外務委員会 第14号
- 発言数
- 97 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/04/01
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。成田知巳君。
○成田委員 現在進められております日韓交渉について、日本社会党を代表して質問をいたしたいと思います。 朝鮮問題の解決にあたりましては、われわれ社会党は、朝鮮に対しまして、過去三十六年間の植民地支配、この植民地支配に対する道義的責任を感じまして、その償いを行なうべきだと、このように考えております。したがって、朝鮮との国交回復については、謙虚で良心的な態度で臨んで、正しい両国関係の樹立を追求すべきだと考えております。それだけに、現在の日韓交渉がかりそめにも他国の圧力とか要請によって行なわれてはならないと思っております。すなわち、アメリカの極東戦略、中国封じ込め政策の肩がわり、こういう形で行なわれることは絶対にやるべきじゃないと思います。また、日本と朝鮮の一部の人々の利益に役立つものであってはならない、また、当事者の政権維持とか延命に利用されるものであってもならないということであります。特に、朝鮮の人々の意思、民族自決、南北統一の悲願を妨げるものであってはならないわけでありまして、以上の立場から質問いたしますが、政府も、おざなりの答弁ではなくして、今度の日韓交渉の本質、内容、経過について、国民は多くの疑問と批判を持っておりますので、この疑問と批判に率直に答えていただきたい、このように考えるわけであります。 およそ、外交交渉にあたりましては、たれがいつどのような方向で進めているかが問題でありまして、現在進められております日韓交渉は、その意味におきまして、交渉当事者、時期、その内容に多くの問題点を持っております。そこで、まずお伺いいたしますが、今度の日韓交渉は、通常の外交交渉と異なりまして、著しく側面外交、いわば裏面外交に傾斜しているというよりは、裏面外交そのものであって、暗い外交という疑惑を国民は持っております。すなわち、韓国側は、正式の外交代表権を持たぬ金氏が日本に来て、総理その他政府・自民党の有力者と折衝いたしまして、この金氏との間で事実上日韓会談の大筋が政治的に取りきめられたという疑いが非常に濃厚であります。こう言いますと、総理はたぶん、金氏との諸会談は儀礼的なものだ、こう言われると思いますが、それはもう総理みずから自分を欺くものであり、国民を欺くものだと思います。このようなやり方がはたして正しい外交折衝のあり方であるかどうか、これについてまず総理の御見解を承りたいと思います。
○池田国務大臣 日韓国交正常化につきましては、両政府とも代表をきめまして交渉を重ねておるのであります。私は、この本筋だけははっきりさせております。ただ、お話のとおり、長い間の両国関係からして、知人が多かったり、いろいろ日韓の間に一般的の問題で、いわゆる正常化の外交交渉以外でいろいろの関係があることは、これは両国の昔からの関係のしからしむるところでありますが、外交そのものはやはり政府と政府との間ではっきりやっておるのであります。
○成田委員 いま総理は、外交交渉は政府間でやっている、こう言われたのですが、現に、金氏が韓国へ召還を受けたのは、学生デモを契機としたのであります。そうして、その金氏は、きょう・きのうの新聞を見ましても、自分が今度日本で日韓交渉の側面工作に当たったことは間違いである、今後は日韓交渉にはタッチしない、こういうこと言っております。また、韓国外交部も、金氏の政治的側面工作は今後は行なわせない、こういうことを言っておる。相手方自身がそういう政治交渉をやったということを認めているわけであります。当事者の一方が認めておるということの事実は否定できないと思う。また、これは金氏がはっきり言っていることですが、いま総理は、正常化の外交交渉以外にいろいろ問題がある、そういうことについて話し合ったと言われるのですが、金氏が発表したところによりますと、大平外務大臣との会談で四月妥結、五月調印に合意したということをはっきり言っている。金氏はプライベートの資格で来ている。しかも、外務大臣と会談して、四月妥結、五月調印を合意した、この事実を見ましても、今度の日韓交渉の大筋が金氏との間に進められたということは明らかじゃありませんか。
○池田国務大臣 外務大臣と金氏との話につきましては、外務大臣からお答えをすることと思いますが、私は、内閣総理大臣として会うことは、あなたの言われるような誤解を受けるおそれがありますので、自民党の総裁として総裁室で会ったのでございます。この点は、私は注意深くやっておるのであります。そうして、日韓会談の問題でなしに、別な問題あるいは台湾についての視察談を聞きました。これはやはり、隣国の何と申しますか最大多数党の議長でございますので、わが国の最大多数党の自民党の総裁が、いわゆるコーテシー・コール、表敬訪問を受けるというのは、これは当然のことだと考えておるのであります。外交交渉につきまして金氏を政府の代表として私は話したことはございません。
○成田委員 そのような答弁を私は期待しておるわけではないのです。そんなことを言いましても、国民がまじめに聞かないと思うのです。総裁たる池田総理個人で会った、——もう少しまじめな態度が必要ではないかと思いますが、特に大平さんにお尋ねしたいのですが、金氏が昨日、大平さんとお会いしたときに四月妥結、五月調印に合意したということを発表しております。いままで大平外相は、単にこれは表敬のための訪問でこれを受けるのだ、こう言っておられるのですが、事実上はそういう外交交渉の核になる問題について合意した、これは単なる儀礼を受けたということは言えないと思います。そういう事実があったかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 私は常に日韓交渉の早期妥結のために努力をする立場にございます。したがいまして、どなたとお目にかかりましても、早期妥結に努力したいという決意を表明いたしておるわけでございます。いま御指摘の、金鍾泌氏の私に対する表敬訪問の際、日韓交渉のお話がございまして、金氏からは、四月じゅうに漁業交渉の大綱をまとめたい、それから五月に調印したいという希望の表明はございました。私は、そうなればけっこうでございます。そのような方向でできるだけ努力いたしましょう、こういうことを申し上げたわけであります。
