外務委員会 第31号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/06/12
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 千九百六十一年の麻薬に関する単一条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。 帆足計君。
○帆足委員 この国際的に協力し合って麻薬の密売その他の犯罪的普及を防止するという趣旨には、だれしも超党派的に賛成し、また、厚生省当局の特別の御努力にも感謝しておるわけです。そこで、先日、私どもがこれに対して抱いておる若干の疑問については申し上げましたが、御答弁は当日時間がなくていただけませんでした。 そこで、きょうは結論を申し上げますが、まず、麻薬の取り締まりにつきましては、非常に民主的な政府はもとより、さほど民主的でない政府でも、一国の政府というほどの権威を持っておる政府は、やはりその取り締まりに非常な苦労をしております。ある国で、国の主要な政治勢力が麻薬に手を出してそれを軍資金にしているというような例は、幸いにして私どもはほとんど聞きません。日本をめぐる環境は、終戦直後の混乱に乗じた若干の不良外人の活動を中心とし、その後もそれが惰性となりまして、国籍のあいまいないわゆる不良外人の徒輩が麻薬の密輸入ルートの一つの源泉になっていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、この辺の取り締まりはもっと厳重にせねばならぬと思いますが、数年前私がお伺いしましたのでは、なかなか出入国管理の面等においても不良外人の取り締まりに困難な点があって困るということをよく係官から承ったのでございます。問題の所在はその辺にありますのに、わが敬愛する菅原通済さんの書物に、この問題の根源が社会主義国の共産主義的宣伝または経済建設の軍資金を得るためのルートが非常に大きいと、それでえんえん数十ページをこれに費やしておる。しかもこの方は麻薬取り締まりの審議会の重要な地位を占めておられるというのであってみれば、彼の善意に対して私は疑いを差しはさむわけではありませんし、まことに愛すべき好人物でありますけれども、若干科学性及び現実認識において欠除しておる。厚生省当局の発表された書物その他専門家の発表された文献を見ましても、それと矛盾しております。問題の所在をあいまいにして取り締まりを正確に期することはできません。したがいまして、問題の所在は、香港系、それから一部の堕落した台湾系または一部の堕落した南朝鮮からの亡命者、その他国籍不明なあいまいな連中、日本国内に巣くう不良分子等々に根源があるということを明確にされまして、そして、特定の政府が政策的にそういうことをやっている事実、並びに菅原さんがこの書物に書いてあるような事実はほとんど無根であるということを、この際政府当局から明確に御答弁を願っておきたいと思います。そして問題の根源を互いに追跡するということが、この条約を通過せしめ、協力し実施するという根本であろうと思いますから、ひとつ正確な政府側の御答弁をお願いしておきたいと思います。厚生省並びに担当の警察関係等から御答弁をお願いします。
○久万説明員 厚生省としては、この前先生にお話ししたように、最近はそういう確証を握っておりません。
○帆足委員 警察当局はどうですか。
○海江田説明員 私どもも別に確証があるわけではございませんが、すでに私どものほうで二回東南アジア各国の麻薬取り締まり官を集めましてゼミナールを開催いたしましたが、その機会に各国の取り締まり担当官からは、中共からも相当出ておるというような情報があることは報告されておりますけれども、私どものほうでもいままでそういう確証は握っておりません。
○帆足委員 中共というのは中華人民共和国のことだと思いますが、医薬の必要上薬がそこで生産され輸出されるということと、麻薬を散布するために密輸出を行なうこととは別個の概念だと思うのです。私は、中国に対して別に弁護しょうとか、ひいきしょうとか、そういうことでいま言おうとしているものではありません。ただ、問題の所在を客観的に把握すること、正確にとらえて対策を講ずることは、これは外務委員として諸君にやはり正確に要望もし警告もしておかねばならぬことであるから申し上げるわけでありますので、ことばをあいまいにせずに、菅原通済さんのこの書物に書かれておるような夢物語は現実にないということを正確に御答弁願いたいのです。問題はそういうことではなくて、不良外人のいろいろなルートがあります。そこに問題がある。すなわちギャングにある。そういう犯罪者グループにある。政治的意図のもとに一国の責任ある政府並びにそれに連なっている者がそういうことをしておるということは、私は、多少腐敗しておるという蒋介石政権、蒋介石殿の政府そのもの、行政機関、立法機関にすらそういうことはないと思っております。朝鮮ですら、朴政権ですらないでしょう。いわんや、主義主張は別として、政治の清潔をもって聞こえておる中国においてはそういうことはありません。何やら風聞を聞いて、あるかのごとく、確証は握っておりませんというがごとき言い方は、一国に対して失礼な言い方だと思います。そういうことを言うならば、ケネディ大統領に対しても麻薬密売の疑いがある、大英帝国に対しても疑いがある、カナダに対しても疑いがある、そういうような言い方をする結果になりますから、確証なく具体的事実なきことについてそういう表現は慎んでいただきたい。そして、皆さんがいま追跡して、右往左往しているのは、そういう出所あいまい、出生あいまいな不良外人及びギャング、暗黒街である、そういうところに問題の所在があるということを明確にしてもらいたい、こういう質問をしているわけです。もう一ぺん御答弁願います。
○海江田説明員 私どもが麻薬の取り締まりをする段階におきましては、政治的に考慮するなどということは全然ございませんで、もちろん麻薬捜査におきましては情報が非常に大事でありますので、東南アジアの、もちろん米国も含めまして各国と緊密な連絡をとっておりますが、そういうところから入ってくる情報で、大体麻薬あるいはその原料であるアヘンがどういうところから入ってくるかということについていろいろ情報を集めておる段階では、中共からもそういう原料アヘンが出ておるのじゃないかという情報がかなりございます。ただ、しかし、いまさっき申し上げましたように、それについていままで事件の捜査ではっきりした確証を握っていないということを申し上げたわけでございます。 なお、現在私どもがいつも申しておりますのは、香港あるいはバンコックあるいはタイ国、ビル又あの辺の国境地帯が原産地であるということを申し上げておりますが、これは別にタイ国政府あるいはビルマ政府に対する中傷として申し上げておるのではなく、あくまで事実としてあるいは捜査上得た資料から判断して申し上げておるわけで、それがその国に対する中傷というようなふうには考えておりません。
○帆足委員 私が申し上げたのは、アヘンというものの医薬上の産出国の物理的現象を言っているわけではないのです。犯罪的な密輸出が行なわれているのは、そういう不良外人、ギャング、またそういう者の存在の多い場所から発生しておる。中国においては、政治は儒教的に非常に清潔に行なわれておりまして、そういう犯罪人が右往左往する余地はないのです。道にたんつばを吐いても子供から直ちに取り締まりを受けて五円罰金を払わねばならぬというような状況です。しかし、一たびシンセンを越えて香港に入ってからは、そういう者が右往左往しております。また、マカオにも若干のギャングの巣くつがあることは、ばくち場があることで御承知でしょう。ですから、中国が医学的アヘン生産国であるということで、そこから巧みに輸入して、あといろいろな犯罪ルートに乗ったというようなことが過去においてあったかもしれませんけれども、いま私たちが申し上げているのは、犯罪的なものの移動について申し上げておるのですから、いまの御発言は不十分である、こう私は思っております、したがいまして、この善良なる好人物の菅原さんの著書に対しては、ひとつ政府当局から、ちょっと政府の調べた事実と違うからその点は以後御注意なさるように、非常に好意にあふれた忠告があったということをお伝え願いたい。何となれば、政府の委員をされておるからです。このことを一言御要望いたします。これについて御答弁を願います。
○久万説明員 いま先生からお話のあった意のあるところを十分菅原先生にお伝えいたします。
○帆足委員 厚生省当局の答弁はそれで満足ですが、警察当局の御答弁を願います。
○海江田説明員 ただいま久万参事官から申されましたとおり、私どもも、もし書かれている内容が政府に対する中傷というような形になっておりますれば、あるいは厚生省と相談しまして善処したいと思います。
