外務委員会 第12号
- 発言数
- 38 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/03/25
会議録
○赤澤委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。 穗積七郎君。
○穗積委員 きょうは外務大臣に日韓会談の近況についてお考えをただしたいと思います。 第一に、最近の日韓会談の様子を見ておりますと、われわれ国民としては非常に不可解かつ非常な不満を感ずるわけです。第一、交渉の形式から見ましても、両国の農林大臣会談、あるいはまた本会談が並行して行なわれておるのですが、実際は、もうすでに、万人が見るとおり、奥座敷のまた奥座敷で金鍾泌と大野伴睦氏との間でこれが潜行的にどんどん進められておる。それで、あなたと池田総理は、総裁公選を前にいたしまして、たな上げをされたようなかっこうになっている。どうでもひとつよろしく頼みますというようなことになっている。だから、実際は、表面で行なわれておる農相会談や本会談というものは、まるでサル芝居のようなものです。サルの使い手は奥座敷でやっておる。しかも、金鍾泌氏は一体どういう資格で来ておるのか。あなたも総理も金鍾泌と会うつもりはないと言いながら、しかも日韓会談のいろいろな具体的なスケジュールについて、内容の交渉をやっておるのに、大体の妥結についてのスケジュールについて了解を与えるような会談もしておられるわけです。これは、一体、交渉の一つは内容について、一つは形式についても、何か暗い影を常に投げかけて、少し思い上がっておる金鍾泌氏がわが国の外交路線をひっかき回しておるようなものだ。そうして、日韓会談については、李ライン撤去の代償上して、あなたが約束をした請求権のかわりとしての供与プラス一億七千八百万ドルというようなことをしておる。そういたしますと、約七億以上の金をゆすりに来ておるというようなことがいま焦点になっておるわけです。しかも、日韓会談そのものの解釈については、この間の本会議で池田総理は、これが反共体制のアメリカの武力政策の一環であるというわれわれの指摘に対して、それは自主性のない邪推にすぎない、取り越し苦労にすぎないという規定をされたわけですが、実際は、韓国側におきましては、そのことが政府の関係者の口から出ておると同時に、野党もそういう認識において立っておる。大衆も、そういう認識に立って、日本帝国主義の再上陸反対ということを明確に示しておるわけです。そこで、私は、そういう自主性のない外交の交渉の形式からいきましても、外務省をそこのけにした赤坂の待合か大野私邸において本質的な最終的な話し合いが進められるといったような不可解な、不愉快な外交交渉というものは、私ども国民として納得するわけにはいかないわけです。そういう点を率直にあなたは反省をしていただきたい。 そこで、まず第一にお尋ねいたしますが、金鍾泌氏とは、一体どういう責任において与党の幹部あるいは政府の皆さんは接触しておられるのか、そうしてまた、一体いつまで彼の日本滞在を許すつもりであるのか、その点から明らかにしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 金鍾泌氏は韓国の政党の役職にあられる方でございまして、外交交渉をやられる方ではないと承知いたしております。日本に参られましたのがどういう目的で参られましたかはつまびらかにいたしませんが、私どもに表敬訪問をしたいという申し出がありましたので、これを受けました。元来、総理大臣とか外務大臣と申します仕事は、政治家であろうと、実業家であろうと、報道人であろうと、できるだけ、時間が許す限り諸外国の方々の表敬訪問を受けるようにつとめておるわけでございまして、金鍾泌氏の場合もその例外ではございません。私は、本委員会でも申し上げておりますとおり、外交交渉を金鍾泌氏とやるというような考えは毛頭ございません。正規の外交ルートを踏みはずすというようなことは一切考えておりません。それから、何日御滞在になるかというようなことも、つまびらかにいたしておりません。
○穗積委員 これはわが国の信頼すべき責任のある新聞の報道によれば、総理もあなたも金鍾泌氏に会って、単なるあいさつを受けただけではない、いま進行しつつある日韓会談について話し合いをし、しかも早期に妥結をすることを了解を与えたということが報ぜられておるわけです。そこで、そういうことをおっしゃるなら、総理並びにあなたと金鍾泌氏との間における話し合いの内容について、つまびらかに報告をしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 表敬訪問を受けた場合に、たまたま日韓会談の進捗状況に話が触れたことは事実でございます。先方も意識的に会談の内容に触れることはお避けになっておるように見られます。日韓会談の早期妥結ということは、先方も希望しておりますし、私どもも希望いたしておることでございまして、そういう方針で私どもも当たっておるということを申し上げて、現在の農相会談が成功裏に終わるように、そしてそれと並行して本会談のほうの討議も促進するつもりであるというような話を申し上げたわけです。
○穗積委員 現在行なわれつつある日韓会談についての大体の妥結のめどについて、すなわちスケジュールの見通しについて、どういうお話し合いをなさいましたか。
○大平国務大臣 漁業問題につきましてはこの農相会談で成功的に妥結することを希望するということ、これは、私もそう希望いたしておりますし、先方もそのように希望しておるようでございます。これもできることならば今月末までぐらいに大綱が煮詰まればいいがというような希望の表明はありました。正式会談のほうも並行して促進いたしましょうということ、これは私ども従来考えておる方式でございます。来月になりますと先方の外務部長官が来られる、そのときには私もまたお目にかかるつもりですと、こういうことでございます。
○穗積委員 会談の形式ははなはだしく不明朗であるとともに、内容について、この間の本会議の質疑応答の中でも、われわれこれは再々いままで指摘したところですけれども、日韓会談の国際政治における位置づけですね。これは、明らかに、くずれつつある、崩壊しつつあるアメリカの極東における軍事政策の一環を、無理やりにこれを押し返す、すなわち、具体的に言えば、中国封じ込め政策の一環として考えられておる。すなわち、三十八度線というもので実は不幸にして朝鮮民族が二つに分かれておるけれども、現在の実情としてはやむを得ずまず南と諸懸案を解決する、それが済んだならば、次に北についても、その政府の存在は認め、全民族に関する、たとえば領土の問題とか請求権の問題とか、あるいはまたその他の漁業、経済の問題等についても話し合いをいとうものではない、その主張と権利をわれわれは無視するものではないということを言っておりますけれども、事実は、三十八度線をはっきり反共防衛体制の壁として、いわば朝鮮民主主義人民共和国あるいは中華人民共和国と日本との緩衝地帯に南を使おう、こういう考え方が、向こう側だけではなくて、日本の政府並びに与党の中、あるいは皆さんを支持しておる財界の諸君の中でもこのことが公然と言われているわけです。いわば、金鍾泌氏は、反共分裂主義というものをはっきり売りものにしながら、あなたが一ぱい引っかかった請求権の要求にプラスして、李ラインの撤廃と差しかえに漁業協力費を取り上げ、これは後に触れますが、これをやらなければ明日の韓国の経済、国民生活は維持できない、すなわち政権が維持できない、そういうことですから、将来の良心的な展望についても責任があるものではない。一日の命を延ばすためにこの請求権並びに漁業協力費というものを取り上げていく。これは、明らかに、日本と朝鮮民族の人民相互間の過去の歴史を反省しながら新しいアジアにおける友好と平和を打ち立てていこう、互恵平等の経済発展を助け合っていこうという趣旨とは、はなはだしくほど遠いものであるのみならず、逆行するものである、私はこういうふうに言わざるを得ないわけです。しかも、日本側は、あなたにしても池田さんにしても、いわゆる池田グループというものは、必ずしも無理やりな妥協をしてまで日韓会談を妥結しなければならぬという姿勢をとっていなかった。むしろ、中国の問題について合理的な前進をはかっていこうという、かすかなる善意が見えておったと思います。ところが、アメリカあるいは台湾の巻き返し圧力、党内においては反共反動分子の巻き返し、これによって、総裁公選前に日韓会談を妥結せざるを得ないということこに主体性なしに追い込まれておる、これが私は実情だと思うのです。 そういう日韓会談というものは、これは、日韓の次には日中だ、あるいは口では平和共存の可能性があるとか、それは認めなければならぬということを言いながら、実は、最近のアジアの情勢に逆行する、外交の路線としては全く矛盾対立をした政策をあなたがとろうとしておる。これはひとつここで深刻な率直な反省をしていただいて、やはり根本的に再検討される意思が必要であると思うのですが、そういうことについての謙虚なる御感想を伺っておきたい。
