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45回国会参議院1963/12/16

内閣委員会 第3号

発言数
243
登壇者
11
会派数
4
開催日
1963/12/16

会議録

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。  三案につきましては、いずれも提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。政府側から大橋国務大臣、佐藤人事院総裁、平井大蔵省主計局給与課長、岡田公務員制度調査室長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 私は、人事院の勧告を中心に、全般的な大綱について二、三お伺いしたいと思いますが、最初に人事院のほうにお伺いいたします。基本的な問題については、総裁御自身からお答えいただきたいと思います。  最初に、官民賃金比較の問題点が幾つかございますので、まずこの点からお伺いしたいと思います。人事院勧告の基礎作業の一つである官民賃金比較に、以下申し上げるようないろいろな問題点があるわけです。一つは、調査対象の事業所の選定を、昨年と同様に、給与水準の昇給度合いのきわめて小さい五十人以上の事業所を選んでおる。これは非常に問題があるわけです。この点についてはきわめて不合理であると私どもは見ておるわけです。この点についてひとつ納得のいくよう御説明いただきたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 私から一応お答え申し上げます。この五十人の問題は、かねがね御指摘をいただいておるように存じております。したがいまして、私のほうといたしましても、常に反省は重ねておるわけでございます。何ぶんこの民間の給与ということになりますというと、やはりこの上から下までの範囲というものが相当広いものでございます。かたがた、やはり五十人程度で押えることが官民給与の基準としては適当であろう。ただ、これが五十人程度で押えるほうがいいのか、さらに百人程度がいいか、五百人程度がいいか、それはいろいろ段階がございますから、その辺は迷えば迷うところでございますけれども、従来やっております五十人というものをこの際積極的に改めて、どういう基準に直したほうがいいかということになりますると、やはりきめ手もございません。また、それが公務員の給与にとって、はっきり人数を上のほうに上げれば上げるほど確実に公務員にとって有利であるか。われわれはそこから先は考えるべきではございませんけれども、という点から考えましても、別に確たる根拠も出てこないというようなことで、ことしも一応従前のとおりでそれを基準といたしたということでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 御説明ではござりまするけれども、国家公務員を民間の企業体にもしかりに立場を変えたとすると、民間産業企業体の大企業体に匹敵すると思うわけです。したがって、民間の大企業体と比較してほんとうの均衡はとれる、こういうふうにかねがねわれわれは見ておるわけです。従来五十人以上の民間企業体をとってきたのでことしもとったと、それでは何らの進歩もないわけです。その点については十分人事院としても検討する必要があろうと思うので、重ねてお伺いいたします。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 御指摘のような点は従来も検討してまいりましたし、今後もなお検討を続けてまいるつもりでおります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 次に、調査事業所を、統計とは全く関係なしに、企業規模別に分類し直して中小企業の低賃金を官民に比較するその中で、巧みにこれを利用しておる。こういう点がうかがわれるわけです。これは、率直な言葉で言って、非常にごまかしがその中にあるのではないか、こういうふうに見られるわけです。この点いかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 勧告の基礎は、すべて勧告の資料として公開しておるのでございまして、その資料そのものについても、また資料からの算出についても、一切ごまかしなどということはないと確信しております。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 規模五十人以上の事業所が約四万八千ほどございますが、この中から約六千四百を人事院の立場から、これは人事院がむしろかってに都合のいいようにこれを抽出して調査しておる。こういうところにも問題があろうと思うのです。この点いかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) そのようなことは、これは絶対にございませんので、無作為抽出によって公平に選び出しておるわけでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 また、以下申し上げる点も、昨年と同様でありますが、公務員に対応させている民間の職種を同等でない、また同格ではない民間のそれとを比較しておる。たとえて言うとよくわかりますが、公務員の出先の課長クラスを同地域の民間平係長クラスと対応させておる。その結果、たとえば行政職俸給表第一表の五等級段階では四千円も低くなるように民間較差を押えておる。こういう事実があるわけです。このように、都合のよい官民較差をでっち上げているとしか考えられないわけです。こういう点にもどうも納得のできない不明朗な点があるわけです。この点いかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) いまの御質問を聞いておりますと、私どもたいへん邪推かもしれませんけれども、何か人事院が公務員の不利益になる方向へ作為を加えているのじゃないかというようなことであっては、これは万一そういうことであってはたいへんわれわれのほうとしては心外なことでございまして、そういうことでなしに公正にやっておるつもりであるということだけは、念のためにここで申し上げさせていただきまして、あとは局長から詳しく御説明をいたします。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) ただいま御指摘の点でございますが、官民比較をいたします際に、これは非常に大量のものを比較することになるわけでございますから、したがいまして、個々に一つずつのポストを、これがどうかこうかというようなことになりますと、これは非常に話が複雑になりまして、事実短時日に官民を対比するということは非常にむずかしい。そこでわれわれといたしましては、おおむね職務と責任の段階が公務と同じであるという線を一応出しまして、そして官民の比較をやっておる。こういう次第でございます。ただいま総裁が申されましたように、われわれといたしましては、全体的観点から見まして、現在人事院がやっておる官民の比較対照、比較方法というものは適切であろうというように考えております。  なお念のためにつけ加えて申し上げますれば、昨年までは六等級のところにおきまして、行(一)の場合でございまするが、係員を六等級と七等級ということで分けて、年齢区分に従って比較しておったのでございまするけれども、ことしは、やはりそういう一般係員は七等級ということで、この民間のほうを押えるほうがいいだろうということで、去年よりその点は前進いたしておる次第でございます。つけ加えて申し上げます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 御説明のとおりだと問題ないわけですけれども、いま私が一つの例を申し上げたように、たとえば公務員の出先の課長クラスをその地域の民間の係長級と現実に比較しておる。こういう現実があるわけですね。大ぜいの中だからそういうのが幾つかあるかしらぬ。そういう意味に解釈していいわけですか。全般的には公平を期しておるけれども、大ぜいの中なので問題が多いので、中にはそういう不合理もあるやもしれぬ、そういうふうに解釈できますか。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 私が申しましたのは、非常に極端な場合に、そういうことが全然ないとは言い切れないという程度のお話を申し上げたのであります。今御指摘のように、問題が一般的になってまいりますと、たとえば国の行政機関で地方の出先機関等を見てまいりましても、たとえばブロック別の出先機関でありますとか、あるいは府県段階の出先機関でありますとか、さらに府県の中を細分いたします出先機関等いろいろな段階の出先機関があるわけでございます。いずれの官庁におきましても、やはり呼称としては課長という名称を使っている場合が非常に多いのであります。しかしながら、その職務と責任の段階は、これはやはり本省の課長というものの職務と責任の段階、それからブロック機関の課長の職務と責任の段階、あるいは府県段階機関の課長というものは、おのずからこれは違ってまいるということに相なるのでありまして、したがいまして、ただ課長ということばを用いているからというだけでは、この問題はうまく理解できないのではなかろうか。いま御指摘のように、出先機関で課長と言っておりますけれども、大体公務の場合には係長と対応させておることは不当ではないかという一般的な御指摘でございますが、それはやはりわれわれのほうの職務と責任の段階におきまして、たとえ課長という名称は使っておりましても、その職務と責任の段階が、たとえば本省を基準に申しますならば、係長に相当する者はそれを係長と対比するという、こういうやり方でやっている次第でございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 次に、初任給の問題に関連してお伺いいたしますが、公務員の初任給を大体一〇数%に押えるために、結局民間の初任給は最近二〇数%にはね上がっているわけです。これはどなたが見ても確認できるところですが、そういう公務員の初任給を特に、具体的に言えば、一〇数%に押えるために、民間のそれをそのまま発表しないで、結局一〇数%曲げて発表している点がうかがわれるわけです。この点はどういうわけなのか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 一応申し上げますが、今回の勧告では初任給というのは特に考慮いたしましておりますことは御推察いただけると思うのであります。たとえばいつも一応の基準にしております高校卒の十八歳程度の独身男子というようなものの初任給につきましては、これは実は民間の高校卒の初任給よりも千円ばかり高くなっているというようなことからも御推察いただけるのではないかと思います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 われわれの調査したところによると、最近の民間の初任給は二〇数%上がっている。そういう事実がうかがえるわけです。しかし、人事院としては、民間のそれは一〇数%しか上がっていない、こういうふうに見ているわけですが、資料によっても違いましょうが、この点どうも人事院は公務員の初任給を大体一〇数%に押えるために、あえてそういうことをしているのじゃないか、こういう点がうかがえるわけです。この点を明らかにしていただきたいと思います。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 御指摘のように、最近におきまする民間の初任給は、たとえば高等学校卒業、大学卒、あるいは中学卒というところで、ここ数年非常に上がっております。たとえば、われわれの調査によりましても、昨年度におきまして、一昨年から昨年までにどれだけ上がったかという数字を見ておりますと、たとえば大学出で一七、八%上がっておる。あるいは高校卒のところも一八%程度上がっておるという事情がございます。ところが、昨年から本年の四月までの伸びは、これは相変わらず上がっておるのでございまするけれども、伸び率というものは多少下がってまいりまして、われわれのほうの調査によりまする大学卒のところで、九%ないし九・五%程度、高校卒のところで一〇%程度です。われわれのほうの調査は、曲げて数字をつくるというようなことはいたしておりません。そこで、初任給につきましては、特に細心の注意をいたしまして、本年四月に採用されました者の初任給というものを、これは個別の調査票によりまして、実際の調査で約十万人程度という者を調べておるのでございまして、やはりわれわれの調査は一般的な状況をとらえておる、このように判断いたしております。それで、われわれのほうは本年の現在御審議願っておりまする給与法の改正案におきましても、大学、短大、高等学校卒業のところでいずれも千四百円の引き上げをしておる。これは約一〇%ぐらいになります。そこで高等学校のところを申してみますると、これは標準生計費というものを別途計算いたしておりまするが、その標準生計費計算の結果、その数字が、民間で調べました初任給の数字よりも、標準生計費のほうが高く出たのであります。したがいまして、ここはやはり標準生計費でささえるべきであるという従来の方針どおり、官民較差で出ました数字より約千円程度高くしてある、このような状況であります。なお、本年度におきましても、勧告以降において、おそらくは来年の四月に採用いたします初任給の予想というようなものをいろんな機関におきまして予想調査をやられておりまするが、それによって見ますると、初任給が相変わらず上昇の傾向にあるということは言えると思います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 次に、初任給の官民較差の算出にあたって人事院はこうやっているんじゃないですか。民間による、いわゆる男女別、あるいは規模別の差別賃金を巧みに利用して、これも昨年と同様でありますが、その中に盛り込んでおるいわゆる民間の男女別、規模別の差別賃金を巧みに組み合わして、これは今回初めてということでなく、従来もそうであったようですが、今回もそういう点は従前どおりこれを巧みに利用したというふうに見られるわけです。この点を明らかにしていただきたい。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 現在、男女の性の差別によりまして、給与、処遇等の差別をすることは、憲法の精神から見ましてもぐあいが悪い。御指摘のように、民間企業におきまして初任給で差別しておるところもございます。その後の昇進状況におきましても、事実違ってきておるということもございます。しかし、国の、公務員の給与の決定という立場に立って考えまする際に、民間でそうやっておるから初任給を男女別に区別するようなことは、これは必ずしも適当でない。そういうことをやるのがいいと思っておりません。また、現実に企業の規模によりまして初任給が違うという状況もございます。しかしながら、われわれのほうは、初任給に限りましては、これは規模別ということもいたしませんで、民間の規模も考えない、男女別も考えない。そういう状況におきまして民間の初任給が学歴別にどうなっておるかという状況を把握いたしまして、それに従ってやっておる。作為でやっておるわけじゃない。憲法の精神に従ってやっておる次第であります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 次に、諸手当についてお伺いいたしますが、勧告される前に、公労協の代表の方々から、通勤手当とか住宅手当あるいは扶養手当について切実な要求があったと思います。それに対して人事院としては十分その点を考慮して、いわゆる理解ある態度でお答えになったと思うわけです。ところが、ふたをあけてみると、何らこの点誠意ある勧告という形では出ていないわけです。ここに人事院自身の調査資料を見ても、扶養手当が配偶者について平均千百四十一円、第一人目が平均で八百八十円、これは人事院の資料によってそうなっておるわけです。ところが、現実にはこれを無視して、何らこういう手当については取り上げていない。誠意がないではないか、こういう点に尽きると思うんです。この点いかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) お話しのように公務員の諸君が今あげました三つの手当について非常に深刻な要望を持っておられるということは、われわれも重々承知しております。さればこそ、われわれとしてできるだけの努力をして、その解決策を考えたわけでありますが、その結果においては、通勤手当の改善ということにとどまってしまいました。それで結局、扶養手当と、住宅手当の二つの問題が残ったということになるわけです。このいずれにも共通することでございますけれども、まさに、たとえば扶養手当の民間の状態というものは、われわれの勧告の中に資料としてこれは公明正大につけてあるわけです。これはまた十分御批判いただくための資料として包み隠さず出しているわけです。いずれにいたしましても、従来とっております人事院の勧告の態度は、一応官民の較差というものを、今度の場合七・五ととらえて、そのとらえた官民較差の中で民間に追いつかせるたてまえをとっております。私はこのたてまえは正しいたてまえだと今でも信じている。七・五の中の配分という問題になりますと、こちらに若干数字を加えれば、他のほうに犠牲をしいなければならぬというような、なかなかつらいやりくりが出てまいります。したがいまして、扶養手当の分におきましては、やはり本俸のほうから血の出るような金を持ってきて扶養手当につけたらいいかどうかという点については、当面現状のままにしておいて、やはり本俸のほうにその原資を置いたほうがいいのではないかという結論で、そのままになりました。住宅手当につきましては、従来毎年必ずしも調査しておりません。問題が問題でありますから、調査もしないで結論を出すということはわれわれとして忍びないわけで、これも一応民間の住宅手当について調査をいたしました。しかし、その調査の結果によりますと、まだまだ民間における住宅手当の普及状況、支給状況というものは支配的の形になっておらぬというわけで、にわかにわがほうの公務員関係においてこの制度を新設するという点については、やはり民間との比較という点においてどうであろうかという根本問題が一つございます。さらに、この種の手当ということになりますと、住宅の所在地と通勤との関係というような点で、よほど精密な計算をいたしませんと、通勤手当との関係において理論的な問題があるんじゃないか、これら問題をもっと根本的に考えなければいけないじゃないか、住宅が不足しているということは、これは現実の問題でございます。あるいは国設宿舎をもっとふやせば、その面でそれだけ緩和されるのではないかということはございます。国設宿舎の問題については、これを至急に完備していただくように政府側に対して強く私は要望しているのでございますけれども、とにかくそういうようなことで、もう少し研究を重ねる必要があるということで、御提案申し上げました勧告というような形になった次第でございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 通勤手当については、御説明のように、ほんのわずか、言うなればスズメの涙ほど上がっておるわけです。そういうことで、オートバイ、スクーターのガソリン代にもはるかに及ばない。実情には沿えないほんの申しわけ程度しか考えられない。ただ、扶養手当については、もういま申し上げたように、人事院の資料の中にも、もうすでに民間の実態が出ておるわけです。だから、それを勘案してこの際勧告ができなかったはずはないわけです。住宅手当については、まだ結論に到達していないから、今後の課題だと、こうおっしゃる。これは早急にやるべきでありますが、扶養手当については、すでに民間の実態が出ておるわけです。そういう資料が人事院自体の資料の中にあるわけです。したがって、そういう点から勘案して適当な勧告がされてしかるべきだと思うわけです。この点重ねてお伺いするわけです。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) ただいま御指摘のわれわれの調査によりましても、たとえば配偶者は、この報告で示しておりますように、一人千百四十一円というような数字が出ております。また、この配偶者とか第一子とか区別しませんでやっております場合に、一人だけもらっておるときの平均というものは八百八十六円というような数字が出ておる。ただいま御指摘の点は、むしろ配偶者の千百四十一円という数字をおっしゃったんであろうというふうに思うのであります。ところが、民間の扶養手当を支給いたしまする場合には、人数を制限いたしておるというような場合もありますし、また、支給していない事業場もあるというようなことで、平均して、この扶養手当を受けまする金額というものが、公務と民間とで非常に差がある。と申しますると、これは昨年の勧告のときにも述べましたように、ほとんど変わりはないのであります。現在、公務員の場合は、家族がなくって扶養手当をもらっていない人もありまするが、そういう人を平均いたしますと、一人平均約九百二十円程度の扶養手当をもらっておることになっております。そこで、全体的に見ました場合には、公務と民間とは支給の程度は大体同程度であるというようにわれわれは判断しておる。ただ、御指摘のように、配偶者のところだけは公務員は六百円、民間は千百円程度ということは、そこだけ見れば非常に差があるのではないかという御指摘になる。これはそのとおりであります。ところで、労働省でやっておられまする給与統計調査等を逐年見てまいりましても、いわゆる扶養手当、家族給の支給割合というのは漸減してまいっておる。これは一般的傾向であります。たとえば、三十三年の九月には、これは所定内給与の三・九%であった。三十五年九月には、これが三・四になり、三十七年の九月には二・六になったというように、いわゆる家族給、扶養手当の給与総額に占める割合は漸減しておる。これは労働省の非常に大きな調査でございまするから、一般的にはこれは当然信憑してよろしい数字でございます。そういう状況であります。さて、公務におきまして、いわゆる妻帯者、妻を持っておる者が公務員の中のどれぐらいの割合になるか。これは約半数なんでありまして、かりに御指摘のように、六百円という数字を千円に上げるといたしますると、一人当たり四百円の原資を要する。しかし、もしその原資をもって本俸を改正したならば、全公務員一人当たり二百円の給与改善ができるという点があるわけです。で、何といたしましても、本俸というものは、俸給表上の給与本俸というものが、これが決定的な非常に大切な給与でございまするので、われわれといたしましては、むしろその改善をはかるということのほうがより適当なのではなかろうかという、今年度の勧告時においては、そういう判断をいたした次第であります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 なお、手当の重要な問題として暫定手当があるわけであります。遠隔地手当、寒冷地手当、特に暫定手当については、昭和三十二年だったと思いますが、本俸繰り入れの措置について附帯決議がなされておるわけです。それから寒冷地手当についても、その支給額については、従来百分の八十であったものを百分の百といたすべきであると、こういう附帯決議がなされておるわけです。この附帯決議については、当然当局としては十分早急に検討して実現に移すべき義務と責任があろうと考えておるわけです。この点に関して今度何ら触れてないで、暫定手当も遠隔地手当も寒冷地手当についても何らの勧告がなされていない。きわめて遺憾だと思うのですが、この点は怠慢ではないかとすら私ども考えておるわけです。この点はどのようにお考えになっておるか、明らかにしていただきたい。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 暫定手当のほうは、もう御承知のとおり、現在は凍結されておる状態でございますから、これが繰り入れの問題としての研究問題ということになるわけで、これは続けてやっておるわけであります。寒冷地のほうは、これはたいへんな苦労の種でございまして、そちらの御決議もございますし、もうずっと何とかこの解決の方法はないかということで、苦心に苦心を重ねておりますが、何ぶん本俸とのかけ合いの問題になっておりますために、絶対額のほうは本俸の昇給とともにだんだん上がっていくというような面もございますし、なかなか数字上の確たる基礎からこれを一〇〇%に引き上げるとかなんとかというような根拠は出てまいりません。私どものほうは、科学的、合理的というようなことで一枚看板でやっておることもございまして、そういう制約があります。したがって、非常に苦しんでおるわけです。これをしかしそれらの問題も含めて何とか合理化すべき点がありはしないか。これは当然検討してよろしいことで、また真剣に検討すべきことでありますので、これはずっと続けてまいっておる次第であります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 おことばではございますが、暫定手当については、三十二年にすでに附帯決議がなされて、政府は早急に本俸繰り入れの措置を講じなければならぬ責任を負わされておるわけです。もうそれから六年も経過しておって、何らこの点工作は進んでいない。こういう点はきわめて遺憾だと思うのです。また、寒冷地手当についても検討はしておるけれども、いまだ結論を得ていない。われわれいろいろ問題はありますけれども、特に百分の八十を百分の百といたすべし、こういう声は長年の間熱心な要求がなされてきておる。これすらまだ結論を得てないということでは、納得できないと思うのです。これは具体的にどの程度に作業が進んで、大体見通しはどういう時期になるのか、せめて今後の具体的な日程についてお示しいただきたいと思うのです。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 決して消極的な態度で寒冷地手当に対処しておるわけではございませんので、前向きということばをつかわしていただきますと、いわゆる前向きの姿勢で問題を相当煮詰めつつあるということを申し上げてよろしいと思います。