○成田委員 このこととで、単なる表敬訪問、これによる話し合いでないということは明らかになりました。しかも、金氏が単にプライベートの資格でやってきたのじゃない、事実上の日韓交渉の推進者であったということは明らかになっておるわけです。こういう側面外交、裏面外交はとるべきではないと思います。今後の日本の外交に非常な悪例を残すと思います。したがって、韓国でもこの金氏の日本における工作に対して強い反対運動が起きまして、金氏は韓国に召還されたわけでありますが、もともと、この日韓交渉というのは、韓国との友好親善をはかるための交渉だと政府は何回も言ってきておるのですが、今度の経過を見ましても、日韓交渉そのものが、いま韓国で反日感情も高まっておりまして、両国間の友好関係を阻害した結果になっておるわけです。 そこで、総理にお尋ねいたしますが、今度の学生を中心にしたデモというのは、一部の学生の突っ走りと総理はお考えになっておるのか、それとも、韓国国民の多くの人々の意思を反映したものとお考えになっておるのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
○池田国務大臣 先ほど成田さんは、私の答弁がふまじめで、誠意を欠いておるとおっしゃいましたが、私はそう思っておりません。お聞き及びのように、今国会におきましても、総理大臣としての答弁に、金君と会う考えはございません、こう言っております。しかし、その後におきまして、党のほうから、党の総裁としてならいいじゃないか、せっかくこちらへ来て会いたいと言っておるのに断わる手もないじゃないか、こういうことだから、私は非常に考えましてそういう態度をとったので、国民に対してこれが私のまじめな誠意ある態度だ、こう私は考えております。これは、御批判でございますが、私の気持ちはそういうことでございます。 それから、いまの韓国における学生運動につきましてどう考えておるかというお話でございますが、私は、これは一つのできごととして注意はしております。非常に注意をもって見守っておりますが、これに対しましての批評は差し控えます。私は、いまでも、韓国民の大多数は日韓正常化につきまして熱望しておる、こういう考え方に立っております。
○成田委員 総理の答弁は少し私の質問に対してはぐらかしていらっしゃると思うのですが、私はいま韓国の学生運動に対する批評をしてくれと言っておるのではないのです。総理の事実認識を聞いておるわけです。韓国の学生運動というものは、一部学生の現在の日韓交渉反対、——いま正常化を熱望しておると言われたが、そうではなしに、現在行なわれておる日韓交渉反対、これはスローガンに掲げておるわけです。これは学生だけの動きなのか、それとも、この学生の動きというものは韓国民の気持ちを反映したものであるか、この事実認識をお聞きしておるのです。いいとか悪いとかということを総理に答弁してもらおうと私は思っておりません。その点明らかにしてもらいたい。
○池田国務大臣 先ほど申したとおりでございまして、重大な外交交渉にあたりましては、その国にいろいろな運動が起こることは、えてしてありがちなことでございます。したがいまして、そういうことについて注意はしておりますが、これが韓国民全体の意思というふうにはとっておりません。やはり、韓国民大多数は日韓正常化につきましてこれを望んでおる、こういうことを申し上げておるのであります。
○成田委員 日韓正常化という抽象的なことばじゃなしに、現在行なわれている日韓交渉に学生は反対の意思表示をしているわけなんです。その学生の動きというのは、単に学生だけの動きなのか、それとも韓国民もこの学生の考え方と同じように現在の日韓交渉に反対の気持ちを持っておるのか、どのように総理はおとりになっておるのか、これを明らかにしていただきたい。
○池田国務大臣 先ほど来申しておるとおり、こういうときには、いろいろ学生とかあるいは特殊の団体において賛否両論が分かれますことは、歴史の示すところでございます。学生がそういうことをやっておりますが、日韓国交正常化に反対か、あるいはその正常化の手続、やり方についての異議があるのか、その点につきましては十分注意を払っておりますが、韓国民全体の気持ちはこの交渉を成立さすような気持ちでおると私は考えておるのであります。
○成田委員 いま総理は、韓国民全体は現在行なわれている日韓交渉を成立さすような気持ちだと判断しておる、こう言われたと思いますが、この点は相当事実認識において私と相違があります。 そこで、総理にお尋ねしたいのですが、現在の韓国情勢の動きで、いままで早期妥結を考えてきた池田内閣に一つの反省の機会を与えたものと私は思います。池田さんは、大野副総裁に会って、内閣の命運を賭しても妥結をするのだと言われたのですが、いまこそ私は慎重に反省をすべき機会だと思うのです。日韓関係、すなわち日本と朝鮮の関係は、一内閣の命運の問題よりもはるかに重大な問題であります。両国民の真の友好関係樹立のため、総理は、日韓交渉におきまして、その方向、その内容、その時期等について、慎重の上にも慎重の態度をとるべきだと思うのでありますが、総理の御見解はいかがですか。
○池田国務大臣 日韓国交の正常化は、両国民が今後長きにわたってお互いに誠意をもってつき合っていこうという大事なことであるのであります。一内閣の政策とか、あるいはそれによって内閣の運命をかけるとか、こんなことは私は毛頭考えておりません。したがって、このこと自体は両国民の望むところでございますから早く妥結したいが、決してあせってはいかぬ、これはもう常に言っておるところでございます。私は、いいことは急ぎますけれども、急ぐために将来禍根を残すような、いわゆるあせったやり方はいたしませんと、はっきり言っておるのであります。したがいまして、私が内閣の命運をかけるとかいうことはとんでもないことで、そんな気持ちでは私は交渉をやっていないのであります。
○成田委員 そこで、大平外務大臣にお尋ねしたいのですが、先ほどの金鍾泌氏との会談で、金鍾泌氏は四月妥結、五月調印ということを希望し、それに対して大平さんも同意され、そのように努力すると言われたのですが、現に、韓国側では、この調印の見通しはくずれた、五月調印は不可能だ、こう言っておりますね。大体、池田内閣の大平外務大臣としては、この見通しをどうお考えになっておるか。韓国の言うように、私たちは、完全にくずれたと判断しておりますが、いかがですか。
