P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
46回国会衆議院1964/06/10

科学技術振興対策特別委員会科学技術の基本問題に関する小委員会 第6号

発言数
17
登壇者
6
会派数
2
開催日
1964/06/10

会議録

前田正男自由民主党

○前田小委員長 これより科学技術の基本問題に関する小委員会を開会いたします。  科学技術の基本問題に関する件について調査を進めます。  まず最初に、科学技術行政の長期計画及び科学技術基本法案の作成、検討状況等について、梶井科学技術会議議員から説明を聴取することといたします。梶井科学技術会議議員。

梶井剛科学技術会議議員

○梶井説明員 それでは、科学技術会議が、科学技術基本法につきまして今日まで検討してまいりました経緯を簡単に申し上げます。  この基本法につきましては、かなり前から検討を進めておるのですが、意外に時日がかかっておりますことを残念に思っております。その原因といたしましては、先日本委員会の席上におきまして申し述べましたように、科学技術基本法の適用対象の問題、すなわち、人文科学のみにかかるものを基本法の対象にすべきかいなかという問題です。次には科学技術行政機構の問題、それに基本法の中心となりまする長期計画の問題があります。これらはいずれも慎重に検討する必要があるものでございます。  基本法の適用対象につきましては、科学技術会議の設置法によってきめられておりますとおりに、その性格上いかんともしかたが実ない問題であります。また行政機構の問題につきましては、目下臨時行政調査会において検討されておる段階でありまして、会議としましては、その結論を待って基本法に取り入れるのが至当と考えております。  当面長期計画につきまして検討を進めてまいりましたが、長期計画の問題につきましては、日本学術会議の朝永会長、福島会員、江上会員が、本小委員会において説明されましたように、日本学術会議においても検討中でありますので、事務局が数回にわたりまして日本学術会議と懇談して相互の意思の疎通をはかってまいりました。また科学技術会議の運営会におきましても、本小委員会の基本法に対する御審議の模様を話し、また学術会議の福島会員から長期計画の考え方について説明を聞くなどいたしております。事務当局のベースにおいて検討が終わった場合には、すみやかに科学技術会議におきまして科学技術基本法の審議を進めたいと考えておる次第であります。以上です。

前田正男自由民主党

○前田小委員長 次に、昨年科学技術行政機構について、臨時行政調査会が行なった科学技術行政に関する報告の概要及びその後の経過について、篠原臨時行政調査会専門委員から説明を聴取することといたします。篠原臨時行政調査会専門委員。