○帆足委員 きょうこの席においでになるのに、もしというようなことで、このくらいの書物をお読みになっていないとすれば、非常にお勉強の時間が少ない。たぶんお忙しいためであろうと思いますが、まあ御家庭にお帰りになって夫婦仲むつまじい生活もけっこうでございますけれども、もう少し御専門の本は読んでいただきたい。私は善意にあふれて言うのです。というのは、菅原さんという人は好きですから、この人に恥をかかせたくないのです。善意にあふれた警告があったということを伝えていただきたい。あまりしつこく申すことは無風流でありますから、いまのことはそれだけにいたします。 次にお尋ねいたしたいのは、私は、日本の警察当局及び検察当局が、他のアジア諸国、特に乱れた国と比べて、比較的健全であることを喜ぶ者の一人であります。私は富裕な家庭出身の社会主義者でありますから、申し上げる表現がちょっと普通と異なるかもしれませんけれども、今日の日本を直ちに社会主義に持っていく、そういう無理なことを考えておる者ではありません。ただ、日本において、憲法で保障された民主主義がより深く理解され、正しく行なわれ、残酷物語が少なくなるように、そして、きょう私どもが健康であり豊かな生活に恵まれておろうとも、また皆さんが才能に恵まれていようとも、わが子が、わが孫が必ずしも才能に恵まれるはずもなく、また病床に横たわる未亡人となって救いを求めないとは限りませんから、そういう子たちのために明るい日本をつくりたい。そのために社会党に籍を置いて、社会保障の充実、社会化された産業の公益的性格をまず確立していくことなどに大いに努力したいと思って、野党に籍を置いておる者の一人です。そういう観点から、日本に残酷物語のないようにしたい。日本に相当数の暴力団があり、非常に犯罪が多く、最近は素行の悪い青年がふえて、警察当局も非常に御苦労なさっておる。これは主として政治の貧困、特にインフレーションの結果だと思いますが、インフレーションをどの辺のところで調整するかということが、私はやはり、池田さんなり、あるいは池田さんのあとにだれが来るか知りませんが、その人の課題であると思います。しかし、そういう明るい日本にしたい。そのために、警察当局並びに検事、裁判当局も、新日本憲法の公僕として明るく仕事を進めていただきたい。 しかし、日本には、過去において非常に深刻な封建的残滓がありまして、四十四、五年配以上の方々は、率直に言って青年時代に民主主義の教育を受けておりません。カチューシャの「復活」を読んですらもう赤だと言われた時代にわれわれは青年時代を過ごしたのですから、その時代に頭にはち巻きをして高文の勉強をした諸君の心中というものは、半ば人類であり、半ば爬虫類である。そういうような過渡期の現象がまだ至るところに残っておると思います。また、その爬虫類の職業をしておった方々が追放解除となって、サソリが一つに固まっているように固まってくると、やはりそこに不明朗な要素が残ってくる。日本の検察当局及び警察当局は、私は民主主義に対する絶えざる勉強が必要だと思うのです。というのは、民主主義というのは念仏ではなくて、人類の数千年または火が発見されてから五十万年にわたる努力の結果生まれたものであり、人間の最高の宝である大脳の産物、そこから来た共通の最大公約数が、理性と愛情、それから民主主義ということであろうと思います。警察当局、刑務所、検事局等は、一方では法の番人であるべきであるのに、この国に基本的な民主革命がなかったために、アメリカの大審院におけるような気骨りょうりょうたる民主主義の伝統が必ずしも十分でない。しかし、いまは、尊敬すべき多くの検事、判事、警察官諸君がおられることを私は知っております。政治の問題で与党・野党激突して、よく取り締まり当局と衝突することはありますけれども、それは部分的な現象であって、警察当局の御苦労はわれわれよく知っておるわけで、そしてまた感謝すべき点も非常にたくさんあるわけです。したがって、切に日本の検察当局及び警察当局が明朗になることを望み、期待し、そうなっていくことに対して敬意を表し、感謝する者の一人です。 そういう観点から見まして、たとえば内閣調査室とか、それから公安調査庁ですか、創立当初人材がなかったために、その調査などを見ますと、一方に非常に片寄っておりまして、最近では刑務所の副所長さんが何か暴力団の顧問さんに同時に御就任なさったなどという新聞記事を見ました。私、かって王難の罪に問われて、罪なくして憲兵隊にほうり込まれて、巣鴨の刑務所に一年入れられたことがあります。一体何で入れられたかわからないで入れられまして、何で出されたかわからないで出されました。入れられましたのは寒いときでしたが、裸にされまして、そしてシラミだらけの服を着せられまして、看守の怒号の声の上には「大慈大悲弘法大師」という額がかかっておるのが目に映ったのを覚えております。それで、ここはどこですかと聞きましたら、私は実は刑事訴訟法をあまり勉強していなかったのですが、そのときの看守長の答えは、ここは地獄の八丁目だ、こういう御答弁でした。こういうのが三十年前の日本の姿であったわけです。私はそのとき初めて日本の卑しさというものを知り、涙を流し、そこでめしを食っておる検事も判事も弁護士さんも実は憎らしいと思いました。いかに天皇制のもとであり封建制であっても、こうしたきたない世界があるのかと思いました。また、憲兵隊で非常な拷問を受けましたとき、私はこう言いました。さむらいならさむらいらしく手を洗って、そして正しく質問すれば、知っていることは答えます、車夫馬丁のような腰つきをしてぼくをなぐらなくてもいいでしょうと。そのときは道義地に落ちていた時代ですから、何を言おうといたし方ない時代です。しかし、そういう時代の遺物が警察の中にも刑務所の中にも検事局の中にもたぶんまだ二、三割は残っておるのじゃないかと思います。いずれ外務委員から法務委員にでも移りましたならば、一度実情を視察して、やはりそういう残滓は直さねばならぬと思っております。 そこで、この麻薬退治の問題にいたしましても、麻薬を退治するその勢力の中に、それと結びついている勢力が政府機構の中にあるようなことでは困るのであります。それで、アメリカのCIAというのは、これはケネディも非常に批判されまして、アレン・ダレスはついにやめさせられましたが、悪名高きものでありまして、その実情はいろいろな英語の書物に出ております。終戦直後日本の警察当局及び検察当局はこれから非常に悪い影響を受けたように私は思っております。せめて英国の影響を受ければよかったものを。アメリカの最高裁判所はすばらしい伝統を持っておりますけれども、アメリカのCIAについては、今度のケネディ暗殺事件のあの不明朗さでわかるように、悪い伝統を持っている。アメリカには暗い面と明るい面と二つあることは御承知のとおりです。言うもおそろしいダラスの町の警察のことなどは皆さんも御承知のとおりだと思うのです。麻薬の取り締まりにあたって私がお尋ねしたいのは、現在CIAと日本の内閣調査室または公安調査庁、検察当局、警視庁との間の関係はどういうふうになっておりますか、一言伺っておきたいと思います。
○吉河政府委員 私どもの役所はCIAと申す機関とは何らの関係もございません。
○帆足委員 終戦直後は両者の間に連絡会議がありました。私は鹿地君事件に何も詳しいわけでもないし、また専門の知識も持っておりませんが、神宮外苑かなんかに捨てられて事件が済んだ。ああいうことを見て、まことに卑しいことであると思いましたし、まことに世にもきたない事件であると思いました。そのころはCIAと協議会があったように記録に出ております。今日、日本は独立国として外国の警察のそういう諜報機関と完全に関係が切れておりますか、また、いつ関係が切れたのですか、参考のため伺っておきたいと思います。
○吉河政府委員 公安調査庁の所管外の問題でございますが、私、終戦後特別審査局長をやっておりました。GHQの連絡指揮のもとに日本政府の機関として働いておりましたが、CIAという機関とは何らの関係もありませんでした。また、その後検察へ戻りまして最高検で公安・労働検察の指揮をいたしておりましたが、検察もまたCIAとは全く何らの関係もございませんでした。
○帆足委員 CIAその他アメリカのそういう諜報機関類似のものと現在連絡というようなものはあるような機構になっておりますか、それともないようになっておりますか、ちょっと伺っておきます。
○吉河政府委員 外国の諜報機関とは連絡がございません。
○帆足委員 そうすると、一言で言えば、アメリカのCIAまたはそれの下っぱのような諜報的な諸機関とは、今日の独立日本は、GHQの時代ならばいざ知らず、今日では全然関係がない、こうわれわれは安心しておっていいわけですか、明確な御答弁を願います。
○吉河政府委員 私どもの公安調査庁に関する限り、さよう御了承を願いたいと考えております。