何らかの結論が出ますれば、その結論の出次第にまた適当な処置をとりたいという気持で臨んでおります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 問題が暫定手当と寒冷地手当とはおのずから違いますし、これを一緒にして論ずることはできないと思うのです、性格が違いますから。ただ、寒冷地手当については、そう複雑な問題だとは考えられないわけです。暫定手当は、これは一応なかなか容易でない作業であろうと推測できるわけですけれども、しかし、それにしても、もう附帯決議がなされてから六年も経過しておって何ら進捗してないというのは、きわめて遺憾であります。寒冷地手当については、これとは違ってそう複雑なものとは考えられないし、この引き上げ——百分の百といたすべきであるという、こういう声については、実に全国的に当該地区からは熱心な要求が出されておる。なお具体的に結論が出ていないということでは、はなはだ納得できかねると思うのです。これはひとつ早急に結論を出して勧告すべきである。そういうふうに当然の要求として考えられるわけです。この点はいかがです。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) ただいまお話がありましたように、そう簡単な問題では実はないのでありまして、その辺のことを一々申し上げるまでにも及びませんけれども、いずれにせよ、先ほど申しましたように、何とかひとつ早急に結論を出したいという意気込みでおりますことを御了承願いたいと思います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 次に、標準生計費の問題について一、二お伺いいたしますが、標準生計費の算出方法のいかんは、公務員の生活に重大な関係を持つということは言うまでもない。ところが、ことしの標準生計費も、人事院のそれを見ると、公務員の生活水準を国民の平均水準より大体二二・六%も低く抑えておるかに見られるわけです。この点はどうも納得しがたいのですが、これは人事院の生計費が平均より二割ないし三割低いところの低所得階層の生計費から算出しておるのではなかろうか、こういうふうに考えられるのです。その点はいかがですか。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 人事院が標準生計費を実際に給与の問題と結びつけますときには、これはいわゆる行政職(一)八等級二号、新制高等学校を卒業しまして公務員の初級試験に合格して入ってまいった十八歳程度のところでこれを見るということをいたしておるのであります。先ほども申し上げましたように、新制高等学校を卒業しまして、そうして公務に入って初めてもらう学卒者の初任給でありますが、これは別途学卒者の初任給は調査をいたしておるのでありますが、その数字と標準生計費について計算いたしました数字とを見比べまして、標準生計費のほうが高い場合、それを高く持ち上げるということをいたしておるわけであります。いわば、この標準生計費の使い方は給与の保障的な意味においてやっているという次第でございます。また、御存じのように、人事院の標準生計費は、食料費につきましてはマーケット・バスケットというものでやっております。これは二千六百六十カロリーというカロリーを中心にいたしまして、一日二千六百六十カロリーを摂取するにあたっては、これはいろいろな方法があるわけでありますけれども、たとえば総理府統計局の家計調査において非常に購入頻度が多い、いわゆる購入金額の多い、そういうものを重視いたしまして、また、大きな品目別には厚生省でやっております栄養調査の結果に基づきまして、大体片寄りのないように、すなわち人事院の恣意を入れないように、大体のところは民間の一般の消費事情というものが反映するようにマーケット・バスケットを作成して、二千六百六十カロリーを摂取するための品目数量をきめるというやり方でやっておるわけでございます。また、食料費以外の費目につきましては、総理府統計局の資料からこれを導くというやり方でやっております。そこで先ほでも申しましたように、この標準生計費というものは保障的な意味がありまするから、いわゆる平均というところを用いませんで、非常に多く集まっているところ、多くの人がそういう支出をしているという、いわゆるモードというものを中心に考えるというやり方で計算をいたしておる次第であります。そういうことで毎年計算をいたしておりまするが、今年の計算によりますと、昨年よりはよほど数字がふえておる。現在お手元でごらん願っておりまするように、月額東京におきまして約一万二千五百円、こういう数字を算出いたしておる次第であります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 人事院の生計費のうち、単身者の生計費ですね。東京における独身男子十八歳程度、こういうものが公務員の賃金をきめる出発点に使われておる。こういう現実があるわけです。ところが、人事院の実際の面を見ると、実際生活から割り出しておるのじゃなくて、二人世帯の半分が単身者の生計費、こういうふうに出されておるわけです。一人は二人の半分だということでは生活できないと思う。二人世帯の半分が単身者の生計費、これはどなたが考えても、二人世帯の半分で単身者が生活できようとは考えられない。この点はどうも納得しかねる。この点はいかがですか。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) ただいまも申し上げましたように、標準生計費の算定は、食料費につきましては、いわゆるマーケット・バスケットというものを使ってやっておるという次第でありまして、そのほかのところは、総理府統計局の家計調査から……、そのほかというのは、たとえば被服費でありますとか、住居・光熱費、雑費というものは、総理府統計局の家計調査から導いておるということで、まず単身者の標準生計費というものをつくる。それに応じて、参考的に二人以上の標準生計費を算定しております。が、二人の計算をいたして、それの半分をとるという方式をとっておるのではざいません。そこのところは、ひとつ十分御理解願いたいというように思う次第であります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 マーケット・バスケットだから云々という説明でありましたけれども、単身世帯の食料費を算出するマーケット・バスケットでは、人事院がやるマーケット・バスケットでは、現実離れがしておって、これは机上計算にとどまる、現実を無視しておる、きわめて低く押さえておる、こういうふうに見られる。たとえば、昨年と比べてつけ加えたものは化学調味料、たとえば申し上げると、これは過剰生産で非常に値段が低くなったものです。ほにか除外したものは逆に、ブリとか、コンブとか大幅に値上がりしたものを除いておる。値下がりしたものをつけ加えて、値上がりしたものは除いておる。こういう意味のマーケット・バスケットとしか考えられない。こういうことでは、とうてい単身者の食料費を算出するマーケット・バスケットだからといっても、それはきわめて苦しいものになるわけです。これでは生活しがたいと思う。結局みそ汁の中に煮干しをダシとして入れて、その煮干しをすぐすくい出して食べないとカロリーが補強できない。こういう程度になろうかと思う。これは非常に問題だと思いますが、この点をひとつ明らかにしていただきたい。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 御指摘のように、昨年のマーケット・バスケットに比べまして、本年のバスケットにおきまして品目の入れかえ、あるいは数量の異同等がございます。しかし、これは恣意にやっておるわけではないのでございまして、あくまで一般民間の消費事情というものがここに反映してきておるということでございます。一般家庭におきまして食料品を購入いたします場合に、一般的傾向といたしまして、ある特定の品目が値上がりするというような場合に、自然的傾向として、やはり値段のあまり上がらないものを選ぶというようなことが一般消費事情であるわけであります。そういう事情がこの統計にも現われてまいっておる。その事情をわれわれのほうは映しておる、こういう事情でございまして、マーケット・バスケットをつくってぎゅうぎゅう痛めつけておるという趣旨では決してございません。よくいわれることでございますが、人事院のマーケット・バスケットによると、一日の食料費が百八十円程度じゃないか、一食分にすれば六十円程度じゃないか、これで何が食えるかというお話がよく出てまいるのであります。しかしながら、われわれのほうは、具体的に食えるというよりも、一般消費事情というものを反映して、一般的にそういう状況を給与に反映させるということでやっておるのでありまして、たとえば総理府統計局におきまする生計費調査の結果によって見ましても、先ほど言いましたように、一人当たり一日分、一食分というような計算をかりにやってみますると、これはやはり一日が百八十円程度、あるいはそれ以下である。それは総理府統計局のほうの数字から計算できることであります。われわれのほうもそういう計算もやってみておるのでありまするが、決してわれわれのほうの数字がそれに比べて格段に低いという数字ではございません。このことを念のためにつけ加えて申し上げておきます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 いま御説明のあったように、一日百八十一円五十銭、一食六十円、こういうことで実際問題として食料費が足りるものかどうか。大体日本の食料費は西欧などに比べると、ここにも資料がございますが、約二分の一以下というふうにきわめてお粗末なものであって、実際いろいろと文化生活に追われて、食費を切り詰めて、ずいぶん栄養失調になるような程度の生活をしている人が多いのです。現実に百八十一円五十銭、一食六十円程度、そういう割合で一カ月生活できるものかどうか。これで栄養に差しつかえないカロリーがとれるものかどうか。これはよほど問題点を残すと思うのですが、この点を重ねてお伺いします。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) ただいま申し上げましたように、マーケット・バスケットというものは、現在のところ、本年の勧告におきましては、二千六百六十カロリーというものを摂取するための品目の数量をきめておるという次第でございます。これは国民一般の現在の消費カロリーより多少高くなっております。実はこの数字は、国民一般の平均からいたしますれば、月報にも報告いたしておりまするように、多少低い数字でございまするが、去年二千六百六十カロリーという数字を使った関係上、これをさらに切り下げるということもいかがなものであろうかというので、われわれは多少国民一般の水準は下がっておりまするけれども、なおかつ二千六百六十カロリーというものを据え置きにいたした次第であります。そこで、一食分六十円というようなことになってくると、外食する場合に、それで食えるかどうかというようなことになりまするけれども、これはやはり消費一般の状況がそういう状況であって、個々具体的に食えるかどうか、特定の条件を付与して、そこで食えるかどうかという話でなしに、一般的にそういう消費事情というものがあるということを前提にいたしまして、そこを公務員の給与に反映させるということをやっておる次第であります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 次に、職務給の強化がうかがわれるという点について二、三お伺いしますが、今回の勧告では、特にいろいろ問題がありますが、特徴的な点は、年々強化されておる職階職務制がさらに強化されておるという点。最もこの中で問題のあるのは、行政職第一表のいわゆる一般事務官と、教育職第一表の大学教官、これを大幅に引き上げて、特号というものを設けた。いわゆる一官一給与制度を新たに設けられておる。こういう点についてはいろいろ問題があろうと思うのですが、この点をまずお伺いします。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 大学の学長の給与の問題につきましては、先回政府案として提案されまして、当時実は人事院は何をしているというおしかりを受けたことを身にしみておるわけでありますけれども、しかし、今度のわれわれの勧告は、何もそれに追随したとか、それに合わせたとかいう考え方では実はないのでありまして、突き詰めていけば、ただいまお話しの職務給という概念にこれはなるのだと、これは率直に申し上げてそう言えると思います。要するに、事務次官というようなごく最高のレベルの者の職務というものは、これはだれが見ても特定しているわけであります。そういう人たちについて特定号俸を設定して、同時に、その給与の額というものにつきましても、大臣を補佐するこれは最高の首脳の補佐機関でありますからして、大臣の給与あたりとの格差というものも、あまりに開き過ぎておるところは適当に、できる限りのその調和をはかるべきではないか。それから、民間の幹部の職員がどういう待遇を受けているかということもあわせて考えまして、まず、事務次官のほうを考えて、一等級の八号、九号というところから延ばした形で特号俸というものを考えた。それに関連いたしまして、七大学の学長に対する職務上の評価というものを勘案して、そのほうのまた給与額を特号俸としてきめたということになります。ただ、しかし、職務給の観念というものは、これはこういう最上層部のポストについては、まさにこれは当てはまり得ると思いますけれども、今日の日本の給与体系のように、まだまだ下のほうでは生活給すれすれというようなものがたくさんに残っておる。これはたいへん残念なことでありますけれども、それは現実だと思います。したがいまして、職務給の観念とは申しましても、まあごく上のほうにのみ当てはまることではなかろうかという考え方でおるわけです。全体を職務給で徹底した形にしようなど大それた考え方は持っておらないというわけであります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 この特号の設置については、今御説明あったわけですが、現実にはいろいろ具体的な問題がある。たとえば大学管理制度の改悪の物質的な裏づけを見ておるのではないか、こういう点が一つ。それから、さきの国会で提出されました例の認証官制度ですね、認試官制度とも直接つながっているのではないかという点、それから職務職階制のこれは典型的なものであるという点、さらには官僚支配機構への完成ということがねらいであろうと、こういうふうにあげてくるといろいろ問題点はあるわけです。こういう具体的な問題と結びつけて、いかように考えられておるか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) ただいまお尋ねのようなお気持があろうかと思いまして、先ほど一応それにも触れたことを申し上げたつもりでございますが、あらためて御指摘でありますから、はっきり申し上げますが、われわれの人事院の性格といい、また仕事の性質から申しまして、この大学の管理制度をどうするとか、あるいは官僚支配機構をどうするとか、こうするとかいうようなことは、全然これは考慮に入れない。そういうことを考慮に入れてはならないものと私どもは確信しておるわけであります。給与の体系として何が適当であるかという一点から追求した結果この結果が出たということは、これははっきり申し上げておきたいと思います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 次に、上下の格差がますます広がっておるという二、三の問題についてお伺いします。  上厚下薄の是正については、かねがねわれわれ熱心にこの是正を要求してきたつもりでおります。ところが、実質的な格差は、この勧告によりますと、額では十六万九千五百円、倍率では一七・一倍というように大きく拡大しているわけです。また、昭和三十二年と三十八年を比較してみますると、高級官僚は五万円も上がっておるわけです。それに対して下級の公務員はわずか六千円にしかすぎない。こういうふうに、一方は五万円、一方は六千円というふうに、格差はますます広がっておる。これは非常に問題だと思うわけです。一年一年をそのときそのときだけを見ると、たいしたこともないようですが、こうやって、たとえば三十二年と三十八年、六年間を比較してみると、こういうふうに大きく開いておる。こういうことではますます上下の格差が開く一方で、これは問題の上にさらに問題を残すということになろうと、その点きわめて遺憾であるとわれわれ見ておる。この点を明らかにしていただきたい。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 上下の格差の問題でございまするが、これは公務だけが先走って、上下の格差を広げるというようなことは、これはもうよろしくないというように思います。そこでわれわれはやはり民間一般の状況を映してくるというところが主でございます。そういう観点から従来やっておりますが、ただ官民比較をいたしまする場合には、二等級以下——行(一)の二等級の比較をいたしておりまして、一等級につきましてはこれは二等級とのバランス、さらに一等級の上位官職の中には次官等が含まれているわけでございますが、こういうところは、やはり事実問題として、先ほど総裁の申しましたように、特別職との給与上の関連というものが当然あるわけでございます。そういうことと関連いたしましてやっておったのでありまするが、一等級というものは官民の比較を直接用いていないというのが、われわれの現在の体系であります。  そこで、それでは三十五年にたとえば行(一)の八等級初号——高校卒の試験によらないで入ってまいります者の初任給——八等級初号、それから行(一)の俸給表の最高号俸——一等級九号、これの格差が幾らであったかと申しますと、一三・二%であります。今回のただいま御審議願っておりまする給与法案におきましては、八等級初号、一等級九号俸を比べてみますと一〇・三倍ということになっております。かりに特号俸の次官の十六万というものをとってみましても、これは一三・三ということになっておる次第でございます。特にこれが広がっておるというふうにはわれわれ考えておりません。また、次官というところと高校卒の試験によらない採用者の初任給とを比較するということが、形式的には一応従来行なわれたのでありまするけれども、そういうことがはたして比較方法として適当であるかどうかという問題を含んでおるように思うのであります。せめて、一等級の号俸でこの金額が表示してありまする最高のところと比較してみるということがまあまあ適当なのではなかろうか。その意味におきましては、むしろこの三十五年当時に比べまして幅は狭まっておる。これは意識的に狭めたというわけではございません。先ほどから申し上げておりますように、民間におきまする初任給というものが非常にここ数年上がってきている、そういう状況を反映しておるものだと、かように考えております。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 われわれは、三万以下の公務員は今度の勧告によってもなお六四%以上もあるという、こういう冷厳な現実を直視した場合、やはり大部分が給与の低い者であるということを十分踏まえて考えなければならぬと思うのです。上級者を優遇する、これにわれわれは必ずしも反対しない。ただ下との開きが開き過ぎる。下をもっと一段と優遇すべきである、こういうことを申し上げておるわけです。たとえば三万以下の者が現行法によりますと六九・四%、もし間違いがあれば御指摘いただきたいと思いますが、勧告によると六四・三五%もおるわけです。こういうことは、いかに下級の公務員の方が多いかということを如実に数字で示していると思うのです。人事院の東京における世帯人員数別標準生計費では、四人世帯で三万八千四百五十円となっておると思いますが、三万八千円以上の公務員は勧告が実施されたと仮定しても一八・〇五%しかいないわけであります。一八・〇五%の方は四人世帯になっても生活できるけれども、それ以下の方は、それ以外の方は四人世帯になったら生活できない、こういう現実が出てくると思うのであります。こういうことではたしていいのかどうか。これは非常に問題があるわけです。したがって、上の者に対してさらにこれを厚くするという、そこにも問題がありますが、そういう点に重点を置くよりは、四人世帯で一八%しか生活できないという、こういう現実を見詰められて、下級者にもっと大幅な賃上げをすべきではないか、こういう点をわれわれは要求しておるわけであります。この点をひとつ御説明いただきたい。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 先ほど申し上げましたように、次官の特号俸というものが、これはまあ特別職につながりまする官職であり、行政部内の最高官職であるというような観点から、ああいうふうにきまったものであります。  御指摘のように、三万以下という者が相当おります。しかし、これは三万以下のところにおりまする者が、もちろん扶養家族の多い方もおられるわけでございますけれども、しかし、俸給表のたてまえもごらんになっていただきますれば、やはり初任給から近いところにそういう金額があるわけでありまして、いわゆる単身者というものもそういうところに非常に含まれておるということも事実であります。ところで、毎月勤労統計のきまって支給される金額、平均給与を見てみましても、現在のところ、たとえば本年の九月で申しますれば二万六千四百幾ら、こういうような数字に相なっておる次第でございます。そうした公務の方が特にその辺に押えつけられておるか。そうではないのであります。先ほど申し上げましたように、むしろ標準生計費によってその辺をずいぶん持ち上げておるというような事実もあるわけであります。公務の一般的な給与決定事情というものは、社会一般の情勢と申しますか、民間とあまりかけ離れるということは、またできがたい事情があるわけであります。その辺を勘案しながら、その辺の改善に努力しようという次第であります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 課長、部長、局長というふうに将来順調に伸びる方はいいですが、一般公務員の場合、役付にならない公務員の場合には、結局昇給基準によって到達できる賃金は行政職第一表の場合三万九千八百円どまり、こういうことになろうと思うのであります。こういうことになると、やはり俸給によって子供を教育することは至難の問題ですから、結局相当世帯になっても俸給はこういう程度にとどまると生活の苦しさはさこそと考えられるわけです。したがって、部課長——上にどんどん役付になるという公務員は、ほんの一部分だと思う。大部分は、繰り返し申し上げるように、非常に給与の低い公務員が大部分を占めておる。したがって、われわれが要求するところは、上の者に重点を置かないで、下級な公務員の方に相当な比率をもってこれを優遇すべきである、そうして上下の均衡を保つ、こういうことをお伺いしておるわけであります。今後そういう方向に考えられないかどうか、こういう点。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 現実のそれぞれのわれわれの同僚、下級の同僚たちがもらっている俸給の内容を知り、あるいはその話を聞きますると、ほんとうにいても立ってもおられない気持がするわけです。そういう意味では、いま御指摘の点に対する考慮というものも、当然これはなさるべきことだと思っておりますけれども、何ぶん根本のたてまえが官民給与の比較ということで、民間給与をやはり大きな基準にとらなければならないということが、これは公務員法上の原則ともされておりますので、その点から来るいろいろな冷たい限界というものは、これはまたやむを得ない。その間においてこれをどう対処していくかということに尽きると思います。われわれとしては、あたたかい気持でその問題の解決に臨んでいきたいということは、常に考えておりますけれども、またその辺の冷厳なる限界との関係というものも勘案していかなければならぬ。その間において適当に処置をしていこうということに尽きると思います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 今回の勧告による賃上げの実態を見ますると、最低の引き上げ額が千四百円、そうして最高の引き上げ額が一万八百円、倍率は約八倍になっております。これは従来と同じく、高額所得者に多くの配分をしておるということは、いま御指摘申し上げたとおりです。こういう配分の点を今後十分検討すべきではないか、こういうことをお伺いするわけです。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 上のほうの特号俸あたりのことは、これは、見方によっては、従来低く押えられ過ぎておったという見方も、そういう批判も出てくるわけでございます。そういう観点から、一応調和のとれた給与の体系として、今回は私どもの勧告いたしましたような筋がまず妥当ではないかということで、きておるわけであります。それと、いまお話しのような、一般の人々との関係ということは、なおまた今後、先ほど申しましたような趣旨において考慮を重ねていこう、こういうことでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 次に、一定部分について、三カ月短縮という措置をとっておるようですが、これは昨年度の勧告で一部の等級の号俸を減らした、制度改正に不備があったのでこれを是正するのが理由というふうになっておりますが、これは該当者は三〇・五%で、圧倒的に低賃金の部分の方が除かれておる。こういう点にも問題があろうかと思うのですが、この点はどういうお考えからこうなったのですか。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 昨年の勧告におきまして、いわゆる間引きということをやりまして、その間引きの適用を受けまする職員は、今後に向かって従前のものに比べて非常に有利な給与改善と申しまするか、昇給等によって早く有利な線に達することができるということになっておるわけです。そこで昨年も、そういう適用を受けない職員との間にアンバランスが起きまするので、最小限度その間の是正措置をやったのでございまするが、さらに一年たった現在について見ますると、またその間引きの効果の有利性が、さらに進んでおるというような現象もございます。