○大平国務大臣 たいへんめんどうにお考えになっているようですが、私ども日韓交渉をやっておりますのは、お隣の韓国との国交をあたりまえの状態にしようということを考えておるにすぎないわけでございます。これは、この際申し上げさしていただきますと、一九四八年の十二月十二日の国連の第三回総会の決議の一九五号というのがございます。それは穂積さんもよく御承知だと思うのです。その前文にありますごとく、朝鮮の統一がいまだ成就されていないことを念頭に置きつつ決議されたものでございまして、その二項に、「臨時委員会が観察し、且つ、協議することができたところの、朝鮮の人民の大多数が居住している朝鮮の部分に、有効な支配と管轄権を及ぼす合法な政府(大韓民国政府)が樹立されたこと、この政府が、朝鮮の前記の部分の選挙民の自由意思の有効な表明であったし、また、臨時委員会が観察した選挙に基くものであることと、この政府が朝鮮における唯一のこの種の政府であることを宣言し、」、こういう決議が二項にございまして、そして、決議の第八項に、国連の「加盟国に対して、朝鮮の完全な独立と統一を将来しようとするに当って、国際連合が達成した」——いま読み上げたようなこと、「及び達成するであろう結果を損うようないかなる行為をも慎しむよう要請し、」とありまして、第九項に、「加盟国その他の国に対して、大韓民国と関係を設定するに当って、本決議第二項に記述した事実を考慮に入れるよう要請する。」、こういう決議がございまして、わが方は、この決議を尊重いたしまして、大韓民国政府左国連で認めた合法政府として、——すでにたくさんの国が承認いたしておることでございまするし、隣の国のことでございますから、懸案を解決して正常な国交を持とうということを、きわめてハンブルに考えておるわけでございます。たいへんされなくていい心配をたくさんされているようでございますけれども、きわめてあたりまえの、ごく自然な気持ちでやっておるのでございます。そして、これは十二年半もかかっておる交渉なのでございまして、この交渉がなければ韓国がどうのこうのというのではなくて、十二年もかかっていることでございます。私どもといたしましては、理解と信頼がだんだんと高まってまいりまして、納得のいくこの懸案の解決ができ、正常化することがなぜ悪いのか、むしろ、私から申しますと、あなたのおっしゃることがよくわからぬのでございますが、われわれの気持ちはそういう気持ちである。承っておりますと、総理なり私は何かに動かされているかいらいのようにあなたは唱えておりますけれども、私は、私の政治的な良心をもちまして自主的に処理いたしておるつもりでございますが、その点までの御心配は私は無用だと思っております。
○穗積委員 交渉の経過を見ておると、あなたの心配はないということが、われわれはすべて心配にならざるを得ない。邪推から生まれてきたわけではないのです。いま一九四八年の国連決議を指摘されましたけれども、これは、われわれも、いままで前大臣、前々大臣の時代からずっと議論をしてきたところで、よく承知いたしておるところです。問題は、一片の国連の決議がすべてをジャスティファイするというようなことを、あなた方はあらゆる機会に、事務当局のサゼスチョンか何か知らぬが、ばかの一つ覚えのように言われるわけです。外交はもっと——条約上の議論をきょうは私しようと思っておりませんが、この一九四八年十二月十二日の国連決議の前後の経緯というものは非常に不明朗なものです。だから、そういう国際法上、法理上から言って、いまの政権を唯一の合法政権として認めることが日本の敗戦後のいろいろな取りきめの中で合理性がないという点は、われわれもいままで指摘してまいりましたが、きょうはその議論をしようとしているのではないのです。そうではなくて、もっと大事な最近の国際情勢の中で政治的な効果を問題にしているわけです。その点で言えば、何も私ども社会党の者が言いがかりをつけて、この会談というものが非常に反共的なあるいは侵略的な性格を持っているものだ、戦争に結びつく危険があるのだということを言い立てているわけではないのですよ。 それでは、続いてお尋ねしますが、今朝の新聞が報道しておりますが、韓国の野党の諸君並びにインテリ、学生、韓国の京郷新聞を中心とする新聞その他にあらわれている世論、これは、あげて、日韓会談というものは、日本が朝鮮人の民族性というものを正確に理解していない、過去の歴史に対する反省もない、そして過剰生産で行き詰ってきた日本が独占の圧力によって再び南朝鮮に足がかりをつけ、帝国主義的な進出、支配をしようとしているという点を指摘しているわけですが、それに口実を与えるというよりも、むしろそれを証明するような言動が、いま来ている金鍾泌をはじめとする諸君にあるわけでしょう。金鍾泌は日本に来て何を言っておりますか。この情勢の中で、そんな一九四八年の国連の決議があるからなんて言っておりませんよ。最近のアジアの情勢というものは、アメリカの政策がどんどんくずれている、そうして中国の政策というものが滲透しようとしている、ここで反共連盟を組んで軍事的・経済的な団結をはからなければならぬ、そのための日韓会談だから、少しくらいの金を出そうと、譲歩しようと、日本も大いにやれということを言っているじゃありませんか。あなたにもそういうことを言ったでしょう。金鍾泌のみならず、元農林部長官も、あるいはやがて来る丁外務部長官もおそらくそういうことを繰り返すでしょう。それは正しい意識です。そのとおり正直な意識です。だから、きのうのような、学生まで含んで、そうして、かつての李承晩・張勉内閣を倒したあの大衆的な盛り上がりというものが、労働者のストライキと結んで出る可能性というものが根強くあるわけです。この反省を日本の保守党並びに財界の諸君がどう見ておられますか。この南朝鮮の人民まで含む南北全朝鮮人民の日本帝国主義に対する過去の深い思い、それから、これから日本がアジアにおいて対外的な進出をしようとするその姿勢と政策、これらを見て言っておるわけです。日韓会談ですよ。日本の国内あるいは日米会談ではないのです。日本の経済、あなたが約束した六億、これからまたできようとする一億以上の漁業協力費、七億以上の金は南朝鮮の人民のための金ですよ。その人民が、こんなものをもらうよりは、帝国主義政策であるならば、われわれは明日のほんとうの独立と繁栄のために、民族の自主的な繁栄のためには、きょうのそういう贈りものは要らないということを言って、日韓会談に反対しているわけです。金鍾泌は、この金を取らなければ倒れるから、自分の政治的生命といまの共和党の政権維持のために日本から金をふんだくっていこう、こういうところまで来ておるわけでしょう。その政治的判断を私は言っておるわけですよ。何が余分な心配でしょうか。韓国における今日の反対運動の盛り上がりというものをどう見ていますか、そこから伺いましょう。これは私の一片のあなたに対する言いがかりや取り越し苦労ではないのです。そういうことを認識せずして、一九四八年十二月十二日の国連の決議がすべてをジャスティファイし、日本人民のみならずアジアの全人民がこれで納得しているかのごとくあなたは説明されておるけれども、とんでもない話ですよ。私のいまの質問に対して侮辱を与えるものです。きょうはこの国連決議というものは私は議論しようと思っていない。またの機会にいたしますけれども、そんな根底はないのです。これには根拠もない。のみならず、現在の情勢における日韓会談の受け取り方ということについて伺っているわけですから、もう少しあなたは、弾力性を持つというか、広い視野で遠い見通しを立てながらやっていただかぬと、この重大ないまの日本外交路線の転換期に立っておるときに、あなたはぬぐうべからざるあやまちをおかすことになりますよ。だから、私は、あなたの個人的な人間性については敬意と愛情を持っておりますから、そのあやまちなからんことを期待しつつ質問しているわけです。大平さん、どうかほんとうに、そんな人をばかにしたような、四八年国連決議はすべてを正しく証明しておるなんというばかばかしい説明をもって私の質問に答えようとすることをやめていただきたい。私はそんなことを聞いているのではないのです。そんなことは百も承知ですよ。韓国の今日の反対運動の認識が誤っておるとあなたは言われますか。野党といわず、世論といわず、全国学生に至るまで、これらの諸君が、私に言ったとおり、おまえは一体何を心配しておるのだ、つまらないことをしておるのかと言われますか。御感想を伺っておきたい。
