大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 211 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/12/18
会議録
○山中委員長 これより会議を開きます。 金融に関する件について調査を進めます。 本日は、山際日本銀行総裁が参考人として出席されておられます。 参考人におかれましては、たいへん御所用多忙のところをわざわざ本委員会のために差し繰りいただきまして、まことに委員会として感謝にたえません。よろしくお願いいたします。 まず、当面の金融政策について、山際総裁から御意見を拝聴いたし、その後に質疑を行なうことにいたします。 では、山際総裁お願いいたします。
○山際参考人 御指示によりまして、最近の経済金融情勢について御報告を申し上げたいと思います。 私は、去る二月にも本委員会に出席をいたしまして、経済金融情勢について所見を申し述べたのでございます。 当時は、一年余りにわたって実施されてまいりました引き締め措置が解除されました直後でございまして、景気もようやく回復基調にあって、企業活動も上向いてきておった時期であったと思います。 その後の情勢を見まするに、景気は引き続き回復歩調をたどり、個人消費や公共投資、建設活動、輸出など最終需要の好調な伸びに支えられまして、生産は年初来かなりのテンポで上昇を続け、最近では前回の景気上昇期でありました昭和三十四年当時のそれとほぼ同程度の生産の増勢を示すに至っております。 また、このために企業の投資活動も全体としてはなお落ちついた状況にあるものと判断されまするものの、次第に上向いてまいっておりまして、税収面にあらわれた企業収益も比較的好調であります。 また、一ころは低調を予想されておりました民間設備投資の動向についても、最近では若干でも前年を上回る見通しが出てまいっておるのであります。 このように、わが国経済は年初来かなりの発展を遂げつつあるものと判断いたしております。しかしながら、前回の景気調整の時期において、需要の落ち込みが小さかったために、景気回復の初期から生産は比較的高い水準で推移いたしてまいっておるのでありまして、その上にその後の生産の伸びが加わりました結果、早くも国際収支面に問題が生じてまいったのであります。すなわち、生産の増勢に伴って原材料などの輸入需要が増大をいたし、これに本年の麦の不作による輸入の増加、砂糖など輸入物品の価格の上昇、また海上運賃高騰の影響もありまして、輸入がふえましてそのために輸出が好調でありましたにもかかわらず、貿易収支は本年九月ごろから基調的に赤字に転ずるに至ったのであります。 また七月に米国の国際収支改善策がとられまして、利子平衡税法案が提出されたことは御承知のとおりでありまするが、その影響によって長期資本の流入に大きな期待をかけるのは困難な事態に立ち至っております。これがために、これまで私どもとしてはどうしても守りたい一線と考えておりました経常収支に長期資本の流入を勘案した、いわゆる基礎的収支の均衡においても十月以降赤字を見るに至っておるのであります。一方、消費者物価は今回の調整期を通じましても一貫して上昇を続け、通貨価値の安定に任ずる私どもとして憂慮にたえない問題であったのでありますが、本年においてはさらに騰勢を強めてまいっておるのであります。もしこのような騰勢が今後も続くようでありまするならば、やがてはそれは卸売り物価、輸出物価にはね返るおそれがありまして、現に卸売り物価がこのところじり高歩調をたどっていることも見のがせないところと考えております。このような事態は、国民大衆の通貨価値に対する信頼を維持する上からも、またわが国経済の対外競争力を維持するという観点からいたしましても、私どもとしては看過し得ない重要な問題と考えておるのであります。 一方、この間の金融情勢の推移を顧みますると、昨年秋の引き締め解除後、輸出増加による外為会計資金の支払いもありまして、財政資金が払い超基調にありましたために、年の前半の金融情勢は緩慢裏に推移いたしておったのであります。日本銀行といたしましては、このような金融緩和の状態や、実態経済面における動向なども勘案いたしまして、金利政策の弾力性を回復し、また長短金利の均衡を回復する等、金融正常化を推進する趣旨から、本年三、四月の二回にわたり公定歩合を引き下げた次第であります。金融情勢はその後も順調に推移してまいったのでありますが、七月ごろから市場における資金需給に変化を生じ、金融市場はやや引き締まり模様を呈するに至っております。これは先に申し述べましたような国際収支の赤字転化から、財政資金が基調的に揚げ超に転じたのと、銀行券の増勢が強かったということに基づくものであります。しかしながら、以上のごとき金融市場の引き締まりにもかかわらず、銀行貸し出しの増加は著しく、この一年間の全国銀行の貸し出し残高をとってみますると、二五%ないし二六%増という大幅な伸びを示すに至っております。この結果、企業の流動性が著しく向上して、将来景気が行き過ぎる危険性が内包されるに至ったものと判断せられるのみならず、現に当面の状況におきましても、頃来の生産の著しい増勢については、実需の高さもさることながら、一部の増勢著しい銀行貸し出しによってささえられておる面が無視し得ないと考えられるに至ったのであります。 以上のごとき経済金融面の動向にかんがみまして、日本銀行といたしましては、八月ごろから警戒的態度を深めてまいったのでありまして、九月には市中銀行に対する貸し出し限度額をさらに引き下げるとともに、十月から十一月にかけて、一千億円をこえる債券の売り戻しを行ないました。例年季節的な財政資金の払い超から金融市場が引きゆるみますのを調整いたした次第であります。 すなわち、この間日本銀行としては、市中銀行の手元をできるだけつめることによりまして、市中貸し出しが過大増加することを抑制しようと意図いたしました。一般に対して徐々に警戒的態度を示してまいったわけであります。しかしながら、最近の情勢は、前に申し述べましたように、国際収支、物価など経済諸指標にあらわれました動向から判断いたしまして、ここでこれまでの警戒的態度をさらに一歩進めまして、制度的に引き締め態度を広く一般に鮮明することが必要と考えられたのであります。そこで、去る十二月十日に当座性預金等についての準備預金の準備率を二倍に引き上げる措置をとった次第であります。今回の措置によりまして、日本銀行は引き締め政策をはっきりと打ち出したわけでありますが、翌十一日には、各種金融機関代表者の参集を求めて、協力方を要望いたしたのであります。私どもといたしましては、この趣旨が関係各方面に十分御理解いただけることを期待いたしておるものであります。 今後の見通し、政策の方向などにつきましては、一に情勢次第と申し上げるほかはないのでありますが、明年におけるIMF八条国への移行を目前に控えまして、財政金融政策の責任は重く、その運営は慎重の上にも慎重を加えていかねばならぬと考えております。 日本銀行といたしましては、事態の推移に応じて必要な政策をとってまいる所存でありますが、同時に予算編成その他に関しましても、慎重なる態度を維持せられるように切望いたしておる次第でございます。 なお、今後引き締めの過程において、中小企業などへの影響もあらわれてくることは、大いに配慮せらるべきことと考えられまするので、経済的、社会的見地から、これら中小企業に対するあたたかい配慮は、ぜひとも確保してまいりたいと存じております。 この意味において、私は、今回の措置の公式発表の中においても、金融機関に対して特にこの点の配慮を要望いたした次第であります。 日本経済は、いまや戦後四回目の調整過程の試練に直面いたしておるわけでありますが、長い目で見ますならば、私はその前途は決して悲観するにはあたらないものと確信をいたしております。各方面が協力いたしまして、できるだけ早く困難を克服いたしまして、わが国経済の安定的成長を達成いたしたいものとひたすら念願をいたしておる次第であります。 以上、当面の経済、金融情勢につきまして、一応御説明を申し上げた次第でございます。
○山中委員長 どうもありがとうございました。 続いて質疑を行ないます。堀昌雄君。
○堀委員 ただいま、現在の情勢についてお伺いをいたしましたけれども、当面いろいろな問題が非常に山積をいたしておりますので、それらの問題について、逐次日銀総裁のお考えを承りたいと思います。 今度の金融引き締めが行なわれるに至りました経過については、ただいまお話のありましたように、国際収支の問題と、物価の問題というものがその主たる原因となっておりますけれども、特に開放経済を前に控えての国際収支の問題というものは、私どもも非常に安心できない情勢下にあると思っております。これまでの景気循環の幅というものはかなり長い周期を持って行なわれておりましたけれども、今回の場合は引き締めを終わって、再び引き締めに至るまでの間の期間というものが、これまでの半分以下というような非常に短期間の状態で起きてまいったわけでございます。それでは、その間生産その他が急激な上昇をしたかと申しますと、これまでの過去の鉱工業生産の変化等から見ますならば、さほどに急激であったとも考えられないわけでありまして、その点では国際収支の天井が少し下がってきたというような感じもいたすわけでございます。 そこで、このように景気循環のサイクルが短かくなったというこの問題について、日本銀行総裁としてはどのようにお考えになりますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○山際参考人 ただいま御指摘のございましたように、今回の引き締めと前回の引き締めとの間の期間は、私は比較的短かく経過いたしておると思います。その理由は、私はどちらかと申しますと、早くその間の調整が進んだというよりは、その間の調整がまだ十分行なわれないうちに次の波が来たと実は見ておるのでございます。でありますから、生産の問題にいたしましても、低下の割合が割に低い、比較的高い水準のままで再び上昇するという事態に立ち至っておるのでありまして、天井が低くなったという意味もありますが、もう少し床を下げるべきであったのが下がらなかったというところに一つの変化があろうかと思います。 しからば、なぜ調整期が十分に生産の落ち込み等を示さずして、再び上昇に転じたかというような問題であろうかと思いますが、これはやはり諸般の情勢によりまして、国民の所得が非常に増大いたしまして、これに伴う大衆需要消費が相当増大いたしてまいりましたために、御承知の、今春でありましたか、早期景気の回復説というものが相当流布されました。その情勢に伴いまして、案外早く景気が再び上昇する過程に入ってきたということであります。そこで、調整期で当然もう少し落ち込んで十分な地ならしが行なわれるはずであったのが、途中でそれがとまりましたために、その調整が十分できていないところから、経済に弱点がありまして、その落ち込まないところで再び上昇に向かいますと、どうしてもそこにひづみが出てまいります。そのひづみが端的に申しまして、今年の国際収支の赤字累積といったようなところにあらわれてまいっておるのではないか、こういうふうに私は判断いたしております。
○堀委員 そこで問題になりますのは、今後の景気循環のあり方の問題というのがその次に出てくる問題だと思います。これまでは、いまお話のありましたように、引き締めが行なわれますとかなり急激な落ち込みがありまして、そうして少しなべ底的な部分があって、それからだんだんと上昇に転ずるという、比較的定型的な景気循環のカーブを描いておったわけでありますけれども、今回は、いまお話しのような諸条件が確かにあると思いますが、そこまで落ち込まないで再上昇した。しかし考え方によりますと、そういうふうに定型的に深く落ち込んでまた上がるというサイクルをとるのが適当なのか、あまり落ち込まないで再調整が終わるということのほうが望ましいのかという、これまでのサイクルの姿にこだわらないでやはり問題を考えてみなければならないのではないかという感じが私はいたします。そうすると、一番理想的なのは、そういう循環というものの山、谷が、できるだけなだらかな形で――まあ、循環かないとはやはり私どもも考えられませんから、あるといたしましてもなだらかな形になるべきではないか。なだらかな形になるべきであるにもかかわらず――だからカーブの姿としては比較的前半は望ましい形であったが、後半のほうがどうもそのなだらかさに比してやや高く上がり過ぎてきておるというところが問題があると思うのでありますが、そのあとがなぜ高くなってくるのかということに対する対策を考えなければ、今後の景気循環が望ましい姿に発展していくということにはならないのではないか。そのあとの徐々に上がる姿を急激に押し上げた要素というものは、どうも一つには金融機関の貸し出しマインドといいますか、どうもそういうところにもやや原因があったような感じが私はいたすのでありますが、もちろん金融機関だけの問題ではありませんけれども、ここらについて総裁のお考えを伺いたいと思います。
○山際参考人 ただいま御説明のございましたとおり、私どもも実は前回の調整期はいま少しく時間がかかるものと考えておりましたし、また見ようによっては、かけてしかるべきものと考えておったのでございます。御承知のように、最近の産業技術等の進歩によりまして、非常に産業構造上もいろいろな変化が起こってまいりました。それに適応すべくいろいろな調整が行なわれるはずであり、また進行しておったのでありますけれども、遺憾ながらそれがまだ十分ではございません。たとえばあの当時構造問題として大きくいわれました石炭問題、海運問題、そのほかいわゆる特殊産業関係の問題、これは国際競争力の観点からいろいろいわれましたが、これらの問題がまだ十分の成果をおさめずして次の段階に移ったものでありますから、そこに無理がきているというふうに私どもは解釈いたしております。そのように、一たん調整せらるべくしてそれが十分調整されなかった一つの原因に、金融機関の貸し出し態度というものがあるのではないかという御指摘がございましたが、私もそれが全然関係がないとは申し上げられませんことは、まことに残念に存じます。金融機関がやはりいろいろな関係におきまして、いわゆる系列という関係も起きておりますが、資金を供給いたしまして、その結果として、それが通貨の供給の増加となり、やがてはそれを日本銀行信用の増加で追認するというような形になってまいりました事実は、全然私は否定できなかったと思います。そこでこの情勢が続きましたならば、十分なる調整が行なわれませんままに、また再び上昇過程に入りまして、将来のこの調整をより大きなものにするであろうということをおそれましたので、ただいま前段に御説明申し上げましたとおり、おいおいとその銀行の貸し出しを抑制いたしますために、いろいろと措置をとってまいったのでございます。それから、なお十分とは思いませんので、先ほど申し上げましたとおり、去る十日に準備率を引き上げて、一般にもその政策を明示いたしまして、金融機関の貸し出し増加のチェックということに協力を仰ぎたいということを訴えたようなわけでございまして、ただいま御指摘の原因につきましては、私どもも懸念いたしまして、それに対応するいろいろな施策を進めつつある段階でございます。
○堀委員 そこで、実はこれらの一番もとは、私はやはり池田総理の政策のあり方にあると思っております。この間の特別国会におけるいろいろな演説及び答弁の中でも、企業が伸びるときに借金をしてどこが悪いのですか、金を借りて仕事を伸ばすというのはあたりまえじゃないですかというのが、実は池田さんの思想の根底をなしていると私は思います。このことは単に企業の問題にとどまらず、国際収支の関係においてもこの考え方が一貫をして出ておるわけであります。そこで私は、これは日銀総裁に日銀の調査スタッフをお使いいただいて御検討をいただきたいというお願いをいたしたいのは、なるほど日本のいまの経常収支の赤字は、いましばらくは資本収支によって埋めることが可能であると思っております。しかし、このままで無限に経常収支の赤字を資本収支の借り入れ金等で補うことのできないことはもう明らかでありますし、ようやく八条国移行に伴いますいろいろな関係から資本収支の関係というものは、これまでのように楽観は許さない。アメリカの金利平衡税等の問題というのは、あまりにも日本のこの借り入れ政策というものに対する当然の帰結のような感じがいたすわけでございます。そこで、もしこの経常収支の赤字を続けるならば、必ずどこかで資本収支をもってはまかない切れないところがある。要するに借金は返済をいたさなければなりませんし、利子も払わなければなりません。借りたものは必ず返すというのが原則であるならば、それがだんだん累積をいたしてまいりますと、どこかでこれ以上借りられないというクロス点というものが当然出てくるというふうな判断を私はいまいたしておるわけであります。そこで、これらの問題はやはりいろいろ前提条件も考えなければならぬことでありますから、しかく簡単な計算ができるとも思いませんけれども、過去の各種の資金の導入の姿、その他諸条件を勘案しながら推計をすることによって、この時点になりますと、もう大体借り入れ金等による資本収支の黒字をもって補てんはできないというある時期のめどというものが生まれてくる予測が必要ではないか。そういうめどを考えたならば、そのめどを中心にして、それに対して貿易外収支をどうするか、経常収支中の貿易収支をどうするかという問題が、より真剣に考えられてくるのではないかという感じがいたします。いまはどうも、当面自分たちは借金でやっておけばあとはだれかがやるからいいではないかという、やや無責任な感じのする政策が行なわれておるように思えてならないのでありますので、これらの問題について、ひとつ日本銀行といたしましても、為替管理上の問題を含めて、一回御検討を見ていただきたい、こう考えるのでございますが、いかがでございましょうか。
○山際参考人 ただいま御指摘の点は、私はまことに重要な問題であると考えております。企業の場合においても、御承知のように、先般来自己資本と他人資本との問題が、企業の健全性を保持する見地から論ぜられております。私は、これは個人の生活におきましてもまた国のあり方におきましても同様であろうと思うのであります。御承知のように、最近だいぶ貿易外収支の赤字が増大してまいりましたが、その内容をしさいに点検いたしますと、すでに借り入れました資本の償還並びにその利払い等が相当累積をいたしてまいっております。これを計数的にまだ詰めてはおりません、これは今後の研究問題でございますが、総体的に考えますと、もう経常収支の赤字を資本収支の黒字によって埋めていくという政策は、そろそろ限界に達したものと実は考えております。これは急に直れといっても、来年からどうというわけにはむろんいきませんけれども、つまり国際収支保持の基本を経常的な収支でまかなっていくという原則に立ち返りまして、そしてしばらくの間は機械的に資本収支の黒字にも期待するという態度で進むべき段階が実は参っておるのではないかとひそかに考えておる次第でございます。どこまでも無限に借りていけばいいじゃないかということも考えられますけれども、それはかえって相手方の信用を傷つけまして、みずからの借り入れ能力を減殺するものでありまして、これは全く私が申し上げました個人の場合でも企業経営の場合でも同じだと思います。でありますから、むしろこの際、基本を変えまして健全な政策に立ち返ることが、かえって信用を増すゆえんであり、今後の長期資本の調達にも、それが適当なものであれば順便さを加えるというふうに判断いたしております。
○堀委員 次に、金利の問題でございますけれども、最近いまの引き締め等の関係もありまして、コール市場はだんだんと高騰を続けてまいりまして、公定レートは昨年に比べると二厘低いのでありますけれども、どうやらコールレートのほうは昨年を上回るであろうというような状態が起きそうな感じがいたします。そこで私は、金利というものは、日本のいまの制度は資本主義でありますから、資本主義の社会では金利もやはり需要と供給できまるという一つの原則があると思います。この需要と供給できまるべき原則がやや政策的に、恣意的に否定をされてきたような感じがいたします。今後はしかし、前回のゆるめる際にも感じましたけれども、公定レートの動きというものはまさにそういう経済の実情の一つのあらわれとして動くということが私は適当だと思います。それの予防的措置としての範囲において操作されるのは適当でありますけれども、資本主義の原則の上にもう一つ原則を置くというようなことは、私は金利問題としてはいかがかという感じがするわけであります。 そこで、まず第一点の問題というのは、今後の公定レートの操作の問題でありますけれども、まずこれまではとかく一厘幅で公定レートの操作が行なわれてまいっておりまして、本年のごときは三月に一回、四月に一回と一厘ずつ下げた経緯があるわけでありますが、私はどうもこういうものの操作はやるならばやはり効果のあるような操作が行なわれることが目的であって、ただ形式的にそれを二回に分けるなどということは、かえって経済界に対して無用の混乱を招くおそれなしとしないのでありますが、そういう点で、私は別に次にどうするということを伺っておるのではなくて、公定レート操作については目的はまずやはり実効があがるということを主に考えるという観点と、そうなれば一厘幅などというようなことでは、私はほんとうの効果は期待できないのではないかという感じがいたしますので、その面についての総裁のお考えを承っておきたいと思います。