そこで、現在俸給表の改善ということでわれわれ俸給表を作成いたしたのでありまするけれども、なおかつ、その考慮を度外視することが必ずしも適当でないというような観点から、本年も同様の措置を再度やるということをいたしたのであります。しかし、これは御承知のように、この間引きの適用を受けました者は、下位等級の全部ではもちろんなかったわけでございます。これはおおむね二十七、八歳前後という年齢を一応頭の中に置きまして、その前後でそういう措置をやったという経緯がありまするので、下位等級におきましても、非常に上位の号俸の方は、必ずしもそういう恩典にあずからなかったということがございます。したがいまして、今回三短をやります措置も、下位等級にも当然及んでおりまして、三短の適用を受けまする人数の中から申しまするならば、四等級以下のほうが、数としては圧倒的に多い、このようなことに相なっております。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 それとは逆に、教育職第二表二等級の二十二号から三十四号、これは三短とは別に、三カ月延伸となっておるわけですね。この理由は、この前三カ月短縮したけれども、制度上問題があるから、この際、短縮でなく延伸するのだ、こういうふうに意味づけられておるわけです。これは、一たん三カ月短縮したものを、一たんそういうふうに決定したものを、これを今度制度上の問題で、一たんきめたものを取り消して、今度は延伸するのだと、これははなはだ不可解千万だと思います。この点を御説明いただきたいと思います。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 御承知のように、昨年の給与法審議にあたりまして、国会におかれまして、附則で、高等学校教職員の、教育職(二)の二等級の二十二号俸以上について三短をやるという措置をとられたわけでございます。しかし、これは附則でありまするから、そのとき一ぺんきりの措置になって、あとの続きを言いまするならば、給与法が通過しましたときに、二十二号俸であった者はその適用を受けるのでありまするけれども、一年後にその号俸に到達した者はその適用を受けない。いわばそこに非常に大きな断層ができるという結果に相なったのであります。そこでやはりそういう関係は好もしくないというので、その附則でおやりになりましたことを俸給表上でこれを直したのであります。したがって、実質的には、高校教員のところを切り込んだのではないのでございまして、附則でおやりになりましたことを俸給表上でやって、そのかわり附則でやった措置を一応撤回する、これだけの話でございます。何も高校教員のところを切り込んでおるわけではないのです。国会で昨年御審議の際に附則でおきめになりました。しかし、その附則の措置をほうっておきますると、断層ができるという問題がございまするので、そういうことのないように国会の真意を——われわれが考えましてこういう措置をほんとうはおやりになりたかったのであろうというところをやったのであります。切り込んだわけではございません。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 最後に、実施の時期についてお伺いいたしますが、人事院は、四月に調査したところ、先ほど来申し上げておるようにかくかくの格差があった、こういうふうに人事院自身がおっしゃっておるわけです。それなら、四月に調査したら、もうすでに差はあったのだから、なぜ四月に実施すべき旨勧告しないのか。これはどうも納得できないわけです。これはいかように御説明になろうとも、四月現在ですでにかくかくの差があったということを人事院自体が認めておるわけですから、当然に四月にさかのぼって実施すべき旨を勧告すべきである。これはどなたがどう考えようと、当然そういう結論になろうと思うのです。これをわれわれが納得できるように、どういう根拠で五月一日実施の旨を勧告したか、何か根拠があってしかるべきだと思う。ひとつこれを納得できるように御説明いただきたい。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 人事院は従前、三月調査をやっておったということは御承知のとおりでございます。で、これも、人事院が三月という時期を特に選んでやったというわけではないのでございます。従前の経緯から、三月に落ちついたというのが実際でございます。それで三月調査をやっておりましたときに、国会で、当委員会におきましても非常に強い御指摘があったのでございまするが、それは、そういうことでは民間の春闘というものの結果が反映しないではないか、民間の春闘の結果というものは、四月からあらわれてくるという関係があるので、それをその一カ月前の調査でやったのでは、民間の春闘の結果を一年おくれに反映することにしかならぬじゃないかというような非常に強い御指摘があって、これはやはり官民のバランスをとる上からいっても、御指摘の点は十分傾聴すべきであるという観点から、これを四月の調査に切りかえたということでございます。ところで、三月調査をやっておりましたときには、人事院はなるべくすみやかに実施してもらいたいということを言っておったのであります。しかしながら、当時この勧告の文章ではそういうふうに言っておりましたけれども、当時の浅井総裁の国会におきまする答弁におきましては、なるべくすみやかに、なるべく早くという趣旨は、やはり三月調査であるから四月からやってもらいたいという趣旨であるという御説明を申し上げたのであります。三月調査であるから四月からやってもらいたいという趣旨である。すなわち三月にそういう状況を調べたならば、これはやはりそのすぐ次の月である四月からこれは改正するのが当然だという趣旨から、浅井総裁がそういうお答えを申し上げたのであります。その関係は、四月調査になっても同様であろうという観点から、人事院といたしましては、四月調査であるから五月からやってもらいたい、こういうものの言い方にいたしたわけであります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 御説明ではございますけれども、それは答弁にはなっていないわけです。大体当内閣委員会で、三月の民間産業労働者との調査を四月にすべきである、これはわれわれが要求してきたわけです。三月というのは民間産業労働者の谷底であって、一番年間で低いときです。これはおかしい、もう当然の年間の状態ではない、したがって四月に調査すべきである、こういうわれわれの要求が通って四月民間実態調査ということになったわけです。これはもう率直に人事院の一つの進歩であろうと思います。それから、実施の時期について、御指摘なさったように、従来人事院はできるだけすみやかに、できるだけ早く、こういう表現を使っておった。これは非常に具体性がない。実施の時期を、期日を明確にすべきである、こういうわれわれの要求が通って、自後——五月一日には問題がいま指摘しているようにあるわけですけれども、一応実施の時期を具体的にしたということについても、これも一つの進歩であろう。それはわれわれは率直に認めるわけです。さて、その実施の時期ですが、四月に実態を調査したらすでに差があったわけです。四月にすでに差があった。いまの御答弁では、浅井前総裁が三月実態調査のとき四月一日からと言うべきであった、そういう前例を引いて言われておるわけですが、そこの根拠は何かとお伺いしておるわけです。四月に実態調査したらすでに差があったというのを、なぜ四月にさかのぼって実施の旨勧告しないか。五月にしたというのはどういう根拠があるのか。そういう根拠を伺っておるわけです。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) これはいろんな関係が考えられると思うのであります。たとえば春闘ということであの時期に民間の給与が上がるということは、これは事実でございますけれども、毎月勤労統計等を調べていきますと、年間の給与が全部そこで上がるのではないのでございまして、やはりほかの時期にも上がってまいるということがあるのであります。そういう意味からいいますと、官民の比較をしてみると、その時点である状態がわかったということも、考えようによっては、そういう状態が起こったのはすでに相当前からではないかというような議論も、これはあり得るわけであります。そこで人事院といたしましては、浅井前総裁が理由として申されたことをただいま私が申し上げたのでありまするけれども、四月の末にそういう状態になっておるのでありまするから、直ちにこれを五月から改正すると、こういうことが理由になるわけであります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 そういうことでは納得しかねるわけです。四月にすでに差があったということは人事院認めるでしょう。人事院が四月に調査したら、民間産業労働者との較差はかくかくであったと、堂々と調査資料を出しておるわけですね。したがって、四月にすでに差があったということは現実です。もう事実なんです。だから、四月にさかのぼって実施の旨勧告するのが理の当然なんです。いかようにおっしゃろうと、根拠は何もないということです。結局、最初にうっかりして、おそらくうっかりしたと思うのです。悪意があったとは考えませんが、うっかりして、四月に調査したらかくかくの差があった、それで五月から——何ら根拠なく五月から実施。一回そうやったから、毎回どうも前回をくつがえすわけにもいかぬから、前回にのっとってやっている。ただそれだけの理由であろうと思う。五月一日にさかのぼって実施すべき旨を勧告する根拠は何もないということだと思うのです。当然、最初その点をしっかり考えて、四月一日実施の旨勧告すればよかったけれども、うっかりして五月一日勧告を一回最初出してしまった。だから、もうそれ以後前回を否定することになるから、どうも実際問題まずい。そこで五月一日ということを慣例としてやるようになったということであって、何ら根拠はない。いま御説明のあったのも、何らその根拠を説明するものでも何でもないです。こういうことを人事院が十分反省して、今後そういう間違った前例にとらわれないで、四月に調査したらすでに差があったというのであるならば、四月に実施すべき旨勧告するのが当然だと思う。今後こういう点を誠意を持って十分再検討する誠意があるかないか、こういう点をここでお伺いしたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 私も一番最初にそういう疑問を持ちまして、給与局当局者あたりと盛んに議論をやってみた段階もございます。したがって、お話しのようなことはごもっともな御疑念じゃないかと私自身は同感するのであります。しかし、議論いたしました結果は、ただいま給与局長の申しましたとおり、なるほどそれは理屈がある。しかも、それに加うるに、いまお話しのように、長年やってきたそれをくつがえすだけの根拠はとうていないということで、今回も五月ということで踏み切っているのであります。私どもは、これを改めるだけの理由がいまだに発見されないということでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 この点については、総裁が何とおっしゃろうと、これは何ら根拠ないのですから、われわれを納得させるに足る根拠は何もないわけです。先ほど私が指摘したようなことが実態であろうと思う。私どもは確信するわけです。したがって、もうことしの場合には間に合いませんから、すでに勧告を出してしまったのだから、今後人事院がどうなるかは知りませんけれども、このままかりに進むとすれば、また勧告があると思う。そういう際には、この点を根本的に考え直して、間違った前例にとらわれないで、四月にすでに差があったということを人事院自体が認めるなら、四月一日にさかのぼって勧告すべきが理の当然であるということを十分踏まえて、ひとつ検討いただきたい。  それと関連して、もし百歩譲って、五月一日に実施すべき旨勧告したとして、それは五月一日は、いま申し上げたように認めてないわけです。これは間違いだ。しかし、五月一日に勧告したわけです。しかし、五月一日に勧告を出したのは、たしか本年の八月十日であったと思いますが、これは人事院はただ形式的に五月にさかのぼって実施の旨を勧告したということであって、ほんとうに人事院に五月にさかのぼって実施の旨勧告する腹があったかないか。これは非常に疑問だと思う。もうその当時国会開会中ですから、なぜ国会開会中の前通常国会に出さなかったか。国会の終わったあと、八月十日にこういうものを出したか。これはほんとうに五月一日にさかのぼって実施する腹が人事院にあるなら、当然当時の通常国会に勧告してしかるべきであったわけです。ところが、国会終わったあとで例年の例によるわけですが、こういう点にも、ただ形式は踏んだけれども、ほんとうに誠意があったか非常にわれわれとしては疑念を持たざるを得ないわけです。こういう点をお答えいただきたい。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) これはここで伊藤委員にあらためて申し上げるのはかえって釈迦に説法であると思いますが、要するに問題のポイントは、調査時点から勧告時点までの間の時間ということになると思いますが、これはもう御推測のとおり、何ぶん六千数百の事業所について二十八万人という民間の従業員を対象としての、大規模なきわめて精密な調査をやるわけであります。これを四月に実施いたしまして、その集計等のためにどうしてもいままでのような期間というものは必要である。これはもう現在の人間の力あるいは機械力というものにおいては、それがどうしても限界である。早めようといって早められるものなら、喜んで私どもは早めます。これはほかの問題にも関係ありますので、早めたいということは常に考えておるところでありますけれども、実情は以上のようなことで、したがって、これを早めるための名案がない限りは、この期間は今日のところはやむを得ない。したがって、従来どおり、その調査の集計の期間というものはこれだけの日にちがかかりました。で、それのでき上がり次第勧告申し上げましたということであります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 以上、幾つかの点について人事院の勧告についてお伺いしたわけですが、人事院の勧告に対する政府の態度について、給与担当大臣である大橋労働大臣に、以下二、三の点についてお伺いしたいと思いますが、まず、今回の勧告については、事前に公務員の代表の方々から、一律五千円を含めた十一項目にわたる真剣な要求がなされたわけですが、勧告のふたをあけてみると、何らこういう問題は、一部の基本給の引き上げにとどまりまして、その真剣な要求の数々は踏みにじられておる。これが現状です。で、依然として公務員の賃金は物価の引き上げに追いつかない。非常に苦しい生活を踏まえておるのが現実の姿であって、四十六万の公務員は非常に不平不満を持っておるのが現状であろうと思う。給与担当大臣としての労働大臣のこの問題に対するお考えをお伺いします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 国家公務員、地方公務員等から政府に対しまして給与の引き上げにつきまして、ただいまお話しのありましたような要求の出ておりますことは事実であり、また、これは私どももこの内容につきまして当事者から説明も聞いており、それらの要求の必要であるという事情も説明を聞いております。しかしながら、御承知のごとく、国家公務員の給与は元来法律できまっておりまするのでございまして、これにつきましては法律の改正によらなければ実施はできませんし、また、これらの給与法の改正にあたりましては、御承知のごとく人事院制度ができておりまして、この人事院の勧告を基礎として給与の改善を行なうということに相なっておりまするので、要求は要求として、政府といたしましては、一応この実施につきましては、人事院の勧告に基づくことが適当であると、かように考えている次第でございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 労働大臣も、いま総裁にお尋ねした際にお聞きになったと思いますが、実施の時期については、繰り返し私がお尋ねしたように、四月に調査したらすでに差があった、なぜ四月一日に実施の旨勧告しないか、こういう点についてお伺いしたわけですが、給与担当大臣としてこの点についてはどうお考えですか。四月にすでに差があった。それを根拠なく五月一日にするのは誤りではないか。それを、この問題を見て給与担当大臣としては、この問題をどうお考えになるか、この点をお伺いしたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 伊藤委員の仰せられましたことは、私も承っておりまするし、なかなか傾聴すべき御意見であると存じておったのであります。しかし、この勧告の当事者でありまする人事院といたしましては、やはり先ほど人事院の当局者より述べられたごとく、相当の根拠に基づいて五月一日を決定されたものであると考えます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 労働大臣は、人事院も一定の根拠に基づいて云々とおっしゃるけれども、何も根拠のないということは、私、御指摘申し上げたとおりです。しかし、これは人事院の勧告の問題ですから、この問題はまた問題として残して、さらにお伺いいたしますが、この人事院の勧告に対しては、歴代の過去の内閣はそのつど、人事院の勧告は尊重いたします、そのつど給与担当大臣は、特に責任上、人事院の勧告は出ればこれは尊重いたしますということを、特に御説明が歴代の大臣からあったわけです。これは議事録でもはっきりしているわけですが、ところが問題は、実施の時期について、これは予算の関係があるから、五カ月ごまかして十月に、これはどうにも納得できないと思うのですが、どのように御答弁なさるか知りませんけれども、これは少しも尊重していない。尊重するという前提に立てば、大体人事院の勧告の内容、そうして実施の時期、これを合わして、これがほんとうの勧告になるわけです。実施の時期と内容を別々に取りはずして、その一部を変更しておいて、尊重だという口はきけないはずだ。にもかかわらず、歴代の内閣は、人事院の勧告が出れば尊重いたします、口ではそう言う、口先だけは。ところが、実際にはこれを切り離して、切り離すべからざる内容と実施の時期、この内容でこの実施の時期、それで初めて民間との較差が不満ながらある程度是正されるということになる。ところが、内容と実施の時期を切り離してしまって、実施の時期を五カ月もおくらせる。これは当然に実際には内容にも関係してくるわけです。こういうことでは、いかに巧みに表現なさろうとも、これはどなたが考えても、どうも筋が通らない問題だと思う。この点はいかがですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 人事院勧告を完全に尊重して実施するということになれば、いま御指摘のとおり、内容について人事院の勧告をそのとおり実施すると同時に、実施時期もまた内容の一部でございまするから、時期についても、人事院の勧告する時期を起点としてさかのぼるべきものと思います。政府といたしましても、勧告尊重という趣旨はそういう意味で考えているのでございまするが、しかし、御承知のとおり、給与の改善につきましては、多額の財政上の措置を必要とするものでございまして、そのときどきの財政上の都合により、最善の努力をいたしまして、なおかつ完全に実施し得ないという場合が従来もあったわけでございまして、これはまことに残念にも存じまするが、政府としては、財政上やむを得なかったと考えておるのでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 財政上やむを得なかったという御答弁ですが、やむを得なかったということではないと思うのです。全然実施の腹がないわけです。九月十七日ですか、閣議で一応この実施の時期について検討されて、基本的な方針をきめた、十月一日に実施の旨。この閣議において給与担当大臣として労働大臣も当然に出席されたと思うわけですが、私から言うまでもなく、公務員の労働基本三権を奪っておいて、その代償として人事院が創設されたのです、御承知のように。したがって、何ら労働基本権のない公務員を保護する立場から人事院というものが新たに創設され、自来、公務員の利益保護という立場から、年々これを検討してきた、こういう現実があるわけです。その人事院ですら、公務員のほんとうの利益を守るという立場に立っての勧告はなされていないわけです。非常に問題の多い勧告が繰り返されてきた。そういう人事院の勧告内容、そして実施の時期、こういうことを合わせて考えてみても、非常に不満の多いこういう問題について、さらに政府は、これを実施の時期を五カ月も引き下げて実施しようという意図は、もう財政……毎年々々同じことを繰り返しておるわけです。人事院の勧告は尊重いたします、しかし——しかしが必ずつくのです。しかし、財政上の都合もございまして、十月一日実施という、これを九月十七日の閣議で決定したわけです。こういう事情から、労働大臣は給与担当大臣として、特に公務員に対するそういう問題で大いに責任があろうと思うのです。そこで、この十七日の閣議で、このような不法な決定がなされる過程において、労働大臣はどのように発言されて、どのように努力してきたのか、そしてその後もほっておいたのか、あるいは何とか公務員の当然の要求を入れて、不満ながら五月一日にさかのぼって実施の旨努力されたのか、されないのか、全然ほったらかしてきたのか、こういう点について具体的にお伺いしたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 私といたしましては、この人事院の勧告を受領いたしましたる後、過去三回の例のごとく、五月一日実施がおくらされるというようなことがありましてはまことに遺憾であると存じまして、ぜひとも五月一日実施になりまするように、できるだけの努力をいたしたわけでございます。ことに、大蔵省に対しまして十分な要望を提出し、これについて真剣に検討を依頼いたしておったわけでございます。しかしながら、この問題はなかなか関係当局数がありますので、最終的に閣議に提出いたします前に、二回にわたりまして関係閣僚の懇談会を開きまして、この席上におきましても、私は極力五月一日実施にこぎつけるよう努力をいたしました。最後には、なかなかこれが困難のように見受けられましたので、八月あるいは九月までさかのぼるような、妥協案と申しますか、現在提出した案よりも一歩前進した案についても強く要望いたしたのでございますが、何ぶんにも財政上の状況がやむを得ないということに相なりまして、閣議では一致で結論が出たのでございます。まことに残念でございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 人事院の調査でも、較差は民間と七・五%あったというのに対して、人事院は六・七%勧告している。ここにも問題があるわけですけれども、これはさておいて、ところが、実施の時期をずらして五カ月も引き下げてしまうと、実質は四・一%くらいにしかならないわけです。これでは何のための人事院の勧告か、全然意味がなくなってしまうわけです。七・五%差はあったけれども、実質的には六・七%、これを十月一日。五月一日にさかのぼって初めてこの内容が保たれるわけです。これはどなたが考えても当然なことなんですが、それを五カ月も延ばしてしまったらどういう結果になるか。繰り返し申し上げるように、約二分の一にしかならないのです。内容がぐっと変わってくるわけです。これでは何の人事院勧告か。この内容でこの実施の時期と結びつけて初めて勧告の実体となるということは、先ほど御指摘申し上げたとおりです。だから、いかような財政上の理由があろうとも、これはほんの言いわけのための言いわけにすぎない。何らわれわれとしては、ただ財政上の理由、財政上の理由と言うだけでは了解できない。しかも、判で押したように、人事院の勧告は尊重します、しかし財政上の都合でということを例年繰り返されているわけです。こういうことでは、国会でせっかくわれわれが熱心に審議しても意味がない。政府自体が国民に、やれ法律、やれ規則を守れ、そういうことを要求している。そういう政府それ自身は、当然に実施しなければならない人事院の勧告を、言を左右にして、結局これを踏みにじっているわけです。これは法治国の政府として十分反省をしなければならん大きな問題だと思うわけです。国民に対して法を守れと要求する政府それ自身が、当然実施しなければならない人事院の勧告、しかも尊重すると言う舌の下からこれを無視している。そうして内容は結局半減してしまうという勧告が実施されるわけです。いかように答弁されようともこれは納得できないわけです。例年の判で押したような答弁であってはならない。この際、何とかこれを考え直す考えはないか。また、こういう問題について、給与担当大臣としての労働大臣は、この問題をほんとうにどう考えるか。これはただ単にやむを得ないで、一笑に付すべき問題であるか、それとも今後重大な課題であるというふうに責任を感じているのか。これは給与担当大臣を引き受けた以上は、そこまで考えなければ担当大臣としての存在価値はないと思う、そこまで考えないならばですよ。そういう立場から、ひとつ給与担当大臣としての責任あるお立場からの表明をお伺いしたいと思う。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 伊藤委員の御発言は、全くそのとおりでございまして、特におことばを返すべきものもないように存じます。今回かような決定になりましたことは、まことに残念でございますが、私はまた特に今回で四度目に同じような決定を毎年繰り返えすということに相なりまするので、これが長く今後の例になるというようなことがあってはまことに心外であると存じまして、閣議におきましても、明年度においては、人事院の勧告が出されるような場合においては、ことしの例によって処理するというような安易な考え方は排して、あくまでこの問題には政府としては気分を新たにして、できるだけ尊重して実施するというようにしたいということを申しまして、閣議においても了承されておるような次第でございます。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩    ————・————    午後一時三十分開会

