国際労働条約第八十七号等特別委員会 第2号
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- 1
- 開催日
- 1964/04/27
会議録
○倉石委員長 これより会議を開きます。 結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括して議題とし、審議に入ります。
○倉石委員長 まず、結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件について、提案理由の説明を聴取いたします。大平外務大臣。
○大平国務大臣 ただいま議題となりました結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。 結社の自由及び団結権の保護に関する条約は、一九四八年七月九日に、国際労働機関の総会の第三十一回会期においてサンフランシスコで採択されたものであります。 この条約は、その前文にもありますとおり、国際労働機関憲章が、結社の自由の原則を労働条件の改善、平和の確立等の手段であるとしていることにかんがみ、この原則を国際的規制のもとに確保することを目的として作成されたものであり、条約に規定された内容は、団体の設立及び加入の自由、団体の自主運営、団体の停止及び解散に対する保障、連合及び国際的団体の設立及び加入の自由、法人格の取得に対する保障等、労働者及び使用者の結社の自由を保障し、その団結権を保護することについての一般的な原則を定めたものであります。 わが国におきましては、憲法、労働組合法、公共企業体等労働関係法、地方公営企業労働関係法、国家公務員法、地方公務員法等によって、条約の規定する保障はおおむねこれを確保しているのでありますが、代表者選出の自由等についてはこれを本条約の規定に適合させるため、現在国会に関係諸法律の改正法律案を提案しているところでありまして、これらの成立につき御承認を得た暁には、この条約の規定はわが国において完全に実現されることとなりますので、このことを条約の批准によって世界に示し、国際的な規制のもとに右の諸原則の実施を確保いたしますことは、わが国の労使関係における正常な労働慣行を確立する上からも、また、労働問題の分野におけるわが国の国際的地位を高める上からも、きわめて有意義であると信じます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを切望いたします。
○倉石委員長 次に、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を聴取いたします。大橋労働大臣。
○大橋国務大臣 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。 政府としましては、自由にして民主的な労働組合の発展を期するという労働政策の基本的な立場から、結社の自由及び団結権の保護に関する条約を批准する方針を決定したのでありますが、これに伴い、公共企業体等労働関係法及び地方公営企業労働関係法中、職員でなければ組合の組合員または役員になることができない規定その他団結権に関する規定を改正する必要があるのであります。また、これらの規定を改正するにあたっては、これに関連して公共企業体等及び地方公営企業等の業務の正常な運営を確保するため、公労法及び地公労法の関係諸規定について所要の整備を行なうことといたし、本法律案を提案することといたした次第であります。 以下、両法律案の概要について御説明申し上げます。 まず第一に、現行の公労法第四条第三項及び地公労法第五条第三項は、職員でなければ、組合の組合員またはその役員となることができない旨を定めておりますが、これらの規定は、結社の自由及び団結権の保護に関する条約第二条に定める労働者団体に対する無差別加入の原則並びに第三条の代表者の自由な選出についての規定に抵触いたしますので、これらの規定を削除することといたしております。 第二に、公労法第四条第一項ただし書き及び地公労法第五条第一項ただし書きに、管理監督の地位にある者及び機密の事務を取り扱う者は、労働組合を結成し、またはこれに加入することができない旨の規定がありますが、この規定も、この際、条約第二条の趣旨にかんがみ削除することといたしております。 第三に、前に述べました公労法第四条第三項、地公労法第五条第三項を削除することに関連して、争議行為を共謀、教唆、扇動することを禁止される者の範囲に職員以外の組合員及び役員を加えることとするとともに、公労法第十七条及び地公労法第十一条において争議行為等を禁止されていることからいたしまして、このような禁止された行為を行なうことを内容とする労働組合の決定または指令は、関係労働組合並びにその組合員及び役員を拘束しないものと条理上解されるのでありますが、この際その旨を明らかにすることといたしております。 第四に、現行公労法及び地公労法におきましては、職員でなければ組合の役員となることができないこととされていることに関連して、当局は、職員が職員としての身分を持ちながら、労働組合の役員としてもっぱら組合の事務に従事することを認めることができる旨の規定が設けられておりますが、本改正案におきまして右の制限規定を削除することといたしておりますことに対応し、これらの職員が、本来、職務に専念する義務を保有するものであることにかんがみ、いわゆる在籍専従制度を廃止することといたしております。しかしながら、この点については、別途附則において、法律施行の日から三年間は、なお従来どおり在籍専従を認めることができることといたしております。 以上が公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案を提案するに至った理由及びその概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○倉石委員長 次に、国家公務員法の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を聴取いたします。大橋労働大臣。
○大橋国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。 この改正案は、結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)を批准することとするに際しまして、国家公務員の団結権に関する規定を改正いたしますとともに、これに関連して所要の規定の整備を行ない、あわせて、国家公務員の人事管理に関する責任体制を確立するため、総理府総務長官は国務大臣をもって充てることとし、総理府に内局として人事局を設ける等所要の改正を行なおうとするものであります。 現行の国家公務員法のもとにおきましては、職員団体の役員は、すべて職員のなかから選任すべきものとされ、職員でない者が職員団体の代表者となることが認められず、また消防庁の職員は警察職員等と同様その団結が禁止されているのでありますが、これらの点は、職員の自由な団結及びその代表者の自由選出等、条約の保障しようとする団結権の原則に沿わないものと認められますので、この際、条約の趣旨に適合するように現行制度を改正するとともに、これに関連して職員団体に関する所要の規定を整備することといたしました。また、今後における当局と職員団体との間に正常な労働関係を維持確立するためには、職員団体について期待される自主性、責任性の確立と対応して、当局側についてもその人事管理に関する責任体制を整備する必要があるのにかんがみ、この際、従来から責任関係に明確を欠くきらいのありました中央人事行政機構を改編整備することといたした次第であります。 以下、改正案の主要な点についてその概要を簡単に御説明いたします。 まず、職員団体に関する一節を第九節として新たに設け、職員団体に関する事項で現在国家公務員法中服務事項として規定されているもの及び人事院規則で規定されているもの等をまとめてこの節に法定することといたしました。第一に、職員団体の定義を設け、その目的及び性格を明確に規定し、第二に、職員の団結権について規定いたしました。