外務委員会 第37号
- 発言数
- 283 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/09/17
会議録
○安藤委員長代理 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質問者の方々にお願いいたしておきますが、きょうは椎名外務大臣が十二時までの時間しかとれませんので、午前中これによって四名の方々に質問を終わるようにお運びを願いたい、かように存じます。質問者は、松井誠さん、田原春次さん、帆足計さん、野原覺さん、この四人でございますが、そういたしますと、おのおの三十分ぐらいずつのお時間になられるかと存じます。午後引き続いて行なえるかどうかにつきましては、大臣の時間の都合をいま秘書課のほうで時間繰りをしていますから、その回答いかんによって、午後も行なえるかどうかは、この午前中の会議が終わるころまでに御決定を申し上げたい、かように存じております。 松井誠君。
○松井(誠)委員 私は、いま問題になっておりますアメリカの原子力潜水艦の寄港の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 この問題の本質は、われわれやはり核戦略の基地になるという点にあると思っておりますけれども、こういう問題についてはもう年余にわたって国会で論議が続けられてまいりましたし、これからあとも続けられていくであろうと思いますので、私は、むしろその問題以前、まあ言ってみればサブロック以前の問題をお尋ねをいたしたいと思うのです。それは、この寄港の前提になっておる安保条約のいわゆる事前協議というものの本質は何かということについて、その一点だけにしぼってお尋ねをいたしたいと思います。あらかじめお願いをしておきたいのですけれども、私の質問に対する御答弁は、特に軍事的な専門知識も必要でございませんし、あるいは条約上の専門知識が必要でもございませんので、特別な問題でない限りはひとつ大臣から直接の御答弁をお願いをいたしたいと思います。 最初にまずお尋ねをいたしますが、このいわゆる原潜寄港の問題について、これが事前協議の対象にならないことが当然の前提であるかのような議論を政府は進めておりますけれども、これは一体どういう根拠に基づいておるのか。この事前協議の対象である重要な装備の変更というものに、原子力を単に推進力とする限りは該当しないという根拠というものからまずお尋ねをいたしたいと思います。
○椎名国務大臣 御承知のとおり、安保条約の付属の交換公文、これによって明記されておりますが、いわゆる重要なる装備の変更というものに該当しない、こういう解釈であります。すなわち、推進力を従来の重油から原子力に変えただけの話で、他の点については普通の軍艦とごうも変わりはないのでありまして、これが装備の重要なる変更とは認められない、こういうことが根拠でございます。
○松井(誠)委員 いまの大臣の御答弁ですと、何か日本政府の解釈でこれは重要な装備の変更には該当しない、交換公文の解釈上そのようになるのだという趣旨に承りましたけれども、そのように理解をしてよろしゅうございますか。
○椎名国務大臣 さようでございます。
○松井(誠)委員 そうしますと、念のためにお伺いしますが、この交換公文が作成される経過で何か日米間に話し合いがあって、それの合意の結果だということではない、日本政府の解釈上そうなるのだ、このように理解をしてよろしゅうございますか。
○兼松説明員 ただいまの御質問の点に関しましては、安全保障条約、まあ新しい安全保障条約でありますが、その改定の国会審議の際に、もうはっきり政府側から御答弁申し上げておりますし、またその後のたびたびの同様の御質問に対しても御答弁申し上げておりますが、アメリカ政府との間に、いま大臣が仰せられました装備における重要なる変更というものの意味は、核装備とそれから中距離以上のミサイルの装備であるというふうに日米間で了解しているという点をすでにはっきり御答弁申し上げております。
○松井(誠)委員 そうしますと、大臣の最初の日本政府の解釈であるかのごとき御答弁は、そうではなくて、日米間の合意に基づくものだということの趣旨になるわけですか。いまの御答弁の中でも、たとえばミサイル基地の建設も合意の内容に入っておるというようにいままでは答弁がされておりましたけれども、さきの答弁には抜けておりました。これはどうなんですか。
○兼松説明員 これも、いま申し上げましたとおり、従来から繰り返し御答弁申し上げた中に入っておりますが、核装備の問題が一番重要な問題でありますが、中距離以上のミサイルというものもこの装備の重要なる変更の中に含まれるという解釈を政府側からはっきり御答弁申し上げております。
○松井(誠)委員 また解釈ということばが出ましたけれども、解釈なのか日米間の合意なのかということを私ははっきりさせたい。そして、先ほどの御答弁では、核兵器、それから中長距離のミサイルということは申しましたけれども、いままでの答弁の中にあるミサイル基地の建設というものがなかったから、これは一体どうなのかということをお伺いをしたのです。そうすると、何か解釈上それも入るのだというように御答弁になったやに伺ったのですが、どうなんですか。もう一ぺんはっきりさしてください。解釈上なのか、合意の内容としてきちっときまっておるのですか。
○兼松説明員 この交換公文をいたします際に、この意味は日米間で両者を含む、両者をさすのである、こういう了解がはっきりしてございます。
○松井(誠)委員 両者というのはミサイル基地の建設も含めて両者というの ですか。
○兼松説明員 事前協議の対象となる兵器が核弾頭の装備と中長距離ミサイルをさす、こういうことをはっきり了解しておることはすでに御答弁申し上げております。
○松井(誠)委員 古い議事録を私はいま持っておりませんけれども、私の調べた限りでは、ミサイル基地の建設ということを当時の藤山大臣は何度も答弁しておる。そうすると、それは解釈なんですか、合意の内容なんですか。それから、もう一つ、合意だとすれば、それが具体的に文書として成文化をされておるものなのかどうか、その点をお伺いいたします。
○兼松説明員 了解でございます。特に文書はございません。
○松井(誠)委員 了解事項が全然文書になってない。そうすると、了解の内容は外務省のその当時の交渉の当事者に聞く以外にわからぬ、こういうことですか。
○兼松説明員 交渉する際に日米両当局がそのように了解している、そういうことでございます。
○松井(誠)委員 その了解が具体的な両方の政府の合意という文書の形式をとってなくても、少なくとも、たとえばその議事録なりあるいは日本政府だけのメモでもいいですけれども、それがともかく文書の形できちっと残っておるのかどうか。
○兼松説明員 交渉の過程において了解したのでございまして、そのような文書はございません。
○松井(誠)委員 交渉の過程は一々その議事録をとらないのですか。しゃべりっぱなしなんですか。
○兼松説明員 その第六条の実施に関する交換公文におきましては、そのような文書はつくっておりません。
○松井(誠)委員 そうしますと、藤山外務大臣の答弁で、ミサイル基地の建設ということばが入っておる。いまのあなたの御答弁では、そのことは避けて、むしろ核弾頭と中長距離のミサイルという二つだというふうにはっきりおっしゃる。現にそこに食い違いが出てきておる。それがどっちがほんとうかということは何も文書がない。そうすると、一体合意の内容というのはどこでだれが確定するのですか。
○兼松説明員 藤山大臣が御答弁になっている趣旨と同様のことを御答弁申し上げているつもりでございます。核兵器と中距離以上のミサイルを持ち込む、ミサイルを持ち込めば、持ち込んだミサイルについての必要な設備というものは当然考えられるわけでございますが、そういうあの場合に華前協議になる、こういうふうに了解しておる、藤山大臣はその当時そういう御答弁をなさったわけでございます。
○松井(誠)委員 これが文書化されていないということは非常に重要な問題ですけれども、その点はまたいずれの機会にいたしまして、それでは一つお伺いをいたしたいのでありますが、このいわゆる合意の内容、これは限定的なものですか、例示的なものですか。
○兼松説明員 この第六条の実施に関する交換公文は安保条約と同時に国会の御審議をいただいて御承認を受けたわけでございますが、これは、もちろん、これに関しては米側は協議をすることを要する、こういう意味でございます。なお、このほかに、御存じのように第四条に随時協議というものがございまして、これは、法律上の義務、条約上の義務としてでなくて、一方的に協議を申し出るということがあり得るわけでございますが、第六条のここに掲げてある事項に関しましては条約上の義務になる、こういう趣旨でございます。
○松井(誠)委員 私の質問がことばが足りなかったかもしれませんけれども、私のお伺いしたいのは、この重要な装備の変更としていま合意をされたという二つあるいは三つの内容というものは、それだけに限る、それ以外は事前協議の対象にならないのだという趣旨なのか、あるいは、たとえばこういうものが入るのだという趣旨なのか、どっちかということです。
○兼松説明員 先ほどお答え申し上げましたように、ここに掲げてございます三つの事項に関しましては協議しなければならない、それ以外の事項は、先ほど申しましたように、第四条の随時協議ということは行なわれ得るわけでございますが、条約上の義務ではない、こういう趣旨でございます。
○松井(誠)委員 そうすると、繰り返してお尋ねをいたしますが、この三つの問題については事前協議の義務がある、しかし、それ以外については事前協議の対象とはならないのだ、そういうはっきりした合意なんですか、あるいは、少なくともこの三つは事前協議の対象になるという、したがってそれ以外の点については言及しないという趣旨なのか、どっちですか。
○兼松説明員 条約上の義務として掲げましたのはこの交換公文にございます三つである、こういう趣旨でございます。
○松井(誠)委員 ですから、三つが該当するということはわかるのです。それ以外のものが該当をしないという積極的な意味を持っておるのか、あるいは、それについては触れないで、少なくともいまはっきりしているのはこの三つなんだという趣旨なのか、どっちなのかということです。
○兼松説明員 繰り返しになることを恐縮に存ずる次第でございますが、義務としては三つである、こういう趣旨でお答え申したわけでございまして、任意に協議するということは何ら妨げられてないわけでございます。
○松井(誠)委員 時間がございませんから、ひとつお尋ねしたことにそのものずばりでお答えを願いたいのですが、そうしますと、むしろ私のほうから申し上げますが、こういうことですね。つまり、条約上の事前協議の義務として該当するものはこの三つだ、それはわかる。それ以外のものは該当をしないという積極的な意味までこの合意は含んでおる、こういうように、つまり、この三つに限定するのであって、たとえばこの三つが該当をするんだという、そういう例示的な意味ではないというように理解をすべきものなんですか。
○兼松説明員 これも御質問の趣旨を了解いたしてお答えいたしておるつもりでございますが、限定であるか例示であるかという最初の御質問、そこに先生の御質問のポイントがあるのだろうと思うのでございますが、これは義務を掲げたものであって、義務以外のものは任意に行なうわけでございますから、これは限定であるか例示であるかという、そういう角度からの御質問に対して、政府といたしましては、義務としてはこの三つが掲げてある、それ以外は任意の事項であるというふうにお答えいたすのがわれわれとしては当然であろう、そういうふうに考えるわけでございます。
○松井(誠)委員 非常に持って回った答弁ですけれども、じゃそれでいいことにします。が、しかし、その当時赤城防衛庁長官でしたか、赤城さんは、たとえばという例示の形で、この二つあるいは三つというものをあげておる。いまお話を聞けば、何か限定をするように言われる。これは三十五年の二月十九日の予算委員会で赤城防衛庁長官はそういうことを言っておるわけです。そういう経過をあなた御存じかどうか知りませんけれども、私はまた最初の問題に戻りますが、限定なのか例示なのかということ自体は一体だれがきめるのか。その当時の藤山外務大臣しかきめる人がいないのですか。こういうことになっては、事前協議の対象は一体何かという大事な問題について、その範囲がきわめて不明確である。三つのことはわかりますよ。しかし、その三つに限定をされるのか、それはその当時の少なくともこれだけは該当するという趣旨にすぎないのか、そういう微妙な差というものは一体だれが決定するのか。どこにその決定をする権威があるのですか。あなたのお話自体でも非常にあいまいなんです。回りくどい表現なんです。そういう不合理が出てくるのですけれども、もう一度それではお伺いをいたします。もしこれが限定だとして、三つ以外にその当時は考えられなかった新しい兵器が出てくる、そういうものは一体どうなるのか。
○兼松説明員 条約というものは一般に、先生御承知のとおり、その当時において通常将来予想される事態を考慮してつくるものでございますが、いま先生の御指摘になりましたような、またその当時全然将来起こることも予想されなかったような事態が生じたというような場合には、また新しい兵器についてほんとうに協議の必要が生ずるという場合が起こるかもしれません。それはまた条約一般の問題でありまして、特にこの安保条約の六条の交換公文の協議の対象であるかないかという問題とはまた別の要素を持っているかと考えます。
○松井(誠)委員 この事前協議の対象という問題は、つまりその時代時代によって範囲というものが動き得る。むしろ動かなければならぬ。動かなければ意味がない。そうすると、むしろかりにこれをその当時限定として考えられたとしても、——私はそのこと自体に疑問を持ちますけれども、かりに限定的に三つを並べたとしても、それは決して固定的なものではない。したがって、事前協議の対象として必要だと思われる事項が出てきた場合には、当然この範囲というものが広げられるということを予想しなければ、事前協議の規定そのものが非常に不合理になる。ですから、普通の条約一般の場合よりももっと違って、もっと流動的に解釈をしなければならぬ、そういう性格を初めから持っていやしませんか。
○兼松説明員 その点はかなりデリケートな問題もあるかと思いますが、安保条約に関しましては、少なくともこの三つがはっきり事前協議の義務があるという趣旨で規定されたわけでございまして、それ以外に事前協議の義務というものが条約の改定を行なわずしてつけ加えられるということは、これは実質的な条約の重要なる事項の改正という意味を持つわけでございますから、単純に解釈として広がるとか加わるとかというようなことは、やはり一がいに断ずるわけにはいかないのではないかというふうに考えるわけであります。
○松井(誠)委員 そうしますと、この事前協議の内容というものは交換公文の一部をなす。その交換公文は安保条約の一部をなす。ですから、事前協議の対象というのは安保条約の一部なんです。その一部である事前協議の対象が何ら文書化されていないというきわめて妙な結果になるわけです。私はこの事前協議の対象をきめたそれが合意であるか政府の解釈であるかも必ずしもはっきりしませんけれども、しかし、かりにそれが合意であるとしても、その合意は条約と同じように固定的に考えるべきものだということになると、それほどの重要なものが文書化されていないということと今度は矛盾をするのではないですか。 もう時間がありませんので、またいずれそのことをお伺いをいたしますが、ひとつ大臣にお尋ねをいたしたい。 少なくとも、いまの問題に関する限り、サブロック以前の原子力を推進力とするそういう潜水艦である限りは事前協議の対象とならないという政府のお考えのようです。それであるにもかかわらず、政府は昨年の二月以来長い間にわたって安全性の検討をしてきた。もし安全性の検討をして、この安全性には疑問があるということになって、——仮定の問題ですけれども、それでは入港をお断わりいたしますということを政府としては言い得ないのか言い得るのか、この点はいかがです。
○椎名国務大臣 普通ならば入港の権利を当然持つのでありますけれども、しかし、アメリカとしても、日本の国民感情等を考慮して、この問題については日本政府と十分に了解を遂げた上で寄港の承認を取りつけるかいなかをきめたい、こういう考え方で向こうが協議をしてまいったのであります。でありますから、安全性の問題についてわが国としてどうも確信が持てないというような場合には、当然寄港は見合わしてもらいたいということが言えるわけであります。
○松井(誠)委員 ちょっといま肝心の点がわからなかったのですが、安全性について疑問があるときにはどうなんですか。ちょっと大臣、もう一ぺん……。
○椎名国務大臣 安全性について確信が持てない、そういう場合にはお断わりすることもできるわけです。
○松井(誠)委員 そうしますと、安全性について疑問がある場合には断わることもできる。条約上は断わることができないけれども、しかし、政治的に断わることができる、こういう意味ですか。
○椎名国務大臣 政治的にということは私は使いませんでしたけれども、条約の解釈上からは権利はあるのでありますが、しかし、その権利を権利として強行しないで、十分にその点については日本の国民感情というものに立脚して、そうして安全性の問題について日本と協議をしようという形をとってきておるのでありますから、これに対しては、もし当方において確信が持てないということであれば、その旨を話して寄港を見合わしてもらうということが当然できるはずでございます。
○松井(誠)委員 つまり、政治的ということばを使うか使わないかは別として、元来は拒否できないのだけれども、場合によっては拒否することがあり得る、そういう立場で安全性の検討をしてきた。つまり、拒否することがあり得るということが前提でなければ、私も安全性の検討というものは無意味だと思う。政府自身がしばしば宣伝をしておりますように、これはもうアメリカとしては当然の権利だ、日本は元来断われないんだ、断われないけれども、国民感情があるからということで昨年の二月以来引っぱってきた。引っぱってきて、結論は初めからわかっておる。結論は初めからわかっておるけれども、国民感情が抵抗が少ないときにどうして発表するか、それだけが政府の関心事であったというように私は考える。もしそれが、ほんとうにそうじゃなくて、場合によれば断わることができる、アメリカはそれを受け入れるだろうという前提で安全性を検討してきたとすると、問題は逆に、それであるのになぜ一体事前協議の対象からはずさなきゃならぬかという問題に戻ってこざるを得ない。初めから事前協議の対象からはずしておいて、しかもこれは拒否できるという理屈の組み立て方が初めから無理である。現にアメリカは、政府の説明によれば相談も何も必要がないのに、わざわざ御意見いかがでしょうと言ってきておる。政府も昨年の二月以来その安全性について長い間検討をしたと称しておる。それほど重要なものでありながら、しかも重要な装備の変更というものからはずしておる。このこと自体が矛盾じゃないか。つまり、アメリカはこれがむしろ事前協議の対象であるということを意識したからこそ承認を求めてきた。それで、日本政府も事の重大性を考えるからこそ、二月以来問題を検討してきている。当然われわれの常識から言えば事前協議の対象になるということを前提としてアメリカも言っており、日本政府も、ことばの問題は別として、事実上重要な装備の変更と考えたからこそ検討をしてきている。これが自然な考え方じゃないですか。つまり、それほど重要なものであるにもかかわらず、事前協議の対象からはずれておる。はずれておる根拠は一体何かといえば、話し合い。話し合いの証拠は何一つない。そういうことで一体国民は信用すると思いますか。つまり、事前協議の範囲というものについての政府の考え方の出発が初めから違うじゃありませんか。 それじゃお伺いをしたいと思うのですけれども、この重要な装備の変更に加えて、配置の変更、こういう問題を特に事前協議という対象にしたこの趣旨というのは、大まかに言ってどういうことなんです。どういう目的で事前協議という制度をつくったのです。日本の立場からなぜこれが必要だという考え方になったのですか。
○椎名国務大臣 条約上の解釈のように拝聴いたしましたので、事務当局からお答えいたします。
○竹内説明員 この条約、交換公文は、たとえば第一に、日本での配置における重要な変更、これは、米軍が日本に一度にたくさん入ってまいりますと、いろいろな施設の準備その他もあらかじめ要るということもございます。それから、装備における重要な変更、これは、特に核兵器の関係で、わが国としてきわめて国民感情上重要な問題である、そういうことからして、当然装備における重要な変更、また作戦行動の基地として日本を使わない、そういう問題は、そういうものを使う場合には当然日本と相談してくれ、こういう趣旨でございまして、条約の運営上少なくともこれだけは日本側に相談してもらいたい、こういう趣旨で盛られたものでございます。
○松井(誠)委員 その重要な配置の変更をなぜ事前協議の対象にしたか。これは、日本側のそういう施設の関係の受け入れ態勢、そういうものだけですか、この必要だという理由は。
○竹内説明員 そういう考慮が非常に大きい要素であります。
