科学技術振興対策特別委員会科学技術の基本問題に関する小委員会 第4号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/04/23
会議録
○前田小委員長 これより科学技術の基本問題に関する小委員会を開会いたします。 科学技術の基本問題に関する件について調査を進めます。 本問題調査のため、本日は参考人として、東洋レーヨン株式会社常務取締役星野孝平君、東京大学物性研究所長武藤俊之助君、東洋理化工業株式会社社長須賀長市君、以上三名の方々に御出席を願っております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ本小委員会に御出席くださいまして、どうもありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。 なお、はなはだかってながら、時間の都合もございますので、参考人の御意見の開陳はお一人約十五分程度として、後刻小委員からの質疑の際十分お答えくださるようお願いいたします。 それでは、これより参考人各位から、科学技術行政の長期計画に対するお考え、研究者の処遇に関する問題、あるいはそれぞれの御立場からの御要望等について御意見を承ることにいたします。最初に、星野参考人。
○星野参考人 私は東洋レーヨン株式会社の研究担当常務取締役をしております星野孝平であります。一企業の中におります者でありますから、その視界は狭いのでありますが、意見を申し上げます。 いわゆる基本法の問題につきましては、民間企業としては政府に過度に依存すべきではなく、政府はまた企業の自由な自主的活動ができるように発展の環境づくりをしていただけばよいと思っておりますので、その意味で科学技術基本法は実際的であり、歓迎いたします。自然科学と文化科学、社会科学を含めての科学研究基本法は理想的なものと思いますので、ぜひこのよい点を取り入れていただきたいと思います。 私ども会社での立場での最近の考え方といたしまして、また日本の企業から世界の企業へ脱皮するために、世界的傾向もそうなのでありますが、大学だけに基礎研究の成果を期待するのでなく、みずからの負担において基礎研究をし、将来の新技術の種を生み出し、それを自社で保育する努力をすべきであると考えまして、このごろ基礎研究所あるいは中央研究所を新設するところがふえてきました。 会社でいいます基礎研究は、将来工業につながる可能性を期待するものでありまして、大学の研究とはその点違います。大学の研究は、そのような期待がなくてもよいので、純粋研究とかあるいは純研究というべきものなのです。 このほかに、会社としては開発研究というのもやります。これはパイロット・プラントくらいの規模で技術を完成しまして、技術を商品の形に仕上げる研究でありまして、多額の投資を要します。海外に技術輸出をするには、少なくともパイロット規模になっておりませんと、その可能性が少ないからであります。この開発研究や、製品を拡売したり、用途開発をするために技術サービス研究というのも必要であります。また、化学工業会社といえども機械装置の研究をすることも大切であります。 私どもの会社では五年、十年先の新技術のための基礎研究所と、それから五年以内を目途としました新製品の工業化のための中央研究所と、現在の生産品の品質改良、コスト低下のための各種研究所を必要と思って、持っております。 これから、一企業に属する者からながめまして、国としても重要な次の三つのこと、すなわち一、組織と運営、二、研究費(金の支出)、三研究者(人の問題)、これらはそれぞれ関連しておりまして切り離せませんが、それぞれに重点を置きまして、企業の立場から順次政府に希望する点を申し上げます。一、組織と運営 科学技術行政機構の全体として、大もとでの一元化は望ましいことと考えます。あるいはまた大学とか、国立研究所の研究のあり方とかいう問題につきましては、私どもは政府で考えておられる方針で基本的には妥当だと思います。しかし、こまかく見ますと、国立の試験研究所で、一業種だけに関連しておりまして、しかも一会社の設備内容に劣るようなものもありますし、大学の研究にしましても会社でやったほうが適当と思われまして、大学でそれを質が悪く、ゆっくりやるというような例もなきにしもあらずと思います。 教育公務員につきましては、大学の教授をさすのでありますが、身分上の制約をなくしまして、民間の顧問とか嘱託になることを明らかに認めたらいいと思います。それを一般化することにしまして、公務員法の制約を緩和して、いただきたいと思います。 厳密にいいますと現在この法律に違反行為がなされていると思いますが、アメリカでの例もありますように、企業の顧問となることは、民間での技術革新の激しい今日産業界の第一線の仕事に関与することは、学問研究の進歩のためにも、相互のためにも望ましいと考えます。 また、米国では、研究開発が一つの巨大産業になっておりまして、その委託研究費は多く政府から出ておりまして、独立研究会社が成長しております。わが国でも研究法人を育成すること等の検討が望ましいと考えます。 また、委託研究には経済的合理性を与えて、競争入札にし、受託者は数パーセントの利潤をもらうようにし、その成長をはかるようにすべきでありましょう。 技術導入については、すでに確立した工業だけでは、大きなものはすでにだんだん種切れに近くなってきているように感じます。工業化前の未完成の、リスクのある特許や技術の導入を容易にして、わが国でそれを育てまして完成技術にするようにしなければならぬ時代になってきているように思います。 また、特許の出願から公告までの期間が現在三年くらいかかっておりますが、その内容を知らないために同じような研究をやり、研究の二重投資となることが多いので、出願後一定期間を過ぎたらその内容を公開するよう策を検討すべきであると思います。 独創性のあるアイデアの保護の程度を厚くするために、英米で認められております化学物質特許をわが国でも認めるようにすることが、これからは長期的に考えて有効であると思います。 それから政府機関の研究で、いろいろ違った研究者が同一の研究題目を掲げておりまして、直ちに二重研究だというふうに考えられることがありますが、これはそういうふうに簡単に考えていただかないほうがいいと思います。これは連絡をよくすることによって、お互いの間の共同の研究になりまして、結局出張旅費などの予算をつけることによって効率があがるようになると思います。 民間企業の共同研究が盛んになりつつありますが、その機運をさらに盛り上げたいと思います。ことにつくる者とそれを使う者との間の共同研究をしなければ解決不能の問題が多いようになってきたように思います。二、研究費 研究費につきましては、わが国の企業の利益率はアメリカの約半分くらいにすぎませんが、研究開発費の負担は、その利益率を維持しようとしますとすでに限度にきていると思います。独立研究所は財政的に困っているところが多いと聞いております。国が支出します研究費はぜひともふやしていただきたいと思います。 企業に対する税制面では、諸先生方の御理解と御努力によりまして、固定資産の限度が一件二万円から三万円になったり、あるいは技術輸出所得の控除が五〇%から七〇%にふやされ、開発研究機械の初年度の九五の償却、あるいは国産技術第一号機の初年度三分の一の特別償却などが四月から実施されまして、この点はお礼を申し上げます。税制面でさらに望むことは、研究というものは、もうからない年でも将来のために縮小することなしに続けるべき性格のものが多いのでありますから、研究準備金制度を設けるように御考慮願いたい。 また、重点方針としては、科学研究費、ことに大学の基礎科学研究費の大幅増加を急いでいただきたいと思います。 新技術開発事業団の資金も強化されたいと思います。 その他、学会の国際会議が日本でたくさん行なわれますが、その日本での開催は非常に効率がよくて有効でありますから、政府は必ずこれに金を出すようにしていただきたいと思います。中には政府からの金はゼロで全額会社の寄付にだけたよるというのもありまして、それが企業の研究費を不当に圧迫しておることになりまして、困ります。三、研究者 研究者につきましては、企業では研究者だからといって特別に事務屋よりも給与を多くして区別してはおらないところが多いと思いますが、人材の不足は相当なものであります。優秀な若い人が科学技術者への道を選ぶ風潮を助長するためには、社会が科学技術者を尊敬するムードになることが望ましい。その意味で、科学技術振興財団の活動、その効果を私ども期待しております。 わが国での研究者の給与は、企業の場合でも米国の数分の一ぐらいで、米国に留学した優秀な研究者が米国で就職して、わが国で採用できないのも相当ありますが、何といっても、日本の研究費中に占める人件費は比較的安い。この安い有利性をなるべく続けるようにするためにも、消費者物価の上昇、賃金の上昇を押える施策を望みたいと思います。 しかし開放経済となりまして、アメリカの会社が欧州に研究所をつくるように、日本にも研究所をつくり、日本人の研究者を高い給料で雇うようなことになることは必然であると思われますので、いまから給料の相場はひとりでに上がると思います。企業もいまから覚悟しておく必要がありましょうが、大学でもそれ以上の覚悟が要ると思います。 また、現代の工業は総合工業でありまして、企業の総合力を大きくするのには、企業の弱点となるところを強化することが大切と思います。たとえば、化学工業会社でありましたら電気、機械、計測の技術者などは優秀な人がなかなか採用できない。電気、機械工業会社では化学者の優秀な人がなかなか採用できない状況にありますが、その点が企業の弱点になって総合力に影響を及ぼしていると思います。この点につきましては、大学の先生方がお考えくださいまして、少数の者でも優秀な者の企業の弱点への就職指導をお願いしたいと思います。 それから、小さいことでありますが、個人所得税につきましては、昨年あたりから学校、科学団体に寄付するのが一部減税になりましたが、普通の技術者と事務屋とは一視同仁でありまして、研究者と何ら差を認めておりませんが、これはアメリカでは科学技術者の学会の会費や専門書の購入などは必要経費と認めておりますので、日本ではせめて学会の会費だけでも必要経費と認めていただきたいと思います。これによる学会会員の増加は、貧乏な学会を財政的に健全にして、政府への依存度を減らすことになりますと同時に、研究者個人の自己啓発に役立ちまして、全体のレベル向上になると思います。 まとまりのないことを申し上げましたが、これで私は一応終わらせていただきます。
○前田小委員長 次に、武藤参考人。
○武藤参考人 いま委員長から御指名のありました武藤でございます。東大の物性研究所に奉職しておるものでございますが、三月の下旬にございましたこの種の説明会におきましての議事録を拝見いたしますというと、朝永さんとかあるいは江上さん、福島さんなどから科学技術基本法を中心として学術会議の要望なりあるいは意見なり、またその質疑応答の中には、いま前の方のお話の中にございましたように大学の研究機関の使命というものと国立研究機関の使命ないしは民間研究機関の使命という相対的な関係におきましてどういう位置づけができるかというようなことが、やはりこの質疑応答の中にも話されております。私は一応そういう話が出ていることを前提といたしまして、そういった多少大局的な見地からのお話を省略させていただきまして、研究所の現場に職を奉じておる者の一人といたしまして、特に大学付置研究所の問題点について、そのうち二、三を御紹介申し上げまして御参考に供したいと存じます。なお、私は東京大学の物性研究所に奉職しておりますけれど、これから申し上げますことは、決してこの物性研究所だけの問題ではございませんで、大学付置全研究所の問題であることを申し添えたいと思います。と申しますのは、文部省の国立大学研究所長会議というものを持っておりまして、毎年定期的に集まって共通の問題について審議、討議し、そこでまとまりましたのは関係筋へ要望するというようなことを毎年繰り返しておりますので、そういった議論の席上で出ましたものを要約しまして特におもなものだけを申し上げたいと存じます。 第一は特殊技能者の処遇の問題でございます。御承知のように、大学に職を奉ずる者の給与というものは、その職務の性格から申しまして非常に低い状態にあるということは、もう御承知だろうと思います。しかし、教授、助教授、助手の給与に関しましてはいろいろの動きがこれまでもございましたし、最近では各大学で給与の検討を、自分たちはこう考えるという意見を出すために検討しておりまして、東京大学では一応の大学内の原案がまとまりまして、これが国立大学協会のほうへ提出されております。近く国立大学協会のほうでは全国的な視野からそれをさらに検討なさいまして、何らかの形でこれが外部に要望される形になるだろうと期待しております。そこで、そういったいわゆる教育公務員という方々の話がわりあいに表面に出ますが、研究所にとって非常に重要な、しかも、わりあいにそういったところで話題にのぼってこない特殊技能者の処遇問題をここでは取り上げたいと思います。 具体的に申しますというと、研究所の工作部とか、あるいはエレクトロニック・ショップとか、あるいは寒剤をつくります液化室、こういったところに働いている人々の処遇の問題でございます。こういったところに働いておる方々が、いわば研究の第一線におります研究者と一致協力いたしまして研究活動に占めておる役割りというものは非常に重要でございます。