外務委員会 第8号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/03/04
会議録
○赤澤委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 最近国際上のいろいろな問題があるわけでございますが、私はきょうは特に日韓と日中の問題にしぼりまして二、三点伺いたいと思います。 まず日韓問題でございますが、新聞に報道されたところによりますと、漁業問題で近いうちに政府が閣僚の政治会談を開くということが伝えられておりますけれども、これはいつごろから何の目的でお開きになるかを伺いたいと思います。
○大平国務大臣 先週の土曜日に、先方から、専門家レベルの会合が思うように進まないので、より高級の会談を開きたいという御要望がございました。より高級な会談という意味は、外相会談ということも考えられまするし、それから、いまの予備交渉というものを正式交渉に移すということも考えられまするし、漁業問題につきましては農相会談ということも考えられるわけでございまして、いろいろ組み合わせが考えられるわけでございまするが、ともかく、交渉を促進するために、より高級な会談について日本側の御同意を得たいという意味のお話し合いがございました。そこで、私ども政府部内で相談いたしまして、当面日韓交渉のペースメーカーは御案内のように漁業問題でございまするから、先方の申し出の趣旨をくみまして、漁業問題につきまして閣僚レベルの交渉をやろう、こういう返事をいたしました。この返事に対して、まだ正式の応諾のお返事はいただいておりませんが、これは、日本側のお返事の趣旨が先方において御異存がなければ、十日ごろから閣僚レベルにおける漁業問題の会談が開かれることになるだろうと思います。当方といたしましては、その場合には農林大臣をわずらわしたいと思っております。
○戸叶委員 いまもお話がありましたように、韓国側は何とかして日韓会談の促進をしたいというふうに考えているわけでございまして、今回も漁業問題での問題の妥結にあたって閣僚レベルでの会談をしたいと申し入れてきているわけでございますが、韓国の指導者たちはそういうふうに日韓会談に対して非常に急いでおりますけれども、韓国の漁民なりあるいは韓国の国民はむしろそれに対して反対の態度をとっているということを、韓国から帰ってきた人あるいは来た人たちから聞くのですけれども、そういうふうなことも政府は御存じでございましょうか、どうでしょうか。
○大平国務大臣 重要な問題でございますので、いろいろな論議が韓国の国内にもあることは、私どもも承知いたしております。どこの国におきましても、そういうことはあり得ることだと思います。
○戸叶委員 そのくらいのお考えでは少し甘いのじゃないかと思います。韓国の漁民なりあるいは国民は今日の日韓会談というものに対して指導者が非常に急いでいることに対して強く反対をしているというようなことが、直接私どものほうに伝わってきておるわけです。ことに、漁業問題というのは、漁民の利益に影響がありますけれども、しかし、それはひいては国全体の問題になるわけでございますが、政治会談にまで持っていくというからには、先ほども外務大臣がおっしゃいましたように、なかなか問題が進展しないから政治会談に持っていくんだというお話にありましたように、相当の対立点があるから政治会談に持っていくんだろうと思っております。 そこで、この政治会談というものをお受けになった日本の政府は、今度の政治会談によって、多少でも韓国に対して在来の主張を変えられるような、そういうような点があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 その御質問に答える前に、最近の日韓会談に対する韓国内の世論調査につきまして、私のほうにインフォメーションが入っておりますから、ちょっと御参考までに申し上げておきます。 これは二月二十六日付の韓国日報に広報部が最近行なった全国世論調査の結果を掲載されたものであります。全国五十二基本地点から無作為抽出方法によって二千六百の標本を対象に実施したものであるそうです。その質問の一つとして、日韓会談が十有余年間継続しておるのを知っておるかという質問に対して、知っておるというのが四五・三%、知らないというのが五三・八%、第二の質問、日韓会談を知っている者のみに対して、日韓国交正常化が必要と思うかという質問に対して、正常化しなければならないと思うという答えが六二・二%、必要でないというのが二一・六%、わからないというのが一五・九%、こういう数字が出ておるようでございます。これを御参考までに申し上げます。 それから、いまの御質問でございますが、今度私どもが農林大臣レベルの会談に応じたというのは、先方の御要請がありましたので、これに対して応諾するのが適当と認めたわけでございます。交渉は相手があることでございまして、お互いの呼吸が合わなければいかぬわけですから、私どもも、そういう御要請がある以上、これを応諾してしかるべし、こう考えたわけです。 それから、その場合に譲るべきところがあるのかという御質問でございますが、これは、いつも申し上げておりますように、納得のいく合理的な解決をはかるということが私どもの本旨でございまして、会談がいかようのレベルにおいて行なわれようとも、われわれはその基本の精神にのっとってまいるつもりでございます。したがって、会談のレベルによってわれわれの態度を変えていくという、そういうぞんざいな気持ちは毛頭ありません。
○戸叶委員 最初のほうの問題ですけれども、先ほど世論の動向について統計をお示しになったのですが、えてして、政府が広報局というところを使っての世論というものは、なかなか大衆全般の世論をつかんでいない傾向が多いということだけを申し上げておきたいと思います。 それから、第二の問題ですけれども、閣僚級の会談になったから何か譲るというようなことはない、いままでと同じである、——それはいいんですけれども、この閣僚級の会談で納得のいく合理的な解決を見出していく、こういうことばの中には、いまおっしゃった内容と少し違う点があるんじゃないですか。なぜかといいますと、いままでの話し合いでなかなか進展しないから、そこで今度は閣僚級の会談になる。閣僚級の会談でまとめようとすれば、どうしてもそこに何か、いままで日本の政府と韓国の政府とが対立をしていた点で日本が何らかの譲歩をしなければならないような面も出てくるのではないか、そういうような点があり得るかどうかという質問でございます。それに対して大平さんがおっしゃいますのは、合理的なそして納得のいくことならばその線に持っていくということでございますが、そうであるとするならば、そこに何かの譲歩があるんじゃないか、こういうふうに考えられますが、この譲歩もあえてするということでございましょうか。それとも、いままで対立していた漁業問題のもろもろの問題は、日本側としてはあくまでもそのままの線でいく、しかし、向こう側の意向を聞くという程度で、日本側は譲歩しないんだというふうに了解していいでしょうか。
○大平国務大臣 合理的な納得のいく内容のものにしたいと思っておるわけです。しかし、両当事者が話をすることでございますから、一方の案でみじんも動くことがないんだ、そういうようなことでは、私は交渉にならぬと思います。しかし、でき上がった結果が合理的で納得のいくものにしたいという基本の精神は、みじんも動かすつもりはございません。
○戸叶委員 両国でお互いに漁業に関するもろもろの問題について話し合いをしていると思います。その中で、いろいろな問題で食い違っている場合がたくさんあると思います。そういうふうな問題につきまして、政治会談に臨む前に、私どもは、こういう点が日本側の主張であり、こういう点が韓国側の主張であるという、その資料、詳しく書いた資料を一応出していただきたい。もしもそれが公式に出せないというならば、秘密会議にでもいいですから、その資料を出していただきたいと思います。委員長、これをお取り計らいいただきたいと思います。
○大平国務大臣 それは、私どもといたしましては交渉の途中のことは政府に御信頼をいただきたいと思います。でき上がったものについて国会で御審議をいただくわけでございます。交渉の途中、被我の対立点を国会の皆さんにおはかりするということは、外交交渉としてはいたしかねます。
○戸叶委員 国会ではかっていただかなくてもけっこうですから、それでは秘密会議でもいいですから、こういう点が問題になっているということをお話しいただけますか。
○大平国務大臣 交渉が妥結いたした暁にはいかような御質問にでも応じますけれども、その途中におきましては、残念ながら応諾いたしかねます。
○戸叶委員 そういうところにやはり国民が納得しない面があるんじゃないかと思うのです。ことに私どもは苦い経験を持っております。たとえば、財産請求権の問題にいたしましても、法的根拠のあるものと言いながら、いつの間にかつかみ金みたいな、祝い金みたいな、ものにきめられて、七千万ドルといわれていたのが五億ドルになったという苦い経験もがあるわけでございまして、そういう点を考えてみましても、やはり、漁業交漁の過程において、こういう点は違っているけれども、これをこういうふうになったとか、そういうことをはっきり、秘密会議の形でもいいですから、国会議員に示すのがほんとうじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、くどいようですが、その点もう一度外務大臣にお聞きしたいのと、もう一つは、新聞によりますと、この政治会談に追い打ちをかけるような形において、今度金鍾泌氏が台湾を訪問される帰りに日本にお寄りになるということが発表されておりますけれども、そのとおりと了解してよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 前段のほうの御質問に対しましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、こちらもたいへんくどいようでございますけれども、交渉の途中におきましては御遠慮をさせていただきたいと思います。 それから、後段の御質問でございますが、私のところへ入った情報では、日本に立ち寄られる入国の査証の件を事務当局のほうに相談に来たということは聞いておりますが、それ以上のことはまだ何ら入っておりません。