ここで従来と異なります点は、条約の趣旨にかんがみ、警察職員等団結を禁止される職員のうちから消防庁の職員を除くこと、及び管理もしくは監督の地位にある職員または機密の事務を取り扱う職員はこれらの職員以外の職員が組織する職員団体に加入することができないこととするほか、次に述べる登録制度との関係において、その身分について係争中の離職者等の職員団体加入及び職員でない者の職員団体の役員就任が否定されることのないように改めることであります。第三に、職員団体の登録制度及び職員団体の交渉につきまして、その手続及び要件等必要な事項を法定することといたしました。新たに法定されることとなるものの内容は、現在人事院規則で定められております事項とおおむね同様でございます。第四に、代表者自由選出の原則を取り入れることと対応いたしまして、公務員は全体の奉仕者として公共の利益のため、本来その職務に専念すべき義務を有している基本的性格にかんがみ、職員が職員団体の業務にもっぱら従事することを認めるいわゆる在籍専従制度は、この際、これを廃止することといたしました。しかしながら、この法律施行後、なお三年間は、過渡的措置として従前の例により得ることといたしております。 次は、人事行政機構の改正でありますが、現行制度におきましては、国家公務員の人事行政のうち、一般職の職員に関するものの大部分は、人事院が中央人事行政機関としてその実施の衝に当たっておりますが、一部の事務は、特別職の職員に関するものとともに、内閣総理大臣または大蔵大臣の所掌とされております点を改め、国家公務員の人事行政に関する実施部門を一元的に整理統合することといたしました。すなわち、国家公務員法中の職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護に関する事務で、職員の給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、試験、苦情の処理等、内閣から独立して職務を行なう中立的第三者機関が扱うことを適当とするものは、従来どおり人事院の所掌とし、それ以外の事項はすべて内閣総理大臣の所掌事項に改めるとともに、現在人事院規則で定められている重要事項は、この際、法定することといたしました。これに伴い、内閣総理大臣の所掌事項についてこれを補佐する総理府総務長官は国務大臣をもって充てることに改めるとともに、その事務を担当する部局として総理府に人事局を設置し、これに、現在大蔵省主計局で所掌している共済組合、退職手当、特別職の職員の給与制度に関する事項等をもあわせ所掌させることとして、関係法律を改正することといたしたのであります。 なお、人事院につきましては、その内閣との関係、人事官の身分保障、事務部局の組織に関する自主管理等現行のたてまえをおおむね踏襲するほか、給与の改善等に関する勧告制度はその手続等すべて現行どおりこれを存置することとして、独立的機関としての機能の遂行に遺憾のないよう配慮を加えた次第であります。 この法律案は、以上の趣旨に基づきまして、国家公務員法及びその他の関係法律の改正を行なうとともに、必要な経過措置を規定いたしたものであります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○倉石委員長 次に、地方公務員法の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を聴取いたします。赤澤自治大臣。
○赤澤国務大臣 ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。 この改正案は、今回結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)を批准することとするに際しまして、同条約の趣旨を実現するため、国家公務員の職員団体に関する規定の改正に準じて、地方公務員の職員団体に関する規定を改正するとともに、これに関連して所要の規定の整備を行なおうとするものであります。 第一は、職員団体とは、職員がその勤務条件の維持改善をはかることを目的として組織する団体またはその連合体をいうものとし、その性格を明らかにいたしたのであります。また、第八十七号条約の趣旨にかんがみ、職員団体がその目的を達成するために必要な要件である自主性を確保するため、管理もしくは監督の地位にある職員または機密の事務を取り扱う職員は、これらの職員以外の職員を組織する職員団体に加入することができないものといたしました。 第二は、職員団体の登録についての改正であります。職員団体が所定の要件に適合している場合には、一定の手続によって登録される現行法のたてまえは変更いたしておりませんが、登録に関する事務は、中立の第三者の立場にある人事委員会または公平委員会が行なうことにいたしました。なお、第八十七号条約の趣旨とする代表者自由選出の原則に照らし、職員でない者の役員就任を認めている職員団体をそのゆえをもって登録の要件に適合しないものと解してはならないことを明らかにいたしたのであります。 第三は、職員団体の交渉についてであります。職員団体と地方公共団体の当局とが交渉を行なうに際し、交渉の対象とすることができない事項、職員団体が交渉することのできる当局を明確にいたしますとともに、交渉に当たる者及びその員数、議題、時間、場所その他交渉で正常に行なわれるために必要な手続及び条件を規定し、交渉における秩序を確保し、よき労働慣行の確立に資することとしたのであります。 第四は、職員団体のための職員の行為の制限に関する事項でありますが、職員が職員団体の業務にもっぱら従事することを認めているいわゆる在籍専従制度は、代表者自由選出の原則を取り入れることと対応いたしまして、全体の奉仕者として公共の利益のため、その職務に専念すべき義務を負う公務員の基本的な性格にかんがみ、この際、これを廃止することといたしたのであります。ただ、この法律施行後三年間は、任命権者は、公務に支障のない限り、在籍専従を許可することができる旨の経過措置を設けることといたしております。 第五は、職員の給与の支払いに関する事項であります。職員に対する給与の支払いについては、労働基準法に定められておりますが、この改正案においては、国家公務員の場合と同様のたてまえで、給与の支払いについての原則を地方公務員法自体において規定することといたしたのであります。その他、地方公務員の職員団体に関する規定の改正に伴い、所要の規定の整備をはかることといたしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。
○倉石委員長 以上をもちまして政府の提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○倉石委員長 引き続き、これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。澁谷直藏君。
○澁谷委員 私は、ただいま議題となりました諸案件について、若干の質疑を行ないたいと思うのでございます。 八十七号条約が当面の問題となりましてからすでに足かけ七年を経過いたしております。しかも、国会に第一回の法案が提案されましたのは昭和三十五年でございますから、国会に法案が提案されてからもすでに足かけ五年を経過いたしておるわけでございまして、この重大なる案件がかくのごとく遷延してまいったということにつきましては、私どもははなはだ遺憾に存じておるわけでございます。 八十七号条約の精神は、言うまでもなく、ILO設立の基本の精神に連なっておるわけでございまして、きわめて重大な基本的な条約の一つになっておるのは御承知のとおりでございます。したがいまして、ILOにおきましても、この八十七号条約については、他の一般の条約と違った、特別に重きを置いた取り扱いをいたしておるのも御承知のとおりでございます。わが国は、憲法におきまして言論の自由はもとより、結社の自由、さらに第二十八条におきまして労働者の団結権、団体行動権を保障いたしておりますし、これらの憲法の規定を受けまして、労働組合法以下関係労働法におきまして、八十七号条約の精神というものは、現行諸法規におきましてほぼこれを実現をいたしておる体制にあるわけでございます。しかしながら、公労法、地公労法その他の一部におきまして、いまだ八十七号条約を完全に実施していない点があるわけでございます。