○大平国務大臣 私が申し上げたのは、政府が考えておるのはきわめてあたりまえのことをやろうとしておるのだということを申し上げたわけでございます。ただ、あなたが御指摘のように、日韓会談をめぐりまして、日本の国内にもまた韓国の国内にもいろいろな論議があることをよく承知いたしております。わが国におきましても、新聞、雑誌等を通じまして、また国会の論議を通じまして、これに対する見方がいろいろあるわけでございまして、穂積さんの見方も有力な一つだと思うのです。ただ、それに対して、私どもは、これは国連決議に基づいて加盟国にもこのように要請されており、かたがた、隣国でもあるし、国交を正常なものにしようというだけのことを考えてやっておるのでございますということを申し上げたわけでございますから、その点は、政府の意図するところは、御批判はあるでしょうけれども、ひとつお聞き取りをいただきたい。 それから、韓国の国内にいろいろな反対論があり、また反対運動が展開されておるということも承知いたしておりまするし、昨日も大規模のデモが展開されたという報道にも接しております。これは、民主政体のもとにおきましてそういうことが起こり得るというものだと思うのでございまして、その人たちがこの会談について考えるところを表明することも承知いたしております。ただ、穂積さんと私の違いは、帝国主義的侵略というような、日韓の正常化が帝国主義的侵略に通ずるという御解釈でございますが、私どもはとんでもないことだと考えております。この間松本先生の御質疑にもお答え申し上げましたとおり、いまの国際情勢で経済侵略とか帝国主義的侵略などとかが許されるような歴史的段階ではないと私は思うのです。それはあなたと私との歴史観が違うわけだと思うのでございます。それで、しかし、日韓交渉そのものについては、日本におきましても韓国におきましてもいろいろな見方があることは私も認めますよ。それで、韓国で反対運動があることも承知し、それもよく報道に接して心がけておかなければならぬことであることは事実でございますが、この会談の評価が、こいねがわくば一つの評価に帰一していただきたいということは私は念願するところでございますけれども、なかなか世の中はそう甘くありませんで、いろいろな見方があることは私は認めます。認めますが、私が考えておることはきわめて常識的なことでございまして、大多数の方々に御納得がいくし、また、今日御納得がいっていないお方々も、だんだんと御納得いただくようになることを期待して、精一ぱい努力しておるという状況です。
○穗積委員 問題は、考え方ではない、事実です。外務省並びに政府・与野の諸君はいままで、例を一々言うと時間がありませんから言いませんが、他の国についての情勢判断でもそうだが、特に韓国に対する情勢判断というものは全部落第点であります。いまの日韓会談の奥座敷にすわり込んでおる大野さん自身がまるで情勢判断を誤っておる。それから、外務省当局がそうです。昨日のデモというものは、あれはあれだけで終わる性質のものではなくて、根は深い。その点については前からこの委員会でもわれわれの同僚の議員から指摘しておるところです。おそらく、金鍾泌が日本の奥座敷にすわり込み、そうして、日韓会談に対して、あるいは向こうから見れば屈辱的な日本の経済進出を再び許すような、それを差しかえにして金を持って帰ろうという式の妥結の段階に入る、あるいは、あなたが約束した来月の丁外務大臣との会談、これらの時期はちょうど国会の開会中です。野党の諸君は身命を賭してと言っておる。おそらくは、この国会内と院外の闘争というものが結びついて、そうして、経済的な行き詰まり、あるいは世論の背景のもとに、朴政権というものは武力、権力をもっていたしましても天下は治まらず、おそらくは大きな動揺期に入るということは、私どもはいまから指摘しておきます。 したがって、外務大臣にお尋ねいたしたいのは、過去におけるあなた方のみな誤りの情勢判断の反省の上に立って、きのうの事件というものは単にきのうで終わるものではなくて、これから院内外と結んで広範に長期にわたって発展する、こういう可能性というものをぜひ正確にとらえられて、今日行なわれつつある日韓会談は、われわれは基本の路線が違いますけれども、政府のお考えであっても、この際私は忠告をしたいのは、ぜひこれはやめて、韓国の政治情勢というものをはっきり静観、検討する必要があると私は思うのです。それからで決しておそくはない。百歩譲って自民党の論理に立っても、そうであるべきであるのが外務大臣の任務であろうと思うのです。それがいやであって、そんなものは何でもない、必ず乗り切れるという判断をされるなら、——彼らは言っているのですよ、あなたのことを帝国主義だと。だから、きのうは、李完用の人形とともに池田勇人氏の人形が帝国主義の再進出の手先として焼かれておる。そうして、いま日本へ来ておる金鍾泌をぶっ倒せということがこの闘争の目標になっている。そうであるなら、池田勇人総理までそういう闘争の対象にされているのですから、あなた責任がありますから、帝国主義的進出とか、金鍾泌が七億ドルの金ほしさに取引をしつつあるといわれる日韓交渉というものが日本人民にとっても韓国の人民にとっても誤りでないということであるならば、それを証明する、説得することがまず第一に必要で、それが内政干渉にわたるということであるならば、交渉は中座して静観すべきであると思うのです。どうですか。
○大平国務大臣 韓国の問題は韓国政府が処理する問題だと思います。私どもとしては、先ほど申し上げましたような既定の方針で問題の解決ができればやってみたいということで、努力を続けていくつもりでございます。
○穗積委員 今日、一応静観の態度をとるより以上に無理押しをして見苦しい結末をつける、そうして抜き差しならぬから行きがかり上やってしまう、こういうことは、これは韓国人民に対する日本外交の初めての対外進出なのですから、その政策がこういう規定づけをされて混乱をするということは、今後のアジア諸国との間における、つまりアジア外交における日本外交の非常なマイナスであると私は思うのです、そういう無理押しをするということが。 そこで、時間がありませんから私は次に進んでお尋ねをいたしますが、そういう日本と韓国民族とのいままでの歴史の反省が正しく行なわれることが先決だと思うのです。日中の国交回復についてもそうです。そのことが前提だと思うのです。ところが、日中については、いささか犯罪意識というか、あるいは親近感というものを持ちながら、韓国に対しましては、四十年にわたる植民地支配に対して何らの反省がまだ十分行なわれていない。相変わらずべつ視感がある。そして、朝鮮の民衆が三十八度線を境にして二つに区分されておるというこの事実に対して、何の同情も配慮も行なわれていない。あなた方は、われわれがこのことを言うと、統一は念願しております。しかし事実上は妥結が困難ですから、いつまでも待っておれないからまず南とやる、それが済んだら北とも接触はしますというようなことを言っていますけれども、日韓会談というものは、朝鮮民族の統一の悲願に対して非常な妨害になるのみならず、一方において、——これは私はきょう説明をいたしません。民族統一に対する日本民族の同情、支持並びに責任についてお尋ねしたいと思うのです。北は、一九五〇年以来、南北朝鮮統一について提案が行なわれ、その後、特に一九六二年十月二十四日であったと記憶いたしておりますが、前の総選挙後の最初の国会で、金日成主席から具体的なそして可能性のある統一についての提案が行なわれ、それが今日の南朝鮮の世論の支持を受けつつあるわけです。のみならず、南においても、統一に対しての世論というものは、との間松本委員が指摘したように、もうすでに出つつあるのです。おそらく、きのうのデモというものは、その統一への方向へ発展するでしょう。そして、さらに国連においても努力があるじゃありませんか。AA諸国というものはあげて朝鮮の統一問題について努力をしておる。いままで実は結ばぬけれども、しんぼう強く、誠意をもっていろいろな提案をしておるわけです。ひとりしていないのは日本だけです。大平先生、ほんとうに、私はいやがらせの質問ではなくて、あなた、外交を担当する責任者として、これは重大な問題なんです。統一に対する私どもの考えは、かねて言っておるとおり、外交の問題は外交交渉、復交の問題については統一を待つ。待つことができなければ、今日具体的に大衆に支持されつつあるように、南北の合同委員会で南北の政府が了解した最大公約数をもって日本なりその他の国と外交交渉に入る。非常に合理的で可能性があると思うのです。そうでなければ、最近北が提案しておるようなことも一つの方策でしょう。この間松本君が本会議で、三者会談の提案があるが、これをどう取り上げるかと言ったときに、一笑に付された。しかし、そういうものではないと思うのです。統一に対する人民の支持なくして、私は大衆路線をはずれた政府あるいは対外援助というものが成功するはずはないと思うのです。一部の汚職と悪徳に使われるだけです。そういう意味で、統一に対する問題についてあなたは責任を感じていただきたい。その責任の上に立って、いま南北両方における、あるいは国連における、あるいはAA諸国における統一の努力に対して、日本はなぜ無関心でおられるのか。なぜこれをサポートし、これを前へ進めるように努力をされないのか。
