国際労働条約第八十七号等特別委員会 第14号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/06/09
会議録
○田中(正)委員長代理 これより会議を開きます。 委員長所用のため少しおくれますので、委員長の指名によりまして委員長の職務を行ないます。 結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案、及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括して議題とし、質疑を続行いたします。田口誠治君。
○田口(誠)委員 国際労働条約八十七号等の特別委員会が設置されたのは、去る四月の二十三日でありました。早くも四十六日を経過しております。したがって、きょうまでにたしか十三名の委員が、相当長い時間をとって質問をされましたし、去る六月の二日には六名の参考人の出席を求めて、各参考人より意見の開陳を聴取いたしました結果、自民党から推薦のあった参考人を含めて、全員がILO八十七号条約を本四十六国会で批准すべきであるという国際情勢から、あらゆる観点より意見が述べられたことは御存じのとおりであります。私どもが改悪案であるときめつけました国内法の改正については、政府原案に賛成する意見の参考人は一人も見えなかったわけでございます。 現在、ILO加盟国では日本の労使関係が非近代的であるということを指摘をいたしまして、日本の労働者の労働条件が非常に劣悪であるということを憂えて、ILO八十七号条約を早期に批准をし、労働者の団結権の擁護と団体行動権を確立して、近代的な労使慣行を確立してもらいたい。なお、労働条件の改善を労働者の諸君が獲得をして、それと同時に地位の向上をはかってもらいたいという要請が強く参っております。 そこでお聞きをいたしたいと思いますることは、ILO八十七号条約を批准をいたしまして、ILO加盟国から見下げられておる日本のこの面目を一新することが、国際協定を外交の基本方針といたしておりまする日本の政府としては、経済、外交、貿易の上にとってきわめて重要なことでもあり、また急を要するものであろろと思うのです。きょうは外務大臣がお見えになりませんが、一応次官にお答えをいただいて、不十分でありますれば、外務大臣のお見えになるときにまたお聞きをいたしたいと思うわけでございます。 なお、私ここでつけ加えておきたいと思いますることは、ILO八十七号条約が今国会においてもし批准することができないというようなことになりますると、日本の労使関係が非近代的なままで、非常に劣悪な労働条件に労働者が置かれておるという、この印象を国際的に与えるということは、これはかってのダンピング問題のように、国際経済関係の中で、日本は非常に実害を生むめではないか、実害を生むおそれが多分にあるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。ことにIMF、OECDに加盟をし、開放経済体制の中に組み込まれておる最近の日本としては、ILO加盟国の中で悪名を生むというようなことになりますると、これは対外貿易関係に悪影響を与えるものだと私は考えるわけでございます。思いをここに集中いたしました場合に、ILO条約の緊急性が実質的にも理論的にも明らかである、かように考えておりまするので、この点につきまして、外務大臣、官房長官の認識のほどと考え方を御説明いただきたいと思うわけでございます。
○黒金政府委員 御承知のとおり、ILOの八十七号条約は、このILO関係の基本的な条約でございまするし、日本もこの常任理事国として中心にあるわけでありますから、この条約はぜひ早く批准をいたしたい、こういう考えで、国会召集の冒頭に提出して、御審議を願っておったような次第であります。だんだんにおくれてまいりましたことはまことに残念でございますが、この上ともにひとつ批准するように御審議賜わりたいと思うのであります。 いまお話がありましたように、これが日本の国際貿易等々の国際信用に関するかどうか、まあ率直に申しまして、これがいますぐ通らなければ輸出が非常に頭打ちになるとか、こういうことは私具体的には起こらないかとは思いますけれども、しかしやはりこういうような基本的な条約を批准できていないということは、先ほどあなたがおっしゃいましたように、日本の労働関係では団結権の自由も認められていないというような、信用の問題に関係すると思いまするし、特に、この批准をしたいということを政府が決意いたしましてから相当の年月がたっておりますので、そういう意味の信用を獲得する意味から申しましても、ぜひこの機会に、せっかくこうやって御審議願っておりますので、批准できますように、ひとつ御審議のほどをお願いしたいと思っております。
○毛利政府委員 官房長官の答弁と同じでございますが、要するにILO八十七号条約を批准しない場合といえども、しし営々と築いたわが国際的地位に急に変化があるとは思わないのでありますが、さりとて、国際社会に位置する日本の立場というものが、労働関係その他を通じて、調査団が来る、その報告が国際連合にはね返る、そうした場合に非常に好ましくない結果を生むということをわれわれは危惧しております。その点、すみやかに政府の方針に従って批准あらんことを願っております。
○田口(誠)委員 御答弁をお聞きいたしますると、早急に批准の必要はあるけれども、私が心配をしてるる述べましたようなほどのものではないというような答弁でありましたし、しかしそうかといって、これが国際貿易の関係にもまんざら影響がないとも言えないという答弁であったわけなんです。それで、この国会で批准ができないということになりますれば、九月には調査団が参ります。調査団が参りまして、この四十六国会におけるILO特別委員会の速記録を見ただけでもたいへんなことだと思うのです。したがってその結果というものは、日本に対してきびしい勧告があろうと思うのです。こういうきびしい勧告のある反面には、おそらく加盟国の労働者はそのまま傍観ほしておりません。必ず日本の労働者を援護するために、たとえていうならば日本の製品をオミットするというような行動に出てくることは、私は絶対にないとは言えないと思うのです。こういうことを心配をいたしましての質問でございまするが、政府のほうとしてはそういう心配は絶対にないという自信をお持ちなのかどうか、この点をこの際お聞きをいたしておきたいと思うのです。
○黒金政府委員 御指摘のような懸念もないことはないと思います。そこでぜひ今回御批准のほどを願いたいと思います。
○田口(誠)委員 御承知のとおり、この問題は現在の特別委員会の委員長である当時の倉石労働大臣が、昭和三十四年の六月、ILO総会で、八十七号条約の批准の方針をきわめて明確に言明をいたしております。すでにそれから六年たっておりまするし、その間勧告や要望が十数回もなされておりまするが、しかし日本では一向にその効果があがっておらないというのが実態であるわけでございます。したがって、ILO当局といたしましては、日本政府に誠意がないんだ、こういうように受け取りまして、全くたまりかねてか、実情調査委員会の調査団の日本派遣の方針に踏み切ったわけです。この点については、日本の政府は受け入れる回答をいたしておりまするので、本国会で批准ができないということになりますると、この調査団は確実に調査に乗り出してくるわけでございまするが、こういう実際行動をしてもらうということは、日本自体として非常に面目ないことでもございまするし、これはILO始まって以来のできごとでございまするので、そういう点を考えますると、私は非常に憂慮いたしておるような次第でございます。 〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 いずれにいたしましても、日本はこういうような関係から、国際信用の面からほんとうにぎりぎり一ぱいのところに追い込まれておるというのが、弁解の余地のないところだと思います。そこで、いわゆる倉石・河野案といわれる修正内容は、自社両党の争点を双方が信義と互譲の精神に立脚して、あらゆる内外の諸情勢にもかんがみて、双方とも今日の段階ではこれ以上譲ることのできないというぎりぎり一ぱいの内容のものだと思うわけです。したがって、去る六月二日の参考人の意見を聞いておりますると、国内法の提案内容には幾つかの不備があるけれども、この大きな争点を双方がやり合っておっても、これはしかたがないのではないか。それよりも、ILO条約八十七号を批准をして、まず日本の労働者の自由な団結と、そして労働者を擁護する立法をするべきである、こういうことから、まず当面倉石・河野でまとめられたもので話し合いをつけることがいいのではないかというようなことを強調されておりました。私、こういうようなことから、この委員会の進展状況を見ましてきわめて不愉快に感じまするのは、このことはもう天下に報道されておることでございまするので、何の遠慮したことばづかいも要らないと思いまするが、自民党内部の抗争が現在本委員会に持ち込まれたままでおるというのが実態であるわけでございます。この実態を放任するということになりますると、結局この法案の不成立ということは確実になります。そうなりますると、これが他の委員会の審議にも大きく影響するということは、過去の国会の運営の経過から見ましても、私は想像できることだろうと思うのです。こういう点を考えますると、単にこのILO八十七号条約の批准の問題だけでなしに、他の幾つか本国会にかかっておる議案の審議にも大きな影響を及ぼす、こういうことが考えられまするので、非常に憂慮をいたしておるのでございます。 こういう点から現在の政府の態度を私どもながめますると、与党内部の抗争の関係から、何だか弱腰になっておられるような気がしてしようがないわけでございます。したがって私は、具体的な質問に入ります前に、先ほど官房長官それから外務政務次官から答弁がございましたけれども、党内事情もあることでございまするので、絶対に本委員会で批准させるのだという態度は変わっておらないのかどうかということと、それから、これはいつまでもこういうことを続けておりましては、気持ちは変わっておってもおらなくても、これは自然に廃案になり、あるいは継続審議になるわけでございまするので、私はたいへんだと思います。したがって、ある時期には、これは池田総理に決断を下してもらわなければならない時期もくるのではないかということすら、私どもは期待しておるわけでございまするが、こういう点について官房長官からお答えをいただきたいと思います。
