予算委員会第四分科会 第1号
- 発言数
- 335 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1963/03/25
会議録
○草葉隆圓君 ただいまより予算委員会第四分科会を開会いたします。 本院規則第七十五条によりまして、年長者のゆえをもって、私が正副主査の選挙の管理を行ないます。 これより正副主査の互選を行ないますが、互選は、投票によらず、選挙管理者にその指名を御一任いただきたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○草葉隆圓君 御異議はないと認めます。 それでは、主査に小平芳平君、副主査に大竹平八郎君を指名いたします。 主査の御着席をお願いいたします。 ————————————— 〔小平芳平君主査席に着く〕
○主査(小平芳平君) ただいま皆さんの御推挙によりまして主査に指名されましたが、何分微力でございますので、皆さんの御協力をいただきまして、本分科会を円満に運営していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 —————————————
○主査(小平芳平君) 分科会担当委員に変更がございましたので、御報告申し上げます。 去る三月二十二日藤田藤太郎君が辞任され、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。 —————————————
○主査(小平芳平君) 審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたしますが、本分科会の所管は、昭和三十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管について審査をすることになっております。議事を進める都合上、主査といたしましては、本日は午前中労働省、午後文部省、明二十六日は午前中厚生省、午後自治省所管という順序で進めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(小平芳平君) 御異議ないと認めます。 なお、二十七日の委員会に主査の報告を行なうことになっておりますので、御了承願いたいと存じます。 —————————————
○主査(小平芳平君) それでは、昭和三十八年度総予算中、労働省所管を議題といたします。 まず、政府より説明を求めます。大橋武夫労働大臣。
○国務大臣(大橋武夫君) 昭和三十八年度一般会計及び特別会計の予算案中、労働省所管分につきまして、その概要を御説明いたします。 最初に、一般会計について申し上げます。 この会計の歳出は総額七百二十九億二千七百五十二万五千円でありまして、これを前年度当初予算額五百八十一億九千六百八十九万五千円に比較いたしますと、百四十七億三千六十三万円の増加となっております。 次に、このおもな内容につきまして、概略御説明いたします。 まずその一は、雇用及び失業対策の推進に必要な経費であります。 最近における雇用及び失業情勢は、ここ数年にわたる経済の高度成長によりまして、全体として、改善の方向に進んでいるのでありますが、その反面、国民経済の急速な拡大の結果、若年労働力や技能労働力の不足が著しくなり、しかも他方、エネルギー消費の変化、貿易自由化等の進展に伴って、一部には、相半数の離職者の発生が見られ、また、一般に中高年令失業者の再就職が相当困難であるなどの状況にあります。 かかる情勢に対処するため、経済発展に対応する積極的な雇用及び失業対策を推進して、産業に必要な労働力の確保と、離職者の生活安定をはかることを基本方針といたしまして、まず、新たに、中高年令失業者につきまして、手当を支給しつつ、職業指導、職業訓練等を計画的に実施する制度を創設しその再就職の促進に努めることとし、所要の訓練施設等について大幅な拡充を行ないますとともに、公共職業安定所を中心とする職業安定機能の刷新強化をはかることといたしております。 また、従来から実施しております失業対策事業就労者の転職促進措置につきましては、新たに、女子の家事サービス訓練を実施する等、いっそうの充実をはかるとともに、失業対策事業の運営についても改善を加えることといたしております。 さらに、失業保険制度につきましては、最近における雇用失業情勢及び保険収支の状況、並びに、社会保障制度審議会の答申及び勧告の趣旨に基づきまして、給付内容の改善と受給者の再就職促進のための援護措置の充実などの改正を行なうことといたしております。 なお、これらの失業対策にあわせて、産業に必要な労働力の確保とエネルギー消費構造の変革、貿易自由化の進展などに伴う摩擦によって発生する離職者の就職促進をはかるため、住宅の建設及び貸与等の援護対策を一そう進めるとともに、広域職業紹介体制を充実強化して、地域間、産業間における労働力の流動化を円滑に実施するための措置を講ずることといたしております。 