と申しますのは、たとえばいろいろな研究者からの注文がございましても、多くの場合これは規格製品ではございませんので、どうしても特殊技能が必要になり、そこでの製作というものが非常に能率よくいくかいかないかということが研究の実態にすぐ響いてまいります。ところが、こういった特殊技能者の待遇というものが現在は公務員の給与制度に縛られております。いわゆる行政職一、二と通称いっておりますが、そういうものに縛られておりまして、なかなか格段に優遇するわけにまいりません。また民間給与との格差が非常にひどうございます。本日はこまかい計数の参考資料を持参しておりませんけれども、とにかくその劣悪なことはちょっと驚くような状態でございます。これを何とかして、研究活動の一環をになう人々の位置を十分理解いたしまして、何とか公務員の給与制度の検討を抜本的にやっていただいて、こういった特殊のシチュエーションにあります方々の給与をうまく改善していただきたいというのが、これはほとんど全国の研究所の要望でございます。 次に、研究費の問題でございます。研究費は、実際の活動の面から申しますと、大体恒常的な研究費、それからプロジェクトができましたときに共同研究を強力に推進する必要が出ます場合に重点的に配付する研究費、それから研究の設備というのが、御承知のように日進月歩でございまして、非常に高性能のものがどんどん出てまいりますので、そういう設備が出てまいりますのに即応いたしまして設備を更新する経費、こういったものが大体三つの柱として研究所の運営に問題になってまいります。 この恒常的研究費になりますというと、これもいろいろな形で要望がいままで出ておりますけれども、なかなか思うようにまいりません。昭和三十八年度で申しますと、ごく大ざっぱに申しまして、一講座当たり教授、助教授、助手二人でございますが、約三百万円程度でございます。ところが、これは大蔵省のいわゆる予算単価でございまして、実際に研究者が使う研究費ではございません。と申しますのは、研究所全体の管理、運営に必要な経費、たとえば光熱水料とか、あるいは小規模の補修、配管、そういったものにずいぶん使いますので、実際研究者がフリーに使える研究費といたしましては概算いたしまして約半額というふうにわれわれの研究所では推算いたしております。これではとても与えられた設備をフルに運転し、研究活動を活発にいたしまして世界的なレベルに持っていくというのにはいかにも少のうございます。そこで、予算技術的にいろいろ苦労いたしまして、ただ積算校費だけにたよらないで、ほかのルートの研究費を獲得するように努力しておるというのが現状でございます。こういったいわば多少むだに類する努力ではなくて、基準配給とでも申すべき校費の予算の増額ということをわれわれとしては強く要望しておる次第でございます。 昭和三十四年度だったと思いますが、たしか科学技術会議の第一号諮問にこたえまして、一つのこの見解が研究費に関して示されております。最近この学術会議におきましても研究費委員会というのが設けられまして、目下その検討中と聞いております。いずれその具体的な計数が出てくるだろうと思いますが、またそういうおりにはどうかひとつ十分御関心をお持ちいただきまして、御協力願えれば幸いだと存じます。 ざっくばらんに申しまして、じゃあどのくらい要るのだ、こう聞かれますと、これは全般的なことは申せませんが、先ほど三十八年度約三百万と申し上げましたが、約二倍、約六百万円程度というのが、特に物理学の範囲だけでございますから一般的な計数とはいいかねるかもしれないと思いますが、そういうふうにわれわれは考えております。 それから次に、プロジェクト研究に重点的に配付するお金、これはいたし方ございませんので、たとえば自分のところの予備費をくめんいたしましたり、あるいは科学研究費の機関研究に出したりしてやっているのが現状でございます。こういう状態では、全要望の十分の一と申しますか、あるいはそれ以下になるかもしれませんが、とうていその要望を満たすわけにはまいりませんので、特に大学の付置研究所といたしまして、いわゆる学問の世界的水準を維持するという責務を国から負託しておる立場から申しますと、非常に残念な気がいたします。どうかこの点に関しましても十分御検討願いたいと思います。 それから、設備の更新の費用でございます。これに関しては、文部省関係当局におきましてもたいへん最近関心をお持ちいただきまして、努力していただいております。しかし、御承知のように日進月歩のこういった機械の改良に即応しようとする研究者の要望から申しますと、まだまだとてもその目標からはほど遠いというのが現状でございます。そういう点もひとつよくお考えいただきたいというのがわれわれのお願いでございます。 それから、最後に第三といたしまして、研究所における人員構成の問題でございます。御承知のように大学の講座、研究所ではそれに相当するものは部門と申しておりますが、これの構成が教授一、助教授一、助手二、それから技官または雇員が二、こういう一、一、二、二という構成でございます。ところが、特に最近におきまして、科学の研究というものが非常に多岐にわたりまして、またちょうど一つの分野と他の一つの分野のヴィッセンゲビート、境界においても問題が追求される機運が非常に濃厚になってまいりまして、いわば問題の発展のしかたが多岐にわたってまいりましたために、どうしてもいわゆる研究補助員の数が足らない。それでどうやっているかと申しますと、いろいろ理由をつけまして、そのつどそのつど文部省のほうにお願いするわけでございます。そのうち何%かは少しずつはつけ足していただいてはおりますけれども、いわゆる講座の単位をこの機会に抜本的に考えまして、現状の研究体制に即応したような陣容、いいかえますと、その陣容は頭が細くて下が広がるような、いわゆるピラミッド型式にしていただきたいというのが全研究所のいつも痛感している一つの悩みでございます。 以上、非常に簡単でございますが、かつ非常に具体的に、はなはだみみっちいお話ばかり申し上げて恐縮でございますが、とにかく大学の付置研究所が当面しております一番大きな問題を三つ御紹介申し上げまして御参考に供したいと思います。ありがとうございました。
○前田小委員長 次に、須賀参考人。
○須賀参考人 私、ただいま御紹介にあずかりました須賀でございます。私は、小さい会社ながら一つの会社を経営し、かつ研究業務に従っておりまして、その立場から私の考えたこと、あるいは日ごろ考えつつあることを申し述べんとするものであります。 一九五八年に私がヨーロッパに参りましたときに、スイス、ドイツで同じような、科学行政をどうしようかという問題にぶつかっておったのを私は経験いたしました。それからただいまこの席で科学技術に関する話をしろということの時間的な経過からいたしますと、六年ぐらい差があります。現在自由化という非常に大きな課題を前にいたしまして、科学技術をどういうふうにするかということを考える段階で、現在ですら非常におそいというような感じがいたしますが、どうかこういう法案を一日も早くつくっていただいて、日本の科学技術がどういうふうにあるべきかという基本的なことをきめていただきたいと私たちは切に要望したいと思います。 およそ科学技術のバックボーンになるところの研究の中で、私たちが考えている一つの考え方といたしまして、純粋な研究、これは大学あたりで、武藤先生が先ほどおっしゃったのはほとんどが純粋な基礎なんであります。学問上から申しますと、何ら係累のないピュアーな問題であります。それから、民間におきましてはいわゆる目的基礎、会社では各企業に従いまして目的がございまして、その目的基礎と応用研究とが連携いたしまして、そして開発に進んでまいります。 民間では、国家の研究のあり方に対してどういうことをお願いしたいかと申しますと、相当多岐にわたりまするけれども、最近、星野先生がおっしゃいましたように日進月歩で、各民間の研究陣というものは物的、人的、ともに相当な設備をしております。公立の研究所をはるかにオーバーしておる。たとえば光に関する学問並びに研究などは、うちの研究陣の内容からいたしますと、はるかに国立の研究所よりもすぐれている。そういうあり方がいいかどうかということは相当な問題であると思います。そういうことを企業ができればいいですけれども、できないところではますます外国の攻勢に対してまるっきり丸腰になってしまうというようなことも考えられるのでありまして、国立の研究機関はどういう研究をすべきであるか、どういうテーマを選ぶべきかということに対して、もう一度民間企業並びに学界の意見を率直に聞いていただいて、有効にその研究のテーマをきめていただきたい、こういうふうに思います。 地方におきましては、工業試験所、県に付属しておる指導所というところがあります。日本の産業の中核をなす中小企業は、そういうところを非常に頼みにしているわけでありますが、その研究所は、通産省で申しますと、通産省から中小企業庁の補助金をいただたり、あるいは鉱工業の研究応用補助金をいただいて細々ながら技術開発、あるいは指導を行なっております。実はこの工業試験所が日本の産業に対して非常に重要な役割りをしているのでありまして、私の経験では、一つの研究所が非常にりっぱな人材並びに設備を持ちますと、その周辺の企業が非常に勃興するというようなケースもたくさんございます。たとえば、日本とよく似た国といわれるスイスでは、そういう専門の研究所がありまして、民間の者が、一つの卑近な例を申し上げますと、時計のメッキが、こういうケースのメッキでは何年間もつであろうかということを国立研究所に依頼します。そうしますとこういうメッキでは十年くらいもつだろう、こういうデータがあります。ですから、自分の企業でそういう研究をする必要がない。そういうところへ行けば全部わかるようになっておる。私たちが毎日見る東京タワーは内藤多仲先生の設計したものであります。あの設計をいたしますときに、あの鉄骨が何年もつかということが相当問題になりました。しかしながら、日本ではあれが何年もつかということをコンファームすることができない。アメリカのナショナル・ビューロー・オブ・スタンダードに参りますと四十五年間のデータがある。たとえばカリフォルニアで鋼材を使った建物は何年間でこういうふうになってしまう、あるいはニューヨークに建った建物は何年後にはこういうふうになってしまうというものが集中的にナショナル・ビューロー・オブ・スタンダードに置いてある。だから、みんなこぞってあそこに行けばそのライフがわかる。あるいは繊維が何年間もつであろうということも、簡単にそこの一カ所に行けばわかるようになっておる。しかも、それがユニバーサルにみんなにわからせるようになっておるということは、日本においても相当必要ではないかと思うのであります。 大学あたりでいろいろ基礎研究をしておりますけれども、先ほど武藤先生がおっしゃいましたように、大学の設備は非常に貧しく、かつ人間も非常に苦労をしておる。それで、各会社ではこぞって自分のところで自分を助けるために苦労をして研究所を建て、あるいは陣容を構成するわけでありますけれども、たとえば私の関係しておる日本学術振興会なども相当基礎研究をやっております。学振の部門は三十一部門に分かれておりまして、その構成しておる人が千五百八十三人おります。一年に大体三百七十一回開いておりまして、発表数が千七百五十九件であります。ここで申し上げたいことは、この発表しておる千七百五十九件のうち、ほとんどの予算が政府の予算ではないのでありまして、各民間企業から寄付していただきまして、その番付の上でこの研究をしております。 もっと卑近な例を申し上げますと、日本は繊維国だといわれている。ここにおられる東洋レーヨンさんも日本の代表的な企業の一つであります。こういう繊維日本であるにもかかわらず、染色堅牢度試験法——染色堅牢度というのは、たとえばこういう着物がどれだけのかたさを持っておるか、レジデンス・オヴ・カラー・ファーストネスということばですが、そういうことに関する学問的なことは日本学術振興会でやっております。この学振で研究し、かつ開発したことを工業技術院に規格として答申したり、あるいはISOに答申いたします。ISOと申しますのは国際標準規格と申しまして、共通の規格を国際的に規定しようとするものであります。そういう重要な研究課題をほとんど民間の金でまかなわれておる。しかも、学振は、民間の寄付したお金二千六百四十万の一五%を事務費に回しまして、実際に使われるお金が二千二百四十万ぐらいだと記憶いたしますけれども、そのお金でわずかながら必要な研究をやっておる。そういう研究が実は日本のある部門のバックボーンになっているということは少しおかしいのではないかと私は思うのであります。 次に、ISOのことを先ほど申し上げましたけれども、ISOということに対して日本では関心が薄いのではないか。そこで日本の行政制度あるいは技術に対する考え方というのがよくわかるような気がする。私、一九五八年に、前に申し上げましたように英国に参りました。その年はちょうどオリンピックでありました。ISOというのは、こういう規格をどうしようかという、利害に直接関係するところの規格の会議であります。たとえば洗たくの堅牢度であるとか、あるいは日光に対してどのくらいの強さを持たなくてはいけないとか、そういう規格をきめる会議でありますが、そういう会議に日本はだれも行かないのであります。片一方では、オリンピックではもう何百人の人がローマを訪れます。