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、質疑を続行いたします。  政府側から大橋国務大臣、佐藤人事院総裁、滝本給与局長、齋藤大蔵政務次官、平井主計局給与課長、岡田公務員制度調査室長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は、公務員給与担当大臣にお尋ねしたいのですが、今度の勧告をごらんいただきますと、明らかにしてありますように、一年間に消費者物価が、これは厳として七・四%上がったというのであります。賃金は六・七%引き上げる、こういうのでありますが、今回のこの勧告に基づく給与表の一部改正、これはベース改定なのか、それとも物価が上がったので、その物価の上がったのを調整するという意味なのか、どういうふうに公務員制度担当大臣として考えておられるのか、それをお尋ねをいたします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 御承知のとおり、国家公務員法によりまするというと、人事院は毎年一定の時期に生計費並びに民間給与水準というものを調査をいたしまして、官民の較差が五%以上になった場合には改善の勧告をするということに相なっております。政府の今度の改定はこの勧告に基づいたものでございまするので、これは官民較差是正というふうな面が強いかと存じます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 総裁、これは一体賃金引き上げですか、どうでしょう。これは賃金引き上げなのか、その点をはっきりひとつ……。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) いま、労働大臣が言われたとおりに、法の条文に基づく勧告でございます。その結果賃金は上がっていくということでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 これは本来賃金を引き上げるということにならないわけなんですね。これは賃金の引き上げじゃないと私は思うのです。大体物価が非常に上がっていくわけです。異常な状態ですから。したがいまして、そのままほうっておきますと、これは公務員の実質賃金は下がります。ですから物価の上がったのに対しまして調整をするという程度のものじゃございませんですか。ですから賃金を上げるということじゃないでしょう。私はそう思うのですがね。これは本来そういうものじゃないでしょうか。賃金引き上げじゃなくて、これは物価が上がったから、それを調整する。物価が上がったら、公務員の給与はスライドシステムにしてありますと、これは自然と上がるわけですね。これは一年前の賃金をそのままほうっておいたら、物価が上がりますから、実際は下がるわけですから、その一年前の状態を維持するのには、やはり物価が上がったら上げなければなりませんからね。これは賃上げじゃない。賃金を上げたということにならない。そこら辺が、公務員給与を取り扱っておる人事院として、あまりにあいまいな考え方を持っておられるのではないかと私は思うのです。賃金の引き上げではないという点をまず私は冒頭に言っておきたい。どうですか、総裁。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) いまの二十八条によりまして俸給表に定められる給与を増した、これはおそらく御満足いただける答弁だろうと思います。そこでそれが実質的にどうかという問題が第二にお出しになるべき問題ではないか、それはそれとしてあとでお答えいたします。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 それは国公法によりますところの考え方であって、実際、人事院が公務員の給与並びに賃金を考える場合に、私は本来の立場から言うならば、これは賃金を上げたことにならない。これはいかにも賃金を上げたというがごとき、ベース改定というような名前をとられることは不穏当である。ですから調整である、物価が上がったからそれを調整した、中身はいろいろありましょう、ありましょうが、調整である、こういうふうに私は考えるわけです。それは違う、君の考え考は違うという考え方があったらちょっとひとつ承っておきたいと思うのです。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 賃金の改善というようなことばづかいが不正確であるということは、まことにおっしゃるとおりで、また、そういうことを較率に使った覚えはございません。要するに、俸給表上の給与の金額が上がる、その点においては間違いないということになると思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 そこで今後は、名前を改めてもらったほうがいいと思いますね。これからもまたインフレ状態が続きますししますから、もう少し、科学的な人事院でありますから適当な名前をつけていただいたほうがいいと私は思います。国公法に基づくものであるということは、私もそのとおりだと思います。しかし、少なくとも賃金なり給与を専門に担当している私ども委員の立場からいいますと、あいまいな表現でまずいというふうに思いますから、改善にならないですよ、改善じゃないですよ、現状維持から落ちるわけです。それをひとつ要望いたしておきます。  そこで、消費者物価が七・四%上がった、で、六・七%引き上げる、これは物価の調整に追いつかない、物価が上がったのだけれどもその調整に追いつかない。これは人事院としても責任があると思うのです。それを受けた政府としましても、これをうのみにするということは責任があると思うのです。そこら辺について、どういうふうに大臣考えておられるか、総裁考えておられるか、伺いたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 私どもは、今回の人事院の勧告によって示唆されておりまする賃上げの程度は七・五%、こういうふうに見ております。なるほど俸給表の金額の改定そのものに含まれておりまする賃上げの程度は六・七%でございまするが、しかし、そのほかに手当、あるいは期末手当等の引き上げが含まれておりまして、これを合算いたしますると、従来に比べまして七・五%の引き上げになっている、こういうふうに解釈いたしております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 それが私の不満の一つなんですよ、この勧告の内容を、どう見てもそんなこと書いてない、七・五だということは……。それで従来はそういう言い方をしなかったですよ、人事院は、もう少し正直だったのが、何やかやにはね返るとかなんとか言いまして、去年ごろから非常に複雑になってきたのですけれども、その前は、そういうような妙なことは言わなかったのですが、今度は、いろいろな、何かにはね返るというようなことで、何か、他に、これ以外にもらっておる資料によりますと、何か、七・五%になるようでございますですね。ですが、従来、そういうことは人事院は言わなかったですね。充年からですよ、妙なことを言い始めたのは。非常に苦労して、何とか、物価が上がったものだからということだろうと思います。  そこで、それじゃ今、大臣がおっしゃる七・五でもよろしゅうございますが、物価は七・四だと、賃金は、何やかや入れて六・七%引き上げるが、そのほかに、三短を入れてみたり、これは、これから先の話でしょうが、あるいは遠隔地手当とか、そういうものにはね返ったりしまして、そういうものを足した結論が七・五%になるということでございます。それはそれでもよろしゅうございます。しかし、先ほど申し上げましたような込み入った説明は人事院は、従来はしなかった。去年からですよ、そういうけちな数字をかけ合わせましてやったのは。ですから、その点は不満があるということを申し上げておきます。いま、大臣が答弁になった七・五%、物価は七・四%になるわけですが、私は、この消費者物価の内容について、うんと申し上げたい点があるわけです。これは、時間の関係がありますから……、実際言うならば、人事院が七・五%だとおっしゃるなら、それじゃ、消費者物価の七・四%というものの中身は何だということを聞きたい。まずまず、七・四%なんというのは、私はインチキだと思うのです。それも言いたいけれども、これも、少し、きょうはがまんいたしまして、言いませんが、それで、大臣、やっと、とにかく、物価の調整がついたわけですね、四月末で。そこで、公務員の賃金を考える場合、ことしは七・四%上がって、いろいろこまごましたものを足してみると、公務員の賃金も七・五%上がるというのでありますが、昨年は、御承知のように、物価は七・五%でありましたか、それで七・一%引き上げというのであります。ですから、所得倍増という基本的な政策からいいますと、公務員は、実質、昨年はゼロ、本年もゼロと、こういうふうに言わなきゃならぬのじゃないですか。そうじゃありませんですか。実質ゼロ、こういうことになりはしませんですか。いかがでございます。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 物価との調整というお話でございます。これは先ほどから出ておりますように、公務員法二十八条に基づいて、官民給与の均衡をはかる、追いついていくということが主眼でございます。で、昨年の勧告におきましても、俸給表の当初の引き上げは七・一だったということは、御指摘のとおりでありまするけれども、昨年の官民較差の九・三%というものは、これはわれわれのほうで埋めておるのであります。昨年は、全都市の総合で見ますと、過去一年間に消費者物価は七・八上がった。東京だけでいえば七・五だったという関係から見ますと、消費者物価について御意見がおありのところは推察できるのでありまするけれども、現在やはり、それではほかの何にたよるか、そういうことを一応考えます場合に、やはり現在のような消費者物価指数というものを、一応の目安にせざるを得ぬわけです。それに比べますると昨年は九・三、その数字はやはり給与改善のほうが若干大きかったということが言えるのではなかろうかというように思うのであります。したがって、この公務員の賃金というものは、むしろ民間の賃金の動きに追いついていくということで、それとのバランスをはかるということが主でありますので、もちろん民間の給与に、消費者物価の上昇等も反映してくることでございますから、間接的にそういう関係が出てまいりまするが、端的に去年とことしの消費者物価の上がりと、公務員給与の改善の勧告の数字というものだけ見てみましても、必ずしも消費者物価の上がりだけ上げておるとはいえない。やはり公務員給与の改善のほうが少し大きい。去年とことしの状態についていえばそういうことが言えるというように思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 滝本給与局長は、いま、公務員の給与というのは、民間の給与を追っかけていくのが趣旨だと、どこにもそんなことを書いてないですね。公務員法の六十四条でしょう、どこにもそんなことは書いてない。それは人事院がだんだん、だんだん追い込められてしまって、弱腰になって、そこで民間のあとを追っかけていこうという考え方に立っているだけであって、国家公務員法の六十四条でしょう、私は法案をよく知っております。きょうは持ってきておりませんが、六十四条というのは、御承知のとおり、公務員の俸給表というのは、第一番に生計費ですよ。その他人事院の考える要素によってきめるということが書いてあって、どこにも民間の給与を追っかけていかなければならぬというばかなことは書いてないですよ。それはだんだん人事院が弱ぐなって、そういうような考え方を持つに至ったわけです。とんでもない。国家公務員法にはそういう考え方は書いてない。書いてあったら見せてもらいたい。それは少しばかりよけいになりますけれども、だからもうそこまでしみ込んでいるのです、人事院のはだには。滝本さんが当然のごとく答弁される、あるいは法律にそういうように書いてあるような、そういうような錯覚を起こさせる程度、人事院は後退しておるわけですよ。それは私は非常に不満ですけれども、おきますが、ただ私が申し上げるのは、先ほどの質問の趣旨は、よく池田総理は実質幾らであるというようなことをおっしゃるから、実質伸びは幾らかとこう見た場合には、公務員の場合は、昨年もほとんどゼロではないかと、本年も完全にこれはゼロではないか。違いますかということを言っている。実質伸びは昨年もほとんどゼロ、本年は完全にゼロ、こういうふうになりませんか。百年たって所得倍増しますか、どういう考え方を政府は持っておられるのか、これは政府の責任者として、公務員制度担当大臣御答弁をいただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 池田内閣といたしましては、もとより所得倍増という政策を掲げておるのでございまして、現在までの段階におきましては、この所得倍増が国民全体に平均して行き渡ったともいえないと思うのでございまして、いろいろ国民の各階層ごとにでこぼこで進みつつある面もあろうと思いますが、しかし、これは長期にわたっては平均化していくべきものという考えを持っておるわけでございます。しこうして、公務員の給与もやはりその中において前進すべきものと考えておるのでございますが、何ぶんにも公務員の給与は民間の給与というものを基準にいたしまして、そうして逐次改善をいたしていくことになっており、そのために人事院におきまして、民間給与というものを調査され、それに基づいて勧告をなすっておられますので、これで進んでいきまするならば、早晩民間の給与も相当の伸びを示し、また、それに並行して公務員の給与というものもやはり経済の発展に即した動きをするものと考えておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 公務員制度担当大臣も人事院の受け売りみたいなことをおっしゃるのですが、私が言うように、民間の給与を追っかけていかなければならぬとはどこにも書いてないのですよ。国家公務員法の六十四条の第二項というのは、私は暗唱しているのです。覚えておる。どこにもそんなこと書いてない。まず生計費を問題にしなさいと書いてある。その次は民間給与その他人事院の考える要素によってつくるとなっておるわけですよ。だからそういうおかしなことをおっしゃると根本的にさかのぼってやりたいと思う。本来、人事院が昭和二十三年の十一月三日、この間十五周年記念を開きましたが、二十三年の十一月三日にできてから四、五年の間というのは、人事院は生計費を基本に置いておったのです。それは国家公務員法に書いてある。冒頭にまず生計費と出ているのですから、ですから生計費を基準に置いて、それに民間の給与を突っかい棒にして勧告しておられたし、公務員の給与を考えておられたのですよ。ところが五、六年たちましたら、だんだん後退が激しくなりまして、そして今おっしゃるように、国家公務員法のどこにも書いてないようなことをおっしゃるようになったのです。ですからこれは政府並びに人事院を通じて公務員の給与についての考え方の基本が誤っておるということを言っておきます。公務員は御承知のとおり、政治活動を制限されている。団体交渉権を持たない、スト権を持たない。それ以外にいろいろな法律によるところの厳重な取り締まりを受けておる。そういう中における公務員の給与というのは、これはやはり相当配慮して考えていかなければならぬと思うのです。何か民間の給与に追っつけばいいというようなお考えでは根本的に間違いです。それを改めてもらわなければならない。政府にいたしましても、人事院にいたしましても、しかりだと私は思うのです。そこら辺にもう第一に公務員の給与の考え方の根本的な問題が私はあると思うのですが、しかし、それは、何か反論がございますれば承っておきますが、なければ続いて次に移りますよ。途中でもよろしゅうございます。  そこで、いま大臣はでこぼこをしていくのだと、こういうお話ですが、しかし、まあ来年あたりも景気があまりよくないようですし、来年も物価に追いつかないのではないでしょうか。初年度は調子をよくしてということだった、三年間は所得倍増政策の基本方針として。ところが、初めから公務員は実質ゼロですよ。去年もほぼゼロと言っていい。本年は完全なるゼロ。百年河清を待つという言葉がありますけれども、政府の足元の公務員の賃金というものを考えていただきたい。実質ゼロじゃないですか。そうではないとおっしゃるならば、そうじゃないという御答弁をいただきましょう。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 先ほども御説明申し上げましたように、去年とことしの人事院勧告によりまする改善度合いというものは、相対的に見まして消費者物価の上昇度合いより程度が高いということを申し上げたのです。それを実質でほとんど変わりがないじゃないかという御批判でございまするが、場合によってそういう見方も全然ないというふうにも考えませんけれども、やはり改善度合いあるいは物価の上昇度合いの数字そのものが小さいというのは相対的な話でありまして、そういう数字をとってみまして、たとえば去年の九・三%の改善、それから物価の上昇が全国で七・八%である。これは大体同程度であるとはやはり言えないのじゃないか。やはり給与の改善の度合いのほうが高いと言わざるを得ないのじゃなかろうかというふうに思いまするし、また、本年も七・五%という数字は、お示しのように、俸給引き上げ分のほかに、通勤手当とか、あるいはそれに伴います三短分等を含んでおります。はねかえりの分等含んで七・五%という数字でございますけれども、期末手当の増額というものがこの七・五のワク外である。そういう改善も行なわれているということは、やはりあわせて考えていただかなければならぬことのように存じております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いや、滝本さん、そう妙なへ理屈言わなくていいですよ。明らかなんですから。ですからあなたは昨年の話を持ち出された。本年は物価は七・五であって、そして九・三だと言われる。九・三というのは一年かかって九・三にしたのでしょうが、一年かかって。だから物価が七・五%上がった、四月で、昨年の四月から一年間で。そしてそのときに引き上げたのは七・一でしょう。一年かかって九・三上げたのでしょうが。その間に物価はもっと上がっているのですよ。いまインフレ時代ですからね。そういうことにならないのですよ。一年かかって上がった。今度だってそうですよ。何かちょっと少しばかり〇・三%ばかりか何か物価より上がったというお話かもしれませんが、それは四月末で七・五上がった。六・七引き上げると、あとのものは、七・五は年月をかけて上げるのでしょうが。実質ゼロ、去年もゼロでございました、本年もゼロでございました、そういう人事院の給与の考え方に対して政府が所得倍増という基本的な考え方から、これらについて適当な判断をしなければならないと思う。これはわが政府の立場から言うと、これは方針に合わないという考え方が公務員制度担当大臣としては当然なけりゃならぬと思うのですが、もっぱら人事院の勧告で、これでよろしいと、それでは実質ゼロでございますよと、来年も物価に追っつきっこないですよ、来年もゼロでございます、それでは公務員の所得倍増は一体どうなるのですか。ほっておかれるつもりですか。大臣から答弁願います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 所得倍増というのは、やはり民間の給与をも含めた問題でございまして、公務員の給与だけが民間給与を置いて先走りをするというわけにはまいらないのじゃなかろうか。したがいまして、民間給与を考慮して改善をはかろうというこの人事院の考え方でよかろうと存じます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いや、大臣ね。よかろうという考え方はよくない。やはり考えなければならぬ点があるというふうな答弁がなけりゃならぬと思うのですよ。私は公務員の給与についていま大臣がおっしゃるように、民間の給与のあとを追っかけていけばいいのだ、それはどこにも書いてないというのですよ。そういうようなことは本来国公法の精神から言うならば、それは人事院の創設以来五年間くらいとった態度ですよ。しかしながら、次官はゆうゆうと物価に追いつきましたよ。二五%引き上げ。総理大臣は五〇何%引き上げですよ。一等級は八・何%ですか、これはどうも倍増に少しばかり向いていますね、中身を洗って言えば。私に言わせると三等以上は大体倍増に向かって幾らかずつ、亀が歩くような速度ですが、しかしながら、次官以上はこれはまさに駿足ですね。これは三年くらいの間に倍増になるでしょう。総理大臣はすでに所得倍増になったわけですが、同じ行政部門の中でそういう差のある取り扱いをしているわけですね。ですから、これはやはり考えるべき点があるというふうに答弁してもらわないと、私は引き下がれないですよ。また、引き下がる筋のものでもないと思う。そうじゃございませんですか。ゼロでございますよ、実質的に。しかも大臣ということじゃありませんが、政府が、あるいは内閣が、これを十月まで引き延ばして、その間に物価はまた上がっちゃった。いま物価の点だけ言いますと、これは実質十月から上げたと仮定いたしますと、実質マイナス二ですよ。プラスどころの騒ぎじゃない。マイナス二ですよ。物価は、御承知のとおり、昨年の四月から今年の十月にかけまして、九・八%上がってるのですよ。かりにことしは六・七と見て、あと三短なんかいま上がらないのですよ、あれは。だからこれは完全に実質マイナス三ぐらいになるんです。そういうふうに言ってもらわないと困ります。これは政府として、これは政府の政策からいって困るのじゃないですか。それでいいんでしょうか。考える余地はあるというふうに答弁してもらわないとこれは引き下がれない。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 人事院におきまして、いろいろな調査の結果、生計費並びに民間給与を考慮して決定されたものでございまするので、政府といたしましては、これを尊重し実行すれば、およそ公務員の給与としては誤りなきに近い、かように存じております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 大臣、それだったら所得倍増政策というものはひっぺ返してもらわないと、公務員は例外だというようにしてもらわないと困る。さらにいま、大臣は、生計費とか民間の給与というお話ですが、これはあとにやります。この生計費というのはいかにおかしなものであるか。さらに民間の給与のはじき方がいかにインチキかということを、徹底的に攻撃します。大臣の考えておられるように、きれいな美しいものじゃないですよ。だからマイナスになるのですよ。結論としてマイナスになる。実質マイナス二とかマイナス三とか言わなければならなくなる。だから大臣が繰り返しそういう答弁をなさるというなら、これは所得倍増政策というものは、公務員の場合は例外だというふうに、これはひっぺ返してもらう。そうでないと、これは承知できないですよ。公務員は政府の足元に働いているのですから。しかしながら、次官とか大臣は、所得倍増した。倍増じゃなくて、三倍増、四倍増になるのです。こういうおかしなことをやっちゃかなわぬですね。大臣いかがですか。これは考えなければならぬという答弁は出ませんか。どうもおかしいですね、筋からいって。てんで話にならぬです。これはどうです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 所得倍増というのは、一片の法律でもって給与を倍にするという意味ではないのであって、これは日本の経済成長に応じて、国民全体の所得の水準が増加するということであるわけでございます。この国民全体の所得水準の増加というものは、まず民間給与の実態にそれがあらわれてくるのでございまして、公務員におきましては、その事情を考慮された上で人事院勧告を待って処置していくというのがやはり、その問題についての順序ではないかと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 所得倍増についてのお話は私もよく承知しておりますが、しかしながら、毎年ゼロではこれはおかしいですね、実質ゼロでは。去年もゼロであった、ことしもゼロであったというのでは、何にもならない。これはそうすると、政府は悪くなくて人事院が悪いということになりますね。人事院が要するにいい勧告を出さぬからこういうことになる。だから労働大臣は非常に苦労される。さっきから非常に苦悩の態です。人事院が悪いのだ、ここが人事院が悪いことはあとでやることにいたしますが、もう少し私、国務大臣に申し上げておきますが、私は政府が十月一日から実施するというので、五、六カ月ほど待っていたその間に、物価がやはりじくじく上がりまして、先ほど申し上げましたように、ことしの四月から十月までの間にかけまして二%、二・五%くらい上がっていますね。民間はどうか。民間の給与のことを盛んにおっしゃったようですが、民間の給与は、これはことしは非常に変わっておりまして、四月から十月の間に実に四%以上上がっております。ですから較差はますます離れつつある。で、一体、私は大橋大臣の給与についての任務といいますか、そういうものは、これはせんじ詰めますと、実施の時期について努力されることだろうと思う。その程度のものじゃないでしょうか。あと、中の問題についてどうだ、こうだという、私がさっき言った程度のことは大臣考えておいてもらわなければ困ります。しかし、実施の時期程度のものじゃないか、考えてみれば、現状においては。そうしますと、これが三十五年、三十六年、三十七年は十月になった。本年も十月だ。私は昨年も給与担当大臣、公務員制度担当大臣でありました大橋さんのお話を聞きました、この委員会で。本年も十月だ、何らの前進がない。これは公務員制度担当大臣としていかがなものでしょう。去年の委員会では、遺憾に思っております、残念に思っております、しかし、努力しますという答弁を聞きました。しかし、今度は二度目の大臣、二度目の仕事なんで、またもこれは十月になる。これは一体どういうことになるのですか。公務員制度担当大臣として責任がとれるでしょうか、どうでしょうか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) これは確かにお説のとおりであります。まことに残念しごくに存ずるのでございます。この上は二度あることは三度あることにならないように努力いたさなければならぬと考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 労働大臣として、ともかくも公務員制度担当大臣としては、去年やられて、本年やられて結局しかし、これは責任として問題がある。全然去年と同じというような状況であって、何らの、少しばかりの前進もない。これは問題が大臣としての責任問題として、公務員制度担当大臣として非常に大きな問題だと私は思います。大臣、何か予算委員会のほうで呼んでおられるようでありますから、また大臣、終わったらすぐひとつ。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) はい。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 今の問題はこれはまた私としては腹の虫がおさまらない。ですからまた大臣見えたところでやりたいと思います。  総裁にお尋ねいたしますけれども、三十五年も拒否された、三十六年も拒否された、三十七年も拒否された、今年も拒否された。しかもそれが同じような形で拒否された、四回も。これについて総裁としてもやはり考えがなければならぬと思う。総裁の考えはいかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) これは考えなければならぬどころじゃない、たいへんに私は深刻な問題だと思います。いまお話のように、大体三回同じようなことが続いて、ことしは四回目ということになっては、妙な先例ができてしまう。これは重大なことである。これはもう当然のことでありますが、その意味で、われわれ勧告をしたものとしての責任からいって、少なくともことしは従来の慣例を破らなければならないというような決意で、微力ではありますけれども、私としてはできるだけの力を尽くしたわけでありますが、まあ遺憾ながら今日のような原案になった。これは腹の虫がおさまらないというおことばがございましたけれども、私どもとしてはきわめて深刻に遺憾に考えておるわけであります。さてそのあとどういう方向へ努力するか、今後の問題です。これは相手方がある仕事でありますから、われわれの努力の足らないところを反省して、さらに補うということは当然考えられるわけでありますが、それ以外に、何か奇手、妙手があるかということについてはまだ名案を得ておりません。これはまたいろいろ各方面のお知恵を拝借して考えたいと思いますので、当面のところさような次第であります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この問題はあとでまた大臣が見えたところで、先ほど申し上げましたようにここで引き下がるわけにいきませんので、重ねてこの問題はやります。私もこれでこの問題について五回審議しておる、十月実施についてですね。毎回同じような話では承知ならぬですよ。今回はやはりはっきりした何らかの結論を得ておかなければ、われわれの責任の問題です。総裁が非常に深刻に考えられていると同じように、私どももこれはきわめて深刻に考えております。  次に、私はこれは人事院の今度の給与、今までもそうですけれども、給与の考え方がどうもいかぬ。私は人事院の給与の考え方あるいは今の給与というのはキセル給与だと思います。キセル給与、たばこを吸うキセルですね。こっちのたばこを詰めるところは少しいい。初任給のところは少しいい。特にいろいろ配慮を払っておられる。そして今度は吸い口のほう、これは次官あたりもえらくよくなりましたですな、二五%。三等級はほんとうは官民比較によると上げなくてもいい。官民の追っかけるという意味では差はないですね、民間と。公務員の三等級は人事院の資料ですと、〇・九は差がありますよ。〇・九なんていう差は考えなくてもいいんですが、しかしながら、六・何%上がるんですね。二等級もそうですからね。その意味でキセルだというように思いますがね。まん中のほうはさんざん痛めつけられておりますよ。どうですか、キセルになっていないか。こっちのほうは金の吸い口がついて、まん中は竹で、先のほうの火のつくところはちょびっとほかのものがついている。竹じゃないです。ひどいものですな、これは。