これらに必要な経費及び失業保険給付費等国庫負掛金に要する経費といたしまして五百五十二億一千三百八十一万七千円を計上いたしております。 なお、職業安定法及び緊急失業対策法の一部を改正する法律案を本国会に提出いたしております。 その二は、炭鉱離職者、金属鉱業等離職者の援護対策の充実強化に必要な経費であります。 石炭鉱業からの離職者につきましては、合理化に見合う雇用計画を策定し、政府関係機関等への積極的吸収をはかるほか、従来から実施しております援護措置を充実するとともに、新たに、求職手帳制度を創設し、手当を支給しつつ、職業訓練、職業紹介等を集中的に、かつ、親身になって実施することといたしております。 また、金属鉱業等からの離職者につきましても、その再就職を促進するため、従来より実施しております措置のほか、新たに、雇用奨励、住宅確保等の援護対策を実施することといたしております。 これらに必要な経費といたしまして百億九百二万八千円を計上いたしております。 このほか移転労働用住宅の建設、福祉施設及び職業訓練施設の設置のための融資といたしまして財政投融資計画案中に四十億円が計上されております。 なお、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案を本国会に提出しております。 その三は、職業訓練の拡充及び技能水準の向上に必要な経費であります。 技術革新の進展、地域経済の開発に伴い技能労働力の不足が深刻化し、しかも他方、中高年令失業者の再就職の困難なる状況等にかんがみ、従来から実施しております公共職業訓練を一そう拡充強化するほか、新たに、移動訓練、委託訓練等を実施するなど転職訓練の大幅な拡充をはかるとともに、事業内職業訓練の助成を拡充し、あわせて、技能検定の実施、国際技能オリンピックへの参加などにより、技術革新の時代にふさわしい技能労働者の養成確保と、技能水準の一そうの向上をはかることとしておるのであります。 これらに必要な経費といたしまして六十二億三千七百三十七万一千円を計上いたしております。 その四は、労働災害防止対策の推進に必要な経費であります。 最近における労働災害件数の増加傾向にかんがみまして、これが防止のために、格段の努力を傾注して参ることとし、産業災害防止五カ年計画を策定いたし、これが実効あらしめるため、新たに民間の自主的労働災害防止体制を確立し、その活動を積極的に助成するとともに、従来から実施しております労働災害防止活動を一そう充実強化することといたしておるのであります。 これらに必要な経費及びじん肺等長期傷病者補償費国庫負担金に要する経費といたしまして十二億六千二百六十六万九千円を計上いたしております。 なお労働災害の防止に関する法律案を本国会に提出いたしております。 その五は、賃金対策の推進に必要な経費であります。 今後の国民経済の成長過程における賃金問題の重要性にかんがみまして、最低賃金制の一そうの充実拡大をはかるとともに、適切公正な賃金関係資料の整備充実、賃金体系改喜に関する援助・その他賃金問題を国民経済的視野に立って合理的に解決する気運を醸成するよう努めることとし、これらに必要な経費といたしまして四千七百二十六万二千円を計上いたしております。 その六は、労使関係の安定と近代化に必要な経費であります。 国民経済の繁栄と民主主義の発展をはかるため、自由にして民主的な労働運動の発展と、正常な労使関係の形成に一そう努力することとし、これがため、労使双方が平素から相互信頼を基調とした話し合いを通じて問題を合理的に解決していく慣行を確立するため、中央のほか、新たに地方にも労働問題懇話会を設けてその推進をはかることとし、また、中小企業の労使関係の近代化につきまして、労働教育、労働相談等を通じて不断の啓蒙指導を行ない、よき労使慣行の確立を推進し、労使関係の合理的にして円滑なる調整をはかることとし、これらに必要な経費といたしまして九千四百五十四万六千円を計上いたしております。 その七は、中小企業の労働対策の充実に必要な経費であります。 最近における経済の成長過程で、中小企業の労働条件も逐次向上し、大企業との格差が次第に縮小しつつありますが、今後もこのような労働条件格差の縮小傾向を一そう促進し、労働者の福祉の向上と経済の二重構造の解消に資するため、中小企業に対しましては、その経営基盤の強化のための諸施策と相まって最低賃金制の充実拡大、一斉週休制等の普及とともに、従来から実施しております労務管理の近代化など労働諸事情改善のための総合的中小企業労働対策を強力に推進し、あわせて、退職金共済制度の普及、失業保険の五人未満の適用拡大、福祉施設のための融資の増額をはかるなど中小企業に対する福祉対策を積極的に実施することとし、これらに必要な経費といたしまして四億九千五十三万八千円を計上いたしております。 