社会労働委員会 第24号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/03/25
会議録
○田口委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の麻薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 麻薬取締法の一部改正に関しまする質疑を若干行なうわけでございますけれども、この麻薬中毒者あるいはまた麻薬事犯者と強く関連があると考えられまする性格異常、あるいはまた変質的性格、こういう点がこの麻薬事犯とかなり関連を持ってまいりますので、私はその本題の前に、こういう変質者対策あるいはまた精神病対策、そういう面について若干政府の所信をただしてまいりたいと考えております。 特にこのことを取り上げてまいりましたのは、まことに不幸な事件でございますけれども、昨日、いわゆる精神病者あるいはまた変質者ともいわれておりまする十九歳の少年によりましてアメリカのライシャワー大使が刺傷を受ける、こういう不幸な事件というものが発生をいたしました。ところが今日、国内におきましては、精神病患者というものが百二十数万存在するといわれておりますし、また変質者につきましては三十万から四十万、なかなか的確な数字を把握することは困難でございますけれども、そういうたくさんの変質者というものが実は野放しの状態に置かれておるわけでございます。特に今日まで、そういう精神病あるいはまた変質者対策というものが、十数年来強く叫ばれてまいりました。ところが、そういう世論あるいはまた学界の要求にもかかわりませず、それらの対策というものが十分に行なわれなかった。私は極端に申し上げますると、昨日のライシャワー大使をめぐりまする不祥事件というものは、そういう変質者あるいはまた精神病対策というものが怠られてきた、十分行なわれなかった、そういう厚生行政の結果としてあのような不幸な事態というものが生じた、こういう指摘をいたしましても、私は過言ではなかろうかと考えております。そういう意味で、この点は後ほどの法案の審議ともきわめて重大な関連を持ってまいりますので、この点につきましてはひとつ厚生大臣のほうから所信のほどを御披露願いたい。
○小林国務大臣 お話のように、精神異常の対策というものが十分に行き届いておらぬということはもう御指摘のとおりでありまして、私どもまことに残念に思っております。いまでも注意をしなければならぬ者が二十八万人か三十万人おる。しかし実際のベッドが十三万幾らしかない、こういう状態でありまして、この面において非常に手薄であるということはいなみ得ないのでありますが、一本は従来結核対策というものに非常な力を入れて、そして相当の経費なり病床をこれにさいておった、こういうことでありまして、最近に至りまして精神病問題も時代とともに増加をいたす、これは相当な思い切った対策が必要であるということで、最近におきましては公立、私立を通じて病床の増加ということに非常な努力をいたしておりまして、漸進的ではあるが相当な効果をあげております。国立療養所等も、もう御承知のように結核の病床があくに従って精神柄にこれを転換していきたいというふうな方途も講じており、ある程度転換ができておりますが、何ぶんにもこれらの病気がいまの社会情勢から相当ふえるということで、病床がこれに追いつかないということであります。数年前からも強制措置というふうな方法も始めまして、国、公共団体の費用をもって措置入院させておる者も三万数千人おる、こういう状態でありますが、これらは強制入院の関係上、一種の監禁とまではいきませんが、入れなければならぬ、自由もある程度奪う、こういうことで人の自由と強制収容との関係等においても相当微妙な問題がありますので、これらについてもそうも一方的な措置もとれない、こういう状態で非常にむずかしい状態になっております。しかし、いずれにしましてもとにかく病床数をふやして、そうしてできるだけこれを収容していくということは絶対必要なことでるのでありましして、その方面の努力をぜひ重ねたい、私どもも、ああいう事件が起きるについては非常にやはり責任を感じておる。しかし、どの状態の者まで収容するかということは非常にめんどうな問題でありまして、昨日の者につきましても、多少の前歴があってもさような措置までにはいかなかったもののようであります。これらは、法務省あるいは警察当局とも今後いろいろなことを考え合わせていかなければならぬ。すなわち、厚生省の担当になるものとそうでないものとの限界等につきましても、いろいろめんどうな問題があります、いずれにいたしましても、精神異常者というものに対する政府の対策というものは、さらに前進をさせなければならぬということを考えておるわけであります。
○河野(正)委員 精神病あるいはまた変質者に対しまする対策というものを前進的に努力しなければならぬ、そういう御説ではありますけれども、今日私どもが振り返ってまいりますると、昨年の統計によりましても、精神障害者が犯しました犯罪というものは四千四百十二件の多きにのぼっておるわけであります。このように精神病、変質者というものを政府が野放しにしておる。なるほど、病床の増加その他についても努力されると言いますけれども、いかんせん、現在入院が必要だといわれておりまする患者というものが三十万近くおる。しかるに実際に入院しておる者は十三、四万しかおらぬ、こういう実情でございます。私は、こういう実情ではたして政府が誠心誠意努力してきたかどうか、そういう努力につきましては、残念でございますけれども疑問を持たざるを得ないというのが、率直な私どもの感じでございます。特に昨日の例を見てまいりましても、すでに放火容疑がございまするし、なおまた、支離滅裂な陳情書をライシャワー大使に持参していく、こういう過去の前歴がございます。私は、この変質者という、一つの疾患と言えば少しオーバーになりますけれども、そういう異常性格というものがなかなか判断しにくい、そういうことを私どもは否定するものではございません。そこで、やはりそういう変質者の場合には、過去にかりに犯罪があるという事例がありますと、それを機会として隔離する、あるいはまた治療するという処置を講ずることがきわめて常識的な処置でございます。ところが今度の事例を見てまいりましても、実は過去にそういう前歴があるにもかかわりませず、何ら行政上の措置というものが行なわれていない。大臣も限界が問題だとおっしゃいましたけれども、御承知のように自傷他書のおそれのある者につきましては措置入院させなければならぬという義務があります。にもかかわらず、そういう処置が怠られてきた。そこで、漸進的な処置が必要だということはお認めになっておりますけれども、きのうのライシャワー刺傷事件というものは具体的な一例でございますが、この一例を見てまいりましても、やはりいまの行政というものがほんとうに、実態に応じた処置をしているか、この点私どもの納得のできない点でございます。そういう点から、はたして政府が、いまお答えになりましたような御努力というものをほんとうに考え、また今後実行されようとしておるのかどうか、いま申し上げましたような過去の経緯から見てまいりまして私どもは納得することができませんので、あらためてひとつお答えをいただきたい。
○小林国務大臣 これはお話のように努力はしても結果があがっておらぬ、こういうことでありまして、結果論的に見まして、私どもも不十分だということは自認せざるを得ません。しかし最近におきまして、特に精神病の病床増加ということには力を入れまして、三十九年度等におきましても五万何千かの病床をふやそう、こういう努力をいたしておりますし、世論のあれを見ましても、これらの努力というものは倍加をしなければならぬというふうに考えております。
○河野(正)委員 そこで、もう一点私が取り上げてみたいと思います点は、昨日の事件を通じて厚生省のほうでも談話を発表されておるわけでありますけれども、その談話の中でやや誤解を招く点がございます。どういう点かと申しますと、精神病患者に対しましては世間がひとつあたたかい目で見守ってもらいたい、そういうことを望む、こういう談話が発表せられておるわけでございます。私ども、もちろん精神病患者に対してあたたかく保護していくという意味味はわからぬわけではございませんけれども、そういう誤解を受けるような指導理念というものが、やはり精神衛生相談所等におきまする指導体制の中で欠陥を生じている、そのために不測の事態というものが起こってくる。やはりどこかに欠陥があって起こってこなければ、昨年の統計だけでも精神障害者が犯した犯罪が四千四百十二件もあるということでございますから、私はどこかにやはり指導上の欠陥があろうというふうに考える。これは明らかに、いまの犯罪の統計がよく示しておると思うのです。私どもがもなる感じを申し上げておるのではない。具体的に、一年間に四千四百十二件も精神病患者の変質者というものが犯罪を犯しておる、この事実が明らかに物語っておると思う。そこで私は、厚生省の談話を伺ってもどうも指導体制に欠陥があるのじゃないか、こういう感じを持つのであります。この点はひとつ明らかにしてもらわぬと、私どもも納得するわけにはまいりませんので、それに対する率直な御所見を承りたい。
○若松政府委員 先生のいろいろのお話、一々ごもっともでございます。こういう対策が必ずしも十分でないことは、まことに残念でございます。しかしこの方面は、先生が私よりさらに御専門でいらっしゃいますので、説教がましいことでまことに恐縮でございますけれども、精神障害者の中で私ども一番困っておりますのは精神病質者でございます。精神病者は、どちらかといいますとまだ手当てが楽でございまして、精神病院に入院する、あるいは監護室に入れる等のことによって、危険な患者等はある程度防護できます。しかし、精神病質者につきましては、これは決して病気ではございませんので治療する方法とてない。しかも精神病質者は、本来知能には通常何ら障害がない。知能も日常生活もほとんど障害がないが、非常にへんぱな片寄った性格がときどきあらわれる、またこれがきわめて衝動的にあらわれるというような点で、社会に非常に大きな危険を及ぼす可能性を内蔵しておりますけれども、これが常に危険であるとは決して限らない。そういうところに非常に問題がございまして、精神病質者を全部危険視扱いをして、これを隔離その他の方法によって自由の拘束をするということは、これまた非常に大きな人権侵害である。精神病質者といえども日常の生活をしておる人たちでありますので、これにあまり無理なことはできない。したがって、その精神病質者の行動に伴って、明らかに日常生活において自傷他害のおそれがある場合に、これが初めて精神衛生法の措置の対象になるわけであります。そういう意味で精神病質者をすべて行政的にマークして監視するというようなことは、これはその数からいいましても、本質からいいましても、とうていできるものではないし、またあまり広範にそのようなことをすべきものでもないと存じております。この辺のことは先生のほうが十分御承知のことでございます。 なお、これらの問題に対して、われわれは一体将来どう処置していくかということでございますが、これは、いま申しましたように精神病質者をすべて精神病院に入院させるということは適当じゃないのでございまして、治療の方法がない以上、いかにしてその精神病質者が、自分の異常が社会的に弊害を及ぼさないように、みずからの精神あるいはみずからの生活をコントロールするかということが唯一の対策であろうと思います。そのコントロールをさせるようにするには、ある程度の指標をすることも必要でありましょうし、そういう意味で私どもといたしましても、このような精神衛生上の指導対策を強化するために、やはり両度の技術的なセンターを設けて適当な指導者を養成する必要があるという意味で、御承知のように三十九年度からは技術的な高度な指導体制ができるような精神衛生センターというものをつくり出していきたい、そのためにさしあたり三十九年度に三カ所予定しておりまして、これは順調にまいりますれば将来精神衛生センターというものを大いに拡充いたしまして、そういう精神衛生上の指導強化を行ない、専門的な職員の充足、訓練等を一行なっていきたいと存じておるわけであります。
○河野(正)委員 私が申し上げておるのは、そういうことではない。いま申しされましたようなことは、私も十分承知しておるわけであります。私が指摘をいたしましたのは、昨年の統計を見ましても、精神障害者で犯罪を犯した人は四千四百十二件あるわけですよ。問題はここなんです。それから、きのうの具体的なライシャワーの不祥事件を取り上げてまいりましても、過去に放火をやったという容疑、あるいは精神分裂的な陳情書を持ってきたという前歴があるわけなんですよ。ですから、病質者の限界というものが、判断というものがなかなかむずかしいということは、私ども十分に承知しておるわけです。ですから、こういう前歴がある場合こそ、すみやかに処置すべきではないかという指摘を私はしておるわけです。それだから、病質者というものが精神病患者となかなかその限界というものがむずかしいんだということを、私は十二分に承知しているわけです。そこで、そういう前歴があったような場合にはすみやかに処置すべきではなかったか。これはもう学界の定説です。病質者で処置するとするならば、軽い犯罪を起こしたときに、それを機会に処置すべきだというのが常識なんです。そういう常識的処置をなさらなかったから、きのうの事件が起こったわけでしょう。しかも昨年の統計でも、四千四百十二件の犯罪件数というものがあるわけです。それから、病質者を全部隔離せいなどというばかなことを、私は言いはしませんよ。そういう病質者の中ですでに犯罪を犯したのがおるわけなんです。そういう人を処置しないから、きのうのような事件が起こってくるわけです。そういう処置をなぜなさらなかったかと私は指摘しているわけです。この点どうでしょう。