○松井(誠)委員 装備の変更というものについて、核兵器だけに限定するというのはどういう理由なんです。つまり、この交換公文の重要な装備の変更というのは本来ならば核兵器持ち込みあるいはそれに類するものを元来意味しておったのだけれども、何か外交上の配慮から重要な装備の変更ということばを使ったという、そういういきさつがあるならまた別です。そうじゃなくて、重要な装備の変更というこの非常に一般的な規定の中に、核兵器だけを押し込めて、あとは入れないというその理由は一体どういうことです。先ほどのお話では、核兵器に対する国民の感情というものを考えてというお話でありましたけれども、そういう国民感情の点だけから核兵器を考える。そうすると、国民感情がどうしても核兵器を受け入れなければ、これはもう事前協議の対象として断わる、しかし、国民感情がそれを受け入れるようになれば事前協議の対象からははずすということにもなり得るわけですけれども、この重要な装備の変更というものを核兵器というものに限定をした理由、そして、その核兵器だけに限定をした、つまり核兵器は一体なぜ事前協議の対象としてどうしても考えなければならぬのか。これは、先ほどの中長距離のミサイルじゃありませんけれども、中長距離のミサイルというのは、いわば核の運搬用具、もっぱら核の運搬用具として考えられる、だから核兵器の持ち込みと同じだという意味だと思うのです。したがって、核兵器そのものじゃなくて核兵器を持ち込む可能性の非常に強いもの、そういう中長距離のミサイル、そういうものも核兵器の持ち込みと同じに考えるということになると、そこまで広げて考えて、しかもその核兵器、中長距離のミサイルに限るという理由は一体どこなのか。
○竹内説明員 先ほど、この交換公文ができた理由の大まかなことを申せ、こういうことでございましたので、核弾頭のことだけを申し上げましたけれども、核弾頭並びに中長距離ミサイルということは先ほど答弁があったとおりでございます。安保条約は御承知のとおり日本の防衛ということが非常にこれの大目的でございます。それについて日米が協力するというのがこの条約の目的でございまして、そのうちでここに掲げたような三つの点は特に重要であるからして事前に日米間で協議しよう、こういうのがこの交換公文の趣旨でございます。
○松井(誠)委員 ですから、先ほど核兵器に限定をした理由は国民感情ということだったわけでしょう。しかし、現実に、核兵器とはいっても核兵器そのものだけではなくて、もっぱら核兵器を運ぶ運搬用具も入るというようになっておるわけです。中長距離のミサイルというのはそういうことです。短距離のミサイルがなぜ入らないかという理由も、短距離のミサイルはおそらくもっぱら運搬用具ということではないんだということではずしたんだと私は思うのです。しかし、ともかく、核兵器そのものではなくて、運搬用具まで入っておるわけです。その運搬用具も国民感情を配慮して運搬用具を入れたんだと思うのです。そうでしょう。ですから、とすれば、国民感情というものを基盤にものを考えるということになると、核兵器とその専用の運搬用具、この二つだけになぜ一体限定をしなければならないのかということです。
○竹内説明員 中長距離サミイルはその目的が場合によっては主として攻撃用に使われるという種の性質でございますからして、必ずしもこの核弾頭と関係なしにもこの問題については事前に協議をしたい、こういうのが趣旨だろうと思います。
○松井(誠)委員 そういう御答弁は私の調べた限りではいままでなかったのじゃないか。中長距離のミサイルというものがこの事前協議の対象に入ったのは、中長距離のミサイルというのは元来核弾頭をつけなければ経済的には意味がない、——核弾頭をつけないくらいなら中長距離のミサイルはつくらないはずなんです。だから、中長距離のミサイルというのは核弾頭運搬の専用なんだ、専用ということばを使っておる。攻撃用だからということ、そういう説明はいままでなかったのですが、もしそれならばそれでもいいです。それじゃ、攻撃用の兵器というものは中長距離のミサイルばかりでなく現に日本には持ち込まれていないのですか。
○竹内説明員 先ほどの私の説明、どうも従来の説明と食い違っておったようでありますが、ただいま、従来の説明によりますれば、長距離、中距離ミサイル、これは本来的に核弾頭が装着されるものということであるので、そういう趣旨から事前協議の対象にする、こういうのが趣旨であったようでございます。
○松井(誠)委員 声が小さくてよく聞こえなかったのですが、もう一度お願いいたします。
○竹内説明員 確かに私の説明は従来の説明と違っておりました。従来の説明は、長距離、中距離ミサイル、これは本来的に核弾頭がつく、こういう趣旨からして重要な装備の変更として事前協議の対象にされた、このように考えます。
○松井(誠)委員 中長距離ミサイルは本来的に核弾頭がつく。しかし、核弾頭をつけない中長距離ミサイルの使用の方法もあるだろう。核弾頭をつけなければ中長距離ミサイルは兵器としての効果がないということではない。ただ、ずいぶん開発に金がかかるから、したがって、せっかくつくったものを核弾頭をつけなければ経済的に合わないじゃないか、だから中長距離ミサイルはおそらく専用の運搬用具として使われるであろう、そういう趣旨で入れたのじゃないですか。つまり、核弾頭をつけない中長距離ミサイルというものは兵器としては意味がないという意味ではない。そうじゃなくて、経済的な面から考えてのことで、つけないでも元来兵器としての役には立ち得る、そういうことが前提にあるのじゃないですか。
○麻生説明員 防衛庁として考えておる点を御説明申し上げたいと思いますが、従来から委員会でも核兵器とは何かということを国会から御質問を受けておるわけです。繰り返すようでございますが、従来のことを申しますと、核兵器というものは、原子核の分裂または核融合反応より生ずる放射能エネルギーを破壊力、殺傷力として使用する兵器を言うのだ、非常に基本的な定義ですが、これに関連しまして、通常兵器と核兵器とはどう違うのかという御質問がありましたので、通常兵器とは、おおむね非核兵器を総称したものである、したがって、サイドワインダー、エリコンのように核弾頭を装着することができないものは、これは非核兵器である、それから、オネストジョンのように両弾頭を装着できるものは、核弾頭を装着した場合は核兵器であるが、核弾頭を装着しない場合は非核兵器である、それから、三番目に、御質問のICBMとかあるいはIRBMのように本来的に核弾頭が装着されるものは、これは核兵器である、こういう兵器を開発した目的がもう核弾頭ということを離れては無意味であるといったようなものは、これは核兵器である、要するに、核兵器の持ち込みを政府は認めないという趣旨は、いま申しましたようなものを核兵器と考えて、核兵器の持ち込みを認めない、こういう趣旨でございます。この趣旨を、先ほど外務御当局から申されましたように、いわゆる条約と申しますか、交換公文の形で、重要な装備における変更という形であらわしておるわけでございます。
○松井(誠)委員 ちょっと問題がさっきに戻りますけれども、先ほど、核兵器をなぜ重要な装備の変更にし、しかもなぜそれだけに限ったのか、これは何か国民感情ということだけをよりどころにしておるようでありますけれども、もっと言えば、この核兵器の持ち込みを許すことによって日本がそういう核兵器の基地になる、核兵器の基地になることによって日本が核攻撃の対象になることをおそれた、単なる国民感情というものではなしに、まさにそういう実際問題、実際の結果というものをおそれた、このように考えるのが本来のたてまえである。核兵器の持ち込みをなぜ日本国民がいやがるのか。それは、つまり他国の核攻撃の理由になる。だからこそ国民感情が許されない。問題はそちらにあるわけじゃないのですか。これは大臣、いかがですか。
○椎名国務大臣 この交換公文に重要なる装備の変更として核兵器をその内容とするということに相なりましたのは、私は、いまあなたがおっしゃった核兵器の基地化するということによって非常に危険な状況に巻き込まれることをおそれてのことであろうと思います。国民感情というのは、むしろ原子力というものを用いるものが日本に入ってくるということに対して国民が感情的に何となしに非常に不安を覚えるというような、原子力潜水艦寄港問題が起こりましてから非常にやかましく言われた問題であって、安保条約制定の当時はそういうことが表面化されておらなかったし、また、条約の内容に取り入れられたおもなる理由は、むしろそれよりも日本が危険な戦争に巻き込まれるということの回避ということから来たのではないかと私は考えておる次第であります。
○松井(誠)委員 私も先ほどお尋ねしようと思ったのですが、いま大臣の御答弁の中で、この安保条約をつくるとき、交換公文をつくるときにはまだ表面化しなかったと言うのは、おそらく原子力潜水艦の問題だと思う。原子力潜水艦はもちろんその当時はできていましたけれども、それが具体的に事前協議の対象として考えられるほど成長していなかった。だからこの原子力潜水艦のことについては触れなかったのじゃないかというのが私の推測でありますけれども、いまの大臣の御答弁で私はそういう趣旨に受け取ったのですが、その当時まだ表面化していなかったというのは、原子力潜水艦というものがこういう形で早く大規模に実用化されるということを予想しなかった、こういう趣旨に理解してよろしゅうございますか。
○椎名国務大臣 私はただ私の個人の考え方を申し上げたのでございまして、この安保条約に携わりた当局の人々の頭まで推測して申し上げたわけではございません。その点は誤解のないように区別していただきたいと思います。
○安藤委員長代理 松井君、だいぶ時間も経過してまいりましたので、ひとつ結論をお願いしたいと思います。
○松井(誠)委員 時間がありませんので最後にしたいのですが、外務大臣の先ほどの御答弁の中で、核攻撃の対象になることを国民がおそれておる、それがほんとうの理由だと思うという趣旨のことをおっしゃった。私は、原子力といえば何でもかんでも、みそもくそも一緒にしてこわがるというほど日本国民は幼稚じゃないと思う。やはり問題は核兵器の攻撃の基地になるということをおそれたと思う。だとすると、大臣、この間ソ連から原子力潜水艦の寄港について抗議があった。そのソ連の危惧というのも、日本が核兵器の基地になるということから来る抗議が一つ。つまり、日本が幾ら原潜の寄港というものは核兵器の基地にするのとは違うのですよと言っても、世界の常識はそれを許さないということである。このことは、逆に言えば、そういうものであるにかかわらず事前協議の対象からはずしておるということの結果なんです。ですから、私は最後にお尋ねをいたしたいのですけれども、この事前協議の対象が二つないし三つに限定されたのか、例示をされたのか、必ずしもはっきりしません。しかし、ともかくそれが合意だということは一応政府の答弁がございました。しかし、合意だという証拠はどこにもない。この問題はいずれあとで触れる機会があると思いますが、かりにこれが合意であって限定であったとしても、いまの原子力潜水艦の問題はあらためて事前協議の対象として申し出る意思はないかどうか。つまり、政府の説明によれば、原子力潜水艦というのは事前協議の対象にならないと考えておりながら、アメリカがいかがでございましょうかといって年余にわたってしんぼう強く待っておった。政府もその間慎重に検討したと称しておる。事態はそれほど重大である。事態がそれほど重大であるとすれば、この常識的な装備の重要な変更というものに入らないという説明は国民に対してはできまいと私は思う。もうすでに政府は自分自身の手を縛ってしまって、三つ以外には入りません、原子力潜水艦は入りませんということであるとすれば、それをあらためて事前協議の対象にするという意思はないか。私がこういうことをお尋ねするのは、何か政府は初めからこれは断われないのだということを盛んに宣伝しながら時をかせいできた。断われないということを前提にして調査するということ自体、ほんとうは意味がない。調査しなければならぬという事態に直面したということは、つまり事態によれば断わり得るということだ。断わり得るということは、先ほどの大臣の答弁では、条約上の権利ではないけれども断わるつもりですということになる。それくらいなら、なぜ一体事前協議の対象というこの交換公文の解釈、合意というものを利用しないのですか、そういう意図はございませんか。時間がなくなりましたので、その点を最後にお伺いいたします。
○椎名国務大臣 たびたび申し上げたように、これは重油のかわりに原子力を用いておる潜水艦にすぎない。でありますから、本来重要なる装備の変更でも何でもないのであります。ただ、原子力というものに特別の反応を国民感情が示すものでございますし、それからまた、国会において非常に熱心なこれに関する御討議がございましたので、それを十分にくみ取って、慎重の上にも慎重に不安の解明につとめたのでございまして、推進力に原子力を用いておるということがもう常識化してくる時代になれば全然問題にならないようになると私は思います。しかし、日本の現状はそうではございませんので、慎重に調査をしてまいりました結果、だいじょうぶだという確信を得ましたので、寄港の承認をいたしましたような次第でございまして、これをあらためて事前協議の対象にするというようなことは、われわれは筋として全然違うと考えておりますので、さような意図は持っておりません。
○安藤委員長代理 田原春次君。
○田原委員 私は、南ベトナムの混乱せる状態、これに対して日本がどうすればいいかということを中心に御質問を申し上げたいと思います。 去る八月の十日だったと思いますが、この委員会で同様のことを関連質問いたしました。対策としては、南ベトナムの代表と北ベトナムの代表を日本があっせんをして会見させてはどうか、たとえばゼネバにおいてやってもいいし香港でやってもいいし、もし両者可能ならば東京でやってはどうか、こういう意味の質問をいたしましたところ、大臣は、研究いたしましょうという御答弁であったわけであります。したがって、その後この問題に対する具体的な研究をやっておりますかどうか、まず第一にこれをお伺いいたしたいと思います。
○椎名国務大臣 いろいろの資料あるいは省内における当局等に徴しまして研究をいたしました。
○田原委員 研究の結果はどういうふうに出るべきかということをきめましたか。
○椎名国務大臣 両者の会合を持って話し合いのもとにその混乱したベトナムの状況を収拾するということは筋としてはたいへんけっこうなことだと思いますが、しかし、今日の段階においては準備行程をいろいろ経なければとても話し合いをするという段階には達しない、こういう結論にほぼ達しておるのであります。
○田原委員 私はここに最近一週間における新聞からの記事の抜粋を持っております。特に英字四新聞、それから東京の諸新聞等でありますが、これはおそらく大臣も知っておると思いますが、一応その要点だけ質問を申し上げます。 まず最初に、九月十一日に、アメリカ大使館の発行しておる「ニュース特報」というのがあります。これにラスク国務長官がワシントンで記者会見をした談話が載っております。その要点は、今後の見通しとしては、三頭制指導委員会の指導のもとに全国委員会を結成していくならば、重要分派の代表構成ができるであろうという解決であります。それから、次に軍事情勢については、何が起こるかは北ベトナムと中共の態度にかかっておると言っております。要するに、自分にはわからぬということなんです。したがって、この両方の意味から言いまして、第一の三頭制指導委員会はもう崩壊いたしました。次は、中共と北ベトナムがどう出るかわからぬということなんですから、こういうように友人といわれておるアメリカの態度が全くこんとんとしておるのは、肝心かなめの南ベトナムの態度がこんとんとしておるからであります。したがって、会議を開いて相談をしてあげなさいということは、少なくとも原子力潜水艦を入れたり何かして世論を起こすよりもアジアの平和に役に立つということなんであります。それがいまの段階において決断がつかぬというのは、大臣が不勉強であるか、あるいは大臣を補佐すべき人々が怯懦であるからだと思うのであります。もっと日本人は親切と勇気を持ってやらなければならぬと思うのでありますが、これに対する大臣のお考えはどうでありましょうか。私の批評が正しいでございましょうか、お答えを願いたい。
○椎名国務大臣 とにかく、話し合いによって事態をおさめるということはけっこうなことだと思うのであります。ただ、それが現実の情勢に合うか合わぬかということの判断でありますが、いずれにいたしましても、政治的解決の時期が到来すれば、まずジュネーブの関係国の間でこの問題が討議されるというのが、従来のいきさつから見て当然の経路だと思うのであります。その成り行きを見て、しかる後に最終の段階に持っていくということになると思うのでありますが、現実の情勢はまだまだそういうような情勢ではない、こう言わざるを得ないと思います。あなたの言われる話し合いによって解決するというその御趣旨はけっこうだと思います。
○田原委員 九月十一日の各英字新聞、それから日本の東京の各新聞にAP特電として出ておる点でございます。これは、その十一日以前の四日間にわたって、テーラー南ベトナム特派大使とワシントンで民主、共和両党の指導者と合同会議をやったらしい。そしてそのあとで下院のほうの極東委員会にテーラー大使を呼んで問答をしております。この質問者はオハラというイリノイ州出身のデモクラット、政府党の下院議員でありますが、彼が、南ベトナムの問題は非常に費用がかかる、エクスペンシブである、だから撤退してはどうか、ウイズドロウということばを使っております。それに対してテーラー大使は答えていわく、私は希望を持っておる、政治的危機が解決するように希望を持っておるということ、そしてその後に、もし撤退するならばそのあとビルマ、インド、インドネシアにも同じようなトラブルが起こるであろうから撤退はできないと答えておるのです。これから見ますと、いま南ベトナムで混乱をさせて、——たとえば、一年数カ月前まで大統領にしておいたアメリカのかいらい政権でああったゴ・ジンジエムが役に立たなくなったというので、これを殺す。役に立たないという意味は、北ベトナムと通じておるという疑いのもとにこれを殺す。続いて今度は、あまり有名でないグエン何がしという、ベトナムにはグエンという姓がずいぶん多いから読みにくいのでありますが、大ぜいのグエンのうちの一人のグエン・カーンというのを今度は首相にしてみた。彼は野心を持って大統領になろうとして、民衆の反撃でひっくり返ってしまった。そうして三頭制を出したら、これもうまくいかない。こういうわけで、毎日の新聞は、南ベトナムは一体どうなるのかということについて、全くこんとんとしておるアメリカの態度に対して不安を持っておるのです。九月十二日の朝刊を見ましても、たとえば毎日新聞では「悲観的なテーラー報告」という題で内容が書いてあります。それから、九月九日にジョンソンとラスクとマクナマラがテーラーと会見してもやはり悲観的である、こう言っておるのであります。次いで九月十二日に、ウィリアム・ライアンという評論家がAP電で英文読売に書いております中にも、アメリカの高級政治家たちは妥協、協議の可能性について相談をしておる、こういうふうにその批評の一部に書いておるのであります。したがいまして、今日南北両ベトナムの会談を日本が進めてやることは、ひとり南北両ベトナムの民衆の平和の安定だけでなく、やがてビルマやインドネシアにも行こうとするアメリカのアジア侵略出しゃばりの態度を改めさせる機会でもあり、金ばかりかかってしようがないという感じを持っておるアメリカの民衆のためにもなると思いますから、会談を開くことくらいはやってみてはどうか。会談が成功しないかもしれません。会談を拒否するかもしれません。しかし、アジアにおいて日本人が会談のあっせんをしておるということは、北ベトナムも、南ベトナムも、アメリカも、またビルマ、インド、インドネシアも、ひとしく感謝して注目することだと思います。私は、しろうと外交官であるけれども非常にりっぱな政治家であるあなたがこの重要な時期に大臣になったことについてお祝いを申し上げますから、どうか決心をして、局長級の専門的な知識だけに乗ることなく、広く深く考えて会談をやってもらいたいと思うのでありますが、どうしていまその会談をやるという決意を発表できないのか、私はもう一度あなたの御答弁を得たいと思います。
○椎名国務大臣 まだ両者の会議をやる時期ではない、とても成り立たないのじゃないかと考えます。ここまで持ってくる前に、まずもって従来のいきさつからジュネーブの当時の関係国が集まってこの問題を討議する、その段取りすらまだ十分にとれておらないという状況でございますから、理想図ではございましょうが、現実問題としてはとてもそういう段階ではないと考えております。
