外務委員会 第28号
- 発言数
- 42 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/06/03
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。 赤松勇君。
○赤松委員 私は、さきの外務委員会におきまして、航空関係に関する日米合同委員会の決定事項を日米両文で出してもらいたいという資料の要求をしました。しかるところ、相当長時間を要しまし出してまいりましたのが、すなわちこの文書であります。これは日米合同委員会の合意書でありますけれども、昭和三十五年三月二十五日、衆議院・参議院両院の安保特別委員会に提出済みの資料でありまして、現に町田事件で非常に問題になっておりまする米軍の事故に関する日本国民の被害損失につきまして、補償もしくは再発をしないという措置を講ずるための具体的な合意文書、あるいは討議事項について要求したのでありますけれども、こういう点はきわめて不満に思うわけであります。この点については、すでに日米合同委員会におきまして十分に討議されて、その結論が発表されておると思うのでありますが、その資料の提出を要求いたします。外務省のほうで答弁してください。
○臼井委員長 ただいま所管の者がおりませんけれども、所管のほうにその意を伝えて、できるだけ資料を提出させるようにいたします。
○赤松委員 できるだけというあれでなしに、この前の外務委員会では、外務大臣みずからが、必ず提出をいたしますという答弁をしておるわけであります。すでにラジオあるいはテレビ、新聞などで発表された事項でありまして、これを提出しないということは国会軽視だと思うのです。したがいまして、すみやかに委員長の責任においてこれを提出させていただきたい。したがって、この部分に関する私の質問は留保しておきます。 そこで、この町田事件が発生をいたしました際に、国民の間からほうはいとしてアメリカに対する抗議の声並びに政府に対する適切な措置を講じろというところの要求が起きたことは、御案内のとおりであります。そこで、当時直ちに日米合同委員会事故分科委員会が府中の米軍司令部で開かれ、日本側から出席したのは防衛施設庁の石井施設調査官ら七人、米軍側からは在日米軍司令部のエンゲル中佐ら九人が出席、そして、日本側から、飛行コースは市街地を避けるように変更してほしい、またパイロット脱出の際には被害の少ないよう十分誘導してほしいということを要望したわけであります。これに対しまして米軍側は現在でも考慮しておると述べ、町田市周辺のコースを変えられるかどうか検討するよう日米合同委員会に勧告し、近く運輸省など関係機関も含めて検討することになった、こういうように新聞は報じておるのであります。 なお、この事故の原因は、パイロットのロドネイ・L・ボーンという大尉が、これはジェット機で千三百時間飛行の経験を持つ教官であるけれども、当日は二機で岩国から沖繩、厚木を経て岩国へ戻る訓練飛行中であった、そして、町田上空で高度を下げるため旋回中、三千メートル付近で突然操縦不能となってきりもみ状態となったため、二千二百メートル付近で脱出をした。こういうことになっております。いわゆる市街地上空における訓練の問題は、アメリカの航空法におきましてもこれを厳に制限あるいは禁止しております。非常にきびしい制限を加えております。また、単にアメリカだけでなく、これは各国とも大体共通の規定を設けておるのでありまして、近時日本の市街地の上空におきまして日米双方の軍事訓練が多く行なわれておることはおおうことのできない事実であります。このことにつきましても、今後絶対にこういう低空飛行もしくは訓練飛行などをやらないというところの保証がアメリカから得られたのであるかどうか。あるいはこの補償については一体どうであるか。これは当時の閣議で特に問題になりまして、補償基準額の改定で、福田防衛庁長官は、自衛隊機事故による補償額は労災補償方式に基づいている関係から最高額は百五十万円どまりであるけれども、米軍機の場合も大体これに準じておる、したがって、実情に合わない場合が多いので、防衛庁は現行の百五十万円から三百万円程度に引き上げるようにしたい、こういうことを閣議で発言をしております。そこで私が、いま御質問申し上げました米軍当局との間に日米合同委員会の事故分科委員会でどのような討議が行なわれ、どういう結論を得たのであるかこのことを明らかにしていただきたいと思います。
○小野政府委員 ただいまお尋ねの町田の事故に関する日米の事故分科委員会の討議は、四月七日に第一回を開きまして、五月二十二日第三回を開きまして、一応結論を得まして、その結果を合同委員会に勧告いたしまして、合同委員会が五月二十八日にこれを採択されたのでございます。その結論といたしましては、まず第一点が事故の原因でございますが、事故の原因については操縦系統の器材または機能の故障ということに判定されました。第二点は、今後の対策でございますが、米軍各飛行場の周辺における飛行の規制という問題につきまして、飛行経路をできるだけ都市の上空から避けるということについて検討をする、現に、厚木の場合におきましては、厚木飛行場へ進入いたしますコースを一部改訂いたしまして、町田付近の上空を避けるということについて現実に処置がとられております。それから、その他器材の点検あるいは教育の徹底あるいは各種の法規の順守ということについて、さらに米軍部隊におきまして徹底を期する、こういうようなことがその内容でございまして、そういう次第でございます。
○赤松委員 補償の問題はどうなっていますか。
○小野政府委員 補償の問題につきましては、ただいまお話がございましたように、福田長官がかねて御説明申し上げましたその線に沿いまして、ただいま成案を得つつある、近日中に防衛庁長官訓令として新しい賠償基準というものが決定されるという段取りになっております。その内容につきましては、これはホフマン方式を取り入れております関係上、一がいにどうなったということは言えないのでございますが、従来の労災方式によります補償と比べましたならば、全般には大幅な改善になる、こういうような形になっております。詳細につきましては、お尋ねがございましたら御説明申し上げます。
○赤松委員 実にいま長官の答弁は人をばかにした答弁でございまして、とうてい納得できません。 ここに米国の航空法規がございますけれども、この航空法規は最低安全高度ということを規定しております。いかなる場所においても、動力が停止した場合、地上の人命、財産に不当な危害を与えずに緊急着陸し得る高度、その高度を飛ばなければならぬ、市街地等人口密集地域では、水平半径二千フィート以内の最高の障害物から千フィートの上、こういうように規定してございます。アメリカの航空法規がこれである。当然私は米軍はこの法規の精神に基づいて日本においても行動しなければならぬと思うのであります。もし日本においてアメリカ空軍が、米国の国内ではないというような観点から、きわめて危険な、こういう航空法規を無視するような行動をとったといたしまするならば、当然抗議すべきであり、同時に、こういう日本を植民地扱いにするような考え方に対しましては、断固として抗議すべきであると私は思うのです。現に、日米合同委員会の合意文書、いわゆる刑事裁判管轄権に関する事項の中におきましても、当該財産に対し不必要な損害を与えないよう最善の努力が払われなければならない、こういうようにちゃんと合意文書で申し合わせができておるのであります。私はいま長官の答弁を聞きましてあきれたわけでありますけれども、事故の原因は器材の故障である、それから、対策としては、基地周辺の飛行について都市上空で行なわないようにいま検討しておる、補償については成案を得つつある、そしてこれから賠償基準をきめて話し合うんだ、これは一体何という対策ですか。こんなのは対策になっておりません。 