社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/12/17
会議録
○田口委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 本日は雇用問題に関しまして若干の質疑を行なってまいりたいと思います。 特に、まず第一に取り上げてお尋ねを申し上げてまいりたいと思います点は、それはすでに御承知のように、先般来アメリカのマクナマラ国防長官によりまして、アメリカ軍の削減をめぐりまする発表が行なわれたわけでございます。その内容の若干を御指摘申し上げますると、マクナマラ・アメリカ国防長官によりますると、大体いまドル防衛、経費節減のため、米軍基地施設を大量に閉鎖するという内容のものでございます。これは大体今後三ヵ年半の間に実現するというのでございますけれども、そのために軍人が七千八百人、民間雇用者が八千五百人、こういうように大量の軍人あるいは民間雇用者というものが配転または失職をする、こういう実は内容のものでございます。したがって、このために日本におきまする影響というものが非常に甚大なものがあろうというようなことが、実はすでに報道をされておるわけでございます。したがって、いろいろ具体的な点につきましては後ほど防衛庁長官ないし施設庁長官に対しましてお伺いを申し上げたいと思うのでございますけれども、特に労働大臣御出席でございますから、このアメリカの基地集約によりまして、いろいろと日本の基地に働きまする労働者に対しまするところの影響というものが出てまいる可能性が当然出てまいるわけでございますので、われわれはそういう点について若干労働大臣に御所見のほどを承ってまいりたいと考えております。 特に私どもが強く指摘をしなければならぬと思いまする点は、今日まで駐留軍労働者というものが、アメリカ軍の戦略の変更あるいはまた予算事情によりまして、いつ失業のちまたにほうり出されるかわからぬ、こういうような不安定な状態に置かれておりますることは御承知のとおりでございます。したがって、ある意味におきまして私は、駐留軍労働者というものは潜在失業者的な性格を持っておるものであろう、こういうことも考えられると思います。すでに今日まで二十数万の駐留軍労働者が整理をされ、あるいはまた首切りが行なわれたのでございまするけれども、このようにアメリカ軍の戦略変更、あるいはまた予算事情によって、逐次駐留軍労働者というものが整理をされなければならぬ、あるいは首切りが行なわれるような情勢にございますことは、これはもう必然の理でございます。したがって、そういう駐留軍労働者に対しまする雇用安定につきまするところの方策というものが、私は当然確立されなければならぬ、こういうように考えるわけでございますけれども、そういう点について労働大臣はどのようにお考えになっておりまするか、この際ひとつ明確にお答えをいただいてまいりたい、かように存じます。
○大橋国務大臣 駐留軍関係労務者にしてその職を離れる方々に対しましては、従来から駐留軍関係離職者等臨時措置法の規定に基づきまして、その対策につとめてまいったところでございます。労働省といたしましても、その一環として従来のいろいろな離職者対策、すなわち職業訓練、職業紹介の実施、及びその裏づけとしての職業訓練手当、技能習得手当、職業訓練寄宿手当、移転資金等の援護業務の措置を講じまして、その再就職の確保と雇用の安定をはかってまいったところでございます。また駐留軍関係離職者中には中高年齢者が多いことにかんがみまして、本年十月から新たに設けられております中高年齢失業者等に対する就職促進の特別措置をも活用いたしまして、手当を支給しつつ職場適応訓練を実施するなどの措置を積極的に推進いたすことによりまして、駐留軍離職者の安定的職場への再就職の促進につとめたいと思っております。
○河野(正)委員 いま大臣からお答えになりました、たとえば離職者の職業訓練だとか職業紹介であるとか、あるいはまた訓練手当、技能習得手当、こういう面はなるほど離職者対策ではございますけれども、雇用面から申し上げますと、私はきわめて消極的な面であろうと考えます。そこで私は、むしろ積極的な面について、この際大量整理が出てくるというような情勢等でもございますので、特にそういう点について御努力を願いたいと思うのでございます。 この雇用安定確立につきましては、私は大体二つの問題点があろうかと考えております。その一つは、従来のようにアメリカ軍の一方的な整理要求を唯々諾々として受けるということではなくて、積極的にアメリカ軍の雇用計画に参与をいたしまして、そして状況を十分把握をしていく。アメリカからいろいろ指示があって、それを単に受け入れていくというようなことではなくて、積極的にアメリカ軍の雇用計画に対していろいろ相談に乗るとか、あるいはまた参与していくとか、そういう形の中から、やはり将来の展望に立って、いろいろと整理される者の受け入れ態勢を整備していく、そういう方策が私は一つの重要な点であると考えますし、第二は、再就労の場を確保するための法的な処置を講じまして、そうして政府の雇用主としての責任体制を確立する、こういう必要性があろうかと考えます。 そこでなるほど先ほど大臣からもお答えがございましたような離職者の職業訓練であるとか、職業紹介であるとか、その裏づけでございます訓練手当、あるいはまた習得手当、そういうようなことも当然必要でございますけれども、この際もっと積極的な方策というものを樹立する必要があろう。その二点につきましては、いま私が御指摘を申し上げたとおりでございますけれども、そういうふうな積極的な方策というものを樹立することについて大臣はどのようにお考えでございますか、この際ひとつお答えを願っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 お話はまことにごもっともでありまするが、米軍の雇用計画につきまして、こちらがいろいろ配慮をして助言するというようなことにつきましては、労働省といたしましては、間接的な立場にありますので、この点につきましては防衛庁におきまして十分検討した上でお答えをいただいてはいかがかと存じます。 その次の再就職の場を確保するために法的措置を講じてはどうかという点でございまするが、私どもといたしましては、現在までの段階におきましては、大体駐留軍関係の離職者の大量整理の時期は終わったように一応考えております。したがいまして、現在の段階で法的措置まで進み出る必要があるかないか、この点はとくと研究をしてみなければならぬと思っておるのであります。特に先ほど御指摘になりました最近のアメリカ軍の予算節約等に伴いまする外国基地の整理引き上げ、こうした問題につきまして、今後駐留軍の離職者がどういうふうに発生していくか、これにつきましては、実は私どもまだ確たる情報を得ておりません。したがいまして、今後の情勢につきましてある程度の見通しを立てるというところまでいっておらないのでございます。今後の情勢いかんによりまして、お示しのような方途も十分に検討をいたしたいと存じております。
○河野(正)委員 雇用安定確立についての二つの問題点を取り上げてお答えを願ったわけでございますが、なるほどその第一は、いま大臣からもお答えになりましたように、防衛庁が当然直接この問題に参与するわけですから、それはもちろんそのとおりだと思いますけれども、しかし基本的な雇用問題ということになりますとやはり労働大臣の所管でもございますので、その点については、ひとつ防衛庁とも緊密な連携のものに何ぶんの体制というものを確立するように御努力願いたいということにいたしておきたいと思います。 それから第二の点でございますけれども、現状では大量整理というものが大体一段落ついた、そういう想定のもとで御答弁願ったわけでございますけれども、しかしながら、この大量整理があって後の対策ではむしろおそ過ぎると私は思うのです。いままでの駐留軍離職者というものはさみだれ式に出てまいりましたけれども、さみだれ式に出てまいりましたために何とかその結末がついたというようなことでございますけれども、それだからといってこの問題を放置いたしますと、いまアメリカでもいろいろと検討されておりますように、基地の大量閉鎖が行なわれておる情勢というものが必至になってまいりますと、勢いやはり大量整理が出てくることを頭の中で当然考えていかなければならぬ。