○山際参考人 お尋ねの前段の問題、すなわち、今日の経済社会における金利のあり方という点につきましては、私は実は基本的に全く同様の見解を持っております。すなわち、自由経済体制のもとに諸般の経済運営を続けようといたしております際におきましては、金利もまた自由金利であるべきが当然であり、実勢を反映し、需要供給によって決定さるべきものとするのが本則であろうと思うのであります。御指摘のコール市場、コールレートの問題のみならず、これは長期資本の証券市場における金利レートにおいても同じであろうと思います。ただ、遺憾ながら現在の段階は、戦時中の統制経済のなごりがまだ続いておりまして、たてまえは自由経済、自由金利ということに近づきつつあるわけでありますけれども、まだ管理されておる部面が相当ございますので、これは機会を見まして漸次自由の方向に持っていくべきであろうと考えております。そこにおいて初めて金利機能もその本質に従ってその効果が十分に発揮できるという段階であろうと思っておりますが、今日は実はその方向に向かって鋭意努力しながらも経過的な段階にあるという考え方でおります。 次にお尋ねの、その金利の一つである公定レートの操作について、実効があがることが本旨であるから、やはり従来のように一厘小刻みというよりも、必要に応じて二厘でやるということも必要ではないかというお話でございましたが、私も、操作を行ないます以上は実効があがるべきものでなければ無意味だと考えております。その意味におきまして、ある事態において公定レートを二厘幅で動かすことは適当であると考えました場合もございますし、またこの際は一厘ずつやったほうがいいという考えをとったこともあるのでございます。私自身二厘幅で公定レートを上げたことがあると記憶いたしております。そういうわけでございまして、御趣旨はまことにそのとおりでございます。私も実効があがるということを本旨にいたしまして、一厘、二厘という幅は将来決定されるべきものだろうと考えております。またそれ以外に、実は日歩の立て方で公定レートを操作いたしております国は日本だけでございます。外国の例を見ますと、みんな年利でやっております。年利で二分の一か四分の一、近ごろはたいてい二分の一が多いのでございますが、そうしますと、一厘というのはちょうどその二分の一と四分の一の中間になりまして、その点でどっちつかずということもあるのでございます。立て方の問題とあわせまして実効本位で考えるという見地から、将来のそういう問題はなお検討を要する問題と考えております。
○堀委員 大体総裁もいろいろな面で私の考えとほとんど同じような考えだと思います。そこで、いま金利その他の金融上の統制といいますか、そういう形の問題でありますが、機会を見てだんだん自由化をしていきたいというお話ですが、私は率直に申しますと、どうもその機会はこないのではないかと思う。機会というのは、金融が多少ゆるんだようなときにしか機会がないわけでありますけれども、金融のゆるんだときといえども、なかなかそこまで踏み切るだけの機会ができるような客観情勢がいま日本の場合には少ないのではないか。そういたしますと、機会を見るのではなくて、やはりかなりの勇断をもってこの環をどこかで断ち切るということにならないと、私は、いまの情勢は、悪循環といいますか、いつまでもぐるぐると循環をするのではないかという感じがいたします。たとえば、私の感じでございますけれども、いま日本銀行がオペレーションをやっておいでになる。オペレーションのやり方も、ちょっとこの前ここで論議をさしていただきましたときに、多少何か色がつくような感じのお話がございましたが、これではほとんどいまの問題のところに発展をいたさないような感じがいたします。そこで私は、いま行なわれておりますオペレーションのかなりの部分は、ある程度きめられた形の価格によるといたしましても、この中を少し部分的に入札その他の処理によって、自由レートと申しますか、資金の供給の必要な部分については、多少金利が高くなってもオペレーションに応ずるというような少し弾力のある措置がとられてもいいのではないか。同時に、オペレーションがありながらやはり貸し出しもあるわけでありますので、私は、この貸し出し部分に見合う程度のものがかなり自由なオペレーションのかっこうで行なわれるというような余地も今後考えてみてはどうか。これは私なりの考えでございますけれども、どこかでもう少しこういうものについての、自由な動き、もちろんオープンマーケットがないわけでありますから、それを一挙にやることはどうかと思いますけれども、いまのままではいつまでたってもオープンマーケットはできないと私は考えますので、その方向へもう一歩踏み出してみたらどうかという感じがいたしますが、総裁はいかがでございましょうか。
○山際参考人 御指摘のとおり金利を自由化することはかねての願いであり、研究課題でありますけれども、なかなかその機会はとらえにくいのでございます。先般この委員会で御説明いたしましたときにも、オペのやり方にも何かくふうをこらして、やや自由金利の色彩を加えるようなことに将来持っていきたいということはたしか私も申し上げたように記憶いたしておりますが、従来ずっと研究を続けておりまするけれども、なかなか実行にあたりましては各方面に支障を生じます。ことに既発債との値段の関係など生じまして、証券市場のございません今日、なかなかそれは実行しがたいのでございます。がしかし、どうしてもこれは前段申し上げておりまするとおり、金利は自由金利に持っていくべきものと考えまするからして、機会をとらえてなお研究を重ねていきたいとは念願をいたし、現に研究は続けております。 その一つの方法として、たとえばオペの際に、入札制度を部分的にでも加味してみたらどうかというのが、一つの有力な御示唆だと思いますが、私どももそのやり方も検討はいたしておりまするけれども、なお機会をとらえることに努力をいたし、そのやり方をなるべくは事情に合うように検討いたしまして、なるべく早い機会に、少しずつでも自由金利の市場に移していきたいと念願いたしております。
○堀委員 そこでいま金融の問題に入っておりますので、今度おとりになります新窓口規制方式と申しますか、私ども新聞で伝えられております範囲しかよくわからないわけでございますけれども、この新窓口規制方式というのは、どうも私これだけで見ておりますと、そんな実効がはたして期待できるのかどうか、やや不安な感じがいたします。このお考えの中にはおそらく強い引き締めをやれば、また含み貸し出しがふえるから、そういうことのないような形で、銀行側の自主的判断でというお考えだと思うのですが、実はこの前窓口規制が廃止をされ、いろいろと日銀側として新しい方式をお出しになって、銀行側に自主的な部分をおまかせになった結果が、実は最近のやや貸し出しの増加ということに連なってきておるという点で、私は当委員会でしばしば申しますし、いま総裁もお答えになりました系列の問題もあるかもしれませんけれども、 〔委員長退席、原田委員長代理着席〕 やや過当競争といいますか、そういう面が金融界の中にも現在依然として残っておる丸めに、日銀側としての親心が必ずしも私は達していないような感じがいたします。 そこではたしてこの新窓口規制方式というもので、所期の効果があがるかどうか、ちょっと私は疑問に感じるのであります。それはいま申し上げたような自主性という問題のあり方について疑問を持っておりますが、その点について総裁はどういう見通しをお持ちか、お伺いいたします。
○山際参考人 先般窓口規制を廃止いたしました理由も、それからまたその後の経過につきましても、御指摘のございました点を、全面的にさようなことはございませんと申し上げかねますることは、まことにこれまた遺憾に存じます。そこでやはり何がしかの、貸し出し方針につきまして一つの基準となるようなものを、客観的に各金融機関に示しておくということは、必要なのではなかろうか。従来は窓口規制は御承知のように個々の銀行をとらえまして、個別的にやってまいりましたもので、相当融通性にも乏しく、その結果御指摘のような含み貸し出しその他の現象も生じたのでありますが、まだ案はきまっておりませんけれども、たとえばある比較的長い期間をとらえまして、その期間の間において、一定の基準による貸し出しの限度に全体をおさめてもらうようにということを示しますれば、銀行経営者も一つの経営上の指針を得ることになりまして、相互に裨益するのではないかということを着想としては考えております。これは非常に強い形ではフランスがやっておりますけれども、その効果がどうなっておりますかまだ十分に報告されておりませんが、着想の一つとしてはそういうことも考えておりますので、何か一種の判断基準を与えるという考え方でいったらどうかということを考えておりますが、実はまだ成案を得るまでに至っておりません。
○堀委員 今後の問題のようでありますから、これ以上は申し上げませんけれども、どうも私は最近の金融機関の貸し出しが強くなった原因の中には、やはりオペレーションでかなり資金にゆとりができて、それも一つの条件ではなかったか。なるほど形式的には、日本銀行の貸し出しは漸減の傾向をたどっておりますけれども、やはり実質的に見れば、資金が供給されているということになっておりますので、私は今の新窓口方式もけっこうでありますけれども、今後の問題としては、もしこの程度の窓口規制という形ならば、オペレーションのかわりにかなりコントロールを強くするということが必要になってくるのではないかという感じがいたします。これまでどおりのあのオペレーションのあり方では、やや不十分な条件も生じてくるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
○山際参考人 金融正常化を念願いたしまして、いろいろの施策を講じてまいったのでありまするけれども、それがただいま御指摘のごとく、まだ十分な効果をあげるに至っておらぬ。ことにただいま申し上げました窓口規制の新しい方式が何かないかと考えておりますような点につきましても、はたしてそれで十分にいけるかどうかという点の御指摘がございました。それについては、証券の売買の操作においてその点を加味するということも一つの方法ではないかというお示しがございましたが、実は私どももやはりそういう点も研究いたしております。貸し出しと同時に、多少この信用政策を加味いたしまして、それが個別的にと申しますか、あるいは金融機関の種類別と申しますか、何がしかのそこに一種の操作的な部分を加えまして、そうして売買操作を行なうというのも、その目的を達する一つの方便ではないかと実は考えておりますが、この点はさらにお示しのございましたような点につきまして、十分考究を重ねてまいりたいと存じております。
○堀委員 その次に、ちょっと問題は変わりますが、けさの新聞を読みますと、東京証券市場は、とうとう昨年の安値を下回りまして、千二百十四円に下落をいたしてまいりました。私はやはり証券の皆さまにも申し上げるのですが、この証券の価格も先ほどの金利と同じように、これも資本主義の社会でありますから、需要と供給で価格がきまってくるわけでありますから、その点においては、この価格は現状として一つの自然な姿だと私は考えております。どうも最近における証券の問題というのは、やや他力本願によってこの価格を動かせたいというような感じが私はいたしてなりませんので、その点についてはもっと根本的なところに、実は証券問題というのは焦点を少ししぼってみなければならないのではないか。これは大きく言えば、日本経済の構造的な問題にも関連をしてまいりますが、それほどでなくても、証券問題としての構造的な問題というものも、ひとつ私は考えなければならないのではないか、同時にこれは証券だけではなくして、金融政策全般との関連が常に生じてくるのでありますが、そこでこういうような証券の最近の安値、さらに証券の取引高の減少、全般的なこういう現在の証券市場に対して、日銀の総裁としては、どのようなお考えをお持ちになるのか、今後のあり方として、日本銀行としてはどういうふうに今後のこの情勢に対処をされるか、この二点についてひとつお伺いをいたします。
○山際参考人 日本銀行といたしましては、証券の相場は証券市場自身が決定をしていくのが本旨であるということを根本に考えておりますので、外からその相場に介入をするということは、よくよくの場合でなければなすべからざることだと考えております。よくよくの場合と申しまするのは、たとえば何か思わざる事態のために恐慌的状態を生ずるとか、あるいは連鎖的にある一つのことが反応を持ちまして、そのために混乱の状態を生ずるという場合には、それを安定させるために日本銀行が出動する場合もあり得ると思いますけれども、それ以外の場合においては、これはそのために証券取引所があるのでありまするから、それによって生ずる相場を持って進んで参るのが、自由経済の本旨だろうと考えております。したがって、つとめて限られた場合以外は、本行としては出動しないということを本則といたしております。しからば、今日のような株価の低落を見ておる実情がどういうところからきておるか、またそれに対してはどういうふうに対処すべきかという問題につきましては、御承知のように、基本的には証券取引審議会というのがございまして、これが取引機構の問題やら、いろいろ取引手法の問題等に至るまで広範にわたっていま審議を続けておりまして、まだこの調査が全部完了しておらぬと承っておるのでありまするが、これは御指摘のございましたとおり、やはりある程度は証券界自体の体質改善問題あるいは機構問題というものがあるのだろうと思います。これもいま申し上げた取引審議会で漸次改善されていくことと思いまするけれども、この際は関係方面の十分なる反省を促したい点の一つでございます。御承知のように、ややもすると相場の相当な変動に対しましては、どうも外部からの力によってその対処をしたいという考え方があるようでございまするけれども、これはどこまでも取引所設置の根本精神に反しますし、そういうものを排除するために取引所というのができておるのでありまするから、取引所を中心にいたしまして――しかし、さればと申して、あるいは外界の変動による場合もございましょうし、取引所外のいろいろな動きもあるでありましょうから、これをわきから補完することは必要でございましょうけれども、そこにおいてやっていくのが本旨であります。しからばそれをやるためにはどういう手法が必要であるか、そのためには現在の機構をどうしなければならぬかということは、いま申し上げましたとおり、証券取引審議会が鋭意検討中のように聞き及んでおりますので、われわれといたしましては、その成果を見ながら許される範囲において協力はもちろん続けていきたい、かように考えております。
○堀委員 そういたしますと、いまのお話は私ももっともだと思います。証券の各種の問題が証券取引審議会で論議をされておることももっともだと思います。ただ証券問題というのは、一面はやはり金融との関係が全体として見るとあるわけでございまして、現在たとえば投資信託その他も価格が下がってまいりまして、十分な加入が望めないという現状になりました中には、いろいろとやはり問題があったために、そういうことが起きておるわけでありますけれども、そういう資金の流れといいますか、そういうものの中で、現在の証券と金融との関係ということについては、今後何らか新しいお考えでもあるかどうか。私は現状でいけないということを申しておるのではありません。ただ非常に構造的な問題があって、たとえば一つ例をとって申し上げれば、一面的には資本市場を育成しなければならぬという一つの大きな課題がございます。ところが、そういう資本市場を育成するという大きな課題を果たすためには増資をしなければなりません。ところが片方では、いまのこういう証券市場の状態でありますから、増資をすることはさらに市場価格を低落させる。需要と供給で当然これは下落をすることになる。そこで今度は、片面的に金融のほうの問題に返ってきて、世銀方式というような討議をされておる問題が一つ出てまいります。私はこの前住友金属工業が無額面株の発行をいたしましたときに、当委員会において、この世銀方式の問題は少し深く論議をいたしましたけれども、あり方としては、当然アメリカの銀行ならば、それにしたがって増資をする日本の銀行の場合には、そういうことの拘束は一切ないというような形はあまり望ましくないわけでありますから、ある意味では、そういう世銀方式のようなものが考えられなければならない。それをやろうとすれば、今度はさらに株価も下がるというようなことで、実はどうもすべてが少し行き過ぎのとがめが各所に出ておるために、これをもとへ引き戻そうとしても、なかなか手がつけにくいという段階にきておるのではないか、私はこういう感じがするわけであります。 〔原田委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、金融の側としてそれではこのままでいいのか、あるいは何らかの方策が考えられるかどうかというような点について、広い意味の金融政策の中における証券対策といいますか、そういうもののお考え方が何かあるかどうかお聞きしておきたいと思います。
○山際参考人 御指摘の点につきまして、当面日本銀行自体で具体的に案を進めておる点はございません。ただお話しのように、この証券の問題は、金融の問題と一面においてきわめて密接な関係を持っておりまするので、両者の調節を十分にとっていかなければならぬ点は御指摘のとおりだと私は考えます。現在のやり方は、御承知のように、証券市場を実際に運営しております証券会社等が、資金の需給を生じました場合には、個々の市中銀行等の金融機関を通じて操作をしております。結局そのしりが今度は金融機関の全体の金繰りといたしまして、また日本銀行に伝わってまいります。いわば間接的にきておるのであります。はたしてそれだけでいいかどうか。たとえばどこの国でありましたか、ちょっと記憶がはっきりいたしませんが、中央銀行が証券担保の金融について、担保の掛け目についての発言権を持つというような制度をとっておった国もあったと思います。何らかの意味において、金融と証券との関係をどこかで十分調節がとれるように考えていくということが、今後の研究問題の一つであろうと考えております。それから世銀方式の問題等に関連をいたしまして、いかにすれば自己資本を充実させて、しかも株式の供給過剰ということがないようにいけるかという御指摘でございますが、この問題も現在の大きな問題だと考えております。これは御指摘もございましたとおりで、なかなか金融だけでは解決いたしません。たとえばいかに自己資本を充実させるかということについて、おそらく税制も大きな役割を果たしておると思いますし、全体が、現在の段階は、日本経済としては資本を蓄積し、いかにしてその資本を堅実な形において企業の実際に導入するか、つまり他人資本、自己資本という形においては、自己資本という形における部分をいかにして充実するか。それをいかにして蓄積に結びつけるかという問題は重要な課題であると考えております。直接日本銀行の仕事とは関係はございませんけれども、そういう方向において解決されていくことを望んでおります。
○堀委員 池田さんがやはり総理大臣である間は、さっき申し上げた借金政策でありますから、そのほうが手っとり早いので、なかなかこの問題のめどが立ちにくいだろうと思います。実は、私は今回の選挙で国民に訴えてまいりました一つの大きな問題点の中に、現在、相互銀行、信用金庫、全国銀行等の貸し出しの残高は、たしか十八兆円くらいじゃなかったかと思っておりますけれども、これだけのものを、実は国民全部というわけにはまいりませんが、企業その他の預金もありますが、一応国民という側から見ますならば、年に七%物価が上がるといたしますと、結局国民の側では十八兆円の七%分というものを貨幣価値の喪失ということで預貯金の中から価値としては失ってまいります。ところが、企業の側では十八兆円及び日銀貸し出しの一兆二千万円を足したものを借りておりまして、借りておる側では七%物価が上がると、それに見合っただけの借金の貨幣価値を失うということで、結局は借金の棒引きになるということが生じておる。要するに、国民の側から企業の側へ物価上昇に伴うだけの金が預貯金の総額に見合って流れていくという異常な現象が生じておるわけでありまして、私は貨幣価値の安定ということがまさに貯金の場合に非常に大きな意味を持つのだということを痛感して、そのことを今回の選挙でも国民に訴えてまいりましたが、こう考えてみますと、やはり前段で引き締めをされる一つの理由の中に、物価問題をあげていただいておることは、正当な理解だと考えておりまして、物価問題の安定の中には、単に財政その他の問題だけではなくて、金融上の問題が大きく私は関係を持っておるという点を痛感をするわけでございます。そこでその通貨安定の問題と日銀券の発行なり、そういう貸し出しオペレーションも含めて全体でありますけれども、それらに対して何か特にお考えがあるかどうか、この点をちょっとお伺いをいたしたいと思います。
