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44回国会参議院1963/11/14

社会労働委員会 閉会後第2号

発言数
78
登壇者
10
会派数
3
開催日
1963/11/14

会議録

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) ただいまより開会いたします。  開会に先立ち、今次三井三池の鉱業所における爆発事故によってとうとい命を失われました四百五十一名の犠牲者の皆さん、それから、国鉄鶴見事故によって同様とうとい命をなくされました百六十一名の皆さんに対し、委員会として黙祷をささげ、これより御冥福を祈りたいと存じます。どうぞひとつ御協力いただきたいと思います。  では、黙祷。   〔総員起立、黙祷〕

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 黙祷終わり。   —————————————

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 委員の異動についてお知らせいたします。  本日、村尾重雄君が委員を辞任されまして、その補欠として、天田勝正君が選任されました。   —————————————

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 労働情勢に関する調査中、今回の三井三池鉱業所三川鉱における災害問題に関する件を議題といたします。  まず、政府より本問題に対する説明を願います。大橋労働大臣。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 三井鉱山三池鉱業所におきまして、去る九日、大災害が発生いたし、多数の犠牲者を出しましたことは、まことに遺憾に存ずるところであります。なくなられました皆さまに対しまして、心から哀悼の意を表しまするとともに、御遺族の方々に対しましては、深く御同情申し上げる次第でございます。  石炭産業の労使各位におかれましては、いろいろの困難を克服しつつ、整備と再建になみなみならぬ御努力を払われつつあるやさきでもあり、今回の惨事に関係者の皆さま方の落胆もいかばかりか、痛恨にたえないところでございます。いずれその原因も明らかになり、将来再びかかる災害を繰り返さないための恒久対策の樹立を急がなければならないことは申すまでもありませんが、私といたしましては、まず、不幸にして今回被災されました方々に対する各般の援護措置に万全を期することが喫緊の要務と考えるのでございます。  政府は、過日の閣議におきまして、現地に対策本部を設け、その活動を開始いたしておりますが、労働省におきましては、まず、労働者災害補償金の早期支払いについて各般の準備を行ない、請求のあり次第、すみやかに支給し得る態勢をとることといたしました。さらに、遺家族の援護につきましては、未亡人の就職のための訓練、職業紹介等を集中的、強力的に実施し、希望者に対し、一日も早く有効な職業が確保されるよう、各般の措置を講じてまいる所存でございます。また、住宅問題、子弟の教育問題等につきまして、それぞれ関係方面とも緊密な連絡をとりつつ、適宜適切な措置を講じ、被災者の方々の生活の安定に最善の努力を尽くすことこそ、現在私どもに課せられた重大な責務であろうと存じます。各位におかれましても、何とぞ意のあるところをおくみとりの上、各般の御協力を賜りますことをお願い申し上げる次第でございます。

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言願います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 なくなられました多数の方々の御冥福を祈りながら御質問申し上げます。  きょうは通産大臣が現地に行かれておられますので、本席においででございませんが、きのう十分質問もできずに現地に立たれましたので、それも含めて御質問申し上げたいと存じます。  まず第一に、今度の大災害の起こった、直接でなく、この要因は何であるかということと、直接の原因が、今日の新聞で見ますと、炭車暴走だということに断定されておるというような実情でございますが、それに対する考え方、あるいは、ただいま大臣から申されました遺家族の就職、住宅、生活の問題につきまして具体的なことを質問申し上げていきたい、かように思います。  まず、政府が打ち出した合理化、有沢団長が答申した合理化は、四十二年度までに十二万何がしの炭鉱の労働者にする、こういうことが出ておったわけなんです。ところが、現在すでに十二万そこそこの人員になっておる。しかも、政府から多額の金を借り受けて、そうして移住資金、離職資金等を出して炭鉱の労働者を炭鉱から締め出したわけですが、炭鉱に魅力を失った労働者は続々と職を離れて、皮肉にも、今日、金をたくさん出して炭鉱をやめてもらった会社が、今度は金を出して鉱員を採用して回ってやる、募集して回っているというような現実です。そうなりますと、各炭鉱が人手が足りずに非常なる行き過ぎの合理化が行なわれている。まして、加えて生産はより以上出さねばならぬ。個人の能力は三十五トンから四十トン近くまで引き上げる、こういうしわ寄せが今日の状態を生んできた、これが今度の問題を起こしました三池の場合もそのとおり。三川鉱におきましては、直接夫がわずか千人そこそこであったのが、二千人近い倍の数字にふえている。その逆に間接夫は半分に減っている、こういう実態が今日の状態をもたらしたものだ。そうして合理化そのものがすでに破綻してきている。合理化政策が間違っておった、行き過ぎてしまった、その結果がこういう重大災害に発展した、かように思うのですが、その点について労働大臣並びに通産省関係の方の御意見を伺っておきます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 合理化の過程におきましてかような不測の大災害がありましたことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。この合理化そのものは、今日の石炭業界の実情から見まして、やむを得ざるものといたしまして、政府もこれにつきましては慎重なる計画を立て、それに基づいて業界を指導いたしてまいっておったのでございます。ただ、御指摘のごとく、必ずしも合理化の進行が時期的に計画どおりいっていると言えない点のありますことは、いろいろの問題の起ります原因と考えられないこともないと存じますが、しかし、災害の防止につきましては、政府といたしましては最も根本的な問題でございますので、合理化のために保安の問題をなおざりにするというようなことは毛頭ないつもりでございます。あくまでも人命を尊重しつつ炭鉱の合理化を進行させたい、かような考えでまいっておった次第でございます。このたびの災害につきましては、何が原因であるというようなことは、非常にいろいろなことが考えられるかもしれませんが、的確なる原因、また、それを生み出したる根本的な要因等につきまして、政府といたしましては慎重に調査をいたし、その上で将来の根本的な対策を立てたい、かように考えまして、目下専門家の方々の手をわずらわして調査を進めている次第でございまして、調査の結果を待ってお答えをさしていただきたいと存じます。

