社会労働委員会 第12号
- 発言数
- 310 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/02/25
会議録
○田口委員長 これより会議を開きます。 この際参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 同和対策問題について参考人から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、期日及び参考人の選定につきましては委員長に御一任をお願いしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、さように決しました。 ――――◇―――――
○田口委員長 内閣提出の労働保険審査官及び労働審査会法の一部を改正する法律案を議題とし審議を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。八木昇君。
○八木(昇)委員 ただいまから労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案につきまして、若干の御質問をいたしたいと思うのでございます。 何せ法案が出ましてから期日もまだあまりたっておりませんし、私どももまだ十分に研究しておらないのでございますが、その御提案になりました改正法律案の内容について質疑をいたします前に、その前提となるべき事項と申しますかそういった点につきまして、まずもって御質問をいたしたいと考えております。 最近非常に労働災害が頻発しておるわけであります。最近非常にそれが累増をしております。そこでこれに対する政府の根本的な対策のための姿勢と申しますか、そういうものについてわれわれは非常な不満を持っておるのであります。そこで、今回はこの審査官及び審査会法の一部を改正する法律案が提出せられ、またさきの国会に引き続いて今回の国会にも提案をされておりますところの労働災害防止法というのがございますけれども、そのいずれも非常に末梢的な部分を取り上げて、根本的な労働災害に対して対策を樹立しようという積極的な姿勢が見られないと私どもは実は考えておるのでございます。したがいまして、そういう意味でこれらの法案の技術的な部面を論議するということよりは、むしろもっと根本的な政府の考え方というものを承りたいと私どもはかねてから考えておるわけであります。そういう意味合いから若干お伺いしたいと思うのでありますが、私がちょっと調べてみましたところでは、私の持っている社会保障統計年報によりますと、昭和三十六年度でありますから、その後はさらにふえておると思いますが、昭和三十六年度における労働災害を受けた災害者数は九十六万六千百三十三人、うち死亡が六千六百二十九人という膨大な数に達しておるわけでございますが、最近数カ年間の労働災害の発生状況、これをちょっと概略、大臣ではあれでございましょうから、官房長のほうからでも御説明いただきたいと思います。
○村上(茂)政府委員 最近の数カ年間における災上書発生状況を私から御説明申し上げます。 労働災害による死傷件数は三十六年が一番多うございまして、死亡者が六千七百十二名、これを含めまして死傷件数八十一万四千の多きに達したのでございますが、その後三十七年には七十九万四千二百人、それから三十八年は、これは推計でございますが七十四万四千人台というふうに見込んでおります。なお三十八年の死亡者の件数は六千三百人でございますが、御承知のような三池災害によります大量死亡者の発生によりまして、六千人を割ることができなかったということを、私ども非常に遺憾に存じておる次第でございます。しかしながら災害対策につきましても総合五カ年計画を策定いたしまして、昭和三十三年から第一次の五カ年計画をつくりまして計画的に推進してきた結果、ようやく三十六年より災害発生件数の漸減を見るに至ったという状態であります。 また、災害の傾向を判断する一つの手がかりといたしましては、死傷千人率というのがございます。労働者千人に対しまして何人の死傷者が出ておるかという死傷千人率を見ますと、昭和三十二年を一〇〇としますと、その後逐年低下してまいっておりまして、昭和三十八年は六四・五、こういう数字に達しております。しかしながら災害の実数はまだ七十四万人という非常な多数に上っておりますので、災害対策としましては総合的見地からいろいろ検討を要するものがあるというふうに考えておる次第でございます。
○八木(昇)委員 最近二年くらい少しよくなったというお話でございますけれども、しかし年間七十万人も八十万人もの災害が出るということは、たいへんな数字だと私は思うのです。労働者総数で二千数百万だろうと思うのですが、その二千数百万のうちでも事務的な机の上の仕事をしておる人が非常に多いわけですから、直接現場労働に従事している者の割合というものはその中の何割かだろうと思うのです。そうなりますと、その中から年々実に八十万人もの災害者が出るというのは、これはこの数が最近四、五万くらいずつ減っておる云々といっても、それは働く労働者の立場から見れば問題にならぬというふうに私は考えるわけです。そこで、なお念のために昭和三十年前後の災害発生件数はどのくらいだったでしょう。
○村上(茂)政府委員 三十年の資料が手元にございませんので、三十二年を御参考までに申し上げますと、昭和三十二年におきましては死傷件数七十万九千件でございまして、そのうちの死亡者が五千六百十二名でございます。死傷千人率で申しますと五〇・六というふうになっておりまして、千人につき五〇・六人の死傷者がおるという数字に相なっております。
○八木(昇)委員 そういったこまかい質問の連続でおそれ入りますが、私どもの感じとしては、最近の傾向は、例の鶴見事故であるとか、三池炭鉱の大災害であるとか、従来中小企業においていろいろと災害がわりによく起きたのに対して、最近は重要基幹産業の機械化、合理化というものの非常な過度の生産第一主義というものの促進、そういうことのために重要基幹産業、大企業において思わざる大事故というのが発生するという傾向が非常に著しく見られてくるようになっておるのではないかということを感じるわけです。それが一つと、それから産業別にどういう傾向が見られるか、私の見るところでは、土木建築関係の災害も最近ふえてれるというふうに感じるわけです。しかも、この土木建築関係災害の場合には死亡者が普通常識的に考えるよりは意外に多い、こういうことを感じるわけなんですが、そういう特徴的な傾向についてちょっと説明してください。
○村上(茂)政府委員 災害の特徴といたしましては、産業別に見た観点からの特徴と規模別に見た二つの面があると思います。規模別につきましては従業員百人以下の規模における災害発生は百人以上の規模の事業場に比べて約二倍になっております。これは一般に常識的にも考えられておるところでございますのでその程度にとどめまして、産業別に見ますと、業種としては建設業は災害発生数が実数としましても、それから死傷千人率から見ましても高いほうでございます。具体的に申しますならば、三十七年の死傷千人率は建設業におきましては五一・六四、それが三十八年では四四・八六というふうに低下いたしております。これは建設業は都市周辺におきましては非常な工事量の増大に伴いまして危険状態にありますけれども、全体として見ました場合には、機械化等が進みまして死傷千人率は低下しておるという傾向も認められるわけであります。それから、災害多発業種としては貨物取り扱い事業、これが陸上貨物取り扱い事業も港湾貨物取り扱い事業もともに高い比率を占めております。千人率といたしましては建設業よりもこのほうがはるかに上回っておりまして、陸上貨物取り扱い事業は死傷千人率が三十七年におきまして七二・七五、それが三十八年には若干低下いたしまして六八・九三、遺憾ながら港湾貨物取り扱い事業は最も高率でございまして、死傷千人率は三十七年におきまして一二一・三、三十八年は一一二・七八というふうに、これは各種産業のうちで最も高率を占めております。今後特に留意しなければならない産業であるというふうに考えております。その他林業とか土石採取業といったような、比較的機械化の進まないような産業におきまして災害が多いという傾向が認められます。 なお国鉄、私鉄とも一般の耳目を聳動さすような大事故が生じておりますが、労働者以外の一般施設利用者の死傷が非常に多いというのが特徴でございます。しかし、労働災害としまして労働者自身についての災害という点から見ますると、国鉄は若干災害が減少しておるような傾向にございます。しかしながら施設利用者の災害、それから公害の問題等いろいろ先生御指摘のような原因からいたしまして、非常に大きな、いわゆる労働災害の範囲を越えまして、産業災害と申しますか、公害と申しますか、そういった点につきまして、非常に大きな問題が生じておるというのが大きな特徴であろうというふうに考えておるわけでございます。
○八木(昇)委員 きょうのところは、あとのほうで同和問題を質問するため時間もありませんので、あまり具体的な内容に入るつもりはございませんけれども、そこで、これは大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、いまお話がありましたように最近労働災害問題というのが、いろいろな点で大きな問題となっておるわけでございます。いまの話のように土木建築関係とか港湾関係等々のように労働組合等もほとんどない、そうして労働者の使い方がやはりまだ封建的な時代の使い方の遺風が相当残っておるような傾向のところでは、まだ労働災害対策が不十分ではないか。したがって労働災害というものは、あくまでも経営者中心では完ぺきを期せられないのではないか。そこで、労働組合をはじめ労働者の発言権というか、これに介入をする権利というようなものを相当保障するというようなことでなければいけないのではないかと実は私どもは考えておるわけであります。それと同時にやはり一番肝心な点は、政府自身が非常な熱意を燃やして、ほんとうに真剣に、積極的に施策を進めていくということがやはり中心になると思うわけであります。 そこでこれはILOの問題との関連も出てくると思いますので、その点から大臣に伺いたいと思います。ILOは一九一九年に発足しまして数十年をもはや経過しておりますが、まず一番最初に取り上げた問題は、やはりそういった産業災害を予防する、こういう観点のものが、一番最初にILOが取り上げた大きなもののうちの一つだと私は考えておるわけであります。そこで今度の国会でも大問題になっております八十七号条約の問題につきましては、いま政府のとっております態度についてわれわれは幾多の不満を持ちますが、しかし政府の立場からいいますると、いろいろ苦慮せられるところもなきにしもあらずかもしれないとも思います。しかし、たとえば産業災害に関する問題とか、労働時間に関する問題とか、そういった労働者の基本的な権利に関する労働者保護に関する問題につきましては、政府は何ら顧慮するところなく、どんどん積極的にILOのそういったことを規定しておる条約に関しましては批准してもらわなければいけない、そういう前向きの姿勢がなければならないと私たちは考えるわけでありますが、一九一九年にILOが発足しましてから今日までの間に百何十件かの条約並びに勧告が採択されておりますが、その百幾十かのILOの条約の中で、日本政府は一体どれだけ条約を批准しておるか、それについてお話をいただきたい。そしてまた特に大臣としては今後どういうふうなかまえを持っておられるか、お聞きしたい。
○大橋国務大臣 お話のとおり産業災害の問題は労働者につきましてばかりでなく、産業の発展から申しましても非常に大切な問題でございまして、労働行政といたしましては最も重点を注ぐべき問題だと考えております。御承知のとおり、最近数年間労働者の数は非常に増加いたしておりますにもかかわりませず、産業災害の発生率――先ほど政府委員から申し上げました死傷千人率は逐次下降線をたどっております。これは産業災害防止対策五カ年計画の進行に伴いましてその効果が逐次あらわれつつあるものとひそかに喜んでおったわけでございます。しかしながら、その間におきまして工業また貨物運送業、建設業等は他産業に比べまして著しく事故発生率が多うございます。これらの産業を安全対策の重点産業と考えましてそれに安全のための施策を集中いたしたいと思っておったのであります。さような意味におきまして、昨年の通常国会には産業災害の安全に関しまして法律案を提案いたしたのでございますが、御承知のごとく審議未了に終わりましたことはまことに遺憾に存じておったのであります。しかるに昨年の秋になりまして、鶴見事故並びに三池事故が東西相呼応して同日に発生いたしまして、人心に非常な衝撃を与えました。私どもはこの二大事故にかんがみまして、安全に対するわれわれの努力はこれだけでは足りない、もっと根本的な対策を考えなければならぬ、それには労働基準法の改正を含む広範なる施策について根本的に検討を加え、すみやかに対策を推進する必要がある、かように考えまして、昨年末以来労働省といたしましても安全に対する現行の制度全般、また労働基準法における安全関係の規定全般を再検討いたしておるわけでございます。特に、お述べになりましたごとく、安全の問題につきましては経営者の努力のみならず、労働者の全面的協力がなければその目的を達し得ないということも申すまでもないのでございます。かような点から、広範なる根本的対策を進める必要がある、かように考えまして、昨年末安全審議会にこうした問題を諮問をいたしたわけでございまして、できるだけすみやかにその答申を得て、安全対策全般を強力に進めてまいる必要がある、かように考えておる次第でございます。 特にILOの労働時間、安全等に関する条項につきましては逐次国内法を整備いたしまして、できるだけすみやかに批准できるような状況にいたしたい、かように考えておるのでございますが、その対策の輪郭につきましては近くお示しできることと存じます。ただいま関係方面といろいろ調整中でございますので、しばらく御猶予を賜わりたいと存じます。
○八木(昇)委員 ILOは申すまでもなく国連の専門的な協力機関でもありますし、それから特に国連の経済社会理事会と密接な協力関係を持っておるわけであります。またガットとも協力しておるわけです。いよいよ開放経済体制に日本が乗り出していこう、世界の近代国家として一人前の扱いを受けようという以上は、ILOの各条項の批准を逐次積極的にしていかなければならぬ。そこで、先ほどちょっとお伺いしましたように、一九一九年にILOが発足してから二、三年前までの間に百十何件か条約を採択しておると思うのです。そのうち日本は幾つ批准をしておりますか。
○和田政府委員 一九六二年までに百十八の条約がILOとしてでき上がっておりますが、そのうち日本が批准いたしておりますものは、二十四の条約でございます。
○八木(昇)委員 そこでその二十四ですけれども、たとえば、十日くらい前のどこかの委員会でも問題になったように、新聞の端の小さな記事でちょっと見たのですが、ILOの一号条約、これはILOが発足した一九一九年の第一回総会で取り上げているわけです。そうすると、いまからもう四十何年前に、世界の近代国家としては労働時間の短縮に関する問題についてしょっぱなに条約を採択しておるわけです。ところがこれすらも四十何年前の勧告をまだ日本は批准してないでしょう。それでこれについて一体どういうお考えをお持ちになるか、政府全体あるいは政府与党としてはいろいろなお考えがかりにあるとしても、そういう問題については特に労働大臣としてはもっと積極的にやっていただかなければいかぬと私は思っておりますので、一号条約についてのお考え方はどうであるか。それから、ILOの三十一号勧告というものがあります。これは産業災害の予防に関しての勧告でございますが、これも一九二九年の決定でございますから、これまた三十数年も前に採択したものでございます。これについてどういうふうにお考えになっておられるか。ちょっと大臣から補足してお答えをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 私もまことに不勉強で申しわけないと思うのでございますが、ILO第一号条約は約半世紀前にできたものでございして、私はとうに批准されておるものと存じておりましたが、昨年になりましていろいろILO条約を点検いたしましたところ、未批准であるということがわかりまして、非常に意外に存じたのでございます。それでいろいろ批准になっていない事情を調べましたところ、四十八時間労働の原則はわが労働基準法においても採用いたしておりますが、それに対する例外規定が基準法にございまして、その例外規定のために批准ができない状況なのでございます。しかもその例外規定が非常に広く行なわれておりまして、このために、わが国におきましては全国平均の労働時間も週五十何時間、極端なところでは一週六十時間に近い労働時間が実際行なわれておるというような実情であることがわかったのでございます。 そこで、今後のわが国産業の発展、ことに開放経済を迎えましてのわが国の労働の事情を考えてまいりますると、できるだけすみやかに、四十八時間の原則ばかりでなく、ILO一号条約の要求しておる労働時間の規制を国内において実現するようにすることが国内的にも、国際的にも必要である、かように考えたのでございますが、何ぶんにも労働時間の問題は、長い沿革もございまするし、いろいろ長時間労働になじんできておりまするわが国産業にとりましては、ただ一片の法令をもって直ちに実施するということはなかなか困難でもございまするので、まず一号条約の内容をわが国で実施するについての具体的な日程を検討いたしまして、行政上の準備あるいはまた炭業界の準備、そういうものを適当なる期間内に進めまして、できるだけすみやかな機会に一号条約の要求を満たすようにいたすことが適当である、かように判断いたしまして、この問題につきまして、近く基準審議会の皆さまに御検討を願いたい、かように存じておるのでございまして、数年内に実現ができるようにつとめたいと考えておる次第でございます。 それから三十一号の勧告の件でございまするが、これにつきましてはできるだけこの勧告の線に沿うて、国内の行政を実施いたしておるのでございまして、勧告のことでございまするから、批准というような手続はございませんが、今後とも検討をいたしまして、できるだけこの勧告の趣旨を行政に取り入れてまいりたい、かように考えております。
○八木(昇)委員 一号条約については基準審議会で検討をしてもらい、まず具体的に労働基準法そのものの検討もして、早い機会に、数年内に批准ができるようにしたいというお話でございましたが、数年を要するような問題ではないと私は思いますけれども、それは積極的にやっていただくことといたしまして、やはりいまお話のように、四十八時間労働ということになっておりながらも、日本の基準法は例外規定があって、その例外規定というのは例外ではなくて、それがもう普通になっているわけですね。だから、労働者と協定をしさえすば時間外労働を当然やってよろしい、そして実際に時間外労働をやらせていない企業、職場というのはほとんどないということなんです。そういう例外が例外でなくなっておるというところに問題があるわけなんです。それらの問題は、きょうは労働保険審査官の問題に関連をして質問をしておりますので、さらに追及することは一応取りやめますけれども、そういった点は十分に御検討いただきたいと思います。 そこで、いま三十一号勧告については、その勧告を忠実に守ってやっていきたいというお話でございました。勧告でありますから批准の手続はむろん要らないわけであります。しかしこの勧告の内容に沿って忠実にやっていらっしゃると実は私どもには思えないのであります。御承知のように、この三十一号勧告というのは非常に内容がたくさん示してございまして、きわめて具体的に内容は示してございます。その中に幾つかの問題が示してありますけれども、こういうような部分がございます。災害予防活動の推進についてという項目の中で、国の監督機関または他の権限ある機関並びに関係ある使用者及び労働者の代表団体の間に定期会合を催さなければならない、こういう条項がございます。それから事業場における安全監視委員会の設置等々のことについても触れてございまして、これらはすべて使用者の団体及び労働者の団体相互の間において適当なる機関を設け、そして相互に協力しなければならない、こういうこともうたってございます。それから「労働者団体がその組合員に対する其の力を用ふることに依りて右の事業に」すなわち災害防止の事業に「協力すべきことを確保する為其の力を用ふべし。」こういうことにもなっておりまして、産業災害を予防するためには労働組合を中心に労働者と積極的にこれらの仕事に参加させねばならないという勧告になっているわけであります。 ところが、今度のたとえば政府が提出をされた労働災害防止法のごときは、経営者にそういった産業災害防止のための協力団体をつくらせるというふうなことのみにとどまっておって、労働者がこの産業災害に関して積極的にこれに参加をし、そうしてその相当部分の役割を果たすというようなことについては、完全にオフリミットしているわけですね。そういう考え方では問題の抜本的解決に向かっての政府のほんとうの熱意があらわれてはいないと私は思うのです。そういう点いかにお考えになるか。 それからついででございますからもう一つ伺いますが、ごく最近ILOの百十七号というものがきまったと思いますが、これは防護装置の不十分な機械の使用、販売、賃貸禁止に関する条約、これを御承知でございましょうか、これについてどういうお考えでありましょうか、なお伺っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 産業安全につきまして労働者の協力の必要なことは先ほど私の申し上げたとおりでございます。ただいま労働省におきまして、産業安全対策全般につきまして検討いたして、近くその構想を御説明申し上げたいと考えておりますが、それにはこの点をも含めて検討をいたしておる次第でございまして、いずれ近くお示しできると思います。その際また御意見を承らせていただきたいと思います。 それから百十九号につきましては、政府は総会でこの条約に賛成をいたしておるわけでありまして、近くこの条約につきましては政府の意見を付しまして国会に御報告申し上げる予定でございます。
○八木(昇)委員 政府の意見を付して国会に報告するというのは、批准をするという意味ではないのでございましょうか。
○村上(茂)政府委員 百十九号条約につきましては、内容を先生御承知のとおりでございますので省略いたしますが、現行の労働基準法及びそれに基づく安全衛生規則等によりまして批准して差しつかえないのじゃないかという意見もございますが、ILO条約につきましてはいろいろ御議論もありますので、なお慎重に検討しておる次第でございます。ただいま大臣から御報告申し上げました国会に報告するというのは、ILOの憲章に従いましてとります手続でございますが、国内法との関連につきましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、災害対策全般の構想の中におきましてこの施設災害をどうするかという問題がきわめて重大でございますので、国内法規の点と関連いたしましていま検討しておるところでございます。
○八木(昇)委員 いまのように国会に報告する云々ということは、ILO加盟国である以上義務を課されておることなんですから、それはもうあたりまえのことで、総じて前向きの姿勢がどうも足りないと思うのです。ILOには八十数カ国加盟しておるわけですし、加盟しておるという以上は、ILOの各条約につきましてもっと積極的にこれに協力するという体制をとらなければ、これはもううそなんでございます。特に政治的に非常ないろいろな込み入った問題があるというような場合は別として、ひとつどんどん積極的にやってもらいたい。百十数件、約百二十件もの条約があるうちにまだ二十数件しか批准をしてない。しかもその中で非常に大切なこの八十七号等々のようなものは批准をしていないので、同じ二十数件批准しておるといいましても、その内容を見ますと、諸外国に比べて日本はまだ非常におくれておるといわざるを得ないと思います。私が持っておりまする表は、非常に重要な条約の部分についてのみ摘出してある表でございますが、これによりますと、日本は、労働監督の八十一号と、それから九十八号の団結権及び団体交渉権というこの二つしか批准しておりませんで、ヨーロッパ各国のそれに比べますると日本はまだ非常におくれておるという考えを実は持っておるわけであります。そういう点につきましては、とくと今後お考えをいただきたいと思います。 なお、次会にはさらに直接この法案の条文等にも触れまして、内容を相当多く質問をしたいと思いますが、きょうのところは、次会に質問するという権利を一応留保しまして、大体終わりたいと思いますが、この法案についての質問でありますから、最後に一つだけ聞いておきます。 当初聞きましたように、年間八十万、九十万という数の人が労働災害を受けておるわけですが、審査申し立てをやり、さらにそれが不服であるというので再審査の申し立てをする、その再審査の申し立て件数が最近非常にふえたとおっしゃるわけでございますが、それにもかかわらず一年間に二百六十というのはあまり少な過ぎるとお思いになりませんか。一年間に九十万もの災害を受けておる人がおるというのに、再審査申し立て件数が二百六十件というのはあまりにも少ないとお考えにならないだろうか。しかも、この再審査申し立てというのは、労働災害だけではない。炭鉱離職者の関係、中小企業退職金の共済関係、それから失業保険の関係、これら四つの関係をひっくるめての不服の申し立てですね。これの件数がわずかに二百六十というのは実に私は少ないと思うのですが、こういう制度があるということについての労働者に対する周知徹底方について、一体どうしておられるか。みな非常に不満を持ちながら再審査申し立てはせずに泣き寝入りをしておるのが圧倒的な大部分ではないか、そういう実態ではないかと思うのですが、その点どうでしょう。
○大橋国務大臣 災害保険につきましては、労働者のために大事な権利を履行する仕事でございますので、労働省といたしましては全省をあげて適正なる運用につとめておるわけでございます。再審査の申し立てを受けるような不行き届きな取り扱いは絶対にしないという意気込みでやっておるのでございます。しかし何ぶんにも膨大なる件数でございます。たまたま手違いもなきにしもあらず、それで再審査の申し立てがあるのでありまして、これは私どもは絶無にいたしたいというくらい努力すべき事柄だと考えております。
○八木(昇)委員 この法案審査の序の口を少しだけ試みるということでございましたので、一応きょうのところはこの程度にいたしまして、また次会に御質問いたします。 ――――◇―――――
○田口委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。
○大原委員 労働関係の基本施策ということですが、きょうは、総務長官、官房長官それから労働大臣、厚生大臣、防衛庁長官その他関係各省大臣に対して部落対策の問題につきまして逐次これから質問いたしてまいります。 まず最初に、私は労働大臣の所管につきまして質問いたしたいと思いますが、時間の関係もございますから、ひとつ問題点に触れまして質問いたすわけですが、先般の国会におきまして大問題となりました失対二法案の関係についてですけれども、先般来の質問で逐次触れておりますけれども、職安法によりまして就職促進の措置がきまるわけです。しかし緊急失対法の第十条の第三項によりまして、失業の多発地帯における例外措置について規定してあることは御承知のとおりでありますが、その問題につきましては先般も若干触れたところですけれども、きょうは少し突っ込んでお話を申し上げたいと思うのです。 私が質問いたします第一点は、職安行政を円滑に推進するために、いろいろと先般の国会でも議論になっておるし、国会のたびごとにこの問題は取り上げておるわけですが、未解放地域の雇用状況について、労働省はその実態を把握しておられるかどうか、この点につきましてまずお答えをいただきたいと思います。
○有馬政府委員 大原先生のただいまの御質問の点ですが、同和地区出身者という、何といいますか、区別をして資料をとっておるようなことは、私のほうはやっておりませんので、同和地区出身者の就職の状態が、全体と比較してどうだということを言われましても、ちょっといまそういう資料は私のほうではとっておりませんので、わかりませんです。
○大原委員 それでは、例の、いろいろと問題になりまして議員立法でできたわけですが、同和対策審議会に大体だれが委員になって出ておるのですか。
○和田政府委員 同和審議会には事務次官が委員でございまして、幹事に安定局長が入っております。
○大原委員 事務次官やあるいは安定局長はどのくらいその同和審議会に出席しまして、この問題の討議に参画いたしましたか。これは一年間のあらましについてひとつ御報告いただきたいと思います。
○和田政府委員 労働省からは、審議会がありますたびに必ず人が出まして審議に参画いたしております。
○大原委員 同和対策審議会は月に一回くらいあると思うのですけれども、職安局長は御承知ないですか。一回も出たことはありませんか、あなたは。
○有馬政府委員 毎月一回ございます。それで、私のほうからは業務指導課長が幹事役で出ておりますので、毎回課長が出席いたしております。
○大原委員 しかしあなた、職安局長は出ていないわけですね。事務次官も名前を連ねておるだけで、職安局長も出ていないということであれば、どういうふうになりますか。だからあなたのような、未解放部落に対する雇用問題についての実態を把握していない、こういうふうな非常に機械的な答弁が出るわけじゃないですか。
○有馬政府委員 毎月一回開かれておりますが、その状況は課長からよく報告を受けておりますし、また重要な問題があるときには、必ず私どもが出るたてまえにしております。 それからまた、先ほど部落関係の全般的な統計資料についての御質問がありましたが、全般的なものはございませんけれども、たとえば学卒とかあるいは今度の促進措置だとかいうような観点から、部分的にわかるものは、われわれの業務対策上必要なものはとっておりますが、全般的なものはとっていない、こういう趣旨で先ほどお答え申し上げたのでございます。
○大原委員 それで、各関係省が御出席の上で、その同和対策の関係責任者にも出ていただきまして、審議の実態についてひとつ質問しよう、こういうことなのです。それで、同和対策審議会は臨時立法――時限立法でできておりますけれども、問題の重要性をやっぱり避けて通ろうとするような傾向が多分にありまして、そうして機械的に委員をきめておいて、実際には出てない、こういうことであります。私はこの問題については総括的に、総理府の長官その他が御出席のときに、この御質問をいたしたいと思いますが、しかしそういう審議会の経過を見てみましても、きわめて各省庁とも不熱心である、こういうことが言えるわけです。それで問題は、同和対策審議会の、総理府の機関の中におきまして、未解放部落の実態調査をしているはずなんです。若干例外的な問題がある点については、これは県の名前をあげて、だれが妨害しているかということについては指摘をいたしますけれども、実態調査をしている。実態調査をした上に対策を確立していこうというのが同和対策の審議会が設置されたゆえんでございまして、最初の職安局長の御答弁では、何か実態に触れるのを避けて通るというような気持ちがあるようですが、実態が把握されていないということはない。どういう地域においてどういう未解放部落があって、どういう状況になっておるかという調査が、それぞれの都道府県を通じまして出ているはずです。そういう点について御承知ないというようなことはないと私は思うのですが、いかがです。
○有馬政府委員 ただいま御指摘の実態調査につきましては、総理府でやっておりますが、まだ私どもその結果は聞いておりません。
○八木(一)委員 関連。基礎調査の中には、人口とか世帯数のほかに、保護世帯とか失対の適格者の数、そういう調査が出ておるわけです。それを労働省が把握してないということは、非常に怠慢であると思うのです。それについてどうですか。
○有馬政府委員 ただいま八木先生から御指摘のありました実態調査の点ですが、これはまだ総理府のほうでやっておりますので、私どもの手元にはその結果がまだ参っておりません。
○大原委員 審議会の委員や幹事、そういう諸君が毎月一回は例会に参画いたしまして、実態調査に基づいて対策を立てる、今日までの長い間の政治の累積としての差別という現実から出てきておるそういう生活や職業等の実態を正確に把握して、やはり政治の責任において解決していこうというのが、いわゆる同和対策審議会の目標であるわけであります。差別の本質を見きわめながら対策を立てていこうということであります。したがって、いまのように生活保護とか、失業の適格者とか、あるいは職業安定法のいまの二十七条のそういう問題や、あるいは緊急失対法の第十条第三項の例外措置問題、そういう問題をやっていく際においては、求職者と就職者の問題の解決ということだけでなしに、そういう実態を十分見きわめた上で、政府の政策を立てていこうというのであって、関係次官が出席をし、関係委員が出席しておるわけだが、いまのままでは全く有名無実のような会議であって、実態調査の上でその実態を審議しながら、答申や対策を立てていかなければならない。もう答申をつくるときは迫っておるわけです。一体答申はいつできるのですか。いつごろやる目標で仕事を進めておるわけですか。いかがですか。