そういうことで一体公務員の給与を考えていいのかどうか、いかがでございましょうか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) キセルというおたとえのことばが出ましたけれども、私どもは形が何の形になるか、これはわかりませんけれども、公務員の給与体系としてバランスのとれたものということを考えておりまして、その点ではできるだけ努力をして、また、これが最も適正なあり方であろうという意味で勧告を申し上げておるわけであります。これが煙突の形になりますか、キセルの形になりますか、それは見る人々の目によることと思いますので、要は給与体系として整ったものであるかということを念頭に置いてつくったつもりでおります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 給与体系というお話が出ましたが、体系論をやりますとまた時間がかかりますけれども、しかしながら、人事院は官民比較をしておられますね。その官民比較から見ますると、二等級というのは民間よりも四・三%低いということでしょう。しかしながら、上げるのは六・五%上げるのでしょう。三等級はほとんど差はない。全く同じだ。しかしながら、これは六・三%ですか、上げるのでしょう。そうすると、四等級は一〇・八%低いということになっているのですよ。ところが、六%しか上げないでしょう。六等級は一一%高いのだが六%しか上げない、こういうことでしょう。これはキセルですよ。まん中は竹ですよ。そうして体系的というふうにおっしゃるけれども、体系とおっしゃるならば私も勝負をしますよ。いいかげんな話では承知できないですよ。いまの人事院の給与の中で非常にたるんでいるのは御承知のとおりでしょう。ますますどうしたってたれ下がらざるを得ないのですよ。上のほうはますます上げてしまって、まん中はいよいよたるんでしまうでしょう。六等、五等、四等というところはうんとたるんでしまいますよ。それでいいですか。そういう給与の考え方でいいのでしょうか。できるだけそれを上げていくというような努力をなさるならば別ですよ。そうではないのですよ。今度なんかいよいよまた下がっちゃうですよ。それでなおいま総裁は体系というお話をなさったのですが、もし、給与局長が補足する意味があったら、その体系というのを一ぺん聞いておきましょう、どういう体系なのか。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 今回の勧告におきましては、特号俸の新設という特別の事情がございます。そのほかのところどういうふうに俸給表の改善をやったかと申しますと、これは民間で完全な職務給が行なわれておるというような状況でございますれば、またその場合は話が違うのでありまするけれども、現在の状況におきましてはそういう状況に必ずしもなっておりません。そういうことから淵源すると思うのでありますけれども、各俸給表別のそれぞれ較差が一応比較の上で出てまいりましても、そのとおりに直ちに俸給表を改善するということは、現実問題として不可能でございますから、また問題は同じく一つの俸給、一つの俸給表におきましても、等級別に出ました較差をそのまま改善するということは、これはまた非常に不可能です。というのは、等級部内におきますそれぞれバランス関係というものもございますし、そういうことをそれぞれ勘案いたしまして俸給表の改善をやる。そこで大体どういうことをやっているかと申しますると、現在公務と民間とを比較いたしまして、公務が高い俸給になっている——このような話はあまり初歩的なことで、専門家であられる鶴園委員に対して申し上げるのは、はなはだ失礼なんでございますが、公務のほうが高い俸給表もあるわけでございます。そこでやはりそういう関係も考慮に入れまして、行(一)の俸給表、これが大体全俸給表を通じまして一つの基礎的な俸給表になっておりますので、行(一)の俸給表の改善にあたりましては、おおむね上位等級は俸給表上で六%程度、また中位等級も六%程度、下位等級は八・五%程度ということを目途にいたしまして俸給表の改善をやっておるというわけでございます。そこで特号俸の問題になってまいりますると、従前から人事院が公務と民間とを比較いたしまする場合には二等級以下の比較をいたしておるのでございまして、一等級は二等級以下とのバランス、並びにそういう官職が非常に公務の中におきまして、特に一般職の中においては最高の官職に近いというような関係から、特別職の給与との関連もあわせ見ながらその辺はきめておったというのが実情でございます。ところで今回いろいな状況を調べてみますると、大臣を補佐しまする行政部内の最高責任者という次官が、現在の一等級五号俸ということではあまりに均衡がとれない。いわば従前その辺の給与改善というものにつきまして、まあいわば安易につき過ぎたきらいもある。やはり現在の時点におきましては、そこはやはり全体との関連の中において、適正な給与にきめていくほうがよろしいということで、特例といたしまして特号俸というものをつくったのでありまするが、そのほかの点につきましては、ただいま申し上げましたように、給与改善を行なってきておるのでございまして、全体の体系の中で、できるだけバランスをとりたい、このように考えておる次第であります。今後におきましてもやはり、中だるみというお言葉がございましたが、われわれは中だるみというような問題をどういうふうに把握するかという問題もありまするけれども、落とすというようなことはしないように、これはおっしゃるように、全体的にバランスのとれた形で改善されるということが望ましいのであります。そういう方向で今後も検討を続けてまいりたいと考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 これは専門家の滝本給与局長に聞きますけれども、官民比較の場合に二元論的に比較しているでしょう。つまり一等級をはずしたでしょう。民間との比較やらないでしょう。二等級は五百人以上の企業と比較するでしゃう。三等級以下は入り乱れて比較しているでしょう。だから同じ俸給表なんだけれども一等級ははずしてしまっている、民間との比較をしない。二等は五百人以上の企業と比較をする。三等級以下は五百人以上の企業と五百人以下の企業を組み合わせて比較するでしょう。これは二元論ですよ。一元論にしてもらわなければ困るのです。二元論にするから二等級は大幅に上がる、そういうやり方になっておりますよ。二等級に引っぱられると、三等級が不相応に上がるのです。そういうことになっているのです。官民比較は。そうして一等級というところは政府の考え方、つまり大臣がこうなった、総理大臣がこうなった、それに引きずられているでしょう、同じ俸給表の中で。だからそもそも人事院の給与についての考え方の基本がはっきりしないと私は思うのですよ。五十人以上の企業をとってやるなら全部五十人でやりなさいよ。五十人以上でやれば三等も二等も上がらないでしょう。一等も上がらぬから、官民比較から一等ははずしてしまった。二等は五十人以上の企業にした。これは五十人以上の企業をとって比較する最大の矛盾です。そこにもってきて、政府の考え方に引きずられている。引きずられているのはいいですよ。いいけれども、方針がはっきりしない。給与についての考え方がはっきりしない。無方針ですよ。だから、この間政府が法案を出して、人事院所管の、七大学の学長についてはこれだけにするなんという法案を出し、それにまた引きずられたような形で、今度は一官一給与というような考え方を出してこられる。だからそこだけよくしたって、かなわないですよ。無方針ですよ。どうですか、方針がありますか。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 二元論でやっておるというお話でございますが、われわれは必ずしもそうは思っておりません。また、一等級の官民比較をいたさないということも、今年初めてきめたことではないのです。これは御承知のように、公務の次官、あるいは外局の長官というようなものを、一体民間のどこと比較するのが適当であるかという問題がございます。これは公務でありますから、いわゆる民間の経営者即と言ってしまうわけにもまいりません。これは俸給をいただいて職務についているという意味におきましては、これは民間の経営者とは立場が違うという点がございます。しかしながら、その責任の程度等から考えてみますると、たとえば工場長でありまするとか、こういう方の中にも取締役がおられるようでありますが、いわゆる平部長というようなものと比較するのが適当であるかどうか、これは必ずしも適当であると言えないというような関係もございまして、一等級のところでは、これは前々から官民の比較の対象にいたしておりません。したがいまして、そのことは今年初めて始まったことではないのは御承知のとおりであります。そこで、今度は二等級以下の比較におきまして規模で切っておるのではないかというお話でありますが、それは現在規模で切っております。しかし、これは二等級のところだけ規模で切っているのではないのでございまして、全体を通じまして、やはり規模の大きいものにつきましては、やはり職務と責任の程度も高いというようなことも勘案いたしまして、二等級のところは五百人以上と比較いたしておりまするが、三等級のところにおきましては、五百人以上の事務課長、技術課長というようなもの、あるいは五百人未満の支店長、工場長、このようなものと合わせて比べている、こういうことでございまして、規模で切るということは、これはやはり職務と責任の程度に応じまして、それぞれ比較するということで、必ずしも二元論というふうには考えておらない。したがいまして、給与問題でございまするから、これはいろいろな面に関係するところがございます。したがいまして、完全無欠というわけにはなかなかまいらないわけでございますけれども、無方針というわけではないという点だけは御了承願いたいと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 総裁が予算委員会で給与の問題でまた呼ばれているようでありますので、したがいまして、続いてやるわけにいかない。一つだけ今の問題について、これは滝本さんそうおっしゃってみても通用しないですよ。こんなものは二元論もひどいところですね。いよいよ今度は二元論になりましたね。下のほうはともかくとして、上のほうは明らかに二元論ですよ。こういうやり方で給与を考えられては困りますね。それはともかくとして、これで一応中断をいたしましょう。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて。  小幡人事局長が出ております。官房長はいま呼びに行っております。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 私、防衛庁のほうにちょっとお尋ねしたいんですが、先般新聞に一〇一測量大隊の元大隊長小泉二佐、この人が測量地図を不正いたしましたね。人事局長御存じでしょう。その内容について、あなたが知っていらっしゃる限り、ちょっと教えていただきたいと思います。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 先般の立川の測量大隊長の汚職事件につきまして、現在までわかっておる範囲を御説明申し上げたいと思います。この事件は大隊長の小泉二佐に関する事件でありまして、同人は昭和三十四年八月一日から、昭和三十八年十月二十八日までの間、立川にございます陸上自衛隊の第一〇一測量大隊長として勤務しておったのであります。その間昭和三十七年の七月、立体地図製作につきまして、東京都豊島区高田南町の立体地図製作所に対しまして、地図の製作を発注したんでありますが、その製作が相当部分完成いたしまして、なお一部完成の余地を残しております際に、同社の社長が死にましたものですから、その製品を引き取りまして、残余の部分を自衛隊の隊員の努力によって補なってつくりあげましたんですが、そのつくりあげた結果、それを全部同社がつくったというふうな文書にいたしまして、五十六万円という金を支払ったのであります。隊員が努力してつくった部分は、約現在のところ四万円相当の部分がそのうちに過払いになっておるように聞いておりますが、これにつきましては、同人から返済をさすということで、現在話が進んでおります。  なお同人は、そのほか昭和三十六年十一月ごろ、株式会社ジャパン・オートモビル・クラブという会社の依頼を受けまして、同社の中にございます道路地図整備委員会の企画委員長ということに委嘱を受けましてなりました。これは自動車の道路図を作成する会社でございますが、同人の職務は、測量大隊でございますので、何かと御援助を願いたいという話を受けまして、そこの企画委員長に就任したのでありますが、その間出張その他につきまして、同委員会から出されました金によりまして、相当そういう私企業に首を突っ込んだということが第二の点であります。  第三は、若干出入りの業者から供与を受けたという事実があがっております。  以上が、大体の概要でございます。現在なお取り調べ中でありまして、関係庁と連絡をとりつつ調査をしておる段階でございます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 昨年の七月に立体地図作成にあたって、高田製作所に発注をしたという話ですが、この高田製作所といつごろから防衛庁のほうは交渉があったんですか。従来高田製作所とそういう取引があったんですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) ただいま手元にあります資料ではちょっとはっきりいたしませんが、立体地図をつくりましたのが今回が初めてでございまして、それ以外の関係ではあまりなかったのではないかと思いますが、ただいま手元に資料がございませんので、確たることは調査いたしましてから御返答いたしたいと思います。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 その点はもう一度あとで明らかにしていただきたい。地図だけに限らず、何かほかのほうで取引があったのかどうか。  それから、高田製作所に小泉二佐が独自の判断で製作所に発注したのか。あるいは防衛庁として、だれがこの場合に責任者としてはっきり高田製作所と取引をするように決定したのか。なおその後、高田製作所の主人がなくなったと言っておりますが、その以後は全然この二佐にまかせぎりで、こういう場合に大隊長の二佐に全部責任を負わしてまかしてやっておったのか。大森陸幕長なんかこういうことを知っておったのか、知っておらなかったのか、そういう責任の所在をはっきりしてもらいたい。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 金額は五十六万円でございますし、独立大隊長でございますので、本件は独自にやっておったものと考えております。なお、社長が死にましてからあとも同様でございます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 どうもその大隊長が独自にやったということになると、非常に私はけしからぬと思うのだが、しかも高田製作所のあるじがなくなった後には、小泉二佐は自分の部隊の部隊員を使用して地図を完成したと、こういうふうに話がなっておるが、そういう、隊員をかってに使って地図を製作した、それで二佐にまかしきりであった、上司のだれもこれを知らなかった、そういう簡単なものですか。全国の作戦の測量地図だと思いますが、大体陸幕長の方に聞きたいのだけれども、官房長にひとつ。人事局長は、あなたいらっしゃるからあなたでもいい、わからぬところはあとで聞きますから。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 測量大隊に対する一般的な監督は陸幕の直轄でございますので、陸幕長にございますが、個々のこういった契約は大隊長がやっております。  なお、隊員を使った点につきましては、隊員を使うこと自身は、隊員にその力があれば差しつかえございませんが、そのつくった製品を会社がつくったかのごとくにしたところに問題があると思います。その点が本件の問題点でございます。隊員の力を使ったことは差しつかえないと思いますが、その製品を会社が自分でつくったかのような調書をつくって会社に金を払った点に問題があると思います。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 どうも私その点がはっきりしないが、部隊の隊員なんかをかってに、大隊長といえども独自に使って差しつかえないのですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 本来、測量大隊は、地図をつくるところでございまして、ことに立体図は自衛隊が非常に苦心いたしまして独創的につくった地図でございまして、これをつくることは本来自衛隊の職務でございますが、自衛隊だけで全部がつくれないという事情もございまして、会社に発注いたしたのでございまして、大部分はでき上がりましたが、一部未完成のものがありまして、それを大隊の力でつくったというところまでは妥当と思いますが、そのつくった部分を会社がつくったかのごとくして金を払った点が問題であろうと、こう申し上げたのであります。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 そうしますと、いかにも自分らがつくったのをば会社がつくったごとく擬装して、そして金を払った。高田製作所の主人がなくなっておるということは、防衛庁のほうでは御存じなかったのですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 防衛庁の中央部では、そういうことは一々聞いてはおりませんでした。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 聞いていない。ますますおかしいですね。そういう大事なものを発注しておきながら、相手の会社の主人がなくなったということも知らないでほったらかしておく。大体、隊員をどのくらい使っていつもやっているのですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 大隊全員といたしましては六百数十名おりますが、この地図につきましては数十名ではないかと思っております。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 その間の事情を、相手方の会社の主人がなくなっておる。そのあとの地図をこちらでつくっておると、そういうその間の事情を知らないなんということは、私は幕僚長あたりは最も怠慢だと思うのですが、そんないいかげんなことをやられたのでは困る。どう思いますか、人事局長。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 事件が起こりまして、今日考えますならば、そういう事情があれば、隊でこの部分はつくるということを事前に了解を得ておればもっと妥当にできたのではないかと考えておりますが、このときにはそういうことにはなっておりませんでした。したがいまして、そういう点は遺憾に考えております。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 これは人事局長を責めてもしかたがないが、私は人事局長にも責任はあると思うのですがね。いずれにしても、自衛隊の幹部がかってに部隊を使って、そういう不正を行なって、その間の事情を幕僚長あたりが何にも知らないというようなことでは、私はどうしてもこれは承服できない。これはもう少し責任ある答弁をひとつしてもらいたいと思う。  なお、私はお尋ねするが、立体地図の作成にあたって、これをあたかも会社がつくったごとく見せかけて、金を払って、その間にうまいことをしようというようなことを、小泉二佐と共謀しておった者がほかにおったんじゃないですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 部内には現在のところそういう者はございませんが、部外に対してなぜ五十二万円相当のものを、五十六万円相当に請け負ったように調書をつくったかという点につきまして若干不審な点もありますので、現在なお取り調べ中でございます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 高田製作所に製作費として契約代金の五十六万二千何ぼですかを支払ったと言われるが、その場合には出納責任者だれですか、だれが支払ったんですか。内容を調査しないで二佐がかってに払ったんですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 副隊長が検査をいたしまして、部隊の会計の担当者が払ったものと推定いたしますが、おそらくこの場合は大隊長がみずから責任を持つというふうなことで、そういう調書になったのではないかと思っております。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 これは出納責任者も私はうかつだと思いますね。出納責任者も私は次回でもいいから来てもらって説明してもらいたいと思います。そんなうかつな、大隊長が言ったからといって、めくら判押して金を払うなんというのは不都合千万ですよ、断じて許されないです。この点はひとつそのまま残しておきます。  それから支払った期日ですね、支払った年月日とそれからその支払った、いまあなたのおっしゃった責任者の氏名をはっきりしてもらいたい。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 今手元に資料がございませんので、すぐ調査いたしまして取り寄せますから——内局にはあると思いますから……。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 はっきりしてください。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) しばらく時間の御猶予を願いたいと思います。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記とめて下さい。   〔速記中止〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記つけて下さい。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 小泉二佐がこの仕事のためにたびたび無断で欠勤したといっておりますが、何日間欠勤しましたか、人事局長おわかりと思いますが。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 同人は同地図作成委員会に関係しておりましたその仕事を兼ねまして、年に数回、約一週間ぐらい出張しております。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 一週間ぐらいなんて、そんなばく然としたこと言わぬで、もう少し人事管理をはっきりしてもらわぬと困る。欠勤は何日間したかということに、一週間ぐらいということじゃ困る。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) これもすぐ調べましてお答えいたします。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 この勤怠については、勤務あるいは休んだということの責任者はだれですか、人事局長ですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 服務につきましては、第一の責任者は、そこを直轄しております、本件の場合は幕僚長であります。非常に著しい例でありますれば、われわれの管理ですが、通常の服務の場合の責任者は幕僚長であります。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 こういう場合に、欠勤するとかあるいは出張するとかいうような場合に、許可をするのは幕僚長ですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) この場合は独立大隊長で、一番その土地の上でありますから、おそらく成規の手続は幕僚長にはしてないと思います。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 幕僚長にしてなきゃ、だれにしているのですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) この場合は、自分の裁量で出張したものと認められます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 自分の配慮でかってに休んでいるんですか、かってに出張しているんですか、防衛庁はそんなことやってるんですか。二佐といえども、自分がかってにきょうは出張する、きょうは休むと、そういうことできるのですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 師団長とか方面総監とか、上位の階級になりますと、当然それぞれ上司の許可を得て出張されますが、独立大隊長等は、電話連絡等で幕僚監部に連絡するというのが、通常は慣例になっております。成規の手続はやっていないかと思います。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 だからそれを言ってるんですよ。電話でも口頭でもいいから許可を得てやったのか、だれの許可を得てるんだと、それをはっきりしてください。どうもあなたのはあいまいもことしていますよ。人事局長だからもう少しはっきりしてくださいよ。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 管内でありますと、自分の職権で出張ができますが、管外ですと、通常はその上級者の許可を得るというたてまえになっております。当然その出張について、九州へ行く場合については上司の許可を得べきものと考えております。現実に得たかどうかは、調査をいたしましてお答えいたしたいと思います。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 これは管内じゃないんです。管外に行っておるらしいんですよ。そういうところをもう少しはっきりしてくださいよ。防衛庁の職員であるからといって、自分の出処進退をいいかげんにして、かってに休んだり、かってに出張したり、そんなべらぼうな、むちゃくちゃなことはあるわけがない。そんなことはあるわけがない。事後承認になることはあるいはあるかもしれないけれども、あなたのおっしゃるように、電話で連絡するとか、口頭で言うとか、しかるべき手続をして、そうして行動するのが、私は原則であると思う。この点は、だれにそういう許可を得て休んだのか、その場合に、どういうふうなことで、許可をしたか。長い間、一年間もたっているのに、そういうことをほったらかしていいかげんなことをしておる。これはまさに綱紀紊乱です。職務怠慢です。その点についてもう一度はっきりしてください。どうも、人事局長ならわかると思うんだけれども、さっぱりわからない。  それではお尋ねしますが、人事局長、この欠勤について、無断欠勤したり無断出張したような場合に、何ら訓戒はやらないんですか、防衛庁として。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) その内容につきまして調査の上、当然しかるべきものは処分しております。たとえば帰隊時刻におくれたというような者でも処分をやっております。いわんや、無断欠勤とか無断出張等が事後において承諾も得ないで行なわれておることが普通になっておるような場合には、相当重い処分になると思います。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 それでは、この小泉二佐の場合には、無断欠勤、無断出張であるとあなた方は認めなかったわけですね。これは、当然かれは正当な理由によって出張しておるんだ、正当な理由で欠勤しておるんだ、相当長い間やっておるんですがね。そういう考えのもとに小泉二佐を許しておったということになるんですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 管外への出張につきまして、私、出張発令を現在持っておりませんので、詳しいことはわかりませんが、その許可を得た事情等もよく調べましてお答えしたいと思っております。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 この点をひとつはっきりしてもらいたいと思うんです。これは防衛庁全体に関係しますよ。休んでおろうが、出張しておろうが、どこに行っておろうが、何をやっているのか、わからない。それを上司は知らない。わかっても訓戒もしない。相当長い間休んで、あちらこちらに出かけておりながら、それは一週間くらいだったろうなんというような、こういう問題を起こしておりながら、なおかつ、あなた方は全然調査していない、何も調べていない。これは重大な事件だという、あなた方認識はない。そういう弛緩したことでは話にならぬですよ。大体、大隊長なんというこの役職に対して、幕僚長はむろんのことだが、上級幹部の人たちは、こういう中堅幹部の素行については、全然監督していないのですか、日ごろ。野放しですか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 当然大隊長その他重要職のみならず、一般の幹部職員につきましては、服務上の監督は行なっております。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 よく注意をしてあるとおっしゃるけれども、全然わかっていないんです。小泉という二佐の日ごろの行動、態度、素行に対しては、全然あなた方はわかっていない。どこへ何日出張し、どこへ何日行ったか、何日欠勤したか、そういうことがわからないじゃ話にならぬですよ。  官房長が見えたようだから、官房長にひとつお尋ねします。小泉二佐の不正事件について人事局長にいろいろお尋ねしたんですが、わからぬ点が大部分で非常に困っておるんですが、小泉二佐が立体地図を作成するにあたって、こういう不正な目的のために部隊員を使って、そうしてこれを完成した、この小泉二佐と共謀しておった者はほかにいやしなかったか、その点をひとつ、まずお聞かせいただきたい。