○戸叶委員 そうしますと、明らかに日本に寄られるということははっきりしたわけでございますね。日本に寄られるということになりますと、この閣僚級の政治会談をして、そして一応瀬踏みをして、そのあとまた金鍾泌氏との会談、日本の外務大臣なり何なりとの会談ということにもなるのではないかと思いますけれども、この点はいかがでございますか。先のことですから言えませんなどということではなくて、きっとお考えがあると思いますから、はっきり述べていただきたいと思います。
○大平国務大臣 査証の件のお問い合わせがあったということだけ聞いておるのでございます。それから先のことは全然伺っていないわけでございます。私のほうからまだとやかく申し上げることは何もありません。
○戸叶委員 それでは、国民の一人として申し上げておきたいのですが、国民は、この前金鍾泌氏が大平さんとお会いになって、大平・金会談で請求権の問題がたいへんに膨張して、そして巨額な額がきめられたことはさっき君が申し上げたとおりで、こういう煮え湯を飲まされておりますので、また大平さんと金鍾泌氏とが会うことによって何らかの形で会談が促進するような方式がとられるのではないか、また、国民が非常に不利な点が出てくるんじゃないか、こういうようなことを非常に危惧しているわけです。あの新聞を見てぞっとしなかった人はないのではないかと私は考えます。ですから、そういうふうな関係でございますから、今度金鍾泌氏が日本にお寄りになっても、会談の問題について何らかの促進というようなことの話し合いはどうかされないようにということを私たちは願うのですけれども、大平さんの腹がまえといいますか、そのお考えを伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 金鍾泌氏の件は、まだ向こうから何らこちらにはアプローチがありませんから、私に会いたいとかなんとかというお話がまだありませんので、何ともお答えようがないわけであります。 それから、私に関したことでございますけれども、戸叶さんも私も長い間のおつき合いでございますが、私も政治家の端くれでございますが、私が何かやるとたいへん国民に御迷惑をかけるような印象は、私といたしましては非常に心外でございまして、私も乏しいながら微力を傾けて日本の国のために国民のためにやっているつもりでごまいますので、いまのような私に対する御不信がおありでございますならば、それはひとつどうぞお心の中でお始末をしていただきたいと思います。
○戸叶委員 外務大臣の誠意はときによっては認めます。ただ、問題は、金鍾泌氏とのこの前の請求権問題に限って私は申し上げたわけでございまして、ああいふかうなことになりますと、国民は、また同じ金鍾泌氏と会うから何かとんでもない損をするのじゃないかということを考えるということだけを申し上げたわけでございますから、その点誤解のないようにしていただきたいと思っております。 そこで、予算委員会などの質疑応答を速記録で拝見いたしますと、井手さんだとかわが党の野原氏の質問の中で明らかにされたことは、漁業専管区域は十二海里とするのだ、そうして、その基本となるものは低潮線で、島がたくさんあるときには直線基線を引いて、そうしてそれから十二海里とする、こういうふうに言われておる。そうして、この確定された専管区域の中に領海が含まれていて、領海は三海里である、こういうふうな答弁に要約すればなると思いますけれども、念のためにこのことを確認しておきたいと思いますが、いかがでございますか。
○大平国務大臣 大体いまあなたが言われたとおりです。
○戸叶委員 これはちょっと横道にそれますけれども、領海の問題ですけれども、日本も領海は三海里という説をとっているわけですね。ジュネーブの国際会議では最近大体六海里説というようなものが強くなってきているのですけれども、日本は六海里というような線を打ち出されてもよいのではないかと思いますが、その点はいかがなんですか。
○大平国務大臣 まだそういうことは検討しておりませんので、領海三海里の立場に立っております。
○戸叶委員 そうしますと、韓国の場合も三海里、それから、専管区域が領海も含めて十二海里、こういうことになりますと、正確に言いますと九海里というものが専管区域ということになるわけですね。何かその辺がいままでの答弁でどうもはっきりしていない。専管区域は十二海里だ、領海は三海里だ、それでは専管区域そのものは十二から三を引いて九海里というふうになるのですが、そういうふうに了解してよろしいわけですか。
○大平国務大臣 正確に言うとそうじゃないのでございまして、いま私どもが漁業交渉で問題にしているのは専管水域なんでございまして、領海ではないのでございます。領海交渉をやっているわけではないのでございます。領海というのは両方とも三海里と了解いたしているわけで、それには全然関係がないわけなんでございまして、魚をとる場合の専管水域というものをどのようにつくるかということを、国際法の傾向を見ながら、いま交渉しておるということでございまして、領海とは全然関係がないことなのでございます。
○戸叶委員 領海と専管区域と関係がないということは言えるのですか。というのは、領海の場合には、条約局長もはっきり言っておりましたように、沿岸国が絶対権利を持っていて、そしてそこに対してコントロールできるのだ、しかし、専管区域というものは、絶対権利がその沿岸国にないのだということがはっきりしておるわけですね。そのコントロールの権利というものは大体領海のほうに持つほどの権利ではない、専管区域のほうにはもっと弱まっておるのだというふうに答弁しておるわけです。それから見ても、私は別に領海がどうの専管区域がどうのということを問題にするのではないのですが、はっきりさせておかないと困る問題が起きるのじゃないかと思いますから、その点を伺っておくわけです。
○大平国務大臣 ちっとも困らないのです。領海というのは厳としてあるわけなんです。そこには沿岸国の主権が及ぶのですから、それは厳としてあるわけなのでございまして、そういう前提の上に立ちまして、私どもは漁業専管水域をどうきめるかという問題をやっておるわけなんで、領海は全然頭の外に置いていただいてちっとも支障がないのです。
○戸叶委員 それでは、もしも問題が起きたときにはどうするのですか。たとえば、専管区域で日本の漁船あるいは海上保安庁の船が誤って入っていってつかまったという場合の裁判管轄権はどういうふうになるのですか。この裁判管轄権の問題から考えましても、専管区域のあり方というものはやはりはっきりきめておく必要があるのではないかと思います。
○大平国務大臣 それは仰せのとおりでございまして、専管水域における裁判管轄権はどうだということは、今度の交渉でちゃんとしておかなければいかぬ。それは仰せのとおりです。
○戸叶委員 そうすると、専管区域の場合の裁判管轄権は日本にあると了解していいわけですね。日本側の主張としては日本にあると主張していらっしゃるわけですか。
○後宮政府委員 裁判管轄権につきましては、いずれ協定の中でどちらにあるかを規定することになるのでございますが、大体、従来結ばれました漁業協定の慣例によりますと、漁業に関する限りは専管区域におきましては沿岸国、そして、もし入り会い漁業権が認められる場合には、旗国と申しますか、その漁船の所属国、そういうふうな慣例になっております。
○戸叶委員 そうすると、日本にそういうふうな規定を設けてやっているわけですね。そうすると、今度は共同水域の場合にもそれと同じことが言えるわけですか。
○後宮政府委員 共同規制区域については、旗国、船の所属国になるわけであります。
○戸叶委員 その領海なりあるいはまたこの専管管区域についての測定の方法なのですけれども、この領海というものは、いま三海里であるということを大平外務大臣はおっしゃったわけです。そこで、今度の専管区域というものの線を引く場合に、直線基線方式を使われるということを聞いておるのですけれども、そうでございますか。外務大臣は、海岸線がたいへんに入り込んでいたり、あるいは島の多いような場合には、国際法の慣例によって直線基線方式をとるというようなことをこの前答弁されておりますけれども、そのとおりでございましょうか。
○大平国務大臣 仰せのとおりです。
○戸叶委員 専管区域の場合に国際法上そういうことが認められておるなんていうことは、私は通用しないと思います。沿岸から領海をきめる場合には、でこぼこしておるときは直線基線方式を使うということも国際法上認められておる。しかし、専管区域の場合にそういうふうな直線基線方式をとるなんていうことが一体いつ認められておりますか。専管区域というようなものはあまりない例ではありませんか。
○大平国務大臣 例がありますので、それは局長のほうから答弁いたさせます。
