科学技術振興対策特別委員会 第18号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/07/31
会議録
○前田委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 去る六月二十三日より二十六日までアメリカ合衆国ワシントンにおいて開催されました第四回科学協力に関する日米委員会に、日本側委員として出席いたしました原子力委員兼重寛九郎君より、会議の経過について説明をお願いをいたします。 なお続いて、五月二十日より六月十六日までアメリカ合衆国における原子力に関する状況を調査してまいりました原子力委員武田榮一君より、視察されました調査の概要について説明を聴取いたしたいと思います。 まず最初に、兼重原子力委員。
○兼重説明員 ただいま委員長から御命令でございますので、私がアメリカへ参りましたときの報告を簡単に申し上げたいと存じます。 科学協力に関する日米委員会のワシントンにおける会合は、今度が第四回の会合でございます。これはただいま委員長が申されましたように、去る六月二十三日から二十六日までの四日間ワシントンの国務省の会議室で行なわれました。 日本側からは、赤堀大阪大学長、和達防災センター所長の二人を除きまして、残りの茅、木原、黒川、丹羽、住木、朝永、それに私の七人の学識経験者委員と、関係官庁から中川在ワシントン大使館の特命全権公使、文部省の岡野審議官、科学技術庁の札振興局長、それだけの者が日本側の委員として出席いたしました。アメリカ側では、昨年までの七人の委員のうち三人今度やめられまして、古くからの委員は、アメリカ側の委員長と申しますか、議長と申しますか、のケリー博士、それからブロンク、ハスキンス、レープという四人の前からの委員に加えまして、今度はシカゴ大学の生物化学部長のスタンレー・ベネット博士、この人は日本の鳥取で生まれられまして十四のころまでそこで育ったという、日本語も非常に達者な人でございます。それから皆さま御存じのサイエンティフィック・アメリカンのパブリシャー、それから会社のオーナーと思いますがジェラルド・ピール、 ハーバード大学の教授で物理のノーベル賞を受けられましたパーセル教授、それから昨年の秋まで大統領の科学に関する特別顧問及び大統領府の科学技術局の局長と申しましょうか、ジェローム・ウィズナー博士、この人はいまはマサチューセッツ大学の工学科学部長というような職を占めておられます。これがアメリカ側の委員でございまして、全員出席されました。 会議は終始なごやかで、また非常に活発に意見を交換いたしたのでありますが、おもな議題といたしましては、これまでの間にこの委員会で勧告をいたしまして、それを政府がどのように取り上げ、どのように活動してきたかということの報告を聞きました。コミュニケにも申しましたが、委員会はそういう報告を聞いて、自分たちの勧告をしてきたことが非常によく実行に移されて、自分たちも、両国の科学協力、ひいてはこれが世界の学術の振興のために相当の寄与をしたという自信を持つことができまして、それを喜んだ次第であります。 あと新しく協力研究をするのに適当な分野として、医学の中でドラッグ・アディクションと言っておりますもの、日本では薬物乱用というふうに訳しましたが、これを勧告をしたのでございます。この薬物乱用あるいは耽溺というような事柄は、日本及びアメリカ両国でだんだん重大となってきつつある問題でございます。また日本と米国における薬物乱用の形態には非常に共通な点がある。しかも、世界の他の国でもこういう問題はもちろんあるのでございますけれども、そのほかの国におけるものとは違ったところがある。日米両国がこういう問題に対する医学的あるいは学術的な研究を共同でやるということは非常に意味があり有効であろうということから、これを日米の科学協力の研究問題として取り上げることにいたしたのでございます。 そのほかは、これまで取り上げておりました太平洋地域の動植物地理学及び生態学というような問題がありまして、これは現在盛んに両者の共同研究が行なわれておるのでありますけれども、その専門分科会の名称を生物化学というふうに改めることにいたしました。これは二年前にワシントンでやりました第二回の会議のときに、ガンの研究という専門分科会の名称を医学というふうに改めたことがございまして、その名前で幾らか範囲が広まったのでありますけれども、この変更は、最初にあげました名称があまり限界をきびしくしておるので、この専門分科会の関心をもう少し広い範囲までわたらすことができるように、そして協力研究としてはよく検討をした上で計画的にだんだん適当なものがあれば広げていくということを認めたものでございます。 今度の会議は、こういうことをやりましたほかに、委員の間の懇談会とでも申しましょうか、二日目の夕方、先方の議長が双方の委員及びついてきた者たちを晩さんに招きまして、それが終わったあと八時から十時まで、ワシントンのカーネギー研究所の会議室を使いまして、夜二時間余りも懇談いたしました。それから翌朝は、八時に国務省の八階にあります部屋に同じ顔ぶれが集まりまして、朝食をともにしたあと、十時まで同じようなことをいたしました。これは特に議題を掲げるわけでもなく、また特別に記録をとるわけでもございませんが、別段中身を秘密にしておくほどのことではございません。 そこで話し合われましたおもなことは、今後この日米科学協力の委員会で新しい協力の分野を見つけるのにはどういうふうにして見つけていくのがいいか、いままでは委員の中のしかるべき人からこういう問題はどうであろうという提案がありますと、これを次の委員会まで一年間かかりましていろいろ検討をして取り上げることとしてきたのでありますけれども、もう少し広い範囲から提案を受けることも必要であろうと考えられますので、そのような問題を議論をいたしました。 それからもう一つは、国際協力ということにつきまして、いまこの日米科学協力は二国間の協力の問題をやっておるわけでありますが、こういう二国間の協力事業、あるいは協力研究と、さらにそれの加わったたくさんの国の国際協力との関係をどういうふうに考えたらいいか、たとえばインド洋の海洋調査というようなものを、ユネスコ及びイクシュ(ICSU)といっております国際団体で世話をいたしまして、いま日本も含めた多数の国が参加して観測を続けておりますが、そういうのと二国間の協力とどういうふうに結び合わせるかというような問題について議論をいたしました。この点もアメリカ側の考え方は非常に弾力的であるのに対して、日本側はどちらか、二国間が適当なら二国間でやるのがいいし、多国間が適当ならまずそちらを優先的に考えるほうがいいではないかというような意見も出たりいたしました。これもこの委員会としてはどちらの方向でやるという結論を出す必要もないことでございますので、そういう議論を十分に隔意なくいたしまして、また次第に両方の考えが煮詰まってくれば、何か報告にまとめるというようなことがあるかもしれませんけれども、第一回の試みとしてはそういうことをするつもりはもちろんなかったわけでございます。 そういうことで四日間の会議を終わり、両国の外務大臣、国務長官に出す報告をきめ、同時に、新聞発表をいたしますいろいろコミュニケをきめて会議を終わりました。東京に帰りまして、七月の八日か九日だったと思いますけれども、私、当時の大平外務大臣にお目にかかりまして報告を提出いたしました。これから、その勧告など実際実行に移されていくことを私どもは希望しておるわけでございます。 私、アメリカに参りましたのは六月の初めで、帰りましたのが六月の末でございますが、その前半には、私の次に武田原子力委員が報告をされますが、舶用の原子炉について調査をいたしました。二人でいたしました期間は六月二日から同十一日までの十日間でございます。その間のごく概略を私が申し上げまして、あと技術的な問題などは武田委員のほうから説明をしてもらうつもりでおります。 訪問をいたしました先はマリタイム・アドミニストレーション、船舶局とでも申しましょうか、アメリカの商務省の一部局でございます。それからアメリカの原子力委員会。これはシーボルグ委員長が昼食会を催してくれまして、シーボルグ委員長のほかに二人の原子力委員、その他委員会の幹部相当の数の出席を見た昼食会でございました。その日の午後、原子炉開発部の幹部を中心にいたしました人たちと会議を持ちました。それからバブコック・アンド・ウイルコックス、これはサバンナの原子炉を開発した会社でございまして、いまそれの改良型とでも申すべきCNSGと呼ばれております舶用炉を提案しております。それから、ニューヨークのジョージ・G・シャープという会社、及びそこにありますユナイテッド・ニュークリア会社、それからゼネラル・エレクトリック会社のシンシナティ工場とアイダホの試験場内におけるGEの施設とを見ました。そのほかに、ニューヨーク滞在中、土曜日の夕方、ちょうどそこの八十四番埠頭に停泊中で、そのあと二日後の月曜日にニューヨークを出てヨーロッパに行くというサバンナ号を視察いたしました。 この特別委員会でこの春問題になりました、GEが、将来の舶用原子炉として非常に有望であるのみならず、もういまでも実用にするように注文を受ける用意があるように言っているという話も聞きました六三〇Aという原子炉のことについては、GEのシンシナティ工場、アイダホの試験場におきましてはもちろんのこと、そのほか、競争会社であるバブコック・アンド・ウイルコックスを除きましたほかのところでは、それについていろいろな話を聞いてみたわけであります。その中身につきましては、あとで武田原子力委員から報告してもらうことにいたしますが、私が聞きました範囲では、この炉は将来非常に有望であるということについては私もそう認めるのにやぶさかでございませんけれども、現在は陸上用の原型炉をつくって、これを六六年の夏ごろまでに完成をして、その後二年間試験をするという計画が進んでおり、私ども参りましたときには、これに対するアメリカの原子力委員会からの援助金の支出はまだ国会の合同委員会で保留されておりましたが、帰って参りました直後あたりに、とりあえず今年分の支出がきめられたということを聞いておるわけでございます。GEはそれを非常に喜んで、そのことまであとから追加の報告をよこしたりしたのでございます。その陸上原型炉をつくって試験をするという目的は、たとえばあとでつけ加えたボイラーの特性も含めまして、運転特性を十分に調べるとか、あるいは格納方法、それの遮蔽効果、あるいは燃料の寿命なども、これまでの航空機用として使っておりましたときの実績を船用として条件を緩和して使った場合に、ここまでは伸びるであろうという推算などでありますものを実際にためしてみるとか、あるいは非常に予期しない事柄で出力が一時的にも急にふえたような場合にどのような燃料溶融ということが起こるかというような問題について試験をするということでございます。これはGE社の提供してくれた情報でございますけれども、シアトル市のアメリカン・メイルラインという会社は、GEの六三〇A炉がその陸上原型炉によって実証されました暁には太平汗航路に配船する四隻の高速原子力貨物船の建造について関心を持っているということを明らかにしたそうでございます。これはアメリカの一船舶会社の見解ではございましょうし、またこれも新聞報道のようなものでございますけれども、六三〇A炉が将来陸上原型炉で実証されたならば経済的にも非常に有望なものであるということを証明すると同時に、またこの陸上原型炉による実証ということはやはり必要だということを示す一つの例であろうかと思ったわけでございます。 