異常なる決意で経済闘争である賃上げ闘争に立ち上がっておるのでありまして、現在の状態をながめてまいりますと、このまま放置をいたしておりますと、きわめて重大なストライキが全国的に行なわれるという事態に立ち至っておるというふうに判断をされますが、政府の労働行政の所管の大臣として、この事態をどのようにお考えになっておられるか、質問をいたしたいと思います。
○大橋国務大臣 十七日に予告をせられておりまするストライキにつきましては、私は、きわめて遺憾だと存じます。何とかして労使双方の努力によって重大なる結果を避けていただきたい、かように考えております。
○山田(耻)委員 非常に重大な事態であるのでこれを避けたいという大臣の御配慮であるように思われますが、ただ単に、観念的に、抽象的に、これを避けるということでは事態が円満に処理されるものとは思われません。ストライキそのものが目的ではございませんし、明らかに五千円以上の大幅賃上げという具体的な目標を持っておりますので、そういう具体的な目標にこたえるという立場というものが必ず伴っていなくてはならないのでありますけれども、具体的な面について御所見があればお聞かせ願いたいと思います。
○大橋国務大臣 なるほど組合側の要求は、五千円以上の大幅賃上げ、これがこのストライキにまで訴えようという主たる目的であると承知いたしております。したがって、私は、この問題につきまして、労使双方がいかにして解決の道を発見するか、十分に話し合いをされることを希望いたしておるわけであります。
○山田(耻)委員 大臣のおっしゃっている事柄を、少し異なった向きについて私たちは感じを受けるのでありますが、先般、本会議におきまして、社会党の多賀谷代議士の質問に対しまして、総理以下お答えになったことばの節々には、政府の責任において、具体的な回答を示すような努力への期待というものは、ほとんど見られずに、むしろきびしい弾圧ということについて多くのことばが費やされておりました。大臣も、十日からこの公労協のストに対して、どういう具体的な政策を立てるかということについて、しばしば閣僚の中で御相談なさっておる向きが新聞に出ておるのでありますけれども、いまの大臣の御答弁とかなり食い違って、問題を積極的に解決をするということよりか、かなり弾圧に向かって幾つかの諸策が検討されておるというふうに見受けられてならないのでありますけれども、その点はいかがでありますか。
○大橋国務大臣 ただいま政府といたしましては、これを回避するためのあらゆる努力を続けておるのでございまして、弾圧というような考え方でこれに対処いたしておるわけではございません。
○山田(耻)委員 回避するためにあらゆる努力を払っておられるということでありますけれども、具体的にはどういう御努力を払っておられるわけでありますか。
○大橋国務大臣 御承知のとおり、この賃上げ問題につきましては、すでに二月に組合側の申請によりまして、現在公労委の調停手続が進行中でございます。この調停手続の二カ月という法定の期限も一両日中に到来するような情勢でございまして、私は、労使双方とも、ここまでまいりました以上は、調停の結果を待ち、さらに対策を練っていくということが当然の態度ではなかろうか、こう思うのでございます。しかるに、十七日のストライキが宣言をされておるのでございまするから、このストライキは、理由のないストライキであるばかりでなく、公労法に違反したストライキでございまするから、違法のストライキにはそれだけの、法律上の結果を覚悟しなければならないということを、十分に組合側に警告いたしますることは、私は、労働省として当然の職責ではなかろうかと考えておるのでございまして、これは弾圧にはあらずして、むしろ、労働者の立場を保護するという上から申しまして当然ではなかろうかと存じます。
○山田(耻)委員 賃上げの問題が二月の十七日に調停にかかりまして、ちょうど明後日、四月十六日が定められた二カ月ということになっております。きょう事情聴取が終わりまして、午後に、会議に入られるというふうに伺っておりますけれども、大臣は、一般にいわれておるように、この調停委員会で労働書が求めておるような期待にこたえ得る結論が出る、このように御判断の上、そういう立場でものをおっしゃっているのかどうか、その点を聞きたいと思います。
○大橋国務大臣 私は、調停の結果をいまから予想するわけにはまいらないと思います。この調停を申請した組合としては、いずれにせよ、その申請に基づく調停の結果を待つというのは、条理上、当然ではなかろうか。そして、不幸にして、その調停の結果が意に満たないという場合におきましては、さらに法律の定めておりまする仲裁等の手続に進んでいくというのが、公労法の期待に沿うゆえんだ、そして、それが正しい労働運動のあり方だ、こう私は考えるのでございます。
○山田(耻)委員 ストライキが予告をされておりまする期日は、調停が終わりました翌日ということになるのでありますが、調停が労働者の期待にこたえ得るというふうな結論を導き出すならば、私は、当然、十七日の行為は打ち消されていくものだと思いますが、あなたのおっしゃっておる違法、合法の問題について、私は、もっと角度を変えてお尋ねをいたしたいと思うのであります。 公労法が施行されましたのは昭和二十五年でございますが、その公労法施行まで約三カ年間にわたりまして、いまの公共企業体等労働関係法の適用を受けておるそれぞれの組合は、憲法でいう労働三権、ストライキ権を含めた基本権を持っていたわけでございます。それが御存じのように、公労法が施行されることによりまして、そうした基本の権利に大きな制約を受けました。そうして、調停、仲裁制度という第三者の機関によって、労働者とあるいは経営者の双方の立場を拘束する仲裁制度に、こうした争いの問題が移されていったのであります。このことは私が申し上げるまでもなく大臣非常にお詳しいことでございますが、それならば昭和二十五年に第一回の調停仲裁措置がなされましたときに、なぜ政府はこれを未実施になさったのか。それからずっと昭和三十一年までに基本的な賃金に関する調停仲裁は一度も実施されたことがなかったわけです。こうした事柄が、片側でストライキ権を奪った代償の措置としてつくられた調停仲裁制度というものがきわめて一方的に労働者の権利というものを奪いっぱなしにしておるという事実について、どうお考えになっておられますか。
○大橋国務大臣 公労法によりますと、仲裁裁定の実施が予算上資金上不可能な内容を持っておる場合においては国家の議決に従うことが政府の責任に相なっておるのでございます。昭和三十年以前において国会の仲裁裁定の内容と異なったる議決がございました。それに政府が従ったことは当然だと思うのでございます。しかしながら山田委員も御承知のごとく昭和三十年以来今日まで、すなわち現在の公労委発足以来今日までベースアップの問題につきましては政府は仲裁裁定を毎回必ずそのとおり実施いたしてまいっておるわけでございます。今日においてはこの長年の慣行というものが厳然として守られておるという事実に御留意をいただきたいと思うのであります。
○山田(耻)委員 石田労働大臣になられましてから、仲裁裁定については完全実施をすべきである、することが労使の争いをまとめていく仲裁機関の権威としてそれは尊重すべきであるという労働大臣の談話が出ました。三十二年以降仲裁というものが曲がりなりにでも一応実施をされたことは私は認めます。それならば昭和二十五年から昭和三十一年までは実施をしなくてもなぜよかったのか。昭和三十二年以降は仲裁裁定を尊重し実施する。今日までそれを守ってきた。この間に大きな違いがありますけれども、これについてどのようにあなたは御解明をなさるおつもりなんですか。
○大橋国務大臣 先ほど来申し上げましたるごとく、国会におきまして仲裁裁定と異なったる内容の議決があった以上は、政府としてはその国会の議決に従うことが公労法の精神にかなっておったからでございます。その後国会におきましては異なった議決をすることなく、むしろ政府といたしましては、予算上の措置を講じて、完全に仲裁を実施するというしきたりに相なってきておるわけでございます。私はかようなしきたりを守っていくことは労働政策として必要なまた正しいことであると考えております。
○山田(耻)委員 私は今次春闘がこのように異常な高まりといわれるほど高まってきております背景には、昭和三十二年以前の仲裁裁定の不履行が多くの公労協の労働者の低賃金をもたらしておるここに一つの背景がありますし、私たちはそれをいま一度あなたにお聞きしたいのでありますけれども、この仲裁裁定の未実施というのがILOのほうにも資料として出されておりますのをごらんになったらわかると思いますけれども、約四百五十億という金額が未実施になっておるのでございます。これらの金額というものは、労働者にとってはきわめて大切な生計を償っていく賃金の未払い部分であるというふうに、労働者の人たちはみな理解をしておるのであります。こうしたところにあなた方の、ある意味ではかってな言い分である国会の議決が経られなかったということで逃げ去るのには、労働者にとってあまりにも大きな損害であるというふうにお考えにはなりませんか。
○大橋国務大臣 三十二年以降今日までたびたび公労委におきましては三公社五現業の職員の賃金について裁定を下しておるのでございます。これらの裁定というものはそのときどきにおきます物価の状態、生活費の状態、また民間賃金の状態、そういうものを勘案して従来の賃金を是正するという趣旨でできておるものでございますから、私は昨年行なわれました裁定というものは、昨年の段階においてはそれで妥当な額が定められるもの、かように考えておるのでございます。
○山田(耻)委員 今日の公労協の低賃金は、私が申し上げた事柄だけではなくて毎年毎年出されてまいります仲裁の裁定額があまりにも低いというところに原因がありますので、これは後ほどお伺いすることにいたしまして、公労協の労働者の諸君は、昭和二十五年に、仲裁裁定があれだけ期待したにもかかわらず踏みにじられていった、そのことの抗議を込めまして、ストライキ権を奪った代償として生まれた代償機関である仲裁制度というものが、あまりにも政府の一方的な力によって踏みにじられていった、こういう気持ちを抗議にあらわすために、御存じのようにハンガーストライキというものを決行いたしております。それから二十九年まで公労協の労働者は、悪法であっても法は法であるという立場をとりながら、きわめて隠忍自重しながら仲裁裁定完全実施という立場で運動を組織してきております。しかしながらこのままこういう事態を推移していくならば、公労協に働く労働者と家族の生活権は守りきれないという立場で、昭和二十九年から仲裁裁定完全実施という職場闘争を起こしていくようになっていったのであります。それから、昭和三十二年まで未実施仲裁を求めて労働者は職場大会を行なっている。そうした職場等があらためて処分の対象になり、今日まで公労協関係で公労法十七条違反として誠首されたものは二百名をこえる数に及んでおります。そうして刑事事件として弾圧を受けましたのは三百五十名をこえる数に及んでおります。企業内法で処罰をされましたものは優に百二十万をこえる数に及んでおります。こうした処罰に対する公労協の労働者の諸君は、みずからで助け合いをしながら、お互いの立場を守り合っておりますけれども、これに要した費用は二百億をこえるといわれておるのであります。仲裁未実施によって非常に多くの金額を労働者の損害としてまで裁定実施を求めて行動した労働者に対しては、そうした首切りをはじめ多くの処罰を与えておる。このことが今日、公労協の労働者がこのような決意をもって立ち上がらなくてはならない原因を持っておるというふうに大臣はお考えになりませんか。
○大橋国務大臣 山田さんのお話は、十年前の政府の行き方がいわゆる仲裁の完全実施をやらなかったという意味で正しくなかったじゃないか、なるほど三十二年以降はそういう行き方は正しくないというので完全実施の線に改められてきておるけれども、しかし昔やったそれが今度のストライキの原因をなしておるのじゃないか、こういうふうなおっしゃり方だと思うのでございますが、私は今度のストライキにつきましては、あくまでも共闘委の声明どおり、さしあたりの賃上げの道具にこれが利用されておる、こういうふうに考えておるわけでございます。またそれが正しい解釈ではなかろうか、こう思います。
○山田(耻)委員 今日まで公労協の労働者に低賃金をもたらしておる一つの要因は、全部でありませんけれども、一つの側面をなしておりますのは、過去の仲裁裁定の未実施等がやはりその中にあるという立場だけは、大臣も御理解いただけると思います。そうした過去の低賃金をもたらした仲裁制度の不信感というものが、やはり今日、公労協労働者の中にあることは間違いないと私は思います。こういう不信感というものがあり、片側で、完全実施を求めて行動すれば予想もしない大量処分、弾圧を受ける。こういうことでは組合の存立というものも、財政的な面からも運動の面からもきわめて制限をされるという苦しい場面に今日の公労協労働者の諸君は立ち至っておるのではないか、そのように判断をされますが、大臣はそう思われませんか。
○大橋国務大臣 私は、公労委に対する不信感ということは考えておりません。現に昨年の春闘のごときは、仲裁移行ということによって予告されたストが回避されたということもあるわけでございまして、去年は信用できた公労委が、その後政府も公労委の仲裁裁定を完全実施してきており、それが今年になって急に不信であるということは、私はこれは理論が立たないのじゃないか。何かその間に共闘委の作戦上の理由でもあれば格別でございますが、単なる不信感でこれを説明しようということは、私には理解できません。
○山田(耻)委員 私が申し上げましたのは、今日の公労協というものが過去の歴史の中でそういう体験を経ながら今日に到達をしておりますので、その過去の幾つかの事例の中に申し上げた不信感の要素がある。このことは当時、あなたではございませんでしたけれども、時の政府の責任者の方々が資金上予算上できないということで葬り去っていったところにも不信感があったと思うのです。こういう事柄が一つの側面としてあるということをやはり認めないわけにはいかないであろうという立場で申し上げておるわけであります。 そこで、いま五千円以上の大幅を要求しております公労協の諸君が昨年までは調停、仲裁というものを信頼しておった、今年はそれを不信に思っておるということについては理解ができないという立場で申されておりますが、若干話を進めてまいりますが、三十六年には一〇%の仲裁の裁定が出ております。民間は平均が一三・六%でございますが、公労協は一〇%の賃上げでございます。三十七年度は、民間は一〇・五%の賃上げで公労協は六%の賃上げでございます。三十八年は、民間は八・八%の引き上げで公労協は五・九%の引き上げでございます。これは基準内賃金に対する裁定として、特に三十八年は引き直して五・九%となっております。このようにして、物価の上昇のほうを見てまいりますと、昭和三十六年には七・三%、昭和三十七年には六・八%、昭和三十八年には六・七%、物価の上昇に追っつかないような賃金というものに対する調停、仲裁に対する不満というものがこの中にやはりあるものというふうに私たちは理解するのでありますけれども、その点についてはいかがですか。
○大橋国務大臣 ただいま労使間で問題になっております金額の点につきまして、労働省の立場でかれこれ申しますことは避けるべきであるかもしれませんが、ただいま御質問になりました数字の点について、過去の数字についての説明をいたして誤解を避けたいと思います。 すなわち三十六年には民間のアップ率が一三・六%、これに対して公労協は一〇%、三十七年には民間一〇・五%に対して公労協は六%、三十八年には民間八・八%に対して公労協は五・九%、かように仰せられましたが、これを比較されることは誤りでありまして、この民間のパーセンテージの中には定期昇給の率が含まれておるのであります。そうして公労協のこのパーセントの中には定期昇給が含まれておらないのでございます。したがって、三・八%ないし三・五%という定期昇給をこの公労協のパーセンテージに加算せられたものをもって官民の比較を出していただきたいと存じます。
○山田(耻)委員 私は賃金の上昇のカーブというものをお伺いしたのでありますけれども、物価はずっと上がっていく、しかし賃金のアップ率は数字で申しましたようにだんだん下がってきておる。労働者の生活はべースアップをされながらも、その苦しさを解除することができない。しかも生活様式がかなり変わりまして、最近はテレビの聴視率は国民の七六%というほど普及いたしておるわけでありますが、だんだん生活様式が変わりまして、労働者の生活というものがこうした賃金の上昇ではよく家計をささえ得ない、こういう気持ちが大幅賃金引き上げということになったというふうに理由書には明らかにされておりますけれども、その点についてはどのように大臣はお考えになりますか。
○大橋国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、現在の段階におきまして、労働大臣の立場といたしまして、この紛争の的になっております賃金の問題について発言をすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○山田(耻)委員 昭和三十六年でございましたが、初めて公社と労働組合との間において団体交渉で千円の賃上げが出たことがございます。ところがここ二回の賃上げ闘争におきまして、昨年も学卒者の初任給の引き上げ、今年もほぼこれに類したような引き上げ、ならしてみますと五十円そこそこの賃上げの回答というものがそれぞれ公社からなされておりますけれども、労働組合と公社の団体交渉の尊重すべき一つの結論として、そういう金額の提示がなされておるのでありますけれども、こういうことについて、大臣は懸命に団体交渉をしなさい、あるいは調停、仲裁委員会も労使の間でしっかり団体交渉をしてほしい、こういう注文がいつの場合の理由書の中にも書かれておるのでありますけれども、こういうならして五十円そこそこの賃上げの回答というものが、今日の賃上げを要求する労働者に対するまじめな回答としてお受け取りになりますか。
○大橋国務大臣 私、この問題はいろいろな角度から考えてみたのでございますが、公労法制定当時の予算のつくり方と、最近の予算のつくり方がだいぶ変わってきております。それは御承知のとおり、公労法制定当時におきましては、公社予算において、あるいは現業予算において、給与費の不足分に対して、他の費目から流用する道がある程度認められておったわけでございます。したがって賃金の交渉におきまして、公共企業体においては他の費用から流用できるものを調べ上げる、そうしてその財源の範囲内で賃上げの要求に対して回答をしていくという道が開けておったわけなのでございます。ところがそうしたことによりまして、財政当局としてははからざる大幅な賃上げに追い込まれるというようなことを心配されたものと見えまして、その後において、予算の編成の方針が変わりまして、予算総則に給与総額というものが明記されました。そうして他の費目から給与総額の不足分に対して流用してくるということが許されないように相なってしまった。そのために、公労法制定当時にはある程度団体交渉によって賃金問題の折衝を進めることが予算上道が開かれておった。それが今日ではふさがれてしまっておるというような事実があるのでございます。したがいまして、そういう予算編成になっておりまする関係上、財政法上許されたる権限の範囲内において、賃上げ問題について公共企業体が組合と折衝する余地というものが非常に幅が狭くなってきている。おそらくいつの春闘におきましても、組合を満足させるような回答を出すことは財政法上制限されてしまっておる、こういう状況であるのでございます。公労法がかようなことを予想してあの制度をつくったものと私は考えられないのであります。したがってこれにつきましては、予算の編成をあんばいするか、あるいはまた予算の現在の編成方針を守るとすれば、団交は事実上非常に範囲が狭くなってくるのでありますから、公労法について、何らかこの賃上げの問題については、解決の別の方途を講ずるというような必要があるのではなかろうか、かように私は考えておる次第でございます。
○山田(耻)委員 公社の労働者の賃金をきめていく手続として、組合と公社とが団体交渉をしてまとまったものを協定化し、それの予算化を国会に求めるという手続の道が一つあります。これが団体交渉を行なう解決の手だてとして認められておるからこそ団体交渉を行なっておるのであります。ところがいまあなたがおっしゃっているように、予算総則で給与総額が縛られておるから、事実上、団体交渉をしたって当事者能力を欠いてしまったので無意味だということをおっしゃるのでありますけれども、それならば一体公労法の精神をじゅうりんをしておるのはだれだろうということになるわけです。しかしながら公労法のたてまえからいきますと、労働者の賃金決定については、労使双方が団体交渉を行ない、まとまった事柄について国会で議決を要する、こういう手続が厳然として片側では労使間の基本の団交権の問題として与えられておるわけでございますので、この点については、あなたのおっしゃるような答弁では直ちに解釈上受け取るわけにはまいらぬのですが、その点についてもっと御答弁いただきたいと思います。
○大橋国務大臣 法律解釈としてはあなたの言われるとおりであります。しかしながら、事実上の団体交渉の幅というものが、昭和二十九年の給与に関する特例法とか、あるいは予算の総則とか、こういうもので法律的に可能なるものが事実上縛られておるということも、私は認めなければならぬと思うのでございます。かような事実をもととして、今後この公労法の運用をどうするかということは、これは労働省としては真剣に考えなければならぬ問題ではなかろうかと思います。ことに、公共企業体ばかりでなく、幾多の公団等がございます。この公団等における団体交渉につきましても、給与に関する問題につきましては同様の問題があると考えております。
○山田(耻)委員 法律的には団体交渉権がありますし、しかも労働運動の一番大切な賃金の問題については、団体交渉の対象としてここで解決の道を見つけていくという道筋は残されておる。しかしながら、事実上給与総額で縛られてしまって、それは用を果たさないのであるということになりますと、公社労働組合に関してはスト権も奪い、事実上賃金関係については団体交渉権すら奪われておるということに結果的になるじゃございませんか。一体こういうふうに公労法の精神をじゅうりんした責任というものはどこにあるのですか。これを明らかにしてください。
○大橋国務大臣 これは申すまでもなく、予算にいたしましても法律にいたしましても、政府だけでやったものではございません。国会の議決を経て正しく制定されたものなのであります。そして、公務員がスト権を奪われておる、しかも給与については団体交渉もなかなか思うようにいかぬとすれば、どうすればいいかということでございますが、スト権を奪われた代償として、御承知のように公労委という公正なる第三者機関が法律によって定められて、しかもその公労委の行ないました仲裁は、最近の慣行として必ずこれがそのとおり実施されるということによりまして、賃金の要求に関する労働者の立場というものは十分に保護されておるわけでございます。このことは、スト権の制限ということがILOにおいて問題に相なったことがございまするが、ILOもその代償措置として公労委の制度があり、公労委の仲裁が完全に実施されておるという事実にかんがみまして、これは一般の労働慣行から見て適当であるという判断をいたしておるような事実もあるわけでございます。
○山田(耻)委員 どうも大臣、私わからないのでございますけれども、労使が意見がまとまらずに争いが深まっていく、その中で公労法では十七条で禁止をされておりますから、実力行使は云々ということを言われておるわけです。そういう場合には第三者の調停仲裁機関に移行する道が手続として残されておる。調停仲裁に移行する道筋は、賃金関係の団体交渉権が否認されておるから、ここへ移行するということで調停仲裁制度ができておるのではないのです。公社の労働組合と公社とは賃金問題など労働条件に関する問題については団体交渉の対象となり、団体交渉でまとめ上げていくのが原則とされておるわけです。にもかかわらず、その部分については事実上団体交渉というものは無意味になっておる。無意味になっておるから調停仲裁機関に移行したらいいじゃないか、こういうおっしゃり方というのは、私は公労法のいう精神を大臣は十分御理解なさっていないのではないかという点について、もっと具体的にあなたの所信を述べていただきたい。
○大橋国務大臣 団体交渉の幅が狭くなっておるということを私は申したのであります。団体交渉というものは、労働者側の要求に対して常に使用者側は完全に受諾する、すなわちイエスと言わなければならぬものではございません。ノーと言う自由があるわけでございます。したがって、団体交渉においてはノーと言われることがケースとして非常に多いということを言ったので、それを私は団体交渉において公社側が交渉に対して回答し得る余地は狭い、こういう表現をいたしたのであります。団体交渉を認めないというわけではございません。
○山田(耻)委員 しかし、私はほかの労働条件等に関して団体交渉をしておる事実を承知しておりますから、それは別といたしまして、経済問題の中軸になっておる賃金問題については、法律上は団体交渉して、結論をつけて、国会に出して承認を求めるという手続がとられるようになっているにかかわらず、当局、経営者が当事者能力を欠いておる。このことは事実上団体交渉の対象に賃金要求というものがならないような結果を招くことになっておるのだけれども、その点については法律的矛盾をお感じになりませんかと私は聞いておるわけです。
○大橋国務大臣 これは法律的の矛盾ではなくて、事実上の問題でございます。
○山田(耻)委員 予算総則の関係もその法律でありますし、公労法の関係も法律でございますし、これがそれぞれ異なった方向を指向している場合には全然用をなさないのがいまの現状でございますので、これらがきわめて労使間の紛争を激化する条件になっている。仲裁裁定も調停委員会も今日まで出ておりますあの理由書の中には、なぜもっと労使が団体交渉しないかということを再三にわたって書かれておる。そういうことをこの法律をまじめに実施をなさっておると理解をされます調停委員会なり仲裁委員会の方々は、団体交渉の中で十分解決できるという立場を絶えず労働者に示される。あなたのような立場は示されていないわけです。ここに労働者が団交権が、軽視をされる、信頼できない、こういう気持ちを片側で持ってくるという理由もあることについて、あなたも御理解をいただきたいと思うわけであります。 そこで、私は今日のこの事態というものはきわめて憂慮すべき事態でありますし、十六日には調停の段階も終わっていきますので、十七日という事態を目前に控えまして、調停委員会の結論がどう出るか、予測できないにいたしましても、政府並びに労働大臣としては、この事態を円満に解決をするために何らかの具体策をお持ちではないだろうかということについてあなたの御意見を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 労働省といたしましては、先般来違法ストであるということを御承知ない方があってはいけませんから、これは公労法によって禁止されておるということを明らかにいたしましたし、またさような違法ストを敢行するということは、大幅賃上げの要求を達成するという争議の目的から見ても決して合理的な手段ではないということを説得いたしておる次第でございます。
○山田(耻)委員 おっしゃっておることは前に述べられた繰り返しでございますが、私は、争議の違法性については裁判で争っておる事柄もございますし、ここで公労法自体が憲法違反であるという立場について、あなたの御解明を求めようとも思いませんけれども、政府としてこうした緊急なる事態、国民に多くの御迷惑をかけるような事態に対して、行なおうとするストライキに対する違法性の追及なりそれを中心としたPRなりそういうものでなくて、政治の面でこれを解決をするという積極的な意思があるかどうかということをお伺いしておるわけであります。
○大橋国務大臣 この問題に対しましては、政府の中でも使用者側を代表いたします各省があるわけでございます。たとえば国鉄については運輸省、運輸省といたしましては国鉄の運行を円滑にし、これに障害を生じさせないようにする責任もあるわけでございますし、また使用者であるところの国鉄を監督いたしまして、争議の円満解決を指導していくという立場もあるわけでございます。したがって、これらの立場に立ちまして、各省ともそれぞれ最後の努力を続けておる次第でございます。
○山田(耻)委員 そういう運輸省なりそれぞれの監督省がそれぞれの公社等に対して正常な業務が確保されるように、あるいは争議が円満に解決をされるようにという立場でそれぞれ督励をするということについてはわかりますけれども、事態がきわめて重大でございますし、政府並びに労働大臣として政治の面から、行政上の面から円満解決を積極的に導き出すような施策なり御努力というものについて何か具体策をお持ちかどうか、こういう点についてお伺いをしておるわけであります。
○大橋国務大臣 大体使用者側の態度を見ておりますと、使用者側は調停段階において具体的な賃金の引き上げの数字を示すということはどうも困難な状況にあるように思われるのでございます。したがって、私はこの賃上げ問題の解決を急ぐということは結局仲裁の結果に待たざるを得ないのではなかろうか、そうであるといたしますならば、要求を出し、要求のすみやかなる解決を願っておられる労働組合側としては、この段階においてその目的である賃上げ要求のすみやかなる解決という道に到達し得る方法というものは仲裁をすみやかに求めるという手段ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。しいて御相談があれば、それが問題の解決の一番の早道であろうか、とこういうふうに感じておるわけでございます。
○山田(耻)委員 国鉄総裁に俗に言う春闘賃上げの問題について少しお伺いしたいと思います。 国鉄労働組合も七千六百円の賃金要求を総裁のほうに提出をしまして、約四カ月間にわたりまして団体交渉いたしてまいったのでありますが、交渉が不調に終わり、調停委員会に調停の申請をするという運びになった経緯については十分御存じだと思いますが、十七日にはきわめて高い半日のストライキを行なうということを明らかにして積極的に賃上げに取り組んでおりますが、今日まで総裁としてはどういう配慮をされて事態の円満なる解決に御努力なさったか、それらについてお話を伺いたいと思います。
○石田説明員 お答えいたします。 四カ月すったもんだでついにまとまらぬで結局労使打ち合わせの上、これをそれじゃ調停委員会に持ち込もうということで調停委員会に持っていったわけです。われわれとしては調停委員会に持っていって仲裁裁定に持っていって、結局そこでうまくまとまるのじゃないか。これは何もことしに限ったことではなく、去年においてもそうなんです。別に新機軸を打ち出したわけじゃない。だからしてすでに過去においてしかり、今度も同じような線で組合のほうも承諾したので解決がつくのじゃないか、こういうことで実はまくらを高うしておったところが、突然として爆弾が落っこちたようにストライキというようなことでは、実ははなはだ驚いたわけです。
○山田(耻)委員 いまも労働大臣といろいろやりとりしておったのでありますが、国鉄労働組合と団体交渉を賃金問題でおやりになって、額が高いからまとまらなかったのか、それとも期間が短か過ぎてまとまらなかったのか、それともまとめずに調停に持っていったほうがいいからということで調停に持っていったのか、どういう態度で調停に臨まれたのか。
○石田説明員 こういう質問を山田さんから受けるのははなはだ心外です。何ともなれば、これは何もことしに限ったことじゃない。過去においても同じような筋道で解決したので、結局過去における筋道を通って解決する、これで円満に解決がつくのじゃないか、こういうように私は考えておった。実はこの間国労の代表者に会いましたときに、私は同じようなことを申し上げた。実はこれでもううまく仲裁裁定へ持っていって解決がつくということで安心しておったところが、突然えらい大砲をぶち込まれたということで、一体どういうわけなんだ、そうすると、とにかく政府は、いまの日本の状態にかんがみて、この裁定に対して何かしらんが干渉するような態度で実にけしからぬ、こういうようなことで、その話から聞きますと、つまり今度のストというものは国鉄対組合の問題でなくて、組合対政府の問題だ、そのしりがきたのだ。われわれとしては実に迷惑千万だ。
○山田(耻)委員 そこで、総裁としておっしゃっておること、私ことばのやりとりとしてだけでなくて、いまの国鉄総裁としての当事者能力の中で、賃金問題について給与総則との関係でまとめ得る立場にない、言いかえると当事者能力がない、こういうことが今日の給与総則の法律上の解釈の中からは言えるわけです。それが国鉄の労使の間における賃金問題に関する団体交渉というものを手続的に押しやって第三者機関に持っていった。ところが公労法八条には国鉄労働者の賃金問題、労働条件に関する問題、こうした事柄は団体交渉の対象として明らかにされておるわけです。去年の仲裁裁定書を見ましても、兼子会長のほうからもっと労使で団体交渉してきなさい、なぜ団体交渉を十分しないのかというおしかりがあの仲裁裁定書の中にも書かれておりますが、事実上団体交渉で幾ばくかの金額を総裁の権限で妥結し得る能力があるのかないのか、この点についてひとつお答えをいただきましたならば、政府と労働組合という関係についての結論が出そうに思いますので、その点についてお答えいただきたいと思います。
○石田説明員 山田さんに申し上げますが、調停委員会に持っていったのは組合なんです。だからして、国鉄総裁は自己の権限内において解決しないでもって調停へ持ち込んだのは変じゃないか、こういうのだが、持ち込んだのは組合だ、この点はどうぞ御認識を間違えないようにしてもらいたい。われわれは、組合が持っていこうと言うからよろしいということで持っていったわけであります。