○帆足委員 私は、アメリカにおいて、非常に美しい面があるし、また暗い面があることもよく知っております。また、ソ連においても、スターリン主義のようないやなことがあります。また、すばらしい社会保障制度、学ぶべき一面もある。そういうふうに、日本国民として自主的にものを考える立場の者として質問いたしますが、ことさらに特定の国に対して国交を悪くするようなカンパニアに警察当局または情報当局が動くということは、結果として国益を阻害することになる、目先に何か時の保守政党の一部の勢力によいように見えて、結果としてはやはり国全体に害がある、こう思っております。周期的に、北朝鮮からスパイが入ってきて、そしてテントを張って飢え死にしておったとか、無線電信機を持っておって何かことことやっておったとかいう記事が、ふしぎにも大新聞に大きく特だねとしてだっと出て、あと消えてしまっている。私どもの常識で考えますならば、今日の日本には、朝鮮戦争時代ならば非常事態ですからいろいろのことがあるでしょうが、今日の時代に一刻を争って無線電信を打たねばならぬような事態はないように思いますし、また、ことばもわからぬ者が流れ漂うてきて暗号電報など打ったところで何の役にも立たず、必要な政治的通信を行ないたい性質を持っておるものならば、香港経由でも、その他適当な方法によって、もっと簡単に連絡もできる。しかるに、柏崎でしたか、テントを張って、そして飢えかつえて、日本語もろくにできないような者が暗号電報を持ってうろうろしておって、それが北朝鮮のスパイであったというような記事が大々的に出ていましたが、ああいうことは、多少警視庁が、反共カンパニアとしてやっておることであるとするならば、ひいきの引き倒しであって、外務大臣の仕事を困難にすることであろうと思います。ある国の政治の長所弱点を批判するのは、相当高い教養の政治評論家またはジャーナリスト諸君がおりまして、新聞に、日本の新聞は商業新聞と言われますけれども、相当言論の自由がございまして公平に伝えられております。長所、弱点、それぞれ伝えられておって、大体において私どもに参考になります。内閣調査室の初代の室長が非常にいいことを言っておりますが、つまらぬ諜報よりも高き良識と多くの人に認識された書物、情報、外国電報のほうがおおむね正しい、内閣調査室としてはそういう調査に重点を置きたいということを最初訓示しておりますが、私はこういう諜報機関というようなものにはあまり趣味も持たないし、あまり好きでありませんけれども、その人物のお人柄も知らないのですけれども、その最初の訓示のことばは私はいいことばだと思ってそれを読みました。そういうものです。高い教養と、そして相当の学者、ジャーナリストに認定された書物、そして正確なニュース、そういうものに重点を置くべきであって、裏話の情報屋の持ってきた情報などというものは、万に一つ役に立つこともありますけれども、まず大部分は世間を誤り国策を誤る雑音である。よく言いますけれども、政治家は雑音に耳を傾けてはならぬ。政治家はいつも正論に耳を傾けねばならぬ。したがいまして、いまの周期的にときどき放送される朝鮮人民民主主義共和国のスパイ事件などの取り扱い方、発表のしかたは、それは新聞記者諸君の教養が低いからそういうことになったなどと言えば新聞記者諸君に対して失礼なことであって、そうではなくして、私はやはり警視庁の発表のしかたに何か多少の政治上の意図や暗い面があるのではないかと思われる節があるのでございます。私一人でなくて、だれしも、多くの友がそう言っております。この前の柏崎事件でしたか、テントの下でぶるぶるふるえておったというような事件の結末はどうなったか。それについて、機密事項もありましょうけれども、すべて竜頭蛇尾で宣伝に終わっておる。大山鳴動して、宣伝のみ大きくして、そして私どもに参考になることはあまりない。これは何か政治的意図があると思うほうがまず常識的であるように受け取られておりますが、厳重に御注意いたしておりますが、あの事件などは一体どういうことであったか、ひとつ一端をお話し願いたいと思います。
○海江田説明員 この事件は私の所管ではありませんが、先般御質問がございましたので、関係課にいろいろ事情を聞いてみたわけでありますが、警察が新聞を使って根も葉もないことを報道させたということは完全なデマであろうと思います。また、警察が新聞を通じてカンパニアをやったのじゃないかということもございまんで、やはり、特異な事件でございましたので、新聞が非常に大きく、たとえば新聞による独自な取材活動ということでございます。 なお、事件は現在すでに検察官によって起訴されておりまして、まだ引き続き捜査もやっておりますので、詳細は、公判が終わりましてから、あるいは裁判の過程で御判断を願いたいと思います。
○帆足委員 一国の国交とも関係があり、信用とも関係がある事件で、われわれ普通の平均的教養——諸君より教養がわれわれ低いとは思っておりませんが、平均的教養の人間が考えて奇怪なる記事が先走って大々的に出るというような傾向は、私は望ましくないと思うのです。したがいまして、今後はこういうことについて誤解を受けるような発表のしかたは少し控えていただきたい。これがいつも周期的に行なわれることに私はふしぎな点がある。しかも、これは、国籍不明の不良外人が捏造すればこういうことは簡単にできる、可能な事件にも連なっておるわけ。というのは、いま各国の非常にきびしい政治的弾圧下にあえいでいる勢力があることは御承知のとおりです。そういう勢力が多額の軍資金を使っていろいろなことを摸造するということは、安定した政権に比べて不安定な政権の側にそういうことが多いということも考慮に入れねばならぬ。したがって、そういう、われわれ常識人が考えてこれは結論を下すに時期尚早であるという事件を周明的に大々的に発表するというような態度は、警視庁外事課として慎んでいただかねば、外務委員会として迷惑をいたします。またいずれ結果が明確になったときにわかるでしょうが、わかったときに警視庁としても引っ込みがつかなくなるでしょう。私は、最初に申し上げましたように、まだ日本の警視庁や検察当局を腐敗しておるとは夢にも思っておりません。したがって、皆さんの御健闘を祈る意味で、ひとつそういう点を少し注意していただきたい。 それから、最後に、この麻薬条約をわれわれは満腔の賛意をもって通過せしめ、警察当局及び厚生省当局の労をねぎらいたいと思っておる次第ですが、終戦直後は、不良外人の一部がばっこしまして、どうも国外へ退去させるのも骨が折れる日本は相当の自由を認めておる国であるから、貿易国であるし、また観光国でもあるから、なるべく寛大にしたいということもあったかもしれない。しかし、私は、不良外人に対して寛大の度が過ぎておるのではないかと思います。これは入国管理局長も見えておられます。この前ある意思の弱い中国の一青年が帰国先をどこに求めるかによって事件を起こしたことがあります。そのときに、日本政府並びに取り締まり当局はよく憲法を守り、緩急よろしきを得てき然たる態度をとって、そして日本の信用を内外に高められました。私は、あの事件を見まして、政治的には外務大臣は緩急よろしきを得つつ、しかも法律的にはきちっと日本の法律を守っていかれた、まだ日本は健全である、この調子ならば、与野党一緒に協力し合って日本の法律と憲法を守れば、だんだんよい方向に持ってこれると心を強くしたわけですが、不良外人のばっこは目に余るものがありますが、取り締まり当局において、それについて困難な点、御希望の点を伺いたい。 もう一つは、われわれ疲れますから、多少飲むこと遊ぶこともいい、悪いことでありませんが、最近カフエ、バー等におきまして何か女性の検診をした、それはオリンピックの準備であるという。これは多分風評であろうと思います。オリンピックのときに国際的梅毒を大量に輸入されたのではやりきれませんが、恋愛に関する問題があったりしますから、人の心には緩急よろしく取り締まりをせねばなりませんけれども、オリンピックの機会に日本が売春国だと言われるようなことでは困ると思うし、また、国際的な性病の蔓延ということになっては困ると思うのです。したがって、検診をしたといううわさを聞きましたが、それはうわさであって、そういうことはあり得ないことだと思いますが、あり得ないということを明確にしていただくと同時に、そういうことをすることは、きれいに掃き清めて歓迎するというような意味にとられますから、いずれオリンピック委員会でもこれは問題になると思いますけれども、ある新聞、それは赤新聞ですけれども、見ましたところが、外貨を大いにかせぐからけっこうじゃないかというようなことが出ておりましたが、そういうような気分が一部に流れておるということは、私はいやらしいことだと思います。 したがいまして、まず、不良外人の取り締まりについて、われわれは少し寛大の庭が過ぎているという印象を受けておりますが、皆さんも取り締まり上お困りの点があろうかと思いますから、それについての御答弁と、いまのオリンピック対策については、これは健康なスポーツ、健康な国際的なお祭りですから、そういう点については、厚生省当局及び警察庁当局はき然たる態度をとって、じょうずに、日本はそういう堕落した国でないということを早くから外国に啓蒙しておいていただきたい。その二つの御答弁を願います。