器材の故障については、私は専門家ではありませんのでよくわかりませんけれども、この器材の故障によってなぜパイロットがあの都市上空において町田市内に多大な損害を与えるような行動を避けることができなかったか、不可避であったかどうか、こういう点が明確にならなければならぬと思うのです。したがって、この点に関する日米合同委員会の事故対策委員会における日本側の主張並びにアメリカ側の調査の結果に関する報告、こういうものを私は資料として提出を要求しておるわけであります。 第二に、基地周辺の飛行については都市上空で行なわないように検討する、——私はいま日米合同委員会の合意文書を読みました。これにおいても、不必要な損害を与えないように最善の努力をしろ、お互いにしよう、こいううことが合意されている。アメリカの航空法規におきましても、都市上空はこれ以下の高度で飛んでいけないということがちゃんときめられておる。しかるに、基地周辺の飛行については都市上空で行なわないようにこれから検討しようではないか、こんなばかげた討議というものは私はないと思います。私は、日本国政府は、日本国政府の法律と、そして国民の生命、財産を守るという見地に立って、これを双方で検討するというよりも、むしろ国際法あるいは国際的な慣行に基づいて米軍に対してこれこれのことをしろということを要求すべきであると思うのであります。 また、第三の補償の問題については、成案を得るためにいま努力しておる、賠償の基準についてこれからつくって双方で検討しようと考えておる、こういうことですが、町田の被害者、犠牲者というものはいま一体どうしておるのですか。これによってばく大な損害を受けました国民は、この基準ができるまで泣き寝入りをするのでありますか。成案を得るまで彼らはこれを見守っていかなければならぬのでありますか。それならば、事件発生直後、先ほど私が申し上げましたあの閣議における福田防衛庁長官の発言は一体どうなるんですか。すみやかにそういう措置を講ずる百五十万円のものを三百万円に引き上げるようにするという発言もしておるわけであります。 したがいまして、私はいまの長官の答弁は絶対納得できません。再度答弁を要求いたします。
○小野政府委員 私の説明があるいはことば足らずであったかと思うのでありますが、最初に最後の問題から申し上げます。補償、賠償の基準の問題につきましては、成案を得つつあると申し上げましたが、成案を得まして近日中にこれを決定すると申し上げたと思います。ということは、すでにできておる。最後の詰めをしておるということでございまして、近日中ということは申し上げたつもりでございます。 それから、飛行機の航行高度の問題でございますが、米軍機が日本の上空においてかってな飛び方をしておるというお話でごいざましたが、そういうことはないとわれわれは信じております。今回の町田の事故につきましては、あの事故が起こりましたところはおおよそ一万フィートから八千フィートの間であろうというふうに一応見ております。これは一緒に飛んでおりました僚機が確認しておるのであります。千フィートとか二千フィートとかいうようなところではございません。八千ないし一万の高度において突発的な事故が起きてそのまま落ちた。角度も七十度ということでありまして事故が起こったのは町田市のずばり上空ではないわけでございます。ただ、横へ飛びましても市内へ落ちたことはまことに残念でございますが、そういう意味ではもう少し広い範囲で考えなければなりませんけれども、高度につきましては、あれはいたし方ないことでございます。 それから、さらに、これから研究すると申し上げましたけれども、これは、各飛行場の周辺と申し上げましたのは、飛行場で発着する場合でございますから、当然低くなるのであります。それがどういうふうに入るか、どういうふうに出るか、そのときに事故を最小限にするようなコースをこの際再検討しようじゃないか、現に厚木については町田方向の進入方向について規制を実施しておる、こういうふうに申し上げたわけでございます。この点は御了承いただけると思います。
○赤松委員 成案を得たとおっしゃいますが、その成案の内容はどういうものでございますか。
○小野政府委員 防衛庁長官訓令(レイ)案といたしまして、現在大蔵省と最終的な条文、条項についての整理をやっております。その内容については大蔵省も全部了承済みでございまして、この訓令(レイ)案そのものについて、いろいろ今後の取り扱い、解釈その他の問題もございます。そういうことでいま最終的な詰めをしておりまして、近日中に大蔵省側から最終の意見が回答されると思います。それがオーケーということになれば、そのまま防衛庁長官の訓令(レイ)として賠償基準ということで全自衛隊の中にそれが公布されるわけでございます。
○赤松委員 大蔵省が二、三日の後にオーケーといって発表されるという訓令(レイ)の内容については、いま答弁はできませんか。
○小野政府委員 大体のことを申し上げます。 この賠償は、いろいろなケースがあるわけでございますが、特に問題になりますのは人身関係であります。死亡の場合、それから非常に重大な障害を残した、これが一番大きい問題であります。死亡の場合につきましては、従来は労災保険方式でまいりましたから、大体平均日収の千日分ということで計算をいたしまして、無職者の場合は一日三百円と一応計算をしたわけでございます。したがいまして、三十万という数字が出たわけでございます。これにつきまして、無職者の場合は今後は一人日収五百円とみなすということにいたしまして、これにホフマン方式を取り入れました金額を算出いたします。したがいまして、若い方で極るならば、今後の就労可能年数が多いので、非常に多くなります。それから相当に高年の方でありますと、この点は逆になるのであります。それにいたしましても、無職無収入の方についてもそういうふうなことがございますが、さらに、有識者につきましては、従来は、やはり千日分でございますけれども、一応最高を日収千五百円で切っておりました。結局月にいたしまして四万五千円の線で一応切られたわけでございますが、これが今度なくなりまして、したがいまして、一日の分が二千円とか三千円とかいうこともあり得るわけでございます。それが千日分でなくて、やはりただいまのホフマン方式によりまする将来の就労可能年数というものから計算をし、そして、前払いをするのだから若干の控除はするわけでございますが、そういう形で相当大幅な改正になる、こういうことでございます。 さらに、障害の場合も、これに準じまして、もうほとんど動けなくなったような重い障害を受けた場合については、まあ死亡に近いようなお見舞いをいたす、こういうことになっております。
○赤松委員 その訓令の内容につきましていろいろ検討すべき点がありますから、これがあなたのほうと大蔵省のほうと双方合意に違して正式にきまったときに再び私は質問したい、こう思っておりますので、この点は留保しておきます。 ただ、この際もう一つお尋ねしておきたいのは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定があるわけであります。その協定によりますと、協定の中の第十八条の5の(a)に、請求は「日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」、こういうようになっております。そこで、いかなる法令によって日本国は請求をきれるのか、この点について、その法令をひとつお示し願いたいと思います。
○小野政府委員 ただいまお示しの地位協定十八条の関係でございますが、大体、この種の事故につきましては、これは公務上の事故が多いわけでございますが、国家賠償の関係が根本でございます。国家賠償については、日本の国内法令は国家賠償法はございますけれども、これを実施する基準というものがまだ確立いたしておりません。したがいまして、私どもは、とりあえず行政措置として、自衛隊における賠償をどうするか、国家賠償という問題についての実施を訓令で定めるわけでございます。それが一つの基準でございまして、米軍関係の事故についても、自衛隊が実施しておるその基準に従ってこれを行なう。しかも、その方法について、これは一つの和解、示談でございまするが、被害者の方が御納得がなければ、当然裁判上の御要求、御請求になるわけでございます。その場合は民事の裁判の手続になる。これもその根拠になる法令でございます。要するに、米軍側との関係におきまして、自衛隊が事故を起こした場合にとられるあらゆる手段、方法、根拠、こうしたものがそのまま米軍関係の事故の場合にも適用される、地位協定の十八条はこういう趣旨でございます。
