石炭対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/12/17
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 この際、先般福岡県大牟田市の三井三池炭鉱における爆発事故の実情を調査してまいりました派遣委員から、その報告を聴取することといたします。壽原正一君。
○壽原委員 三井鉱山三池鉱業所三川鉱の災害に対する委員派遣について、その概要を御報告いたします。 派遣委員は中村委員長、中川俊思、中村重光、井手以誠、小平忠の各委員及び私の六名でありますが、このほか現地において細谷委員並びに稲富、藏内の両議員も参加いたしました。今回の委員派遣は三池炭鉱の災害に対するものでありますが、私どもの出発直前、上尊鉱業糒炭鉱の災害が発生いたしましたので、急遽これを派遣日程に繰り入れることにいたしました。この際御了承願いたいと存じます。 私どもは一昨十五日板付に到着、直ちに空港会議室において福岡鉱山保安監督局長、福岡通商産業局長、福岡労働基準局長及び九州地方医務局長よりそれぞれ説明を聴取した後、二班に分かれ、中村委員長、中川、井手、小平の各委員は三池炭鉱に向かい、中村重光委員と私は糒炭鉱に向かったのであります。 三池班は大牟田に到着し、まず三川鉱におもむき、坑口に弔詞並びに花輪をささげ、心から犠牲者の冥福を祈り、続いて天領病院を訪れ、入院中の被災者に対し厚くお見舞申し上げたのであります。 一方糒班は、田川の同炭鉱に到着するや、直ちに坑口に立って黙祷合掌し、犠牲者の霊をなぐさめたのであります。続いて事務所において会社、労働組合並びに遺族代表の方々にお見舞を申し上げるとともに、事情を聴取し、十六日執行予定の葬儀に花輪を供えることにして辞去いたしたのであります。 昨十六日は、派遣委員一体となり、大牟田市役所において、午前九時より会社、三池新労働組合、三池労働労働組合、三池職員組合及び大牟田、荒尾両市よりそれぞれ説明を聴取して全日程を終了、昨夜帰京いたしたのであります。 三池については、災害発生並びに救援の経過等すでに国会審議の過程でかなり明らかになっておりますので、その説明は省略することとし、以下要望事項と私どもの感じました点を若干申し上げたいと思います。 現地におきましては、それぞれきわめて多岐にわたる要望があったのでありますが、そのおもなものを申し上げますと、三池新労働組合からは、一、遺家族の将来にわたる生活保障、殉職者に対する特別弔慰金の支給、負傷者に対する援護並びに将来の補償等に関する特別の立法措置を講ずること。二、会社再建資金の確保について措置すること。三、将来にわたる保安確保、特に生産再開後無理な増産を行なわせないこと等の要望があり、三池労働組合からは、一、保安に関しては労働者並びに労働組合の意見が十分反映されるよう、保安法規を整備すること。二、将来の保安を確保するためには、所属労組により差別的取り扱いをなくすことが必要であるので、学者等第三者により労使関係の実態を調査するよう措置すること。三、遺家族の援護について万全を期すること等。また三池職員組合からは、一、遺家族の生活保障について十分な対策を講じ、特に移住資金等は炭鉱離職者臨時措置法の準用を認めること。二、被災者中後遺症の残る者については、長期傷病者補償等、けい肺と同様に取り扱うこと。三、会社再建資金等について抜本的措置を講ずること等の要望があり、終わりに大牟田、荒尾両市から、一、今回の災害による市の財政支出に対し、特別の財政措置を講ずること。二、今回の災害によって、市内中小商工業者の受ける影響はきわめて甚大であり、年末融資はもとより、最も影響のあらわれる一月ないし三月ごろまで、引き続き金融措置を講ずること。三、遺家族対策として、縫製工場等の早期実現をはかるとともに、今後の身体障害者、精神障害者に対する長期の対策として、福祉センターを設置すること等の要望があったのであります。 これらの要望を聞き、また事情の説明を聴取して感じましたことは、第一に、今回の災害が炭じん爆発によるものであることは、もはや疑問の余地がありませんが、炭じん爆発は、三池炭鉱では過去に一度もその例がなく、山の自然条件からしても考えられないというのが、労使を問わず、一般的通念であったと思われるのでありまして、科学的に正確な原因の究明は、今後の保安対策上最も肝要であることを痛感してまいったのであります。 第二に、炭じん掃除の業務は、常一番方だけの担当であるか、ベルトコンベヤー当番も行なうのか、また、これと機械化による業務量並びに人員の増減との関係は、会社、各労組とも説明に若干の差異があり、必ずしも的確に理解することができなかったのでありますが、いずれにせよ、炭じん掃除だけを団体交渉あるいは保安委員会で取り上げて検討したことはなかった模様でありまして、炭じん爆発の原因は何であれ、労使ともに炭じんに対する関心が他の保安上の諸問題に比し低かったことは、否定できないのではないかと思われるのであり、この点が一つの大きな問題であったと思うのであります。 第三に、保安の維持確保は、保安施設の拡充強化、保安法規の充実、保安監督の強化等にまつべきことは当然でありまして、これについては本委員会の審議を通じ、抜本的な検討を加えたいと思うのであります。 第四に、生産の再開については、各労働組合とも、将来の保安が確保されれば一日も早く再開させたいという意向であり、ただ会社の保安整備計画に対しては、それぞれの立場から異なった要求を提出し、現在交渉中でありますが、少なくとも基本的には共通の考え方に立っていると思うのであります。したがって、保安状況調査団、保安監督局等の協力を得て、将来にわたる保安確保の継続性を確認し、一日も早く再開さるべきであると思うのであります。 第五に、十一月九日の災害発生より一ヵ月余り経過した現在、遺家族の方々は、災害当座の悲嘆に暮れた毎日からようやく、深い悲しみの中にも、将来の生活について真剣な心配をするようになってきておりますが、三井鉱山に対する入れかえ雇用あるいは縫製工場等の計画も、まだ緒についたともいえない状態でありまして、これらの方々の将来の生活保障については、具体的に十分な対策を早急にとる必要を切実に感じてまいったのであります。 第六に、保安監督行政については、今回の両災害とも、当初の検査によって保安上の問題を指摘し、次回の確認までの間に災害を起こしているのでありまして、従来この間の時間的距離が比較的大きいところに一つの問題があると思うのでありまして、今後監督官の旅費、手当等の大幅増額その他の措置を講じ、十分な監督が行なえるようにしなければならないと思うのであります。 第七に、炭鉱災害は必然的に石炭の需給関係に影響するものであります。いまさら申し上げるまでもなく、今日のエネルギーにおいて石炭鉱業の自立安定を推進するゆえんは、石炭が国の貴重な資源であり、供給安定性を有するからであります。それが災害の頻発を見るようではまことに問題でありまして、石炭労使はこの点に思いをいたし、保安の確保に万全を期すべきであると思うのであります。 次に、糒炭鉱について申し上げます。 糒炭鉱は、在籍鉱員六百四十七人、出炭量は本年一月——十一月平均で一万二千八百トンを出す、中小炭鉱の代表的なビルド山であり、保安法規上乙種炭鉱であります。 今回の災害は、去る十二月十三日午後十一時二十分ごろ、新たに採炭を開始した切り羽における爆発でありまして、原因は現在調査中でありますが、ガス爆発と見られております。この災害により死亡者十名、重傷者一名を出したのでありますが、爆発区域は、去る十一月二十八日、監督官が検査を行ない、通気管理の改善を指示した個所であり、十二月七日、保安改善計画が提出された直後の災害でありまして、この点は三池炭鉱の場合と同様のケースであります。 本災害については、労働組合から遺家族の生活保障等について要望があり、特に三池炭鉱と同様、強力な措置をとるよう強く要請されたのであります。 なお会社は十四日、被災者に対し、一人五万円の見舞い金をとりあえず支給し、労働基準監督署も労災補償の支給を年内に処理する方針をとっております。ちなみに遺族補償費及び葬祭料の平均は、約九十二万円であります。また出炭減は、会社は約五千トンと見ており、需要先に対する手当は当面考慮する必要はない模様であります。 以上、御報告いたします。(拍手) ————◇—————
○中村委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。 三池炭鉱の災害等、石炭鉱山の災害について質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
○中村(重)委員 三池の三川鉱の炭じん爆発事件に続いて、田川の糒炭鉱の事故が発生しておりますが、こういうことでとうとい人命が次から次に奪われていくといったような、まことに悲しむべき事件が発生をしておるわけです。政府当局といたしましても、これらの問題に対しまして、きわめて深刻な衝撃を受けて、鋭意これが対策に努力をしておるということはよくわかるわけでありますけれども、私どもがこの石炭対策特別委員会をつくりまして、合理化に伴うところのいろいろな事態が発生をする、石炭産業が不況産業である、斜陽産業であるということから、ともすると生産第一主義という形になって、保安を軽視してくる、こういうことになるのではないか、そのことは、事実問題として大手炭鉱、中小炭鉱を問わず、次から次に事故が発生をしてくる、こういうことに留意しまして、国会におきましては災害防止、人命尊重に関するところの決議案を議決をする、こういうことで政府に対して十分注意を喚起してまいったわけであります。ところが、ただいま私が申し上げましたような、まことにそうした決議もどこへやらというような形で、事故というものは激増の一途をたどっておる、こういう状態であるわけであります。ただいま報告がございましたように、私ども石炭対策特別委員会も現地に参りまして、あのなまなましい現実に直面をして帰ってきたわけであります。現在、三池三川鉱の炭じん爆発事件につきましては、石炭の需要期に入って、需給計画というものにも大きな影響をもたらしてくるという状態になりますし、かつまた、遺族にいたしましても、報告の中にもございましたように、非常な悲しみの中から、今後どうして生活していくかという、いわゆる将来の生活問題、子弟の教育というような問題に向かって実は深刻な事態に立ち至っておる、こういう状態であるわけであります。一方また、病院に収容されておるところの障害者は、必ずしもはかばかしい状態ではない。こういったようないろいろと大きな問題があるわけでありますが、これに対しまして、調査団等を派遣しまして鋭意努力をしておるということは認めますけれども、この事態に対処して通産、労働等関係省といたしましては、どうこれに対処していこうとするのか、積極的な考え方というものを伺いたいと思いますし、また、現在の状態はどういう状態であるのか、それらの点に対しまして、一応状況を伺ってみたいと思います。大臣がお見えになりませんので、まことに残念でありますが、両政務次官がせっかく御出席でございますから、両政務次官から、いま取り組んでおるこれらの問題について伺いたいと思います。
○田中(榮)政府委員 先般、三池三川鉱における炭じん爆発によりまする多数の犠牲者を出しましたことは、石炭業界から申しましても、わが国の産業界全体から申しましても、まことに遺憾なことでございまして、われわれ通産省といたしましても、この事故に対しまして、ことに犠牲者に対しまして、衷心からお悔やみ申し上げておる次第でございます。 なお、こうした事件が起こりまして、その善後措置を講じ、かつ先般は国会におきまして、こうした災害を今後絶対に防ぐよう、また人命を大いに尊重せねばならないという御決議までいただきまして、通産省側もこの御決議を体して今後さらに一そうの善後措置を講じたい、かように計画を立てております。そのかたわらにまた糒炭鉱の爆発事件が起こりまして、ほんとうに衷心から遺憾にたえない次第でございます。こうした事故が頻発いたすことにつきましては、もちろん通産省側といたしまして、われわれの今日までやっております監督のやり方につきましても大いに反省をいたしますと同時に、また、現場におきまする鉱山保安局の職員に対しましても警告を発し、さらに今後監督に万遺憾なきを期するように厳命を発しております。 さらに、今後これが防止について各種の対策があるわけでございます。もちろん予算面のこともございましょうし、あるいは法規の改正の点もございましょうし、こうしたことにつきましては、今後さらに拍車をかけましてこれが災害防止のために一そう努力をいたしたいと考えております。 さらにまた、こうした事件が今後起こるということにつきましては、産業界全体に及ぼす精神的の影響も非常に多いのでございまして、こうした点はひとり石炭業界のみならず、他の産業界あるいは金属鉱業等につきましても同様な措置を講じまして、今後厳重に災害の絶対起こらないような対策を講ずるように、われわれとしましてはただいま努力を重ねておる次第でございます。
○藏内政府委員 労働省といたしましても、炭鉱災害の防止につきましては、労働時間の厳守であるとか、労務管理の適正化というような労働基準監督行政の強化という面を重点にいたしまして、今後災害の防止を極力はかっていこうと思っております。
○中村(重)委員 大手炭鉱では常識で考えられないような、かつて長崎県の西彼杵郡の高島で起こりましたような、むしろ通産省が奨励しておるビニール管の爆発、それから落盤事故といったような事故が、次から次に発生をしてくる。中小炭鉱も絶えず事故が発生してきておる。こういうことですが、少なくとも保安を重視していかなければならぬ、人命の尊重ということで国会の決議を尊重していこう、また国会の決議のあるなしにかかわらず、生命というものはきわめて大切であり、また人権というものは尊重していかなければならない、こういう観点に立つならば、現実にそのことが実行されるような措置が当然行なわれてこなければならない、政府がそれに留意をしていかなければならぬということは当然であるわけでございますけれども、現実にはその逆な状態が実は起こってきておる。これはどこに原因があるとお考えになっておられるか、まずその点を率直に伺ってみたいと思います。