○小林国務大臣 お話のような御意見もありますが、あの具体的な問題につきましては、たとえばいまの処置を要する病人があると認めるものは、家族または関係の医師から保健所に届けて処置するということになっておりますが、きのうの者はそこまではいかなかった。私は警察をどうこう言うのじゃありませんが、ああいうふうな前歴がある者は、一応は保健所の所管というよりか、警察である程度要注意人物になるんだ、こういうように思うのでありまして、家族に注意するとか所轄の警察にこれを監視してもらうとか、そういう処置をとるべきではなかったか、こういうことで、私ども責任を云々するわけではありませんが、まだ保健所のほうが関与するまでの外部から措置がとられなかった、したがって保健所も知らないでおったというふうなことのように考えております。むろんいまお話のように自傷あるいは他害の疑いのある者は、当然関係の医療機関あるいは家族から保健所へ届けるということになるわけでありますが、いまの者はそこまではいかなかったので、あるいは多少の犯罪的要素もある者として、警察がもう少し監視をすべきではなかったかと私は考えております。その点は、厚生省あるいは保健所がそこまで目が届かなかったということと同町に、それに関与させられる機会がなかった、こういうことを申し上げられる、こういうように思います。
○河野(正)委員 私がこの点を指摘しておりますゆえんは、変質者というものが非常に多い。ところが、この変質者のすべてを隔離したり収容したりすることは、これは人権上の問題もございますからできません。そこで、やはりそういう前歴があり、そういう事故を起こした場合にすみやかに処理する、こういうたてまえがとられておれば、私は今度の事件も一あるいは防ぎ得たのではなかろうか。これは一例でございます。ですけれども、犯罪統計から見ましても、一年間に四千四百十二件も犯罪があるわけですから、きのうの問題は一例でございますけれども、そういう案件というものがかなり多いであろう。そうするならば、やはりそういう風前の処置というものが行なわれれば、そういう犯罪は防止できるわけです。また、そのためにとうとい人命がおかされるようなことになるといたしますならば、これはまことに残念でございます。そういう意味で、いまいろいろ指摘しておりますような前歴のある場合にはやはりすみやかに処置する。たとえば私、きょう新聞紙上でライシャワー大使に提出したといわれております陳情書の内容を拝見したのですけれども、これは専門家が見れば分裂症です。日本に近視が多いのはアメリカのせいだ、これはもうあの文書を読んだだけでも分裂症です。この点、私先ほど指摘いたしましたように、役所同士の指導体制というものがちぐはぐになっておる、歯車が合っておらぬ、そういうところにも問題があろうと思う。そういう意味で、精神衛生相談所あたりの指導体制というものはやはり若干欠陥がある。その辺が充実し、強化されておれば、そういう案件があれば警察はすみやかに精神衛生相談所に連絡するという事態も起こっておろうし、いまさらここでいろいろ申し上げても始まりませんけれども、やはり究極的には精神衛生相談所あたりの指導体制というものが強化され、そしていろいろなPRが行なわれるということになりますと、いまのような事案というものが事前に防止できると私は確信するわけです。そういう意味で将来、精神衛生相談所あたりの指道守体制というものをもっともっと強化する必要があるのではなかろうか、そういう面もございます。 それから、先ほど具体的な例でございましたけれども、軽い事犯を起こした、そういう変質者に対してはすみやかに処置する、こういうことは私は適切な方法であろうと思うのです。それから、もちろん精神病患者の犯罪というものも相当多いわけですから、したがって、そういう精神病患者を収容する施設を早く完備することも必要だと思います。いずれにいたしましても、いま百万に及びまする精神病患者あるいは変質者、精薄もございますけれども、そういうものが好放しになっておる。やはり今度のライシャワー事件を契機として、禍をもって福となすということばがありますが、もうこの機会に日本の精神病、変質者対策というものも根本的にもっと検討する必要があるので。はなかろうか、具体的にこういうように感ずるわけです。そこでひとつ大臣から、今後野放しの精神病、変質者対策として、根本的に検討する必要の有無、あるいはまた方針等についてお答えいただけばけっこうだと思うのです。
○小林国務大臣 これが一つのチャンスと申すわけではありませんが、これらの問題に対する政府の対策として不十分であった、手抜かりがある、こういうことはわれわれは認めざるを得ません。何といたしましても、先ほど申し上げましたように、われわれが一応入院を必要と認めるような者が三十万人もあって、入院者は十四万人くらいしかない、こういうこと、でありまして、病床をふやすということが当面の急務であるとともに、その三十万人のほかのいまの精神の異常者、あるいは軽度の障害者というものも相当な数、いまお話しのように百万もおる、こういうことでありまして、この問題につきましてはわれわれもこれからいろいろ検討してみたいと思いますが、要するに、厚生省というものは大体予防とか治療とか、こういう面を担当するところでありまするし、それから犯罪的性格を持つ者の監視というようなものは、これは警察の分野、あるいは法務省の保護処分、あるいは教護処分、こういうようないろいろの分野でもって担当しなければならぬということで、われわれが関知したものは警察に通告する、また警察からも連絡をとってもらう、厚生省、法務省警察と、この三者が体となって緊密な連絡を持って、そして犯罪方面の予防、こういうことにつとめなければならぬと思うのでありまして、大事なことは、要するに精神病患者をみな収容することは不可能でありますから、監視をどうするか、こういう問題に帰着する。監視については家族に依頼するとか、あるいは民生委員に依頼するとか、あるいは保健所で担当するとか、これから精神衛生センターというようなものを拡充してやっていくとか、いろいろの方法があると思います。要するに、目の行き川くように政府全体としてつとめなければならぬ、またそういう組織なり制度なりをつくらなければならぬ、こういうふうに考えております。
○河野(正)委員 そこで麻薬のほうに入りたいと思いますが、この提案理由の説明を承ってまいりましても明らかでございますように、最近における麻薬事犯の功妙化、潜在化等が顕著になったので、麻薬取り締まり体制の整備強化といりものが必要になった。したがって、取締官を、いままで百五十名以内だったのを百六十名以内、さらに取締員については、百二十名以内だったのを百三十五名、こういうふうに法律を改正しようというのであります。御案内のように昨年、麻薬禍撲滅、麻薬事犯の根城ということで、非常に大幅な麻薬取締法の改正が行なわれたわけでございます。ところが、法律が改正されまして以後は、罰則が強化されたというような点もあろうと思います、それからさらに、取り締まり体制というものが強化されたという点もあろうと思い出す。そういうような事情によりまして麻薬事犯というものが潜在化する。そこで、事犯者の摘発というものが非常に困難である。週刊誌のごときは、麻薬治療施設をつくったが、開店休業だ、こういうふうに非常に冷眼視する向きも出てまいっております。この法律が強化されて、そのために事犯者がなくなったということならばけっこうでございますけれども、潜在化した、巧妙化したということでございますから、実質的には、事犯者がなくなったということではないようでございますそういたしますと、それならば実際にこの法律を改正したけれども、はたして法律改正の成果というものがあがったのかどうかということになりますると、まことに残念でございますけれども、私どもはその成果を認めるわけにはまいらぬと思います。こういう事態をどういうふうに大臣としてお考えになってきておりますのか。この点は、今度また取締官、取締員が増強されて体制というものが強化されるわけですけれども、この問題に関連すると思うのです。そういう意味で、法改正はした、体制は強化した、ところが事犯者のほうは潜在化した、巧妙化した、こういう関連性というものをどのようにお考えになっておりましょうか。この点は、法改正を審議するにつきましてもきわめて重要な点だと思いますので、ひとつ率直に意見をお聞かせいただきたいと思います。
○小林国務大臣 私は、潜在化した、あるいは使用の湯川が広まった、こりいうことはいわれますが、相当の効果があがっておる。そういう潜在化した、あるいは分散したということも、やはり私は効果の一つだと思うのです。潜在のしかたが問題でありまして、潜在したということは、やはり非常にこれらの取引その他を困難にした、こういうことになるのでありまして、中毒者あるいは麻薬の密売者の側から見れば、私はやはり非常に効果があった、こういうふうに考えておりまするし、こういうふうなことばを使っておりますが、そういう傾向が出たとしましても、それでも従来よりか非常な効果があった、たとえばヘロインにしても、こういうようなものの押収の数量が非常に減っておりまして、これが減っておるのは、ただそれが困難になったから減ったというふうな見方もありますが、私はやはり取り扱い数量が相当減っておる、また密輸入等が相当減っておるのだ、こういうふうに思っておるのでありまして、私はやればやっただけの効果が十分あがっておる、こういうふうに考えております。ことに、これを取り締まるのは、むろんアヘンの使用を取り締まると同町に、いろいろの団体の資金源というものが従来やかましくいわれておったのでありますが、こういう方面においては私は相当な効果をあげておるというふうに考えております。
○河野(正)委員 私もいま大臣がお答えになったように、効果の点を全面的に否定するものではございません。ですけれども、それならばいま大臣がお答えになったような理解のしかたでいいのかということになりますと、私ども必ずしも同調するわけにまいらぬ。その一例として、警察庁がおいででございますから、私は大臣の理解に若干反省を求める意味で御指摘を申し上げたいと思うのです。 それは、昨年麻薬取締法の改正が行なわれまして、罰則というものが強化をされたわけでございます。そこで、いままで麻薬の密売組織に加わっておった暴力団が、覚せい剤に転向する傾向というものが非常に強くなっておる。特にそういう面から見ますと、昨年の労せい刑事犯検挙数というものが千五十六件で、前年に比べますと二倍という急激なふえ方をしておる、こういうふうにいわれております。ですから、なるほど一方におきましては、麻薬事犯というものが潜在化したということで表に出てまいりませんが、一方におきましては、いま申し上げますように覚せい刑事犯というものが急激に増加をする、こういうような傾向をたどってまいりますと、私は結果的には、覚せい剤にいたしましてもあるいは麻薬にいたしましても、社会的あるいは人類学的に及ぼします悪影響というものは同じでございますから、必ずしも麻薬事犯が一方では減少したということだけで手放しに喜んでいるわけにはまいらぬ、かように考えるわけでございます。 そこで、ひとつ警察庁のほうから、その辺の状況をここで明らかにしていただいて、八後私どもの諸施策を行なってまいります場合の判断に供していきたい、かように考えますので、警察庁のほうから御報告を願いたい。
○海江田説明員 警察庁から御説明をいたします。 麻薬事犯につきましては、さっき厚生大臣からもお活がありましたように、昨年の後半、特に麻薬取締法が改正されました直後の八月以降から、麻薬事犯はかなり急激に減ってきております。その後今年に入りましてからも、かなり事犯の検挙は減ってきておりまして、ことしの一、二月を昨年の同期と比べますと、約五分の一程度に減ってきておるのであります。私ども各府県の実情を最近つぶさに検討いたしました結果、現在、麻薬事犯は悪質、功妙化いたしておりますけれども、全体としては事犯が減っている。その理由は、中毒者あるいは麻薬の前歴者が相当数逮捕されておる。しかも逮捕されていない者でも、現在、関係取り締まり機関の監視がきびしくて麻薬が打てない。それから昨年以降、麻薬の密売組織を担当しておった暴力団その他の、いわゆる密売グループというものが非常に多量に検挙されてきて、この組織が大幅につぶれてきたということから判断しまして、末端における麻薬事犯というものは、昔とほとんど比較にならないほど減ってきておるということは言えると思います。ただ、海外からの麻薬の持ち込みでありますが、これにつきましても、日本に持ち込んでもなかなかそれが末端にさばけないということで、これもかなり減っておるのではないかというふうに考えるのであります。 なお、さっきの覚せい剤の問題でございますが、麻薬事犯が減るに従って、そういう従来の麻薬患者が覚せい剤に移ってきているのではないかということでございますが、これははっきりその徴候はあらわれております。御承知のように、覚せい刑の事犯といえば、一番大きく騒がれましたのは昭和二十九年でございまして、このころは約五万八千件ぐらいの検挙があったわけでございます。それが覚せい剤の取り締まり法ができましてから急激に減りまして、三十二年には八百件ぐらいに減ったわけでございます。その後昭和三十二年までずっと減り続けまして、一時は二百七一件程度まで減っておったのでございますが、その後徐々にふえ始めまして、昭和三十三年が二百七十でありますと、三十四年は三百七十というふうになっております。昨年の後半にはかなりふえてまいりまして、河野先生がおっしゃいましたように倍加いたしておるのであります特に大阪方画で、従来麻薬に従事しておったような暴力団が、相当大規模に比せい刑の製造、密売に従事しておる事犯もございますので、私どもとしましては、麻薬の取り締まりを続けると同時に、覚せい刑の取り締まりについていま大きな対策を立てなくてはならない、こういうふうに考えておるのであります。