○大平国務大臣 朝鮮統一問題は、私は朝鮮民族の問題だと思うのです。統一してはいかぬとか、統一すべしとかいうことを第三国が言うべきではないので、これは朝鮮民族の問題だと思うのでございます。半島の方々が、あなた御指摘のように真剣に考慮しておられることであれば、われわれとして申し上げられる精一ぱいのところは、統一を希望しますということだと思うのです。それが朝鮮民族に対する敬意だと思うのです。 それから、日韓交渉に関連してのお尋ねでございますが、日韓交渉が統一を阻害するということが一般に言われておる。この間私も一問報告でしからざるゆえんを弁明しておいたのですが、片や七十三国が韓国と外交関係を持っておりますが、この七十三カ国がみなまた統一を阻害しているということになる。北鮮と十九カ国が外交関係を持っておりますが、これまた統一を阻害しているということに、あなた方の論理からいくとそうなる。それはおかしいことじゃないかと思うのです。私どもといたしましては、統一の問題は朝鮮民族自体が第一義的に考えなければならない、現に真剣に考えられておることでございまして、われわれは心から希望しますということでございます。それで、われわれがいま韓国との間に正常化をやろうといたすことは、統一の場合に役に立つことでこそあれ、これを阻止するものであるとか阻害するものであるとかという見方が、どうもあなたと私と意見を異にするのです。なぜそういう論理が成り立つのかということが私は不可解でございます。
○穗積委員 時間がだんだん空転して、どうも長くたちましたから、関連してお尋ねいたします。 それは日華条約です。日華条約は、日本と大陸の中華人民共和国の政権との関係を、地域限定、限定政府ですから、何ら拘束するものではないはずです。ところが、事実は、日台の間における条約というものによって、人さらいみたいなことをやって周鴻慶事件でむくれてみたり、それから商業ベースで行なわれておる延べ払い貿易に対して文句をつけてみたり、それが日台条約を根拠にしておる。それをよりどころとしておる。こういうことで、実は日本の外交上の自由というものを非常に拘束しているわけでしょう、北京との接触において。おそらくは、南との間に、共同宣言であるとか、条約でいくつもりであるとか、これはこれからきめるということでしょうけれども、いずれにしても、そういう状態ができれば、おそらくは、いまの日本政府の主体性のないことであるならば、北との請求権の交渉どころか、漁業、貿易、文化の交流、人の交流ですら文句を言われることになる、驚くべき事実が出てくると私は言わざるを得ないわけです。ですから、何をおまえらそういうことを心配するかと言うが、事実が証明しておるのです。過去における事実が、日台条約というものが日中の合理的な接触に非常に妨害になっておる。 そこで、私がお尋ねしたいのは、北の政権の存在は認める、政府並びに人民の対日請求権というものは留保するのは当然だ、その交渉があればとれに応ずるつもりだということを言われたわけです。そこで、問題は、そうなりますと、今度の条約あるいは共同宣言、それはいずれにしても、取りきめを決定される場合に、南の韓国の領土問題ですね、支配する領土、地域、これに対しては明確なる規定というものが必要になると思うのです。目台条約にはあります。しかも、韓国は、これはいままであった国との復交ではなくして、新しく日本植民地から独立をして新興国としての取りきめでありますから、その独立国の条件である領土問題については、当然な規定がなければならないと思うのです。それはどういうふうに規定をされるか、その規定の有無によって、これは北の権利は留保すると日本側はかってに言っておるけれども、事実は留保にならない。不当な全朝鮮の唯一代表政権であるということにすべり込まれる危険があるわけです。そういう意味で、領土問題についての取り扱いをどうされるか。 時間がありませんから、領土に関連しますので、竹島のことについても一括お尋ねしておきましょう。竹島というのは、いままで歴代の内閣は、これは国際司法裁判所に提訴することという原則を曲げない、しかもこういう問題の懸案の決定というものをどういう形にしろ実質的にあとに残すようなことはしない、一括完全解決をして初めて復交があり得るのだということを国会において幾たびか約束された。その中の一つの重要な問題は、竹島の取り扱いの問題です。いまわれわれ仄聞するところによると、この問題を出せば、金鍾泌一派は、あるいは朴政権は人民から突き上げられるから、それでこれを国際司法裁判所に応訴しない、それから、それでは困るというので、つまり未解決の方法の一つとして第三国にまかせる、アメリカにまかせる、アメリカとの間で話をして妥結しないそのときは国際司法裁判所に提訴することを相談をするという。相談はすると言っておるけれども、そのときには応訴するとは言っていないのです。応訴するとは約束していない。それができないときには共同管理をやろうじゃないかということを言っておる。これでは解決にならないですよ。 この領土規定並びに竹島問題について、これはあなたの、いろいろな協定ができる場合の外務省の所管の問題ですから、もう月末から来月にわたって妥結をしようということであるならば、当然方針、構想はおきまりになっておるでしょう。大韓民国のこの領土規定並びにその場合における竹島の取り扱い、この二つについてはっきりお答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 お答えをする前に、北鮮のオーソリティーと請求権その他の交渉があれば相談に応ずるということを言ったということをいま穂積さんはおっしゃいましたが、そんなことを言った覚えはありません。断わっておきます。それが一つ。 それから、いまの日韓会談の本旨とするところは、韓国政府が有効な支配を及ぼす領域に関しての問題をやるのが目的でございまして、そういう問題を、実体を詰めておるわけでございます。そういう実体が煮詰まった段階でどのようにいま御指摘の点をいたしますか、その段階でとくと考えてみたいと思っております。 それから、竹島の問題については、私どもは、この問題の解決を延ばして、領土に関する紛争を未解決のまま放置しておいていいとは思っていない。これも一括して解決いたしたいと思っております。
○穗積委員 大事な点ですから、いまの御答弁の内容をはっきりしておきたいのです。すなわち、北の政府が日本に対する正当な権利を主張することに何らの支障を来たさないためにも、いまの領土規定というものは必ず疑いのない、日本側がかってに解釈し、向こうがまた違った解釈をするというようなあいまいなものでなく、この点は自他ともに混乱誤解を招かないよう明確に表示するというふうにいまの御答弁を受け取ってよろしゅうございますか。これが一点。 それから、第二に、竹島問題についても、同時解決をしてからでないとやらない、合理的な解決をするつもりだという解決の中身を聞かしていただきたい。私が聞いておるのは、さっきのようなのも解決だと言うでしょう。しかし、あれは実際の解決じゃないのです。解決にならないのです。竹島問題がどういう問題だという前提をまるでこちらが百歩譲歩したことになるわけですね。あれは不当占領ですから、不当占領に対する態度としての納得のいく解決、それは、百歩譲りましても国際司法裁判所に提訴することを取りつける、応訴を取りつける、これ以外に私は納得のいく解決というものはないと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 韓国政府が支配していない領域についての問題には触れないわけでございますから、また、触れることができないわけでございますから、それは、たびたび申し上げておるように、白紙の状態ですということでございます。 それから、竹島問題につきましては、ただいままでのところ日韓の間の見解は並行いたしておりますから、何らかの解決をしないといけないと思っておる。私どもといたしましては、日本政府の提案というものに先方が応諾するように努力をいたしたいと思っておりますが、全懸案を一括解決するという方針のワクの中におきまして、この問題についても解決のめどはちゃんとつけておかなければならぬと考えております。
