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46回国会衆議院1964/04/08

外務委員会 第17号

発言数
119
登壇者
12
会派数
3
開催日
1964/04/08

会議録

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これより会議を開きます。  この際、資料要求について赤松勇君より発言を求められておりますので、これを許します。赤松勇君。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 外務省に資料要求をいたします。  その第一点は、航空関係に関する日米合同委員会の決定事項を日米両立で提出をしていただきたいということが第一点であります。  それから、第二点としましては、日本における航空法の中には、第八十条に飛行の禁止区域、第八十一条に最低安全高度、第八十二条に巡航高度、第八十四条に編隊飛行、第八十五条に粗暴な操縦の禁止、第九十一条に曲技飛行の禁止、第九十二条に操縦練習の実施、それから、九十三条に操縦練習等の場所、第百二十六条に外国航空機の航行、第百二十七条に外国航空機の国内使用、こういう点についての規制がございます。そこで、私が外務省に要求するのは、アメリカにおける航空法並びに西ドイツにおける航空法の、ただいま申し上げました各条項に該当する部分について、この資料を提出していただきたい。  これを要求いたします。いかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 外務省で用意できるものは全部用意いたします。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 それでは、速記を始めてください。      ————◇—————

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 経済協力開発機構条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  平岡忠次郎君。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 OECD条約案につきまして総理にお尋ねをいたします。私には五分の時間きりございませんので、きわめて簡単に申し上げますので、御所見を賜わりたいのであります。  アジア諸国に対する日本の経済開発援助のあり方として、OECDの加盟かプラスとして作用するかマイナスとして作用するかについての御見解、御所見を承りたいのであります。実は、宮澤経企長官が国連貿易開発会議に向け御出発になりましたおりに、日本政府の態度としてまず第一に日本はアジアの一員であるという態度でいくと仰せられておるわけであります。さらに、日本政府の態度としてはプレビッシュ報告に対しましてきわめて批判的な態度であるということから、この点を懸念されるわけであります。御所見を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 OECD加入によりまして、東南アジア低開発国とわが国との関係がプラスになるかマイナスになるか、当然プラスになると思います。もしいろんな経済事情のことでマイナスの面がありとすれば、われわれとしては極力マイナスの面をプラスに変えるように努力しなければなりません。全体としては非常にプラスになると思います。そうしてまた、プレビッシュの報告につきましては、わが国のみならず、いろいろの批判があります。また、われわれの了解し得るところもありまするが、わが国の立場として、いかにAA諸国の一員としても、なかなかあれを全部受け入れるということはむずかしい点がございます。十分今後各国とも協調し、すなわち、各国というのは、先進国並びに後進国と協調し、よく協議しながら低開発国の援助といいますか、私は協力と言いたいのですが、協力に努めていきたいと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 プレビッシュの二月十五日の準備会での提案と申しましょうか報告は、確かに非常にラジカルなものでありまして、彼の報告によりますと、先進国は低開発国の第一次産品及び軽工業製品を一定額買い付ける目標を設定すること、それから、第二に、この輸入には十年の期限を定めて特恵待遇を与えること、第三番目に、第一次産品の値下がりについては補償をすること、それから、第四に、このような優遇措置によっても目標が達せられない場合は先進国から補償融資をクレジットの形で行なう、こういう内容を示しまして、第五番目に、このような世界的規模で貿易政策を実行するために会議を二年ないし三年ごとの定期的会議とすることを提唱しまして、先進国をたじろがしているわけであります。しかし、このプレビッシュ報告の基底にあるものを考えますと、彼の提唱が必ずしもラジカルだとばかりは言えないと思います。プレビッシュ報告の基底にあるものは、低開国の年経済成長率五%という控え目な国連開発十年の目標を達成するためには、低開発国の輸出を年六%増加させる必要があるのに、現状は第一次産品と軽工業品の輸入にきびしい制度を加えているので、二%程度の輸出増にしかならない、こういう現状をプレビッシュは分析をいたしまして、先進国に相当思い切った対応措置を要求しておるわけであります。そういう点で、私は、日本が加盟せんとするOECDの感覚でこのアジア、アフリカ等の新興諸国の要求にこたえ得るかどうかという点に疑問なきを得ないわけですが、いかがでございましょう。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 国連の世界貿易開発機構というものは国連のそれでございまして、OECDは別途の機関であるのであります。別途の機関でございます。そこで、もし日本が加盟せずに国連の一員としてのみこの問題を論議したほうが日本国並びに低開発国のほうに便宜がいいか、あるいは、国連の一員としての立場と、もう一つは先進国同士の立場としてのOECDに参加して、そうして予備的にまた補完的にOECDに日本が入って、そして先進国といろいろな意見を調整し、その日本の立場をAAの一員としてやることが低開発国にいいかということになりますと、われわれは、国連の機構である世界貿易開発機構の一員として論議するよりも、日本の置かれた立場としては、OECDに入って、先ほど申し上げましたように予備的にいろいろ議論をして、先進国の立場と同時に低開発国と特別の関係がある立場としてOECDへ入るほうが、わが国のためのみならず、世界貿易開発機構、低開発国のためにもいいというのが私の考え方であるのであります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 私は、やはり、ガットとかIMFとか、それからOECDというものは、資本主義的先進国の機関として存在し、それだけに限定される限り、非常に意味があると思うのです。しかし、私は次のことを指摘してみたいのであります。  私は、開発の主体がグローバルな機関でない限り、遠大な計画が立てられないということに危惧を持っておるわけであります。たとえば、開発が河川等に関連している場合におきまして、上流の河床の変更で下流の近視眼的な開発が根底からくつがえされることもあり得ると思うのであります。たとえばメコン河の水資源開発計画でございますが、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムの四カ国がこれに参加しまして、この国際河川の下流流域開発をしようと大規模な計画を立てておるわけであります。むろん国連の機関がこれに加わって計画をしておるわけでありますが、国連機関のエカフェの企画したこの大事業計画も、本流、支流にわたって現地調査も進みまして、水力発電の可能性と規模が検討され、本流のある地点では、ダムの建設によって、カナダに次いで世界的に低廉な電力を得る公算もわかっておるわけであります。このエネルギーに基づいて各国は多種多様な開発計画を描いており、その国々の国民経済に与える意義はきわめて大きいのであります。ところが、メコン河といいますと、チベット高原の東に源を発しまして、えんえんと中国本土を流れ、ラオス領に入っているのであります。したがいまして、もし中国本土におきまして流れを変えたり流量を調節したりするとすれば、現在の調査の基礎は全くくつがえってしまうわであります。こういうことに思いをいたしてみますと、やはり、OECDという特定的なエンライテンド、これは何と言いますか、啓蒙的な先進国といえども、後進国開発に対する限界がおのずから限定されてくると思うのです。こういう点で、やはり、この低開発国の開発機関としてはなるべくグローバルな機関のほうがいいという意見を私は持っておるわけでありますが、こういう点ほどうでございましょうか。メコン川等の開発は日本自身の開発担当の契機にもなっておるわけで、その点につきまして御意見をお伺いしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 具体的な問題につきまして私はあまり知識を持っておりませんが、その問題は、察するところ、いまのは中共を通っているメコン川上流の問題であって、中共が国連に入っていないということからグローバルでないとおっしゃるのでございますが、事柄は、OECDに入ることとは問題が違ってくると思います。だから、それは別個に考えるべきでございましょう。そういうグローバルでない場合のあれを例にとって、OECDに入ることでよくないという議論にはならぬと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 時間がありませんが、ただ、国連貿易開発会議に臨む日本の態度としましては、将来を展望しまして、OECDに加盟することから得られる一つの方式のほかに、やはり、そういうグローバルな国連機関としての貿易開発会議というものを遠く展望され、それと相補完し得るような立場を積極的に日本でとっていただきたいことを特に希望いたすものであります。  私の質問の時間がまいりましたので、これで終わらしていただきますが、御所見を承ります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 平岡さんの考えは、私が前にお答えしたのと同じでございまして、われわれは、国連機構に参加して低開発国協力の実をあげるためにも、この際えてして対立的になりそうなOECDに進んで加盟して世界の繁栄に貢献することが、わが国に与えられた重大な使命と考えておるのであります。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 松井誠君。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 OECD条約はこれからの日本の政治や経済に非常に重大な影響があると思いますので、私は、総理に対して、この日本が加盟せんとする直接のきっかけをおつくりになったという意味だけでなくて、国の最高責任者として、このOECDに対処をするお考えを二、三お伺いをいたしたいと思います。  最初に、OECDの基本的な性格は一体何かということからお尋ねをいたしたいと思います。と申しますのは、OECDといえば、自由化、——ガットやIMFに次いで開放経済の最後の仕上げをするのがOECDだというような意味で、その経済的な側面が非常に強調をされております。それはそれなりに私は間違いではないと思いますけれども、しかし、OECDの基本的な性格というのは、むしろその底に流れておる政治的な性格というものにこそあるのじゃないだろうかということを考えますので、その点をお伺いをいたしたいと思います。  御承知のように、このOECDができ上がりました経過は、例のマーシャルプランの受け入れ体制としてできたOEECが、その後、EECとEFTAと、それからその両方ともから忘れられた五九国という三つに分裂をした。そして、OEECの構成国のほとんどは、二、三の国を除いてはNATOの構成国である。