○河野(正)委員 いま警察庁の御報告を承りましても、なるほど麻薬事犯は急激に減少しておるということでございますけれども、一方におきましては、この取り締まり法の強化に基づいて覚せい剤事犯というものが非常に急激に増加しておる。ところが、麻薬にいたしましても覚せい剤にいたしましても、いずれにいたしましても社会的に及ぼす影響、あるいはまた人類、人命等に及ぼす影響というものは、これは同一でございますから、いずれにいたしましても、重大な問題だと思うのです。ところが、いま申し上げまするように、一方は減ってきたが、一方はふえてきたということになりますれば、さっき厚生大臣がお答えになりましたように、罰則の強化あるいは法の改正によって成果があったということを手放しで喜ぶというわけにはまいらぬと思うのです。特に私ども関心を持たざるを得ないと思いまする点は、当初麻薬中毒者としてリストにあげられておりますのが九千三百人程度、それから現在中毒者として症状を持っておるのが四千五百九十二名、こういうように大体昨年の法案審議の中でいろいろお答えをいただいておるわけです。ところが、先ほどちょっと触れたのでございますけれども、現在中毒症状を持っております患者というものが四千四、五百。それで現在、麻薬中毒を治療いたしまする施設というものが整備されて、それぞれ治療が開始されたと思いまするけれども、この治療施設が、先ほども指摘いたしましたように開店休業というようなことで、週刊誌に取り上げられておる面もございます。さらにまた、収容施設をつくることが地力で必ずしも歓迎されなかった面があったと思うのです。それらの点を見てまいりますと、どうも何かちぐはぐな点を感じないわけにはまいらぬと思うのです。こういう点についてはどのように判断をされ、またどのようにお考えになっておりますのか、率直にお答えをいただきたい。
○熊崎政府委員 中毒者の収容者が非常に少ないではないかという河野先生の御意見でございます。実情はまさにそのとおりでありまして、私どもで調査をいたしました現状では、いままでに七十八名程度中毒者として収容しておるということでありまして、当初の予想に反しまして、中毒者の収容というものが非常に少ないということは御指摘のとおりでありますが、これは片方におきまして、やはり麻薬取締法の一部改正によりまして取り締まりが非常に厳重になったということも大きな原因でありますと同時に、また片方におきましては、取り締まり、違反にひっかかりまして刑務所あたりに相当多数収容されておるということも、やはり収容者が非常に少ないという一つの原因にもなっておるわけ、でございますが、私ども、必ずしも収容者が多ければ多いほどいいというように考えておりませんで、これは現段階の取り締まりの状況から見て、現状としてはやむを得ない結果ではなかろうか。しかし、これをもって足れりということで私どもむろん安心しておるわけでもございませんので、今後ともいろいろ中毒者の通報がありまするつど、極力収容施設に収容するということにつとめてまいりたいと存じております。 それから中毒者収容施設の建設につきましては、三十七年度、三十八年度におきまして相当数の収容施設を設備してまいっておるのでございますけれども、先生御指摘のように各都道府県におきましては、厚生省の要望にもかかわらず、県財政その他の関係で収容施設の建設が一部進まなかったという事例も私どもは聞いておりますが、しかし、たとえば神奈川県あるいは大阪府におきましては積極的に収容施設の建設に協力していただきまして、現在のところ、大体三十八年度までに八百ベットくらいの建設を終っておるわけであります。なお、来年度におきましては、その辺の事情も十分勘案いたしまして、国で国立の収容施設を建設するということで、九州の佐賀のほうで、国立の肥前療養所に五十ベッドの増床をやるという計画を持っておる次第であります。
○河野(正)委員 いまお答えを承りますと、新しく七十八名収容されておるということであります。昨年の法案審議の中では、現在中毒症状を持っておる患者が四千五百九十二名、こういうお答えをいただいておるわけです。そうしますと、四千五百名の患者というものは薬が手に入らないで自然になおったのか、こういう考えが一つ出てまいります。それからもう一つ、やはり罰則が強化されたので、地下にもぐって、実際患者はおる、地下にもぐって依然として注射を続行しつつある、こういう見方が一つ出てまいります。その点、はたしていずれであるのか、これは警察庁からせっかくおいででありますから承っておきたいと思いますけれども、現在中毒症状を持っておりまする患者というものが七十八名しか収容されておらぬということですから、それなら大部分が送検されて刑務所に入っておるのか、こういう見方も一つ出てくると思います。いずれであるか、そこはぜひお答え願わぬとわからぬと思うのですけれども、いずれにいたしましても施設をつくるんだということで私ども協力したのですけれども、四千六百名もおる中毒患者が七十八名しか収容されていないということで、あまりに数の上で隔たりがございますから、一体残余の患者というものはどうなったのか、その行くえについて、ひとつ警察庁と厚生省からそれぞれお答えをいただきたい。
○海江田説明員 ただいま、中毒者四千数百名のうち入院しているのがわずかであって、あとはどうなっているかという御質問でございますが、私ども、昨年中の検挙の統計をつくりましてこれを検討してみたのでございますが、その結果を御報告いたしたいと思います。 私どもが現在中毒者として認めております四千数百名のうち、昨年検挙されて現在服役中という者が約二千名近くございます。はっきり中灘者であるものとして私どもが見ております者の中で、服役中の者が千四百四十五名でございます。そのほかに、必ずしも中毒者であるかどうかわからないが、麻薬犯罪の前歴者であるというものが五百九十名入っておりますので、全部で二千三十五名くらいになるかと思いますが、そういう者が現在服役中であります。それからそのほかに、御承知のように、中毒者の中でも現在その所在が不明であるという音がかなりあるのでございます。それは、たとえば横浜等で麻薬の中毒者でおったけれども、その後どこに行ったかわからぬ、現在住所がわからぬ、どこにおるかもわからぬ中毒者というのがかなりおるわけです。一昨年の末にはそれは約四千名おったのでありますが、昨年中その実態把握に努力いたしました結果、かなりの者が確認されましたけれども、まだ現在のところ約千八百名の者が所在不明、所在をはっきり確認されないというような結果になっておるのでございます。したがいまして、服役中の者もあれは所在がはっきりしない者もある。それから服役中ではなくて、警察で逮捕されたけれどもその必要なしということで入院しない者もある、こういうことであります。
○熊崎政府委員 厚生省のほうの見解としましては、大体警察庁のほうの御説明のとおりというふうに考えております。先ほど申しましたように非常に麻薬取り締まりが強化になったために、これら四千名くらいの中毒者数の中で、薬が手に入らないでやめた方々もおる、それからまた完全に麻薬の常習者である域を脱した、やめてしまったという者、それから先ほど先生御指摘の覚せい剤その他のほうに大体三分の一くらいやはり回ったのではないか、それから残りの方々は、非常に麻薬の入手困難な状況になりながらも何とか不正使用を続ける方法を見出しておる、あるいは先生も一御承知のように、いわゆる医者回りというような事態になっておるのではなかろうかということを考えておるわけでございますけれども、現在厚生省のほうではこれら麻薬中権者のリストがございますので、それを再調査いたしまして、その後の行き先はどうなっておるかということを現在調査中でございますので、いずれ数字がはっきりしましたら御報告いたしたいと思います。
○河野(正)委員 そこで疑問が一つ、二つわくわけです。なるほど昨年度のいろいろの論議の中では、四千五、六百の麻薬中毒者がおった。ところがその後二千名近くは犯罪者として送検をされ、そして刑務所に収容されておる。その他は覚せい刑に転向した者あるいはまたなおった者ということで、大体四千五、六百の患者の始末はついた。そういう意味のお答えになりますると、それなら、はたして今後施設の設備に予算をつぎ込まなければならぬのか、むしろ麻薬事犯を防止するためにこの金を使うほうが賢明ではないかというような疑問が一つ出てまいります。特に三十八年におきましては、国立二百、都道府県二百という方向で整備されたわけですけれども、残念ながらこの四百ベッドの中へ七十八名しか満たされておらぬということになりますと、あらためて胆沢療養川に併設するというお話でありますけれども、そういう必要性というものがあるのかないのか。もう収容する患者はおらぬのなら、むしろその金は、やはり水ぎわ作戦あるいはまた現在の麻薬禍撲滅のための諸経費に使ったほうが賢明ではないか、こういう愚見というものが当然出てくると思うのです。この点についてはどういうふうにお考えでございますか。ひとつ率直にお答えをいただきたい。
○熊崎政府委員 来年度の計画につきましては先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、私どもとしましては、確かに現状としまして非常に収容者が少ないという事実は認めておりますけれども、しかしこれでもって十分だという考え方は持っておりませんので、やはり将来とも各都道府県あるいは麻薬取締官事務所のほうとよく連絡をしながら、収容者の収容には極力努力をいたしたいということで仕事を進めておるわけでございまして、特に収容施設の建設にあたりましては、先生御承知のように、いわゆる麻薬の濃厚地区と申しますか、そういったところを主体にしてやっておるわけでございまして、特に九州方面につきしては麻薬濃厚地区の中にこれを入れまして、それで九州の施設としてはいままでのところ不十分でございますので、これに重点を置いて、中毒者が出た場合には九州地区では円丘に収答するというたてまえにしたい、こういうことを考えておるわけでございます。ただ従来毎年三、四百ベッドの建設を進めてまいりました計画につきましては、三十九年度予算要求の際に、過去の実績を検討しながらその必要性はまずなかろう、やはり国立を主体にして、濃厚地区を主体にしてやったほうが適当ではないかということで、三十八年度の予算に比べまして施設整備費のほうはぐんと落としたわけでございます。そのかわりに、先生御指摘のように麻薬の中毒禍の撲滅という意味で、啓発宣伝なりあるいは水ぎわ作戦を含めました麻薬取り締まりのほうの機動化といいますか、そういった面での取り締まり強化の経費のほうに重点的に予算外を増額いたしたのでございまして、その点も、私どもの考え方としましては、大体先生の御指摘のような考え方に基づいて予算編成もやっておるわけでございます。
○河野(正)委員 実は私どもも、当初厚生省の方針に従って施設の整備強化ということに御協力をいたしてまいったわけですけれども、いま現状を見てまいりますと、私は、そういう方面で進むのが適切であるかどうかということには若干の疑問がございます。そこで、都道府県で一、二、厚生省の方針に必ずしも協力的でなかったという点もございますし、それらが、単に財政上の問題だというふうにいままで私どもは理解しておったけれども、別状から見てまいりますと、必ずしも財政上の点からではなく、むしろそういう緊急性があるのかないのか、若干疑問が出てきたと私は思うのです。そういう意味で一つの疑問が出てまいります。 それからもう一つは、なお農厚地帯で重点的に収答施設を整備するということでございますけれども、現状は、先ほど大臣からもお答えがあったようにかなり成果ををあげ得た、しかも患者の収答数はわずか七十八名程度であった、こういうお答えもあったわけでございます。しかるに、なお濃厚地区という条件はございますけれども、収容施設を整備したいということになりますと、それならばなお今後爆発的に麻薬事犯者というものが出てくる見通しがあるのか、もしそういうことであるということならば、これはたいへんだと思うのですが、そういう見通しがあるのか、この点はひとつ警察庁のほうからも、厚生省のほうからも、それぞれお答えをいただきたい。
○小林国務大臣 実は取り締まりの、罰則の強化というようなものも相当の効果をあげ、いまお話しのように刑務所へ入った者が二千人にもなる、こういうふうなことがございます。私ども、このたびかような法律の改正をお願いしておるのは、実はこの際ぜひ追い打ちをかけて徹底的にやるんだ、こういう考え方が相当大きくこの中に盛られておるのでありまして、これから爆発的な麻薬禍というようなものが生ずるというふうな考え方ではありません。この際ひとつ、いまの結核のように、いいチャンスであるから十分取り締まりを強化して、そしてこれを撲滅したい、こういうふうな考え方が含まれておるのでございまして、近い将来、またこれが非常にぶり返すという、ふうなことをいま考えておるわけではありません。