その八は、婦人・年少労働者及び身体障害者等の福祉の推進に必要な経費であります。 未亡人等働く婦人につきまして、職業相談、職業訓練等の充実をはかるとともに働く婦人の家等福祉施設の増設を行ない、また、年少労働者につきましても、勤労青少年ホームの増設、その他福祉の増進に努めるなど、働く婦人及び年少労働者に対する保護及び福祉対策を一そう推進するとともに、身体障害者につきまして、従来実施しております職業訓練及び就職促進対策を一そう充実することとし、これらに必要な経費といたしまして三億六百二十三万一千円を計上いたしておるのであります。 以上のほか、行政事務等に必要な経費を計上しております。 次に、労働者災害補償保険特別会計につきまして御説明いたします。 この会計の歳入歳出は、ともに八百二十三億三千七百二十八万二千円でありまして、歳入のうちのおもなるものは保険料収入五百二十億三千九百万円であります。 また、歳出のうちのおもなるものは、保険給付費四百十二億六千八百万円、労働福祉事業団出資金二十億六千九百七万三千円、保険施設費五億六千五百六十九万円、業務取扱費三十二億八百九十四万五千円でありまして、保険給付費のうちには、けい肺等じん肺及び脊髄障害等長期傷病給付費が含まれております。また保険施設費のうちには、産業災害防止対策費が含まれております。 なお、労働福祉事業団出資金は、労災病院等の施設拡充に必要な経費であります。最後に、失業保険特別会計につきまして御説明いたします。 この会計の歳入歳出は、ともに一千四十二億九千三百二十四万四千円でありまして、歳入のうちのおもなるものは保険料収入七百四十八億二千万円、一般会計より受入百九十八億六千六百万円であります。 また歳出のうちのおもなるものは、保険給付費七百八十億一千八百万円、雇用促進事業団出資金六十二億五千二百二十四万円、保険施設費二十一億八千五百八十六万六千円、業務取扱費三十七億八千九百三十万二千円であります。 保険給付につきましては、保険金日額の最高、最低の引き上げ、扶養加算金の支給、職業訓練中の手当の支給、傷病期間中の保険給付の実施、日雇失業保険の待期制度の改正等、保険給付の改善をはかることとし、失業保険法の一部を改正する法律案を本国会に提出いたしております。 なお、雇用促進事業団出資金は、総合職業訓練所の施設の拡充、移転労働者用宿舎等の建設に必要な経費であります。 また、保険施設費のおもなるものは、雇用促進事業団の管理する総合職業訓練所等の運営費であります。 以上、昭和三十八年度労働省所轄一般会計及び特別会計の予算につきまして、概略御説明申し上げたのであります。 何とぞ本予算の成立につきまして、格段の御協力を御願い申し上げる次第であります。 —————————————
○主査(小平芳平君) 分科会担当委員に変更がございましたので、御報告申し上げます。 ただいま松本賢一君が辞任され、その補欠として田中一君が選任されました。 —————————————
○主査(小平芳平君) ただいまの説明に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
○鈴木強君 この三十八年度予算の概要という、これを拝見しまして、一般会計、特別会計の予算の組み立て方についてちょっと御質問したいのですが、一般会計の歳出七百二十九億というのに対して、この概要によりますと、三億六千万という歳入になっておるわけですが、特別会計でおやりになっておる労働者災害補償の問題や、あるいは失業保険の特別会計の問題や、こういうものが一般会計とごっちゃになって、歳出のほうに計上されておると思うのですけれども、これはどういうやり方をしておったのでしょうか。ちょっと予算の建て前として納得いかないのですけれども。
○政府委員(住栄作君) 技術的なことでございますので、私から御説明申し上げたいと思います。実はこの三十八年度予算の概要は、今大臣から御説明申し上げましたように、明年度労働省の政策を中心といたしまして、その予算の内容がどうなっておるかということを中心にいたしましてまとめておいたものでございます。したがいまして、たとえば雇用失業対策につきましては一般会計の分、それから特別会計、特に失業保険特別会計でも、まあ雇用失業対策関係の経費を計上しておりますが、それを一括して掲げておいたほうが、全体として政策の説明としてわかりいいのではないか、こういう観点から編集したものでございます。
○鈴木強君 そうしますと労働省関係の行政上必要な予算というのは百何億かございますね。それはこちらのこれでよくわかるのですけれども、どうも特にここに歳入三億というものが計上されておるのですけれども、これと七百二十九億との関連でちょっと説明していただけませんか。