○大平国務大臣 この交渉は、この間の私の国会における報告でも申し上げましたとおり、長きにわたって断続的に続けられておるいろいろな曲折がございましたむずかしい外交案件だと思っております。問題は、いま総理が言われましたように、日韓双方の悠久の友好関係を打ち立てるという大事な仕事でございますから、双方の国民の間に深い理解と信頼がなければ、たとえ正常化してみましてもこの関係を運営してまいるということはなかなか至難のことだと思うのでございます。したがって、その大事な交渉でございますので、一つのスケジュールをきめましてしゃにむにそのスケジュールのワク内に交渉をとじ込めていこうというような考え方は、私は当初から全然持っておりません。私どもといたしましては、毎日々々努力していく、この努力を無限に重ねていくということでございまして、この努力を重ねていく、毎日の努力の積み重ねがないと、早期妥結は私はできないと思うのでございます。五月調印の見通しがくずれたとかくずれないとかいうようなことは、いろいろ見る人の見方がございましょうが、交渉の当事者である私といたしましては、毎日々々最大限の努力を積み重ねていくという態度に変わりはございません。
○成田委員 大平外務大臣の個人的な希望、主観的な希望はわかります。しかしながら、外交折衝をやる以上、ある程度の展望というものがなくて、そのつど外交、その日外交ではだめだ。現に、五月調印を希望しておった韓国側が、五月調印は不可能になったと言っている。これに対する客観的な情勢の見通しというのはどうなんですか。あなたの希望を聞いているのではない。情勢の見通しはどうか。
○大平国務大臣 私どもは、いま二つの外交場面を日韓の間に持っております。一つは農相会談であり、一つは正式会談でございます。韓国のこの交渉に臨む態度がこの二つの会談にどのようにあらわれてまいりますか、これを見きわめないと、いまの成田さんの御質問には答えられないわけであります。私の心境といたしましては、毎日最大限の努力をしてまいるということであります。
○成田委員 会談に向こうが臨んだときの態度がわからなければ見通しがつかないというのはおかしい。いやしくも韓国内部の事情というものを外交当局は十分しさいに判断しなければならない。現在の韓国内の事情から言って、いままでの見通しというものは相当くずれた、情勢は大きく変わっている、こう判断すべきだと思うのですが、全然情勢の変化はないとお考えになっておりますか。
○大平国務大臣 交渉の相手国の情勢につきましては常に注意を怠らないつもりでおります。その解明に努力しておるつもりでございますが、交渉自体は、それがどのように交渉に結晶してまいるかということは、いま持っておるわれわれの会談に韓国側がどう出てくるかということを見きわめないと、答えにならぬと思うのでございます。いまこういう交渉の場面に韓国側の情勢がどう映ってくるか、これを見きわめた上であなたに対する答えを用意しないといかぬと思います。
○成田委員 いままでの日本外交、特に韓国外交というのはすべてそうなんです。韓国の政情、国内情勢、こういうことに対しては全くめくらというのですか、判断が弱いのです。そのためにずれている。過去十四年間の日韓交渉を見てきてもそうです。日本政府がいかに韓国の政情やあるいは民族意識を見誤ってきたか。特に、後ほど触れます南北統一の宿願、この韓国民あるいは北朝鮮の人々、朝鮮の人々の非願に対して非常に無関心である、そのことが十四年の醜態な日本外交の歴史なんです。いままた池田内閣はこのあやまちを繰り返そうとしている。もう少し慎重にやるべきだと私は思う。特に私はその責任を追及すると同時に打ち切りを要求する立場から、以下具体的な問題について質問を展開したいと思います。 まず、交渉相手の問題でありますが、交渉相手の朴政権を一体どのように池田内閣は評価しているか。外交というのは国内政治の延長なんですね。相手の国内事情を知らずして——いまの御答弁もそうなんです。全く相手の国内事情に対しては無知無関心なんです。相手の国内事情を知らずして交渉を進めるということは、私は、無責任だと思う。非常に危険だと思うのです。そういう意味で、まず、朴政権の政治的安定度というものについてお尋ねしたいと思いますが、政府も、また民社党も同じでありますが、朴政権は民政移管を行なったのでその安定度は高いと判断してきたようであります。ところが、今回の事件でこの見通しは完全にはずれたのですね。大平外相は、中間報告で、朴氏が大統領に当選し、国会選挙で与党が百七十五議席中百十議席を得た、安定勢力を確保した、こう言っているのですが、この報告はまことに作為的だと私は思う。なぜならば、大統領選挙の際の得票数は一体どうなっているか。これについては全然触れてない。得票数はどうなっておりましたか。与党と野党全体の得面一本数はどうでしたか。
○大平国務大臣 朴正煕氏の得票は過半数に達しなかったと承知いたしております。
○成田委員 野党一に対し朴氏は〇・八七しか取っていない。したがって、国民の過半数の支持を得ていないということなんです。それから、国会議員選挙、この野党と与党の得票率はどうですか。
○大平国務大臣 与党の得票率がたしか三十数%であったと記憶しています。
○成田委員 国会議員選挙では、大統領選挙以下ですね。野党一に対して与党は〇・五三、有効投票数の三割三分ですね。三分の一大統領です。三分の一与党ですね。そういう意味で、政治的には安定度が決して高くない、むしろ非常に低い内閣である、政権である、こう判断すべきだと思うのです。 それから、次に、韓国の経済事情を承りたいと思うのですが、韓国経済は、その構造上、外貨依存度が非常に高い国です。外貨事情は最近一体どうなっておりますか。
○後宮政府委員 約一億三千万ドルを切っているように伝えられております。
○成田委員 昨年の十月末には一億五百万ドルですね。さらに減って、一億ドルを割っているといわれている。 借金は幾らありますか。 〔「総理、総理」と呼び、その他発言する者あり〕
○臼井委員長 御静粛に願います。
○後宮政府委員 借金を差し引きまして、どの程度自由に使える外貨があるかにつきましては、いろいろはっきりした統計を向こうも発表しておりません。悲観的な情報によりますと、二千万ドル見当しか自由に使えるのは残っていないだろうというふうにいわれております。
○成田委員 借金額は一億三千六百万ドルといわれているのですね。もうすでに、破産寸前というよりは、破産状態なんですね。こういう経済事情です。 物価はどうなっておりますか、最近の物価は。