○田中(榮)政府委員 災害でございますから、実際のところは思わざるところに突如として起こるのでございますが、こうした災害の発生したあとを反省いたしてみますと、やはり何かそこに原因があることは、確かにあるのでございます。今回の三池炭鉱の三川鉱の炭じん爆発につきましても調査団を派遣し精密なる調査をいたしまして、その結果を待ちまして、今後われわれとしてはさらにひとつ災害の絶無を期したいと考えております。大体におきまして今日の炭鉱におきましては、従業員の方々も相当長い経験を持って、そしてまた、法規等につきましても相当それぞれ明かるい人たちばかりでございますから、われわれは組合のいろいろ訓練の方法その他につきましては絶対に信頼はいたしておりますが、今後こうした災害につきましては、どうしてこういう事故が起こったかということについて、あるいは生産に無理があったのではないかという点とか、あるいはまた、何かそこに設備の点に不備があったのではないか、あるいはまた、連絡について不備があったのではないかとか、いろいろあるかと思いますが、こうしたことは結局原因の調査をはっきり確認いたしませんと、私どもとしましては、ただいまここでこうだということは申し上げかねるのでありますが、要は今後災害が絶対に起こらないように万全の措置を講ずることが先決問題であると考えておりますので、こういう線に沿うて通産省としましては、今後災害防止に万全の努力をしていきたいと考えておる次第であります。
○藏内政府委員 災害の原因でございますが、これはやはりいろいろ調査の結果に待たなければならぬ点があるかと思いますが、総括して申し上げていいかと思うことは、やはり保安管理といいますか安全管理上のいろいろ施設の欠陥であるとか、あるいは組織上の欠陥であるとか、また、この産業に従事する労働者諸君の安全意識、保安意識、こういう面すべてがこん然一体となって災害の防止ができることであろうと思います。そういうことから考えますると、そのいずれかにどこかにやはり欠陥があったものと思いますので、これらの監督行政を極力強化してまいりたいと思っております。
○中村(重)委員 問題はあまりにも深刻ですから、抽象的な問題ではないと思います。合理化がどんどんと進められている。有沢答申より以上に、非常に石炭産業というものは労働者の首切りが行なわれている。また、次から次に事故が発生するという形で労働者自体が、身の危険を感じ、また石炭産業の将来というものに対して非常な不安感を持って、山を次から次に去っていく、そういう状態にある。このことは両政務次官とも率直にお認めになるだろう。そうなってくると、この石炭産業の合理化というものに無理があったのではないか、政府の指導というもののよろしきを得なかった、こういう点もあったのだということを率直にお認めになっているのかどうか。それをお認めになるとするならば、これから先どう取り組んでいこうとお考えになるのか、まずそこいらを率直にお答え願いたい。
○田中(榮)政府委員 石炭業界の合理化が進みまして、それぞれ人員が減員されまして、したがって保安要員等もだいぶ少なくなってきている。そういう意味におきまして、一般の従業員に多少無理な労働が課せられておるという点も、あるいは私はあったかと存じております。またそれと同時に、その課せられた就労基準というものに多少無理があって、そのために若干不安を感じたという事実はあったと私は考えております。しかしながら今日の状況におきまして、合理化が現実の問題として進行いたしておりますので、その点は従業員も合理化の問題につきまして、十分にひとつ理解とそれから協力という形において、経営者と労使一体となってこの合理化の方向に進んでいくことが、石炭業界の発展のために大いに資するところがある、私はそういうふうに考えておるわけであります。
○中村(重)委員 そういった問題ではないと私は思うのです 合理化に協力をせよと言っても、自分の生命の危険を無視して石炭山に残ろうという者がおるはずはない。生命が一番大事なんです。石炭労働者を石炭山に残して、石炭産業というものを健全な形において運営させていうことをお考えになるならば、それに沿うような措置をおやりにならなければならない。ところが現在やっておるかどうか、保安法規の面において、あるいは取り締まり規則、そうした法規の面において欠陥がないか、また石炭経営者というものが生産第一主義、保安軽視という傾向がないかどうか、保安監督官は十分人命尊重という観点に立ってみずからの職責を果たしておるかどうか、それらの点をどうあなた方はつかんでおられるのか、まずそういう点をここで聞かせていただかなければなりません。それによっての対策をここで明らかにしていただかなければ、これはどうにもならない。そういうことですから、ひとつ率直にそういった問題に対しての政府の考え方をひとつ明らかにしてほしいわけです。
○田中(榮)政府委員 これは私は経営者といえども、採算は別といたしまして、やはり人命というものは第一に尊重すべきではないかと考えております。人命を尊重せずして、事業の経営はできないと思うのです。さような意味におきまして、まず第一に人命を尊重しまして、人命を尊重するその線に沿いまして事業の経営と石炭業界の合理化を進めていく、こういうことで現在進んでおると思っております。
○中村(重)委員 あなた、ほんとうにそう信じて御答弁になっていらっしゃいますか。生産第一主義、保安軽視という傾向がないという確信を持ってそういう御答弁をなさいますか、どうですか。
○田中(榮)政府委員 私はやはり事業を進める上におきましては、従業員の生命の安全ということを第一に考えていかなくてはならないと思っております。私は少なくともそういう考えでやっておるものと考えております。ただ、いろいろこういう災害の起こりました関係から、保安法規あるいは監督ということにつきまして、あるいはまた保安施設等につきまして、若干不備な点があったかと存じておりますが、やはりあくまで経営者としましては、従業員の生命、身体の安全尊重ということが、やはり第一義的に考えられなければならないのじゃないだろうか、かように考えております。
○中村(重)委員 そうあらねばならないですね。ところが、現実にはそうでない。そういうことから常識はずれの事故というものが、大手等においても発生してきておる、そういうことです。そこであなたは保安法規に対して、いろいろと欠陥というおことばをお使いになったのですが、欠陥というものはあっただろう、こうおっしゃるのですが、この三井の三池三川鉱に起こった炭じん爆発事件、あるいは今度の糒炭鉱のガス爆発事件、これは経営者のとった措置、あるいは監督官のとった措置、それからいまあなたがお認めになった法規の面のどういう点に欠陥があったとお考えになっておられますか。
○田原政府委員 お答えいたします。 まず保安法規の問題でございますが、保安法規は今度の事故を考えますと、必ずしも完全であったとは思っておりません。いろいろ問題点があると考えております。 それから監督官の監督に関しましても、事故の起こった場所について過去二回注意はいたしておりまして、それに対する改善計画も出ておったのでございますが、それを追跡できなかったという点で、監督上非常に遺憾な点があったと深く責任を感じておる次第でございます。
○中村(重)委員 いろいろ政府の基本的な考え方というものをただしていこうと思うのですが、時間の関係がありますから、具体的な問題をお尋ねしておきたいと思います。 炭じん爆発事故というものは、最近どの程度発生をしておるか。
○田原政府委員 炭じん爆発だけの災害は、福島炭鉱で三十七年にございます。
○中村(重)委員 炭じん爆発はどういうところから発生をするというようにお考えになっておられるか。その点は保安監督の面について留意すべきことだと思いますが、まず、その点についてどういう指導をしておられるか。
○田原政府委員 炭じん爆発は、その山の炭じんによっても違いますが、一般的に二百メッシュ・アンダーの炭じんが一立方メートルの中に五十グラム以上飛散すると爆発する、こういうふうにいわれております。したがって、炭じん爆発を防止するために、一つは炭じんが飛散しないために散水をする、あるいは坑道やその他坑内に炭じんが堆積しないように、これを掃除しなくてはいかぬ、あるいは炭じん爆発が起こった場合に、これが広く広がらないために岩粉を散布するといったような防止の対策があります。
○中村(重)委員 四月二十八日に清水監督官は、三つの問題に対して改善命令をしておられます。ね。その中に清掃というのも入っております。その改善命令、改善の指示をされたという場合に、このまま放置しておくと炭じん爆発が起こる危険がある、そうお考えになって改善命令をなすったか、その点どうですか。
○田原政府委員 相当の炭じんが堆積しておりましたので、これが飛散いたしますと炭じん爆発を起こす危険性があると思ったから注意をいたしたわけでございます。
○中村(重)委員 そうすると、改善の指示を四月二十八日になさった。そうして当日監督表というものをお渡しになったわけですね。そこでまた後日その個所に対して、監督表に記入したことと同じような通達をなさった。それに対して六月七日に、会社側から回答が来ておるということですね。その点、間違いございませんか。
○田原政府委員 間違いございません。
○中村(重)委員 そうすると、炭じん爆発が起こるおそれがある、こういうようなことで改善命令等をなさったわけです。会社からはそのとおり実施したという回答が来ておるわけですが、完全に実施したかどうかを確認しておられますか。
○田原政府委員 その後、八月と十月に二回監督に行っております。しかしその二回の監督の際には、ちょうど七月、八月、九月には切り羽近くの落盤事故が非常に多かったものでございますから、それで監督官はむしろ奥のほうの、切り羽付近の巡回監督に重点を置いて、当該個所については巡回監督はいたしませんでした。この点はまことに私どもとして残念に思っております。その点が追跡できなかったことを、深く責任を感じておる次第でございます。
○中村(重)委員 実施しておったかどうか。あなたのほうで改善命令を出したということについては、適当であったと思うのです。しかし四月二十八日に、書類は後日お出しになっておりますが、実際問題として当日通達をしておるわけです。そうしてそれに対して、監督表の余白に一、二項あるいは三、四項とあるわけですから、それについて具体的にどうするということがはっきり記入されているわけですね。そうして後日書類を出した、いわゆる通達を出した。それに対して六月七日付で回答がなされた。それを信用したのですか。
○田原政府委員 信用いたしておりました。
○中村(重)委員 信用したというと、あなたのことばじりをとるようなことになると思うのであまりそういう面については責めたくないのですが、そこを実施しておるかどうかということを確認しなかったということは、まことに申しわけがないということをあなたのほうではおっしゃっておる。信用したから再度その点を確認しなかったのですか、どうですか。
○田原政府委員 信用いたしましたことと、それから先ほど申し上げましたように、むしろ切り羽のほうが危険度が強かったものでございますから、御存じのように、坑内は非常に広うございまして、監督官が回る限界もございまして、第一ベルト斜坑について監督ができなかったわけでございます。
○中村(重)委員 従来どういう取り扱いをしておられるのです。改善命令を出した、それに対して必ず回答というものをあなたのほうではとっておられると思う。そういうことを指導しておられると思う。それに対して、相手がこういたしましたと意思表示をすると、それを信頼するわけですか。従来ともそうしてきたのですか。
○田原政府委員 通達書を出して、会社側から改善計画が出てきましたならば、原則としてこれを追跡することにしております。ただこの場合は、先ほど申し上げました事情で追跡できなかったわけでございます。
○中村(重)委員 三池炭鉱の坑内は、八十キロぐらいの広さがあるわけです。そうすると、それを巡回監督をするということになってまいりますと、普通二名でやっておられるわけでしょうから、相当な時間がかかる、期日を要するということはよくわかるわけです。しかし四月の二十八日に巡回をして、そして改善命令をやったということは、実は炭じん爆発の危険性があるというきわめて重大な問題だったということは、はっきりしておるわけです。それをあなたのほうでは、こういたしましたという一片の回答を信頼をしておる。ところがこれをやっておったかやっておらなかったということは、確認をしなかった。しかし、従来とも確認をするということが原則であった。ところが非常に広かったということと、それからその次に、落盤事故というものが後日起こったので、そのほうに実は時間がとられて確認をすることができなかったという事情はわかるわけです。ところがそういうことは、ひとり今度の三池の三川鉱だけの問題ではない。そういうことはいままで、随所に起こってきておると思う。ただ幸いにして、そうした事故がいままで起こらなかった。あるいは起こっておったのだけれども、今度のように、四百五十八名というたくさんの人たちが一瞬にして生命を奪われるという大きい問題でなかったのです。そういうことでたいした問題にならなかったのかどうか。これは、いまにして思うと、過去においても今回のようなものが、事故そのものは小さかったにしましても、事例は多々あったのではないかというように思われるわけです。そうなってくると、将来を思い、これはきわめて重大な問題点であろうと思うわけです。それらの点に対して、いま御答弁のようなことは政務次官もお聞きになっていらっしゃると思うが、どうしたらよろしいか、そこら辺に対する対策というものは、もう適切な措置としてこうしなければならぬというものが固まってきておることだろうと思うので、まずその点について伺ってみたいと思う。