そのほか、こういうようなものを日本で国産技術を利用してどの程度やれるかというようなことなども、現在では私どもにはあまり見通しがつかない状況でございます。従来からの関係を考えましても、いずれは日本のどういうところかと技術提携なども考えられて、相当部分が日本で生産できるようなことになろうかとは思うのでありますけれども、現在それが具体化しておるわけではないようでありますので、その点どういうふうになるかということを見通すことはできません。 その上、同炉に使っております燃料は、お聞き及びのようにフリーエンリッチドウラニウム、私の聞いておりますところでは九〇%より高い濃縮度の濃縮ウランでございます。現在日米間の協定では八キログラムまででありましたかの、たしか動力用の炉でない燃料に九〇%の濃縮ウランの供給が得られるようになっております。もちろんこういう六三OAのようなものを海外に供給するような事態が商業的に起こりますころには、AECといたしましてもそれに対する燃料の供給を保証し得るような状態にならなければならぬわけでございますから、これはいずれば解決されることであろうとは思います。AECもそういう問題の検討をこれから始めることにしたということでございますので、いずれはできることかと思いますが、現在それが協定を改定すればいいんだというところまではまだ行っておりません。 それから再処理の問題は、GE側の説明によりますと、この炉に使いますニクロムとニッケルの合金はステンレススチールよりも鉄が含まれていないだけ化学的には処理がやさしいので、それを実験室的にはやったことがあるということでございますので、技術的な困難さはステンレススチールに比べてより高いとは考えないでいいのかと思いますが、現在まだそういうものの再処理についても解決すべき問題が残っております。 特にGEがこの六三〇A型炉の経済性のすぐれておるということを言っております理由の中には、標準型にして工場でどんどん量産的なつくり方をすれば価格が非常に安くなる。そうして燃料の交換のときにも、燃料の入れかえをするのではなくて、炉全体をそっくり古いものを取り出して新しいものを入れて、またその次のときに前のと入れかえる。そういうふうなことをするために、いままでの舶用炉であれば、燃料の交換に数十日、数週間かかると思われるのに、これは数日でできるというようなことが非常な特徴になっております。そういうふうになるのには、かなりの数がそこへ出ていくということが必要でありますし、あるいはそれをアメリカのどこかでやるということになりますと、そこへいって交換をするというようなことを前提にしないと、一つのものをどこかで特別に処理するというようなことになれば、これは非常に経済的には大きな負担になるべき性質のことかと想像されます。 そういうような点などから考えまして、この炉を日本がいま計画しております原子力第一船に使うということは適当とは考えません。将来における舶用炉としての六三〇A炉など新型炉を考えることはできるにいたしましても、この原子力第一船の開発の基本的な考え方からしまして、この際従来の方針を変更する必要はないのではないかというのが私の結論でございます。 そのほかCNSGという先ほど申しましたバブコック・アンド・ウイルコックス社の設計いたしました炉がございますが、これも御存じだと思いますが、西ドイツの原子力船にはこれをいま第一番の候補として検討を進めておるようでございますが、アメリカの関係者の説によれば、特別な新しいものではなく、サバンナの経験を生かし、あるいはこれまで非常にたくさん使われた加圧水型の炉そのもので、あとは普通の熱交換器などにいままでほかのところでは使われておるものを使ったものであるから、特に新しいものではないという説をなす人もございますけれども、これはいままでの基本方針でも考慮はしょうとすればできるものであったわけであります。したがって、原子力船事業団では、そういうことも十分調査されたことと思いますので、その点について私ども十日間の視察の結果、それをどういうふうにしたらいいかというふうな結論を出すことも適当ではありませんし、その必要はないものと考えておる次第であります。
○前田委員長 次に、武田原子力委員。
○武田説明員 この四月に原子力委員に任命されました武田であります。いままでまだごあいさつの機会を得てない方があると思いますので、この機会にお見知りおきを願いたいと思います。 ただいま兼重委員から大体のことをかなり詳しくお話しになりましたので、私は別の観点から少し見てまいりましたところを追補したいと思います。 われわれがアメリカの舶用炉を視察に参ります前に、原子力船のための原子炉としては、どういうことが重要かということを考えました。その場合に、小型でコンパクトであるということが一つの要件であろうと思います。それから平常運転時における信頼度が高いということも重要である。それから非常時、非常事故が起こった場合の安全性ということについてやはり十分考慮が払われていることが必要である。その上に経済性がよろしいということも必要である。こういう四つの観点を考えました。 この四つのうちで、小型でコンパクトであるという点について、現在考えられておりますPWR型の系統によりますたとえばCNSGとか、その他いまのものをモディフィケーションしたものがあります。それとガス冷却を使った六三〇Aという型がございます。この二つについて比較してみますと、小型という点では六三〇Aがよろしいだろうということは、あらかじめ大体のことが想像できるわけでございます。それであと三つの信頼度、平常運転時における信頼性であるとか、非常時における安全性という観点、それから経済性に関しておもに調べてまいりました。 初めに、この平常運転時の信頼度に関しまして、ただいま兼軍委員からも触れられましたように、CNSG3の系統のものは加圧水、PWRのプルーブン・テクノロジーを応用しているものでございまして、またこの型式のものはアメリカの原子力潜水艦にすでに数十隻つくられております。それから、サバンナ号という民間の商船に建造の経験がございます。そういうようなことに照らして何ら問題はないというのがアメリカのすべての人の御意見でございました。ですから、今後CNSG3の系統のものに関して特別なRアンドDの必要は認めない、そういう状況でございます。 一方、六三〇Aに関しましていろいろ見てまいりましたことから考えてみますと、六三〇Aというのは、あとでも安全性のところで申し上げますように、インフェレント・セーフティー、つまり何か反応度が上昇したときに、それをひとりでにとめるというような、そういう働きが弱い、あるかないか、まだはっきりしない。インフェレント・セーフティーがないかもしれない。そういうことがありますので、制御系で安全性を保っていかなければいけない。そういう問題がありますので、制御系のセーフティーということに関しては相当GEも注意を払っております。いろいろのテストも行なっております。それで、その制御棒としてはこの系統では特にたくさん用いておりまして、三万馬力のデザインの場合には六十九本の制御棒を使っております。そういうものをうまく制御するというようなことに一つの問題があるのではないかということが想像されます。 それから、次は燃料要素であります。燃料要素は、アメリカでこの六三〇Aのもとになりました航空機刑のANPというプログラムがありまして、それは十数億ドルというたくさんの金を使ったあとでその計画がストップになって、そして民間の商船用の舶用のものに切りかえられたわけでございますが、その燃料要素に関しては、六三〇AとANPの場合とで燃料要素の形が違っております。六三〇Aに関してはまだ経験が非常に薄いということでございます。その六三〇Aの燃料要素に関しては、まだ長期間にわたってどれだけ使いこなせるかということは実証しなければいけない未確認の問題であるということでございます。 それから、その燃料要素に関連しまして、これはよくはっきりしたことはわかりませんが、ウランのオキサイドをニクロムにインベッドしてつくられておりますが、UO2が高温で長期燃焼しますと、U3O8という酸化物の形になりまして膨張する、そういうようなことに関連するのかと思いますが、フィッション・プロダクトのガスが漏れるという問題がまだ確認されなければいけない問題の一つになっております。 それから、実際に炉を信頼できるように運転するというためには、熱除却の実験というものはどのリアクターについても相当重要なものでございますが、この熱除却に関しては、結局六三〇Aに関しては私たちの知った範囲ではやっておらない。それで結局はANPのプログラムの中のヒーター実験というのはいままで一、二、三とやっておりまして、それに関するデータはございます。しかし、燃料要素が変わっておりますので、事情もだいぶ変わってきているのではないかと考えるわけでございます。 それから、平常運転時の信頼度に関する一つの問題としましては、船を運転する場合にはフルパワーで運転する、あるいは八〇%で運転している状況から、急にたとえば後退する、アスターンするという必要も出てくるわけでございます。そういう場合に、六三〇Aではワンスルーボイラーというボイラーを使いますので、そのキャパシティーの問題と制御の問題とがどういうふうにマッチするかという点について、まだ十分な経験が得られてないというふうに感ぜられました。 そういうようなわけで、平常運転時の信頼度に関しましては、六三〇Aについてはまだ相当実験して確かめなければいけない問題があるという感じでございます。 次に、非常時の場合の安全性について申し上げますと、CNSGに関しては、PWRの経験などから知られますように、負の温度、負の恒常係数というものによって固有の安全性、インフェレント・セーフティーというものが確立されておるわけであります。それに対しまして六三〇Aの場合には、炉心のインフェレント・セーフティーがまだ確立されていない。それから先ほど兼重委員の引用されましたように、暴走が起こった場合に、炉心がメルトダウンするということをどうやって防ぐかとか、あるいは冷却系のパイプがこわれたときに、どういうふうにして炉心がメルトダウンしないように保つか、そういうような点についてアメリカでは現在実証する必要があるというふうに見られておりまして、これは先ほども話がありました今後のプログラムで試験される予定になっております。そういうようなことで、非常時の場合の安全性ということに関しまして、やはり六三〇Aはまだ十分でない。もう少し確認してからでないと安全に使えるという段階まできていないということであります。 次に、経済性の問題でございます。六三〇AとCNSGに関しましては、アメリカで二、三のところで経済的な比較が行なわれておりまして、その常識によりますと、三十ノット前後、高速の船の場合に原子力船の経済性が成り立つということがいわれております。特に今回いろいろ聞きましたところでは、CNSGは大体四万馬力という軸馬力以上の大型船では経済性が引き合う。それから六三〇Aの場合は、五千馬力から七万五千馬力というかなり広い範囲にわたって経済的な優位性が認められる、そういうふうなことがいわれております。そういうことから知られますように、六三〇Aは比較的小型船に、CNSGのほうはかなり大型船にその経済性が成り立つ可能性が強いということでございます。 