P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
46回国会衆議院1964/06/26

外務委員会 第33号

発言数
108
登壇者
13
会派数
3
開催日
1964/06/26

会議録

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これより会議を開きます。  閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお国際情勢に関する件について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、閉会中審査のため、委員を派遣し、実情を調査する必要が生じた場合は、その人選、派遣地及び期間その他議長に対する承認申請の手続等すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これより請願の審査に入ります。  今国会において本委員会に付託された請願は百九十九件であります。請願日程第一より第一九九までを一括議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。各請願の内容につきましては、文書表ですでに御承知のことと存じますので、各請願について紹介議員より説明聴取等は省略いたし、直ちに採否を決したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  請願日程中第八及び第一四六は採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  ただいま採択と決しました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付してありますとおり百十四件でありますので、この際御報告いたしておきます。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 速記を始めてください。      ————◇—————

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  高瀬博君。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 実は最近、ちょうど今月の二十日ころから、だいぶクウェート外相の対日訪問についていろいろなニュースが新聞に載っておるわけでございます。それについて、私は、日本とアラブ連合諸国あるいは特にクウェートとのいろいろな関係から考えまして、これはなかなか捨て置けない問題だ、こう考えましたので、いささかこの点について外務大臣の所見あるいは外交当局の御意見、こういうものを伺いたいと思って質問をいたす次第でございます。  どうも新聞の説だけではよくわかりません。わかりませんけれども、クウェートのサバーハという外務大臣が日本を訪問された。これは一体、公式に日本の賓客として訪問されたような様子もないし、日本が招待した国賓でもないし、どういう資格で来られたかわかりませんけれども、日本に来る前に、インドとかカンボジア、あるいはセイロン、インドネシア、ビルマ、タイ、ベトナム、あるいは国際連合、あるいはロンドンでイギリスの総理大臣ヒューム、こういうのを訪問して、それから日本に来たようでございます。したがって、氏は日本においても相当厚遇を予期して来たかどうか知りませんけれども、外電によりますと、とにかく日本の接遇について非常に不満を感じたらしく、ここに毛利政務次官もおられますのに妙なことを申し上げますけれども、空港に迎えに来たのは日本の下級官吏であったということで、要するに毛利政務次官の高い政治的地位をあまり認識しておらなかったようでございます。それから、大平外務大臣に会ったところが、十分くらいから時計をしょっちゅう見だしてさっぱり要領を得なかった、それから、池田首相に会ったところが、池田総理は、天皇陛下に拝謁する時間の都合もあったらしいが、そういう問題は外務大臣に聞けと言ったかどうか知りませんが、あまりアラブの問題について熱意を示さなかった、こういうようなことで氏は相当頭に来たらしい。しかも、この外務大臣のサバーハという人は、クウェートでは王位継承の六番目のプリンスだそうであります。したがって、小さい国でありますから、氏は、相当若くもあり、相当社会的地位も高いので、厚遇されて育ってきた人のように思うわけであります。したがって、日本の接遇は毛利君に伺いましても手厚くやったらしいのですが、その点、ただいまあげました歴訪したような国々と比較して満足すべき状態ではなかった。特にイギリスのヒューム総理大臣のごときは玄関まで送ってきたという話であります。そういうことになりますと、人間ですから、感情的に、日本の接遇の方法あるいは態度というものについて、かっとなったかどうか知りませんけれども、問題にして帰ったようでございます。これらの数カ国を訪問したところでは氏は何も問題にしてないのに、日本だけを非常に問題にしたということは、何かそこにいろいろ意見とか感情の行き違いがあったのだろうと思う。  ところが、このアラブ諸国にも、サバーハ外相に対する日本の態度というものが非常な反響を投げかけて、しまいに今度開かれるアラブ十三カ国連合の第三回の会議にこの問題をかけるということを言い出しておるようなんでございます。そこで、これはアラブ連合の首脳部もとにかく日本の大国としての国際的地位というものを認識していない点もありましょうが、しかしまた、アラブ連合に対する日本の認識というものが、彼らの考えておることにあまりかけ離れておるという点もあるらしいので、結局、ただいま、これは大平外務大臣も御存じか知りませんが、大平外務大臣のとった態度がどうとかこうとかという問題は逸脱してしまって、問題は、日本に対して、この外務大臣が非常に幻滅を感じたということになっている。アラブの諸国に対する日本の認識というものは非常に薄い、これではどうにもならないから、日本を東アの大国としてたよって、いろいろアラブ連合を代表していわゆるフレンドリー・トークをやろうと思って来たのに、木で鼻をくくったような態度であるから幻滅を感じた、こういうことになっているようなんです。大平外務大臣が時計を見たとか、あるいはあまりどうとかということではなく、問題は本質的な問題になって、アラブ連合の今度の総会に日本のこの態度・考え方をかけて相談をするというところまでいっているように外電は伝えておるわけでございます。しかし、クウェートの外務大臣の言うことだけではわからないので、いずれ、日本を訪問したヨルダンの外務大臣、あるいはナセル大統領の顧問、これらが帰ってきてからよく事情を聞いて、それからアラブ連合の会議に問題として提起するというようなことを言っておるようなのでございます。  この問題は、日本の外交に関して、特に日本はクウェートとは経済的にも政治的にもいろいろな点で関係がありますので、事は非常に重大だと考えますので、何とかこういう点を国会のこの質疑を通してわれわれが是正できれば非常にいいことだと思っているわけでありまして、決して私は外務当局あるいは外務大臣の責任を追及するという意味でこの質問を展開しておるわけではございません。これによってクウェートあるいはアラブ連合と日本との国際関係が是正され、改善され、よりが戻って親善の度を深めるようになればいいという意味でこの質問をいたしておることを御了承願いたいと思います。そこで、まず第一に伺いたいのは、六月二十日の外電の報じたカイロのクウェート大使館の発表、これは内容としてわれわれにとって非常に重大でございます。それはどういうことであるかというと、約四つばかりございますが、緊急の場合を除き日本人に対するビザの発給を停止するということが一つ、それから日本品の輸入のワクを制限する、それからクウェート在住の日本人の地位を再検討する、この地位を再検討するということはどういうことであるか、私には了解できませんが、これも相当重大である。それからアラビア石油との権利協定を再検討する、こういうことを考えておるというのであります。一体、こういうことがはたしてほんとうの真相であるかどうか、これは外務大臣にぜひ伺いたい。全く、われわれ日本とアラブ連合、特にクウェートあるいはサウジアラビア、こういうものは非常に友好的関係にあるとわれわれは考えておりましたので、この報道はわれわれにとっても非常に意外な報道なのでございます。しかも、ただいま申し上げましたように、アラブの首脳会談にこの問題を取り上げる形勢があるということになりますと、非常に事重大で、したがって、ただいまのことが一体どんなふうに展開しておるのか、その真相を外務大臣から伺いたい、これが一つでございます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 四月下旬、ちょうど天皇誕生日の前日でございましたが、アラブ、イスラエル間の紛争にかかるアラブ諸国の立場を説明されるためにクウェートのサバーハ外務大臣が来日されました。これは日本政府が御招待申し上げたものではございません。そこで、私どもといたしましてはクウェートと日本との友好関係にかんがみまして、わが国の要人接受のただいままでの慣行を十分吟味いたしまして、でき得る限りのことを考えたわけでございます。私が約四十分間、アラブ、イスラエル紛争問題、ジョルダン川の分水問題、パレスチナの難民問題、二つの問題についてアラブ諸国側の御見解をお聞きいたしたわけでございます。その後、総理に表敬の時間をとっていただき、陛下に謁見の時間もとっていただきまして、この種の接遇といたしましては可能な限り考えて処置いたしたつもりでございます。その後、サウジアラビアの外務次官、これは国王が外務大臣をやられておる関係から事実上の外務大臣でございますが、この方がお見えになり、先ほども高瀬さんが御指摘のようにジョルダン並びにアラブ連合からも要人がお見えになりまして、この二つの問題について同様にアラブ諸国の立場を日本政府に説明し、その理解を深める努力をなされたのでございました。アラブ諸国とわが国との友好関係にかんがみまして、クウェートに対すると同様に、この三国に対しましても全く同様な接遇をいたしたわけでございます。  ところが、いま御指摘のように、最近になりまして、日本側のクウェート外相に対する態度が冷たかったということがカイロからの通信で出てまいりまして、実は全く私も当惑をいたしておるところでございます。したがいまして、御来日から離日されるまでの経過を厳密に検討いたしまして、何か手落ちがあったのかどうか、そういうような点も十分検討いたしておるのでございますが、先方の今度の接遇にあたりましては、十分私どものほうとクウェート在日大使館との間でお打ち合わせも了した上でやってまいりましたことでございまして、ただ一点先方の御希望に沿い得ないことがございました。それは、この来日に伴う結果を共同声明の形で発表してもらいたいという希望でございましたが、この種の問題につきましては、共同声明を出したという経緯はただいままでございませんし、それは応諾いたしませんでして、ただ事実を記録いたしましたステートメントにしていただきたいということにいたしたのでございまして、これは他の三国も同様でございます。私どもといたしましては全く善意で接遇いたしたことでございまするし、何か不慮の誤解があられたのかもしれませんので、クウェートの河野大使を通じまして私どもの真意を先方にお伝えいたしまして、理解をいただくように努力をいたしておるところでございます。と同時に、一昨々日夕刻、近く休暇帰国いたしまする在日クウェート大使をお招きいたしまして、私どもの真意を十分お伝えいたしまして、外務大臣にクウェート大使を通じましてわれわれの真意のあるところを十分御披瀝いただきたいと、クウェートと日本との親善関係増進のために最善の努力をお願いいたしておいたところでございます。  それがいままでの経緯でございまして、クウェート以外の三国、ジョルダン、サウジアラビア、アラブ連合からはそういう反応は全然ございませんし、在日中の好遇を感謝するという電報もちょうだいいたしておるわけでございます。したがって、こういった誤解がなぜ生じたかということにつきましては、全くいま私にはわからないわけでございまして、両大使を通じて十分日本政府の意のあるところをお伝えして、誤解が氷解いたしまして親善友好関係が一そう増進されるように希望いたしておるわけでございます。  第二の問題の、アラブ、イスラエル紛争の問題でございますが、これは長い懸案でございまして、中近東の平和を脅かしておる重大なむずかしい問題であることは私どもよく承知いたしておりまするし、すでに国連において取り上げられておる問題でございます。日本政府の態度はこの四カ国の要人の方々にも十分御説明申し上げたわけでございますが、国連で取り上げられておりまするし、国連憲章の線に沿って平和的に解決されることを希望いたします。われわれも国連の一員といたしまして最善の努力をいたします。特に特別政治委員会で取り上げられる案件でございまするし、わが国はこの次の国連総会におきましては福島代表に特別政治委員会の議長に立候補していただいて、福島さんの練達した外交手腕と非常に円熟した御人格によりまして、たいへんむずかしい問題でございまするが、この問題の平和的な解決に日本といたしましても積極的な寄与をいたしたいという念願を持っておるということでございまするし、難民救済の問題につきましては、三十九年度予算におきましては前年度よりこれを倍額にふやしていただきまして、日本政府の関心を示しておるわけでございます。そういった点は関係各国とも御理解をいただいておるものと私は思っておるわけでございます。今後もそういう方向で進んでまいりたいと思っておるわけでございます。  こういう不幸なことは、いち早く氷解いたしたいものだと思っております。ただ、第三に私が申し上げておきたいのは、カイロからいろいろな通信がございまして、日本の新聞紙面にもこの種の事件がカイロ通信として載っておるわけでございます。これには相当事実と違ったことが載っているわけでございますが、なお私どもが沈黙を守っておるゆえんのものは、こういう問題を、これはこうであった、これはこうであったと一つ一つの節々を一々取り上げて論議するというようなことは、かえって事態をよくしないのじゃないかと思うのでございまして、そういうことは一切申し上げないことにいたしまして、ひたすら日本政府の真意のあるところを御理解いただくということに終始して、早期に事態が氷解するようにいたしたいということで努力を傾けておる段階でございます。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 ただいまの外務大臣のお話で非常に了解するところがございますが、先ほど申し上げました、カイロのクウェート大使館が発表しておる、緊急の場合を除き日本人に対するビザの発給を停止する、日本の商品の輸入ワクを制限する、クウェート在住日本人の地位を再検討する、アラビア石油との利権協定を再検討する、これらの項目について具体的にクウェートのカイロの大使は肯定もしないし否定もしないということを新聞に発表しております。具体的にこれがどういうふうにあらわれておるか、河野大使からどういうふうに外務省にこういう点について連絡があったか知りませんが、ただ、日本において具体的にあらわれておる問題は、現実にクウェート駐日大使館は五月以来同国に日本人が入国するその申請に対してビザを停止しておるという現状があるようでございます。これは、停止あるいは遅延させるというようなことがあるので、日本の商社は非常に困っておるということを聞いておるわけでございます。したがって、それは一体事実でありますかどうか。私は、外務大臣の言われたように、これらの国とわが国は友好関係を持続することに努力することは当然であると思いますが、一体これらについてどういうふうにお考えになっておりますか。このビザは現に遅延させられたり停止しておるという現状があるようでありますが、ほかの三項目についてはまだ私は存じませんが、具体的にあらわれておる問題としてはそういうことがあるようでございます。したがって、相互の親善関係の増進ということについて非常に重大な問題でございますから、これについても念のために一言伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 クウェートと日本との間の問題としてただいままでに起こりましたものといたしましては、いま高瀬さんの御指摘のようにビザの問題がございますが、若干ビザが遅延した事実はあります。しかし、結局認められております。ただ、一部報道関係の方で発給がなかったものがあるように聞いておりまして、そういうビザの遅延した事情につきましては、河野大使を通じて先方の政府に申し入れました。そういう必要な事情があれば先方の外務省に申し出たらよいじゃないかということで、申し入れて逐次解決しておると思うわけであります。ただ、アラビア石油関係等実務技術者の渡航等には、ただいまのところ支障はないと私は承知いたしております。一部報道関係の方で発給がなかったということはあったと聞いております。ただ、商品貿易の面、それからアラビア石油との協定の問題、そういう問題は私どもの間の問題になっておりません。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 ぜひとも、私は、こういう点について今後とも両国が密接な友好関係を持続するように外務大臣に御努力を願いたい、こう思うわけでございます。  それから、ただいま外務大臣も言われましたが、アラビア石油の利権協定ですね、掘さくに関する協定、これは残りが三十五年だと思うのでございます。それで、これは私個人のことを申しては変でございますが、私の友人の岡崎君もこれの顧問か何かやっておって非常に心配していると思うのです。したがって、これらのアラビア石油の権利協定を再検討するなどということになって、いわゆる今後の日本に与えられた掘さくの権利あるいは日本と両国間の経済関係にひびが生ずるというようなことがありますと、これは非常に重大で、われわれとしてはぜひともこういう問題については政府の善処を望まざるを得ないわけでございますが、これらの点について外務大臣はどんなふうにお考えになっておりますか、ちょっと所見を伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど申し上げましたように、まだそういう問題は私どものほうの問題になっていないわけでございまして、ビザの問題で一部遅延の事情がございましたので、先方と連絡いたしまして疎通の道をつけたということ以外は、実際面におきましての問題はございません。ただ、私といたしましては、アラビア石油がクウェートにおきまして石油の採掘をやっておるという事実は十分念頭に置きまして事に当たっているつもりでございます。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 大体において私の伺いたいこと、申し上げたいことはこれで尽きておりますが、どうぞ外務大臣におかれましても、両国の経済関係あるいは政治関係の重要性にかんがみまして、今後とも十分両国の親善関係が増進されるよう御尽瘁あらんことを希望いたしまして、私の質問を終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 板川正吾君。

