法務委員会 第4号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/12/18
会議録
○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。 この際、委員の選任について御報告申し上げます。 本日、植木光教君が当委員会の委員に選任せられました。 —————————————
○委員長(中山福藏君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。両案はすでに提案理由の説明は聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。両案に対し、質疑のおありの方は順次御発言を願います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(中山福藏君) 速記を始めて。
○稲葉誠一君 それじゃ、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について簡単に質問したいと思います。 裁判官優位の原則というのが憲法の明文で認められているというか何というかまあ認められておるわけですけれども、それが具体的に裁判官の報酬の中にどういうようにあらわれておるわけですか。
○政府委員(津田實君) 現在の法律のもとにおきましては、御承知のように、裁判官の報酬に関する法律によりましてその別表及び十五条に定められたる報酬月額がきまっておるわけでございます。で、これは、報酬月額は一般行政職に対比いたしまして優位を認められておる、こういう立て方にできておりますので、今回の改正法律案もその優位に従って従来の優位性を保っておるということでございます。
○稲葉誠一君 優位性というのは、いつごろから認められるようになったのですか。いままでの間の変化——変化という言葉は、行政職との間の開きが当初のころと違ってきたのかどうか、その点のことなんですが。
○政府委員(津田實君) お手元にお配りしてございます法律案の参考資料の二四ページの「裁判官検察官の報酬俸給改定対比表」、それと二六ページの「裁判官検察官と一般政府職員との給与の比較変遷表」、これによってごらんいただきたいと思うのでありますが、昭和二十三年の第二国会のときに新しい給与制度が裁判官、検察官について定まったわけでございます。その際に、ごらんのように、一般職につきましては、十四級の六号というのが一万円ということになっております。左の一番下の欄でございます。それに対しまして、判事五号、検事四号が一万円であり、それからずっと上に上がって判事一号、検事特一号というのが一万四千円である。こういう意味におきまして、最高号俸の対比は四割の優位であったと、こういうことであります。それが、これはやや暫定的な形になっておりまして、昭和二十三年十二月、第六国会でありましたか、その年の十二月に至りまして、判事一号、検事符号は二万四千円になり、一般職につきましては十五級の四号が二万三千六百二十円ということになりまして、ここでほぼ判事、検事の最高号俸と一般職の最高号俸とが同じになった、こういうことであります。それから順次ベースの改定あるいは給与水準の改定によりまして、現在におきましては、右から二つ目の欄にありますように、判事、検事一号、一般職一等級の九号は十一万二千九百円ということで同額になっておりますが、判事につきましては、その上に特号——マルを打ったのがありますが、特号と申しまして、これは裁判官報酬法の十五条によるも一のでありますが、これが十一万五千八百円となっておりまして、この分は一般行政職にないところの優位な号俸であります。こういうことになっております。 その点を今回の改正案にも踏襲いたしまして、判事、検事一号の上に判事、検事につきまして特号を設けまして一般職の特号と同じように十六万円にいたしておるわけでありますが、判事につきましてはさらにその上に十五条の報酬といたしまして十七万円という報酬額を認めておる、こういう格好になっております。
○稲葉誠一君 司法試験に受かって司法修習生を二年やるわけで、それから判事補になるわけでしょう。その判事補になった一番最初のときと、それから上級職公務員試験というのですか、いわゆる行政職の試験があるわけですが、それに受かって採用になってから二年たった——司法修習生を二年やる、それから人事院のそれに対応する試験に受かってから二年たったと、そのランクで比べるわけですね。そうすると、たとえば判事補になった最初のときと、それと一般職の行政職の同じときと比べると、どういうふうになるのですか。
○政府委員(津田實君) これは御承知の臨時司法制度調査会に提出されました資料で、これは各省共通に作成したものでありますが、それによりますると、つまり修習生二カ年を終えて判事補十号に任官されました者の報酬月額は二万四千六百円——これは現行で申し上げます。それに対しまして、行政の上級職を合格いたしまして行政職に採用されまして二年経過した者は一万七千七百円ということになっております。
