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45回国会衆議院1963/12/17

法務委員会 第4号

発言数
412
登壇者
30
会派数
3
開催日
1963/12/17

会議録

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより会議を開きます。  閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、国内治安及び人権擁護に関する件、以上の各件につきましては、閉会中もなお審査を行なうこととし、その旨議長に申し出たいと存じます。これに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議ないものと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 この際、御報告申し上げます。  本委員会に参考送付されております陳情書は、青少年の非行化防止に関する陳情書及び外国人登録事務委託費増額に関する陳情書の二件であります。この際御報告いたしておきます。      ————◇—————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。安藤覺君。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 私は根が坊主なものですから、お経の文句なら多少の心得がありますが、法律のほうはあまり専門でございませんので、法律用語等について、あるいは失笑を買うような場面があるかもしれませんが、それはしろうとと、ひとつお聞き流し願って、よき解釈をお与えいただいて、お答えを願いたいと思うのであります。  まず、検察庁にお尋ねいたしたいのでありますが、私がお尋ねしようとする事件の発生は、昭和三十八年十月十九日に大体表に出た事件でございまして、場所は相模原市の新磯野地区、旧陸軍練兵場あとの農地の問題であります。これは詐欺というか、詐取というか、あるいは知能的奪取というか、略奪というか、どういうことばを当てればよいのかわかりませんが、この旧練兵場あとの六十万坪、それに関係する地主が五百五十六人と一応この書類には書いてあります。後にさらに質問に従ってその書類が間違っておる書類であることを指摘しますとともに、正しい土地の坪数と所有者の人数を明瞭にいたします。ただ、この場合、この六十万坪の土地は相模原市上磯部地区、下磯部地区、勝坂地区、新戸地区、国立病院前向出口地区、座間町地区、上鶴間地区、この七地区にわたっておるのであります。この五百五十六名の農民の所有する六十が坪の土地が、この農民たちが全く知らぬ間に人の手に渡っておったという奇っ怪なる事実であります。  そこで私はお尋ねしたいのですが、甲と乙とがありまして、乙が地主であって、甲と乙とは全く面識がない。話したこともない。乙は代理人を頼んで甲に土地を売ろうとか、あるいは売るまいとか話したこともない。ところが、全く知らぬ間にこれが甲の買った土地として仮登記されている。こういう事件はどういう名前がついておるのですか、法律的専門語で言いますと。まずちょっとそれを承りたい。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀政府委員 本件の場合は、ただいま御質問になりました事件は、裁判所の仮登記、裁判所の処分命令によりまして仮登記されております。仮登記仮処分ということに相なります。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 それでは、私のお尋ねのしかたがまずいのでありましょう。それでは、それはその点でとどめておきます。  そこで、検察庁にお願いいたすわけですが、この事件については、農民たちが驚愕、ろうばい、中には発狂状態に入った人もあります。また、たとえばその土地を担保に入れて金を借りておったところが、他人の名義で仮登記がされておったというので、担保物件の価値がないだろうということから、急に借金の返済方を迫られて非常に困っておる人もあります。等々、いろいろな農民の間に容易ならぬ法律への不信、国家警察、裁判関係機関への不信、こうした空気を盛り上がらせたのみならず、農民それ自身がこの農地をみずからのものとして確認するためには、さらにより多くの訴訟費用を必要とする。その訴訟費用が捻出できないというようなことから、ノイローゼになり、自来土地につきっ切りというような者までもできてきております。しかるところ、農民の代表の間から警察に対してこの被害事情を訴えて捜査をお願いいたしております。その後、県警におかれても非常な御努力をくださって、今朝の新聞を見ますると、いよいよ態度を明確にされてきたようであります。その今日までの御努力については感謝しますけれども、十月十九日の発生事件が、これだけの明瞭な事件が今日まで、ここまで踏み切っていただけなかったということが、いかにも残念でありますが、それはいずれにしましても今日踏み切っていただけたことはけっこうであります。  ついては、今朝の新聞にも出てはおりますけれども、警察当局の皆さまからこの国会を通してひとつ今日までお調べになった事態を明瞭にしていただきたい。お願いいたします。

関根広文警視長(警察庁刑事局捜査第二課長)

○関根説明員 警察庁の捜査二課長の関根であります。ただいまお話しの点につきまして、現在までの捜査状況と、今後における捜査の進め方について申し上げたいと思います。  本件は、ただいまお話がございましたように、十月の初旬ごろに神奈川県相模原市新磯野所在の地主の方々が数名、小田急電鉄株式会社に自分の土地を売買しようということで契約をしましたところ、小田急電鉄株式会社において調査をしたところ、すでにその土地は東京都大田区北千束所在の日本地所造成株式会社代表者小沢専七郎氏名義に仮登記がなされておるということが判明したのであります。神奈川県警察におきましては、ただいまお話がございましたように、十月の下旬ころにこのことを聞知したのでございまして、それ以後土地の売買をめぐって不正事犯があるのではないかということで聞き込み、内偵を行ないまして、現在までに次のようなことがわかりました。  それは、昭和三十五年の十二月八日ごろに相模原市新磯野所在の約六十万坪の農地を、地主五百五十六名名義の土地売買契約についての委任状によりまして、相模原市上鶴間財団法人住宅援護協会代表理事正木造酒蔵が、この日本地所造成株式会社代表者小沢専七郎との間に売買契約がなされ、その後本年の九月八日に小沢専七郎名義で仮登記がなされたということが判明したのであります。この正木造酒蔵に対する農地町有者名義の売買委任状をあるいは偽造しているのではないか、これを行使した私文書偽造並びに行使事件の容疑が非常に濃厚となりましたので、現在までにこの容疑によりまして、ただいまお話のございました関係の個所三ヵ所を捜索いたしまして、ただいま事件の究明に努力しておるところであります。今後におきましても、押収書類あるいは関係者の取り調べ等によりまして、事案の真相究明に鋭意努力したいというふうに考えておるのでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 この正木に対しては、逮捕状は出しておられますか、出しておられませんか。

関根広文警視長(警察庁刑事局捜査第二課長)

○関根説明員 現在のところ正木は病気のようでございますが、逮捕状をとっておるという事実はございません。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 それでは、これは民事局長さんにお尋ねするのが一番いいと思いますが、民事局長さんには、この間も陳情に参りまして、いろいろとお伺いもいたしてまいったの、でありますが、一体こうした詐欺というか詐取というか、何という名前になるのか、いまのところは、裁判が確定しておらぬわけですから、名前のつけようがないのかもしれないが、容疑ということばをつければつけられると思いますが、いずれにしてもこの種の事件が土地ブームに乗って全国に相当頻発しておるやに聞くのでありますが、この数はよほど多くなっております。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 ただいまお話しのように、世間で地面師というようなことをいっておりますが、地面師が、第三者の土地をかってに売ったということにして登記をしたという事例がたまに報告されてくるのでございます。それほど多くはないと思いますけれども、たまにそういう事件が発生しておるようでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 それでは民事局長さん、まことにお気の毒ですが、きょうは資料をお持ちにならぬかと思いますので、きょうでなくてもよろしゅうございますが、昭和三十五年ごろ以降からのこの種の事件の件数をひとつお調べになって、後刻書類ででもお示しをいただきたい。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 これは私どもの登記所といたしましては、直接この種の事件は判明いたしませんで、たとえば訴証事件になりますとか、虚偽の登記であるということで、登記の抹消の請求を裁判所に起こされ、あるいは刑事事件というようなことで問題になってわかるのでございまして、登記所としては、そういう事件が一体どれだけあったかということの調査はきわめて困難でございます。そういう統計もございませんので、ちょっと御要望に応じることができないかと思うのでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 それでは民事局のほうの所管でないとすれば、これは法務省のほうに所管があるでしょう。法務省のほうでひとつお知らせを願いたい。と申し上げるのは、この事件を扱われた井之場という判事補の方が——たまたま農民が事態の真相を知ると、驚愕のあまり、ちょっと見当違いのところへ行ったかと思いますが、農民としては当然なことでしょう。行って井野場判事補にお目にかかったとき、言っておられることばがある。また週刊朝日の記者に対しても言っておられる。この種の事件は数少ないことじゃない、ざらにある、そういうことを言っておられる。数少ないことじゃない、ざらにあるということになると、これは実に、後に論じましょうけれども、たいへんなことだと思うのであります。そこで一応この統計をひとつ私は見せていただきたい、かように思うのであります。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 この種の事件が非常に多いか少ないかということは、私もつかんでおりません。法務省で集めております統計の中に、こういう罪名をもって報告することになっておりませんので、何年何件、何年何件という数字をお示しすることはできないのでございますが、東京都内に発生いたしました地面師のかなり大きな事件が過去において数件ありまして、これは私も特別事件として報告を受けておりますので、承知しておりますが、そういう特殊なケースとしてでございますとわかるのでございますが、もし全国的にこの種の地面師事件が昭和三十五年に何件あったかということになとますと、特別にそういう目的で調査をして数字をかき集めませんと統計にならないと思うのでございますが、時間の御猶予をいただきますならば、そういうことで調査をしてみたいと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 この私の申し上げていることは、事件の大小、面積の広いとか、あるいは地主の数が多いとか少いとか、あるいはその土地が高い土地であったとか安い土地であったとかということにかかわりありません。すべてのことについて、時間がかかってもよろしゅうございますからお教えを願いたい、こう思うわけでございます。  そこで、次にお尋ねしたいのは、この事件が発生するにあたっての登記所といいますか、裁判所といいますかでとった処置については手落ちはありませんでしょうか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 先ほどもちょっと申し上げましたように、この事件につきましては仮登記がなされておるわけでございます。日本地所造成株式会社のために仮登記がされておるわけでございますが、仮登記は、この登記権利者が登記義務者の承諾を得て申請をしてくる場合、裁判所の仮登記仮処分命令という裁判を登記権利者がもらいまして申請をしてくる場合と二通りの方法があるのでございますが、本件におきましては、裁判所の仮登記仮処分命令が出ておりまして、その裁判をつけまして仮登記の申請があって、登記所がこれを受け付けまして登記をしたというケースでございます。登記所のほうを一応調査いたしましたところ、先ほどもちょっと警察庁のほうから御説明があったようでございますが、本件につきましては、大体地主の数が四百人でございます。登記の件数にいたしまして約四百件、大体地主の数に相応するわけでございまして、それから不動産の土地の価数、筆数にいたしまして約千百筆くらいにつきましてこの仮処分命令が出まして、それに基づいて仮登記をしたということになっております。登記所のほうの措置としましては、現在まで調査いたしましたところ、別段落ち度はないようでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 その点について私ちょっと不思議に思うのですけれども、会社の提出した書類によりますれば、当該地主五百五十六人、六十万坪あるそうです。そして現実にはただいま局長のおっしゃったように地主四百二十一名、農地は三十五万三千七百二十四坪、書類と現実とずいぶん坪数も人間の数も違うんじゃありませんか。さらにまた、しさいに点検しますと、この人の代理行為を引き受けましたといって申請した、この人というその人の名前が、全然相模原市内に居住もしなければ籍もない、一体この世の中にそういう人があるのかないのかわからぬ人が数人おるし、またしいて好意を持って見て、これは名前が違ったのかな、姓が違っておるが名のほうが同じだからとか、あるいは姓は同じであるが名が違っているが、というようなことで、出ている名前を合わせると十数名に及ぶという。そうすると、これはどうも正しく整えられた書類とは思えないのですけれども、その辺のところはどういうものなんでしょう。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 私、ただいま概数を申し上げましたが、実際登記所のほうで受理いたしまして登記をした事件の件数は三百九十件でございます。それから不動産の筆数が千九十四件でございます。それからそのほかに、登記の申請があったけれども、書類に不備があったというので申請人のほうで取り下げた件数が七十五件ございます。これは不動産の筆数にしまして二百九十九筆ございます。おそらくこれが地面と登記簿とが合わないというようなことで、ただいま仰せのように住所が違うとか名前が違うとかいうようなことで、登記ができないで取り下げた事件ではないかと思います。実際登記所が受理をいたしまして登記をした不動産の個数は千九十四件でございます。ただ面積のほうまでは合算をいたして計算をいたしておりません関係で、これはわかりかねます。調査すればわかりますけれども。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 そういたしますと、その不動産登記法とやらいう法律の第三十二条仮登記の申請、及び第三十五条に五項目書き並べてある。あの申請書の書類は、全く事実と相違したうそのものであっても、文字が違っておらず、順序が違っておらずすれば、それでよろしいのでしょうか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 不動滝登記法の建前といたしましては、申請書に記載すべき事項、それから申請書に添付すべき書面が詳細に規定してございます。それが完備しておりますれば登記を受け付けて登記しなくてはならぬという建前になっております。はたしてその書面に記載されておることが真実であるかどうかということまでの調査はしてはならないという建前になっておるわけでございます。でありますから、申請がありますと、たとえば売買をしたということで所有権の移転登記の申請がありますと、書類上整っておりますれば、はたして実際の売買がなされたのかどうか、その売買は有効なのかどうかということまでは立ち入って調査をしないのでございます。もっとも虚偽の登記をできるだけ防止いたしますために、所有者の印鑑証明をつけさせるとかいろいろな手は講じておりますけれども、そういう書類が完備しております以上は、実質がどうなのかということまでの調査はしないというのが、不動産登記法の建前なのでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 ちょっと局長、いま最初に言われた言葉の、調査をしてはならないということが規定してあるのですか。それはどういう法律の第何条にあるのですか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 これは不動産登記法第四十九条という規定がございまして、次の場合には登記の申請を却下しろという規定があるわけでございます。どういう場合に却下するかということが列挙してあるわけでございまして、申請書の不備であるとか、あるいは申請書に添付すべき添付書類がついてないとかいう工合に書かれております。その中には申請の内容が虚偽であるというようなことはない、事実に反するときというのはないようでございます。そんなことから、そういう実質を審査する、証拠調べをして、はたして事実であるかどうかということを調査するということはしてはならないということが、趣旨として出てくるわけでございます。調査してはならないという明文はございませんけれども、四十九条の解釈といたしましてそういうことになるわけでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 そういう場合、印鑑証明は求めてはならないという解釈の条文でもありますか。それとも印鑑証明を要求することは慣習上しないほうがいいのだという考え方で要求をしておられないのですか。その点はどうなんですか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 普通の場合、印鑑証明書は添付書面として必ずつけなくてはならぬことになっております。ただ裁判所の仮登記仮処分命令に基づきまして登記をする場合は印鑑証明は要りません。印鑑証明にかわると申しますか、そういうものがなくても、裁判所の命令があるので、これで一応真実が担保されておるということで登記をするわけでございます。その場合は印鑑証明書というものは必要ではない。土地所有者の印鑑証明は必要でございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 登記所は裁判所の命令によって動くのですから、いいでしょうが、裁判所がそれを受理して、整っているかどうかを調べるときにはだれがやるのですか。登記所がやるのですか、裁判所がやるのですか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 裁判所のほうは、裁判所のほうで独自の調査をされることになるわけでございます。登記所は、裁判所で調べられる限りにおきましては全然関係ございません。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 ただいままでの御答弁を承っておると、この日本地所造成会社等が行なっている行為というものは、国家の保護のもとに堂々とこうした事件を起こせることになるわけですね。農民はそう言っておるでしょう。私も法律がわからぬからそういうふうに解釈するのです。のみならず、さらに話を進めれば、これに対して農民側からすぐ訴えを起こしておるにかかわらず、登記所は一方の権利譲渡の登記を受け付けているから、これは受け付けるわけにいかぬといって押えておいて、第三者に売らしているのですね。これは農民たちにとってみると——農民ばかりではない、国民全体から見て、直接この問題にぶつかった者はそう思うでしょう。裁判所、登記所、悪人、この三つのものがぐるになっておれたちの土地を奪おうとしていると考えるのは当然でありましょう。これは法のどこかに欠陥がありはしませんか。どうでしょうか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 登記所のほうにつきましては、先ほども申し上げましたように、いままで調査しましたところでは別段間違った措置はとっていないようでございます。土地所有者のほうから登記の申請があったのに、それは受け付けないで、土地造成会社ですか、こちらのほうの登記を受け付けたという話でございますが、登記所としてはそういうことをするはずはございません。登記は順位というのがございまして、いわば先着順なのでございます。順位を非常に重んじます。順位に従いませんと、権利関係が非常に混乱をいたしますので、順位に従って登記をするというだけでございます。あるいは外部の方にはそう見えるかもしれませんが、仰せのような間違いは、私どもの調査いたしました範囲ではいたしておりませんから、その点は御心配要らないかと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 私は登記所、裁判所、これが正しく法律を守ってやっておられることについて疑いを持たない。あなたの御説明を承るまでもない。私は、日本においてただ一つ信用すべきものは裁判官と坊主だ、こう思っていますから、全く疑っておりません。しかし、結果においては、事実はそういうことになっておるでしょう。現実になっているでしょう。それについても、まだこれからいよいよ検察庁が起訴して、裁判が進行して、小沢とか正木にはっきりと私文書偽造、印鑑偽造であったという判決を下さなければ、それは何とも言えないでしょうが、あなたのお立場として、人間としてあなたがお考えになったとき、どうお思いになりますか。結果はそうなっておるじゃありませんか。そこでそのよって来たる原因はどこにあるか。法の盲点とか法の欠陥、そういうものがあるのじゃありませんか。あるいは解釈を変えなければいかぬものがありはしませんか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 ただいまの仰せ非常にごもっともでございまして、先ほども申し上げましたように、これは地面の事件、印鑑証明書を偽造する、あるいは登記済み証を偽造いたしまして、とにかく見ましたところ一応書数が完備しておるわけでございます。そういう完備した書類を登記所に出しますと、登記所としては、先ほども申し上げましたように、はたしてそれが真実かいなかということを調査いたしませんものですから、登記を受け付けて登記をしてしまうわけであります。ところが、ほんとうの所有者はそういうことは全然知らない。何かの機会に登記書を見て、自分の土地が人に売られてしまっているという事件があるのでございます。これは刑事事件にもなり、あるいは民事事件にもなるわけでございますが、そういう事件を見ますと、土地所有者の方は非常に気の毒なのでございまして、これは結局虚偽の登記でございますので、登記を消してもらうことはできますが、そのためには裁判所に訴えて、訴えを起こす。そして勝訴の判決はもらえますけれども、時間がかかりますし、費用もかかり、非常にお気の毒だと私どもも思うわけでございます。そういう関係で、私のほうでもできるだけそういう事件の発生を防止したいということで、たとえば登記官にもよく注意しまして、印鑑証明書なども注意して見るように、よく例がございますのは、印鑑証明書の人の名前のところをインク消しで消しまして、ほかの名前を書き込んでみたり、あるいは住所を改ざんしたりというような例がときたまやはりあるのでございます。そういう事件を十分注意して発見するようにというようなことで、私どものほうとしても、できる限りの措置はいたしております。仰せのとおり、そういう被害にかかられた人は非常にお気の毒だと思いますが、間間やはりそういう事件が発生いたしまして、私ども非常に遺憾に思っている次第でございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 局長さん、あなたはちょっと問題点を意識してずらかしておられるか、それほど悪意はお持ちにならぬでしょうから、混同しておられるか、あなたは仮登記には印鑑証明は必要としないと言われたでしょう。ところが、いまできるだけ登記所に印鑑証明を吟味するようにとおっしゃっている。本登記のときには印鑑証明が必要でしょう。だが、仮登記のときには印鑑証明を必要としないと言っているじゃないですか。そうすれば印鑑証明を吟味するという必要はないでしょう。初めから必要としない、要らないのだから、そこがおかしいじゃないか。ですから、私のいま問題にしているのは仮登記の場合ですよ。ずっと初めからこの段階に至るまで、この点についてはっきり説明してください。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 私、いまの印鑑証明書のことを申し上げましたが、これは一般の地面事件の例で申し上げておるのでございますが、先ほども申し上げましたように、仮登記は相手方の承諾を得て申請する、この場合は相手方の印鑑証明書が要ります。ところが、本件の場合は裁判所の仮処分命令に基づく仮登記でございます。この場合は登記の内容の申請は、実は裁判所の裁判でほとんど担保されているということになりますので、裁判所の命令に基づいて登記する場合には、印鑑証明書は要らぬのでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 わかりました。そうなりますと、私の尋ねているのは、あなたの管轄下ではないのですね。裁判所は仮登記仮処分を受け付けて、そしてその命令を出したわけですね。そうすると裁判所は、そのときに印鑑証明なりあるいは事実調査なりする必要がないのかあるのか。それは一体だれが所管しておられるのか。あなたがしておられるのか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 私です。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 それならば、その点を明確にしてください。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 これは法律の規定によりますと、裁判所が調査しまして、そうしてこの命令を出すことになるわけでございます。裁判所もただいいかげんに、そういう仮登記仮処分命令を出してくれ、そういう申請があるからといって、簡単に出すわけではありません。当事者は必ず事実関係を疎明いたしまして、裁判所は事実を調べまして、一応これで間違いがないということで命令を出すことになるわけでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 そうなりますと、しろうとの安藤覺のほうが何か法律のほんとうのことを知っていることになりはしませんか。裁判所が調査する必要があるというのでしょう、そうすると、調査しておられないじゃないですか。調査しておられないから、六十万坪といったような坪数が事実は三十五万三千七百二十四坪であり、農民、地主が五百五十六人といったところのものが四百二十一名であったというふうに、数字の違いが大き過ぎますよ。それは百人のうち二人とか三人とか違っておったというなら、私は一々目くじら立てて裁判所がけしからぬとは言いません。それもけしからぬことは事実なんですけれども、それほどには言いませんが、あまりに数が違い過ぎるではありませんか。それで裁判所の手落ちがなかったとは、きょうここにおいでになる方々お一人も承認なされないだろうと思うな。どうも与党の代議士として言いにくいことだけれども、それはほんとうにはっきりしてもらいたい。おかしいですよ。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 これは裁判所でどういう調査をされましたか、裁判所にはどういう書面なり証拠書類が提出されたかということは、私ども全然わからぬのでございますが、いまの人が違っておるとか何とかいう問題は、おそらく申請人のほうでこういう人が所有者であるということで裁判所に申し立てておるはずでございます。それを裏づけるような資料も、これはおそらく裁判所に提出されておるだろうと思うのでございますが、ただそれが登記簿の記載と合うかどうかということは、これは登記簿と対照してみなければなりませんので、あるいは申請人のほうでは全部の土地の登記簿の謄本というものを裁判所に出してなかったのかもしれぬということは、これは考えられるのでございます。ですから裁判所のほうで、これが所有者だといって裁判の中で表示されているのか、あるいは若干違ったということはこれはあり得ることと思うのでございますが、それは必ずしも裁判所の調査が粗漏であるということには、私常識的に考えまして、ならぬだろうと思うのでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 そうすると、ただいまの局長のお話を聞いておると、その裁判所のほうの調査あるいは書類等について不備であったか、あるいは正しかったか、調査が全然行なわれなかったか、あるいは行なわれても粗漏であったか、こういった点についてこれを報告をとられる権限は、あなたにはないのですね。これは最高裁の寺田さんのほうですか。どこですか。そういう点について、私、まことに不明なんですが。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 それは法務省としてはそういうことはできませんし、最高裁判所の——これはよけいなことでございますが、最高裁判所のほうでも、はたしてそういうことについて、どういうふうになりますか、それも私のほうで申し上げる限りではないと思いますけれども、たとえばそれについて上訴があるとか、抗告の申し出があるとかいうことで上級裁判所が審査するということなら、これは訴訟法によりましてそういうことがあり得るわけでありますが、最高裁判所といえども調査をされるということがはたしてできるかどうか、ちょっとこれは私疑問に思うのでございます。ただ、この点は最高裁判所のほうでお答えいただいたほうが適当だと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 議事運営上困るのだが、もっと明確にお答えになったらどうですか。安藤君の質問というものははっきりしておるのです。そういうふうにのらりくらりとやられては困る。審査事務のほうはどこの所管なんですか。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 これは最高裁判所の所管であると思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 暫時休憩いたします。    午前十一時二十四分休憩      ————◇—————    午前十一時二十五分開議

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 それでは開会いたします。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 議事進行について。  実は社会党側から人権の問題その他の問題で五人ほど質問者が出ております。二時から本会議が開かれる。ところが、法務大臣はなおいま参議院で質問を受けている。その質問している人は与党の諸君ばかりなんです。予算の通過等についても社会党は協力したし、国会の運営については、池田総理みずからが与党の責任をよく痛感して、できる限りスムーズにやろうということを言っているわけです。幸いそこに天埜政務次官もおられるが、私は衆議院の質問時間はおのずから限界がありますから、直ちに委員長の名におにいて法務大臣にこちらに出席するように強く要求してもらいたい、こう思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 承知しました。  ちょっと速記をとめてくれたまえ。  〔速記中止〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 会議を続行いたします。  安藤さん、もう少し平賀さんが答弁するそうですから、皆さんどうぞお聞きとり願います。

平賀健太検事(民事局長)

○平賀説明員 ただいま調査権のことについてお伺いになったわけでございますが、私ども法務省といたしましては、法務省の管下の機関でございます登記所がいかなる規定によって本件の仮登記をしたかということの調査は、これは私のほうでできます。現に一応の調査をいたしまして、先ほど御答弁を申し上げたのでございます。ただ、裁判所がいかなる処置をおとりになったかということは、私どもとしては調査する権限はございません。こういう裁判があったということだけは、登記の申請書について出ておりますのでわかりますけれども、裁判所でおやりになったことは、私どもとしては調査する方法がございません。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 ここで、私は裁判権の独立がどういう範囲のものであり、どういうところにまで及んでいるのか、また、当法務委員会の権限がどこまで手が伸ばせるかわかりませんけれども、この事態は決しておろそかにできない事態である。現に直接損害の上からいきましても、一応申し上げますと、この仮登記を解かせるために裁判を起こしますその裁判にかかる費用が、土地評価証明、土地登記謄本代、千四百十七筆ですが、一筆当たり四枚、一枚二百円、この総額が百十三万四千円ですよ。しかもさらに、これについては会議費とか、旅費とか、用紙の代とか、あるいは弁護士の謝礼とか、そういったものをすべて除いて、直接に要るものがこれだけかかるのです。これは反当にしてみますと一万五千円ずつかかる。このごろの農民にとっていかに苦痛な金額であるかということが御想像できましょう。そして、これから弁護士の費用だとか、あるいは弁護士の旅費だとか、自分たちの旅費だとかいうようなことになってくると、ばく大な金になりますよ。のみならず、ただいままで局長の答弁をずっと聞いておりますと、小沢のようなところはかってほうだいに、やりほうだいですよ。まだこれは裁判所でどういう調査をしたかどうか具体的に聞いておりませんからわかりませんけれども、いままでのあなたの明らかにされたことでは、悪いことをせぬやつは損ですよ。最後に仮登記が解かれてしまって、もとへ戻されてしまうじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、ここに一つの問題が起きる。農民たちはこの反当たり一万五千円の費用が出し切れない。そこへ土地造成会社のほうから誘いの手をかけてくるのです。あれは坪四千円で売買することになっておったな、そういう契約だったな、君たちがこのままおれに売る新たなる契約書をつくってくれるならば、おれは坪六千円で買うぞ。それは買うわけですよ。この辺の土地はいま坪二万円、三万円しているのですから。いやおうなしに強制的に、お前方その費用の負担ができまい、しかもそれはここ半年や一年で解決つかないよ、行政訴訟だから時間がかかるよ、長い場合には三十年、五十年、半世紀かかるよ。しかもおれのほうでは、このうちの何百筆かはすでに第三者に転売しているよ。第三者に転売すると、そのときに代理人が表見とかなんとかいう権利を、確かに代理人としてのあれが持っているということであり、あるいは文書がごまかされておっても、第三者の人が、ごまかされているのだ、偽造なんだということに気がつかないで買った場合においては、地主たちはその第三者に対抗することができないとかいう法律があるのだそうですね。そういうことになってくると、次から次へ、三人、四人転売されたら、一世紀かかっても、二世紀かかっても、いまの日本の裁判の進行状態においてはもとへ戻ってきませせよ。これは常任委員の諸先生方、ほんとうにしっかりとやっていただきたいと思います。  そこで端的に私が要求するのは、確かに裁判所のほうのことは知らぬが、仮登記の場合には、これだけの大きい土地、これだけの大きい筆数、これだけの大きい地主、しかもその契約内容というものを見ると、まあ登記所では契約内容は見ないかもしれませんけれども、あまりにもでたらめな契約内容ですよ。ここでもって百分の二だけ払っておいて、十五年後に百分の八を払うとか、二十年後に百分の八十を払うとかいうような契約でしょう。だれでも気がつくような問題でしょう。それすらも素通りさしてしまうような法律の欠陥ですよ。だから私は、端的に、この仮登記については今後において何らかの方法で、少なくともはっと気がつく程度の方法ででもいいから、これの真偽を見分けるだけのあれを持つ必要がある。そのためには仮登記の場合でも、百通の筆数であったならば、そのうちの十通や十五通は印鑑証明を出す必要があるという法規にかえる必要がある。天埜さん、あなたにひとつ尋ねる。こういう点についてあなたは法改正をするお覚悟はないかどうか。また、あなた自身いまにわかにお答えが困難ならば、私のきょうのこのいきさつを全部賀屋法務大臣に伝えられて、そうしてあなたからひとつ発議されるように法務大臣にお伝え願いたい。

天埜良吉自由民主党法務政務次官

○天埜政府委員 お話の点は十分よく検討しまして、なお、お話の点もよく法務大臣にも伝えまして、十分検討いたしたいと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 ぜひお願いいたします。天埜政務次官からまことに明快な、しかも決断に富んだ御答弁をいただいて、私は満足であります。これはぜひ実現せられることが必要です。  同時に、もう一つ私はお尋ねしたいのですが、寺田さん、お見えになっていらっしゃいますね。——寺田さん、あなたにお尋ねしたいのですが、憲法第七十六条第三項によりますれば、裁判官はすべて、その良心に従って独立してその職務を行なうということが書いてありますが、その良心とは、通常われわれが言う良心と、この憲法の良心、裁判官が持たねばならぬ良心と、そう変わりはないのでしょうな。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねの点は、私ども特に違った意見を持っておりません。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 そこで、ばかにしたような質問を申し上げてあるいは御軽べついただくかもしれませんけれども、私は次のようなことを考える。まあ、あなたがおられて、いま裁判所のほうにおいての手続、調査ははたして正当にとられたのかどうか、それをお答え願えなかったし、また、私が、あなたさまが寺田さんだということを存じ上げなかったからあなたを指名してお尋ねすることができなかったが、あなたがきょう最高裁を代表して来ておいでになるならば、まずもって先ほどの、裁判所がはたして手続に対し調査をしたのかしなかったのか、したが、粗漏であったのか、あるいは調査をしないでもいいものなのか。これは裁判内容じゃないのだから、基本的原則ですからお教えをいただきたい。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 一般的な問題といたしましては、先ほど法務省民事局長からお答えがございましたように、仮登記仮処分の場合には、仮登記原因の疎明をしてその疎明を得た上で発令することになっておりますので、当該裁判所といたしましては、当然その点の一応の調査をしておることと存じます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 その調査をする必要があるのですね。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 疎明の限度で調査することになっております。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 そうすると、法三十二条並びに三十五条に示しておる五項目の形が整っておればよろしいのであって、そしてその場合、印鑑証明も必要としなければ、その印鑑が偽造でありや、それから代理人がほんとうにその代理を受けているものやは関知せざるところなんですね、どっちなんですか。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 仮登記をなし得る場合は、不動産登記法の二条に規定がございまして、先ほど来お話しの仮登記仮処分は、同法の三十三条の規定によるわけでございます。そうして、三十三条では、「仮登記原因ノ疎明アリタル場合」となっておりますので、すなわち、不動産登記法の二条の要件の、申請した疎明の限度でしておるわけでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 この問題は、私は、非常に重要な問題だと思いますので、理事会を開いていただいて、その理事会において、さらに取り扱い方について御協議願いたい。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 安藤君、いまそういう動議が出たが、ひとつこの問題は慎重にやりましょう。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 それでは委員長におまかせします。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 それでは暫時休憩いたします。  直ちに理事会を開きます。    午前十一時三十九分休憩      ————◇—————    午前十一時四十四分開議