そういうことでございますから、いままでがさみだれ整理のために何とか収拾ができたということで、じんぜんとこの問題を見のがしていくわけにはまいらぬであろうというようなことを強く感ずるわけでございます。特に私どもが重ねて指摘をしておきたいと思いまする点は、単にいま就職をいたしておりまする基地労働者という不安定な職場にとどまることが、安定した雇用だというふうには私どもは考えないわけです。他の平和産業の職場に移ることのほうが、むしろ安定した雇用であるというように理解をいたしたいと私は考えております。そういう意味で、安定した職業への再就職を容易にするための処置を講ずるということは、私は、駐留車労働者に関しましては最も緊要なる悲願であろうというふうに考えるわけです。何もいま基地の中で整理をしてほしくない、あるいは首切りはやめてほしいということではなくて、むしろ平和産業の中に吸収していくということのほうが、雇用としては最も安定をするわけでございまして、むしろ私どもはその後者のほうを強く要望をいたすわけでございます。そういう意味で、もちろん今日基地の大量閉鎖が考えられておりますし、またそのことは、今日の段階というものが、確たる情報を把握することが不可能といたしましても、基本的には、やはり平和産業の職場に移ることが最も望ましいわけでございますから、そういう意味で、私は、やはり再就職を容易にするための法的処置がすみやかに立案されることが当然必要であろうというふうに考えるわけです。そういう意味で、大臣としてはその法的処置についてどのようにお考えになりまするか、ひとつ重ねてお答えを願っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 駐留軍の離職者に対しまして、主として平和産業等の方面において安定した職場に就職させることが必要だという御意見につきましては、全く同感でございます。私どもも、離職者対策といたしましては、かような線に沿うて進んでいくべきものと心得ておるのであります。なお、それがために、特に職場確保のための法的措置が現在必要かどうかというお尋ねでございまするが、現在一応予想されておりまする離職者の発生状況のもとにおきましては、政府といたしましては、大体駐留軍関係離職者等臨時措置法もございまするし、また職業安定法の改正案等もございまするので、現在の程度の状況のもとにおきましては、おおむねこれらの法の運用によりまして所期の目的を達成し得るものと存じておるのであります。しかし、今後離職者の発生が非常に拡大するというようなことに相なりましたならば、その情勢を基礎として十分お示しのような問題も検討をいたしたいと存じます。
○河野(正)委員 そういたしますると、現状では大量解雇なり大量整理が出てくるということが必ずしも明確な情報ではないというようなことで、法的処置というものについては、そういう大量整理なり大量解雇というものが出てくる情勢になれば、当然雇用安定法その他の法的処置を考えてまいりたい、そういう御意図でありますのかどうか、重ねてひとつお答えを願いたいと思います。
○大橋国務大臣 さような趣旨でお答えを申し上げたつもりでございます。
○河野(正)委員 実は私どもも、将来、あるいは最も近い将来かもわかりませんけれども、大量解雇なり大量整理というものが当然発生するであろうというようなことを予想いたしまして、次の通常国会におきまして駐留軍労働者の雇用安定に関しまする法律というものを上程いたす予定にいたしております。そうして今後駐留軍労働者が、日本におきまするアメリカ軍隊の撤退等に伴う解雇、そういう場合に安定した職業への再就職を容易にするための必要な処置を講じまして、駐留軍労働者の雇用安定をはかることを目的としていこう、そういうようなことを実は考えておるわけでございます。いずれ通常国会の席上におきましていろいろとこの提案を行ないますと同時に、また政府の御協力もいただきたいと思いまするけれども、こういう方向については、いまも大臣がお答えになりましたように、そういう情勢が熟すれば当然考えてまいりたい、こういうふうに私ども理解してよろしゅうございますかどうか、ひとつ重ねてお答えをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 さような趣旨であります。
○河野(正)委員 その節は、ひとつ大臣の格段の御協力をお願い申し上げておきたいと思います。 それから、離職者が出てまいるという情勢が必至でございますので、そういうたてまえから、ひとつ重ねて若干お尋ねを申し上げ、さらにまた今後の御協力なり御配慮というものをお願い申し上げてみたいと考えております。他のことにつきましては、後ほど防衛庁あるいは施設庁のほうの御出席をいただいてお尋ねを申し上げようと思いますけれども、特に労働大臣御出席でございますから、労働大臣に関係をいたしまする点につきましてお尋ねを申し上げてみたいと思います。 それは、さきに、炭鉱離職者あるいはまた金属鉱山の離職者に対しましては、雇用奨励の意味をもちまして、特に中高年齢対策でございますけれども、そのために雇用奨励金制度というものが実現を見たのでございます。そこで、特に駐留軍労働者の場合は、国が雇用してアメリカ軍に対しまして労務を提供するという、こういう公務員的な性格を持っておるわけでございますので、民間企業でございまする炭鉱離職者あるいは金属鉱山の離職者等に対しましても、その中高年齢対策として雇用奨励制度というものが確立されたわけでございますから、特に駐留軍労働者の場合は、この平均年齢を見てまいりましても現在四十三歳、炭鉱離職者等の問題が検討されますときに、炭鉱離職者の平均年齢は大体三十八歳というように承っておりましたけれども、駐留軍労働者の場合は四十三歳、それから再雇用されました場合に、平均賃金をいろいろ調査いたしましたが、その状況も大体一万五千円程度、こういうふうに平均年齢が非常に高い、また再雇用されました賃金が非常に低い、こういう状況でございますから、炭鉱離職者あるいは金属鉱山の離職者におきましても中高年齢者の再就職がなかなかむずかしいわけでございますけれども、一方駐留軍労働者の場合は、さらにそれ以上の悪条件のもとに置かれておる、こういうふうに私ども理解をいたすわけでございます。そういう意味で、当然駐留軍労働者の場合にも、雇用拡大のための雇用奨励金制度というものが確立さるべきであろう、このことはまた、私、さきの当委員会におきましてもいろいろ御指摘を申し上げてまいりました。その際にも労働大臣から、次の予算編成の段階においては、その点も十分考慮すべき点であろうというようなお答えも実は願っておるわけでございます。そういう過去の経緯もございますので、この点は特に労働大臣も関係ございますから、駐留軍労働者に対しまする雇用奨励金制度の問題に対しましてどのようにお考えになっておりますのか、お答えを願いたいと思います。
○大橋国務大臣 雇用奨励金制度は、現在石炭離職者だけに対して定められておるのでございまして、この制度によりまするというと、三十五歳以上の炭鉱離職者を雇い入れました雇い主に対しまして、月六千円の雇用奨励金を給するということに相なっておるのでございます。ところが、これと並行いたしまして中高年齢対策といたしましては、職場適応訓練というものが新しく定められたのでございます。これは同じく三十五歳以上の者に対しまして、訓練手当として月一万二千五百円を本人に給与いたします。同時に、雇い主に対しましては委託費といたしまして月五千二百五十円を給付する制度に相なっておるのでございます。私どもは、石炭離職者の雇用奨励金制度よりも、むしろ中高年齢対策として定められました職場適応訓練のほうがかえって関係者に対しても有利ではないか、かように考えまするので、今後は駐留軍労務者の離職された方につきましても、必要に応じましてこの職場適応訓練を全面的に活用してまいりたい、かように考えておるのでございます。したがいまして、雇用奨励金制度をこの方面に拡大することにつきましては、むしろ職場適応訓練の活用をすべきであって、雇用奨励金制度の拡張は必要がないのではないか、こういうふうな考え方をいたしております。