○黒金政府委員 御指摘のとおり、この特別委員会ができましたのが四月の二十何日でありましたか、それからもう四十日ほどたっております。皆さんにも非常に御熱心な御審議をいただいておるところでありますので、政府といたしましては、先ほど来いろいろお話がありましたような点もございまするし、せっかくここまで審議の運んでまいりましたこの機会に、ぜひ批准に御承認を得たい。せっかく努力をいたしておりますが、皆さまにおかれましても、ひとつこの上とも御協力、御鞭撻のほどをお願いしたいと思います。
○田口(誠)委員 本委員会を設置いたしました当時と、今日の状況でございまするが、私は非常に雲行きが悪いと思うのです。この点はお気づきになっておられるのでしょうね、官房長官。
○黒金政府委員 私どものほうは、終始この批准を御承認願いたいと努力をしておるわけであります。
○田口(誠)委員 まあデリケートなところでございしますから、官房長官の答弁も全くあいまいな答弁で済まされるわけですが、心情はよくわかりますけれども、先ほど申しましたように、この国会でこの法案が通らぬということになりますれば、これは単なる池田内閣の黒星といろことだけではないと思うのです。いま報道されておりますように、この重要法案の場でいろいろ内部的な戦いもされているという、こういう党全体の不信を国際的に負わなければならないと私は思うのです。したがって、そういう重要なものでありますから、私先ほども申しましたように、いつかの時期には池田総理大臣の決断を下してもらうなりして、何としてもこの国会において批准できるようにひとつ政府のほうでも善処をしていただきたいと思うわけです。もちろん、委員会は――委員会はと申しましても、いろいろ個々には考えがございましょうけれども、私ども社会党は、全力をあげて一日も早くこれの批准をいたしたいと努力をいたしておるような次第でございますので、念のためその点を希望申し上げておきます。 そこで、次にお聞きをいたしたいことは、今度のILO八十七号条約の批准に伴って国内法の改正が出ておりますが、国内法の改正の問題につきましては、今日までいろいろと質問され、答弁もされております。しかし私がここでもう一度考え直してもらわなくてはならないと思いますことは、どうして国家公務員なるがゆえに団体交渉権を与えることができないのかということです。特に戦後の日本の国家公務員法というのは、フーバー顧問の意見も入り、そしてマッカーサー司令官の意見も入ってつくられたものでございますが、ちょうど二・一のストライキをマッカーサーが中止声明を出しましたときに、非常に重要なことを言っております。それはどういうことかと申しますれば、これはマッカーサーの声明そのものを読み上げますが、次のようなことを言っておるわけでございます。重要な個所だけ読み上げます。「すなわち余は現下の困窮かつ衰弱せる日本の状態において、かくのごとき致命的な社会的武器を行使することを許容しない。したがってかような行為を助長することを断念するよう彼らに指令した。」こういうことを言っております。それからなおそのあとに、「日本人社会は今日財政と連合国占領の制限下に運営されている。その都市は荒廃にまかされ、その産業はほとんど停とんし、国民の大部分は飢餓線上をほうこうしている。」こういうことを言っておるわけでございます。したがって、マッカーサー元帥がストの中止指令を出したことは、労働者の既得権である伝家の宝刀を抜くことを中止させたということは、戦後の日本の経済がほんとうに荒廃した、国民は餓死線上にある、産業は全く停とんをしておる、こういうような時期にストライキをやるということはいけないから、これは中止をすべきである、こういうことから中止をさしたんだということなんです。なお、その声明書の中に次のようなことを言っております。「余はさし迫った非常手段の一つとして今回の措置をとったが、これ以外のことで労働者が正当な目的を達成するため今日まで与えられてきた行動の自由をあえて制限するつもりは毛頭ない。また、それと関連ある基本的社会問題をそらせたり、それに影響を与えたりする意思は全くない。」こういうことを言っております。それからなお、日本の経済の度が高まるにつれて、この労働者の権利というようなものに対しましても度を高めてやらなければならないということが、この声明書の中に入っておるわけなんです。したがって私は、このマッカーサー声明を読んでみますると、その当時としてはこれは公務員の団体交渉権、行動権というようなものは取り上げたけれども、やはり日本の経済が伸展するに伴って、日本の労働者に対して毛そうした権利というものは徐々に与えてやることが妥当であるということを、この声明書から判断をするわけでございまするが、これについて大橋労働大臣はどういうような御意見を持っておられるか、ひとつ承りたいと思います。
○大橋国務大臣 二・一ストに対して禁止を命ぜられましたマッカーサー指令官の声明書は、ただいま御引用になりましたとおりの趣旨であろうと考えます。したがいまして、マッカーサー元帥は当時日本の労働組合に与えられておりましたストライキ権の行使を当時の日本の状況のもとに禁止することが適当であると思量せらたものと考えます。
○田口(誠)委員 その当時は、先ほど申しましたように、日本が敗戦で経済は荒廃し、国民は餓死線上にあり、産業は停とんしておる、こういう経済再建の途上において、どんなに労働者が権利だといって伝家の宝刀のストライキ権を持っておっても、それを行使することはよくないのだという、こういう考え方で中止命令が出たわけなんです。したがって、あとから私が読み上げましたように、将来とも労働者が持っておるところの既得権、社会的な権利というようなものを剥奪するというような考え方は毛頭ないのだということをつけ加えておられるわけなんです。それと同時に、経済の度が高まるにつれて、やはり労働者のそうした権利を徐々に付与してやることが適当であるという意味のことを、声明書に言われておるわけです。私はこれを聞いておるわけなんです。中止されたときのことは、ただいま労働大臣が言われたような経過から中止をされましたけれども、その後やはり公務員に対するところの労働基本権というものは、これは全く完全なものでないといたしましても、度を高めていくというのが、これがマッカーサーのそのときの気持ちであり、私は当然のことであろうと思うのです。しかるに、今度せっかくILO八十七号条約を批准することに伴って、これに便乗して、この国内法の改悪を出されたことが私はわからないから、労働大臣はいまのマッカーサー声明の内容を十分に熟読玩味されておるものかどうかということに大きな疑念があるわけなんです。これはやはり労働関係の担当大臣として、もう少しその辺のところを具体的に御説明をいただきたいと思うのです。
○大橋国務大臣 ちょっと、田口先生の論法を承っておりますと、このマッカーサー軍司令官の声明は、日本の労働政策の先の先までのスケジュールがそこに書いてあるかのごとく説明されておられるのでございますが、このマッカーサーの声明は、当時の日本の実情に照らして必要であると認められた範囲内の命令だけを書いてあるのでございまして、その後の日本の法律の改正によって、公務員の労働権が公共の福祉のために制約せられたこと、その後にILO条約八十七号を日本が批准しようとしておること、あるいはその批准に伴って国内法を改正しようとすること、そういうことまでをも予想して、そのときにはかくかくすべきことなりというような意味をもそこに見出そうとすることは、その声明の無用なる拡張解釈ではなかろうか、こういうふうに私は考える次第でございまして、書かれた声明は、そのところにおける、そのときの条件のもとにおける意味だけを理解すればよろしい、こういうふうに思っております。
○田口(誠)委員 もう一回、私、その文章どおりを読みますと、特にあとにつけ加えて、「日本が現在の悲境から次第に立ち上がるにつれ、時と環境が災害を避けて方向を定めていく性質のものであろう。」こういうことなんです。このことは、日本の経済が発展するにつれて、労働者の既得権を剥奪したというような内容のものがあれば、これはやはり方向を定めていくべきであるということが、将来のものとして一言これに盛られておるのだと思うわけです。そういうことからいきまして、私は全然進歩しない政府の国内法の案を見て非常に遺憾に思うわけですが、たびたびで御苦労さまでございますが、もう一度私が最後に申し上げました点をどう理解されておられるか、この点を承りたいと思うのです。
○大橋国務大臣 私はこのたびの国内法の改正というものは、日本政府として、国内の労働事情にかんがみまして、結社の自由並びに団結権の保障に進むことが適当だ、こういう前向きの考え方を、もって八十七号条約を批准しようといたしておるわけでございます。国内法の改正は、そうしたことのために公務員の労働組合に対する従来の制限を解除しようという趣旨でございまして、田口先生のお考えに沿うものであると考えるわけであります。