そういう経済性について多少パワーコストといいますか、このエスティメーションについていろいろ調べてまいりましたが、六三〇Aの場合の燃料費に関しましては、九三%以上というふうなハイエンリッチのウラニュウムを使いますが、そのバーンアップの費用としては、軸馬力時間当たり一・七ミルくらい、燃料の加工費その他を加えまして大体軸馬力時間当たり三・三ミルという燃料コストの推定でございます。 一方、資本費に関しましては、セカンド・シップの製造に関しましては、大体その原子炉の目方一ポンド当たり四ドル、いままでのいろいろな機械を製作した経験から三・六ミル、四ドル、十三億円という数字をはじいております。GEの話では、四十台目からは目方ポンド当たり四ドルというのが三ドルに下がるだろうというふうなことでございまして、その場合には二・五ミル、四ドルぐらいになるだろうという話であります。そういうようなことから、八〇%のロード・ファクターとして一四%の年利率というようなものを考えますと、大体軸馬力時間当たり二・四ミルあたりの資本費がかかる。そういうようなことを勘案しまして一もちろんそれらの数字は今後改良の余地がございますが、現在のパワーコストとしては、大体軸馬力時間当たり六ないし八ミルぐらいの数字が期待できるのではないかと私としては想像いたします。こういう値は経済的にも非常にりっぱな値だと思っております。ただし、そういう数字を計算しますのには、燃料が一万五千時間使用に耐えるというような仮定がございまして、そういうものはまだ実験されておりません。つまり非常に小さい試料を材料試験炉に入れて、それからあとエキストラポレートして一万五千時間使えるという計算になっておりますので、そういうものは実際にもっと確かめていかなければならないものだと思います。ただし、今後の改良によっては、いま私が申しました数字よりも相当改良する余地がある。 そういうようなことで、経済性に関しましては、CNSGと六三〇Aと比べた場合に、見方としては大体とんとんであるとか、あるいは先々においては六三〇Aのほうが若干安くなるのではないかという見通しがあるようでございます。 その次に、今後の改良の見通しについて考えてみますと、秦SGというのはPWRの改良のほぼ極限に近づいたものと考えられまして、今後、非常に大幅には改良する余地はないのではないか。少しの改良というものはあると思いますが、大体サチュレーションに近づいた状態になっております。それに対しまして、六三〇Aの場合は、GEなどは現在空気冷却でありますが、それを水蒸気冷却に切りかえてそういう試験をしようとしております。そういうことによって出力を二倍に上げる可能性がある。 それから二番目としては、燃料の外側のスチールのシリンダーがありますが、それをジルカロイにかえて中性子経済を改良する。そして結局は燃焼度を上げる。——上げるといいますか、フュエルのコンサンプションを減らすというようなことを考えておるようであります。 もう一つの問題は、先ほども触れましたように、UO2はU3O8になってボリュームの膨張を来たすおそれがありますので、むしろプルトニウムのオキサイドをニクロムでインベッドして使う。そうするともっと安定な化合物になるとGEは考えております。それとともに、値段もそのほうが安くなるという見通しであります。ただ、こういう改良を行なうのには大体十年ぐらいのいろいろの開発が必要である。それで、GEなどは結局十年ぐらい開発してそういう方向に持っていくということを考え、そういう場合のエスティメーションをやっているようであります。 そういう全体のいろいろなことを考え合わせまして、結論としましては、先ほど兼重委員からお話もありましたが、私も同じようなことを別なことばで表現いたしますと、六三〇Aというのは結局いますぐ使える段階にはまだきていないと考えられます。それから二番目に、そういう使える段階に入るまでに、先ほど話がありましたように、これからプロトタイプをつくる計画を始めていく。ことしはまだプロトタイプをつくるのではなく、その前段の研究開発である。プロトタイプをつくるのに二カ年かかりまして、それでいろいろの実験をする。その実験としては、最初は安全性のためのテストであるとか、燃料のコアがメルトダウンする条件を調べる実験であるとか、第二段階としては長期にわたるバーンアップを確立する実験であるとか、そういったようなことが予定されておりますので、結局また二年あるいはそれ以上おそらくかかるだろう。そうしますと、結局五年ぐらいの日数は六三〇Aシステムが安全に運転できることを確認するために要るのではないか。そういうことを考えますと、五年くらいたったあとでもCNSG系の水冷却炉のほうがおそらく経済的には安いのではないか、という見通しがアメリカでもございます。それで、結局はそれ以後さらに五年ぐらいたって、幾つかの六三〇A型式のものがつくられた暁において、おそらくいまから十年ぐらいたった後にそういった経済性の優位性が出てまいるのではないかというふうに想像されるわけであります。ともかく将来におきましては、CNSGが二百七十度前後の温度、三十気圧というふうなスチームに対しまして、六三〇Aは五百十度、六十気圧という過熱蒸気が得られます。そういう点で、その後の六三〇Aの利点を徐々に上げていく可能性がある、そういうふうに考えます。 以上が、大体私の海外舶用炉に関しまして調べてまいりました結論でございます。 ————◇—————
○前田委員長 この際、新たに科学技術庁長官に御就任されました愛知国務大臣より、科学技術行政に関する所信を承りたいと存じます。愛知国務大臣。
○愛知国務大臣 今回はからずも科学技術庁長官の重任をにのうことになりました。本委員会の皆様方に格別のお力添えをいただきたい、一言ごあいさつを申し上げたいと思いまして参りましたような次第でございます。何はともあれ、何ぶんともよろしくお願い申し上げます。(拍手) 所信と申し上げますほどのものではございませんが、一言私の考え方を申し述べましてごあいさつにかえさせていただきたいと存じます。 技術革新時代といわれます今日、はからずも科学技術庁長官というような重大な職責をにのうことになりまして、私といたしましてはその責任の重大さを心から痛感いたしておるような次第でございます。幸いに本委員会におかれましては、その発足以来終始科学技術行政全般について非常に御熱心な御審議をいただいておりまして、わが国における科学技術の振興のために御努力をいただいておりますことをかねがね拝聴し、まことにありがたく存じておる次第でございますが、今後ともなお一層の御指導をお願いする次第でございます。 ことに、承りますと、前国会におきましては、本委員会のもとに特に科学技術基本問題小委員会並びに原子力政策小委員会を設置せられまして、それぞれ御熱心な御審議の上、適切な御報告がなされましたことは、佐藤前長官からも詳しく承った次第でございます。すなわち、科学技術基本問題小委員会においては、最近における科学技術行政の重要課題である科学技術華本法及び長期計画の策定、行政機構の整備、予算の一括計上、研究従事者の処遇の改善、技術導入及び国産技術の育成などの諸点につきまして、また原子力政策小委員会におかれましては、最近における原子力政策上の重要課題でありまする原子力委員会の指導力と企画力の強化、原研における開発研究及び基礎研究の充実、原研における研究管理体制及び労務管理の体制の整備、燃料政策の計画化、原子力発電の安全性と経済性の確保、原子力船開発の基本方針、あるいはまた弾力的な会計法規の運用等の諸点について、それぞれ貴重な御報告がなされ、政府といたしましても、作藤前長官からもこうした御報告に対しましては、これを十分に尊重し、前向きで処理する旨の所信が述べられておる次第でございます。私といたしましても、両小委員会の御報告に対しましては、前長官同様に、今後とも御趣旨を体しまして、直ちに実行できるものは実行に移し、あるいは慎重な検討を要するものは逐次具体的検討を進めまして、その実現につとめる所存でございます。 最後に、開放経済体制下における科学技術振興の重要性にかんがみまして、本委員会の皆さま方の一そうの御指導、御鞭撻を繰り返しお願いをいたしまして、まことに簡単でございますが、就任のごあいさつにかえさせていただきたいと存じます。(拍手)
○前田委員長 次に、菊池科学技術政務次官より発言の申し出がありますので、これを許します。菊池科学技術政務次官。
○菊池説明員 はからずも科学技術政務次官の重責をになうことになりました。一人で二回政務次官に就任するということは、後輩の同志のためにも遠慮せんければならぬと考えておりましたが、科学技術と聞かされまして、私は喜んで就任いたす気になったのでございます。もとより科学技術は時代の先端を行く職場でございますし、青年の意欲もこれに向けられているというふうな傾向が濃厚でございます。これは選挙のときにも効果的だということを勘案いたしまして、喜んで引き受けた次第でございます。といって、私は全然科学知識の持ち合わせがございません。でありますから、皆さんのお知恵を拝借いたしまして、そうして曲がりなりにも一応の科学技術に対するアウトラインの知識だけでも身につけたいと考えておる次第でございます。 この際、特に皆さんにお願い申し上げたいことは、長官が非常に御多忙でございまして、政策の遂行のために一意専心努力せんければなりませんので、委員の方々の御質問は、長官がおられないときでも、この職員の方々をフルに活用していただきたい。事務次官はもちろんのこと、局長といえども、あるいは課長、次長といえども、その見識において、その卓越せる創意において、またそのうんちくせる知識において、大臣、総理にまさるとも劣らざる人がないとは言えないのでありますから、どうかフルに活用していただきたいと思うのでございます。肩書きを尊重するとか形式を重んずるなんということは、これはもう封建の遺風であって、笑うべきことであろうと私は考えております。 わが科学技術庁は、御承知のごとく日本第一流の科学者、技術者をもって固められております。やろうと思えば何でもできないことはございません。ただ金がないからやらないだけのことなのでございます。こういう干天のときには人工的に雨を降らすこともできるのでありまするが、労力の関係、経費の関係、いろいろそろばんにかけて考えてみますると、どうも引き合わぬというのでもってこれを見合わせておるにすぎない。降らせろとおっしゃるなら、いつでも降らせてお目にかけます。(笑声) なお、宇宙開発の部門におきましては、ロケットの打ち上げも計画いたしておりますが、金さえあれば宇宙衛星船でもできまするし、また月ロケットみたいなものをつくり上げて、そうして皆さんを月の世界へ御案内申し上げまして、夕涼みさせるくらいの考えは持っておりますが、ただ金がないためにそれができないわけでありますから、どうぞこのそうそうたるわが科学技術の陣営に満腔の信頼を寄せられまして、倍旧の御声援と御鞭撻を賜わらんことをお願い申し上げまして政務次官就任のごあいさつにかえたいと思います。(拍手) —————————————
○前田委員長 次に、先ほどの両原子力委員の説明に対しまして質疑の通告がありますので、これを許します。福井勇君。
