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45回国会衆議院1963/12/17

科学技術振興対策特別委員会 第2号

発言数
50
登壇者
6
会派数
2
開催日
1963/12/17

会議録

前田正男自由民主党

○前田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず、佐藤国務大臣が閣議の都合によって若干おくれる見込みでございますので、先に江上官房長から明年度の科学技術庁関係予算の概況について説明を聴取することといたします。江上官房長。

江上龍彦総理府事務官(科学技術庁長官官房長)

○江上政府委員 昭和三十九年度科学技術庁で現在予算要求しております重要事項について御説明をいたしますが、その前に本年度の予算の実施状況について若干御説明いたします。  おかげをもちまして、昭和三十八年度は科学技術庁が従来考えておりました新施策がそれぞれ芽をふきまして、予算に従って着々と施策を進めておりますが、そのおもなものを申し上げますと、防災科学技術センターがこの四月に無事発足いたしました。それから、原子力船開発事業団はこの八月に設立いたしました。水戸原子力事務所、科学技術庁最初の地方支分部局でございますが、これは十月に発足いたしました。それから、人形峠のウラン鉱一貫製錬所につきましても建設が着々と進行しております。  それから、本年度にございましたおもなできごとといたしましては、八月に行政ベースによる最初のロケットの打ち上げが新島において行なわれまして、成果をおさめております。それから、原子力研究所のJPDR、動力試験炉は十月にわが国最初の原子力の灯をともしたのでございますが、その後御存じのような事情で一たん運転中止されましたが、話し合いがつきまして、百時間の運転を終わりまして、去る十二月九日正式にGE社から原子力発電所に引き渡しを受けたわけでございます。それから、十月にパリでOECDの最初の科学関係閣僚会議がございまして、佐藤長官が出席して、無事任務を果たして帰られました。  大体以上御報告申し上げます。  それから、三十九年度の科学技術庁重要事項につきましては、お手元にお配りした資料のとおりでございますが、来年度予算は御存じのように五割増しというワクに押えられました反面、先ほど申し上げましたように、本年度いろいろな新施策が芽を出しましたので、三十九年度としては新しいことを始めるよりは従来の施策を継続強化するということと、本年度に芽を出したこの芽を育て強めていくということに重点を置いて要求してございます。  お手元にお配りしました資料につきまして、おもな点について御説明申し上げます。  まず、第一の科学技術振興の基盤の強化でありますが、(1)の科学技術会議の充実強化。この科学技術会議いかにあるべきかという問題につきましては、現在臨時行政調査会で種々検討されておるところでございますが、いずれにいたしましても、科学技術会議をさらに強化しなければならないということは自明の理でございますので、従来科学技術会議は内閣総理大臣の諮問に応じて答申をするだけの機関となっておりますが、これを自主的に必要に応じ、みずから調査、審議し、意見を述べ、報告できるような権限を付与する。  次に(2)にありますのは、それに伴いまして事務局ベースの調査機能の充実をはかるということでございます。  それから(3)にありまする国立試験研究機関における人づくりの推進でございますが、従来海外留学制度を相当やっておりますが、さらに国内留学制度、これは研究者としてある程度の経歴を経た者に対して国内において半年なり一年なりの留学をさせるという制度を新たに設けたい、というようなことによって人づくりの推進をはかってまいろうということでございます。  それから(4)といたしましては、科学技術会議の三号諮問の線に沿いまして、さらに国立試験研究機関の刷新、充実を行なってまいりたい。これに関連いたしまして、例の研究学園都市に対する国立試験研究機関の集中移転によりまして、十分な環境の整備をはかり、効率的かつ総合的な研究が行なえるような体制に持っていくお世話をいたしたい、かようなことを考えております。  それから(5)の税制上の優遇措置の強化拡充でございますが、現在日本における研究投資というのは逐年伸びてまいりまして、現在国民所得の一・八%程度になっておりますが、これをさらに研究投資の拡大をはからないと開放経済体制下にあって国際競争に太刀打ちできないという現状にかんがみまして、民間における試験研究投資の拡大をはかるため、税制上画期的な優遇措置をはかりたいと考えております。そのおもな項目といたしましては、まず試験研究用機械設備について初年度に全紙償却する全額損金算入、それから試験研究準備金制度の創設、それから技術輸出所得につきまして、これは来年の三月で期限が切れるわけでございますが、これを延長するとともに、さらにそのワクを拡大するというような点で現在関係各方面と連絡推進をはかっておるわけでございます。現在の動きではこのうちの相当程度のものは認められそうな形勢でございますが、なお一段と努力してまいりたい、かように考えております。  次に、第二の宇宙開発の推進でございますが、おかげを持ちまして、ことし宇宙開発室というようなほんの芽が出たわけでございますが、行政ベースによる宇宙開発の中核的実施機関をつくらなければならないということが、今年度の新島のロケットの経験に徴しましても痛感されますので、宇宙開発の実施機関として、当庁に付属機関として宇宙開発推進本部を設置したいと考えております。この本部は、宇宙開発に必要なロケットとか人工衛星の開発、軌道計算、追跡などのための地上機器の開発、飛しょう体の搭載機器の環境試験、飛しょう体の打ち上げ試験等の業務を行なわしめる予定でございます。なお、従来から行なっておりました委託研究を拡充するとともに、さらに本年度も打ち上げ試験を行ないたい、かように考えておるわけでございます。  (2)といたしまして、これに伴いまして研究機関でございまする航空宇宙技術研究所のロケット研究部門を拡大強化するということを考えております。  それから、宇宙開発に関する国際協力の推進でございますが、ロケットとか、人工衛星とか、あるいは搭載機器等に関する日米間の協力をさらに強化し、調査団の派遣等も行ないたいと考えております。  次に、第三の防災科学技術の振興でありますが、まず、おかげで本年度発足いたしました国立防災科学技術センターの機構を拡充いたしまして、さらに強化いたしますとともに、現地に実験所を設けたい。新潟県に特に雪害実験所というものを新設いたしまして、現地に即した研究を行なってまいりたいというふうに考えております。  それから(2)の総合的試験研究は、従来に引き続き一括計上によりまして、総合的な雪害、地すべり、スモッグ等の研究を行なってまいりたいと考えております。  それから(3)の試験研究の助成でございますが、従来行なっておりました人工降雨に関し、引き続き委託研究を推進してまいりたいと考えております。  次に、第四に移りまして、原子力に関する研究開発利用の推進でございます。  まず第一は、従来からの継続事業の推進でございますが、その(一)といたしまして、原子力第一船の建造でございます。この八月発足いたしました日本原子力船開発事業団の第二年度の業務として、原子炉及び船体の詳細設計まで持ってまいりたい、かように考えております。  それから、材料試験炉の問題でございますが、原子炉材料及び燃料の照射試験をやる炉が日本にはいままでないわけでございまして、もっぱらアメリカに対して非常に高いお金を払って照射試験をしてもらっておったわけでございますが、いよいよ日本においても建設に着手すべき時期がまいりましたので、大洗の地区を確保いたしまして、そこに材料試験炉の建設に着手いたしたいというふうに考えております。  次に原子力の(三)といたしまして、研究開発計画の推進でございますが、国産動力炉につきましては、三十九年度は原型炉の詳細設計までまいりたいと考えております。  それから、(ロ)高速増殖炉、(ハ)プルトニウム燃料については、従来に引き続き研究施設の整備を行なってまいりたいと考えております。  次の使用済み燃料再処理施設の研究及び建設準備でございますが、原子燃料公社で、再処理施設につきましては、三十八年度にイギリスの会社と契約いたしまして予備設計に入っておるわけでございますが、さらにその設計を進めて購入の段階に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから、新しい原子力関係の施策といたしまして、アイソトープセンターの新設ということをぜひ行ないたいと思います。アイソトープにつきましては、近く本格的国産化が開始されますし、アイソトープの利用は非常に普及してまいりまして、すでに干以上の事業所がアイソトープを使っておるような現況でございます。いよいよアイソトープについての体制の整備をすべき段階に入ってきたと考えられますので、それらを一元的に、アイソトープの生産、頒布、それから取り扱い技術者の養成訓練、廃棄物の処理、アイソトープに関連する各種のサービス等の業務を行なうための体制といたしまして、日本原子力研究所にアイソトープセンターという事業体を設けましてその取り扱いに当たらせたい。これも、先ほど申し上げました大洗地区を、三十八年度、約十万坪予算措置が講ぜられましたが、残りの三十万坪を買いまして、この四十万坪の大洗地区に建設いたしたいというふうに考えております。  原子力関係のその他のおもな事項といたしましては、日本原子力研究所の大洗用地の確保、高崎の放射線関係の研究所の整備拡充、基礎的研究、研究サービスの実施等の一そうの充実をはかってまいりたい。  それから、原子燃料公社につきましては、すでに有望な鉱区も発見されておりますので、さらに探鉱、採鉱を進めるとともに、製錬及び関連研究施設を一そう推進してまいりたいと考えております。  それから、民間企業の研究助成。これにつきましては、従来のワクを拡大いたしまして、委託費、補助金というものを出して官民協力した原子力の研究に当たりたい、かように考えております。  (四)の安全対策でございますが、いよいよ原子炉施設もいろいろできてまいりまして、安全の問題が非常に重要になってまいりますので、わが国の原子力センターでございます東海地区の整備等を行ないますほか、放射能対策の充実をはかってまいりたいというふうに考えます。  (五)として、関係行礎機関の拡充整備でございますが、動力炉開発を中心とした体制の強化をはかる等、機構、人員の整備拡充を行ないますとともに、本年度発足いたしました水戸原子力事務所について、さらに人員及び機能の強化をはかってまいりたい、かように考えておるわけであります。  次に、第五でありますが、重要総合研究の推進でございます。総合的研究で特に重要なものを総合研究といたしまして、この総合的、計画的かつ効率的な推進をはかってまいりたいと考えております。  (1)は環境科学技術でございますが、水質汚濁、騒音振動の防止等に関する研究を推進いたしてまいる考えでございます。  (2)は海洋科学技術でございますが、沿岸海域及び大陸だなの調査を行なうため、三カ年計画で潜水調査船、これは約六百メートルぐらいもぐれる調査船でございますが、それの建造に着手いたしたいと考えております。  その他の総合研究といたしまして、ヒューマンサイエンス、水の高度利用及び凍結乾燥に関する研究などにつきまして、引き続き研究を進めてまいりたいと考えております。  次に、特別研究促進調整費でございます。