○穗積委員 最後にもう一点だけ。実は、きょうは私は、農林大臣の同時出席も求めて、漁業交渉と、それから最近の韓国の経済情勢、これについての外務大臣の認識も、両方とも伺おうと思っておったのですが、きょうは他の委員会の関係で農林大臣がお見えになりませんから、漁業交渉の問題というのは次の機会にいたします。経済の問題も、あと帆足君が御質問になるようですから割愛いたしますが、最後にもう一点、私はくどいようですが言っておきたいのは、この間参議院で総理が藤田君の質問にお答えになった竹島の処理のことですね。これは、さっき私が言いましたことが単なる推測、邪推ではなくて、そういう下話が奥座敷でもうすでに行なわれつつあるのではないかということを証明するようなあいまいな答弁が行なわれておるわけです。いままで日韓会談に対する予備的な審査をいたしました歴代の外務大臣が、必ず、竹島問題についてははっきりした解決をせずして妥結をしない、復交と同時に、またはそれ以前に国際司法裁判所に提訴ということを明確にしておったわけですけれども、最近の答弁や、いまあなたがはっきり言われないところを見ると、われわれとしては、さっき言ったような共同管理まで持っていくのではないか、落ちつくところは共同管理じゃないか、こう思うわけです。そういう誤った政策をおとりになると、漁業交渉において漁場を保護するか国際原則を打ち立てるかという問題以上に、領土問題というのはまだ北も南も未解決の問題がありまして、それに非常な悪影響を及ぼすわけでしょう、これからの領土交渉にあたってそういうあいまいな取り扱いをするということになると。だから私は聞いているのです。竹島そのものの利用価値、経済価値の問題ではない。対ソあるいは対アメリカ関係において南北ともに領土問題の重要な未解決な問題があるときに、領土問題に対する日本政府の良心の麻痺した、あるいは理屈が通らないのに何かの目に見えない力に押されてついにこれを譲歩した、落ちつく先は共同管理だということになると、そういうものは解決にならないわけですから、その点について、大事なことですから、もう一ぺんお答えをいただいておきたいと思うのです。 私のあとの質問は留保して、きょうはこれで終わることにいたします。
○大平国務大臣 一括解決の方針に変わりはない。解決の中身につきましては、精一ぱい努力しまして、少なくとも解決のめどはちゃんとつけておかなければならぬと考えております。
○赤澤委員長 帆足君。
○帆足委員 大平外務大臣は、私ども野党の下馬評では、前大臣に比べますと非常に慎重で、そして誠実で非常に御苦心なさっておるというような下馬評でありまして、この点は私どもも敬意を表しておるのでありますが、世界の大勢は、原爆とロケットの時代で、世界の諸国民が互いに尊敬し合いながら平和共存していく、平和雪解けの大きな流れというものが今日の特色であると思っております。このたびドゴール大統領が中国を承認いたしましたのも、この世界の大きな雪解けの流れ、春先の風の中で春雷がとどろいたような思いがいたしまして、いわば本因坊が天元の一石を打ったような、世界の政情これから大いに沸騰して、百花斉放、毎日の新聞を見ましても、外務委員であることまことに愉快に感ずる次第であります。この機会に、外務大臣は、日いずる国の外務大臣として、世界の平和に新日本憲法の精神に従って積極的に貢献するという気魄と見通しを持たれて、そして、よきほどに発言の機会をつかみ得るチャンスがこれからまいるのですから、いよいよ自重御自戒を願いたい。多少外務大臣が御努力なさろうとすると、与党の中でもあまり聡明でない方もあるいはおられるようでありまして、外務大臣の慎重な御努力を先走りと称して責めるたぐいがおるということが出ておりますことも遺憾なことで、先日「政界たちばなし」という欄を見ますと、大平外務大臣は軽い糖尿病であらせられる、その病気は酒が禁物だというのに、外相はやけ酒でも飲まにゃと杯を傾けぶ然たる表情を示していた、これは二月十九日夜のことである、こう書いて、そして、大平外相の、世界の政局が変わってきて中共が国連の正当なメンバーとして祝福される事態にでもなれば当然国交正常化の段階を考えるようになるであろうというこのきわめて常識的なことばに対して、やや圧力を受けて、外相はぶ然たる態度で杯を傾けられたというような記事を読みまして、御苦心のほども察しておるのですが、先日週刊朝日を見ましたところが、一つの詩がありました。こういう詩です。「アメリカが居る、例によって例の如きアメリカが居る、フランスが居る、よぼよぼのくせに気が強いフランスが居る、イギリスも居る、うす汚れた山高帽をかぶってすまして居る、台湾ですら居る、居るだけは居る辛うじて居る、日本は居ない、どんな鬼が恐いのかまだかくれている」、(「聞いたことがない」と呼ぶ者あり)これは新進作家で、谷川俊太郎という人の詩で、これは週刊朝日に毎週出ております。ちょっと御勉強が足りない。いいかげんな黄色い週刊誌ではありません。こういう詩が出るということは、日本の外交の自主性の回復に対してまだ不十分であるという国民の気持ちのあらわれであろうと私は思って読みました。したがいまして、ぼつぼつ主張すべきことを主張すべき日がまいりつつあると思っておりますので、外務大臣は糖尿病を非常に大切になされて、強い覚悟で政局に当たっていただきたいと思いますが、日韓会談の問題につきまして、私どもはやみくもに隣邦と交渉を持つなということを言っているわけではないのです。現段階に応じて、韓国の経済と政治の情勢をよく見きわめて、その現実に即して適切な関係を持つ、そして、「これより過ぐるは悪より出ず」と聖書のことばにありますが、ある理性的水準、現実的水準を越えて交渉を持ったところで、それはうまくいかないし、また、歴史の歯車の円滑な回転を阻害するようなことはしてもらいたくない、こういう趣旨でわれわれは論議しているのですが、政府側の今日までの答弁では、現実的認識の基礎が足らないこと、統計的、数字的調査の基礎が足らないことを私は残念だと思っております。したがいまして、逐次それらの点をお尋ねしようと思います。 〔委員長退席、高瀬委員長代理着席〕 まず第一に、昨日から京城で大きなデモンストレーションが起こっておりまして、それは李承晩大統領を打倒したときの学生運動のきっかけのような激しい勢いを示しておるということです。しかも、時あたかも三月の末、四月、五月は春窮といいまして、朝鮮の経済の最悪の状況を前にしているわけですから、私はこの政情不安の背景には非常に深刻な経済的基礎があるものと見ております。外務大臣は、これが単に思いつきのデモンストレーションとお考えでしょうか。それとも、どういう政治的、民族的並びに経済的基盤を背景としてこの騒ぎが起こっておるとお考えでしょうか。これに対する情勢判断をひとつ外務大臣から伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 先ほど穂積先生の御質問にお答え申し上げましたとおり、反対運動が許される民主体制をとっておる韓国でございますので、こういう運動は起こり得ると考えています。
○帆足委員 それでは御答弁にならないと思うのです。自由が与えられておれば、春になればデイトをしたり花見をしたり、春を喜ぶというのが民の心でありまして、政府打倒のデモンストレーションをし、そのデモンストレーションの先頭では、池田首相のわら人形と、それから御承知の日韓併合のときの総理である李完用のわら人形を火あぶりにして気勢を上げている。このやがて桜の花も咲こうとするときに、自由が与えられたからといって、こういうことが起こるはずのものでないでしょう。自由が与えられたからデモンストレーションが起こったのは当然である、そういうような説明をなさることは、私は、この外務委員会というものを少し甘く見ておられるのか、あるいは外務大臣の失言、あるいはまた多少勉強の不足ではあるまいかと思うのですが、いかがでしょう。