したがって、OEECが分裂をすることは、言ってみればNATO体制の分裂をも意味する。そこで、アメリカが、この分裂しかかったOEECという、事実上はもう反共同盟に変質しておったこのOEECを、もう一ぺんたがを締め直そうということで、OECDという機構に改革をした、こういう経過が一つあるのではないか。そうしますと、その底には、やはり社会主義体制に対する資本主義陣営のたがを締め直すという政治的な意図というものが流れておるのではないか。そのことをもっと具体的にあらわすものは、このOECDというものがいわゆる低開発国援助をその重大な目的の一つにしておるということにあらわれておるのじゃないかと思うのです。OEECからOECDに移ってきた具体的な変化というのは、低開発国援助というものを重大な目的にしたということなのだ。この低開発国援助というものが、なぜOECDができ上がったときに世界的にクローズアップされたか。これは、その当時アメリカが、一九五八年ごろから例のドル不足に悩んで、このドル防衛のためにひとつ資本主義陣営は責任を分担しろ。ちょうどそのころに東側からのいわゆる経済援助というものが非常に強くなった。そこで、西側のほうでは、この経済援助に対して、それこそ東西の援助競争という名前がありまするように、東側に対するそういう対決として低開発国援助というものが持ち出されてきた。したがって、そういう意味では、これは単に反共同盟というだけでなしに、まさに帝国主義的な一つの同盟という側面も低開発国に対しては持っているのじゃないか。そうして、その底に流れておるものは、やはり東と西との対立というものを前提にした西側のかまえというものがあるのじゃないか。これがOECDの基本的な性格をなしておるのじゃないか。私はこのようにいま考えるわけであります。その点についてひとつ首相の御所見を最初にお伺いをいたしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私は、OECDを帝国主義の団結のためというふうな気持ちを持っておりません。やはり、お互いの国の経済の繁栄、また、お互いの国の協力、そうして、その次に、一九六〇年代の最も重要な問題である低開発国に対しましての協力、こういう経済的考え方から出発したも一のと考えておるのであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 アメリカの威信というものが、世界支配力というものがだんだん落ちてきて、それこそ資本主義陣営も多角化をしたといわれる。したがって、この同盟も非常に形のゆるいものではありますけれども、私はやはりいま私が申し上げた本質がほんとうの姿ではないかと思うのです。これは、日本がOECD加盟のきっかけをつくった例のDAGといいますか、OEECの時代に開発援助グループというのができた。そして、日本はOEECに加盟をしていないのにかかわらず、アメリカの非常なバックアップによってそのDAGに加盟をした。しかもそのときにはイギリスは反対した。反対して難航した末に、DAGが店開きをするその直前になって、いわばかけ込み加入の形で日本の加盟が実現をした。日本がそのDAGに加盟をすることを考えた意図は別として、アメリカが非常にその加入の慫慂をし、その加入のバックアップをしたということ自体に、私はアメリカの政治的な意図があるのじゃないかと思う。そのように、DAGに加盟を認められておりながら、同じ年の暮れでありましたか、総理はその当時の外務大臣の小坂さんと一緒にアメリカに行って、ケネディに、ひとつOECDに加盟をさせてもらいたいという希望を伝えたということが新聞に伝えられた。しかし、ケネディは、そのときにはまだ時期尚早だということで断わった。その後二年たって、昨年の夏には具体的な加盟の交渉が進んだわけですけれども、この二年の間にどういう事情の変化があったかは別として、やはり、日本がこのOECDに当初加盟をしようとした意図そのものが、まず低開発国援助という線を通してであったということ、そしてそれがまさにアメリカに慫慂によってまず実現をしたんだということ、このことから、やはり、何か高級なサロン、先進工業国のクラブという、そういう和気あいあいたるものの仲間に入るという、そんな意味ではなしに、もっときびしい政治的な意図というものがあるんじゃないか。重ねてお伺いしますけれども、日本が開発援助グループに入って、——いますでに開発援助委員会には入っておるわけです。そして、最近いわゆるOECDに加盟をすることによって、さらにいわゆる低開発国援助というものがOECDの線を通して実現をされるということになる。このことについて、やはりOECDの基本的な性格について、くどいようですけれども、もう一度、いま申し上げました点を考慮をしていただいて、ひとつ御所見を承りたいと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私がケネディ大統領とお会いしたときの話に、——あなたの話が全然違うとは言っておりません。OECDを主体に話をしたわけではございません。これは、日本とアメリカとの関係は、即アメリカとヨーロッパの関係であり、しこうして、片一方の日本とヨーロッパの関係がかけ離れておるということは、ヨーロッパ、アメリカ、日本のためによくない、われわれはアメリカと日本との関係をヨーロッパにも及ばさねばいかぬ、ヨーロッパもそういう気持ちになるべきだ、こういう話をしておったのであります。その翌年私はヨーロッパへまいりましたが、一年半経ったとかなんとかというんではなしに、結局は、日本の国際的地位、ことに経済的の地位が非常に上がって、やはり日本を入れなければ、いまのOECDの目的である経済の高度成長あるいは貿易の拡大等をはかっていくのにどこか抜けたところがある、——初めは、日本を入れる場合においては、オーストラリアあるいはニュージーランドというふうな意見もヨーロッパにはありました。しかし、いかんせん、日本の力が国際経済において非常な地位を持ってきたため、これはもうどちらかというと自然の勢いでこうなってきたと私は思うのであります。そこに政治的にああだとかこうだとかいうのではなしに、世界の経済の繁栄と貿易の拡大と、それが即低開発国の協力、三位一体の状態を早く実現しなきゃならぬというのが、いわゆる先進国の方々の気持ちであり、また、世界の世論も日本が入ることは当然だという情勢になってきたのが、今回御審議願う段階に至ったゆえんであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 時間が十分ないようでございますから、押し問答はいたしませんけれども、しかし、日本がその当時としてはまだ十分な力がないにかかわらずDAGに加盟を要請をした。そしてアメリカがほかの反対を押し切ってバック・アップをした。このこと自体に、日本が入ろうとする意図は別にして、そのバック・アップをしようとするアメリカの意図そのものの中に問題があるということを考えるわけであります。つまり、先ほど申し上げましたけれども、ドル防衛、その共同の責任を分担をしろという形が、日本のDAG加盟の際にアメリカの態度にあらわれてきたのではないか。  その次に私は、このOECD加盟の結果日本の経済にどういう影響を及ぼすであろうかということについて一点だけお尋ねをいたしたいと思います。  開放経済が日本の経済にどういう影響を及ぼすかという問題は、ここ二、三年来の問題でありますので、くどいことをお尋ねするつもりはございませんけれども、四月一日からいわゆる八条国になった。そのときに、日本のある新聞は、これでやっと日本は成人式を迎えたんだ、そうして、今度OECDに加盟すれば、今度は日本は先進資本主義国の中で指導者の地位になるんだ、つまり、やっと成人式を無理やりに迎えた日本が、今度はもう一度背伸びをして資本主義国のリーダーになろうとする二重の背伸びをここでしようとしておるわけです。日本の経済に対する世界的な評価は、池田さんは先ほどもおっしゃったようなことをしょっちゅう申しておられますけれども、しかし、現実に日本の経済の構造、産業の構造というものは、はやり中進国的な構造をまだ抜け切らない。中小企業と農業、そういう膨大な層をかかえておる。したがって、いまジュネーブで開かれておる貿易開発会議でも、日本の輸出構造における中進性というものをいかに説明をして納得をさせるかということが日本の代表の一つの問題だといわれておる。問題によれば日本は大国だと言い、問題によれば日本は中進国だと言う。その使い分けは微妙だと思いますけれども、この貿易開発会議にあらわれる日本の苦悩というものは、やはり日本のそういう中進性というものをあらわしておるんじゃないかと思う。貿易開発会議につきましては、先ほども平岡委員からお話がありましたけれども、日本のその問題に立ち向かう基本的な姿勢としては、いわゆる先進国の仲間入りをしてOECD並みの立場からものを言おうとするのか、あるいは、むしろ低開発国と先進国との中における、日本の国の力から言っても、あるいは置かれた地理的な条件から言っても、低開発国と先進資本主義国との中における橋渡し的な役割りをすることを目的にして、そういう基本的な姿勢で臨まれようとするのか、この点を最初にお伺いをしたいと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 OECDを低開発国の問題がその大部分だとお考えになるということはいかがなものかと思います。先ほど申し上げましたように、その国の経済の高度成長、よって来たる貿易の拡大、いわゆる産業分業、経済分業の思想が主であるのであります。だから、そういうことでお考え願いたい。  それから、後進国、中進国、先進国と申しますが、外国人の見た目は、日本は絶対先進国でございます。その工業生産といい、貿易額といい、技術面におき、ただ、国全体として一億の人口を持ち、——百数十億の輸出入を持ち、技術水準もよそから見たら非常な先進国でございますが、ただ全体の人口がいかにも多いということから、国民一人当たりの所得は少ない、こういうことになる。その点から見ればまさしく中進国でございましょう。しかし、中進国といったら間ごろかと申しますと、そうではなしに、先進国に非常に近寄りつつある、こういう状態でございますから、中進国型というふうに見て結論をお出しになることはいかがなものかと思います。われわれは、そういう一人当たりの所得、あるいは日本の置かれた中小企業、農業という、この実情を頭に入れながら、そうして先進国と中進国とのいわゆる協力に対して自分らの努力をすることが日本民族の使命である、こういう考えでいっておるのであります。私は、単に低開発国の開発に協力するということよりも、もう一つ別に、われわれがこれだけの人口を持ち、これだけの力、これだけの貿易をしておるときに、わが国自体の経済の発展、そうしてその原因をなす、また結果から出てくる経済の高度成長と貿易の拡大というところにOECDへの加入が非常に意義があると私は考えておるのであります。そうして、そのことによって、いま言った三位一体で低開発国をやることが貿易拡大、産業の高度成長の一因にもなる、こういうことであるのであります。OECD加盟を単に低開発国のためというふうに、それを主題にお考えになるということは、少しまだ方向が違っておるのではないかと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私も、最初に申し上げましたように、自由化という問題、それが確かにOECDの一つの側面であるということは申し上げたわけですけれども、しかし、そういう仕事を扱う機関としては、もうすでにガットがありIMFがある。それをまたその中の先進国だけを抜き出してOECDをつくるというそのことの中に、OECDの役割りは何かということを考えたかったわけであります。  そこで、いまちょうど、日本の国際収支というものは先行きが不安で、物価の騰勢というものはやまない。そういう中で、しかもガットではケネディラウンドということでさらに関税の一括引き下げという動きがある。時期が非常に悪い。こういう中で国際収支を守るためには、今度は国内の均衡というものを犠牲にしなければならぬのじゃないかということを心配をするわけです。