予算委員会 第2号
- 発言数
- 296 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1963/12/16
会議録
○委員長(太田正孝君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和三十八年度一般会計補正予算(第2号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。 三案は、一昨日衆議院から送付され、本院付託となっておりますので、念のため申し上げておきます。 三案の取り扱いについて、先般の理事会において協議いたしましたので、そのおもなる内容について御報告いたします。 一、補正予算の質疑は本日より開始し、明後十八日に審議を終了いたします。 二、質疑の総時間は三百三十六分とし、その各会派への割り当ては、自由民主党百三十六分、社会党百二十分、公明会三十分、第二院クラブ及び民主社会党おのおの二十分、共産党十分といたします。 三、質疑順位は、社会党、自由民主党、社会党、公明会、第二院クラブ、民主社会党、共産党、社会党、社会党、自由民主党及び社会党といたします。ただしこれは前例としないことにいたしております。 以上御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田正孝君) 御異議ないと認めます。 それではこれより質疑に入ります。まず木村禧八郎君。
○木村禧八郎君 三十九年度の予算編成も大詰めにきまして、大体二十日ごろ大蔵省原案がきまるということが伝えられております。したがいまして、三十九年度予算編成の前提としての日本経済の見通し、並びに経済の運営の基本方針等も大体まとまっているはずであると思いますので、来年度の経済見通しと経済運営の基本方針について質問いたしたいと思うのです。特に来年度の経済は、なかなかむずかしい問題も多く出てくると思うのですが、どういう方向に来年度の経済を持っていこうとするのか。 そこで、まず総理大臣にお伺いいたしたいと思うのですが、総理大臣は、三十九年度の日本経済の課題として何が一番重要な問題であるとお考えになっておるか。そうして三十九年度の予算を組むにあたり、また日本経済を運営するにあたってどういう点に重点を置いて予算を編成され、経済を運営されていこうとしておるか、この点についてお伺いいたしたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 私から先にお答えするよりも、財政金融の衝に当たっております大蔵大臣が答えるのが順序だと思います。したがって、詳しくは大蔵大臣よりお答えすることにいたします。 基本的の考え方としては、やはり日本の国内の経済をもっと力強いものにする、いわゆる成長もほどほどにいたしたい。それは私の念願の、お約束であります十年所得倍増というものがだんだんその効果をあらわしまして、この分でいけば大体十年以内に達成できるという見通しがついてまいりました。したがいまして、その方向でやっていく。で、安定していこうと思いますから、国内の健全な経済、そして何といいますか、当然の結果として、またそれが原因ともなりますが、国際収支の均衡ということを考えながらやっていきたい、こう思っております。詳しくは大蔵大臣からお答えします。
○国務大臣(田中角榮君) 本年度の経済成長は、おおむね実質八%程度になるのではないかと推定せられるわけでありますが、現在予算の査定中でありまして、来年度の経済見通しはまださだかに決定いたしておりませんが、大体二十日をめどにしまして来年度の成長率をきめまして、それによって予算総額を決定したいという段階でありますので、来年度の経済成長率を何%に見るかというようなことはお答えできる段階に至っておりまません。しかし、引き締めをいたしました昨年は実質五・九%という成長率を示しておりますし、本年度は先ほど申し上げましたように、実質八%成長が遂げられるというような堅調な状態でありますので、いま総理大臣が申し述べましたとおりに、十年所得倍増計画の数字を十分検討しながら、経済成長率をきめてまいりたい、このように考えておるわけであります。来年度の予算編成の重点的な考え方は、国際収支を安定させなければならないということ、第二は物価問題に対して、物価をできるだけ安定せしめなければならない、第三点は、いままで四、五年かかって開放経済体制に向こう体制整備を行なってまいりましたが、四月一日を期してIMF八条国に移行するという既定方針をきめておりますので、この開放経済に向かって国内均衡をはかりながら、将来に向かって安定拡大的な経済成長を遂げていけることを目途にした健全均衡的な予算を組みたいという考え方を基本にいたしておりす。
○木村禧八郎君 もう二十日に大蔵省原案ができるのでしょう。そういう際に、いまの御答弁では満足できないのです。そんなばく然たる考え方で一体実はいいのかどうか。特にいま総理は所得倍増政策は大体所期の目的も達しつつあると言われておりますが、それは見方によって違うのであります。所得倍増政策は二つの内容を持っている。第一は高度成長、つまり生産設備を急速に大幅に拡大するということと、もう一つは格差の縮小ないしは解消というこの二つの内容を持っているのが高度成長であります。その中で、格差が拡大しているじゃありませんか。だから所期の目的を達成とはこれは言えません。政府みずから大資本本位の高度成長政策をやったために農業、中小企業は立ちおくれになっていると言っているじゃありませんか。所期の目的を達成しないじゃありませんか。高度成長高度成長といいますが、成率長だけの問題ではない。格差の縮小——金持ちと貧乏人との所得水準の格差、都市と農村との格差、中小企業あるいは大企業、あるいはその農村の問題がありますが、そういう格差の問題を全然除外しちゃって考えたのじゃ間違いだと思いますが、時間がありませんから少し急ぎますが、特に来年度は、いままで高度経済成長、つまりそのうち大企業の生産設備を非常に急速に拡大しました結果としてひずみが出てきている。そのひずみが非常に深刻になりまして、物価の値上がりと国際収支の見通しが悪くなってきたという情勢にあるのでありまして、来年度の経済をどういうふうに持っていくかということは、これはひとつの重要な課題であります。これはもうすでに予算を編成するのでありますから、固まっていなければならないはずであります。この点について総理大臣はかなりばく然とした御答弁でしたが、いま大蔵大臣のお話がありましたから、それじゃもう少しそれを煮詰めて重ねて総理大臣にお話をいたします。 いま大蔵大臣は、国際収支の安定を第一、第二には物価の安定、第三が開放経済体制に備えるためのいろいろな国内の整備を行なう、そういうふうに答弁されましたが、総理大臣もそういうふうにお考えですか。まず第一に国際収支、第二に物価の安定というふうにお考えになって予算を編成されるのか、来年の経済運営を行なうというお考えでございますか。重ねて総理大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 国際収支が第一で、国内の安定成長、物価の問題が第二というわけのものではございません。みんな関連があり、そうしてみんな重要な問題であります。
○木村禧八郎君 経済成長についてはどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 経済成長自体が目的じゃございません。国民生活の安定と雇用の増大が目的であります。
○木村禧八郎君 そんなことを聞いているのじゃない。経済成長はどの程度にお考えになっているかと聞いているのです。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、二十日をめどに、いま、八月の末までに大蔵省の出された各省の予算査定を行なっている状況であります。経済成長率につきましては、経済企画庁で、いま作業を進めておりますが、経済企画庁と大蔵省との間で、二十日までにはどうしても詰めなければならない問題でございますが、現在まだ来年度の経済成長率がおおむね幾らになるだろうというような数字を申し上げる段階に至っておりませんということを申し上げた次第であります。が、しかし、全く五里霧中なのかということでありますから申し上げましたのは、今年は実質八%の成長というような状態が見通されますので、来年度の経済成長率は、いままでのように、このぐらい伸びるであろうというような考え方ではなく、適時適切なる施策を行ない、また予算編成等において、財政規模等をきめますことによって、安定的な経済状態をつくりたいという基本的な考えに立っておりますので、今年度の八%以上には想定できないと思いますが、では七%か、七・一%か、六%台か、六%台に押えるのかというような数字を国会の席上で申し上げる段階ではないということを申し上げたわけであります。
○木村禧八郎君 私はその御答弁は非常に不満足です。池田総理は、国会の正常化ということをよく言われております。国会の正常化の一環としましても、予算ができてしまってから審議しても、ほとんどこれは野党の意見は取り入れてないんですよ。御承知のように憲法をごらんになりましても、法律については「法律案」となっております。しかし、予算については予算案となっていないのです。予算案となっていないで「予算」というふうに書いてあるのは、大体政府が編成してしまえば、つくってしまえば修正は困難である、編成権も提出権も政府にあるのでございますから、したがって、予算を編成される前に、予算編成のこの前提としての経済見通しなり、あるいは政府の来年度の経済の運営の基本的な方針というものについて、十分国会で明らかにして、十分に野党の意見を聞いて、そうしてそれを参考にして、その意見を取り入れて予算を編成するということになれば、不必要な混乱は、これは全部なくなるとは言いませんが、かなり私は違ってくると思うんです。したがって、予算編成の過程にあるから言えないとかなんとか、そういうことでなくて、もっとざっくばらんに、国民のための予算ではありませんか。国民が税金を納めて、それをもとにして予算をつくるのじゃありませんか。あなたのための予算じゃないんですよ。したがって、国民の税金の納め方、使い方については、十分に国会を通じて、予算編成の前であるからこそ、十分に、具体的にできる限りいままでの時点でわかっている範囲においては——変わったからといって私は責めるわけじゃない——もっと正直に、謙虚に、ざっくばらんに、われわれに御答弁される義務があると思うのです。したがって、もっと具体的に答弁してもらいたい。そんな抽象論でなく、具体的に答弁していただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほどから申し上げておりますように、来年は国際収支の安定ということも重要な課題でありますし、開放経済に移行するために国内均衡をはからなければなりませんし、総理大臣が申し上げましたとおり、所得格差、地域格差その他の問題から中小企業の問題、農業政策等に対しても重点を置かなければならないと申し上げておりますとおり、予算編成に対しては、あなたがいま言われたとおり、非常に慎重な配慮をいたしておるわけであります。現在、御承知のとおりこうして補正予算審議で衆参両院の審議に応じておるわけでありまして、大蔵省としましては、八月からの査定をいま続けておるのであります。 なお、経済成長率がきまらなければ税収見込みも立ちませんし、税収見込みが立たなければ予算総ワクもきまらないのでありますから、当然十八、九日までには経済成長率もきめなければならないことは言うをまたないわけであります。しかし、大蔵省と経済企画庁とが、いま合議中でありまして、数字を申し上げられる段階になっておりませんということを申し上げておるわけであります。しかし、全然数字に対してお話をしておらぬのではなく、今年度は実質八%を見込まれます。それよりも、多少引き下げぎみな状態で考えなければならないだろうということは、先ほど申し上げておるとおりであります。少なくとも財政支出の規模をふくらますことによって景気が刺激をせられるようなことがあってはならないという考え方を基本にいたしておりますので、いま、しいて申し上げるとすれば、今年度の成長率よりも低く押えなければならないという基本的な考え方は申し上げられますが、それが七%になるか六%台に押え得るかというような問題は、これから一週間の間に政府部内で十分各省間検討しまして、閣議で決定をし、御報告を申し上げます。
○木村禧八郎君 なるべく総理大臣がお答えを願いたい。というのは、このきょうの総括質問は、総理大臣が中心になるのでありますから。 そこで、じゃ、具体的に伺っていきます。来年度の自然増収をどのくらいにお見込みになっておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げましたとおり、経済成長率がまださだかに決定いたしておりませんから、基本的な数字が確定いたしておりませんので、それを基礎にして算定をする自然増収の見積りは、正確に申し上げることはできないわけでありますが、まあ大体、今年度が千七、八百億ないし二千億の自然増収が見込まれる状態でありますので、それを基礎にして推算をしますと、六千億ないし六千七、八百億の間でおおむねの計算ができる、このように考えております。
○木村禧八郎君 その成長率は、その自然増収ですね、大体本年度八%成長率を前提にしまして本年度二千億くらいで、それから来年度は大体六千七、八百億最高。六千億ないし六千七、八百億となっていますね。それは、この成長率をどのくらいに見、物価をどのくらいに見、鉱工業生産をどのくらいに見て六千七、八百億になるのですか。
○国務大臣(田中角榮君) 基礎的数字ははっきりしておらないということを申し上げておきましたが、六千七、八百億とすれば、どういう基準で算定すれば六千七、八百億になるのかという御質問でございますから、私がここで個人的な試算をあなたの御質問に対してオウム返しに答えたわけでありまして、根拠があるわけではありませんが、成長率を六・七、八%、六・五、六%から七・二、三%くらいの幅で抑え、物価を三%ないし四%くらいで押えていきますと、大体その程度になるのではないかというふうに考えられます。それは先ほど申し上げたとおり、今年度の自然増収という実績及び第四・四半期の見通しをもととしてオウム返しに申し上げた話でありますから、正確な数字ではないということは御了承願います。 —————————————
○委員長(太田正孝君) ただいま委員の変更がございました。須藤五郎君が辞任され、その補欠として鈴木市藏君が選任されました。 —————————————
○木村禧八郎君 六・五%から七%ぐらい。しかし、これは物価をまた考えなければならない。物価はどのくらいに考えておるのですか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げましたとおり、オウム返しにお答えをしたことでありますから、そのオウム返しに答えた数字をもととして逆算されてくると、もう一ぺん計算をして申し上げますということになるわけでありまして、あなたの質問に対して、現在ここで数字を述べないと、どうもおしかりでありますから、それにつられて申し上げたようなわけでありまして、先ほど申し上げたとおり、大体成長率を六・五、六%から所得倍増計画の年間七・二%ぐらいの幅を持ちながら、物価を三%−四%ぐらいで計算をしていきますと、六千億——六千七、八百億——七、八百億という数字は非常に多いかもしれませんが、新聞等に出ている六千五百億という数字を目標としていいかとも思いますが、もっと必要であれば十分計算をして申し上げます。
○木村禧八郎君 そんな無責任な答弁はないですよ。三%から六%の間なんというのは冗談じゃありませんよ。(「四%」と呼ぶ者あり)四%ですか、それは失礼いたしました。 それでは、経済企画庁長官がおられますので、企画庁長官が前に自民党の政調会に経済の見通しについて報告されたことが新聞に出ております。経済企画庁長官が自民党の政調会に報告された来年の経済見通しについて、ここで報告していただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 自民党政調会にそういう別に具体的なものを報告してございません。
○木村禧八郎君 新聞に出ているじゃありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的なものは報告しておらないと申し上げておるのであります。
○木村禧八郎君 新聞に出ているのは、あれはうそですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 新聞の報道につきましては別に私は責任を持ちません。
○木村禧八郎君 経済企画庁が作業をしておる案ですね、経済企画庁の作業を聞かしてくだざい。やったんでしょう。無責任ですよ。新聞によりますと、なるべく数字のことは国会で話さないようにということが申し合わせになっておる。そんな無礼なことはないと思う。そんな責任を回避する必要はない。明年度は重大な経済の段階に入るのですから、ざっくばらんにもっと国民に実体を明らかにして、十分に国民の批判を仰ぐ、そういう謙虚な立場で、ほんとうに日本経済をよくしていこうという立場で、もっとそういう数字を明らかにして、そうして議論をしなければだめですよ。そういう抽象論じゃだめじゃないですか。もっとまじめに誠実に答えてくださいよ。数字はあるのですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 数字はいろいろございます。しかし、先ほど総理大臣、大蔵大臣から答弁を申し上げておりますように、政府として数字の統一の過程にある段階でございますから、そういうプロセスの途中でなまのものを申し上げることは、私は意味がないと思うのであります。
○木村禧八郎君 それは見解の違いですよ。もっと謙虚な態度で——官僚的な答弁をするものじゃないですよ。もっとまじめに、謙虚に、自分はこういうふうに考えるがどうであろうか、批判を仰ぐぐらいのつもりでやはり報告をするべきですよ。 それでは大蔵大臣に伺います。六・五%から七%程度の成長率、物価を大体三%から四%ぐらいの見通しで六千六、七百億の自然増収、これが可能でございます。
○国務大臣(田中角榮君) ことしの実績がおおむね八%程度見込まれるということで先ほどから申し上げておるわけであります。今年度も自然増収は千七、八百億——二千億、こういうふうに見込んだものを土台にして考えていきますと、あとは物価の問題、消費者物価の問題、卸売り物価の問題、それから設備投資の問題等が要素として入るわけでありますが、先ほどから申し上げておりますとおり、まだ事務当局同士の成案作業も詰まっておりませんし、あなたの質問に対して誠意を持って答えろということでございましたから、私がオウム返しにそこでお答え申し上げたのが六千億ないし六千七、八百億。そのうちでお話しているうちにもっと詰めろと言うから、六千五百億と新聞に出ておりましたが、六千五百億と、こう申し上げたわけでありまして、いま不確定要素のままで答えろ、こういうことになれば、大体先ほど言ったとおり、六千億ないし六千五百億といったことが正しいかもわかりませんが、大体計算するとその程度になると私は了承いたします。
○木村禧八郎君 本年度は大体物価は八%くらいでしょう、成長率を八%くらい、消費者物価は大体八%近いじゃないですか、七%としてもいいですよ、本年度の消費者物価を。来年は三%ないし四%でしょう。成長率を本年度より落とすわけでしょう、落とすわけですね。それで六千五百億あるいは六千六、七百億の自然増を私は期待できないじゃないかと思うのですよ。そこで、そのためにはどうしても成長率をもう少し高くしたり、物価の上昇率を高くしなければならないということになってまいりませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げました私の成長率の上限は七・二%ということで申し上げたわけでありますから、七・二%以上の成長率を見込むというようなことは、国際収支の問題、物価の問題、その他の問題を十分検討しますと、それ以上に見込むというわけにはいかないのではないかというふうに考えます。
○木村禧八郎君 それで二つの問題が出てくると思うのですよ。物価を低く押えますと、期待どおりに十分成長率を実現できない。そこで財源不足のためにいろいろな方法を講ずるのじゃないか。まず第一は、ただいま外為会計のインベントリーを取りくずすということが伝えられている、これをおやりになるかどうか。
○国務大臣(田中角榮君) 現在一部にそういう議論があるように聞いておりますが、これを取りくずすか、これを使うかというような問題に対しては、現在未確定であります。
○木村禧八郎君 未確定……総理大臣に伺います。未確定といいますと、取りくずすかもしれないのですね。
○国務大臣(池田勇人君) まだそんな問題につきまして大蔵大臣から何も相談を受けておりません。これはもっぱら大蔵省において考えたあとで相談にくると思います。
○木村禧八郎君 それでは大蔵大臣、未確定というと、やるかもしれないのですね。取りくずすかもしれない……。
○国務大臣(田中角榮君) できるだけやりたくないという考え方で考えておるのであります。御承知のとおり池田内閣の健全財政の一番の基本は、当該年度の税収でおおむね財源をまかなっておるという、世界各国にも例のないようなそういう状況のもとで今日まできておるのでありますから、国債を出したくない。それから一般税収入でまかなうという基本的な考え方をとっていくことによって、健全均衡財政の線は引き続き貫かれるわけでありますので、いまの状況で私がインベントリーを取りくずさなければならぬ状況とも考えておりませんが、しかし、これまたまだいろいろ十分与党との折衝もありますし、また各閣僚間の問題等もありますので、いまそれを取りくずすとか、取りくずさなさないとかは、全く未確定である、このように申し上げたわけであります。
○木村禧八郎君 かりに取りくずさないとすれば、今度は歳出の方を削っていかなければならない。特にその中で歳出の方、これは当然増でありますから、それはあまり削ることができないとしても、減税分を少なくする、こういう方向にいかざるを得ないのです。総理大臣は総選挙のときに平年度二千億の減税をやると言われましたが、ほんとうに二千億減税をおやりになるのですか。総理大臣から……。
○国務大臣(池田勇人君) さきの国会では、来年度二千億近くといっておりましたが、大体、日本の経済も相当伸びてきておりますので、大蔵大臣も六千億をこえる自然増収が見込まれるということを言っております。また、三十九年度は、前年度剰余金が非常に減ってまいりまして、歳出の自然増と前年度剰余金が相当減るので、なかなか苦しいのですけれども、大体、今の様子では、平年度二千億近くでなしに、平年度二千億をこえる減税は、はっきり、ここでお約束いたします。