○田口(誠)委員 同じような答弁をしておられますが、その点についてはあとから具体的な問題について触れますから、そのときに御一考をいただきたいと思います。 官房長官お忙しいようでございまするが、いまメモが来ましたが、ただいま申しましたように、このILO条約の八十七号を批准したために日本の労働者の労働条件が後退するというものであっては絶対にいけないので、完全に前向きの姿勢をかもし出さなくてはならないと思うのです。したがってそういうことからいきますると、いまのマッカーサー声明の内容からいきましても、当時は当時としてそういう声明が出され、また将来のことに及んでも心配をされておるのでございまするから、この国内法の政府原案には非常に不備が多いわけでございますので、そういう点の修正についての固執はおそらくされないと思いまするけれども、念のため官房長官からも御意見を承って、そして次の質問に移っていきたいと思います。
○黒金政府委員 マッカーサーの声明とこれとどういう関係ありますか、私もよくわかりませんが、とにもかくにも、先ほど来御返事申しておりますように、せっかくここまで御審議願っております機会に、ぜひILO八十七号条約批准の御承認を得たい、かような考えで努力をいたしております。したがいまして、この委員会等を通じまして国会で御修正がありますならば、そのときには慎重にまたよく尊重いたしまして考えたいと存じます。
○田口(誠)委員 そこで具体的に質問に入っていきたいと思いまするが、これはどの質問者もそれぞれ表明されておることでございまするが、ILO八十七号条約は、結社の自由と団結権の擁護を規定しておりまするし、それからILO九十八号条約は、団結権及び団体交渉権について規定をし、保障をしております。日本憲法の二十八条には、勤労者の団結する権利と、その他団体交渉と団体行動をする権利を保障しております。なお憲法二十五条には、すべての国民の生存権を保障しております。この点はあらためて確認する必要はないと思いまするので、そういう憲法においても、ILO各条約においても、労働者の団結の自由と、それから団結権の擁護、それから団体交渉権の保障がなされておりまするし、すべての国民は二十五条によって生存権が保障されておるのです。ところが国家公務員の場合は、いままでの質問者に対する答弁にもありましたように、国の公務を担当するということから、国民全体の奉仕者としての義務づけがされておりまして、公共の利益のために勤務しておるということから、国とか地方公共団体から給料をもらっておるわけでございます。したがってこうした公務員、特に国家公務員の場合は、そのときの政治勢力の消長によって著しい影響を受けることは否定できないわけでございますが、この点はどういうようにお考えになりますか。
○大橋国務大臣 御承知のとおり公務員につきましては、勤務条件その他は公務員法その他の法律によって定まっておるわけでございまして、時の政府の政策のいかんによって、公務員の仕事に変わりは絶対にないとは言えませんが、しかし労働条件の基本的なものは、法律に定まっておりますから、その限りにおいては政府の交代は影響を生じない、かように考えてしかるべきものかと思います。
○田口(誠)委員 時の政治勢力の消長によって影響のあるないという問題については、若干はあるけれども、たいしてそれに影響がないというお答えなんです。少なくとも、国家公務員から団体交渉権あるいは団体行動権を剥奪した以上は、これにかわる代償を設けなければならないというので、人事院というものが設置されておるわけでございますが、きて人事院の今日までとりきたってきたいわゆる功罪というものをつぶさに検討をしてみますると、時の政治勢力の消長によって国家公務員の労働者が影響を受けておるということは明確になっておるわけです。したがってこういう点については、ことばのあやかもわかりませんけれども、大臣の回答とは相当相違のある内容を私は調べ上げております。そういうことでございますから、公務員関係の労働条件を審議するにあたっては、この点に非常に注意をし、慎重を期さなければならないと私は思うわけです。したがって憲法に保障されておる生存権をどうして保障してやるか。このことが今度のILO八十七号条約の批准に伴って、国内法の改正を審議するに最も心をせねばならないところであろうと思うのでず。現行公務員法でも改正公務員法でも、職員団体は団結する権利は認められておりまするが、団体結成の目的である、労働条件の改善その他の目的を達成するために、政府と団体交渉を行ない、協約を締結する権利は、これは否認されております。このことは明らかに日本の憲法二十八条に照らしては違反、それから二十五条の精神を生かしておらないということ。もちろんいま審議しておりますILO八十七号条約、九十八号条約、こういうものに対しましても、意に反するものであろうと思うのでございます。ところが政府は、何回その点を質問いたしましても、国民全体の奉仕者として、公共福祉のために奉仕する職務を持っておるから、これは団体交渉権、団体行動権を剥奪しておっても、憲法の違反にはならないんだ、こういうことを言っておるわけでございます。 そこで、私はここであえてお聞きをし、確認をしておきたいと思いますことは、日本に労働組合法ができましたときには、特定の公務員を除いた以外は、これは団体交渉権も団体行動権もあったわけなんです。ところが、途中から国家公務員法、地方公務員法を改正をして、そうして労働三権の適用を除外するということに相なったわけです。したがって、日本憲法にのっとって労働組合法ができて、そうしてほんの一部の公務員を除いた以外は団体交渉権も団結権も争議権も与えておって、そうして今日剥奪をしておるんだから、私は、前かあとかどちらかこれは憲法の違反であるというふうに断定ができると思うのです。この点のところをどういう解釈をされておられるか。
○大橋国務大臣 国の法令はだんだんに整備をいたすのでございまして、一つの憲法ができたからといって、その瞬間からあらゆる法律が整うというわけにはまいりません。そこで、最初はまず労働組合法をこしらえようというのでこしらえたわけでございます。その後、国家公務員法や公共企業体等労働関係法も必要である、こういうことになりまして、だんだんと憲法の考えておる体制が、その後の努力によって整備いたしつつある、こういうふうに私は考えております。
○田口(誠)委員 それはそういう方法をとる場合もございます。ございまするが、国家公務員も労働者であるということは、これはいままでの委員の質問に対しまして明確になっておりまするし、したがって労働者である以上は、奉仕をするということは、やはり必要な労働を売って、そうして必要な賃金をもらわなくてはならないと思うのでございまするが、そこで問題がありまするのは、国家公務員、地方公務員の場合は国民全体の善良な奉仕者である、それから公共福祉のために奉仕するんだ、こういうことで別扱いにされておりまするが、別扱いにしておれば、別な方法でその他の民間の労働者と同じような待遇を与えてやらなければいけないと思うのです。ところが現在の場合は、ちょっと表現のしかたでは、一般の労働者よりも公務員の労働者の場合は何か上位にあって、そうして別な責任性と義務を持っておって、そうして賃金が少々安くても文句を言わずに自分の職務に専念すべきであるというような錯覚の起きるようなことばもよく聞くわけでございます。したがって、私はよく言うわけでございまするが、今日の公務員は待遇の点からいきますると、これは下男下女のような取り扱いがなされておるということなんです。その理由としては、これは公務員の生存権を守るために人事院というものは厳正中立、それから独立性を持ってつくられておりますけれども、その人事院が最低の勧告をしたものすら政府は認めておらないというとの事実を見ましても、これは国家公務員が一般企業の労働者よりも非常に低い賃金で、そうして不遇な取り扱いをされておるということは事実であるわけなんです。それは昨年の人事院勧告の六・七%の場合でも、五月実施が十月に延びたことにおいて、ふところに入る金の実際は四%しか上がっておらないということなんです。こういうような不遇な取り扱いがなされておるから、私は、ILO八十七号条約を批准と同時に団体交渉権も与えて、もう少し労働者がみずから使用者に対して労働条件の確保のできるような境遇を与えてやらなくてはならないのではないか、こういう考え方を持っておるわけでございまするが、いまの第三者機関の人事院が最低限度の勧告を出したものすら認めておらない。この事実から照らして、労働大臣はこうした問題をどう考えられており、今後こういう問題についてどう処理されようとしておるのか、ひとつ御説明をいただきたいと思うわけです。
○大橋国務大臣 人事院の勧告が完全に実施されていないということは、これはさようにあるべきものではないことでございまして、きわめて遺憾にたえないと存じておるのでございます。したがいまして政府といたしましては、今後は人事院の勧告の完全実施に向かって真剣に考えるべき段階であると思うのでございますが、しかしこのことと団体交渉ということとは、またおのずから別の問題であると、かように思います。
○田口(誠)委員 これは大橋労働大臣、思い起こしてもらえばわかりますが、水田さんが大蔵大臣のときに、人事院の勧告をめぐって発言された内容は、大体予算が通ってから勧告を出してもらったって迷惑千万である、こういうようなことはわれわれとしては受けることはでき得ないんだという意味の発言をるるされておるわけなんです。したがって私は、いま労働大臣の御答弁にもありました完全実施をしようといたしますれば、大蔵省自体から、これは頭を変えてもらわなくてはならない問題であろうと思うのです。したがってこのことは大蔵省という一つのきめつけではなしに、政府としてこれは考えられることであって、私は水田発言のような内容は非常に遺憾と思うわけでございますが、ああした発言が堂々と委員会や本会議であったわけでございまするから、そういうことも考え合わせて将来のことを考えた場合に、非常に憂慮される面があろうと思うのです。この点についてもう少し内容的に入って御答弁をいただきたいと思うのです。
