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46回国会衆議院1964/02/19

外務委員会 第4号

発言数
109
登壇者
6
会派数
3
開催日
1964/02/19

会議録

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  黒田寿男君。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 きょうは外務大臣に対しまして中華人民共和国の承認問題についてお伺いいたします。きょうは時間の制限もございますので、私は今後も引き続いて質問を続けるつもりであります。きょうは質問の一部にとどまることを御了解を得ておきたい。  本論に入ります前に、承認問題と関連のあります政府の動きにつきまして、いま時事問題的にあらわれております一、二の問題を取り上げまして御質問申し上げてみたいと思います。  第一は、吉田氏の台湾訪問についてであります。私どもは、吉田氏の動きを単に吉田氏個人の動きというように受け取っておりません。また、日本政府だけの動きというようにも私どもは見ておりません。吉田氏はアメリカに対する従属外交を過去において強力に進めてきた人でありまして、今回の台湾訪問はアメリカ政府の台湾政策との関連があるというように私どもは見ております。そういう非常に深い意味において私どもは今回の吉田氏の台湾訪問というものをながめておりますが、一応政府といたしまして吉田訪台の意義をどういうように考えておいでになりますか、あらためてお尋ねしてみたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これは、国会におきましてもたびたび私から申し上げておりますように、吉田先生個人の御発意で台北を御訪問されるということでございまして、政府と関係はございません。ただ、御案内のように、日華両国の間柄がただいま良好と言えない関係にございますので、吉田先生のような方が御訪問されることは、日華関係にとりましてその親善のため歓迎すべきことであると存じております。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 この問題はまたあとからなおお尋ねしたいと思いますが、ただいまはそれだけ承っておきます。  中国政府承認の問題につきましては、私ども社会党といたしては早くからこれを唱えておりました。従来政府はわれわれに対してはなはだ対照的に絶えず消極的態度を取り続けてこられた。ところが、フランスの中国政府承認によりまして、政府としてもこれを当面の日程にのぼさないわけにいかないということに現在なってまいりました。私どもから見ますれば、これははなはだおそきに失すると思います。そこで、私は、この問題についての根本的な心構えについて、われわれの考えております点を申し上げまして、御所信を承りたいと思います。私は、この承認問題を前向きに解決いたしますためには、日本外交の独自性といいますか、自主性と申しますか、これを確立することが第一であると考えます。積み重ね方式などということも言われておりますけれども、これはいわば第二義的である。むろん意味のないことではございませんが、第二義的である。それよりも、根本は、日本外交の独自性、自主性を確立することである、こう私どもは考えておる。その日本外交の自主性の喪失、これをもう少し具体的に申しますならば、アメリカ外交への従属性がわが国の対中国政策におきまして最も端的に過去においてあらわれておりましたし、現在もまだそれが続いている、そう私どもは見ております。そこで、中国政府承認という、政府が決意されましたこの前向きの政策は、外交の自主性回復という路線と結びつかなければ、本質的には進展したい、こういうように私は見ておるのであります。政府はその御自覚と御認識がありますかどうか。単なるその場限りの方法で、何とか中国への近づきを進めていこうというようなやりかただけでなくて、根本的に、日本外交の自主性の回復という路線と結びついた前向きの中国政府承認、こうならなければ成功しない、こう思います。これに対する御自覚と御認識をひとつ聞かしていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 前々から申し上げておりますように、外交は、それ自体が独自なものでなければなりませんし、自主的なものであることは当然のことであります。独自的でない、自主的でない外交なんというのは観念矛盾だと思います。私どもは、ただいままでもそうでございましたし、今後も日本独自の外交を展開していくつもりでございます。中共承認の問題について政府が決意しておるというお話でございましたが、決意しておるわけではございません。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 ただいま、外交の自主性あるいは独自性についてきわめて一般的、抽象的に御答弁になりましたが、しかし、それはことばの上で観念的にそう言えるというだけで、外交政策の実際から見れば、私は、外務大臣の仰せられるようにはなっていない、こう考える。このことが、先ほど申しましたように、日本政府の中国政策に関して最も強くあらわれた。これを私は申し上げたいのであります。  そこで、それでは少し具体的に申し上げてみたいと思います。なお、中国の承認問題について決意しておるわけではないというお話がございましたが、これについてはあとから御質問申し上げます。  一体、日本政府は一九四五年に戦争に敗北して以来中国政府に対して何をやってきたか。それをわれわれは見ているから、ただいまの御答弁に対してわれわれは簡単に満足するわけにはいきません。過去の筋道をたどってみれば、いかにただいまの御答弁と相反する外交政策が日本政府によってとられてきたかということがはっきりする。一体、中国に対して敗戦後何をしてきたか。それを簡単に私は振り返ってみましょう。中国が日本から受けた、中国大陸の人民が日本の帝国主義、軍国主義から受けた被害について、私はいまさら繰り返して申す必要はないと思いますが、十五年にわたる大陸に対する侵略戦争の間に、中国人民一千万人以上にその生命を失わせ、五百億ドル以上の損害を与えた。これが中国人民に対する日本の帝国主義、軍国主義の侵略戦争の結果であったのであります。この何人も否定することのできない厳然たる事実に対し、誠心誠意日本といたしましてその償いをする努力、戦争を正式に終結させ、戦争終結を目的とする平和条約を締約する、この努力が何よりも中国に対してなされなければならなかったものであると思うのであります。ところが、その敗戦から今日まで二十年近くになりましたけれども、いまだに何ら積極的な態度を示していない。戦争終結を目的とする平和条約はまだ締結されていないのであります。それだけではございません。中国の承認ということさえやっていない。敗戦国として承認ということばを使うのは適当ではありませんが、一応これを使います。自主性の問題について私は先ほど質問し、大臣は単に抽象論的にお答えになりましたけれども、いかに日本の外交が自主性がなかったか。それは、サンフランシスコ講和条約において中国を参加させなかったという事情の中にも、アメリカとの関係において日本政府の自主性の喪失がよくあらわれております。中華人民共和国とは、いまだ戦争終結をしないままで、法的には戦争状態が継続したままで、今日に至っておる。これは厳粛な事実です。政府は十分お考えくださらなければならぬと思います。その上に、サンフランシスコ条約と同時に日米安保条約を締結して、アメリカの中国敵視政策に日本も協力することになった。そういう関係になっておる。だから、戦争における敵対関係が法的に終了していない、法的には戦争状態がまだ続いておる上に、また新たにこのような中国敵視政策に加担するような安保条約を締結して、さらに敵視性を深めるようなことになった。その上にいま問題になっております日台条約というものがさらに重なってできておる。本来、イギリスが講和条約に北京政府を参加させようとし、アメリカは蒋政権を参加させようということで意見が一致しなかったので、中国はサンフランシスコ条約に参加できなかったといわれておりますが、そのあとで日本がどちらと二国間の条約を締結するかということは、日本の独立したあとでわれわれの自主性による選択にまかされておった。これは明らかなことでありましたのに、ダレスが日本にやってまいりまして、どうしても台湾を条約の相手方として選べ、もし条約を締結しなければサンフランシスコ条約の上院批准があぶない、こういうことを言って日本政府をおどかし、今回台湾に旅行する吉田元総理大臣に圧力を加え、それで日台条約ができたのです。ここに日本外交の自主性のなさが対中国政策においてはっきりとあらわれておると思う。吉田書簡というものが五一年の十二月の末にダレスあてに出された。私どもその当時国会議員として議席を持っておりましたが、そのやり方につきましては非常に心外でもあり憤慨をしたものです。その吉田書簡に基づいて、五二年の春に日台条約が締結せられました。その日台条約を結ぶ前提となった吉田書簡の中で、北京政府とは今後二国間条約を結ばないということをはっきりと書いている。そういう書簡をダレスは受け取り、はなはだりっぱな書簡であるというようなことでダレスも返事を書き、それがもとになって日台条約ができた。それによって、当時の状況からいたしまして、日本が中国の人民に対しまして敵対関係をさらに深めたという関係になった、こう私どもは見た。これはいろんな事情もございましたでしょうが、やはり日本政府の外交政策の独自性が喪失しておったからこういうことになってしまった。その陰にアメリカの力が加わっていた。いま吉田氏が台湾訪問をせられるというのですが、その当の吉田氏が、今後日本は北京政府との間には条約を結ばないというようなことをはっきりとあの書簡に書いておる。こういう人物がいま台湾を訪問するということになっておるのであります。吉田書簡の当人が台湾に行くという事実は、それが日本と中国との国交回復に悪い影響を与えると考え、これに反対するのはわれわれとしては当然だと思います。  私はこの際政府に申し上げておきたいと思います。この吉田書簡というものはずいぶん古いものであります。吉田書簡が、今後日本は北京政府を相手国に二国間条約は結ばないというようなことを書いている。それは現在では全く死文化してしまっておる、こういうふうに私どもは見ている。しかし、こういうことを書いた当の本人がいま台湾に行くのでありますから、私どもは、この書簡の意味、この文句を無視することはできない。その後の情勢の変化によって、現在では、こういう二国間条約を北京政府と結ばないというような約束は死滅してしまっている、こういうふうに私どもは見てはおるのでありますが、当人が台湾へ行くので、一応問題にしたい。政府はこれをどのようにお考えになっておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 終戦後国際社会復帰の際にとりましたわれわれの先輩の選択が正しいものであったかどうかという御質問でございますが、私どもの先輩は、これは日本のために利益になるという判断で選択されたものと思いますし、その結果、日本が平和を回復し、国際社会に復帰いたしまして、今日のように復興ができたと思うのでありまして、この場合の選択の評価につきまして、黒田先生と私どもと評価を異にいたしますことは、たいへん残念でございます。  それから、第二の、吉田元総理の書簡でございますが、それはあくまでも書簡でございまして、条約とか協定かいう性質のものではないと承知しております。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 外交の自主性があるかないかという問題を、単なる政策の相違ということで簡単に回避した御答弁がございましたけれども、これは私どもそうすりかえられては困る。政策の相違ということの中に、独自性を追求しようという政策と従属的政策とがあるわけでありますから、それを私は具体的に事実を指摘して御質問申し上げたのであります。だから、大臣の御答弁は、私には満足な答弁として受け取ることができません。  それから、書簡というものがどういう意味を持つか、その国際法的な意義につきましては、私はきょうここで深く触れようとは思いません。書簡にもいろいろありまして、法的な効力を持つ書簡もありましょうし、それほどの効力がない書簡もあるわけですから、私はきょう書簡の法的効力というものについてこれ以上議論いたしませんが、しかし、この書簡に基づいて日台条約がつくられたという過去の歴史的事実は否定することができないわけです。この書簡を出したということ、私はこれはいわば一種の幽霊、亡霊的事実だと思います。その後の世界情勢の推移によりまして、こういうことは、いまとなっては思い出の悪い亡霊的事実だ、私どもはそう考えますが、しかし、こういう亡霊がいま生きておっては困る。中国承認問題をまじめに解決しなければならぬときです。この亡霊的書簡を発せられた吉田さんが今回台湾に行かれるのですから、この時節に台湾に行かれるのですから、したがって、私どもも、この書簡の意味を、それが法的効力があるかどうかということよりも、その政治的意味を一応問題にせざるを得ない。この書簡の亡霊がいま生きておるかどうかということを私は質問したいのであります。その点もう一度、単に書簡というものが法的にどういう効力があるかということについての御説明ではなくて、この書簡の政治的意味が現在生かされておって、この書簡を出した当の本人が台湾に行って、何か日本がまだそういう気持ちでおるというようなことを言うてこられるのでは、私は、日中国交回復を念願しております全国民にとりましても非常な障害になる、こう思うわけです。この書簡の精神はもう死文化したものと認めて政府は外交政策を展開さるべきだと思うのであります。私はこの意味での質問を申し上げた。