○福井委員 時間が正午に迫っておりまするので、残念でございまするが、せっかく貴重な御出張をなさってくださった御報告でございますので、簡単にお尋ねしたいと存じます。 まず原子力船について本格的な最近の貴重な調査をされましたことについては、両委員に心から敬意を表します。いま拝聴いたしました兼重委員の御報告を一口に申しますと、結論のほうでは、CNSG3、六三〇Aについて、兼重委員はCNSG3のほうは詳しくは申されませんでしたが、六三〇Aはまだ早いという結論を結ばれたようでございます。同じ委員でありますが、大体方向は同じだという前提でありますが、武田委員はもうちょっとふえんされて、CNSG3はマキシマムに達しておるということばを使っておられる。六三〇Aは七年から十年——七年という数字がちょっと違っておるかもしれませんが、十年後はよさそうだという。若干ニュアンスが違っておるようであります。この点について、マキシマムということばは、ちょっと政治家の私たちといたしましてもどうかという気がいたします。全く例は違いますが、百メートル走るのに十一秒あるいは十秒がマキシマムであろうなどということをいままで言っておった。それがだんだん年がたってきてみますると、マキシマムということばはなかなか使いにくかったという前例があるように、私はこのCNSG3がマキシマムだというふうに考えておりません。 そこで、六三〇Aのことについてでございます。お尋ねはこれからであります。日本の原子力船の実際着手について、ここ半年ばかり前から本委員会でも、既定の方針は方針として進めるのではあるけれども、なお六三〇Aその他のものについてもう少し検討を加えるというような注釈がつきまして、受ける印象ではいままでの方針が若干スローテンポになったような気がいたしております。私は委員の一人として、新しいものが出てきたからすぐ飛びつくということをせずに、たとえば例は違いますが、コールダーホールの採用に対して今日批評する人は、ヒントンのコールダーホールに飛びついてしまってこれは間違っておったと言う人がたまにございます。当時の原子力委員会の採用のしかたは違っておった、コールダーホールのごときはやるべきではなかったと言う人も活字の上に相当あらわれておりますが、私はそうは思っておりません。 そこで、日本の造船技術を将来輸出の対象、まあリアクターだけの問題でありまするけれども、リアクターはよそから持ってくるのでございますが、造船技術をフルに日本の経済界に貢献するために一刻も早くこの第一船はつくらなくちゃならぬという考えを持っております。そして原子力研究機関は、ちょうど国会の選挙制度委員会のように、何年たっても研究ばかりしておる。引例は若干へたでありますが、そういうことではなくて、まず早く第一船をつくる。CNSG3のごときは武田委員はマキシマムに達しているという例にとられるのだから、もう安全にきまっておる。だから、早くつくらなくちゃならぬ。一刻も早くピッチをあげなくちゃならぬと私は思っておりまするが、兼重委員はいかにお考えになりますかということが第一点であります。
○兼重説明員 ただいまのお尋ねのところで、ちょっと私の説明のいたし方がまずかったのかもしれませんが、あるいは私の気持ちを少し間違ってとっておられるかと思います。 結論的に申しますと、第一船開発については、いま福井先生がおっしゃったようにすべきであろうかと私も考えておりますものですから、六三〇Aがまだ早いとか、もういいとか、そういうことを申したのではございませんで、第一船の開発に関する基本的な考え方から見て、それでこれをとられることなどの検討のためにしばらくテンポを延ばすのは適当でない。と申しますのは、これは実は原子炉の型式につきまして、私ども原子力委員会に報告をした後に、原子力委員会としても一応の考えをまとめたものがございますが、これは私一人の考え方ではなくて、委員会の他のすべての委員がこういう考えでありますので、これを読ませていただきたいと思います。 それは、ただいまもお述べになりましたように、原子力第一船の開発ということはどういう考え方から出てきたかと申しますと、前に原子力委員会が作成をいたしました原子力開発利用長期計画で、原子力船というものはおそくとも昭和五十年ごろまでにはその経済性が外来船に匹敵し得ることを期待して、同計画のいわゆる前期の十年間、これは昭和四十五年ごろまででございますが、その間において後期の発展に備え、原子力船建造技術の確立、運航技術の習熟、技術者及び乗り組み員の養成訓練などに資するために原子力船一隻を建造して運航せしめる、ということをいったのであります。 原子力委員会はこの線に沿いまして、昨昭和三十八年七月に決定をいたしました原子力第一船開発基本計画におきまして、「原子力第一船の設計と建造は、搭載する原子炉も含めて可能なかぎり国内技術によって行なう」こと、その「安全性の確保については慎重に検討し万全を期するものとする。」こと。また「搭載する原子炉は軽水冷却型とする」というようなことを定めたわけでございます。 ところが、先ほど申しましたような報告、これは要約をいたしますと、現在新型舶用炉として注目を引いておりますアメリカのGE社のガス冷却型六三〇A炉というのは、将来すぐれた舶用炉になる可能性を有しておるものと認めておりますが、なお安全性の検討及び運転経験の蓄積をはかるため、現在同炉の陸上原型炉の建設が計画されている段階にあります。またその製作に関してわが国の国内技術を活用する程度につきましては、現在なお見通しが得られない。三番目に、同炉の使用燃料は濃縮度九〇%をこえる高濃縮ウランでありますが、その入手及び使用済み燃料の再処理について現在明確な方針を立てることが困難である。でありますので、将来における舶用炉として六三〇Aなどの新型炉を買いましても、原子力第一船の基本的な考え方から見まして、この際従来の方針を変更する必要はないというふうに原子力委員会も考えておるわけでございます。 いま原子力船開発事業団でテンポが少しのろくなったのではないかという御観測に対しまして、私はそういうふうなことが起こらないように、この調査をできるだけ早く終了することにいたしますと同時に、事業団のほうには、このことによってあまりこれまでの計画がのろくなるというようなことのないように仕事を進めていってほしいと言っております。いまこういうふうなことになりますと、結局、それでそのまま進めばいいということに考えておるわけでございます。
○福井委員 私が若干退席しておったときがございましたので、兼重委員の御丁重な御説明はよくわかりましたので、私の不安はこれで解消できるものと存じます。 私が去る五月から六月にかけて、OHCDの会議のついでに英国の原子力船に関する見解を調査のために、いろいろ英国のしかるべき委員会や関係者に尋ね、あるいは日本の原子力委員のほうに着いておりましたところのパドモア委員会の報告書等の内容についてつぶさに調査して、一緒に参りました三木委員とともに、私たちといたしましては遺憾のない調査をいたしてまいりました。二、三時間申し上げたいのでありますが、いま時間がないから二、三分で要約して申しますると、その点では英国の調査も六三〇Aはまだ早いというようなふうにも出ておりまするが、非常に見込みがあるということについては私たちも非常な期待を持っております。そういう見解でございますので、何とぞ原子力委員の方におかれましては、ついでに希望しておきまするが、原子力船のみならず、一般的に受ける印象は、日本の原子力の平和利用開発、まあ大きいものでは原子力発電所などのテンポが、これは原子力委員会の責任では全然ございませんが非常に当初よりも落ちてきておるということをつかまえて、世間では事を好む反対の人たちが、原子力はもはやスローダウンということを、いかにも鬼の首をとったような表現で、スローダウンということばをわざわざ使わぬでもいいのに使うという傾向が、この半年くらい前に、まあ流行ということばは使いたくありませんが、そういう気配がございました。現在においては、科学技術庁や原子力委員会等の熱心な推進によってそういうことがだんだん消えてきましたことは、世界の情勢がそうでないということがはっきり証明され、そうして御努力の結果だと思います。それらの面につきましても、どうか原子力委員会におきましては、遠慮会釈なくひとつテンポを早めるように、当委員会の一員としましても全力をあげて私は御協力申し上げたいと思いますから、世間のそれらの批判に惑わされないように促進方を特にお願い申し上げておきたいと思います。 武田委員からの答弁は別に必要でございませんから、以上をもって私のお尋ねを終わります。
○前田委員長 岡良一君。
○岡委員 原子力船の調査の御報告を承りましたが、特に武田さんはその間の経緯をまだ御存じないかもしれませんが、一言簡単に申し上げておきます。 ちょうど原子力船開発事業団が法案としてこの委員会に提出されておりましたときには、原子力潜水艦をめぐって世論が非常に沸騰しておった。その寄港を拒否すべしというような意向もあった。しかし、私どもの考えとしては、原子力の軍事利用を拒否するということは、これはまた平和利用を促進するというもう一歩積極的な姿勢を掲げることによってわれわれの拒否の精神というものが貫かれるんじゃないかという考え方から、私どもは開発事業団の法案に賛成をいたしました。その際、委員会としては全会一致で、原子力船は、時間もあることだから、ぜひねんごろに時間をかけて、なるべく国産化の方法をとってもらいたいということを強く委員会の決議としてうたってあるわけです。だから、当然原子力委員会としても、また事業団としても、この方針というものは尊重されなければならない。 ところが、その後この委員会の内外において、また内外における状況からいろいろな形の売り込み合戦が私どものところに押しかけてきた。まことにこれは委員会としては権威のない話である。私どもとしても迷惑千万である。問題は、そういうことであってはいけないので、やはりどんな炉が安全で、どんな炉が経済性があるかということは、私ども専門家じゃないからわからぬ。これは日本の原子力船については、数年来十分慎重に検討を進めてこられた方の専門的な御判断というものに信頼する、公正な御決定に信頼をするという態度でいるわけです。 ただ問題は、国産化という方針がどの程度に満たされているかということは、これは委員会の決定でございますから、ぜひ原子力委員会としても今後とも十分御留意を願いたい。だから、いろいろ専門的なお話がございましたけれども、正直のところは私どもよくわからない。よくわかりませんが、ただ問題は、国産化といったって、まだまだ日本の現状ではいろいろノーハウの点などについても重要な部分があろうと思います。何もそれまでも国産化しろという乱暴な無理な注文をするわけではありませんが、やはり委員会の国産化という方針に沿って、いわば売り込み合戦の部面に巻き込まれないで、ぜひりっぱな原子力船をつくるという方針で今後とも進めていただきたいということを、私はこの機会に心からお願いしておきます。
○兼重説明員 この委員会で原子力船事業団の法案が通りますときに附帯決議がございまして、その中にただいまのおっしゃいましたことが入っておることは私ども十分承知しております。それで、いま原子力委員会から舶用原子炉の利用について申しますときにそのことをここに引用いたしませんでしたが、それはそのことを忘れておったわけではなくて、原子力委員会は前々からそういう考えでおりましたし、今度もそういうことは幾つかの理由の中の一つとして、いままでの方針を変える必要はないというふうにうたっておるわけであります。その決議のことを引用すべきかどうか私どもいろいろ考えたのでございますが、この委員会で六三〇Aのことがたいへん議論になり、ただいま委員会の内外でということをおっしゃいましたので、私はことさらそれを表に出さなかったのでございますけれども、心の中には十分念頭に置いておったことでございますので、ただいまお話しのことは、私に関する限りどうか御懸念のないようにしていただきたいと思います。