○松永(勇)政府委員 私、内閣審議室長でございますが、審議会はことしの八月末まで設置されております。答申をその八月までにする予定で、現在作業を進めております。
○大原委員 あと半年間ですけれども、そういうことですから実態に即しながら労働省も本年度の予算の中では、そういう対策に向かって同和対策の十年計画を立ててやっておるわけです。いま三年目です。そういうことについて、審議会においてそれぞれ困難ないろいろな情勢がありますよ。ありますけれども、そういう中において実態を把握しながら、差別の中から生まれている社会問題を解決していこうというのに、何ら労働省は有機的な一環の政策として実態を把握していないし、実際に責任を持って参加していないことはまことにけしからぬ。労働大臣いかがですか。
○大橋国務大臣 いわゆる未解放地域というものは、わが国の雇用対策の上におきましては非常に大きな意味をいろいろな面で持つものでございます。これに対しましては、雇用対策の立場からも特に注意をいたし、その実態を把握しつつ対策を講じていく。そうして国全体の雇用対策を全うできるものでございます。そういう意味で、内閣で調査を進めております未解放地域の調査は、私ども十分に注意をいたし、そうして労働省の対策の上にこれを参考にして適切な対策を樹立しなければならぬものと思います。そういう意味におきまして、ただいまの御質問に対しまして、労働省から適切なお答えができなかったということはまことに残念に存じますが、よくいろいろ事情を取り調べまして、御趣旨に沿うようにすみやかに努力をいたしたいと存じます。
○大原委員 労働大臣から、いま私が指摘いたしました点について、足りない点は将来補っていきたい、こういうことですが、その答弁自体としては了解できるわけですけれども、とかく部落問題については、問題を避けて通ろうという傾向があるわけです。うるさいから避けようという気持がある。しかしそれではいけないのであって、結局同和対策審議会を設けまして、そして学識経験者の中に、そういう関係団体等からも出して、そしてそういうところで社会問題として、その本質と対策、実態と対策というものを審議しようというところにあるわけですから、そういうところに熱心に出向いて行って、その組織を通じて、法律を通じて、皆さん方の関係者の意見を通じて、それぞれの機関、自治体等を通じて調査をしておる。そういう問題を促進しながら総合対策を立てるということにならなければ、同和対策審議会は有名無実、言いのがれのためにつくったといわれても過言ではない。今後将来、同和対策審議会に臨む労働省といたしまして、心がまえを根本的に改めてもらうということについて、労働大臣から再度御所見のほどを明らかにしていただきたい。
○大橋国務大臣 御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
○大原委員 失業多発地帯における問題点につきましては、先般来の議論を通じまして申し上げておることですが、いわゆる失業多発地帯の中において未解放部落の問題に対する労働省の考え方、この問題につきましてひとつ御答弁をいただきたい。
○有馬政府委員 今回の就職促進措置につきましても、同和地区については特に就職が困難な事情が現実にございますので、その地区につきましては特別の措置を講じまして、就職促進に万全の対策を講じてまいりたい。かようなことで関係の規則も設定いたしましたし、現実の行政指導もそれに基づいてやっております。
○大原委員 具体的に就職困難な未解放部落――部落といっても場合によっては困難な地域でないところもありますが、そういう具体的な対策、規則の内容、それをお答え願いたい。
○有馬政府委員 第一点は、いま申し上げました職業安定法の施行規則の十九条の二項がその規定でございます。それからそのほか従来からやっております。学卒の職業紹介についての特別の配慮、これはことしから就職促進のための若干の予算措置も講じておりますので、その予算をもってモデル地区について、特別の就職促進措置を講じてまいっております。これはことしから現実にやっておりますので、漸次効果があがってまいるものと考えております。 そのほか従前から安定所には、部落地区には部落地区の安定協力員制度がございますので、この協力員制度を活用いたしまして、部落関係者の就職の促進といいますか、就職に万全を期してまいる、こういう態勢で従来からやっております。
○大原委員 規則の十九条というのは……。
○有馬政府委員 職安法の施行規則のほうの十九条でございますが、第二項に、「法第二十七条第一項の就職が特に困難な労働省令で定める失業者は、失業者であって、次の各号のいずれかに該当するものとする。」ということで、その第三号に、「その他社会的事情により就職が著しく阻害されている者」この第三号で部落関係者の特別な措置を講じてまいっておるわけでございます。
○大原委員 それで特別な措置を講じておる、そういう行政措置の実態はどうなんでしょうか。今日の、そういう対策の具体的な実態はどうですか。
○有馬政府委員 これは御承知のように、三十五才という中高年の年齢制限をこの地区については撤廃いたしております。したがって三十五歳以上の中高年者の就職促進措置にあがってきておる数字の中にどの程度部落関係者がおられるのか、この辺はなかなかデリケートな問題で実態をつかみにくいわけでございます。しかし三十五歳以下の年齢層については特別の措置がただいまの規則によって設けられておりますので、この関係で、関係のある府県を通じて内密に私どもが調査しました結果では、二月上旬までの現況で、いわゆる促進措置によりまして認定手続をいたしました件数が全国で千四百五十六名ございます。その中で同和地区出身者でただいま申しましたような年齢制限にかかわりなくあらわれてきておると思われる数が三十四名ほどと推定されるのでございます。これは御承知のように、窓口でも非常に慎重な扱いをいたしておりますので、この数字はなかなかつかみにくいのでございますが、いま言ったような角度から窓口を通じて推定される数字で、これは先生が特に御指摘でお聞きであったものでこの席で推定数字を申し上げたわけでございますが、外には出さない数字でございます。
○大原委員 きわめて人数がわずかなんですが、現存実際に失対で働いておる人が多い、こういう事情があるのです。あるからその数自体が多いので、新しく適格者として登録する、あるいは認定する人がわりあい少ないということもあるのでしょうが、しかし手続上非常に困難であるし、あるいはいろいろな問題をおっかなびっくりでやっているからそういうこともあるでしょう。しかしながら、これはわれわれははっきり申し上げておくのですけれども、緊急失対法に基づいて施行規則ができております。第七条の二によりまして、「法第十条第三項の地域の指定は、当該公共職業安定所における求職者数、求職者数と求人数との比率、求職者のうち就職した者の割合、新たに失業した者の数等を考慮して行なうものとする。」というふうにあるわけですね。この条文との関係はどうなんですか、
○有馬政府委員 同和地区につきましては、ただいま申し上げましたように、年齢制限をはずしておりますので、この点は問題がないと考えております。
○大原委員 それで、年齢制限をはずして実際上失対に対する登録をやる場合に、たとえば未解放地域等に多かったわけですが、前の失対適格者は一世帯一人だったわけだ。それを新しい法律ではずしたわけで、その点は法律としてはよろしいわけだけれども、実際運用しなければだめだ。その法律が前にあったために、一世帯一人ということがあったために、夫婦が夫婦別れをしてそれぞれ仕事をするというような実例もたくさんあったわけです。そういう点はもとに返って正常な姿になるというふうな条件ができるわけだけれども、そういう問題については実態把握がなかなかむずかしいだろうけれども、そういう点は新しい法律で、適格者についての一世帯一人というそういう基準については拘束されないで、行政措置をしているかどうか。
○有馬政府委員 今回の法改正によりまして、先生の御指摘のような趣旨で、従来の適格要件とは違った新しい法の趣旨に従って失対適格者をきめておるわけでございます。
○大原委員 それで私は、いまの職安法施行規則の十九条二項の第三号の「その他社会的事情により就職が著しく阻害されている者」こういう条件の人についてはストレートで失対事業にも就職する事由がある、それは普通のコースを進めていく上において著しく困難であるというふうに考えられる人については、ストレートでやる道がある、こういうことですね。それは私が言ったとおりですか。
○有馬政府委員 ストレートで失対事業に吸収するというわけではないので、年齢制限をはずしておりますが、就職促進の措置は失対に入る前提としては講じて、就職促進の過程において民間の正常雇用に就職させるというのがわれわれ職安機関の任務でございます。それでどうしてもうまくいかないときに暫定的に就職までの期間失対事業に吸収する、こういう考え方で対処しているわけでございます。
○大原委員 若い場合もそうですか、実際そうなんですけれども、職業、たとえば皮革とか手縫いのくつなどの職人はどんどん仕事がなくなるわけですね。他の新しい技術を習得しようと思ったって実際上そういう力がない。貧困が累積しておる。住宅事情その他の問題もある。そういうことで、そういう関係の職業――自営業者も変わってくるし、職人も変わってくる。そういうことで、どうしても雇用状況が悪いし、他のほうへ行ったって就職促進措置についてもそういう措置を受けても見通しがない、こういうような実態にある。特に一般的に臨時工とか日雇いとかいうふうに、主人にいたしましても収入が少ない、最低賃金制の問題もからむが収入が少ない。そして夫婦がそろって働く、家族が働く、こういう場合が非常に多いわけです。そうして夫婦別れをしたり、いろいろな形式上、手続上法作に合わせる措置をとって、むちゃなことをやっておったわけです。だからそういう実態なんですが、たとえば奥さんが働こうと思って、女がそういうふうに就職促進措置をやりましても、なかなか安定した職場がないという場合が多い。そういう場合は、せっかく適格基準を撤廃したわけですけれども、そういう実態に即して、自分が希望すれば、失対事業には一応社会保障は、不完全ではあるけれども、日雇い健保その他の問題があるわけです。そういうことを考えながら、貧困と疾病というものから自分の生活を守っていこうという要求が非常に強いわけです。だから三十五歳の制限を撤廃しようがすまいが、実際上そういうように困難な者については、そういう要望をした者については早い手続で失対事業にも働ける道を開く、こういうことが法律の運用上の問題としてはきわめて重大ではないか。そういう点について配慮しているのかどうかということをひとつお聞かせいただきたい。
○有馬政府委員 就職促進の措置を講じてもなおかつ就職の機会がないという場合には、御指摘のように失対事業に吸収いたします。しかしながら、今回の法改正によりまして、促進措置に手厚い措置が講ぜられておりますので、また援護措置につきましても相当の住宅あるいは援護措置が講じられておりますから、われわれとしましては、部落出身者についてできるだけ民間の正常雇用に就職するように、必死になって努力をいたしておる最中でございます。したがいまして、最大限に努力をやってみても、なおかつ就職がうまくいかないという場合には、失対事業に吸収して、次の機会を待つということもやむを得ないかと考えますが、現在のところは、今回の法改正による促進措置でできるだけ正常雇用に就職してもらおうということで努力しておる最中でございます。
○大原委員 努力しておる最中だというのだが、正常雇用という問題については前も問題があったけれども、これはまた議論だから、ここでは直接議論はしない。正常雇用については、正常雇用という名前はいいけれども、社会保険もないところが一ぱいあるわけです。これはあらためて議論することとして、私が実際に当たってみた点で言うと、たとえば三十をこえた御婦人なんかは、教育の程度も低いし、技術も習得していないという場合には、雑役くらいで、ちょっと働いてすぐやめるというくらいの場所しかないのです。そこで中小企業、零細企業等には、常用雇用といったって、それは臨時という名前はついていないけれども、きわめて不安定です。だから社会保険のある失対で働いて、何とかして子供を育てていこうという共かせぎや、いろいろな形態の就職希望者が多いわけなのです。だから形の上でやったっていけないということが一つ。 もう一つ、私が広島市の職安の窓口で、実際にあなたが言われるように手厚い措置をしておるかどうか調べてみたのです。私が調査したところによりますと、今度は失対の窓口でやるのじゃなくて、職安の窓口で振り分けをするわけです。広島の例を調べてみると、昨年一カ年間だけで八千件も、職安の窓口へ行ったけれども窓口の人が足りないために追っ払われた。実際に相談にあずかったり、紹介にあずかったりしなかった人が幾らあるかというと、昨年一カ年間だけで八千件ある。これは表面に出た数字だけで、そんな混雑している。しかも中高年齢層の就職について、行ったところでこれはあまり役に立たぬ、こういうことでその窓口へあらわれない人々がたくさんある。これが未解放部落等には多いわけです。あなたのほうは職安法で中高年齢層あるいは未解放部落等では三十五歳以下であっても手厚い就職促進措置をする、こういうふうなことを言っているけれども、そういう未解放部落の実態に触れない、あるいは職安行政の実態に触れない、そういうことが実際にあるのじゃないか。これは法律をつくっていいことを言ったところで、雇用問題の解決には実際上ならぬということです。極端に言うと、職安の窓口で追っ払われるというのだから。行っても相談にあずかれないし、そういう紹介等も受けないというのが、広島で八千件もあるというのだ。一体そういうことで、未解放部落に対する実態の認識と実際の対策が立っておるとお考えになるかどうか。
○有馬政府委員 いま相談に応じなかった件数が八千件という御指摘でございますが、確かに過去においてはそういう事例もあったかと思います。しかし、昨年の法改正以降、われわれといたしましては、就職促進の態勢をいろいろと講じまして、特に就職促進指導官の制度を本年度と来年度、特に三十九年度には相当本格的な増員態勢がとられますので、これによって、いま御指摘のような御心配は窓口においては減るのではないか、またこれによって中高年並びに就職困難な層に対する就職促進の措置を一段と馬力をかけて解決していこう、こういう態勢でございますので、今後漸次職安の窓口はよくなっていくであろうという期待を持っております。
○大原委員 私が指摘した八千件という数字は、二名や三名の指導官をあちらこちらでふやしただけではだめなんですよ。広島はおそらく二名か三名でしょう。大きいところだから三名くらいあるかもしれぬが……。それはあなた、ことばでは一応の説明として言いのがれはできても、実際に即して考えてみた場合に、これは重要問題です。だから、未解放部落の問題、同和地区の問題はきわめて困難な問題でありますから、そういう実態に触れて、本質をしっかり把握した上でやる。そうしていろいろな問題について取り扱いの過程において問題が発生するおそれがあるというような危惧があるわけですが、それは正しい政策を進めていくという観点に立って十分話し合いをすれば納得できる点ですから、実態を把握した上で、職安行政あるいは失対事業、緊急失対事業その他の運営における的確な措置をとるべきだ、このことについては同和対策審議会から近く結論が出るような態勢でありますから、そういう点については、いままで労働大臣が御答弁になりましたように、きわめておっかなびっくり消極的であったと思いますけれども、その点について十分実態を把握した上で、そうしてこの対策については遺憾なきを期してもらいたい。この法の具体的な運営についてはさらにまた別の機会に申し上げたいと思うけれども、失業多発地帯に対するあるいは未解放部落に対する取り扱い、そういうものに法律の趣旨が生かされていないのじゃないか、実態に即していないのじゃないか、この点については将来私はさらに問題を具体的に取り上げまして御質問いたしたいと思いますが、時間も制限がございますから、総括的に労働大臣のほうから御所見をお伺いいたしたいと存じます。
○大橋国務大臣 未解放部落の問題について、もう少し丁寧に親切に力を入れろという御趣旨だと存じます。この点は十分に拝聴いたしました。今後十分留意いたしたいと思います。 それからもう一点は、失対改正法の実施についての御注意でございますが、この法律も施行後まだ日がたちませんために、第一線等においてなれない点もあるかと存じます。お話を伺っておりますと、例外措置の取り扱い等については、私どもの考えておる趣旨が十分末端まで徹底しておらないのじゃないかと思われる節もございます。これらにつきましては十分留意いたしまして、改善をいたしたいと存じます。
○田口委員長 八木一男君。
○八木(一)委員 総務長官と、それから労働大臣にも御質問申し上げたいと存じます。総務長官のほうが時間の都合がおありだそうですから、先に総務長官にお伺いいたしますが、労働大臣も関連がありますので、ときどき関連で御答弁願いたいと思います。御一緒にお聞きを願いたいと思います。 総務長官は同和対策審議会を管理しておいでになる御任務もありますが、同和対策審議会ができました背景については、前任者からいろいろと御連絡を受けて御理解深いことだと存じまするが、この背景について総務長官の御見解を、もし御答弁いただければ聞かせていただきたいと思います。
○野田政府委員 同和対策審議会につきましては、いま八木さんは背景とお言いになりましたが、同和地区の経済的、社会的条件が依然として非常に悪い。何とかこれは抜本的に改善しなければならぬということが基本的な考え方でございまして、これに基づいて同和対策審議会を設けて諮問を出しました。その審議会において十分に審議していただいて、その成案に基づいて政府としては各方面のいままで足りない、力の欠けておるこれらの施策を実施したい、こういうような気持ちで審議会を設けた次第でございます。
○八木(一)委員 この同和対策審議会のできましたもとは、衆議院の当委員会におきまして、昭和三十三年の三月十一日だったと記憶をいたしておりますが、時の内閣総理大臣の岸さんとわれわれの質問過程中からこの淵源を発しております。そのときに岸内閣総理大臣は、質問に対しましてこのように答弁をされたわけです。いま未解放部落について非常に許しがたい差別と貧乏がある。その問題は徳川時代以後、政治に当たった者すべての責任である。その問題を解決するのはこれからの全国民の責任であって、その政治の衝に当たるあらゆる内閣、いかなる政党が政権をとっておろうとも、何人が総理大臣であろうとも、それを急速に解決するために全力を尽くさなければならないということの意識統一がなされたわけですね。いままでこの問題については環境改善その他が具体的な施策として行なわれていたけれども、そういう問題だけではない。昔の封建的なけしからぬいわれのない差別から非常に問題が起こった。その結果、差別とか貧乏が非常に起こった。その差別と貧乏の両方、とにかく貧乏は完全に解決しなければ、差別が観念的になくなったように見えるけれども、実際は潜在的に残っているから、あるいはそれがひどくなっているというような要件がある。差別をなくするために貧乏を完全になくさなければならない。いまたとえば労働者として生活するためにも差別を受けて非常に安定した職業につきにくい、商工業をやるにしても、資本的な背景もないし、それから最初に居住とかそういうことの自由が実際上制限されておったので、実際にそういう適地に先に進出することができなかったので、非常にその点で立ちおくれておる。農地の再配分にしろ、太政官布告以後、明治政府においてもあるいは戦後の農地解放のときにおいても実際的に農地の配分を受けることを未解放部落の人たちが受けておらないので、農民として立つことも非常に至難だ、というような状態なので、そういうような生産関係を改善して、急速に直して貧乏の根源を断つようにしなければならないというようなこと、それに非常に力を加えると同時に、いままでやっておりました環境改善その他についても努力してもらわなければならないというような意識の統一があったわけです。そういうことをやることについて、この問題は管掌する各官庁が非常にたくさんに分かれておるので、強力な審議会をつくって、そこでそのような問題を検討していく。また検討するまでにすでにわかった問題については各省でどんどん推進をしていく。それから、すでにわかった問題、並びに検討された問題については予算的な惜しみをしてはいけない、十分なる予算を出してこの問題が完全に解決するようにしなければならないというような意識統一がされたわけであります。その後、その問題が具体的に進行いたしまして、政府みずからその審議会の設置法を出すのがおくれておりましたので、与野党で一緒になりまして、議員立法でこのような法律ができたわけであります。最初のスタートにおきまして委員の選定のために発足がおくれました。スタートは実際に法律施行後一年間ほどおくれました。現在これは進行しているわけですが、三百万人といわれる人たちのいまのほんとうにいわれのない差別と貧乏と苦しみ、そういう問題を根本的に解決するためには本格的にやらなければならないわけです。ところが残念ながら審議会の予算その他、調査費その他もそれほど十分でありませんでした。また所管庁の協力も十分でありませんでした。ですからまだ非常に不十分な状態なのでございます。ところで同和対策審議会では、ことしの八月までに、その答申を出すためにいませっかく御努力中のようでございます。しかしながらその審議の過程において非常に非協力な状態がたくさんございまして、私ども非常に残念に思っているわけでございます。と申しますのは、同和対策審議会のほうで基礎調査をするために各地方官庁のほうに協力を依頼したわけであります。ところが各都道府県に協力を依頼したのでありますが、昭和十年に、内務省当時に調査をしたときに、確かに未解放部落があったといわれているところがありますのに、その調査については今度の府県ではそういうものがないというような返答をしてきているところが多いわけです。かなりある。それからまた実数についても非常に違いがある。そういう非常に非協力な態度はいけないと思うわけでございますが、それについて、総理府といたされまして、各官庁やあるいは自治省その他に強力な連絡をとられまして、十分な協力をするように指令を発していただく必要があろうかと思います。それについてどのようにお考えですか。
○野田政府委員 私もただいまお話しになりました岸前総理大臣のお答えと大体相似いたしております。全く同感でございまして、これは一役所とか一党派というようなものはすべて越えて、国民全体がその解決に当たるという熱意がなければいけない問題であると私も深く感じております。いまお話のありましたように同和対策の審議会では事実なかなか熱心にやっておられます。大体実態調査もことしの年度末にはでき上がるということですし、いまお話しのとおり八月ごろまでには答申をしたい。そこでその間の、いまのお話でございますが、各所管庁と申しますか、公共団体なども入りましょうが、非協力な県があるというお話でございましたが、それが事実でございますれば、私は私の立場上、ひとつ各所管庁、公共団体にもぜひ協力していただいて、この調査その他について欠陥のないように強く要望いたしまして、連絡いたしたいと考えております。
○八木(一)委員 市町村自治体のほうもそうでございますが、同和対策審議会のほうにも適切な監督をしていただきたいと思います。市町村のほうを申し上げますと、そういうものの出てこない、協力をしておらないところはたくさんあるわけでございますが、一番ひどいところとしては山形県がございます。山形県には六カ所歴然としてあるわけでございます。ところがどんなにしても地方行政官庁がないといってしらを切っておる。そこで同和対策審議会の専門委員の方が調べてきて、確かにあるのだけれども、府県としてはないという返答しかしていない。同和対策審議会のほうでは、そういう府県からの正式回答がなければ、あるという数字を正当なものとして認めない態度で、その数を入れないで問題を処理しようとしておる。そういう状態がある。そういうことではほんとうの調査にはならない。現にほかで調べてあるというものも実際にない、そういうところに非常に役所の間違った考え方があると思う。山形県や何かそういうところに対しては、厳重にそういうことをしかりつけるようなことを総務長官から自治省その他を通じてやっていただきたいと思いますが、それについてもう一回伺いたい。
○野田政府委員 ただいまのお話おそらく八木さんのことでございますから、事実に基づいてのお話だと思いますから非常に傾聴いたしました。そういうことではみんな各役所も一緒になって、しかも超党派的にこの問題を取り扱っているときに、そういう事態があることはきわめて遺憾でございますから、いま特に山形県を御指名になりましたが、山形県につきまして、自治省その他を通じましてすぐ調査いたしたいと思いますから、その結果またお答えすることにいたします。
○田中(織)委員 関連して。総務長官、実は問題の山形県のみならず、富山、石川、神奈川、東京、宮崎、長崎、これは総理府の、もちろん行政官庁を通じての調査でありますけれども、いわゆる該当事項なし、こういう回答があがってきておるのであります。私どもの調査、ことに審議会の専門の調査員が現地へ出向いた調査報告もあがっておると思うのですけれども、山形の例をとりますと、たとえば米沢市にある部落の問題につきましては、いまから七、八年前にその部落から実は米沢の市会に対しまして請願が出ておるのです。その請願が採択になっているのですね。ところが何らの処置もしないのでありますけれども、そういうのがいま八木委員が申し上げたように六カ所あるわけです。県の担当官等はやはり現実にあるのですけれども、県の方針としてあるということを上へあげるわけにはいかないのだ、こういうことを私どもの聞いておるところでは言うておる。それでこの問題は、昨年でありましたか、やはり社会労働委員会で同和問題を、取り上げたときにも、これはことに内閣に審議会ができており、所管が総務長官ということになっておりまするけれども、官房長官の黒金君の選挙区の問題なんです。それだから何か官房長官のほうから、そういう報告をあげたらいかぬというような政治的な圧力でも山形県に加えられているのではないかということも、これは昨年も取り上げられたのですけれども、その後審議会で専門委員が参りまして、県と、こういう事実があるじゃないか、それはそのとおり関係の部落はあるのでございます。しかし県は上へあげるわけにはいかない、こういうことのようなんですけれども、そういうような点についてまで総務長官がお調べになっているのかどうか、この際伺いたいと思うのです。私どもはこれはなせ特に部落の実態調査の上に、いま審議会が――これは後ほど八木君からもまた私からも質問をいたしまするけれども、審議会の設置期間である本年の八月までに総理大臣からの諮問事項に対する答申案が出るわけです。その答申案が出る場合に、部落の実態というものが現実に存在するにもかかわらず、そういうようなものがないというような調査の上に立って、審議会で答申を出されるということになりますと、この問題は、審議会の答申そのものも完ぺきなものになりませんし、かりに審議会の答申が出て、それを実施していただいたといたしましても、こういう地区が漏れているということであれば問題を将来に残すことになるわけなんです。それだけではなくて、現実には同和対策の関係で昭和三十二年以来、自治省の関係で、これも別に自治省には伺いますけれども、特別交付税というものが出ております部落の数、人口その他の関係から見て関係の市町村、府県における財政需要にこたえるために特別交付税というものが同和対策関係で三十二年以後毎年三億数千万円ずつ都道府県分と関係の市町村分の両方を合わせますならば六億から七億をこえる特別交付税というものが現に自治省において交付せられておるわけです。そういたしますと、山形県などはこの特別交付税の対象にならないということになりますれば、これは重大な問題になります。それからこの調査の関係から見ますならば、たとえば福岡県に対する調査の関係にいたしましても、総理府の昨年の十一月末ですか、集計せられたものによりますと、約五百以下の部落数しかあがっておりません。ところが現実には七百近く実はある。人口にいたしましても約八万ぐらいの関係人口の数字の食い違いがある。総理府にあがってきておりますものは少ないわけなのです。そういうことになりますと、特別交付税の配分についても、あるいは算定の基準につきましても狂いが生じてくるわけです。これは私、それでなくても不平等な扱いをされているものの中に、さらに不公平な扱いをされるというものが残ることになるので、この調査の正確を期するという点を、われわれとしては非常に重要視いたしておるのでありますが、特に山形県の場合は、そういう関係で、八木君の手元には現地から、部落があるということの、山形県から私どもへまいりました手紙も実は来ておるわけなんです。調査員の野本武一君という人の、審議会から派遣された調査報告もあがっておると思うのですけれども、いまだに山形県からそういう報告があがっていないように私どもは聞いておるのでありますが、これは非常に重要な問題です。何でも聞くと、昔の何とかいう県令の時代に、当県にはそういうものはいないのだということを県令が布告をして以来、これは西日本にあります部落よりももっと劣悪な状態に現実には置かれておるのでありますが、そういうものに対して何らの施策もしていないということになるので、これはきわめて重大な問題だと思うのです。それで昨年も委員会で取り上げましたけれども、いまだにあがってこないという点から見るならば、官房長官はどうも政治的圧力を加えておるのじゃないか、こういうふうに関係者の間では言われておるのでありますが、総務長官はこの事実に対して御存じかどうか、この事実に対してお調べになったことがあるのかどうか、関連でお尋ねしたいと思います。野田政府委員 先ほど八木委員からのお話を承りまして、非常に重大だと思って拝聴いたしました。さらに田中委員からの重ねてのお尋ねでございますが、事務当局から一応は聞いておりましたが、はっきりいたしませんでしたからお答えできながったのです。大体その後委員会その他で非常にこの問題が取り上げられて、しかも審議会といたしましても、重要性ばかりではありませんで、政府としてもこの施策をやります場合に、これらの欠陥のあることは非常に困ることなのです。そこで、いま事務当局にただしてみました。特に山形県をおお示しになりましたが、私はお話を承っているうちに、黒金官房長官云々というお話が出まして、黒金長官の人格を私は信頼いたしておりますから、絶対そんなことはいない、政治的圧力をかけるようなことは実はないわけでありますが、たまたまいま事実を聞いておりますると、山形県は大体専門の委員が調査いたしましたことにつきまして、いまお示しになりましたようないききつがございましたので、さらにこの点深く県当局と打ち合わせをいたしまして、また事実調査も重ねてやりました結果、県当局におきましても、この審議会の専門委員の調査による報告を提出しても異存はないと認めたわけです。だから、それまで山形県の問題は非常に大きな問題で、いまいろいろの御想像がございまして、私は最初官房長官がそんなばかな圧力をかけることはないと思っておりましたが、やはり事実山形県におきましても、専門委員の調査をそのまま提出してもよろしいという報告がきているそうでございますから、その点を特に御留意願います。 また、さらにいまおあげになりました各県の情勢も、一応現在のところの県の調査の問題についてお答えいたしたいと思いますが、宮崎県と長崎県につきましては、大体調査を報告するという段階までまいりました。それから福岡県につきましては、いま御指摘のような点があったようでございますが、さらに審議会からこれについて連絡をいたしました結果、県当局が再調査を行なうからしばらく報告を待ってくれということでございますから、大体福岡県の問題も一応最近めどがつきはしないかということを思っております。大体現在総理府に報告を受けております。いま御指摘の各県との関係は、漸次県当局と話し合いを進めまして調整いたしておりますから、近く具体的に御報告ができる、こう思っております。