○山田(耻)委員 総裁、私が聞いておることが御理解願えなかったかと思うのでありますが、決してお年寄りだとは思いません。いままで賃金紛争につきましては労使双方が団体交渉の議事録確認をつけて、一方が持っていく場合でも片側も議事録確認を認め合って持っていっておる。どっちが先に持っていった、どっちがあとに持っていったということでたいへんな労使間の手続的な争いをしたということは、ときにございましたけれども、あまり例がないのです。今回の場合もそうだったと私は見ているのです。私はそういうどっちが持っていったかということを聞いているのではなくて、国鉄総裁としていまの給与総額できめられた予算の中で、これをこえて賃金の妥結をする権限がありますかどうか、こういうことをお伺いしておるわけであります。
○石田説明員 これはなかなかむずかしい問題です。御承知のとおり、国鉄は独立採算制のもとにありますので、バランスを破るということは相当に重大な問題であります。ところが国鉄の経理につきましては、御承知のとおり、三十九年度における収入は、われわれの予算は約六千億であります。それを大蔵省がプラス二百億——はたしてこの二百億が実現できるかどうかわからない。そうすると、われわれの計算でいけば、結局六千百億収入があればけっこうだ。六千二百六十六億というようなことはむずかしいと思っております。そこへもってきて七千六百円というような膨大な要求をいれるということは、確かにもう収支が合わなくなってくる。三十九年度の予算から見ますと、人件費、修繕費、それからそのほかに入っておるやつを入れますと、ちょうど三千億以上になると私は思います。これはたいへんなことですよ。三千百億くらいになるのじゃないですか。今度の仲裁裁定がかりに普通にいきますと考えまして、そうすると全収入の五割以上というものが人件費に食われる、こういうことになる。これは国鉄総裁として独立採算のたてまえから経営していかなければならぬ私の責任上、この七千大百円をそのまままるのみすることはとてもできるものではない。しかし私は国鉄の職員の給与というものは決して正当なものじゃないので、これは是正をするということで実は大いに戦っておるわけであります。これには資金が要る。どこにその資金を求めるかというと、今度、来たる四十年度の予算のときに大いに、あなた方反対に立つか、賛成に立つか知らぬけれども、ファイトしてこの資金を確保して、何とかいまの国鉄の職員の給与の格差を——格差というのは他の二公社に対する格差です。これをひとつ是正するようにつとめたい、こういうように考えておるのであります。
○山田(耻)委員 要求した金額が高過ぎて国鉄の財政上それがむずかしいということとか、あるいはそれがもしも財政上は可能であったとしても、予算給与総額をこえて賃金の支給を行なう場合には、労働組合と総裁との間で何がしかの金額がまとまって、その額が給与総額をこえる場合には、その協定書を持って議会の承認を得て効力を発するというふうに手続上なっておるのじゃないでしょうか。
○石田説明員 これは予算に関する問題でありまして、予算を超過する場合においては、一応やはり大蔵省なりその他政府の了解を得るということが必要だということは御承知のとおりです。しかし三十九年度の予算においては、私は三十八年度におけるごとく、利益というものはないと思う。パーパーでいけば上々じゃないか、こういうことなんで、賃金の引き上げを思い切ってやるというようなことはすこぶる困難だ。そういうことで、ひとつ組合のほうとしても、かすに時をもってして、四十年度を見ていてもらいたいと思います。
○山田(耻)委員 そこであなたがおっしゃっておられました、国鉄の労働者の賃金は低い、それから二公社と比べてみて特別に低い部分については手直しをしたい、こういうあなたの御意向について、私たちやはりそれなりにあなたの意をくむことができるのでありますが、それをどのような方法で実現なさろうとしておりますか。
○石田説明員 これはまだ確定しておることではないのですからして、私だけの考えから申しますれば、大体国鉄の予算をつくるにつきましては、これまで五カ年計画とかいうようなものを国鉄だけでつくって、それを大蔵省へ出す、議会へ出す、そうすると、必ずそれが削られるということははっきりしている。そこで削られない予算をつくるにはどうしたらいいか、まずこれが問題だ。それには、大蔵省、建設省、経済企画庁というような、そういう関係各省の代表者を集めて、それによって委員会というものをつくって、それによって国鉄の計画を立てていこう、ということは、国鉄の計画には予算の裏づけというものをある程度までつけるようにしたい、こういうことで、私は国鉄総裁になると同時に、第二次五カ年計画というものは三十九年度で打ち切って、四十年からはそういう方針でいこうというようなことに進んでおる。これがまず根本問題だ。その次は、まず第一にどこにめどを置くかというと、運賃です。私は運賃の引き上げとは言わぬ、運賃の是正です。何となれば、いまの運賃は安過ぎる。ということは、これはあなた方も責任があるかもしれぬ。過去において、国鉄が請求したって一向運賃を上げてくれぬ。その結果は、昭和十一年を一とすると、ほかの物価などは三百五十倍も三百六十倍もしている。新聞雑誌なんか四百倍もしている。ところが国鉄の運賃はどうですか、たった百六十倍だ。世界でこんな安い運賃はありはせぬ。これを是正しなければいかぬ。運賃の値上げとは言わぬ、是正と言う。そうしてもう一つは公共負担。公共負担というのは、御承知のとおり通勤、通学の問題、それから農産物に対する特別の運賃、また新聞、雑誌に対する特別運賃、これは政府の政策を国鉄の犠牲においてやっているわけなんです。天下にこんなところがありますか。ありはせぬ。そこなんだ。これは各国では通勤、通学に対して非常な割引をやってますよ。やっているが、これに対しては政府が必ずみんな補償している。補償していないのは日本だけだ。これは山田さん、あなたなんかも責任があるんじゃないですか。これは是正しなければいけませんよ。まず運賃の是正それから公共負担の是正。かりに運賃収入が約五千五百億あるとして、二割上げれば千百億、そして公共負担は、三十八年は約七百億ぐらいです。三十九年になると八百億ぐらいになる。全部やるということは、これはあまり急過ぎますから、そのうちの一部分、半分やってもまず四百億ぐらいになる。そうしてこれにさらに借金をしていくということで給与の是正もある程度までできる。それで国鉄は独立採算でもってやっていける。そうしてまた、もうかる幹線の輸送力を増強することができる。ただ問題は、ここに山田さんに断わっておくが、第三・五カ年計画でやらなければならぬことは過密ダイヤの解消ですよ。過密ダイヤというのはどこにあるかというと東京近所にある。旅客の約三分の一というものは東京近所です。東京近所の過密ダイヤを解消するのに非常に金がかかる。経済経費なんかいったら問題にならぬ。あのお客さんはみんな八割三分だとか九割三分の割引券を持った人でしょう。これをどうするかという、ここに非常なジレンマがあるのですよ。だから、私は運賃の是正とか公共負担の是正とか、なかなかいいことを言っていますが、一方にはそういう大きなマイナスがあるので、いまから防御線を張るわけじゃないけれども、実際給与の是正というものはなかなかそう思うようにはいかぬじゃないか、こういうことを考えておるのです。
○山田(耻)委員 多分に鉄道の経営政策については政府の怠慢であるということなんで、これは自民党の諸君、よくお聞きになっておいていただきたい。 それはそれといたしまして、いわゆる過密ダイヤの問題です。運賃値上げの問題だとか、公共負担の問題とか、利子補給の問題とか、幾つか国鉄には問題があるでありましょう。しかしこういう問題は運輸委員会等もございますし、十分ひとつ専門の委員会で御審議いただいて、私たちとしても述べるべき筋は明確に述べて、やはり国民の国鉄にするという立場は十分持っておりますので、そういうことはそれとして、総裁はしらばくれて問題を非常に広い地域に持っていかれるのでありますが、私は来年や再来年の運賃の値上げのことを言っているのではない。当面焦眉の急として十七日に好むと好まざるとにかかわらず、ああした、かつてない巨大なストライキをかまえて、あなたのかわいい部下である国鉄労働者が、まさに懸命な力を注いで事態の解決に当たろうとしているわけです。このときにあなたのおっしゃっておる、あるいは低いところを埋め合わせてやりたいとか、あるいはいまの給与は低過ぎる、もっと是正してやりたいということが今日の問題なんです。今日の問題としてあなたはこれをどのように解決のための努力をなさろうとしておるのか、その点を私はお伺いしておるのでありますから、その点にしぼってひとつ御答弁をいただきたい。
○石田説明員 山田さんにお答えいたします。 実はその点できのう調停委員に、三公社の給与というものはこういう状態になっている、国鉄というものは数字的には一番多いようになっているけれども、内容を考えてみれば問題にならぬじゃないか。国鉄はとにかく男子が九七%に対して女子が三%、電電公社なんというものは男子七〇に対して女子三〇、たばこのほうもまた同じようなものです。そうして労働時間が長いし、一時間割りにすれば国鉄というものははるかに安い、いかに不合理であるか。いわんや仕事の性質からいったって問題にならぬじゃないか。いまでも国鉄人というものは百人の人がとうとい生命を捨てているのだ、こういうことをひとつ考えて、何とかこの不合理を是正してくださいということをお願いしておる。これを山田さんが希望するように、私は国鉄総裁として権限を超越して、よろしい七千五百円やるなんて言えば、それははなはだ男になるかもしれぬが、そういうことはできない。(「なぜそれをおやりにならなかりたか」と呼ぶ者あり)それは、お互いに調停委員に持っていって調停委員にひとつ解決してもらおう、こういうことで合意の上で持っていったのであります。これはもうそれでいいじゃないですか。調停委員の良識に待つということが私は適当な策だと思う。これを調停委員に持っていったのを、お前のほうは要らぬ、おれのほうでかってにやるということができますか。これはできはせぬです。
○山田(耻)委員 総裁は私も尊敬しておる総裁でございますし、非常に今日の国鉄労働者の問題というものを正しく指摘なさっておるので、私も敬意を表するわけなんです。しかし問題は、総裁は評論家ではございません、国鉄四十五万人の職員を預かっておる最高の責任者でありますから、その責任者の責任というものは、この問題を解決する最高の責任者であるという立場だけはひとつ十分これからも御理解いただいて、問題はあなたと国鉄労働組合なり動力車労働組合その他の組合とが本来ならば解決すべき事案なのであります。にもかかわらず給与総額に縛られてみたり、それが当事者能力に影響したりしてきわめて労使間のまじめな団体交渉を妨げるような法律があるがゆえに、調停に持っていったり仲裁に持っていったりしなくちゃならないような事柄なんであります。そこで、十六日に調停が終わるのでありますけれども、十六日の調停の終わるこの時期判断の中で、事態を解決するために国鉄総裁としての最高の責任者の立場で、もう一歩踏み出して事態の解決を願うように御努力願うということについて、総裁のお気持ちはいかがでございますか。
○石田説明員 もしも合法的に私にできることがあればやりますよ。しかしいまの法律のもとにおいては、すでに労使の間でもって同意して、むしろ組合のほうが率先して調停委員に持っていこう、よろしいということで同意した以上は、やはりその結果を見てやるということが合法的な方法である。私としては法を犯してやるということはちょっとこれは国鉄総裁の責任においてできない。もしもいまのやり方が間違っておるというのなら、これはあなた方が立法者であるから、かってにひとつ直したらいい。私どもはそれに従う。
○山田(耻)委員 総裁に重ねて要望いたしますけれども、事態はきわめて急を要しておりますし、しかもきわめて重大でございますので、十六日は調停の終わる日でありますが、十七日には予定されているストライキの行動というものがございます。きわめて期日も迫っておりますし、その間に総裁としておっしゃっておる今日の緊急課題としての賃上げの問題等について、格段の御努力を払っていただくように、これはお願いでありますが、要望いたしておきたいと思います。 それからいま一点。労働組合、労働運動というものは、好むと好まざるとにかかわらず、いわゆる争議行為それ自体が目的ではないことははっきりしておるのでありますけれども、やはり今日まで、過去幾つかの経緯の中で、解決のよりすみやかならん道を求めて争議行為に入った場合がございます。今回もそういう事態に不幸にして立ち至りましたときには、やはり過去幾つか例がございましたように、職場の中に警察官なり司法権を持っておる人たちが争議に対して干渉をなさる、そういう事例がございます。今日幾つか裁判にもなっておるのでございますが、そもそも鉄道用地内に警察官を呼び込んできますことは、その鉄道地域の責任者からの要請に基づいて出てくるものであります。今日幾つか言われておりますが、国鉄労働組合をはじめといたしまして、ほとんどといってもいいのでありますけれども、非常に多くの労働組合は、きわめて民主的に労働組合の何たるかを理解をしておりますし、警察官が要請されるということについては、労働運動の外にある傷害事件だとか暴行だとか、こういう事態が起こらなければそういう官憲というものを導入しないのが正常なあり方だと理解されますけれども、今後の労使紛争の中で、もしもそういう争議行為自体が発生をしましたときには、総裁としては刑事事件、傷害事件が発生すると判断をされたとき以外は官憲を導入しないというふうな立場を踏襲なさるお気持ちかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○石田説明員 山田さんにお答えしますが、問題は、つまりこういう争議が起こったときに職員がちゃんと法というものを守って、法にひっかからないようなことをしておればいいのです。過去においては信号所の不法占拠をしてみたり、あるいは線路にすわり込みをやってみたりした。われわれはとにかく輸送というものを通常にやるという非常な責任を持っておるのです。それを不法にじゃまするがゆえに、これを排除するがために必要に応じては警官を引っぱってこなければならぬ。結局その原因は、職員諸君がちゃんとお行儀をよくして、そんな変なことをやりさえしなければいいのです。行儀が悪いからやらざるを得ないという、実にこれはやむを得ざることなんです。だからこの点は、われわれは何も好んで警官を引っぱってきたりなんかするようなことはしないのです。われわれは国鉄としての義務を尽くさんがために、やむを得ないからやる。涙をのんでやる。この点はひとつ山田さん、誤解のないようにしてもらいたい。われわれ何も好きで、行儀のいい者を引っぱってきてどうしようとかこうしようということは、絶対しはせぬ。それはちょうど、網を引こうとすると、ばかな魚のようにわざわざ網にひっかかってくるのだ。それがいかぬというのです。
○山田(耻)委員 総裁、ここはやはり国会の委員会でありますから、警察の張った網に、ばかな魚である労働者がひっかかる、こういうふうなお気持ちで申されたのではないと私は思いますけれども、もしもそうであったとしたら、これは御訂正いただかなくてはなりません。私はそういうことでなかったと思いますので、そのようにひとつ……。
○石田説明員 ばかな魚なんということを申したことは、私はこれは取り消します。要するに、勢いに乗じて常軌をはずれたことをしないでください、お行儀をよくしてください、こういうことが私の希望するところであります。職員諸君に対してばかなんということは、まことに相済まぬことであります。
○山田(耻)委員 今日の日本の労働組合は、特にあなたが非常に信頼なさっておる国鉄労働組合は、秩序正しく労働運動をやっておるわけです。だから万々あなたが御懸念なさるような事態というものは私はないと思う。だから、どうか、いろいろな気持ちを先行させて、いやしくも、労働争議が発生したときに、官憲をそこに導入をされて、労働争議それ自体を押しつぶすというふうなことのないように、十分ひとつ御配慮をいただきたいと思います。 それから、ILOの事務局のほうから、先般、これは昭和三十七年でございますけれども、ILO条約が批准されない今日の段階といえども、労働争議に関して、警察官を導入して刑事事件を発生させたり、あるいは解雇したり、あるいは処罰をするということはやめてもらいたい、そういう警告が日本政府に来ておるはずでございます。そのようにだんだんと国際的な水準に日本の国も成長しておりますし、いろいろ国際的に、OECDなどなどにも参加をいたしております日本としては、少なくともそうした国際的な労働慣行を守っていくということもきわめて大切だと思っておるわけですから、特につけ加えまして格段の御配慮をお願い申し上げておきたいと思います。 私の質問はこれで終わります。
○小林委員 関連して総裁にお尋ねいたしますけれども、総裁は先ほどの御答弁で、国鉄の経営が困難で賃金の要求にも応じかねる理由として、公共性が多く、もっぱら政府が負担すべきものを国鉄が負担をしておる、運賃が安過ぎる、そういう二つのことで経営が困難におちいっているのだ、この問題に対しては、ひとつこれから政府と戦っていくつもりであるというお話をされました。その点は私同感です。しかし、政府がそういう運賃を押えている、あるいは公共性で当然政府が負担すべきものを国鉄に背負わせている、その矛盾がしわ寄せせられてきている、そこにいま一つ、いまの政府の国鉄に対するやり方の間違いがあるのではないか。そのいま一つの間違いというのは、先ほども山田さんが質問しているように、あなたは四十五万国鉄職員の最高の責任者です。その最高の責任者の地位にありながら、あなたはその職員の賃金をみずからの責任において上げる能力がない。政府の許可を得なければ上げられない。これは国鉄の総裁として十分に仕事をなし得ない第三の矛盾じゃないかと私は思うのでありますが、いかがでありますか。私はこの問題を総裁として真剣に考えてもらわなければいけないと思う。一体なぜ調停に問題を持ち込んだのか。労使で持ち込んだその理由の根本には、いかにあなたに交渉をしても、あなたの責任において、あなたみずからが百円でも二百円でも国鉄の賃金を上げる権限をお持ちになっていないからじゃありませんか。事実上上げられない。上げようとするには、第三者の調停に持ち込んでいかなければならないというところに、私は現在の国鉄経営に対する総裁としての、政府から加えられた大きな矛盾があると思いますが、あなたのほうでは矛盾だとお考えになりませんか、お聞かせ願いたい。
○石田説明員 これは非常にむずかしい問題であります。第一に、国鉄というものは独立採算制というものがあって、それに縛られる。そして、予算というものがあるので、これは三井物産の経営をやるようになかなか自由奔放にはいかぬ。ことに今度の組合の七千六百円なんという要求は、いまの予算の中ではとてもできない。予算というものに縛られておる。したがって、これを乗り越える場合には、やはり政府の御承認を得なければならぬ。こういう規則があるのでありますからして、私がいかに勇気をふるうといえども、これを破るということは許されない。破るときには国鉄総裁をやめるというときなんで、これは自分がしたくてもできないのだということを十分に御了承願いたいと思います。
○小林委員 ぼくは総裁、それを言うのですけれども、真に独立採算ならば、あなたの冒頭の答弁のように、赤字になったらどこかから金を借りてきて経営されればいい。しかし、政府にひもをつけられた独立採算というものがほんとうの独立採算と言えますか。その矛盾だ。ほんとうにあなたの責任においてあなたが予算を組んで、賃金も自由に上げられるというなら、それがほんとうの意味の独立採算制である。私はもっと言いますけれども、公労法という法律に基づけば、ほんとうは、管理者であるあなたと、労働者の代表と、職員の代表とが試し合いをして、ここで話がついたら、その話を協定として政府に出す決意をして、賃金の値上げということになっているのだけれども、最初は労使の間で話ができた。あなたの権限で最初は幾らも賃金の値上げをすることもできた。七千円上げられなくても、五千円上げられなくても、他の二公社に比較していまの国鉄の職員の賃金が低いとあなたがお考えになった場合は、千円でも二千円でも引き上げられるように法律のたてまえはできておる。ところが、予算総則というものができ上がって、他の公社に比較して国鉄の職員が安いならば、公労協までいかなくたって、あなたの手でその低いでこぼこを直せるように法律のたてまえができている。それがだんだん政府に予算総則などというひもをつけられて、その矛盾をあなた自身が感じながらも、あなたの手でそれを是正できないようにされているのです。それが矛盾じゃないかと思うのです。その矛盾をあなたはお考えにならないかというのです。しかも四十五万国鉄の最高責任者として、二公社や他の現業とこれだけのでこぼこがありますという、そのでこぼこを感じながら、あなたはここへきて不平を言わなくちゃならぬ、公労委まで行ってその矛盾を訴えなければならないということ自体が矛盾じゃないか。本来ならば、独立採算制で、あなたの手でその矛盾を直せるように法律はできている。なぜそれをお直しにならないか。そこに矛盾をお感じにならないかと私は言っている。
○石田説明員 独立採算ということについてちょっとあなたは誤解しているではないかと思うのです。独立採算ということは、要するに収支を合わせるということが独立採算である。私が自分のディスクレション、独断でもって支払うべきものを支払うというのが独立採算ではない。その点は誤解のないように願いたい。しかもこれは、ちゃんと法律できまっておるわけです。いまの賃金の支払いなんかに対しても、ちゃんと予算がきまっておるのです。これはあなた方国会なり政府がつくったひもである。私自身がつくったひもではない。このひもをつけてあってぐあいが悪いなら、あなたがとってくださったらよい。自分が独自でできるようにしてくだされば私としてもやるが、法律上はできない。しかもその法律を破るということは、私にはできない。
○小林委員 あなたに聞いていることは、いまも言うように、あなたは国鉄の総裁でありながら、他の二公社に比較して国鉄の職員の賃金が安い、でこぼこがあり過ぎる、そういうことを公労委で言ったり国会のこの場であなたが訴えていられる、そういうこと自体あなたは矛盾だとお考えになりませんかと言っているのです。もしそれがおかしくなければ、団体交渉をおやりになる権限は何もない。何のための総裁であるか。自分の独断で、自分の責任において百円でも二百円でも賃上げする権限がありますか。そのないことの矛盾を考えないかというのです。国会議員、国会議員と言わないで、あなた自身総裁として矛盾をお考えになるならば、訴えたらよい。
○石田説明員 国鉄職員は他の二公社の職員に比べて給与が悪い、これを是正するということを合法的に、つまりやってやらなければいかぬ、かってにやるということは、これは法によって許されないことである。私は、法にひっかかるのはいやである。だから、そういう意味において、合法的にやらんがためにまず調停委員会に出して、そうして、これを世論に訴えてやる、こういうようなことで進んでいるのでありまして、つまり、いまの法律のたてまえにおいてはこれが最善の方法ではないかというのであります。
○小林委員 あなたは、そんなことをおっしゃるならば、賃金が安いから、国鉄の運営ができないから政府と戦うとか、政府が負担すべき公共の問題を、国鉄に責任を転嫁しているから困るとか、そんなことを言わぬでください。権限のないことも同じ問題である。賃金の問題に対して、あなた方がおきめになったのだ、私は法律を犯すのはいやだからと言って、ちっとも熱意を示さない。経営の問題になってくると、政府と戦わなければならぬ、あるいは公共性の問題で、政府の負担すべきものを国鉄が背負うのは矛盾があるからこっちも戦わなければならぬ、そういう問題が出てくるが、片方の人件費の問題になってくると、私は法律に違反するのはいやだから法律を守っていきますなんと言って、同じ国鉄の経営の問題と人件費の問題でものの考え方にでこぼこがあり過ぎる。公共性の問題を政府から背負わされてひもをつけられていて困難だから、これを打開するために熱意を持つというなら、それと同じような熱意を賃金を上げるほうにも持ちなさい。
○石田説明員 私が運賃の是正の問題、公共負担の問題について政府と戦うということは、これを是正してもらうように政府に考えてもらうということなんです。それを少し強く言えば、つまりファイトするということになります。いまの賃金の問題にしたって、ある意味においてファイトしている。これも法律の許す範囲においてファイトしているということなんで、運賃の問題、公共負担の問題でファイトすると同じような熱意をもってファイトしているつもりで、片方にうんと力を入れて片方はいいかげんにやるというような、そんな無責任なことは決してしません。
○小林委員 あなたがそういう熱意をお持ちになっているか、そこを私はお聞きしたかったのです。国鉄の職員の賃金を上げるためにファイトを持っておやりになるという、そのことばをお聞きしたがった。けっこうです。大いに熱意を持ってやってください。責任を持って解決するように熱意を持ってやってください。 関連ですから長くやりません。いま一つ聞きますけれども、毎日々々国鉄に事故が起きています。その事故の原因は運輸委員会や他の委員会で相当質問したと思いますし、関連で、重複しているから質問するのはやめますが、その事故のために国鉄でやはりどれだけ一体赤字を出しているかという問題、同時に私は、国鉄で事故が起きているために国鉄の経営が赤字になったり、困難になっている多くの原因はそこにあるのじゃないか。なぜ一体、事故をなくす問題にもあなたは意を用いられないか。事故が起きる原因はどこにあるか。過密ダイヤとかいろいろ原因はあるだろうけれども、特に私が言いたいことは、国鉄当局は労働者に対する労働政策を誤っているからだ——わかりますか。第二組合をつくったり、御用組合をつくったり、あるいは選挙になったら経営者の中で、業務を休んで応援にいくような経営者もいる。内部はまるででたらめじゃないですか。そういうことをあなたはお考えになっているか、私は聞きたかったのです。国鉄の内部に暗い空気が出てきて、職員と職員でお互いが疑い合うような原因が出てきたり、事故発生の原因になったり、国鉄の経営が困難になってきたり、あるいは職員に対する給与を払えぬような赤字を出したりする根本的な原因は、そういうところにあると私は思う。そういう国鉄内部の運営の方法、管理者の管理のしかた、労働政策のまずさや弾圧が大きな原因をなしている。これが大きな事故の原因だとあなたはお考えになったことがありますか。
○石田説明員 労働組合の問題については、実は私はしろうとでほんとうにわからぬ。しかしいまあなたがおっしゃるように、何も国労から第二国労をつくるというようなことを私は故意に運動してやるということは、絶対にやっておらぬ。これはある意味においては必然的にできたのじゃないかと私は思う。これは過去における成り行きは私はよく知りませんよ。知りませんが、少なくとも私が国鉄総裁になってから、国労というものをくずして第二国労をつくるとか、第三国労をつくるということは、絶対にそんなことはやっておりません。その点はどうぞひとつ誤解のないようにしていただきたい。
○小林委員 関連ですからやめますが、非常にいいことばです。これは国鉄総裁としてあなたのことばをすなおにそのままちょうだいします。しかし、あなたの前任者も、また、あなたの下の管理者や理事者の中には、現実にいまでも第二組合を推進しているのがいるのです。職場の中に第一と第二と戦わせて、暗い空気をつくらせる、事故発生の原因をつくらせている。あなたは神かけてやらぬとおっしゃるから、私はあなたの前に資料を提出いたします。ここはこういうことを専門にやる委員会ですから、私は全部資料を集めてあなたに対決をして、一体あなたの理事者やあなたの管理者が、実際どんなにまずい労働管理をやっているかということをお見せいたしまして、それが国鉄のいかに大きな事故に関連をいたしているかということを私は申し上げておきたいと思います。 なお、いま一つ関連して申し上げますけれども、一体あれほどの大きな事故が起きているが、労働者だけが処分されている。経営者や管理者あるいは職制の中で大きな事故が起きて責任をとったり、処分を受けた人が一体何人おいでになりますか。私は時間がありませんから、これは書面にして出していただきたいと思う。これだけの事故を出して、一方の労働者だけはびしりぴしりと処分をしているが、職制や管理者の中から処分や、刑事責任者、行政責任者も出ないような例は世界の中でも日本の国鉄だけなんだ、私の調査するところでは。どうかひとつ教えていただきたい。これは書面でいいです。 あとの問題は、またあらためて社会労働委員会でとっくりやらせていただくことにいたしまして、私の関連質問を終わります。
○田口委員長 午後一時三十分まで休憩をいたします。 午後零時五十五分休憩 ————◇————— 午後二時五十一分開議
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。八木昇君。
○八木(昇)委員 電電公社の総裁に二、三伺いたいと思います。 いよいよ十七日が三、四日の後に迫って、もし十七日に伝えられるような実力行使が三公社五現業関係を中心に一斉に行なわれるとすれば、これは社会的な非常に重大な問題でございます。これにつきましては、労働者側のこのような実力行使についてもいろいろと批判は確かにあり得ると思うのでありますけれども、しかし、もし十七日、あの予定のとおりに実力行使が行なわれた場合に、この事態をあらかじめ回避することができなかったかどうかということについての世論の非難というものは、必ずしも労働組合側にばかり集中するわけではないのであります。それで、争いの当事者である一方が全く拍手かっさいをもってほめそやされて、労働者側だけが一途に非難をこうむるということはないので、この労使の問題は必ずしもけんかではありませんけれども、昔からけんか両成敗ということわざがあるとおりでありますが、これは当然当局側にとっても一半の責任は免れがたいわけです。そうだとすれば、何としてでもこの事態を回避すべく、これからの三、四日の間に最大限の努力がともかくなされなければならぬのは当然だというふうに考えるのでございます。しかもこれからの十五、十六という二日間がいよいよぎりぎり一ぱいの大切な時期でございますが、こういう考え方についての総裁の決意というか心がまえというか、そういう点をまず伺っておきたいと思います。
○大橋説明員 お答え申し上げます。 現在公社の賃金引き上げ問題、ベースアップの問題は、組合側の発意によりまして公労委に調停を提訴しておることは御承知のとおりであります。公社も組合側の提訴の提案に賛成いたしまして、提訴いたして今日に至っておるのでございます。そこで数回の両者の陳述をこの委員会で聞かれまして、本日ただいまちょうどこの時刻に私のほうの関係者が委員会へ参っております。最後の陳述をやっておる現状でございます。なお、今日これから私もまた別に委員会に呼ばれておりますので、どういうお話でありますか、実はまだ内容は存じませんが、そちらに伺うことになっております。大体委員会としての最後の結論を出される時期も近づいておるのではないかという期待を私は持っております。この二日の間に適当な調停案というものが示されるのではないか、かように私は期待しておるわけであります。
○八木(昇)委員 どうも現在までのところ、少なくともマスコミ面その他で伝えられるところ等によりますと、公労委の調停の進行を非常に急いではいるけれども、十七日までには間に合わない公算が強いというふうに伝えられておるわけであります。そういうことでは非常にこれは遺憾なことであって、少なくとも十七日の午前零時以前に一応の調停案は提示すべきものである、またそういう方向において総裁としても最後の追い込みの努力をしたい、こういうふうにお考えになっておられると了解していいのでございますか。
○大橋説明員 ただいま御指摘のとおりの心境でございます。
○八木(昇)委員 その調停案が提示された結果、労使、政府がその調停案に対していかような態度をとるかは別といたしまして、ともかくもやはり十七日以前に調停案がどうしても提示をされるように、その線に沿って最大限の御努力をただいまの御言明のとおりにいただきたいと実は思うわけであります。 そこで、時間があまりないそうでありますから、端的に二、三伺っておきたいと思いますが、総裁御自身としてはこの際やはり公社の労働者に対しても、その程度がどの程度になるかは別にしまして、相当程度の賃上げは認めなければならないというふうにお考えになっているかどうか。というのは、申すまでもなく、この一年間にも物価が相当上がっておりますし、少なくとも物価上昇の分だけなりとも最小限度賃上げはやらなければならないと私どもは考えるわけであります。また、民間関係の企業におきましては、非常に少ないところでも二千円以上、多いところは四千円という賃上げがどんどん経営者から回答をされておるわけであります。そういう実情に照らしましても、電電公社の場合にも当然ある程度の賃金引き上げはすべきものであると総裁としてはお考えになっておられると思うのですが、その点いかがでございましょうか。
○大橋説明員 私は、公社の従業員の待遇改善につきましては、常に改善をはかっていかなければならぬということを念願いたしております。合理的な理由の存する限り、公社の財政状態さえ許すならば、あらゆる機会においてなるべく改善をすることに努力をいたしたい考えで今日までやってきておるつもりでございます。また、今年のベースアップの問題につきましては、昨年来組合との間にたびたび協議をいたしまして、結局公務員の給与の関係、また消費物価の関係、国民経済との関係、及び公社の財政状態等をあらゆる角度から総合的に判断いたしまして、御承知のような公社としての結論といいますか、六百円の初任給の引き上げ及びこれの調整に関する点を回答いたしたわけでございます。これも組合側からいえばゼロ回答じゃないかというお話もありますけれども、私のほうからいえば、小なりといえども、ささやかながら一種の待遇改善をやったつもりでございます。