若林茂信通商産業省石炭局炭政課長

○説明員(若林茂信君) 本来、大臣からお答えすべき御質問だと思いますが、本日見えておりませんので、かわりましてお答え申し上げます。  今度合理化の計画の実施の過程におきましてこのような不祥事が起りましたことは、私どもこの仕事の一端を担当する者といたしまして、衷心から遺憾に存じます。合理化計画は、ただいま阿具根委員の御指摘のように、四十二年度を目標として遂行されていると思いますが、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドのいわゆるスクラップ、山を閉山する計画と、一方、合理化の人員を整理する計画の二本立てからなっているわけでございますが、スクラップ計画はほぼ予定どおり進んでおりまして、本年度におきましても、計画は五百五十三万ときめられておりますが、実績はややそれを下回る程度に進んでおるわけでございます。しかしながら、一方、人間の面につきましては、ただいま御指摘のように、かなり労働者が減っていることは事実でございまして、先般当省におきましても石炭鉱業審議会を開催いたしまして、その間の問題について御検討願ったわけでございます。本年度の実施計画、年度当初きめられました実施計画におきましては、実働労働者教は年間を通じまして二万五千人程度減るという見込みで立てられておったのでございますが、実勢はそれをかなり上回っておるわけでございます。上回っております原因をいろいろ審議会においても御検討願ったのでございますが、一番多いのは、やはり希望退職者が予定以上の増加、それから、第二会社あるいは企業内配置転換が予定どおりいかなかったという点に大きな原因があるのでございまして、実際はその予定されました数を相当上回る、おそらく一万人近く上回るだろうと推定されておるわけでございます。その上回りますことが非常に歓迎すべきかどうか、あるいは非常に遺憾なことかどうかという点につきましては、審議会でもいろいろと御検討を願ったのでございまして、委員の方々におきましていろいろ御意見がございましたが、最後の御意見といたしましては、実際はやむを得ない、しかも、出てしまったことに対してはほっておくわけにいかぬので、それに対しては適切な措置をとれというような御答申をいただきました。それについて通産省のほうにおきまして退職金の世話というようなことをやっておるわけでございまして、また、離職者につきましては、労働省において再就職計画並びにそれに伴います諸対策を講じていただくことになっているわけでございます。  それから、合理化と保安という関係はどうかという基本的な問題でございますが、これは今度の合理化計画をきめました発端になりました有澤調査団の答申におきましても、石炭鉱業におきましては、人命の尊重が基本的な命題である、あくまでもそれを基本としてやるべきであるということを強くうたわれておりますし、また、それに基づきまして決定されました政府の石炭対策大綱におきましても、同様の趣旨がうたわれておるわけでございます。私ども実際仕事をいたしている者といたしましても、石炭産業は、その産業の特質上、人命の尊重、つまりそれのもとになる保安の確保ということが産業存立の基盤であると常日ごろから考えておるわけでございまして、それなくしてはいかなることもできないというように考えておるわけでございます。合理化ということにつきましても、当然それを前提として、むしろ保安をいかにして有効にやっていくかという点に合理化の一つの目標があるというふうにすら考えておるわけでございまして、私どもむろんそう考えているとともに、業界に対しましても、そういう気持ちで指導してまいっているわけでございますが、ただ、今回の事件が起こりましたことは、返す返す遺憾に存じ、また、残念に思っているわけでございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 答弁はそういうふうに答弁されるけれども、実際問題として、それでは現在選挙選が戦われて、所得倍増がどうだ、物価がどうだということが急先鋒になっておりますが、炭鉱が所得倍増になりましたか、物価は倍以上に上がっておりますが、炭鉱の賃金は、今度の日炭高松が今無期限ストライキをやっておりますが、六千円の賃下げです。賃下げです。今度問題を起こした三井三池でもそのとおり、六%の賃金たな上げです。ボーナス一万円。こういう血を流して働くようなところの賃金は下がって、そうしてボーナスは、いわゆる日雇い労働者よりも下のボーナス、そういうことで働かせて、それでも黒字にならないというところで、間接夫はどんどん減らす、出炭だけはどんどんさせる。それでもまだ百五十万トンの石炭が足らぬと今日いわれておるわけなんです。そうすると、こういう災害が起こってくるのが不自然じゃなく、こういう状態が生み出されおったということは、すでに有澤団長がその当時私の質問に答えて言われましたように、今度の合理化で、もしもうまくいかなかった場合は、もう資本主義のもとでは炭鉱の経営は成り立ちません、これが最後の考え方です。私には、これを社会化してやるのか、それとも私企業でやるのかという質問ではなかったのです。私企業でやる場合にはどこまでやるかという、私企業の限界を私は総理大臣から諮問された、だから、私企業の限界としてはこれまでだということを言われておるが、その場合でも、賃下げとか、保安を二義的に下げるということは一切言っておられない。しかし、現実はそうなっておる。災害が合理化されて以後ふえてきたことも事実です。そうしますと、人を減らす、賃金を減らす、出炭をふやす。これはとりもなおさず労働者の犠牲である。しかも、最悪の場合はこういう血の犠牲だということを明らかに示しておるものだと、私はかように思うのですが、いかがですか労働大臣。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 石炭業界におきまして、現在の石炭界の情勢から見まして、賃金につきまして御説のような処置がとられつつあることは事実でございます。しかしながら、これらの措置は、いずれも経営の立て直しという観点から、組合と話し合いの上でなされておるものでございまして、労働省といたしましては、明らかに労働条件の低下を意味するものではございまするが、しかし、これらの措置が労使間におきまして話し合いによってきめられまする以上は、やむを得ざることと考えている次第でございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 いずれ、おりをみてゆっくりこの問題は論争したいと思います。  次に、きょうの新聞等を見てみますと、三池鉱の爆発の原因は炭車の暴走だと、こういうようにすでに断定されておるようでございます。そういたしますと、この新聞の記事だけを見てみると、非常にたくさんの人が誤解をする。私は私なりの立場からこの問題についてひとつ論争してみたいと思う。三池鉱の坑口というのは、御承知のように、坑口から千八百メートルぐらいの大斜坑でございます。しかも、この爆発した個所は一つの坑口にベルトがあって、石炭はベルトで運んでおる。これが一日約一万トン、これの製作当時にぼくもおったのですが、その当時二十数年前に一万トンの計画をやってベルトをつけたものです。それを今日フル運転しておる、こういう現実。そのベルトの横に斜道があって、この斜道に巻き上げておった炭車が暴走した、そして、その炭車に積んであった石炭がひっくり返って、そうして炭車といわゆるレールから火花が出たやつで引火したのではなかろうかというようなことが言われておる。そうしますと、石炭を炭車で運んでおって、その炭車が十何台あって、そのうち八台かが暴走した、これが直接原因だといわれておるのですが、積んでおったのは石炭ではないのです。ただいま申し上げましたように、石炭はベルトで上げるのです。ベルトです。炭車のほうは材料と、九州のことばでいえばボタ、北海道でいえばズリです、石炭ではないのです。石炭はベルトで上げるのです。だから、ややもすると、この八函の炭車というから、その炭車の中に石炭をたくさん積んでおったその石炭が暴走のためにひっくり返って、そうして炭じんもうもうとなって、それに暴走した場合のスパークで火がついたのじゃなかろうかというような論争がされておるようですが、私に言わせれば、これはしろうと論争です。その直接の原因ではある、原因ではあるが、これはしろうと論争です。御存じだと思うのですが、炭車はどんなに注意しておっても暴走する場合がある。その設備もちゃんとしてあるわけなんです。また、あるいは走った場合にケーブルが切れて、それからスパークが出たかもしれぬ、そういうこともあり得るです。しかし、そういうのは直接の原因であって、ほんとうな原因ではないのです。スパークの出ることもあるのです。あるいは機械の油が切れて、そこで摩滅して火が出ることも、炭車が走って火花が出、そこから誘発することもあります。そういうことは坑内の常識として、当然そういうことがあっても爆発しないだけの措置を講じておかなければならないのです。これがいままでかつてないことが起こった。それは不可抗力だ、そういう問題ではないのです。坑内というのは、常時そういうことはあり得る、それを予想して保安というものはきめてあるわけなんです。ということになれば、たとい炭車の暴走で炭じんが爆発したとするならば、炭車の暴走前に炭じんがもうもうと立ち込めておった、立ち込めるだけの炭じんが地下に一ぱい埋もっておった、そうしか見れないわけなんです。これは間違いない保安法の違反です、それは。一日に一万トンの石炭を巻き上げることを想像してください。一メートル四十何センチあります。このテーブルよりも少し広いベルトが朝から晩まで満載した石炭を上げるわけです。そうしますと、当然もうもうたる石炭じんが出ることはわかっておるのです。だから、その途中にちゃんと水を流して炭じんが出ないように水をじゃっと流すことになっておるのです。それが人手不足のためにその措置がとられておらなかった、だから暴走した場合に炭じんがまき上がった、こういうことになったものだと思うのです。そうすると、直接の原因は炭車の暴走であれ、あるいはケーブルのスパークであれ、あるいは機械その他の油切れによる火花の結果であれ、それが直接の原因であれ、その原因で爆発したというのは言いわけにならない。その点どうお考えになっておるか。炭政課長はどうそれをお考えになるか。その点を大臣と課長からお答えいただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) ただいま阿具根先生の現地に即した御見解を承りましたが、私は全く同意見でございます。