○後宮政府委員 最近結ばれました漁業協定、たとえばイギリス・デンマーク、イギリス・ノルウェー、イギリス・アイスランド等を見ましても、全部専管漁業区域の制度がございます。ですから、新しい、むしろ戦後の慣例としてこういうことが出かかっておるわけです。 それから、先ほど御指摘になりました領海の基線と専管漁業区域の基線の関係でございますが、ジュネーブの海洋法会議のときに、一票差で可決はされませんでしたけれども、一応多数をとりましたいわゆるジュネーブ方式におきましては、原則として専管区域の基線は領海の基線をとるということになっております。しかし、国際慣例で必ずしも全部一致してない協定もございます。しかし、ジュネーブ方式では、一応専管区域のベースラインは領海のベースラインをとるというのがジュネーブ方式の考え方なんであります。
○戸叶委員 そうしますと、日本の外務大臣のこの間おっしゃった答弁は、ジュネーブ方式とは違うわけですか。そうすると、国際慣例に従うとは言えないわけですね。
○後宮政府委員 要すに、大臣が申されましたのは、観念論として領海のべースラインと専管漁業区域のベースラインは概念的に別のものであるということで、そうしてまた別になっておる条約の例もあるわけであります。それから、ジュネーブのこの条約方式は、条約は成立はいたしておりませんが、あのとき多数票を得ました方式は、この領海のベースラインを専管区域のベースラインとして採用する、概念的には別であるけれどもそれを採用する、そういうふうな考え方に立っております。
○戸叶委員 いまアジア局長が御説明になったとおりでございます。日本はやはり有利のほうをとったほうがいいのではないかと思います。と申しますのは、その専管区域をもしも直線基線方式をとった場合に非常に広くなる部分が出てくるわけです。そういうふうな立場から考えますと、やはり沿岸の線に沿うての直線基線方式ではない形で専管区域をきめるべきではないか、そのほうが日本にとって有利ではないかというふうに考えるわけでございますが、この点はいかがでございますか。
○大平国務大臣 日本は日本の有利なことを主張するし、韓国は韓国の有利なことを主張するわけです。それで折衝が行なわれておるわけであります。私が申し上げておるのは、私どもが妥結内容として期待いたしておりますのは国際慣行というものを踏まえて筋が通ったものであるというようにしないといけないということでいま交渉に臨んでおるということです。
○戸叶委員 日本の外務大臣ですから、日本は日本の有利なように主張するのはあたりまえだと思うのですが、いまの問題をとらえてみても、日本にとって有利じゃないんじゃないのですか。そうでしょう。専管区域の線の引き方については、日本は直線基線方式をとっている。そうすると、非常に島の出たところなどで不利な場合になることが、対馬のところとかいろいろな面で多いわけです。ですから、初めから日本が有利な立場に立って主張しているとは言えないのじゃないかというふうに、私は考えられるのですけれども、アジア局長、いかがでございますか。
○後宮政府委員 ジュネーブの条約の原則によりましても、低潮線を原則とする、原則は低潮線になっております。そして、御指摘のとおり、うんと湾が入り込んでいるところとか、あるいは沿岸に沿って島嶼の連なっているところは例外的に直線基線をとることになっております。現在韓国側との話し合いにおきましても、詳細な点は別といたしまして、要するに、どこの島を通ってどこまでを直線基線にするか、原則はどちらもジュネーブ方式というものをグラウンド・ルールとして了承しているのでございますが、いよいよその原則を適用する場合に、どことどこの島までは直線基線方式をとる、そしてどこまでは低潮線をとるということは、話し合いの対象になるわけでございます。
○戸叶委員 その問題は地図か何か持ってきてはっきりしませんと、いかに不利になるかということがわかりませんから、この次の機会にしたいと思うのです。 そこで、お伺いしたいことは、漁業専管区域とか共同規制区域、そういうものの設定は無期限にするのかどうかということでございます。政府の説明によりますと、現在の韓国の水産技術水準が低いために、暫定的にわが国にとって不利なああいう水域の設定に同意もやむを得ないのだと言っていられるようでございますが、将来韓国の水産技術がある程度上昇したならば、当然専管水域とか、あるいは規制水域とかというものは撤回されるべきだ、こういうふうに考えるわけでございまして、一応政府の立場に立って考えたといたしましても、この水域に対する撤回の期限をはっきり条文の中に入れていられるのかどうか、そういうことを主張されているのかどうか、この点も外務大臣に念のために伺いたいと思います。
○大平国務大臣 それは漁業協定をどういう期限のものにするかでございまするが、まだ何年にするというようなことを私どもきめているわけではございません。問題は、朝鮮海域における資源の状況を踏まえて、両国の漁業者が、一ぺんに乱獲してしまってもうあと資源はないというようなことは非常にみじめな状態でございますから、長きにわたって最大限の利益を享受するというようなことを考えなければならぬわけでございます。したがって、全部撤廃してしまってもうとりっぱなしになるんだというようなあなたの表現から受ける印象、そういう状態であっては、私は漁業者の利益にはならぬと思うのでございまして、私どもといたしましては、そういうことを考えて、両国の漁業者が長期にわたって安定した利益を確保できるようなぐあいのものにいたしたいということを中心にいたしまして考えてまいりたいと思っております。期限を何年にするかということは、まだきめておるわけではございません。
○戸叶委員 私はとりつばなしにしろとかなんとか言っているのじゃなくて、政府が説明したところによると、現在韓国の水産技術の水準が低いために暫定的にそういう水域を設けているんだということを説明されたわけです。そこで、私は、そういうふうなことをかつて言われているのですから、望ましくないけれどもそれを認めているんだと言われたのであるから、これをやはりある程度期限を切って、期限を話し合いでいつまでというふうにしたほうが、あとのためになるのではないかというふうに考えたので伺ったわけです。 こういうふうないろいろな問題点を伺ってみますと、まだまだ日本の政府としてきちんとしておかなければならない点などがあるにもかかわらず、私どもにとってはあいまいに思われる点がたくさんあるわけでございまして、こういう立場で、こういう態度で政治会談に臨まれるということは、もっとしかとした意見を持っていないとあぶないのではないか。ことに金鍾泌氏との会談等においては特にそういう点を危ぶまれるということを申し上げたのはこういうところにあるのでございますから、どうかその点を、私が委員会でそういうふうに申し上げたということを常に頭の中に入れておいていただきたい、こういうふうに思います。 そこで、次に私は二、三点中国問題について伺いたいと思いますが、きょうの新聞で、三日にジュネーブで開かれた世画保健機関W日Oの十七回の年次総会で、フランスが信任状委員会の表決で国府の信任状受理に反対の投票をした、そして中国の加盟に賛成の意思表示をしたということが出ていたわけでございますが、その中で日本はどういうふうな態度をとっていられたのでしょうか。何か新聞には書いてなかったようでございますけれども……。
○齋藤(鎭)政府委員 お答えいたします。 かかる場合の国の態度につきましては、国連総会におきましてすでに決議がございまして、中国代表権問題については総会がまず審議をする、その結果をほかの会議ないしは専門機関は考慮に入れるということがございまして、わが国は、その決議の立場をとりまして、かかる政治的な意味のある問題はまず総会において審議せられるべしという立場をとっております。したがいまして、代表に対してもそういう一般的な訓令を与えておりますので、表決の結果につきましてはまだ公電が入っておりませんが、大体資格審査委員会の原案に対して賛成をしたというように了解しております。
○戸叶委員 そうしますと、一九六一年の日本が国連総会でとったその基本的線はいつまでも、そしてまたいかなる機関においても変わらないという態度でもって臨むということでございますか。
○齋藤(鎭)政府委員 六一年の決議等は関係ございません。かかる問題を一専門機関において決定することは適当でない、政治的な意味のある問題は総会でまず決定をして、それにならうという立場から、中国ないしは南アの問題も含めて論議されたようでございますが、そういうものを変えることは適当でない、従来どおりのたてまえでいくべきであるという意味で、中国の代表ないし南アの代表の資格について審査委員会が報告しましたその原案に賛成したわけでございます。
○戸叶委員 じゃ外務大臣に伺いますが、これからいろいろな機関でそういうような決議がされると思いますけれでも、次の国連総会においてはっきりとした態度をきめるまでは日本の政府の代表ばいままでとちっとも変わらない態度をとる、こういうことでございましょうか。
○大平国務大臣 いま局長が申し上げたとおり御了解いただいてけっこうと思います。
○戸叶委員 中国承認問題は、だいぶん最近において情勢も変わってまいりましたし、日本の政府自身も積極的に中国とのいろいろな問題を解決していこうというような面もこの委員会等を通して答弁を少しずつされているわけでございますが、今後においては、こういうふうな各機関でのいろいろな決議というようなものがありますし、総会も近いことでございますが、いままでのように、外務大臣としては、この国連に臨む態度というものはいろいろな情勢を見てでなければ決定しない、こういうようなお考えからは少しも進んでいらっしゃいませんか。この点を伺いたいと思います。 あわせてお伺いしたいのは、松井大使がブラザビルの各国を訪問されておりますが、その結果に基づいて国連に対する態度をある程度変えるとか、そういうふうな何らかの国連に対する態度のめどを立てていらっしゃるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 たびたび申し上げておるように、まだ第十九回総会の国連対策を立てるに至っておりませんで、鋭意材料を集めておる段階でございます。松井さんの報告もその一つになろうと思います。