○大橋国務大臣 御承知のように公務員の給与は、人事院の勧告を待って法律案を政府として提出することになっておりまして、その法律案の所管は、一般公務員につきましては総理府、特別職の公務員につきましては大蔵省というふうに相なっておったのでございまして、したがって勧告の実施についての責任機関というものが分かれ分かれになっており、一つは予算を所掌しておりまする大蔵省というような関係で、なかなかこの機構としては検討を要すべきところがあったと思うのでございます。そしてこうした点が、今日までこの問題をおくらしてきておった大きな理由ともなっておるのではなかろうか。政府といたしましては、この問題についてはこのたび真剣に検討をいたしまして、やはり内閣の一局として人事局を設け、この人事局を所掌する総理府総務長官を国務大臣として、その閣内における発露力を強めていく。この人が真剣に公務員の給与の問題を政府の内部にあって考えていくというしっかりした体制をつくることがこの問題の解決の一つの道である、こういうふうに考えて原案をつくり上げた次第でございます。
○田口(誠)委員 ただいま大橋労働大臣の答弁の最後にありましたように、このたびの改正案を見ますると、内閣に人事局を設置して、そうして現在人事院が持っておる権限、機能というものを大幅に移譲することになっております。それになお担当大臣が置かれることになっておりまするが、私は、そもそも人事院が設置され、公務員の生存権を守り、国家公務員法の一条の目的を達成するための権限と任務を人事院は負わされてきた経緯を見まするに、非常に遺憾なことを思い出すわけでございます。国家公務員法の一条は、これは公務員が民主的に能率的に公務に従事できるような体制をつくってやらなければならないということ、またそういう体制をつくってもらって職務に専念しなければならないというのが、第一条の精神であるわけなんです。したがって現在の場合は、幾ら公務員が公務員法第一条の精神にのっとって、そうして職務専念をいたそうといたしましても、やはり給料の安いということから十分に果たすことのでき得ないというのが実態であろうと思うのです。公務員は国家、国民の奉仕者であるから、それで給料が少々安かろうが、労働条件がまずかろうが、職員組合をつくっても団体交渉権も与えない。とにかく一生懸命に職務に専念しなさいといったとて、これはやはりやれるまではやりまするけれども、やれないときはやれないのです。これは労働者というものはやりません。それは四・一七闘争が不法であるということはだれしも認めておることであったし、そうしてこれはだれしも好んではおらないわけでございましたけれども、やはりいまの公共企業体のあり方、そうして公務員の使用者との雇用、交渉関係等からいって、自分たちの労働条件を自分たちがつくった組合によって改善していくということがむずかしいということに追い込まれた、あれは最後の考え方であって、私は、いつまでも押え押え、踏みつけておれば、違法であろうがあるまいが、労働者というものは食えないようになったときにはこれはどういう行動に出るかもわからないということは、やはり常識ある政治家としては考えてみなくてはならないと思うのです。こういう点から考えてみましたときに、今日までの人事院の勧告そのものにも不満があるが、その勧告すら認められておらない。そのことは非常に遺憾でございまするが、今度は人事局を設置して、それから担当大臣をつくって、そして国家公務員の要望を満たすようにするのだ、こういうお話でございまするが、しかしここでお聞きをいたしたいことは、人事局ができましても、給与の勧告権あるいは調査権というものは人事院に残っております。したがって、人事局が労働組合と交渉の当事者という形で交渉をしてみても、現在よりどれだけ前向きの姿勢がとれるかどうかということは、きわめて疑問でございます。したがって、私はここでお聞きをいたしたいと思いますることは、人事局をつくったことにおいて現在よりどうなるからこういうようによくなるのだということを具体的に明示をしてもらわなくては、ばく然たる回答では困るわけなんです。人事局を設置して、そして今度は総務長官を大臣にしてこの担当をさせるのだということだけでは、現在の状態を解消することはでき得ないと思うわけなんです。その点についてもう少し具体的なお示しをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 まず第一に公務員の給与の問題でございまするが、私どもといたしましては、公務員の給与につきまして人事院の勧告という制度を設けておりまする以上は、これは人事院の勧告が常に完全に実施せられるということが当然必要であろうと考えるのでございます。現在の政府部内の体制は、実績等から見ましても、それらの点において十分でなかったのでございますが、今後人事局の設置によりましてこの機構上の欠陥は十分に補いをつけられる可能性があると思っておるのでございます。 次に、公務員の勤務条件につきましては、給与のほかに勤務時間その他多くの問題があり、また給与につきましても、法律を実施するための基準の設定など多くの問題があるのでございます。政府といたしましては、これらにつきまして職員団体から交渉の申し入れがありまするならば、これと交渉を行ない、妥当な要求につきましては、政令その他に反映することによってその趣旨に沿うていくこともできるのでございまして、改正法案のもとにおきまする当局と職員団体との交渉が何ら実益がないと断定することは当たらないと存ずるのでございます。
○田口(誠)委員 私は、職員団体という名前にいたしましても、労働組合という名前にいたしましても、いずれにしても、労働者が団結体をつくってそうして相手の使用者と自主的に交渉して、そして交渉の中で円満に労働条件を改善したり地位の向上をはかっていくことはこれは好ましいことであって、それができればたいへんけっこうだと思うのです。ただ人事局が交渉の当事者になるということだけでは、私は現在持っておる公務員の不満を解消することができ得ないと思うわけなんです。したがって、私、ここで労働大臣にお聞きする前に人事院の総裁にお聞きをいたしたいが、総裁は終始人事局の設置には反対意見を持っておられるわけであります。したがって、昨年の社会党の有馬君の質問に答えてでございましたか、人事院としては文書をもって人事院の意見を反映いたしましたと、こういう回答を確かにされておったと思います。したがって私は、一年たった今年また同じような改正案が出されておるのであって、人事院総裁が今日まで公務員のスト権、団体交渉権の代償として生存権を守るというそういう重要な職務を持って執行せられた経験からいって、実際に人事局ができて現在より前向きの姿勢がとれるかどうかということ、そして労働者が要求しておる諸要求を満たすことができるかどうか、あなたのお考え方を率直にここで述べていただきたいと思うのです。
○佐藤(達)政府委員 ただいま引用せられました私どもの政府に対する意見書においても、またその後今国会における特別委員会におきましても、るる申し上げたところに結局そのすべてがあらわれておると思うのでございますが、私どもといたしましては、どうしても制度の筋からして現在の人事院の機能というものは、ぜひこれを堅持さしていただきたい。現在、申すまでもございませんけれども、たとえば給与、勤務条件の関係から申しまして、勧告権というものが、これは重要なものとしてございますが、勧告権のほかに通常団交の対象、団交事項とされておるような事柄が相当大幅に、第三者機関としての人事院の規則におまかせいただいておるわけであります。それらの規則の制定なり、もちろん勧告についても同様でございますが、私どもは私どもとして、やはり職員団体の意向も常に聞きながら、それを考慮に十分加えながら措置をしてまいっておるのでございますが、それが今回の法案によりまして、人事局に移りまして、主として政令という形でこれが内容がきめられることになるという点において、大きな筋の問題として根本的な疑問を私どもは持っておるわけであります。もちろん、給与の勧告というようなものの実現について、近年よほど尊重されつつまいっておりますけれども、ただいまのおことばにもありましたように、もう一息というところで、まだ理想的な形にいっておらない。これはわれわれの努力もさることでございますけれども、こういうような面は、人事局ができようとできまいと、完全に実現されるべきことではないかというふうに私は考えております。 〔委員長退席、安藤委員長代理着席〕
○田口(誠)委員 もう一度総裁にお聞きをいたしたいと思いまするが、私は、団体交渉をもって交渉をしてきた公務員と、それから人事院の勧告によって待遇を改善してきた公務員とが、賃金の面でギャップができておるという点を発見したわけです。それはどういうことかと申しますれば、私のほうからこれはお聞きをしたいのですが、いわゆる五現業だけ団交できめるようにしたのは、これはどういうことかということがまず聞きたいのです。これは労働大臣のほうがいいですか。
○三治政府委員 五現業の職員も公務員という規制になっているわけですけれども、産業的な活動、いわゆる行政的な国家権力に基づく行政的な仕事をやる部面と、民間産業的ないわゆる業務、産業的な営業をやる部面とを、やはり労使関係法や身分法上の問題として区別する、これが進んだ労働法関係の判定になっているという意味において、身分関係におきましては、公務員法上残しまして、団体交渉とか、そういう労使関係におきましては、一般公務員よりかより進歩した関係に置く、こういうことで公労法ができたわけでございます。