予見しがたい事態に備えて研究を進めますために、さらにそのワクを拡大し、その効率的な運用をはかってまいりたいというふうに考えております。  第六といたしまして、国産新技術の開発の促進及び情報活動の活発化でございます。  (1)として、新技術開発事業団、これは、かつてはテーマがなくてやや金が残っていたような時代もございましたが、最近非常に活発に事業をいたしておりますが、この事業規模を拡大して新技術の開発に当たらしたいと考えております。  次に、発明実施化の助成でございます。優秀な発明考案の助成をはかってまいりたいと考えております。  それから、科学技術功労者の表彰の拡充でございますが、国民の科学技術に関する意欲の向上をはかるために、表彰制度をさらに活発に拡充してまいりたい、かように考えております。  次に、地方における科学技術の振興でございますが、引き続きまして地方発明センターの設置の助成を行なうほか、科学技術案内書というようなものをつくりまして、発明センター等の地方サービス機関に配付いたしますとともに、いろいろな資料の整備とか、相談員の設置等につきまして補助を行なってまいりたいと考えております。  次に、科学技術情報センターの育成強化でございますが、現在あります情報センター、これは共同ビルの建設に着手しておりますが、その推進をはかるとともに、業務内容も充実強化してまいりたいと考えております。  第七といたしまして国際交流の促進でございます。  先ほども申し上げましたように、OECD加盟が近づきまして、科学関係の交流もいよいよ活発になり、科学関係閣僚会議も二年に一度は必ず開こうという決議もなされておる。そのほかにいろんな委員会がございまして、科学関係の連絡というものは常時密になるものと考えられますので、OECDに科学アタッシェというものを派遣いたしまして、積極的に参加し、国際協力の実をあげたいと考えております。  次に、国際協力事業の拡充でございますが、現在行なっております日米科学委員会の活動をさらに強化推進いたしますとともに、国連、ユネスコ等の国際会議にも積極的に参加して、さらに研究者の交換等も活発に行なってまいりたいというふうに考えております。  それから、情報資料の国際交流の強化でございますが、情報資料の収集、それから照会、周知業務等を強化してまいりたいと考えております。第八といたしまして、当庁所管の研究所等の充実でございます。  まず、航空宇宙技術研究所でございますが、先ほど宇宙開発のところでも申し上げましたように、ロケット関係の研究あるいは施設設備というものを充実しますとともに、研究用地、ロケット実験場を確保したい、かように考えております。それから、航空機につきましては、第二次五カ年計画の三年度としての業務を進めてまいりたい。そのほかに超遷音速機、V/STOL等に対する研究を推進してまいりたい、かように考えております。  それから、金属材料技術研究所でございますが、まず、金属材料技術研究所の研究業務のほかに、サービス業務といたしまして金属材料試験所というのを設けまして、各試験研究機関あるいは民間等の要望に応じて金属材料の疲労試験、クリープ試験等を十分行ない得るような試験所をつくりたい、かように考えております。それから、従来の施設設備計画の残っておる部分を完備いたしてまいりたい、かように考えております。  それから、放射線医学総合研究所につきましては、臨床研究、環境衛生研究等の強化をはかるとともに、研究棟等必要な施設の増設を行なってまいりたいと考えております。それから、理化学研究所でございますが、サイクロトロンの本格的建設、それから設備の近代化を行ないますとともに、四年計画で朝霞地区への移転事業というものを進めてまいる。先ほど五割増しのワクのことなどを申し上げましたけれども、この理研の移転だけで相当な金額がかさみますので、この意味でも五割増しのワクというのは相当障害になっておるということが痛感されておるわけでございます。  第九として、資源の総合的利用方策の推進でございますが、資源の総合的利用方策調査の助成といたしまして、クロレラ利用による、し尿処理、炭田ガスの有効利用等についての委託調査を実施したいと思います。  それから、資源総合利用方策の強化でございますが、生活環境の転換、生活水準の向上のための技術体系を確立するための調査を実施いたしますとともに、エネルギー変動、繊維加工構造の変動等、最近における資源利用構造の急激な変動に対処するための方策を明らかにするための調査を強化いたしたい、かように考えております。  大体、以上が三十九年度重要事項として現在関係方面と折衝しておる事項の内容でございます。簡単ではございますが、これをもって説明を終わります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、佐藤国務大臣が御出席になりましたので、科学技術行政に関する所信を承りたいと存じます。佐藤国務大臣。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 御承知のように、私、引き続いて科学技術庁長官の重責をにない、そのいすを汚すことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。  この機会に、所信の一端を表明いたしたいと思います。  私は、科学技術庁長官の重責をにない、去る十月初め、経済協力開発機構の科学関係閣僚会議に出席し、欧米諸国の科学技術担当首脳者とひざを交えて懇談し、また西欧諸国における科学技術の目ざましい進展ぶりをつぶさに見てまいりました。わが国が、世界の先進諸国に伍して、国民経済の隆昌と国民福祉の向上を実現するためには、科学技術の研究開発の画期的な強化をはかることが現下の急務であることを身をもって感じてまいった次第であります。  昨今、わが国の科学技術水準が、欧米諸国に比べて遜色なきまでに向上したのは、わが国が諸外国の優秀な科学技術を導入し、それらをよく消化したことに負うところがきわめて大きかったことは、周知の事実であります。  しかしながら、今後、開放経済体制のもとにおいて、先進諸国との激甚な経済競争に耐え、これに打ち勝つためには、従来のごとき外国技術への依存体制からすみやかに脱却しなければならないのであります。  私は、以上の観点から、今後わが国においては、独創的技術の開発を推進するため、その基盤となる基礎研究の充実をはかるとともに、特に国として早急に開発すべき宇宙、原子力等の重要科学技術の振興を一投と推進する必要性を痛感する次第であります。  このための具体的対策といたしましては、今後次のごとき諸施策を強力に実施してまいる所存であります。  まず第一に、科学技術に関する行政機構の整備強化につきましては、現在臨時行政調査会を中心として鋭意検討が進められておりますが、さしあたりわが国の科学技術に関する最高審議機関である科学技術会議を強化し、急速に進展しつつある科学技術の現状に即応し得るよう、これに常時調査し審議する権限を付与する等所要の改正をはかりたいと考えております。また同時に、科学技術会議が答申した線に沿い、国立試験研究機関の刷新充実を極力はかりたいと思います。特に、研究学園都市への集中移転につきましては、試験研究機関が恵まれた環境のもとで緊密な相互の連携をはかりつつ、研究を効率的に推進し得るような理想的な研究団地の建設を進めてまいる所存であります。  第二に、民間における新技術の開発を促進するためには、国の試験研究機関の積極的活用をはかるとともに、民間における研究投資を促進するための税制上の優遇措置を画期的に拡大強化し、また優秀な科学技術者の育成をはかるほか、新技術開発事業の強化、情報提供業務の充実、発明実施化の助成、地方発明センター設置の助成等一連の措置を推進いたしたいと思います。  また、国民全般に対する科学技術思想の普及啓発につきましても、中央地方を通じて強力に実施する所存であります。  第三に、わが国の科学技術振興の中核の一つとなる宇宙開発につきましては、従来その総合的推進に努力してまいり、特に去る八月には当庁の気象観測ロケットの打ち上げ実験に所期の成果をおさめ、国の宇宙開発に第一歩をしるしましたが、今後さらにその開発体制を整備強化するとともに、国連等の国際機関あるいは諸外国との密接な協力をはかりつつ、宇宙開発におけるわが国の地歩を確立し得るよう、強力かつ効率的な推進に努力してまいる所存であります。  第四に、原子力の平和利用につきましては、世界主要諸国において最近これを積極的に推進しようとする機運がみなぎっており、ここ数年前と比較するとその意欲には目をみはらせるものがあります。これは、技術の進歩等により、原子エネルギー利用の経済性が近い将来において他のエネルギー源に匹敵し得る見通しが強まったため、各国とも原子力発電所の建設や原子力船の建造に積極的に乗り出してきたことによるのであります。  わが国におきましても、これら諸国に劣らず、数多くの分野で原子力利用をさらに促進せんとする機運が高まりつつあり、すでに原子力発電、原子力船、国産動力炉、燃料再処理等の開発計画に着手していることは御高承のとおりであります。これらの諸計画が、今後の原子力開発に有する重大な意義にかんがみ、世界の大勢におくれをとらぬようその積極的推進をはかるための具体策につき、鋭意検討を進め、力を尽くしてまいるつもりであります。特に原子力発電につきましては、将来におけるわが国エネルギーの需給構造上に占めるその重要性に思いをいたし、その推進につき特段の措置を講ずる所存であります。  第五に、最近産業の発展、近代化による国民生活の著しい改善にもかかわらず、台風、豪雪、集中豪雨等自然災害は依然としてあとを断たず、また大気汚染、騒音等過大都市の出現と工場の過密化に伴う公害の発生も増大化し、国民生活を脅かしております。これら災害を防止軽減するために、従来とも、関係行政機関それぞれの立場から研究を行ない、当庁においても総合的な立場からこれらの研究を推進してまいりましたが、今後とも防災及び環境科学技術の強力な振興をはかりこれに対処する所存であります。特に本年度当庁の付属機関として新設した国立防災科学技術センターについては、その役割りを十分果たさせるよう格段の育成強化をはかりたいと考えております。  また、その他の海洋科学技術等の重要総合研究についても、一そうの充実をはかる所存であります。  なお、最近次第に重要性を高めている資源の総合的利用の調査及び方策についても、これをさらに強力に進めてまいりたいと思っております。  最後に、科学技術に関する国際交流につきましては、宇宙開発、原子力利用等今日の科学技術の研究は、いまや国際的規模において行なわれるべき時代となっていることは申すまでもないところであります。特にわが国の経済協力開発機構への加盟が目前に迫っている今日、科学技術に関する国際交流がますますその重要性を増しつつあることを痛感する次第であります。したがいまして、今後一そう科学技術者の国際交流の推進、国際的共同研究及び国際会議への積極的参加等により、国際交流の実をあげるよう努力いたす所存であります。  また、科学技術基本法制定の問題につきましては、いまだ科学技術会議で審議中でありますので、その答申を待って検討を進めたいと考えております。  以上当面考えております施策の大綱を申し述べましたが、わが国科学技術振興の重要性にかんがみ、微力ながらもあらゆる努力をいたす所存であります。  委員各位の御支援、御協力をお願いしてやまない次第であります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、鹿島政務次官より発言の申し出がありますので、この際これを許します。鹿島政務次官。