そうして、そのことによって、まさに中小企業や農業というものに犠牲がしわ寄せされるというその結果をおそれるわけであります。われわれは国内的には所得倍増計画ということでずいぶん背伸びをさせられた。今度は国際的にまた開放経済ということでもう一度背伸びをさせられる。無理やりに成年式を迎えた日本の国民が、今度は世界の資本主義国のリーダーにならせられようとしておる。これは日本のほんとうに大きな独占資本にとっては確かに利益でございましょう。OECDの加盟が一から十までマイナスの面、暗い面ばかりだとはもちろん私も考えません。しかし、政府の考え方が、何かOECDは一から十までみんなおめでたいことづくめだという宣伝が非常に強くされておる。やはりここで暗い面もあるのだということを訴えることが、われわれの責任だと私は思う。ですから、私は、そういう意味で、総理に、くどいようですけれども、ちょうどこのような非常に困難な時期に際会したいまOECDに加盟をする、そうしてそれがほんとうに国民の大多数を占める中小企業や農業にしわ寄せをしないような形で財政金融や経済の政策を運用をしていけるという自信がおありになるかどうか。何かサロンだからもう無理押しはしないだろうというような印象をつとめて政府は与えようとしておるけれども、私は、そんな甘いものではないと思う。資本主義の国同士の自由化というものは、言ってみれば、肉を切らして骨を切るという非常に激しい熾烈な戦いだと思うのです。そういう戦いの中で、しかも、形式的にはこれは話し合いで全会一致だ、サロンだと言ってわざわざさりげない風を装っておりますけれども、しかし、まだOECDに加盟をしない現在でさえも、すでにいろいろな意味で日本の経済政策やその他について圧力がかかってきておる。二、三日前の新聞に報ぜられたように、近く開かれる造船部会でも、あるいは鉄鋼の部会でも、日本の強い産業というものはそういう国際カルテル的な動きで押えようとする、縛ろうとする、そういう動きが出ておる。これは形式的にはサロンであるだけに、それだけになおさら事実上の圧力というものは強いのではないか。こういう中でわれわれがそういう非常に荒い中に裸で飛び込んでいこうとする。その責任者である総理ですから、ひとつここで絶対にだいじょうぶだというその自信の来たるゆえんのものをもう一度御披露願いたいと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 戦後の状態を考えてみますと、いまあなたのおっしゃったような議論がたびたび行なわれたのであります。私は日本の将来のためにその議論を全然無視するわけではございませんが、そういう考え方を踏まえつつ、日本の経済を国民とともにここへ持ってきたのであります。昭和二十四年のあの悪性インフレ防止のためにとりました非常にドラスティックな案、これに対しましてもいろいろな批判はございます。また、国内の経済を自由化し、そうして為替もできるだけ緩和していこうという考えを持ちました。それは昭和三十三年から三十四年でございます。たまたま通産大臣になりましたので、この機会に国内の自由化によって、これだけ発展した日本が今後これ以上伸びるのは為替・貿易の自由化をやるよりほかに道はないと決心しまして、大多数の人が反対するのをあえて押し切って九三%まで来たのであります。もしそのことをしなかったならば、日本のこれだけの経済の成長と発展ができましたでしょうか。私は、いろいろの、日本人として、またよその国でも議論がありますが、やはり政治家は責任を持って国民とともにその難関を踏み越えるという熱意といわゆる気迫がなければ政治はできないと思います。私は、過去四年半、この貿易自由化、いわゆる日本に対する差別待遇を撤廃して、ほんとうに一人前の成人式を迎えたいと国民とともに努力してきたのであります。幸いに世界各国の認めるところまでわれわれもその自信をつけたので、御審議を願う状態になったのであります。一人前になった、成人式を迎えたからすぐこれからの世界のリーダーになるということをここでどうこうすべきじゃございません。まだまだこれから努力しなければならぬ。成人式を迎えただけでございます。そのときには、いろいろな荒波も、あるいは困難も出てまいりましょう。しかし、困難が出てくるからといって、日本民族のために前向きをしり込むことはできない。だから、私は、財政金融その他為替等につきまして適正な措置をとりながら、国民とともに、これ以上の発展、これ以上のりっぱな国家をつくるべく努力していこうというのであります。これでだいじょうぶだということは、私はいままではだいじょうぶにやってまいりました。これからは国民と一緒にだいじょうぶの情勢をつくっていこうというのがこれからの政治の目標であるのであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 時間があまりございませんようですので、最後に、先ほども触れました低開発国援助といわれるものの内容についてお尋ねをいたしたいと思います。  先ほども申し上げましたように、このOECDに低開発国援助というものが主要な目的の一つになったという少なくとも直接のきっかけというのは、アメリカの唱道によるわけです。そうして、アメリカはなぜそういうことを唱道したのか。これは、言うまでもなく、社会主義体制に対する封じ込め政策、そのための軍事的な経済的な援助、それが経済的にだんだん破綻を来たしそうになって、そこで、この世界通貨としてのドルの防衛はみんなの責任じゃないかという形で共同の責任をとらせようとする。もちろん、フランスの動きに見られるように、だんだんアメリカの支配力というものは衰えてきた。しかし、少なくとも、現在のDACにおける主たる動きというのは、アメリカがほかの国に対してドル防衛の分担をしろという要求の場所になっておるということ自体は、まだ間違いないのじゃないか。で、総理もこの低開発国援助というものには非常に前から熱心であるようです。DAGに加盟を申し込まれたのも、おそらくその当時の日本の経済としては相当無理であるかもしらぬ、しかし、これを基礎にして、これを踏み台にしてOECDに加盟をしようという意図があったやに私は聞いておるわけですけれども、最近何かラジオかテレビの放送で、低開発国援助は日本民族の使命だというようなことばをお使いになったということを私は新聞で知ったわけです。ずいぶん熱心であると思いますけれども、一体、この低開発国援助というものにそれだけ熱心なのはどういう意味であるか。よそから借金をしながらほかの人に金を貸せるというのは異例なことだと思うのです。ある人は、これから大いに低開発国援助をやらなければならぬから、そのために資本が要るから、それもあるから外資の導入は大いにやらなければならのだというような議論さえしている。つまり、人に金を貸せるためによそから金を借りなければならぬ。そうしますと、よそに金を貸すというのは、一体具体的に何がどうなって返ってくるからよそに金を貸そうとするのか。低開発国援助というものをずいぶん無理をして、背伸びをしてやろうとするのか。この点についてひとつお伺いをいたしたいと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 資源の少ないわが国が、しかも非常な狭隘の土地に多数の人口、しかも優秀な民族がおるときに、どうやって国を立てていくかという問題でございます。私は、その意味において、日本の生きる道は、やはり、産業を伸ばして、そうして低開発国とともに助け合って、東南アジアを中心とした、またアフリカ、中南米の繁栄がなくして日本の繁栄はない、この考え方でいっておるのであります。金を借りる、そして金を貸すというのじゃない。金を借りて産業を興して、つくった品物、日本の労力をお貸しする、こういうことであります。私は援助とはテレビでは言いませんでした。援助という気持ちじゃないのだ、自分は協力なんだということであって、助けてやるのだという意味じゃない、助けさせてもらうのだ、こういうことをはっきり言っております。この気持ちで私は進んでいっております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 日本民族の使命だという非常に道義的な響きのすることばから、私は、——たとえば、国連が当初できたときに、非常に理想主義的なにおいを持っておった。しかし、アメリカが現実にその国連を運用する中では、その理想主義というものの外皮はもうかなぐり捨ててしまった。ところが、低開発国援助のときになると、また何かそういう理想主義的なことばというものが盛んに使われる。私は、ほんとうに低開発国援助というものを低開発国のために考えるということならば、これはOECDとかその他の国連の外における機関というものを使うことじゃなくて、まさに国連の機構の中で低開発国援助あるいは低開発国との貿易というものをこそ進めるべきじゃないか。政府はしょっちゅう国連中心主義ということを言うわけです。しかし、ほんとうに国連中心主義ということに徹するならば、やはりこの低開発国の問題も国連を通してやるべきじゃないか。いま貿易開発会議がある。そこで国連の貿易機構というものをつくろうという動きがある。ITOという、そういう動きがある。それに対しても、日本政府は反対のようです。そして、やはりガットのワクの中でものを処理しようという、そういう基本的な態度を持っておる。これはやはり国連の外で低開発国援助をやろうというわけです。ですから、やはり、低開発国援助というのは、ほんとうに一視同仁的な立場で援助しようということじゃなしに、その底には、政治的な、あるいはまた帝国主義的な——帝国主義といっても、昔のように露骨な帝国主義的な進出というものはもちろんあり得ない。社会主義という国があり、あるいは民族的な自覚が強い。したがって、形こそは違いますけれども、しかし、やはり、ほんとうの姿というものは、一皮、二皮めくってみれば、昔と本質的な違いはないのじゃないか。そして、それをほんとうに否定をされるならば、やはりほんとうにグローバルな機関である国連というものを通してなぜやらぬのか。それこそがまさに国連中心主義というもののほんとうの意味じゃないか、こういうことを考えるわけですけれども、どうしてもやはり国連の外にOECDをつくり、そして開発援助の機関もわざわざ国連の外につくったという、そのこと自体が政治的な意図があると思うのです。そのことは、具体的には、韓国に対する経済協力といいますか、経済援助の問題にあらわれておるのじゃないか。日本の経済援助というのは、現実にはやはり、アメリカとの提携、アメリカとの協力という形で実際において行なわれていく可能性が非常に強い。ことしの二月の六日の日本経済新聞によると、ことしの初めに開かれた日米合同経済委員会で、東南アジアに対する経済援助あるいは経済協力について、アメリカと国際的に分業しようじゃないかという意見が出て、そして、それの具体化をいま進めておる、そして、その当時の新聞では、近くやってくるAIDの長官ですか、それと相談をして、具体的には韓国に対してアメリカの役割りと日本の役割りとについて相談をするというトップ記事が出ておるわけです。こういう具体的な方針というものがあるわけです。私は、池田さんがしょっちゅう、最近は経済侵略などということはあり得ないということを言っておられますけれども、現実に、韓国に対する日本の経済的な進出というのは、まさに侵略と言われてもしかたがないような形で、すでにこれは賠償の五億ドルというものを先取りをして行なわれておるのじゃないか。保税加工という形で、あるいは在日朝鮮人の財産を持って帰るという形で、あるいはアメリカにおける日本の会社が進出をするという形で、つまり国交正常化が行なわれない前に日本の資本が現実にいろいろな網の目をくぐって韓国に進出をしておる。で、経済援助の分業というのは、経済援助でお互いに分割をするというのは、これは援助はそのまま当然市場の分割と結びついてくると思う。これは日本自身がもう経験をしておるわけです。アメリカの資金で援助を受けて、ガリオア、エロアの援助を受けて、それでアメリカの日本市場支配というものが固定化をしてしまった。