○田口(誠)委員 そういう経過をたどって、そういう考え方の上に立って、五現業だけ団交権を認めた、こういうことでございまするが、そこで、私その内容に入ってお聞きをいたしたいと思いまするが、五現業の労働者の中には、団交で労働条件をきめる層と、それからもう一つは、管理監督の地位にある者、これは別ですけれども、管理監督の地位にある者でない機密の事務を取り扱う機密義務者、この人たちは団交で労働条件をきめてもらうわけにはいかないわけなんです。そうしますると、団交できめる一般の組合員のほうは給料が高くなって、そうして人事院の勧告に基づいて、また政令で給与、条件をきめられる、いわゆる私の言うところは数は少のうございますけれども、機密業務に従事しておる公務員労働者は賃金が安くなった、こういうギャップができたわけなんです。この点総裁はどういうようにお考えになりますか。
○佐藤(達)政府委員 これはもう田口委員十分御承知のとおり、私どもの勧告の基礎は、四月現在で六千数百の事業所に当たって民間給与を調査いたしまして、その結果と公務員の給与の水準とを比べた格差を埋めるというたてまえで、これはきわめて客観的な資料でやっておるわけでございます。もとより、いまおことばにありましたような五現業その他の給与状態がどうなっておるか、これは一々詳しくは調べることもできませんけれども、大体仲裁裁定が出れば、裁定はすぐもう承知いたすわけであります。それらの点その他の点をももちろん勘案はいたしますけれども、根本の基礎は、いま申しましたような事実の資料に基づいてやっておるわけでございまして、これは五現業と比べて高い低い――これはまたもちろん五現業そのものの関係における高低もございます。また五現業と一般職公務員との間の職務その他の違いもございますから、一律には参らない、これはやむを得ないことだろうと考えております。
○田口(誠)委員 特例法、給与準則というものができておりますが、これはどうしておつくりになったのですか。これは人事院のほうからでも労働省のほうからでもいいが、ひとつ明確に答弁していただけばけっこうです。
○佐藤(達)政府委員 お名ざしがございましたけれども、実は人事院の所管事項ではございませんので、また他の担当のほうからお答えをいただくようにしたいと思います。
○田口(誠)委員 いま調べてみえるうちに申し上げておきますが、人事院の担務事項でなくとも、給与に関連をして、そうして特例法、給与準則が人事院の勧告に関連をすることによってできたものぐらいは人事院もお知りにならなければならないと思うのです。これはお知りにならなければ、ならないとして、私は非常に遺憾に思っておりますが、やはり関連のあることぐらいは知っておってもらわなくては困ります。 では労働省のほうから御答弁いただきましょう。
○三治政府委員 この法律の所管は、特別職の給与に関係する法律とともに大蔵省の所管になっておりまして、御質問に十分沿えるかどうかわかりませんけれども、いわゆる公労法適用以外の関係の職員につきまして、一般職になるわけなんですけれども、それについて国の企業の関係で公労法適用以外の職員についての給与を定める、こういうことで、特別職の職員というようなものとまた別に規定する必要があるというようなことから、こういう特例法が定められたものと考えます。
○田口(誠)委員 大蔵省にしても、労働省も、こういう問題については重要視していただかなくてはなりませんし、もちろん人事院も重要視していただかなくてはなりませんが、私がこの問題を取り上げましたのは、同じ五現業の労働者でも、団交で給与をきめる者と法律で給与をきめる者と差ができた。差ができたからこの特例法をつくって、給与準則によってこの格差是正をしようとされておったわけなんです。その点は間違いございませんか。
○岡田政府委員 このただいま御指摘の法律は、五現業の職員の一般の職員が団交でその給与がきまるということになりますし、先ほど御指摘のありました管理監督者は一般職の給与表の適用を受ける、いわば給与については人事院の所管に入る職員でございます。で、管理監督を除きまするいわゆる機密の事務云々という職員でございますが、これにつきましては、その団交できまる職員と、それから人事院所管の――人事院所管と申しますか、一般職の給与表できまる職員とのバランスをとる必要もありますので、このただいま御指摘の給与特例法ができておるわけでございます。
○田口(誠)委員 これは労働大臣も総裁も聞いていただきたいと思います。私どもは、国民全体の奉仕者である国家公務員にも団体交渉権を与えて、そうして団体交渉の中で労働条件を獲得させなければ、いかに生存権を守ってやるのだ、スト権の代償としてできた人事院だ、こう言ってみたとて、ただいま答弁のありましたように団交できめる賃金と法律できめられる賃金、同じ一般職の公務員に賃金に格差ができてきたわけです。したがって、あわてふためいてでかしたのがこの特例法であります。私はあくまでも団体交渉できめることが労働者の労働条件を満たすところの第一義的な重要な事項である、こういうように考えておるわけでございます。したがって、そういうことから主張しておるのです。 しからば、この五現業の機密事務を取り扱っておる者は特例法によってバランスがとられておるといたしますれば、それでは人事院の勧告だけで給与の改定が行なわれておる人とまた格差ができておると思うのですが、その点はどういうように処理をされておられますか。
○佐藤(達)政府委員 人事院といたしましては、国家公務員法一般職の給与表に基づいて先ほど申しましたような勧告権を行使してやっておるわけでありまして、それを参酌してとかあるいはそれに準拠してというのは、今度は別の法律のほうでの受け身の体制になっております。これはわれわれのほうとしてはただ純真に一般職の給与表に基づく給与の勧告権を行使しておる、こういうことであります。
○田口(誠)委員 人数の多い少ないにかかわらず一般職の公務員がつとめる場所によって賃金に相違ができる、格差ができるということは、これは重大な問題だと思うのです。これは一人一人の個々に照らしてみれば非常に不満を持たれる問題だと思うのです。 郵政大臣おいでになったが、これは大臣のほうの所管でもございます。この年末には年末闘争で相当御苦労な体験をされて、そういうようなことは十分に一つの考え方をまとめておられると思います。私のいまの申しましたのは、同じ一般職の職員で団体交渉で給与をきめる公務員はこれは賃金が高くなって、そうして法律で賃金のきめられる一般職の公務員は賃金が低くなったわけなんです、同じ職場に働いておって。だから、これをバランスをとるために特例法をつくり給与準則によって処理されておるわけでございます。したがって、私の言いたいことほ、団体交渉権を与えて交渉をさせることは私は労使間の正常な運営をするためには非常に必要だと思うのです。この点について年末闘争でたいへんな御苦労、経験をされた郵政大臣として、どういうような考え方を今日お持ちになっておられるか、率直に承りたいと思うのです。
○古池国務大臣 お答えいたします。 昨年の年末闘争の際に、長期にわたって組合側と私ども管理者との間に意見の対立があったことは御承知のとおりであります。しかし、昨年の年末に限りましては、これはちょっと特殊な例でございまして、労働条件あるいは給与に関係しない問題のほうが長い時間がかかったのでございます。実際上の給与の問題につきまして団体交渉に入りました際には、比較的時間も短く両者の意見が一致して妥結を見るに至ったわけでございます。 さて、先ほど来御質問を伺っておりましたが、やはり私どものごとき多数の職員がおります職場において、一方においては公労法の適用を受け団体交渉によって労働条件等をきめていく職員と、また同じ職場でありながらたとえば管理者、監督の立場の者あるいは機密を扱うというような人たちは団体交渉をいたしません。したがって、これらに対しましては先ほどの給与特例法に基づきます給与準則によって団体交渉による職員の給与との間の調整をはかっておりまするから、実際問題としては大きな支障はないと心得ております。 むしろ問題は、同じ職場でなく、一つの省の中において公共企業を行なっておりまする職員としからざる監督行政をやっておりまする職員との間の問題については今後研究する余地はあると思いまするけれども、たとえば郵政事業というもの自体につきましてはさほどの大きな障害はない、かように考えております。 団交の関係につきましては、先ほども少し触れましたように、相当両者の意見の相違のある点については議論を重ねますが、しかし最後には一致いたしまして、年末給与その他妥結を見たような次第でありまして、これは公共企業体に従事しておりまする職員としては当然なことであり、それによって満足すべきものと考えております。
○田口(誠)委員 団交権の問題については、郵政大臣は表現のしかたとしては団交権を認めるほうがいいという表現はなかったのですけれども、交渉して円満に話がつけばそういう交渉もいいのだというお考え方のようでございました。 そこで、私はあくまでも団体交渉権ぐらいは与えなくてはならないという考え方の毛とに質問をしておるのだから、総務長官にお伺いをいたしたい。 人事局ができて、そして現在人事院が持っておる権限、機能というものの大かたを人事局が握るわけなのです。そこで今度は総務長官はその担当大臣としてすわられるわけでございます。その場合に、団体交渉権というものがやはり公務員にない場合には私はどうもすっきりしないと思うのです。相当途中で不要な論争をかもし出す場合があろうと思うのです。 私はつけ加えて申し上げておきたいと思いまするが団体交渉というものは国家公務員であろうが、民間の労働組合の組合員であろうが、やはり双方が信義、誠実、道義というものを重んじなければこれはだめなのです。したがって、その精神に基づいて団体交渉のやられる場合には、ときによってはそれは議論を戦わして大いにやり合う場合もございまするけれども、あとには妥結をして、ああよかったよかったで握手をして、そうしてそのきまった内容を文書交換をするということこそほんとうにすっきりした内容のものができるわけなのです。そうでなしに、現在のように団体交渉権でない団体交渉、ことばをかえて言えば話し合いともいう、こういうようなものでございますれば、ときおり組合のほうから交渉をするといっても、きようはだめだ、あすはだめだというようなことできますると、そのことで私は不要な論争をかもし出す場合があると思うのです。こういう点は政府のほうでも十分に考えていただいて、そうして団体交渉権を付与するということは当然のこととして私はこの法案の改正を出すべきであったろう、かように考えておるわけなのです。 いままでの経過をじっと聞いてお見えになりました労働大臣としてはこの問題をどうお考えになるか。現行の法案にこだわらずにひとつ承りたいと思います。