○山際参考人 お示しのとおり今日の経済社会において、貨幣価値の安定ということが資本蓄積の根源であり、それがまた結局において蓄積者自身に対しても、またそれを利用する企業自身についても最も基本的に正しい態度であるという点については、全く私どもそのとおりに考えております。そのつもりでいかにして貨幣価値の安定を保持するかという点を念慮いたしながら、日常の業務を運営いたしておるのでございますが、最近消費者物価の高騰がややこの点について十分でないと考えますので、いかにしてこれを金融のサイドから矯正し得るかということが非常な念願でございまして、そのためにこそ過般、先ほど申し上げました、とりあえずは銀行貸し出しを抑制する意味においての準備率の引き上げをいたしたわけでございます。いまこの銀行券が膨張を続けておりますので、その点からあるいは通貨の供給過剰でないかというお話を承るのでございますが、実はこれはどっちかと申しますと、日本銀行といたしましては銀行券の段階にまでその購買力の発動がまいります場合には、その段階でこれをとめることは非常にむずかしい。と申しますことは、預金者が銀行へ金を引き出しに来ても待ってくれといわざるを得ないような羽目になりますので、それはできませんので、もう少し前からとめていけば結局銀行券の増発に至らずしてとまるということになります。それにはやはり根本は金融機関の貸し出し信用の増大という点を十分に抑制しなければならぬと私は考えます。先ほども御指摘ございましたが、単に消費者物価の上昇等の点について、やはりこれは金融機関の信用のささえというものが背後にあって、それがために生産が上がって、そしてそれが物価の上昇を来たしておるのではないかということもそのとおりでございまして、私もそれを考えますけれども、むろんこれは金融だけではおさまりませんが、その通貨安定の一助という見地において、ただいま申し上げました預金準備率の引き上げを実行するということにいたした次第でございます。
○堀委員 最後の問題として金準備の問題をちょっと申し上げたいのでありますが、どうも諸外国の金準備に比べますと、日本の金準備はまことに少額でございます。一面アメリカのドルの安定の問題については、今後ともだんだんと予測を許さない状態が近づきつつあるのではないか、こういう感じがいたします。やはりこうなってくる時期には、われわれのほうとしてもできるだけ何らかの方法で金準備をふやすということをもう少し真剣に考える段階に、私は立ち至っておるように思うのでありますが、山際総裁は、その点について具体的にどういうふうにお考えになるのか、どう対処をされるのかをちょっと伺いたいと思います。
○山際参考人 わが国の通貨の基礎として持ちます金準備が、いかにも諸外国に比べて率が低いという点は御指摘のとおりでございます。むろん通貨の流通自体に直ちに金が要るわけではございませんけれども、その通貨の価値に対する信頼を保持する上においては、日本においてもいましばらく高い準備が金においてあっていいのではないかということは私も考えておりますので、年来いかにしてこれを充実するかという点に苦慮を続けてまいったのでございます。最近の事例で申しますと、二、三年前に私はいいと思いました機会を見出しまして多少の金を買い入れたこともございます。自来実行をいたしておりませんで今日に至っておるのでございますが、御承知のように先ほどお話のございましたような外資の導入によって仕事を続け、ことに国際収支にも対処しているような現状、ことにその多くの部分はアメリカから来ておるという現状のもとにおきましては、なかなか得たる外貨をもって金を買っていくというだけの余裕が出てまいりません。ことにいわんや最近のように、ややもすれば外貨準備に減損を生じつつあるという事態におきましては、なおさらこの際において金を買っていくという時期がなかなかないのであります。過般、ソ連が相当の量の金を欧州市場その他において売り出したということで、それが金を買い入れる一つのチャンスじゃないかというふうにいわれたことがあったのでございますけれども、その際にも借金をしながら金を買うということでもすれば別でありますけれども、借金は借金でいろいろ産業施設その他のために有用に使っていこうという場合において、金を買っていくためには外貨がだんだん蓄積されていかなければならぬのでありますが、その条件が残念ながらいまのところございません。今後もむろん機会をとらえては金を買い入れまして、金準備率を高めていきたいとは念願いたしておりますけれども、ただいまのところちょっと具体的に計画を申し上げる段階に、実は至っておりません。
○堀委員 金準備はお話のように、おそらくアメリカで買い入れようとしても、アメリカとしても実は金が流出しておるほうでありますから、いい顔はしないだろうと思いますし、もし買うとすればロンドン市場で買うということに相なろうかと思いますが、いまのお話のような経緯があるので、その点ではどうにもならないということでありますと、これは当分金は買い入れられないという予測になるわけで、この点はもしドルの平価の切り下げ等がありました場合には、かなり大きな損害を私は日本としては受けるのではないか、その点は欧州諸国は金準備が相当高い状態でありますから、その点欧州諸国に比べて日本の受ける被害というものはまさに非常に大きなものが起こるのではないかという感じがいたしますので、それらの点についてはやはり相当な将来に対する考え方をきめていただくといいますか、そういう点を十分配慮していただかなければ困るのではないかと思います。 いまの問題に関連をいたしまして、最近ユーロダラーの流出がだいぶ激しくなって、ホットマネーを足どめをしなければならぬほどの情勢に来ておるという感じ――私は、ホットマネーに依存しておること自体はあまり適当でないと思うのでありますが、取り入れ金利が上げられるというような事態が起きておるのでありますが、このホットマネーの動きとこれに足どめをかけなければならぬという点は、それならば実は日本の国際収支というものは不安定な状態の予測を強くしなければならぬということと私は理解をしたいわけでありますが、その点についてはどうでございますか。
○山際参考人 きわめて最近におきまして、ユーロダラーの取り入れましたものの流出が続いておりますことは、御指摘のとおりでございます。ことにこの点は、年末に向かいまして相当顕著になってまいりました。その理由はいろいろ――これはむろん重要な問題でございますから、われわれとして十分探査もいたしておりますが、やはり季節的原因が大部分でございます。すなわち年末に際しまして、出し手である各銀行等がそのバランスをよくいたしまして、流動性を高く保持いたしたいという見地から出しておりましたユーロダラーを引き上げております。それからまた一、二国際収支の思わしくない国がございます。これは金利を高めても自分のほうにとりたいという動きをしておることもございます。それらの理由が相まってそういう状態になっておりますが、幸いにいたしまして日本の将来が危険であるという意味においての引き上げというものは私はないと考えております。そこでユーロダラーを日本がとります場合の基準といたしましては、私どもとしては基本的にはこれで国際収支の埋め合わせをするという考え方は健全でないと考えております。さればといって、ある程度の限度ならば、商売上むろん短資の金も要るのでありますから、取り入れることは差しつかえないと考えますので、要するに日本が出します金利は進んで高くはしない、しかしながらヨーロッパの市場のレートには追随せざるを得ないというところで改定をいたしておるのでございまして、決して他国に先んじて金利をつり上げまして日本への取り分なり流出を防止するという段階ではございません。大体に現在の段階においては、さような心組みでいたしております。
○堀委員 そうすると季節的なものであるから、このユーロダラーの流出というのは、いまのままである程度年を越せば落ちつく、こういう御判断でございましょうか。
○山際参考人 私は、大体においてさように考えております。御承知のように、アメリカのドル防衛政策がだんだん効果を示しておりますので、放出されましたユーロダラーは、再びアメリカに返るという傾向がございます。そういう見地から申しますと、ユーロダラー自体のマーケットは、だんだん小さくなるだろうと思います。でありますから、同じように取り入れが続けられるかどうかという点は、多少まだ疑問に考えておりますけれども、全体の事態といたしましては、当面のところは、年を越しますれば一応落ちつくだろう、かように考えております。
○堀委員 終わります。
○山中委員長 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 昨年であったか、日銀の総裁に、景気の過熱の問題で質問したのですが、そのときには、今後絶対に景気過熱については、日銀の総裁として責任を持つというような、強いことばで発言されたことがあるのでございます。実は最近のインフレ的な傾向は、これはきのうも参議院で宮澤長官が、やはり高度成長は失敗であったということを、野党の委員の質問から言われておりますが、私は、少なくともこういうように、どんどんお札が出るという状態は、一部において、やはり日銀にも責任があるのじゃないか。この点について、山際さんはどういうようにお考えになっておりますか、まず伺いたいと思います。
○山際参考人 先ほども申しましたとおり、戦後、今回の引き締めが四回目になります。私は、どうかしてこの四回目の危機を避けたいということで努力をいたしてまいりましたけれども、先ほど堀さんからも御指摘がございましたように、前回の調整期が、十分な調整を経ないままに上昇の段階に移りましたために、今日の事態になっておるのでございますが、やはり今日の物価高なり、あるいは国際収支の問題なりにいたしましても、背後に、金融機関の信用ということが、相当の関係を持っておるという事態につきましては、実はこれは全面的に、さようではないということを申し上げかねますことは、まことに遺憾であります。そこで、どうしてもこれは銀行の信用の膨張をとめてかかる必要があるということから、数ヵ月前から日本銀行は、あるいは貸し出し限度額であるとか、あるいは証券操作の金額の問題であるとかを通じまして、引き締めにかかっておったのでございますが、さらにその情勢を判断いたしまして、もう一段と進めまして、預金準備率の引き上げによって、そのことを制度的にもはっきりさせて、そして引き締め体制に移る。そのねらいとするところは、銀行の貸し出しの抑制にあるという点をはっきりいたしたつもりなんでございます。実は御指摘の点は、私どもも最も、いま苦慮をいたしている点でございますので、これに向かって最善を尽くしていきたいと考えております。
○佐藤(觀)委員 こういうような場合に、日本銀行のあり方ということが、数年前にも問題になったのですが、やはりイギリスあたりでは、ロンドンの中央銀行が非常に中立性を持っているし、独自の見解で金融制度をやるのですが、日本の場合は、日銀は政府といろいろ相談をされると思いますが、私たちは高度成長計画というようなものは、いわゆる政治的な一つのやり方では、結局国民が、インフレの傾向で非常にばかをみる。このごろ金の価値が非常に下がってきて、それだけ一般大衆は損をしているような形になっておりますが、一体中央銀行のあり方としては、この点は、どこまでこういうことを食いとめられるかどうかということについて、山際さんは二期も日銀総裁をやっておりますから、将来の問題にもなると思いますが、どこまで一体中立性を持っていかれるかということについての御意見を伺いたいと思います。
○山際参考人 私は、今日の経済現象に対しまして、日本銀行の中立性の問題が関連があるとは、実は考えておりません。そのつもりではやっておりません。すなわち、日本銀行はどこまでも通貨価値の安定ということを最高至上の任務といたしまして、それに向かって最善を尽くすということだけで動いておるのでございます。むろん社会現象、経済現象は、日銀の操作だけでは及ばぬ点もございますので、結果において、いま憂慮すべき事態になっておるという点は、御指摘のとおりでありますが、日本銀行といたしましては、これを、なお鎮静させるためのいろいろな手段を持っております。事態の進展いかんによりましては、その与えられておりますいかなる方法も講じまして、その趨勢をとめることに最善を尽くしていきたい、かように考えまして、ひたすらその点を努力いたしておるつもりでございます。
○佐藤(觀)委員 私たちがしろうと目に非常に心配しているのは、現在は不換紙幣のような形でどんどん銀行券が発行されるということになっておりますが、この点について、いまは金準備の問題が、堀委員からも言われましたが、一体どこが限界か。毎年毎年膨張していくようなこういう傾向で、いつとまるのかということが、国民に不安があると思いますが、こういう点については、総裁はどういうようにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
○山際参考人 昨今の物価の騰貴、反面から申しますと価値の低下という点は、その原因が非常に広範にわたっておると思います。現に物価問題懇談会において答申せられましたように、その原因及び対策というものは、各種の問題にわたっておろうかと思いますが、しかし、そのうちに金融操作あるいは金融政策というものが加わっておりますことは御指摘のとおりだと思います。私は、どういうことをすればどの程度までということは、はなはだ数字的に申し上げかねますけれども、日本銀行は、今日与えられております施策を十分に活用してまいりますれば、この物価騰貴的傾向を相当鎮静させるだけの効力を、なお持っているというふうに判断いたしておりますので、この与えられました諸般の施策を、遅滞なく適時に行なっていくことに万全を期したい、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 昨晩偶然、「経済展望」というNHKのテレビで、ちょうど東京都銀の工藤さんが説明をしておりましたが、この人は非常に悲観論で、行き当たりばったりのいまの状態では困る、よほど大手術を加えなければたいへんなことになるというような警告を発しておられたのでありますが、山際さんは、現在の日本の金融情勢をどういうように判断しておられますか、その点を伺っておきたいと思います。
○山際参考人 金融情勢と申しましても、私はこれは単に関与する金融機関だけの問題では実はないと思います。これは諸般の調査会の答申にもうかがえますとおりに、金融界と同時に、産業界も、また国民各自の立場から申しましても、やはりその意思を統一して、それに向かって、すべてがそのあり場において最善を尽くしていくということに結集できて、初めて完成できる程度の問題であろうと実は思っております。したがいまして、私どもは与えられました職域におきまして、その目的に向かって最善を尽くしてまいるつもりでございますが、どうか関係ある経済各方面においても、同様の意図に基づきまして、その精神を帰一して、そして効果をあげていくということに持っていきたいものと考えております。
○佐藤(觀)委員 ちょっと話を転じまして、私らはこの八月から九月に、アメリカとイギリスに行ったのですが、その当時、利子平衡税というようなことが問題になっておりまして、この間法案が通ったようでありますが、この利子平衡税について、日銀はどういうような受け入れ方をするのか、どういう関連があるのか、ちょっとその点を伺っておきたいと思います。
○山際参考人 米国の国際収支改善策として、提案されております利子平衡税法案でございますが、これは、むろん先ほどもお話のございました、国際収支上の赤字を長期資本の取り入れでカバーしてまいったという現状からいたしますと、はなはだ大きな影響を持っておりますが、御承知のとおり日本の立場といたしましては、政府はつとに、日本に対してはカナダに対すると同様の取り扱い、すなわち利子平衡税の適用を免除する、ないし暖和するという申し入れをいたしております。ケネディ大統領の急逝の結果、十一月に行なわるべかりし日米経済委員会が明年一月に持ち越されております。私は、おそらくここで政府は、この利子平衡税が日本経済に及ぼす影響についての緩和方について、大いに折衝されることだろうと期待をいたしております。したがって、そういう場合でありますから、見通しがどうなるか、もしそれでうまくいったらどう、うまくいかなかったらどうというふうに申しますことは、この段階においては少し差し控えたほうがよろしいかと考えます。いまはただ、それに対する政府の努力及び委員会の成り行きについて見守っておるということで、お許しを願いたいと思います。
○佐藤(觀)委員 それは山際さん、私はニューヨークでいろいろ聞いたんですが、カナダは除外例を設けるそうだけれども、日本も除外例を設けたのじゃ利子平衡税の意義はない、こういう意見を現地で聞きました。これはおそらく田中大蔵大臣や大平さんに聞いてみなければわからぬけれども、残念ながら、私たちは、利子平衡税が日本の適用を除外するというようなことはあり得ない、こういう確信を持って帰ってきたわけです。それでおそらく山際さんは、なかなか慎重論者ですから、そういうはっきりした御意見を言わないと思うのですが、私ば現実から考えまして、利子平衡税のいままでの過程を見て、おそらく日本を除外するようなことはあり得ないように即断しているわけです。この点については、これは来年のことですから、あまりいまから言うわけに参りませんけれども、私はそういうような感じを受けて帰ってきたわけです。 それからもう一つ、あなたのところの、日銀の井上さんからいろいろ話を聞いたんですが、私はいま一つ納得のいかない点は、為替銀行のあり方について、 ロンドンでもニューヨークでもいろいろ話を聞いたんですが、国で一定した方針がない。きょうは銀行局長が来ていないから、柏木さんから聞いたほうがいいかもしれませんけれども、日銀総裁に伺っておきたいのですが、為替銀行のあり方、あるいはロンドンの支店、あるいはニューヨークの支店等が為替を取り扱う、そういう問題については、これはあなたの権限外かもしれませんけれども、どういうような感じ方を持っておられるのか。いろいろ将来のある問題でもあるし、何か金融新聞を見ますと、三和銀行に、香港に抜き打ち的に支店を許可したというような話が出ておりますが、一体こういう問題については日銀は全然関係はないのか。この点は、ちょうどあのころ井上さんからいろいろ現地で金融問題を聞きましたので、それと関連してお伺いしたいと思います。
○山際参考人 為替銀行の設置等につきましては、日本銀行は実は関与いたしておりません。日本の為替銀行は客観的に考えまして、諸外国の為替銀行に比べまして、支店を非常に広く出しているほうだと私思います。したがいまして、支店を出した結果、それがいたずらに相互の競争になりまして、収益の効率が悪いというようなことになりますと、これは国としては別にそれだけのものを認める必要はなかったことになると思います。したがいまして、設置される場合におきましては、十分にその仕事の範囲、その採算の見込みなりを確かめまして、多過ぎて相互に無用の競争の結果、お互いに自己を傷つけるということのございませんように、十分の配意があってしかるべき問題だと実は考えております。現状がどうなっておりますか、実は詳しくは承知いたしませんが、守られるべき原則はさようなところにあろうかと考えております。
○佐藤(觀)委員 堀君からいろいろと質問されましたから、ダブるので言いませんけれども、オーバーローンの最近の趨勢、それからこれは宮澤経済企画庁長官でさえ白状しておりますが、来年の国際収支は二億ドルの赤字が出るというような情勢、何を考えましても、一つとして明るい情勢はないのでありますが、今度の日銀の施策ではたして金融が正常化するかどうかという点についての御意見を承りたい。
○山際参考人 オーバーローンの問題をはじめ、貸し出しの行き過ぎの抑制というような問題に関連をいたしまして、日本銀行は目下最善の努力を払いまして、その抑制に力を尽しております。 オーバーローンの問題につきましては、これは少し方式が変わりまして、信用供与は、貸し出しの多い人ばかりでなしに、債券売買という方式もいたしておりますから、形の上では日本銀行の貸し出しは漸減しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、信用供与の額はそれほど減っておりません。 それからまた貸し出しの行き過ぎの問題につきましては、たとえば資金ポジションをよくする。各銀行それぞれが、その資金の預貸率等について十分な改善をはかるというのが、一つの正常化の原則になっておりますけれども、実はこれもまた、あまりはかばかしく進行はいたしておらぬのであります。これに対しまして、全体としてどういうふうに持っていけば望ましい金融状態に金融機関がなるかということでございますが、機会あるごとに金融機関と話し合いまして、できるだけその正常化についての協力を求めておりますのみならず、先ほど来申し上げております、貸し出しを抑制するために預金準備率の引き上げというような措置も講じております。あるいはまた銀行と取引のある金融機関に対しましては、貸し出し限度額の引き下げといったようなことで、手元を詰めるように仕向けております。それら各般の措置がそろってまいりましたならば相当の効果は上げると思いますが、やはり金融機関自身においてそういう気持ちになってもらうことが根本だろうと思いますので、今後は機会あるごとに十分、いろいろな問題について意見を交換し、話し合いをいたしまして、相ともに共通の目的のために努力したいという形で考えております。
○佐藤(觀)委員 来年から大体開放経済になるのでありますが、そのうちにあって、在庫はふえる、それから大企業の設備投資がふえて生産が過剰になるというような材料で、そうして一方においては、御承知のように貿易の伸張はなかなか思うようにいかない現状でございます。このころの年末は、昔のような恐慌というような形は出てこないと思うのでございますが、相当の貸し出しが予想されると思うのですが、今後の金融の状態ではたしてノーマルであるかどうか、こういう点について、日銀の総裁の立場としてどういう御意見を持っておられるのか、これもあらためて伺っておきたいと思います。