○河野(正)委員 そういたしますると、もちろん炭鉱離職者の場合も、金属鉱山離職者の場合におきましても、中高年齢者の再雇用というものはなかなかむずかしいので、そういう意味で雇用奨励金制度というものが確立されたというように私どもは理解いたしておりますし、特に先ほども実態を指摘して申し上げましたように、駐留軍労働者の場合は炭鉱離職者あるいは金属鉱山の離職者よりもかえって悪い条件のもとに置かれておるというのにもかかわりませず、雇用奨励金制度というものが考えられないということになりますというと、何かこう、私の立場から申し上げますと、むしろ駐留車労働者の場合が国が雇用して軍に労務を提供するわけですから、半ば公務員的な性格を持っているにもかかわりませず、それが一般の民間雇用よりも何か不公平な処置が行なわれておる、こういうような印象を受けるわけでございまするが、そういう点についてはいかがでございますか。
○大橋国務大臣 御承知のとおり、雇用奨励金制度は、昨年石炭離職者対策として行なわれることに相なったのでございます。今年の春の通常国会におきまして職業安定法の改正を行ないまして、これによりまして中高年齢対策として新しく職場適応訓練という制度を始めたわけでございます。これはどちらも同じ目的のための制度でございまするから、どちらか役に立つほうだけにまとめてしまうということも当然あっていいこととは思うのでありますが、しかしおのおの法的に基礎が違いますものでございますから、これが整理されずに両方並行しておるような状況でございます。したがいまして、私どもは、どちらかと申しますと雇用奨励金制度——これは金額にいたしましても、先ほど申し上げましたごとく、雇い主に対して月六千円だけでございます。職場適応訓練のほうは委託費として雇い主に五千二百五十円、ほぼ近い金額を出すばかりでなく、訓練期間中の訓練手当として一万二千五百円を本人に出すことに相なっておるのでございますからこの職場適応訓練のほうがむしろ行き届いたやり方ではないかと存ずるのでございます。駐留軍離職者に対しましては、この行き届いた職場適応訓練を行なうということによりまして、石炭離職者の雇用奨励金制度と同じ目的が、より有効に達成せられるのではないか、こういうふうに思っておりますので、片手落ちというふうな感じは持っておりません。
○河野(正)委員 実は私がそういうことを感じましたのよ、炭鉱離職者と違って、駐留軍労働者の場合はいろいろな職種があるわけです。それからまたいろいろな技能、技術というものを持っておられる方が多いのです。ですから、雇用奨励金制度を適用するとするならば、むしろそういう意味で駐留軍労働者の場合に適用するほうが適切であるかのような印象を私どもは持つわけなのです。この点がちょっと大臣の考え方と私の考え方が根本的に違っておると思うのです。 それから大臣がおっしゃっておりますように、将来一元化していきたい、雇用奨励金でいくのかあるいは職場適応訓練でいくのか、とにかく一元化していきたいという気持ちはわかる。わかるけれども、雇用奨励金制度というものが存続されるとするならば、むしろ駐留軍労働者のほうが、そのほうに適用される可能性というものが強いのではなかろうか、こういうふうに感ずるので私はあえて申し上げておるわけです。その辺に対しまする認識というものが、ちょっと大臣には欠けておらぬでしょうか。いかがです。
○大橋国務大臣 私どもは先ほど申し上げましたように考えておりまするが、何と申しましても職場適応訓練というのは今回の改正によって新しくできた制度でございまするから、しばらくこの運用をやらしていただきまして、その体験から雇用奨励金制度とこの職場適応訓練制度、これをいろいろ比較検討した上で、なお将来駐留軍の問題について考えるようにいたしたいと思います。
○河野(正)委員 大体その雇用奨励金制度が存続されるということになるならば、駐留軍労働者のほうが職種も多いし、技能を持った人も非常に多いわけですから、むしろそのほうが適用される可能性というものが非常に強いのだ、こういう考え方については御同調願えますか。
○大橋国務大臣 私どもは、この奨励金制度と適応訓練制度というものは大体同じような目的、同じような趣旨でやっているのでございまして、今後の経験に即しまして、できればどちらかにまとめていくなり、あるいは両方併存さしていくなり、その点をはっきりしていきたいと思っておりますので、駐留軍の問題につきましては、それについてのある程度の考えがまとまりましたならば、その際に考慮いたしたいと思います。
○河野(正)委員 そこで話を振り出しに戻しまして、防衛庁長官、施設庁長官御出席でございますから、この問題の提起されました問題点からもう一度お尋ねを申し上げたいと思います。 先ほども実は労働大臣に対しまして雇用対策という面からいろいろお尋ねをいたしてまいったわけでございますけれども、すでに予算委員会におきましても若干触れられておるわけでございますが、アメリカのドル防衛対策の一環として、アメリカの本国あるいは外地におきまする基地というものが大幅に削減をされる、こういうことに端を発しまして、いま東京におきましても、日本政府との間で米軍引き揚げあるいは人員の削減、基地の削減についての交渉が行なわれておって、多かれ少なかれ今度の一連の計画によりまして、日本においても大きな影響を受けることは必至であろう、こういうことが実は新聞その他においても報道されておるところでございます。これに対しまして、いま労働大臣ともいろいろ質疑を行なってまいったのでございますけれども、私どもは、この問題と関連して雇用問題に非常に大きな関連をいたしてまいりますので、そういう意味からいまアメリカとの間にいろいろ交渉をされております状況はどういう状況であるのか、ひとつ防衛庁長官のほうからお答えをいただきたい、かように考えます。
○福田(篤)国務大臣 先般の予算委員会でごく荒筋の御報告を申し上げたわけでありますが、十月初めに在日空軍の配置転換につきまして申し入れがございました。これにつきましては、私どもとしてはそのまま無条件で引き受けることにつきましての難点がございまして、私どもといたしましても要望する点もございますので、米軍側と話し合いまして、これがだんだん大詰めに来ております。近くアメリカ側の回答もあり、それが満足した場合には双方合意の上同時発表、こういうことに相なっておるわけでございます。御指摘のとおり、そういう場合には、今度は具体的に各基地における駐留軍労務者その他の関係が数字として出てくる段階になるわけであります。現在のところ、駐留軍労務者につきましての具体的な話は出ておりませんけれども、お話のとおり必然的にこれは影響が大きいわけでございます。これに関連しましても一応私どもは申し入れている点がございまして、近く、遠からざるうちに双方の合意が成立するものと考えている次第でございます。
○河野(正)委員 新聞の報ずるところによりますと、すでにアメリカ側から正式に、現在板付基地に駐屯いたしまする第五空軍のF105戦闘爆撃隊を横田基地に移動させたい、こういう提案が行なわれたというふうにいわれておりますが、この点はいかがでございますか。
○福田(篤)国務大臣 日米間で双方で最終的に意見の合意を見るまでは発表を差し控えたいという約束になっておりますので、きわめて残念でございますが、この点についていま御回答申し上げかねるわけでございます。
○河野(正)委員 すでに現地でも兵隊等のことばをかりますと、もう横田に引き揚げるんだと言っておりますし、大量の兵隊はアメリカに帰るんだ、こういうことを言っておるわけですよ。そこで、長官のほうでは協定ができるまでは言明を避けたいとおっしゃいますけれども、すでに現地では非常に不安定な状況に置かれているわけです。しかも新聞でも、すでにそういう正式の申し入れがあったということを報道いたしておりますし、またある新聞によりますと、もうすでに日本側から条件も提起されたというようなことをいわれておるわけです。こういう情勢でございますから、やはり私は、この際はっきり大綱というものをお示しになり、人心を安定されることのほうが適切じゃなかろうか、それがむしろ私は日本の行政官として、責任者としてやられるべき最も適切な方法ではなかろうか、こういうように考えるわけですが、いかがですか。
○福田(篤)国務大臣 そういう御意見も確かにあろうと思いますが、実は約一週間ほど前にも、アメリカ側に対しまして、われわれから、ワシントン筋あるいは軍事筋というようなソースのもとに、中には相当誤った報道も流布されている、これはきわめて迷惑であるから、初めの約束どおり双方が最終的に合意するまでは、軽率な発表であるとかあるいはそれが漏れるようなことは慎んでもらいたいと実は申し入れた次第であります。先方からも最終的な返事が近く来ると私どもは期待できますので、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