したがって、日本がこれだけの大国となって、しかも本年はOECDに加盟をして本格的な開放体制に入っていく、こういう情勢でございますから、日本の今後の進むべき方向はますます国際的な連帯関係というものが緊密な方向に進んでいくわけでございますが、日本の国際的な信用、さらには国内における健全なる労使関係の育成という観点に立ちまして、この案件はぜひともこの国会において成立を期さなければなるまいと考えるものでございます。ことにILO当局におきましては、この案件が非常に延び延びになっておりましたために、いかなる事情によってこの条約の批准がおくれておるのか、その実情を調査するために調査団を派遣するということをすでに決定をいたし、日本政府当局におきましては、この調査団の派遣の受け入れを承諾をいたした回答をいたしておるわけであります。したがいまして、この国会においてこの批准、承認がもしもできないという事態になれば、ILOの調査団がこの秋には日本に現実に参って日本の労使関係の実態を調査するという事態を招来するわけでございまして、このような状態を念頭に置きました場合に、いよいよもって私どもに課せられた責任は重大であろうかと考えるのでございます。 そこで私は、政府はもちろんでございますが、わが自由民主党におきましても、野党におきましても、八十七号条約の承認ないし批准という問題についてはほぼ異論のないところではないかと考えるのでございます。ただ、この条約の批准に関連をいたしまして関係法規の整備をあわせて提案をいたしております。その関連法規の内容いかんについて意見の食い違いがあるためにこの案件の批准、承認がおくれておる、これが実態ではないかと思うのでございます。八十七号条約の承認という基本原則についてはほぼ異論のないところでございますので、残る問題は八十七号条約の示す国際的な、普遍的な原則とわが日本の労使関係という特殊的な現実との間にいかなる調和点を見出すかという手段、方法において意見の食い違いがあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、この条約の承認の問題は、現実に国際的に緊迫した状態に置かれておるのでございますから、私どもはせっかく設置せられましたこの特別委員会の場におきまして、それらの問題点についてそれぞれの立場から十分審議を尽くし、政府の所見を明らかにして、その討議を通じてできるだけ共通の広場をここにつくり上げていくように努力すべきではないかと考えるのでございます。そういう意味におきまして、私はまず委員長に対しまして、できるだけ広くいろいろな意見をこの場において開陳をし、十分に審議を尽くされるように本委員会の運営につきましてお願いを申し上げておく次第でございます。 次に、私は、改正法案の内容について、若干の質疑を行ないたいと思うのでございます。 まず最初に、ただいま提案せられました法案の内容を大きく分類をいたしますると、私は三つのカテゴリーに分類せられるのではないかと考えるのでございます。 その第一分類は、八十七号条約の批准に伴いまして、これに直接抵触する法規を廃止または改正するという内容でございます。 第二の分類は、八十七号条約に直接抵触はしないけれども、条約の精神ないしは原則から見て適当ではない、したがって、この適当でない部分について法規の廃止または改正を行なおうとする種類のものがこれに入るのではないかと考えます。 第三は、この八十七号条約批准の必要性の有無について労働省は労働問題懇談会にこの問題の検討をゆだねまして、この懇談会におきまして慎重に検討を重ねてまいったのでございますが、その答申の中に、この条約の批准に関連をいたしまして、わが国労使関係の正常化、さらには正常なる業務運営を確保するために所要の措置を講ずる必要があるという答申がなされておるのでございまして、この答申を受けて労使関係の健全化と正常な業務運営の確保のために必要であるという観点から行なわれておりまする法規の制定または改正の問題が第三の分類に入るのではないかと考えておるのでございますが、ただいまの私の考え方について労働大臣いかがでございますか。
○大橋国務大臣 お話のとおり、このたび政府が提案いたしておりまするILO第八十七号条約批准に伴う法律案は非常に広範なものでございます。その内容をしさいに検討いたしますと、澁谷委員のお話のごとく、直接条約に抵触するがゆえに修正するもの、また第二には八十七号条約の精神、すなわち結社の自由、団結権の保障、労使相互の不介入、こういった精神並びに条約の原則をよりよく実施いたしまするために必要と認められる修正、またこの八十七号条約批准に関連いたしまして国内の労使関係の健全化、業務の運営の正常を保持いたしまするに必要と認めて加えられたる修正点、こうした三つの種類に分類されることは御意見のとおりであると心得ます。
○澁谷委員 そこで、ただいま私が三つの分類を申し上げたのでございますが、その第一の、八十七号条約に直接抵触すると思われる法規は具体的にどのような法規でございますか。
○大橋国務大臣 これにつきましては、法律上のこまかい条文がありまするので、政府委員から申し上げることにいたします。
○三治政府委員 八十七号条約との抵触関係で直接違反するというのは、労働省所管におきましては公労法第四条三項、地方公労法五条三項、これは非職員の組合加入、役員の就任禁止の規定の条項でございます。それから公労法の四条一項のただし書き、これは三公社の管理職員の団結禁止について抵触関係があると考えられます。それから地公法の五十三条一項、第三者機関以外のものというふうに考えております。
○澁谷委員 国家公務員法の九十八条はいかがにお考えになっておりますか。
○岡田政府委員 現在の国家公務員法のもとにおきまして、職員団体の役員がすべて職員の中から選ばれる、また職員でない者が組合の組合員になるということができないという点がまず第一点でございます。 それから、法人たる職員団体につきましては、登録の取り消しが行なわれました場合に、法人たる地位を失い、解散するというふうになっておることが第二点でございます。 第三点につきましては、現在消防庁の職員が団結権がないという規定になっておりますが、この点が条約に照らして抵触する、この三点でございます。
○澁谷委員 そうしますと、ただいまの御説明によりますると、国家公務員法の九十八条の第二項は八十七号条約には直接抵触するというお考えでございますか。
○岡田政府委員 現在の国家公務員法九十八条二項におきまして、現在の解釈におきまして、ただいま私が申し上げましたように解釈され運用されておるということが抵触するということになるわけでございます。
○澁谷委員 そうしますると、法律の条文そのものではなしに、解釈がそういう解釈であれば八十七号条約に抵触する、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
○岡田政府委員 そのとおりでございます。
○澁谷委員 同じく地方公務員法の五十二条につきましてはどのようにお考えでございますか。
○佐久間政府委員 地方公務員法の五十二条におきましては、「職員は、」云々という規定をいたしておりまして、私どもはこれは職員のみが職員団体を構成することができるということに解釈をいたしております。
○澁谷委員 そうすると、やはり国家公務員法についてと同じ御意見でございますか。
○佐久間政府委員 国家公務員法と大体同様に考えておりますが、私どもといたしましては、この条文からいたしまして、先ほど申しましたような解釈をいたすことが至当であろうというふうに考えております。
○澁谷委員 了承いたしました。 そこで第二番目に、私が三つに分類いたしました第二の分類で、直接条約に抵触はしないけれども、条約の精神ないし原則から見てこの際適当でないという観点から、法律の規定の廃止または改正というものが含まれておると思うわけでございますが、この第二のカテゴリーに該当すると思われる項目は大体どのような項目でございますか。
○三治政府委員 公労法、地公労法関係につきましては、在籍専従の問題、それ一つが該当すると考えております。
○岡田政府委員 国家公務員法におきましても、ただいまの在籍専従の問題でございます。
○佐久間政府委員 地方公務員法の関係におきましては、在籍専従制度と、それから、チェックオフの関係でございます。