○山際参考人 金融上の見地から申しまして、この歳末を、何と申しますか、引き締めぎみながら平穏に過ごすという程度で持っていきたいと実は考えております。現在、もう十二月も中ばを過ぎたころでございますが、今日までの経過におきましては、経済界の実情におきましても、また金融上にあらわれました諸指標におきましても、大体において平穏に越年できる趨勢にございますので、まずその点は心配ないかと考えておりますが、御指摘のございました、今後の比較的長期にわたります見通しにつきましては、なかなか努力を要する点が多いと考えております。
○佐藤(觀)委員 御承知のように政府の予算の締めくくりも、この十日ぐらいの間にあると思うのですが、予算が過大になると、その圧迫がいろいろ来ると思うのですが、そういう点について総裁はどういうふうにお考えになっておるのか。まだ予算がきまったわけじゃありませんけれども、大蔵省の原案ですと三兆二千八百億ぐらいでとめたいというようなお話でありますが、これは、池田総裁が盛んに公約を――やれもしないと思うのでございますが、中小企業者とかあるいは農民のあれとかなんとか、乱発をしておられます。おそらく復活要求が相当あると思いますが、そういうことを予想して――かりに大蔵省の三兆二千八百億ぐらいのものでも、私は相当の膨張だと思っておりますが、その点については、日銀の総裁はどういうふうにお考えになっておりますか。
○山際参考人 私といたしましては、今回の景気の調整につきまして、予算のいかんが大きな役割を果たすと考えております。ことに前回の景気の行き過ぎが民間の設備投資の行き過ぎということから始まっております。そこでできました結果は、民間のほうの設備は十分できたけれども、公共投資、社会投資が十分でないために、そのせっかくつくった設備の効果が発揮できぬという状態が参っておりますから、今度は場面をかえまして、公共投資なり社会投資なりでその欠を補なうということは当然の成り行きであろうと思うのでございます。しかしながら、もし度を過ぎますると、やはり設備投資が行き過ぎた結果が生じたと同じような結果が公共投資等についても起こり得るわけでございまするから、どうかその節度において、公共投資等をきめられました予算の規模を守っていただきたい、かように考えるのであります。その具体的な節度といたしまして、私どもの感じから申しますと、とにかく来年度の予算はいかに物価を鎮静させるか、いかに国際収支を安定するかということが基本の原則となるべきでありまして、成長率がその結果何%かというような問題は、実はその結果として出てくる程度にお考えを願うことのほうが安定段階を迎えるのにふさわしいのではないかというふうに考えておりまして、私どもは直接その衝におりませんけれども、予算がそういうような意味において編成されますることを熱願いたしております。
○佐藤(觀)委員 あとで春日君も質問があるらしいので、私はこれで最後にいたしますが、この消費の増大ということはいろいろ憂えられておりますけれども、最近の傾向として国民の消費が非常にふえたということは、これは事実であります。そういう点にからまって、生産は伸びても利潤が減ってきたというような非常にいろいろな悪い材料がたくさんあるのでございますが、それに加えて、道路の整備とか、あるいは地方の財政にも相当の幅で膨脹する傾向があるわけですが、そういうような材料を考えて、山際さんはまじめな人でありますから、あまりいろいろなことを申しませんけれども、あなたの立場としてこういうような状態で金融の正常化を言っても、あるいは財政の健全化と言ってもそれは焼け石に水だ。少なくともいまやっている放漫政策というものは、かつて高橋是清さんが最初のときには高橋財政というので非常にインフレ傾向の経済をやったのですが、最後にはあの人はヒューマニズムで非常にいわゆる均衡財政をやられた人だと思っておりますが、いまの日本の高度成長といい、あるいは最近のインフレ政策というものは、これは先ほど堀君も指摘しておりましたけれども、非常に不安定なやり方だというような感じを持っておるわけです。この現在の状態で、労働賃金が高まるから物価が高まるとか、物価が高まるから労働賃金が高まるというようなイタチごっこの話ではなくて、どこかの点で食いとめる必要がある。それにはいまの政府当局に依頼しても、これはあまり期待できないということになると、やはり中央銀行の総裁である山際さんにその責任がかかってくる。そういう点で、一体日銀の総裁である山際さんは、このインフレ傾向の日本の経済政策についてどのようなやり方をやられるのか、あるいは現にこんなことをやっているではないかと言われますけれども、私たちはそれくらいのいまの日銀のとられるような制度ぐらいでは、この激化の傾向になっているインフレ傾向を食いとめることはできないという心配を持っておりますが、その点について率直な意見を一言でいいですからここで承っておきたいと思います。
○山際参考人 いま日本の経済が当面しております経済上の困難の問題は、御指摘のようになかなか深刻でありましてかつ広範囲であると思います。そこで、日本銀行の持っております場面だけの対策で十分にそれが対処し得るかどうかという問題になりますと、これは実はそれで十分とは私は申し上げかねます点で非常に多いのでございます。財政の膨脹が民間投資の膨脹と同じように経済的効果をあげます点は同じでありますから、消費の行き過ぎが今日の経済的困難を招来している原因であるとするならば、官民ともにその消費を節約するということにならなければならぬと思うのであります。ただ、その趨勢としてあらわれてまいりますいろいろな現象に対しまして、日本銀行のなし得るところはまだまだ相当あると私は思うのであります。今後は、事態の転換に伴いまして、必要と思われますることは、その与えられました権能をひとつ十分に発揮いたしまして、できるだけ鎮静に寄与する心がまえ、決意でいきたいと考えております。
○佐藤(觀)委員 最後に希望ですが、御承知のように公務員の〇・七%の俸給の値上げですらなかなかきまらないで、やっときょうあたりきまるのでありますが、そういうような勤労大衆、いわゆる俸給をもらっている人には、俸給をもらう前に物価がどんどん上がるというようなまことにさもしい状態が続けられております。そういう点について、私は日銀が一切の責任を負えとは申しませんけれども、日銀の立場で、これ以上のインフレにならぬような措置をひとつとっていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。
○山中委員長 春日一幸君。
○春日委員 日本銀行の運営でありまするとか、また日銀が担任されまする金融政策の基本的な問題については、いずれ時間をゆっくりいただいて次期通常国会において御質問申し上げる機会を得たいと思っておりまするが、本日は当面いたしまする重要な諸問題について、総裁の御意見を伺いたいと思うのでございます。 と申しまするのは、新聞が報道いたしておるところをさまざま総合いたしまして判断いたしまするのに、日本銀行は昨年の十一月、新しい金融正常化への金融調整方式といたしまして、例の債券オペレーション方式をとられまして、これによって銀行の貸し出しを抑制する、銀行への日銀貸し出しを抑制するというような方途を講ぜられまして、これが十一月以来六月までには若干の成績をおさめて、貸し出しも千八百億円程度の減少を見た。ところが七月以降そのような正常化への方向、日銀の貸し出し漸減の方向がだんだんと逆調を生じてきて、いまここに日銀は新しく貸し出し抑制のための措置をとらなければならなくなった、こう報道されており、なお、総裁のただいまの御答弁によりましても、そのような方向の意思表示がなされておるのでありますが、現状においてどういう状態になっておるのであるか、六月まで千八百億円減ったというのが、その後どうなっておるのであるか、現状においてどのようなぐあいになっておるのであるか、六月の時点と本時点とをあわせて、ひとつ現状についての御説明を願いたいと思います。
○山際参考人 昨年秋から、いわゆる金融新方式と称しまして、貸し出しの形のみで資金の供給に当たっておりました日本銀行が、貸し出しとあわせて債券の売買方式を取り入れまして、両々相まって資金の調節をするという方途をとったわけでございます。大体運びはうまくいっておったのでございまするけれども、ただいま御指摘のように七月以降は少し情勢が変わってきたというお話でございますが、それはもともとこの制度は財政の上げ下げによりまして相当金融市場に影響を与えます。これは必ずしも銀行の運営方針いかんにかかわらず、金融市場が繁閑を来たすのでございます。そこで、これらの銀行の責めに属せざる部分につきましては、これはむしろ債券市場等を通じて資金を供給したほうがいいのではないかという着想であったのでございますけれども、なお、先ほども申し上げましたとおり、七月以降顕著になりましたのは、国際収支の赤字等によりまして揚げ超基調が続くのでございます。それに対しまして、必ずしも金融を緩和する、だけのオペレーションはやっておりません。どっちかと申しますと、金融基調を引き締めがちに運んできたわけでございます。その結果金融機関におきましては、貸し出しがどうしても出がちになりまして、日本銀行へまいりますときにはすでに事後においてその貸し出しを追認するような段階に運ばれてまいったわけであります。すなわち先ほどもお尋ねがございましたが、当初から銀行券の発行高を押えるというような行き方でいきますると、それはその銀行の業務運営上支障を来たします。日本銀行が新しい金融調整方式を実施いたしまして、その結果日本銀行も日本銀行券をそう出さずに済むという方向に持っていくのが経済の仕組みになっておりますから、そういう方式に入ったのでありまするが、残念ながら七月以降金融機関の貸し出しは顕著にふえてまいりました。でありまするから、日本銀行からの貸し出しは新方式の採用によりまして、形の上において減ってまいりましたけれども、やはり債券の保有という数字において、だんだん資金の供給はいたしております。両々対比して考えました場合において、なかなか日本銀行の信用の膨張もそうは減っておらぬという点は御指摘のとおりと実は思うのであります。その源はだんだん申し上げておりまするとおり、いろいろな事情において金融機関の信用供与、貸し出しの額が増加し出すという点にあると考えましたので、いかにしてこれを抑制するかという方途を数ヵ月来とってまいったのでありまするが、さらに一歩進めまして、これを公の制度の形において表明したほうが各界の協力を得やすいと考えましたので、預金準備率の引き上げということを最近行ないましたようなわけでございます。大体いままでの経過はそのような形において進行いたしております。
○春日委員 日本銀行の本来的使命は円価値の保持にある、これはただいま総裁も述べられたとおりであり、われわれもそのように理解いたしておるのでございまするが、通貨価値その流通価値といいまするものは、当然のこととして物価と景気というものが同時条件に相なるものでございまして、したがって、日本銀行の金融政策というものは当然景気政策、それから物価政策というものを重要な要素、条件として、これは操作されてしかるべきものであるし、またそれでなければ通貨価値の護持という至上使命についてもその責任を果たすことにはならないと思うのでございます。しかるところ、私は、日銀がいままでやってまいりましたそれぞれの政策――あなたか総裁になられましてからずっととられてまいりましたそれぞれの措置を顧みて批判をいたしまするならば、これはどうもすべての措置が後手後手に回っておるのではないかと思われる節が多いのでございます。たとえて申しまするならば、本年度におきまして三月、四月でございまするか、公定歩合を二回下げられました。それから五月でありましたか、貸し出し審査に関しまする措置も、これも廃止されたと伺っておるのでございまするが、このことはなるほど金融正常化のために、あるいはまた低金利政策のためには一個の基本としてこれは必要な措置であったのかもしれませんが、いまにしてこれを判断いたしますると、いわゆる窓口規制と申しまするか、貸し出し審査の制度を廃止されましたようなことや、そういうような低金利政策をとるということが、何となく金融緩和への方向を示唆されるものとして、こういうようないわゆるオーバーローンをさらに激化せしめてまいるような形に金融機関をしておちいらしめたのではないかと思われるのでございます。アフターケア、アフターケアといわれておるけれども、日銀においてはむしろこれはやはりビフォアケアと申しまするか、指導的にこうすればこうなるであろうから、そうならないためにこうする、たとえば景気の峰はできるだけ低く、不況の谷間はできるだけこれを浅く、事前の指導的な役割りというものが、私はこの日銀に課せられておりまする一個の使命であると考えておるのでございます。三月に公定歩合を下げて、また来年早々これを上げなければならぬというのが、一般の定説に相なっておるのでございまするし、また窓口規制を緩和し、そういう貸し出し審査を廃止しておいて、これまた別の一般的な公的な方途であるとはいいながら、預金準備率を引き上げていくとかなんとかいうような措置もとられておるのでございますが、とにかくここかれこれ半年間を通じてながめましても、どうも一貫性がない。朝令暮改とは申しませんけれども、ある程度は事前措置と申しまするか――景気や物価、金融政策全体に対する指導性というものが、何か火事が起きてからポンプを引き出してくる。これはやむを得ない措置ではございますけれども、極端にいえばどろなわ的な傾向を批判をせざるを得ないというような面が少なくないと思うのでございますが、この点に対しまするあなたの立場としての御説明は何でありまするか、この際伺っておきたいと思います。
○山際参考人 いろいろ日本銀行の操作いたしておりますることに対するただいまの御批判は、私どもも十分拝聴いたしました。私どもの気持ちから申しますると、私自身は、日本銀行の操作といえどもできればその適用を受ける対策である金融機関その他の人々の十分な理解と協力を得られるということを念願いたしておりまするので、なるべくは、そういう何と申しまするか、力によるよりも事態に対する意見を交換して、話し合いで解決していきたいという考え方を持っております。そこでいろんな正常化の線に沿いまして、金融機関の経営も正常化されれば企業の経営も正常化されるというところから、いろんな管理的、統制的なワクはだんだんはずしまして、そうしてオーバーローンをなくすると同時にオーバー・ボローイングを解消するという方式で実は行きたかったわけで、努めてその方針に沿ってきたわけでございます。ところが残念ながらその正常化が、産業界も金融界も通じましてなかなか思うにまかせない。そのうちにいろいろ変化が生ずるということに相なったわけでございます。いろいろひんぱんに変化し過ぎるじゃないかというお尋ねもございましたが、この点は私は実は、やはり日本銀行は時々起こる情勢に対処いたしまして、短期的に十分調節をはかっていく。そのほうが大きなカーブを切ることなく、全体として見れば経済界としてプラスではないかという考え方で進んでおります。したがって、弾力性をいかに保持するかという問題が、私どもの非常な中心的課題になっておりますようなわけで、いかにも無定見のようなふうにも見えるかもしれませんけれども、意外な転換がございますれば、早い機会においてまた次の手に変わってくるということはやむを得ざるところかと考えます。むしろその転換はいいけれども、転換するにしてもなるべく予防的に事前にやって、山を低くし、谷を浅くする方針で行くべきだという御趣旨につきましては、私も全くそのとおりだと思うのでありまして、私どももこれを念願しておるのであります。今後も極力その点に対しまして努力していきたいと思います。
○春日委員 現実の問題といたしまして、わが国の実勢からいたしますと、公定歩合や金利の問題なんかは、需給のバランスの上に立って、これは自由なものであることが本来的に望ましいところではあるでございましょうけれども、ただお互いに銘記すべきことは、わが国経済の実勢の中においてこの公定歩合の上げ下げが持たれまするいろいろな心理的影響、こういうものが実在するのでざいまするから、日本銀行が上げたかと思うとまた下げる、下げたかと思うとまた上げる、あるいは窓口規制なんかにいたしましても、緩和されたかと思うと再びこれを開始するというふうなことでは、これはやはり金融そのものが自由経済のもとにおいて流動性を持つということは、これは望ましいことではございましょうけれども、しかしここにデモンストレーション的効果というものがあるのでございまするから、やはり心理的効果というものを判断されますると、あんまりそのような変え方が好ましい成果をおさめていないのではないか。たとえばこのオーバーローン解消の施策に相伴って、並行して行なわれましたところのいろいろな貸し出しの事前調査という問題なんかでも、これは廃止されますると、何かそこに入り口が広くなったような印象をして、そうしてやはり金融機関は貸し出しに依存をしていくという形になり、現に貸し出し競争も激化する結果を招来しておる。こういうようなことも、こういう手を打てばこうなるであろうということは本委員会においてしばしば論じたことなんです。われわれ、委員会で野党の者が論じたばかりでなくして、この高金利政策の問題についても、やはり佐藤榮作氏なんかは選挙中でも、すみやかにこの際は高金利に転換するのでなければ国際収支の逆調を阻止し得ないのだというような意見を発表されておるのでございまするから。とにかくあなたの使命は円価値の保持にある。だから、それぞれ政治家たちの政策論議は別として、やはり事前にかくなさなければならないと判断されたならば、それぞれ機動的に適切な時期にそのような措置をとらるべきであると思うのでありますが、ここ二、三年のあなたの総裁のもとにおいてなされてきた問題が、なるほどそのサイクルは短縮されておるから、山が低く谷が浅いというような救済の弁はなし得るかもしれませんけれども、それにしてもどうも事前措置といいまするか指導性といいまするか、厳然たるところがなくして、政策について金融が回っておるような印象を払拭いたしがたいのでございます。この点に関しまするあなたの確信を厳然として国民の前に明らかにいたされたいと思います。
○山際参考人 経済界の変化はまことに目まぐるしいものがございますので、その影響を受けまして日本の経済界にいろいろな変調をもたらしますことは、これはある程度はやむを得ないことだろうと思うのでございます。日本銀行はその間に立ちまして、なるべく景気の過程を平準化いたしまするためにいろんな操作をいたしてまいる必要がございますから、経済界の変化がなかなか激しいということを考えまする場合において、どうしても日本銀行施策の弾力性を常に保持することは必要であろうと思います。委員のお尋ねは、それにしてもいま少しく指導的もしくは予防的に発動すべきではないかというお尋ねでございます。これはまさにそのとおりでございまして、できるだけわれわれも予防的に、かつはまた指導的にいきたいと考えております。なかなか経済界の及ぶところ、範囲は広く、かつ関係者は多数でございます。ただに形式的に金利を上げたり金利を下げたり、あるいはこういうような制度をとったというだけではまいりません。よくその趣旨の徹底をはかりまして、金融機関をはじめ、すべての人々の理解と協力を得るということはどこまでも必要でございまして、同時にあわせて行ないたいと思っておることでございます。御指摘の点につきましては、今後も十分配意いたしてまいりたいと思います。
○春日委員 私はオーバーローンの一要因として考えられますることは、池田内閣の高度成長政策が設備投資を過度に刺激いたしたその結果ということに相なるのでございましょうが、その場合具体的にその現象を探りますると、結局系列融資それから集中融資という問題が大きな悪影響を与えておるのではないかと思われるのでございます。少なくとも銀行がそれぞれの系列産業に対して集中的に融資をしておる現状は、当然日本銀行においても非難事項としてこれはチェックされておる問題であると思うのでございますが、総裁は、現在行なわれておりまする銀行とその企業との系列融資、それがやがて集中的に行なわれておるというこの現状について、どのようにお考えになっておるのでありまするか、この際御見解をお示し願いたいと思います。
○山際参考人 銀行の行ないます仕事が集中的もしくは系列的に偏し過ぎてはいないかというお尋ねは、実は、私もかねがね一つの注意すべき事項として心がけておる点でございます。何と申しましても、一面から申しますと、企業の運営上、ある程度の集中があったり、ある程度の系列化がありますことは、必要から生まれたことでもございましょうけれども、これが行き過ぎますると、社会的にいろいろな弊害を生ずるのみならず、銀行経営の上から申しましても、危険が一方に偏重いたします。その結果として、適正なる運営態度を欠くということにもなりますので、つとにこれは広く分散をいたしまして、極力、たとえば協調融資であるとか、協力融資であるとかいう形に切りかえるべきだということも慫慂いたしておるような次第でございます。ある程度の企業の必要性からくる有利な点もございましょうけれども、その度を過ぎますと、これは御指摘のとおり防止さるべき危険であろうと考えますから、つとめて私はその方針でやっていきたいと考えております。