○木村禧八郎君 その二千億減税の中には、揮発油税、軽油引取税の増税は別なのかどうか。 もう一つ、税制調査会の答申は、減税の中に、輸出所得に対する特別措置その他、やはり、三十九年度で、それをやめれば、二百五十億ぐらいの増税になるはずなんです。それに対応して、それをなくすので、かわりに、経済競争力強化のために、税制措置を講じて、減税をしているのです。その減税も入って、二千二百億の減税を答申しているのですよ。それから、総理が二千億をこえる減税を必ずやりますと言いますが、その中には、ガソリン税とか、あるいは軽油引取税の増税というものを、これをやれば二千億じゃありません。それからまた、いま、輸出所得控除、あれを廃止すれば、増税なのです。あるいは航空機の通行税軽減を廃止すれば増税になるのですから、そういうものを入れますと、二百五十億、三十九年度で増税になるのですよ。そうしますと、ガソリン税、軽油引取税、それから今の輸出所得控除措置をやめること等によって、大体、七百五十億、他方で増税になるのですから、二千億平年度で減税するといいましても、大体、千五百億以下になってしまうのです。ここにインチキがある、ごまかしがあると思う。ですから、成長率を低める、物価を低く押えるということになれば、自然増収は十分に見積れないから、減税分でごまかそう、あるいは減税分でごまかせなければ、インベントリーを取りくずして、そしてまかなおうということになるじゃありませんか。そういうことをしなければ、成長率をかなり高くしなければなりませんし、物価の上昇も、かなり高いところを認めざるを得ない。いずれをとるのですか。そこへ追い込まれてきているのではないかと思うのですよ。この点、どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 三十九年度を起点とする減税につきましては、総理大臣がしばしば言明をいたしておりますように、平年度、国税、地方税を通じて、二千億以上という原則は守りたいという考え方は変わりありません。現在、こまかく申し上げる段階にありませんのは、税制調査会で検討中なのであります。まだ、税制調査会から、総理大臣あての答申が出ておらぬのであります。この答申が出ましたら、政府の立場で、党側とも十分、調整を行ないながら、総理大臣が、いま言明されましたように、平年度二千億以上の減税を行なうという考え方をとっておるわけであります。あなたの、いま言われたとおり、航空機の通行税を増すの、何を増すの、かにを増すのと言われますが、そういうことも決定しておりません。同様に、あなたは、現在の五%を一〇%に上げたほうがいいという考え方に立って、そう言っておられるのかもしれませんが、そんなことは検討しておりません。これは、はっきり申し上げておきます。なお、ガソリン税の問題は、これは、減税の中に入るのかどうかという問題に対しては議論があります。ガソリン税は目的税でありまして、道路五カ年計画も改定しないで済むのだと、また道路五カ年計画を改定しなくても、日本経済の将来に対して支障がないのだという考え方に立てば、もちろん、増税したくありません。しかし、ガソリン税を増徴することによって、この特定財源をふやして、道路五カ年計画を改定することが、より国民のためにプラスになるのだということに御判断になれば、そのときにおいて増徴せられるわけでありますから、このガソリン税の増徴がもしあったとしても、これは減税規模の問題とは違うと思いますが、しかし、ガソリン税がこの五カ年計画の改定のためにもし増徴されるとすれば、それらの条件も十分勘案しながら、いやしくも総理大臣が天下に明らかにした平年度二千億減税という基本線は貫きたいという基本的な考え方であります。
○木村禧八郎君 いや、私の質問にちっとも答えてないのですよ。二千億円名目的には平年度減税しても、ガソリン税とか、軽油引取税を増税してしまえば、差し引いて考えれば二千億にならぬでしょう。しかも輸出所得控除をやめれば増税になるのですから、そういうものもみんなひっくるめて考えなければならぬでしょう、常識として。いまはガソリン税は目的税であるから、これはもう増税である——これは転嫁されるのですよ、消費者にね。ですからそれは増税と考えるべきだと思う。当たりまえじゃありませんか。だから税といっているのでしょう。それですから、そういうものをやはり総合して二千億というのか。いま選挙が済んでしまったから、あの選挙のときにはそういうことを増税分と全然別にして減税の分のみだけで、国民に二千億以上平年度減税すると、国民を欺いたような気がするのであって、これはもし減税というものを、ほんとうにそういう増税分なら増税分と減税分を差し引いて、純減税がほんとうの減税とすれば公約違反ですよ。国民をだましたことになるのですよ。この点ははっきりして下ざい。
○国務大臣(田中角榮君) 選挙公約を忠実に守っておりますし、国民をだますなどという考え方は絶対にありませんということを申し上げておきます。ガソリン税というのは、御承知のとおり、あなたも専門家で十分おわかりになっていることだと思いますが、道路の特定財源として二十七年から、法律によって、院議によってなっておるのであります。ですからこれは現行道路五カ年計画を改定する方向がより必要であると、こういう考えで国会で意思決定になれば、そのときに考えられる問題でありまして、ガソリン税は、少なくとも選挙のときに公約をした二千億減税というものから差し引かなければ、国民をごまかすというようなものでは絶対にない。もっとはっきりいえば、ガソリン税は新しい観点において、もし増徴せられるとしてもせられるのでありますから、しかもこれは他に、その財源として徴収するのではありませんので、これは別と考えていただくのが正しいと思います。それから政府が非常に積極的に減税をやっているということは、これはこの短い特別国会においてさえも、砂糖消費税の五円引き下げの法律案をお願いしておるわけであります。二千億にこだわって、そういうことを考えておるなら、来年にのばして、平年度八十二億の減収になるのでありますから、国民のためになる減税は、年度にこだわらず絶えず、やらなければならぬという基本的な考え方を取っていることだけは、ひとつお認め願えると思います。
○木村禧八郎君 これまで経済企画庁は、予算編成にあたりまして、経済見通し、経済運営の基本的態度をとっておりますが、三十八年度は消費者物価二・八%という見通しであったですね。それが七%近く上がってきている。三十九年度は、先ほど大蔵大臣は、三%ないし四%ということを前提にして予算を編成するといわれましたが、それはもし三%ないし四%上がっていく場合は、ただそれは目標に過ぎないということで漫然と眺めているのか、来年度は物価に対する態度はこれまでと違わなければならぬと思うのですよ。それが五%、六%になった場合にどういたします、三%、四%に押えるためにあらゆる施策をとるのですか、それとも自由経済のもとだからしようがないのだ、過去の経験がそうでしょう。二・八%と予定したのが七%になる、来年度はその点はどうなるのですか。これまでと違わなければならぬと思うのですよ。その点はどうなんですか、経済企画庁長官に伺います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な数字について今申し上げる用意がございませんけれども、考え方としては、来年度の経済がいわば自然に推移する場合にはどういう形をとるか、その場合にはどういう問題が、おそらくいろいろ起こるであろうから、それについてはどのような政策努力が必要であろうか、政策努力をした結果がどのような姿になるであろうか、そういういわば二つの二本立てと申しますか、そういう考え方の経済見通しなり経済運営の基本方針を書いてみたいというふうに考えます。
○木村禧八郎君 いや、それは政策努力した場合と、今の趨勢で推移していった場合と二つ作業するのは、そうですけれども、しかしそれはもし、大体三、四%として、今度はっきり出てくるわけです、国会に提出されますよね。三十九年度の経済見通し、消費者物価何%と出てきます。そのときにそれをあくまでもその水準に安定させるという政策努力をやるのかどうか。今までは仕方がないとして、どんどん騰貴を認めているのですよ。認めているというよりも、自由経済だから仕方がないという、あるいはまた高度成長のもとでは、日本ばかりでなく、諸外国でもみんな上がっているのだ、だから自然なんだと、そういう今までどおりの考え方で臨むのか臨まないのか、この点は重要ですから総理大臣に伺います。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げましたように、できるだけ安定成長をはかりたいということでございます。なかなか、あなたも御承知のとおり、政府が一応見込みましても、自由経済のもとではそう見込みどおりにはいかない。そしてまた見込みどおうりにいかぬときに、いかなる方法で押さえるとしても、なかなか間接的なことしかないのです。しかし、そのままではいかないからというので、昨年来いわゆる消費者物価の安定につきましてはいろいろ方法を考えております。昨年決定いたしました十三の方策を今後ますます強く実行していくのみならず、消費者物価の値上がりの根源であるいわゆる農業、中小企業の近代化、経営の合理化等で抑制していく、こういう基本的なことはやりますけれども、具体的な問題は昨年決定したあの方法でいく、こういう考え方でございます。一応見込みを立てたから、その見込みが違っていこうがどうしようが、このまま放っておくと、こういう意味のものじゃないのであります。
○木村禧八郎君 すると、今までと違う態度をとっているわけですね。たとえば四%ぐらい予定したのが五%、六%になっていけば、四%になるように努力していくのか、それでは財政面についても、財政支出の使い方が違ってくるんですよ。実効的な使い方をしてくる、規模がふえても。あるいは金融面においてもっと引き締めをするという方法もあるでしょう。ですから今までと考え方を違えなければならぬわけですよね。非常に消費者物価が上がってきたので、いろいろなそれにつれての混乱が出てきて、国際収支の問題も出てきているのですから、物価問題に対する取り組み方は今までと違わなければならない。自由経済だから目標なんであって、もっと上がっても仕方がないという態度では、これでは物価安定はできないわけですよ。その点どうなんですか。
○国務大臣(田中角榮君) 計画経済ではありませんから、計画できめたらその数字でぴしっと押さえるということにはなりませんけれども、いま物価問題を来年度の重点事項にしているということを申し上げたとおり、財政金融の健全な基調を貫ぬくことによって、少なくとも刺激的な物価に直接影響するような施策は絶対にとってはならぬという基本的な態度は申し上げておるとおりであります。 また物価を四%ないし三・五%と政府が押さえた場合には、予想をした場合には、実際の物価が安定するように、その数字でおさまるような財政支出の方法その他具体的な問題に対しては、積極的な施策をとらなければならぬということは言うをまたないわけであります。
○木村禧八郎君 自由経済、自由経済と言いますけれども、自由経済というものを前提としての施策のやり方があるのですよ。自由経済だから行き過ぎてもしようがないと言うけれども、自由経済というものはそういうものだということを前提にして、いわゆる高度成長が行き過ぎない政策があるわけですね。金融政策だって金利を引き上げればいいのですし、窓口規制を強化すればいいのですよ。目標だったら何のために目標を立てるのですか。それになるべく近ずけるように自由経済を前提とした政策というものが、何でも計画経済じゃなければ全然できないというわけではないでしょう。みな自由経済にそういう責任を転嫁してしまうのですね。それは間違いだと思います。 時間がないから次に移りますが、自然増収を十分に確保するためには、物価をあまり上げないとすれば、かなり成長率を高くしないと、全体の国民所得はふえませんから、自然増収も多くならないでしょう。成長率を高くすれば今度は国際収支の問題がどうしても出てくるのですよ。だから国際収支については来年度どういうふうに見通されていますか。まず、経済企画庁の新聞の報告ですが、あれは大体物価を四%弱、成長率を七%弱、これは実質ですね。国民生産を八・八%程度見て、つまり政策的努力をしても二億ドル程度の総合収支の赤字になるという御報告がなされたように新聞に出ている。大体そういうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段につきましては私の申したことでございませんから、先ほど申しましたように責任を負いません。しかし後段の問題、つまり相当の政策努力をしても国際収支にかなりの赤字があるであろう。それが二億ドルであるか、一億五千万ドルであるか、その辺のところはこれからの作業のつまり方でございます。いずれにしても貿易そのものがかりに収支均衡いたしましても、貿易外では貿易量が伸びますだけ今年度よりも赤字が大きくなるであろうということは間違いないと思われますし、また資本取引についても、いろいろ御承知のような経緯から過去におけるほどの大きな期待を持ってはならない。こう思いますので、国際収支である程度の赤字が出る——私の申したかったことは赤字が出ることがこわいと言っているのではございませんので、そのような国際収支のあり方、すなわち経常的なものを非経常的なものでカバーしているというあり方そのものは、時間をかけてだんだん是正をしていかなければならない。こういう気持がございましたので、そういうことを申したわけであります。
○木村禧八郎君 私はあまり成長率は落とすべきでないという考え方です。それは雇用の問題がありますからね。ひどいデフレ政策をとるべきではないという考え方に立って質問しているのです。もちろん物価は下げなければなりません。物価は下げて成長率を高くするということになれば、そこに国際収支の問題がどうしても起こってくるのですね。輸入がふえてまいります。特に開放経済体制に入ってきますからね。そこで、国際収支の積極的な前向きな打開策というものがどうしても必要だと思うのですよ。そこに最後は焦点が来ると思うのです。私はそういう立場で質問しているのです。いたずらにデフレ政策をとれという、そして失業者が出たり、中小企業が倒産したり、そういうことをわれわれは避けなければならない。これは今まで政府が行き過ぎた高度成長をやってきましたあと始末をしなければならないのでございますから、われわれとしても正直に言って非常にむずかしい、来年の経済の見通しについては。ただ観念論ではいろいろ議論できましょうけれども、実際問題としては、それは物価を下げるために非常なデフレになって、失業者が出たりなんかすれば非常に問題ですから、そういうことは避けなければならない。そこで、国際収支についてはかなり積極的な努力をしなければならない。これは単に経済政策ばかりでなく、外交の問題もからんでくるわけですね。そこで、いま御答弁いただきましたが、かなり政策的努力をやっても国際収支が赤字であるという御答弁でしたが、日本の国際収支を打開していく場合に、また積極的に拡大均衡のもとで国際収支を均衡させていくという場合、どういうふうに今の時点で対策を講じたら一番いいとお考えですか。総理大臣。
○国務大臣(池田勇人君) やはり片一方では輸出の振興、片一方では貿易外取引の赤字の主要なる原因のいわゆる船賃の問題、造船の拡大等でございます。外資の導入につきましても、私は、基本的には日本の設備投資が、現状をもってすれば、相当各国に比べて多いのでございます。そういう意味で長期の資本の導入は、ここしばらくは必要であると考えております。
○木村禧八郎君 そんな抽象的なことでなく、具体的に伺いたいわけです。私は、実際問題として対米関係の貿易、あるいは貿易外資本収支の問題、これにもっとメスを入れて、もっとこれを改善していかなければだめだと思うのです。われわれは、もちろん共産圏貿易も拡大しなければなりませんし、EEC対策も必要でございましょう。しかし、当面いまの国際収支を赤字にしている一番大きな要因は、対米関係ですよ。そこで、私は具体的に伺いたいのですが、対米関係の貿易収支はどうなっていますか。昭和三十七年、あるいは最近、これはずっと赤字になってると思うのです。 これは通産大臣に伺いたいのですが、かなりの赤字であります。四億ドル、あるいはそれ以上の赤字です。大体本年度はどのくらい対米貿易についての赤字になるかどうか。それをよその国に対する輸出の黒字、あるいはアメリカの借金において埋めてきているのです。その点が一つと、もう一つは、貿易外収支において、対米関係のバランスはどうなっているか、貿易外収支において。もう一つは、資本収支において対米関係はバランスはどうなっているか。この点三つについて伺いたい。
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。 御案内のように、対米貿易は確かに毎年輸入超過になっておることは事実でございます。そこで、これはいわゆる原料といわれる基礎物資が相当輸入されておりまして、輸入量の六割ぐらいを占めておることもすでに木村さんが十分御存じのことと思いますが、御質問のございました今日までの経緯を申し上げてみますというと、ここ五年間の経緯を申し上げますと、一九五九年には、むしろ輸出がふえて一億一千三百万ドルふえております。ところが一九六〇年には、二億三百万ドルの赤でございます。一九六一年が八億五千三百万ドルの赤、これが一番問題になった事態でございますが、一九六二年は一億三千五百万ドル、ことしは、一九六三年でございますが、一月から八月までの数字が累計されております。これによりますと、現段階において、一億六千二百万ドルの赤でございまして、これはいろいろ事情もありますが、まだいささかふえる見込みでございます。鉄鋼関係の問題とか、いろいろの面におきまして、まだ若干の赤字がふえるのではないか、こういう観測をいたしておるわけでございます。
○国務大臣(田中角榮君) 対米収支の推算数字でございますが、昭和三十七年の実績は、貿易収支じりでもって一億三千五百万ドルの赤字、貿易外収支じりでもって八千百万ドルの黒字。計経常収支は五千四百万ドルの赤字。資本におきまして、長期が二億六千四百万ドルの黒字。短期が一億二千四百万ドルの黒、資本収支じりで三億八千八百万ドルの黒字、これを差し引きいたしますと、総合収支じりで三億三千四百万ドルの黒字というふうに考えております。 それから貿易外の問題でありますが、これは特需が三十五年から減っておりまして、今年度は三億一、二千万ドルの見通しをつけておるわけでございます。
○木村禧八郎君 対米関係におきまして、商品貿易も貿易外収支におきましても非常なマイナスなわけでしょう。それをアメリカから借金、資本収支でカバーしていく、あるいは、よその国に対して輸出を増加してまかなっていると思うのですが、実際問題としては、もっと貿易外についても、資本収支、貿易外取引についても、対米収支の関係をもっと積極的にふやすことの努力をしなければ、一方に対していろいろ努力しても、今の時点ではそれが非常に十分な効果をおさめないと思う。そこで、これまで私は、政府はアメリカのドル防衛政策、ドルの危機ないしそれに対する態勢としてのドル防衛政策に対して過小評価していたのではないか。総理大臣は、特に昭和三十五年の十二月におけるこの予算委員会で、当時、アイゼンハワー大統領がドル防衛政策を出してきたときに、総理は、大した影響がない、ワサビみたいなものだ、むしろ少し刺激になっていいのだと言って、非常に過小評価していたのです。それが今日になったらどうですか。利子平衡税等、アメリカのバイ・アメリカン政策、これも国際収支に非常な影響を及ぼすに至ったじゃないですか。総理は、長い目で見ろとよく申しますが、やはり長い目で見なければいけません。これについても、これはやはり過小評価していたのです。この点について、総理はどうお考えですか。 それから今後のアメリカのドル防衛政策の影響、私はかなり長期にわたって深刻だと思うのです。この点について、総理はどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 過小評価したというあれでございますが、これは見方でございます。昭和三十五年、六年には、国内の非常な急速な成長で赤字になりました。その後、大体順調な方向をいっております。そうして、最近の利子平衡税につきましては、これは実際問題としてまだきまっておりませんが、いまのままいった場合、あの法案がそのまま通った場合におきまして、株式の取得あるいは長期資本の流入には相当影響がある。しかし、この問題はいち早く大平外務大臣とジロン、あるいはラスク国務長官との話し合いで、日本に非常な深刻な影響がある場合には考えるということになっている。したがいまして、過小評価とかなんとかという問題につきましては、これはいろいろ見方がございましょうが、私は、日本の国際収支は、先ほど申し上げましたように、今後輸出努力を重ね、そうして貿易外収支についての赤字を少なくする方法をとっていけば、そう心配はないのじゃないかと考えております。 それからアメリカとの貿易も、先ほどから言っておりますように、一九六一年が八億ドルの赤字でございます。昨年は四億ドルに減ってきております。今年はそれがまた減ろうとしております。だんだん改善されつつあります。しかし、今後私は、アメリカもさることながら、やはりヨーロッパ方面、先進工業国との貿易の量を増そう、EECができまして、五年間かで倍以上になっております。非常なヨーロッパの伸び方でございます。今後はやはり日本の製品をもっと高度化し、工業国への関心を強めていきたいと考えるのであります。 国際収支の見通しにつきまして、私は楽観はいたしませんが、非常に心配いたしているという状態ではないと思います。本年度もある程度赤字になると思います。その赤字のうちでも九千万ドルは、アメリカから借金して過年度の借金を返しているという状態でございます。貿易収支は、実態はそう心配するほどではないと、楽観はしておりませんが、注意を払いながらやっていけば、さしたる問題はないと思います。
○木村禧八郎君 大平外務大臣に伺いますが、利子平衡税は七月の十八日ですか、ケネディの特別教書、あれが発表されたときに、日本の外務省は、これは新聞に伝えられたところでは、寝耳に水であった、知らなかった、突然であった、と伝えられておりますが、前から知っていたのじゃないですか。あるいは知らなかったのですか、その点はどうなんですか。私は知っていたのじゃないかと思う。その前から株が下がっていますからね。どうも知っていて、それが外部に漏れて株が下がっていたんじゃないですか。どうも知っていたんじゃないかと思いますが、ほんとうに知らなかったのですか、この点伺いたい。
○国務大臣(大平正芳君) 御案内のように、公定歩合の引き上げとか、あるいはああいった利子平衡税の創設というような微妙な問題は、アメリカ政府少数の人が腹案を持って御検討されておったとは思いまするが、われわればかりでなく、全世界にとって、いまおっしゃったように寝耳に水でございました。
○木村禧八郎君 寝耳に水であったと。それじゃ伺いますが、昨年十二月の二十一日付で、アメリカ議会の上下両院の合同経済委員会の委員長のパトマン氏あてに出されております合同委員会の国際収支分科会委員長ロスという人の報告を御存じでございますか。昨年の十二月二十一日ですよ。これは外務省に来ていると思うのです。これは御存じでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 寡聞にして聞いておりません。
○木村禧八郎君 これは重大ですよ。この報告は十二月の二十六日付で、パトマン委員長から合同委員会の委員に配付されている。大体十二ページのパンフレット。この内容が十二月二十八日のニューヨークの各新聞に相当大きく報道されておるのであります。この事実も知らないのですか。
○国務大臣(大平正芳君) よく承知しておりません。
○木村禧八郎君 この中には、今回の利子平衡税よりもさらにきついと思われるこの国際収支対策を講ずべし、という報告が出されているのです。それを知らなかった。これを知っていれば当然こういう状態があらわれてくるということがわかったはずでありますし、日本政府としても、寝耳に水であると、あわてて外務大臣が行って醜態をさらしたりしなくても私は済んだと思う。その内容はこうなんです。結論的には、アメリカの国際収支改善について、アメリカの対外軍事援助とか、後進国援助等については、先進国側は肩がわりするようにいままでよりもっと強い措置をとるべきだということ、それからバイ・アメリカン政策はさらに強化するということ、EECのアメリカに対する差別的関係を撤廃させるなり、早く縮小させるようにしていく、こういう政策をとると同時に、さらに四つの措置をとるということがここで報告されている。一つは、アメリカの資本市場で新規の外国債の発行を禁止するということが報告されている。第二は、国際収支のいい国にアメリカが直接投資を行なうにつきましては、スクリーンをかける。特にアメリカの国際収支に長期的な影響を及ぼすような投資は強く制約する。第三は、アメリカ人が外国旅行に使う金を制限する。輸入については、インポート・タクス、輸入税をかける、こういうことが報告されているのですよ。しかも、これがアメリカの新聞にかなり大きく報道されている。それが十二月二十八日ころなんです。これを外務大臣知らないのですか。これを知っていれば、利子平衡税よりもさらにきつい政策が出るかもしれない、アメリカの資本市場で新規外国債の発行を禁止するという報告がなされているのです。一体外務省は何しておったのですか。アメリカ大使館は何しておったのですか。こんなに日本の国際収支、日本の経済に重大な影響を及ぼす利子平衡税に対して、寝耳に水である、全く知らなかったと言われている。何たる醜態ですか。この点、全然御存じないのですか。こんな重大な、新聞にすでに出ているのです。御存じなかったのですか。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカの国際収支が、御承知のように、貿易面では総合で四十億なにがしかの赤字を示しておる。そこで、アメリカ政府にとりまして、国際収支のバランスを回復するということが至上命令であるということはよく承知いたしておりますし、また、現にAIDの買い付け等が逐年減ってきておることも承知しております。ただ、あなたの言われた利子平衡税の創設というような形において事態の収拾策がなされるということについては、私どもは寝耳に水であったと正直に告白したわけであります。