篠原登臨時行政調査会専門委員

○篠原説明員 御紹介いただきました臨時行政調査会の篠原専門委員でございます。  最近におきまする科学技術の進歩発達は、申し上げるまでもなく非常な進歩発達を遂げまして、原子力、宇宙問題に限らず、科学技術の発達がわれわれ国民生活あるいは国民経済の進展に非常に大きな関係があるようになってまいったのであります。欧米先進国におきましては、ここ数年間、一九六〇年前後から現在に至るまでの間に、その点に着目いたしまして、あらゆる努力を重ねて科学技術の振興に狂奔しておる現状でございます。  たとえばアメリカにおきましては、一九五七年に初めて大統領科学技術特別補佐官制度を設けました。それから一九五九年に連邦科学技術会議、一昨年の一九六二年には大統領府に行政機関としての科学技術局を新設いたしました。  また、イギリスでは、一九五九年に科学大臣が置かれ、諮問機関たる科学政策審議会のほかに、執行機関たる科学技術研究会議の下に科学技術研究庁があって、十五の研究機関を一元的に運営しております。また、本年の四月には、あらためて行政機構を改革いたしまして、科学技術並びに大学における研究を対象といたしまして科学担当国務相を置き、大学以外の学校教育につきましては第二の国務相を置きます。そうして、これを総合いたしまして、教育科学担当大臣といたしまして閣内相が当たる。すなわち三人の大臣をもって科学技術と教育を担当せしめるというような大きな変革を示しております。  また、フランスでは、一九五八年に科学技術研究に関する総合行政体制が整備強化せられまして、新しく科学研究大臣が置かれ、事務局としましては科学技術研究総務庁がこれに当たっております。また、西ドイツでは、一九五七年に科学会議が設置され、ドイツ研究協会、マックス・プランク協会等と連絡をとって振興をはかっております。また、一昨年の一九六二年には従来の原子力省を改組いたしまして、科学技術省として新しく発足をいたしております。また、イタリアでは、一九六二年に設立されました再建閣僚会議が科学技術研究の振興についての責任を持っております。オランダにおきましては、政府各省の研究活動が一応政府とは組織上独立した応用科学研究中央機構に大部分統合されております。これは法人組織でありまして、資金の大部分は政府から、一部は産業界から受け取っておるのであります。  また、ソ連では、一九六一年に研究開発調整国家委員会を新しく設置いたしまして、研究開発活動を総合調整しております。そのメンバーは、副総理を委員長とし、ソ連科学アカデミー総裁、高等中等専門教育省長官、化学国家委員会委員長等の七名が連なっておるのであります。  このように、世界の情勢を見ますと、ここ数年の間に著しく科学技術の行政機構を改革いたしまして、国をあげてこの方面の振興に非常な努力を払っておるということははっきりわかるのであります。  これらの各国におけるここ数年間の動きの特徴と申しますところを四点申し上げます。  第一点は、各国とも科学技術に関する総合行政体制、特にそのトップレベルの体制を整備強化しておる。そうして重要事項の調整と決定とが内閣レベル、最高レベルで行なわれるようになった。そういうトップレベルの強化というのが従来と違った点であります。  第二点は、研究の一元化であります。イギリス、オランダ等におきましては、政府の研究機構はほとんど一元化されております。他の各国におきましても、総合調整機能が強化されまして、一元的な運営がはかられておるという点が特徴であります。  第三点は、大学における研究につきましては、各国とも文部省または特別機関であります。アメリカでは全米科学財団、オランダでは純粋科学研究機構でございます。これが推進にあたっておりますけれども、単に大学という分野にとらわれず、各省庁の方面から相当の資金が供給されておって、共同的な研究が行なわれておるという点であります。  第四点は、長期的、総合的政策の確立でございまして、最近の著しい動向であります。各国を通じまして、大学、民間を含めた総合的な長期計画が相次いで着手されまして、科学技術に対する政府全体としての長期的な措置とその実施が明確化されておるという点であります。  以上、四点申し上げましたような特徴をもちまして、ここ数年間におきまして各国ともあらゆる力を尽くしまして科学技術の振興に邁進しておるというのが現状であります。  わが国におきましても、これらの状況をはっきり認識し、そうして従来ともただ外国技術の導入にのみたよっておるような現状を打破いたしまして、わが国独自の力による科学技術の創造という点について、基礎科学、応用技術の両面についてわれわれは国をあげて努力していかなければならないと思うのであります。特に開放経済体制下の激しい国際競争に勝つためには、何をおいても革新的科学技術の供給が要請されなければならないと思います。  たまたま臨時行政調査会におきましては、これらの科学技術の重要性を認識いたしまして、昨年の八月からいわゆる七人委員会の直属機関といたしまして科学技術班を設けまして、私、その主査として任命を受けまして、以来、大体昨年一ぱいにこの科学技術班の構想をまとめまして七人委員会に提出いたしてございます。七人委員会のほうでは、目下これらについて審議中でございますが、大体この科学技術班の方向に向かって決定をする見込みであります。ただ、ごくわずかの二、三の点につきまして意見の調整をしておる段階かと存じます。  