○赤松委員 いまあなたの答弁を聞いておりますと、国家賠償法に準拠してやるのだ、しかしその詳細な規定はない、だから訓令でやっているのだ、こういうお話なのですね。ところが、この協定によりますと、明確に、請求は日本国の法令に従ってやるのだと、こう書いてある。そうすると、法令がないままやっておるのですね。
○小野政府委員 ただいま申し上げましたように、国家賠償法という法律はございます。ございますが、これは抽象的な書き方であって、基準が明確になっておりませんので、実際に行政庁としてこれを処理する場合に、私どもとしては基準をつくるという形になったわけであります。したがいまして、こういう国家賠償の根本法規は国家賠償法であり、また、もし民事争いとなりました場合には、民事請求の争いは民事訴訟法になる。そういうような法令があるわけでございます。
○赤松委員 どうも私はよくわからない。国家賠償法はある、しかし国家賠償法は非常に抽象的な規定であって実際は役に立たないのだ、役に立たないから訓令でやっているのだ、行政措置でやっているのだ、そんなばかな論理というものはあるのですか。それじゃ、法律というものは、あって、ない。国家賠償法が抽象的な規定であって不十分だというならば、法の改正をなぜやらないのです。今日まで、協定は結んだけれども、この法律的ないろいろな欠陥については、これを是正しようとする努力を政府は払っていないじゃありませんか。私は、こういうように協定が、「日本国の法令に従って、提起し審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」、こういうふうになっておるならば、たとえば国家賠償法を根拠として提起し、審査し、解決し、裁判をするといったならば、もしこれが抽象的な規定であって役に立たないならば、役に立つような改正を行なうべきであると思うのです。この点、外務大臣はいかがですか。
○大平国務大臣 いま政府委員が申し上げましたことは、役に立たないと申し上げたわけじゃなくて、国家賠償法が抽象的な規定であるから、それの具体化の措置は行政府がやっておるということを申し上げたのでございます。法律は、赤松さんも御承知のように、どんなに具体的に規定いたしましても、あらゆる場合を包括するような規定はつくれないわけであります。どういたしましても、それを現実に適用する場合にくふうが要ることは御案内のとおりでございまして、私は、国家賠償法は役に立たないのだということは毛頭思っておりませんで、これをその規定の趣旨に従って行政府が適切な措置をとることは適当だと考えております。
○赤松委員 これは外務大臣が頭が悪いのでなくして、私の質問のタイミングが悪かった。質問するほうが私は無理だと思う。いま外務大臣はぴょこんと入ってきて、私と小野長官との質疑応答を全然知らないで、国家賠償法だけが頭にぴょこんとあるものですから、いまのようなとんでもない答弁が私は出てくると思うのです。この点は、外務大臣が悪いのじゃなくて、タイミングを十分心得なかった質問者のほうに責任があると思うから、あなたに同情いたしておきます。しかし、あなたはずいぶん大胆ですね。実に大胆だ。十分ものごとを知らないであれだけの答弁をするというのですから、実にたいした政治家だと思う。敬意を表しておきます。 そこで、だれが考えましても、いま外務大臣が答弁したようなことは通らない。しかも、いま立法府の機関において私は質問している。それを、法律を無視するような答弁については了解できません。そこで、外務大臣は小野長官などとも十分に相談をされまして、この日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、この協定の第十八条第五項の、請求は「日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」、この点について、国家賠償法は不十分である、これをどのように改正するか、その法的根拠をどうつくっていくかということについて、十分相談をされまして、後にひとつ本委員会に答弁をしていただきたいということを御注文申し上げまして、次に進みたいと思うのであります。大臣それでよろしゅうございますか。いま答弁しろと言っても無理でしょう。小野さん、やりますか。
○小野政府委員 私、僭越かも存じませんが、国家賠償というものの本質といいますか、国の責任というものを国家賠償法はきめたわけでございます。それからさらにそれを具体的にどういうふうに実行するかということにつきましては、これは、自衛隊の問題とかあるいは米軍関係だけの問題じゃないわけでございまして、全般的に大きな問題があるわけでございます。これは、外務省におかれましてはどうお考えになりますか、私どもといたしましては、そうしたものについてしっかりした基準というものが立法化されるということは望ましいかもしれませんけれども、いますぐにはなかなか出ないわけであります。これが常に裁判で争われているゆえんでございます。そういう意味において、そういうものがまとまるまでの段階においては、一つの行政上の判断からの基準をつくりませんと、実際の仕事が動きません。そういう意味であるわけであります。この法律の改正、いま先生の御要望になりました国家賠償に関する具体的な諸問題というものは、おそらく私どもの関係でもございませんし、また外務省の直接の御所管でもないかと思うのでございますが、これは私どもとしてはっきりしたお答えを申し上げることはむずかしいのではないか、こういうふうに思います。
○赤松委員 それが、日米安全保障条約に基づく協定をして、そしてちゃんとあのように文書化されておるわけなんです。だから、あなたが行政庁の役人としていろいろ答弁されておるけれども、やはり、協定にそういうことが書かれておれば、あらゆる事件を想定してそれに対する法的根拠なり基準というものを定めていくということが法治国の当然の責任だと私は思う。そこで、あなたの行政分野ではない、外務大臣の行政分野ではないとおっしゃるが、それならば、外務大臣は閣議でこれを発言してもらって、そしてすみやかにそういう法律上の欠点を補うようにしてもらいたい、こう言うのでありますから、別に問題はないでしょう。それでもいやだとおっしゃるのですか、どうでございますか。 大臣が何か十二時でどこかへ行くので、十二時までにしてくれというので、私は盛りだくさん質問がありますが、穂積君のほうからいま電報がまいりまして、ちょっと一口だけ質問さしてくれということですから、あまりこの問題にかかわり合っておれませんから、先ほど申し上げたような要望を十分外務大臣に聞いておいていただきたいと思います。 さて、その次に質問をしたいのは、入管の次長が来ていらっしゃいますから、外務大臣もぜひあわせて聞いておいていただきたいと思うのでありますが、いま入管のほうに再入国に関する幾つかの申請が行なわれております。これは、昨年の暮れの予算委員会におきまして、あるいは法務委員会におきまして私質問をしました。その際、賀屋法務大臣は、ケース・バイ・ケースでもって考えていこう、したがって、申請書を出してくれ、こういう要望がございまして、そこで、この要望に基づいて申請をしたわけでございますが、この申請につきまして、これももっとたっぷり質問をしようと思ったのですが、時間がございませんから、一、二その申請の理由を申し上げて、答弁をもらいたいと思うのです。 これは朴分点という人でありますけれども、理由はこうです。