○大平国務大臣 きのう行なわれましたソウルにおけるデモにつきましては、外電がいろいろ報じておりまして、その報道も必ずしも完全に一致していないものもありますが、相当大規模のものであり、警官隊と学生側に相当負傷者も出ておるということで、そういう事実は承知いたしております。これがどういう動機で展開されたものであるかというような点につきましては、まだ十分解明をいたしておりませんが、先ほど申しましたように、こういう運動が起こり得るということは、そういう韓国の体制をとっておるわけでございまして、日韓会談に対する評価もいろいろ見る人によってそれぞれ違っておるものがあるわけでございまして、違った見解がこういう形であらわれたのであろうと見ておるわけでございます。今回のことにつきまして、深く解明するというところまではまだいたしておりません。
○帆足委員 ただいまの外務大臣の御答弁は、不得要領、みずからをとうかいすることまことに巧妙な御答弁でありましょうけれども、何人をも納得せしめない御答弁であると思います。私は、そうではなくして、現実の見通しは大体どのようにお考えであるか、この事件の背景の広さ、深さ、展望はどのようであるか、参考のために伺っておきたい。私は数字をもってこの問題を申し上げ、また伺いたいと思っておるわけです。 先ほど穂積君が、今度の日韓会談の中には、アメリカ、台湾、韓国等をつなぐアメリカの軍事政策の面も入っておるし、また日本の資本主義の帝国主義的政策も入っているように思うし、そのように朝鮮の広範な学生諸君からもとられておるということを申されましたが、私流の表現をもってすれば、朝鮮は五十年近く植民地でした。その植民地政策に対する日本側の反省と新しい認識が不十分であるという印象を韓国の民衆は受けているかのような感じがいたします。私は、それは必ずしも理由なきことではなくして、いわゆる国内において共産党の政策に対して保守政党がこれに政策的に対決する、これは理解し得ることです。しかし、今日の国際情勢の中において合理的な平和共存が必要であり、世界の人口の中において社会主義政権のもとに住む人口がすでに十億に達しておる時代に、どのようにして合理的平和共存をはかるかということが国際連合の課題になっておるときに、素朴な反共体制また反共軍事体制を固めるという行き方が主流になるということは、もはや合理的ではあるまいと思っておりますが、韓国との交渉に進んで当たられる諸兄の中にはきわめて前時代的な封建的な性格の方が多い。たとえば、敬愛する、そしてユーモアを持つ大野伴睦氏にしろ、金鍾泌とかいう人と肝胆相照らしたというのですが、朝鮮ニンジン酒が過ぎて、そのあげくの果ては韓国と日本との関係は親子の関係だと言ったり、浪花節ではそれは親愛の情をあらわすのにいい表現かもしれませんが、外交用語としては、それが植民地政策の継続というふうな印象を私は受けると思うのです。そこで、韓国の世論がそれに対して憤激した。そしたら、今度は、夫婦の関係じゃと言う。夫婦といいましても、まだ十分民主化されておりませんから、妻はだれじゃということになる。まさか妻は日本ではありません。そうすれば、女房は韓国じゃということになれば、これまた浪花節の度を過ぎたものである。私は、こういう前時代的な政治力がこの問題に介在しておるということが、国民が危惧の念を感ずるゆえんだろうと思います。この国は福澤諭吉先生が生まれてもう百年以上たっていますし、慶応義塾あり、東大あり、早稲田あり、相当国民は教育を受けておりまして、国民の常識の水準というものはもはやヨーロッパ的水準に近づいておる。しかるに、政治の面において、特に韓国または台湾との間をあっせんする人たちの風格と教養と読書の範囲などを調べてみますと、大体において前時代的な浪花節的性格の方が動いておる。また、かつて軍部と結託して政界の黒幕と称した人たちが主流をなしている。たとえば、蒋介石に対する恩義は忘れまい、あだに対して恩をもって報いようというその感謝の気持ちを忘れたくないと言う。私はそれは東洋的なよいことばであると思います。しかし、外交とそれとは別問題でありまして、彼個人に対して恩義を感ずるならば、彼が亡命したときに聖路加病院の特等室でもあけておくというようなやさしい気持ちはいいことであると思いますけれども、外交は国と国との運命に関する問題でありまして、一政治家の個人の主観的感情や家族関係や背景によって左右さるべきものではないのであります。外交論議の中にこういうことばが圧倒的に出て、そして普通の教養ある論理を圧倒してしまおうとするような傾向があることは、私は合理的でないと思うのであります。中国が世界諸国に祝福されて国連に入る日が来るならば隣邦として当然国交の正常化をはかろうと外務大臣が言われた、このあたりまえの発言に対してとやかく言うような連中がいたとするならば、社会党としては大平外務大臣を大いに慰労せねばならぬと思ったくらいでありまして、日本の政治家は仁義の徒輩の仲間ではありません。大部分のわが尊敬すべき同僚諸君は、相当の高い教養を持っております。私は、代議士というものは、つき合ってみればみるほど、個人としてはすぐれた方が多いし、かつて財界にいたときと比べても、すぐれた方が多いのに驚きかつ認識を新たにしておりますが、しかし、ときたまそういう仁義の徒輩が無用の発言をして国会の品位を低めていることを非常に残念に思う次第です。一体この国で政治力というものは何でしょう。腕が太くて寝わざがうまくて立ち回りがうまいというようなことが、一体近代社会に何の役に立つでありましょう。論理が通っており、科学的背景があり、実際的であることが国民の役に立つのでありまして、仁義や寝わざによって講談の一つでもふえるものでもないでしょう。したがいまして、日韓会談の問題につきましても、やはり現実をよく見て、統計的基礎に立って、どうすればよいか、こういうことから出発せねばならぬと私は思います。いま京城に深刻な暴動が起こっておる。そうしたら、あれは自由が与えられたから暴動が起こったのである、そういう答弁はないでしょう。そうではなくして、政治の腐敗の程度、矛盾の程度がどの程度であるか、経済の背景がどうなっておるか、国際収支がどうなっておるか、その安定性の限界はどういうことであるか、韓国に対して日本が連携し得る限界は今日どういうものであろうか、その新しい韓国と結ぼうとする諸関係の連鎖反応はどこに及ぶであろうか、こういうことを私は国会において論議しなければならないのではないかと思うのであります。 それで、逐次お尋ねいたしますが、まず第一に、朴政権ができてから今日まで、韓国の物価の騰貴率はどのくらいになっておりますか、ちょっと念のために伺っておきたいと思います。
○中山政府委員 一九六〇年に比べて今年の物価は大体六割くらい上がっております。
○帆足委員 六割の物価騰貴とは、これは深刻な事態ではないでしょうか。この物価騰貴の原因は何であり、今後その見通しはどういうように観察されておりますか。
○中山政府委員 これは、御承知のように、韓国は農業国ですから、昨年、一昨年と米麦の不作が続いたということが、非常に不幸なことでもあり、大きな原因であったと思います。
○帆足委員 かつて南朝鮮は米の宝庫といわれておりまして、日本に多量の米を輸出したものです。それが今日二千万の人口で米が足りないのです。春窮といって、四月の初めから五月にかけて深刻な状況におちいっておる。毎年四月、五月は政情不安になるといわれておる。小坂さんが韓国に経済調査団として参りまして、そうして、エコノミストでしたか、韓国の政情が今日ほど安定した時代はないという発言をしておる最中に、号外がまいりまして、ただいま李承晩が倒れた、座談会は結局紅茶の飲み逃げになってそのまま解散した。その次には、日韓会談はほぼまとまる、韓国の中に新しい理性の光がさしたといわれておったと思うと、張勉内閣が倒れて、朴政権という二・二六事件のなれの果てのような性格の、仁義の従輩でなければ理解しにくいような、すなわち正常な教育のある人間にとっては理解しがたいような感情と論理と経歴の中に育った政権が生まれた。しかし、これはアメリカが強くバック・アップしつつあるし、そうして主観的に清潔であることが朴総理の取り柄であるということに信頼を置いて交渉が始まった。私は日本の政府は善意をもって交渉を始めたものと思います。ところが、ふところ刀といわれる金鍾泌という男は、対外援助等の金の一部をキャバレーに使って、そして、わいろの問題で追及されようとして、早くもエジプトのかなたに逃げ去って、スフィンクスの下のところにうずくまっておった。冷却期間があって、人はものを忘れやすい。これは神の与えた美徳ですが、忘れたころまた戻ってきて、そうして日本にやってきた。だれがこういう事態を心配しないでおられるでしょうか。日本国民はそれを心配しないほど不感症であり、ばかでしょうか。私はそうではないと思います。だれしもこの事態を心配しておる。