若林茂信通商産業省石炭局炭政課長

○説明員(若林茂信君) ただいま大臣並びに鉱山保安局長、いずれも現地へけさから参っておりますので、私からかわってお答え申し上げます。ただいま阿具根委員からお話がありましたベルト坑道の状況につきましては、現在調査団が現地におもむきまして調査中でございますので、どういうような事態になってこのような爆発事故に発展したかということにつきましての具体的な内容が詳細にわれわれのほうにまだ連絡されておりませんので、その結果を待ちましてはっきりしたお答えを申し上げることにいたしたいと思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 これは政府が任命した調査団の山田団長も言っておられるように、たとえばこの三川鉱でマッチをすって爆発させるといっても爆発するところではない、また、三川鉱の諸君に坑内でたばこを吸ってよろしいといっても、たばこを吸う人は一人もおらぬ。そこまで鉱員は訓練されておるのです。おそらく三池の坑内でたばこ吸っておる人は一人もおらない、そういうところなんです。そういうところが爆発したというのは、これは私が言うように、合理化になって人手が足りなくなってそういう大きなミスをおかしておるわけなんです。当初計画どおりにずっと水を出しておったならば、決してこういう炭じんが爆発するようなことにならないと思う。最もここは空気のいい所なんです。切り羽の詰めではないのです。坑口から四百メートルないし七百メートルの間からといわれておる。これは夏でも寒いくらいの所なんです。ですから、これは水をふっておったならばこういうことはあり得ぬと私は思うのです。私も明日行って調査しますから、ひとつそういう点も十分研究してきたいと思うのですが、通産大臣おられませんから、これ以上論争しても仕方ありませんし、労働大臣もそうだ、私の説が正しかったならばそうだと言っておられますので、これ以上言いませんですが、こういう問題を論争するときに、労働大臣とこれくらいの論争でこれをやめねばならないということは一体なぜなんだ、労働者の災害は一体どこの所管なんだ、今度も労働者災害の法案が出ておった。また災害になれば、すぐ労働者災害補償法で保険金を出さなければならない。こういうことを労働省はすぐやる。全国の労災協議会の司会は労働省がされておる。それにもってきて、なぜ炭鉱の保安だけは通産省の所管になっているのか。通産省は経済を主体としておるところなんです。その通産省のお役人に労働者の生命をまかせておっていいかどうか、保安をまかせておっていいかどうか。池田さんも、口を開けば保安が優先です、保安が優先ですと言うけれども、ある業者のごときは、これだけ能率があがったんだから、少々の犠牲者も出るでしょう。能率と出炭と災害は、前のやつから見ればあがってはおりませんよ。ちょうど池田さんの物価論争みたいなことを言っておるんです。そういう通産省に保安をまかせておいていいのか。ある新聞では、大橋労働大臣は、保安の問題は労働省が考えねばならぬということを言われておったと思う。一体この保安の一元化ということで労働省が炭鉱の保安も責任を持つような機構にする考えがあるかどうか、その点をはっきりお聞きしておきます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 私は、この炭鉱災害等の点から考えまして、現在の鉱山保安は通産省の所管になっておりますが、これが決定いたしまする当時において、労働省で所管すべきか通産省で所管すべきかという問題について、いろいろ対立した見解がございました。この問題は片山内閣、芦田内閣、吉田内閣、三代の内閣を通じて、一応吉田内閣の当時に現在のような決定が行なわれたものでございます。当時の状況は、御承知のように、石炭増産ということが至上命令といわれておったのでございまして、さような背景のもとに現在の制度が決定いたしておるのでございまするが、石炭に対する考え方も変わってまいりました今日、新たなる見地に立ってこの問題を検討すべき時期がきたのではなかろうか、かように考える次第でございまして、いま直ちに所管がえをすべきだという結論を出しておるわけではございませんが、この所管の問題は、現在の段階において明らかに研究する価値のある問題である、かように考える次第でございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 この問題は、当然委員会としても論争しなければならないし、今日までこういう事故のあるたびにこの問題は論争されてきた問題なんです。そうして口を開けば保安優先、生産第二ということを言っておられるけれども、それでは保安に関する問題として、炭鉱に保安管理者というのがあります。その保安管理者は鉱業権者が任命し、任命されるのは会社の幹部の方です。そうしますと、会社の幹部は保安を第一に考えておるか生産を第一に考えておるかということになりますと、今日の災害が物語っておるように、会社の幹部が生産第一に考えたならば、保安第一の管理者はすぐ解任されます。そうして今度は生産第一に考える管理者をすぐ選ぶことができる。一体災害を受けるのは管理者側であるのか労働者側であるのか。なぜその労働者側から、働く人が自分の身に非常な危険があるこの坑内の作業に、なぜ管理監督の職の補佐役としてでも一名それに参加することができないかということがいつの場合でも論議されておる。ところが、政府は、保安の責任は会社にあります、政府にあります、こういうことを言っておる。それならば、保安の責任を会社や政府がとったことが一回でもあるか。今日まで数十回の災害が出ておる。重災害が出ておる。特にガス爆発のごときは、原因がほとんどわかっておらない。それは爆発した現場が全部破壊されておるからです。この三池の場合でも、三両目か四両目のつなぎのチェーンがちぎれておったということをいわれておりますけれども、あるいは逆に考えるならば、爆発でちぎれたともいえるんです。特に鉄道のレールのワクがあめみたいになる強い力なんです。もしもその爆発がそのチェーンに当たったならば、チェーンは吹っ飛ぶに違いありません。そういうことも言えるのです。だから、なぜ労働者をそういう保安の責任者の一人に加えないのか。労働者だけでは会社も心配でしょう。政府も心配でしょう。もちろん最高責任は会社側でよろしい。しかし、その助言者、あるいは働く立場の者のものの考え方、そういう問題を述べる機会をなぜ持たないのか。そういう質問に対しましては、保安委員会がありますということを言っておるけれども、それじゃ保安委員会の日誌を持ってきなさい。これを見せてもらったら、皆さんおそらく私らの前でそれは見せることのできないぐらいの幼稚なものです。月に一回やっております——形式的にやっておるかもわからない。強い意見をもっていけば、この保安委員会が開かれておらないというのが現実なんです。その点についてこの保安法を変えるべきである、そういう点についてはどういうふうにお考えか。これは労働省の責任でなかったならば、通産省のほうでお答え願いたい。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) ただいまの御質問にお答えいたします。  現在、保安法の運用上、保安管理者というものを設けて保安を管理するというたてまえになっておるわけでございますが、その保安管理者の補佐役といたしましては、やはり法律に規定がございまして、副保安管理者というものが任命できるように——鉱業権者が任命するというような形で運用されております。いま御指摘のような、補佐役にでも労働者の代表というような御意見がございましたのですが、その点につきましては、個々の鉱業権者の任命という問題にかかっておるわけではございますが、一応現在の法律のたてまえでも、さような補佐役の任命という方法によって保安の管理を行なうという体制ができる形になっておるわけでございます。  さらに、ただいまも阿具根委員からもお話がありましたように、各鉱業所ごとに保安委員会というものが設けられておりまして、保安委員会には労使それぞれの代表が同数参加するというような形で運営されておりまして、ただいまお話がありましたように、あるいは保安委員会の活動につきまして十分でないというような面があるようなもし事態がありますれば、その委員会の今後における活用を強化していくというような必要はあるいはございますかと思うのでございますが、いずれにしましても、そういった保安委員会を活用するというような方法によって労働者の意見を反映するようなことができるたてまえに現行法がなっておるわけでございます。さらに今回のこういった災害の問題等を契機としまして、いまのような問題点につきまして検討を要するというような必要がありますれば、さらにこの問題につきまして検討を進めたいというふうに考えております。  