だんだんもちろん動いてはおりますけれども、ずいぶん長い間固定化をして、しかも、そのアメリカの日本市場の占拠率というものは非常に高い。これはやはり、戦後の日本がいわゆる援助という形でアメリカとの結びつきを始めたからじゃないか。それと同じような形で、やはり、援助で国際分業をするというのは、直接に市場の分割というものにつながるのじゃないか。これこそまさに帝国主義的な進出だと言わなければならぬ。ですから、個人的には幾ら善意であっても、そのような経済的な進出に対して、韓国がああいう反応を示す。日本の帝国主義進出反対だというようなスローガンが出てくる。ですから、日本の経済援助というのが、ほんとうに低開発国も生かし、日本も生かすということであるならば、東西問題の対立というものをいわゆる南北問題に持ち込むという形ではなしに、つまり、南北問題の解決を東西問題をこえてやるというかまえがどうしても必要じゃないか。そうじやなくて、やはり南北問題は実は東西の冷戦の場だという、そういう形で南北問題を考えて現実におるということが、やはり経済援助という名前での帝国主義的な進出じゃないかと言われるゆえんではないかと私は思うのです。韓国の具体的な実情のことについては具体的なお尋ねはしませんけれども、日本の経済援助のそういう本質について、現実にアメリカと共同をしてやっていくということになると、アメリカの援助は、御承知のように、軍事に結びついた軍事的な援助であり、あるいは軍事的な経済援助である。したがってそれの肩がわりをするという形になれば、これはまさにアメリカと一緒になって政治的なあるいは軍事的なアメリカの一翼をになうということになるのじゃないか。日本の置かれておる状況から言って、特に日本の経済援助というのがそういう方向に向かいやすい、向かわざるを得ないという要素を持っておるのじゃないか。このように思うのですけれども、その点を最後にお伺いをしたいと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 だいぶん長いことお話しになりましたが、結局は、日本の経済援助が、アメリカと相談して、アメリカの援助の一連としてやったというようなお話でございますが、それは全然ございません。もしそういう例があったとしたら、私聞きたいと思います。私は、初めから、アメリカと協力してアメリカの低開発国援助の一端をになうつもりでやるというふうな気持ちは全然ないということをはっきり申し上げておきます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 いま私ちょっとお伺いをしましたこの韓国に対する有償・無償の五億ドルについて、アメリカと国際分業の立場から相談をしよう、こういう考えあるいは具体的な動きというものはおありになるかどうか、このことをそれじゃお伺いいたしましょう。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 それは韓国がきめることでございます。われわれは、無償でやるときに、これを何に使えとかどうこうということは全然考えておりません。韓国自身がおきめにそることでございます。経済協力の二億ドルにいたしましても、この分は韓国はこういうふうなことに使いたいという申し出がありましてから後に、われわれが、それが正常化の線に沿うかということを考えるだけでございます。韓国自体がおきめになることでございます。アメリカがこれにくちばしをいれるということを許すべき筋合いのものでは全然ございません。そういうことをお考えになることは、日本人としてどうかと思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 楢崎弥之助君。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 ただいま、OECDの問題と関連し、低開発国援助の問題と関連をいたしまして、経済協力の問題が出てまいりましたので、これと関連をして、日韓会談のうち特に経済協力の問題を中心にして若干お伺いをいたしたいと思います。  まず総理にお伺いをしたいわけですが、御承知のとおり、先月二十四日から韓国において始まりました学生デモを中心にして、韓国の政情が非常に不安定になっており、進められておりました日韓会談は事実上中止の形になったわけですが、この日韓会談の妥結調印のめどについて、すでに韓国側では五月調印をあきらめたようでございますが、日本政府としては今国会中にでも妥結あるいは調印のめどを持っておられるかどうか、その辺の見通しについて総理の御見解を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 衆参両院を通じ、本会議または委員会でたびたびお答えしておるところでございまして、国民も十分知っておられると思います。正常化はいいことでございますから、早いに越したことはございません。しかし、決してあせってやるべきものではない。やはり、百年のもとを築くものでございますから、十分両国政府並びに国民が誠意を披瀝し、そして長きにわたって友好のきずなをつくる基盤をつくるということでつとめるべきだと思います。したがいまして、私は、初めから、今国会中とかなんとか期限をつけてやるべき筋合いのものではないということを言っております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、今後の具体的なめどについてはお持ち合わせばないということでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 その衝に当たっております外務大臣からお聞きくださいましたらいいと思います。私の気持ちはいま申し上げたとおりでございます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま総理からお話がありましたとおり、私どもは終始相手国に対する敬意と誠意を持ちまして交渉をいたしておるわけでございます。  いま楢崎さんが御指摘のように、農林大臣会談は一時休みになっておりますけれども、しかし、漁業問題につきましては専門家レベルで引き続き討議が進められるはずでございますし、また先方の農林長官も再度日本にまいりまして交渉する場合があろうと期待いたしております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、既定方針どおり進められるというような態度でございますから、引き続いて事務的な点について若干お伺いをしたいと思いますが、せんだって、四月一日の当委員会において、わが党の成田委員との間に質疑が繰り返された点でございますが、例の三月三十一日に韓国の外務部が学生代表に示したといわれる大平・金メモなるもののその後の調査をするということでございましたが、外務省のほうで、どのようなメモが示されたか調査をされましたか。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 お答え申し上げます。  外交部のほうから声明が出まして、いわゆるメモというものを示したこともない、その内容、要するに請求権問題に関する交渉の内容を説明しただけだという声明も出ておりますし、別途ここの代表部のほうからもそのときの経緯を説明してきております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 もう少しその内容を具体的にお示しをいただきたいと思います。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 当時の金中央情報部長が訪日いたしまして、朴議長の紹介状をもって交渉を援助するためにまいりまして、そして、請求権問題の解決につきましていわゆる金・大平了承線というものができまして、その内容につきましては当時国会に資料をもって配付いたしたとおりでございます。その内容につきましては、韓国の学生のほうで、この李承晩ラインの撤廃問題なんかと取引をしたのじゃないかという疑惑が非常に強く出ましたので、そういう事実は全然ないのだということを示したのが、その当時の学生に対する説明の主眼だったというふうに承知しております。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 楢崎君にちょっと申し上げますが、総理に対するお約束の一時間があと五分に迫っておりますので、そのおつもりで御質問をお願いいたします。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 総理の時間がないということでございますから、最後にお伺いしようと思っておったのでありますが、私は、この日韓会談は十年以上の会談になりますが、いろいろこまかい点のやりとりをやって御苦心が多いことと思いますけれども、日本側の交渉を進める態度について根本的な欠陥があるのではなかろうか、非常に重要な欠陥があるのじゃなかろうか、そういう気がするわけです。それが絶えず韓国の政情の分析の甘さと結びついていつもとんざを来たしておるというのが今日に至る姿であろうと思います。その重大な欠陥というものは、日本政府の中に——この日韓会談を進めるにあたって、経済協力を中心としてやられておるようでありますが、現在起こっております韓国の学生のデモにいたしましても、あらわれておる韓国の民族の感情というものは、かつての日本統治の三十六年間のあの植民地支配に対する強い反発がある。それがまた形を変えて再び韓国にそういう日本の植民地支配が露骨に出てくるのじゃないかということが、実際にデモの中にあらわれておるわけですね、そこで、私は、いまの日本政府の態度に、どうもかつての日韓併合時代の朝鮮人に対する支配者意識というものが魂の底にあって、そうしてそれがちらちらとしてまいる。それは具体的には第三次会談で問題になりました久保田発言でもしかりです。あるいはまた、せんだって訪韓されました大野伴睦氏の朴大統領との親子の関係と言ったああいう不用意なことばとなってあらわれておるし、あるいは、今度問題になっておる経済協力にしても、これは本来賠償的な性格を持つべきであろう、過去三十六年間の日本の支配あるいは圧制に対する償いの意味であろうと思いますが、これを、何か困っておるからやるのだというような、下に見るような関係でこの日韓会談をとらえておられるのじゃないか、こういう会談の進め方では、ほんとうに日本と韓国の両国の人民の真の正常化、友好親善にはならない、このように思うわけですが、こういう点に対して、池田内閣は、もう一ぺん根本的に、この交渉の姿勢について、私の申しましたような韓国に対する過去の圧制に対する贖罪と申しますか、申しわけないというような態度で進められるべきであろうと思いますけれども、この点に対して、いまの韓国の学生デモにも関連して、私はそういう反省がなされるべきであろうと思いますが、この点についての池田総理の御見解を承っておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 楢崎君のお考えは、筋は非常によいお考えでございます。この議論が一年前、二年前にありましたでしょうか。たとえば、請求権の問題につきましても、われわれは、誠意をもって、ほんとうに前向きに両国が手を握っていこう、助け合っていこうという気持ちで、いままでの過去の実績あるいは法律的根拠とかいうようなことを言っておってはとてもまとまりがつかぬから、いまの平和条約四条のあれを、経済協力によりまして、無償・有償の協力によりまして、そして、過去を捨てて、忘れて将来に向かっていこう、こういう気持ちが、いまあなたが言われた気持ちで、われわれの気持ちなんです。しかし、これは日韓交渉ここ二、三年のことでだんだんそれが国会にも出てきたわけなんです。二年前にはあなたのような議論はなかなか聞かれなかった。これがやはり正常化のあれで非常によくなった。私はその気持ちでいっておるのであります。だから、罪があったとかないとかいうふうなことを言うよりも、まずお互いにまっ裸になって助け合っていこうじゃございませんかということで、それで、計算なんというものは、朴議長と当初は、昭和三十六年の十一月でございましたが、法律的根拠があるものでやっていこうというようなことをお互いにあれしましたが、話をしてみると、もうそこを越えて、隣国の本質的な友情というところからだんだん日本へ迫ってきたということが進歩だと思います。