○政府委員(住栄作君) 実はこの歳入三億六千九十万と歳出が七百二十九億二千七百万、こういうように掲げてあるわけでございますが、労働省関係の歳入といたしましては、労働省でやっております技能検定の手数料とか、それからそういった検査関係の手数料のほかに、労働省所管の国有財産の貸付に対する質料とか、それから失対事業関係の補助金に対しまして翌年度清算した結果の返納金とか、そういうものが含まれまして三億六千万ほど計上されております。それで歳入と歳出の関係でございますが、ただここで一般会計の規模といたしまして、歳出が中心になることは申すまでもないのでございまして、ただ予算上、歳入も今申し上げましたような内容のものがございますので、一応予算としまして歳入歳出と、こういうように計上してございます。したがいまして、特別会計の歳入歳出のような、それ自体として一貫したものではなくて、一般会計は全体としての歳入、歳出が意味があるのでございまして、労働省関係の分といたしましては、この歳入が労働省関係で三億六千九十万あると、こういうことだけの意味だと御了解していただければと思います。
○鈴木強君 これではちょっとわからないというのは、国のことしの税収入によって一般会計というのはまかなわれ、そのうちから労働省に幾らくるか、それが要するに労働省でいうならば歳入になるわけだ、それとおたくのほうでもって特にいろんな手数料とかの、全体の歳出から三億六千万というものが差し引かれた分が歳入として大蔵省からもらえば、収支とんとんにいくわけでしょう。これでは七百二十九億というものは、特別会計のいろんな支出の分までこの中に入っているように僕は思うのですよ。一体大蔵省から一般会計の労働省分としての歳入といいますか、分配は幾らくるか、それを聞けばわかるのです、一番。
○政府委員(住栄作君) 大蔵省の全体の歳入から一般会計で労働省分としていただきますのは七百二十九億二千七百五十二万五千円でございます。それで三億六千九十万円は、国の歳入予算の全体としての労働省分として組んであるものが三億六千九十万円、こういうことでございます。
○鈴木強君 ややっこしいね。これはそうすると、三億六千万円のこの分は、七百二十九億という歳出分だけずばり労働省に大蔵省から一般会計としてくると、そうすると、この三億六千万というものは、これはまた大蔵省に戻すことになるわけですか。
○政府委員(住栄作君) そういうことでございます。
○鈴木強君 これは非常にわかりにくいですよ。私ども拝見しまして、もう少しわかりやすくしてくれませんか。ちょっと見ただけでも、歳入三億六千万、歳出七百二十九億なんて、これバランス全然合っていないし、一体三億六千万は何なのか説明もついていないし、大蔵省のほうからくる一般会計の歳入というのは幾らなのか、これがちっともわからんですよ、説明でもあればわかるのだけれども。それでまあわかりました。それから、この予算とうらはらになる問題で、私はひとつ前提として聞きたいのですが、大臣、昭和二十四年から昭和三十五年の十二年間に職員の不正行為によって、これは不正行為ですよ、職員の非違事項ではない、国に損害をかけた額というのは十五億一千万、そのうち回収されたものが八億三千万円、いまだ回収をされないものが六億七千万円ある。そのうち私の調べたところによると、労働省関係は職員の不心得によって国に損害をかけてしまった金が四千四百十四万、それから、そのうち回収されたものが千七百七十万円、いまだ未回収になっているものが二千六百三十七万円あるわけです。これは昭和二十四年以前のやつはちょっと資料上調査ができないので、私は新憲法施行以来どのくらいあったかということを調べてみようと思ったのですが、資料が、これはちょっとととのわないので、二十四年以降やったのですがいずれにしても、こういう莫大な損害を職員の不正行為によって国に迷惑をかけている。昭和二十四年というともう十二、三年も前にかけて、まだ回収できないものが労働省だけでも一千十二万円もありますね、二十四年だけでも、こういうのは一体労働省はどういうふうな処理をされておるのか、一体どうしてこれだけの金がまだ返ってこないのか、その理由を私は聞きたいのです。
○政府委員(住栄作君) 実は詳しい資料が手元にないのでございますが、確かに職員の不正行為によりまして国が損害を受けました金で、未回収なものは相当あるわけでございますが、その回収につきましては、結局本人の退職金その他の財産をもって返納をさせておるのでございますが、それにいたしましても被害金額の大きいものにつきましては、結局保証人その他からの返済を待たなければならぬのでございまして、分割払いその他の方法でとっておるわけでございます。しかしながら、確実にそれを取り立てるということにつきましては、いろいろ困難な点等もございまして、こういうように未払い額が残っておるのでございますが、これが取り立てにつきましては、今申し上げましたように分割その他の方法によってその返還をさせるように努力をいたしておるのでございます。