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 開会いたします。  安藤君。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 他の委員諸君からも各般の問題について御質問もあるようで、時間を急ぎますから、私も質問を簡単にいたしますが、寺田さん、あなたがいま新たなる問題を提起されまして、不動産登記法の第二条仮登記の項についてもとをなして、そして三十二条、三十三条においてなした、こういうことを言われたのでありますが、これを拝見いたしましても、この中に仮登記の場合において裁判所はどうすべきであるということは書いてありませんね。現実にはどういうふうにしておられますか、それを聞かして下さい。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 登記法の三十三条に書いてございまして、「仮登記権利者ノ申請ニ因リ仮登記原因の疎明アリタル場合」ということで、すなわち、疎明という限度で審理をするわけでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 ちょっと私しろうとでわからないのですが、疎明とはどういう行動を言いますか。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 裁判所が審理いたします場合に、証明の場合と疎明の場合とございまして、証明と申しますのは裁判官が確信を得る程度に審理するわけでございます。それに対しまして疎明のほうは一応の心証を得る程度に審理をする、こういう普通訴訟法学者の解説になっております。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 そういたしますと、裁判所の慣例といたしましては、疎明の場合においては印鑑証明を要求するとか、あるいは当該地主を呼ぶとか、あるいは代理人を呼ぶとかして事実かいなかを確かめるということはしておらないのですか、しておるのですか。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 具体的の場合にはどの程度の処置をとるかということは、一がいにきまっておりませんが、ただ疎明は、訴訟法の規定によりまして即時に取り調べることができる証拠ということになっておりますので、通常の場合は書面審理のほうが多いわけでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 そうすると、印鑑証明なりあるいは本人の証言をとるなりすることは、裁判官の不当行為ではないのですか。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 不当行為ではございません。むしろ普通の場合には、まあ本人に直接出頭を求めることはないと思いますが、あるいはその関係人の陳述書というようなものを書面の形でとる場合が多いんじゃないかと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 わかりました。そこで私は次に、具体的な裁判官の態度についてお尋ねしたいのですが、これは横浜地方裁判所の民事部の井野場判事補が担当されたようであります。この判事補のおっしゃっていることば——たまたま農民代表が周章ろうばいいたしまして、裁判官に会ったら事態がわかるだろうからというので、裁判官のところへ陳情といいますか、あるいは事情聴取といいますか、お願いといいますか、どういうことばを使いましたか知りませんが、六、七名の農民代表が面会に参りましたところが、書記をして代理に面会させられた。書記のことばでも、相当に明確には答えられたのでありましょう。ところが、いまのいわゆる仮登記の第二条とか第三十二条とか節三十三条とか言われたところで、農民諸君御存じないから満足されやしない。そこでどうしても裁判官に会わにゃ、おれたちにはそういうことがわからないから、裁判官に会わしてくれと訴えた。裁判官は、会ったならば、さぞかしこまかくいろいろ説明してくれるであろう、こういうせつない者のわらをもつかむ気持ちで農民諸君は行ったでありましょう。ところが、井野場判事補がついに会われまして、農民代表に、ドアをあけて立ったままでいきなり言われることには、おれがとどめを刺してやる、とどめを刺しに来た、申請書類は完全で何ら処置に手落ちはない、文句があったら堂々と法廷で争ったらどうだとおっしゃった。これは裁判官とされまして普通に聞いてみると、そう間違ったことばではないかもしれません。人民どもが、百姓どもがというお気持ちもあったのでありましょう。しかし、ここに聞き捨てならぬことば、あなたの御答弁からいって、書類は完全であった、しかし書類だけが完全であるという前に、その書類が完全であるのか印鑑が完全な本物であるのか、何らの調査をしておられない。調査をするのが当然であるというあなたのお答えであるとするならば、この井野場裁判官の態度は、はなはだ裁判官として手落ちになっておる。この点いかがですか。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 私が先ほど申しましたのも、書面に基づいて調査すると申し上げた趣旨でございます。必要があれば他の調査方法をとることもございましょうが、通常は雪面に基づいて調査をするというふうにお答えしたつもりでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 それからさらに私は、それならば言う。人間ですからだれも誤りはありますよ。裁判官といえどもしょせんは人間です。神様の域には入っておりません。だから、それ自体をとがめようとはいたしませんが、私自身問題にしたいのは、その裁判官が書面以外のことに一つの重点を置いてこの書類を受け付けておられますね。というのは、この週刊朝日の記者に語られた井野場判事補のことばによりますと、「仮処分の申請は慣例から実情調査をしない。形式的でも書類がととのっていたので受理した。弁護士もしっかりした人だったので信用した。」ということを言っておられますね。この弁護士というのは、東京弁護士会の会長をしておられた方ですよ。名前はいまここにありませんから申しませんけれども、東京弁護士会の会長をしておったしっかりした人だったということに一つのあれを置いておられますね。このことばからいきますと、信用をおいて受け取っておられますね、通しておられますね。三田村君のような、あまり名が売れてなくても弁護士は弁護士ですよ。東京弁護士会の会長でも、法規を解釈し、手続を間違いなくとり、そして国民の権利を擁護するということにおいて変わりはない。もっとも犯罪を犯した弁護士は別ですよ。弁護士によって弁護士の評価を二、三にして書類を受け付けられるということならば、その余地があるならば、印鑑証明をとるくらい、あるいはこの書類が偽造であるかどうかということくらいやるべきではありませんか。裁判官の態度としていかがでしょう。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 具体的事件のことは何とも申し上げられませんが、一般的に申せば、慎重に調べるべきだと思います。先ほど裁判官のことばの中にあるというふうにおっしゃいました。私はそれを実はまだよく読んでおりませんので知りませんが、実情云々というのは現地を見なかったという趣旨ではないかと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 安藤君ちょっと待って、先ほどの理事会の結末で……。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 承知しました。そこで委員長、たいへんおせきになりますから、私も心ならずも質問を簡略にいたしてまいりますが、もう二、三点聞かしていただきたいと思います。  一体裁判所におかれては、この裁判官の人間修養について何らかの処置をおとりになるような機会があるのですか。またそういう機関があるのですか。全くの放任なんですか。いかがなんでしょう。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの修養ということばに合うかどうかわかりませんが、司法研修所でときどき裁判官の研修をいたしております。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 ときおり裁判官の研修をなさっておられるということでありますが、けっこうでありますが、ときおりでなしにたびたびやっていただきたいし、年じゅうやっていただきたい。裁判の独立という囲いの中に生きておられる裁判官が、ともすればその座にあぐらせられる心配があります。きょうのこの事件一つ見ても、ありありとそれが出ております。それは裁判官は釈明をしないのがたてまえであるか、あるいはそういった農民の陳情などに対して一々親切にものを言うのがたてまえでないのかもしれません。しかし、これだけの大きな事件に引っかかった農民たちがあわてふためいているときに、一体とどめを刺してやるというがごときことばを出されるとは何事でありますか。とどめを刺すというのは、びくりびくりしているから、最後にのど仏を通してぴしっととめてしまうということでしょう。これは逆に、いままでの経過によれば、逆に裁判官がとどめを刺さるべき立場に立っているんじゃありませんか。自分自身のあやまちを一つも認めないで、逆にとどめを刺してやるとは何事ですか。一葉落ちて天下の秋を知る、井野場さんのこの態度とこのことば、しかも東京弁護士会の会長であったという肩書きに屈して書類を受け取っておる。富貴に淫せず、威武に屈せず、堂々としてわが法を守るというのが、裁判官であっていただかなければならない。私はこれを今日まで信じてきた。また今後も信じたい。他の多くの方々はりっぱな方々ばかりであるかもしれない。しかし、お一人でもおられるということは、一葉落ちて天下の秋を知る、他に何十人の裁判官がかくのごとくあるとだれが言い切れるか。この点について特にひとつ最高裁においては御考慮を願いたいと思います。

寺田治郎判事(最高裁判所事務総局総務局長)

○寺田最高裁判所長官代理者 先ほどお読み上げになりました裁判官のことばが真実だといたしますれば、そういうことをそういう場合に話すということは穏当ではないように考えます。一般問題といたしましては、安藤委員の御指摘のとおり、裁判なり裁判官の独立が独善になってはいけないということを私ども常に申しておりまして、特に先ほど来問題になっております仮処分等は、手続も非常に急ぎますし、審理も申し上げましたようないわゆる疎明という形で行ないますために、ともすれば権利保護がかえって逆に権利を害することになりかねないという意味におきまして、日ごろ会同その他を催しまして、できる限り慎重に扱うように協議し、また話し合っておるわけでございます。将来とも、いまお話しの点をよく各庁に連絡いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員 最後に、ただいまの御答弁を承りまして私たいへん喜ぶものであります。どうかそうあってもらいたい。ただ、これは人を傷つける私の提起したことばでありますから、明確にいたしておきますが、とどめを刺してやるということばを述べられたのは、相模原新磯野地区の農民代表が参りまして、その中に市会議員の加藤昌栄という男が入っております。これらの人々の前で述べられたことばであります。また書類は全部整っておる。弁護士がりっぱな弁護士であったから受け取った。こういうことは数少なくない。ざらにあると言っておられるのは週刊朝日の記者に述べて、それが活字になってここにあるわけです。この点二つ分析してはっきり申し上げておきます。  以上たいへん貴重な時間を費やさしていただきまして、同僚の諸君ありがとうございました。(拍手)  どうか委員長におかれましても、ただいま質問応答の中に出てきたこの仮登記法なるものを放任しておきますと、かりそめに十五坪の土地でも、一万坪の土地でも、持っている人は、家ぐるみ取られてしまう場合があり得るわけです。しかし、それを取り返すにはばく大な費用と何十年もかからなければ取り返し得ぬ心配がありますから、どうか理事諸君とも御協議の上、何ぶんの御処置をおとりいただきたい。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 この際委員長から発言いたします。先ほど理事会の決定がございました。次のとおりであります。  本問題は国民生活に重大な関係を持つものでありますので、これが防止の方途についてすみやかに検討し、その要領を本委員会に報告相願いたい。  法務省に申し入れをすることに相なりましたから、御当局がその旨御了承の上で、できるだけ早く要領を委員会に御報告願いたいと思います。

青木義人検事(訟務局長)

○青木説明員 いまのお話しの件、しかと承りました。そのようにいたします。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 それでは次の質問者…。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 法務大臣がなお参議院の法務委員会で答弁をしておりまして、大体十二時には本委員会に出席をするという連絡がございましたので、間もなくやってくると思うのでございます。それで委員長にお願いしたいのは、間もなく法務大臣が来ると思いますけれども、なお質問者がたくさんございます。きょうは二時から本会議がございますが、ひとつ本会議終了後引き続き質疑を行ないたい、こういうように思いますので、よろしくお取り計らい願いたいと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 本会議は流会だそうですから、赤松君、坂本君がおやりになっておる場合でも、法務大臣がおいでになったらあなたに差しかえるという、理事会で御了解を得ておりますから、坂本君に発言を許します。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私は、大きく二つのことで質問したいと思います。一つは、いわゆる近江絹絲紡績株式会社の横領事件の告発問題について、はっきりその後の捜査の経過を承りたい。もう一つは、先般の機関車労働組合に対するところの公安官、警察当局の処置について、この二つについて質問したいと思います。  まず第一に、近江絹絲の横領の問題につきましては、刑事局長から告発の内容等の御報告を受けました。問題になりましたのは一億二千万円余の横領事件について、五千八百万の使途が明瞭になっていない。その点について被告発人の丹波氏らは、四十数名に政治献金をしている。四十数名の政治家を左右するから、こういう告発の問題は何でもない。こういうような意味のことを公式の席上で言っておる。そこで、このような発言をしている五千八百万円の行くえについて、もし政治献金をしているならば、これが正式のものであれば、政治資金規正法の届け出等々があるはずであります。また、聞くところによれば、相当多額の政治献金が特定の者になされておる、こういうようなことであるから、それについての捜査を至急に督励してもらって、その内容を明らかにしてもらいたい。さらに、この問題に関連しましては、いわゆるタコ配当の問題、あるいは脱税等の問題がありはしないかという容疑が十分でございますから、その件について、これは一営利会社の事件ではありますけれども、政治献金に五千八百万もやっておるというような問題がある。また、タコ配当の問題については、健全なる経理の確立について重要な関係がありますから、その点についての捜査を至急にやってもらいたい。こういうような要望をしておきましたから、その点の経過をお聞きしたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 ただいまお尋ねのございました近江絹絲紡績株式会社の事件につきましては、かねて当委員会におきましても重大な関心をお示しになっている案件でございまして、法務省といたしましては、大阪地検を督励いたしまして、すみやかに真相究明をしてもらうように指示をいたし、かつ、大阪地検におきましても、鋭意捜査を続けておるのでございます。  御承知のように、この事件につきましては、昨年の十月五日、近江絹絲株式会社の株主の境野清雄氏から当社の元取締役丹羽秀伯、西村貞蔵の両氏に対しまして業務上横領の告発がなされたのでございます。その捜査が進行していきます過程において、ただいま坂本委員のお耳にも入っておりますように、また、私どもも一部この委員会で御説明を申し上げましたように、仮払い金という名義で一部の金を持っておりまして、その金の使途が捜査の対象となったのでございますが、その使途いかんによりましては業務上横領になるわけでございまして、その究明に当たっておる次第でございます。その使途の中に政治献金があるではないか、政治家に対する政治献金、あるいは労働組合に対するいろいろな工作費、そういったようなものがあるではないかという、また、一部関係者がそういうことを述べておるようでございます。これは捜査をいたしております過程においては、その内容を証拠をもって明確にお答え申し上げるようなことにはなっていないようでございますが、検察庁といたしましては、なお希望を捨てないで捜査を進めておる状況でございます。  なお、おことばの中にありましたように、本年の十一月四日になりまして、先ほど申しました境野氏から現在の取締役社長の高見重雄氏に対しまして、商法違反、いわゆるタコ配当の追告訴がなされておりまして、これも大阪地方検察庁においては、先ほど申しました業務上横領の事件と実態が同じでございまして、そのうちの一部をなすものでございますので、あわせて捜査をただいまいたしております。この関係につきましても、ある程度事情は明らかになってまいっておるのでございますが、このように、近江絹締の経理内容について深く入ってまいりました関係上、これに関連して経理上の問題等が派生してまいっておると思います。大阪地検におきましては、この方面の経理に最も明るい検事を指名いたしまして、主任検事として鋭意捜査に当たっておる次第でございます。関係者の述べます証拠のないことにつきましては、これはいろいろな配慮からいろいろなことを言うものでございますので、私どもも慎重に取り扱って明確にしてもらいたいということで、大阪地検に重ね私どもの意向を伝えておる次第でございまして、もうしばらく捜査の経過を見ていただきたい、かようにお願いいたしたいと存じます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 この近江絹絲に対しては数個の小会社と申しますか関係会社がありまして、東京に東洋観光商事株式会社というのがある。これから政治献金等もなされておるのじゃないかということもいわれておるわけなんですが、何でも大阪地検の捜査の関係ですから、大阪の検事が東京に出張して調べる、こういうことになれば相当の費用がかかる。したがって、その費用の関係等で東京における捜査がおくれているのじゃないか、こういうことも聞かれるのでありますが、そういう点はいかがでありますか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 その点は、大阪からの報告によりますと、近江絹絲の小会社といいますか、東洋観光商事株式会社という会社が東京にございますが、この会社に関係いたしまして、代表取締役等を数回にわたって大阪で取り調べておりますし、さらに同社から帳簿、伝票等数十点の証拠品を押収して、この収支の関係を明らかにするように努力をいたしておるやに伺っておるわけであります。決して東京でありますために捜査に金がかかる、割愛しておくというような捜査ではないように私は承知いたしております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 もう一点ですが、そこで真実かどうかわからないが、一億二千万からいろいろと被告発人がこれに使った、こうだというのを差し引いて最後に弁解のつかないのが五千八百万ある。それに対して被告発人の丹波秀伯から弁護士を通じて二千五百万の支払いをしている、その余は月賦弁済か年賦弁済かにいたしまして、そうしてそれで解決をしたからこれは問題じゃない、こういうようなことを被告発人側は申しておるというようなことを聞くわけです。しかもその二千五百万の金融については、野村証券から権利株と申しますか、二百七十万株余りの中の百万株を担保にしてか何かで借りて、そうしてその金を充当したのだ。こういうようなことを聞いておるわけですが、証券会社は証券の販売が主でありまして、二千五百万もの金融をするというようなことは証券取引法違反ではないか、こういうようなふうにも考えるわけであります。  その点と、それから四十数名にわたる自民党の政治家は自分が左右できるのだ、したがって政治献金もしている、こういうことを公式の場で豪語しておるというようなことを聞いておりますが、その反面には、そういう五千八百万に対する指弾を解決した、こういう書面を出して、この問題は、その告発問題いわゆる刑事問題は問題にならない、こういうことを言われておるそうですが、民事問題でいわゆる言いわけの立たない金を民事的に解決すればそれでおしまいにする、そういうものではなくて、やはりこの五千八百万もの金の使途、ことに特定の人に多額の政治献金がやられておる、こういうことを聞く場合は、これは検察庁としては、そういういわゆる被害者に対する弁償ということが民事的に解決しても、これは刑事問題として慎重に捜査をしてそれを明らかにすべきである。こういうふうに考えるわけでございますが、検察当局はやはりそういうふうにして徹底的に捜査を進められるかどうか、その点をお聞きいたしたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 坂本委員の仰せのとおりでございまして、犯罪が成立した後に被害が弁償されたからといって、犯罪が消えるものではございません。ただ情状としてこれをどのように評価するかという問題が残るだけでございます。関係者の方々がどのようなことを外部に対して述べておられるか、それは私も存じませんけれども、大阪地検の現在の態度としましては、弁償の事実は知っております。知っておりますけれども、弁償したから犯罪がなくなったという観点に立っているのではなくして、それはそれとして、事件の真相、そうして犯罪の成否というような点についていろいろと研究しておるようでございます。  なお、お話しの、仮払い未処理の金の弁済に関連いたしまして、野村証券が長期の融資をしているというような点も検察当局は糾明しているようでございますが、この点が犯罪になるかならぬかというようなことにつきましても、もちろんこれを現行法を十分検討した上できめるべき事柄でございまして、その点は遅滞なく調べをしているようでございます。しかしながら、これは捜査が現在行なわれている状況下でございますので、その詳細に関して申し上げることは適当でないように私も考えますので、お許しを願いたいと思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 ちょっと関連して。ただいまの問題は、丹波秀伯なる者が政治献金及び労務対策費に使ったということを言われておりまする以上、政治に携わる者としても、あるいはまた日本の労働運動の名誉のためにも、これは明確にしなければならない筋合いだと思うのです。しかるに、このことが起訴されてもうかなりの歳月が経過しているにもかかわらず、明らかにされていないということは、われわれとしてもこれは非常にすみやかなる調査を要求せざるを得ないわけです。ただいま坂本委員からの御発言がありましたように、各方面に行ってこれが政治献金をなしたのであるから、これの取り調べはこれで終わりだということが言われているということでありますけれども、そうなりますと、この問題も時間のたつに従ってますます不明朗なことをわれわれは感じざるを得ないわけです。この点について、一体この丹波なる者を何度くらい検察当局は呼んでお調べになったのですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 丹波氏を何回呼んだかということでございますが、私のほうにここへ報告がきておるのでございますが、そういうことを申し上げる必要がございましょうか。はなはだ失礼な言い方でございますけれども、この点はひとつ捜査当局に、必要なものは何回でも調べるということでございまして、おまかせを願いたいと思うのでございます。  それから、お話のございました関係者のうちの一人がそういうことを言っておるということはもう明らかになっておりますが、しかし、それは何の裏づけもないのでございまして、また関係者がいろいろな方面に自分らのメンツを保つために言われることもありましょうし、またこれとても裏づけのないことでございますと、公に真相はこうであったというふうに申し上げることはやはりはばかられる次第でございまして、御承知のように政治家に献金をするということも、犯罪の成否はともかくとして、政治家としては問題でございましょうし、労組工作費というような問題も、犯罪の成否は別として、これまた労組の正しいあり方としていろいろ御議論もございましょうから、御質問の点は私もよくわかるのでございますが、検察官の調べますことの内容は、そういう目的のためにそこを糾明しなければならぬという性質ではございませんで、やはり犯罪との関連において調べる、その限度であるということもまたお含みおき願いまして、かりに調べましても公表できないことが多々あることも、またあわせて御了承願いたい、かように考えるわけであります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 会社の経営に何ら関係のない方面に金が使われたという事実は明らかになってきていると思うのです。これが起訴事実だと思うのです。その金額が五千八百万円にのぼっておるということも本人から言われておるということのようです。しかし告発人の言によりますと、一億二千万円にのぼっているではないかというのが告発文書の内容のようです。いずれにしましても一、五千八百万円だけは認められておるわけなんですから、その金額の使途について、これは当然もっと追及された形が生まれてきてしかるべきではないかというのがわれわれしろうとの考えです。かつて、この四月に東京地方裁判所の民事判決で八幡製鉄所の政治献金についても、法人としてなされなくてはならない別な線の場合においての判決が言い渡されておったと思うのですけれども、私はこれらは相当歳月が費やされたに相違ないと思うのです。今度の場合、金額が明らかになってきておって、そして身柄は全然拘束されずにおる、どうもこの点がしろうとのわれわれには不可解な点です。一般の場合、もしこういう金額の横領が明確になってきたならば、当然これは身柄の拘束というものがあり得る場合だと思うのです。それが全然身柄不拘束のままで取り調べをされておるということで、しかもほとんどこれは黙秘権に近いものです。実は私は大阪地検の検事にも会ってきました。ほとんど黙秘権をとっていると言っておる。そういうことが許されておりながら釈放されておるということの理由が私にはわからない。それはどういうわけで釈放されておるわけですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 その五千八百万円が明確になっておるというのではなくて、五千八百万円が帳簿上使途がはっきりしてない仮払い金の扱いになっておる金額で、説明のつかないものが五千八百万円あると、こういうことでございます。それが横領になるかどうかということがいま捜査の対象でございまして、明確になっておるものでありますれば、それ以後の捜査は必要ないわけです。そこでその五千八百万円がどう使われたかによりまして、横領になったり横領にならなかったりするわけでございますから、できるだけその点を糾明したいわけでありますけれども、こういう金の使い道とかいうものは、口であれに使いました、これに使いましたと言って、ああそうかといって犯罪の認められるものではございませんので、やはり金が出たならば、それはいつどの伝票で裏づけできるかということを、ずっとつかんでいくわけです。それがそういう証拠書類のようなものも、つまり金の出入りについての証憑書類というものがほとんどないので裏づけができない、そういう状況のようでございまして、これは身柄の拘束、不拘束という問題とは関係ないわけでございます。この帳簿関係からはっきり横領だということになりますれば、場合によっては証拠隠滅のおそれがあるというようなことで、身柄を拘束することもあり得るのでございますが、現段階は、まだ身柄を拘束するというところまではっきりしていないことは事実でございます。そこで、ただいまも捜査を鋭意やっておるわけでございます。山田先生のおっしゃるように、明白であって身柄の拘束を差し控えておるのだという関係ではないことを御了解願いたいのであります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 もう一ぺん伺っておきたいのですが、そうしますと、使途がはっきりしないとしても、やはり五千八百万円という金額は明らかになってきていると思うのです。そうしますと、これについての取り調べの方法というものは、本人が黙っておればかまわぬというのではなくて、裏づけが出るまでは、何か裏づけがこちらで見つかるまではそう進行しない内容を持っておるのですか、それとも、その場合には本人から自白させるということを考えられての捜査なんですか、どちらなんですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 これは事件によりまして、その場合どういう手段が一番最善の方法であるかということは、一がいには申せませんが、本件につきましても、私どもは報告を聞いてみて、なるほどと思うようないろいろな手を、つまり裏から捜査をしたり、側面から捜査をしたり、いろいろな調査を織りまぜて真相究明にあたっておるということでございまして、本人が言わないから手をこまねいておるという状態ではないのでございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 この内容については、大阪朝日の七月九日の記事に、本格的調査が開始されておるということで、そこらの豆新聞が扱っておるというのと内容が違うと思う。大阪朝日が大がかりに扱ってそれを報道しておるのです。その後七月以降の進展状態というものについて、いまの刑事局長の私どもの伺っておる話の内容では、ほとんど進展が見られないわけです。そうしますと、七月以降というものは全く発表することができない極秘の段階でおったということならば、これは伺うことはできませんが、一体七月以降というものの内容についてはちょっと発表できないような内容になっておるのですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 捜査の過程というものは発表しないのが原則でございまして、先ほど来申し上げますように七月以降非常に熱心に捜査をしております。たとえば帳簿の検査のようなもの、抽象的に申しますが、脱税事件のようなものでも綿密に数字をあたってまいりますが、非常に時間がかかるわけです。これは血のにじむ努力でございますが、そういうことをこつこつそろばんを入れております段階におきましては、お目にとまるようなはでな動き方というものは検察当局にはないわけでございます。しかしながら、私どもの承知しておる限りでは、非常に熱心に捜査を継続しておることを私は確信いたしております。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 これで私の質問を終わりますが、ただいま申された担任の検事の方は一生懸命にやっておるようです。夏休みもとらずにおりまして、それで夏休みを一週間だけ何とかしてとりたいというようなことも言われておったくらい熱心にやられておったようであります。そうしますと、数字上の問題等で捜査に非常に手間どるとはしても、大体いつごろになるだろうという目安はないものですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 ごく最近の報告によりますと、できるだけ早い機会に結論を出すように努めております、という検事正からの報告でございまして、そのできるだけ早い時期とは年内かあるいは年を越すかという点は書いてございませんが、私の想像いたしますところでは、年内あと二週間か幾らのときに、これだけの膨大な数字を整理して結論を出すということは困難のように思うのでございまして、年を越すのじゃないかというふうに想像いたしております。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 この政治献金及び労働者の対策という問題は、非常に日本の文化の面から考えてみますと、重要な問題だと思うのです。できれば総選挙の前に明らかにしてもらいたかったと私は思ったくらいです。そのことによって多少なりとも政界浄化のお役に立つことがあったのじゃなかったかと思ったのですが、選挙後になってしまった。これがさらに今後見通しがいつになるか、まだ見当がつかないというような状態では、非常に情けないように思うのです。ぜひ担任の方には御苦労であるけれども、特にその点法務省のほうからもこれが督促をしてもらうようにお願いしたいので、付言して私の質問は終わります。どうぞよろしくお順いいたします。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 赤松勇君。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 時間がございませんので、きわめて簡潔に三点、法務大臣にお尋ねしたい。第一点は平沢貞通の再審請求に関する問題でございます。第二点は近時頻発いたします日本国内における朝鮮公民の学生に対する暴行事件、第三点は、日中往来に関する問題について、予算委員会で十分な質疑ができませんでしたので、この機会に法務大臣に質問したいと思います。  そこで委員長にお願いしたいのは、質問の便宜上参考資料を委員並びに政府委員に配付することをお許し願いたいと思います。——まず、お手元に配付をしました昭和三十八年二月十一日午後六時、私は芝の増上寺におきまして、当時帝銀事件を担当されました元警視庁警視帝銀事件特命主任捜査官の成智英雄氏と対談をしたわけであります。この対談は全部テープレコーダーにとってございます。必要ならば本委員会に召喚していただいてもけっこうだと思うのでございますけれども、この対談の中で明らかになったことは、この特命主任捜査官は、平沢は犯人ではない、その理由といたしまして、一介の画家である彼がこの集団的な殺人に使用いたしました薬を、すなわち人体の最低致死量は〇・五−〇・六グラムであるけれども、これを一瞬にして数人の人に飲ませるということはとうていできるものではない。当時満州において石井部隊が細菌兵器を使ったことは御承知のとおりであります。そこで石井部隊の内部に犯人がいるということは、石井部隊のほとんどの人がこれを認めておったようであります。ところが捜査の途中におきまして、奇怪にもマッカーサー司令部は読売新聞の社会部の記者並びに警視庁に対しまして、石井部隊追及の捜査を打ち切るようにこれを命じたということは明らかな事実であります。なお、その当時そういう命令を受けました読売新聞の記者は、現に読売新聞の重要ポストについておられるわけであります。これまたいつでも証言ができる状態にあるわけであります。  そこで、次にお配りをいたしました「帝銀事件平沢貞通氏の再審請求の理由を明かにする。」この内容は、これはただいま再審の請求を行なっておりますが、十月の二十一日にこの再審請求補充書の提出を命ぜられまして、そうしてこれらの補充書が提出をされております。  まず毒物鑑定については、代々木病院の副院長の医学博士中田友也さんの証言によりますと、平沢の自白が誘導強制のもとになされたものであって、少しも真実なものではない。平沢は毒物に対しては全くの無知であって、これを取り上げて求刑した検事も、判決した判事も、また毒物の知識に対しては無知だったこと、判決文がいかに非科学的でいいかげんなものであるかが余すところなくこの鑑定で暴露されておる。すなわち中田博士は、本件において確定判決が認定している毒物は、市販の青酸カリになっているが、解剖所見の実情から判断してどうか。当時の死体解剖の結果は、いずれの鑑定文も青酸カリとは鑑定していない。青酸化合物の中毒死となっているだけである。一審において中館、伴などの検察側鑑定人が、市販の青酸カリでも説明できないことはないという苦しい答弁をしているが、それが飛躍して青酸カリという判決にはならない。判決の認定している青酸カリの量は一人平均一グラムということになっておるが、解剖の実情からどうか。これははなはだでたらめな認定である。いずれの死体においてもかかる大量ではない。東大鑑定のごときは、大部分が死亡し、一部が生存している実情から見て、致死量内外、およそ〇・三グラムと推定されている、と説明しているだけである。一グラム飲めば本件の場合のように全員が五分も生き残ることはない。一分以内に卒中ように死亡するはずである。そうしてその青酸カリの認定の量はどうか。判決の認定の基準は、科学的な根拠に基づいたものではなく、平沢の無知な自白以外にない。その中で平沢はこう言わされておる。玄関の押し入れにびんに入った青酸カリを持っていた。梅干し二つ大の大きさである。荏原の未遂事件のとき、それから耳カキ一杯かきとって使い、きかなかったので、帝銀のときは残り全部を使った。こういうように平沢は言っております。これを検事は警視庁技官村上新二に右のごとく鑑定さした。梅干し一つは約八グラムですから、二つで約十六グラムです。梅干し一個が約八グラムという基準は一体どこから出たのか。その基準は出るわけがない。それで十六人に飲せたから一人平均一グラムずつになるという、こういう非科学的な判決が下されておる。これは中田博士が当時これを指摘をされておるわけであります。  また、心理学者の宮城音彌氏もこの意見書を出されまして、そして平沢は犯人ではないということを立証された。さらに出射検事が調書を偽造をしているという点につきましては、すでに弁護士側からこれをしばしば指摘をしておるとおりであります。そしてこういうようなきわめて明確な証拠書類がそれぞれ補充書としてすでに裁判所に提出されております。  ところが、ここで検察庁側は、弁護人側の新証拠、動静報告書を提出してもらいたい、平沢が警視庁の監房に留置されていたときの看守にも報告書を出してもらいたいという要求に対しまして、これを拒否しておるのであります。例の吉田石松さんの事件をきっかけとして、私は、本委員会におきまして、御案内のように再審制度を根本的に改める必要があるのではないかということから、再審制度調査小委員会というものを設けてもらいまして、各方面の識者に本委員会に来ていただきまして、調査が進められてまいったことは御承知のとおりであります。これはもちろん裁判所自身の判断にまかせるべき性質のものでございますけれども、このように新しい証拠が続々出ている。当時、吉田がんくつ王の問題につきましても、本委員会に彼に来てもらいまして、そして私は当時の法務大臣に、その判決の結果の黒白をあえて論ずるものではない、問題は五十年間にわたって無実を主張している吉田石松さんを再裁判をする、再審をすることによって、かえって国民に対する裁判の威信が高まるのではないかということを当時指摘したのであります。幸いにいたしまして、名古屋高等裁判所は彼に対して無罪の判決を下し、さらに先輩の裁判官の犯したあのあやまちについては深くおわびをすると率直に小林裁判長がまことに裁判史上類例のないりっぱな判決を下されたことは御承知のとおりであります。  そこで、ただいま裁判所におきましては、帝銀事件平沢貞通の再審についていろいろ検討中のようでございますけれども、これに対して、ややもすれば検察側から何か圧力を加えて、再審を妨害する、そういう傾向が見受けられるということを私は聞きます。私は万々そういうことはないと思うのでありますけれども、御案内のように、名古屋高等裁判所におきまして例の吉田がんくつ王の問題を審理いたします際におきましても、検察側がこれを無慈悲に反対いたしましたために、その裁判がおくれて、小林裁判長が吉田石松の死に際しまして、検察側が反対しなければ二年間彼を生存させておくことができた。検察側が反対したために、とうとう九十日で彼の生涯が終わったということを新聞で語っておられます。もう平沢氏もすでに八十近い、七十をこした年齢でございまして、再審を受けるという機会がだんだんなくなってくることを非常に憂えておるわけであります。この問題はイデオロギー、思想の問題ではございません。人間自身の問題でありまして、私はまさか検察側が反対しているとは思いませんけれども、こういう疑惑に満ち満ちた、しかも新しい証拠がどんどん出ておりますので、大胆にこの際再審に踏み切るべきではないか、こういうふうに思うわけであります。  いま一点、前に私は矯正局長に会いまして申し入れをしたのでありますけれども、突然、平沢が東京から寒い仙台に送られた。仙台の監房の中から私に手紙をよこすわけであります。あの七十をこした平沢が、仙台の刑務所の中におきまして冬を越すということはとうてい耐えられないことであります。前に矯正局長から、いや十分に手当はしてあるということを聞きましたけれども、ある人は私にこう言いました。赤松さん、あれは結局は再審をやるのがこわくて、あれは仙台でもって飼い殺すのだ。小菅から仙台に送ったのはなるべく早く死んでくれるように、わざとああいう寒いところにやったんだ、こういうことを言う人がございましたが、私はそういうことはないと信じておりますけれども、もしも平沢が再審の機会を得ないで、仙台の刑務所において獄死をするというようなことになりまするならば、私は裁判所に対する国民の疑惑、検察庁に対する国民の疑惑というものは、非常に高まってくるのではないかということをおそれるわけでございます。この点についてひとつ法務大臣とさらに矯正局長のほうからその所信をお伺いしておきたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 ただいまお尋ねの中の平沢を仙台の刑務所に置いておく、こういうお尋ねでございますが、生命はきわめて大切でございます。老齢その他の健康状態を考えまして暖房などの設備をどうするか、いろいろその辺に必要適切な措置をするように私も指示してございます。それからいまの事実をいろいろおあげになりまして、裁判が間違っておりはしないかというような意味のお尋ねでございましたが、裁判は国の制度としまして法の適用をつかさどっておる機関でございますので、裁判所の考え方は尊重しなければならぬと思います。再審につきましても、裁判所が全く事実を明らかにし、正しく法を適用するとの観点に立ちまして再審の取り扱いをいたすことをわれわれは期待しまた信じておる次第でございます。検察当局としましても、検察当局としてなすべきことは当然なすわけでございますが、決して妨害するとか何か意図をもってやるということはございません。全く公正にやっております。率直に申し上げまして、いろいろの事実から無罪であるとお考えになる方もございましょう。それがまた一応妥当だと思われる方も多いかも存じません。しかし、それだからといって直ちにそうだそうだとまいるわけにいきませんので、国家として、こういう問題を判定すべき機関として定められてある機関の判定及びそれに参与すべき者の活動というものはきわめて冷静慎重、しかも公平に行なうべきものと考えます。法務当局におきましても、その措置に遺憾なきを期する、いわゆる感情とか意地とか、そういうもので動くことは厳に戒めてございます。