私は、いまあなたの頭にありますような考え方で、お互いに仲よくやっていこうということであれしておるのですが、親子との関係とかいうことですが、私は、われわれの最もりっぱな、将来一番信頼する相手国になれる、ならなければいかぬという気持ちでやっておるのであります。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 総理がもしほんとうに朝鮮の人民と仲よくするという気持ちであるならば、いまのような日韓会談の進め方は、総理のその心持ちとは逆に、ほんとうの友好提携にはならないと私たちは思うわけなんです。なぜか。いまもう韓国のあのデモを中心としていろいろな世論が出てまいっておりますが、あるいは世論を代表するジャーナリズムの間でも、いま韓国がほんとうにしあわせになるためには経済上の自立が根本になくちゃいかぬ、その経済自立をする際に、せんだっての一日の当委員会でも成田委員が指摘されましたように、いま韓国では、自立のために、日本のいまやっておる経済援助を求めて、それによって自立への道をはかるか、つまり、いまの日韓会談をとるか、それとも、北朝鮮と手を握って統一への道を進むか、真剣にこれが論じられておると思うのです。それがまた世論になってあらわれております。そして、この声は、見ていてごらんなさい、この動きはやがて現実に出てまいります。私は、ほんとうに朝鮮人民のしあわせと繁栄を願われるならば、むしろ韓国民が願っておる統一を助ける方法で日本がやっていくのが、ほんとうに総理の言われる韓国の繁栄に貢献する道ではなかろうか。この統一への問題について、いまの会談をむしろやめられて、この統一への努力をされるために、国際的ないろいろな会議の構想も出てまいるかもしれませんが、この点について総理の御見解を承っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 そういうことをおっしゃると、ほんとうに韓国の方々に対しまして、われわれのはっきりした立場を無視することになります。私はここで申し上げたいのは、およそ外交問題につきましてはいろいろ議論がございましょう。あなたはそのときに議席を持っておられなかったと思いますが、サンフランシスコ条約を結ぶか結ばぬか、批准するかというときに、同じような議論が日本にあったのでございます。もし、全面講和でなければならぬというような、社会党の言うようなことを言っておったら、いま日本はどうなったでございましょう。われわれは断固としてこれを排斥して、早期講和条約を結んだのでございます。私は、こういう経験から、——いろいろな議論はありましょう、民主主義でございますから。しかし、韓国の大多数の人は、日本と韓国とがいま私が申し上げたような、ほんとうに神仏のような気持ちで仲よくしていこうという熱望があることを、私は確信しております。私は、この際、日本国民がほとんど大部分がそう思っておるのでございますから、いいことは早くやるべきだ。あせってはいけません。早くやるべきだという考え方でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、総理は時間がないようでございますから……。いま、全面講和、片面講和の問題を出されました。もっともこれはいまの問題ではありません。私は意見があります。いま、中国の問題だって、朝鮮の問題だって、日本がこれほど苦慮しておるのは、やはり全面講和の道を歩まなかったからです。それはしばらくおくとして、私は、池田総理に、いま日韓会談が事実上中止をしておるこの機会に、もう一ぺん朝鮮の発展あるいは民族のしあわせというものについて再考されて、いまの日韓会談を進められる方式について、私はこれを中止されるべきいい機会だと思うのです。いまのようなことで無理に総理が話を進められるということはたいへんな誤りであろう、このように私は思いますが、最後に総理の決意を聞いておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 お話のように、いま日韓会談を中止してはおりません。専門委員の間でやっております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 事実上中止している。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 事実上ではありません。中止しておりません。農相会談は行なっておりませんが、漁業問題につきましてのあれはやっておるのであります。それから、日韓会談に対する私の考え方は、たびたび申しておりますとおり、いま中止する考え方はございません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 最後に一点だけ総理に、簡単ですが、せんだっての農林水産委員会で、この日韓会談の非常に重要な点の一つとして、李ライン撤廃の問題、あるいは今後予想される国防ラインの設置の問題について農林大臣にお伺いをしました。御承知のとおり、一月十三日の韓国の閣議では、国防ライン設置を決定いたしております。また、三月二十七日の韓国の本会議では、対日五原則を決議をして、その中に李ラインのことをやはり決議しておる。また、四月一日の韓国の本会議でも、李ラインをさらに警備を強化しようという決議をしております。このような韓国側の実情に対しまして、もしこの李ラインがあるいは形を変えて国防ラインというようなことで今後この会談成立後残るようなことがあればこれはたいへんだということで、農林大臣にお伺いをいたしました。この日韓会談の中で、条約的に、あるいは交換公文の形でもいいから、この李ラインの撤廃を、あるいは今後予想される国防ラインの設置については絶対そういうことをさせないということを、交換公文にでも入れる決意があるかとお伺いしましたら、農林大臣は、交換公文にでも入れる必要があろうということを認められた。続いてわが党の井手委員からの、もし会談成立の批進後、また国防ラインのようなラインが一方的に設置されて日本の漁船に対するいろいろな圧迫が加わるようなことがあったら、この条約を破棄されるかとの質問に対して、農林大臣は、そういう事態が起これば破棄しなければならないということになるかもしれないという御答弁がありました。以上二つの点について、一つは、交換公文ででもこの李ラインもしくは国防ライン設置についてはこれを許さないという保障を明確にするかどうか、それが一点と、もし批准後そういう事態が再び起こったならばこの条約は破棄される、そういう考えであるかどうか、この二点について最後に総理の御見解を聞いておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 最初の問題で、でいろいろな決議が行なわれて、意思表示が行なわれたということにつきまして、それに対して批判をいたすことは私は差し控えます。たびたび申し上げておるごとく、われわれは初めから李ラインというものは認めていない。そういうことがあるから、われわれは正常化しようとしておるのであります。これをもってお答えといたします。  それからまた、正常化が批准後、いかなることが起こったらどうするかという仮定の事実につきましては、いま私は申し上げられません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 交換公文の点を具体的に聞いておるのですが……。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 まだ話ができていないのに、これを交換公文にするか共同宣言にするか条約にするかということは、これは総理大臣が言うべきじゃありますまい、ただ、あなたの心配されておる問題は、先ほど来申し上げていること、また衆参両院でたびたび本会議で申し上げていることでおわかりいただけると思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 楢崎君、総理に対する質問はこれ一問で終わりにしてください。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 池田内閣の重要な交渉で、農林大臣が漁業交渉に当たっておられるわけですが、その漁業交渉の最高責任者である農林大臣がおっしゃいましたことについて、総理は責任を持たれますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 農林大臣の言われていることは、私の言っておることと一体でございます。ただ、いろいろなニュアンスがございますから、私は、その速記を詳しく見なければ、この問題はこれでいいんだとかいうふうなことは差し控えます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、外務大臣にお伺いいたします。  四月一日の外務委員会におきまして最後に問題になった点ですが、いわゆる請求権問題解決の方式として、無償三億、有償二億のほかに、民間借款の一価ドル以上ということが問題になったわけです。その際、総理も外務大臣も、この民間の借款一億ドル以上というのは期待額であって、政府が関知するものではないというような意味の御答弁がありましたが、それは間違いありませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 政府が責任を持っておるものではないと承知しております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 昨年、すなわち昭和三十八年一月三十日に外務省が発表され、二月二日にこの衆議院の予算委員会に提出されました資料の中に、「日韓予備交渉において両首席代表間に現在までに大綱につき意見一致をみた請求権問題の解決方式」という見出しの中に、1として、1の中に(イ)(ロ)(ハ)とカッコして分けて、(イ)の項は無償の三億ドルのこと、(ロ)の項はいわゆる有償二億ドルのこと、(ハ)として、「以上のほか相当多額の通常の民間の信用供与が期待される。」というのが入れてある。そうして、2として、「上記無償、有償の経済協力の供与の随伴的な結果として、平和条約第四条に基づく請求権の問題も同時に最終的に解決し、も早や存在しなくなることが日韓間で確認される。」、つまり、請求権の問題解決の方式の中にこの民間の経済協力が入っております。これは間違いございませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま御指摘のとおりでございます。つまり、三億ドル、二億ドルにつきましては、条件、期限等、政府が責任を持って処理するということでございます。日韓間の経済協力として政府が責任を持つのはそれだけでございます。そのほかに民間レベルにおきまして経済協力というものが相当多額期待されるということをお互いに認め合っているわけでございます。それだけの事実をそこに響いたわけでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 そうしますと、これはお互いに外交上確認をした点でございますし、国際法的に見た場合には、これは債権とまではいかなくとも少なくとも国際法上のわが国の義務であろうと私は思いますが、この点はどうでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そこにはその条件は書いてございませんし、何年間にとも書いてございませんし、これは普通日韓の間には民間レベルで相当額の民間借款があるでございましょうという期待をそこに記録したまでのことでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 請求権問題解決方式の中にこれを入れてある以上は、私は国際法上の義務であろうと思います。債権とまでは言いませんけれども、わが国の義務であろうと思う。