○八木(一)委員 田中委員が御質問になったことの続きを申し上げますと、たとえば東京や神奈川においても、昭和十年の調査でははっきりと報告が出ているのに、今度は出ていない。まだまだたくさんあるわけです。また報告が出ていても、先ほど田中委員が言われたように、福岡県のように部分的な報告であって、全般的な報告でないというところがあるわけです。非常に調査が十分でない。それからもう一つ、この問題の指摘は、この前の社会労働委員会――一年前の委員会でも申しましたように、それからまだ解決がついていないわけです。野田総務長官がこれから熱心に部下を督励されて、そういうことが次第に幾ぶんでも解決するであろうと思いますが、一年前にそういうものが指摘されてもいままでそういうことができなかった。非常に不十分な状態であり、不十分な状態を十分にするためには相当な努力が要るということは明らかだと思うわけです。 今度は審議会内のことになりますと、先ほど大原委員の質問に対して労働省が答えたように、その委員である次官が、あるいはまた幹事である局長が一回もそこに出席をしたことがないわけです。これは労働省だけではなしに、ほかの諸官庁もそうです。委員である次官が一つも出席をしたことがない、幹事である局長が一度も出席をしたこともない。厚生省の生活課長のみが比較的出ていた、そういう状態であります。厚生省の生活課長はなぜ出るかというと、昔からある程度対処された環境改善の問題に関連があるから非常に熱心に出ておる。ところが、この審議会の立法の当初は、環境改善ももちろん大事でありますが、それ以外のすべての生活の根本を立て直すためのいろいろなことを考えなければならないということで発足したものです。したがって、労働省とか通産省とか生産に関係のある、また生活に関係ある農林省、そういうところも委員、幹事に入れてやっておりますが、そこの次官の委員も幹事も出席をしない。出席をするのは厚生省の生活課長だけです。依然として生活環境改善のことのみしか考えていないという現状である。調査はこのように不十分であります。大体その審査会でとしても、また専門委員としてもあれくらいの非常に乏しい調査費用では十分な調査ができるはずがないのです。ところで、その審議会法はことしの八月までと一応なっておりますので、審議会としては答申案を作成しようという段階になっておる。その不十分な状態の中で、ほんとうに熱心な委員なり専門委員なりの努力によって一生懸命に答申がつくられると思います。つくられると思いますが、その基礎においてこの調査が非常に不十分である。そのもとは、調査費用が非常に少ないということ、それから協力が足りないということ、それからまた審議会に入ってくる各省の責任のある者が非常に不熱心であるというようなことで、会長なり一部の委員が非常に熱心であっても、その調査は非常に不十分であって、この不十分な調査結果による審議もなお十分でないということにならざるを得ないと思う。その場合に、審議会はわかった範囲内において一生懸命に答申を出すのでありましょう。しかし、それで事足れりということであってはならないと思う。この前の昭和三十三年三月十一日の答弁というものは、そういう状態であってはいけないということに当然なろうと思います。なろうと思いますから、いままでの努力による答申は十分に尊重してこれはやることは当然でございますけれども、調査の不十分なり協力の不十分、またその答申がある程度のものを出したとしても、具体的にそれを解決するためには、なおいろいろのことを具体策について審議をし、またそれを進めていくということが当然必要であろうと思います。全国民的にこれを解決し、差別と貧乏がなくなるように解決をし、あらゆる内閣があらん限りの力でこれを解決することを与野党間で約束した。これは自民党の問題でもなければ社会党の問題でもないということでありますから、そのようなことで一応の努力が打ち切られてしまったならば、これは問題解決にはならないと思う。そういう意味で、その答申が出た後もそういうものを審議する、そういうことを研究し調査をし、審議を進めるというような機関が必ず必要になろうかと思うわけです。現に、この同和対策審議会設置法が与野党で提案をされましたときに、与野党の一致した気分は、これは恒久的な審議会にしたいということでございました。ところが当時不幸にも、あまり動いていない審議会や調査会がほうぼうにたくさんあったということもあって、そういうものをあまりつくるのは好ましくないという全般的な事情があった。それで与野党ともにこれは恒久的なものにしたいけれども、全般的なほかのわけのわからぬあまり役に立たないものが長く続いておるのを整理するという時期であったので、一応臨時立法にして、必要に応じて、これは法律を改定をして、最初出した法律は議員立法であろうとも、これは政府がその後に改正法案を出して続けていこうというような話し合い、意思統一があって、それでその場合やむを得ず議員立法にしたという経緯がございます。これは、自民党のほうの提案者の秋田大助君も十分にその間の経過を御存じであります。そういう意味で、この八月に審議会がいまの法律では一応任期が終わり、その有効期間が終わるわけでございますけれども、いままでの調査が非常に不十分、協力も不十分であって、その答申はいかにその中心の人が努力しても不十分にならざるを得ない。またかりに十分なものができても、その具体策を推進するためにまた十分な審議をしなければならない。それを進めるために続けなければならないという事情がございますので、そういう点について、ほんとうにこの三百万人の人権を完全にじゅうりんされた、そういうような状態が早くなくなるために、そういうような機関を続けて置くという必要があろうと思うわけであります。そういう点でぜひ総務長官の熱心な前向きな御答弁をお願いいたしいと思います。
○野田政府委員 審議会に私も出席したことがございますが、委員の方々も非常に熱心に御討議された情景をいまでも記憶いたしております。ただ、いろいろな役所の忙しい事情がございまして、御指摘のようなこともあると思いますが、それは決して同和問題に不熱心だ、熱意がないという意味ではない、私はそう了承しております。 そこで、予算関係も御承知のとおり全役所を通じまして、同和関係もことしは前年度よりも二〇%以上増加してやっております。もちろんこの予算でもって十分だということは考えておりませんし、審議会の予算につきましても、お示しのようにそれぞれ不自由はいたしております。しかしみな熱意を持ってこの問題の解決に当たろうという点は私は十分感知しておるのでございます。したがっていまお話のとおり、審議会の答申が八月に出ますが、これが非常に完ぺきなものであるかどうか、これも出てみなければわかりませんし、また少し不足しておるから、もう少し審議会またはほかの機関によってやれということは、そのときによって当然考えなければならぬ。それから審議会の答申が完全なものでございますれば、各省に移しまして実施させるということでございますが、いまお話のとおり、まだまだこれでは調査が足りないのだ、まだ未熟な点があるのだということになりますれば、審議会の形態でいきますか、あるいはほかの機関でやりますか、それはそのときによって考えますが、しり切れトンボにならぬように、やはり実を結ぶように、政府はこれまで審議会まで設置しまして、しかも各省がこの問題は、お話のとおり、ほうっておけない、何とか解決しなければならぬという熱意を持っていますだけに、この結果、審議会が答申したからその内容のいかんにかかわらずあとは各省がやるのだというような、いわゆる事務的な考えだけではこの問題は解決しない、やはり非常に高度の政治性を持っている問題でございますから、そのときによりまして政府は政府として当然何かの措置を講じなくてはならぬ、こう考えております。
○八木(一)委員 前向きな御熱意のある御答弁を伺って、その点非常に満足に思いますが、そのことについて繰り返しあれですが、私、時間もないためにまとめて申し上げましたけれども、総務長官十分御理解と思いますが、ぜひもう一回申し上げたいのは、審議会の調査はいろいろなことが非常に不十分であるので、一応調査をしたことについて答申はもちろん出たほうがいいと思いますが、また十分な調査のもとにもっと完全なものが出せるようなことのために必要だということが一つ。それからまた、もしかりに完全なものであっても、やはり各省にまたがっている問題をまとめていろいろな審議をする必要があろうということと、その問題を具体的に進めるための推進力としてのそういうものが必要であるというようないろいろな観点から、必要であろうと思います。ぜひともひとつ、審議会の設置法が切れたときに、それからではなしに、切れる前に十分に御推進くださって、とにかくそれ以上強力な行政的な権能を持ったようなものをおつくりになる場合はもちろんそれのほうがいいと思いますけれども、切れてからつくるというのではなしに、それまでに、――そういう別な非常にりっぱな総合的な行政的な権能まで持つような審議機関ができるということはそれでけっこうですが、それが間に合わない場合には、現在の審議会を、その後またさらに十分な調査をし、さらに基本的な具体的な問題についていろいろな上申ができるような機関として引き続き続けるように、法律的な改正案を政府が出されるように、ぜひ御準備を願いたいと思います。それについてもう一回、ひとつ前向きな御答弁を願いたいと思います。
○野田政府委員 御趣旨は十分わかりました。私どものほうでも十分検討いたしたいと存じます。
○八木(一)委員 ほかの委員の力もお待ちですからあれですが、もうちょっとお聞きしたいと思いますが、審議会の答申がそういう状態の中でも非常に熱心に審議をされておりますので、答申の中で調査が不十分であっても、また各省の協力がまだ不十分であっても、基本的な問題についてりっぱなものが努力によって出る可能性が相当あると思うのです。出ました答申については政府が最大限に尊重をして直ちに実行していただく必要があろうと思う。それについて総務長官はそれを御推進になっていただく責任をお持ちになる意思がありますか。ぜひお答えを願いたいと思います。
○野田政府委員 審議会の答申が出まして、その答申に対する政府の態度といたしましては、もとより十分尊重いたし、その実施に当たりたい、そう存じます。
○八木(一)委員 労働大臣にちょっとこの問題に関連してお伺いしたいと思います。 いま総務長官に私質問申し上げたこと、また田中委員から御質問申し上げたことをお聞きになっていただいたと思います。総務長官は非常にりっぱな実行力のある政治家でいらっしゃるから、そのとおり実行していただけると思いますが、なおやはり国務大臣としての労働大臣が総務長官の強力なりっぱな御推進に積極的に御協力を願いたいと思う。特に部落問題と雇用の問題あるいは仕事の問題、非常に関係が深いので、そういう意味で大橋労働大臣も総務長官の御推進と同じように閣内で御推進になっていただけるかどうか。ただいま質疑応答しました全部について御協力をいただけるかどうか。
○大橋国務大臣 御趣旨に沿いたいと存じます。
○田口委員長 田原春次君。
○田原委員 ちょうど総務長官に問答の最中でありますが、関連しますので私からさらに御質問したいと思います。 同和対策審議会で未解放部落の実態調査をやっておられるわけでありますが、その内容はどういう項目の実態調査をやっておられますか。たとえば戸数とか、人口とか、部落の数とか、住宅あるいは職業あるいは結婚の問題等を調査されておるのであるか、歴史上の調査をされておるのであるか。
○松永(勇)政府委員 現在調査いたしておりますのは、全国基礎調査とそれから実態調査というのと二つの項目でやっております。基礎調査というのは、全国に同和地区の地区数、世帯数、それから人口、そういうものがどのくらいあるかという基礎の数字をつかむということを目的としております。それから実態調査につきましては、三十七年、三十八年にわたりまして、全国から十五地区を選びまして、その地区の経済状態、生活状態、文化状態を調査するために概況調査と世帯調査――世帯調査はその同和地区の地区内の世帯調査と、その周辺における地区外の世帯調査と両方やっております。調査の報告は非常に多くにわたっておりまして、いろいろな経済調査、生計の状況、文化状況、そういうものを調べておりますと同時に、世論調査的なものも含めて、たとえばどういうように差別感を持っているか持っていないかというような、世論調査的な実態調査というようなものも、項目に掲げて実施しております。
○田原委員 それはあくまで実態調査ですから、そういう項目に触れるのは当然でございますが、どうして部落が発生したか、部落はなぜあるのかというような、実態調査、精密調査をすれば、自然そこまでいかなければほんとうの調査にならぬと思うのですが、歴史上の調査まで進めておられるか、おられればどの程度やっておられるか、あるいはまだ予算その他の関係で歴史上の調査まで済んでおらないのか、これもお尋ねしたいと思います。
○松永(勇)政府委員 同和地区の発生につきましては、古来相当調査研究がすでにございます。私のほうで、現在この実態調査のうち概況調査の中で、明治以来のその地区の沿革というものについては調べております。もちろん、これは奈良朝時代にさかのぼるとか江戸時代にさかのぼるというようなことは、従来の研究結果によっておおよそのことはわかっておりますので、特に明治以後のその地区の変遷というようなことを調べております。
○田原委員 最近、毎年頻発しますのは、たとえば結婚における差別、部落の青年と一般の娘の相思相愛の仲が親類の反対によって引き裂かれる、あるいは部落の娘と一般の青年とのそういう問題も起こっておるというようなことからしますと、単に実態の調査だけでなく、どうして発生したかというところまで調べて、それを納得させる必要があるのじゃないかと思うのです。総務長官は、部落の発生について何かお調べになっておるか、あるいはどの程度あなたは理解されておるか、お伺いしたいと思います。
○野田政府委員 何ゆえに部落というものが発生したかというようなことは専門的に調べたことはございませんが、常識的に多少存じております。何と申しましても、いまなおこういう問題を国会で審議しなくてはならぬということは、民主主義の日本といたしましては全く遺憾千万に思います。したがっていまお話しの審議会においても、実態調査以外にこれらの問題のことはつまり基本調査でございまして、基本調査につきましては、もうすでに同和問題はひとり文献だけではなくて、ことさらに調査いたしませんでも大体わかっておると思いますから、審議会ではことさらに基本調査までには入ってなかった、こう思っております。いまなおお話しの結婚問題のことは、ひとり部落問題というより以上に社会問題としても、人権の問題に関連いたしましても、非常に重大なことでございまして、これらを何とか解消しようというところにこの審議会の発足の事由があるわけでございます。私どもはこれらを勘案いたしまして、審議会の答申が出ました場合には、やはりこれを十分尊重してやっていきたい、こう思っております。
○田原委員 私が調べました範囲の部落の発生に関する点を申し上げてみたいと思いますが、東京大学の文学部の教授であった故久米博士、それから京都大学のやはり文学部の教授であった喜多博士の著書、それから岡山の人で故三好伊平次という人の書いた著書から引き出して整理してみますと、大体こういう事柄になるのじゃないか。部落は封建時代における軍事上の落後者の集団ということになるようであります。軍事上の落後者が、続いて経済上の落後者となり、社会上の落後者となって今日きておる、こういうふうになっております。封建時代の軍事上の落後者とは何かといいますと、ある地点に甲という豪族がおる、その近くにまた乙という豪族がおる、おのおの相当の軍部、兵隊を持っておりまして、お互いに戦い合う。 〔委員長退席、渋谷委員長代理着席〕 勝った方が負けたほうを攻略して、あるいはみな殺しにし、あるいは役に立つ人間を自分のほうの村へ連れていって強制労働、いまのことばでいう奴隷みたいな仕事をさせる、こういうことが発生の原因であるといわれております。そうしますと、いい者が勝ったか悪い者が勝ったかは別といたしまして、とにかく戦敗者の軍の中から相当の軍事上の落後者としてやられたということが学者の定説であるとすれば、それはあくまで封建時代に起こったのでありますから、先ほどの御答弁によりますと、明治時代以後における実態調査それから最近における精密調査等では、それだけをいかに発表いたしましても、結婚における差別問題等の解消にはならぬと思う。ある説によると、部落民は朝鮮人の子孫であるという学者があって物議をかもしておる。ところが他の書物によりますと、日本の人口の三五%は朝鮮人の子孫である、こういう説もあります。部落民は、いまあらわれたところでは六千部落三百万人というのですから、日本の人口からいけば三%です。そうすると三五%じゃないことになる。島根県とか鳥取県、福岡県の日本海沿岸地帯には、朝鮮半島から来られた人々の子孫も大ぜいおります。それから他の学者に言わせますと、大和民族というのはミクロネシア族、ポリネシア族等が南方から宮崎やその他へ流れついた民族だという人もあります。要するに、日本人というのは非常にまじっておるということは、もうどの学者も言うことであります。たとえば、総務長官野田武夫氏は背が低い、これは南方族じゃないか、私は背が高いしひげがある、私は熊襲の子孫かもしれぬと思います。そういうふうに、われわれは希望によってだれだれの先祖のところに生まれようといって生まれたわけではない。日本民族は合成民族なんです。したがってもっと、突き進んだ基礎調査をやってもらって、元来方々から集まった民族なんだから、その民族に上下の差があるわけじゃない。なるほど封建時代に戦争に負けたかもしれないけれども、同じ日本人じゃないかということで基礎調査はそこをやってもらいたい。そして内閣発行の調査書類が出ますと、それを地方の町村や教育委員会や学校や一般家庭等が読みますれば、なるほど部落民というのは差別すべきものじゃない。みんな同じ日本人なんだというところへきます。そうしますと、結婚や就職の差別というものはなくなってくる。だから実態だけを調査してどこに何戸あって田を何反持って人口はどれくらいという、それもいいけれども、その前の基礎調査をやってもらいたいと思うわけです。いま同僚の八木委員からもお話が出ておったように、せっかくつくった同和対策審議会ならば、これが臨時立法であるならこれを恒久化してもっと強化して、そして発育のできるような学識経験者をもっと入れまして、あなた、総務長官もいろいろ会長をやっておるのですが、中央青少年問題協議会というのが内閣にあって、その会長をやってその下に委員があって事務局というのがあるように、官報で承知しております。そうすれば部落対策、同和対策審議会もいまの会長を不適任というわけじゃござらぬが、総務長官が兼任して、そしてそれぞれの専門委員を置き事務局を持って、そして何年がかりで歴史上の調査までやれるような権威あるものができますと、今後結婚問題その他のこまかい問題に対する説明の資料になると思うのです。実態調査をおやりになることはけっこうだけれども、これはまあ第二編各論になるので、第一編の総論まで調べてもらわなければいかぬと思う。この点はどうでしょうか。よく地方に行って聞くことは、いまそんなものはないから、もう部落問題などと言わぬでくれという人が多い。眠った子を起こすのじゃいかぬというけれども、現実に結婚問題なんかにぶつかると、部落民こそその事情を知らぬ、おれのところの娘がどこが悪いかということでけんかの状態になる。みんな同じ人間で、みんな同じ日本人だからそういう意味の基本調査がほしいと思うのです。御質問が二つになりました。第一点は、そういう基本調査をやる意思があるかどうか。第二点は、そのために現在の同和対策審議会を改組拡大して十分な基礎調査のできるようにする意思があるかどうか。この二つをこの際明瞭に承知しておきたいと思うのであります。
○野田政府委員 田原さんのいまのお話、私は非常に同感であります。大体同和部落ができたのはこれはもうお話のとおり、いまでも同和村の問題がかれこれ言われるのは封建制がまだ残っているのだというところに基因していることも、これは私どもも同様に考えております。 そこで、基本的な調査にかかってはどうかという第一のお尋ねでございますが、これが経済面あるいは社会面その他において抜本的な改善をやろうということは、やはり基本的な問題とすでにもうみんな理解しているのだ。こういうものはいつからできたできないということも一番大事なことでございますが、現実にそういう差別されているような、同じ国内において当然生活権を持っている同じ人間の中に、そういう特殊な取り扱いを受けている、特殊な環境にある、しかもそれが経済的、社会的に非常に悪い条件である。こういうことが前提でございますから、そういう基本的なことを頭に置いて、今後この対策はもうすでに基本よりも進んで一歩前進して具体的に措置するのがいいのじゃないか。こういう意味で実態調査その他に向かっている状態だと私は考えております。しかしいまお話しの田原さんの言われました基本的なことも、これはやはり十分そういう検討を加えてやるべきだとは思います。 第二点でありますが、審議会が答申をいたしますのはこの八月でございますが、先ほど私は八木さんにもお答えいたしましたが、答申があったらあとはすぐ各官庁に移してやってもらうというだけで、これが満足にその施策が実行されればよろしゅうございますが、そういう答申の内容が完全なものであるかどうかということは、答申を見なければここに断定ができませんから、当然それが不完全といいますかまだ足りないということになりますれば、これはいまお話しのとおり審議会をさらに続けるかあるいは他の機関を設けるかというところまで、やはり政府としては考えなければならぬと私自身は考えております。
○八木(一)委員 総務長官のいまの田原委員に対する御答弁ちょっと気になったのですが、私の聞き違いだったらいいのですが、先ほど私が申し上げて総務長官から前向きの積極的な御答弁をいただいたことの理解は、答申は調査協力が足りないので不十分だろう、不十分なときは補足しなければならぬ。かなり完全なものであっても各官庁、それから各官庁に分かれるものを総合的に進めるためのものとして、やはり具体的なものを進めるものとして、そういうものが答申が完全であっても必要であろうと思うのです。そういうような意味でさっき三つ理由をあげました。答申がもし完全であっても、あとの二つの理由で存続する必要があろうと思います。総務長官のお答えも、そういうふうにお答えになったというふうに私理解しているわけですが、もう一回ひとつそういうふうに続けて、――審議会が必要であるということについて三つの理由がありますので、第一がかりに完全であっても二、三の理由で具体的にこれらのものを進める。総合的に進めるというために必要である、そういうことで存続させる、あるいは新しく発展させる機関をつくるということについてやっていただきたいと思うわけですが、それについてお答え願いたい。
○野田政府委員 私のつもりでは、八木さんにお答えしたのも田原さんにお答えしたのも大体同じ気持ちで申し上げたのでございますが、これは実際申しますと、私はいま御理解得るかどうかわかりませんが、役所というのはなかなか、こうつくるのだといえば、つくらなければあとから締められるし、つくりたいという希望があってもなかなか条件がむずかしいので、おまえ政府でつくるという約束をしたじゃないかと言われると、――これはぶちあけた話で、お互いに……。
○田原委員 そんな弱いことじゃだめだ。
○野田政府委員 ああ待ってください。私の考え方を申し上げますと、何をつくるということは具体的に申し上げられません。これは御了承願いたい。しかし当然この問題の処理には審議会の答申が完全なものであるとかりにいたしましても、また少し足りないと思っても、その善後措置というものはこれは非常に重大なんです。そこで、いまお話のありましたとおり審議会をそのままで続けていくのか、あるいは田原さんが言っておりました青少年問題のことでしたか、これはいま青少年問題協議会をつくっておる。そういうものは総理府の機構のことでございますから、そういう協議会のようなものをつくるとか幾つもの案が出てくるので、何かの措置をしなければならぬということは私ひそかに考えておるのでございまして、先ほど前半に八木さんにお答えした私の答弁の内容というものは変わっておりません。
○田中(織)委員 ちょっと関連して。いまの八木さんの質問もありましたし、私も別の会合がありますので、総務長官が出ている機会に二点ばかりお伺いしたい。 いま八木委員の質問の点でありますけれども、これはいずれにしても、答申案が出てみなければ――あるいは答申案が大体五月いっぱいで起草を終わって、原案が出て、あと審議会が継続的に審議をして仕上げをするというような作業日程であるということも、私ども関係委員を通じて一応承知いたしておるわけです。したがいまして、その答申案の大体の方向というものが見きわめられたところで、もしこの審議会を存続する、あるいは何らかの形を変えたもので、長官の言われるようなものになるといたしましても、私どもは、やはりこの国会でその処置をしなければ――臨時国会でもあれば別ですけれども、八月いっぱいでこの委員会そのものもなくなるというようなことになりますので、その点は特に答申案が正式に出てからあとで検討するということではおそいのじゃないかという懸念を持つところから、実は伺っておるわけなのです。その点を御考慮を願いたいということが一つ。 それから、問題は、現在はいわば各省の所管の行政措置で同和対策の問題は政府としてはいろいろやっておるわけです。しかし答申案というものが、この際部落問題の基本に触れてこれをもう国会で審議するということのない一つの基本的なかまえを打ち出すのだということになりますれば、あるいは各省の行政措置だけでやっているというようななまぬるいことではいけない、あるいは各行政官庁に対しましても、その実行について義務づけるところのものがなければならぬのではないか、このように実は私どもは考えておるわけなのです。したがって、これは同対審の木村会長に参考人として出席を求めているわけですが、そういうことから引き出されなければならないと思うのですけれども、その場合に、たとえば離島振興の施策とか、あるいは積雪寒冷地帯の農業振興というような問題につきましても、やはりそれぞれ審議会を持ちまして、方針が立てられたわけなのですが、それを実施するために、それぞれ議員立法であったと思いますけれども、離島振興法であるとか、あるいは雪積寒冷地帯農業振興法というようないわゆる基本法というものが現に法律でつくられておるわけなんです。したがって、それに基づいて審議会から答申されたものの年次計画というようなものが立てられて、毎年予算が組まれる、したがって、その組まれた予算が、実施官庁が離島の関係であれば、交通関係では運輸省である、あるいは農業関係は農林省である、あるいは住宅関係であれば建設省であるとかいうような形で、各省にその離島振興の全体の予算というものが配分をされて、それぞれの施策を進める、こういうたてまえになっていると思うのです。したがって、これは答申案にそういう方向が打ち出されるかどうかということに一にかかっておるわけでありますけれども、私は、やはり部落問題を根本的に、抜本的に解決するところの基本方針と、それに基づくところの具体的な施策というものが答申案として盛られてきますると、各省ばらばらの行政措置ではなくして、何らか一つそれを体系的に実施していく推進のために、私は、基本法ということばはあまり賛成をしないのでありますが、部落対策に関する法律というようなもので御処置を願わなければ、たとえば予算の裏づけというようなことについてもあまり効果がなくなるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、総務長官、今後の同対審の審議とにらみ合わせた形で、そのためのセクションがあるいは総理府に置かれますか。これは経済企画庁ということになっておりますが、その他の関係においても企画庁の所管している関係がございます。それから地域的な問題でありますけれども、東北開発の問題、北海道開発の問題などには、国務大臣をすえる開発庁というような機関までがあるわけであります。われわれ必ずしも行政機関のできることがねらいではございませんけれども、国の施策としてこれを強力に進めるということになれば、そういうとりまとめをするセクションというものをやはり持ってもらわなければ施策の実効というものが期せられない、こういうことになると思うのですが、そういう線にまで突き進んでお考えいただける余地があるかどうか、この際御所信を伺っておきたい。
○野田政府委員 ただいまの田中さんのお話でございますが、さらに審議会を続けるとすれば、今国会で処理しなければならぬ、それはごもっともでございます。このまま審議会を続けるとすれば、会期の関係でそうなりますが、これは審議会の答申が八月でございまして、答申が出る前にいまからそれが完全なものであるとか完全なものでないという批判をするということは控えなければならないことだと思っております。したがって、答申が大体これでよかろうということになりますれば、次は実施の段階でございまして、実施の段階に入りますと、その答申を基本といたしまして、これをなるべく迅速に実現する方法を考えるのが政府の当然の責任でございます。ただし、いまお話しの基本法その他の問題につきましては、今日の場合私はお答えすることはできません。と申しますのは、この答申の結果を待ちまして、これがいま田中さんのおっしゃるように、何かほかの強力な機関あるいは一本にしぼった行政官庁ができるということが出てまいりますれば、政府はあらためて考えなければなりませんが、今日ただいまこうだということはお答えできません。 ただ一つ、いま私が考えておりますことは、答申が出るとしましても、やはり同和対策は各省にまたがっておりますので、これはどの省に重点的によけい仕事をやってもらうということではなくて、各省おのおの担当している事象につきまして熱心にやってもらう、そうすれば、いま私はやはりそれの推進役と申しますか、何かこれをまとめて推進するという機関が一つほしいのではないか、こう考えております。それがいまお話しのとおり経済企画庁に置きますか、総理府に置きますか、これは政府全体が相談をしてやることでございまして、独断的にこうするのだということは言えませんが、何か推進の機関が要するのではないか。そこで先ほど田中さんが言いましたとおり、青少年問題の協議会をやはり一つ推進の機関として――こういうものがあるか知りませんが、そういうものが要るのじゃないか、こう現在のところ考えているところでございます。 そのほか具体的なことは、これはなかなか重要問題でございますから、直ちにいまお答えをすることはちょっと困難かと思いますので、これは御了承願いたいと思っております。
○田中(織)委員 その点は審議会の答申の内容等とも関連をすると思いますが、私の基本は、現在の行政措置だけではなかなか思い切った実行ができない。その意味でやはり何らか法律的な義務づけをするところのものまでひとつ突き進んで考えてもらわなければならぬのじゃないか、こういう立場からその場合の推進役がどうなるかということを申し上げておるので、この点はひとつ総務長官によくお考えおきをいただきたいと思います。 それから、自余の問題は同対審の会長が出てこられれば伺うことにいたしますが、この際資料として先ほどから問題になっておる審議会で全国にわたって部落数あるいは戸数、人口等の基礎調査を行なったものがすでに集計されておると思うのでありますが、それを国会へ資料として出していただけるのかどうか。それから、もしできれば審議会答申が出るまでの過程で、無理だということになるかもわかりませんが、審議会の記録というものは速記されておると思うのでありますけれども、もし可能であればそういう会議録も出していただきたいと思うのです。もし会議録の点は特にむずかしいということであれば、もちろんそれをわれわれが見せていただくとかいうような――憲法調査会の記録等は議長の許可を得てわれわれ見るというのですけれども、そういうまでにむずかしい問題ではないと思うのであります。なかなか広範にわたる問題だと思いまするし、答申案が出るまでは困るというような事情も委員の中からも出てくるかもしらぬと思うが、少なくともわれわれは今後法律を審議していく過程で見たいと思うのでありますが、そういうことについて便宜が与えられるかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○野田政府委員 資料その他の問題でございますが、これは審議室長がお答えしますので、そのお答えで御了承いただきたいと思います。
○松永(勇)政府委員 ただいまの基礎調査の資料は目下分析集計中でございます。三月末ごろを一応いま目標にいたしていますが、集計が終わりましたら委員会に出す予定になっております。 それから、審議会の議事録でございますが、現在総会につきましては議事録を備えているそうでございますが、いまから部数をつくるというのもなんでございますので、御必要とあらば持ってまいってお目にかけるという点には差しつかえないと思いますが、審議会長と相談して御返事するようにいたしたいと思います。