○春日委員 日銀総裁も、金融の公共性を確保する立場からも、また預金者の安全を保つ上からも、集中融資あるいはこのような系列融資というものは好ましいものではないと考えられておるといたしまするならば、それにもかかわらず現実に日本の金融機関と企業との間において、そのような好ましからざる融資が実在をいたしておるというこの現状にかんがみまして、これは何らかの法的規制を行なう必要はないか、この点はどうお考えでございましょうか。私どもはこの点を重視いたしまして、本大蔵委員会はしばしば海外諸国の金融についての実態調査を行なったのであります。米国においては、ある一定の法的規制もあるようでありまするが、イギリスの銀行協会で伺いますると、イギリスの銀行協会は、少なくとも預金者の金であるところの銀行の資金、これが特定の個人に集中的に融資されるというようなことは、これは融資を受けない他の人々からの大いなる非難事項となるであろうし、またそこが万一のことあれば、預金者に対するたいへんな責任を欠く形になるので、したがってそういうような集中融資というものは当然銀行の良識によって、銀行家ならば次の株主総会なりあるいは重役会なり、そういうものによって、そのようなばかげた銀行家は罷免されると、そういうような善良なる慣習によってその秩序が保たれておると言っておりました。日本においては、すでにここ十ヵ年来集中融資、偏向融資の問題が非難事項として論じられ、日銀総裁までがこの問題は是正せらるべきであると御判断されておりまするのに、この問題が一向に是正されてはいない。このことは当然金融の本来的使命をそこなっておりまするのみならず、ある一方の側にその銀行の融資が片寄ることによって、たとえば現実には中小企業に対する貸し出しシェアというものが、はなはだ悪くなってまいっておるという、こういう結果を生じておるのでございます。今日、中小企業に対しまする金融の問題は、中小企業基本法の制定に見るがごとく、国はその責任において何らか改善措置をとらなければならない段階であるのでございまするが、さまざまな行政指導をもってしても、またあなた方の窓口指導をもってしても、なかなかその実があがっていない。こういうような段階において、まず第一番には法的規制、できずんば何らかの行政措置、たとえて申しまするならば、私は、貸し出し残高の公表なんかがあってもしかるべきではないかと思うのでございます。金融は一個の秘匿性を持つものではございましょうけれども、たとえば同じような性格の納税額なんか、これはみな公表されておるのでございます。何のだれがしはあのくらいの事業をやっておって、どのくらいの税を納めておるか、これは国税庁が毎年国民に発表いたしております。それと同じように、私の銀行は預金者各位からこんなぐあいにお金をお預かりいたしておりまするが、こういうお預かりいたしておりまする金の貸し出し先はこれこれでございますぞと、預金者のためにも、広く一般国民のためにも、そういうことを公開告示する、こういうことも私はあってしかるべきことであって、許されて当然のことであろうと思うのでございます。したがって、たとえば三菱銀行が、あるいは三井銀行が、あるいは住友銀行が、こういうぐあいに単名をやっておるのだ、手形の総額はこれこれだということを公表いたしますれば、膨大な貸し付けを行ない、貸し込みを行なっておるというようなところは、やはり社会的にためらわれて、そのことがおのずから自主規制の一個の基準にならないか。そのような効果ある措置を講ずることによって、金融全体としての総合効果をはかっていくべきではないかと考えるのでありますが、総裁の御所見はいかがでありますか。
○山際参考人 ただいま御指摘がございましたような大口融資もしくは集中的な貸し出しは、金融機関の公共性にかんがみ、もしくは金融機関の健全性の見地から、適度の限度にとめませんと、その基礎を危うくするという点につきましては、私も同じく憂いを持っております。これはその程度を過ぎたものを法律によって規制することがいいかどうか、いわゆる大口融資規制の問題は、これはかねてから金融制度調査会において研究を続けらるべき事項として掲げられております。また銀行検査もしくは私のほうの調査等の場合におきまして、個々の貸し出しに具体的に当たりまして善処を求めるということも実はやっております。これを全体といたしまして、どの程度にさらに強化すべきかという問題は、十分に今後検討を続ける問題として考えていきたいと思います。
○春日委員 それでは問題を項目別に申し上げまして、答弁もそれに対してお願いいたしたいと思います。 まず最初に歩積み、両建て預金廃止に関する問題でございますが、これはかつて日銀総裁が、わが国が幾ら低金利政策を云々したところで、日本の金融機関の歩積み、両建ての制度を解消するにあらずんば、実質効果は及ばないものである、すべからく歩積み、両建てを廃止せられてしかるべしという意見表発がございまして、私はその御意見もっともと考えて、これを受けて、本委員会で公取にいろんな質問を展開して、だんだんこれが政治問題になり、行政管理庁も、総理大臣も、当然これは解消しなければならぬ、昨日も参議院の予算委員会においては、公取委員長もそれぞれ警告を発したが、その実行が行なわれていない。だとすれば、これは特殊指定も避けがたい事態ではないかと述べられておるのでございますが、日銀総裁としてかねてそのことを意見として述べられており、その後の行政推移にかんがみて、いまやこれはいかにあるべきであるとお考えになっておるか。これに対する御所見。 それから第二点は、集中融資、偏向融資を解消いたしまするためには、何といってもやはり大企業はそれなりに資金が必要でございましょうが、その長期産業資金調達のかわった場所を供与しなければ相ならぬと思うのでございます。したがって長期産業資金調達の場所は、日銀総裁も述べられておるように、公社債市場というものも、これを整備、強化していかなければならぬ。公社債市場の強化策、すなわち偏向融資、集中融資を規制するなり、なくするなりいたしまして、金融に依存せずして長期産業資金調弁のための公社債市場というものはいかにあるべきであるか、これをどのようにお考えか、これが第二点。 それから第三点は、中小企業に対しまする貸し出しシェアが、一昨日本委員会において銀行局長が説明されたところによりますと、これは改善しなければならないという法律の要請、また一般政治情勢としても、経済情勢としても強く要請されておるにもかかわりませず、現状においてはこれがさらに悪化の傾向をたどっておる、中小企業に対する貸し出しシェアが悪くなってきておる、この憂うべき事態をどうしても改善しなければならないだろうが、それはわずかに三公庫に対する政府の資金を増強いたしたところで、おのずからその額は知れたものでございます。すなわち中小企業金融緩和の実効はおさまっておりません。実効確保のための措置は何らかとられなければならぬであろうが、いかにとられるべきであるとお考えであるか。たとえば日銀なんかが、いろいろな金融機関の貸し出しについて、その資金の使途についてチェックされていく、たとえばこの金は大企業か、これは中小企業か、そういうようなところで貸し出しの指導力を発揮していかれるとかなんとかいうことによって実効をおさめられる余地がなお残されているのであるか、これら一連の問題についての総裁の御見解はいかがでありますか。 以上、三点について御答弁願います。
○山際参考人 お尋ねの第一点の歩積み、両建ての問題でございますが、これも先般私が当委員会に出席いたしました際に、春日委員から御指摘がございまして、私はただいまお述べのとおりの意見を申し上げたことを記憶いたしております。この考え方は、いまだに変わっておりません。やはりこれは最も適実なる方法において、すみやかに解消すべき問題の一つと考えております。ただ、この適実と申しますゆえんのものは、この現象は非常に複雑でありまして、一片の法律である規制を加えることがはたして債権者、債務者両方の利益になるのかならないのかという場合が非常にございますので、これがなかなかむずかしい点でございます。そこで現在の段階においては、それぞれの金融団体におきまして、いかにこれを適実に解消させるかという方向で具体的に方法を練っております。そうしてそれを大蔵省と相談をいたして、私のほうにも相談にまいっておりますが、こういう方法でやりたいということで、きのうきょうも委員会を開きまして検討いたしておるのでありますから、もしこの方法が実際に効果をあげてまいりますならば、これは一片の法律なり規定によって一律規制をするよりも、実際に適用して債務者の利益にもなるし債権者の擁護にもなることであろうと考えております。
○春日委員 どういう方法ですか、御相談されておるのは。
○山際参考人 それは具体的にどういう方法をとるか、たとえば金融機関別に普通銀行ならばどういう割合の拘束性の預金を認めるとか、あるいは相互銀行ならばどの程度というふうに、いろいろ金融機関別にもただいままだ検討いたしていると思いますし、また拘束性の預金と一がいに申しますけれども、はたしてどの程度までを言うのか、あるいは証文を入れてとっているものまで言うのか、口約束でとっておるものまでも拘束するのか、それは千差万別でありますが、それをどういう基準でさばいていくかということを実際に即応していろいろ分析して案を練っておりますので、いましばらくその態度を見まして、もしこれが自主的に行なわれておりますれば理想的だと思います。大蔵省もおそらくただいまの段階ではその方向で御指導なさっておると思いますが、それがどうしてもだめならば法律の規制にまたなければなりませんけれども、私といたしましては、しばらくこの自主的な動きを注視してまいりたい、かように考えております。 第二点は、公社債市場を長期産業資金調達の市場としていかに規制するかというお尋ねがございましたが、いろいろそれは方法もあろうと思いますが、私は根本は金利を自由化するのでなければほんとうの市場はできぬと考えます。ところが先ほども申しましたように、戦時以来引き続き今日まで金利は管理されております。実はたとえば同じ公債、同じ社債と申しましても、その種類をふやし、またその条件を変える等のことによりまして、幾つかその分類をふやしつつありますが、一般的に債権者、債務者の需要供給による金利の自由化というところまでいっておりません。これが解決されませんと、ほんとうの市場はできないと私は考えておりますので、機会をとらえてその方向に持っていきたいと思います。一番大きな障害となっておりますのは、現在の段階においては、現在の管理された金利よりも高い金利をどうしても出さざるを得ない結果になるであろうということがおそれられますので、そのこと自体があまり望ましいことではないということもありますが、そのほかに既発債の価格に非常に影響を及ぼしまして、新しい利回りで採算をとられますと既発債が暴落するということにもなりますから、そこで扱いを非常に慎重にされておりますが、機会をとらえ、また方法を研究いたしまして、漸次自由市場の発達の方向に持っていくべきであると考えております。 第三の中小企業の金融の問題でありまするが、私は、最近この点につきましては中小金融機関というものが次第にその力を得、その規模を拡大してまいりまして、中小企業金融の要望にこたえつつあることを見まして、実は非常に喜んでおるのでございます。同じ金融と申しましても、大から小に至るまでいろいろやり方も違いますし、担当者の技術なり知識、経験というものも違ってまいりますので、この中小金融機関の強化ということは、私はこの問題を解決する一番有力な手がかりになろうかとも実は考えておりますが、最近中小金融機関のほうの内容なり経営ぶりというものは非常に堅実化されまして、だんだんとその期待にこたえていくだろうということを期待いたしております。私どものほうといたしましても、つとめて日本銀行の取引先に、たとえば相互銀行、信用金庫というたぐいのものもふやしていきたいということでかねがね努力しておりまして、これは相当進行いたしております。
○山中委員長 これにて山際日本銀行総裁に対する質疑は終了いたしました。 山際総裁におかれましては、突然の当委員会出席要求でございましたので、予定の行事を取りやめられるなど、たいへん御迷惑をおかけいたしたと思いますが、長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手) 暫時休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 ――――◇――――― 午後一時十一分開議
○山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 税制に関する件について、調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。有馬輝武君。
○有馬委員 国税庁長官にお伺いしたいと思いますが、本日は国税庁の職員に対する国税庁または大蔵省としての態度について二、三お伺いいたしたいと存じます。 これはもう六、七年前になると思いますが、一萬田大蔵大臣のときに、大蔵省としての労使慣行の確立に対して基本的な方針をお伺いしたことがあります。その際にも大蔵大臣からとにかく組合とはフランクに会って労働条件の改善についての話し合いを続けてまいりたいというような意思の表明があったわけでありますが、現在国税庁の場合には、組合が大体大まかに分けまして三つに分かれております。具体的にはこれらの三つの組合に対しまして、団交の形式はどのようにとっておられるか、それを最初にお伺いしたいと思います。
○木村政府委員 国税庁といたしましては、人事院に登録されております組合、大まかに申しまして、ただいま御指摘のございました三つかと思います。これらの組合に対しましては、原則として大体私は月一回ぐらいになるかと思いますが、交渉の申し入れがあります場合には、これを受けて勤務条件の改善その他職場環境の改善等についての交渉に応じております。
○有馬委員 三つの組合に対して大体同じような回数なり機会なりを与えておられるかどうか、その点を具体例をもって、本年度の分でけっこうでございますから、何回ぐらい会われてどういった案件について話し合いを持たれているか、お聞かせをいただきたいと思います。
○木村政府委員 国税労働組合全国会議というのがございます。これが大体組合員一万三千人ぐらいになっておりますが、この国税会議とは、ことしの一月二十五日、四月十一日、六月十四日、十月二日、十一月二十二日、十二月十二日、交渉回数合計六回になっております。それから全国税労働組合というのがございます。これが大体組合員数が六千ぐらいになると思いますが、この組合と私とは二月二十八日、四月十二日、五月十六日、七月五日、九月十二日、十一月十五日、最後は十二月の十三日でございます。合計交渉回数七回でございます。そのほかの職員組合といたしましては、北海道の道国税連というのがございます。これとは十月二日に一回行なっております。これは登録が九月の下旬に行なわれておりますので、十月の二日に一回だけ交渉を行なっております。 それからその交渉の議題でございますが、これは主として給与法の改正に関する問題、昇給、昇格の問題、それから事前協議制の問題、超過勤務の問題、宿舎の問題、苦情処理の問題、それから税理士資格を国税職員に無試験で付与してもらいたいという問題、それから年末手当の問題、大体そういうような問題でございます。
○有馬委員 国税庁当局として、管理運営事項については団交の対象たり得ると考えていらっしゃるのか、管理運営事項についてはそのらち外にすべきだと考えていらっしゃるのか、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
○木村政府委員 国家公務員法には「勤務条件に関し、及びその他社交的厚生的活動を含む適法な目的のため、」「当局と交渉する」ということに相なっておりますが、その中にはただいま御指摘の当局の管理運営事項は含まれておりませんので、私たちは管理運営事項については交渉の対象といたしておりません。
○有馬委員 たとえば人事についてはどのように考えていらっしゃいますか。
○木村政府委員 人事につきましては、人事の異動そのものは管理運営事項でございまして、これは組合との交渉の対象に相なっておらないというふうに解釈をしております。ただし人事の異動に伴って生ずる生活条件、勤務条件の変化については、これは交渉の対象になるというふうに解釈をいたしております。
○有馬委員 天王寺で御承知のように懲戒なりその他の処罰をしておられますが、その経緯について詳しくお伺いしたいと思います。
○木村政府委員 天王寺税務署で起きました、これはたしか服部君の事件かと思いますが、これは執務時間中における組合活動、それから署長の出張命令拒否、こういうことで過去において数回懲戒を受けておりますし、また今回におきましてもそういう事件が起きておりますので、懲戒免官にしたのでございます。
○有馬委員 その前後にあと二人ぐらい処分しておられますが、それもあわせて御報告をいただきたいと思います。
○山中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○山中委員長 速記を始めて
○有馬委員 個々の具体的な名前を出すとあれだという委員長の要望もありますので、その三人の人たちに対するあれの中に、執務時間中に新聞を読んでいたというような理由も付記されておったと思うのですが、それは事実ですか。
○木村政府委員 私も個々の具体的な事例について記憶が確かでございませんが、たしか執務時間中に組合関係のガリ版を刷っておった、それから署長がこちらへ来てくれと言ったら、署長こそこちらへ来い、おれのほうへ来いというような、そういうやりとりがあったと記憶しております。
○有馬委員 いまの点をもう少し詳しく……。新聞を読んでいたというようなことはないですか。
○木村政府委員 詳しい資料を持ってきておりませんので、でき得れば後刻御報告をするかあるいは書面でもって御報告をさせていただきたいと思いますが、新聞を読んでおったこともございますが、それが直接この懲戒処分の原因となったとは私は記憶しておりません。
○有馬委員 あげ足をとるわけではないのでありますが、ここのところをよく聞いていただきたいと思うのですけれども、懲戒の理由の中にそういった一項目が入ってくるということになりますと、これは非常に由々しい事態だと思うのであります。私も農林省におりましたけれども、朝登庁いたしますとやはり各紙に目を通す、これは全職員が懲罰に付せられなければならなくなってしまうのであります。やはりそこら辺については――これは管理運営については厳でなければいけませんけれども、しかし特定の人が新聞を読んでおればそれが対象になるというふうなことは、これは避けていかなければいけないと思うのです。ほかの、たとえば理由なくして出張を拒否したりあるいはその他の行為があればこれは別です。やはりそこら辺については常に大蔵省としても国税庁としても筋を通していく。ただ意識的に、特定の人間はこういう背景があるからというようなことでもって事に臨まれるということであれば、これは由々しい事態だと思うのです。私、個人の名前をあげることは差し控えますけれども、先ほど長官がお話しになりましたように、不幸にしてあなたのところには現在組合が三つできておる。そのうちの一つの組合に対して当局が意識的にこれを助長する、その勢力の増大に力を借すというようなことをしていらっしゃらないかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○木村政府委員 ただいま御指摘の、新聞を読んだがために懲戒処分を受けるとかいうようなことは常識上あり得ない、またあってはならぬことでございまして、いかなる組合に属そうと、あるいは組合に加入しているといなとを問わず、そういうことは常識上許せないことだということは重々わかっております。この天王寺に起きました事件については、先ほど申し上げましたように、過去において三回懲戒処分を受け、しかも上司の勤務命令に服さず、出張命令を拒否し、または言動等においても非常に不穏当な点があった。また執務時間中にほかの仕事をしておって、再三課長からたしなめてもそれに従わなかったということが積もって懲戒の処分をいたしたものでございまして、もしこの非常識な理由でもって懲戒処分に付するとか、あるいは同じ懲戒処分であっても、その原因となった事由と比べてあまりにも重過ぎるというような問題がございますと、御承知のようにこれは人事院の公平審理にもかかり、また職員の提訴によって行政措置の要求ができることになっております。したがって、われわれといたしましても、むろんこういう救済手段があるなしにかかわらずでございますけれども、それに対しては十分申し開きのできる理由を念査いたしまして処分をいたしておるわけでございます。 また特定の組合に対して助長するようなことをやっておるのではないかというお話でございますが、組合が正当な、適法な活動を行なっておる限りにおいては、いずれの組合であっても対等に、同じように交渉し待遇すべきものと私は考えております。
○有馬委員 私具体的な事例を知っていてお伺いするのですけれども、結論だけお伺いします。そういったことは絶対にありませんか。肩たたきをしたり、勤務時間が終わってから上司が特定の場所に呼んだり、この組合をやめてこの組合に入りなさいというようなことは全然ありませんか。