鹿島俊雄自由民主党科学技術政務次官

○鹿島政府委員 私はこのたび再度政務次官を拝命いたしました鹿島俊雄であります。はなはだ不敏、ふつつかな者でありますので、何とぞ今後とも御教示、御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げます。     —————————————

前田正男自由民主党

○前田委員長 この際、質疑の通告がありますので、これを許します。福井勇君。

福井勇自由民主党

○福井委員 先ほど事務当局から三十九年度の重要事項の説明がありましたので、事務当局に簡単に、一番先の項目についてだけお尋ねします。  二ページの、科学技術会議の充実強化についての関連のことについてでございますが、科学技術庁に関連して、今日顧問、参与などが置かれておると思いますが、だいぶ古いことでありますので、昨年、一昨年ごろにあたってそういう会議がどのくらい開かれたか、ちょっと事務当局から説明していただきたいと思います。

江上龍彦総理府事務官(科学技術庁長官官房長)

○江上政府委員 顧問会議につきましては、昨年度一回開かれております。それから本年度は、実はきょう顧問会議を開く予定にいたしております。これが開かれますと本年度一回ということになるわけであります。  それから、参与につきましては、顧問とやや性格を異にいたしまして、それぞれ得意事項について御相談申し上げるというたてまえになっておりますので、参与会議というような名のついた会議は昨年度は開いておりませんが、そのつど問題に応じて参与の方と御相談申し上げる、こういう実情でございます。

福井勇自由民主党

○福井委員 いまの説明でわかりましたが、それ以前にもさかのぼって私はそういう印象を受けたので、気がついたので申し上げるのです。いまの前田委員長や私たちが科学技術庁をつくった当時、難行苦行してこの科学技術庁をつくった当時は、名前は顧問、参与というようなことではなかったけれども、ずいぶん民間の知識を動員してもらって、いろいろ会議を重ねられてこの科学技術庁をつくった。いま村田局長が受け持ちとは知らなかったのですが、それ以前局長になられる前——もちろん現大臣は何の御存じもない当時でありますが、この数年前から少しそういう面を活用することが退化したのではないかという心配がありますし、私だけのことではなくて耳にいたしておりますので、ここでちょっとあらためてお尋ねしたわけであります。  したがって、科学技術会議の充実強化ということを第一にうたっておりますけれども、こういうトップクラスの充実をはかりましても、世間で、陳腐な言い方でありますが、底辺をやはり相当科学技術庁としては活用してやっていただかないと私は事欠くのではないかと思いますので、第一の項目だけについて、簡単でありますがお尋ねしたわけであります。今後、もう少し活用をしていただきたい。  以上、私の希望を述べて私の質問を終わります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、岡良一君。