○八木(一)委員 先ほど私や、それから田中委員が御質問申し上げたことにつきまして総務長官は熱心に御努力願いたいと思いますし、また今会期中にいろいろなことを立法しないと審議会も切れてしまうという問題についても御検討願いたいと思います。今会期もまだございますから、また総務長官の御出席を願ってそういう問題について私どもも意見を申し上げてお考えをいただきたいと思います。 それから別にもう一つ、いま各官庁でいろいろな行政を進める意味においてモデル地区というものをつくってやっているわけです。モデル地区というのは、一般の農業行政や何かでそういうことをよくやっておられますけれども、この部落対策については非常にまずいことが起こるわけです。というのはモデル地区というものをつくるために、モデル地区になれなかったところはおくれるということが第一に起こる。そういうことで部落内の格差が広がるということがございます。それからモデル地区の指定についていろいろな運動が起こります。運動が起こるために、ほんとうはこの問題は背景は申し上げませんけれども、長い間非常に苦しめられて、いまも苦しんでいる人たちがそれを要求するのは権利だと思う。権利なんですが、そういうことを実際的に自分のところにとるために陳情その他でひざを屈してお願いしますということになると非常にまずいことになる。政府が恩恵的にそういう施策をするのだ、それでその地区の人が頼みにいくのだということになると、この問題の本質からはぐあいが悪いわけです。ほんとうに権利としてそれが直らなければならない。たとえば道が直らないために消防自動車が入らないと、火事があった場合家が焼けて人が死ぬおそれがあるというときは当然政府がしなければならない、それを、うちのほらはこうだからしてください、それじゃしてあげましょうということになると基本的な問題が間違ってくる。ことに、岸さんとのお話の中で、この問題解決のためにはあらゆる者が努力をしよう、政党政派を超越してやろうということになっておる。ここにどの政党であってもいささかも政党の利己心があってはいけないという確約がある。ところがそのようなモデル地区方式をとりますと、陳情に来る。陳情を受けた人が一の政党に近いならそれをやってやろうというようなことをやる。そういうことが実際上起こる。モデル方式というものを別な、たとえば農業全体のときに、集中的に特産物についてやってみたらうまくいったから、この方式をやろう、こういうような方法として考えている官庁が多いわけですが、この部落問題についてはそれは間違いなんです。この際部落を上げていかなければならないわけですが、一つだけ上げればあとは残る。それからいま言った権利意識を恩恵的に与えるというような間違った考え方、それから政党の利己心がそこに入るというような間違いが起こるわけです。ですから全部について、できるだけ予算をたくさん急速に組んで、全部がぐっと上がるように。陳情とかそういうようなことをしなくても、ずっとすぐ行政的に上がっていくように、そういう方法をとっていかなければならないと思いますが、各官庁でそういうことが非常に間違って行なわれておりますので、各官庁にもそれを詰めてまいりまするけれども、総務長官としてそういう点を、そうならないようにひとつ御指導を願いたいと思います。
○野田政府委員 モデル地区を設定いたしましたのは、おそらくもともと善意でやったと思っております。いまお話しの農林省のやっているようなことで、その結果がいろいろ支障があったりまたよろしくないということでございますが、これはひとつ各役所と十分お話いたしまして検討してみたいと思っております。
○八木(一)委員 それでは次に労働大臣にお伺いいたします。 先ほどから労働省関係のこの問題について、たくさんいろいろな問題がありましたが、大原委員のほうから御質問をされた部分を避けまして、別な点で申し上げたいと思います。 この部落問題の解決に非常に重要なことは、雇用の問題が非常に重要なわけであります。と申しますと、とにかく生産手段、農地を持っていないとか、それから適切な作業をやる場所を得なかったとか、それからまた工業が非常に発展するような経済的な基盤を持っていないとか、そういうところでございますから、問題としてはりっぱな雇用が行なわれるということが一番かなめになってくると思うわけです。そこで、たとえば中学校を卒業する子供、それが実際に就職をするときに就職上の差別があって、その仕事について健康も適性もほかの子よりも上である子でありながら、実際に身元引き受け能力がないとか、なんとかかんとかということで、安定的な職業につけないという事情が遺憾ながら現存をしているわけです。労働省としては、そういう非常にけしからぬことを解決するために、どのようなことをやってこられたか、またやっていかれる考え方を持っていられるか、それについて伺いたいと思います。まず労働大臣から。
○大橋国務大臣 政府委員から申し上げます。
○有馬政府委員 就職対策につきまして、学卒の差別待遇が行なわれるということは、非常によくないことでございますので、従前から私どもといたしましては差別待遇のないように、安定所の指導はもちろん、雇用主側の啓発指導も積極的に行なってきておるわけでございます。
○八木(一)委員 それについて、もう少し具体的に、どういうふうに指導をしておられるか、どういうふうに啓発をしておられるか、どのようにやられたか教えていただきたい。
○有馬政府委員 これは職安行政の基本的なことでございますので、従前から繰り返し繰り返しこの基本方針は踏襲してまいっておりますが、具体的な問題が生じた場合には、具体的な措置として学校あるいは職安あるいは雇用主、それぞれの側に具体的な指導を行なってきております。
○八木(一)委員 そのようなことでは問題は解決しないと思うのです。実際に就職の差別が行なわれないようにするには、もっと強力な方法をとらなければならない。特に労働大臣にこれはお答え願いたいのですが、引っぱり出す質問じゃなくて、私どもの考えていることを申し上げたいと思う。たとえば中学校卒業生について、いまは雇用主が人手がたくさん要るので、条件が非常によいからそう現象はあらわれていないと思いますが、また不景気になると非常に現象が濃厚にあらわれる。それでこれから雇用主にいろいろな新卒業生の紹介や何か職安を通じて、やられるときに、もし差別的な、この子はいやだとかそういうようなことをやる事業所には、今後一切職業紹介をしない、そういうような厳重な方針をとられないと、こういう問題は断ち切れてこない。一般的な指導教育をされるとともに、もしそのようなことがあったら、役所として職業安定上のサービスは一切しない、その他の労働省のあれをしないというような、具体的に使用主が間違いを犯さないような、強力な方法をとっていただきたいと思うのです。それについて労働大臣のお答えを願いたい。
○大橋国務大臣 御趣旨のようにただいまやらせております。差別的な取り扱いを内容といたしております求人に対しては一切、取り扱いを受け付けない、こういう断固たる方針で処理いたしております。
○八木(一)委員 非常にけっこうですが、今度は職安局長に具体的にお伺いします。そういうことで間違った考え方があった使用主に対して厳重にしかるとか、直させるとか、とめたとかいう事例はどのくらいあったか伺いたいと思います。職業紹介をとめたとか、悪いことがあったのでとめようとしたら向こうがあやまって直ったというようなことがどのくらいありますか。
○有馬政府委員 私の手元に現在御指摘のような事例、的確な事例かどうかわかりませんが、一、二京都府下で起った昨年、一昨年の事例が報告として参っております。この点につきましてはいずれも雇用主側の反省を求め、さらにそういった差別の待遇が今後起こらないようにという指導を安定所におきまして具体的に行なってきておりますので、その後の差別扱いの事例は今日までほとんど聞いていない状況でございます。
○八木(一)委員 職安局長、その後聞いていないというようなことでは積極的ではありません。一件か二件一年前に報告があったということでは労働省のその方針が十分に浸透されて安定所がやっているということではないということの間接的な証拠ではないかと思う。職安局長もこういう問題について質問があるということは前にわかっておる。それから調べてもおそくないと思う。職安局長自身がそういうことについてやる気が十分にないという証拠ではないかと思う。労働大臣は熱心にやっていられる。そうしたら労働省としてはそういう事例の報告がもっとあってしかるべきであるし、あるような実態であるので――職安局長、そういう対処のしかたでなく、もっと熱心に取り組んだら、この背景の非常に大きい問題については就職の差別が必ずあるのです。必ずあるのに、一件か二件報告があったということは、その安定所が必ずしも十分に全部取っ組んでいる状態ではないということの間接的な証拠です。ですからいま労働大臣がお答えになったことは非常にけっこうでありますけれども、それが各出先に完全に浸透してそういうものが完全にやられるように今後強力にやっていかれなければならないと思う。それについて労働大臣と職安局長の町方から承りたいと思います。
○大橋国務大臣 ごもっともな御質問でございますが、それについて引き続き特に調査をいたしておりませんので、調査の上また適当な機会にお答えさせるようにいたしたいと思います。
○八木(一)委員 職安局長に伺います。労働大臣はそのような御意思でありますが、事務に堪能な中枢にある職安局長がほんとうの覚悟でやられなければ労働大臣の御意思が伝わらない。ですからほんとうに重要なこととして扱って指令を流す、それから報告を怠っているのを報告を慫慂し、事態がなければもちろん幸いですけれども、事態がないというのはある程度あるものをそのくらいなことはといってほうっておいて報告しなかったり対処しなかった例が非常にあるということだと思う。そういうことのないように強力な措置をとる、労働大臣の御方針のとおり熱心にやるということでなければならないと思いますが、職安局長の御決意を承りたい。
○有馬政府委員 労働大臣の意を体しまして、十分善処いたします。
○八木(一)委員 いま言った事例はおそらく中小企業であって、いまの状態では、人をたくさん欲するから、そういう事例のあらわれ方がいまは少ない状態であろう。これが不景気になった場合には、非常にたくさん起こる。また中小企業のように、賃金が悪くて、いろいろなところが悪いから、人を欲するところには、いまは出ていないけれども、いまでももっと大きな大企業には、必ず出ている。大企業では、身元引き受け能力が少ないからとか、何とかかんとか言って、実際上差別をしているわけです。大企業についても、こういう問題を解決することについて、具体的にどのようなことをしていられるか、それについて伺いたい。
○大橋国務大臣 特に大企業、中小企業を区別せずに、一切差別的待遇を内容とした求人は拒否するという方針で進んでおります。
○八木(一)委員 労働省において使用者教育の費用はどのくらい組んでおられますか。
○有馬政府委員 雇用主の啓蒙、啓発指導関係の経費は、一般的な事務費の中で十分まかなえるだけ措置してありますので、これでもって対処してまいりたいと思っております。
○八木(一)委員 幾ら組んであるか、金額をおっしゃってください。
○有馬政府委員 具体的な金額は、いまちょっとここに資料がございませんが、一般事務費の中で、会合費、啓蒙費、印刷費等が十分まかなえる内容になっておりますので、その点は経費の面からの大きな制約はないものとわれわれ考えております。
○八木(一)委員 一般行政費で組んであって、経費の制約はないということは、実際にそういうことを熱心にやってないという証拠です。熱心にやったら、かなりの金額になる。かなりの金額になったら、これこれで要るからということでなければ、なかなか経費はとれない。ぼやっとして会合するから幾らよこせというようなことで、なかなかそんなことでまとまるはずがありません。ほんとうにやる気がないから、ぼやっとした経費になる。しかもぼやっとした経費でも、職安局長の御答弁の態度から見れば、これはいろいろなほかのことで、職安局以外の一般的な経費になっているから、一般の労働組合との間の対処のしかたがどうだとか、そういうような経費が大部分であって、そのような差別雇用について、それを直すような教育をするような費用は、いまの御答弁では一つも組まれていないのじゃないかというふうにしか予測はできないわけです。具体的にそういうようなことを何回どこでやられたか、そういうようなことはおわかりですか。
○澁谷委員長代理 八木さん、本会議が二時からですから、十分前に終わってください。
○有馬政府委員 一般的なPR対策費は、先ほど申し上げたとおりでございますが、学卒者に対する就職指導関係の特別経費としては、わずかではございますが、六十万円ほど計上しておりまして、これで特別の指導措置をやっております。
○八木(一)委員 たった六十万円で全国の指導者に十分な教育ができると思っていらっしゃるのですか。しかも、それはそのような差別的な雇用のこと以外のことをたくさん含んでおるに違いない。労働大臣、どうお考えですか。
○大橋国務大臣 経費というものは、幾らあればいいというものでもございません。多々ますます弁ずでございます。いろいろな事情で、従来からの経費は、先ほど来局長が申し上げたとおりでございます。今後こうした方面に積極的に啓蒙を行なう必要もあると存じますので、今後の経費につきましては、十分検討いたしたいと存じます。
○八木(一)委員 いまお認めになったように、非常に少ない経費だ。金の問題だけではありませんけれども、その経費から推して、いままでやってこられたということが、ほとんど実効のない程度のことしかやってこられなかったとしか判断できないわけです。そういうことではなしに、労働大臣は労働省を引き続きあずかっておられるのですから、いままでのことはしかたがありませんけれども、これからはほんとうにいままでのおくれを取り返すためにやっていただかなければならないと思います。費用ももちろん要るでしょう。それから、形式的に一地区をちょっと集めるくらいではだめです。全部の使用主を集めて――労働省としては労働者教育も必要でしょうけれども、使用主教育が非常におくれている。そういう間違った使用主の観念に対する教育がおくれている。そういう差別概念が一切抜けるように、強力な方策を立てていただきたいと思いますが、ほんとうに本腰に取っ組んでいただけるかどうか。
○大橋国務大臣 当局といたしましてももちろん直接に大いにやるつもりでございますが、御承知のとおり、労働者教育と並んで使用者の教育等をも兼ねてつかさどっております労働協会等の団体もございますので、こうした関係の機関が協力いたしまして、できるだけ努力をするようにいたします。また費用の面におきましても、必要があればそうした方面にもお願いしたいと思います。
○八木(一)委員 必要があればということでなしに、必ず必要がありますし、これは役所で一般予算から出されるのがやはり至当だと思います。ほかの関係団体からの費用も活用されても絶対にいかぬというわけではないのですが、一般予算の中から出される、労働省予算の中からそれを十分に配分されるというようなことをやっていただきたいと思いますが、もう一回ひとつ……。
○大橋国務大臣 御趣旨はよくわかりまして、同感に存じますので、さようにいたしましょう。
○八木(一)委員 いまのは一般的なところですが、国の官庁、あるいは国の関連のある公共企業体、あるいはまた地方公共団体、そういうようなところでまず率先して一切の差別がなくなるようにしなければならない。そういう点については政府は直接的な力を十分にお持ちのはずでございますから、どこの官庁、どこの地方自治体についても、雇用という問題について部落差別が一切起こらないように、それを強力に指導される必要があろうと思いますが、それについての労働大臣のお考えを承りたい。
○大橋国務大臣 こうした現実の差別は、ただ一般的に訓示をいたしましても、それだけでは十分ではございませんので、やはりそうした趣旨に対して、現実に起こってくる違反と申しますか、その趣旨に反するような事例がありましたならば、そのつどまた警告を発するというような必要もあるのじゃないかと思います。政府関係機関におきましても、十分にそうした事例の発見には注意をいたしまするが、同時に、未解放部落関係の諸団体等にも協力を求めまして、われわれの意に反するような事例はどしどし通告をお願いいたしまして、それによって関係機関の活動を促すようにもいたしてまいりたいと思います。
○八木(一)委員 そのほかに、実際に雇用されましても、臨時工とか社外工形態というような形態があって、雇用という名のみで、実際の労働条件が備わっていない。ですから半失業のような状態であるというような問題が多分にありますので、臨時工の問題をなくすためには、政府みずからが臨時職員を全部本職員にする必要があろうと思いますし、臨時職員と臨時工という問題について、労働法規関係で臨時工が本工、本職員と同じような扱いを受ける立法を促進する必要があろうと思います。それとともに、社外工というようなものが実際的に起こらないように、そのような問題についても規制する法律その他行政的の措置、これを推進される必要があろうと思いますが、これについての総括的な御答弁を願いたい。
○大橋国務大臣 臨時工、社外工の問題については、正常な労働関係という点から考えまして、いろいろ遺憾の点がございますので、昨年以来これについて善処したいと存じまして、目下いろいろ調査検討中であります。
○澁谷委員長代理 暫時休憩します。 午後一時五十一分休憩 ――――◇――――― 午後三時二十八分開議
○田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。田原春次君。
○田原委員 通産大臣が来られるものと思いますが、さしあたり政府委員から答弁をいただいておこうと思います。 それは未解放部活、普通に同和地区といわれる地区の中で、これは九州の産炭地における同和地区の特殊情勢であります。それは炭鉱が老朽化して閉山をいたしました。炭鉱がなくなったけれども、地元に長年農民として、あるいは農村関係の業者として住んでいる多数の集団地帯があります。これに対する閉山後のアフターケアというものがほとんど進んでいない。法律やあるいは説明の上では進んでおるようでありますが、実際上進んでいない。したがって、これは未解放部落の問題というだけではなくて、閉山地帯における残存農村地区の再建の問題でございますが、本日は、とりあえず通商産業省関連の点に集約いたしまして、二、三の点を申し上げたいと思います。 第一は、たくさん例がありますが、一件だけ具体的な例を引いたほうが御便利だと思います。福岡県の筑豊炭田地帯の各地に続発している問題でありますが、そのうちで一つ例として引きたいのは、田川郡金田町のもとの樋口炭鉱の閉山後における処置であります。これは新方式による合理化閉山を昭和三十七年十月に断行されており、そのまま放任されておるために、その地方に長年住んでおります農民を中心とした関連業者の生活にたいへん迷惑をかけておりますので、それぞれの法規に基づき、また実情に即して主として復旧をしてもらいたいという点でございます。 第一点は、無資力鉱害と閉山鉱害を早急かつ総合的に復旧してもらいたいという要望がありますが、これに対して通産省は現在どの程度までやっておられるか、一応その経過を承りたいと思います。
○新井政府委員 御承知のように、石炭の合理化に伴いまして閉山いたしましたあと、石炭を掘ったあとに土地がへっこんだり何かする鉱害問題がございまして、いまお話しのございますように各方面に御迷惑をかけておる点は、先生のおっしゃるとおりであります。いまの具体的な問題になります金田炭鉱、特に樋口鉱業株大会社がやっておる案件でございますが、お話もございましたように、ようやく新方式によりまして整理交付金を出すということで、どのくらいの鉱害量があるのかという諸般の問題の認定を、これは地元の通産局がやることに相なっておりますけれども、その関係でいろいろ認定の作業が進められておる段階でございます。近く最終的な段階になろうかと思います。特にお話のございます炭鉱が、もうすでに無資力になってしまっておる。したがって無資力になりますと、あとは国と地方の両方でお金を出し合いまして、鉱害復旧をやるわけでございますが、その無資力の認定をしろというお話でございますが、この点につきましては三菱鉱業との関連もございます。樋口自体につきましては無資力の認定をやるつもりでございますけれども、三菱との関連もございます。連帯責任になっておりますので、その関係をどう見ていくかという問題が残っておる次第であります。
○田原委員 問題は、国と地方公共団体とが云々と言われましたが、特に炭鉱の閉山を行なっておる地方公共団体は、さらでだに税収等もなく、地方公付税等の増額を要請しているくらいでありますから、やはり国が直接やる以外にないのじゃないか。これは炭鉱閉山に伴う特殊なケースであり、一たん解決すればそう再び起こる問題ではないのでありますから、ぜひ通産省としては、思い切って地方民の納得いくような方法等によって、総合的な復旧をやってもらいたいと思うのでありますが、地方公共団体が資力的に参加できなくてもやれるものかどうか、もう一度明らかにしてもらいたいと思います。
○新井政府委員 お話のように、現在産炭地の市町村は非常な財政の窮迫状況になっております。いままで石炭産業がありまして鉱産税を納めておったのがなくなったという関係上、お話のように非常に困っておる状況でございます。したがって、地方団体の持ち出しも入れて鉱害を復旧するということについては、政府としてもかなりの問題は持っておるわけでございますが、現状におきましては、そのように地方財政によって持ち出された分につきまして、自治省において、御承知のように特別交付税という関係で、あとでいろいろな財政援助の措置を講じておりますので、現状におきましては国と地方団体、しかも地方団体のあとで自治省のほうから特交でやっていくという関係で、私どもとしては、うまくいくのじゃなかろうをというふうに考えておる次第でございます。いまお話のように、国が全部やるというふうには現在思っておりません。
○田原委員 いずれにいたしましても、早急にこれらの対策をやっていただき、その過程においてまたあらためて疑問が残れば、この点について是正を加える。 第二点は、臨鉱法第七十四条を改正してもらえないかという意見が出ておる。そして農地の手直し工事またはその手直し工事の追加工事を制度化してもらいたい。この七十四条に立って農地を一応手直し工事する場合もありますけれども、その後陥落の度が強くなったり、手直し自体が不完全であったりして、またやらなければならぬというようなことで、その間、その農地所有者はいたずらに農作物の耕作もできないような状態でありますから、やはり徹底的にやって復旧してもらわなければならぬ。したがってこれを制度化してもらいたい、こういうことでありますが、これに対しては通産省はどういう御見解を持っておるか、お尋ねしたいと思います。
○新井政府委員 七十四条の改正問題でございますが、お話のように農地の関係に相なりますので、農林省といろいろ打ち合わせをやっておるわけでございます。部落の方々よりも年に二回ほど非常に強い御要望を私どもは聞いておる次第でございます。ただ七十四条を改正しなければいかぬのか、運用によってやれるのか、いずれにしてもやらなければいかぬということだろうと思いますが、その辺の点はいま農林省と打ち合わせをやっておりますので、御意見の点は承っておくようにいたしたいと考えております。
○田原委員 農林省とはどういう形で打ち合わせをしておりますか。定期的に会合しておるのか。どちらが主体となっておるのか、対等でやっておるのか。
○新井政府委員 法律改正をしなければならないかどうか、あるいは運用面でいけるかどうかの点の打ち合わせでございます。
○田原委員 次の質問でございます。第三の質問は、鉱害復旧の促進と完全復旧の点でございますが、臨鉱法による各種の補助率が、現在の物価その他から見てたいへん率が低い。たとえば、これは厚生省関係になりますけれども、上水道の復旧には費用の二五%を補助するということになっておりますが、先ほど申しましたように、地方公共団体自体がすでに収入減になっておりますから、いたずらにそれを待っておったのでは飲み水にも困るわけであります。少なくともいまから見れば、二五%を引き上げて四〇%ぐらい補助することによって、きれいな飲料水を確保しなければならぬと思いますが、そのままになっておるのであります。この点については、厚生省と通産省との早急なる打ち合わせ、協定によって、率の引き上げをやってもらいたいという声が非常に強いのでありますが、どういうふうな御見解を通産省は持っておられるか。
○新井政府委員 お話のように、閉山に伴いまして残った鉱害につきましては、通産省オンリーでやります公共施設とか、あるいは家屋のほかに、農林省は農地、厚生省はいまお話のありました上水道があるわけであります。いま問題となっておりますのは、この上水道の補助率が現在二五%だ、したがってそれをさらに上げろというお話でございますが、この点は厚生省全般の水道問題に関連いたしますので、したがってこれも先ほどと同じように厚生省とよく打ち合わせまして、善処いたしたいと思います。私どもも、実際二五%――これは飲み水でございますので、むしろ引き上げてもらいたいと思っておりますけれども、全般の水道政策もあろうかと思いますので、厚生省とよく打ち合わせをしてやってまいりたい、かように考えております。
○田原委員 それに関連してでありますが、たとえば復旧工事施行中においては、耕地を休ませなければならぬ。これに対してはちっとも補償が制度化しておらぬわけですね。これは耕地の改良といえば農林省だけれども、その原因は、炭鉱の採掘と閉山に伴うものでありますから、やはり通産省が重点となってやるべきではないか。しかもその復旧の単価も、地方によって、はなはだしくいまの物価その他から見て低くなっております。たとえば、いまお話の出ました金田町のあの付近は、反当たり三十五万円で一切復旧しろということになっておるが、これでは実際上できない。非常に深い陥落になっておって、ハス池みたいになっておるのもある。反当三十五万円と一応きめてあるが、この復旧費を増額すること、それと農地と考えれば、農林省ということでなく、原因が炭鉱の経営からきておるのだから、通産省は責任を持ってもってもらわなければならぬのだが、これに必要な予算的措置、また必要ならば臨鉱法その他の改正をやるべきじゃないかという意見も出ておるわけですが、これに対する見解をひとつ……。
○新井政府委員 農地の問題で通産省が、ちょっと先生、逃げるように思われて恐縮でございますけれども、実はこれも農林省の問題でございまして、確かに三十五万円では実際に復旧できない。しかも三十五万円が頭打ちだということで現在実施いたしておりますが、これも私ども、農林省とよく打ち合わせをいたしまして、特定の狭い限られた範囲だけで三十五万円で考えるのか、あるいは周辺もまぜまして三十五万円でいけるのか、その辺の運用問題もからめまして、これまた農林省とも打ち合わせをいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
○田原委員 次に移りますが、炭鉱が閉山して、その上にある農村が、そこでそのまま復旧できない場合がある、あまりにも陥落その他がひどくて。したがって、これは原状に復するということでなく、どこかに移転させてやらなければならぬ場合もある。福岡の例で言いますと、田川郡の豊州炭鉱というのがあり、これが水害その他で七十幾名かが生き埋めになったケースもあるわけですね。その上にある農家の家屋がそのままそこで復旧されたんでは、地底が弱まっておるのですから、また家が傾くということになる。そういう場合は、復旧という点を少し広義に解釈して、その付近に移転させて改築する。将来再復旧の必要のないようにさせるということも考えなければならぬ。こういう点については、いままでどう扱っておりますか、また、いまのような要求をどういうふうに扱いますか。
○新井政府委員 豊州炭鉱の件につきましては、御承知のように非常な災害を起こしておりまして、その節、中に火災が起きましたので、出水をいたして消火をいたしたようないきさつがございます。まだこの中に遺体が残っておるという非常に不幸な事態でございまして、まことに遺憾に考えておる次第でございますが、この問題、実際に合理化事業団のほうで交付金の算定額も出てまいりまして、豊州の鉱業権者と話し合いを進めておる段階でございます。 なお、残っておる鉱害につきましても、おおむね鉱害の認定も終わりましたので、私どもとしては、早急にそのような方向での処理をいたしたいと考えておるわけでございます。
○田原委員 鉱害地における家屋の復旧もしくは移転に伴って当然考えられることは、農家ならば作業場あるいは少しばかりの庭園、こういうものを非常に狭義に解釈して、家屋の修理、復旧は認めるが、庭園は知らぬというようなことがよく出てくるわけです。しかしその陥落がなければ、そこに庭園なり作業場、もみ干し場を持っておったものが、なくなるということはおかしいと思うのですね。したがいまして、原状のまま修復するなり、希望するところに移転をさせるべきであると思いますが、こういう点については、まだ話し合いがはっきりしておりません。家屋自体並びに庭園等も臨鉱法による補助対象とすべきものじゃないかという立場を私はとっておるが、通産省はどういう考えでございましょうか、これを承りたいと思います。
○新井政府委員 この臨鉱法の考え方でございますが、通常でございますと、損害を与えた場合、金銭で損害賠償すればいいというのが鉱業法の考え方でございますけれども、特に戦争以降、いろいろな石炭の集中生産もやっております関係上、かなり鉱害が多いということで、国土の保全というような意味で、効用の回復をやるべき国の補助金を出しており、また地方団体からも補助金を出して復旧をやっておるというような状態でございます。そういう基本前提の前に立ちますと、庭園までどうだという問題があるわけでございます。家屋以外に庭園等かなりの金のかかった施設もございますので、これも臨鉱法の範囲にしろという強い要求を聞いておりますけれども、私どもの考え方としては、家屋の用に供する地盤という程度のものであれば、これは当然家屋と一緒に復旧をしていくべきであろうと思いますが、庭園そのものを復旧の対象にするかしないかという点につきましては、現在、いまのところはこれを対象にいたさないというふうに考えておりますけれども、先ほど申しましたように、家屋の用に供する土地という範囲内における運用面で処理してまいりたい、かように考えております。
○田原委員 これはなかなかわれわれの納得できない御解釈だと思うのですが、陥落被害等が起きなければ、その家に付属した庭園なりもみ干し場として持っておるものが、炭鉱の閉山による陥落の害が生ずる、この復旧はやるが庭園までは知らぬということになれば、結局何の罪とがもないお百姓さんは、陥落のために庭園までもとられるという形になる。したがって、一がいにいかぬということをきめるのではなくて、やはり実情に即してどの程度必要であるということを考えてやらなければならぬと思います。これは議論でありますけれども、ぜひ解釈をもう少し親切かつ拡張的に考えて、閉山による被害はすべて補償するという立場をとるべきだと思います。私はそういう議論を持っておりますが、これに対してはどうお考えになりますか。
○新井政府委員 先ほど申し上げたように、臨鉱法の精神は国土の保全ということで、金銭賠償でなくて、効用回復をするのだという基本前提のもとに立っております関係上、金銭賠償はしませんけれども、庭園そのものを復旧の対象にするということは考えられないと思うわけでございますが、先ほど申しましたように、家屋の用に供する土地という範囲内の運用面で、できるだけのことを考えてまいりたいと考えるわけでございます。
○田原委員 これは、要するに実情を見た上でないとにわかに判断できませんが、そこにただし書きのような家屋の川に供するという条件がついて、しばらく折衝の模様を見た上で、また機会があれば通産省と交渉してみたいと思います。これは要するに、合理化によりまた閉山による一切の鉱害というものを国庫で完全に復旧することが、無資力鉱害に対する地元居住民の被害の回復に役に立つのでありまして、国庫で完全にやってくれない限りはいたずらに紛糾の的となり、石炭局長も御承知と思いますが、しばしば遠いところを押して旅費をくめんして、東京に来て、直接通産省に訴えなければならぬということになるわけです。同じ国民でございますので、特に私どもがきょう問題としておる同和対象地区の人々、これは声としても弱いし、東京に行ってもどこも相手にしてくれないというような絶望感を与えてはいけないと思います。また、予算の許す限り法制の許す限りにおきましては国庫で完全に解決するという立場をとって、一つ一つの問題を解決していかなければならぬ。そのように地方鉱山局等にも通達を出してもらいたいと思いますが、どうでございましょう。