○田原委員 私はここで知ったかぶりをするようでありますけれども二つの例を申し上げます。一つは、ユーゴスラビアとソビエトとのいさかい問題であります。一つは満州事変から引き続く日支事変、太平洋戦争の問題であります。 ユーゴスラビアが共産主義陣営におりますときに、いろいろな点においてソ連側の一方的態度に憤激いたしまして反対をした。そうすると直ちに当時のコミンホルムから除名をしたのであります。除名しておいて、スターリンが、おれが小指を動かせばユーゴスラビアの千三百万の民衆くらいは、一挙に葬ってしまう、こう豪語して兵を三十万ダニューブ川の川岸まで持ってきたのであります。これに対してユーゴスラビアの全国民はチトーのもとに結集して、どうせやられるなら全員やられようというので、五十万の、老人まで加えた雑軍の兵隊をダニューブ川の川岸に連れてきまして、両軍対峙いたしました。これを見てスターリンは、これはちょっとまずいな、いますぐやっちゃ損害が大きいからまずいというので引いたのであります。私は日本・ユーゴスラビア協会の創立者でもあり、ユーゴに二度も行きまして一々聞いたのでございます。国民が結集すればあの強大にして横暴なるスターリンでも手を焼くというこれは一つの例であります。 第二点は、日支事変でございます。中国人をチャンコロと言い、柳条溝事件を起こし、盧溝橋事件を起こし、どっちが起こしたかはもう歴史で明らかになっております。三日もすれば解決するだろう、あるいは一年もすれば解決するだろう、あるいは二年もすれば解決するだろうと言って勝利を国内に宣伝してやりましたが、どうですか、次から次、次から次と奥地に引き込まれまして、そしてついに最後には敗戦の結果を招いております。 いまアメリカが、この間北ベトナムに突然事をかまえて爆撃をやりまして、魚雷艇を二十五隻ですか、タンクを何個かやっつけました。これは限定戦争である、全面戦争じゃないということを言っております。世界は笑っておりますよ。限定戦争、全面戦争とだれが一体きめるのか。一方的にきまるものじゃありません。おそらく私は北ベトナムは怒り心頭に燃えて永久に反抗する決心をしたに違いないと思う。それが証拠には、南ベトナムの首府であるサイゴンは南ベトナム人口の四割が集中しておりますが、そのサイゴンの市内はもとより、それを取り巻く三つの県がありますが、この三つの県全部がベトコンに、すなわち共産主義ベトナムの民衆によって取り囲まれてしまいまして、主導権はなくなってしまっておる。だから、九月十一日から十七日までの新聞の朝刊の切り抜きを読んでみますと、毎日毎日こんとんとして変わっております。あるときは青年将校が立ち上がってクーデターをやる。そうかと思うと二十四時間後には鎮定される。そうかと思うと今度はグエン・カーンがあらわれてそれを征伐しようとする。さっぱり見当つきません。だから、言うのは、アメリカはへたをすると百年戦争に巻き込まれまして、最後には敗退するに違いない。しかも恨まれて敗退するに違いない。アメリカもこんなことでは、私の観測では次の大統領選挙ではゴールドウォーターが勝つと見ております。ゴールドウォーターの所属する共和党は昔から孤立主義、アイゾレーション・ポリシーでありまして、よその国に干渉しないという態度をとっておる。国内では極端な独占資本の集団ではありますけれども、外部にはあまり干渉せぬという態度をとっております。これがこの間からどうですか、大統領指名が来たときには、ゴールドウォーターの演説を見ておりましても、台湾でも一日に百万ドルかかる、ベトナムでもすでに三百人のわれわれアメリカの青年が戦死しておる、今後いつまで続くかわからぬ、こんなどろ沼に入るような戦争をするジョンソンは退けろと言って、国民の大かっさいを博しておる。私は、ジョンソンであろうがゴールドウォーターであろうが、そんなことは関係ありません。すなわち、平和にやっていきたい日本人として隣の国のことを考える場合に、南北ベトナムの仲裁ができぬようなことでは、これははなはだ失礼でありますけれども、椎名外務大臣の政治的手腕を疑わざるを得ない。あなたは十分できる方だと思う。将来総理大臣になられるりっぱな人であると思います。その腹もあると思います。だから、ヌーボーたる態度をもってさっとサイゴンに行き、帰りにはハノイに寄り、どうだ、話をしようじゃないか、これでいいと思います。また、必要があれば、われわれ外務委員も手分けをして北と南に勧奨する。こういうけんかの仲裁というものは何度も何度もやっているうちに解決するのであります。テーラーが言っていることばの中にも、中共と北ベトナムがどう出るかわからぬと言って、彼はソ連は出ないと見ております。しかし、混乱してきますと、これは世界の第三次大戦争の発火点になると思います。 どうぞ、こいねがわくば、私の忠告を聞いていただいて、会議を開くその用意をしよう、その打診をしようというくらいのところまでは出てもらいたいと思うが、いかがでございましょうか。くどいようでありますけれども、これをもう一度発言を願いたいと思うのでございます。
○椎名国務大臣 お説は十分に伺いました。
○田原委員 それではこれをもって質問を終わります。
○安藤委員長代理 帆足計君。各委員詰まっておりますので、なるべく割り当て時間の三十分以内でお願いをいたします。
○帆足委員 沖縄の問題について質問をいたしたいと思います。 皆様御承知のごとく、君が代と日の丸については、戦争の悪い思い出と結びついておりますので、国民感情の上に多少の混乱がありますことは、私は了とせねばならぬと思います。特に君が代の問題は民主主義の原則から見て問題があると思いますが、日の丸につきましては、日本民族、日いずる国の象徴として、ただいまは国民の大多数が、日の丸の旗を仰いでそうして祖国を思う、こういう気持ちになっております。われわれも外国に出ましたときにテーブルの上に日の丸の旗が置いてあると心強い気持ちになるのでありますが、このたびオリンピックを機会にいよいよ祖国を思う願いが盛んになることは御同慶の至りでございます。その国旗に対して、沖縄で侮辱事件がありまして、その詳細を新聞で見ますると、なかなか意識的に、そうして無残な、陋劣なやり方でございます。これに対しまして政府は警告を申し入れたと言いますけれども、きょうの新聞で見ますと、新しい弁務官の柔軟性のある態度に心引かれて、うやむやに終わるかのごとくも伝えられております。アメリカは善処すると答えたといいますけれども、これは、善処ではなくて、はっきり処罰してもらうべきである。これに対しまして、アメリカの国内法及び日本の国内の慣例をも尊重して、アメリカは厳重なる謝罪及び謝罪のみでなくて処罰をすべきであると思いますが、交渉のただいまの結末はどうなっておりますか。また、コザ市以外の各地で行なわれた不祥事件については調査不十分と聞いておりますが、そのようなことでしょうか。外務大臣の御答弁をお願いします。
○椎名国務大臣 御指摘のとおり、聖火歓迎のために、コザ市におきまして、日本の一般家庭で使用されているような布製の日の丸四百枚を購入して、そうして万国旗とともに聖火リレーコースに該当する町々に掲揚したのでございます。ところが、七日午後五時ごろ、聖火リレーコースに当たる同市の中央大通りの街路におきまして、万国旗とともに街頭の柱に掲揚されていた日の丸のうち、米兵三名が六枚を引きおろし、その際六枚のうち国旗二枚が破られたという説がありますが米国側がこれまで調査したところによって報告を受けておりますところでは、五枚は完全なものであったが、一枚はこれを引きおろす際に旗の上部の個所が何カ所か破れた、しかしそれ以上国旗を踏みつけることや侮辱的な行為はなくて、国旗は米側から沖縄側に六枚とも引き渡されたという報告に接しております。警察は、上記の米兵三名を通報によって現場におもむいて直ちに逮捕し、これをMPに連絡の上引き渡した。問題の米兵は陸軍部隊に属する三名の米兵でありますが、酒に酔っておった趣きであります。これら三名は目下アメリカ側において取り調べ中の趣きでございます。 そこで、本件につきましては、九月九日、在京アメリカ大使館から外務省事務当局に対して、七日午後コザにおいてオリンピック聖火歓迎のための市街に掲げられた日本国旗六枚が三人の米兵によって引きおろされたという、いま私が申し上げたような事件の経過について通報をいたしてまいりますとともに、本件が発生したことについて遺憾の意を表明いたしまして、またその際、米大使館員は、再度かかることの起こらないように沖縄にある米軍に対しても十分注意を喚起したという旨を述べたのでございます。よって、外務省といたしましては、総理府特連局に対して上記を通報するとともに、もう一つ事実の調査方を依頼しておったのであります。ところが、その事実調査に非常に時間を費やしたのでありますが、事実関係が明確になった上でこれに対して適当なわが方からの措置を講ずる予定であったのでありますが、それに至らない前に、九月十五日に至りまして本件につきまして新聞の報道があったわけであります。同日高等弁務官から正式に謝罪の意がアメリカ大使館を通じて表明されてまいりました。政府として直ちに米側に対して抗議を行なわなかったのは、米側から最初に通報があった際すでに陳謝の意の表明があった、事実関係が必ずしも当時明確でなかった、こういう状況によるのであります。
○帆足委員 結論だけでけっこうです。処罰したか処罰しないかという点だけでけっこうです。
○椎名国務大臣 それで、十六日に私が臼井総務長官と同席いたしましてライシャワー大使と会見いたしました。すでにとりあえず外務次官から申し入れたことではあるけれども、事柄は重大である、国民感情を刺激する点においてはまことに遺憾な事件が発生したものである、すでに貴方から陳謝の意思表示を受けておるけれども、かようなことが絶対に再び起こらないように万全の措置をひとつ講じてもらわなければ困るということを厳重に申し入れました。これに対してライシャワー大使は、重ねて遺憾の意を表明するとともに、今後かような事態が再び絶対に発生しないように、米政府当局とともに可能な限りの措置を講じて、すべての在日米人に通達をして、かようなことの起こらないように注意を促す、こういうことでございましたので、政府としては、さしあたりこれ以上の措置をとる気持はないのでございます。かようないきさつになっております。
○帆足委員 沖縄はかつての上海の外国租界のような状況に置かれておりまして、日本国でありながら治外法権になっております。したがいまして、市民に暴行が加えられまして日本の警察が犯人を逮捕したような場合にも、米兵である場合には、逆にMPが来て奪い返すというような不祥事もしばしば行なわれておるわけでございます。したがいまして、私は、ワトソンやライシャワー大使が遺憾の意を表せられたことは、それは了としますが、まさか御同慶の至りというわけでもないでしょうから、だれでも脚遺憾と言うでしょう。しかし、われわれが遺憾とすることは、そういう処罰がいつも不明朗になって、うやむやに終わることでございます。新興の中国は長崎の国旗事件のときに大いに怒って国交断絶とまでぶちました。国旗とはそういうものであるでしょう。したがいまして、私は、犯人に対して厳重に、各地で起こった事件を明確にすると同時に、ただ善処するとか、遺憾であるとかいう形式上のことばでなくて、こういうことをした者に対しては法規に照らして処罰するということを確約していただきたいと思います。裁判をおろそかにしてもらいたくないということですから当然の要求ですが、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○椎名国務大臣 アメリカの側におきまして適当な措置をとる、こういうことを言っておりますが、こちらは、その適当な措置とは全く適当な措置であると、かように考えておるのでございますが、この点につきましては、米側の態度に対してある程度信頼していきたい、成り行きをなお注意してみたいと思います。
○帆足委員 適当な措置といいますことは、従来は、うやむやに適当に取り計らうということで、公正にして正義に基づいた厳重な措置という意味ではないことがしばしばでございました。したがいまして、政府の厳重なる厳粛なる態度を切にわれわれは要望する次第です。 さらにお尋ねいたしますが、アブラハム・リンカーンの言葉によりますと、民主主義の定義というものは、人民の人民による人民のための政治だということは小学校の社会科の教科書にも書いてありますが、おおむねかかる原則が民主主義の真髄と考えてよろしいでしょうか、ちょっと外務大臣の御感想を承りたい。アブラハム・リンカーンのいまの格言は、おおむね民主主義の真髄であるかどうか。
○椎名国務大臣 御説のとおりです。
○帆足委員 答弁がきわめて簡潔で御同慶の至りですが、そこで、そういう原則に従えば、沖縄の政治は沖縄の人民がきめるべきものであって、軍事基地を貸していようとも、市民の権利と市民の福祉、市民の政治に関する限りについては沖縄県民がきめるべき問題であって、ワトソンになってから多少弾力性のある政策をとっているからといって政府は安心しているようですが、施政権返還についての確固たる政府の対策、すなわち国会満場一致の決議はお忘れなく交渉しておられるか、これが一点と、もう一つは、最近、沖縄の保守党が分裂したことに対して、ワトソンが、統一してまたは日本の自民党の支部になれというようなことを言っておりますが、日本の自民党と沖縄の保守党の諸君が話し合うことはすべて自主的で自由でありますけれども、ワトソンがそういうところまで口を差しはさむことは内政干渉である。たとえば、民主党の一部と共和党の一部がこの際合同したらどうであろうかなどとわが国の外務大臣が言ったとしたら、それは礼を失するものであろう。そういう出過ぎた内政干渉はしてもらいたくないと思いますが、外務大臣はそういうアメリカの内政干渉に対してどのようにお考えでしょうか。
○椎名国務大臣 施政権の返還につきましては従来しばしば総理も国会においてもあるいはまた訪米の際に向こうの最高責任者に対しても述べておるところでございまして、これはいわゆる本件に対する最も高次の日本の政策でございます。 それから、ワトソン高等弁務官の自民党及び民政クラブの合同の問題については、私も的確によくその発言の内容を調査しておりませんけれども、おそらくアメリカの施政権を行なう上においてできればけっこうだというぐらいの意見は持ち、また、それを表明することは必ずしも内政干渉では私はないと思います。
○帆足委員 外務大臣の御答弁にわれわれは不満でありますけれども、さらにお尋ねいたします。 ソ連から、原子力潜水艦の日本寄港に対しては非常な脅威を感ずる、したがって、あやまって報復の焦点になるというようなことがなきことを望むという意味の声明がありました。私はこれについて一面の真理があると思う。というのは、もしソ連の原子力潜水艦がメキシコに寄港するということになったならば、ニューヨークの市民は何と答えるでしょう。おのれの欲せざること人に施すことなかれという東洋の格言をもう少し味わってもらいたいと思いますが、さて、それと関連いたしまして、沖縄を戻すならば千島もまた歯舞も戻すことに交渉に応じようという点であります。かつて社会党から議員団がまいりましたときも、いま千島を戻せば、歯舞、色丹を戻せば、安保条約によって自動的に日本の基地になり得る、そういうことはちょっとできない、そこで、日本が中立的体制というか、外国の基地にならないような体制になったならば、この問題については歴史的伝統にかんがみて交渉する余地があるという弾力性のある返答をしておるのでございます。このたび議員団がまいりまして、超党派外交といいますか、平和のためならば私は超党派外交はけっこうであると思いますが、福永さんが非常に御努力になって和気あいあいのうちに多少意思疎通を見るところがあって、そして歯舞、色丹はいずれ適当な国際緊張の緩和とともに返す意思があるということを再確認されたことはもっともであって、同時にそれならばアメリカも沖縄を返還すべきである、ソ連も同じ態度をとろう、これは全く論理学の趣旨にかなっておるものと思いますが、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○椎名国務大臣 ソ連側は、一九五六年に日ソ共同宣言で、(帆足委員「トラ巻じゃなくて、ほんの常識的御回答でけっこうです」と呼ぶ)いわゆる平和条約締結を条件として歯舞、色丹は返すと、こういうことを共同宣言にうたわれておるのであります。でありますから、今回のフルシチョフの発言は、これを変更したものであるとわれわれは考えておる。平和条約の締結を条件とする以外に、沖縄の施政権を返す、基地撤廃ということを新たに条件に持ち出したものでありまして、いわば共同宣言の約束に背反しておるものであるというふうに考えまして、これは私は実際的ではないし、これは何かの言いがかりか、それらのたぐいに属する発言である、かように考えております。
○帆足委員 ただいまの御答弁は、私はまことに遺憾であると思います。そういうことを申し上げますのは、保守党のかつての外交界の長老植原悦二郎氏が当外務委員会で述べたことばを御紹介したいと思います。千島の問題は、論理並びに民族感情から言えば、これはソ連に譲ることは無理である、しかし、国際法上から言うならば、これは放棄することをきめ、そうして、放棄されたあとの措置については、国際会議で、すでにヤルタ会談でしたかその他で英米ソ仏との間で話し合いがついておるから、これは国際法上は手続が済んでおる、しかし国際緊張の緩和とともに話し合う余地のある問題として解決せねばならぬ、こう申しております。私は、尊敬する当時の外務委員長植原悦二郎氏のこの説ならば、鳩山さんのお考えとも一致しておるし、われわれ野党もこれは理解し得る論理であると思います。沖縄の問題については、遺憾ながら国際法上の違反になっておりまして、すなわち、国際信託にするという約束が、もう国際信託という終着駅がなくなってしまって、漫然と占領を続けておる。したがって、国際法違反になっておる。また、日本が沖縄県民の自治権をアメリカにサンフランシスコ条約で暫定的に譲り渡すといたしましても、いま人権憲章及び植民地解放宣言、国連憲章等によりまして、ちょうど児童憲章があって、親が自分の子ならば売ろうとどうしようと自由である、買うほうも親の許可を得たならば自由である、そういうことはいま国際法で許されておりませんが、国際法の道から、沖縄県民の自治は、売るほうも売るほう、買ったやつも買ったやつ、これはタコ部屋同士の話し合いのようなものでありまして、沖縄の県民は何らこれに束縛される義務は国際法上ないというのが最近の国際法の定義でございます。まことに遺憾な状況であります。軍事基地を貸すことはできます。しかし、住民権を売り買いすることは、無償であってもできないのでございます。国連憲章違反、国際信託の規定違反並びに人権憲章違反、植民地解放宣言違反であることが明らかであることは、万国の国際法学者が認めておるところでございます。したがいまして、施政権はとにもかくにも返還して、沖縄県民が喜びも悲しみも本土の国民と同じになる、こういうことでなければならぬ。基地の問題は政治問題として問題でしょう。しかし、沖縄もまた平和憲法のもとに本土と同様に喜びと悲しみをともにする、これは私は筋の通ったことであると思います。 そこで、特に沖縄の原爆症の患者につきまして、やはり外国の支配は冷たくて、だれもお世話をする人はいないでしょうが、これを調査して、そうして、原爆症患者に対しては、重症患者は引き取り、軽症患者については日本から医師を派遣することの考慮をするということのお約束を総理府と前長官の時代にいたしたのでございますが、その結論はどうなりましたか、結末及び今後の措置を一言だけ伺っておきたいと思います。
○三枝説明員 原爆症患者の問題でございますが、この前御質問がありまして以来南連を通じまして調査しておりますが、現在の段階では、御承知のとおり、私どもといたしましては、先方から、詳しく言いますと米民政府並びに琉球政府のほうから、結核患者の受け入れのようなぐあいに、かくかくの患者について本土の医療を受けてほしいということで受け入れることになっておりますが、最近までの状況では、その点目下調査中のようでございます。先方も動いておるようでございます。まだ正式にだれだれというぐあいに具体的に名前をあげて本土の受け入れを要請している段階にはなっておりません。
○帆足委員 時間がありませんから簡単にいたしますが、ただいまの問題につきましては、外務委員会で質問がありまして、政府当局が善処してくださるということでありますから、われわれも感謝しております。この次の外務委員会で逐次その経過及び実施の状況を御報告のほどお願いいたしておきます。 それから、外務大臣のお耳に入れておきますが、海外、特にフランスでは非常な物価騰貴であることは御承知のとおりでございますが、海外に働いておられます外務省の職員諸君の生活が、諸外国に比べまして非常に低くて、特に住宅問題その他で苦労しております。これらの問題につきましては、昨年予算委員会において質問いたしまして、大蔵省当局も善処するということでありました。これは単に外務省だけではなくて、貿易関係、金融関係その他通産省、大蔵省の外で活動しておられる方々、日本の国際収支の前衛として働いておられる方々、この方々に対する待遇が悪いとするならば、やはり、貧すれば鈍すで、衣食足らずして礼節を忘るという結果にもなりますから、私は、後ほど外務大臣が御退席後関係各省の方が見えましたら十分な資料をもちまして御要望して、予算審議の過程に組み込んでいただきたいと思います。われわれはいま野党ですから、外務省に対しては痛烈に批判もし、アドバイスもいたしますけれども、同時に、海外で働いておる外務省の各位並びに職員諸君の御努力、御苦労に対しましては、外務委員として責任を感じておるわけでございますから、どういう点に不合理な点が見られるか、同僚諸君が諸外国を歩きまして、在外公館の職員諸君の処遇の中で、こうすればもう少し気持ちよく安心して暮らしができるではないか、万里の異郷にあって、場合によっては妻子と離れておられる方々もおられるわけですから、その方々に対する配慮について後ほど質問したいと思います。 原子力潜水艦の問題につきましては、国民はまだ十分に納得いたしませんから、外務大臣に問いたださねばならぬことが多々あると思います。野原さんからも質問がありますし、私どももこの次はもう少し国民にかわって質問したいと思います。したがいまして、外務大臣といたしましては、万事これで解決がついたとお考えにならずに、野党の意見も組み込んで、そうしてただすべき問題はただし、防ぐべきことは防ぐようなお心がまえでいっていただきたいと思う次第でございます。
○安藤委員長代理 野原覺君。