○稲葉誠一君 その場合に、行政職の二年たったのは一万七千七百円、これにいろいろのほかの手当や何かつくわけでしょう。その判事補の場合の二万四千六百円につく手当と、いろいろな手当や何かを加えて計算をすると、どういうふうになるのですか。
○政府委員(津田實君) これは非常に計算のしかたが一律には参らないわけであります。で、ただいまの裁判官につきましては、そのあたりにつきましては一般職と同じく暫定手当、扶養手当というものはつくわけであります。それから期末手当・勤勉手当もつきます。ところが、超過勤務手当は裁判官、検察官にはつかないわけであります。一般行政職につきましては超過勤務手当がつくわけであります。そこただいま申し上げました一万七千七百円に対しましては超過勤務手当がつくわけでございますが、それを何%見るかということになるわけでございます。あるいは一〇%と見、あるいは一%と見るといたしますと、その程度は手取りがふえるということになりますけれども、それほど大きな差はないというふうに思います。のみならず、報酬月額が多い場合には期末手当に多い分がはね返るわけでございまして、その点におきましては少しまた差が大きくなるということになってくるわけでございます。
○稲葉誠一君 検事の場合はどうですか。
○政府委員(津田實君) そのあたりは、判事補と全く同じでございます。
○稲葉誠一君 検事と、それから判事補が十年たって判事になると、給与は、最初は同じで、開いてくるのはどこから開いてくるのですか。
○政府委員(津田實君) これはいろいろのやり方がありまして、必ずしもはっきりは申し上げかねるのでありますが、臨時司法制度調査会に提出されました資料によりますると、在職年数つまり修習生を含みまして在職年数二十五年というところにおきましては、判事は三号になっておるにかかわらず検事は四号になっておる、そういうような違いが出ておるという程度でございます。
○稲葉誠一君 修習生の在職期間というのは、これは国家公務員でも何でもないんだし、それを通算して考えるのはちょっとおかしくないですか。
○政府委員(津田實君) 在職年数を考えます場合には、一方は上級職試験に合格いたしましたら直ちに採用されるわけであります。こっちは司法試験に合格いたしますと採用されるわけですね。いずれも大学を出たところというふうに考えますれば、それから計算して何年の経験年数があるかということで比較するのが妥当でありますので、そういう形で考えておるわけであります。
○稲葉誠一君 これは行政職との関連ではそれが当然だと思いますけれども、判事と検事との給与の比較という場合にはそれを考慮に入れても入れなくても同じだけれども、やっぱり入れて考えているのですか。これは同じようなことですね、結論は。
○政府委員(津田實君) 差し引き任官二十三年として見るかどうかという違いにすぎないと思います。
○稲葉誠一君 いま言った暫定手当というのが、判事補の間はついて、判事になるとつかなくなるのですか。その辺はどうなっているんですか。
○政府委員(津田實君) 暫定手当は全部についております。
○稲葉誠一君 そうすると、この法律案の裁判官の附則のほうは1、2だけですね。検察官のほうは1、2、3とあって、3は「附則第五項中「及び暫定手当」を「、暫定手当」に改める。」と書いてあるのですけれども、これはどういうわけですか。
○政府委員(津田實君) これは、後にお手元にお配りいたしました新旧対照表がございます。こういう上下になっておる対照表によってごらんいただくのがよろしいと思いますが、これは検察庁法二十四条によりまして、検察官が欠位を待つ場合には俸給の半額を支給するということになっておりまして、その区分について扶養手当は支給されておる、特定手当も支給されておる。扶養手当と暫定手当を支給するということになったのであります。これは一般に休職者に対して暫定手当を支給するということに伴う改正にすぎないのでありまして、裁判官にはこの問題は起こらないわけであります。
○稲葉誠一君 どうして裁判官には起こらないのですか。ちょっと違うんじゃないですか。裁判官は暫定手当はないんじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官の報酬法の九条というのがございまして、その九条で諸手当につきまして最高裁判所が定めるようになっておるわけであります。その九条に基づきまして裁判官に対する暫定手当等の支給に関する規則というのを最高裁判所規則で定めまして、そしてこの暫定手当というのは大体昭和三十二年の三月三十一日をもって原則として凍結されておりますが、その凍結された暫定手当が裁判官にみんな適用されます。そういう関係になっております。その関係は一般政府職員と何ら変わりはないのでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、裁判官では管理職手当を出す場合があるわけでしょう。