念のためにもう一度御答弁をいただきます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 吉田先生は御識見ある方でございますので、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、台北を御訪問されるということはけっこうなことである、そう政府としては感じておるということを申し上げたわけであります。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 北京政府とは二国間条約を結ばないというような精神をもって日台条約が締結せられた。その発想の本人が、いまこの重要な時期に台湾を訪問するのです。こういう精神がまだ日本の外交の中に生きておるということになれば、これは私は非常に重大な問題だと思うわけです。そこをお尋ねしておるわけです。明快にお答え願いたいと思う。もうこの精神は死んでしまっておるのだということ、私はそうでなければならぬと思う。それがほんとうの日本政府のこれからの正しい外交路線である。これは日本国民の一人として特にそのことを願ってもおるわけです。私はその意味で御質問申し上げておる。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 吉田先生の今回の御訪問は政府と関係がないということを私は申し上げたことに尽きておると思います。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 外務大臣はほこ先をおかわしになるというのでなかなかその道の名人だというようにいわれておりますけれども、どうも私どもはほこ先をかわされてしまったとは思わないわけです。答弁に満足しない、そう申し上げるよりほかありません。政府は今後対中国政策をいずれにしましても真剣に遂行しなければなりません。そのためには、いろいろといまから精神的用意も整え、また、前向きにやれることは、それが積み上げ式であってもやっていかなければならぬ。そういう重要な時期になっておりますときに、この北京政府を無視いたしましたような書簡に基づく精神がまだ日本外交の中に残っておっては、日国交回復の前進のために非常に障害になる。しかも、これが過去においては厳然たる事実として日本政府の精神として中外に表明されておるわけです。これがその後の日本政府の対中国政策をどんなに困難にさせたか。このいわば元凶的文句がこの書簡の中に表示されておるわけです。この精神だけはどうしても廃棄しなければならぬ。そうしなければ日中国交回復は進まない。これは当然のことだと思うのです。これに対する政府の御所信を聞いておるのです。そこはひとつはっきりと御答弁願ったほうが、私どもも政府の方針に対して何やかやと要らない疑いを持つ必要がなくなるし、事態が与党と野党との関係においても明快になるわけです。絶えず何か曇ったような目つきで政府を見なければならぬということでは、お互いに一緒にやれると思うことでもやれなくなることがあり得るわけです。私どもは、日本国の全体の国民的利益ということを考えれば、過去の亡霊は平らげなければならぬ。これだけは勇敢にやるという政府の態度がほしい。その政府の姿勢を私どもは聞いておるのです。政府はこの亡霊につかれておった。そういう過去の事実があったから、このように執拗に質問しておるわけです。もう一回だけ御答弁をいただいておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 わが国の安定、繁栄という点に基盤を置いてわが国は自主的に考えて進めていくべきものと思うわけでございます。あなたの御質問は、吉田先生の今回の御訪問との関連において提起されましたので、これは吉田先生の御発意によって行なわれるものであるということを私が申し上げたわけでありますので、御理解いただけるものと思います。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 外務大臣の御答弁になっておることは承ってだけおきます。外務大臣がそういうふうに御理解になっておるということを私ども別にどうこうとは申し上げませんが、しかし、私の質問の論点は全然はずされております。ただ、私どもは、はずされて、それでごまかされたのではありません。この非常に重要な問題に関して政府の精神には大いに曇りが残っていると、私どもはただいまの状態といたしましては認定せざるを得ない、そういう結論に達するわけでございます。しかし、この問題をこれ以上繰り返しても時間の損失になるだけでありますので、このあたりでとどめておきます。私は、吉田書簡のあの亡霊を平らげたことがはっきりしないと、政府がどんなに対中国問題を解決しようとしてもうまくいかない、それだけは申し上げておきます。  それから、本論に入ります前にもう一つ、これもきわめて時局的な問題でございますが、一応念のために、新聞も報道しておることでございますから簡単に御質問申し上げておきます。それは、松井大使のアフリカ訪問についてでございます。東京の新聞でこのことが報ぜられまして、すでに十六日にニューヨークを御出発になっておるそうであります。一ヵ月ないし一ヵ月半の日程でアフリカを歴訪されるということであります。そして、その目的が、フランスの中国承認がアフリカ諸国に与える影響を打診することにある、こういうように報ぜられております。もっと詳しく言えば、これは私が詳しく言う必要もないと思いますが、質問の便宜上申し上げます。アフリカにおけるブラザビル・グループなど旧フランス植民地諸国を中心に中国承認の機運がずっと広がってくるのではないかという観測があって、次の国連争会で中国代表権問題が取り上げられました場合、アフリカ諸国の動向が非に重大な意味を持つことになる、その情勢把握のために松井大使の派遣が具体化されたのである、こういうように新聞には報ぜられております。なおこの問題についてもう少し突っ込んで聞きたいと思いますが、大体松井大使派遣の外務省の意図を一応簡単でよろしゅうございますから承っておきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これは、この前の本委員会におきましても私から御答弁申し上げたとおりでございまして、松井大使をアフリカ諸国に派遣いたしますることは、フランスの中共承認問題より以前に決定されておることでございます。これは、御案内のように、AAすなわちアジア・アフリカ、中近東のグループが国連の議席の中で過半数を占める有力なグループになっておる。わが国は、そのメンバー、それに中間入りをいたしております。したがって、私どもとしては、AA圏と称する国々と終始連絡を密にし理解を深めておくことが国連対策を進めていく上において必要であると存じまして、去年は岡崎大使をわずらわしてお回りをいただいたのでございます。そういう考え方から今回も松井大使をわずらわすことにいたしたのでございます。そういう趣旨で出ておるわけでございまして、これをどのように評価するかということは、世間がどう見ておるかは存じませんけれども、私どもが松井大使の派遣を計画いたしましたことは、AA諸国との間の理解を深めていきたいという趣旨にほかならないわけであります。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 しかし、世間では必ずしもそのとおりにだけは報道していないわけです。そこで、私はもう少しこの問題につきまして御説明を求めたいと思います。こういうようにも報ぜられておるわけです。それは、政府は初めは、ただいま外務大臣がおっしゃいましたような外務省の御計画でアフリカを訪問せしめる、そういう予定であった、ところが、その後のいろいろの情勢によりまして、これらの諸国の動向が日本の対中国政策に重大な影響を及ぼすものであるという点を重視いたしまして、単なる情勢視察、ただいま外務大臣の御説明にあったような単なる情勢視察だけでなしに、日本の置かれておる立場や微妙な極東情勢をこれらの諸国に説明をして、各国に慎重な態度をとってもらうように希望する、そういう意図をもって訪問するものである、——これをもう少し具体的に申しますならば、すなわち、各国に慎重な態度を希望するということは、アフリカ諸国のうち、国府を承認しておるもの、もしくは国民党政府あるいは北京政府のそのどちらをも承認していない諸国に対して、性急にフランスの動きに同調するようなことのないように、中国代表権問題については極力慎重な態度で臨んでもらいたい、その慎重な態度というのが、性急にフランスの動きに同調することを避けるようにという内容のものである、そういう内容を外務省から松井大使に対して伝えてある、こういうことが報ぜられておるのであります。こういうことが報ぜられる以上は、われわれはこれを問題にしないわけにはいかない。過去の日本政府のこの問題に対する実績を見ているからわれわれは質問しなければならぬのであります。もしかりにそうであるとしますならば、中国が国連での地位を回復するということを日本政府が積極的に妨害をするということになるのでありまして、これは非常に不当であると私どもは考える。さきに国際連合の総会におきまして、政府はアメリカの意図を受けまして、北京政府の中国代表権を実現させないようにという意味でいろいろな方策を講じたということを私どもは知っております。その方策をとったということは、御弁解は私はきょうは聞かなくてもよろしい。何べんも聞いております。しかし、かりに他の意図で重要事項方式を政府は提案せられたといたしましても、結果的にはこれが少なくとも妨害になっておるということは、はっきりと言えることですから、こういう実積が過去においてあるときに、またアフリカ諸国に対しまして、北京政府の国連復帰の妨害工作を行なうように思われる行動をとられておるということになると、私どもは黙視することができない。一体、このように報ぜられているようなことがあるのかないのか、一応われわれとしましては質問をしないわけにはいきませんので、簡単でいいですから、お伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私は、本委員会においても申し上げておりますとおり、来たるべき第十九回総会における国連対策というようなものは、まだ材料が不足でございまして、それまでずいぶん時日があることでございますので、まだきめておりませんということを申し上げておるわけでございます。したがって、わが国の態度を各国に説明するなんといっても、説明する材料をまだ持っていないわけでございますから、そういうことは考えられないことでございます。フランスの新しい動きというものがどういう影響を及ぼしているかは、これは当然アフリカを回ればわかることでございまして、それは松井さんも這般の事情は調査して帰ると思いますけれども、あなたがいま御指摘になったように、意図的に各国にわが国の態度を押しつけると申しますか、同調を求めるとか、そういうようなことは毛頭考えておりません。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 松井大使は旅行の途につかれただけでございますから、これ以上は今後の実績を見た上で問題にしたいと思います。  そこで、私は、先ほど外務大臣から、北京政府の承認という方向に向けて日本の外交政策を進めるということについてまだはっきりと決意したわけではないのだというように承った。けれども、この間の穂積君の御質問に対する御答弁では、国連において北京政府が中国の代表権を回復するということになってくれば承認を日本政府としても問題にする、こうおっしゃった。すなわち、これは、ややこしいことばを用いないで言えば、そういう状態になれば承認をするということでしょう。これは総理大臣もそういうふうな意味のことを言っておられる。ただ、そういう状態がいつ来るかということがまだはっきりしていないというにすぎない、そこまで日本政府の前向きな態度が出てきた、こういうように私どもは理解をしておる。私どもから見ますれば、この松井大使のアフリカ視察ということも、むろん無意義ではございません。けれども、そういう松井大使の視察に基づく情勢分析というような、いわば、外交技術的な小手先的な方法を重視するというような態度をやめて、もうこの際ですから、世界の大勢を洞察して、日本が北京政府を承認しなければならぬ、そういうように私どもは踏み切るべきであると思います。私どもは、先ほど申しましたように、とつくの昔からこの方針をとっておる。政府も、今日の状態になりましては、もうそういう方面に踏み切らなければならぬ。単にアフリカの惰勢視察というような小さい問題ではない。もっと大きな見地から中国承認問題というものを見るべきであると思います。政府がどうお考えになっておりましょうとも、中国政府を、北京政府を承認しなければならぬということは、もう単なる日にちの問題にすぎない。そういうところまで来ておる。そうして、政府も、国連で中国政府の地位が積極的に議決せられたときには承認という問題を考えると言われておるのですから、少なくとも、それ以下のことであっては、これは問題になりません。少なくともそこまでは言われておるわけであります。  そこで、私はお尋ねしたいのですが、政府はそういう少なくとも前向きの姿勢を表明されたと私どもは思うのでありますが、一たびそういう承認の方向へ踏み切られました以上は、国連の決議を待たないで承認問題を解決すべきである、これは私どもの政府に対する勧告です。承認は日本だけでやれるのです。国連の決議ということになってまいりますと、多数の国の集団的な意思決定を経なければなりませんけれども、承認は日本が単独でやれるのであります。そこに外交の独自性もあらわれる、こういうふうに私は考えております。私どもは、日本の中国に対する立場から考えて、代表権の決定を待たないで承認に踏み切る、踏み切るときめた以上はそこまでもう一歩前進すべきである、日本政府のためにもそのことが利益である、そのように理解しておるのであります。