○戸叶委員 松井さんの報告のことも伺ったのですが、国連総会に臨むぎりぎりまで日本の態度というものはおきめにならないのですか。いつごろかというめどはおきめになっておかないのですか。
○大平国務大臣 中国問題が最近非常にやかましく論議されるようになりましたのは、要するに、フランスがああいう措置をとってから、日本におきましても、国会におきましても論議がやかましくなったわけでございますが、私がそのときも申し上げましたように、このことの影響もまだ出尽くしていないわけでございます。コンゴが中共を承認するという意向を表明しただけが、結果といえば影響が具体的にあらわれたたった一つの例でございまして、ほかの国々はまだ何らの徴候を見せておりませんので、私どもといたしましては、もっと情勢が熟してこないと、国連対策を立てろといったって、あなたが外務大臣でもおそらく無理だろうと思います。もう少しかすに時間をもってしていただかないと、問題は重要なんでございますから、材料を集めさしていただいて慎重に検討さしていただき、その上でまたお尋ねをちょうだいいたしたいと思います。
○戸叶委員 材料を得るということになれば、あちこちからいつまででも材料を得る材料を得るという理屈になると思うのです。ただ、私が伺っているのは、国連総会に臨むぎりぎりまで中国に対する態度というものをおきめにならないかどうかという、そのめどの点を伺っているわけなんです。それまで集めているんだといえばそれまでだと思うのですけれども、国連に臨む前には、幾ら日本の貧弱な情報機関でも、大体世界じゅうの情報は集まるだろうと思うのですけれども、それでもなおかつ総会に臨むまでは態度は表明しないというふうに考えていらっしゃるのかどうかということを私は承っているわけですから、その点だけを御答弁していただきたいと思います。
○大平国務大臣 国連の光栄あるメンバーでありますから、国連総会に出るまでには、それはちゃんと対策を立てねばならぬことは当然でございます。
○戸叶委員 結局出るまではいろいろと考えているというふうにおっしゃったと思うのですが、ただ、こういうことだけははっきりさしておいていただきたいと思いますのは、一九六一年に中国代表権問題が討議されまして、そして重要事項指定の決議案の投票が終了いたしましたその直後に、当時の岡崎国連大使が記者団に語ったという、その新聞がちょうど出てきたのです。それを私読んでみましてびっくりしたのは、投票結果が予想よりもたいへんよかった、しかし、ブラザビル・グループの態度が逆であったということを考えれば、来年も油断はできない、こういうふうな表現をされまして、中国が国連に加盟できなかったことをいかにもほっとしたような表現、ほんとうによかったというような表現をその当時使っていられたわけなんでございます。私は、少なくとも中国を無視してアジアの平和はあり得ないというふうにはっきり言っていらっしゃる現政府、現大平外務大臣は、こういうふうな態度はあり得ないというふうに考えますけれども、その点だけを念のために伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 私は、たびたび申し上げておりますように、国連活動は衆人環視の中でやることでございます。光栄あるメンバーとして、責任あるメンバーとして、公正にやるつもりでございます。
○戸叶委員 具体的な問題を二、三点伺いたいのですが、参議院の予算委員会等でも聞かれたと思いますけれども、その後の答弁等見ましてはっきりいたしませんので、もう一度伺いたいと思いますことは、新聞記者の交換、貿易関係の事務所員の長期滞在、こういうふうな問題についてでございますけれども、新聞記者の交換等についても、参議院で質問いたしましたときに、外務大臣がはっきりと、記者の交換は、公正・客観的な報道が行なわれることは相互理解の上から非常に大切な前提条件だと思って、これには賛成するということを答弁されておられます。そして、その後に至りまして、先ごろ日本に来られていた趙安博氏が北京に帰る途中で、日本側が話を進めれば中国はいつでもこれに応じるというふうなことを言われているわけでございまして、こういう関係を見ますと、何ら差しさわりがないという観点に立って、政府としてもやはりその点を、公式にできないとしても、何らかの協力をすべきではないか、具体的にそれの実現するようなことを考えるべきではないかと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
○大平国務大臣 いま中国大陸との間には民間ベースの貿易その他の事実上の関係が行なわれておることは御案内のとおりでございまして、新聞記者の交換問題も、こちらの報道機関側と先方との間に話が持ち上がって、そして政府には入国ということについてアプローチがあるという手順になるのではないかと思うのです。まだそこまで至っていないということでございます。ただ、政府のほうの考え方としては、公正・客観的な報道が行なわれるということはいいことと思う、同時に、やはり相互主義が貫かれなければならぬと思う、それは人数の点におきましてもあるいは取材活動の点におきましてもそういうことが必要ではなかろうかと思うという、一般的な感じを申し上げたわけでございます。具体的にはアプローチがあってからのことなんで、具体的にアプローチがありまして、政府部内で相談することだと承知いたしております。
○戸叶委員 そうしますと、結局、向こうのほうから相互主義の上に立って記者の交換をいたしましょうというアプローチがないうちは、一応政府としてはそのままにしておくということでございますか。それとも、いままでの外務委員会等の答弁によっては、記者交換ということはいいことじゃないかというその答弁の上に立って、こちら側もある程度積極的に話を進めていかれるというような御意思があるのか、この点をもう少し具体的にはっきりさせていただきたいと思います。
○大平国務大臣 すべてそういうアプローチがあってからのことになると思っております。
○戸叶委員 そうしますと、やはりこの問題は人が来ることでございますし、そういう点から考えまして、政府としても当然ある程度ほかの新聞記者の方たちと同じように扱う、相互主義の上に立って扱う、こういうことになると思いますが、それではもう一度念のために申し上げますと、外務大臣としては先方からもう少し具体的な話があってからこれを受けて立つというふうに了解してよいわけでございましょうか。くどいようですが、念のためにもう一度はっきりさせていただきたいと思います。
○大平国務大臣 日本の報道機関のどこが窓口になるか知りませんけれども、そこから政府のほうに御相談がありましてから、政府部内で相談すべき問題と思っております。
○戸叶委員 最後にもう一点伺いたいことは、吉田さんがこの間台湾を訪問されましたが、その前には、中国とのプラント輸出の問題で何か誤解ができたとかなんとかいうので大野さんが台湾に訪問し、周鴻慶氏の問題で後宮局長が訪問され、そして今度は吉田さんが訪問され、また今度は毛利政務次官が訪問されるというようなことが伝えられているのですけれども、国民はなぜこういうふうに再三再四台湾に向かって使者を出していかなければならないのかということを非常に疑問に思っているわけでございます。もっと自主的に思ったままをやっていけばいいのじゃないかと思うのですけれども、毛利さんが今度公式の政府代表として台湾に行かれるおもな原因は何でしょうか。与党の中にもたいへん反対があるように承っておりますけれども、その目的は何であるか。
○大平国務大臣 毛利さんは、外務政務次官として、現地の事情を御視察いただき、現地の大使館との事務の打ち合わせをいただくという私の指示によって台北をおたずねいただくわけでございます。格別のことはございません。
○戸叶委員 いま別にそういうことを急いでされなくてもいいのじゃないでしょうか。たまたま国会も始まっておりますし、そういう点、いろいろな点を勘案いたしまして、ことに中国の問題も大きく出てきているときに、政府の代表を台湾にだけ派遣するというようなことをしないでもいいのじゃないかと思うのです。いま急にする必要はないのじゃないかというふうに思いますけれども、この点を念のためにもう一度伺いたいのと、もう一つは、聞くところによりますと、そのあと大平外務大臣も訪問するのではないかとさえいわれておりますけれども、まさか大平外務大臣はそういうことはなさらないと思いますが、この点は念のために伺っておきたいと思います。二つの点をお答えいただいて、私の質問は終わりたいと思います。
○大平国務大臣 毛利さんが御出張する時期でございますが、ただいまは適当じゃない、なぜただいまでなければならぬかということでございますが、これは御意見の相違でございまして、ただいまであって悪いということはないと私は思っております。国交がある国と人事の交流がありますことは、きわめて自然なことでございます。私といたしましては、現地の事情を毛利さんに御視察いただく必要を感じましたので行っていただくわけでございます。 それから、私の訪問の問題は、私といたしましては、御承知のように、国府と日本との間の国交の改善ということにつきましては、私の責任において終始腐心いたしておるところでございまして、どのようなことで改善してまいるかということはいろいろ考えておるわけでございまして、私の訪問も含めまして検討しておるというのがいまの実情でございます。