大沢一郎法務事務官(矯正局長)

○大沢説明員 平沢の健康状態につきまして、本人も本年七十二才の高齢者でございますので、十分留意いたしておるわけでございます。宮城刑務所におきまして大体月に二回ないし三回定期的に健康診断をいたしておるのであります。そのつどわれわれのほうに報告をよこすように手配いたしておりまして、現在の健康状態は血圧その他きわめて正常でございまして、理科学試験によりましても何ら異常はないという状況でございます。ただ本人が老齢でございますので、副食等につきましてやわらかいものを給与する、あるいはビタミンであるとか胃腸薬をやるというようなこと等、保健に十分な留意を払いまして、適当な投薬をいたしておるわけでございます。ただ仙台が御指摘のように非常な寒冷地でございますが、ただいまのところは暖房の給与等にとどめておるわけでございます。仙台は病舎に暖房がありませんので、近く暖房も通ることになりますので、必要の際にはその病舎の一部に収容する措置も現地の所長において考えております。その旨連絡もございました。十分連絡をとりながら、健康の保持につきましては十分の確信を持ってわれわれとして今後収容していくつもりでございます。なお、特段の事情がございますれば、またそのときに応じましてわれわれとして十分な措置をとりたいと思っております。なお、宮城刑務所は東北地方におきまするわれわれの矯正施設の医療センターでありまして、医師その他も最も完備しておるところでございます。また地元の大学とも十分連絡もございますので、その必要に応じまして医療措置も十分なし得るという確信のもとに収容を続けておるわけでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 賀屋法務大臣から再審を期待するという御発言がございまして、私もそうでなければならぬと考えております。もとより苦労人の賀屋法務大臣でございますから、ことさらにこの問題を政治的に扱うというようなことはないことを確信をしております。私はあるドラマを見ましたが、このドラマの中で、アメリカの服装をした者が、これが殺人を犯したのではないかというようなドラマもございました。また、ある作家は、これをアメリカのキャノン機関の、つまり朝鮮戦争で細菌兵器を使うテストとしてやったのではないかということを考えておられる方もあるようでございます。いずれにいたしましても、私は、戦後のあの混乱期にこのような事件が発生し、しかも絵をかくこと以外に、薬に関しましては何ら科学的知識のないところの彼が、一瞬にして十数人の人を化学的に、集団的に毒殺をするというようなことはまさに不可能でありまして、当時のいきさつを聞いてみましても、成智元警視の話では、私が特命主任捜査官である間は犯人でないと言っておったのに、ある警部補が自分の費用で北海道まで出かけて、そうしてこれを詐欺か横領か何かで逮捕して、そうして高木検事に渡した。高木検事はたしか詐欺か横領か何かで起訴いたしまして、そしてその後ほとんど拷問にひとしい——たとえばこの新証拠の中の動静報告書にもありますように、彼は三回もガラスペンの破片で自殺をはかっております。そしてその取り調べの報告書の一部を見ますると、二十三日午後十二時まで調べられた、二十四日には午前四時五分に起きている、この日は午後十一時三十分まで調べられた、二十九日は午前十時から午後十一時まで取り調べ、三十日も午後十一時半まで取り調べというように、ほとんど朝から夜おそくまで毎日のように取り調べを受けました。事実上これは拷問にひとしいと思うのでありますけれども、こういうような取り調べを受ければ錯乱状態におちいりまして、正しい意味の取り調べは不可能であると思うのでございますが、ぜひいま法務大臣がおっしゃいましたように、再審を期待するという、そのことばを私は信頼をいたしまして、なお今後の動向を見守りたい、こういうように考えております。  なお、委員長は、いまこれを読む煩を避けまして、ひとつ速記録に全文記載することを認めていただきたいと思います。  矯正局長にもう一度お尋ねしておきますが、七十二歳なんですね、どんなに湯たんぽを入れましても何しても、質屋さんも御承知のように、獄中というものは、あらゆるところから風が忍び寄って、とてもとても——中ヘスチームでも通せば別ですが、そんなことはできません。これはあなたも私も経験があるのでありますけれども、とってもとっても底冷えしてやり切れるものではありません。これは小菅に返したらどうですか。小菅に返していけないという理由はどこにありますか。もし小菅でいけなければ、もう少しあたたかいところへ持ってきたらどうですか。名古屋だっていいでしょう。どうしてこれができないのですか。

大沢一郎法務事務官(矯正局長)

○大沢説明員 宮城刑務所の病舎は、いま暖房設備がございまして、スチームが通るようになっております。温度、寒冷の状況等によりまして、病舎の一部に収容するということも可能でございます。その点、われわれとしましては十分注意いたしまして、不当な寒さにふるえさすというようなことはさせないつもりで、十分配慮してまいりたいと思います。なお各地に、どこへ置いてもよいじゃないかというお考えでございますが、平沢に限ってそうするということも、これまた収容者の処遇上いかがかと思います。すべての受刑者あるいは死刑確定者と同じような状態でわれわれとしては収容を続けていきたい、かように考えております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 死刑確定者は、いまどことどこの刑務所に収容しておりますか。

大沢一郎法務事務官(矯正局長)

○大沢説明員 大体高等検察庁所在地の刑務所あるいは拘置所にその管内確定者を収容しておるわけでございます。ただ東京の高検管内確定者も非常に多うございまして、仙台高検管内がわりあいに少ない。なおまた東京管内には巣鴨拘置所が接収解除になりましてこちらに戻りました際に、死刑執行場が整備されないということになりまして、東京管内の死刑確定者は仙台で執行するということになっておりますので、順次東京管内の確定者を宮城刑務所に送るというたてまえで移送しておるわけであります。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 そうしますと、死刑執行のため仙台へ送ったわけですか。

大沢一郎法務事務官(矯正局長)

○大沢説明員 執行がいつ命令があるかということは、われわれとして予想できません。ただ、東京と仙台の収容者の数を見比べまして、確定した者から、特段の理由のない限りは、その数を勘案しながら順次移送しておるわけであります。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 平沢が仙台に送られたときのあの状況は非常に非人間的だと思うのです。夜中に自動車に詰め込んで、そうして送ったでしょう。汽車で送ったのではないでしょう。自動車で送られた。本人が私のところに手紙をよこしたものでは、ほとんど休憩なしに仙台まで送られたために、もう疲労こんぱいの極に達したということを言っております。どうしてもっと人間的な形でもって送らなかったのですか。

大沢一郎法務事務官(矯正局長)

○大沢説明員 夜間に送ったということは何らかの、どこかからのお聞き違いかと存じます。わりあいに朝早く出発いたしましたが、日中に護送いたしたのでございます。なお、本人の年齢あるいは健康状態等も苦慮いたしまして、医師二名を普通乗用車に同乗させまして、その間、医師がからだの状況等も診断しながら、また途中も適当な場所で休憩をとりながら、食事も普通にとって、決して非人間的な残虐な方法で移送したのではございません。ただ、なぜ汽車で送らなかったかというお尋ねでございますが、平沢のことにつきましては、御承知のように、新聞あるいは週刊紙等が非常に興味を持ってお書きになっておりますので、もし列車等で送るようなことで、それが発見されますと、本人の写真はとるわ、もみくちゃになるということも、われわれ考えますし、またその間、不測の事態も起こりましたら、これまた大問題でございますので、最も安全な、そしてまた本人の名誉を害しないというような方法で、特にわれわれとして配慮いたしまして乗用車で移送したわけであります。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 ただいま裁判所のほうでは、きわめて慎重に新証拠に基づいて再審に関する検討が行なわれておるようでございまして、もとよりその結論が出ない限り死刑の執行はあり得ない、こう思うのでございますけれども、法務大臣いかがでございますか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 その点はきわめて慎重に取り扱うつもりでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 同僚諸君の質問がありますので、この問題につきましてはさらに次回に譲りまして、私はこの際、朝鮮公民の留学生に対しまして暴行事件が頻発している。大体昨年から本年にかけてどれくらいな件数に達しておりますか。またその動機、原因、そういったものはどうなっておりますか。これを明らかにしてもらいたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 法務省としましては、先ほどもちょっと統計のことでお答えしたのでございますが、統計のとり方が特定な項目を選んでその統計をとるというような統計のとり方をいたしておりませんために、朝鮮人の高等学校、中学校の生徒に関する傷害、暴行事件だけを全国的に統計をとるということをいたしておらないのでございまして、年間何件ということをお答えできないわけでございますけれども、これまでこの問題は国会でも御質問等がございましたし、私どもも陳情を直接受けておりまして、そういう関係から、私ども事務当局としまして、どのくらいこういう事件があるだろうかというような意味においての若干の調査をいたしておるのでございますが、もとよりいま御質問の趣旨に全面的にかなうお答えはできないのでございます。私どもの調査したところによりますと、主として東京に近いところに多いのでございますが、名古屋の管内で起こった事件、それから福岡の管内で起こりました事件、あとは東京が大部分でございます。九件私どもはこの種の事件を承知いたしております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 警察のほうはどうですか。

大津英男警視監(警察庁保安局長)

○大津説明員 ただいま御質問がございました朝鮮人に対する暴行、傷害事件につきましての統計でございますが、昭和三十七年中このような事件がどのくらいかということでございますが、両方合わせまして昭和三十七年中に発生いたしました件数が二千二百三十六件、検挙いたしました件数が二千一百七十八件、検挙人員は二千九百五十一人、こうなっております。なお、本年上半期は、発生件数が千四十件、検挙件数千二十五件、検挙人員千三百三十二件、こういう数字になっておるわけであります。なお、これがさらに一つ一つについてどういう動機であったというようなことは統計上は出ておらないわけであります。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 私は、やはりこういう事件が発生いたしまする根本的な原因というものは、これは言うまでもなく長い間朝鮮を植民地として統治してきた、そのべつ視観念のいわば一種のあらわれであると思うのであります。しかして外国人の生命、財産の保護につきましては、国際法の見地から申しましても、あるいはまた国際道義の面から申しましても、これはきわめて重大な問題であります。ややもすれば、またなぐられた、あるいはやっつけてやろうというような右翼的な傾向が非常に顕著になりつつある。ことに国粋主義を教育のモットーとしている学校においてこういう事件が非常にたくさん出ておるということは、私ども重要視しなければならぬと思うのであります。  このあとまだたくさん質問がありまするから、私はこの際、警察当局並びに法務当局に対しまして、この事件の、いま件数が警察のほうから報告されました。非常にその件数が多いわけであります。しかし、その動機やその他のことはよくわからないというお話でございますけれども、私は、当然警察当局が調べたのでございますから、その内容は警察当局において集計されておると思うし、また集計することは可能であります。したがいまして、本委員会に対しまして、それらの原因あるいは内容等についてこれを報告せられるよう要求しておきます。警察庁、これはいかがでございますか。

大津英男警視監(警察庁保安局長)

○大津説明員 一つ一つの事件については、この事件はこういう動機であったというようなことでありますが、この千何百件とか二千件ということになりますと、それは一つ一つについて統計をとっておりませんので、集計をいたしまして、こういう動機のものが何件というようなことは出てこないということで、先ほどそのように申し上げたのでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 最近神奈川県におきまして発生した事件にいたしましても、これは朝鮮人側から挑戦したとか挑発したとかいうことはなしに、全く一方的に被害を受けておるということが明らかになっておるわけであります。私ども、この問題が民族問題に発展しないように十分に慎重な配慮、政治的な配慮が必要なのでございますけれども、こういう傾向が助長されますと、将来国際関係に重大な影響がございますので、法務当局も警察当局も、これに対しては断固たる態度をもってひとつ善処してもらいたいということを希望します。  そこで最後に、法務大臣にお尋ねしておきたいのは、この間の予算委員会における私の質問に対しましてあなたはこうおっしゃっておられます。「特に北鮮との自由往来を主張する人は、北鮮人に差別をするということを申しておりますが、私が承知しておるところでは、そういう理由で入国を申し立ててこれをとめた例はないのであります。そういう申し立てがまだないのでございます。そういう実情もございまして、決して差別待遇をしたり、日本に閉じ込めておくなどということは、非常な誤解ではないかと思っております。」というような答弁をされております。ところが、私の調べたところによりますと、申し立てをする、申請はするけれども、その申請はほとんど受理されていない、こういう事実が明らかであります。ここにいろいろな証拠がございますけれども、たくさんの申し立てをいたしましても、ほとんどその申請が拒否されておるという状態であります。特に韓国側に対しましては非常にゆるやかな態度、北朝鮮側に対しましては非常にきびしい態度で扱っておられるようでございます。私どもは、この問題は思想、イデオロギーの問題でなしに、全く人道的な問題である。御承知のように、朝鮮動乱によって、三十八度線ができた。そして北と南に分かれた。また戦後日本の国内におります多くの朝鮮人の諸君は、なるほど帰国はできるけれども、通常外国との慣例によるところの手続によって入国ができない。こういうことは、私ども何も無制限にフリーパスでもってどんどん入れろというような乱暴なことは言っておりません。そうでなしにちゃんとした、たとえば中国に対しましても、北ベトナムに対しましても、これは入国を認めておるわけであります。ひとり朝鮮人に対してのみどうして差別待遇をするか、差別的な取り扱いをするのか。この点につきましては、法務大臣ぜひひとつ考えていただきたいと思うのであります。私も先般北朝鮮に参りましたけれども、アメリカに対する反米感情というものは非常に強いものがあります。これは朝鮮戦争でたくさんな犠牲者が出たという意味からいって、あるいは細菌兵器などどんどん使ったというあの非人道的な戦争行為、野蛮な戦争行為に対する怒りが、これが北朝鮮の中にみなぎっておる。しかしながら、日本人に対する感情というものは、アメリカ人に対する感情と全然違うわけです。非常に親日的で、何といいますか、ある意味でいえば中国よりももっと親日的かもわかりません。これは、長い間、日本帝国主義の植民地的な統治のやり方のよしあしは別といたしまして、私ども長い日本歴史の中で朝鮮と日本との交流が文化的にあるいは政治的に、経済的に行なわれてまいりました関係もございましょうが、日本人に対する態度というものはアメリカ人に対する態度とは根本的に違うわけでございます。この間も私は池田総理に申し上げましたが、日本というものはアメリカ依存政策をやる限り、アメリカがくしゃみをすれば日本がかぜをひくというような非常に脆弱なものだ。そうでなしに、大陸経済との結合なしに日本経済の自立発展はあり得ないのだ、したがって将来はシベリア、中国、朝鮮を含めた広域経済というものが確立しなければならぬ。そういう歴史の必然性があるのだということを強調いたしましたが、賀屋法務大臣は非常に長い政治歴を持っておられる。しかも高度な識見を持っておられる人だと思うのです。失礼ながら伴食大臣ではない。ある意味でいえば副総理的な立場におられるのであります。でありますから、私は、あなたが戦争中の閣僚であるとかなんとかということはいまさら言いません。そうでなしに、そうであればあるほど、私はあなたが新しい世界というものに着目し、新しいアジアというものをよく理解して、そうしてアジアの、そして日本の生きるべき将来というものを考えていただきたい。そういうことを考えてまいりますと、いまここで日韓会談を進めて、いつ革命の起きる。あるいは南ベトナムのように、ああいう状態になるかもわからないような、あの朴反動政権との間にくだらぬ協定などを結んで、そして日本の国民の血税を使うのではなしに、むしろ——これは外国のことでありますから、われわれは干渉する必要はありませんが、日本の立場から南北朝鮮の統一を促進をしていく、そういう平和な機運を、アジア的な規模においてこれを醸成していくという方向こそ私は平和憲法を持つ日本政府のとるべき態度でなければならぬし、当然の義務であると私は考えておるわけであります。それをアメリカの軍事政策のおしりにくっついて、そして南に対してはゆるやか、北に対しては非常にきびしいという態度をとるべきではない。悔いを千載に残すおそれがある。すでにわれわれは大東亜戦争、太平洋戦争において悔いを千載に残した。もう再びあやまちをやってはいけない。このあやまちをおかさない道は平和への道であると思うのであります。したがって、この際は、アメリカとの関係がございましょうけれども、思い切って、せめて、国交未回復の状態ではあっても、朝鮮人と日本人との、自由往来と私はあえて言いません、その往来の権利を認めていくというような人道的な配慮、これは私は特に要請されるのではないかというように考えております。日本の国内には、親を朝鮮に残して、あるいは子供を朝鮮に残して、一目会いたいという人もあります。行くのは自由じゃないか、ところが行ったら帰ってこれないわけです。これは自由じゃありません。したがって、この点につきましては人間賀屋としてひとつ考えていただきたい。  それから非常に不当なことは、先般朝鮮にまいりましたけれども、あの帰国船で朝鮮人が朝鮮へ帰るといったときに、日本から五名の新聞記者が入国をしたわけです。これは国際慣例としまして互恵平等の原則に立つならば、五名を向こうが入国を認めたのでありますから、当然朝鮮の新聞記者五名を日本に迎えなければならぬ。ところが日本政府はがんとしてこれを拒否しておる。あるいは賀屋さん御承知のように、あなたも親交あったと思うのでありますけれども、崔承喜のお嬢さんなどが非常にりっぱな芸術家になって、この間も踊りを見ましたけれども、ずいぶんりっぱな舞踏家に成長しております。日本には在日公民が六十万人おるのですから、こういう人たちはアメリカの裸踊りを見るよりも、やはり朝鮮文化に接したいという切々たる民族感情というものがあると思うのです。そうすれば、中国などは舞踏団が日本に入ってきているのですから、ソ連の場合もそうでしょう、朝鮮の場合もこれを快く入れて、そうして在日朝鮮公民六十万の人たちが故国の文化に接する機会をつくる。あるいは朝鮮赤十字と日本赤十字との間に、あの深い理解の上に立って朝鮮人の帰国が実現したのでありますから、この際は朝鮮赤十字の代表、これを政府でできなければ日本赤十字の手によって東京に迎えてお礼の一つも言うというのが、私は国際礼儀だと思うのであります。どうしてこういうことができないのであるか。  私は具体的にあなたに申します。この間新聞で見ますると、佐藤国務大臣は、オリンピックに、選挙だけでなしに相当広く応援団も入国を認めていく考えだということを新聞に発表されております。もちろんあたりまえであります。スポーツというものは思想、イデオロギーを乗り越えてやるものでありますから、当然であります。そこであなたにお尋ねしたいのは、いま申し上げましたように、朝鮮赤十字の代表を日本赤十字の手で日本に迎える、日本赤十字はこれをやりたいと言っているのですよ。あなたがオーケーと言えばすぐできるわけです。人数のことは私はこの際言いません。こういうことをおやりになる考えはないか。日赤がそれを要求した場合にやるお考えはないか。それから朝鮮舞踏団あたりも、六十万人の在日朝鮮人が要望するという場合におきましては、これを認める考えはないかどうか。あるいはいま言ったように新聞記者の派遣、これは日本から行った新聞記者、これに対する五名の新聞記者を日本に迎えるということは、互恵平等の原則からいって当然の措置でありますが、こういうことを認める考えはないか。  この間、私は大平外務大臣に対しては以上の諸点についてぜひ検討してもらいたいということを申し入れておきましたが、もしあなたの判断だけでできないという場合には、外務大臣と法務大臣とよく協議をされまして、そしてその結論を出していただきたいと思いますけれども、この際あなたの所信をお伺いしておきたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 いま朝鮮人の自由往来という運動が起こって、おります。非常な誤解に満ちた運動だと思います。運動方法が穏当でないと思っております。しかし、いまのお尋ねはそれと離れてのことといたしますと、人道上、人道上と申しますが、ただいまのところ私の承知しておる範囲では、北鮮に本籍を有する人で、父母でございますとか、あるいは近い親戚と申しますか、死に目に会わなければならぬ、そういう意味で、帰りたい、帰ってまた日本に帰ってきたいという申し出はないと聞いております。それで、そうではないものではその区別をいたす考えはないのでございまして、アメリカ、アメリカということがございましたが、アメリカの方針に追随するならば、お話のように中共に許すのもおかしいと思います。私どもは世界各国の意向を参酌しますが、それは必要に応じて参酌するので、判断は自主的にやっている次第でございます。中共の場合、これを認めてよろしいという場合が起こりまして認めておるような次第でございます。北鮮の場合にはそういうものが起こっておりませんから。それでいわゆる韓国籍と申しますか、南鮮の場合には認めている場合もあるのでございます。どの国でも、外国人の入国は自由の原則というのは、世界人権宣言にもない、国際法にもない。よその国の人を、滑ることは大体認めているが、入る場合には、それが自国の利害から考えまして、少なくとも害がないという場合に入れるということが原則でございますから、出入自由往来という考えは私どもとらない。入国の場合は、支障ない場合は認める、こういう考え方にいたしておる次第でございます。  そういうことになりますと、ある人物が入国して支障があるかないかは、身元とか従来の行動とか、いろいろ見なければならぬ場合がございます。そこで、国交のある国とない国にはおのずから、そういう点において調べようがないような場合もございますし、それから調べようがある場合もございますから、そこで非常な差異が起こりまして、国交のない国には、その国から入国が非常に困難だということが結果現象として起こる次第でございます。その結果を予測いたしますから、そこからの入国は困難だということに自然なるわけでございまして、われわれ日本の国家に、治安上その他に害がないと判定できます場合には、人道上の要求があって、もっともならばそれは認めるということになります。ただいまの場合におきまして、いわゆる世間でいう鮮人自由往来を認めるかということになりますと、これはよほど難色がある次第でございます。  それで、いま赤十字と新聞記者の方のお話がございました。赤十字の場合は、申し出がありますれば検討いたしましょう。新聞記者の方も検討いたします。ただ、こちらが五人行ったから五人入れる、そういう互恵のことはわれわれは考えていない。事態によって、あるいは極端な場合は五人行った場合に七人認める場合もありましょうが、私は相互関連はないと思うのです。別に北鮮におる日本人を何万人も送還してくれたわけではないのですから、そういう相互関係ではなく、その一つの事態、事態として判断をいたしてまいりたい、かように存じております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 別に法務大臣のあげ足をとるなんという、そんなけちな気持ちは全然私はございません。害がある場合は入れないんだとおっしゃるが、具体的にどういう場合に害があるんだということになると、いろいろ問題があると思うのでございます。おそらくあなたの頭の中には、公安調査庁あたりからいろいろなことが伝えられて、あなたこそ誤解をされておる向きがあると思うのでございますけれども、今日これだけ、六十万人の朝鮮公民が日本に在住しておるのでありますから、あなたが心配されるような軍事的な意味における心配は絶対ないと私は思っております。  それで、こういうことなんです。日本の貿易商社あたりが非常に強く要望しているのは、いま北朝鮮との間に貿易をやっております。それで一応あそこまではパスポートは出さぬものですから、いろいろな形でもって行っておるわけです。ところが現実に技術者同士の話ということになってまいりますと、どうしても向こうの技術者が日本に来て、そして日本の機械を見たりなどしないと、商談が成立しない、また商談が非常に成立しにくいという場合があるわけです。そういうときには害にならぬ、これは日本の利益になるわけです。害になりません。物を売ってもうけようというのですから、何が害になりますか。ですから、そういう点においてもきびしく取り締まっておる、申請しても許可しないということであっては困ると私は思うのです。あなたは自由往来、自由往来とおっしゃっていますが、あなたの頭の中にあるのは——先ほど私が言ったように、フリーパスでもって何回でもいいから出たり入ったりさせろという乱暴なことを私は言っているわけじゃないのです。それは、いま中国や北ベトナムとの間にも交流を認めておるわけですから、せめてその範囲内のことはできないのかどうかということなんです。朝鮮がだめで中国がいいという理屈は生まれてこないと私は思うのであります。  もう一つ、入管の局長に聞いておきたいんだが、いま大臣は、そういう申請がいままでなかった、こうおっしゃっておりますが、これはおそらく大臣に報告していないんじゃないかと思うのでありますが、いままでどれくらいな申請があって、そしてその申請に対してどれくらい許可したか、あるいは不許可にしたか、それをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 せっかく赤松さんのお尋ねでございますが、貿易に来るから認めるというわけにはいかない。その人物がはたして治安上有害であるか無害であるか、無害だということが確かめられぬと困るわけであります。貿易の場合でもお断わりする場合はあるかもしれません。それは利害ということは総合判断いたしますから。そこは率直に申し上げまして、国交がない国はいろんなものがないのでわかりにくいのであります。わかりにくいから、わからぬでも認めるというわけにまいりませんから、そこで先ほど申し上げましたように、同じ国交がない国といっても、おのずからこういう人はこうだとわかる場合がございます。それがどうも北鮮の場合一番ないというか、乏しいのではないかと思います。その点もひとつお考え願いたいと思います。  それから、いまのそういうことを申し出た者があるかないかという点、私が申し上げたのは北鮮籍の人だけでございます。それでいま日本には六十万人ございますが、その中では、一ぺん向こうに帰りまして、また日本に帰って在留することが日本の国として非常に困ることではないというのは、ずいぶん認めておる例はあると思う次第でございます。率直に申し上げますと、場合によりますと、行って帰るまでに思想が変わっているんじゃないか——思想だけではわれわれは問題にいたしません。したがって、その行動がやはり心配されるという場合もあり得るのではないかと思います。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 具体的に北鮮地域に対する再入国の申請が出されたということは、われわれ聞いておりません。ただ本年二月に科学者大会が朝鮮であるというので、その際に二人の科学者の方が行かしてもらえるかどうかという具体的なアプローチはございましたけれども、困難だということを申し上げまして、申請書は出さずにそのまま済んだと承知しております。したがいまして、それ以外に具体的に申請書が出されたり、あるいは行かしてほしいと言ってきたという例は、少なくともわれわれは承知しておりません。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 いま大臣の御意見を聞けば、有害であるかどうかということが国交未回復のために非常にわかりにくいのだ、しかし、それが有害でないということが明白な場合は考慮していいんだという御発言のように私は思ったのでありますが、それではあなたのほうへ入国について申請をした場合、十分検討する用意はありますね。いかがでございますか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 検討いたします。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 なお賀屋法務大臣との間に大きな意見の食い違いもございますけれども、ここで明らかになったことは、入国についてはひとつ十分に検討するということでございます。これは従来の政府の考え方からいえば一歩前進したものだ、こういうふうに私は理解いたします。いま一つ、たとえば舞踏団の問題にしても、あるいは赤十字の問題にしても、また新聞記者の問題にしても、要求があればこれを具体的に検討してみたいという答弁もいただきました。  私は、この往来の問題につきましては、いろいろ申し上げたい点がございますけれども、同僚諸君がたくさんまだ待機されておりますので、次会に再び質問することを保留いたしまして、私の質問は打ち切りたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 いまお話しのように、新聞記者の場合、赤十字の場合、検討いたしますが、ただ従来の方針と非常に変わったということはございません。これは従来どおりでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 いまの赤松委員の質問に対するお答えに関連して、一つだけお聞きしておきたいと思います。  ただいま法務大臣は、北朝鮮の関係の諸君はとにかく故郷があまりたくさんないので、向こうへ帰るのは墓参だとかなんとかするのはあまりないから申請が少ないのだというような意味のことを申されました。ただいま赤松委員に対する御答弁では、再入国する場合の申請は受け付けて、これを検討するという方針が明確になったので、私はあえて再質問する必要もないと思いましたけれども、最近の事情はこういう事情だということだけ法務大臣に御理解いただきたいと思います。  御承知のように、帰国問題が出ましてからすでにもう四年になりますし、その間すでに百十三回船が行き来しているわけでございます。したがって、その間人員としても八万一千人以上の人が日本から帰っております。ところが、この帰った方々の中には、子供さんが帰って親御さんがこちらにおる、あるいはまた親御さんが行って子供さんがまだこちらにおるというように、必ずしも家族が全部帰ったのではなくて、一部が帰り、一部が残るという事情がふんだんにあるわけでございます。したがって、そういう中では、あるいは親が非常に病気のためにたいへん子供の顔を見たいという場合もございますし、あるいはまた子供あるいは孫の顔を見たいということがありまして、すでに帰った方の中にも、一度日本へ、家族のおるところへ帰りたいという方もたくさんおりますので、賀屋法務大臣がおっしゃられているような、北のほうにはあまり関係がないのだという考え方は認識としては非常に古いようなふうに思います。最近の事情はもう違うのでございますから、そういう意味でこの入国の問題についてはぜひお考えいただきたい。  そういう立場で、いま赤松委員の申しましたような問題について、南と北、こういうことを私どもは朝鮮について言いたくはないし、また特に私どもとしては、雨と北の問題に対する日本の政府なりあるいは日本国民の考え方の問題について、ここで古い歴史を振り返って考え直さなければならぬ問題があるような気がしますので、入国問題に関連して一つだけ法務大臣にお聞きしたいのですが、法務大臣は戦時中の内閣の閣僚でもございましたし、その当時は朝鮮を日本の属国にしている時期でございました。私たちは、朝鮮が日本の属国であったという古い歴史のつめあとをなるべく早くなくするということが、アジアの平和のためにも、日本と朝鮮の友好のためにも大事なことだ、こう思っております。こういう点について、賀屋大臣も同じような考え方を持っておられるだろうと思いますが、大臣の御見解を承っておきたいと思います。それが一つ。  それからもう一つ、それに関連しまして大臣にお聞きしておきたいのは、三十六年間日本が朝鮮を領有するといいますか、属国の形で統治してまいりました。そういう歴史のあとを振り返ってみて、大東亜戦争のあと、やはり終戦、そして朝鮮の解放という問題が出てまいりましたときに、国際間の道義的な関係といいますか、日本の歴史的な帝国主義的な罪過の償いの立場からいたしまして、日本人がほんとうに朝鮮を解放するという観点に立ちますと、何としてももとの朝鮮——もとの朝鮮は二つに分かれていなかった、これは一つの朝鮮だったはずです。その朝鮮を日本が属国の形にして解放した後に二つになった。その二つになった理由は、日本の責任でないということになるだろうと思いますけれども、日本の立場からすれば、願わくはこれを一つのものにすることが朝鮮に対する日本の政治の基底にならなくてはいけないのではないだろうか、こういうふうに私は思うのです。これは長い歴史の、われわれの先輩なり祖先の犯した罪の償いの立場からしましても、朝鮮に対する政治の基本的な態度というものはそういうものでなければいけないのではないかというふうに思っているのでございますが、賀屋さんは戦時中の閣僚でもあり、新しく民主国家になった日本の今日の政府の閣僚でもございますので、賀屋さんの個人的な見解でもよろしゅうございますから、この二つの問題に対するお考えを承りたい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 初めにお尋ねになりました現在では約八万一千人の人が北鮮に帰ったから、それで親子、家族別れ別れの者がずいぶんできたというお話でございますが、私はそうではないように承知しております。あれは大体家族をみなまとめて帰ったことになっておりまして、あの帰還によって家族が別れ別れで住む、したがって困っているというような事態はむしろ起こらないのではないか、事実が違うように承知しております。それが第一点でございます。  ドイツにしましても、ベトナムにしましても朝鮮にしましても、その民族が二つに分かれているということは非常に悲しむべきことと思います。それで統一したいという気持ちがあることは、私ども十分に察せられるわけでございます。しかし、いずれの場合を見ましても、それは統一の非常にやりにくい姿勢ではないか、それを日本がどうすると申しましても、ある意味においては、これはあまりに差し出がましいことではないか、また正直に申しまして、いまの日本がどう考えたって、そのみぞを埋める働きが一体できるかできないのか、私は非常に問題だと思います。われわれは祖国が統一されることはけっこうですが、その統一に向かって外交的にこれをいま日本が促進してかかるということ、これは別に閣議にはかったわけではありませんが、私としてはとうていいまの情勢ではできないことではないか。その情勢は現実に考えましてよろしくないということは考えますが、なかなかできにくい基本的な障害ができているのではないか、こういうふうに私は感じております。