○田中(榮)政府委員 従来鉱山保安局でもちろん局員が監督に参りまして、いろいろ調査をいたしまして、不備の点につきましては、それぞれその不備の点を指摘いたしまして、そして指摘した点につきまして、場合によっては何月何日までにこれを整備するようにというような指示もいたしておったと思います。また場合によりましては、そのつど参りまして、指摘された個所がはたして指示したように整備されておるかどうかということまで確認をしたこともあったかと存じております。たまたまいまの三池鉱におきましてはそうしたことが十分にできなかった点があったことは、いま局長が申し上げましたとおり、切り羽の付近に落盤事故が非常に多かったので、主としてその方向に主力を注いだために、そういう点があるいは手落ちがあったかと存じておりますが、今後はそうしたことのないように、指示した点につきましてはそれを確認するということも必要であろうかと私は考えておりますので、そういう点は今後ひとつ励行していきたいと考えております。
○中村(重)委員 政務次官、あなたの答弁は、このなまなましい現実とはあまりにもかけ離れています。いまあなたが御答弁になるようなことを議論するときじゃないと思う。現実にあの坑内が非常に広い、そして次に落盤事故が起こったので、改善命令を出したところを再度巡回監視をすることができなかった、やったかどうかということを確認をするいとまがなかった。いまこの事件がそうしたことで起こってきている。これが直接の原因であるかどうかは別として、少なくとも炭じんというものはそこにたまっておった。たまっておることを認めて、清掃しろと言った。清掃してなかったから、炭じんがそこにあったから炭じん爆発が起こったということは、もう間違いないところです。そうしてみると、原因は結局は清掃してなかったということにあるわけです。そうすると、人が足りないということも具体的な問題としてもうはっきりしている。予算の問題等々もある。もうあなたのほうでは、こういうところに欠陥があったのだから、こういう点はこう補わなければならないのだ、こういうことをはっきりと固めておらなければならぬはずなのですよ。あなたは、いまからこれを実施するようにしたい、すると言っておる。しかし、いままでもそれを確認することが原則であったのだけれども、そういうことができないような制約があったわけです。ですから、その制約そのものを取り除かない限り、それはやろうとしてもできないのです。そういうことをどうしようとするのかということを、あなたに私はお尋ねをしている。ですから、そういう深刻な問題に対処しては、あなたのほうでももう少し、具体的な問題に対しては具体的な取り組みというか、そういったような考え方を明らかにしてもらわなければならぬ。あなたのいまの御答弁を現地の人たちがお聞きになったならば、ものすごい憤りをされるだろうと私は思う。私はあなたを責めるためにこう言っているのじゃないのです。問題があまりにも深刻じゃありませんか。このままの状態で進んでいくならば、いままでは労働者を首切ろう、労働者の首切りによって石炭産業を健全に運営していこうという考え方の上に立って、非常に無理な合理化を進めてきたのだけれども、自分の生命を守ろうとする労働者は、三回のめしを二回食べるということがあっても、もう石炭山はいやだということになる。保安の面から石炭産業はつぶれてしまいますよ。そういう深刻な問題に対処する政府の態度を聞いておるのです。ですから、そういうことに対してもっと適切な考え方をここで明らかにしてもらわなければ、これはどうにもなりません。
○田中(榮)政府委員 私のことばが足りなかったために十分意を尽くし得なかったことは申しわけないのでありますが、もちろんこうした事故が起こりましたので、通産省全体として、さらにひとつ気分を引き締めまして、ことに現地の鉱山保安局の職員の人々にも一そうひとつ気分を引き締めまして、まず精神的に引き締めをしていくことが、私は先決問題であろうと考えております。そういう点をさらにひとつ厳重に申し渡しをいたしまして、そのほかに、いままでは一鉱山の調査監督等もごく少数でやっておったそうでございますが、これをもう少し人数をふやしまして、そして詳細に、たとえば電気は電気、あるいは施設は施設、炭じんは炭じんといったように、多少部門別に専門事項を区分いたしまして、責任をもってそれらの者が調査をする。そうして調査をした場合においては、さらに、いま中村委員の御指摘のような通達をいたしまして、その通達によってはたして的確に、通達どおりに整備されておるかどうかということを厳重にひとつ確認をいたしまして、整備されていない点がありましたならば、さらにそれを整備させるように厳命をいたしまして、あくまでも追及をするという態度でいくことが必要ではないかと考えております。そのほかに、さらに監督回数等も十分に増加をいたしまして、それらの費用もただいま予算化すべく努力はいたしておりますが、そうした点もただいま実は考えておるわけでございます。要はやはり職員の心がまえと申しますか、そういうものを引き締めていくことが、私は一番先決問題ではないかと考えておるわけであります。
○中村(重)委員 今度の炭じん爆発事件は、あなたは精神面をえらい強調なさった、それを強調なさることはけっこうですが、法的にはどうお考えですか。法的には欠陥はございませんか。
○田中(榮)政府委員 これは先ほど田原局長が答弁いたしましたように、いまここでどの法規がどうということは申し上げかねますが、保安法規全体といたしまして、今後さらに不備の点を是正する必要があろうかと考えます。この点はただいま通産省としても十分に検討を加えておる次第であります。
○中村(重)委員 炭じんの堆積の問題あるいは発生量の問題、このことに対しては、今度の事故で、法的なあるいは行政指導面の不備欠陥について何か気づかれたかどうか、その点どうなんですか。
○田原政府委員 石炭規則の第百三十九条の「炭じんは、運搬坑道その他の坑道に多量に集積させてはならない。」という条項、これが今度の事故に直接つながる規則ではないかと考えております。この「多量に」ということが技術基準がきまっておらなかったわけでございます。この問題はかねてから非常に問題になっておりました技術基準でございまして、私どもといたしましても、これをきめるのにはいろいろなファクターがあって困難な問題がございますので、いままで検討しておったのでございますが、まだ結論を得ないままにおったわけでございます。そこで去年からこの基準をきめるべく予算措置を講じまして、去年ことしと二ヵ年間技術基準をきめるための予算をとって、もとになる資料を検討中であったわけでございます。なおこの技術基準につきましては、諸外国どこの規則を見ましてもはっきりときめかねておる大きなむずかしい問題の一つでございます。
○中村(重)委員 基準がないということは、多量か少量かという認定は監督官の主観によるわけでしょう。
○田原政府委員 最も合理的には規則で、数字できめるのが一番妥当だと思いますが、——普通規則ならば何ミリ、何センチというふうなきめ方をしておるのが普通でございますけれども、この場合には基準がきめられなかったために「多量」ということばを使っておったわけでございます。現在は監督官の主観によって判断されております。
○中村(重)委員 それは発生量ですね。
○田原政府委員 坑道に堆積している炭じんの堆積量でございます。
○中村(重)委員 甲種とか乙種という問題、これは堆積の問題とは不可分の関係にあると私は思う。ところが甲種とか乙種ということは、発生量によってきめられるわけですね。その点が適当であるかどうか、いかがですか。
○田原政府委員 仰せのとおり、現在の石炭規則の第五条で、石炭坑を甲種乙種に分けております。それはメタンガスの発生量と炭じんの発生量によって甲種炭坑、乙種炭坑と分けております。その第二項第四号に、非常に炭じんが多い場合には、そこで発生する炭じんをはかりまして、その量がある一定の基準以上になった炭坑は、甲種炭坑といたしまして指定をいたしておるわけでございます。
○中村(重)委員 炭じんの発生量が一方幾ら、それから可燃性ガス、メタンの発生量、こういうものによって甲種、乙種というものがきめられた。ところが、発生をすると堆積をするわけです。堆積しなければ、何ぼ発生をしても事故は起こらないはずです。ところが堆積の関係は「多量」ということで、基準は少しもきめられていない。その主観で監督官が多量であるとすれば多量、少量であると考えれば少量ということになる。ところが多量であれば炭じん爆発が起こる、少量ならば起こらないということはないはずなんです。そういうことは常識だと私は思う。いままでそのことについてあなた方はどうお考えになっておったのですか。
○田原政府委員 先ほど申し上げました、坑道に堆積させてはならないという条文は、これは甲種炭坑、乙種炭坑両方で守らなくちゃいけない規定になっております。甲種炭坑ではそのほかにたくさん守らなくちゃいけない規定がございますが、乙種炭坑にはただ二条しかきめられていないという点は、規則上非常に問題があるのじゃないかと思っております。
○中村(重)委員 あなたがおっしゃるとおり、甲種の指定は条文が十条以上にわたりますが、乙種炭坑というのはただ二条程度で規制をするにすぎないという形なんです。ところがいま私が申し上げましたように、多量に堆積すると爆発をする、少量であれば爆発をしないということにはならないわけです。それは、多量であるということは、より危険性があるというふうに常識的には判断できるけれども、少量であれば爆発しないということは言えないわけです。だから、この堆積量そのものにウエートを置いた形において規制されなければならない。それが堆積量が単に多量であるということだけで、基準というものがきめられていないことは、これはもうはっきりした欠陥だと私は思う。世界にもそれは基準がないのだとあなたはおっしゃるのだけれども、こういうことがいままで問題視されていなかったということを、私はむしろふしぎに感じるくらいです。どうですか。
○田原政府委員 仰せのとおり、この「多量に」がはっきりきめられてなかった点は、非常に欠陥があると思います。とりあえずの基準を早急につくりたいと思っておるわけでございます。
○中村(重)委員 政務次官、お聞きのとおり、きわめて重大な問題、法的な欠陥というものがあるのですよ。ですから私があなたにお尋ねしたのは、この事故にあたってどういうところに問題があるのかというところくらい、もう煮詰めておってもらわなければ困るのだということです。そういうことを実は大臣なり、あなたから聞きたかった。ところが、非常にあなたを追及するようだけれども、観念的な答弁。こういうことでは私は実は非常ね失望を感じたわけです。こういう問題に対しては、もっと真剣に取り組んでもらわなければならぬわけです。 そこで三池の甲種、乙種——一部分は乙種になっておる、そういうことですね。全部が甲種ではない、甲種もあれば乙種もあるわけですね。これは私が調べたところによると、昭和二十八年に変更になっておるように思うのですが、その時日をひとつお聞かせ願いたい。それからいきさつ、ここらあたりをひとつ聞かしてもらいたい。
○田原政府委員 昭和二十四年にこの保安法が制定されまして以来、四山鉱と三川鉱は甲種炭鉱であったわけでございます。ところが、昭和二十八年の一月の二十四日から二十八日まで五日間、福岡鉱山保安監督部、当時は鉱山保安監督部でございましたが、その鉱務監督官四名が現地に行きまして、そうして精密な検査をいたしました結果、甲種炭鉱の基準以下であったものでございますから、福岡鉱山保安監督部から本省のほうに上申書が出てまいりまして、それに基づいて本省で十分検討いたしました結果、乙種炭鉱になったわけでございます。
○中村(重)委員 今度爆発の起こった三川鉱は、甲種であったものが乙種になっている。こういうことですね。これに対してはどうお考えになりますか。これをどう持っていかなければならぬと考えておられますか。
○田原政府委員 三川鉱が再開されたならばさっそくに、この基準は採炭している最中でないと測定できません、操業しているときでないと測定ができませんので、三川鉱が再開されて、そうして通常状態に復帰いたしましたら、すぐに三川鉱の精密検査をいたしまして、その基準に該当するかどうかをきめたいと思っております。ただ事実上、乙種炭鉱の指定条項で甲種炭鉱並みの規制は、これはその調査を待たなくともすぐできますから、指定については早急にやりたいと思っております。
○中村(重)委員 まあ甲種になると、乙種以上に厳重な規制ができる、こういうことになるわけですから、したがって監督もきびしくなるということは言えます。ところが、先ほど来私が申し上げますように、発生量よりも堆積量というものに問題がある。その基準というものもあわせてこの際お考えにならなければ、単にいま乙種になっているところを甲種にするということだけでは不十分だということは、大体おわかりでございませんか。そこらあたりはどうするのですか。
○田原政府委員 先ほども申し上げましたように、堆積量は早急にきめたいと思っております。
○中村(重)委員 いろいろと生産再開なんかの問題が議論されており、専門家が行っていろいろ調べておるわけです。労働者は労働者の立場から、生命の安全という点、それから今度の事故において発生をした遺族の問題等、それらの問題の解決というものも完全に行なわれなければならないとか、いろいろな主張がそこにあるわけです。ところが、当局は当局としての生産再開に対しての考え方というものがなければならぬ。いま議論されておる問題というのは、これはきわめて重要な関係があると思うのですが、それらの点に対してどうお考えですか。
○田原政府委員 事故が起こりましたのは三川鉱でございますけれども、そのほかの四山鉱、宮浦鉱も、これはやはり保安が安全であるということを確認すべく、十二月の四日から十五日まで、福岡鉱山保安監督局の鉱務監督官が両鉱について精密なる検査をいたしました。それからそれと並行して、学識経験者による両鉱の保安状態の検査をいたしたわけでございます。これは坑内における現在の保安状況がどうかということを調査いたしたわけでございまして、われわれといたしましては、ただ単に現在ばかりでなく、今後も、現在よくなった場合に、その状態が維持できるかどうかということがやはり大事な問題じゃないかと思いまして、そういう観点からも調査をいたしているわけでございます。