そういうことで、英国人のある官庁の科学担当者が、一体日本は科学技術というものをどういうふうに考えているのか、と言われたが、どこか私は、ずれているのではないかと思うのであります。こういう法案の中に国際的にぜひ必要な部門を確定いたしまして、その部門には必ず人が出ていくというようなことが、実は今後の自由化の問題を前にいたしまして非常に大事だと思うのであります。たとえばドイツの代表ではドクター・F・グント、これはノーベル賞級の学者でありますが、その人がいつも参ります。スイスにおいては有名なブレンシバイラー、英国ではマックラーレンというような学者を出しまして、ISOの会議を通じて相当その国の規格、その国の科学的な考え方というものを表明する、いわゆる科学技術のオリンピックであるようなところであります。 もう一つ日本の科学行政の中で全然欠けているのがあるのではないか。たとえば工業気象学なんというのが日本ではまだ全然取り上げられていない。私たち、都会へ参りますと、非常にオゾンの濃度が高い。たとえば現在では東京のほうがオゾンの濃度がずっと高いのです。昔はオゾンを吸いに郊外に行くといっておりましたけれども、オゾンの量は圧倒的に東京のほうが高い。それは排気ガスが紫外線に当たりましてオゾンになることがわかっておりますが、そういうような系統立ったものが何もない。それから、外国に日本の繊維が輸出されるが、何年間もつであろうかというようなソーラ・ラジエーションの研究。日本の国の各地における光の量がどのくらいくるであろうかというような基本的な問題。あるいは河川の汚染はどういうふうに、どういう経過で行なわれているか。これはラインを愛する人は非常な熱意をもちまして、もうずっと前から行なわれている。ところが、日本では総合的にそれを全然行なっていないというような、どこかびっこなところがあります。それを法律で何らかの形でコンファームしていただくということが私は大事だろうと思うのであります。 最後に、国の研究のあり方というものを、基礎研究と応用研究に分けていただいて、せめて応用研究の場合には民間の声を十分に入れた研究をしてもらいたい。民間の声を全然聞かないようなことならば基礎研究にしていただきたい。直接役に立たないような、たとえば十年なり十五年なりの研究は基礎研究にしていただいて、目下われわれが急務とするところの日本の工業に直結するような研究制度については民間の意見を十分に聞いていただきたい。民間の意見を聞くということは、民間の企業というものが最近非常に進んでおりますので、そういう話を十分に聞いていただきたい、こういうふうに思います。 終わります。
○前田小委員長 以上をもちまして参考人からの意見聴取は終わりました。 この際、馬場工業技術院長が御出席になっておりますので、同様の趣旨で御説明を聴取することといたします。馬場工業技術院長。
○馬場政府委員 ただいまお三人の方から、私どもに対しましても非常に示唆に富んだお話をいただいたわけでございます。私の申し上げることも、それぞれ皆さま方の御意見にあるいは重複しているところもあるわけでございますが、しかし、私は、国立の試験研究機関というものの立場からもう一度お話を申し上げたいと思います。 国立の試験研究機関におきましては、ただいま御指摘のようないろいろな運営の問題も非常に多いのでございますが、ここではまず第一に、この国立試験研究機関の、特に理工系の試験研究機関においていかにして研究の能率を向上するかということについて、その問題点を少し申し上げたいと思っております。 およそ研究と申しますものは、いまの諸先生のお話にございましたとおりに、まず人と、それから金を含みました物、同時に時間のファクターが要るわけでございます。ところが、特に理工系の最近の進歩は非常に早うございまして、時間というものに大きな制限があると申しますか、できるだけ早くそれを仕上げなければならぬというような要望もあるわけでございます。 こういった問題を解決しますのに、たびたび言われますとおりに、まず第一に人手が問題であると考えられるわけでございます。で、国の試験研究機関におきましても、優秀な研究者を大量に採用したいわけでございますが、この点、採用のほうは困難になりつつあります。また、現在私どものところにおります研究者が民間あるいは大学その他に流出してまいるわけでございます。そういう流出をいたしましても、さらに次から次へというふうに採用が可能になれば、これも一つの国の研究機関の任務かと思うのでございますが、出るほうは出る、新しい方が入ってこないというようなことで、ますます弱体化していく傾向があらわれてくるわけでございます。 この国の研究機関に対しての研究者の採用について、いろいろな問題があるわけでございます。 まず第一に、新規採用、新しく学校を出ました新卒業生の採用でございます。これに関しまして、いわゆる公務員の試験がございますが、この職員の採用は原則といたしまして競争試験によっております。また、その試験の内容あるいは方法が、一般の行政職の人たちと同じような方法をとっておるわけでございます。民間の企業におきまして、特に技術系の中でも研究職の、研究を任務といたします職員の採用につきましては、大体人事院で現在採用しておりますような試験の方法はとっておらないのが多いわけでございます。それから、民間企業におきます求人のいろいろな活動、採用の決定の時期、これが公務員の場合よりもきわめて早く行なわれておるのが現実でございます。それから、研究を志す人々にとりまして、試験ということをやること自体に、試験を受ける立場の人たちに抵抗があるというようなことも考えられるわけでございます。現在この試験採用のほかに選考という方法がございまして、これを併用して行なっておりますが、なお検討すべき問題が多くあるように私ども考えておる次第でございます。 それから、現在の技術革新の伸展のさなかにおきまして、職場を変えて研究を行ないたいという、前に大学なり学校を出まして、それから途中から研究を志したいというような人もあるわけでございますが、こういう人たちの処遇の問題に現在いろいろな問題があるわけでございます。すなわち、民間経歴の方々が、直接大学を卒業して入った者に対しまして非常に不利な状態に現在なっておるわけでございます。こういった点、卒業後の経歴の評価というものに問題があるように考えるわけでございます。 こういう状況になっているのは、研究者の処遇について非常にいろいろな問題があることはもちろんでございます。先ほどもちょっと申しましたように、現在工業技術院の傘下の研究機関から研究者が流出するわけでございますが、その流出の順序は、まず第一が民間企業へいくのが一番多いのであります。その次が官公立大学へ流出するというような順序になっております。この点は、国立試験研究機関における給与と、それらの各機関の給与との間に相当な格差が依然として現在実際上あるわけでございます。最近、三十八年八月十日に、昨年もベースアップがあったわけでございますが、そのときの勧告の資料を見ましても、大体研究職公務員は民間の研究者との間に約二〇%くらいの格差が現在もあるということになっております。このことが一つの大きな原因ではなかろうかと考えるわけでございます。 その次に、研究者となりまして後に、いろいろなその人たちの能力をさらに一そう上げるというための研修、あるいはこれに伴います海外にこの人たちを勉強にやらせる、こういった点につきまして、まだいろいろな問題があるわけでございます。最近におきましては、民間企業の研究者が海外に派遣されて勉強するということが非常に活発に行なわれておりますが、国立試験研究機関におきましては、この点非常に劣っておるわけでございます。こういう点に関しますことも、われわれとしてはさらに一そう努力する必要があるというふうに考えております。現在科学技術振興費によりまして、長期、中期、あるいはパート・ギャランティーの留学、あるいは国連拡大援助計画によります留学、あるいは外国招聘の留学、こういった制度があるわけでございますが、さらに研究の途中の段階において短期に海外の事情を見まして、そしてさらに一そうの研究の発展を期待するということも非常に重要なことではないかと考えておるわけでございます。要するに、私どものところについております海外旅費というものがきわめて貧弱であるということを申しておるわけでございます。 それから、こういう海外派遣に関連いたしまして、海外におきまして十分な活動をするために外国語の研修その他を行なわなければいけないわけでございます。これは通常失語とかその他のことばは現在も行なっておりますが、さらにロシア語でございますとか、最近特にある種の部門においては発展をいたしております国々のことばというものも、積極的に研修を行なう必要があるというふうに私ども考えておるわけでございます。米国におきましてもそういうことが行なわれておるわけでございます。 それから、もう一つつけ加えますことは、先ほども御指摘がございましたが、いろいろな科学技術に関します会議があり、これに積極的に参加することも当然でございますが、さらに、日本において行なわれる問題につきましても考慮の必要があることは申すまでもないわけでございます。 次に、人材の交流の問題でございます。先ほどもお話しのように、最近の学問と科学技術の問題は、非常に多くの人々の知識の結集をはかる必要があるわけであります。流動研究員という制度があるわけでございますが、これは現在文部省の学振のほうにあるのと、科学技術庁の防災センターにもこのことがございます。また、われわれの工業技術院にもそういうことが行なわれておるわけでございますが、こういう点につきましては、その制度の確立と、さらに拡大をすることが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。 それから、一そう進みまして、外国人の優秀な研究者を招聘することでございます。工業技術院関係におきましては、貿易振興費によりまして一部分が実施されておるわけでございますが、研究の能率向上、さらに相互の国際交流等によりまして一そう発展をさすために、こういう点をさらに拡大する必要があろうと考えておるわけでございます。 それは外国との話でございますが、国内におきましても、学識経験者、一般の民間、あるいは大学の学識経験者あるいは研究者、こういう者を国の研究機関に対しまして嘱託する制度、こういうものが考えられるわけでございます。一つは、先ほどもお話があったのでございますが、こういうふうな応用関係の研究においては、そういう学識経験者の方々の御意見を十分に取り入れなければならぬという次第でございます。すなわち、いわゆるアドバイザーとして大いにそういう方々のお知恵を拝借することが必要であろう。それから、研究者といたしまして、先ほどお話がございましたとおりに、現在でもいろいろな各種の団体で行なわれます研究に対して参加しておりますが、そういうふうな目的を持ちました研究チームへ積極的に参加し得るような制度にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。 以上は研究者に限って申したわけでございますが、そのほか、現在のこういう応用研究におきましては、純粋の研究者と同時に、先ほど特殊技能者ということで御指摘がございましたが、それだけではなく、いわゆる技術者、特に技能者その他研究を支援いたします人々の力というものが、非常に大きな部門を占めてきておるわけでございます。この人たちがなければ研究そのものの能率が低下いたしますし、あるいは不可能になるというようなこともあるわけでございます。すなわち、研究所内におきますサービス部門の拡充、同時にそれらの人々の処遇を適当なものにするということは、非常に重要なことだと考えられるわけでございます。 次に、物の問題について簡単に申し上げたいと思います。現在国の機関におきましては、長期的に研究を行なうために、いわゆる標準予算というものがございます。すなわち、先ほどのお話の目的基礎研究を安定して進めるというために標準予算というものがございます。これには現在、多少でございますが、ABCという三クラスがございます。Aと申しますのは、大体研究員一入当たり約五十万というような数字であります。Bが三十数万、Cが十六万幾らというように、この三つに分類されておるわけでございます。これらの積算基礎を増額すること、これは非常に重要なことであると同時に、この三つの格づけというものを適正なものにいたしませんと、各専門別によってそれぞれ違っておるというところがどういうところにあるかという問題でございまして、これを適正なものにする必要があろうと考えるわけでございます。 その次は、研究設備でございます。先ほども御指摘がございましたとおり、これは日進月歩の現状におきまして、研究施設、設備というものを、特に急速にその状況に応じ得るため更新し、近代化するということが必要でございます。こういうふうな陳腐化の速度の速いものにつきまして、そういうものの減価償却のような考え方がとられておりません。このためにいろいろな問題が起こるわけでございます。こういった制度を確立いたしまして、自動的に更新の道が開けるようにいたしますと同時に、古くなりました設備の有効利用というようなこと、あるいはそれを更新するための財源に考えることができるように、いまそれほど新しいものを必要としない部門に払い下げるとか、あるいは教育実習用の設備にするとか、そういった方法が検討されることが望ましいと考えておるわけでございます。 