石野久男日本社会党

○石野委員 賀屋大臣の政治的な信念の問題でございますから、私はその朝鮮統一の問題に対する内政干渉的な意味であれこれ言うのではなくて、日本人として、かつて歴史的にこうであったということについての政治家としての考え方がどうであるかということの御質問を申し上げたのであります。大臣からそういうお話を承れば、これはよくわかりました。けれども、私は決してそれをいいと思っておりません。  ここで大臣にもう一つお聞きしておきたいのですが、先ほど赤松委員に対する答弁の中にもあったと思いますが、大臣は、在日朝鮮公民に対する取り扱いの上で、三十八度線の南と北に籍を持つ者についての差別待遇はしていないのだということをしばしば申しております。また、これは大臣だけではなくて、政府当局もそう申しております。しかし、事実上取り扱いの上では各所にやはり差別的な現実があるわけでございます。私は、政治の問題で一番大事なのは、やはり現実がどうなっているかということを正しく見るということでなければ、やはり政治は効果をあらわしてこないと思います。こういう点で、大臣はやはり在日朝鮮公民六十万の方々で——いま私たちは南と北ということをあまり言いたくないのですが、三十八度線の南と北にそれぞれ属する在日朝鮮公民に対する取り扱い上差別をしていないのだ、差別はしてないということをもう一度確認されるならば、すべて両方からというか、両方の側から出てくる日本の国内における法律的な手続とか何かというものは、差別なくこれを取り上げてくださるというその意図が末端まで徹底しているというようにお考えになっておられるかどうか、この点法務大臣ひとつお聞かせ願いたいと思う。そしてまた、それを徹底させるという意思があるのかどうか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 差別なくと申しますが、それはケース、ケースで差別は出るわけです。北鮮はいま日本と国交もございませんし、事情もわからない。なれば、それは結果論として違うことが起こるのは当然なんです。基本的に差別をしようと考えているのではないのでございますが、具体的には、お話しのようにやむを得ない差別が起きるのです。

石野久男日本社会党

○石野委員 政治の問題としてでなく、先ほど赤松委員からも質問がありましたような、たとえば文芸とかあるいはスポーツとか、そういうようなものに関連するような問題で、しかも来年はオリンピックの問題がすぐあります。こういうオリンピックの問題などで北朝鮮のほうから来られる方々に対する取り扱いは、先ほど佐藤国務大臣の話があったけれども、現実にはやはりどうも数の上では差別があるようでございます。こういうような点は、先般スケート団の入国のときに、入管の方々はこういうふうに言っておった。もし南と北と両方から入ってくるとごたごたが起きるかもしれない。だからどうも北を入れることはいやなんだというような御意向がありました。しかし、実質的にはやはり北も入りまして、北と南とがむしろ在日朝鮮人の諸君と非常に仲よく、歓談の中でこのスケート団の諸君は帰られたのです。そういう実情は、政府当局が考えているより以上に、在日朝鮮公民の実態というものをむしろ仲よくさせるような道でもあったと思いますし、日朝の友好関係を進める上にも非常に利益があったように思うわけです。だから、この文芸とかあるいはスポーツとか、こういうようなものに関する問題については、ぜひひとつとらわれない立場で取り扱いをしていただきたいということを私はお願いしたいのです。  それからもう一つは、いま帰国の問題で新潟まで来ておりまするこの方々も、四年間、百十三回も来ておるわけです。これを具体的には、来年あたりひとつぜひ東京のほうへ来て、赤十字本社に対してもお礼のことばでも言いたいというような意向があるのでございまするが、そういう問題がもしありました場合には、法務当局はこれを阻害するというようなことなく受け入れられる用意がございますかどうか、この点ひとつ大臣の率直な御意見を聞かしていただきたい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 最後にお話しになりました点は、具体的に出まして、どういう人がどう来るということでありませんと、いまお話がありましただけで、いいとも悪いとも、ちょっといま申しかねると思います。もし申し出がございましたら、詮議をいたします。いま伺ってすぐどうというわけにはいきません。  それから、いまの文化、スポーツ、それはけっこうなんです。ただ、人間が動きますときには、文化、スポーツで来たからそれだけで動くかというと、そういかぬ場合もございますので、その御趣旨はわかりましたが、それだからといって、文化使節はみなどんどん入れてしまえというようなわけにもいかない場合がございますので、その点もひとつ御承知を願いたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 ただいまの大臣のお話では、その人を見てみなければわからないということなんでございますが、しかし、帰国の問題につきましては、往復している朝鮮民主主義人民共和国から来ておる方々の名簿はすでにはっきりしておりますし、何回も何回も当局の方々にお会いしたりなんかしておってよくわかっておる方々であります。この方々につきましては、四年間に百十三回も往復があるし、人もよく知っておる間なのでございますので、これはぜひひとつ——四周年の記念として政府当局にお礼を申し上げたいし、赤十字本社にもお礼を申し上げたい、そういうふうなことを言っておりますし、われわれの聞くところでは、赤十字の人もそういうふうにしたほうがかえっていいのじゃないかというふうに言ったというように承っております。これはむしろ法務当局がそういうことを押えておるのじゃないかというふうに聞いておるのだが、そういうことはございませんか。大臣、どうですか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 押えておるとも押えないとも、正直のところ私存じません。いま申しましたように、押える意思はございませんが、そういうあなたのお話はお話としてよく承っておきまして、問題が出てきましたときに考えましょう。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 関連して。ちょっと具体的にお尋ねしておきますが、それでは朝鮮赤十字代表と日本の赤十字代表のいままで四年間のお互いの協力に対して、礼儀上東京に招待したいという東京招待の申請書が出ましたときには、法務省はこれを受理なさいますか。——受理するわけですね。この申請書を受理なさるかなさらないか。その審査と決定は別ですよ。別ですけれども、受理するかしないかということを聞いておきたい。当然受理すべきだと思いますが、大臣のお考えを具体的に伺いたい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 受理ということはどういう意味ですか。同意するということですか。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 招待の計画の申請書を入管で受理するかしないかということです。当然受理すべきでしょう。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 もちろん、いきなり日赤が書類をわれわれのほうに持ってきてぶつけるというようなことはないのじゃないかと思います。事前にいろいろ日赤のほうからも、こういう計画でこうだがいかがでございましょうという話があると思います。その段階におきまして、日赤の御意向を十分聴取いたしました上で、大臣と、またこれは外交関係もからみますので、外務省当局とも相談しました上で、慎重にその際に検討いたしたいと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 この際、おはかりいたします。  先ほどの赤松君提出の資料は、これを速記録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認め、これをさよう取り計らいます。  午後二時半より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時四十八分休憩      ————◇—————    午後三時二分開議

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について質疑を続行いたします。  田中織之進君。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 警察行政及び検察行政に関連をして、また同時に、法務省の人権擁護局の見解をただしたい問題が二件あるわけです。一つは、先ほど委員長を通じて御連絡を申し上げましたように、本年の九月、厳密に申しまするならば二十八日に、横浜市の俗に警察病院というておる警友病院産婦人科におきまして、子宮ガンの手術を受けた渡辺シズという方があるわけでありますが、一口に申しまするならば、二十七日の午後零時半から七時間余にわたって第一回の手術を行なって、まだ麻酔もさめない間に容体が悪くなりましたので、第二回の手術を引き続いて行なったのであります。第二回の手術もきわめて長時間を要しておるのでございますが、第二回目の手術の終わったあとで、数時間たちまして、家族の者についに死亡したということが告げられたという手術に関する問題であります。どうもその死亡の原因が第一回の手術のミスにあるのではないかというので渡辺シズさんの御主人、これは薬剤師でありますけれども、そういう関係から、九月の二十九日午後二時に、横浜市の加賀町警察あてに過失致死罪の告訴を提起いたしました。同日の午後五時三十分から、横浜市中区蓬莱町三ノ三二番地、外科開業医師で裁判医であります藤井安雄氏の執刀のもとで、加賀町署の本山刑事課長、鑑識課員、横浜市の神奈川区二ノ二二産婦人科開業医の弘中一雄、これが渡辺利勇告訴人の依頼によって立ち会いまして、司法解剖が行なわれたわけでございます。したがいまして、現在ではすでに七十日余を経過いたしておるのでございますが、この解剖所見がいまだに発表にならないのでございます。このことを実は私選挙前に——この渡辺君というのは、元全医労の副委員長をいたしておりました当時から懇意にいたしておりまして、連絡を受けましたので、ミスを犯したと思われる病院が警察病院であり、しかも、すでに告訴状に基づきまして司法解剖も行なわれておるというような事件でございますので、警察庁長官に、電話でございましたけれども、こういう事件が起こっておるのに対して、関係者の話を総合すると、どうも捜査当局の動き方というものが非常ににぶいではないか、これは警察の威信のためにも、また、こういうような手術の関係で、医師の過失、ミスによりまして生命を失うというようなことについて、やはり医師全体に警告を発することも必要でなかろうかと思い、そういう意味からやはり徹底的に捜査をやるように、長官に電話でじかに実は要請したのでありますが、今日に至りますまで、先ほど申し上げましたように司法解剖の結果も発表されませんし、この間、十月の一日以来三回にわたりまして県警の総務部長、それから警務部長等から、保土ヶ谷区選出の佐藤正平県議を通じて、告訴者である渡辺利勇氏と警察病院の関係医師との間で話し合いを持ったらどうかという勧奨が行なわれてきておるのでございまして、この点は、加害者と思われる人と被害者の遺族との間に何か話し合いを進めるあっせんをするということ自体もきわめて不明朗な問題であると思うのであります。そういう意味で、本件は一体どうなっているのか。結局、こういう国会の場で究明せざるを得ない事態になったことはきわめて遺憾に思うのであります。  そこで、少しこの手術に至りまするまでの経過を告訴状に基づいて概略申し上げますと、渡辺シズさんは生前非常な健康体で、子供を九人生んでおられます。そのうち八人が健康に育っておりましたが、昭和三十五年の五月に野球の見物のときに硬球が当たりまして腹部が内出血をいたしました。横浜市民病院で開腹手術をいたしまして 全快をしておるのであります。たまたま三十八年八月十五日に突然多少の出血があった。たぶん子宮からだろうということであります。直ちに八月十九日に横浜市立大学病院産婦人科に入院をいたしました。そして八月二十七日、子宮頸ガン、子宮の先端のほうにガンの疑いがあるという検査結果が出たのであります。そのとき医師から、現在のあなたの健康状態でしたら一週間入院して精密検査をして、約二時間半の手術、子宮摘出手術をすればよいと言われたそうであります。そこで、一ヵ所の病院の検査では不安だというので、三十八年の八月二十八日に警友病院産婦人科の診察を受けた結果、九月三日に同様な診断の結果が本人に告げられたのであります。しかし、それでも不安であったので、三十八年の八月三十一日に国立がんセンターの第二婦人科で診察をした結果、九月七日に同様子宮頸ガンであることがシズさんの御主人の利勇さんに告げられたわけでございます。これも、入院一週間で精密検査の上、三時間ぐらいの手術をすればよいという医師の話であったそうであります。そこで、九月十六日、警友病院に入院をいたしまして、九月二十四日、火曜日が手術日であったそうでありますが、秋分の日でありますために、九月二十七日に手術を行なうことになったそうです。そこで、十二日間も入院し、この間精密検査を行なった結果、手術の前日あるいは手術時に当たりましても、この産婦人科の長内部長、それから塩足主治医から、患者の健康状態はよろしい、手術をしても生命の危険はない、だいじょうぶであるという保証がありましたので、九月二十六日、患者も、それから御主人の利勇さんも納得して手術承諾書を出したわけであります。そこで、第一回の手術は九月二十七日の十一時三十分から十九時三十分まで、手術時間七時間を要しておるのであります。手術中の出血は三千五百グラムで、この間、輸血三千六百グラムをいたしておるようです。  次に、第一回目の手術後、患者が病室に帰ってきてからの救急処置が七時間もかかった、いわば重症患者であるにもかかわらず、そういう大手術後の患者の扱いとは思われないようなやり方があったということをこの告訴状には書いております。一つは、病室に酸素吸入が準備はしてあったが、いざ使用するというときになると故障が判明いたしまして、容器交換のため、吸入させるまでに十五分間を要した。それから輸血の準備はしてなくて、患者が病室に帰ってからリンゲル氏液を持ってきて、初めてリンゲル氏液の点滴注射を行ない、その後輸血をしたが、血液が血管に入らないので、輸血を始めるまでには二十五分間を要しておるということであります。それから三番目には、湯タンポも患者のベットに入れてなく、主治医に注意されて初めて入れたわけです。四番目は、主治医が注射しようといたしましても、電気が暗いので、電気スタンドを持ってきてもコードが短く、結局懐中電灯で注射するというようなことで、七時間もかかった重症患者の病室の設備としては、ここに重大な欠点があったのではないかということであります。ところが第一回の手術後三十分くらいいたしまして、先ほど申しました塩足医師が病室の廊下に御主人を呼んで、子宮の全摘出部を見せて子宮頸ガンであった状況を説明し、自分が手術したが、順調に行なわれておるので安心するようにということを伝達しております。ところが第一回の手術の立ち会いは、医師の指示によりまして御主人の立ち会いは拒否されたそうです。そこで、第二回目の手術が第一回目の手術後七時間を経て行なわれておるわけですが、厳密にいえば二十八日の午前一時三十分、手術室に運ばれた。手術が終わったのが、付添人に知らされたのが二十九日の午前七時ごろであったということです。二十八日の午前七時三十分ごろに、産婦人科の長内部長が控え室におる御主人等を廊下に呼んで、第一回目の手術では出血部分が残っておったが止血の手術をしたので、今度はだいじょうぶだということを保証した。この長内部長のことばから、第一回目の手術にミスがあったということが推察されるのではないかということを本人たちは申し立てておるのであります。第二回目の手術のときには、御主人と子供さんのなま血三百グラムを輸血したのみである。輸血後患者の血圧が百十となったので、案ずることはないと長内部長が御主人に告げておるのであります。ところが第二回目の手術時の患者の出血は二千三百グラムで、輸血は三千二百グラムとこれは聞かされておるということであります。ところが二十八日の午後六時四十五分になりまして、御主人及び家族が手術室に呼ばれましたところ、患者が死亡したということを知らされておるのであります。渡辺さんの申し立てによりますと、患者は手術室において、第一回の手術後七時間、麻酔のさめないうちに第二回目の手術を受けて生命を絶ったわけだ。こういうことで、先ほどちょっと申し上げましたが、九月二十九日の午後二時に横浜市の加賀町警察署長あてに告訴状を提出いたしました。当日の午後五時三十分から、先ほど申し上げました裁判医の藤井安雄氏の執刀のもとで、婦人科開業医の弘中一雄氏——これは遺族の依頼によるのでありますが、遺族の立ち会いのもとに司法解剖が行なわれておるのでありますが、今日に至るまでその司法解剖の結果も報告されていない。そこで、患者は三ヵ所の病院で健康体で手術に危険がなかったことが保証されておる。警友病院にも十二日間入院して精密検査をした結果、手術に差しつかえない健康体であるということが手術直前にも確認されている。ガンも子宮頸ガンの初期であったので、死亡診断書には、直接の原因は急性心臓衰弱、病気は子宮頸ガンでガン細胞著明ということになっておるのでありますけれども、ガンといたしましても手おくれではなかったということです。こういうような関係でこの渡辺シズさんが死亡しておるのでありまするが、現在の法律では、変死や事故死ではない限り、いわゆる医師の診断書に所定事項の記載があれば、これは医師を絶対に信頼するというたてまえをとっておるのでありますが、今回の場合には、御主人が多少医療についての考えもあるので、死因に不審を抱きまして、また私が述べたような事情から、どうも手術の過失による死亡ではないかという点から法律的な手続がとられておるのでありまして、これが今日まで七十余日にわたって放任されておるという点は、私はきわめて遺憾です。しかもこの間、質問申し上げている私が、舞台が警察病院であるだけに一般に対する影響というようなものを考慮いたしまして、また医師の立場もあろうかということで、警察庁長官に、電話でございましたけれども注意を喚起いたしておるのであります。その間、捜査に当たるべき人たちが、県会議員等を通じて、いわば告訴人との間に示談の話し合いを慫慂するようなことが三回も行なわれておりまして、今日国会でこの問題を取り上げざるを得ないという事態になったことを、先ほど申し上げたように私はきわめて遺憾に思うのであります。この点については、午前中からも連絡しておりますから、神奈川県警からも資料等も取り寄せられておると思うのであります。またこういう関係から見ますならば、これはたまたま渡辺さんから告訴状が出ておりますけれども、こういう事態を知り得れば、これは単なる告訴をもって捜査に着手すべき案件ではなくて、やはり捜査当局といたしましては、捜査権の発動によりまして事態の究明に乗り出さなければならない性格のものと私は思うのであります。そういう意味におきまして、検察当局の指導的な立場に立つ法務省の刑事局長の御見解をもあわせて伺いたいと思うのであります。

高松敬治警視長(警察庁刑事局捜査第一課長)

○高松説明員 ただいまの御質問の事件につきましてお答え申し上げます。  大体、経過はいまおっしゃいましたとおりでございますが、警察といたしましては、告訴がありまして、それからその日に行政解剖でございますか、をやりまして、それからあと医療関係のいろいろな記録を調べる、あるいは担当の長内氏、それから関係の看護婦について一応事情を聴取しております。解剖の結果につきましては、実は現在までまだ鑑定書が出てないのでございます。非常に、七十日ぐらい長くかかったのでございますが、聞くところによりますと、出血がかなりあった。その出血の原因をいろいろと検討するために、手術した部門を全部剔快して固定していろいろ調べたそうでございます。なおその点の検討がありますので、近いうちには鑑定書は出せるというふうに警察では聞いておるようでございますけれども、まだ現在のところ鑑定書が出てまいりません。したがいまして、捜査のほうといたしましては、一番中心になる鑑定結果が十分明らかにされておりませんので、まだ捜査を終結するというところまで参っていない、こういう状態でございます。  それから御指摘のありました点で、当時長官から私が下命を受けまして、それで、問題が警察病院で起こりました手術でございます。警察関係で処理するということがいろいろ疑惑を招くといけない。そういう点では、藤井先生もこれは警察医で、解剖では一流の先生でございますが、藤井先生がおやりになるということであっても、その点はよく注意して公正にやるように十分気をつけてやってもらいたいということは、当時神奈川のほうに申してございます。それから藤井医師が解剖されることにつきましては、御遺族のほうも同意されているというふうに聞いております。また、そちら側からも医師の立ち会いがあったというふうに伺っております。  そこで、そういうことでたいへんおくれておるのでございますけれども、実は鑑定の結果がまだ出てない、こういうことで事態がおくれておるわけでございます。結果がわかっていて、それを故意に放置しているという状態ではございませんので、ひとつ御了解いただきたいと思います。  それから警察が示談のあっせんをやったのではないかというお話でありますが、これは、実は私きょうも出る前に、神奈川の刑事部長にその点を、何かそういう話を聞くのだがと確かめてみましたが、刑事部長のほうでは、そういうことは一切やっておらない、またやる筋合いではないということで、たいへん明確に申しておりました。いま伺いますと、総務部長、警務部長というお話なんですが、その辺はちょっと筋が違うように思うのでありますけれども、なお念のために調査をいたしてみたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 そういう答弁は、私予期しないではないのであります。捜査中のことだということで逃げられればそれまででございますが、これは私が読み上げた告訴状の中でありますが、遺族の人に言わせれば、長内部長が、最初から執刀してくれておれば、こういうことにはならなかった。このことは、私が先ほど読み上げました第二回の手術が終わったときに、第一回目の手術では出血部があったが、止血の手術をしたので今度は大丈夫だ、このことばから見れば、通俗的に考えれば、第一回の手術に何らかの欠陥があったのではないかということがいわれるわけなんです。しかも第一回の手術の麻酔からさめ切らない間に、事前の診断では二時間半か三時間くらいで済むというものがえんえん七時間もかかっておる。しかも、麻酔も何もさめ切らない間に二回目の手術をやらなければならぬというところには、少なくとも第一回の手術には重大な問題があったのではないかということが、これはしろうと風に考えましても推察できるわけです。私は、そういう点で、最終的な結論の問題については、もちろん行政解剖でありますか、解剖した解剖医の鑑定書が出なければ認定できないという点もあろうかと思いますけれども、状況から見まするならば、私は、部長なりあるいは第一回の手術をいたしました医師の調書というようなもの——やはりこれらの人たちも、私は良心に基づいて陳述をしていることだと思うのです。そういう問題が今日の段階でもまだわからないという点は、私どもとして納得できないのであります。大体捜査当局としては、いつごろまでにこの問題についての処置をとられる考えでありますか。立ち会いました弘中一雄医師は、解剖に立ち会った関係からいろいろ所見はある、いつでも裁判の法廷に出ては言うけれども、まだ解剖の所見が出されない前に自分の所見を申し上げることはどうか。これは医師間の仁義でありますか、あるいは立ち会いであるという立場から当然のことかもしれないと思うのですけれども、これも、私はそういう科学的な捜査、鑑定なりそういう研究は、毒物なんかの場合と違って、問題は、手術の関係で特に多量の出血であるということはしろうと風にもわかるわけでありますから、そういうような点が一体どうなっていたか。たとえば止血手続というものがなおざりにされておったということは、長内部長のことばからも察せられるわけであります。そういたしますならば、それが過失に属するものであるか、通例見のがされ得るものであるかどうかということについての判断も、私は不可能ではないと思うのです。あなたたちがお考えになりましても、すでに死亡してから七十余日かけて——そうむずかしい事案ではないと思うのですが、解剖所見、鑑定書が提出されない。そのために、告訴状の中に、県警察本部長、総務部長から話し合いとか和解とかをするように佐藤正平県議を通じてあったが当方は応ぜず今日に至っていますというようなことばが入っているのじゃないかと思うのですけれども、少なくとも私のところに来たこの事件のてんまつ書として書いてあるものの中には、はっきりそういうように書いております。きょうの午後の法務委員会で取り上げることになるだろうということを先ほど関係者に連絡いたしましたところ、やはり私が言ったように、佐藤正平県議を通じて話を持ってきたのは総務部長と県警の警務部長だ、こういうことを関係者は申しておるので、何らかの形でそういう動きがあったということになれば、藤井裁判医の解剖結果の報告が出ないことも、何だかやはり部内の問題、あるいは問題は医師の重大な責任の問題にもなる。これは仄聞するところでありますけれども、特に塩足医師は、慶応の医学部の出身の方だそうであります。そういう関係から、現在の日本医師会会長の武見さんがやはり慶応の先輩であるというような関係から、医師を相手にそういう動きをするなら武見が相手になる、こういうようなことばも関係者の耳の中に入っておるわけです。そういう意味で、私はこの点はなおざりにするわけにはいかない。私のほうの党にも医師関係の議員が多数おられますけれども、私は、やはりそれらの医師全体の名誉のためにも、この問題は明らかにしなければならぬ問題だ、こういうことで伺っておるのです。その点については、現在七十余日になるのでありますが、その間鑑定書の提出を督促されたことがあるのかどうか、それから今後の見通しについてはどうか。この点は、私がいま申し上げたような形で、告訴状も神奈川警察に提出されておるわけでありますけれども、刑事局長に伺いたいのは、これだけの事案——これはもちろん新聞記者も、当時取材にはまいられたそうでありますけれども、問題は、やはり捜査当局になにしているし行政解剖も行なっていることであるから適正な結論が出ることだということで、渡辺さんのほうで新聞記者諸君にも、直ちにこれを取り上げるというようなことをしないでもらいたいというような配慮がなされておったから、あるいは検察当局の耳には入っていない事案かもわからないと思うのでありますが、私は、やはり警察と検察当局との日常の有機的な連係の点から見てきわめて重大な問題でありますから、検察当局も耳にしてないはずはないと思う。そういう点からいたしますならば、ひとつ検察の陣営全体を所轄する刑事局長として、本件について所見があればあわせて伺いたい。

高松敬治警視長(警察庁刑事局捜査第一課長)

○高松説明員 告訴状に記載されている事実と、それから警察の調べている事実と若干食い違っているところはあるようでございます。第一回の担当者がだれであったか、あるいは長内氏が、たとえば止血の問題についてどういうことを言ったかというふうなことについては、やはり若干の微妙な差異もあるようでございまして、その辺のところは十分調べたいと思います。ただ、何と申しましてもこの種事案は非常に医学的な技術的な問題でございます。解剖なり何なり専門の人が見て、その結果、手術において過誤があったと認められるかどうかということが一番ポイントになってくるだろうと思うのです。そういう意味で、私どもも解剖の結果を待って、いろいろな状況をあわせて考えて事件の処理を考えていく、こういうふうに神奈川のほうでもやっておるはずでございます。  それから示談のほうは、くどいようでございますけれども、実は存じておりません。ただちょっと考えられますことは、警察部長、総務部長と申しますのは、いわばあの警察病院の管理責任者あるいは管理の監督的立場にある者でございます。それで、あるいは何かそういうことを言ったことがあるかもしれないなという感じがいたしますが、刑事事件の処刑といたしましては、そういう点は、刑事部長も、そういうふうになっておるということは全然知らないというのが現在の実情だと思います。そういうことで、何日ぐらいまでに処理できるかという御質問でございますが、鑑定書ができますればなるべく早く処理してまいりたい、かように思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 この事件の捜査の模様につきましては、いま警察当局から御説明があったのでございますが、おそらく地元の横浜地検におきましては、警察のほうからこの事件について承知しておることと思いますけれども、何さま事件はまだ検察庁に送致になっておりませんので、検察庁から正式に法務大臣に、この事件の報告はいままでのところまいっておりません。しかし、事柄は非常に重要な事項を含んでおりまして、御質問の中にもございましたように、これは被害者にとっても事がはっきりすることが非常に大事なことでありますと同時に、医師の立場からいたしましても、責任があるかないかということは明確にしておく必要があるわけでございまして、真相がはっきりすることを私どもも希望いたしております。ただ、私の多年の経験から申しますと、解剖所見が鑑定書の形で出てくるのでございますけれども、これには相当日時を要するのでございまして、普通の殺傷事件のようなものでございますと、鑑定書は出ませんけれども、鑑定所見というものは解剖の直後にある程度わかるわけでございます。また、私も子宮の手術に関連した事件を扱ったことがございますが、これも事件によりましては、たとえば中へ器具を置き忘れて縫ってしまったというような事件で、中に品物が入っておりますというようなことになってきますと、事柄によりましては、鑑定書が出なくてもすぐ捜査に着手することができるケースも少なからずあると思いますが、いま警察当局からのお話を聞いておりますと、この事件は血がよけい出たか出ぬかというようなことでございまして、これは手術の過程において真にやむを得ず出てきたものか、あるいは手落ちがあったために出てきたのか。もし出てきたとすれば、とめるのにどういう医学的な手当を施すべきかといったようなことは学問的にもきめていかなければならぬという私はケースだと思うのであります。そうなってまいりますと、かなり鑑定というものは慎重を要するのでございまして、七十日という日時は、私どもしろうとから見ますと、あるいは捜査当局から見ますと長いのでございますけれども、やはりいまのような問題点を含んでいるケースとしましては、いままでの経験に徴しますと、そうなるものも間々あることのように思われるのでございまして、私は一切の感情を抜きにしまして、この問題が冷静に科学的に究明されまして、被害者の方々にも納得のいくように、また医師の立場としても、責任あるものならば負わなければなりませんし、責任の追及し得ない医学上のものでございますならば、その点も明らかにすることによって事態をはっきりさせるということが必要だと思います。したがいまして、本日いろいろ伺いましたので、横浜地検のほうにも私のほうからも御連絡をいたしまして、警察と協力して事態のすみやかにはっきりいたしますように処置をしてもらうようにいたしたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 特に竹内刑事局長の御答弁でありますが、捜査当局の苦心のほどはわかるのでありますけれども、この間私が特に警察庁長官に申し入れしたことから、おそらく病院管理の立場に立っておる県警の総務部長なり警務部長等から、それだけにやはり病院側と遺族との間で何らかの話し合いができないかということのあっせんをしたのではないかということです。これは、理事長は神奈川県知事内山岩太郎氏であります。県警の本部長だとかあるいは警務部長、総務部長などが、警察病院でありますから、それの理事者に名を職責上連ねておるのではないかと思うのです。しかし、これが世間ていに見れば、じかにやはり遺族を呼ばなければならないわけでありますけれども、佐藤正平という県会議員を通じてのお話だということになりますと、何か捜査当局が警察病院でのできごとだから示談をあっせんをした、こういうふうになるのであります。ほんとうに鑑定書に基づいて厳正にやられるべき性質のものであるということになれば、そういうことのなにはないと私は思うのであります。世間的に見れば、あたかも捜査当局の関係である警察が示談の話を持ち出した、こういうふうにとられるところに、この捜査について——ほかの事件であれは徹底的にまいるでしょう。しかし、場所が場所だけにということで手をおいているのではないかという点が一般に疑惑を持たれれば、警察病院は各府県にも、各地方にもあると思いますから、警察病院全体がやはり医療に対する不信を招くことにもなると私は思うのです。警察の威信のためにも、一日もすみやかにこれを明らかにすることにしていただきたいと思います。  そこで、この問題の最後に、人権擁護局からどなたか見えておられますか。——見えておられれば、この告訴いたしました渡辺さんといたしましては、変死や事故死でない限り、医師の診断書に基づいてすべて火葬、埋葬というようなものが簡単に行なわれることになっておる。しかし、やはり人間の生命の尊厳というものが死亡によってゼロになるわけですから、そういう点からソ連やアメリカ、イギリス等の各国の法律では、人間の死亡の原因を特に厳重に第三者機関で調査、監査するというようなことが医療法でありますか、医師法でありますか、そういうようなものの中に盛られておるということであります。そういう点から、これはあるいは厚生省当局に伺うべきことではないかと思いますけれども、たまたまこの手術によって一人の女性の生命が失われた、こういうことで、人権問題に関連して人権擁護局としてのお考えを伺いたい意味で申し上げるのでありますが、医療施設の管理であるとか指導であるとかいう点は、現在の医療行政の点では非常によくやられますが、いわば医療技術の点において、これは厚生省当局にむしろ言わなければならぬ問題かと思うのでありますけれども、どちらかといえば医師まかせだというような点になりますと、こういうような人権問題にまで発展するということになるのではないか、このように考えるのでありますが、これらの問題について、人権尊重というたてまえから、一体手術等の場合における医師の生命尊重というようなことについての配慮について、人権擁護局として何らか今後研究を進められるとか、そういうようなお考えがおありであるかどうか、この問題を契機として——現在あまりそういうような問題に触れていないということになれば、私はひとつ擁護局として考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

池田保之検事(人権擁護局調査課長)