○八木(昇)委員 先ほどの御答弁といまの御答弁とは少し矛盾すると私は思うのでございます。というのは、先ほどの回答は、十七日までの間に公労委の調停委員会がおそらく調停案を提示するのではないかと思う。またそういう方向において、できるだけ自分としても努力をするつもりであるというお答えでありました。ところが、今日まで調停委員会が調停案を提示しようにも、ある程度公社当局の意向というか、意思というか、大体この程度くらいまでのベースアップならば、公社の当局側としてもこれはのめるのではないかという大体の判断がつけられないために調停案が出せないわけです。だとすれば、今日もなお依然としていまの初任給六百円引き上げ、事実上ほとんど賃上げゼロに近いという態度を持ち続けたまま十七日までに至るということは、調停委員会に対して十七日の非常事態を避けるために、何とかここで具体案を出させるように働きかけていきたいとおっしゃったあなたの先ほどの御言明と相当食い違うのではないか、そういうふうに感ずるわけでございますが、いかがですか。
○大橋説明員 私は違うとは考えていないのでございます。現在の私どもの財政状態の許す限りにおいては、現在回答しておる六百円程度のところはまず公社の現在としてはやむを得ない、決してこれでもっていいとは考えておりません。これは多々ますます弁ずだけでなしに、できるならもう少し色をつけ得るならつけたいという念願は持っておりますけれども、今日までの公社の財政状態その他のいろいろな問題から勘案いたしまして、私どもとしては一応事務的にこの程度のことしか今日ではできないのではないかというのが今日までの対案でございます。そこで、これに対して組合側は初め、私のほうで言うと五千円のベースアップを要求しておるのでありますが、五千円のベースアップを一つもおりてないのです。つまり、その状態のまま調停委員会に持ち込まれたのですから、今日まで調停委員会において両方の意見を何回かお聞きくださって、今日が最後の私のほうの陳述をやっているわけでございます。この両者の意見を聞いて、適当な第三者としての公平な調停案が示されることと私は期待をいたしております。かように申し上げておるのでありまして、先ほど申したことと決して矛盾しないように考えております。
○八木(昇)委員 これは矛盾しないというふうにおっしゃるのならば、ただいまの御答弁は大体こういうことに理解していいのでしょうか。現在までのところは六百円の初任給の引き上げ、あるいはそれ以上のことはできないと一応公式的には答えざるを得ない。しかしながら、これでもってよいとは先ほどのおことばのとおり必ずしも考えていない。そこで、ここで調停委員会がある種の調停案を出されるならば、いまの六百円の初任給引き上げだけではいいとは考えていないのであるからして、いまここで電電公社の当局側として幾ら幾らならばよろしいとは言えないけれども、ある程度の、これ以上の引き上げはわれわれとしてものまざるを得ないだろうと考えている、そういうニュアンスが入っておる、こういう意味でございますか。
○大橋説明員 ただいまいろいろのおことばがございましたが、そのとおりと申し上げるわけにはまいりません。ことに一応はこの案を出したという意味のことは私は言わないつもりでございます。現在の状態においては、先ほど申し上げましたような案が、私どもとしてはやむを得ない案だ、さように考えておるのであります。しかしながら公平な第三者の調停に提訴しているわけですから、もしこの両者の意見を調べて、委員会として適当な調停案が示されれば、私どもとしてはやはりこの調停委員会の設置の精神に照らしまして、十分その精神を尊重して慎重に検討いたしたい、かように考えておるわけであります。
○八木(昇)委員 非常に電電公社総裁としては苦慮しておられる。またいろいろ状況上きわめて腐心した今日のお姿であると私には見えるわけですが、そういうように普通労使の団交の当事者である当局側としては、これがかりに民間企業であるとするならば、電電公社の当局側は、それじゃ幾ら出しましょう、この程度くらいまではわれわれとしてはこの際何とかしましょう、こういう非常に機動性のある態度をもって調停委員会にも臨むことができるし、また組合側に対しても臨むことができる。しかしいま御答弁になったようなまことにもって微妙な態度の出方しかできないというのは一体どういうわけなのか。これはもう御答弁をいただくまでもなく、世間では、公社に少なくとも労働者の賃金に関してはほとんど権限が与えられていない。対労働者側との間の交渉の当事者としての当事者能力がない。これは全部政府によってがんじがらめにうしろから握られておるからである。そういうわけであるからして、結局公社関係における労使関係というものは非常にかちかちに硬直状態になっていて、機動性のない、融通性のない、そういう労使関係になっておる、世間ではそういうふうに一般的には見られておると思うのであります。その点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。もしそういうふうにお考えだとすれば、この際公社の総裁として、もっとわれわれに自主性を与えろというき然たる立場を政府に対してこの際勇気を持って表明するという気持ちはないかという点であります。
○大橋説明員 それは御存じのとおり公社は商事会社ではありません。したがいまして、公社としては公社法の規定によって、公社の活動範囲というものは事前に限定されております。また、その予算も公社だけでかってにつくれるものでありませんで、国の予算と同様毎年国会へ提出して国会の承認を得ておるわけです。したがいまして予算以上の支出をやるというか、公社自体がかってにできないことは御承知のとおりであります。なお給与その他につきましても、給与総額の制限とか、また流用その他についてのいろいろな制限がある。そう一般会社のように自由濶達にかってなまねができないことは御存じのとおりであります。これは根本的に現在の公社制度の一つの行き方だと思っておるわけであります。
○八木(昇)委員 いま御答弁のとおりの実情で、まことに公社の総裁としてはこういう非常な事態を目前にすればするほど非常に苦慮しておられるだろうと思うのであります。午前中に国鉄の総裁もこの席に出られたのでございますが、ただいまのお答えの趣旨と大体同じような意向の表明があったわけであります。そこでこの際特にあと二日間が非常に重要な時期であるのでございまして、国鉄の総裁、専売公社の総裁、それから電電公社の総裁と三者が十分に話し合いをされて、そうしてこの際政府にこの非常事態を何とか、実際に回避できるかできないかは別としても、回避するための誠意をわれわれの側として示したい。そのために現在予算で給与総額というものはつくられておるということではどうにもならないので、この際三総裁がそろって政府と折衝をして、そうしてここに何らかの具体的な賃上げについての数字をある程度明らかにできるようにしたい。そういうような心組みはないでしょうか。私はぜひこの際、三公社当局においてそれくらいのことは——成功するしないは別として、ぜひやるべきじゃないかと私は思うのであります。その点についてお答えをいただきたいと思います。
○大橋説明員 ただいまの御意見は御意見として私、十分承っておきますが、はたして三者と協議をして、さような提案をすることがいいか悪いかということについては、いま少しく考えてみたいと思っております。ただ、現在の状態におきましては、十七日以前に適当な調停案が示されて、これについてわれわれが考慮する余地があるかないかということを私どもも考えておる程度でございます。
○八木(昇)委員 それでは、時間がありませんから、最後に一点だけ念を押して聞いておきたいのですが、総裁としては十七日以前に具体的な調停案が出る。これはまた必ず出させる、そういう確信を大体お持ちだというふうに、これはもう一度繰り返して聞きますが、そういうふうに大体思っておられると考えていいのでございますか。
○大橋説明員 私は先ほど申し上げましたように、適当な調停案が出されることを期待しているということを申し上げましたので、出させるなんという、そういう大それたことは申さないつもりでございます。
○八木(昇)委員 やはりそれはぜひともそういう調停案が出るようにもう一歩、せっかくそこまで前を向いておられるのですから、半歩くらい踏み出しておられるのですから、それをもう半歩踏み出して、ぜひ調停案が一応出るように、そういう姿勢で最後の努力をしていただくようにお願いしたいわけであります。以上で、一応総裁への質問を終わりたいと思います。 続いて労働大臣に伺いたいと思います。 午前中の山田委員の質問に対する御答弁を聞いておりますと、これは労働大臣の答弁としては、きわめて事態解決についての熱意が不足しており、非常に消極的だという印象を私は持たざるを得なかったのであります。というのは同じ政府の各省でありましても、特に労働省の場合は、大臣のとられる態度としては、午前中お答えのような態度では私はこれはいかぬのじゃないかと実は思っております。というのは、労働省は申すまでもなく労働者の取り締まりのための行政機関というわけじゃないのでありまして、なるほど一部取り締まる面もございましょうけれども、しかし本来的には労働者を守るための各種の行政的な任務を果たすこと、それが主たる任務であるところの省だ、行政官庁だ、こういうふうに私は考えるわけです。そういう観点から考えますると、午前中の大臣の答弁から受けますわれわれの印象としては、きわめて不十分だと私は考えるわけでございます。そこで、先ほど電電公社の総裁にも伺ったのですが、ともかくこれだけの非常事態が目前にきておる。このときにあたって、ともかくもいま三公社や五現業に対して六百円の初任給引き上げで事実上はほとんど賃上げは認めないというようなことで、この春闘の事態を結局それで乗り切れるとは当然お考えになっていないと思うのです。いずれどういう形でか、ある程度の賃上げは政府としてものまざるを得ない、またそうすべきだ、特に労働大臣としてはお考えになっておると思うのです。その点間違いないかどうか、それから伺っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 私は今度のストライキの問題点は賃上げに対する理事者側の回答のいかん、これが中心になっておると思うのであります。この争議のさなかにおきまして、労働大臣として賃上げの幅がいかがであるべきかということを申し上げることは立場上いかがかと存じますので、これだけはお許しをいただきたいと思うのでございます。ただ実際上言い得ることは、だんだんと春闘も進行いたしてまいりまして、ある程度春闘相場というものも固まりつつあるようでございますから、おのずから労使間で賃上げの幅についての見当もついてくる時期があるのじゃなかろうか、こう思います。ただし現在まで労使間の折衝の経過を観察いたしてまいりました私として感じまするところは、なるほど公社側においては六百円の初任給だけでこの春闘の問題が解決できると思っていないことは、これは軒並みにそのとおりであろうと思います。 さて、それでは世間の春闘相場もある程度見当がついてまいったので、それにならった賃上げの額を公社のほうでは提示したいという気持ちも十分にあるだろうと思います。ただ御承知のような現在の制度のもとにおきましては、公社の予算あるいは現業の予算などは非常に人件費が窮屈にでき上がっておりますので、この予算の範囲内において処理していかなければならぬという公社の仕事のやり方といたしましては、春闘の賃上げに対してなし得る回答の幅というものは非常に限られておる。おそらく現在予算の許す範囲内の額では、この労使間の問題の解決は見込みなしと判断するのが当然だろうと思うのでございます。したがって私の観測によりますと、各公社というものは賃上げに対して回答は出したいことは出したいが、しかし出すことができない。これ以上のことは公労法の定めておりまする仲裁手続に移行して、仲裁裁定によって公労委が賃上げの具体的な額を示してもらいたい、その段階において初めて予算についての措置が政府部内において取り上げられるだろう、したがって私は現在労使間の実情を見まして、現在の段階においては、この問題の解決は調停段階では無理である。どうしてもこれは仲裁手続によらなければなるまいというふうな印象を受けておる次第でございます。
○八木(昇)委員 ただいまの大臣のお答えと、先ほどの電電公社総裁のお答えでは、気持ちの上ではだいぶ開きがありますね。これは公社総裁はかわいい自分のところの労働者がどうにもならずして十七旧実力行使に突入しようとしておる、しかも確かに賃上げは相当程度しなければならぬ。 〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 この事態を前にして、何とかここで調停案を具体的に示して、そうしてここまでは調停委員会が賃上げをしろと言っても、われわれとしてはそれは受諾したい、だから十七日の実力行使は待て、こういうことになる。何とかしたいという気持ちが電電公社の総裁の場合にはあらわれておる。ですけれども、政府の態度というものは、いまのお答えでは、いろいろな事情もございまして十七日までの間には何ともこれ以上手はございません、結局十七日の実力行使は組合のほうがおやりになるならおやりになってもいたし方ございません、そのかわり処罰は断固としていたします。結局問題の解決はその後仲裁裁定で解決する以外にありませんという突っぱねた政府側の態度である。しかも、労働者の生活を守るべき立場にある労働省の大臣としてその態度である、こうとしか理解できません、それでいいかどうか。
○大橋国務大臣 これはとんでもないおことばでございまして、私は残念ながら現在までの調停の経過等から見て、調停でこの問題が解決できるとは考えられない。したがって仲裁の段階に入らなければ問題解決の糸口は見出せないだろう、こういうことを申しただけであります。そこで残る問題は、労使双方とも国家の大事な公益事業を円滑に運行するという、国民に対する重責を負っておられる方々のみでございまするから、この国民に対する自己の立場というものを十分認識され、かつまた問題解決の方途としては結局のところ仲裁以外にはないのだということを十分に認識されましたならば、そこに道が開けてくるのではなかろうか。すなわち労使双方はその使命を全うして、そしてこの十七日の不幸なるストライキを回避し問題を一日もすみやかに解決しよう、こういうお気持ちになりましたならば当然問題を仲裁に移すということをお考えになるべきでなかろうかと思うのでございますが、私は労使双方に対しては、現在ではそういうことをお考えになるべき段階ではなかろうかということをいま申し上げておる次第なのでございまして、それに対しては、まず労使双方の国民に対する立場というものを双方とも土台にされまして、この問題を円満に解決し、国民に迷惑をかけないでこの問題を解決しよう、こうお考えになりましたならば、当然労使双方とも早急の機会においてこの問題を仲裁に移すという最後の残されたる手だてについて御相談があって当然ではないか、こう思うのでございまして、その場合におきまして、私にもし御協力申し上げる余地がございましたならばできるだけの御協力を惜しむ考えはございません。
○八木(昇)委員 大臣のただいまのお答えは、仲裁段階に入ったならば政府としても具体的な誠意を示して、また労働大臣として働けるだけの働きはしたい、こういうお話でございますが、出さなければ済まぬのですから、どうせ出すものならばタイミングがありますよ。早くやったらいいことは当然でございまして、それを情勢判断が政府としては少し甘過ぎるのじゃないですか。もし十七日を通り越した場合に事態はどういうふうに進展をしていくであろうかということを一応当然描いておられると思う。もし十七日、結局それ以前に事態の回避の話し合いがつかずに、それも十七日以前の間にここまでは出しましょうというある程度の誠意を示されて、なおかつ労働者がそれを納得せず十七日の実力行使に突入したというのならばまだしも、そうではなくて十七日までの間には何ら具体的な誠意のある態度が出ないまま十七日の実力行使に突入した、そのあとの事態はどうなるか。労働者はもうみんな人間ですから、聖人君子ばかりじゃありません。むしろほんとうにたたき上げてきた労働者はそんな気のきいた教養は身につけておりませんから、非常に感情が高ぶってくる、これに対して各実力行使の現場では警官隊が大量出動する、現場では鉄道公安官とのいろいろな紛争が起こる、そうして政府は十七日の実力行使に対して大上段から振りかぶって、各種の、労働者には弾圧とそれが受け取れるけれども、そういう弾圧措置に出た、こうなった場合に、はたして円満にこの仲裁でさっと事がいくというように必ずしも考えられない。仲裁委員会にいったって、そのとき労働者のほうが非常に憤激の状態にあれば、たとえば、その仲裁委員会に労働者側の委員がもし出席しなかったとしたらどうです。仲裁委員会そのものが成立しないでしょう。これはたとえばの例で一つ言ったのですが、政府としては何ら誠意のある出方をしないまま十七日の実力行使に入ってしまった、非常に労働者は興奮状態が続く、しかも国会ではILO八十七号条約の問題がいよいよ本番に入っておる。しかも八十七号条約というものは、その精神として、もう一切がっさいを公共企業であるという理由をもってそこに働く全部の労働者から罷業権を奪うということはよろしくないというILO当局の見解です。根本的にはそういう解釈です。そうして八十七号条約が批准をされる以前においてもやはりこの八十七号条約の精神というものは十分尊重されていかなければならぬという見解をとっておる。そのILO問題が国会ではいよいよ山場にかかっておる。こういうことになった場合に、そんなにまことに形式的、通り一ぺんに、仲裁裁定で解決すべきものであるなんということで円満に事が進むとお思いですか。非常に判断が甘いと思うのです。
○大橋国務大臣 どうも問題の考え方の根本が多少食い違いがあるのじゃないかと思います。というのは、私は、仲裁に移行しなければこの問題はストライキをやっても何をやっても結局においては解決しない性質のものじゃないか、そうすれば組合が賃上げの要求をかちとるためには仲裁以外に方法はない、こういう事実を認識すべきだし、また使用者側においてもこの問題の結論は権裁定が出なければ話にならぬという事情を認識すべきだということを申し上げたのであります。 そこで、これと十七日のストとの関係でございまするが、私はストがあろうとなかろうと、いま申し上げたことは、これは解決の道としてはそのほかに考えられないというのでございまするから、ストをほんとうに労使双方とも避けたいとまじめにお考えになるならば、いま私の申し上げました唯一の解決の道はこれであるということを頭に置いてスト回避の道を講じていただかなければならない。すなわち、十七日以前において労使双方が御相談になって、お互いにストをやってみたところで賃上げが一銭でもこれ以上出てくる気づかいはないのだから、したがってこの場合においてはひとつ賃上げの回答が具体的に期待できるところの仲裁手続に早く持っていこうじゃないか、この仲裁手続に持っていくには何もストをやる必要はないのですから、仲裁に持っていこうということを労使双方がその気になられたならば、おのずからストは回避されるのじゃなかろうか、こういうことを私は申し上げたのでございます。これはスト回避にはほかに方法はない、これだけだということを十分に認識され、そしてそのことを土台にして、労使双方がストはできるだけ回避すべきものだと常にお考えになっておるはずでございまするから、その心がまえを前提にして私の申し上げたことを十分に認識されれば道はおのずから開けてくるであろう、こういうことを申し上げたのであります。
○八木(昇)委員 それは確かに大臣が言われる大臣のお考えと私の考えは食い違っております。食い違っていますが、それは私は正しい道を走っておるけれども、大臣のほうが少し間違った道を走っているから食い違うのだと私は思うのです。というのは、行政官庁というものは法を忠実に行政上実施していく、そういう役目を持っているわけでしょう。そうすれば、現在の公労法というものに基づいて忠実にやっていかなければいかぬはずです。この公労法には、こういう公社関係のいろんな賃金紛争等の問題については第一にあっせんでしょう、第二に調停でしょう、そうしてそれでも片づかなかった場合に仲裁裁定、こうなっているわけです。ですから最悪の場合が第三です。最悪の場合が第三で解決する。そうすれば、いま調停の段階に入っている。調停の段階は調停の段階として最大の努力をやらなければ、あなた、どうしますか。頭から、いま、それは仲裁までいかなければ解決はしないものだとあなたはきめつけておられる。きめつけておられるでしょう、そうじゃありませんか。きめつけておられる。ところが公労法の中にはちゃんと書いてある。そうして調停というものは、調停申請があってから二カ月の間に何らかの調停に達するようにやるように、ちゃんと基本原則としてそうなっている。二カ月の間に終わってしまえとは書いていない。しかし二カ月間を経過してもなおかつ解決しない場合には、労使の一方やその他の申し出で仲裁に持ち込むことができる、こう書いてあるということは、ともかくこの二カ月間の間に調停委員会として最大限の調停の役割りを果たせるということを書いてあるわけです。そうすれば、労働者側がのむかのまないかは別として、ここに具体的な調停案を出すか、あるいはこのぐらいまでならばわれわれとしては賃上げをしたいという具体的な提案をこの調停段階でどうしてやらないか。この調停段階でものごとが片づき、十七日のストが回避されることが一番望ましいわけでしょう。それをどうしてやらないか。調停委員会としても、また三公社の当局としても何とかこの段階でと思っておるけれどもそれができないのは、政府がうしろから逆の方向でけつをたたいているからですよ。でありますから、ここで政府が、先ほどのお答えのように、いま具体的な金額を出して、これだけのベースアップならば政府は認めましょうということは、それはあるいは政府のいまの事情からいえば言えないかもわからないけれども、しかしある程度具体的な含みある態度、そういうものはどういう形でか、ほのめかせるはずです。公社と政府との間の当事者間だけであってもよろしいし、あるいは非公式に政府と調停委員会との間に個人の関係でほのめかしてもよろしいし、対外的に公然と出さないまでも、やろうと思えば、その気になればできないわけはないわけです。そうして調停段階においても、いよいよ十七日の実力行使を目前にしてここまでの誠意を示してこれで解決しようというわれわれの熱意だということをどうして示せないのですか。先ほどの大臣の御答弁は答弁になっていないと思いますから、もう一度答えてください。
○大橋国務大臣 金額を示せというのが御質問の中心点だろうと思います……。
○八木(昇)委員 いや、公然と示せと言っていませんよ。
○大橋国務大臣 それは公然でなくてもよろしいけれども、以心伝心ぐらいで、ある程度はっきりさせられないかということでしょうが、はっきりさせる役目は使用者としての政府だと思います。私は、第三者である労働大臣がそんな金額についてかれこれ干渉すべき事柄の性質ではない、こう思うのです。そこで、使用者たる政府を代表する国務大臣に対しまして、私は労働大臣としての立場からいろいろ様子を聞いておりまするが、現在の情勢では、先ほど申し上げましたるごとく、各公社は厳重に予算のワクに縛られておる関係上、各大臣も、予算が成立しておる現状において予算のワクを越えた金額を、以心伝心にしても伝えるということはできない、こういう気持ちを持っておられるようであります。そうしておそらくそういうことでは、予算のワク内で示せる金額ということになりますと、これは問題の解決には役立たない数字になるのではなかろうか。そうすると、いずれにしても今日この段階において使用者としての政府に対して具体的な数字をある程度示させることは無理だ、私はこういうふうに判断をいたしておるわけであります。しかしおそらく使用者としての政府は、それじゃこの春闘を六百円以上一銭も出さずに済ます気かというと、おのずから春闘相場というものもある程度でき上がってきつつある状況でございますから、あれだけで済むと考えておるとは思われません。ただその金額が政府の側からはどうしても示されないだろう、そこで公労委の仲裁によって具体的な金額が示されるということになれば、その段階において政府としてはこれを尊重して予算的な措置を講ずる気持ちは十分にある、こう私は判断をいたしておるわけでございます。したがって、そういう前提のもとにこの問題の解決を急ごうとすれば、できるだけ早く仲裁手続に移行させ、そして仲裁裁定をできるだけ早く出してもらう、これが争議の最終的な解決を促進する道だ、こう思うのでございます。 そこで労使双方におかれましては、かような事態であるということを認識され、国民に対して負うておられる重大な使命というものをお考えになったならば、この十七日の争議を避けるためには、十七日以前において、労使双方が合意いたしましたならば仲裁手続に移行できるということになっておるのでございますから、労使双方とも話し合いをされまして、仲裁に一日も早く切りかえをなさることが問題の解決をすみやかならしめるゆえんではなかろうか、こういうのであります。そして、これはいま申しましたるごとく調停期間中でございますから、片一方だけがその気になっても公労委では取り上げられません。したがって労使双方の意見が一致しなければいけません。そこで、どちらかそういう気になられたほうが相手に話して、相手が承知しない場合には私も相手を説得して同意させるようにできるだけの御協力はいたしましょう、こういう気持ちでおるわけでございます。
○八木(昇)委員 ただいまの御答弁では非常に不満足でございまして、労働大臣として大蔵大臣あたりといろいろと話し合いはした、しかしその大蔵大臣は、現在の段階で具体的数字を示そうとすれば、とうてい労働者側がのめるような数字は示し得ないであろう、だから示さない、結局仲裁へ持ち込まざるを得ないという大蔵大臣の考え方のようであるからやむを得ない、ことばのあやをうまくどう取りつくろうかは別として、簡単に言えばそういうことでございましょう。それでは私は了承ができません。それは、いまのような考え方というものは、調停案であれば政府はけります。しかし仲裁裁定であれば、法の命ずるところに従わなければなりませんから従いますと言っているのと同じですよ、裏を返して言えばそういう意味です。しかし、仲裁裁定へ問題を持ち込むというのは最悪の万やむを得ざる場合の手段でございましょう。しかも、いまや調停の期限切れの十七日には世間を衝動せしむるような、そのことのよしあしは別として、戦後最大といわれるような実力行使が行なわれようとしているわけです。とするならば、少なくと血調停の二カ月の期限の切れる最終日の十六日までに何らかの調停案を出させるような方向に、やはり最大限の努力をすべきが政府の責任でございましょう。それはもうとてもむずかしそうだから放棄せざるを得ないという態度でございますか、調停案でもしのめるようなもののであれば、当然政府はのむべく検討すべきものだと私は考えるのでございすが、もう調停案じゃどうしようもないという態度かどうか。
○大橋国務大臣 まず調停が十七日以前に出るということは、公労委のスケジュールの関係から見まして困難ではないかというのが私の判断の一つですが……。
○八木(昇)委員 電電公社総裁は全力をあげて努力すると言っている。
○大橋国務大臣 努力はされておりますけれども、しかしいろいろな公労委自体のスケジュールから見まして、どうも十七日以前に調停案を提示するということは困難だと私は見ておるわけでございます。したがって、十七日以前に何とかスト回避の方途を講ずるということになれば、必ず具体的数字が数日間に出てくるところの仲裁手続、そして、それは労使双方に対し拘束力のある最終的な決定でありますところの仲裁裁定、これに結びついておる仲裁手続に移るということによってストを回避させるということが、スト回避の唯一の道じゃないか。これは法律の理屈を申しておるのじゃございません。事実上いろいろな資金的な問題、あるいは政府部内の事情、また先ほど御質問の中で、大蔵大臣がこう言っているから、それでしかたがないというのでということでございましたが、大蔵大臣がこう言っているということでなく、公社法並びに給与法、それから予算総則、こういうものでがんじがらめになっておりまするので、法律的に具体的な金額を公社の代表者が調停委員会に持ち出すということが困難な実情でございます。こういった各方面の情勢を総合して判断いたしまして、先ほど申し上げましたような方法以外に解決の道はないように思うのが私の意見でございます。これは決して冷淡にいたしておるというのではなく、ずいぶん親切にいろいろな面を考えてみましたが、どうもこの方法以外には解決の道が発見できないというのが私の現在の気持ちでございます。
○吉村委員 ちょっと関連して、大臣の考え方をお尋ねをしておきますが、まず、仲裁委員会に移行をしたほうがいいではないかということを強調されておりますけれども、大臣はそれでは仲裁委員会で出される裁定、こういうものについて現在関係する労働者が仲裁委員会というものをほんとうに信頼して、これに従わなければならないというような気持ちになっておるかどうかということについて、どのようにお考えになっておりますか。
○大橋国務大臣 昨年の春闘の際におきましては、組合側はぜひ問題を早く仲裁委員会に持ち込みたい。しかし、政府側が不同意だという状況であるために、仲裁委員会に持ち込めずに困っておる。そこで労働大臣として、政府関係機関の当局者を説得して、ぜひ組合側の主張する仲裁委員会に持ち込むことについて賛成をさせてもらいたい、こういう切なる御依頼がございまして、私も政府部内の各関係当局にお話をいたしまして、仲裁委員会に持ち込むことに政府側が同意するように運びました。これによりまして、問題は仲裁委員会に移って、昨年の春闘ではストライキが回避されたという実績があるわけでございまして、私は、昨年信頼された同じメンバーの構成でありまする今日の公労委の仲裁手続というものが、ことしになって急に突然に信頼を得られがたくなっておるという理由を承知いたしておりません。
○吉村委員 もとより労働運動でもございますから、さらにこれに関連をして、政府の態度等も非公式ながら新聞に発表になったりしておる、こういう状態でございますから、去年と同じ時点でこの問題をながめるわけにはいかないと思います。私は、根本的に問題があると思うのは、公労法がきめておるところの仲裁委員会の裁定というものに対して、何回かの裁定が出ておりますけれども、しかし非常に膨大な資金を要するというような裁定については、ほとんどこれが完全に実施をされていないという従来の経緯があるわけです。 なるほど昭和三十二年以降、公労委の委員選出の変更以来、仲裁裁定は完全に実施されてきている。しかしながら、事ベースの問題、非常に多額の資金を要するような問題等については、三十二年以前の事柄から見ましても、一般の関係する労働者は裁定というようなものについて信頼感を持ち得ない、こういう気持ちに私はなっておると思うのです。その点は実に公労法の持つ根本的な欠陥であると私は思います。 いま大臣は、仲裁裁定が出たならば、労使双方を拘束するのであるから、それを早く出してもらったほうがいい、こういう話でございますけれども、しかしそれといえども、資金上予算上の制約がある場合には、国会の云々ということになっておるのでありますから、諸外国の第三者機関のような、そういうものではないということが、実は公労法上の大きな問題となって、ILOの舞台でも議論をされておるということについては、すでに大臣も承知をされておると思うのです。私は、そういう点から見て、いま十七日のこのストライキの状況を前にして、政府が何をなさなければならないのかということについては、いままで八木委員のほうからもいろいろお話がございましたが、まず何としても公労法の持っておる根本的な矛盾、こういうものについて政府が再検討をするということが一つの方法であろうと思います。 さらに、次のことについてお尋ねをしておきますけれども、先ほど大臣の答弁の中で、すでに予算もきまってしまっておる、したがって主務大臣が額を示せと言われても示し得ない状況にある、だから仲裁委員会に移行するしかないというお話がありました。私は、労使関係の中で、このくらいでたらめな話はないと思うのです。国鉄の総裁にせよ電電公社の総裁にせよ、当事者能力というものを失っておる。こういう、いわば労使対等の交渉の相手である一方の人が、団体交渉としてどうするという当事者能力を失っておる、こういうところに問題がある。しかも、大臣もそれを肯定されるかのごとく、今日の事態においては主務大臣といえども額を明示し得ない、こういう状態なのでというお話がありました。こういうふうになってまいりますと、これまた公労法の持っておる非常に大きな欠陥というものが明瞭になってきておるというふうに考えます。したがって、そういう点についても、公労法というのは、労働者の基本的な権利について、非常に制約を加えておる。しかも第三者機関を含めて解決しようとしても、これまた完全な解決方策ではない。こういうふうに現在の公労法が多くの欠陥を持っておるというふうに思うのでありますけれども、その点は一体どうかということが一つであります。 それからいま一つは、関連ですから端的にお尋ねをしますけれども、大臣は仲裁委員会、仲裁委員会にというお話をしておりますけれども、それでは、大臣としては職権仲裁を申請するというような意向はお持ちになっておるのかどうかです。この点もあわせてこの機会にお尋ねをしておきたいと思います。
○大橋国務大臣 まず公労委の仲裁の実施の実績の問題でございます。公労委制度ができまして以来、公労委の行ないまする仲裁裁定は、政府は必ず実施をいたしてまいっておるのであります。公労委成立以前においては、お話しのごとく、国会の議決によってこれを修正して実施いたした実例もございますが、最近におきましては、もう多年の慣行として、昭和三十二年以来、公労委の仲裁裁定は文字どおり実行されてまいっておるわけでございますから、この段階において公労委の仲裁が実行されないのではないかというようなことを問題にして、このストライキという重大な不幸を避ける方法を怠ってはならない、こう思うのであります。 それから、公労法の規定そのものが矛盾ではないかというお話でございますが、なるほど公労法に規定してございます当事者、ことに三公社五現業は、団体交渉についての当事者能力がはたして完全に備わっているといえるかどうか、この点につきましては、いろいろ財政法、会計法などの制約がございますために、団体交渉、ことに金額に関係ある団体交渉についての回答の範囲が非常に狭く、制約を受けておるということは、事実であります。しかし、これは事実問題でありまして、法律問題ではございません。ことに、今日十七日に差し迫ったストライキの不幸をいかにして避けるかという差し迫った現在の段階において、公労法が適当であるかどうかというような議論をしておる時期ではなく、公労法のこの規定によって避ける以外に道がないといたしましたならば、私は、公労法の議論をいたすことはしばらくおいて、とにかくこの方法によって妥結への道を切り開いていくということが、さしあたってとるべき方途ではないか、かように考える次第でございます。