なお、研究予算につきましては、現在の予算制度が一年ごとの単年度制でございます。このために、先ほど申しました国がやる問題として長期的な問題もあるわけでございますが、そういったものを展開していくために非常に不自由でございまして、この辺、何かの方法がとられることが望ましいのでございます。 最後に、研究体制に関連することでございます。現在の技術の問題は、先ほども御指摘のように、多くの専門分野の協力、あるいは相互でその間の境界をきめるというようなこともございます。それから、これも先ほど御指摘のとおりで、国の研究機関というものは非常に古く、かつ陳腐化したものが多くなってきているわけでございます。それから、研究条件といったようなものも、研究環境と申したほうがいいかもわかりませんが、研究環境も都市の急激な膨張その他によりまして非常に劣悪化してまいっておるわけでございます。なお、個々にそういったものを改善するというよりは、むしろこの施設、設備を一挙に近代的にしよう、そして研究環境も整えようというわけで、私どものほうでは、いわゆる研究学園都市に参加することにきめまして、着々その準備をしておるわけでございます。そういったことによりまして、いままでの問題が相当解消し得るのではないかと考えておるわけでございます。 それから第二に、現在国の試験研究機関におきましては検査、検定等の業務を行なっております。これは諮問第三号におきましても勧告されておりますとおりに、こういうふうなもので、定型的でしかも大量のものにつきましては、これを適当な機関に移して、純粋な形の研究機関にしたほうが能率があがるであろうというような御勧告を受けておるのでございます。現在電気測定法に基づきます計器類の検定に関する業務は、すでに適当な機関をつくりまして、そこに移そうという考えで事を進めております。しかし、そのほかに、たとえば計量法に基づくようなものにつきましては、これははかりでありますとか、ものさしなんかに関係するものであります。もちろんもっと複雑なものもございますが、こういうものにつきましては、地方の自治体のほうに譲ったらどうかという御勧告もあるわけです。しかし、その譲る先のほうについて、やはり財政的な措置その他をしないでそういうことをやりますとぐあいが悪いので、こういった点になお問題が残っておるわけでございます。 以上、簡単でございますが、お話を終わらせていただきます。
○前田小委員長 以上で意見聴取は終わりました。 —————————————
○前田小委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。最初に福井勇君。
○福井小委員 たいへん貴重な御意見を四人さんから聞かしてもらいまして、非常に参考になりました。私、所用がございますので、たくさんこういう有力な方々がおいでになった機会に伺いたいのはやまやまでございまするが、ごく一つ三つだけお尋ねしたいと思います。 星野さんに伺いたいのは、東洋レーヨンさんの研究所は、日本で、いや世界でも有数なりっぱな施設をおつくりになって、私たちは非常にこの点については興味を持ち、国家のためにたいへんけっこうなことだといつも思っております。 ただいま年間の予算だとか、人員だとか、その概要はどのくらいでやっておられますか、ごく簡単に教えていただきたいと思います。研究所だけのことであります。
○星野参考人 私のところの研究費は、年間約五十億程度でございます。これは今度償却が早くなりましたものですから、その償却のほうもふえまして、今期は三十億程度の予算になっております。これは半年の間であります。そうしますと年間六十億程度になります。たとえば償却費の占める割合は、新しい研究所では全体の四〇%程度でありまして、十年ほど前に建ちました研究所では二五%程度であります。全体を平均しますと、われわれのほうは古い研究所のほうが多いものですから二〇数%ということになっております。総額は先ほど申しましたように、年間昨年までは五十億、ことしは六十億程度になります。おもな増加は、人員の増加もございますが、償却費の増加であります。 それから、売り上げに対しましては、私どものところでは上期に八百億程度でありますから、約三%であります。千六百億としますと、五十億で三%ですから、六十億程度になると三%をこすと思います。繊維工業会社の売り上げに対する研究費の支出といたしましては、アメリカ等に比べますとこれは大きいのであります。大体繊維工業会社といいますものは、原糸原綿から紡績し織物にして染めるというような段階だけを繊維工業会社といいますと、アメリカなんかですと一%そこそこであります。しかし、私のところのような会社は、これは化学繊維会社でありまして、化学繊維というのは原糸原綿をつくりますのが主でありまして、それがおもな仕事でございます。それ以上の高次加工は、原糸原綿を売る先、あるいはお使いになっていらっしゃる方に技術サービスするという研究をやっておるのでありまして、そういう意味の、いわゆる化学繊維の原糸原綿をつくるという意味の工業ですと、これは化学工業に属する。総理府の統計の分類でも、化学繊維会社は化学工業会社に入っております。そういう面でありますと、たとえばアメリカのデュポン会社などの研究費は、化学工業会社で化学繊維をやっておる会社でありますと、私どもの会社の約八倍になりまして、売り上げに対する研究費のパーセンテージは約五%近い、四・何%と聞いております。でありますから、世界的競争の点からいえばまだ不十分であります。 それから、研究者の数は、研究者というのは大学を卒業した者、あるいはそれと同程度以上という者としますと、現在約五百人ほどおります。全体の人員は二千五百人ほどおりまして、一対五くらいでありますが、これは試験工場を持っております。三交代で、物をつくったり、あるいは紡績試験用に女の子をたくさん使って、新しいものを、どういうふうな糸ができるか、織物ができるかということを試験して、できたものをまた研究する、研究試験をやるというようなことをやっておりますから、そういう関係で一般の人が多いのであります。私の会社は、化学繊維だけでなしに、高分子化学、プラスチック工業に関連の仕事として、アメリカ式の化学工業、化繊工業、化繊をつくっておる化学工業のような会社に、世界的傾向もありまして変わりつつあります。こういう意味からいいまして、化学繊維だけでなしに、先ほど申しました高分子化学、合成樹脂関係のほうの研究費の割合がいまふえつつあります。しかし、これは新しいものでございまして、なかなか純粋な化学工業だけでは売り上げに対する収益率はわりあい低いので、企業の売り上げと収益率は下がる傾向にありまして、これはある程度はやむを得ないと思いますが、一生懸命やるように努力しております。
○福井小委員 先ほどの須賀さんのお話でございますが、日本では技術者が海外に研究に行くについて非常に費用も少ない。オリンピックなどで貴重な外貨を要らぬことに使うというようなことは新聞にもよく書き、あるいは私たちもそういうことを考え注意したいと思っておるところでありまするが、その中には国会などのことが活字になって、要らぬ代議士の海外旅行ということが一番よく雑誌やいろいろなところに活字に出ます。ところが、真相はなかなか伝わらないものでして、たとえば私は、これは御参考までに申し上げておくのですが、私は技術系統の者でありまして、戦後五回科学技術のことでいろいろ行っておりますが、びた一文も国会からもあるいは政府からも金をもらわずに、自費で行っております。そういう人がたくさんあるのです。ところが、活字にあらわれるのは、国会から遊びに行っておるようなふうに書かれる。現に私は戦後五回行きまして、一銭一厘も国の血税あるいは政府からも何ももらっておらない、こういう実例がある。これは力を入れて言うことではありませんが、こういう人がたくさん国会の中にあります。もちろん外務大臣が出かけるとか、科学技術庁の担当官が原子力会議にいろいろ出るということは、国の費用で行くことは当然でありますが、案外国会のほうはまじめに費用を使っております。国会のことを御指摘になったのではございません。けれども、私は、貴重な外貨を使うのに、四月からこのとおりに自由化しましたので、非常に心配しておる一人であります。おっしゃるとおりに、オリンピックの関係者はあんなによけい行かなくても、オリンピックの開催などは支障なくいけるものだということを私は日ごろ痛感していますので、やはりお歴々もそういう御心配をなさっているということを非常に喜んだわけであります。これでオリンピックなども、前奏曲としてずいぶん何年もかかってやっておりまするから、国内だけで日本独自のものを考える。いままでにたくさんな人がすでに研究済みのことでありますから、貴重な外貨はもっと科学技術のために、佐藤長官がおられる、実力者がおられるようなときに、研究者の海外渡航、特に世界の技術革新の線におくれないように、世界の進んだところを吸収するようにしたいと私どもは思っております。御協力を特にお歴々にはお願いしたいと思います。 それから、星野さんにお伺いしたいのであります。国立大学の学生が、相当の国家の費用を使って卒業させたものが、特に最近の数年間は、技術の方面の国立大学の卒業生はほとんど民間の一流の会社へ吸収されてしまって、民間企業の研究陣における格差が非常についてしまうという心配がございます。中小企業の研究者、研究窓口というものも決してないがしろにすべきものではございませんので、これらのことについて御担当のことではございませんが、武藤さんあたりにおかれましても何かいい方法はないでございましょうか。そういうことを私は日ごろ考えておりますけれども、なかなかいい案がございません。お歴々のお知恵をこういう機会にでもお漏らし願えれば非常に参考となると思いますので、御両所から一言解明していただきたいと存じます。
○武藤参考人 いまの御質問は、大学の若い技術者が大企業だけにいって、民間企業にいかない、それの打開策について意見はないか、ということであります。これは中小企業にいかないというばかりでございませんで、被害を受けておりますのは大学自身でもございます。中小企業にいかないという問題の打開策は私はむしろ不適当だと思いますので、被害者の一人として、大学研究機関でたとえば助手を採ります場合に、このごろ非常に困ります。なかなか参りません。選択に難渋しております。 いろいろ理由はございますけれども、一番根幹は結局待遇問題でございます。月給の初給がずっと違いますので、これはどう申したらいいのですか。少しざっくばらんな話をしますと、私たち戦前の研究生活を送った者から比べますと、最近の若い方々は、いい意味では生活能力が旺盛、悪い意味ではなかなか打算的です。私たち、昔いろいろ自分の身の振り方を考えますときに、そろばん一つはじいて、こっちよりこっちがいいか、研究環境はどうだというような判断をいたしますが、最近の若い人はそろばんを三つも四つも置くというようなことで大体御想像願えますように、やはり処遇問題に対する関心は非常に深うございます。ネックはそれだけだと思います。研究環境から申しましたら、目的によりましては、大学の研究機関が一番いい。特に基礎的な純粋研究では一番いい環境だと思います。にもかかわらず、なかなか引きつけられないというのは、やはり待遇の問題だろう、こういうふうに思いますので、処遇問題をひっくるめてどうぞひとつ御審議なさっていただきたいと思います。
○星野参考人 大企業に大学の卒業生がいって、中小企業にいかないという問題の打開策ということでございますが、世界的にいいますとうちの会社は中小企業に属すると思います。それで、世界的な大企業になりたいというのは、どこの会社もそうだと思いまして、ますます研究費あるいは研究者を増強しなければならぬと考えておりますので、企業の立場からいいますと、できるだけ優秀な人をたくさん採りたいし。努力するのはあたりまえでありまして、会社の人事担当者から、自分だけではなくておまえも一緒に大学の先生にお願いに行ってくれとかり出されたり、非常に努力しております。しかし、その努力のしかたがアメリカの会社なんかに比べますと足りないんじゃないかということもいわれておる次第であります。 これは大企業といっても、一つあるいは二つの業種で大きくなっている会社と、非常に多角化しましてたくさんの業種をやっていらっしゃる大会社とありますが、そんなに多角化しまして大きな会社になっているところよりも、日本としましては、一、二の業種、たとえば化学工業なら化学工業、あるいは電気工業なら電気工業というので大きくなればいいんじゃないかと思います。したがって、中小企業さんにいたしましても、電気企業の中小企業といっても、家庭電気から大きなモーターといろいろございましょうが、とにかく特徴のある会社になるようにしませんとやはり魅力がないのでして、狭いけれどもその部門では世界一流だというふうな会社になっていただく。そのためには、企業の経営からして、経営者がもっと科学マインドというか、サイエンス・マインド、リサーチ・マインドといいますか、生産会社であるならばそういうふうなことになっていただくこと自体が大学の新しい若い卒業生を引っぱる魅力になるのではないかと思います。いたずらに中小企業の方が間口だけ広げてというような成長でなしに、特殊な分野ではどこにも負けないというようになっていかないと、これからの世界的競争力には耐え得ないと思います。外国の中小企業というのは大体そういうような方向で道を歩んでおるように私は感じております。