○中村(重)委員 保安の完全ということは、形だけではないと思います。保安が完全であれば、これを再開させよう。そういうことに対してあなたがお考えになって、保安局長として、保安は完全である、これならば再開させてもよろしいとお考えになる、その保安の完全ということはどういうことですか。
○田原政府委員 先ほど申し上げましたように、鉱山保安法と石炭鉱山保安規則にのっとって、坑内の違反状況がないかどうかということを検査いたします。それは坑内のことです。さらに教育の問題、あるいは退避訓練の問題、あるいは保安機構の問題そういう問題もあわせて検討して、万全であるか、保安という点からも検討いたしたいと思っております。
○中村(重)委員 私が聞きたいのは、清掃の問題は保安法の四条であるとかあるいは五条に、鉱業権者の義務の問題、鉱山労働者の義務の問題、それからまた続いては監督当局の問題と、いろいろあるわけです。ところが今度炭じん爆発が起こった。改善命令をお出しになっておった。そういうことについていろいろとやはりそこに問題点というものがあったのじゃないか。ベルトコンベヤーというものは、石炭を運搬するために絶えず動かす。清掃を完全にするためには、どうしたならば完全にできるか、そういう具体的な問題が出てこなければならぬと私は思う。ですから、そこらあたりをあなたのほうでかっきりひとつつかまなければ、保安が完全だとかなんとかいうことは言えない。聞きたいのはそういうところですよ。
○田原政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の保安状態が維持できるかどうかということの中に、人員配置の問題、保安要員の問題等も含まれておるわけでございます。
○中村(重)委員 炭じんには散水するという問題もありますね。散水しても水はかわく。そうすると、炭じんを何で殺すかという問題も考えてこなければならぬ。たとえば散水で殺せるが、散水するということになると、経営者がカロリーの問題とかいろいろ考えて、そういう点から散水をできるだけやらせないという態度が現在までとられてきた。こういうことが炭じん爆発の原因の一つになっているということが言えるわけです。そういういろいろな問題がここにあるわけです。そこはどこまであなたのほうでは研究を煮詰めておられるか。何で炭じんは殺すのか、堆積はどうするのか、ベルトコンベヤーと坑道の側壁との関係、そういういろいろな問題に対して、どういう点でいままで清掃の面、保安の面について欠陥があり、これはどう直させるか、そういった具体的な問題が出てこなければ、これはどうにもなりません。ですから、具体的な考え方をひとつ聞かしてもらいたい。
○田原政府委員 その具体的な内容につきましては、会社側から整備計画というのが出てきております。その中に詳しく炭じん爆発対策についてはどうするということが、具体的に提出されております。それを私のほうで検討いたしているわけでございます。炭じん爆発については岩粉だなをつける、あるいは岩粉地帯を設ける、それからさらに、切り羽なり積み込み口には散水させるというようなこと、これは炭じん爆発に対する防止対策でございますが、そういう具体的な内容は、もちろん織り込まれてなくちゃいけないと思っております。
○中村(重)委員 炭じんをなくするために、大体どの程度一日で発生し、どのくらい堆積するのか、そうするとどういうところに炭じんがたまっていくのか、これを清掃するにはどの程度の要員が要るのか、いままでそれがどうなされておったのか、こういうことが従来はどうされておったのか、これからどうするんだ、こういうことが出てこなければなりませんね。ですから堆積量も、発生量から計算すると一日にどの程度堆積するということがわかるわけですから、そこらあたりの研究は十分あなたのほうでは煮詰まっておりますか。
○田原政府委員 先ほど申し上げましたように、坑内の人員配置という中に、そういう問題は含まれておるけでございます。斜坑にどれだけ掃除夫を置かなくちゃいけないか、一週間にどれだけやらなきゃいけないとかいうことを検討した上で、人員配置は出てくるわけです。
○中村(重)委員 従来どの程度配置されて、これからどの程度配置しようとするのですか。いままでの欠陥はどこにあったのです。それをどう直そうとするのです。
○田原政府委員 お答えいたします。 この三川の第一斜坑の間接夫、これが大体保安関係の要員でございますが、それが常一番で二十七名、これは在籍でございます。それから三交代で全部で二十四名、だから一方八名でございます。そういう在籍になっておるのでございます。大体これだけの人間がほんとうにそこに充足されておるならば、あの第一斜坑の清掃はできるんじゃないかと思っております。
○中村(重)委員 どうも不十分ですよ。きのうあなたも一緒にお聞きのとおり、常一番も実際何名清掃に従事さしておったのかわからない。それから清掃するということになってくると、ベルトコンベヤーをとめなければ清掃できない個所がある。ですから、そういうことは従来どう行なわれ、今度は具体的にどうしようとするのか。人員は従来はどの程度か。肝心な清掃あるいは注油そういういろんなところに常一番は振り分けておるわけですから、そういう点は、どういう点に欠陥があったか。これをどう直していこうとするのか。それでなければ、保安の完全であるとか何とかいうことは言えないわけですから、そこらあたりをあなたのほうでは十分煮詰めておかなければならないわけですから、そういう点をもっと具体的に聞かしていただきたい。
○田原政府委員 具体的な内容につきましては、ここに資料を持ち合わせておりませんので、後刻至急御報告申し上げます。
○中村(重)委員 具体的な、人員が何名だということでなくてもよろしいです。あなたのほうでは人員までつかんでいない。また、あなたのほうでは非常にむずかしい。あなたも私も一緒にきのういろいろと聞きましたが、経営者が言を左右にしてその真相を明らかにしようとしませんから、非常に苦労しておられることはよくわかりますから、私はそこまであなたに、何名配置されてどうだということは言いませんが、しかし少なくとも、いままでずっと巡回しておられて、常一番がどういう形において使われておったとか、それからベルトコンベヤーはどの程度の時間がとめられておるか、何の目的でとめられておるか、そういうことはわかっておられるはず。わかっておらなければ何のための監督官か、こういうことになるわけです。それに対しては数は何名、どの個所にという小さいところまであなたにお答え願おうとは思いません。こういうところには欠陥がある、だからこれはこう直さなければならぬというくらいはあなたのほうでお答え願わなければ、資料がありませんだけではだめです。
○田原政府委員 従来のあの三川第一ベルト斜坑の清掃は、電動機室は電気係、ベルトコンベヤーは機械係、車道関係は保線係が担当して掃除に当たっておったわけでございます。ところが、その境目、それから側壁との間あるいははりの上、それから電動機室はフレームの上といった目に見えないところに、相当の炭じんが堆積しておったようでございます。それで今後は、そういう係の間の清掃の区分がそういうふうなことにならないように、それからはりの目に見えないところの炭じんが掃除できるような計画でなくてはいけないと思っております。
○中村(重)委員 いまあなたが言われるような清掃を完全にするためには、何名程度の要員が必要であるとお考えになるか、また、それを清掃するためにはベルトコンベヤーを一日何回くらいとめなければならぬとお考えになりますか、とめなければならぬ時間はどの程度にお考えになっておるか、そこの程度くらいはおわかりにならなければ、生産再開などということはてんで考えられません。そういう点はどうですか。
○田原政府委員 この斜坑に人員を幾ら配置したらいいかということは、目下検討中でございます。
○中村(重)委員 人員の配置、それからベルトコンベヤーは従来とめておった。それから完全清掃するために、いわゆる保安の完全を保つためにはどうやっていけばよろしいとお考えになっておるか。
○田原政府委員 従前もベルトコンベヤーは交代時の合い間に一時間半から二時間停止いたしておりまして、その間に清掃をいたしておったようでございますが、ほんとうにやるつもりならば、それでできると思います。
○中村(重)委員 これは非常に重大な問題ですが、いまあなたが言われることは、経営者の言うことを信用なさっておるのか、あるいは労働組合の言うことを信用しておられるのか、どの労働組合の言うことを信用しておられるのか、これはあとの生産再開との関係できわめて重大な問題ですが、どういう根拠に基づいてそういうことをお答えになっておられるか。
○田原政府委員 いまの数字は、現地からの報告で、どこから入った数字かわかりません。
○中村(重)委員 きのうあなたも一緒に関係者の陳述というのを聞いたわけですね。それで、いろいろ違うわけですね。ですからそういうことに対しては、重大な問題を将来の問題として起こしてくるわけですから、慎重にひとつ取り組んでいただかなければなりません。ですから、いまあなたに答えていただきたい。責任がある保安監督の専門家ばかりですよ。もう日にちも相当たっているわけですよ。そうなってくると、これだけの清掃をするのにはどの程度の職員が必要か、時間はどの程度とめなければいけないか。従来はこういうことであった、将来こうしなければならないという明確な計画をあなたのほうでお立てにならなければならぬと私は思う。そういうことでなければ、保安の万全を期するなんということはできない相談ですよ。学者の人たちあるいは専門家の方々がおいでになって、出炭量、一ヵ月当たり炭じんがどの程度発生するとか、可燃性のガスがどれだけ発生をするとか、通風はどうだとか、そういう専門的な問題だけでもって生産を再開するとかなんとかというようなことは、これはできない相談です。どんなにいい法律をつくっても、それに従事する人たちが、人命尊重という立場の上に立って十分これに真剣に取り組む、そういうことでなければならない。その点に対しては、先ほど政務次官がお答えになったような、要するに、当局のあなた方がそれらの問題に対して真剣に取り組んでいくという気がまえの問題が、もちろん重要な要素でありますけれども、具体的な面がここで確立されなければならぬと私は思うのですが、そういう点についてもう一度お答え願いたいと思います。
○田原政府委員 仰せのとおりでございまして、いまのような観点から十分検討をさせていただきたいと思います。
○中村(重)委員 時間がだいぶたちまして非常に残念ですが、まだお尋ねしたいことばかりです。保安委員会の運営が適切であったとお考えになっておるか、具体的にはどういう運営をしておるか、その点をひとつ……。
○田原政府委員 三池炭鉱の保安委員会の運営につきましては、争議後、もとから問題がありまして、一時は新労だけで旧労の入らない状態もあったのでございます。これは監督局の指導によりまして、旧労も入った保安委員会の運営になったわけでございます。開催回数は、大体月に一回くらい開いておるようでございます。その運営につきましては、必ずしも良好な状態の運営とは考えられません。ことに生命に関する問題を労使で真剣に——これは労使の問題ではなくて、真剣に運営されなくてはいけない問題でございますのに、あそこの特別の労働事情であまり良好な運営をされてなかったことは、まことに残念に思っております。
○中村(重)委員 それは、そのとおりです。それならば、これをどうさせようとしますか。
○田原政府委員 経営者、それから新旧の労組の三者の良心的な妥結によってこの委員会が運営されることを、われわれは希望いたす次第でございます。
○中村(重)委員 それは法のたてまえが、労使の関係に対して政府が介入するということは大体好ましいとは考えていない、そういうことでいままでやってきたわけでしょう。どうですか。
○田原政府委員 現在の法のたてまえは、仰せのとおりのたてまえでございます。
○中村(重)委員 それが現実の問題です。この法律を制定した当時はいざ知らず、現在のように、新憲法の中においていわゆる人権の尊重、人命の尊重ということと保安面とは、不可分の関係にあるきわめて重大な問題である。いわゆる人命の尊重という面における政府の責任ということをお考えになる場合、従来の法のたてまえはそうであったとしても、それが適当であるかどうか。そのことが、今日まで行政指導される場合に支障がなかったかどうか。これらの問題はきわめて重大な問題でありますが、これをあなたにお尋ねするということは問題がありますから、政務次官にひとつ……。
○田中(榮)政府委員 ただいま中村委員の仰せのごとくに、三池炭鉱につきましては、ただいま保安委員会の運営というものが、炭鉱内部のいろいろな労働事情から適切に行なわれていなかったのでございます。したがいまして、通産省側としましては、経営者、新旧労組、その三者の関係の中に立ちまして、極力三者が理解と協力のもとにこの保安委員会の運営を円満に実施するように、干渉はいたしませんが、できるだけ内面指導というような意味におきまして今日までもやってまいりましたし、今後も、できるだけこの保安委員会がその目的が達成できますようなところにいくまで、ひとつ十分内面指導といいますか、お互いに話し合いの上で円満な運営を実施していくように努力をしていきたい、かように考えておるわけであります。
○中村(重)委員 保安委員会のあり方として、多数で問題を押し切っていく、少数の人の意見というものは尊重しないというような態度は、好ましいかどうか、どうですか。
○田中(榮)政府委員 保安委員でありますから、多数の意見によってこれを押し通すということは、私はこれはあるいは不適当ではないかと思います。やはり保安委員の方々が話し合いを十分にいたしまして、そうしてある一致点を見出して、それにお互いが協力するというところにこの保安委員会の効果が発生するのではないかと私は考えております。できればそういう方向でいっていただきたい、かように考えております。
