決算委員会 第28号
- 発言数
- 182 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/06/25
会議録
○白浜委員長 これより会議を開きます。 昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。 本日は法務省及び農林省所管について審査を進めます。 まず法務省所管について質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。森本君。
○森本委員 決算に関連をいたしまして、法務省の内部におきまする問題で少しただしてみたい、こう思うわけでありますが、それは高知刑務所内に起こりました二つの事件の問題であります。これは私大体それぞれ新聞記事で承知をしたわけでありますが、一つの事件というのは、新聞の切り抜きを読んでみますと、高知刑務所は天国だ、所内のたばこ、酒密売事件、こういうことで、刑務所内に、いわゆる看守が買収をせられまして、囚人に対してたばこや酒を売っておった、しかもこれが半ば公然となされておったというふうなことが載っておるわけであります。これは今日のこういうふうな法務行政からいたしましても重大な問題である。特に綱紀粛正ということが言われておりまする中にありまして、しかも権力行政の末端でありまする刑務所の内部においてこういう事件が起きるということは非常に遺憾なことでありまして、再びかかる事故が起きないように、こういう意味合いから私は質問をするのであります。 さらにもう一点の事件は、これはやはり高知市の刑務所の内部に起こった問題でありますが、殺人容疑で未決囚として二年間入れられておりまして、それが最後には無罪になっておりますが、その被告人が刑務所に収容中に、数回にわたって医務官に対しまして健康の診断その他を望んだにもかかわらず、結核患者に対して医務官のほうが、これは単なるかぜである、こういうところでかぜ薬のみを与えておった。その被告人は出所後ほとんど廃人同様になりまして、国を相手に損害賠償の訴えをしておる。 こういう事件が二つあるわけでありまして、二つともこれは刑務所当局にとりましてはまことに遺憾な事件であるというふうに私は考えておるわけでありますが、ひとつ法務省当局のほうからこの二つの事件に関連をいたしまして簡にして要を得た説明をまず最初にお願いをしたい、こう思うわけであります。
○大澤政府委員 ただいま御質問を受けました高知刑務所におきます看守の収賄事件並びに刑務所医官の診療不十分であった点、いずれもわれわれといたしまして遺憾の点でございまして、この点まことに申しわけなく存ずる次第でございます。言高知刑務所におきまして、本年四月ごろ、受刑者から、本件の収賄しました看守が、暴力団関係の受刑者に頼まれて、たばことかウイスキー等を差し入れたり、また信書を不正に発信せしめて、そうして謝礼としてお金をもらっておるというような密告がございまして、直ちに官のほうで取り調べましたところ、岡田看守は事実を認めましたので、懲戒免職の処分をいたしますと同時に、われわれといたしまして、かような不正事故は根絶しなければならないという立場から、高知地検に告発をいたした次第でございます。その結果高知の検察庁で取り調べましたのでございますが、本人はこのほか受刑者あるいは家族等から、請われるままにたばこ、ウイスキーを不正に差し入れした、その報酬としまして相当多額の現金を受け取ったことが判明し、六月二十日に起訴せられたのでございます。なお本件に関連しまして高知地検におきましては関係者について捜査を続けましたところ、さらに同所の看守一名が受刑者の家族から供応を受け、たばこ等を差し入れしたことが判明しました。これまた懲戒免職した上、高知地検において逮捕しまして、目下取り調べ中でございます。 また医官の診療が不十分であったという点、この点につきましても、われわれといたしまして、これは事医術に関することで、その適、不適ということは断言はいたしかねるのでありますが、この被告人が約二年間在所中に一昨年の冬ごろと昨年の冬からこの春にかけまして相当長期間感冒、気管支カタルという病名のもとに治療を受けておるのでございます。その間、われわれは常識として、しろうとでございますが、さようにせきが出る、微熱があるというような状況が長く続けば、当然結核の疑いということを考えて、レントゲン検査等の精密検査を行なうべきであると思うのでございます。その点何らの行なった形跡がない。医師としまして聴打診その他医術に関することなので、私からとやかく、これは明らかに誤診であるということは言い得ないことでございますが、一応われわれ常識でもその点の精密検査をすべきである、それをしてない点につきまして、いささかふに落ちない点があるのであります。かような点につきまして、ちょうど本日全国の刑務所長の会同をいたしております。先ほども、大臣からもまた私からも厳重にその点の注意をいたした次第でございます。事が誤診であるかどうかということは、門外漢のわれわれには認定できないことであります。しかし、しろうととしましても十分な精密検査ということに欠けておるという点につきましては、まことに遺憾な点でございます。この点、かようなことのないよう今後十分注意していきたい、かように存じておる次第でございます。
○森本委員 そこで、いまのような事件が全国的にはどうですか。この高知刑務所以外に、全国的に刑務所におけるこういうふうな事件というものがありますか。
○大澤政府委員 職員のいわゆる不正事件、これにつきましては、最近毎年一件ないし三件ございます。昭和三十六年度には一件もなかったのでございますが、三十七年度に三件、三十八年度に三件、三十九年度にこの高知が発生しておるわけであります。本年は高知刑務所一件、かような状況に相なっております。
○森本委員 その前の三十八年の事件というのはどういう事件ですか。
○大澤政府委員 広島刑務所におきまして、やはり暴力団受刑者に威迫せられまして、その請われるまま、たばこ等を交付して、その謝礼の意味で金をもらった。また府中刑務所におきまして、これはやや趣を異にいたしますが、非常にこうかつと申しますか、そういう受刑者からことば巧みに話を持ちかけられまして、競馬を——府中でございますので、おれは競馬が非常にうまいんだ、看守さん、これを買ってみんかというようなことで引きずり込まれまして、それでだんだん深みに入りまして、それにたばこ等を入れて、それでその家族等から金銭を受けていた、かような事案でございます。奈良もほぼ同様に、家族等に頼まれてたばこ等の禁制品を交付して、そのお礼というような意味で礼金を収受した、ほぼ同様の事件でございます。
○森本委員 それからこの高知刑務所の事件に関連をいたしまして、この所長以下の行政処分はどういう処分をしておりますか。
○大澤政府委員 いま手元にそれぞれの詳細な資料はございませんが、高知刑務所の分につきましては、まだ連累者として一名の看守が逮捕取り調べ中でございます。この終結を待ちまして十分な処置はとるつもりでおります。それぞれいずれも監督責任者としてしかるべき懲戒処分はとるつもりでおります。
○森本委員 ちょっと聞いてみたいと思いますが、現在この高知刑務所には収容人員が、いわゆる未決、既決で何名おりますか。
○大澤政府委員 いま詳細の資料は持ち合わせていないのでございますが、大体六百名前後の収容でございます。
○森本委員 六百名前後のものに対して看守は何名おりますか。
○大澤政府委員 所長以下全職員百七十二名でございます。
○森本委員 その百七十二名の中には事務職員あるいはその他おると思いますが、要するに看守系統の看守が何名おるか、こういうことです。
○大澤政府委員 いわゆるいま御質問の看守というのは、保安関係と申しますが、保安関係は九十五名、事務関係が七十六名でございます。そのほか所長ということになっております。
○森本委員 大体この標準としては、収容人員に対して看守何名という標準を持っておりますか、刑務所は。
○大澤政府委員 刑務所の職員が収容者何名を担当するかという点につきましては、非常にきめにくいことでございまして、われわれとしまして、重警備と申しますか非常に処遇の困難な者が大勢集禁しているというところには、保安要員を厚くいたします。少年でございますとかあるいは初犯で非常に程度の軽い者、そういうものに対しましては軽警備と申しますか保安要員を減らすというような形でいたしておりますので、何名ということになりますとそれぞれの所によって違うわけであります。大体予算等の概括では全体といたしまして五名に一人の割合というようなことが大体の基準になっておるわけでございます。
○森本委員 大体定員を配算するには、配算根拠、積算根拠というものが大蔵省との間の折衝にあると思いますので、五名に大体一名ということになりますと、六百名おって実際に九十五名ということになりますと、看守のほうが少し少ないということになるわけですね。
○大澤政府委員 ただいまちょっとことばが足りずに誤解を招いたようでございますが、全体としての数字はいま申し上げたのでございますが、現在保安関係では六・六人に一人という平均になっております。
○森本委員 六・六人に一人ということでありますが、そういたしますと大体ここの高知刑務所の場合、こういう事件が起こったところについても大体定員一ばいという形になっておるようでありますが、そこでこの職制はどうなっておるのですか。要するに看守、それからその上の職制はどうなっておるのですか。
○大澤政府委員 大体、看守、看守部長、副看守長、看守長、その上に監督官の部長、所長、こうなるわけでございます。看守長の中から保安課長を選任します。
○森本委員 こういう問題について毎日の報告はどの程度まで上がっていきますか。要するに毎日の刑務所内の囚人の動静その他についての直接の第一線の看守から報告がいく分は、どの程度のところまでいきますか。
○大澤政府委員 日常処遇に当たっております看守が、その収容者の動静その他のことにつきましては保安課長を通じまして管理部長にいくわけであります。管理部長から所長にいくわけであります。それで、特段の事故があります場合にのみわれわれ本省に報告がある、かようになっております。
○森本委員 そうすると結局日常のことについては看守、それから看守部長、副看守長、それから保安課長、こうなるわけですか。
○大澤政府委員 ただいま申されましたとおりの形で上達されていくわけであります。
○森本委員 そこで、これらの職員の人々の転勤交代制というのは、どの辺のところまでやっておりますか。要するに、こういう事件が起こったということは、一個所に長いこと勤務しておりますといろいろな事件が起こってくるわけでありまして、特に権力行政というものはそういう点については深甚の注意を払っていかなければならぬ。権力を持つ側の行政者というものは、やはり各省においても同じポストに同じ人間が三年以上携わっておりますと必ず何らかの事故が起きるとかいうことがあるわけでありますが、こういう点で、要するにこういうところの権力行政機関というものの転勤制というものは、かなり重要視していかなければならぬ、こう考えておるわけでありますが、この中でどの程度まで転勤制を持っておるわけですか。
○大澤政府委員 所長、部長、課長までは大体毎年定期異動の範疇に入れまして異動させておるわけであります。
○森本委員 そういたしますと、看守、看守の副部長、部長というようなものについては転勤制を持っておらないですか。
○大澤政府委員 本省で定期異動を行なっておりますのは、さような上位の幹部でございますが、看守は御承知かも存じませんが、その地方のはえ抜きの方が非常に多いのでありまして、家が昔からそこにあって、悪く言いますと自分の田畑があって、そしてそれを耕やしながら半面自分は職務につくというような方が多いのでございまして、実際上異動ということは非常にむずかしいのでございます。しかし、必要ある場合にはもちろん異動は行なっておりますが、定期異動に入れましての人員配置ということは実際上さような土地と非常に結びつきの深い方が多いものでございますので、異動は実際上行なえない。ただ特段の事情で本人が希望し、あるいは特殊なことがあったために他に転勤をしてもらうということは行なわれておりますが、このような特殊的な関係で異動が少ないわけでございます。現に網走刑務所等におきましては明治から三代にわたって看守をしておる、むしろ刑務所が本籍地というような職員もおるわけであります。下と申しますと語弊がありますが、俸給も少のうございますし、一般の上級幹部と同様には転勤は命ぜられないという事情でございます。