「私の娘である呉三順は、主人と一緒に今から四年前、第十一次帰国船で祖国に帰りました。帰国した主な理由は下半身が不自由で歩くことの出来ない長男の金正一(十一才)をなんとかなおして歩かしてやりたい一念からでありました。日本にいるとき有名な病院には殆んど行きましたが、先天性外反足という奇病で今の医学ではなおせないものと診断されました。最後には東京大学の病院まで行きました。病院の先生からどうしても無理だとことわるのもきかず、唯一心に歩かしてやりたい念願から三〇万円の保証金まであずけて治療をしましたが、やはり無駄でした。ほんとうに正一のために家族、親せき一同が心身共につかれ、あげくの果は絶望のあまり母親の三順は自殺未遂まで起こしました。池田総理大臣始め外務大臣、法務大臣どの、私は今、帰国した孫が歩けるようになったという夢のような知らせを受けて、どうすれば一日も早く、いますぐにでも歩く孫の姿を一目見ることができるだろうかと涙にくれています。私の孫金正一は平安南通中央病院で六〇〇名にのぼる医者や看護婦さんの骨をもらって骨の移植手術に成功し歩くようになったのです。すべてをかえりみず帰国をすればよいのですが、南朝鮮には長女が家族をもってくらしており、日本にも長男や子供たちが仕事をしておりますし、今すぐには帰国できない状態であります。どうか以上のような事情を深く深く御理解下さいまして、この目で孫の歩ける姿を見てきたい願いを実現させてもらえますようにここに理由書を提出致します。一九六四年五月十日、総理大臣池田勇人殿、外務大臣大平正芳殿、法務大臣賀興宣殿」、 まだたくさんございます。東京都江東区深川白河町三丁目九番地前町会長平谷章、それから同じく白河町一丁目町会長青柳義郎、同じく深川白河町の町会長中村房蔵、こういう人の証明書をつけまして出している。「私は大正八年東京石川島造船所の人夫募集に応じ、同造船所で足掛二十年間働いた後、江東区深川白河町現住所地に於て米配給所を経営して居ります。私の年は現在七十四才であり、老妻は七十三才です。私の経済的実力はそうたいしたことはありませんが、渡日以来一貫して商売を自分の本業として参っておりますので老後の生活には心配ありません。今東京には娘一人に孫四人居り、又祖国咸鏡道には娘二人孫八人が居ります。戦後二十年間親子の距離が私達が望まない政治問題のためにいつまでも縮まらない現実を考えます時、滞日四十六年間を回顧して痛腹に耐えません。何時かの新聞を読むと、他の外国人は全部自分の祖国に往来して居るとのことですが、なぜに私達朝鮮人だけがそれから除外されて良いのですか。前記したとおり、私は渡日期間が古い関係上、終戦前には年数度往復して先祖の墓参りをいたしました。ご承知のとおり戦後はいまだに一度も墓参に行くことができないので悩んで居ります。青春は永久に続かず、私も今は老人になりました。歳を取り、ひたいにしわが増すと人間は肉身が恋しくなります。今私達老夫妻の頭の中には望郷の念と娘、孫達の様子がありありと浮ぶだけであります。どうか日本政府の皆様方、人道的立場より、先先の短い私が天国に行く前、自分の最後の望みがかなえられるようお取り計り下さい。切に希望致します。昭和三十九年五月四日、東京都江東区白河町二の十一、李仁洙法務大臣賀屋興宜閣下」、そして、証明書として、先ほど申し上げた人たちが、この李さんは昭和十五年一月から終戦まで深川警防団員として活躍し、その間精勤賞を三回も受けた、同じく昭和二十二年八月自宅隣りに約三十五坪木造平屋建てを建設し、外地よりの引き揚げ者を無料でここに居住させた、同二十八年八月児童慰安にと子供みこし一台を建設し、これを町へ寄付した、同三十五年三月白河町二丁目戦災死者供養に際しみずから地蔵尊を建立し奉納いたしました、二十五年地元白河小学校再建に当たり計金五万円なりを寄付いたしました、右のとおりにて、その他神社、町会等に数々の寄付をなし、また貧困者救済等幾多の善行をなされたことをここに証明いたします。昭和三十九年五月五日、こういうように証明書をつけていま法務省に再入国の申請を行なっておるわけであります。これについていまどのような段階になっておるか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○富田政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、去る三月十八日に院内で懇談をいたしました際に、全然窓口が開いておちないじゃないか、取り合ってくれないじゃないかというような御質問がいろいろございまして、これは取り合わないわけじゃない、その点については事務当局にもいろいろ検討を命じてあるということで、われわれも、それに応じまして、現在再入国の申請には旅券が必要でございます。したがいまして、旅券をつけずにただいきなり持ってこられましたのではやはり形式的要件が欠けるということで却下しなければならぬ。しかしながら、一応、いままで一件も申請がないということで、そういう問題があるかどうかよくわからないというような答弁をしておったわけでございますが、いろいろ事情を承ろうではないかということで、そういう方々が来られたならひとつ相談に乗って、そういう材料を中央まであげなきいという指示はその後にしたわけでございます。そこで三月十八日以降最近までにわれわれの手元に集まりましたものを整理いたしますと、ただいま御指摘のケースを含めまして四十四件、五十名の方々からいずれもそういった親子の再会であるとか墓参であるとか、そういうことを理由に、正式の申請ではございませんが、再入国申請理由書というような表題の文書で事情の具申があったわけでございます。これを分析いたしますと、この五十人のうち三十八度以北に郷里を持っておって終戦前から全然行き来しておらない、こういう方々が十六名、二十四%でございます。その中で、父母との面会あるいは病気見舞いを理由とする者が八名、それから子女との面会等が五名、そのほかの兄弟とかおじさんに会いたいという者が三名、これが十六名の内訳でございます。その他は三十八度以南に郷里というかいま本籍を持っておる方々でございますが、これが三十四名で七六%を占めております。この内訳は、北鮮に帰還した父母との再会を理由とする者が四名、北鮮に帰還した子女と再会したいという者が三十名ということになっておるわけでございます。われわれはいままでこういう事情をつまびらかにすることができなかったわけでございますがこういう事情の理由書などを拝見いたしまして今後どのようにこの問題に取り組んでいくかということをいま検討しておる段階にあるわけであります。
○赤松委員 時間もございませんし、せっかく法務省が私に対する法務大臣の答弁の約束を守ってケース・バイ・ケースで検討していただいておるという段階でございますので、これ以上いろいろ問題を提起しようということは考えておりません。ただ、あの際に賀屋法務大臣がおっしゃったのは、特に軍事スパイ関係など非常に頭に描いておられたのではないだろうか、こういうように考えるわけであります。いま私が再入国申請に関する理由書を若干御紹介申し上げましたが、八十四歳になり、しかも、三町会長の保証といいますか、そういうものをつけて、そしてぜひ実現させてもらいたい、こういうように法務省のほうへ申し出ておるというような点から考えましてこれをいま国交未回復だからだめだというような簡単な処理のしかたではいけないのではないだろうか。現に、まだ国交未回復でありますけれども、中華人民共和国に対しましては、先般遺骨の持ち帰りあるいは墓参をするために三十何名かの人が中華人民共和国を訪れ、往復するということの許可も出ておるわけであります。 〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 ただ、旅券その他の関係で、手段方法等につきましてはかなりいろいろ手の込んだやり方も必要であると思うのでありますけれども、問題は、ケース・バイ・ケースでもって、日本政府つまり賀屋法務大臣の表現によれば、国家に危害を与えるかどうかという観点から処理する、いわゆる高度な政治的判断の上に立って処理する、こういう答弁です。