○海江田説明員 私どもといたしましては、警察から見ました日本実情は、麻薬が、手をゆるめればいつでもまた広がるという理系が非常に多いと判断をいたしておるのであります。取り締まりの手をゆるめればまた広がるおそれがある。したがって取り締まりをずっと一貫して続けていかなくてはならない、こういうふうに存じております。さらに、わが国の周囲の国々、特に東南アジアでは、いまもって非常に多量の麻薬が製造され、日本に持ち込まれてくる可能性が多いと考えられておりますので、私どもは、もしこのままで取り締まりの手をゆるめるならば、またそういう犯罪がふえる可能性はあると思うのでございますが、いまのような取り締まりを続けていく限り、犯罪がふえるということは考えられないと思っております。
○河野(正)委員 今度の法律改正というものが取り締まりを強化しようということですから、その点は問題ないと思います。特にいま警察庁のお答えを聞いてみましても、取り締まりの手をゆるめることがないならば増加するということはおそらくないであろう、こういう見通しでございます。また大臣のお答えを聞いてまいりますと、この際、法改正に基づく成果というものがあがってきたから、さらに追い打ちをかけて、ひとつ徹底的に根城をはかっていきたい、こういうお答えのようでございます。そういたしますと、収容施設の整備というよりも、いわゆる宣伝啓発あるいは水ぎわ作戦等を中心といたします取り締まり、そういう点にむしろ予算を使うべきだし、また力を注いでいくべきだというように私どもは理解をいたします。そういたしますと、今後施設を整備されましても、別に大量の患者が収容されるという見通しではなさそうに感じます。と同時に、また収容施設をつくれば、やはり病院管理の面でかなりの人も使わなければならぬ。私は現状を知りませんけれども、昨年の審議の中で、収答施設の中の警察権というものは一体どうなるのだと御指摘をいたしましたら、麻薬取締官を配置するのだ、こういうお話もございました。この麻薬患者の施設内におきます管理というものがむずかしいということは、私ども身をもって体験をいたしております。なかなかむずかしい。ですから、麻薬患者だけを大量に収容するということになりますと、やはり警察権というものが必要になってくると思うのです。そういたしますと、やはり取締官がさかれるという面も出てくると思うのです。そうだとするならば、現状あるいは将来の展望から見ますと、収容施設よりも、むしろ根滅のための努力ということのほうが重点施策ではなかろうかというふうに私は感じます。いま大臣のお答えを聞きましても、警察庁の見通しを聞いてまいりましても、そういう感じを強く持ちます。この点は、大臣いかがでありますか。
○小林国務大臣 これはお話のとおりでありまして、昨年までは要するに出た結果に対する始末、こういうことを主として考えたのでありますが、これからは出ないようにする、こういうことで、麻薬の予防措置を講ずる、その予防措置そのものは、取り締まりの強化、こういうこと以外にありませんので、いまのような収容というような結果に対する始末というものは、私はある程度ゆるめていい、こういうふうに思うのであります。したがいまして、これらの問題は、事情ももうある程度変わってきた、こういうことを前提として、この麻薬の問題に対する推移に合うように、運営も必要によって変えていきたい。すなわち、もうその結果を追うよりか、結果を出さないような方向にお話のようにいくべきだ、こういうふうに考えております。
○亀山委員 関連。河野委員の御了承を得まして、簡単に質問をしてみたいと思います。麻薬中毒の防止問題というのは、これは河野委員もるる御質問をなさいましたり、また厚生大臣及び警察当局からもお話がありましたが、私は、若いときに麻薬中毒防止の仕事をいたしました経験から、ひとつお伺いをしたいと思います。 〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕 いま警察当局が言われましたように、国内のアヘン、麻薬の生産をある程度制限いたしましても、外国からの輸入というものは、なかなかこれを防止することは困難であります。密輸手段というものは、あらゆる知恵をしぼってやりますので摘発がむずかしい。しかもこれが国内において密売をやられるときに、あるいは中毒患者に対する供給というものを取り締まるということは、ほんとうに警察当局の御辛苦を察します。そこで、私は戦前のことを考えて、現在行われている麻薬行政及び麻薬中毒の防止問題を考えますときに、麻薬の製造制限あるいは薬自体の問題は、厚生当局がこれを所管せられるのはけっこうでありますけれども、麻薬中毒患者の防止、これはやはり警察関係でおやりになるのがいいと思います。麻薬取締官というのを数をお置きになりましても、最近の麻薬の中毒の患者の問題等を聞きましても、いろいろ警察で簡単なる刑事犯罪、かっては、戦前は戸口調査というものによって端緒を得て、それから麻薬中毒患者の存在を知る、そして麻薬密売の経路を探ったものです。 そこで私は大臣に、ほんとうに日本の亡国病といわれるこの麻薬中毒を根絶するということはなかなか容易でありませんけれども、これをできるだけ防止するということについては、むしろいまの麻薬取り締まり行政というものを、くどいようですが、薬の問題及びこの中毒患者の収容は厚生省が所管され、そしてこの麻薬取り締まり、中毒防止、密輸の防止は、これを警察庁において担当されるのが私は最も妥当ではないかと思いますが、厚生大臣の御所見をお伺いしたい。
○小林国務大臣 これは前々から、お話のような意見がしばしば出ておるのであります。司法警察官の職務というものは、警察がみんなやるのがいいのじゃないかというような御意見もありますが、現在でも郵政監察官とか鉄道公安官とか海上保安官とか、司法警察権を行なう機関がほかにもいろいろあるのでありますし、結局は、これはその職務の性質からどこでやったらいいかというふうな便宜論というか、筋の剛胆になってくると思うのであります。麻薬の関係も、警察とこちらの麻薬取締官でやっておるのが、いろいろ連絡にも不十分な点もあるし、またお互いのなわ張りみたいな問題もあってときどき誤解を生ずる、こういうこともあるのでありまして、これはさらに検討をしなければならぬと思いまするが、一応、昨年もこの議論がいろいろ起きて、そして現状維持、こういうことになったのでございますが、ことに麻薬の問題で一番やかましいのは、いまお話しのような密輸入の問題でありまして、麻薬だけはもう数十年前から国際麻薬機構というものがあって、これを国際的に取り締まっている。そういうことで、麻薬そのものについては特に専門知識を必要とする、こういうふうな関係から、国際色の強いというふうな観点からも、その専門知識を持つ麻薬取締官を置いたほうがいいじゃないか、こういう意見もあって、一応現状のようになっておるのであります。しかし、お話のような御意見は前々からあるので、私どもさらに検討はしてみたい。御承知のように昨年もこういう議論が相当あったようでありますが、いまは落ちついている、こういうことであります。しかし、この問題はこれで片づいたという問題ではあくまでもないのでありまして、どういうことが最も麻薬取り締まりについて失効をあげるか、こういうふうな点から考えなければならぬと思うのでありまして、私どもも、この問題はこれからもやはり検討する必要がある問題だと考えております。
○亀山委員 いま大臣のおことばにありましたが、国際阿片条約、麻薬製造制限条約、そういうもので当時は欧米諸国も自国民の麻薬中毒を防止する、自分たちの国民を救うというので非常にやかましくやった。ところが大戦後の状態を見ますと、非常にゆるくしております。これは私るる申し上げるまでもなく、香港なりイスタンブールなりあるいはスイス、ベルギー等においでも、非常にやかましく密輸の経路というものを採集したものであります。その時代でも密輸の問題は検挙がむずかしかった。戦後の今日を見ますと、私は容易でないと思うのです。いまおことばにありましたように、海上保安官あるいは鉄道公安官がありますけれども、これは鉄道あるいは海上というように湯川を制限されている。しかし麻薬というものは、海陸を通じてどこということはないのです。そうなりますと、厚生省で行別の麻薬取締官を置いて、やるという考え方はありましょう。けれども、河野委員がいろいろ御指摘になりましたように、相当の国費を使うのであればむしろ麻薬取り締まり及び密輸の防止、及び中毒患者の防止という問題は、これを警察庁の所管としなければ、厚生省が所管しておいて一般犯罪と同様に警察庁にやれというのは、私は効果があがらぬと思います。これは議論はいろいろありましょう。けれども、セクショナリズムという時期ではありません。私どもは現在の麻薬中毒患者の様子を見て、麻薬を押え、ヒロポンを押えれば、かわりにまたほかのこういう習慣性麻酔性の薬にかわる、こういう状態で日本国民、ことに青少年を汚毒することは忍びぬと思うのです。この際、そういうセクショナリズムなことを考えずに、ほんとうにだれが一番——麻薬中毒及び麻薬に類似する習慣性麻酔性の薬の中毒患者を防止するという問題になると、私は警察庁にその取り締まりをまかし、それで前に申し上げたような患者の強制収容施設というものに厚生省が徹底することが最も必要ではないか。大臣はいろいろ検討するとおっしゃいましたけれども、これ以上私は申し上げませんが、ぜひ厚生省がいわゆるセクショナリズムにとらわれずに、ほんとうに一木国民をこの麻薬から守るためにはどういう取り締まり行政がいいか、こういう問題をお考え願いたい。御答弁は要りません。これだけお願い申し上げておきます。
○小林国務大臣 私は、ただいまの御意見は十分拝聴いたしました。ことに日本の麻薬組織というものは、外国と違いまして暴力団に結びついている特殊の形態がありますので、そういうこともわれわれは参考にして考えなければならぬと存じます。いたずらにセクトにとらわれるということでなく、どうしたら効果があげられるか、こういうことでまた検討しなければならぬ、かように思います。
○河野(正)委員 いまいろいろ論議してまいりましたように、国内的にこの麻薬撲滅にどう取り組むかという問題と並行してわれわれは考えなければなりませんのは、やはり国際的な関連性でございます。これは先般も、外交上の特権を利用して、メキシコの駐ボリビア大使が麻薬密輸で五千二百万ドルに及ぶ密貿易を行なった、これは史上二番目の大きな取引だそうでございます。このような事例もございましたし、日本国内ではこれはつくらぬわけですから、こういう事犯というものは、全部外国から入ってきて事犯を起こすということでございますので、どうしても国際的な関連というものを無視するわけにまいらない、かように考えます。そこで私ども、さきの四十三国会におきましても、当衆議院社会労働委員会において附帯決議を行なったわけでございます。それは、いま私が指摘いたしましたように、麻薬禍防止には国際的連携を保つことが重要であるので、すみやかに麻薬に関する単一条約を批准すべきである、こういう附帯決議を与野党一致して議決をいたしたのでございます。そこで私は、国内的な問題と並行してこの国際的な連携というものが非常に重大な意義を持つわけでございますので、したがって、この単一条約の批准ということをきわめて、重要視いたしてまいっております。この点について、おそらく今回の国会において批准せられるべきであろうと考えます。でありますが、ひとつこの際御所信のほどを承っておきたいと思います。
○熊崎政府委員 麻薬単一条約の批准につきましては、さきの国会で附帯決議が出ておりますのは私ども承知をいたしております。また、その際に、外務省のほうから、るる現状並びに将来の方針について説明があったことも私ども承知をいたしておるわけでございますが、その附帯決議の趣旨にのっとりまして、今国会には条約の批准を出すということで外務省も正式に態度をきめまして、いずれ近いうちに今国会に提出されるというふうに、外務省のほうからも私ども連絡を受けておる次第でございます。
○河野(正)委員 いま附帯決議の問題を提起いたしましたので、それに関連していま一点ひとつお尋ねをしておきたいと思います。 それは、やはり当委員会におきます附帯決議の一つとして、「麻薬中毒者対策は、患者が退院後再び中毒に陥らざるよう措置することが重要である点にかんがみ、その社会復帰について十分なる施策を謹ずること。」こういう一項目が議決をされたわけでございます。御承知のように、麻薬中毒患者を治療いたしましても、私が骨頭にも指摘いたしましたように、性格的に変調を来たす場合が非常に多いわけです。ある意味においては麻薬嗜好性格、私どもはニスムス・キャラクターと言っておりますが、そういう性格的な変調を来たす場合が多い。ですから、このアフターケアというものが今後の秤発を防止するという意味におきましては非常に重大な意義を持っております。そういう意味で当委員会においても、このアフターケアの問題について十二分にひとつ施設をすべきだ、こういう議決が行なわれたと思うのです。しからば、いろいろ施設の整備拡充については御努力なさっておるようでございますけれども、むしろ私は、もうなかなか収容するような患者の摘発は困難だ、まあ七十八名程度ですから、それなら取り締まり強化と同時に、今度アフターケアのほうにむしろ施設というものは転換すべきじゃないかというふうに感ずるわけでございますし、なおまた、そういう施設をつくれという当委員会におきまする附帯決議の議決もあっておるわけでございますので、そこで、どのような具体的な施策がその後行なわれてまいりましたか、ひとつお答えをいただきたい。