○岡委員 武田さんは若くして御就任になって、私ども非常に期待しておるわけなので、たとえば今日までの原子炉の導入なんかを見ますと、卑俗なたとえで申せば、完成された自動車を輸入する、運転手を入れる、原料も向こうさまに仰ぐという、全く他力本願の姿なのだが、日本の科学者の持っておる能力というものはそんなものではない。もっとこれを積極的に引き伸ばすという方針を、原子力政策のあらゆる部面においてもとってもらいたい。一口に国産化というのも、そういう精神のあらわれで申し上げておるので、今後とも兼重さんともども、ぜひそういう方針、姿勢で進めていただきたいということを特に武田さんにお願いしておきます。
○前田委員長 それでは、本問題に対する質疑はこれで終わります。 ————◇—————
○前田委員長 次に、防災科学等に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 私は新しく就任をされた愛知長官に、私どもの基本問題小委員会、ひいては当委員会決定の諸原則の具体化についての御所信を承り、またあわせてそれには当然予算が伴う問題であるので、予算の裏づけについても大蔵省の主計局長の出席を求めて伺いたいと思いましたが、お二人ともいろいろ所用でお出ましがないようでありますので、非常に残念に思っておるのであります。しかし、せっかく和達所長はじめ関係の方々の御出席を願っておりますので、若干防災科学問題についてお話しいただきたいと思います。 その前に、科学技術会議の両議員がおられますので、先ほど愛知長官の所信の中にもありましたが、いわゆる科学技術の基本計画を策定するということが私どもの小委員会の審議のときにもありました。また、愛知長官もこれに対して善処しようというお話でございました。問題は、この基本計画をつくっても、これが予算の裏づけがなくては結局一片の作文に終わって、から回りをしてしまう。そういう例があった。そういうことから、やはり国防計画で防衛何カ年整備計画とか、第二次整備計画というものを立てられれば、やはりその年次計画のもとに予算の裏づけがある。科学振興の計画を立てても、そういう年次的な予算の裏づけがないということになれば、これはほんとうに絵にかいたもちにすぎないのです。いわんや菊池さんのように、金があったら雨も降らしてやろう、金があったら月世界に夕涼みをとおっしゃるんだが、要は金がないということでございますので、私はこういう計画は、御存じのとおりいろいろな国が立てて、最近はどんどんつくっておるわけだが、これについて各国の予算の運営の実態はどういうふうなやり方をやっておりますか、伺いたい。
○内海説明員 ただいま岡先生のお話のように、計画をつくっても、予算の裏づけがなければ絵にかいたもちだとおっしゃいましたが、私も全く同感でございまして、もちろん、計画をかりに政府がつくるといたしますると、それには当然予算の裏づけのあるものでなければできないのでありまして、科学技術会議でかりに長期計画を立てるといたしますれば、これは大蔵省その他の予算の裏づけをするという了解のもとに計画が立つべきものだと思います。 それから、諸外国はどうしているかというお話でございますが、昨年長期計画に関する調査団が参りまして、調査いたしましたものが報告書として差し上げてあると思いますが、各国とも長期計画を立てております。それにはもちろん予算の裏づけがあるのであります。ただ絵にかいたもちではなく、それは実行しておるように伺っております。日本も今後この委員会で御決議になりましたように、長期計画を早く立てろということは予算をつけろということだと解釈しておりますが、イギリスなんかも、岡先生もよく御承知のとおり、予算の裏づけのある五カ年計画を立てて、そしてそれを一年ごとにころがして直していく、これも当然予算がついております。それから、イタリアに昨年参りましたときは、ちょうど総選挙のときでございましたが、関係の行政官に会いました。三年間で現在の科学技術の政府の投資を倍にするという計画をいま立てて、今度の内閣がどういう内閣ができるか、総選挙の前だったのですが、その内閣ができたらばそれにその案を提出して実行に移すように努力しているのだ、こういうことを言っておりました。簡単でございますが、御質問に対してお答えいたします。
○岡委員 防衛力第二次整備計画、五カ年計画というふうなものがありますが、その場合予算書を見れば国庫債務負担行為とかいうような形で次年度の予算が保証されるようなかっこうになっておりますが、日本ではそういう年次的な計画について次年度の予算を保証していこうというようなときには、会計法規上どういう手順というか、形が必要なのですか、主計官がおられますので伺いたいと思います。
○小田村説明員 いま御指摘のございました防衛力整備の計画とそれから各年度の予算、これは一応別に大蔵省としては考えております。ただ、計画にはいろいろございまして、たとえば法律できまっております道路整備とかあるいは治山治水とか、港湾整備とか、長期計画をある程度金の計算をもとにいたしまして作成しているものがございます。防衛力の問題も同じようなものでございますが、これは法律の裏づけがない計画でございます。各年度の予算は、それぞれ当年度の歳入見通しを立てまして歳出予算を計上するわけであります。その中で翌年度以降にわたる債務負担、これは財政法に規定がございまして、国庫債務負担行為として予算に計上いたしております。したがいまして、翌年度は、前年度国で債務を負担して翌年度の歳出にするということで、法律上の義務費になってまいりますので、これはしたがって政府としては翌年度の歳出予算に計上するということになります。もう一つ、国庫債務負担行為と別に継続費という制度がございますが、これはあまり活用しておりませんけれども、趣旨は国軍債務負担行為とほぼ同じものでございます。いずれも各計画もしくは事項、個々の施設整備とかあるいは機械の購入とか、そういう事項ごとにつくりますので、全体を統合いたしました長期計画というものとは直接の関連はない、かように考えております。
○岡委員 四年越し、五年越しの基本法が今度の国会もお流れになってしまった。今度の通常国会にはぜひとも成立させたいものだと私ども思っておるわけですが、あれが成立すれば科学技術振興の計画というものが立てられると思うのです。立てられれば、やはりいま申し上げた予算の裏づけというものがないと計画が作文に終わってしまう。そこで、いまおっしゃった継続費だとかあるいは債務負担行為とか、いろいろな形において次年度の予算が保証される。外国のようなころがし予算ということはなかなかむずかしいが、何かそういう形でつけていったらいいと思う。この点は、科学技術庁なりあるいは科学技術会議でもって、日本の現実の会計法規の範囲内で一体どうやられるのかということを十分御検討いただきたい。 それと同時に、この間OECDの科学関係閣僚会議の記録なんかを拝見しますと、現在の各国の科学の発展をとどめておる要因はおおむね二つある。一つはやはりそれぞれの国における官庁のなわ張り争いだ、いま一つは、大蔵省の無理解と非協力、こう言っておる。各国の大臣がみなそういうことを言っているから、日本だけじゃないのだと私思って安心しておったのです。 そこで、これは主計官のあなたにこういうことを申し上げるのは恐縮でございますが、予算編成の前でもありますから、私は結論として、強く要求しておきたいのですが、どうも大蔵省の予算査定というのが非常に煩瑣な、形式的な、そのものの実体をとらえてないというような感がしてしかたがない。具体的に申し上げますると、たとえば科学というものをどう評価しておるか。科学技術政策というものを一体大蔵省はどう評価しているか。これは大蔵省というよりも国の評価の問題であります。何かその年度内に成果をあげなければ、成果というか、何かしら物としての反対給付がなければ予算の査定においては落とされていくというふうな傾向もあるのではないかと思う。言ってみれば、国の予算の支出というものは、科学技術に関する場合は民間事業の損金として扱われるような、何かそういう傾向があるように思うのだが、これは私非常な心得違いだと思うのです。これは否定官のあなたの立場から、ひとつ今後の査定なんかも目の前に迫っているが、もう少し方針を具体的にお示し願いたいと思う。
○小田村説明員 科学技術につきましての大蔵省の基本的態度と申しますのは、これは政府の最高方針、内閣の最高方針に基づいてきまるわけでございます。したがいまして、この科学技術を振興するということについての基本線は、大蔵省としても何ら異議はないわけでございます。ただ、個々の事項につきまして、予算の配分をどういうふうにするかということが問題になるわけでございますが、これはやはり財源に限りがございますので、与えられた財源の中で、できるだけ科学技術を振興するために最も効率のよい配分をしなければならない、こういう考えに立ち委して、要求原省でありますところの科学技術庁、あるいはさらに広く申しますれば国立の各省所管の研究所がございます。そういうところの御要求、あるいは文部省にございます各大学の研究所の御要求、こういうものも総合いたしまして、できるだけ科学技術を振興するのに最も効率的な予算の配分をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○岡委員 いま科学技術会議議員の方々もおっしゃったように、各国がここ二、三年来科学技術政策というものに力こぶを入れている。そうして予算の運営については新機軸を出している。そうしてまた、科学の予算というものは、実際その成果が目に見えなかったり、場合によれば科学の進歩なんというものは失敗が大きな成功のもとになったりする場合もあるというふうな、そういうものもあるので、こういう予算の取り扱いは、何と申しましても、科学といえばやはり研究をして、各自然界の分野におけるいろいろな原則を発見していただいて、これを社会なり生活なりに役に立つものにするという、何といってもこれははかりがたい一つの大きな投資なんだ、国家の重大な技術革新時代における最も重要な投資だと思うのです。こういう観点から、ぜひひとつ善処をお願いいたしたいと思います。もちろん大体国の最高方針とおっしゃいましたが、そのとおりでございますが、その点は私どもまたあらゆる機会に強く訴えたいと思います。ぜひひとつお願いしたいと思います。 それから、この間この委員会の決議の中で、重要研究については予算の一括計上ということをうたっておる。実際問題として、やはり予算運営の上における流動性というものがもっとあっていいんじゃないかと思う。原子力委員会は、御承知のように、原子力関係の予算というものは、文部省を除いて一括配分しておる。これが他の今後の重要研究においてもそういう取り扱いがなされれば、研究の成果というものはもっとあがると思います。事実上、結果において予算の運営が非常に効率的になると私は思っておるのだが、こういう点については大蔵省なり、またあなた方のお立場としてはいかがなものでしょうか。
○小田村説明員 原則といたしまして、各省の行政組織は、それぞれ所管の権限と責任を持っております。したがいまして、その個々の各省の所管に属する事項は各行の所管に計上するということが予算のたてまえであります。しかしながら、各省の所管がお互いに競合するとか、あるいは非常に密接に関連があるというような分野につきましては、総合調整あるいは連絡調整を行なう観点で予算を計上いたしまして、そこから予算を各省に移しかえて使用するという方式をとっております。 科学技術関係につきましては、大学関係を除きまして科学技術庁がこういう調整権限を持っておられますので、予算的には現在特別研究調整という項を立てまして、これがたしかことしは四億円だったと思いますが、年度途中において配分をきめて各省に移しかえるという方法をとっております。また、原子力関係につきましては、これは各国立研究所の使用いたします予算を科学技術庁に一括計上するという方式をとっておりますが、その他の研究項目につきましては、これは具体的に個々の項目にわたって一括計上すべきものであるか、あるいは各省の所管に計上すべきものであるか、個々に判定する必要があると思いますので、必ずしも一つの方針として立てるということは困難であろうかというふうに考えております。