○森本委員 大体看守の待遇は警察官と同様ですか。
○大澤政府委員 公安職俸給支給でございまして、同様でございます。
○森本委員 この場合警察官は、やはりある程度、下に至るまで転勤制を持っておるわけです。だからいま局長がおっしゃられたようにいろいろ事情もあろうと思いますけれども、特に刑務所の内部においてこういう事件が起きたという場合においては、一応総入れかえなら総入れかえをするくらいの気力と覇気を持ってこの行政に当たらなければ、こういうものを根絶することはなかなか困難ではないか。だから平生からやはりある程度の人数については、こういう権力機関の行政機関というものは、転勤制を考えておくということも必要ではないかというふうに私は考えるわけであります。そういう点、予算の問題もあろうかと思いますけれども、特に刑務所の内部において、こういう事件が起きるということは、二度と起こしてもらいたくないということは、われわれの一致した意見でありますので、そういう点を予防する意味においては、やはりそういう職員の転勤制の問題、さらには職員の待遇もかなりよくしていくという問題と、それから職制のいわゆるラインの監督機関というものが、どういう形の監督を毎日行なっておるかという点がはっきりしておりさえすれば、こういうものは相当防げるということが言えると思うわけでありますので、そういう点をひとつ十分に法務当局もこういう事件が起きたのを契機にしてあらためて再検討願いたい。そうしないと、三代にわたって、四代にわたっておるということは、確かにそういう一面いいところもありますけれども、悪い面が出てきたときには、非常に悪い面が出てくるわけであります。そういう点でいい場合にはそれはいいことをどんどん生かしてもいいけれども、ある程度そういうようなことについては、やはりその悪い面が出てくる場合が非常に多いわけでありますから、今後の予算折衝その他においても、やはりこれはどうしても必要であるというところから、総合的にいわゆる職員の身分、待遇、職制あるいはその転勤の問題、こういうものについてもひとつ再検討すべき時期ではないかというように考えるわけですが、どうですか。
○大澤政府委員 ただいま御指摘のように看守につきましても、一つの所におるということは、やはりその空気がよどんでまいりますし、また他に転勤して、他の施設の長所、短所を見せるということは、将来のためにきわめていいことだと考えるのであります。しかし、ただいま申しましたようにそれぞれの家庭事情等も考えまして、遠方の転勤は不可能になります。その県下の支所と申しますか、それは順次やっているわけでございます。しかしただいま御指摘の点もございますので、十分考えていきたいと思います。 なお、暴力団等の受刑者におどかされてさような間違いを犯すという例が多々あるわけであります。特に暴力団受刑者と申しますのは、その地域におきまする自分らの組織の勢力を頼みまして、中で相当横暴をきわめるわけでございます。はなはだしきは広島拘置所では、保安課長の家に棺おけをかつぎ込んだというような事件も発生しております。また高知刑務所におきましても、管理部長が新しく転勤してまいりましたとたんに、受刑者に廊下でなぐられたというような事件もあったわけであります。陰に陽に脅迫、暴行を加えてくるわけであります。そこでわれわれも看守の身になってみて——それらの地元の暴力団に、おまえの妻子の身の上はだいじょうぶか、おれは一カ月か二カ月で出るぞ。そのときはお礼をするぞとやられれば、恐ろしいのはあたりまえであります。そこにある程度職務執行に力が欠けてくる、これは人間である以上、それを強くやるということは、われわれとしても言うわけにまいりません。したがって、われわれとしては、暴力団の受刑者は、刑が確定いたしました者で、その地へ置けばさように土地の勢力を頼んで横暴な行動に出るというような者は、他刑務所、他管内に分散移送をしております。そうしてさような脅迫を受けないように、他の刑務所で執行するという方法をとっております。 なおまた、未決拘禁中は裁判出廷のためによそへ送るわけにまいりません。そこで広島刑務所においてとった措置でありますが、全然関係ない東北、北海道の看守に応援させまして、広島のさような暴力団に対する取り扱いはそれらの者にいたさせまして、地元の者にはそれらの処遇からはずした。さように看守が元気を出して堂々とやれるようにということで、さような暴力団と切り離して、その威赫から免れようという措置をとって、職務の公正を期しているわけであります。さような方法等も合理的に考えまして、またいまお話のございました点も十分考慮いたしまして、職員がさらに積極的に職務を遂行できるように、なお一そうのくふうをこらしていきたいと思う次第であります。
○森本委員 それからついでにちょっと聞いておきたいと思いますが、刑務所の修繕費なんというものは年間どの程度出ておりますか。これは私はよく知っておるわけでありますが、昔のたしか山内藩の当時の建物をそのまま使っておって、外から見てもへいがこわれておるというふうな建物であります。そういう点については、一体どの程度各所修繕費というものが年間で出ておるのだろうかという点で不審な点を持っておるわけですが、わからなければあとからひとつ資料として御提出を願えばけっこうであります。
○大澤政府委員 修繕費は、予算としましてたしか坪当たり六百円の予算配賦があるわけであります。高知刑務所は、建物が大体四千坪くらいございます。その積算としてほぼ二百四十万という額になっております。
○森本委員 年間坪当たり六百円ということであるとすれば、このへいのこわれておるところだけをやりかえても、それは済んでしまうということであります。これは別にスマートな刑務所にせいというわけではないけれども、これは外から見ても、行って見られたらすぐわかりますが、へいがこけ落ちて見るもむざんな建物というのは、この高知刑務所の特徴になっておるわけでありまして、こういう点もやはりこういうような事件が起きた一つの原因でもあるのじゃないかというふうに考えるわけであります。そういう点もひとつ十分に今後検討し、考慮していかなければならぬ問題であるというように考えますが、いずれにいたしましても、一年間の修繕費とその修繕費の使用方を、資料としてあとで御提出を願いたい、こう思うわけであります。それがよければ、次に進んでいきます。
○大澤政府委員 御指示の資料は後日提出いたします。
○森本委員 それからもう一件の明神氏のいわゆる国を相手の損害賠償の訴えでありますが、ここで非常に私ふしぎに考えるのは、医学の問題でありますから、局長も言われたように、それはお医者さんが気管支炎というふうに診断をすれば、それ以上のことをとやかく言うということはできぬとしても、明らかに本人は結核であるということを言っておるわけでありますから、そうすればレントゲンをちょっとかければ明らかに出てくるわけであります。そういうふうな刑務所内でのレントゲン診査とかいうふうなものは、それを受けさせるということはないのですか。
○大澤政府委員 明神に対するカルテ等の写しを当方で取り寄せまして調べたのでございますが、入所時、本人も健康診断を行なっております。これによりますと、本人は、身長が百六十七センチ、体重が四十八キロ、胸囲が七十六センチで、特に病的所見はない。そして総評は、やせ型のために丙。そして本人は、胃かいようにかかって手術を受けた既往症があるというふうに書いてあるのでございまして、結核の既往歴については何ら述べてないのでございます。 それから、各刑務所には大体レントゲンの設備はございまして、当刑務所におきましてもレントゲンの撮影を行なっておるのでございます。しかるにかかわらず、本件についてレントゲンを写していないという点につきまして、先ほども申し上げましたように、私自身しろうととしまして、解せない点があるのでございます。このときにおりました医者は、老齢のためにいま退職しておりますので、また最近、本件についての民事訴訟が起こされたという報告を受けましたために、その点の、なぜレントゲン等の精密検査をしなかったかという点についての調査はまだいたしておりませんが、刑務所にはレントゲンがあるのでございます。それからまた、毎年の結核検診を受刑者全部に行なっておるのでございまして、それもエックス線でやっておるわけでございます。ところが、この明神被告については行なっていない。この点また、私としましてきわめて遺憾のことと思っておるわけでございます。本省としまして、毎年一回の国民の健康診断にあたりましては、刑務所在監者全部について行なうよう指示が出ておるのでございます。この点、高知刑務所は——大体未決というのは非常に短期間に出入りをする者が多いわけでございますから、未決囚は必要なしというふうに考えてか、除外されておる。この点また、刑務所の管理としてきわめて不適正である。この点何とも申しわけない次第でございます。この点につきましては、今回これがわかりまして、全国的に、直ちに電信でその点の注意を喚起しまして、再び過誤の起こらないように手配はいたしましたが、本件につきましては、われわれとしまして当を得ない処置であると考えておるわけでございます。
○森本委員 局長が言われたとおり、新聞の記事それからいろいろな内容を見てみると、確かにレントゲン診査というものは一ぺんもやっていない。しかも、本人は二年間中に入っておったということでありますから、一回でもレントゲン診査をやれば、これは明らかにはっきりと出てくる問題でございまして、私が調べたところによりましても、昭和三十八年の一月二十九日に徳島刑務所の医官が来て診断をしたときに、念のためにエックス線写真の撮影をせよということを診療簿に記載をして、指示をしておるわけでございます。ところが、肝心の加藤医官という人が欠勤をしておりましたので一おそらく私はこの辺も、相当医務課あたりのルーズなところがあるのではないかということは、そういう指示をしておるものが全然あとへ申し送られておらない。そのまま没になっておる。この人の指示によってさっそくレントゲン診断をやっておれば、すでにそのときに発見をされたというふうに考えるわけでありまして、こういう点についてはまことに残念でありますけれども、やはり囚人といえども人権は明らかにあるわけでありまして、それを尊重していかなければならぬということは、特に病気その他については、これは本人が悪いわけじゃございませんから、本人の責任ではないわけでありまして、ただ、ここで申しわけがないということになりましても、本人のからだが再びそういう方向に帰ってくるということはないわけでありまして、こういう問題についてはよほど深甚な注意と周到な管理を必要とするということは、これは明らかであるわけでありますが、この人のレントゲン診査を怠ったということについては、私は確かに刑務所当局の明らかな失態であるというふうに考えるわけであります。 そこで、ちょっとお伺いしたいと思いますが、刑務所の医官というものの待遇は、一体どういうふうになっておりますか。
○大澤政府委員 医官の待遇は厚生省医官と同じでございまして、医療職の給与を支給されまして、そうして厚生省の医官に比しまして一六%の加俸がつくわけでございます。