○中村(重)委員 国民の生命を守るということは、国の責任でございますね。政務次官もその点は異論はないのでしょう。どうですか。
○田中(榮)政府委員 もちろん国民の生命、人権を守ることは、私は政府の責任であると考えております。
○中村(重)委員 保安委員会というものは、炭鉱の保安という問題が議論されるのですよ。そうなってくると、これはいわゆる人命を守っていくという国の責任というものとは、不可分の関係にある。そういうことに対して、この法律は、政府がこれに対して干渉をするということはたてまえじゃないのだ、あまりこの内容に立ち入っていくことは干渉することになるという考え方は、私は適切ではないと思う。この保安委員会のあり方というものに対して政府の取り組む態度、姿勢というものは、私は従来の考え方というのは根本的に変えなければならない、こう思うわけです。それらに対してどうお考えになっておりますか。私は観念的なことを伺おうとは思わない。保安委員会に対して、具体的な問題としてどう対処していくか、それをひとつお聞かせ願いたい。
○田中(榮)政府委員 この保安委員会の進め方につきましては、もちろんわれわれは保安委員会を実は信頼をいたしております。したがいまして、政府側といいますか、あるいは国といいますか、そういうものからあまりにこまかいところまでかれこれ指図し命令するということは、かえって保安委員会の尊厳を傷つけ、また、保安委員会としての自主性を失わせる結果になるのではないかと思います。むしろ保安委員会というものはあくまで自主的に、お互いに人命尊重の精神のもとに安全をはるかというたてまえでございますから、そういう精神に立脚して、相互があくまでこれを論議し合い、お互いに主張し合って妥結する、そういうことで、最後の決定は全員がこれに協力していくというところに、私は保安委員会というものの効果があるのじゃないかと思っております。ただし、保安委員会というものがあまりに非常識な決定をするという場合におきましては、これは国としても、生命尊重の精神からしまして、当然これは干渉せねばならぬと考えておりますが、現在の保安委員というものは、そうしたふまじめな、また不適当な保安委員はなかろうかと私は信頼しておるわけであります。
○中村(重)委員 具体的な問題として、非常識な運営ということは、少なくとも事保安に関する限りは、多数の意見で押し切るということが非常識であるという考え方でしょうね。どうでしょう。
○田中(榮)政府委員 私は多数決でもって押し切るということは、事人命に関する問題でございますから、やはり少数意見といえどもこれを尊重していかねばならぬ、こう考えております。
○中村(重)委員 普通の会議と違って、何名々々という多数決、そういう形式の問題、多数の意見があるからというので、少数の人たちが異論を唱えても、ぐっと無理押しに押し切って事を運んでいこうとする運営のあり方、そういうことを問題としなければならぬわけですから、そのことを私は申し上げておるわけです。ですから普通の会議等における多数決、こういうようなことは、これは実際の問題としては行なわれている場合もありましょうが、ほとんどそういう形ではない。それから保安委員会の内容ということにいたしましても、ただ経営者が再教育をやる場にこれを使うということが三池の場合には行なわれておるということは、これはもう間違いないところだろうと思うのです。ですから保安委員会の内容、どういうことが実際には議論されておるのか、争議前はどうであったか、現在はどうなんだ、こういうようなことまで十分確かめて、適切な運営を行なわしめるように指導していかなければならない、それをやらないということになってくると、重大な政府の責任問題である、私はこう考えておりますから、そういうことについて政務次官の見解を聞いておるのです。その点に対して重ねてお答えください。
○田中(榮)政府委員 保安委員会の規程の上から申しますると、「保安委員会は、議長が招集し、その議事は、出席した委員の過半数で決する。可否同数の場合は、議長が決する。」こういう規程のようにはなっておりますが、ただし、こうした問題の起こったあとの保安委員会でありますから、事生命に関する委員会でありますから、もちろん規程は規程でございますが、この点は十分話し合いの上でこれを妥結することが妥当ではないかと考えております。
○中村(重)委員 それではその点はそういうことで積極的に取り組んで指導をしていただき、運営のよろしきを得るようにやってもらいたいということを、強く要請をしておきたいと思います。 それから遺族の方々の生活の問題、これは深刻な問題であると思います。同時に、地方自治体というものは収入減、支出増ということで、非常に財政的に困っておる。関係各省においてはどういう指導をしておられるか。関係各省の方、もしおわかりでございましたら、まずそれに対してお答えを願いたい。
○新井政府委員 ただいまお話のございました遺族の問題並びに患者、まだ非常に多数入院されておりますけれども、この方々に対する措置につきましては、万全を期するよう、労働省と連絡をいたしましていろいろ努力中でございます。またこれは相当時間をかけながら、就職の問題、実態の調査等も進めておる次第でございます。
○中村(重)委員 私どもが行きましても、大牟田、荒尾の両市からもお話があったように、縫製工場であるとか、会社もそういう計画を進めておられるようでありますが、そういうことで生活というものができようはずはございません。ですから、それはそれなりに必要ではありますけれども、それで事済みということであってはたいへんなことになります。ですから通産省としては、関係各省とそれらの点に対しての連絡を十分とっておられると思いますが、どの程度関心を払っておられるか、まずそれらの点に対してどのようにお考えになっておるかということを伺っておきたい。
○新井政府委員 従来の炭鉱の合理化と違いまして、今回はほんとうにそこで事故が起こりまして、どういう御家族の方で、どういう年齢の方で、しかも御希望はどういう会社かわかって対策を講じなければならぬような事態でございます。そういう考え方でいろいろ実態の調査等もやっておるわけでございまして、いまの縫製品工場の誘致の問題とか、通産関係の仕事でもございますし、労働省と一緒になりまして、そういう面を一生懸命やってまいりたいと思っております。まだ完全な計画までいっていないようでございますが、早急に進めてまいりたい、かように考えております。
○中村(重)委員 地元の中小企業は、相当な打撃を受けたと思います。これに対する税制、金融の措置、それらの点に対してはどうお考えになっておりますか。
○新井政府委員 当面、御承知のように、三池の生産再開にからみまして、地元の中小企業の問題に関連があるわけであります。したがって先ほど先生のお話のございましたように、三池の再建に対する融資の問題がまず第一次の問題で、そこからお金が流れていくことになりますけれども、何ぶん年末も近いことでありますし、中小企業庁の方にも、その辺の対策を十分考えていただくようにお願いをいたしております。
○井上説明員 産炭地の中小企業の売り掛け代金の問題につきましては、先生御承知のように、この前の通常国会で一応保険についての特例をきめたわけでございます。今後とも、政府関係中小企業金融機関である商工中金、国民公庫、中小企業金融公庫、この三つの金融機関に私ども指導いたしまして、できるだけ産炭地の振興に裨益し、かつまた、現在困っておられる売り掛け代金についての融資の問題につきまして、極力特別の努力をするように現在指導いたしております。
○中村(重)委員 今回の事故に対して、相当地元の中小企業は打撃を受けた。これに対しては、年末も控えておりまして、特段の配慮が必要ではないかと思うのですが、それに対してはどうお考えになっておるか。
○井上説明員 三池の災害がありまして、私どもといたしましては、三井鉱山が御承知のように非常に経営の悪いところでございますので、そういった意味で、従来ともに地元の中小企業に対しまして、三井から見れば買い掛け金、中小企業から見ますと売り掛け代金が相当あるわけであります。私どもの調査によりますと、地元の百八企業につきまして売り掛け代金を調べたわけでございますが、その残高が現在約六億五千万円ございます。なお、三井鉱山といたしましては、これに対しまして毎月一億程度のものは一応支払っております。しかし同時に、買い掛け金が一億程度ございますので、したがいまして、その六億程度のものはそのまま残高として残っておるというような現状でございますので、私どもといたしましては、一面におきましては三井鉱山に対する融資の問題があると思いますが、他面中小企業に対しましては、こういった売り掛け代金を解消するために、極力商工中金とかあるいは中小公庫、国民公庫等にお願いいたしまして、こういうところからできるだけ便宜をはからうようにいたしていきたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 大三井がきわめて横暴なやり方だと思うのですが、これは大企業と下請企業との問題というものもその中には関連があろうと思います。商業の場合におきましては、いわゆる大企業と下請企業という直接的な関係はありませんが、内容的には、売り掛け代金を払わないのだから、これはそれと変わらない。そのこうむる影響は同じだ。そういう面からも、その経営者に対する適切な措置を、中小企業庁としてはおとりにならなければならぬと思いますが、その点に対してはどう配慮しておられますか。
○井上説明員 ただいま申しましたように、この中小企業の売り掛け代金を解消いたしますためには、やはり二面の措置が必要である。一面は、やはり何と申しましても、実際に買い掛け金を持っておる経営者が極力支払っていくという問題。それからもう一つは、それにもかかわらず、三井鉱山は御承知のように、大企業といえども、非常な、百億以上の負債をかかえておりますので、そう簡単に支払わないかもしれませんと思いまして、私どもといたしましては、極力政府関係金融機関からの融資につきまして、現在そういった指示も与えております。特に三井鉱山の三池の災害発生に伴いまして、現地の支払いはおそらくきわめて困難な状態になっておると思いますので、特に中小公庫、商工中金に対しましては、私ども現在特別にそういう配慮をするようにというような指導をいたしております。
○中村(重)委員 非常に未払いが大きい。そう簡単には払わないだろう。簡単に払わないかもしれぬが、払わないであろうというふうにあきらめないで、一つうんとあなたのファイトで指導してもらいたい、こういうことをひとつやってもらわぬと困ります。それはもちろん政府としましても、政府資金を融資していくという適切な措置はおとりにならなければなりません。経営者は十分能力があるんだから、経営者に対しても、中小企業をいじめないように、十分ひとつあなたのほうでは情熱を傾けて取り組んでいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。 あと二点だけ、締めくくり的に政務次官と保安局長にお尋ねします。 保安教育との関係があるわけですが、当日は扇風機をとめておったともいうし、とめてなかったともいうのです。これは相当大きな事故をさらに拡大をしたということに関係があろうと思うんですが、これに対してはどうつかんでおられるか。またどうすることが適切であったとお考えになっておられるか。それから、そういう場合を予想しての教育はどうしておられるか。
○田原政府委員 当時扇風機をとめたという事実はございません。あの場合にとめたほうがよかったか、とめなかったのが悪かったのかという議論はございます。しかし、あの場合にはとめなかったほうが妥当であったと思っております。あの場合に扇風機をとめるとめないは、保安管理者の責任になっておるわけでございまして、保安管理者が決定するわけでございます。
○中村(重)委員 非常にむずかしい問題であろうと思いますが、私もそのことがよかったか悪かったかということについては、軽々には申し上げません。またあたなのほうでも、とめた場合どういう影響があるか、とめなかった場合にはどういう影響があるかということは、よほど真剣に、慎重に検討した後でなければ、これは保安教育の問題とも重大な関係を持つわけでありますので、言うべきでないと思うのであります。あなたがいま、とめなかったほうがよかったと思いますと明快にお答えになったわけでありますが、それが適切であるかどうかということについては言いません。十分ひとつ慎重に研究をして、これからの教育に対処してもらいたいと思います。やはりプラスの面、マイナスの面があったと思いますが、十分その点は考えてほしいと思います。 それから、先ほど私が冒頭にお尋ねをしたことでありますが、合理化というものが保安にいかなる影響を与えたかということにつきまして、政務次官はあまり関心を持っていらっしゃらないように伺えたのでありますが、これは重大な関心を持って取り組んでいただかなければならぬと思います。合理化の行き過ぎということは間違いございません。それから非常に資材が上がっておる。ほかの物価も上がっておる。千二百円のコストダウンの問題、そういうような問題と石炭のコストダウンの問題等々、こまかく根深いと思います。ですから現在進めておる合理化ということが適当であるかどうか。それからいまの労働者は石炭産業そのものにも、石炭の山にも未練を持っていない。むしろ危険を感じておるということは現実の問題であるから、そういう点についてはもっと責任を持って取り組んでいただくのでなければ、あなた方自体が石炭産業をつぶしてしまうという結果になります。ですから、この点は十分ひとつ御留意願いたいということを強く——むしろ私は警告ということばで申し上げたいくらいであります。この点の御注意を促して、私の質問を終わります。
○中村委員長 滝井義高君。