その大綱につきまして簡単に申し上げたいと思います。  対策といたしましては、まず第一に、科学技術に関する長期的、総合的計画を樹立をすることであります。科学技術の振興に対する施策は、必ずしも短期的に効果をはかり得るものではございません。むしろ長期的な視野のもとで一貫した基本的方針に基づいて行なわるべきであります。先ほども申し上げましたように、先進諸国にありましては、このような事情を反映いたしまして、これらの長期的、総合的計画がつくられておりますが、わが国でも部分的には従来ともこのような計画はありましたけれども、科学技術全般としての計画を早急に立てるべきであると思います。  第二は、研究投資の増額であります。立ちおくれたわが国の科学技術の水準を上げるためには、研究投資の増額が不可欠の要素でございます。御承知のとおり、アメリカにおきます研究投資は五兆円、ソ連におきます研究投資は三兆円という巨額な額にのぼっております。わが国の研究投資は非常にわずかでございます。今後これらの研究投資をふやすためには、国民経済の規模との関連におきまして一定の割合を維持することが望ましい。たとえば国民所得または国家予算のうちの一定の率を科学技術振興の投資に振り向けるということが考えられるのであります。わが国におきましては、民間における研究投資は相当最近ふえておりますが、政府における研究投資は国家予算全体のレベルよりも多少下回るというような程度でございますので、政府におかれましては一そうの国家の見地から研究投資の増額をすることが必要であろうかと思うのであります。  第三は、民間研究投資の助成であります。これは民間の負担においてやるべきいろいろな研究でございますが、それがやがて国家全体の科学技術発展につながるものでありますので、たとえば税制上の優遇措置、あるいは補助金、助成費等の増額、手続の簡素化等いろいろな点におきまして民間の研究投資の助成を行なうべきであると思います。  第四が、研究体制の整備であります。国全体としての研究投資の効率的な使用をはかる。そうして各部門の研究を総合的に推進する。そのためには研究体制の整備が必要でありますが、たとえば民間の研究と政府の研究、あるいは政府のうちでも大学の研究と国立研究機関の研究、その間の分野の明確化をはかりまして、しかもそれを共通な問題として総合体制を確立していくというような点が、まだ日本では欠けておるやに思うのでありまして、この点の整備が必要であろうかと存じます。  第五は、科学技術教育の振興でございます。これは申し上げるまでもございませんので、優秀な、しかも数多い研究者、技術者、技能者等を十分養成して、これを各方面に供給する必要があるのでございます。  以上のような点につきまして、しからば科学技術の行政機構はどうあるべきかという点について検討を加えたのであります。  その最初の問題といたしましては、科学技術行政の範囲をまずきめなければならないというのであります。現在この科学技術庁の研究に対する科学技術の調整の対象からは大学における研究が除かれております。それから、人文科学のみに関する研究が除かれております。これらについて一体どうであろうかという点を検討したのでございます。  人文科学におきまする問題につきましては、これは大体文部省所管が多く、しかもいろんな思想問題にもつながりますし、また重要な設備等を有しておりません。したがいまして、これらはやはり従来どおり対象外に置くべきであるという結論でございます。  しかしながら、大学における科学技術研究に関しましては、近時基礎研究と応用研究との結びつきが重要となりまして、両者を一貫した推進が必要となってきておること、また大学における研究施設と一般国立研究機関の研究施設との間におきましていろいろな調整を要するものが少なくないこと、また大学と国立研究機関等におきまして総合研究、共同研究というような面でお互いに非常な密接な関係を持ってくること等がございますので、われわれといたしましては、大学における研究につきましては、付置研究所に関する事項並びに学部内における研究のうちでも施設、設備等の設置計画が他の国立試験研究機関と重複するおそれのあるもの、こういうものにつきましてはやはり調整の対象に加えることが必要である。ただし、研究の自由と自主性とはどこまでも尊重しなければならない。これを尊重しながら、しかもその調整の決定は、単なる従来のような決定ではなくて、学識経験者を委員とする合議制機関において十分に審議した上で決定をせなければならない。そうして決定したものに基づいて調整を行なう。すなわちこの研究の自由と自主性とはどこまでもそこなわない。しかもその調整の決定につきましては、学識経験者を委員とする合議制機関によって民主的にきめるべきであるという結論でございます。  その次の問題は、調整機能の強化の問題であります。従来各省庁には研究機関が相当ばらばらになっております。これを全部一元化すべきであるということも考えられます。しかしながら、ただ単に形式的に三元化することがいいかどうかという問題もございますので、中央の機構に一元化すべき範囲を明確にいたしまして、大体各省庁に共通的なもの、あるいは基礎的、総合的なもの、あるいは原子力、宇宙のように強力に、早急に推進しなければならないもの、あるいは膨大な設備をもちまして各省庁が共用に使うべきもの、こういうようなものにつきましては一元的に管理をいたしまして、他の研究機関につきましてはこれを調整機能の強化によって一体的に動くようにすべきであるというのでございます。  