○熊崎政府委員 麻薬中毒者のアフターケアという問題につきましては、先生御指摘のように収容施設に入れ、収容施設でアフターケアをやるというようなお考えもあるでございましょうし、また必ずしも一収容施設に入れなくて、麻薬中毒者であるというリストに基づきまして、各地区におきまして、中毒者のその後の生活状況その他の生活相談等を、万般にわたって相談するというふうなことで行政を進めていくのも一つの大きな方法じゃなかろうかと私考えておるわけでございまして、一応措置患者として、収容施設に収容しました方々に対しましては、施設におきましていろいろと更生指導について施設職員が全力をあげて相談に応じておるわけでございますけれども、それ以外に、施設に収容しておらなくて、しかもあれはどうも麻薬中毒患者であるらしいとか、また現実にどうも麻薬の施用をやっておるのじゃなかろうかといったような方々に対しましては、これは濃厚地区全県、三十八年度におきましては八県分ございましたが、麻薬の相談員を置きまして、それで相談員の活動にこれをまっておるわけでございます。来年度におきましても、従来八県であったのを、あと一県、千葉をふやしまして、相談活動が十分できるように強化対策をはかりますと同時に、また、従来相談員につきましては非常に手当も少なかったのでございますけれども、これを年額五千円だったものを一万円に引き上げまして、しかも一相談員の数もふやすというようなことでもって、そのアフターケアにつきましては十分今後とも努力してまいりたいと存じておるわけでございます。
○河野(正)委員 相談員を強化して相談活動をだんだんと進めていくという点については、私どもも異論はございません。ですけれども、この附帯決議の趣旨は、アフターケアに関する施設をつくる、こういう意味の議決が行なわれておるわけです。そこで、施設以外の相談員を中心とする活動を強化していくということについては異論はございませんけれども、附帯決議に盛られた社会復帰について十分なる施設を講ずるという点については、どういう方策を講じられてきたのか伺いたい。
○熊崎政府委員 アフターケアの施設として何か考えるということであったという御質問でございますけれども、この点につきましては、まことに恐縮でございますが、三十九年度予算の中にはそういった中身のものは盛られていないということでございます。
○河野(正)委員 そういうことでありますと、全く私は国会軽視だと思うのです。これは附帯決議が行なわれて、それに対する大臣の所信の表明もあっておるわけです。にもかかわりませず局長が十分御存じないというようなていたらくでは、これは全く国会軽視、委員会軽視だと思うのです。いまの局、長の御答弁では、努力された経緯をちょっと理解しがたいと思うのです。そういう附帯決議が行なわれて、それが国会の意思である、そういう国会の意思に従って努力したけれども、なかなか予算関係等があって実を結ばなかったということなら、これはある程度私はわかりますけれども、どうもいまの局長の答弁では、そういう附帯決議が行なわれておる実情というものを、よく御承知ないような印象を実は受けておるわけです。そういうことでは、私どもはこれは全く国会軽視、委員会軽視と指摘せざるを得ぬと思うのです。そういう点はいかがですか。
○熊崎政府委員 どうもまことに先生御指摘のとおりでございまして、アフターケア施設をどのように考えておるかということにつきましては、私ども検討が不十分であったことは十分認めておりますが、この点はなお将来の問題としまして、十分大臣とも相談をいたしまして、どういうふうなアフターケア施設をつくっていくかということにつきましては、私も薬務局長になりまして、その点来年度以降におきまして、先生の御趣旨も尊重しながら十分努力してまいりたいと思います。
○河野(正)委員 その点は、私の意志ではなくて委員会の意思ですから、ひとつ委員会の意思を尊重して具体的に方策を立てる、こういうふうにぜひ善処をしていただきたい、こういうふうに考えます。 そこで、いまから各条に触れながらいろいろ論議を展開をいたしてまいりたいと思います。 最初に取り上げてみたいと思いまする点は、この法十一条に関連をする問題でございます。御承知のように、法十一条を見ますと、それぞれ輸入業者あるいはまた卸業者、それから小売業者、施用者あるいは研究者、こういう該当者というものが免許の申請を行なうという規定でございます。これは先般の委員会におきましても取り上げていろいろ論議をいたした点でございますけれども、その中で特に麻薬施用者あるいは研究者の免許に関連をする手数料の問題で若干論議を重ねた経緯がございます。もちろん当時は、医師会等におきましても、手数料が高いというようなことでいろいろ申請をすべきであるかどうかというようないきさつもあったようでございます。私は、麻薬施用者あるいは研究者という該当者がそれぞれ免許の申請をする、これは希望、不希望の方がおられますから、免許の申請をするのは当然必要な処置だと思うのです。そういたしますと、元来から申し上げますると、医師であれば施用もできるし、管理もできるわけですし、また研究もできるわけですから、医師の免許証と麻薬の免許証というものは、これは車の両輪のごとく、紙の表裏のごとく、それぞれうらはらの関係でなければならぬと思うのです。しかしながら、免許をとりたいという意思のある人あるいはまた意志のない人もございますので、そこで医師がどこかでその申請をすることは、当然必要な処置であろうと思うのです。ですけれども、一度免許を受けたならば、その免許というものは、先ほど申しましたように、医師の免許証とうらはらの関係で経過していくべきだ、こういうふうに私は考えます。しかしながら、現行法を見ますると毎年毎年更新をしなければならぬ、これは手続上も繁雑でございますし、なおまた、医師の本質から申しましても、私は毎年毎年更新する性格のものではない、こういうふうに理解をいたします。この点いかがでございますか。
○熊崎政府委員 免許証の問題でございますけれども、これにつきまして先生の御意見は、医師の免許証があれば、あるいは医師の免許証に基づく身分によって免許を一度出せばそれで足るのではなかろうか、しかも期間的に毎年毎年更新するということは適当ではなかろう、こういう趣旨に承ったのでございますけれども、私どもの考え方としましては、前の国会におきましても御説明申し上げましたとおり、麻薬取り締まりのたてまえから言いますと、麻薬の持っておる社会的な重大性といいますか、そういう点から申しまして、免許の期間というものはなるべく短期洲のほうが望ましいという考え方に立っておるわけでございまして、少なくとも一般医薬品の許可の有効期間が、薬事法に基づきまして二年間ということになっておりますが、この二年間よりも長くするということはむろん考えるべきでもないし、また二年間以内で現在の取り締まり法の中身で毎年更新するというたてまえが実は適当ではなかろうかということで、改正のときにはその趣旨に基づきましてこの一年間というものはいじらなかったわけでございまして、これをさらに延長するということにつきましては、私どもとしては、ただいまのところあまり適当ではないというふうに考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 麻薬の社会的に持つ位置というのはきわめて重要だ。そこで毎年毎年免許というものは更新しなければならぬ、私はそういう御意見には全く同調できません。医師というものは人命を預かるというきわめて重要な使命を持っておるわけですね。その医師の免許証すら、これは一ぺん取得すれば一生取得権というものはあるわけです。しかるに、麻薬だけが、社会的に及ぼす影響というものが大きいから、そこで毎年毎年更新しなければならぬということになりますと、一体人命というものはどうなるのか。もっと人命というものの位置というものは高いと思うのです。そうすると、その医師の免許証のほうは、いまの局長のお答えによりますと、半年くらいで更新しなければならぬという理屈にも通ずると思うのです。そういう点に私は納得のできぬ点があるわけです。それでいまのように、麻薬というものの社会的に持つ意義というものが非常に重大であるから、毎年更新しなければならぬという理論については承服できません。それならば医師の免許証は、一カ月か二カ月ごとに更新すべきだという理論にも通ずると思うのです。そういう意味でまことに残念ですけれども、いまの局長の御答弁は納得するわけにはまいりません。ひとつ納骨する御答弁をいただきたいし、納得できなければ私は審議に応じられません。
○熊崎政府委員 いわば身分法に基づきます医師なり歯科医師なり、あるいは保健婦、助産婦というものの免許の場合と、それからこういう麻薬取締法なりあるいは覚せい剤取締法とか大麻取締法というふうな観点に立ちました施用期間の取り扱いにつきましては、全然別の法体系で考えて立案をされておるというふうに私どもは考えておるのでございまして、その点は、いわゆる身分免許証という考え方で立案されました身分法的な考え方とは必ずしも同一の考え方には立っておらない、これが実定法のたてまえであるというふうに私どもは解釈いたしておるわけでございます。したがいまして、期間の問題につきまして御論議をいただく場合に、他の、身分法以外の取り締まり法的な法律とのバランスの問題としてお考えをいただくということで私は申し上げておるわけでございまして、この点は、覚せい剤取締法あるいは大麻取締法等につきましての有効期間の考え方と、バランスをとって御理解をいただくというふうにお願いをいたしたいと存じます。
○河野(正)委員 別な法体系で取り上げるということについては異論はございません。しかし、別な法体系で取り上げるから一年でなければならぬという理由がわからぬと私は言うのです。それが社会的に及ぼす影響というものが大きいから、そこで一年というふりに期限を定める。しからば、人命を預かる医師免許証というものは一体どうなのか。これは法律的な関連があると思うのです。ただ別な法体系だからということで規制をされる、それはけっこうだと思うのです。しかし、法律的な関連があるわけですから、しからば医師免許証は一生であるのに、麻薬免許証の場合は一年一年、こういう考え方はどうしても納得できぬというふうに考えるわけです。これはもう医師として本質的な問題ですから、これで納得さしてもらわぬと、私は今後の審議は続行できませんよ。
○熊崎政府委員 先生のおっしゃることは、私ども十分わかるわけでございますけれども、しかし私はどうもわからぬ点が一つあるのでございまして、これは昭和二十八年に麻薬取締法が制定をされましてから、ずっと毎年更新という形で今田まで続いておるわけでございます。しかも二十八年から十年間全然手数料というものも上げていないというので、その後の社会経済的な情勢を考えまして手数料を上げたという過去の経緯がございまして、その点も考えまして、二十八年から十年以上続けました現在の法律の取り扱いをここで根本的に変えなければならぬということにつきましては、私どもどういう趣旨であるか、実はなかなかわからないわけでございますので、その点も含めてひとつ私どもの主張しておりますことを御了承いただければ幸いだと思います。
○河野(正)委員 その高い安いを私は論議しておるわけではないのです。医師の本質論から見て、きわめて重大な人命を預かる医師免許証というものは一回取得すればよろしい。しかるに、麻薬免許についてはなぜ毎年毎年更新しなければならぬか、その点が全く理解することができない、こういうふうに申し上げておるわけです。これは手数料が高い安いの以前の問題であります。医師の本質論から、そういうことを私は御指摘申し上げておるわけです。いまのような答弁では、医師としての本質的な使命すらが私は無視されていると思うのです。ですから、これは医師としての本質的な使命という面から、いまのお答えではどうしても納得するわけにまいりません。 〔田中(正)委員長代理退席、小沢(辰)委員、長代理着席〕 これはいずれ政治的な御見解もあろうと思いますので、大臣にぜひひとつ御見解を承りたいと思いますけれども、いまの局長のお答えでは納得できません。ですから、そういうことでは、私は逐条零歳でいくわけですから、ここでひっかかっちゃったら先の審議は続行できませんよ。私の質問に納得できるようなお答えをいただかぬ限りは、自後の審議については続行できないと思います。
○熊崎政府委員 先生は先ほどから、永久ではなくて期間の問題だというふうに問題を限定されまして御主張されましたので、私ども、期間だけの問題に、きましての御前歳と承りまして申し上げるわけでございますけれども、いわゆる麻薬施用者としての免許をとる場合に、いままでの事例を見ましても、医者の場合でも、たとえば麻薬山中毒者で自己施用をする場合もなきにしもあらずでございます。その場合には麻薬免許証の取り消しという事態もあるわけでございまして、やはりこれは医師の免許証はそのままにしておいて、麻薬施用者の免許を取り消したり何かするという事態はしょっちゅう起こっておるわけでございます。したがいまして、更新の期間というものは、しからば一年がいいのか、あるいは二年がいいのか、その辺はやはり論議のあるところだろうと思います。先ほど申し上げましたように、麻薬の取り扱いの社会的な重大性といいますか、そういう点を考えて、これは立法当初から一年が適当だというふうに考えられて立案されたものと私ども承知をいたしておりますので、この十年間続いた 一年の更新というものを、なぜ変えなければならぬかということにつきましての社会的な必要性といいますか、そういったものについては私ども必ずしもわからない、こういうふうに私は答弁次いたしておるわけでございます。