○森本委員 そういたしますと、大学を出てインターンが済んで、大体初期のお医者さんとして、どこの刑務所でもいいんですが、刑務所に採用された医官はどの程度になりますか。私が非常にふしぎに考えるのは、大体七十才になるような医官がおらなければならぬというふうな状態がすでに間違いである。普通の病院なりあるいは公立病院でございましたならば、これは定年ですでに退職をしておる。ところが、そういう人でも雇わなければならぬような状態ではなかろうかということを心配するわけであります。そういうことであるとするならば、安閑として刑務所に入るというような人は、それはまあおらぬだろうと思いますが、とにかく刑務所に入った以上は、病気になったらそれで一切終わりだというふうになるわけでありまして、その辺のことを正確に知りたい、こう思うわけですが、その点をちょっと御報告を願いたい。
○大澤政府委員 刑務所の医療についてきわめて痛烈な御批判を受けまして、返すことばもないわけでございます。われわれとしまして、現在矯正医学という点は、単に健康保持だけではなくて、さらにそれを治療処方にまで進めるというような考え方で、医療関係の充実はつとめてやっておるつもりであります。しかし、いかんせん、医官としての待遇が、大学卒業の初任給が医療職の五等級三号ということになっておりまして、二万三千六百円、これに一六%の調整額をつけまして二万七千三百七十六円ということになっておるわけでありますけれども、矯正医官の最高が十万一千八百四十八円、かように、開業医等から比べますときわめて低廉な金額になっておりますが、これはひとり法務省だけの問題ではございませんで、公務員全般の問題かと考えております。かような関係で、現在刑務所のお医者さんは非常に少のうございますが、われわれとしまして極力医師の充実につとめておりまして、現在のところ刑務所の医官の定員が二百二十名、そのうち欠員が十九、現在二百一名、約一割の欠員をかかえているわけでございます。各大学等に、医者の方がこちらに来ていただくように、お願いしているわけでございますが、なかなか思うようにいかない、こういう状況でございます。 なお、われわれは医療について決してないがしろにしておるのではございません。医療につきましては、全国的に各施設を充実するということは、金の点等でできません。八王子医療刑務所等、全国の枢要の刑務所を医療刑務所といたしまして、八王子刑務所は現在、結核等の医療は十分の措置をなし得る施設を持っておるわけであります。本件につきましてはなはだ残念なのは、こういうのがわかれば、大阪あるいは八王子等医療専門の施設におきまして治療ができたであろうということでございます。刑務所に入ったら百年目じゃというようなことは、われわれとしてもまことに心外でございます。しかし、結果はそうなっておるのでありまして、十分施設を持ちながらできなかった。この点まことにわれわれとしても残念であり、ひいては私の責任だと強く責任を感じておるわけでございます。再びこういうことのないようにやっていきたいと考えておる次第でございます。
○森本委員 ちょっとお聞きしますが、この医官には定年はないんですか。
○大澤政府委員 今、公務員に定年制はございません。ただ、省内は、現場職員は大体六十歳ということにしておりますが、医官は補充難でございますので、技術がある方は大体七十歳まで勤務してもらっているわけでございます。
○森本委員 これはひとつ真剣にお考えを願いたいと思います。 刑務所の医官を補充するという点については、いまも御答弁がありましたように一割も欠員がある。これは私が専門的に知っておりまする、たとえば逓信病院あたりでもかなり安いので来手が少ない。しかし総合病院になりますと、自分の研究にも相当役に立つというところから、インターンが済んで来るのは非常に多いわけであります。ところが、刑務所の医官ということになりますと、もうそこだけ切り離された形になりますので、そういう同じような公務員の医官であっても、おそらく来手が少ないのではないか、そういうことを考えた場合には、他の医療職と比べて刑務所等における医官の待遇というものはもっと考えていかなければ、これを獲得することは困難ではないか。要するにお医者さんというのは、若いお医者さんでございましたならば、ある程度の待遇ということもそうでありますけれども、自分の研究成果ということが伸びていくということを非常に望むわけであります。そういう場合に、ああいう大きな病院等については一応同じ俸給表でも来手がある。しかし、こういう場合には来手がない。そこで、七十歳になる人が昔のままで手でとんとんとやる。それでもそのままああこれは気管支炎、こういうことでやられたんでは、これは実際やられるほうはかなわぬ。これは実際に人一人の命の問題でありまするから、特にこういう点については気をつけてもらわなくてはならぬ、こう思うわけであります。 最後に、先ほど来私が質問をしておりました内容は十分政務次官もおわかりであろうと思いますが、法務大臣がおられませんので、私は政務次官に伺っておきたいと思います。最初にたばこ、酒の密売事件における刑務所の問題、あるいは次の医官の、いわゆる診療漏れによるところのこういうふうな廃人同様に未決囚を追い込んだ問題、この二つの事件から見ましても、先ほど局長もちょっと言われておりましたけれども、こういう刑務行政というものの網紀粛正、さらに医官の充実、こういう点については法務当局としても、もっと真剣に根本的に再検討を行なわなければならぬところがあるのではないか、再びこういうふうな事故が起こることがないように、ひとつぜひとも法務大臣から全国のこういう医官に指示をし、またこういうふうな事件が起こらぬように、ほんとうに根絶をするようにお願いを申し上げたい、こう思うわけでありますが、これに対する政務次官の御所見を最後に承っておきたい、こう思うわけであります。
○天埜政府委員 森本委員のおっしゃるとおりでございまして、この綱紀の粛正等についてはこういうことのないように十分注意いたしたい。これについては、先ほどからお話のありました保安職員の待遇のこと、職員の管理体制のこと、これらについても、あるいはまた転勤のこと等についても十分再検討して、こういうことの起こらぬようにいたしたいというふうに考えております。 なお、医官については、この医官の採用入手が非常にむずかしい問題があることは御存じのとおりでありまして、これにつきましても、待遇の改善というようなことも十分検討して、こういうような事態におちいらないように十分検討し、全国にそういうような手配もいたしたいというふうに考えておる次第でございます。 —————————————
○白浜委員長 次に、農林省所管について審査を行ないます。 農林省所管に関する審議の経過にかんがみ、この際委員長より政府に対し、米価改定に伴う差益金について次のとおり要望いたします。 すなわち、消費者米価の値上げに伴う販売業者の差益については、会計検査院より昭和二十六年度及び昭和二十八年度決算において注意が行なわれてきたが、何ら適切な処置がとられていない。そのため、昭和三十七年十二月一日の価格改定に際しては、相当額が差益として販売業者に帰属させる結果を見たことはまことに遺憾である。今回、昭和三十七年度決算検査報告には、会計検査院より会計検査院法に基づき改善意見が出されておるので、次期消費者米価改定の際に適切な処理を講ずるよう特に要望する。 以上でありますが、本件に関して政府の所信を伺っておきたいと存じます。
○丹羽(兵)政府委員 消費者米価の決定に伴う差益の処理についてただいま委員長から御要望がありましたが、政府といたしましては、御要望の趣旨を十分尊重いたしまして善処いたしてまいりたい所存でございます。 —————————————
○白浜委員長 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますのでこれを許します。鍛冶君。
○鍛冶委員 きょうは富山県から長野県にわたっておりまするいわゆる黒部奥山国有林のことについて承りたいのであります。 そこでまず第一番に聞きたいのは、宇奈月から黒部奥山へかけて、たしか嘉賀堂から先は国有林になっておると思うのです。それからずっと国有林を今日関西電力株式会社が使用しております。その使用しておる範囲は嘉賀堂だったと思うが、それは林野庁のほうでよくおわかりでしょうから、そこからずっと樫平を経て欅平よりいわゆる上部軌道と称するディーゼルカーを通しておる軌道がありますが、それを通ってさらに関西電力第四発電所、第四発電所から作廊谷までインクラインをもって使用し、作廊谷から黒部ルートといわれておる十キロ余の隧道を使用していわゆる黒四ダム、御前沢ダムに通じておる、御前沢ダムからさらに大町ルートと俗に言っておるが、そのルートを通って大町へ出るような隧道ができておる。いま言った地面はことごとく国有林野であると私は承知しておりますが、この国有林野のいま言ったルートをすべて関西電力株式会社が今日使っておると考えるのですが、その事実はいかがでしょうか。
○丹羽(兵)政府委員 詳しいことは事務当局から申し上げますが、ただいま先生から御指摘のありましたとおりと考えております。
○鍛冶委員 時間があればもっと詳しく聞きたいのですが、できるだけ簡潔にお願いしたいのですが、今日関西電力が一つずつあなた方のほうへ登記なりその他のことで出しておると思いますから、その区分をして説明を承りたいのですが、今日どういう権限を持って使用しておるか、それをひとつ全部にわたって明瞭にしてもらいたい。
○丸山説明員 ただいま御指摘のこちらでいま貸しておるわけでございますけれども、この周辺は最近御承知のとおり黒部第四ダム等がありまして逐次発電工事が行なわれております。そのための工事用の材料の運搬でありますとか、あるいは自後の補強工事ないしは発電所の管理のためにこの国有林を通ります。そういう意味で貸し付けをしておるわけであります。
○鍛冶委員 もっと法律的に聞かせてもらわないと、どういう権限で使っておるかというのです。工事のために使っておるだけではないでしょう、何らかの権限を与えておるから使っておるのでしょう、それをお聞きしたい。まずそれなら私から聞きましょう。いま言ったたしか嘉賀堂谷だったと思うが、欅平までは今日どういう使い方をしてどういう権限によってそれを使用しておるか聞かせてもらいたい。
○丸山説明員 棒平までの部分は、いわゆる地方鉄道法によりまして関西電力が運行しております軌道敷として貸してあるわけであります。それからその上につきましては、ただいま申しましたように各種の発電所の工事あるいは維持管理という目的のために貸付しておるわけであります。
○鍛冶委員 棒平までは軌道としてそれは運輸営業ですか、それとも便宜上あなたのほうでそういう人を運ばせることになっておるのか、どういうことになっておるのか、そこらの点をはっきりいたしておきたい。
○丸山説明員 ただいまの軌道につきましては、昭和二十八年に工事兼荷物運送ということで地方鉄道法に基づきまして営業路線となったわけでございます。それの敷地としてこちらが貸してあるという状況でございます。
○鍛冶委員 その前はどういう目的で貸してありますか。
○丸山説明員 その前は発電所の工事用として貸しておったわけであります。工事のためのいろいろな資材、器材を運搬いたしますことのために貸してあるわけであります。
○鍛冶委員 部長は現地をよく知っておるかどうか知らないが、知っている人の助力を得て、よく聞いてください。
○丸山説明員 一ぺん行ったことがあります。
○鍛冶委員 知っておるならよろしい。欅平からですと、俗に言う立て坑ですね。エレベーターがある。それから今日上部軌道といっておるいわゆる高熱隊道をディーゼルカーで通しておりますね。電車ではありません。これはいまあなたが言われた工事用に使わせておりますか。
○丸山説明員 工事用として貸してあるわけであります。発電所の工事及び維持増強等いろいろございますので、そういう名目で貸してあるわけであります。
○鍛冶委員 次は第四発電所の敷地になるのですが、これは発電所設置のために貸されたものと思いますが、これはどうですか。
○丸山説明員 そのとおりでございます。
○鍛冶委員 その次はインクラインですね。それから作廊谷まで上がって作廊谷から御前沢ダムまで約十キロの隧道がありますね。これはどういう目的で貸して現在はどういうことになっておりますか。
○丸山説明員 その点につきましても、第四発電所のダムはいまでも若干工事をしておるようでございますが、そういう目的のために貸してあるわけでありまして、工事用でございます。