○新井政府委員 国庫で全部やれというお話でございますが、これはもちろん無資力の場合に限定されたお話かと思いますが、先ほど申しましたように、たてまえとして地方公共団体も同じく補助金を出すのだけれども、そのあとについては起債あるいは特別交付税によって、自治省としてもいろいろ御配慮をいただいておりますので、その面で現状はやっていけると私は考えておるわけであります。なお、補助率その他の問題につきましては、私どもも努力をいたしたいと考えております。
○田原委員 ただいままでの通産省の政府委員の御答弁では、まだ完全に了解できるまでに至りませんが、この問題は生きた問題でありますから、ケース・バイ・ケースによりまして、われわれ納得できない問題についてはさらに直接折衝させるようにしたらいいと思いますから、これで通産省関係の私の質問は一応終わりたいと思います。 次は、引き続いて法務省関係で数件お尋ねしたいと思います。 最初に、大臣が御病気だそうでありますから、政務次官にかわって御答弁願いたいと思います。きょうここで、社会労働委員会で特に会合を開いて政府側の方針を聞いておるのは、普通に言う未開放部落、または通称同和対象地区と称しておる問題に対して、政府側の答弁を得たいと思っておる会合なのであります。ここに法務省に来ていただきましたのは、過去において同和対象地区、またわれわれの言う未解放部落におる者で、不当に差別をされ、結婚上の差別、職業上の差別、これらの被害を受けておるものがあるのにかかわらず、これに対して法律の保護がますます手薄いか、もしくは冷淡であるという声をしばしば受けておる。最近一年間、あるいは数年間でもよろしいが、差別による被害、もしくは人権擁護の要望をしました件数が何ぼあって、どういうふうに解決しておるか、幾通りに分けて解決しておるか、解決の状態をこの際明らかにしていただきたい。政務次官からお答え願います。
○天埜政府委員 いまの件につきまして、政府委員のほうからお答えさせていただきます。
○鈴木(信)政府委員 お答えいたします。 お手元に差し上げてあると思いますが、昭和三十六年度におきまして受理三十件、同じく三十七年度において二十六件、三十八年において十九件、そして三十六年度におきましては、この三十件に対しまして、説示をいたしましたものが四件、援助をいたしたのが三件、排除措置四件、処置猶予五件、非該当二件、移送一件、中止三件、合計二十二が処理済みでありまして、八件が未済ということで翌年度に繰り越しております。それから三十七年度の二十六件は、説示三件、援助二件、排除措置二件、処置猶予六件、非該当五件、移送一件、計十九件が措置をいたしたものでありまして、七件を未済として三十八年度に繰り越しております。三十八年度におきましては合計十九件、そのうち説示四件、排除措置五件、処置猶予一件、非核当一件、中止一件で、処理合計十二件、現在七件が未済事件として調査中、このようになっております。
○田原委員 政務次官または局長にお尋ねいたしますが、いわゆる部落問題というのはどういうふうにごらんになっているか。部落とは一体何ぞや、どういうことで発生したのか、一体なぜ差別されているのであるか、こういうことに対して法務省はどういう見解を持っておられるか、まずこれをお尋ねしたい。
○鈴木(信)政府委員 根本的に一体どういう原因で発生いたしたか、あるいは過去どういういきさつで現在のようになっておるかというふうなことにつきましても、けさほど来御質問があったようでありますが、総理府の同和対策審議会において慎重に御調査になっておると思うのでありますが、まあ常識と申すと失礼になるかもしれませんが、一応こういった差別事件の発生というものは、関係者の同和問題に対する認識不足、人権尊重意識の不十分等に由来する場合が多い、このように考えております。
○田原委員 それはその起こった現象を言っているのであって、どうして部落が発生したかという点については、法務省の見解は明らかになりません。ここに私が調べた範囲の、部落の発生の学者の説を御紹介いたします。それに対する御見解を聞きたいと思います。 戦前でありますが、当時私はアメリカの中南部のミズリー州立大学というのに入っておった。それから、そのころニューヨーク州のシラキューズ大学に在学中だった、いま岩手の県知事をやっている千田正、それからすでにアメリカのコロンビヤ大学を出てニューヨークで「ニューヨーク新報」という新聞を発行しておりました、上海の東亜同文書院出身の長野県の松井五郎君との三名が、あるときニューヨークで会いまして、ニューヨーク・タイムズの当時の社長オックスという人を訪問したわけです。そうしたら、われわれ三人を見まして、君は南のほうの九州だろう、君は東北だろう、君は中部だろうとミスター・オックスが言ったわけです。どうしてわかるかと言ったら、私は日露戦争時代、新聞の特派員として日本におって日本の民族学を調べた、こういうことなんです。なるほど私は九州の、いわば熊襲の子孫なんです。岩手県知事の千田君は、東北ですからアイヌの子孫です。長野県の松井君は、どっちの子孫か知りませんが、小柄な男である。外国人が見ましても、日本の人種構成はそれほど違うらしい。われわれは知らなかった。日本の学者の説を見ましても、日本人というのは大体五十二種類からできているのだそうであります。だんだん調べてみますと、何千年か前、無人島だった日本の島に、あっちこっちから漂流したりなんかして集まったもので日本島における日本人はでき上がり、そうして国を構成したのではないかという説もあります。現に大江山の酒呑童子というのは、シベリアから流れてきたものが山に上がっていったという説もあります。そういうようで、いま徳川三百年、鎖国時代に一本になったように思っておりますが、だんだん調べてみますと、日本人は、アジアの各地から流れてきたものと、元来日本におった原住民がまじったものだと思います。いま見ますと、人権擁護局長の顔は中国の福建省の人の顔です。政務次官の顔は、少し南の広東省の人の顔である。こういうふうに、顔を見ますと、国会議員でも朝鮮、モンゴールの子孫の人もたくさんおります。大臣だっております。死んだ人では、民社党の松岡駒吉氏、大矢省三氏等は、どこから見ましても由緒正しい朝鮮民族と同じ顔です。それはちっとも悪いことはありません。まじってもちっともかまいません。問題は、いかにして日本人としてりっぱな生活をし、国のためによい国民であるかが問題であります。先祖がどこから来ていようが、どういう人種構成でも問題ではありません。ニューヨーク・タイムズのオックス社長が言ったように、日本人というものは合成された民族である。したがって、部落の発生もそういう経過をたどったものですが、いままで私の説明しました点について、何か御異存がございますればひとつ見解を聞かしていただきたい。
○鈴木(信)政府委員 私の先祖が福建省出身、これはまだ十分調査いたしておりませんので何ともわかりませんが、非常に学のある点をお示しになりまして、今後そういったことも十分参考にいたしまして事務を処理いたしたい、かように考えております。
○田原委員 それはそれ、よいでしょう。私どもの調査によりますと、二千六百年の歴史の中で、最初の千八百年間は人間対人間の差別がなかった。ただ鎌倉時代、封建制度がしかれて以来士農工商、いわゆる部活民という階級と身分と職業が固定化したようなものが起こったわけです。なぜそれが起こったかといいますと、これは近代的なことばで言いますと、封建時代における軍事上の落後者をさしてそういうことを言っているように学者は言っております。人に上下の差はなかったけれども、ある豪族の下にあった者と他の豪族の下にあった者が、たまたま部落間の戦いで一方が勝ち、一方が負けて、負けたほうが奴隷のように処遇され、人間以下に扱われて、それが自然固定化されてきたと見ている者があります。現に私は北九州でありますが、源平壇ノ浦の戦いで、平氏があそこで全部海へ飛び込んで死んだことになっております。ところが実際は、六割ぐらい夜陰にまぎれて海へ飛び込んで、山口県と福岡県のほうに逃げてきた。そして身の安全を期するためにずっと谷の奥におる。それがだんだんいつの間にか社会から隔離され、分離され、差別され、今日の部落民になっている者もある。これはいろいろ文献もあります。そういうふうで、先ほど言いましたように、人種構成が複雑であり、原始日本から封建制度以前までの日本においては差別がなくて、封建制度とともに発生したというのだから、いわばせいぜい八百年以来の差別問題である。だからこれが定説であるならば、よくお調べになった上でそれに基づいて御判断願えれば、人権擁護局に持ち出すような問題はなくなると思うのです、みんながそれを支持しておれば。いかにも自分たちが選ばれた上級の人間たちであり、部落民が不等民だけと思いこらして、封建時代の悪風がいまだに残っているところにいろいろな悲劇があるわけです。これは起こった事件を扱う人権擁護局であるけれども、基本的には、部落民は一体どこから発生したか、その起源は何ぞやということを学問的にもお調べになればわかるから、そういう意味で、地方にある地方人権擁護局なりこれにタッチをされる擁護委員は、人間として尊重すべきである。すなわち人種が違うものであり、境遇が違うものである、勝った者と負けた者との境遇が違うのだという判断からくれば、部落民が事実上の社会の落後者となっておる今日においては、民主主義の本来の姿に返さなければならぬ大使命があると思うのです。どうかそういう見地で、いまあなたがおっしゃった数十件の扱い方をびほうするとか、そんなことを言うとおこるから、さあ待ってくれということでなくて、じっくりひざ突き合わして話をして、すまなかったと言ってきげんよくやらせれば、就職上の間違い、あるいは結婚上の悲劇はなくなると思う。この意味におきまして、法務省は、あらゆる事件を扱うためにも、まず部落の発生の歴史をしっかり学問的にも正確に把握されまして、そこから出た態度で人権擁護局の仕事をやるならば、やりやすくもあるし、相手を納得させることもできると思うのです。これは私の希望ですが、法務省の今後における態度をそこに明瞭にしておいてもらいたい。
○天埜政府委員 いまのお話、実に傾聴すべきものがございます。よくその意味のことを体して、人権擁護の関係、差別撤廃の関係を進めていきたいと考えます。
○田原委員 法務省は、御承知のように正しさを発見するために争いになれば、勝った者と負けた者と判定することはできるわけですが、人権擁護局はこれと別でありますし、もしくは諸外国の例にならってつくって――勝者、敗者をきめるのではなくて、人権を守っていくという立場からつくられたものかと思います。したがいまして、単に法律の解釈、法務行政だけの問題ではなくて、広く言えば、人道主義の上に立って解決しなければならぬ。どうか願わくば、いまの政務次官の御答弁にも一応期待いたしますが、あたたかい気持ちで、再び人権擁護局に持ち込まれなくてもいいようにやっていただくように希望いたします。私の質問はこれで終わります。
○田口委員長 田中織之進君。
○田中(織)委員 私は、ほかに建設、防衛庁の関係の質問があるいのですが、文部省に対する部分は私だけで、ほかの方はないようでございますので、ここで法務省に二、三点ちょっと伺っておきたいと思いますが、よろしゅうございますね。
○田口委員長 どうぞ。
○田中(織)委員 ただいま田原委員から、法務省、特に人権擁護局の仕事を進める立場から、部落問題の本質をどういうように理解しているかということについて、田原委員の意見に基づいての御質問があったわけです。私、過日の予算分科会でも取り上げましたが、法務省人権擁護局が行ないました、全国にあります人権擁護委員に対して部落問題――政府のほうでは同和問題と言っていることについてのアンケートを集約された結論の部分でありますけれども、それによりますと、「同和地区は、それぞれ集団で居住しており、」この点までは、部落を形成しておる事実の点でありますから私は問題はないと思いますけれども、その次に「自己防衛の手段としている場合が多く、集団の威力を対外的に表示し、又地区外の人は、それに恐怖をもち、益々差別を深くしている現状であり、」というのが、人権擁護委員の諸君の代表的な意見としてここに集録をされておるのです。これが問題だということを過日申し上げたのであります。部落の人たちが、現在社会的にも、経済的にも、ある意味から見れば文化的にも低い、いわゆる低位性というか、後進性といいますかを多分に持った生活環境にあるということは、この考え方によりますと、あたかも一部落の人たちが、ことばをかえて言えば非常に怠慢でなまけ者だ、そういうような関係から、今日の水準で見るならば、一般より低い、悪い条件のもとに集団の生活をせざるを得ない状態に置かれておるんだということを意味しておるように私にはとれるところが問題だという観点から、過日も質問を申し上げておるのですけれども、部落の発生の起源については、田原委員のような意見もありますし、また異なった意見も学問上はあるかとも思います。しかし、きょう午前中に内閣の審議室長が申したように、少なくとも明治初年以来部落というものが現実に存在しているという事実は、これは否定することができないのでございます。そういう部落が存在するに至ったことの一番近い発生原因と申しますか、理由といたしましては、やはり封建時代の身分制からきておることは、これは明らかだと思うのであります。この点は何ぴとも私は異論のない問題だと思う。憲法の第十四条は、法の前に国民がすべて平等である、門地、家柄、身分その他宗教、そういうような関係から日本国民が差別されてはならないということを規定しておる。その一つであります身分制というものが部落差別の根源であるということは、これは現代的な意味において間違いのない事実だと、このように考えるのでありますが、法務省の立場で、たとえばこれは人権問題のうちで一番重要な問題だ、こういう考え方の上に立つという場合も、その根拠は憲法十四条にあらためて示しておる。法の前に国民は平等である、その平等であるべきものが、身分制のなごりといいますか、遺制といいますか、そういうような関係から、現実に就職においても、結婚においても、これは社交的な関係の問題でありますけれども、たとえば雇用関係の問題においても非常な違いが出てきておる根本的な理由だと、このように見なければ、私は法務省が人権擁護の重要な問題だとして取り上げる意味がないのではないか、このように考えるのでありますが、この点についての法務政務次官、あるいは最近かわられた人権擁護局長の御見解をまず伺いたいと思います。
○天埜政府委員 お話のとおり、同和問題は憲法第十四条の保障しております差別禁止の趣旨に全く反するものでございます。その差別救済問題が人権擁護上最も重要なものだというふうに考えております。
○田中(織)委員 そういたしますと、過日も取り上げましたように、人権擁護局でアンケートを求められましたね。部落は自己防御の手段としている場合が多い、彼らが部落を形成しているのは自己防御の手段であるのだ。それからまた、部落のいわゆる集団の威力を対外的に、たとえば部落は結束が固い、こういうような形で対外的に集団の威力を表示している。だがら地区外の人たちはそれに恐怖を持ってますます差別を深くしているのが現状だという。これは人権擁護委員の諸君が「その他参考となること」として取り上げているのですけれども、こういう人権擁護委員の考え方というものは、私がいま申し上げて、天埜次官が憲法十四条の趣旨からいっても私と同じような考え方に立って人権擁護局というものがこの問題を取り上げているのだということと、根本的に矛盾をしておる。対立した考え方だ。私らはその意味において、これは誤った考え方だという考えを持っておるのですが、その点については前回も、これは人権擁護局の考えではなくて、人権擁護局が行ないました人権擁護委員の諸君の考えをここに集約したものなのだ、こういう答弁で、事務的にはそれで私はいいかと思うのでありますけれども、人件擁護委員の仕事というものは、前段に申し上げたような立場でこの問題に、取り組まなければならない、取り組むことが任務とされておる人権擁護委員の諸君の中に、それとまるきり対立する、端的な表現をすれば、部落をあたかも暴力団か何かのような集団だというような、ことに集団の威力で対外的にこれを表示するのだ、こういうふうな考え方そのものが私はきわめて間違った考え方だと思うのでありますが、その点についての人権擁護局長なり、天埜政務次官の御見解はいかがですが。
○鈴木(信)政府委員 これは前回も御説明いたしましたし、ただいまの御質問の中にもございましたが、人権擁護委員につきましてアンケートをとったその一つであります。すなわち問題の点のアンケートの発問を読みますと、「同和問題を解消するために基本的には、次のいずれがよいと思うか。」こういう発問で、それに対する答えは1、2、3といたしまして、1は「問題を表面に出して取り上げるより、現状のまゝそっとしておいた方がよい」2は「積極的に問題を取り上げ何らかの対策を考えるべきである。」3といたしまして「その他」こう記載したわけであります。この「その他」に対する回答の一部にこういうことがあったというので、参考となることを記載したのでございますが、これは人権擁護委員の中のごく一部の少数意見であります。内容につきましては、ただいまお説のとおりで、私どもがそのような考え方をとっているというのでは決してないのであります。 なお、御参考までに申し述べますと、大体各地区によりまして意見の差が出ておるのでございまして、問題を積極的に取り上げて対策を講ずべきであるという意見。これは近畿、中国、四国地区に特に多く、ことに近畿地区では大部分の委員がそういう意見を持っております。したがいまして積極的な対策をとる必要はないという意見は、むしろいま申し上げました近畿、中国、四国地区以外の地区にあると思われます。繰り返して申し上げますが、したがいましてこれは一部の委員にそういうふうな意見があるというだけのものであります。
○田中(織)委員 奈良法務局から先般同和対策審議会の教育問題に関する部会の現地調査にあたって提出された資料は――あげ足をとるという考えはございませんが、この記述から見ますると、これは「その他参考となること」ということになっておるのですけれども、いま局長が答弁になったように、少数意見だということについて御説明をされれば別ですが、あるいはこういう考えを持っている者が大部分であるというようなことになればそれこそ大問題だと思う。それは人権擁護委員に値しない諸君の考え方だと言わざるを得ないのでありまするから、ごく少数の者のことだと思うのでありますけれども、これを「その他参考となること」ということで、このごく少数の、明らかに人権擁護委員としては考えるべきでない部落問題に対する誤まった考え方を述べておるものも、「参考となること」という形で、これを記述されるところに人権擁護局がこのアンケートを集約した真意が那辺にあるかということをわれわれは疑わざるを得ないのでありますが、ごく少数の意見だといたしましても、この考え方は間違いだ、人権擁護委員としてはこういう考え方の上で部落問題に対処するということになれば、これは人権擁護委員の任務から逸脱するものだという考えを私は持っているんですが、人権擁護局長はそのようにはお認めになりませんか。
○鈴木(信)政府委員 お説のように、「その他参考となること」といたしまして、このような少数意見をここに記載する必要があるかどうか。これは一つの問題でありまして、必ずしも必要がない、むしろ記載したことは妥当を欠くのではないかというふうに現在では考えております。 それから、このような、委員として不適当ではないかという御意見でございますが、大体全体の委員が率直にどういう考えを持っておられるかということは、一応私どもで承知している必要があろうと思うのであります。ただ、ただいまお示しのように、委員としての考え方につきまして必ずしも適切でないという場合には、今後機会をとらえて、あるいは委員の選出問題として、委員の協議会あるいは連合会というものがございますが、そういう機会になお十分人権擁護局の趣旨を徹底させまして、今後こういった方向に考えている委員があれば、それはぜひ是正していきたい、このように考えております。
○田中(織)委員 私、局長のその答弁では納得はできないのです。あなたも積極的に問題を取り上げて対策を考えるべきであるという意見をもう述べておる。ことに、それは近畿、中国、四国地区に多い。まあ、もちろん比較的なものではありますが、特に多いと書かれておるんです。これらの地区においては、部落問題というものが、非常に大きな社会問題、政治問題として取り上げられておりまするから、人権擁護委員の諸君が、人権擁護委員という立場で、この地区の諸君が、こういうような見解を問答されておるとは、私、思わないのです。これでは、先ほど次官も述べられ、あなたも認められたように、部落問題というものが、封建時代の身分制の遺物であるにしても、今日、法の前に平等であって差別してはならないということをうたっておる憲法の十四条の精神からいたしまして、こういう差別が残っておるということは不都合なことなのです。厳密にいえば、悪法の十四条に違反する犯罪的な行為だとまで私はいわなければならぬと思うのであります。それを部落民がそういうように――これは非常に条件の悪いところへ居住をしなければならぬというところにおきましては、これはやはり、たとえば家を建てる場合の宅地を獲得するとか、あるいは子供のために家を建てるというような場合に、今日ではもう見られませんけれども、宅地を提供して貸してくれるものがおらぬのです。部落の農民の農耕地というものは、一般の農家の平均耕作地所有面積の半分以下なんです。これはどこの地区をあげてもそうなんです。それはかって小作というふうな関係で、部落民には耕作をさせなかった。農村に部落が多いのでありまするけれども、そういうところにやはり――まだ、今日、午前中労働省を中心に質問をいたしましたけれども、失対労働者の多いところでは、八五%までが未解放部落の人です。これは部落の人たちがなまけているから失対でようやく救われているのではないのです。近代的な職業につく、いわゆる就職の機会均等というものが与えられていないから、部落には、漫性的な失業者というものがあるわけなのです。そういうことが、今日、これはもう私は常識だと思うのであります。そういう就職、あるいは家を借りる、宅地を借りる、耕作地を借りる、あらゆるそういう点において、いわゆる封建時代の身分差別のひどい時代にはそういうことは部落民に認められなかった、いわゆる人間外の人間としての扱いをされたということが、具体的には、社会的、文化的、経済的な関係における今日の劣悪な状態を残してきておるのです。だから、これをなくするということをやらない限り差別問題がなくならないということが、今日の行政の諸君が、政府の各省が、いろいろな施策をやる上においても、一般行政の中で、部活の環境改善の問題であるとか、そういうような点について優先的にやることです。たとえば今度の改正失対法の中で、いわゆる失業多発地帯としての未解放部落におきましては、三十五歳という年齢制限をしなくて、四十歳であっても失対の登録は受けられる、こういうような特別な措置を、法の中に入れざるを得ないという点は、そういう歴史性に基づく部落の特殊性、こういう点に立脚しておるのであります。私は、そういうことが今日政府のあらゆる施策の上に貫かれているときに、人権擁護委員ともあろうものが、部落は、やつらがかってに集団をなして、外に対して一種の集団の威力で、外と部落内の者と対決しておるのだ、こういう考え方になっていることは、これは、差別されているのは、おまえらが、極端な言い方で言えば、部落民に生まれたのは、おまえらの因果じゃないか。これは新しい差別と同じことだという結論にならざるを得ないと私は思うのです。かつて和歌山県の田辺地方で、部落民だったため、おまえはえっただ、四つだ、こう言って差別されたことから、青年が憤激をいたしまして、相手を殴打した事件が裁判になったのであります。警察官が、朝鮮人は朝鮮人と言われて何が悪いんだ、おまえら、部落民だから、昔のえったボシだから、えったと言われたのが何が悪いのだ、こういうことを警察官が言うて問題になった。かつて広島の福山市の、これは結婚問題にからむ差別事件でありますけれども、検事の起訴状の中に――これは通称昭和部落という、いわゆる特殊な地区で、一般との交通が遮断をされておるから、尋常一様の手段では部落外の娘さんと結婚することはできないと見て、結局、甘言を弄して女の子を拉致してきて監禁をして、むりやりに同棲をしたのだ、これは不法監禁であり、強姦罪だ、こういうことで、警察の調書もそういうようになっておるのでありまするが、たまたまその事件の、これは営利誘拐罪の問題でありまするけれども、検事の起訴状の中に、そういうことでこの犯罪が起こったのだ、こういうことに起訴状の中にあったことで、これは検察官の非常な差別問題だということで、私どもは最高裁まで争いました。検事は、二回目の公判で、起訴状のその部分を削除をいたしました。ところが、最高検において、検事側から出しました答弁書の中にも、その考え方をつくものがありまして、私どもは、前の検事総長でありまするけれども、検事総長に厳重なる抗議をいたしまして、判決裁判の前に、検事は冒頭に、その部分の訂正をしたという、これは記録もございます。私は、そういう問題は今日、もうそれ以来あとを断ったことだと確信をいたしますけれども、そういうものと同じような形で、部落民というものは、集団を自己防衛の手段としている場合は集団をなしておるのだ、そうして集団の威力で対外的に恐怖心を与えておるから差別があるのだというこの人権擁護委員の考え方というものは、私は根本的に間違っている。部落民をまるきり異民族――かりに異民族であったって、先ほどの田原委員の述べられたように、われわれ今日、すべての人種、民族に対して差別はあってはならないのだ。これは国連の人権宣言の中にも明らかにされている。その人権擁護委員諸君が、部落民が今日のような状態にあるのは、自己防衛の手段としている場合が多く、しかも集団の威力を対外的に発揮して行動するから差別があるのだという考え方は、これは人権擁護委員としてはもちろん間違った考えであり、ある意味から見れば、部落民を差別した考え方というものがこの表現にあらわれている。その意味で、それは間違った考え方だとは思わないがと言われる人権擁護局長の答弁は、こういうま違った考え方の人権擁護委員諸君を擁護することになるので、私はそれは絶対に認めるわけにはいかないと思いますが、いかがですか。
○鈴木(信)政府委員 ちょっと御趣旨がわからないのですが、私は先ほど、ただいまの意見が正しいというふうなことは一言一句も言ったことはないのでありまして、人権擁護局の考えはこれとは全く違うのだということを前回以来、また先ほども申したつもりでありますが、御不満でしょうか。
○田中(織)委員 私は、これは人権擁護局の考え方だとは――たとえば一般的にいえば、局長のあなたの考えだと私は言っているのではないのです。しかし、これはあなたが先ほどから答弁されているように、人権擁護委員の中には、少数意見だけれどもこういう考えを持っている者がアンケートに出ているということは事実でしょう。その人権擁護委員の部落問題に対する考え方というものは、人権擁護委員という立場においても間違っているし、こういうものは、むしろ人権擁護委員がこういう部落問題に対する見方をすることは間違いだといって、改めさせる義務は人権擁護局長に当然あると思うのです。
○鈴木(信)政府委員 そういう意味で私は先ほどから人権擁護委員の教育の問題であり、また機会をとらえてぜひその趣旨を徹底して説明をしよう、こうお答えいたしたつもりです。
○田中(織)委員 あなたは前三回目の答弁では、こういう考えを持っておる人の考えは間違った考え方だということで非難することはできないという意味の発言をしています。それはいずれ速記録が出てまいりますれば別の機会に取り上げますけれども、そういう形で、人権擁護局が所管をしている擁護委員の中に、今日なおこういう間違った考え方を持っている人がおるのでは、人権擁護委員の役を果たせないではないかということを私どもは申し上げておる。勢い、そのためにはあなたがいま御答弁されたように教育をし指導してもらわなければならないと思うのですが、それは間違った考えだということに立たない限りは、私は施策は出てこないと思う。そういう意味で申し上げているのでありますが、あなたが、このアンケートにたまたま出てきた間違った考え方の人をどうも弁護するような答弁があったから、私はくどいようでありますけれども、質問を申し上げておるのであります。 あと人権擁護局に対しましては、前に別の分科会等でも申し上げましたが、昨年の法務委員会でも取り上げた問題でありますけれども、香川県知事の金子君の、いわゆる部落民と日雇いは県庁へ入れない、いわゆる失対打ち切りの問題で県知事と対立した問題があって、そのことを抗議に参りました部落解放同盟や全日自労の諸君ともみ合った直後の問題でありますけれども、かりにそういうできごとがあるにいたしましても、知事ともあろう者が日雇いと部落民は入れないということで、県庁の建物管理規則に基づいて香川県警が出動いたしまして、一々誰何をして、二日間にわたって県庁を閉鎖していたという問題、これは私非常に悪質な、今日人種差別のはなはだしいという南ア連邦においても行なわれておらない問題だということで、擁護局の調査を要請したことについての報告を次に伺いたいと思いますけれども、根本的な問題に触れる政府の施策のあらゆる前提として、私はやはり部落の人が今日社会的、経済的、文化的に低い条件に生活するのはやつらの育ちが悪いのだ、生まれが悪いのだ、そういうような考え方の上では政府の積極的な施策は生まれてこない。これは封建時代の身分制といえば封建時代の政治責任でありますけれども、それを今日政治の上で解決することができないでおるところに差別事件が起こるということになれば、政治の上でこれは解決すべき問題だという観点から、われわれは内閣へ審議会の設置を要求いたしまして、どういうものが出るか、八月にはこの問題解決のための答申案が出ることをわれわれは期待いたしておるのであります。特に人権擁護局の関係は、差別事象として、現象的に出てまいります問題を扱っていただくセクションであるだけに、私はその部落問題の本質に対する理解というものをはっきり持ってもらいたいという意味で申し上げたので、その点は今後の施策の上で十分お考えをいただきたい。 そこで、第二の問題といたしましては、いま伺いました、昨年来の持ち越しになっている案件でございますが、香川の問題について、高松の法務局まで関係者が呼ばれて、調書等を取られた、そういう関係から、これについての結論がすでに出ておると思うのでありますが、この問題に対する人権擁護局の御見解はいかがですか。
○鈴木(信)政府委員 お答えをいたします。 まず調査の経過を申しますと、昭和三十八年、昨年の十二月二十一日に人権擁護局長より高松法務局長に対しまして、本件の立件調査を指示いたしました。高松法務局長はこの指示に従いまして、十二月二十三日に本件を人権侵犯事件として立件した上、本年二月十七日までの間に関係者十一名について事情を聴取したのであります。その結果判明した事実は大体次のとおりであります。 香川県の総評傘下の組合員約二千名が、昭和三十八年十一月二十八日午後一時から高松市玉藻公園におきまして秋闘第三次統一行動を行ない、金子知事に対して団体交渉を行なうためのデモ行動を開始し、約千五百名ぐらいが県庁に押しかけました。県出局ではデモ隊の来庁を予想いたしまして、庁舎内の秩序を維持するために、午後一時三十分に県庁の出入り口を閉鎖いたしました。翌二十九日は、午前十時から県庁のホールにおきまして戦没者の追悼式が行なわれることになっていたので、県庁舎の管理を担当しておりました塩田という管財課長は、前日の状況を考慮して、同日午前九時三十分より守衛室横、中央東出入り口及び県警庁舎北出入り口を除きまして、他の出入り口を閉鎖いたしました。その後しばらくしまして、守衛室横中央東出入り口も閉鎖し、県警庁舎北出入り口のみを使用して、デモ隊の庁舎入室を管財課職員が警察官十名くらいとともに警戒しておりました。ところが当日たまたま午前十時から県議会控え室で全日自労及び解放同盟の幹部と社会党議員団とが話し合うことになっていたため、正面玄関には三百人ないし四百人くらいの人が集まっておりました。そして宮本委員長、南部書記長外一名が午前十時十分ごろ県警の北出入り口に行ったところ、出入り口を警備しておりました県警機動隊員十名くらいの人垣で入庁を阻止されたのであります。機動隊の責任者久保警部に対して南部書記長が、なぜ入れないのかと質問をいたしました。ところが当日は一般的に団体の入庁を阻止していた関係上、県警庁舎北出入り口であっても県の管財課が管理する立場にあったので、管財課の西尾保という主事がこの質問に応じたのであります。そこであらためて宮本委員長は西尾主事に対しまして、一般の人は入っているのにどうして入れないのか、部落民と日雇いは入れないのかと言ったところ、西尾主事は、はいそうです、上司の命令です、こう答えたというのであります。なお同日午前十一時過ぎに大川事務局長らは横山県議に用事がある旨伝えて、守衛長のはからいで庁舎内に入りまして、社会党議員団との話し合いが行なわれた模様であります。以上のような事実を認定することができましたので、はたしてこの事実が差別的言辞を弄したということになるかどうか、これはさらに現在慎重に検討中であります。