○岡委員 お立場はぼくはよく了解できるし、御趣旨はよくわかります。ただしかし、最近科学の発展とともに、大きな近代科学の施設にしても、あるいはいろいろな問題が非常に経費がかかる。したがって、それが個々別々に同じ電子顕微鏡を持ったり、電子計算機を持ったりして競合すると、予算の運営上非常に効率が悪くなってくる。そういうことから、一つの何々推進本部とでもいうような機関ができたり、あるいは委員会ができた場合には、これらは予算の一括計上の姿のもとに効率的な運営をすることが近代科学として最もふさわしいのではないか。 いま特別研究調整費の話が出ましたが、なるほど四億。これは一括計上の予算と私は言い切れるものではないと思うのです。事実上運営は一括計上された予算のもとに運営されているんだが、これは特別なんです。 問題は、たとえばことしこういうものができたというときに、各省庁にまたがっておるそれぞれの研究者あるいは調査者その他技術者をまとめて、一つの取り上げられた項目に向かって調査なり研究の活動をやるための、その年度の緊急の必要に応じて起こった問題としておおむね使われておるのが現状ではないかと思う。たとえば公害対策で大気汚染をどうするかといえば、いち早く特調費で六千万円なり一千万円の金が出る。ガンはどうなんだということになると、またそのガンの問題で三千万円なり四千万円なり出て、各省庁の関係者なり民間の関係者なりがこの予算の運営の方向の中に入ってやっていく。だから、この特調費と一括計上との予算のあり方は若干違うのではないか。 それはそれとしまして、特調費の話が出ましたが、ことしのその四億の今日までの、あるいは将来に見通される申し込みというか、そういう額は大体どのくらいありますか。
○芥川説明員 本年度特別研究促進調整費の額は四億でございます。それで、その使途につきましては、ただいま大蔵省の主計官からお話しのございましたとおりでありまして、各省のいわゆる境界圏、つまりどの省の研究として推進するのが最も能率的であるかどうか明確でないと申しますか、二省以上にまたがる研究もしくは境界研究、そういうものにつきましては大体半分程度を充当いたしまして、その場合にさらに境界研究という抽象的な表現をもう少しブレーク・ダウンいたしまして、たとえば防災科学技術、環境科学技術等十一項目につきまして約その半分を充当いたしたいと考えております。それから残りの半分につきましては、予算の成立当初におきまして予見されざる緊急事態に充てる、こういう運用の基本方針を確立いたしまして、その後新潟地震があり、それから北陸地方のがけくずれ、地すべり等、いろいろ緊急を要するものもございまして、緊急分の二億につきましても、現在使用計画が相当明確になりつつございます。二億分につきましては、おそらく本年の十二月ころまでにほとんど全部使い尽くすのではないかと考えております。 それから、いわゆる境界研究と申しますか、総合研究に充当すべき二億分につきましては、ほとんど配分計画を立てておりまして、大蔵省と折衝中というところでございます。 それから、申し込みの金額につきましては、いろいろ数字がございますが、現在持っております予算額の二倍もしくは三倍のオーバーになっておるわけでございます。
○岡委員 政府が科学政策にだんだんと関心を払い始めてくると、私は特調費というようなものはまことにけっこうな費用であって、しかもますますその重要の度を加えると思うのです。ということは、近代科学が本質的にだんだん専門的に細分化され、しかもその専門的な研究の個々の成果がまとめられて、一つの結論が出てくるというようなものを持っております。したがって、各省庁にまたがってくるような研究テーマというものはますます出てくると私は思います。そういう意味で、特調費のごときはぜひもう少し増額してもらわなければ、私はとても本来の使命を果たせないと思う。 いま一つは、個々の費用について非常におさみしいお話じゃないかと思う。この間私どもガンの問題をこの委員会でも取り上げたんですが、とにかくガンは国民病というふうな姿をとってきておると思います。なぜガンが起こるかということでは、いろいろ学者の間に意見の違いもある。だから、やはりなぜガンが起こるかということが突きとめられなければガンを治療するということもできないのじゃないか。そういう意味でも、各省庁にまたがっておるかもしれないが、それらを取りまとめたガンの研究調査体制をつくろうじゃないかということで、特調費がたしか三千七、八百万円出ておる。ところが、この間たまたまアメリカで、たばこをのむとガンになるということを十人ばかりの専門の医者が発表して、アメリカではガンになるぞといって、たばこも文化病ということにまでなっておる。それほど葉たばこは、病理学的には確かになるかならないかというデータはないようだが、とにかく統計的には葉たばこの常用者にはガンの病者が多いということは動かせない事実になっておる。ところが、この日本のたばこ専売局の予算を見ると、たばこの宣伝費に一億六千万円。ガンを征伐しようとして出した費用が三千七百万円で、たばこの宣伝費、ガンをつくる費用に一億六千万円も使っておるという、まことに漫画的な数字が出ておる。こういうようなことで、いわば特調費の額そのものも非常に少な過ぎると私は思う。特にガンなどというものは生命の本質に突っ込む基本的な研究なんだ。そういうものは三千万円や四千万円でやれる仕事ではない。 そういう意味で、個々の配分においても、もっと大きな費用が必要になってくるし、また特調費そのものも総体として要求される場合が多い。そういう意味で、やはりこれはもっともっと拡大をして、ほんとうに特調費としての使命が果たされるように、ぜひひとつこれは当局も御努力を願いたいし、大蔵省としても御理解、御協力願うということをお願いしておきます。 それから、和達さんも来ておられますから、いまのお話に出た防災科学という点。たまたま新潟にこの間地震が起きまして、引き続いてまた北陸、山陰に水が出たということですが、あの新潟地震あるいは北陸、山陰の今度の集中豪雨に対して、防災科学技術センターとしてはどういうふうな仕事をされたでしょうか。また将来のお見通し等があったらお聞かせ願いたいと思います。
○和達説明員 防災科学技術センターは、防災に関する研究を総合推進し、かつみずからのそれらの足らざるところを補う研究をいたすことを任務といたしております。したがいまして、新潟の地震あるいは山陰豪雨に対しましては、何が研究に不足しておるかということを知るために、緊急に調査員を派遣いたしまして、その状態を調べまして、そしてそういうような災害を防ぐための総合研究の必要な場合には直ちにそういうことを計画し、実施に移すように努力いたしております。新潟地震につきましては、各省庁あるいはその他の研究機関の協議によりまして、総合研究を開始いたすことになりました。
○岡委員 飛行機で何か航空写真をとられたのですか。
○和達説明員 先ほど申し上げましたような総合研究をいたすにあたりまして、基礎になる、全般的に利用されるような資料は防災センターが分担いたしまして、これを行なうようにつとめております。したがいまして、せんだっての新潟地震、あるいは前には北陸の豪雪のごとき場合には全般の航空写真をとりまして、研究者の便に供するというような仕事を防災センターが現象発生後できるだけ早く行なうようにつとめております。
○岡委員 北陸、山陰の被害も、御存じのようにある一定の地域に一度ならず二度ならず、たるの底を抜いたような雨が落ち込んできた。そこで小河川が非常なはんらんを起こした。ところが、また運の悪いことには、河川改修に取りかかって、その上流のほうは改修が済んで下流の半分が済んでないというようなところでは、上流の水の物理的力が改修の済んでないところを目がけて非常に大きな決壊等を起こしてきたことが随所に見られる。そうかと思うと、そのように激しい一時間に三百ミリというような大きな雨が降ったものだから、やはり随所にがけくずれがある。そのための人命損失も少なくない。がけくずれにしましても、低地浸水の場合には、小河川におけるそうした修理と洪水との関係なんかも非常になまなましい記録がこれは航空写真ならとれる。こういうものをとって、これらをデータとして、河川改修の土木に関する災害防止のための土木はどうあるべきか、あるいはまた農地造成についてはどうあるべきかというようなことについての基礎的なデータはとれると思うのだが、こういう場合にはやはり、飛行機でも出して、手っとり早く機動性をもってまず航空写真をとるというくらいな親切さがあってもいいし、またそういうことが端緒的な防災科学技術センターの仕事だと思う。こういうことはできないのでしょうか。
○和達説明員 ただいま岡先生のおっしゃるとおりであると私存じております。近来におきましては、調査の手段として航空機を使うことが最も効果的であるというようになっております。したがいまして、災害に対しまして直ちに現地におもむき、高空より調査をいたすことの重要性を前々から考えておりまして、防災センターにおきましては、できればセンターが自身飛行機を持ちまして随時好きな場所に即刻調査に行かれるようにいたしたいというので、予算の要求もいたしたいと考えております。
○岡委員 アメリカに行けば種をまいたり、日本だって少し広いところではヘリコプターか小型飛行機で殺虫剤か何かまいているという話も聞いたことがある。しかも災害の国で、せっかく防災科学センターができても、飛行機がないために民間機を借り入れたり、それもなければ自衛隊、自衛隊の都合が悪ければ重要な基礎データをつくることもできないということは、あまり情けなさ過ぎると思う。これは大蔵省が目がないというのではなくて、防災科学センターなり科学技術庁の能力を疑わざるを得ないので、こういう点は、防災科学センターとしてもせっかく発足されたので、こんなことはそう大してむずかしいことではないのだから、今度は体制をぜひそこまで整備していただかなければならぬと思う。 それから、地震の問題なんですが、新潟の地震についてあとで専門家のいろいろな御意見を読んだり聞いたりしてみると、大体が地盤が軟弱であったところに被害が多い。地盤が軟弱といえば、主としてデルタ地帯であり、あるいは地下水面の水位が高い、あるいは土を盛ったような地帯ということがいわれておる。その下にたまたま地震断層でもあって、ぐらっとくると、もう上に建てたものが目も当てられないようなことになるということがあるが、一応私なりに理解されるように説明されておる。それはそのとおりだと思う。 そこで私は非常に心配しておるのだが、そうなってくると、その地域格差解消などといって、新産業都市をこしらえたり、あるいは工業整備特別地域をつくったりしておられるが、この土地について、このような地質学的な検討というものは加えられておるのかどうか、こういう検討の上でだいじょうぶだということであれらの指定がなされておるのかどうか。これは新産都市やあるいは工業整備特別地域だけじゃなく、いわゆる臨海工業都市なんというものは、おおむね埋め立て地にできたり、しかもそれが関東大震災や濃尾地震というようなおそろしい地震の前歴を持っている。そういうところにいわゆる重点的に施行するということで、日本の重化学工業の産業が林立している。これは私は日本経済のためにも非常に心配なことじゃないかと思う。これは産業立地部長さんですか、あるいはまた企画庁の開発局長なり、こういう点にどういう考慮を払っておられるか、お聞きしたいと思います。