といって、野党の言うように何もかも反対というわけにはいかないであろう、漁民を保護するために、何らかの意味で日韓間において取りきめが必要ではなかろうか、しかし、その取りきめがまた度を過ぎたときには連鎖反応を起こして心配ではあるまいか、たとえば賠償金を払ってそれが北に及び中国に及ぶことはないであろうか、あるいはまた、条約を結んでも、また結ぼうとしておる最中に暴動が起こるようなことではどうしたらよかろうか、その交渉のほど合いをどの辺にしたらよかろうか、というようなことが心ある日本国民の憂慮しておることであって、そういう問題をこそこの外務委員会で腹蔵なく語り合わねばならぬ。大平外務大臣が多少なりとも慎重な態度をとっておられる。もちろん与党の立場に立っておられますし、保守党ですから、今日のアメリカの極東政策に対して大きく遊離することはできない立場におるでしょう。週刊朝日の記事に、鬼はどこにいるか、日本だけはいない、こう詩人が書くような、まだ敗戦後の影響を受けた日本ですから、やむを得ないことでしょう。それに対して、大平国務大臣も、多少なりとも池田さんもやはり慎重な態度をとっておられるということも、われわれは理解できるような気持ちもするわけです。しかし、抽象論では何にもなりませんから、具体的にさらにお尋ねいたします。 まず、先日も申し上げましたが、韓国の経済的背景は、人口が二千万です。しかし、経済は、外務省からいただいた資料によると、加工製造業の勤労者の数がわずか二十七万、失業者の数は七十万、パンパンその他のサービス業の人口は百万近くであったと記憶します。小商人、質屋、金融業が七十万であったでしょう。そこで、一体それで経済自立ができるか。デンマークの人口があれで四百万です。スエーデンの人口は六百万です。しかし、朝鮮、ネコのしっぽの先ほどの小さな半島に、南は二千万です。北は最近千万になったそうですか、千万の人口なら楽でしょう。しかし、李承晩がいい悪いでなくして、とにかく二千万の民衆の生活を預からねばならぬ状況にある。その南朝鮮に米が足らない。米すら足らない。先日私はそれでは石炭と鉄と電力はどのくらい出ますかと聞いたら、手帳を繰りながら親愛なるアジア局長は御答弁ができなかった。南朝鮮における電力、鉄、石炭の数魔すら覚えてなくして、よくぞ経済協力とかまた賠償の計算ができたものだ。これは直感力でなさるのか。直感力なら、これは予言者か占い師を局長にしたのと同じ結果になるでしょう。われわれも十分な資料を人手しがたいわけですから、心配していてもお尋ねしているわけですが、外務省当局からはろくな資料がわれわれに提供されておりません。われわれに提供されていないくらいだから、外務大臣にも提供されてなくて、外務大臣はそういうことを御存じなくてめくら外交をしておるのではないか。それでは自民党の大野伴睦先生にいやみを言われてやけ酒を飲まねばならぬということになるのではないかと私は思う。やはり政治に浪花節は有害無益、政治には統計が必要でしょう。英国の政治が視野広く大局において誤りをおかしていないのは、はっきりした現実認識と統計の上に立っているからでないでしょうか。ガンジーを十数年も投獄し、偉大なネールを数カ年間も投獄した古い英国、大英帝国と呼ばれて、帝国主義の元凶の恥ずかしい歴史を持っておる英国が、いまではインドとの間柄は兄弟のような間柄、この大きな方向転換をした英国保守党の偉大な頭脳に対しては、私は、厳重な批判は持ちますけれども、批判は批判として、それはそれなりに偉大な保守政党であったと言わざるを得ないと思う。韓国はかってわれわれの植民地でした。それは歴史の悲劇として過去のことでありますけれども、われわれは徹底的に自己批判をし、改めねばなりません。新しい互恵平等における平和の関係を隣邦と持たねばなりません。政体が何であっても、やはり韓国とも、また人民民主主義共和国といわれる北朝鮮とも、よい関係を持つことは必要だと思います。私どものところによく身の上相談に来られる朝鮮の方がおられますが、私は北朝鮮の諸君の帰国に超党派的に皆さんと一緒になって努力しておりますが、南朝鮮の友が、轗軻不遇な状況にある、民族的偏見に苦しみ、身の上相談に来られるときには、北同様にやはりできるだけのお世話をするようにつとめております。というのは、私は六才のときから十六才のときまで十年間、父に連れられて朝鮮で育ちました。父は朝鮮で事業に成功しまして、そして私が豊かな環境で東大を出ることができたのも、朝鮮によって得た収入によるものであります。それらの少年時代のことも考えまして、南北を問わず親しみを持っておりますし、よい関係でまいりたいと思っております。 さて、そういう点から、今日の経済の基盤において、南朝鮮の自主再建の資料を政府当局はお持ちでしょうか。それから、先日伺えなかったものですから、電力、石炭、鉄鋼などの産額及び建設計画をちょっと簡単に御教示いただきたい。
○中山政府委員 電力については、一九六二年末の最大出力が三十三万七千キロワットであります。石炭は、無煙炭が一九六二年で七百四十三万トン、一九六三年が一月−九月で五百八十二万トンでございます。鉄鉱石は、一九六二年で四十七万トン、それから一九六三年一−九で三十六万トンであります。鉄鋼は、鋼塊で申しまして、一九六二年が七万二千百八十九トン、それから一九六三年位地−九で九万一千三百二十九トンであります。
○帆足委員 ただいまお聞き及びのとおりですが、鋼塊がわずか七万トンというお話で、数字の誤まりだと思いますが、こういうような弱体な経済基盤のもとで二千万の人口を養うことは、だれがやっても不可能です。前に時事新報がつぶれたことがあります。一つのボロ新聞——ボロというのは内容を言っておるのではありません。経営的に破綻した新聞は一財閥を滅ぼすといわれている。池田正之輔君もおられますから新聞のことはよく御承知でしょうが、そういわれているくらいなんです。したがいまして、アメリカ側がどれほど大きな経済力を持っておりましても、二千万の人口をいまのような経済基盤のもとに豊かに養うことは困難です。したがいまして、北朝鮮が離れておるということは、ちょうど大阪が九州の石炭から離れているような状況になっているわけでありまして、それは自然の状況でありません。したがいまして、時がたつにつれて、いつの日か南北は統一されねばならぬ運命にあるわけです。しかし、それに対して他国がとやかく言うことはないでしょう。ただ、私どもは、その事実を見て、そういう必然性があり、その必然性に沿わない限りは南朝鮮は細々と生きる政権である、常に政情不安が続くであろうという見通しを立てざるを得ません。したがいまして、南とも北とも、私どもの考えでは、事務的接触程度をもって互いに貿易をし、また、平和的経済協力を行ない、人事の往来、文化の交流等を積み立て方式で漸進的に行なう程度が現実に即しておることであって、あまり張り切って深入りをするとそれは失敗する、こういう見解を持っているわけであります。決して野党としても非常識な考えをもって現在の日韓会談に反対しているわけではないわけです。無理がある。無理をすると、にきびが面ちょうになるおそれがあるということを言っているわけです。 経済の状況につきましてはもう少し詳細な統計をいただきます。また、経団連からも経済使節団が出まして、非常にいい調査報告が出ておりまして、そのほうは承知しておりますから、政府側の正確な統計をおつくりになって、外務大臣の参考資料としていただき、われわれ委員の参考にしていただくように、委員長を通じてお願いしておきます。 第二に、私どもが憂慮しておりますのは、国際収支の問題です。韓国の国際収支の状況、貿易、貿易外収支、軍需、特需の関係及び投資関係、それぞれの表をつくっていただきたいということをお願い申し上げます。同時にまた、日本と韓国との国際収支で同様の数字を知りたい。と申しますのは、無償供与という形で二億ないし三億提供しましても、あとの二億ないし三億というものは借款として貸すというふうに承っておりますが、貸したものが返るかどうか、現状におきましても赤字が積み重なって一億ドル近くになっておると聞いておりますが、現在においてもそういう状況であるのか。何を見返りにして返すことができるか。シェークスピアの劇、ハムレットでしょうか、その中の、英国に留学するむすこに対して、近しい友だちと返済の見込みがない貸し借りをするなよというのは有名なことばです。私は、くだらない金を貸してあとで取り立てに苦労する、そしてまた感情が悪化する、そういうことは望ましくないと思います。前にタイ国に対して金を貸しました。岸さんの時代ですか、池田さんになってからだと思いますが、サリットさんと話をして、何の風の吹き回しか、貸した金をいつか賠償金に振りかえてしまった。私どもはそのときにさりっとは情けないと言ったのですが、(笑声)サリット首相は最近さらっとなくなりまして、いま総理がかわったわけです。そういうようなことにならぬように、まず国際収支の状況をひとつ伺っておきたい。皆さんにわかるように簡単に伺って、あとは統計表でいただきたい。そして、外務委員はこうして与党、野党とも博識の士がそろっておるのですから、この統計表を見ておもむろに考える。そして、日韓会談に対してはやはり慎重な態度をとらねばならぬ、軽率な態度をとってはならぬということがこれで理解されるならば、国のためによいことである、こう私は考えておるわけであります。