その意味から申しますと、いま申し上げた再入国を希望しておる諸君は高度な政治判断の範疇に属さない人たちばかりである。きわめて純粋な人間的な真情から日本政府に対してこのような申請を行なっておるということを十分お考えになって、さらに外務大臣も、法務省のほうでいま検討中であるというのでございますから、事は外務省が旅券を出さない限りこれはだめなんだから、そういう点につきましてはひとつよく御理解の上善処を願いたい。私は、外務大臣は非常なヒューマニストだと思います、あなたには、顔を見ただけでもヒューマニストだということはよくわかります。大いに期待しておりますので、賀屋法務大臣などと十分御協議をいただきまして、ぜひこれらの諸君の申請の希望に沿えるように努力していただきたい、こういうように思うのでありますが、ひとつ大平外務大臣の誠意ある答弁を願えませんか。 大平国務大臣 赤松さんの御指摘がございましたように、国交未回復の国との間におきましても、人の交流をわが国としては認めておるわけでございます。したがって、いま人的交流を全然認めていない北鮮と日本との関係はきわめて不自然な状態であると私は思います。御承知のように、北鮮と日本との関係におきましては、物だとかその決済の関係等につきましては若干の改善もいたしたのでございますが、一点、御指摘の人的交流の点につきましてまだ打開の方途が講ぜられていない。これはきわめて不自然なことだと思います。私といたしましては、こういう状態がいつまでもこういう状態であっていいと思っていないのでございます。何とかこれに改善の道がないかということにつきましては、かねてから心を痛めておるところでございます。先ほどもお話がありましたように、高度の国家的な利益の判断に立ちまして、法務省とも十分御協議いたしまして、どのように考えたらいいか目下鋭意考究中でございますので、かすに時間をもってしていただきたいと思います。
○富田政府委員 ただいまの御質問につきまして、赤松先生もよく御存じだと思いますので、私も詳しくは申し上げませんが、法務大臣の考え方といたしましては、人道的なケースであっても、それがやはり政治的に利用されるというようなことがあっては困るんだということを考えていらっしゃると思います。そして、この運動の主張の内容、それからあり方、その他耳にするいろいろなことを総合いたしますと、まだやはり完全な人道問題として踏み切れるかどうか、人道のオブラートで包んで中身が一体どんなものであろうかというようなことについて、まだ完全に安心して踏み切れる段階にはないんじゃないか、そういう点が問題になりまして、ただいま外務大臣のお答えになりましたような高度の政治的判断でおのずからこの問題がいつかは解決される時期が来るんじゃないかと考えております。
○赤松委員 私は、むしろ政府のほうがこういう人道上の問題を政治的問題にしておるんだ、政治的に扱っておるんだ、そこに混乱があるんだ、こういうように理解をしておるわけであります。しかし、私は、入管の次長とここで、理論闘争をやろうなんという気持ちは毛頭ございません。この問題は、言うまでもなく、在日朝鮮人の問題ではあるけれども、同時にこれは日本政府自身、自主的に決定すべき問題です。日本は独立国でございますから何人にも侵されない。何人の干渉も受けない。私も日本人でありますから日本人の立場に立ってものごとを処理していく、この立場と観点は、これは全く明らかであるのであります。そこで、たとえば、いま八十三歳の老人が、墓参りに行きたい、死ぬ前に一回墓参をしたい、こういう切なる願いがある。これを政治的に利用させるかさせないかというようなことは、われわれ自身がその方法手段等において十分考えればいい問題であって、これはたとえば外国の者が利用しようとすれば幾らでもできる問題だと思うのであります。そんなことは万々ありませんが、問題は、そういうことを人道上の問題にすりかえていくということになりますと、私は、その国家的判断というものがおかしくなってくるんじゃないだろうか、こういうふうに思うわけです。私はそういうことを申し上げたくありませんが、賀屋さんの頭がやはり戦争前とそれから戦争の後とはここにいらっしゃらぬから、まるで欠席裁判のようなことを言ってはなはだ悪いのですけれども、私は、この際法務大臣の頭も切りかえてもらわなくてはいかぬ。かりに賀屋さんが朝鮮民主主義人民共和国の平壌なら平壌におって帰ってこられないという立場になったらどう考えますか。そのときに朝鮮民主主義人民共和国の政府が、帰してやりたいと思うけれども、しかし日本人に政治的に利用されるとまずいから、賀屋、おまえ帰すわけにはいかぬ、しばらく平壌におれ、しかし、いつまでおるのかよくわからない、いつ帰れるのかよくわからないが、とにかくここで死んでもしかたがないだろう、朝鮮民主主義人民共和国政府がそんなことを言いっこないけれども、もし言ったらどうしますか。朝鮮民主主義人民共和国の憲法はすべての国民の往来はこれをひとしく認めております。日本国憲法と同じであります。そんなことは万々言うわけはございませんけれども、立場を変えて言えば同じことなんです。そういう問題を、政治的に利用されるからというようなことでこれを抑制していくということは、全く人倫に反するやり方ではないだろうか。私どもどうも納得ができません。賀屋さんに対してはやがて法務委員会で私も再度申し上げたいと思うのでありますが、どうぞ賀屋さんの下で入管の行政事務を扱っていらっしゃる局長並びに次長は、ひとつあなたも人間ですから、賀屋さんがどんな意見を持ってこられましょうとも、あなたは、是なりと信じたならば、それを進言して、ぜひひとつ実現させるように努力願いたいと思うのであります。 いま外務大臣からも非常に含みのあることばをいただきましたので、そういう点につきましては、外務大臣も諸般の情勢を御考慮の上で御善処を願いたい。非常に不自然だということは、これは大臣が繰り返しおっしゃっているわけです。不自然な状態はいつまでも続くものではございません。このアブノーマルな状態をノーマルな状態に転化していく、その努力を日本の国の利益と並存、並行しながらやっていくという方法は幾つでもあると思いますから、どうぞ、こういう点につきましては、十分御検討上、結論をすみやかに出していただきたい、こういうふうに思います。 繰り返し申し上げますが、八十三歳の老人がかりに平壌に墓参りに行ったところで、政治的に利用されるといったって、利用しようがないということであります。また、そういう点について、旅券を出す場合、たとえば日赤が保証するとか何とかいろいろな方法もございましょう。そういう点について私どもに協力を求めるならば、私ども積極的にこういう人道的な問題を具体的に処理するということについて御協力申し上げることはやぶさかではございませんので、どうぞひとつ安心してわれわれにも相談をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 繰り返し申し上げておきますけれども、私は日朝往来の実現の全国連絡会議の幹事長、こういういかめしい肩書きを実は持っております。この連絡会議には総評その他の団体約四百万人くらい入っておりますけれども、私の指導方針は、あなた自身ごらんになってわかるように、この連絡会議のカンパにたとえば日韓会談をからますとか、そういうことをかつてやったことはありません。これはあくまでも人道上の問題としてやっているわけで、ときどきいろいろはね上がりも、団体ですからありますが、それは私は押えて、あくまで人道上の問題として指導してまいったことは、御承知だと思うのであります。今後もそういう考え方でやっていくつもりでございますから、その点は御安心願いたいと思います。 あと穂積さんが待っておられるので、そちらへバトンをお渡ししたいと思いますが、ただ、ちょっと外務省に文句を言っておきたいのだが、ミコヤンさんが来て、せっかく業界やあるいは国会や政府筋といろいろ交渉や懇談をしているときに、どうも外務省からぽっぽっと流れてくるところの情報というものは非常にけしからぬ。