○木村政府委員 ただいま申し上げましたように、組合が適法な国家公務員法にのっとった活動をいたします限りにおきましては、特別にそれに対してとやかくいうべき筋合いのものでないことはもちろんでございます。したがって勤務時間を過ぎてからでも管理者が特定の組合から抜けろとか、特定の組合に加入しろとかいうことは不穏当な行為でございまして、私は通達でもってこれを指摘しており、また各局を集めた各種の会合においても、そういう点については十分説明をいたしておるつもりでございます。
○有馬委員 長官としての御趣旨はわかりましたが、実際に行なわれておった場合にはどういうことになりますか。
○木村政府委員 実際にそういう問題が起きた場合には、厳重に注意をし、そういうことの起こらないように指導をいたしてまいりたいと存じます。
○有馬委員 過去に起きていた場合の責任の所在はどこにあるかということをお伺いしておるのです。
○木村政府委員 ただいま責任とおっしゃいましたが、私はこれを懲戒とか何とかということと解しますならば、これは懲戒の事由というものは国家公務員法に列挙してございますので、御承知のように国家公務員法には労働法に言ういわゆる不当労働行為という規定はございません。したがって、条理上こういうことをやるのは穏当でないということでございまして、もしこれをやった者があったからすぐそれがそのまま懲戒の事由になるというふうには考えておりません。やはり問題は、今後の指導なり、あるいは過去におけるそういう行為に対する厳重なる注意ということになろうかと思います。
○有馬委員 長官は、そういうことはないとおっしゃったわけです。この国政審査の場において言明されたのですけれども、そういった事態があった場合にはどうされますか。
○木村政府委員 そういうことがございました場合には、私先ほどから申し上げましたように、厳重に当該職員に対して注意をし、今後そういうことのないように指導をいたしたいと存じております。
○有馬委員 あなたの責任を伺っておるわけです。国政審査の場において、長官としては相当の根拠があって言明をされるのだろうと思います。それがないとおっしゃるが、もしあった場合にはどうなるかということを伺っておるのです。
○木村政府委員 私はそういうことはないと確信をしておりますが、五万の職員でございますから、これが絶無であるということを、それでは断言できるかということになりますと、それは断言できませんが、常時の指導としては、先ほど申し上げましたように、通達も出し、また会議の際に指摘をいたしておるわけでございます。
○有馬委員 それから住宅問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、昨年石川、富山、新潟の国政調査の際にも、金沢の国税局であったと思いますが、与野党の議員に対しまして住宅問題等について真摯なお願いがございました。またせんだって、あれは品川でしたか、税務署にお伺いしましたときにも、住宅不足の実情について、署長からもまた組合からも真摯にお話がございました。この住宅問題の解決のためには鋭意努力をしていらっしゃると思いますが、先ほどお伺いいたしました転勤の問題その他等もからんでまいりますので、現在の国税庁の全国的な住宅事情について、概略でけっこうでありますからお教えをいただきたいと思います。
○木村政府委員 現在の国税庁の、これは三十七年十月一日現在で、多少古くなっておりますが、ほかの省庁と比較します関係上、いまの日付の現在の対比を申し上げますと、宿舎数が一万三千百五十戸でございまして、必要戸数に対する充足率は七二%・七%になっております。これに対して国税庁も含めました全省庁の宿舎数が七万四千四百十戸でございまして、充足率が六二・八%に相なっております。こういう数字を見ますと、数字の上における充足率というものは国税庁のほうがよいように思われますけれども、内容を見ますと、ただいま委員から御指摘がございましたように、非常に老朽の宿舎が多い。その老朽の宿舎が多いという点と、それから構造別に見ますと、全省庁に比べて木造の家屋の率が高いということと、それから一戸当たりの面積が全省庁に比べて非常に小さいということが言えると思います。この構造の点を申し上げますと、全省庁が鉄筋その他の不燃化率におきましては一四・一%に対して、国税庁は一一・四%というふうに低いのと、それからまた一戸当たりの坪数を見ますと、国税庁関係は九坪未満あるいは九坪から十三坪というのが全体の八八・六%に当たっておりますが、全省庁はこれに該当するものは五七%でございます。こういう点から見まして、今後やはり宿舎を改善をして、職員の転勤等に差しつかえのないように努力をしなければならぬと考えております。
○有馬委員 その先ほどの七万何戸というのは数字の読み違いでしょう。――それはいいですが、それを充足するための具体的な計画をどのように立てておられるか、お聞かせを願いたいと思います。
○木村政府委員 国税庁におきましては、三十九年度以降四ヵ年計画をもちまして、これらの一般的に必要な戸数、それから最近東京、大阪等の大都市に職員が集中しなければなりませんので、それによって必要になってくる戸数及び老朽な建物の建てかえ、そういうものをこの四ヵ年でもって満たすように計画を立てて、関係当局にお願いをしておるわけでございます。
○有馬委員 次にお伺いをいたしたいと思いますのは、現在税務職員の中で、相当多数の者が民間会社その他に移動しておる事態があることは御承知のとおりであります。それが最近三年間くらいで、どの程度が民間に行っておるか、その年齢はどの程度の層が一番厚いか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
○木村政府委員 ただいま御指摘のように、最近税務職員が民間の会社に二倍あるいは三倍というような俸給で引き抜かれて行っておるということは事実でございます。ことに、東京、大阪、名古屋というような都市署におきましては、その傾向が顕著でございます。数字で申し上げますと、税務職員の離職率を十一の国税局全管で申し上げますと、昭和三十三年が全体の一・一七%、それから年次を追って一・二三%、一・五六%、一・九九%、昭和三十七年には二・三%に達しております。またこの傾向の一番激しい東京局について特に申し上げますと、昭和三十四年が一・八七%、それから年次を追って二・〇六%、二・九三%、三十七年度におきましては、実に三・四六%に達しております。また特に離職率の高い層は、大体三等級程度のところでございます。三等級と申しますと税務署の課長、課長補佐あるいは特殊専門職、専門官でございますが、こういう中堅層でございまして、これが一番高い離職率を示しております。東京で例をとりますと、昭和三十四年がこの三等級の離職率が二・五九%、それから年次を追って二・九一%、三・五五%、三十七年度におきましては四・一九%というふうに急激に上昇をいたしております。こういう実情でございます。
○有馬委員 これは戦後一貫しまして末端の税務行政に携わる職員につきましては非常な負担がかかり、しかも税務行政という性格からいたしまして精神的にも非常な負担がかかって、しかもいまお話しのように三%前後の離職率というのは、これはゆゆしき事態だと思うわけであります。そうなる経緯については私たちもやむを得ない空気さえあるのではないか、これを憂慮するわけです。このまま放置いたしますと、しかもその課長なり課長補佐というような実際に税務行政を運営しておる中核が抜けていくということになりますと、これはゆゆしき事態だと思いますが、これに対してどのように対処しておられるか、それを具体的にお聞かせをいただきたいと存じます。
○木村政府委員 こういう事態はただいま御指摘がございましたように、われわれ税務の職場の責任者といたしましてゆゆしい事態でございます。これに対してはまず第一に、現在適用されております税務特別俸給表、これを当初の、この俸給表ができた当時のようなところまで、一般俸給表との間の差を縮めていただきたい。いわゆる俸給表にかさ上げをしていただきたいということを先般来人事院にお願いをいたしております。今度の給与の勧告では遺憾ながらわれわれの希望しておったところまではまだまだ達しておりませんけれども、しかし三等級、四等級、五等級の一部につきましては、一般俸給表と比べて若干のかさ上げが認められた次第でございます。そのほかに徴収職員は特に不快な仕事をいたしておりますので、これに対して特別の勤務手当を認めていただきたいということを現在要求中でございます。それからまた税務職員のうちで特に三等級、四等級、五等級という面が級別定数が一番不足いたしておりまして、そのために昇格がおくれるということになりますと、職員の将来に対する希望を失いますので、こういう面については特に三等級、四等級の級別定数をもらうように人事院あるいは主計局と協議をいたしております。また先ほどお話しの出ました宿舎の面につきましても、これは直接給与とは結びつかぬかもしれませんけれども、できるだけ職員に気持ちのいい宿舎を与えて、優遇をしてまいりたいということを考えております。 それから最後に、今度の通常国会におそらく税理士法の改正案が提案されることとなると思いますけれども、税務職員がたとえば二十年以上税務職員として円満に勤めた場合に、これに対して無試験で税理士の資格を与えていただきたいということをお願いいたしまして、大体税制調査会のほうもそういうふうな方向で御答申をいただける見通しになっております。
○有馬委員 現在の欠員は何名になっておりますか。
○木村政府委員 十一月一日現在で八百七十三名に相なっております。
○有馬委員 いまの欠員八百七十三名、これもまた大へんな問題だと思うわけです。それから先ほどお話のあった中堅級が抜けていく、これに対して仕事を円滑に進めるために、これを充足するためにどのような手を打っておられるか、これをお伺いしたいと思います。
○木村政府委員 八百七十三名の欠員は、先ほど申し上げましたように十一月一日現在でございまして、大体採用が毎年四月に相なっております。したがいまして、年度末に近づくに従って欠員ができてきて、四月になると全員充足するということを繰り返しておるわけでございますが、この数字は来年の三月まではそうふえはしないだろう。また四月になりますと現在税務講習所の普通科で研修をいたしております研修生等が卒業して職場に配置されますので、この欠員はもちろん全部埋まると確信をいたしております。 なおわれわれといたしましては、できるだけ高校卒、学校を卒業しましたフレッシュマンをとっていきたい。過去においてしばしば行なわれましたように、民間の会社等から来ていただくということはできるだけ避けまして、そういう方法でやっていきたいと思っております。 それから相当多くの欠員をどうして補充するかという問題は、こういう時期的な関係のほかには、経常的にはやはり事務を合理化いたしまして、いままで内部的に下部機関から報告なり上申なりを数多く求めております。これをできるだけ整理をいたしまして、内部事務の量を少なくしたい。それからまた他の法令等によって報告、上申、承認を求められておるようなものにつきましては関係各省にお願いをいたしまして、できるだけそういう内部事務を整理していただくように現在手続を進めておる最中でございます。また将来におきましては、昭和四十一年度を頂点として電子計算機を導入して、内部事務の機械化をはかっていきたいというふうに考えております。
○有馬委員 八百七十三名の欠員というものは、私は総定員から推しはかりまして非常に大きな問題だと思いますし、そのための事務の停滞を補うために、これは各省庁ともやっておりますが、非常勤、常勤的な非常勤、そういったものでカバーするのが各省の習いなんですが、国税庁にはそういったものがあるのかないのか、その予算の規模はどの程度で、何名くらい年間に雇用し得るのか、これをお聞かせいただきたいと思います。それとあわせて、その常勤的非常勤があったとしまするならば、それを税務講習所で講習を受けさせるとか、そういった昇進の道が講じられておるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○木村政府委員 国税事務は、納税者の方の所得の内容に関する知識を持たねばなりませんことと、また税法上相当強い権力を与えられておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、税法を執行する面の職員は、やはり学校を卒業いたしまして、税務講習所の普通課に一年入所させまして、全寮制度でこれを訓練し、一般的な素養並びに税法上の知識を与えておるわけでございまして、これをいわゆる常勤的非常勤というような法的な根拠のはっきりしない人に担任をしてもらうということには相当問題があろうと思います。ただ、そういう納税者の方の秘密に関係しないこと、あるいは税法の執行に直接関係のない部面、そういう部面で機械的な作業等に対しましては、年間約七百人程度のアルバイトの予算をつけていただきまして、これをアルバイトによって処理をいたしておる実情でございます。
○有馬委員 次にお伺いいたしたいと思いますのは、先ほどの住宅問題と関連いたしまして、異動の点について、私は多くの障害があるのじゃないかと思います。それと同時に、やはり税務行政の立場からいたしまして同じ――これはおもに署でありますが、もちろん課や係によって違いますけれども、署に置くということについても問題がある。ここら辺の調整をどのようにしておられるか。年間の異動数、そしてその基本的な考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。なおあわせて、その際に、先ほどの管理運営事項と人事という問題と関連いたしまして、本人の意向をどのようにして参酌していられるか、これもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
○木村政府委員 国税庁におきましては、ほかの官庁と違って、国税の賦課徴収に関する面接の事務を担当しております職員が、あまり長い期間同一の場所で勤務いたしますということは、自然、仕事がやりにくくなる。やはり一般の納税者の方々と相当知り合いになって そのために気がひけるとかなんとかということで、精神的にどうしてもやりにくくなるという面がございますので、従来かなり大幅に異動をいたしてきております。それで、大体従来の傾向は五万の職員のうちの約三分の一が――これはもちろん署内の異動を含めてでございますけれども、三分の一が転勤をいたしておるということでございますけれども、私はやはりこういう激しい異動の状態というものは、必ずしも適当でない。ある面には、確かに従来のような考え方から見ればプラスになっておる要素もございますが、しかしまた、職員が長くそこに落ちついて安定した気持で執務をする。また納税者のほうも職員の顔が行くたびに変わるということでは、前の説明とあとの説明がつながらないというような御不便もございますし、できるだけ異動の幅を狭めてはどうかということで、今年の七月に行ないました定期異動からは、かなりそういう面を織り込んで異動の幅を縮小いたしております。従来の惰性がございますので、一挙に減らすというわけにはまいりませんが、今後こういう方向で年々異動の幅を狭めてまいりたいと存じております。 それから異動についての基本的な考え方でございますが、これは申し上げるまでもなく、やはり適材を適所に置くということが主眼でございまして、業務上の要請と本人の希望と両方の接点をどこに求めるかという点が一番の問題でございます。そこで国税庁といたしましては、本人に身上申告というものを出してもらいまして、それには詳細に希望する職務内容、あるいは希望する任地等を書き入れてもらいまして、これを参考にして異動を行なっております。なお身上申告書のみでは不十分でありますので、異動の前には署長から職員の身上、勤務地の希望等についての上申を求め、また署長にそういう面についての相談をいたしまして、十分職員の希望をとっておるつもりでございます。ただ、やはり特定の署に対しては希望が特に多く、またへんぴな署に対しては希望がほとんどないというような現実から見まして、全部希望をいれるということはできませんけれども、しかしながらできるだけ職員の希望をいれる方向で異動を行なっておるつもりでございます。
○有馬委員 先ほどの管理運営事項に関連いたしましては、いずれILOの特別委員会で労使の問題としてお伺いをしたいと存じておりますが、いま国税庁長官からお答えがありましたように、異動に関連して住宅の問題にいたしましても、また中堅のところが抜けていく面につきましても、これはゆゆしい事態だと思うわけでございます。この点について現在までと同じようなことを、たとえば予算折衝その他をいたしておりましても、この事態はなかなか避けられない状況にあると思うのでありますが、政務次官からこれらの問題に対しての御見解を伺いたいと存じます。
○纐纈政府委員 ただいまの問題につきましては、実は省内における予算査定の問題におきましても、相当問題になっておりまして、特殊な大事な仕事でございますので、できるだけ国税庁の希望を達するような予算を計上したいという考えで進んでおります。
○有馬委員 ほかの問題と違いまして、これは税務行政を遂行する上にとって大きな障害になってきておるわけです。これを努力しますとかなんとかいうようなことで毎年過ごしておったのでは、これは税務行政の根幹がくずれていくことになるわけです。その点についてお伺いをしておりますので、政務次官としていま少し、いまのお答えみたいなことじゃなくて、決意をお聞かせ願わないとこれは納得できませんよ。
○纐纈政府委員 重ねて申し上げますが、いま編成中でございますが、しかし大臣も非常にこの問題については了解されておりますので、私どももぜひひとつ実現するように努力をいたしたい。やがて予算もできますからそれまでにはあれですが、いまのところはそれ以上は答えられません。誠意を持ってこの問題の実現に努力はいたしております。
○有馬委員 私がお伺いしたいと思っておりますことは、たとえば今度予算が編成されたならば、中堅幹部を抜かれるようなことのないような待遇はきちっとしますとかどうとか、そういう点についてこの際言っていただかなければ、努力しますというようなことでは、これは何の答弁でも同じですよ。そこら辺についてはっきりしておいてもらいたい。
○纐纈政府委員 中堅幹部がだんだん民間のほうに引き抜かれていく、これは先ほど来お話しのとおり非常に重大問題でございまして、これにつきましてもいろいろ問題を論議されておるわけでございます。そういうことも含みまして、先ほど申し上げましたような結果が出てくる、こういう意味で私はお答えをしたわけでございます。
○有馬委員 来年度から一人も民間に行くような者が出ない、その対策は十分立てるということを纐纈政務次官からはっきりお答えがあったというぐあいに受け取っておきますから、ひとつ御努力をいただきたいと存じます。 以上でもって私の質問は終わります。
○山中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○山中委員長 速記を始めて。 次に金融に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 日にちはちょっと覚えておりませんけれども、だいぶん前に、理財局長がまだ稲益さんのときであったと思いますが、簡易保険の資金運用について当委員会で論議しました。そのときに私が当時の理財局長に要望いたしておきましたのは、簡易保険の原資の運用がいかにも低率であって、零細な簡易保険加入者に対してきわめて申しわけないという感じがする、何とか政府は少なくともこの運用について高率的な運用をすべきだが、次の御質問までに善処をしてもらいたい、こういを注文を実はつけてそのときの委員会を終わったわけでありますけれども、これからいよいよまた来年度の財政投融資計画を決定される段階にまいるわけでありますが、大蔵省当局としては、この簡保資金の運用について、私がお願いをした点についてどういう配慮をされることになったか、お答えを願いたいと思います。
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。 簡保の資金の運用利回りの向上につきましては、前の委員会で堀先生からもお話がございましたが、そのときもお話がありましたように、国の資金の一元的な運用を阻害しない範囲内でできるだけのことをしたいという気持ちでやってまいっております。当時の堀先生のお話がありました後に、御承知のような電力債の短期運用の道も開けたわけでありますが、これから三十九年度の財政投融資の策定をいたすにあたりましても、そういう方針でできるだけ簡保に有利なことをいたしたいということを考えております。堀先生御承知だと思いますが、たとえば簡保の資産運用の全体の中で、商利回りの債券の運用は三三・七%、本年度で約三分の一がそういう高利のものになっておるわけでございまして、資金運用部全体といたしますと、そういう高利の債券運用は七%でございますが、そういう意味でも簡保にできるだけの配慮をいたしておるという感じでおります。その結果、これも御承知だと思いますが、三十八年度の新規運用資産の平均利回りは簡保は六分七厘二毛になっております。それからその結果総資産の利回りが三十六年度は六分二厘六毛でありましたのが三十七年度には六分三厘八毛、これはここ四、五年の間逐次向上してきておるわけでございます。来年度の財政投融資の策定にあたりましてもこれができるだけ上がるような配慮はいたしてまいりたいと考えております。