なお、現在でも保安法に基づきまして保安協議会というものがございまして、保安協議会の下部機構として基本問題委員会というものを現在組織いたしまして、特にこういった保安法上の規定に基づく保安職員の体制と、それから各会社で行なっております保安組織上の問題両者につきましてどういう形で規定をもっていって保安の確保をはかるようにしたほうがいいかということを寄り寄り協議中でございまして、そういった点につきまして、さらに今度の災害を契機に問題が出てくるというような事態になりますれば、その問題も含めて検討したいというふうに考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 それは副管理者を鉱業権者がきめることができるということになっておるけれども、たとえばその副管理者に組合の推薦する者をきめなければできないとか、そういうことがきめてなかったならば何にもならないのです。どこに副保安管理者が会社の命令によってきまっておるところがありますか。だから、本来ならば、この種保安については、会社が管理者になるのでなくて、第三者が管理者になる。そうして会社側の代表、組合の代表を入れて、そうしてその保安について十分審議するのがたてまえなんです。あたりまえなんです。それをあなた方は会社に一切の権限をゆだねておる。そうすると、会社は自分に協力する者しか任命しないわけです。だから被害を受けておる者はだれなのか、その働く人の代表を入れなければならぬということは、これは原則でなければならぬはずなんです。ところが、あなた方の感覚ではそれがない。それがないばかりでなくて、きのうも私がここで申し上げましたように、保安監督官なる者は、何も会社に、あなたのところに監督に行きますよ、あるいは見に行きますよとか、そんなこと言う必要は何もないのです。政府の役人なんです。なぜ抜き打ちにいつでもやらないか。いつの場合でも組合には一口も言っておらない。いつでも災害のあった場合にここで私が論争いたしますけれども、今度来た場合に組合へは保安監督官が行きますよということは一口も言っていない。そうして会社にはちゃんと言ってある。だから、前日には保安監督の準備がちゃんとされておるのです。どなたがおいでになるのだろうかと思って、労働者はびっくりして一生懸命やっている。そうすると、そのあくる日に保安監督官がゆうゆうとやってくる。そうしてここは保安万全だ、こんなことを言っているからこういう大爆発が起こるのです。実際問題をあなた考えてごらんなさい。あなた方も手が足りないかもしれない。だから、この前相当の人数をふやした。しかし、それはあなた方に言わせれば、三井の三池ぐらいは、これはまあ政府が監督せぬでも、こんなりっぱな炭鉱は自分で十分やっていきなさい、私は中小炭鉱でまだとても手が回らないということもあり得るかもしれない。しかし、今日これほど合理化が進んで人が足りない。石炭はどんどん出さなければならぬ、一日に一万五千トン出さなければならぬのを、今度は二万トン出す、あれ以上の機械化はできない、人間は入ってこない、こういうことでやっておるならば、これは当然保安の問題について、監督官は十分な考え方を持って監督しなければならなかった、私はこう思うのです。  それから、労働大臣にお尋ねいたしますが、産業災害防止対策審議会委員というのは、これは総理大臣の任命だと思うのですが、これはどういう権限を持っているのですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 産業災害防止に関しまする総理大臣の諮問機関だそうでございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 こういう諮問機関の方方が諮問に応じるために、各災害の起こりそうなところをこれを視察し、あるいは研究する権限がこれに与えられておるかどうか、お伺いします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 特に明文をもって権限を規定いたしてはございませんが、諮問に対する答申のために必要等の場合におきましては、相手方の了解を得て実際上調査に行く場合はあり得ることでございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 そういう権限のない者に麗々しくこういうような名前をつけて、そうしてりっぱな方々に総理大臣が委嘱をして肩書きをくれておる。この人たちは総理大臣の諮問にいつでも答えられるために、相当な研究と準備をしなければならぬ。こういう肩書きを持っておる人が、三池のこの爆発の二、三日前に、非常に保安状況が悪いようだ、ことしになって四十八人も死亡者が出ておる、こういうことを聞いておる、だから保安状況を調べさせてもらいたいということを言ったけれども、そういう必要はありません、あなた方に見てもらう必要はありませんといって断わられておる現実がある。これだけの肩書きを与えるならば、産業の災害の起こるようなところはやはり自分が私費で行くのですから、そういう場合くらいには研究させ、視察させるくらいの資格をこれに持たせなければ何にもならぬと思うのです。これいかがですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 今後十分研究をいたします。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 それでは、いまの問題の締めくくりといたしまして、私がいつも災害の起こるたびにこれを言うから悪いんです、災害の起こらないときに言えばいいんですけれども、皆されも災害の起こらないときには真剣にならない。だから申し上げるんですが、保安行政については、これは一元化しなければならない。そうしてこれは労働省所管である。労働者の生命、あるいは待遇その他については、全般的な責任はこれは労働省にある。だから、保安については、当然労働省の責任でやってもらわなければならぬ。片山内閣から吉田内閣まで続いたこの論争も、今日のような大災害が出たならば、こういったときにこそはっきり割り切るべき時期にきておる、私はこう思いますので、強くこれを要請しておきます。  それから、最後の遺家族の問題ですが、確かに遺家族の問題も心配されておる。あるいは労災保険金の支出に対して非常な協力をされておることは私感謝申し上げますが、未亡人の就職に対する努力をする、あるいは住宅に対する努力をする。まあこれではまだ安心できないわけなんです。実際五百名近い人が数人の子弟をかかえてほうり出された。これは会社が営利会社でなかったならば、相当な期間家にも入れてくれるでしょうし、あるいは大きな子弟の人の就職はしてやるかもしれません。しかし、そうでないことが考えられる今日の状態から見て、そうすると、未亡人の就職がそんなに簡単にあるかどうか。限られた大牟田の地区で、二十万の都市で五百人の未亡人がおいそれと仕事につく仕事があるかどうか、おそらくないと思う。ない場合には広域職業紹介か何かをまた利用していただいて、県外でも出していただかなければならぬかもしれない。そうした場合に、家も持たないで家族を連れた女の細腕で他県に出て、これで生活ができるかどうか、住宅はどうしてくださる、そういう親切な、きめのこまかい点まで一応考え方を述べてもらいたい。たとえば炭鉱の労働者は、こういう事態だから山をやめてよその仕事にいってください、政府の合理化によって出ていく者は、これをやってくださる方には、家を作れば二十万円の金も差し上げましょう、三年間はこれこれの金を差し上げましょうというようなことをいっている。その肝心かなめの柱を失って、そうして自分の居住を追われる人には、どれだけの優遇をされるお考えがあるのですか、その点もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 今回の災害による遺家族に対しましては、その職業と生活の安定をはかりますために、現地に職業相談所を設けまして、職業相談、職業紹介を集中的に実施いたしまして、ぜひとも安定した職場に就職できるよう努力をいたしたいと考えております。また、経営者側に対しましても、これらの方々を積極的に採用し、あるいは他の関連企業にあっせんする等の措置をとっていただきますよう、強く要請いたしたいと思っております。  なお、未亡人等の遺家族の方々に対しましては、職業相談、職業紹介を強力に行ないまするとともに、直ちに就職することが困難な方々につきましては、手当を支給しつつ、家事サービス、洋裁等の職種に関する職業訓練講習を実施し、その就職を促進いたしますとともに、関係者との密接な協力のもとに、これら遺家族の生活が十分確保できますよう、万全の態勢を整える所存でございます。  なお、以上の点につきまして、詳細具体的な点は政府委員から補足させていただきます。