○河野(正)委員 国会は国政の最高決議機関でございますけれども、その席においても大臣は明確にお答えにならない。ところが新聞では、すでにいろいろ具体的なこととして報道を行なっておるというような状態で、私ども全く納得のいかぬ点があるわけです。特に私どもがお伺いをいたしておきたいと思いまする点は、アメリカ側の提案に対して、もしF105を横田に移動させるなら横田周辺の騒音対策を実施して民心を安定してほしい、こういうような具体的な条件をお出しになっていることも実は新聞に出ておるでございますから、実際に、たとえば兵員がどの程度削減されるのか、あるいはまた基地というものがどの程度削減されるのか、どういうような条件をお出しになって交渉されておりますか、その条件の内容と申しますか、このことはあとで私が御指摘申し上げますことと関連いたしてまいりますので、そういう点についてひとつお聞かせ願えるならお聞かせ願いたい、かように考えます。
○福田(篤)国務大臣 先般申し上げましたとおり、近く最終的な回答が期待できますし、特にわれわれの申し上げてある要望は、いわば日本側にとって必要な事項あるいはプラスになる事項でございます。相当その中には米側としても難点と申しますか、直ちに受諾できないというような本国との交渉過程があるようでございます。この点につきましても、この際発表は差し控えたいと思います。
○河野(正)委員 つんぼさじきで何も発表願えぬということは私ども残念ですけれども、それなら当然予想されることの一つでございますけれども、アメリカ軍の引き揚げに伴って、駐留軍の労働者の整理というものは当然予想されると思うのです。これはもう常識だと思うのです。この点についてどういう対策をお立てになっておりまするのか。これがもうとにかく合意に達して大量首切り、大量整理を行なったあとはお手あげだということでは、あまりにも駐留軍労働者がかわいそうだと思うのです。だから、おそらく常識的に予想されることは、私は当然政府としても対策を立てられておると思うのです。ですから、そういう点についてどういう対策を立てておられますのか、ひとつこの際具体的にお示し願いたい。
○福田(篤)国務大臣 先ほど来、労働大臣にも御質問であったようでございますが、安定法あるいは奨励金の問題、労働省で所管せられておるいろいろな基本的な法的関係でございますが、われわれといたしましても従来どおり総理府の協議会を中心として努力してまいっておることは、御承知のとおりであります。特に今回の問題に関連して相当な影響が十分考えられますので、米側とのいろいろ打ち合わせと並行いたしまして、事務的にもこういう場合にはどうなるか、あるいはこういう場合にはどういうことが予想されるか、引き続き検討さしている次第でございます。なお、米側に対しましても、駐留軍の労務者関係につきまして政府としては大きな関心を持っておるということも再々申し入れて、ある問題につきましても具体的な要望を申し入れてございます。
○河野(正)委員 これはアメリカ側から——いろいろ合意に達するとか達せぬとかいうことは別として、もうすでにアメリカ側から発表された事項があるわけですね。たとえば雇用外人の一五%は削減をしたいということになりますと、これを数字に直しますと大体八千五百人から九千人程度ということになると思います。そうすると、その中のどの程度が日本へ適用されるかというようなことで、アメリカ側がどれだけの人員を整理したいということを言うまでもなく、ある程度想像されるのじゃないかと思うのです。これは特に防衛庁長官はそのほうの最高責任者ですから、いろいろな資料をお持ちでございましょうし、そういう点から見てどの程度整理をされるのか、大体どのように御判断願っておりますのか、ひとつこの際お聞かせをいただきたい。
○福田(篤)国務大臣 実は私どもアメリカ側に言っております点は、数字的にもなるべく早目に前広に、事前にわれわれに情報を提供してもらいたいということを申し入れいたしております。私は近いうちに相当具体的な数字を言ってくると思うのでありますが、現在のところ米軍側としても、最終段階の検討に入ったから数字についてはもう少し猶予願いたいというような模様であります。
○河野(正)委員 数字はいずれ来るでしょうけれども、政府としては当然それぞれ心がまえがなされておらなければならぬと思うのです。そういう意味で、先ほど労働大臣にもいろいろお考えのほどを承ったのでございますけれども、いままでのように基地労働者というものがさみだれ式に整理される場合は、ある程度私は消化できると思うのです。ですから、いままでがさみだれ式に整理されて何とか消化されたから、今後もそれでいいのだというふうにはいかぬと私は思うのです。ですから、いずれにしてももう具体的に外人雇用の中で八千五百人から九千人程度整理したいというのがアメリカの正式の発表ですから、その中でどれだけが日本に適用されるかというのが残っておる問題ですから、いずれにしろ非常にきびしい情勢であるということは予想がつくと思うのです。ですから今度の場合は、そういう事態がきたならばその事態に対して対処するような方策を確立するということではなくて、むしろそういう予想に基づいてそれぞれ御検討を願っておかなければならぬと思うのです。そういう意味で私は労働大臣に対しましても再就労の場を確保するための法的措置を当然講ぜられるべきではなかろうか、こういうような御指摘を申し上げた。労働大臣のほうでも、ひとつそういう大量整理が発生するというような事態になれば、そういう法的措置も考えて再就労の場というものを当然考えていかなければならぬというようなことをお答え願って、私どももその点は感謝しておるわけです。そういう点に対して、これは労働基本権の問題ではございますけれども、具体的には防衛庁所管の問題でございますから、当然防衛庁長官としてもお考え願わなければならぬ問題だと思うのです。そういう意味で、その点についてどのようにひとつ今後御検討願っていかれまする心組みであるとか、この際明確にお答えを願っておきたいと思うのです。
○福田(篤)国務大臣 この件につきましては、もちろんわれわれ防衛庁が中心でありまして、労働省、大蔵省その他とも関係がございますので、総理府とも十分連絡をとりながら相当具体的な面で検討中でございます。これは一般論ではございますが、来年度予算につきましても、特別給付金につきまして、組合側の御要望とはだいぶ開きがありますけれども、われわれとしては最小限五割増しの予算増加を要求中でございます。これはただ一つの例でございますが、むずかしい問題として退職金の問題その他がございます。面は非常に多角的ではございますが、今後とも十分関係の方面と連絡を密にいたしまして、この問題につきまして最大の努力をいたしたいと考えております。
○河野(正)委員 なるほどいま長官がお答えになりましたように、特別給付金の問題あるいはまた退職金の問題等について御配慮を願うこともけっこうだと思うのです。そのことも大切ですが、むしろ再就労の場を確保するための法的措置をやらなければ、この問題の抜本的解決はむずかしいと私は思うのです。たとえば特別給付金の五割増しというようなことを願っても、もともと非常に低いのです。ですからそれの五割増しをもらったって、雇用が安定せぬことにはどうにもならぬわけです。特別給付金を大幅に増額いただくこともけっこうだし、あるいはまた退職金の改善ということも大切なことでございますけれども、根本的には再就労の場を確保するための法的措置というものが私は当然必要だと思う。特に私どもは、次の通常国会の中では駐留軍労働者の雇用安定に関しまする法律というものを上程しよう、そして駐留軍労働者の雇用の安定をはかっていこう、そういう意図がございます。労働大臣のほうでも、そのことはきわめて適切な方策だ、十分ひとつ労働省としても考えてまいりたいというような適切な御答弁をいただいたのです。ですが私は、むしろこの駐留軍労働者の場合は、国が雇用してアメリカに労務を提供しておるのですから、直接責任というものは防衛庁長官にあるわけです。ですから私は、防衛庁長官というものが率先をしてそういう法的措置の確立ということについて御努力願うべきだと考えるわけです。そういう点についていかがでございますか。ひとつこの点は非常に重大な問題でございますので、長官からお答を願いたいと思います。