管理職手当をもらっていても暫定手当というのは出しているんですか。凍結というのは出してないという意味ですか。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 暫定手当というのは、昔は勤務地手当と雷っておったもので、管理職手当というのは、初めの出発は一般職の職員の給与に関する法律で昭和二十七年ごろから出た問題でありますが、超勤にかわるものとして管理監督にある者はしょっちゅういろいろなことを考えて時間的な管理がなかなかできないということから管理職手当を支給するようになったということになっております。その管理職手当も、裁判官につきましては大体現在で五百九人ほど支給されておる状況でございます。暫定手当と管理職手当というのは概念が別のものでございます。
○稲葉誠一君 裁判官優位の原則があり、司法権が独立していて、ことに裁判官の報酬は憲法で特に「報酬」という言葉を使っているわけですが、そういう考え方からいっても、この法律案の提案理由にある「一般の政府職員の給与改定に伴い裁判官の給与を改定する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」と書いてありますが、これは一般の政府職員の給与改定とは関係なく、裁判官は独自の給与をつくってその給与の改定をすることをやっていいんじゃないですか。それを一般政府職員の給与改定に伴うという形でいつもやっているのは筋が違うのじゃないですか。
○政府委員(津田實君) 御承知のように、裁判官の報酬等に関する法律の第十条には、「生計費及び一般賃金事情の著しい変動により、一般の官吏について、政府がその俸給その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給するときは、最高裁判所は、別に法律の定めるところにより、裁判官について、一般の官吏の例に準じて、報酬その他の給与の額を増加し、又は、特別の給与を支給する。」という規定がありますが、今回の人事院勧告によりまして一般職について給与を増額するのはまさに勧告の趣旨から申してこれに当たるわけでございます。したがいまして、この条件に当てはまるわけでありますので、裁判官につきましても報酬月額を増額するということになっているのが今般のこの法律案の趣旨であります。 ただ、裁判官あるいは検察官につきましては、本質的に給与をどうするかという問題は、これはいろいろと検討されておるわけでありますが、現在は、昨年発足いたしましたところの臨時司法制度調査会によりましてもっぱらこの事項を調査し、来年から審議をするということになっているわけでございまして、本格的な改善はそこの審議の結果を待って行なうという意味におきまして、今回のは、とりあえず裁判官の報酬法の十条に基づく改正である、こういう考え方でございます。
○稲葉誠一君 いまあなたが言われた一般の政府職員の給与改定の場合でないと、現在は裁判官なり検察官は給与の改定ができないのですか。あるいは、いま言った一般の政府職員の給与改定の場合には普通やるけれども、それがあるからといって別個に給与の改定はできるのだ、ただまあ実際問題としてやらないだけかもしれませんが、こういうふうな一つの解釈なんですか。そこはどういうふうになっているのですか。
○政府委員(津田實君) 裁判官あるいは検察官の給与を本質的にいかにすべきかということは、裁判官あるいは検察官の任用制度に非常に密接な関係があるわけであります。現在の裁判官の制度は、法律上はともかくとして、事実上はいわゆるキャリア・システムによっているわけでございます。キャリア・システムによる給与制度と、しからざる給与制度というものについては、やはり相当の差異がある。同時に、裁判官という職種、あるいは検察官という職種と一般行政職につきましても、どういう差異を認めるのが相当であるかということは、これは本質論に基づいて議論するわけでございますが、その本質論について臨時司法制度調査会で御調査、審議するというのが現段階でありまして、この際、政府といたしましては、その調査、審議の結果によりまして、その審議の趣旨に従った改定をするのが相当である、いまここで本質的に改定をするということは臨時司法制度調査会を設置した趣旨に沿わないも一のであるというふうに考えているわけであります。
○稲葉誠一君 さっきから私が質問をすると、裁判官の報酬の場合でも法務省のほうで答えられるわけですが、これはどういうわけなんですか。最高裁のほうで答えるというような形をなぜとらないのですか。
○政府委員(津田實君) 法務省は、法務省設置法によりまして、司法制度に関する法令案の作成をすることを任務としておるわけでございます。裁判所はみずから法令案を作成して国会に提出することはできないわけでございますので、裁判所に関する事項でも、法令案の作成、提出に関する限りは、内閣の責任になっております。その意味において、法務省がこの法令案を作成いたしまして、内閣によって国会に提出されているわけでございますので、法務省が担当者として法案の説明等に当たる、こういうわけでございます。