○野原(覺)委員 先ほど来私どもの同僚の松井委員から事前協議についての基本的な問題について質問がなされていたのであります。これに対する政府側の回答は全くおざなりで、私ども納得できません。そこで、この基本的な点については相当時間もかかりますからあえて私は触れませんけれども、松井委員の質問されました事前協議について、若干サブロックに当てはめた具体的な点についてお尋ねをしたいと思うのであります。 サブロックは核兵器だ、これはもう明確になったわけです。九月一日でございましたか、内閣委員会で防衛庁の見解が出されて、その防衛庁から見解が出されてから、あわてふためいて政府が統一見解を出すというようなぶざまな、実にお恥ずかしい状態を現出して、そうして、サブロックが核兵器だということははっきりした。その後の情報によりますと、アメリカではサブロックを原子力潜水艦に全部備えつける、——現在はともかくとして、現時点は原子力潜水艦にサブロックを備えつけているかいないかは、これもお尋ねしなければなりませんが、将来においては必ずこれを備えつけるということが明確になっておるのであります。そこで、私がお聞きしたいことは、サブロックは核兵器だということになりますと、核兵器の持ち込みは事前協議の対象にならなければならぬ、そうなりますと、サブロックで核武装されておるときは当然これは事前協議の対象になるのだ、このように理解してよろしゅうございますか。
○椎名国務大臣 そのとおりでございます。
○野原(覺)委員 そういたしますと、サブロックで核武装をしておるかどうかという判断は一体どうしてするのか、これが国民の第一の疑問なんです。事前協議の対象になるのだと、そこまではわかる。それでは、サブロックで核武装しておる原子力潜水艦であるのかないのか、その判断を政府はどのようにしてされるのか、この点についてお伺いいたします。
○椎名国務大臣 外国の軍艦でございますから、こちらから任意に踏み込んでこれを確認することはできないのであります。あくまでアメリカの申し出を信頼する以外にないのであります。
○野原(覺)委員 信頼するということになりますと、事前協議の余地はなくなるじゃありませんか。事前協議の対象になるのでしょう。向こうの言うことを信頼するのだということであれば、何も事前協議なんということを言う必要はないじゃないですかね。いかがですか。
○椎名国務大臣 サブロックを積んでおるならば、当然アメリカは、協議の対象になるという申し合わせがございますから、協議を申し入れてまいるわけであります。
○野原(覺)委員 アメリカが申し入れしてきたならば事前協議の対象になる、協議ができる、黙っておればできない、こう理解してよろしゅうございますか。
○椎名国務大臣 さようでございます。
○野原(覺)委員 そういたしますと、アメリカは、サブロックをこの軍艦には積んでおる、この軍艦には積んでいないということを発表いたしますか、外務大臣。
○椎名国務大臣 海外に発表するかしないかはわかりませんけれども、もしも積んでおるとすれば協議をしなければなりません。でありますから、もし積んであれば、わがほうの不動の方針として、その入港を認めない、拒絶するということになるのであります。
○野原(覺)委員 あなたは積んであればと言いますけれども、積んであればということは、アメリカが積んでおると申し出た場合に限定されるわけです、政府の見解としては。それから、アメリカが、この軍艦には積んでおる、あの軍艦には積んでいない、こういうことは発表するかしないかわからないと言いますが、これはほんとうにわからぬのですか。いかがですか。
○椎名国務大臣 私は兵器の取り扱いについてはどうもよくわかりませんが、そういったものを世間に発表するようなことは私はないと思います。それから、どうせ協議しても日本はこれは受け入れるはずはありませんから、私は、入港する場合にはサブロックを積まない、いわゆる原子力をただ推進力として使用するという潜水艦だけが入港するものと考えております。
○野原(覺)委員 あなたは、原子力を推進力として利用しておる潜水艦だけが入港するのだ、こう言いますけれども、しかし、アメリカの今日の世界戦略、核戦争の戦略から言うならば、そういうことじゃないでしょう。だから、あなたの答弁を聞いておると疑問がますます深まっていくのです。どうしても納得できないわけです。アメリカが申し出てきたならば協議をする、黙っておれば協議のしようがない、で、アメリカを信頼しなさい、アメリカはうそは言いません、こういうお考えです。アメリカを私も信頼したい。また、信頼ということが外交の基本であるということくらいは私どもも理解ができます。しかし、そうなってまいりますと、それでは事前協議というものは要らないじゃないか。装備の重要な変更については、神さまのような国アメリカとも、信頼したいアメリカとも事前協議をやるのである。装備の重要な変更とは何かと松井委員が聞いたら、それは核兵器も入るのです、こういうことです。サブロックは核兵器だ、そうなれば、サブロックについては事前協議の余地が出てくるわけです。事前協議をすることになる。ところが、それじゃ事前協議をするのかと言って問い詰めてまいりますと、アメリカが黙っておれば協議のしょうがない、こういうことなんです。アメリカが、サブロックを積んでおります。こう正直に言ってくれれば事前協議ということになって協議をするんです、こういうことですね。これでは私は全く論理が一貫していないと思うんです。国民はこれでは納得できません。私は、アメリカといえども、また今日の国際情勢のもとではどこの国といえども、自分の国の利益になるということであれば原子力潜水艦の寄港を日本に持ってくるおそれは多分にある、黙って持ってくるおそれはあると思います。断じてそのおそれはございませんか。なければ、どういう論拠に基づいてそういう心配はないとあなたはおっしゃるのか、承っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 軍事同盟の相手方でございまして、それに対する信頼感がなければ、大体この同盟体制というものは成り立たないのです。さように考えます。
○野原(覺)委員 それでは、装備の重要な変更については事前協議はもう必要ない、信頼でいくんだ、交換公文の事前協議、あの必要性、安保条約の事前協議の必要はもうないんだ、こういうお考えですか。
○椎名国務大臣 私は、アメリカも、日本はもう不動の方針として核兵器の持ち込みを絶対に許さないという方針を堅持する以上は、たとえその必要を感ずるようなことがありましても持ち込むことについての協議をしてこないだろうと思うんです。そういうふうに思うんです。でありますから、核兵器持ち込みについての問題は、実際問題として協議の対象に私はならないだろうと思う。ならないということが必要がないということじゃない。協議という制度があって、そしてこれによって日本がノーと言えば持ち込まないという約束がちゃんと取りつけてありますから、この約束があるというそれ自体が非常にものを言うのであって、現実に協議が行なわれないから必要はないというようなことには私はならないと思うのです。いわゆる伝家の宝刀ということを言いますが、それにやや似たような関係にあると思います。
○野原(覺)委員 日本がノーと言えば核兵器を持ち込まないという約束を取りつけてある、いつどういう形で取りつけておるのですか。
○椎名国務大臣 アイゼンハワー・岸前総理大臣、その間において共同声明が発せられまして、その中に明瞭に書いてあるのであります。
○野原(覺)委員 それは岸・アイクの共同コミュニケでしょう。装備の重要な変更については事前協議をするということだけでしょう。事前協議をする。核兵器を持ち込まないとはどこにも書いておらぬじゃないですか、そのコミュニケには。どうなんですか。
○椎名国務大臣 事前協議を要する重要な装備の変更は何か、これは先ほどからしばしばお答えしておるように、核兵器の装備ということに了解が一致しておる。そして、この事前協議につきましては、さらに共同声明によって、日本の意思に反して協議の内容を強行することはない、こういうふうに言ってあるのでありまして、この一連の文書並びに声明というものの解釈は、これを要するに、核兵器は事前協議の対象になり、もし協議をした場合には日本がノーと言えばその持ち込みは実行されない、こういう約束になるわけです。
○野原(覺)委員 装備の重要な変更については、松井委員の質問で非常に問題のあったところでしたが、装備の重要な変更の中に核兵器が入るということは、先ほどの答弁は、アメリカと話し合いをしていく過程の中でそういうことが了解されたんだ、何も文書を取りつけてないんだ、こういうことです。私はこのくらい弱いものはないと思う。岸・アイクの共同コミュニケというものは、言うまでもなく、単に、装備の重要な変更については事前協議をする、ただそれだけのことなんです。その事前協議にあたっては、日本の意に反してはアメリカは強行しないということはあるけれども、装備の重要な変更とは核兵器をさすんだということは、明確に文書で確認されていない。もし、核兵器をさすんだということであれば、先ほどアメリカ局長が核兵器の定義を言われておりましたが、私はお尋ねしたいのですが、小型核兵器、小銃弾のような核兵器も、アメリカ局長の言うような定義に合致しておる限りは、核兵器だと理解してよろしゅうございますか、外務大臣。
○椎名国務大臣 核弾頭を持っておる限りにおいては核兵器であろうと思います。そうすれば、当然事前協議の対象になる。
○野原(覺)委員 そうなると、その小銃弾のようなものでも事前協議の対象になるんだ、いわゆる小さな小型の核兵器も事前協議の対象になるんだ、こういうことですね。
○椎名国務大臣 そういうわけです。
○野原(覺)委員 たいへんこの点は問題がございますが、時間がありませんから、いずれあらためて論議をしてみたいと思います。 そこで、次にお尋ねしたいことは、補償の問題についてです。先ほど発表されました公文書の覚え書きを拝見いたしますと、原子力潜水艦の被害については、責任及び補償に関するいろんなことをずっと述べておられる。そこでお尋ねいたしますが、この補償、つまりアメリカ側の責任というのは、無過失責任であろうかと私は思う。いかがですか。
○椎名国務大臣 無過失責任であります。
○野原(覺)委員 無過失責任でございますね。もう一度。
○椎名国務大臣 申し落としましたが、人的損害については無過失責任です。
○野原(覺)委員 人的損害については無過失責任だということは、どこでそういう規定がなされておりますか。
○竹内説明員 覚え書きの八ページをごらんいただきますと、事故が発生した場合の補償については、地位協定の規定に基づいて措置する、地位協定十八条5項(a)の規定に基づいて、日本国の法律百四十七号は、同法が自衛隊の船舶に適用される限度において、通常の原子力潜水艦にかかる事故で、疾病を含め、負傷または死亡をもたらしたものについての請求の処理に対しても適用される、つまり、日本国の法律第百四十七号が自衛隊に適用される限りにおいては、同じようにアメリカもそういう手続で処理いたします、こういうことでございます。そして、法律第百四十七号、これには無過失責任を規定しておりますので、したがって、アメリカ側も人的損害については無過失責任を負うということがここで明らかになっておるわけでございます。
○安藤委員長代理 野原さん、ちょっと御了解いただきたいのですが、外務大臣は退席されなければなりませんので、お願いします。
○野原(覺)委員 非常に大事な点ですから、もうしばらく。 そこで、外務大臣、いま政府委員の答弁されたことは非常に重要な点です。自衛隊の船舶が原子力事故で災害を起こした限度において適用されると言いますが、一体自衛隊の船舶は原子力を利用することはできますか。
○竹内説明員 法律第百四十七号におきましては、自衛隊を排除する明文の規定がございません。したがいまして、原子力損害の賠償に関する法律、これが理論的には自衛隊に適用になる。そういう意味から、アメリカもその法律で責任を負います、こういうことでございます。
○野原(覺)委員 なるほど百四十七号には自衛隊の規定の適用を除外するという明文はないでしょう。ないでしょうが、原子力基本法によって、原子力は軍事目的に使ってはいけないとあるじゃありませんか。そうなれば、自衛隊に適用されるということはあり得ないんだ、私はそう理解をする。原子力が自衛隊に適用されますか。百四十七号にはなるほど書いてない。しかし、原子力基本法によって、原子力は軍事目的には使ってはいけないと書いてある。そうなれば、自衛隊に適用できないじゃありませんか。どうですか。
○兼松説明員 ただいまの御質問に関しましては、すでに昨年、一昨年の予算委員会でもたびたび質問がなされまして、池田総理からも御答弁があったわけでございますが、その趣旨は、原子力を推進力とするような形の船舶、車両等の使用が一般化するならば、そういう推進力として原子力を使うような機関というものが世の中一般に使われるようなときに、それは、原子力基本法第二条の平和利用ということのゆえに自衛隊がそういう原子力推進機関を使ってはいけない、そういうふうには解釈しない、したがいまして、特別のいわゆる原子力兵器というものではなくて、そういう一般化された推進装置というものが使われるような時代になれば、当然自衛隊も、原子力基本法にかかわらず、そういうものは使って差しつかえない、こういうふうな政府の公式解釈になっております。そういう意味におきまして、百四十七号の国というもの、自衛隊が国としてそういう関係で無過失責任という意味の法律的な関係に立つ。その自衛隊が負うような無過失責任、そういう責任は米国の潜水艦の場合にも同じような責任があるんだ、こういう趣旨で米側の覚え書きが出されておるわけであります。
○野原(覺)委員 現在ただいまでは原子力が自衛隊の船舶に使われておるかということを聞いておるのです。いかがですか。
○兼松説明員 この原子力損害の賠償に関する法律の適用の趣旨でございますが、現在自衛隊が原子力推進の機関を使えるかどうかということとは直接関係ございません。たとえて申しますと、長距離爆撃機、これは攻撃用でございますので、日本の自衛隊としては必ずしもそういうものは持ってない。しかし、米軍が長距離爆撃機を持っていることは当然でございまして、もし自衛隊がそういうものを持てると仮定した場合に自衛隊について適用あるものは当然米軍についても適用があるのだ、こういう趣旨でいまの自衛隊と米軍との関係が現在も考えられておるわけでございまして、現在自衛隊が持ってないから、したがって自衛隊が持ってない範囲において米軍もその関係では日本の法律の適用がないのだというふうには了解しておらないわけでございます。したがいまして、現在米軍のものと同じものを自衛隊が持ってない、そのことから直ちに自衛隊に適用ある法律が逆に米軍に対してその適用がない、そういうふうな論理にはならないわけでございます。
○野原(覺)委員 これはおかしいですよ。この百四十七号というものについては、私読んでみますと、こう書いてあるでしょう。「地位協定第十八条第5項(a)の規定に基づいて、一九六一年六月十七日の日本国法律第百四十七号は、」——これは原子力損害の賠償に関する法律です。「第百四十七号は、同法が日本国の自衛隊の船舶に適用される限度において、」云々、こう書いておる。そこで、問題は、自衛隊の船舶が原子力の事故を起こすおそれがあるのかないのかということです。今日ただいまでは自衛隊の船舶は原子力は使ってないはずです。使っておりますか、今日ただいまで。それを聞いておるのですよ。
○麻生説明員 防衛庁として考えておる点をお答えいたします。 先生からいま、防衛庁は現在原子力を動力とした艦艇を持っておるかどうかという御質問でございましたが、防衛庁としてはそういう艦艇をいま持っておりません。ただ、原子力基本法の解釈におきまして、原子力の研究、開発、利用は平和の目的に限りという解釈をどう解するかということにつきましては、先ほど外務省から従来政府においてお答えしておる点の御披露がございましたので、省略さしていただきます。 それから、エード・メモワールとの関係で私どものほうで理解しております点は、要するに、このエード・メモワールは、地位協定十八条第五項(a)の損害賠償の問題であろうと思います。それに限定して考えればいい問題であろうというふうに考えるわけであります。したがいまして、この十八条第五項(a)の規定の趣旨は、合衆国軍隊の行動が自衛隊の行動であったとした場合に、その行動による損害の賠償の請求権に関する日本国の法令を適用するということでございまして、自衛隊がそういう原子力を動力とする艦艇を現在持っておるかどうかということと、そういう国内法上の問題とは全然別に、要するに、合衆国軍隊のやるような行為をもし自衛隊がやったとしたら日本の国内法ではどうなっておるかということで考えればいい問題じゃないかというふうに考えるわけでございます。そうしますと、原子力損害の賠償に関する法律は、これは、同法の二十三条を見ますと、国に適用されることははっきりしておるわけであります。したがいまして、自衛隊についても何ら適用を排除する規定はないわけでございますから、そういう行動によってもし損害を生じたとき、その損害についてどういう判定をするかということについては、原子力損害の賠償に関する法律によって判定をしていってしかるべき問題であろうというふうに考えるわけであります。したがって、自衛隊が現在原子力を動力とする艦艇を持てるかどうかということとは直接関係のない問題であろうというふうに了解しております。
○野原(覺)委員 そういう了解をしておったら、私はとんでもないことだと思うのですよ。これは、「自衛隊の船舶に適用される限度において、通常の原子力潜水艦に係る原子力事故で、放射能汚染による疾病を含め負傷又は死亡をもたらしたものについての請求の処理に対しても、ひとしく適用される。」、だから、アメリカの原子力潜水艦が原子力による被害を与えた場合の損害の度合いというものは、日本の自衛隊の船舶が被害を与えた場合の損害の度合いでいくのだ、これはそういう文章になっておりますよ、このエード・メモアールというのは。そうなってまいりますと、日本の自衛隊の船舶が原子力事故を起こすことはあり得ない。これは、政府の見解では違うのだと言うけれども、原子力基本法には平和目的と限定しておるのですよ。自衛隊の船舶は軍事目的なんです。だから、自衛隊の船舶が軍事目的であれば、原子力を軍事目的に使ってはならぬという原子力基本法から言って、自衛隊の船舶が原子力事故を起こすことは今日はあり得ないけです。そのあわ得ないものをあげて、その補償限度においてアメリカのほうは支払うというんですから、あり得ないものをあげて、あり得ない自衛隊の船舶が事故を与えたその限度で支払う、こういうような人をばかにしたことは私はあり得ないと思う。明らかにあり得ないものをあげて補償限度で支払うということは、結局補償についてはしないということなんです。このエード・メモワールからいけば、補償はあり得ないことになりますよ。もしそうでないとしたならば、この覚え書きの文章の構成が間違いなのかどうか。私はそう理解せざるを得ない。この問題については政府としても研究をしていただきたい。 もう一点で私は終わります。最後の一点は、「使用済み汚染除去剤は、港内又は陸地の近くでは決して放出されることはなく、したがって、寄港に関連して危惧するにあたらない」、こうエード・メモワールに書いてある。そこで、私がお聞きしたいことは、陸地の近くでは放出されないというのだが、一体陸地の近くとは海岸から何海里をさしておるのか、明確ではございません。これはどうなっておりますか。
○竹内説明員 この点は、昨年の六月の中間報告を見ていただきますとはっきりいたすと思います。少なくとも沿岸から十二マイル以内では捨てない、また、すでに知られておる漁区の内部では捨てない、さらに、捨てる船が進行中であること、並びに付近三マイル以内に船が見えないこと、この点がはっきりしておりまして、少なくとも十二マイル以内では捨てない、漁場では捨てない、そういうことがはっきりしております。この点は寄港と関係ないと申しましたのは、寄港する場合でもしない場合でも、あるいは付近を通るかもしれない、こういうただ付近を通る場合には寄港とは関係ないということでございます。
○野原(覺)委員 日本の原子力科学者によりますと、沿岸から十二マイルの投棄でも海流とか天候の都合で汚染が海岸付近にやってくると言っております。この点、原子力科学者の見解を聞いてそういうことにしたのかどうか。これは政府の独断じゃございませんか。海流やらあるいは風向きによっては十二マイルのところで捨てても海岸へやってくる、そう言って科学者の皆さんは騒いでおるじゃありませんか。この点いかがですか。こういう投棄基準については科学者の見解を聞いてこのエード・メモワールができたのかどうか、政府の独断でこういう覚え書きをつくったのか、いかがですか。
○村田説明員 ただいまの御質問は、十二海里以上離れた公海上における放射性物質の廃棄の問題に関連してでございますが、ただいま外務省当局からもお答えがございましたように、公海上におきますこのような問題は、国内法ではこれを適用してどうこういうことができないわけでございます。先ほど国内の科学者の意見がこれこれというお話もございましたけれども、このような問題は、寄港ということと直接関係なくても、国際的に科学的に研究し、そうして考えていかなければならない問題である、このように考えております。現在、ウイーンにございます国際原子力機関におきまして、ここ数年来海洋におきますこのような放射性廃棄物の投棄につきまして科学的な検討が行なわれております。
○野原(覺)委員 それでは、同じこのエード・メモワールに、「既知の漁区の近傍ではいかなる所においても放出されることはない。」、こう書いておりますね。既知の漁区とは何ですか。どういうことですか。
○村田説明員 エード・メモワールの中にございますように、このような措置に関して日本側が通報する情報を向こうは受け取るということを書いてございますが、私どもとしましては、日本側が通報します漁区が既知の漁区と相なるものと考えております。