○福田(篤)国務大臣 私個人といたしましては、実は長官就任前から、地元の関係もございますから基地周辺民生安定法、ああいう法的な背景のもとに抜本的な対策を立てるべきだとかねて考えておったわけでございますが、就任以来ますますその必要を感じておるわけでございます。同時にまた、いま御指摘の駐留軍労務者の方々も、御存じのとおり中高年齢層が多いわけでございまして、再就職にはほかの職場と違った非常な困難性もあるわけであります。ただいまのような強い、いわば普遍的な法的な一つの考慮が必要ではないかという御意見につきましては、私も十分検討いたしまして、労働大臣その他とよくこの問題について検討いたしたいと考えておるわけであります。
○河野(正)委員 具体的に社会党で雇用安定法というものを上程する意図でありますし、すでに準備も完了いたしておるわけです。労働大臣もこの点については非常に同調の意思を示しておられますから、直接の所管として防衛庁長官も、この雇用安定法のための法的措置というものを当然考えてほしいと思います。 そこで、いずれ近々具体的な整理者の数というものが明確になってこようと思うのです。その暁においては、いま申し上げましたようにいままではさみだれ式に整理が行なわれたためそれが何とか消化できた、今度も何とか消化されるというような理解では困ると思うのです。これは当然考えなければならぬと思うのです。ですから具体的な数字が出て、大量整理が行なわれるというような情勢が生まれてくれば、即刻こういう法的措置についてひとつお考え願えるかどうか、これはきわめて重要な点でございますから、重ねてお尋ねをしておきたいと思うのでございます。
○福田(篤)国務大臣 労働大臣あるいは、総務長官と十分連絡して検討いたしたいと思います。
○河野(正)委員 検討ということでありますと、その検討の暁どうなるかということは非常に不安定だと思うのです。けれども、少なくとも労働大臣のほうでは、そういう大量整理が出てくれば当然考えなければならぬだろうという非常に前向きなお答えを願っておるわけです。ところが、あなたのほうでは検討する——検討したってそういうことを考えるか考えないかは、検討の後にきまるわけです。直接の所管であるあなたのほうからそういう御答弁では、ちょっと納得できかねるのです。ですから、労働大臣としてすら前向きの姿勢で御答弁願っておるわけですから、むしろあなたのほうから進んで前向きのお答えというものを私どもは承っておきたいと思うのです。その点いかがですか。
○福田(篤)国務大臣 これは法案の内容もいろいろ想像できるわけでありますが、たとえば雇用安定法というものは、御案内のとおりなるほど労働省の所管になっております。したがって私のほうとして、側面的に促進と申しますか、いろいろなお手伝いをする立場になるわけでございます。前向きその他のおことばがございますが、もちろんわれわれとしても、この問題は大きな問題ですから前向きでやることは当然でございます。具体的な内容でありますとか時期とか、その点は申し上げませんが、当然態度としては前向きで取り組むべき問題であろうと思うのです。
○河野(正)委員 そこで、その点は労働大臣からも前向きなお答えを願っておりますし、またそういう方向で防衛庁長官も御配慮願うということで、私どもも今後の御努力に対して御期待を申し上げておきたいと思います。 それからさらに、そういう基本的な問題と同時に大事な問題は、先ほど長官がちょっとお触れになったのでございますけれども、やはり駐留軍労働者の整理、あるいはまた再就職の機会を見つけていく、こういう二つの面から必要な点として大事なことは、退職手当の問題と特別給付金の問題がございます。この退職手当の問題は、これはもう大臣も長官もいろいろと御折衝になっておりますから、われわれがあらためて申し上げる必要ないと思いまするけれども、当然退職手当の勤続年数によりまする割り増し率が七年で頭打ちになっておる問題、それから七年以前で自己退職する場合に減額される問題。こういう第一の頭打ちの問題は、実際に長期勤続者が整理される場合に非常に困る問題、第二の、七年以内で自己退職する場合に減額される問題は、他にみずから転職の機会をつくっていこうとする場合に退職金が減額されますから、そういう意味でやはり転職が円滑にいかない原因になっていく、隘路になっていくという面から、当然この退職手当の問題については改善をはかっていただかなければならぬと考えるわけでございますが、この間の折衝が新聞紙上によりまするとすでに始められたということが書いてあります。これは大臣が予算委員会でも御答弁なさった記事でございますから、おそらくこれはもう当然おやりになったと思いますけれども、それがどのように推移いたしておりますのか、この際ひとつ承っておきたいと思います。
○福田(篤)国務大臣 日米間の話し合いの事項の一例として実は申し上げておるわけでございます。まだ最終的にアメリカ案は、私どもの要望につきまして方針はいってきていない。もう少し時間をもらいたいというのがいまの現状でございます。
○河野(正)委員 時間をかすことはやぶさかではございません。そのために大幅に増額されるとか、大幅に改善されるということでございますれば、私どもも時間をかすことにやぶさかでございません。ただ時間をかしても一向前進せぬということでは困るので、現在の交渉段階でどういう情勢であるか、情勢の一端等についてもこの際お聞かせ願えればけっこうだと思うのです。
○福田(篤)国務大臣 いままでの話し合いの感じからいいますと、なかなかきびしいような感じを受けます。しかし、私どもはこれだけで、たとえば最初の話し合い、あるいはアメリカ側の回答が不満足な点がありましてもあきらめる必要はない。われわれの要望は何回でも、相手が納得するまでこれからもしなければならぬというたてまえでやっております。
○河野(正)委員 もちろん大量整理をされることになりますと、非常に整理される方々に対しても大事なことでございますし、それからもう一つの、第二に取り上げました七年未満のために減額される方々、こういう方々がこの際安定雇用に転身しようと考えた場合に、勤続七年未満ということで退職手当が減額されるということのために転職が阻害される、みずから進んで転職しようという意図が阻害されることもたいへん問題がございますので、ぜひこの退職手当の二点につきましての改善が実行されるようにさらに格段の御努力を願っておきたい、かように考えます。 それから、いま一つの問題は、特別給付金の五割増しという問題が出てまいりましたけれども、これはもともとが最高一万五千円ということで、今日の高物価の中で再就職あるいは自立更生の資金とするについては非常に微々たるものであることは、あえて申し上げる必要はないと思うのです。これはしばしばいわれておりますように、たとえば、電電公社の職員が勤続五年未満で八ヵ月、五年以上の者は十ヵ月、こういう点からも非常に駐留軍労務者が不公平な処置を受けておるということは、しばしば強調されておるのでございますからあえて申し上げる必要はないと思いまするけれども、この点についても、この際大量整理というような情勢等でございますから、早急に大幅増額という形で解決するように努力をしていただかなきゃならぬと思うのでありますが、この点は、先ほど長官からも五割増しというような話がございましたけれども、もともと最高一万五千円ということで非常に低いわけでございまして、そういうことではとてもとても満足するような状態ではないと思います。こういう点についてはいかがでございますか。
○小野政府委員 ただいまお尋ねでございますが、私どもといたしましても、できるだけおねぎらいをするのがほんとうだということは承知しております。ただ現実の問題といたしましてお見舞い金として差し上げる体制になっておりまして、立ち上がり資金として差し上げるというところまでまだ準備ができておりません。そういう段階におきまして増額の予算要求をいたしておりますけれども、予算総額等の関係からも今回は平均五割増し、そういうことで一応ごしんぼう願いたいということで、いま大蔵と折衝しているわけでございます。