○福井小委員 貴重な御意見をありがとうございました。まだたくさん私は伺いたいと思いますが、たいへんありがとうございました。 委員長が申し上げるような出過ぎたことを申しますが、私は一委員として申し上げます。こういうふうに人数が少ないので、さだめしお歴々がおいでになって疑問の点がおありになるかということを私は心配するのでありますが、これは速記録で全議員に漏れなくなにしまして、議員はみなその記録によって勉強しておりますし、日本じゅうにこの速記録はその機関を通じてずっといくという次第になっておりますので、それらの点については、二、三人しかおらぬじゃないかとお思いにならずに、貴重な資料として日本じゅうに行きますので、どうぞ悪しからず御了承を願いたいと思います。
○前田小委員長 次に、三木喜夫君。
○三木(喜)小委員 参考人の方から貴重な御意見を承りまして、当委員会としても考えなければならぬ点が多々あったように思います。したがいまして、いろいろな点で先生方にお伺いしたいと思うわけでございますけれども、時間もございませんので、特徴的な面についてお伺いいたしまして、先生方の御意見を承りたい、このように思います。 東洋レーヨンの常務取締役の星野孝平さんからは、科学技術振興の全般にわたっていろいろな御忠告をいただきました。東大の物性研究所の武藤先生からは、大学の研究者、技能者を大事にしなければいけないじゃないか、こういうような御意見があったように思います。東洋理化工業株式会社の須賀社長さんからは、スイス、ドイツ等に比較いたしまして日本が科学技術に力を入れるということが五、六年もおくれておるじゃないか、そういうような趣旨でいろいろ御忠告をいただいたのであります。国立工業技術院長の馬場先生からは、国立研究所のあり方というものについて御示唆を受けたのであります。 私は、文教委員と科学技術対策特別委員とを兼ねておりますので、水曜日はぐあいが悪く、文教委員会がありまして、その機会ですと、ここに出席ができない。しかし、きょうは文教委員会はございませんので、出させていただいております。私自身にしましても二つの委員会に足をかけておりますので、出たり出なかったりして、いま福井さんが言われましたように、せっかくのお越しにかかわらず人数が少ない場合がありますが、そういう理由によっておるわけであります。 そこで、文教委員会で私たちがここ両三年非常に力を入れてやってまいりましたことは、いま池田総理の所得倍増計画によるところの技術者の養成ということこれが科学技術庁の長官と文部大臣との間に、その養成されるところの人数の食い違いがありましたりいたしまして、ずいぶんこの点が論議になってまいりました。そこで文部省といたしましては、この技術革新に即応するために、第一に技術者を何としても養成しなければならないということで、大学その他養成機関をフルに活用して、そこに私立学校の問題もございますし、あるいは公立学校のいき方というようなことも問題がございました。その上に、短期大学と高校を一緒にして工業高専をつくって、その要請に応じよう。一時は学校制度というものを多少ゆがめても、インスタントにこれをやろうとした考え方があった。 そこで、私たちが非常に心配したことは、やはり長期的な見通しに立ってやらなければならない面と、当面、非常に、日進月歩するところの科学技術に即応する対策、この二つを文教でも打ち立てなければならないのじゃないか、こう思うのですが、一方に片寄ったような傾向があるわけなんです。インスタントに技術者を養成しようとすることが急である、こういうふうに考えるわけですが、この点については、先生方、どなたからでもけっこうですが、御意見がありましたら、文教政策上の意見としてお聞かせ願いたいと思います。まず、そこからお尋ねしたい。
○武藤参考人 これは私見でございますが、研究のアクチビティをあげるという点において、いまお金の問題がずいぶん出ましたけれども、やはり先行するものは人間だと思います。しかも、物ですと、とにかく何かの形で金を多分に充当すればすぐにそれが動きます。しかし、人間の養成というものは、そう短期間にできるものではございませんで、いまお話のございましたインスタントの技術者の養成ということに関しては私は非常に疑惑を感じております。やはり長期的な観点からやっていただきたい。そうしませんと、粗悪な研究者が関与します科学技術というものは、これは機械が悪いより以上に悪いと思います。その点は、私は、いま御指摘の長期的なほうに味方する意見を個人的には持っております。
○三木(喜)小委員 ほかの参考人の方、何かそれについてはございませんか。
○星野参考人 私も同意見でございます。
○三木(喜)小委員 それからもう一つ、私が思いますことは、これもいまの御意見の中に出ておりましたが、大学の付置研究所、国立の研究所、各企業で持っておられるところの研究所、この三者の中における有機的な、また相関的な、全体的な見通しに立った連絡調整、こういうものを国がつくらなければならないのではないかという考え方を持ったのです。それがうまくいっていないのがいまのような御意見になったものと私は思うのです。それを有機的に相関的に、しかも全体的な視野の上に立ってやっていくのはもちろん政治の面であろうと思いますけれども、これについて先生方の御意見があればひとつ聞かしていただきたい。
○須賀参考人 ただいまの御質問は、たとえば運輸省は運輸省の研究所、鉄道は鉄道の研究所、通産省は工業技術院を持って、試験研究並びに応用研究をやっておる、それの総合的なことをどこか考えなくちゃならぬのじゃないかという御質問のようにお伺いします。 これは全く先生の御指摘のとおりでございます。ただ、ここに問題がございますのは、あまりに調整いたしまして、たとえば工業技術院の繊維工業試験所では二つの繊維の研究所を持っておりますが、蚕糸、つまり蚕、絹の研究所、それからそのほかの総合的な繊維研究所この二つの研究所が同じテーマについて研究しているということもあります。一時私は、それは重複してむだではないかと思ったのですけれども、先ほど星野先生がおっしゃいましたように、両方でいい意味における競争をいたしまして、相当成果をあげておる。それの調整の機関というのは、どこでやるかということは行政上の問題だと思うのでございますが、やはり先ほどの民間の声を反映するとか、あるいは世界の研究の流れをどういうところでとらえるとかいう機関は、ぜひ政府機関のどちらかでつくっていただきたいと思います。
○三木(喜)小委員 もちろん科学技術庁というものを新設したということの考えの中には、そうした総合調整というような役割りを果たさそうという大きな使命があろうと思います。いま私たちもそういう行政機関の機能が完全に発揮されていないということについて非常に不満に思うわけですが、先日もそういう問題について話が出ました。科学技術庁が文部省のいわゆる研究機関というものに対しても意見が言えない、あるいはいろいろな調整がきかない、こういうことではいけないのではないかというような意見が出ておったくらいです。もちろんこれは行政の問題であり、政治の問題であって、十分考えなければならない問題でございますけれども、私の考え方では、日本のこういう研究機関というものがこま切れの形で出され、そうして試行錯誤的に出されている面がだいぶあるのではないかと思うのです。 先般の国会審議の中で出ておりましたが、半均質炉の研究にしましても、日本では予算が二億円で、八名しか研究員がいない。外国におきましては同種類のものについては二百億からの金をかけ、そうして二百名以上の人をこれに充てているというような、諸外国に比べますと非常に貧しい研究のやり方というものが出てまいって、問題になったわけです。 いまお話を聞いておりますと、こま切れだけではなくて、星野さんのお話では、会社より劣るものもある、質も悪い、そして大学でゆっくりやってもらっておっては困るのだ、こういうようなお話もあった。それからまた、工業技術院長のほうからも、国のものが陳腐になり、すでにその研究所の環境は劣悪になりつつある、こういうお話があったのです。これをもう少し具体的にお話をいただいて、改正すべきものは改正していかなかったら、そういう悪条件の中では研究は進められないと思います。悪条件はほかにもあろうと思いますが、それはまた後ほど触れたいと思いますが、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
○星野参考人 私の申し上げたのは、大学とか国立研究所の研究のあり方とか役割りという問題では、大学は純研究とか基礎研究をやるべきである、それが国家から与えられた任務である。それから国立研究所の任務は、政策に関するものとか、一業種だけではなくて数業種にわたる研究とか、あるいはリスクが多くてとても民間ではやれない研究とか、長期的な研究、そういうようなことをやるべきであるというのは基本的には賛成であります。 私がさっき口をすべらせて、申しわけなかったのですが、中には、考え方としてはいいのですが、実際面としては国立の研究所で一会社の研究所より劣るようなものがある。しかも、一業種だけというのです。そこで、たとえば繊維工業試験所なんかを言うと、これはしかられますが、何かもっと大きくするとか、もっと大々的に力を入れるとか、あるいは内容、やり方をもう少し考えるほうがいいんじゃないかと思います。 それから、大学の研究の中でも、工学部の先生がおやりになるよりは、会社でやるほうが能率があがって早くいくというようなものもある。会社で受け持つべき分野の研究を大学でおやりになって、それを学会なんかで発表したのをたまたま見ますと、パーセンテージにしたら非常に少ないのでありますが、これは質が悪くて、おそくゆっくりやっておるとしか思えないというようなものもあります。これはそう取り立ててお考えにならなくてもいい、非常に例外的な少ないものでありますので、基本的にはけっこうだと思います。
○馬場政府委員 私、先ほど陳腐化ということを申し上げましたが、これは内容とか人間が陳腐化したという意味ではございません。施設とか設備、あるいは建物その他、私どもの所管に属しております試験所は、古いのはもう七十年、あるいはそれ以上というような創立以来の歴史を持っておるわけでございます。したがって、もちろん途中におきましていろいろな変遷を経ておりますが、それでも建物なんかも相当古くなっておるものもございます。あるいは、昔のことでございますので、木造のものもございます。こういったものが老朽化しております。そういった状況を陳腐化と申したわけでございます。 それから、繊維試験所のお話がございました。繊維試験所は私どものほうに属しております試験所でございますが、繊維試験所も、もちろん従来の試験の内容から申しますと、あるいは御指摘のようなことがあるかと思いますが、最近に至りましてそのような問題のないように、内部においても検討いたしております。繊維の問題にいたしましても、繊維の製造といったようなことに関しましては、民間の方々も相当すぐれたものを持っておることは申すまでもないのであります。しかし、繊維という全般のことを考えましたときに、たとえば織物にいたしましたときにどのような織物がいいのだろうか、われわれが着まして、どういうところがいいのだろうかというような個々の共通的な問題については、まだ未開発のところがたくさんございます。新しい繊維ができ、あるいは旧来の繊維を使いまして、それを織物にいたしましたときはどういうことになるだろうか、ある目的に対してどういうふうな織り方あるいはつむぎ方をしたら、もっといいものができるだろうか、というような問題は依然として残っておるわけでございます。これは個々の繊維をおつくりになっておるところの問題ももちろんあると思いますが、こういった織物あるいは布をつくるという最終製品を設計いたしますための基礎資料、こういったものはやはり国が試験研究機関においてやるべきことだと私ども考えております。そういう点に次第に力を入れつつあるわけでございます。
○三木(喜)小委員 国立の研究所において非常に予算が少ない、これが予算をふやしていくならば、かなり所期の目的に合致したところの研究ができるということを、先ほど御意見として述べておられました。全くそのとおりで、われわれとしてもでき得る限り国立、大学、そして民間と、相関的な考えの上で、国の援助できる範囲は、すっかりそれについて予算をつけなければいけない。それなるがゆえにこうして先生方に来ていただいて、こういう基礎的な問題をいろいろ討議しておるわけです。 いま大学の関係でお話があったのですが、国立の関係でも、こういう点に非常に予算的な欠点があるというような点がおありになろうと思います。そういう点について、ひとつ国立研究所と大学の研究所についてお聞かせをいただきたい。