板川正吾日本社会党

○板川委員 大体高瀬委員が質問をされましたから、簡単に二、三点だけお伺いいたしたいのであります。  私も二年ほど前に機会を得ましてクウェートを訪れたことがあります。その際に、クウェート人の対日感情というものは、まあ親戚の者を迎えるような気持ちで、対日感情というのはあの地域では非常にいいのですね。日本の商品が至るところにありますし、また、石油の利権を欧米諸国に与えないで、サウジアラビアと一緒になってわざわざ日本に与えた、こういう非常に親日的な国です。その国の代表が四月においでになったときに日本政府の取り扱いがどうも冷たかった、こういうことで、いま高瀬委員が言われたような事実に基づいて問題が起こっておるようです。これは私どももまことに遺憾とするところでありまして、こういう発言を機会に、日本政府の真意であったものが伝えられて、誤解が解けるようであればいいんじゃないか、こう思うわけであります。  そういう意味で質問申し上げたいと思うのですが、外務大臣のいまのお話を承っておりますと、クウェートの外務大臣を迎えたときは、わが国の慣行上、また接遇上できるだけのことをしたのだ、善意を尽くしたのだと、こうおっしゃった。なるほどできるだけの善意を尽くしたと日本側は思っておるのだが、しかし、相手側はそう感じない、相手側はそうじゃない、逆に非常なふんまんの気持ちを持ってそういう意思表明もされておる、こういうことです。ここはなぜそういう事態になったかということを外務省としても反省する必要はあるのじゃないだろうか。もちろん反省はされておると思うのですが、私は、根本的に言いますと、池田内閣の外交というのはどうも大国に迎合する点が非常にある、大国の代表が来るとまことに下にも置かないもてなしをするが、何かそういう身近なアジア、アラブの諸国の代表が来たときには、どうも通り一ぺん的な扱いをするところに問題があったのじゃないか、こう思うのです。いま高瀬委員の質問にもありましたように、日本政府としては、向こうが招待をした正式の代表じゃないから、まあ外務次官でけっこうだ、こう思っておられたようです。相手側はアラブ十三カ国を代表して日本にいろいろ外交上の話をしに来る、こういうことでしょうから、アラブ十三カ国を代表して来るというときに、日本が招待したのじゃないから次官でいいのだ、こういうふうなところにやはり問題があったんじゃないでしょうか。私は、英国の例なんか見ますと、外務大臣が迎えに出たり、総理もたいへん時間をとってわざわざ車まで送って出たというふうな待遇をしておるのに、まあ通り一ぺんと言ってはおかしいのですが、アラブ十三カ国を代表する代表の方が来るのに、招待をした客じゃないからというような、それはどうもその辺に外務省としての官僚的な扱いと言いましょうか、あるいは大国には迎合するが小国はこれを無視しようというようなところに一つ問題があったのじゃないか、こう思うのですが、その点外務大臣はどういう反省をされておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 大国に手厚く小国に対してはそうでないというような考えは毛頭ございませんで、大国に対しましても小国に対しましても、国のいかんを問わず、全く公平にいたしておるつもりでございます。それから、儀礼上の問題でございますが、これはその道の専門家が従来の典礼を十分調べまして措置いたしておるわけでございまして、私といたしましては、その人たちの立案いたしましたことを信頼いたしておるわけでございます。それで、私がかりに自分の思いつきでふるまいますと、その典礼がくずれてしまうわけでございまして、そういうことは慎むべきであると私は思っております。アラブ諸国の代表として四カ国の要人が来られたわけでございます。全く同様に取り扱ったわけでございまして、接遇いたしたわけでございますが、他の三国からは何ら御非難がないわけでございます。ただ、いま板川さんが御指摘のように、私が何か思い当たることがないか、おまえは反省することがないかということでございますが、ちょうど一昨々日もあちらの大使と御懇談いたしましたときに、日本はブラザーだと思っておった、親類に来るという感じを持って来られたというわけですね。それが、御期待されたことと、日本できちんと取り結ばれた儀礼上の接遇との間に、そこに何か埋めがたいものがあったのではなかろうかということは、私もそう指摘されてみるとわからぬではないわけでございます。ただ、国の外交といたしましては、全部厚くにこしたことはないわけでございますが、しかし、長い歴史を持った日本の国でございまするし、過去において日本を訪れました特定国の外務大臣の処遇をずっと上回る処遇を特定国にまた与えるということにしますと、そこから全部また接遇のやり方を変えてしまわなければいかぬわけです。これはまた影響が非常に大きいわけでございまして、外交は中身も大事でございますが、プロトコールが非常に大事でございまして、それを一部でもくずすということになりますと、その波紋というのは非常に大きいわけでございます。したがって、そのあたりの事情は、われわれが善意であった、——クウェートに対しまして、またクウェートの外務大臣に対して、かけらも悪意を持つはずがないわけなんでございます。それで、そういったことを十分御説明申し上げて御理解を得るということ以外には手がないのではないかということで、私先ほども高瀬さんに御説明申し上げたわけであります。いま最善を尽くして努力をいたしておる段階でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 向こうの国の人々が日本に兄弟の国に来るような気持ちで来たのに、日本の処遇が通り一ぺんのように受け取られた、しかしこれは外務省としては典礼等の前例によってそういう扱いをせざるを得ない、こういうことだろうと思うのです。しかし、私は、それならば、向こうの十三カ国の要請、これは、日本の外交の方針として、場合によってはそれに一〇〇%けっこうですといって同意できない場合もあるかもしれません。それは国の方針だからいたし方ないとしまして、これは私も問題を持っていますが、それはあとにしまして、その場合に、向こうの要請に従い得ない場合であっても、やはり、同じ断わるにしても、あるいはこっちの意思を伝えるにしても、もっと親切みを加えた態度がそういう場合にはなおさら必要である。向こうの要請をそのまま受け入れる場合ならば、多少でも向こうも目的を果たす意味で気持ちよくお帰りになるかもしれませんが、向こうの意思を十分こっちが受け入れないような状態の場合には、特に向こうの立場等を考慮した扱いが必要じゃないか。新聞等によると、十分後には大臣は時計ばかり見て気にしておるというようなことをいわれておりますが、こういう点はひとつ相手の立場を十分考慮した外交が必要じゃないかと思う。  それから、もう一つは、池田内閣の外交は、総理の施政方針にもありましたように、経済外交というものを非常に重要視しておるのですね。経済外交ということを総理がしばしば言っております。もちろん外務省もその方針だろうと思います。経済外交という点から見ますと、アラブ十三カ国に対する日本との貿易というものは非常に大きな数量を持っております。年間一億五千万ドル、片や、そういう比較では外交上どうかという議論もあるでしょうが、経済論から見ると、イスラエルは年間六百万ドル程度で、二十五対一ですね。だからといって、少ないからどうでもいいというわけじゃございません。しかし、やはり、経済外交を本気で進めようとするならば、取引の多い国の立場というものを考えて外交をやる必要があるのじゃないか、こう思うのです。アラブのうち特にクウェート、サウジアラビアというのは日本に石油利権を提供しておるのですね。特にアラビア石油が日本のエネルギー政策の上で非常に大きな役割りを持っておる。御承知のように、日本の石油というのは九割九分まで輸入でしょう。それで、その七割ほどがいわゆる英米国際石油資本というところに結ばれておるわけです。日本に金を貸しましょう、しかしそのかわり原油は私の会社の原油を買いなさい、安いのがあってもほかから買ってはいけないというのが従来の取引形態だった。これが全部石油を英米系から買うということになりますと、今度は競争がなくなって高い石油を買わなくちゃならない。そういう場合に、クウェート、アラビア両政府が提供したカフジの原油というものは約二割近くを占めておる。これは半分は円貨で払っていいので、年間一億ドル近くの節約もできておる。四十年間にわたって権利を与えているというのですが、とにかくこういう経済的な非常な結びつきがある。クウェート等に行きますと三割から四割は日本商品がはんらんしている。貿易上も非常に重要だ。こうした国の代表がその国のいろいろな要望を持ってきた場合には、できる限りそれを尊重してやる、こういうのが私は経済外交だろうと思うのです。その場合に、それはそういう場合であっても必ずしもその意見を全部聞くというわけにはいかないというときには、それはそのように丁重な扱いとお断わりのしようがあるのじゃないか、その辺を従来の典礼なり前例なりの一点ばりで考えておるというところに問題かあったのじゃないだろうか、こう思うのですが、大臣の見解を伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アラブ、イスラエルの紛争につきましての根本的な考え方は、先ほど高瀬委員にお答え申し上げたとおりの公正な態度で終始いたしたいと考えておるわけでございます。国際紛争は武力によらずに平和的に解決するという憲法の精神を把持いたしまして、これはひとりアラブ紛争ばかりでなく、すべての紛争について終始一貫私どもが堅持いたしております方針でございます。したがって、この問題と経済外交の基本方針とは直接関係がないと思うのでございますが、ただ、御指摘のように、トレーディング・ネーションとして世界に信用をいただき、日本品を買っていただかなければいかぬし、原材料は豊かに供給を受けなければならぬ国といたしまして、経済外交が非常に重要であるということは御指摘のとおりでございます。そして、それは、現在多いから大事だというばかりでなく、将来の潜在的な市場性につきましても十分着目いたしまして、注意を怠らないようにしなければならぬと心得ておるものでございます。ただ、経済は、いま御案内のように開放経済体制になっておりまして、民間の自主的な運営にまかされておるわけでございまして、私どもの任務は、商業ベースで民間貿易を展開する場合に、できるだけその支障をなくするように、障壁を低くするように、伸び伸びとやれるような環境をつくり上げていくということを根本にしていかなければならぬと思っておるわけでございまして、特定の地域あるいは特定の国と日本との関係につきまして、政府がかまえて商品の流れや分量を規制するという立場にないことは、板川さんも御案内のとおりでございます。