岡良一日本社会党

○岡委員 ただいま承りました大臣の御所信、また科学技術庁の重要事項、いずれもまことにけっこうなことでございますが、私は、特に予算がいよいよ最終的な段階になろうとしておりますので、この科学技術予算の運営を中心といたしまして、若干長官の御所信を承りたいと思います。  御所信にもありますように、諸外国における科学技術政策の重要性というものは非常に深く認識されておるということでありますが、一体わが国の政府が科学技術政策にどういう評価を与えておるかということであります。なるほど、ここ数年来の科学技術に関するいわゆる研究投資というものは、年を追って増加はいたしております。そして国民総所得に対する研究投資の比率は一・八というような数字で、大体西欧並みともいわれております。ところが、研究投資総額の中で政府の資金というものは、比率的には非常に少ない。総額を一〇〇とすれば三〇%程度です。ところが、諸外国の例を見ると、むしろ政府の出資というものが非常に大きい。そしてそれが民間のそれを上回っておる。日本ではその逆である。こういうようなことでは、科学技術政策というものに対する評価が政府においてはまだまだ不足しておる。いよいよ予算編成期を迎えて、こういう点についてどうされるか、長官の御所信を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 科学技術振興の基礎的なものとして研究費の必要なことは、御指摘のとおりであります。そこで、ただ一口に研究費というように申しますが、これは科学技術庁の研究費ばかりが科学技術振興に役立っておるわけではないことも、これまた御承知のとおりだと思います。文部省その他各省の関係で技術の研究をしておるものもありますし、すでに民間で生産に従事し、さらにそれを改善向上さす意味の研究費等、いろいろあると思います。  そこで、私ども、科学技術庁で研究費について特に力を入れるべきものは、民間あるいは他の官庁で手をつけかねるもの、そういうものに特に力を入れるべきではないだろうか、こういうことで指導をいたしております。しかし、ただいままでのところ、御指摘のように、まだまだ研究費として十分だとは思いません。その数字の内容は事務当局から説明いたさせます。

岡良一日本社会党

○岡委員 長官も御多用のように承っておりますから、私は詳しい数字はまた予算要求の資料をいただいた機会に、来春でもゆっくり話を申し上げたいと思うのです。  ただ、私が申し上げたのは、何も科学技術庁の研究の予算が少ないというわけではないのです。文部省も通産省も全部含めて、政府が投資しておる研究投資というものが民間投資の半ばにも満たないということ。他の国々はそうじゃない。やはり政府が科学技術政策というものの重要性、研究に対する高い評価の結果として思い切った予算を計上しておる。いよいよ予算編成期を迎えておるが、大臣としてはこういうさか立ちの現状に立って一体どういう御決意を持っておられるか、どういう方針を持っておられるか、そのことをお尋ねしたいのです。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 ただいま基本的な考え方はお示ししたとおりでございます。私ども、すでに新しい部門についての研究費をいろいろ要求し折衝いたしておりますが、各部門ともあらゆる機会に注意を喚起しないと、ただいま言われるような点が十分目的を達しかねるのじゃないか。当庁自身の予算から見ますと三、四割伸びておるのじゃないかというように思いますが、私はむしろ民間の経営しておるところの科学技術の研究費、それが宣伝費等と比べてさらにもっと積極的であってしかるべきじゃないか、そういう面も実は絶えず指導しておるつもりであります。

岡良一日本社会党

○岡委員 民間の研究投資がここ数年来非常に大幅に伸びてきたことは、数字をもって私どもも承知はしております。しかし、御存じのように、民間の研究投資というのは、在来技術に対するいわば部分的改善というふうな方向に使われておる。やはり国がもっと本格的に腰を入れて、そうして大臣の所信にもあるように、科学技術の開発という方向にいこうとするならば、国の責任において、もっと大幅な、思い切った研究投資をぜひ計上すべきだ、これが私は国の責任だと思うのでございます。国務大臣として、また閣議の席上などにおいてはこういう点をお含みの上で、ぜひ今後ともわれわれの期待に沿うように御努力願いたいと存じます。  来年度の予算について見ましても、大体一六%増というふうなことでございます。そうしますと、物価の値上がりと人件費のベースアップで大体吸収されてしまう。実際実施予算、事業予算というものはほとんどないというようなことでは、いかに美しいことばで来年度の役所の事業計画がつづられておるといたしましても、実際これを裏づける予算がそういう状態であるということでは、私ども非常に残念なわけでございますが、こういう点、大臣はどう考えておられますか。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 ただいまちょうど予算編成の重大な時期にかかっておりますし、また予算の基礎的な考え方から見ましても、今回の予算は均衡成長予算をつくっておる、かように申しておりますので、なかなか予算の獲得——ただいま御指摘のように、あるいは物価、人件費の高騰等を考慮に入れたときに、実質的にはたして純増がいかに見込まれるか、非常に私どもも苦慮しておる最中でございます。大事な研究の問題でございますので、こういう際におきましても、目的を達するようにできるだけ努力したい、かように思いまして、せっかく努力中でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 均衡ということがよく言われるので、それは国のさいふのことですから、赤字を出してもらっては困ることだが、しかし、それにしましても、いわゆる大蔵省的均衡というワク内に科学技術予算というものを押えられるということでは私は妥当ではないと思うのです。これはOECDの科学関係閣僚会議でも指摘されたことだと思いますが、大蔵省の科学投資に対するいわゆる不当な干渉ということばで指摘されておる。要するに科学技術あるいは研究投資というものは、いわば自然界の真理を研究し、探究をする、これを国民の生活なり産業の発展に役立てるという意味においてりっぱな投資なんですね。しかし、この投資というものは、その年度内においてバランスがとれるというわけにはいかない。一年かかるか、二年かかるか、三年かかるかわからない。また、研究を進めている問に、二年後、三年後にどういう新しい研究が生まれてくるかわからない。科学技術というものはそういうものなんですね。  ただ、それをきわめて短見者流に、大蔵省流に、本年度のワク内における均衡というような形で、科学技術予算を大蔵省的均衡のワク内にとどめられる。これにそのまま唯々諾々としてやってもらったのでは、科学技術行政というものの発展は望めない。そういう点について大臣の御所信というものをもう一度お伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 岡さんの御指摘のとおりであります。ただいま申し上げました予算編成の基本的方針、これはどこまでも全体の予算の問題であります。その中でただいま御指摘の研究費そのものは、短い期間の間に効果があがるとかどうこういうものではないと思います。したがって、研究費自身がこういう際におきましても必要である、これは大蔵省といえども認めざるを得ないと思いますし、また、すでにわれわれとしても皆様方の御支援によりまして手がけておる研究の計画がございますから、そういうものはどうしても予算を獲得し、その所期の目的を遂行していく、それに必要なものはとる、こういうことでなければならない。研究費そのものはいわゆる大蔵省的な均衡予算とか、これだけかければ幾らの効果があるとか、こういうものではない。そういう意味で研究費が研究費といわれるそのゆえんもあると思います。その点は、私も大蔵大臣をしたことがございますが、予算の項目等についてそういう点の誤解を持っておるわけではございませんから、御了承いただきたいと思います。