○澁谷委員 そういたしますると、在籍専従制度の廃止の問題と、チェックオフを禁止するという地方公務員法の改正のこの二点が、私の申し上げました第二の分類に該当する規定であると了解してよろしいのですね。 しからば、その残余の部分は、私が申し上げました第三の分類、労使関係の健全化と正常な業務運営の確保のために必要と考えられて提案された、かように結論が出てまいったわけでございます。 以上のようなことで、大体提案されました法案の内容についての大ざっぱな政府の御見解というものは明瞭になったわけであります。そこで私は、当面いろいろ議論の多いものをまず取り上げまして政府の所見をお伺いいたしたいと思うのでございます。 国家公務員法の百八条の二に、職員団体の目的と範囲が規定をせられておりまして、「この法律において「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。」というふうに規定いたしております。これについて、まず質問を申し上げたいと思いますが、その前に、国家公務員、地方公務員を通じて、公務員というものが、現在の憲法及びその他の法体系の中においてどのような地位を占めておるとお考えになりますか。具体的にお伺いいたしますると、憲法第二十八条でいうところの労働者に該当するかどうかということについて、政府の見解をお尋ねいたしたいと思います。
○大橋国務大臣 公務員もまた憲法二十八条にいわれておる労働者であることは間違いありません。したがいまして、公務員にも二十八条の労働基本権は原則的には与えられておるという趣旨でございます。ただし、二十八条の労働基本権につきましても、すべて憲法上の基本的権利につきましては公共の福祉のためにこれを用いるということが要請せられておる次第でございます。さらにまた、公務員というものは、国民の公僕として公務に専念するという一般的な特殊な国家に対する地位があるわけでございますから、これらの公共の福祉の観点、並びに公務員として公共の仕事にもっぱら従事するという身分上の観点、この二つの観点よりしてこの基本的権利の限界がおのずから制限されることは、これまた申すまでもない次第であると考えておるのでございます。
○澁谷委員 この問題はきわめて基本的な重要な問題でございまして、大体わが国の学者の通説はそのような解釈をとっておりますし、最高裁の判決におきましても、多数説は、ただいま労働大臣のお答えになりました説をとっておるわけでございます。ただ、最高裁の判決の際におきましても、少数意見がそこに付加されて報告されておるわけでございまして、憲法におきまして、公務員につきましては、その第十五条に「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」という規定があります。さらに、国家公務員法第百一条におきましては、職務に専念する義務を課しておるわけでございまして、国の公権力の遂行の職責を持つ公務員というものは、一般の労働者とその存立の基本において異なるものがあるのではないかという感じを私は抱いておるのでございます。ただしかし、現在の最高裁の判決におきましても、憲法第二十八条の労働者である、こういうことが通説になっておるわけでございますから、これをこれ以上深くせんさくしようとは思いませんけれども、ただいま述べましたような憲法第十五条、さらには国家公務員法百一条という規定の面からいいまして、他の労働者とは相当その労使関係においても異なった面の規制を受けることは、私はけだし当然ではないかという考えをいたしておるわけでございます。そのような前提の上に立ちまして御質問を申し上げたいと思うのでございます。 この第百八条の二の第一項は、労組法の第二条の第一項に対応する規定であるわけでございます。ただいま労働大臣の御答弁によりますると、公務員も憲法第二十八条の労働者である、こういうたてまえに立ちますると、この職員団体は、ちょうど労働組合法第二条第一項に該当する規定でございます。労働組合法の第二条では「この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。」というふうに規定をいたしております。したがいまして、この労働組合法における労働組合とは、「労働者が主体となって」ということが一つの条件であります。次に「自主的に」ということが第二の条件でございます。第三は「主たる目的として」、こういうしぼりをかけて規定いたしておるのでございますが、今回提案せられました国家公務員法第百八条の二におきましては、そのようなしぼりが実は何にもかけられておらないのでございます。そこで、この第百八条の二の規定は、ただいま私が指摘いたしましたように、労組法の第二条とはだいぶ書き方が違っておるわけでございますが、その点について何か意識的にそうされたのであるかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○岡田政府委員 国家公務員法改正案第百八条の二におきましては、先ほどお読みいただきました条文でございますが、書き方におきまして労働組合法第二条と異なっておることは、御指摘のとおりでございます。しかしながら、職員団体を規定するにおきまして、考え方といたしましては、労働組合法におきまするように、職員が構成員の主になり、あるいは勤務条件の維持改善をはかることを主たる目的とするというふうな点におきまして、労働組合法におきまする考え方と特段の差異はございません。
○澁谷委員 労組法の第二条とその解釈においては違わないという答弁であるわけでございますが、私がただいま御指摘いたしましたように、労使関係の基本の法律というものは、何といっても労働組合法でございます。その労働組合法の第二条が、このように正確な表現をしておる。その正確な表現をしておる見本があるにもかかわらず、この国家公務員法の規定の場合にこれを踏襲しないで、いろいろな解釈がそこに混入され得る余地を残しておるということは、立法政策としてはいかがなものであろうかという疑念を私は持たざるを得ないのでございます。 そこで、まず第一にお伺いしたいのは、この第一項の解釈におきましては、職員団体には職員以外の者の加入は許されておりますか、いかがですか。
○岡田政府委員 百八条の二におきまする職員団体におきましては、職員をもって構成することを通常予想しておりますが、職員でない者が入ることを峻拒いたしておるわけではございません。
○澁谷委員 峻拒するとか、やわらかに拒むというようなことは、これはなかなか解釈上むずかしい問題でございまして、私はそういう点で、この法律をつくる段階において、そのようないろいろな解釈が出てくる余地をやはりここで未然に防ぐことが立法者としては親切な態度ではないか、かように考えて御質問をしておるわけであります。 そこで、労働省にお伺いいたします。労働組合法の第二条で、「「労働組合」とは、労働者が主体となつて」ということが書いてあるのでございますが、この「主体となつて」という意味はどのような解釈でございますか。
○三治政府委員 これは使用者の、何と申しますか、直接労使関係において機密の事務を持つ——そうすると、その本来のその個人につきましては、労働者という地位に立つわけでございますが、しかし、労使関係という立場につきましては、使用者側に、一部の純然たる労働者も、職務の——職務と申しますか、与えられた仕事の性質上、ならざるを得ない立場があると思います。そういう意味において、労組法におきましても、管理、監督の地位にある者、それから労使関係に関係いたしましてそのことについての機密の事務を扱う、たとえば人事管理というふうな立場もございますので、そういうふうな規定が行なわれているというふうに理解いたしております。
○澁谷委員 どうも答弁が少しはっきりしないようであります。私のお聞きいたしておりますのは、主体となってというのは一体どういう意味であるか。主体でないものというのは付随的ということになろかと思いますが、そういう者は一体——ごく部分的には、労働者でない者が入っておっても、その労働組合の中心をなす主体は労働者である、このように解釈するのが、私はすなおな解釈ではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
○大橋国務大臣 澁谷委員の御指摘のとおり、労働者が主体となってということは、労働組合の主体性が労働者自身にあるのだということでございまするから、これはその構成員の内容につきましても、また実際上組合の業務の運営の面におきましても、常に労働者が主になっているという状態でございまして、その限りにおいて、労働者以外の者が組合に加入いたしておるということも許されるわけでございます。