○田中(織)委員 官房長官がお見えのようでありますから、私の法務省に対する質問をこれで打ち切りますけれども、この香川県の問題につきまして、人権擁護局が関係者からとられた調書の写しが私の手元にもまいっております。その調書から見まして、やはりいま人権擁護局長から述べられたように、香川県庁が――もちろん労働組合は今日民主的な労働組合として合法的に存在しておるものでございまして、そういう集会を持ちましても、代表者が知事に会見をして抗議なり決議を手交するというのが通例でございます。そういう集会で、多数の者が県庁舎へ来るかもしれないということで県庁を閉鎖する、こういう考え方が許されてしかるべきものかというところに一つの問題がございます。これは部落差別ではございませんけれども、そういう知事及び県庁の建物の管理者の考え方が反民主主義的である、これは考えなければならぬと私は思います。当局のとった態度は、労働者なりあるいは一般人民の人権を広い意味において侵害しておるところの一つの行動だということをいわざるを得ないと思う。それから、問題の翌月の二十九日に至りましても、戦没者の慰霊祭は県庁の裏か何かで行なわれたかもしれません。しかし、前日の騒ぎがあるからといって、県庁を閉鎖するということ自体が、それは県庁の管理規則になっているかもしれませんけれども、香川県には全く民主的な秩序がないかのごとき印象を一般に与えるし、これは県知事の問題だということになるかもしれませんけれども、香川県庁というものは、香川県民のためのもので、必要があれば県民が多数県庁へ出入りすることは当然のことなんです。それを管理規則をたてにとりまして、機動隊を動員して、いま局長が述べられたような情勢の中で、県庁の出入り口を二、三カ所に制限をして、入る者に対して一々、まあ誰何ということばは強過ぎるかもしれませんけれども、確かめなければ入れないというような態度は、暴動か何か起こって戒厳令でもしかれておる事態ならいざ知らず、正常な状態のもとにおいてそういうことが通常のことであると考えられるかどうかということについての人権擁護局長の判断。それから、あなたは、部落民と日雇いは入れないのかということを部落解放同盟か全日自労の代表者が聞いたから、そのとおりだ、これは上から言われたのだと答えた、こう言われたようでありますが、私のところに入ってきている関係では、部落民の側からそういうことを聞いた、なぜ入れないのかという関係からおそらく解放同盟と全日自労の諸君は言ったのではないかと私は類推しているのでありますけれども、解放同盟ということになれば部落民ということになる、全日自労になれば日雇いということになるから、問題は部落民と日雇いを入れないのかという形で押し問答になったのだと私は思うのであります。しかも、いま局長が述べられたように、担当者が上からの指図だということになれば、これは明らかなる差別言動だし、そういうことを上の者が指示をしたというところに、指示した者の責任を追及しなければならぬ問題があると私は思う。その点については、あなたはまだ調査の段階だということでありますけれども、この問題が起こってからもう四カ月近く経過するわけでありますが、私は、この問題はそういう事実の上に立って当時の状況をもう少し精細に調査をして、すみやかに結論を出してもらいたいと思う。そこで、一般的に、二十八日の情勢にいたしましてもあるいは二十九日の問題にいたしましても、そういうことが今日法治国家において一般民衆に対して――それは武器なんか持っているというなら別ですが、県庁がとった態度が、いわゆる人権尊重という法のたてまえから見て正常なことだと人権擁護局長自身がお考えになるかどうか、この点についての見解を伺って法務省に対する質問はこれで一応ストップします。
○鈴木(信)政府委員 県庁あるいは県知事のとられました態度が妥当かどうか、人権侵犯になるかどうかという点になりますと、私どもの職務として、それは当然判断すべきでありますが、妥当かどうかということになりますと、これははたして私どもで判断すべきかどうか、若干疑問があると思いますので、本日お答えすることは差し控えたいと思います。 それからこの侵犯事件につきましては、ただいまのような事実を一応認定したのでありまして、これに基づきまして慎重に考慮いたしまして早急に結論を出したい、かように考えております。
○田中(織)委員 あとの部分はよろしゅうございますが、前の問題が人権侵犯になるかどうかということになれば、私たちは考えなければならぬけれども、妥当かどうかということについてはいまここで判断を述べられない、人権侵犯になるかどうかということの前提として、むしろこういうようなことについて、民主主義の今日妥当なことかどうかということのほうがもっと広い概念だと私は思うのです。したがってこれが妥当ではないということになれば、次に起こった行動の問題は明らかに人権侵犯になるのです。これは正当なことだ、当然行なわれることだということになりますれば、あとの問題はあなたたちの考え方の上から見れば、人権侵犯ではないという結論が出るでしょう。したがって人権侵犯であるかどうかということは、その全体が――人権というものは民主主義の内容なんでしょう。あと官房長官に対する時間もありますから、私はここであなたに議論をする考えはありませんが、人権というものは民主主義の概念の中にあるのですよ。そうじゃありませんか。したがって、多数の労働組合員が香川県庁へ押しかけるかもしれぬ、それをあたかもデモ隊か何か、あるいは暴徒のような関係で県庁を閉ざすということ自体が民主主義下においてあり得べからざることだ、少なくとも正常ではないことだ。正常じゃないことをやるから、そういう人権侵犯というような事件が起こってくるのです。したがって、人権侵犯であるかどうかということを人権擁護局として判断をしなければならぬという観点にあなたが立ちますれば、その事件が起こる状態が正常なものであったかどうかについて、あなたたちがまず判断をしなければ、人権侵犯であるかどうかということの判断がつかないはずなんです。あなたも人権擁護局長になられるからには、もと検事をやられたか裁判官をやられたか、少なくとも法律に通暁しているはずだと私は思う。そんなことは常識じゃないですか、いまの答弁はその意味において私はきわめて不満足です。したがって、あとの当日の事件が人権侵犯になるかどうかということの判断の前に、当日の情勢が正常なものであったかどうかということの判断の上に立って、具体的にその状況のもとに起こった事件が――人権侵犯ということが犯罪になる場合もあるでしょう、犯罪にならない場合があるけれども、人権を侵犯するという軽微なケースもあるのです。しかし、犯罪になる場合だけをあなたたちに取り上げてもらうために、国費をさいて人権擁護局を設けているのじゃないということを人権擁護局長よく考えてもらいたいと思います。この点は答弁を要求しませんが、あとの人権侵犯の事件をあなたたちが判断する上において、私の申し上げている点を十分考えていただきたいという私の希望だけを申し上げておきます。
○田口委員長 官房長官は時間の関係があるそうですから……。 八木一男君。
○八木(一)委員 黒金官房長官に御質問をいたします。 実は池田内閣総理大臣にお伺いすることでございますが、総理大臣がいろいろな都合で御出席が非常に困難な状況であろうと思いますので、副総理もおられませんので、番頭役としての官房長官に伺いたいと思いますから、その意味でお答えを願いたいと思います。 この部落解放の問題、別名が同和問題といわれている問題が前々からずっと国会で審議をされておりましたけれども、最近非常に熱心に審議をされるようになったのは昭和三十二年ごろからでございます。その経過について官房長官は御承知であるかどうか。
○黒金政府委員 総理を補佐いたしますこのほうの担当は総務長官でございまして、私はあまりつまびらかにしておりませんけれども、岸総理のころから非常に御熱心に御論議いただき、また政府もできるだけの力を尽くしてこの問題の解決をいたしましょう、こういう経過、あまり具体的によくは存じませんけれども、そういう経過は存じております。
○八木(一)委員 実は岸内閣当時には非常に政府のほうも熱心に対処をしておられた。予算は少しずつふえておりますが、池田内閣になってから内閣総理大臣自体がこの問題について進んで積極的な気持ちを表明されようということがないわけです。機会をおつくりしようと思っても、いろいろな用事とかなんとかいうことで実現をしておらないわけです。前に池田内閣がつくられましたときに、そのときの官房長官だった大平君にその点についていろいろな団体が話をしたことがございます。大平官房長官の時代には、総理はきょうはおられないけれども、岸内閣と同様以上に熱心に問題を推進するということをはっきりと言明をされたわけでございますが、そのような考え方を内閣全体を通じて引き続き持っておられなければならないと思いますが、持っておられるかどうか。
○黒金政府委員 その当時の池田内閣と同様に一生懸命やってまいるつもりでおります。
○八木(一)委員 実はこの問題について一番原則的なことがこの社会労働委員会で討議されたことがございます。昭和三十二年には社会労働委員会と参議院の予算委員会で、ここにおられる湯山さんが参議院議員のときに取り上げられた、それから当院の社会労働委員会で取り上げられた、この二つが原因になって開設で同和問題を取り上げるということを三十二年の十一月に決定をいたしました。その後この問題について翌年の二月に予算委員会において討議をされ、翌年の三月の十一日に内閣総理大臣との討議が行なわれたわけであります。その当時岸さんでございましたが、岸さんの考え方は、とにかく討議をして委員会で意見の一致を見ましたことは、この問題については徳川時代以後のすべての為政者の責任である、この問題の解決は全国民が責任を持って解決をしなければならない、あらゆる内閣が、いかなる政党の内閣であろうとも、いかなる者が内閣総理になろうとも、この現象を完全に解消するために全力をあげてやらなければならないし、また具体的には従前とられておった環境改善ということだけではいけないので、その根源にある差別からきた貧乏、そして貧乏があるために差別が解消しないという現象を解消するために、生活の根本を立て直す方向についてやっていかなければならない、またいままでやってきた環境改善その他は十分にやっていかなければならないし、同和教育もやっていかなければならない、そういうことについて各省にいろいろな所管が分掌されているので、いろいろばらばらになってはいけないので、内閣自体でそれを推進していく、このほかにそういう問題についての審議会を設けるということで意思統一がされ、さらにそれについては政党の利己心を発揮してはいけない、こういう根本的に人権をじゅうりんされたことを解決するときに、解決の途次において政党が利己心を発揮して、そういうことを自分たちの政党の有利にするようなことで問題の推進を曲げるということがいささかもあってはならないというようなことが言われたわけです。また解決について予算は断じて出し惜しみをしてはならない、審議会において結論が出るまでにわかっておることはどんどんと推進する、また審議会に出たものももちろんどんどん推進するというようなことが、総理大臣の意見として約束をされ、それはこれからの内閣に完全に申し継いでそのとおりにさせるというふうになっているわけです。そういう点について内閣総理大臣がそのとおりもちろん思っておられなければならない責任があるわけでございますが、はっきりと総理大臣自体にお伺いするチャンスがないので、官房長官は責任を持って総理大臣のかわりに、そのように岸内閣時代の申し継ぎをやるということを明確に御答弁願いたい。
○黒金政府委員 八木委員のおっしゃるとおりお考えくだすってけっこうです。
○八木(一)委員 実はきょう解決のためのいろいろな討議がされました。まだ済んでおりませんが、先ほど総務長官に対して質問が行なわれました。総務長官から非常に積極的にいろいろなものをやる意思の表示がされました。総務長官とは別な役目でいられますけれども、総務長官の推進されることが内閣全体で順調に、スムーズに、積極的に、急速に取り上げられるよう御努力になるように、総理大臣にぜひそのことを官房長官からもおっしゃっていただきたいと思います。内容については時間の関係上速記録でごらんになるか、総務長官から伺っていただきたいと思いますが、そのことについての官房長官の御意見を承りたい。
○黒金政府委員 この問題はいろいろと担当省が一ぱいありますので、その連絡、調整、総合と申しますか、それは総務長官のところを中心にしまして各省の仕事が動きやすいように、また今後ともに前進しやすいように総理によく伝えます。御了承願います。
○八木(一)委員 いまの御答弁でなしに、総務長官はもちろん自分の管掌事項として推進をされると思いますが、内閣全体の立場で熱心に取り組むということをさっきお約束をされたわけでございまするが、総務長官からも、あるいはまた各関係大臣からも、その推進について内閣に閣議提起をされると存じますけれども、この問題について内閣総理大臣である池田さんが積極的にそれを推進されるというお気持ちになっていただかなければいけないわけであります。そういうことになられるように総括的に官房長官からそのようになられる責任があるということを総理大臣に明確にお伝えになっていただきたいと思います。それについて……。
○黒金政府委員 よく総理に伝えまして、そのように補佐いたしたいと思います。
○田口委員長 楢崎委員。
○楢崎委員 簡単な質問でございますが、昨年二月二十一日に当社労委員会で、やはり同和問題について各省にわたって質問を申し上げたのですが、昨年の二月二十一日以後、遠からざる期間の間に、当時の徳安長官から黒金長官は問題をお聞きになりましたでしょうか。
○黒金政府委員 非常に窓口が広く、また非常に雑多な問題が耳に入ってまいりますもので、昨年の二月といいますともう一年前のことで、いますぐに記憶を呼び戻すほど私の記憶力はよくございませんので、よく考えましてお答えいたします。
○楢崎委員 私が特にこのことを長官にお尋ねするのは、同和審議会がずっと調査を進めておる。そのときに、昨年の当委員会の質疑の中で調査を拒否いたした県が数県ありました。その中に山形県が入っておりました。調査を拒否した理由は何かとお伺いをしましたら、部落がないから拒否をしたというお答えでございました。 失礼ですが長官の御出身地はどこでしょう。
○黒金政府委員 本籍地は山形県米沢市であります。
○楢崎委員 米沢市に部落があると思われますか、ないと思われますか。
○黒金政府委員 私は不勉強と言われればそれまででございますが、私、郷里におりましてそういう意識は実は持たないのでございます。あるのかとも思いますが、実はそういう問題をはだ身に感じないものでございますから、私が郷里におって同和問題というものを実は意識にのぼせておりません。
○楢崎委員 あなたはいま八木委員の質問に対して、池田内閣としては一生懸命この問題をやると言っておる。意識がないというのはどういう意味ですか。あなたはぬくぬくとした生活をしているから部落のことはわからないかもしれない。いまのお答えは全然無関心だから知らないという意味ですか。
○黒金政府委員 誤解があったようでございますが、私が意識しないというのは、そういう差別観や何かがあるような感じを一度も持ったことがございません。そういう問題は山形県全体とは申しませんが私の郷里だけに関しましては、そういうことが問題になったことはございませんでした、こう申したわけでございます。
○楢崎委員 長官はお感じにならなくても、こういう問題が厳としてあるから、各省で予算を組んで、この同和地区を改善するために未解放部落を解放するための努力を池田内閣もなさっていらっしゃるんですよ。現実にあるんです。だから私はこれを長官にお尋ねをしておるのです。池田内閣はいまも一生懸命やるとおっしゃるが、池田内閣の大きな仕事をなさっていらっしゃる黒金長官の地元に部落があるにもかかわらず、部落はありませんから調査の必要はないというような返答を県がやっておる。だから私は、昨年二月二十一日にこの質問をやったわけです。そうしたら、おそらく黒金長官は御存じないかもしれないから、早速当委員会が済んだらよくお話し申し上げて認識を改めさせますと答弁されたから、私はいまこういう質問をしておるのです。なぜか、いまも与党の委員の方から、もう時間もだいぶんたっておるし、相当聞いておるからもうたいていでいいではなかろうかと言われるが、ごもっともです。お疲れのことと思いますけれども、しかしよくわかっておる――わかっておるということとするということとが別になっておる。毎年こんなに質問するのもちっともよくならないからやっておるのですよ。毎年よくなっておればこういう質問をする必要はないんです。だから私が長官に申し上げたいのは、委員会が開かれて質問をすると善処します、よくわかっております。やりますと言うけれども、徳安長官すら約束を守っていないでしょう、あなた聞いていないでしょう。だからここでいかに政府側が答弁してもここだけの答弁に終わってしまうのです。一事が万事でしょう。私は、簡単な質問になりましたけれども、長官も意識しないからよく存じませんくらいのことではこの問題は前進しません。幾ら池田内閣が何のかんのと言ったって、これは長官もよく考えておってください。米澤市には栄町という百六十戸くらいの部落がございますが、山形県が部落がないという報告を審議会にしたのは間違いです。いいですか、間違いです。あなたの出身地に現にあるのです。よくその辺を認識いただきまして一そうのこの問題に対する御努力をお願いしたいと思います。
○黒金政府委員 私は昨年の二月二十一日に承ったことはないと申しておるのではなくて、記憶がいますぐに取り戻せませんものでそうお答えしたわけで、徳安さんの名誉のためにその点ははっきりさせておきたいと思います。
○楢崎委員 それでは大事な問題であるから忘れないようにしてください。
○黒金政府委員 はい。なお私不勉強ではなはだ恐縮でございますが、栄町という町のあることは事実であります。ただそういう大きな差別観があるような印象を私どもはあまり得ておりませんで、私のほうでもずいぶん親しくしておりますが、そう特に問題があるような感じもいたしておりません。したがいましてあまり意識にのぼっておらなかったということを御答弁申し上げたのでありますが、なお私の不勉強の点もあるといけませんからよく実情を調査いたします。
○田中(織)委員 建設省の政府委員の方にお見えいただいておるので伺いますが、この間総理府のほうからいただいた同和対策関係各省予算調書というのによりますと、建設省関係は十億一千三百万いうことになっておるのですが、それの内訳は一体どういうことになりましょうか。これはたぶん住宅関係で、公営住宅関係と住宅地区改良費の二つ、あるいはそのほかに都市計画関係で下水関係など具体的に入っておるかもわかりませんが……
○尚説明員 まず住宅についてお答え申し上げます。 住宅関係の同和対策の三十九年度の予算は、公営住宅を六百二十七戸、この事業費三億一千七百七十四方ばかりになっております。それから住宅地区改良の戸数が千三十四戸で事業費が九億七千百六十万余りになります。合わせて、戸数にいたしまして千六百六十一戸、十二億八千九百万余りになります。これに伴います補助額は八億四千九百八十万になる予定になっております。
○田中(織)委員 そうすると、過日社会党の特別委員会のほうに出していただいた資料の関係で、建設省関係は十億一千三百万ということになっておりますが、それと八億四千九百八十万との差額はほかの関係の費目で出ておると了解してよろしいのですか。それは何でしょう。
○松永(勇)政府委員 その差額はほかの建設省の都市関係の予算になっておりますが、各省の予算すべて各省から出していただきましたので、都市局のほうから説明していただきます。
○井上説明員 都市局関係の都市計画事業及び下水道事業についてお答えいたします。 昭和三十九年度の事業につきましては、現在事業主体別に確定はいたしておりませんが、下水道事業としまして事業費で八千七百六十万円、国費で二千九百二十万円、区画整理事業は事業費で一億九千五百万円、国費で一億三千万円、街路事業は事業費で四百五十万円、国費で三百万円ほど一応予定しております。
○田中(織)委員 そうすると、下水道関係、区画整理の関係それぞれ対象地区の数はどのくらいになっていますか。
○井上説明員 下水道事業につきましては、昭和三十八年度は三カ所やっておりましたが一カ所完了いたしまして、継続、工事地区それから新規に三地区を予定しております。それから区画整理事業につきましては二地区、街路事業につきましては二地区、以上を予定しております。
○田中(織)委員 これはいわゆるモデル地区の関係ですか、それ以外の一般地区、未解放部落を対象にしていますか、いかがです。
○井上説明員 モデル地区もございますし、モデル地区でない一般の同和地区もございます。
○田中(織)委員 モデル地区の問題については、後ほど自治省関係にもちょっと伺いたいと思うのでありますが、モデル地区というのは、これは与党の方針でもありますけれども、これは年間大体十カ所内外じゃないかと思うのでありますが、その地区にかなりの予算を集中をしてその地区がよくなることはけっこうなことだと思うのでありますが、そういたしますと、他の関係地区との間の格差がこれまたひどくなると思うのでございます。そういう点から見て、モデル地区政策というものに対する一般関係地区からの批判も出てまいりますので、これは内閣の審議会のほうでも、特に環境改善部会のほうで具体的な施策として調査の結果に基づいて出していただかなければならないことになると思うのでありますが、私は特にいま下水の関係だけを申し上げるのでありますが、下水の関係あるいは区画整理の関係、街路事業の関係、こういうような関係のものについては建設省は建設省なりにやはり審議会、内閣で調べた部落の実態調査、あるいは部落のいろいろな要求に基づいて、それを今後何年計画かで解消していくというような計画を当然立てていただかなければならぬと思うのでありますが、そういうことまで都市計画局のほうでお考えになっておるのか。住宅関係の問題につきましても、不良住宅の非常に密集しておる地区という点から見まして、同和対策の住宅関係予算ということで、公営住宅、住宅地区改良費を特別にこの地区に一定の予算のワクを確保して進めていただいておるわけですが、住宅局関係においても、あるいは都市計画局関係におきましても、そういうようなことを建設省自体として、建設省の所管の問題をどういうように五年なり十年なりの計画で解消していくというような計画を立てる必要がある、こういうようなことをお考えになっておるかどうか、今後考えていかれる御意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○井上説明員 お答えいたします。 同和対策については、政府においては内閣のほうが中心になりましてやっておるのでございまして、私どもも内閣の方針にのっとりまして関係府県あるいは市町村に連絡いたしまして、地方公共団体から要望のあった分については従来できるだけ対策を立てておるということでございます。実際国庫補助をつけます場合にも、たとえば街路事業ですと、一般の事業をいたします場合には幹線交通街路としての幅員は十一メートル以上でなければ国庫補助の対象にしないということにいたしておりますが、同和地区については、幅員を八メートルまで下げまして、地方公共団体が実施しやすいようにやっております。また下水道につきましても、下水道の幅員は大体一メートル以上を国庫補助の対象にしておりますが、同和地区については五十センチ以上を国庫補助の対象として公共団体が事業の実施をしやすいようにやっておるわけでございます。いま御意見のございました、建設省として長期計画をつくってこれを推進していくという点につきましては、建設省のみで同和対策がやり得るわけではございませんので、関係省あるいは住宅局の住宅対策と合わせまして、そういう点につきましては今後とも検討いたしたいと思います。
○田中(織)委員 特に同和地区の実情に応じて、道路の幅員でも、あるいは下水溝の幅の問題についても特別な考慮を払っているという点は理解できますが、御承知のように内閣の審議会には次官、それから関係の局長が幹事としてそれぞれ出ておられるわけです。それでこれの答申案が審議会の存続期間一ぱいの八月に提出されるということで、いまぼちぼち、きょうの総会あたりで起草委員会が持たれたのではないかと私は推察するのです。その場合には民間の関係の人で起草するということではなくて、各部会ごとにそれぞれ答申がまとまるわけなのですけれども、その答申案の中に、建設省は建設省としての所管事項についての、今後十年なら十年、五年なら五年、あるいはそういう年限を入れなくても、これだけの仕事は建設省の関係ではやらなければならぬという、やはり部落の実態を踏まえた点から見た青写真というか、そういうようなものを答申案につけて答申案がまとまりますように、建設省からこの審議会の委員になっておる次官が当然出さなければならぬ。これは単に建設省だけではないのであります。文部省関係においても、あるいは自治省の関係においても、また通産省の関係においても、すべての省で、九人でありますか、次官が委員として参加している役所は私はそうしなければ――日本の国の政治の上で未解決な問題で一番恥さらしな問題がこの部落問題だと思うのです。そういう意味で、特に建設省の関係でそういうものを答申の中に盛り込む意味においても、まとめてもらいたいという私は強い希望を持っておるのですが、そういう方向へ向いてお考えいただくわけにはまいりませんか。
○井上説明員 ただいまの田中先生の御意見につきしては、私どもといたしましては同和対策については従来からも関心を持ちまして、関係公共団体の意見を十分聞きまして実施しておりますが、これにつきまして建設省のみが、あるいは建設省から特別に働きかけて、全体の長期計画をまとめていくようにするといったようなことではなくして、やはり審議会の一メンバーとしまして、同和対策審議会の方針に即しまして、この仕事に協力していきたい、かように思います。
○田中(織)委員 責任ある御答弁を求めるのも、せめて政務次官に出ていただけば別でありますが、無理だと思います。しかしこれは、私のほうの関係から出ておる部落対策委員等から、委員である各省の次官にそういう要請が出ていると思うのです。問題は局所的に、部分的にやっているというようなことでは、こう薬ばりで、これは根本的な解決にはならないのです。したがって、現在一般行政で取り上げている面で、とにかくこれが前進をさせられる体制を、今度審議会ができて国の方針がきまるその答申案の中にうんと盛り込んでもらいたいということでございます。建設省だけに特にそういうことをやれというのではなくて、いま文部政務次官も、自治省の政務次官も、農林政務次官も、それぞれお見えいただいているわけですが、各省にも当然、事務次官が委員として出ていれば、各省がこの問題とどう取り組んでおるか、また今後どう取り組むかということについてのものをまとめて、やはりそれを答申案に盛られるべき責任がある。私はこういう意味で申し上げておるのであって、この点はいずれ他の同僚諸君から、農林関係、文部関係はそれぞれ次官にお答えをお願いすることだと思うのでありますが、建設省の関係は、そういう点が田中委員からたっての要請として出てきたということを、やはり大臣なり、次官なり、あるいは省議に持ち出していただくことを私は希望したいと思います。 そこで、建設省関係にもう一点伺いますが、住宅関係に戻りまして、公営住宅建設費の関係で、事業費、事業量の面ともにでありますが、二種の木造が戸数にして七十一戸これは減少いたしておるのですね。金額にして千六百六十三万円でありますか、したがって補助額が千百万余り減っておるのであります。それから二種の簡易、これは平家住宅の意味だろうと思うのでありますが、その関係は三十八年度に比べまして百五十三戸ふえておるわけであります。この場合に、二種木造といま申し上げた分とも、単価の点で、最近労賃その他資材費の高騰等との関係でどの程度値上がり分を見込まれておりますか、特に二種木造が戸数、事業費ともに減少をしたのは一体どういう理由か、この点をお伺いしたいと思います。
○尚説明員 まず、木造住宅が減りましたことをお答えしますが、公営住宅全般といたしまして、住宅の不燃化、堅牢化を政策としてとっておりますので、全般的に木造住宅を減らす方向をとっております。したがいまして今回の同和関係のほうにも、都道府県と打ち合わせた結果、これが減ってまいった次第でございます。それから工事費につきましては、昨年に比べ、木造、ブロック造の簡耐平家建てともに六%程度引き上げております。また用地費につきましては一四・五%程度引き上げております。
○田中(織)委員 本年度そういうことで不燃化その他を促進するために戸数が減ったということでありますが、部落の住宅事情というものは、この程度のことでは百年河清を持つにひとしいような状態でございまするのでこの点については特に三十九年度はそういう意味で私どもは予算にきわめて不満であります。したがいましてこの予算に対する態度は、予算案全体に対する態度で決定されると思うのでありますが、特に今後補正予算等の時期にはやはり何といっても建設戸数をふやしていただくことが住宅事情改善のかぎだと思いまするので、格段の考慮を願いたいということを申し上げたい。 それから最後にもう一点伺いますが、これは先般、昨年の暮れでございましたか、全国の代表者会議で従来遷延をいたしておりますことの実施を要請に参りましたときにお願いしたのでありますが、これは厚生省との関係も出てくると思うのでありますが、住宅の改造関係の、これは融資の問題あるいは補助の関係になろうかと思うのでありますが、その関係は本年度どこまで実現を見たのでしょうか、おわかりであればお知らせいただきたいと思います。
○尚説明員 住宅金融公庫にかかわる改修資金の融資でございますが、実はこれは三十八年度に融資の道が開けまして、八千件の融資を始めたのでございます。三十九年これを画期的に引き上げる予定でおりましたのですが、財政の都合等ございまして昨年と同様八千件で、ただし融資の額が若干引き上げられました。非常に改善されたのでございます。事業の量としてふやすことはちょっとできなかった次第でございます。 〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
○田中(織)委員 三十八年度の八千件の貸し出し、これは住宅金融公庫に聞くことかもわかりませんけれども、大体その融資の貸し出し状況というようなものはどうでしょうか。
○尚説明員 住宅金融公庫の八千件につきましては主として農村地区の住宅改善に引き充てられたのでありますが、これは滞りなく予算は消化される見込みになっております。
○田中(織)委員 特にこの点については融資だけでなくて、特に同和地区の関係等においては改修によって住居の条件を変えるという意味において、局所的な対策でありますけれども、かなりの意義を持っておりまするので、改修一件当たりの単価、融資額が引き上げられたということでありますが、それについては突き進んで、利子補給の形でもいいと思うのでありますが、――改修資金に補助もいかがかと思うのでありますけれども、そういうようなことについて考えていただく余地はございましょうか。
○尚説明員 改修資金は御承知のように、いま申しましたように三十八年度から始めたものでございますが、住宅局といたしましては住宅政策の一環として家を、大事な財産を維持するということが非常に重要なことと考えておりまして、今後この予算を極力発展させたいというふうな方向で考えておる次第でございます。今後一そう努力いたしたいと思っております。
○田中(正)委員長代理 八木一男君。
○八木(一)委員 厚生大臣に御質問申し上げたいと思います。 長らくお待たせしました。またほかの官庁の方もお待たせしていますので、一番根本の問題について中心的にお伺いをして、あとまた委員会以外のところでお話をいたしたいと思います。 三点ございますが、厚生省のほうでは環境改善関係についていろいろのことをいま実施しておられます。それがまだ非常に不十分で全般的に十分に行き渡っておりませんけれどもそれを十分に行き渡らせるだけの予算を出していただかなければならないと思います。その実施上のことについて特にお伺いをしたいのですが、いろいろのものについて二分の一なり三分の一なり国庫負担がついております。国庫負担がついて、さらに残りを市町村が出すというようなこと、あるいは部分的に府県が出すということになっているわけでございます。そこでこの環境改善を要するような未解放部落のたくさんある地区においては、固まっているところが多うございますから、その一部分の市町村の負担が非常に困難である。したがって地元負担にかけてくることが多いという現象がございます。ただでさえ貧困なところで、施設はつくってもらっても地元負担があればこれは非常に困った問題になるわけです。またそれを市町村の経費から相当出すとなると、ほかの予算との競合が起こりまして、未解放部落だけその予算がいくじゃないかということで、当たらない不安が起こって、またそれが非常にまずいことが起こる。したがって施設なり何なりを完成するだけの完全なものが、ほんとうを言えば国で全部まかなわれなければならない。また予算をきめるときに、ほんとうに工事を施行できるだけの単価が定まっておりません。したがって予算上ではかなり措置をしているつもりでも、実際に建てるときには土地の買収なり建設費がそれ以上かかるから、実際にはできませんから、そういうことで市町村負担なり地元負担ということが起こり、苦しみが起こったり悩みが起こったりすることになるわけです。厚生大臣はこの問題を進められるについて、国庫負担の率を十分にする、それから単価をほんとうに建てられるだけの建設費あるいは土地の買収費をほんとうに実情に即したものに引き上げられるというようにしていただかないと、仏つくって魂入れずというようなことが起こるわけです。ですからそうでなしに、単価をほんとうに具体的なものにする。国庫負担の率をさらに上げていく。予算総額、いろいろなことをやることもふやしていくということで取っ組んでいただかなければならないと思いますが、総括的に厚生大臣に御答弁をいただきたいと思います。