○鹿野説明員 お答えいたします。新産都市を例にとってのお話でありますが、新産都市は、都市の指定をする前に府県知事から申請がございまして、申請の前にもその地方の気象とか地盤の問題、あるいは過去における災害の状態その他、かなり詳細な調査に基づいて調査報告を付して申請をしてくるわけであります。その結果新潟の、特に今後の新産建設は新潟からかなり北東寄りになりますが、新港を中心にして新しい産業を興して、新産都市を建設していくという大体の方針のもとに申請が出されまして、政府といたしましては申請に基づいて調査した結果、建設省の一つの基本方針をそれぞれの地域に対して示しておるわけでございます。その際におきましても、公害については特に重視して、居住の安全とかその他の問題について十分配慮するようにというようなことで、明確に指示いたしまして、その基本方針に基づきまして、新産の具体的な基本計画が現在練られておる。これは目下地元で大体策定いたしまして、第一回の折衝といいますか、中央の建設省、運輸省、通産省、大蔵省その他関係機関の各プランナーといいますか、担当者と詳細に検討を始めているところでございます。 新潟の場合を申し上げますれば、いまの新港付近の地盤については、今回の地震においても被害が比較的少なく、地盤の調査そのものにつきましてもかなり良好であるということが認められますので、新産都市の建設については大体既定の方針を変えないでやっていけるというふうに考えております。
○馬郡説明員 ただいま経済企画庁からお話ございました点で大体尽きておると思いますが、若干補足して申し上げますと、通産省でも昭和三十五年から大体原則的には二百メートルの深層ボーリングを、新産あるいは工特地帯その他の工業地帯につきまして行なってまいっておりまして、すでに終了いたしました地区が大体十五カ所くらいございます。この結果に基づきまして、ある地区におきましては地盤の状態が必ずしもよくないというような場合は、当初たとえば鉄鋼の基地として御希望がございました点については、鉄鋼は無理でございましょうが、石油精製品程度の地耐力はあるというふうに考えられますようなところにつきましては、そういうふうな基本方針におきまして当初の県側の計画を変えていただくというような方法で、そういう指導を行ないまして、現在推移してまいっておるのであります。 今後におきましても、この地殻構造調査というものは引き続いて実施してまいりまして、地耐力とその上に載ります設備との関係につきましては十分注意してまいりたいというふうに考えております。
○岡委員 それは経済企画庁の総合開発局長さんのお話も、通産省の立地部長さんのお話も、一応そうあったのでありましょう。しかし、そういう程度の調査、手続で一体だいじょうぶだという科学的な確信が持てますか。というのは、たとえば新潟の実例なんか見ましても、地盤の沈下が起こっているところとか、河口の付近で軟弱な堆積物が堆積している地帯とか、地下水の高いところとかは、万一地震の場合は軟弱地盤で弱いということは通説です。そうすると、新潟はある部分は古い信濃川地帯と砂丘地帯とこみになっている。だから昭和新橋は大きな被害を受けたが、わずか離れた万代橋は何でもない。そういうことから総体的に見れば、ここは工業都市としては不適格であると思うのですが、そういうところが新産都市に国家で指定されている。僕は新産都市に指定されていることがいいとか悪いとか言うのではないが、指定されているところがそれにふさわしく発展するためには、もっと科学的に突きとめられたものがあっていいじゃないか。そうでなければ、地域開発とか何とかいって、ここはよろしかろう、さてコンビナートがくる、鉄鋼はいけないが石油タンクならよかろうということで石油タンクができて、それが地震で三日三晩燃えて百億の損害だ、石油精製はもう新潟ではやめたというので、昭和石油は新潟からよそへ変わろうとしている。これじゃ地域開発も格差解消も何もないじゃないか。そういう科学的な立地条件の検討というもの、それこそ専門家の、防災科学技術センターあたりの仕事だと思う。そういうものがあって初めてほんとうに格差解消という皆さんの、政府の施策が生きてくる。それがただ新産都市の争奪合戦のようになって、そういう点に手抜かりがあったとすれば政府の責任じゃないか。そういう点で、もう少しねんごろな科学的な立地条件の検討がこの際加えられるということがあっていいんじゃないかと私は思うのだが、いかがでしょう。これは和達さんの御意見を率直に聞かしていただきたい。
○和達説明員 今回の新潟地震にかんがみましても、震災を受けているところが非常に場所によって違うのであります。すなわち、それは地表面からそう深くないところの地盤の差異によって生ずるものであります。そういうような、そう深くないところの地盤はあるいは地質学的にも新しいところで、また人工的にも手を加えたところもあるのでありまして、新しい産業都市などをつくりますとき、あるいはそういうところに発展していく場合には、先ほどお話しありました相当深いボーリングを基礎にした全体にわたる地質の調査も大事でありますし、また比較的浅いところの非常にこまかい調査も必要になってきます。このようないわゆる地盤調査というものにつきましては、数年前、資源調査会が勧告を出しております。そういうものを全国こまかくいたすことの必要性を勧告いたしたわけでありまして、それを受けて実際に通産省及び建設省がいたしておると思いますが、このような地盤の調査ということは、今回の新潟地震にかんがみましても非常に大切なことでありますので、ぜひ強化して、全国必要な場所ことごとく行なうようにいたしたいと思うのであります。 なお、そういうような地表面に近いところで複雑な状況の場合には、一つには全体として産業都市が適当であるかという問題と、一つは、そういういろいろに変わった地盤に対していかなる施設をそこへつくり、またその施設はどういう耐震あるいは防災的施設をすべきであるか、そういうことによって計画が立てられるべきだと思います。
○岡委員 私は、せっかく防災科学技術センターができたのだから——何もこれまでの開発局のやり方に責任があるとかなんとか、私はそういうむずかしいことを言おうとは思わないのだが一やはりこれは日本全体の経済の発展のためにも、もう一度厳密な科学的な立地条件の検討というものが私は必要ではないかと思うのです。資源調査会の勧告もあったというお話ですが、当然こういう問題は特調費あたりをわずらわして、全国的な規模でやるべきだと思うのだが、いかがなものでしょうか。
○鹿野説明員 できるだけ厳密な科学的調査に基づきまして新しい都市計画、産業立地計画を立てていくべきだということは、先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、新産都市の建設の問題は、国全体の経済の発展の要請からいたしましても、かなり緊急を要する問題でございますので、事前にも地元においても、また国から助成をして、地盤について、あるいはまたその他の公害的な問題につきましても調査をいたしまして、その上に基づいて現在は計画を固めつつあるわけでございますが、新潟の今回の地震というのはやはり非常に貴重な教訓であったと思います。今後計画は計画として進めながらも、並行的に、かなり基本的なそういった科学調査を続けていきたい。また防災センターのほうのいろいろの御調査についての御意見も聞きながら、計画の具体的な実現その他につきましては、そういう配慮をしていきたいというふうに考えます。
○岡委員 とにかく新潟にいたしましても、たしか昭和二十四年に、新潟に地震が起こるだろうというようなことを予言した専門家があった。しかし、その当時は、幸いにそれは起こらなかったが、十数年先に起こった。なぜそういう予言をされたかわかりませんが、やはり専門家の目から見れば、そこにそういう可能性が見られたのだと私は思うのです。これはやはり専門家の発表された地盤の軟弱な地帯、軟弱地盤で、かつまた地震の可能性が多いということをいろいろなファクターでずっと地域的に出したものを日本全土の地図で見ると、新産都市に指定されているところがそれにおおむね該当しようとしておる。これはなるほど国の緊急な要請かもしれないが、科学不在の経済成長なんてあり得ないのです。人間不在で科学不在の経済成長なんてナンセンスです。だから、こういう点は、やはりもっとほんとうに責任を持って検討していただきたい。私はこのことを強くお願いしておきたいと思います。 それから、地震の予知の問題なんです。これは、菊池さんもさびしそうにしておられますから、ひとつあなたに御質問をしておきます。 その前に、地震の予知ということが最近いろいろ新聞に報道されておるが、大体どういう形でいま取り上げられているのですか。具体的にどういう計画が示されておるのですか。
○和達説明員 地震予知計画をまだ議会に御報告してありませんでして、私から申し上げます。 これは学術会議が昨年地震予知研究の重要性を認めまして政府に勧告いたしております。地震予知に関しましては、わが国の地震学がずっと古くからこの問題に取り組んでまいりまして、今日までの学者の研究の積み重ねは、地震予知の可能性を示すようになったのであります。可能性と申しましても、これをいわゆる役に立つ地震予知にするには、まだまだいろいろな研究を積み重ねなければなりません。したがいまして、日本学術会議の勧告を受けまして文部省及び科学技術庁は、測地学審議会においてその具体的方法を審議するようにいたしました。測地学審議会におきましては、地震の専門家が寄りまして、また地震の観測研究に関する機関からも参加いたしまして、ここに地震予知研究計画という十年計画をつくり上げたのであります。その十年計画によりまして、地震予知の研究が速成するように、あるいは地殻変動の調査を行なう、あるいは地震活動の精密な観測をするとか、その他地震予知に貴重な資料を与えるところのいろいろな現象を観測する、そしてそれらの資料に基づき研究を十年間行なうことによりまして、地震予知がどの程度までできるか、役に立ち得るようになるかという第一段階の結果を得るというような計画を立てまして、昭和四十年をその第一年度といたしまして、予算を文部省、通産省、運輸省、建設省、いろいろな機関を合わせまして約五億円というものを計上いたしました。四十年度から政府の御理解を得まして、できるだけこの研究に邁進いたしたいと存じておる次第であります。
○岡委員 地震予知の問題は、この委員会でも、御記憶でしょうが、ずいぶん熱心に原委員等から御発言があったのです。ところが、これはいまのお話では、一カ年十億、十年間百億程度で地震の予知が一応できるだろう。地震の予知というのは、私は、日本の地震学者というのは世界の非常に高い水準にありて、しかもこの人たちの一つの悲願ではないかと感じておるわけであります。 さて問題は、そういう計画が立てられたというわけだが、やはりこれも予算の裏づけがないと絵にかいたまんじゅうになってしまって、菊池さんをしてまたおもしろい嘆きを繰り返させることになるのだが、これは文部省の関係ですね。