○池田説明員 本件につきまして横浜の地方法務局のほうで調査しておるかどうか、実はきょう記録を調べましたが、報告書の中にはありませんでした。そこで、いま言われましたとおり、本件のごとき問題は、被害者にとってはきわめて重大な問題であるということはもちろんのことと考えております。そこで、本件につきましては、告訴もありましたので、これはやがては警察、それから検察庁のほうでも十分に捜査されるものと思っておるわけですが、なお本件につきまして医学上の技術上の非常にむずかしい問題がありますので、なかなかまず最初の段階では結論的なことは申せないのでありますが、私のほうといたしましても、人権上本件の成り行きをよく見守りまして、なおよく検討したい、こういうふうに考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 この問題については、先ほどから法務省の刑事局長にもまた警察庁の当局にも私から要請をいたしましたように、一日もすみやかに鑑定書の提出を待って事件の処理を明確にひとつしていただきたいということを要望いたします。  そこでもう一点、実は人権擁護の問題に関連をして、これもおそらく警察当局及び人権擁護局としては、ここで初めて聞くというようなことになろうかもわからぬのですが、通常国会に入ってでも調べて、その結果の報告をいただきたい問題が一つあるわけです。それは、四国の香川県で起こった問題でございますけれども、御承知のように、過般の通常国会で強行成立をいたしました失対法の改正法律によりまして、十月一日から労働省が行なっておりますいわゆる失対事業の、たとえば長期紹介であるとか、能力適否検査であるとかいうものが非常に厳密になってきて、関係の全日自労、全日本自由労働者組合と各失対事業の事業団体である市町村、県との間に団体交渉その他問題が起こっておることは御承知のとおりであります。香川県でもその問題に端を発しまして、残念ながら全日自労の構成員の全国平均で六割、多いところでは八割、香川県などはその八割の部類に属するのではないかと思うのでありますが、私どもが主宰をいたしておりまする部落解放同盟、いわゆる未解放部落の慢性的な失業者の諸君が、ようやくこの失対事業のワクを通じて生活をささえてきておるのであります。   〔委員長退席、小島委員長代理着席〕  そこで、部落解放同盟と全日自労とが共闘関係に立ちまして香川県知事との間に交渉を重ねてまいりました過程で、金子知事がその共闘団体、特に全日自労と部落解放同盟の代表者との会見を拒否いたしましたために起こった問題でございますが、たまたまそれが十月十四日に高松署の綾田という警部補が、部落解放同盟の代表者が、執行部の者でありますが、香川県庁に参りましたときに、上からの指示でおまえたちきたないやつは入るわけにいかぬ、おまえたちには毒を盛って殺してやるぞ、こういう乱暴なことばで部落解放同盟、いわゆる未解放部落の人たちを県庁に入れないという事件が起こった。これはその後県警段階においても、この綾田警部補の暴言の問題については、事実を認めておるようでございますが、もちろん県庁は県の管財課の管理するところでありまして、その管理上の関係から、県警の出動命令ということは間々あることでありますけれども、私は、上からの命令で解放同盟の関係を入れないというのに、きたないおまえらには毒を盛って殺してやるぞというような乱暴なことを警察官が、しかも警部補の階級にある者が多衆の面前で言うというようなことは、これは警察官の教養上の問題としてもきわめて遺憾な問題でありますし、これは私は許すことができないと思うのです。さらに、この問題からいたしまして十一月二十九日、三十日の二日間は、もちろん全日自労、部落解放同盟を中心といたしまする香川県下の総評などの労働組合の決起集会が県庁前で開かれた関係がありますけれども、この二日間、香川県庁は県警の入り口だけを除いて全部の入り口を閉鎖しております。こういうことを香川県の金子知事はたびたびやるそうであります。そのときに、たまたまたしか県警の金子という警部が指揮官になりまして、県の管財課員とともに、きょうは県庁に部落民と日雇いは入れないことになっているということで、県庁に出入する者を一々誰何していった。こういう人種差別をやっている南ア連邦でも見られないような事件が起きておるのであります。その後今月に入まして、十二日に、重ねて香川県では初めて七千名からの大衆集会が持たれまして、金子知事のその差別事件に対して、また自治体に関係のある労働組合との団体交渉権を頭から交渉の人員を制限するというようなことについて、各団体の代表者と話し合う等のことも知事みずから行なうというようなことなく、あそこの副知事がその間のあっせんをとったようでありますが、最後の段階になると、金子さんがこれを拒否しているという傾向にあるようであります。十二日もすでに金子知事が、この日は県庁は閉ざさなかったようでありますけれども、この問題は知事自体が県会の答弁で、そういう乱暴なことばをはくのは当然じゃないか、労働組合や解放同盟の関係の諸君が、自分をまるっきり人でなしのような乱暴なことを文書なりあるいは演説の中で言うことに対するおれの対抗手段はこれよりほかにないじゃないか。全く不遜なことで、これはテープレコーダーで集録をしたものが私の手元にございますが、そういうことを述べておるのであります。これは、知事は知事として私ども糾明をいたしますけれども、そういう非常識な、全く人権無視の、知事からの要請があれば警察がそのまま管理規則の遂行だというような形で動くのだということになれば、警察自体が金子知事と同じような形で——昔上海の租界は、中国人と犬とは入ってはいけないという制札を掲げたということは、今日中国へ参りますと、中華人民共和国の諸君がいかに帝国主義や中国主義の圧制がひどかったかということの語り草にいたしますが、これが日本の香川県庁で、知事の指示によってそういうことが行なわれたということは、私は絶対に許すことはできないと思う。しかも、それのお先棒をかついでおるのが香川県警だ、こういうことになりますと、これは絶対に許すことはできないと思うのであります。保安局長は午前中だけで、まだお見えになっておらないと思うのでありますが、私は昨日公安委員長の早川自治大臣にお目にかかりましたときに、この事実だけは簡単に申し上げておいたので、あるいは公安委員長から指示があってお調べになったかと思うのでありますが、私が申し上げておることは、事実に基づいて申し上げておるのでありますが、この点に対する警察庁当局のお考えを伺いたい。この問題が、たとえ二十九日、三十日の二日間の問題にいたしましても、前代未聞の差別事件でありまして、こういうことが全国的に波及いたしますならば、それこそ重大な治安上の問題を引き起こすことになりかねない、こういうふうに考えるのでありますが、この点を人権擁護局としてお調べになる考えがあるがどうか。全く日雇いや部落解放同盟の人たちを人間以外の取り扱いをするような、こういう不祥事件というものを見のがしにするわけにいかないと思いますが、この点に対するお考えを伺いたいと思います。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 警察庁の警備第二課長でございますが、ただいまお話に出ました件につきまして、私のほうでただいままでに香川県警のほうから報告に接しましたところにつきまして御報告を申し上げます。  これは、先生からお話がありましたことにつきまして特に調査方を命ぜられたわけではございません。最近、御承知のように、十月一日以降全日自労の方々の職安あるいは事業主体に対します集団による陳情が各地において行なわれております。それが間々暴行ざたになりまして、各地において相当な逮捕者も出ておりますし、あるいは逮捕事案に至らないまでも、警察官の実力行使に至っておる事案がかなりございます。香川県の自労におきましても同様なことがございましたわけで、これはただいまお話のような、部落解放の方々と自労と区別して、何か警察のほうで、特にこの部落解放の方々のほうを区別して処遇したと申しますか、そういうふうな受け取り方をなさったようでありますけれども、私のほうで聞いておりますところでは、御指摘のありました、第一点のきたない者は入れないとかあるいはそのほかのことをしたというお話でございますが、これは私のほうへの報告の中に、若干その点が触れてございました。それは、先にと申しますか、犬めというようなことばを自労のほうから言われたそうでございます。それで、その際に、そういうことを言った自労の人々があまり接近しておったために、つばきが口に入った。それで、警戒に行っておりました警察官が二、三歩下がったところで、きたないと言った。こういうことを言っておるのでございます。それから、毒を盛って云々ということは、そういうことは別に報告の中には書いてございませんでした。  それから、管理者側の知事のほうの要請ということでございますが、これは別に知事のほうから要請がございませんでも、暴力事犯に発展します場合におきましては、警察のほうの独自の判断で出動いたすわけでございますし、まして、管理者のほうから身辺の危険その他の状況があって出動要請がありますならば、これは警察の当然の責務として出てまいるわけでございます。  それから、なお先生のお話の中にございましたが、特に部落解放同盟員であるがゆえに警察のほうで差別待遇をしておるというようなことは、これは全くないと私どもは確信をしております。それから、だいぶ前に先生からそういう点をほかの例で御指摘があったことがございますので、それらにつきましては、重ねてそうした事態を引き起こさないように、いやしくも差別待遇をしておるといったようなことの非難を受けることのないようにということは、重々各県のほうに達してあるわけでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 綾田警部補の問題は、高松署勤務の警部補だそうでございますが、十一月十四日でありますが、きたない、お前えらに毒を盛ってやる、お前らはわしが逮捕してやる。それは、警官の制止を聞かずに入ろうとしたということに対する、売りことばに買いことばで出したことばではないかという意味のことをいま警備課長は言われるのでありますが、たとえ警官を犬めと言われたからということで、売りことばに買いことばで出したことばにしても、私はきわめて不穏当なことばだと思うのです。しかも、これは、そういう挑発的なことばがあったからそれを出したのだということを綾田警部補も認めておるようであります。私らも、警部補はそれを認めたということを確認したということをいっておりますので、私は、そういう考え方で全日自労や部落解放同盟の人たち、日雇いや部落民をながめてもらうということについては、きわめて遺憾に思います。  それから、第二の問題として、自労の諸君と解放同盟を区別したということを言うておるのじゃない。日雇いと部落民は入ってはならないと、こう言っておる。このことについては、香川県の副知事が、十二日に全国の解放同盟からも動員をして抗議集会が開かれるということにおそれをなして、実は七日の日に私どもの中四国ブロック協議会の会長の岡映君という解放同盟の岡山県連の委員長のところにたずねてこられた。そして、全国から動員することは何とかやめてくれぬか。しかも、どうもそれに似たようなことばを県の管財課員も言っている。それから、そのときに県警本部から、いま県からの要請があろうとなかろうと、不測の事態が起こるかもわからぬということで警備出動した者が、やはり上司の命令だということで、部落解放同盟と全日自労の諸君は入れないということは、部落民と日雇いを入れないことかということで詰問されたら、そうだと言う。そういう事態は二十九日だけではなくて、私はたまたま三十日に大阪府の同和会館で部落解放同盟の中央執行委員会がありまして、参りました。国会の召集前でございましたが、その参りましたときに、たまたま今日そういう事態が続いているのだということで、直ちに県警の本部長あてに、また金子知事あてに、私は厳重な抗議電報を打ったのです。少なくとも瞬間的な問題にしろ、十一月の二十九日、三十日の二日間県庁が閉ざされて、部落民と日雇い労働者を県庁に入れないというようなことが香川県庁において、今日の民主主義憲法のもとにおいて行なわれるということは、いかなる警察権力の前においても、どんな法律があるにいたしましても、そんなことが許されるでしょうか。これは、七日に香川県の副知事が私どもの中四国ブロック協議会長のところに参りまして、十二日の全国からの動員を取りやめてもらえないかということの要請に来られたときに、その事実を確認している問題であります。したがって、知事からの要請に基づいて出たというふうに私は承ったのでありますが、不測の事態が起こるかもしれないということで、警察自体の警備任務から出動して、もし上司の命令ということで、警察官もそういう言動のもとに部落民の人たちや日雇い労働者の諸君を県庁に入れることを阻止したということになれば、これは明らかに警察の差別行為だとして私どもは糾弾せざるを得ないと思う。それだから、全日自労の諸君と部落解放同盟の諸君を分けたという問題ではないのです。日雇い労働者と部落民とを一緒にして、それを人間として、香川県民として別扱いしたところに問題がある。しかも警察が一枚それの手先の役割を果たしているというところに、警察のあり方として許すことができないものがあるということを申し上げているのです。したがって、たまたまいわゆる失業反対闘争にからむ事案として参りました報告でそういうようにお答えになったのだろうと思うが、私の申し上げた意味は、これは、元凶は何といっても香川県知事の金子さんであります。私どもはそれの追及の手はゆるめませんが、私は、これはむしろ香川県知事の人権侵害の問題として警察自身が取り締まるべき立場に立たなければならぬと思う。それを、知事の要請を受けたような、上司の指示に基づいてやるんだというようなことは、これは私は聞き捨てにならない問題だと思う。そういう意味で、この問題について私が申し上げた点が事実であるかないか、重ねて現地について調査して、その問題を通常国会にも引き続いて、調査がまとまりますれば、私は報告を願いたいと思う。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 いまお話の点よくわかりましたので、次の国会までに十分調査をいたしたいと思いますが、なお先生のおっしゃいましたことにつきまして私お答えいたしました中で、言葉が足りませんでしたところを補足さしていただきます。  第一点は、売りことばに買いことばで、警察官が感情にかられて暴言を吐いたというふうにお聞きになっておるようでございますけれども、私のほうで報告に接しておりますところでは、売りことばがあったので買いことばが出たというのではなくて、向こうといいますか、自労の人たちの悪口雑言の際に、身近におったためにつばが警察官の口に入ったので、それで二、三歩下がって、きたないということを言ったということでありますので、けしからぬことを言ったから逆に言ってやったという、感情にかられて言ったというふうには私どもは報告に接しておらぬのでございます。  それから第二点の、こちらのほうの判断で出ていくということにつきましては、これは先ほど先生が、知事のほうから要請があってもなくても、そのいかんを問わず出ていくのではないかというふうにおとりになっておるのではないかと思いましたので、知事のほうから要請がありませんでも、およそ警察の職責の中に入りますことにつきましては、独自の判断で出ていく場合がある、こういうことを申し上げたわけでございまして、本件につきましては、知事のほうからさような要請があったようでございますし、また、当日知事のほうから、特定の人については県庁に入ることを禁止したいという意向が示されたようでございますので、それに基づいてこれを排除したと申しますか、警告したと申しますか、警察の活動に入ったわけでございまして、特に警察が自労と部落解放同盟を一緒にいたしまして、これをほかの人人と差別待遇をしたというふうには私どもはとっておらないのでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 もうよろしゅうございますが、この問題は、金子さんがこの重大な差別事情に対して何らの反省がございませんので、香川県の労働組合、民主団体をあげていま追及が進められておりますから、この問題がさらに発展するものだと思いまするので、特に香川県警について実情をお調べになった上で、先ほどお約束いただいたようにお願いをしたいと思います。  なお、答弁はいただかなくてもけっこうでございますが、人権擁護局のほうは私どもやはりこの問題は部落差別問題としてきわめて重大な問題だと考えておりまするので、これまた高松の法務局等と連絡をとって、擁護局の立場で公正にこの事態の経過なりあるいは推移なりを調査をして報告を願いたいということを要請して、私の質問を終わります。

小島徹三自由民主党

○小島委員長代理 鍛冶良作君。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 刑事局長にお伺いいたしますが、近来、地方の景気がいいせいでございまするか、各地において、婦人会であるとか部落会であるとかいう名義で、バスでいろいろなところへ遊びに行く風潮が非常に出てまいりました。これはまことにけっこうだと思いまするが、これがどうも選挙に悪用せられておる事実がございます。ことに本年の選挙を目ざして立候補をすることに確定をしておる人々がたいへんこれを悪用した事実がございます。われわれは諸所に現実に見ており、目に余るものがあると思っておるのですが、これらに対して、警察及び検察庁のほうでも、かような事実は十分御承知であろうと思うが、どのようにあなた方の目に映ったか、まずその点から承りたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 ただいま御指摘のような、バスを連ねて大ぜいの方が遊覧地に行くというムードの中で、選挙に関係してこの種の行事があるやに私は聞いております。これは、申すまでもなく、バスを連ねて行くこと自体は何も犯罪ではございませんが、それを選挙にからませまして、一種の供応としてこれをなす場合におきましては、もちろんこれは選挙法上の問題でございまして、私どものほうは、金銭買収、現金買収とともに、供応というのは一つの悪質な犯罪の選挙違反であるという見方をしておりまして、この現象は、今回の選挙だけではございませんで、過去においてもしばしばこういうことが見受けられましたので、特に取り締まりにつきましても、関係者で協議をいたしまして、現に一千名からの容疑者を出しておる違反もあるように聞いております。そういうわけで、私どもとしては、これに手心を加えるとかなんとかいうことではございませんが、それが選挙運動と見られます限りにおきましては、厳正に摘発するという方針で臨んでおります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 千人ぐらいではない。私の知っておる事実では、万を数える人を招待しておる人があるのです。これは、われわれのような金を持たぬ者にはできぬことです。おそらくバスを一台頼めば、今日では一日一万円ぐらいとられるのじゃないですか。それをある人のごときは、一日五台、六台ずつ、七月から十月まで三ヵ月あまり毎日やっておる。これは天下周知の事実なんです。かようなことをやっておるのに、いまだ検挙をせず、調べもしておられないものがあるようだが、もしそうだとすれば、それはどういうわけでかようなことを調べたりなどせられなかったのか。いまあなたのおっしゃるように、候補者に立とうという者がやれば選挙違反だというならば、何らかの手を打たれたはずであるが、それを打っておられないのがあるのです。これはどういうわけで打たれないのか、それを聞きたいのです。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 どのケースでなぜ検挙しなかったかということにつきましては、もちろんお答えができないのでございますけれども、一般的に申しまして、バスに乗せて連れていくということ、そのこと自体は、先ほど申しましたように犯罪になるものばかりではない、ならないものが相当あるわけです。ただ選挙に関係して、投票を得んがためにそういうことをやったということになれば、供応になりますことは明らかでございます。それで、選挙に関係をしておられます方々の目から見ますと、あるいはそういうふうにお映りになっておる面があるかと思いますけれども、取り締まりに当たるほうの側から見まして、それが選挙運動の一つの方法として供応をやっておるのだというふうに証拠上見られるかどうか、そこが検挙するかせぬかのけじめであろうかと思います。したがいまして、各地で現象としては同じようなことがありましても、選挙運動という証拠をつかまえて検挙したところもありますし、ついに検挙ができないでそのままになっておるところもあろうかと思うのでございまして、それは、その現象の背後にありますところの選挙運動ということが認められるか認められぬかということに私はけじめがあると思います。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 それなら、あまり具体的に言うのをはばかるのですが、だんだん具体的に申します。立候補するということがわかっておる人、しこうして現にその人が立候補いたしました。その人が、自宅へ毎日三百人ないし五百人の人を招待しております。あるいは金は会費とかなんとかでとったといううわさもありますが、幾らとったって、それはバス賃にもならないものです。いわんやそこで出した酒さかなに対しては問題にならぬのです。そういう事実がありますれば、これらはやはり選挙違反の疑いありとは思われませんか、思いますか、どうですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 それは、李下に冠を正さずという意味においての疑い、そういうものはいま伺いましただけで当然私も感じます。しかし、それがすぐ選挙運動だというふうに断定し得るためには、いろいろな本人の意思もありましょうし、その意思を認めるに足るような客観的な金銭の関係あるいは支払いの関係、そこでどういうことが話されたかといったようなことが相まって、選挙運動のために供応したということが確認されるのでございまして、その現象だけをとらえて、単に立候補の意思がある人あるいは立候補と予定されておる人がそういうことをやったというふうに——その人がやったかどうかも実はわからないわけで、社会的に見ればその人がやったというふうに見るのが相当でございましても、具体的にその人が計画してやったかどうかも確認されないような場合には、いま申しましたように、疑わしいことは疑わしいのでございますが、すぐ犯罪というふうになるかどうか、断定するのはどうであろうかと思います。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 それはだれがやったか疑わしいのじゃないのです。候補者に立つ者の屋敷に呼んでやるのです。その事実を私は言っているのです。そういうものがあれば、どうですか、そういうことはいいことですか、それをまず御答弁願います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 それですから、いいことだとは私は申しませんし、弁護する考えで申しておるわけではありません。そうではなくて、疑わしいことは疑わしいのでございます。したがって、そういうことは避けていただきたいのでございます。しかし、それをやったものがすぐ犯罪だということがそんなに明白であるとは私は思いません。もしそういうふうに明白であるということを御存じでありますならば、捜査当局に告発をされるなりなんなりして、捜査を促していただくのが相当ではないかと思います。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 これ以上なにいたしませんが、だれそれはどうだとか、われわれのほうで何とか言うのはいやだが、警察なりなんなりは、毎日公然と白昼やっているのですから、わかっておるはずなんです。わかっておるときに、こういうことをほうっておいていいかどうか、これをまず私は聞きたいのです。ほうっておいていいものと警察では思っておられるか、まずその点からただしてかかりたい。かような事実があることは十分知っておられます。私はあまりそれ以上は言いたくないが、具体的にわかっておる。警察ではそういう事実があったかないか、まだわかりませんか。そういう事実はお認めになっておるのですか。   〔小島委員長代理退席、委員長着席〕

竹内壽検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 警察のほうのことは私にわかりませんが、われわれの聞いております報告によりますと、現実に検挙をした者のほかに、数千件にわたる警告があるのでございます。これは警察当局がやっております。この警告の中には、犯罪と確認されるようなものはないかもしれません、あるいはそういうふうに世間から見られて、そういうような疑わしいものについて、そういう行為をやめてもらいたいという警告であると思います。そういうのを見ますると、警察当局では、絶えずそれを監視しておることが警告自体からうかがわれるのでございまして、さらに立ち入って、要するに選挙運動をやっておりますものの裏の面ということになりますと、それは案外わかりにくいかもしれませんけれども、とにかくそういう警告の数字を見ましても、そういうものがかなり警察の警告に触れておることがうかがえるわけであります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 そこで、私が聞きたいのは、警告せられたというのならば、警告の結果はどういうことになっておるか、これを私はまず関心を持って承りたい。ところが、選挙が済んだあとで見ますると、同じそういう事件で現に捜査を受けておるものがあります。これはおそらく起訴されるのじゃなかろうかと思われるのです。それは、犯罪の疑いがあれば捜査もせねばならぬし、起訴するのは当然でございまするが、私の申し上げたいことは、私の知っておるのでは、調べられたのは、先ほど言った例から言うと、ほとんど十分の一にもならぬほどです。そういうものが捜査を受け、もし起訴されて、われわれの目に余るようなものが何ともなかったということになったら、一般世間はどうこの事件に対して見るか、これを私は突きとめたい。この点に対して、そういう事実があるかないか、もしあるとすれば、どうせられれば最もよろしいのであろうか。これは、われわれとしても今後こういうことのないようにと思いますから申し上げるのですが、この点の御意見をひとつ伺いたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 この問題は、私ども党派にかかわらず厳正公平にやっていくことをモットーにしておりますが、公平を確保していくために、いま御指摘のような事件をどう処理するかということは、仰せのとおり私どもも非常に苦心しておるところでございます。先ほどもお答え申しましたように、片一方では犯罪になるということを知りながらほうっておいて、片一方では小さいケースでありましても検挙する、こういうやり方はとうてい良心の許さないことであります。こちらの捜査するほうの側で、証拠その他からにらみ合わせた場合に、たまたま大きいのが犯罪が証明できないために見のがされておる、片一方は犯罪が証明されるために検挙されておるという結果になっておるのだろうと思いますが、今後取り締まりをしていく場合におきましては、その処理を何とかくふうしていかなければならぬと思いますけれども、現実の姿は、そういう結果、あるものは見のがされ、あるものは検挙されるという結果を生じておるのだと思いますが、その間に、大きいものであるから、犯罪に関係しておるものでも見のがしておるということは、私はさらさらないと思っております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 警察庁の刑事局長がおいでになったから承りますが、先ほどから聞いておるのですが、近来どこででも婦人会とか部落会でバスに乗って遊山地に遊びに行くことがはやりまして、これが選挙に悪用せられておる事実が現実にあらわれておるのであります。われわれは、この点に対して相当注意を促しておるつもりなんです。つもりなんだが、われわれの目から見れば、どうもほとんどやられないように見受けられますが、いま聞けば、あなた方のほうで相当戒告をしたり注意をされておるということでありますが、そういう現実はどのようにあなた方の目に映っておるか、これをひとつ聞きたい、こう思います。

日原正雄警視監(警察庁刑事局長)

○日原政府委員 ほかの委員会がございましておくれまして申しわけございません。ただいまのお話でございますが、私どもとしては、選挙違反になりますものにつきましては、証拠のあります限り極力やってまいっております。具体的な問題につきましては、あるいは皆さんのほうでちょっと手ぬるいというような部面もあるかと存じます。私どもに十分な力がございませんで、捜査漏れのものもあるかもしれませんが、私どもとしては、選挙違反になります面につきましては十分にやってまいっておるつもりであります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 戒告をしたり、そういうものが相当ありますか。

日原正雄警視監(警察庁刑事局長)

○日原政府委員 私ども各県の警察本部で聞知いたした限りにおきましては、違反の疑いあるものにつきましては、随時警告をしております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 選挙が済みましてから、事前運動として、それと同じケースのもので現に捜査を受けておるものがあります。これはおそらく起訴されるのではないかと思う。  そこで、あなた方にお聞きしたいのですが、もし同じもので、一方は起訴されて、一方は起訴されないということになると、一般国民はこれをどう見るでしょう。われわれのように事実を知っておる者は、どうも黙っておれぬような気がするのです。さようなことがあってはいかぬと思いまするが、それはいま刑事局長が言われたように、さようなことはない、明白なものであるからやるので、明白でないからやらないというのですが、そういう事実があったらたいへんだと思うが、さような事実はやむを得ないと思いますか、いかがですか。

日原正雄警視監(警察庁刑事局長)

○日原政府委員 私ども警告をいたしますのは、お話のように、一つの場合は、そういうものをやりまする以前について警告をする、そうしてやめてもらうというのが一つあります。もう一つは、はっきり違反としての疑いがあるものについて警告をする場合がございます、はっきり証拠のそろいましたものにつきましては検挙という手段になると考えております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 そこで私は皆さんに希望したいことは、同じそういうことをやっておった者に対して、一人の者は事前運動であったといって起訴され、もっとより以上の大きなことをやっておるのがのがれる、こういうようなことがあっては、国民は警察、検察行政に対して不信の感を抱くと思うのです。したがって、やるならば徹底してやってもらいたい。やらないならば、それはやめてもらいたい。これは明白であるが、これは明白でないから、そんなことを言われては、それはいけません。もしそうなら、私は事実をあげて申し上げます。そういう手落ちのないことに今後ひとつやってもらいたい、こう思うのですが、これは刑事政策もいろいろのことがありましょうが、要は国民が、こんなことで、これをやっておってあれはどうしてやらないのか、あれをやらないのなら、どうしてこれをやるんだ、こう思うことのないようにやってもらいたい。こういうことを申し上げたいのが私の結論なんです。いかがですか。検察庁からも承りたいし、警察からも承りたい。

日原正雄警視監(警察庁刑事局長)