○鈴木強君 一体これは回収できるのですか。この未回収分は回収できるのですか。その見込みあるのですか。
○政府委員(住栄作君) 必ずしも個々のケースについて全部の資料を持っておりませんので、回収確実なもの、それから回収の困難なもの等もあると思いますが、そういった状況を見きわめた上で、できるだけ取り立てる、こういうことでやっていきたいと考えております。
○鈴木強君 資料をお持ちになっていないようですから、これ以上この質問はやりません。いずれまた決算のほうで具体的にお伺いしますが、ひとつ大まかなところでいいですから、不正行為を働いて国に損害を与えた方でなくなった人がいるかどうか。なくなった場合に、その回収についてはどういう措置をしているか。それがなければいいんですよ。おそらく時効中断の措置をとってあくまでも取り立てようということを考えていると思うのだが、国に与えた欠損処理としての手続きがまだやっていないということになれば、われわれはこれはできると、こう判断せざるを得ないのですが、その見通し、そういうものをあとでいいですから、資料でもいいし、私のところでもいいから、説明してくれませんか。私はこれでもうやめておきますけれども、大臣、とにかくわれわれが予算を審議するときに、かくのごとき職員の不正による損害、そのほか会計検査院から批難をされた額というのが千三百億、十二年間にある。これは実に国民として寒心にたえないことであって、これはやはり根本的な対策を立てる必要があると思うのですね。労働省としてはこういう批難事項や不正事項がある場合に、一体どういうふうな仕組みでそれを防止する対策を立てておりますか。
○政府委員(住栄作君) 不正の対策につきましては、結局現在労働省の地方の機関といたしまして、労働基準局、それから基準監督署の系統、それから安定行政の系統といたしまして、都道府県の職業安定関係の部局ないし公共職業安定所、こういう系統になっておるわけでございますが、いずれも現金の取り扱い、支給その他の事務をやっておるわけでございます。御指摘のように、毎年会計検査院からの指摘を受けておることもあるのでございますが、まず、職員の不正事件につきましては、それぞれ安定局なり、基準局には監察官を置いておりまして、その監察官による地方機関の監督監査、そのほかそれぞれの当該担当部局におきまする業務の指導監査ということを励行いたしまして、これが絶滅ないし減少の努力をいたしておるわけでございます。そのほか、たとえば失業保険金ないしは労災保険料の徴収の不足等についても、会計検査院から指摘を受けておるのでございますが、そういう問題につきましても、逐年努力をいたしまして、実績といたしましても減少して参っておると思いますが、そういうことにつきましては、今申し上げたような組織上の体制を強化いたしましてこれが減少をはかっておるところでございます。
○鈴木強君 これは一朝一夕にはいい対策というものはでき得ないと思いますが、これはただ単に労働省だけでなしに、日本の全官庁の綱紀の粛正から始まって、やはり国民の尊い税金によってまかなっておるのだということを頭の中に置くか置かないかということ、そういう公務員としての職責を果たすような訓練というか、やはりそういうものをやらないことには、私は問題の解決にはならないと思うのです。ですから、これは大臣もお聞きになっておって、実際いやな気がすると思うし、あなたは、大臣というものはかわるのだから、毎年々々文句をいわれても、十分注意しますとか、そういう対策を立てるとかいってそのままになってしまうのだけれども、具体的に労働省の場合でも、幸い三十六年度の不正事項はございませんね。不当事項はございますけれども、三十五年に百何万の問題がやっぱり一つある。これは会計検査院が大体全体の八%だけ監査した場合にこういうものが出るのですが、今までずっと十年間、会計検査院も人が足らないから八%しか検査ができない。それで千三百億の批難事項と十五億という不正の摘発をしておるわけです。これを全部調査したら、私はちょっとあぜんとしますね。一割も満たないような検査をしてこういう金額が出てきておるのですから。だから政府全体としても、国民の税金をこのように不当に使ったり、不正に使ったりするようなことのないように全体としてのやっぱり体制を作ってもらう。組織機構上に欠陥があるならば、検査組織というものをはっきり確立して、そういう災いだけはないようにすることも必要でしょう。全体としての行政面からこれをごらん願いたいと思います。これは大臣としての所見を聞いておきたいのです。