○滝井委員 私は先日、十三日の予算委員会で——石炭鉱業の合理化の進行が、有沢調査団の報告と全く違った姿で進行しておる。そのために再就職計画においても、資金計画においても非常な狂いが出てきておる。離職者の滞留が非常に目立ってきた。同時に、産炭地振興のかけ声は非常に強いけれども、具体的な産炭地振興は遅々として進まない。たとえばボタ山整備事業を見ても、あるいは国営工場を誘致すると池田総理が再三、再四にわたって言うけれども、たった一つちゃちなフィルター工場が田川に一つできただけで、自衛隊の飯塚への移転をやるといったが、まだそれも進んでいない。同時に災害は非常な勢いで激増をしておる。日本における典型的なビルド山であるといわれる三池においても、争議前に比べて四倍も五倍もに災害が激増しておる。もうこれから災害は絶対に起こしませんと言っておるにもかかわらず、また糒炭鉱にガス爆発が起こる、こういう事態は、ある人が私に、大体通産省の行政というのはどこか抜けておるところがあるのじゃないか、何か欠けているものがある、これを見つけることがやはり必要だということを言った。私は見つけようと思うけれども、なかなか見つからない。とにかく、今後はもう災害を起こしませんと言って、一年か二年たつと必ず大災害が起こる。起こったら、必ず連続して起こってくる。一度あることは二度ある、二度あることは三度あるというから、また近く起こるかもしれぬ。私は、よほど注意をしてもらわなければならぬ、その何か欠けておるものは何だろうかということを、やはりお互いにさがしてみる必要があると思う。 私がまず第一にお尋ねをいたしたいのは、三池炭鉱の保安災害調査団の佐山団長が昨夜お帰りになったわけです。予算委員会等の答弁を聞いても、通産大臣は、この団長の答申の結論で三池の再開をどうするかきめますということだったのです、当然もう答申が出たと思いますが、ここでその答申の内容の概要をひとつ御報告願いたいと思うのです。
○田原政府委員 佐山団長の報告は、まだ受け取っておりません。
○滝井委員 新聞等には、なお一、二の点について重要な欠陥があるようであるから、これらの問題をやはり直さなければいけない、そう速急な生産再開というのは、これらの条件がそろわないとちょっと無理だというような意味のことを発表しておるのですが、大臣にはきょうお会いになっておるわけでしょう。
○田原政府委員 私、存じませんが、きょう会っておられないと思います。
○滝井委員 そうしますと、いつごろ答申は出る予定なんですか。
○田原政府委員 きょうあすじゅうにはお会いになると思います。
○滝井委員 そうしますと、きょうあすじゅうにお会いになれば、そこで答申が出る、こう考えて差しつかえないですか。
○田原政府委員 さようでございます。
○滝井委員 そうしますと、この答申によって三池を生産再開するかどうかということの政府の腹がきまることになるわけです。これは国会でも重要な関心を持っておる問題点でございます。御存じのとおり二十日には再び通常国会が始まります。したがって、再開をする前に、政府としては、国会でこれほど問題になっている重大な問題ですから、当然国会にもその答申をとくと御説明を願って、やはり国会の意見も聞いた上で生産再開に踏み切るべきだと私は思うのだが、われわれの意見を述べる機会を与えずにやるつもりか、それとも二十日に通常国会が開かれますから、その上で委員会等も開いていただいて、それから政府の腹をきめていただくつもりなのか、そこらをひとつ明らかにしていただきたい。
○田中(榮)政府委員 まだ佐山調査団長におきまして、報告内容を整理中だと思っております。したがいまして、福田通産大臣にお会いして、口頭で一応その報告をいたしまして、そのときに同時にか、あるいは別途詳細な報告を送付されるのだろうと思っております。そうして大体におきまして、もし報告が一両日中にまいるといたしますと、通産省側といたしましても、これは予定でございますが、十九日ごろその内容を発表いたしたいと考えております。したがいまして、その発表の結果によりましてまた、いろいろ国会におきまして御意見等もあろうと思いますので、この点は通産省側としましても、ひとつ皆さま方の御意見を十分に伺った上で、さらに措置を講じたいと考えております。
○滝井委員 ぜひひとついまの政務次官の言明どおりやっていただきたいと思います。一日二日を争って、また災害が起こるとたいへんですから。どうも三池は黒い霧で包まれておるようでございますから、この霧を晴らしてしまうまではそう簡単にはいかぬと思うのです。事、人命に関することなんですから。糒炭鉱の例がなければ、私もそうあつものにこりてなますを吹くのではないですけれども、今後は絶対保安災害は起こしませんと言っておったのにまた、一ヵ月のうちに起こっておるから、こういう大きな炭鉱の圧力に屈することなく、き然たる態度で、人命尊重を第一義とし、生産を第二として、生産再開をやっていただくくらいのかまえで、ぜひ国会にもそれを十分検討する機会を与えていただいて、そうしてお互いに意見の統一を見たら生産を再開するということで、いまの政務次官の言明どおりやっていただきたいと思います。 次は主として労働省にお尋ねをしたいのですが、合理化のテンポが非常に早くなって、再就職計画というものが変わってきたわけです。先日予算委員会で質問をいたしましたところ、三十八年度に発生する予定が三万四千四百人であった、ところがだんだん合理化のテンポが早くなり、各石炭山の希望退職者が非常にふえ、同時に合理化の繰り上げが行なわれた、それから配置転換等も各石炭山で行なわれたために、三万四千四百人の発生の計画が、四万三百人と五千九百人増加いたしました、こういうのが労働大臣の答弁であったわけです。本年の当初予算を審議するときに、三十八年の合理化に基づいて再就職の計画の資料をわれわれにくれたわけです。この資料の状態が一体どう変化したためにそういうように違ってきたのか。三十八年三月末現在の求職者数が一万八千四百人だったわけです。そうして三十八年の新規の求職者数が出て、求職者の総計が出て、それを公共職業安定所の広域職業紹介とか政府関係の採用とか、産炭地振興による就職とか、いろいろ御説明があったわけです。そうして三十九年三月末のいわゆる三十九年度に繰り越す数が一万八千六百人と説明した場合と一万八千二百人と説明した場合と二通りあるわけです。どっちが違っておるかわかりませんが、その二通りある。その過程においていまのように五千九百人も違ってきておる。有沢さんが朝日新聞に書いておるのを見ると、当初の計画より一万人ふえるということになっておる。専門家の有沢さんは一万人となっておる。大橋さんは五千九百人と私に説明した。どちらがほんとうなのかよくわかりませんが、大橋さんの五千九百人がほんとうだろうと推定して、それでもけっこうですから、その数字の動きをひとつ要領よく御説明願いたいと思うのです。
○有馬政府委員 当初の計画と違っておる点を簡単に御説明申し上げます。 当初計画では三月末の求職者数、すなわち前年度からの繰り越し数でございますが、これが一万八千四百人であったものが、四百人ふえまして一万八千八百人、それから三十八年度中に新規に発生するであろう求職者の総数、これは離職者の大部分が求職者になるわけですが、当初は三万四千四百人であったものが四万三百人と、ここが五千九百人増になったわけでございます。あと安定所の紹介就職者数のところは当初計画どおり一万九千人、これは十月の手直しにおいても依然一万九千人でございます。また産炭地域の振興事業団の事業に就職する予定者数も、当初計画どおり二千八百人でございます。それから会社あっせんによる就職者数、そこが変わりまして、当初計画では九千人であったものが、手直しでは一万一千六百人、ここが多少入り組んでおるのでございますが、重複分の計算等がございまして、実際には一万一千六百人と九千人の差額の二千六百人の差のみならず、重複分の差し引き勘定いたしますと、実際にふえる分はここで三千九百人、三千九百人の重複分の計算上の修正がございまして、そういう重複を差し引きますと、二千六百人の増が実質においては三千九百人の増になるわけでございます。それから最後に自己就職、帰農等の数でございますが、当初計画では五千百人が、手直しにおきまして六千九百人、ここで千八百人の増になるわけでございます。したがいまして就職者等の合計は、当初計画において三万四千二百名であったものが、手直しの結果三万九千九百人、ここでプラス五千七百人増になっておるのでございます。その結果、来年の三月末の予想でございますが、当初計画におきましては一万八千六百人——先ほど一万八千二百人という数字があったようでございますが、われわれの当初計画では一万八千六百人でございます。これが手直しの後における予測数では一万九千二百人、六百人の増になっております。先ほどの就職者等の合計五千七百人と残高の増六百人を合わせますと、六千三百人で、先ほどの出入りが全部計算上合う二とに相なるかと思います。
○滝井委員 結局一万八千六百人が一万九千二百人と、滞留者が増加をしたわけです。しかもその中で、たとえば二千八百人の産炭地域の振興のごときは、その中の千二百人はボタ山処理事業なんです。ところがボタ山処理事業は、いまのところ二百七、八十人しかいっておらぬ。それから産炭地振興でやるといったって、これはほとんど新しく中学校、高等学校を卒業した、家計補助的な、縫製工場その他、九千円から一万二千円程度の労働ですよ。いわゆる主たる家計の保持者が就職している率というのは非常に少ないわけです。こうやって見てみますと、産炭地振興の二千八百人も、会社あっせんの一万一千六百人の中にも、これは水増しが出てくるわけです。いわんや自己就職の五千百人が六千九百人になるというのは、これは農村に帰って滞留ですよ。とりあえずふるさとの鹿児島や宮崎に帰ろうか、こういうことなんです。だから実際的には来年の三月に繰り越される数というのは、一万九千どころじゃない、二万をこえる。特に福岡県のごときは、滞留者が非常に増加してきている。その証拠には、生活保護を受ける人がウナギ登りに増加してきているのを見てもわかる。全国平均が千人について十七人か十八人、それが百二十人、百三十人ですよ。これを見ても、滞留者が急激にふえているということがわかるわけです。だからこれは、有馬さんのほうでもう一回再検討していただく必要があるのではないか。その再検討の過程の中で出てくる問題は、どういうことが出てくるかというと、一つ一ついきますが、まず第一に就職促進手当です。 これは四百五十円を六百円にしてくださいと言ったけれども、自由民主党はがんとして聞かなかったわけです。しかし御存じのとおり、池田さんの政治のもとでは、ことしは二・八%しか物価を上げませんと言っておったけれども、九月現在で九%上がっておる。それで、国家公務員のベースアップもあったわけです。こういう炭鉱離職者を、扶養加算も加えて四百五十円程度では、どうにもならぬわけです。これは算定の基礎があるわけですが、これはこういう計算をしているわけでしょう。炭鉱離職者の失業保険の平均日額は三百七十七円だった。それをアップ率を九円ちょっと見て、それから扶養加算を十七円見て四百五円、これを基礎にしておるわけです。だから、公務員の給与も上がっておるし、それから扶養加算だって、食いぶちについては物価が上がれば十七円以上かかる、こういうことから当然上げなければならぬと思うのですが、この扶養加算の問題について、有馬さんのほうとしては、何ぞ来年度を待たんやと私は言いたい。ほんとうは第三次補正予算でさかのぼって、公務員が十月にさかのぼってやるのですから、さかのぼってやってもらわなければならぬと思う。その点、就職促進手当については一体どう考えておるかということが一つ。 立ったついでですから一緒に言いますが、同じように職業訓練手当です。職業訓練手当は一万二千二百五十円です。この一万二千二百五十円の算定の基礎はどういうことになっておるかというと、これは暦日で計算して日額三百六十円の三十日分、同時に技能習得手当七十円を二十五日ですから二十五かけて一万二千二百五十円というのを出してきている。これが算定の基礎です。大の男が休んでおったら、三百六十円で一日食っていけるであろうという算定のもとにきておる。そうすると、物価が上がっておるのですから、三百六十円ではなかなか食えないという状態が出てくると、当然修正しなければならぬ。一万二千二百五十円についても修正しなければならぬという客観情勢が出ておるわけです。 それから就職指導手当九千百五十円、これもやはり同じことだと思うのです。これは三百二十円の三十日分で、平均したらたぶん九千六百円くらいになるんだけれども、これだって三百二十円のもとはやはり上げなければならぬ、こういう問題がある。これらのものは、根本的にさかのぼって、何を基礎にしておるかというと生活保護費です。これは一級地一万四千二百八十九円、福岡は二級地ですから一万三千三円、これの八割五分程度でしょう。そうすると一万一千五十三円、こういうところを基礎にして、これをつくっておるわけです。したがって当然厚生省は二割二分くらい生活保護費は上げなければならぬ。二割二分でも少ないと思う。この主食の経費を見ると、六十歳の成年男子が一食二十五円、一日七十五円です。これは東京でですよ。ところが二級地になると、もっと下がる。鹿児島のようなところならば、主食が一食十八円です。これで大の男の、平均年令三十八才の炭鉱離職者に食えといっても無理なんです。東京で一日七十五円の主食で生活してみよといっても、とても食えない。 こういう実態ですから、池田さんはまず格差を解消すると言っておるし、労働省も賃金の格差を解消することが賃金政策における一番大事な点だとおっしゃっているわけですから、まず隗より始めよで、こういう貧しい階層の底辺における底上げ政策は当然とらなければならぬ。公務員が自分たちの給料だけは六・七%引き上げて、十月にさかのぼるけれども、炭鉱離職者や他の者は来年の四月一日でいいなんということは、きょう大蔵省は呼んでおらぬけれども、まさか大蔵省は言わぬと思うのです。ここはひとつ労働省なり通産省がヒューマニズムの精神でやってもらわなければいかぬ。死んだ人にもやらなければならぬが、生きた人にもこういうことをやることが罪の償いだと思うのです。どうですか。いまの就職促進手当、職業訓練手当、就職指導手当、これらのものを直してもらうと、当然失対の賃金、大河内さんが最近やめて近藤さんにかわりましたか、あそこの賃金の問題も同じくこれで影響してくることになる。あれは四百五十八円です。生活保護と四百五十八円の日雇いの賃金を基礎にして、これらのものがきめられているのです。そこで、これらの三点に対する労働省の見解をお聞かせ願いたい。