三輪良雄防衛庁長官官房長

○政府委員(三輪良雄君) ただいま不正な目的というおことばでございましたが、これはその立体地図を作製させるという目的で隊が発注いたしたのでございますけれども、不幸にして引き受けました者が二カ月ほどして死亡いたしたのであります。そこで未完成のままに終わってしまったわけでございまして、本来申せば、それまでのものを支払うなりいたすのが至当であったと思うのでございまするけれども、これを隊の力をもって、つまり部隊員を使いましてそのあとをつくらして完成をいたしたということでございます。ただいま共謀というおことばでございまして、なるほどこれをつくりました者の中には、ある程度事情を知った者もあったと思います。それにつきましては、実は隊長の命令ということでございますので、やむを得なかった点も考えまして、それぞれ事情に応じ、新しい隊長のもとで懲戒、訓戒等にいたすことにいたしておると聞いております。また、未完成のものを完成したものとして受け取りましたことにつきましては、確かに責任がございますので、それにつきましては懲戒処分をいたすということを聞き及んでいるのでございます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 まあ共謀はなかったと、あなた方はそうおっしゃっているが、まあそれはそれでいいとして、相手方の会社の主人がなくなっておるのに、この地図を隊員を使って作製した、その部隊員を小泉二佐がかってに使ってやったのか。部隊員を使っておるのをば幕僚長でもつくることを許してやらしたのか、独断でやったのか、その点を明らかにしてもらいたい。

三輪良雄防衛庁長官官房長

○政府委員(三輪良雄君) 私の聞いておりますところでは、上司には何らの相談もいたしておらないのでございます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 何らの相談もなくして、そして大隊長といえどもかってに隊員を使って、そういう公のものをかってに使っていいのですか。そういうことを防衛庁では許していますか。

三輪良雄防衛庁長官官房長

○政府委員(三輪良雄君) その点が重大な規律違反でございますので、今度の懲戒免職の大きな項目になっておるのでございます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 その懲戒免職の大きな筋になっているということをあなた方おっしゃるが、その責任者はだれですか。

三輪良雄防衛庁長官官房長

○政府委員(三輪良雄君) 当該の大隊長は実は長官直轄部隊でございまして、直轄部隊の陸上幕僚長が命を受けてこれを指導監督いたします。また、そういう地図作製、測量というような仕事につきましては、陸上幕僚長の部下であります施設課長が直接の責任者と申しますか関係者でございますので、ただ、現在おります者がその関係期間ずっとおったわけではございませんので、その前任者にもさかのぼりまして事情を聴取いたしておる、その結果それぞれ事情に応じて懲戒をいたすというふうに聞き及んでおるのでございます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 施設課長だとか幕僚長だとかおっしゃるが、そういたしますと、私は幕僚長あるいは施設課長なんというのはあんまりうかつだと思う。かってに自衛隊の隊員を動かしておりながら、それを幕僚長も知らない、施設課長も知らない——あんまり私はうかつだと思う。非常に私は精神が弛緩していると思う。官房長、どう考えられますか。

三輪良雄防衛庁長官官房長

○政府委員(三輪良雄君) それぞれ系統を通じて監督責任があるわけでございまして、御指摘のように相当長期にわたったことでございますから、この事情が知られなかったということは、おしかりを受けるとおり、これはもうきわめて遺憾なことだと思うのでございます。  そこで、あるいはすでにお答えがあったかと思いますけれども、防衛庁長官より幕僚長その他関係諸官にきつくこの旨を訓示をされまして、さらにそれぞれ系統を通じて再び間違いがないように強く訓示をいたしたところでございます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 防衛庁長官から訓示があった、それはあたりまえでしょう。これは当然のことですよ。しかも五十六万二千なんぼという金を支払ったと、いつ支払って、だれの責任で、だれが支払ったか、その点を承りたい。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) いま調べまして、もうすぐ……。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 まだわからない。それじゃそれはあとにしましょう。  官房長にお尋ねしますが、先ほど人事局長にお尋ねしたところが、大体測量地図をつくっておるのは何百人もおるということでしたが、小泉二佐とともに、小泉二佐の命を受けてこの製作に当たった人数は。

三輪良雄防衛庁長官官房長

○政府委員(三輪良雄君) 正確な数は私ここにお答えできないのは遺憾でございますが、数十人と承知をいたしております。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 あなた方はっきりしないな、数十人……。この問題が起きて、それの製作に当たった人間——部隊員を全部集めて調べるとか、調査するとかいうようなことはやらなかったんですか。

三輪良雄防衛庁長官官房長

○政府委員(三輪良雄君) 自衛隊の陸上幕僚監部に属します警務隊がこれを調査いたしましたので、関係者からそれぞれ聴取をいたしておるのでございます。ただ、何名という正確な数字を私が存じませんのは申しわけございません。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 あとからいろいろお尋ねしたいが、小泉二佐がジャパン・オートモビルのクラブから受け取った金が四百四十九万円、こう載っておるが、何回にわたって受け取ったか、また、何日にそれを受け取っておるか、そういう具体的な内容をあなた方お調べになっておるか。また、どういう名目のもとにこれを受け取ったか。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 先ほど官房長からお話がございましたとおり、全部現在自衛隊の警務隊で詳細に調査中でございますので、あるいはその調査の全貌がはっきりいたしますまでは、回数等はわかりませんが、現在までに判明いたしておりますところは、四百四十九万円の小切手を自分のサインで出せるものを預っておるんだというふうに受け取って、回数は約二十回ばかりかと思っております、出した回数は。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 そういうドライブ用地図を共同してつくろうじゃないかという話を小泉二佐がジャパン・オートモビルのクラブに申し入れた、そうして、互いにうまくやろうじゃないかという気配を、一日、二日のことじゃない、相当長い間こういうことをやっておるのに全然わからない、幕僚長もだれも。しかもこの仕事のために、先ほど申しましたようにたびたび無断欠勤しておる、その無断欠勤した日数もわからない、だれが許可したともわからない、たぶん出張だろう、そういういいかげんなことですか。防衛庁内のあなた方の監督は。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) 休暇等につきましては、先ほども申しますとおり、管内は大隊長の裁量でやりますが、管外につきましては手続が要りますが、おそらく管外の手続をやってないんじゃないかというふうに考えております。現在までに判明したところでは、休暇等の手続を取った形跡は、全部取ったとは聞いておりません。したがいまして、幕僚監部も疑惑を持つというところまではいかなかったのではないかというふうに感じます。

鬼木勝利公明会

○鬼木勝利君 それでどうもあなた方の答弁がその点あいまいなんですよ。幕僚長も知らなかったろう、だれも知らなかったろう、そういう上司の者がだれも知らないときに、無断欠勤して、あるいは出張と称して自由気ままな行動をとって不正を働いておる。そういう点をあなた方はもう少し突っ込んで調査すべきだと思うのです。それがどうもわからなかったじゃ私は困る。こういう事件が起きたあとから調べてもしかたがないとあなた方はおっしゃるかもしれないけれども、そうじゃないですよ。こういうあやまちを二度と繰り返されちゃ困るから、あなた方も、そういう点について、どういう点にわれわれがうっかりしておったかという点において、あなた方はこれをもっと十分に詳細にはっきりすべきだと思う。刑法上の問題は、それはあなた方は司直の手によってどうだ、こうだというふうに言われるかもしれないけれども、あなた方の監督においてできることを——あなた方のミスによってこういう不正が起きたということならば、これはあなた方の責任だ。その点をもう少しはっきりして答弁してもらいたいですよ。これではあなた方の答弁はまだ全然あいまいもことしてさっぱりわからない。