○澁谷委員 それで、はっきりしてまいったのでございます。私は、これとの関連において、先ほどの政府委員の答弁で、この第百八条の二の職員という解釈の場合に、職員以外の者が入ることを峻拒するものではないといような答弁がございましたが、これではどうも法律上の答弁としてはきわめてあいまいな回答になっているわけであります。八十七号条約の第三条におきましては「労働者団体及び使用者団体は、その規約及び規則を作成し、自由にその代表者を選び、」云々、こういうことになっておる。これが労働者、使用者のそれぞれの基本的な権利である。したがって、これらの権利を公の機関は制限したり干渉してはならないというのが、八十七号条約の基本の精神でございます。この基本の精神の上に立つ八十七号条約を批准するのでございますから、従来のように職員以外の者の加入を全然認めておらないという解釈の上に立っておった国家公務員法なり地方公務員法の規定は、この際これを改める必要があるというので、こういう改正になってまいっておるのでございます。したがいまして、この八十七号条約を批准する以上は、この第百八条の二の規定の解釈上は、当然この職員団体の中に職員でない者が入るということはもう初めから予想されておるわけであります。峻拒するとかなんとかというようなあいまいなものではございません。 そこで私は、この際、やはり労組法の第二条のようなはっきりとした、後日にあいまいな疑問を残さないような立法をすることが適当ではないか、つまり、職員が主体となってというように修正をするほうが、より適切であり、妥当ではないかというふうに考えておるのでございます。 さらに、これと関連いたしまして、もう一つ、この百八条の二におきましては「その勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する」云々となっております。ところが、労組法は「主たる目的として」というふうに限定をいたしておるわけであります。この違いは一体意識的に書かれたのでございますか。意識的に書かれたとすれば、一体どのような立場に立ってこのような表現をされておるのか、これについての御答弁をお願いいたします。
○岡田政府委員 職員団体の目的でございますが、百八条の二の第一項におきましては「その勤務条件の維持改善を図ることを目的として」というふうに書いておりますが、その趣旨といたしますのは、職員団体の本質的あるいは中心的な目的が、職員の勤務条件の維持向上をはかることにあるということを明示したものでございます。
○澁谷委員 答弁を伺いますると、どうも労組法でいうところの「主たる目的として」ということと違わないということに了解してよろしゅうございますか。
○岡田政府委員 仰せのとおりでございます。
○澁谷委員 現に、この国家公務員法第百八条の五で、交渉に関する規定があるわけでございますが、この百八条の五の第一項におきましては、「登録された職員団体は、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、当局と交渉することができる。なお、これに附帯して社交的又は厚生的活動を含む適法な目的のため交渉することを妨げない。」かように明文で「附帯して社交的又は厚生的活動を含む」ということを認めているわけであります。したがって、これとの関連上におきましても、当然、この百八条の二の第一項は、主たる目的というふうに解釈せざるを得ない。しかしながら、一見これを見ますと、労組法では「主たる目的として」と限定して書いてある。ところが、こちらはその「主たる目的」というものがないのでございますから、そういう点で、もっぱらそれだけだというふうに反対解釈が出てくる余地が残るわけでございます。ところが、ただいま承りましたところによりますと、そういう解釈ではなくて、やはり労組法の第二条と同じように「主たる目的」でございますということであれば、ことさら異を立てて労組法第二条と違う規定をすることは、これはいたずらに誤解を招くもとになるのではないか、かように考えるわけでございます。 それからもう一つ、これは非常に大事なことでございますが、労組法の第二条におきましては、「労働者が主体となって自主的に」という限定があるわけでございます。八十七号条約の基本の精神というものは、労使がそれぞれ自主性というものを堅持する、そうして相互に不介入であるというのが、この八十七号条約の背骨でございます。そういう意味で、労働組合はもちろんでございますが、職員団体におきましても、その職員団体が自主性を持っているということがやはり基本でございます。そういう意味で、この職員団体の定義におきましては、やはり労組法第二条と同じように、自主的にという限定を入れることが、より正しく、適当ではないかと私は考えるのでございますが、この点について、大臣、いかがでございますか。
○大橋国務大臣 お説のとおりでございまして、この条文を書いた当時の政府の考えは、まさにお述べになりましたような意図をもって書いたわけでございます。
○澁谷委員 大臣に非常にすなおに率直に私の考えをお認めいただきましたので、次に移りたいと思います。 同じく第百八条の二の三項でございますが、「職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。ただし、管理若しくは監督の地位にある職員又は機密の事務を取り扱う職員は、管理職員等以外の職員が組織する職員団体に加入することができない。」これは当然の規定であろうかと思うのでございます。つまり、管理監督の地位にある職員は、それ以外の職員の団体に加入することはできない、かように考えているわけでございますが、しからば、管理監督の地位にない一般の職員は、管理監督者の結成する団体に加入することができるのでございますか、できないのでございますか。これは法律上はっきり出てまいりません。これもあとに誤解を招くもとになるわけでございますから、この際御見解を伺っておきたいと思います。
○岡田政府委員 管理監督の地位にある者が組織いたします組合に、それ以外のいわゆる一般の職員が入ることは差しつかえございません。
○澁谷委員 そうすると、一般の職員は管理監督者のつくる職員団体に加入することは許される、かように考えているわけですね。
○岡田政府委員 さようでございます。
○澁谷委員 そのような解釈は、労働省いかがでございますか。
○大橋国務大臣 実はこの政府原案は、だいぶ前にでき上がったものをそのまま提案いたしているわけでございます。とにかく、管理監督の地位にある者といえども、職員団体を結成する自由はあるわけでございます。したがって、そういう組合ができることは認めざるを得ない。ところで、そういう組合に一般の職員が加入することを禁止している規定はどこにもないわけです。そこで、ただいま政府委員が申し上げたような解釈をいたしておるのでございまするが、さて実際問題として、そういう解釈のもとに一般の職員が管理監督者の組合に自由に加入していいということを認めるということになりますと、そもそも、一般の職員団体に管理監督の職員が加入することができないと規定してありますこの百八条の二の第三項の規定は、実は有名無実になってしまうきらいがあるわけなのでございます。したがって、現行政府案の解釈としてはただいま政府委員が申したとおりでございますが、この点は、政府原案において十分検討を尽くさざることからかような結果になっておるように思うのでございまして、現在の段階におきまして、当委員会においてこの点を御検討に相なるということになりまするなら、委員会において十分御審議をいただいて、両々混淆することのないようにいたすことが適当ではないか、かように存ずる次第でございます。