○小林国務大臣 ただいまの御指摘のような事態が相当ございます。地元負担が非常に困難だ、こういう実情もよくわかります。また単価が不十分だということもこれはそのとおりでありまして、単価の問題はことしは多少訂正をいたしましたが、他のいろいろの政府関係の建設事業の関係もあって、なかなか思うようにいかない。しかしこれは政府としても十分反省をしなければならぬ問題である、こういうことで、単価の問題または地元負担にならぬように、こういうことはひとつ十分配意をして予算を組みたい、これからも考えたいと思います。
○八木(一)委員 実はこれは大正年間に、環境改善の問題で政府が施策をしたことがございます。戦争が始まって中断をいたしましたけれども、そのときに十か年計画で五千万円という計画があったことがあります。一カ年にして五百万円、約千倍になっていると思いますから、五十億円ぐらいになるわけです。戦前において環境改称にそれだけの予算を組んでいる。それに比してこの部落対策を非常に積極的に推進するはずの時代になってから、厚生省の環境改善だけの費用でも、その前の環境改善だけの予算に比して非常に少ないわけです。ですから厚生大臣としては、環境改善に対する仕事をふやす、質をよくする。それに対する国庫負担率をよくする、また単価を実際のものにする、そういうすべてのことについてぐんぐんと推進をしていただかなければならぬと思う。本年度わずかにふえておりますけれども、それをもっと強力にふやすというような御決意をひとつ伺いたいと思います。
○小林国務大臣 これはまあ御承知と思いますが、毎年ふえておる、また三十九年度も大体一億近くのものがふえているということは御承知のとおりでありまして、私もふえ方は少ない、こういうふうに思いますので、できるだけお話のような方向で進めたい、かように考えております。
○八木(一)委員 環境改善が一つの柱であると同時に、厚生省では社会局の関係、その他所得保障の関係、医療保障の関係が非常に重大な関係があるわけです。この部落解放の問題は、前から環境改善をすることだけが行なわれてきたけれども、それ以外に、ほんとうに自立することに必要な生産手段の問題が一番根源であり、それがまだいっていない事態において社会保障の問題がその次に大事なものであるということになるわけです。いままでいろいろの防貧対策がされていない。就職その他の状態がうまくいっていないし、自営業者の対策がうまくいっていないので、非常に貧困な状態があります。現存すぐそれに対処するものとしては、生活保護の諸制度あるいはまた福祉年金、その他即時救貧できる制度、そういうものがあるわけです。そういうものが非常に乏しい状態であって、生活保護については、当然健康で文化的なものにならなければならないのに、残念ながらその状態でございません。そういう問題は一般的にもちろん進めなければならぬ問題でございますが、この部落解放の問題についても特にお考えになって、生活保護の問題をぐんと質量ともに推進するようにしていただかなければならぬと思いますし、実際的に生活保護を受けることの多い部落の多い地区において、その問題が順調にいくように、予算上もその他のこともあらゆる配慮をしていただく必要があろうかと思います。そういう問題が一つ。 それから、たとえば国民健康保険なり日雇い労働者健康保険なり、あるいは五人未満の事業所の社会保険の問題なり、こういう問題も非常に関係が深いわけです。そういう問題を一般的に解決するとともに、この部落問題解決の一助として、その意味を込めて、さらに強力に、そういう非常に条件の悪い人たちに対する社会保険の問題を推進していただくということが必要であろうと思います。 生活保護の問題あるいは一般の社会福祉の問題あるいは福祉年金の問題あるいはまたその他の医療関係の社会保険の問題、そういう問題について、ぜひ強力に進めていただきたい。またその他の新しい問題についても進めていただきたいと思いますが、これについての厚生大臣の御決心のほどをお伺いいたします。
○小林国務大臣 御案内のように、生活保護の比率も非常に高い。ただ問題は、保護基準引き上げということについても非常に重大な関係のあることはおっしゃるとおりでありまして、これらも、私ども一般的にいいましてもきわめて不十分である、こういうふうに考えております。またいまの日雇い健康保険など、これらはぜひこの次の機会に改訂したいと考えております。それから五人米満の事業所等につきましても、近い将来、どうしても強制的にこれを包含するということも考えなければならない、こういうふうに考えます。また医療扶助とか教育扶助とかについても、十分な配慮をしたい、かように考えております。
○八木(一)委員 最後に一問。この部落問題については内閣全体でやられなければなりませんが、特にその問題のもとになったのは、社会労働委会においてその問題の論議が出てきて、厚生大臣との質疑応答から発展をしたわけであります。諸官庁にわたって内閣全体で取り組まなければなりませんけれども、一番その関係の深い厚生大臣が全体の部落問題についての解決の推進について強力に努力をしていただきたいと思いますが、その強い御決心を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。
○小林国務大臣 お話のように、私どももこの問題を推進する母体くらいな強い気持ちで続けて当たりたい、かように考えております。
○田中(正)委員長代理 湯山勇君。
○湯山委員 たいへんおそくなりまして失礼いたしましたが、最初審議室長に簡単にお尋ねして、それから文部省、自治省、農林省の順序で残りをお尋ねいたしたいと思います。なるべく簡単にするために、質問は本来分けてお尋ねすることを、まとめて項目をずっと並べてお尋ねすることが多いと思いますから、お許しいただきたいと思います。 これは本来総務長官にお尋ねすべき問題であったと思いますけれども、室長からよくお伝えを願いたいと思いますし、また御所見をお述べいただいて、責任をもって実施願いたいと思います。 その一つは、いまのように審議会でいろいろな調査等をなさっていく。ところが府県から上がってくるものは実態がよくわからないで、野本専門委員が行ってようやく実態が判明したというようなこともございます。そういうことをやっているし、各省庁を調整していくためには現在の審議室のこの関係のスタッフでは足りないのではないか、従来の野海参事官あるいはいまの北川参事官その他審議室の人はずいぶん努力なさっておりますけれども、しかしこれだけ重要な各省にわたる大きい問題をかかえて現在のスタッフだけではできないのではないか、それでは無理があるのではないかということを痛感いたしております。そこで、それをさらに強化していかなければならないと思いますが、その御意思がおありになるかどうか。 さらにまた、この調査の補完をしていかなければ、今朝来の質問によって現在のままでは足りないということも明らかになってまいりました。ところが来年度の予算を見ますと、調査の予算は全くなくなっております。これは事務処理の経費だけにとどまっておって調査のための予算というものはゼロになっておるわけですが、これではたしてできるかどうか、調査費が要る場合の支出について考慮しておられるかどうか、これが第二点です。 それから第三点は、農林省のほうからの、同和対策に対しての十年計画ですか、三十九年から四十四年までの資料がありますけれども、その中にいろいろな対象戸数は五万三千戸というのが出ておりますが、それはこの審議室のいまの調査と連絡をとってやっておるのか、農林省だけでやっておるのか、そういう連絡があったかどうか、この三点だけお尋ねいたしたいと思います。
○松永(勇)政府委員 まず第一点の人員の増でございますが、実は、審議室としては全体で約五十名ばかりの人間がございます。しかしこれは内閣審議室及び総理府の審議室と両方兼務になっておりまして、全体の総合調整ということをいたしております。私たちは今後この人員を増加するということにつきましては、少なくとも来年度は五名増員ということにいたしております。予算でさように出しておりますけれども、これは対外経済の関係で実は五名増ということになっておりますが、同和関係では出ておりません。現段階におきましてはこれでやっていく覚悟でおります。もちろんそういう私のほうの仕事の都合から申しますと、人を多くほしいというような要望もございますけれども、内閣審議室として行なう仕事とそれから各省で行なう仕事、そういうものの連携を密にいたしましてこれで十分やっていけるだろうと思います。なお、審議会としまして本年の三月三十一日で三つばかりの審議会が廃止になると思います。そういうことで上がってくる余剰の人員というものも含めまして十分やっていけると考えております。 それから第二点の調査費の関係でございますが、三十九年度の予算におきましては調査費は計上いたしておりません。総額で審議会の経費は百七十三万四千円、前年度が四百六十七万六千円ということで非常に減ったことになっております。しかし審議会の経費だけを見ますと、前年が百三十八万一千円、三十九年度が百七十三万四千というように非常にふえております。しかもこの期間が前年は一年間の経費でございますが、三十九年度は八月までの五カ月予算でございます。それを比べますと非常にふやしていただいておるのでございます。調査につきましては、大体三十八年度までにその調査を終わるという計画で、現在その最終の調査をいたしておる次第でございます。この調査個所その他まだ若干少ないではないかというような御意見もあろうかと思いますが、基本的な対策答申案をつくる面におきましては、一応この程度でやれるのじゃないかというふうに私たちも考えておる次第でございます。 第三点の農林省の調査十カ年計画というものは、これは審議室でつくった十カ年計画ということではなくて、農林省でやっております。もちろん今後審議会の答申次第によって、この農林省の十カ年計画をどう扱うかということは、当然関係各省と協議しなければならないような段階になるだろうと思います。
○湯山委員 いまの問題は室長だからそれだけしか言えないのかもしれませんけれども、そういうことではないと思うのです。いまほかからの振りかわりもあるということならば、それを確保してやりますということでなければ、予算のところで今度審議会の経費だけふえたがこれを使うスタッフは変わらないということでは、そのことだけでも矛盾があるわけです。そこで室長としては、総務長行と御相談になって、ほかからかわってくるのがあればそれを確保してやりますとはっきりおっしゃらなければならないと思うのです。そうでなければいまのあとの予算の説明とも一体になってこないわけだから、それをひとつはっきりさせていただくことと、予算についてはいまの審議会経費がふえていることはそのとおりです。しかし調査の費用というのはゼロですね。そうすると、今後三十九年度になって実際には起草段階等についての調査というものはできない。ところが先ほど来いろいろお話しにあったように、まだ調査の出ていない府県もあるし、それらについては正確かどうかということを再調査する必要も出てくるのじゃありませんか。そのときにこのままじゃ調査できない。これでは困るわけで、そこでその場合の調査はこうしてやりますという御答弁がなければ、これも審議会の機能を果たすことにならないと思います。第三点はいずれにしても農林省はその調査の結論が出れば再検討するということでけっこうですから、最初の二点についてはもう少しはっきりおっしゃっていただかなければならないと思います。もう一度お願いします。
○松永(勇)政府委員 第一点の人員につきましては、私のほうで全体の審議会もたくさんございますし、それから審議会以外の審議室の仕事をいたしておりますが、全体を見まして私が適当と思えば、その繁閑を考えましてそのほうに人を移すと総務長官にも申し上げますが、もちろんそういうことを考慮いたしたいと思っております。 第二点の調査費につきましては、実は現に同和審議会の総会が開かれておりまして、答申案をつくる現段階に至っております。すでにその答申案をつくる態勢に入らなければならないという議論が現在出ております。しかしながら調査につきまして、なお補完すべきような調査事項があるのをほおっておくという趣旨ではございません。ただ昨年まで行なったような大々的な調査をこれから始めましたのでは、集計その他から申しましても答申には間に合わない。しかしすでに手をつけました調査についてなお補完的な調査をやらなければならないという事例が今後出てくることは、ある程度予想できないことはないと思います。そういうものにつきましては、現三十八年度予算及び三十九年度予算で調査費という項目では出ておりませんでも、旅費、庁費その他のものによって補完的なものはできるだろうということで、審議会からそういう要望があれば私のほうで十分考えたいと思っております。
○湯山委員 あとの場合、これはそういう必要があれはこの中の操作でも足りない場合もできると思います。たとえば職員の旅費なんか三万六千円しか組んでないわけです。これで補完調査ができるかどうか。いま言われたような意味の解釈をとれば私はできないと思います。そうするればどうせ予備費等からの使用ということも考えなければならぬということになりますが、そういう場合にはそういうこともしなければならなぬと考えておられますか。
○松永(勇)政府委員 職員旅費については三万六千円、そのとおりでございます。従来この調査には専門委員に当たっていただいておりますが、専門委員の旅費は委員等旅費で七十八万六千円入っておりますので、専門委員あるいは職員旅費等を使って十分やっていけるというふうに思っております。
○湯山委員 これは今後の推移を見て、もし足りないような事態があれば直接お話をして解決をしてまいりたいと思いますから、総理府の審議室長に対するお尋ねはこれで終わります。 次に文部省のほうにお尋ねしますが、最初に政務次官にお尋ねいたしたい。これも幾つかの項目を一つにしてまとめてお尋ねいたします。 それは一体文部省のほうで同和教育ということについてどういうことをしていこうと考えておられるかということなんです。今日まで長い年月を費やしてやってこられたことは、多くは研究会をやる、あるいは協議会を開く、そういうことが教育面においては大体中心になってきたように思います。そこでいろいろな結論が出ると思うのですが、その出た結論がどういうふうに実施されてどうなっていったということが具体的に出てこない。したがってせっかくやってきたことがどれだけ効果があったという効果の把握もきわめて困難ではないかと思います。たとえば、連絡協議会等を開いてそこでそれぞれ意見を出す、あるいは同和教育の研究会をやってそこから結論めいたものが出てくる。そういう中から、たとえば教育の機会均等あるいは文化水準の向上ということが出てくれば、端的にそれを重点的に文部省が予算をつぎ込んで、機会均等をはかっていくためには、そのための育英資金なり奨学資金なりもうんとふやしていく、あるいは文化水準の向上のためには、たとえば図書館とかそういったものや、図書の充実、あるいはよく言われております幼児教育が必要だということならば、同和地区、未解放部落に対して特に優先的に幼稚園を設置していく、こういったような具体的な施策が、非常に残念だけれども文部省の従来の行き方の中からは出てきていないわけです。こういうことをこの際もっと端的に、こういう研究会、協議会という集まりをして話し合うことだけではなくて、それらのものも実行に移していく強力な施策がもう打ち出されなければならない段階ではないかというように考えますが、それらを総括して政務次官の御答弁をいただきたいと思います。
○八木政府委員 文部省関係の同和教育ということになりますと、考え方が二つあろうかと思います。一つは教育水準の向上という見地から取り組む姿勢、それからもう一つは偏見を修正するような、いわゆるいわれなき差別の撤廃をするための対策、こういうふうに考えていかなければならなぬ問題だと思うのであります。 そこで一つには、文部省で同和教育の教育内容をどのようにするかということが一点ございます。これは実はいま湯山さんがお触れにならなかったのですけれども、これをどういう姿勢で取り組んでいくかということが一番むずかしい課題であるのではないかと思うのであります。いままでのところ、同和教育というものは、地域の特殊性といいますか、そういうものによってそれぞれの地域で適切なる指導をするということで、画一的な指導というものをいたしていないというのが、現状でございます。このことについては、現在の、この対策審議会におきましても一番論議のあるところでございますので、われわれはその対策審議会の結論を待って、より前進した姿勢で取り組んでまいるようにいたさなければならぬと思っております。 それからもう一つは、教育水準の維持、向上をはかっていくという意味の中から、教育環境をどのように整備していくかという、湯山さんのお聞きになったのは主としてこの見地に立ってのお話であったと思いますが、このことについては、昭和三十四年の同和問題閣僚懇談会の対策要綱に基づいて、年年年々予算をつけながら、具体的に湯山さん指摘いたしましたように、ただ団体の育成だとか、集会の開催であるとか、指導者の研修であるとか、あるいは研究施設の設置であるとかいったようなことで、その結果というものはまだ具体的な施策の中に生かされていないじゃないかというお話でございます。確かにそこから得ました施設の改善、設備の充実あるいは育英奨学の問題等々、まだまだ未解決の問題がたくさんあるわけでございますので、われわれはこれらの集会によって得た結論あるいはこの研究によって得た方向というものを十分尊重しながら、具体的にこの問題に取り組むようにしむけてまいりたい、そういう姿勢でやっております。しかし率直なところ、本年もかなり予算がついたようでございますけれども、まだ十分じゃございませんので、これから後も努力を払って所期の目的を達成するために努力をいたしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○湯山委員 率直な御表明がございましたので、これはぜひそういうかまえにかえていただきたいと思います。 それから今度お尋ねしようと思ったのは、いま政務次官の言われた教育内容、これは社会教育、学校教育を通じての教育内容の問題でございます。これも政務次官おっしゃったように、むずかしいということもよくわかります。それから政務次官のおっしゃったように、それはそれぞれの地域の特殊性があるのだから、地域に即した適切な内容を持っていかなければならない、これは正しいと思います。ところが、政務次官は御就任になってまだ長くないからでしょうけれども、実は文部省がやっておるこういう協議会なり研究会というものは、いま政務次官の言われたように、地域の実態に即して適切に行なわれていない。ここに非常に問題があるのです。それはたとえばどういうことかと申しますと、齋藤局長の社会教育関係の研究協議会は、五地区で一地区四日というようなことでやられております。それから同和教育指導者の研修というのは、せっかく今度予算がつくのですけれども、一県一地区というように、県単位でそれぞれの地域に応じた適切なという条件とは若干違っておるように思います。それから学校教育関係では連絡協議会、これも二地区ありますが、全国をこんなふうに集めてやっておる。従来は全国を一カ所に集めてやっておったと思います。こういう形でそこからは具体的なものが出てきにくい状態にあるし、それからそれぞれの地域に適切な結論が出るのではなくて、何と申しますか、むしろ表面をなでて通る。出てくる人も、実際に同和教育に取り組んで苦労しておる現場の人ではなくて、指導主事とか社会教育主事とか、むしろ役目柄やむを得ず出てくるという人たちがこれらの会には出てきておる傾向が従来強うございました。そこで、このことは昨年もそういうことにならないようにということを申し上げて若干の改善は見られました。従来は、現場の先生等はもうほとんど入れられなかったし、それからそういう部落の運動をやっておる人、ほんとうにそういう問題を考えておる人は傍聴もさせてもらえなかった。こういう体制だけは直ってきたようですけれども、お示しをいただいた予算項目、やり方というものから見ますと、実際には、いま政務次官が言われたように、そういうむずかしい問題と具体的に取り組んでいくというかまえがまだ見られないというように感じます。そこで、そういうことについて、もっとほんとうに具体的に、地域に適切な、現場に合ったような、社会教育にしても学校教育にしても、そういう体制の研究会あるいは協議会というものを持っていく方向へ、これは非常にむずかしいと思いますけれども、さらに取り組んでいかなければならない問題ですから、そういう努力を今後全力をあげてやっていただかなければならないと思うのですが、それについてどのようにお考えでしょうか。
○八木政府委員 いま御指摘のありましたように、現状においては、社会教育主事なりあるいは指導主事なりといったような方々がやっておるという実態、そこからは十分な成果があがりにくいという点の御指摘だったと思うのでありますが、それらの方々がすべてそうではないと思いますけれども、実際には、やはり専任でやる人と比べればほかにたくさんの仕事を持っておるだけに、そういう点が非常に言われるのではないか。同和教育の専任の指導者養成、そういうことは絶対に私は必要だと思いますし、本年度の予算要求のときもそういう見地に立って要求をいたしたわけでありますが、まだ十分な御理解をいただくところまでいっておりませんが、ぜひそういう見地に立ってこれからも大蔵省等と折衝いたしますし、努力をいたしてまいりたい、こういうように考えております。
○湯山委員 それでこの際、そのことについて御要望申し上げたいことは、それぞれの地域において、実際に学校教育の面でも同和教育と真剣に取り組んでおる人が相当数ございます。これは政務次官もよく御存じのとおりで、それからまたこの社会教育面においてもほんとうに一生懸命に部落問題と取り組んでおる人もございます。そういう人を掘り出して、そういう人が中心になって研究協議会というものをやっていくし、それから同和教育の問題と取り組んでいく、こういう方向へぜひひとつ思い切った前進を特に政務次官にお願い申し上げておきたいと思います。 それから次に小さい問題ですけれども、これは局長の御答弁でけっこうというと失礼ですが、同和地区における団体の育成、同和地区における諸集会の開催、これが来年度非常に大きく予算もふえておりますし、地区の数も三倍近くにふえております。しかしこれにもまた問題がありまして、文部省なりあるいは理事者と申しますか、地方自治体の気に入るところはよくしておるけれども、気に入らないところはほっておくというような傾向が従来はあったのです。そこで今度ずいぶんたくさんふやしたということは、公平にまんべんなくこういうことをやっていくということのためだろうと思いますけれども、それはいかがなものですか。
○齋藤(正)政府委員 同和地区における団体育成の問題は、子供会あるいは当該地区の婦人団体そういうものの学習なりあるいはいろいろな活動に対する援助でございます。それから諸集会と申しますのは地域の住民に役に立ついろいろな講座のために必要な経費を出すということでございます。御指摘のように、今回の予算におきましては、この地区の拡大ということを私のほうの同和教育関係予算の重点にいたしまして、全部の府県ではございませんけれども、県の教育委員会としても、同和教育につきまして会を置き研究を続けてきておるようなところ、あるいはすでに開始したようなところにつきましては、大体本年度の段階では相当部分要望に応ずることができるのではないか、このように考えております。しかし当初要求いたしました個所よりは減っておりますので、今年度におきましてもその拡充のために努力いたしたいと思います。
○湯山委員 そこで御留意願いたいことは、この問題もそうですけれども、あとから出てくる自治省へお尋ねする特別交付税の問題もからみまして、こういう経費がともすればほんとうの同和対策に使われないで、もっと別な意図を持ったものに使われるという場合が往々にしてありました。これは具体的に申し上げることを避けますけれども、そういうことがありましたので、いまさっき香川県の指摘もありましたが、ああいう未開放部落ということは、いろいろな意味で政治に対する不満、それから施策に対する不満、そういうものが先ほどいろいろ御指摘になったような原因から集積しております。したがってそれらに対する意思表示、要求というものも相当強いものがあると思うのです。しかしながら強い要求をするようなところは逆にほっておいて、そしてよく言うことを聞くというようなところだけ回す傾向もなきにしもあらず、そこでそれらの指定あるいは支出についてはそういうことのないように十分な配慮をしていただかないと、そのことがむしろ逆に差別の再生産につながってくるということも、これも幾つも具体的な例をあげろとおっしゃればあげられますけれども、時間の都合で申し上げませんが、十分配慮していただきたい点だと思います。その点は先ほどの政務次官の御言明で、精神はよくわかっておりますから、要望だけにとどめますが、ぜひひとつ御留意願いたい。 それからもう一つお尋ねしたいのは、二、三年前でしたか集会所施設設備という新たな項目ができました。ところが三十八年度と三十九年度とは予算が同じなんです。これは物価も値上がりしたし、それからもしこの集会所が効果をあげておるとすれば、ずいぶん予算がふえなければならないはずですけれども、昨年と同額の要求しかなされていないということは、これはもうあまり効果がないという判断に立たれたのか、あるいはこれに対する理解が乏しくて要求が少ないということなのか、これを初めてやるときにも建物の管理はどうするか、それの運営をどうするのか、いろいろ問題になりましたが、それらは何とかうまくやっていきますということを信頼しておったわけですけれども、今度の予算を見ますと、金額も全く三十八年度と同じということで、この前途にいささか不安なものが出てきたのじゃないかという感じを持ちますが、これはどういうわけですか。
○齋藤(正)政府委員 この二年間集会所の施設の補助をいたしまして、できましたものの運営の実態から見て、これを今後拡充する必要がない、その実績が伴わないという判断ではございません。かなり実績をあげてきておりますし、また先ほどほかの点でお話がございましたように、あるものは図書を備え、小図書館の役割を果たしたところもありますので、実は予算要求といたしましては、数につきましても、単価につきましても、また当委員会で先生から御指摘のありました運営費の問題あるいは人件費の問題あるいは用地取得費の問題等も要求もし、折衝をしたのでございますが、全体の補助といたしまして昨年集会所を伸ばしましたので、今回は私自信の判断といたしまして、順序を非常に要望の多い社会教育の事業を行なう地区数の拡大ということを重点にいたしましたので、この集会所に対する館数の問題、あるいは運営費の問題につきましては、また次の段階で努力をいたしたいと思っております。
○湯山委員 その御答弁ははなはだ齋藤局長の御答弁としては不満です。というのは、そういうことじゃなくて、むしろこういうものをふやしていくということが齋藤局長の目的であって、これは特に地元の力が要求しない限りにおいては、こういう状態であってはならないというように考えます。要求したけれどもいれられなかったということであれば、それは政府全体の認識の不足だと思いますから、あとまた審議会等にも私どもも強く申し入れますし、大蔵省等へも申し入れをしなければならない、ともかくもこういうところを具体的にやっていくという態度を失わないようにひとつ社会教育をやっていただきたいと要望しておきます。文部省については以上でございます。 それから次に自治省にお尋ねいたします。自治省では今度同定資産の再評価を実施されました。その固定資産の再評価が実は差別の再生産につながっているという事実がありますが、こういうことを事務当局は御存じでしょうか。
○細郷政府委員 固定資産の再評価を一月一日現在で行なったのでありますが、土地につきましては売買価額、家屋につきましては再建築価額、償却資産につきましては取得価額をそれぞれ基準としまして適正な時価を求めるという考え方に立っておるのでございます。その限りにおきましては、特に御指摘のような点を意識いたしておりません。
○湯山委員 それではもう少し具体的に申し上げたいと思います。 土地の価格が売買価格によって評価された。これは従来の収益の方式とは違っております。そこで各地において、未解放部落の土地は売買価格が安いということから、一反の田からあがってくる収益は同じであっても、評価が低くなされている。そういう事実をお認めになるでしょう。
○細郷政府委員 売買価格を基準といたしまして、それぞれの地帯、具体的にはそれぞれの土地についての時価を求めておりますので、その基準となります売買価格が低いところでは低い姿にあらわれ、高いところでは高い姿にあらわれるもとの考えております。
○湯山委員 だからどうなんです。
○細郷政府委員 したがいまして特に御指摘のような、その評価自体についての差別的な扱いといったようなことはいたしておりません。
○湯山委員 私が申し上げておるのは、評価する人がいまのようなことを意識してどうということじゃなくて、実態が、同じ一反の田であって、そして収穫が同じであっても、実際に売り買いする、つまり売買価格からいえば、こちらのほうが安くて、こちらのほうが高い、こういうことが従来はなかったわけです。なかったところへそういう差がついてきている。その差というものは何らほかの条件ではなくて、部落であるがゆえの差別、こういうことになっているのです、それから地代、宅地等についてもそういうようなことができています。これはもし御存じなければ、ひとつよく調べていただきたい。現実にそういうふうになっておるし、あなたのいまの御答弁からいっても、そういうことはあり得るということじゃございませんか。あり得ると考えられるでしょう。
○細郷政府委員 今回土地につきまして売買実例価格を基準として時価を求める方式に改まったわけでございますが、これは宅地、農地等、土地全般につきまして適正な均衡のとれた時価を求める一つの方式として売買実例価格をとったわけでございます。したがいまして御指摘のような地域のみならず、一般的に売買実例価格の低く出ておりますところにつきましては評価も低くなってまいるわけであります。僻地の場合もございましょうし、奥地の場合もございましょうしいたしますので、特にこれについて意識的な行き方をとっておるということではございませんで、全国的一律の考え方のもとに売買実例価格に基づいて時価を求めるという行き方をとったわけであります。
○湯山委員 そういう中で、いまおっしゃったように不便なところとか僻地とか、これはそれで理由が立ちます。そういう正当な理由なく、部落であるがゆえにいまのような中に入ってくる、つまり低く評価される、こういうことになることもあるわけでしょう。いまのようなことを適用してやっていけば、そういうのと同じように売買価格が安く評価されるということはあり得ますね。どうですか。
○細郷政府委員 売買実例価格を基準とすると申しましても、要は正常なる状態における取引価格を把握したいわけであります。個々の売買実例価格におきましては、ものによってはそこの需要関係が反映して、ときには買い手の意思が強く反映し、ときには売り手の意思が強く反映し、あるいは親戚、知人間の売買もあるといったようなことで、売買実例自体に特殊な状態が織り込まれている場合には、そういう特殊な部分を抜き出しまして、正常な取引条件下の価格というものを求めて、それによって個々の時価を求める方式をとっておりますので、その限りにおきましては、それぞれ適正な評価が行なわれておるもの、こう考えておる次第であります。