○後宮政府委員 過去一年で大体六割見当上昇したように聞いております。
○成田委員 物価は大体一年間で六割上がっている。食糧は大体もう一年間で倍に上がっていますね。全くの悪性インフレですね。 それから、失業者数はどれくらいありますか。
○後宮政府委員 潜在失業者を含めますと、二百万ということをいわれております。
○成田委員 その潜在失業者を含めて二百万というのは、労働人口のどれくらいになりますか。それから、絶糧農家というのは大体どれくらいありますか。
○後宮政府委員 労働人口約千百万と見られておりまして、そのうちで潜在失業者六十万ぐらいと見られております。
○成田委員 絶糧農家はどうです。私は、こう言うのは、やはり韓国の経済事情がどうかということを明らかにしているわけですから、絶糧農家についてお尋ねしたい。韓国は特に農業国だといわれながら、相当な絶糧農家があって、食糧危機の状態なはずなんです。
○後宮政府委員 具体的の数字につきましては、いま調べましてすぐ御報告いたしますが、パーセンテージで申しますと、大体農業人口の一〇%ないし一五%が絶糧状況ということであります。 〔「違う、違う」と呼び、その他発言する者あり〕
○成田委員 正確な数字を出していただきたいと思います。いま私が質問いたしたい問題は……。 〔発言する者多し〕
○臼井委員長 質問が聞き取れませんので、御静粛に願います。
○成田委員 経済事情を明らかにするということは、朴政権の安定度に非常に関係があるわけです。しかも、いまの日韓交渉のいわゆる請求権問題にも非常に関係のある問題なんです。こういう問題につきまして政府が何らお調べになっていないということは、非常に遺憾だと思うのです。これはまことに無責任外交だと思うのです。そういう意味で、このような経済状況にある韓国の政情というものを安定しているとお考えになりますか、総理にお尋ねしたい。
○池田国務大臣 戦後におきまして韓国は経済の復興と国民生活の安定に努力してまいっております。いかんせん、朝鮮事変が起こりましてから後、復興の道はわが国ほどに至っていないことは、まことにお気の毒な状態でございます。しかし、主として農産国でございますから、豊凶の度が相当生活に影響しております。それで、いま韓国は、食糧に困っておられる、そういうことから物価が上がってきているということも知っております。しかし、これは、東南アジアにおける後進国の状態、通常の状態であるのであります。われわれは、こういうことを考えまして、できるだけ隣国の方々の生活の向上をお助けできればしたい、ことに農業、漁業の原始産業につきましてはできるだけの御協力を申し上げたいということが、隣国におけるわれわれの熱願です。そうすることが両国民の幸福の道だ、こういうことで日韓交渉をやろうとしておるのでございます。だから、相手の国が困っておれば困っておるほど早く正常化して、あたたかい気持ちでつき合っていくということがわれわれの考え方であるのであります。いまは困っておりましょう。しかし、これがまた豊作その他で復興もできることもあるのでございます。われわれは、そういうことを望みながら、両国の平和と繁栄をはかっていこうという立場でございます。
○成田委員 いま総理も韓国の経済事情が非常に悪いということは認められた。だからこそ援助するのだと言われたのですが、しかし、私は、いまの日韓交渉のやり方で韓国経済がよくなるとは思いません。現に、アメリカが三十六億ドル以上の援助をやった。一向に韓国経済はよくならない。よくならないどころか、そのために悪くなっている。その轍を踏もうとしているのが現在の日韓交渉です。どうも韓国経済が悪くなった原因に対して非常に総理は皮相的にしか観察していらっしゃらないと思う。 なぜ韓国経済がそれほど悪くなったかというと、まず第一は、朝鮮の南北分離なんです。いま総理も認められましたように、南朝鮮の経済は農業構造です。ところが、北朝鮮は、動力源、電力、石炭あるいは鉄を持っております。こういう動力源は全部北朝鮮にあるんです。したがって、北朝鮮と南朝鮮とはお互いに補完関係にあるのです。それを南北に分離している。ここに韓国経済の困難におちいった大きな原因があるということです。だからこそ、私たちは、後ほども申しますが、ほんとうに韓国のことを考えるならば、朝鮮のことを考えるならば、南北統一をやれということを主張するのであります。 第二に、韓国経済が悪くなった理由というのは、総理は言われなかったのですけれども、過大な防衛費です。あのちっぽけな国が六十万の軍隊を持っている。国の予算の四〇%が防衛費に使われている。これは、アメリカの極東戦略、反共の第一線基地として韓国を軍事化した、その過大な防衛費というものが韓国経済を現在の状態におとしいれている。 それから、いま援助されるんだと言われましたが、これはコンロン報告にもあります。アメリカの援助が韓国の買弁的商業資本のみを繁栄させ、そして自立的発展を阻害して従属性を強めたと言っております。 これが韓国経済がいま困却している大きな原因です。その本質を見ないで、ただ五億ドルの財産請求権を与えれば、援助をすれば韓国経済がよくなるなんということは、私は、非常に認識不足もはなはだしいと思うのです。一方、韓国のほうは、何とかしてこの危機的な状況を切り抜けよう、そのために朴政権は日韓交渉を急ぎ、妥結の条件として予定されておる三億ドルの無償援助、二億ドルの有償援助、一億ドルの民間借款を早く手に入れようとして非常にあせっている。これは朴政権の延命のためなんです。 ここでお尋ねいたしますが、一億ドルの民間借款というのは、現在漁業交渉で取り上げられておる漁業協力資金ですか、それとの関係はどうなっているか。韓国は漁業協力資金として一倍七千八百万ドルを要求している。日本は三千万ドルと言っている。聞くところによりますと、すでに七千万ドルを日本は認めたともいわれているのでありますが、この漁業協力資金は民間借款一億ドルの内ワクなのか外ワクなのか、漁業協力資金といわゆる大平・金会談できまりました民間供与一億ドルとの関係はどうなっているか、これを明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 私と金氏との間で交渉いたしまして大綱て合意いたしましたことは、無償三億ドル十年間、有償二億ドル十年間の経済協力を日本の生産物及び役務で将来に向かってやろうということでございます。民間借款一億ドル以上というのは、先方が、将来日韓の間に民間の経済交流が行なわれるであろう、それは一億ドル以上は期待してよろしいかということでございましたから、おそらく一億ドル以上は期待付してよろしいでしょう、——これは、成田さんも御承知のように、いつまでとか、どういう条件とかいうことは全然うたわれてございません。一般の輸出信用の供与、民間の投融資その他の形で将来一億ドル以上の民間借款が期待できるのは、これは常識でございましょう、こう申し上げたわけでございまして、政府がそれをコミットしておるわけではございません。言うところの漁業協力というのは民間借款ベースで考えておるわけでございまして、三億ドル、二億ドルとは別で、言いかえれば政府が期限、条件、金額についてコミットしていない民間借款ベースで考えておるということでございまして、一億ドルの外ワクか内ワクかなんということは、全然ナンセンスなんでございまして、民間借款であるということでございます。