○武藤参考人 いま研究所の問題が出ましたけれども、先ほど説明の中にもちょっと申し上げましたように、大まかに申しますと大体それに尽きると思います。 私も一般論じゃなくて、私の物性研究所について申し上げますと、三十八年度で創設期が終わりまして、三十九年度からちょうど全部門そろい、創業期に臨時的にいただきます設備費も打ち切られまして、いわゆる活動期に入った研究所でございます。この設備費が、大体いままで臨時的にいただきましたのが十四億五千万程度だと思います。ところが、経常的に運営してまいりますのに三十八年度で約九千万、一億足らずでございます。これがいかにもアンバランスで臨時的にいただきました設備費の機械をフル運転して研究活動をいたしますのにはいかにも不足するのです。われわれは貧乏にはなれておりますから、決して過分なことは申しません。実は所内におきまして各教授、助教授から、実際フルに活動をするためにはどのくらい要るだろうか、外に発表しないから決して山をかけないで、正直な誠実な計数はどうかということを二、三カ月前にアンケートをとりましたところ、大体いまいただいておりますものの二、五倍、二億五千万円程度、これが設備費の十四億に見合う経常運転の経費であると御理解願っていいと思います。先ほど東洋レーヨンの研究所のお話を伺いますと、もちろん研究所の規模が、私どもは二十部門でございまして、その規模を比較しませんとわかりませんけれども、わずか二億五千万円程度の経常費で最大の能率をあげ得る自信をわれわれは持っております。それすらなかなかつかない。民間企業ですと、重役の方々の識見によりまして、そこで方針がきまればどかっと予算が一ぺんにつくのでありますが、私らの場合は、毎年毎年、これは文部省の方にも非常な御同情をいただきまして、協力していただきますが、文部省と大蔵省、二つの関門があるのです。それでどうか国会議員の方々におかれましても、そう過分なことは申しでいないのですから、そのことを念頭に置かれましてもうちょっとつけていただければ、非常な能率をあげてみせるという自信がございます。 これは私どもの役所は特殊かもしれませんけれども、現実に、いただきました設備費でつくったものを外国人がときどき国際会議なんかで寄って視察に参りますけれども、非常に感心しております。現に五名ばかりアメリカ、カナダから留学に来ております。私どもは多少大げさなことを申しますと、日本から外国へいろいろ学びにいくことは多々ございますが、同時に、いつまでも明治初年の気風に固執しまして、何でも外国に学ばなければならないというような時代ではない。われわれのほうでむしろ与える、そういうふうな時代に持っていかなかなければならない。それに要する費用が、たとえば私どもの研究所だけの費用でどのくらいほしいかといえば、たった二億五千万円程度なんです。それすらもなかなかいけません。そういうふうな実情であるということをどうぞ御理解願いたいと思います。
○馬場政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたのでございますが、予算関係につきましては、少ないところを多くすることはもちろんでございますけれども、一つは、いまもお話しございましたとおりに、予算というものが一年ごとになっておりまして、私どもといたしましても、その年度ごとにやはり大蔵省その他に行くわけでございます。そういった点は同じことでございます。こういったことで、特に基礎と申しますか、基礎に近い問題につきましては、また国がやらなければならぬ長期的な問題なども多いわけでございますが、こういったところには何か特別なことが考えられないだろうかというふうに私ども思うのでございます。 そのほか、先ほどもお話しございましたが、新しい施設、設備をつけます場合にはわりあいに予算がいただきやすいのでございます。ところが、これを維持していく費用というのは、これはまたなかなか私どもの力ではむずかしいという状況がございます。もちろん私どもにいたしましても、ことにこういうふうな経済状態になりましたときに、私どもの自力で新しい技術を発展さす。何も外国だけに学ぶということは考えておりません。そういうことになりますと、これも先ほど御指摘のとおりに、みずから種をまき、みずから研究を育て、そしてそれを技術という段階、あるいは産業という段階にまで持ってこなければならぬわけでございます。こういった点につきまして、研究の規模あるいはその年数、これはできるだけ急ぐわけでございますけれども、その完成までの年数といったことが問題になります。それだけではございません。たとえば大学の試験所、国立大学付置の研究所でも同じでございますが、いろいろむずかしい法律がございます。たとえば物品管理法というのもございます。これは普通の事務官庁においてはスムーズに行なわれるわけでございますが、研究所におきましては特殊な事情もございますので、その辺何か方法はないかというわけで、私ども研究をいたしておるわけでございます。
○三木(喜)小委員 いまのお話を承りますと、日本はもう外国から学ぶ時期ではない、むしろ外国に対して教えていくというような態度でなければならない、そういう時代であるというような非常な矜持と自信を持ったお話であります。なおいま国立研究所の武藤さんのお話では、みずから種をまいて、そしてみずから自主的にこれを解決をつけていく、こういう問題に対しても対処していこうという非常に雄々しいお気持ちに接したわけです。それだけに、政治の面で十分このお気持ちにこたえるような方策をとらなければならないということはもちろんでございます。 しかしながら、いまお話を聞いておりますと、日本学術振興会、これは民間の関係のように承っております。しかし、公の関係につきましては、科学技術会議、それから学術会議、そうして政治的に発言権を持つところの一つの有力な団体としては国立大学協会、これらがいままで学制の問題につきましても、あるいは大きな命題である科学技術の振興、科学教育の充実、こういう問題についてもかなり発言権を持っておった。私たちは責任回避的に申し上げるのではないのですけれども、いまの政治の分野の中では、かなり声をあげた者が勝ちだ、ときには圧力団体が相当な予算を獲得していくという時代では、正しい意見というものをこれらの会議の上に乗せて、そして先生方からものろしをあげてもらわなかったら、半均質炉の研究に他国の何百分の一、こういうような貧弱な予算で偉大な研究をやろう、大きな研究目標に向かって挑戦しよう、こういうようなことがやり切れないと思います。大きな国は一つの命題を持っているということが先生方のお話からも出ておりました。自由化、いわゆる開放体制、そして日本の産業をおこしていく、科学技術の進歩、こういう一連の考え方の中に、また科学者の養成という問題もあります。それらをひっくるめて考える以上、いま言いましたようなコースをたどって、そうして先生方からもそういう運動、というと悪いですけれども、非常に矜持を持っておられて、そういうばかげたことができるか、こうお思いになるかもしれませんけれども、それをやってもらうこともいいんじゃないか。それは本務以外のことで申しわけないのですけれども、そういういまの政治情勢ですから、そういう点もひとつお願いしたい、こういうように思うのです。 それからもう一つ、科学者、また技術者が海外に流出する、特に国内的に見ますと、民間の大企業へ流出していく、こういうお話がありました。昨年、国立の金属材料技術研究所ですか、これを見せてもらいましたときに、私はそこの所長から承って非常に感銘を受けた。民間の研究所から続々と金属材料技術研究所へ来たいという者が多い。給料は下がる。しかしながら、みっちりと研究ができ、そしてその研究所へ来たということの一つの喜びを持っておるという者が多いので、ここは相当数の博士もおられるのだという話をしておられた。最近に聞いておる悲観的ないろいろなお話の中で、非常に心あたたまるようなお話を聞いた。これはやはり研究所自体の経営のあり方、あるいはまた人間関係、こういうものも非常に影響するのではないかと思うのです。そういうことも一方にあります。第一にはそれらの人の待遇問題を考えなければなりません。これは二の次だということを言っておるわけではありません。しかし、第二の要素としては、その研究所のあり方というものも問題があるのじゃないか。そこにやはり近代的な研究のあり方、経営のあり方、こういう点も問題になってくるのではないしと思うのですが、そういう点についてお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○須賀参考人 日本学術振興会についていろいろあたたかいことばをいただきまして、委員の一人としてたいへんありがとうございました。お礼申し上げます。日本学術振興会はたしか文部省の御関係だと思いますが、先生大いに御関係がございますので、よろしくお願いいたします。 その中で、先ほど申し上げました三十一部門に分かれておりますが、基礎研究並びに応用研究においては相当なレベルのものもやっております。現に科学技術庁のただいまお話しになった金属材料技術研究所の人たちも、この部門の中の電気防蝕という部門に入りまして相当研究をしておるということでございます。また、染色部門においても、ISOと申しまして、各国が非常に力を入れております。自由化というオープン・タイプの中で、何を基準にして各国がレベルアップをしていくか。レベルの標準化と申しますと、各国が規格をつくりまして、その規格の上でやはり戦うわけであります。そういうものにつきましても、学振がもう十何年もかかりまして一つの規格をつくって、さらにISOにそれを答申する。答申するところの所管は通産省でございますけれども、実質上は日本学術振興会がやっております。渡航費から何から全部民間でやっておりますので、そういう形ではなしに、私たちも大いに運動するように事務局に激励いたしますけれども、諸先生方の今後の御後援をいただきたいと思います。
○馬場政府委員 まず第一に、技術者の流出の問題でございます。私どものほうの分野におきましては、もちろん民間からの希望者もあるわけでございます。ただ、この場合に、受け入れにつきまして問題があることは先ほどお話し申し上げたとおりでございます。民間のほうのベースが非常に高いものですから、卒業後の経験年数その他の換算につきましてもいまの規則はちょっと問題がございまして、極端な処遇上の、要するに俸給の低下が出てまいりますので、この辺が非常にネックになっております。そのことは先ほど申し上げたとおりでございます。 それから、私どもの試験研究機関におきまして、海外への直接の流出というのはほとんどここ数年にわたってございません。ただ、民間企業に移って、それからさらに海外、向こうにかわったというような人もあることは聞いておりますが、直接に流出することはございません。 それからもう一つは、これはいろんな問題から起こることかと思いますが、初任給その他につきましては最近非常に処遇が改善されてきておりますが、実際の状態を見ますと、ちょうど卒業いたしましてから約十年くらいのところで、非常に一般に対する給料の格差が生じております。これは単に民間だけではございませんで、大学の教官の方に対しても格差が非常に大きくなっております。これは単なる給与体系だけの問題ではなくて、いわゆる級別定数というものがございまして、いわゆる官庁的なシステムの級別定数がございます。それに対しても研究者に対する特別なものを考えませんと、大学の教官の方々に対しても非常な格差がある。ましてや民間のほうとは非常に大きな格差がある。ちょうど十年と申しましたら、研究者としましては一番働きやすい、あぶらの乗り切ったところでございます。その辺のところで、実際上非常に格差が生じております。したがって、流出が一番多いのが民間の研究機関、民間企業に一番多うございます。その次に官公立の大学の教官になる、教授その他になる人も相当ございます。そういたしますと、人的なところだけ申しますと、ちょうど入りまして十年くらいの育ったところで更新されていくというような状況で、上のほうの方はあまり動きがないというような形が出てきておるわけでございます。 それから、研究の問題ではございませんが、工業標準化は私どもの所管しておるところでございます。ISOの問題につきましても、いろいろ私どもも努力をいたしておりますが、努力の足りないところがございまして、いま御指摘のような問題が生じておるわけでございます。たとえばISOのいろいろな部門の会議がございますが、それに対しても、国がそういう海外会議に出席させるための旅費その他に非常に不足を来たして、御迷惑をかけておるということは事実でございます。この点もいろいろ努力して、そういう点を直したいというふうに考えておる次第でございます。 ただ、ISOというのは世界的な規格に関する標準化の機構でございますので、普通の自由圏諸国においては、大体政府でない民間の団体がこれに加盟しております。ただ、日本におきましては工業技術院の付属機関でございますものがこれに加盟しておるわけでございます。そういうことから申しますと、この仕事から申しますと、日本におきましては、日本工業標準調査会というのが国際標準化機構に加盟しておるわけでございます。この日本工業標準調査会というのが工業技術院の付属機関でございます。したがって、政府の付属機関がこれに加盟しておるとすれば、当然それの諸般の仕事はそれがやるべきだ、私どもはできるだけのことをしなければならないのでございます。その点まだ満足なところまでいっておりません。非常に遺憾なことでございます。どうかこの辺の御了解をお願いいたしまして、御援助をいただければ非常にしあわせだと思っております。