○大橋国務大臣 私は、団体交渉を認めるということになりますと、現在の国家公務員の給与その他の労働条件の大半は法令で規定をされております。したがって、団体交渉というものはその法令改正の準備手続としての意味を持たせる程度にとどまるのじゃないか、団体協約ができたからそれが直ちに法的効力を生じて法律が自動的に改正ざれたような扱いをするというわけには法律の性質上いかないのではないか。要するに今日公務員の労働条件のおもなるものが法律できめられておるということは、やはり公務員の性格から見て公務員の労働条件というものは結局において国民に重大なる影響がある、そういう見地からこれを国家の最高機関である国会の審議をわずらわして決定するという考え方になっておるのだろうと思うのでございまして、そうした法令の改正をするにあたって労使が話し合いをして、現行法はかくかくであるけれども今後これこれに改正するようにすることについて労使の意見が一致したんだというようなことではなかろうか。その程度のことでありましたならば、いわゆる団交権として協約の締結をさせるかさせないかということはこれはたいして問題ではない。いずれにしても協約そのことに法律上の拘束力を与えるわけにはいかないのではないか、こう思うのでございます。
○田口(誠)委員 総務長官にお伺いいたしたい。 これはまだこの法案が通っておりませんし、大臣にはおなりになってみえませんのでちょっと実感がわからぬかもわかりませんが、総務長官が結局担当大臣になるわけであります。したがって、そうなりますと、人事局というものを設置をして、この人事局の場で、それぞれの公務員の労働者の要求をかかえてそこで交渉をやる場合には、やはり団体交渉権というものが私は絶対必要であろうと思うのです。そうでなかったら、団体交渉権もない、ただ団体交渉をやるのだ、陳情をするのだだけでは、この人事局というものは要らないわけです。先ほど大橋労働大臣が御答弁になったように、いままでの人事院だけでは十分に公務員の要求を満足することができ得なかったので、今度は人事局をつくって、そして担当大臣をつくってこの場で公務員労働者の要求を満たすように努力するのだ、またそれができるのだ、こういうお話でございますので、そうするなら私は当然団体交渉権だけは付与してやる必要があろうと思うのです。この点、大臣になったつもりでひとつ責任ある答弁をいただきたい。
○野田(武)政府委員 ただいま田口さんの団体交渉権のお話がございましたが、その際も田口さんは非常に私に同情的で、まだ大臣にならぬから、経験がないから実感はなかなかわかないだろうということでありますが、そのとおりであります。 しかし、いま私いろいろの質疑応答を拝聴いたしておりましたが、私は、政府がいま提案いたして御審議を願っております法案というものは、これはもちろん完ぺきではないかもしれませんが、相当一般公務員の給与その他について思いやりをいたしているんじゃないか。なぜかと申しますと、大体今日政府に公務員の人事管理に対する責任体制がないというのがおかしいと思うのです。これは非常に大きな欠陥ではないか。お話しの第三者機関の人事院があります。これは最も中正公平で給与の勧告をなさる。私はこれは正しいことだと思う。それを受けた政府が、もとよりたてまえからすれば人事院の勧告を尊重する。最近の傾向はもちろん一部尊重をし得ない遺憾な点もあります。認めます。しかし、大体の傾向は漸次尊重するというのは御承知のとおりでございます。その人事院の勧告を受けて、政府がこれを受け取って、これを今後どう人事管理をするかということにつきましては、これはひとり給与だけの問題ではないと思っております。少なくとも一般のいわゆる公務員の方々の勤務に対する思いやりと申しますか、これらにつきましては、給与がこうこうだから、それでもって給与さえ解決すれば人事管理はもうそのほか必要ないというようなことは、私はそう考えないのです。あるいは勤務時間の問題とか、あるいは勤務のいろいろな問題に関連いたしまして、いわゆるそこに責任体制ができまして、そうして公務員とともこれを研さんしてより以上の、ひとり給与体制だけでなくて、人事の体制が確立していくということは私は非常に望ましいことではないか。したがって、今度、これは私がやるか、だれかということは別といたしまして、人事局ができましてここに責任体制が確立されましたということは、私は一種の公務員の人事管理に対する一つの進歩ではないか。 それから一面また考えまするに、団交権がなければ交渉は意味ないということばは、私は田口さんのおことばとしては少しまあそう極端に言い切られるということはどうかと思う。従来団交権がないかあるか、これは私いままだ経験がございませんから、私は断定いたしません。しかし、大体職員団体と交渉いたしましていろいろな注文があると思うのです。これらにつきましてやはりこれを聞いて、できるだけその勤務がきわめて能率的で、先ほどお話がございましたとおり職務に専念される体制をつくり上げるということは、少なくとも責任体制をつくりました意味の価値が十分備わるのじゃないか。こう考えておりますから、団交権の問題のみによって人事局の設置に対する問題を意味がないということは私自身はそうは考えておりません。
○田口(誠)委員 現在でも、総務長官、人事管理するところは、人事院でやっておるわけです。それから、公務員の労働条件をよくしていくという作業も人事院でやっておるわけです。ところが、その人事院でやっておる権限、機能を大幅に、人事局を設置してこれに移譲して、そうして今度はそこで労働者の要求を満たす作業をするということなんだから、結局労働者の要求に応ずるといふことなら労働者の話を聞かなくちゃいかぬ。要求を聞かなくちゃいかぬ。それにこたえなくてはいかぬ。このことが団体交渉であるわけです。 ところが、団体交渉権というものが確実に明確になっておらなければ、これは現在の政府の実態からいきますると、きょうはあれで都合が悪い、きょうはこれで都合が悪いというようなことでなかなか団体交渉にも応じないということになりまするから、人事局を設けていろいろな作業をやっていく上において、団体交渉権のない場合にはかえって要らぬトラブルが起きるのではないか、紛争をかもし出すのではないか、こういう判断を私はいたしておるわけなんです。したがって、そういうことからお聞きをいたしたわけでございます。 そこで、いまの人事管理云々ということで、まるきり現在は人事管理するところはなくて、人事局を設置してそとでやるんだというような御答弁でありましたけれども、これはやはり人事院でやっておるのです。そこで、私は一つ二つ例をあげてお聞きしたいと思います。 大幅に人事局へ権限を移譲されまするが、たとえば分限の問題を一つ取り上げて考えてみましたときに、これを人事院に瞬いたらどういう不自由があって、人事局に移したらどういう前向きの姿勢でどういう能率的な処理ができるのか、これをひとつお伺いいたしたいと思うのです。
○野田(武)政府委員 田口さんにお答えいたします。いまの人事管理は人事院がやっておるということでありますが、そのとおりであります。私は政府が責任を持ってこれをやりますという場合には、いろいろ団体交渉、いわゆる交渉があった場合に政府が取り上げるべき問題がある。こういう問題は政府全体の責任になってまいりまして、あるいはこれに基づいて政令を出すとかその他というものが直接その責任になってまいりまするかう、私はいまの人事院にあるよりも、第三者機構にあるよりも、政府自体のところにこれを持って、そして責任を持ってこの問題の解決に当たるのがさらによい、こういう意味でございます。その他にいろいろ御議論がございましたが、いろいろ事務的な問題は申し上げますが、つまり私はいまの機構が悪いとかいいとかでなくて、さらにそれが政府が責任を持ってやるようになるのであるから、公務員の勤務に関するいろんな問題の解決が早いのじゃないか。それで交渉はもちろん応ずるのでございますから、またその人事局ができますれば、きょうは悪いとかあしたは悪いとかいうようなそういう怠慢なことではいけない。これはいわゆる人事管理の責任の地位にあるものでございますから、これはもうできるだけ交渉に応じてお互い話し合うということは当然のことだと思っております。
○田口(誠)委員 分限の関係はどうですか。
○岡田政府委員 現在国家行政組織法の第十条におきまして、各大臣その他いわゆる行政機関の長は職員の服務につきましてこれを統督する権限を有しておるわけでございます。そこで、ただいま御指摘の分限あるいは懲戒というふうなものは、この服務の統督する権限と一体と申しますか、うらはらと申しますか、に行なわれるべき筋のものでございます。したがいまして、ただいま御指摘の分限につきまして、これを人事局の所掌に移す、こういうふうなことにいたしてあるわけでございます。
○田口(誠)委員 ちょっともう一回お伺いします。どうもはっきりしなかったのですが、私のお聞きしましたことは、幾つか取り上げてお聞きしたいのだけれども、いろいろと長くなりますかう、一つ例をあげて聞いたんです。 分限の問題を人事院から人事局に移されるということは、人事院に置いたらどういう不便があって、人事局に移したらどう前向きの作用ができるのか、何か特徴があるのかどうかということを聞いておるのですよ。