○野原(覺)委員 既知の漁区というものはどれだけあるのですか。十二海里までは捨てないということだが、十二海里、二十海里、三十海里、私の理解するところでは、既知の漁区というのはずいぶんん海岸からいろいろな網が敷かれてある。そこで魚をとっておる。ほとんど日本の海岸は漁区で一ぱいです。既知の漁区というのはどのくらいあるのですか。
○竹内説明員 その点は水産庁に御説明いただいたほうが正確だと思います。
○野原(覺)委員 科学技術庁が政府に対する報告の中で書いておる。しかも、エード・メモワールの覚え書きというのは、これは日本とアメリカの覚え書きでしょう。日本とアメリカの覚え書きで、そうして既知の漁区ということを書いておる。水産庁が来ていなくても、外務省が答弁できなくちゃいかぬじゃないですか。この覚え書きは外務省が書いたのでしょう。その覚え書きに既知の漁区と書いてある。既知の漁区はどこなんだということを私もわからないから尋ねておる。水産庁に聞けとは何事ですか。一体外務省は知らぬことを書いたのですか。いやしくも覚え書きについては答弁の責任が外務当局にあるのではありませんか。いかがですか。
○竹内説明員 これはアメリカ側から来た文書でありまして、ここに該当しますものはアメリカの海軍の規則にも同じことが書いてございます。外務省といたしましては、既知の漁区という概念、これについて同意いたしたわけでありまして、具体的にどういう地域が日本近辺において既知の漁区に該当するかということはつまびらかにいたしておらない次第であります。
○野原(覺)委員 先ほどの原子力局長の答弁とあなたの答弁は違いますね。先ほどの答弁によると、既知の漁区とは日本人が操業しておる漁区なんだ、それを向こうに通報した漁区なんだ、こう概念規定をやっておる。ところが、いまあなたの答弁によると、そういう概念はまだ明確でないのだと言っておる。既知の漁区というのはどっちなんですか。国際的に承認された漁区をいうのか、それとも日本人が操業しておる漁区が既知の漁区ということになるのか、どっちなんですか。これははっきりしてもらわなければいかぬ。汚染物質をそこに捨てるか捨てないかという重要な問題なんです。漁区を持っておるところの漁師の皆さんにとってはこの点が一番関心の的なんです。どうなんですか。この概念はまだ明確ではございませんか。
○竹内説明員 概念としましては、ここにございますのは日本にあてた文書でございますから、日本が漁区と考えている個所、こういうふうに私どもは理解しております。
○野原(覺)委員 この覚え書きは日米双方で規定したものではないのですか。このエード・メモワールというのは日本とアメリカの経過覚え書きでしょう。私どもはそう理解しておりますと言うけれども、アメリカはどう理解しておるのですか。これはあいまいなままに既知の漁区というような文言をここにうたったのかどうか、いかがですか。
○竹内説明員 これはアメリカ側から受け取りましたアメリカ側の文章でございます。わが国に関する限りは、わが国が漁区と考えておる区域である、こういうことはアメリカ側も承知しております。ただし、具体的にどういう地域が日本近海でいわゆる既知の漁区であるか、これは外務省としてはまだつまびらかにしておらない次第であります。
○野原(覺)委員 そうなりますと、外務省でいまつまびらかにしておることは、日本人が操業しておる漁区のことなんだ、その漁区については当然アメリカ側に通告する、そしてアメリカの原子力潜水艦はその漁区の地図か何かを持っておる、こういうことになるわけですね。
○竹内説明員 日本側からそういう通告をすれば、潜水艦の艦長にはこれを渡すということは了解されております。
○野原(覺)委員 それでは、この点については、あらためて外務省に対して、既知の漁区とはどこをさすのか、地図の上で線を引っぱって、どれとどれが既知の漁区なんだ、アメリカに通告する既知の漁区というのはここなんだという資料をすみやかに出してくださるように要求しておきたいと思います。
○竹内説明員 この点は外務省一存ではまいりませんので、御趣旨は水産庁に伝えまして、協議いたします。
○野原(覺)委員 重要な点で外務大臣がいないので、外務大臣がまいりましてからお尋ねしたいと思うのですが、どうも事務的な事柄だけを聞いては問題の解決になりませんので、終わりたいのですけれども、事務上一点だけ私はここでお尋ねしておきたいと思います。それはバックグラウンドの測定の問題です。原子力委員会の報告書が先般当委員会に配付されまして、私もそれを拝見いたしましたが、その報告書によりますと、こう書いてある。「政府が同国原子力潜水艦の寄港を認める場合には、環境の安全を確保するため、政府において次の措置をとるべきである。」、(一)として、「あらかじめ寄港地についてバックグラウンドの測定等必要な環境調査を行なうこと。」、こう書いてある。具体的な方法は何も書いていないのです。新聞の報ずるところによると、科学技術庁が中心になりまして、各省の次官会議でございますか、これをもって何がしかの予算の要求を大蔵省に提示したということも私どもは聞いておりますが、このバックグラウンドの測定の具体的な方法はどのように考えておるのか、これは科学技術庁にお尋ねしたい。
○村田説明員 政府の寄港許諾の決定がございまして、直ちに科学技術庁としましては関係各省の方にお集まりいただきまして、数回にわたり協議しました結果、以下のごときバックグラウンド調査をいたすことに決定いたしております。御指摘の点は事前調査に触れておりますので、事前調査だけを申し上げますが、事前調査につきましては、寄港を予定されております佐世保及び横須賀の両港湾につきまして、寄港前に海水、海底土並びに海産生物、それからその港湾におきます空間線量、これらについての調査をいたす計画でございます。
○野原(覺)委員 そういたしますと、その程度の調査で可能であるかということが原子力科学者の間で問題になっておりますね。非常に私もしろうとですからわかりませんけれども、この調査の方法というのは実にむずかしい、しかも長期間にわたってやらないというと、プランクトンの関係やら海流の関係やらいろいろなことでなかなかつかめないのだ、少なくとも正確な、たとえば佐世保の港の放射能の状態というものを測定しようとするならば、一年間くらいは継続して春、夏、秋、冬の季節にわたって、あるいは海流のぐあい等も考えて記録をとってやらないことにはこれは的確でない、こういうことが言われておりますが、その辺はどうお考えですか。
○村田説明員 一般的にわが国周辺並びに国内の環境におきます放射能の調査は、すでに数年前から、放射性降下物、つまり核実験の結果生じました放射性の降下物を対象としまして環境の放射能調査を実施してまいっております。これは、たとえば雨水量を全国十四都道府県にわたって資料をとって、毎月定期的に放射能レベルの測定をやっております。また、近海につきましても定期的な調査をやってまいっております。そういうように、これまでに一般的な環境の調査につきましてはすでに相当のデータを政府としては持っておるわけです。今回横須賀と佐世保と、特にこの二つの港に対しましてさらに詳しいデータをとるということで始めますのがこの事前調査でございますので、事前調査だけを取り出して、ほかに何もやっていないということではございません。また、その事前調査のやり方につきましては、いろいろの考えもあるかと思いますけれども、とれまで数年行ないました放射能調査の経験等を生かしましてこのようにきめたわけでございます。これにつきまして原子力委員会の御意見も承っておりますし、また、原子力委員会にございます放射能調査専門部会での御意見も承っております。
○野原(覺)委員 この問題は相当慎重にやってもらわないと、現地においてはこれが相当問題化しておるわけです。私どもは潜水艦の寄港自体に反対して政府に反省を求めておりますけれども、最悪の事態になって、もし寄港してくるということになれば、横須賀、佐世保の現地住民にとっては大問題です。いいかげんな調査でごまかしてはいけないということを私は申し上げておきたいと思うのです。 最後に、私はもう一点だけお尋ねをいたしておきます。これは外務省です。外務大臣でございますが、適当な人からでけっこうです。外務大臣がこの十日の外務委員会で発言をされましたその中に、「過去一年八カ月にわたって可能な限り最大限の資料と情報の入手につとめ、慎重に検討を加えてきた。」、こうあるわけです。原子力潜水艦の安全性の問題については、これは昨年一月から問題が起こって、そして中間報告が出されて、学術会議の反対決議がなされ、科学者からもいろいろ批判がなされ、国会においてもこれが大問題になった。そこで、政府は最大限の資料と情報の入手に一年八カ月にわたってつとめられた、こういうわけです。一体最大限の資料とは何を言っておるのか、最大限の情報とはどれをさしておるのか、私も勉強したいと思いますので、お教え願いたいと思います。
○竹内説明員 米側といろいろ折衝してまいりました結論というかエッセンス、これはアメリカ側からのエード・メモワール並びにアメリカ政府の声明に尽きておるわけでございます。
○野原(覺)委員 その資料と情報というのは、これは公文書が出されておる程度のものではございませんか。エード・メモワールとか情報文化局の発表とか、そういう資料ですか。最大限の資料という資料はどういうものか、ひとつ具体的におっしゃってください。
○竹内説明員 これはアメリカが公表しておりますものならば差しつかえないと思いますけれども、たとえばスキップジャック号上のヒヤリング並びに米国海軍艦船局の原子力潜水艦の運航に関する通達、そういう種類の資料でございます。
○野原(覺)委員 これも委員長にお願いいたしますが、その最大限の資料を国会に出してもらいたい。先ほどの既知の漁区と同じように、これはぜひ出してもらいたい。アメリカ側が公表しておるものならば差しつかえないと思いますがということですが、公表できないところの資料もあなたのほうは持っておられるだろうと思う。その点についても、名前だけでもいいから聞かしてもらいたい、非常に重要な問題ですからね。一年八カ月の間慎重に検討された、こう言われるわけですから、何について一年八カ月の間検討してきたのか。もうすでに中間報告を出された当時政府は原子力潜水艦の寄港については認めようという方針をとっておったのではないか。ただ、一年八カ月の間、いかにして国民をごまかすか、いかにして反対派をごまかすか、これだけのことしか一年八カ月の間やっていないのじゃないか。私は率直に言ってそういう感じを持つのです。ほんとうに一年八カ月間最大の資料——最大とこう大きな表現で書かれておりますから、どういう資料をさして最大と言っておるのか、どういう情報が最大の情報なのか、慎重に検討したというが、どういう検討をしてきたのか、ここら辺をもう少しく掘り下げて次の機会に質問したいと思う。以上の資料をすみやかに、これは一年八カ月の間検討したあらゆる資料を出してくださるように正式にお願いしておきます。 以上で終わります。
○竹内説明員 大臣がどのような意味で最大と言われましたか、私はっきりは存じませんけれども、日本側あるいはアメリカ側においてお互いに出し得る資料、できるだけの分を検討した、こういう意味だと思います。その検討の間におきましては若干の資料はあったわけでございますけれども、これはアメリカ側との関係もございますので全部お出しするというわけにはまいらないと思います。しかしながら、どの程度の資料が提出可能か、これについては検討いたします。
○安藤委員長代理 ただいまの野原君の資料の御要求に対しましては、慣例に従い当局におかれてそれぞれ善処せられんことを望みます。 帆足計君。
○帆足委員 私は外務省の在外職員の待遇改善について質問したいと思うのですが、ただ一点だけ、いまの野原君の質問に関連しまして、原子力潜水艦に関する海水汚染についての調査費が一億数千万円予備費等から計上されておるようでありますが、こういう費用は当然アメリカ側が負担すべきものであると思います。やっかいなものをかかえ込んだ上に、一億数千万ものお金を使うくらいなら、公団住宅でもつくっていただくほうがいいのですが、この経費はどういうふうに処理するつもりですか。
○村田説明員 事前調査を含めまして、潜水艦の寄港に関連します横須賀、佐世保両港湾についての放射能調査に必要な経費は国の予備費から支出することにいたしております。
○帆足委員 それは当然アメリカ側が補償すべきものでないでしょうか。そんな余った金がわれわれ税金から使われることは、まことに迷惑しごくなことであって、それならば早く住宅難解消のために使ってもらいたいと思いますが、政府側はどう考えてそう独断的にわれわれの税金を使おうとするのですか。アメリカ側から支出させるように交渉なさったらいかがですか。
○竹内説明員 この問題につきましては私も権威のあるお答えが申し上げられませんけれども、これは、日米安保条約におきまして日本側が施設・区域を提供するということに伴いまして、日本が負担すべき当然の費用、こういうふうに考えますので、いまのところアメリカ側に請求するということは考えておりません。
○帆足委員 サービス過剰であると思いますが、それはひとつお考え置きを願って、アメリカに出させるようにわれわれは希望したいと思っております。 もう昼食の時間も過ぎまして、人は腹の減る動物でございますから、外務省の在外職員の待遇につきまして御質問したいと思うのです。 昨年の予算分科会におきまして、私はこのことを質問いたしまして、大蔵省当局並びに文部省当局に善処を要望いたしました。と申しますのは、日本は、日本国というよりも日本丸と言っていいくらい船の国、海の国、貿易の国です。日本の生命を維持しておるのは原材料の輸入であり、輸入をまかなうためにわれわれは輸出せねばならぬ。海外貿易はすなわち呼吸に当たる。吐く息は輸出、吸う息は輸入、呼吸を束縛すればすなわち死だ。したがって、平和と貿易の問題は民族死活の問題でありまして、ある程度超党派的に協力し合わなければならぬ課題であると思っております。したがいまして、その先兵として働いておられる外務省の在外公館の各位、通産省、大蔵省の各位並びに民間の生産、貿易、金融、保険関係の各位の御努力に対して、私は敬意を表するものでございます。したがいまして、それらの方々が安心して仕事ができるように配慮することは、むしろ本土におる国民のつとめであろうとかねて思っております。そこで、われわれ外務委員ですから、当面主として外務省の在外公館各位並びに職員諸君の待遇改善について、待遇の適正化について質問したいのですが、国内の官公吏の職員には人事院勧告というのがありますが、在外公館の職員諸君の待遇については人事院勧告というのがないのですか。何かそういう機関があるのですか。お尋ねしたい。
○高野説明員 在外の職員につきましては、人事院勧告というものはございませんが、しかし、外務省に人事審議会というものを設けまして、外務省の職員並びに民間の知識、経験者を入れまして、それの勧告に待ちまして、在勤俸の増額をはかる、そういう仕組みになっておる次第であります。
○帆足委員 私は、諸外国に比べまして、国内でも低賃金でございますから、在外公館におきましても多少見劣りのすることはやむを得ないと思いますけれども、やはり、外国に出れば、そこは他国のお座敷ですから、あまり見劣りする貧相な思いはさしたくないというのが国民の気持ちであろうと思います。いまの外務省のその審議会というのは、人事院のように定期的に開かれ、定期的に勧告をし——人事院は権威のあるものなのですが、この人事院審議会はどういう機構になっておるのか。現状は、たとえばフランス等におきましては、物価騰貴は三割を越しておるように承知しておりまするし、また住宅費なども倍を越えておる。それにまた似た状況の国々もたくさんありまするし、一般的に一割ないし二割の物価騰貴を来たしておるようでございますが、そういう問題に対しまして、いまの審議会は敏速に暫定措置でも講じ得るような機構になっておりますか。伺っておきたいと思います。
○高野説明員 外務省設置法に基づきまして外務人事審議会というのができておりまして、会長の下に委員、民間の方、大学の先生及び外務省の職員、外務省の先輩をもちまして毎月一回ずつ会合がありまして、在勤俸の問題並びにそれ以外に在外職員のあり方等につきまして審議をしておる次第でございます。
○帆足委員 その審議会は昨今の物価変動に対しまして権威ある勧告を政府にしておりましょうか。聞くところによりますと、外務省の官公吏諸君は団体交渉などというようなものは大体できない、やらないことになっておるように聞いておりますので、そういう善意の機関が公正に処置してくれなければ、職員諸君は非常に困ると思いますが、それはどうなっておりましょうか。
○高野説明員 審議会の意見に基づきまして、在外の在勤俸を常に的確に把握するということで、いま外務省は在外公館全部にわたりまして物価の実勢、俸給のあり方についての報告を求めておるわけであります。まだ全部出そろっておりませんが、かたがた、審議会の御意見で、それ以外に実質的に俸給を上げるように、在外子弟の教育の問題とか住居の問題ないし休暇帰国等の問題につきまして強く意見を出されておりますので、来年度の予算におきましては、全部データがそろわないので在勤俸の改正までいかずに、そういう実質的な待遇の改善ということを来年度の予算で要求しておる次第でございます。
○帆足委員 人事院勧告はしばしば行なわれておりますし、権威あるものとして実現を見ておりますが、人事院勧告がなされるのと比例して、そのくらいの回数の給料の改定並びに勧告をいまの審議会はいたしておるのですか。
○高野説明員 国内と違いまして、在外公館は世界各国にわたっておりますので、なかなか一年では具体的な的確なデータが集まりませんので、やはり二年、三年になる次第でございまして、今後は軌道に乗りますれば三年ごとに必ずやるというようなことも必要になってくるのじゃないかと考えておる次第でございます。
○帆足委員 そのような状況であるとすれば、外務委員会におきましても、日ごろ仕事をともにしております外務省の在外公館の指導的幹部各位並びに職員各位が後顧の憂いなく仕事のできるように、われわれ外務委員も深い関心を持って側面から公正な処遇が行なわれるように御協力せねばならぬと私は思う次第でありますが、最近私もわれわれの同僚も国会閉会後諸外国を旅行いたしまして、いろいろ在外公館のお世話にもなり、また勉強もいたしてまいりました。同僚議員各位の話を聞きましても、一方外務省の現在の調査能力並びに勉強の方法等についてはわれわれ苦言を呈し、助言をいたしたい点もあります。それは根本的問題でありますのでさらに審議が必要であると思いますが、同時にまた、それだけの御活動を要望するならば、それに必要な処遇、住宅、自動車、交際費、あるいはまた子弟の教育、病気の対策等につきまして適切なる措置をいたしておくことが必要であることを痛感いたしております。特に、人間というものは、一家団らん、家族そろって生活してこそ子供の教育もでき、生活の喜びもあるわけでありますけれども、少なからざる方々は妻子と別居いたすことを余儀なくされたり、あるいはまた子弟が大きくなれば当然本土の大学、高等学校等に帰さねばならぬ。そういうことに対する措置は十分とられておるかと思いましたら、案外に非常に立ちおくれになっている。一体外務省の審議会は何してござると私は申し上げたいくらい欠陥を痛感いたしたのでございます。特に、外交官の各位はまた転勤ということがしばしば行なわれます。そうしますると、一番の問題である住宅問題に対して十分な備えがあるかと思っておりましたところが、ほとんど備えなし、そのために、一時はホテルの借り住まい、そして住宅探し、家具調度の調達等に不安な生活をせねばならぬ。また、海外におれば当然中型自動車くらいを持って、運転のできぬ人は今後運転のけいこもさせて、自動車を持ち得るように協力してあげたほうが能率がよいのではなかろうか。アメリカなどにおりまして自動車を持っていなければ全く処置なしであります。こういう問題も、今後は若い外交官諸君は自動車の運転くらいは同時にできるようなことでなくてはならぬ。また、子弟の教育につきましては、現地における教育、これは民間の貿易商社、金融、生産会社等の子弟と共同で日本語及び日本の教育をし得る施設を充実する必要がある。また、十分な日本の教育を受け得なかった愛らしい子弟たちが国内に戻ってまいりましたときは、文部省当局はそれに対して理解ある態度で受け入れ体制を考えてもらいたい。また、私は、ただいまの学生諸君の思想的混乱を見るにつけまして、本来文部委員会で論ずべき問題は山ほどあるのでありまして、百の説教よりも政府みずからが率先して施設を充実することが大事であります。第一、学生諸君を野放しの下宿に置いておくことも私はどうかと思っているのです。学生下宿制度などというものは、一つの免許制度にでもして、十分な配慮と監督、保護を文部省はすべきであり、学生の病気に対しては全責任を学長が持てるくらいでなければならぬ。子供たちの宿も、生活も、それから健康の保持もできないようなことで、ソクラテスがやせようと肥えようと学長さんが学生諸君の心をつかまえることはできないのであるまいかと私はかねて思っております。これは一般問題ですが、しかし、在外公館及び民間もそうですか、外国で国民の先兵として犠牲的な働きをされておられます御家庭の子弟に対しては、文部省当局は、せめて寄宿舎をつくるなり適切な措置をおとりになって、安心してその御両親たちが外で活動できるような便宜をはかっていただきたいと思います。ただいま来年度の予算に繰り込むというお話でしたが、こういう問題をあげて調査して十分繰り込んでいただきたい。私は、昨年の予算分科会でも質問いたしましたが、在外公館の特に職員の方々の待遇などは実にひどいものであって、これでよくぞノイローゼにならないで働いておられると思いまして、文部省だけでなくて、特に大蔵省の主計官殿の査定が少し立ちおくれておって、大蔵省の主計官諸君はこういう問題について理解が薄いのか、一体体温がどのくらいあるのか、仁丹体温計を持ってきて主計官の体温をはかってみようと思ったくらいでございます。