有馬元治労働省職業安定局長

○説明員(有馬元治君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、各般の就職援護措置等、それから職業紹介業務を集中的に展開いたしまして、遺家族の就職対策に万全を期する所存でございます。  就職援護の具体的な内容といたしましては、たとえば職業講習、あるいは家事サービス、洋裁等の職業訓練の過程にあります場合には訓練手当を支給する、あるいは就職促進のために身元の保証を行なう、あるいは就職資金の貸し付けを行なう、広域紹介によりまして現在の居住地を離れる場合には、移転費の支給を考えたいと思います。また、先ほど大臣から答弁がありましたような住宅の問題につきましては、優先的に確保をはかりたいと思います。さらに、就職促進のために求職活動を行なう場合におきましては、今度の職安法の改正によりまして設けられました就職促進の措置をとりまして、その間に就職指導手当を支給しながら求職活動の万全を期して参りたいと思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 考え方はけっこうなのですけれども、具体的なものが含まっておらないと思う。就職を世話してくださるのはけっこうだけれども、男でさえも一万五千円、あるいは二万円で就職を世話されておる。それに今度は女の方です。生活をささえるだけの世話ができるかどうか、就職を世話するというのはやすいのですが、生活を保障するということはむずかしいのです。私はその点を心配するのです。それは五千円、八千円というような仕事はありますけれども、それでは子供を連れて食えないのです。だから、生活ができるように処置を十分講じてもらいたいと思う。  最後に、通産省は、故意か偶然か知りませんけれども、百人以上の災害の場合に、最近あった西独の問題を私たちに資料として渡しておらない。私は探してやっとわかりましたから、これを読んで参考に供します。  死者、百人こす西独の炭鉱事故  西独ザールブリュッケンの炭鉱爆発事故の死者は、七日夜発表されたところによると、少なくとも百二十三人に達した。西独、米、仏三カ国合同救助隊は同日、事故現場の二つの坑内から犠牲者の救出に当たっているが、入院した負傷者の大部分は重体である。また坑内には六十九人が残されているが、救助隊当局の話ではこれらの人たちが生きて救出される見込みはあまりない。  なお、この惨事のため西独の各放送局は陽気な番組をやめ、全土にわたって半旗が掲げられた。  こういうことなんです。三百人近い人が西独でなくなった、昨年の二月七日です。昨年の二月七日なくなった。それに各放送局は、陽気な番組みを一切やめて、そして全国民が半旗でこれに弔意を表した、こういうことがいわれておるわけなんです。池田さんが人つくりとかなんとか言っておるけれども、こんな大惨害を起こしておいて大臣の一人も派遣しない、みずからも現場に来ない。選挙がそれほど大切なのか。現場に行って総理大臣が指揮をとったならば、より選挙にも有利でしょう。西独の当時のアデナウアー首相は、全国民に半旗を掲げさして、そして放送局の陽気な番組はやめてくれと、ここまでやっておるじゃありませんか。口を開けば、諸外国の大政治家と肩を並べておるという池田さんが、人つくりなんかと言う前に、もっと人間の生命を尊重したらどうか。西独と日本と比べる場合に、あまりにも違った人間性じゃございませんか。きのうもきょうも総理大臣を要求しておるけれども来ない。どこかで選挙演説をぶっておるでしょう。その選挙演説をぶっておる陰に、五百人近い人が、まだ葬式も出せないでおる人がおる。西独と日本とを比べる場合に、どちらが偉大な政治家が、だれがほんとうの人間性を持っておるか、こういうことを十分考えてもらいたいと思います。総理大臣がおりませんから、ひとつ総理大臣に伝えてもらいたい。西独のアデナウアーさんはこんなにりっぱな人だった、労働大臣から強くこれを伝えてもらいたい。私は、総理大臣がみずから行くべきだった。そうでなかったならば、通産大臣なり労働大臣は、選挙をやめて現地に直ちに私は陣頭指揮に行くべきであった。きのうも通産大臣にこのことを申し上げましたが、この新聞が見つからなかった。通産省は資料を私にくれなかった。だから、きのうきょうさがして、やっと新聞を見つけた。ところが、こういうりっぱな記事が出ておる。十分ひとつ考え直していただきたい、かように思います。以上で終わります。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 御意見は十分に拝聴いたしました。よく内閣に伝えたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、いま阿具根委員が質問いたしましたそれに続いて、私も一言二言申し上げたいと思います。  まず、第一に申し上げたいことは、災害対策、人命尊重、国民が主権者である新しい近代国家が日本の姿だと思うのです。いま阿具根委員が申されたように、それがいま西ドイツでやられていることが国民主権の憲法の中における政治の常識なんです。日本はどうでございます。私は通産省のほうにもお聞きしたいのですけれども、災害の起こるたびにここで取り上げて、人命尊重、事後処理ということを議論してまいりました。しかし、あとすぼみで、あとがどうなったか少しもわからぬ。ガス爆発、水没しかりでございます。そうでありますからこそ、阿具根委員も主張しましたように、労働災害一元化であります。労働省は労働者を保護する行政庁であります。なぜ労働省が、地下労働者の問題を通産省にまかしているのか。これがどうしても私にはわからぬ。ここで何回も私たちは主張してまいった。労働災害の問題を通産省にまかしているからこういうことになるということを申し上げている。ところが、いまだに実現をしない。労働大臣どうなんです。大臣もいままでに災害対策一元化の問題には発言されていると思う。労働災害の一元化について労働大臣はどう考えておられるか。一番人命を多く損傷するのは地下労働者でございます。一番人命をいためるのが地下労働者であり、これが通産省にまかされていることは根本的に間違っているのじゃないか、こう思う。まず、大臣の見解から聞きたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 藤田先生の御意見は、まことにごもっともだと存じます。ただ、現在の行政機関の権限配分につきましては、いろいろ過去の沿革、また、当時の論議などがございまして、それぞれある程度の理由を持っておるわけでございまして、これを改めるということになりますると、新たなる見地に立ち、新たな基礎のもとに結論を出さなければならぬ問題であると思います。かようなる意味におきまして、この問題につきましては、先ほども申し上げましたるごとく、この際、研究の価値ある問題だと考えておりまするので、今後十分検討をいたしてみたいと存じております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 労働大臣は検討の価値ある問題だと、こうおっしゃる、しかし、労働者災害補償保険法という法律がございます。労災法といっておりますが、これで災害を受けた補償をやっているわけです。労働者災害補償保険審議会をつくって運用をしているわけです。そして、そこから出た被害者は労働省の行政監督によってやっているわけであります。そうして災害が起きて、ほかのところで監督が行なわれ、災害を受けた者だけを労働省の行政で引き受けてやる。何とか災害者がもっと少なくて済むのではないか、済まさなければいかぬということが、災害補償の面からいっても、私は生まれてくるのが当然だと思う。それで地下労働だけは通産省の鉱山保安局でやっている。大臣もよくお聞きになっておると思う。われわれがこの社労委員会で、さあ水没が起きた、落盤が起きた、またはガス災害が起きた、そのあと始末はどうなっているか、いつもうやむやで済んでしまっている、補償だけは労災法で補償している。私は、労働行政として、大臣としていまここでおっしゃるように、この重要な問題について、検討するというようなことで済まされる問題ではない、私はそう思う。国民も、この実態を聞いたら、全くそのとおりだと、通産省は産業の問題を、生産をつかさどるところであります。だから、ひが目かわかりませんけれども、保安の問題をたな上げして、生産だけが追求されている、こういうことを思われても私はしょうがないと思う。まさかそんなことはあるまいと思いますけれども、結局今度は四百五十人からの人が一ぺんに死んだ。日本一といわれている三井三池の炭鉱でこのことが起きたということであります。私はこれを起点にして前を振り返っていただきたいと思う。水没や、ガス爆発で、または落盤によって非常に災害者が出た、保安監督はどうかといったら、いつもその辺であいまいになってしまう。私はきょうの資料を見たって、百人以上のことは出ていますけれども、一人たりとも人命は尊重しなければいけません。その処置がひとつも出ていない。それでまたここで同じようなことが繰り返される。今度事故が起きたからいろいろの面で検討いたします。研究いたします、これだけでは私はどうにもならぬと思うのです。だから、私は、労働省が災害のあと始末、被害者のあと始末だけで、根元がわからぬ状態で労働行政をおやりになっておるというこの気持はよくわからぬ。もうちょっとはっきりひとつ労働大臣の見解を聞きたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) ただいま仰せられました御意見などは、確かに労働省が保安を取り扱うべきものと制度を改めまするについての有力な論拠になると存じます。さような意味で各般の問題を検討いたしまして、最終的な結論を出すようにいたしたいと考えます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、この際、触れておきたいのであります。私は、労働大臣がかわるたびに申し上げてまいりました。それは労働者の保護というのは、まず生産機関から、日本の経済計画を立てるときから労働者保護、一人の失業者もないように、その産業計画、経済計画の根本に労働者の保護というものが入れられない限りは、失業が起きる、困難な生活者が起きる。労働省は、勝手な経済政策で、生産管理を資本本位にやった残りかすは失業として落ちてくる、これを労働省はあと始末と申しましょうか、ざるで受けてその処置に四苦八苦されている。この保安の問題でもしかりであります。通産省が監督して、どれだけ監督しているかということも労働大臣はおわかりにならないと私は思う。そのおわかりにならない状態で、被害が起きたら労働省が労災で処置をする、こんなことで私はいいとは思わない。日本の産業の発展、経済の発展は、まず主権者国民の保護から始まらなければいかぬと思う。生産が伸びれば消費が伸びるという各国がやっている基本原則に立たない限り、これは処理はできないと思う。経済生産の問題についても、失業が勝手に起きてくる、そのあと始末だけは労働省がやっている。この災害もそうであります。通産省の行政監督の中にあって、こぼれた災害が出てきたものは、労働省が労災法であと始末をしている。こんなことをして行政をやっておる国が外国にあったらひとつ教えてもらいたい。労働災害、こういう格好の行政を外国でやっておるところがあったら教えてもらいたいと私は思う。