○木村禧八郎君 もう一つ伺っておきたいのは、本年の六月に発行された国際決済銀行の年次報告書、これをお読みになったと思うのですが、この中には、アメリカの積極的な国際収支対策の必要を強調しているのです。とりわけ、アメリカの民間資本の流出に対しては、金融引き締めという伝統的手段が必要であるときびしく批判しているのです。これまでアメリカの国際収支が多少緩和されたのは、ヨーロッパの協力があったからなんです。そのヨーロッパが、アメリカがもっと民間資本の流出に対して強力な抑制措置を講じなければ協力しないぞ、こういう意見が年次報告に出されたのです。このことがアメリカの利子平衡税あるいは金利引き上げ等を行なうのに大きな影響を与えたであろうということが書かれてあるのですよ。こういうことを御存じならば、当然アメリカが何らかの強力な措置を、ドル防衛政策を講ずるに違いないということがわかるはずなのです。しかも、さっきのパトマン氏の報告もあるわけでありますから、そんなにあわてふためいて外務大臣が急遽周章ろうばいしてアメリカに行って話し合いするという醜態を演じなくてもよかった。ヨーロッパが平静であったのは、大体こういうことがヨーロッパではわかっていたと思うのです。また、ヨーロッパとの間には話し合いがあったと思うのです。これから日米経済合同委員会、来年開くといいますが、日米経済合同委員会を開く前に、日米経済合同委員会で討議されなければならない重要問題が事前にどんどんきまっちゃっているじゃないですか。アメリカの対外援助の大幅削減、利子平衡税はおそらく通るでしょう。そのほかに、最近伝えられておりますように、アメリカの日本の軍事援助に対する無償軍事援助の打ち切りとか、あるいはまた、日本及びその他の国の原料及び部分品がアメリカ品の三割以上占めておる場合には、アメリカの対外援助の対象にしないとか、次々といわゆるバイ・アメリカン政策、シップ・アメリカン政策が強化されておるのです。合同委員会で話し合う前にどんどん事前にきまっておる。ことにジョンソン大統領になってからその傾向が強いのです。したがって、こういう事態の推移に対して、もっと的確なる情勢分析なり、情勢報告ですね、もっとウエル・インフォームドというのですか、そういう状態にならなければ政府は誤るのじゃないか。特に私は、今後日本の貿易収支、また国際収支の改善については、対米貿易面においてもっと自主性をはっきりさせて、そうして打開していかなければ、実質的になかなか改善されないと思います。こういう点について、外務大臣の御所見を伺いたい。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、各国の経済政策につきましてウエル・インフォームドの状態に置かなければならぬことは仰せのとおりであります。私どももそれに最善を尽くしたいと思います。 いまのアメリカのドル防衛政策についての言及でございますが、私どもといたしましては、ドルが自由世界のカレンシーである以上は、これが安定しておるという状態が貿易の拡大にとりまして非常に重要なことだと心得ておるわけであります。ドル防衛につきましては虚心に協力してまいりましたし、今後もしてまいるつもりでございます。ただ、このドル防衛政策のためにアメリカがとりまする個々の政策についての御批判でございますが、開放経済体制下におきまして、アメリカがたとえばバイ・アメリカン政策をとっておるということは、批判の余地はあると思います。ただ日本がこれに対しましていろいろ反駁を加える場合に、しからば反駁する側の日本が一体バイ・ジャパニーズにおいてどういう政策をとっておるかということもまた頭に置いていかなければならないと思うのであります。御案内のように、経済協力では日本は一〇〇%日本の物資及び役務で協力するという姿勢をとっておるわけでございますが、アメリカは原則として自由でございましたが、ドル防衛の必要上、若干の品目に、また地域につきまして、漸次バイ・アメリカン政策を強化してきたという場合、もし私どもが完全に自由に経済協力をしておるということでございますならば、アメリカの政策につきましていろいろ反駁ができるわけでございますけれども、自分のほうは一〇〇%バイ・ジャパニーズ政策をとっておりながら、他国についてそれを批判するというようなことは、私はフェアでないと思うのです。しかしながら、現にアメリカが戦後長い間経済協力、経済援助をやってきた、それを急に減らすというような措置を講ずることは、同盟国ないし被援助国の経済に及ぼす影響は非常に甚大でございます。ですから、そういった点を漸次マイルドの姿に持っていくようには、常にアメリカ政府と密接な話し合いを進めておるわけでございます。根本的に申しまして、木村委員がおっしゃるように、自主的な態度で先方に促すということは十分精力的にやらなければならないと思いますけれども、同時にやるほうの立場から申しましても、こちらの姿勢もまた正しくなければならないということは、先般の本会議で総理の言われたとおりだと思います。
○戸叶武君 関連して……。
○委員長(太田正孝君) 戸叶君から総理大臣に対する関連質問がございます。これを許します。
○戸叶武君 木村さんに対する総理大臣の答弁の中において、大平さんがジロン財務長官と会ったときに、利子平衡税の問題で、これに対して重大な問題が起きたならば相談に応ずるというような話があったということでありましたが、これは総理大臣と大平さんからその内容を聞かなければならぬのでありますが、利子平衡税に対する免税措置というものは、通貨制度の危機以外にはないと思うのでございます。カナダにおいて免税措置を行なったのは、為替管理の統制がないカナダで、一夜で二億ドルかのショックを受けたので、そういう関係から、これは例外、特例としてそういう免税条件が付せられたのでありますが、日本がカナダ並みにしてもらえるという錯覚のもとにジロンのところにかけつけた大平さんは、かえってそれがために恥をかいたのではないかと思うであります。木村さんが言っているように、ケネディが打ち出しておるところの経済政策は、第一に国内成長の促進、二に失業の削減、三に国際収支の赤字の削減ということを明確にしておって、特に短期及び長期資本の国外流出抑制に対しては、具体的に米国政府は、短期資金の海外流出を抑える措置として、連邦銀行をして七月中に公定歩合の引き上げをさせ、次いで長期資金の流出を押えるために利子を平衡税を行なったことは明らかであります。このアメリカとの貿易閣僚合同会議すら持って、緊密な交流が行なわれているのに、政府はこれを知らぬというはずはないと思うのでありますが、その点を明確にしてもらいたい。 もう一点は、大平さんにお聞きしたいのですが、あの利子平衡税をアメリカで行なう、その電報が外務省に入ってからそれが発表されるまでの間に相当の時間があるので、この間に何らか不明朗な点があるのじゃないかという疑惑が一般に持たれておるのであります。外務省として何時にその電報を入手し、そして何時に発表したか、この点を明確にしてもらいたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 私とジロンさんとの間でつくられました共同声明は、これは読んで字のごとく、発表いたしましたことに何ら双方で意見の懸隔はございません。戸叶さんがおっしゃるお言葉でございますが、利子平衡税法案というのはいままだ国会にかかっておることでございまして、これがどういう姿で成立するか、成立したあと金融市場がこれに対応いたしましてどういう姿勢をとりますか、そういうことがきまらないと、この問題の影響、日本がアメリカ市場で資金を調達する場合の予想が立たないわけでございます。そういう意味で、この問題はまだ論議の段階にあるわけでございまして、本ぎまりいたして市場の姿勢がきまらないと、日本に対する影響は十分読み取っていくことができないと思っているわけでございまして、私どもは、日米共同声明にありますような事態が、すなわち日本の国際収支が非常に危機に瀕するというようなことになった場合にどうするかということを論議する前に、この法案の行くえがきまりまして、それに対して市場の姿勢がきまる、そうしてわが国に対してどういう影響があり、それに対してどういう対案を練るかという、あなたが御指摘される前の問題が重要だと考えておるわけでございます。しかし、せっかくのお尋ねでございますから、この共同声明に盛れらたのは、通貨上の危機が起こらなければ利子平衡税の免税ということは起こらないのではないかという御質問でございますが、これはこの共同声明を読んでいただけばわかりますように、一番最後の段に、もし米側の予想に反しという意味は、米側といたしましては、利子平衡税問題が米側のとおり実行されても、日米の間に金利の格差がある以上は、ある程度の長期資本は依然として日本はアメリカ市場で調達するであろうし、それが可能であろうという、こういう予想を立てているわけでございます。もしその米側の予想に反して、日本において深刻な経済上の困難が生ずる場合は、米国は証券の新規発行に対する平衡税の何らかの形での免税の考慮を含む問題の解決のためにとらるべき適切な措置に関し日本と協議することが合意された、こういうわけでございまして、この文言から読み取れますように、通貨制度の危機というだけに問題が限局されていないということは、この文言が示しておると思うのであります。ただ、繰り返し申し上げますが、こういった事態を生じないように、いま申しました前段の配慮を十分加えてまいるのが政府の当然の措置であると私は考えております。 それから、電報の点はあとで調べましてお知らせいたします。
○委員長(太田正孝君) 木村さん、質疑の予定時刻が過ぎましてございますから、それをお含みの上質疑を続けていただきたいと思います。
○木村禧八郎君 時間がまいったようでございますから、最後に締めくくりに、いままでずっと質疑してまいりました、それに対する答弁をお聞きしまして、最後に御質問したいのですが、来年度の予算編成の前提とし、また来年度の経済運営の基本方針として国際収支にまず重点を置く、第二には物価安定——国際収支については、経済企画庁長官もかなり積極的な政策努力をしてもかなり赤字が生ずるであろうというお話でした。それから、国際収支の均衡に重点を置くとすれば、物価をかなり下げなければならぬわけですね——消費者物価、あるいは最近では卸売り物価も上がりつつあります、はね返ってきておりますから。すると、物価をかなり低く押えれば、三十九年度予算編成にあたって自然増収が十分に期待できないのではないかというおそれもあるのです。そこで、かなり成長率は高くしなければならなくなるでしょう。そうすると、輸入がふえて、国際収支が赤字になる危険がある。そこで、政府の腹はどういうところにあるか。国際収支はかなり赤字になっても、外貨保有高がかなり減っても、万一の場合はIMF等からスタンド・バイ・クレジット等を借りれば借りられるのですから、借りてそうしてしのいでいく。ですから、来年度は、総理も国際収支の短期的赤字に驚いたのではいけないということを言っておるのです。しかし、それが三億ドル、四億ドルの赤字になり、しかも国際収支の赤字の内容を見ますると、貿易外収支において赤字がどんどんふえておるのであって、かなりこれは恒常的な赤字であります。そう短期にこれは解決するものではないのです。しかも、いままでボローイング政策、借金政策をやってきまして、その元利収いも非常にふえてきておりますよね。そこで私は、国際収支の赤字をおそれるなと総理が言っておりますけれども、私はもっとこの点については慎重に考えなければならぬと思いますが、しかし総理はあまり赤字をおそれないようでございますから、来年はかなり国際収支の赤字を覚悟して、そして成長率もかなり高めにして、物価もあまり積極的に下げることをしない——四大銀行あたりの、あるいはまた経団連あたりの見通しでは大体五・五%か六%ぐらい、三菱銀行は七%ぐらい見ておりますよね、消費者物価。ですから、三%ぐらいに抑えるったって、あるいは四%あたりですね、それはそういう意図であるということは発表しますけれども、真剣に物価対策は講じられないのではないか。そして、国際収支のかなり大幅な赤字を覚悟して、そうしてこの困難な状態を昭和四十年に持ち越す、そういう態度で臨むのではないかと思うのです。そうなると、危機はただ次に持ち越されただけであって、一そうその矛盾は大きくなる可能性がある、こういうふうに思うのでありますが、この点について最後に御質問いたしますが、総理大臣の御所見を伺いたい。 われわれはそういうふうに判断しておる。それは決して私はいいことではないと思うんですよ。われわれは、成長率はあまり落としてはいけない。しかし物価は下げなければならない。そうすると矛盾の集積が国際収支にくる。国際収支を前向きに打開するためにはどうしたらいいか。いままでの自主性のないやり方ではだめですよ。OECDに参加する——OECDに参加する条件として非常な大きな譲歩を要求されておるではありませんか。たとえば、貿易外取引についての海運の問題ですよ。海運の問題は大きな譲歩を要求されているでしょう。資本取引の自由化についても、日米通商航海条約との関係もあって、これは重大ですよ。今後OECDに参加して大国の仲間入りをするのだからいいのだというような安易な態度では、これは許されない。OECDに参加する条件として、資本取引、貿易外取引についての自由化を要求されておるのですから、そうしてOECDに参加すれば、また低開発国に対する経済援助というものを要求されてくるのです。アメリカの軍事援助、経済援助の肩がわりを要求されてくるわけですよ。非常に事態は楽観を許さないと思うのですよ。したがって、そういう点について、危機をただ次に持ち越すというような、そういうような形で来年度の予算を編成し、来年度の経済を運営したのでは、これは私は間違いではないかと思うのです。最後の締めくくりの質問といたしまして、総理の御所見を伺います。
○国務大臣(池田勇人君) 大体私が考えていることと同じようなお考えをお持ちのようでございます。国際収支は、先ほど申し上げましたように、私はできるだけ均衡を保ちたい、原則は。ただ一時的な赤字も、その内容によってきまるわけでございます。日本のいままでの国際収支の赤字というものは、やはり経済成長によります見込み輸入、見越し輸入が相当多かったということが原因でございますから、したがって、国際収支の回復は予想以上に早かったわけであります。今回の問題も、たとえば、私は昨年の暮れ、今年の一月に、秋を待たずして景気は好転すると言っておりました。五月ごろは前年に比べて生産は五%ぐらい、八月が大体一一%、十一月は前年に比べて一六%ふえております。この一六%ふえるのが、このままいつまで続くかという問題でございます。一六%の生産増ということは、非常に大きな数字でございますよ、いまの状態では。そこで、大蔵大臣、日銀がああいう措置をとられたと思うのでありますが、来年度どう見るかということは、もう少し様子を見なければなりません。しかし、考え方としては、皆さん御承知のとおり、高度成長をやめたとか何とかいろいろ議論がありますが、三十七年度の予算では総生産を六・五%と見ております。従来の一七・八%、二〇%の実績とうんと違って六・五%、そうして実質成長を四・二%と見たのです。三十七年度の実績は八・九%の伸びで、実質が五・九%でございました。予定よりも四割ばかり上がってきております。
○木村禧八郎君 実質が五・一じゃないですか。
○国務大臣(池田勇人君) 四・二です。六・五の名目で実質四・二。それが八・九、そうして実質が五・九となりそうです、三十七年は。三十八年はどうかと申しますと、先ほど申し上げたように、五%から一一%、いま一六%、これがどういくか、どの程度に今年を見るか、今年の総生産の増強をどう見るかというのが、多分一四%近くを見ているでしょう。そうして実質八・一%の国民所得の増加を見ております。そこで、実質が一昨年五・九%、今年が見込み八・一%というようなことを考えながらやるのですが、国際収支の問題で、前年度に比べて一六%がいつまで続くか、これをどうするかという問題があるのであります。したがいまして、国際収支という点につきましては、いまの一六%をずっと続けていくならば、これは相当な国際収支の心配というものが出てきます。どう押えるかということでいま考えておるので、これがやはり、大蔵大臣が先ほど言ったように、予算が景気を刺激しないようにという考え方で、いわゆる健全均衡予算を考えていっているようであります。けっこうなことだと思います。そうやってみますと、大体来年度の分は、あなたは、よほど生産を多くしなければ自然増収が出てこない、こうおっしゃいますが、今年の伸びというものが相当行っておりますから、私は、あなたの生産を相当多く見なければならぬということには、必ずしも賛成はいたしませんが、しかし、あなたが御心配になっているところは、私の考えているところと大体一緒でございます。国際収支をできるだけ均衡しろ、そうして三十九年度何とか切り抜ければ、問題は四十年度に残すというようなことは、できるものではございません。ことにわが国としては、OECDに入るから、国際信用というものが最も重要なことでございます。考えようによっては、この際健全均衡でなくても、ある程度国債は発行してもいいじゃないかと言う人もあります。しかし、国際信用を重視する私といたしましては、やはり健全均衡予算でいきたいという考えでございます。生産もほどほどに、また生産がどの程度伸びるかによりまして消費者物価も考えられるわけです。大蔵大臣が三%ないし四%と言ったのは、大体一〇%余りを見ておるんじゃございますまいか、総生産の伸びを。その余りがどのくらいになるかわかりませんよ。大体そういうところから、逆説でいうと、三分の一か四分の一の消費者物価は、ある程度成長のときにはやむを得ないという一般の学説からいいますと、おおむね総生産の上昇というものは想像つくんじゃないかと思います。 したがいまして、私は、三十九年度の予算は、三十七、三十八をやってきたいわゆる行き過ぎた高度成長を予算面で押えていくという考え方には変わりはございません。予算の編成を、できるだけ刺激しないように、三年目の予算でございますから、よほど考えて大蔵省もやっていると思います。
○木村禧八郎君 これで質問を終わりますが、最後に、簡単にちょっと意見を述べて終えたいと思います。 いままで、来年度の予算編成、あるいは経済の基本方針についての量的な面から質問したのですが、実際は、そのの量的な面と同時に、質的な内容の面、同じ成長率でも、中身が重要です。中小企業なり、あるいは農業に重点を置く、いままでの大企業中心を切りかえまして。社会保障をもっと充実する、いままでの公共投資でも、大資本の経済基盤強化にのみ重点を置きましたが、生活環境をもっとよくする、というほうに向けなければならぬ。そういう点について、もっと突っ込んでお伺いしたいと思ったのですが、時間がございませんので、私は量的な面について御質問したわけでございますが、この点は一応私の意見を述べまして、ただ量的な面にのみ問題をとらえておったというふうに誤解されるといけませんから、その点は、時間がなく質問ができなかったということで、私の質問を終わります。
○委員長(太田正孝君) 木村君の質問は終了いたしました。 暫時休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ————・———— 午後一時十二分開会
○委員長(太田正孝君) これより予算委員会を再会いたします。 委員の変更がございました。基政七君が辞任され田畑金光君が選任されました。 —————————————
○委員長(太田正孝君) 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。山本伊三郎君。
○山本伊三郎君 それでは最初に日韓問題でひとつお伺いしたいと思います。 池田総理並びに大平外相から御答弁を願いたいと思います。日韓問題の中に入る前に、総理にちょっと聞いておきたいのですが、さきにケネディ大統領の葬儀に参列しました際に、ジョンソン新大統領と御会談をされた報道を聞いておるのでございますが、その際、世界情勢なり、あるいは日米関係の話をされたと聞いておるのでございますが、日韓会談の問題は、極東の情勢に非常に影響があるので当然そういう話もされたと思うのですが、この点につきましてお答え願いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 世界の情勢並びにアジア、また、日韓会談の問題、そして日米関係の問題等について短時間ではありましたが、一応話しました。
○山本伊三郎君 この場で内容は話せないかもしれませんが、日韓会談に対するアメリカにおける考え方というものはどういう考え方をしておるか、聞かれるならばひとつ聞かしてもらいたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 日韓会談につきましては、向こうの意見は聞きません。私の考え方をお話ししたわけであります。
○山本伊三郎君 それでは日韓会談の問題に入りますが、ちょうどきょうが軍政から民政に移管するということを聞いておるのでございますが、また、特使として大野氏が派遣されるように聞いておりまするが、日韓会談の問題点である請求権の問題あるいは漁業権の問題あるいは竹島の問題等につきまして、日本政府の考え方はおそらく前と変わっておらないと思うのでございますが、現状はどういう程度になっておるか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 御存じのように、いま日韓交渉の問題点は漁業問題に集中いたしておりますが、漁業問題は日韓交渉全局を左右するほどの重要な問題だと心得ておりまして、私どもといたしましても慎重に事に当たっておる次第でございます。漁業問題は、御承知のように、三つの問題がございまして、専管水域の問題、専管水域以外の共同規制の問題、それと漁業協力の問題の三つに分けられると思うのでございます。 専管水域の問題につきまして、日韓両国ともその名誉において、国際的な慣習は守ってまいるべきであるという見解を有して、あえてこれは交渉の対象にするというようなことはいたしておりません。共同規制の問題につきましては、わが国といたしましては、両方公平に規制を受けるということと、それからその規制の方法はあくまでも実現可能なものでなければならないという二つの原則を中心に話し合いを進めておるわけであります。漁業協力の問題につきましては、日韓双方の漁業技術の格差がございますので、その点は歴然といたしておりますので、私どもといたしましても、日本の財政金融能力の許す範囲内におきまして、できるだけ考えてみたいと存じておりまして、そういう問題を中心にいま話し合いが進行中であるということでございます。
○山本伊三郎君 漁業問題については、相当最近韓国側が硬化しておるというやに聞いておるのでありますが、この点につきましては、国際法によるところの、いわゆる十二海里以上はフリーであるという原則は外務省としては、政府としては最後までつく、こういう御趣旨は当然でありますが、それに間違いないかどうか。 それともう一つ、竹島の問題については案外触れておられませんが、これは基本的な領土権の問題として、私は相当、竹島の重要性のいかんは別といたしましても、相当重要性があると思うのですが、この点につきまして、韓国側のいまの主張はどうであるか、この点をお聞きしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 専管水域の問題は先ほど申し上げましたように、これはわが国といたしましても第三国との間に漁業問題をいろいろ持っておることは御承知のとおりでございます。専管水域というような問題は、国際慣行によるべきものと心得ておりまするし、私もまた、韓国側におきましても国際的な名誉ある国として、このことについて十分お考えいただいておるものと思います。われわれの態度は変わっておりません。 竹島問題は御指摘のように、そのこと自体よりも、交渉全体の問題として当面どのように片づけていくかという問題は、確かに重要な問題だと考えておるわけであります。たびたび申し上げておりますように、日韓交渉全体は一括して同時に解決するという建前をとっておりますので、竹島問題につきましてもその一環になっているわけでございまして、これをうやむやのうちに処理するというふうな考えは毛頭ございません。前回同様、一括してただいままで申し上げたような方針で進めていくべきものと心得て努力しております
○山本伊三郎君 大野特使が派遣されたようでありますが、これは単に大統領就任式に対する儀礼的なものであるのか、それとも日韓交渉に何らか内容的なものを持っていかれたのかどうか、池田総理から御答弁を願います。