そうしましたら、とにかくこの問題については適切な善処をするという御答弁でありましたから、それを大いに期待したのでございますけれども、最近の物価騰貴は非常にひどくて、フランスで三割、イタリアそれからオランダ等では二割、その他の国々では一割幾らの物価騰貴でありますし、特にフランスその他では住宅費が倍にもなっておるという指数を見まして、これはほうっておけないじゃないか。したがいまして、この外務省在外公館の職員の処遇につきましては、一つは一般的な改定の時期がある。一つは暫定的措置を考えなければならぬ。三年間もほうっておきますれば、いま狂欄怒濤の世の中でスピードの時代でありますから、間に合いません。といいって一年も遡及して給料を払うということも困難でありますから、暫定措置もでき得るようにし、そして中間暫定措置もでき得るような制度にしていただいたらどうであろうか。非常なインフレーション、物価騰貴、また政局の変動等々のために経済影響を受けた地域に対しては、特に暫定措置が急いででき得るようにもしておく。 いずれにいたしましても、海外で働いている人たちの御苦労のほどをもう少し深く大蔵省当局及び文部省当局が認識せられて、そして、いま予算編成の進行過程でありますから、いまなら間に合いますから、御配慮願いたい。同時に、外務省といたしましては、早く調査をお取りまとめになって、今次の予算編成の過程にそれを繰り込まれることを切に要望いたします。 さらに、最後に私は、外務省の在外公館の働きぶりを見まして、外務省というものには戦前は日本の軍部及び封建勢力から来た外交のワクというものがありまして、その軌道に対してレジスタンスすることはできなかったわけでございます。したがいまして、鉄鋼自給力三百万トンで六千九百万トンのアメリカの鉄と戦い、ソ連、イギリスを敵として戦う。日本には満鉄の調査部もあり、当時は企画院もあり、外務省もあったのに、とうとうとして時流に身をまかして、最後には日本の鉄二百万トン、アメリカの鉄九千八百万トンという状況で敗戦に至りましたが、このような三歳の子供にもわかるほどの大きな鉄の開きの中に身を投じてしまった。日本外交はある意味ではなかったとも言えるし、あり得なかったとも言えると思うのです。そこで、外務省の方といえば、英語がうまくて、そしてお金持ちのお嬢さんでももらって、いわば宮廷外交の延長のような形が戦前にはあったようです。しかし、いまは国民外交の時代であり、経済外交の時代であり、平和外交の時代でありますから、ドゴール政権のその帰趨に対してすら見通しがつきかねたというようなことではやはり困るのでありまして、先ほど田原君が指摘したように、南ベトナムの状況でもまことにこんとんとしておりますけれども、世の中に奇跡というものなどはないのでありまして、十分なる資料と理性を持って見れば、たなごころをさすがごとく数カ月後を大体予側し得る、そこまで最近の経済学及び社会科学は進歩しております。それに対しまして外務省の調査は比較的立ちおくれをしております。私は、できることならば六班ぐらいに分かれまして毎年外務委員が各国の在外公館を調査いたしまして、助力もし、勉強もし、督励もするというような制度があってしかるべきであると平素思っておりますが、それはとにかくといたしまして、一方では在外公館のもう少し機構の充実、もっと統計・資料の把握、政治情勢の把握等について勉強していただくということを要求するとともに、それを要求する以上は、在外公館の諸君が英米独仏に対して劣等感を持たずに、日本の代表として祖国を思いながら安んじて仕事のできるような処遇を確保することが、私は外務委員会の職責の一つである、こう思う次第でございます。 したがいまして、文部省当局、大蔵省当局におきましては、われわれ外務委員のこの心持ちをほんとに理解されておるかどうか、その理解のもとにひとつ予算の中に組み込んでいただけるかどうか、それをお伺いしておきたい。また、きょうは外務大臣、大蔵省の次官、大臣、文部省の大臣、次官がおいでになっておるわけではありませんから、御担当の皆さんから私どもの要望をお伝えくださって、同時に、あなた方が実務に当たるわけでありますから、この外務委員会の切なる要望を、公正な要望を十分御理解くださって、御協力あらんことを希望する次第でございます。 以上述べました私どもの見解に対して御答弁のほど願いたいと思います。
○永田説明員 先ほど来帆足委員から数々の、外務省官吏の身分に対しまして御同情あるおことばを賜わりまして、まことに感激をいたしております。今後とも、適正な外務省官吏の生活維持ができるように、帆足委員の御指導、御鞭撻を賜わりたいと思う次第であります。 なお、外務委員諸士が諸外国を回って外交官の活動を監視するなり、あるいは諸外国の政治、経済情勢を視察する点についてお話がございましたが、この点も全く同感でございまして、他の常任委員会におきましては、毎年のように各方面に出かけておる常任委員会もあるのであります。肝心の外務委員会がいままでこういうことをいたしておらなかったということはまことに残念でございます。私ども、これから国会のほうともよく相談をいたしまして、できるならば次の機会からは国会のほうから外務委員会の諸士の外遊の便をはかりたいと考えておる次第でございます。
○秋吉説明員 お答えいたします。 ただいま帆足先生から在外公館職員の具体的な実情につきましてつぶさな御指摘がございまして、私ども十分拝聴いたした次第でございます。御指摘の点につきましては、外務省の概算要求の事情聴取をする際に、その御指摘の点を含みまして十分検討いたしたい、かように思います。
○三角説明員 文部省といたしましては、外務公務員の子女を含めまして、海外におきます勤務者の子女の教育という観点からただいま検討いたしております。この問題に関しましては、民間の二十六社、それにこの点に関して非常な関心を持っておられます若干の個人の方々が加わりました海外勤務者子女教育対策懇談会というものがございまして、それが月に二回くらいずつ集まっては検討をなさっておられますが、私ども、外務省の方、ともどもその会合に出席いたしまして、いろいろ御相談をいたしております。来年度はこの問題を文部省といたしましても重点的に取り上げる方針になっておりまして、とりあえず、海外に在留する期間の教育の問題につきましては、従来バンコクとラングーンとニューデリーにございます日本人の子女の教育施設に、外務省のほうに御協力いたしまして国立学校の付属学校の教官を一名ずつ派遣いたしておりますが、来年度はさらに外務省の御計画に即応いたしましてなお五名程度各地域に増員いたしたい。それから、帰ってまいりました子女の教育と申しますか、日本語あるいは歴史、地理等のおくれを取り戻すための方策といたしまして、国立大学の付属中学校に、東京と大阪を予定いたしておりますが、特別の帰国子女教育学級というようなものを設ける予定で検討を進めております。なお、私立学校にも外国語教育などで特色のある学校がございますので、そういうところには協力学校というような形で御協力を求める、そうしまして、教育内容につきましても、寄り寄り研究の組織をつくる計画を進めたいと思っております。 なお、海外にそういう特別の補習教育ないしは日本人教育施設がないようなところにまいります子女のためには、家庭教育の参考といたします父兄用の学習指導の参考資料等も編集いたしたいということで検討を進めておるような次第でございます。
○帆足委員 委員長、ただいまのような御趣旨で御努力くださればまことにしあわせでありまして、いずれ予算委員会でまたその進行の過程を御説明願いますが、そのときは皆さんに感謝のできますように、どうかただいまの御趣旨を御推進くださるようにお願いいたしまして、質問を終わります。
○戸叶委員 ちょっと文部省の方に伺いたいのですけれども、日本の高等学校の生徒で外国の高等学校の生徒と文通をしたいというような希望の人がたくさんいると思いますけれども、それは私どもが個人的にするよりも、そういうふうな手紙がありましたら文部省のほうでお骨折りを何とかいただけるでしょうか。その点をちょっと伺いたいと思います。
○三角説明員 これはちょっと私の直接の所管かどうかはっきりいたしませんが、郵政省の所管の団体として民間の日本郵便友の会協会というのがあります。そこがそういう青少年の外国との文通の交換につきましてあっせんをし、また、どういった文通の姿が正しいあり方であるかというような指導もいたしているように承っております。
○安藤委員長代理 この際、午後四時五十分再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五十九分休憩 ————◇————— 午後四時五十三分開議
○安藤委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。戸叶里子君。
○戸叶委員 この前の委員会で質問をいたしましたときにはっきりしませんでした点やあるいはまた伺い足りなかった点、二、三点だけ伺っておきたいと思います。 まず、ちょっとした問題なんですけれども、原子力潜水艦の外国の港における運航に関する合衆国政府の声明というのがあるのですが、その中で、最初のほうに、「合衆国政府は、また、合衆国の港における運航に関連してとられる安全上のすべての予防措置及び手続が、外国の港においても厳格に遵守されることを保証する。」とありますが、この手続というのはどんな手続であるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○竹内説明員 これは、アメリカの原子力潜水艦が港に入ります前には、そこの海流あるいは気象状況、そういうものを判断いたしまして、どの場所に停泊するかというようなことをきめますいわゆるポート・アナリシスというものを行うそうでございます。そういうことをアメリカは国内における港の場合と同様に外国の港でも行ないます、こういうことであります。
○戸叶委員 それはそのままにしておきまして、この前のときに、原子力潜水艦が外国の港に入るときに通常通告をする、通告しない場合もあるということをアメリカ局長がお答えになったのですが、通告しない場合はどういうふうなときでしょうか。大臣、お答えになっていただけませんか。
○竹内説明員 通常通告すると申しますのは、通告しないことはほとんどない、こういうふうに私どもは了解しております。理論的には、この文章から申しますと、そういう場合もあり得るということにはなりますけれども、実際問題として、原子力潜水艦というものについては、アメリカ政府としては入港の際にほとんどの場合通告いたします、こういうことであります。
○戸叶委員 ただ、通告しない場合もあり得るといまのお答えになったのですけれども、やはりそういうことを想定して通常通告するということになったと思うのです。日本の政府としては、この通告しないような場合というのは一体どういうときというようにお考えになっていらっしゃいますか。そうして、もう一つの点は、このことは通常通告することが義務でしょうか、そうじゃないのでしょうか。
○竹内説明員 御存じのとおり、アメリカの軍艦が日本が提供いたしました施設区域に入ります場合には通告する義務はございません。したがいまして、その声明に述べております通報というのは、アメリカ側から進んで通報いたします、こういう自主的に申し出たものでございます。
○戸叶委員 大臣、お聞きになったとおりなのです。私もいままでは、外国の船が日本に入ってくるときには、施設及び区域の、安保条約に従ってのいわゆる地位協定といわれているものによって日本が港を提供しているのだから、軍艦が入ってきてもいいんだ、しかし今度の場合にはこうだというふうに理解していたわけです。そうしたところが、ここで、通常通告をするんだ、たまには通告しない場合がある、こういうふうにお答えになっていらっしゃったわけなのです。いま私が、義務で通報するんですかどうですかと言ったら、義務ではない、こういうふうにおっしゃったわけです。そこで、私、地位協定を読んでみますと、地位協定の五条に、「船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。」というふうに書いてあって、やはり地位協定でも、日本に船が入ってくるときには通告することになっているのですね。そうすると、これと今度の場合の関係は全然ないわけですか。
○藤崎説明員 地位協定の第五条に書いてありますのは、一般の日本の港に入る場合の規定でございます。施設・区域に入ります場合には、先ほどアメリカ局長が御答弁いたしましたように、通告の義務は地位協定上は全然ないわけでございます。
○戸叶委員 そうしますと、一般の港に入る場合には通報しなければならないけれども、佐世保とか横須賀はしなくてもいいということなのですか。
○藤崎説明員 大体大ざっぱに言えばそういうことになります。通常とかいろいろな条件はありますけれども、簡単に言えばいまおっしゃったようなことになるわけでございます。
○戸叶委員 そうしますと、この五条の適用というのは、佐世保それから横須賀以外の港に入るときのことを言うのですか。
○藤崎説明員 さようでございます。
○戸叶委員 そうすると、ちょっとわからないのですが、それでは、佐世保やそれから横須賀に入る場合にはどういうことになるのですか。通報しなくてもいいのですか。
○藤崎説明員 地位協定上、通報の必要がないわけであります。
○戸叶委員 そうしますと、昔で言えば軍港として指定されているところはそういうふうな通報をしなくてもいいけれども、そうじゃない一般の港へ入るときにはしなければならない、こういうことになるのですか。
○藤崎説明員 施設・区域の場合は普通通告の義務はない、そのほかの一般の港に入る場合は通常通報しなくてはいけないということになっております。
○戸叶委員 それでは、日本では通報しなくてもいい港はどことどこですか。
○藤崎説明員 施設・区域になっております港湾でございます。具体的に私ちょっと存じませんが、施設・区域になっておる限りはすべて通告の義務がないわけでございます。
○戸叶委員 大体日本に幾つくらいそういうところがあるか、私たちはやはり知っておかなければならないと思うのですが、どれくらいあるのですか。
○竹内説明員 現在そういう港として提供しておりますのは、横須賀、佐世保及び岩国でございます。
○戸叶委員 そうしますと、原子力潜水艦は絶対に横須賀、佐世保、岩国以外には入らないわけですね。ほかのところに入り得ますか。
○竹内説明員 原子力潜水艦は、今度のアメリカ側の覚え書きにありますように、横須賀、佐世保だけに入ることになっております。岩国は予定しておりません。
○戸叶委員 そうすると、ここで問題になりましたが、そのほかの港には絶対に入らない、入るような場合にはこの五条の適用を受けるということになるわけですね。
○竹内説明員 アメリカ側としましては、文書で横須賀、佐世保だけをあげておりますので、これ以外の港に入ることはございません。もし万一そういう場合が起こったときには、今度の場合と同じように、やはり何らか日米間の協議がなされてからあるものというふうに存じております。
○戸叶委員 そうすると、いままでの説明によりますと、佐世保なり横須賀なりに入らない場合にはこの五条の適用を受けなければならないということになるわけですね。それはアメリカから何かの通告は必ずしなければならないわけですね。そのときにはこの五条の適用で当然そうでしょう。地位協定の五条が適用されるわけでしょう。横須賀なり佐世保以外の場合にはそうでしょう。
○藤崎説明員 第五条は施設・区域でない港に入る場合の手続でございまして、施設。区域でないところに原子力潜水艦が入るということは全然予定いたしておらないわけでございます。施設・区域に入ります場合にも、原子力潜水艦は、地位協定上は第五条じゃなくて施設・区域でございますから全然通報の義務がないのにかかわらず、通報もし、いままで協議もしておったわけでございまして、地位協定上の権利義務関係でものごとを律しようという立場にお互いに立っておらないわけでございます。したがいまして、横須賀、佐世保以外のところに入ろうとする場合には、また急に地位協定上の権利に立ち返ってものごとを処理するということじゃなくて、やはり、先ほどアメリカ局長が御答弁いたしましたように、今度の横須賀、佐世保の入港について日本政府の了解を求めたと同じような手続を繰り返してやるであろう、それがやはり本筋だろうと思うのでございます。
○戸叶委員 そうしますと、この五条の適用外であるということがはっきりしたわけですが、そこで、先ほどの通常通告をする、大体の場合には通告をするのだということは、しない場合もあり得るということの御答弁でしたが、どういうふうな場合にしない場合があるのだろうと、私たちはちょっと疑問を持たざるを得ない。通告をするとあれば何でもないですよ。けれども、通常するということになりますと、ちょっと疑問を持たざるを得ない。 それから、もう一つ私が疑問に思ったのは、施設・区域外の港に船が入る場合に、地位協定の五条の三項が適用されて、「通告をしなければならない。」とここには日本語で訳してありますけれども、通常しなければならない、そして、この場合に、ノーマリーということばは使っておりませんけれども、アンダー。ノーマル何とかというふうに、ほとんど同じようなことばを使っているわけですね。だから、これと非常に似ているものですから疑問に思ったわけですけれども、この点は、それではこれとは全然別個で、そして、横須賀と佐世保は日本が施設を提供しているのだから、ここには黙っていても当然に入れるのだ、権利義務の関係はない、これが一つと、それから、そういうときでも、ごくまれかもしれないけれども、たまには通報しないでも入れるのだ、それはこの間の答弁でもあったとおりなんですけれども、そうすると、私どもとしては、一体どういうときに通報しないで入れるのだろうというようなことが疑問になるわけであります。通報しないで入るときとはどういうことを考えているか、この点を伺いたいと思います。
○藤崎説明員 これは、同じことばが使ってありましても、その場合によって全く同じように解釈すべきじゃないこともあるわけでございまして、この原子力潜水艦の場合には、実際は全く私どもはどういう場合があるということが予見されないわけでございますけれども、だからといいまして、あまり絶対的に断定的にするというのもちょっと懸念がある、ひょっとして、いまは予見できないけれども、そういう可能性が絶無とは将来長きにわたって言えないという用心の気持ちでアメリカは言っておるものと了解いたしております。交渉の過程でも、どういう場合には通告しないのだというような話し合いがなされたということは、私承知いたしておりません。
○戸叶委員 そうなってくると、私たちはやはりたいへん心配なんですよ。通報するのだということになっておればそれでいいのですけれども、いまおっしゃったように、どういう場合が将来起こるかわからないから、そういうふうなことを懸念して、通常は通告するのだけれども、しない場合がある、こういうふうなことですと、やはりものが原子力潜水艦というものだけに、通報しないでぽっと入ってくる可能性があるのだということをそこに残しておるわけでありますね。そういうような文書をおもらいになって、外務省としてはこのことを何もふしぎに思わなかったのですか。お問い合わせにならなかったのですか。私はまた、この五条の地位協定との関係があるので、日本に船舶が入ってくるときには通報しなければならないのですから、それと関係があるのかしらと思ったのですけれども、これとは全然関係ないのだということになりますと、よけい了解に苦しむのです。
○藤崎説明員 つまり、いまから全然こういう場合には通報しないぞということが予定できないから、こういう表現にしたわけでございまして、こういう場合には通報しないと初めから言われてしまうよりは、もうほとんどそういうことがないのだ、そういうほとんどないのだという意味で通常という表現になっておるわけでございますから、私は、あまり大きな例外で抜け穴になってしまうよりは、むしろこのほうが望ましい表現であろうと考える次第でございます。
○戸叶委員 ますますおかしいですね。それでは、通常通報すると言わないで、少なくとも二十四時間以前に通報するのだと言われればそれで済むのですよ。ところが、通常するのだということを言われますと、やはりしない場合がある。外務省でもお答えになったでしょう。そうすると、しない場合もあるということを想定しての交渉でしょう。そうすれば、しない場合はどういうときだろうということも当然考えた上でしなければならない。私たちから考えれば、それはアメリカ合衆国の利益を守るためには通報できないという場合にはしないだろうと私は思います。そういうふうなことは全然関係ないのですか。たとえば、さっき関係はないとおっしゃいましたけれども、地位協定の五条ですね。五条の三項には、通報するということが書いてある。そして、その通報しない場合はどういう場合かということが議事録で書いてありますね。通報しない場合はどういうときかというと、合衆国軍隊の安全のためまたは類似の理由のため必要とされる例外的な場合に限られると、こう書いてある。そうすると、逆に言えば、合衆国の軍隊の安全のためまたは類似の理由のために必要とされるときには通報しないでも済むということになるわけですね。だから、そういうときになりますと、やはり合衆国で、これはもうどうしても自分たちの安全を守らなければならないのだというような急場の場合になれば通報しないでも済むということになるのでしょう。だから、私はそれと全然関係がないとは考えられないのですけれども、どうしてこのような問題を深くお話し合いにならなかったのでしょう。私は、やはり、日本の国とアメリカとの間にこういう重大な問題で取りかわしをする場合には、一言一言をよく吟味した上で交渉しなければならないのじゃないかというふうに思います。このことばに私は非常に疑問を抱くのですけれども、いまのことは、全然そんなことはあり得ないのだ、いつでも通報するんだけれども、しかしたまにはあるかもしれないという懸念でこういうふうにしたのだというんじゃ、ちょっとわからないのですけれども、もう一度その点はっきりさせていただきたいのです。