だから、消極的なことばで言えば、承認を回避すると申しますか、もう回避することができない。回避することができないいうことばを使うといたしますれば、少なくとも回避することができないという見通しまでには政府ももう到達されておると私は思います。そこにさえ到達されていないのでは、これは、非常に問題でございますが、少なくともそこまでは政府は来ておられる、私どもはこう理解しているのであります。そこで、こういう見通しに立つ以上は、代表権決定以前に承認をなすべきである。これがばく大な人的、物的損害を与えました中国の人民に対して日本政府のとるべき態度である。私どもは、すみやかに中華人民共和国と国交回復をすべきである、それが日本政府の義務であるというふうに従来唱えてきたのであります。  そこで、私は申し上げますが、国連における中国の地位の回復の決議がなされたあとで北京政府を承認するというのでは、それはおそい。多少とも情勢に通じている者は、そう考えざるを得ないのではないでしょうか。アメリカのように、あくまでがんこな態度を続ける国は、これは別です。しかし、私どもは日本人としていまここで議論をしている。中国政府の地位が回復されたあとで中国政府を承認するということは、決議のあるまでは承認しないというふうに解釈しなければならないだけでなくて、もう一つ私は問題があると思いますのは、回復反対の投票を日本政府がやって、そういう反対の態度を取り続けて、しかもそれが少数で破れて北京政府の国連復帰が実現して、そのあとで日本政府が承認する、そういうことになる可能性が多いと思う。私はそれをいま問題にしておる。もしそういうことになれば、すなわち、政府の言われるように、中国承認は国際世論の動向によってきめる、あるいは国連での代表権の決定後承認問題をきめるというようなことで答弁されておりますけれども、私どもの考えでは、もしそうなってからの承認ではあまりにもおそ過ぎる。日本の国際的地位をわれわれは考えて申すのであります。これはおそ過ぎる。いわんや、最後まで地位の回復に反対をしてそれが少数で破れる、そうしてそのあとで北京政府を承認するということになったら、これはもう外交技術としてはあまりにも拙劣でありますし、また全く無誠意きわまるということになる。こういうことになってきてからのこの中国承認というのでは、先方から軽蔑せられます。私はそういうことを心配しておるのです。そういうみじめな地位に日本政府は置かれますよ。こういうことを考えるのは杞憂でありましょうか。私は、いままでのような政府の方針で進んでおると、こういうみじめな立場におちいるのではないかということを警告する。だから、中国の承認問題は、代表権が国連において決定せられたあとにというように限定してはならない、こう思うのです。いま前向きになっていると考えられておるのでありますけれども、それには一応限定がついておる。これは国連での中国復帰が決議せられたそのあとで考えるということです。しかし、その限定を取り除くべきである。へたにその限定に基づいた外交方針で中国問題を進めておりますと、いま申しますように、日本の国際的立場が非常に不利益になる、不名誉なものになる、そのことを私どもは心から懸念する。そこで、私はこういう限定をつけるべきではないと思うのですが、それ以前の時期につきましては、私どもとしては、すみやかに、と言っておりますけれども、そこまでの質問は私はいまはしておりません。国連への北京政府の復帰後に承認するという、その後にという前提をはずすべきである、こう私は思います。これに対してどういうようにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 外交は、先ほども申し上げましたとおり、自主的にわが国の国益に対する判断に基づいて決断すべきでありますが、同時にまた、たびたび申し上げておりますように、世界の世論の向かうところを十分しんしゃくして決断しなければならぬことでございます。ないとか、あったとか、そういう問題ではなくて、ただいままで申し上げてきたような基本的な心がまえを持っておるということで御判断をいただきたいと思います。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 念のためにお尋ねいたしますが、そういたしますと、別に私がいま申しましたような意味の限定を付して考えておるものではない、もっと融通無碍に情勢に従ってやるということも考えられる、そういう意味でございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 わが国の国益を基本的に考えなければなりませんし、世界の世論の向かうところを十分踏まえて決断すべきものだ、こういうことで御理解いただきたいと思います。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 私の言う意味での限定ということにこだわっていないという御意見でございましょうか。そういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま申しましたような基本的な心がまえでおりますということでございます。それ以上は仮定のことになりますから……。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 仮定のことというようなものではございません。すでにいままでの政府の御答弁の中である程度具体的に出てきていることです。将来のことでございますから、仮定と言えば言えましょうけれども、しかし、私どもは仮定ということばを使いたくない。仮定じゃない。将来に対する一定の方針として、穗積委員に対する御答弁の中で時期の問題も具体的に出たわけであります。そこで、その時期がいつ来るかということは、これは現在の国際情勢にどんなに精通している者も必ずしも明確にその時期を予言し得ることはできないと思いますけれども、しかし、一般的には近いうちに中国代表権問題は片がつくと見られております世界情勢のもとにおいて、政府は、少なくとも一歩前進として、先ほど申しましたように、その地位の問題が解決したらという具体的な一つの時期を出されておる。いっそのときが来るかということがまだ明確ではございませんけれども、しかし、将来必ず来ると見るその時期に、前向きに、承認問題を解決するということまでは言われたのでありますから、それに対しましては、あえてその国連復帰に関する決議というその限定をおつけになる必要はないのではないか、そのことを私はいま御質問申し上げたのです。だから、単なる仮定の問題ではなくて、政府から一つの具体的な方針が示されておりますから、私もそれに対しまして御質問申し上げておるのであります。そのようにお聞き取り願いたい。もう一度御答弁を願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 穂積さんにお答えいたしました国連加盟というようなこと、これも世界世論をはかる一つの有力な事実だと思います。そのときにもお断わり申し上げておいたが、それは時期云々の問題ではなくて、そういう状態が現出した場合にはそれを無視することはできないのではないか、そういう判断を申し上げたわけであります。時期の問題云々というようなことは、ただいままで何とも申し上げておりませんし、また、黒田先生の御質問に対しても、そういうことを申し上げるほどこの問題が固まっていないわけでございますから、基本的にこういう考えでおりますということでお聞き取り願いたいと思います。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 そうしますと、ただいまの大臣のおことばによりますと、国連における中国政府の地位の問題が議決されるということだけで判断するのではない、それも中国政府を承認する場合における判断の標準の一つにすぎないのだというようにおっしゃったように思います。そうしますと、その他の国際情勢によってまた承認問題を解決するに適するような別の条件がそこにできれば、国連の決議ということとを別にこの承認問題を解決する、こういうこともあり得るのだという意味でございますか。私は最後のお答えはそういうふうに理解しました。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 わが国の国益に対する判断に基づいて決断すべきである、同時に世界世論の向かうところを十分に参酌してやるべきものと心得ておりますということで、ごかんべん願いたいと思います。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 別にかんべんするとかしないとか、私どもそういう気持ちで御質問申し上げておるのではありません。ことに、日本並びに日本政府のとも私ども頭に置きながら、日本として対中国問題をりっぱに解決したいという善意的な気持ちで申し上げておるのですから、そういうふうに御理解願いたいと思います。そうしますと、だいぶはっきりしましたが、単に国連での決議というだけでなくて、いまおっしゃいましたのは、日本国の利益と世界の世論というようなものに基づいてきめるのだということでございました。それで、政府の承認決定に対する基準が、ある意味においてはばく然とはしておりますけれども、しかし、またある意味においては前進である。国連の決議を時点として、少なくともそのことがあればそのあとでというのが政府の御意見であったようですけれども、しかし、必ずしもそれだけを言っておるのではない、国益と世界世論に基づいて承認問題をきめるのだというようにいまおっしゃいました。国益と世界世論ということはきわめてばく然たることばではありますけれども、また、はなはだ融通性のあることばでもある。その融通性のあるということでは、ある意味においてはまた前進的でもある、前向きであるというように理解できないこともありません。私はそういうふうに理解しておきます。要するに、先ほど申しましたように、国連で中国政府の地位の問題が解決されたあとから日本政府がこそこそと承認するというような不手ぎわなやり方は、日本の国の利益のために、日本国民の名誉のために、また中国に対する信義のために、絶対にやらないでもらいたい。そして、国益と国際世論を十分見て、国連の決議にこだわらず、それ以前に問題の解決をすべきである。これは私の政府に対する希望として申し上げておきます。この希望は私個人の希望というだけのことではございません。先ほどから申しましたように、中国に対する信義、日本国の利益、政府の名誉ということを考えましても、そうしなければならぬ。私たちの立場はどうかといえば、それは早く承認しろということで、これは繰り返して申し上げておりますので、それ以上申し上げません。そこで、私のきょうの質問は、質問の前ぶれ程度の問題で、実はこれからいよいよ本論に入って、重要な問題に入っていきたいと思いましたが、実は二時からどうしても別の会議に出席しなければなりません。たいへんかってですが、この次に、自民党の諸君にも御了解を得まして、少し時間をいただいて質問さしていただきたいと思います。きょうはもう少し深く立ち入って質問をいたしたいと思っておりましたけれども、そういうわけでございますので、予定のごく一部分だけの質問になってしまいました。冒頭に申し上げましたように、私は今後なお中国承認問題につきましては回を重ねて引き続き継続的に御質問を申し上げたいと思いますが、きょうはこれで質問を終了いたします。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長 宇都宮徳馬君。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 フランスの中国承認、このことがありまして、中国問題が日本でも再び大きくクローズアップされてきたわけでありますが、フランスが中国を承認したということだけが重要なのじゃなくて、フランスが中国を承認した背景、国際情勢の動きというもの、これは私は非常に重要であると思います。そして、私も自由民主党の党員ですが、自由民主党及びその政府は、いままで自由主義陣営及び共産主義陣営の対立ということを外交施策の基本に置きまして、われわれは自由主義陣営に属するのであるということを外交の基本的な信条にして、そして、アメリカが自由主義陣営の中心であるから、その外交政策とは密接不可離の関係にある、それから離れ得ないのだという考えが根本であったと思うのです。しかし、フランスの中国承認、それから、その前に中ソの対立というような事態が起こりまして、モスクワ中心の外交布陣、またワシントン中心の外交布陣にひびが入ったということが、現在の国際情勢を認識する上から言って、これは好むと好まざるとにかかわらず非常に重要なことであると私は思う。  そして、外交思想というものは決して固定したものじゃありません。日本も、三十年くらい前は、いわゆる全体主義陣営に属してということを言いまして、その当時の自由主義陣営とは不倶戴天のかたきというような観念で対立してきたこともあります。その後、御承知のような事態になりまして、自由主義陣営に属している。国際情勢が動きますと、外交方針も動かなければならない。そうして、動く場合には、うまく動いてくれないと、国民がたいへん迷惑するわけですね。全体主義陣営に属するという日本の外交方針は、日本側の惨たんたる敗北を通じて改められたわけですから、そういうふうな改め方は、私は非常に不利であると思うのです。ですから、一つの外交方針に固執すべきではなく、世界の大勢をよく見て、そうして、世界の平和のために、また日本人の利益、日本の利益のため、外交方針を転換していかなければならない場合があるということを大臣はもちろん御承知だろうと思いますが、どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 世界情勢が動くものである、そうして、モスクワ、ワシントンを中心にした一つの秩序というようなものが亀裂を示してきた、そういう状況にあるということ、これは御指摘のとおりと私も心得ております。