○国務大臣(池田勇人君) 朴大統領の大統領就任式、民政移官の重大な儀式でございますので、政府代表として行っていただいたのであります。目的はあくまで大統領の就任式典に対する祝意を表するためでございます。しかし、せっかく行かれたのでございますし、祝意を表するために行ったんだから、外交問題には一切触れないというわけのものでもございません。話があればもちろんしてきていただく。つきましては杉代表もついて行っているわけでございますので、どうなりますか、向こうとこちらの都合で、話をすることもあり得ると考えております。
○山本伊三郎君 これは確たる情報ではないのですが、日韓交渉が非常に渋滞をしておる、進まないということから、アメリカのほうでは相当この問題について両国の間において進捗するようなことを希望しておるようでありますが、日韓交渉についてアメリカが日韓間における交渉が進まない場合に、アメリカが中に調停に入るとか、こういう考え方を持っておるかどうか、この点でさっきあなたがジョンソン大統領と会われたときに話が出たかということに関連をして、実はお聞きをしたのでありますが、そういうことはございませんか。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカが早期妥結を希望しておることは事実でございますが、そのために自分が調停に立つとかなんとかいうようなことは一切ございません。
○山本伊三郎君 この前の国会またその前の国会では、早期に解決をするんだということで、政府は非常に意気込んでおられたということも総理並びに外務大臣の答弁でわれわれ感得したのでございまするが、最近は相当困難性を持ってきたというので、いつごろまでにどうこうという話が出ないのでございまするが、日本政府としてはもうそうあわてなくてもいい、向こうの出方によってやったらいいんだ、こういう考え方でおられるのかどうか、この点ちょっと聞いておきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 私どもは早期妥結の方針の旗をおろしたつもりはございません。鋭意御案内のように交渉を続けておるわけでございまして、合理的な内容のものであれば、妥結は早いに越したことはないと思っております。
○山本伊三郎君 交渉を続けておると言われますけれども、かつてのそういう熱意的な交渉が展開されておらないとわれわれは見ておるのです。したがって、この問題につきましては、私はしいてどうこう言いませんけれども、日本政府の考え方が基本的に変わらないのだ、交渉の原則は守っていくのだという点だけはっきりわかればいいと思うのです。繰り返して申し上げますが、全体的に解決すると言われますけれども、全体的に後退したもので解決されては困るという国民の考え方があるのですけれども、その点につきまして再度ひとつお話し願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 国民に御納得いただくような内容において解決するということ、一括解決するという原則は一向変わっておりません。
○山本伊三郎君 これでやめようと思ったのですが、国民の納得する点という点が、いわゆるさっき言われた政府の最初の基本的な方針を、これを曲げないのだということであると解釈していいのですね。
○国務大臣(大平正芳君) 外交交渉でございますから、相手があることでございますから、その考え方で押しつけるというわけにはまいりません。しかし、私どもが申し上げておりますのは、妥結した内容が国民に納得を得られる合理的な内容を持ったものでなければならぬということは、当初から私ども堅持して交渉に当たっておるわけであります。
○山本伊三郎君 しつこいようでありますが、なかなか言葉がニュアンスがあると思うのです。もちろん外交交渉ですから、相手があることですから、こちらの線だけでこれを押しつけるということもそれは外交上むずかしいと思いますが、この漁業問題その他竹島の問題にいたしましても、譲るといっても譲る限度というものは私はないと思うのです。したがって、その点を、請求権の問題であれば価格をどうするか、金額をどうするかということについては、ある程度の何といいますか、譲歩なり妥協の点もありますけれども、漁業権の問題と竹島の問題は、これはおそらく私は譲ろうとしても日本のいまの現状からいうと譲れない一線があると思うのです。それがさきに政府が出されたいわゆるわが政府の基本線だと思うのですが、この点だけを確認したいと思うのですが、その点どうなんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、守るべき基本線はちゃんと守ってやらなければならぬと思っております。
○山本伊三郎君 それじゃ日韓問題はこれで一応終わります。 次に、減税の問題に関係するのですが、朝、もうすでに国税について若干触れられましたので、私は主として地方税についてひとつお伺いしたいと思います。 まず、住民税の問題でございますが、すでに早くから住民税についてはただし書きを撤廃して本文方式に統一するのだということを自治省が発表されたのであります。これについて、本会議でも実は若干尋ねたのでございまするが、意を満たすような答弁がございません。で、住民税を本文方式に統一したということは、いわゆる税負担の均衡を守るという、これだけの問題でやられたのかどうか、この点をひとつまずお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(早川崇君) お答えいたします。ただし書き方式による高い住民税は、主として貧弱な市町村の住民が多いと思います。そういう関係で、かえっていろいろな施設もふえておる。さらに住民税も高い。したがって、公平を失するという意味で減税することにいたしたわけでございます。
○山本伊三郎君 自治大臣も相当地方財政は研究されておると思うのですが、住民税がただし書きなりあるいは従来準拠税率等かけておるというその趣旨というものは御存じになっておると思うのですが、国税と地方税の相違点というものについては御存じになっていると思うのですが、その点についてどう考えられますか。
○国務大臣(早川崇君) 国税を納めてない人でもただし書き方式によってはさらに高い住民税を納めております。そういう意味で、むしろ貧弱な市町村であればあるほどただし書き方式によって超過税率を強制するということは、国民全体の立場から不合理と思いまして、この際ただし書き方式を二年間で本文方式にすることに決定いたした次第でございます。
○山本伊三郎君 それじゃ時間がないから聞かなかったのですが、その前提として、現在地方財政についての三十七年度における決算報告がすでに来ておると思いますが、それについての概略をひとつ説明願いたいと思います。
○国務大臣(早川崇君) 自治体全体といたしましては、財政状態が非常によくなっておりますが、最近は特に投資的経費がふえてまいりまして、赤字団体が三十六年に比べまして若干増加しておるという状況でございまするが、これは一にも二にも事業的経費が非常に多くなってきたということが非常に原因になってきていると考えます。
○山本伊三郎君 ちょっと数字的に聞きたいのですがね、三十七年度における地方税の柱は、固定資産税、住民税が二つの柱になっておるのでございますが、その全国的な情勢としては、その二つの柱のウエートがどう変わってきているか、ちょっと数字で御説明願いたい。
○国務大臣(早川崇君) 政府委員からお答えさせます。
○政府委員(細郷道一君) 三十八年度の姿で申しますと、地方税全体で当初において一兆円、そのうち半分が市町村の税であります。その五千億の中で市町村民税と固定資産税がほぼ二千億程度ずつ、こういう姿でございます。ただ、この場合におきまして、市町村民税においては、ただし書きをとっておる市町村の所得割りもこれに含めておりまして、かれこれ五百億近くのものが決算上出てくるのではないか、かように考えております。また、両税の伸びを見てまいりますと、市町村民税のほうが、所得としては所得課税の関係もございまして、伸びがよいという状況に相なっております。
○山本伊三郎君 いまあなたの言われたのは、三十八年度の地方財政計画を基礎にして言われたのですが、私の聞いておるのは、今日一年々々で非常に経済事情が変わっておるので、最近の決算状態を私は聞いておるのですが、その趨勢はどうなっておるか、これを実は聞いているのです。いまのは三十八年度の財政計画を基礎にして言われておるのですが、そうではないのですか。
○政府委員(細郷道一君) 三十八年度の決算の状況はまだ把握できておりません。三十七年の決算におきましては、地方税の中で、府県税と市町村税とを見ますと、やはり府県税のほうが伸びがいいわけであります。市町村の税の中で見ますと、先ほどもちょっと触れましたように、市町村民税の伸びのほうが固定資産税の伸びよりもいいというような姿になっております。
○山本伊三郎君 勘違いしておるのじゃないですか。私は府県税との比較を聞いておらないのです。府県に住民税も一部出しておるのでございますが、住民税と固定資産税とのその額の上昇率、比率というものはどうなっておるか、こういうことを聞いておるのです。簡単に答えてください。
○政府委員(細郷道一君) 三十七年度市町村民税の決算の状況はまだ十分把握いたしておりません。三十六年度のものでかりに見てまいりますと、市町村の税全体が四千六百二十二億でございますが、そのうち市町村民税が千六百六億、固定資産税が千九百二十五億、あとはその他ということになります。
○山本伊三郎君 大体の状態はわかりました。私の調べたのと大体同じですが、そこで自治大臣に聞きますが、今度の本文方式に統一した場合に、私が聞くところによると、二百四十億くらいの減収にたるということを実は聞いておるのです。それに間違いがないかどうか。
○国務大臣(早川崇君) 約三百億円でございまして、二百四十億円は、自治省の事務当局の計画で初年度二百四十億と考えておるわけでありますが、この二年度内にやるという内訳については目下大蔵大臣と折衝中でございます。
○山本伊三郎君 そこで平年度三百億と言われましたが、相当大きい財源措置をやらなければ、いわゆる貧弱市町村の行政水準はおのずから下がらざるを得ないと私は思う。これに対して大蔵省と相当交渉しておるけれども、なかなかそれが進展していないやに聞いておるのでありますが、二年間にこれを解消すると言われますが、二年間にどういう方法で解消されるのですか、それを聞きたい。
○国務大臣(早川崇君) 二年間で本文方式に統一するわけでありまして、その方法につきましては、いま申しましたように、いろいろの方法がございます。二年間で統一することはきまっておりまするが、初年度どういう面で幾ら要るということはなお検討中でございます。
○山本伊三郎君 大蔵大臣にひとつお聞きしますが、これは自治省の本文方式の方針は、単に自治省の方針ではなくて、池田総理もこれは選挙の演説でも相当言われたと思うのですが、政府全体として、特に大蔵省はこのただし書き撤廃による本文方式統一について相当の減収であるということを認めておられるのでございますが、これを国の費用で補てんしなくちゃいかぬと思うのですが、大蔵省としてはどういう考えを持っておられますか。
○国務大臣(田中角榮君) いま税制調査会の結論を待つということでございます。税制調査会で三つの柱を立てていま検討しておられるようであります。その一つは、所得税の減税であり、その第二は開放経済に向かう日本の産業の国際経済競争力をつけたいという問題、第三の問題は、今お話の出ております地方税の不均衡を是正しなければならない、こういう三点に重点をしぼっておられるようでありますから、答申を待って政府間において十分な協議を遂げてまいりたい、このように考えておるわけであります。地方税の税収も日本経済の成長によりまして年々大きな増収がはかられておるわけでありますので、これが地方税の減税もいままでのようにすべてが国税からの補てんという考え方だけではなく、十分現状も考えながら合理的な結論を出したい、このように考えております。
○山本伊三郎君 いま大蔵大臣は、地方税も相当伸びておると言われますが、実際の市町村の財政状態を検討いたしますと、時間がないので十分聞いておれませんが、非常に現在困窮しておることは事実であります。政府は伸びておると言われますけれども、政府から押しつけられるところのいわゆる事業というものは市町村が非常に多く持ってきておりますから、こういう点において市町村は非常に苦しいと私は思うのです。そういう点におきまして、なおかつここで本文方式に統一すると、特にただし書き適用の市町村というものは貧弱団体でありますから、それに対して十分考えない限りは、結局地方税、いわゆる住民税は若干減税されてもその自分らの住む郷土の公共施設は非常に低下して、住民のいわゆる生活というものをおびやかすということになると思う。こういう点において、私は今の答弁ではきわめてわからないのでございますが、政府は実際来年度から地方税の減税をやろうというのでしょう、それをいま検討しておるのだ、考えておるのだという、自治大臣、方法を考えておるというようなことでは一体どうするのですか。これに対して非常に関心持っておるのでございますが、その点どうなんですか。
○国務大臣(早川崇君) 本文方式を統一する準拠税率の標準税率化によって約三百億の不足というのは確かに大きな穴でございまして、特にただし書き方式のあるところは市町村全体として八〇%でございます。後進地域の市町村が大部分でございますから、これを何らかの方法で補てんするという原則においては大蔵大臣と意見が一致しておるわけであります。これをどういう方法で、財政全体の規模の問題もありますが、一挙に二百四十億だけ本年度やるか、さらにそれを半々にしてやるか、財政全般の問題として考えたいと思っておりますので、目下検討中とお答え申し上げた次第であります。
○山本伊三郎君 ぼくはそれ自体に対しても不満があるのです。大きなアドバルーンを上げて、いわゆる本文方式に統一するのだということで、一応住民は喜んだと思うのです。しかし、実際問題として、その、かわり財源というものは、大蔵省に折衝しなければ組まれない、そういうものを政府はいつでもいいことだけを、先にアドバルーンを上げて、あとからかわり財源を考えよう、一番迷惑するのは、私は該当市町村だと思う。二年間にやるといいましても、この方法は相当私はむずかしいと思うのです、法律上の措置は。したがって、二年間にやると言われるが、私は二年間ということで漸減方式でどうしてやれるのかちょっと私はわからないのです。法律上おそらくただし書きをすべて撤廃して本文方式にいかれると思うのです。その場合にどういう、補給金というのですか、補給金の出し方をかげんするというのが法律上どういう措置をとるというのか、この点をひとつ聞かしてもらいたい。
○国務大臣(早川崇君) 目下検討いたしておるのは、これによって生じた財源の穴を臨時補給金というやり方でやりたいと研究中でございます。
○山本伊三郎君 どうも私は理解できないのです。あなたもなかなか地方行政に明るい人だと思うのですが、時間があれば私はもっと説明して聞きたいのですが、時間がないから簡潔に言うから理解できないかもしれませんが、この住民税としてとる場合と、その場合はいわゆる経済の伸びとか所得の増減によって調整されるのでございますが、政府の補給金ということになると、これは地方交付税でやるのと違うでしょう。補給金となるとどういう方法でそれを調整して、地方財政をやるか、うまく調整するか、結局補給金ということで市町村の行政に政府が鋭い制約をかけてくるのじゃないかという心配があるのです。したがって、地方税の設定された趣旨というのは、あなた言われたように、住民分任の主義で、自分らのことは自分らの金でやろうじゃないか、こういう趣旨でやられておるのですね、それを政府が補給金とかあるいはこういう形でやること自体、私には理解できないので、どういう方法でやるのか、それをちょっと聞いておきたい。
○国務大臣(早川崇君) お説のように、交付税方式というのは、すでに本文方式によって交付税を出しておりますから、これはとりません。したがって、臨時補給金、検討中でありますからまだ出しておりませんが、それぞれの減るところの市町村の減った分の穴を法律できめまして、補給金を出すという案を検討中でありまして、しかもそれはあくまでも臨時的なものである。五年くらいの期間で漸減方式をとりまして、税収の伸びとかそういったものを五年以内で全部片づけたい、こういうことで検討中であるということを申し上げた次第であります。
○山本伊三郎君 これは大臣はどこまで理解されておるか知りませんが、地方財政のみならず、地方行政にも私は相当大きい影響を与える問題だと思っております。そもそもこの地方税の設定されたということについては、いまさら講義する必要がないと思うのですが、そういう補給金とかそういうものでやること自体に私は問題があると思う。それならなぜ地方交付税のほうで増額をして、いわゆるこの国のほうからの裁定によって、そういうものを与えるというような形では私はこの本文方式に統一することはかわり財源にならないと見ておるが、この点について自治大臣としてはどういう考えでおられるのか、この点をひとつ聞いておきたい。
○国務大臣(早川崇君) 普通交付税方式が御承知のように、個々の自治体で一々個別的に算定することもできません。一般的に交付税ということになります。それからもし特別交付税ということになれば、若干その点は個々の実情によってできますけれども、それは交付税それ自身の性質を変えなければなりませんし、恒久的な国からの財源補給ということになりますから、趣旨からいえばなるほど国で補給するということには若干問題がございますが、臨時に、これは画期的な改革でありますから、その過渡的な穴埋めという立場では、今申し上げましたようなことで法律できめて、個々の町村はこうだというふうにする以外には、過渡的にいい方法はないという、こういう結論に達しまして、目下検討中であるという、こういう次第であります。
○山本伊三郎君 臨時的な措置をすると言われるけれども、私はそれが臨時的にならないと思うのです。将来のあなたらの見通しは私はないと思う。だから私の言うのは、現在ただし書きを適用しておるところは、非常に財政的に困っておる市町村であるというけれども、冒頭に申し上げましたように、全国都道府県市町村は、この収支の均衡は一応とっておるけれども、それは行政水準、やりたいことをやらずに実は押えておるだけであって、各地方公共団体が現在裕福に財政を運用しておるというところは私はどこにもないと思う。それは特例はあるかもしれませんけれども。したがって、私はそういうこそくな方法をせずに、本文方式にして地方税、住民税の均衡をとるというならば、そういう市町村だけでなくして、地方交付税をうんとやはり増額をして市町村行政の水準を上げるべきだ、私はこれが論拠なんです。そういう方法以外にやれますか。もし臨時というのが永久にいくことになれば、地方自治というものに対する大きい問題が根本に起こってまいりますよ。この点をどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(早川崇君) 交付税をパーセンテージで上げますと、これは恒久的な地方財政のプラスになりますけれども、しかし、普通交付税、現在は本文方式より収入がないということで交付税を算定しており、それだけただし書き方式のところは有利になっておるわけでありまして、これをどう、個々のそれぞれの特殊性があるのを普通交付税を増すことによって全般的に穴埋めしていくか。そうした場合に本文方式でないところはプラスになるか。いろいろな技術的な問題が出てくるわけでありまして、あくまで臨時的な措置としてこの画期的な住民税の改革をやりたい、かような考えを堅持いたしておる次第でございます。
○山本伊三郎君 それでは、この問題の最後に大蔵大臣に聞いておきたい。政府がせっかく本文方式に統一するという声明をされたのでありますが、それをなぜ二年でやらなければならぬか。私はやはり公約されたならば、即時三十九年度からこれは実施すべきであると思う。この点どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、いまその問題も含めて税制調査会で検討しておりまして、近く答申があるわけであります。この答申を待って最終的に対処するわけでありますが、現在、どうせ住民税を軽減するようにという答申が出るということを予測しまして、私と自治大臣との間でいろいろな問題に対して検討を進めておるわけであります。あなたも先ほどから言われるとおり、財源のない貧弱市町村が非常に高い住民税を取っております。しかし、交付団体の中にも本文方式でやっているところもございますが、大阪、東京の住民税に比べて高いものは六倍、七倍という非常に高いものもあります。普通でも倍、三倍と、こういうところもあるわけでありますから、こういうものを是正しなければならないということは、これは常識になっておると思うわけであります。でありますから、政府としましても不均衡の是正ということを打ち出したわけでありまして、可及的にすみやかにやるという気持はあなたと同じ気持でありますが、財源の問題等もありますし、急激にこれをやることによって、さなきだに財源の少ない貧弱市町村が転換をするのに困るというようなことがあってはなりませんので、その間の事情も勘案をしながら、二カ年間でこれらを整理をするということが、いまの段階においてはおおむね妥当な考え方ではないかという考えに立っておるわけであります。
○山本伊三郎君 池田総理に聞きますが、こういうぐあいに地方税、交付税、含めて二千億以上の減税、平年度千五百億——四百億ですか——という旗じるしを出されたのでありますが、二年で解消するということになると、結局百億なり百五十億というものは、政府の言われたよりも減税が少なくなる、こういうことに理解していいですか。
○国務大臣(池田勇人君) 平年度二百億と言っておるのでございます。したがいまして、住民税の減税の方法、平年度は動きません。
○山本伊三郎君 いや、いま大蔵大臣、自治大臣は、来年度からやれば半額くらいになるだろうという私は想定なんです。そうすると、来年度は結局百億か百五十億かは、皆さんが、政府が言われたよりも少なく減税になるという理解になるのか、ちょっとそれを教えていただきたいと思う。
○国務大臣(田中角榮君) 初め自治省の計算では平年度二百四十億ぐらい、それから初年度百億、百五十億、こういうふうに見ておったんでありますが、その後の税収の状況を十分計算をしますと、三百億——約二百九十五億ということになりまして、その新しい数字を基礎にして、いま大蔵、自治、両省で詰めておるのでありますから、あなたが言うように、初めのわれわれの見積りと実際の住民税のただし書き方式が非常に大きいということとの相違がありますので、実質初年度における減税が減るというようなことは、議論としての議論になれば別でありますが、実際問題としては、われわれが当初考えておる程度の初年度交付税、地方税通じての減税が可能であるというふうに考えております。
○山本伊三郎君 大蔵大臣、自治大臣並びに総理にも聞いておいてもらいたいのですが、私は二百四十億税度ですかと言ったら、いや三百億と、こう言われたが、私はそれでおさまらないと思っている。おそらくその財源をどこで押えられたかということです。住民税もやはり自然増というものは出てくる。どこでも出てくる。そういうものを三百億だと押えて、それだけがただし書き適用の市町村に出す金であるというきめ方をされると、ますます私はその調整に困ってくると思う。時間がないからそう詳細に入りませんけれども、自治省当局は大蔵省との折衝のためにできるだけ低く押えて、そうしてその金額を押えておいて、あとで市町村にしわ寄せするというととがあっては私は承知しないと思う。その点どうですか。
○国務大臣(早川崇君) 自治大臣は自治体のことを考えますから、大蔵省との折衝のために特に低く見積るということはございません。
○山本伊三郎君 それをお忘れないように、ひとつお願いをいたします。 それでは、次に固定資産の問題についてちょっとお聞きしておきます。 固定資産の評価がえについては、巷間いろいろと疑問を持っておられます。この際にひとつ明らかにしていただきたいと思う。本会議でも一応言われたから確認する必要はございませんが、固定資産税総額を、これを引き上げるという考えは持っておらない、このことに間違いないかどうか。
○国務大臣(早川崇君) 自然増収とか若干のそういうことは別にいたしまして、総額においては増税しないという原則においては変わりはございません。