ただ、あなたが御指摘のように、相当巨額の取引をしており、また将来開発の可能性も非常にあるということ、そのことは、われわれが国交を展開してまいります場合に、事経済問題ばかりでなく、政治外交の面におきましても、しょっちゅう頭に置いて考えていかなければならぬわけでございまして、先ほど高瀬委員にも申し上げましたとおり、アラビア石油に象徴されるクウェートと日本との特殊な経済関係というものは、われわれ終始念頭を離れるわけにまいらぬわけでございまして、その点は十分の注意をもって対クウェートの国交に当たっておるわけでございまして、今度このような不幸なことになりましたが、これは早急に氷解いたしまして、昔の友好関係を早く回復しなければならぬ、クウェートの大使もこのように申しておりますし、最善の努力を払いたいと考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 まだ伺いたいのですが、時間の都合もありますから、大臣の今後のクウェート国の誤解を解くような努力を期待をいたしまして、質問を終わりたいと思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 本件に関しましては、与野党の諸君と政府間の質疑応答で、政府においても尽くすべき礼儀は一応尽くしておられ、また、毛利政務次官から私的に伺いましても、相当注意をもって接遇はしておったようでありますけれども、ただ、それにもかかわらず何らかの感情を害したといいますか、よき感情を持たせ得なかったということは、まことに委員会としても遺憾だと存じます。今後、低開発国ですか、たくさんの植民地が独立して日本に続々来られる際ですから、特にそういう国に対しては外務省においても注意をせられるように、特に委員長からも御注文を申し上げておく次第であります。  松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本委員 私は本日は中国経済貿易展覧会の問題に限って質問したいと思います。  東京での開催が八十一万人からの観客を招き非常に盛会のうちに成功し、また大阪でもこれを上回るような盛況のうちに進んでおるということば、まことに御同慶の至りです。ところが、御承知のように、本年はそれに加えて北九州でも開催しようということが、すでに昨年の十二月に主催者並びに日本の協力団体の間に意見一致して、その開催実現を期して、今日まで、地元はもちろん、日中の今後の貿易の発展を通じて日本経済に貢献しようということで努力をされておる諸団体も、その実現のために非常な努力をされてきたわけであります。私どもも、いろいろ微妙な問題も含まれておることですから、事故なく東京開催が無事に成功するように、それをきっかけに大阪、北九州と続いて成功するようにという配慮もありまして、あまり公にこの委員会でこの問題を取り上げることはむしろ差し控えてきたくらいであります。ところが、最近になって、政府の担当者に、地元の方々、あるいは中央の展覧会協力会の方々、あるいはその他の関係者の方々が折衝される過程で、どうも政府は非協力的な考え方並びに態度を持っているのじゃないか、そういうことでかなりわれわれも憂慮しておったのですが、はたせるかな、ごく最近地元の代表の方々が政府あるいは与党その他に実現方を最後的に要望されて回ったときに、政府としてはこれを認められないというようなきわめて非協力的な冷たい態度が表明されたわけであります。  この展覧会は、決して東京とか大阪とか北九州というような地域の問題ではなしに、むしろ日本全体の今後の方向にも関係し、特に大事な日中関係を打開する上できわめて重要な意味を持つものであったと思う。特に開放経済のもとにおいてこれから日中の経済交流をやっていこうという日本の国民的な利害関係に密接に結びつくこの問題については、全国民的な関心がわくのは私は当然だと思う。特に福岡県は御承知のように衰微しつつある炭鉱をかかえておるのですが、これは福岡県だけの問題ではなく九州全体の問題になり、九州、山口の県会議長会の決議にもなってあらわれておるほど、この問題は全国的に重要な問題になっておるわけです。  したがって、私は、いよいよ重大な岐路を迎えようとしておる今日、国会は最終日ですけれども、特にこの問題を取り上げるわけでございまして、まず、私は、大平外務大臣から、なぜこのように非協力な態度に終わろうとしておるのかという点について、十分みんなの納得するような説明をひとつしてもらいたい。地元から来られた方も、これは自民党の県会議長さんですが、政府・与党を回られて、そして納得ができないばかりでない、非常に憤慨して帰られたという事実もあるわけです。したがって、この問題は、野党とか与党とかいうことでなしに、日本国全体にかかわる重要な問題ということから、ひとつ懇切に私どもの納得できるような説明を賜わりたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 松本委員が御指摘のように、本年の東京における中共見本市も盛況裏にかつ平穏のうちに終わりましたこと、そして大阪における状況−も満足すべきものでありましたことは、御同慶にたえないと思っております。ただいま、これをさらに北九州地区にも本年中にもう一度開くということについて政府が非常に非協力的であるがその理由ということのお尋ねでございますが、私どもの念願いたしますのは、いま申しましたように、そうしたものが国民の理解を得まして平穏に盛況裏に終わる体制に持っていきたいというのが一つあります。と同時に、これは政府が共同主催の立場にあるわけではないわけでありまして、民間レベルで中共側と話し合って開催して、政府がそれをもんちゃくが起こらないようにいろいろ御支援申し上げる立場にあると私は思うのでございます。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 ことしはそのような民間レベルでのお話し合いは二カ所ということでできておったと承知するわけでございます。日本の国内で、日本だけの判断でものことをやるのでございますならば、二カ所を三カ所にするとか四カ所にするとかいうようなことがそんなに私はむずかしいことであるとは思わないのでございますが、他国とお話し合いをしてちゃんときめました以上は、それに沿って整然と実行してまいることが、私はこの種の催しをやる場合におきましても非常に大切なことであると思うのでございます。北九州の方々の御要望は実態的によくわかるわけでございますが、ことしはそのような話し合いができましてスタートして、そしてそれが幸いに先ほど申しましたように平穏裏に推移いたしておるわけでございますから、ともかくことしはこれで必要で十分でないかと私は考えておるわけでございまして、決して非協力とかなんとかいうわけではなくて、こういう事柄を成功させたいために、そしてこういう事柄を規律するルールがちゃんと確立することを保障するために、私どもといたしましても、当初きめられました線をきちんと守り、そして政府側の支援体制というものもそれに即応してちゃんとした体制でもって平穏にやってまいるという状態を保障いたしたいためにそう申し上げておるわけでございます。決して非協力とかなんとかいうものでないことは十分御了解をいただきたいと思います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 外務大臣の前提が違っておるのです。あなたは民間レベルで二カ所にきまっておったという前提で話しておるのですが、そうじゃないのです。民間レベルでは三カ所にきまっておるのです。これは政府がやるのじゃなくて、あなたの言われる民間がきめて民間がやるのですけれども、しかし、それについてはいろいろな点で政府の協力を仰がなければならぬ。したがって、政府に申し入れるときには三カ所を一度に申し入れるときもあるでしょう。あるいは一カ所から、二カ所、三カ所になるときもある。最初は二カ所申し入れてある。そして、北九州もやるということで、福岡県の日中貿易促進協議会と主催者である中国国際貿易促進委員会との間で、北九州というよりそのときは福岡という表現ですが、福岡でやろう、都合三カ所でやろうという話し合いができたのは昨年の十二月です。そうして、地元はもちろん、中央の国際見本市協力会でも、三カ所でよかろうということになって進んでおるのです。だから、あなたは二カ所で話し合いがきまっておると言うが、そうではない。三カ所でやろうということで話し合いがきまっている。だから、政府がそれに即応した応援体制、支援体制さえとれば実現できるのを、政府が支援体制をとらないからできにくくなっておる。だから、そこのところは、北九州の開催だけに限ってなぜ支援体制をとらないかということを、みんなの納得するような説明をお願いしたいというのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもは、東京、大阪に開きたいということで、それに対しまして政府の支援体制というものをお願いして実行に移したわけでございます。いま松本さんが御指摘のように、北九州開催についてどういう団体がどのようにやられたか私はよく存じませんが、先ほど申しましたように、他国とこういう取りきめをやる場合には、そしてそれに対して政府が支援体制をとる場合には、それを平穏かつ整然とやってまいる上におきましてはそれ相当の用意が要ることでありますし、東京、大阪という前提でお話がついたということで、私どももそれに即応した姿勢をとって進むわけであります。途中になりまして一カ所ふやすからよろしく頼むというようなことでこの種の問題を律すべきではないと考えたわけであります。かたいようでありますが、これは決してかたいのではなくて、事柄はちゃんとりっぱに成果をあげたいために申し上げておるわけでありまして、こういうことを頭から否認しておるというのでなくて、本年はそういうようにきまったところで整然とおやりいただくことが、この種の催しの成果をあげる上におきましていいのではないかと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本委員 あなたは、どういう話があったか知りませんがと言っておるが、二月からすでに外務省にも通産省にもそういう話が協力団体からちゃんと行っておるのです。そういう話が行ったからこそ、通産省なり外務省の係の方々の意見というものがすでに出されたのじゃないですか。民間はそういう方針で進んでおる証拠です。それを何で政府は北九州の開催に限ってオミットして協力をしないか。その理由としては、そんなばく然とした、円満にやるためにこれをはずしたなどということは、これは承知するはずはない。納得できるはずはない。そして、現に、警備上の問題があるとか、そんなことを外務省からちゃんと主催者団体に北九州をはずす理由として出しておるのですから、それならそれで、大臣からちゃんと、これこれしかじかで警備上責任がとれないから北九州開催は困ると、その理由をここではっきりさしてください。そんなばく然とした話で了解できますか。もう少し具体的に、なぜ北九州がやれないのか、差別待遇をするのか、その理由をはっきりさしてください。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 差別待遇をするわけでは決してないのでありまして、去年は中央のほうで二カ所やり、ことしは日本で二カ所やるという、その程度の開催ということで、またそれに即応した支援体制をとる、そしてその成功を保障していくということが適当であると判断したわけでございます。この種の問題を成功裏におさめるためには二カ所程度でやってまいることが適当であると判断したわけでございます。多くなるほどこしたことはないということでなくて、整然と平穏にやってまいるために、支援体制を十分政府としても考えてまいるためには、去年も先方に二カ所お願いすれば、ことしも二カ所程度でいいだろうというように、私どもはその体制で進めたわけでございます。それを途中で三カ所にするという熱望はよくわかるわけでございます。理解はできるわけでございますけれども、私どもといたしましては、本年は大阪、東京ということで必要で十分じゃないか、そう判断いたしたわけです。