○国務大臣(大橋武夫君) 労働関係で不正事件の発生いたしますのは、大体労働災害保険、それから失業保険・いずれも保険料収入、それから保険金の支払いを伴います保険特別会計が多いようでございまして、これは労働省の基準局及び職業安定局がそれぞれ所掌をいたしておるのであります。今後、こうした現金を取り扱いまするところにつきましては、十分注意をいたしまして、監査、監督を厳重にいたしまして、不正の絶滅を期したいと存じます。
○鈴木強君 次に伺いたいのは、今大臣の御説明いただいた労使関係の安定及び近代化に必要な経費というのがございまして、四千四百七十六万四千円でありますが、その中に、「自由にして民主的な労働運動の発展と正常な労使関係を期するため、労使が相互信頼を基調とした自主的な話し合いの場を中央のほか地方にも設けて、労使問題の合理的解決を図るとともに労働紛争議の予防、労使関係の安定及び近代化の推進に努める。」、こう述べられているのですが、今、日本には総評と、中立労連というのと、新産別と、全労、大体こういう組合があると思うのですが、この組合は自由にして民主的な労働組合と労働省は思っているのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 組合は大体それを目標にして組合員が努力されつつあると考えております。
○鈴木強君 ちょっと含みのある言葉なんだけれども、それを目標にして努力しているということになると、まだ自由にして民主的労働組合でないということにもなるのですね。この四つの組合の中でどれが自由にして民主的な労働組合で、どれがまだ目標を掲げてやっておるのか、どうですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 自由にして民主的な労働組合としてそれぞれ出ておるのでございまして、労使問題につきましても、そうした方向で努力をされておると考えております。
○鈴木強君 そうすると、この四つの組合は自由にして民主的な労働組合と考えると、こういうふうに理解していいんですか。
○国務大臣(大橋武夫君) まあこの組合というものも一つの成長過程にあると考えております。自由にして民主的な労働組合というものも、だんだん先へより一そうよくなるということが考えられると思います。したがいまして、この上ともますますそういう方向に進んでいただきたいと思っております。
○鈴木強君 自由にして民主的労働組合というのは一体どういうものをいうのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 組合自体が自由人としての組合員を基調として自由に組織されたものであり、そして民主的な組合の運営が行なわれる、そして労使間によき労使慣行を確立しながら労働者の利益を追及していかれるというのが組合の理想ではないかと思います。
○鈴木強君 まあこれは大臣と僕とで、ここで組合民主主義かどうかという論争をしても、これは時間がかかりますから、私はそうくどいことは言いませんけれども、どうも自由にして民主的労働組合ということが、私には今の大臣の説明ではわかりません。労働組合というのは、今あなたがおっしゃったように、組合運営についてはあくまでも民主的にやってると思うのです。私は別に非民主的な労働運動をやってるとは思いませんね。ただ見方によって、そのことが政府なりあるいは資本者側から見た場合に、あの組合は非民主的だと言われるかもしらん。それは見る判断、立場、価値というものによって私は規定づけられることであるから、あなた方の言うような自由にして民主的な労働組合というのは、一体、今もお話があったように、よき労使慣行、これも私は賛成なんだが、言うならば、何でも話し合いでできるような労働運動にしてもらいたい。これも私は賛成なんです。要するに、そこに持っていくのには、労働者だけでなくて、日本全体の、政府の中でも、使用者側の立場に立つ者の中でも、労働運動に理解をしてストライキをやらなくても話が済むような、そのものに対する正直さというか、腹を割って話し合えるというような、そういうものを作っていかなければ根本的な労使の正常化にならんと思いますね。ですから、労働組合のほうにだけ経営者のほうを向けと言っても、これはちょっと無理ですよ。やはり経営者も、ストライキをやらなければ賃金を上げないというばかなことはやめればいいんですよ。ほんとうに上げられるものだったら、ストライキをやる前に上げたらいいんで、それをストライキをやらなければ上げないという、そういうばかなことを考えておる人もおりますから、そこに紛争というものが起こるので、これはひとつあなた方も、なかなか、思うようになる組合を作るためにこういう金を使うと言っても、これはちょっと無理だと思う。特に、地方の労働問題懇話会と、これは大府県十県、一県当たり労使各十人、学識経験者五人計二十五人。その他の三十六県に、一県当たり労使各八人、学識経験者三人、計十九人。年四回こういう会議を開こうと、こういうようなことを考えられているのですね。私はその趣旨に別に反対するものではないのだが、この運営についてはよほど考えてもらわないといけないと思います。労働省としては、あくまでも正常な労使関係というものを保つように、労働行政の面で労働者にも経営者にも高い角度からたえず行政指導をする。また法律に基づいてきつく言う場合には言っていくと、こういう政府の立場というものがあると思いますから、これは使い方を十分注意していただかないと問題があると思います。特に、どういうふうにして労働者側の委員を選ぶのか、これは大臣が選ぶのかどなたが選ぶのか知りませんけれども、これはどうなりますか、委員の任命については労働大臣がお選びになるのかどうか。