○岡田政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、服務については各行政機関の長は統督権を有しておるわけでございます。ただいま御指摘の分限、この作用は服務の統督と相関連して、その結果的に発生してくるわけでございます。そういうことでございますので、各行政機関のこういった仕事を総合し、調整するということに相なりますれば、これは人事院に置いておくより人事局に持っていったほうがよりその辺の運用が適切妥当にできる、こういうことでございます。
○田口(誠)委員 大方くみ取れかけたのです。人事局を設けるということになりますと、総務長官もるる説明されましたが、現在の職員団体がいろいろと政府と交渉いたしますが、今度は人事局が窓口になって、そうして組合の相手になるということになる。そうしますと、いま人事院にある幾つかの大半の権限、機能というものは人事局に移されるのであるから、これは労働組合のほうから人事局に対していろいろと交渉する内容というものの実質的な範囲というものは現在よりは拡大される。こういうように私には聞き取れるわけなんですが、それに間違いございませんですか。
○安藤委員長代理 田口さんにちょっと申し上げますが、文部大臣、郵政大臣、両大臣は所用のため間もなく退席いたしたいということでありますが、この方面を続けてくださいますか。
○田口(誠)委員 それでは、御用事がございましたらどうぞ。
○野田(武)政府委員 団交権の問題と団体交渉の問題を田口さんおっしゃっておりますが、団体交渉の場合ほとんど窓口になりますかう、お話のとおり総理府に持ってくると思っております。 そこで、給与制度としては、団交権によらないで法律によっておりますが、やはりいろいろの勤務体制の全体につきましては、できるだけ話し合いをするというのは一番肝心なことではないか。そこでその最後のきめ手は、私が申し上げなくても百も御承知のとおり、最後のきめ手はきまっておりますが、それに至りますまでに、給与のこともさることながら、万般につきましてできるだけ話し合いをする、これは一番大事なことじゃないか。それに基づいて政府自身――もちろん給与につきましては人事院からの勧告がございますし、また政府としてもこれに対する基準その他の問題もございますので、これはやはり政府がその窓口を通じまして全体で責任を持ってこれに当たるというようなことと、その前提といたしましては、いまお話しの、できるだけ話し合いをしていく、これが一番両者の関係が、意思が疎通いたしまして、理解し合えるのじゃないか、こう考えております。
○田口(誠)委員 総務長官、もう一回お願いしたいのです。 長官の回答によりますと、私からも申しましたように、とにかく権限が人事院から大幅に移譲されてきて、そうして団体交渉の窓口になる。そういうことになると、職員団体からいろいろな交渉を持ち込んでくるから、実質的には職員団体の交渉の範囲というのはいまよりはよけい広がる、こういうように受け取っておいてよろしいのですね。
○野田(武)政府委員 それはいまよりも相当範囲は広がると思っております。 〔安藤委員長代理退席、委員長着席〕
○田口(誠)委員 そういう総務長官の御回答のとおりに、実際に人事局の店を開いた場合には、これは現在の職員団体が交渉に来るよりよけい激しく来ますし、これは拡大はされると思います。拡大されると思いますが、責任を持ってものを解決しようといたしますれば、ここに責任体制というものが現在よりもう少し確立されなければならないと思うのです。 それで、責任体制を確立するということになりますれば、私はスト権まで一足飛びに与えよとは現在のところは主張しておりませんけれども、団体交渉権はやはり付与して、団体交渉の中で円満に妥結をして、これを文書で残して、そうして団体交渉に応じた人事局が、その担当大臣であるところの国務大臣が責任を持って政府に反映して、そうしてそのきめたことは政府に認めさせる。こういう態度に出てもうわなければ、人事局をつくっても私は何にもならないと思うのです。現在人事院はきわめて厳正中立的な立場で、自主性を持っておやりになっておられますけれども、さあ勧告を出した場合に、その勧告が実施されない場合には、委員会で質問をしたときは非常に遺憾であるという表明はされるけれども、これは政府へ対して政治的にもっと働きかけるということが欠けておったのではないか、かように考えておりますし、もし働きかけをされたといたしましても、現行の場合には、政府のほうでは財政云々でそれを受け付けないということがあり得たと思うのです。将来人事局がそういう形で設置されて、そうして団体交渉の当事者として職員団体と交渉もし、そうして交渉したことを実施に移そうといたしますれば、そこに政府としては担当大臣に一つの責任を付与しなければならない。その責任というものは、法律で文章化されておってもされておらなくても、それは大臣が責任を持って政府に反映して、自分の返事をしたことはそのまま了承させるようなことをしなければ、これはどんな改正をしても何にもならないと思います。その点は総務長官から再びお聞きしなくても、いままでの答弁でわかりました。その点をまず確認をしておきます。 それから、先ほど賃金の場合には、法律、規則等で縛られるということから、団体交渉権というものを与えることは非常に矛盾だという大橋労働大臣の御答弁でございましたが、これはその範囲内でも団体交渉権を与えたとてそれはやれるわけです。その辺のところは、大臣はどういうようにかたくお考えになるのか。これは私の考え方と違いますが、もう一度その点をよくお考えになって御回答いただきたいと思います。ただ私は、その理由で団体交渉権を付与することは妥当ではないと言われることは違っておると思うのです。その点もう一度伺いたい。
○大橋国務大臣 いろいろなことが考えられるとは思いますが、賃金の問題は、御承知のとおり、直ちに財政に大きな影響を与える事柄でございまして、団体交渉というようなことよりも、やはり権威ある人事院のごとき機構で検討されてはっきりきまったという形をとることが、これを実現する上からいっても適当であるし、また国民の納得を得るゆえんでもある、こういうふうに考えるのでございまして、給与の問題について団体交渉をやるということは、私は事柄から見ましてあまり適当でないように思います。
○田口(誠)委員 その点は、法案を出しておるからちょっとこだわっておいでになりますが、当然団体交渉権だけは付与すべきであるし、付与してもこれが別段どうこうということになるものじゃありません。これがほんとうに労使間の正常な運営がされる要素になると思うのです。したがって、私はそういう点から特に主張しお聞きをいたしておるのです。 そこで、先ほどから、賃金の関係は人事院のほうでということでございますから、人事局というものは賃金の関係では職員団体の申し入れに応じて交渉をされるというようなことは全然ないのかどうか、これをひとつお聞きしたいわけです。
○大橋国務大臣 人事局は、交渉事項について別に制限を設けておりません。したがって賃金につきましてもいろいろ話し合いをすることはあり得るわけでございます。ただ先ほど来申し上げましたごとく、協定に達することはできないわけでございます。しかし話し合いによって了解ができました場合には、その了解事項を人事院に送付いたしまして、そして人事院の勧告についての参考資料として活用してもらう道は十分に考え得ると思います。
○田口(誠)委員 そこのところが、私は人事局を設置した意義とどうもちぐはぐな面が出てくると思うのです。職員団体から要求されることは、賃金の引き上げがまず第一番なんです。あまり政治の問題のほうにきては困ると言われるから、当然賃金の問題は堂々と人事局に対して交渉をするわけなんです。そのときに、人事局は交渉には応ずるけれども、その結果を返事するところの権限がないということなら、これは人事局を設置しても何にもならないわけなんです。給与を一つきめる場合に、人事院と人事局、人事局担当大臣とはどういうような関連を持って運営されるのか、その辺のところをちょっとわかりやすくお聞きをいたしたいと思います。
○大橋国務大臣 人事局は人事院と始終仕事の上で連絡をとるようにいたしまして、人事院は人事局の考えをいつも頭に置いていろいろな勧告等をやっていただくことになりましょうし、また人事局におきましても、人事院の考え方を始終頭に置いて交渉などの仕事に当たっていく、こう思うのでございます。
○田口(誠)委員 実際に賃金の問題を取り上げて職員団体が来て、人事局が交渉に応じた場合に、その実態をどうさばいていくかということを考えたときに、なかなか方法がないわけなんです。人事院には勧告権と調査権があるわけですね。現在賃金をきめる場合には、国家公務員の場合は民間の労働者との格差是正ということに重点が置かれておるわけです。ところが今日公務員の不満を抱いておる面は、賃金が安いということだけではない。賃金体系そのものに不満を抱いておる。こういう問題を持ってきた場合に、 責任を持って処理できるのかできないのか、これも一々人事院のほうに相談に行くのかどうかということ、その辺はどういうふうに考えておられますか。