全然関係ないですか。関係なかったらどうしてここに入れてあるのですか。少なくとも韓国側と話し合った以上、これはわが国の一つの義務になる、このように国際法上解釈せざるを得ないと思うのですが、いかがでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 政府がどういう金をどういう条件でどういう期間に供与するということについて責任を持たぬわけでございます。そういう民間レベルにおいての借款があるだろうということを記録いたしたわけでございます。これは国際法的な解釈はどうだ、これは協定の上でどのようにそれを表現するかによりまして最終的にきめなければいかぬわけでございますが、まだそれの起草にかかっていないわけでございまするが、私どもといたしましては、そういう日韓間の民間の借款というようなことにつきまして、政府が、道義的に、少なくともじゃまはしないといいますか、それを容易にするというか、そういう道義的な責任はあるだろうと思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 国交が正常化する際に、いろいろな貿易あるいは経済協力があることはあたりまえのことなんです。それをわざわざこの請求権問題解決の方式の中に(イ)(ロ)(ハ)として三番目に載っておるということは、合意されておるということは、そういう普通の経済協力があり得るでしょうというような簡単な問題じゃないです。これはいまおっしゃったように責任のある合意なんです。責任があるということは、そのうらはらの問題として、義務があるということではありませんか。じゃ、これを入れるという場合と、これがない場合の意味はどう違うのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど申しましたように、条件とか期限、十年間とか二十年間とか三十年間とかということを書いてないわけでございまして、私が申し上げるように、政府が責任を持って金を調達し、特定の相手に特定の条件でそれを渡さなければならぬ、そういう意味の責任はないわけでございます。あなたが言うように、あたりまえのことを記録したにすぎないわけでございます。しかし、少なくとも、そのようにわれわれは期待いたしておりますし、先方もそう期待いたしておるわけでございます。したがって、政府は少なくともそういうじゃまをしちゃならぬ道義的な責任はあるだろうと思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 外務大臣のいまの答弁は全くおかしいです。そうすると、三十一日に韓国の外務部が発表した大平・金メモの中に、無償三億、有償二億のほかに、民間経済協力一億ドルというのがはっきり示されておりますが、それは間違いですか。それをはっきり言ってください。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 一億ドル以上は期待できるだろうかという御質問でありましたから、おそらく期待できるでしょうと、そう答えておきました。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 そうしますと、少なくとも一億ドル以上という民間借款については、政府がこれを進める義務を負われていることになりますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 法律的ということでなくて、政府がそれを容易にするという道義的な責任はあるだろうと私は思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 私は、この解決方式の中に、(イ)(ロ)(ハ)として、(ハ)の項にこの経済協力を入れてある以上は、これは当然韓国に対する請求権問題解決の一つの地位を持っておる、これは抜けられない相当の日本政府の義務になってこよう、責任になってこようと私は思う。もしそうでなかったら、解決方式の中からこれを削ってもいいのですか。どうでしょう。これは外務省が正式に予算委員会に出された「請求権問題の解決方式」の表題のもとにきちんと文章で出されております。もう一度外務大臣の御答弁をお願いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 政府が期限、条件、金額等につきまして責任を持つのは、三億ドル、二億ドルでございまして、あなたの御指摘のことにつきましては、政府が期限、条件、金額につきまして責任を持つわけじゃないのです。また、持ちようもないわけなんでございます。ただ、日韓間の経済協力というのは、三億ドル、二億ドルばかりでなく、民間レベルにおいても相当額将来期待できるというあたりまえのことをそこに記録いたしたわけでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 私はいまの答弁は絶対に納得できません。しかし、外務大臣の御答弁ではのらりくらりですから、時間がかかるばかりですので、これは後に譲りまして、ここに書いてある「以上のほか相当多額の」という、相当多額というのはどのくらいなんです。いままでの話し合いで出てきた点では一億ドル以上ということになっておる。そうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 一億ドル以上は期待できるだろうかという御質問でございますから、おそらくそれは期待できるでしょうと答えたことは、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 そうしますと、時間がありませんから先に進みますが、漁業協力は、この(ハ)の項の「相当多額の通常の民間の信用供与」の中に含まれるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 漁業協力はまだ話がきまっておりませんが、いま話し合いの筋は、民間借款というベースで考えようというラインで相談をしておる最中でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 そうすると、(ハ)の項のカテゴリーの中に入るわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 言いかえれば、(イ)でもない、(ロ)でもないというわけでございますから、(ハ)以外にないと思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 そういう答弁されては困りますよ。まじめにやってください、もう少し。(イ)でもない、(ロ)でもないから、(ハ)に違いない、それは何という答弁ですか。そうじゃないですか。あまりにむちゃですよ、いまの答弁は。(「まじめにやれ」と呼ぶ者あり)まじめな質問じゃないですか。(「質問のための質問じゃないか」と呼ぶ者あり)どうしてですか。   〔発言する者多し〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御静粛に願います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 (イ)の項は無償三億なんです。(ロ)の項は有償二億とはっきり書いてあります。あなたが言わないでも、私もばかじゃないから、経済協力、漁業協力が(イ)や(ロ)に入らぬことはわかっております。だから、この残りの(ハ)の民間の経済協力という、この請求権問題解決の方式の(ハ)に述べられておるこの範疇の中に漁業協力が含まれますかと聞いておるのです。含まれるか含まれぬか、はっきり一言でいいじゃないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど申し上げましたように、私はふまじめに答えておるつもりはないのです。漁業協力の問題は、いま両当局で話し合い中でございます。これは民間借款レベルで相当額考えようというラインで交渉中でございますということが、ただいま言える最大のことです。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 この(ハ)の範疇の中に入りましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 政府が責任を持って期限、金額等について有償とか無償とか特別長期・低利の条件をきめてお約束をするというのは、(イ)、(ロ)、それにきまっておるということでございます。それではない民間借款レベルで考えておるというのがいまの段階でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 何回も一恐縮ですが、そうすると、この(ハ)の項目の範疇に漁業協力は入るんですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういうラインで話がきまれば、それになると思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 農林大臣にお伺いしますが、農林大臣は、私のいまの同じ質問について、民間協力のこの(ハ)の範疇の中に入ると、明確な答弁をされましたが、いかがでしょう。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 どこへ入れるかはこれからの問題ですけれども、いままでの三つの範疇からどこへ入るかといえば、(ハ)の範疇に入る、こういうように私は考えております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 農林大臣のほうが非常に明確な答弁をされましたから……。  そうすると、結局、いままでこの漁業交渉問題が起こらないときに、一億ドル以上というのは具体的な数字が出て、それは期待できるでしょうとおっしゃった。そのときには、漁業協力のことはおそらく考えられていなかった。そうすると、新しくこの(ハ)の項に漁業協力は入ってくるとするならば、二億ドル以上になるわけですね。どうでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは、(ハ)の項目のほうは、別に金頭の限度がないわけでございまして、民間の間の契約を基礎にしてきまってくるわけでございます。そうして、そこに期限が十年とか三十年とか書いてないわけでございまして、どれだけになるか予想がつきかねるわけです。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 だから、私は最初お伺いをしたんです。これは普通のどうでもいい経済協力と違って、この請求権問題解決の方式の一つにこの(ハ)の項を載せてあるから、この相当額というものについては私は限度があろうと思う。一億ドル以上なら何ぼでもいいということにはならぬじゃないですか、少なくとも政府がある程度の義務を持っておる以上は。それで、この相当額の限度というものが非常に問題になってくる。(「限度はないんだよ」と呼ぶ者あり)ある。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 政府は責任の持ちようがないわけでございまして、期限とか条件とか金額とかいうようなことは民間の間の契約できまるわけでございます。したがいまして、政府がいまの段階で幾らになるということを言えとおっしゃっても、それは、楢崎さん、無理な注文だと思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 だから、一億ドル以上というものを期待されるかと聞かれたから、されるとあなたは言った。そのときは漁業協力問題は入っていなかったから、新しく漁業協力問題が出ていったのだから、その一億ドル以上プラスの漁業協力というものが出てくることになるのではないでしょうか。それはそうじゃないでしょうか、入るとおっしゃっておるのだから。農林大臣は、この(ハ)の項に入るとおっしゃっているのだから。