○稲葉誠一君 予算案の場合は、最高裁判所の予算は最高裁判所がいわゆる二重予算でやる場合があるわけでしょう。
○政府委員(津田實君) 予算につきましては、最高裁判所が直接大蔵省に概算要求書を出すということになっておりますので、その限りにおいては、行政機構としての法務省はタッチいたしません。
○稲葉誠一君 検察官の俸給の中で、たとえばいま公安関係の検察官などがいますね。いわゆる公安職というんですか、何というのか、ああいうような場合、特別な手当を出しているんですか。
○政府委員(津田實君) 公安係とか、そういうものはもちろんございますが、それについての給与は、いずれも一般の検察官と同じでございます。検察官につきましては、俸給の号俸によって定められている給与しか受けないわけでございます。
○稲葉誠一君 ただ、事務官の場合は、それは公安係事務官というかだと、特別な手当みたいなものが出るんじゃないですか。
○政府委員(津田實君) 検察事務官につきまして、主として検察事務に従事する者は、一般行政職の俸給表のうちの公安職俸給表によっている。これは捜査、公判等に関係する事務官ほとんどがその公安職俸給表によって俸給を受けているわけでございます。
○稲葉誠一君 いま事務官の問題が出たんですけれども、直接きょうの問題じゃありませんから深く聞かないんですけれども、法務省関係で、特に検察庁の場合、職員組合というか、それを組織してもいいわけで、以前職員組合があった。ところが、それをやめさすというか任意にやめたのか、そのかわりに検察事務官の給与を少し上げた、あるいは勤務時間を長くした、そういうようなことがあるんじゃないですか。
○説明員(神谷尚男君) 法務省の人事課長でございますが、今お話しになりましたように、従前検察庁においても職員組合がございました。ただ、昭和二十九年でございますか、検察事務官の給与の改善ということにつきまして、法務省、人事院、大蔵省と折衝いたしまして、いろいろと努力いたしました結果、検察事務官につきまして、いわゆる四号調整というのが行なわれたわけでございます。それによりまして、大体一般の職員よりも四号ベースアップになるという結果になり、結局、そうなりますと、一般の警察官とか、刑務官、そういったものの給与と大体同じ水準になったということになっているわけでございます。それが実現した際に、検察庁におきまして当時ございました職員組合を自発的にこれを解散したといういきさつでございます。
○稲葉誠一君 そのときに勤務時間が長くなったんですか。
○説明員(神谷尚男君) その…号調整ということに伴いまして、一般の職員が週四十四時間でございますか、それに対して五十二時間勤務時間ということになったわけでございます。
○大谷贇雄君 関連して。戦前も裁判官、検察官の俸給というのは、一般の公務員と同じであったかどうかという点と、それからいまの臨時司法制度調査会では、今の本質論から研究をして裁判官なり検察官については人事院勧告による一般の行政職にない特別の待遇をするというような研究は相当進んでいるかどうか、今日までの状況はどんなふうか、いつごろ答申が出るか、それを伺いたい。
○政府委員(津田實君) 戦前におきまする裁判官、検察官と一般行政官との俸給でございますが、これは俸給表自体では全く行政官の最上級の者と同じ俸給表を使っております。一般行政官につきましては、俸給表がたしか四つあったと思いますが、そのうちの一番高いものを判事、検事についても適用している。ただ、実際問題といたしましては、裁判所あるいは当時の検事局におきましては、上級者が多いために、昇給の原資が比較的窮屈であった。したがいまして、行政官よりは昇給がおそいという問題があったわけでございます。したがいまして、その当時一般にいわれていたことは、行政官より待遇が悪いといっておったのが戦前の実情であります。俸給表そのものは全く同じであります。 それから、現在臨時司法制度調査会の調査段階でございますが、御承知のように、昨年九月発足いたしまして、その後、本国内の制度、外国の裁判官、検察官の任用制度、給与制度、そのほか関連の制度、司法試験制度その他の制度を調査いたしまして、本年秋には、委員数名による調査団によって外国調査もいたしたわけでございます。現在もまだ認否を続けておりますが、この調査は本年じゅうには終わりまして、来年一月から本格的にわが国においてとるべき裁判官及び検察官の任用制度と給与制度について審議をして、来年の八月三十一日までに答申をする、こういうことになっておるわけでございます。現在は調査を終わった段階でございますから、来年の一月からはもっぱら委員の討議、審議、こういうことになる状態になっております。