岡良一日本社会党

○岡委員 それから、来年度予算の数字を若干資料として拝見をいたしまして、たとえば公害問題、スモッグ対策の予算、それから宇宙開発の予算。それぞれ郵政省も要求する、文部省も要求する、科学技術庁も要求する。スモッグならば、厚生省も、運輸省も、科学技術庁も要求する。水資源であれば、通産省も要求すれば、また他の関係省も要求するというふうに、各省ばらばらに寸断分裂した予算を要求する。  もちろんこのことも、現在の機構からいえばやむを得ないとはいうものの、しかし御存じのように、これからの新しい科学の進歩というものは、だんだんに専門化してくると同時に、それぞれの細分化された専門的な研究の成果の上に総合的に集約された新しい技術というものが生まれてくる、こういう形になってきている。それが日本のお役所流のなわ張り主義で、予算が非常に非効率的に寸断分裂されて運営される。同時にまた、乏しい人がまたそれぞれの、いわば一本に総合的に運営されない。予算も人も非効率なものになる。こういうことは、他の仕事ならいざ知らず、科学技術という問題と取っ組んだ場合には、これは非常に不利な体制だと私は思うわけです。  これは、御所信の中にも、いろいろ御見解もあるようでございますが、ほんとうに予算と人を効率的に運用するという立場から、強い決意をもって新しき予算の運営に当たられる御方針かどうか、その御決意をもう一ぺんお聞きしたい。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 ただいま岡委員の言われるように、科学技術の部門、新しいものは別といたしまして、すでにそれぞれ各省で手がけておるものがございます。文部省関係、いわゆる大学の研究室における研究、これにいたしましても、一つ文部省内を見ましても各大学で重なっておるものがありますし、ずいぶんむだではないかというような見方もあるわけであります。  また、私どものやっておる科学技術庁として見ますと、ただ教育研究の場面ばかりでなしに、もうそれぞれ実用化されておる。たとえば農林技術、あるいは建設技術、あるいは運輸、通信、それぞれの部門にそれぞれの専門的研究が遂げられつつある。そういうものを行政の分野としてバランスのとれたものにすることが一つの問題であると思います。私ども科学技術庁の役割りのうちに、科学技術庁自身がみずからの力で研究を進めていくものもありますが、同時に他の官庁のそれぞれの機関を調整し、またこれらに元気をつけて、バランスのとれた研究を進めていくという、そういう役割りといいますか、行政の部分もあるわけであります。これが御承知のように、特別研究の調整費というような形で予算を特にいただいてもおるわけでございますが、どこまでもバランスのとれた研究、またそれぞれの特質を生かしていくということが、科学技術を究極に発達さすゆえんではないか、技術の向上をもたらすゆえんではないか、かように考えております。  いずれにいたしましても、科学技術庁という名前にふさわしいように、各省に対しましても、各省のそれぞれのものをいわゆる割拠主義にならないで、技術の総合的な協力体制のもとに進めていく、これを最善の私どもの努力の目標にいたしておるような次第でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 確かにいま大臣の言われた研究調整資金、あれは当時の中曽根長官の非常な努力の結果であったと思う。ただしかし、単にリサーチだけでなくて、デベロプメントも含めて機動的に運営できる大きな流動的なファンドを持つというところまで高めなければ、次の科学技術の発展というものはあり得ないのではないかという気もするわけであります。  しかし、それは先のことといたしまして、いま御所信の中にもあります研究学園都市と申しますか、国立試験研究機関の団地化、これは実現の可能性はあるのでございますか。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 科学技術庁が調整に乗り出し、いろいろ具体的な案を計画いたしております。しかし、なかなかむずかしいことでございますので、まだ結論は出ておりません。しかし、たいへんけっこうなねらいだと思いますので、これを実現さすべく最善の努力をしておるというのが現在の段階でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 これは科学技術庁の研究機関だけではなくて、他の各省にまたがっておる研究機関の中でも、大体移転の可能性のあるものは全部これを一まとめに集中しよう、そういう御計画でございますか。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 ただいま御指摘のような意味合いにおいて、科学技術庁が各省の希望並びに規模それぞれを材料としてまとめて調整をはかっておる段階でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 科学技術行政の総合的、計画的な運営という立場からいえば、ぜひ第一歩としてこれは実現をしていただきたい。  その次に、よく文部省の大学における研究との関係が問題になってくるわけでございますが、この点については大臣はどういうお考えを持っておられますか。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 私は、文部省の大学における教育研究機関の整備はたいへんけっこうだと思います。そういう意味で文部省も力を入れられるがいい、かように考えますが、しかし、学者の教育機関による研究、その限度というものはいずれあるんじゃないか。たとえばロケットの問題にいたしましても、あるいは宇宙開発の問題にいたしましても、ラムダまで進んでまいりますと、その次の段階になると、もう研究機関としては限界に近いのではないだろうか、こういうことを実は考えております。ただいまのところで比較的先に進んでおるのが文部省所管の学校の研究部門、かように考えますので、これには大いに力を入れたい。文部省のやることに対しましても協力するつもりでございますが、おそらく一定の程度にくると文部省の予算ではこれの処理ができないのではないか、そういうことを考え、そういう意味で文部大臣ともいろいろお話し合いをいたしておる次第であります。  また、これはただいまの御質問に直接答えるわけではありませんが、過日OECDに参りまして、いわゆる科学技術担当閣僚会議というのに出席いたしてみますと、二十二カ国のうちで科学技術担当の専門の大臣を持っておる国はきわめてわずかであります。その他は、その会議に出てまいりますのも、いわゆる教育を担当しておる文部大臣、教育大臣、こういうのが大多数でありまして、したがいまして、各国ともただいま御指摘になったような点に非常な悩みを持っているのではないか。これが各国共通の現在の問題ではないかと思います。専任の大臣を持っておりますのは、日本、フランス、イギリス、イタリア、ドイツ、その程度であったかと思います。  そういう実情でございますので、文部省のやられる研究設備、研究機関というものは、やはり現状といたしましては国として大いに力をかすべきじゃないか。しかし、それはおそらく一定の限度がある。これより以上はもう文部省の関係では手に負えない、こういう時期がくるのじゃないか、かように思います。