これはおそらく大平外務大臣のお考えではないと思いますけれども、外務省筋・外務省筋といって、どんな筋かわからない。それが鶏の筋があるいは牛の筋かよくわからないけれども、とにかく、筋々と言って、筋のほうからおかしな意見がよく流れてくる。たとえば、日経の五月二十七日によりますと、「外務省筋では、三億五千万ドルの買い付けば西欧側にも引き合いが出されており、てんびんにかけられていると見て間違いはない。シベリア開発の重点はバイカル湖とウラル山脈の中間地帯におかれており、日本が考えるほど地理的に有利ではない。原油にしても市場転換が因難になるほどの輸入をソ連に依存することはできない。製品払いは問題外としても、国連貿易開発会議で低開発国に対する延べ払い条件の緩和を要求されて苦境に立っているのに対ソ貿易で延べ払い期間を延長する余裕はほとんどない」、こういう見解を明らかにしている。これは外務省の言うことじゃありませんよ。これはもう実に越権しごくです。三億五千万ドルの買い付けば、なるほど西欧側からも引き合いが出されております。私が一昨年ソ連に参ったときも、イギリス並びにイタリアから、例の石油のパイプラインの問題について猛烈な働きかけがあったことは事実であります。その際にも、ソ連側は、八幡製鉄がこれを引き受けようというのに、なぜ日本の政府は反対するのかと言って笑っておりました。ところが、外務省は、これはてんびんにかけられておるからいけないのだというような見解を示しておりますけれども、事は商売でありますから、てんびんにかける場合だってあるでしょう。問題は、三億五千万ドルの買い付けというものが、いまの日本の外貨事情から言っていかに重大なものであるかということ。延べ払いの問題もあるでしょう。これは、現にあなたは向こうの大蔵大臣と会われて、イギリスはそんな条件を提示していないということを言ったというのですけれども、私どもが、ソ連で聞いたところによれば、八年、十年、十二年、十五年というような延べ払いの条件も示されておるということも聞きましたが、いずれにしても、そういう問題について財界と話をし合っているときに、どうしてこういうような情報を外務省は流していくのですか。これは国の利益にならないばかりでなしに、私は非常に日本の利益をそこなうと思うのです。こういうような外務省の考え方は根本的に誤りである。ことに、シベリア開発というのは、シベリアというのは極東を言ってないのだ、沿海州を言ってないのだ、それは、バイカル湖とウラル山脈の中間地帯を言っているのだ、こう言っている、ところが、ソ連のシベリア開発のそれには、明らかに、バイカル湖も入っておれば、ウラル山脈との中間地帯も入っておる。それとともに東シベリアということでハバロフスクその他が入っていることは、これはもう御案内のとおりなのです。私がこの際外務大臣に要求しておきたいのは、ミコヤン氏のほうから財界もしくは政府のほうへ、三億五千万ドルの買い付けについて、資料としてシベリア開発五カ年計画が提示されておると思うのでございます。この資料を出すことを要求するということと、一体あなたは、延べ払い問題、それからシベリア開発の問題、これについてどう考えておられるか。シベリアの開発は、地球の改造と言われておる。私がこの前予算委員会で申し上げたように、モスクワからハバロフスクまで世界一早いジェット機で八時間飛ぶ。もう広漠たる森林、それこそ満州などはその比ではありません。この開発というのは、私は地球の改造だと思っている。そうして、その協力を日本に要請しております。これについて外務大臣のお答えをこの際聞いておきたいと思うのです。
○大平国務大臣 ミコヤン第一副首相の訪日が大きく報道されたのでありますが、赤松さんも重々御承知のように、わが国のように開放体制をとっておる国は、取材報道は御自由でございまして、政府がこれをチェックしたり、あるいは政府がそれをプロモートしたり、そういうことはできないわけでございまして、報道について、外務省筋云々というようなことにつきまして、私といたしましては責任を負いかねる立場にあるわけでございます。私が関知いたしておりますことは、ミコヤン氏を通じてソ連の貿易相からの覚え書きと思われるものが手渡されましたので、これはひとつとくと検討してみろ、こういうことを事務当局に命じただけでございます。それが第一点。 それから、第三点といたしまして、この買い付け計画なるものは、あなたがいま御指摘の、ソ連の五カ年計画、次の五カ年計画と関連があるものですかとお尋ねいたしましたら、ないということでございました。したがって、いまあなたが私に要求されました五カ年計画の資料があるはずだということでございますが、それはございません。それと全然関係ないということでございます。 それから、第三点として、延べ払い条件の緩和でございますが、それは、赤松さんがおっしゃるとおり、私は、ソ連が延べ払い条件の緩和を求められるということは、ソ連の御自由でございますし、ソ連として当然そうだろうと思うのでございます。延べ払い条件の緩和をソ連が自国の利益のために求めるのは当然だと思うのでございます。問題は、それをどう日本が受けとめるかという問題にあるわけでございます。そういうことを考えずに、延べ払い条件の緩和をソ連が求めたからこれはたいへんだなんというのは、大体日本人が少しあわて過ぎておるのではないかと思うのでございます。そういうことを求めるのは当然でございます。それを受けとめてこちらが検討すればいいと思っております。延べ払い条件というのは、日本の立場に立って考えますと、これはソ連だけというわけにまいりませんで、全体のグローバルなベースで考えていかなければならぬ。何となれば、商売は民間の商売でございますから、したがってまた、他国の出方も見なければなりません。それだけを切り離して抽象的に考えるわけにはまいらぬと思うのでございます。したがって、全体を見ながら貿易の振興という観点から検討していけばいいわけなんでございまして、ただそういう緩和の要請があったからといって、そんなにあわてる必要はちっともないと私は考えております。御要請の点につきましては、十分検討しておるというのが今日の状況でございます。
○赤松委員 なお、私、日中大使会談の問題あるいは日中貿易事務所の設置の問題等ございますが、これを次回に譲りまして、最後に二点お尋ねしておきたいと思うのです。 その第一点は、これも非常に重要な問題なんで、時間をかけて外務大臣とやりとりをしたいと思って資料も持ってまいったのでありますけれども、時間がありませんので残念ながらこの次に譲りますけれども、ただ、日韓会談について、前にあなたは、この外務委員会におきまして、経済援助の問題について、それは商売なんだから当然じゃないか、だから、困っておれば売ってやろう、あるいは助けてやろう、それだって返る金だから別に差しつかえないじゃないか、こういう意見を述べられたやに聞いております。しかし、私は第一に、あなたの責任を追及したいのは、日韓会談は、当初たとえば何月調印何月批准ということで進められてまいりました。それから大平・金メモというようなものも生まれでまいりました。そうして物議をかもしたことも御承知のとおりです。ところが、ここで重大なことは、私はもう個々の技術論は言いませんが、重大なことは、政府が韓国の政治情勢についてその見通しなり認識を誤っておるその責任は私は重大だと思うのです。これは国会であなたの責任、池田総理の責任を何ぼ追及しても追及し切れないくらい重大な問題だと思うのであります。事はまあやれなかったからしかたがないじゃないか事情は向こうさまにあるのだ、家庭の事情でこうなったのだからしかたがないのだ、それは外交じゃないのです。そんな外交ならだれだってやる。それは中学生だって高校生だってやれますよ。問題は、韓国の情勢というものをよく認識し、そうして将来の展望というものを明確に持って、それに対する外交方針というものを確立するのが本来の行き方なんだ。