○山本伊三郎君 自然増というものは、これは計数をはじけばわかりますから、それはいいのです。私の言うのは、評価がえによって、総額は、総額のいわゆる増税にならないという確認でございますから、それでいいですね。
○国務大臣(早川崇君) 総理も御答弁されましたように、いま言ったような意味で、来年度総額におきましては、自然増収分というものを含めた意味におきまして増額をしないということであります。
○山本伊三郎君 それでは具体的に聞きましょう。それについてはいろいろ農地、林野、その他牧草地等がありますが、それを農地として考えますが、農地の場合には、従来は収益還元方式で基準をやっておられたのですが、売買実例に変えられたという理由を先にちょっと聞いておきたい。
○国務大臣(早川崇君) 固定資産評価制度の審議会から答申が来まして、このようにきまったわけでありまして、収益還元方式は、それを資本に還元するのは非常に技術的にむずかしいのでありまして、そういう関係から、専門家の審議会におきまして、あのようにきまったわけであります。
○山本伊三郎君 この審議会でそうきまったからといって、やはり政府は行政の責任を持っておるのですから、きまったからそのままとるというなら、ほかの方法できまったものを全部とるかというと、そうではない。いわゆる行政府として、自治省として、政府として、そうあるべきであるかどうかという検討をされたと思う。調査会でそういうものをきめたからそうであるというような、そういう不見識な答弁は私はもうやめてもらいたいと思う。 それはそれといたしまして、この農地なり、林野なり、そういうものについては増税にならないということをたびたび聞かされておるのですが、その点は間違いございませんか。
○国務大臣(早川崇君) 農地につきましては、法律によりまして、前年度の税収よりもふえないということがはっきりいたしますから、増税はいたしません。 林野につきましては、目下審議会の答申を待って、若干の増税はやむを得ないことになろうと思います。
○山本伊三郎君 あとで聞きますが、それでは宅地についてはどういう考えでおられますか。
○国務大臣(早川崇君) 宅地につきましては、目下これまた形式的に法律によりまして、宅地がずいぶん評価が上がっておる点もありまするが、最高の増税額を二割までに押えるか、あるいは三割程度までにするか、目下検討中であります。
○山本伊三郎君 それでは、家屋についてはどうです。
○国務大臣(早川崇君) 家屋については、むしろ若干固定資産税は減る面のほうが可能性が多いと思うのであります。それから、新築の住宅建設のために、固定資産税の面におきまして若干の減税措置を講じたいと考えております。
○山本伊三郎君 それでは、最後のこの償却資産についてはどういう考えですか。
○国務大臣(早川崇君) 償却資産につきましては、税率が百分の一・四というものを無理してさらに下げるということになりますと、かなり減税になるわけでありますけれども、そういう税率の変更をいたしません。今度むしろ法律の面で調整をいたしまして、これはもちろん増税にはならない。若干減る結果になるのではなかろうかと予想いたしております。
○山本伊三郎君 それでは、こういう理解でいいですね。林野については若干上がるかもしれない。宅地については三割程度最高上がるかもしれない。その上がった分を家屋と償却資産の減税資源にするということに、結局算術計算でありますが、そうなりますね。総額を上げないのですからね。上がったやつはほかのほうに減税をしなければ、総額を上げない。上がるじゃないですか。その点どうですか。
○国務大臣(早川崇君) 三割に押えるか、二割にするか目下検討中でありますから、まあ政府、自治大臣としては、政治家として大ワクにおいては増税しない、自然増収分を含めた程度にとどめたいということでありまして、具体的に算術計算で上げ下げを計算するという意味じゃございませんが、大きな方針としては、そういうふうにやっております。
○山本伊三郎君 これは政府はそう言われるが、われわれとしては、相当宅地なり家屋は下げると言われますけれども、私は下げられない現状が出てくるんじゃないかと思うのです。私はそういう憶測では言いませんけれども、地方財政が非常に苦しくなっておる。しかも、国からの補助なり、そういう地方交付税あたりの増額ができない。したがって、やはり地方財源をひとつこれで見ようという考え、意図があるんじゃないかと私は思う。もし、これが宅地なり家屋が減税になると言われますけれども、相当疑問があると思うのですが、それが実は国民生活に及ぼす影響というものは、相当大きいと思います。宅地も家屋も持っておらなくても、それらの税金が上がりますと、アパートの賃貸——貸し賃も上がりましょうし、あるいは家賃も上がるということで、私は相当影響があると思いますが、その点はそういう憂いのないように、宅地の増税については家屋でそれを見るという、そういう政策を考えておって、こういう総額で上げないという考え方をとられたのかどうか。この点をひとつ、自治大臣もそうですが、池田さんはひとつ根本的な政策ですから、その点はどう考えておられますか。
○国務大臣(池田勇人君) 自治大臣からお答えしておるとおり、私は細部についてまだ検討しておりません。大体の方針としては、自治大臣の考え方を承認しておるわけでございます。
○山本伊三郎君 あなたらはこれを軽く見ておられますけれども、これで相当増税になると、二千億減税とか言われても、これはまた逆に大きな大衆課税が増加するんじゃないかという感じでおるのです。それで私はしつこく尋ねるのです。やってしまったからしかたがないといっても、国民はしかたがないのでございますから、そういう点のないことを、責任者である池田総理なり大蔵大臣に尋ねておるのでございますが、どうも言葉のニュアンスがあいまいでありますが、総額で上げないのだ、しかも宅地が上がっても家屋税で下がるのだから、国民生活にはあまり影響がない。いわゆる固定資産の評価変えについては、実質的には影響がないのだという受け取り方でいいかどうか。これは国民が知りたがっておると思いますが、その点もう一回ひとつお答え願いたい。
○国務大臣(早川崇君) 御承知のように、固定資産税の評価は、べらぼうな土地の値上がりその他で、公正を期するという意味で固定資産税は再評価をやっておるのであります。これはどれだけ税金を取るかということは別個の問題であります。物価上昇その他もありますので、われわれといたしましては、法律で別にこれに対して上がらぬように地方税法に特別の規定を設けよう、こう考えておるのでありますが、総理の言われるとおりであります。
○山本伊三郎君 それじゃ、時間がだいぶ経過しましたので、今年の春の長雨に対する災害対策について、総理大臣並びに農林大臣に聞きたいと思いますが、一体今年の春の長雨に限ってどれだけの被害が農作物にあったか、この点先にちょっと聞いておきたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 農作物の被害の金額を申し上げます。見込みも含んでおりますが、約九百八十六億円でございます。内訳を申しますと、麦類で五百四十四億、果樹は百億、野菜で百五十八億、その他で百八十四億円、それから農地等の施設の被害でありますが、これが約二十六億円、こういう数字であります。
○山本伊三郎君 農業災害補償による農業共済の問題ですが、これは強制的適用の麦だけにひとつ話をしぼりますけれども、いま言われたように、麦は五百四十四億円の災害があった。これに対して、現実に農家に共済給付としてどれだけの金を払われたか、この点をひとつ聞いておきたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 共済給付として支払いましたのは、本年産麦の金にいたしまして、総額約百六十億円でございます。なお、つけ加えて申し上げますと、これに対する再保険金支払い額は約百三十六億円、こういう数字になっております。
○山本伊三郎君 これは農林当局として、農業共済の基本的な問題になりますが、五百四十四億の損害で、一番多く見て百六十億ということしか補てんされておらない、こういうことですが、現在のこの農業共済について、われわれとしては、農民が非常にこれに対して疑問を持ち、不満を持っていることは事実だと思うのですが、これに対して農林当局はどう考えておられるのか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 農業共済の制度につきましては、御承知のように、さきに改正も行なわれまして、相当改善をいたしたわけであります。そこで農業共済制度によって共済金の支払いをいたしましたが、まだいたすものも残っておりますけれども、被害耕地について三割以上の減収額に応じて支払いも行なっておるようなわけでございます。でありますので、長雨被害以外の被害を含めて麦の全損害に対する——長雨による損害額に対する共済掛け金による補てん割合は必ずしも明らかでございません。二〇%程度であります。被害の程度を慎重に検討いたしまして、再生産に間に合うようにしたいという考えは強く持っておるわけでありますが、現在の制度によりますというと、そういう実情に相なるわけであります。
○山本伊三郎君 赤城さんは、まあ農林大臣になって相当研究されておると思いますが、農業共済の今の制度からいくと、米麦全損の場合でも半額に達しないのですね。いわゆる足切り三割で天井が七割でしょう。そういうことで、私は、農民の方々が農業共済に対してますます興味が薄いというよりも、これに対して相当疑問を持ち、きらってくると思う。ところが、米麦に対しては、これは強制加入でしょう。そういう点について、政府としてはもっと積極的に農民のいわゆる労働に対する意欲を上げるためにも、共済に対して相当私は力を注ぐべきだと思うのでございますが、その点についてどう思っておられますか。
○国務大臣(赤城宗徳君) まことにそのとおりでございます。そこで改正法案によりまするというと、麦等の場合に六割程度の共済金でいこうと、こういうことに相なっておりますが、その掛け金によりましても、施行が三十九年となっております。三十九年度からはそういうことに相なるわけでございます。
○山本伊三郎君 六割に上げられる場合に、もちろん掛け金が上がってくると思いますね。それはどういう程度になるのですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 改正法によりまするというと、掛け金等は少なくするような方向に進むべきであります。また、麦は強制加入でございますけれども、反別等につきまして、小さい農家でしいて加入させることが適当でないというものは除くというような制度も、新しい改正法案には盛られておるのは御承知のとおりでございます。
○山本伊三郎君 それじゃ先を急ぎますが、食管特別会計でひとつお聞きしたいと思うのです。 この補正予算にも二百五十億ほどの追加補正をされておると思います。これは買い上げ米価との間に相当関連性があると思うのですが、これに対して政府はどういう考え方でおられるか、この点をひとつ聞いておきたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 食管制度につきましては、農家の経営の安定及び消費者の生活安定、こういう両面から今の制度ができておるわけでございます。しかし、この制度において非常に多額の政府負担が出るということはどんなものであろうか、こういう意見が出ておる点もございます。その他生産者米価と消費者米価との関連、御承知のように、生産者米価は生産者所得補償方式できめる、消費者のほうは家計の安定を旨としてきめる、こういう形になっていますけれども、その間の関連等がもっと密着すべきものがあろうじゃないか、こういうような点なども問題になっています。こういう点がありまするけれども、昨年までは米の需要供給状況が非常にようございました。ことしは悪いとは申しません、安定はしております。安定はしておりますが、こういうときでございますから、食糧の長期需給計画といいまするか、策定をし直しまして、この食管制度につきましては慎重に検討をしてみる必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○山本伊三郎君 それじゃ、一部新聞で若干報じられたような、食管会計の状態がどうあろうとも、消費者米価についてはいらうべきではない、こういう趣旨でございますですね。
○国務大臣(赤城宗徳君) 消費者米価を上げるとか上げないとかいうことは今考えておりません。これは生産者米価との関連において検討をした上にどういうふうにするかということは結論を出したらよかろうと思いますが、いま消費者米価を上げるというふうには全然考えておりません。
○山本伊三郎君 それじゃ、最後に一つ公務員の給与についてお聞きしておきたいと思います。 内閣委員会でも相当やられたものでありますから、基本的な問題だけひとつ池田総理にお聞きしたいと思います。毎年実は人事院の勧告を出されて、そして政府がそれを尊重するということで実は法律案を出してこられるのでございますが、政府が尊重するというのは、号俸の変更とか改正とか、そういうものは尊重されておるけれども、実施時期については尊重されておらないと思うのです。これについていつも政府は、財政の関係とか、あるいは予算執行の半ばであるからできないとか、そういうことを言っておられますが、公務員の側から見ますると、あの人事院の勧告の比較されたのは、四月現在の民間との比較なんです。それが十月から実施されると、その間はやはりマイナスになっておると思うのです。こういう公務員の側に立った考え方で政府は善処されないものかどうか。これはすでに三年間、四回ぐらい繰り返されておるのでありますが、この点についてどう考えられるか、池田総理にちょっと御見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 人事院の勧告はできるだけ尊重いたしたいという考え方でいろいろ検討いたしましたが、財政上、中央と地方を通じまする財政事情、あるいは一般経済界のことを考えますと、やむを得ず十月一日から施行することにいたしたのであります。
○山本伊三郎君 しかし、公務員の生活の実態から見ると、そう簡単に財政の都合でできるだけ尊重したんだということばでは、これを消されることはできないと思うのです。本会議で申しましたけれども、物価の上昇と公務員の引き上げの率から見ましても、おそらく消費者物価のほうが上がってくるのじゃないかと思う。こういうものを政府が十分ひとつ考えて、公務員の生活を守るということについて考えなくちゃならぬと思うのですが、財政の都合だからそれはしんぼうしておれと、こういう考え方ですか。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げましたように、中央、地方の財政並びに経済事情等を考えまして結論を出したのであります。
○山本伊三郎君 公務員の給与引き上げということ自体が経済上の事情からきているのですよ。物価が七%以上上がって公務員の給与は六・七%だ。しかも、私は簡単なそういう算術計算で比較しておらないのです。いま現在物価の上がっている品種別の上昇率を見ましても、これは総理府の統計局の出している数字だけでございますけれども、いわゆる生鮮食料品とかあるいは加工食料品のように生活必需品の上昇率が、六割、六〇%だと言われているのです。そうすると、物価圧力の加圧率を見ますると、現実にそれはそのまま公務員の生活に影響していると思います。そうすると、実質的な公務員の給与は、六・七%上げたといいますけれども、実質賃金は下がっているのではないかという私の計算になるのです。この点について労働大臣はどう考えておられますか。
○国務大臣(大橋武夫君) いわゆる生計費が最近上がってきておることは事実でございまして、これに伴いまして民間につきましても給与の引き上げが行なわれつつあるのでございますが、公務員の給与につきましては、生計費並びに民間の給与の実情等を考慮して人事院が改善の基準について勧告をいたすことになっておるのであります。これらの事情は、人事院勧告の中に総合されて入っているものと考えております。
○山本伊三郎君 あなたがそう言われるならば、総合されて入っておると思うということでなくして、ここにこう入っているのだということを示してもらいたい、そう言われるならば。それは人事院の勧告が出たら、それをめくらめっぽうにとってそのとおりやるのだということではないでしょう。政府が法律案を出す場合には、やはり検討されて、この点はどうだということで、むしろ、人事院の勧告は出ても、これはこうしてやらなくちゃいけないということで、私ははじめて行政府としての責任は全うできると思う。人事院が勧告したから、内容的にはそれをとったのだ、実施時期だけは財政の都合が悪いから五月を十月に引き延ばしたのだと、こういう勝手な言い方では、いくら忠実な公務員でも納得はしませんよ。この点についてどうですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 申すまでもなく、人事院の勧告は、政府といたしましては十分に尊重すべきものと考えます。
○山本伊三郎君 時間がないから……。そういう私に対する答弁なら、それでいいと思います。しかし、二百八十万といわれている公務員の諸君が、みんなそう思っておられるかどうか知りませんが、私も北海道から九州までいろいろ内閣委員としてこの行政区間の末端まで入りましたけれども、それは政府に対する何といいますか、考え方といいますか、信頼感というものは、皆さん方が誠意がここまであるのだということを私は示すべきであるというのですよ。公務員の方々が今一律五千円を要求しているのを、それをまるまる聞かなくちゃならぬということをいまここで言っているのではないのです。一体政府はどれだけの行政に携わる公務員に対して誠意を持っておられるかどうかをいうことを私は示してもらいたいというのです。なるほどいろいろ事情はありましょう。財政の都合は第一だろうと思いますけれども、いつも人事院が出した内容はそれを尊重するのだ——一体その内容自体でも問題がありますよ。時間がないから、私はいずれまた内閣委員会であなたに質問いたしますが、私は特にここで言いたいのは、池田総理なり大蔵大臣も列席されておるから私は言うのです。あなたは、私の言うことを、また山本ああ言っているかと言われるかもしれませんけれども、あなたが閣議で相当努力されたということは聞いておるのです。しかし、それも閣議全体では、これはもう全部、何といいますか、拒否されてしまって、あなたの意思が通らないということも巷間流れておるのです。したがって、私は少なくとも総理並びに財政をあずかる大蔵大臣あたりは、公務員の実際の生活の実態というものはやはり知るべきであるのだ。知ってできないということならば、こういうことであるということで答弁もおのずから変わってくると思う。私が公務員のことを取り上げて政府に追及すると、きわめて簡単な、軽視した答弁しか聞きません。また、そういうことをあまり言うこと自体が何か遠慮しておるようなことになっておるのでございますけれども、日本の政治を正常に動かすためには、やはり公務員の協力がなければ動かすことができません。そこに政府委員の方々も並んでおられると思う。表面は大臣に対していろいろどう思っておられるか知りませんけれども、やはり自分の生活を顧みたときには、現状の公務員の給与水準でいいかどうかということについては疑問を持っておられると思う。こういう点を私は十分池田総理なり閣僚の皆さん方にひとつ理解をしていただきたいと思うのですが、それについて、まあまた池田さんが言われると、財政の都合でそうしたと言われますけれども、何か変わったことがあればひとつ御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 給与の問題につきまして、公務員諸君が政府にいろいろな要望を出しておられることは事実でございます。先ほどお話のような要望が昨年もございましたし、また、今年もあったわけでございます。これらの要望につきましては、私も詳しくその趣旨を伺いまして、必要に応じまして閣議にも報告をいたし、極力合理的な要望の実現に努めてまいっておるわけでございまするが、現在の給与関係の建前といたしましては、法律で規定をいたすことになっておるのでございまして、その法律の改正にあたりましては、人事院の調査に基づく勧告を基礎とする仕組みに相なっておるのです。したがって、これらの要望につきましては、私もそのつど人事院にも十分に説明をし、また、研究をお願いし、適当なる機会に勧告の一部に考慮されるようにしていただいておるような状況でございます。
○委員長(太田正孝君) 山本君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(太田正孝君) 小平芳平君。
○小平芳平君 三年前に池田内閣が所得倍増計画を発表されまして、それ以来この委員会でも所得倍増計画を中心にしたいろいろの論議が重ねられてきたわけであります。最近特に問題とされていることは、消費者物価の上昇の対策、あるいは中小企業、農業等の低生産部門に対する対策、こういうことが問題になってきているわけであります。また、総理も、本会議で、農業、中小企業、サービス業の近代化については革新的な方策を講ずるとか、特に低生産部門の生産性の向上に努力するとか、このようにお述べになっていらっしゃるわけです。 私が総理にお聞きしたいことは、所得倍増計画がただ失敗であったか成功であったかということをお聞きしているのではなくて、こういうような面を引き上げるための倍増政策であったのではないかと思うのです。倍増するということは平均のことであって、中には二倍にも三倍にも引き上げていくための倍増政策であった、このように私は理解していたのであります。けれども、最近になって政府御自身もお認めのように、そういうような格差の低いほうに特に最近になって力を入れなければならないというその点については、非常に政策として考え直さなければならない点が出てきた、このように考えてよろしいですか。
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がはっきりいたしませんが、もし的がはずれておったらまた別にお答えいたします。 私は、先ほど申し上げましたように、所得倍増計画は大体順調に進んでいると考えております。ただ、問題は、当初の三年間九%という計画が実は一〇何%平均でいっているわけであります。昭和三十七年には、先ほど申し上げましたように、非常に押えて、前年の三分の一程度を見ましたが、なおかつ六%近くも上がった。ことしは八%近く予定よりもどうも進み過ぎるということが問題であるのであります。農業自体につきましても相当よくなっている。よくなっておりますが、いかんせん第二次、第三次産業が非常な伸び方でありますので、農業も予定以上に伸びておりますけれども、そこに差ができた。予定以上に伸びておる、進んでおります。ただ、片一方がむちゃに進んだものですから、その点を押えなければいかぬ、こういう考え方であります。なお、内閣調査室の五分位表を見ましても、昭和三十四年ころは第一段階は一万三千円程度でございまして、いま一万九千円くらいの平均の俸給になっております。下も相当伸びているということがはっきりいたしているのであります。ただ、私としては、所得倍増政策で上は二倍にならなくていい、下のほうを三倍にしたいという念願でございます。そこまではいっておりませんけれども、しかし、伸びていることは下のほうも相当伸びているということが言えると思います。
○小平芳平君 そこで、片方がむちゃに伸びたといまおっしゃいましたが、むちゃに伸びたということは、その限りではよくはなかった、まずかった、そういう点は大いに是正していかなければならない、このようなことですか。
○国務大臣(池田勇人君) 第二次産業、第三次産業がむちゃに伸びたということが、それ自体が悪いかと申しますと、それ自体は、あとの収拾策を講じてこれのしわを伸ばせばやはりよかったのじゃないか。日本の国民の生活水準がこれだけ上がり、国際競争力がこれだけついたということは、予定以上に伸びた結果であります。だから、急激に九%というのが一四、五%いったそれ自体が悪いとはまだ結論が出ないと思います。これをうまく伸び方をある程度モデレートにしていけば、それだけ早く地固めができたのでございますから、これが一がいに悪いというわけじゃない。私は、倍増計画は順調に進んでおる、ただ、片一方がむちゃに伸びておるから、片一方をもっと伸ばしていこうと、こういうことでございます。善悪の問題は二の次でございます。