松本七郎日本社会党

○松本委員 大臣自身しきりに言われるように、これは政府自身がやるのじゃないでしょう。民間でやるのだ。民間が三カ所必要だということで三カ所にきめたなら、なぜそれに即応する支援体制をとらないのですか。それにもかかわらず、政府の考えから、円満にやるなら二カ所がいいのだ、そういう判断をするということは、政府に積極的にそれだけの理由がなければ介入できないはずです。もともとこれは民間がやることです。なぜ民間がやろうとするのを押える積極的な行動に北九州だけに限って出るのですか。それだけの理由がなければならないはずです。それを明らかにしてください。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 北九州という地区に入れてはいかぬという考えではないわけでございまして、いま申し上げておりますように、本年は東京、大阪という二カ所、——去年も中共に二カ所お願いしたわけでございます。政府の支援体制をとる上から申しましても、この種の行事を成功に導く上から申しましても、これで必要で十分でないか、そう考えたわけでございまして、他意は別にございません。

松本七郎日本社会党

○松本委員 それは、こう考えたといったって、片一方主催者のほうは、ことしは日本では三カ所がいいという考えで進んでいるじゃないですか。それを否定するのは他意があるととらざるを得ないじゃないですか。あなたがやるなら別です。主催者なら別です。あなたも言っているように、もともと民間のやることだ、それに対応して協力するのが政府の立場だ、これははっきり言っておられる。それなら、去年二カ所中国でやった、だから今度も二カ所でやりますと主催者が言っているなら、二カ所で協力してもらえばよろしい。ところが、全体では通算すれば向こうもやる回数のほうが多いのですよ、年々かりに二カ所であっても。したがって、本年は一カ所加えて三カ所にしてやるのが適当だという考えに基づきまして主催者は進んでいるのだから、それをできなくするように政府の考えは二カ所が適当だと言う以上は、政府に積極的な理由がなければならない。それをはっきりしてもらわなければ納得できないのはあたりまえですよ。もう少し具体的にはっきり言ってください。いままで政府から治安上の問題とか警備上の問題とかいろいろ出てきておるのですから、それならそれで大臣から責任をはっきりしてもらわなければ困る。こういう問題があいまいなうちに、いつの間にか消えてなくなったでは困る。だから、法務省に問題があるなら法務省から答弁を求めます。いま大臣は外務大臣一人しかいないから、政府の責任者であるあなたから、もっときちっと具体的な説明というものをしてもらわなければ、親切な態度ではない。ただ私のほうは二カ所が適当だというのじゃ済まない。答弁を求めます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、これは民間の仕事でございまして、政府のほうでこれを整然と行なわれてまいりますように支援をしていくという仕組みになってきておるわけで、今日まで整然と行なわれておることは御同慶にたえないわけでございまして、こういうものを成功に導く支援体制の十全を期する上から申しまして、二カ所程度が適当であると政府は判断しておるわけです。

松本七郎日本社会党

○松本委員 二カ所程度が適当であるという理由を言ってください。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 政府が支援をいたしまする上におきまして、二カ所程度が適当である、こう判断しておるわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 三カ所だったら支援できないということですよ、結局。あなたがそういう答弁をされるなら、しようがないから、いまから、いままでの経過を一つ一つ私は言って、そして大臣の答弁を求めます。しかたがない。時間を節約する意味で、最終段階に来て大臣からこれこれしかじかの理由で自分としては今度遠慮してもらいたいという御説明があれば、それに基づいて質問もでき、能率的なんです。そういう答弁を繰り返されておるなら私はいつまでもやります。十二時半までしかないからというからこっちは急いでおるのです。どうです、もう一ぺんもう少し懇切な答弁やってくれませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たびたび申し上げておるところで御了解をお願いしたいのでございますが、しいてもっとものを言えというのであれば、これは要するに、先ほど申しましたように、去年は先方で二カ所お願いした。こういうことはお互いに相互主義のたてまえで同じようにサービスしていくというたてまえが適当でないかということと、それから、せっかく見本市を開くのでございますならば、これは普通国際見本市を開くのもずいぶん前から用意するわけでございまして、相当の計画性を持ってその成果をあらしめるようにするのには何年も前から用意してかかるのが通常でございまして、私どもといたしましては、民間からの御連絡によりまして、ことしは二カ所お願いするということで、それを是と信じてそういうことに応じた体制をとったわけでございます。ことしはこれでやってまいるのが一番適当じゃないか、これは政策上の問題として私は申し上げておるわけでございます。三カ所にしたから警備が全然できないかという物理的な問題、そういうものではないと思います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 いま大臣は相互主義ということを言われたけれども、いままでの外務省なんかの折衝のときもよく出たことばです。じゃ、その相互主義がおもな理由だ、こう受け取っていいのですか。この点はっきりさしてください。相互主義のたてまえから困ると言われるなら、それを中心にまた質問します。いま大臣の答弁で新しく出たのは、相互主義ということ、もう一つは支援体制、二つが出たのです。しかし、実際の開催は三カ所十分に間に合うというたてまえで主催者側は進んできたのですよ。三カ所になったら十分な支援ができないというのは、どういう内容の点でその支援がうまくいかないのか、その点も明らかにしてください。相互主義が一番大きな理由なら理由で、それを中心に今度質問します。まず確認しておきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 見本市はそういう相互主義でやるなんという条約は別にございませんけれども、そういうイスタブリッシュした国際ルールがあるわけじゃございませんけれども、私どもといたしましては、この種の催しは相互に公平に考えてやる、いわゆる相互主義のたてまえでやることが適当であると考えておるし、それに、先方で二カ所お願いしたなら日本も二カ所お願いするというのが一番適当であると考えるべきだと思います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 相互主義に基づいたら、回数がことし二カ所になるというのは、むしろ相互主義に反するのです。いままでこっちでやった回数は向こうのほうが少ないのだから。日本は向こうでいままで何回やったと思いますか。六回やっていますよ。向こうは二回ですよ。今度東京と大阪でやって初めて四回になる。六回に四回です。北九州を入れても五回です。まだそれでも一回の借りがあるじゃありませんか。むしろ三回で早く回数をそろえたほうがいいじゃないですか。さっぱり理由にならないのです。どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まあこれは常識を申し上げておるわけで、あなたが言っておるのは貿易中断前のことも勘定されておっしゃっておるんじゃないかと思うのでございますけれども、このようにだんだんと貿易の正常化の段階に来ておるわけでございましてわれわれといたしましては、こういう相互主義のルールというものをベースにして今後もやってまいることが適当じゃないかと思います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 これは、回数ばかりじゃなしに、見本市について入国する人間の数、そういうものも、日本から向こうに入る人のほうがずっと多いですよ。去年一年の統計をとってごらんなさい。これはそういう関係で行った日本人の数のほうがずっと多いです。それから、あなたのいまの答弁によると、最初に言われた、民間でやることだからそれに応じた協力をするんだということとだんだん変わってきて、政府がやはりそういう何かしらん配慮を加えながら政府のものの考え方で回数なりあるいは場所なりをきめていくというような何か答弁のにおいが出てきた。いままで協力会あるいは主催者のほうで北九州でやることについて何も障害はなかった。問題は政府の協力だけですよ。関税上の保税措置だとか、あるいは滞在、関係者が長く滞在しなければならぬでしょうが、そういうところへかかっているのでしょう。そういう答弁は何回聞いても同じですから、私はもういいかげんで切り上げたいと思いますけれども、事務当局に話を聞いてみれば、その主催者並びに日本の協力会、関係団体が、これはひとつ北九州でもやりましょう、実務上決してやれないことはない、やりましょうといってここでやる場合、いま言う滞在の問題その他はそれじゃ協力してもらえるか、いままで聞いたところでは何にもじゃまする理由はないのだから、じゃ協力してもらえるかと言ったら、それは政府さえどうぞと言えば十分協力します、こう言っているのですよ。だから、これができないということは、事務当局としても実務上いろいろ協力すればこれは実現できる今日の状態にあるにかかわらず、いまの政府が、どういう理由かわからないけれども、とにかくこれは適当でない、だから協力するなという意思が動いたからこそ、事務当局は協力しないのですよ。その点をぼくはこの際はっきりしておきたいと思うのです。いやしくもこういう強い要望を持ってここまできて、これがやれないということになれば、その責任は一体どこにあるかということをはっきりさせなければならぬ任務がわれわれにある。したがって、その点をわれわれ外務委員会として責任を負うわけにいかないですよ、こういう大事な問題を。これはむしろ政府に協力させる努力を最後までなすべきだと思う。したがって、外務大臣はこれから総裁三選だとか内閣改造で留任されるのかかわるのか知りませんけれども、とにかく、大臣がかわろうがかわるまいが、これは引き継ぎ事項になるのですよ。その責任は池田内閣が負わなければならぬ。大平外務大臣もその一人として負わなければならぬ。どうですか、まだ間に合うから、これからひとつ北九州でやるのだ、主催者並びに協力会、それから事務当局もそういう方向に動いた場合に、そんならまあできるだけ協力したほうがよかろうということにならないのか。ならないなら、それはあなた方が責任を負ってもらわなければならぬ。その点をひとつはっきりさせたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほどるる御答弁申し上げたことで御理解いただきたいと思います。また、それに対する責任を回避するものじゃございません。