○小沢(辰)委員長代理 吉村君に申し上げますが、関連ですからもう八木委員に渡してください。——じゃ、簡単に願います。
○吉村委員 委員長からのそういう要望でございますし、しかも関連ですから簡単にしますけれども、私は、なるほど四月十七日のこのストライキは差し迫った問題ではございます。しかしこの事態というものが起こってくる最大の原因というものは何かというならば、何といってもそれは公労法自体が持っておる矛盾、公労法に対して関係の労働者が、この法律を信頼するに足らないという気持ちを持っておるというところに根本的な問題があると思うのです。昭和三十二年以降、仲裁裁定は完全に実施しましたという答弁をされておる。私もそれは否定をいたしません。しかしながら、昭和三十二年にこの公共企業体等労働関係法に基づくところの労働委員の選出方法というものが変わったということも事実でしょう。この労働委員の選出方法について、労働者側の意思に基づいた労働者委員というものがどうもなかなか非常に選出をされにくくなっておる、あるいはまたそれ以降の裁定の出されたところの額、こういうものについてはどうも政府の意向というようなものが入った裁定が出る。ですから、公益委員の選出等につきましても、ややもすると政府の高級官僚であった人たちとか、そういう方々が多く入っておって、政府の意図に基づいたところの裁定が出る、そういうようなことが非常に危惧をされておって、そうしてこの仲裁裁定というものが出たとしても、非常にわれわれとしては信頼することができないという労働者の意向というものがびまんをしておるというところに根本的な問題があると私は思いますので、そういう点について検討していくということが本問題の解決にあたって重要な点であるというふうに考えて申し上げたわけでございますけれども、それを今日のこの事象についてだけやろうとしましても、これは容易に解決し得ないではないか、このように考えます。 それから、最後に私がお尋ねをしましたところの職権仲裁への移行の問題については、大臣としてはどのような意向でおられるのか、それをひとつ答弁をしてもらいたいと思います。
○大橋国務大臣 答弁漏れがございましてまことに失礼いたしました。職権仲裁の問題につきましては、本会議でお答え申し上げましたごとく、政府といたしましては、事柄の性質上労働大臣の職権を発動すべき問題ではない、こう思うのであります。それというのは、このストライキを避けなければならぬというのは、まず関係ある労使双方が、国民に対する自己の職責として当然第一番に考えるべき立場にあるわけでございますから、私はその立場にあられる方々の立場を尊重いたしまして、あくまでも関係労使の自主的な話し合いによってこの仲裁裁定への道を開いていただくことがこの場合正しいことである、そしてこの不法に宣言されましたストライキを避ける方法として、労働大臣の職権を発動するということは、これは筋の通らない話である、こう考えますので、あくまでも当事者の意思によって仲裁への道を開いていただきたい、こう思っております。
○八木(昇)委員 いまの御答弁はまことに虫のいい、かってな話ですよ。というのは、先ほど来のあの大臣のお答えと非常に態度が矛盾しておると私は思うのです。というのは、この公共企業体関係の賃上げ問題というものは、いろいろ各般の事情からがんじがらめになっておって、どっちみち仲裁でしか解決しないと考えているということをるる御答弁になったのですが、それならばそのように、この労使の当事者はいま直接交渉をやり、それからこの調停の段階、いまいよいよ最終的な段階に入って努力をしておるのですけれども、政府はどっちみち仲裁でしか片がつかぬと初めから考えている。そうすると、その調停委員会が調停を開始してからでもすでに二カ月、その間全く放置しておいて、しかも政府はみずから公労法三十三条第一項第五号に基づいて仲裁の請求をして、前回きに十七日の非常事態を積極的に回避すべくみずから持っておる法律上の権利に基づいて積極的に仲裁に持ち込む、十七日以前にでも持ち込むということはやらない、これは矛盾しておりませんか。私はそれは矛盾だと思いますが、その点をお答えいただきたい。
○大橋国務大臣 私は矛盾とは思いません。当然のことだと思います。労働省というものは労働関係全般を管理いたしておるのでございます。問題のストライキというのはこれは当事者間の問題でございます。そういうストライキを避けなければならぬというのは、労働大臣が避けなければならぬのじゃなくて、当事者双方がストライキを避けなければならぬ、私はこれがいまの考え方の根本だと思います。自分らがストライキをやっていれば労働大臣が何とかしてくれるだろう、こういうような態度は私は労使のあり方として決して認められるべきものではない。あくまでも自分らのまいた種は自分らで責任をもって刈り取って国民に一切迷惑をかけないのだ、こういう考えでもって私はこの問題の解決に進んでいただきたい、こう思うのでございまして、またそういう心がまえであることが国民の支持を得て、この賃上げの問題について国民の同情と支持をかちとるゆえんだ、かように確信をしておるのであります。
○八木(昇)委員 それは詭弁ですね。そうすると、大蔵大臣は公労法第三十三条の第五号を否定するとおっしゃるのですか。そうでしょう。いまの御答弁はこの労使当事者間の問題を労働大臣のほうが仲裁裁定へ持ち込むなどということはすべきものではないと考えるというお答えでしょう。それならば公労法第三十三条には「委員会は、次の場合に仲裁を行なう。」、その第五号に「主務大臣が委員会に仲裁の請求をしたとき。」すなわち当然問題が非常に緊急で、事態が非常に重大で、これはやはり必要だと思うときに、労働大臣が仲裁の申請をすることをこの法は命じておるのです。ですから、なるほどいまやるべきかどうかということについて、それはいろいろ見解の違いはあるでしょう。でございまするけれども、全面的に、原則的に労使の問題であって、労働大臣が仲裁へ持ち込むなどということはよろしくない、そういうお答えですね。しかも先ほど来からの答弁によると、いやどっちみちこの問題は初めから仲裁でないと解決しないものと考えておりますと言いながら、しかもそういう態度というものは全く矛盾撞着をしています。もう一度お答えいただきたい。
○大橋国務大臣 私は労使双方の態度から見て、この問題は仲裁でなければ解決しないのだろうというふうに見ておりますことはただいま御指摘のとおりでございます。そうして労使双方が団体交渉から調停に入られた。そうしてその調停の期間がもうじき切れようとしておる。したがって期間が切れればもう一両日うちに当事者どちらかの申請で仲裁に持ち込める状態にあるわけでございまして、ただ問題はその期間の切れるとたんに十七日のストがあるので、そこで何とかならないかというのが問題だと思うのでございまするが、私はこのストによって労働大臣が職権を発動するかどうかということを考えることは、労使の正しい慣行を育て上げる上からいってもよろしくないと思います。なぜならば、ストというものはこれはもともと公労法によって禁止されている違法の行為でございまして、現に公労法においては、仲裁手続開始後といえどもストライキをやってはならないということは書いてないはずであります。もともと団体交渉のときにおいても、調停のときにおいても、いわんや仲裁のときにおいてもストライキをやるということはすべて違法である、こういうたてまえでできておるのでございますから、職権仲裁の手続によって仲裁が始まったからといってこれがストライキをやめさせるきめ手になるとは思っておりません。 そこで、私は仲裁手続に入るについては、労使双方が自分たちの国民に負うておる責任というものを考え、自分たちの日本経済においてやらなければならぬ立場、また自分たちの公務員同様の特別の立場、こういうことをよく理解され、国民として国民に対する責任において労使双方がこの場合どうしてもストライキを避けなければいかぬのだ、こういうことを自覚されて、そして話し合いによってストライキを避けるようにしていただく、このことが私は根本だと思うのであります。すなわち、組合がストライキをやめる、また理事者側はストライキを断念してもらうためにあらゆる説得の道を講ずる、そしてそのためにはできるだけ仲裁に移すことについて公社側も協力する、こういう態度があって初めて私はストはやまるのだと思うのであります。組合がどこまでも仲裁はいやだ、われわれはどうしても十七日にストライキをやるのだ、こういう心がまえでおられたならば、私はこの仲裁への移行ということは、これはどうしてもストライキをやめていただくきめ手にはならない、こう思うのでございまして、先ほど来申しておりますのは、こういう方法によってやめさせるのだということでなくて、こういう方法をとろうというお心持ちに労使双方がおなりになるならば、おのずからストライキというものをやめようという心境になってくださるだろう、そういう意味で私はストライキをやめていただくということを申しておるのでございまして、この点はどうぞ誤解のないようにお願いしたいと思います。
○小沢(辰)委員長代理 八木君に申し上げますが、約束の時間がだいぶ過ぎておりますから、そろそろ結論をひとり……。
○八木(昇)委員 あと少しで終わります。それは何も誤解しておりませんよ。大臣が考えておられるとおりを私はそのとおりに把握して、しかもけしからぬと言っているのです。誤解して間違ってとんでもないことを言ってはおりません。それは聞いておられる第三者だって聞き間違いをしてとんでもないことを言っておるなんて考えている人はないはずです。そうではないのであって、実際調停で問題が解決しないのもその大きな責任はやはり政府側にもある。それは公社当局ではどうにもならない仕組みにしておって、あとからきちっと手綱を握っておるものがおるのだから、調停で問題が解決しないようにしているのも政府であり、しかも頭からそれも調停じゃ解決しませんぞといってたかをくくっているのも政府であり、しかもとことんまで困った状態に入ってきたならば、仲裁の申請は当事者のおまえたちでやりなさいというまことに責任のがれの態度をとっているのも政府でしょう。でございますから、そういう点が実はけしからぬということを私は言っているわけです。 時間の点についての請求もありますし、それから専売公社の総裁が先ほどからお見えになってお待ちいただいているそうですから、専売の総裁に一間だけお伺いをし、あと労働大臣にさらに一つ二つ伺って終わりたいと思います。 専売公社の総裁に伺いたいと思うのですが、公社関係の賃金問題、労使関係というものが毎年毎年大きな世間の問題になるという状況でございます。ところが一方、民間の大企業においてはどうであるかというと、民間では労働者にストライキ権が認められておって、いつでも組合側がストライキをやろうと思えば当然合法的に自由自在にストライキがやれるという状態である。それにもかかわらず実際には、民間の大企業ではたいていの場合、労使の団体交渉の結果話し合いがついている。ストライキ騒ぎなどというようなものは、ごくまれにはありますけれども、多数の民間大企業のあの大きな数からいいますとその例はきわめて少ない。それは一体どこに理由があるかというと、結局は公社の場合には、公社当局が労働組合に対して賃金問題の話し合いをするについて、当局側としての事実上の資格がない、当事者能力を持っていないというところにある。そこで、なるほど労働者の言い分ももっともだから今年はこの程度くらいは賃金値上げをすべきであろうというふうに公社当局側が考えても、いまの財政制度上そういう回答をすることができない。結局、労働者側が非常手段に訴えるようなラジカルなやり方にならないように労働者側を納得させるためには、賃金なども出さなければならぬときには出す、そういうことが公社当局側にできる権限といいますか、当局側としての自主権と申しますか、そういうものが当然あればいいのですけれども、それがないために、結局公社関係においては労務政策は常に硬直している。そして時として労働者を喜ばせるというようなことも全然できない。そのことが労使関係を常に非常にエキサイトしたものにさせている、そして例年大きな紛争になる、こういうふうに私どもは考えるわけでございますけれども、そういう点について公社としての一つのお考え、お気持ちというものがおありであるはずだと考えるわけです。そういう点についてのお考えを述べていただきたきというのが第一。 それから第二の点は、先ほどは電電公社の総裁にもお伺いしたのですが、あすが十五日、あさってが十六日、そしていよいよ十七日の午前零時から、好むと好まざるとにかかわらず、事のよしあしは別として、おたくの労働者の皆さんが実力行使に突入せられるというどたんばの時期にきておる。このときにあたって、電電公社の総裁は、何とか最後の努力を尽くして十七日までの間に公労委に調停案を出させるように努力したい、そしてまた自分としては十七日以前に調停案が出る可能性も大いにあるのじゃないか、あるいはそれを大いに期待するというような御答弁もあったのですが、第二の点は、この点について専売公社の最高責任者としてのお考えをお聞きしたいと思います。 以上の二点をお伺いいたします。
○阪田説明員 公社の労働関係の問題、ことに賃金問題等につきまして、公社と組合の交渉が、公社側に何か制限があるためになかなかおさまりがつかないのではないか、こういったような点につきましては、専売公社といたしましては従来から当然公社側と組合側にいろいろな賃金条件について問題があるわけでございます。それにつきましては、できるだけ団体交渉をして話し合って解決する、こういう基本的な方針をとっておりまして、現に昨年末以来から組合側から多数の要求が出ておりましたが、現在までに大多数の問題は妥結点に至っておるような状況でございます。現在出ておる問題につきましては、いま問題になっておりますベースアップの問題、これだけが残っておるという状態になっておるわけでありますが、先ほど来いろいろお話が出ておりましたように、公社といたしましては当然公社法あるいは予算、こういったものの制約の範囲内において事を処理していかなければならないわけでございますので、この範囲内でできることなら団体交渉で自主的に解決することができるが、非常に大きなベースアップであるとか、そういうような問題になりますと、これは当然予算的、法律的な措置ができない以上は当局側としてはできないことになると思います。これは法律的な問題でありますが、同時に技術的な問題もあろうと思います。事実としてそういう能力がある場合もあろうが、ある場合には限界を越える、そういうことであろうと思います。私どもとしては、現在の予算制度あるいは法律的な制約の範囲内におきましてできるだけの努力をいたしまして、そういう労使間の問題を解決するように努力をいたしてまいりたい、かように考えて従来もやってまいっておるわけであります。 それからただいまの調停関係の御質問でございますが、この点については、調停委員会にも私どものほらから数回にわたって事情を説明にまいりました。先ほど私も調停委員会にまいりまして事情説明をいたしたわけでありますが、大体調停委員会の方々の御意向を伺いましたところでは、これが最後の事情聴取というような形になる模様であります。これは委員会のほうでおやりになることでございまして、私のほうからその予定などについてとやかく申すわけにはまいりませんが、これから調停案といいますか、調停委員の間でいろいろと御相談になる御予定のように承っております。私どものほうといたしましては、もちろん調停にかかっておる案件でありますから、違法なストが行なわれるという事態になります前に、労使双方また世間も納得できるような調停案を出していただくことが望ましいことでありますが、具体的にはこの調停委員会は三者構成の委員会になっておりまして、私どものほうの代表といいますか、使用者側の委員も構成員の一員になっておるわけであります。その委員の方々にも、従来もいろいろと御連絡を申し上げておりますが、今後も情勢によっていろいろと公社側の考え方を申し上げまして連絡をとってまいりたいと考えておるようなわけであります。
○小沢(辰)委員長代理 八木委員に申し上げますが、だいぶ約束の時間が超過しておりますから、ひとつ結論に入っていただきたいと思います。
○八木(昇)委員 専売公社の方にもっとお伺いいたしたいのですが、やむを得ませんので終わりますが、ただ一つ要望したい点は、いまの第二の点であります。これはやはりいずれ近日中に調停委員会も調停案を出さなければならないというような状態になっておるわけであります。それをほんの二日か三日か四日おくらせるかどうかによって、十七日のあの事態というものの峠を越してしまうわけです。そうなりますと、やはり専売公社内においても実力行使が行なわれるし、それによって公社当局としては処分ということをやらざるを得ないし、いずれにしてもそういうことは当局側にとっても好ましい状態ではないことは明らかでありますから、公式、非公式を問わず、あるいは有形無形あるいは陰に陽に、どういう形にしろ、さらにでき得べくんばこの十七日以前に一つの調停案が出る方向において努力を願いたいと思うわけであります。 最後に、労働大臣に伺いたいと思いますが、労働法というものについての考え方でございます。これはおそらく社会労働委員会では何度か繰り返し論議をされた事柄であろうと思うのでございますけれども、事あらためてのようでありますが、特に労働に関する法律というものは一般の法律と意味が少し違うと思うのです。それはいわば規範的な意味だけで労働関係の法は解釈してはいけない。やはりこれは一種の社会制度という観点から見るべきではないか。そういう点から言いますと、公共企業に従事しているからという理由をもって、一切がっさいスト権を剥奪しておるというようなことについては、現在の日本の憲法下において相当無理があるということが言えると私は思っております。同じそういう公共企業に働いておるといっても、たとえばイギリスなんかの例を見ますと、そういう国有鉄道の労働者に対しても全部スト権を与えておる。しかしこれは非常に公共性が強いという意味で、ストライキのときでも緊急輸送を政府が必要な場合にはやらせ得るという部面を残しておる。こういう形をとって非常に配慮してあるわけですね。日本の場合でも昭和二十三年ごろまでは、たとえば公務員の場合でも公務員であるからというので十ぱ一からげにどういう仕事をしている公務員からも全部スト権を剥奪するということは正しくないということで、少なくとも現業機関の公務員についてはストライキ権を認める、こういう態度をとられてきておったわけなんです。そういう点からいって、今日公共企業体の労働者であるというゆえをもって、一切がっさい根こそぎ全員からスト権を剥奪しておるというこのあり方というものは相当の無理がある。しかも労働関係の法というものは、法そのものの解釈のしかたというものが、他の法律とは少し異ならなければならないという観点を、どうしても労働大臣としては考えておいていただかなければならぬのではないか、私は実はそういうふうに考えておるようなわけでございます。 そこで、たとえばストライキ権という問題一つを考えてみましても、戦争前にだってずいぶんストライキは行なわれた。戦争前においては公然と労働者がストライキをする権利というものが法律で認められていたわけじゃない。しかし実際にはやむにやまれず労働者が生活を向上させるためにはストライキに訴えざるを得なかった。であるからして公然とストライキ権というものが法で認められていなくてもストライキをやったからといって、即それを直ちに違反行為として片端からしょっ引いて処罰したということは戦前においてすらなかったはずです。でありますから、結局労働法というものがそういう性格のものである。そういう点から考えるならば、今度の十七日に行なわれるといういわゆる実力行使といわれるものについても、これは政府としていまのようないたけだかな、しかも型にはまったような紋切り型の法解釈をもって断固として処罰処罰 この間の本会議のように入れかわり出てくる大臣が断固として処罰をいたしますというようなことであってはならぬ。少なくともそういう考え方が労働省の主管大臣にあって、やはりそういう線において労働大臣としても今後動かるべきではないかという点が私の伺いたい点です。これが一点です。 もう一点は、したがいましてもしそういうような十七日の実力行使が行なわれた場合でも、ここでたとえば型どおり大量解雇をやったという場合に、いよいよILOの今後の問題が国会でどうなっていくかわかりませんが、ともかく九月にはILOから調査団が来ようという、これに対しては政府も調査団が来ることは拒めない事情である。そういうときに日本の公共企業体においてはたいへんな混乱が続いておる。しかも大量解雇相次いでおる。それでさらに紛争が続いておるという状態に対して、政府はどうおこたえになるつもりであるか、その点についてもお考えを承っておきたい。以上二点です。
○大橋国務大臣 公労法上の違法ストライキということを言っておりますが、その違法という観念は公労法として独特の面があると思うのであります。すなわち、公労法には御承知のとおり罰則のない法律でございまして、ストライキはしてはならない、こうありますけれども、そのストライキをした場合に、それが直ちに犯罪として刑事処分に付せられるというような性格のものではございません。ただしてはならない。これに違反した場合の法律効果といたしましては、労働組合法上の、いわゆる労働組合の正当なる行為として、刑事罰に対して免責が認められておる。そういう恩典もないし、また行政上の懲戒——行政罰と申しますが、これはいわゆる懲戒処分でございます。懲戒処分を受けることはあり得るのだ。したがって「解雇されるものとする。」こういうように書いてあるのでございまして、ストライキそのものが直ちに犯罪行為として処分されるわけではございません。ただ刑事罰に対する免責条項の適用が阻却されますので、その結果ストライキによって他の犯罪に該当するような結果を生じた場合に、鉄道営業法なり、あるいは電信電話法なり、郵便法なり、そういう罰条が適用になる、こういうような意味でございますから、違法と申しましても、これは犯罪をやるというような意味の違法とは、そこにニュアンスの相違がある、こう思っておるのであります。そういう趣旨であります。
○小沢(辰)委員長代理 関連を許します。吉川兼光君。関連質問ですから、時間もありませんから、ひとつ簡単にお願いをいたします。
○吉川(兼)委員 労働大臣にお尋ねいたしますが、実は春闘の問題が委員会で議題になりましたら、正式な発言をちょうだいして、民社党代表の角度から御質問したかったのでありますが、時間がないというのでやむを得ず関連質問になったのであります。この点委員長においても十分御了察願いたいのであります。 〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 春闘についてというテーマでありますが、すでに問題は四月十七日に行なわれようとしておりますストライキに集約してきたようでありますから、それに時間もないので、私もできるだけその点に問題をしぼってお尋ね申し上げたいと思います。 もちろん公共企業体関係の労働者の春闘は、四月十七日のストライキを宣言しておる、いわゆる公労協ばかりではありません。そのほかに違法のストライキには反対し、あくまでも民主的な労働運動のたてまえに立って、合理的かつ合法的に賃金の大幅引き上げの要求を掲げて戦っております同盟会議系の公共企業体関係の労働者の組合、すなわち全官公というものの組織があることをまず申し上げておきたいと思います。この二つの組合の要求ないし闘争の方法はもちろん必ずしも一致いたしてはおりません。しかしながら今日の段階になりました場合には私は要求の内容そのものよりは、やはり四月十七日に予定されておりまする半日ストライキの問題に質問を集約せざるを得ないと思うのであります。何となれば、もしこれが実行されました場合に、国民のこうむる公的、私的の不利益はきわめて大なるものがあるからでございます。何としても、これは回避できるものであれば回避しなければならない。これはわれわれ革新派におきましても、政府側におきましても当然考えなければならぬことだと思うのであります。そこで先刻来の各委員の御質問に対する大臣の御答弁を伺っておりますると、それこそ何か法律の平面的解釈にとどまっていて、労働法の特別な性格については、全然御考慮がなされておらないようでありますが、これは主務大臣の態度としていかがなものでありましょうか。特にストライキを横から批判しておるだけで、これを回避しようとする熱意がまるで見られない、私の目にはこのように映ります。これは労働大臣の持っておられまする非常に重大な使命から考えてどんなものだろうかといわねばなりません。この際法律の形式的な解釈などはしばらく別といたしまして、もはや今日の段階となっては労使両方の間において調停はむろん、仲裁に移行するような動きの出る可能性は見込みはないと思うのであります。したがって、この段階においても、なお大臣の御答弁のように、ストライキは労使両方の間において責任を持って解決したらいいだろうなどといわれるのは聞き方によりまするとはなはだ無責任にもとれる言い方をなさらずして、何とかこの際職権仲裁をやる気はありませんか、むろん具体的な数字をあげてやるわけでありますが、そういう気持ちはないかということを確かめておきたいと思います。
○大橋国務大臣 職権仲裁をやった場合に、必ずストライキが避けられるかどうかということをまず検討する必要があるのじゃないかと私は思います。私は、職権仲裁に移行した場合に、ストライキが必ず避けられるという保証は何ものからも与えられておりませんし、またどう考えてもさような結論を下すべき理論的根拠がないように思うのでございます。したがって私は、仲裁ということがこのストライキにおいてきめ手になるとは考えておりません。ただ当事者双方が真にこのストライキを避けなければならぬという自己の職責に対する十分なる自覚に基づいて、そして仲裁によって解決しようという気持ちになった場合においては、この仲裁移行ということがストライキを避けることになるかと思いまするがゆえに、私は職権仲裁は考えていない、しかし労使の話し合いによって仲裁に移行して問題を解決するようにお考えいただく余地はないか、それのみがストライキを回避する手段である、こういうふうに申し上げておる次第でございます。
○吉川(兼)委員 その点は大臣と私との見方が違うのかもしれませんが、私は特に労働問題の専門家である大橋大臣がこの際職権仲裁に踏み切れば、ストライキはまだここ数日を残しておりまするから、タイミングも悪くないようだし、何とか取りやめさせることができるのではないかと思います。これは見解の相違といえばそれまででありますけれども、現在におきましては、労使の関係において双方から歩み寄って仲裁に持ち込むということは、これはもう私は不可能だと思います。不可能なことを大臣がこの委員会で言っておられることは、失礼な言い方でありますが、ちょっとそらぞらしくさえ聞こえるのであります。大臣にして真剣にお考えいただきますならば、問題解決のきめ手になるような裁定のしかたがまだ残されているのではないかと私は思いますが、これは見解が違うようでありますから、これ以上の御答弁は要りません。 そこで同盟会議に参加いたしております全官公諸君の今度の春闘の方針というものは、先刻もちょっと触れましたが、これはあくまでも法で禁ぜられているストライキにはよらずして、それをむしろ排して、自主団交をもって、調停機関を尊重しつつ要求を実現すべくただいま闘争を継続中であるのであります。このストライキというものの取り扱い方のいかんをもって、いみじくも革命的な労働組合運動と、民主的な労働組合運動の差異が両者の行き方の違いとして表象されておると思うのでございますが、すでに世界の労働組合運動の大勢は、革命的な労働運動の没落あるいはその前途の危険性を随所に露呈し、かつ実証しておるのでございます。しかしながらそのことはしばらく別にして政府が今度の公労協のストライキ宣言を、いま申し上げましたように、単に批判をする立場をとり、あまつさえ先日の本会議においても、池田首相をはじめ各大臣が口をそろえて、断固たる処置、断固たる処分ということを繰り返しておりましたが、そのような力づくではたして回避できるものかどうか。もし四月十七日のストライキがかりに回避できなかった場合には、次々と非合法な手段が継続していくような行き方になるのは必至の勢いではないか。そうした場合に、一番その犠牲になりますのは、国民の迷惑はむろんでありますが、ストライキ参加の労働者の犠牲は決して少なくない、こういう点から考えました場合に、どうしてもこれは政府が一腰も二腰も入れてストライキ回避の方面に問題を導いていくべきであり、しかも政府部内においては大橋労働大臣その人が中心になってやってもらわなければならない。他の閣僚諸君は、総理大臣をはじめあなたほど労働問題はわかっていない、私はこういうふうに考えております。それには繰り返すようでありますが、いまとなっては職権仲裁が一番いいと思うわけであります。くどいようですが、国民と関係労働者のために大臣何とかこの事態収拾の方法はないものでしょうか。もう一度御所見をお伺いできれば幸いであります。
○大橋国務大臣 私は、事柄が労働問題でございますから、労働大臣といたしまして、何とか予想される不幸を回避する方法を発見したいと日夜苦慮いたしておる次第なのでございます。しかしながらいかにストを回避せんがためとはいえ、私どものなすべきことは法令の順守というワク内にあるわけでございまして、関係の各行政機関もいろいろな法令に縛られて行動をいたしておるのであります。かような次第で、現在の段階において労働組合の要求いたしております点について、具体的な数字をもって回答するというようなことは実際上期待できない状態にあるのでございますから、他の方法によって打開するようにしなければならぬ、かように考えまして、何とかここは労使の話し合いによって仲裁に移行するという気持ちになっていただきたい。そうした気持ちになられた場合に初めてストが確実に回避されるのだ、こう思ってせっかく努力をいたしておるところでございます。
○吉川(兼)委員 ただいまのような御答弁は、先刻来何回となく伺っておるところでありますが、しからば具体的にはどういうような方法によってやられておるのか、その点をひとつ伺いたい。
○大橋国務大臣 各所管大臣におかれまして、労働組合と十分に話し合いをされ、この点にも触れられることを期待いたしております。
○吉川(兼)委員 本来公共企業体関係の労働者は、私が申し上げるまでもなく、労働基本権というものを奪われておるのであります。したがって、それを補うための公労委というものがあるわけでございまするけれども、公労委の調停の歴史を振り返ってみましても、いまだかつて公労委ができましてから調停で片がついたということが一度もないのでありますし、常に最後は仲裁の方法によっておる。しかも使用者側は団体交渉にあたって、予算措置まで責任を持つ回答をすることはできない状態にあるのであります。このことは公労委の無力を物語るものであるが、したがってわが国における公労法上における関係労働者の基本権の制限が、西欧諸国の水準と比べ、あるいはまたILOの国際的な水準等に比べてみましても、非常に下回っておることは、まぎれもない事実であります。そたのめにこの公共企業体の中における労働基本権の拡大、すなわちストライキ権を認めるということは、われわれはかねて強く主張してきたことであります。これに対しては、一部におきまして、何か公共企業体の労働者にストライキ権を認めることは公共の福祉を阻害するというふうな見方があるようであります。しかしながら、私はそうした判断は、今日の段階ではもはや間違っておると言ったほうがいいのではないかと思うのでありまして、今日の労働運動の現状から総体的にそれらの関係を判断すべきものでありまして、そうした立場に立って判断をいたしまするならば、すでに日本の民主的な労働運動全体は相当成熟をしてきておるのでありまするから、この段階において、労働者の当然の権利を法によって束縛するような方向にいつまでも放置しておくべきではない。そのことは決して正しい労使関係を育てていくゆえんではない。むしろ逆に反発をし、それこそはね返ったいわゆる革命的な労働組合運動を招来する結果になる場合が多い。予定される十七日のストライキを前にいたしまして、ちょっと迂遠な議論をしておるように聞こえるかもしれませんが、これは今次のストライキの基本的な問題であり、また非常に大事なことでありますから、特に申し上げておるのであります。要するにいま労働者の間に流れておる底流は、政府の労働政策ないしは労働行政に対する不信感というものであります。この不信感を払拭しなければ、問題の根本的解決にならぬのじゃないかということを私は強調せざるを得ないのであります。すなわち、ストライキ禁止ということを法律の上でどのようにきめてありましても、今度のようにストライキは起こってくるのであります。ストライキに対するいい悪いの批判は国民の良識にまかしておき、政府は傍観することは許されません。いま政府がやっきになって厳罰とか、厳重なる処置とかいうようなことばでこの動きに接しておることは、決して問題を解決するゆえんではない。私どもはもし今次のストライキがこのまま予定どおりに行なわれた場合の国民の非常なる不利益を考えまするがゆえに、何としても労働大臣の御再考をわずらわしたい。ただいままで、御答弁なさったこととあまり変わらない御答弁しか聞かれないかもしれませんが、このままではいかにも残念に思いますから、いま一度聞かしてもらいたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 労働基本権についての制限の問題でございますが、公務員並びに公務員に準ずべき公職に奉仕する人々の労働権につきまして、一般民間労働者と区別をして制限をいたすという慣行は諸国にもたくさんある例でございまして、これらはすべてその国の国内の事情並びに国民感情によりまして、その制限の範囲、制限の態様などはいろいろと形があるようでございます。ILOにおきましてもこれをすでに承認いたしておりまして、ただかように公共性の強い事業あるいは公務員に準ずべき特殊の身分のある労働者の労働権を制限いたす場合においては、労働者の利益を守るための代償的措置を必ず講ずるようにということを勧告いたしておるのでございます。わが国の三公五現の労働権の制限に関しましては、ILOも、公労委の仲裁制度が認められ、しかもその仲裁裁定については政府がこれを尊重し、実行するというたてまえになっておる以上は、これで労働者のほうとしては十分であるということを承認いたしておる次第でございます。