○鍛冶委員 ダムから隧道として俗に言う大町ルート、これは長野県への出口は扇沢ですね。その間はどうですか。
○丸山説明員 いわゆる大町ルートにつきまして、トンネルに通ずる部分は、先ほど申しましたように工事用として貸付しております。それから若干トンネルを出ました地上の部分につきましては、ここの路線が関係各省との打ち合わせでトロリーバスの運行用として許可になっておるという問題もございまして、長野側の部分につきましては、そういう意味も含めて貸付契約を先に結んでおる、そういうことでございます。
○鍛冶委員 もっと明瞭に言ってもらわなければ困る。トンネルを出て普通の場所というのは、扇沢から大町のほうへ向かってですか。
○丸山説明員 隧道を出まして扇沢駅の近くまで、このあたりの部分が、ただいま申し上げましたような理由で工事用に加えて、いま申しましたような理由も加味して貸してある、こういうことでございます。
○鍛冶委員 よくわからぬが、扇沢から大町のほうへ向かって工事のために貸してある、こう言われるのですね。私が主として聞きたいのは隧道なんであります。隧道はどういうふうになっていますか。
○丸山説明員 隧道の部分は現在の段階においては工事用でございます。工事用として貸付してございます。
○鍛冶委員 大町ルートの敷地に対してはどういう契約が結ばれておりますか。もっと契約の内容を具体的に示してもらいたい。何年何月何日から契約をして、どういう内容の契約で関西電力が使っておるか、これを明瞭にしてもらいたい。
○丸山説明員 契約の期間は昭和三十九年一月三十日から四十年十二月三十一日に至る期間でございます。それから内容のおもなる点を申し上げますと、本契約の道路敷、道路畦畔敷、坑口敷、隧道敷は、発電所建設、維持管理及びトロリーバス用に使用するものとするというふうに出ております。そういう趣旨で貸しておるわけでございます。
○鍛冶委員 もう一ぺんはっきり言ってもらわぬと困るな。そんなことじゃわからぬ。契約をした年月日ですよ。
○丸山説明員 長野側につきまして、ただいま申しましたように、三十九年一月三十日から四十年十二月三十一日まで、これが大町の属する部分でございます。
○鍛冶委員 扇沢からでしょう。
○丸山説明員 はい。
○鍛冶委員 私の言うのは、御前沢から扇沢までのことを言っておるのです。
○丸山説明員 ただいま御指摘の部分につきましては、三十八年の七月一日から四十年の十二月三十一日までということになっております。
○鍛冶委員 どういう目的で賃貸してあるのですか。
○丸山説明員 あとで申し上げた部分は、工事用として貸してございます。
○鍛冶委員 もう一ぺん聞きますけれども、三十八年七月一日より四十年十二月三十一日まで工事施行用として賃貸したことは間違いありませんね。
○丸山説明員 間違いございません。
○鍛冶委員 今日その工事はどういうふうになっておりますか。
○丸山説明員 現在におきましては、大体いわゆるダムの岩盤に属する部分の補強工事と申しますか、ミルク注入といっておるようでございますが、そういうことのために大体一日三十台ぐらいのトラックで機材を運搬いたしております。そういうかっこうで使われておるようでございます。
○鍛冶委員 第一にいま工事用といわれましたが、この賃貸借契約を読んでみますと、どうもその目的をきれいに書いていないのだ。われわれはどこへ行ったって、何々のためにと書くのだが、ただ「今般貸渡人 富山営林署長を甲とし借受人関西電力株式会社を乙とし前記のとおり賃貸契約を締結する」こういうふうなことで目的を書いていないが、これは書いてなくても、いま言われるように、工事用というのは、発電所の建設工事のために賃貸借したことだけは間違いがなかろうな。
○丸山説明員 間違いございません。
○鍛冶委員 そこでこの契約書の内容を見ますと、第十一条に、「この契約が終了するとき、または契約期間中において乙が返地届を提出するときは、林野に附属された工作物を収去し跡地整理を行い、甲の指示した事項並びに行政庁の許可認可の条件に従って原状回復を行うとともに、緑化のための植樹植草を行い、もしくは土砂崩壊防止施設を行った後に提出する。」こういうことになっておりますね。これはいま言われたように、ここに「契約が終了するとき」ということは、発電所建設のための工事用に借りたのだから、工事の完成したときは、契約の終了したときであると考えるが、あなた方はその点はどう考えられますか。
○丸山説明員 御意見のとおりであります。
○鍛冶委員 それから二十条には「乙は借受地内等の永久的施設と考えられるもので、着工後止むなく設計変更する場合は新設計図書を甲に提出し、その承認を得ること。特に土捨場においては土砂捨作業の経過により、当初の設計の全部または一部に変更が生じた場合は必ず前項の処置をとること。」さらにまたそのあとでも「乙がこの処置を行わず甲が国土保全に影響あると認めた場合においては乙は甲の指示に異議なく従うこと。」こう書いてある。要するに、永久的施設と考えられるものをやるときには特別にその点の許可を得てやれ、こういうことですね。これは当然のことなんです。先ほどから言うように、工事が済んだら原状に復してお返ししますと言うておったんだから、永久にそこへ残るようなものをするときには、返すときに原状に復されぬことになるのだから、そこで新たに甲の承認を得てかからねばならぬ、こういうことだと思うが、この点はどうですか。
○丸山説明員 御意見のとおりであります。
○鍛冶委員 そこで聞きたいのですが、先ほどからちょいちょい言われたが、大町ルートという御前沢から扇沢までのトンネルは現在工事が仕上がったのですか、仕上がらないのですか、どちらですか。
○丸山説明員 先ほど申し上げましたように、ダムの補強工事をまだやっておりますので、そのトンネルは機材運搬のトラック等がいまでも通っておるわけであります。そういう意味においては終了したとは考えられないのではないか、こう思います。
○鍛冶委員 終了しておらぬとすれば、発電所建設工事のために使っておる、こういうことですね。もしそうであれば、それと異なったものに使い、もしくはその工事以外のものをやるとすれば、この契約書二十条において特別の許可を得なければやれないものだと思うが、あなた方はどう思いますか。
○丸山説明員 二十条につきましての「永久的施設と考えられるもの」については、御意見のとおりであります。
○鍛冶委員 そこで承るが、先ほどからあなたちょいちょい言われたが、トロリーバスを通すために工事をやっておる。あなたは先ほどからトンネルの外ばかり言うておるが、トンネルの中もやっておるのだが、これは知っておるのか知らぬのか。知っておるならば、どういう許可を与えてそういうことをやられたかを返答してもらいたい。
○丸山説明員 トロリーバスを通すための工事のお話でございますけれども、その点の、工事そのものがどの程度のものであるかは現在われわれ承知いたしておりません。程度の問題に関連いたすと思いますけれども、その点について、かりに一十条によって処置してないということになりますと、おそらくはこの契約の内容の一部として解釈できるのではないかという考え方で別契約をしてない、そういうふうに理解しておるわけであります。
○鍛冶委員 あなたは林野庁の林政部長だね。国有林野の管理責任はあなた方にあると思うが、あなたになければ長官にあるのか大臣にあるのか、いずれにしてもあなた方の官庁にありますね。その官庁の人が、今日どうなっておるか知りませんが——そんな返答でいいのかい。どうなっておるか、さっそく調べて返事しなければならぬと思うが、その点はどうなんですか。
○丸山説明員 御説のように、さっそく工事内容等は調査いたします。
○鍛冶委員 ぼくも行ってみないんだが、運輸省で、ここにトロリーバスを通して、トロリーバスを営業してもいいという認可を与えて、現在トロリーバスの工事中である。そして七月一日から料金をとってトロリーバスを通して人を運送すると豪語しておる。それほど重大な事実をあなた方知らぬで済みますか。済まなければどうすべきものか、ここで返答してもらいたい。
○丸山説明員 富山側につきましても、お説のように具体的にトロリーバス運行用として相当な工事をいたすことになりますれば、新たに契約をするとか、そういう措置が必要だと思います。
○鍛冶委員 契約はしておらぬことは明瞭になりましたね。契約せなければできないことも明瞭になりましたね。しかりしこうして現にしております。そして現にあなた方と同じ政府の運輸省でそういうものをやってよろしいという認可を出しておる。これに対してあなた方はどうしますか、ここで責任ある答弁をしてもらいたい。ただ知りませんではいけません。そういうことはできない。できないことを関西電力がやっておる。同じ政府である運輸省がこれに認可を与えておる。これに対してどうすればいいか、明瞭に答えてもらいたい。
○丸山説明員 富山側の問題につきましては、お説のように、またただいま申しましたように、第二十条の契約内容と相当違うような工事を行なうとか、そういう場合には新しく契約を結ぶ必要があろうかと思います。現地においては現在まだ結んでおりませんので、おそらく御指摘の点はあるいは地質調査程度のものではないかというふうに考えておるわけでございます。
○鍛冶委員 地質調査だなんて、君らそういうことをここで答えていいのかい。現に認可を得て、新聞に書いてあるが、工事ができたら天下に開放すると関西電力は発表した。よく知らぬなら知らぬでいいが、そのかわり、わかったら官庁としてやるべきことをやりますか。これは次官にひとつ責任ある答弁をやってもらわないと……。
○丸山説明員 認可になりましたのが六月十八日でございまして、ただいま御指摘の点につきましては、どういう内容、またどういう契約、そういう問題に入っていくようでございますので、日にちの関係で、現在その認可を受けて直ちに処理していくという点につきましては、若干怠慢があるかもわかりません。今後十分話し合いをいたしまして、それではっきりさせたいというふうに考えております。
○鍛冶委員 違う、違う。そんなことではいかぬ。そんな無責任なことを言うていいのですか。工事をやっておらぬものをわれわれはやっておると言っておるのじゃないのです。しかし知らぬなら知らぬで怠慢である、さっそく調べなさい。そのかわりそういうことをしておったらどうするかを答えて下さい。とめるのはあたりまえでしょうね、許可もなしにやっているのだから。それから、工事のために貸したものにどうしてそういうバスをやらせることを黙って見ておるのですか。直ちにとめるべきだと思う。どうです次官、ひとつ責任ある答弁をしてもらいたい。
○丹羽(兵)政府委員 ただいま鍛冶先生の御質問、また政府側がお答えをしております答えから考えましても、私自身も先生の御意見のように、まことに了解しにくい点があるわけでございます。政府委員から申し上げておりますように、貸すときの条件、これが終わりますれば当然返さなくちゃならぬ、そうした貸すときには条件がついております。また途中で用途を変えようとする、あるいは永久的な構造施設に変えようとするときには、認可を得なくてはやれないことになっておるのは、これは契約条項になっております。それが途中で、私のほうへも何らの連絡もなく、また私のほうは許可してない、それにもかかわらず工事が進められておるということは、現実はあるかもしれませんが、認めるべきことではないと私は思うのであります。そこで運輸省にいたしましても、先生許可になったというようなお話でございますが、当然これは何でありますか、トロリーバスか私はよく存じませんが、そういうものを通すなら通すらしい工事をしなくちゃならない。その工事をすることについての了解とか認可とかいうものは当然とってからでなければ許可なさるはずはないと私は思うわけでございます。もしそういうことが現実にあるとするならば、どこかに行き違いがあって、これは私は根本から先生の御指摘のように、もとに戻って話し合いをつけていかなくちゃならない、かように思っており、さっそく先生のお尋ねの趣旨、私も了といたしますので、事務当局を通じまして大至急調べさしていただくことにいたします。