○中山政府委員 韓国の外貨準備は大体一億三千万ドル程度ということは、前回でもアジア局長からお話があったとおりでございます。それでは期限の到来した債務が具体的問題としてどのくらいあるかということが一つの大きな問題だと思います。これは韓国の新聞でもいろいろ伝えられておりますけれども、正確なことはわかりません。しかし、新聞紙上では、相当額、たとえば八千万ドルくらい近くデューになるものがあるというようなことも書かれておりますけれども、この点は正確でありません。それから、韓国は何といいましても確かに輸入超過でありまして、その間隙は外国の援助、特にアメリカからの援助に仰いでいるわけでございます。六四年度分は、AIDの援助資金第一期分として千五百万ドルが決定しましたし、それから、三月十八日には、米韓の間で余剰農産物の援助協定が調印され、その額は大体六千百九十万ドルになっております。AIDの援助は、昨年は九千万ドル程度でございましたから、今後さらに第二期分、第三期分としてまだ決定されていくと思います。 それから、外国からの借款もぼつぼつあるようでございます。特に一九六二年に借款に対する支払い保証法が公布されて、最近までにはアメリカ、イタリア、フランス、西独等からも総額約四千万ドルくらいのものが決定したという報道もございます。 それから、韓国の国際収支のうちで、結局しかしいつまでも外国の援助にたよっておれないのだから、韓国としてはどういうような方策で将来を打開していくかということも一つの大きな問題であります。ただ、私は、その点でよき要素といいますか、としては、何といってもあの国も将来輸出を伸ばしていかなければならぬということでございます。輸出はことしは一億五百万ドルくらい、こういう計画を立てているようでございます。もちろん日本なんかに比べれば非常に小さい額でございますけれども、一昨年が八千五百万ドルくらいの輸出だったと思いますので、それに比べればかなり着実に進歩しているというふうに思います。
○帆足委員 外務大臣の御在席の時間が限られておりまして、私は一時までと伺って安心していたのですが、お急ぎになるということですから、取り急いで続けて質問します。 いまの詳細な資料はひとつ文書でお出し願いたい。また、文書に不十分なところがありましても、あげ足をとるようなことはいたしませんから、御安心なすってお出しください。また、朝鮮語のできる方もおられるでしょうが、できなければ私も少しできますから協力いたします。 それから、民間で貸す金に対して、結局アメリカの援助がロケットに移って、または台湾の事態がかわって、南朝鮮は戦略的に平和でさえあればいいという、いわゆるドゴール体制に移るようにでもなれば、アメリカの経済援助が少なくなれば、貸した金は戻らぬようになると私は思う。金融公庫から金を借りる場合でも、有力な紹介者が保証人になれば金を貸すというのですから、私は朝鮮に金を貸すときはアメリカが保証人になってしかるべきだと思っておりますが、外務大臣のお考えのほどを伺いたい。 もう一つは、時間がありませんからそれとあわせてお尋ねしたいことは、南朝鮮は原則として国連が管理しておるのでありまして、そして米軍はその指揮下にあるべきでありますのに、まるでアメリカの植民地であるかのごとき感を私は受けておりますから、ひとつ委員長のお許しを得まして、南朝鮮における国連機構及び国連と米軍統治との諸関係を、政治、経済、月半諸般にわたって機構と内容の調査資料をひとつ提出願いたい。われわれはどうしてもアメリカと韓国との関係が理解しがたい。国連は一体何をしてござる、こう思う。もし国連としてスイッツルとかスカンジナビア諸国とかまたはインドなどが公平に処理しておるならば、多くの人は納得する点も多かろうと思う。過渡期の措置として理解し得る点もあるだろうと思う。けれども、今日の事態はわれわれは理解しがたいと思っております。これは資料を提出していただきたいが、外務大臣はそれをどのようにごらんになっているか。 実は、質問といっても、こう時間を限られておれば、いよいよ王手、飛車角できょうは外務大臣を追い込もうと思っておりましたけれども、大事な資料をいま出すわけにもまいらぬということですし、すぐ御退席になるという。汽車は出て行く煙は残る、残る煙がしゃくの種という都々逸がありますが、しゃくの種を残されたのでは困る。(笑声)ですから、この次に本論に入ることを同僚諸君に御了解を得まして、きょうは序論だけ。ただ、野党のわれわれが、何でも反対党ではなくて、やはり与党と同じように国事を憂えて質問をしているということをおくみ取り願えれば、私は質問の目的を果たしたと思うのです。したがいまして、いまの韓国の経済が弱体であるのに対してどう考えるのか、それから、賠償が連鎖反応の危険性はないか、それから、賠償の法的根拠が弱い点、及び統計的根拠が弱い点、それから、国連とアメリカとの関係をいま外務大臣はどうお考えになっておるか、常識的な御答弁をいただいて、この次それについて私は深くお尋ねしたいと思っております。 京城でまたもや騒ぎが起こりました。それは、実際、星と言っていいか、宿命と言っていいか、日韓会談のたびごとにこういうことが起こります。大平外務大臣にとっては、この騒ぎがあることが天祐神助ではあるまいかとすら思っている。これでもって会談を慎重にやらねばならぬということに両国の当局が落ちつけば、幸いにして与党と野党の衝突も回避することもできるわけですから、この際これを天啓、天の示しと考えて、こういう騒動がなぜ起こるか、春先だから浮かれたとか、自由が与えられたとか、そういうような都々逸、浪花節のようなお考え方でなくて、こういう騒ぎが起こっている事態の背後に流れているものはどういうことであるかということで、事態をしばらく静観されることを私としては希望するわけです。
○大平国務大臣 韓国経済をどう見るかにつきまして、弱体じゃないかということでございますが、帆足先生のような見方からしますと、すなわち、賦存資源が乏しい状況に巨大な人口を擁しておるというたてまえから見れば、確かに困難な状況のもとにあることは御指摘のとおりだと思います。ただ、私どもは、経済の根本は人間だと思うのでございまして、韓国のすぐれた労働力というものが組織され動員されて、かの国の経済が発展することになることを期待いたしておるわけでございまして、天然資源が乏しいからこの国はだめだというように断案を下すことはいかがかと考えます。スイスの例を見ましても、またわが国の例を見ましても、天然資源と経済力というのは必ずしもバランスが並行しないものでございまして、やはり人間の力というものをどう開発していくかということがその国をになう経済政策の根本になるのではないかと私は思います。 それから、経済協力、経済関係を結ぶにあたっての第三国の保証というような点は、全然考えておりません。 それから、国連と韓国との関係、米国と韓国との関係、韓国をめぐっての国連と米国との関係、そういった点につきましては、資料を取りそろえの上提出いたします。
○帆足委員 それでは、外務大臣はもう御退席ですからけっこうですけれども、先日賀屋法務大臣と懇談会をいたしまして、そうして南北朝鮮の人事の往来等のことを相談し合いましたから、これはいずれ外務大臣にその状況、経過を報告いたしまして御研究願いますが、最後に、ただいまの韓国における国連機能の詳細な資料をひとついただきたい。それから、韓国の日本人妻が里帰りを切望しておるという、読んでみるとまことにお気の毒な涙ぐましい記事が出ておりました。したがいまして、この問題につきまして私どもは研究いたしまして、事務当局と相談して資料をもらいまして、また外務大臣にもお願いいたしますが、日本人妻のせめて一月くらいの里帰りということでございますから、これはひとつアジア局のほうで御研究のほどをお願いいたしまして、その他の問題は次回に譲りまして、これできょうは質問を終わります。
○高瀬委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十九分散会