○吉川(兼)委員 労働運動といいまするのは、何といいましても国民世論の支持がなくては大きな力を発揮することはできないのでありまして、国民はみずからの権利と生活上の利益がある程度そこなわれる場合におきましても、労働者の要求が正当であり、またそれが順法と民主的な労働運動のルールにのっとって行なわれておる場合におきましては、ストライキによって一時的な不利益をこうむることを許容する忍耐力というものはあるのであります。これは戦前戦後を通じて過去の労働運動のとうとい歴史が、ひとり日本ばかりでなく、西欧においてもこれをわれわれに教えてくれておるのでございます。そこで、私は今度のストライキは、政府の言うようにいたけだかになって一がいに違法である云々というようなことばは使いたくありませんけれども、どうもいろいろな点から見まして、われわれ民主社会党といたしましては今次のストライキには賛成できがたいものがあるのであります。しかし、そのこととは別個に、いま各国における公共企業体関係労働者の権利の制限について大臣はいろいろお話しになりましたが、各国の例は例として、わが国におきまするところの労調法上の公営企業、ここの労働者にはいまのような制限はないのでありまするが、こういうものと差別することは今日の民主的労働組合運動の成熟しつつある段階においては、もはや不必要ではないか、むしろそれは現状に沿わない矛盾した方向を意味するものではないか、こういうふうに考えておるのでございまして、この点について大臣のお答えを伺っておきたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 労調法は公衆の重大なる利益に影響ある事業における同盟罷業の制限でございまして、その方法といたしましては一時的な延期または予告制度、こういうようなことによって、公労法のごとく完全に同盟罷業を禁止するという段階までの強い制限をとっておらないのでございます。これはこれといたしまして、公労法の適用のある交通、運輸、通信その他の事業はいずれもそれ以上に国民生活に関係のある事柄であるばかりでなく、これに従事いたしておりまする労働者の身分は、現業においては公務員であり、また公共企業体におきましては公務員に準ずべき公社職員でございます。御承知のとおり、公務員につきましてはストライキを制限するばかりでなく、団体協約締結権すら制限されておるというような状況なのでございます。私は現在の公労法には、また公労法としての独特の意味があってできておるものである、かように考えておるわけでございます。しかし、公労法と公務員関係の労働権の問題につきましては、今後ILOの批准等に伴いまして、根本的に研究すべき問題もあるのではないかという感じもいたしておるのでございますが、この点につきましては、今後十分研究をいたしてみたいと存じます。
○吉川(兼)委員 関連質問でありますからあまり長くなると悪いですから、もう一つだけ伺います。 いまの公労委のあり方でございますが、これはこの機会でありますから労働大臣の御見解を伺っておきたいのであります。公労委自体の調停機能が非常に弱い、したがってそこの決定に全幅の信頼を置けないということが、労使双方にあるのではないかと思うのです。そこに労使双方の妥結意欲を阻害する何ものかがあるのであります。これは先刻申し上げましたように、例年公労委の調停がことごとく失敗に終わっておることでもわかると思います。したがって一部に公労委無用論なんかが出ておる根拠であろうと思うのであります。私が気づくことを三つばかり拾い上げてみますと、まず現行制度のもとにおきましては、公共企業体当局は新たな資金を必要とする労働協約を公正かつ自由な立場において締結する状態に置かれていない。このことは当然公労委における使用者としてのいわゆる当事者能力を完全に喪失せしめておることとなっております。いま一つは、公共企業体職員の賃金決定基準が、いまのところ全くあいまいであると思うのであります。何を根拠に賃金をきめるのか、その原則が確立されておらない。第三は、調停段階で労使が合意に達しましても、その結果は何ら政府や国会を拘束しない。かつ財源の裏づけがない。そうなりますと、結局せっかくの合意自体が全く無意味になるのであります。こういうような公労委のあり方の矛盾を労働大臣は、将来できるだけ早い機会に改めるよう御努力をなさる御意思があるかないかを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○大橋国務大臣 公労委の制度というものは、公共企業体関係の労働問題を取り扱っておるのでございますが、これは公労委の機能が弱体というのであるか、あるいは公労委の手にかかるところの公共企業体の財政、経理の点が非常にこまかい法律の拘束を受けておって、いわゆる団体交渉あるいは労使間の調停手続というようなものになじんでいないという点があるのか、この点にも一つの問題があろうかと思います。しかしいずれにせよ、そういった関係上、公労委の機能が結果的に見て弱体化しておるということは事実でございまして、この問題は公労委関係の労使問題の解決手段というものを的確に講じていく、そして、これらの問題を迅速に的確に処理することによって、この間の労働問題を解決していくという必要は十分に痛感をいたしておりまするので、さような見地から適当な機会にこれらの点を再検討いたしてみたいと思います。
○田口委員長 滝井義高君。
○滝井委員 春闘の問題について、労働大臣並びに国鉄の総裁なり専売公社の総裁に二、三点お尋ねをいたしたいのですが、重複しないようにお尋ねをいたしますので、明確な御答弁をいただきたいと思います。 例年の春闘の時期と違って、今年は少しく、まず背景の客観情勢が違ってきておると思うのです。それは、すでに日経連が春闘の相場の見通しについて調査したものがあるわけですが、それを見てみましても、やはり定期昇給を含めて約一割というものがもうすでにことしは相場になるような状態であります。すなわち、過去二年間、大体ベースアップというのはずっと漸減してきておった。ところが今年は昨年に比べて二百円程度上回っておるわけです。一体なぜ今年は昨年よりこういう上回りの傾向が出たかということを日経連自身が分析をしてるおわけです。それは大ざっぱに言って四つの理由がある。一つは、公定歩合の引き上げなどで経済の見通しは楽観ができないけれども、昨年春に比べて全般的に企業の業績が上向いてきておるということです。いま一つは、鉄鋼とか紙・パルプ等のように、昨年がまんしてもらっておった、そこで今年は、そのがまんしてもらっておった分を加算するのだ、こういう訂正賃金というものがあるために昨年よりか上回ってきておるのだ。いま一つは、機械など非常に人手不足で、その対策にやはりどうしても賃上げというものを加味しなければ、企業がその人手不足をカバーすることができない、こういうことが一つ加わってきた。そしていま一つは、開放経済体制を迎えて、どうしても他の企業に打ち勝って、早く企業の水準を上げるために、抜けがけ回答といいますか、そういうものがふえてきた。こういう要因によって昨年よりか春闘の相場が上がったのだ。これは日経連の見通しとして出てきているわけです。こういう背景というものは、国鉄にしても、専売公社にしても、三公社五現業関係、あるいは政府にしても、この客観的な日経連のこういうものの見方については、私は無視することはできないと思うのです。民間賃金と、三公社五現業の賃金というものは相当考慮される面が多いわけですから、そこで、こういう背景があるということを考えて、簡単に二、三点質問するわけです。 何人か出たわれわれの同志の諸君の職権仲裁をやるかという質問に対して、大臣は、職権仲裁をやっても現在のストというものは避けられないのだ、そこで、自分のまいた種は自分で刈り取るべきで、労働大臣がこれは刈り取るべきものではないのだ、こうおっしゃっておるわけです。だから刈り取らなければならぬのは横にすわっておるお二方に当事者としての責任がおありになるのですね。そこで、労働大臣が職権仲裁をやってもストが避けられないならば、自己の職責をそれぞれ労使双方が十分認識をして、その自覚に基づいて仲裁に移行するならばストが避けられるのじゃないか、こういうのが大臣のいわば職権仲裁をやらない理由なんです。いままでずっと聞いておると、そういうことに要約できると思うのです。 そこで、そのためにまず大臣にお尋ねをいたしたいのですが、双方が仲裁に持っていくということのためには、それぞれの当事者、特に金を出す側の国鉄総裁なり、専売公社の総裁が、やはりないそでは振れないのですから、振れるだけのそでを自覚をして持っておかなければ、仲裁に持っていって、さあ、あなたの意見を述べよと言われても、ないそでは振れぬ、政府に聞かなければわからぬということでは、すなわち、適格者能力を失っておるわけです。現在、この適格者能力を示唆するのは政府自身なんです。この政府自身がそれを示唆をすることなくして、調停に労使双方が行きなさいといっても、これはなかなかいきようがないわけです。ここなんです。問題の解決のかぎは。私はここにあると思うのです。それについて、一体労働大臣はどういう見解を持っておるのかということ。すでに過去の歴史が、労働組合から当局側が不信感を持たれたというのは、お前たちは予算上あの予算総則できめられたら、あと何にもできぬじゃないか、一円だって上げることができないのだから、これを一体どうするのだ、こう言われると、はたと行き詰まっておる。最初に国鉄総裁が言われたように、それはひとつ国会がやってください、こういう答弁になって、みずからは第三者の立場に立っておる。みずからは第三者の立場ではないのだ。大臣の言うように当事者なんだ。みずからまいた種を刈り取らなければならぬ、かまを取って刈らなければならぬその人なんです。ところが、これは政府自身も第三者ではない。すなわち、国鉄当局なり、専売公社の総裁に対して、だいじょうぶだと肩をたたく気持ちが以心伝心にでも双方に、いわゆる総裁に伝わっておらなければ、なかなかそうはいかぬところがある。だから、こういう意味においては、政府は、いわばリモートコントロールをやる立場にあるわけです。この点に対する労働大臣の認識をまずお伺いして、そして、いまのこの認識に対する両総裁の立場を御説明願いたいと思います。
○大橋国務大臣 私の申しておるのは、調停手続でなく、仲裁手続がなければ解決しないだろう、こういうことでございます。この仲裁手続におきましては、仲裁裁定は公労委において作成されるものでございます。公労委に対しまして、政府がリモートコントロールなどをすべきものではございません。これは政府から独立して、争議について独自の立場で公労委は裁定をつくり上げるべきものなのでございます。この公労委におきまして、民間の賃金ベースであるとか、あるいはまた生活費の状態であるとか、あるいは労働の強度であるとか、そういった労働の内容をいろ検討し、適切な額を決定される。政府といたしましては、この公労委の裁定を基礎として予算措置を講じていく、こういう段取りなのでございます。
○阪田説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、たとえば調停委員会の関係につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、組合の申請によりまして調停委員会にはかりまして、その調停委員会で労使双方から事情聴取が数回行なわれまして、私がきょう参りまして承りましたところでは、大体きょう事情聴取は済んだ、これから労使、公益三委員の方々がいろいろと御相談をなされ、協議される、こういう段階になったようであります。こういう段階におきまして、私どもとしましては、これは私どものほうから仲裁移行を申請する、あるいは組合のほうから申し出るということがあるかもしれませんが、現在そういう段階ではない、こういうふうに考えているわけであります。ただいまお話のありましたような、政府、そういう方面からこれだけは出してやるからというようなお話がないから、仲裁申請をしない、こういったようなことは全然ございません。
○石田説明員 国鉄といたしましては、さっき申し上げたように、調停委員会に組合と打ち合わせの上持ち込んだわけであります。そして、その結果仲裁裁定へ持っていく。仲裁裁定がどういう裁定を下すか存じませんが、国鉄としては、すでに仲裁裁定へかかった以上は、何とか大蔵省なり何なりにお願いして、ぜひこれを実行したい、こういう希望を持っているものであります。
○滝井委員 そうしますと、国鉄としては、仲裁裁定に持っていくということですが、専売公社は仲裁裁定に持っていく意思はない、こうおっしゃった。国鉄は仲裁裁定へ持っていかれるということですか。ちょっとはっきりしませんでしたが。
○石田説明員 調停委員会でまとまれば仲裁裁定へ持っていく、これは当然のことだと思います。
○滝井委員 公労法三十三条で、大まかに分けると、仲裁に持っていく場合に三つあるわけですね。労働大臣は、いまの段階では職権仲裁をおやりにならない、こうおっしゃている。そうすると、あとの一つは、公労委の総会でこれは単純に議決をする以外にないわけです。ところが、これは必ずしもそう簡単にいかぬと思うのです。そうすると、あとは労使双方が合意でやるか、労働協約に基づいてやるか、二カ月たった後にやるか、三つのものは大体類似のものです。大きく分けると、いま言ったように、職権でやるか、公労委で議決をするか、労使双方で合意でやるか、こういうことになってしまう。そうすると、職権はだめだ。それから、公労委の総会の議決も客観的に見て必ずしもそういう情勢でないと思う。そうすると、労使双方でいける情勢があるかというと——専売公社総裁が言われるように、そうでもないとすると、結局これはいまの段階では三すくみなんですね。そうすると三すくみのままに十七日を迎えれば、これはどうにもならなくなってしまう。これを一体どう打開するかということが政治の問題だと思う。この三つのものしか仲裁段階というものはないわけです。そうすると、いま非常に組合自身についても過去の仲裁なり調停等の実情から見て不信感があるわけです。それから当局側は適格者能力を持っていない、こういう状態があるでしょう。そうすると、三すくみのままでこの事態がずっと進んでいくということになれば、これはどうにもならなくなってしまう。この事態を明確にしようとするならば、ストの説得をするだけでなくて——公労法の違反だと言ってその筋をあくまでも通されようとするならば、やはりどうしても政治家がみずからの苦衷を明らかにする必要があるわけです。何も病人が瀕死の状態になってからリンゲルをやる必要はないので、リンゲルをもっと早くやってもいいわけです。調停の段階で出して悪いという法律はないわけです。これは政府が腹をきめればできることなんです。もう両社は出す金はないと言っているのです。たとえば国鉄の総裁は昨日の調停委員会で、ラジオの報ずるところによると、国鉄は一時間についての賃金が百五十六円程度、他の公社は百七十円だ、この格差を縮めるためには昭和四十年度にどうしても運賃その他を引き上げてやる以外にないという意味のことをおっしゃっておるし、きょう山田さんの質問に対してもそうおっしゃっておるわけです。そうしますと、これは一時間について百七十円と百五十六円の格差を縮めるためにも、なかなかいますぐにはできない。ところが労働大臣が言われるように、労働の質を考え、あるいは国民生活費の状態、民間の賃金等を比較してみると、国鉄というものは非常に労働も強化されておるし、多くの人の命を守らなければならぬのだから、これは何とかしなければならぬ。何とかしなければならぬと言っても、何とかしなければならぬと言うだけであって、何とかするためには一体だれがネコの首に鈴をつけるかということです。政府がつけろと言ってくれなければいかんともしがたいわけでしょう。それなら何も仲裁を待たなくても、国鉄総裁みずから、適格者能九をわれに与えよ、このことだけだと思うのです。たたけよ、さらば開かれん。国会の門をたたくのではなくて、政府の門をたたくべきである。大蔵大臣と池田総理の門を国鉄がたたくべきだと思う。そうすれば門は開かれると思う。それを国会の門をたたいている。国会はこれほど言っているのですから、池田総理と大蔵大臣のとびらをたたくべきだ。たたけよ、さらば開かれん、この決意が大事だ。そして適格者能力を持って労働組合を説得すれば、このストは一挙に解決をする。あなたが手のうちを示さずに、ただストをやめろ、十七条違反だ、スケジュール闘争をやってはいかぬ、国民に迷惑がかかる、調停中にストをやってはいかぬ、こういうことを幾ら言っても事態は解決しない。すでにこれは過去において適格者能力を失なっている、こういう法律上の不備があるわけです。すでに民間においても、もはや三千二百円程度は当然だという論になっているわけですから、この事態をもう少しやはり——明治、大正、昭和にかけて世界をまたにかけて商売をされてきた石田さんですから、こんな機微なところはわからぬことはないと思う。わかり過ぎていると思う。わかり過ぎておるなら、この際蛮勇を振ってこの事態を解決するためにはあなたが乗り出す以外にはない。悲しいかな、答弁を聞いておってもあなた以外にその勇気を持っている人はほかにいない。そこで私は当然そういう態度をとるべきだと思う。大臣はもう職権をやらぬとおっしゃっておる。どうですか。
○石田説明員 先ほどから申し上げますように、国鉄と組合との問題はいま調停の段階です。それでいよいよこれが仲裁裁定になってきて、どういう決定が下されるか知りませんが、国鉄のいまの財政状態というのはそう楽な状態ではない。三十九年度においてはもう利益というものは出ない、パーパーでいけばけっこうではないかと思っている。そうすると、組合に対する給与の引き上げということはできない。いまほかの二公社に比べて一時間当たりの賃金というものは、さっき申されたように非常に安くなっておる。私は、どうしてもこれは同じところに持っていかなければならぬ、できれば労働の質から考えてプラスXをつけてもらいたい、こう言うのですが、それにはやはり財源をどこに求めるかということが必要だ。どこご求めるかということになれば、さっき申し上げたように、私は、運賃の値上げとは言わない、運賃の是正だと思う。それから公共負担の是正、そのほかの財源を、われわれ一生懸命に考えて職員に訴える、こういうことを考えておりまして、どちらかといえば背水の陣です。背水の陣だが、しかし国会にしても政府にしても、国鉄のいまの運賃のいどころ、公共負担というような世界に類のない国鉄の負担というものを考えれば、それに対する是正の措置は、私は必ずやとってくれると確信しております。それによって財源をつくって、給与の問題の是正をやりたい、こういうようにかまえておる次第であります。
○滝井委員 御存じのとおり、池田内閣は公共料金を一年上げないという決定をしておるわけです。特に国鉄の運賃の問題というのは非常に大きな比重を占めておる。そうしますと、その方針を決定したのはだれが決定したのか。これは高度経済成長政策を推進して物価を引き上げた池田内閣みずからが決定をしておる。したがってこの池田内閣の政策の転換がない限りは、あなたが幾らそう望んでもこれはできない。そうするとその大もとはどこかというと池田総理大臣と大蔵大臣、ここをたたく以外にないわけです。ここ得の前にここを説得するんです。そうしてこことあなたとのあうんの呼吸が合ったならば、四十年にはあなたの言われるように二割なり二割五分の運賃を上げてよろしい。こうなったらあなたは出て行って、労働組合によろしいと国鉄の委員長と握手したらこれで解決するのです。もはや小手先でものが解決する段階ではない。いまのあなたのことばで言えば国鉄の運賃を是正する——適正な料金をつくるということなんでしょうが、そのことだって運賃を引き上げるということには変わりはない。そうしますと、そういう形になるとすれば、もう池田総理大臣とあなたと話し合って、そしてその結果を労働組合に以心伝心伝える以外にない。これが誠意だと思う。もはや小手先で公労法の末端を、重箱のすみをほじくるようなぐあいではものは解決する段階ではない。もはや、過去の歴史が積み重なって公社に対する不信感あるいは公社が適格者能力を欠いておるというこういう歴史的な積み重ねの上に現実がきておるのだから、ここをやはり両総裁ともきちっと考えて、特に国鉄総裁は考えていただかなければならぬ。あなたは財界からお入りになってそういう考えをお持ちになっておるから、私はあなたならできると思う。公労委に行って意見をお述べになることもいいです。けれども、お述べになる前にやはりすみやかに池田総理大臣とあなたとの間の腹を一致させる、合わせることが必要だ。これを一・体あなたはおやりになっておるかどうか聞いておきたい。ようではなはだ相済まぬですが、運賃決定権というものは総理大臣が持っておるわけではない。国会が持っている。ですから四十年度においてこの運賃の是正問題、公共負担の是正問題というのは必ず私としては出します。出す場合にあなた方がどうするかという問題で、総理大臣の問題じゃない。
○滝井委員 石田総裁に私が言うことは失礼ですけれども、御存じのようにいまの日本の政治は政党政治だ。政党が政策を決定する。そのイニシアチブはだれが握っておるかというと、自由民主党の絶対多数を握る池田総裁が握っている。ここがかなめです。予算の提出権は政府にあるわけです。それを国会で賛否の態度を決定する。だからその主導権を社会党が握っておれば社会党がやる。ところが社会党が握っていない。いま自由民主党の総裁である池田勇人氏が握っている。したがっていま世間では、一体このストをどうするかということは池田さんの腹にかかっておるんだということを新聞論調も言い始めたでしょう。社会党の内閣のときにも、この運賃値上げの問題で社会党内閣がつぶれたことがあるのですから、この問題はそれほど重大なことです。したがってそこらあたりは池田総裁と十分あうんの呼吸を合わして、そしてあなたの態度をきめなければいかぬ、こういうことです。その上で国会は国会としての態度をきめる。原案を提出することなくして国会がいかんともしがたいわけです。そこで、この点を、あなたが公労委に行っていろいろのことをお述べになる前に、やはりあなたの腹というものを固める必要がある。
○石田説明員 あなたは運賃の決定は総理大臣、総理大臣と言うが、総理大臣といったって世論を代表しての総理大臣だ。世論を無視し、多数の国会議員の考えを無視してできるような総理大臣であれば、これはえらい総理大臣だ。私はこんな総理大臣じゃないと思う。これは総理大臣にしたって、まずもって自由民主党の意向を代表してやるのだから、同時に社会党の意見もちゃんと考えてやるだろう。要するに国会のアトモスフィアというものを考えてやるのが総理大臣だ。そうでなくて、もしも総理大臣がムソリーニ式に何でもかんでも独断でやるというなら、これは総理大臣じゃない。そういう意味において、総理大臣、総理大臣と言うが、問題はあなた方国会ですよ。
○滝井委員 最終的には国会が決定することは、これは公労法の十六条で明らかです。しかし国会が決定するまでには政府がやはり意思を決定しないと、御存じのとおりいまの国会はそう簡単にいく状態にはないわけです。これは冷厳な現実です。そしてこういう現実の問題を処理するときには現実的な議論をしていかなければならぬことになるわけです。そうしますと、池田総裁が決定するということは、当然池田総裁が、自由民主党が党の決定をして、決定することになる。そのことはすなわち国会の決定になってくるわけです。そこでやはりあなたと大蔵大臣なり池田総理とがお話しになって、そういうアトモスフィアを国会につくる努力を政党にさせなければいかぬわけている。そのためには、あなたと池田総裁と腹を一致しておかないといかぬ。ところが組合に対して今度は調停から仲裁にいこうじゃないかと言うときにはお互いに同意が必要なんですから、そのときに主導権を握るのはやはり経営の側です。経営が自分の経営はこのくらいしか金が出せないのだ、いまの客観的な情勢は政府とも相談したが、運賃の値上げはこのくらいしかいけないんだ、こういうものさしは、政府と相談をし、客観的な社会情勢を見、民間の賃金の状態を見ておのずから運賃は決定してくるわけですから、そういう意味で、あなたが池田総裁と腹を割ってこの際話したのかどうか、話す意思があるかどうかということです。
○石田説明員 仲裁裁定でいよいよきまったとして、これを国鉄が予算の範囲内で払うということができれば問題ない。それができない場合においては、どうしてもこれは大蔵省にまず話し、あるいは総理大臣の了解を得て処理して国会に出す、こういうような順序になると思います。少なくとも仲裁裁定で、いま言ったように国鉄としてはできるだけこれを実行したい。実行するについては、いま申しましたような実行をするような財源を持つべくできるだけの努力をする、これが私は当然の責任であり義務だと考えております。
○滝井委員 最後に一つ聞いておきたいのは、公社など国有企業の職員の賃金決定の基準がはっきりしないということですね。賃金問題は労働大臣も関係があるが、たとえば仲裁にいったにしても、やはり賃金決定の基準というのはない。つまみ金になる可能性もあるわけです。こういう点にも一つ問題がある。日本の国有鉄道なり専売公社というものは賃金決定の基準がはっきりしない。だからあなたが言われるように、一時間で、時間のものをとると百五十六円だ、他のものが百七十円だ、この格差を縮めなければいかぬのだとおっしゃるけれども、一体その賃金の決定の基準というものがどうなっているのか、賃金決定の基準というものが法律を見てもどこにもはっきりしていない。こういうところにやはり問題がある。こういう基本的な問題についてもこの際明らかにしておく必要がある。そうしないと、あなた方の格差の問題についても水かけ論になってしまう。同じ三公社五現業ということで、労働の質その他というものが考慮されないことになる。こういう点については、やはり国鉄当局も労働の質その他労働の密度等についても十分検討しておく必要があると思うのです。こういう点についてはどうお考えになっておるか。労働大臣もあわせて御答弁願いたい。
○石田説明員 いま私が当面直面している問題は、この非常な格差がある、これを是正するということがまずもっての問題であります。そしてそれが済んだところで、ひとつこれからは三公社のものは公平にいく、こういうことに進むべきが順序でありまして、あなたがいま申されたような三公社がどういうことで歩調をそろえていくかということは第二、第三の問題。何となれば、いまの二公社に対する国鉄職員の給与の差というものを直すだけで相当な費用がかかる。私は五百億以上かかるのではないかと思う。そういうことで、これを直すことがまずもっての先決問題だ。われわれの目の前にある火事はそこなんです。それをまずもって消さなければならぬ。その上であなたのおっしゃるようなことに進むことについては− ひとつ目の前の火事を消す、こういうことについて国が成功すれば一つの成功じゃないかというように考えております。そのほうに全力を注いで、いまのあなたのほうの理想の問題については、これは迫っての問題、それよりも第一に、四十年度において国鉄職員の給与を是正すべき財源をつくるということが私に課せられた仕事だと考えております。
○滝井委員 これで終わりますが、そうしますと、いまの格差を消すためには五百億の金がかかる、そのためには運賃を上げなければならぬ、いまの国鉄当局としてはその財源はそこに求めざるを得ないだろうということですが、これはあなたとしては一挙におやりになるのか、二年とか三年でおやりになるつもりなのか、そこらのあなたの気持ちをひとつここで明らかにしておいていただきたい。
○石田説明員 御承知のとおり、国鉄にはいま過密ダイヤの解消とか大きな問題が重なっている。単に賃金の是正だけの問題ではない。かりに運賃の二割を上げたとしても、これはぜいぜい千億円くらいです。それでそのうちから五百億出すというふうになるときわめて簡単のようであるが、賃金だって年々やはり二百億、三百億上がってくるのですから、そう一気に差を解消するというのは、運賃を上げ、公共負担を是正してみたところで、財源において不可能なんです。事ここに至ったのは、これは何も急に起こったのではなく、もう累年の蓄積ですよ。これは過密ダイヤの解消と同じように、やはり貸すに相当の年をもってしないとならぬ。それからこれはあまり気短にやれと言ったってできるものじゃないのだということをひとつお考え願いたい。しかしわれわれの理想はどこまでも長い目で見ていくのだということで、グラジュアリーにステデイリーにいくというのが私の目標でございます。
○滝井委員 けっこうです。ありがとうございました。 ————◇—————
○田口委員長 内閣提出の中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げます。 今度の中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案はむしろ新しい一つの別な立法をつくったというような形式の改正になってきておるわけです。したがって、普通の一部改正法と違って簡単にちょこちょこといくわけにはいかないようでございますので、重要な問題点について大臣なり担当局長にお尋ねをいたしたいわけです。 まず、できるだけ条文を追っていきます。政府の出された中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案関係資料の逐条説明のほうを見てもらいたいと思います。それの二ページです。二条の四項で、特定業種は「労働大臣が指定するもの」というのがあるわけです。この「労働大臣が指定するもの」というのは一体どういうものなのか。
○三治政府委員 今度この法律が通りましたら、できるだけ早く指定したいと思いますのは建設業でございます。大体産業大分類できめていきたいというふうに考えております。
○滝井委員 そうすると、労働大臣が指定する特定業種というのは建設業だけなんですか。
○三治政府委員 この法律が通りまして、予算措置がとれておりますのは、建設業だけでございます。
○滝井委員 そうしますと、一体建設業はどうして中小企業退職金共済事業団に入ることができないのですか。
○三治政府委員 常用労務者につきましては、退職金事業団に入れるようになっております。これは特に期間雇用者だけでございます。
○滝井委員 それも法律ができるわけなんですから、事業団のほうに入れられるわけでしょう。
○三治政府委員 これはいまの事業団では事務の実際の施行上からいってできないということで、いままで適用除外になっていたものでございます。
○滝井委員 建設業は、御存じのとおり、日雇い健康保険に入っておるわけです。日雇い健康保険に入れられるようにまとめ得る労働層が、事業団にまとめ得ないはずはないわけなんです。これは御存じのとおり、日雇い健康保険に一人親方のようなものは擬制適用がされているわけです。そういうように日雇い健康保険でできるものが、この退職金でできないはずはないと思うのです。
○三治政府委員 それは社会保険のように強制適用になれば、それぞれのちゃんとした出先機関ができるという体制ならば、できるわけであります。退職金は現在の労働法のもとではこれは自由制度になっているわけでございます。この退職金の積み立て制度が自由制度ということからいきますと、そういうような社会保険関係の強制適用で、ものごとを事務処理していくのと根本的に違う、こういうふうに適用上、実際上違うということであります。
○滝井委員 失業保険で五人未満の失業保険は組合をつくらしてやるわけです。それと同じように、組合をつくってもらって、事業団へ金を納める道を講じたらいいわけで、何も新しく事業団と同じような性格のものを二本、三本とつくる必要はないと思うのです。これはいま建設業だけ一つだけれども、別のものができてくればまたつくるわけでしょう。「労働大臣の指定するもの」は建設業だけしか指定していないから、二つです。ところが別なものができてきてこうなると、三つ、四つと並ぶようになって、こんなめんどうくさい制度はないということになる。これは制度としても、どういう立法者がやったかしれぬけれども、案外頭のいいやり方じゃないと思うのです。
○三治政府委員 そういう疑問を持たれるのはもっともでございまして、この問題の一番初めに審議会へ諮問した場合にも、委員の過半数程度の方がそういう御意見で、しかし期間を定めて雇用されて、しかも建設業は現場が非常に変わるわけであります。そういうふうなのに、しかも自由制度でやっていく場合に加入がはたして確保されるか、失業保険のほうもずいぶんああいう制度でやったのですが、現在のところ一、三%程度の加入でございます。一般の工場、事業場のいまの中小退職金のものでも一二、三%でしょう。ところが、期間を定めて雇用され、しかも技能者を中心にしてやっていこうという場合には、業界が一本にまとまって全部がやろう、こういうことなんです。全員ほとんど適用さしていこう、そこが苦心のあるところです。入る人は入りなさい、入らぬ人は入らぬでもいいというのなら、事業団でけっこうだと思う。ところが、業界が一本にまとまって、全部一緒にやりたいというところに、非常に理論上おかしい問題があるというけれども、実行上はこの組合方式でなければできない、こういうことなのです。