○河野(正)委員 見舞い金程度だとおっしゃるけれども、先ほど一例でございますが電電公社の職員の例を申し上げたのですけれども、これは法律改正で、いま申し上げますように勤続五ヵ年末満で八ヵ月、五ヵ年以上の者は十ヵ月、同じ法律の中でもこういうふうに非常に格差が激しいわけです。民間でなくてこういう公社の例から見ても格差が非常に激しいわけですから、そういう点からも、施設庁長官がお答えになったようなことでは非常に問題があろうと思うのです。現在は平均して五割増しということでございますが、しかし、この点ではとてもとても不十分だということは明らかだと思います。ですから、将来さらに格段の御努力を願わなきゃならぬと思うのです。こういう点について、将来の方向について御所見なり承っておきたいと思います。
○小野政府委員 ただいまの御意見でございますが、私も今後の問題といたしましては、さらに解決できますように努力したいと思います。
○河野(正)委員 そこで、長官も御時間でございますので、最後に長官に一言だけお尋ねをして御所信のほどを承っておきたいと思います。いずれにいたしましても、今日の情勢から日本の国内におきまする基地が削減をされる、同時に、基地労働者がかなりの程度整理をされることは必至の情勢でございます。でございますから、少なくともいままでのようなさみだれ方式に基づく離職者、そういう対策でこと足れりというふうなお考えではちょっと困ると思うのです。ですから私どもとしては、抜本的に雇用安定法の立案というようなこと、それから具体的には特別給付なりあるいは退職金の増額なり、あるいはまた雇用奨励金制度の拡充なり、こういう点の確立をぜひひとつ伺っておきたいと思います。いずれにいたしましても、そういうふうな駐留軍の労務者というのは今日非常にきびしい情勢に置かれておるわけでございますから、こういう情勢に対しまする今後の長官の御決意のほどをひとつ最後に承って、一応長官に対します質疑を終わりたいと思います。
○福田(篤)国務大臣 何ぶんにも六万四千というきわめて多数の方々がおられるわけでございますし、同時にまた、国防という特殊な一つの任務を帯びております。いろいろな観点からいいまして、私どもは、この駐留軍労務者につきましては格段の努力と、そうして周到な注意をもって最善を尽くしてまいりたいと、はっきりとその決意を申し上げておきたいと思います。
○河野(正)委員 いままで、このアメリカの、ドル防衛に関連して起こってまいりまする雇用問題について若干お尋ねしたわけですが、せっかくの機会でございますから、この際一、二関連をして、大臣御出席でございますのでひとつ簡単にお尋ねをしておきたいと思います。 さきの四十三国会で例の失対二法が通過をしたといわれております。ところがこの二法は、あの国会の中でも激しく与野党対決がございまして、ほとんどが内容審議というものが行なわれておらない。したがって、そういう内容の中におきまする問題点がたくさん未解決のまま残っておるわけです。そういう点について今後どのように処理をされようと考えておられますのか。これは具体的な問題はお尋ねしないとして、その基本的な問題だけをちょっと二、三お尋ねしておきたいと思います。そういう意味で今後この問題点の処理をどのようにお考えになっておりますのか、この際ひとつお聞かせをいただきたい。
○大橋国務大臣 御指摘の点につきましては、あの法案が最終的に参議院の本会議にかかりました当時に、野党側からの本会議における質疑がございました。それにおきまして政府側の考え方をお答えいたした次第でございまして、実施につきましては十分失対関係者諸君の意向も聞き、誤りなきを期するようにしたい、かように申しておったのでございます。その後、施行の時期が迫ってまいりましたので、労働省といたしましてはいろいろ実施の方針を決定いたしまして、これに基づいていま全面的に運営をいたしておる次第でございますが、これにつきましては、一部の労働組合におきまして、その方針についていろいろと希望があるようでございます。その問題について労働省と団体交渉的な話し合いをしたいという申し入れがあったのでございますが、私どもは、その話し合いにおきましては、新しい法律が有効に成立しておるという考え方、そしてまた、労働省といたしましてはこの新しい法律を運用しなければならぬという立場にあるわけでございますから、一応その立場を前提として、労働省の決定いたしておりまする方針について何か改善の意見あがるようであるならば組合からひとつ労働省のほうに申し出てもらいたい、その申し出は具体的な項目について具体的な案を出してもらいたいということを申しておきました。組合側といたしましては、それではというのでいまいろいろ研究をしておられるようでございまして、いずれ実施方針についていろいろ項目ごとに具体的な意見を出してこられると思いますので、それが出た上で役所の関係当局と組合の代表との間で十分共同研究をしようということに相なっております。その結果双方の意見の一致したものは直ちに改善いたすことになりますが、しかし組合側と役所側の意見が一致しないというような場合におきましては、国会の社会労働委員会にそれぞれその方面の方々がおられるわけでございますから、そういう方々に対しまして、役所といたしましては、問題点並びに問題点についての双方の意見、折衝の経過等も一応御報告いたしまして、そうして少なくとも理事の方々ぐらいで御意向を承った上で最終的に決定するようにしよう、かように申しております。組合側もこれを十分了解いたしまして、さような趣旨でよろしく頼む、かように申しておるような次第でございます。
○河野(正)委員 この二法の審議の中ではいろいろ問題点がございましたけれども、実質的にはほとんど審議が行われぬまま一方的に成立をしたというようなことになったのでございます。ところが、いまも大臣からお答えがございましたように、現実に私どもがいろいろ指摘いたしておりましたように、現場におきましては長期紹介あるいは運営管理規程をめぐりまして深刻な紛争が起っておるのが現状でございます。ところによりますと警察権が発動されておるということも私ども全く遺憾に思うわけでございますが、そういう残された問題点については、いまも大臣から、いろいろ話し合いで、特に国会でさらに討議の場というものをつくっていきたいというようなことでございますので、私どもも、これはさきの四十三国会の最終段階においてはこの法案が通ったとか通らぬとかいうことでも始まらぬので、そこでひとつ雇用・失業委員会というようなものを設定をして、その中でこの問題のその後の処理に当たっていこうという方策を決定してまいりましたので、おそらく大臣もそのことを御指摘になっているのかと思いますけれども、そういう意味でございますかどうか、ひとつこの際お聞かせをいただきたい。
○大橋国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、組合側には組合側の立場でいろいろ意見もありましょうし、役所といたしましては法案を立案した当初からのいろいろな方針もあるわけでございまして、これが必ずしも一致いたしませんといろいろな問題が出ておるわけでございます。しかし、このままにいたしておきますと第一線の職業安定機関なども非常に困惑いたしておりますので、できるだけ話し合いによって解決することが必要である、かように考えまして、そのために、先ほど申し上げましたごとく役所側と組合側でいろいろな問題について話し合いをする、場合によりましては私もその席へ出ていろいろ話し合いを促進したい、しかし、話し合いのつかない問題もあり得るのじゃないか、それについては、われわれだけで議論しておったのでは解決にならないので、この際はひとつ社会労働委員会の皆さまが特にいろいろな事情を御存じであるし、その方々の政治的な立場からの御判断を待って、それによってあらためて相談してきめていくという運び方が、とにかく実際問題の解決策としては考えられる一番無難な行き方ではなかろうか、こう思って組合のほうへ申したのですが、組合もそれに対しては一応満足をいたしておるようでございますので、できるだけそういう計らいをいたしたいと思います。