岡良一日本社会党

○岡委員 いま大臣からお話しになったロケットの問題にいたしましても、せいぜい四百キロ打ち上げとか、科学技術庁では三百キロ打ち上げを目的とする。おそらく国際的な宇宙開発の水準から見れば児戯にもひとしいようなもので、それぞれ各省に予算なり人を分割するということは、将来の展望からすれば非常に不利な体制ではないかと思う。これはもうアメリカあたりは三軍を一本にして、あくまでもNASAがその打ち上げ台を利用して宇宙開発を進めていく。そのアメリカとソビエトが宇宙開発、平和利用をやろうという協定を結んだという段階で、日本の役所が初歩の実験段階で予算を分割し、人を分割して、新聞の記事を競合さしているようなやり方は——科学の開発ですから、冷静に合理的に、一本にして、できるだけすみやかにりっぱな効果があがるように進めていただきたいと私は思うのです。  それから、大臣も長く大蔵大臣をしておられたから御承知と思いますが、外資法が昭和二十五年にでき、大体去年までに公私を通じて二千億をこえる外国の技術の導入をした。外国の技術が導入されることそのことを私は全的に否定するものではございません。ところが一方では、一体日本が外国に技術を輸出して受け取った外貨がどのくらいか。これは正確な数字は目下調査中という状態でありますが、たかだか二十億をこえないでしょう。二千億の外来技術を買って、得るものは二十億、一%です。大臣もヨーロッパへ行かれて、フランス、ドイツなりイタリアなりへ行って御存じだと思いますが、こんな国はどこにもないわけです。いわば日本の高度経済成長をささえているものは外国の技術にすぎないとさえもいえるのじゃないか。こういうことでは、いよいよ開放経済というような体制に向かってくると、日本は国際的な経済競争に太刀打ちできないのじゃないか。  そこで、国産技術というものを育てよう、しかし、この堕性の中では国産技術を育てる素地というか、土壌がないと私は思う。その土壌をつくっていく、これが現在の科学技術庁の大きな課題であろうと思うわけでございますが、こういう点について、方針として大臣はどういう御決意を持っているか、この機会にお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 ただいま御指摘のように、今日までのところは外国の技術を導入し、日本の技術の輸出は非常に小さい。このバランスがとれるようにするというか、これから日本技術をうんと外国へ出そう、そのために科学技術の振興も大きな役割りをするんだと思います。  先ほど宇宙開発の問題で、まるっきり児戯のようなものだということばがございましたが、私は別にことばじりを云々するわけじゃございませんが、確かに宇宙開発におきまして日本はおくれておる。これはもう御指摘になるまでもなく、非常におくれておる。しかしながら、ただいま宇宙開発に関係しておる技術者の諸君は、自分たちの力で、いわゆる国産によって、いましらばく時日をかしてくれれば、米ソに引き続いて宇宙開発に参加できる。そういう実は信念を持ってやっておるのです。したがいまして、すでに御承知のように、いわゆる児戯にもひとしいという批判の当たるようなものではございますが、カッパー・ロケット自身が外国に輸出されておる。こういう現状をごらんになりますと、現状はなるほど小さい、しかし技術者のそれらの意気込み、気魄というものをやはり養成してやることが必要じゃないかと思います。  そういう意味で、私どもはこの宇宙開発についてさらに力を入れるべきじゃないかと思いますが、ただいま科学技術庁と文部省、その二つの調整にもいろいろ悩みがある。そういう現状ではございますが、他の国においてはもっとこれは複雑であるようでありますし、ロケットの問題など、フランスの実情などいろいろ聞きますと、さらにそれに陸海軍が入るというようなことで、調整はまことに困難なようです。これはそれぞれの国がただいま悩んでおる状況だと思います。  そこで、私ども、今日までの外国から入ってきた技術は今日の日本経済発展の重要なる要素であったと思う。しかし、おそらく今後は日本の産業界も技術の導入は順次減っていくのじゃないだろうか。もちろん新しいものは計画されますが、戦後非常に急激に目ざましく導入したような事態とは、産業の実情から、変わってくるのじゃないか。そうして、今日まであまり外国には輸出されなかったが、今度は日本の技術がだんだん他の国にも出ていくようになるのじゃないか。そういうところに私どもも一つの希望を持ち、楽しみを持ちたいものだ。そういう意味で、現状においてはなるほどまだ不十分なものだと思いますけれども、その水準を高めていって、そうして国際収支の上にも役立つようにいたしたいものだと思います。  私、率直に申しまして、いろいろ政治的にも成功したから今日の経済の繁栄を招来したということは言えると思いますが、同時に財界、また国も許して、外国の最新式な、そのときにおける最高度の技術を導入したことが、今日の経済発展に非常に役立ったゆえんだと思います。しかし、もう日本の経済もりっぱに成長してまいりましたから、そういう意味では順次技術導入の量は変ってくるのじゃないか。そういうことを考えると、また同時に、日本から輸出するものも順次ふえていくのじゃないだろうか、ここらに楽しみが持てるのじゃないかと思います。問題になりました中共に対するプラント輸出なども、やはり日本技術の輸出も一部あるわけでありまして、こういう意味で、日本の科学技術を担当しておる技術者の諸君が大いに元気が出せるように、ひとつ御鞭撻をいただきたいと思います。

岡良一日本社会党

○岡委員 外資法が改正の機運にあるとうかがわれるわけですが、この場合外資法の中における外国技術の導入については、科学技術庁長官としてはどういう御方針を持っておられますか。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 もちろん科学技術庁も、外資導入の場合に、事務的な段階におきまして十分審査するその会議に参画いたしておりますので、新しい技術なりや、あるいは特に導入を必要とするか、あるいはこれは国産で間に合うか、あるいはまた国産技術による国内産業にどういう影響を与えるか、そういう見地に立ちまして、適正なものの導入を許し、また国内産業に波紋を起こすようなものについては慎重に扱っておるというのが現状でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 国産技術の育成という立場から、そうして真の自力による経済競争力を養うという立場から、開放経済、外資法改正ということですね。ずるずるに無条件な技術導入をするというようなことは、よほど政府としては御戒心を願いたいと思う。特に自由化の声が上がり始めてから、外来技術の導入がここ二、三年非常に激しくなっているという事情にかんがみても、そういう点もあわせてぜひひとつお考えを願いたいと思います。  それから、国際協力の点でございますが、大臣は楽しみにしておるというお話ですが、児戯にひとしいということは若干極端な表現かもしれませんが、ただしかし、これは現在の開発水準から見たらきわめて初歩の初歩の段階ではないかということであります。この国際協力という点で、特に宇宙開発という問題で、たとえば飛行機を一つ取り上げてみましても、やがてアメリカでは二マッハ以上、おそらく二・二マッハぐらいの航空機が生産できるということです。これは、大体千五、六百億の金を投入してこれを生産する段階にきたということ。これに負けてはならじというので、とても一国の力ではやれないというので、英国とフランスが共同で、これも二マッハ以上の飛行機が生産される段階にきている。ところが、日本ではYS−11。一体これでは、日本も二千億の金、三千億の金を投入して二マッハ以上のものをつくる、その時分には向こうはもう三マッハをつくる。こういうように、絶えずあとを追っていくという状態です。  私は、国際協力というものの考え方をやはり考え直さなければならぬのじゃないか。日本の国産技術を育成するということは、特に宇宙というようなものを相手にした場合には、日本も同じものをつくる、あれこれの国々もみな同じものをつくるというのではなくて、もっと大きく、それこそ開放された形における国際協力という体制を踏んでいくという方向へ、日本自身も進歩していく必要があるのではないかと思います。  気象衛星がいま打ち上げられて、最近の気象衛星の成果というものは、日本もこれを実現しょうとすれば実現できるということです。米ソの間にも、気象衛星については両方から相当きめのこまかいことをやっておる。あれが十分受信をされ、そして、ものの動き、国々の移り変わりというものが十分に地上から受け取られて、それが国際的な技術者の分析を経て、検討を経るならば、おそらく台風の原因というものもわかる。ハリケーンとかモンスーンの原因もわかるかもしれない。わかれば、これに対する防災的な措置の方向へ日本の科学技術が進み得る一つのスタートラインが開ける。こういう場合に、日本も気象衛星を打ち上げる、向こうも打ち上げるということではなくて、米ソの協力協定には日本も参加できるという余地は残してある。だから、そういう形で、宇宙に対する国際協力というものは、日本の国内において、ある機関とある機関が競争をやるというふうな非常にちゃちな段階を越えて、もっと打ち上げるものは向こうのものを利用して、こちらはカメラを出してもいいし、そういう形で、全人類の連帯的な責任感の上に立った国際協力という形で、地球の病気である台風なり災害なり、あるいはモンスーンをこの際予報するという展望の上に、ビジョンの上に協力していくという体制、そういう方向へ国際協力というものを進める必要があるのではないか。そういう点、まだ科学の世界で偏狭なナショナリズムにこだわるということは、真の科学というものの発展をしばしば阻害するような要因になりはしないかと思うわけです。国際協力についての基本的なお考えは、どういう御所信なのか。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 ただいまの科学技術の平和利用、これは各国とも、そういう方向に非常な努力をいたしております。また、その面では各国の協力ということが強く望まれておる。私どもが欧州の会議に、オブザーバーではありましたが、出席したのも、やはり協力という立場においての要請だ、かように考えております。  ただいま御指摘になりましたような宇宙開発、こういうたいへん新しい、また大きな問題になってまいりますと、もちろん各国の協力を必要とすると思いますが、その以前におきましても、日常の科学技術の面においての協力も、これまた非常に必要でございます。それが先ほど来のいわゆる技術の輸出の問題になるとか、あるいは技術の導入の問題になるとか、相互情報の交換の問題であるとかいうことに発展してまいっておるのであります。  そこで宇宙開発、その問題自体は一体どうなのか。日本の国産技術によるいわゆる人工衛星の打ち上げ可能な時期は一体いつになるだろう。大体五、六年先にはそういうものは可能なんじゃないか。そういう意味で技術者の動員が可能であり、またそういう準備を今日からすべきではないか。こういうことを機会あるごとに事務当局にもお話しをし、また、それぞれの専門部門の方にもそういうおはかりを実はいたしておるのであります。ただいまの日本の技術陣で、外国から一部を輸入することによって人工衛星の打ち上げも可能でございます。しかしながら、今日の段階においては、やはり日本の燃料で人工衛星を打ち上げるところにわれわれの夢があるのではないか、かように思いますので、外国から燃料を買い付けるということはしばらくおいても、いまの研究を進めさせていくつもりであります。  ことに、テルスターというものによって、来年のオリンピック等を控えていわゆる海外放送というものが積極的に唱えられ、しかも受信も可能だ。その試験はすでに成功いたしておりますので、そういう意味から見ますと、いまの協力の関係もいわゆる夢ではなくて、われわれの力によってこれに加入もできるだろう、またそういう方向へ進めるべきではないかというので、いろいろ話し合っておるというのが現在の段階でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 何も日本の科学者の能力を低く評価したり、また、そういう宇宙開発の事業において、ある限度をことさらに政府が設けていいということを申し上げておるわけではないのです。ただやはり、能力と同時に資金の問題もあります。御存じのように、ことしのアメリカの宇宙開発予算は五億ドルです。日本の予算の三倍に近いものを使っておる。そういうようなことも考えますと同時に、また、宇宙開発をして人間が月に旅行する。月ならばいいが、他の天体に新しい文化や生命を発見するということになれば、全人類の世界観の大変化だと思います。東や西やという、そういう横の対立ではなくて、全人類が運命の共同的な連帯感において宇宙を開発するという状態の中で、われわれは全人類的な協力というものを考えなければならぬ時代です。そういうようなことも考えながら、大きな、幅の広い協力体制——人工衛星で米ソが平和利用の競争をやっている、日本もそれに進んで参加してやっていくというような余地もあるのではないかということを申し上げたわけです。  それから、もう一つ、この科学技術を国が特に大きく中に入って進めるという場合、計画性が必要だと私は思う。ところが、ここに重要な研究課題としてあげられておる原子力研究、ことしの六月だかにいわゆる国産動力炉、天然ウラン重水型というものが採用された。ところが、二号炉は軽水炉だ。そこまでは、まああれだが、三号炉、四号炉は大体また軽水炉で、これは民間の電気会社がやる。そこで、前期百万キロワットは一応できるだろう。それからあとは一体何をやるかというようなことで、軽水炉を入れたり、原子力委員会では国産動力炉のタイプとしては天然ウラン重水型、一方では前期十年間に研究開発段階と言いながら、これは電気会社にまかせればやはり利益採算から安上がりな軽水型というところへいって、そしてそれが研究開発段階と称され、今度はまた後期十年間に五百万キロ、六百万キロやるのは一体何でやるのか。国産動力炉でやるのかどうかという見通しが立たないと思う。  そういうわけで、原子力の開発長期計画にも私は一貫性がないように思う。こういう点もう少し科学の研究開発計画というものは一貫性があっていいのではないか。全然計画性がない。こういうことではほんとうの原子力の研究開発というものが進まないわけだが、こういう点、原子力委員長、一体どう考えておられるのか。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 研究の計画性は、ことに日本のような資力の不足のところにおいては最も必要なことだと思います。そういう意味において、計画性を私どもも強く主張したいのであります。  しかして、いまの原子力発電所の問題になってまいりますと、これはとにかく新しいものと取り組むのであります。そういう意味から、まだまだ研究の期間であり、そういう意味においてのいろいろ発電炉の形式などが云々されておる、かように思います。しかし、これも長いことではない。おそらく結論が出てきて今後の方向が定まるだろう。そういうことが定まれば、いま言われますように百万キロの発電計画、それに引き続いていかに進めるかという第二期の発電計画を立て得るのだと思います。ただいま何といいましてもまだ研究の部門である点もあるし、ことに原子力の問題、あるいは宇宙開発の問題にいたしましても、私どもの非常に困難なのは、何といっても平和利用という立場に専念いたしておりまして、そういう立場から各方面の見方がありますので、そういう意味であらゆるものをただいま研究している。必ずしも私は原子力研究所が失敗したとは思いません。しかし、もうそろそろ次の段階を考えてしかるべきじゃないか、そういう時期にきているのじゃないか、その意味では、岡さんが御指摘なすったと同様に、今後また原子力研究所のあり方等も私どもの政府が考うべき課題になりつつあるのじゃないか、かように私思っております。