それで、外交方針はその国際情勢の動向に即して巧妙に展開運用せねばならないということにつきましても、宇都宮先生と私は同感です。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 特に、ドゴールの中国承認は、やはりフランスとして相当考えられた政策で、ただドゴールがフランスの栄光を求めるとかなんとかいうものではないと私は思います。中国の国連加盟問題なんかと関連いたしまして、アフリカ諸国間の動向も相当問題になっておりますけれども、フランスが中国を承認した背景には、やはりアフリカの動きがあるということを無視することができないと思います。というのは、御承知のとおり、アルジェリアとフランスとの間にエビアン協定が結ばれた。そうしてアルジェリアが独立したわけです。いわゆるカサブランカ・グループと、それからブラザビル・グループと、この二つのグループが仏領植民地の中で対立をしていたことは周知の事実であります。それが、アルジェリア独立を機会といたしまして、例のアジスアベバ会議でアジスアベバ憲章が採択されまして、カサブランカ派はどちらかというと右寄り、ブラザビル派のほうは多少左寄りするという形で一体になったわけですね。そうして、これらの仏領植民地の諸国家は、植民地独立という一点においては強く一致いたしまして、大体において一致の行動をとる、中にはいろいろな問題がもちろんありまするけれども、そういうことになってきているわけです。そういう仏領アフリカの空気を背景にし、仏領アフリカに対するフランスの文化的、経済的あるいは政治的影響を残すためには、この際これらの諸国家の中に底流として相当強く流れている中共承認の動きと同調したほうがいいということも、私はフランスが中国を承認した一つの理由だと思います。ですから、今度松井大使がブラザビル派のほうを主として見られる、こういうことですけれども、アフリカの情勢はだいぶ変わっておるのです。特に、ブラザビル派というのは、カサブランカ派と異なりまして、フランスに非常に近い。アルジェリアはどちらへというとエビアン協定ができるまでは反仏的であったわけですが、プラザビル派のほうはフランスに非常に近い。ですから、フランスの影響を非常に強く受ける諸国家と見ていいわけですが、それらの諸国家はフランスの今度の中共承認によって非常に強い影響を私は受けると思いますけれども、どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いまの御指摘の点は確かに一つの問題点であると私も思います。ただ、ただいままでのところ、どのような反応を示すかという決定的な徴候はまだ見えません。ただ、今後十分注視してまいりたいと考えております。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 普通言われているように、ブラザビル派は大体自由主義陣営に属しているのだからおそらく今後アメリカ等の方針に同調するだろうという判断は、私は甘いと思うのです。ブラザビル派の動向については、日本の外務省よりはるかにフランスの外務省のほうが知っているわけですから、これらの意向を無視して中国承認をフランスがやるはずはないのですから、ブラザビル・グループとは、カサブランカ・グループよりも密接な連絡をとって中国承認をしていると私は思います。この点は、情勢判断の上で非常に重要なことですから、注目しておきたいと思います。  さらに、ヨーロッパの諸国家ですね、ラテン系の諸国家。フランスもラテン系の国家ですけれども、ラテン系の諸国家、たとえばイタリアあるいはベルギーとか、それから特にポルトガル、スペイン等の動向は非常に問題であると私は思います。イタリアは、アメリカとの関係も、非常に複雑な関係もあって、態度の表明に対しては、日本と同様、至ってティミッドな面がありますけれども、しかし、日本とはだいぶ違う面があります。ベルギーは相当積極的である。特にポルトガルは非常に積極的です。最近、外務大臣は御承知かどうか知らぬけれども、マカオという広東の近所にポルトガルの小さな植民地があるわけです。あそこの土地の値段が非常に高くなってきているのですね。これは、もしもポルトガルと中国との間に正常の国交関係ができますと、あそこのポルトガル領土が安定するということから土地が非常に高くなったというような現象もありまして、ポルトガルの中国承認は非常に近いと見ていいのではないか。また、スぺイン、これはフランコ将軍が統治しておりまして、世界における右翼的国家と思われておりますけれども、この中国承認も決して遠くないと私は思います。特にスペインとキューバ等との関係を見ますと、スペインは決してイデオロギー外交をやっていません。キューバに航空機を乗り入れている国は三ヵ国。メキシコが一つ、それからスペイン、チェコですね。スペインが乗り入れているくらいです。砂糖も大口のお得意さんですし、また、最近は船などをキューバに売っているというようなことをやっておりまして、フランコ政権は決してイデオロギー外交をしていない。ですから、これもポルトガルと同様に非常に近いということが考えられるわけですね。  また、このラテン系諸国家が中国承認ということになりますと、いわゆるラテン・アメリカに対するはね返りは相当大きいものと見なければならない、こう思うのです。  アメリカの一番の弱みといいますか、痛いところといいますか、これはラテン・アメリカが動揺することであると思うのですけれども、アメリカがいままでのような中国に対する態度をとり続けようとしておりましても、ポルトガル、スペイン等が承認するということになりますと、そういう政策がなかなかとれないということになると思うのです。私はアメリカの中国政策もその点から見ますと非常に微妙であると思っております。こういう際ですが、このラテン系諸国家の態度、それからまた、その中南米に対する影響等について、御意見があったら承りたい、こう思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもは各国の反響につきましては逐一情報を取って見ておりますが、ヨーロッパ方面では、フランスのとった措置の実体的な評価よりは、むしろこういう措置がとられた時期が適当であったかどうか、それから、こういう措置がとられるまでに踏まれた手順が十分であったかどうかというような点に議論が多いように感じまして、実体問題としてやかましく論議があるようには受け取っておりません。しかし、こういう議論が今後どのように展開されるのか、フランスがまたどのような措置をされるのか、そうしてそれがいま御指摘のラテン・アメリカのほうにどういう影響を及ぼすのか、そういった点、にわかに確答できないのでございますけれども、これは、今後の事態を見ていく上におきまして、御指摘のとおり重要なキーポイントだと存じますので、十分注意を怠らないつもりでおります。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 また、ドゴールがこういう態度をとりました一つの理由に、仏領インドシナの問題があると考えます。世界でいま非常に不安定なところと申しますと、仏領インドシナですね。それから台湾海峡付近、三十八度線、ベルリン周辺。あとは、植民地があちこちにありますけれども、これはキューバ問題を除けば必ずしもグローバルな問題ではありません。それで、ドゴールが、われわれのこの態度によってむしろアメリカを助けるのだということを言っております。というのは、アメリカの極東政策が行き詰まっているという判断をいたしておるわけです。そしてまた、同時に、アメリカは中国を非常に危険な国家と言っているけれども、むしろ話し合ったほうがいいんだ、第二次大戦後の危険な世界革命の波は大体退きつつあるんだという判断がドゴールの判断の根底にあると私は思います。   〔委員長退席、高瀬委員長代理着席〕 また、そういうことを言っております。それで、このアメリカのいままでの極東政策というものは、日本政策も含めまして、共産圏諸国が非常に危険だからそれを封じ込めるとか、あるいは巻き返すという政策でやってきたわけですけれども、仏印等におきましては明らかにこれが行き詰まっちゃって、そして御承知のような事態になっているわけです。ところが、フランスといたしましては、例のマンデスフランスの時代に一つの植民地問題に対する解決方策をひっさげて、そしてマンデスは仏印でああいう施策をとり、一つの緩衝国家みたいなものをつくって、フランスの文化的、経済的、できたら政治的影響を残すという方策をとってきたわけです。そしてアフリカに対してもそういう政策をとりかけたんですが、アルジェリアで行き詰まって、そうして軍と右派との反撃でマンデスが倒れた。その政策を私はドゴールが受け継いでいるくらいに思いますけれども、アメリカの極東政策がすでに行き詰まっているという判断をドゴールはしているわけですが、これが事実であるとすれば、私は重大であると思うのです。もし行き詰まっているのならば、日本も、アメリカに好意を持つならば、積極的にその事実を指摘して、アメリカ自体としてはやり得ないことは日本が積極的にむしろアメリカを引っぱるというぐらいな親切があってもいいと思う。ドゴールと同じぐらいな親切があってもいいと思いますが、ドゴールのそういう極東判断に対してあなたはどう考えられるか、承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 戦後の世界は非常にむずかしい問題をたくさんかかえておる、そしてこれを規律するルールを持っていないということは、どうも確かなように思います。したがって、これに新しい光を当てて、どういう新しい秩序を編み出していくかということは、戦後の人類に課せられた最大の課題だと思います。そして、各国の指導者はみんなそれを頭に置いてそれぞれのビジョンを持っておられるに違いないと思うのでございまして、ドゴール大統領としても、いまあなたが御指摘のように、ドゴールさんはドゴールさんとしての絵を頭に置いておられるという感じは私もいたします。しかし、それが戦後の世界の混迷を照明し、そして解決をもたらすために有効なものであるかどうかということは、これからの事態の推移を見ないと判断できないわけでございまして、ドゴール構想というものの功罪をいまの段階で評価するのは、私は時期尚早だと思います。  それから、アメリカの極東政策が失敗であるのか失敗でないのか、これもまた非常にむずかしい問題だと実は思うのです。アメリカはアメリカとして、戦後の世界に処するみずからの国是というものをちゃんと持って、それで非常な国力を傾けて世界政策に当たっておるわけでありまして、それの評価は別といたしまして、それ自身としてりっぱにやってきていると思うのでございます。アジアの政策が失敗であったかどうかということを議論することより前に、もしアジアにおいてアメリカがいなかったらどうであるかという状態も考えてみておかなければいかぬと思うのでございまして、歴史はもう一ぺんやり直すというわけにはまいりませんから、試験的にやってみるというわけにもまいりませんので、これまでアメリカが積んできた努力というものは並みたいていではなかったと思います。そして、アメリカはアメリカなりのフィロソフィをもってやってきておるわけでありまして、これを局外者がにわかに是非を論断してまいるというのは、いささかデプロマチックでないという感じが私にはいたします。ただ、民主主義の国でございまするし、世界の情勢はあなたが冒頭に言われたように動くわけでございまするし、アメリカ自体の世論の動向という点も私どもは十分注意しておかなければいかぬと思いまするし、われわれ、友邦として、あなたが御指摘されたように、アメリカの極東政策が生み出したもろもろの問題点につきまして、先方も十分気がついておるでしょうけれども、しかし、いろいろフランクにインフォームして差し上げるということは私どもやってまいりたいと思いますけれども、にわかにこれが成功であるか失敗であるかというようなことを申し上げるということは、いささか私も申し上げかねます。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 もう一度聞きますが、失敗したというのではない。ドゴールは、いま行き詰まっていると言うんですね。それで、ある時期はよかったかもしれませんけれども、もはや行き詰まっている、何とかしなければいかぬ、そこで、自分はこういう新しい手を打って、むしろいまアメリカに救いの手を差し延べるのだ、こう言っているのです。失敗したと言っているのではないのです。行き詰まったと言っているのです。これは認めざるを得ないですね。これはおそらくアメリカの国務省あたりではある程度まで認めておるのではないかと思うのです。ただ、表面立ってそれを外国に対しておれは行き詰まったとはなかなか言えないでしょうけれども、行き詰まっておるということなんです。この点は外務大臣もある程度まで認めざるを得ないのではないでしょうか。これはお答えにならなくてもいいですが……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 その行き詰まって非常に困難な問題に直面しておるということは言えますが、しからばそれは他に代替する方法がより有効な手があるかというと、その回答を持たぬと、その議論を進めてまいるわけにいかないのじゃないかということを感じます。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 もちろん解決手段を持たなければいかぬわけですけれども、しかし、解決手段をさがすためには、まず行き詰まっておるという考えを持たないと、さがす気にもならないわけです。行き詰まっていないのだという前提では解決手段は見つからないわけですから、解決手段を見つけるためにも、行き詰まっておるのだ、行き詰まりそうだという考え方を私はもはや持たなければいかぬと思います。  