○赤澤委員長 松井誠君。
○松井(誠)委員 前回の委員会で貿易開発会議に臨む政府の態度をゆっくりお伺いする時間がございませんでしたので、きょうあらためてお伺いをいたしたいと思います。 ちょうど前回の委員会の同じ日に、新聞の報ずるところによりますと、池田総理が、低開発国援助は日本民族の使命だというような、だいぶ時代がかった表現ですけれども、そういう表現をされておるということを、何かラジオかテレビかの座談会の発言のようですけれども、そういうことを新聞で読んだのであります。池田さんと一心同体である大平さんも同じお考えであろうと思う。つまり、低開発国援助の問題についての基本的の姿勢としては同じだと思いますが、それが日本民族の使命だというその趣旨は大体どういうことであろうか、先進国と後進国との間をどういう形で解決するという基本的なかまえを持っておられるのか、その点から最初にお伺いいたしたいと思います。
○大平国務大臣 非常に簡単な表現でございますので、総理のおことばを解説することは非常に多岐にわたると思うのでございますが、言わんとするところは、第一の前提として、孤立した繁栄はないという考え方が一つあると思うのでございます。第二は、低開発国の安定と繁栄が世界平和を維持する上から申しまして決定的に重要な一つの要素であるという認識がおありと思うのでございます。それから、第三点として、わが国は国民のすぐれた活力を保有しており、生産力の発展も予期以上に伸びておるから、われわれだけが今日の繁栄をエンジョイするということでなくて、後進国に対して十分配慮するところがなければ、世界平和に対してわが国の果たすべき使命も果たされないのではないか、そういう御認識が根底にあるものと私は思います。
○松井(誠)委員 いまの御答弁を要約すると、とにかく、一国だけの繁栄はあり得ない、つまり低開発国が開発されること自体が日本の繁栄にもつながるという問題と、もう一つ、さらに南北問題が解決されない限りほんとうの平和は来ないという世界平和の観点と、二つあると思うのです。ことばじりをつかまえるわけではございませんけれども、日本民族の使命というそういう使命感は、むしろ自国の利益、大平さんのことばによれば国益ですか、その国益が先に立つべきものなのか、あるいは世界平和というそういう観点が先に立つべきものなのか、これは機械的に分類をするわけにはまいりませんけれども、使命感ということばの中には、そういう自国のナショナル・インタレストというものよりも、むしろ世界平和を優先するという立場でものを考えなければいけないのだというニュアンスがそのことばの中にあると思う。だから、そういうふうにこの低開発国問題は理解する、そういう形で進めていく、対処するというふうに受け取ってよろしいですか。
○大平国務大臣 国益よりは平和をという、そういう優劣関係と申しますか、そういう関係ではなくて、私は、一体だと思うのでございます。平和のないところに繁栄はないし、繁栄のないところに平和はないので、人間の思考の便宜上そういう別なことばを使いますけれども、やはりこれは一体なものだと思います。
○松井(誠)委員 非常に近視眼的な立場から、いわゆる国益というものだけを追求をする、それに優先的な比重を置いて追求をするということになると、これは国際的なそういう平和というものが維持できないわけです。ですから、この低開発国という問題が出てきた理由はいろいろありましょうけれども、やはり先進国が自国のそういう国益というものに主眼を置いて世界の平和というものを二次的に考えておったということから、むしろこの南北問題というものがクローズアップされてきた、低開発国と先進国との間の格差というものがひどくなってきたということを考えると、やはり、南北問題の解決には、まさに、自国の国益というものをもちろん害してはいけませんけれども、しかし、近視眼的な、そういうものを守るということだけに目を奪われておったところの形を変える、世界的な観点からものを見るというように視点を変えるということが私は必要ではないかと思いますのでお伺いをしたわけですが、重ねてお答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 いま松井委員が解明になったような、いままでの世界史の過程が、先進国の国益にどちらかといえば片寄って、一方の世界の平和に寄与するということがむしろ若干おくれをとっておったのではないかという事態を、使命感という意識を表に出してきてこれを是正していこうというように自分は見るがどうだという意味の解明でございますが、そういう意味におきまして私は全く同感でございます。
○松井(誠)委員 一昨年の国連総会でこの貿易開発会議の開催が提案をされたときに、わが日本政府はどういう態度をおとりになったのですか。
○齋藤(鎭)政府委員 その当時はまだ会議そのものの性格がはっきりしませんでしたが、この会議を設置するということに対しては、わが国としては賛成しております。
○松井(誠)委員 私の記憶違いかもしれませんけれども、何か七十何カ国が賛成で、二十何カ国が反対で、日本は棄権をしたというように記憶をしておるのですが、違いますか。
○齋藤(鎭)政府委員 私の記憶では、賛成でございますが、なお調べて御回答申し上げます。
○松井(誠)委員 おそらく私の記憶に間違いないと思います。そして、反対をしたのは先進国。先進国が反対をしたのは、まだそういう十分な準備が整っていないということで反対をした。そして、日本は一体どちらにつくかということにみんなが注目をしておった。ところが、日本は、いまさら低開発国にもつけない、いつものように先進国にくっついていくわけにもいかない、そこで窮余の一策として棄権をしたと私は記憶をしているのです。いかがでしょう。
○齋藤(鎭)政府委員 なお調査してお答えいたしますが、私は私の記憶に誤りないと存じます。
○松井(誠)委員 私は、そのときの日本の政府の態度に、この低開発国問題に対する日本の苦悩といいますか、宙ぶらりんな姿というものがよくあらわれておると思う。日本は、この低開発国との貿易が全体の貿易の中に占める割合というものが非常に高い、そういう意味で低開発国との貿易については特別の関心を持たざるを得ない立場にある、しかし、OECDに入ることが誇りだというそういう感覚からいくと、どうもやはり低開発国と肩を並べるというのはいさぎよしとしない、しかし、日本の輸出構造や経済構造自体がまだ中進国的な立場にある、そこで、しょっちゅう低開発国問題あるいは低開発国との貿易問題で将来も動揺をするということになるのではないか、そういうことを心配しますので、政府の基本的な姿勢というものをまずはっきりとお聞きをしたかったわけであります。 そこで、具体的にお伺いをいたしますけれども、先般のお話で、予想される貿易開発会議の主要な議題というものをお伺いをいたしましたけれども、やはり一次産品の輸入問題というのがおそらくは最大の問題であろうと思うのです。その問題についてどういう対策をもって臨まれるか、もう一度お伺いをいたしたいと思います。
○大平国務大臣 低開発圏に対する日本の国としての基本の態度について非常に明解な態度はとれないということに対する御批判でございますが、それは私は松井さんのおっしゃるのは無理はないと思うのです。私ども、国連活動一般におきましてきわめて微妙な立場にあることをみずから認めておるわけです。低開発圏の一員であると同時に先進国の仲間入りもいたしておるわけでございますが、私に言わせれば、そういう立場にあるのがユニークな日本の立場だと思うのです。たとえば、もう低開発圏のほうへ入ってしまった日本あるいは先進国のほうへ入ってしまった日本であれば、その他大勢の一員というにすぎない日本ではないかと思うのです。その点は、まさにあなたが指摘されたような日本の特異な立場、これは全く世界史におけるユニークな存在だと思うので、それで初めて日本の役割りというものが出てくるわけなんです。私どもは、世界史の現段階に処して、日本の役割りというものはそういう立場からユニークな役割りが出てくると思うのです。その点は、これからいろいろ具体的な問題についてお互いに究明して、どういう役割りをユニークな立場においてやるかということは個々の問題について一つずつぶつかってくる問題だと思うのですが、私の感じ方はいま申し上げたように思っておるということをお断わり申し上げておきます。 それから、第一次産品の輸入問題でありますが、これは具体的にコーヒーがどうのココアがどうの落花生がどうのという問題として出てきておりますけれども、しかし、基本的にはやはり日本の経済の構造の問題だと思うのでございます。最近、御案内のように、たとえば東南アジア地帯に対する輸出を分析してみましても、だんだんと重化学工業品の比重がふえております。これは、ひとり低開発圏に対してばかりでなく、対米貿易を分析しても、たとえば、昭和三十年に重化学工業品が一五%であったのが、三十八年には三五%をこえておるというようになってきておりまして、これは日本の経済構造がだんだんと近代国型に変わってきておる証拠だと思うのでございまして、そのようにだんだんと日本の経済が高度化してくれば、そして第一次産品を製造いたしておりました日本の産業がより高度なものに移行していけば、そこに低開発圏からの第一次産品の輸入のルームができてくるわけでございますので、まず第一に日本の産業構造の問題としてこの問題は究明してまいらなければならぬ。傾向といたしましては、そういう重化学工業の方向にだんだんと編成がえが行なわれつつある傾向にあるということが一つの前提として言えると思うのでございます。それから、第二点として、個々の品目につきましては、自由化がいま御承知のように九二%まで進んでおりまして、残ったものにつきましても、百八十数品目残っておりますが、そういうものにつきましても鋭意検討いたしておるわけでございますが、自由化ができるものにつきましては問題はございませんが、自由化ができないが、しかし自由化はいつかやらなければならぬ、しかしいま直ちにやれないという性質のものにつきましては、クォータをどのようにふやしてまいるかということをくふうしていかなければならぬと思うのでございます。輸入自由化を前提にクォータをふやしていくというくふうを第二としてやってまいらなければならぬし、そのような方向に施策を進めておるわけであります。第三の問題として、当分自由化はだめだというものにつきましても、可能な限りクォータをふやすということもまたあわせてやらなければならぬ。大筋はそういう方向で、第一次産品の受け入れ体制というものを、日本の産業構造との関連において漸次ルームをつくっていくという方向に進まなければなりませんし、現実の施策もまたそのように進めておるわけでございます。