小幡久男防衛庁人事局長

○政府委員(小幡久男君) この大隊は独立大隊でありますので、大隊長みずからがその気にならないと、なかなかその手続をやるということはしないわけでございます。したがいまして、まず第一は、人事に、そういう大隊長をここに置いたということがまず第一に問題だと思っております。次に、幕僚監部につきましても、たえず直接の監督の責任にあります施設課長あたりが常時こういうところは監督の目を光らせておってこういう事態がないようにつとめるということ、その両面を今後は兼ねましてこういうことのないように努力したいと思うわけであります。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて。  ただいまの防衛庁に対する給与法に関連の鬼木委員の質疑は後日に譲りまして、ただいまより給与関係の質疑を続行いたしたいと思います。  御発言を願います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 公務員制度担当大臣がきょうは都合がつきにくいようですが、あとでまた見えるということですから、担当大臣に関係のない点につきまして先にお尋ねをいたしておきたいと思います。  それは人事院のはじきました標準生計費、この標準生計費が公務員の給与の中でどういう地位を占めるかということは、現在はあまり価値のないものになっておりますが、これは人事院がそういうふうにしたわけであります。本来は公務員法の中にはっきり規定してありますように、まず生計費を人事院としては考えなければならぬわけです。ですけれども、今日の状態ではそういうことになっていないわけです。しかしながら、標準生計費というものを人事院が計算をいたしまして、たいへん御苦労さんですが、非常に時間をつぶして計算しておられるその標準生計費につきましてお尋ねをしたいわけです。で、この間の通常国会で、ことしの三月ごろに法務省の法務局の職員の俸給袋がたくさん届きまして、それを整理分類いたしまして、生計費と実際公務員が受け取っている給与との関係について人事院にいろいろお尋ねをしたわけです。今回さらにまた司法の組合からたくさん俸給袋を送ってまいりまして、現実に公務員が受け取っておる給与というものとそれから生計費との関係について論議をしたいと思うわけです。  私がまず人事院にお尋ねいたしますのは、この標準生計費というこの標準という言葉が悪い。で、人事院としてはそれなりの理屈があると思いますが、標準生計費といいますと、いかにも標準の生計費みたいにとれる。国民全体の標準的な生計費なんだ、こういうふうに受け取られるおそれがあるわけです。内容はさにあらずなんですよ。標準生計費と書いてあるものですから、国民全体の標準的な生計費だというふうに受け取られるおそれがありますから、私は適当な名前にこれを変えてもらいたいというふうに思うわけです。まずその点をお尋ねをいたしておきます。誤解を受けますと困りますので、いかがでございましょうか。これはやはり改める必要があるのではないか、標準生計費という名前のつけ方をこれを改める必要があると思う。いかがでございましょう、この次からひとつ改めてもらいたい。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 標準という言葉自身はいろいろな意味があろうと思いますが、言葉と言葉をいろいろ並べてみますと、要するに、最低生計費でないということはまたはっきりわかるだろうと思います。そういう意味で私どもは標準生計費というものはこういうものだ、その実態を認識していただけばそれで済むことではないかというふうに考えておるわけであります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 それでは、これは標準生計費という標準という言葉が悪いから標準を何か適当な名前に変えてもらいたい、こういう意味なんです。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) それは結局人事院のためを思ってこういう誤解をされるような言葉よりももっといい言葉があれば、それを使ったほうが得じゃないかという御親切な御示唆であると、これは私思いますけれども、ただいま申しましたように、ここで多年使ってきております言葉でありますし、また、最低生計費ということと違うことはおのずから明らかであろうということで、これはという非常にいい案があればまたお教えをいただいて検討はいたします。ただ言葉のことですから、何もこだわるつもりはございませんが、しかし、変えたら変えたでまたいろいろな誤解を生ずるおそれがある、そういう危険もありますから、その辺のところは、よほど慎重に考えなければ、小さいことのようでありますが、響きは非常に大きいというふうにおそれるものですから、にわかにすぐ変えましょうということをお約束はできないというわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 滝本さんにお尋ねをしますけれども、標準という意味をひとつ……。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 標準、先ほど総裁が答えられましたとおりでありまして、これはいわゆる最低生計費というものではないということははっきりしております。大体において、国民一般の平均値ではないわけですね。しかし、国民一般の大多数の人が、非常に多くの人がそういう生活状態をしておるというものを一応基準にいたしまして導き出したものであるという意味におきまして、まあ標準という言葉を使っておる次第でございまして、最低生計費でないということは明らかでありますが、しかし、一方これが国民のいわゆるモデルになるような、多少前向きの理想を掲げたようなものであるという意味で使っておるわけでもございません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は、局長もよく御存じないようですけれども、その標準という言葉はそういう言葉じゃないでしょう。そういう意味じゃないでしょう。これは局長も御存じないのかもしれないけれども、ただ、いま局長がおっしゃったように、国民の一つの理想を掲げた標準的な生計費というふうに受け取られる。これはピックアップするときに、あの中から、生計の中から個票をピックアップするときの基準としてとっているのでしょう。それをそのまま標準という言葉に、標準生計費という言葉に直したわけでしょう。ところが、ここへ出てみると、何か国民全体の標準的な生計費、一種の理想的なものを含めたようなそういう標準的なりっぱな生計費というふうにとれるわけですよ、標準という言葉を使いますというと。そうじゃないでしょう。実際は女房が働いておる者は除くとか、何とかかんとかいうそういうような除外するものを、あるいはピックアップするものを、標準的なものをつかまえておいて、それでやっておるわけでしょう。ですからこれは標準生計費といわれると困るわけですよ。局長もこれはおっしゃったとおり、何か標準的な生計費みたいにとれるから、どうですか、実際やっておられる方に、ひとつ聞いてみたいのです。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) ただいま御指摘のように、二人世帯以上につきましては、まあたとえば二人世帯と申しましても、非常に年寄りと孫との組み合わせというような世帯を考えておるわけじゃございません。そういう意味でわれわれのほうでまあ二人世帯の場合は配偶者のある夫婦者というような意味におきまして、それを標準と、標準世帯というように使っておることも事実でございます。事実でございまして、そのほうから語感がきておるじゃないかという御指摘なんでございますが、そういう感じももちろんないとは申しません。しかしながら、一応従来から標準生計費のところで最重点的にわれわれが考えておりますのは、いわゆる独身男子十八才程度の標準生計費ということで考えておる次第でございまして、これはやはりただいま申し上げましたように、厳密に、厳密にといいますか、ある意味の標準ということをさしておるものでないということは申し上げたとおりでございます。また、これを模範にしろとも人事院はかつて言ったことはないのでございます。これはあくまで国民一般の消費事情等から判断いたしまして、多くの人がそういう状態の生活をしておるというところに基礎をおいてつくったという意味において標準という言葉を使っておる次第でございます。これは総裁も先ほど申されましたように、従来からそういう意味で人事院の標準生計費というものは理解されておるのでありますから、内容等もこれは漸進的に変わってはまいっておりますけれども、大体において内容がそれほど大変わりしないものを名前だけ変えるということもまたいかがなものであろう。しかし、より適当な言葉があればそれはまた別途将来の問題として研究いたしてまいるということはもちろんあるわけでありますが、しかし、従来理解されておった意味の人事院の掲げております単身男子の標準生計費というものはやはり従来どおりの呼称でやるのが、多少消極的な言い分かもしれませんけれども、無難ではなかろうかと、このように考えておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 それでは、われわれ給与について審議をする者にとりましては、この標準というものはそう誤解は受けないですけれども、そうじゃない人が見ますと、何が模範的なあるいは何か非常に一種の理想を含んだような標準的なそういう生計費というふうにとられがちなんですね。この間私はこれについて質問を受けたんです。標準というのは何だと。ですから私は、われわれは中身を知っておりますから、標準とは書いてあるけれども、中身は何だということは書いてあるのですけれども、しかし、そういうふうな誤解を引き起こすような標準という言葉について何か人事院として検討してもらいたい。何も標準になっていないのですから、という点を一つ申しておきます。  そこで中身に入りますけれども、標準生計費が出ておりまして、一人から二人から、三人、四人、五人と出ております。それでこれを見てみますと、このエンゲル係数は平均をいたしますと、大体四三、池田さんは全体の生計費は三九になったということを盛んに言っておられるのですけれども、人事院の場合は四三というエンゲル係数。三十七年の平均が総理府から出ておりますが、それによりますと、全世帯のエンゲル係数は三九、池田さんのおっしゃるとおり、勤労世帯のエンゲル係数は三六%、人事院の標準生計費は平均してみて四三%。ですからここへ出ている人事院の標準生計費というのは、まあ日本にある生計費のはじき方の中では最低の生計費を総理府は出しておりますから、総理府は今申しましたように、国民全体の全世帯は三九%、それから勤労世帯は三六%、こういうふうに出ておるわけです。役所がはじいている一応生計費の中ではこれは最低の生計費。もちろん一人世帯が四四というエンゲル係数になっておりますが、これは若干食事を、いつも内閣委員会で内容が問題になるのですが幾らか食事を少しばかりよくしたという傾向もあって、何か四四という非常に大きいエンゲル係数が出ておりますが、総体としてみますと、四三というエンゲル係数になっておる。ですから最低の生計費、いま政府がはじいておるのは最低じゃないですか、どうでしょうか。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) エンゲル係数というものをどこまでどういうふうに理解して使うかという問題がまず最初にあろうと思いますが、総理府統計局の生計費調査で実支出額の中の食料費というものの割合というような場合には、まあ一般的に最近エンゲル係数という言葉を使われておりますけれども、その割合を示しておる。いまおっしゃるように、三九%とかあるいは三八%とかいうような数字でございます。これは一般的指標としましては、これはまあやはり生活の程度を見る一つの指標になることは当然でございます。ただエンゲル係数というものはそういう状態の、いま私が申し上げましたような状態における実支出の中の食料費の支出の割合というようなことで見た場合には意味があるというように思うのでありますけれども、人事院でつくっております標準生計費というものは、そういう観点からつくっておりません。御承知のように、食料費はいわゆるマーケット・バスケットという方法でつくっておりますし、それからその他の被服から住居、光熱、雑費というようなことになってまいりますと、御承知のように、いわゆる換算乗数方式によりまして総理府統計局の数値から導いておる、いわば二つで両方で組み立てておるというような形になってでき上がっておるものでございます。したがいまして、そういうことでつくり上げました数字の中における食料費ということを問題にするということは、これは非常に大きな目から見れば一つの意味はあろうかと思いますけれども、直ちにそこに出てきました数字を統計局の家計調査にあらわれまする実支出の中における食料費支出の割合というものと並べて議論するということは、必ずしも当たらないのではなかろうかというふうにわれわれ思っております。たとえば、もし人事院が総理府統計局のエンゲル係数ならエンゲル係数に着目して、そしてまあ標準生計費の中の食料費を計算し、それをその率で除しまして、全体を求めるというような方式も、まあ方式としてはあり得るわけであります。そういうことをやっておる場合には、エンゲル係数というものが非常に大きな意味を持つと思いますけれども、今の人事院の標準生計費の計算方法におきましては、いろいろな要素を組み立てて一つの生計費というふうに数値を組み立て方式で出してまいるわけであります。その出てくるもとが違うのであります。そこで直ちにこの指数を問題にするということは多少問題があるのではなかろうか、まあこのように考えております。しかし、それにいたしましても、エンゲル係数というものは全般的に見まして、御指摘のように、低いほうが適当なのでありまして、低いほうがより好もしいということについては変わりはございません、大局におきましては。そこで人事院のやっておりまするものも多少ではございますけれども、まあ昨年に比べて、昨年は四五・七という数字になるのでございまするが、本年は一人のところが四四・二、こういう数字になっております。そういう方向には従っておるという次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま滝本局長がいろいろ御説明になったのですが、要するに、人事院としてはこの標準生計費というものはこういうような形でつくった、だから総理府統計局でやっておる全世帯なりあるいは勤労世帯のつくり方と違うのだ、それはけっこうです。しかし結論は、問題は人事院がそういうような形でつくった生計費というものの中のエンゲル係数、これが四三にもなってしまう。一方の総理府統計局の全世帯のエンゲル係数は、池田さんがおっしゃるように三九、勤労者のエンゲル係数は三六とひどい話です。その点を一つ指摘しておきます。ですから決してこの標準生計費というのは標準でもなければ、まあ日本にある生計費のはじき方としては一番悪い生計費だと私は言っております。悪いですか、それで。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) まあ高い立場からの御批判ではございまするけれども、われわれのほうの標準生計費のはじき方が悪いというようにわれわれは考えておらないわけでございます。先ほどお答えすべきところちょっと漏れたので補足さしていただきますが、たとえばわれわれのほうの生計費におきましては二六六〇カロリーというものを熱量基準にいたしまして、マーケット・バスケットを組んでいる。その結果出てきたものが食料費となっているということでございます。ところが、これは国民栄養調査の結果によりますると、本年の成人まず一人当たりの一日の熱量が、三十六年度は国民栄養調査の結果によりますると、二〇四四・五カロリーである。ことしは少し落ちまして一九九五カロリー、これを成人換算してさらに十八歳程度に直しますと、去年は二六六〇カロリーという数字が出たのであります。ところが、ことしは二六二九カロリー、こういう数字しか出てまいらなかった。民間の消費事情に合わすということならば、当然われわれは二六二九カロリーないし三〇カロリーという、いわゆるマーケット・バスケットを組むべきところでございまするけれども、しかし、この二六六〇カロリーというものは十八歳程度に換算した率ではありませんけれども、なお資源調査会あたりで出しておりまする、まあより好ましい一つの目標になりまするカロリー数に比べますると、これはまだ低いのであります。そういう観点も考慮いたしまして昨年の二六六〇カロリーをそのままとったという経緯がございます。そういうところで食料費がふくらんでいるということもあるわけであります。食料費がふくらみますると、これはやはり分子のほうが大きくなりますると、どうしても率としては大きい数字が出てまいるというような点もあることをつけ加えて申し上げておきます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いや、まあ三〇カロリーがどうだというような話になりますと、また中を洗って言い出したくなりますから、ですから私はここで申し上げておきたいのは、人事院の標準生計費というのは、標準でもなんでもないのだ、これはいま日本にある生計費の中でははなはだしくエンゲル係数の高い、その意味では低い生活水準というものを示している。こんなに違っているのです。池田さんは三九だ、三九だと言っている。ところが、人事院のやつは四四くらい、四三を越すのですよ。だからそういうものとしていま人事院の生計費をひとつ論議していきます。  次に、問題にいたしまするのは、一人世帯が出ております。一人世帯は十八歳、独身者、しかもそれが下のほうに注として、世帯人員一人の欄の額は独身男子十八歳程度の額だと、こう言っているのですね。これはどういうわけで十八歳でなければならぬのかということをひとつ聞きたい。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 現在人事院が十八歳で計算しておるという理由は、これはまあ絶対的に十八歳でなければならないというようなものではございません。ただ労働基準法等におきましても十八歳未満というものは、これはいわゆる年少者としての取り扱いであり、言いかえれば成人になるというのは労働基準法では十八歳程度というふうに認めているという状況でございます。それからまた、国の場合は、公務員を採用いたしまするのに試験で採用するというのが原則でございます。その試験採用の一番下の段階は何かと申しますと、いわゆる高等学校卒業者、これが初級職試験を受けて入ってまいる。この試験であります。そこでこれはやはり一つの基準でございまして、それは十八歳になる。こういう観点から十八歳者というものを一応目標に置いておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 今の御説明は、これは説明にならない。この生計費というものは、一人の者が生活するのに幾らかかるかということなんですから、そこを論議しているのですから、だから労働省でどうだとか、労働省で十八歳以下は青少年として扱っている、あるいは採用が高校卒で、試験採用が十八歳だと、これも理屈にならぬ。生計費なんです、問題は。だから十八歳になぜしたのか、まずこれを聞きたいわけです。しかも人事院が創設当時、昭和二十三年当時から五年の間は、独身成年者というのは新制中学校卒業程度ということになっていた。それは局長も御記憶のところです。それをいつのまにか新制高校卒というふうにしてしまった。だからこれはおかしいでしょう。人事院は、昔心身が健全であったときは新制中学卒業程度だった。今度は独身成年者十八歳、しかもこれは試験を通った者を十八歳とした、こうおっしゃったのですよ。むちゃですよ。おかしいですよ。何がゆえに十八歳、しかも初級職の試験を受けた者、十八歳というのですから、何が何だかわからない。生計費ですよ。これは試験を受けようとかなんとかという問題じゃないでしょう。一人で生活するにはこれだけ要るというのだから、それじゃあなたは試験を受けないで高等学校を卒業した者を採用している、八等級の一号で。あるいは中学校を出た者もこれは相当入っておりますよ。そのために俸給表もちゃんと整備されている、五等級の一号だとかあるいは五等級の三号だとかいうようなことがちゃんと整備されている。だから十八歳でこういうふうに後退をいたしてきたということはいかぬ。これは私はちゃんと十八歳、しかも新制高校で初級試験を受けた者でなければならぬというそんなおかしな話がありますか、生活するのに。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) 先ほど御説明申し上げましたのが理由にならぬとおっしゃるのでありますが、ただ人事院としてはどういうところで一人の生計費を計算するのが適当であるということは、長い経験の結果こういうことになった次第でありまして、そのことを御説明申し上げたのであります。いかなる人といえども、生活しておるのでありますから、そういう十九歳の生計費を考えるあるいは十六歳の生計費を考えるということもあり得るわけであります。ただ、人事院としては、この単身成年者の標準生計費というものは、そういう方々の民間一般の初任給にかかわらず、標準生計費で計算いたしてみまして、そのほうが民間一般の初任給より高いならそれを高めて、それを少し持ち上げまして初任給をきめていこう、こういう目的のために使っておるのであります。それをやるのには、先ほども申しましたように、公務員試験を通って入ってくるというのが一応の原則でありまして、そこは十八歳になる方々、労働基準法でも直接にはいっておりませんけれども、十八歳というものを一応独立の成年、いわゆる成年男子というふうに考えておるというようなこともあわせましてそれで八等級二号俸というようなところでそういう問題を考えるのが適切である、こういうふうに判断いたしておるのであります。したがいまして、これは絶対にそこがいいというものではないけれども、しかし、たとえば中卒のところでものを考えていくといっても、これは中卒者の場合には、これは必ずしも成年ともいえない、いわゆる独立生計を営んでいるともいえない、そういう意味におきまして試験採用の十八歳、こういうところを一応の目安にしてそこで考えるということが適切であろう、このように考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 さっぱり適切でないよ。これはいままでそういうお考えでこられた。しかしながら、一人が生活を営むのに何で新制高校を出て試験を通った者をそれと合わせなきゃならないのか、理屈ないよ、これは。病膏肓に入りましたね、人事院は。しかも人事院がまた生計費を非常に重要視している、公務員法でいうように生計費を重要視しておるときには、新制中学卒程度、それが独身者の生計費であるというふうにして、あなた、きたのですよ。昭和二十三年から五年間ぐらいの間。いつの間にかそれを二つばかり、三つばかりはしょって十八歳にしてしまった。しかもそれをさらに新制高校卒で、そうして初級試験を受けた者、そんなばかな話がありますかね。生計費ですよ、問題は。労働基準法を問題にしているのでもない、あるいは成年であるか、あるいは少年であるかということを言っておるのでもない。生計費ですよ、人事院の慎重なるひとつ検討を望みます。これはお話になりませんよ。そうしますと、初任給はもっと上がりますよ、公務員になり手もだんだん多くなってきます。いま、公務員になり手がない、なっても逃げてしまうという状況にきている、ひとつ検討を望みますよ、総裁、よろしゅうございますか、おかしいですよ。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 検討はもちろん終始やっておりますし、今後も続けますけども、どうも私はまだ膏肓には入っておらないつもりでおりますが、私の感覚としては、やっぱり二十か十八歳かというようなところがあるいは問題になるかもしれない。しかし、まあいまの給与局長の説明は、一応これは私はもっともだろうと思うというようなことから、現行制度の支持者でございます。ただし、先ほど申しましたように、決して固執はしませんから今後も検討いたします。ただ、このために、たとえば新中卒の人が非常に不利益を受けるというようなことであるとこれは考えなきゃならぬけれども、そこはわが勧告をごらんになればわかりますように、新中卒のほうは新中卒のほうとしてちゃんと——ちゃんとといってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、相当の手当をしておりますから、むしろ実態上の問題はそこにあるのじゃないかと私は思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 ただ生計費と結びつける場合に、八等級の二号俸、新制高校を出て初級試験を受かった者というところと結びつけるものですから、しからば反論したくなる。何がゆえに十八歳で高校卒の、しかも初級試験を通った者という者が十八歳ひとり者か、それは一人の生計費か、こう言いたくなる。ですからまあそのことはともかくとして、過去には人事院も私が何回も言うように、新制中学校卒程度でやっておったのですから……。どこかでやられましたですね、公務員の人たちが。  さらに中に入って伺います。まず一番わかりいいので申し上げますと、人事院が三十八年の一月現在の学歴別、年令別の月給与平均額を出しておられます。この学歴別、年令別の月平均給与額と、それからこの生計費と比較をしてみる。その場合に家族構成でありますが、これは人事院がかつて発表いたしました、これもまた人事院、好きなもので、標準家族構成というのを発表した、人事院は。そうですね、標準家族構成、これも標準をつけていますね、標準家族構成というのを発表している。ですから、この標準家族構成によりますと、一人世帯、二人世帯、三人世帯、四人世帯、五人世帯のそれぞれの年齢が出ております。それで比べている。そうしますと、これはもちろん、いま標準生計費というのは四月のやつであります。それから東京都であります。その意味で若干の考慮を払わなきゃならぬと思います。しかしながら、一応その点はささいなことでありますから抜きにいたしまして、考えてみますと、この二人世帯——二人世帯というのは、人事院はこの標準家族構成では男子二十七歳、女子二十三歳、この夫婦者、これが標準家族です。人事院のではこの標準家族では二十七歳。二十七歳の平均給与額というのを見ますと、大学卒は一万九千円くらいですね。それで人事院のこの標準生計費、——先ほど言いました非常にエンゲル係数の高い標準生計費の二人世帯というのは二万四千二百六十円ですよ。だから大学を出ておる者でもとてもこれは生活できないのですね。ましてや短大とか中学校、高等学校卒では困ります。三人世帯というのは、人事院の標準生計費では三十一歳ですよ。それで子供が一人おる。三歳の子供がいる。それが三人世帯の標準生計費。三十一歳の平均給与を見ると、大学を出た者はちょうど二万四千になります。ところが、人事院のこの標準生計費は三人世帯で三万二千六百円です。大幅に足りないのです。足らぬどころの騒ぎじゃない。八千円ほど足らぬ。短大卒、高校卒は比較いたしません。話にならぬ。一万円くらい低いのです。だから三十一歳で子供が一人おったんじゃどうにもならぬ。人事院の俸給表は大学出た者でも八千円足りないのです。どんなに苦労しているかというのですよ。四人世帯、これは人事院の標準世帯は三十五歳です。奥さんが三十一歳、七歳の女の子と三歳の女の子がいる。四人世帯三十五歳の平均給与を見ても、大学を出た者が三万二千円くらいになります。四人世帯の人事院の標準生計費というのは、三万八千四百五十円。まだここでもだめですよ。三十五歳になった大学を出た者でも子供が二人おる場合には約七千円ほど足りない。標準生計費より七千円も落ちている。短大を出た者、高等学校を出た者になりますと、一万一千円足りない。五人世帯、これは人事院の標準家族構成は四十歳、子供が三人おる。そこで四十歳の平均給与を見てみる。大学を出た者が四万五千八百円とるのであります。やっとここで大学を出た者はこの標準生計費をちょっと上回っているということになります。あとは短大、高校卒という者は三千円から八千円ほど足りない。こういう計算になるわけですが、ですから総体として人事院の年齢別、学歴別の月平均給与額——暫定手当も入って、それから扶養手当も入った平均給与額というものと、それから人事院のこの標準生計費と比べた場合には、これは少なくとも六千円から一万円程度足りないという俸給表になっている。大学を出た者は四十歳をこすとよくなる。幾らか標準生計費を上回っている。こういう数字になるわけですね。ですからこれは、先ほど申し上げたように、東京都のものであるという点がありますから、若干考えなきゃならぬ点もあります。しかし、総体的にいって、あまりにもこの生計費から見た場合に、人事院の標準生計費——べらぼうにエンゲル係数の高い標準生計費から見た場合に、公務員の給与というものは著しく下回っているのじゃないか。何ともならぬ下回り方じゃないかという結論になるのじゃないでしょうか。何かお話がありましたら承ります。

滝本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(滝本忠男君) ただいまお示しの点もございますが、ただわれわれといたしましては、現在標準生計費の中で単身者だけをこれを俸給表上の八等級二号俸に見合わせておるということをやっておるわけでございます。二人以上につきましては、これは一応計算いたしましたので、参考までに毎回人事院の勧告の際に付しまする報告書に掲載をして一般の御参考には供しておるわけであります。ただ、われわれのほうは、何といいましても公務員の給与を考えまする場合に、民間給与というものを一番重視していかなければならない。非常に給与水準が低い場合にはこれは生計費という観点が非常にクローズアップしてまいるのでございますけれども、現在の段階におきましては、やはり相当程度給与に消費者物価あるいはそのほかの生計費事情というものが反映しておる、こういうふうに見るのが適当であろうと思いまするし、民間の給与を一応公務員と大体合わせていくという考えが主要点になっておるわけでございます。そこで、ただいまいろいろお話がございましたが、出発点におきまして、たとえば大学卒で入ってくるという場合に、これはたとえば七等級初号というようにはっきりしております。しかし、その後の昇進の状況になりますると、当初のころはほぼ足並みをそろえて昇給もいたしますでしょうし、昇格もいたしますでしょうが、しかし、これはやはりその人の勤務成績なりいろいろな状況によりまして開きが出てくるということもまた事実でございます。それからまた、しいて結婚の際の男子の平均年齢を出してみれば、二十六歳とか二十七歳とか二十八歳という数字が出るでありましょうけれども、これもまた、個人差が非常にある問題であります。したがいまして、ある特定年齢ということで、二人とか三人という押え方をするのは非常にむずかしいわけでありまするし、また一方におきましては、職員の勤務なりそのほかいろいろな状況によりまして等級号俸がきまっているという場合に、その年齢と等給号俸を結びつけるということも非常にむずかしい問題であるというふうに思うわけであります。しかし、全体的に見まして、現在の公務員給与というものが十分に高いものであるというふうにはわれわれも考えておりません。これは一つの努力目標でありまして、なるべく高いほうが好ましいに違いないのでありますけれども、民間一般の状況と合わせていくという制約のもとに考えざるを得ないという問題と、ただいま私が申し上げましたように、この世帯人員別平均年齢というようなことだけを問題にするということが必ずしも適切でないというような面もあります。  なお、もう一つつけ加えて申し上げたいことは、ただいまのお話では、本俸あるいは暫定手当等の通常給与についてのお話があったわけでございますが、こういうことを申し上げるのはあるいは当を得ていないかと思いますけれども、現在のように、期末、勤勉手当は、今回の人事院の勧告がお認め願えますれば、年間を通じて三・九カ月出る。期末手当三カ月分、勤勉手当〇・九カ月出るというこの事情はやはりそれを無視して生計費の問題をいうというのは少し適当でないのではないか、このように考えておる。現在のところ、公務員の給与が十二分に高いというふうには申し上げません。今後とも努力してまいらなければならぬところでありまするけれども、しかし、ただいま申し上げたような問題もあわせてお考え願う必要があるのではかろうか、このように考えます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま、大臣見えましたので、この問題については私一言いまの問題についてケリを打ちまして、それから大臣に対する質問に入りたいと思います。向井さんがやりたいという話ですからかわりますが、いま、滝本局長は何かぐちゃぐちゃ言われましたけれども、これはさっぱり説明にならない、そういうものでは。私が言っているのは。人事院が出した学歴、年齢別平均給与額というものと、それから人事院が出しておる標準家族構成——標準が好きですよ、それと人事院が出しておるあのエンゲル係数のべらぼうに高い標準生計費と、この三つを見比べた場合に言えることは、まず初任給あたりで入るところはまず合っておる。そして三等級以上はよろしい。しかしながら、七とか六とか五、四におるところはこんなにたるんでおる。したがって、標準生計費から六千円も、一万円も低い俸給になっておるじゃないかということを言っておるのですよ。そうしたら今度は、滝本さんは、いや私どもは民間との給与を考えましたというお話でしょう。民間給与の問題についてはあとでやります、どんなにインチキであるかということを。民間給与もいま申し上げました七等級、六等級、五等級、四等級というところが間違えておる、民間との比較で。だからべらぼうに低いでしょう、ここは。三等以上になるといいのですよ。それはそうです。公務員の中のわずかに五分しかないのですから、四千人ぐらいなものです。四十四万の中の一%程度ほどの者は、公務員の一%程度ほどの者は標準生計費よりもいい。しかしながら、四等級というのは大体の公務員の終着駅ですよ。そこのあたりにおる者がこんなに低くちゃどうにもならぬですね。だから人事院は標準生計費というものと俸給表というのを結びつけなくなったんじゃないですか、十年ぐらい前から。その前までは国家公務員法でははっきり生計費、民間の給与、そして人事院の考える要素となっておるから、どうしても生計費というものと俸給表というものを考えざるを得なかった。ですけれども、十年ぐらい前からそれをひっぱずしてしまった。生計費との関係を切ってしまった。それから十年たった今日、いかがですか、あのエンゲル係数のべらぼうに高い人事院の生計費よりも七千円も、一万円も下回った給与をこういう大多数の公務員に与えていいというふうに考えられるのか。これは官民統計にもありますよ、裏返しのような形になっておりますから。断じてこれは承知できないですよ。私はそれほど言って、あとまた総裁、文句がありましたら、総裁の答弁を聞きます。一応ここで人事院に対する質問を中止しまして、向井さんがさっきから待っておられますから、向井さんと交代いたします。