松本七郎日本社会党

○松本委員 お聞きのように、いままでの経過をここでずっと述べなければならないのですけれども、時間がありませんから述べませんが、この外務委員会としては、いま外務大臣も言われるように、本来これは民間でやるべきことで、そこに政府が政治的配慮その他を加えてどうのこうのすべき問題じゃ何らないのです。それで政府は一方では政経分離というようなことを言いながら、この前地元の関係の方々が黒金官房長官に会われたときに、黒金官房長官から、これは国際的な理由でやらないのだということを言われておる。こういう問題も私はここで大平外務大臣にもう少し追及しなければならないのですけれども、黒金官房長官は経済問題ではないということまで言明されて、日中貿易は政経分離で行なうということを政府はいままでずっと言ってきたにもかかわらず、この官房長官の発言によりますと、これだけは発言内容を申しますけれども、こういうことを言われているのです。これは六月十八日です。一つは、二月ごろとあまり情勢は変わってないからやはり本年は二カ所という線は変えられないのだということを言って、この問題は経済問題でなく国際的な問題だから大所高所からこれを判断するのだ、こういうことを言っておられる。これでいいですか。さっきから、民間がこれをやることで、それに即応した協力をするのが政府の立場だと言っておるのだが、国際的な問題としてこれは二カ所にしぼった、そういうふうに理解していいですか。その点を外務大臣からはっきりさせてください。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 黒金君が国際的ということばをどういうことで言われたのかわかりませんけれども、私の言う相互主義のたてまえでやるのが適当であるというような感じをそういう表現で言われたものと思います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 委員長、お聞きのとおりの状態で、私どもは、これは委員会としてあれほど強い要望を受けてこのままほうっておくわけにいかない。やはり、委員会としては、この際、北九州開催を実現するために政府はもっと協力すべきであるという、そういう意思を統一すべきだと思います。それについての処置はあとで御相談したいと思いますが、他の同僚の質問もございますので、一応この程度でおきたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 関連して一つ……。

正示啓次郎自由民主党

○正示委員長代理 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 一点だけ私伺って、あと田原さんから聞いていただきたいと思うのですが、いま松本委員とそれから大平外務大臣とのやりとりをお聞きしておりますと、私どもは、なぜ北九州でやらないかというその理由がちっともわからないわけです。いろいろと、やらないわけでもないが、貿易経済展覧会というものに対して理解は持っているけれども、今度はやらないというような形で、そのものずばりの理由がないように私は伺っていたわけです。ですから、どうしてもこれは納得ができないわけです。  そこで、お伺いいたしますことは、東京での展覧会というか見本市はたいへん成功いたしましたけれども、大平外務大臣もそのことはお認めになると思うのですが、これはどういうふうにお考えになるかということが一点。それから、中国の経済貿易展覧会というものが日本の今後の貿易なりあるいは経済の発展ということに貢献するという、そういうお考えはお持ちになっていらっしゃると思いますけれども、そういうお考えをお持ちになっていないかどうか。根本的な問題として二点だけお伺いしておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど松本さんの御質疑に対しましてお答え申し上げましたように、東京見本市が静穏のうちに整然かつ盛況に終わったことを非常に同慶に存じております。そして、この種の見本市の開催を通じまして相互の理解というものが進んだということは率直に認めます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、根本的な問題として、中国の経済貿易展覧会というものは、やること自体は日本の今後の経済の発展なり貿易の振興ということには非常に役に立つものである、こういうことをお認めになっているということをもう一度確認させていただいてよろしいですね。その上に立って、なぜ私はおやりにならないかということを伺いたいと思うが、そのことは幾らお聞きしても、さっきの答弁をお聞きしておりましても納得がいかないわけで、その問題はあとから田原議員がお聞きになると思いますから、その根本の問題だけもう一度確認させておいていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 この種の見本市が整然と行なわれてまいるということは非常にけっこうなことだと思っております。

田原春次日本社会党

○田原委員 関連して……。

正示啓次郎自由民主党

○正示委員長代理 田原春次君。

田原春次日本社会党

○田原委員 いま松本委員との問答を聞いておりますと、大臣は相互主義ということをしばしば言っておりますが、今度の北九州での開催をきめたのは昨年の十月でありまして、当時昨年の十月には中国側は三カ所やるということをきめて申し入れたわけであります。したがって、相互主義で決するとするならば、東京、大阪に続いて北九州をやるのが当然だと思うのであります。その意味で向こう側からは相互主義では三カ所やると言っておるのでありますから、受けるのが当然だと思うのですが、いかがでありましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私の申し上げたのは、去年中共地区でお願いしたのは二カ所と承知いたしております。日本も二カ所程度が適当じゃないか、そういう意味で申し上げておるのです。

田原春次日本社会党

○田原委員 去年の十月、中共側から、ことし日本で三カ所やりましょうと申し入れが来ておるわけなんですから、したがって、ことしから発足して相互主義で三カ所できるわけです。去年までのは一応済んでいる。それでも、先ほど松本君の言うように、日本側が六カ所、中国側は四カ所でありますから、相互主義でいきましてもなお二カ所はやれるわけです。したがって、相互主義から来るなら、この議論、あなたの御見解は矛盾しておる。向こうが三カ所やりたい、こちらもやりましょうと言っているのだ。相互主義であるということでは理屈にならぬと思うのです。何かほかに理由があるのではないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 別に理由はございません。これは民間の話し合いで、将来どういう話し合いがございますか、私どもの管轄は相互主義というようなものをたてまえといたしまして判断いたしたいと思います。

田原春次日本社会党

○田原委員 大臣のおられる席で法務省の入国管理局の局長にお尋ねしたいと思いますが、この春、東京、大阪はいいが北九州は悪いといったような問題が起こった当時は、法務省側からの見解として、九州は遠隔の地であるから治安関係が保てないというようなうわさが立ったのでございますが、そういう御見解を当時お示しになったのですか。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川政府委員 ただいまの御質問でありますが、私はそういうことは承っておりません。法務省入国管理局といたしましては、警備の問題等は、出入国管理行政に関連いたします限りは私どもも関係はございますけれども、警備の関係そのものにつきましては、これは治安機関の問題である、そういうふうに考えております。

田原春次日本社会党

○田原委員 福岡県の警察当局は、治安はだいじょうぶということをしばしば言っておるわけであります。したがって、治安関係問題がないとすれば、法務省の担当する思想関係ということにあるのではないか。思想関係であるならば、東京、大阪においては中国からの準備委員も大ぜいおったのでありますが、それは問題はなかったのでありまして、むしろ東京、大阪の経験に基づいて、この状態ならば北九州でやっても差しつかえないという結論が出なければならないと思うのであります。どうしてそれができないのか、私ども納得できないのであります。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川政府委員 思想的な問題について入国管理局当局が云々したということはないと私は確信いたしております。思想問題につきまして云々するという立場にございません。おそらく何らかの誤伝ではないかと思っております。

田原春次日本社会党

○田原委員 地元側で、どうしても開催してもらいたい、中国側との約束もあることだからやりたいという立場から、たとえば条件、方法といたしまして、かりに開催日数を地元側の当初希望しておる日数よりも少なくする、あるいは展示品を、準備の都合等もあって東京、大阪よりも少なくして、北九州で特に見せたい、また見たいものだけに限るというような二点を出したならば、これはどうでしょうか。いま法務省では思想上の問題ではないと言うし、警察当局では治安の問題ではないと言うし、しかも大臣は相互主義と言うのでありますが、向こうが三回と申してきているのに、こちらは三回というのはいかぬというのですか。規模内容を事情によっては変更し得るのでありますが、それでもいかぬというのでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 政府といたしましては、本年はともかく東京、大阪ということで政府の態度を決定いたしたわけでございます。しかし、これは先ほども松本さんにも申し上げましたように、これは民間のほうのお仕事でございまして、将来民間のほうでどういうお話を先方とおやりになりますか、そういうことを私どもが拘束するわけにはまいらぬと思いますが、そういうお話ができまして御相談があった場合に判断すべきものと思います。