そのためには、従来原子力でやっておりましたような関係予算の一括計上を他の重要総合研究にも及ぼして、そうしてその調整を全うする必要があるのではなかろうかという結論でございます。  一方、特別研究促進調整費、これは非常に重大な予算でございますので、これも増額いたしまして、従来大学における研究に対しては配分することができなかったこの特別研究促進調整費を、大学における研究に対しても配分できるようにしたらどうかというのでございます。  科学技術行政機構を考えますときに、根本的に考えますと、たとえば独任制機関がいいか、あるいは合議制機関がいいかあるいは独任制と合議制機関の折衷案がいいか、いろいろ案がございます。  独任制機関のうちでも、科学技術省案と科学技術庁案とございます。科学技術名案は一つの省として主任の大臣を持ち、格上げになりますけれども、一方、総理大臣の持つ強い調整権限を利用できないという欠陥が生ずるわけであります。でございますので、機構的に一元化できたような場合には科学技術省案もいいのでありますが、機構的に一元化せずに調整機能の強化で一体的運営をはかるときには、総理大臣の権限を利用できるような、従来のような科学技術庁案がやはりいいんじゃないかというのでございます。  それから、合議制、すなわち行政委員会案でございますが、これは一利一害がありまして、日本としてば適しないという説もございます。しかしながら、この行政委員会としての機能はやはり取り入れられなければならないと思うのでございます。  したがいまして、われわれの結論といたしましては独任制機関とはするけれども、その中に一つの合議制の機関を置きまして、そこで各方面の識者を集めまして調整意見をまとめるというふうにしたらどうかという結論になっておるのであります。  これらをまとめて申し上げますと、まず第一に、内閣における政策決定機関の強化でありまして、これは従来科学技術会議がございますけれども、これは単なる諮問機関でありまして、建議もできない、あるいは調査もできないというような機関でございますので、これを格上げいたしまして、最高政策を審議する閣僚委員会的な性格とする。そうして、たとえば閣議決定事項の前段階におきましてあらかじめ審議する、あるいはそのあとにおいて閣議決定事項の推進をはかる、このような、いわゆる閣僚委員会的な性格に格上げしたらどうか、こう考えるのであります。  第二は、科学技術庁の調整機能の拡大強化であります。これは先ほど申し上げましたように、大学における研究にかかるもの、これは研究の自由と自主性とを尊重しながらお互いに協力する意味において調整の対象に含める。重要総合研究に関する予算は原子力予算と同様に一括して計上する。こういうような調整権限の強化をはかって、全体として総合化ができますようにいたすべきであるというのでございます。  それから、先ほど申し上げました研究の自由と自主性を重んずるという意味におきまして、新しく第三として、科学技術政策委員会をこの科学技術庁に置きます。これは国家行政組織法の第八条機関でございますけれども、単なる諮問ないし建議機関ではなくて、科学技術庁の所掌事務のうちの一定の事項について企画、審議及び決定をする機関といたします。対外的には独自の機関ではありませんけれども、その決定は直接長官を拘束するというものにいたしたいと思います。ここで基本的な政策あるいは事務の総合調整、それから経費の総合調整等を行なうものといたします。ここに部会を置きまして、この部会には大学あるいは産業界あるいは関係行政機関の職員が入ってまいります。そうしてお互いに自主性を尊重しながら総合調整の案をつくる。ちょうどこれは、一昨年衆議院科学技術振興対策特別委員会の基本法の試案がございますが、その試案にございまする国立大学研究連合委員会、それから研究共同運営委員会等が、いわばこの科学技術政策委員会の部会といたしましていろいろな方面で——このほかにも部会を設けていいのでありますけれども、——いろいろな案をここで策定するということにいたしましたら非常に合理的であろうかと思います。  これらの案につきましては、先ほど申し上げました衆議院の基本法の試案と、それから経団連の意見、その他各方面の案をいろいろ勘案いたしまして、以上のようにまとめたのでございます。  しかしながら、最後に、科学技術行政というものが他の行政と違いまして、新しい分野を開拓するという特殊性がございます。したがいまして、その行政機構に完ぺきな形態を求めることば困難であります。一方を立てれば一方が立たず、しかもそれが時々刻々変わっていくというような新しい行政でございますので、むしろこれを運営する面におきまして関係者がセクショナリズムを排除して、最高の効果をあげるように協力するということが最も大切な点であろうかと思います。  以上簡単に臨時行政調査会の科学技術班の経過につきまして申し上げた次第でございます。最初に申し上げましたように、これは七人委員会でいま検討中でございまして、その後七人委員会と数回にわたり意見を交換しておりますので、大体において線はこの線でいくと思いますが、多少のこまかい点におきまして、二、三意見がございますので、それの調整に当たっている段階かと存じます。  以上簡単でございましたが、御報告いたした次第でございます。