石黒拓爾労働省労働基準局労災補償部長

○説明員(石黒拓爾君) 鉱山監督と労災保険の外国における所掌の状況の点につきましてお答え申し上げますが、労災補償保険は、社会保険として行なわれている国におきましては、申すまでもなく、いずれも労働省もしくは社会省の所管となっておるのでございます。鉱山監督、炭鉱の安全行政の主管大臣は、若干の国しかわかっておりませんが、アメリカにおきましては商務大臣、フランスにおきましては労働大臣、イギリスにおきましては燃料動力大臣、カナダにおきましては保険社会福祉大臣ということであります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私も最近ヨーロッパを見てまいりました。しかし、何を言っても、その労働者保護——国民主権者が政治の大優先に取り扱われている。このことだけは、私はくどくど申し上げませんけれども、それで国内の生産の上昇と、国民の生活、購買力の上昇によってバランスをとって経済の変動なしに繁栄をしているということでございます。日本は、産業機関では、生産をする設備だけはできたけれども、国民に購買力はないから、ほこりをかぶって操業短縮が長く続いて遊んでいる、こういう状態でございます。私は、それだけ生産機関が上昇するなら、経済が上昇するなら、なぜ国民の購買力を上げてバランスをとらないかという議論をせなければなりません。機械が物を生産するようになったら、それに応じて国民は人生を楽しむということで、労働時間を短くして完全雇用の道が開かれているわけであります。日本はどうでございます。非常にたくさんの潜在失業者や長時間労働が行なわれている。失業、就職の問題で労働省は四苦八苦しておられるじゃございませんか。こういうところにも根本のメスを入れなければならぬと私は思うのです。私はいつも主張してまいったのです、このことを。私は、労働大臣が検討し、努力するとおっしゃるのでありますから、この問題について、決意を持って実現されることだと思いますから、これ以上は追及いたしませんけれども、根本的に、あと始末だけは労働省がやって、先のほうはよそでやって、こぼれて落ちるものをざるで受けているというような、こんな行政というものは私はないと思う。このことを根本的に考えていただかなければ、私はこういう問題はいつまでたってもなくならないと思うのです。私はいま思い出すのでありますけれども、豊州炭鉱のあの水没です。水没をした、費用がかかるから、もうどうにも入れないという状態でうやむやになってしまったことを私は思い出すのであります。いま阿具根委員から具体的な爆発の状況について話がありました。そういう状態が一〇〇%危険が起きないように安全装置をし監督をするのが私は鉱山保安局だと思うのです、いまの法律から言って。ところが、そういうことはやられていない。そして、事故が起きたら労働省があと始末をする。こんなことなら、私は、労働省自身がその前段の問題を取り上げて、災害の起きないように当然するというお考えをここではっきり言われてあたりまえだと思う。検討しますというような問題ではない。この議論を何回もここでやってきているのですよ、事故があるたびに。あるたびにやってきて、あとはしりがすぼんだようになってしまっている。また今度の問題も、あすこに原因があった、ここに原因があったという格好で、そうしてこの始末が私はされるのだと思う。金で人命は買えないということを私はよく考えていただきたいと思う。金では人間の生命は買えません。この前よりか補償を多くしなければならぬということでこの問題が処理されるのではいけない。絶対に災害が起きないようにという万全の措置を私は労働省がおやりになるのが当然だと思う。これはどうぞひとつ大臣はよく肝に銘じてこの処置をやっていただきたい。  それから、通産省に私はお伺いするのでありますけれども、過去五年間の水没、ガス爆発、落盤その他によって炭鉱の中で災害が起きた、過去五年間でけっこうです。この問題点と、あと処理がどうなったかということをここでお答え願いたい。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) ただいま御質問のありました点につきましては、現在手元に資料を用意してございませんので、後ほどでき次第お届けいたします。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 あなたは、保安局の重要な役割りでございます。いま資料がないからといって、それは一分一厘どうこうという、私はそこまでは言いません。しかし、十人、二十人、五十人、六十人という人命がなくされて、これがあなたの頭の中に入っておってあたりまえですよ、こんなことは。あなたの頭の中に、それがあってあたりまえだ、保安監督行政をおやりになっているなら。人命を損傷しているのですよ、人命を。それを今、資料がないからわかりませんというようなことで、今、お答をされる。今度の事故は、それじゃあまた新たな見地に立って研究いたしましょうという答えだけで事を済まそうとされているのですか。きょうは鉱山保安監督局長がおいでにならないから残念でございますけれども、あなたはかわってお答えになっているのですから、そこのところをはっきりしてもらいたい。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) 実は、言いわけになって恐縮なんですけれども、私も八月の十六日付で現在のポストについたばかりでございまして、過去の事例につきまして、実はまだ不勉強で十分に把握しておりません点もございまするので、ひとつ、ただいまお話の点につきましては、後ほど御報告申し上げることにいたします。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 かわって答えて下さい。

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) すぐ、この会議に間に合いますか。委員会開会中に出ますか。委員会の開会中に今の藤田委員の答弁できますか、質問に。してもらいたい。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) おもな災害の状況だけにつきましては、開会中にお答いたしたいと思います。  なお、全体の件数につきましては、三十五年以降でございますが、石炭鉱山におきます主要災害の件数は、三十五年におきまして八件、三十六年におきまして九件、三十七年には十九件、三十八年は十一月の十日まででございますが十五件、こういうような状況でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、どれだけの被害者があって、どういう事故であって、そのあと始末がどうなったかということを聞いているのです。起きたことだけなら統計見ればわかる。一人たりとも、人命を尊重するという通産省の保安監督局の行政があったら、これつまびらかにここで答えられるはずですよ。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) 個々の処理の状況につきましては、それぞれ事件によりまして検察庁のほうに送検するということで、具体的な処理の結果につきましては、一件々々はちょっとお答えするにつきましても、手元にそういった詳細な資料がございませんので、後ほどお伝えいたしたいというふうに考えます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 それではお尋ねしますけれども、今度の大災害、あと処理をどうしようとお考えになっているか、それをまず聞きたい。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) 今度の災害につきましては、目下原因等につきまして詳細調査中ということでございますので、その結果が判明した上で、その原因に沿うような処置を行なうということで、われわれのほうでも十分に研究を行なう態勢を整えておる現状でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、こういう議論をここであまりしたくないのでありますけれども、東中鶴炭鉱が水没をした。あと大きいのは豊州であります。しかし、東中鶴の水没のときに古洞から水が出て水没して人命をなくしたわけであります。だから古洞の調査をせなければならない、こういうことはいつ起きるかわからぬのです。私は水没の問題を一つ取り上げてみますと、それでは古洞の調査をいたします。鉱山保安監督局では金がないからやれないと言う。石炭局長呼んでここでやったら、一年に五千万の費用が要るときには金を出してやりますと、こういう答えがありました。ところが、これも、うやむやになってしまった。豊州でもそうであります。川の底が一メートルくらいしか底がないところに炭鉱がクモの巣のように掘られておる。水が入ったこの処置はどうなったかですね。たとえばガスの濃度が〇・一ですか二にきめられて、それ以上のときには、作業を停止するということは鉱山保安法にはある。〇・一では爆発しない。ところが、実際上はそれが爆発しているのです。そのときには〇・八とか五とかいう濃度があったと答えがあとから出るだけであります。そういうことはみんな人命にかかっている問題です。このことが一つも明らかにされない。生産合理化のところにあなたのほうは集中されて、人命の問題は二の次と考えて保安行政をやられているといわれても私はしょうがない、こういう点は皆さん保安監督行政をやって人命を預かっておられるわけですから、つぶさに、あなたが八月に来られてわからぬというなら、あなたにかわった人がここで答えるべきです。重要な問題がそれでは私がこの間かわってきたからわかりませんということで、この委員会はそれで済むのですか、人命がなくなっているのですよ。このことはどうなるのです。私は政治というものは、そういうもんじゃないと思う。国会できめられた行政というものは、そんなもんじゃない。私はかわってきたからわかりませんというようなことで、ここが済まされますか。そうすると、鉱山保安局の人は、それに答えられないというなら、みんな何ですか、引き続いて鉱山保安監督行政というのは、期限内だけやって、あとはわからぬということで済ます気ですか。私はとんでもないことだと思うのです。今度の事故も、また今までのような心配をするわけであります。  ですから私は労働大臣に言っている。被害を受けた者には、それだけ労働省はあとの処理をしている。起きるところは通産省の行政にあるということでいいんですかということを労働大臣に言わざるを得ぬことになってくるのですよ。つぶさにあなた方は事故が起き、災害が起きたときには、労働省に実態を伝え、こういうことでこうなりました、この処置は、こうしますということを協議したり報告したりしておられますか、私はそれが聞きたいのです。おそらく私はなかったもんだと思うのです。だから総理大臣に来てもらって、災害の問題は労働省一本にまとめてもらう。災害対策は一本にまとめてもらう。まとめて、人命尊重の立場から処理してもらわなければいかぬということを私は主張したかったんですけれども、お見えにならないから大臣に、政府を代表している大臣に私はこの一元化をやってもらいたいということを言っておるわけであります。通産省は、過去五年間で私はいいと言っているのですが、それも敬遠するようなことだけ、ここで言われたってどうにもなりませんよ。そこからつながってきている事態だ。事故が一ぺん起きたら、一切今後は事故が起きないという処置を政府こぞってやるべきですよ。でなければ通産省の鉱山保安局長、保安局、これがやらなければ国民に申しわけないということをお考えになっているのかどうかということを私は聞きたい。  どういう感じでそれじゃ保安行政をやっておられるか。ここでは、いや、やっていますということで尽きる話では私はないと思う。見解を聞かしていただきたい。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) 非常に最近では死亡数等も減ってきておりまして、全体としてはある程度いい方向が出てまいったというふうに考えておりましたのですが、今度のような不幸な事態になりまして、はなはだいろんな点で、さらに検討しなければならぬという問題があるかと思うのでありますが、今までの状況につきましてのおもな例では、たとえば太平洋炭礦のような事故につきましては、送検いたしました結果、これは不起訴ということになりました。それから茂尻炭鉱の合場には、やはり送検いたしましたが、その結果、起訴して罰金を受けるという結果が出て参りました。それから夕張炭鉱につきましては、やはり送致いたしましたが、不起訴というような例になっております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 人間の生命が断たれたことはどうなるんです。罪に落としたから事済んだという話しじゃないでしょう。再び災害が起きないように処置するのが鉱山監督じゃないですか。間違ったから起訴された、裁判にかかったという問題じゃない、ですよ。次から災害が起きないように処置するのが保安の問題じゃないですか。  そのことを私は質問しているんですよ。ガス爆発にしても、水没にしても、落盤にしても、必ず再び起きないということを監督行政で保安監督をやるということが建前なんです。罪に落として何になるのです。失われた人命は返ってきますか。私はそれを言っているんですよ。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) 特に三十六年ごろに相次いで七十名程度の事故がありました。それを契機に保安態勢を整備するということで、保安監督官の増員、あるいは保安法令の改正というような問題を取り上げてまいりまして、現在もなお、その問題に関連しまして、法令の改正等検討中のものも残ってはおりますが、そのつど必要な措置は進めてまいったわけでございまして、さらに今回の災害を契機に、処置する事項につきましては、先ほど申し上げましたように、検討する態勢を整えておるというような状況でございます。