○大橋国務大臣 御承知のように、法律案並びに予算案の提案は政府が行なうのでございます。したがって、その限りにおいて、人事局でまとめられた考え方というものを閣議を通じて国会に提案することは、政府の権限に入っておるのでございます。したがって、それができるかできないかといえば、法律的にはできる。また場合によってはやることもあるであろう、こう思うのでございます。しかし私は、実際の運用面におきましては、人事局のほかに人事院というものがあります以上は、法律上の事柄は別として、実際上お互いに同じ給与の問題を双方から扱っておるのでございますから、事務的にはやはり連絡提携をしていくということが必要ではなかろうか、こう思うのでございます。これはもちろん、人事院が政府の意向に制約されるという意味ではございません。しかし人事院が勧告についてある種の決定を行なおうという場合においては、いままでといえども、政府の意向なり組合側の意向なりを十分にただした上で判断を下しておるというのが実情でございまして、これは私は仕事を進めていく上からいって、当然あるべき配慮であろうと思うのでございます。私の言っておりますのは、実際上いかに問題を適正に解決するかという実際上の問題を申しておるのでありまして、法律的には先ほど申し上げたとおりでございます。
○田口(誠)委員 いつも明快にされる労働大臣が、きょうはどうも答弁がすっきりいきません。ただいま大橋労働大臣から答弁があったわけですがこれは実際問題としてそういう答弁では私は納得がいかないわけです。したがって、人事院総裁は静かに聞いておいでになったので、こうした問題の処理は結局具体的にどういうようにしてやられるのかということをひとつお聞かせいただきたいと思います。 それからもう一つ。いままでも政府と連絡をとり合って人事院の勧告というものは出された、こういう答弁でございますが、人事院というものは全く厳正中立で、主体性を持って、だれからも支配されずに勧告を出した、それだけに今度は、出してから政治的に政府の中へ入っていって政府の中をかき回すという行動もされなかったわけですから、実際に自主性を持っておられたと思うのです。したがって、そういうことから考えてみますると、ただいまの答弁はおかしいわけで、二つに分けてひとつ御答弁をいただきたいのです。
○佐藤(達)政府委員 あとのほうから先にお答えしてなんでございますけれども、私どもは、先ほども申し上げましたように、少なくとも勧告にあたっては、職員団体の意見も十分に聞きますし、あるいは各省の事務当局の意見も聞いております。そうしてわれわれは、最も公正妥当と皆さまの御納得のいただげるものだという案をまとめ上げて勧告を申し上げておる。それ以上に何ら干渉がましいことは受けて一おりません。これははっきり申し上げておきます。 それから最初のお尋ねの点でございますが、これは人事局ができた暁のことを前提としてのお尋ねでございまして、私どもはその根本に重大な疑問を持っておりますから、その点についてどうも明確なるお答えはできないということはおわかりいただけるだろうと思います。しかし根本的に考えまして、まあことばは少し激しいかもしれませんけれども、たとえば政令をも拘束するような強力な団交権というものがここに保障されるということであれば、これはまたいろんな考え方が私は出てくると思いますけれども、そうでない現状を基礎にして考えました場合においては、やはり人事院にお預けいただいている団交権の代償機能というものは、どうしても重大なものとして考えなければならない。その代償的機能の中には、勧告権も一つでございますけれども、先ほども触れましたように、いろいろ団交の内容たるべき事項を第三者機関として、これが人事院規則の形で相当大幅にこれをきめさせていただいているわけです。それが政令になってしまうということについて、私どもは大きな疑問を持っているということを申し上げておきます。
○田口(誠)委員 この問題は、ほんとうに実際に自分がその衝に当たって作業を行なおうと思いますると、幾つかの疑問に突き当たるわけなんです。だから私はいろいろお聞きをいたしておるのですが、まあ政府としては一つの法、案を出しておいでになるから、若干それにこだわって答弁をされておられまするので、答弁が一貫しておりませんが、ただいま人事院の総裁の答弁のように、それはおそらく各省の出先機関の大臣に対しては、職員団体のほうからいろいろな要求を突きつけて交渉もしておりまするので、そういうようなものについての反映は人事院になされておる。そのことを総裁は、各省の意見も聞いておる、こういうことであろうと思うのです。ところが、労働大臣の答弁を――これは私の受け取ったのと違えば幸いですけれども、聞いておりますると、あたかも人事局が交渉の窓口になって、交渉をする場合には人事院と連絡をとってやる、そのことは、人事局は一つの政府の機関としてできるのだから、人事院を拘束するようなこともあり得るというように受け取れるわけなんで、その連携のし合い、またいろいろな事務の進め方によっては、これは完全にそういうことになり得るわけなんです。私は、人事院というものを、たとえ権限を少なくしても、存置するとすれば、これは絶対的な独立性を持った中立的な立場において裁量をふるわれるものでなければならないと思うのです。そうであるとするなれば、たとえて言うなれば、賃金の関係は人事院で勧告されますけれども、いまは労働者は賃金の不満だけではなしに、賃金体系の不満というものが非常にあるわけなんです。こういうものの交渉は、これは人事局のほうに持ってきたときにどうさばくか、これはやはり、私のほうには権限がないとか、それは交渉に応じられぬとかということでは、これは済まないと思うので、担当大臣までできるのだから、私はそういうものの処理をしなくちゃならないと思うのだが、さて処理をするには、いま言ったところの勧告権、調査権というものが人事院にある以上は、非常にこれは作業はむずかしいし、責任を持った回答というものをすることは非常に困難であろうと思います。ただこの困難を解消するには、職員団体に団体交渉権を与えて、それに応じたところの権限を人事局に与えることにおいて、私の心配していることを解消することができるのであって、そうでなかったら、私は、実際にでかしてみても運営上困るということになり得ると思うのです。こういう点はいままでにいろいろお考えになったり、つくるときにいろいろと審議されると思いますが、私は人事局の事務局一つ考えてみましても、どのものを持ってきて事務局にするのか、そういう体制一つ考えてみましても、人事院との関連を考えたときに、全くこれは矛盾したものである。現行の提案の内容であれば、矛盾であると思うのです。それでむしろ人事局を窓口、団体交渉をする場ということにすれば、団体交渉権を与えて、そうしてそれに応待できるところの権限を与えていけば、すっきりした労使慣行というものが確立できるけれども、そうでなかったら私は非常に作業がむずかしいと思うわけですが、もう一度こういう点について御見解を承りたいと思うのです。
○大橋国務大臣 私が先ほど来申し上げました事柄は、人事局というものができて、団体交渉の窓口としての働きを受け持つ、ここでいろいろ話し合いはされますけれども、事柄によりましては、人事院で決定されなければならぬ事柄がございますから、これについては一応、かくかくの事柄について組合側と人事局の間でこういう交渉が取りかわされ、これに対して人事局はこういう見解を持っているという程度のことでございまして、それによって新しく約束ができあがるということは適当でないと思うのであります。そういう意味で、団交権は必ずしも適切でないと申し上げたわけなのでございます。しかしながら、そうした話し合いの事実があったということは、これは人事院がその事柄を将来進めてまいる上からいきましても、重要なポイントでございますから、そうした場合、必要に応じまして、人事局としては当然その事実を人事院にお知らせしておくことが適当であろうと思うのでございまして、このことを私は、ことばが適当かどうかは別といたしまして、実際上人事院に連絡するのであるということを申したわけなのでございます。もとより人事院は自主独立の立場から、公平なる第三者として自己の責任において決定をされるのでありまして、政府の考え方はその決定についての一つの材料として取り扱われるだけであり、政府の意見に拘束されるということはあってはならないと思うのであります。
○田口(誠)委員 その点は、いま明確に分離した答弁をされましたが、私まだ作業を進める上において非常にむずかしいと思いますことは、現在特別昇給というのがありますね。この特別昇給が格差是正に使われているわけです。そういうことになりますと、先ほどの五現業の特例法というような形で、これは別ワクのものをとってきて格差是正をしなければ、せっかくの特別昇給の制度があっても、特別昇給の対象になる人がその恩恵をこうむらずに格差是正で使われておる。こういうような点については、もう現在は公務員の関係は、ずっと上部機関の、上位の人も、そして一般職の職員も、上も下も不満をいたしておるのです。こういう問題を解決するには、私は、敢然として人事院がそういう点をやはり大蔵省と連携をとって法文化するものがあれば法文化をして、そうして調整をとらなくてはいけないと思うのです。いまのままで、さて人事局を設けた、ここが交渉の当事者だということになりますれば、ただいまのような問題も出てきた場合に、それをどう処理するかといって、これは人事局では絶対に処理できませんよ。人事院へ相談にいけば、そんなことをやっておってもらっちゃ困るのだ、こういうことなのです。だから、そういう問題もありまするので、私は、せっかく人事局を設置されるならば、労使慣行の正しい姿を確立するために、公務員に団交権を与えて、そうしてこの場で労働者の待遇改善を自主的にきめさせるような方向を見出してやることが、このILO八十七号条約の批准についての国内法の改正の審議において最も心をして審議をしなければならないところであろうと思うわけであります。 委員長、総務長官も用事があって退席したいというメモが参りましたが、そうなりますると、あと関連もございまするので、きょうはこれで……。
○倉石委員長 それでは、次会は明十日午前十時委員会を開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十二分散会