○岩間正男君 簡単にお聞きしておきたいのですが、この二つの法案を審議するにあたって、非常に概括的な質問になりますけれども、十月二十五日に大蔵省の資料として税制調査会に提出した資料がございます。これはすでに御承知だと思いますが、標準家族−十五歳未満の三人の子供と夫婦の五人家族で、最低生計費として月額約三万四千三百円、これだけは必要だ、こういうことが出されているわけです。今度の俸給の改正によりましても、ほとんどこれに満たない労働者がたくさんいるのだ、こういうふうに考えるわけですが、これはどうですか。法務省の場合、それから最高裁判所の場合、それから検察官の場合、どのくらいこれに満たない−いまのは政府の出した政府資料ですが、これに満たない、つまり赤字を続けている生活者がいるかという点について考慮されたことがございますか。その点の調査は、これはむろんできていないと思うんですが、見積もりでもこれはわかりませんか。いかがですか。
○政府委員(津田實君) 検察官のみならず、法務省管下の各職員の実際の生計状態を調査するということは非常に困難でありまして、現在におきましても、そういう意味における調査というものはできておりません。したがいまして、今回の改正も含めまして、これは全く人事院の調査に基づいておるわけでございます。人事院の調査に基づいておりますが、人事院は一般の生計費それから一般の賃金の事情というものを考慮して本年の勧告をいたしたのでありますので、その面からさらにそれをどういうふうに見るかという点の調査を各関係部内だけで行なうということは非常に困難でございます。いまの仰せのような資料というものは、持ち合わせておりません。
○岩間正男君 これは、この前の俸給改正のときもずいぶんここで問題になりました。それで、法務省関係の国家公務員の組合から出されたんですけれども、俸給袋が膨大に提出されたわけです。今度も出ております。しかし、これは時間の関係から持ってきておりませんけれども、それで見ますというと、ほとんどこの標準に達しない人が大部分じゃないかというふうに見られるんです。そうすると、今後司法行政を進めていく上に、これは大臣にぜひこの問題について検討される必要があるのじゃないか。人事院にまかしておくということだけでは、司法行政の円滑な運営というものは私はできないと思う。こういうような生活実態の上に立って、そうして国家公務員としての職務だけは要請される。しかし、なかなかその条件を満たすそういう条件というものはない。そうすれば、戦前のような耐乏生活といったようなことになったのでは工合が悪いと思います。非常にまた物価の変動は激しい。物価はまた今年度も政府の言明でも五、六%上がりそうだ。実質的にはたいへんなことになると思います。そういう中で、生計費の変動が激しいわけです。そうすれば、責任ある大臣の立場としては、こういう問題についてやはりはっきり調査をする必要がある。その上に立って司法行政の、面からの意見というものを出されるということが絶対必要だと思いますけれども、この点、法務大臣はお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(賀屋興宣君) この点については、私ども始終考えております。法務大臣になる前から考えております。大体日本の国民の所得をどういう程度に持っていきたいか、それからその間に、均一というわけにも参りませんので、どういう差等をもって行くべきか、考えました。私は、客観的に、物価が上がりませんときに、どうしても一世帯五人標準家族で月五万円、少なくとも年六十万円に達したいという考えを持っておりました。これは四年ぐらい前でございます。しかし、それに行きますのには、日本国民の全体の所得がそれを可能ならしめる状況にならなくちゃならない。いま正直に申し上げまして、よく税の問題なんかでも新聞に出ておりますが、このぐらいの生計費が必要だと出ておりますが、あの標準については存じません。何の根拠でああいうことをやっているか、あれで十分であるのか、日本でああいうことが可能であるのか、そういう十分に検討を経たものと私は考えていないのであります。間違えましたら訂正しますが、ある一つの委員会とか役所である標準でこしらえたものがこれである。日本の、あるいは国と申しますか、あるいは政府として、そこまで行けばいいのだ、そこまで行かさなければならぬということが、今申し上げましたように、日本の全国民の所得の全体の状況そのほかから割り出して出てきたものと必ずしも私は見ておりません。 それで、常に、まず全国民の所得を増加するためには全資源がふえなければならないという意味におきまして、経済成長、経済の繁栄ということを考えております。その考えの前提は、これは政府がしばしば申しますように、資料をこれはこの一両年明らかにもちろんしております国民の生活の安定向上、別の言葉でいえば所得のアベレージ、そこには格差の問題もございますが、これを進めるために、経済成長をやっているのだ、こういう意味で考えておりまして、一面、それで私どもは、所得倍増計画ができましたときにも、配分面が少し研究が不足ではないか、全体に所得が二倍になりましても、それを国民各層にどう分配されるか、そのときに、スタートしたときの格差をこういうふうにして見て、それをだんだんどういうふうに是正していくのか、こういう基本問題がまだ研究が不十分でございます。