○和達説明員 文部省は大学を代表しております。たくさんの大学が入っておりますことはもちろんでありますけれども、この地震予知の基礎になる資料を与えるところといたしましては、運輸省、通産省、それから建設省はもちろん入っておりまして、測地学審議会におきまして、測地学審議会の委員も、もちろん各省の責任者、研究者が入っております。大学の先生とともにこの計画を進めております。
○岡委員 この地震の予知は、今度の予算ではぜひ実現してもらいたいと私は思いますわ。一文惜しみの百知らずというけれども、さて起こったわ、そして何もかも無に帰してしまうというような愚は——特にこういう大産業がどんどん集中し、マンモス化しているときに、予知はますます必要なんだ。しかも、それが新産都市とか工業整備特別地域とかいう形で指定されてそこに集中してくるときに、これらの地域が、先に申しましたように、そういう意味でどうも危険性が多い土地が選ばれているのだからなおさらのこと、耐震構造等、建築方面なり土木方面の耐震的なくふうはもとより必要でしょうが、まず地震の予知ということについては国としては格段な努力を払っていただいて、そしてやはり一文惜しみの百知らずにならないように次官はがんばってもらいたいと思う。 それから次は雨のことなんです。台風のことも実は私は聞きたいと思っておったのですが、この機会に菊池さんにこの点についての御決意を聞いて、少しく雨のことだけ聞いて、時間が参りましたから私はやめますけれども、どうですか。
○菊池説明員 私は、地震もこれは天才的な頭を要するもので、これは金をかけてみたところでできるものじゃないと思うのですね。これまで世界じゅうでもって地震を予言して当たった数が一体どれだけあるか、それは私は知りませんが、どのぐらいございます。——おそらく地震の予言なんかは至難中の至難で、当てずっぽうにやっているのじゃないかと思う。どこかの教授が最近も関東に大地震が起こるということを予言した。これもおそらく当てずっぽうではないかと私は考えておる。私は、地震の予知ということについては、研究が足らないためでありましょうが、半信半疑でございます。 それから、雨は、降らせることができることは確実であります。ただその分量が多いか少ないか、それだけであります。日蓮上人は当てずっぽうに雨ごいをして降らしたのでありましょうが、あれは相当のヤマカンで雨ごいして当たった。これはまぐれ当たりに当たったにすぎないのですが、人工的に雨を降らせることは、分量は少なくとも、これは必ずできることで、ドライアイスをまくとかなんとか、それで雨を降らせる。これは易々たることでありまして、少ない分量ではこれは何にもならぬので、それで科学技術庁といたしましては見合わせておるようなわけでございます。
○前田委員長 関連して、和達防災科学センター所長。
○和達説明員 次官のお話に対しまして、私次官と前もってもっと科学技術に関してお話ししておくべきだったのですが、地震は予知できる可能性があると私申しましたのは、今日の地震学者の大体の意見の一致するところであります。しかし、いままでの地震予知が、しろうとによって行なわれましたものは別といたしまして、専門家も確かに、予知というわけではありませんけれども、ある種の懸念といいますか、そういうことについて申したのであります。それらは、第一には過去の地震の活動から、こういうところに地震が起こり得るというようなものでありまして、これは学閥でもありますけれども、多分に常識的においてもそう思われるところであります。第二番に、学者が自分の研究の立場からこういうところに地震が起こるのではないかというように考えて、その気持ちを発表したものもございます。 今日、地震予知研究の推進をしようとするのは、もっと総合的に、地震が地下に起こる場合にはどういうような現象が前もって観測されるかということを、ちょうど天気予報が各地の気象状態あるいは上層の気象状態を刻々に把握して、その状態から次の状態を推定するというのに似て、地下に起こるところの状態を気象のように、そこまで行くことはできませんけれども、地表面においてできるだけ詳しく観測しまして、地下の状態の変化を刻々に測定し、その変化と地震の起こり方を、いままでの経験もありますけれども、十年間ここで加えまして、そして十年間この研究をやりましたならばどの程度そういうことができるか、そしてそれが実効があるかないか、私は多分にあるところまで持っていけると思うのでありますけれども、十年間とにかく実際的に持っていくための研究をやらしていただきたい、というのが今日の地震予知の計画であります。
○岡委員 どうも和達博士の菊池少納言に対する御進講が足らなかったようですが、こういう点やはり占いじゃなくて、専門の学者が悲願として地震の予知を目がけてきて、どうやら十年たてばできそうだという確信を科学者が持っているのですよ。だから、何もかも当てずっぽうなしろうとの占いと違って、こういう点はやはり認識をして、この予算化に対しては防災科学技術センターを預っておられる科学技術庁としては、積極的に責任をもって協力するぐらいの腹がまえがほしい。それぐらいの理解は持っていただかなければいかぬと私は思う。ぜひひとつお願いしておきたいと思う。 それから、地震予知ということは、和達さん、具体的にどれほど前に、どの範囲の予知ができるのか。ぼくはいろいろものの本は読んでおるが、どういうことなんです。
○和達説明員 ことばづかいはおそれ入りますが、そういうことを知るために十年間研究したのでありますけれども、現在でも先ほど言いました統計予報でありますと、たとえば東京付近でありますと、統計でありますとまあ七十年に一度は昔から相当の地震があったというようなことから、この前の関東大地震からまあ七十年ぐらいたてばあり得るのだから、みな気をつけなければならないというようなのも、これも一つの予知かもしれません。しかし、それではあまりに大ざっぱでありますので、もう少し、私もはっきりわかりませんけれども、数カ月か一年ぐらいのうちにまず大勢の注意が出て、そしてできればまぎわ、数日とか数時間になりますと私もわかりませんが、これからそういうことを研究いたしまして、そしてそういうような予測がどのくらい世間のお役に立つか。もちろんそういうことがある程度研究の結果出てきましても、これは世間に発表するということは非常に慎重にいたしまして、発表につきましては当局とか、そういうところにだけ発表するとか、いろいろなやり方があると思いますが、これらはともかくも、十年研究さしていただいたあとでしっかりとお答えしたいということであります。
○岡委員 一時半から次の会議がありますから、私単に要望だけ申し上げておきたいと思います。 特に地震の予知、天気、気象予報の問題ですが、予報は今後もやはり自然災害の防衛のためには非常に重要な役割りを演じておることは言うまでもない。ところが、だいぶ戦後正確になったように思う。戦前は戦場へ行くときにたまに当たりたくないので、測候所測候所と三度唱えたといううわさもあったくらいだが、このごろはそうじゃない。非常に成績がよいのだが、しかし、それでもやはりときどき間違いがあるようだ。ここまで進んできたのだから、もう少し気象予報体制が整備される、こういうこともぜひひとつ来年度には十分やってもらいたいと思う。 私がいろいろ調べてみた結果では、たとえばレーダーを設置するのがまだまだ足りない。私は台風のときなんか、地元の気象台なんかへお見舞いがてら慰労に出かけることがあるが、防災気象官は非常に忙しくやっておられる。とてもあれではこういう科学的なデータを整理して結論を出すのはたいへんだろうと思うのだが、そういう体制の整備。しかも、そういうところへ行くと、トンツートンツーのようなもので情報を送っておられるようだが、このごろはテレタイプなり何なり、いろいろなものがあるのだから、もう少しそういう科学的な予報体制をつくられていい。 もう一つは、かりに予報があったとしても、昨年の北陸の豪雪なんか、十二月の初めに豪雪があるという一応の警報、長期予報が出ておる。一月の中旬にはもうぼつぼつ豪雪が始まる。一月十一日からは毎日毎日大雪警報、風雪注意報だ。ところが、地方庁は、県も市も黙っておった。さて今度は汽車もとまった。国道もトラックが通らなくなってから、日本じゅうのブルドーザーをよこせ、自衛隊を表日本から持ってこい。持っていく手段がない。だから、最近災害基本法だ、防災会議だ、いろいろやっておるが、やはりこういう正確な科学的予報というものが地方庁の行政運用に生きてこなければいかぬ。それでなければ何にもならない。こういう関係全般について、私は予報課長の御意見も聞きたいし、また同時に、担当の主計官がおられないのかもしれないが、ぜひこういう自然災害の防衛のための予報体制の整備には格段の関心を、今度は大蔵省としても示してもらいたい。 それから、雨の問題。雨の問題も、いま菊池さんは事もなげに、人工降雨ではあまり降らない。何を根拠にそういうことを言われるのか。
○菊池説明員 災害予防につきましては、御意見を体しまして今後せいぜい予測のために努力を傾けるつもりでございます。 ただいま最後の雨の御意見を聞きそこねましたが、ただいまおっしゃったことは研究をやっておるそうであります。
○岡委員 もう時間もありませんから、とにかくそういう菊池さんのような態度が非科学的だ。なるほど人工降雨の一番の本家はオーストラリアです。去年からおととしの学会の記録を見ると、なるほど五回実験やっておるが、三回しか成功しておらぬ。日本でも最近やったのが失敗だった。そうかと思えば、この前、四、五年前の渇水のときにテストとしてやっていただいたのは成功しておる。九州で実験したのもおおむねいい成績をあげておる前例だって出ておる。問題は、人工降雨をやったにもかかわらずなぜ降らないかという、その原因の究明が今後の科学的な課題になっておるということであって、これはおととしのオーストラリアの、そういう世界の権威の集まった学会における結論がそうなんだ。日本で来年またそれがあると聞いている。問題は、なぜ降らないかという科学的究明が足りない。ただ五へんや六ぺんやってみたが、そのうち二へんも降らなかったから人工降雨はだめなんだというきめつけ方、そこに非科学的な素朴な俗論がある。だから、そういう点はもう少しぜひがんばっていただきたい。そしてお互い協力してやりましょう。とにかく格差解消なんていっても——ぼくは水害の陳情に四、五日前東京へ来たのです。向こうでは雨が降ってがけがくずれ、家が倒れ、人が死んでおる。東京へ来たらどうなんだ。水飢饉だ、水飢饉だ貯水池は干上がる。こういう大きな格差がどこにありますか。洪水も自然災害だが、渇水はより大きな自然災害だ。ところが、それに対して人工降雨というような科学的な方法があるのだから、これを二回や五回やってみてだめだから、これはだめなものなんだというきめ方をしないで、学界の定説となっておるように、なぜ、どういう条件の場合には人工降雨が可能かという究明をすることが、こういう水に悩んでおる日本における災害に対して科学的な対策を講じようとする科学技術庁の大きな責任だと私は思う。そういう自覚で、ぜひやりましょう。 それでは、これでやめます。
○菊池説明員 岡委員の御意見、よくわかりました。その失敗した原因の究明はもちろんのこと、これから先、豪雨地帯から干ばつ地帯に雨を引き寄せるくふうまでも研究したいと思っております。
○前田委員長 それでは、本日はこの程度にとどめます。 なお、午後一時三十分より委員長控室において日本科学技術振興財団との懇談会、及び午後二時三十分より日本学術会議との懇談会を開きますので、多数御出席をお願いいたします。 それではこれにて散会いたします。 午後一時三十分散会