○有馬政府委員 三つの手当について御指摘がございましたが、私ども算定の基礎の考え方は、必ずしも先生が御指摘のような考え方だけをとっているわけではございません。特に最初の就職促進手当の最高額を、四百五十円に現在の臨時措置法できめられておる。このほかに今回の失業保険法の改正で扶養加算額が二十円、二十円、十円ずつということになりますので、平均的に見ますと約五十円程度別につきます。したがいまして、現状におきまして日額五百円程度の促進手当になっておるのでございますが、これの値上げといいますか、最高額の改定という問題は、実はいろいろ問題があるのでございます。私ども、終局においては離職者を再就職させるという、就職のための促進手当でございますので、ちょっと現在の状況をそういう見地から見てみますと、大体産炭地地元における再就職賃金が現在二万円前後に男子の場合なっております。名古屋、大阪方面に出ていった場合に二万四、五千円になっております。したがって、地元の再就職賃金と比較してみますと、黙って手当をもらっておるだけで、月に一万五千円もらう。再就職すれば、地元では、県内では二万円前後にしかならないので、そうなりますと、家賃、光熱費あるいは交通費等を考えると、四、五千円の差では再就職の意欲を阻害しておる事例も、現地の報告からいたしますと相当ございます。したがって、ほかの手当と違いまして、これは先ほど御指摘のように、失業保険の日額表から割り出しておる問題で、平均一律の額ではございません。最高を押えております関係で、現在最高に該当するのが四割程度あるいは五割近くになっておるかと思いますが、そういう状況で、これは最高額をいじるということは、ほかの手当とは非常に性質が違うわけでございます。まして、再就職の促進というよりは滞留促進的な非難も多少受けておる問題でございますので、この引き上げについては相当慎重を要するのではないか。これはわれわれ事務当局が考えておる考え方でございます。加えまして、この四百五十円の問題は、昨年の国会で与野党間にもみにもんだ問題でございますので、私どもの事務的な考え方だけでとやかく意見を申し上げるわけにもいきませんので、現在与党の先生方の御意見等もこの問題については特にお聞きをして、予算編成にあたっては善処をしてまいりたい、かように考えておるのでございます。 それから、ほかの二つの訓練手当と指導手当、これは先生、生保との関係で算定の基礎を御説明いただきましたが、もちろん生保とのかね合いということもあろうとかと思いますが、私どもの考え方としましては、失対賃金との関係ということをより強く考えておるのでございます。したがいまして、失対賃金については今度の法改正で、民間の類似の作業に従事する労働者の賃金と同様にきめる、こういうふうな考え方になって、現在失対賃金審議会で、大河内先生は会長をやめましたけれども、近藤先生が会長をなさって、大河内先生も当分委員にとどまられまして、この問題についての考え方の方向を近く出していただく予定になっております。二十一日に年内の最終の審議会を開催いたしますので、その際には大体の考え方の骨子がまとまると思います。その骨子を基礎といたしまして、来年度の失対賃金の予算上の単価、大ワクをきめてまいる予定にしておりますが、この失対賃金との関連において訓練手当及び指導手当の額の引き上げを検討してまいる、こういう手順で現在考えております。失対賃金も、ある程度、そういう考え方ではじき出した場合にも、上がるという方向で結論が出ると思いますので、そのかね合いにおいて訓練手当、指導手当は検討してまいりたい、かように考えております。
○滝井委員 就職促進手当四百五十円の頭打ちプラスの扶養加算、妻、第一子、二十円、二十円で、第二子以下十円という、これは与野党もみにもんだ。与党の先生の意見を聞かなければいかぬ。こういう問題を政治的にやるところに問題があるので、むしろ事務当局がさらっと科学的な結論を出してやるほうがいいと思うんです。御存じのとおり、これが四百五十円程度でいきますと、筑豊炭田では二級地で生活保護が一万三千三円ですよ。生活保護のほうがよくなってしまうんですよ。与党の先生ががたがた言うならば、生活保護にいこうということになってしまう。それではいけないので、やはり就職促進手当として出して——あれをやったら職安に行って面着しなければならぬですから、もらうにもそういう形にしなければならぬ。そうしてできるだけ職業訓練をやっていただいて、中高年齢の皆さん方がいい職場を開拓できる姿をとっていくという職業安定ベースでいかないと、厚生省の生活保護ベースで処理する形にしてはいかぬと思うんです。そうでなくてさえ、人間がスクラップ化しておるではないか、炭鉱のスクラップ化だけではなくて、人間もスクラップ化しておるではないかといわれておる。私は労働行政のワクの中に置くとすれば、生活保護よりも上でなければならぬと思うんですよ。そういう点をもう少し有馬さんのほうで配慮していただいて、こういう問題は早く決定すべきであると思うんです。あなた方の給料も上がるんですから、あなた方の給料も四月一日だといったら、いや、それは困る、人事院は五月と言ってるじゃないかとみんながおっしゃっておる。お互いに自分の気持ちをやはり他の気持ちに持っていかなければならぬ。それが政治だと思うんです。それが行政だと思うんです。そういうところに何か抜けておるから、監督行政その他において大きなミステークが出てくるという感じがするんですよ。自分もつねられたら痛いですよ。人につねられたら痛いですから、自分の痛さをもって人の痛さを推測するということは、昔からのイロハですよ。そのイロハのところを、お互いに物価が上がって苦しいのですから、やってもらわなければいかぬと思うんです。それを与党の先生方と野党がごたごた言ったから、どうもあつものにこりて、なますを吹くという形でなくて、積極的にこれを打開する方法をやはり行政がつくっていくという形をぜひしてもらいたいと思うんです。どうも遅々として進まぬからいかぬですよ。 もう一つ、同じことがある。同じ問題が、今度は厚生省にあるわけです。それは厚生年金の併給の問題です。これも与党さんのほうでは今度は、きょうの新聞にも出ておるように、軍人の遺族については無拠出年金との併給をおやりになる、こういうことですね。そうしますと、制度の違う厚生年金と労災の併給がどうしてできないかということです。まずいままでは、厚生年金と労災とは併給してないわけです。これは長期療養の給付においても、ちびって削限しておるわけです。同時に、死亡した場合だってこれは問題が出てきておるし、あるいは千日分の打ち切り補償をもらった場合だって併給していないわけです。労働者は厚生年金の掛け金は堂々とかけておるわけでしょう。同時に労災の掛け金も、これは事業主がかけてくれておるわけです。ところが政府は政治的な力で、かってに両者の併給を禁止しておる。ところが今度は同じような、非常に国のために尽くした遺族のためには、無拠出の年金の併給を現実におやりになる。七万円が限度だったが、今度は九万円まで引き上げておやりになる。ところが同じ遺族であり、日本の生産に寄与した炭鉱労働者の遺族のために、どうして国は厚生年金と労災との併給ができないのか。そのできない理論的な根拠をひとつ明らかにしてもらいたい。
○曾根田説明員 いまお尋ねの件でありますが、厚生年金の場合は、他の公的年金も原則的にそうでございますが、いわば社会保障的な意味で、年金による保障は必要最小限度で重点的に行ないたいという考えから、同一の事故について他の制度から給付が行なわれる場合には、その期間は最小限度厚生年金の受給は遠慮してもらいたい、そういう考え方で、現在厚生年金を含む各種制度において、業務上の災害による給付が行なわれる場合には、おおむね原則的に六年分の生活を見るという考え方に立って、六年間は厚生年金の給付を停止するということになっております。これは労災に限らず、たとえば交通事故等で傷害、廃疾になった場合に、民間のほうから賠償責任に基づく金品の給付があった場合にも、給付停止をしておるわけでございます。趣旨は要するに年金としては最小限度、生活に困った場合に重点的に行なう、そういうことにあろうかと思います。
○滝井委員 そうしますと、今度は国民年金の遺族年金が、恩給の公務扶助料に併給されるわけですね。これは政治的にきめたから、私たちはやむを得ません、涙を流して引き下がりましたと言われればそれまでかもしれませんけれども、そういう問題をおやりになったということが一つ。もう一つは、御存じのとおり、いまの日本の厚生年金で二十年掛け金をかけても三千五、六百円か三千七、八百円でしょう。これでは食っていけない。ILOの百二号でも、国際的な基準は平均債金の四割ならばいいわけです。ところが日本は一割四分でしょう。一割四分という低いものさえ、保守党の政府はやろうとしないのですな。これで一体人づくりの政治といえるかということです。こういう点は、私はこの前も率直に言った。日本の政治は官僚政治だ。ここにいらっしゃる方々が実力者だと言っているのです。あなた方が良心を出して、これはやっぱり日本の政治の現状からやらなければいかぬのだと言えば、与党のがんこな人も、なるほどそうか、やろうと、こうなるんですよ。あなた方が言い出さないからやらないのですよ。野党が言うと、社会党の滝井のやろうが言うたから、今度滝井が当選確実になるからいかぬということになる。あなた方が言うたら、そうはならぬのですよ。理屈は通っておるのだから。遺族をそういう形で公務扶助料と無拠出の年金を併給しているんだから、今度は炭鉱の罹災者のためには、二十年掛け金をかけて月に三千五、六百円では食っていけませんから、やっぱりこれは厚生年金と労災とを併給する必要がある、こういう形に持っていかれると、遺族というのは非常に楽になるんです。お互いにほんとうに夫を失った未亡人の気持ち、父を失った子供の気持ちになることが必要なんです。この気持ちを行政が推進をすれば、私は必ず通ると思うのです。だからあなた方がそれを今度の予算要求でやったら、大蔵省も血と涙を持っておると思うのです。血も涙もない大蔵省じゃないと思う。私は五兆円の道路をつくる前に、こういうことを先にすべきだと思うのです。人間があっての道路です。人間がなければ、幾ら五兆円の道路ができたって何にも役に立たぬ。だから人間を先にやるという精神を私は持っていっていただきたいと思いますが、どうですか。あなたのほうは今度は、労災の打ち切り補償をもらった場合には厚生年金を六ヵ年停止するのをやめて、併給をするという方針を出しますか。同時に、基準局長、あなたのほうも、これは結局鐘が鳴るか撞木が鳴るか、両方が合議して大蔵省に要請しなければならぬ。打ち切り補償をもらいますと、その六年間分ということで六年間は厚生年金を停止されるわけですね。法律は厚生年金法ですが、それをまた甘んじておるのが労働省ではいかぬので、あなたのほうも、こういうことはヒューマニズムの精神に反するということで、厚生省と労働省がこの法律を直すために一体になればいいわけです。どうですか。これは両方合議をして、ぜひひとつことしの予算要求にはやってもらって、そして三池の遺族には適用するくらいの、四月一日にさかのぼってでもやるくらいの——公務員の給料はさかのぼるのだから、さかのぼるくらいの意欲を持ってやってもらいたいと思うのですが、どうですか。
○村上(茂)政府委員 労災の遺族補償の制度は、御承知のように、平均賃金の千日分を一時金で支払いますから、それをもし分割支給とする場合はどうなるかと申しますと、御承知のように、六年分割という制度になっておるわけであります。そこで問題は、基本的にそういう遺族補償費のあり方がいいかどうかという根本問題が一つあろうかと思います。その点につきましては、いずれごく近い機会に、労災保険制度の改善に関する諮問を労災保険審会議に行なう予定でございますから、この点につきましては非常に問題があろうかと思いますけれども、審議会において十分御審議をいただきたいと考えております。ところでいま御質問の厚生年金との調整でございますけれども、何分にも法律の立て方が厚生年金保険法のほうに規定してございますので、六年分割するとすれば、厚生年金のほうで調整するという問題が、現制度では一応考えられるわけであります。したがいまして、厚生年金保険法のその部分を労働省側でいま改正しろとかどうとかいう点については、いま申しましたように、基本的な問題検討の機会もございまして、そういった際にあわせて行なうのが適当ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。いずれにいたしましても、先生の御指摘になりました前向きの姿勢でいろいろ検討しておるわけでございます。