○小平芳平君 私は、専門家でありませんので、よくわからないのですが、たとえば、そういうような弊害としての消費者物価の上昇とか、あるいは国際収支の赤字とか、あるいは株が下がるとか、そういうようなことが起きてきているのではないですか。そういうような点に対する今後の対策はいかがですか。
○国務大臣(池田勇人君) この消費者物価の上昇ということが、即、非常に悪いことだとは私は考えていない。ただ、急激に伸びることがいけない。だから、先の国会で言っておりますように、日本が近代国家的な経済になるためには、ある程度の消費者物価の上昇はやむを得ない。その上昇の原因たるや、主としていまの若年層の労働力不足によるもの、若年層の労働力不足ということは、それ自体初任給が非常に上がっていったということであります。これが物価上昇の非常な原因であります。だから、前から労働組合で言っております、初任給を十八歳八千円という声がいま全部なくなっちまいました。それをずっと通り越して相当上がっておりますが、来年の二月の初任給は、また一割程度伸びるんじゃないかということを私は心配しております。もうこの程度でしばらく足踏みしてもらいたいという気持を持っております。ですから、消費者物価が上がるということは、長い目でモデレートにいけば、これは近代国家的になる。私は選挙のときにも言っておりましたが、いまから十余年前には、生産者米価が一石四千三百円だった。それがいま一万三千円です。しかし、これで日本の経済は十余年前に比べると相当よくなったということが言い得るのでありますから、全部がよくなるという場合におきまして、いわゆる労働力の価値がそれだけ平均的に上がって、また、非常にひずみがあったところが上がる、この結果でいいのでありますから、消費者物価を下げるということは申しません。上がり方をモデレートにしていかなければならぬ。それは、先進国の消費者物価とお比べになりましてもよくわかることであります。後進国の所得の低い所の消費者物価と、アメリカあるいはヨーロッパ諸国の消費者物価と日本の消費者物価をお比べになれば、日本の消費者物価がだんだん上がっていく傾向ということは、近代国家に近寄りつつある一つの証拠です。ただ、上がり方が急激に上がっては困る。だから私は、所得の増加の何分の一か、こういう上がり方で行きたい。その上がり方が三分の一とか四分の一とか五分の一、できれば六分の一程度にしたいという気持は持っております。日本の経済が急激に近代化されるには、越えなければならぬ一つの関所だと私は考えております。その関所をできるだけ楽に越えるようにしたいというのが私の考え方なのであります。
○小平芳平君 それでは、他の委員会の御都合もあるそうですから、総理にもう一度お伺いしますが、消費者物価が上昇することは、それはもうやむを得ない面があるというお答えですが、先ほどここで山本委員から質問しておられました、たとえば公務員給与にしましても、公務員給与の去年の上昇、また、ことしの公務員給与の引き上げ、それが、消費者物価とただ単純に算術で比べてみても、消費者物価より少し低いか、あるいは少し高いかという程度にしかなっていない。こういう状態では、公務員の給与は、いつになったら実質倍増できるかということを感ずるわけですが、いかがですか。
○国務大臣(池田勇人君) 昭和三十年ころから、公務員の給与もだんだん上がってまいりました。消費者物価がそんなに上がらぬときに、やはり民間の給与に準じまして上げてきております。そこで、いま急に消費者物価が非常な上がり方をしたから、それをまた上回るということも、長い目で見ればいかがなものかと思います。しかし、法の規定によりましての政府としての措置はとっているわけでございます。昭和三十年ごろから、消費者物価があまり上がらんときにも、ある程度上げているということもお考えをいただきたいと思います。ただ、この際、急激にまた上げるということもいかがなものかと思います。人事院の勧告どおりやっていく。ただ、五月からできなかったということは、先ほど来申し上げておりますように、いろいろの事情がございまして、十月からでがまん願いたい、こう言っているわけでございます。
○小平芳平君 それじゃ、人事院総裁からお答え願いたいのですが、確かに、消費者物価が比較的安定しているときに、公務員給与が上がったこともありましたが、かといって、所得倍増政策という、十年間に倍にするという、そういう面から見れば、実質所得が上がらないことには、とてもいつ倍増になるか、見当もつかないというような結果になりはいたしませんか。いかがですか。
○政府委員(佐藤達夫君) お答え申し上げます。 公務員の給与に関しましては、私どもとしては、所得倍増とかいうような大きな政策を考えているわけではございません。これは、御承知のとおりに、第一に、民間の給与を基準といたしまして、せめて民間並みの給与は保障しなければならぬという建前でやっているわけでございます。ただこれは、行き方として、人事院としては正しい行き方であろうと思います。そしてその物価の関係も、おのずからやはり民間の給与には反映されているわけでございますから、一応民間の給与をめどに、これに合わせることに努力していく。なお、標準生計費の関係などでも、初任給の関係では一つのささえとして取り入れていかなければならぬ、そういう建前でございまして、今回の勧告も、総額七・五という数字が、四月現在における物価の上がりと見合ってどうかと考えますと、決して物価の上がりを割ったものではないというふうに考えている次第でございます。
○小平芳平君 物価の上がり方を割らないとおっしゃいましたが、ことしも大丈夫ですか。
○政府委員(佐藤達夫君) ことしの物価の動きについて、われわれは、権威あるデータをもってお答えする立場にはございませんけれども、大体常識的に見て、二%内外の程度ではないかと考えております。しかし、先ほど申しましたように、民間給与というものの捕捉がなかなかたいへんな、これは、手間をかけて正確なデータを求めてやっております関係上、直ちに民間の給与はどの程度に上がったかということはわかりません。ただ、物価のいまのめどが大体の見当でわかっているという程度でございます。こういうことは、従来も毎年ございました。これは、われわれの立場といたしましては、また来年の調査の際に、民間給与等と一緒に正確な調査をしたい。そうして善処する、こういう建前で考えております。
○小平芳平君 何か、全然要するに公務員給与の引き上げ額が物価の上昇に見合わない。それから、所得倍増政策というふうな看板だけは、公務賃はよく聞かされるけれども、説明は聞かされるけれども、自分の給与が実質倍にいつなるかは見当もつかない。これが実情ではないかと思うのです。まあしかし、時間がありませんので、もう申し上げませんが、実施時期はいかがですか。いつも、人事院から五月一日実施ということを勧告して、人事院の勧告どおり実施されたことがありますか、過去に。
○政府委員(佐藤達夫君) 五月実施を勧告ではっきりうたいましたのは、三十五年の勧告のときからでございまして、ちょうどことしで四回目になるわけです。たいへん残念なことでありますけれども、常に十月実施ということで、五月までさかのぼった例はございません。
○小平芳平君 それで、四回とも勧告どおり実施しなくて、またそのまま来年もおやりになるわけですか。要するに、人事院としては、毎年同じことを勧告しても、毎年それは守られないということについて、どうお考えになるか。いままでの状態だと、守らないから今後は守らなければ困ると、あるいは守らせようというお考えかどうか。
○政府委員(佐藤達夫君) 申すまでもございませんが、私どもの勧告の基礎は、四月の調査に基づいて、そのデータを基礎として勧告を申し上げております。そのときの官民の較差を発見いたしまして、その際の民間の給与に公務員給与をぜひ追いつかせなければ筋が通らないという建前で勧告はできておるのでありますが、したがって、その実施時期も、五月までに遡及していただかないと、その辺の条理に非常に私どもとしては反すると思いますものですから、できるだけこれは勧告どおりに実施していただくべく、私どもは従来努力を重ねてまいりました。これは、努力が足りないと言われればそれだけでございますけれども、私どもとしては、これは当然の条理であると考えておりますからして、少なくとも来年、再来年勧告がありましたような場合には、ぜひこれは勧告どおりに実施していただきたいものと、心から念願しております。私どもとしても、そのほうに努力を尽くしてまいりたいと考えております。
○小平芳平君 その御努力をお願いしたいと思います。政府のほうからもう一度、なぜ五月に実施しないかということを御説明願えませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほどから何回も申し上げておりますように、公務員給与は、公務員給与だけの問題ではなく、日本の経済全体の問題、地方公務員に対するはね返りを合わせましても千億以上というふうな数字がはじかれるのでありますから、財政上も十分考えながら対処しなければならないということは、先ほどから申し上げておるとおりであります。
○小平芳平君 先ほどから先ほどからって、初めてですよ、ぼくが聞いたのは。幾らですか。その金額が幾らで、どれだけのお金がかかるから財政上できないならできないと、そういうふうにおっしゃってください。
○国務大臣(田中角榮君) 公務員給与の問題は、ただ公務員給与だけの問題にしぼって考えることはできないわけであります。国民経済全体の問題にも考えなければならないということが一点であります。もう一つ、公務員給与の引き上げに対して、地方公務員もこれにおおむね準じて引き上げるということになっておりますので、現実問題としてでありますが、その意味で、地方中央を通じますと、その原資一千億以上になるわけであります。そういう面から考えましても、いろいろな面から配慮をいたしたわけでありますが、十月一日実施ということによらざるを得なかったわけでございます。
○小平芳平君 その御答弁が、その他もろもろのとおっしゃるから、何かちょっとつかみようがむずかしくなるのです。十月実施と五月実施の差額が一千億ということでありますが、この一千億がないからできないということですか。
○国務大臣(田中角榮君) 前回も申し上げましたが、これを五月から引き上げるということになりますと、地方公務員も、これに準じておおむね引き上げられておりますので、これらを計算しますと、引き上げ額の年間における総額千億をこすわけであります。こういう問題を考えますときに、予算の上からも、また地方財政の上からも、十分慎重な配慮をしなければならないという観点に立って、結論としては十月一日と、このようにきめたわけであります。
○小平芳平君 五月実施と十月実施の差額を聞いてるんですよ。結局五月は実施しないということなんでしょう。それで、十月実施にならなければならない、ならざるを得ないということだと思いますが、給与担当の労働大臣は、そういう、いつも勧告を同じような状態で実施できないということに対して、人事院勧告のあり方、労働政策のあり方という点で、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(大橋武夫君) 人事行政並びに労働政策という立場から考えますると、完全実施のできないことは、まことに遺憾に存ずるのであります。しかしながら、御承知のように、国政につきましては、やはり財政上の見地をも考慮する必要があることはもちろんでございますので、かれこれ勘案いたしまして、まことに不本意ではございまするが、十月一日と決するのやむなきに至った次第でございます。
○国務大臣(田中角榮君) 念のためお答え申し上げますが、十月一日に改訂をいたした場合、一般会計二百八十一億、特別会計二十八億、地方財政において三百八十九億、合計六百九十八億でありますが、五月にこれを実施した場合に、特別会計四百四十六億、特別会計四十三億、地方財政において負担しなければならないもの五百九十九億、合計千八十八億という巨額に上るわけであります。
○小平芳平君 大蔵大臣は盛んに、巨額に上るとか、そういうふうにおっしゃいますがね。労働大臣は、はなはだ不本意ながらやむを得ないとおっしゃっておられますが、そこで、総理としては、こういう人事院の勧告のあり方をこのまま続けていくことがおかしくないかどうか。根本的に人事院の改組とか、そういう問題が、全然給与などとは関係のない問題とからんで、人事院がどうこうというような議論も新聞に報道されたことがありまして、見ましたけれども、そういう、関係のないことから人事院のあり方を論議するよりも、こうして人事院というものが法律に基づいて勧告をする、その勧告が四回にわたって完全には実施できない、時期的にいつもずれる、そういうことを今後も続けていかれるのをどうお考えなさるか、続けていかないようにするには、どうしたらよろしいか。
○国務大臣(池田勇人君) 人事院の勧告は、もう十年くらい前からずっとございまして、ときには、予算上、資金上不可能なりというので全然実行しなかった場合もあります。昭和三十年ころから、とにかく人事院の勧告をできるだけあれしようというので、いまの段階になっているのでございます。昭和三十五年一二%の引き上げのときから、ずっと十月一日ということになっております。今年も、できるだけ早めるようにという議論もありました。傾聴すべき点もあったのでございますが、何ぶんにも、先ほど来申し上げましたように、国もそうでございますが、ことに地方として、六百億近い補正予算というのは、なかなか組みにくうございます。遺憾ながら十月一日といたしたのであります。今後のあり方についてはどうかという問題は、もう先年来ここでいろいろ議論をされておりまして、私も十分今後検討していきたいと思います。
○小平芳平君 給与問題はこれで終わりますから……。 次に、物価についてですが、総理は、消費者物価の、公共料金その他、政府の規制し得る範囲のものは極力その引き上げを抑止する等、果敢な応急措置を講ずる決意というふうに述べておられますが、またそのころ、物価問題懇談会の見解も述べられておりますが、こういう点について、公共料金を一年間ストップするかどうかということもたいへんに問題にされているようでありますが、この点についてお伺いしたい。
○国務大臣(池田勇人君) 大体公共料金の物価問題に占むる地位は、米を除きまして、全体の大体七%程度でございます。だから、理論的にはたいした影響はないといえますが、この問題は理論ばかりではございません。ムードという関係もございまして、慎重に検討しなければなりません。物価問題懇談会の答申につきましては、今回答えましたように、極力これを尊重していきたい、こう考えております。ただ、いまさしむきの問題は、タクシー、ハイヤーの問題でございます。これはもう御承知のとおり、全国的にずっと先般来上げておりまして、大阪にいたしましても二カ月ほど前でございます。また、この近くの横浜、川崎も相当上げております。東京だけいろいろの関係で残しておったのであります。これをもうあの懇談会が出したから全部ストップしろと、こういうことはいかがなものかと私は考えております。そうして、またもう一つの問題は六大都市の経営のバスの問題であります。これは私が聞いたところでは、百六、七十億の赤字と聞いております。この問題も、自治団体の財政としては非常に大きい問題であります。したがいまして、物価問題懇談会の答申をいま政府として十分検討しようというので、先週から、きょうの午後もやって検討しておるようであります。やはりできるだけ早い機会に経済閣僚懇談会にはかり、閣議で決定したいと思っておりますが、何ぶんにもムードだけで解決できません。また、理論のほうも、あまり理論ばかりもいきません。十分検討いたしますが、大体の方針としては、物価問題懇談会のあの線をできるだけ尊重していって、公共料金は極力上げないという考え方で進みたいと思います。
○小平芳平君 物価問題懇談会の意見としては、公共料金は一年間全面的にストップする、そうして問題が起きたら一年たってから検討するというふうにも述べられておられるように記憶しておりますが、総理が果敢な措置を講ずるという、その果敢な措置から見た場合に、その程度のお考えでよろしいかどうか、いまおあげになったのはタクシー、バス、そういう点をおあげになりましたが、いつごろそれは結論をお出しになられるか。
○国務大臣(池田勇人君) 政治というものは一年間で区切りをつけるという問題でもございません。一年間上げないで、それを一年たったら検討する、こういうことも一つのムード的の考え方であります。しかし、経済の円満な遂行ということになりますと、そういうドラスチックの案が、長い目で見て日本の経済にいいかどうかは、個人の状態、会社、企業の状態も考えなければならぬ、慎重にいかなければならないと考えるのであります。たとえば一年たったらうんと上げるか、あるいは一年たった上にうんと上げないか、少しくらい上げておいて二、三年様子を見る、こういういろいろな方法があると思います。そういう点を私は考えていたい。いずれにいたしましても、これは早急に決定しなければならぬ問題でございます。先週来、関係各省で十分案を練っております。きょう中にきまればあしたの閣議で相談します。あるいはもう一日延びるかもわかりませんが、できるだけ早いうちに早く結論を出したいと考えております。
○小平芳平君 一方では消費者物価が上がる、また公共料金も上がる、また一方では生計費がかさむけれども、収入がふえないという階層の人が相当いるわけです。たとえば水道料金の場合でも、水道料金はもとより独立採算制で各公共団体がやっておりますけれども、水は上がっただけ険約するといっても、なかなかそうはいかない。そういうようになると、一方では所得倍増所得倍増といわれながら、他方では生計費は非常に苦しいという、そういう人たちが相当いるわけです。厚生省から水道料金はこの程度上がったか、お知らせ願いたい。
○国務大臣(小林武治君) 最近、水道料金の値上げを行なっている都市がありまするが、ことしに入ってから値上げをした都市で届け出のあったものが、上水道が約一千カ所中、名古屋、横浜、神戸、尼崎、塩釜等、十都市であります。これによれば一割から五割の範囲で値上げが行なわれておるのでありますが、これは最近特に大都市におきまして人口がふえたということと同時に、一人当たりの使用水量が急激に増大をしておる。このために水道施設の拡張工事がどうしても必要になって資本費が非常にふえた。そうしてその建設費が現在起債によっておるために、その償還費が非常に増加した。また、ほかに人件費あるいは電力費等の管理費の増大等もありまして、やむを得ず行なったものであります。 厚生省としましては、値上がりの傾向がありまするので、水道事業の経営の合理化の指導等によりまして、料金の値上げをできるだけ抑制したいと、こういうふうに思っておりますが、何ぶんにも古い時代の水道は資本費が非常に安いということ、で値上げが行なわれておらぬのでありますが、最近に施設をするものが非常に資本費が高いということで、やむを得ずさようなことが行なわれておるのでありまして、特に値上げの行なわれておりますものにつきましては、いま水道の工事は全部起債でまかなっておると、こういうことで、大体水道の経費の三〇%から五〇%が資本費だ、すなわち、起債の償還がもとであると、こういうことでありますので、いま、たとえば水道が非常に必要な施設であるために、起債の償還期限を延ばしたらどうか、あるいは利率等についても検討したい、こういうふうに思っておりますが、他の方面の起債との関係もありますので、慎重に検討しなければならぬと思いまするが、ある程度起債の償還期限等を延長すれば資本費が安くなる、したがって値上げ等の抑制にも相当役に立つと、こういうことで、この方面の検討を行なっております。
○小平芳平君 一方では料金がストップされる。一方では水道の経営が赤字になる。そうして値上げしたところで、聞いてみても、大体はいま大臣がおっしゃったような起債の償還に追われていくというような実情だそうですから、やはりいま大臣がおっしゃったように、起債の償還期限を延長するとか利率を引き下げるとか、とにかくこうした水というような基本的な生活の必需品に対しては、なるべく値上げしないですむような方策を望みたいと思います。 消費者物価の問題で経済企画庁長官にお伺いしたいのですが、長官は、昭和三十八年は二・八%程度の値上がりであろうということを予算委員会でもずいぶん御答弁なさったわけですが、それは計画経済でないからといっても、長官のその二・八%ということからすれば、今年度の消費者物価値上がり率などは非常に高い。 〔委員長退席、理事斎藤昇君着席〕 長官としても不本意ではないかと思われますが、今後の対策についてお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 本年度の消費者物価の値上がりが経済見通しの二・八%をかなり上回ることは事実でありまして、当初の見込みどおりいかないことはまことに不本意でありますし、残念に思っております。そこで、基本的な考え方は、やはり一つは生産性のおくれた経済の部門に対して、生産性向上のための施策をするということであります。また、労務をより流動的にいたしますための施策を講ずること、価格の形成が必ずしも自然、自由に行なわれていないと思われるような部門についてその矯正を講ずること、一時的に需給に変更が生じたものについては輸入その他の方法によること、流通機構の改善、その他従来から申し上げておりました方法がいろいろございます。そういうことをただいまの段階で申しますと、これから後数カ月、明年度にかけまして、地道に相当な決意をもって行なっていくということになると思います。 なお、先ほど総理大臣が答えられましたようなことはもちろんであります、そういう考え方でおります。
○小平芳平君 それで、もう一ぺん長官にお答え願いたいのですが、物価をただ機械的にとめておくというわけにもいきませんけれども、一方ではやむを得ず上昇する値段の品物もあるだろうし、中には自然に下がるはずだ、また、現に下げられるのに下げてない、あるいは下がっているものがこういうようにあると、そういう実情について御説明願いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) しばしばこの委員会で従来から御指摘のありましたことは、大企業の製品の一部に、いわゆる管理価格、価格協定のようなものが事実上あって、それが自然な価格の形成、値下がりということになるわけでありますが、そういうことを妨げているのではないかという御指摘がございました。私どももそういうことが確かに事実上存在するのではないかというふうに考えまして、従来から問題を提起いたしまして、公正取引委員会の協力も得まして、いわゆる管理価格の問題というのをただいま検討いたしておるわけであります。なお、そのほかに操業短縮とか、勧告操短とか、ことに勧告操短というものが昔は相当ありましたが、これなども、ただいまは二、三のものにとどまるに至っておりますので、そういう勧告操短といったようなものから生ずる価格の膠着というようなものは、ただいまあまりないように思われます。問題になりますのは珪素銅板であるとか、ガラスでありますとか、ナイロンでありますとか、幾つか問題になっているものがございます。これらのものは、概して申しますと、昭和三十五年くらいを一〇〇といたしまして九七とか八とか、その辺のところにただいまあります。中で食料品のバターのようなものは、実は一一〇幾つというふうに上がっておりますけれども、これらのものについて御指摘のような問題があるのではないか。一〇〇より上がってはおりませんけれども、下がり方がいかにも少ないのではないかということを考えまして、公、正取引委員会などでもそういうことをいま検討をいたしておられます。また、同じく公正取引委員会と私どもとの間で検討をいたしておりますものの中には、火災保険料といったようなものもございます。ただいま、またある意味で事実上金利を上げておると思われるような金融機関の好ましくない慣習といったようなものもただいま検討の対象になっておるわけでございます。
○小平芳平君 ひとつ物価についても、権威ある官庁から二・八というようなそういう数字が発表されますと、大体われわれしろうとは、そういう正確な数字が計算されるぐらいなら安心だろうと思って安心するわけですから、それが二倍、三倍狂うようだと非常に困るのです。ですから、物価安定を、もっと総理の御決意のように、果敢な措置を講じていただかなければならないと思います。 それから、次に道路問題についてお伺いしたいのですが、建設大臣は、一級国道、二級国道、国道については国費で負担するようにしようとするんだというような構想をお述べになったことがありますが、現在もお変わりありませんか。