○澁谷委員 労働大臣のただいまの答弁はまことに率直で、かつ、すなおでございまして、私はそのとおりであろうかと思います。すでにこの政府原案が立案されましたのはまる四年以上前の当時の立案でございますから、しかもいろいろお忙しい状態の中でつくられた原案という事情もございますから、その後の事態の推移なり変化によりまして、やはり検討立案の際の手落ちであったという点もあろうかと思われまするし、その後の事態の変化によって、ILOその他の折衝を通じて、これはやはり当時としてはやむを得なかったけれども、現在においては、八十七号条約を批准する以上は、この規定はやはりおかしいというような点も出てまいっておるわけであります。したがいまして、この点につきましても、ただいま労働大臣の御答弁のように、一方はこちらの団体に入ってはいかぬ、ところが、一般の平職員は管理職の組合に入ってもいいのだということでは、これは一体何のための規定か、意味がないわけであります。表門はかぎをかけてあるけれども、裏門はまるっきりあけっぱなしになっておるというようなことでは、この法律の規制の意味がないのでありまして、私は労働大臣のただいまの答弁で了承いたしました。 そこで、次の第四項でございますが、「前項ただし書に規定する管理職員等の範囲は、人事院規則でこれを定める。」つまり、管理監督の地位にある職員の範囲というものは人事院の規則で定めるという原案になっておるわけでございます。これにつきましては、前回の特別委員会におきまして、社会党の多賀谷委員の質問の際には——多賀谷さんの考え方は、要するに、組合員の範囲というものは、組合なり職員団体が自主的にきめるのが筋である、したがって、これを人事院規則あるいはその他条例で管理職員等の範囲をきめるということはおかしいではないかというような御質疑があったのでございますが、この点について大臣はいかがお考えでございますか。
○大橋国務大臣 労働者の結社の自由ということを徹底いたしますならば、職員団体の職員の範囲というものは、これは職員団体自身が自主的にきめるというのが当然であろうと思うのでございます。しかしながら、この百八条の二の第四項というのは、第三項との関連でできておる規定でございまして、この第三項は、すでに、管理、監督の地位にある職員または機密の事務を取り扱う職員を職員団体に入れてはならぬという原則を、職員団体の自主的な決定に待たずに法律で規定をいたしておるわけなのでございます。したがって、この法律で規定いたしております原則をいかに組合において実施していくかということの決定につきましては、これを使用者側が決定するということに相なりますと、適当でないと思いますが、しかし、中立的な第三者機関であります人事院が決定するというこの原案の制度をとっております限り、私は、労働組合の自主性を害するものではないと考えておる次第でございます。
○澁谷委員 私は、ただいまの労働大臣の見解に全く賛成でございます。そもそも、先ほど来申し上げておりますように、八十七号条約の基本の精神は、職員団体なり労働組合の自主性というものをあくまで堅持していくのだ、これに干渉してはならないというのが基本原則でございます。しかしながら、管理、監督の地位にある者あるいは機密の事務を取り扱う職員というものがこれに加入いたしますと、そこに実際上現実の問題として支配、介入、干渉という効果があらわれてくるのが、私どもが日常見聞するところでございます。そういう意味におきまして、組合なり職員団体の自主性というものを確保するために、管理、監督の地位にある者はこれと別個の組織を編成することが適当であるというのが、この原案の趣旨であろうかと思うのでございます。そうなってまいりますと、私は、一般の職員と別個の組織をつくる管理職員等の範囲は、これは労働組合が自主的にきめるということはどうもやはり筋が違うのでございまして、そういう観点から、使用者がきめるというのもなおさらこれはおかしいわけでございます。したがって、ここは公平な人事院におきまして人事院規則等でこれをきめていくということが妥当ではないか。そういう点におきまして、労働大臣の考え方に私は賛成でございます。 これに関連をいたしまして、地方公務員の関係をちょっとお伺いいたします。地方公務員法におきましても、大体これと同様の規定をしておるわけでございますが、ただ、学校職員につきましては、政令の定める基準によりと、政令で基準を定めて、その基準に基づいて具体的にこの管理職員等の範囲を定めるという法律案になっておりますが、このような違いが出てまいりましたのは一体どのような根拠からでございますか、お伺いをいたしたいと思います。
○佐久間政府委員 教育職員につきましては、校長、教頭等、全国的な統一をとった職制を持っておりますので、個々の地方公共団体の人事委員会規則あるいは公平委員会規則で個別的に定めさせるだけではなくて、一定の基準を政令で設けておくことが適当であろう、かような考え方からでございます。
○澁谷委員 一応の答弁として承りますが、一方のほうはそのものずばりできめている、学校の教職員については政令で基準を定めてやっていくというこの違いは、どうも学校というものはどこへ行っても大体一つの同じ型で行なわれておるからという答弁だけでは、私は十分ではないというふうに考えておりますが、この問題はこれ以上追及をいたしません。 そこで、次の項目に移りたいと思います。第百八条の三に職員団体の登録に関する規定がございますが、この第三項に「職員団体が登録される資格を有し、及び引き続いて登録されているためには、規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為が、すべての構成員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の多数決によって決定される旨の手続を定め、」云々という規定がある。これは職員団体が登録をしてそこで身元をはっきりしておくということは、実際問題として私は非常に意味があると思うのでございますが、それにしても、ただいま読み上げました中で、たとえば、規約の作成というようなものは、これは組合の憲法でございますから、相当これはシビアーな手続をとることも当然だと思いますが、役員の選挙というようなものは、場合によっては毎年行なわれる。そういうようなものについて、すべての構成員が平等に参加する、しかも、全員の多数決によってというのは、どうもちょっとシビアーに過ぎはしないかという感じを私ほどうしてもいなめないのでございますが、この点についての御見解はいかがでございましょうか。
○岡田政府委員 この百八条の三の第三項の、ただいま御指摘の規定でございますが、ここのところは、実は現在の人事院規則にありますものを、いわば法律に格上げしたようなかっこうでございます。それで、この全員の多数決というふうなことにつきまして、現在の人事院規則の解釈、運用におきましても、いわば比較多数説と申しますか、そういうことでなされておるわけでございます。それで、ここの「全員の多数決」におきましても、現在の解釈、運用と同様に比較多数説、これでいく所存でございます。
○澁谷委員 これは実際に不可能なことを法律で規定いたしておりますから、実際の運営の問題としてはそういう妥協的な解釈をせざるを得ないわけです。それでありますから、結論として、これは法律が悪法であるということになるわけですよ。実際上に実行もできない悪法を、解釈によって当面何とか糊塗してきたのでございますが、それをそのまま新しくつくる法律の中に踏襲するというのは、私は政府当局の怠慢であると考えるのでございますが、いかがでございますか。
○大橋国務大臣 これも数年前立案当時のいろいろな情勢からかような規定を置いたわけでございますが、しかし、いまになってみますと、実際に適合しない点もあるかと存じます。この点は十分御審議をいただきたいと思います。
○澁谷委員 どうも大臣がまことにすなおにさらりと答弁されるので、私の質問の趣旨に大体同意されたというふうに私は受け取りまして、次に進みたいと思います。 次は、ここが非常に問題になっておる条項でございますが、第百八条の五の、交渉に関する規定でございます。先ほど私、労働大臣にお伺いいたした際に、労働大臣は、公務員といえども、基本的には憲法第二十八条の労働者である、ただし、その職責の特殊性からいって、団交権あるいは争議権というようなものについて制限を加えておるのだといろ解釈があったのでございます。そういう解釈の前提の上に立って、以下若干の質問を申し上げるわけでございます。 この第一項におきましては、「登録された職員団体は、」云々というふうに書いてございますが、第二項以下には、登録された職員団体か、非登録の職員団体か、そういう限定は何にもございません。これは私どうも立法の際の手落ちではないかというふうに思うのでございますが、それとも何か特殊な意味があってかようになっておるのかどうか、この点についての御見解を伺いたいと思います。