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 速記を起こして下さい。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 阿具根、藤田両委員の質問に関連いたしまして、労働大臣に一点御質問申し上げます。  御承知のように、去る十二日の閣議で、池田首相は、三池並びに鶴見の二大事故に関連して、国鉄や炭鉱なぞは人命尊重の立場から、輸送や出炭のできるよう、法制的にも再検討し、また運営や管理面でも十分検討すべしと、運輸、通産両省に指示したというふうに聞いておりまするが、労働大臣は、三井三池の大災害にかんがみて、この際人命尊重、労働災害を完全に防止をする、こういった立場から、鉱山の保安行政を労働省に移行するよう、いろいろと検討あるいは検討に値する価値があると、そういう考えを持っておられることは、先般のこの場における御見解で、大体了承いたしますが、しからば人命尊重を主目的とするところの、さらに去る国会あるいは臨時国会でも提案されておりますところの、将来われわれが取り組むべき労働災害防止法案の中に、やはりこの炭鉱の保安関係をかみ合わせて、これに対処していく、そういうひとつの考え方がこの時点を契機として、さらにあるかどうか。そういった点について、ひとつお考えを伺いたい、こういうことを質問するわけであります。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 私は今回の三池の災害は、在来の各種の石炭山の災害とは、また違った意味におきまして、特に重大視すべき点があると存ずるのでございます。  それと申しますのは、少なくとも三井三池の炭鉱というものは、日本におきまする代表的な炭鉱と言われておりまするし、また安全等につきましても、従来から最も完備しておると一般に信ぜられておったと思うのでございます。その山におきまして、かかる大災害が起こったということは、これは日本の石炭業界にとりましても、まことに一大国辱的な事件ではないかとさえ考えられるのでございまして、この問題につきましては、労働省といたしましても、得心のいくまで調査をいたし、それに基づきまして万全の策を考えまして、関係当局とも十分相談いたし、総理にも申し上げまして、内閣として抜本的な、思い切った措置を講ずるように取り計らっていただきたい、かように存ずる次第でございます。  なお、災害防止に関しまする法案を前国会に御提案申し上げておりました。これの運用に当たりましては、石炭山における災害防止は、これは最優先事項として取り扱ってまいりたいと存じております。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 それで、これはソ連では政府が研究所を設けて、安全あるいは保安に関する技術を普及しながら、万一事故となった場合においては非常に機動性をもって即時、それを救援措置をする、そういうような仕組みに相なっておるわけでありまするけれども、しかし、この四百五十一名などという人命が一瞬にして失われるといったようなことについて、これは明らかにその救護措置の面においても、それから保安の面においても、いろいろと手抜かりがあった。したがって、これは不可抗力じゃないのだ、人災だというふうに、われわれは判断しているわけでありますが、今日世界的に見て炭鉱の保安技術というものについては、やはり世界的な水準にまで高度経済成長の側面から言っても進めていかなければならないと思うのでありますが、そういう点について、国家がやはりこの保安に対する研究所というものを設けて、機動性のある救援隊というものを措置されるお考えがあるかどうか。そういったような点について。これで質問を終わりますが。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 労働省には産業安全研究所というものがございますが、ここにおきまして、御指摘のような研究を進めておるわけでございます。なお、一段と力を入れてまいりたいと存じます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は労災補償部長にお聞きしたいのですけれども、今労災保険はメリット制で、そしてその災害の多い産業には多額の掛け金を強制適用で掛ける。これはいま順位から言って、地下労働者が一番高いと、こう思うのです。だから、これは木材とか、高いのがありますけれども、大かたのウェイトから言って、地下労働者の災害が一番高い。そのためにメリット制で高い料金を取っておる。災害のこれはあと始末でございますから、そういうことは労災補償保険部において、そういうことはつぶさにあと始末をするために研究をされていると、だから、これだけ災害が高いという条件のもとに、災害をなくするには、どうしたらいいかということを研究されているのですか。あなたの手に届かないことだから、そこのところは知らぬということなんですか。そこのところをひとつ聞いておきたいと思うのです。

石黒拓爾労働省労働基準局労災補償部長

○説明員(石黒拓爾君) 労災補償保険の主たる目的は、言うまでもなく労働災害によって死傷病を受けた労働者に対する補償でございますが、労災補償を国が行政の一環としてやっております以上は、単に出てきた結果をしりぬぐいするということだけでなしに、そういう結果が出てこないように、全体的な行政と連関を保って一環としてなすべきものと考えております。  したがいまして、労災保険といたしましては、同じ基準局にございます安全課、衛生課並びに産業安全研究所、衛生研究所等と常に連絡をとりまして、また相当の資金も、そちらのほうに出しまして、産業災害の予防に関する研究並びに行政措置を、極力推進いたすように努力しておる次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 その労働省の中で対策研究をしているとおっしゃるけれども、あなたの、労働省の監督行政下にないわけでしょう、地下労働の保安問題は。  それで、私も長い関係をしてきたのだけれども、いつも地下労働者が一番犠牲が多い。だから、ただ多いところの産業から金をよけい取って、金を処理したらいいという問題では私はないと思う。災害の多いところを災害を少なくするために努力するのが、私は根本だと思う。今、先ほどの議論のように間違いがありましたから起訴されましたという話しじゃない。人命は返ってこない。だからあなた方はあと始末をする、監督行政庁として、その災害が多いところの処置を、通産省によってやらなければ、内閣に要求して処置をするというところに、労災部長の役割があるのではないかということです。  その根本の問題に触れないで、あと始末だけ研究しても、どうにもならぬと思う。私は大臣に申し上げたとおりなので、違反をいたしました、国の法律によって罰則に付しましたと、これでは人命は返ってこない。それには補償金を出した、補償金のよけい要る産業から金をよけい取る、そうしてメリット制で事は済んだ、保険経済は、これでよろしいということではならない。この根元を押えて、何も災害保険の給付が多かった、少なかったということじゃなく、災害をなくそうというところに総力を上げるべきだと私は思う。そういう点、どういうふうに通産省との関係、内閣との関係で努力されているのか聞きたい。

石黒拓爾労働省労働基準局労災補償部長

○説明員(石黒拓爾君) 藤田先生から御指摘のごとく、労災補償保険といたしましても、また、労働基準行政ないし労働省全体といたしましても、出た被災者のめんどうをみるということにとどまることなく、むしろ、根本は災害が起こらないようにするというところにあることは全くお説のとおりでございます。私ども微力でございますが、そのつもりで日常、仕事をしているつもりでございます。  たびたび御指摘をいただきましたように、現在、鉱山の保安監督行政は通産省にございますので、私ども遺憾ながら、直接手を下して保安監督を推進するという態勢になっておりませんが、現在の保安法におきましても、勧告権その他若干の権限を持っておりますので、通産省に対する勧告ないし協議というようなものは、本省の段階におきましても、重要事項につきましてはたびたびいたしております。また、特に、現地の各府県にございます基準局におきましては、常に、保安監督局と連絡をとりまして、鉱山保安につきまして労働省の見地からも十分な注意を払って、炭鉱災害の防止に努力するように常々指示をしておる次第でございます。  力が足りませんで、このような災害を起こしましたのは、まことに遺憾千万に存じておりますが、今までやってまいりましたことは、そういう状態でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 それでは、あなたは労災補償部で、今まで炭鉱の大きい災害がずっと続いているわけですが、それがどういう原因で起きて、どういうあと始末がされているということは、あなたは答えられますか。