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 民間借款は、どういう姿の民間借款が将来できるかはわかりません。これはあらゆる種類のものが考えられるんだろうと思います。漁業借款もその一つだろうと思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 時間が非常に短うございますから、私はもうくどく言いませんけれども、しかし、私はあなたのいまの御答弁で納得はしておりませんです。これは明らかにわが国の義務である、国際法上から見れば義務であるという点を指摘しておきたいし、また、それゆえに、漁業協力がもしこれに入るとするならば、政府が責任を持つ民間協力の金額は二億ドル以上になる。それも指摘しておきたいし、同時に、私は、いま答弁になっていらっしゃる答弁のしかたでは、韓国側の請求権問題解決に対する理解と、日本政府の理解に、私は食い違いがあると思う。韓国側は明らかに請求権解決の方式としてこの民間経済協力一億ドルということをほんとうに考えておるのです。もし大平外務大臣がおっしゃっているようにたいした責任がないということであれば、明らかに韓国側の認識と日本政府の認識にはっきり差がある。これは今後残る問題であろうと思います。  低開発国の経済援助に関連しての質問でございますから、きょうはこれで終わらしていただきます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、きょう実は総理大臣に、日韓交渉の基本線である、韓国の支配の及んでいる範囲というような問題で、どうもはっきりいたしませんので、質問をしたいと思いましたが、残念ながら総理はお帰りになってしまいました。外務委員会へ農林大臣がおいでになることはたいへんめずらしいですから、いま一、二点だけ、時間がないですから、質問したいと思います。  先ほどからの楢崎さんの質問にございましたように、韓国では李承晩ラインを置くのだと言っているけれども、日本の政府は李承晩ラインは認めない、何らかの形でそれを条約に入れるか、あるいは何らかの形で書くことも辞さないというような答弁が農林大臣からはあったやに聞いております。外務大臣なり総理はそういうことをはっきりおっしゃらないわけですが、私は、問題は、むしろ、そういうことを書く前に話し合いに出してもらいたいことは、韓国自体で一九五二年に海洋主権宣言というのをかってに出して、その宣言に基づいて、いろいろな国内の法律をつくって、そして、李承晩ラインに入ってくれば漁船を拿捕する、こういうふうなことをしていると思うのです。したがって、もしも李承晩ラインを認めないというならば、むしろ話し合いの中で、海洋主権宣言は取り消してもらいたい、それに付随している韓国内の国内法というものはなくしてもらいたいというような話し合いをすべきだと思いますけれども、こういうお話し合いを進めていらっしゃるかどうか、この点を承りたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 日韓の漁業交渉面と日韓交渉全体との関係でございますが、前提として、これはまとめるべきほうがよいのか、あるいはまとめないほうがよいのかこういう立場から交渉を進めていかなくちゃならぬのは御承知のとおりだと思います。私どもの立場としては、これはまとめていきたい、こういう立場で交渉を進めております。でありますから、大上段に、李ラインというものは撤回するのかしないのか、こういうことの進め方はいかがかと思うのでございます。私からよけいなことを申し上げる必要もないと思いますが、たとえばソ連との関係にとりましても、ブルガーニン・ラインというものを引いておりまして、日本と漁業条約を結びましたその結果、ブルガーニン・ラインというものは全然なくなってしまっております。こういうふうに私は持っていきたいと思っておりますので、大上段からそういう話は持ちかけておりませんが、結論としてこれはなくなるものというようなことに話は進めております。  そこで、いまお話が出ましたように、あれは、海洋宣言を出しまして、国内法であそこを規制しております。向こうはそれを正当としておりますが、私のほうは、これは不法であり、不当であり、認めておりません。でありますので、この漁業関係がきまるときには当然これはなくなるべきものと、また、それがなくならないような形であれば、いまのような問題等を突きつめて話し合いをしてはっきりさしていきたい、こう思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それでは、いまの農林大臣のお話のように、その話の内容によって当然海洋主権宣言というものはなくさなければ最終的にはよい結論が出ないということをおっしゃいましたが、そうでなければ、私も、李承晩ラインを認める認めないというような問題は日本の国だけの問題として韓国のほうでは勝手にそのままの宣言を持っているようでは、解決できないと思いましたので、念のために伺ったわけです。  そこで、第二の点としてお伺いしたいのは、基線を引くわけでございますけれども、海岸線に沿って基線のうちは内水とみなされているのかどうか。あるときには内水とみなしているようにも伺っておりますが、また、内水と先方が認めていないという話も聞くので、一体内水と認めているのかどうか、この点も伺いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 これは、日本と韓国の間柄ばかりでなく、国際的な慣行にのっとらなくちゃならぬ、こう思っております。でありますので、直線基線の内部は、これは内水ということになります。その先は内水ではございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 領海及び接続水域に関する条約で、基線内が内水であるということと、もう一つは、基線はあまり本土と離れてはいけないというこの二つのことがはっきりきめられていること、私も承知しております。そこで、問題になりますのは、専管水域は十二海里ということが大体話し合いできめられるということを伺ったわけでございますけれども、問題は、朝鮮半島と済州島の付近は四十海里から五十海里くらい離れていると思うのです。あそこを十二海里の専管水域というふうにきめられますと、そうして、その中が内水ということになりますと、いまの条約に反するような広い内水が設けられると思います。当然そういうことはあり得ないというふうに考えてもよろしいかどうか、この点を承りたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 いま御指摘のところは、両方の見解が分かれておるところで、話し合いがまだきまっておりません。しかし、お話のようなことに御承知願ってけっこうだと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 お話のようにということは、すなわち、領海及び接続水域に関する条約に反するようなことはしない、つまり、両方から十二海里ずつ持ってくるというようなやり方はしない、こういうふうに了解してよろしいわけでございますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 話し合いですから、こまかいことは申し上げられませんけれども、内水にするというようなことにはしないように私は進めております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、結局、内水ということにはきめない。そうすると、基線は引いてもここの部分だけは内水にしないというふうにするわけでありますか。その点がちょっとはっきりしないのですが。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 それ以上はちょっと申しかねますが、間が内水にはならぬということに私は話を進めているわけでございますが、この点その他につきまして、線の引き方等がここは分かれているのでございます。分かれておって、その交渉の段階でございますので、いま御答弁申し上げるのは差し控えさしていただきたい、こう思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それでは、いま交渉中でお話しになれないということでございますから、私これ以上追及いたしませんが、いまの御答弁を聞いておりますと、少なくとも日本としてはそんなに広い内水というものは認めない、したがって、線の引き方が双方が対立している、こういうふうに了解してよいわけでございますね。念のためにその点を伺いまして、私の農林大臣への質問を終わりたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 まあ一言で言えば、内水にしたくないという形でいろいろな線の対立がありますが、その対立を調整しなくちゃならぬと思います。しかし、その調整も限度がありますから、国際慣例、国際法に従った引き方によってやっていく、こういう方針でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、きょう大事な質問を総理大臣にしたがったのですが、することができませんでしたので、総理大臣に対する質問を保留しておきたいと思います。いつの日か総理大臣に対する質問を保留しておきたいと思います。いつの日か総理大臣に対する質問時間を取っていただきたい、このことを要望したいと思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 いずれまた理事会ではかって、できるだけ善処いたします。  他に質疑もないようでありますから、本件に対する質疑はこれにて終局いたします。     —————————————

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。  戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっている経済協力開発機構条約の締結について承認を求めるの件につき、反対の意を申し述べたいと思います。  まず、海運自由化に関する問題があります。政府は、わが国の海運業を再建整備して、国際競争に耐え得るものにするため、昨年七月、五年を目途とする海運二法を制定したのであります。そして、加盟交渉に際しては五年の留保を取りつけることは容易であると楽観していたのに、案に相違して、タンカーについては二年、石炭及び鉄鉱石の運送については一年の留保しか認められないことになり、政府の施策に重大なそごを来たしたわけであります。しかるに、シップ・アメリカン政策が公然と認められており、フランスが石油輸送の三分の二を自国船によることにしているという事実を考えた場合、わが国に対するOECDの条件は過酷と言うべきであり、また、政府としてはその見通しの甘さと無定見に加盟を急いだものと言わざるを得ません。しかも、委員会における質疑応答においても、五年の期間が二年あるいは一年に短縮されたことに対する十分な対策はほとんど示されなかったのであります。現在において赤字に悩んでいる海運業は、OECD加盟によって一そう苦境に立たされると考えられるわけでありまして、この点からわれわれはOECD加盟に反対せざるを得ないのであります。  さらに、今日、国際収支の悪化がどんどん進んでおり、そのため貿易外収支の改善が急務とされているのでありますが、海運収支はその重要な部分を占めていることは申すまでもありません。しかるに、海運業に対する十分な対策なくしてOECDに加盟することは海運収支をますます悪化させることになるわけで、この点からもわれわれは賛成できないのであります。  次に、外資導入の自由化の問題があります。OECD加盟によって多額の外資の流入が予測されるのでありますが、政府の答弁からも、これに対する十分な対策が立っているとは考えられません。経営支配を目ざす外資が多く流入することになっては、わが国経済を混乱におとしいれ、また、過当な技術導入競争が中小企業を一そう困難におとしいれる危険がないとは言えないと考えるとき、われわれはOECD加盟には簡単には賛成できないのであります。  