○藤崎説明員 私は、通常というようなことばがあったほうがないよりいいというような趣旨で申し上げたわけでは毛頭ございませんで、もちろん、そういうようなクオリフィケーションがなければないほうが、私ども日本の立場から言えばこれにこしたことはないわけであります。ただ、これが非常にいまから想像もできないようなケースなもので限定されてないという状態と、いまからいろいろな場合を予定して、こういう場合も通報しないでいいんだ、こういう場合も通報しないでいいんだというような、そこに例外が多くなっているよりは、いまから予見もされないようなことだけれども、まあひょっとしてそういう通報ができないこともあるかもしれぬからという程度で、もう予見し得るすべての場合には通報するんだからということになっていたほうがベターじゃなかろうかという、そっちの比較を申し上げたわけでございます。それじゃ、この通常というのは、同じことばが使ってあるから、ほかのことば、ほかの条文の場合と全く同じじゃないかというような御趣旨、第二点はそういう御趣旨かと思いますが、やはり、これはその場合場合で判断すべきことであって、通報の重要性といいますか、単に港湾当局に対する手続的な通報という場合の通報とは、やはり事態は重要性の点が違いますので、私どもとしては、やはり、この通常の場合というのは、ほんとうに予見し得ないような、もうきわめてまれなといいますか、ほとんどあり得ないような場合にしか起こらないのだ、もう通報はほとんど必ず、常識的に言えば必ずあると思っていいんだ、こういうふうに了解いたしております。
○戸叶委員 こういうふうな場合には通報しなくてもいい、こういうふうな場合には通報しなくてもいいというふうに一々考えてやるほど多かったら、これは問題なんですよ。そうしたらこんなことは書かなくたっていいんですよ。通報するなんて書かなくたっていいんですよ。たまには通報しない場合もあり得るというのだから書くのですよ。それから、通報を全部するんだったら書かないですよ。ノーマリーなんてことばは使わないわけですね。だから、ノーマリーということばを使うからには、通報しない場合だってあるわけでしょう。だから、そういう場合を想定しているわけでしょう、交渉の中でね。だから、そういう場合はどういう場合を想定しているのかといままで聞いているんですよ。それで、ほかの条項にそういう同じようなことばが使ってあるが云々と言いますけれども、同じノーマリーということばはどこだって使われますよ。だから、そんなことを言っているんじゃないのですよ。ただ、そのことばがここにあるということが、やはり何かそういうふうな通報しない場合もあるということがそこのことばの中にありますから、そういうような場合を是認しているわけでしょう。そうしない場合もあるんだということを是認しているのでしょう。そうすると、そのアメリカの軍隊にとって通報すべきじゃないというようなときが来るかもしれない。そういうときには、どかんと通報しないで入ってくるかもしれないでしょう。そういうことを私たちは心配しているのです。そういうお話し合いをなさらなかったのですかということを心配している。ただ、外務省のほうじゃ、だいじょうぶだ、大体は通報するんだから、たまには通報しない場合もあるだろう、こんな簡単な気持ちでこれをお受けになったのですか。
○藤崎説明員 その通常の場合はというときは、通常でない場合なんだから、必ずどういう場合が例外になるかということをはっきり想定した上でないと通常の場合はというようなことばを使っちゃいけないというような御趣旨でございますけれども、やはり、何といいますか、人間の知恵で予見はできないけれども、あまりにカテゴリカルには断定できないという場合もあるわけでございまして、これがまさにそれに該当するわけでございます。人知、人間の能力には限界がありますから、私どももこれでやむを得ないだろうと思ったわけでございまして、それ以上のことを話して、話が実際にあったのに申し上げない、そういうことじゃ全然ございません。
○戸叶委員 それじゃ、ちょっと伺いますけれども、ノーマリーということばをとった場合ととらない場合と違いますか、同じですか。
○藤崎説明員 ノーマリーとかいうような限定がなければ絶対的になるわけでございまして、必ず通告するということになるわけでございます。
○戸叶委員 だから、やはり問題があるでしょう、そういうことになってくると。人間の能力には限界があるから、そういう場合もあるかもしれないので、大体は通報するんだけれども、そんな場合もあるんじゃなかろうかというふうな、ずいぶん無責任といえば無責任だし、甘いといえば甘いんじゃないかということを考えざるを得ないのです。大臣、いまのやりとりをお聞きになっていらして、何とも思いませんか。まあしかたがないだろうというお考えでしょうか。ちょっとお考えを伺いたいのです。
○椎名国務大臣 ほとんど平常の状態では予想し得ない場合もあるいは起こるかもしらぬ、こういうような、万々一と申しますか、そういう一つのきわめてレア・ケースである、しかし、そういうことはいま予見ができない、こういうところまで追い詰めておる文句だと私は解釈いたしますから、これでいいのじゃないか、こう考えます。
○戸叶委員 私は納得できませんね。きわめてレア・ケースだからこれでいいんじゃないかというのじゃ、ちょっと納得できないと思うんですよ。そういうふうな場合を想定してやることなんですから、ですから非常に不安だと思うのです。この問題はもう少しあれするにいたしまして、それじゃ、さっきの地位協定との関係なんですけれども、横須賀、佐世保に入ってくるのだから通報する義務はないのだということで、そうすると、ほかの港へ入るときにはこの地位協定の五条の適用はあるのですかということを私さっき伺いましたときに、そういうときには別の取りきめをするだろうとおっしゃいましたね。さっきの答弁ちょっとわからなかったのですが、もう一度おっしゃってください。
○藤崎説明員 大体そういうことでございますが、つまり、今度できましたアメリカ側との了解では、横須賀、佐世保に入る、この二港だけしか予定されておらないわけでございます。したがいまして、この了解をやはり変えるということが第一に行なわれるということであって、この了解はそのままにしておいてすぐ今度は地位協定上の権利を主張するというようなことはないだろう、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○戸叶委員 そうしますと、横須賀、佐世保は一応了解を得た、ほかの港に入りたいときには、今度はもういいんですから、ほかの港に入りますという了解を得て、そうして今度地位協定の適用を受けるわけですか。
○藤崎説明員 その了解というのは、やはり今度とった措置と同じような意味で申し上げておるわけでございますが、これが変えられなくちゃならないだろうということでございます。いま二港に限定いたしておりますから。それから、地位協定の適用を受けるということは、ちょっとまた——施設・区域に入る場合には通報の義務がないわけでございますけれども、たとえばかりにもう一つどこか港が加わったとした場合に、その手続としては、施設・区域であれば通報の義務がないのにもかかわらず原子力潜水艦の場合には通報するというわけでございますから、地位協定そのままを適用するというわけではないわけでございます。もっとそれよりも手厚く手続をとることに、今度できた取りきめによればなるわけでございます。
○戸叶委員 そうしますと、五条の場合は、普通の船——軍艦も入るわけでしょう。普通の船が港へ入るときは通報しなければならないとなってますね。それで、通報しないで済むときというのは、合衆国の軍隊の安全のためとか、あるいはそれに類似した理由のために必要とされたときには例外で通報しなくてもいいとなっていますね。そういうふうなことは原子力潜水艦の場合には絶対にないのだ、こういうふうに了解していいのですか。どこの港へ入るときにもそれがないのだ、そういうふうに考えていらっしゃるのですか。五条の三項は、普通の船が——普通の船といっても軍艦も入っているでしょう。それが港へ入る場合には通報するのでしょう。それで、通報しなければならないのだけれども、通報しないで済むときはこういうときだということが議事録で合意されているわけですね。そうでしょう。そうじゃないのですか。ちょっとそこら辺もう一度答弁してください。
○藤崎説明員 私御質問の趣旨をよく了解しておらないかもしれませんが、とにかく原子力潜水艦が日本の港へ入ることについては地位協定上の規定によらないのであります。むしろ、その権利の行使としてじゃなくて、原子力潜水艦だけについて特則を設けたわけでございます。これは法律上の権利義務関係じゃございませんので、特則と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、しかし、地位協定をそのまま適用しないで、アメリカ側でこうこうこういうふうにやりますと、自制と申しましょうか、そういう特別の、地位協定に定められた義務以上のことを自発的にやるということになっておるわけでございますから、横須賀、佐世保以外にかりに将来拡張されましても、それはそのまま続けて実行されるものと了解していいのじゃないかと思います。
○戸叶委員 そうすると、いまはっきりおっしゃっていただいたことは、地位協定の適用は受けない、こういうことですね。そうすると、原子力潜水艦の場合にはそんなものは離れちゃって、それは安保条約とも離れているのですか。そういうことになりませんか。安保条約の六条によって地位協定ができているのでしょう。そうすると、その地位協定の適用を受けないで、原子力潜水艦の場合は特別な扱いをするということですね。いまおっしゃったのはそうでしょう。そうじゃないのですか。地位協定の適用はしないというふうにおっしゃったでしょう。それ以上のものを受けるとか何かおっしゃったのですけれども、それ以上のものというのはちょっとわからないのです。
○藤崎説明員 地位協定の適用を受けないとか、これを排除するとかなんとかということではございませんで、地位協定上米軍として持っている権利をそのまま行使する、そうすると、日本側に了解を得る必要もありませんし、まして通報の義務もないわけでございますから、そういう権利をそのままなまで行使しないで、協定上アメリカが要求されている以上のことをやる、日本側にちゃんとこういうぐあいに話をつける、それからまた、いざ入るというときには通報する、そういう協定上要求されていないことまでやる、そういうことを申し上げたわけでございます。
○戸叶委員 この前NATOの参加国でデンマークが拒否したということを言いましたね。そのときに外務大臣が、一応今度は受け入れてもいいということを非公式ながら言っていたというふうにおっしゃっていたのですが、それは向こうの外務大臣のことばで、国としてどうかわかりません。わかりませんけれども、そのことは別にして、そのときにたしかアメリカ局長がおっしゃったのは、地位協定を結んでおらないから、だからデンマークの場合にはNATOに参加していても必ずしも原子力潜水艦の寄港を認めなくてもいいのだということをおっしゃったのですね。私はそのときに考えましたのは、日本は、安保条約によって、しかも地位協定を結んでおるわけです。そうして、地位協定のここではっきり言っておるのは、船が——もう一度ちょっともとへ戻るかもしれませんけれども、はっきりさせるために、地位協定の五条の三項では、「1に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。その船舶は、」云々とあるのですが、ここは通常の状態では適当な通告をしなければならないと書いてある。それで、この例外として通報をしないで済むときというのは、合衆国の利益を守るためとか、それに類似した場合には通報をしなくてもいいのだ、こう書いてあった。そうすると、原子力潜水艦の場合には、日本とアメリカとの間に、これよりも別の形で、——別の形といいますか、ことばの表現は悪いかもしれませんが、これとは別個に日本とアメリカとの間に通常通報して、そしてするのだというふうな答弁でしょう、いまおっしゃったのは。だから、そうなってくると、これとの関係は全然ないとも言えないし、それから、あるとも言えないと思うのです。ただ、日本の場合に、原子力潜水艦の場合には横須賀と佐世保というふうな軍港に限っていて、この場合は港ですね。港というふうになっているから、その点が違うのだということをおっしゃったわけでしょう。そうでしょうね、さっきの答弁では。そうすると、それでは横須賀と佐世保の場合には特殊な形でこの適用は受けないにしても、関係はないことにしても、横須賀と佐世保以外の港へ入るときはどうするのですかと質問をしたら、そのときにはまた別に話をするのだというお話でしょう、今度の横須賀と佐世保と同じような形で。そうすると、この地位協定というもの、安保条約の六条によって結ばれた地位協定というものと、今度の原子力潜水艦の寄港というものは、もう全然関係ないことですね。私はあると思ったのですが、全然ないのですか。
○藤崎説明員 地位協定にきめられていることは守らなくちゃならないということは、これは原子力潜水艦でも当然でございます。先ほどから申し上げておりますのは、地位協定で義務として規定されていないことまでもやるということを今度のこの取りきめできめた、こういうことを申し上げておりますので、これは、地位協定で義務づけられていることは、もちろんやるのは当然でございます。
○戸叶委員 そうすると、地位協定で約束されていることは守らなければならないでしょう。それだから別に通常通告をするということがここにもあるわけですね。この地位協定にもあるわけでしょう。そして、特殊な場合には、五条の三項に関しての議事録で、どういう場合に通報しないかといえば、こういう場合に通報しないのだとさつき私は申し上げたでしょう。合衆国の利益を守るためには通報しないでもいいと言ったでしょう。そうすると、それとも関係はないのですか。私はそれとも関係が当然出てくると思うのです。合衆国の利益を守るためには通報しない場合もあるのだということと関係がないのですか。関係ありますでしょう。地位協定で結ばれたことは守られなければならないのですから、関係ないということは言えないと思うのです。
○藤崎説明員 横須賀、佐世保以外には入ることを全然予定していないわけでございます。いまの御質問は、今度は将来単に横須賀、佐世保どころか普通の日本の港にも来るようになった場合はどうだというような御質問だと思いますが、それはまあ理論的にお答えすればもちろん第五条三項の適用を受けるということになるわけでございますけれども、しかし、もうそういうことは全然考えておらないということは、これは前々から申し上げているところでございまして、そこで、私もよくいままで御質疑の趣旨がわからなかったわけでございます。全然そういうことは予定されておりません。
○安藤委員長代理 戸叶さんに申し上げますが、川上さんもだいぶ時間を要求しておられますので……。
○戸叶委員 委員長のお気持ちも、時間のないこともわかるのですけれども、大事なことをいいかげんで過ごしたくないのですよ。やはりはっきりさせてもらいたいと思う。これはやはり私は問題だと思うのですよ。理論上はそれは適用されるわけでしょう。だけれども、そういうことは全然予想されておりません、こうおっしゃるのですけれども、予想はしないかもしれませんよ。でも、これは理論として成り立つと思うのですよ。そうしたときに、いざというときにはやはりそういうこともあり得るということも考えなければならない。私はその点を幾たびか幾たびか自分でこうやって考えてみましたら、どうしても納得いかないのです。それで、いまの最後の御答弁で、理論的にはそういうことはあり得るといえば、私もある程度は納得できます。それだからこそ問題なんですよ。問題ですけれども、納得はいくのです。だけれども、それだけに問題があると思うのです、今後において。合衆国の利益を守るためには通報しないでぱっと入り得るということになると、そうすると、そういう場合は想定しなくてもあり得るかも知れない。あった場合にはやはり核兵器を持ち込んで入ってくるというような可能性も出てくると思うのです。そういうところの理論までは、いま時間がないですから残念ながらいたしませんけれども、そういう点がちょっと心配になることだと思います。理論的にはあり得るということで私自身の考え方は一致したことで納得はできるのですけれども、これからそれが問題になってくるのじゃないかと思うのです。 時間がないようですから、あと急いでもう一問だけ聞きますけれども、この間アメリカの外交委員のロングさんが日本に来られたときに、大平さんと周東政務会長とお会いになって、そして懇談をしたときにロング氏がこう言われたそうです。この沖縄には核兵器の基地がある、日本が核兵器の持ち込みを認めないという状況のもとでは沖縄の施政権返還もなかなかむずかしいと思われる、米国としては日本本土には核兵器を持ち込まないとの方針をとっているが、沖縄の施政権返還となれば、この原則から再検討しなければならない、こういうふうにおっしゃったということを新聞で読みましたけれども、こういう点、外務大臣御存じですか。ちょっと伺っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 存じません。
○戸叶委員 それじゃ、御存じないとして、そういう話が出たそうです。そこで、伺っておきたいのですけれども、この内容から見ると、何かアメリカの発言は、施政権はなかなか返せないのだというふうにもとれますし、それから、一方は核兵器の持ち込みもしかたがないのだというような打診にもとれると思うのです。両方とれると思うのですが、もしこういう発言をお耳にしたら、外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○椎名国務大臣 仮定の問題でございまして、ロングという人がアメリカの責任ある地位にあって、そして十分の責任を持った発言であるかということにもだいぶ疑問がございますから、そうすると、これは仮定を設けての御質問でありますから、私はこれに対する御答弁はどうもいたしかねる、こういう考えでございます。
○戸叶委員 外務大臣は仮定の問題だから答えられないとおっしゃるのですが、そういうふうなことばが出てきたということは、やはりいろいろにとられると思うのです。沖縄ではたいへん心配しておる人があるわけです。そこで、私はこういうふうに考えたらどうかと思うのです。沖縄というのは、日本人であり、日本の県だ、その日本人であり日本の県である沖縄が施政権を持つということは当然だ、しかし、日本人であるから、核兵器を持つべきではない、こういう考え方で施政権の返還をやっていき、そして、核兵器はいまあるかもしれませんけれども、日本に返ったら当然日本の国民として持つべきではない、こういうふうに主張していくのが妥当だと思いますが、その考え方が正しいとお思いになると思いますけれども、いかがですか。それだけ伺って、私はきょう質問をやめます。
○椎名国務大臣 それもどうも現実からあまりに遠ざかっておる議論でございまして、とにかく、日本は核兵器は持ち込まない、これはもう総理大臣みずから国会においてしばしば発言しておるのでございまして、この点は確かでございます。ただいま、沖縄に対する宗主権は日本にありますが、現実はアメリカが施政権を持っておるということで、完全な姿の領土ではないのでございます。日本が核兵器を持ち込まないということと、領土の宗主権を持っておるから現実においては完全な姿でないのにこの問題はどうだというふうに結びつけてお考えになることは、まことに現実から離れておりますので、お答えにくいわけでございます。
○戸叶委員 時間がないので私はやめますが、この問題だけでもちょっといろいろな角度から質問したいと思ったのです。ただ、現実から離れたとおっしゃいますけれども、ロングさんというのはアメリカの外交委員なんですよ。外交委員が日本の自民党の幹部とお話し合いになったというからには、やはりそういうふうなこともいろいろと討議をしておく必要があるのじゃないか。しかも沖縄の県民は非常にいろいろな形で危惧をしておるわけです。はっきりどういうふうな態度を持っておるのだろうかということ。私がいま申し上げたような意見を、私たちはそうあるべきだというふうに言ったのですけれども、外務大臣は現実離れがしているというようなことをおっしゃったのですが、これは非常に重大な現実の問題でございますので、次の機会にあらためて質問をしたいと思います。
○安藤委員長代理 川上君。
○川上委員 外務大臣に質問いたします。私の質問は具体的でありますから、具体的にお答えを願いたいと思います。時間がたくさんございませんから、比較的に集約してお尋ねいたしますから、お答えも簡単にお願いしたいと思います。 第一に、アメリカの航空母艦は自由に日本の港湾に今日入っております。ここにわれわれが知っておる限りのメモをつくっております。これは委員のほうにも配っていただきたいと思います。外務大臣にも差し出します。このメモでも明らかなように、これには年月日、それから場所、空母の名前、トン数等を書いております。このメモを見ましても明らかなように、これは第七艦隊の所属ばかりではなしに、太平洋の統合軍の航空母艦も来ておる。これもお手元に差し出しますが、これは写真です。全部はとれておりませんが、とにかく日本の港に入った原子力潜水艦の写真なんです。全部はとれておりません。これと、それからメモがありますから……。