岡良一日本社会党

○岡委員 このことは、これも島村君には口がすっぱくなるほど私は申し上げておることなんだが、日本原子力研究所が電気をつけたり消したりしているというようなことも、これはやはり基本的には原子力委員会そのものに長期にわたる一貫した計画がないということなんです。同時に自主性がないというか、要すると原子力研究所は、口が悪い人は、あれは外国の炉の展覧会場だ、やがてはみんな歴史的なモニュメントになるようなものをそろえておる、文字どおり炉多くして功少ないようなことをやっているのが原子力研究所だ。というようなことを言っている。  実際、冗談じゃなく、国産動力炉天然ウラン重水型を採用するというあれがあったが、この前私はカナダへ行ったが、あすこでは国産動力炉天然ウラン重水型でやっている、あすこは十年間それ一点ばりです。自分のアイデアを十年追求して、小型の天然ウラン重水型から始めてそれを大型にし、そしてそれでもって材料試験炉をつくり、そしてもうすでに動力試験炉はチョークリバーの上流につくって、あそこで二万四千キロの実験をやっておる。これでだいじょうぶだという確信を持って今度は三十万キロの実用炉をつくっておる。もう天然ウラン重水型一本でずっと追求してきておる。その間にはおそらく失敗もあったでしょう。しかし、失敗を十分に批判しながら、さらにその失敗を、禍を転じて福となすという努力をやって、十年国産の天然ウラン重水型一本でやっておる。  ところが、日本では、ああしていろいろなタイプの炉を入れ、これもどうだ、これもどうだとやっている。ほんとうに原子力委員会がそれを必要とするのかどうか。むしろ別な向きがそれを無理に持ち込んでくるのではないかとさえいわれるほど多種多様な炉を入れて、半拘質炉のプロジェクトがどうなったかといえば、一年たつかたたない間にこれはだめだということになってしまう。実に一貫性がない。科学研究というものは人間の仕事なんだから、人間の終身の中から真剣な学問領域というものが出てくる。非常に一貫性がない、こういう点を私は非常に残念に思うわけでございます。他の問題についても、研究の態度、姿勢として、ビヘービアとして十分御検討いただきたいと思います。  最後に、原子力潜水艦の問題です。これはこの委員会で、もう何回も何回も口をすっぱくして論議を交した問題だから、その後のこの問題についての情報を兼ねて、大臣の御所信を伺いたいと思います。というのは、大臣が御就任直後に、原子力潜水艦の寄港承認の問題は政治的な判断に待って決定さるべきであるというような御趣旨のことを申されたということが新聞に伝えられております。これは私どもとすれば非常に関心の深い御発言でありましたが、たまたま委員会を開くことができなかったわけです。大臣の真意はそういうことでございますか、まずその点を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 もちろん原子力の問題でございますから、その安全性についても学者の意見はもちろん尊重しなければなりません。そういうことの基礎的な条件はさることながら、ただいまのところこれは政治的な問題だ、私はかような見解を持っております。政治的な問題だから技術の面は無視する、こういう意味ではございません。その点は誤解のないように願いたいと思います。

岡良一日本社会党

○岡委員 原子力潜水艦の寄港を承認してくれということは日本とアメリカ間における条約に基づく政治的な問題だ、しかし、それを受け入れる日本側の態度としては、単に政治的な問題だとして済まされない。  そこで、私どもは、この問題が起こったとき、ことしの二月、この申し入れに対して原子力委員会は一体どういう態度を持っておられるのかという統一見解を求めたことがある。そのときに、安全性について責任のある保証を取りつけるということが文書でこの委員会に報告されている。国会を通じて国民にお約束になっておる。公約なんです。  ところが、たまたま大臣が御就任になる前後、専門の学者が政府へ申し入れておるはずです。学術会議もそういうような意思表示をしたと思います。原子力潜水艦の安全性については重大な疑義がある。ところが、そのときそれに対して、いや、学者が何と言おうと、これは政治的な問題として政府は判断し決定すべきだというふうにとれるようなタイミングにおいてあなたはああいう発言をしておる。それは、安全性というものに疑義があっても政治的な判断においては寄港を承認すべきものである、あなたはこういうお考えを持っておられるのかどうか、この点をお聞きしておきたい。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 ただいまお答えしたように、政治的な問題だから安全性を無視して解決する、こういう意味のものではございません。原子力潜水艦あるいは放射能、そういうものについての安全というか、その確保についての最善の努力をすることは当然のことであります。