○政府委員(堀秀夫君) 委員の任命については、これは労働組合側それから使用者側等と十分に御連絡いたしました上で、各都道府県の知事が御委嘱を申し上げる、このように考えております。
○鈴木強君 知事が任命するというのは、大臣の命を受けて、委任事項によってやるということでしょう。知事の権限でやるということじゃないでしょう。
○国務大臣(大橋武夫君) これは、労働省の仕事を知事が分担するという考えではなく、知事が地方の仕事としてこういうふうに各府県でやってもらいたい、それに対して中央政府から補助金を出す、こういう趣旨で予算を要求した次第でございます。
○鈴木強君 そうするとちょっとあれだな。労働省の考え方でなしに、各都道府県の知事の考え方でやるということになると、これは相当危険です。まだ私は労働省がその主催者になってやる場合ですと、高度のやっぱりものの考え方がありますから。地方に行ってごらんなさい。まだ封建制というものが残っておりますから、こんなものを知事にまかせたら、えらいことをやると思いますね、僕は。
○国務大臣(大橋武夫君) 今私の申し上げましたのは法律構成の問題を申し上げたのです。実質的には労働省におきまして、この地方労働問題懇話会というのは、地方の労働組合運動並びに経営者の中堅となるような方々に一つの懇談の場を設け、そこで自由な懇談を通じて相互によき労使慣行を作るような雰囲気を盛り上げていただきたい。こういう考えでございまして、もちろん実質的には労働省が指導し、監督して府県の仕事としてやってもらうつもりでございます。
○鈴木強君 だから、法律的に言うならば委任事項でしょうね。これはもし地方の知事にやったならば、これは交付金か何か補助金かしらんけれども、あなたのほうでそういうルートでやるべきです。少なくとも一般会計の中に労使関係の正常化ということで四千四百七十六万円というものを組んであるとすれば、これは交付金じゃない、やっぱり労働省がお使いになるものだ。もし法的に言うならば、委任事項としてその仕事を知事に委嘱してやる。その通合に労働省がイニシアをとってやるということでなければ筋が合わぬ。法律的に知事の権限でやるということなら、それは交付金じゃない、補助金じゃない。そんなばかなことはないですよ。
○政府委員(堀秀夫君) ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、補助金として交付することにいたしておりまするが、その運営及び委嘱等につきましては、これはただいま先生御指摘のように、全体としての労働政策の線に沿ってやっていかなければならないわけであります。具体的に申し上げますると、使用者側委員の委嘱につきましては使用者団体、それから労働側委員の委嘱につきましては各県の労働組合の連合会その他適当な組織がございまするから、そのほうに十分御連絡いたしましてその御推薦に基づいて御委嘱をする。こういうことで、大体その御推薦におまかせする、こういう形でやっていくわけでございます。 それから内容につきましては、これもただいま大臣が説明申し上げましたように、自由な労使間の話し合いの気運を醸成していくということで、あまり固苦しいようなことではなしに、自由な話し合いをしていただく、こういう運営をしていきたいと考えておるわけでございます。
○鈴木強君 もう一回ちょっと労政局長はっきりしてもらいたいのは、そうすると、労働省の委任によってやるのではないのですか。その点が一つ。委任かどうかという点。あくまでも知事の権限において、しかし知事の権限においてやるとしても、ここに計画をし、予算を組んだのは、これは労働省ですからね。労働省の発議によってこれはやられると思うのですよ。そうすると、このことを労働省がやらないで、当該の都道府県知事に委嘱をして、そしてその中でやるという建前だと僕は思うのです。それでなきゃいかぬと思うのです。その点だけ。 委員の選出についてはわかりました。それが民主的にやはりやられることは、その点はわかりましたが、そこだけちょっと明確にしておいてもらいたいのです。