○河野(正)委員 最終的には大臣のお答えを承らなければならぬと思いますけれども、いま局長からいみじくもお答えがあったように、事故が起これば行政処分として取り消しもあり得るわけです。ですから、何も一年一年更新する一歩はないじゃないか。いまの局長の御答弁を承っても、私は自分の説の正しさというものを一そう痛感するわけです。要するに、更新期が来なければわからぬというなら別ですよ。その前にちゃんと行政処分で取り消しなんかやっておるわけでしょう。だから何も一年一年更新する必要はないじゃないかと私は申し上げておる。事故が起これば半年でも取り消したらいい。ただ、局長がおっしゃるように、十年間いままできたのがなぜここで論蔵の対象になるのか。それは、御承知でございましょうけれども、十年やろうが二十年やろうが、これは改むべきであるというような意見が出てくれば、お考えになるのは当然ですよ。だから、たとえ二十年続いたとしても、そのことが正しいのだ、合理的だということにはならぬと私は思うのです。十年であろうと二十年であろうと、やはり不合理が出てくれば当然改めなければならぬし、また、社会通念からもいかがかというふうな点が出てくれば、当然これは私は改めなければならぬと思うのです。ですから、十年続いたのだから改めなくてもいいのだという理由にはならぬと私は思うのです。それから、いま申されたように事故があるから、それは事故があれば行政処分でお取り消しになればいいのですから、何も更新期間と関係がないと私は思うのです。ですから、一年一年更新しなければならぬという理由が、私は非常に薄弱だと思うのです。毎年毎年施用者というものはちゃんと届け出をするわけですから、その届け出を見れば施用者の実態はわかるわけです。なぜ免許の更新だけやらなければならぬのか、この点どうしても私は理解するわけにまいりません。
○熊崎政府委員 この免許の一年更新の第五条に基づきます有効期間の掛比は、第十一条に定めております手数料の、それぞれ掲げました各業者、施用者、研究者を含めまして、全部に適用する規定でございまして、先生がおっしゃるのは、麻薬施用者だけを一年が短いのではないかというふうに私ども承りましたけれども、輸入業者あるいはここに例示されておりますその他の業者についても、先生はやはりこれを変えたほうが適当であるというふうにお考えかどうか、私どもまだ承知をいたしておりませんので、この辺の関連を含めましてやはり十分お考えをいただかなければならぬというふうに思っております。
○河野(正)委員 局長のお答えを聞いておると、ますます不可解になるわけです。輸入業者とか卸業者というのは、これは商売人ですよ。だれだってできるのです。医師というものは、医師免許証を持たなければできないわけですから、本質が違うのです。私は本質的な使命論でいまいろいろ意見のやり取りをしておるわけですから、その本質をはずされますと、いまのような商売人と混同した意見が出てくると思うのです。麻薬の施用というのは、これは医者しかできぬわけです。ですから、医師免許証とうらはらの問題だ、こういうのです。卸業者とか小売り業者とかいうのは、何も医師の免許証を持たなければできぬということではないのです。そういうことですから、私は本質論を申し上げておるのだけれども、その本質論をどうも軽視されておるのか、無視されるのか知りませんけれども、そういうお考えですから、いまのようない県の分かれ目が出てくると思うのです。私が言っておるのは本質論ですから、したがって、医師ということに限るということは、これは当然のことだと思うのです。
○小沢(辰)委員長代理 午後二時まで暫時休憩いたします。 午後零時四十三分休憩 ————◇————— 午後二時五十四分開議
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
○小林委員 当今、重大な政治問題化しておりまする日韓会談の問題に関連をいたしまして、在日朝鮮人労働者の実態並びに在日いたしておりまするそういう方々の生活状態の問題等、主としてわれわれ社会労働委員会が関心を持たなければならない問題について、二、三、御質問をいたしたいと思うのであります。 まず、第一番目に法務大臣にお伺いをいたしたいのでありまするが、日朝鮮人の登録総数は現在どれくらいになっておりまするか、お聞かせを願いたいと思います。
○富田政府委員 大臣が出席いたしておりませんので、私からかわって御答弁を申し上げることをお許し順いたいと思います。 昨年十二月末現在で、在日朝鮮人の登録人員の総数は五十七万三千二百八十四名となっております。
○小林委員 その中で、不幸にして朝鮮は政府が二つに分かれておりまするが、それに従って韓国と称するものに帰属する者、人民共和国、北朝鮮に属する者の概略の数字をお聞かせ願いたいと思うのであります。
○富田政府委員 外国人登録上は、韓国国籍であるかあるいは北朝鮮籍であるかということを区別いたしてはおらないのでございます。これは昭和二十二年の五月に外国人登録をいたしました際に、最初は朝鮮という一色で登録しておったわけでございます。その後韓国が成立いたしまして、司令部の要求もございまして、登録上韓国名の記載をするようにという要望がございましたが、それに従いまして、一応韓国という名で登録を希望する者の朝鮮から韓国への書きかえを認めたわけでございますが、それはあくまで用語上の問題であって、それが直ちに国難を意味するものではないという当時の法務総裁の談話を発表してございまして、単なる用語上の差異にすぎない、それが同籍をあらわすものではないというふうにわれわれは取り扱ってきております。そこで、しからば、そういう性質のものとして現在外国人登録上朝鮮として登録しておる者は何人か、韓国として登録しておるものは何人かという意味で申し上げますと、昨年末現在で韓国が二十一万五千五百八十二、朝鮮と記載されておるものが、三十五万七千七百二、となっております。したがいまして、積極的に韓国という記載を希望した者は韓国を支持するということに相なるかもわかりませんが、残った三十五万の者については、無関心の者もございますし、はっきり北朝鮮を支持する者もございましょうが、そういうわけでございますから、色分けがこれでわかるというわけにはまいらないと存じます。
○小林委員 この色分けは、確かにおっしゃるとおり記載によってつかむことはできないと思うのでありますけれども、その後、これはやはり何かの方法で、これは北鮮系であり、これは南鮮系であるというようなことを調べて、相当事実に近いものをお持ちになっていないことには、国の行政を進めていく上において種々の不便があると思うのでありますが、そういうようなことを実際にお考えになったこと、あるいは着手せられたこと、あるいは調査等を行なわれたことがあるかないか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
○富田政府委員 外国人の国難を日本政府が左右すると申しますか、その決定に関与する立場にはございませんので、実際上北朝鮮を支持する者が何人であるかというようなことを調査するすべがないわけでございます。したがいまして、いままでにそういう北鮮籍の者が何人くらいおるであろうとか、あるいは無関心または中立的なんが何人おるであろうかとか、韓国が何人おるであろうかというような調査はいたしておりません。その必要性がないかということを御質問でございますが、具体的問題が起こりまして、必要のつど、韓国の場合は韓国政府の証明を求めるということで処理してまいっておりますので、在留管理上は特に支障はないと考えております。
○小林委員 去る二月二十六、七日の二日間にわたりまして東京で開かれた在日本朝鮮人総連合会中央委員会、そこで韓徳銖議長が報告をせられておるのでありまするが、その報告の内容を御承知になっておりますか。
○富田政府委員 承知いたしておりません。
○小林委員 その報告書を見ますると、朝鮮総連第三十三回中央委員会で韓徳銖議長は、日本当局は出入国管理令または外国人登録法に基づき、約二十万人の在日同胞に対して、いわゆる外国人登録法違反の口実で家宅捜索、検挙、体刑、罰金など過酷な人権侵害を加えておる、こういうような非常に激しい非難の報告をしているのでございまするが、実際にこういうようなことをおやりになっているのかどうか、その真実をお聞かせを願いたいと思うのであります。
○富田政府委員 在日朝鮮人が外国人登録——最初は外国人登録令、現在は外国人登旅法でございますが、この外国人登録関係の法規が施行されて以来どの梓川検挙され、処罰を受けたかということについては、ただい資料を持ち合わせておりませんのでわかりませんが、この登録関係法規違反で検挙し、検察庁に送るという仕事は、これは警察のほうの仕事で、ございまして、こちらはただ在留管理、出入国の管理という面だけでございますので、残念ながらいまのところ詳しくは承知しておりません。
○小林委員 これは警察の関係でございますか。警察の関係でも——法務省の関係ではありませんか。あなたの局の関係でないとしても、こういう問題の取り締まりは法務省じゃないのですか。あるいは自治省ですか、外務省ですか。ちょっとこの区分をお聞かせ願いたい。
○富田政府委員 捜査の第一次的な責任者としては警察になるわけでございます。しかしながら、これが検察庁に送られて、罰金なりあるいは処分をやられるということになりまするとこれは検察庁の問題で、ひいては法務省の問題になるわけでございます。したがいまして、法務省におきましてもこういう犯罪統計はとっております。さようなわけでございますから、法務省の犯罪統計からその数字を調べろとおっしゃれば、後刻調べて御返答することはできると思います。
○小林委員 なるほど、入国管理局の次長さんのあなたに、あるいはこういう問題まで御質問するのは少し窓口が違ったかもしれません。けれども、法務省の関係である限りは、私はあなたを法務大臣の代理として扱っておるのでありまするが、あなたのほうで大臣の代理たるべき資格がないとおっしゃるなら、残念でございますが、それじゃこの問題は後日またあらためて、あしたでも、大臣が来られなければ他の関係局長にお尋ねすることにいたします。 その二十万人の在日同胞の、うちの六〇%は、いわゆる登録証の不携帯行——これは第何条かにありますが、その登録証の不携帯となっている。このような不携帯の口実で検挙され、強要された罰金の総額は実に四億円にのぼっているというのでございますが、この登録証は、入国管理局、あなたのところでお出しになるのじゃないかと思いますけれども、これはいかがでございましょう。いま在日朝鮮人が五十七万三千人おると先ほどもおっしゃったのでございますが、その中には永住権を持っているのもおりましょうし、また観光や旅行で来ておるのもありましょう。旅行や観光で来ておる者は登録証は持っていない、また別のものを持っておると思いますが、一体この登録証というものはどれくらい発行されておるのでありますか、その中で不携帯と称するものが一体どれくらいおるのか、実際に四億円もそういう罰金を取っておるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○富田政府委員 先ほど申し上げました数字が在日朝鮮人に対して発行されておる登録証明書の数でございます。それで、その五十七万三千の内訳でございますが、大体在日朝鮮人の大部分が戦前から引き続き居住しておる者、それからその子孫ということになっております。そういう戦前から引き続き在日する朝鮮人またはその子孫で講和条約発効までに生まれた者は、昭和二十七年の法律第百二十六号で在留資格を取らないでも当分の間在留できるということになっております。そういう形で在留しております。それから、平和条約発効後に生まれた者は、入管令上の在留資格を取得することになっております。それが外国人登録法上五十七万三千。これはみな登録証明書を持っているわけであります。不携帯と申しますのは、本来登録証明書を持っておる者が、忘れたりその他の事由でたまたま提示を求められたときに持っておらなかったということで不携帯罪にひっかかる。まあこの不携帯自体が罪で、どういうわけで一々そうこれを処罰するのかということに相なりますが、やはり密入国者も相当ございまして、登録証明書を持っておるか持っておらないかということが外国人の在留管理上きわめて重要な要素をなしておりますので、不携帯罪というものも存在の意義があるわけでございます。特にきびしくこれを取り締まっておるというふうにはわれわれ考えておりませんが、それは警察のほうの問題になるわけでございます。
○小林委員 一体密入国者の概算というのはどれくらいになるものでございますか。
○富田政府委員 毎年密入国で検挙される者の数は、年によって変動はございますが、千五百名ないし二千名の線を上下しております。これらの者も、特に在留を許可すべき事情がある者については、法務大臣の裁量権で在留を許可いたします。その場合には正式に在留することと相なって、登録証明書も持っておるということになるわけです。いままでに正式に在留資格を取った者あるいは過去強制になった者、そういう者も含めて、一体どのくらい密入国者があったかという累計は、残念ながらただいま手元に数字は持っておりませんが、現在登録証明書を持たずに潜在しておる者が相当数あるのではないかというぐあいにも考えておりますが、その数は正確にはつかんでおりません。