前田正男自由民主党

○前田小委員長 次に、去る五月二十日、佐藤科学技術庁長官が佐藤人事院総裁に対し研究公務員の処遇改善について要望書を提出されましたが、これが提出されるに至った経過及びその内容について村田計画局長から説明を聴取することといたします。村田計画局長。

村田浩総理府技官(科学技術庁計画局長)

○村田政府委員 ただいま委員長のおことばにありましたように、科学技術庁では去る五月二十日長官名をもちまして佐藤人事院総裁にあて研究公務員の処遇改善について要望いたしました。そこで、その経過並びに内容について概略申し上げます。  科学技術庁では、科学技術の振興のための重要な一環である科学者、技術者の養成並びにそれらの処遇、あるいは研究環境の問題、そういったことにつきまして設立の当初から非常に大きな重要性を置きまして検討し、措置を講じてまいってきておることは御承知のとおりでございます。特に国の機関におります研究者、研究公務員の処遇改善につきましては、昭和三十二年以来人事院との間でその改善措置につきまして協議申し上げてきたわけでございますが、昭和三十六年特にそれまで検討されました事項を取りまとめ、国立試験研究機関における研究公務員の処遇をどのように改善さるべきか、その基本的な問題につきまして長官名をもって人事院総裁に要望書を出したわけでございます。  その際に、要望書に盛り込まれました要点は、大きく分けて三つございます。それは第一に、国の研究機関におります研究者が十分に安んじて研究を行ない、すぐれた成果をあげるためには研究職公務員の処遇を他の公務員のいずれよりもよい処遇を与えるべきであるというのが第一点でございます。第二点としまして、このような措置をとりますについて、研究公務員と一言で言われております方々の給与表は現在研究職一本になっておりますが、これを二分いたしまして、いわゆる研究専門職と研究技術職といいましょうかそういう二つの職群に分けまして、それぞれに対応した優遇策を講ずべきであるというのが第二点でございます。第三点としましては、このような優遇措置を講じますについてはそれぞれの研究者のいわば能力を判定いたす必要がございますので、そういったことを公正な立場から権威を持って行なえる選考組織というようなものをつくるべきだ、こういう三点でございます。  この以上三点は研究職公務員の処遇を改善するについて根本的な問題でございますが、当庁といたしましては、昭和三十六年このような申し入れを行なった以降、毎年この点についての人事院における検討並びに検討の結果の実施を要望してきておるわけでございます。しかしながら、このような根本的な改善策は直ちに実施するというわけにもまいらぬ面がございますので、その間当面いろいろと具体的な処遇改善の措置をとっていただきたいということで、昭和三十八年、昨年度もただいま申し述べました基本的な事項のほかに幾つかの具体的な当面の改善策についての要望をいたし、さらに今年五月あらためてまたその後の検討を加えまして、さらに各省直轄研究所長連絡協議会というのがございますが、その協議会を通して国の機関の研究所長の集まりから要望されました事項等も検討いたしまして、具体的には当面の措置として五つの項目について要望いたしたわけでございます。  本年度要望いたしました五つの項目と申しますのは、  第一は、研究公務員の俸給の改善にあたり特に中堅職員の優遇を考慮してほしいということでございます。これはこれまでの措置によりまして、新しく研究公務員になられた方々の処遇につきましては、初任給の改定等を通じまして最近かなり改善されてきた面があるわけでございますが、反面これに伴いまして中堅以上の方々の処遇がいわば中だるみ的になってきております。この点を改善する必要があるということをまず第一に打ち出したわけでございまして、給与の線を引いてみますとまん中がしなった弓なりになっておりますものを、もっとまん中を引き上げる形の俸給にしてほしいということでございます。  これに関連しまして、俸給表をそのように改めましても上級に進むについての定数というのがございまして、そのために上の定数に上げてやりたいが定数がないために上げられないというようなケースが出てきておりますので、あらためて二等級、三等級という中堅の定数を大幅にふやしていただきたい。この二点を第一にあげたわけでございます。  それから第二点としましては、ただいまの中堅職員の優遇措置と関連いたしますが、研究者というものは、従来の歴史から見ましても、中堅に当たりますそういう年齢層の方々から最も新しい創造的な研究成果も生まれておるわけでございますので、そういった意味からしまして、大学を出られて研究所に入り三年以上たった方々につきましては、職務内容に適した研究特別手当というものを新たに考えて支給するようにしていただきたいということを第二点としてあげたわけでございます。