○赤澤委員長 ちょっと待ってください。国連局長から発言の申し出がありますから、これを許します。国連局長。
○齋藤(鎭)政府委員 私の記憶がはっきりしないで申しわけございませんでしたが、ただいま調査の結果、やはり一昨年の暮れにおきましては国連貿易開発会議開催に関する提案に対しては日本は賛成しております。で、この案は満場一致可決ということであります。
○松井(誠)委員 それは一昨年ですね。それじゃ、その前年でしたか、その前年、一九六一年度には棄権をしたんですね。そうじゃないんですか。
○齋藤(鎭)政府委員 その辺調べてまたお答えいたします。
○松井(誠)委員 それでは早く調べてください。 いま大臣からユニーク論が出ましたので、私も申し上げたいと思うのですけれども、また問題が抽象論に戻りますけれども、私もやはり日本の国のこういう立場というのは確かにユニークだと思うのです。そのユニークな立場というもの、ユニーク性とは一体何かということになると、私はやはり、先般申し上げましたように、南北問題というのは実は東西問題とつながっておる、そして南北問題というのが先進国と後進国との間を調整するということが問題であるとすれば、まさに、中進国的な日本というのは、その南北を結ぶかけ橋になり得る、また、ならざるを得ない立場にある、そして南北の問題を調整するという立場を通して東西問題のかけ橋になり得るという、そういうユニークな立場にあると思う。そういうユニークな立場を、動揺なしに、先進国に付和雷同なしに通してくれるならば、これはまさにいいと思う。しかし、そうではなくて、多くの場合には、東西問題についてはもっぱら西に傾き、南北問題についてはもっぱら北に傾くということでは、そのユニーク性はないわけです。たまにその先進国から離れれば動揺して棄権というたてまえになる、これでは困ると思うんです。やはり使命感というものがもしほんとうであるとするならば、南北のかけ橋になるときに、単に中間的な立場でなしに、ほんとうに格差をなくするというたてまえが世界の平和のために必要だということになれば、むしろ、先般申し上げましたように、低開発国の立場に立ってものを考えるというくらいの考え方が必要じゃないか、それは決して日本のユニーク性とちっとも矛盾するものじゃないと思うんです。 そこで、一次産品の具体的な対策についてでありますけれども、いま大臣の言われた程度では、おそらくガットの実行計画の案よりも相当後退しておるわけです。このガットの実行計画そのものを一応努力目標ということでまあ日本政府も了承したわけでしょうけれども、それではおそらく低開発国の満足はとうてい得られまいと思う。ですから、ほんとうに低開発国援助というものが日本民族の使命だというのが偽りのない掛け値のない考え方だとすれば、もっとやはり前進をした考え方をとらなければならぬじゃないですか。まあ、たとえば、いまもちょっと言われましたけれども、よく、一次産品の輸入の障害を除去するということになると、農産物の自由化ということで日本の農業、日本の一次産業というものがたいへんだという、そういう議論があるわけです。それは、確かに、先進国からの農産物、いわゆる温帯産品というものがどっと入ってくるということになると、これはもう日本の農業を破壊する。しかし、それといわゆる低開発国から多く入ってくる熱帯産品というものとを何か意識的にごっちゃにしているのじゃないかという気が私はするのです。低開発国からの一次産品の日本に対する輸入というのは、具体的にはどういう品目があって、具体的にどういう影響を日本の第一次産業に及ぼすのかという点について、ひとつお伺いしたいと思うのです。
○中山政府委員 一次産品の中にも熱帯産品があり、またむしろ温帯産品があるということは、仰せのとおりでございます。この国連貿易開発会議の事務局長になりましたプレビッシュは、最近プレビッシュ・レポートというものを出しておりますが、その第一次産品の中に、やはり熱帯産品だけじゃなくて温帯産品、たとえば穀類等のものが入っているというのも事実でございまして、われわれは、将来会議においては、第一次産品を、ほんとうに後進国だけが生産する熱帯産品と、それからその他のむしろ先進国で産出されるものの多い温帯産品との間に区別を設けることは、当然主張すべきことだと思っております。ただ、そういうごっちゃになるということがどこから起こってくるかという問題を考えますと、実は、後進国の中にも、先進後進国と後進後進国があるわけでございまして、たとえば、プレビッシュの祖国であるところのアルゼンチンあるいはブラジル等におきましては、コーヒー等も産出いたしますけれども、同時にかなり穀類その他の酪農品も生産しまして、どちらかといえば後進国中の先進国でございます。そこいらにも、後進国同士の間で、後進国の中の先進国と後進国が分かれておって、必ずしも利害が一致しないという点もこの一つの理由かと存ずるわけでございます。 それから、熱帯産品につきましては、コーヒー、ココア、落花生あるいは木材、そういうような品目があげられております。そこで、その中で、たとえばお茶というようなものにつきましては、御承知のように、日本の国内の生産とぶつかるとか、そういう具体的な問題もありますけれども、私、その前に一つ申し上げたいことは、この後進国の産物、なかんずく第一次産品についてどういう取り扱いをするかという点についても、それぞれまた提案があるわけでございます。その一つの提案としましては、御承知のように、先ほども仰せになったように、非常にオーソドックスな方法で関税、非関税の障壁を漸次下げていって撤廃するということも考えられております。しかし、同時に、たとえば、価格をつり上げて、そうして、むしろ生産を押えて、そのかわり今度は消費の輸入の面もある程度量を義務づけることによって、価格を維持するという考え方もございます。そういうものがいろいろ入りまじって今後これが具体的なかっこうをとっていくのだ、かように考えておるわけでございます。
○松井(誠)委員 私がお尋ねをいたしましたのは、日本の場合、低開発国からの一次産品の輸入についてのいろいろな貿易の障害を除去すると、具体的に日本の一次産品の何がどうなるかという点をお伺いしたかったのです。つまり、もう少し申し上げますならば、いま先進国から一次産品が大量に入ってきておる。その先進国の一次産品を後進国の一次産品に振りかえられる品目もずいぶんある。それはなるほど品質や値段の点で資本主義的な自由競争の中では後進国の一次産品のほうが劣るでしょう。しかし、それは、まさに日本の使命感から言って、先進国と後進国との間の一次産品の輸入の振りかえというものがどの程度できるのか。どうしてもできないで、日本の農業に、第一次産業にどれだけの具体的の影響があるのかという検討はおそらくされておると思うが、そういう点について、抽象的でもけっこうですから、もう少しお伺いしたいと思います。
○中山政府委員 これは、いま申し上げましたように、後進国側の提案が非常にラジカルなものと、それから、そうでないものとがあります。また、これにこたえる先進国側の態度も、たとえばアメリカとEECで非常に違うということは御承知のとおりだと思います。 そこで、たとえば、いま非常に問題になっている点でございますけれども、穀類というようなものは、アルゼンチンその他中南米の国は非常に提唱しているわけでございますが、プレビッシュ報告なんかの考え方によりますと、要するに穀物の値段をある程度高く維持するということに重点を置いているわけでございます。そうしますと、わが国のように第一次産品に対するかなり大きな輸入国といたしましては、価格つり上げという一つのオペレーション自身が非常に重大な影響を与える。しかも、それが、各先進国の中には、日本のようにネット・インポーターというかっこうではなくて、国内に相当生産を持っている、それからまた、同時に、場合によっては輸出もするというような国もあるわけでありまして、日本のように第一次産品をもっぱら輸入している国が後進国に対する援助あるいは負担をもろにかぶるというような思想、こういうものに対してはわれわれとしては反対をせざるを得ないというような点が第一点でございます。 それから、第二点におきましては、たとえばアメリカとEECの間に非常な対立があるわけでございますが、われわれとしましては、ガットのアクション・プログラムに基づきまして、等一次産品について関税、非関税の障壁を漸次下げていく、その中でもちろん下げ切れないものもございますけれども、漸次下げていくという努力については、われわれは前向きとして考えていきたいと思うわけであります。しかしながら、これに反して、たとえばEECの述べているような市場組織化案とか、それよりか、むしろ一定の地域と一定の地域との間に特恵的な制度を設けて、これを固定化していくというような考え方もあるわけでございます。そうして、その特定の地域と地域との間で特にそういう一次産品の貿易を増加していくという考え方、こういうものに対してもわれわれとしては反対をせざるを得ない、こういうようなことでございますが、これで先生の御質問のお答えになっておりましょうか。