○堀委員 電力債が部分的に運用が認められることになったわけでありますけれども、電力債の運用によってただいまの六分三厘八毛というのに多少影響する程度のものがあるでしょうか。
○吉岡政府委員 これは御承知のように短期運用でございますし、余裕金の一部をもって充てるわけでありますから、確かに利回り向上にはなりますが、そう大きな影響は持ち得ないという感じはいたしております。
○堀委員 たしか、電力債を持つについては何か制限が設けられておるようなふうに聞いておりますけれども、大体どの程度の制限ということになっておるわけですか。
○吉岡政府委員 まず短期運用に限るということが一つあります。もう一つは金額的に余裕金の中で一定額、百億をめどにしておるということでございます。
○堀委員 大蔵大臣がお見えになったわけですが、幾ら何でも十二分では何も聞けませんけれども、せっかく来てもらったのですから、まず前段のほうとしてお聞きをしたいことは、財政投融資計画というものが、ずっと調べてみると、国民の比較的零細なる資金の集まりでなっておるわけですね。これは簡保資金にしてもどちらかというと非常に資産のある人は簡保に入らない、農民その他の比較的収入の少ない、所得の小さい人たちが簡保に入っておる、さらに国民年金の対象においてもしかり、厚生年金でもおおむね零細な人が主体になっておる、郵便貯金でもそうでありまして、この財政投融資計画の主体をなしております資金運用部の資金というものは、非常に零細な国民の資金から集められておるわけです。ところがこれが国家目的ということのゆえに非常に低利に運営されておるということが全体として出ておるわけです。先回も、資金運用部の会合がありましたときに、厚生大臣も郵政大臣もともに、もう少し何とか自主運営を認めてもらいたいという意向が強いのは、自主運営によって何とかその利回りを高めたいということがその主眼にほかならないのでありますけれども、その点において、私は、財政投融資計画というものに非常に運用上の問題がある、こういう考え方を持っておるわけです。 そこで、これについては二つの問題がありまして、その貴重な財政投融資の零細なる資金を集めたものの用途については、相当に明確な、疑いを残さないようなものに使ってもらわないと困るということが第一点としてあります。第二点のほうは、これは私の個人的な考えですけれども、国が運用すること自体はちっともかまわないと思うのですが、その用途が低利なところに動かすために、零細なる諸君の資金であるというたてまえから、これなどは、片面は利回りをよくしてやって、そうして公共的なところに使うのだということで部分的に政府が一般会計から利子補給をしてやっても差しつかえない程度のものではないか、こういう感じがするのでありますが、これについての大蔵大臣の、いまの二点についての見解をお聞きしたい。
○田中国務大臣 利子補給ということになればまた別の問題でありますが、御承知のとおり財政投融資は一般会計の補完的任務を非常に重要な度合いで果たしておるわけでございます。しかもその財政投融資から出る面につきましても、できるだけ国民生活に直結をしているという部門に相当流れておるのでありますので、それらの金利負担も引き下げなければいかぬというようなものとの二律背反という問題があるわけであります。この調和点をどこに見出すかという問題になるわけでありますが、通常四分五厘というような低いものから特利をつけて六分に回るようにというようなことをやっているわけです。去年まで、大蔵省としては利下げをしなければならぬといういときではありましたが、長年郵政省側から要求がなされておりました短期電力債に対して、両省で話し合いをして運用を新しく始めようということで、利回りはできるだけ高利回りに回るようにという配意をいたしておるのでありますから、これらの問題に対しては財政投融資全体の姿として検討に値する問題だと思いますが、いま簡保の金利に、六分では困るからこれに対して利子補給をしてもということを即断するには、時期としては非常にむずかしい。一面において先ほども申し上げたように、特に財政投融資は一般会計と同じように議決案件として出せというような御発言もある時期でありますので、これらのバランスに対しては慎重に検討しなければならない、このように考えております。
○堀委員 いまのは私の後段のほうの質問に対するお答えですが、そのことは私は何も簡保に限っているのじゃないのです。財政投融資計画全体として資金の運用については、零細な人の資金を集めておることは間違いないわけですね。いま申したように国民年金、厚生年金、郵便貯金、簡保みんなそうなんです。それを主体としている資金運用部資金の運用の問題については、一般会計を補完しておるならば、もう少しそこにその補完部分に見合うものを考える必要があるのではないか。特に物価が最近のように六%も七%も上がりますと実際金利にならないんですよ。だからそういう点で、零細な人から取り上げたものが、貨幣価値の下落に伴って借りたほうがもうかる仕組みになっているわけです。その点については、特にこういう物価の情勢とそういう性格を持っておる資金でありますから、これは全体として一ぺん具体的に検討してもらいたい。これは私の一つの要望です。 もう一つは貴重な資金だから使い方を厳格に、終始きちんとしなければならぬ。いやしくも法律上いろいろな点で疑義のあるようなことはやるべきでないと私は考えるが、その点はどうでしょう。
○田中国務大臣 それはもとより大衆の零細な金を集めておるのでありますし、財政投融資として国会にもちゃんと審議を願っておる案件でありますから、疑義のあるというか、国民には明確にその使途をわかっていただくような方向で使用すべきものであることは言うをまたないわけであります。
○堀委員 そこで郵政大臣にちょっとお伺いをいたしますけれども、年末以来たいへん問題になっております点をお伺いしたいのです。簡保の積み立て金による特定郵便局舎の整備資金融資に関する件でありますけれども、簡易保険の法律を見てみますと、「運用の範囲」というものの中でこれにちょっと該当しそうなものは、「保険契約者又は年金契約者」云々「に対する貸付」という問題がある。あとは大体そういう特定の人間に対して金を貸せるような仕組みにこの法律の第三条はなってないんですよ。そこで、いろいろな操作がされておると思うのですが、その操作のしかたの中に私ども疑義のある点があるのです。その手続はどういう法律に基づいて、その次にはどういう手だてをして、どういう法律をつくって、どうやって、こうやって金が個人に貸されるようになっているのか、ちょっとお伺いをしたいのです。
○古池国務大臣 簡単に御説明を申し上げたいと存じます。 その前に、この問題の概念につきまして……
○堀委員 概念はいいです。時間がないですから、ストレートでそこだけ……。
○古池国務大臣 それでは直ちにその問題に移ります。 ただいま御引用になりました法律の第一項第三号だと思いますが、地方公共団体に対して貸し付けるということがあります。今回は大蔵省並びに自治省とも十分に協議をいたしまして法制的な検討も加えました末、本年度は三億円という金を各地方公共団体に貸し付けました。そして各地方の公共団体はそれぞれ地方議会の議決をもちまして府県の単独事業といたしまして、これを地方の公共機関の建設のために貸し出す、こういう手続をしたわけでございます。もちろんこの保険の資金の融資につきましては右利、確実ということと同時に、公共性また地方還元ということが大体原則になっているように思います。したがって郵便局というように、日夜公衆の出入りするきわめて公共性の高い建物の建築のために府県の責任においてこれを貸し付ける、こういうわけでございます。
○堀委員 いまのは法律の形態をそういうふうに整わせればなるほどそうなると思うのでありますが、大体この第三条の第一項三号の地方公共団体に貸し付けるという問題は、本来的には私は地方公共団体側の必要が生じておる事業に対して貸し付けておるということが、これの精神じゃないかと思うんです。いまの場合はまさに郵政省が、可否は別として、そういう特定の郵便局舎にひとつ簡保資金を使いたい、そこでそういう一種のトンネル機関的なものを設定するために地方自治体のほうがそれによって動かされてやっておるという形であって、私は順序として見ますと、これは一般の地方自治体のそういう業務に対する費用の出し方とは角度が違うのではないかという感じがいたしますが、その点は郵政大臣いかがでしょうか。
○古池国務大臣 地方自治体としてはその区域内にある地方住民の利便を増大する、要するに公共の利益を増し、福祉に寄与するという観点から、地方にありまする舎局がよくなるということは、これは地方府県当局としても喜ぶべきことでありまして、そのためにかような資金が運用されるということは、地方公共団体の目的からいいましても決してこれに逸脱したものではない。たまたまその局舎の所有者があるいは局長でありあるいはその他の人であることがありまするけれども、その所有の問題とこの公共機関の建築あるいは改築という問題とは一応直接のつながりはないと見ても考え方としてはよいのではないか。要するに目的はあくまで公共機関の整備改善ということにある、かような見地からこの方法をとったわけでございます。
○堀委員 大蔵省側にお伺いをいたしますが、他にこういう例がありますか。財政投融資資金を通じて、府県団体に議決をさして、そして府県団体の直接の事業でないものに金を貸し付けておる他の例があれば教えてもらいたい。事務当局でけっこうです。
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。 地方債から個人に転貸をしております例といたしましては、国民年金資金によりますいわゆる還元融資の中で、環境衛生の観点から水洗便所の改造資金の貸し付け金、あるいは公益質屋の運転資金の貸し付け金等がございます。
○堀委員 公益質屋の運転資金。もう一つの水洗便所というのは、どこの水洗便所ですか。
○吉岡政府委員 個人の住宅の水洗便所の改造資金でございます。
○堀委員 それは国民金融公庫を通じてですか。
○吉岡政府委員 地方債で地方団体が起債をいたしまして、それを地方団体が個人に貸し付けをするわけであります。
○堀委員 その水洗便所というのは、貸し付けの利率なんかはどうなっておりますか。
○吉岡政府委員 ちょっと調べまして……。
○堀委員 調べている間に、大蔵大臣に時間がありませんからお伺いをいたしますが、私はいまの財政投融資という問題は非常に考え方としてはきびしい立場で考えなければならぬ、特定郵便局の問題はそれは必要かもしれませんが、財政投融資あるいは簡保資金をもって充てるのが適当かどうかという点については、いかがなものであろうかという感じがしてならないのです。それはなるほどそういうところも建物が老朽化すれば建てかえなければならない、建てかえる融資については民間でもその他いろいろあるわけですから、一般的に言って金が全然借りられないという段階であれば別でありますけれども、どうもこれが特に簡保の資金の還元の問題につながっておる点にやや問題がある。先ほどから申し上げておるように、私は簡保資金というようなものの運用はよくしてあげたいということは一貫した主張でありますけれども、それの運用のあり方の中にはおのずから節度のあるものが必要ではないかという感じがします。そこで、これから十五億円近くのものがそういうことのために使用されるようでありますけれども、この問題についてこまかいことはあとで聞きますが、どうも大蔵大臣としてそれはあまり積極的にやらなければならぬような案件ではないような気が私はするのですが、その点は大蔵大臣どうでしょうか。大蔵省の側の問題ですよ。
○田中国務大臣 郵便局舎の改造及び新築については、基本的に古いものに対しては早く何とかしろという強い要求もあるわけであります。これは私が三十二年から三年に郵政省におりましたときから、郵便局舎というものは環境をよくしろという強い要求があったのであります。これはできれば予算の中で、一般会計の中から金を出しても、郵政特別会計でつくっていくということが理想でありますが、これは長い歴史がありまして、三等郵便局時代から歴史があって、この根本は全く個人のものだったということであり、それを約半数、六割と、だんだんと国で建てかえていくというような方向をとっておるわけでありますが、その間、国の費用で全部やれるというときがくるまでほっておくわけにはいきませんので、何とかしなければならぬという事実までは、堀さんも、また全体の従業員もこれは認めておることだと思うのです。ただその金の出し方ということなんです。これは一般的に市中金融機関の対象になるのか、中小企業金融公庫とかそういうものの対象になるのか、これはいろいろな問題が過去にもあったわけでありまして、何か融資の道を講じてやるという必要性は感じられておったわけでありますが、特定郵便局という特異な存在に対して、民間機関というわけでもないし、また全く国の機関という考えにもなかなか徹し切れないので、新しい立場において金融機関も郵便局に金を貸すということに対しては踏み切れなかったわけであります。結局郵便貯金の直接貸し出しの問題それから簡保資金の高利回りということと同時に、還元融資的なことができないかというようなことを何回か大蔵省との間に折衝したわけでありますが、これは資金運用部資金の原資として絶対に必要なものであり、郵便局は金融機関として集めたり貸したりする機関ではないのだからがまんしてくださいということで、いろんな変遷を経て今日に至っておるわけであります。ですから、今度の問題は二者対立という問題点になっておりますので、その立場でもってものを考えなければならないとも思いますが、これは普通の状態からいえば、簡保も郵便局員が募集して歩いておるわけでありますから、その募集をして歩いておる郵便局をよくするために、俗にいま言うようにくみ取りよりも水洗のほうがいいのですし、そういう自分の環境整備ということが、直接の利害者に還元していくという道も一応開けることだ。こんなに大きく問題になるということであれば別に考えもあったでしょうが、そうでなく大いに喜ばれるという立場で、一般大衆には直接貸し付けられなくても、せめてそれを集める人の環境の整備くらいには使おう、こういう考えに出て今日に至っておるわけですから、まあ堀さんももうそういう状況を全部御承知の上で御質問になっておると思いますので、これ以上に私がどう答弁するかということはなかなかむずかしい問題でございます。
○堀委員 これは実は率直に言うと大蔵省の問題だと思っているのです。財政投融資計画の中で、ほんとうにそういうものが適当かどうかということの問題であって、郵政側は要するに要求を出した側であって、決定権は大蔵省側の財政運用の原則に当てはまるかどうかという問題だと思う。 そこで少し技術的なことを伺うのですが、いま住宅金融公庫で家を建てる場合は、建築単価というのは一体幾らですか。
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。住宅金融公庫の一般住宅につきましては、木造、耐火、組み立て等によって坪当たり単価がそれぞれ違っておりますが、木造で申し上げますと四万七百円、耐火構造が五万九千七百円、組み立て式のものが五万三千円でございます。
○堀委員 郵政省にお伺いをいたしますが、今度の皆さんが還元融資をやっておる特定郵便局の建物の算出基準の坪当たり単価は幾らですか。
○田中説明員 坪当たり基準建築単価は、木造におきましては六万三千円、ブロック及び鉄筋コンクリートでは七万三千円でございます。北海道は若干高くなっております。
○堀委員 理財局にお伺いをいたしますが、国民の住宅に対するいまの建築単価の基準は木造が四万七百円、郵便局なら六万三千円出しておる。耐火構造は国民に対しては五万九千七百円、郵便局は七万三千円。一体これは財政投融資計画の運用として適正でしょうか。――郵政省と相談しないで大蔵省は権威を持って答えて下さい。ここは大蔵委員会だから。
○吉岡政府委員 住宅金融公庫で貸しております、いま申し上げました単価は個人の住宅のものでございます。それから郵便局のほうはもちろん御承知のように局舎の単価でございまして、中身がある程度違うものの単価というふうに考えております。したがって郵便局の局舎の単価としてはこの程度のものが妥当なものだというふうに考えておるわけであります。
○堀委員 いまの話ですが、私はちょっと納得できないのです。郵便局の建物というのはこういうふうに大きい、いわば学校みたいな式の建物ですよ。われわれが住む住宅というのは要するに建具も何も入っているわけですから間仕切りもあれば建具もあれば、いろいろな諸条件を考えてみますと、一体四万円と六万三千円と坪二万三千円、そんなにあなた開きがあるものか、ちょっと私これは納得できないのです。 そこでまずいまのこの費用が私は特別に高いと言うわけじゃないけれども国民が、住居に困っている方が家を建ててもらうときの単価と郵便局の単価が二万三千円近くも違うなんということは、これは大蔵省として査定をする側としてみるならば、これは私いま他の問題との関連で聞きますけれども、ややどうも適切さを欠いておるという感じがしますので、ちょっとそれは主計官が参りましてから他の事業との関連で聞きます。 そこで郵政省にもう一回お伺いをいたしますが、この単価とその他の郵便局舎の単価、国が建てておる単価というのは幾らになっているかひとつ聞きたいのですが。
○田中説明員 国費でやる場合と全く同様でございます。
○堀委員 そうすると国費でやる場合と同じだということになると、これは官庁の建物は非常に高い費用で国は認めておるけれども、国民の住宅の費用は非常に安いものに認めておるということに結果としてはなるのかもわかりませんが、その点はあとでその他の関連で聞くことにいたしまして、そこでこの取り扱い上の中で融資条件が六分五厘で十五年ないし二十年ということになっておりますけれども、ちょっとこれは大蔵省のほうにお伺いをいたしますが、住宅金融公庫で産労住宅に出しておる貸し付け条件というのは大体どういうふうになっておりますか。
○吉岡政府委員 住宅金融公庫の産労住宅の貸し付け条件は、中小企業向けが六分五厘、それから大企業向けが七分でございます。それから期間は構造によって違いますが、普通の木造のものが十八年、耐火構造のものが二十五年ないし三十五年ということになっております。
○堀委員 そうすると、いまの産労住宅の中小企業向けと条件がほぼ同じであるけれども、産労住宅になると年七分でありますから、いまの特定郵便局の局舎は非常に安いということが少し明らかになってきたと思うのです。それからもう一つ、これは今度郵政省のほうは特定郵便局の局舎の借り入れの単価が急激に去年からことしにかけて予算要求が上がっておるようでありますが、何割増しになっておるのですか。
○田中説明員 ちょっと調べてからお答え申し上げます。
○堀委員 大蔵省、さっきの水洗便所はどうなりました。
○吉岡政府委員 水洗便所につきましては、東京都に例があるわけでございますが、地方団体、東京都から個人に貸します場合に、日歩一銭八厘、二十ヵ月の期間ということになっております。それから公益質屋につきましては、地方団体が個人の公益質屋に貸します場合に、月三分、年三割六分、三カ月ということになっております。
○堀委員 いずれも非常に特定の相手方であるために、この貸与のしかた、特定な条件ですね。日歩一銭八厘で二十カ月というのは幾らになるかね。
○吉岡政府委員 大体六分五厘でございます。
○堀委員 それで約二年以内ということに片方はなっているし、かたいほうは月三分、三ヵ月ということは、これはまさに公益質屋でなければ運営できないような諸条件になっておるわけでして、これは非常に特異的な例であって、これまではそうすると財政投融資で地方団体を通じて貸し付けた金額としてみても、このような膨大なものは初めてですね。
○吉岡政府委員 正確な数字でなくて恐縮でございますが、水洗便所につきましては、大体三十八年度約三億円、公益質屋のほうは数千万円の金額のようでございます。
○堀委員 金額はなるほど三億円かもわかりませんが、これは一人の借り入れ単価というのは非常に小さなものであって、相当多数の者に対して貸し付けをしておるということでありますから、特に水洗便所等の改善については、これは地方自治体がそういう環境衛生の問題について責任のある業務でありますから、当然その性格上これは地方公共団体が借り受けて貸し付けるのが最も自然の姿だというふうにまず私は理解をいたします。二番目の公益質屋も、これは地方自治体自身が運営をしておる機関でありまして、そこに対する貸し付けでありますから、なるほど転貸しのようなかっこうはとっておっても、これは地方公共団体の事業そのものだと私は理解をいたしますが、その二点についてどうでしょうか。
○吉岡政府委員 この両者についてはお話のようなことだと思います。
○堀委員 そういたしますと、地方公共団体といまのような本来の業務に関係のないそういう部分に、地方公共団体が転貸しをするという例は今回が初めてですね。
○吉岡政府委員 いわゆる還元融資と申しております系統で、従来地方債の転貸の方式で住宅それから病院等にかなり大きな金額を出しておりましたけれども、年金福祉事業団ができまして、そこへ仕事が移りましたので、いまのところはないと思います。