○国務大臣(河野一郎君) 御承知のように、道路が県財政の影響を受けまして、非常に名前は一級、二級国道といっておりますけれども、その企画は県にございます。国にはございません。こういう事情で、ある場所になりますと四車線の一級国道があり、ある場所になりますと二車線の一級国道があるというようなことのために、非常に全体の交通政策から見まして適当でないというふうに考えまして、だんだん研究いたしてみますると、どうも府県が負担をしている関係からそういうことになっておる、できれば国道は、これを全額国費で負担することによってこういうことをなくしたいということを考えておりますけれども、わが国の政治のたてまえから参りまして、受益者負担と申しますか、地元負担といいますか、そういうようなものの考え方が相当強くそこにあるようでございます。そういった面から、たとえば河川の改修にいたしましても、一部は地元負担をいたしておる慣行もございます。財政当局から補給が非常に困難でございます。私といたしましては、できればいろいろな点から申しまして、そういうふうにしていけばたいへんけっこうだと思っておりますが、にわかになかなか困難であります。
○小平芳平君 財政上の理由で困難だと申されますが、大蔵大臣はいかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 道路整備の急は言うをまたないことでございますが、建設大臣の考え方も理解はできますが、何ぶんにも財政の制約がありますので、現在の状態で一、二級国道約三万キロありますが、これを全部国費負担をもって改修、維持、修繕までできるかどうかという問題は、非常に重要な問題でありますので、十分検討しなければならんと考えます。三十九年度の予算を編成中でありますが、現在でもすでに二兆一千億、五カ年計画でありますが、これに対して、なお改定の必要があるという議論もあるわけでありますし、非常に膨大な資金を要する問題でもありますけれども、河野建設大臣が言われるとおり、にわかにこれが結論を出すことはむずかしいと考えております。
○小平芳平君 同じく道路の問題ですが、これは国道でない、県道あるいは市町村道についても問題ですが、建設大臣それから大蔵大臣にお伺いしたいのですが、地元の受益者負担という、そういう考えのあることはわかりますけれども、県の単独工事あるいはそれ以下の工事になりますと、もうほとんど例外なく市町村あるいは地元負担がかかってきます。それで、それも県によっては舗装だけで二割地元で負担するというようなところもあるし、県によっては三割も四割も、また道路工事そのものも負担するというようなふうになっているところもあるようです。受益者負担とは言いながらも、やはり道路は公共のものですから、そういうように地元の、市町村が負担すればまだしも、その市町村の財政が弱体だからといって、その部落が負担するとか町内で集めるとか、中にはそういうようにして、地元のほうから舗装してくれというふうに、幾ら幾ら負担するというように言わなければ、道路の工事はできない、舗装はちょっと永久にできそうもない、当分できそうもないというような現象さえ現在起きているわけですが、そういう点に対して、今すぐ道路という道路は国道さえも全額国庫負担がむずかしいというときに、何でもかでも国がやるべきだとは言いませんけれども、そうした地元の負担金、受益者負担というものはできるだけ減らす、税金外の負担をできるだけ減らしていくという方向に行くべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(河野一郎君) 実はお話のとおりに、この際、できるだけ道路行政を一貫いたしたい考えでございます。それには従来、県道といわず国道といわず、大体道幅はある程度広げ、曲がりかどを、カーブをゆるめて、そうして早急に手直しをして、しかる上で舗装するということにいたしておりましたために、国道の改修、県道の改修も相当の経費をとっております。ところが、だんだん各国の例等を調べて見ましても、また、わが国の実情から勘案いたしまして、まず舗装をすることが一番先決問題だというふうに考えまして、一級国道はさることながら二級国道、県道等に至りましては、これを幅を広げたり、曲がりを直したるすることは、なるべくがまんをいたしまして、現状のままで、まず舗装をしようということに、計画を明年度から変えていこうという方針をきめております。 こういうことにいたしまして、おおむね昭和四十四年くらいまでに、一級はもちろん二級国道も全部、県道は主要県道を昭和四十五年までに、全国おおむね舗装だけは終わろうということに方針を立てて計画的に進めていく予定でございます。 したがって、そういう一つの大きな計画を持ってまいりまするから、いまお話のような点につきましては、地方財政等についても十分相談いたしまして、いまお話のようなことのないように全国の道路を一応片づけたいという希望を持っておりますから、さよう御了承願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 税外負担の問題につきましては、御承知のとおり三十五年に地方財政法を改正いたしまして、当時の金で六十億であると思います。今年度の予算では、三十八年度には二百七十億みておるわけでございます。こういう問題をだんだんなくするように、寄付金とかその他地元の受益者負担の名において、いろいろな公費負担をやらなければならないというものは、いろいろな形で税外負担をやるということはいけないことでありますので、できるだけ早い機会に、これをなくしようという方針であることは御存じのとおりであります。 道路の問題でも、いま法律上は三分の二、二分の一、そういうように国が負担すべきものにつきましては、都道府県がおおむね負担をし、これが用地取得費等の五%程度以内を受益者負担、いわゆる市町村負担という原則があるのでありますが、地方によって、いろいろ問題があるようでございます。こういう問題を、税外負担というようなものをなくすると同じような方向で、やはり一律、画一的な、当然法律で規定した地元負担以外は押しつけるべきではないというふうに考えております。
○小平芳平君 次に、建設大臣にお尋ねしますが、日本道路公団の有料道路は、償還が終わったら無料にして国なり県が管理するようにするか、あるいはそういうふうにするとすれば、どのくらいの道路公団の有料道路がいつごろ無料になるか、その点についての方針あるいは見通しについてお伺いいたします。
○国務大臣(河野一郎君) いま当面問題になっておりますのは、戸塚の道路でございますが、これは相当効率があがっておりまして、償還も相当進んでおります。したがって、これをいまお話のように償還が済んだならば無料にするということであれば、ごく最近の機会にそういう機会が来ると思います。また、それと別に大阪に一つございます。御承知でございますかどうですか、大阪市内に大型の車を制限いたしましたために、二本の道路だけが大型車の通行を許すと、その一本が有料道路になるというようなことで、大阪市の当局も、ぜひこれを無料にしてほしいというような申し出がございまして、この二つがいま問題になっております。 私といたしましては、戸塚の場合、これは例外といたしまして、都合によったならば、地元の市と談合いたしまして、特にある程度地元の負担をお願いするようにしたらどうか、また、大阪の場合も同様にしたらと思っております。と申しますのは、そういうふうにいたしませんと、これは道路公団で償還計画がないものはやっちゃいかぬということになりますと、これは非常に道路公団の活動範囲が狭まってまいります。そういうことに制約を受けたりいたしますと、また、これは非常に高い交通料金をもらわなければならないという場合もございます。いま幸いにして、全国おしなべて平均一割の、何といいますか、支払い積立金をしておりますので、現在までのところは、そういうことなしに参っておりますけれども、これ以上道路公団が、さらに全国的に地方の要請によって、すべての建設費をペイするようにという計画を立てますならば、道路公団のほうに非常に世話になりますから、世界の先進国の例を見ましても、アメリカあたりでも、支払いが済んでも、なお何がしかの料金をもらって、そうしてあとのほうに埋めていっている場合もあるようでございます。また、償還が済んだら無料にしているところもございます。 したがって、これをどういうふうに画一的にするかということにつきましては、なおよく検討を要する問題でございます。いま申し上げましたような差し迫っております問題につきましては、解決すべきところは早急にしようと思っております。全体の方針としては、十分検討の上で進めるべき問題ではないかということで、私自身まだ、はっきり方針をきめておりません。
○小平芳平君 有料道路は、道路のないところに、りっぱな道路ができればありがたいわけでありますが、ところが国道を、原っぱでも、たんぼの中でも国道が走っていって、何でもない、そこが工事が困難なのかどうか、しろうとでわかりませんけれども、いきなり有料道路になり、そこで料金を徴収される。で、建設省が工事をやってくれさえすれば、無料の一般の公共道路として使えるのに、公団が道路をつくるものだから、おかげで十年か二十年か何十年か見当もつかない、そこでお金を払わなきゃいけない。それは経済的にももちろん問題でもあるし、たいへんでもある。 〔理平斎藤昇君退席、委員長着席〕 また第一、わずらわしくて非常に困るというような実情が相当あるわけです。ですからいろいろな事情があると思いますが、大体は償還が終わったら無料公開するというような方針ではいかれないわけですか、いかがですか。あるいは大蔵大臣からでも。
○国務大臣(河野一郎君) 国道が急に有料道路になるという場合はないんでございます。国道は国道として無料でありまして、それを今度はわきに、そういう国道があまり従来混み合いますから、そのわきに別に一本道路をつくる、それをつくるためには相当金がかかる。そういうものをつくることで、全国の平均して交道政策を進めていかなきゃならぬ場合に、特に重点的に、そういう個所に金がいる、そういう場合に、有料道路でやっておるというのが大体原則でございまして、もしくは大きなトンネルを掘らなきゃならぬ、そのトンネルを抜くということは、あまり一カ所の道路に費用をかけ過ぎるから、道路公団につくってもらう、橋をかける場合もしかりでございます。いまお話のような、何でもないのにいきなり金をとるということはないのでございまして、しかし、さればといって十年も二十年も金をとるということをきめておるわけじゃございません。 いま申し上げましたように、ある時期がくれば、方針をきめていかなければならぬと考えております。いま差し迫った問題は、二カ所の問題ですが、それを検討した上で方針をきめたい。これは外国の例を見ましても、どちらも一長一短があるようでございますが、よく勘案いたしまして、あの辺、道路はおくれておりますから、取り返しのつくまでは、ある程度までいかなきゃならぬと思っておりまして、永久にとるというつもりはございません。
○小平芳平君 それは、たてまえとしては国道か、あるいはほかの県道がある、そのほかに有料道路を計画するというたてまえでおつくりになっていらっしゃるわけですが、実際問題として、橋だけほかの橋を渡って、またそこを走るというわけにいかない。また、そんなに無料のほうをどんどん交通できるんだったら、有料道路をつくっても実際には役に立たない。有料道路そのものが利用価値が少ないというような結果になってくるんじゃないかと思うんです。まあ、いずれにしても有料道路ができたと、それで将来において無料にするという方針がはっきりしているなら、将来においてこの道路は無料になるということをはっきりしていただきたいと思うんです。 それで、先ほどの地元負担の問題では、道路は地元が何がしか負担するという、そういうような考えからすれば、片方の有料道路がもうかって、片方の有料道路が赤字で、その赤字のほうを埋めるために、黒字のほうから金をとるというのもおかしいと思うし、どうですか大蔵大臣、そういうふうに経済的な理由で、財政的な理由で有料道路をつくるということはよくわかります。けれども、地元の人としては無料になるなら、できるなら無料にしてもらいたいし、なるならなるで、はっきりさしてもらったほうがいいと思う。
○国務大臣(田中角榮君) 有料道路の問題については、建設大臣お答えのとおりでありますが、財政当局者として考えますと、できれば有料道路制度が必要であるという前提に立って申し上げるわけですが、地方開発とかいうような面もありますので、有料道路はプール計算にしてやるほうが、より合理的じゃないかというふうに考えています。しかしこれは建設省と打ち合わせも済んでおるわけではございませんので、将来の問題として、こんな気持を持っておるわけであります。 なぜかと言いますと、昭和二十七年、道路三法がつくられまして、新しくこの国会で御審議願ったわけでありますが、一、二級国道、重要地方道、その他一般府県道合わせて約十五万キロの延長になります。この十五万キロの延長を改良舗装するということは、いかにも膨大な資金を要し、しかも何十年もかかるということで、やむを得ず有料道路の制度を採用したわけであります。経済の動脈と申しますか、これらの道路整備の終わるまでは、有料道路制度というものは理論の上では、無料公開の原則というものに対しては、まっこうから対立するわけでありますから、問題はありますが、そうすることによって、より国民が利益するということであるならば、このままの制度で、しかも道路公団の仕事がだんだん小さくなるということよりは、より前向きで対処できるためには、料金のプール計算というものも、事実の問題としては検討に値する問題だというふうに考えます。
○国務大臣(河野一郎君) 御承知のことと存じますが、御参考までに申し上げます。お話の点は、名古屋から四日市に参ります名四国道が、いまお話のことに合致する道路でございます。途中の道路があって、そして橋のところに行くと金をとられる。ぐるっと回ると道があるけれども、また、もとに戻るのはおかしいじゃないかということでございますが、実はあまりに道路から橋まで全部負担をかけますと、料金が高くなり過ぎますので、道路のほうは国費でもってやり、特に割高になる橋だけを有料にしているということでございまして、本来ならば、あの名四国道というようなものは全線有料で作ることが、一つの考え方であったかもしないのでございますけれども、それでは金がかかり過ぎるから、前後の道路を国費でやり、一番金のかかります橋だけを有料にした、こういうことでございます。今後はこういう例は、なるたけ無料の道路をつくって、そしてトンネルとか橋というようなものを新設する場合は、有料ということも、今後も考えられるというふうに御理解いただきたいと、こう思います。
○小平芳平君 それは建設大臣が初めにお答えになっているように、もちろん将来において検討しなければならないけれども、無料にできるなら無料にするというふうな方向で検討していただくのは当然のことと思う。プール計算をしなければならないと大蔵大臣はおっしゃるけれども、現に日本道路公団の会計が、道路ごとに別々にやっているわけではないから、ですから、何でもかんでも無料にしろと私も申し上げているわけではない。ただ将来、地元民にとっては、無料にするなら、無料にするという方針をはっきり出していただきたいと申し上げているわけです。 それから次に、建設大臣にお尋ねしますが、首都高速道路公団の道路がずいぶんいま建設のまっ最中でありますが、この首都高速道路公団の道路はもちろん有料だと思います。これの管理あるいは将来無料にするかどうか、こういう点はいかがですか。
○国務大臣(河野一郎君) 道路公団同様の経営方式でいくべきものと考えております。
○小平芳平君 日本道路公団が有料道路を経営しているのと同じ方式でいかれると……。 次に、建設大臣にお尋ねしますが、治水十カ年計画はだいぶ工事も進んできているわけですが、治水十カ年計画を再検討する、あるいは改定していくということはいかがでしょうか。
○国務大臣(河野一郎君) 前国会において提案いたしました河川法の改正、これを今国会に本、前国会の御審議の経緯に徴しまして一部手直しをいたしまして、提案いたしたいと考えておりますから、この法案の成立と相呼応して、いまお話しのように、治水計画としても前向きに改定してやっていきたい、こう思っております。
○小平芳平君 やはり所得倍増計画の上からいっても、また新産業都市の建設というような点から考えても、相当いままでの田畑やあるいは荒れ地が工場になったり住宅になったりしていくと思いますから、十カ年計画も改定していかなきゃならない、また治山治水にもっと力を入れていかなければならないというふうに私も考えているわけです。で、今回の補正予算で三十八年度分の災害の復旧費として計上されておりますが、三十八年度災害の公共土木事業の復旧は、これは一例になると思いますが、何年で復旧を完了するような見込みか、査定額はどのくらいになっているか、それをお尋ねします。
○国務大臣(河野一郎君) 事務当局から数字を説明いたします。
○説明員(畑谷正実君) 私からお答えいたします。今年度の査定額は、現在約九〇%以上いっておりますが、一部まだ査定の未了の分がありますから、推定が一部ございまするが、今のところ国のほうの直轄災害が三十億、補助災害が六百四十五億、合わせて六百七十五億円、これが査定額でございます。なお、これは四カ年をもって復旧するという目標のもとに、今年度はその三〇%を補正予算の中に入れております。
○小平芳平君 何年。
○説明員(畑谷正実君) 四カ年でございます。
○小平芳平君 災害が比較的少ない——災害を受けた地元の人にとってみれば大きい小さいということはないわけですが、全国的に見て、比較的災害の少ないこういう時期に、災害復旧はもっと改良復旧をたてまえともするし、またもっと完成を急いだほうがいいと思うのです。で、特に集中豪雨あるいは長雨の災害、こういうような場合には小さい災害が多い。そうすると、国の補助が延び延びになったり、あるいは市町村が財政上の関係で工事が延び延びになったり、そういうふうに工事が延びているうちに、また災害を受けてしまう。今度は、とても市町村では手の出しようがない大災害になって、再度災害を受けたというような例もあるわけですから、四カ年で復旧するなんというようなのんきな計画でなくても、もっと至急に復旧するような計画はできませんですか。
○国務大臣(河野一郎君) お話でございますが、従来に比べますと、災害は近時少のうございますので、財政負担も相当集中して負担をするようにいたしております。大体初年度は、御承知のとおりこういう状態でありますから、地元で設計をしたり計画を立てたりすることで、事業そのものができにくい場合が多うございます。元来が夏から秋に災害がございますから、二年度においては相当大幅な工事費を支給いたしますので、従来に比べて相当に地元で要求がある部分についてはそれに応ずるに十分の程度に実は詰めていっているというつもりでおりまして、決してこちらから出る金がおそいために工事がおくれて、そうして再度災害を受けるというようなことはいまのところないようにいっているつもりでございまして、地元の要請に十分にこたえていっているというつもりであります。
○小平芳平君 したがって、その四年という計画が早くなるということはないわけですね。
○説明員(畑谷正実君) 現在事務局で、いま大臣からお答えになったとおりに四カ年ということでございますが、これをもう一年できるだけ早く短縮するということに対しては従来も努力をいたしているのであります。非常にこまかくいいますと、従来ですと、この四年の復旧については、初年度が二五、それからその次は次年度が六五、八五、一〇〇ということになってございますが、今回の補正によりましても、本年災については三〇%、それから次年度は六八、八七と、それぞれ従来の進捗率を進めまして、一日も早く進捗するというふうにまいっているわけであります。
○小平芳平君 たとえもう一年でも半年でも早く復旧する、完成するという方向へ進んでいただきたいと思うのです。 次は、公職選挙法の関係についてお尋ねしたいのですが、自治大臣から、第三次選挙制度審議会はいつ発足するような予定になっておりますか。
○国務大臣(早川崇君) 来年の四月以後でございます。
○小平芳平君 大臣は、何か選挙法の改正について参議院の全国区制をどうこうするというようなことが大臣の御意見として新聞に報道されたことがありましたが、選挙制度審議会は来年四月とすれば、その審議会とは全然関係なしに選挙法に手をつけるおつもりですか。
○国務大臣(早川崇君) 新聞に何か載っておったそうですが、全然私関知いたしません。選挙制度のような制度につきましては、必ず長所と短所がございます。短所が長所を上回るというような場合に、国民の大多数が改正を望むという時期が来れば、たとえ選挙制度審議会にかけなくてもやらなければならぬ場合があり得ると、かように考えるわけであります。現在のところ衆議院も参議院も選挙制度審議会にかけないで改正するということは考えておりません。
○小平芳平君 みんな国民が、こういう点は直してもらいたい、こういう点は法律も改正したほうがいいというふうに痛感している点は、たとえば公明選挙が行なわれるように、買収や、そういう悪質の選挙違反があってはいけない。あるいは具体的にはどういうふうにやるか、とにかく政治資金の規正とか、そういうような点が非常に共通した問題だと思うのですが、今度の選挙を通じて見ても、そういうような悪質違反が多いというふうにも報道されておりますが、その点についてどういう経過か。また、大臣はどうお考えなさるか。
○国務大臣(早川崇君) まことに残念なことでありますけれども、一週間前の報告では、検挙人員が一万三千人をこえたという報告を受けておりまして、前回より若干数字をとりますとふえております。したがって、選挙違反の問題については厳正にやっておるわけでございますが、私は、日本の選挙法というものがかなり世界的にこまかいところまで規定しておりまして、非常に詳細な規定を盛った選挙法であり、そういった点をも検討すべきではなかろうか。しかし、根本に触れましては、国民が選挙違反をやらないような運動を起こしたい。そこで、一千万人公明選挙運動というものを、本年の十月始めました。各地にある公明選挙推進協議会を中心にいたしまして、大きい国民運動に持っていく。そして悪質な選挙違反をした者には、入れないような気風が国民から大きく盛り上がっていくというのがやはり根本じゃないか。選挙法のいろいろな改正をやっても、すぐ裏をくぐるというようなことでは、かなり世界的にはきびしい選挙法でありますが、実効があがりませんので、私は根本からひとつ変えてみたいというので、せっかく努力をいたしておるわけであります。
○小平芳平君 そういうこまかい選挙法を直して、人によっては障害物競走のくぐり抜けみたいな選挙法であるというような批評をする人もあるそうですが、そういう点で、選挙が自由に行なわれるような、そういうこまかい規定のなるべくない選挙法に規定したいという点については、私も同感であります。ただ、大臣にお尋ねしていることは、買収供応の悪質犯が多いということに対して、どうお考えになるか。また、そうした悪質な違反をなくしていくためにはどうすればいいか。さしあたって、一千万人のそれはお聞きしましたが、法律的には何か手をつけるとすれば、どういうお考えがあるか。その点についてお尋ねしたい。
○国務大臣(早川崇君) 法律的には、たとえば公営の拡充とか、また一部では連座制の拡大とか、いろいろいわれております。ただ、連座については憲法上の問題がございます。日本におきましては、かなり重い連座規定があるわけであります。公営につきましては、今度の選挙法の特例によりまして一歩前進いたしました。これをさらに前進をさしまして、できるだけ金のかからないようにやっていきたいと考えておるわけであります。しかし何ぶんにも、この選挙法がいかに完備しましても、裏をくぐっていくという、いわゆる法を守らぬ、ルールを守らぬという者にはどうしようもないわけです。したがって、私は、選挙法の直すべきところは直しながら、ひまがかかりますけれども、スポーツのようにルールを守るということがいかに価値あることであるか、法治国家のためにルールを守ることがいかに大事か、落選してもルールを守ることがいかに名誉であるかという機運を醸成することが急務であると考えまして、一千万人選挙法を守る会の運動を推進いたしておるわけであります。
○小平芳平君 政治資金の規正についてはいかがですか。
○国務大臣(早川崇君) 政治資金の規正につきましては、法人の献金を禁ずる、あるいは労働組合の団体献金を禁ずるとか、いろいろ意見は出ております。しかし、まだ成案を得ませんので、目下検討中でございます。