田原春次日本社会党

○田原委員 地元の新聞その他で出ております批評の中には、主催地として北九州市が適当でない、これは北九州市の市長が社会党であるからといったことではあるまいかというようにうわさされておる。しかしながら、この北九州での開催を希望するのは、社会党ではございません。市でございます。市は、市議会議員にいたしましても、百七十名のうち百五十名は自由民主党の議員でございまして、議長以下みな自由民主党でございまして、この方々もみな熱心にこれを希望しております。また、もとの五市、すなわち門司市、小倉市、戸畑市、八幡市、若松市が合併いたしまして北九州市になりましたので、五市にありました商工会議所が連合いたしまして北九州商工会議所というものになっておりますが、その会頭、副会頭等も言うならば保守系の人々でございますけれども、これまた、治安の点においても心配がないし、規模、日時等についての条件も考慮できるから、ぜひやってもらいたいというので決議をし、しばしば東京にも陳情に来、各省にも訪問しておりますので、社会党の市長であるからいかぬという問題はないと思います。それは地元でそういうことは迷惑であると言っておるのでございますから、これは大臣の答弁等にもちっとも出てきませんけれども、地元でそういううわさもあるのでありますから、これを消す意味からいたしましても、前向きの御答弁をいただきたい。政府としては、自分が主催するのでもないし、自分の予算を出すのでもない。中国側とは、すでに昨年の十月において、ことしは日本で三べんやろうという先方の申し出もあり、これを民間団体も承諾しておるわけですし、思想的な心配もない。あるいは治安警備の点も心配がない。あらゆる点において問題がないことになっておるのでありますから、残るところは、表面相互主義と言いながら、先方から三回という新しい申し出があるにもかかわらず、去年が二回であったからことしも二回という、結局これは二月に決定した各省の会議のメンツにかかわっておるのではないかと思うのであります。しかしながら、その後東京で開いてみても事故はない、大阪でも現にやっているが事故はないのでありますから、一たんこういう各省間の連絡会議をやったが、その後実績を見ればちっとも心配がないのだ、したがって、先方の希望もあるのだから、貿易の量を拡大するために役に立つのだから、北九州でやらせようじゃないか、こうなったほうが相互主義じゃないかと思うのであります。大臣の言われる相互主義の見地からは、当然北九州市の開催を認めるべきだと私は思いますが、これに対して大臣はどうお考えになっておりますか。もう一度はっきり聞かしてもらいたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 本年は、先ほども申しましたように、政府といたしましては、相互主義のたてまえで二カ所が適当であると判断し決定いたしたわけでございます。北九州地区を忌避したわけでは決してございません。東京、大阪というところで今年は十分じゃないかと判断いたしたにすぎないわけで、全然他意はないわけでございます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 関連して発言を求められておりますので、これを許します。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本委員 外務大臣の答弁はだれも納得できないです。したがって、これは非常に大事な問題で、こういうふうなうやむやな形で北九州が開催が流れるということははなはだ遺憾でございますので、ここで委員会としてはっきり意思表示する、したほうがよかろうというので、いろいろ考えたのです。けれども、どうも政府にあまりやる気がなさそうなのに、委員会で意思表示をするということによって、あと政府と委員会との関係、国会との関係等にもむずかしい問題ができやしないかという、そういう配慮も一部にありますので、決して趣旨には与野党だれも異論はないのですけれども、私は、この機会に、社会党の代表とかそういうかっこうではなしに、ひとつ特に外務大臣に要望しておきたいと思うのです。それは本来ならば委員会の決議という形のほうがいいんではないかと言って、実は私は決議案の形で草案を用意したのであります。しかし、それが運営上むしろ要望という形でここで表明したほうがよかろうということになったのですから、その点ひとつ、内容的には、超党派的にだれも異存のない、決議案と同じような強いものだということを、外務大臣よく腹におさめておいていただきたいのです。いいですか、外務大臣。  せっかく用意しましたから、その内容を簡潔に書いてあるものをちょっと読んでみます。  「中国経済貿易展覧会の北九州開催の実現方に関する決議」にしたかったのですが、やむなくこれを「要望」とします。   中国経済貿易展覧会を北九州市において開催することは、わが国経済の発展に貢献すること大なるものがある。地元各層団体の超党派的な一致した熱望にこたえ、政府は本年九月開催の実現方につき格段の努力をすべきである。  こういう要望です。われわれとしては、やはり九月開催ということで、まだいまからでもこれは間に合わないことはない。しかも、事務当局は、政府が一言声をかけさえすれば、方針がきまりさえすればいつでも全面的な協力をすると言っておるのですから、政府もひとつもう一ぺん考えて実現に努力していただきたいと思うのです。それがだめな場合にはやはり次回には優先開催するというくらいの方針をここで打ち出してもらいたいと思うのですけれども、さしあたり私は九月開催要望を強く出しておきたい。  再三繰り返しますが、このことは与党の方々も内容的にはもちろん賛成なんです。けれども、ここで決議ということになりますと、それは与党の立場もあるし、政府の苦しい立場を十分察して、特に私が要望を出すという形にしたのですが、実質的な重要さというものを十分ひとつ認識してもらいたいということを特につけ加えておきたいと思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 椎熊委員。

椎熊三郎自由民主党

○椎熊委員 ただいまの松本君の要望に関連して発言させていただきます。  見本市の開催は本年は二カ所にやると行政府では決定して、これを実行した。いろいろな要望があって、もう一個所ふやせということだが、これが民間団体であるとかまた行政府当局がそれが適当であると考えるときには、われわれは何も反対する意思はございません。しかしながら、これを国会の決議をもって要望するということになりますと、立法府が行政府の行動を束縛するの結果になって、三権分立の原則に反すると思います。したがいまして、ただいまの松本君の要望は与党側からも反対はないということでございますが、私どもはまだその内容について検討しておりませんし、松本君の要望に対して賛成でも反対でもないのです。そして、これは社会党を代表しての要望であるかどうかも明確ではございませんが、少なくとも委員たる松本君の要望であることは認めますけれども、要望は要望でございますから、委員会の決議でないということだけ……。したがって、外務大臣におかれましても、多少の関係もございましょうが、慎重に考慮せられて、常に行政府は自信を持った行動をとられるように。朝令暮改をするような自信のない政治のやり方はいけません。それですから、あなた方が一たんそういうふうにきめて、それが適当だと決定するには相当の理由があったに違いない。その当初の考え方を変更するに足るだけの別個の理由が発生するならばともかく、しからざる以上は、本年度内は御決定どおりに遂行せられることが政治の本質だと私は思います。念のために一言つけ加えて関連して申し上げます。

松本七郎日本社会党

○松本委員 いま椎熊委員は退席されましたが、ちょっと申し上げておかなければなりません。社会党の代表でもないのじゃないかという言葉があったから特に申し上げておかなければなりませんが、これは内容的に言えば自民党も賛成だろう、私どもはいまでもそう確信しております。それはなぜかと言えば、いままで政府に対して要望したりあるいは陳情したりいろいろ働きかける場合に、常に自民党の議員も超党派的に私ども運動してきたからなんです。そういう実績に基づいて、この内容には何ら異存のあるはずがない。まだ理事会を開いておりませんから、決議案ということになればそれは草案を出すことになりますけれども、そうではないから、これは実質的には超党派的なものと心得ていただきたい、こういう意味で申し上げた。特に自民党が、それはおれのほうは賛成しないのだと言われるなら、けっこうです。しかし、おそらくあとで発言があるでございましょうが、民社党もこれには全然異存がない、質成してくださるものと思います。しかし、わざわざああいう発言が椎熊委員からありましたから、これは社会党の出した要望だ、こういうことにいたしておきます。それをここではっきりして、私の要望は終わります。  ただもう一つつけ加えて言わなければならぬのは、椎熊君の発言には重大な間違いがあります。それは、行政府が二カ所に決定したと言われたけれども、さっきの大平外務大臣の答弁にあるように、これは行政府が決定し実行することではないということです。民間が実行することであり決定することです。それに応じて政府は協力するのだということを外務大臣はさっきはっきり言っておられる。しかるに、椎熊君からさっき、行政府が二カ所に決定したという発言がありましたから、これは重大な間違いですから、外務大臣からこの点は訂正をしておいてもらいたい。外務大臣、訂正をお願いします。これははっきりしておいてもらわなければ困る。再三はっきり答弁で言っているじゃないか。政府が決定することじゃないと言っている。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 本日の本委員会におけるこの問題に対する御論議、十分拝聴いたしました。私の考え方というものは答弁で申し上げたとおりでございます。椎熊委員の御発言について私が言及することはたいへん僭越でございます。

松本七郎日本社会党

○松本委員 椎熊君の発言じゃない。あなた自身の言ったことを確認を求めているのですよ。行政府が決定すべきことではないということをはっきりさしてください。それなら、もしそれでよければ、まだ質問しますよ。行政府が決定するのだということなら、さっきの前提が違うのだから、また質問をやりますよ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私が申し上げたのは、この見本市を開催するということは政府の仕事ではない、ただ、入国の問題、警備の問題等、政府との関連が出てくるので、したがってまた、あなたも私に要望をしたり、質問をしたりしているのだろうと思います。そういう問題であるということは私も十分承知して答弁いたしておるわけです。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 永末英一君。