○湯山委員 私の言うことがわかってもらえないのか、あなたはわかっておってそういうふうに言われるのか、ちょっと了解に苦しむのですが、これこれの限りにおいてはというような条件をつけないで、もう少し現実を率直に見ていただけば、他にそういうふうな差別をつけるべき条件はなくて、ただ部落である、そこでその土地については、たとえばほかの人もあまりほしがらないとか、あるいは将来宅地等に転用する場合にも条件がよくないとか、そういうようなことで、他の僻地とか、実際に低く評価してもいい条件のところと同じような評価がされている。あなたがもし理論的にどうこう言われるなら、現実にそういう事実があるわけです。これならもう文句ないですね。現実にあるわけです。そういうことについてどのようにお考えになりますか。
○細郷政府委員 今回の土地の再評価につきましては、かれこれ足かけ二年余を使って実は個々の市町村が行なっておるわけでございまして、その評価の考え方は先ほど来申し上げたような考え方に立っておるわけであります。したがいまして、そういう売買実例をもとにした評価の求め方を市町村でそれぞれやっておりますので、そういう限りにおいては適正に評価が行なわれているのじゃないだろうかと私は考えておる次第でございます。
○湯山委員 時価方式でやれば、いまの売買価格というものの要素は必ずしも経済的な収益とかそういうものだけによってはなされていない、これはわかりますね。そうすれば、その中にいまのような、あってはならない差別というものが入ってくる要素はあるわけです。これは理論的にそうなるでしょう。ならないとお考えですか、なるとお考えですか。
○細郷政府委員 個々具体のケースがいろいろあるかと思いますが、一般に売買実例価格にはもろもろの経済的条件、社会的条件その地利用条件――ことに土地につきましてはその所在の条件、いろんなものが総合的に反映されておるというようなところから、この売買実例価格を基準にする評価をしておるわけでございます。
○湯山委員 そこで政務次官にお尋ねいたします。 いまのようなことで、それがほんとうの土地の値打ちじゃなくて、差別からくる評価の差というもの、これは当然認められない、認めてはならない、そういう問題が現実に起こっております。政務次官はそういうことに対してどのようにお考えになられますか。
○金子政府委員 私は政治家として常識から申し上げますと、部落であるがために今度の固定資産税の評価がえにその団体が差別的な評価を受けておるということは考えられないことではないかと存じますけれども、現実の問題としてそういう実例があるのだ、かように湯山先生はおっしゃっておりますが、事実そういう問題があったとすれば、当然これはわれわれのほうで十分検討すべきじゃないかと思います。
○湯山委員 この問題は、局長が言われるように、評価がえの方式に根をおろしておるのです。従来のような方式ならば、こういう問題は起こらなかったわけです。この土地から、たとえば六俵なら六俵取れる、これからも六俵取れるということであれば、これは等価です。あなたのことばを借りて言えば、その限りにおいてはひとしい価格であって、今度は時価方式、売買価格をもとにしてやったという評価がえ方式の中にそういうものを生み出す要素が含まれていた、ここに問題があるわけです。そこで今度の評価がえの方式がそういうものを生み出したということになれば、その評価がえの方式について考える余地があるのじゃないかということを私は申し上げたいのですが、それについては政務次官、どうお考えでしょうか。
○金子政府委員 これは調査会の答申にも従っておりますし、すでにもうそれによって全国の町村から評価がえの一つの評価基準がみな提出されております。御承知のとおり今度の国会で法案を提出しておりますので、特殊な事件が何件ありますか知りませんけれども、それがために根本的に評価がえを変えるということは今日の時点で考えられ得ないのではないか、かように考えます。
○湯山委員 ここからはもう議論になりますけれども、申し上げたいことになった中にそういう問題が出てくる場合もあるということなんです。それだからといって、じゃ税金の評価を安くしてくれと言うのが普通ですけれども、申し上げておるのはそうではなくて、そういう差別がこの中から出てくるというところに大きい問題がある。こういうことがあるということはもう民主主義の根本をこわしておることですから、そこでそういう民主主義の根底をこわしておるような事実があれば、当然評価がえの方式をどうするかというようなことは、むしろそのほうが軽い問題だ。問題としてはそのほうが本質的には軽いわけで、収益によって評価するのと時価によって評価するのとの違いというものはそんなに大きい問題ではありません。こういうことができておるという事実をもっとよく調べていただいて、その事実が確かにある、これはほっておけないということになれば、評価がえそのものについても再検討をお願いいたしたいということを申し上げたいと思います。しかも価格を上げるというのじゃなくて、評価がえの方式について再検討を願いたい。これは私どもと政府とではそれについての考え方が違っていますから、これ以上議論は申し上げませんけれども、しかしそのウエート、重さはそういう差別がなおそこで拡大されるというウエートのほうが方式を変えるよりも大きいということだけはしっかり申し上げておきたいと思います。 それからもう一つ、自治省のほうへ申し上げたいのは、特別交付税の問題です。これはどの府県もすべて公開されておりますか。
○岡田説明員 各団体には特別交付税の額を明示いたしますけれども、そのこまかなことについては公開はいたしません。
○湯山委員 これは各県別にいく分については自治省から資料が出ます。それから県で各町村にいく分等については公開してないところが相当多いのです。それからまた、これは単なる財源補給だからということで当初の財政計画に入れただけのものが使われていないという例も相当ございますが、それらについて御調査になったことがございますか。なったらその結果はどうであったかということを伺いたいと思います。
○岡田説明員 特別交付税の配分にあたりましては、二つの角度から取り上げております。一つは各省、たとえば建設省でありますとか農林省でありますとかというところで進められておるところの補助事業に対応いたしまして、関係の市町村等に対する財政負担を考慮いたしまして、財源の一部につきまして特別交付税をもって措置いたします。別にそのようないわゆるひもつきの事業ではなくて、地方団体個々が独自の判断と申しますか、企画、くふうをもって対策を考えますところの所要経費を見積もりまして、これは自由財源と申しますか、自主的な財源といたしまして配分いたしておりますが、その配分にあたりましても、特別交付税といえども客観的なデータを関係省からもらいまして、それによりまして配分いたしております。したがいまして、別個の調査等はいたしておりません。
○湯山委員 そうすると、いったものが他の方面へ流用されておるというようなことも、いまの御答弁ならあり得ることだし、やむを得ないことだという御判断でしょうか。
○岡田説明員 ただいま申し上げましたように、地方団体が自主的に創意くふうを請じまして使うようにということで配分いたしております。その配分の額等につきましては、個々の団体は知っておるわけでございます。それにいわば期待いたしておるわけでございます。
○湯山委員 ですから配分されたものを同和対策の事業に使わなくても差しつかえないし、使わない場合もあり得るだろう、そのかわりそれ以上に自治体が継ぎ足してやっておるところもある、それらの材料についてはまちまちであるということはやむを得ないこと、あるいは認められること、もっと言えば、それについては自治省としては関与しないということでございますか。
○岡田説明員 配分につきましては、地方団体の自主性を尊重いたしておりますので、とやかく個々にこれこれを使わなければならない、あるいはまた継ぎ足しをやってはならないというふうな指導はいたしておりません。これはあくまでも地方団体の自治を尊重いたしますので、そういう面から配慮いたしておるわけでございます。しかしながら各省が進めておる補助事業につきましては、これは明らかに適正化法等の問題もございますので、特別交付税をもって措置するとはいいながら、十分指導もいたしていくつもりでございます。
○湯山委員 政務次官、いまのような御答弁で、たてまえとしては、いまのようにかってにどんなにしてもいい、かってにしてもいいというのは少し言い過ぎですけれども、かなり弾力性が認められておる。そこでどれだけきているということも実は言わないところが多いわけです。そこで実際には進められなければならないものが進められていないというところも相当ございます。そこでこれについては調査をしていただいて、――いま課長は調査をしていないということですから、たとえば三十八年度であればどの県にどれだけ、その中で県分としてどれだけ、市町村分として財政計画で見込まれている特別交付税でどれだけいっておる、それについて実際にその目的のために使われたのはどれだけだというようなことを一ぺん御調査を願って、資料としてお出し願えませんでしょうか。
○金子政府委員 事務的にいま相談しましたが、なかなかその調査が困難だということを申されております。
○湯山委員 その調査が困難というのは了解できないのです。どれだけ使ったか、使ったもの、それからどれだけ配分したかということを資料として出すというのは、皆さんのほうがそういう態度だから、各府県とか市町村がいまのような言いわけをして、これは財源補給だからひもつきじゃないというようなことを言って、いいかげんなことになってしまう。当然お出しいただけることが行政指導の面からも正しいのじゃないか。そういうことをしていただけば出るのだからというので、いまのような弊害が除去される、こういうことにつながるので、どうして困難なのか、私、理由がわからないのですが。
○岡田説明員 私からお答えいたしますけれども、いわゆる使いぶりといったようなことの調査は困難だということを申し上げたのでございまして、地方団体のそれぞれの決算には明らかにその配分の数字は上がってまいります。そういうのはもちろん調べることも集計することもできるわけでございます。
○湯山委員 それでは御提出願えますか。
○岡田説明員 直ちにはあれでございますけれども、決算から集計いたしまして幾ら上がっているということは御報告できると考えております。
○湯山委員 府県別にですね。
○岡田説明員 できると考えております。
○湯山委員 それでは自治省にまだお尋ねしたいことはあるのですけれども、おそくなりましたから、いまの固定資産の問題はもう一ぺんひとつお考えになってみてください。あなたのおっしゃったことの中からいまのようなことが出てきておりますから、これはもう一度申し上げておきます。この点はそれでは終わります。
○田中(織)委員 関連して。自治省が帰られるなら、その前に私伺いたいのですが、特別交付税の問題でいま湯山君が質問されたのですけれども、実は答弁に私もどうも非常に割り切れぬものを感ずるわけであります。三十八年度の分も近々配分がきまるわけであります。それで、従来自治省のほうから国会の答弁を通じて、あるいは政務次官、大臣を通じて数字を出していただいておるわけです。たしか三十七年度の関係は府県に対するも一のが三億四千万ですか、それから市町村分が三億六千万、二千万円ほど多かったと思うのですけれども、数字にあるいは私の記憶違いがあるかもしれません。これは出していただくときは、結局やはり同和対策関係の特別交付税、こういうタイトルをつけて数字をいただいておるのですから、これは当然ひもつきではございませんけれども、同和対策関係の事業を県なり市町村でやらなければならぬということでこの金がおりているのですから、それがやはり県なり市町村の同和対策事業という形で、当該の年度にどういうように具体化されているかという、同和対策の市町村における、あるいは府県における事業費の予算の集計というものが当然私は出せるべきだと思うのです。具体的には、群馬県がここ三年くらい前まではたしか金額は府県分として二百万くらいであったかと思うのですけれども、ところが、群馬県の大きな予算で、あそこには相当の部落数がございまするけれども、県の同和対策関係の予算というものが実はほとんどなかったわけなんです。それでは、まるきり特別交付税をもらっておっても、それが原資として実施されていないことになるのではないかということでいろいろ追及した結果、過去の分にもさかのぼって、県で同和対策の事業予算を組むことになった事例があるわけです。したがって、最近は府県関係はほぼそれはありません。自治省のほうから私どもがいただいて、どこそこの県にはどれだけいったということを流しますから、その点は否定のしようがございません。府県を通じて市町村に参ります分については、部落解放同盟組織のあるところや、あるいは地方議会に私ども社会党系の議員のおるところは、各府県の財政当局から、どこの関係の市町村にはどれだけいったということの配分が出ます。そうすると、その当該市町村について同和対策の事業をやっておるかどうかということをその点から調べますと、やっていないところがあるじゃないか、そうすると、なぜだといったら、これはそういうことでもらったものではないので、ということで逃げる事例が幾つかあるから、いま湯山君が質問をされたのですけれども、そういう点はこの間全国の代表者が参りまして早川大臣に会ったときも、そういう形のものがいっているものをその方面に使われないということになれば、これは詐欺行為ではないかということを大臣自身が言われているのです。私は、そういう意味で、特交との関係があるないにかかわらず、関係の市町村あるいは府県で同和対策の予算をどう組んでおるかということを、今後いわゆる特別交付税を算定する上においても必要なことになろうかと私は思いますので、その点はぜひ、いま湯山君が言われた点は、決算の中から大体数字を当たればわかることだから出しましょうかということでなしに、同和対策に対する関係の市町村あるいは府県の事業予算というものを、自治省に報告を上げてもらいたいということで下部に流したものの集計を、私は国会に報告していただきたいと思っております。それができないはずはないと思うのです。その点はいかがですか。
○岡田説明員 御承知と思いますが、市町村の特別交付税は県にまかせておりますが、自治省としても本事業の推進については十分熱意を持っておるつもりでございますので、それがどのように使われておるかよく研究してみたいと思います。
○田中(織)委員 それは早川大臣も同和対策に使われるのが当然であるということをはっきり言っておりますし、それから前の事務次官の小林さんの時代であったかと思うのですけれども、それははっきり調査して報告するということを約束された――国会の答弁であったか、私たち代表が会うたときか、言われているので、これはぜひ上げでもらいたい。そういう意味で、もちろん、私は市町村分が府県に配分をまかせられておるということも承知しております。ところが、府県はそういうことで市町村のものをなかなか出そうとしない。これは奈良県が最近までそれを出そうとしなかった。私どもが出し向いていって、自治省のほうではこう言っているではないかということでようやく出させているわけです。こんなものの数字は何も秘密にする必要はないので、私どもはこれはやはり特別交付税算定の基準として部落の数あるいは人口、その産業の状況、あるいは教育その他の環境はどうなっておるかというようなことをこまかく、とにかくデータとして考えられて、こういうような財政需要があるだろうということで、自主的な施策を進める原資としてこれだけのものを出しておるわけでしょう。特別交付税というのは同和対策関係ということで毎年三億幾らずつ出している以外に、特別交付税というものは府県なり市町村へ出ないというなら、おのずから別問題ですけれども、特別交付税の額というものは相当なものが年間にはやはり府県なり関係の市町村へ出ているわけなんでしょう。その点はどうなんですか。
○岡田説明員 お説のとおり、できる限りのことを考えておりますし、また三十八年度におきましても、これはまだ検討中でございますけれども、従来とあわせまして、また特別交付税全体のワクの伸びに比較しまして、ずっと大きく配分される方向で研究、検討をしておるところでございます。
○田中(織)委員 それでわかりましたが、ぜひこれはひとつ市町村あるいは府県の関係の同和対策関係の事業予算がどれだけ組まれているかということを出していただきたい。 それからもう一点伺うのでありますけれども、これは先ほど来次官もお聞きのとおり、内閣の室長に調査費の問題等で伺ったり、あるいは官房長官に山形の事例を伺ったわけなんですけれども、その内閣の調査の関係から見ましても、実際に部落があるにもかかわらず、該当事項なしというような形で回答がないわけです。該当がないと、勢い特別交付税のその府県への割り当て、配分というものが行なわれないのですね。それではやはりその府県はもちろん非常に財源が豊なところで――大阪府などは大阪府に対する関係はないことは私も承知をいたしております。しかし大阪府下の市町村関係の分はおりておるという実情もよくわかりますけれども、やはり部落が現実にあるにもかかわらず、山形県の従来のように――今度はようやく先ほど総務長官の答弁もあって報告が上がっている。長崎などもそうでありますが、宮崎だとか、鹿児島だとかいうような関係において、該当事項なしというようなでたらめの報告を上げるものですから、これの特別交付税の支給も受けていない。この関係でというような点もありますから、この点はひとつ自治省のほうでも、これは特に各府県市町村の直轄の省でありますから、私は部落の関係等については、むしろ的確な報告を上げさせるように御処置を願いたいと思いますが、早川大臣は暮れに会うたときにはそれもひとつ考えましょうということになっているのですが、実行していただけますが、いかがですか。
○金子政府委員 御趣旨に沿うべく努力をいたしたいと思っております。
○田中(織)委員 それからもう一点、自治省に。先ほどの固定資産の再評価の関係の問題でありますけれども、私は現実にやはり差別のためにこの部落の土地、農地、宅地とともにやはり価格に相違があることは私は事実だと思います。岐阜県などの事例から見れば、これは湯山さんが指摘されなかったかもしれませんけれども、やはり部落ということを知らずに土地を買うて整地までした。ところが近くに部落があるとか、部落の中だったというような関係になると整地したまま家が建たないのですね。これは現実にやっぱり差別があるということなんです。現実に差別があるということは事実なんで、そういう意味で地価で評価がえをやるというときに、やはりその差別されているという状況、その間に格差がある。地価の問題においても、この現実の特殊な事情というもの、たとえば固定資産の再評価の場合などにはその特殊性を認めるということになれば差別を認めたということになるのじゃないか、こういうような形で、一般の基準でやるということは、これは私はいけないことだと思う。それだから差別による特殊性としてその間に地価に格差があるということは、これは現実の問題ですから、この特殊性というものは、端的にいえば、やはり差別によるものであっても、その特殊性というものは固定資産の再評価の場合には現実にそのまま認めなければそれは不公平になると思う。こういうことで多少湯山さんとニュアンスは違うかもしれませんけれども、私どもも関係の組織を通じて、関係市町村でいま大体再評価が終わろうという段階でありますから、調べますけれども、そういう特殊性を無視して一般的な形で出てくると、固定資産の再評価がそういう意味でたとい当初心配しておった三〇%というような形のものにはならないにいたしましても、宅地等については一二%、一五%というような形で固定資産の評価の値上がりに伴う税金の負担分が出てくるわけです。いま再評価反対という一般的な運動が起こっているわけですけれども、部落関係になりますと、特殊なものがあるので、この場合には現実には差別によって差があるにもかかわらず、そんなことを言うたら再評価などは差別したことになるのではないかということで、一般の高い水準にやられたんでは、これは現実にはそのときに新しい差別の再生産ということになるわけですから、この特殊性は先ほど財政部長が言われたようないろいろな社会的な条件を考えて、そういうようなものに基づいて地価が生まれ出るという考え方に立てば、その点にむしろ私は特殊性というものを考えていただかなければならぬと思うのであります。この点についてはいかがですか。
○細郷政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、売買実例価格というものにいろいろな要素が反映をしていると思うのであります。ただその個々の売買実例価格自体にその取引のみに特殊な事情がある、たとえば売り急いだために安く買われる、また反対の場合があります。あるいは土地についていえば、自分の隣接地を買い増すために高く買う、そういったようないろいろの個々の売買実例価格には、いわば個別、具体の事例が入っておる場合がございます。そういうものは正常な取引の状態のものの価格を求めていくということが客観性を持ったもの、こう考えて売買実例価格をもとにする適正評価の方式をとっておるわけでございます。すべて売買実例価格に反映されておるものによって私どもは評価をしてまいる、かように考えておる次第であります。
○湯山委員 いまの問題は、私が申し上げたのは、そういうことができるのは評価の方式にあるということですから、これはやはり再検討願うということは強く要望しておきます。というのは、地価方式というものに問題がある。従来どおりのやり方でやればこういう問題は起こらないということです。 それからあとの田中委員からおっしゃったのは、それはそのとおりで、私が申し上げたように、それによって引き上げようということは絶対にないわけですし、またそういうことはしてはならないということもあわせて申し上げたいと思います。 農林政務次官にお尋ね申し上げたいのは、先ほど農林省から出ておる十年計画の戸数ですね、これは総理府のほうと現在調査されておることとよく一致しておるかどうか、おそらく一致してないだろうと思うのです。したがって、精密なあるいは基礎的な調査ができれば当然変更になるというように思いますが、それでいいのでしょうか。
○丹羽(兵)政府委員 御説のとおりでございます
○湯山委員 その次に農林省に敬意を表したいのは、実は政務次官は御存じかとも思いますけれども、従来問題になったのは、農林省はモデル地区というのを、どこから上がってきたのでもそのままそっくり計上して、農林省自体の意思は同和対策の農林省事業には入ってなかったのです。そういうことではいけないじゃないか、極端なのは、知事が申請した覚えのない知事の知らないようなものが入っていたというようなことさえ指摘されまして、二年間これは問題になりました。ところが今度はモデル地区というのを一切排除して、そして全体の戸数をこれだけという出し方をしておる。これはそういう努力が見られてたいへんけっこうだと思います。しかしながら、農林行政を進めていく上において重要な問題はここにもありまして、いま兼業化、零細化が進んできている。その兼業、零細、そういう形態が、また一般に考えられておるものと違ったものが出てきておることは、けさほど来失対事業も同じような観点から取り上げられました。この兼業の形態が、安定兼業と不安定兼業という表現を使うならば、部落の場合は不安定兼業の場合が非常に多い。そこでそういうのに対しては、また別個の調査、対策が必要ではないかということを考えます。つまり安定した職場と農業との前業ではなくて、むしろ不安定職な場とそして零細な農業との兼業、こういうのが非常に多いわけです。それに対しては別個な対策が立てられなければ、実際には構造改善といったって進めようがないのじゃないかということを私ども憂慮しておるわけですが、政務次官はもうそういうことをよくおわかりでしょうから、一体どう対処されるかお伺いいたしたいと思います。
○丹羽(兵)政府委員 ただいま湯山さんからお話のありましたように、長い間モデル地区ということが問題になってまいりました。御説にありましたように、農林省としては三十九年度からモデル地区のみならず一般地区と申しますか、農林関係事業のみでひとつ考えていく、そして御意見のあったような方向に持っていきたい、こういうことで、現在地方局を通じて各府県別にその他区等の調査をいたしておる段階でございます。
○湯山委員 そこでいまのような御態度で取り組んでいただけるようになったということは、農林省としては大きな前進だと思います。地方農政局も発足して、地域の実態に即した指導なり対策が立てられると思いますから、そこでぜひいまのお考えを貫いていただいて、しかもある村が、あるいはある町がごそっとそのまま何かの力によって同和対策の対象になるというようなことのないようにぜひやっていただくことが一つと、いま一つは、土地取得資金についての配慮がなされていないのです。経営の拡大のためにはどうしても土地を拡大していく、土地を取得していく、こういう要求が非常に強いわけです。しかもいい土地じゃなくて、条件の悪い土地あるいは未墾地を取得して、それを開墾してそれによって経営の拡大をはかっていこうという要求は、特に未解放部落においてはおそらく相当強いと思います、そこで、それに対する特別な配慮、対策、そういうものは考えられないか。他の面については、若干補助率の高い対策が講ぜられておるのですけれども、土地取得については一向特別な配慮がなされていないので、これは私は配慮されてしかるべきものではないかというように考えるのですが、いかがなものでしょうか。
○丹羽(兵)政府委員 土地取得の意欲というものはただ解放されてない部落に限ったことではないのですが、しかし湯山さんの御意見のように、そうしたところはその意欲がよそより強いと見なくちゃならぬと思います。そこで、御指摘のありましたように、いままでは残念ながら別段手を打っていなかったことは、お説のとおりです。今後は公庫融資で取得するその融資の利子を安くして、三分五厘程度にしていく、なおまた期間も少し延ばして、二十五年ぐらいにしたい、そして御意見に沿うようにしていきたい、こう考えております。
○湯山委員 では、政務次官からたいへん御理解のある御答弁をいただきましたので、おそくなりましたからこれで終わりますが、ひとつどうかしっかりお願いいたしたいと思います。
○田中(正)委員長代理 田中織之進君。
○田中(織)委員 防衛庁人事局長、おそくまでどうも……。 信太山の自衛隊で集団的な差別事件が起こったということはきわめて遺憾なことでございまして、私は、予算分科で防衛庁長官以下防衛庁の政府当局に質問をいたしたのでありますが、そのときに長官の御答弁では、本人が訴えて出ているような――これは苦情処理で訴え出たわけでありますが、それをたまたま外部で私どもが取り上げたわけなんですけれども、そういうようなことについては、本人と他の隊員との間のトラブルの過程で多少それに類すること、あるいは本人の思い違いのような面もあるのではないかということで、問題の差別の事象についての確認がどうもはっきりしなかったわけであります。私は、これはやはり差別を受けた被害者のほうが、約八カ月にわたって六十一の事象をあげているし、私の手元にはいまございませんけれども、録音も入っているわけなんで、関係者が聞けば、だれがそういう発言をやったか、言動をしたかということも、その録音によって再現することもできるのでありますが、そういう意味で、やはりこの事実を確認した上に立って、これは間違った問題で許さるべきことではない、こういう観点に立って、そういう間違った差別をした隊員が反省をする、そこに部落出身者であろうとなかろうと、自衛隊員として平等だという態勢が初めてできる、こういうふうな意味で、やはり私どもは、本人の申し立ては事実である、その事実を確認の上に今後の施策というものが進められなければならないという意味で、事実について再調査を要求いたしましたところ、長官が再調査をはっきり約束されたのであります。その後再調査がどのように進んでおるか、この機会にお伺いをいたしたいと思います。
○小幡政府委員 ただいま田中先生のお話しになりました趣旨によりまして、長官も帰りましてさっそく幕僚長に指示いたしまして、陸上幕僚幹部から中央監察隊長の安村一佐ほか一名が二十四日に現地に参りまして、中部方面総監部、師団、連隊を調査しております。そのほか、なお連隊よりも上級の師団が、現在みずから詳細な調査をあわせて続行中でございまして、そのうちに調査がはっきりいたしますれば、またしかるべき報告ができるものと思っております。
○田中(織)委員 私ども漏れ聞くところによりますと、やはりいわば軍隊的組織でありますから、これだけ大きな問題になっているわけなんですけれども、どうもそういう問題がない、こういうような形で連隊の中の空気が固まりつつあるというようなことも聞くのでありますが、もちろん中央の監察隊の安村一佐でありますか、行かれて、報告が出てこなければわからないと思いますけれども、やはり事実は確認する方向に向いておるのでしょうか。私どものなんでは、やはり依然として昔の中隊と同じような形で、そんなことはないんだというような形で連隊内が固まりつつあるというようなことであれば、何か虚構の事実を外へ持ち出したような印象を一般に与えるというような結果になると思うのです。その様子はお聞きになっていませんか。
○小幡政府委員 中間的な状況は、先日も御報告申し上げたとおりでございますが、その後師団では関係者の供述のみならず、その当時の客観的な本人の勤務場所とか、その事実もあわせて調べまして、なお詳細な詰めを行なっておると聞いております。またわれわれとしましては、かりに書面でそういう明白な事実がないということが出ましても、こういう申し立て事項があったこと自体がやはり一つの問題ではないかと考えておりますので、調査の結果いかんにかかわらず、そういう認識のもとに、隊内にそういったことのないように、今後努力するような処置をとりたいと考えております。
○田中(織)委員 もうこれで終わりますが、関係の人権擁護委員会であるとか、あるいは部落解放同盟の大阪府連だとか、差別された隊員の和歌山県連だとか、あるいは私どもの党も、中央地方ともに、昨日終わりました大会においてもこの問題が取り上げられておるわけでございますが、そういう関係から、いわば自衛隊の外部団体がこの問題の調査等に部隊のほうへ出かけておると思うのでありますが、そういう関係の間には、これは部隊内の問題だというような形で、たとえば、連隊長の片山さんですか、そういうような人は、和歌山県の関係団体の諸君とは会われたようでありますが、事実は、例によって否認をされておるようでありますけれども、そういう外部から調査等に部隊に参った者との会見を拒否するというような事実は――当初は何かそういう傾向もあったようでありますけれども、ここまで表面化した問題でありますならば、そう絶えず押しかけるわけのものでもないと思いますから、そういう外部の団体の調査等については、何かトラブルとかいうようなものもあるべきはずのものではないと思いますが、調査に協力をされるような態勢になっておるのかどうか。 それからついでですから、一括してもう一点伺います。今後の問題として、調査報告いかんによると思うのですが、いま人事局長の面で所管をされておるようでありますが、この間の予算委員会では教育局長もおられたので、教育局長にも申し上げたわけですけれども、そういう意味でこの問題を契機にして、私はやはり自衛隊の隊員全体に、部落差別ということの不合理、不法、不当なことあるべきでないということの徹底的な教育、啓蒙、そういうことについても人事局長としても事後の処理の問題として当然考えなければならぬと思いますが、そういう点のお考えを持っておるかどうか、この二点について伺います。
○小幡政府委員 第一点の、外部の方方の調査等について、自衛隊がどうしておるかというお話でございますが、初期におきましては、確かに田中先生のおっしゃるように、調査自体が個人の秘密を守るという前提で行ないますので、外部の方が一緒に調査に参加させてほしいというような意見もあったようでありますが、それはおそらくはお断わりしたろうと思っております。しかし、最近は十名あるいは二十名というふうにいろいろ交渉にお見えになるようでありますが、連隊長とか幹部が責任を持ってお会いしておるようでございます。 それから第二点の将来の教育の中に、積極的にそういうことを織り込むかというお話に対しましては、この前も分科会でお答え申し上げたとおり、むしろそういうものを黙って伏せておくことがかえってそういう差別意識を温存するという見方も伺いましたので、この点われわれも深く検討いたしまして、もしもそういうものを明るみに出しまして、テーマとして人権擁護の一つとして積極的に取り上げることが妥当であるならば、そういうふうにしたいと考えております。
○田中(織)委員 それでよろしゅうございますが、過日も長官が約束されました陸幕長からの各部隊への指示だとか、それから今度の調査報告が出てまいりましたことに対する処置等については、こちらへ報告をしていただく、その処置をとっていただくことをお願いして私の質問を終わります。
○田中(正)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後七時十八分散会