この研究特別手当と申しますのは、いろいろな考え方があると思いますが、当庁で考えました一案は俸給月額の百分の二十を研究特別手当として支給する。それを支給される範囲は研究職俸給表の適用を受ける者の中で課長、室長並びに主任研究員、これは大学を卒業しまして試験研究に三年以上従事しました方々、あるいは大学院を出られた方々、そういうもの、またこれと同等以上の知識経験を有する人の中で、四等級以上の適用を受ける者の中から選んで手当を支給するようにしてほしい、こういうことでございまして、これに伴い現在支給されております超過勤務手当、これは特別手当の中に織り込みまして廃止するという要旨でございます。  それから要望の三点は、ただいまの第一点第二点は中堅職員を主たる対象といたしました優遇方策でございますが、第三点としまして、これら中堅者の上にありましてこの研究を管理し調整していく方々、これらの方々の処遇というものもあわせて考える必要があるわけでございますので、研究所の所長あるいは場長の方々については原則として一等級に格づけするということを要望いたしております。現在国立の試験研究機関が七十四ございますが、そのうちで一等級の格づけをすでに受けておられますのが二十二でございます。そのほか暫定的に、いわゆる属人性といいますか、そのゆえをもって一等級を受けておられる方が十二名おられるようでございます。合わせて三十四の研究所長あるいは場長が一等級を受けておられるわけでございますが、原則として研究所長という職務に対しては一等級という格づけをしていただきたいというのが第三の趣旨であります。  これとあわせまして管理職、つまり部長以上の方々に対しましてはいわゆる管理職手当と申しますか、特別調整額が支給されておるわけでございますが、その率は従来研究所の場合は一八%程度になっておるのでございますけれども、これを本省並みの二五%程度まで引き上げる必要があるのではないかということで、その点についての申し入れもあわせて第三点にあげておるわけであります。  次に第四点としましては、研究所には、これまでもそうでございますけれども、今後さらに多くの大学院を修了された方が入ってくることになろうと思います。すでにその傾向も出ておるわけでございます。大学院課程を修了された人は、学部を卒業して直ちに研究所に入られた人に比べまして研究所に入る年次が修士課程では二年、博士課程では五年というようにおくれてまいるわけでございます。そういったおくれが大学院修了者にとって不利になるようでございますと、大学院までいきまして勉強して優秀な研究者になろうという方々によい影響はございませんので、この点についてもかねて人事院側に御考慮をお願いしておるわけでございますが、現在のところその場合の調整は、学部を出まして上級職試験の乙種合格者を基準として調整していただいておるわけでございます。それでは趣旨からして決して十分でございませんので、上級職試験の甲種合格者を基準とした処遇を行なうように考えていただきたいというのが第四点としてあげておる事項でございます。  最後に第五点といたしまして、昇級昇格と給与制度の運用につきましてさらに一そうの改善を行なっていただきたいということを要望いたしております。この点はやや説明を要するかと思いますが、現在研究公務員の給与表を見ますと、入りまして二年、三年、四年、五年あるいは十年、十五年とたつにつれまして給与が上がるようになっておりますが、これをグラフにとってみますと、そうやって得た線を制度線といっておるわけでございますが、この制度線は厳密に申しますと、たとえば昭和三十九年に研究所に入られた研究者が五年後、十年後にどういう俸給を受けられるようになるかということを示したわけでございまして、すでに以前に入られまして五年あるいは十年たっておられる方が直ちにその制度線の十年あるいは五年の線に乗るようになっておるかというと、必ずしもそういうわけにはなっておらないわけでございます。それは、五年あるいは十年前に入られた方々が今日までの間にいろいろ給与の改善等がございまして漸次改善はされておりますけれども、ただいまあります制度線にそのまま乗るようにはできておらないというのが実情でございます。もちろん平均して申しますと、大学を出て直ちに入られた方ばかりではございませんで途中から入られた方もおりましょうし、必ずしも大学卒業年次だけで俸給が制度線に乗り得るというわけにもいきませんけれども、それにいたしましても、現状を調べてみますと、いわゆる制度線といわれておる給与水準と、現実に五年、十年たった研究者が受けておられる平均の給与との間にはかなり大きな開きが見られるわけでございまして、そういった開きは漸次これを狭めていくという運用が必要ではないかということをここに掲げまして要望いたした次第でございます。  以上が、今回長官名をもって申し入れました要望書の概要並びにそこに至ります経違でございます。