○岡田政府委員 百八条の五の第一項の規定の趣旨といたしますところは、登録された職員団体は、その職員団体の構成なりあるいは運営が民主的なものとして人事院に登録されて、確認し、交渉されておる団体なのでございます。したがいまして、当局は、登録された団体とは積極的に交渉に応ずるというたてまえをここに明らかにしたわけでございます。しかしながら、登録されていない団体につきまして、これらと当局が交渉することを妨げる趣旨ではございません。したがいまして、第百八条の五の第二項以下におきましては、特段に職員団体の上に「登録された」という文字は入っておらないわけであります。
○澁谷委員 どうもただいまの答弁では私実は納得するわけにはまいらないのでございます。そうすると、第二項以下の職員団体というものには、登録、非登録、両者を含むという解釈でございますか、いかがでございますか。
○岡田政府委員 お話のとおりでございます。
○澁谷委員 両者を含むわけですね。
○岡田政府委員 さようでございます。
○澁谷委員 そうしますと、これもやはり解釈の問題としては多分にいろいろな意見が出てくる余地を残しておる規定ではないかと私は考えるのでございますが、それは一応別といたしまして、次にお伺いいたしますが、「登録された職員団体は、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、当局と交渉することができる。」という規定でございまして、ただいまの答弁では、そういう登録された職員団体は身元がはっきりしておるから、これに対しては当局は積極的に交渉に応ずるんだ、こういう答弁がございましたが、登録されない職員団体には交渉能力があるのかどうか、この点はいかがですか。
○岡田政府委員 登録されていない職員団体にも交渉能力はございます。
○澁谷委員 ただいまの答弁は、非登録の職員団体でも当局との交渉能力はあるんだという答弁でございますが、私は当然そういう答弁をしていただかなければならないと考えておったわけであります。八十七号条約の精神は、先ほど来申し上げておるように、使用者も労働者も自主的に自由に団体を結成することができる。第二条におきまして、「労働者及び使用者は、事前の認可を受けることなしに、自ら選択する団体を設立し、及びその団体の規約に従うことのみを条件としてこれに加入する権利をいかなる差別もなしに有する。」と規定しておるわけであります。したがって、この第二条の精神から言いますると、登録、非登録という問題は、労働者が自由に自分の結社をする、団結をするということについては、何らの条件にもならないわけでございます。これについて、その結社をすること、団結することについて何らかの条件をつけるということになれば、これは明らかに八十七号条約違反ということになってまいるわけであります。したがいまして、ただいまの答弁で、非登録の職員団体においても交渉能力は有するのだという政府の解釈であればけっこうでございます。 しからば、登録された職員団体と同じように交渉能力を持っておるという前提に立った場合に、登録と非登録との区別をしておるその意義とその効果は、どういうことになってまいりますか。
○岡田政府委員 職員団体が登録されることによりまして、その構成、目的等がきわめて明確に人事院に登録されて、交渉されるわけでございます。したがいまして、非登録職員団体と若干の差があるわけでございます。
○澁谷委員 ただいまの答弁は若干不十分だと思いますが、登録、非登録にかかわらず、職員団体は交渉能力を持っておる。しかしながら、職員団体は、先ほどの議論でも申し上げましたように、職員が主体となって結成する職員団体であることが必要でございます。しかるに、登録された職員団体の場合は、そういう中身が事前にもうはっきりとスクリーンされておる。そういう意味で、当局は登録された職員団体から交渉の申し込みがあった場合は、身元がはっきりしておるわけでございますから、これを拒否する正当な理由がない限り、積極的に直ちに交渉に応ずることができるわけでございます。しかしながら、非登録の職員団体の場合は、そういった中身の構成その他についての、これを的確に知る資料がないわけでございます。したがって、当局のほうにおいて、はたしてそれが適正な職員団体であるかどうかということを正確に知るだけの時間の余裕が必要であるわけであります。登録、非登録の差異はその点において出てくる、私はかように考えるのでございますが、私の解釈は誤りでございますか。
○大橋国務大臣 登録されました職員団体に対しましては、当局が積極的に交渉に応じるというたて支えをとる趣旨を規定いたしたのでありまして、この点はただいま政府委員から申したとおりでございます。 その理由は、登録されました職員団体は、その構成、組織、運営等が十分事前に審査されておりまするので、これは職員団体として当局の交渉の相手方となる資格ありということを事前に承認をされておる団体なのでございます。 これに反しまして、非登録団体につきましては、さような事前の手続がとってございません。しかしながら、申すまでもなく、非登録団体が当局と交渉することはもちろん妨げる趣旨ではございません。当局といたしましては、登録されていない職員団体につきましては、まず交渉に先立ちまして、そのみずからの責任において、その団体の構成、組織等を調査し、その団体が職員団体として交渉をするに適当なるものであるかどうかということを十分判断し、その判断に基づいて初めて交渉を受け入れることになる、かような趣旨でこの規定を運用いたすつもりでございます。
○澁谷委員 私は、ただいまの労働大臣の答弁が正しい解釈であるというふうに考えるわけでございます。 そのような解釈の上に立って、この第百八条の五の第一項、「登録された職員団体は、」「交渉することができる。」そういう規定をすなおに読みますと、登録されない職員団体は交渉できないんじゃないかとい反対解釈がすなおにどうも出てくるわけであります。ところが、ただいまお伺いいたしました点によりますと、非登録の職員団体も、同じように交渉能力はあるんだ、ただ、交渉能力はあるけれども、現実に交渉を開始し、入る場合に、一方は事前にスクリーンされておる、一方は身元が判明しない。その差異はあるんだという大臣の答弁であるとすれば、私はこの百人条の五の第一項の規定の表現は、適切ではないと考えるのでございますが、いかがでございますか。
○大橋国務大臣 御趣旨のような欠点があると思います。ただ、これを是正する方法といたしまして、百八条の五の第一項自体を直していくか、あるいは百八条の五の第一項をこのまま置いておいて、登録されない団体も交渉の能力を否定されるものではないんだという趣旨をはっきりさせるか、方法としてはいろいろあろうかと存じます。確かにこれでは、表現として正確でないということは言い得るかもしれません。
○澁谷委員 漸次明確になってまいったわけでございます。すでに御承知のように、登録、非登録によって当局との交渉能力に差異をつけるということは、八十七号条約の精神からみて、これはもう適当ではない。むしろ違反という解釈も成り立ち得るということが、ILO事務当局との折衝によって明らかになってきておる現在におきまして、私は原案のままでこれを制定するということにつきましては非常な疑義がございますし、かりにこの原案のままで法律が制定されたということになれば、今後これの解釈なり運用について、またいろいろなトラブルや摩擦が起きてくることが十分予想されるのでございます。そういう意味におきまして、ただいま大臣がお述べになりましたように、どういう書き方でこれを修正するかということはいろいろ慎重に検討を要する問題でございますが、基本的に、この原案のままでこれを制定することが適当でないという結論は、大臣の答弁からも私は出てまいったのではないかというふうに了承をいたすものでございます。 そこで、これに関連しまして、もう少しお聞きしたいと思うのでございます。職員団体は当局と交渉することができる、交渉能力があるということでございますが、これに対する当局の応諾義務は一体あるのかないのか、この点はいかがでございますか。
○大橋国務大臣 すべての交渉の申し出を無条件に全部拒否するというようなことは、団体交渉を認める上からいって、とうてい考えられないことでございます。しかしながら、団体交渉にはおのずから目的なり手続なり、あるいはこれを行なう主体との関係、こういった事柄がございまするので、申し入れを受けました当局といたしましてはこれらの事項を判断いたしまして、これは交渉に応じなければならぬという判断をした場合において初めて交渉に応ずればよろしいわけでございまして、これを拒絶する当然の理由がある場合においては交渉の申し入れを拒むということも当然あり得る事柄だと存じます。