○鍛冶委員 いま申し上、げたとおりで、あなたの言われるとおりだと思うから、至急調べて、不法なものは直らに中止すると同時に、撤回さしてもらいたい。それをうやむやにしてまた続けてやるなんということは、不法の上に不法を塗りつけるものですから、いけません。いま次官が言われたとおり、適法なものに戻してから出直してもらいたい。それはまた別な話だ。とにかくこの委員会でこれだけ明瞭になった以上は、その点をやられない限りは、われわれは承知しませんから、それだけは覚えておいてもらいたい。 その次に聞きたいのはあとの黒部ルートですが、これはいま言われたように昭和四十年十二月一ぱい賃貸期間があるようです。これもいま言ったとおり、発電所工事完成のために貸しておるのだから、完成した上はこれを返還すべきものであり、かつまた完成せざる前に賃貸目的と異なることをしてはいかぬものだと思うが、どうですか。
○丸山説明員 ただいまの御指摘の点につきましても御意見のとおりでございまして、それで契約が終わりました時点において今後どうするかという話があれば、これは新しい話として解決をつける、こういうふうに考えております。
○鍛冶委員 新しい話なんかひとついまからやめてもらいましょう。まだそこまでいかぬ先に、あなた方のほうからけつをまくって出る必要もない。 もっと私は重大なことを聞いておきますが、契約の二十六条を見ますと、「この工事用地の貸付(使用)認可は乙が将来において、新規工事その他のため借受使用せんとする場合の前提となるものではないこと。」と書いてありますね。あなた方はどうも、いまだれも言いもせぬのに、これから話があればなんてけしからぬ話だ。この契約をしたからといって、関西電力がこの土地に対して既定の何らの権利もないものだと書いてあるのですよ。したがって返すのが当然なんです。返さぬというときにはよほどの何かなかったら、そういうことはできぬはずだ。しかるにどうもそれからの話をやられるという、あなた、そんな話になっておるのですか。そんな考えだから、こういう間違いが起こってくるのです。厳格に工事のでき上がった上は返還さしてもらわなければいかぬと私は思うが、いかがです。
○丸山説明員 御意見のとおりでございます。
○鍛冶委員 必ずそれを守ってもらいたい。 その次に、先ほど言った欅平から、いまの発電所のあります仙人谷となっておりますね、この間の現状はどうなっておるか、先ほど工事用に使っておるとかと言われたが、これは工事用とはどの工事用ですか。
○丸山説明員 この路線につきましても、第四発電所の工事用にも関係がございますので、その下のほうに当たるわけでございますから、そういう意味で現在工事用として貸与しておるということでございます。
○鍛冶委員 一体それは何年に、何年問、どういう目的で貸したのです、それから明瞭にしてもらいましょう。
○丸山説明員 この黒部水系の電源開発は、御存じのとおり大正の末期から漸次行なわれておるわけでございます。それに従いまして、たとえば柳河原水力発電所、これは大正十三年に着工いたしております。それから順次、黒部第二、黒部第三、黒薙第二、黒部川第四、新黒部川第三という順序を追ってずっと長期間にわたっておりますので、これらに関連するものとして、現在も大正十二年ごろからずっと貸しておる、こういう状況でございます。
○鍛冶委員 大正十二年ごろから、現在やっておる黒部第四発電所の工事用に貸したのですか。そんなことはないでしょう。大正十二年に何の用で、何年間貸したかということを私は聞いているのです。
○丸山説明員 これは工事完成と同時に、その次の発電所の建設、またでき上がった発電所の維持管理の問題もあろうかと思いますが、逐次契約更新、契約更新という形で現在に至っておるわけであります。
○鍛冶委員 それは黒部第三発電所の工事完成のために借りておるのです。そこで書類でわからぬですか。わかっておるはずだ。いま第四発電所の上になっておる仙人谷のダムをつくったのは第三発電所の水をとるためにダムをつくった。そのダムの工事のためにあれを借りておる。そして第三工事ができ上がったのは何年だと思います。その後においても工事をするために貸したものをそのまま貸しておることが私にはわからない。どういうことでそういうことをして貸しておるのか。あなた方はそのまま、そのままと言うが。
○丸山説明員 ただいまお話しのように、黒部川第三水力発電所というのは昭和十五年に完成いたしております。その次に黒薙第二というのがまた出てきておるわけでございますし、それから黒部第四、さっきのお話でございますが、それから新黒部第三、それから新黒部第二という順序で昭和三十一年、三十六年、三十八年、こういう形で逐次この水系に発電所の着工が行なわれておるわけでございます。それとの見合いにおいて、使用するものは同じものでございますので、契約更新という形で貸しておるというのが実情でございます。
○鍛冶委員 あなた方、そのまま延ばしておるのでしょう。そこに根本的に間違いがあると私は言うのですよ。あなた方、関西電力でこれをつくったのだから関西電力がこれを永久に使うのは当然だと思っておられるからそれをやっておられるのでしょう。しかしいま言ったように二十六条によってそんな権利はないはずです。でき上がったら、ありがとうございましたといって必ず返さなければならぬ。それを受け取らずに何年でも何十年でも貸していままで使わしておる。その根拠がないと私はここで断言する。そういうずるずるべったりのことをやっておられるから関西電力がのし上がってくる。どうです。関西電力は、この間私が行って話をしましたら、こういう隧道を持っておるのは発電所の営業を続けるために持っておるのです、発電所の営業を続けないのならこんなものを持っておる必要はないのです、あなた方が工事に貸したものは、発電所があらん限りは永久におれのほうで使う権利があると主張しておる。また考えておる。どうです。この考えが正当であるかどうか、これからひとつお答え願いましょう。
○丸山説明員 ただいま申し上げましたようにそのつどそのつど契約更新という形をとってきておるわけでございます。どういうことがあろうと永久にということは、今後の契約更改のときの判断の問題になりますし、また百年でも二百年でもという契約はないわけでございます。やはり、相手方はどう言っておるかわかりませんけれども、そのつどそのつど契約が切れましたときに更新するものは更新していくということでやるのが現在の言慣例でもございますし、またそういう方法でやるつもりでおります。
○鍛冶委員 これだけ言ってもおわかりにならぬですか。でき上がった後永久に貸すべきものでないのだ。でき上がったら必ず一ぺん返還すべきものなんです。それからまた別のことであるというなら別である。その返還を得ないで、ずるずるべったりで何年でも貸しておくことが不法であると私がここで言うのですよ。そういうルーズなことを国有財産を預かっておられるあなた方がやっておっていいかというのですよ。その点を研究して、それは間違いであるというなら直ちに正当なものの手続をしてください。しからざる限りは、私は容赦しません。ここに書いてあるとおり、既定の権利というものはないとちゃんと明瞭に書いてあるはずです。それは私は大正十二年は知らぬが、おそらくこれと同じだろうと思う。それとも違っておると書いてあるなら別です。おそらく同じだろうと思う。そうしてみれば、必ずでき上がったらよろしい。そのあとはどうするか。それは、いやこれからまたあと工事をやる、これから工事をやるために必要である、貸してください。そうかそうか。これは二十六条違反である、貸すことは——私は、それほどは言わぬが、当然使われるものだと心得、あなた方も貸すものだと心得、これが根本的の間違いだというのです。私がこれだけ言うて、あなた方が直ちに調べてこれをおやりなさい。ただし私だって聖人でありませんから間違っておるかしれぬ。間違っておったら聞かしてください。私は反省します。そのかわり、そうでなくして、かってなことをやっておるなら容赦しませんよ。どうか次官、これだけ聞いておってくださって、責任を持ってこれを明瞭にしていただきたいと思うが、いかがです。
○丹羽(兵)政府委員 ただいま先生から御意見のように、貸し付けるときは目的があって貸し付ける。その目的は明らかにされておりまするようにダム建設の工事用として貸し付ける。それが終わりましたら返していただく。その返していただく条件はついておるわけであります。そこでそれをつくるときには、つくったら永久的に借りられるものであり、また永久的に貸すのだというような考え方は、どこにもありません。ただ、先生の考えとちょっと、私ども農林省、いかにもおしかりを受けておるようでありまするが、ただここの点が違いまするのは、いまも私から申し上げ、先生のお考えのとおりに、いつまでも永久的に貸すのだ、また貸していただけるのだとか貸すのだとかいう考えは全然ない。ときたま、私は場所をよく知りませんが、二、三度行ったことがございますけれども、それは遊びに行っただけのことで、そんなことの問題の調査に行ったのではない。甲の個所が終わった、そしてもうすでにそのときに次の工事個所が始まったという、ときたま連続になったから貸してきただけのことでありまして、次の工事をやるから、やるであろうから貸してくれぬか、また貸してあげましょうという契約のやり方ではないのであります。だからあくまで国としては契約の更新で進んでいかなければならない。お話にありましたように、工事が終わった。しかしりっぱなものができておる。そういうときには、また新しい観点で借りられることは当然でありましょうが、先ほど来先生のおっしゃいましたように、継続だ、それがすでに既得権だというような考え方は、私どもはしていないということを明らかにしておきます。
○鍛冶委員 御承知ないからそう言われるが、大正十二年に貸したのですよ。大正の終わりか昭和の初めにでき上がっておる。それを今日まで使っておる。そうしていまになって第四発電所の工事に必要である。それはあなた理屈にならぬのです。これは調べてみていただきたい。私はそう申し上げておきます。まだ聞きたいことがあるが、そう時間がないから、林野庁のほうはこの程度にして、ひとつ国立公園部長に承りたい。先ほどから聞いておられたと思いまするが、いま私が問題にしました土地は、国有林であると同時に国立公園地内でございます。その国立公園地内を関西電力に使用せしめるについては一定の手続が要ると思うのですが、どういう手続をしてどういう条件で関西電力に使わしておられるのですか、その点をひとつ順序を追って聞かしていただきたい。
○今村政府委員 お答え申し上げます。国立公園の地域の中で非常に重要なところは特別地域という地域がございます。その中におきまして木を切ったりあるいは工作物をつくったりという場合には、都道府県知事を経由して副申をつけて厚生大臣のほうに木を切っていいかあるいは家をつくっていいかという申請がまいります。 〔委員長退席、勝澤委員長代理着席〕 その場合に、この重要な問題につきましては自然公園審議会に諮問をいたしまして、その諮問を尊重いたしまして厚生大臣は許可あるいは認可という行為をするということが前提になってございます。それでその規定に基づきまして、この黒部の問題につきましては、率直に申しますと、国立公園の厚生省の立場から見ますとあれは荒らしてもらっては困る、非常にいいところである、日本の秘境であるという気持ちでありましたが、当時の電源開発、経済情勢の問題、いろいろございまして、それは成規の手続で成規の順序を踏んでくるならばある程度のものはやむを得ないということを——審議会は前後十回開いてございますけれども、そういう方向になりまして、大町ルートの問題、それから黒部のトンネルの問題、そのほかいろいろな架設物とか土砂をどこへ捨てるとか、そういうこまかいもの全部を網羅したものの申請が三十年の暮れに富山及び長野県知事を経由して厚生省に出てまいりました。 それで、先ほど申し上げましたようにいろいろ審議の経過はございますが、三十一年の六月三十日に、いろいろな条件を付しましてその工事認可は行なうというふうな決定がなされておる次第でございます。