永末英一民主社会党

○永末委員 私ども民社党は、ただいま松本委員から出ました要望の点について全面的に賛成であります。池田内閣は、中国に対する姿勢については、まず初めは前向きのようでございました。たとえば政経分離ということばを使うにあたりましても、実際にそれなら経済の面については大いに前進させようとしておるのかと思うと、そのやっているいろいろなことは、はなはだどうも前進させるようにやっていない。たとえばこの北九州の見本市の問題におきましても、見本市そのものについて許可をするかどうかということは法律上の権限ではないと私は思う。いま外務大臣が申しましたように、入国の期間とかあるいは警備の問題等について、主催者である民間団体側が政府の了解を得られなければ実質上遂行不可能になるので政府と折衝してきた。民間団体側にやり得る自信があり準備が整っておるならば、もし池田内閣が最初に中国に対する態度は前向きであるように発表したことを続けようというのなら、これは当然その民間団体の要望に沿うのがあたりまえであります。こういう点について、言っておることとやっていることとが私は違うと思う。そこで、いまの松本委員の要望に対しては私どもは全面的に賛成であり、政府はこの要望の線に沿って善処されんことを強く私どもも要望申しておきます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 次に穗積七郎君。ただし、申し上げますが、十二時半までの予定でございますので、十分程度でひとつ、まことに恐縮ですが、お願いしたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 議事進行について。最初に委員長と御相談でございますけれども、実はきょうは最後の今国会の委員会になったので日中関係の外交政策について結末をつけておきたい問題があったわけです。それは、大臣にもちょっとお聞き取りいただきたいが、第一はLT事務所の駐在員の相互交換の問題、それからビニロン・プラントに対する政府の処置の問題、これらはあなたの近く計画されておると伝えられておる台湾訪問の御計画と関連のある問題だとわれわれは推測しておるのです。ですから、台湾訪問の御計画と関連しながら、その方針も伺いながら、この問題について明らかにしておいていただきたいと思うのです。あと、新聞記者交換に対する政府の態度、それから飛行機の相互乗り入れ、それから、最近出入国問題に対しまして特に法務省の大臣並びにその一部に非常な妨害的な傾向が強くなってきておるようですが、この問題について政府の方針をただしたい。以上のような諸問題についてぜひ大臣の御答弁をわずらわしたい問題が多くあったわけです。ところが、きょうの委員会は、ごらんのとおり、予定いたしました時間より答弁の食い違い等々でだんだん長くなりまして、大臣の退席の御予定時間というのが十二時半ということを漏れ承っておりましたが、いま申しましたように、最後の委員会でもありますし、重要な問題について簡潔な質問をいたしたいので、あなたの御予定を三十分ばかり延ばしていただけるかどうか、それを委員長においてひとつ大臣とお話し合いの上で、きょうやるか、あるいは、先ほど取りきめました閉会中の次回の委員会で大臣の出席を求めていたしますか、それは私は必ずしもとらわれませんけれども、できればきょう御都合していただきたいと思うのですが、御相談の上できょうのあとの議事を進めていただきたいと思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 いかがでございますか。一時から用事があるので、一応食事時間等を計算して十二時半ときめたのですが、その一時ぎりぎりまでならばという大臣のお話ですから、あと三十分程度内におまとめいただいて御質問願うことにいたしたいと存じますが……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、私の質問も簡潔にいたしますから、大臣の御答弁も、先ほどのように同じことを持って回ったような御答弁は避けて、時間を貴重に使っていただきたいと思います。  まず第一に、北京におきまして松村さんと周総理との間で意見の一致を見ましたLT両事務所の駐在員の相互交換の問題でございます。これは漏れ承りますと政府部内でまだ意見の統一ができてないということでいたずらに遷延しておるようですが、これは早急にきめていただくべきことだし、近く自民党の総裁公選もあればいろいろな政府の変化も生じてまいりましょう。そうなりますと、これは特に池田、松村、周総理という、池田内閣のもとで結末をつけらるべきことが私は池田内閣のためにも日本のためにもなることだと思っておりますので、大臣が台湾へ行かれる前にぜひこの問題は決着をつけるべき問題だと思っております。そういう期待を兼ねて、その後どうなっているか、まず大臣から報告をしていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 この問題につきましては、法務省当局と外務省当局との間で御相談をしてまいりまして、大体意見調整を終えましたので、松村ミッション側、つまり協定を結ばれた方々と御懇談いたしまして、御納得を得て、できるだけ早く解決をいたしたいと思っています。問題は、先ほどの見本市の問題でも私が申し上げたように、国交のない中共との間のことでございますが、できるだけ平穏にかつ整然とものごとを処理していかねばいかぬと思いますから、十分の理解と納得とのもとにやっていかねばいかぬと思います。関係者と十分御相談をして、御納得を得ていたしたい。したがって、できるだけ早急にとり進めてまいるつもりでございます。それから、あとの問題は、私のお答えと関係がございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、政府部内における意見の統一が大体ついた、それで、あと松村さんと総理またはあなたとの間で打ち合わせをして決定するという段階に来ておる、こういうことでありますなら、もうこの数日中に決定すべきではないか。私はこの間松村先生にもお会いいたしまして伺いますと、大体今月中には結末をつけることが望ましいことになっているのだ、——これは向こうとの関係でしょう。そういうふうに希望的な意見をおっしゃっておられる。われわれもそういうふうに客観的に見まして理解するわけです。しかも、向こうは、すでに五名以内の人員につきましても人名まで発表して、いつでも実行ができるという段階になっておるわけです。その点から見まして、池田内閣が真に中国に対して友好かつ貿易の発展に前向きで努力するというならば、そこまでもうお話が来ておられるなら、この月中には少なくとも結末をつけて、そして台湾へいらっしゃるなり、あるいは自民党の大会に臨まれるなり、そういうことは党内のあるいは政府内のことですから、それとは関連なしにひとつ結末をつけられるべきが当然だと思います。今月中をめどにして大体つけられることをわれわれ希望いたしますが、その点いかがでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 この問題は、私どもと松村先生との間に話をするという、松村先生をわずらわすというほどの問題とは思っておりませんで、事務的な手続、その運び方の問題でございますから、それに精通した方々とよく打ち合わせをして、御納得をしていただいて、早急に処理いたしたいと思っております。いつになりますか、事柄は御納得を得て整然とやることが大事なわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 大体のめどを言ってください。子供だましみたいな話しでなく。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私は予言者でないので、めどを言いたくないのです。私は正直だからいつまでにこれをやりますというようなことを申し上げたことはないわけであります。だから、早急に取り運ぶように努力中である、そのようにお受け取りをいただきたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、ちょっと内容について、きょうは通産省並びに法務省の当局の責任者の方も来ていただきましたのでお尋ねいたしますが、新聞の報道によりますと、この問題に関連して孫平化氏がもうすでに北京発表によりますと、この駐在員の一員に加わっておるわけですが、これを法務省としては好ましくないということを主張しておられる、それから、もう一つ重要なことは、これは出入国問題に関連をいたしますが、本人に署名を要求する、すなわち、渡航目的以外の行動はしないという保証書を取ってしかる後に入れるのだということで、これは入国手続についての事務的な制限のごとくして実は非常に政治的な妨害と圧力を加えようとしているようですが、それが真実であるかどうか、この際小川入管局長から大臣にかわって御答弁願いたい。この二点です。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川政府委員 大臣にかわって答弁をするようにということでございますが、私がただいまお答えすることは、事務当局として申し上げるのでございますから……。  まず、第一点につきまして、従来、入国を認める場合に、個人的な審査と申しますか、スクリーンというようなことは、もちろんこれは入国を認めるかどうかという段階の問題でございまして、原則論といたしまして、かねがね申し上げておりますように、政府の裁量に属することでございます。したがいまして、これまでも個人的なスクリーンということをやむを得ず行なってきたのでございます。そこで、今回、孫平化氏以下五名の方々につきまして、いま個人的にスクリーンをいたしておる段階ではまだございませんので、これはまた高度の政治的な判断というものもからんでまいると思いますので、事務当局といたしましては、ただいまのところ決定したというふうにはお答えするわけにまいりません。  それから、第二の個人保証を取るか取らないかという問題でございますが、この問題も、国交のない未承認国の場合には、対立政権が存在することが多いのでございまして、いろいろな関係で個人から保証を取るというのが、実は従来の考え方といたしましては原則論でございました。けれども、中国からの来訪者につきましては、いろいろな関係で従来その原則を一時たな上げをいたしまして、先生も御承知のような代理申請というふうな手続、また保証人からの誓約というふうなことでただいまやっておる次第でございます。本件の問題につきましては、従来の考え方と多少違いますのは、従来は短期の旅行者の場合でございますが、今回はとにかく一応一年というふうな長期の滞在、しかも、メンバーがかわるということはありましても、やはり考え方といたしましてはずっと引き続く問題でございます。したがいまして、従来のような考え方とは多少違いまして、相当慎重に検討いたした次第でございます。しかし、結論といたしましては、本人から個人的な誓約を取るか取らないかという問題につきましては、法務省といたしましても、従来と同様に保証人から一応誓約していただく、内容はまだ申し上げられませんけれども、そういう方向に前向きに考えておる次第でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 孫平化氏の入国を許可するとかしないとかということは、最後はむろん政府の最高の責任において決定さるべきでございましょう。ところが、法務省部内で、孫平化氏がかつて日本を訪問したとき、並びに彼の本国におけるその地位、そういう二点から、この入国は好ましくないという結論になるような材料というものを、事務当局ではすでに調査・整理された事実がありますか。たとえば、先般二回にわたって拒否されました呉学文氏の問題について、公安調査庁の一部の担当の諸君がいろいろな言いがかりをつけた調査資料を出しまして、それが最高の決定の重要な有権的な資料にされた不当な事実があるわけです。それと同様に、孫平化氏は幾たびか日本を訪問しておりますけれども、その人の訪問中の言動について、法務省の一部から、あるいは他の機関でもけっこうですが、政府機関内においてそういうものが整理されて、今度のビザ発給について参考資料として出されるというような傾向はございませんか。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川政府委員 一応個人的なスクリーンと申しますか審査をいたします場合には、だきるだけ広く材料を持つのは当然でございまして、いかに微力とは申しましても、私ども入管でもかなりの材料を持っております。また、補足材料も取り得るわけであります。孫平化氏の場合におきましても、ある程度材料を持っているということは事実でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 最高の政治的な決定は別として、事務当局としてごらんになって、所管の入国審査をされる事務当局としての御判断ではいかがですか。いままでそういう資料がすでに出ておるし、孫平化さんというのは、日本との関係から言えばすでにわけのわかった人ですから、資料もこれからいろいろなものを苦心して調査する必要はないと思うのですが、それでいきますと、事務当局の御判断はいかがですか。好ましいか好ましくないか。今度入国されるときに、事務当局としてはこれにけちをつけるというようなことはあるのかないのか。その事務当局のベースにおけるいままでの御判断を伺っておきたいと思います。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川政府委員 この問題は、最初私から申し上げましたように、最終的には政治的な判断をする立場にある方が結論を下されるわけでございまして、その事前に事務当局の見解を表明いたしますことは、これはやはり私は差し控えさしていただいたほうがよろしいと考えます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 大臣、孫平化さんというのは、いままでたびたびあれしておって、こまかい公安の調査資料をごらんにならぬでも大局的に判断がつくと思うのです。周総理側近の、最も日本を理解し、友好的な態度をとってき、日本との平等互恵による経済・文化の交流に非常に尽くしてきている一人でございます。ですから、むしろ日本側としてはこういう人に来てもらって、日本の事情を理解して日中の友好と貿易発展に努力してもらうことは望ましいと思いますが、大臣の孫平化氏に対する御感想はいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 お名前は伺っておりますが、本件に関連してただいま私がいろいろ申し上げる段階でないと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 もう一点、これは外務省、法務省両方に通じてお尋ねすることでありますけれども、今度は、蓼承志事務所としての日本駐在は認めがたいというような御意見が政府の一部に出ておりますが、それは事実であるかどうか。もしそうだといたしますならば、第二の質問の要旨は、そうなりましたときに、これは一般の旅行者になりますね。そういたしますと、いろいろ不当な官憲の手が及ぶようなことがないかということです。最近、ブラジルの反動クーデター政権がいろいろな噴飯に値するような理由をあげまして、中国貿促の駐在員九名を検索だけでなくて逮捕いたしまして、いまだにこの問題は解決していないわけです。それで国際的な非常な非難を買いつつあるわけであります。こういう例が日本で起きるとは思いません。それほど非常識であるとは思いませんけれども、この場合外交特権は認めないということについては、民間ベースをたてまえとしての日本としては理解ができます。向こうもおそらくそれは期待していないと思う。ただ、しかし、そういう任務を帯びましてお互いの信頼と友好の上に立って交換し合った駐在員でございますから、その事務をとっている事務所並びに私宅を不当な言いがかりで一般の旅行者同様にすぐ捜査をしたり調査をしたり、特に最近傾向のよくない公安調査庁あたりの手がそういうところに不当に及ぶことを一方においてわれわれ心配するわけです。その点について、事務所としては外交特権を認めないといって、その駐在員を旅行者として取り扱ったときの、そういう側面から見る取り扱いについての御配慮といいますか、お考え、これは両方に伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう点につきまして私どもも十分配慮しなければならないので、法務、外務いろいろ相談いたしまして、そして、先ほど申しましたように、協定を結ばれた関係者とも十分御理解をいただきますように御相談して取り運びたいと思っているところでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 政府部内における方針が統一されているならば、——法務、外務、通産がおもに関係のある役所だと思うのですが、打ち合わせをされておるなら、打ち合わせをされまして最近までに統一されましたものを外務大臣からお示しくださいませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いままだ国会に申し上げる段階ではございませんで、そういう懇談をしてみようという段階でございますから、しばらく待ってください。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 では、その点については次の機会にまたお尋ねすることにいたします。事前に要望いたしておきますが、特に、先ほど言いますように、法務省の一部に非常に好ましくない傾向をわれわれ最近経験するわけです。そういうことでもありますから、外務省としては外交的な慣例なり儀礼というものも尊重されるでしょうけれども、特にわれわれの危惧する点として、法務省の反動分子がいろいろな言いがかりをつけて、それを材料にして、そうして、いまの取り扱いについて政府部内の統一方針を決定する場合に、好ましくない行政措置が行なわれる余裕を残しておくようなことのないように、小川さんは法務省の役人として局長の地位におられますけれども、外務省御出身の国際常識のある方ですから、特にその点は大いに期待をいたしておきます。誤った反動分子のそういう材料や言いがかりに屈しないように、強く要望いたしておきます。  次にお尋ねしたいのは、例のビニロン・プラントの取り扱いです。これは、最近、アメリカと台湾に気がねをされて、輸銀の保証でなくて、民間銀行の保証で何とかかっこうをつけたいというような御意向が政府部内の一部に出てきておるようですが、これは貿易の問題でもありますので、通産省から最初に、貿易発展の立場に立ってこれはぜひ実現しなければならぬと私は思っておるわけですけれども、通産省のほうはこれに対してはいまのところどういうふうに御検討になり、お考えになっておられるか、一点伺っておきたい。