○海江田説明員 不良外国人に対する取り締まりでございますが、私どもでは特に不良外国人というものには一般よりもさらに注意をして重点を置いて取り締まりをやっておるわけでございまして、現在まで特にそれに不自由とか、あるいは困難という点は感じられておりません。 なお、御参考までに、麻薬事犯につきまして大体年間どれくらい外国人が検挙されておるかと申しますと、三十七年が二百六十四名、三十八年が二百五名検挙されておりまして、外国人に対しましても取り締まりはやっております。 次に、オリンピックに対しましては、現在警視庁を中心にそれの環境浄化あるいは犯罪の防止という面で非常に努力をいたしておるわけでございます。これはあくまで法の許された範囲内でやっておるわけでございまして、いまおっしゃったようなバーの女に対して検診をやったというようなことは私ども聞いておりませんし、まだその点存じません。
○帆足委員 それでは、最後に、とにかく不良外人の一部は、キャバレー、パチンコ屋、それからその他の財産を持っておって、そして、つかまっても、金があり、顔役と連絡があり、暴力団と関係があるから、警察を懐柔するのに非常にやりやすいということをよく聞くわけです。同時にまた、日本の法律は幸いにして非常に寛大にできております。その寛大さを悪用しておるということを聞きますから、私ども外務委員の立場から言いますならば、不良外人に対する取り締まりはもっと峻厳にやっていただきたいということを、行政官の諸君に要望しておきたいと思います。 それから、オリンピックのことは、いずれオリンピック委員会でお伺いしますが、私は渋谷地区から出ておる議員ですから、一そう関心がありますから、事前の対策を十分なされて、そして恥の上塗りにならぬようにお願いしたいと思います。実は、これについて非常に悲しい思い出がございます。ギリシアにまいりましたときに、ギリシアは美しい国ですが、しかし、ギリシアにはぼるバーがあるから気をつけろと言われたにもかかわらず、ある絵かきさんと一緒に私もついあっちこっちはしご酒を飲み歩きまして、多少苦い経験を持っております。(「不良外人」だと呼ぶ者あり)いや、善良なる文人墨客として、国威は失墜しなかったけれども、心の痛手を受けました、そうして、この愛らしい国に対して若干悪い印象を受けて帰りました。したがいまして、せっかく非常にたくさんのよき友が世界がら集まりますから、この問題については格別の清潔な御配慮をお願いしたい、こう思うわけです。 麻薬条約を通過せしめるにあたりまして、法案を通すだけでなくて、やはりこれを実施する皆さんの御苦労に報いるために質問をしたので、きょうは激励演説であるとお考え願って、以上をもって終わります。
○臼井委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 麻薬の問題は各地に多くの悲劇を起こしているわけでございまして、そういう問題を解決する意味においても、いろいろなことが考えられなければいけないと思います。今回特に単一条約が通過するということになりますと、国際的にもやはり大きな影響を持つのじゃないかと思いまして、非常にいいことだと思うのです。そこで、この条約に関して、また、今日の日本の麻薬の取り締まり等に関しまして、二、三点お伺いをしておきたいと思うのです。 いままでの国際連合の中にあった麻薬統制機関としては、経済社会理事会の中に、その機能委員会の一つである麻薬委員会と、特別機関としてアヘン中央常設委員会と麻薬監督機関というものがあるわけですけれども、今度の条約で、アヘン中央常設委員会と麻薬監督機関を廃止して、新たに国際麻薬統制委員会をつくることになるのでありますけれども、そういうふうになったのは一体どういう契機からこういうふうになったのであるかを説明していただきたいと思います。
○朝比奈説明員 ただいま御質問のアヘン中央常設委員会と薬品監督機関の統合の問題は、薬品監督機関とアヘン中央常設委員会と二つの機関はできた条約が違うのですが、最初のときはアヘン中央常設委員会ができて、それをその次の条約で補うために薬品監督機関ができたのですけれども、実際上やった場合には、二つの機関を別々にするよりも一つの機関でやったほうがいい。それで、たとえば、見積もりをやってそれをまた監督するのに、一つの機関でやったほうがいいという考え方が支配的になりまして、そういう案ができたわけであります。
○戸叶委員 初めのほうがちょっとよくわからなかったのですけれども、そうすると、この二つの機関というものは大体内容は同じだったわけですか。それを、内容が同じだから繁雑さを避けて一緒にしたというわけでしょうか。
○朝比奈説明員 初めはその機関の任務は違います。たとえば、麻薬の見積もりをやって、それをいかに実施しているかというふうに、二つの面があったわけです。最初できたのは違った条約によってできたのですけれども、やっているうちに、そういう二つの面を一つのものでやったほうがいいという考え方になったわけです。
○戸叶委員 そうしますと、機能委員会の一つである麻薬委員会と、それから特別機関であるアヘン中央委員会と、それから麻薬監督機関との、いままでの機能上の差異とかあるいは関係というものはどういうふうな立場にあったのでしょうか。
○朝比奈説明員 麻薬委員会は、麻薬に関して全体のたとえば政策的なことをやるというふうな面に重点がありまして、それから、先ほど言われました二つの機関は、現在の麻薬の状態がどのようにやられているか、たとえば統計とか見積もりとか、そういう方面に重点を置いてやったわけです。
○戸叶委員 そうしますと、今後においても、麻薬委員会というのは政策的なものをやる、そうして、今度できる国際麻薬統制委員会ですかそういうのは、各国のいろいろな麻薬に対する規制をするとか監督をするとか、そういうことになるわけですか。
○朝比奈説明員 麻薬委員会は相変わらず麻薬問題の全体のことを考えて、そして国際統制委員会の報告も麻薬委員会で審議することになると思います。麻薬委員会はいままでと同じように麻薬の問題を考えて、そして国際統制委員会の報告も麻薬委員会で討議することになると思います。
○戸叶委員 そうしますと、その関係というのは、内容はある程度同じようなことをするわけですか。
○朝比奈説明員 同じというとちょっと表現がむずかしいですけれども、麻薬委員会は麻薬の全体のことを考えて、その統制に関すること、そういうことは、麻薬統制委員会の業務の報告を毎年麻薬委員会で審議することになる。現在もそういうふうな状態でやっているわけです。
○戸叶委員 そうしますと、麻薬委員会の構成図とかあるいは主要議題、会期、活動状況というようなものは、詳しくきめられてあるわけですか。
○朝比奈説明員 麻薬委員会は何をするかということははっきりきまっておりますし、麻薬委員会は毎年どういうことをするかということもきまっております。
○戸叶委員 会期はいつからいつまでで、どういうふうな構成メンバーでということも、きまっていましたらちょっと知らせていただきたい。それから、ついでですから、統制委員会の構成メンバーと、その活動範囲はどの程度になっているかということも伺いたいと思います。この問題は日本での麻薬の取り締まりなどとやはり関連のあることですから、国際的にこういうふうに動いているのだ、国内的にはこうだという、関連上知っておく必要があると思いますので、説明していただきたいと思います。
○朝比奈説明員 麻薬委員会は、構成国は現在のところ二十一カ国で、それの構成の条件としては、麻薬の生産国あるいは麻薬の製造国及び麻薬問題が重大な社会的な問題になっている国、大体その三つのグループから国連が世界的地理分布を考慮しながら選ばれるわけです。それは経済社会理事会で選ぶわけです。麻薬委員会には、その構成メンバーのほかに、その討議する議題によって関係国をオブザーバーとして招聘して、それの参加を要請するわけです。それが麻薬委員会で、期間は毎年四月の終わりから五月中、大体三週間ないし四週間開かれるのですが、ことしは国連内部の事情で一週間開かれました。それは五月四日から九日まで一週間。それから、アヘン常設中央委員会のメンバーは八名、それは、現在は第三十四回経済社会理事会で選出されたものがアヘン常設中央委員会のメンバーになっております。
○戸叶委員 日本はそのどっちかに入っていますか。
○朝比奈説明員 日本は麻薬委員会のメンバーです。