向井長年民主社会党

○向井長年君 今回の公務員の給与に対する人事院の勧告につきまして、内容につきましてはいろいろといま、鶴園委員からも指摘されておりますし、私も理解できない点がたくさんあるのです。この問題はまた適当な時期に回しまして、まず第一に人事院総裁にお聞きしたいことは、わかり切ったようでございますが、この勧告は三十八年八月十日付で勧告されておりますが、これは何年度の給与改定に実施さすつもりだったのですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 年度という観念を持つものではございませんので、勧告に示しましたとおりに、五月からの給与として、そして勧告を申し上げたというわけです。

向井長年民主社会党

○向井長年君 しからば三十八年度から実施ということですね。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 昭和三十八年五月から実施というつもりでおります。

向井長年民主社会党

○向井長年君 そうしますと、人事院といたしましては、少なくとも五月から実施ということを政府に勧告したと思うのですが、五月実施さすために人事院総裁として政府に対してどういう努力をされたのですか。ただ従来勧告というものはいろいろ検討されて出された、政府はこれにひとつ準拠して実施しなさいと、こういうことで終わっているのか。これを実施さすための相当な熱意をもって勧告されているのか、この点ひとつお聞きしたい。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 理屈から申しますというと、人事院は勧告をするまでが責任であって、その勧告を受け取ったほうの政府それから国会にもこれは勧告を申し上げているわけです。政府、国会の良識によって御判断いただけばそれでいいのじゃないか、これは割り切ればそういうことだろうと思いますが、御承知のように、私どもが夜の目も寝ずに、そうして公務員の給与のあるべき姿というものを真剣になってつくり上げたのがこの勧告であります。そうしてこれは四月の調査に基づいて出た数字である以上は、どうしても五月までにさかのぼってやっていただかないことには筋が通らぬ、これはわかり切ったことでありますけれども、そういう意味ではわれわれとしてやはりその実現に熱意を、熱情をそそいで努力を傾倒するということは当然のことであります。私としては微力ではありましょうけれども、できるだけのことはしたつもりでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 これはことしだけではなくて、昨年も一昨年も同じような勧告がなされて、実施期日が政府においてもあるいは国会の場におきましても人事院どおりになっておらないわけです。こういう点を考えると、人事院の総裁として夜の目も寝ずして真剣にあらゆるデータを取り寄せて検討したあげく、これが最善だということで勧告したものに対して、毎年々々こういう形で時期をずらされて今日にきておる、こういう状態が出ている以上は、人事院機構に対して疑問を持ちませんか。現在のような状態でいいかどうかという問題について総裁はどう考えますか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 人事院の機構というよりもむしろ権限の問題であろうと思います。勧告の拘束力という問題にも発展することであろうと思いますけれども、しかし、これは理屈を申しますというと、やはり法的の拘束力をここに法律の条文として盛り込むということは、またこれは憲法の建前からいっていかがであろうか。そこでおそらく現在の公務員法は、政府にも勧告するが、国権の最高機関である国会にも直接勧告する、これはよほど例外的な強い勧告についての認識のもとにできた制度だろうと思います。したがいまして、国会に出ました場面においても最後の瞬間まで私はここで努力をしたい、また努力をしているつもりでございますけれども、そういう点から考えますと、これは制度の運用についてやはり良識による運用をわれわれは期待するほかはないので、勧告に法的の拘束力を求めるというよりも、もうひとつ他の努力の問題ではなかろうか。そういう意識のもとに少なくとも私としては努力を続けてきた、こういうわけであります。

向井長年民主社会党

○向井長年君 そうすると、ことしだけではなくて、去年もおととしもそういう状態になっておりますが、総裁としては、いま政府が提案している内容は十月実施である、こういう形で出ておりますが、これに対して憤りをもって遺憾に思っているのか、あるいはまあ例年のことだからやむを得ないという考え方を持っているのか、この点はどうなんですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) そういう感情の表現をここで申し上げることははなはだどうも私としては申し上げにくいのであります。これは十分お察し願えることだと私は思っております。

向井長年民主社会党

○向井長年君 感情ではないですよ。あなた方がいま言われるように、しかも夜の目も寝ずして非常に苦労してつくられた勧告が、しかも国会審議の場でなくて逆に政府のほうでこれは十月だ、五月の人事院のとおりはやらないのだ、こういう状態になってきていることに対して、やはりそれに対しては非常に、何でしょう、心の底から遺憾だという気持があるでしょう。ないですか。ただ感情でなくて、事実そういう気持がなければおかしいと思うのですが……。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) 普通の言葉でいえば、まことに遺憾にたえません。それは、それだけのことに私は尽きると思いますけれども、しかし、それ以上には……、また、いろいろな感情の問題がございますですから、そこをさらけ出して、憤りを感じるかどうかということまでおっしゃいますが、まさか憤りを感じるというところまでは、感情の問題として私は控えたいと思います。こういう意味でございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 その憤りということが感情に聞えるかもしれませんが、私の言っているのは、やはりまじめに勧告しておる、そのまじめさを入れられないということについては非常に遺憾な気持が強いだろうと、こういう意味から言っておるのであって、しかもこれをことし一回きりならば、これはいま言われることも、いろいろな事情があることも考えられるが、毎年のことで、しかもこれはあとで給与担当大臣にお聞きしますが、常に政府は、いわゆる人事院勧告をあくまでも尊重して、その線に沿って実施するのだということを常に口にしておりながら、毎年々々これが尊重されて実施されておらない、こういう現状を見たときには、私言ったような感情でなくて、まじめな気持から、そういう気持が総裁として起きないのはうそだと、そういう意味で私は聞いておる。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) これは申し上げるまでもないことでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 次に、給与担当大臣にお聞きいたしますが、これは政府としてどうなんですか。一応いまお聞きしましたように、人事院総裁としては、そういう気持から勧告を政府にしておる。で、政府のほうでは、特にまずお聞きしたいことは、給与担当大臣としてですね。人事院の勧告に伴って、もちろん閣議の中でもこのとおり、しかも五月実施という形を給与担当大臣は強く主張されたのかされなかったのか、この点いかがですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては、人事院がせっかく御苦労になって出された勧告であり、これにつきましては、国家公務員法の趣旨から申しましても、文字どおり完全に実施するのがたてまえでございますが、政府においても、ぜひこれを実施したいということで、百方苦心いたしたのでございますが、何ぶん先ほど来申し上げるような事情を克服することができず、やむを得ず今次提案となった次第でございまして、私もこれにつきましては努力をいたしましたが、結果としては、まことに遺憾に思っております。

向井長年民主社会党

○向井長年君 政府の十月ときめた根拠はどこにあるんですか。予算がないという意味であるのか、あるいは例年のごとく十月がいいだろうという簡単な根拠からこういう期日を出したのか、その根拠はどこにありますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) これは全く財政上の理由でございます。予算がないので、考え得る最大限度という意味で十月実施ということになったわけでございます。特にこれを例年を例にするというようなことは考うべきでもありませんし、また私といたしては、それは最もしかるべからざることである、かように考えまして、閣議におきましては、今年は財政上の都合でやむを得ないとしても、来年においては極力完全実施に努力しようということを一同に申しまして、了承を得ております。

向井長年民主社会党

○向井長年君 予算がないからという理由なんですか、しからば五月から十月まで約六カ月ありますが、この予算どれくらいありますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 約一千八十億ほどの金がないと五月から実施できないということになっておるのであります。今回提案いたしました中には、今回は十月実施につきましては新規財源として約三百九十億を計上いたしております。

向井長年民主社会党

○向井長年君 一千八十億というのは、これは全部でそういうことですね。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 政府委員からこまかく申し上げます。

平井廸郎大蔵省主計局給与課長

○政府委員(平井廸郎君) ただいま御質問の十月実施の場合と五月実施の場合ではどの程度の差があるかということでありますが、国、地方を通じまして約四百億の差が出るということでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 四百億の原資がどうしても国がこれの補てんができないと、こういう立場から十月にやったということですか、大臣。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 閣議におきましては、そういうことに相なったわけであります。

向井長年民主社会党

○向井長年君 ほんとにその人事院の勧告を尊重してやるという態勢をとってやるならば、四百億の金が出ないということはわれわれはないと思う、事実。したがって、この問題につきましては、本年度はいわゆる租税の自然増収等も考えまして、十分これに対する見返りあるいはまた、減税をも考えていかなければならぬ、こういう事態になっておる中で、しかも人事院の勧告が四百億多いから、そこでできないから十月にしたのだと、じゃ九月だったらできるか、そういうことが出てくるのです。あるいは八月だったらどうか、これは政府が四百億の金がどうしてもできない、こういう根拠に基づいたということがはっきりいえるならば、なぜ十月という根拠をとったか、九月だったらこれに対する、一カ月の問題ですが、できるかできないか、あるいは八月はどうかと、こういう問題も出てくるのです。この点はどうなんですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) それらの問題につきましても、いろいろ考慮いたしました結果、結局は十月ということに相なったわけでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 そうすると、給与担当大臣は、これは毎年のことでございますから、人事院の勧告に対しましてはできるだけ尊重はしたいけれども、こういう場合が毎年のように続いておりますが、これはもうこれで当然だと思っておるのですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) かようなことは決してよろしくないと、来年以降においては繰り返されるべき事柄ではないと思っておるのであります。

向井長年民主社会党

○向井長年君 来年以降はそういうことは繰り返しちゃいけない、本年度は、これはもうそういう次第できまったのだからやむを得ない、こういう気持であくまでも人事院の勧告というものは政府も尊重し、国会の場においても十分理解をもらおうと、こういう気持で進んでいきたい、こういうことなんですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) さようでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 人事院総裁、給与担当大臣がそういう答弁をしておりますけれども、これで先ほどから言われた意見に納得できますか。人事院総裁としていかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) おそらく来年はいまのようなおことばによって努力をしていただけるものと期待しておると申し上げるほかないと思います。

向井長年民主社会党

○向井長年君 これどうなんですか、総裁、いつも勧告が民間は四月実施ですね、民間の大体のところは四月給与ベース・アップが実施されておるのですよ。民間に従ってやるとするならば、そういう時期になる、五月になるわけですが、この勧告は常に八月とか非常におくれて出ますね、これをもっと早くこの勧告を行なって、期の初めに実施できるような態勢はとれないのですか、この点いかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) その点は重大な問題としてあらゆる面から検討しておるんでありますが、一番簡単な、手っとり早い、またわかり切った行き方としては、予算の関係を考えますと、来年四月からこう上げてくれということで、十一月、十二月に勧告する、前向きの勧告をするということが一番予算関係ではうまくいくはずなんです。ところが、これ人事院の勧告ということの制度のたてまえから申しまして、あるいは勧告の権威とか信頼ということから申しますと、どうしても予測がそこに加わらざるを得ない。予測がそこに加わりますと、きめ手のない問題になる。きめ手のない問題は結局値切れば値切られるという可能性が大きい、こういう問題もございますから、これは公務員制度が人事院に対して、科学的、合理的なはっきりしたすべてを期待しておるという点から申しますと、これはどうしても私どもとしては踏み切れない。そこでお話のように、第二の考え方として、従来のような行き方をとりながら調査時期と勧告時期をいろいろずらして考えてみたらどうかということも考えました。しかし、その際どうしてもネックになるのは、いまちょうど御指摘になりましたように、調査の時期から勧告時期までの間を何とかもう少し縮められないかということが一番ポイントになると思います。そこで、私ども事務当局などとも寄り寄りどのくらい短縮できるものだろうかということも検討を続けておりますけれども、これもまたわれわれの調査の規格を落とすか落とさないかということにも関連してまいります。われわれとしましては、今申しましたような公務員法その他のたてまえからいって調査の規格を落とすということはこれはもう絶対できない。従来どおり六千数百の事業所にわたって二十八万の勤労者の諸君をシラミつぶしに調べてそれでできたデータがこれでございます、ということにやはり権威と信頼性があると思いますが、それを落とすわけにはいきません。そうしてその間は、やれ電子計算機をどのくらい使ってスピードアップをするとか、あるいは調査表の取りまとめに人海戦術でどの程度スピードアップできるかということぐらいになってまいりまして、従来調査表の取りまとめなどは人事院の地方事務所だけでは、御承知のように各事務所、一つの事務所について二十人ぐらいしか人員がおりません、これは試験の仕事もやるわ、給与の調査もやるわ、いろいろやっております、これはたいへんなものです。これはいずれ予算をいただいて強化してまいりたいと思っておりますけれども、現状はそうです。それから手が足りませんから各府県の人事委員会にお願いしております。これはまたたいへんな量をお願いしております。また、集計のことを申しますと、電子計算機を使っておりますけれども、どうしても統計局あたりにお願いせざるを得ない。いろんな制約がございまして、それを何とかして縮めるにはどうしたらいいか、また、縮めたとしてもどの程度短縮が可能かということもやっております。そうすればやはりさかのぼってということも、また調査時期をいつにきめるか、また、勧告時期など、考慮すべき点がいろいろございまして、いつの時期に勧告すれば公務員諸君に有利だとか、あるいはいつなら不利だとかいうように、いろいろ苦慮しております。現在の勧告制度もそうその初めからおかしな形でもない。と申しますのは、御承知のように、来年度の、新年度の予算の各省の予定経費の要求書の提出締め切りというのが八月三十日になっております。それから見ると、ほどよいところになっているのではないか。それから補正予算の関係なども早目にやっておけば財源の確保もできるのじゃないかという、これも一つの長所でございまして、率直に申し上げましていろいろ苦慮いたしております、ということでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 冒頭に申し上げましたように、やはり機構なり制度なり、そういう問題も基因してきているのではなかろうか。いわゆる調査期日の問題とか、あるいはそれに対するところの人員の確保、あるいは予算の確保、こういう問題も人事院みずからの中においての不備な点もあるのではないか、こういう気持もするので、先ほど機構の問題も聞いたわけでありますが、しかし、民間との比較を、民間との是正という問題も大きな重点的な考え方としてあるならば、やはり五月実施というのは、完全に実施されるならば、これは人事院の考えているとおりになってくると思う。しかしながら、これが事実八月に勧告せられて、政府は常にこれが年末なりあるいは十月だということになってくると、もうそろそろ一年おくれになってくるのですね、こういうことを毎年繰り返しておることが、決してやはりいま言う人事院の勧告を尊重するといいながら、できない要素を政府自体が持っておるし、あるいはそういう人事院自体の勧告の時期、こういう問題も将来検討する必要があるのではないか、こういう気持もするわけです。したがって、政府のほうといたしましては、この問題につきましては、先ほど給与担当大臣が本年度はそういう事態でやむを得ない。しかしながら、次期には必ず人事院の勧告は完全実施をするのだという、強い決意を給与担当大臣から表明されておりますが、これを再び念を押して、私は質問を終わりたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど申し上げたるごとく、あくまで完全実施に努力をいたしたいと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 だいぶおそくなりましたので、公務員制度担当大臣、あすはどうもこの委員会に来られるのに、なかなか苦労なさっておる。そこで、きょうは最後に労働大臣に伺っておきたいわけですが、いま向井委員も種々実施時期の問題について質問されたわです。午前中は伊藤委員が質問したわけですが、私もまたというようなわけで、その意味では入れかわり立ちかわり実施の時期が、きょうは問題になっているわけですけれども、この問題について、先ほど大臣は、今年はこうだけれども、来年はこれは例にならないのだというようなお話ですが、どうもそういうことで、私どものほうとしては期待を裏切られるわけです。どうも何ですね、公務員の給与の実情というものを、どうも閣僚御承知ないのじゃないかと思うのですが、実質ゼロですよ。十月から実施するといえば、実施したところでも実質成長率はマイナス三ぐらいですね。こういう中で幾らかでもやってやりたいという、そう気のある閣僚が、大橋大臣以外にないのは、どうも情けないですね。また、与党である自民党にも、そういう考え方がないのはどうも情けない話だと思うのですね。四回続いておるのですよ、四年間。どうも私は大臣、去年も大臣やられたわけだが、今年も大臣やられて、去年のとおりでございましたというのは、何ともこれ腹に据えかねるわけです。これは勧告は内閣に行なわれますと同時に、国会に行なわれておる。同時に国会に行なわれておるわけです。国会のこの問題についての取り扱いについて、私種々足りない面があると思っております。法律は法律でありますけれども、政府に出すと同時に国会に出ている。したがって、国会ではこうなったら、四回も続いて、こうやられたのでは私ども参議院としては、この問題については何らかの自主的な判断をしなければならぬのではないかという私は気がするわけです。与党自民党の方々とも御相談をぜひ申し上げ、これはどうも国会に勧告を受けているのだけれども、国会はこの点について、自主性については欠ける点があると思いますし、何とかこの点について、何らかのやはり自主的な判断をする必要がある、こう思っておりますがね、で、ただ大臣にお尋ねをしたいのは、これは衆議院でも同じだったろうと思うんですが、あるいは予算委員会でも同じだろうと思います、本院のですね。きょうはその点に焦点があるようですけれども、何らかのこれは措置がはかられてしかるべきじゃないかと思うんですがね、本年においても。いかがでございましょうか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) あらたまって政府の意向をお尋ねいただくということに相なりますと、政府といたしましても、先ほど来申し上げるごとく、人事院勧告の完全実施につきまして、百方努力をいたしたのでございます。結局そのような提案をいたしたわけでございます。この段階におきましては、この提案を基礎として御審議をお進めいただきたいと存じます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 さっぱりですね。まあきょうはひとつこの程度で終わりたいと思いますが、どうも大臣、昨年も同じようなことをおっしゃって、ことしも同じようなことをおっしゃるものですから、私は給与担当、公務員制度担当大臣を続いてやられた方は大橋さんが初めてなんですよ。だものですから、去年はああいうふうに努力されて十月になったが、ことしは何らかの前進があるというふうに期待するのはあたりまえだと思うのです。それをことしもこういう形になっておるということは、はなはだ私了解に苦しむわけですね、大臣は勧告が出ました直後にテレビに出られて、五月からやるという御答弁なさったそうですよ、公務員の人たち喜んでおりましたが、大橋大臣が五月から実施するということを言われたのだから大丈夫だろう、いや、それはとてもそうはいかぬぞ。しかし、大橋大臣は実力者だろう、それは実力者に間違いないです。そう信じているのです。そういうでたらめは言わぬようにしてもらいたい。慎重に発言してもらわなければ、期待をし過ぎちゃって、大橋大臣が言われたのだから五月だ五月だ、こう言っているのです。たぶらかすにもほどがあると思うのですが、しかしながら、きょうはこの点について、いろいろ根掘り葉掘りあらゆる角度からいたしたわけですが、きょうはひとつこの程度で終わりたいと思います。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会    ————・————

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