○日原政府委員 やはり選挙違反の取り締まりはあくまでも公平に、実態に即して公平にやらなければならないと考えます。それで私どもの違反の知り得る限りにおいては公平にやっておるつもりでございますが、むしろその実態は皆さん方のほうが御存じな面が多いのではないかと思います。そこで、私どもがやっておりますことが実質的に平等でないということならば、それを知り得る手段が、私どもとしては非常に限定されているわけです。その点で非常に実質的に平等でないという部面も、それはあることと思います。われわれとしては、われわれの知り得た範囲内においては公平にやり得るのですが、やはり限界があるというふうには考えております。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 ただいま御指摘のような不公平ということは、取り締まりをします場合に致命的なことでありますので、私ども部内におきましても一そう工夫をして、処理に公正を期してまいりたい所存であります。なお警察当局との事前の打ち合わせ等におきましても、十分意を用いまして、今後の取り締まりにあたってはそういうような御懸念の起こらぬような方法を講じてまいるということに、工夫をこらしてまいりたいというふうに考えます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 私これでやめますが、これはいまの場合だけではありません。今後もこういうことはあろうと思う。したがいまして、いまの場合にそういう公平なことをお願いすると同時に、今後はかようなことを一掃していただくことをひとつお願いしたい。これはもうだれが見たって、こういうことはあなた方も先ほど言うようにいいことじゃないのでしょう。いいことじゃないならやめてもらわんならぬとなぜ言わないのです。それさえやってもらえばそれでいいのです。それをどうもいままで見のがしておいて、そうしてそれが済んでから、たまたまあがったものは起訴されるし、そうでないものはのがれる、こういうことになるとたいへんなことになります。公平にやるとおっしゃったから、やっていただくことをいまはお願いするが、この後においてもかような疑いのあるようなことを、公然とやっておることを見のがしておられるということに、私は間違いのもとがあるのじゃないかと思う。この点はひとつ将来のために十分お心得を願いたい、こう思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 穗積君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 時間もありませんから、大臣に簡潔にお尋ねいたします。それは緊急な人道上の問題でもありますので、明快なお答えをいただきたいと思っておりますが、かねて御承知のとおり中国の油圧機械の代表団の団員として日本を訪問いたしました周鴻慶氏、この帰国問題がいまだに停滞をいたしておりますことは、これは実は外交上の問題にもなっておるようでありますけれども、同時に日本政府の、特に司法関係の権威のためにも私は重大な意味を持っておると思いますので、簡単にお尋ねいたしたいと思っております。  まず第一に、法務省の責任におきまして、十月二十六日に周鴻慶氏は中国に帰るべきである、もはや日本に滞在する理由はないということで、強制退去の命令をすでに発せられておるわけでございます。これは出入国管理令の趣旨によりますと、この決定というものは、すみやかに実施しなければならないということになっておるのに、はなはだしく理由不明確なままに実は今日に遷延をいたしまして、しかも今後の見通しについても明確でない、こういう奇怪な事件が起きておるわけであります。いま申しましたとおり、法務省の決定という、日本政府の自主的な責任における判断が、すでに強制退去命令として決定され、出ておるわけでありますが、一体どういう理由によってこれが今日まで遷延いたしておりますか。第一に、その理由を最初に大臣からお伺いをしたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 お尋ねの事件につきましては、退去命令を出しましたのは日本に残留を認める理由がないから退去命令を出しました次第であります。しかし周鴻慶の、当人の、いずれの地域に行きたい、おりたいという意思がどうも不明確でございます。この意思を明らかにすることが大事でございますが、これがまだ不明確で、判断を確定し得る状況にない、それがまた重大なことでございますから、その状況を見定めておるのがただいまのところでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これは申し上げるまでもありませんが、あとの質問をするために、論理的に最初に明確にしておきたいと思いますが、池田内閣以前の保守党内閣、歴代の内閣が、外国人の出入国問題につきましては、本人の自由意思によって、これを人道上の立場で取り扱う、この原則は実は当然なことでありますが、同時に、これを行政処分にいたします場合にも同じであることは、幾たびか国会においても、当法務委員会あるいは外務委員会の確約された答弁として繰り返されている事実がございます。それについては法務大臣は当然その精神、原則は正しいとして継承されて、今度の事件についても対処される精神であろうと考えますが、それは間違いはございませんでしょうね。お尋ねいたしたいのであります。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 滞在につきましては、原則として本人の意思を尊重していたします。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではお尋ねいたしますが、十月二十六日の退去命令というのは、一体どういう命令でございましょうか。本人の意思を確認をした上で——また奇怪なことを伺うわけですけれども、本人の意思をまだ確認をしてないと言われる。確認をせずして一体退去命令を出した二十六日の決定というのは、いかなる決定でございましょうか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 本人の自由意思と申しますが、日本に在留を認める認めぬかは本人の自由意思によりません。日本側の法令の許す範囲の都合でございます。それで、本人が日本国内に在留する理由はありませんから、退去命令を考えたわけであります。退去に際して本人がこういうところに行きたいと選定して、それが本人の自由意思と認めればそれによりたい、かような考えでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 あなたは、失礼でございますが、大蔵省御出身でございますけれども、やはり法理学の御勉強をなすったちゃんとした経歴を持っておる方と思うわけです。ですから、私も、そういう意味で敬意を表して御答弁を期待いたしておるわけですけれども、行き先の不明な退去命令とは一体どういうことですか。行き先不明のまま、それが記載してなくて——ちょっと失礼でございますが、ここに出入国管理令の強制退去の条章というのがございます。行き先、出国をする先を確認をしないで退去命令を出すなんということは、法律手続として考えられない。そうであるなら、入管局長からまずその事実をお尋ねいたしましょう。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 それは周鴻慶の場合には中国から、中共から来たんですから、一応中共に帰ります。本人がそれに認容を与えれば、いつでも本人の意見を尊重します。そういう前例は多々あります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そんなことを言ってないじゃないですか。その場合は、十月二十六日周鴻慶氏に出した退去命令というのは、行き先は不明のままお出しになったのですか。そういう文書、決定としてわれわれは理解していいのですか。そういうでたらめな決定を——それじゃ一体周鴻慶氏はどこへ帰ったらいいのですか。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 入管令上の手続問題でございますので、私からかわって補足して説明申し上げたいと思います。私は入国管理局次長の富田であります。  御承知のように、入管令の手続構造は審級的な構造をとっております。まず、本人が不法残留であるという判定が出まして、本人がそれに服しまして異議の申し立てを放棄いたしますと、そこで事件が自動的に確定するわけでございます。そこで、本人は判定に服しまして異議の申し立てを放棄したわけでございます。そういたしますと、入管令に基づきまして、すみやかに退去強制令書を出さなければならないという入管令上の手続になっております。(「法務委員会はごまかしはきかないからしっかりしろ」と呼ぶ者あり)ごまかしてはおりません。ですから、本人が不法残留であるという判定に服して異議の申し立てを放棄したわけであります。異議の申し立てを放棄したと申しますことは、大臣に対しまして特別在留をお願いするという異議の申し立てを放棄したわけでございます。そういたしますと、退去強制令書が自動的に発付されるわけでございます。その退去強制令書の送還先がどこになるかと申しますと、これは入管令の五十二条によりまして、本人の国籍の属するところまたは市民権が属するところとなっております。したがいまして、退去強制令書には、中華人民共和国と送還先を書いてございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 だから、非常に明確です。私の言っているのは当然のことなんです、いまの富田次長の答弁では。すなわち、十月二十六日に決定発令されました退去命令というのは、本人の国籍であり、しかも本人が帰りたいと意思表示をしておる中華人民共和国に帰れという、そういう退去命令書になって、そうしてその意思をもって政府は、あなたの役所は、本人にそれを発令をし、受け取るほうの周鴻慶氏も、おれの帰り先は、強制退去を命ぜられて帰る先は中華人民共和国、祖国であるという意味でそのことを了承して、異議の申し立てを放棄しているわけです。その事実に対して、いまだ二十六日に出した退去命令書というものの帰り先は決定していないのだ、これから初めて確認しなければならぬ——確認もしないでお出しになったのですか。そんなばかな答弁は……。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 いまの答弁は、担当当局がお答えしましたように、日本に在留の異議の申し立てを放棄しただけなんです。それだから出したのでありますから、あとは周が、それは必ず中共に帰らなければならぬと確定したものじゃない……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 大臣、退去命令書は、いまも入管次長が言われるように、的にも行政事務の手続上も、帰国すべき先を決定しないで退去命令書を出すなんていうことがあり得ますか。この場合には、五十三条によって、本人の意思もそうであり、本人の国籍も中華人民共和国であるから、中華人民共和国に退去すべきものと認めて政府は出し、本人もこれを理解の上で異議の申し立てを放棄しているわけです。それは間違いありませんね。その事実に間違いがあったら言っていただきたい。そうでないという根拠があるならば言っていただきたい。他の理由によって、政治上、外交上の理由をもってこれが延期しているという御説明ならば別ですけれども、いやしくも法の権威を守るべき法務省のこの行政処分に対して、帰り先は決定しないまま退去命令を出したのだとばかばかしい答弁をなさることは、法務省の権威のために、これは国際的に問題になるので、どうぞその点は取り消していただきたい。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 ただいま大臣の申し上げましたことは、決して入管令に違反しておるわけではないのでございます。と申しますのは、退去強制令書が出されまして、これをいつ執行するか、どういう執行の時期方法にするか、これについては裁量権があるわけでございます。これは入管令に直ちに、入管令が……(「法規裁量か自由裁量かそれをはっきりしろ。裁量にも二つある」と呼ぶ者あり)これは入管令の五十二条の五項に、入国警備官は、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を収容することができるという規定がございます。これは送還することができないときは収容できるわけでございます。また、収容をせずに仮放免しておくということもできるわけでございます。この送還することができないという一種の送還の時期方法に関する裁量権がございますので、その裁量権を行使するにあたりまして、先ほど大臣が申し上げましたように、本件が要するに中国に帰りたくないということからスタートして不法残留となった事件でございます。したがいまして、この事件については、いわば亡命的な性質を帯びてスタートした事件でございますので、亡命を希望した先の国あるいは亡命事件としてこれを日本政府が人道的にいかに処理するかということにつきまして、国際的に非常にいろいろ関心があるわけでございます。したがいまして、できるだけそういった疑問を解消した上で、人道的に処理したいという裁量……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 その答弁はわかりました。冨田さん、私は、いまの帰国をする場合、帰す時期並びに帰す方法についての裁量権の問題は、これは後にお尋ねいたします。そうではなくて、十月二十六日にお出しになった退去命令書、退去命令というものは、あなた方は、帰り先は不明確だと認識してお出しになったのですか、そのことを聞いているのです。十月二十六日周鴻慶氏に対して出した強制退去命令は、帰り先は未決定のまま日本政府は出しておるかどうかということを聞いておるのです。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 中華人民共和国と送還先に記載してございます。それは要するに入管令によりまして異議の申し出を放棄いたしますれば、退去強制令書がすみやかに出されなければならない、その退去強制令書の送還先は入管令五十三条によって、本人の所属する国籍国を記載することになっております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そのとおりです。したがって、日本政府のお出しになった十月二十六日の周鴻慶氏に対する退去命令なるものは、帰国先は中華人民共和国であるということを当然の結論としてお出しになっておるのですが、大臣、いかがですか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 しかしながら、本人の意思が不明確でございます。もう一つ理由がございますが、ただいまこれは外務省当局と相談しないと言えないことが一つあります。(「外交上の問題……」と呼ぶ者あり)それは外交ではございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 外交の問題は政府のことだからあとで聞きます。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 外交ではございません。もう一つの理由というのは外交ではない別の問題ですが、簡単に申しますと、本人の身柄を保護しなければならない、こういうふうな必要も感じておるのであります。それが何かということはただいままだ申し上げるのをはばかりますが、それとその前後、本人の意思が必ずしも確定したのではないという状況を察すべき情報をわれわれは得ておる。それでございますから、いま申しましたように入管令何条でございますか、それによって執行が延びておるということでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは順を追ってお尋ねいたしましょう。大臣、よく聞いてください。  入管局長にお尋ねいたします。あなたは十月九日以後、九日には弁護人が本人に面会をいたしておりますが、十日以後十五日一ぱいですね、この期間は政府の方針としては、本人の自由意思による帰国先を決定をして、それを他から強制されない状態においてよく確認をしなければならない、それが先決である、それをやるために弁護人をはじめいかなる側の人も一切差し入れ、面会を禁止したいということで、本人の委任をされました海野晋吉並びに小田成光弁護士に対しても差し入れ並びに面会を一切禁止された。それは本人の依頼した弁護人だけでなくて、すべての面会、差し入れを禁止されるという趣旨を明確にされて、そのとおり実行をされようとされたわけです。ところが問題はそうなりまして、そしてあなたはこの決定——十月二十六日に、本人の意思でもあり、国籍も中華人民共和国であり、本人の帰りたいという自由意思も中華人民共和国であるということで二十六日に決定をされた。そうしてすぐ許可証が出るはずのところを、それが二十八日ないしは九日になって、その退去命令を取り消したのではなくて、あるいは再検討するというのではなくて、それは決定として有効であり、手続は一切完了しておる。しかしながら、他の政治的外交上の理由によってこの実施、執行については時期、方法についてしばらく延期しなければならない。すなわち、直ちにはこれを執行しがたい事情がある、こういうことを国民に向かって記者会見を通じて明確にされておられるわけです。この事実はお認めになると思いますが、そこで私のお尋ねいたしたいのは、二十六日までの間に法務省は本人の自由意思なるものを確認もせず、そこつに二十六日の退去命令書をお出しになったのでしょうかどうでしょうか。このことは本人の自由意思を確認するために面会の一切を禁止するということで、正当な、普通は認めらるべき弁護人の差し入れまたは面会をすら禁止されておる。この一週間というものが済んで、十六日になって台湾側の藤井五一郎弁護士並びに岡鴻慶氏の依頼いたしました弁護人である海野、小田両弁護人に対して面会を許すという通知をなすっておられるわけです。その間約一週間、それはまさにあなたが弁護人に言われたように、これは本人の自由意思なのだ、他から干渉されない意思を確認するための差し入れ、面会禁止であるということでありますなら、二十六日は単に本人の国籍が中華人民共和国であり、出国をしてきた国も中華人民共和国であるからそれを認定して出したのだ、本人の意思は確認してないということをいま大臣言われるわけだが、そのことは私は理解できません。したがって、私がお聞きしたいことは、要するにその経過の中でも事実明確であるように、本人の帰国意思というものは政府は親切に、かつ慎重にお確かめになっておるはずであるとわれわれは理解いたしておりますが、その事実はいかがでございますか、事実を伺っておる。大臣はあとで、担当の局長から事実を言っていただきたい。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 事実について申し上げます。ただいま穗積委員からお述べになりました最初の段階から最終と申しますか、退去命令までの段階の事実につきましてはおおむねお話のとおりでございます。一、二、たとえば面会、差し入れ等の禁止というふうなささいな点につきましては多少違ってはおりますが、大筋の点につきましてはただいまおっしゃったとおりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうでありますならば、五十三条の規定による本人の国籍で認定をして政府は出したので、本人の意思が不明確なまま退去命令書に中華人民共和国と記載したものではない、すなわち国籍がそうであると同時に本人の意思も確認された後に退去命令書というものは出されておる、こういうわけです。しかもその後あなたはいろいろな情報があると言うが、その情報を聞かしていただきたい。われわれの得ておるものをこれから御説明いたしますが、それは本人の意思は寸毫も変わらず、中華人民共和国に帰らなければならぬという意思は、さらに強く強く、深く確認されておるわけです。深められ、強められているわけです。だから、第一に大臣にお尋ねいたしたいのは、十月二十六日に出しました退去命令書なるものは本人の意思も確認し、そして国籍も中華人民共和国である、同一国である、その両方の点から明確にこの退去命令書は帰国すべき先、すなわち中華人民共和国を指定した退去命令書である、このことが間違いないことはいままでの質疑応答で明確だと思います。その点をまず第一に確認してあとの御答弁をお願いいたしたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 お話と違います。日本から退去することについて本人が異議を言わないということを聞いております。そういう場合には退去命令を出す、それだけ確認しておきます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは違います。さっきからのあれで、中華人民共和国に向けて日本を退去し、中華人民共和国に帰るべきである、単に国籍を記載しただけでない、帰り先として中華人民共和国、出したほうも受け取ったほうもこのことは確認をされて出され、さらにそのことが確認をされて異議の申し立てを放棄しているわけです。この事実は明確です。もしそうでないというならば、本人をこの国会に参考人として呼んで問いただしてみましょう。その必要はなかろうと思います。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 ただいまの穗積委員のお尋ねは、退去強制命令異議の申し出を放棄したのは本人の最終的意思ではないか、この最終的意思に従って処理すべきではないかという御質問だと思うのです。しかしながら、先ほど申し上げましたように口頭審理の段階におきまして異議の申し出の放棄がなされたという、その段階においては本人が異議の申し出を放棄したことは間違いございません。しかしながら、一般の例におきまして、異議の申し出を放棄した後におきまして、あの異議の申し出の放棄は間違っていたからまた日本に置いてくれというようなことを申し出てくるケースもしばしばございます。また現実にそういうケースがございます。   〔発言する者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 まあ説明を聞きなさいよ。大事なことですから、速記に載るのですから静粛に聞いてください。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 また異議の申し出を放棄いたしまして韓国に送還するというような、退去強制令書に送還先が韓国と書かれましたような場合におきましても、後において本人が、自分は北鮮に帰りたいのだということで帰還先が変更されまして、その本人の意思を尊重いたしまして北鮮に送還するという場合もございます。したがいまして、異議の申し出を放棄したときに帰ると言った先が最終的なものであるかどうかということと、異議の申し出の放棄とは別問題であるということを申し上げる次第でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 冨田さん、私は順を追うて論理的に聞いておるんだ。ですから先走りしないでください。私の言っているのは、十月二十六日に出した退去命令並びに本人が承諾した退去命令は、中華人民共和国であったが、その後いろいろ収容中に考えてみて、やはり他のそれ以外の国へ行きたい、あるいは日本に残りたいという意思の変更があった場合は、それはまた別の話、あとの話です。そんなことじゃなくて、十月二十六日に出した退去命令は、あなた方の意思も本人の意思も、中華人民共和国に帰れるものと理解してお出しになったものであり、受け取ったものでありましょう。その事実を聞いているのだ。事実さえ言えばいいんですよ。そのあとの変更の有無については、あるいは今後の可能性の有無については、それはこれからの話です。私の聞いているのは、そのことを聞いているのじゃない。その退去命令書が帰国先を指定をしないまま出したものであるかどうかということを聞いておるわけです。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 一つ一つ、何と申しますか、異議の申し出を放棄したときに、その意思が最終的な意思かどうか……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そんなことを聞いているのじゃない。出したときの帰国先がきまっておるかどうかということを聞いておるんです。

富田正典検事(入国管理局次長)

○富田説明員 出したときの帰国先はきまっております。ただそれが最終的な意思であるということではないということを申しているわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 法務大臣、あなたは法務大臣ですよ、外務大臣ではないんですよ。法務大臣として法の権威のために、党派を超越して、法の解釈並びに執行は厳粛にやっていただきたいという意味でお尋ねしているんです。  いまお聞きのとおりです。すなわち十月二十六日に出しました退去命令書は、政府の意思も、受け取った本人の了解も、日本を退去するだけで命令書を出したのではない、帰国先は中華人民共和国というものを指定して出し、本人もそれを了承して異議の申し立てを放棄している。その段階、あとはまたあとの話ですよ。そのときはそういう事実であるということはおわかりになりましたね。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 違います。私は、日本を退去するという命令を出せということを事務当局に言いつけた。退去命令を出して、それがどこに行くかということは、別にそう不動のものとして確かめているものじゃない。事務当局は一応規則に従って出たことを書き、本人が異議を言えばまた考える。だからあとのことはとおっしゃるが、あとのこととそれは関連しているんですよ。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 大臣、そんな野党をなめたような答弁をされるというと、われわれは考えがありますよ。何を言っているんですか。退去命令書を出せと言ったときのあなたの主観は、日本をとにかく退去しろ、行き先はこれからきめるんだということでお出しになったと仮定しましょう。しかしながら、出入国管理令に伴う退去命令書というのは、行き先をきめないで出すべき性質のものじゃないし、命令でお出しになったあなたの主観はそうであろうと、出した客観的な強制処分というものは、はっきりいま事務当局が御答弁になったとおり、法律の上でも事務当局のお考えも、明確に帰国先というものは指定して出してある。こういうことは明らかなんですから、あなたの誤解を——法務大臣としては、はなはだ欠格でありますけれども、退去命令書というものはそういう性質のものじゃないということを認識して、話を進めていただきたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 そもそも御質問の初めは、何ゆえいままで置いておくかということです。何ゆえ置いておくかというと、いま申しましたようなそのときの退去命令というのは不動のものじゃない、それで私は申し上げておるわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 違います。それではもうこれはあしたの朝までぼくはがんばりますよ。これは退去先はこれからきめるんだという、そんな条件つきでこの退去命令書が出たのだということをあなたは——いま事務当局はそう言っておるじゃないですか。法務大臣がそんなでたらめな答弁をして、これで国会が通れるものなら、国会なんというものは要りません。遺憾ながら法務委員会の権威なんかありませんよ。あなたが主観的に当時はそう思っておられても、それはそうじゃないのですから、ここで認識をあらためていただきたい、それでないと話が進められない。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 いまもお答えを申し上げましたように、退去命令を出しながらいままだおるのはどういうわけかというお話ですから、それは最終的に動かせぬものならいまおることはおかしいでしょうが、そういうものじゃないのですから、いまおることのわけを申し上げておるのであります。だから一応そういうものは確固不動というものじゃなく、変更するものだということを申し上げておるのであります。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 関連して。法務大臣は、自分は日本からの退去命令を出せということだけを言った。しかし、どこに行くかは言わない。ところが入管令の第五十三条によれば一項、二項と分けてあって、その一項、本人が国籍を持っている生まれたところ、そこに帰す、第二項は本人の希望によれば次々というふうに分けてあるのですから、退去命令を出すにはどうしても行き先を書かないでは退去命令を出すことができない。第五十二条によって入管のほうで言われたことは、そのあとの問題です。ですからこれはちょっと見てください。ここに書類の写しがあります。ここに送還先中華人民共和国、これを書かなければ命令書が出せないのですから、大臣はそこの誤解を解いていただきませんと、ただいまの穗積委員の質問が進行しないのです。これは大臣、何かお考え違いか思い違いがあると思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 いま申し上げましたように、それは一応そうでしょうが、異議があれば変わるようなものですから、その執行をいままでしないで置いておくのはどうしてかという御質問ですから、それだけのことはそうでしょうけれども、そのあとの処置についてお聞きになっておるから私は申し上げておるのであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ちょっとよく聞こえませんでしたが、退去命令を出したときは中華人民共和国というつもりであったけれども、その後本人の意思が変わったから再検討をいましているんだ…。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 ちょっと待ってください。いま別な意味を発言されておるようですから再び恐縮ですが……。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 退去命令は出しまして、それにはいま行き先が書いてあります。ところが御質問は、いまごろまで置いておくのはどういうわけかという御質問だと思いますから、それはそう書いてあっても本人の意思が変われば変わる、本人の意思が必ずしも確定したと認めがたい状況でございますから、その後執行していない、かような次第でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それはこういう意味でしょうか。退去命令を出したときは政府も本人も帰り先は中華人民共和国と理解をしておった。ところがその後本人の意思に動揺なり変化もあるように見受けられるから、だから二十六日の退去命令書というものは執行を延ばしておる、こういう意味ですか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 本人の意思をさらによくこれを確かめる必要がありますし、先ほどちょっとお話したように本人の保護という点も考えなければならない。それで今日まで延ばして、適当な処断をすることが必要なりと思って延ばしてある次第であります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうしますと、十月二十六日に出した退去命令書には、行く先はまだきまってなかったという御理解は、これは訂正でございますね。そのとき行く先は明確であるということを、あなたは確認されましたか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 一応はきまっておるわけでございます。それを変えるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういう三百代言みたいなことを法務大臣自身が言うことは、私は日本の法務省の権威のために遺憾に思うのです。政治家として、あるいは法律を学んだあなたとして、私は遺憾に思うのです。十月二十六日に出した退去命令書には行く先は分明しておる、明確である。そのことはお認めになりますね。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 私は法の運用として、いまの状態のほうが適切なりと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは認めたことですね。これはわかりました。  それで、続いてお尋ねをいたします。そこで、にもかかわらず、すみやかに実施すべき性質の退去命令の執行をいまだに延ばしておられる理由は、大臣のほうから詳細ひとつ明らかにしていただきたい。その上で御質問をいたします。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 一つは、本人の意思が必ずしも自由意思で確定したとは認めがたいところが一つでございます。それから本人の身柄の安全ということに関しまして、国外に出ることについて不安なしとしない点もございます。それらの理由で、それらの全体が適切なる解決をする時期を待ち、なるべく早く解決したい、かように考えている次第であります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 先ほど言いましたように、小川局長にまず担当の局長としてお尋ねいたしますが、先ほどもちょっと触れましたように、あなたは、法律上の手続ももう完了いたしております。それを帰国を延ばさしめる法律上の理由はもう何もありません。それから人道上も同様である。ところが、この問題は政治外交上の段階に入ってしまって、それがすなわち台湾政府からの日本政府に対する抗議です。横やりですね。そういうことによって実はこの問題は執行が延期されておるんだ、それにすぎないということを、あなたは公表をされておるわけですが、その事実はいまなお変わりありませんね。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 それはこうでございます。本人の意思が必ずしも自由意思で確定しているとは認めがたい。また、本人の身柄を、危険があるいはあるかというところに置くことも、移動することに非常に危険もございます。それからまた、お話のように中華民国政府が、本人のほんとうの自由の意思でやられているかどうかということに、相当の疑いを持っております。これらも明確にすることが同時に外交上は必要でございます。ですから非常に客観的に、本人の自由の意思によってはっきり行き先をどこに希望するか、だれもが納得するような状況を希望いたしております。なるべく早くそういうことになるように努力をいたしている次第でございます。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 ただいま穗積委員から、私が公表をしたと思われる内容について、事実に間違いないかということを問いただしになったのでございますが、私ははっきりと、外交上の理由によって本件の執行がおくれているということまで明言した覚えはないのでありまして、多少事実が違っているように考えます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは重ねてお伺いをいたします。  法務当局としては、この問題についての法律上の手続は、瑕疵があり、あるいは法律上はなくても、本人の意思の確認について二十六日ああいう決定をするについては、これは誤りであったという認識をお持ちになっておられますか。法律上の手続がこれで終わっていないとお考えになりますか。法律上の手続はすでに終わっているとお考えになりますか。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 法律上の手続といたしましては、ただいままでるる御説明申し上げましたように、退去強制令書が出るまでの手続におきましては、途中の取り調べ段階におきまして、本人の意向が二転、三転をしておりますけれども、退去強制令書を出す瞬間におきましては、本人の希望のものを——希望と申しますのは、日本に滞在したくない、異議の申し出を放棄するという意思表示によりまして、その間に二日間以上反省と申しますか、熟慮の期間を与えた後に、二十六日に出したわけでございまして、退去強制令書が出ました後に、執行の段階に入りましてから問題がややこしくなったのでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 いまの答弁は論理的には正しいですね。  それでは、大臣と局長、両方にお尋ねいたします。その本人の意思、中華人民共和国に帰りたいと言ったこと、それは今日、その後のいろいろな情勢を判断をしてみて、これは必ずしも本人の自由意思によらない、本人の意思は現在の段階までの間において変更を来たしていると思われる。こういう情報があるということですが、それは具体的に何でございましょうか。言ってください。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 いろいろございますから、あまりそういうことははまだ申し上げることはないと思いますが、本人が、変更をしたいとかしたくないとかいうことで、自由の意思で言っているかどうかということによほど疑問があるのです。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、大臣と局長との間では、本人の意思確認、二十六日までの間における意思確認で食い違いがある。局長は二十六日段階においては、本人の自由意思を確認する手続については瑕疵はなかった、あるいは不親切ではなかった、その後本人の主観的な動揺によって変わったのではないか、変わりつつあるのではないかという心配もある、こういうふうに言われた。ところが大臣は、その二十六日の令書を出すときまでの本人の意思が、他の強制または誘導その他によって、すなわち本人の自由意思によらざる要素が入って、本人が中華人民共和国に帰りたいと思ったようだ、こういうふうに言っておられるわけですね。そうであるなら、これはいま国際的な問題になる。日本の法の権威の問題になっているわけです。したがって、非常に大事な問題でありますから、その点を明らかにしていただきたい。すなわち、あなたはこういうことを言いたいわけでしょう。実は、そういうふうに決定したのだが、台湾政府から文句が出たので、こわくて、それに動揺して実は決定しかねておるのだ、外務大臣は率直にわれわれにそう言っている。そういうことを言うことは、国際的に日本の政府の外交上の自主性について不見識であるから、したがって、延期している理由というものは、二十六日の段階までですでにもう自由意思によらざるものであった、本人の真実なる自由意思というものはそこになかったのだ、それが今日まで遷延しておる理由であるということで、本人の動揺、本人の意思尊重という人道的な立場に立って延期しておるのだというところに責任を転嫁されようとしているわけですね。これは、私は国際的に非常に大事な問題だと思うのです。いま日本国内における、われわれも含む国民全体並びに外国の諸君は、日本の政府は、すでに退去命令を合法的かつ妥当に出しておるにかかわらず、台湾政府の申し入れによって、抗議によって、そこで外交上の配慮をして、実はこの執行を延ばしておるのだ、こういうふうに理解されておるわけです。ところが、いまあなたの御説明によれば、そうではなくて、帰してやりたいのだけれども、台湾の抗議などはこれは眼中にない、にもかかわらず、本人の意思が、人道上から見て動揺しておるように見えるから延ばしておるのだ、こういうことなんですね。これは非常に大事な焦点の一つになるわけです。はたして、そうでありましょうか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 どうも、私がお答え申し上げておるのがなかなかおわかりいただけないようですが、大平外務大臣は台湾がこわいと申しましたかどうか、私は存じませんが、私は一向こわくありません。こわくないけれども、台湾ということばは不適当ですが、中華民国政府がどう考えておるかということは、日本はやはり国政として考えなければならぬ。それで、この前の答弁で申し上げましたように、一応だれが見ても、本人の自由意思がこうであるという段階をとりたい。その段階をとりまして、そのとき以後において、はっきり申し上げたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、台湾政府の抗議も考慮しなければならぬという第三の理由が加わったわけですね。執行延期についての理由として。その点、ちょっと不明確です。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 これは前に申し上げましたように、中華民国政府が非常にその問題について——本人の自由意思を考えて、中華民国政府が納得するような方法を考えるということは、私は外交上必要なことだと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、第三の理由は、台湾の抗議を考慮するということになったわけです。そこで、順を追ってお尋ねいたしましょう。  本人の意思が、帰国先について、二十六日の段階から今日までの間に動揺または変化をしておるという判定をなさいました事実は、何によってなさいましたか。われわれが得ておる、あるいは弁護人が常に会って本人の意思を確認いたしておりますもの、あるいは本人が外部に発表いたしました手記あるいは声明書全部、片りんもそういう疑点を抱くべきものはございません。にもかかわらず、そういうことを抗弁されるなら、それを理由として、いまの政治的な外交上の理由によらざるものである、むしろ本人が動揺しておるから帰れないのだ、帰したくても帰れないのだ、こういう責任転嫁をされるについては、重要です。人道上の問題です。国会においてそういうことを答弁されて、そして本人は帰りたいと言っておるのに、本人の意思がどうも一動揺しておるようだということを理由にしてこれは治安維持法中の、われわれが逮捕されたときと同じじゃありませんか。理由なき理由をもってどんどん逮捕、あるいは収容を延期しておる。そういうことであるならば、これは人道上捨てがたいことです。本人の意思が動揺したということであるならば、どういうことをもってそういうことを言われるのか、これは人道上の問題としてお尋ねいたします。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 最終の結果が出ましてから申し上げたほうがいいと思いますが、一、二申し上げますと、絶対に中華民国政府側の人に会わない、これはおかしいと思うのです。こういうことが私どもはどうもおかしい。何ゆえに絶対に会わないのか。一方ばかり会う。こういうようなことはどうも普通じゃないと思います。それから、これはだいぶ後ですが、何か雑誌に手記を出しております。あの手記を見ますと、初めから台湾に行きたいとかなんとかいう考えじゃないのだ、まるでそれはうそをついておる、何か一種の脅迫でございますか威嚇でございますか、そういうようなことを書いていますが、何ゆえに初めにそういううそをつかなければならないか、そういう理由がちっともわからない。初めはうそだったというなら、次に言うことも必ずしもほんとうだとも断定できません。いろいろございます。最後に意思をはっきり多くの人が納得するような段階、ステップをとりたい、そのときに明白に……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 中華民国の人に会いたくないと言ったのは、いつの事実を言っておられるわけですか、中華民国の人会にいたくないということですか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 その中華民国政府側の——それはともかく何か一方と極端に会わないです。そういうことは尋常じゃないのでございますね。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 大臣、よく聞いてください。本人の意思の変転についてはこれは認めます。認めますが、そのプロセスにおける動機あるいは原因、これについてはあなたはお考えになったことがありますか。中華民国の代表に会いたくないというようなことはあたりまえなことでしょう。何らふしぎなことはない、心の動揺を示すものではない、むしろ意思が強固であることを示すものでしょう。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 初めは中共に帰りたくないというように申しておる。それからは日本におりたいとか、いろいろ言って、そう変わるのはわれわれに理解しがたいところがある。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 よく聞こえないのだけれども、それでは続いて、本人の意思の問題を盛んに言われるから、私は法務省事務当局にちょっとお尋ねいたしましょう。  この事件は、十月九日に麻布警察から東京入管事務所へ移されましたね。その間、さっき言いましたように、それまでの本人の意思の動揺については、これは本人の手記にもありますように、あるいは調書にもあるだろうと思うが、通訳が非常にまずくて責任が果たせなかった。帰る前日のお別れのパーティーで酒を飲み過ぎて失態を演じた、そういうようなことで非常なノイローゼになっておる。そこへ持っていって、台湾工作員からの電話がかかってきて、脅迫または誘導をやったわけです。そういう心の動揺というものはわかる。ところが、あなた方が他から干渉されない状態において本人の意思をきめさせようという配慮で、十日から十五日いっぱい他との面会をさせないということをおとりになったわけです。その趣旨は、本人の自由意志決定に他からの介入を避けたいということであった。ところが十月九日でありますか、台湾側からの差し入れは、一般の、灘経新聞と書いてありますけれども、産経新聞のこの事件の載った記事のついたものを本人に差し入れておる。それからさらに重要なことは、十三日に、つまり面会、差し入れ禁止のときですが、これがその本です、台湾側から中外グラフというものを差し入れておるわけです。台湾側の雑誌ですが、その中に本人に対する手紙を書き入れたのを、粗漏にもあなたの所管の管理所長はこれを知らずしてこの重大な文書を本人に与えておる。その中に何と書いてあるかというと、最も感情的な問題でありますけれども、すでに北京においておまえの奥さんは正式に離婚をした、それから第二は、共産主義者の諸君は日本の官憲を買収しておまえを祖国すなわち中華人民共和国に帰らせようとしておる、こういうことを言っておるわけです。しかも今度は、面会禁止が解除になりました十六日の日に、まず台湾の在東京の大使館員が面会をしておる。同時にそれの委嘱した藤井五一郎弁護人も面会しておる、そのときに一体本人にどういうことを言ったかというと、おまえの奥さんはもう北京で強制離婚されておる、そしておまえは祖国に帰れば死刑になる、そして日本政府はおまえを日本には置かないのだ、滞留せしめないのだ、しかも台湾側は、台湾へおまえが渡航すれば非常な利益を与え、金銭を与える、あるいはまた優遇をする、こういう一種の事実にあらざる事実をもって威嚇を加えたり誘導したりしておる。それで、本人はノイローゼになっているときであり、しかも外の状況が全然わからないわけです。しかもこのときに、東京管管理所の窓の外から台湾系と思われる者が同様のことをどんどんマイクで本人に聞こえるように放送を許しておるわけです。これは意識、無意識は別といたしましても、本人の意思を尊重するという大臣の意思であるならば、入管のこの本人の収容の仕方、管理の仕方は、はなはだしく不当である、手落ちがある、こういうように私は思うのです。この事実は局長、次長、御存じでしょうか。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 ただいま、周鴻慶の手記その他からいろいろな事実を取り上げられまして、事実かどうかというふうな点について御質問があったのでございますが、こういった事実に対しまして、私どもの持っております材料によって一々肯定するとか否定するとかいうふうなことに相なりますと、やはり周鴻慶本人の将来の一身上の問題にも影響を及ぼしてくるおそれがございますので、私どもといたしましては、どうぞそういう点につきましては、この議場であまりお取り上げにならないように切にお願いをいたしたいと存ずる次第でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 局長にお尋ねするのは、こういう管理、収容の仕方というものにはいささか手落ちがあったと私は思うのです。そして外では、そういう点で一部の内外結託をした政治工作の非常な不安を与えておるわけです。それを証明するものとしてわれわれにわかっておるだけでもいまのような事実がある。本人もそのことを深刻に書いておる。それが本人の意思に非常に大きな影響を与えたということが十月二十三日付の週刊朝日の手記の中に書いてあります。中外グラフを読んで絶望をした。それで非常な動揺を来たしたということがあるわけです。他からの圧力を加えたり誘導をしたのは、中華人民共和国へ帰れという側の誘導なんか何もありゃしない。何も差し入れもないし誘導もないのです。そうですよ。台湾へ行ってもいいと言ったのは、十六日藤井弁護人が大使館員と一緒に行って、そういう一種の威圧を加えたり恐怖心を起こさせたりあるいは利益誘導をやったり、それで状況がわからぬで絶望が積み重なって、それで署名をした。むしろ本人の意思が自由でなかったというふうに言われるのは逆なんですよ、大臣。これは認識不足ですよ。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 いまのは御意見だと思います。逆の意見も世間には相当あるようでございます。  それから十六日以後ではない、も一つと早く、周は中共に帰りたくない、日本におりたい、台湾に行きたいということも、いまのお話のような外部からの働きかけがあったかないかは私は申しませんが、その以前にパレスホテルから出たころ間もなく、そういうことを言っておるようでございます。いま入管局長も申し上げましたように、これは両方の意見がある次第でございますから、なるべくなら詳しく申し上げないことにお願いいたしたいと存じます。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 穗積委員に一言だけ申し上げますが、いまの、入管の措置が非常に公正であったということ、これは周自身も感謝しておるということを一言だけ申し上げておきます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 本人の意思が他の強制または非常な影響によって、自由意思でなかったようだということを先ほど言われたのですけれども、これは手記にあらわれております変転というものは、さっき私が言いましたように、通訳が非常にまずくて責任が果たせなかった。それからあとは酒の席で、これは賀屋先生御存じだと思うが、泥酔するということは日本では平気で、社会道徳上非難されていないようでありますけれども、中国では泥酔をして他に迷惑をかけるというのは非常にたいへんなことなんですね。もしこれが外国へ行っておってやったということになりますと、これは非常にメンツを重んずる民族性がありますから、日本では酒を飲んでやったことは酒の上だということで、むしろ無礼講、天下御免のように思うのですけれども、中国の人たちはそうではない。ことに革命中国はその点は非常にきびしい礼儀、規律を重んじておるわけです。さらに手記にもありますように、非常な台湾側と思われる電話工作が行なわれている。そういうようなことで、非常な動揺があったことは私も認めざるを得ないと思うのです。しかも大事なことは、麻布警察へ移されましたとき、あるいは入管へ移されましたときに、——彼は昭和十七年戦争中に満州国の林野の役人をしておりまして、それで研修生として帝室林野局に来ておった経験があるのです。そのとき日本の警察のやり方など見ておるわけです。これはわれわれも体験をしておりますが、外国の諸君から見ますと、いまだにそういうものがもし続いておるとすると、これは一体何をされるかわからぬというような非常な不安を持ったことは事実であるわけです。そういう点を勘案してみますと、私は、自由意思というものについてあなたは疑点をお持ちのようですけれども、むしろ逆なんですね。自由意思がもし多少とも侵されておったということであるとするならば、あなたの言われるように中華人民共和国に帰るのが、他の強制または圧力によって、あるいは利益誘導によってそういうことになったというのではなくて、むしろ日本におりたいとか台湾へ行きたいということを言ったということがそうなんであって、逆になっておるように思う。だから、そうでありますならば、そうして腹がきまっておるからこそ、中華民国の人たちには会いたくないと——これは会う必要がないのですから、事実彼にすれば、この中華民国の大使館の人たち、あるいはその系統の人たちというのは、周鴻慶にとっては、この恥ずべき状態になったということは——周鴻慶は被害者であって、加害者は台湾系の諸君なのです。台湾へ行くというなら別ですよ。そうでない、中華人民共和国へ帰りたいという意思が決定しておる以上、そんな加害者に会う必要はないじゃありませんか。だから理由にならぬです。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 私は必ずしもそういうふうには思わない。たとえば電話がかかった、どこからかかったか。台湾からかかったときめていくのはどういうものでございましょうか。どんな意思でかかってきたか、われわれから見ますと、非常に一方的な断定のような気がするのでございます。昭和十七年はお話のように特高の盛んな時代でしょうが、周は日本に来て、日本のような自由ないい国はないのだからと言っている。だから周といえどもいまの警察が昭和十七年時代のような警察だと思っておっかながったということは疑問だと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 大事な問題で、それだと事実についてよく質問をして明らかにする必要がありますけれども、本人の意思の変転の問題についてはこれは次の機会に譲りましょう。  そこでお尋ねをいたしたいのは、今後一体どう処置をされるつもりでありますか。——ちょっと聞いていただきたい。特に法務省に聞いていただきたい。この十月二十六日の決定というものは、先ほど言われるとおり正当な順序を踏み、法律上も出入国管理令にのっとって、瑕疵のない手続として強制退去命令が出されておるわけです。それが台湾からの抗議に日本政府が動揺をして、そのことのために法務省の合法的な決定というものが執行できないということは、これは世間では昭和の大津事件だと言っているのです。当時の日本の国際的な地位、明治時代における相手の帝政ロシアの国際的な強さ、日本との関係、これを考えまして、このときに法の権威を守った児島惟謙先輩が尊敬され、その精神でなければならぬということは、われわれお互いに大学時代から学んだではありませんか。今日、日本と台湾との関係、しかも本人が非常な錯乱と動揺の中で間違った情報によって威嚇を加えられ、利益誘導されて、全くの錯誤によって一片の署名をし、藤井弁護人否認をし、そのことをきっかけとして台湾から抗議を申し込んでくる。これは実は日本の法務省の内政問題です。すなわち出入国管理令を実施する法務省の行政措置に対して台湾からの不当にして不法なる内政干渉だと私は思う。しかも一政治的、外交的に判断いたしましても、大津事件当時と問題にならない今日の国際情勢であると思うのです。にもかかわらず台湾から抗議がされたということによって動揺して、権威ある法の決定というものが延期されておる。いつともわからない。動揺を来たしている。これは小さい問題のようですけれども、私は法務大臣としてのあなたのために惜しむ。同時に日本の法の権威のためにも、日本の行政の、主権の独立のためにも惜しむわけです。ぜひひとつ即刻——この二十日が仮放免の最終的な期限が切れるときであります。それを待たずいたしまして、それ以前にぜひとも帰していただきたい。身の安全と言われますけれども、警察は自信がありませんか。台湾系の工作員あるいは日本の右翼の諸君が本人を刺すとか撃つとか、そういうようなことを言われておるわけでしょう。身柄の安全の心配があるというのはそういうことでしょう。強制退去命令を出した本人を日本の国境から外に出すのに、日本の警察はそれほど弱体であり、権威がなく、信念がございませんか。いかがでしょうか。だからその点について私は法務大臣の反省を求めながら、一体今後この問題をどう処置されるつもりであるか、今後のことを伺っておきたい。同時に警備局長には、その治安の責任の問題を明らかにしていただきたいと思うのです。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 今後の措置は先ほどお答え申し上げました。なお私の立場として、私は少しも良心に悔ゆるところなく、私のやっていることは適正なりと考えます。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤田政府委員 お答え申し上げます。周鴻慶氏の問題につきましては、いろいろむずかしい状況になっておりますので、私どもとしましては、万が一も身辺に危険があってもいかぬということで、かたがた日赤の本社の社会部長高木武三郎氏からの要請もあり、私ども自身も必要だということで、現在制服七名、私服四名で入院中の周鴻慶氏の身辺警護の万全を期しております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私のお尋ねしておるのはそのことではありません。彼を強制退去せしめるときに、日本の警察は彼の安全を守るだけの自信がありますのかどうか、それを聞いておるのです。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤田政府委員 周鴻慶氏が日本を出国するまでの……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうです。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤田政府委員 その間の警護だと思いますが、私どもは自信を持って警護いたすつもりでおります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 けっこうです。大臣お聞きのとおりです。身辺に対する不安というものは、警察当局は自信を持って保障する、責任を持てる、こう言っておられるわけです。そうなるとあと残るのは、台湾側の不当な抗議に屈するか屈しないかという問題だけです。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 それは日赤におりますときと、あるいは港その他に移動する場合とはだいぶ違うと思います。警察当局はどういう意味であるかわかりませんが、普通これで自信ありという警備をいたしておりましても、不測のことが起こるのが常でございます。私はそのように考えております。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 穗積君、——穗積君に申し上げます。もうどうです、同僚もまだ質問があるのですから……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 割愛して、もう一点だけで終わりますから……。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 だいぶおそくなりましたから。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 一括して二点について御質問いたしますから、再質問を必要としないように明確に答えていただきたい。  大臣は、いま申しましたとおり、本人の身柄の安全を考慮する、台湾からの抗議に対して国際的に考慮しなければならぬという点と、最初言われたのは、本人の意思について、私はそう思いませんが、大臣は、もう一ぺん再確認をする必要があるのではないかと思っておる、こういうふうに言われたわけです。台湾側のことはあした外務委員会を開きますから、外務大臣に質問をいたしますけれども、いまの身柄の安全性の問題については、警察当局は自信を持っておると言われる。そんなことができない警察なんて、あなた冗談じゃありませんよ。そうすると、残る問題は、大臣に特にお尋ねしたいのは、本人の意思を再確認する方法、時期、これをどういうふうにおやりになるおつもりでございますか。  もう一つ、これで質問は打ち切りますから……。法務当局にお尋ねいたしておきます。元来この事件は、直ちに不起訴処分として決定をしておりますね。不起訴処分と決定した者の調書は、われわれの学んだ法律の常識によりますと、これは外に公開をしないのが原則になっておると思います。ところがその調書と思われるものが——一月号の「経済往来」に実は藤井五一郎さんが、周鴻慶への問題を書いた次の重要な資料として、麻布警察における調書というものを公開をされておるわけです。これは法務省として一体どうお考えになりますか。こういうことはいままでの調書の処理として前代未聞のことであると私は思う。そうであるならば、麻布警察署長が漏洩をしたか、あるいは公安調査庁が漏洩をしたか、国家警察、警視庁が漏洩をしたか、どこかでしょう、別にわかるものがないわけですから。警察の不起訴処分としての段階としての調書が公開されて漏洩をしておるわけです。この責任の問題については、一体法務省並びに警察当局はどうお考えになっておられますか。これは今後とも重大な問題でもあります。私はいままでこういう例を聞いたことはない。公開されたということは、漏洩されたということは、だから重大な問題として、これは事務上のこととして法務省並びに警察当局にお尋ねをいたします。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 この周の自由なる意思を確かめるということが一つであります。それから身柄の安全、これは普通の十分なる措置はできましょうが、しかしそれは絶対に完全であるとは言えませんから、そういうこともあわせて考えなければなりません。  それから外交上の問題といいますか、その内容、考え方は先ほど申し上げましたように友邦が疑いを持っているのを、十分にこれを納得するように、自由意思で、周がどうきめられましょうとも、するというのが、この際必要だと思います。そういう意味の外交上のことなのでございます。  それからどういう手段でやるか、それはせっかくいま考慮中でございます。各方面がなるほどそれは周氏の自由意思でこういったんだ、それがいい、せっかく外務省ともいろいろ協議をしまして研究中でございます。適当な処置をとるつもりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 御答弁が不十分ですから、もう一点明らかにしておきたいと思います。本人の意思を再確認する場合、これは内政問題であって、法務省のなすべきことなんですね。法務省所管のことなんです。行政事務なんです。それに対して台湾その他の外国の人を立ち会わす必要は私はないと思う。これは重要な法務省の行政事務に対しての外国からの干渉ですから、まさかそんなお考えはないと思いますが、この点は念のために大臣から決意を伺って確認をしておきたいと思います。これは明らかな人権侵害です。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 方法はいまも申し上げましたように研究して決定いたします。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それはやるかやらぬかということを聞いておるのです。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 ただいま申し上げられません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 申し上げられぬということはどういうことですか。場合によっては入れるということですか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 方法を研究いたしますから、その内容をどうする、こうするということは申し上げられません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 こまかい方法ではなくて、それから国内の行政事務をやるのに外国人を立ち会わすということは、これはあり得べからざることですから、これは重要な主権侵犯だと思います。だからそのことはやらぬ、ほかのことはあとで考えていただいていいのですが、そのことだけはやるべきではない。念のために伺うのです。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 主権侵犯はやらせません。しかし具体的にどうするかということは研究いたします。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 関連して……。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 黒田先生、非常に重複しているから重複しないように、非常に簡潔にお願いいたします。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 ちょっと関連して、関連ですから簡単に質問します。  いままでの政府の御答弁によりまして、外務大臣のこの事件に対する御説明と法務大臣の御説明とが非常に食い違っておるように思います。ただし外務大臣につきましては、明日外務委員会で質問いたします。私が外務大臣と法務大臣の意見の食い違いというのは、委員会においてではなく、直接に外務大臣にお目にかかったときの御意見と、法務大臣のきょうの御意見とに食い違いがある、こう考えるわけでありますが、外務大臣の御意見は明日聞くことにいたします。  きょうの穗積君の質問に対する関連として確かめておきたいと思いますことは、穗積君が問題にせられたことでありますけれども、最終的にどうもはっきりしていない。それは入管局長の御説明では、十月二十六日に退去強制令書を発行されましたときには、周君の送還先に関する意思は確認されておった、こうおっしゃっておるように思います。それからこれは私の聞き違いかわかりませんから関連質問をするのでありますが、法務大臣のほうは、その時点においても、同氏が中華人民共和国を希望するというその意思決定が、必ずしも本人の自由意思に基づくものではないように思われる節がある。何か、あるいは脅迫、あるいは誘導、その他の外部的な事情に動かされて退去強制令書を発したそのときに、なお周氏が中華人民共和国へ帰るという意思において、どうも確定していないように思われたというように私は聞いたわけです。そうでなくて、令書を出したときには、本人の意思は確定的なものと認めたけれども、その後になって、本人の意思に動揺があった、こういうように認めておいでになるのでございますか、その点をもう一度お聞きしておきたい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 その点は最初に申し上げましたように、退去ということをきめまして、それから本人がどこへ行くかということは、本人がこうだと言えば十分考えてやろう。それで確認というと動かすべからざるもののようですが、そういうものはわりに動くものだが、一応帰るといえば、それでいい。それでまた本人の気が変わればまた十分考えるわけですから、確認ということは動かすべからざるという意味のニュアンスの確認ではないのです。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 大臣は、私から見れば、令書の執行を受ける当人の意思をきわめて軽く見ておられるようです。本人としてみれば、退去強制令書を出されたときの帰還先というものは、自分の一身に関する非常に重大な問題である。それをあなたは、お考えにならなければなりません。われわれは、出入国管理令を制定いたしましたときの国会の委員会に私も委員として参加し、審議したのです。強制的退去させる場合に、送還先の決定ということは、送還される者にとっては非常に重大な問題である、強制送還の場合の最も重要な事項である、こう私どもはいままで理解しておった。だから令書が発行せられるときに、本人の意思を確定的に確かめるということは、令書発行の第一の、そして最も重要な条件である、こう私どもは理解しておる。どうもそういう点から見ると、法務大臣のお考えが、本人の意思というものをあまり重大にお考えになっておらないようなうらみがある。そこで私は重ねて尋ねますけれども、私どもはそういうようにいままでも理解しておりますし、今日も理解しておりますので、少なくとも令書を出されたときには、本人の意思は令書に書いてあるその国に送還されるものだということが確定的であった、そう見なければならない、そうした認定がなくて令書を出すということは、私はなすべきものではないと思うのです。それならば令書を出す時期をおくらさなければならない。いやしくも令書を出す以上は、送還先に関する本人の意思は確定的である。この確信を政府御自身もお持ちにならなければ令書を出すべきものではない。これは私どもの解釈です。その点について、私は、局長の御答弁は入管局としての正しい見方を示したものであったと思います。そういう見方でなければ、私は令状を出すべきでないと思う。どうもその点、大臣のお考えとちょっとそこにニュアンスの違いがある。令書を出すときには確定的だったけれども、その後変更したと認めるとおっしゃるのか、出すときからどうもはっきりしていなかったというように考えておいでになったのかということは重要な問題であります。そこがどうも局長と大臣とのお考えに食い違いがありはせぬか、こう思いますので、確かめておきたいと思うのです。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 端的に申し上げまして、黒田さんのお考えほど私は重要に考えていないのです。行政でいろいろ条件を付して認可することはずいぶんございます。しかし、この問題は、当事者が意見を言って、違いがあれば変えてやることは始終ある。確認確認とおっしゃるが、これはてこでも動かぬという意味において確認したのではないのであります。しかも同氏は、ことばが少し悪いかもしれませんけれども、ネコの目のように言うことがぐるぐる変わるのでありますから、私どもはそういう不動の確認という意味ではない。いろんな行政行為には条件を付しましたり何かしますが、当事者がこう言えば、それを考慮してもいい。これはわれわれ長く行政をしておりますが、それでやっておりますことはたくさんあるのです。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 法務大臣は私の質問を取り違えておいでになると思うのです。一たん本人がある国に帰るという意思を確定したけれども、その後あるいは変更することがあるかもわからない、そういうときには当局として相当ゆとりのある態度をとるのだ、そういう行政方針と、それから令書を出すときに、どこに行くかという、その送還先についての本人の意思の確認ということとは私は別問題だと思うのです。大臣は将来のことばかりおっしゃっている。私が質問するのは将来のことではない。将来に寛大な態度をとるという、そのことを聞いておるのではないのです。少なくとも本人の意思は確定したものという確信がなければ令書は出すべきものではない、それが私は政府のとるべき態度であると思う。大臣は令書を出したときにも、意思は確定していなかったと言われるのか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 確固不動のもの、確信というわけではない。先ほどから申し上げましたように、これは御意見の相違でございましょうが……。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 大臣は、令書を出した当時に、なおかつ本人の中華人民共和国に帰ろうという意思は必ずしも確定的なものではなかった、疑いをいれる余地のあるようなものであった、そうおっしゃるのですか。そうしてその状態が現在も続いておるから、本人の意思について考慮するとおっしゃるのですか。それとも局長がおっしゃるように、そのときは中華人民共和国に帰るという意思が決定しておったのだけれども、もしその後変更するというようなことがあるならば、当局としても考慮することはあり得ることだ、そうしてこの場合にはそういう疑いがその後起こっておる、そういうふうに御解釈になるのですか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 それはそのときに定まったことは定まったのです。それは否定しません。ただ、定まったものをなぜ執行しないで今日の状態に置くかということは、それはそうじゃないと私は思し上げておるのです。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 委員長から黒田さんに御相談申し上げます。何か考え違いをしておるようですから、入管局長じゃまずいですか。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 ただいまの答弁で、確かめられたのです。そうすると、大臣も令書を出すときには確定しておった、そうお認めになるのですね。それなら局長と一致するのです。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 一応そのときは考えました。