○戸叶委員 日本の国会でも、参議院それから衆議院で麻薬対策に関する決議案あるいは麻薬対策を強力にしなければいけないというような決定がなされているわけでございますけれども、それに対して日本の国内としては一体どういうようなことをやってこられたか、お伺いしたいと思います。
○久万説明員 国内では、麻薬対策の関係閣僚会議というのをつくっていただきまして、それが一昨年から発足しております。そして、その下に幹事会なりあるいは総理府の長官をもって長とする対策本部というのができております。それで、情報の交換、あるいはこういうふうなことをやるということを審議し、いままで先生方から言われましたように、麻薬の対策が非常に重複している、あるいは抜けているところがあるのじゃないかというところを補うようにいたしております。
○戸叶委員 いろいろな会議を持たれて、そして相談をして麻薬の取り締まりということに骨を折られていることはわかっているのですけれども、そこで、そういうふうなことをした結果、実際においては麻薬の事犯がいままでよりもこれだけ減ってきたとか、あるいは今後においてもこういうふうに減りつつあるという見通しを持っているとかいうような具体的な事例がありましたら、統計で示していただきたいと思います。
○久万説明員 いまお話しのように、関係官庁が集まりまして麻薬の取り締まりを非常に強化しようということが三十七年にございまして、統計の数を申しますと、三十七年が、検挙件数が大体二千件ございまして、検挙の人員が三千五百名、これはまるい数字にしてございます。ところが、三十八年は、それが成果があがりまして、二千六百件、三千百名という数になっております。そして、三十八年七月に、先生方の御努力によりまして麻薬取り締まり関係の法律を改正いたしまして、罰則を強化いたし、それから中毒者を収容できるようにいたしました。そういうことで、三十八年は検挙の件数も人員も非常にふえておりますけれども、実際にはこの大部分が三十八年の前半の検挙の件数でございまして、後半は非常に減っております。それから、それに引き続き三十九年も減ってきております。それから、もう一つ、事犯の傾向として申し上げることは、いままで麻薬の問題についてはヘロインが一番問題になっております。そして、三十七年はヘロインとモルヒネを大体八キロ押収しております。ところが、三十八年はそれが非常に減りまして一キロ八百グラムという数になっております。それは、関係官庁の取り締まりが非常にきびしくなったので、事件として大きな事件が非常に減ってきた。それで、大体三十八年の後半からは物がつく事件というものがだんだんなくなってきたということが言えます。それですから、いまのままで取り締まりの手をゆるめないで取り締まりを強化していきますと、そのうちにはあと三年くらいたてば麻薬の不正事犯というのはなくなるのじゃないか、それから中毒者の数も相当減ってくるんじゃないかというふうに感じております。
○戸叶委員 さっきも帆足さんのときに話がありましたのですけれども、ルートとして香港とかバンコックとかマカオとかいうふうな話をしていらしたのですけれども、いままでの事犯の例から見て、一番どこからの麻薬の密輸入が多かったかということを説明していただきたい。
○久万説明員 外からの事犯としては、香港関係のが圧倒的に多いわけであります。ただ、昨年あるいは一昨年くらいからバンコックというのが非常に回数としてはふえてきたということは言えますけれども、事件全体からすると香港のほうが圧倒的に多いわけであります。
○戸叶委員 その件数は減る傾向にありますか、ふえる傾向にありますか。
○久万説明員 先ほどお話ししたように、最近の事犯というのは非常に小さい、物がつかない事件でございますので、そういう意味からは減っております。
○戸叶委員 警察庁のほうの方もおいでのようでございますけれども、こういった密輸入に対しての取り締まりはどんなふうにしていらっしゃるでしょう。
○海江田説明員 いま厚生省のほうからもお話がありましたが、麻薬の密輸入はほとんど大部分が香港でございます。それで、外務省にも御協力をいただきまして、現在、香港、バンコック、ジャカルタ、三つに、外務省の書記官でございますけれども、警察庁より派遣をさせていただいておりまして、向こうの関係当局と緊密な連絡をとって、各国における麻薬事犯の状況を、具体的な密輸入等の情報を全部外務省を通じまして日本に入るようにしております。そのほかに、私どもとしましても取り締まりを強化しまして、さっきお話がありましたように、麻薬事犯は最近急に減っております。大体、取り締まりの非常な強化によりまして、いわゆる麻薬の密売組織、これはほとんど暴力団でございますが、密売組織の八割程度はほとんど壊滅したとわれわれは考えております。ただ、日本を取り巻く東南アジアの麻薬事情は、不法麻薬は幾らでも生産をされておるわけでございます。それが日本とか韓国とかアメリカとかいうところに送り込まれるように、いつもねらわれておるわけでございます。したがって、現在検挙は少なくなってきておりますし、事実犯罪も減っておりますが、依然としてその危険性はある。現在もなお麻薬が香港から日本に入ってきておるということを私どもは確認しておりますが、これが末端にはあまり流れておらない。ブローカーの段階にある。私どもは、そういうブローカーの組織を通じて輸入されたものを、本年におきましても二件ほど大きな事件を検挙しております。
○戸叶委員 密売の麻薬の組織の八割までが壊滅したというたいへんに喜ばしいことなんですけれども、やはり、日本を取り巻くほかの国で自由にそういうものがつくられるということになりますと、いまおことばの中にありましたように、麻薬が生産されていますと、日本に何らかの形で入ってくるという可能性はあるわけですね。いまの警察庁の御答弁を伺っておりますと、外務省へお願いしてなるべく密輸入のないようにしているということですけれども、どなたか係官を派遣して、外務省の出先機関、領事館なり公使館、大使館なりというところにだれか行っているのでしょうか。それとも外務省の方が兼任しておるのでしょうか。 それから、厚生省のほうにも伺いたいのですけれども、麻薬関係の方がどなたかそういう国々に行っているのでしょうか。それとも、外務省のほうだけで、何か委嘱されたというような形でもって外務省のほうでやっておるのですか。この点を伺いたいと思います。
○海江田説明員 ただいまの御質問でございますが、もちろん外務省の職員でございますが、その人は警察庁から外務省に派遣をいたしまして、それが外務省の書記官なり領事として香港、バンコック、ジャカルタに駐在をしておる。もちろん麻薬事犯だけをやるわけではございませんけれども、関係官庁と連絡をとって、そういう取り締まりの協力体制をつくるということでやっておるということでございます。
○久万説明員 厚生省は、要求しましたけれども、通らなかったので、全然行っておりません。それで、いま向こうからの情報は、向こうの取り締まり機関と連絡あるいは外務省を通じて情報が入っております。
○戸叶委員 厚生省が要求したけれども予算が通らなかったとおっしゃるのですが、それはどのくらいの予算をどういう形で要求されて通らなかったのでしょうか。
○久万説明員 一昨年は駐在で要求して通りませんでして、昨年は海外の出張旅費を要求して通りませんでした。それで、額は、ちょっと忘れましたけれども、一千万以内の額だったと記憶しております。
○戸叶委員 麻薬の問題を徹底的になくするようにするとか、あるいは密輸入のないようにするとか、あるいは密輸入のないようにするということになりますと、やはりできるだけのことをしなければいけないと思うのですが、厚生省のわずかばかりの予算の要求というものが通らないというところは、少しまだ政府に熱意の欠けておる点があるのじゃないかということを私は考えざるを得ないのですけれども、どうして、この予算が通らなかったかということは、どこで一体聞いたらいいのですか。厚生大臣もいらっしゃらないし、大蔵大臣もいらっしゃらないし、助けてあげようとするような外務大臣もいらっしゃらないし、一体どういうことなんでしょうか。どうしてけられたのですか。
○久万説明員 結局私たちの努力も非常に足りなかったのだと思いますけれども、もう一つは、予算全体として、麻薬の予算は各省全部集めまして大体このくらい、そういうあるワクがきまっていたのじゃないかという気がいたします。
○戸叶委員 この次の予算にも要求をして、そして、せめて出張して、その辺のことをよく調べてきて、その根をある程度発見して、そして密輸入させないようにするというような努力をされる御意思はありますか。
○久万説明員 実は昨日ももう来年度予算の局議をやりまして、そのときにも第一番の重点のところに海外出張旅費ということで入れております。そうして、これはぜひことしの予算要求ではいただきたいというふうに考えております。