○成田委員 そこで、金・大平メモについてお尋ねしたい。これは一億ドルの問題が入っているわけですね。昨日韓国側は、いわゆる大平・金メモなるものを発表した。この外交交渉の経過について、こういうメモの発表について日本政府は同意を与えられたのか、これをまず明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 同意いたした覚えはありません。
○成田委員 同意していない。そういたしますと、この前の、去年の一月二十五日の私の本会議ににおける質問に対して、大平外務大臣は、こういうメモというものは国際慣行上相手の同意がなければ発表できないのだ、したがって、その内容を私は発表しろと言ったのですが、御遠慮願いたい、こう言われて、私もそれを了としてあえて発表を迫らなかった。そうすると、韓国側は全く国際慣行というものを無視し不信行為をやった、こう理解してよろしゅうございますね。
○大平国務大臣 ただいままで私どもの知り得たところでは、先方では交渉の経過とおぼしきものを示したというものだろうと思うのでございます。交渉の経過とおぼしきものを学生側に示したということしか私にはわかっていないわけでございます。外交文書であるのかどうなのか、その点はまだ判明いたしておりません。
○成田委員 交渉の経過らしきものを発表したといいますが、それならば内容について伺わざるを得なくなりますが、この韓国側の発表を見ましても、有償二億ドル、無償三億ドル、それから民間供与一億ドル、これに対して両当事者は首脳部に強く実現を迫る、こういうことをはっきりうたっています。しかも、ある新聞紙の報道によりますと、大平さんの判こを押した原本らしきものがあった、こういうことをはっきり言っているわけです。その事実についてお確かめにならないのですか。大平さんは問題をこのままおさめようというお気持ちなんですか、本実確認をやろうと考えていらっしゃらないのですか。
○大平国務大臣 私が判こを押したメモというようなものはございません。
○成田委員 大半さんが判こを押したメモはないというのですね。その問題につきまして、いわゆる合意文書があるのかどうか、あるいは書簡の交換があったのかどうか、それを明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 おととしの暮れの交渉におきましては双方の見解に相当の開きがありまして、その後両国政府の間でそれぞれ所定の折衝をいたしまして、一昨年の十二月の予備交渉の場におきまして、請求権問題の大綱につきましては、二点につきましてまだ合意をしていないところもございまするが、大綱につきましては一応の文書の交換をいたしております。それは予備交渉のお互いの代表の間でやっておるわけでございます。いま成田さんがお示しになっておる大平・金メモなるものは、それは、私が想像するに、おそらく私と金さんとの間の交渉の経過とおぼしきものを向こうに示されたのではないかと思うのでございまして、それは、外交礼譲からいきまして穏当ではないと思うのでございますが、外交文書でも何でもないのでございます。
○成田委員 交渉の経過じゃないですよ。内容に触れておりますよ。有償二億ドル、無償三億ドル、民間供与一億ドル、これに対して合意に達した、こう言っているんですね。そして、そのことについて首脳部に実現を要請することに対して合意に達した、こう言っているわけです。いま大平さんの言われました、これは経過だけだ、——私はこれは内容だと思うのです。そして、外務省は、新聞を見ますると、日本政府の了解なしに一方的に韓国政府によって公開された、この問題は韓国側でかってにとった非公式的な記録によるものだ、こういうことを言っておりますね。この事実をお認めになりますか。
○大平国務大臣 だから、金さんと私との会談の交渉の経過をメモされておって、それを言われたのではないかと思うのでございまして、私が関知したことではございません。
○成田委員 そういたしますと、今回韓国が発表した以外に、さらに大平・金の間に取りかわした文書があるわけですね。その文書と今度発表されたものと内容は違っておりますか。それ以外にまだ問題がありますか。
○大平国務大臣 それは、先ほど申しましたように、その後、会談のあと、意見の開きがありますので、日本政府は日本政府で政府間で相談をし、先方は先方で相談をいたしまして、これを予備交渉に移しまして、予備交渉におきまして一応の大綱の合意を見たことは文書で取りきめております。そのものを言っておるんじゃないと思います。私が新聞を通じて見ましたのでは、会談の経過であると思います。
○成田委員 大平さんが相手方と交換した文書があるわけでしょう。その文書の内容と今回発表されたものとは一致しているのかどうか。かってにつくった記録ですね、それが文書の内容と迷うのかどうか、それを明らかにしていただきたい。交換された文書はあるわけでしょう。その文書の内容と今度の発表した内容との関係はどうなっているのか、相違があるのかどうか、これを明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、予備交渉で双方の政府部内の調整を終えて取りかわした文書はございます。それ以外には何にもありません。