○滝井委員 これは個々の日雇いのような労働者をつかまえるばかりでなくて、事業者も両方把握しなければならぬというものではないわけで、まずそれぞれの土建をやっている業者をつかまえたらいいわけですから、非常に数は少ないのです。そこで、たとえば滝井組なら滝井組は一体この共済の事業団に何人加わるかということで、百人加わります。そうして、一人の掛け金が五百円なら五百円でございます。よろしい、それなら大橋組は一体何人加わるか、こういうふうにまとめて、業者の組合をつくらして、そして金を一括して納めさしたらいい。それをまた事業団と同じ機能のものをつくるというめんどうくさい——私は大蔵や厚生ますが、同じものを何本も何本もつくるのは制度的に非常にまずい。だから、労働省のところのこの事業団一本でまとめて、そして各業界に組合をつくらして、そこから、責任を持って、各組合が何人、何人と納めさしたらいい。それを事業団と並列するものをまたつくる必要はないと思うのです。そんなことをいえば、今度は日雇い労働者だって、土建は土建でつくる。早い話が、健康保険組合が政府管掌と千人以上は組合管掌ができるように、そんなことになったら、これはたいへんなことになるのですよ。私はどうもこの法案は納得いかないのです。こういう複雑な制度を日本の社会保障の一環として二つも三つもつくるということは断じて許されない。社会保障専門にやればやるほど、こんな愚な法律はないのです。小林君が、これは労働省の役人のおば捨て山をつくるのじゃないかと言っておったのですが、それほど私は疑いは持っていない。制度的にこういうものをおつくりになるならば、事業主から集めたらいい。これは労災に加入しているのですし、労働省は労災保険というものを持っておる。そして土建業の労災というものは把握しておるわけです。労災は労働省の同じ所管にあるから、一体になったらよろしい。最近は、ことしの予算だけを見ても、御存じのとおり五人未満その他についても厚生省は厚生省でかってにやっておる。労働省もかってにやっておる。それではいかぬ、だからひとっこれは共同の調査をやろうという案が出ているわけです。その予算もお取りになっているはずです。そうすると、おたくも立つし、それから失業保険なり健康保険なり厚生年金の基礎的な調査を、労働者の把握を、あるいは賃金の状態をまちまちでやっておったのではいかぬから、一緒にやろうじゃないか、標準方式その他も統一する必要があるということが出てくる。これはことしの予算にもそういう経費が計上してあるわけです。そういうことから考えても、別に組合をつくらなければならぬという理論はどこからも出てこない。私はいま縦からも横からも、上からも下からもひねってみたが、どうひねってみても別のものをつくるという理論は出てこない。
○三治政府委員 それは期間を定めて雇用される建設業の労務者は、そういうふうな一定の地域の集団的な業者が集まって、組合で常時その期間をぐるぐる回って雇用させておるということでなく、全国を動くわけです。全国といっても何も九州から北海道へ動くわけでもないのですが、どんなに業者の組合をつくってみたところで、その組合からまた組合へ移る建設業の期間労務者がいる。たとえば名古屋で工事していたと思うと静岡で工事をやる。その間に静岡の大工や左官がやるばかりでなくして、新潟からも大工、左官が来るわけです。それをどうして一生ずっとつながっていくかということになる。しかもそこは任意加入で、静岡なら静岡の土建業者だけ、その土地の者で動かぬ者を使うというなら一番いいわけですが、それが動いた場合に一生涯退職金を積み立てていくという機能がどうしてできますか。できないというところで、これは一本のものをつくらからできた。理論上からいえば、これは事業団ででき得れば、私どもはそれにこしたことはないのですが、現実にいろいろ業界の実態を調べてみて、こういうことでなければできないということが結論です。理論上の問題じゃない。理論からいえば、確かに先生の言うようにまとめたほうがけっこう、われわれも退職金事業団があるからそこでやりたいというのはやまやまですけれども、実態を調べるとできない。全国を動く人間、建設業の現場で働く技能労務者を中心とした期間雇用者をどういうふうにして一生涯、大体民間の定年まで退職金を積み立ててやるか、こういうことを考えてみた場合に、これしか方法がないという結論に達してころいうふうにした次第であります。
○滝井委員 この特殊の退職金共済組合をつくれば把握できるというのなら、動くのも把握できるでしょう。そうすれば、その組合を事業団に結びつけたらいいのです。その組合が事業団に保険料を納める形、契約金を納める形をとればいいのですから、何も独立の別のものを立てる必要はない。私の言うのはそこなんです。やはりがんとしてピラミッドの頂点には事業団があるという形にしておかなければいかぬ、事業団と対立のものをつくってはいかぬという考え方です。そうすればするほど事務的な経費がよけい要るし、また人もよけい要るのです。だから、私どもはそこが納得いかないわけですよ。 そこで、納得いかないので、複雑な状態をまず大蔵省にお尋ねをするわけです。一昨年でございましたか、法人ができたわけです。この企業年金が一体なぜできてきたかというと、各企業においては退職金の額が賃金支払いの総額の中に占める比率が非常に高くなってきたわけです。そこで、企業としては厚生年金の引き上げが昭和三十九年になったら起こってくる、あるいは三十八年末から起こってきたわけです。賃金支払い総額の七ないし八%退職金がふえてきた。その上に厚生年金を上げられたのでは企業の資金繰りが非常に悪くなるからたいへんだ、こういうことで退職金を分割払いする思想が出てきた。そこでこれを何らかの救済の道を講じなければならぬというので、日経連その他の財界の強い要望によって、われわれが知らないうちに法人税法の改正で企業年金ができてきたことは御存じのとおりです。この企業年金の実態は、法律ができてからいま中小企業なり大企業にどういう状態でこれが適用されつつあるか、まず説明してもらいたい。
○山下説明員 まことに申しわけございませんが、実際の状況につきましては国税庁のほうで実施いたしておりますので、ただいま私からお答え申し上げることはできませんが、主として中小企業において実施されておるというように聞いております。
○滝井委員 実はそれをきょうは質問するためにわざわざ来ていただいたのです。それがわからないとなると、この質問は進まないのです。ここが一番大事な点なんです。いまあなたが言われたように中小企業で実施されておる。そこで企業年金が実施されておる。なぜ企業年金が実施されておるか部分を占めておるから、一時退職金をやめて分割払いをしようとしておる。ところが、労働省のほうはそれをまたやろうとしておるのです。政府の政策はこういうように二つ違ってきておるのです。だから、ここに実態を明らかにしなければ問題は進まぬわけです。 委員長、これは私の質問の一番中心課題なんです。だからきょうはわざわざ来てもらったのですが、いまの答弁ができないとすると、ちょっときょうは私の質問を保留せざるを得ないのですが……。
○山下説明員 その点につきましては予想外で申しわけございませんでしたが、大体厚生年金の問題もありまして、それがまだ最終的にきまっていないような状況でございますので、大企業としてはまだそこまで踏み切っておられないような状況で、大体この適格退職金の問題は中小企業に多いということは存じておりますが、それ以上にどのような形で、その数がどれだけあるかということはただいま直ちにお答えできません。さっそく連絡をいたしましてお答えいたしたいと思います。
○田口委員長 滝井君、年金局長が知っているそうですから……。
○山本(正)政府委員 いま税制適格年金がどうなっているかということにつきまして、私のほうへの質問ではございませんけれども、私の知っている範囲で数字を申し上げますと、昨年の十二月末現在で税制適格年金は、国税庁の把握しておりますものが、会社の数で合計七百三十一でございます。そうして、その七百三十一のうちで、三百人未満、これが六百六、それから三百人以上が百二十五、こういうような数字になっております。
○滝井委員 そうしますと、この税制適格年金は、御存じのとおり信託型と保険型と二つあるわけです。これはまた違ってきているわけです。この内容を明らかにしてもらいたい。
○山本(正)政府委員 ただいま七百三十一のうちで、保険型が三百七十一、それから信託型が三百六十でして、三百六十というのは、百人以上の事業所に信託型がある。百人以下のものには信託型がない、こういう数字になっております。
○滝井委員 そうしますと、三百人以下が六百六で、しかも保険型は主として百人以下に集中してくるわけですね。とにかく企業年金が退職金の共済組合と合致することは明らかです。そうすると、退職金のこの共済事業団と企業年金との関係は一体どういうことになるのですか。
○三治政府委員 これは退職金の支払いの型や制度が必ずしも一つでなければならぬということはないわけです。強制適用するにはなるほど一つでなければならぬと思うのです。たとえば、金融機関でもいろいろその場によって同じお金を貸すのでも、別々の機関で御存じのとおり貸す場合もございます。このわれわれのほうの退職金共済法の施行も、入りたい人が入りなさい。それから、退職金をやりたい人は国税庁のほうでやればいい。それでどちらをやったからといってどうこういうわけではなく、両方やりたければ両方やってもいいし、この点はとにかく退職金というものや、そういう労働者の生活の保障というものについていろいろの手段方法というものを考えて、それが適当ならば、国がそういう制度を設けて、それを利用される側がどちらを利用されても、またどちらに集中しなければならないということはない。強制的にやる分は確かに一つか二つにしなければならないでしょうが、こういう退職金というのは先ほど申し上げたように現在まだ任意制度であるので、そういうのが二通り三通りあっても、何ら国の政策としても支障はないというふうに考えております。それは各企業の判断によるものと思います。
○滝井委員 そういうものの考え方も一つの考え方かもしれません。しかし国が国庫負担を出して、あるいは税金をまけてやってやる制度が、そんなちゃちな、老後を保障しない、退職後の生活の安定を保障しないようなものがばらばら雨後のタケノコのように出ることが、一体一つの政府の政策としていいかどうかということです。問題は、三治さんのように多々ますます弁ずる——なるほどそうですよ。しかし左へ行ったら五円くれた、右へ行ったら三円くれた、その前のほうへ行ったら四円くれた。しかし合わせたら十円か十一円になるけれども、これでは食えぬということで、いたずらに制度的に分割するばかりで、そうして国の税金を乱費するばかりで、これでは労働者の安定にならないですよ。 そこでお尋ねするのだが、多々ますます弁ずるという答弁ならば、あなたのほうの退職事業団に現在入っておる人は、約八十四、五万くらいになって一体企業年金と重複しておる人はどのくらいありますか。
○三治政府委員 企業年金と重複しておるのは、おそらくないというふうに思っております。
○滝井委員 そういうふうにないのですよ。だからこういう老後の保障をする、あるいは失業した場合の生活の安定をする政策が、大蔵省は大蔵省でわが道を行く、厚生省は厚生省でわが道を行く、労働省は労働省でわが道を行く、そうして大蔵省の主計局にそれぞれのところが行って頭を下げて、ちょっぴりつめの上にともしびをともすようなものをもらって一体いいかどうかということなんですよ。ここなんですよ。これは毛利元就も言ったでしょう。やはり力を合わせなければいけないのだ。三本の弓矢を合わせたらなかなか折れぬけれども、一本なら折れるぞというのと同じですよ。それでも、こういうことが平然とまかり通って、両者の間に連絡はないのですからね。こういうところなんですよ、私の言いたいところは。いいですか、それが一つ出た。いま企業年金との関係は言ったでしょう。今度は調整年金が出た。これは企業年金と違うのですよ。一体調整年金はどの程度のものをつくらせるのですか。どういうところへ調整年金を今度つくらせるのですか。
○山本(正)政府委員 厚生年金法の改正を考えておりまして、まだそれぞれの審議会の答申を得ておりませんので、どういう今後の扱いにするかという最終的な結論には達しておりませんが、現在審議会に諮問いたしております厚生年金の改正要綱には、厚生年金金について、厚生年金の老齢年金の報酬比例相当部分に該当する道を開く、こういった構想をつけた改正要綱を諮問いたしております。具体的な内容につきましては、国会提案までにそういったことをどうするかということはさらに検討しなければならない部面は多々あるわけでございますが、ただいま申しましたようにそういった道を開く方法を考えております。
○滝井委員 これはまさか調整年金及び企業年金、いわゆる税制適格年金が、特に保険型がやっているような小さいところには適用しないと思うのです。これはものの考え方としてはそうでしょう。大体そこらあたりをまず明らかにしてもらう必要があるのです。
○山本(正)政府委員 どの程度の規模においてこの調整を認めるかということにつきましては、いろいろの角度からその要素を組み合わせて、その要素に該当するかどうかをきめなければならぬわけでございます。したがいまして、単純に人数だけで該当すればよろしいというわけにもまいらないわけでございます。しかしながら、やはり企業の健全性といいますか、永続性ということも当然考えなければいけない点でございます。したがいまして、相当な規模のもの、現在性質は違いますが、健康保険組合をつくる際において、どういった規模でなければならぬかということにつきましては、法律上は三百人以上という単位がきまっておりますから、そういうものの関連におきまして規模をきめていかなければならないであろう、かように考えており
○滝井委員 そうしますと、健康保険は組合をつくるためには、法律では三百人以上だが実質的には千人以上になりますね。したがって、これは比較的大企業に調整年金はつくられていく、こうなるわけです。そうしますと、ここで問題になるのは、三治さんにお尋ねするわけですが、退職金共済事業団に加入したものは当然厚生年金に加入をしているわけでしょう。この重複することはちっとも差しつかえないですね。現実はそれがどうなっているのか。八十四、五万の加入者は厚生年金には加入しているでしょう。その実態はどうなっているのですか。
○三治政府委員 五人以上の加入者では大部分強制適用になっているわけですが、五人未満のところでは強制適用になっておりませんから、そうたくさんはないのじゃないかと思います。いま規模別の加入者層の調査によりますと、一人から五人未満のところで約五万人の加入者があります。これについては厚生年金と重複ということではないのではないかというふうに思います。
○滝井委員 そうしますと、五人以上のところにおいては、大体八十万程度のものは厚生年金とおそらく一本になっているだろう、こういうことになる。そうしますと、御存じのとおり、今度中小企業に企業年金がある、それから退職金共済事業団がある。それから同時に土建関係等を中心として特定業種の退職金共済組合ができてくる、こういう形になるわけです。それから比較的大きいところは調整年金ができてくる。大きいところから小さいところに横断的に厚生年金ができるわけでに年金ができるわけです。図式で書くとこういう形になるわけです。そうしますと、労働省のやるところの、この共済事業団というものは、やはりこれはたくさん入れなければならぬから、労働基準監督署なりその他を通じて、かねや太鼓で入れ入れと言うでしょう。同時に三百人に今度拡大をされるわけですから、したがって信託会社や生命保険会社も、うちに入れうちに入れといってくるだろうと思うのです。そうすると、非常に類似した制度に対する競合が起こってくるわけです。一体こういう形にものを持っていっていいのかどうかということです。一方事業主は何と言っているかというと、調整年金をつくらなければ、おれらは保険料引き上げ絶対反対だと言っているでしょう。そうすると、三治さんが言うように、企業年金なり調整年金と今度の退職事業団とは重複することはない、こういう形でしょう。そうすると、ここに保険会社やら信託会社と労働省の事業団との競争が起こってくる。競争は悪くない、悪くないけれども、それならば強制適用の厚生年金があるのだから、むしろ五人未満について労働省と厚生省が努力して、まずここを強制適用をやる努力をすべきだ。あなたのほうにそれだけの精力と金が余っているならば、五人未満のほうに打ち込むべきだ。それをあなたのほうの小さな城、攻めれば一挙につぶされるような城をつくる必要はないと思うのです。こういうところに自由民社党の社会保障政策の愚劣性と言うとおこられるけれども、非常に分割支配的な要素があるのです。しかもその金は事業主しか還元融資で借りられない。同じような還元融資は厚生年金でもやるだろうし、今度企業年金だって調整年金だって、事業主はこの金を借りて使おうとするだろう。一つのところから金を借りるのはぐあいが悪いから、うんと分散してあちこちから、住宅だ、食堂だと借りたほうがいいだろう、勘ぐればこういう悪知恵を経営者は出したのじゃないかということも言える。役人と結託してそんなことをしたんじゃないか。しかも今度はその事業団の上にまたさらに機構を複雑にするところの、土建業その他を中心とする特殊のものをつくろうというのですから一ね。こういう中小企業者でほんとうに気の毒な人たちに、もっと強制的な年金制度をつくり、五人未満に重点を置くということが先なんです。そういうことをやらない。こういう点にどうしても、この法案の複雑怪奇性というものがうかがわれるのです。他のものとの関連をあなた方はちっとも相談しておらぬ、こういう大事なものをつくるのに。一方においては中小企業は退職金の支払いが困難だから分割払いにしようというので政策の是正が出てきた。労働省は今度は逆に退職金をつくっていこうという形で出ているでしょう。そして組合がこの分割払いをする調整年金に賛成しなければ、絶対厚生年金の引き上げに応じないと言っている。きのうもきょうも年金局はつるし上げられているはずです。一方においてつるし上げられている。それでもあなたのほうは退職金ができるからいいようなものですが、政府としての力の入れ方が分散している。やっぱり政策というのはどこか重点がなければいかぬので、そういう点で私は今の用にちょっと並べてみると、なかなか複雑で、制度として納得がいかないのです。
○三治政府委員 今度年金法を厚生省が改正されるにあたっては、十分事前に私のほうと連絡しておられます。私のほうも今度の改正につきましては連絡はしております。さらにちょっとお断わりしておきますが、今度の期間雇用者の土建業にやる分は、これは五人未満と同じように強制適用からはずされている部面でございまして、これをやっても厚生年金とはダブらないわけであります。これはなぜかというと、厚生年金及び社会保険のほうにおきましても、日雇健康保険、失業保険を除きましては、こういうふうな事業主を転々と変えるものについての長期のこういう給付が事務上むずかしいということから、建設業の期間雇用者は厚生年金からは強制適用からはずされている、その意味で現行制度でも重複しないということでございます。それから五人未満の問題につきましても、これは長年皆さん方の御主張でありますし、われわれ労働者の保護の立場に立つ者としては、全労働者を社会保障に包括しようといえ努力は、ずっとやってきたわけでありますけれども、どう考えてやってみても事務費ばかりかかって、しかも実効性がなくて、なかなか技術的にできない、こういうことでやってきたのですが、だんだん機械的な事務処理能力ができ、しかもそういう中小企業者に社会保障をやらぬと人が集まらぬ。そういう社会的な要請、前においてはそういう経費のかかる問題については、事業主個人かまたそういうグループが、中小企業者の団拒否しておったわけです。意識的に経費がかかる、また自分たちの財政ではできないということを言っておった。しかし最近になっては、やはり単に強制適用といっても、適用を受ける人たちがそれに従う意欲が出てこないと実質できない。官権と言っては古いことばですが、役人が回って集めなければ出ないというふうなことでは困るわけです。そういう意味において、われわれのほうでもできるだけ早く、五人未満について社会保障の強制適用をやろう、そういう時期になってきたということで、いま調査なり計画なりを進めておるわけなんですから、全体的に非常に歩調が合ってきた、こういうふうに思います。 それから退職金そのものにつきましても、現在公務員なりそのほかにも将来全部ペンションに行くのが一番いいわけなんですが、いままでの長い経験から言っても、ペンションばかりでも労働者は必ずしも喜ばない。国家公務員と同じように、社会保障が全部与えられるような状況になれば、われわれのほうは退職金をそちらのほうに移すことには全然反対でないわけです。これが中退法をつくるときに、初めから社会保障制度が完成していけば、そちらへ移るのは当然です。われわれのほうは全般的に、現在緊急に必要だから、こういう中小企業のための退職金共済制度の必要を主張をしているわけですから、思想的には一つも矛盾をしていないと考えております。
○滝井委員 思想的に矛盾をしていなくても、現実の問題としてすでにここに百億の金がたまったわけです。資本はみずからの経済上、本来の目的に向かってだんだん雪だるまのように拡大していくわけです。拡大をすると、もはやいかに三治さんが暫定的なものだと思っていても、これは財政投融資にうんといってしまう。長期のものになるわけですから、もはやいかんともしがたい城郭を資本が築いてしまう、萌芽的な形態としてそういう傾向がすでに出てきた、これはあなたの御存じのとおりです。ことしは十億の財政投融資を住宅その他にやろうということが出てきた、ここが役人のたまらぬところです。そういう形になってきた。そうしますと、事業主の立場から言うとどうなるかというと、われわれのほうは千円だった掛け金を二千円に上げるのだ、そしてやるのだから厚生年金の引き上げ反対だ、こうなる、必ずなるのですよ。すでに大企業がそうなったのだから、厚生年金をどんどん上げていっても、政府から金を借りるときには利子を払わなければならぬ。だからこの厚生年金の金を調整年金にして、ある程度自分が自由にする金を持っておきたいというところに、調整年金をつくる思想がある。同時に退職金がばく大になるから、分割払いをする。中小企業だって、だんだんと退職金をよけいにして、労働力の不足をカバーしようとすれば、だんだん掛け金を千円から二千円、二千円から三千円に上げていかざるを得ない。いまは十万や二十万の退職金をやったって魅力がないから、新規卒、若年の労働者は中小企業にこない。やっぱり十年、十五年して退職したら、百万とか百五十万とかくれますというところに退職金の魅力があるのですよ。そうすれば、山の中の一軒家でも小さな家が建てられるという魅力があるのです。ところがそうなると、事業主の立場から言うと、おまえたちに、事業団から全額金を出してもらってまで、今度は厚生年金の引き上げなどをやってもらうのはまっぴらだということになる。必ずなる。もうすでに大企業が殷鑑遠からず、それをすでにやっている。だからそうなると、あなたが言うように、暫定的なものであったはずのものが、いつの間にかそれが老後を保障する年金に対する大きなブレーキになってしまう。そして大企業の側からも調整年金でブレーキをかけられ、一番必要な中小企業のほうでは、退職金の共済事業団なり、特殊な退職金の共済組合からブレーキをかけられるということになったら、老後を保障する厚生年金は立ちいかぬ。そうでなくてもやせておる山本さん、ますますやせる。サンドイッチです。正統派が育たずしてわき道が育つ。それは社会保障を専門にやるわれわれとしては、嘆いても嘆き切れない。だからこの際労働省はやはり大所高所から、まず厚生年金の確立に最大の協力をすべきである。そのためにはあまり窓口を広げずに、つつましやかに、暫定的な措置として中小企業だけの共済事業団で、そう拡大する必要はない。拡大をするならば、年金局長のほうに拡大せい、おれのほうは職業安定局なりあるいは基準局を通じて協力をしよう、こういう態度をとるのが少なくとも池田内閣の中における閣僚のつとめだと思うのです。ところが暫定的にならないから、おれのほうはわが道を行くということでつくれば何をか言わんや、ばらばらです。そうでなくてさえ日本の社会保障は継ぎはぎだらけで、ばらばらだから、これを総合調整する段階でしょう。総合調整をしようということを社会保障審議会が答申しておるのに、またその答申に逆行して労働省がその道をやるなら、何のために池田内閣は総合調整をしたかということになる。そうなるでしょう。だからどうしてもこの際、いま動こうとしておる年金問題との関連からいっても、こういう制度を拡大をし、しかもさらに複雑化する特殊の土建業だけつくるということは納得いかぬ、いまのような理論からいっても。これはぼくが専門的にいろいろな角度から相当検討し、専門家の意見を聞いたがやはりこんなものをつくるべきでないという意見です。そういうところに私は国民の膏血を乱費すべきでないと思うのです。こういう制度がどんどんまかり通っていけば、山本さんのほうの厚生年金というものは絶対前進はないのです。そしてちゃちなフラット額を四千円にして、生活保護以下に持っていく、東京都における生活保護以下だということでは話にならぬのです。だからそれがどうにもならぬから、私のほうとしては、暫定的にこんなものをつくるんです。中小企業に対して対策が進まないからつくるんだということはもってのほかです。これだけでも、ぼくはここに総理に来てもらって、厚生大臣に来てもらって、池田内閣の社会保障政策というものは、総合調整をやろうと言いながらも、こういう分派活動をやることはけしからぬ、こう言わざるを得ない。そこらあたりを、もし三治さんあたりのほうで山本さんのほうと山本さんの責任は重大です。厚生省の責任は重大だということになる。それをあなたのほうがぼやぼやしておるから、農林関係の団体なんかがどんどん出て、貧乏人ばっかりが厚生年金に集まったということになれば、これは全然話にならぬことになる。いい肉ははげたかに取られて、あなたのところはほんとうに皮と骨になる。そういうことで一体老後を保障する年金の担当者としていいのですか。こういう点についてひとつ三治さんと山本さんの明確なる御答弁をいただきたい。それと、大蔵省にしても、税制適格年金を一方でおつくりになっておって、また今度は調整年金をつくろうとする。調整年金と企業年金との関係は一体どうなるんだということになる。これはいずれ年金のときに質問をしますが、これは複雑な税制の問題がからまってくる。こういうようにしろうとのわれわれの代議士に全くわからぬようにして整理をしてしまう。あんた方は自分たらだけが小さなからに閉じこもっていい気持ちになっておる。そしてわずかな金を貸して喜んでおる。一体これはどういうことですか。
○三治政府委員 なかなか鋭い御批判ですが、今度新しくやります期間雇用者のほうは、厚生年金でも聞いたところでは、当分まだ本質的な改正が主で、適用範囲を五人未満のものをまず第一にやらなくてはならぬ。それでもまだたいへんなことなのに、さらに土建の期間雇用者の問題が、厚生年金ではまだ全然計画もつかぬ、こういうことなんです。しかも建設業の労務確保対策として、この退職金制度が必要だ、こういうことです。私はなにもうぬぼれるわけじゃないのですが、いままでこういう人たちに対する社会保険的と申しますか、社会保障的な援助などというものは何も考えていなかった。日雇い健康保険その他若干ありますけれども、こういうものは労務不足に対して、やはり年金あるいは退職金制度というものは一つの魅力であろうと思うわけです。これが厚生年金としてここ近い将来においてなかなか行なえないという回答を得てやっておるわけであります。しかもこれは、これからいけばこれこそほんとうにそのまま厚生年金にこれが年金化できるくらいに集まるようになれば、このままごっそりその組合は厚生年金に持っていったってそのまま適用できるわけですから、その点は心配のないようにしていただきたいと思います。 それから、この三百人未満の場合でも、任意制度だということをお考え願いたいと思います。強制のものと任意のものというものが、強制が二つあっては、——いわゆる老齢年金というものと強制退職金というものと二つあっては、なるほど双方が引っぱり合うということはいえるかと思いますけれども、これは私のほうは言われるように弱くてといえばその表現もあるし、これは任意だということをひとつ御認識になって、そう目くじら立てて言われるほどではない。それはむしろ社会保障制度の大道を進まれることについて、私のほうは妨害にならぬように極力連絡をとって気をつけてやっていくということについては同趣旨でございます。
○滝井委員 御存じのとおり任意であいておるわけです。厚生年金は一割五分しかつかないのですよ。あなたのほうのこれだって五%と一〇%ですか、三年が五%ですか、それから五年が一〇%ですか、国庫補助がついておるわけです。任意であるけれどもこれはやはりそれぞれ基準局その他を通じてかねや太鼓で入ってくれ入ってくれと言って回っておるのですよ。だから、したがって厚生年金だって強制適用の形に法律的にはなっておるけれども、厚生年金をしていない企業というものはたくさんある。東京を探してごらんなさい。健康保険さえ入ってない企業が五人以上でもたくさんあるのだから。だから、そういう意味で国庫補助が入っていなければとにかくとして、ほとんど強制適用と同じくらいに国庫補助が入って、しかも中小企業でやっておる。だからなお入れなければいかぬわけですよ。そういう意味で総合調査というならば、何か重点を置いてやるべきであって、それをもし年金局長のほうでわしのほうはもうとても土建業や中小企業は手が及ばぬ。だからお前のほうはもうどうぞやっておってくれ、いずれお前のほうが大きくなったらおれのほうに吸収するのだからということを山本さんが言うはずはない。そんなことを山本さんが言っておったら年金局長をきょうやめてもらわなければならぬ、そうはいかぬと言って、−そうですよ、そういう無責任なことを厚生省が言っておるのですよ。政府の答弁は食い違うじゃないですか。
○山本(正)政府委員 厚生年金が現在給付年金として給付内容が不十分であることは御指摘のとおりでございましる、役割りを果たし得るような形にするということで厚生年金の改正を企図しておりまして、当面いわゆる一万円年金を実現する、こういう趣旨で今回改正を私ども考えておる次第であります。厚生年金のほうは現状で手がつかないからいろいろ方法を講じてくれというような趣旨は全然持っておりません。厚生年金を年金としてふさわしい内容に充実し、さらに今回いわゆる一万円年金を実現いたしまして、その後においては生活水準の上昇等に応じた年金額にしていくということを企図いたしまして、それに意欲を持っておりますので、厚生年金が機能を果たし得ないということは、全然考えておりません。
○田口委員長 要点を簡潔にひとつお願いします。
○滝井委員 やると相当時間がかかりますから、一応この問題は厚生年金の改正のときにやりますが、ひとつ主税局のほうも調整年金と企業年金の関係で十分御研究になっておいていただきたいと思うのです。 調整年金、企業年金、しかも企業年金には年金型、保険型があって、保険型のごときは二十五人以上、この零細なところまでいくのですからね。そうすると、生命保険会社がどんどん始めると必ずこれは三治さんのほうと突き合いをやりますよ。いままだ六百ちょっとくらいだからあまりぶつからぬけれども、おそらく企業に行ったたびごとに基準局の役人とそれから生命保険の会社と必ずぶつかり合いますよ。そうなりますと、今度は税の問題も必ずからまってくる。こういう問題が一体一つの内閣で、中小企業の老後を保証するる制度あるいは退職した場合の制度を、その零細な企業にいってせり合うなんというのは、ばかの骨頂ですよ。もうちょっと考えなければいかぬところだと思うのです。これはしかも厚生年金は全部横断的にそれらのものにあったわけですから、今度厚生省の社会保険出張所がそれにまたいくわけです。こうやって政府のほうの三者がここでかち合うのですよ。基準局と——これはおそらく出先は、基準局はおそらく入れ入れと言っています。事業団ができて八十四万も入っているのですから。そういう形になって、中小企業をはさんで、これは生命保険会社、信託会社、労働省、それから厚生年金の厚生省、社会保険出張所、こういうところが中小企業の手を引っぱったり足を引っぱったりされては、中小企業はかなわぬですよ。それぞれ権力を持っているところだから、それぞれつき合わぬと、三治局長からおこられやせぬか、山本さんから何とか言われやせぬか、年金の還元融資を貸してもらえぬのではないか、こういうことを考える余地は十分あるのだから、ひとつ中小企業をいじめないように、革命的な近代化をやるといって、手も足もあまり引っぱって八つ裂きにしないように。厚生年金のときにもう一ぺん十分質問しますから、これでいいです。 次に、これはもとへ返ります。いま二条を終わっただけですから。 次は四条です。この掛け金が、二百円をこえて千円未満のときには百円きざみになっているわけです。ところが千円をこえて二千円未満になると二百円に整数を乗じて得た額ということににこうなるのか。
○三治政府委員 これはパンチシステムでやっておりますので、あと余分の穴が百円きざみになると足らなくなるわけですqそれで二百円きざみになったのであります。
○滝井委員 そうしますと、全くそういう機械的な技術的なことでやっておるので、事業主の財政その他を考えているというわけじゃないのですね。そうしますと、事業主のほうにしてみれば、どうもそう一挙に、二百円きざみというと五段階しかないわけですね。それではどうも困る。中小企業なんですからね。三百人未満の中小企業なんですから。だからここらあたりがやっぱりちょっと親心を要するところじゃないかと思うのですよ。これはそう大局を動かす問題じゃないですから、そういうように機械がなっていればやむを得ないと思います。 それから監事のところですね。三十五条で「理事長又は理事長を通じて労働大臣に意見を提出する」というのは、それぞれの常任委員会で今度出た公団法なり公庫法なり等は全部修正をしておるわけです。これは修正に応ずるでしょうね。
○三治政府委員 先日労働大臣からそのように答弁しております。
○滝井委員 次は四十四条の三号関係で、労働者の住宅その他について融資業務をおやりになるわけですね。この場合に一体どういうものが貸し付けの対象になるのか。年金福祉事業団等がやっておる範囲のようなものについては当然年金福祉事業団の業務方法書等を参考にしておやりになることになる施設、それから貸し付けの対象とする団体、こういうようなものを御説明を願いたい。
○三治政府委員 大体融資の対象は年金事業団や雇用促進事業団のほうの労働者の福利施設という部面と同じでございますが、ただこれは共済契約に入っている事業主の団体に制限される、こういうことでございます。
○滝井委員 その場合に、年金福祉事業団なり雇用促進事業団なり、それから失業保険の積み立て金も貸しますね。こういうものとの重複も可能ですか。もしその人が共済契約の契約者である場合はそういうものを重複して借りることも可能ですか。