○松井(誠)委員 食糧の大量輸入国である日本が食糧価格の高騰という結果をもたらすような措置には賛成ができないということでありますけれども、いわゆる低開発国からの食糧輸入というのは、具体的にどの程度の比重を占めているわけですか。
○中山政府委員 ただいまここに正確な数字は持ち合わせておりませんけれども、たとえば豪州とかあるいはニュージーランドあるいは南アというものが必ずしも正確な意味で低開発国に入らないとすれば、低開発国よりの食糧輸入は比較的少額でございます。
○松井(誠)委員 確かに日本は食糧の大量輸入国ですが、しかし、これは私も多少調べてみましたが、低開発国からの食糧輸入というのは必ずしも多くないわけです。ですから、後進国の食糧を大量に輸入している中で、低開発国の輸出の食糧の値段が上がるという問題とその先進国からの日本の食糧の輸入という問題と何かすりかえているのではないか。いつでも、一次産品の問題といえば、主としてやはり日本の場合、低開発国の一次産品の問題と先進国のそれとをはっきり区別して議論を立てないと、なかなか低開発国の立場に立ってものをいう姿勢をとれない。しかし、それをきちっと区別すれば、低開発国の立場に立ってこの一次産品の問題は解決するということが必ずしも日本の国益を害するということにはならないのではないか、そういうことを考えるわけですけれども、こういう考え方はいかがですか。
○中山政府委員 先生の仰せの意味は、若干の先進国においては、国内で食糧品に対する補助金を与えている、そうして国際的にかなり低い値段でこれを輸出している、こういうことではいつまでたっても後進国の第一次産品の生産はうだつが上がらないし、また交易条件もよくならないというお話だったと思いますが、現に、今度の国連貿易開発会議の中でも、こういう問題に対して幾つかの思想が出ております。たとえば、一つの思想としましては、こういう国が国内の農業に対して補助金を与える、そうして国際的な価格との間に格差がある、こういうことがいつまでたっても後進国の第一次産品、ことに殻物その他の生産が伸びないゆえんだという議論から、たとえば、国際価格とそれから国内で生産者が受け取る生産者価格というものの格差というものをひとつフリーズしようじゃないか、固定しようじゃないか、そうすればこの補助金の率というものが上がらないから、やがてはこれは国際輸入のほうに依存するということになるから、これもいいのではないかという考え方も一部にございます。しかし、こういう考え方というものは、いろいろ検討に値する問題で、わが国の農業その他にもいろいろ影響があろうかと思われます。同時にまた、たとえばアメリカなんかが綿花やその他のプライマリープロダクトに対して補助金を与えている、それではこれを全廃すればいいじゃないかという議論もありますが、同時に、まだこれは研究中でございますが、わが国といたしましては、そういう比較的廉価な綿花その他を買って、たとえば飼料を買ってそれで養鶏をしているとか、あるいはそれで綿糸布をつくって輸出をしているということにもなりますので、後進国のためというか、根本的に変えるということになればそこまでメスを入れなければならないかと思いますけれども、しかしまた、ある程度わが国もそれで便宜を受けている点もありますので、その辺の比較考量をいま研究中でございます。
○松井(誠)委員 私も、実は、アメリカの小麦やたばこ、綿花、そういうものにあれだけの先進国が保護をして輸出をするという体制そのものに日本はもっと文句を言うべきじゃないか、これはまさに低開発国の立場から文句を言う姿勢をとってしかるべきじゃないかと思うのです。なるほど、国際分業的な形になって安い飼料が手に入るという、風が吹けば何とかというなちょっと遠い理屈でありますけれども、時間があまりございませんので一次産品の問題はいずれまたお伺いいたしたいと思いますが、具体的にいろいろお伺いをしますと、民族の使命というそういう使命感がやはり紙の上の作文になりかねない。なるほど困難ではありましょうけれども、一次産品に対するかまえそのものをお伺いしても、低開発国援助がまさに世界の平和につながるという高い意識というものが必ずしも見られないのじゃないか。大臣はお聞きになっておってどうお感じになったかわかりませんけれども、私はそう感ぜざるを得ません。 そこで、もう一点最後にお伺いしたいのですが、これはこの前一応御答弁がありましたが、国連の一つの機構としての世界的な貿易機構をつくるという案について政府はどういう考えで臨まれるか、お答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 原則として、貿易開発会議の運営に必要な事務局というものがある程度のスタッフを持って常設機関になるということそのことには、私ども反対をするつもりはございません。ただ、あなたもお触れになられたように、ガットも実行計画を立ててこれを推進しておりますし、いままで数々の実績を残した機関でございますから、したがって、なるべく機構としはオーバーラップしないように、それぞれ得意とするファンクションは、既往の機関でできるものはそれでやってよろしいのじゃないかという意味で、あまり膨大なものをつくり上げるというようなことに対してはややリラクタントな考え方を持っております。
○松井(誠)委員 政府はよく国連中心主議ということを言うわけですけれども、国連に単にアメリカのために手を上げたり下げたりするという機関から脱して、特に低開発問題に対しては圧倒的に多い低開発国がリードをとるという国連の状態を考えて、まさにこの南北問題というものこそ国連を通して解決すべきだ。そういう場合の国連が中心主議というのは、まさに文字どおり国連中心であって、アメリカ中心ではないという保証があると私は思う。いままでの既存の機関ではなかなかうまくいかないというのは一体なぜかというと、それがいわゆる資本主義国だけの機構であったというところにおそらく最大の問題がある。そこからやはり国連という世界的な機構でなければだめだという意見が出てきた。私が冒頭申し上げましたように、この南北問題というものが、東西問題を解決する一つのステップになるということになると、この南北問題こそまさに国連の規模でものを考えるということがどうしても必要ではないか。今言われるように、これは私は基本的には賛成だけれども、しかしなるべくオーバーラップしないようなというようなあいまいなことではなくて、——と申しますのは、いま言ったように、形の上でも、国連の機構と、いままである資本主議陳営の低開発国援助の機構とは重複をしないわけです。まさに新しい機構であって、それこそ新しい南北問題の解決の支点に立つ機構ではないかと私は思います。そういうことを考えると、腰だめ的なかまえでなくて、まさに低開発国が要望しておる国連の貿易機構というものについて、もっとはっきりした、きちんとした態度をとるべきではないかと思いますが、そのことをくどいようですがもう一度お伺いしまして、時間になりましたので終わりにしたと思います。
○大平国務大臣 松井さんと私とは、目的は同じ考え方なんです。南北問題に対する認識、あなたの考え方に私は同感でございますが、これを解決する手段をどう配列していくかという問題になりますと、私としては、南北が非常に先鋭に対立するというかっこうにおいてやることは決して南のためにならないのじゃないかという配慮があるわけでございます。ただいままでの援助実績から申しましても、決定的に先進国のコントリビューショソが多いわけでありまして、こういうグループとむやみにひじを張り合うようなことでなくて、これとうまく協調して建設的にやっていくことを考えるほうがクレバーじゃないかという考え方でございます。あなたの考えは論理的に私は非常に正しいと思うのだけれども、具体的のやり口において、国連の傘下に膨大な機構をつくる体制をつくって、さてどうだという動き方をして、そこで実りが出てくるかどうかという点を非常に心配をするので、そこは地道なアプローチのほうが賢明じゃないかという考え方でございます。目的はあなたが言われたとおりと思いますが、穏歩前進ということで、そのように考えたほうがいいのじゃないかという感じがいたします。
○赤澤委員長 川上貫一君。