○三木(喜)小委員 もう一点だけお伺いしておきたいと思います。 科学技術者の待遇をよくせいということは、これは技術革新ということの教育の大きな命題が出てまいったときから、ずっと言い続けられておったことなんです。この機会は二回あったと思うのです。第一回は、池田正之輔科学技術庁長官が就任されてから、相当この論議がなされました。そして中学校、高等学校の工業関係の先生にはそれ相当の処遇をし、理科関係には初任給調整というようなかっこうで待遇が若干改善されたきざしを見せたんです。第二回は、あの大学総長の認証官の問題が起こったときに、荒木文部大臣が、これは大学の先生方の給与を上げる吸い上げポンプになるのだ、認証官というものをつくって七大学の総長の待遇をうんと上げることによって——うんと上がってないのです、一般ですけれども、そういうことを唱えて、——上げるその吸い上げポンプだということを言っておったわけです。ところが、現在ではあの認証官の考え方というものが多分に大学支配の意図があるというようなことから、国会でつぶれまして、それ以後大学においても、大臣がそういう約束をしたことについて全般的な突き上げといいますか、意思の結集というものがなされていないように思う。 やはり科学技術あるいは技術者を大事にする、技術者を海外に流出しないという一番基本は、先ほどから参考人のほうからもお話が出ておるように、待遇をよくしなければいけない。これとても、いま申しますように、二回機会がありましたけれども、みな、なまはんかなままに終わってしまった。これでは、いつもそういうかけ声ばかり上がって実を結ばない。 そこで、先ほど申しましたような機関があるのですから、学術会議とか、こういう機関を通して先生方のほうからもそういう声を上げてもらい、国会にもその提起をして、両者相寄ってこういう問題の解決をつけて、一つ一つ下から解決をつけていかなければならぬ。話をしっぱなし、論議をしっぱなしでは済まされないと思う。その点もひとつお願いしたいと思うのです。そういう論議をまき起こすようにしていただいて、相ともに待遇の改善に進んでいかなければならないのではないか、その点私のほうからもよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
○前田小委員長 次に、岡良一君。
○岡小委員 武藤先生に特にお伺いいたしたいと思うのです。きょうこうして御多用な皆さんに御出席願いましたのも、実は私ども国会といたしましても、科学技術の振興をどうすればいいかということで非常に苦悩をいたしておる。それで大方の御意見を聞かしてもらいたいという趣旨なのです。御存じのように、日本のように専任大臣として科学技術庁の長官を持っておるという国はあまりほかにはないはずですし、科学技術会議というようなものも形だけはできておるし、衆参両院に科学技術振興対策特別委員会なんというものがある国は、私は寡聞にして知らないのです。国会なり政府なりが一応形の上では非常に熱心に取り組んでいるようであるが、さて、ふたをあけてみるとなかなかそうはいかぬ。事実上の実績はそこまで達しておらないというところに私どもの苦悩があるわけです。 そこで、私どもは前々から、与野党でひとつこの際科学技術基本法というふうなものでもつくってみたらいいのではないか。これはたとえば予算面につきますれば、日本の国防計画のようにやはり振興計画を立てて、そうして五年なり六年なりのころばし予算できちっと予算の確保ができるような体制を、やはり計画の裏づけとしての予算の確保というようなことがこの際科学技術振興の一つの大きな前提ではなかろうかと、率直なところ考えておるわけであります。 そういう場合、実はこの基礎研究は特に大学の研究とも関連性というものがあるので、私どもにとってはやはりいろいろ皆さんの御意見を聞かしてもらわなければいかぬ。私どもも、かつては大学の研究生時代もございました。いま母校につとめておる研究生諸君の実態を聞きますと、実験動物一匹も自費で買う、試薬も自費で買う、必要な文献も自費で買っている。三、四十年前には伝票一枚でみな私どものところにきてくれたわけですから、そういう意味では研究環境は非常に豊かであったわけですが、いまはみんな非常に苦労しておる。そこで、講座研究費等を調べてみますと、東大の理学部あたりの施設なんかを見ましても、戦前のもの、戦後のもの、あるいは三十年度以降に購入したものなんかについてみると非常に陳腐で、一講座の人員はどうだといえば、教授、助教授、講師、助手というようなことで非常に人員が押えられている。講座研究費はもちろん押えられた上、いろいろな名目でこの講座研究費の運営においても問題がある。これでは基礎研究というものが日本では育たぬのではないかという懸念を強く持っておるわけであります。これを育てなければならない。 同時にしかし、これは私どもの考え方とすれば、しばしば学界の方々が、学問の自由とかあるいは大学の自治ということを言われる。これにわれわれは何も干渉する必要はない。むしろ自由に選ばれた研究テーマが失敗したことが私は一つの進歩だ、基礎研究はそういう考え方で取り扱っていいものだと思います。しかしまあ、近代科学の発展というものが、だんだんと研究分野が細分化されていって、そうして境界分野がまた出てきていろいろな形で細分化されておる。しかし、近代科学というものを振興させようとするならば、やはり基礎研究と、そうして開発研究なり工業化、あるいは応用化研究というものが、一つの一貫性を持った生きた人間として有機的に動く関節で結ばれるということが政策面において必要ではないか。 そういう意味で、私どもが科学技術基本法というようなことをかりに今後具体的に進めるとすれば、この基礎研究も含めた科学技術振興というものでなければ、基礎研究を省いた科学技術というものは私はあり得ないのではないか、また基礎研究と開発研究の有機的な結合というところに近代科学の一つの大きな軌道があるのではないか、こう考えておるわけです。こういう行き方について、先生はどういうふうにお考えになっておられましょうか。
○武藤参考人 一面的にはいまおっしゃったとおりだと思います。ただ、研究の実態をあまり大づかみになさり過ぎているのではないかという印象もします。と申しますのは、基礎的研究ということばを申しますけれども、いまお話が出ましたように、理学の基礎的研究、また工学での基礎的研究、同じことばをずいぶん使うのでございます。それで、お話のあった開発研究、応用研究、基礎研究、これを一貫性を持たせて、という基礎研究のほかに、そういう目的意識的でない全く研究者の自主的研究に待つような基礎研究があるということを御理解願いたいと思うのでございます。個々の研究者がどういう態度をとっているかはもう千差万別でございますけれども、一般的に申しますと、大学の基礎研究というものはこの後者に属するものでございます。それが全然役に立たないかと申しますと、これは目的意識的に意識してやってはおりませんけれども、その基礎的研究の成果が時間的に早かれおそかれ何かの役に立っておるのが、少なくとも過去の歴史なんでございます。 ですから、ある開発的研究をするときに、それを目的にちゃんととって基礎的研究をやるという、そういう態度ももちろん必要だと思います。そのほかに、全く研究者の自主性にまかせたものが、必ずはね返って、いつか何かの形で応用研究にいくという、そういう性質を持った基礎研究があるということをひとつ御理解願いたいと思うのでございます。また、大学はそれをやる使命を持っておるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。よく新聞なんかで拝見しまして、いまお話が出ましたように開発研究、応用研究、基礎研究、だから基礎研究を全部一貫性を持たせろというような御意見がございますけれども、そういう意味の基礎研究もございますけれども、基礎研究のもう一つの種類のものがあるということをぜひひとつ御理解願いたいと思うのでございます。
○岡小委員 いや、実際問題として、私の母校、金沢大学ですが、いまガンの研究をやっております。そうすると、基礎のほうでは細胞内の核酸の研究をやっておるのです。これは何も治療する目的意識で結ばれておらない。非常に優秀な成果をあげております。そうかと思えば、病理の数室ではビールスの研究をやっている、エレクトロニクスのいろいろな技術や施設を駆使して漸次その効果が高められておる。これは何も治療ということには関係なしにやっている。ところが、やはり内科なりの方面でガンの治療という方面における一つの前進を築いておるわけですね。だから、私は何も目的意識的な研究をしろというのではない。 しかし、問題は、目的意識的な研究でなくても、その成果がもし一つのものにきちっと結びつき得るものならば、いち早くその成果を技術に結びつけていくという体制を日本が整えなければ、おれは目的意識はないのだから、かってにやるのだという考え方でなしに、その関連性というものを何かここで間接に訴える必要があるのではないか。これがもし私どもが科学技術基本法というものに取り組んだ場合の一番のテーマの一つになるわけなんですね。そういう点についてのお考えを承りたいわけです。
○武藤参考人 その点に関しては何の異存はございません。目的意識的にやります場合に、開発研究の目的が先行しまして、基礎研究をある程度オブリゲーション化するというような、そういうふうな一貫性を持つ基礎的研究と、それから自由にやっている基礎研究があるということと、それからいまお話しの自由にやっている基礎研究も、開発研究なり応用研究なりにもしその成果が応用できるものならば、即刻に応用できるような何かリエゾンのコネクションをつくれ、考えたいという御意見でございますが、その点に関しましては何の異存もございません。ただ、自由にやっている基礎的研究の主体性を失わせないようにしていただきたいというだけでございまして、その御趣旨は全く賛成でございます。
○岡小委員 私、先年ゲッチンゲンに参りまして、マックスブランクのプロフェッサーたちと会っていろいろそういう問題について話をしたのです。そのときの話では、原子力の研究をひとつまとめてやってくれないかという話が当時の科学大臣からあった。しかし西ドイツも核兵器云々というようなルーマーもある時代にわれわれがそれに取り組むというのは、大体研究所長オットー・ハーン博士はああいう考え方を持っておるのだからというので断わった。いまのところ興味がない。ところが、宇宙開発についてどうだという話があった。これは非常におもしろいから、大いにわれわれはマックスプランクのプロフェッサーとして興味がありますから研究しています、というように非常にチアフルに割り切っているんですよ。日本ではどうもチアフルネスというんですかね、何か先に立ってくるものに一つのセクショナリズム的な考え方と申しますか、タコつぼに入っているようなものの考え方から窓口が抜け出られないでおるような傾向がある。そういうこと自体が日本の科学技術振興自体の一つの大きな隘路じゃないかと思っておるわけなんです。 それはそうとしまして、星野さんと須賀さん、それから工業技術院の院長さんに一言ずつお願いをしたいのです。 日本の特にこの技術開発という面でおもしろい数字があるわけです。一つの数字は、ことしはたぶん全部の研究投資が、民間、政府を含めて七、八百億かと思いますが、その中で民間の研究投資のほうが政府の出資の倍額に近いという状態です。そこで、各国の実情はどうかと思って調べてみますと、逆なんですね。民間のほうが半なら、政府のほうがその倍額出している。ここにもやはりわれわれなり政府なりの怠慢があると思うのでございます。 このような状態というものをなぜ引き起こしておるのかということで、たとえば一つの数字を見ますると、技術の導入という問題に触れてこざるを得えないわけです。大体、昭和二十五年に外資法が制定されてから昨年度ぐらいまでには、二千百億くらい技術援助のその対価が支払われておる。ところが、日本が与えた技術の対価として受け取ったものが、まあ正確にはいま調査中だそうでございますが、おそらく二十億に満たないと私は思っておるんです。そういたしますと、二千億の二十億ですから、一%。これも外国の諸統計等を見ると、大体ドイツにしても、フランスにしても、イタリアにいたしましても、外国の技術導入の支払い対価というものは、やはり受け取っておる部分が三〇%、二五%。いわばけたはずれに日本は外来技術の導入に依存しておるという状態です。このことはやはり日本が自主的に科学技術振興政策に取り組まなかった惰性が一つの大きな原因だと私は思う。 そういう点で、この間、外務委員会で大蔵大臣も、幾ら開放体制ということになっても技術導入は厳選主義で臨むということを言明しておられる。このことは、私もまあ大蔵関係の委員もいたしておりますので、あらゆる機会に私は常に叫んでおったことでございますが、さて厳選主義で臨むとは一体具体的にどうすればいいかということなんです。具体的に厳選主義とは、一体どういう体制で厳選ができるかという問題でございます。これはやはり東洋レーヨンの具体的に研究をマネージしておられる方として、こういうふうな方法があるじゃないかというふうな妙案でもあったら、こういう機会に率直な御意見を、それから須賀さんもあわせてひとつ妙案があったら教えていただきたい。