沿革的に申しますと、日本では、個人的にはいろいろ研究なさっている方もございましょうが、全体的にそういう問題に対する私は観念がまだそう明確に進んでいないと思います。そういう意味におきまして、私は、ひとり法務官の給与のみならず、国民全体のそういう問題に非常に何と申しますか、関心を持っておりますが、ただいまのところ、そういう見地から法務官だけの給与をどうしていくかというのは、あまりに理論と実際のつながりを持つだけの材料がないのでございます。当分は現実の問題としましては、今の制度によります人事院勧告というものを基礎にして考えておりますが、別の言葉で申しますと、今岩間さんがお示しになったようなそういうことは早く具体的に持ちたい、それも単純に法務官の給与をよくするというだけでなく、日本の国民全般としてバランスを得た、しかもわれわれの希望に近いものを早くこしらえたいという熱意は非常に持っております。ただいまのところ、すぐ法務官の給与の問題と具体的に結びつき得ないことを実は私も遺憾に思っておる次第でございます。
○岩間正男君 大臣の抱負を述べられることはけっこうですけれども、非常にこれは開きのある話になって、ことに年末を控えてすき腹をかかえている国家公務員の諸君には腹の足しにはならぬ。いまのお話だというと、四年前に大体標準家族で五万円、そうすると、物価高で当然これは六万五千円から七万円になっていると思うんですが、ところが、いま標準家族の平均はどうなっているか。これは少なくとも法務省、検察庁、最高裁判所関係で、それぐらいの標準の平均をお持ちにならないとまずいと思うんですが、どのくらいですか。
○委員長(中山福藏君) ちょっと岩間君に申し上げておきますが、両案の質疑は理事会の御協議で午前中に終局することになっておりますから、そのつもりでひとつ御了承をお願い申し上げます。
○政府委員(津田實君) 一応これは人事院の調査によるわけでございますが、一応の最も最初の基準は、高等学校卒業者の試験採用者の場合を基準にいたしまして、それによりますると、一般に考えられる独身男子十八歳程度の東京におきまするところの標準生計費は、月額一万二千五百円ということになっており、昨年より千五百円ばかり上がっておるわけですが、それによって考えていくということになるわけであります。
○岩間正男君 そうすると、大体標準家族でどうです。勤続十三、四年、それから家族構成が夫婦に子供が二、三人というそういうところをとるとどうです。
○政府委員(津田實君) ただいまちょっと手元にその資料がございませんが、ただいま申し上げたことを基準にして算出しているというふうに私ども考えております。
○岩間正男君 ここに例がありますけれども、標準家庭になると思うのですが、東京簡易裁判所に勤続十四年九カ月、三十九才、妻子と四人です。行政職(一)ですけれども、六等級六号俸、俸給が二万六千八百三十二円、扶養家族手当が千六百円、通勤手当が七百五十円、その他、合計三万一千八百五十二円、その中で差し引かれる共済組合掛金の短期が七百五十一円、共済掛金の長期のものが一千百八十円、所得税はかかりません、市町村民税が三百七十円、それで差し引かれる合計が二千三百一円、現金の手取りは二万九千五百五十一円、こういうようなかっこうで、これは東京簡易裁判所の場合でありますけれども、大体のいまの国家公務員の標準というようなことにこれはなるんじゃないかと思う。そうしますというと、ずいぶんこれは、大蔵省の出している資料の約四万円、三万八千三百円からはるかに低いわけですね。これでいくというと、月々一万五、六千円の赤字になるわけです。それからいま法務大臣からお話しの七万円などというのは、これはまるで天文学的な数字で、三分の一そこそこですね。そういうことになっておりますので、私はやはりこういう実態を抑えていただかないと、ここだけのあてがいぶちみたいなワク内の議論ばかりやっていたんでは、生活者の実態はわからないのではないか。 ことに、もう一つ問題にしなければならないのは、行(二)の問題です。行政職(一)よりも行(二)が非常に低い形になっております。私たち、ここにいただいた資料がたくさん実はあるわけですが、これは十四年勤めた四十六才の方、それで裁判所の経理をやっている場合です。この人は手取りが一万九千二百五円、こういうふうなかっこうになっております。そういう例がたくさんあるわけですが、この行(二)の問題というのは、これはどこでも起こっている問題だと思います、各省で。国会なんかを見ましても、ここの国会の職員の中にも非常に行(二)の問題でやはりそこのところに差別の待遇がある。ことに、現場で働いておる、実際に労働に従事されているそういう人たちの俸給が、実は学歴の関係とかそういうことで非常に低い。こういうところに職階、職務賃金という現在の体系そのもの自身が実は公務員労働者の生活を苦しめてきている大きな一つのワクになってきている、こういう問題だと思います。 