○川上委員 私の質問はごく簡単なんです。 これは外務大臣に聞くのですが、一月三十一日の予算委員会のときに総理大臣が答弁をされておるわけです。それは賠償問題で今澄委員の質問に対してこういう答弁になっておるのです。「賠償の問題でございますが、私はっきり申し上げておきます。日本は中華民国と戦争をし、中華民国と平和条約を結び、その際に賠償請求権は放棄しておりますから、これははっきりここで申し上げておきます。将来中共が賠償請求権があるないということを前提にしてのようなお話でございますから、私は政府の考えをはっきり申し上げておきます。」、そういうものはありませんと、こう言っている。一月三十一日の総理の答弁は、賠償問題は済みましたという答弁なんです。そこで、これはどうですかというように聞きたいのだけれども、時間がかかりますから、ここの問題とどういう関係になるかということです。これは外務大臣よくひとつ聞いておいてください。これは昭和二十七年五月二十三日の外務委員会です。ここに会議録があります。第二十六号です。倭島政府委員、アジア局長です。この人は日台条約を結ぶときに事務当局としての最高の当事者であります。この倭島政府委員がこう答えておる。「大ざっぱにいって大陸関係につきまして、将来支配下に入った範内において」——わかりますな、「将来支配下に入った範囲内において賠償関係というものが起きる建前であります。」と言っている。これは中国大陸じゃないのです。交換公文に言うてある、あの将来という、あそこですな。わかりますか、大平さん、わかったようなわらぬような顔をして……。今後そこに賠償関係というものが起きますと言ってある。「その入った範囲において、中国政府が」——中国政府とはいわゆる台湾政府です。「中国政府が今申し上げたような捨てるとか、それを自分の方でとるとかいう関係が生ずるわけであります。」、こう答弁してある。それについてまたわが党の林百郎委員が長々と質問しておるのですが、その中でまたこう言うておる。満州の問題が出たときに、「それから満州云々の関係については、この条約の現在適用される範囲外ということであります。」ここにはこの条約は適用されません、こうはっきり言うてある。それから、そうすれば大陸関係はどうか、こういう林委員の質問に対して、その件は未決定であります。この条約の範囲ではありません、こう答えてある。これは長いのです。そうして、しまいに林委員が、「結局台湾政権との間では、この問題は解決できないということなのですね、」と、こう大陸の戦後処理の問題で聞いた。そうしたら、倭島政府委員は、台湾と申しますか、中華民国政府と申しますか、その関係におきましては、大陸の問題は決定できないのでありますと、はっきり答えてある。これと、総理大臣のすっかり済んだという答弁は、あれはどういう関係になるのか、これを外務大臣にお聞きします。
○大平国務大臣 総理大臣が御答弁に相なっておるわけでございまして、総理大臣が申し上げたとおりに私も考えておるわけです。
○川上委員 それを聞いているのじゃないのです。総理大臣の言われたことと、倭島アジア局長の政府答弁と、これは関係はどうなるのか、こういうことなんです。
○大平国務大臣 いま卒然と倭島さんの御答弁を引用されましたが、前後の関係を一ぺん調べてみまして、またあなたとのやりとりのときにお答えいたします。
○川上委員 調べてみるといいましても。そんなことじゃない。ちゃんとあるのだから。この関係と総理大臣は、もう賠償問題その他は済んだ、こういう関係、これは政府の答弁の範囲です。これは一体どうなるのか。この倭島政府委員の言うたのはそうなのか、これはどうなのですか。
○後宮政府委員 御承知のとおり、日華平和条約で中華民国政府が放棄いたしましたのは、役務賠償に関する権利を放棄したわけでございます。ですから、サンフランシスコ条約で申しますと、もう一つの賠償源である在外財産に関する権利は中華民国政府は放棄してないわけなのです。ですから、おそらく、私ども速記録の前後の事情をよく検討しないとはっきりは申し上げられませんが、いまの私の推測といたしましては、倭島局長の言われた意味は、将来中華民国政府が大陸に支配を及ぼすときがあれば、そのときには大陸にある日本の在外財産を賠償としてとることが実施できる、そういう意味であろう。そうして、いわゆる十四条(a)の役務賠償のほうは完全に中華民国政府はあのときに放棄したわけでございます。そういうふうに解釈されるのだろうと存じます。
○川上委員 それはあなたはどのように解釈しなさるかわかりませんが、サンフランシスコ条約では財産権問題は別に取り扱うておる。賠償は役務をもって払うことになっておる。これは御承知でしょう。その賠償の答弁です。何も財産関係の問題じゃない。ここのところの解釈をあなたに聞きたくない。はっきり書いてあるのだから。この関係はどうなるかということを外務大臣に聞いておる。これの解釈をしてもらう必要はない。
○大平国務大臣 ですから、それはよく調べまして、関連につきましてあらためてあなたにお答えいたします。
○川上委員 そうしたら、こういう点は、この政府答弁によっていわゆる日台条約は国会が承認してある。承認する時分の政府の答弁、その答弁を国会はあるいは了承してこれは賛成、あるいは了承しなくてこれは反対、とにもかくにもこの政府の答弁を基礎にしてこの条約が国会で承認されておるのです。これは認めますな、外務大臣。
○大平国務大臣 したがいまして、よく取り調べまして御報告いたします。
○川上委員 調べることは要らぬ。この政府の答弁、これはアジア局長であろうがだれであろうが、政府委員として、その席には岡崎外務大臣もちゃんといたのです。外務次官もいたのです。並んでいるところです。そこで倭島局長がこれを言うておるのです。この答弁というものは、この答弁を基礎にして、これだけじゃありませんが、これも基礎にして日台条約は国会で承認されたと思う。これは動かすべからざる国会の審議の原則です。これを池田総理大臣はいつひっくり返すのか。この倭島局長の答弁が間違いでございますから訂正しますということをいつか言うたことがあるのか。一ぺんも言うておりません。全部調べた。これは生きておる。こういう答弁をして、それに基づいて日台条約の承認を求め、そこで承認したのです。これは動かすことのできないことなんです。大陸の賠償関係が残っておる。大陸だけじゃないですよ。大平さん、将来台湾政権の施政権が及ぶ地域、大陸ですな、ここの賠償権も残っておる、これもはっきり書いてある。すなわち、賠償が済んだのは台湾と膨湖島に関する限りだけ、それだけこの日台条約では取りきめてあります、こうはっきり言うておる。それと、総理大臣は、戦後処理、賠償まで含めて全部済んでおるとはっきり申し上げると、はっきり言われた。どんなようなことになる。これは調べてから言うというようなことじゃ私はないと思う。そうすれば、今度の日まで預けておきましょう。いつまでたっても調べる調べる、道がないのだから預けておくが、これはきわめて重大ですから、責任のある答弁をしてもらいたい。 それから、その次にもう少し時間がありますから伺いますが、一体政府は日中の国交を回復するつもりなんですか、せぬつもりなんですか。これははっきりしてもらえませんか、大平外務大臣。
○大平国務大臣 諸般の状況を見まして、日本の国益を考え、アジアの平和を考えて十分検討すべき問題と心得ます。
○川上委員 そうすれば、状況を見てすることもあるということですか。状況を見てせぬつもりだというのですか。どっちなんですか。
○大平国務大臣 いま申し上げたとおりでございまして、慎重に検討すべき問題と心得ます。
○川上委員 慎重にと大臣はおっしゃるが、そんなら、国交回復するということになった時分に、承認なさるのなら一方的行為だが、国交回復ということになれば一方的に宣言しただけで済むもんじゃない。相互関係です。そういう時分に、政府は中国の大陸の賠償権はもう済んだとか、戦後処理は終わったとか、こんなことを言うて国交回復ができると思いますか。この点は大平さんどう考えておられますか。もし国交の回復をする、きょうできなければあす、あすできなければあさってでもよろしいが、するということになるなら、その際に中国大陸との戦後処理の問題はどうなるであろうかということを考えておかなければ、さっぱり話にはならぬ。これを全然考えておらぬ、行きあたりばったりの答弁をしていらっしゃるということは、近い将来に国交回復なんかせぬつもりなのでしょう。時間がありませんからつづけて聞きますが、もしなさるつもりなら、周恩来総理の一九五〇年の十二月四日の声明をどうお取り扱いになるつもりですか。この声明は詳しくは時間の関係で述べませんが、中華人民共和国の加わらぬ一切の対日条約は無効である、われわれは少しも責任を持たない、こう声明してあるんです。全部無効だ、すなわち日台条約は無効だ。あなたのほうでは、それは向こうのほうが、中国が言うことであって、日本の政府の知ったことじゃない、これは平和条約の時分には言われますまい、これは承認とは違います。相互の問題です。はっきりと中国はこう言うておる。この問題をどう取り扱っていくかということをどのように研究しておられるのか、この意見を聞きたいのです。それもまだ考えても何にもしておらぬというのなら、もう国交回復なんかせぬつもりなんだ。するつもりなら、どうしてこれを考えないで国交回復なんか言えますか。中国の態度ははっきりしている。とても日本の言うておるようなことでは通りっこないことはもう当然なのだ。ここが話し合いがつかなければ国交回復はできない。これについてどういう考えをいま持っていられるか、これを聞きたい。
○大平国務大臣 先ほど申しましたとおりアジアの平和安定、日本の国益という観点から慎重に検討を要する問題と心得ております。
○川上委員 慎重にとあなたおっしゃるが、それさえまだ研究していないです。国交を回復するということなら、この重大な問題にすぐぽんとぶつかるのだ。あなたは、一体、国交回復すると言うたら中国はへいそうでございますかと言うとでも思っているのですか。承認は一方的行為でできますよ。国交の回復は一方的行為ではできないのです。そのことについて研究も考慮もしないで、慎重にやる慎重にやる、こんなことで日中国交回復ができますか。する気がないからこんな状態なんです。もしもほんとうにするつもりなら、まずもってこれを政府は検討しなければならぬ。これはおそらく外務大臣答弁できぬのだろう。できなければきょうのところはいいです。この次の日にもこれは徹底的に私は聞きますから、よう相談してください。
○赤澤委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十七分散会