山本重信通商産業事務官(通商局長)

○山本(重)政府委員 ビニロン・プラントの問題につきましては、通産省といたしましては、いろいろな情勢がそれを許すならば輸出をしたいという考えは元来持っておるわけでございます。ただ、本件につきましては、まだ具体的な申請が出ておりませんし、また、最近いろいろ国際的な考慮等も必要な段階になっておりますので、申請が出ました上で十分に検討いたしまして、さらにまた上層部のほうの御判断も仰ぎたい、このように考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 実は、民間の取引であるから、民間の成約ができて、それから申請があって初めて政府がタッチするのだ、まだ出てないから、こういうことをしょっちゅう各役所が言われるわけだが、実際はそうじゃないのですよ。やってみたらできなかったでは困るから、相手に対してキャンセルすることになりますから、したがって、最近のように政経分離と言いながら非常に反動的な政治に押されて不当な圧力を加えられている日中貿易については、事前に役所の意向をまず固めてもらいたい、それを大体心得た上で相手と折衝し、成約の条件もきめていきたい、こういうのが実情なんです。実際はあべこべなんです。政府の腹がまだきまらぬから、成約に至らないのですよ。申請もできないでおるわけです。実は圧力を加えておるのは政府である。その政府はアメリカと台湾に押えられておる。だから、アメリカと台湾の圧力を日本政府が断ち切るか断ち切らないか、独立するか独立しないかということで、それによって実は成約・申請は直ちにきまるわけです。山本局長の御認識はさか立ちだとぼくは思う。立場としてはそういう答弁を形式的にされることは賢明かもしれませんが、実情を言うとそういうことですから、しないからやらないのじゃなくて、話は進行しておるわけですから。特に、通産省としては、そういう点では、単なるお役所の形式主義ですわり込んでおるのではなくて、貿易発展という重大な任務を帯びておる。ところが自由化後、いまの国際収支は借金で持っておる国際収支でありますから、したがって、貿易については一ドルでも伸ばすという態度をとってもらわなければならぬ。これが国民の通産省に対する要望、期待でございます。そういう点から見るならば、いま申しましたのがあなた方否定することのできない事実ですよ。ですから、この問題については、申請があってしかる後ということでなく、むしろ指導的に積極的にこの問題打開のために事前に工作をされることが通産省としてのお立場である。その立場に立って外務省を説得し、一番反動的な法務省を説得をして、そうして問題を処理されるのが通産省の任務だと思う。私は、貿易のイニシアチブをとるのはあなたのところだというので、敬意を表して最初にあなたに質問したわけです。そういう形式的な答弁は私は聞かぬでもわかっておる。実際はどうお考えになっておられるか。諸般の事情はわかっているんです。私は、説明をして質問するのが順序ですが、時間がありませんからいたしません。最近の中国貿易における延べ払いに対する各国の動き、特に競争国である各国の動きというものはあなたのところではみなわかっておるんですから、そういう立場に立ってどうされるべきことが望ましいか。

山本重信通商産業事務官(通商局長)

○山本(重)政府委員 通産省の基本的立場は、先ほど申し上げましたように、情勢が許すならばできるだけ輸出は拡大したい、こういう気持ちで考えてまいっておる次第でございます。本件につきましては、いろいろ考慮すべき事柄がほかにもございますので、具体的な案件が出てまいりましたときに、部内でも十分相談し、さらに上層部の御判断を仰ぎたいと考えている次第でございます。  それから、なお、ただいまの実際の商談の進行状況は、私も必ずしも十分  つまびらかにしておりませんけれども、現地の調査が済んで、まだそのあとのいろいろな点についての検討をしている段階でございまして、すべてのことがすっかり明らかになって政府の態度を待っているというところまでいっているというふうには私のほうとしては考えていないわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 実情を言いますと、政府のペースで交渉が進んでいるわけですよ。その政府のペースが遅々として進まない。特に池田さんが総裁公選を前にしてちゅうちょ逡巡しておられるもんですから、そのペースで実は交渉も遅々としてチェックされておるのが実情なんです。  そこで、外務大臣にいまの問題についてお尋ねいたしますが、輸銀ではアメリカや台湾に対する政治的なリアクションが心配だということで、一部に代案として民間銀行による延べ払い保証というようなもので処理したらどうかという考えが出てきておるということですが、これは事実でございますか。私は、これは明らかに輸銀の保証でやるべきだと思う。最近各国に延べ払いの傾向が強くなってきておりますから、それでまかなえないというならば、少なくとも輸銀がその一部でも保証するということが望ましいことだと思います。そういう期待を兼ねて、いまの問題についての政府の最近の御検討、お気持ちのところはどうか、伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 純粋に輸銀と無関係に延べ払い金融というものをいままでいろいろ検討いたしましたが、非常に困難であるという判断でございます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 穗積君に申し上げますが、時間がまいりましたから、大臣だけでも……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、最後に一点だけ大臣にお尋ねします。さっき私問題を整理して事前に申し上げたように、まだお伺いしたいことがいろいろあるわけでございます。しかし、時間がまいりましたのできょうは残念ですが途中でやめますが、最後にお尋ねいたしたいのは、今度あなたは台湾へ行かれるそうだが、行かれれば、この二つの問題、その他も出るでしょう。新聞記者交換の問題とか、航空機の問題とか、あるいは気象、電信、郵便等の問題も出るだろうと思うけれども、特に当面の問題になると予想される、話題に出ると思われるのは、この二つ。そのときあなたはこれを実行するという立場で台湾側の諸君を説得するのか、これらの問題もペンディングのままにしておいて、そうして向こうへ行って向こうの意見も打診した上でこの問題をきめるのか、一体その基本的な態度はどうなのでございましょうか。われわれ心配するのは、あなたは、一つは、台湾に行って文句が出ると困るから、台湾訪問前にはこの問題はきめない、それから、もう一つは、総裁公選を控えて自民党内の反共分子の票を逃がしては損だから、これはこの前にはきめないということで、大体そういう神経が最近あなたの心中に去来しておるのではないかということを心配するわけです。実は、この国会当初のあなたの中国問題に対する意見が、だんだんと後退してきて、最近は妨害的行為すら政府部内から出てきておるのをあなたは押えることができないでおる。特に法務省の反共的な妨害行為を外務省として押えることができないという事実から、私はそういうふうに推測するわけなんです。台湾訪問については、総裁公選が済んでからちゃんとした方針を持って行かれるべきだと私は思う。あなたは留任されるかあるいは交代になられるか、これはよくわかりませんが、少なくともちゃんとまず国内の政治方針というものを固めてからあなたは台湾訪問をさるべきであって、総裁公選を前にして、場合によれば方針も取引しなければならぬことになる。聞くところによると、佐藤派は中国問題について方針を明らかにして立候補されるようでございますけれども、そうなりますと、この外交方針というものが総裁公選にからんで利用される心配がある。場合によれば、あなたは合理主義者ですから、私は自民党の中では望ましい外務大臣の一人だと思っておるのですけれども、おかわりになるかもしれない。そういう不安定な状態で、方針も地位も不安定のあなたがいまごろ台湾に行くということになると、周鴻慶事件以来のあやまりにいくということになるわけだ。そうなると、その取引にいまの問題が必ず向こうから出てくる。出てきたときに、前向きでやりますやりますと言いながら、実は、この事務所の問題についても、あるいは入国者の個人の手続のことについても、あるいはまたさらにビニロン・プラントの問題についても、向こうから押されて、そこでそれを考慮して非常な後退した方針なりあるいは遅延なりあるいはまごまごすればそのままさたやみになってしまう、そういうことがかね合いであるわけです。あなたは主観的には関係ないなんてここで言い切っておるけれども、政治というものはやはり客観的に判断しなければいけない。そうであるならば、いまの二つの問題から、あなたの訪台の問題は時期的に見て最悪の時期、最悪の状態だと思う。そういうふうに判断いたしまして、あなたの訪台に対する態度を伺いたいわけです。実は、池田内閣が総裁選挙後できて、あなたの大臣の地位が確立し、党内の外交方針の取りまとめができてから行かれるなら努力されて行くべきであって、いまではよろしくないと私は思いますけれども、行かれるのをそでを押えて行かせぬというわけにはいきませんから、強制することはわれわれはできないが、行かれるならば、いまの特に二点について関連をしてお尋ねするわけです。あなたの態度、御方針を伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 本日で百九十日に及ぶ長い長い国会が終わるわけでございます。私、この国会が終わりましてから私の訪台問題というのは御相談しようと思っておるわけで、まだきまったわけではございません。もしかりにまいりますといたしましても、これはあくまでも親善の旅行でございます。先方の要人ととっくり国際情勢一般につきましてお話をし、しばらく政府要路の人が行っていなかったわけでございますので、親善の実をあげてまいりたいと思っております。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