前田正男自由民主党

○前田小委員長 次に、科学技術庁長官の要望書を受理した人事院のその後の検討経過について瀧本給与局長から説明を聴取することにいたします。瀧本給与局長。

瀧本忠男人事院事務官(給与局長)

○瀧本政府委員 ただいま御説明がございましたような要望書を五月二十日に科学技術庁からいただいておるわけであります。先ほどもお話が出ましたように、科学技術庁からはすでに数回にわたって御要望がございました。人事院といたしましては、過去におきましても科学技術関係の優遇ということにはできるだけ努力をしてまいったのでございます。今回もまた御要望に対しまして十分検討いたそうと思っております。  現在部分的に検討いたしておりますが、この問題をどうやるということまで現在きめておるわけではございません。したがって、現在部分的に検討いたしておると申しますのは、われわれのほうは、今年おそらくは勧告をするのではなかろうかという気持ちはあるわけでございますけれども、現在のところ人事院は民間の給与の実態調査をいたしておる最中でございます。  そこで、この六月の下旬になりますと、大体実地調査をいたしました調査票の最終的なものが集まってまいります。その間にももちろん調査済みのものが集まってまいっておりますから、それを順次統計局のほうに送りまして基礎集計をいたすわけであります。統計局で基礎集計をいたしましたものがわれわれのほうに最終的に出てまいるのは七月の下句、こういうことになるわけでございます。現在、毎月勤労統計その他いろいろな資料によりまして、ほぼ動向がどういうふうになるかという見当はいろいろつけておりますが、最終的にはわれわれの調査できまってまいる、こういうことになるわけであります。  そこで、人事院がやり得ますことは、公務員全体の給与水準を民間と合わせるようなことをしていただきたい、こういう勧告をいたすわけであります。したがって、人事院の現在の責務並びに権限の範囲におきまして、ある一部のところに特にそういう民間給与の全体の水準というものを度外視してやり得るかどうかということになると、われわれ現在疑問を持っております。現に勧告をいたしましても、いろいろの面から批判がありまして、人事院の勧告は高過ぎるのではなかろうかというような御批判も出る場合があるわけでございます。そういう中におきましてわれわれは科学技術者の優遇をいたしていこう、こういうことでございますので、そのやり得ます範囲が非常に限られておるということは、これは前から申し上げなければならないと思います。  と同時に、勧告をやります際に、科学技術者の処遇を特に厚くするという点から考えましても、先ほどもお話がございましたように、大学における教授、助教授あるいは講師というような方々、これはもちろん教育をなさるわけでございますけれども、同時に研究をなさる。現在わが国における研究の二大支柱は国立研究所と国立大学である、このようにわれわれ実態を見ておるのでありますが、そういう関係があり、現に密接な関係を持つ大学の教官の方々と研究職の俸給表というものは密接な関係があって切り離して考えることができない。多少余談になって恐縮でありますが、またお医者の給与というようなものと関連してまいる。大学の先生の給与というものは中、小、高等学校の先生の給与と直ちに関連してまいるというようないろいろな関係の中におきましてわれわれ作業をやるわけでございますが、過去におきましても、たとえば研究職の俸給表を新たにつくる、また研究職の俸給表で、先ほどお話がございましたように等級別定数のために昇格できないというようなことを排除するために、等級を合併いたしましてそこのところはそういう制限のないような措置もやってまいったのでありますし、また俸給表の改善におきましても、たとえば昭和三十五年四月から改善されましたときには、研究職の改善は平均千四百五十五円、行政一は六百七十六円、三十五年のときには研究職は三千五百五十九円という平均でございましたが、行政は二千四百四十一円、三十六年の場合には、研究は二千三十三円、行政は千七百六十八円、三十七年のときには研究は平均二千四百八十七円、行政は二千五十三円、三十八年には、研究は二千百六十円、行政は千八百三十円、これは平均数値だけで、絶対的に研究職をこのように優遇しましたからそれでよろしいということを申し上げておるのではないので、われわれとしてはそういう努力もしておるということをこの機会に御了承を願いたいという意味において申し上げたわけでございます。研究関係につきましてよりよくしたいということは、先ほどからお話が出ておるとおりでございますので、われわれも今回もまた科学技術庁の御要望等を十分検討いたしまして、先ほど申し上げましたようにわれわれとしてはなお関係する部面もございますので、それとの調和をはかりつつできるだけ努力して御希望に沿いたい、このように考えております。     —————————————

前田正男自由民主党

○前田小委員長 この際質疑の通告がありますので、これを許します。山内広君

山内広日本社会党

○山内小委員 臨時行政調査会の科学技術班の報告書をいまいただきました。まだ読んでおらないのですが、先ほどの御説明の中で七人委員会の意見とまだ調整を見ない点が二、三あるというので、どういう問題が議論になっておるか、もし漏らしていただけるならばと思います。  と申しますのは、私は内閣委員会におりまして、いずれこの委員会の設置が当然提案されてくると思いますが、そのときの参考までに、漏らせたらひとつ漏らしていただきたいと思います。

篠原登臨時行政調査会専門委員

○篠原説明員 お答え申し上げます。  主たる点は、科学技術政策委員会のメンバーの選出方法でございまして、これをどういうふうに選出していくかという問題であります。各分野がどのように分かれて、それがどういうふうに政策委員として選び出されるかという点に多少意見の相違があるわけでございます。  その他は別に根本的なものはございません。字句の修正程度の問題が二、三ございます。その程度でございます。