次に、低開発国援助の問題があります。今日、世界において南北問題は最も重要な問題の一つとなっております。そのため、先月から国連貿易開発会議が開かれているわけでありまして、低開発国援助が重要であることは申すまでもありません。しかしながら、低開発国援助は、ある先進国あるいは一部の先進国グループの特定の政治目的のために行なわれるべきではなく、あくまでも低開発国の経済開発に貢献する目的で行なわれるべきものであります。OECDに加盟することは、その設立の経緯から見て、わが国が特定の政治目的のために援助を義務づけられるおそれなしとはしないのでありまして、この点においてもわれわれは大きな危険を感じているわけであります。  今日の国際関係において、わが国のみが孤立していくことのできないことは申し上げるまでもありません。適当な国際機構に加盟して、各国とともに経済の発展をはかっていかなくてはなりません。しかしながら、OECDは、西欧の自由陣営のみの機構であり、全世界的機構とは言えないのであります。政府は常に国連中心主義を唱えているはずです。前にも述べましたように、目下国連貿易開発会議が開かれているのでありまして、ここで全世界的貿易機構の設立も問題となっております。政府は、OECDのような一部の国だけの機構に加盟するのではなく、全世界的な機構の出現を待って、それに加盟すべきではないかと考えます。  以上のほか、文書の非公開による危険性、中小企業倒産の激化傾向等、OECD加盟についてはいろいろ問題があるのでありまして、一方、加盟に伴う利点と考えられるものは、政府の答弁によっても、情報の交換だけであります。これではわれわれはとうてい加盟に賛成はできないのであります。  以上、簡単ではありますが、私の反対討論を終わりたいと思います。(拍手)

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 正示啓次郎君。

正示啓次郎自由民主党

○正示委員 私は、ただいま議題となっておりますわが国の経済協力開発機構条約への加入について国会の承認を求めるの件に関し、自由民主党を代表して賛成の討論を行なわんとするものであります。  すでに、本件につきましては、一月中旬より本会議及び本委員会におきまして、数次にわたり、OECDの性格その活動状況、加盟に伴う諸般の国内経済体制の整備等、詳細な審議を重ねてまいりましたが、私は、本日の討論に際し、OECD加盟の意義に焦点をしぼって一言申し上げます。  まず第一に明らかにすべきことは、現下の国際経済情勢であります。率直に申しまして、世界経済はきわめて重大な時期に差しかかっておるのであります。すなわち、来たる五月上旬よりガットにおいて開催予定の関税一括引き下げ交渉は、従来のごとき二国間の個別的な関税引き下げ交渉のワクを越え、世界貿易の画期的な増進をはかるために企てられておるのであって、特に先進国側に大きな努力を求めざるを得ぬものであり、他方、目下ジュネーブにおいて開催中の国連貿易開発会議は、いわゆる南北問題の解決のために、先進国、低開発国が一致して行なっておる戦後最大の努力のあらわれであります。かかる時期における国際協調の重要性は、何人も否定し得ぬところでありまして、自由先進諸国間の団結と協力、国際協調による開放経済体制の維持推進はきわめて大切でありまして、OECDこそかかる国際協調の場と考えられるのであります。  ひるがえって、わが国の立場を考える場合、わが国はかかる世界経済全体の流れに即して開放経済体制に乗り出さんとしておるのであり、IMF八条国移行のOECD加盟はまさに華の両輪をなすものであります。しかして、開放経済体制を推進し、これに生き抜くためには、OECDのごとき機構を通ずる国際協力が肝要であり、OECD加盟により、わが国は、ガット、IMF、世銀、エカフェ等を加え、あらゆる重要国際経済機関の一員となり、国際会議外交体制が完備することとなるのであります。  OECD加盟による利益を具体的に示すならば、  一、均衡のとれた高度経済成長の達成を主要目的とする経済政策委員会の討議を通じ、わが国の政策を国際的な見地から立案することができること。  二、開放経済体制への移行に伴い、ますます重要性を帯びてくる国際金融問題について、経済政策委員会第三作業部会の活動が有益なる参考となること。  三、同時に、OECDの資本移動自由化規約の受諾に伴い、日本の資本取引制度に対する国際的信用が増大し、外資、外債の募集にとっても大きなプラスがもたらされること。  四、貿易拡大は日本の国是であり、かつ、OECDの三大目標の一つでもあるが、貿易委員会での、不断の討議を通じ、対日差別撤回を友好裏にかつ根強く主張できること。  五、また、海運問題については、OECDは海運自由の原則を掲げ、各国とも可能なる限り相互協力により海運自由を実現せんとしており、たとえば米国海運政策の是正を求める討議もひんぱん積極的に行なわれること。  六、低開発国援助については、わが国はすでにDACの加盟国として当初より積極的な貢献をしておるが、昭和三十七年に二億八千万ドルの援助により、自由世界で第五位の実績を持つわが国は、今後アジア諸国の希望をOECDにおいてより強く反映せしめることができること。  七、他方、政府間の協力と並んで近時ますますその重要性を増しつつある民間相互の協調についても、OECDのBIACを通ずる財界人の相互交流が大きな意義を有すること。  八、その他、工業、造船、科学技術、農業、税制、原子力等、各分野の委員会における詳細かつ国際的な比較可能な資料に基づく研究は、わが国の関連分野の発展のために、無形な、しかし、はかり知れぬ意義があること。  以上、OECD加盟の意義を具体的に申し上げましたが、委員会においてしばしば指摘されましたとおり、かかる機構に加盟する以上、日本の責任は画期的に増大することはもとよりであります。その意味において、政府が国内経済体制の整備及び産業基盤の強化、特に中小企業及び海運対策に今後とも十二分の努力を続けることを、あらためてここに要請するものであります。また、政府は、OECDに対するわが国の代表部をすみやかに設置して、連絡に遺憾のないようにつとめるべきであると存じます。  ただいまお述べになりました野党の反対理論は、今日のような重大な情勢において、わが国がいたずらに退嬰的になることを一つの主張としておられまするが、これはきわめて遺憾であります。また、OECDについて、いたずらに政治的にこの機構を考えられようとする傾向に対しましては、われわれは野党の心からなる再検討を特に希望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 永末英一君。

永末英一民主社会党

○永末委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております経済協力開発機構条約の締結については、これを承認すべきものと考えます。  私どもは、国際経済を包括的たらしめ、また、わが国の経済がこれ以上長く孤立的な経済に跼蹐すべきものではないという観点から、この機構に積極的に参加すべきものと考えるものでございまして、ただいままでの籠城経済から開放経済に立ち至る場合、それがあたかも先進工業国のクラブに入るのだというような政府の感覚で、この中で他国への追随外交をやっていこうというのであってはならぬとわれわれは考えます。もちろん、このOECD機構におきます理事会決定は全会一致制でございますけれども、それは国際条約と同様の拘束力を持ってわが国に及んでくるわけでございまして、そういう観点から、われわれは、特に、この新しい機構に入るにおきましては、自主外交の線をしっかりと踏みはずさぬように進んでいく必要があろうと思います。その線に沿って、私どもは、わが国がこれからOECDの自由化原則に対して、本格的に努力をしていくことが必要だと考えます。社会主義インター加盟の民主社会主義政党はそれぞれこの機構に参加することを是としております。わが民社党も、これらの諸政党と手を携えて、OECDが一的といたします各国の経済成長、貿易の拡大、さらにまた低開発国の援助、これらの目的をともに促進せしめるよう努力をしていく決意であります。  この際、政府においては、以下の諸点について十分に留意をして、この機構に取り組んでいただきたいと思います。  第一は、国内経済体制の整備が不可欠の要件であるということであります。すなわち、日本の経済の弱体な企業の体質改善を行ない、さらにまた国産技術の開発振興を行なって、日本の輸出力の振興を行なうことが大切であります。そのためには、何よりもまず経済の二重構造の是正をする対策を急ぐ必要があります。特に、中小企業に対して、中小企業基本法を与え、財政的にも税制的にも、これに対するささえをしないようなことでやっていってはならぬとわれわれは考えるのであります。わが党は福祉経済成長政策によって中小企業や農業やその他の地域的ないろいろな経済二重構造の是正を主張いたしておりますが、同時に、政府もまた、積極的に産業分野にみずから手を加えて新しい産業秩序の確立をはかり、これらの問題を解決していくべきだと思います。生産面におきましても、流通面におきましても、特にまた、国内的流通面、国外的流通面においても、政府の責任はいよいよ重大であろうと存じます。  私どもは、これらの過程において、資本のための寡占、独占の方向にいくのではなく、まさに全国民の利益のための社会化の方向に日本の経済の編成が行なわれていくべきだと考えます。  同時に、アジアの一国としてこの機構に加盟をいたします日本といたしましては、特にアジアの一国として加盟するんだということを強くその立場を堅持する必要があると思います。すなわち、今度日本が加盟することによって初めてOECDはグローバルな組織になります。このグローバルな組織によって、わが日本はアジアの一国であり、しかもアジアの新興諸国に対する経済協力を行なおうとは言いながら、現時点におきましても、OECD加盟諸国がアジア諸国に対する経済協力の総額の中でわずかに一割程度の協力しか行なわない、こういうような状況が続きますならば、それは、ことばだけは経済協力ではございますが、日本のほんとうのアジアの諸国に対する責任は果たし得ないものだと考えます。  われわれは、これらアジア新興諸国に対処するにあたって、何よりもまず、これらの諸国の性格が民族主義によって貫かれておる事実を見のがしてはならぬと思うのです。これらの諸国は、第一には、政治的独立の維持、第二には、先進工業国との経済的依存からの脱却、第三には、先進工業国と対等の発言権を確保する、こういう三つの柱を立てながら努力をいたしてまいっております。私は、これらの新興諸国の状態を日本政府が十分に知るならば、その方針を明確に打ち出さなくてはならぬと思います。すなわち、政治的な立場をあいまいなままで臨んではならない。軍事的な結びつきをアメリカと濃厚にする方向において東南アジア諸国・アジア諸国に対する経済協力をしようといたしましても、これは非常に厚い壁にぶち当たるのであります。この観点からいたしまして、私どもは、これが単に経済の協力関係ではなく、日本の政治の新しい立場を確立する、この観点に立ってOECDの機構にアジア諸国の仲間として参加をしていく、この態度が必要であろうと存じ、この点を特に政府に強く要望いたしまして、私の賛成の趣旨の説明といたします。(拍手)

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより本件について採決を行ないます。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。(拍手)  おはかりいたします。ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる十日、十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。   午後五時三十八分散会

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