○戸叶委員 その点、何とか通って、そして早く外国から麻薬が密輸入されるようなことのなくなるように、私たちは考えたい思っております。 そこで、条約の三十八条に、麻薬患者の治療保護及び更生のための特別の考慮を払い、十分な施設を設けることが望ましいということが書いてあるわけでございますけれども、日本の国としては、この条約に適応したような治療方法なり、あるいはこういう方面の施策についての計画が何かおありになるかどうかを伺いたいと思います。
○久万説明員 先ほどお話しいたしました昨年の麻薬取締法の改正のときに、一つの重点が麻薬中毒者に対する措置の問題でございました。それで、この条約に書いておることはもう十分対処してございます。法律の上でも入っております。それから、麻薬中毒者の収容施設としても、大体、現在濃厚地区と言われます東京、神奈川、大阪、兵庫、そういうところには七百床ぐらいのベットをつくってございます。国立もことしまでに二カ所つくりましたし、今年度の予算でも一カ所北九州につくる予定になっております。
○戸叶委員 そうしますと、この条約の三十八条には違反するようなことがないだけ十分な計画が立ててあるというふうに了解していいわけですか。
○久万説明員 条約にある点は、私たちとしては十分に履行していると思います。ただ、麻薬の中毒者に対する治療とか中毒の診断、そういうものについては、まだ世界全体としてもあまり進歩しておりませんので、その点では少し不安な点もございますけれども、少なくとも条約で言っているようなことは全部私たちとしてはやるようにつとめております。
○戸叶委員 外務省のほうにお伺いしたいのですが、いま厚生省のほうの御答弁をお聞きになったと思うのですが、いまの三十八条の治療等に関する計画は、日本としては大体よくやっているのですが、患者の判断なり何なりというところに世界的にまだいろいろな問題があるというふうなことでございました。この麻薬の単一条約を審議するのに出席されました方たちの間で、そういうような問題が出たかどうかを伺いたいと思います。
○力石説明員 この条約を審議したときの国際会議に私は出席をいたしておりまして、そのときやはりそういう問題が議論されておりました。要するに、どこからどこまでが中毒であるか・特定の人がもう中毒患者になっておるかどうかというような問題が論議されたと記憶しております。
○戸叶委員 それで、審議されて何か結論も出さずにそのままだったんでしょうか。そういうことは非常に危険だと思うのです。この委員会でなくても、ほかのところでも、たとえばWHOの会議とかなんとかで、そういうものの基準がある程度きめられるべきではないかと思うのですけれども、議論されただけで、そのままでいいのでしょうか。
○朝比奈説明員 この条約が採択される会議には、私も出て、ただいま力石参事官が言われたとおり、条約の審議のときには、その治療の方法とかいう問題よりも、むしろそういう問題をいかに取り扱うかという点に問題があったし、そういう問題をいかに条約の中に織り込むかという問題があったわけです。そうしてまた、治療の問題に関してそれをどうすればいいか、そういうことは、世界保健機構の毎年の麻薬委員会でも、麻薬分野におけるWHOの活動方法ということで審議しております。
○戸叶委員 私が心配いたしますのは、せっかくベッドをつくったり国立の治療所をつくりましても、その判定がうまくいかないために、麻薬患者じゃないとか麻薬患者だとかいって、ベッドがあいてしまったり、実際の麻薬患者がなおされなかったりというようなことが起きるといけませんので、こういう点を十分に注意していただきたいという希望から、世界的にはどういう関心を持っているか、どういう考え方であるかということをお聞きしたわけです。WHOの機関でそういう点も討議されているというのでありますから、国内におきましても、ベッドをつくる以上はどうか十分に効果あらしめていただきたいということをお願いしたいと思います。 そこで、条約によりますと、四十番目に批准書または加入書が寄託されたときに、その寄託された日から三十日後に効力を発生するというふうになっているわけですけれども、いま四十カ国がまだ批准書なり加入書を寄託していないように聞いておりますが、もうしているわけでしょうか。いま何番目くらいでしょうか。もし日本が今度批准したとしますと何番目くらいになるのか。それから、もしも四十カ国しない場合にはどういうふうになるのか。四十カ国するまでこの条約は効力を発生しないのでしょうか。その点を伺いたい。
○兼松説明員 御説明申し上げます。 本年五月中旬に麻薬委員会の例会がございまして、朝比奈博士が御出席なさったわけでございますが、ちょうどそのときごろまでに、わが国が国際連合事務総長から受けております通報によりますと、批准をいたしました国は十八カ国、その中には、先ほど警察当局からお話のありましたわが国周辺で問題になっておりますタイ、ビルマも含まれております。それから、加入いたしました国が十四カ国、合計三十二カ国がすでにこの手続をとっておるわけでございます。 それから、今後の見通しにつきましては、国連当局の予想といたしましては、先ほどの麻薬委員会におきましても、いま申し上げました三十二カ国以外に、さらにイギリス、フランス、インド、ブラジル、スウェーデン、あるいはイタリア等も加入について真剣に検討しておる、あるいは早期に手続をとるように準備中であるというような発言がございましたので、うまくいけば本年中に発効することが可能になるかもしれないという情報でございます。 それから、四十カ国の批准、加入がそろわないうちはどうかという御質問でございますが、その点は、もちろん条約の規定どおりでございまして、四十カ国にならなければこの単一条約は働かないということでございます。
○戸叶委員 今年中に発効するような可能性もあるということなので、私どもとしてはできるだけ早くこれが発効することを望みたいと思うのです。 あと条文の中で二、三点伺いたいのですが、第十二条の二項のところに、「この条約が適用されない国及び領域につき、この条約の規定による見積りを提出するようそれらの国及び領域の政府に要請する。」というふうにあるわけですけれども、この条約に加盟していない国にそういうふうな要請が実際においてできるものでしょうかどうでしょうか、その点を伺いたいと思います。
○兼松説明員 この条約に参加していない国に対しまして参加している国が要求をすることができるかという御質問でございますが、もちろん参加していない国は縛られることはございません。したがいまして、参加している国の責任で、参加していない国と領域について世界的にこういう情報を集める必要がございますので、参加国の責任でこういう措置をとろうという趣旨でございます。
○戸叶委員 そうしますと、縛ることはできないけれども、そういうふうな要請をして効果をあげたいということですね。必ずしもその要請に応じられるかどうかはわからないけれども、そういうふうな趣旨でいきたいということでしょうか。
○兼松説明員 さような趣旨でございます。
○戸叶委員 私どもとしては、やはり、これは重要な問題ですから、参加していない国からできるだけそういうふうな見積もりを提出して効果をあげていくように望みたいと思っているんですが、ただ、参加していないのでなかなかそういう効果をあげられないんじゃないかと心配をしたものですから、質問しているのです。 次に、十四条の四項に、「少数意見をも公表しなければならない。」、こう書いてあるわけなんですが、少数意見の尊重はたいへんけっこうでございますけれども、特にここにしるされたのは、何か理由があるのかないのか、ただ少数意見を尊重するというだけなのかどうか、この点を伺いたいと思います。
○兼松説明員 やはり、統制委員会のとる措置でございますので、影響するところが多い。したがいまして、そのとる措置について、関係国が、かりに自国でなくても、そういう勧告なり決定というものが適当か不適当かということについては、やはりはっきりそれぞれの事情がわかっている国が統制委員会の措置に対しまして適当かどうかということを表明しておくほうが、かえってその統制委員会の決定そのものの実施の効果を結果においてはあげることに役立つのではないかという趣旨があると考えております。
○戸叶委員 わかりました。 次に、十七条に「特別の行政機関」というのがあるんです。そしてまた三十五条に「適当な機関」というのがあるんですが、これはわが国ではどういうふうになっているかを説明していただきたい。
○久万説明員 これは現在の条約にもございまして、その担当は厚生省でございます。
○戸叶委員 両方とも厚生省ですか、日本の場合には厚生省一つをさしているわけですか。
○久万説明員 日本の場合は厚生省一つです。
○戸叶委員 十九条に「この条約の適用を受けない物質を製造するために」とあるのですが、条約の適用を受けない物質というのはどういうものを言うわけなんですか。