私は、外務大臣に不信任案を突きつけて、本会議でもって、大平さんやめなさい、外務大臣をやっておったんじゃあなた傷ついちゃう、いまのようなそんなふらふら外交ではだめだ、日韓会談をやめると同時に、あなたもついでにやめなさい、こう言って、いつでしたか去年でしたか、本会議であなたにおすすめした。私のこの友情をあなたは無視して、そうして多数をもって不信任案を否決して、私のせっかくの進言がついにむなしくなってしまったのでありますけれども、いま韓国はどうですか。学生がきのう二千人デモをやった。たった二千人か、安保のときは十万だった、そんなことを言っちゃだめですよ。いま韓国の情勢というものは次第に南北統一に向かいつつある。民族意識というものは汚職や権力を超越するのです。いま韓国のほんとうの民心はどこにあるかと言えば、とにかくいまの韓国は不十分ながら独立を戦い取った、むろんアメリカは駐留しておるけれども、不十分ながら独立を戦い取った、不十分ながら民主主義を戦い取った、われわれは長い間日本帝国主義の植民地としていままで抑圧されてきた、それがようやくいまとにかく不十分であっても独立国として民主主義とそして民族の独立をかち得たんだ、この不十分なものでも守り抜いていこう、これをよりいいものにしていこう、それが南北統一の叫びとなり、あるいは学生運動の発生になってあらわれているんだということを外務大臣は本質的に理解しないと、とんでもない誤りをさらにおかしていくことに私はなると思う。この上なおいつ革命で倒れるかわからない朴政権相手に銭を貸してやるんだなんて、ようそんなことをぬけぬけと言えると思う。あなたの顔もあまり締まりのあるほうじゃないけれども、その言っていることだって全く締まりがない。もう少しやはり、国民が安心して大平さんに外交はまかしておけるこういうあなたに対する安心感、信頼感を持つような外交をやってもらいたい。いまの韓国情勢に対してあなたの基本的な認識をこの際問うておきたい。いかがですか。私はもう技術論はやめます。
○大平国務大臣 いつも日韓交渉をめぐる論議で平行線になるわけでございます。その平行線の根本は、私の理解する限りおいては、韓国の政情について非常に御心配されている。それはあたかもそれについて日本の政府、日本の国民、日本の政党がたいへん心配しなければならないように考えるか考えないか。つまり、私から言わすと、それは非常におせっかいだと思うのです。韓国の人にとって迷惑だと思うのです。自分たちの政治は自分たちが運営していくわけなんで、それが独立国なんでございますから、われわれとしては、この独立国たる韓国に対して敬意と誠意をもって臨む。そして、韓国の政情の問題は、われわれが接触を持っておりまする日韓会談というパイプ、その場面にどのように結晶してくるかは、韓国政府がそれをどう受けとめてどのように具体化してまいりますかは、その次に出てくるわけでございますから、それに慎重に対処することで私は必要でかつ十分であろうと思っておるのです。それを、赤松さんなんかの考え方は、それでいかぬじゃないか、遠い先の見通しをちゃんと持ってやれと言うんでございますけれども、先の見通しなんというものは、そんなにぞんざいに立つものじゃございません。無限の要素があるわけでございまして、私はたびたび私の不明をここで申し上げておるのです。私は予言者ではございませんから、そんな能力はありません。私は、与えられた会談というものに誠意をもって臨むということが私の任務であると心得ておる。私はそれ以上の限界を越えたくないのであります。独立国たる韓国の名誉のために、日本の外務大臣として韓国の政情を予測し、それを卜(ボク)し、それを評価し、かれこ申し上げることをもしいたしますとすれば、一度目の不信任案を私はあなたから食らうんじゃないかと思います。
○赤松委員 私は何も外国の内政干渉をしろと言っているのではない。それならば、日本の政府も、中国の内部はこうだああだとしょっちゅうやってるじゃないですか。そんなことを私は言っているのではなしに、問題は、情勢を正しく分析しなければ外交方針の基調というものは生まれてこないのだ、その基調というものは誤っていやしないかということを言っているのですが、時間がありませんからこの次に譲ります。 最後に、昨日の新聞によりますと、ホノルル会議で、アメリカの国防総省を中心として約一年前から練られておった段階戦略案というものが提出されたといわれる。この段階戦略案というのは、「米当局が考えている段階戦略の第一段階は、すでに米軍機のラオス上空偵察飛行という形で開始されている。この米軍偵察機は南シナ海に出動中の米第七艦隊所属空母から発進しているもので、ラオスの共産側確保地域の上空を飛び、写真撮影を主にした威力偵察である。米側のねらいの一つは、共産側に対しラオス全土はもとより北ベトナムを含む東南アジア全域が強力な米空軍力の制圧にあることを教えるものであろう。そして消息筋によれば、第二段階以後の対策として米当局が用意している圧力は、一、北ベトナム海岸線の沖合に米空母を出動させる。二、南ベトナムと北ベトナムの境界線上空にそって米軍機を飛ばす。三、北ベトナム上空に米空軍機の足をのばす。四、タイ北部に米海兵隊を進駐させる。五、ラオスのおもな都会に米軍部隊あるいは国連軍の軍隊を駐とんさせる。六、トンキン湾から南シナ海に向かって南下する北ベトナムの船舶を停船させ臨検する。七、北ベトナムの港湾を機雷で封鎖する。八、北ベトナムからラオスを経て南ベトナムに通じるいわゆるホー・チミン・ルートに対し特殊の化学薬品を散布してジャングルの木から葉っぱをすべて落とさせてしまう。それによって北ベトナム側の援助ルートをさらけ出す。このジャングル木の葉落とし戦法は北ベトナムにも適用する。九、そのあとホー・チミン・ルートをはじめ北ベトナム内の鉄道、ハノイ周辺の軍事施設を爆撃する。十、北ベトナムに破壊活動、サボ行為指導のゲリラ部隊を送り込む。十一、中共から北ベトナムに通じる交通輸送路を爆撃する。十二、北ベトナムの工業施設を爆撃する。」、こういう段階戦略というものがアメリカの軍部によってホノルル会議に提出されたということを新聞が報じております。もとよりこの真偽をあなたに聞いたってわかるものじゃない。私は、ここから、いま東南アジアの情勢というものは非常にきびしいものである。ソ連とアメリカの平和共存政策のらち外に、そのワクの外にいまやこのような情勢というものが生まれつつあるということ、したがって、ソ連・アメリカ間にいま行なわれておる平和共存政策そのものが全地球の安全保障にはならないということが第一に認識されなければならぬと思う。第二には、こういうアメリカの段階戦略というものはさらにアメリカの軍事的な失敗の上塗りをやるものだ、これによってアメリカはますます抜きも差しもならず、アジアにおいて完全に敗北していくだろうということ。第三には、中共との関係がさらに悪化していくだろうということ。第四には、民族独立闘争というものがさらに火を吹いてこれが発展するだろうということ。そういう全般の見通しの上に立った場合、たとえば国連軍を派遣するというような事態になるかどうか、これは国連が応ずるかどうかわかりませんが、国連軍を派遣する、あるいは米軍が単独でアメリカ軍隊を派遣するという場合に、日本の安保条約、日本がはたして脅威を受けておるか受けていないかという認識は問題ないが、そこから安保条約というものも問題になってくる。こういう重大な問題をはらみつつ、いまアジアの情勢というものは、急速度に発展しつつあるのであります。こういう点についても、私は韓国の情勢同様あなたの基本認識をお尋ねし、さらに私どもの考え方を申し上げたいと思うのでありますけれども、余すところもう十分になりました。同僚穗積委員からの要求もございますし、あなたは十二時から何か宮中に行かれるというお話なので、あなたにとっては宮中行きはおそらく至上命令であると思うのでございまして、あなたの立場をお察し申し上げまして、残念ながら私の質問は留保いたしまして、本日はこの程度にとどめておきたいと思います。