ですから、これはきょうは時間がありませんので、理事会の申し合わせもあるそうでありますから、詳細を論議することはできませんけれども、いずれもっと具体的なもので私はこれを追及したいと思うのでありますけれども、こういう問題をやはり明確にしないと、国家公務員のいろいろな上からの締めつけが行なわれております。最近目に余るものがあります。生活の実態に即応しない形でこれが行なわれるときには、非常にそこに矛盾が発生する、アンバランスになるわけです。ですから、私は、司法行政そのものを一つとらえても、担当大臣であるところの法務大臣がこういう問題について実は多年の大蔵大臣以来の抱負をお持ちだと思うんです。そうすると、先ほど申し述べられました大臣の御抱負から考えましても、とにかくいま担当されておるこの職員たちの給与の問題、この問題についてまずそこのところをもっと検討される必要がある。そうしてそのようなことはほかにもあるのでありますから、それを閣議において主張される、こういうことが非常に私は重要だろうと思うのでありますが、どうも一般論で大きく出されましても、これではどうにも腹の足しにはならない。イチョウの葉が落ちて年々歳々同じことを繰り返しているのが日本の公務員の姿です。どっかで格差が開いてきている、こういう現状をはっきりつかんで、その上に立ったところの具体的なほんとうの血の通った俸給改正をやらなければならんのじゃないかと、こういうふうに考えるんですが、その辺について、最後に大臣の御見解を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(賀屋興宣君) 国民全体から見まして、私は所得層の問題が非常に大事だと思う。一般によくなったと申しますが、現行所得税法を改正いたしませんとしても、総じて非常に一般の所得が増しまして、おそらく所得税納税者及びその世帯員というものが、まだ人口の六割にならないと思う。近来非常に所得が増しまして、四割か三割五分であったものがだんだんにそこまでふえてまいりましたが、ただ標準家族で四十万にならない所得階層が非常に日本では多いのであります。それに対する全体の対策をどうするかということは、私個人の非常な関心事です。それで、私は三年間に生活保護費の引き上げというものが自分の努力の目標の一つでありますが、三年間に、これは私一人でやったわけでありませんが、六〇%引き上げております。それに近い層、同じくらいの層、日本国民の全体としまして、うんと上げたいものがたくさんある。その一応の目標として、先ほどの物価騰貴以前に一人一万円、一家族五万円を一応の目鼻として立てて私は持って行きたいが、そこまで行くには日本の総所得というものを増さなければ、部分的に増しますと、結局ほかの資源を食うわけです。一方これを増しますれば、それだけほかが負担しなければなりませんので、そういうふうに国民全体のバランスを得た上げ方をしたい、こういうふうに考えて非常に苦心しております。 むろん、同時に、部分的な研究をしなければなりませんし、私が法務省におる以上は、私なりに法務部内の人の生活というものは真剣に考えなければなりませんが、独自にそれがどれだけ要るからといって単純に進めるわけにいかない。それで、今の制度としましては、一般の給与状態その他を考慮に入れて人事院が勧告するということになっておりますから、まずそれに従うわけでございます。いまの国民全般の所得及びその分布の状況等を考えまして、なお私は個人としては非常にそういう問題に興味と関心を持っておりますので、法務部内としましても研究を進め、国家全体のバランスを見ながら推進することにいたしたいと思います。
○委員長(中山福藏君) 他に御発言もございませんようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。よって、両案に対する質疑は終局いたしました。 それでは、暫時休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 ————・———— 午後一時四十四分開会
○委員長(中山福藏君) 委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 右両案に対する質疑はすでに終局いたしておりますので、これより討論に入ります。 御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。 別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して問題に供します。両案をそれぞれ原案どおり可決することに賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中山福藏君) 多数であります。よって、両案はそれぞれ多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十八分散会