○朝比奈説明員 この条約で薬品というのは大体麻薬に指定されるようなものを言うわけですから、たとえば麻薬でないものを製造するというのは、麻薬から麻薬でないものを製造するというような場合をさすわけです。具体的に申し上げますと、ちょっと専門的になりますが、たとえばアヘンからナルコチンなりパパベリンを製造するというときに、アヘンはこの条約でいう麻薬でございますけれども、ナルコチンとかパパペリンとかいうものは、この条約でいう麻薬ではございませんから、この条約の適用を受けない物質ということになるわけです。
○戸叶委員 第四十七条の二項に、「1(b)の規定に基づいて配布した改正案に対してその配布の後十八箇月以内にいずれの締約国からも反対がなかったときは、その改正案は一直ちに効力を生ずる。」、こういうふうに書いてあるんですが、こういうふうな手続だけで条約を改正するというような前例がほかの国際条約であるんでしょうか。もっときびしい形でこの改正案が出されるんじゃないかと思うのですけれども、この点はどうでしょうか。
○兼松説明員 例を先に申し上げますが、道路交通条約関係でこのような方法を採用した例がございます。一般にこういう特殊な改正手続というものはそれ相応の事情があって設けられるわけでございまして、この条約は、御存じのように、かなり専門的な条約でございまして、専門の機関がそれぞれ当該事項に関して審議をする機会を与えられておりまして、ここに書いてございますように、「国際連合憲章第六十二条4の規定に従って会議を招集」して審議をするというような手続がございますので、そういう前提においていまのような規定が置かれることになったのだろうと考えております。
○戸叶委員 私は、いまのような形で簡単に改正ができるということになると、何か権威がないものになりはしないかと思ってちょっと心配したものですから、お伺したわけなんですが、いまの御説明では、道路交通条約の問題なんかもそうだということになって、この条約を表面どおりにとっていいのではないかというふうに考えます。 そこで、この条約が単一条約にされてきたんですけれども、国内法ではいろいろな形で麻薬の取り締まり法が出ておると思うのですが、その法律というものをこの条約を批准することによって改正しなければならないというようなことは起きてこないのでしょうか。いままでどおりの取り締まり法を何本か置いておけばいいということで、別に国内法を何らか改めるというようなことはないのでしょうか。
○久万説明員 麻薬の条約はいままで九つございましたけれども、それを全部履行するために麻薬取締法というのを一つつくっております。そうして、その中で特にケシの栽培と大麻の栽培、それについては、あへん法と大麻取締法というのをつくっております。ですから、この九つの条約が集約されてこの単一条約になりましたのですから、その点は改正するようなことは考えなくともけっこうだと思います。
○戸叶委員 そうすると、国内法はいまでどおりで差しつかえないということになるわけですね。 そこで、もう二点伺いたいのですが、今度の国連での麻薬関係の予算というものは、いままでよりもふえているんですか。それから、大体どのくらい取っているんでしょうか。たとえば、日本の国連の分担金は、去年に比べるとたしか減っていると思うのです。そういう中でこういう条約ができて国際的な管理をしようというときに・麻薬関係の国連での予算というものは一体ふやせるものかどうか、どのくらいふやしているのかどうかということを伺いたいと思うのです。
○力石説明員 ちょっといま資料を持ち合わせておりませんので、さっそく調べまして御返事いたします。
○戸叶委員 私は麻薬の条約は賛成なんですよ。早く通そうというので質問を短くしているのに、予算のことくらい勉強してないと困るんですが、早く調べていただきたいと思います。 もう一つ伺いたいのですけれども、国連に加盟をしておらない国でありながら、この条約に署名をしている国で韓国とかバチカンとかリヒテンシュタインとか南ベトナム、サン・マリノ、西ドイツというような国があるのですが、これはどういう資格で署名しているんですか。この点を伺いたいと思います。
○兼松説明員 この条約は、第四十条の第一項の後段にございますように、開放されている国は、国際連合加盟国、国際司法裁判所規程の当事国でありまたは国際連合の専門機関の加盟国である国際連合の非加盟国、こういう条件がついておりまして、この開放する条件と、それから、今度のいまの条約を採択するために会議を招集いたしましたときの招請の条件が同じでございまして、やはり、この第四十条に書いてございます国際司法裁判所規程の当事国、または国際連合の専門機関の加盟国である国際連合の非加盟国・そういう条件を満たした国が招請を受けて入れることになるわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、韓国もその中に入るというわけですね。アメリカは批准しないと聞いているのですけれども、それはどういうわけでしょう。
○兼松説明員 米国がこの単一条約につきまして賛成でないという意向は、少なくとも現在におきましてははっきりしておるようでございます。その理由といたしましてアメリカの代表があげておりますのは、大きく申しまして二つございまして、一つは、この条約の形式的な意味での留保に関する規定が四十九条、五十条にございますので、留保の規定が適用されると若干条約全体の拘束力が弱まるのではないかという懸念でございます。それから、もう一つは、今度はこの条約のアヘンの生産なり在庫なりあるいは輸出入の規制に関する輸出問題でございます。その輸出問題のほうはこの条約の二十四条に規定があるわけでございますが、この輸出問題のほうにおきまして、米国側は、この新しい単一条約の考え方ではやはり不正取引を防ぐにはやや不十分なんじゃないかということでございます。不正取引というものを押えるには、当初この条約会議を開催いたしましたときに、麻薬委員会が作成いたしました第三次草案というものがございましたのですが、これはかなり理想的な、縛れるものならいけるところまで縛ろうというふうにかなり理想的な案だったのでございます。むしろ、アメリカ側としましては、そういう理想的な案のほうこそ採用すべきであって、この条約は、そういう点・いろいろな国の要請を多少入れ過ぎたと申しますか、そういう意味で各国の事情に応じてそれほど理想的に厳格なものではないというような点があるので、その点でやはりアメリカとしては現在においてはこの単一条約には賛成しかねるという考え方を表明しておるわけでございます。
○戸叶委員 麻薬を取り締まるのでしたら、やはり徹底的に理想的な案を出したほうがいいと思うのです。日本が今回これに署名をしたことは一歩前進という意味でされたと思うのですけれども、ここで簡単に修正もできるわけですから、もっと完全なものにするための努力というものが払われるべきだと思いますけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○兼松説明員 御趣旨のとおりでございまして、わが国は、会議におきましては、もちろん、先生もおっしゃいますように、理想的な案になるだけ近いものが採用されるように努力いたしたわけでございます。朝比奈博士も力石参事官もその場におられましてやられたわけでございますが、ただ、従来の九つの条約を見ますと、古いものは八、九十カ国が入っておりますけれども、国内法制関係をわりあいにきつく縛ります条約とか、あるいは刑罰関係法令に関しますもの、あるいは厳重に輸出入を取り締まりますようなものは、参加国が三十とか四十とか限られておりまして、そこで、この前文にございますように世界的に普遍的に適用されるようなそういう条約を採択するということがこの条約の採択会議の一つの大きな目標であったわけでございまして、したがいまして、なるたけ多くの国にまずこういう国際的な規制という考え方を受け入れてもらって、受け入れられる範囲で実施できる条約をまずつくる。その上で、麻薬委員会というものがございまして、先ほど改正規定で御指摘になりましたが、いろいろな新しい多くの国が入る新しい基盤をつくった上で、そこから少しずつ先ほどの原案にありましたような理想に近い方向に努力していこう。わが国も、現状におきましては、やはりただ理想を追ってもだめである。特に、わが国につきましては、アジアの周辺地域が一番問題になっているわけでございます。で、先ほどもちょっと触れましたが、タイとかビルマとか、問題になっている国々がいままで入っていなかった。一九五三年の条約に入っていない。議定書に入っていない。ところが、今度の単一条約はすでに批准しているわけでございます。そういう見地から、アジアの周辺が入れる条約をつくっていくことはまず日本の利益である、そういう国が国際管理というものに協力してくれることがやはりアヘンの密輸を取り締まる上でわが国にとっても非常に利益が大きいということから賛成したわけでございます。