○鍛冶委員 ほんとは関西電力の使っておる全部にわたって聞きたいのですけれども、時間がありませんからいま大町ルート——先ほど来お聞きですね。言わぬでもあなたおわかりでしょう。大町ルート、黒部ルート、インクラインから上部軌道に至るまでの間、いま何か条件をつけて使用せしめることにしたと言われるが、その条件の内容を聞かしてもらいたい。
○今村政府委員 それでは要点だけ申し上げます。三十一年の六月三十日に、厚生大臣から県を経由して関西電力に許可書が出ております。その中で、たとえば水位の増減とか観光放流、いろいろございますけれども、要点だけ申し上げますと、条件が十四ほどいろいろついてございますが、その中で十一番としまして、工事用として建設される道路は工事竣工後はこれを公衆の利用に供することというのが一点。それから十二点は、黒部川左岸旧日電歩道は国立公園歩道としてこれを維持し公衆の利用に供すること。こういう二カ所の問題がいま先生御指摘の問題の範囲には出てまいります。それでこれは三十一年の六月三十日でございますが、その前に三十一年の六月の二十七日に会社のほうと県のほうと会いまして、それで審議会のいろいろな経過もございますし、せっかくいかぬと思ったのですが、あそこを国家的な経済的な要請で認めるということならば、なるべくその後の工事の済んだ跡につきましては、一般国民がああいう秘境に触れ得るような何か施策を考えなければいかぬだろう。もちろん俗化されたのでは困りますけれども、そういうふうな意味で工事後のルートの利用をなるべく国民に接近せしめ得るような方向にしたいという気持ちで話し合いをしまして、会社のほうからも誓約書が出てまいりました。許可の前に、こういうことを会社としては誓約いたしますというので、第一点は大町ルート、旧日電歩道、これは国立公園の利用に供することに異存はございません。それから第二点は、黒部ルートにつきましては多少字句の修飾はございますが、第四ダムの発電所のいろいろな若干の工事あるいは交代要員の交通というような業務上の問題は残りますけれども、それに支障のない限りにつきましては厚生省の指示のとおりに、いわゆる一般国民の接近を認めたい、こういうふうな誓約書が出てまいりまして、六月二十七日でありますが、それが出た上で六月三十日の厚生大臣の認可書及びそれに伴ういま申し上げました条件というものがつけ加えられて会社へ渡されたわけであります。
○鍛冶委員 これは、あなた方が関西電力と林野庁との賃貸借契約をどこまで調べておられたかは私は知りませんが、どうもその点十分に調べずにやられたのじゃないかと思われる節があります。それをいまここで追及してみたってしょうがないが、いずれにしてもあなたとしてはせっかくこういうものをこしらえるのだから、こしらえたものはあとで関西電力もかってに使わぬで、国立公園の公衆用にあなた方の指図に従ったものにしてやる、こういうことだろうと思うのですが、どうですか。
○今村政府委員 そういう趣旨でございます。
○鍛冶委員 その後、これは誓約書並びにあなたのほうから発電許可の条件、二つ出ております。これをどうして実行するということをしましたか。それともあなた方はいままでほうっておかれたのですか。何かこれに対して確かめられたことはありましょうね。やるのか、やらぬのか、やるとすればどうしてやるのか。それはどういうことがありましたか。
○今村政府委員 これは全般的に申しますと、あの工事が全部竣工してしまったかどうかという問題が一つ残ると思いますが、少なくとも大町ルートのほうはトンネルの巻き立てまで済みまして、大体あっちのほうは相当程度まで工事が進捗して終わりに近づいておる、こういうふうな状況でございまして、実は三十九年の二月七日にトロリーバスの運転を——若干の工事はあると思いますけれども、運転をしたいというのが、これは主力は長野県でございますから、長野県知事から出てまいりました。それで私のほうとしましてはいろいろ事情を調べましたところが、運輸省のほうで一年前の三十八年の四月にトロリーバスの運行免許が出ておる。ただし工事施行認可はまだ出ておらないという状況でございますし、公園部は最初申し上げましたように、せっかくつくるものならば一般国民に見てもらいたいという気持ちがございますので、長野県知事のほうにもよく照会をし、富山県知事にも一これは主管の知事さんではございませんけれども、特に関連がございますので、知事さんのほうに照会文を出しまして、二月七日で県知事のほうから、これは差しつかえない、ただし富山のほうの条件といいますか希望と申しますか、将来黒部ルートその他一般について一般国民が利用できるような方向に持っていけるように条件をつけてくれ、こういう希望がございました。それならばけっこうであって、地元では目下その話は進捗中である、こういう話でございましたので、公園部のほうといたしましては、このトロリーバスは三月三日の認可でありますけれども、そのときにもこの関係都道府県知事は、そういう黒部ルートを含めまして仙人谷のほうまで一般国民が到達できるような方向に会社を十分指導してもらいたいという条件をつけまして、これは県を経由して業者のほうに伝えております。それからそのほかにつきましても、会社がときどき参ります。それから私のほうからも来てもらうということで、結局立山のほう、宇奈月のほうと全然関係ないということでは困るのだ、三十一年六月の許認可の条件と違うのではないか、もちろんそれはトンネルにしましても業務上の支障もあるから、何万人を一緒に通せということは無理かもしれない。しかし原則論としては、そういうような条件のもとに認可が出たものであるから、会社としてもできるだけの努力と熱心さを持って、その問題の解決を地元のほうとやってもらいたいということを再再言っておるわけです。実は一週間ほど前にも関係者の専務取締役という人が来たようです。そういう努力はいたしております。
○鍛冶委員 いま言われたことは、知事からの申し入れば、あなたのほうで了承して、運輸省には伝えてありますね。許可について、そのような希望を言われたか。
○今村政府委員 運輸省の問題につきましては、実はデリケートな問題があります。事実上こういう条件がついておるということは、運輸省にも話はしておる。実は去年以来の話でありますから、具体的に私が直接やったわけではございませんが、こういう条件のもとに認可されたものであるということについては、運輸省も十分承知しておると思います。ただ問題は、いま仰せられますように黒部と同時解決ということでなければ大町ルートは運輸大臣としては認可してもらっては困るということを、厚生省のほうからはなかなか言いにくいということがございまして、しかも三十八年四月に営業免許というのが運輸大臣から出ておりますだけに、あとは工事施行をいつやるかという施工認可だけの問題でありますので、その点についてはストップしてもらいたいという公式の意思表示は厚生省としては何もやっておらない、こういう情勢でございます。
○鍛冶委員 しかし、いま知事のほうから、黒部ルートを全部開通してもらいたいということを条件にしてやってくれと言ってきたというのでしょう。そうしたらあなたはそういうことでやるように言ったとかどうとか言われたが、だれが言ったのですか。
○今村政府委員 これは普通厚生省の行政の順序としまして、第一次的にはその知事さんの申達とかあるいは知事さんの指導というのがございます。したがいまして認可書を出しますときに、これは実は県と打ち合わせをした上でありますけれども、こういう認可になるが、県としては仙人谷それから下のところについては一般人が利用できるような方向に会社に十分指導をしてもらいたい、こういうことをくっつけて知事のほうに出しておる、こういうことです。
○鍛冶委員 知事にそう言うてやったというのですが、私は知事から認可してもいいかと言ったら、よろしいが、こういう条件でやってもらいたいと言ってきたのだと思ったが、だいぶ話が違う。認可するのは運輸省でしょう。運輸省が認可するときに、そういうことでありたい、知事のほうからこう言ってきたのでしょう。認可してもいいかと言ってやったら。そうじゃないですか。
○今村政府委員 ちょっと認可条件とこんがらがりましたが、トロリーバスを走らせるための諸施設、これは工作物の増築とか新築になりますが、これが出てまいりましたのが三十九年の二月であります。それで富山県知事のほうに公園部のほうから、これについては県知事さんの意見はどうかという問い合わせを出しましたところが、県知事さんのほうからは、本件の許可については風致の保護上については特に支障はないが、本件許可にあたり、下記事項について申請者を御指導願いたいというので三つほどの条件がついておりますが、二番目に、下廊下の探勝者については、仙人より宇奈月への運行を考慮すること、それを関係業者のほうによく指導してくれという条件でございます。したがって、厚生大臣から運輸大臣のほうに、それがなければどうこうしてくれという県知事の意見ではございません。その段階においての話し合いでは、県と厚生省と関係の申請者ということである程度の打開ができるもの、こう考えておるわけであります。
○鍛冶委員 そこで申請者に、知事からこう言ってきておるがという指導はしたのですか、しないのですか。
○今村政府委員 それは指導はいたしております。それと同時に、県知事のほうに対する正式の厚生省の許可する文書につきましても、県知事さんにおかれても、同じ趣旨で業者のほうによく指導していただきたいという条件をつけて出しております。
○鍛冶委員 その点はわかりました。運輸省へはそのことを言うてやらなかったのですか、どうですか。
○今村政府委員 実はこれは非常に申し上げにくいことでございますが、運輸省の営業免許は一年も前にすでにとられておるわけであります。それであの免許が先でありまして、工事施工認可、具体的には土を掘っくり返すというのがいつから始まるかというような問題は、営業免許をとったあとにおきまして、しかるべき時期に申請者が出てくるということでありますが、厚生省といたしましては、先般も申し上げましたように、人をある程度あそこに入れてもらうということは望ましいというふうに思っております。これは黒部であれ、立山であれ、大町であれ、いずれも同じでございます。ただこの問題に関して、それが解決しなければ運輸省は出してもらっては困るということは、行政官庁同士としましては非常にやりにくい問題であるということで、運輸省には公文書でどうこうということはやっておりません。
○鍛冶委員 ところで、あなたのほうに関西電力株式会社から、昭和三十三年の十二月に「中部山岳国立公園地域内における国立公園事業計画についての御願書」というものが出ておりますね。これはおそらく前にあなたのほうの指図に従って、国立公園の公共の用に供します、こう言ってきておった、こういう方向で国立公園の公共の用に供しようと思うがいかがでありますと言って申し出たものだろう。許可してくれという御願書だから、こういうことで認めてもらいたいと言ってきたものだと思うが、それはどうですか。
○今村政府委員 これは三十三年十二月、日付は抜けてございますが、これは御願書でございまして、国立公園法の第何条によってどうしてくれということではございませんが、趣旨としては、せっかくつくるものでありますから、国民の保健、レクリエーションのためにできるだけのことはいたしたい。ただ俗悪資本があそこに入ってきてせっかくの景観がむちゃくちゃになるということでは困るので、その点統制をとる方向ではあるが、観光的ないろいろな施策を、関西電力が公益事業をやっておりますのと一元的に何かやりたいというふうな非常に抽象的な文句でございまして、具体的に何をどうしてというところまでは出ておりません。参りましたのが三十三年の暮れでありますが、その工事はまだ完工もいたしておりませんし、ずいぶん先の話であるというので、厚生省としては返事もいたしておりませんし、まあいただきっぱなしということに相なっております。