○河野(正)委員 その点は、私どもも前国会の中で、今後いろいろ話し合いの場というものをつくるべきだというふうなことで、雇用・失業委員会の設定も行なったことでございますから、そういう意味で、ひとつ今後とも話し合いの上で解決していくという一つの方策を堅持してほしいと思います。 それから予算関係でございますから、あと二点だけちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、その一つは、失対の賃金の問題、これは今度の新法によると、賃金審議会がいろいろ審議をしてその意見を聞いておきめになることでございますけれども、いままでの賃金というものが非常に安かった、生活保護よりも安いんだというような指摘もございます。いずれにしても、労働省としては、賃金審議会にいろいろ御意見を聞かれるわけでございますけれども、一応の構想もあろうかと考えます。それからまた、大体十二月二十日ごろまでにはこの賃金問題もはっきりするというような報道もなされておりますので、この際ひとつお聞かせ願えるならば、その点についてもお聞かせを願いたい。
○大橋国務大臣 御承知のとおり、改正法によりますと、従来から一般的な賃金に比べて内輪な賃金を失対事業においてはきめるべきだという法律上の規定が削除されたわけでございます。その仕事に応じて世間並みの賃金を支払うという方針でございますので、そういう方針のもとに、ただいま賃金審議会で御審議をいただいておる最中でございます。大体来たる二十一日に審議会が一応の結論を出されると承っております。
○河野(正)委員 一応新法では賃金審議会の意見を聞いておきめになることですけれども、大体おきめになるについても、労働省のあらましの構想というものがおありじゃないでしょうか。ありましたら、どういう方向で諮問せられておるのか、その辺は簡単でけっこうですからお聞かせ願いたい。
○大橋国務大臣 具体的な金額は審議会において決定されまするが、予算の編成にあたりまして予算単価をどうするかという問題があるわけでございます。これにつきましては、私ども、やはり昨年に比較いたしまして低所得者の生計費等が相当変わってきておりますので、これらの情勢を十分考慮して話し合いをいたしたいと思います。
○河野(正)委員 いずれにしても二十一日ごろ決定されるということでございますから、その点はさておくとして、もう一つは例の緊就ですね。これも当然継続するにしても——これは時限立法ですから継続するにしても、やはり予算関係が伴ってくると思うのですが、この緊就を継続するという御意思があるかないか。それから事業費単価というものはどの程度お考えになっておるのか。もう一つは、事業の規模、これは大体いままで緊就の場合には七千人程度でありましたけれども、なおその後炭鉱離職者というものがたくさん出てまいりまして、非常に停滞しておる面等もございます。そういう面もございますので、一応予算関係とも関連してまいりますから、緊就を継続する御意思があるかないか、それから事業費単価がどうであるのか、それから事業規模は一体どういうようにお考えになっておるのか、こういう点についてひとつお答えを願いたい。
○大橋国務大臣 昨年石炭離職者の対策を決定いたしまする際におきましては、緊就事業はあまり好ましくないというふうな考え方が表面に出ておったのでありまするが、しかし、その後今日まで新しい石炭離職者の対策を実施してまいりました経験から申しますると、現在の緊就事業を法律の規定どおりの時期に実施するということは、実情から見まして、地元の情勢上困難だというふうに判断をいたしておるのであります。したがいまして、労働省といたしましては、来年の予算におきましても継続するという考え方で経費を要求いたしておるわけでございまして、これにつきましては大体そういう方向に進み得るだろうというふうな気持ちをいま持っておるのであります。 なお、賃金等の問題でございまするが、これにつきましては、やはりこれが石炭離職者の生計のもとに相なっておるのでございますから、生計費等々を十分考慮して決定しなければならぬ事柄であると思っております。しかし何ぶんにも予算編成前でございますので、気持ちだけを申し上げておきます。
○河野(正)委員 いずれ別な機会にこの問題は取り上げてまいりたいと思いますけれども、失対二法の中におきますいろいろな問題点については、ぜひひとつ話し合いの場をつくっていただきたいということ、それから賃金の問題については、先ほど指摘しましたように、今日まである面においては生活保護よりも安いというような御指摘もございましたし、いずれ新法では賃金審議会の意見を聞いてきめるということでございますけれども、十分御配慮をいただきたい。 それから緊就については、いまいろいろ従来の経緯はあるけれども継続せざるを得ぬだろうというようなことでもございますし、私どももぜひひとつそういう方向で推進を願いたい。 それから賃金の単価、規模の問題についてもいろいろございますけれども、これはまた別な機会にここでお伺いすることにいたしまして、以上の諸点につきましてはさらに格段の御配慮をいただきたいということで本日の質疑は終わりたい、かように思います。
○田口委員長 吉川兼光君。
○吉川(兼)委員 大臣に時間がないそうですから、簡単にひとつお伺いしたい。簡単に聞きますが、問題は決して簡単なものではありません。最近の国鉄を主とする通勤事故に関することですが、これによるいわゆる通勤災害の補償、つまり労働災害としてこれを取り扱うべきと思うのに、現行の労災法にはどこにもその規定がない。政府はこの問題についてどういうことを考えておられるのかお伺いしたい。
○大橋国務大臣 御質問の御趣旨は、労働者が職場の往復中の事故についての雇用者としての産業災害の責任の問題だろうと存じます。従来からこの問題は、現行法におきましては雇用主の責任外の事故であるということに相なっておったのでございます。しかしながら最近におきましては、雇用主の災害補償責任の範囲に加えることが実情上必要ではないかという意向もだいぶ出てまいっておるのであります。労働省といたしましては、事は産業災害の責任の問題でございまして、基準法にも関係ありまするし、また労災保険の問題にも相なりますので近くこの問題を関係の審議会に諮問いたしまして十分検討していただき、その結果によって善処したい、かような考えでおります。
○吉川(兼)委員 関係審議機関に諮問する予定と言われますが、何でございましたか、関係審議機関のたしか小委員会あたりからすでに答申のようなものを政府に出したことがあるのじゃないですか。
○村上(茂)政府委員 労働省に置かれております労災保険審議会におきましては、労災保険制度につきましていろいろの問題点があるのではなかろうかという観点から、その審議会に労使公益三者構成の懇談会を設けまして、約一年半にわたりましていろいろ問題点を検討してきたわけであります。これは結論を出すというのではなくして、問題点としてどのような問題があるかという点を労使公益隔意なき意見の御発表を願いまして、その問題点の一応の整理を見たわけでございますが、その問題に対する解決策というのは明らかにされておらないわけであります。そこでただいま大臣から御答弁ございましたように、そういった問題意識がだんだん明らかになってまいりましたので、通勤途上の問題をも含めまして近く労働大臣から正式に労災保険審議会に諮問いたしまして結論を得たい、こう考えておる次第でございます。
○吉川(兼)委員 この問題が国会で取り上げられたのはことしの春の議会、たしか予算の分科会か何かで民社党の委員から質問したのが初めではないかと思います。そのときにも政府は、ただいまとほとんど大同小異のお答えをしておるように思いますが、いま伺っておりますと、懇談会と言うけれども事実上小委員会のような性質だと思うところで一応答申のようなものが出て、たしか通勤途上の災害補償を取り上げよということになっているにもかかわらず、まだそれに対する結論的なものは出ていないのでございますか。
○村上(茂)政府委員 労災保険審議会の懇談会は一年半くらい前からやっておったのですが、御指摘の通勤途上における事故を業務上の災害として扱うかどうかという問題について御議論が展開されましたのは、御指摘のとおり本島先生の御質問もございまして、懇談会としてもややおくれて取り上げたようでございます。これは先生御承知のように、交通災害の中で通勤途上の災害を業務上の災害として扱うかどうかという点につきましてはいろいろ意見のあるところでございまして、これはかなり理論的にもむずかしい問題を包蔵いたしておりますので、審議会でさらにあらためて御検討いただくというふうに考えておる次第でございます。