○成田委員 少し端的にお尋ねしますから、端的にお答え願いたいと思うのです。大平さんは私の質問に対してこう言っているのですよ。「金氏と私の間に合意文書はございません。もとより書簡の交換はございましたが、これは相手方の同意を得ずに公表するということは、外交上の慣例に反しますので、御遠慮さしていただきたいと思います。」、相手方の同意を得ずに公表することは外交上の慣例に反する、これを相手は無視したわけですが、書簡の交換はあったわけです。その交換された書簡の内容と今度韓国が発表した内容と一致しているかどうか、これを明らかにしていただきたい。その後の予備交渉とかなんとかを聞いているのではない。書簡の内容とどうかと……。
○大平国務大臣 ですから、予備交渉で双方の政府の調整を終えて一応の合意に達したものは文書を交換いたしております。そして、交換した文書というのはそれだけしかないわけでございます。それで、いま言うところの金・大平メモというものは、私が再三申し上げておるように、会談の経過をメモされたとおぼしきものじゃないかと思いますので、それではございません。 〔「その内容はどうだと聞いている」、「委員長、注意しなければだめだよ」と呼び、その他発言する者多し〕
○臼井委員長 静粛に願います。
○大平国務大臣 内容は、たびたび国会でも御報告申し上げておりますように、大綱において合意した内容、有償、無償の経済協力につきましては、もうずいぶん本院を通じましてたびたび詳しく御報告申し上げてあるとおりの内容でございます。それ以上のものはありません。
○成田委員 端的にお尋ねしているのですがね。今度発表された韓国側の発表の内容と、この交換文書の内容は一致しているのかどうか、それとも相違があるのかどうか、これを明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 内容につきましては、無償三億ドル・有償二億ドルというものを十年間にわたって日本の生産物、役務で供与しよう、そしてそれは経済協力である、その随伴的効果として請求権問題は片づけよう、こういうものでございます。そして、そのことは予備交渉の場面でお互いにそういう文書を一応交換いたしております。いま言うところのメモなるものは、それではなくて、私が先ほど申し上げておるように、会談の経過とおぼしきものと思います。
○成田委員 会談の経過と言いますがね、内容は入っているわけなんです。三億ドル、二億ドル、一億ドルという内容は入っているわけなんです。これがあなたの交換された文書の内容と一致しているかどうか。しかも、この文書の内容というものは、国際慣行上相手の同意がなければ発表できない。にもかかわらず、発表しているわけでしょう。したがって、内容が同じものであったら、発表したということは国際慣行に違反するじゃないか。ところが、いままであなたたちが発表された内容をそのまま言ったとなれば、何も国際慣行に違反するとかなんとかいうことを言う必要はないと思うわけなんです。したがって、韓国があの程度の内容を発表したのですから、あなたが交換されました文書の内容をきょうたぶんお持ちになってここで発表されると思いますから、ひとつここで交換された文書の内容を発表していただきたい。
○大平国務大臣 内容は、たびたび国会でも御報告してあるとおりの内容のものでございます。それで、先方で学生代表に示したといわれるものをはっきり確認をしていませんので、どういうものなのか、これは確認した上でないと私ははっきりしたお答えはできませんが、私が新聞を通じて見たところでは、会談の経過を伝えたものじゃないかというように思われるわけでございます。
○成田委員 そういたしますと、交換した文書には今度韓国の発表した以外のことがあるということですね。それが発表できないということですね。それ以外のことがあるということですね。
○大平国務大臣 私が国会を通じて御報告申し上げた、請求権の問題解決に関連いたしまして有償、無償の経済協力をするということ以外、何にもございません。
○成田委員 それならば、韓国で発表したものと内容は一致しておりますか。内容が一致しているのなら、ことさらに伏せられる必要はないのですから、ここでお示し願いたいと思う。
○大平国務大臣 韓国の問題よりも、日本政府の態度といたしましては、まだ交渉は継続中でございますし、適当な時期に、発表すべき時期には発表いたしますけれども、そういう文書を日本政府が発表するというのは、私は見識が問われると思うのでございます。私どもといたしましては、先方の態度いかんにかかわらず、日本政府としては、なすべきことをし、なすべからざることはしないということでございます。
○成田委員 韓国で発表したものと内容が一致したものなら、これはもうもぬけのからなんですよ、発表しようがしまいがね。それが発表できないということは、韓国の発表した以外のものがある、こう理解せざるを得ないと思う。そのとおりと理解してよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 私は、国会で御報告申し上げた以外何にもありませんということを申し上げているわけであります。
○成田委員 それならば、国会で発表された以外に何ものもない、しかもその内容と一致したものを韓国が発表しているのですから、その文書をお出しになるべきじゃないですか。何も隠す必要はないと思う。韓国は一方的に発表したのですから、しかも内容は同じなら、内容を発表されたって一向差しつかえないと思う。それが発表できないとすれば、内容に、まだほかにあるのだ、こう理解せざるを得ないと思う。私は強く内容の発表を要求します。それと同時に、こういう国際慣行を無視するような、——あなたも遺憾だと言われたのですね。そういう韓国に対して、抗議なんかで単にお茶を濁すのじゃなくて、そういうものを外交交渉の相手方とすることはできないと思うのです。したがって、私は、交渉を打ち切るべきだと強く要請します。これに対する外務大臣の御見解を承りたい。
○大平国務大臣 内容につきましては、お尋ねに応じまして国会を通じて申し上げておる以外に何もありません。それから、先方が示したといわれるものの実体を正確にまだ把握いたしておりませんので、それを把握してみないと、どういうものなのか、私には答えられないわけでございます。ただ、新聞を通じて見る限りにおきまして、会談の経過とおぼしきものだ、会談の経過を一方的に漏らすことはやや穏当を欠くのでないかという感じがいたしますと、そういうことでございます。