○堀委員 そうすると、この問題はやはり地方自治体が本来行なうべき業務に私はやはり地方債転換でまた貸しをするものは本来限られるべき性格のものではないか。財政投融資計画としては、いまの簡保資金の運用のあり方について私は前段のほうで、これは簡保の加入者の資金を守るためには、今後ともその運用等について安全高利回りの問題を引き続き取り上げていく決心でありますけれども、そういう一つの側面と、いまのような本来自治体が行なうべき業務でないものに対して、地方自治体を通じてそういう処理をしたというやり方は私は少なくとも適当でないという感じがいたしてならないわけです。そこで、表現にも緊急何とかという名前がついていますが、一体そんなに緊急なことならそういう方法以外にも私は考えるべき道があるのではないか。緊急が五年にわたるというのは、これはどういうことでしょうか。五年計画緊急というのはありますか、ほかに……。
○吉岡政府委員 大蔵省といたしましては、毎年その必要性なり妥当性なりについての判断をいたしておりまして、必ずしも郵政省でおっしゃっておる五年計画というものを承認いたしておるわけではございません。お話しになりました緊急整備で五年計画というものはあるかというお話でございますが、ちょっと正確には存じませんが、主計局におりました当時にはそういうものは病院とか学校なんかにあったように記憶はございます。
○堀委員 郵政省のほう、さっきの借り賃の計算できましたか。
○田中説明員 ただいま関係の者を呼んでおりますので、ちょっとお待ち願いたいと思います。
○堀委員 そこで私は、いまの特定郵便局の今度の還元融資の対象の問題をちょっと伺っておきたいのですが、私も部外者ですからあまり特定郵便局のことは詳しくは知りませんけれども、どうも特定郵便局にもピンからキリまであるようですね。非常に小さいものと、かなり局舎に人員のおるものとあるようですが、現在皆さんのほうでも、いろいろな資料を拝見すると、各郵政局が適当な基準で判断をされて、それを集めてその融資額に合うような処理をするといった事務的な処理が行なわれておるようですが、これは簡単に大、中、小という程度に分けてみまして、特定郵便局の中の大、中、小のどこに小は三十八年度のものは分布が多くいっているでしょう。
○田中説明員 大体中と小で、小のうち非常に小さいのが除外してございます。
○堀委員 そうすると、大にはあまりやらないという大体の方針でありますね。
○田中説明員 さようでございます。
○堀委員 いま特定郵便局というのは、全国でどのくらいあるのですか。
○田中説明員 大体一万四千でございます。
○堀委員 その中で大、中、小とたいへん大ざっぱな概念ですが、分けたとすると、大どのくらい、中どのくらい、小どのくらいということになりますか。ラウンド・ナンバースでけっこうです。
○田中説明員 ちょっとお待ち願いたいと思います。
○古池国務大臣 いまちょっと調べている時間に私の考えを申し上げますが、もちろん私は数字のことは詳しく存じませんので、御了承を願います。大体全体で一万四千と申しましたが、正確に言うともうちょっと多い。一万四千五、六百あると思います。大ざっぱですけれども、そのうちの三分の二が要するに無集配という資格でやって、集配所もありませんから小さい。三分の一が集配をやっておる局になります。ですから大局というのは集配をやっておる局の中に大と中がある。それから無集配の中にもやや大きいのがあると思います。それで私どもの方針としましてはやはり大きい局からなるべく国有にしていこうというのが、いまの計画では老朽化したりあるいは非常に狭くなって困っておるというのが大体四千八百くらいあるのです。三分の一くらいがそうなんです。これだけは緊急に改善をしていきたい、こう思っておりますが、なかなかこれだけを全部一度にはできませんので、とりあえずそのうちで国費を、予算をお願いして出してやっていただく計画がまず千二、三百局、これは比較的大きな特定局を国有にしていこうというわけです。かりにこれが千局改善されるとしましても、まだ三千八百局は残っておるわけです。その三千八百局をどうするかということで、ともかく簡保の資金を当座は融通していただいて、そうしてこれでやはり千局か千二、三百局だけでも改善しよう、それにしましてもまだあと二千以上というのが残っておるわけです。これについてはまたどうしていこうかということは今後考えていかなければならぬと思いますが、その中で予算がとれればできるだけ予算で国有のものをふやしていきたい、こんなふうに考えておる次第でありまして、今度の簡保の資金が予定どおり五年間に二十三億運用ができるとしましても、五年間にようやく千二、三百しか改善できない、こういうことでございます。 それからなお申しおくれましたが、この資金の運用は全額貸すわけではないのでございまして、大体七割貸してあとの三割は所有者が出すということでございます。 それからもう一つ重要なことは、土地はみないまの局長が持っておるわけです。ですから局長に貸せばすぐそこで改造なり新築ができますけれども、ほかの人が建てるとか、あるいは国が建てるということになると、今度土地から没収していかなければならぬ。そうなればいまいなかでも相当土地が高くなっておりますから、その地代を考えますと、なかなか予算が相当多くないと建てていけない。そういうふうな経済的な理由もありまして今度の措置をとったのであります。それで緊急暫定措置というような名前をつけておりますが、緊急ということが五年では長過ぎるではないかというようなお説も、これは考え方としてはそういうふうな考えもあると思いますけれども、いま申しましたように、ともかく四千八百という老朽化した局をできるだけ一日も早く改善していいものにしていこう、こういう考えから緊急というような名前をつけたわけでございまして、別に他意があるわけではございません。
○堀委員 いまおっしゃるとおり、それは郵政省としては何とかしなければならぬということの問題がここにきたと思うのですが、そうすると大きいほうを直していらっしゃるのに、大体年度計画か何かあって、毎年どのくらい新しく特定郵便局がそうでない国の施設に変わりつつあるのでしょうか。その点をちょっとお伺いいたしたい。
○古池国務大臣 いま御説明申しましたように、大きい局から国有にしていこうと思いまするから、数から言いますと、小局とか数としては少ないわけです。おそらくいま私が記憶しているのは、一年に百二、三十局くらいはそれでやっていけるのじゃないかと思っております。これは大体従業員が三十人とか二十人とか比較的大きい局から手をつけよう、こう思っております。
○堀委員 これまでもそういうふうにしておそらくやってきておられたんでしょうね。これからやるということですが、これまではそういうふうに、大きい特定郵便局をそうやって国有の局舎を建てる、転換をするということが行なわれていたのかどうか、それは今後行ないたいとおっしゃることか、あるいは本年度はすでに予算も要求をされておるのか、そこらをちょっと伺いたいのですけれども……。
○古池国務大臣 計画的にやろうということになりましたのは三十六年度からでございます。なお、その前もできる限り予算をとってやってきたことはそのとおりでありますが、計画を立ててやろうと言いましたのは三十六年度からでございます。これは十ヵ年計画でいまやっております。
○堀委員 三十八年度でもけっこうですが、どのくらい予算が要求されて、幾つくらい実際に実施をされたのか。
○田中説明員 三十八年度予算では九十局でございます。
○堀委員 予算額は。
○田中説明員 ちょっと担当の者を呼んでおりますから、もうしばらくお待ち願います。
○堀委員 大蔵委員会に来られるときには、少し具体的に伺いますから、今後は担当の人をたくさん連れてきて、時間を節約するようにお願いしておきます。 そこで郵政大臣にお伺いいたしますが、三十八年度九十局特定郵便局の局舎を国有局舎にかえたわけでございますね。そうすると、その特定郵便局長というのは、今度はどうなるのでしょうか。もう自分の局舎を貸さないことになって、国の予算で国の建物を建てたわけですね。そうするとそこの郵便局長というのは、これは特定郵便局じゃなくなって、国の郵便局ですね。そうするとその局長というのは、もし特定郵便局長が引き続き国で建てた建物の中で特定郵便局長をやるのなら、これは一番けっこうですね。だからその点はどうなっているのか。せっかく国で建てたのなら、それは国の郵便局になるべきじゃないかと思うのですが……。
○古池国務大臣 特定局から大きな局を選びまして普通局に改定していくということをやっております。普通局になれば、もうこれは完全なる国有のものでございます。しかしながら、建物は国有で建てましても、局長は特定局長がやる、要するに特定局としての制度は残していくということが今日現在のあり方であります。ですから、局舎を国有にするということと、それから特定局から普通局に昇格するということとはちょっと別問題に考えております。なおこういうような例もございます。東京のような大都市によくあることですけれども、たとえば丸の内あたりで特定局を置こうという際には、とうてい自力で建てるわけにはいきません。と申して、国が建てるといいましても、なかなかそんな土地もないわけです。こういうときにはビルディングの所有者と交渉しまして、その一区画を国が借りまして、そうしてそこで特定局長を置いて仕事をやらせるということにしておりますが、ずっと昔は、特定局の局長は局舎を提供せねばならぬという義務があったわけです。そして非常に広範な渡し切り経費のいわゆる請負制度でやらせたのですけれども、今日では、特定局長といえどもそういうふうな制度でなく、やはり普通の公務員と同じような給料をきめまして、そして一定の階級のある給与を与えて、人件費を与えてやっている、こういうことでございまして、その辺は以前の三等局あるいは特定局とは今日相当変わってきておるということを申し上げます。
○堀委員 九十局毎年大きい局から国有局舎になるというので、非常にけっこうで、そのことは、だんだんそういうところからいわゆる特定局なるものがなくなって、大きい局ですから、当然何か個人的なかっこうで処理できる性格ではないので、やはりオフィシャルな管理、オフィシャルないろいろな処理が行なわれるのが適当なのが大きいほうにあるわけですから、そこへ国費が入るのなら、それはいまの大臣のお話のように、普通局に切りかえることを前提として国有局舎はできてくるというのが、これは一般会計の使途になれば当然じゃないかという気がするのですが、現在はそういうものは全然ないのですか。いま毎年百局ぐらい国有局舎を建てているけれども、それはいずれもそういう特定局制度というもののワクの中に残されていこうということなのか、その点をちょっと明らかにしていただきたいのです。
○古池国務大臣 国有にしていきます局の中で大きいものはだんだんと普通局に改定していく、こういうたてまえでやっておりますが、全部一度に普通局にするというわけではございません。
○堀委員 ことしの九十局の中ではどのくらいが普通局になりそうでございますか。
○古池国務大臣 具体的にいま何局ぐらいが普通局になるかということは、ちょっとわかりません。
○田中説明員 いま正確な数字ははっきり私覚えておりませんので、もうしばらくお待ち願いたいと思います。
○堀委員 いまの技術的な問題は、関係担当者が来ていないそうですからもう少し延ばしますが、大臣に、私のほうで持っている資料で申し上げます。これは間違っているかもしれませんけれども、特定郵便局の局舎の坪当たり借料算出というので、昭和三十八年の単価は年額六千五百円になっているんですよ。ところが昭和三十九年の郵政省の予算要求は実際は一万二千円になっているんですね。これを見ますと、これは少し吹っかけてあるということがあるかもしれませんけれども、幾ら何でも、六千五百円の坪当たりの単価で借りていたのが一ぺんに一万二千円になるということになりますと、片方で財政投融資で金を入れておいて、その分だけは借料を値上げして認めてやるのだというようなことではこれはいかがなものであろうかという感じがするわけなのです。これは大蔵省がこれから査定することでしょうから、私はそういう意味で実はここに公共事業担当の主計官等の出席を求めるつもりだったのですが、ちょっと来ないようですが、郵政大臣どうですか。一万二千円に、一ぺんに倍にもはね上がるのは適当だとお考えですか。この問題は、どうも裏にこういうものがひっかかるような感じがするんです。
○田中説明員 六千五百円から一万二千円に三十九年度で上がっている、これはいま私が聞いたところによりますと、新築単価に対してのものである、それから既設のものに対しては値上げはしていない、こういうことだそうでございます
○堀委員 あなたは担当者じゃないからもう聞きませんけれども、私が持っている資料では、どうもそういうことではないようですね。それでいろいろなかけるもとになるものが変わっております。ですからその意味では、もっと前のはこれまでのあれで、次のは新築だということではないように思うのです。もしそうだとすると、新築でないもの同士で比較をし、新築同士で比較をするとどうなるのかということが次に起こるわけですね。私はそうじゃないと思うのですが、専門の方がいらっしゃらないのだからこれ以上聞きませんけれども、郵政省の専門の人というのはきょう来ますか。
○田中説明員 ただいま連絡中でございますから、もう間もなく参ると思います。
○堀委員 具体的なことは担当者が来なければわかりませんで、大臣のお考えを聞きたいのですが、さっきの特定郵便局の制度はやはりいろいろな沿革があって、それはそう簡単な問題だとは思っておりません。思っておりませんけれども、この制度の中で私もちょっと見ておりますと、大きな事故が起きているのは案外特定郵便局に多いわけですね。何か家族的運営がされておったりなんかして、新聞でわれわれちょいちょい拝見するわけです。そういう問題を見たりしましても、でき得るならばやはりこういうものは国の管理のもとにあるものに徐々になるべきだ。しかし、やはり国の財政等の関係もありますから、そう簡単に、あしたからしましょうということにはなりませんけれども、方向としては、やはり特定局を徐々に普通局化するということは原則であっていい。さっき大蔵大臣も、それが原則だ、ただ経済上の問題としてそうはいかないのだというお話がありました。その点の原則は郵政大臣もひとつ確認をしていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○古池国務大臣 実は私、率直に申し上げまして、特定局の制度というものはなかなかむずかしい問題がありまして、御承知のように明治の初年からこれはでき上がったもので相当の歴史があるということが一つ、それから外国の例もいろいろ調べさせておるのですけれども、外国におきましても、こういう小さい郵便局はやはり請負とか、ちょうど日本の特定局制度に似たような制度がたいがいの国にあるのです。そういう先進国にあるということを見ますと、やはりこれも必ず有利な点があるから残されておるのであろうというように一応思われるわけです。 そこで、こういう問題については、実は昭和三十二年にやはりこういう問題が省内で起こりまして、学識経験者にお集まり願って特定局制度の調査会というものができたのです。翌年その答申が出されまして、その答申の中に結論としては、局舎という問題はいろいろ問題はあるが、ともかく国有局舎と民有の局舎と併用していくことがいまの日本の状態としては最も適当であろう、こういう答申案が出たわけです。ですから、それ以来郵政省はその答申に従ってこれを省の方針としてやってきたわけです。しかしいかにもこの問題は大きな問題であり重要な問題でありますから、私は、機会を見てもう一ぺん十分慎重に検討してみる必要がありはしないか、もちろんこれはそう短期間にいい結論が出ようとは思いませんけれども、今後の日本の郵政の上に大きな問題ですから、もう少し時間をかけて根本的に検討を加える必要がありはしないかということをいま痛感しておるわけです。そういうふうな検討の結果、またいい案が出ますればそれに従っていきたい。それまでは現在の調査会の結論に従っていく。それから大きい局はできるだけやはり普通局にしていって直轄にしていくことがよかろうと思います。ただ何さま全国で一万六千くらいすべてを通じてあると思いますが、その中で普通局というのはわずか千局くらいです。あとの一万四、五千というのが特定局でありまして、したがってそういう数が多いものですから犯罪などの起こる率も多いということになるわけでありますが、いずれにしましてもこれは重要な問題ですから、私はもう少し慎重に深く検討を加えていきたい、こう考えております。
○堀委員 郵政大臣が新たな角度から検討をお約束していただいたのは私も非常にけっこうだと思います。さっきの調査会の答申も、私は当面の問題に対する答申であったのではないかという気がいたします。いまお話しのように一万六千のうちで一万四千も民有局舎であるものを、これは国有にしたほうがよろしいといったところでまさかできっこない現実でありますから、そのことはやはり当面の客観的情勢の上に立った答申だろうと思います。私もこれを一ぺんにしなさいとかどうとかいうようなことはないのですが、方向としては、やはり徐々に計画を立ててこれが普通局に転換をされ、国の管理が行なわれるような方向にだんだん進んでいって、しかし全部をすることができるかどうかというのはこれはまた別個の問題でありますが、方向としてはやはりそういう角度で徐々にされることが、人事その他の運用の面におきましても公正が期せられるのではないか。この問題の中にいろいろ問題になっておりますのは、単に局舎に還元融資をするとかいう問題は表面に出た問題であって、その裏側にはやはり長いいろいろな問題の沿革があるというふうに私は理解しておるわけでありまして、その問題は当委員会の所管の事項ではありませんから触れませんけれども、そういう局舎の問題は、方向としてはやはり普通局に徐々に転換をされていく方向が当然望ましいと思うのであります。 主計官が見えましたからちょっと伺いたいのですが、さっきちょっと議論をしている中で、郵政省の建物の場合は坪当たり単価が六万三千円、住宅金融公庫から借りたら木造が四万七百円、こういうふうに非常に差があるわけですね。もう一つ同じ公共事業の中で、学校の建築単価というのは、一体木造の場合はどのくらいでございましょうか。
○青鹿説明員 私、学校関係を担当いたしておりませんので、公共事業でございますので、その点は御答弁をお許しいただきたいと思います。先刻理財局長から四万七百円とお答えいたしましたが、これは付帯工事が入っておりませんので――郵便局舎等は付帯工事を入れての単価でございます。公庫住宅について付帯工事を入れますと四万六千円でございます。なお、これは木造の単価でございまして、中層耐火構造につきましては、現在七万五百八十円という単価で予算をとっております。
○堀委員 どっちにしても木造部分が非常に差があるわけですね。この住宅とそれについては、ちょっと私のほうも連絡が不十分でございましたから、質問の意を尽くせない点があるわけでありますけれども、時間ももうかなりたっておりますから、ここらで一応締めくくりをいたしたいと思います。 大蔵政務次官にお伺いをいたしますけれども、実はこの前非常にこまかい簡保資金の還元融資の論議をいたしました。そこで、そのときに約束いたしましたのは、民営の保険と簡保の間に約二%ぐらいの利率の差があるのです。ですから、裏返して言うならば、民間の生命保険に入ったほうが二%得をする。金利の上で二%というのは、これは非常に大きなものでありまして、この差額をひとつ早急に埋めてもらいたいという要求を前の理財局長にしましたら、前の理財局長は努力しますと言った。いまの理財局長も努力を約束してくれましたけれども、その努力のあとというのはまことにどうも一-六・二六%から六・三八%、ここらは〇・一二%ふえておりますのでまあまああれでありますけれども、もう少しピッチを上げてもらわなければ二%の差額というものはなかなか埋まらないと思うのですが、その点大蔵省側としてもう少し……。電力債を百億で区切ったというのはどこに原因があるのかわからないのですけれども、危険だというならば――電力債が危険なようじゃ日本はどうにもならぬと思うのでありますが、それらを含めて、もう少し簡保の運用効率を高めるという方向に大蔵省として努力をするということを約束をしてもらわないと、私はもうしんぼうがたまらないで宣伝をするかもしれない。宣伝をすると簡保の資金は集まらなくなります。二%差があるというと集まらなくなります。そうすれば生命保険のほうから大いに還元をされるというようなことになるかもしれないのですが、その点大蔵政務次官どうですか、大臣がいらっしゃらないので責任を持ってひとつお答えを願いたい。
○纐纈政府委員 先ほど来議論がございましたところを私も承っておりまして、いま先生がおっしゃったような結果になるおそれも非常にあるのでございますから、大蔵省としてもひとつできるだけ御趣旨に沿いまして、それに対する不合理な点を是正するように努力をいたすことをお約束いたします。
○堀委員 私はしばらく大蔵委員をしておりますから、これから毎年一ぺん一体幾らずつよくなったか点検をさせてもらいますから、次官におかれても、省内にお帰りになってひとつそのことをよくお話をしていただいて、来年のいまごろにまたお伺いをするということにいたします。 それから郵政省のほうに対しては、ただいま私が申し上げた特定郵便局の局舎の問題については、大臣のお考えに基づくところの新しい角度からの検討をひとつ早急にお始めをいただきたいということを特に要望いたしまして、本日の質問を終わることにいたします。
○山中委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十五分散会