○吉川(兼)委員 理論上の問題としてはいろいろ問題にすればなることで、それでは切りがないと思いますが、実際問題として政府は考えねばならない時期でしょう。たとえば西ドイツや英国では、すでに通勤途上の災害を業務災害の範疇とみなして補償の対象にしておるようでありますが、この点はどうお考えですか。
○村上(茂)政府委員 ドイツの場合あるいはイギリスの国民保険法などにおきまして、業務上の災害につきましては定義を明らかにし、法律の明文をもちまして業務上の災害としておるわけでございます。わが国におきましては、御承知のように労働基準法上「業務上負傷し、」云々、こうなっておりまして、「業務上」というごく短いことばで表現されておりますが、その「業務上」の中に当然交通災害が含まれるかどうかという点についてはいろいろ議論があり、結局イギリス、ドイツの場合でも議論の分かれるところでございましたので、法律の明文によってこれを明らかにしたという沿革をたどっております。
○吉川(兼)委員 大臣に時間がないというので私はそういう沿革などを伺っておるのじゃない、今日の交通事故の段階は、先般の鶴見事故といわず、また数日前に起こりました総武線の事故といわず、まことに驚くべき過密ダイヤに原因するもので、いまや通勤者は毎日毎時生命の危険にさらされておるといっても言い過ぎではない交通事情下に置かれているのであります。こういうような大事故が目の前にしばしば繰り返されておりますのに、なるほど労災法の法文は非常に簡単です。しかし、簡単な法文を実情に合うように改めるのが議会の仕事ではありませんか。法律上では「業務上」というきわめて簡単なことばで片づけられておりますけれども、われわれの解釈によりますと、家を出まして工場に通いますことは業務の関連事であり、継続であるという解釈をしてもよいのではないか。途中でわざわざ回り道をしたりして、業務の関連と考えられない事情のもとでの事故は、これは別といたしまして、うちを出まして仕事の場所に通います間といいますものは、これは仕事の延長、つまり関連であることは間違いないのですから、関連ということは業務の範囲に入るわけでございます。このような通勤途中の事故は全然補償の対象にされず、門を入った瞬間から労災の対象になるということは実際的でなく、また理論としても私はおかしいと思うのです。第一、いま現にそういう事故がひんぴんと起こって犠牲者が続出していますのに、これに対する労災の面における保険の方法が全然考えられないというのはおかしいと思わないのですか。議会で問題となってからでもかれこれ一年にもなろうというのに、政府は全く無責任であると思いますが、いかん。
○村上(茂)政府委員 これは先生御承知のことを申し上げまして恐縮ですが、労災補償の制度は使用者の無過失責任の上に立っておるわけでございまして、無過失の使用者に責めを帰すという点につきまして、たとえば鶴見事故のような場合に例をとりますといろいろ問題があるわけでございます。そこで使用者の無過失責任制度に立脚し、現在使用者の保険料全額拠出の労災保険において交通災害を全部カバーするかどうかという点については、率直に申しましていろいろ御議論があるかとも思います。現在の制度といたしまして、たとえば通勤に会社専用のバスを使用した、あるいは会社専用の渡し船を使っておるという場合に、これは使用者の指揮下に属するものとして、あるいはまた出張命令によりまして、使用者の指定しました交通機関を使いまして出張したという場合には業務上といたしておるわけでございますが、鶴見事故のような場合に、広くこれを包括するかどうかという点についてはなお研究さしていただきたいと思います。
○吉川(兼)委員 私は、そういう労災保険の第一ページをここで伺おうと思ってこの問題を出しておるのではない。そういうことはだれでも先刻承知済みのことです。問題は、会社自営の交通機関だとか、あるいはまた出張命令が出たときのできごとが業務上に属することぐらいは、これまただれでも知っていることです。繰り返しますが、今日のような交通事故がひんぴんと起こっておりますのに、通勤途中の災害を業務上とみなし、これを労災保険の対象として取り扱うことについて政府は一体どういう用意があるのか、これは大臣から承っておきたい。
○大橋国務大臣 先ほど来申し上げましたごとく、交通事故一般を、たとえ通勤途上の問題でありましても、政府の現在の解釈といたしましては、労災保険の保険事項とは考えておらないのであります。しかし現在の通勤事情等から考えまして、かような考え方一辺倒でいっていいかどうか、これは大いに問題のあるところでございますから、そこで政府といたしましては、近い機会に審議会に諮問をいたしまして、これについての審議会の意見を待って今後の法律の改正等を考慮したい、こういう考えなのでございます。御承知のとおり、労働災害の問題につきましては労使間においてなかなか意見が一致しない場合もございますし、またその場合におきましては、中立的立場にある公益委員等の意見なども結論を出すについてはあずかってくるわけでありまして、やはり労使間の問題でございますから、できるだけこういう審議会等において審議の過程を通じて労使間の話し合いを進め、また公益的立場からの意見などを明らかにして、そして最後の結論を得るということが労働政策上適当ではないかと思っておるわけでございます。さような次第でございますので、すぐに結論を出すというわけにはまいりませんが、しかしこの問題は重要であると思いますので、政府としてはできるだけ早く結論を出せるようにこの上ともつとめたいと思っております。
○吉川(兼)委員 いまのお話で政府側のお考えは大体わからぬではありませんけども、諮問から答申を待って、できるだけ早くというような話では何だか問題の緊急性がはぐらかされたような気がしないでもない。大体そのその諮問はいつごろまでにする予定をしておるか、また答申には期限をつけるぐらいのことをしてもらいたいのだが、その点をここで明瞭に伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 できましたら年内にも諮問を発したいと思っております。
○吉川(兼)委員 この問題は、もちろん労使公益の三方、特に使用者関係のところで相当の議論が出ようかと想像されますが、労働省ではすでに諸外国の資料なども相当お集めであろうと思いますが、労組においても真剣に対処を考えているところで、現に同盟会議では、ことしの八月ごろ、この通勤災害を業務上のものとして労災補償として取り扱うよう労働省に申し入れを行なったように私は記憶しています。ここに私が持っている八月三十一日付の朝日新聞の記事によれば、西ドイツではつとめの帰りがけにちょっとビヤホールに寄っておる時間も、それは翌日の労働力を復活させるためのものであるから、当然に業務上の災害として補償の対象になっておると書いてあります。これが事実であるかどうか、私の調査はそこまで届いていませんが、しかし、十分ありそうなことのように思います。政府の調査もこの辺まで及ぼしてもらいたいものです。ひとつよく調べて、その結果を私に報告してくださいませんか。とにかくこの問題は早急に法制的にもちゃんとしたものをやらなければならぬ段階にきておると思うのです。そこでいま大臣の言われましたのは、「年内にも」ですか「年内に」ですか、どっちですか。
○大橋国務大臣 年内にもでございます。
○吉川(兼)委員 「も」ではいけません。そんなところに「も」がついたのじゃ、はなはだ不明瞭になってしまいますから、「も」はとってもらって、年内に諮問をするという御回答であれば、私は質問をこれで打ち切ってもよろしいと思いますが、あくまでも「も」ということになりますと、もう少し時間をかけて詳しくお尋ねせねばならぬと思うのであります。
○大橋国務大臣 それでは打ち切っていただきますために「も」を取り消します。
○吉川(兼)委員 質問を打ち切らせるために「も」を取り消したのではいやな感じが残りますが、そうではなく、諮問は必ず年内におやりになるというように了解をいたしまして、本日は一応これでやめますが、政府のやり方を拝見した上で、また別な機会に質問をやらしていただくかもしれないことをつけ加えておきます。
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日午前十時より委員会を開催することとし、これにて散会いたします。 午後零時四十六分散会