○三治政府委員 その点いま私検討しておりますが、いまのいわゆる雇用促進事業団あるいは年金事業団のほうは一般の評価額が低くて、それの八割、九割というふうになっておる、頭金が相当要るようになっているようです。その点もこれはいまのところそうたいして資力もないわけですから何か一部考慮したいというふうな気持ちを持っておりますが、まだいまその点だけは検討中でございます。
○滝井委員 そうすると、事業協同組合その他の団体ですね、これはその他の団体といっても共済の契約者、それから共済契約者を主たる構成員とする団体、そうなるわけです。その団体というのは一体どういうものが考えられているわけですか。
○三治政府委員 商工組合とか商工会というふうなのを考えておりますが、主としてこれは事業協同組合というものを主力にやっていくというつもりりません。
○滝井委員 そうすると、たとえば労働者だけがつくっておる生活協同組合等は貸さないことになるのですか。
○大橋国務大臣 実は当初はそういうものを含めて立法したわけではございませんが、いろいろ当委員会におきます委員各位の御要望等もございますので、そういった方面につきましては将来十分検討いたしたいと思います。
○滝井委員 そうしますと、将来はそういうものも検討していただくということは、そういう非共済者というのですか、これらの労働者のつくっておる団体に対しては検討をしていただくということになると、貸していただくことで検討していただくという言明をいただかぬと、何かあいまいなことでは、これは非常に重要なところですから…。
○大橋国務大臣 いままではそういうものを特に貸し付けの対象と考えていなかったのでございますが、これを検討いたしますという意味は、貸し付けの対象とするという意味で、なお今後の検討によって結論を出したい、こういう意味でございます。
○滝井委員 ぜひひとつこれはそういう方向でお願いいたしたいと思います。 それからこの事業団の余裕金の問題です。この余裕金の運用がちょうど企業年金と同じになるわけです。これは御存じのとおり信託業務を営む銀行とか信託会社に信託することになるわけです。五十三条、同じことになるわけです。こういう点についてもさいぜん私が御指摘申し上げたように、企業年金として信託会社が勧誘して回るわけです。あるいは生命保険会社が勧誘して回るわけです。そうしますと、余裕金の運用というものが同じところにいくわけです。こういうところにもちょっと問題はあるわけです。こういう関係について証券業者への預託その他をおやりになるわけでしょう。
○三治政府委員 これは私が誤解しておるのかもしれませんけれども、商工債券なんかを買って、いまそのままになっておるのをこういうふうなところに一時運用預けをすることによってほんのわずかの利ざやがとれるということのために入れたわけで、こちらに全部金を預託するとか、こういうことではない。買った有価証券の一時預けと申しますか運用預託、こういうことです。
○滝井委員 そうすると、普通の積み立て金、いわゆる保険料で納まってくる金、その金は資金運用部にみんな持っていくわけでしょう。
○三治政府委員 これは大蔵省と協定ができておりまして一割でございます。あとはみなほとんど商工債券を買っておるわけでございます。
○滝井委員 少し飛ばしまして、六十二条の特定業種の指定ですが、特定業種を指定する場合には、大企業は、たとえば土建で指定する場合は土建の大企業は加入せしめないわけです。その加入せしめない大企業というのは、さいぜん申しましたように、同じ土建業でありながら、大企業であるがゆえにこれは厚生年金、それから場合によっては調整年金か企業年金にいってしまうわけですね。そういう同じ土建業の中で、大と中小ということで二つになる場合があることになるわけですが、その場合に六十二条の、中小企業の業者が組合員になるという見込みがあることその他の事情を考慮して指定する場合には、中小企業退職金共済審議会の意見を聞かなければならぬということになるわけですね。この「その他の事情を考慮し」という場合は、一体どういう要件がその他の事情の考慮の対象になるのですか。これは別に説明の中に何も書いてないのですよね。
○三治政府委員 中小業者の団体が各府県また全国連合会があって、そういうものが大体当該業種をまとめてきた、しかしその業界においてこういうふうなことを特にやるという必要度、たとえば労務不足だとか、特別にこういう労働福祉対策のためにという認識の程度というようなものではないかと思いまして、いわゆるその他の事情ということで入れたわけでございます。
○滝井委員 少し飛ばして、六十八条は、特定業種を指定したときは労働大臣が組合の理事長、監事となる者を指名することになるわけですね。そうすると、さいぜん、これは民間の、民主的な自由につくる組合だ、政府は別に強制でもない、関与するわけではないと言うけれども、その指定業種の特定の組合ができてくると、が然政府は前面に出て、その理事長なり監事の指名権を労働大臣が発動してくるわけでしょう。これはどうしてかというと、結局相当の国庫補助を、事務費にしても退職金にしても出すからなんですよ。出すからこういうことになると思う。そうしますと、この場合に、労働者の退職後における生活安定というものに非常に重要な関係を持つこの制度は、事業主だけがつくるのだからといって、事業主が金を出すのだからといって、事業主だけの側の指名をされては困ることになるわけです。その場合に、この理事と申しますか、理事は一名ぐらい労働組合なり労働組合の意向を代表する者を一体入れてくれるのかくれないのかということです。
○三治政府委員 理事長、監事となるべき者は大臣が指名いたすわけでございますが、その指名された理事長がその理事を推薦してきて、それで認可を受ける、こういうかっこうになっておりますので、これは組合の判断によって、どういう人が理事に選任されるか、それを労働省が適当と認めて認可するかどうかという問題になってきますので、必ずしもどの代表ということでなく、やはりこの事業団の事務の運営というもので、執行機関の事務の運営という部面ですから、そう代表とかどの利益を代表するということは要らぬじゃないかと思います。むしろその次にあります評議員会、こちらのほうではそれぞれの関係の営利代表者を、評議員会で執行部に反映できるように、評議員会ではいま先生のおっしゃるようないわゆる利益代表、地域代表という方に評議員になっていただいて、そうして組合の運営を管理、指導していただく、こういうような構成をとっているわけであります。
○滝井委員 評議員のことは七十四条で、あとで尋ねるのですが、私はその両方を実は言いたいのです。評議員会についても、評議員は理事長が労働大臣の認可を受けて任命することになるわけです。したがって、これは労働大臣の意向が相当入り得る余地があるわけです。これは認可を受けなければならぬという一つの壁がここにできているわけですね。チェックする部面があるわけです。同時に理事についても労働大臣の認可を受けて任命するわけです。そこでわれわれが言いたいのは、やはりこういう制度というものをうまく運営をしていくためには、五人の理事のうち一人ぐらいは労働者の広い立場から、やはり労働者の利益を代表し得る程度の者を加えておく必要がある。それから当然評議員の中にも——組合の業務の適正な運営に必要な学識経験を有するという人は労働界にもおるわけですから、そういう点この両者についてある程度私は入れる必要があるのじゃないかという感じがするのです。こういう制度をどうしてもあなた方がおやりになろうとするならば。これは三治さんよりも労働大臣の意向をお尋ねしたい。組合に金を貸すという場合の前向きと同じように、われわれはそれを期待せざるを得ないのです。五人のうち二人とか三人やれというのではない、少なくとも五人のうち一人です。それから評議員の中に相当数の人は、過半数とはいわなくても、評議員は全部で何人いますか知りませんけれども、まあ三分の一ぐらいは入れる必要があるのじゃないかという感じがするのですがね。
○大橋国務大臣 評議員につきましては、政府委員からお答え申し上げましたとおり、労働組合の代表が入ることが適当であると考えます。したがってさような意味で指導もいたしたいと思っております。理事につきましては、業務の執行上、理事長においてどういう人選をされるか、これについてはやはり理事長の意向を主として考えるということがよろしいのではないかと思いますが、理事長におきましてその団体の事業の性質、また会員の意向などを判断されまして、労働組合の代表を理事に入れることが適当だ、こう考えてこれが任命を希望された場合において、私どもはそれを尊重する考えでございます。
○滝井委員 こういうところは行政上の指導の問題でございますから、やはり労働者の利益をもって退職金制度を中小企業の労働者のためにつくってやろうというヒューマニズムを持っておる事業主の団体ですから、やはり一名ぐらいは窓をあけておく必要があろうと思うのです。ぜひひとつこういう点については民主的な行政指導で考慮をしていただきたいと思います。まあ大臣のいまのような意向でひとつ満足しておきます。どうぞそうしていただきたいと思うのです。 それから、業務の範囲、七十五条の二号で、保健とか保養、教養のための施設の設置及び運営をこの特定の退職金の共済組合がやることになるわけです。一体こういう施設を行なう経費というものはこの融資の金で行なうことになるのか、それとも組合が六十三条の目的を達成するためにみずから何か別に金を取ってこういう制度をやることになるのですか。
○三治政府委員 これはいまの現行法の事業団でも同じ規定になっておるわけでございます。これは相当長く運営してみて、資金に相当余裕ができた場合の、事業団のいわゆる退職金共済事業そのものの一種の付帯的な事業としてやれるように、これを主としてやるというのではないわけです。いまの一般の事業団でもこれは法律上規定はしてありますが、まだ実施に移っておりません。したがって、この事業が大いに成功して相当余裕的な資金が出てきた場合に、これは新しく取ってやるということでなくて、そういう運用利益とみなされるような余裕金が出た場合にこういうものをやる、こういうふうに理解していただきたいと思います。
○滝井委員 そうしますと、七十五条の二号というものは、いま事業団さえやっていないのだから、こういう土建の組合も簡単にやれぬだろう、こういうことになると、ちょっと訓示規定みたいなことになってしまうのです。そうしますと、七十七条の特別財産、この関係ですね。特定業種に属する事業の事業主が特定業種退職金共済契約によらないで拠出した財産については、他の財産と区別しますね。ここにこういう共済契約以外の金なり物を出してやるという形があるわけでしょう。そうしますと、いまの七十五条の二号はこういうものでできるということになるのですか。だから当然そういうことは、七十五条の二号の関係は七十七条からできることになるわけですね。これも別にいまのところ考えない、訓示的な規定だということになるのですか。
○三治政府委員 この七十七条はほんとうに特別なことでございまして、建設業の実態からいきまして、元請、下請、再下請と、こういきますので、業界一体として退職金事業をやるという意味において大手にこの運営について協力してもらう、そのためにこういうふうな特別財産規定を設けて、いわば普通でいえば相当大手の業者から中小企業者のために特別寄付をしてもらって、この組合の運営を円滑にしていきたい、こういう運営の業務上の問題としてやっていきたい、こういうふうに考えております。政府の補助金が必ずしも組合の事務運営に十二分にいくというふうにはなかなか将来も保証されない。業界一体として大手が特に、何と申しますか、いわゆる寄付金的なものでこういうふうに財産を積み立てて運営に援助してもらう、こういう規定でございまして、七十五条の福利施設とか、そういうために充てる特別財産ではございません。
○滝井委員 次は八十条ですね。この八十条の四項で「所定労働時間が特に短い者その他労働省令で定める者が当該特定業種退職金共済契約の被共済者とならないものとすることができる。」ということになっておるですね。滝井組なら滝井組の中で特に労働時間の短い者は労働省令で除外するわけでしょう。そうすると、一体その除外をする者というものはどういうふうな者が例としてあるのでしょう。
○三治政府委員 これは、この加入者は雇い入れた者が一括して、自分の好きな者を入れて自分のきらいな者は入れないということは禁止して、とにかく雇う者は一括して入れる、こういうふうになっているわけでございます。そうしますと、非常にお年寄りだとかそれから特に、何と申しますか、一定年齢以上の者、退職金をもらうにはいかにも働く期間が短い、そういうふうなものを予定して、まだこれも私どもは業界の実態が実際どういうものかよく——いろいろ何か支障のあるものが出てきやしないかということでここになにしておりますが、いま一応は、いわゆる高年齢者で一般水準で定年年齢を過ぎたような人がここに臨時に雇用されたというような人は、三年以上たたぬと退職金をもらえぬように規制しているわけですから、そう長い期間雇用されないような人も含んで、実情を見てきめていきたいというふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、これは臨時雇いの非常に老齢者みたいなものだ、そういうところが退職金の対象にならない、こういうことですかね。これもなかなか問題のあるところですね。というのは、御存じのとおり、日本の建設業の実態というものは、これは三池の災害等でもおわかりのように、ああいう炭鉱、日本の大手の炭鉱でも相当の組夫が坑内に入っておるわけです。そしてそれが一体何人死んだか、組夫が何人いたか全然わからないですね。当初はわからなかったでしょう。あとになってようやくわかったという状態で、いわんや日本の土建業はこれはなかなか把握しにくいですよ。新潟とか富山とか福島とかから出かせぎにどんどん来て、そして潮のごとく来て潮のごとく引いては去っていくわけです。だから事業主としてみれば、常時に自分のところで雇っているというのは、たとえば百人くらい毎日労働者を使っている人でも、自分のところでおかかえというのは二十人かそこらしかいないですね。あとはみな臨時の者で、非常に移動が激しいわけです。みんな臨時で、ほんとうに自分のところの子飼いというか、何々組の常雇いというのは少ないわけです。われわれのところの福岡県もそういう状態ですから、そうしますと、ほんとうに日雇い的に来ているという者は対象にならなくなってしまう。だから、ここらあたりの規定を厳格にやるとうんと落ちてくるから、少しゆるやかにしてやってもらう必要がある、そのためにはやはり手帳を本人に渡して、この手帳をいつも持っておる。そうして月に一回は、これは職安か基準局か知らぬけれども、どこかで必ず面着をしていく、いわゆる見せていく。私はこれだけ押してもらっております。だから月末になったらそれだけを見せてもらうか、通知をして役所がそれをレコードしておく、記録しておくというような、何かそういう形にでもしてもらって、全国自由に移動しても、その手帳さえ持っていけばいいというような形にしてもらっておけば、こういう短時間の者でも排除する必要はなくなるわけです。そういう制度ができるということになると、組合をつくらなくたって事業団でもいいということになるのです。だからこういう所定労働時間が短いものはもう労働省で全部排除してしまうということになれば、非常に労働者は捕捉しやすくなるのですよ。捕捉しやすくなるということになれば、事業団でもいいということになる。
○大橋国務大臣 滝井委員のお話はよく了解できます。私どもはこの退職金の制度ができたために、かえって老齢者等の短時間ではありましても就業いたしますことが妨げられるというようなことがあっては本来の趣旨に反しますから、そういうことのないようにという意味で退職金制度を事業主に要望することが不適当なような作業状態というものを除外しようという趣旨で、この規定をつくったわけなのであります。しかし御承知のように建設業の下請における労働状況というのは、なかなか地方によりましても、また時期的にもいろいろ複雑な点がございますので、いま立法に際しましてその実情を私どもといたしましても完全に把握をしておるという自信がございません。そこで今後運営にあたりまして遺憾なきを期するという意味で、一応省令に委任をいたしてある次第ですが、この省令につきましてはいろいろまた皆様の御意向等も承りまして、そうして実情に適合して遺憾なきを期するようにいたしてまいりたいと存じます。何ぶんよろしくお願いいたします。
○滝井委員 労働時間が短かったからといってそれを排除されるということになると、非常にこれは問題があると思います。同時に、その労働時間が短かったからといって、八十条で締結等ができないということとともに、もう一つ同じように、今度は事業主の側から問題が出てくるのは、八十一条です。この八十一条で「共済契約者が、労働省令で定める期間について、その期間中に納付すべき掛金の総額のうち労働省令で定める割合に相当する額以上の掛金の納付を怠ったとき」事業主が掛け金を怠ったために、まじめに労働者は所定の時間だけは働いておったのに、これで解除されたということになれば、これはもう労働者は踏んだりけられたりです。ちょうどこれは現在の労災の中にそのことがあるわけです。一生懸命にまじめに働いておったところが、事業主が保険金を掛けなかったために、ガスの爆発が起こって死んだのに給付の制限を受けて、わずかに三十万か四十万しか労災保険はもらえぬ。その全額をもらおうと思ったら、その事業主は破産の宣告をしなければならぬ、こういう場合がある。この共済契約者が怠った、同時にもう一つその次に、共済契約者が中小企業でなくなったという場合があるわけです。三百人以下でなければならぬのが三百五十人になったということになると、これはだめになってしまうわけですね。この二つの場合は一体どう労働者を救済することになるのかということです。その救済方法ですね。
○三治政府委員 まあ理論的には、ここに書いてあるわけですからないわけなんです。ただ滞納の場合は、そういう意味からいっても、組合員制度をとっているわけですから、業界のほうとして掛け金を、これだけはすでに使ったものについては必ず納付するように働きかけて、実効上使ってしかも払わなかったというものはあとからでも払わせるようにこれは指導していきたいと思います。そういうことで、法律上はこういう規定がどうしても必要なわけですが、しかし運用上はそういうことのないようにやっていきたいと思います。 それから三百人から三百五十人になったという事業規模の拡大も、法律上はこういうふうになっておりますが、一般の事業団の場合におきましては、契約はずっと継続して、補助金がつかないだけで、契約はずっと続けられるようになっておりますが、これは転々として変わって、同一事業主に雇用されていないということでありますから、そのものが大企業になって下請を使うようになれば、自然と下請のほうのものが使うようになって、大企業そのものはこういう期間契約者をそう使わなくなるという現象になった場合に、こういうふうに掛けていくのだと理解していただければいいのじゃないかと思います。
○滝井委員 事業主が中小企業でなくなっても、今度はその者が中小企業に使われればいいわけです。ところがおやじが中小企業を脱却したというときには、その使用人もやはりおやじについていく、こういうことはたくさんあり得るわけですね。その者が二年は掛け金を掛けてもらっておった。ところがそれから三年目になったら、おやじがもう大企業になって、この法律の対象にならなくなったというときには、救済の方法が全くないわけでしょう。その場合に三年以上掛けておかなければだめなんですから、そうすると、二年掛けただけの金は一応全部戻してくれることになるのでしょうな。
○三治政府委員 ちょっとこの点は一般の退職金と違いまして、一種の一時払いの年金みたいなもので、これは過去どの事業主に使われようが、とにかく証紙で張られたものが記録になっていくわけですから、働いて払われた事実さえあれば事業主がやめようがどうしようがいいわけなんです。ただ、働いたときに加入事業主が張ってくれないときが問題だけで、それは先ほどの、できるだけ業界で張らすように指導体制をとる。それからこの場合に二項に「労働省令で定めるところにより」というふうにしておりますので、この共済契約者が中小企業者でない事業主となったとき、この場合の経過措置でも単に途中でやめるということでなくして、一つの現場が終わったときとかいうふうに、その点は経過措置と申しますか、共済組合からはずれる場合の経過措置は十分とっていって、弾力的に運用していきたい。実際特定業種のほうは建設業者のうちでも常用労務者を三百人以上使っているということになるわけですから、その上に期間労務者を五百人、千人使う場合があっても、それは中小企業になるわけですから、実際は相当大企業でないと、これからはずれるものはあまりないわけです。もちろん非常に経営がうまくて十年ぐらいで大企業にのし上がるような業者も、これからは建設業の発展によってあるかもわかりませんけれども、その場合に組合員から大企業として抜け出す場合の経過措置を万遺漏なく省令で定めていきたいというふうに考えております。
○滝井委員 これからあるいはそういう急激な変化はないかもしれぬけれども、最近までは御存じのとおりことしの予算額、三兆二千五百五十四億の中で地方交付税分も含めると、三割六分は公共事業に使われているわけです。そうしますと、きのうまでは小さな土建の社長だったのだが、もはやこのオリンピックブームに乗って、行ってみたらが然金殿玉楼のような家に住んで社長室におさまっておったという人はざらにあるわけですね。われわれ九州の筑豊炭鉱がかつてフロンティアであったときには、きのうまでは腕一本で炭鉱をやっておったんだけれども、二、三日して行ってみたらもはや大きな御殿みたいな家に住んでおったという、あかがね御殿もあるわけですから、そうなりますと、いままで中小企業の退職金の対象であった労務者が、一挙にしてりっぱな会社の職員になっておる、それでそこではもう新しく退職金もできて、調整年金にも入ったというような場合には、これは全くわずかな金だから、そんなものは一、二年ぐらいなら掛け捨てにしてもいいやということにもなるかもしれぬけれども、やはりこれは何か救済規定が必要だと思うのです。これは全く労働者には罪がなくして、おやじが大企業になったり中小企業になったり、浮き沈みがあるわけですから、そのときには、その金は長期にわたってその者が手帳に証紙を張るような状態でない、本人も、もうこれ以上のこの権利は捨ててもよろしい、ぜひいままでの金だけはいただきたい、こういうことになれば、その金だけはやはり労働者に払い出してやることが必要だと思うのです。その点が一つと、それからもう一つは、この掛け金を事業主が怠ったというときには、国税徴収法によって、これは差し押えか何かすることがあるのかどうかということです。そういうことが全然なくて、そのときはただ行政で指導するばかりで、いかんともしがたいということになるのか、その二点について。
○三治政府委員 第一点の場合はたぶん、その事業が発展することによって、いままでは季節的に必要のときだけ雇用されておったのが常用になった場合には、いわゆる一種の退職でみな払うことになっております。期間雇用者だけでございますから、これは常用化されれば、そのときに過去の印紙の月数によって退職金を払う、こういうふうになっております。これは国税徴収法のような強制の徴収方法はとれないようになっておりますので、あくまで説得で払わせるようにするよりほかに手はございませんということでございます。
○田口委員長 滝井さん、要点をひとつ簡潔に願います。
○滝井委員 いま要点だけ言っておるのです。 それから退職金の額ですが、八十二条を見ると、一番先に出てくるのは、死亡したときなんですね。まず退職金をやるというのは死亡したときなんです。死んだときに退職金をもらったってあまりありがたくないわけですから、「死亡したとき。」というのはむしろあとに持っていって、何か区切りがついたときに退職金をやるということにせぬと、これではいつの限度になったら退職金をもらうのかはっきりしないのです。一番先に、死んだときにやるのだということなっているのでは、土建の下に働いておる限りは、大体中小企業には定年なんというものはないのですから、「死亡したとき。」——労働者がこれを見て、われわれはかちんと頭にきたというのです。どうして頭にきましたかと聞いてみると、いや、退職金なのに、一番先にまず死んだときにくれることになっておるんだ、しかもほかのときはどうもはっきりしない、これではどうも金をためるために事業主から金を集めるような感じがするのです。これはかちんときたというんですよ、労働者の感覚としては。われわれもこれは何かかちんとくる感じがするのです。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりだと与党も言っている。
○三治政府委員 これはほんとうに私たちのほうは、最初は定年何歳に達したときというふうに入れたかったわけなんですが、法技術上どうしてもそういう定年ということがなかなか書けなかったので、この二号のハの条文で「その他労働省令で定める場合に該当する」というところに入ってしまったわけなのです。その点は、私たちは初めから大体五十五歳ぐらいでもらえるということをはっきり出したかったわけですが、法文をあちこちひねっている間にここへ入ってしまって、「労働省令で定める」ということになっております。大体五十五歳ぐらいで定めるということになっております。
○滝井委員 法文の形式がそうなったのかもしれぬけれども、私はやはり退職ということは死んだときではないと思うのですよ。そうしますと、それの氷山の頭のほうに死亡というのが出て、一番大事なところが「その他労働省令で定める場合」というのでは、これはどうも法律が棺でおおわれているような感じがするのです。私も、なるほどこれは労働者がかちんとくるといったはずだと思った。与党もそうじゃ、そうじゃ、こうおっしゃっているから、こういうことは私は遠慮なく法文にあらわしてもらう必要があるのじゃないかと思うのです。これは労働大臣どうですか。どうせ多くの修正は与党さんもがえんじないと思う。しかし、監事が理事長を通じてというところは直すのですから、いまのように労働省令で定める場合というのに、あなたのほうは五十五歳の定年なら、何か大ざっぱな条文でもいいですから、まず第一にやはり五十五歳ぐらいでというぐらいの、一つの退職の条件は出さないと、退職ということを書いておって、一番先に死亡したときしかもらえぬということになっていく、ほんとうの退職のときがあらわれてこないというのでは、どうも私はこれは問題だと思うのです。これは法律の専門家の大橋さん、いい知恵をひとつ出してもらいたいと思うのですがね。
○大橋国務大臣 私は法的にはこれで支障はない、ただお説のように、読んだときに何だかおかしな気持ちになる、こういうことは認めざるを得ないと思います。これを修正するか修正しないかは、委員会の御判断によって御決定いただきたいと思います。
○滝井委員 実は、この八十二条の一項の一、二、三とありますときに、退職ということばが出るのは、三だけでしか出ないわけです。「前号ロ又はハに該当した後退職したとき。」と、こうあるわけです。これも負傷したり疾病になったり、それからどこか栄転をしていったときだけですよ、特定業種でないものにいったときになるわけで、やはりその特定業種に長くつとめてもらわなければいかぬわけです。そうでないと、土建業等は非常に移動が多い、したがって土建業に働く労働者の離職後の安定ををはかるためにこういう法律ができておるわけです。ところが、その条件がこの退職の中にちっともないということは、私はこの法律の立法の趣旨からいっても画龍点睛を欠いておると思うのです。ここはやはり龍の眼に当たるところです。だから、何らかの形でこれはきちっとしていただく必要があると私は思う。労働省令で書くとおっしゃるけれども、土建の労働者でも十年なら十年つとめたら、やはりこの退職金をおろしてもらえるのだということがないと希望がないです。死んだときでないとだめだ。おまえは病気したり廃疾になる大けがをしたときでなければ退職金はくれぬぞということになれば、この退職金というものは何か事業主の労務管理的なものにしか映らぬことになるのです。だから、十年なり十五年なりつとめたらもらえるような制度にする必要があると思うのですよ。
○三治政府委員 これは退職といっても期間雇用ですから、理屈をいえば毎年二、三回ずつ退職する、こういうふうになっているので、立法上は非常にここが書きにくかったわけでございます。退職というのは、ずっと毎年毎年退職していって、積み重なって最後に退職金をもらう、こういうことですから、こういう書き方になっているわけで、その点は、定年制の思想はどうしてもここに省令で書くようになっておりまして、先ほど御答弁しましたように、五十五歳程度で定めたいということで御了承願いたいと思います。
○滝井委員 ひとつ明確にしておいてもらいたいと思います。 それから、八十二条の五項ですが、退職金の額です。「退職金の額は、掛金の日額及び特定業種掛金納付月数に応じ、かつ、第十条第二項の退職金の額の算定の方法を参酌して、政令で定める」この重要なところが全部政令やら省令にゆだねられてしまって、そしてどうもこれを読んでもわれわれはアウトラインをはっきり頭に描くことができないのです。三万円以上掛け金を掛けておらなければこれは該当しないわけです。三万円以上掛けておっても、一体一カ月に何日掛けたらいいのか、一日の掛け金は一体幾らにするのか、十円から百円の間でこれは定款で定めることになっておるでしょう。こういうふうにその大事なところは定款とか政令とか省令とかになってしまって、一番大事な法律では頭が二千円とこう定まって、あとは何か雲をかすみと消えてしまっているわけです。われわれはかすみを食っては法案の審議はできないので、やはり実態を把握しなければならない。したがって法案を早く上げろ、早く上げろと言っても、こういうものを知らぬでめくら判を押したあとになって、滝井さんこの法案は一体どうなるのだと質問を受けた場合に、待て待て労働省の三治さんのところへ行って二人して聞こうじゃないかというように三治さんのところに日参するのじゃ、国会議員の権威はないですよ。だからこういう点は眼のところだけは教えておいてもらわぬと国会議員はあわれですよ。涙が出るな、これは。
○三治政府委員 これはその前に質問された方に再三答弁しております。掛け金の日額は大体業界のほうで出発当初としては二十円くらい、将来は増額したいという希望でございます。それから月の換算は大体二十一日を予定しております。そうしてこれの退職金額表につきましては、非常に特殊な退職金でございますので、途中で退職される方を最少限度に見積もる。たとえば年の利用率を五・五%というふうなやつでやっておりますので低くなりますが、大体二十五年で三十万八千五百六十円を予定しております。
○滝井委員 どうも二十五年苦しい土建業につとめて、そうして三十万八千五百円ということでは、なかなかこれはやはり私は納得できない。だからしたがってそこの一日の掛け金をやはりもうちょっとふやす必要があるのじゃないか。これは三治さん、土建業の実態をごらんになるとわかるように非常に重労働です。そんなに二十五年も長く続かぬですよ。トンネル掘りの状態なんか見ても、二十五年あの仕事をやっていたら人間役に立たなくなってしまう。そういう点で移動が多いわけです。やはり何か楽なところと、こういうことになるわけでしょう。こういう点はなかなか予算に関連する一番重要な問題だからただ早く早くと急いで、前に質問しているからそれでいいのだというわけにいかぬ、詰めなければならぬところですよ。われわれがヒューマニズムを持てば持つほど詰めなければいかぬところなんです。われわれにいま三十万円くれて、一体二十五年も土建業で働いて家がこの付近で建ちますかということですよ。退職金というやつは労働者が老後唯一のいこいの場所である家を建てたいというような非常に大きな念願ですよ。厚生年金でも退職金と年金と二つ持っておきたいというのがみんなの労働者の願いです。ところが事業主のほうはいま退職金をできるだけ分割払いの年金に切りかえていって一時金の退職金をなくそうとしているのです。このことは労働者の夢をなくそうとすることです。土建業を二十五年やって一日二十円の二十一日・それで三十万円ということでは厚生年金なり他のものとを比較して、こんな小さな制度ばかりを雨後のタケノコのようにしておるということは、何か大きな本流が見失われて小さな流れ、せせらぎみたいなことばかりに日本の社会保障がなってしまうというような心配がここにあるのです。いまゼロだからこれでいいじゃないかと言われるけれども、やはりこれはぜひひとつ考えていただきたいと思います。だんだん伸ばすというけれども、中小企業にはそれだけ伸びるだけの客観性がないのです。日本はそういう点では客観性がない。きょうはこれ以上質問もいたしませんが、ひとつ大臣の所見だけは承っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 いまの仰せまことにごもっともでございまして、この組合を当初設立するに際しましては、日額を幾らにするか、これによりまして退職金の額がきまりますので、業界の各方面の人と十分に相談いたしまして、できるだけ適切なる額が決定するように指導いたしたいと思います。
○滝井委員 大橋さんのヒューマニズムを信頼してこれ以上言いません。それから八十六条で従業員に対する告知があるわけですね。さいぜんの御説明でこの一つの組に入ると、それは一括をして当然そう入るようになる、こういうことなんですね。ところが新規に雇われた者は、お前は被共済者となるかどうかということを告知しなければならぬことになっているわけです。これは退職共済事業が実施されておる事業に入れば、当然必然的に自動的になるのではなく、やはり労働者に入るか入らぬかということは、——当然労働者の利益になるのだが、入らなくてもやっているのじゃないか。この点は一体どういう形になるのですか。
○三治政府委員 これは入るときには、そういう退職金制度の組合に入っているということ、君たちに積んでやっているということを知らすだけです。
○滝井委員 それだったら「なるかどうか」という文章はおかしいですよ。お前はなるかどうかということを告知するんでしょう。当然なるんだという告知をするのならいいけれども、なるかどうかということは、やはり本人の意思を聞くということなんですよ。