○小平芳平君 選挙区と議員定数についてですが、これは衆議院と参議院とを両方一緒に検討するなり、いずれにしても参議院だけ検討するということも無理じゃないかと思うのですが、選挙区の区と定数については、私の最初申し上げたことは、もちろんそれも大事でありますが、選挙の公明化、悪質犯をなくしていく、それが非常に関心の的であることが一つと、もう一つ、定数も非常にいま矛盾があるということもみな認めているところでありますが、そういう点について、選挙制度審議会が四月発足ではだいぶ先になるようにも思いますが、もうちょっと早くするとか、あるいはもうちょっと早く手がけるとか、そういうようなお考えはありませんでしょうか。
○国務大臣(早川崇君) 定数是正につきましては、すでに審議会の答申が出ております。前の国会に提案いたしました。通常国会にも若干の手直しはあるかもしれませんが、答申を尊重して提案をいたしたいと思っております。 選挙区制度につきましては、これはやはり選挙制度審議会も通さなければなりませんし、全国区の問題、中選挙区のハーゲンバッハ・ビショッフ方式とか、いろいろ考えるべき案もございますけれども、いずれにいたしましても、四月発足した後にかけたいと思うのでありまして、現在の選挙制度審議委員は四月までという仕組みになっておりまして、四月以降でなければ予算的な裏づけもありませんので、四月以降に発足するというよりいまのところ方法はないわけであります。
○委員長(太田正孝君) 小平君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(太田正孝君) 市川房枝君。
○市川房枝君 まず、総理に選挙に関することを伺いたいと思います。 この間の総理の所信表明の中には、選挙に関することが一言もございませんでした。三十五年の選挙のあとの特別国会、三十七年の参議院の選挙のあとの臨時国会では、総理が選挙に関することをおっしゃっておりましたが、どうして今度はおっしゃらなかったのか。選挙は民主主義政治の基本でございますので、やはり総理からそれに対する感想があってもよかったのではないかと思って、遺憾に存じております。 この間の選挙の投票率は七一・一四%で、二十二年の総選挙に次ぎ投票率が悪かった。それから違反は、先ほど自治大臣がおっしゃいましたように、違反の件数も人数もこの前よりも件数で三〇%人員で三七%ふえております。この点だけから見ましても、この間の選挙はよくなかった。自治省の金子政務次官が参議院の選挙特別委員会でおっしゃっておいでになります。総理はこの間の選挙に対してどういうふうにお考えになっているか、御所見を伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 選挙の公明を期するためにいろいろ努力をいたしましたが、何と申しますか、効果が十分あがらなかったことは遺憾に思っております。ただ、選挙違反に対しましては、厳正公平な措置をとるために注意いたしております。
○市川房枝君 これも先ほどお話が出ておりましたが、公明選挙運動、選挙をよくするために、政府としてはこの間の選挙には六億円お出しになっております。三十五年には一億円しか出ていなかった。五倍、六倍になっていながら選挙はかえって悪くなるということは、税金がむだ金になっているわけでありまして、そういう点で国民には納得がいかないといいますか、心配をしているわけでございますが、この原因はどこにあるとお思いになるか。あるいは今後の公明選挙運動をどうしていったらいいか、これは総理から伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 公明選挙を実現するように、お話のとおり、相当の金も出して、努力したのでありますが、何ぶんにも選挙が熾烈であったといいますか、あるいは選挙に対する考え方のあやまっている人が出てきたことは非常に遺憾なことでございます。しかし、これによって金がむだになった、今度はやめるというようなことはいたしません。私は今後引き続いて公明選挙の実施に大いに努力をしていきたいと思います。
○市川房枝君 いま申し上げました選挙違反が多かった、特に買収、供応が多かったのでありますが、その選挙違反の内訳を政党別で伺いたい、こういって刑事当局に伺ったのですが、それはできないとおっしゃるのです。それはどういうわけでできないのか。違反の多い党のほうで幾らか文句が出るという意味でありますか、そういう圧力が加わっているといいますか、私はむしろそういうことを発表することによって自粛をしていただく、公明選挙の道へ近づくゆえんではないか、こう考えるわけです。それからこのごろ婦人の選挙違反がだいぶ多くなってきております。それで、私は婦人側の自粛の材料としたいために男女別の数字をほしいと申し上げたところが、それもできないとおっしゃる。これはどこからも圧力が加わるはずがないと思うのですが、どうでしょうか、総理。私はそういう数字を当局が発表して下すっても差しつかえないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(池田勇人君) 私はそういうことは、いま初耳でございまして、断わったかどうかということは知りませんし、またその理由についても聞いておりません。関係当局からお話をするようにいたします。
○国務大臣(早川崇君) まだ最終的に判決も下っておりませんし、捜査中でもありますし、いろいろ差しつかえのある向きもありますので、一応御遠慮させていただきたい。
○市川房枝君 ひとつその点はまた考えていただきたいと思いますが、次に、選挙費用の問題です。選挙費用も、この間の選挙は前よりも多くなっている。新聞なんか伝えるところでは三当二落、平均二千万円あるいは三千万円くらい金がかかっていると称しているわけであります。各政党及び派閥等のおもな政治団体の選挙費用の届け出がまだ出ていないので、数字的な計算はできませんが、十一月十一日のエコノミストによりますと、自民党からは公認料二百万円、貸し付け金百万円、これは一人に対してなんでありますが、派閥の池田派からは二百万ないし二百五十万、河野派は平均五百万円、その他の派閥も二百万ないし三百万づつ出している。総計四十億円くらいにのぼっている。それは財界から全部出ているのだというようなことを書いておりますが、総理はそれをお認めになりますかどうか。自民党の選挙資金がこんなにたくさん財界から出るということについては、国民としては、これによって自民党の政治が財界に都合のいい政治になりやすいのではないかという疑惑も出てくるわけでありまして、総理としてその点どういうふうにお考えになっているか、お伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) わが党といたしましては、何ぶんにもお金がありませんし、選挙には金がかかります。御承知のとおり、法定選挙費用も二百数十万かかるということでございます。自分のさいふから選挙費用を出そうということは、とうていむずかしい状況でございますので、党といたしましては、大体、先ほどお述べになりましたような方針で、公認の方々の応援をいたしたことは事実でございます。
○市川房枝君 法定選挙費用は前回よりも約三倍になりまして、二百五十三万七千五百円ということになっておるわけでありまして、この法定選挙費用を超過すれば当選無効になると法律には書いてあるのですけれども、無効になったためしはないのです。総理の前回の法定選挙費用をこの前私伺ったのですが、この前は五十四万二千六百三十七円で、法定の八五%お使いになっておった。今度の総理の選挙費用の届け出も、実は総理の選挙区の有権者が調べて知らせてくれたのですが、それを見ますと、百七十四万三千八百二十七円でありまして、法定の七八%お使いになっておるわけです。これは総理、ほんとうの、事実そのままでございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 実は、選挙に一切帰っておりませんので、何だか通知には二百七十何ぼ要ったという話で、内訳を見せてくれと、参考になるから、法定選挙費用には交通費なんか入っていないということだから、交通費はどのくらい入っているか、一応内訳を見せてくれと言っておりますが、選挙に一切帰りませんし、どういうことをやったかよく知りませんが、しかし、非常にかたくやったということは事実のようでございます。応援弁士にも飯を出さなかったとか、たいへんな何で、超々公明予算だ、こう雑誌にも書いておったようでございます。非常に安くいったようでございます。
○市川房枝君 池田総理御自身も、いま超々選挙とおっしゃったのですが、実は岸前総理とそれから佐藤氏、小沢氏のお三人が今度の選挙は超公明選挙ということでお約束になって選挙をおやりになった。それを新聞や週刊誌で拝見したのですが、私自身、岸前総理の秘書の方にお目にかかって、どんな選挙をなさいましたか実は伺ったのですが、まあ少しそれは伺ったので、見たのじゃありませんから、どこまで事実かどうかよくわかりませんが、その伺ったところでは、それこそ選挙開きにも酒はもちろんお茶も出さなかったのだというようなことで、岸前総理の届け出費用はもちろん法定選挙費用以内でありますけれども、どうしてそういう選挙をおやりになるようになったかと伺いましたら、選挙で金がたくさん要る、そしてその金が財界からくるということは望ましくないことだ、だから自分は今度は落ちてもいいから超公明選挙でやるのだという決意のもとになさったと伺っておるのです。私は岸さんが総理のときにそういう決意をしてやって下さったらよかったと思うのですが、しかし、今でも私はそういう立場においでになる方が選挙の手本を示して下さるということはたいへんけっこうであります。総理は今超々とおっしゃったから、岸さんよりももっと公明選挙だったのかもしれません。これは不幸にして私は拝見していないから、ちょっとはっきりわかりませんけれども、まあそういうふうに自由党の幹部の方が少し選挙で金を使わない手本を示して下さると、それがつまり公明選挙に近くなる一番いい道だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(池田勇人君) きょう見ました新聞に、私の選挙の応援に行った人がある雑誌にちょうちょうと書いております。私は前回の選挙も今回の選挙も一切帰りません。金はできるだけ使わないということを常に指令いたしております。しかし、それにいたしましても百七十四万円というと相当の金であるのでございます。私は選挙を七回やりましたが、今回が一番多いんじゃないかと思っております。できるだけ金を使わないようにすることが必要だと思います。私はたびたびやっておりますし、また総理という立場でございますから、そう苦労をしなくても、まあ選挙関係者の人たちは苦労したわけでございますが、そう苦労しなくても、そう金を使わなくても大体票は取れるという状況でございました。しかし、ほかの人はみなこういうわけにはまいりますまい。しかしいずれにいたしましても、金を使う選挙はできるだけやめなければいけない。
○市川房枝君 選挙の届け出、法定選挙費用の届け出というものは、私は、法でちゃんと規定をしており、これはもっと重視されなくちゃならぬと思うのですが、まだ全部届け出がそろっておりませんが、東京の一区について、私、調べてみたら、田中榮一氏が二百八十三万三千四百十八円、法定の六〇%、社会党の原彪氏は七十六万一千八百五十円、法定の二〇%、民社の麻生良方氏は百九十四万三千四円、法定の四九%、たまたま六区の天野公義氏をちょっと調べたのですが、天野氏は法定の二七%しか使っておりません。こういう届け出は、いまの総理のは事実をお届けになったとおっしゃったのですけれども、これは事実かどうか。それから、ずっと計算してみなければわかりませんけれども、ほとんど半額くらいになっておる。これは昨年の参議院の選挙の届け出は法定の四九・八%、やはり半額しかなっていない。そうすると、あまり法定選挙費用をふやす必要はなかったということになるわけですが、これは自治大臣からひとつお答えを願いたい。
○国務大臣(早川崇君) 市川委員のように非常に金を使っているという先入観で言われると、そうかもしれません。私も九回やっておりますが、二万五千円から始まって今日まで選挙法定費用をこしたことはございません。したがって届け出のことは一々当たっておりませんが、法定費用以外に自動車、車馬賃というものは別にいたしておりますから、そういうものをひっくるめて、いろいろと金を使ったという印象を受けられる方もあろうと思います。個々の実情はわかりませんが、あるいはそのとおりかもしれません。なお、この収支報告書を全部掲記したらどうかということでございますが、従来から選挙管理委員会としては、その要旨を公表するという慣例になっておりますので、一々掲記はいたしておりません。
○市川房枝君 いま自治大臣がその収支の公表をしたらどうかということについてお話がありましたが、選挙が済みましてから自治省は、これは三十五年、三十七年ですが、結果調べをお出しになっております。ところがこれには法定選挙費用は書いてあるのです。どこの区は幾らと書いてあるのですが、さて、候補者が届け出なすったその選挙費用というものは一切書いてないのですよ。それは法律で書いていけないということになっておるのか、まあ私簡単なんだと思うのですが、一欄だけ設ければいいので、そこに届け出の費用をずっとお書きくだすったらどうか。いやほんとうは、私は、イギリスのように全部の候補者の届け出た表を、これはもちろん大体のことですけれども、一冊にまとめて出しておる。そうしてそれを一般の人にも売っている。そういうことができればなおけっこうですけれども、しかし、それは法律に規定がないとか何とか、前に伺ったらおっしゃったので、それじゃあ、そこまでいかなくても、少なくとも結果調べの中にそれくらい入れてもいいのじゃないか。なぜ届け出の選挙費用というものをみんなに知らせないようにするのか、もちろん県の選管では届け出たものを公報で知らせることにはなっておる。公報には出るのですけれども、公報なんてだれも有権者は見やしない。だから私はやはり親切があればといいますか、出して一般に知らせるようしてほしい。それが党や候補者はいやなことなのか、これはさっきの党派別に違反者の数を出すことがいやなんだ、だから出さないということに相通ずるのかと思うのですけれども、今度の総選挙の結果調べをお出しになると思いますが、いかがですか、その中に一欄だけ設けて入れることは。
○国務大臣(早川崇君) 別に公表しなくちゃいかぬという法律はございませんので、おのおののいろいろな一々所得を公表する必要ないと同じような意味で、しいて公表していないということだと思います。
○市川房枝君 ひとつそれはぜひお入れいただきたいと思います。 それから届け出の収入欄、そこには選挙に関係したあらゆる収入を書き入れなくちゃならぬというふうに法律がなっている。もししなければ三年以下の禁錮千円以上五万円以下の罰金ということになっているのですが、党から出た金はある程度記されている。もっとも今度の田中さんには、党から一文ももらわなかったのかどうかわかりませんが、書いてない。天野さんには二百万円と書いてある。けれども、派閥からのお金ですね。今度は派閥の届け出もまだ出ていないからわからないが、この前の例で言えば、それこそ池田さんの派閥からも百万円、二百万円、三百万円と出ているが、それを一切記入していない。一体それでいいのかどうかという問題と、それからもう一つそこに書いてなければ、受け取った金は税金の対象になる。これはこの前の予算委員会で私は村山主税局長にはっきり意見を伺ったわけなんですが、それをひとつ自治大臣とそれから税金のほうのことは総理はお詳しいですからお知らせいただきたい。
○国務大臣(早川崇君) 選挙に関してということになっておりますから、そうでないいろいろな費用ということだろうと思います。同時に正式に規正法による何々後援会とか、あるいは個人個人それぞれ資金を持っておりますから、そっちのほうで届け出れば、別に税金の対象になりません。
○市川房枝君 いまの自治大臣の答弁は、ちょっと納得しかねるのですが、時間がないのでこの問題を他日に譲りますが、どうも私の印象としては、政治家の間における金のやり取りには税金がかかっていない。国民に対しては非常にやかましく税金のことを言いながら、そういう状態では私は申しわけないじゃないかと思いますので、これはあらためて伺うことにいたします。 次は、派閥の問題について総理に伺いたいと思いますが、自民党の党近代化に関する組織調査会の答申を拝見いたしまして、賛成の点が多く、これをまとめられました三木会長及び関係者の方々の努力に敬意を表したいと思いますが、党として決定になったものでありましょうか。そうしていつまでにこれを実行するというふうにおきまりになったのでしょうか、総裁として総理に一言お伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 選挙直前の総務会で、組織調査会長の報告を一応了承したということになっておるのであります。
○市川房枝君 各派閥が解消されることになったのは、たいへんけっこうですけれども、正式に規正法の適用を受けている派閥は解消するけれども、別にクラブといったものをつくる話もあるやに新聞で拝見しておるのですけれども、国民の側で見ますと、それでは、もとのもくあみになるのではないか、こういう心配をするのですが、総裁からその心配がないような御返事がいただけたらけっこうですし、なお総理御自身の派のほうの派閥のほうはどうなっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 派閥の弊害は、政治資金とか、あるいは党並びに閣僚の要職についての団体行動ということが非難の的であったのであります。したがいまして、私はこの二点はひとつやめなければいかぬ、こう考える。もともと、私は自民党の総裁になりましてから、あなたがよく言われる宏池会には一切出入りいたしておりません。私は総裁になってからは出入りしない、こう言って断つように努力するようにしているのであります。最近、各派もそういうふうになりまして私は非常に喜ばしいことだと思っております。ただ、今までの大きい弊害を、やめるというより、個人がお互いに話し合い、そしてめしを食べ合うとか、あるいはつき合う、特に懇意にするというようなことまでも取り上げてやめろということは、これはいかがなものかと思います。それはあなた方の生活でも、女の人は全部同じだということではございますまい。やはり後援者とか仲のいい人のお集まりがあると思います。こういうことまでもいわゆる人権を無視するようなことは、私はよくない。弊害の多いものからどんどん除いていくということが必要だ。もしそれならば自民党自体なんかもこれはどうなのだ、こういうことになるわけであります。やはりお互いに仲のいい人が話をする、そしてお互いに政治の近代化に協力し合うということは、これは必要なことだと私は考えております。
○市川房枝君 クラブ、たとえば溜池クラブというようなものは、政治資金規正法の適用は受けないけれども、もし金をもらって、そしてそれをクラブ員に分ける。いや、その金がかりにいま暮れで問題になっておりますもち代なんかとしてでも配っても、それはかまいませんか。これは自治大臣、政治資金規正法の団体でなければかまわないのですか。あるいはそういう団体は政治資金規正法の適用を受けませんか。
○国務大臣(早川崇君) 政治資金規正法の届け出をしなければ、税金の対象になるわけであります。
○市川房枝君 自治大臣、届け出しなければかまいませんか。そうするとみな届け出なくてやるということになってしまう。届け出なくても適用を受けるような性格を持っていれば、やっぱり適用する、される、そして違反になる、こういうことにはなりませんか。
○国務大臣(早川崇君) クラブ活動でありますし、政治目的のために意見発表をする団体でもないということになれば、別に届け出をする必要はないということでありまして、正式に届け出をすれば、そこに相当な金が寄付されてきました場合には、政治資金規正法のそういう届け出があれば税金の対象にならない。こういうことだけでございます。
○市川房枝君 そこにもちょっと問題があると思いますが、それは別のときに譲ります。 三木調査会の答申案の政治資金の中で、「個人献金をもってしては、政党の政治資金の解決は困難であるため、会社、労組その他の団体の大口寄付にその大部分を依存しなければならないというのが実情である」というので、現状を肯定しておいでになる点は、私は少し不満なんです。選挙制度審議会第一次、第二次の答申でも、はっきりと、銀行会社等よりの献金は禁止して、個人のものだけに限るという原則を打ち出しておるのでございまして、自民党もそれを打ち出して、そうしてそれにはすぐはできなければ、何年間ぐらいでそっちへ移行するというようなことがあってほしかったと思うのです。あるいは銀行、会社が大口の政治献金ができますのは、法人税法で相当の金額がつまり無税となっているからで、その税率、すなわち資本金の千分の二・五、利益金の百分の二・五の半額までは寄付できるという特別の措置がありますから、あんなに大口の献金がどんどんできるわけです。そこで私はその税率をもう少し引き下げる。引き下げて、寄付のできる金額を少なくする。そうしてその余分の金は、税金として国に納めるなり、あるいは株主に配当するなり、あるいは製品を安くするということにするのが当然だというのが、私の平常の主張なんです。金が財界からたくさん政党に流れるということを防ぐためには、もとをとめなければいけないというのが、私の考えでございまして、これは総理に何べんも伺っているのですが、総理はなかなか御賛成くださらないのですが、これは私の意見として申し上げておきます。 それから同じ答申案の中で、個人の後援会についてだけ、年間を通じて同一個人または法人よりの最高額三十万円以上の政治献金を受けないようにとの一項がございます。これは後援会というものを認める——いや、それを奨励するといったようなもので、私としてはどうも賛成できないのであります。本来の後援会そのものは、必ずしも悪くないけれども、現在のいわゆる議員、候補者等の後援会のその多くは、全く買収供応の隠れみのになっている。あるいはその党派内に個人の後援会を認めるということは、むしろ党の組織を弱くするのではないか、こういう意味で後援会というものに対して私はいつも反対をする立場をとっておりますが、こういうことになりますと、今後自民党の中で後援会が、いままでもたくさんあるでしょうけれども、なお後援会が盛んになる。そうしてその後援会が、いわゆる政治団体、政治資金規正法の適用を受けることになれば、その個人の後援会で幾らでも金が——幾らでもない、三十万円がはたして励行できるかどうかわかりませんが、金がもらえる、こういうことになると思うのですけれども、いかがですか。総理は後援会というものをお持ちになっておりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 三木答申案の出たときの個人後援会の三十万円というところとは、だいぶ様子が変わってまいりました。いわゆる派閥がみんな解消して、政治資金を集めない、こういうことになっているのでございます。よほど様子が変わってまいりました。こういう問題は今後また検討していかなければならぬ問題だと思います。後援会というのは、政治結社をつくった場合のことを予定して書いておるのであります。派閥が、全然政治結社をやめるということになれば、おのずから解消していくわけでございます。だから問題は変わってきているということを御了承願いたいと思います。
○市川房枝君 これは自治大臣に、議員個人の後援会というのは、それはどうなんですか、政治団体として届け出る必要があるのかないのか。いまでも届け出ておいでになる方もあるし、届け出ていらっしゃらない方もあるのですけれども、しかし、金をもらってということになると、これは明らかに政治資金規正法の中に入るわけだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(早川崇君) 個人後援会を政治結社として届け出る人もありますし、別に単なる親睦的な、精神的な後援会として届け出ない人もございます。政治資金規正法による届け出をすれば、りっぱな政治結社として免税上の特権を受ける、こういうことになるわけでございます。
○市川房枝君 ちょうど時間が参りましたので、あと一つ二つ予定をし、国鉄の総裁にも残ってもらったのでございますけれども、時間が参りましたので……。
○委員長(太田正孝君) 市川君の質疑は終了いたしました。 今日はこの程度にいたします。明日は午前十時から委員会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十九分散会 ————・————