○正示委員長代理 穗積七郎君。
○穗積委員 時間がありませんから、大臣に簡単にお尋ねいたします。 実は、緊急な問題なんですが、従来、北ベトナムから経済代表がわが国を訪問して、北ベトナムと日本との経済交流は促進をされてきておるわけです。そこで、最近、日本経済の実情を視察しながら日本を訪問したい、人数はごくしぼりまして六名でございます。これに対しましては、外務省、法務省、通産省、事前にお尋ねいたしましたところが、大体異議はないということで、前例もあることですから、経済交流ですからよかろうということになったのですが、最近になりまして、外務省筋ではないかと思われるのだが、これに対して異議の御意見が出てまいりまして、実は難渋をしておるわけでございます。これは、おそらく、われわれの推測では、南ベトナムに対する緊急な日本側の援助、すなわちアメリカの要請による援助、これに同調するために、北との経済問題の討議は押えるという不当な政策が出てきたんではないかと推測するわけです。 そこで、私は問題を三面にして簡単にお尋ねいたしますが、第一は、従来行なわれておる北ベトナムの経済代表六名の入国、これが時期につきましては、七月になりますとフランスをはじめとするヨーロッパの諸国がベトナムへまいりまして経済交流の話をいたしますから、そういたしますと、その時期を逸しますと、ヨーロッパとの経済交流のスケジュールがどんどん進みまして、日本がそれ以後では、あとから入る余地がなくなるわけです。そういうアジアにおける友好的な精神で事前にわが国を訪問したい、こういうことで時期が非常に大事になってきておるわけです。その点もお含みの上で、この北ベトナム経済代表六名の入国について、これは当初の方針どおり早く許可さるべきである、これが一点。もしそれが困るということであるなら、南ベトナムに対する経済援助の問題がひっかかってきておるんではないかと思う。昨日からアジア公館長会議で、大臣はそれに外務省の方針をお示しになっておられるようですが、これは一体どういう方針で、一方南ベトナムに対する援助の問題はどういうふうにその後なっておるか。これは、この前も戸叶委員、私からもお尋ねをいたしまして、検討するということでございましたが、二十五カ国の動回は一体どうなっておるのか、そして、日本政府は南ベトナムに対するこの不当な援助を強行せられるつもりであるのかどうなのか。その二点、両面から説明をしていただきたいと思います実。
○大平国務大臣 北越経済代表団の入国問題は、まだ最終的にきめておりませんが、ただいま鋭意検討中でございまして、なるべく早い時期に結論を出したいと思っております。 それから、第二点の南ベトナムに対する援助問題は、この前外務委員会で申し上げたことと変わっておりませんで、各国の援助の状況も一応調べておりますし、それから、現地から、大使を迎えておりますし、大使の報告も開きまして、私どもといたしましては前向きで可能な援助は考えてみたいという方向でいま検討中です。まだきめておりません。
○穗積委員 それではお尋ねいたしますが、第一の、北ベトナム経済代表の日本入国の問題については、南ベトナムとの関連というものが大きな理由になっておるとわれわれは推測するわけですが、その関連ありやなしやを伺っておきたい。 それから、第二点は、南ベトナムに対する経済援助の要請がアメリカからあったわけですが、その後、他の各国は一体どうなっておるか、報告をしていただきたい。そうして、日本がやるとすれば、——やるというお考えは変わっていないということですけれども、これはわれわれあくまでも反対しておるわけです。反対の態度を表明しておきたいと思うが、にもかかわらず、この時期にこういうような軍事援助にひとしい経済援助をするということについては、われわれはどうしても納得いかないけれども、その後一体、何々について額はどの程度、それで有償分がどのくらい、無償分がどのくらいであるか概略御説明を願いたいと思うのです。
○大平国務大臣 北越経済代表団の問題は先ほど申しましたように、各省の間でいま相談中でございまいまして、なべく早く結論を出すつもりでおります。
○穗積委員 南ベトナムの問題と関連ありますか。
○大平国務大臣 東南アジアの状況という問題を私どもとしては当然頭に入れて考えていかなければならぬと思っておりまするが、この代表団の性格並びに機能、ファンクションから申しまして、私どもそうシリアスなものと考えておりません。しかし、いずれにしても、いま検討を急いでおりますので、なるべく早く結論を出すつもりです。 それから、援助問題は、品目とか額とかという点までまだいっていないのです。というのは、ベトナム政府自体からの要請も大使からもたらされてきたと思いますし、それから、関係各国の援助の状況をもっと詳しく調べておく必要があろうと思います。それから、政府部内での意見も調整せねばなりません。したがいまして、私どもとしては、この問題、具体的に金額、品目等をいまここで答弁せいと申されても、その用意がないわけで、せっかく調査中であると御承知願いたいと思います。
○穗積委員 あと三分ありますが、アメリカから援助を要請された他の国の中間報告ができましたら、現在わかっている程度でけっこうですから、報告をしていただきたいと思うのです。
○大平国務大臣 私の知っておる範囲で申しますと、韓国、フィリピン、豪州等は、積極的な援助の姿勢をとっておるようでございます。ヨーロッパ諸国では、ドイツは援助の方向で検討しておると聞いております。ベルギー、オランダ、スウェーデン等は必ずしも積極的じゃございませんで、精一ぱいのところ医薬品を贈る程度のところではないかといわれております。英国の立場は、議長団を構成しておる立場にございますので、たいへん慎重にかまえておるようでございまして、まだ明らかではございません。最終的に明らかになっておりません。その他未調査の国々等もございますので、まだ十分全部集まっておりませんし、また、その積極的な姿勢を持っている国の援助の品目等について、具体的にどういうような考えを持っているかということをもう少し知りたいと思って、いま調査中です。
○穗積委員 これは、いまお話もありましたように、アジアの平和に非常に重大な問題だと思うのです。したがって、私どもの立場を、意見を腹に置いて、あまり先ばしったことをしないようにしてもらいたい。 最後に一点だけお尋ねしておきたいのは、最近、南ベトナムのチェンボという、これは進歩という意味でございましょうか、その新聞紙の報ずるところによりますと、タイに駐留いたしております日本大使館付の武官、それから日本防衛大学の教授も同行いたしまして南ベトナム戦線を視察をしておる、こういう事実が報道されておるわけです。これは、先ほど赤松委員が指摘いたしましたアメリカの南ベトナムにおける戦略方針とからみ合って、そしてまた、いまやろうとしておる援助が、私がこの前指摘したように、軍事援助になる可能性がある、ただ医薬品あるいは生活物資であっても目的はそこにあるんだということが指摘されるわけです。それらとからんで、日本武官の南ベトナム戦線の視察行動というものは非常に不当なものだという不安をわれわれに与えるわけです。この事実を御存じであるか。今後こういうことは絶対に禁止すべきであると思うのですが、外務大臣にその点だけただしておきたいと思うのです。
○大平国務大臣 この間インドへまいりました往復、バンコックに寄りまして、あなたがいま御指摘されたように、防衛駐在官が現地を視察したということを聞きました。私はそれは差しつかえないと思うのでございます。政策をきめ、それを実行するのは私でございまして、防衛駐在官が現地の状況を視察したということ、特別に問題にすることは必要はないと考えております。
○正示委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明四日午前十時より開会することとし、散会いたします。 午後零時三分散会