それから、中国の問題に入るわけでありますけれども、日本は、率直に申しますと、大東亜戦争というものを起こしまして、いまそのあと始末をしているという段階です。外交の大きな問題は、全部あと始末である。そうして、そのあと始末のうちで最大のものは、やはり中国大陸との関係を正常化していくということが一番大きな問題であると思う。そもそも大東亜戦争というものはなぜ起こったかと申しますと、中国問題に対してアメリカと日本が意見を異にしたということから起こってきたことを否定することはできないわけです。そうしてアメリカとの戦争が始まった。アメリカとはいま仲よくやっておりますけれども。そして、中国、いわゆる中華民国政府と一応平和条約を結んで表面的には解決しておりますけれども、しかし、中国の六億とか七億とかいう国民を支配している政府と何らの関係がない、国民同士も十分な関係がないということは、大東亜戦争の最大のあと始末ができて  いないということであると思うのです。ですから、戦後の日本の最大の外交課題は、この中国大陸の問題をどうするかということです。しかし、この問題でアメリカと日本は意見を異にして戦争をしたくらいですから、現在においても必ずしも同じ意見を持つということは、私はむずかしいのではないかと思います。もちろん同じ意見を持ってやれれば一番いいと思いますけれども、しかし、持てない場合でも、日本の政治家、日本の外交、日本の外務大臣としては、この問題に積極的に取り組む気魄が必要であると思いますけれども、外務大臣はどういうようにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アメリカはわが国の最大の友邦でございますので、日米間に寸分の不信というものがあってはならぬと私は思っております。しかし、そのことは現実の政策が一致しなければならぬということを意味するものではないと思っております。現に中国政策はアメリカのそれとわが国のそれとは非常に違っております。そのことはアメリカは承知しておると思います。承知しておるということは、日本の立場としてはそれを了解しておると思うのでございます。したがって、私どもといたしましては、今後も現実の中国政策がアメリカと一致しない面が出てまいることがないとは言い得ぬと思います。しかし、そのことは、友邦である以上、お互いの立場の理解の上に立ちましてお互いに了解し合う必要は少なくともあると思っております。その意味で、アメリカとのコンサルテーションというものは鋭意続けてまいる必要はあると私は考えております。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 もちろん、アメリカと十分に話し合って、そうして一致してやれれば一番いいんです。しかしながら、いかに友邦といえども、意見の違うことはあります。たとえば、イギリスとアメリカ、これはおそらく日本とアメリカ以上に友情関係は深いのではないかと思います。しかし、たとえばキューバの問題等におきましても、最近行なわれたトラックやバスの輸出の問題とか、あるいはまたソ連に鋼管を輸出する等の問題もございますけれども、必ずしも意見の一致しない場合があります。その場合には、イギリス自身の利害に関することでアメリカに現実的な打撃を与えない限りは、イギリスはイギリスの主張を貫いている。キューバ問題などに対しては、アメリカは精神的には相当打撃をこうむりましたけれども、実際的打撃は別にこうむらない。そういう意味では、意見を異にしながら自分自身の主張を友邦としては貫いているわけです。そういうこともあり得るのですね。そこら辺が外交に自主性があるとかないとか判断されるところだと私は思うのです。   〔高瀬委員長代理退席、委員長着   席〕  アメリカのほうも、国内事情等もありまして、一応外交的主張としては強く言わなければならぬ。しかし、友邦が自分自身の都合でどうしてもこれはやらなければならぬということになれば、やむを得ずそれを黙認する、承認するということになるわけであります。中国問題のごときは今後そういうことがたくさん私は起こってくると思うわけですが、そういう場合に、とにかくアメリカの言うことを聞くのが第一なんだ、自分自身の主張をするのは二の次なんだということだと、なかなか打開ができないのじゃないかと私は思うのです。イギリスのいまの態度、またフランスなどの態度とも関連いたしまして、こういう点で外務大臣にもう少しはっきりした日本の国民的な利害というものを擁護してもらいたいと私は存じますけれども、あなたの御意見見を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私の先ほどの答弁で尽きておると思いますが、わが国の立場において主張すべきは主張しなければならぬと思います。それで、結論として政策が具体的に変わりましても、そのことはどういう理由でどの程度変わっておるかということをお互いに了解し合うということが大切なことだと思っております。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 先ほどの中国大陸との戦争の最大のあと始末、善隣外交を打ち立てるということは、私は、単に日本のマーケットとかあるいは原料を供給するとかいう経済的な問題を解決するという意味だけじゃなしに、日本の安全という立場から申しましても、中国の何億かの国民が日本に対して善隣友好の感情を持つ、または持てるような外交をするということが、一般的な問題として、将来にわたって非常に重要なことだと思います。これはどうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 一般的の問題として、仰せのとおりです。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 そこで、フランスが承認をしたり、ヨーロッパのラテン系諸国家やあるいはブラザビル派がフランスに同調するだろうとかいうようなことで、積極的に中国問題を中心にして、ことしはともかく、大勢が徐々にそういう方面に動いていくときに、日本の外交がこの問題に対して非常に消極的である、——要するに、中国が国連に加盟するということは、国連に中国国民が入るということなんですが、それを何か日本が妨害するような印象を与えることは、中国国民と今後善隣関係を一般的な意味で発展さしていくときに、非常にマイナス要素として作用すると私は思います。ですから、この点に対しては、そういう意味でも、私は慎重でなければいかぬと思うのですが、これに対して外務大臣の御意見を承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 わが国の態度はあくまでも公正でなければならぬと思います。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 公正ということは、国連に中国を加盟させたほうがいいという世界の大勢となった場合に、その大勢を阻害するというようなことをしないという意味であると同時に、日本の可能な立場でそれを支持するということだろうと私は思いますが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 われわれは、たびたび申し上げておりますように、国連というものが世界の平和維持機構としてただいまのところきわめて不十分なものでございますけれども、これを漸次その機能を充実し、平和維持機関としての役割を十全に果たしていただく方向に持ってまいらねばならぬ、われわれもメンバーといたしましてそういう方向に国連外交は展開していかなければいかぬと思うのでございます。そのためには、われわれは国連のメンバーとして国連における活動がまず公正でなければいかぬと思うのでございます。国連が特定国の宣伝の場になるとかあるいは特殊の勢力の闘争の場になるとか、そういうことであると国連は順調に育たぬと思うのでございます。したがって、国連活動というのは公正でないと国連をこわすことになると思うのでございます。したがって、中国問題ばかりでなく、あらゆる国連の問題になるべき問題につきましては、公正な態度をもってやるのだということを貫きたいと思っているのでございます。あなたが指摘されたように、われわれが意図的に特定の議事について妨害するとかなんとか、そういうふまじめな態度ではいけないと思うのでございます。終始国連の憲章の精神というものを把持いたしまして公正に処理するという態度を貫いていく、これが個々の案件の消長よりももっと大事な問題だと私どもは考えております。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 おっしゃることはよくわかりました。しかし、結局、問題は、具体的に申しますと、中国が国連に入った場合に、中国の独自の世界政策をもって国連をひっかき回すようなことをされては困るという問題、そういう問題になりますと、私は中国というものをよかれあしかれ日本の政府もよく理解していかなければならぬと思うのです。一体どういう政権なんだ、どういう外交政策をとっていこうとしているのか、日本の政府も理解していかなければならぬ。日本の政府、特に外務省がそういう客観的理解のために努力をしているか、私は非常にあやしむものです。もしそういう努力をしないで、あれが入ってくるとあぶないかもしれないというようなことで動くと、これは非常に軽率な動きになると思いますが、どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、国連の目的、精神に従って公正に私は処理すべきものと思うのでございまして、初めから意図的な行動をするというようなことは、これはそれ自体よくないばかりでなく、特定の案件ができ上がらないばかりでなく、それを越えて国連自体の問題になってくると思うのでございまして、厳に慎んでやらなければならぬことと思うのでございます。  それから、中国に対するわれわれの外務省の知識、十分じゃございません。正直に申しまして、戦争から戦後十年の空白がございますので、世界に問う見識がないことを残念に思っておりまして、これはお互いに心がけて公正かつ客観的な事実を踏まえて分析評価するという努力を続けてまいらなければならぬのは当然でございます。現在それが十分であるとは私は思っておりません。年々多少ずつ心がけてはおりますけれども、まだ十分だとは決して思っておりません。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 結局、国連において公正であるということは、国連に加盟している諸国の国連内部における行動が反国連的であってはいかぬということだと思うのです。これは、国連を育てる以上はそのとおりだと思います。しかし、新しい国を入れるという場合になりますると、まず判断しなければなりません。その国が一体国連内部において破壊的にやるかどうかという判断が必要なわけですが、その判断で、入れるほうに賛成したり、あるいは入れるのに反対したりということになるわけです。ですから、私はその判断を問題にしているわけなんです。その判断をする場合に、先ほどから申しましたように、中国を頭から入れないようにする、あるいは入れるほうに少しも努力をしないということでは、中国の国民と今後長い親善関係をつくる場合に障害になってくると思う。しかし、入ってから国連を破壊するというような判断をはっきりしているとすれば、これは別問題なんですが、いずれにしても、その十分な判断の資料というものを外務省は持っていないと私は思うのです。アメリカのごときすら、ワルシャワにおきまして大使級会談というようなものを常時開きまして、ともかく判断の資料をそこから得ているということです。ですから、日本の外務省も何らかそういう判断をする方法を考えませんと、危険であると言ったって判断の根拠はきわめてあいまいだ、いいと言ったって判断の根拠はきわめてあいまいなんですから、ですから、そういう判断をし得る何らかのコネクションをつくっていく必要がある。これは私は当然だと思うのです。もはやこれを怠る段階ではないと思いますが、これに対してどうお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 可能な限りそういう判断の材料を収集していくということを怠ってはならぬと思います。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 つまり、材料を収集するのはいいですけれども、外務省として民間から情報を集めるとか外国の情報を集めるとかいうのでなしに、外務省自身として判断をするために、たとえば直接大使級会談のようなものを考えるとか、もっといろいろ方法はあるでしょう。具体的にはあまりドラスティックでない方法はたくさんあると思うのです。そういう判断の方法、そういうコネクションというものを外務省自身がつける段階になっていると私は思うのですが、どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ただいま政府は直接接触を持つという意図はありませんが、可能な限りいま御指摘のような材料の収集ということには努力しなければならぬと思っております。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 最後にちょっと伺いますが、日本がアメリカとの軍事的同盟をする一つの根拠に、中ソ軍事同盟というのがあるわけですね。この軍事同盟がある以上、日本はアメリカと結ばなければ危険じゃないかという判断があったわけです。中ソ軍事同盟はそれぞれ中国にしろソ連にしろ依然としてあるのだと言っておりまするけれども、現在の中ソ間の状態を見ますると、この中ソ軍事同盟が軍事的脅威になる実際的な情勢はなくなってきた、こういうふうに私は判断いたしますけれども、どうでしょう。