○小林委員 その密入国者もおりますということが一つの口実にせられて、あるいは検挙を受け、あるいは罰金を科せられる。その中には、在日朝鮮人民が、ほんとうに祖国の平和とみずからの民主主義を守ろうという形で運動をしておる——もちろん日本の国政に干渉したり関与するようなことはやらない、外国におけるすなおな連動を続けているのを弾圧したりするような、悪意に満ちた検挙や罰金や、あるいはまた外国人登録法の悪用等が行なわれている、こういうよりなことが公然といわれているわけなんです。一体そんなことがあるのかどうか。先ほどから言うように、私どものところにいろいろな話を持ち込んでくる者が、そういうわけで韓国と北鮮に差別をつけて、そしてともすれば何でもない者にそういう弾圧を加えてきていると言っているのであります。現に、この中央委員会における議長さんみずからも、そういうような明確な演説をしていられる。労働者は泣いていますよ。在日朝鮮人は泣いていますよ。こういう事実がありますかどうか。これは次長さん、限られた仕事でございまするから次長さんのあるいはお知りになってい心範囲にないかもしれませんが、当面やはり入国の仕事をおやりになっているのでありますから、ひとつあなたの偽らざるお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
○富田政府委員 外国人登録法というものは、外国人の公正な管理のためにあるわけでございまして、それが特殊な一部の朝鮮人をことさら圧迫するために使われるというようなことは、本来の法の精神から逸脱するものと私は考えております。しかし現実にそういうものがあったかどうか、残念ながら承知しておりませんので、ごかんべん願いたいと思います。
○小林委員 在日朝鮮人総連合会というものがあるのでございまして、この在日朝鮮人総連合会を法務省では破防法の対象団体としておられる、こういうのでありますが、これは破防法の対象団体にしておられるのかどうか。これは事務的な問題でございますから、簡単にひとつお聞かせ願いたい。
○富田政府委員 破防法関係は、公安調査庁の所管でございまして、私正確に承知しておりませんが、破防法容疑団体になっていると思います。正確なことは、公安調査庁の所管でございますので、責任を持っていま御答弁いたしかねます。
○小林委員 いま入国管理庁の次長さんにお尋ねしましても、法務大臣のような御回答を求めることも困難と思いまするので、あなたには具体的なあなたのお仕事の問題だけお尋ねして、あとは、労働大臣も厚生大臣もおられるようでありますから、法務省の話はあとにしようと思います。 その具体的な話といいまするのは、密入国の問題なんです。これはあなたのお仕事でございましょう。大正年間からずっと日本におりまして、正業について仕事をしておりましたけれども、不幸なるかな終戦を迎えた。日本は混乱におちいりましたものですから、将来どうなるかわからないというので、奥さんが承知をされない。そのときにはもう六人か七人子供をお持ちになったのでございますけれども、夫のとめるのも聞かずして、その奥さんは子供を連れて、たしか当時は一番上の人は十四歳で、これは入国管理庁のいわれる成年ではない、満十四歳以下でございましょうけれども、その子供をかしらにして、六人か七人全部連れて朝鮮へ引き揚げてしまった。けれどもその子供たちは、日本の中に生まれて、日本の義務教育を終えて、完全に日本人化しているわけなんであります。それが終戦という不幸な事実に基づいて、無理やり母親に連れられて朝鮮へ帰った。親の祖国でありましょうけれども、子供にとってはまさに他国であります。日本が祖国であり、日本がなつかしい。それで成長いたしまして成年式を迎えましたけれども、望郷の念やみがたく——それが病気になったわけなんです。結核をわずらって、非常に苦しい朝鮮の生活をしながら、父親は日本におられてりっぱに成功されていられるわけですから、その父親のもとをたずねて自分の病気もなおしたいというので、結核で生死の間を彷徨しているのに朝鮮を出国したわけです。それで日本にたどり着いた。父親のもとにたどり済いた。病院に入った。治療中に登録証不携帯罪でつかまえられたわけであります。つかまえられたのでありますが、さすがに、結核で病気療養中でありますからすぐ帰れとは言わぬけれども、病気がなおったらお帰りなさいという、こういう扱いを受けているわけです。ところが、先ほども繰り返し申し上げたように、父親は大正年間からずっといてりっぱな生業を営み、産もなしているわけであります。その、来た子供をどうしても自分のあと取りにしてこっちに置きたい、自分の家業を受け継がしたい、財産も与えたい。せめて、六人も七人も持っておる子供でありますから、この子一人——親を求めてきた、しかも病気入院中であります、からだも悪い、帰したくない、こういうことでいま一生懸命になっているのでございますが、こういうようなケースは、先ほど言いました法務大臣の御裁可によって日本にとどまることができるものかどうか、あなたにお尋ねをいたしたいと思います。
○富田政府委員 具体的なケースにつきましては、あらゆるデータを総合いたしまして判断しなければなりませんので、ここでは一般的に、特別在留を許す場合の考え方というものや、その背景となっているいろいろな問題を申し上げることでごかんべんいただきたいと思います。 大体、終戦のときに日本に在留しておりました朝鮮人が百九十万おったわけでございます。これが終戦頂後の緊急移送体制によりまして、昭和二十年の八月から二十一年の三月までに百三十万引き揚げまして、その後さらに、一年間におおむね十万近く引き揚げております。したがいまして言四十万引き揚げた。これはみな日本にいろいろな縁故が、地縁、血縁があったわけでございますが、その地縁、血縁があったということだけで入国を認めるということに相なりますと、百何十万という者の密入国を認めなければならないというような状況になりますので、特に人道上助けなければならないというケースに限って認めていくという方針をとっているわけでございます。それではどういうのが人道的なケースかと申しますと、戦前別れ別れになっていた夫婦が密入国によって初めて一緒になった。それから自分で独立して生計を営んでいけないような十四、五歳、十五、六歳、こういう未成年者が親を、父をあるいは母をたずねて密入国してきた、しかも本国にはこれを扶養する身寄りの者もない、こういう場合には、やはり離散家族として親と一緒に生活させなければ人道上の要請にも反しますので、こういうものについては認めております。しかしながら、一人前に成長いたしました場合には、われわれの場合でも、一人前になれば親のもとを巣立ってそれ、それ社会の荒波の中に飛び込んでいくわけでありますから、やはり成人に達すればこれは必ずしも一緒にいなければならないものでもないのではないか、したがって、そのほかのいろいろな要素を判断いたしまして、特に在留を認めるべき事情があれば考慮いたしますが、一般的に申し上げますと、別れ別れになった夫婦、身寄りがなくて食っていけないという未成年者が親をたずねてきたという場合に広める、大体こういう基準で処理しております。したがいまして、ただいまお尋ねの具体的なケースにつきましては、いろいろなデータを総合して判断いたしまして、法務大臣の裁可の問題として考慮していきたいと考えます。
○小林委員 それでは、次長さん、あなたは一般的な問題でおっしゃっているから、個々のケースについては、ひとつあなたのとろに行きまして、委員会を抜きにして、今度はあなたに陳情する立場に立ってお願いに上がります。時間も省略されてよろしゅうございますから、そういうことにいたしますけれども、まあひとつあんまり痛めつけないで、日本と朝鮮とは特異の関係がありますし、百九十万もいたというわけでございますし、そういう人情の機微に反すること、親子の仲を切り裂くようなことをおやりになるのはよろしくない。いまのケースで申し上げますと、父親一人しかいない、そして成功して財産を持っている人がもし不幸にしてなくなられた場合には、その財産はどうなるのか。日本においてなくなられた朝鮮人の個人の財産、これはどうなりますか。
○富田政府委員 具体的な問題につきましては、いずれまた日を改めてゆっくり御相談いたします。
○小林委員 六人も七人も子供がいても、父親一人で営々として、日本を愛するがゆえに大正年脚からとどまって財産をつくった。そのうちの一人の子供ぐらいは自分の手元に引き取って、その遺産や財産を相続させたい。しかし、成人をしているから、それは個人で行動すべきだからそういうものは許されないという、この考え方に若干無理があるのではないか、私はこう考えておるわけでございますが、いまもおっしゃるようにゆっくりお話をされるということでありますし、私もゆっくりあなたのところに側人的にお願いすることにいたしますから、これはこれでやめることにいたします。 そういうような客観的な情勢の中に置かれて滞日をいたしておりまする朝鮮人というものは、日本において非常に苦しめられているわけでございまして、労働大臣にお伺いいたすのでございますが、先ほども申し上げましたように、在日朝鮮人総連合の中央委員会において韓徳鉄議長はこういうことを言っておるのであります。日本政府は、在日朝鮮公民に対して就業の権利を保障せず、差別政策を強化しているため、朝鮮人民の生活は一そう落ちぶれ、不安定な状態の中にある、こういうことを言っておるのでございまして、その具体的な数字としては、今日、在日朝鮮人同胞の約八〇%は失業または半失業の状態の中に投げ出されている、こういう公式な発言をいたしておるのでございます。このことは、ただ日本だけの問題ではございません。国際的に聞こえても非常に影響の大きい問題でございます。実際に日本政府は、そういう就業の権利を朝鮮人民大衆から剥奪しておるのかどうか、この点を出任ある労働大臣のお口を通じて承りたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 日本の政府といたしましては、日本の法令に従って行政をやっておるわけでございまして、この行政の執行にあたりましては、内地人たると朝鮮人たるとによって、労働省は全く区別をいたしておる事実はございません。
○小林委員 先ほどもお尋ねいたしましたが、五十七万朝鮮人の中で、その八〇%ということになりますと概算四十五万であります。その四十五方の人たちが、失業ないし半失業の状態に置かれているということは、いずれにいたしましても労働行政上これを等閑に付してはならぬ重大問題であると思うのでありますが、労働行政の面から見られまして、現在日本におります朝鮮人の就業状態、生活状態はどうなっているか、どの程度まで労働省の調査が行き届いておるか、いま少しきめのこまかい御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 失業者に対しましては、御承知のとおり法令による失業対策を、各方面からきめのこまかいやり方で実施をいたしておるのでございます。この失業者に対する対策については、日本国籍の有無にかかわらず、全く一視同仁の態度をもって施行をいたしておるのでございます。したがいまして、失業者の中で朝鮮国籍を有する者が何名あるかという調査は、労働省といたしましては必要がございませんので、全くやっておりません。
○小林委員 労働大臣は、日本人並みに一視同仁の政治を行なっておるとおっしゃいますけれども、対朝鮮人の最も責任ある議長の立場で、日本政府が就業の権利も保障せず、非常に差別の待遇を強化している、こういう明確なことを言っておるのでありますから、どうしてもこの際労働省に、在日朝鮮人の就業状況概算、どういう職業についてどういうような働きをしているかという、その点をひとつお聞かせ願いたいのであります。
○大橋国務大臣 労働省といたしましては、先ほど来申し上げましたるごとく、国籍の有無による差別待遇は全くいたしておりません。したがって、特に朝鮮人を対象といたしまして特別の調査をいたしておりませんので、数字等についてお答えを申し上げるわけにはまいりません。
○小林委員 これは参考までにお尋ねいたしますけれども、在日外国人の職業、あるいは就業状態というものを調べておく必要はないものでございましょうか。どこかの官庁で、一通りの調査はやはりしておかなければならない性質のものと考えますが、いかがなものでございましょうか。
○大橋国務大臣 外国人を特に保護するという仕事を受け持っております役所があれば、そこで調査をすべきものであろうと思うのであります。労働省の失業対策は、国内における労働力としての失業者の対策でありまして、これについては、内外人を区別する取り扱いは従来から全くいたしておりません。したがって、労働省の必要といたしましては、外国人についての特別の調査はいままでその必要を感じていなかったわけでございます。さような事情で、今日までそうした調査をいたしたことはございませんので、まことに残念でございますが、統計に基づくお答えは、この際申し上げるべき材料を何ら持ち合わせておらぬ次第でございます。
○小林委員 そういたしますと、労働省といたしましては、失業保険にどれだけ市日朝鮮人が入っておるか、あるいはまた失対の事業にどれだけ朝鮮人が入っておるか、あるいはまた労災関係で、どれだけのものが在日朝鮮人で労災保険を受けておるかというような、労働省関係のそういう政策については一つも資料がないということに理解してよろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 たとえば失業者の中に東京都の出身が幾人、あるいは沖繩県の出身が幾人、あるいは朝鮮の出身が幾人というような、出生地ないし国籍による上区分によって調査をいたしたことはございません。あらゆる事務を通じまして全くございません。