黒田寿男日本社会党

○黒田委員 そのとおりですね。その後動揺がある、こう見るんですね。そこをはっきりしておかなければならぬ。われわれは動揺がない。その後も動揺がないと認めているし、政府は動揺があると見て、いたずらに送還を延ばしている。これは見方の相違になりましょう。きょうは私が確かめておきたいと思うことを、はっきりとさせておくということで、私の質問の意味はあったと思いますから、法務大臣に対しましては、関連質問でございますから、これだけでとどめておきます。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 志賀君。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 先ほど穗積委員の質問の最後に重要な問題がありました。これに対しては刑事局長及び警察の局長から御答弁があってしかるべきものがそのままになっておりますから、お伺いします。  穗積委員の言われた経済往来の新年号でございます。百六十六ページから始まる「「周亡命事件」をめぐる周辺」という中にこういうことがあるのです。これは供述書が相当長く引用されております。「ところで、周はなぜ一行から脱出し、亡命を企てたのだろうか。その経過を彼は次のように供述している。」といって、その供述書なるものがずっと百六十七ページから百六十九ページまで引用されております。さらに「そのパレスホテルにおいての彼の動きを、彼の室係であった従業員は次のように供述している。」これが百六十九ページから百七十ページの冒頭までいき、さらに周鴻慶氏の供述なるものが続いております。これが百七十ページほとんど全ページ。それから百七十一ページの上段には、麻布警察署狸穴警備派出所の巡査の報告でございましょう、これが出ております。このことについて先ほど穗積委員は聞かれたんです。これは不起訴処分になったとすれば、この文書ははたして周氏本人並びにパレスホテルの従業員の供述書なるものが発表されたのか、それともこれはにせものであるか。本物であれば、どういう経路をとってこの経済往来の編集局にいったのか。その点をお調べになりましたかどうか、それをおのおのの責任者にお伺いします。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 先ほど穗積委員の御質問の中に御意見としてありましたように、この事件は不起訴事件になっております。したがいまして、不起訴記録というものは公開さるべきものではございません。また前例としましても、公開したことはございません。したがって、ただいまお読み上げになりました経済往来の新年号というものは私はまだ見ておりませんけれども、はたしてそれが、供述という言葉が使ってあるようでございまして、これは法律用語でございますからなんでございますが、中身それ自体は述べたということの意味でございましょう。したがって、それが本物であるか、にせものであるか、それさえも実は私はわかりません。あり得るべからざることだとは思いますけれども、なお雑誌につきましては調査をいたしまして、お答えができることはお答えいたしたいと思います。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 警察のほうからも…。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤田政府委員 私も雑誌を読んでおりません。しかしお話を聞いておりまして、あり得るべからざることだと考えております。警察としましては、八日の三時にソ連大使館から身柄を受け取りまして、八日の十八時三十五分に書類とともに検察庁に送致をいたしました。したがって書類が、あり得べからざるものが出るということは、これは私としては考えられない。しかしお話でございますので、実情を調べましてお答え申し上げます。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 ではこれが供述書であるかどうかは、いまあなた方はあり得べからざること、だとおっしゃる。しかし読んでみますと、たとえば彼のおい立ちのことまでも書いてあるのですね。そうして書いてあるのは、普通はこういう雑誌の文章として何々である式のものに書いてあるますが、いま供述書と私が言ったところは、すべて、であります式に書いてあるでのす。そうしますと、ここは何らか援拠がなければ、これほどのものを何人といえどもでっち上げはでてきない、創作はできないというものです。そうしますと、あなた方はまだ調べてないから調べてと言われる、私どもはこれはどこからか漏れたものと見なければならない。そうしますと、これは検事が一体供述というものをとられたのか、あるいは警察のほうでとられたのか、それが実在するかどうか、この点もう一点確めておきたい、どうも考えてみると公安警備か、あるいは検察庁かどちらか、公安警備警察ですね、それか警察庁、どこからか出たものとしか思えない。あるいは藤井五一郎さんもその前に書いておられるしこれもこういうことを言っているのです。いいですか、「周鴻慶氏が麻布署において東京地検の伊藤検事及び、警視庁外事第二課の取調べをうけたのは、脱出翌日の十月八日である」とはっきり書いてあります。検事の名前も書いてあります。それから警察は、警視庁外事第二課と書いてあります。調べられたのは十月八日である。「彼は、このときはじめて」として引用符がつけてあって、「「中共では毎日息苦しい生活が続き、特に一九五八年、大躍進政策を打出してからは一日も早く脱出しようと考えていた」と供述し」と書いてある。いいですか、藤井五一郎氏という人はいま弁護士をやっている人で、もともとは判事をやっていた人です。私が治安維持法でやられたときに、予審判事で会っていた先生です。そうしておまけに公安調査庁長官までやった人物が、こういう供述を、彼がこの論文の中に私は周忘命事件をこう見るといって、供述の内容までも引用するという、こういう不謹慎なことがありますか、しかもそこに伊藤検事という名前を出し、警視庁外事第二課という名前を出し、そうすれば、これは伊藤検事が出したか警視庁外事第二課が出したか、どっちかということは彼が証言している、そうでしょう、そうなればあなた方これをどう見ますか。藤井五一郎君がこういうことを書いているのに対して、あなた方はどういう弁明をいまされるか、それだけ伺っておきたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内(壽)政府委員 藤井弁護士にかわって私が弁明する何ものも理由はございません。ただ事柄自体はあり得べからざることでございますので、十分調査をいたしまして真相を明らかにした上で、お答えのできる範囲でお答え申し上げたいと思います。   〔「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり〕

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 君は自分だけ先にやって、よけいなことを言うな、きわめて重大なことじゃないか。(「藤井五一郎君が書いたことをここで質問してもしょうがないじゃないか」と呼ぶ者あり)藤井五一郎氏が書いたときに伊藤検事、警視庁外事第二課というふうに出ている以上、この二ヵ所から出たということを彼がもう証明しているのです、事実になるのです。だからどこでどう漏れたかというかわりに、単刀直入にまず警視庁外事第二課、警察はあそこを調べてください、それから竹内刑事局長のほうはこの伊藤検事を調べてください。そうすればわかります。大体私どもがこれほど注意していることを、あなた方がお初に聞きますなんという、そんなことでいまの法務省や警察の役割りができますか、とんでもない、共産党のあとばかり追っかけるようなことをするから、こういう抜かりがあるのです。  ここで大臣に伺いたいのですけれども、こういう前代未聞のことが起こっているのです。不起訴処分になった者の記録ですね。供述書なんかは発表しないということになっているのに、こういう不祥事件が起こっているのです。法務大臣として、これに対して監督者として御所見を伺いたい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 刑事局長がお答え申し上げましたように、よく、取り調べまして、真相が何かわかりましてから、それから発表いたします。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 法務大臣、こういうことがあるのでございます。あなたは先ほどから言われましたが、要するにあなたのおっしゃることも、一つは本人が動揺しているということを言っている。それからもう一つは暗殺の危険、暗殺ということを言っている。こういうことばを言われたのは、これは法務委員会だから特に言われたのでしょう。それからもう一つは、あなたがぐあいが悪ければ取り消してもいい。とにかく本人の身柄の安全ということでしょう。もう一つは台湾政府に対してはこわくはないけれども、大平君のようにこわいとは言わないが、あなたは豪傑だからそういうのだろう。台湾政府の抗議は考慮しなければいけない、この四点ですね。ところが本人の動揺というのは、これは週刊朝日によく出ています。一々は申し上げませんけれども、そして特に先ほど入管の方からは、穗積委員の質問に対して中外グラフについてあまり言わないでくれと言われたけれども、これもやはり法務委員会に対してそれを言うなという前に、藤井五一郎君はちゃんと言っているのです。周君の書簡までも——台湾系の華僑総会の周という人にあてた周鴻慶君の書簡までも引用して出しているのですよ。これも十月十五日に出した手紙の中に「ソシテフルイ中外「グラフ」がアッタラ幾ク冊送ツテ下サイ」中国の人であるから、テニオハが抜けているところはありますけれども、こういうことまで言っている。とこういうことを藤井五一郎君がかってにしゃべっているのに、法務委員会に向かって、あんまりそれを言われないほうがかえって本人のためじゃないですかというようなことはおっしゃらないでいただきたいと思うのです。これはもうめちゃくちゃですよ。私もここに一冊持っているけれども、これにもやはり脅迫状がちゃんと書いてある。しかもこれは何でしょう。本人の意思を確かめるために、外界からいわゆるよく言われる雑音が入らないようにして聞くということになっているときに、こういうものが外部から入れられるということになったら——週刊朝日は中外グラフを見て非常なショックを受けたという小見出しまで出ているのです。法務大臣ちょっと見てください。   〔写真を示す〕

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 こういうのがきているのです。これをごらんになればわかるように「中華民国駐日大使館領事館全体同人」外国の高官が、ちゃんと入国管理収容所に入れている者に対して、こういうことを書いている。「中華民国留日華僑反共大同盟」この連名になっている。外国の高官が、日本の官庁に保護されている者に対して、藤井君が言っているように、こういう機会を利用して、こういうことまでやっているのです。こういうことをしたら、——私も監獄に入ったことがある。それから賀屋さん、あなたもお入りになったからわかるでしょう。普通の人は動揺するのですよ。動揺する心理のあるところに、こういうものを——これは脅迫状ですな。中国語で書いてありますけれども、その翻訳もこちらにあります。それは一々読み上げることは省略してもよろしゅうございますけれども……。いいですか。本人の意思を確かめなければならぬということは、法務大臣もおっしゃるでしょう。最初の段階でこういうことがあるときに、入国管理局では、本人の意思がはっきりわかるように、外界から動かされないようにといって調べているときに、こういうものがある。しかも先ほどの穗積委員の質問に対しては、そういうことがあるとは知っている、いろいろな材料もあるが、これを発表することは本人のためにならない。そう言われると、私どもは、あなた方これを知ってやられたのか、こう言いたくなる。これを万事承知の上で中に入れたかどうか、これを入国管理局の方はちゃんと御答弁願いたい。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 私は先ほど穗積委員に対しまして、大体の筋道においては事実に間違いございませんと申し上げました。それから、そのときに面会その他差し入れ等につきましては多少事実は違っておりますということを申し上げたのでありますが、一応私のほうといたしましては、そういった差し入れ等に対しましては、やはりそういうふうな大事な方の場合におきましては十分気をつける、たとえば食物などにいたしましても非常にあぶのうございますし、それから新聞雑誌等につきましても、一応みなよく検閲をして、その上で差し入れをさせるようにいたしておる次第でございます。いま御指摘になりましたようなことは、はなはだ私もうかつでございますが、ただいま伺ったようなわけでございまして、従来はそういうことにつきましては、特に厳重にやらしておるわけです。一言釈明させていただきます。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 もう一つ伺いたいことがあるのです。こういうことをあまり出すのは、本人にとって不利益になるからというような意味のことを先ほど言われた。そうして、まだまだいろいろなことを知っておりますということも言われた。そうすると、いまあなたはうかつにと言われたが、こういうことを御承知の上でやられたのじゃないか、こういう疑いがわれわれに起こるが、そういう点は、いまおっしゃったように、ほんとに全然御存じなかったのですか。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 ただいまお見せになりましたグラフにそういう書き入れがしてあった。事実そういうものが入りましたかどうかということにつきましては、一般原則としては先ほど申し上げたとおりでございますが、よく事実を調べまして、またお答えをいたしたいと思います。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 しかし、これは週刊朝日ですが、週刊朝日にこの問題についてはちゃんと出ているのですよ。いいですか、江田君が表紙になっているこれの中に、(「それ自身がおかしいよ」と呼ぶ者あり)本人の手記なんだ。「中外グラフを読んで絶望」こういうふうにいっているんですね。その中に、「もう一つは十月十三日に台湾側から差入れられた中外グラフについてです。入管では、入所後十月十五日まで私の自由意志を確めるということで、新聞を読むことも、面会も禁示しました。」こういっているのですよ。「ところが入管当局は、十月十三日に中外グラフの差入れを許したのです。」この取り扱いが何を意味するかは一応別として、「その雑誌の中には、ペン書きで次のような書込みがありました。「中共は周先生を反逆児とすることに決定した。代表団の団長は、あなたの行動を激怒している。奥さんは、もうすでに強制的に離婚させられてしまった。周先生、生きる道はただ一つ、台湾に行く以外にはない」私は愚かにもそれを読んで、信じてしまいました。深い悲しみが襲い、絶望が私を自暴自棄にしたのです。」これはとらわれた者の身になれば、周君がこういうことになるということは、私らにもよくその心理状態はわかるのです。こういうことがあるのです。こういうふうに出ているのを、いいですか、(「信じられないよ」と呼ぶ者あり)信じられないことが私が言う前にちゃんと週刊朝日に出ているのだ、このとおりだ、(「通訳もろくにできない者が、そんなりっぱな文章が書けるか」と呼ぶ者あり)これはちゃんと中国語で書いてある。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 質問を続行してください。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 こういうことですから、こういうことが出ておったら入管の当局あるいは法務省でも警察でも、非常に重要なものですから、こういうものは一々読んでおかれなければならない。こういう状態が、本人を動揺させたということで、十一項目にわたってあげておるのです。ですから、法務大臣に伺いたいのですが、本人がもう意思表示をしてこのとおりにやっているのですから、これを第五十、三条によって送還先をはっきりして出したこと、これは写しでありますが、もうこれできまっておりますが、そこで入管の方に伺いたいのは、先ほど法務大臣に助け船を出されて、第五十二条の第五項を引用されていままで置いておくのだと言われる。その第五項は、「入国警備官は、第三項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる。」これを引用して、あなたはまだ置いているんだといま言われた。ところが読売新聞の十一月二日号に、法務省小川入国管理局長談としてこういうことが書いてあります。「法律上の手続きとしては出国をのばす理由はないし、人道上も一日もはやく帰国させたい。しかし問題は政治、外交に波及してしまったので入管の力ではどうしようもない。周氏も日本政府の苦しい立場を理解してハンストをやめてほしい」云々、こういうことがある。その後参議院においても同様のことを言われている。あなたが法律上の手続としては出国を延ばす理由は全くないと読売新聞に語られたことは、これはうそであったかどうか、このことを伺いたい。そうしませんと先ほど第五十二条で法務大臣に助け船を出されたことと食い違いが出てきますが、新聞がうそをついたと言われるか、あなたはそのとおり語ったと言われるか、どちらです。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 その日の読売新聞に確かに私の談として出ておることは、私も見て知っております。しかしそのときの記者会見の模様は、必ずしも私がそっくりそのように申し述べたわけではないのでございまして、あるいは私の申したことについて、記者諸君のほうでそんたくして書かれた部分も私はあるのじゃなかろうかと思っておりますので……。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 人ごとみたいに言っちゃいけない。あんたが言ったことじゃないか。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 いえ、それはうそが書いてあったというような……。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 はっきり言いなさい。

小川清四郎法務事務官(入国管理局長)