藤崎萬里外務事務官(大臣官房審議官)

○藤崎説明員 法律問題としては、そういう条約の存立の基礎をなす状態がなくなっていると断定はできないと思います。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 法律問題ではもちろんないのです。法律は依然としてあるのですから、この中ソ間の軍事同盟があるということは間違いないのですが、それが現実に同盟があったがゆえに脅威であったという状態は、私は少なくとも薄れてきていると思いますが、これは外務大臣の判断を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 きのうの参議院でもお話があったのでございますが、私ども、いま直ちに中国大陸からフィジカルな攻撃を受けるなんという、そういう脅威は別に感じておりません。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 フィジカルな脅威を受けると感じるのは、頭がちょっとどうかしていなければ、これは感じないですね。問題は、中ソ軍事同盟というものが非常に積極的な姿勢を極東においてとっていた、だから日本は軍事的な脅威を感じていたという状態は、事実問題としてその脅威が少なくとも解消しないまでも緩和してきているということはお考えになりませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そのことは、ここ数年来の中ソの間の状態から推して想像し得ることと思います。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 あなたはわかっているのです。別に追及する意味でも何でもないのですけれども、日本の中国承認は、中国が国連に正式メンバーとして祝福をもって迎えられるときに当然承認しなければならぬだろうということを言われたわけですね。国連に正式メンバーとして中国が祝福をもって迎えられるというときには、当然承認すべき時期になると判断せざるを得ないということを言われたわけですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう事実を踏まえた上で、日本としては善処しなければなるまいという意味のことでございます。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 私は社会党で何でもないのですから、別に黒田委員の説に同調するわけでも何でもないのですけれども、外交問題というものは、外国なんかでも、たとえばアメリカの民主党の議員にしろ、例の核停協定のときにゴールドウォーター一派と一緒に反対するのもいるというわけで、外交は重大なだけに、やはり党内でも真摯に論議すべきだと私は思うのです。それで、承認問題も、これについて触れられるならば、あまり消極的な触れ方をされないほうが、私は今後の日中外交のためにいいんじゃないかという感じがします。それから、国連加盟の問題も同じことですけれども、言わずもがなのことだろうと思います。そこで、そういう態度を外務大臣がとらざるを得ないということの一つの背景には、党内事情なんかもありましょうけれども、その党内の一つの主張に、蒋介石には非常に恩義があるんだ、蒋介石はとにかく一つの中国と言って、そして国連で安保理事会の常任理事の席までも取っている、その際に中国を承認するということは、蒋介石の国際的な地位というものを失墜せしむることになる、だから、日本は恩義があるわけだから、そういうことはできないという意見があるわけですね。私はこれは十分にひとつ政府に私自身の立場として警告したいのです。というのは、外交問題で、外交には信義は必要です。しかし、恩義とか人情とか、私はイデオロギーもいけないと思う。そういう意味で私は社会党とは違うんだけれども、イデオロギーとか、そういうものをむやみにからませるということは、非常によろしくないと思います。日本の外交をずっと振り返ってみますと、大体明治の日露戦争ごろまでは非常にリアルで、いろいろな恩義とか人情とかあるいはイデオロギーという要素をあまり考えなかったわけですけれども、大正年代から昭和の初期になりまして、そういう要素が非常に強くなった。そして、全体主義イデオロギーというものでヒトラーと心中した。ヒトラーに義理立てしたということが、今度の日本の外交的大失敗の原因です。ですから、私は日本の外交に人情とかそういう要素が強く入ることは非常に警戒しなければいかぬと思うのです。たとえば日英同盟というのが結ばれました。これはやはり日本、英国ともに同盟を結ぶということに国家的利害を共通に感じて結んだわけです。しかしながら、英国は日英同盟を継続するときにこれを断わった。これは条約自体にあることですから少しも差しつかえないことであり、また、国際情勢が変化して、その国民の利益を守ることができないという場合には、条約を発棄することもできないことはないわけです。そういう例もたくさんあります。ですから、英国のその態度というものに日本人は別に非人情とも何とも言う必要はなかった。ところが、日本の一部には、イギリスのそういう態度をたいへん非人情だと言って、それから急に反英米感情が強くなって、大東亜戦争に流れ込んだという判断もできるわけです。ですから、人情論というものを外交の中に入れるということは、私は日本国民の重大な国家的利益を守るという点から言うと適当でないと考えておりますが、どう考えられますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 外交の根本は国益というものの判断を基礎として決断すべきことでございます。民主主義の時代でございますから、国民の常識というものを踏まえて、それを外交的に具現していくというのが私どもの任務だと思っておるわけでございます。人情で外交をやっているわけでは決してございません。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 安心いたしました。  ところで、最後に、少し時間がありますから、キェーバの問題に移ります。  これも、先ほども申し上げましたが、イギリスあたりは非常に積極的な貿易をやっておるわけでございます。御承知のとおり、アメリカは、キューバの存在は何としても気に入らない、こういう状態で、そして、日本の船がキューバに寄港するということが事実上できないような措置、たとえばキューバに寄港した船は登録いたしまして、そしてアメリカに寄港した場合に荷揚げ人夫がそれに従事しないようにするということで、実際上船がキューバに行けない。そのためにキューバに対する日本の輸出貿易は伸びないのです。私もこの前ちょっと行ってまいりました。いろいろな実情を調べてきたのですけれども、大体日本の砂糖需要は年間百七十万トンくらいあるわけです。これはおととしの統計ですけれども、台湾から四十五万トンくらい入れました。キューバから五十五万トンくらい入れております。最近はオーストラリアとかあるいはアフリカ方面、あるいは今度独立いたしましたマレーシア方面などに輸入先を徐々に転換をはかっている傾向がありまするけれども、しかしながら、キューバは砂糖の大適作地なんですね。キューバで一度砂糖の苗を植えますと、収穫するときに刈って刈りっぱなしにしておいても、八年間くらいはまた芽が出てきて砂糖がとれるというような、非常に適作地でありまして、それにコストが安い。ですから、日本の砂糖会社といたしましては、どうしてもキューバ糖も買わざるを得ない。それで、おととしは大体お金にして三千五百万ドルくらい日本は買っているのです。去年はもう四千五百万ドルから五千万ドルくらい買っているはずです。ことしは、御承知のとおり、砂糖の値段が非常に高く、二百ドル前後しておるものですから、六千万ドルくらい買うということなんです。これは日本の業界はアメリカその他に遠慮をいたしました。ロンドンのブローカーを通じて買っております。ソ連船とかあるいはギリシャ船とか、そういう船で運んでいるわけなんですけれども、私はそれこそ日本の国益の立場から言ってたいへん損であると思う。ロンドンのブローカーに取られ、ソ連船やそれからギリシャ船に船賃を払う。御承知のとおりに、いま日本の経済問題で一番重要な点は何かというと、国際収支の問題ですけれども、わざわざ船賃を外国に払って、しかも日本の船が行きませんから、輸出のほうは非常に伸びが悪いのです。おととしは、三千五百万ドルのお砂糖を輸入しまして、日本から出ているのは千万ドルくらいしか出ておりません。去年は、四千五百万ドルくらいの輸入で、輸出の統計は正確にはわかりませんけれども、たいして伸びていないという状態なんですね。ですから、国際収支という観点から言いますると、これはまことに損をしているわけですが、これに対して、私は、日本の外交はやはり何か積極的な手を打つ必要があるんじゃないかと思いますし、みすみす数千万ドルの外貨を捨てているようなものです。  こういうキューバ問題に対して、イギリスがバスの売り込みについてアメリカと積極的な話し合いをしたようであります。あるいは、カナダは、せいぜい五万トンくらいしかキューバ糖を買っていないのですが、しかし、輸出のほうはきわめて積極的にやっております。そういうような態度とか、そういう自由主義圏のしっかりした国の態度を学びまして、キューバ貿易に対して何かお考えになる御意思はないかどうか、ひとつ承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 キューバ貿易の問題で、私どもで問題になるとすれば、対アメリカ関係で問題があるかないか、あるとしてどの程度のものかということでございますが、御承知のように、海外援助法が改正になりまして、キューバに配船する国に対する軍事援助あるいは経済援助は一切やめたというように事実なりましたが、これはわが国に関係ございません。それから、事実わが国はいま御指摘のように船会社自身が配船しておりませんので、その点で対米折衝上何ら問題はないわけでございます。砂糖の問題につきましては、あなたが御指摘のとおり、市場転換を業界のほうでやっておるようでございますけれども、キューバ糖を勘定に入れないようではとても需給計画が事実立ちませんので、その点はアメリカ側もよく了解しておるようでありまして、特別に何らトラブルはない状態です。ただ、キューバ糖を長期契約で買ってくれ、そうすればその一定割合は日本からの物資を購入するからという話はキューバ政府から受けたことはございます。しかし、これは、商売の問題といたしまして、そういう契約に乗るか乗らぬかの問題は、信用その他の観点から商業レベルで考えるべきことと思いまして、それを政府で推進するというところまで私どもの気持ちはいまのところないわけでございます。ただいまのところ別に、非常に支障を来たしておる、私どもが打開しなければならぬというような問題は事実持っておりません。