○小林委員 戦前には在日朝鮮人を非常に軽べつする風習がありましたり、あるいはまた、就業その他について低賃金にこれをくぎづけにするという風潮があったり、非常に好ましからざる状態があったのでありますが、終戦と同時に、市日朝鮮人に対する往年のようなそういう差別がなくなったことは事実であります。私どもそのように理解をいたしておりますけれども、しかし今日、賃金や待遇や就職の機会均等、そういうような問題についてやはり若干の残滓、その形骸を残しておることは間違いないのでございまして、それあるがゆえにこのように相手側から堂々と日本政府のあり方を非難せられているという状況でございますので、この際労働行政の立場からは、いまおっしゃるように、つとめて身分関係を明らかにし、国籍関係を明らかにして、芦別をつけるというふうなやり方は好ましからざるものであるとは存じますけれども、労働大臣が言われるように国籍のいかんを問わず一視同仁である、決して差別をしないという立場からその調査をしない、そのまま放任していくという行政のあり方は一考を要するのではないか。この際、現実に朝鮮人の八〇%が失業ないし半失業の状態に投げ出されている、こういう現実がある限り、そこにあたたかい手を差し伸べて、何らか生きる道を講じてやるというのがほんとうの行政のあり方ではないか。その意味において、在日朝鮮人の就業の実態を労働行政の立場から調査されることは非常に必要であると思いますが、いかがでございましょうか。さらに、大臣はなぜ必要であるとお認めにならぬのであるか、お聞かせいただきたい。
○大橋国務大臣 労働省といたしまして、日本国籍のある失業者だけを対象にして失業対策を進めておって、朝鮮国籍の人に対しては何らやっていなかった、こういうことでございましたならば、これは失業問題の当事者といたしまして、特にいままで手を差し伸べていなかった朝鮮人を対象として、十分に調査を進めて遺憾なきを期していくということは当然なことであろうと思います。しかし、労働省といたしましては、いやしくも失業者である限り、内地人であろうと朝鮮人であろうと区別せずに、十分に手を尽くしてまいっておったのであります。したがって、放てきされている失業者はないというのが私どもの考えでございますから、この際特に朝鮮人を対象としての調査をし、いままで放てきされておった朝鮮人をあらためて手厚くお世話する必要は私はないと思います。
○小林委員 大臣は非常に確信を持ってお答えになりましたから、私はその大臣のおことばを、きょうのところは一応お受けをいたしておきまするけれども、それを反証するだけの資料が実はたくさんわれわれのところに来ているのでありまするから、これは後日、そのケース、ケースを具体的にお示しをいたしまして、そして大臣に、いま一度対朝鮮人労働行政のあり方について御反省いただく機会を持ちたいと思います。それまでは、この問題は留保ということにいたします。 次に、厚生大臣にお伺いいたしますが、在日本朝鮮人総連合会中央委員会第三十三回会談の席上におきまして——これは東京で開かれたのでありまするけれども、その席上で韓徳銖という議長さんがこういう報告をしている。「在日朝鮮同胞の約八〇%は失業または半失業の状態におかれている。極貧の同胞が「生活保護法」の適用を申請しても、日本当局はそれにたいしてさえ差別と迫害を加え、すでに適用をうけている同胞にたいしても打切り、削減をおこなっている。たとえば「生活保護法」の適用をうけている同胞数は、一九五五年を一〇〇として一九六三年には四五・七%にへった。これは、帰国による減少もあるが、日本当局が一質して同胞の 「生活保護法」の適用を一方的に打切り、削減しているのに原因がある。日本政府は諸種の社会保険でも在日朝鮮人を差別、除外しており、公営住宅の入居、福祉年金、はなはだしくは、ところによって健康保険、火災保険などからも除外している。」こういうことを言っておるのでございまするが、一体、具体的にこういう事実があるのかどうか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
○小林国務大臣 生活保護の関係は、従来の沿革を守って差別はいたしておりません。現在でも五万六千人という被生活保護者がありまして、これは在日関係者の約一〇%に当たる。こういうことで、いわゆる保護率というものは日本の一般の方よりかはるかに高い。こういうことで、現在九千万人としますれば、全体はいま百七十四、五万人、こういうところでありまして、その比率は二%かあるいは三%足らず。しかし、市日朝鮮人は一〇%の保護率を持っておる。こういうことで、むろん取り扱い者が意識的に在日韓国人を差別しておるということはありません。 それから社会保険の関係でありますが、これは、国民健康保険等は市町村の条例でこれを認めているものが多い。国民年金は入っておりません。厚生年金は、当然被用者として適用を受けておる。職域の健康保険も同様であります。
○小林委員 いまの大臣の御答弁で、生活保護を適用されている者が五万六千人だとおっしゃった。二五十七万在日朝鮮人の中の五万六千人ですから、おっしゃるとおり一〇形程度でございますが、先ほども労働大臣にくどくお尋ねいたしましたごとく、朝鮮人が就業の機会を失ったり、あるいは就業いたしましても社会の中の底辺における最も不安定な職業に従事をいたしておりますから、やはり生活が細いから生活保護の世話にならなくてはならないということでございまして、彼らをして言わしむるならば、もっともっと多かったものが、だんだんわれわれの生活が追い込まれていくのに反比例して生活保護を打ち切られているという、こういう悲痛な陳情をわれわれのところへ持ってきているわけでございますが、ひとつ社会局長、毎年毎年における在留朝鮮人の生活保護者の数字の上下をお聞かせ願いたいと思います。
○牛丸政府委員 三十七年の実績は、先ほど大臣から御答弁があったとおり全体の約一〇%程度でございまして、最近の数字を、外国人の保護だけを一応見てみますと、二十六年を一〇〇といたしまして、最近数年間の外国人の保護率を考えてみますと、三十六年は二十六年と同じ一〇〇でございます。三十七年は九九・九%、わずかに減っております。三十八年は、四月から十一月までの実績でございますが、九九・七%というふうに、多少の差はありますけれどもほとんど横ばいというような状態でございまして、特に朝鮮人——朝鮮人がほとんど大部分でございますので、外国人の保護というものを全体として見た場合に、最近特にこれが低下しているという現象はないわけであります。
○小林委員 そういたしますと、この中央委員会における韓徳銖報告は全然でたらめだということですか。あなたの数字が正しいということになれば、彼が言っている一九五五年を一〇〇として、一九六三年には四五・七%だ、半分以下にどうも打ち切られてしまったというこの数字は、これはうそだということになるが、どうなんでしょう。
○牛丸政府委員 先ほどの小林先生のお話は一九五五年でございまして、そうしますと大体いまから八年前のことです。その当時は、三十二年でございますが、二十六年を一〇〇として一四一・七、これは実数で言いますと八万五千二十三名、その当時に比べますと三十三年が八万一千百二十九名、一三五・三%、三十四年は少しふえまして八万四千三百三十三、一四〇、それから三十五年が七月八千、三十六年が六万六千、三十七年が五万九千というふうに減っておりますのは、北鮮の帰還が三十四年から開始されておるわけでございまして、北鮮帰還が開始されました翌年から減ってきているわけでございまして、三十四年八万四千一三百二十三名が、三十五年には七万八十六百五十人、三十六年には六万六千百七十八人というふうに低下しております。これは私どもは、北鮮帰還によるものが非常に大きな原因だと思っております。先ほどお御指摘のように三十二年の八万五千から比べますと、三十八年は、四月から十一月までの実績平均五万九千七百六十四名でございますから相当減っておりますので、そういう面で非常に減っているという表現は、その面については私はそううそではないというふうに考えておるわけでございます。
○小林委員 時間もありませんからこれでひとつその問題は打ち切りますが、先ほど大臣が言われましたように国民年金には入っていないというのですが、これは日本に永住権を持つ者も一様に入っていないのかどうか、それから同時に、福祉年金もそのとおりでありまして、支給されておらぬというのでありますが、拠出制は別にいたしましても、無拠出の年金くらいは私は支給してもいいので、はないかと思いますので、這般の事情はどうなっておりますか伺いたいと思います。
○牛丸政府委員 厚生省関係の法律で、外国人の処遇を異にしているものと同じくしているものとは、これは町方ございまして、先ほど大臣から御答弁のありましたように、被用者に関係する社会保険なりあるいは一般の社会福祉法規、それから医事、薬事とか公衆衛生、こういう法規は大体外国人を問わず全部処遇を同じにしております。しかし、生活保護法、国民健康保険法、国民年金法というようなも一のは、これは法律が国民を対象にするというふうになっておりまして、初めから外国人に対する適用を除外しております。ただ、生活保護法につきましては、先ほど大臣の御答弁のとおりに、取り扱いとして朝鮮人なり外国人を、一般の国民と同じような処遇をやっておるというようなことでございます。
○小林委員 住居の公営住宅の入居の問題はどうなっておりますか。
○牛丸政府委員 これは住宅関係は建設省所管でございますので、私ちょっと責任のある答弁はできませんが、取り扱いを異にはしていないと私は存じます。
○小林委員 いよいよ日韓会議が進められておりまして、日本と韓国との国交回復もあるいは今国会内にでき上がるのではないかと思うのでございますが、かりに国交が回復をしたといたしまするならば、一体在日朝鮮人の日本における立場がどういうふうに変化をするのか、参考までにお聞かせを願いたいと思います。
○小林国務大臣 いまの法律で国民のみを対象にしておる、こういうものがあります。これは従前どおりいきますが、おもに問題になるのは生活保護の問題だと思います。これは在日朝鮮人の日本における法的地位の問題にも関係をしてくるのでありまして、いろいろ検討を要することがあると思いますが、生活保護の問題は、いまの協議の上で日本に永住権を得るとか得ないとかいう問題がありまして、永住権を得た者は当然、従来の慣習と申しますか、取り扱いが継続される。いない者はどうなるか、こういう問題でありますが、これらも、おそらく取り扱いは当分の間従前の関係をそう変革することはあるまい、こういうふうな一応見通しを持っております。
○小林委員 この生活困難な者は、国と国との国際関係で強制帰還といいますか。送還というようなことは考えられませんかな。
○小林国務大臣 これは、普通の外国人には当然入国管理の関係でそういうことを言われますが、朝鮮の問題については、そういうふうに厳格にやられることはなかろう、こういうふうに思っております。
○小林委員 実はこの生活保護の問題に関連いたしまして、まだその社会福祉施設であります老人ホームとか、あるいは保育所とか、その他身体障害者に関する諸施設等に対しても、在日朝鮮人に対して日本政府は非常に区別している、こういう非難を含めた陳情がしばしばわれわれの手元へ来るのであります。来るのでありまするが、これはいまも大臣が言われましたように、日本人は九千万のうちの百七十万で二%にも達しない、朝鮮人は一〇%だというふうに、政治を治める側からすれば特にひとつ朝鮮人のほうにめんどうを見ているという、こういう話も出てくるかと思うのでございまするが、いずれにいたしましても、そういう問題がたくさん来ております。来ておりますが、もう時間もありませんから、各施設施設におけるどれくらい一体在日朝鮮人を収容しているかということを、ひとつ資料でちょうだいしたいと思いますけれども、いかがでありますか。
○牛丸政府委員 現在のところ特に差別をして処遇をしておりませんので、そういう資料はございませんが、わかりました場合に御提出したいと思います。いまから調査いたします。
○小林委員 それでは、これは労働大臣にもお願いしておきましたが、対在日朝鮮人の問題は、だんだん日韓会談の進展とともに国際的に脚光を浴びてくる問題でございます。なおかつ、御承知のとおり、きのうあたりはソウルにおいても学生が立ち上がって日韓会談反対という大デモ行進をやったり、そうしてソウルにおいて三百人からの学生が検挙されるという、しかも学生がデモをやる中心地帯においては、わが国の池田総理大臣の人形をつくってそれを焼き払っている、そういう問題、けしからぬ問題だかほむべき問題だかはわかりませんけれども、ともかくそういうような問題が起きている。これがだんだん波を振ってまいりますと、いまも申し上げましたわが日本国内における労働行政の問題やら、朝鮮人の人種差別の問題やら、低賃金の問題やら、生活保護の問題やら、すべての問題がその非難対象の中に浮かび上がってくるのであります。現に彼らは、きのうあたりデモ行進をやっている。そのスローガンの中心は、日本帝国主義の再侵略反対という、これがきのうなどにおける朝鮮人のデモの実態であります。単に学生だけじゃない、野党の国会議員も、もし日韓会談が結ばれるならば、日本帝国のこの人種差別と朝鮮の再侵略に対して、もし金鍾泌などが日本に来てこれを締結するならば、われわれ野党議員は全員国会議員を辞職するという名簿にも調印をした者があるということが報ぜられているのでありますから、これが一体どこまで火をふいていくか、まさに大問題になるおそれがございまするので、どうかひとつ、こういう問題がジュネーブや国際連合の場に移されても、労働行政や厚生行政や社会保障の面においては断じてわれわれに手抜かりがないのだ、りっぱに在日朝鮮人を日本人並みに保護しているのである、こういうような言いわけ——言いわけといいまするか、事実を事実のままに証明できるような資料を十分整えておいていただきたいと思います。私はこの点を心からお願いをいたしまして、きょうのところの質問はこれで終わりたいと存じます。
○田口委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後四時一分散会