○戸叶委員 どうか、この条約に入りましたからには、日本の麻薬の問題も十分に解決されることを心から念願いたします。そこで、密輸については特に警察庁のほうで、また厚生省のほうはアフターケアの問題について十分注意されまして、この条約批准と同時に効果をあげるようにしていただきたいということを要望いたしまして私の質問を打ち切りますが、一点関連して松井さんから質疑がおありになるそうですから……。
○臼井委員長 なお、力石参事官から先ほどの答弁があります。
○力石説明員 先ほどの麻薬に要する費用でございますが、これは国連の一般予算の中に入っておりまして、しかも、その項目の立て方が、国連の予算は事務所費は幾ら幾ら、旅費が幾ら幾らというふうな立て方でございましたので、非常に断片的になっているわけでございます。しかし、独立の項目といたしまして麻薬委員会に割り当てられている旅費という面から見ますと・一九六一年に六千六百ドル、六二年に一万二千三百ドル、六三年に一万八千ドルと約三倍に伸びておりまして、ほかの面でも予算が増加しつつあるものと考えられます。
○臼井委員長 関連質問の申し出がありますのでこれを許しますが、実は、次の行事も控えておりますので、簡単にお願いいたしたいと存じます。松井誠君。
○松井(誠)委員 関連して一点だけお尋ねをいたします。 この条約の未加盟国とこの条約との関係、先ほども戸叶さんから御質問がございましたけれども、社会主義の国ではこの条約の十二条や十三条の点について留保をしておるわけです。これは具体的にどういうことを意味するのですか。
○兼松説明員 この条約の中には留保に関する規定というのがあらかじめ設けてあるわけでございます。それは第実五十条の第二項でございますが、「いずれの国も、署名、批准又は加入の際に、この条約の次の規定について留保を行なうことができる。第十二条2及び3、第十三条2、第十四条1及び2、」とございます。この非加盟国に対して、この条約の加盟国同士である要求をしたり、あるいは資料を作成したり意見を出したりすることを要求するということは、本来おかしいじゃないかということがあるわけでございます。それで、第四十条で、この会議自体が国際連合の主催する会議で、いわゆる全国家方式ではない、国際連合の加盟国あるいは専門機関の加盟国、国際司法裁判所規程の当事国、そういう国に限っておりますことから、やはり、いまのような非加盟国ということで入らない国、入る機会を奪われる国というものが出てくるわけでございます。そこで、そういう国に対する関係規定として、そういう国に対してある要求をしたり勧告をしたりする、そういう関係規定を五十条の二項に並べまして、その並べられた二項につきまして、いま御指摘のように、署名欄でソ連その他東欧圏の諸国が留保を行なっておるわけであります。これは、この条約会議が国連が主催で招集いたしました全国家方式でない国際条約採択会議ということの性質から出てきたことでございまして、実質的な内容は、先ほど戸叶先生にお答え申し上げたとおりでございます。
○松井(誠)委員 そうしますと、具体的に統制委員会というものがあって、私らが問題にしたいのは、先ほどから麻薬の密輸出というあらぬ疑いをかけられておるたとえば中国、そういう国はこれに加入するという可能性を奪われておる国であって、そういう国に対して統制委員会がいろいろなことを要求し要望するときに、この留保をしておる社会主義国が統制委員会のかりにメンバーであったとしたら、それは一体この留保をしておるということは具体的にどういう違いを持ってくるかということを聞きたい。
○兼松説明員 その点は、この留保をいたしましたのはいま申しましたような経緯からでございますが、今度はそのした留保の効果というものはどうかということでございますが、これは、いまの留保そのものは、そういう経緯から、いまの会議の性質について東欧圏諸国が全国家方式でやるべきだという主張を本来持っておるわけでございまして、そこで、そういう全国家方式でなかったということに対して一種のソ連をはじめとする東欧圏諸国の立場をこの際一応記録にとどめておくという意味が非常に強いわけでございます。それでは、実質的にどういう効果があるかということでございますが、これは、たとえば中華民国でございますが、中華民国は従来この麻薬条約の諸関係におきまして中国大陸に関する資料を出しておるわけでございますが、中国大陸に関する資料を中華民国が出しておっても、その資料そのものについて、留保をした国はもちろん責任を負わないというような筋道で考えることがあり得るかと思われるのでございますが、実際には、この麻薬委員会が統制いたしますいろいろの勧告なり見積もりなりというものは、大体形式的な意味の留保というものを離れて考えれば、実質的な意味では、留保したからその見積もりが全然意味がなくなるとか、あるいはそれに基づく勧告というものは無意味だというような実質的な意味は実際問題としては起こらないのではないか。ただ、形式的に申しますれば、留保をした以上、留保した範囲で自分はそういう見積もりなりそういう資料に基づいて作成された勧告というものは受け入れない、自分に関してはそれは法律問題としては縛られないという立場をとることができるという程度の効果が実際問題として考えられるわけでございますが、それ以上に、それでは法律的にその留保した国が参加してできている委員会の行為そのものあるいはそのなす勧告自体が無効であるとは実際上扱わないものとわれわれは了解いたしております。
○臼井委員長 関連でございますから、もう一問にお願いします。
○松井(誠)委員 十二条の二項あるいは三項に「国及び領域」ということばがありますが、国というのは、たとえば中華人民共和国などもやはり国として取り扱って、統制委員会からいろいろな呼びかけをするということになるのか。国連に加盟したかどうかは全く関係がないということになると、そういう取り扱いを受けるということになるわけですね。
○兼松説明員 この条約におきましては、国に関しては定義がございませんが、領域に関しては定義が一条に設けられております。十二条に書いてございます「国及び領域」と申しますのは、いずれにしろ、そういういまのような世界の現状におきまして、ある国を認めたり、ある国を認めないという関係があるわけでございます。そこで、「国及び領域」といたしまして、実際上この条約に参加する機会を奪われる結果になっているそういう国と領域に関する規定を置こうという趣旨でございまして、はっきり具体的にどの社会主義国がどこに当たり、どの領域がどう、そういうところまでの正確な定義は、この条約の採択の際には関係国が了解してきまっておらなかったものと考えられております。
○松井(誠)委員 この領域という定義は一条にありますけれども、たとえば大陸にある中国は領域として取り扱うのですか、国ですか。
○兼松説明員 この条約の適用という問題は、一応採択会議の問題から離れて−今度はこの条約自体の適用の立場から見ますれば、結局この条約の当事国になる国は中華民国でございます。そうすると、その中華民国につきましては、条約第十三条第二項のこの条約が適用されない領域と読まれる中国大陸は、中華民国の領域と考えざるを得ないということになろうかと考えます。
○松井(誠)委員 それでは、その第一条の領域の定義というのと合いますか。
○兼松説明員 第一条の領域につきましては、ここに定義がございますが、これは、第一条の冒頭に、「別段の明文の規定がある場合又は文脈により異なった意味に解釈しなければならない場合を除く」ということでございまして、そういう註釈がついた上で領域とは云々と書いてございまして、輸出入証明書の適用に関して特にこの特殊な領域という概念を定義する必要があったから設けた。そのために、柱書きをいたしまして、四十二条、四十六条、これは適用領域の廃棄に関する規定でございますが、この場合にはこの一項の領域の定義は適用しない。そのほかに、文脈上、国全体をさすというような場合に用いられる場合もある。したがいまして、この定義というのは、この(y)を見ますと二つに定義した形となっておりますが、実際は第一条に柱書きがございまして三つの概念にもとれるわけでございます。したがいまして、各条項に応じて合理的に解釈する、こういう趣旨でございます。
○臼井委員長 これにて本件に対する質疑を終局いたします。 —————————————
○臼井委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 おはかりいたします。ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
○臼井委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午後零時二十分散会