石黒拓爾労働省労働基準局労災補償部長

○説明員(石黒拓爾君) 申すまでもなく、炭鉱災害につきましては、単に労災補償部だけの問題ではございませんで、労働基準局及び労働省全体の問題でございます。重要な問題につきましては、労働省が通産省に対して勧告をした事案並びにその勧告の結果が、どうなったかということの一応の調べはございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 それでは、その資料も出して下さい。私はあなたの話を聞くと、力が足らぬという一言で集約されると思うけれども、そんなことでは、労災の補償はやれません。同じ労働省の行政官庁で、根元まで対策を立てなければ、労災保険の金だけ支出するようなことでは、どうにもなりませんと、あなたがここでがんばるべきじゃないですか。それがあなたが労災補償をやっている担当の責任者としてそれぐらいのかまえがなければ、連綿として地下労働だけが大きな被害を受けている、歴史に明らかなんです。そういう点は、あなた自身が、そういうお気持になって、そういうことではもうやれません、だから根元を、われわれは一貫した行政の中で押えていかなければ災害は減りませんということを、あなたがあなたの立場からすれば、ここでがんばるべきだと私は思う。行政の内輪の問題ですから、そうも言えない面があるか、わかりませんけれども、私は、それがほんとうの行政じゃないかと思います。その気持はどうです。

石黒拓爾労働省労働基準局労災補償部長

○説明員(石黒拓爾君) おしかりをいただきましたけれども、重々おしかりに値するごとく、われわれとしては、まだ努力が足りなかった点は多々あると存じます。ただ、こういう状態ではできませんというような態度は、私としてはとるつもりはない。さらに改善するためにできるだけ努力をいたすことはもちろんでございますが、まだ現時点におきまして、与えられた状況で最大限の努力を尽くすのが私の任務であると考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、少し言葉が足らなかったと思います。これはやれません、やめておきますということを言えと言ったのじゃない。こんなことでは、災害は少なうならぬではないか、だから一貫して行政というものをわれわれでやらなければ、どうにもならぬじゃないかということを強く要求し、よくその実現のために努力されるということが、あなたの立場じゃなかろうかということを私は申し上げた。私は通産省にはこれ以上もう言ってみたって、どうにもならぬから申し上げませんけれども、両方が相まってこちらが監督局で監督をして、災害が起きたら、労働省で網を張って、何というか、入れもので受けて、その処置だけはあと始末をして、根元に災害が起きないようにという願いはあっても、それに手を尽くされないということでは、あと始末にならぬということを申し上げたかったわけであります。  労災補償部においても、これは通産省に今の法律の建前からいっても、人命尊重の面からいっても、私はこれを機会にと申しましょうか、努力をしてもらわなければ、こういうことを繰り返すだけだと私は思う。これは大臣に先ほど申し上げたから、あなたには、これ以上申し上げませんけれども、そういうかまえが労災補償部にあってしかるべきだという私は歯がゆい思いをしているから、こういう発言をしているわけです。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 きょうの質疑を聞いておりまして、まあ労働大臣の答弁は、何がしか前向きでありますけれども、その他は、あまりどうも実のある答えではなかったと思います。結局委員会をもう一度開いてもらい、この結果の調査がさらに届いた上において検討されることを、まず委員長に要望いたしておきますが、私はこの際、一点だけ質問しておきたいのは、ここに世界における死亡者三百人以上の地下犠牲者の表があります。これを見ますと、おわかりのように、全部で十三、年代は一八六六年ですから、明治維新のちょっと前から、こういうことであります。  そこでその十三の大犠牲のうち、わが国だけで七つと数えてよろしいかと思います。表では満州と書いてあるけれども、これは日本のやったことなんです。そうしますと、すぐわれわれの頭に浮かぶのは、産炭地とすれば、まあドイツのザール、これはよく知りませんけれども、エルザス・ロートリンデンあたりでしょうから、フランスに入ってみたり、ドイツに入ってみたりしていた場所もあろうかと思います。どっちにしても、そういう非常にたくさんの石炭を出した地帯でも一つしかない、アメリカでも一つ、フランスでも一つ、イギリスが一番歴史が古いのでありましょうけれども三つしかない。これに対比して、この長い年代の累積した産炭量の比率というのを知りたいのですけれども、その長い年代のどこの国が幾ら産炭したかというのは、私も存じておりません。おりませんけれども、どっちにしたって、日本のほうが少ないことは間違いない。少ない産炭のところは、とにかく十三のうち七つもある。これはまあどえらいことだと私は思う。ところが、日本の労働者保護は、社会局ができて以来、細々とやってきたという現状でありますから、それ以前から今日まで続いたこれらの問題を所管したのは、何といっても旧商工省——今の通産省が引き継いでいると思う。そういたしますと、どうしてもこれだけ日本が、労働者保護が足りなかったということだけは否定できないのではないか、これに対して戦後になっても一向、どうも目に見えた手を打ってこなかったというのが日本の鉱山監督行政ではないかと思うのです。  こういう私の質問が少しく幅が広いのでありますから、少なくともまあ大臣、あるいは局長が出てもらわないと答えにくいかもしれないけれども、こういう大事故が、日本だけといってもいいぐらい起きておって、それに対して政府がかわった、かわったとはいいながら、行政は続いているので、その続いている行政の中で、何か処置がされなきゃならぬ、言うなれば今までの各委員の質問も、この一点にかかっておったのじゃないかと思う、実例がここにありますから……。通産省のほうでは、こうした一つのあと始末や何かの問題もさることながら、こうした大事故が起こっておった、そのこと自体に対して、一体どう対処されてきたのですか。もし、ここにおられる方でお答えができないとするならば、これはひとつ省として、古い歴史から検討されまして、お答えする用意をしていただきたい。これは委員長にもお願いいたします。いかがですか、一点で終わります。

毛塚由太郎通商産業省鉱山保安局管理課長

○説明員(毛塚由太郎君) ただいま御質問の点につきましては、だいぶ前からのこういった保安行政につきまして一貫した措置の内容についての御質問かと思いますので、できますれば、後ほど資料を整えまして、御返答したいというふうに考えます。

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) なお、先ほど質疑の中で、藤田委員から御要求のあった昭和三十五年以降……。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 きのう、私のいうことを聞いているのでしょう。それを全部出していただきたい。

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) それでは昨日、石炭委員会で阿具根委員から要求のあったのと同じような御趣旨の御要求だそうですから、この委員会開会中に大よその点を出すといわれたのだけれども、まだ出していないのでしょう。出ていないとすれば、ひとつ後ほどすみやかに、その資料を提出していただくようにお願いいたします。   —————————————

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) この際、委員の異動についてお知らせいたします。  本日、山本杉君が委員を辞任されまして、その補欠に吉武恵市君が選任されました。   —————————————

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 本件に関し、他に御質疑もなければ、質疑はこの程度にとどめます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、各党各派の同意を得まして、三池炭鉱爆発事故に関する決議案を提出いたしたいと思います。  最初に読み上げます。    三池炭鉱爆発事故に関する決議案   今回、三池炭鉱における爆発事故の発生により、多数の犠牲者を出したことは、きわめて遺憾である。   この際、政府は、何ものにも替えがたい人命尊重の見地より今後かかる事故の発生を絶無ならしめるため、労働法規の遵守並びに労働条件の改善向上をはかると共に、鉱山保安対策を確立して、労働災害対策との一体的運用につき根本的に検討すべきである。   さらに、政府は、犠牲者及び遺家族に対する災害補償並びに生活援護、子弟の養育、更に負傷者に対し速かに十分な措置を講ずべきである。   右決議する。  提案の理由は、いま決議案の案文に盛られているとおりでございます。  ここで質疑がありましたように、労働災害対策の一体化を実現していく。そして災害をなくする、ここが根本であり、また今度起きました四百五十何人の遺家族の皆さんの援護もあわせてやるべきであるということを、この決議案はうたって決議をいたしている次第でございますので、何とぞ御賛同のほどをお願いいたしたいと思います。

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) ただいま提案されました、藤田委員提出の決議案を議題といたします。  藤田委員提出の決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 全会一致と認めます。よって藤田委員提出の決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。   —————————————

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 委員派遣承認要求に関する件について、おはかりいたします。  今次の、三井三池鉱業所三川鉱における災害問題調査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。  なお、派遣委員の人選、派遣地及び派遣期間等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木強日本社会党

○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十三分散会

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