山内広日本社会党

○山内小委員 給与局長にちょっとお尋ねしたいと思うのです。  科学技術の研究者の処遇の問題では五点にわたって要望書が出た。その点については努力されているというお話なんですが、ちょっと奇異な感じで聞いたのです。民間との格差を是正する、この場合に、一般国家公務員の処遇というようなものとはどういうことになるのですか。それに牽制されることなしに民間の給与水準に持っていくような勧告をあなた方はなさるのか。  ということは、一般の公務員に牽制されたら決して処遇はよくできないのですよ。研究者に聞くと、とても希望がないからといってどんどん民間のいいところに逃げていくという事実をあなた方は御存じだと思う。しかし、人事院という立場から一般の公務員の処遇とにらみ合わしてということになると、思い切った政策というものは出てこないと思う。そういう点をどういうふうに判断され、どういうふうに研究されておるのか。もう一ぺん念を押しておきたいと思います。

瀧本忠男人事院事務官(給与局長)

○瀧本政府委員 研究職につきましては、科学技術庁が非常に熱心に待遇改善をおっしゃるわけであります。またほかの行政機関はそれぞれの立場から、その所管の公務員の給与改善について特段の努力をしろという御要望が出てまいるわけでございます。また教育職等につきましては、これは非常に運動が活発でございますので御存じと思いますが、たとえば裁判官と戦前は同じであった、いまは非常に違うじゃないか、だから裁判官並みの給与水準にしろというお話が出てまいるのでございます。もっとも戦前の制度といまの制度とは違いますから、直ちにそういうことが言えるかどうかということは問題があろうかと思いますけれども、とにかく問題が出てまいる。  そこで、われわれといたしましては、全体的に公務員の給与水準というものを民間と合わせていく以上にはできないのでございます。その中で特段に処遇をしなければならぬというところに、狭い範囲で努力をして改善していく、こういうことしかできないのでございます。そのことを先ほど申し上げた次第でございます。われわれは人事院の勧告制度の本旨にかんがみますと、全体の公務員に公平に処遇の改善をしていくということがやはり第一であろうと思います。そういう問題と並行いたしまして特殊公務員を優遇しろという問題が出てまいるのでございまして、それは非常に狭い範囲においてわれわれができる限りの努力をする、こういうことであろう、このように考えております。

山内広日本社会党

○山内小委員 きょうは討論の機会ではありませんから、後日の機会にこの問題は取り上げたいし、また、取り上げなければならぬと思うのですが、局長のいまのようなお考えであっては、私どもが科学技術の振興という大きな国家的な命題と取り組むために、りっぱな人を得なければいかぬ、そういう観点でやっても、一般の公務員と均衡の上でという判断でこの問題を処理されることになったら、われわれの考えはなかなか貫くことはできないのです。さっきも申しましたとおり、いずれまたの機会に、その点の人事院の考えも改めていただかなければならぬと思います。  きょうは意見だけで終わります。

前田正男自由民主党

○前田小委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ————◇—————    午後零時二十三分開議

前田正男自由民主党

○前田小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本小委員会は、今日まで六回にわたり小委員会を開会し、科学技術行政振興に関する長期計画、科学技術基本法の内容、研究者の処遇に関する問題等等、科学技術振興のための基本的な問題全般にわたり、参考人より意見を聴取し、また関係各省庁政府委員に質疑を行なう等、熱心に調査を続けてまいったのでありますが、本日小委員打合会におきまして、本小委員会がいままで調査いたしました経過について本委員会に報告する小委員長報告要旨案がまとまりました。  まず案文を朗読いたします。   科学技術行政の総合的効率的実施を図り、時代の要請に即応し科学技術振興の実効を収めるため、政府は、次の事項の実現を期すべきである。  一、科学技術の振興に関する長期計画の策定を促進すること。  二、近く提出される臨時行政調査会の報告を尊重して科学技術行政機構の整備を断行すること。  三、原子力関係以外の重要総合研究に関する予算についても一括計上の措置を講ずること。  四、国立試験研究機関、特殊法人研究機関及び大学において研究に従事する者の処遇について格段の改善措置を講ずること。  五、技術導入に当っては慎重且つ適切な指導を行ない、併せて国産技術の育成に格段の措置を講ずること。  六、科学技術に関する基本法のすみやかな制定に努めること。  以上であります。  ただいま御説明申し上げました要旨で、本委員会に対して小委員長報告をいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田正男自由民主党

○前田小委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