○澁谷委員 公務員も憲法二十八条の労働者であるという解釈の上に立って動かされておるわけでございますから、この交渉はいわゆる団体交渉ということになってくるわけでございます。しこうして、労使関係の発展の過程というものをずっと見てまいりますると、やはり健全なる、正常な労使関係の基本というものは、労使が十分な話し合いをする、交渉をするということ、これが労使関係の正道でございます。 したがって、交渉能力を有し、交渉を申し入れた場合には、当局は、ただいま大臣の答弁にもございましたように、正当な理由がない限り、これに進んで応諾をいたしまして、積極的に十分な話し合いをするということが、私は望ましい労使関係の基本である、かように考えるのでございます。 ただし公務員の場合は、この百八条の五においてもはっきりと規定いたしておりますように、第三項におきまして、「国の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。」これは解釈上も当然出てくる事柄でございますけれども、いろいろな誤解や摩擦を避けるために、これをはっきりと法の明文において規定をいたしておるわけでございます。しかも、第二項におきまして、「職員団体と当局との交渉は、団体協約を締結する権利を含まない」のでございますから、この交渉には団体協約の締結権というものは認めておらないわけであります。したがって、その面におきましても、この公務員の交渉の性格なり範囲というものは非常に限定されてくる。さらに、この交渉の対象となりまする職員の給与、勤務時間その他の勤務条件でございますが、言うまでもなく、公務員の場合は、労働条件の基本となりまする給与は法律によって定められておるわけでございます。勤務時間その他の労働条件についても、大体法律またはこれに準ずるものによって定められておるわけでございますから、したがって、公務員の場合の交渉の範囲というものは、実質的には非常に狭められてくると私は解釈をせざるを得ないのでございますが、この点はいかがでございますか。
○大橋国務大臣 すべて澁谷委員の仰せのとおりでございます。
○澁谷委員 そうなってまいりますると、自治大臣もおいででございますが、これと同じような規定が地方公務員法の改正の中にも行なわれておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、労使関係の発展の基本というものは労使の話し合いである、この原則はやはり私どもは忘れてはならぬと思うのでございます。 ただ、わが国の労働運動なり職員団体の活動というものが、戦後急速に法律を与えられて発生をしたというような歴史的な沿革からいいまして、団体交渉に関する正常なるルールなり慣行というものがいまだ確立されておらないのでございます。したがって、団体交渉というともう大ぜいの、五十人百人の人間が当局のほうに押しかけて、場合によっては当事者を軟禁状態に置いて、いわゆるつるし上げをやる、これが団体交渉であるというような誤解、錯覚が行なわれておる事例が多いのでございます。しかしながら、それは私がいう団体交渉では断じてございません。そういう意味において、私はそのような正当な団体交渉ならざるものははっきりこれを峻別をして拒否をしていく。しかしながら、正当な団体交渉については当局が積極的に会って話し合いをしていく。当局は、市町村長あるいはその他の教育委員会にいたしましても、これだけの公権力を背景にして地域住民の代表として重大な責任を持っておるのでございますから、その立場において自分の使用するその職員の代表と堂々と話し合いをするという姿勢は、私は持ってもらわねば困ると思うのでございます。ただ、間々見受けられるように、正当な団体交渉にあらざるいわゆるつるし上げ、脅迫に近いような状態において団体交渉が行なわれる、そういうものを恐怖するあまりに、正当なる団体交渉も拒否するという態度では、これは日本の労使関係の発展もございませんし、国際舞台において大体それは通る理屈ではございません。 そういう意味で、私は政府当局にも要望したいと思います点は、その正常なる団体交渉、労使関係というものを、労使ともに努力をして育てていく、こういう前向きな姿勢でこれらの問題と取り組んでいただきたいと思うのでございます。この点について両大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○大橋国務大臣 国家公務員の職員団体についての政府の積極的なあり方につきましては、澁谷委員のお述べになりましたように進むべきものと考えます。
○赤澤国務大臣 澁谷委員の御指摘になりましたとおりでございます。全く同意見でございます。
○澁谷委員 その他、専従制度なり、人事院の問題等もございますが、大体時間でございますので、私の質問は大体終わりたいと思いますけれども、最後に、公務員制度審議会が設置されるということになっておるわけでございます。公務員というものが、先ほど来申し上げておりまするように、憲法上も、公務員法上も、非常に特殊な責任を持ち、特殊な地位を持っておる。これに関する労働法上におきましてどのような規制をしていくかということについては、現行法ははなはだ欠けるところが多いと私は考えるのでございます。内閣におきましては、数年前から公務員制度調査室というものをつくりまして、この問題について総合的な立場から検討を加えられておるわけでございますが、私は、今回の改正案によってこれでもう十分だというわけにはとうていまいりません。 先般の四・一七のストをめぐりまして、いわゆる公労法の問題も、これは議題にのぼってきておるわけであります。皆さまも、まだなまなましいことでございますから御記憶に新たなように、あの戦後最大といわれたようなストライキが行なわれようとしたわけでございます。これにはいろいろな原因なり事由があるだろうと思うのでございますが、この公企体の労使関係があのように毎年紛糾するというその一番大きな原因の一つといたしまして、肝心の交渉の相手方である当局がその資金面において全然交渉能力がない、これが何といってもやはり一番大きな原因であろうかと私は考えるのでございます。そういう面も含めて、公企体における労使関係というものを今後正常な関係に持っていかなければなりません。そのためにもやはり現在の公労法、地公労法のあり方というものを検討しなくちゃならぬ。それはまた一つでございますが、そのほかにも、ただいま申し上げたように、国家公務員、地方公務員全体について、その労使関係なり労働のあり方というものについて、私は基本的に掘り下げた検討をなすべき時期に来ておると思うのでございますが、この点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 公務員の問題につきましては、労働法上の問題はもとより、いわゆる公務員制度という広く万般の事柄につきまして問題の点がたくさんにあるのでございます。また、政治活動その他規律の面にも問題がございます。こうした問題は相互に関連もいたしておるのでございまして、これがために、私は率直に申し上げまして、労使関係のあり方として、いわゆる国家公務員の職員団体と政府との関係というものは、わが国の労使関係におきましても最も困難な問題の一つに相なっておると存ずるのでございます。これらの抜本的な解決につきましては、単なる事務的の検討だけではとうてい妥当な結論を得ることが困難でございまして、広く各方面の識者を網羅いたしまして、十分根本的に公務員制度を各方面から掘り下げて、すみやかに公務員制度の完全を期しまするとともに、公務員に関連するいろいろな問題の解決に資していくということはきわめて有意義なことであろうと存じます。
○赤澤国務大臣 公務員につきましてのただいま労働大臣の発言は、地方公務員にも完全に当てはまると考えます。 また、地方公営企業は御案内のとおり完全に行き詰まっておる状態でございますので、今回の国会で地方公営企業の調査会をつくっていただきまして、今後の公営企業のあり方というものを根底から検討をしていただきまして、ただいま澁谷委員の御指摘のことも含めて結論を出さなければならぬと考えております。
○澁谷委員 残余の問題についての質問は後日に譲りまして、本日は私の質問は以上で終わります。
○倉石委員長 次会は公報をもってお知らせいたすことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三分散会