○小川説明員 それは私のみならず、次長も総務課長も同席の上で皆さんにお会いしておりますから、間違いはございません。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 きょうは一般的なことについては穗積委員が質問されましたから、私は繰り返しはやりません。お聞きのとおり私はすべて事実の証拠に基づいて伺ったのです。その中でも特に一番大事なことは、不起訴処分になった者の供述書が、こういうところに発表されていると十分に疑われる理由がある。これはいままでの日本の刑事処分でも前例のないことです。私はこれは重大な問題だと思います。これをはっきりさせてもらいたい。  それから、これでこの問題は打ち切りますが、出しておいたので簡単に伺うことにします。いずれ通常国会の委員会で伺いたいのでございますが、ごく簡単に法務大臣に二点だけ伺います。  政府は去る九月二十一日に行なわれた松川事件の最高裁の無罪判決を尊重されるかどうか、これをまず伺いたい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 判決でございますから尊重いたします。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 では伺います。あの被告たちが無罪であるとすると、松川で列車がひっくり返り、鉄道従業員がそのために死んだという事実は、これはひっくり返りません。そうすると別に真犯人がいたに違いないが、この真犯人を追及なさるおつもりか、その方針はすでにきめられたかどうか、いずれ通常国会で伺いますが、この点についての御方針なり御決心を伺っておきたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 何さま年月の経過も長いことでありまして、追及し得るやいなや非常に苦慮いたしておるところでございます。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 苦慮はされても、やるだけのことはやるおつもりですか。苦慮しても、ほったらかしておかれては困る。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 苦慮しておりますから、ほったらかしてはおりませんが、事実上は捜査が困難じゃないかと思いまして、せっかく検察当局におきまして、いろいろいま考究をいたしておるところでございます。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 その研究の結果は、追って通常国会で伺うことにいたします。  もう一つは、去る十二月七日東京地裁民事二十四部で、原爆は国際法違反であるということを言われたが、これに対して、被告代表としての法務大臣の御見解はいかがでしょうか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 率直に申しまして、原爆の投下が国際法違反であるということが、国際法上正しいということが望ましいというくらい、原爆の投下ということがなくなることを望んでおります。しかし、いまの国際法の解釈として、これが国際法違反であるか、どうも学理的の解釈には、これは正直に申しまして、疑問の余地があると思います。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 これに対して、被告代表としての法務大臣が、控訴権を持っておられるかどうか。この問題と関連して、原爆は国際法違反ということが、控訴権がなければ、日本国家の意思として確定せられるかどうか、その点を伺いたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 これは、研究しました専門家が、控訴権なしという意見です。訴訟の意義の主張がいれられ、その理由の一部分をなしておる主張をいれられたので、理由の一部に対して控訴権なし、そういう専門家の解釈であります。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 控訴権はなしと専門家が解釈したら、これは日本国家の意思として確立されるということになるかどうか、その点を私は伺いたい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 裁判所の判決でございます。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 その裁判所の判決を、尊重されますか。先ほど松川事件のときは、最高裁の判決を尊重されると言われました。これはいかがでしょうか。尊重されますか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 尊敬いたしますが、完全にそうだとは思いません。

志賀義雄日本共産党

○志賀(義)委員 これは今後、日本に核武装した原子力潜水鑑が来たり、日本が核武装することとも関連いたしますから、先ほど申しましたように、ただいまの御答弁を一つの出発点として、通常国会でやることにいたします。  これで終わります。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○賀屋国務大臣 核武装をしたものは入れないということは、もうそれこそ確定不動の決心でございます。決して御心配は要りません。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 坂本泰良君。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 午前中の質問で、政府委員の出席がなかったものですから午後に回したわけで、運輸省の公安本部長、それから警察庁長官並びに警察庁の関係の方、刑事局長、法務大臣もせっかくおいでですから、時間をとりませんから、ちょっと御臨席を願いたいと思います。  問題は、先日の機関車労働組合の順法闘争に関する、われわれの立場からは不当弾圧の関係についてお伺いしたいと思いますが、第一に、機関車労働組合の今回の——いろいろ理由は双方、当局側、組合側にもあると思いますが、この闘争に際しまして、公安官が、あたかも警察官と同じような態度であり、そのやり方等につきましても、警察の機動隊が、いわゆる労働組合運動に対する処置のようなことをとったわけです。この公安官というのは、これは終戦後初めて認められたものでありまして、当時列車内の窃盗犯その他が非常に多いものでありますから、普通の鉄道員ではその取り締まりが困難であるから、公安官というのを認めまして、そしてそういう犯罪の防止に資するために、当時は占領下でありましたから、GHQとの話し合いもありまして、これを認めたわけであります。その公安官が、現在においては国鉄当局側の立場に立ちまして、しかも国鉄当局と機関車労働組合の間の、この民主的な労働争議に対しまして、あたかも警察官と同じような処置をとったというのが、今度の、数日前の問題に対してあらわれておるわけであります。これは、公安官を認めた本質に反し、また公安官は警察等と違った職務を持っている、こういうふうに了解せられるのでありますが、今回、この公安官が行ないましたのは、尾久の機関区、上野駅、田端機関区その他九州、北海道にわたっておるわけでありますが、いかなる方針で公安官がこういうような処置をしたか、この点運輸省の公安本部長おいでですから承りたいと思います。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 国鉄のほうでございまして、運輸省ではございませんが、公安職員の任務は、鉄道の輸送秩序というものを守る、それから、鉄道財産の安全、こういう点がございますし、もちろん、旅客、荷主及び公衆の生命、身体、財産の保護に任ずるという任務がございますが、今回は、このような中におきまして、鉄道輸送というものを確実に守っていくというところから出ております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこでお伺いしますが、鉄道輸送に対して関係があるかどうかわからない前に、公安官が、その機関車労働組合並びに友誼単産の行動に対して、いろいろと干渉している処置がありますが、それは、いかなる法の根拠に基づいてやられているか、その点を承りたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 警備の任務につきましては、各種の情報から考えまして、そのような事態があると考えますれば、当然平生からでもやるわけでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 平生からそういうような事態があるかどうかの観察は、何によって客観的にきめて、そしてそのような行動をやられるか、その点をはっきり願いたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 これは、列車警乗などにおいて、旅客、公衆の身体、生命あるいは財産に対する危害があるのじゃなかろうかという点を想定して動くのであります。具体的にあると言うているのではございません。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこで、今回の機関車労働組合と当局との関係において、いろいろ公安官の発動をしておりますが、どういう具体的な発動をし、どういう処置をとったか、その内容について承りたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 まず公安といたしましては、列車輸送を確保するという問題につきまして、その日におきまして、相当数の者が機関区の線路のほうへ入ってきては困る——事実問題があとで起こったのでございますけれども、そういう点で、列車輸送が乱される、生命に危険が生ずるという事態が予想されましたので出ました。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そういう予想は、どういう客観的情勢によってやられたかどうか、そこを承りたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 これは、労働のほうの担当でございますけれども、労働のほうといたしましては、結局各種のところに多数の——いわゆる機関区でございますけれども、各種の動員をかけるというものでございますので、不測の事態を予期したのでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこで、ただ動員をかけるというような風評その他の予想に基づいて計画を立てたとおっしゃるならば、どういう計画を立てたかを具体的に承りたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 この機関区の線路あるいは機関区の建物というものは、一般公衆に開放してございませんので、駅、ホームと違います。したがいまして、このような路線に多数の方々をお集めになるということは、非常に輸送上に問題があろうという情報から考えまして、惜置いたしました。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 どういう具体的の輸送上の関係があるか。ただあなたたちは慣例上の観測によってやられたかどうか、具体的の問題があってやられたかどうか、その点を承りたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 機関区の線路というところが、いわゆる線路に接近いたしまして、人がいらっしゃるということは、運転上非常に危険でございますので、その点を考えたわけでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そうすると、人がおれば運転上危険を生ずるからという、そういう考えの上に立って公安官の出動をされた、こういうことなんですね。具体的にどういう出動をされましたか、その内容について承りたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 具体的に申しますと、それぞれの各管理局長がこの輸送の直接の責任でございますので、その管理局長のほうにおきまして適切なる措置をとる。同時に、警察に対しましても、もし防備力が足りない場合には要請しておると思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そんな抽象的なことでなくて、もう少し具体的に承りたいのです。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 実は今度は非常に大規模でございましたので、まだ各所から詳しい報告が入っておりませんです。大ざっぱな数は入っております。それを申し上げますと、函館でございますけれども、函館のほうにつきましては、これは機関区でございますけれども、このほうはどの程度公安職員を配したのかわからないのでございます。盛岡のほうは約二百七十名、これは当局側も含んでの数でございます。公安ばかりではございません。田端につきましては、これは約七百名の出動でございます。これはやはり普通の公安と、それから普通の職員を含んでおります。稲沢につきましては、これは実は稲沢のほうで拒否いたしました。機関区のほうで指令返上でございます。したがってやっておりません。それから糸崎につきましては、これは対策要員、これもやはり三百名でございますが、これはやはり当局の人も含んだ数でございます。鳥栖のほうにつきましては、これは五百五十名でございます。以上でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 これはやはり当局も含むのですか。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 九州の鳥栖でございます。当局はもちろん、公安ばかりではございません。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこでまず一点お伺いしたいのは、当局側を含んで公安官の出動その他について対策をされたかどうか、その点を承りたい。当局側と一致してやったかどうか、それとも当局側は別にして、人員の点についていま報告がありましたが、当局側の対策は別にして、公安官は公安官として別な対策をやられたのか。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 公安は警備でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこで公安として別な対策を講じたならば、どういう対策を講じたか、その点についてお伺いしたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 公安といたしましては、やはり何といいましても不測な事態が起こらないように警備をやるというほうが重点でございますし、それから当局側のほうは、むしろ張りつけ要員的に業務の遂行を進めてまいるというような態度でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そういたしますと、公安官としての対策は、不測の事態が生じないためにやった、当局側としては張りつけの方法をしてやった。そういうことになれば、人員はいま一緒に申されましたけれども、その内容においては一致してやったか、あるいは別々にしてやったか、その点いかがですか。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 実は尾久で起こりましたような線路上すわり込みなんかございました場合の排除なんかには公安が出ております。当局と申しますよりは一般的に申しますれば……。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 それは尾久の点だけだろうから、一般的に盛岡二百七十名、当局側を含む、田端が七百名、鳥栖が五百五十名、こうなっているのですね。その点はどうです。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 実はまだ数の詳細の細分の報告が入っておりませんので十分わかりませんが、先ほど申し上げたように、たとえば函館で申しますと、当局のほうで配置についた。ところが追い出された。そういう場合にもう一度当局が位置につくというような場合につきまして、公安職員がもぐって入っていたということでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこでお伺いしたいのだが、当局は何ら出ていないのに公安官が先に出ているという事実がたくさんあるのですが、あなたのほうはそういう点は認めないのですか、どうですか。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 やはり公安官が任務遂行といたしましては、警備情報を綿密に見なければなりませんし、また当局側のほうはそこをよく知っておりますけれども、公安はその詳しい地形もわかりませんし、配置もわかりませんから、やはりある程度現地を見ておくということは必要だと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そうすると、公安は当局側よりあとに出ていろいろやった、こういうふうに承知していいかどうか、その点。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 警備情報とか、その場合におきまする地形その他を見ますためには事前に出ておると思います。それから実際トラブルが起こってからであれば当然公安が出ておると思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 あなたのようにそういう観念的にはっきりせずに、まず公安が最初に出て、そうして機関車労働組合のいろいろの手段方法その他がとられないように弾圧する、こういうようなことに聞いておるのですが、そういう点があったかどうか、その点いかがですか。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 そういうことはございませんです。ただし、先ほど申しますとおり、たとえば一般旅客を保護する場合、特にあぶない線路とか、デッキというところに注意を光らすと同じように、あらかじめいろいろ警備方針につきましては研究が要ると思います。実際問題では尾久のような場合に、大きな手落ちをいたしまして御迷惑をおかけいたしましたけれども………。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 この点についての関連は只松委員からあとで申されますから。警察庁のほうにお聞きしておきたいのですが、尾久ですか田端ですか、いまちょっと私はっきりしませんが、警察官が、闘争と申しますか、これに対して友誼単産は一切田端の関係のところには入れない、なわを張るとかいろいろな方法をして絶対これを入れなかった、最後には組合以外の者が入ってすわり込みその他をしたというような現実は出たわけですが、当初としてはそういうような気配は何もなかった。なかったに際して——機関車労働組合の諸君が順法の範囲内においてそれをやろう、それに対して単産がこれを支援する、そういうような状態にあった際に、それを全然、機関車労働組合以外はここに入ってはいけないというような立場に立って、一切そういう現場に入れなかった。こういうような事実があるように聞いておりますが、その点について警察当局はいかがでございますか。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤田政府委員 当日は御承知のとおりに七時から九時までの間、つまり夜間ということ、しかもその場所が機関区の構内で非常に危険を伴うというようなことで、警察といたしましては、支援労組及び全学連が現場に乗り込むというような情報等もございましたので、それらについては現場に入ることをできる限り制止をする、こういうことで警備方針を立てたことは事実でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこで承っておきたいのは、何らそういう具体的の事実がないのに、そういうような事態が発生するだろう、そういうような予測によっていま局上長の御答弁のような配慮をされたかどうか、その点をお聞きしたい。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤田政府委員 私どもは、いつもこうした労働運動にはできるだけ関与しない、こういう方針をとっているのでございますが、いろんな場合に御承知のとおりの不法事犯が頻発をいたしております。そういうふうな意味で、当該争議等がどういうことになるかということは絶えず注意をいたしておりますが、本件の場合にも、ただいま申しましたように相当危険な状態になる。ことに全学連等が——いろんな派閥がございまして、統制がとれていない。こういう学生も現場に乗り込んでいく、こういう事前情報があって、それに基づきましてそういう警備方針を立てたのでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私も、事前情報による警察権の発動というものを否定するものじゃないのですけれども、現在のいろいろな労働運動に対する警察権の発動を見ますと、そういうようないわゆる警察権の発動の名において警察官を多数、機動隊その他出動して、そして正しい労働組合の運動を阻止する、それがわれわれがいつも不当弾圧として主張するところなんですが、その点が、警察権の発動としてわれわれは非常に遺憾に考えておるところであるし、本件の場合にもそういう点が非常にあったのじゃないか、そういうふうに考えられるわけです。そこで、ただ全学連等が来るというようなうわさがある、そういうようなことで私は警察権を軽々に発動すべきじゃない、そういうふうに考えるわけですが、何か具体的の事実に基づいてそういうような発動をされたかどうか、その点を承りたい。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 これは前日から早稲田大学で、泊まり込みで、全学連の諸君が翌日の動力車労組の支援に行くのであるということを言っておるという情報、これは私のほうで確認をいたしております。さようなことがございまして、当日は、現に二百名ばかりの全学連の学生があの周辺におりましたし、また当日問題を起こしました尾久の停車場にも入っておるわけでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 具体的に、尾久のあそこに入ったというのはあとの問題であって、私が局長に再質問をいたしましたのは、いやしくも警察権を予防的に発動する場合は具体的の根拠がなければいけない。その具体的の根拠がどこにあったかということを聞いておるのでありまして、いま課長の答弁によりますと、ただ早大の学生が前日から支援に行くという決定をしたという、そういう事実だけだというふうに承りますが、そのほかに何かありますかどうか、この点承りたいと思います。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 ただいま全学連のことについてだけ申し上げましたのですが、実は動力車労組の闘争あるいは国労の闘争につきましては、昨年以来何回か違法な争議行為が行なわれておりまして、かなりの検挙者を出しております。また今回も、ただいま局長から御説明申し上げましたように、夜間二時間の時間内職場大会をやるということでございますが、これは従来の闘争のやり方からいたしまして、当然列車をとめる、あるいは線路の両側にすわり込む等の妨害をいたすことは、ほぼ予想せられましたし、またさような情報もあったわけでございますので、これらに対しまして——動力車労組のみならず、部外者がこれを支援するという格好で鉄道の業務を妨害するということは、当然認められております正当なる争議行為の範囲を逸脱するものである、こういうような考え方で、事前に、予防措置として制止の措置をいたしたものでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 いま承りますと、結局、機関車労働組合は昨年来の闘争でそういう危険が予測せられるだろう——そうすると、大体具体的の問題というのは、早大で前日支援を決定したということだけであって、そのほかは警察当局の単なる予測にすぎないじゃないか、こういうふうに思うわけです。私は、警察権の発動は軽々にすべきじゃないと考えます。しかも、争議に入らない前に私服の警察官が逮捕したという事実があるわけなんです。予測に基づいて警察権を発動して、しかも単なるトラブルに対して私服の警察官が逮捕した、こういうふうに私は考えるわけですが、そういう点についてはいかがですか。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 私のほうで逮捕いたしましたのは、前日に線路の前方にすわり込みまして、入ってきました列車を尾久の駅において阻止したということ、それからそれに付随しまして、これとときを同じゅういたしまして、数名の者が機関車に乗り込みまして、機関手を拉致したということでございまして、それで逮捕いたしておるのでございまして、事前に逮捕したということはございません。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 いろいろそういう問題については具体的に持っておりますが、きょうは時間がありませんから次回に譲りまして、少なくとも現在の労働運動に対して、単なる予測とか、具体的事実がないのに警察権を発動するというのは、これは警察官職務執行法の違反じゃないか、こういうふうに考えますから、今後はもう少し慎重な態度で臨まなければならぬ。あとで理由をつけて云々ということはありますけれども、本件の動力車の関係については、あるいは今後もこの闘争は行なわれるかと思いますが、いやしくも公共企業体ですから、労使双方が対決の立場に立ちまして、もちろん公労法で禁止されておる点は別ですけれども、しかしながら、それが発生するかせぬかということはまだわかりもしないのに、警察が先ばしって出るというようなことが今回もありましたが、今後も予想されるのでありますから、こういう点については、私はここに重大な警告をいたしまして、今後の善処を望みまして、具体的問題については只松委員に譲りまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 只松君、時間が来ているが、やりますか——簡潔にしてください。重複しないように。

只松祐治日本社会党

○只松委員 警察のほうにお聞きしますが、私は当日現場におった議員の一人ですが、そのときも責任者といろいろ話したいと思ったのですが、責任者が出てこないので、滝野川の警察署長か何かが出てこられた。ぼくらがそのとき行ったのは、たとえばいまおっしゃったように、違法行為が生ずるおそれがある、あるいは現に起こった、こういうふうに仮定いたしましても、あの通路を三時過ぎからずっと全部とめてしまう、こういうことで、たとえば都会議員の警務委員でもこれを阻止して中へ入れない、こういう事態があった。これはおそらく都会でも質問があったと思いますけれども、こういうことになりますと、鉄道ですから、極度に皆さん方がそういう注意を払われたこともわかりますけれども、民間単産の争議の場合に、そういうふうに通路を阻止して、ピケを張って、一つも支援態勢を行なわせない、こういうことになれば、これは完全な争議の弾圧、介入、こういうことになるわけです。一般の支援態勢を阻止するということは、百歩譲ってそれを認めるとしても、慣行として労働組合の争議があっている場合、あるいはそういう問題が生じておる場合に、激励なりあいさつなり、いろいろな見舞に行くわけです。そういうものも全部阻止してしまう。こういうことが正しい警察官の任務であるか、あるいは警察官はそれほどまでの権限を持っているのか、あるいは道交法というのは、そういう権限を持っておるのか、ひとつその点について……。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 いまおっしゃるような一般的な問題といたしましては、私どもも、労組員が支援をするのを一般的に禁止するというようなことは、警察といたしましても、ただいま局長からお話し申し上げましたように、場合によりまして介入ということになると思いますので、相当慎重にやっていまして、またこれらにつきましては、むしろ消極的に対すべきものだろうと思いますけれども、現実にある事態が起こりまして、そこにおいて相当なトラブルがあるという場合におきましては、これは支援労組員であろうとも、当然警察として阻止するのは認められるべきであろうと考えております。  ただいま御指摘の、それでは午後三時ごろから尾久並びに田端におけるあの周辺の交通遮断はどうであるかというお尋ねでございますけれども、当日私ども、先ほど坂本先生からのお話がありましたが、具体的な情報ということでありましたが、当日は全国七ヵ所の拠点闘争ということでございまして、特に東京の尾久、田端において相当に重点を置いて闘争が組まれるという情報を握ったわけでございまして、相当多数の動員をかける、しかもそのかけ方は、通常正当な争議行為の範囲内に入っておりますピケをやるというものではございませんで、これは坂本先生御指摘でありましたように、公労法において争議行為は禁止されております。その禁止されております動力車労組がそれを破りまして、争議行為に出るわけでございますから、どだい普通の民間の労組員がストライキをやるなどとは初めから意味が違うと思いますが、またあの周辺はたいへんに道路もふくそうしておりますし、交通もふくそうしておりますし、あの中には相当な民家もございます。それから、これは操車場でございますので、かなり危険を伴う場所でもございますので、やはり何と申しましても、多数の人があの中に入るということになりますと、ただでさえ交通の渋滞いたしますものが、さらに一そう渋滞するであろう。勢いのおもむくところ、いかなる事態が生ずるかもしらぬということで、できるだけ早い機会にしなければならぬ。一方におきましては、道路の交通をできるだけ支障のないようにしたいという考え方で午後三時以降ということにいたしたわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういう一般的な、あなたたちがおっしゃることを百歩譲っても、しかし、なおかつ政党の代表者、あるいはたとえば総評なり東京地評なり大きな有力単組の代表者、こういう人がそこへ見舞に行くということは通常行なわれておるごとなんです。それはそのことだけではなくて、警察当局にいろいろそこの住民の人も抗議しておりましたけれども、住民の人も通さないのですね。これは明らかにその点について協議をされたのです。あとでもう一ぺん協議するからちょっと待ってもらいたいという話がそこの指揮者の人からありましたけれども、私と島上、大柴議員と、これ以上押し問答してもしようがないということで引き下がってきましたけれども、こんなことがもし争議行為の場合に許されるとするならば、戦前の弾圧と同じく、官は一方的に介入して、そこでストップして、いろいろな争議行為に関与できる。そういう点、警察法と労働法との関係をどういうふうにお考えになっているか。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 これは逆に、あの道路を通行する必要のございますあそこの地域の住民の方々に対しましては、御迷惑のかからぬように、交通を遮断しておらぬと私どもは報告を受けております。先生方のお通りになるときにも、別に阻止したという報告は受けておらぬのでございます。一般的にそういうお話でございましたが、なるほど争議と申しますか、時間内の職場大会は午後七時でありますから、いささか早いように見えますけれども、しかし外側から大ぜい押しかける、しかも全学連の連中が買って出て押しかけるというような情勢でございますので、できるだけ早い機会にそうしたトラブルを未然に防止したいということであの時間帯を選んだわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いまみたいな、当日あったようなことが許されて、これが順次ほかに適用されるということになれば、完全に警察権が争議に介入してくることを認める、こういうことになると思います。これは民間だからこの程度、あるいは動力車だからこの程度、国鉄だからこの程度でいいということはない。ただ現場の認識によって警備体制は違うと思いますけれども、しかし完全に動力車は争議権がないということで、争議という言葉が悪いなら、争議という言葉じゃなくて、職場大会なら職場大会でもいいが、それを行なっているのに警察権がそこまで介入してくるということを今後もおやりになるというのですか、どうですか。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 これは一般民間の労働争議などと区別して私ども考える必要があると考えております。と申しますのは、動力車労組の争議のような場合におきましては、ただいま職場集会というお話がございましたが、先ほど公安本部長から御説明がありましたように、これは鉄道の用地内におきます集会でございますので、鉄道の管理当局者といたしましては、当然部外者が用地内においてそれらの集会をすることを規制すると申しますか、さようなことを許さないという方針を打ち出しておったわけでございますので、一般的に他の民間の労働争議などについても同様にというふうには直ちにはまいらない。ただ、私が冒頭に申し上げましたように、民間の労働争議でございましても、すでに争議行為が発生し、それらが何らかの不法事態に及んでおるという場合におきましては、これはさらに大きくしない意味におきましても、またその生命、身体、財産を保護するという意味におきましても、途中において阻止する場合は当然あり得ることである、かように申し上げたわけであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 まだ異論があり、具体的問題を持っておりますけれども、警察のほうはその程度にいたしまして、国鉄のほうにお聞きをいたしたいと思います。  今度私たちが見ておりましても、近ごろ警察のほうではああいう暴力行為がなくなって、大きな乱闘になりますと、警察官も警棒を使ってなぐったりしますけれども、一ぺん乱闘が終わったりしたあとでは、その関係者なりそういう人々をぶんなぐったりけ飛ばしたり、こういうことは現在ほとんどありません。ところが、私が当日目撃した中でも、三人ぐらい乱闘の終わったのを公安官が引きずってきて、みんなで頭をひっつかまえて、砂利の上でこづき回し、け飛ばす、こういう形でやって、ぼくは三人ぐらい助けました。あとでいろいろ出しますが、そういうことを皆さん方はお許しになっているのか。公安官の採用条件。警察官は高校卒以上ですが、公安官はどういうような採用条件で採用になっているか、またどういう訓練、どういう指導をしておられるかお聞きいたしたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 公安といたしましては、まだ用地内に部外者が入っており、列車その他の運行上危険があると判断をいたしますれば、用地外に出るまでは実力をもって排除すると思います。  それから公安職員でございますけれども、これはやはり一般の入ってまいりました国鉄職員の中から非常に優秀なる職員を試験をもってまず採用いたしまして、これを運輸大臣のほうに推薦いたします。しかる後に約三ヵ月ばかりの間教室に入れまして教育して、十分にそのことをやりますけれども、もちろん人権の尊重その他については十分やっております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 当日ずっと離れた場所から私たちが見ておりまして、一応公安官が来て排除され、乱闘が終わってそのあとでいろんな事態が起こった。その中の一つに、都会議員や区会議員は私たちと似たり寄ったりのバッジですが、それをつけている人に、とにかく出せと公安官が命令しているわけです。その人もぼくのすぐ横にいたわけですが、われわれがやるという権利もなければ、出ろという権利もないわけです。静めるからと言った。きさまらはそれともおれらの選良かと言う、このやろうということでどなりちらした。これはぼくらだけに対する侮辱じゃなくて、全国会議員に対する侮辱でもあるのです。そういうことも含んで、どういう教育をしているかということをぼくは聞いている。そのときにすぐ横におった尾久の中西という運転部長が、先生まことにすみませんことをしましたということで謝罪をしました。それは外に退去させるくらいのそこの指揮官です。警察官でもそういうことはしない。一例を話しましたように、頭をつかんで、こずき回したりけ飛ばしたりする。それはぼくらにじゃない、組合員にやっておる。時間がないから極端な一例だけ話しているが、議員に向かって、きさまらそれでも選良か。これは指揮官が言っている。警察官でもこういうことはしない。警察官と言っては警察に失礼だけれども、そういうことが平然として行なわれている。しかもこのことは中西運転部長も、認めている。さらにその周辺におった都会議員やその他いろんな人や弁護士諸君も認めておる。このことが事実とするならば、そういう問題について皆さま方が適当な処置をされるかどうか、この点まず承りたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 先ほど申しますとおり、公安職員がその職権を使いますにつきましては、人権をよく尊重するという点は常々から教育しております。つきましては、いまお話がございましたけれども、具体的にわかり、ませんので、その人間を確かめるためには、そのときの状態でございますけれども、どういう状況のときの人間であるかわかりませんので……。

只松祐治日本社会党

○只松委員 状態はいま申しましたように、一応公安官によって乱闘が排除されまして、道路上に人がずっと向こうのすみに行ったわけです。それで多少混乱してくつ拾いや何かしておりましたが、全部終わって公安官もこっちにきているのです。その指揮官あたりがその中に来た。早く言ったらこういう話です。そこへ、そのあとから都会議員とか何かの人が行っておる程度ですから、状態はずっとおさまっておる。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 尾久の機関区の中でございますか。

只松祐治日本社会党

○只松委員 田端の機関区の中。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 そのどの付近かわかりますか。

只松祐治日本社会党

○只松委員 行けばわかりますが、大体そうした周辺ですね。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 そのときには、まだ公安職員も、それから中へ入っておった組合員も全部おったのでございますか。

只松祐治日本社会党

○只松委員 おりましたけれども、ずっと離れて五十メートル以上百メートルくらい、双方主力部隊が離れたかっこうの中で、いわば事態が収拾されかけておる状態の中です。したがって、だれももう議員さんや弁護士さん、そういう人は興奮していないわけです。特にそういう人たちは全然その闘争に参加していないわけですから、興奮も何もしていない。そこへ来て、きさまらそれでもおれらの選良かと言ってなじったわけです。それから出せ、こう言っておるところに、中西運転部長がどうもすみませんでした、こういうことで中西運転部長があとでその事態を確認しておる。そういうことも含んで、今度の公安官の行動は、きわめて私たちが見ておっても遺憾であり、公安官は、本来鉄道の安寧秩序、その他の列車内のことが主であって、こういう争議に出てきて、しかも弾圧だけじゃなくて、一般的なそういう人たちにも暴言を吐いておることは、公安官本来の任務を離れたものであるし、したがって日常の訓練、採用条件その他、きょうは時間がありませんから採用条件は申しませんけれども、そういうことについてきわめて遺憾な点がある。本日は一応さっきから十分という約束で、委員長も立ったりすわったりしておられますから、この程度にいたしておきますけれども、いずれまたこういう類似の事件はあると思います。そのことに関連して話を申し上げたいと思います。きょうは今後ぜひそういうことがないように、それから、そのときの写真も、当時ぼくのほうも多少とっておりますし、それからこうやっていろいろなことをしておるのは、あなたのほう自体が写真をとってありますから、一切そういう点出していただいて、また後日問題を明らかにしたい。ただ、きょうは問題点があったということ、それから、もしそれが明らかになれば皆さま方のほうでどう処分されるか、この点だけをお伺いしておきたい。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 最後にどのような処置をするかとおっしゃいましたのは、何か失礼なことを申し上げた職員でございましょうか。それとも全般に対しましての処置でございましょうか。

只松祐治日本社会党

○只松委員 それは完全な暴力行為を行なった。そういう争議行為ではない一般のそういう者を、乱闘が終わって公安員が全然離れたところに来て寄ってたかってたたいているわけです。そういうことは警察でもやらない。これはちょっと域をこえた暴力行為ですよ。それに対する処置。これは当該者を見つけるのはなかなか無理です。だから、ぼくが言ってもなかなか処置はできないでしょう。だけれども、ぼくら国会議員に対して侮辱的な言辞を吐いたのは指揮官ですから、これは明らかですから、これは明確に処罰の処置はとれると思う。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 ちょっと先ほど聞き漏らしたのでございますけれども、何か下がれとおっしゃったらそう言ったのでございましょうか。

只松祐治日本社会党

○只松委員 何も言わない。

向井潔日本国有鉄道参与(公安本部長)

○向井説明員 そうすると、どうやって見分けたのでございましょうか。

只松祐治日本社会党

○只松委員 一応排除されて、くつを拾ったりなんかして多少まだ向こうのほうでうろうろしておるわけです。それをずっと構外に公安官としては持っていきたいわけです。そういうときにたまたま議員さんなんかおったものだから、それを、あなたたち出してくれませんかと言うのならいいけれども、何だ出せないのか、こう言っている。それでも、ぼくらにはそういう権限はないから、説得はするけれども、もう少し話したらいいじゃないかと静かに言った。それを、何だ、きさまらそれでもおれらの選良か、ということでやっておるわけです。ぼくらも乱闘には砂川以来全部参加しておるけれども、一応戦いが終わったあとにそういう暴言を吐く、しかも国会議員に向かってそういうことはしない。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 そういうことは調査して十分検討させることにしましょう。よくあることです、互いに興奮しますから……。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 警察当局にさっき聞くのを忘れたのですが、今回の問題で逮捕者が何名で、どういう処置をとっておられるか、その点ちょっと承りたい。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 警察側で逮捕いたしましたのは、当日尾久におきまして一名現行犯として逮捕しております。それから昨十六日に二名逮捕いたして、おります。これはやはり尾久の機関区の事件でございます。それから、けさ一名逮捕しております。これは糸崎機関区についての事件でございます。  それから公安本部のほうで公安官が逮捕いたしました者が、十三日当日尾久におきまして二名、鳥栖におきまして一名でございます。これら三名につきましては、それぞれ引き継ぎを受けまして警察のほうで事件を扱っております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこで、この逮捕者に対しては、検察当局との関係はどうなっておりますか。まだ警察の逮捕の程度ですか。検察庁送りになっておるかどうか。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 十三日に逮捕になりました警察の一名と、それから、公安官の逮捕いたしました三名につきましては、それぞれ持ち時間が過ぎましたので、検察庁に送致をいたしまして、たしかきょう勾留尋問の日になっておったと聞いております。それから、昨日逮捕いたしました者、これらにつきましては、ただいま警察のほうに身柄がございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そうすると、公安官の十三日尾久二名と、もう一つどこか一名、この問題はどうなっておりますか。

後藤田正晴警視監(警察庁警備局長)

○後藤説明員 これは、公安官のほうで一応の調べをいたしまして、ほうに事件の引き継ぎという形をとっているわけでございます。それで、警察のほうといたしましては、警察庁のほうで逮捕いたしました者と同様の身柄の処置をいたしておりますので、これらにつきましても、検察庁のほうに送致をいたしておるわけでございます。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 本日はこれで散会いたします。  午後七時二十二分散会      ————◇—————

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