○鍛冶委員 実はいただきっぱなしだが、これは意思表示ですね。関西電力があなたのところにこういうことでやりたいと思っているというのは、これは変更したということはありませんね。現在でも、これはあなたのほうでいただいておられますね、生きておりますね。どうですか。
○今村政府委員 確かにいただいております。ただ、これが先生おっしゃるように、御願といいますか、将来こうしたいというふうな陳情文書みたいなものでございまして、公的にこれが出ておるから、会社の意思はこうであろうというふうに、いますぐ推定されますかどうかは、その後の事情がちょっとよくわかりませんですけれども、確かに原稿はございます。
○鍛冶委員 しかし、法律上の義務はあるかどうか知らぬが、関西電力がこういう考えを持ってきたということには変わりはないでしょうから、これはいいからかんなものじゃないでしょう。われわれはこれを見たら、やはりこれをやりますという意思表示だと思っておるんですが、それとも何かいいかげんに見ているんでしょうか。相手が役所であって、厚生大臣橋本龍伍殿と書いてある。そうしてみれば、われわれも、これがある以上はこれでやるものと思っているが、あなた方も、大体関西電力の意思はこの意思であると思っていらっしゃるか、それともあまりよくわからないのですか、どうですか。
○今村政府委員 大体は先生おっしゃるとおりだと思います。しかも、さらに追いかけまして、三十一年の六月三十日の許可の前の誓約書におきましても、公衆の利用を考えるということは、名称まで入っておりますので、この線は会社としては変わってないんであろうというふうに私どもは考えております。
○鍛冶委員 そこで、この御願書の計画書の1の(2)の「本地域への利用ルートとして、(イ)大町ルートは大町駅よりダムサイト。(ロ)黒部ルートは宇奈月より既設黒部鉄道を包含する。」立山ルートとこの二つある。大町ルートは大町駅よりダムサイトまで一般にやる。黒部ルートは黒部から宇奈月まで一般の公共の用に供する、こういうことですね。そこで、富山県知事は、大町ルートへトロリーを通そうかといわれるときに、これがあるものだから、いや大町ルートはよろしゅうございます、そのかわり、ここに、(2)の(ロ)にあるように、「黒部ルートは宇奈月より既設黒部鉄道を包含」して、一般の用に供することにしてもらうということを、あなたのほうに希望として出したものであるし、また、あなたも、おれもわかったからこうやったんだと私は解釈するが、それは間違いないでしょうか。
○今村政府委員 お説のとおりだと思います。ただ、会社のほうでは一その後私どももしかるべき責任者に会っておりますが、黒部の問題につきましては、全部が全部一日に何千人というかっこうでは非常に困るのでということでございました。しかし、それでは許可条件の筋が通らない。具体的に、地元のほうと業務と両立するようないろいろな前提条件があると思います。その辺を至急詰めてもらいたい、それは了承いたしましたということで、私、聞きましたところでは、三日ほど前に責任者が県庁に出かけて、そろろろ具体的な問題を何か言っておる、始まっておるというふうに伺っております。
○鍛冶委員 あなたは運輸省へどんな気がねをされるのか知りませんが、私のところはこういうことでやっておるから、お前もこういうことであることを承知してくれぐらいのことを言われてもしかるべきものだと思いますし、運輸省だって、国立公園地内なんだから、あなたのほうからどういうことをやっておるということぐらい調べて、認可なり許可なりすべきものだと思いますが、これは、私ははなはだ遺憾だと思います。遺憾だと思うが、いずれにしてもあなたは、運輸省はこの間認可をしたということをお聞きになりましたね。私もあなたに申し上げましたね。そこで、あなたは、いままで関西電力があなたのところへ言うてきておる条件を一体やっておるのかどうか、やっていないとすればどうするんだ、確かめてくれと言ったら、いまあなたが言ったように、関西電力はいろいろなことを言うておるけれども、ここに書いてあるような方針に従ってやれ、こう言ったら、やります、こう言ったんですか。
○今村政府委員 これはことばは非常にデリケートでございますが、最初は黒四発電所の資材運搬あるいは人員交代、大町隧道とか、いろいろな条件、むずかしい問題が下流にまであるので非常に困難である、こういうふうな気持ちでありましたが、いろいろやっておりますうちに、たとえばそれを打開するにはどういう条件であるか、そこまで責任を持って地元なり何なりと詰めるということをしなければ困るじゃないか、それはよくわかりました——したがって、大いに努力をします、こういうことで別れておるわけです。
○鍛冶委員 ところが、きのうの朝日新聞、見ないですか。——それはいかぬな。朝日新聞の六月二十三日だ。「「黒四」八月ごろ開放」と書いてある。そして、富山県からいろいろなことを言うてきておるが、富山県のほうはやる意思がないとはっきり申しております。いいですか、読んで聞かしてあげます。「芦原関電社長の話 関電トンネルのトロリーバスは八月ごろ運輸、通産各省の完工検査が終り次第運行を始め、黒四ダムを一般開放する。黒部ルートについては、危険が多いので、今後とも開放するつもりはない。」こう言っておりますが、あなたに対して言うたことと全然反対のことを言っておる。あなたの面目はどうするのですか。私も面目をつぶされておるが、私は私で考えますけれども、あなたはいやしくも厚生省国立公園部長という何で、それは書類は取りかわさぬか知らぬが、職務上、なすべきことを督促された、それに対してやると言いながら、天下の新聞に対して、そんな意思はないと言っておるが、これはどう言われますか。
○今村政府委員 実は私、社長さんにお目にかかったことはございませんが、常務ですか、責任のある人と会いまして、そういうふうに、地元と具体的条件についてできる限りの折衝をするということばを、ここ四、五日前にかわしておるわけであります。それは了承いたしました——現に二、三日前に県のほうに出向いていって、いろいろ話を始めた。どこまで詰まったかはまだ聞いておりませんけれども、始めたという状況でありますので、これは会社部内にいろいろ問題があるかと思いますけれども、厚生省といたしましても、そういう責任のある人との話を今後とも進めていきたい、こういうふうに考えます。
○鍛冶委員 どうも関西電力などというものはどえらいもので、きょうここで言っておることとあした言うことと全然違っても平気ですよ。どんな力を持っておってああいうことを言うのか、ふしぎでならない。私はこういうことを、これだけわかった以上は容赦いたしません。あなた方もそんなことではいけないと思う。だから、条件をやらぬというのですから、どうなさるのですか。私は、条件どおり厳格にやってもらいたいと思う。私はほんとうは、あなたの条件に賛成しておるわけではありません。けれども、いまそれを言ったってしょうがない。少なくともあなたとしては誓約書を取っておる。その後において向こうから言うてきておるのを知っておる。そうして、そのときにいろいろ指示しておられる。しこうして、この間また、そういうことになったらたいへんだと、あなた、言われたら、そのとおりできます、やります。——やらない。あなた、そんなことで済むものじゃありませんよ。私はあなた方のお手ぎわを拝見しておりますよ。ほんとうに冗談じゃありません。それからもう一つ言いますが、工事に妨げがあるからなかなかできません、こう言う。工事じゃない。これから事業を遂行するのに妨げがある、こう言うんですよ。そうでしょう。どうですか。黒部第四発電所からいま言った上部軌道及び立て坑を、そういう一般の公衆の用に供したら事業がやれません、こう言うのだ。それで、あなた方はなるほど事業がやれぬからかなと思っていたら、それが大間違いだ。それで先ほどからあなた方に聞いてもらうために言うた。あれは事業を遂行するために貸したんじゃないんですよ。工事ができたらお返ししますという条件で貸しておるのですよ。それをそのまま事業遂行のために貸してやって、そしていま事業遂行のために差しつかえがあるから、そんなことに応じられません、そんなことを言われてあなた方は黙っておるんですか。私は黙っておりません。これだけひとつだめを押しておきますから、その点は私は大臣に来てもらいたいと思ったんだが、あなたから大臣に報告しておいてもらいたい。いずれ大臣から責任をとってもらいたい。あなたとしてもそれだけのことをやっておいてもらいたいと思うが、どうですか。
○今村政府委員 力及ばずという問題は若干ありますけれども、ただ、そういうふうに具体的な条件を詰め合うという話し合いになっておりますから、まさか私が完全にだまされておるけれどもどうにもならぬということでは決してございません。先生のおっしゃるように、今後ともそういう条件の成就というような問題について、具体的な詰め合いを地元なり厚生省なりとやっていかなければならぬ、こういう覚悟でございます。
○鍛冶委員 運輸省民鉄部長にお伺いいたします。部長は先ほどから聞いておられましたが、あなたは私と何べんも会いましたね。ことに、最後に会ったのは、あなたが認可される前の日であったと思うが、あなた方は、いま国立公園部長が言われるように、私との間で何か解決の方法があるかどうか懇談するということになっておりました。したがって、懇談するということになっておるのに、その間にあなたはこんな認可を出してもらっては、相手は勝利を得たことになり、凱歌をあげていきますから、懇談も何もできぬことになります。向こうの返答がくるまで待ってもらいたいと言ったら、あなたは待てぬような口ぶりでしたね。私がただで中へ入ったんじゃありませんよ。運輸大臣が入れと言われたから入ったんですよ。その政治責任を持っておる私の顔にどろを塗ってもやらなければならない緊急理由が何であったか、それからまずお聞かせください。
○岡田説明員 トロリーバスの工事施行の認可につきましては、先ほどからもたびたび話が出ておりますようにすでに去年免許を出しております。普通でありますれば、免許を出しまして工事施行の認可申請があって、主として技術的な問題がおもでございますが、運輸省として技術的に検討いたしまして、差しつかえなければすぐにでも出すべきものでありました。しかてながら、いろいろな方面よりしばらく待ってくれというお話がありましたので、三月ごろからずっとお待ちしておったわけでございますが、いよいよ期限も迫りまして、早急にやらなければ、ことしの開放に間に合わないという状況になりましたので、運輸省としては関係方面からの御要望もありましたので、できるだけお待ちをいたしたわけでありますが、これ以上待てないという状況につきましたので、非常に不本意ではありましたけれども、かような手続がとられたわけでございます。
○鍛冶委員 私ごとき者の顔へどろを塗ったってあなたは平気でしょう。私はまことに遺憾であると思うが、あなたから軽く見られたんだからやむを得ない。 そこであなたに申しますが、あなたがそこまで言うならば私は法律論を言いますが、これは関西電力が林野庁へ工事施行のために申願しているのだ。賃貸借契約は、工事ができ上がったら返しますという契約になっている。工事ができ上がったのかでき上がらないのか、でき上がったのならば返さねばならぬ。でき上がらないのにほかの目的のために工事をやるということになったらそれは不法である、貴下はそういうものを認可しても、それは不法な認可であるから、さような許可に基づいて認可をしてはいかぬ、私はこのことを言ったのだが、どうです、覚えがございますか。しかしてまたつけ加えておく。私は弁護士で法律家ではあるけれども、あるいは国有林野のことや運輸省のことに間違いがあるかもしれぬ。間違いがあればあなたのほうから間違いであると言って指摘してください。遠慮は要りません。指摘しないであなたはやるというならば、鍛冶良作にけんかをいどんでくるものだが、そのつもりでやりなさいと言ったのだが、あなたは覚えがあるでしょう。関西電力は今日どのようなものをやっているのですか、これが適法であるのか、答えてみてください。