岡良一日本社会党

○岡委員 これはやはり大平外務大臣が国会で言明をしておられるのであるが、原子力委員会等の意見は十分尊重しこれを聞いて決定したい。したがって、原子力委員会の安全性に関する判断というものが寄港を承認するかいなかを左右する非常に重要なファクターである。  そこで、この前、外務省が安全性を中心とする日本政府とアメリカの政府との間の往復文書の抄訳を発表された。そのときに原子力委員会は、それをもって安全性が立証されたものとは考えないという御答弁であった。してみれば、その後安全性について一体具体的にどういう照会をせられたか。また相手方からどういう答弁があったか。重要なポイントだけでけっこうですけれども、ひとつこの際、担当の方がおられればその方からでもけっこうです、お聞かせ願いたい。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 この新しい原子力そのものにつきまして、なかなか国民の間には理解しかねるものもございます。ことに、第一の核の被爆国であるという意味合いにおきまして、なかなか感情的に解けないものもあるようであります。しかし、その点を冷静に十分話し合うといいますか、米政府ともよく話し合って、そうして納得のいく結論が出たときに政治的な問題が解決される、私はかように実は理解をいたしております。  御承知のように、ただいま平和利用で原子力はあらゆる面に使われつつあります。私どもも原子力発電所を設けてもおりますし、また皆様方の協賛を得て原子力観測船もつくるということで、すでにスタートしております。また外国では、いわゆる軍艦、潜水艦だけではございません、商船にまで原子力を動力にするものが出現しております。  そういう際でありますだけに、みんなに納得のいくようにこの安全の問題を取り上げてはおります。しかして、事柄自身は私ども国内においてあらゆる努力をしておるが、今度は陸上の問題ではない、海中の問題なんである。こういうような意味から、それに対する調査なども進めるということで準備をしておるというのが現段階であります。したがいまして、いわゆる条約にどうあるからこれは受けなければならない、ただそういう簡単な理屈ではございません。十分納得のいくような処置をとるということで努力しておるというのが実情でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 大臣に人情論を聞いておるのではない。それは広島、長崎の被爆という経験を持っておりますから、われわれ日本人は原子力についてはやはり特に鋭敏な感覚を持っている。だから、私どもは、船をつくる場合でも、発電所をつくる場合でも、原子力の平和利用については慎重の上にも慎重を期さないと、それ見たことかということになって、今後の平和利用が蹉趺するようなことがあってはならないというな立場をとって、平和利用のことについては私ども非常に賛成をしておるわけであります。  そこで、私は別にわれわれの主観的な資料で申し上げておるのではないので、先ほどお尋ねをいたしました点でございますが、さらに具体的に申し上げますと、これは七月四日の国会が終わろうとする前の前の日の外務科学技術連合審査の席上で、私は特に御調査をお願いしておいたのです。それは、アメリカ側の公式な文書、いわゆる日本、アメリカの原子力合同委員会の文書において、人口の稠密な港に原子力潜水艦を寄港せしめるということは避けられれば避けたほうがいいということが繰り返し書いてある。そのことを私は文書を提示して申し上げた。さらに、平和利用のためのサバンナ号、あの原子力船である、貨客船であるサバンナ号についても非常にシビアーな停泊基準というものがアメリカの原子力委員会において発表されておる。そうなってくると、サバンナ号の構造よりもさらに危険の度が強いといわれておる潜水艦であるだけに、この停泊については、さらに日本側としても安全保持の立場から明確な基準というものを持つ必要があると思う。寄港を承認する基準を持たなければならぬと思うが、具体的にどういう基準を持ったらいいと思われますか、これを次の機会にまでお答え願いたい、こうはっきり委員会で申し上げた。これは担当の方は島村局長ですか、どなたかひとつ、その後その結論が出ておられるならばこの機会にお示しを願いたい。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 ただいま御指摘の点はまことに重要でありますから、そこで、関係の各国で協約を結んでおります。これこれの条件を満たすべきだ、こういうことを言っておりますが、その協約の内容、これを島村君から説明いたさせます。

岡良一日本社会党

○岡委員 その協約の内容は、ギリシアとの協約の内容は私もよく知っております。  ただ、しかし、協約を結ぶために必要とするデータを向こうは出してくれないわけですね。出してくれないから、原子力潜水艦の場合にはコンテナの問題なり、燃料の問題なりについては、危険度が高いという立場から、危険度の低い平和利用のための貨客船のサバンナ号でさえこういうシビアーな停泊基準を設けておるのだから、原子力潜水艦については一段と慎重を期すべきであろう、特に人口稠密な横須賀、佐世保の場合においてはしかり、だからどういう基準を持っておられるか、用意せられておるかということを聞いておるわけです。  その点で、その後アメリカ側ともおそらく聞き合わされたことと思いますので、ひとつ持っておられるならばお示しを願いたい。なければこの次の機会でもけっこうなのです。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 いま協約を引き合いに出しましたのは、ただいま各国の科学技術者がこれならば納得できるという、その協約、その基準に合わせたものでやりまして、そういうことで私どもは安全性の確保というか、これを交渉しておるというのが現状でございます。その点で一応御了承ができるかどうかという問題だと思います。いまそれより以上のものが学者の間にございませんので、各国が納得をしておる、いわゆる寄港の場合における受け入れの条件その他、その協約、これが基準になっておる、かように私は考えますので、協約を御披露いたしたのでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 まあ、時間もたちますので、それではひとつ、この際結論として、原子力委員長としての責任ある御答弁をいただきたい。それは、原子力委員会としてはこの安全性を立証するために一体どういう方法、どういう人たちの意見を求めて決定されるのかということと、原子力委員会がこれらの手続を経て安全性が立証されなかった場合には、寄港は承認すべきものではないという態度に立たれるのかということですね。これは佐藤大臣もデンマークに行かれて、デンマークのお話は御存じだろうと思う、あそこでは、政府はNATO加盟国として当然なんだということでノーテラス号を入れようとしたところが、かの有名なボーアが原子力委員長の立場からやはり危険性を指摘して、拒否することになったという御経験があったということは、デンマークにたしか大臣も私と前後して一日ぐらいおられたはずだから、お聞きになったろうと思う。  この点、はっきりした点をどうですか。原子力委員会は、適当な、われわれの納得のいく民主的な手段によって原子力潜水艦の安全性の確認をされる、その上で、安全性が立証されないとするならば寄港すべきものではないという方針を打ち出されるか、これはこの前から引き続いている問題なので、一ぺんお聞きしておかなければならないと思っております。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○佐藤国務大臣 就任以来の一番大事な、大きな問題であります。したがいまして、私もこの問題はおろそかにはいたしておりませんし、ことにただいま、御承知のように、いわゆる国が責任を持てるその立場は原子力委員会だと思いますし、私はその委員長をいたしておりますので、この委員会において納得がいかない限りにおいては、ただいまの寄港問題というのは、条約であろうが政治問題であろうが、そう簡単にはまいらないと思います。したがいまして、私どもこの委員会におけるいろいろ疑義その他を外務省をして交渉さしておるというのが現段階であります。ただいままだ結論は得ておらないというのが現状であります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 それでは、質疑はこれで終了いたします。

前田正男自由民主党

○前田委員長 この際、閉会中審査の申し出についておはかりいたします。  本国会が閉会となりました後も、科学技術振興対策に関する件につきまして、閉会中審査をいたしたい旨議長に申し出ることにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田正男自由民主党

○前田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会

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