○安藤委員長代理 それは委員部の職員に配付させますから……。
○川上委員 時間がたちますから、言っておったらこれを全部言わなければならないから、それでやっている。
○安藤委員長代理 質問をお進めください。
○川上委員 この空母が、外務大臣、常時核兵器を持っているということは、アメリカの政府当局がたびたび言明しておる。それは、たとえば一九六一年十月二十一日のギルパトリック国防次官の公式声明、その他一連の証言、声明、公式発表があります。それはいまの参考資料に全部あげております。時間をとるから言いません。しかるに、これらの空母の入港にあたってかつて事前協議を受けたことがありますかどうか。ないでしょう。これは核兵器の所在位置を絶対に明らかにしないというアメリカの基本政策に基づくものである。明らかにしてない。 もう一つの点は、潜水艦の補修艦、すなわち潜水母艦です。これがまた自由に入港しておる。それから、この写真ですが、これはあとでお見せします。これは日本の港に入港した潜水母艦の写真です。この潜水母艦がすべて核兵器を持っているということは、これまたアメリカ当局が明らかにしている事実なんです。資料と言われれば幾らでも提出します。ここでついでにちょっと言っておくが、いま核兵器と言っておるのは、サブロックだけじゃない。サブロック以前に各種の核兵器が開発搭載されております。しかるに、この潜水母艦の入港に事前協議を行なったことがありますかどうか。一度もないということをかつて政府は答弁しておると思う。してみれば、事前協議というものは全く国民をだますから文句ではないか。 そこで、原子力潜水艦、——一つ一つ問いません。続けていきますから。この寄港についての八月十七日のアメリカの覚え書きを読むと、こう書いてある。原子力潜水艦は現在日本の港に寄港している合衆国海軍のほかの艦船と異なるものではない、したがって日米安全保障条約に関する諸取りきめに基づく寄港の権利と同一の権利を享有する、したがって事前協議の必要はない、こう書いてあるのです。 以上私はわずかの資料を言うたのですが、事明瞭じゃないですか。これは外務大臣に聞きたい。すなわち、第一点、空母も潜水母艦も核兵器を持っておる。事前協議もなく自由に入港しておる。第二点、原子力潜水艦はこれら艦隊と同一の権利を有するというアメリカの覚え書きをあなた方は承認しておる。第三点、アメリカは基本方針として核兵器の所在位置を絶対に明らかにしないと言明しておる。第四点、原子力潜水艦の核兵器持ち込みだけに限って特別に事前協議をするというような取りきめはないはずです。第五の事実です。さらにここで指摘しておきたいのは、昭和三十五年四月十四日の安保条約特別委員会で、その当時の岸首相がこう言うておる。共同コミュニケは政治的なものでありまして法律的、条約的効力を持っているものとは思いませんとはっきり言うておる。当時の岸首相は共同コミュニケの調印者であります。条約的、法律的のものではないと言っておる。第六の事実として、日米間に核兵器の持ち込みの場合には必ず事前協議をするという合意文書も議事録もない。これはきょう答弁された。したがって、アメリカが黙っておれば事前協議にはならない。これがきょう言われた政府の答弁です。 私は事実をあげたのです。いいかげんなことを言うておるのではない。以上私は事実をあげて質問しておるのですが、この結論は、原子力潜水艦は実際サブロックを持っていようが核弾頭をつけておろうが、空母や潜水母艦と同様に自由に入港して事前協議などはしないということが明々白々じゃないですか。これは日本が完全に核戦争の基地になることである。それを政府が承認しておる。ついでに言いますが、もし私がいま質問しておるこれに対して、いやそうではない、アメリカは覚え書きで、日本政府の意思に反することはしない、こう答弁しておるんだというようなお答えをなさるんなら、ここでお聞きしておきたい。それならば、いままで入港した航空母艦や潜水母艦が核兵器を持っておらなかったということをここで具体的に証明してもらいたい。持っていなかったと証明してもらいたい。いないだろうというふうな分では納得できない。これが第一問であります。お答えを願いたい。
○椎名国務大臣 事前協議をした場合に日本政府の意思に反して実行することはない、これは、私は、岸・アイク共同声明というものの性格がいかなるものであるかというその解釈の問題はしばらくおいて、最高の申し合わせだと思うのでございますから、これをあくまで信じていかなければならぬと考えております。したがって、核兵器持ち込みは、これは重要な装備の変更でございまして、持ち込みは必ず事前協議の対象になる。黙ってやった場合はどうするか、こういうことのようでございますけれども、まあ同盟国に対してお互いに信頼するということで初めて軍事同盟の体制がそこに成り立つのでございますから、場合によっては条約を平気で破る国もあったようでございますけれども、少なくとも日米のただいまの安全保障条約の体制は、相互に緊密なる信頼関係があって、その上に成り立っておる、かように考えますので、さような事実はない、かように確信しております。
○川上委員 いま御答弁になりましたが、私があらかじめ質問したそのとおりです。日本の政府の意思に反することはしない、だからこれを信用するんだという答弁にすぎない。それならば、私は質問している。いままで来た航空母艦と原子力潜水艦は核兵器を持っておらなかったという具体的な証明をここで示してごらんなさい。持って入っておるじゃないですか。これが一つ。 時間の関係がありますからもう一つ聞いておきます。いま外務大臣は安保条約のことを軍事同盟と言われた。憲法との関係はどうなるのか。軍事同盟だけでなしに、二つ答弁してください。これはいまじゃない。前にもあなたは軍事同盟と言われた。これは重要な発言ですから。
○椎名国務大臣 正確を欠きますから、これは訂正いたします。安保条約の相手方をお互いに信頼するということによって安保条約の体制ができ上がっておるということに訂正いたします。 それから、持ち込んでないという具体的な証明とおっしゃいますが、持ち込んだという具体的な証明もないのであります。われわれは、あくまでこれはもう信頼関係で割り切る以外にはない、さような考え方をとっております。
○川上委員 持ち込んでおるということ、持っておるということをアメリカ当局が言うておるという資料を上げておるのです。一つや二つじゃないのです。ギルパトリック国防次官の声明、その他一連の公式声明、あるいは上院における証言その他を上げておる。出してある。証明はないとおっしゃるけれども、アメリカが、全部持っておると言うておる。これはどうする。外務大臣。
○椎名国務大臣 よくこの資料をあとで拝見さしていただきますが、日本に持ち込んだということを声明してはおらないと思います。
○川上委員 ちょっとよくわからぬですが、持っておるということは日本に通知しておらぬとおっしゃるのですか。いまの御答弁はちょっとわからなかった。もう一度言うてください。
○椎名国務大臣 核兵器を日本に持ち込んだということは、どうも御提出の資料には書いてないようでございます。したがって、持ち込んでないということを信ずるわけであります。
○川上委員 そうすれば、そこに資料をお渡ししましたが、これはアメリカ当局が言うておることです。日にちまで明らかに資料に書いてある。これはみなうそだとおっしゃるのですか。アメリカの言うておることがうそならうそで、ここではっきりうそだとおっしゃってくださったらいい。
○椎名国務大臣 日本に核兵器を持ち込んだということは書いてございますか。
○川上委員 書いてあります。
○椎名国務大臣 どこに書いてありますか。
○川上委員 全部核装備をしておると書いてある。核装備をしておると書いてある。これはアメリカ当局が言うておる。どうも、外務大臣は、アメリカが何を言うておるのやら、どういう声明をしたととがあるのやら、ギルパトリック次官が何を言うたのやら、一ぺんもお調べになったことがないような気がするのです。それじゃちょっと外務大臣はつとまりにくいのと違いますか。私は委員ですから資料をそこに差し上げておる。何もお知りにならない。そのものについて、アメリカが言うておるのはこう違う、このアメリカの発表はここが違う、こう言うてくださらなければ、さっぱり、いくら質問したって話にならぬ。これはどうです。
○椎名国務大臣 御提出の資料をいまここでみなで読んでおりますが、日本に持ち込んだということはどこにも書いてありません。
○川上委員 日本に入っておる潜水艦が持っておるということを書いてあるはずはないでしょう。そうじゃないのです。アメリカの太平洋その他におる潜水艦母艦、航空母艦、これは核装備をしておる、しかも全部しておると言うておる。これは外務大臣にこれ以上聞いてもお困りになるだけで、もう時間を食うだけじゃと思う。これをひとつよくお調べになったらいい。ただ、言いたいことは、事前協議などというのは、国民をだます、から文句だ。もうそんなことはありはしないのだ。この点についてはさっきの戸叶委員の質問に対する答弁のうちにもあらわれておるのです。向こうはそんなことはしないのだ。ここを明らかにしなければ、政府の従来の答弁はいつもから回りになって、国民を納得させることはできない。 そこで、時間がありませんから、もう一つお伺いします。政府は原子力潜水艦の寄港の目的は乗組員のレクリエーションと給水のためであるとたびたび答弁しておられる。これはうそです。八月十七日付のアメリカ政府の覚え書きにはこう書いてある。寄港目的は乗組員の休養及びレクリエーション、兵たん補給及び維持、こう書いてある。兵たん補給とは一体何か。これは単なる水の補給なんかじゃありません。艦隊作戦任務の遂行に要する一切の補給強化じゃ。これが兵たん補給です。だから、寄港は艦隊司令官の命令のもとに艦隊任務を遂行するための行動です。原子力潜水艦が所属する特殊作戦機動部隊としての任務遂行のための寄港です。でありますから、この寄港は、核兵器の持ち込みのほかに、作戦遂行の兵たん補給そのものによっても、日本の港湾がアメリカの原子力潜水艦の核攻撃の基地になるのです。原子力潜水艦というものは核攻撃を目的とする潜水艦です。いま何月何日に持っておる持っておらぬということが主要問題じゃない。核攻撃を主目的とする攻撃潜水艦だ。それが日本の港に作戦遂行のための兵たん補給に入る。これは基地です。水飲みに入るのじゃない。しかも、原子力潜水艦は、ひとりうろうろしておるものではない。一つの特殊作戦機動部隊としてかたまった行動をしておる。それに空母もついておる。ほかのものもついておる。これが兵たん補給に入る。その兵たん補給というのは、作戦任務の強化なんです。これはすなわち基地なんです。原子力潜水艦の基地なんです。その原子力潜水艦は核攻撃を目的としておる。したがって、この寄港は、どういう答弁をなさっても、日本の港を核戦争の基地として提供することを日本政府は承認しなさった、これが事実なんです。もしそうでないとおっしゃるなら、そうでないということをここでひとつ証明をしていただきたい。外務大臣。
○椎名国務大臣 核兵器の持ち込みについてはあり得ないのでございますから、休養と兵たん補給、すなわち、生鮮食料であるとか、飲料水であるとか、あるいは酸素の補給といったような補給のために寄港することは、絶対に核兵器の基地化するものではないと考えております。
○川上委員 もう一つだけ。外務大臣、原子力潜水艦というものは、何月何日に核弾頭を持っておる持っておらぬということも問題ですけれども、そもそも核攻撃を目的とする潜水艦なんですよ。この核攻撃を目的とする潜水艦が日本の港を兵たん基地にするのです。兵たん補給というのは水を飲みに来るのと違うのです。兵たん補給強化と書いてある。これは、いま私が繰り返しましたように、アメリカの戦略目的に従うて、一定の司令官の命令のもとに艦隊任務を帯びて寄港してくるのです。ここで兵たん補給とその強化をやるのです。これ自体がすなわち基地なんです。遊覧に来たのと違うのです。これが基地でないですか。しかも、繰り返して言うようですが、この原子力潜水艦は核攻撃を目的につくったのです。それが来て兵たん補給をやるのです。どうして基地でないのですか。核攻撃の基地じゃないですか。核兵器を持ってくる、これはもちろん基地です。そうじゃない兵たん補給、このこと自体基地じゃないですか。外務大臣、どうお考えになりますか。
○椎名国務大臣 核兵器の持ち込みはあり得ないのでありますから、核武装の基地ではない、こう申し上げたわけであります。
○川上委員 もう一問、いいですか。
○安藤委員長代理 なるべく簡潔にお願いいたします。
○川上委員 時間は守りたいのですけれども、もう一問だけそれでは質問します。これは外務大臣の答弁はコンニャク問答みたいなもので、幾らやってもあれくらいしかできないと思う。これはよくない。もっと正確な答弁を今後願いたい。 第三の質問は、原子力潜水艦の寄港の問題は、単に海水汚染のみの問題じゃないのです。問題の重大な点は、核攻撃を目的とする原子力潜水艦がアメリカの戦略目的に従って自由に寄港することを日本政府は認めたという、このことなんです。これは日本政府が日本をアジアにおける核戦争の基地にすることを承認したことなんです。幾らどんな答弁をなさっても。だからこそ、ベトナム民主共和国はどう言っています。原子力潜水艦の日本進駐はベトナムに対する直接の脅威であると激しく攻撃をしておるのです。これはベトナムだけじゃない。中華人民共和国も、この原子力潜水艦の日本乗り入れは極東全域でのアメリカ帝国主義の核戦争準備計画のおもな一環である、アメリカが東南アジアで緊張を強めている状況のもとで、アジアの平和と日本民族に重大な災いをもたらすものであると強く非難している。もちろん、日本人民は、御承知のように、ほうはいとしていま立ち上がっておる。何を言うておるか。原子力潜水艦の寄港阻止、日本の核戦争の基地化反対、安保条約破棄というので具体的に立ち上がっている、これが事実なんです。こういう事実に基づいて私は御答弁を願いたいと思う。こういう事実を一体外務大臣どうお考えになるか。これほどの事実があるにもかわらず、この実証を私はあげたにもしかかわらず、原子力潜水艦の寄港は日本の当地化ではないとおっしゃる。私はいいかげんなことは質問しておらぬはずです。克明に考えて、具体的な資料を提出して、資料のメモまでお手元へ渡して、いいかげんにならぬように質問しておる。それに対して、それにこたえられるような御答弁はない。一体どうお考えなんです。日本の核基地化でないとやっぱり言い張られるのですか。どういう論拠で言われるのですか。外務大臣の御所見をお聞きしたい。
○椎名国務大臣 核兵器を搭載して寄港するのであれば、あるいはあなたの言われるような理屈が成り立つかもしれませんが、核兵器の持ち込みはない、ただ推進力に原子力を使った潜水艦が日本に寄港するのでありますから、これは核戦争の基地化するものでは絶対にあり得ない、こう申し上げておるのです。
○川上委員 これで終わります。最後に言うておきます。私は、いまの外務大臣の答弁は、これは答弁じゃない。私の短い質問の中で明らかなように、核兵器そのものに対して事前協議などないのだ。核兵器の持ち込みのみならず、兵たん補給の基地になるそれ自体が日本の核基地になることなんだ。なぜなら、原子力潜水艦は核攻撃を目的としておるアメリカの潜水艦なんだ。これの兵たん補給、これだけでも基地なんだ。いわんや、核兵器の持ち込みをしないという保証は一つもないということをきょう言うた。これについては御答弁がない。核兵器は持ち込まぬのじゃからという御答弁だけなんです。これはあとで議事録を見ればわかりますが、答弁になっておりせんが、きょうは時間がありませんから私はこれで終わりますが、今後引き続いてこの問題については質問を続けたいと思います。これで終わります。
○安藤委員長代理 野原君。簡単に願います。
○野原(覺)委員 時間がありませんから、一、二点だけ簡潔にお尋ねをしておきたいと思う。 先ほど戸叶委員が条約局長に質問いたしました点でございますが、条約局長の御答弁は何を言っておるのか非常に明確さを欠いておったと、私は失札ですが思うのであります。そこで、この点を明確にしておきたい。地位協定第五条というのは原子力潜水艦にも適用される、地位協定第五条の権利をアメリカは原子力潜水艦に限って放棄したものではない、これは適用されるのだ、この点いかがですか。
○藤崎説明員 第五条は一般の開港にアメリカの艦船が入る場合でございまして、そういうことは今度の取りきめでは予定されておらないわけでございます。
○野原(覺)委員 したがって、施設区域に限っては第五条のこの精神というものは適用される、こう理解していいわけですか。
○藤崎説明員 施設区域については、第三条の規定が別にございますので、第五条は一般の開港の場合だけに限るわけでございます。
○野原(覺)委員 そういたしますと、戸叶委員が質問した点について、ノーマルな状態とノーマルでない状態の質問を繰り返しておったわけです。だから、「通常の状態」ということ、通常の状態の場合には第五条によれば通告の義務がある。しかしながら、通常の状態でないとアメリカが判断した場合には通告しなくてもできるのだということが合意議事録に書かれておりますね。この点は原子力潜水艦に限ってはどういうことになりますか。
○藤崎説明員 第五条は、適用の場が、原子力潜水艦の場合には、横須賀、佐世保にしか入りませんから、ないわけでございます。ただ、同じような字が今度の覚え書きに使ってありますので、その関連をさっき戸叶先生からお聞きになったわけでございます。これは、第五条三項の通常の場合とかいうのではございませんで、別のアメリカ政府の声明のほうに書いてあります通常の場合というもので先ほど問答いたしたわけでございます。
○野原(覺)委員 その声明の「通常」について、私はそれじゃお尋ねしたいと思うのですが、二十四時間前に通報をすると書いておりますね。この点は非常にわからないのです。二十四時間前に通報しないこともあり得るかと言ったら、これは十日の外務委員会ではあり得るという答弁があったわけです。あなたは本日もそういう答弁をされたようにも私は思うのですが、この点もう一度確かめておきたい。
○藤崎説明員 もう一度根本的に申し上げますと、地位協定上は通報の義務はないわけでございます。と申しますのは、横須賀、佐世保は施設・区域でございますから。にもかかわらず、今度の取りきめでは、原子力潜水艦に限っては入る場合に通報するということをアメリカから言ってまいっておるわけでございます。しかし、「通常」というクオーリフィケーションがついておるわけでございます。これは通常でございますから、もちろん絶対的というのではなくて、予見されないけれども、通告なされないことがあり得るということが理論上認められておるわけでございます。ただ、それではどういう場合かといいますと、非常に、いまから予見し得ないような、ごくまれな場合で、大体は通報するんだ、ただ、何といいますか、万々一の場合をおもんぱかって、いわばアメリカ側としてはこういうふうな安全弁を置いておるんだ、こういうふうな趣旨で御答弁いたしたわけでございます。
○野原(覺)委員 だから、その場合は、合衆国軍隊の安全にならないと判断した場合あるいはまた類似の理由のため必要とされる例外的な場合に限られるという合意議事録の規定、この場合ではございませんか。例示的にあなたのほうでどういう場合かというとそれは答えることはできないけれども、抽象的に言えば、それは合衆国軍隊が通告することは不利だと判断した場合には通報なくして入るんじゃありませんか。いかがですか。
○藤崎説明員 先ほど申し上げましたように、五条三項は、日本の普通の開港に入る場合に適用がある規定でございます。今度通報するといいますのは、五条三項に基づく義務としてやるのじゃございませんで、施設・区域でございますから、五条二項でございましたか、施設・区域には通報なしに入れるわけでございますが、条約上はそうなっているけれども、原子力潜水艦の場合には通報しますよということを言っている。だから、これは五条三項の適用としてではありませんから、同じ字は使ってありますけれども、五条三項によって入港するという関係じゃないわけでございます。
○野原(覺)委員 時間がないからまたの機会にお尋ねしますけれども、通報しないこともあり得るということをお認めになっておるのです。あり得るというその内容が言えないとはおかしいじゃないですか。通報しないこともあり得るんだ、これは通常ということばから言っても当然でしょう。私はその解釈は成り立たなければならぬと思う。また、アメリカ軍は、原子力潜水艦を寄港させるアメリカ軍の立場から言っても、私は通報しないこともあり得るというのが当然だろうと思う。その当然の中身のことを言わないというのは、私どもは納得できないですよ。どういう場合なんだ。いやしくも外交の責任を担当しておる外務省がその見解を言わない、国民に対して黙っておるということは、許しがたいと思うのです。あり得る場合とは、たとえばどういう場合ですか。
○藤崎説明員 先ほど申し上げましたように、何か交渉の過程においてこういう場合だというような話があって、それを伏せておるというようなことでは決してございません。ただ、常識的に考えれば必ずと言ってもいいんだけれども、そこまで言って、現在では予想もされないけれども、将来万が一そういう予告ができないで入港しなくちゃならないような場合があるかもしれぬからという、全くの安全のためにちょっと入っているわけでございまして、予定はないのでございますが、予見され得ないからこういうふうに書いておるわけでございます。
○安藤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 午後六時十四分散会