宇都宮徳馬自由民主党

○宇都宮委員 まだいろいろこまかい点、お尋ねしたいこともあるし、御意見を申し上げたいこともあるのですけれども、同じ党員ですし、今後もいろいろ接触する機会もあると思いますから、その際にお話を申し上げることにして、私の質問は終わります。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長 川上寛一君。

川上貫一日本共産党

○川上委員 私の質問は中国問題なんですが、中国問題についてはこの国会でも非常に論議が行なわれておりまして、政府もいろいろ答弁をしておられるのですけれども、きょう私は中国との国交回復の問題について政府の基本的態度だけをお聞きしたいのです。あげ足を取るような質問をする気はないのですから、この点については了解ができるようにひとつ外務大臣の御答弁をお願いしたい。  まず第一は、中国との国交回復の問題を政府のほうではどういうような性格のものとお考えになっておるか。一口に言いますと、中国と国交を回復してやるのだ、こういうようにお考えになっておるのではないか、この点をお聞きしたいのです。  御承知のように、日本は侵略戦争をして、そのときに前後十七年にわたって中国を侵略した。そして幾千万の人民にはかり知れない苦痛と損害を与えた。この結果、ポツダム宣言の完全受諾、無条件降伏ということになっておる。これが前提だと思う。ところが、今日になってもやはり中国と平和条約をしておらない。六億五千万の中国人民と日本人民との間の戦争状態が続いておるのです。これは幾ら理屈を言っても厳然たる事実なんです。こうしておいて、いまになって中国を承認してやるんだというような態度、こういう状態に向こうが出てくれば承認してやるぞというような態度、これが政府の態度なんです。これでいいのかどうか。ほんとうを言ったら、中国のほうからこそ日本に対して国交の手を差し伸べるのが筋合いじゃないか。日本が承認してやるという筋合いのものではないのではないか。ここのところのけじめを政府はどうお考えになっておるか。これが一点です。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 戦争状態のお話ですが、日華平和条約の第一条で、戦争状態は終結するという約束を中華民国といたしたわけでありまして、戦争状態の終結ということは国と国との間の問題でございまして、日本政府としては、この日華条約の第一条というのは地域的な限定はないという解釈をいたしております。しかし、中共政府がそれをどうおとりになるか、これは別ですけれども、私どもの解釈はそういう解釈をとっておるということを申し上げたわけでございます。  それから、第二点の承認の問題でございますが、政府は進んで承認の問題を申し上げたことはないのでございます。そういう問題は具体的な問題として提起されていないわけでございますから、私どもからこの問題について政府の見解を申し述べた覚えはないのであります。ただ、国会等でいろいろ御質疑がございまして、仮定の御質問がたくさんございますので、それに対しまして政府が及ばずながら御答弁申し上げておるのでございまして、承認してやるとかやらぬとか、そんなことを腹の中で考えておるような状態では決してないわけでございます。政府として公式に問題になりましたのは、中国の代表権問題が国連に出たときに、これは重要事項であるという判断で提案国になったということがいままでありましたけれども、承認という問題につきましては何らありませんことは、これは川上さんよく御承知のことと思うのです。

川上貫一日本共産党

○川上委員 どうも、外務大臣、少しぐあいが悪いのじゃないか。蒋介石政権と平和条約を結んだから六億五千万の人民と日本人民は戦争状態が済んだ、こうおっしゃるのです。一体日台条約というものはいつ結んだのですか。これは一九五二年です。ところが、六億五千万の中華人民共和国は一九四九年から厳然として存在しておるのです。中華人民共和国はとうの昔からあるのです。ところが、なぜそんなら日台条約を結んだか。これはサンフランシスコ条約の時分にアメリカがこういうことを言い出した。安保条約と、それから蒋介石とは手を結ぶということを日本が承知しなければ、サンフランシスコ条約は批准しないと言うんだ。これはダレスが言った。そこで、その時分の古田さんがびっくりして、書簡を出したでしょう。しかも、日台条約をいつ結んだか。サンフランシスコ条約の発効以前に結んでいる。それに続いて安保条約を結んだ。アメリカはこうやらしたんです。外務大臣はそこのところはよく知っているけれども、しんどいからよう言わぬのだろうと思う。こういうことをしておいて、そうして、日台条約を結んだから、六億五千万の中華民国とは平和条約を結んだんだ、こういうことを言うておるんです。これで筋が通るかと言う。六億五千万の中華人民共和国は一九四九年から厳然として存在しているんです。日台条約は一九五二年なんです。こういうことをしておいて、中国人民と日本人民との戦争状態の問題をごちゃごちゃにしてしもうた。そこでごまかして今日まで引っぱってきてしもうた。戦争状態は明らかに残っておりますよ。これはもう動かすべからざる事実であって、こういうことを外務大臣言うておられると、将来どんな事態が起こるか心配だということはありませんか。国連に加盟した時分には中国を承認するかもわからぬ、こんなことを言うておられますが、簡単にいきますか。いかなる事件が起こると思いますか。私はこの点については外務大臣は率直にひとつ意見を述べられる必要があると思う。それですから、あなたのほうの政府並びに与党の中でも、このことが非常に不安になって、危険を感じて意見が出ているじゃないですか。困ったことだよ。しかたがないから、戦争状態終了宣言でも出して、戦争が済んだことにしたらどうだろうかという意見さえ出ている。こんなことで済むことじゃありませんけれども、あなたのおっしゃるようなこととは状態がだいぶ違うじゃありませんか。ここのところのけじめをつけませんと、日中国交回復などというものはとんでもないことになって、できっこない。ここがけじめなんです。この点については、あなたはいま答弁してくださったから、それ以上答弁がないのなら、それでけっこうですが、それはあきまへんで。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 条約の解釈は、そういう解釈をとっておりますということを申し上げたわけです。

川上貫一日本共産党

○川上委員 この点は重要な点です。これは外務大臣わかっておるけれども、そこが言えぬのだろうと思う。しかし、そこが言えぬところに日中国交問題のガンがあるんですよ。一体今日まで日中国交回復ができない原因は何ですか。いろいろ理屈を言いますけれども、アメリカが台湾を占領している、たったそれだけじゃないですか。そして、安保を結んだ、これだけじゃないですか。あなた方がいま頭を痛めているのは日台関係でしょう。これ以外に何かありますか。何もない。すなわち、日本と中国との戦争状態が続いているのは、ほかの理由は一つもない。アメリカの台湾占領、それから安保条約、これに縛られている。日本が中国封じ込めに加担をしている、これ以外に何ものもないでしょう。これが一つの真実なんですよ。ここのところの腰をきめなければ、口で幾ら言われても、日中の国交回復というものはなかなかできるものではないと思う。これについては、私はそういう意見を言いましたが、外務大臣はこれには答えられぬだろうと思う。外務大臣は実際はなかなか聡明なんです。賢いんです。これはよう知っているんですよ。困っているんです。国会では、その困っているところを、実は困ってるんでありますと言うたほうが、ほんとうの国会なんだ。  さらに私は質問を続けますが、中国は一つだということをしきりに言うておられる。総理大臣が言われた。外務大臣もたしか言われたと思う。それはどの中国なんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 われわれは中華民国と正規の国交を持っておるというのが現実でございます。したがいまして、私どもが正規の国交を持っておる中国というものは中華民国でございますと、こう申し上げるよりほかないと思います。

川上貫一日本共産党

○川上委員 そうすると、中国中国とおっしゃるのは、中国は二つない、一つだと言われるのは、どこのことですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中国とは何ぞやという問題の設定のしかただろうと思うのでございます。政府が外交上関係を持っておるのは中華民国であるという事実を申し上げたわけでございまして、いろいろ前提によりまして思弁の方法はあろうと思いますけれども、現に私のほうで関係を持っておる中国というのは中華民国でございますということを申し上げたわけです。

川上貫一日本共産党

○川上委員 そうすると、池田総理は、中国は二つと言うたことはない、中国は一つだ、こう言うておられるのですが、中国が国連の代表権を持つようになれば国交を考えてもいいし、考えなければならぬだろうという、この中国はどこですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは国連に入る状態になった中共というものを頭に置いて言われたのだろうと思います。

川上貫一日本共産党

○川上委員 それがおっしゃる中国ですか。国連の代表権を持つようになった、それがおっしゃる中国ですか。二つの中国はないという中国なんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ですから、中国というのは、国際法上の概念で言うんですか、それとも地理学的なことでおっしゃるのでございますか、どういうことで言うのかという前提がわからないと、こういうむずかしい問題は何とも答えようがないわけです。