○星野参考人 外国技術導入と国産技術の輸出との関連につきましては、御承知のように戦争直後等は非常におくれていましたから、いまのような事態になったのはむしろ当然で、やむを得ないことと私、考えております。 それで、どのくらい技術輸出したら人並みになるだろうかというようなパーセンテージにつきましては、これはまあ人々によってみな御意見が違うだろうと思いますが、私は私の体験からしましては、たとえば一流の文明国、要するに科学技術の発達した文明国が十あるとしたならば、日本はその平均値であれば一応いいのじゃないかと思います。進んだ国といえども、何から何まで一つの国で重要な技術を全部開発するということは、これは考えられないことでありましてそれぞれの国によって民族人種が違い、食べるものが違い、宗教が違い、哲学が違うというふうに違って、それぞれもう特異性を持っております。ソ連なんか、その点で非常にアメリカなんかから注目されておりますし、日本なんかも注目されております。これはまあ重要な技術、要するにどこの国でも外国がほしがるような技術を開発するとしましたら、文明国、一流の国が十あれば、日本は十分の一あればいいのじゃないか。それはほかの国がみなほしがりますから、それぞれの国に輸出してやれば必ず交換技術で入ってきます。 このごろは、技術導入を金で買えるというような時代ではだんだんなくなってきまして、金では売らない。どうしても合弁会社にして半分向こうが持つとかいうようなケースが多くなってくると同時に、もうそういうことにも応じないで、これはもう自分のところの大事な技術として保有しているから絶対に合弁会社の話し合いにも応じない、ただ優秀な交換技術があればそれと交換するということを言ってくる会社の例が多くなってきております。でありますから、世界的に十の技術が、どこの国でもほしがるような技術があったとして、世界十カ国の一流国がそれぞれ一つずつ、平均値だけ国のやつを開発したとすれば、それ一つでもってほかの九つがみな入ってくるような勘定になりますから、一応文明国の数の、日本はまあとりあえずは平均値に達したらいいのじゃないかと思います。それからアメリカのように技術輸出のほうが多くなるというような国に仕上げていけばいいのじゃないかと思います。 それから、技術導入の厳選主義というものにつきましては、これは非常にけっこうなことでありますけれども実際は、現在私ども会社におります者から見まして感じますことは、政府が厳選してくださるというのは、これは非常に甘い考えであります。ある重要な技術を導入する際に、政府が先にきめてくれたところに一社とか二社とか、あるいはそれ以上ふやさないということになると、とにかく早く何でも技術導入契約をやって、それを早く政府に申請すれば政府が選んでくれます。選ぶというか、きめてくれますから、要するにかけ込み申請をやります。統制が始まる前に、たとえば工業設備の増設まかりならぬというような法律が出るだろうというようなときは、法律ができない前にみんなかけ込み増設をやります。それと同じように、技術導入を厳選主義にするとか何とかいうことになりますと、これはもう政府が選んでくれる、数少ないんだから早く出しておかなければいかぬというので、企業の自己責任においてやるのでなしに、国家に保証してもらって早く座席を確保するというようなことになるような傾向が従来は見られたと思います。これからさらに厳選主義になるとすると、またそういう傾向がなおひどくなることが憂慮、心配されます。むしろ企業の自己責任において、それがいかに高い技術導入料であっても導入して企業がこなしていって、初めの間は苦労しても仕上げていけるんだというふうなことにしておきますと、そうあわてて技術導入の申請件数がふえるというようなこともないのじゃないかと思います。 それから、先ほども申し上げたのですけれども、これからは完成された技術というのは、目ぼしいものがそう簡単に輸入できないようになってきておりますから、未完成技術、あるいは技術の種に相当するようなものを導入する。先進国でそういう技術導入の制約がありませんから、そういうものになるべく早く目をつけて導入しまして、それを自己責任において仕上げるというふうにしていただくほうがいいと思います。現在でもアメリカあるいはドイツあたりから、あやふやな情報として新聞に出たのでも信用しまして、日本の会社に技術導入——向こうでいえば導入になろうかと思いますが、そういうふうな話に来ているのがたくさんございます。そういうわけで、いまは世界の各国はどこの会社でもそういうふうな新しい技術の種というものを一生懸命探しておりますから、あやふやな情報でも売れますから、ましてやパイロット・プラントの規模になってある程度技術ができていることだったら、外国に売りやすいような状況になってきています。でありますから、これからは技術の輸出のパーセンテージはふえてくると思います。それでいま、技術輸出でありしかも技術導入のもの、技術交換のものが非常にふえてきていると思います。私どものほうにもそういう話がございます。 それから、国と民間との間の全体の研究費の負担の割合は、日本はお話のとおりで、外国と比べて政府の出し方が少ないのでありますが、会社側の立場からいいますと、それは外国のそういう表を見てみますと、大体業者によって違っております。航空機とか電気工業のようなもの、あるいは宇宙開発のようなもの、そういうようなものにつきましては政府から、あるいは軍も含めてでありますけれども、委託研究費をたくさん出しまして、会社はほとんど自分の金を使わないで研究開発してきております。繊維とか化学工業になりますと、政村のそういうような委託研究の割合は非常に少なくて、ほとんどないといっていいくらいの割合になっていますから、これは業種によって非常に違うと思います。ぜひ力を入れて開発しなければならないという、国の政策によっておやりになっていただいたらいいかと思います。
○須賀参考人 技術提携という問題は、私たちの計測部門においても相当な数になります。 その国の産業技術レベルがどのくらいであるかということを測定する方法に二つの方法があると思います。一つはその国でつくった測定器を見ればよろしい。それからもう一つは、その国の規格を見ればいい。日本でいえばJIS、そういう規格の内容を見ればその国のレベルがわかると思います。 測定器は日進月歩でありまして、相当な早さで進んでおります。私たちの会社でも、たとえば光に関する学問上の問題について国立研究所から学ぶものが残念ながらございません。どういたしますかと申しますと、たとえばアメリカのNBSに私たちの内容を知らせまして、そこから技術を教えてもらう。また、こちらから自分の会社でいろいろ研究した資料でありますとか、あるいは科学技術庁の研究所にありますところの金属に関する、光に関する相当高いレポートだとか、そういう資料を向こうに送ってやりまして、さらにそれに対する自分たちの意見も加えて、そうして向こうの意見はどうであるかという方法で、私たちは一つの新しいルールのようなものをつくりまして、技術上のギブ・アンド・テークということである程度の成功をおさめております。それには、残念ながら調査機関というものが公のものではないものですから、会社で非常に精密な調査機関というものをつくりまして、そうして会社のレベルアップをするということをしているわけであります。 各会社の技術導入のことを、先ほども星野先生おっしゃいましたが、私、モンテカチーニに、例のミラノに行きましたときに、数社相争って技術導入をしている。私ちょうど行ったのですけれども、モンテカチーニの人自身が、日本は、はたしてモンテカチーニの技術を、化学構造方式をよく知っておるかどうかわからぬのに技術提携を申し込んでおる、ということを言っておりました。そういうことであってはいけないのであって、技術導入をする以上は一〇〇%それを吸収して導入しなければいけない。あるいは相願わくば、技術提携をしないで外国のレベルにまで方法によってはレベルアップできるのではないか、そういうことを考えるわけであります。 外国では技術の成長に予算を非常に多くとっているという先生のお話でありますがたとえばデュポンで色の研究をしようということはあまりしない。たとえばNBSに参りまして色のことを勉強いたしますと、それで世界的なレベルのものが得られるというのが公立の究究所にあるのです。ところが、日本ではそういうところがないのです。ですから、私たちはそういう勉強をしようと思いますと、ワシントンの郊外にあるところのNBSに人を出したり、また向こうから来てもらってお話を聞いたり、データを向こうに上げたり、そうして技術導入の新しい方法を考えているわけであります。
○岡小委員 星野さんの御意見もさることながら、私どもの考えるのは、実はこうして技術革新の時代になってくると、国際的な経済競争というものは、製品の競争じゃなく技術の競争だと思うのです。私どもしろうとでございますから、しろうとの立場から見まして、東洋レーヨンさんがお扱いになっておられる原糸にいたしましても、戦争中はステープルファイバー、そのうちにナイロンになり、ビニロンになり、やがてはポリプロピレンというふうに、全く異質的な繊維がぐんぐん出てきているという状態です。私はこれは大きな技術革新の成果だと思う。こういうような成果を、たとえて言えばモンテカチーニという畑に吹いたバラの花を、ポリプロピレンをもらってきても、花は日本のお座敷でなるほどきれいに吹くかもしれませんが、日本に来て実って落ちる培養土というものがないわけです。そうすると、そこにやはり技術の進歩というものに一つの大きな隘路がある。今日までの日本の技術導入を私は否定するわけじゃないのですが、功罪という点からいうと、科学技術の進歩という立場からいって、いささか問題がある。国際協力という立場ならいいですよ。協力という立場ならいいけれども、ただ導入を急ぐ。いまおっしゃったようにモンテカチーニ参りをやる。しかも、技術導入で得たものは、御存じのようにロイアルティーはもちろんついている、輸出市場の制限がある、なんというような条件がついてきますから、開放体制だ開放体制だ、国際体制の中に行こうじゃないかといったって、そういう制限の中でなかなか行けるものじゃない。 だから、そういう意味でもやはり日本の基礎研究を育てる、並びにその成果の上に立って国産の技術開発研究を育てていくという国のがっちりした科学技術の骨格ができ上がらなくてはならないと私は思っている。 ただ問題は、厳選主義というが、何を一体厳選するのか、どういう組織、どういう形でやるのか。いまおっしゃったように、ナショナル・ビューロー・オブ・スタンダード、そういうところの援助を借りなくとも、日本が自主的に、厳選といっては非常に語弊があるし誤解が伴いやすいのですが、やはり国産技術を育てるという観点、日本における基礎研究をもあわせて育てるという観点から、ただ任意な、恣意に放漫な技術導入ということについては相当考えるべきだと思う。しかし、これはこれからも非常に大きな問題だと思いますので、私どもも研究したいと思うのです。 最後に、工業技術院の院長さんに伺います。 問題は、こうして東洋レーヨンあるいは東洋工業、東洋高圧、東芝その他、いろいろ私ども承知をいたしておりますが、それぞれりっぱな研究所をつくられ、また研究投資もしておる。これは私どもは非常に歓迎はしているわけです。ところが、これのできない中小企業というものがあるのです。ここでは技術格差というものが生産や所得の大きな格差になっているという現実なんです。そこで、この格差をどうして解消すればいいか。単に、金詰まりだから金を貸してやるとか、そういう一時しのぎの対策では日本の中小企業の問題は私は解決しないと思う。そこにやはり日本の技術政策というものの一つの大きな焦点があるのではないかと思うのです。そういうことで、たしか三年ほど前でございましたか、共同研究組合の免税措置、租税の特別措置について、私ども大蔵委員会で可決をしているはずでございます。その後の経過といいますか、日本における共同研究組合というものは幾つほどあって、どういう業種のもので、一体どの程度の予算規模というか、資金規模のものがあるか、この機会に承っておきたいと思います。
○馬場政府委員 現在九組合ございます。読み上げますと、高分子原料技術研究組合、高級アルコール工業技術研究組合、技術研究組合天池研究所、クリープ試験技術研究組合、光学工業技術研究組合、羊毛製品溶剤染色技術研究組合、優先精錬技術研究組合、電子計算機技術研究組合、それから浪速鋳物技術研究組合、そういったようなものでございます。 資金的な規模を申し上げますと、高分子原料が二億三千百万円、高級アルコール工業が三億四千七百万円、天池研究所が六千八百万円、クリープ試験が一億九千二百万円、光学工業が六千五百万円、羊毛製品溶剤染色が九百万円、優先精錬が五百万円、電子計算機が二億四百万円、それから浪速鋳物が四百九十万円、こういった程度でございます。
○岡小委員 それに対する国の援助は、租税関係以外にどういうことになっておりますか。
○馬場政府委員 研究組合に対しましては補助金を優先的に出しております。
○岡小委員 これはこの機会にお願いをしておきたいのです。工業技術院が共同研究組合の指導といいますか、育成に御努力になっておられるということを聞いております。この研究共同組合、これは皆さんも御存じだと思いますが、英国やフランスあたりでは相当しっかりした研究共同の体制で成果をあげているように聞いております。日本もやはりそういう体制が今後非常に必要なのではないかと思いますので、今後とも工業技術院関係等においては、中小企業の研究共同という体制をもっと援助し、さらに推進するというふうな方向に御努力願いたいと思います。
○前田小委員長 以上で参考人に対する質疑は終わりました。 参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、どうもありがとうございました。小委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる五月七日木曜日、午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後一時六分散会