○成田委員 会談の経過だけじゃなしに、経過と結果を発表しておりますよ。三億ドル、二億ドル、それから民間供与借款一億ドル。 いま大平さんは、無償三億、ドル、有償二億ドル、こう言われましたが、先ほど私が質問いたしました民間借款一億ドルの問題が合意の中にあったかどうかについての御答弁がないのですね。相手方は一億ドルあると発表しておりますね。一億ドルあるのかどうか。その一億ドルと、先ほど質問いたしました漁業協力資金との関係を明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 有償、無償の経済協力以外に相当多額の民間借款が期待できる、こういうのが公式の合意でございます。それ以上の、一億ドル以上というのは、先方がそのように期待しておるということ、先方の主観であると思います。
○成田委員 そういたしますと、昨日発表された韓国側の発表には、三億ドルと二種ドル、それから一億ドルとはっきり描いてあるのです。これは単なる期待なんで、話し合いで合意したものじゃない、あなたと金との間に合意したものじゃない、こう理解してよろしゅうございますね、三億ドルと二億ドルだけだと。
○大平国務大臣 相当多額の民間借款が期待できるということで双方理解しておるわけでございますが、私は、先方が一億ドル以上は期待できるだろうかと言われますから、それは期待できるでしょう、そう申し上げております。
○成田委員 そういたしますと、これは、向こうの発表は、双方三億ドルの贈与、二億ドルの政府借款、一億ドルの民間借款で意見が一致した、こう言っているのですが、そのとおりと理解していいのですか。あなたは先ほど、合意はないと言っておられたが、そういう一億ドルというものをはっきり合意に達した、こう認めていいのですか。
○大平国務大臣 先ほども申し上げておるように、民間借款というのは、民間の間でやる、契約でできるものでございますから、政府がコミットするわけにはまいりません。政府は、期待できるだろうということを申し上げておるだけでございまして、政府が条件、期限、金額につきましてコミットをしましたのは、三億ドル、二億ドルだけでございます。
○成田委員 民間借款に政府は関与できないといいますが、いま交渉の経過でも明らかなように、単なる民間の借款じゃないと思うのです。輸出入銀行その他政府関係機関を通してやろうというわけです。ある意味で政府が保証するということですね。そういう政府関係機関を通しての借款なんです。したがって、その点は明確にしてもらわなければいかぬ。その一億ドルというのは合意のうちに入っていない、こう理解してよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 民間の意図いかんにかかわらず政府が必ず一億ドル以上は確保して差し上げますという性質のものではありません。申し上げておるのは、民間の間の経済交流が行なわれることによりまして一億ドル以上の民間借款は期待できるでしょう、こういう見通しを言っているにすぎないわけです。
○臼井委員長 ちょっと質問者に申し上げますが、総理とのお約束の時間がまいりましたので、それで、なおもし御質問があれば、特に十分間だけ総理に延長いたしますから、その間に御質問を願います。
○成田委員 もともと総理がおいでになるのがおそかったし、政府の答弁もそこはかといかなかったものですから、時間をとられているわけですが、それでは項目的に二、三お尋ねいたします。 五億ドルの有償供与あるいは無償供与、これは資本財と役務でやるのですか、消費財が入りますか。
○大平国務大臣 日本の生産物と役務ということにしておりまして、資本財と限ったわけではございませんが、まだ細目をきめるに至っておりません。
○成田委員 資本財あるいは消費財でやるということは、結局、国民の税金で、日本の会社が品物をつくって、それを政府が買い上げて韓国に無償でやるということですね。そのために日本の会社は相当もうかるわけですね。賠償とかこういう財産請求権問題で、いわば戦後処理の問題で国民のうち一人でももうかる者があってはいけないと思うのです。もうかるからこそいろいろな腐敗、不正事件が起きているわけです。いま韓国ではそれは非常に大きな問題になっておりますよ。したがって、そういう問題については利益を制限する、賠償で国民のうち一人でももうかる者があってはならない、こういう政府は方針をとるべきだと思うのですが、これに対する総理の御見解を伺っておきたい。
○池田国務大臣 これは、どういう計算でいくかということはなかなかやっかいな問題でございますから、通常のやはり考え方でいかなければいかぬと思います。したがいまして、原価計算して政府が買い上げてそれを出すということのように考えておられるようでございますが、なかなかそれはむずかしい問題で、いまのフィリピンにいたしましても、インドネシア、ビルマにいたしましても、そういうことはやっていないのでございます。それで、また、資本財、役務とこう言っておりましたが、サンフランシスコ条約のときにはそういうようなあれでございましたが、実際でいきますと、やはり肥料その他というような場合もございますし、私は、それは経済行為であれば、これをどうこう、もうかってはいかぬとかなんとかいうのではなしに、適正な価格でいくならやむを得ないと思っております。
○成田委員 そういう利益があるものですから、先ほど申しましたように、いろいろな疑惑事件が起きているのですが、韓国では、すでに総理御承知と思いますが、四大疑惑事件、あるいは新四大疑惑事件というのが起きております。特に最近二十七日の韓国日報に次のような報道があります。これは二十六日の韓国外務姿員会における金俊淵議員の発言です。金氏は、韓国でも最も精通した消息通からの情報と前置きをして、こう言っております。「私は、これを言うため、けさ家を出るとき家には帰れなくなるかもしれぬと考え、身のまわりを整理してきました。対日請求権のうちすでに一億三千万ドルが入ったということだ。これは大韓民国で最も精通した消息通から去る二十日聞いたのである。実に身ぶるいするようなおそろしいことである。そのため自民党は朴氏の辞職勧告を行なうことを決議した。たぶんここに出席している崔総理もこの事実を知れば即時辞表を出すであろう。国民がこの共和党の資金出所を知ればびっくりぎょうてんするだろう。」、たぶん政府は、そういうことは知りませんとか、そういうことはないと思いますと、こう言われると思いますが、決してそうでないことは、すでに新聞の報道でもありますように、韓国国会では三十日、朴政権が昨年一月に対日請求権に見会う借款の先払いとして日本から一億三千万ドルを秘密に受け取ったとする野党の非難に対し、事実を調査するために委員会を設置することをきめておる。