○三治政府委員 これは例外的に省令や何かで除外例を若干将来もつくるわけでありますが、そういうふうなものに該当する場合には、なるかどうかということでありますが、一般的にはこれはうちのほうは組合に入っているのだということを知らす、こういうことであります。
○滝井委員 それはあなた、この条文をお読みになると、雇用するにあたってやるのですから、いまから滝井組に大原という者を雇おうとする場合に、おまえはこの被共済者になるかならぬかということなんでしょう。「新たに従業員を雇用するに当たっては」と書いてある。だから、雇用した者についてするのではなくて雇用するにあたってなのだから、まだ雇用ということが最終的にきまったわけじゃないでしょう。雇用するかどうかというせとぎわですからね。
○三治政府委員 これは共済契約の前を見ていただけばわかりますように、一たん組合に入る者は共済契約を結ぶわけですから、その共済契約は将来にわたって事業をやる者については、それは将来包括してそれをやらなければならぬと書いてあるわけです。それで雇用するにあたっては、それはうちのほうは入っている、ただその中に、いままでの規定の中に、若干包括して入れなくてもいいものがあるから、その逆の表現でいえば、ほんのわずか除外例の場合があるから、それを該当するかどうかということを知らせろ、こういうことでございまして、これは雇用する場合にあたっては告知のほうは共済契約者に一般的には入っているということを知らす、こういうことだけでございまして、前の特殊な例で入らない場合があるといって、その入らない人にも伝えろ、こういうことで、そのような表現になっておりますが、要するに、大部分は入っているということを知らすということでございます。
○滝井委員 どうも横からせかれるのですが、あと二点だけでやめます。 国庫補助の問題ですね。これが、審議会等では、掛け金の月額五百円までの部分については国庫補助の措置を講ずる必要がある、国庫補助率の引き上げも、五年以上が一割、十年以上が一割五分に配慮することとなっておるわけです。ところが、これが前進してないわけでしょう。これは一体どうしてこういうように一あなたのほうでも、八十四万人程度で、これから本格的に相当のものを入れようというわけなんでしょうが、どうしてここらの国庫補助の増額というものができなかったのでしょうか。中小企業の革命的な近代化をはかろうというなら、当然これは相当の前進をみなければならぬ。
○三治政府委員 そういうふうな答申で、われわれは最後まで予算折衝では努力したつもりでございますが、これは非常な奨励補助だということで、奨励補助を増額するということには反対だということがおもなことでございます。 なおこの期間雇用者の部面につきましては、政令で定める退職金額表には、二百円までの分については、一般のものと同じように補助金がつくようになっております。この期間雇用者のほうの部面も掛け金の二百円までの部分については、同じような補助金がつくように了解がつけてあります。それで、その点は、政令で退職金額表をつくるときに、その金額を含めて金額表をつくる、こういう了解になっておるわけであります。
○滝井委員 ほんとうに中小企業のあれをやろうとすれば、二百円でなくて、額をもう少し、四百円ぐらいには——さいぜんあなたの言うように一歩前進というならば、やっぱり二百円を三百円にするとか四百円にするとか、何ぼかでもこれは引き上げの必要があると思うのですよ。それがそのままだ。しかし、制度的に今度は土建業だけには広げていこうということでは、あまりにも前進がなさ過ぎる。 最後に特定業種に属する事業を営む中小企業者が行なっている既存の共同退職金積み立て事業、これの引き継ぎ方ですね。
○三治政府委員 これは三十六年の退職金の一部改正に基づいて事業団が行ないました引き継ぎの方法に準じて定める予定にしております。それは大体次のようなことになっております。積み立て事業に参加している事業主に雇用されている従業員が退職に際してその積み立て事業より退職手当の支給を受けることが定められている、参加事業主が同一の基準に基づいて作成した退職手当に関する定めを有し、かつ、積み立て事業に関する事務の全部または一部が共同で処理されている、こういうはっきりした、わかったものについては、引き継ぐようにしていきたいと思います。
○滝井委員 その引き継ぎ方が、一体それを何年に計算するのか、それから額は一体どの程度に位置づけをするのか、こういう問題があるわけでしょう。その問題の通算のしかたですね。それはやはりこまかく政令か何かできちっときめているのですか。それがあればひとつ事業団でやった実例ですね、これはいまでなくていいですから、そういうシェーマがあれば出してもらいたいと思うのです。これは今後、いま言ったように、たとえば企業年金との関係も出てくるわけです。企業年金をやめてもうこれに入りましょうという人も出てくるかもしれないし、これをやめて企業年金にいきましょうという人も出てくるかもしれない。そうすると、その原資をやはり持っていったり持ってきたりしなければならぬでしょう。だから、したがって事業団における実例をひとつ、これはあとでいいですから資料で出していただきたい。 これでやめます。
○田口委員長 八木一男君。
○八木(一)委員 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について、労働大臣や政府委員に御質問を申し上げたいと思います。かなり同僚委員から詳しく御質問がございましたし、だいぶ夜になってまいりましたので、できるだけ問題点をしぼって御質問を申し上げたいと思います。どうか端的に前向きの御答弁を最初からお願いをしておきます。 まず第一に、この法案で三つの主要な改正点がございますが、その中で、建設労働者に対してこの法律を適用しようということは、前向きでよいことだと私ども考えております。その点は非常によいわけでございますが、いまの建設業者は全国で一万八千六百六十二人ございますけれども、そのうちで登録を受けている者は半分ぐらいにすぎないという状況もございますし、また建設労働者がいろいろと中小企業や雰細企業やそういうところに働いたり、また自分で一人親方として働いたり、そういうような事情がある。それを建設関係の労働者全部適用になるように、ぜひこれをやっていただく必要があろうと思いますが、それについてお考えを伺いたいと思います。
○三治政府委員 いわゆる建築関係につきましては、町方と野丁場と両方ございまして、町方のほうがことにそういうような方が多いわけでございます。この点につきましては、いわゆる町方のほうの一人親方の方々が組合をつくって、それを単位として入っていただくように考えております。
○八木(一)委員 そういう方法が一番適切であろうと思います。町方の建築関係に働く人が、自分のそういう団体をつくって、それで自分たちが入っていけるという方法は非常にいい方法だと思いますが、労働大臣からこの点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 いま局長から申し上げたとおりです。
○八木(一)委員 それにつきまして、町方で一人親方が自分たちが家をつくったりというところだけでやる場合は、もちろんそれでうまくいくわけですが、町方をしながら、ときに零細企業、中小企業に雇われているという場合があって、それで零細企業が残念ながらそういう契約をしていないというような場合も、場合によっては起ころうと思います。そういうときに、その人たちの希望によれば、そういう人も一人親方といいますか、その働く人の団体がこれを事務的に処理し、扱えるように、ひとつ運用を願いたいと思います。この点について……。
○三治政府委員 運用の部面におきまして、そういうふうにもしも入っていない事業主に雇用されて、しかもその方が町方で組合をつくって加入しているという場合には、その働いた実績に応じて入っていただくようにいたしたいと思います。
○八木(一)委員 その次に、前にも熱心な委員の御質問にあったと思いますが、だいぶ審議が終わりになってきましたので、もう一回端的にお伺いしたいわけでございますが、この法律をつくったもとは、一番最初の考え方は、元請が金を出してやっていこうという考え方で検討されたと思うのです。法律のできる過程で、このような中小企業の下請の人が契約をし、かつ払うという体系になっておりますが、実際は零細企業者が人を確保するためにこういうものをつくったわけでございますから、その要請は、またそのことによって利益を得るのはそのような雰細企業を使って企業をやっている元方である。そういう意味で元方が実際に掛け金を確実に払うというような体制がぜひ必要だと思いまするが、これについて確実に元方から雰細企業を圧迫しないで自分で金を払うという方法でぜひやっていただきたいと思いますが、それについて労働省の考え方をお伺いいたします。
○大橋国務大臣 その点同感でございまして、この共済組合の特別設置につきまして最も熱心なのは大業者でございますので、この設立に際しましては、大業者諸君の協力を得まして、そういうことについて民法上の契約その他法的措置をとってもらいまして、法律上御趣旨のような扱いができるということを確かめた上で認可するようにしてまいりたいと思います。
○八木(一)委員 その次に、掛け金のことについて、これは前に私がおらなかったときに質問があったと思いますが、私ちょっと聞いていないで申しわけないと思いますが、私の聞いた範囲では伺っておりませんのでお聞きします。これは大体私は想像がついているのですが、たとえば月に二十五枚張った月がある、また十五枚張った月があるというような場合に、その掛け金の計算がどうなるのか。たとえば月に労働省の考えておられる基準に達しないときに、その掛け金が全部掛け捨てみたいなかっこうで計算されると困ると思います。また月の境じゃなしに、年の境にしても、労働省の考えておられるものに達しない場合に、要件を満たすもとになる力にそれがならないということでは困ると思うのです。まさかそんな考え方はしておられないと思いますけれども、この委員会でひとつはっきりと御説明をしていただきたいと思います。
○三治政府委員 この月の計算は、ただ退職金支給のために月計算をしているだけでございまして、ある月に二十五枚、ある月に十五枚、ある月に二十八枚張られても、それは下から順に張っていって、二十一枚で成り立つというふうに計算をしていくわけであります。大体のやり方としては、半年分の印紙を張る手帳をもらって、それが満額になったところで返してもらう。それで本来の本人の台帳に何カ月分というようなかっこうで簡易な事務処理で確実に本人が何カ月分の積み立てができたかということがわかるような事務処理をしていきたいと考えております。
○八木(一)委員 そういう方法でやれば掛け捨てというようなことがなくなる。ほかの点ではあるかもしれませんが、一番大事な点ではなくなると思います。いま御説明にありませんでしたけれども、これは月と月の境のほかに年と年の境についても同じようなことをやられると理解して進めていきたいと思います。 その次に、先ほど滝井委員の御質問があったときといまの御答弁に関連しておりますが、大体月二十一日ということで労働省は考えておられるようでございます。しかし私の調べたところによると二十日以下、十七、十八日しか働かないような建設関係の労働者が非常に多いように見受けられます。そこで月二十一日という要件をもう少し緩和するようにぜひ御配慮を願いたいと思うわけでございますが、それについてひとつ……。
○大橋国務大臣 実は二十一日というのも、一応予算積算の基礎を明らかにする必要がございますので、そういう趣旨で便宜説明をいたしておりますが、御意見の趣旨も十分承りましたので、これを二十日にして経理がやっていけるかどうか、政令作成に際しまして、その段階で再検討いたしていずれかに決定いたしたいと存じますから、御了承いただきたいと思います。
○八木(一)委員 その意味でぜひ前向きにひとつ進めていただきたいと思います。 その次に、三年未満しか経過していない場合に、かりに死亡いたしますと、結局その労働者の払う掛け金がむだになるように、私はこの法律を読んでみると思うのです。それでは非常に適切でないように思うのですがこの点についてはどのようにお考えになっておりますか。
○三治政府委員 現在この法案では、三年未満の場合に死亡した場合には、一応十二カ月以上の掛け金の納付があれば退職金を支給することに、弔慰金的な意味で理解できますけれども、退職金の受給資格について例外を認める考え方は、現在のところ事業団が行なっている退職金共済制度にも例外がないわけでございまして、この点は例外をいまのところ一般の事業団との関連で認めないことになっておりますが、さらにこういう事例がどの程度あるものか、実行上やって、もしも多数あるようでありましたら、この例外をぜひ設けていきたいと思います。
○八木(一)委員 そこでちょっと伺いたいと思いますが、事業団のほうの給付は一年ではなかったですか。ほかの業者の組合のほうは三年になっておるわけです。それは非常に不公平だと思いますが、そのようなことについて事業団が一年ですから、これに合わせるようにひとつ問題を進めていただきたいと思うのですが、それについてひとつ……。
○三治政府委員 これは普通の事業団だと、中小企業に非常に在職期間が短くてかわるのが割合に多いわけで、この前三年から一年に退職金支給期間を短くしたわけですが、これは私どものほうも検討してあったのですが、やはり建設業に入って一つの業としてやってもらう。これはただ一つの企業から一つの企業に移るから退職金を出すというのではなくて、一生涯働いたところで出す、定年に達したところで出す、こういう思想なものですから、その業界から出るときしかないわけでありまして、その建設業の従業員をやめるときしか払わない。そういうので短期なのは遠慮してもらおうということで、やはり業界に長いことつとめるというためには三年くらいの期間を置いて、それをしんぼうしてもらうほうがいいだろう、こういう思想でございます。
○八木(一)委員 またそういうことで実態は建設業をしている人がほかに変わることは少ないと思います。少ないと思いますから、一年でほかに変わったときに給付をするようにしても、そういうような計算を根本的にし直さなければならないような状態は少ないのではないか。やはり同じ法律の中で片一方が一年で片一方が三年ということは非常にアンバランスだと思いますので、これをバランスを合わせるようにひとつ前向きに進めていただきたいと思いますが、それについてお伺いいたします。
○三治政府委員 これを実施した上で、そういうことをよく実際に前向きに検討していきたいと思います。
○八木(一)委員 その次に審議会のことでございますが、審議会についていま前に法律ができてから審議会の委員が任命されております。そういうことで新しく相当の分量の人がこの法律の関係者として入るわけですが、たとえば建設業界また建設の労働者というような代表者が審議会に入っていないのでは、これはこの運営のためによくないと思います。この際私は審議会の定数をふやして、そこに建設業界の代表者、労働者の代表者を入れていただくというような御配慮があってしかるべきだと思うわけなのでございますが、それについてお伺いいたします。
○三治政府委員 この点につきましては、別に労、使、公益代表というふうには限らないで、学識経験者になっておりますので、この建設業をやっていくからには、この関係の学識経験者として労働者関係の方、使用者関係の方はぜひ必要だろうと思います。したがってできる限り早急なときに入っていただくように配慮したいと思います。
○八木(一)委員 具体的には結局どのような時期にどうして入っていただくのですか。
○大橋国務大臣 近く全般に任期が終わりまして改選の時期を迎えることになりますので、その際に考慮させていただきます。
○八木(一)委員 先ほど質問にありましたから、そう重ねて長い時間は申し上げませんけれども、この退職金の金額が非常に少ないし、それからその積み立てる掛け金も少ないということであります。私どもは十円からの掛け金を認めるというようなことではなしに、もっと多い金額を最低持っておって、相当の掛け金、相当の退職金というものをこの法律の力でそれができるようにしていただきたいと考えていたわけです。しかし法律はこういうふうに出ておりますが、退職金の金額をふやし、したがってそれの国庫負担をよけいにしてもらいたいのですが、この原資として使用主から出す掛け金もふやすというようなことについて非常に徹底的に前向きで実際にやっていただきたいと思うのですが、これについて労働省のほうからひとつ。
○大橋国務大臣 掛け金をふやして退職金をふやすということは私どもは賛成でございます。この組合を設立いたしまする際に十分業界を指導いたしまして、協力してもらうようにいたします。
○八木(一)委員 さらにこのような零細な事業に働いている人のことであり、また一方のこれは相対的に零細な事業主とは関係しておりますので、国庫負担のほうもさらにふやすようにひとつ御努力願いたいと思います。これについてお伺いをいたします。
○大橋国務大臣 国庫負担につきましてはすでに今年度予算では増額ができておらないことは御承知のとおりでございます。昨年私ども予算編成に際しましていろいろ努力をいたしたのでございますが、労働省として要求すべき項目が非常に多岐にわたっておりましたので、若干整理する必要があるということで残念ながらこの項目が実現を見なかったのでございます。今後も機会あるごとに増額方について努力をいたします。
○八木(一)委員 あとごくわずかで終わりますが、先ほど滝井委員の御質問にも御答弁いただいたわけでございますが、被共済者の団体に還元融資の対象として考えていただけるというお話でございました。実際問題として被共済者の団体というものはいろんなものが考えられると思いますが、いまの状態としては労働組合がこの団体であることが多いと思います。それについて還元融資の対象として考えていただけるようにぜひお願いをいたしたいと思います。
○大橋国務大臣 先ほど滝井委員にもお答え申し上げましたごとく、この問題につきましては前向きに十分に検討いたして御期待に沿うようにつとめたいと存じます。
○八木(一)委員 あと一問だけにいたします。建設業界にこの問題を広げられたということは非常にけっこうだと思いますが、なおいろいろの業種でやはり退職金の共済法の適用を受けさせたほうがいいという状態があろうかと思います。まだこの一つの問題を片づける作業をなさったあとでありますから、次の問題についてはすぐ考えておられないかもしれませんけれども、私の思いつくところではたとえば山林関係の労働者だとやはり同じような状態でほとんど生涯を材木の伐採あるいは搬出をする、そういうことをやりまして、そしてその雇用関係は同じようにきちっとしたものになっておらないわけです。そういうものがあったり、しかしそこで相手は変わるけれども必ず伐採とか植樹とかそういうことに働いております。そういうような山林労働者とか似たようなものについて同じような効果が及ぶように、これからもひとつ前向きに御検討願いたいと思います。それについてのお考え方を伺います。
○大橋国務大臣 山林労働者は事業主及びその家族を合わせまして大体全国で二十万程度の数だろうと思います。そのうち約半数はその事業主及び家族でございます。残りがいわゆる従業者ということになっておるのでございまして、それが全国にわたっておりますので、はたして全国的な団体を組織して経営がやっていけるかどうか、これは十分検討する必要があると存じますが、せっかくの御意向もございますので事務的に少し検討をいたしてみます。
○田口委員長 吉川兼光君。
○吉川(兼)委員 中小企業退職金審議会が昨年秋に出しました共済法の改正についての答申の中で、改正案に出ていないものがあります。 その第一は、給付に対する国の補助率の引き上げが本改正に実現されていないようであります。この点について伺います。
○三治政府委員 審議会の答申を得ましてわれわれは予算要求をいたしましたのですが、先ほど大臣も申されましたように、いろいろの項目がありまして、この期間に定めた雇用者に対する新しい部面についての補助が一般のほうと同じようについたところでほこをおさめざるを得なかったのであります。今後ともこれらに努力してまいりたいと思います。
○吉川(兼)委員 同じ答申の中で、建設業等において期間を定めて雇用される者に関する特例案要綱、この中で「事業が数次の請負によって行なわれる場合において、元請負人で組合員であるときは、退職金共済契約の当時者である当該元請人のみを当該契約の当事者である事業主とみなす。」云々とありますが、本改正ではこれまた抹消されておるようでありまするが、その点について……。
○三治政府委員 当初の考え方は、期間雇用者が小企業あるいは大企業に使われても、その雇用の実態は同じであるから全部含めてやろう、またその場合において、この実際の建設業におきましては、先ほども申しましたように元請、下請、再下請、こういうふうな体制で事業が行なわれるわけでございますので、徴収の便も考えて、そういう原案でいこうというふうにやったわけですが、事実補助金との関係その他、中小企業退職金法の一部改正というこの法の中へ入れるためには、やはり中小企業と限定せざるを得なかった、そのために、その分につきましては答申が相当修正を受けたわけでございます。しかしながら、その趣旨を生かすために、私のほうといたしましては、同じ現場でたくさんの中小業者が一つの元請業者に使われている場合には、事務の関係を大企業のほうで処理するような道を開きまして、そういうふうな実質上の業務の便、それから元請が下請のめんどうを見る体制をつくる根拠を置いたわけでございます。
○吉川(兼)委員 労災保険法第八条は、「事業が数次の請負によって行なわれる場合には、元請負人のみを、」労災適用事業主とするとしているのでありますが、一つの工事が元請、下請、孫請、あるいは再孫請というように複雑きわまる機構によって行なわれておりまする建設産業の現状から見て、労災保険法第八条のこの規定、すなわち元請負人のみを事業主とするという方法はきわめて現実的であると思いますが、建設業関係の退職金についても当然同様の適用方法をとるべきであろうと思います。そうでないと、建設産業の機構の末端において労働者が就労しても、共済の証紙が貼付されない場合の責任が不明確になってくると思いまするが、この点はいかがでございましょう。
○三治政府委員 確かに労災保険みたいなやり方でできれば非常によかったわけでございますが、中小企業者にこの制度を法律上の制度としては限ったために、それができなかった。事務を大企業、その元請が見れるようにすることによりまして、実質上漏れなく証紙が張れるように考慮したわけでございます。
○吉川(兼)委員 この退職金共済の目的は労働者の福祉向上ということだけでなくして、やはり雇用政策も確かにあるのだと思いますが、そうしますると、下請、孫請というような下請の業者のみに掛け金を納付させるのは明らかに片手落ちのように思われます。当然元請業者にも掛け金を負担させるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○大橋国務大臣 吉川委員のお述べになりました点、まことにごもっともに存じます。法律構成といたしましては、その元請業者の責任を法律で明確にできなかったことは、先ほど来政府委員から申し上げたとおりでございます。しかしながら私どもは実際の運用におきましては、吉川委員の仰せられたごとく、元請業者に法律上の責任をかぶってもらうということが運用上適当であるし、また事業の雇用政策としても必要であり、また労働者保護の立場からいっても適切である、かように考えますので、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、この組合設立に際しましては、業界の代表者諸君を指導いたしまして、その協力によりまして実際の運用上、大企業者すなわち元請人諸君に法律上の責任の負担をかぶってもらうような運用をいたしてまいりたいと思っております。
○吉川(兼)委員 この制度は建設関係労働者に一律平等に適用すべきであることは言を待ちませんが、その意味から申しますると九十一条は、これは問題ではないかと思います。たとえば一つの工事現場の中におきまして、大工、左官には適用になるか、とび、土工には適用されないというような場合が出てくるのでありますが、これは労働者に対するいちじるしい差別待遇ということになると思いますが、この点いかがでございますか。
○三治政府委員 ただ初めての事業でございますので、はっきりまず適用を技能労務者から始めまして、年度計画を立てて建設業の期間雇用者全部に広げていく予定でございます。ただ一度にやりますと事務上非常に不可能だという判断で、逐次業界も自主的に職種範囲を広げていって、数年を出ずしてできる限り建設業の職種に広げていきたい、これは事務上のまた実際上の適用から全体化するための一つの手段でございます。
○吉川(兼)委員 八十二条は退職金支給の最低基準として掛け金納付三十六カ月となっておりますが、現行法の十条第一項では十二カ月となっております。建設業のみをこういうふうに差別待遇するのは不当と思いますが、この点いかがですか。
○三治政府委員 これは先ほども述べましたように、一般の中小企業のほうだと、一つの事業主から他の事業主にかわるたびに退職金を支給するようになっておりますが、これはこの建設業の中で働く限りにおいては、定年まで支給しないで、その各業者に引かれたのがずっと通算して合算されるようになっておるわけでございますが、そういう意味において支給期日を三年にしておるわけでございますが、これは先ほども御質問がありまして、これを一般のように一年までに短縮すべきではないか、こういうふうな御意見でありますが、これはまあ建設業界と一般とは違うというふうな趣旨でこういうふうにしたのですが、実際の実行上の手段——実行をやってみまして一般と同じようにしたほうがよければ、さらに将来検討してみたい、こういうふうに思います。
○吉川(兼)委員 八十二条の第一項は、掛け金納付日数を政令で定めるというふうになっておりますが、その日数の換算でございますけれども、先刻どなたかに対するお答えを聞いておりますると、二十一日という御予定のようでありまするが、三十八年八月の屋外労働者賃金調査全職種の全国平均は、月二十二日稼働ということになっております。ところがたとえば積雪地帯なんかにおきましては、稼働日数は当然減少してくるのでございます。共済契約者に対する事業主のもとで就労することもあるわけだから、掛け金納付は二十日をもって一月と換算することが現実的ではないでしょうか。この点ひとつ……。
○三治政府委員 先ほどまで私たちは、一応二十一日が適当じゃないかというふうに事務的な判断で推しておりましたのですが、当委員会でいろいろ二十日にすべきだというふうな御意見もたくさん拝聴いたしましたので、その方向も十分検討してみたい、こういうふうに思います。
○吉川(兼)委員 建設産業におきましては、現下のオリンピック工事等の突貫工事で、夜間作業あるいは徹夜作業等の形が行なわれておりますが、こうした場合、共済証紙を割り増し貼付させるべきではないかと思います。また、業者の責任によって不就労となった場合については、証紙を貼付させなければならないと思うのでありますが、この点いかがでしょう。
○三治政府委員 夜間作業や突貫作業のために長時間、または夜間に特別に行なわれる場合においては、それを二日に換算してやるとかいうふうなのは、現在失業保険の日雇い制度で行なっておりますので、失業保険の日雇い制度のそういうふうな証紙の張り方に準じてこちらのほうもやっていきたいと思います。
○吉川(兼)委員 八十二条の五項は、退職金の額は政令で定めるとしてありますが、少なくとも三十年五十万円くらいの額を保障すべきである、こういう考え方ですが、これはいかがですか。
○三治政府委員 そういうふうにわれわれのほうでできるだけ作業したいと思いますが、現在、先ほども申し述べましたように退職率がはっきりつかめないために、非常に退職率を低くしてある関係上、若干この金額が低くなっておりますが、われわれのいまの推定では、三十年で約四十五万円にしておりますが、これらの点は、できるだけ予算の許す限り高くするように考慮してみたいと思います。
○吉川(兼)委員 八十二条第一項は、退職金を支給する場合について規定しておるわけでありますが、どうもきわめて不明確であります。やはりこれは五十五歳で支給するとか、あるいは建設産業から離職した場合には直ちに支給する、こういうふうに明確に規定すべきではないかと思います。さらにまた、同条第一項のハの労働省令で明確にしてもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○三治政府委員 定年五十五歳で退職金がもらえるようにするのは、省令できめていきたいと思います。 なお、この退職金につきましては、期間雇用者から常用労務者になった場合には、それは雇用形態が違っていくわけですから、その場合にも退職金が支給されるわけであります。
○吉川(兼)委員 労働基準法の第三条でいいますところの労働条件は、労使対等で決定するという精神であります。これから言いまして、当然保険制度の運営に労働組合代表を参加させるべきである、こういうふうに考えますが、たとえば理事あるいは評議員等に労働代表を含めることはもちろん、積み立て金の運用に労働組合代表を参画させるべき措置を講ずべきである、こういうふうに考えますが、この点いかがでしょうか。
○大橋国務大臣 評議員については、労働代表を加えることはもちろんであると思います。理事というのは、執行機関でございまして、その法人の業務を実務的に処理するのでございますから、適任者を選ぶという趣旨で選考されることに相なるのではないかと思うのでございます。しかしながら、その人選は理事長に一任してございますので、理事長において労働代表を加えることが適当であると考え、その運びをおつけになりました場合には、私どもといたしましては、十分その理事長の考えを尊重してまいりたいと思います。
○田口委員長 吉川さん、まだ長くかかりますか。
○吉川(兼)委員 時間のようですから一つで終わります。建設産業の丁場におきましては、いわゆる一人親方と称する階層がおります。また労働者から一人親方に移行する場合もあるわけであります。したがって、これらの一人親方をも平等に救済する法でなければならないと思いますが、その点いかがですか。
○大橋国務大臣 一人親方につきましては、運用上十分考慮いたしまして、これを含めるようにいたしたい考えでございます。
○田口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○田口委員長 ただいま委員長の手元に、竹内黎一君、小林進君及び吉川兼光君から、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されておりますので、修正案の趣旨説明を聴取いたします。竹内黎一君。 ————————————— 中小企業退職金共済法の一部を 改正する法律案に対する修正案 中小企業退職金共済法の一部を改 正する法律案の一部を次のように修 正する。 第三十五条の改正規定中「理事長 を通じて」を削る。 —————————————
○竹内委員 自由民主党、日本社会党及び民主社会党、三派共同提案にかかる中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。 修正案は、お手元に配付してあるとおりでありますが、その内容は、第三十五条の改正規定中「理事長を通じて」を削ることであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○田口委員長 修正案について御発言はありませんか。 —————————————
○田口委員長 御発言がなければ、これより修正案及び原案について討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 これより内閣提出、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について、採決に入ります。 まず、竹内黎一君、小林進君及び吉川兼光君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田口委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田口委員長 起立総員。よって、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案は、竹内黎一君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○田口委員長 この際、小宮山重四郎君、河野正君及び吉川兼光君より、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。小宮山重四郎君。
○小宮山委員 自由民主党、日本社会党及び民主社会党、三派共同提案にかかる中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付するの動議を提出いたします。 案文を朗読いたします。 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 一、政府は、国庫補助率の引き上げ実現のため一層の努力を行なうべきである。 二、政府は、建設業退職金共済制度の掛金日額の引き上げ実施のため努力すべきである。 三、政府は、建設業退職金共済制度の掛金納付月数十二カ月より退職金支給の実現について努力すべきである。 以上であります。
○田口委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田口委員長 起立総員。よって、本案については小宮山重四郎君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、大橋労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。大橋労働大臣。
○大橋国務大臣 ただいま議決せられました附帯決議につきましては、政府といたしましては、この三項目の趣旨に従いましてそれぞれ努力いたします。(拍手) —————————————
○田口委員長 ただいま議決いたしました本案についての委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後八時二十一分散会