川上貫一日本共産党

○川上委員 ここは法律学会ではありませんから、法律の研究はしておりません。池田さんが、中国は一つだ、二つの中国と言うた覚えはない、こうおっしゃった。中国は一つだというこの中国はどこかということを聞いておるんで、ここは法律学会ではない。どっちなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 それは池田総理にお伺い願いたいと思います。

川上貫一日本共産党

○川上委員 お答えできぬということなんですが、これはいよいよあかん。困りまっせ。  そんなら、その次に、政府は中国が国連の代表権を持つようになれば国交を考えるときが来るだろう、一口にはこういうことなんです。言い切ったことはないとかなんとかということは言わないで、こう言うておるのだから。そうすると、これはどういうことになるのですか。日本は中国が国連で代表権を持つことにいままで反対してきたのです。いまも反対しておる。松井大使をアフリカまでやって、反対してくれというわけでしょう。朝日新聞なんか、よけいなおせっかいにならぬかというようなことを書きましたね。そうしておいて、国連に入ったらなんということを考える、一方では入ることには反対する、これはどういうことなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私はそういう憶測に答える義務はないと思います。松井さんをアフリカに派遣した趣旨は、先ほど黒田さんの御質問に対しまして私が答えたとおりでございます。

川上貫一日本共産党

○川上委員 さっぱりわかりません。その答弁はわからぬですね。かりに国津で中国が代表権を持つ状態になれば日本は国交回復を考慮しなければならぬ、あるいは考慮する、こういう意味のことを言われておるのです。ところが、一面国連の代表権を中国に与えることは反対だと言っておる。これはどうなるのかということを私は聞いておる。自分は反対しておる、入ったらどうもしょうがないから認める、こういうことですか。アメリカと日本はとことんまで反対するが、反対してもよその国が支持し出したらもうどないにもしようがないからやむを得ぬ、中国と国交を回復しなければなるまい、こういうことなんですか。こうなりますな、結論から言えば。こういうことですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中国代表権問題は重要事項であるということの判断に基づいて重要事項指定方式の提案国となったわけでございます。別に反対はいたしておるわけじゃございません。

川上貫一日本共産党

○川上委員 そういう答弁はよくない。何で重要事項に指定したのか。中国が加盟するのに賛成して、何で重要事項があるのですか。中国をはね出すための重要事項じゃないですか。あなたは外務大臣ですよ。そんなおかしな答弁をしてはだめでしょう。中国をどうしてはね出そうかということにアメリカが苦労して、苦労した結果重要事項としての指定という問題を出した。それにあなたは賛成したでしょう。こういう簡単なことをごまかしてはだめですよ。中国はじき出しの重要事項じゃないですか。世界周知の事実です。これはどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中国代表権問題は、アジアの状態から申して、世界平和の観点から申して、重要事項であるという認識、そういう認識に基づいてああいう措置をとったわけでございます。

川上貫一日本共産党

○川上委員 それなら、国連で中国の代表権問題が出たら賛成しますか、反対しますか。あなた、重要事項だと言って、いいかげんなことを言うておる。これはのがれられやしません。速記録を外国が見ますがな。笑われますで、こんなことを言うておっては。国民が見てもえらいことですよ。けれども、そういうことをあなたはおっしゃるのだからしようがない。国連で中国の議席問題が出たときには日本政府は賛成しますか、反対しますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 第十九総会の国連対策というのは、たびたびお答え申し上げておるとおり、まだ政府はきめておりません。まだ材料が不足でございますし、これからの世界の世論の動向をよく見きわめてきめたいと思っておりますので、まだ国連対策をきめるまでに至っておりません。

川上貫一日本共産党

○川上委員 そうすれば、中国との国交回復は国連で代表権を得るようになったら考慮すると言った、あれはうそですか、ほんとうですか。あなたは中国が国連で祝福されるようになればとおっしゃった。祝福というのは非常に問題がありますが、そんなことはどっちでもよろしい。あなたと同じことを総理大臣が参議院で言っておる。国連に加盟する、つまり、代表権問題であります。そうすれば国交回復するのだと言う。国連に加盟していいか悪いか、賛成するか賛成せぬか、それは政府はきめておらぬ、こんな論理がありますか。中国との国交回復はしたいのですか、したくないのですか。これは単直ですから言うてください。したくないのか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、国益をもととして判断し、世界の世論の向かうところを見きわめまして、独自で判断いたしたいと思っております。  それから、国連加盟云々の問題でございますが、それは、そういう御質問がありましたから、一つの世界の世論をはかる有力なケースとして、国連に加盟されるというような事態が起これば、そういう事実を認識して善処せねばなるまい、こういうことを申し上げたわけです。そのような御質問がございましたからそういう御質問に答えたということであります。非常に首尾一貫していると私は思います。

川上貫一日本共産党

○川上委員 そこがおかしいのですな。そうでしょうがな。中国との国交を回復する、いつか知らぬが、するということを言うたのですよ、明らかに。質問したから言うたのかどうか知らぬけれども、おっしゃったことは事実なんです。その条件に国連が出ている。これは速記録をごらんなさい、出ているんだから。ところが、その国連に中国が代表権を持つことは反対だとおっしゃる。そうすれば、すなわち、中国との国交回復は反対だということになるのじゃないですか。いいですか、国連で代表権を持つようになれば国交を回復する、これは質問したから言われたのかどうか、そんなことはどっちでもいい。言われたのは間違いない。ところが、一方では、国連代表権は反対する、こう言う。そうすれば、国連の代表権に反対をするこのことは、中国との国交回復反対ということになる、こうなりませんか。  もう少し続けて聞きます。しかし、日本はそうであるが、世界の国々の大多数が中国の国連代表権を認めるようになれば、もうしょうがないというようなことだな。どうもこうもならぬからやむを得ず中国と国交を結ばなくちゃなるまい、こういうことなのか、こう聞いているのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 代表権問題につきましては、これは重要事項であるという認識に立ちまして、それの提案をいたしたわけでございまして、川上さんはそれを反対だというようにすぐ解釈されるわけで、そこがあなたの間違いだと思います。重要事項であるという判断でやっておるということでございます。前段の答えはそうでございます。  それから、後段の場合には、この問題は世界世論の向かうところを十分見きわめていかねばならぬ、その場合に、国連加盟ということは世界世論の鏡でございまするから、そういう事実を認識した上で善処いたしましょう、そういう一つの国連加盟という仮定の事実があったならば、それは国際世論の向かうところを示す有力な手だてだから、その事実はちゃんと踏まえた上で善処せねばなるまい、こういうことをすなおに申し上げておるのです。

川上貫一日本共産党

○川上委員 どうもこの質問と答弁には往生しますな。これはむちゃですよ。中国の国連加盟に賛成か反対かわからぬ。重要事項というものは何のために持ち出したのか、これを聞いているのです。これは、中国を国連からはじき出すために、普通のかっこうではもういけなくなったので、議席三分の二を必要とする重要事項に指定というこの問題をアメリカは持ち出したのです。これはすなわち中国はじき出しの問題です。重要事項の指定に賛成ということは、中国国連加盟に反対ということなんです。これはわかり切っているのです。これほどわかり切ったことをはっきりと言われぬのは、幾らアメリカに追従しているというても、外務大臣、あかんのと違いますか。しかし、この問答は幾らやっても、外務大臣はもうこれ以上言えぬのだから、そこで、もうそれは了解します、外務大臣もう困り切っているということは。  そこで、もう一つ聞かにゃならぬ。政府の考えは、もういまのところは六億五千万の中国人民とは国交回復するつもりがない、とことんまで、世界各国が中国の国連代表権を認めるようになるまで国交は回復しない、こういうことですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中国本土に政権があり、六億余の人民がおられるということは厳たる事実である、そして、これとの関係をどう取り結んでまいるかということは、たびたび申し上げておりますように、日本の国益を基として判断し、世界の世論の向かうところを見きわめて善処したい、こういうことを申し上げておるわけです。

川上貫一日本共産党

○川上委員 約束の三十分がだんだん近寄りましたから、もう一、二問で終わります。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長 過ぎたでしょう。これ  一つにしてください。また機会はござ  いますから。

川上貫一日本共産党

○川上委員 外務大臣があんな答弁しなければもっと早く済んだ。あんなことを答弁するから長い時間かかってしまう。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長 川上君に申し上げますけれども、公用がございますので、あと一問で打ち切ってください。

川上貫一日本共産党

○川上委員 いいですよ。ほかの人には少しも時間を言わないでいて、ぼくにだけ……。委員長いかぬよ。しかし、あなたとはけんかしないから。  日中国交回復、これはどうせしなければいかぬと、これは政府は何と答弁しても思っておるのです。間違いないのです。六億五千の中華人民共和国があるのだから。そのときに、日台条約がそのままで国交回復できますかどうか。これは簡単でいいから、日台条約をそのままにしておいて中国との国交回復ができるかどうか、これだけ……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたような基本的な態度でいまおるわけでございまして、具体的な論議はまだ早いと思います。

川上貫一日本共産党

○川上委員 ちょっと、よくわかりません。もう一ぺん言ってください。よくわからぬ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたところで御理解をいただきたいと思います。具体的な論議はまだ早いと思います。

川上貫一日本共産党

○川上委員 これは何にも言えないということですか。こう解釈していいですか、答弁できないと。(「先ほどの御答弁で」と呼ぶ者あり)いやいや、先ほどの御答弁でもわからぬ。ここでどうもその質問に対してはいまはっきり答弁できません、こう解釈していいですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ただいま中華民国とは正規の国交を持って友好関係を保持いたしておるわけでございまして、私どもはその友好関係というものをあくまで堅持してまいらなければならぬと思っております。

川上貫一日本共産党

○川上委員 これで終わります。  委員長、最後に、これは質問じゃありませんから……。外務大臣に言うておきます。あなたは日中国交回復をする気はない。日台条約を破棄せずして国交回復は絶対できない。わかり切っておるのです。近くはフランスの例によっても明らかなんです。これを腹に入れておかなければだめです。同時に、この日台条約というものは安保条約と表裏一体です。締めつけです。これはこのことを吉田さんはダレスと一緒に承諾をしておるのです。したがって、安保条約に縛られ日台条約にしがみついている間は、絶対に日中の正常な国交の関係はなかなか結ばれない。しかるに、政府のほうでは、いかにも近い将来には日中の国交についても考えるというようなことを言うておられる。これは、こうなればぺてんなんです。時をかせいでおりなさる。国民の圧力と世界の世論に押されて、一時しのぎ、国民を欺くそらごとと言っても差しつかえないと思う。時間がありませんから、あらためて私は質問しますが、外務大臣はこの点については実際に日本の将来のために少しく腹をきめてもらわなければ、こういう答弁を続けられたのでは日本の将来はあぶない。これを申し上げて私の質問を終わります。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会

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