これほど疑惑が起きておる。このことは織機の借款輸出についても同じような問題が起きておるわけです。これでは、私は、ほんとうの韓国との友好関係はできない、一部の人の利益に奉仕する以外の何ものでもない、こういうことを感じるわけでありまして、こういう問題については、具体的な例はたくさんございますが、政府としては十分善処していただきたい、このように考えます。 それから李ラインの問題でございますが、これは国際法上の不法行為であるということは政府もお認めになっておるわけですね。したがって、いままで李ライン撤廃のために、国連中心と言われますが、国連その他で政府は一体努力されたことがあるかどうか。これは一度もないんですね。もともと、財産請求権その他の日韓交渉というものは、植民地の清算のための交渉ですね。李ラインというのは、戦後の一方的な不法行為なんです。これを同一次元で取り扱うことは間違いなんです。これをからますことは間違いなんです。したがって、まず李ラインの撤廃を求めるべきだと思うのです。韓国も李ラインは置きませんと言っておる、こういうような答弁でありますが、この李ラインにかわるところの国防ラインを設けるということを公然と言っておりますね。また、国会で決議しておりますよ。したがって、まず李ラインその他いかなる名義のものにしろ、こういう不法行為は許さない、この確認が交渉の前提にあってしかるべきだと思う。ただそう思っていますというんじゃなしに、その確認をやるべきだと思うのですが、確認をおやりになりましたか。絶対に李ラインその他これに類するものは設けないということを韓国は認めたかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
○池田国務大臣 李ラインというものは、われわれ初めから認めておりません。そうしてまた、国防ラインというのは新聞でも見ましたが、われわれは、そいうことがあることを、どういうものか聞いておりません。したがいまして、われわれは、李ラインがあるということは日韓正常化によくない、正常化すれば当然なくなるものだ、こういう気持ちでいまの漁業交渉をやっておるのであります。これは李ラインをなくするということのために正常化をやっておるのであります。
○成田委員 では、お約束どおりやめますが、最後に総理にお尋ねしたいのであります。 先ほどの一億ドルの問題でありますが、これは、合意といいますのは、請求権処理のための合意なんですね。したがって、五億ドル以外にこの一億ドルというのは入ったのかどうか、五億ドル・プラス・一億ドルというものがあるのかどうか、請求権問題の処理として、五億ドル・プラス・一徳ドルがあるのかどうか、そういう合意が行なわれておるのかどうか、これを明らかにしていただきたい。
○池田国務大臣 先ほど外務大臣が言っているように、いまの二億ドルの経済協力というのは、十年間・年三分五厘、これは海外開発資金から出る、これは政府の責任でやるわけでございます。それから、金君の申し出によって、一般の民間の経済協力が一億ドル以上あるだろうか、それはあるだろうということは、私は、外務大臣がいまここで言ったとおりでございますから、あると思います。私から言わしむれば、日韓の間の経済協力は、民間の経済協力は多々ますます弁ずと思う、それが韓国のためになるのならば。たとえば、いま賠償をやっておりますフイリッピンとかあるいにビルマのほうは、経済協力というものはやっておりますが、実際は行なわれていない。これは、両方の関係におきましては、私は経済協力はどんどん行なわれることを望んでおる。また、同じ賠償でも、インドネシアのほうは経済協力はどんどんいっております。賠償以外に。(「義務なのかどうなんだ一体」と呼ぶ者あり)それは政府は義務じゃございません。そういうことはあり得るだろう、一般のあれで。(発言する者あり)それは合意なら合意でもよろしゅうございます。あり得る。私は、それ以上……。 〔発言する者多し〕
○臼井委員長 静粛に願います。
○池田国務大臣 だから、あり得るだろう。合意にとれば合意でもよろしゅうございます。大平大臣は、そういうことはあり得るだろう、こう言っておるのであります。私は、これは一つの事実問題としてけっこうだと思っております。私は、民間での協力は阻止しない、どんどんやるべきだという考え方であるわけであります。
○成田委員 大体全く的はずれの答弁なんですね。私が聞いておるのは、請求権処理、のために五億ドル・プラス・一億ドルというものが合意されておるかどうかということです。合意されたとすれば政府の責任なんです。それを、民間借款だとか、多々ますます弁ずなんということじゃ答弁にならぬと思うのです。この点を明らかにしていただきたい。
○池田国務大臣 平和条約四条の請求権の問題とは関係ございません。いまの三億ドル、二億ドルの五億ドルで請求権はなくなったのであります。しこうして、四千五百万ドルのこげつき債権の問題も話し合いになっております。これも請求権とは関係ない。よろしゅうございますか。だから、そういう意味におきまして、一般の民間経済協力につきまして、これ以上期待できるかといったら、それは期待できるでしょう、こういう事実があるのです。だから、それは私は、民間でのことならば、多々ますます弁ず、これは商売ですからどんどんやっていくと思います。
○成田委員 いま総理は、請求権とは関係がないということをはっきり言われた。韓国側の発表は、三億ドル、二億ドル、一億ドル、これに対して合意に達したと言っている。請求権との関係はないということは、政府は責任を負わないということですね。政府は責任は負わない、このように私は理解いたします。 まだ問題はたくさんございます。たとえば南北統一の問題について、朝鮮の休戦協定、党といたしましては、関係国会議の招集によりまして、南北統一は可能だと考えている。あるいは限定政権の問題、北朝鮮の問題、いろいろ問題がございますが、時間が来ましたので、これで質問を打ち切りまして、まだ総理の答弁で非常に問題が残っておりますので、機会をとらえましてまた質問させていただきたいと思います。(拍手)
○臼井委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる三日年前十時より理事会、理事会散会後委員会を開催することとし、これにて散会いたします。 午前十一時十九分散会