○滝井委員 そもそも厚生年金は、労使双方折半で保険料をかけてつくっておる。労災のほうは法律のたてまえ上、事業主が保険料全額をかけてやる。制度が違うわけです。この二つの制度にたまたま労働者が入っておるわけです。一つの制度しか入っていなかったら、これはいいわけなのですからね。たとえば厚生年金に入っていなかったというときには、そっちだけもらえるわけでしょう。しかしそうでなくて、たまたま二つに入っておった。しかし掛け金をかけておるのだから、二つとも権利があるわけです。それを政治的な権力で、わずかな金しかくれないのに、併給を禁ずるというところに問題があるというわけです。そこにはヒューマニズムが欠けておるのです。これは私に言わせれば立法者が悪い。当時の立法者は血も涙もなかった。いまや政治家は血も涙も持ったのだから、それを改めてもらいたい。その改めてもらう原動力は、滝井義高が言うとまた保守党が頑迷になるので、ひとつお役所のほうからそういう原案を出してもらいたい。それには労働省と厚生省が合議をして、それはお互いに関連があるのですからやってもらいたい、こういうことなのです。幸いに厚生年金の改正がいま進行中なのですから、出してもらいたい。これは出さなければ修正をするつもりだけれども、修正を受ける前にヒューマニズムを発揮してもらいたいと前もって言うておきます。これであなたのほうが出さなければ、厚生大臣に、血も涙もなかったということでもう一ぺん食い下がらなければならぬ、それでは時間が不経済だから言っておきます。 もう一つ、今度の三池の災害を見ても、あるいは糒炭鉱の状態を見ても、炭鉱労働者の平均年令は三十八才です。そうすると、夫を失った妻の状態を見ると、四十才以下が多いわけです。そうすると、厚生年金の遺族年金は、妻が四十歳以上でなければもらえないのです。なぜそうなるかというと、四十歳以下だったら再婚ができる、あるいは仕事ができる、だから遺族年金をやる必要はない、こういう冷酷無情な精神にこの立法は発しておるわけです。では、代議士が死んだら、十年若い奥さんをもらっておいて遺族年金がいかぬかというと、これはおそらくいくのじゃないかと思うのだけれども、こういう点はあまりそう言わずに、むしろ遺族年金は現在の妻には差し上げます、しかしあなたが再婚をしたらこれは差し上げませんよということに書きかえたほうがいいのじゃないか。再婚をするのに偽る人はいないと思うのですよ。内縁の妻でも、いまは恩給は差し上げますからね。だから内縁関係を結んだ場合はだめです。何人かは目を盗む人がおるかもしれません。しかし、それくらいは目を盗まれてもいいじゃありませんか。不幸な女、不幸な妻だったのですから。こういうときこそ池田さんは、寛容と忍耐の精神を出さなければいかぬと思うのです。そういう点は、とくと厚生大臣を通じて閣議でも池田さんに話して、そして四十歳以下の妻にもやはり遺族年金を差し上げる。遺族年金を差し上げたって、これは半分でしょう。三千五、六百円しか月にやらぬのを、半分の千五、六百円を差し上げるのですから、そう目にかどを立てなくてもいいわけだと私は思うのですよ。こういう点、どうですか。
○曾根田説明員 ただいま御指摘の点は、実はいま作業中の厚生年金保険法の改正の一つの検討項目に私ども考えておりますので、いろいろ問題はあるわけでございますけれども、いずれにしても検討をいたしてみたい、こういうふうに考えております。
○滝井委員 ぜひすみやかに検討してもらいたいと思います。 次は村上さんのほうになります。いま、死にます。そうすると、平均賃金千日分の労災をいただけるわけです。この千日分というのが少ないということです。御存じのとおり、三池の労務者、日本の一流の炭鉱、世界においてもそう数の多くない炭鉱、これが労災と退職金と合わして、一人の人間が死んで、百五、六十万円ですよ。しかもまっ黒になって、ガスの中で手と足をばたばたさせながら一酸化炭素中毒で苦しみもだえて死んで、そして百五十万円です。これではあまり少ないと思うのですよ。労災のこの千日分というのは、生きて脊髄骨折をやりますね、これのほうが多いのです。私は、どうして生きている人間が多くて、死んだ人間が少ないかと調べてみたところが、脊髄骨折をやって生きている人間は奥さんの看護が必要だから、したがって奥さんが働けない、だから多いのだ、こういうことになっているらしい。こういう点は、脊髄損傷のような、もう生涯かたわで、生けるしかばねになっている方々についても、私はあとで問題にしますが、引き上げなければならぬと思うのです。しかし、これは死んだ千日分について、やはり再検討する時期がきておると思うのです。これはちょっと少な過ぎると思うのですよ。しかも、退職金と労災と合わせて百五、六十万。かつて私のところで、堤が陥没をして、坑内へ水が入って人が死にました。そうしたら十三万円の人がおった。事業主が保険料を支払っていなかったために、給付の制限を受けて、五割しかもらえなかった。十二、三万円です。親は泣いたですよ。一人の大事な、二十五歳まで育てた子供が、たった十二、三万円しかもらえぬですかと言って、天を恨んで泣いたのですが、そういう点から考えても、やはり一人の人間が死んだならば、定額をここに百万なら百万を必ずあげる。労災で死んだら定額は百万、そしてそれ以上給料の額に応じて、たとえば累進的に幾らかふやしていくという形をとるべきだと思うのです。最近ごらんなさい。自動車にひかれて、交通事故だっていまの五十万では少ない、百万か二百万にしなければいかぬという論が起こっている。交通事故でもそうですから、いわんや日本の産業に貢献をして働いておる現場でなくなったというのに、これではいかぬと思う。だから定額の最低は百万なら百万、賃金とか勤務年限に応じて累進的に額がふえていくというくらいの、何かくふうをこの際労災はする必要があると思うのですが、その点どうですか。
○村上(茂)政府委員 その問題は労災補償制度の根本に触れる問題でございまして、いま先生がおっしゃったような形にいたしますと、いまの労働者災害補償という制度の本質がかなり変更を受けるという問題が生じてまいります。つまり、労災が使用者の無過失責任を前提にいたしまして、そして労働者のこうむった損失をてん補するという制度として従来も考えられ、現在の制度も出てきているわけですから、損害をてん補するという見地から、その損害算定の基礎にいたしますのが賃金であるわけでございます。それを、一律に百万なら百万という最低保障制度を現行制度に導入するという場合に、それがどういう趣旨のものであるか、そこまで使用者の無過失責任に由来するところの損害てん補の制度として考えられ得るかどうかということになると、かなり問題がある。それと、実際的には、労働基準法で個別使用者の責任として災害補償条項がありますが、個別使用者にそういう責任を課しても、現実に支払う担保能力があるかという問題が出てまいります。そうすると、保険によらざるを得ない。そうすると、皆保険というような体制をとらなければ、零細企業あるいは保険に加入していない、ほんとうに担保力の問題になるような事業で問題がでてくる。そこら辺にいろいろ検討を要する問題があるわけでございます。いま直ちにその制度を労働者災害補償制度に導入し得るかどうかという点については、非常に問題があろうと思いますので、先ほど申しましたように、近く労災保険審議会に労災保険制度の改正を諮問いたします際に、こういう問題も含めて御審議をいただこうという考えでおります。
○滝井委員 この問題は、災害の起こるたびごとに、いつも問題になっておる。私も何度かこの問題を言ったのです。しかし、今度三池の問題を見て、少し腹に据えかねる点もあるので、こういう問題はやはり速急に解決すべきだと思うし、また最近の労災のあり方、企業のあり方等を考えても、たとえば経済同友会等の進歩的な経営者は、企業というものはもはや個人が私すべきものではない、企業は社会の公器であるという考え方になってきておるわけです。そうしますと、しかも無過失賠償責任論をとるとすれば、国の生産に寄与しておるということで、国がある程度保険料を出したらいいと思うのですよ。そういう意味で、不足分は国が出してやる、事業主の保険料でまかなう分が五十万円しかいかないならば、あとの五十万円は国が出す。そんなに何千万人の人が死ぬわけではないのですから。そういう点で、最近は労災の金も余っておる。最近は三十万も四十万も返したこともあるわけですから、余っているわけですから、そういう金は返さずに、そういう財源に使うべきだと私は思うのです。あなたの前はだれが基準局長だったか、いまの次官だったかのときも、金が余って三十二、三万円の金を事業主に返したのですよ。保険料を低くしてやったのですよ。そういうメリット・システムで返しておりますから、そういう点、これから保安の問題の安全運動がほんとうに実質的に地についてくると、だんだん災害は減る方向になってくる、そうなれば金は余る。たとえば、いま生命保険会社を見てごらんなさい。あるいは火災保険会社を見てごらんなさい。いまうんと金が余って、困り始めている。生命保険や火災保険の会社の金の蓄積は、ばく大なものですよ。ばく大なものになってきている。それと同じ形が私は出てくると思う。そういう意味で、私は百万円の定額をしても悪くないと思う。何でも審議会審議会というけれども、政党政治ですから、行政と政党の責任で、私はこういういいことはどんどんおやりになることが必要だと思うのです。村上さん、自分が死んだ場合のことを考えてみると、やはりわずかの金では奥さんが路頭に迷うことになるわけで、自分のためは人のためと思って、ぜひひとつ早急に検討をおやりになっていただきたいと思うのです。 これと類似の問題が長期療養給付です。今度労働大臣は、三池の一酸化炭素中毒の患者の諸君がもし後遺症が残れば、じん肺法を適用いたします、こういう答弁をされておるわけです。ところが、御存じのとおり、この第一種傷病給付が二百四十日分ですか、第二種が二百日分ですね。現在脊髄損傷を受けたり、じん肺患者は、これではどうも食えませんと言い始めたわけです。二百四十日分では、あるいは二百日分では食っていけぬ、これを上げてください、こう言っておる。もうじん肺法が改正されてから三年くらいになりますから、だいぶ日にちがったわけです。物価も上がったし、人件費も上がっておるわけですから、こういう点の検討も当然行なわれなければならぬわけです。これもまた労災審議会とかいうと、間に合わぬことになるわけですが、いまの次官の堀さんのときには、私が言ったら、これはもう現在検討しておりますということを、去年の初めか、おととしの暮れには言っておったのです。これはもう結論が出ておるはずだと思いますが、どういうことになっておるのでしょうか。
○村上(茂)政府委員 ただいま御指摘の日数で、年金額として年に二百四十日分あるいは二百日分出すという率そのものについては、国際的な比較を見ましても、そう低くはないと思うのでございます。問題はその基礎になる賃金の計算、しかもけい肺患者におきましては、坑内労働をしておって、かなり賃金を高くとっておった労働者が、けい肺にかかりまして坑外夫になる、賃金が低くなる、その低くなった賃金を基礎にして二百四十日分なり、あるいは二百日分という計算をされているわけで、この根っこになる賃金の計算をどうするかということが非常に問題になるわけでございます。 そこで、その賃金計算につきましては、実態に合うように行政的に措置をいたしておりまして、その問題は賃金算定の手段、方法によりましてある程度カバーできると思います。ただ長期療養でございますから、賃金にスライドさすというスライドの関係が円滑にいきませんと、うまくいかない。そこで根っこになる賃金の額、スライドの働かし方、その他いろいろな要素が関連しておると思いますので、その点総合的に判断せざるを得ないと思っております。御指摘のじん肺患者の平均賃金の非常に問題のある点については、是正をいたしておる次第でございます。
○滝井委員 ちょうど恩給が一万二千円ベースから一万五千円、二万円べースと上がるように、やはり物価の上昇、あるいは国民生活水準の上昇、あるいは国民所得の増加、こういうようなものにスライドする方法をとらないと、いまあなたの指摘されたように、けい肺の患者というものは、だんだん働いているうちに配置転換を受けて、そうして一症度、二症度、三症度とだんだん進むにつれて、四症度くらいになると心肺機能の障害が激しくなって、どうもこうも働けぬ、賃金が安くなってしまったというときになって初めて入院だ、こういうことになるわけです。だから、そもそも入院したときの賃金が安いから、二百日分とか二百四十日分とかもらっても非常に少ない、こういうことになるわけです。そういうことだから、何かやはり配慮を加えて、入院をしておっても、通院をする場合だってやはり、豊かに食えなくたって、貧しいながらも食っていける、最低の生活だけはやっていけるという体制をつくらなければいかぬと思うのです。そういう点で、どうもこの点は欠けておると思うのです。われわれも法案を審議するときにはずいぶんがんばったのですけれども、数が少ないために押し切られてああいう形になっております。しかしあれからだいぶ日にちもたちましたから、もうここらで、少なくとも、二百日とか二百四十日のその日数は変えなくても、基礎になる賃金については何らかの形でプラス・アルファをつけて、そうして生活の安定ができる道を講ずる必要があると思うのです。これは各療養所に入院をしておる患者から、脊髄損傷者にしても、あの人たちは自分が来れないものですから、ほとんど国会のたびごとに請願、陳情が来るわけです。だから、こういう点はすみやかにやっていただきたいと思います。次の通常国会にこういう問題を取り上げられましょうか。
○村上(茂)政府委員 この次の通常国会には、法律改正という形ではとても無理かと思います。ただ、いま御指摘の長期療養者の賃金の問題につきましては、スライド制も法律の中にあるわけでございます。数多い患者の中でございますから、個別的に見ました場合、不都合な状態にあるという方もおられると思います。十分実態を調査しまして、特に賃金計算につきましては、私ども十分配慮するという考えで指導したいと思っております。法律改正はやや先になると思いますけれども、それまでの間の措置としては、できるだけ実情に合うように処理してまいりたいと思っております。
○滝井委員 そうすると、そのスライドの問題というのは、労働省の省令か政令でできることになるわけですね。
○村上(茂)政府委員 はい。
○滝井委員 ひとつ政令、省令でそういう点を改正してもらうと、今度の三池の一酸化炭素中毒の後遺症の人が出てくれば、その諸君にもこれは直ちに適用することができるわけです。ぜひすみやかにそういう措置をとって、今度の罹災者にも恩典がいき、同時に、いままで苦しんでおるけい肺の患者なり脊髄損傷の患者にもいけるようにひとつお願いをしておきます。これで私は終わります。
○中村委員長 次会は明十八日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十七分散会