○岡田説明員 地方鉄道の工事施行認可を出します場合は、普通の場合は鉄道を敷きます土地が十分に確保されていない段階において出すわけです。その後工事施行の認可がありましたら鉄道事業者が土地を借りるとか買収するとかいうことをいたしまして、その鉄道を敷くということになるわけであります。したがいまして、今回の場合も、林野庁のほうの関係については、トロリーバスを通すという認可は林野庁関係からは出ておらないということはお聞きしたわけでありますけれども、従来のやり方からしまして、一応工事施行の認可を出しますれば、それによって土地の買収なり、場合によっては土地収用法の適用ということも、この場合はありませんけれども、普通の場合あり得るわけでありますから、工事施行の認可ということが、土地を獲得する前段階として普通やっておりますので、そういう考え方におきまして、林野庁の工事施行の認可が出れば、林野庁のほうからも使用してもよろしいと認可が出るであろうというふうに考えたわけであります。なお、これにつきまして、林野庁のほうの関係で土地を使用してもいいという認可がもし出なければ、工事施行の認可を出しましても事実上工事ができないということになると思います。
○鍛冶委員 先ほどから言ったとおり、本件の事情はよくお聞きでしょう。林野庁の所有物である。しかも国立公園の地内である。林野庁から権利を得なければならぬし、国立公園部からの認可がなければならぬ。あなた方はそれをかまわずにやって、おれが認可すれば必ずやるだろうという理に欠けることをやって、そういうことで一体通るのですか。今日ただいまいいと思いますかどうか、返事をしてください。私は顔にどろを塗られて黙っておりはしない。あれだけ言うたにかかわらず、覚悟してやったのだから、どのようなけんかをするつもりでやったのか、それもあわせて言いたまえ。
○岡田説明員 従来から、鉄道の工事施行の認可につきましては、先ほど申し上げましたように、土地を確保するということを必ずしも条件といたしておりませんので、たとえばその後に土地所有者、鉄道を通そうとしておる土地に対する所有者がこの土地は絶対売ることも貸すこともならぬということがあれば、鉄道はその場所には通れなくなるという習慣でずっと過去においてやっておりましたので、今回も同様のケースであろうと考えてやった次第であります。
○鍛冶委員 いま私が言ったとおりならば、直ちにとめますということをあなたは言うのかどうか、いまあれだけ言われてどうしたらいいか答えてください。
○岡田説明員 もしその土地に対する工事をする権限が取得できなければ、自然、工事施行の認可を出しましても、その工事が行なわれないということになりまして、工事は実行することができないような状態になると思います。
○鍛冶委員 現に認可はないじゃありませんか。そういう認可のないものをやられてはいけません。認可をとってからなら別だが、こんなことをするから——私がこう言った以上は認可をするといったって承知しませんよ。現に認可がないことがわかったのでしょう。わかったら運輸省としてどうするか、その処置をここで返答してもらいたい。
○岡田説明員 工事施行の認可には期限がついておりまして、その期限以内に工事ができなければそれをどうするかということは、地方鉄道法の規定によって工事施行の延期をするとか、またそれによる措置がいろいろあると思いますので、そういう措置をとりたいと思います。
○鍛冶委員 そういうことを聞いておるのじゃない。いま現に権利のないものであるということがわかったのでしょう。権利がないのだからその権利を確かめない限りはいけませんと言うのにあなたはやったのだ。そこで権利がないということがわかったらどうすべきかということを聞いておるのです。あなたは権利がなくてもかまわずやるというのですか。それならそれでいい。そんなことは許せるものではないと思うが、どうですか。
○岡田説明員 権利がなければ工事施行の認可を受けた者が権利を獲得するように努力をすべきであるというふうに考えております。
○鍛冶委員 あなたはぼくの顔にどろを塗ったが、塗りっぱなしでいいのですか。いまないことがわかったのですよ。なるほど鍛冶の言うとおり権利がないことがわかったならここで答えたらどうだ。君は関西電力の肩を持ってやるつもりか。いま直ちにどういう処置をするのか聞いておるのです。
○岡田説明員 工事施行の認可に対する期間というのがございますので、その問に土地の獲得ができるかどうかということを見まして、できなければ工事施行に対する認可の条件に違反したことになりますので、その場合にその措置をとるということを行なっております。
○鍛冶委員 将来のことを言っておるのではないのだ。この間こういう例まで言いましたけれども、あなたはいままでそういうことを知らぬからやられたのか知らぬが、これがもしどろぼう者だったら、どろぼう者に対していろいろな権利を与えることはいかぬでしょう。法律上工事をやることができない者が工事をやらせてくれと言っても、やる権限がないことがわかったらそれをやらせないのがほんとうだろう、こう言ったんですよ。しかるにもかかわらずそれをやってもいいと言われたんですよ。それを私がいま言うんです。どろぼう者だということは知らなかった、いまわかったから待ってくれ、どろぼう者ならだめだ、おまえの権利にしてからやってくれ、こう言うのがほんとうだと私は思う。これからやるなんて、そんなことは大きなお世話だ。私はそんなことを言っておるんじゃない。したがって、いま私がこれだけ言ったにもかかわらずあなたがそういうことを言っておっていいのか、いかぬとするならばどうするのか、これを聞いておる。
○岡田説明員 前にも鉄道を引きます場合に地元のほうと土地の獲得のできないというケースが再々あるわけでございます。そういう場合に一応一定の期間を置きましてその問に獲得できるかどうかを見まして、どうしても獲得できないということであればその工事はできないということになりますので、あとで工事施行の認可をやめるとというようなことも理論的にはあり得るわけでございます。いますぐに土地の獲得ができないということがはっきりしておりませんので、その様子がはっきりするまで工事施行の認可に期限がついておりますので、その期限の問だけ待っていただきたいと思う次第であります。
○鍛冶委員 民間の地面を使うときの話をされるのだが、これは政府の地面ですよ。あなたも政府の公務員ですよ。使うべからざるものを使ってやろうとしておることがわかった以上は公務員としてどうすべきか、それを私は言っておるんです。あなたはそういうことを言ってどこまでも押し通すかね。どういうわけで通さなければならなかったか、それをもう一ぺん言うてみてください。
○岡田説明員 もともと免許を出しますれば、工事施行の認可は当然運輸省としては従来から出しておるわけであります。免許を出しまして予定の期間までに工事ができないということになりますと、運輸省としても国立公園の利用なり観光ルートの上から非常にぐあいが悪い点が起こると思いましたので、時間的にできるだけお待ちしたわけでありますけれども、これ以上待ちますとことし中にルートが開けないというような情勢になると思いましたので、こういう措置をとったわけであります。
○鍛冶委員 関西電力に商売をやらせるために待っておったらいかぬということだね。それでいいんですか。しかも大臣が私に言ってくれと言ったんですよ。あなたも知っておるでしょう。私が好きこのんで言ったんじゃないんですよ。そうしてようやく返事がくるということになっておるのに、返事がくるからというのに、その返事を私のところに先に出さなければならぬと言われるんですよ。さようなことをして、民間の一般のものと同じようなことを言ってやれるならやってごらんなさい。ここで明らかに不法であることがわかったでしょう。どうです、次官。先ほどから聞かれて、私はこう言っておるんだが、そういうことを遂行させていいか、答えてみてください。あなたでいけないなら大臣を呼んできて聞いてみます。
○田邉政府委員 ただいま政府委員から答弁をいたしておりますが、私もまだこの内容を十分よく承知しかねる点があるわけでございます。ただ運輸省の立場として私ども申し上げれば鍛冶先生の御意思に反するようなお答えが出るわけでございますが、その考え方の中には、これはやはり関西電力がこのルートを使うということは、先ほどから御説明がございましたように建設工事に使うための道路でございます。これが完成した場合には返さなければならぬ。これは確かにそういうようなことになっておることは間違いないと思います。ただその間に、長野県、富山県からもこのルートをそのまま公共の用途に供するようにしてもらいたい、こういうようなことだと私は思っております。その際に長野県のほうからも黒部の景勝の地を大いに利用したい、そういう意味でこのルートを強く要望をされたのだと思います。そこで運輸省としては、この許可にあたりましては富山県と長野県にこういうものを許可するけれども異議ないか、こういうようなことの問い合わせをいたしましたところが、何らの返答がなかった。これは長野県のほうはぜひそうしてもらいたいという意向は初めからあるわけですから、それはよくわかっておるのですが、富山県のほうからの意思表示がなかった。そこでこれは異議ないということに判断をいたしまして、許可をしたわけでございます。しかし、これにはまたこの軌道についての工事の期間が明確に付帯して出ておるわけでございます。そこでいま鍛冶先生のおっしゃる国立公園の中へそういう問題を許可するということはおかしいじゃないかというお話に私は承っておりますけれども、これはいろいろと問題が複雑しておりまして、ただ私どもたとえば国鉄が鉄道を敷く場合においても、国有地もございますし、また私有地もございます。そういう場合にいよいよ国鉄の新線を敷く場合においても、これはやはり一応認可をとってから、その土地の買収にかかるということでございます。ただこの問題がたまたま国立公園であるということは明確でございます。なおかつ厚生省と緊密な連絡をとってやるということは、これはむろん望ましい姿でございますが、非常にむずかしい問題でございまして、私もここで明確に結論的なことを申し上げかねるのですが、私の考え方としては、やはりこの許可、認可を与えまして、いよいよこれを着工するということであれば、できるだけ先生方やそしてまた県及び関西電力ともさらに緊密な了解をとりまして、そしてこれが大衆の便に供するような処置をひとつお願いしたい、こういうことになるわけであります。
○鍛冶委員 いまお聞きのとおりですから、急いで相手方の関西電力がどういう考えを持ってこういうものの営業免許の申請をし、いままた認可を急いだか、これを聞きたいと思いますので、最も近い機会に関西電力の責任者をひとつ参考人として呼び出していただくことをお願いいたしておきます。
○勝澤委員長代理 理事会で協議をして決定をいたします。
○鍛冶委員 それから次官にもう一つ言いますが、あなたは先ほどから聞いておられないからそういうことを言う。国から借りておる土地の中で永久に残るような工事をやっちゃいかぬと書いてある。ところがいまやっておるのだよ。トロリーを通すようなことをやっておる。そういうことは不法だろうがと言ったら、不法だということを認められたのだ。そういう不合理なことをやっていいということを運輸省が言えるか、それを聞いておるわけです。ほかのことを聞いておるのじゃないのですよ。認可したことをいいとか悪いということを聞いておるのじゃない。そういうことがあったらどうするのだ。運輸省として、国家機関として、いやしくも国有地でかような契約違反のことをやったということがあったら、やる方法がありましょう。それを言っておるのですよ。認可をしてどうだこうだ、そんなことを言っておるのじゃない。そういうことをさせてはいかぬ。これは責任を負って何とかしますと言っておるのです。あなたは、おれのところはやってもいいと言うのかね。どっちなんだね。わからなかったらもっと調べてきてください。 きょうはこの程度にしておきましょう。
○勝澤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五分散会