○政府委員(堀秀夫君) 法律的に申しますと、これは各県の個有事務でございまして、機関委任とは考えておりません。その趣旨は、各県内において自由な労使間の話し合いの機運が醸成され、労使関係安定の機運がはかられる、当然県自体としてもこれは大事なことでございます。そこで労働省といたしましては、このような労働問題懇話会を設けまするにつきまして、二分の一を補助金として交付する、こういう考えでおります。運営委嘱につきましては、先ほど御説明したような気持でおります。
○鈴木強君 まあ二分の一、それも私は今初めて聞いたんですけれどもね。もうちっと親切に書けんのですかね。あなたのほうの予算の説明書の中に、補助金としてやるとも書いてないし、全体の金がどうなんだか、一つもあんたのところのは、まずいな、実際。もうちっとあんた、むだな質問をさせぬようにして下さいよ、わからない、実際。 それからILO協会というのがありますね、日本に。日本ILO協会というのが。あれには労働省は補助金というか、何というか、ああいうものは出していないのですか。
○政府委員(堀秀夫君) これに対しては、補助金等は出しておりません。
○鈴木強君 それはなぜ出さぬのですか。少しぐらい出したっていいじゃないですか。前は出しておったんじゃないですか。
○政府委員(堀秀夫君) 従来からも出しておりません。
○鈴木強君 今、中小企業の労働者の全体の数というのはつかんでおられますか。そのうち何十万が組織されておりますか。その点おわかりだったら教えていただきたいのです。
○政府委員(堀秀夫君) ただいまわが国の労働組合の組織率は大体三〇数%と記憶しております。そのうち中小企業はどのくらいか、ただいまちょっと資料を持ちあわせておりませんので、調べまして、後刻御返事を申し上げます。
○鈴木強君 この中少企業の問題については労働省も特に力を入れていただいているようで、私はその点は感謝をいたしますが、しかしまだまだたいへん不十分な点もあると思います。 で、以下質問をしたいのですが、今中小企業の場合ですと、特に労働力なんかについてもなかなか求人難で、どこの中小企業も困っているように聞いているのですが、その根本的な原因というのは、やはり賃金が安い、それから勤務時間が長い、それから作業条件が非常に悪い、こういった問題があるから、なかなか中学卒業にしても、高校卒業にしても中小企業のほうには就職したくない。どうしても大企業や官庁なんかに行ってまうのですね。ですから、雇用の確保ということについては特にたいへん御配慮いただいているようですけれども、根本的に中小企業に対する労働力確保の点では、三十八年度はどういうふうな具体的な手を打たれようとしているか、これを承りたい。
○政府委員(三治重信君) 新規学卒が主でございますが、それが不足といわれておりますので、これはわれわれのほうといたしましては、集団求人方式と申しまして、従来に三人とか五人とかと、各事業主ごとに職安に求人申し込みをしておったわけですが、これを一つの商店街なら商店街として、あるいは一地区の何々工業組合として一緒になって、しかも労働条件も同じようにしてもらって、それを各地方に連絡する。そういうことによって労務の充足の確保をはかっております。これは労働条件が同じ地区あるいは同じ業種によって統一されるので非常に喜ばれている。それにしても求人は多くなる一方でございまして、しかも供給側のほうは、新学卒の著しい上級学校進学率によりまして、実際中学から就職される方は年々数は少なくなっている。ことし、来年はまだ戦後のベビー・ブームのため多いわけでございますが、四十年以降になると、もうつるべ落としに少なくなる。したがって今後このことにつきましては、こういうようないろいろの態勢を整えても、新規求人としての学卒は非常に充足難になることと思います。したがって、私たちのほうとしては、この穴埋めとして、労働条件の改善をはかりながら、しかも中高年齢層で代用できるものは、代用というと語弊がありますが、代替できる求人に対してはできるだけそれにかわっていただく。それから福利厚生施設の整備、改善をやり、また基準局のほうでは労務管理の近代化の講習をやっておりまして、こういうことによって、先生の先ほど言われました労働条件の悪いところ、それから労働管理の悪いところを近代化するように改めていきたい。それから福利厚生施設部面につきましては、雇用促進事業団のほうから、先ほど大臣が御説明いたしましたように、いわゆる福利厚生施設への融資というものをいたしまして、昨年二十億、今年は四十億でございますが、そういうものによって福利厚生施設を充足をしていく。それからせっかく足りません新規学卒を入れましても、それが安定して定着してくれれば、なお非常にいいわけですが、中小企業のほうに就職した新学卒の移動が非常にはなはだしいわけです。これによってさらに不足がふえる。したがって就職後の補導が必要なわけです。これは最近東京、大阪などの大都市の非常に不足しているところにおいては、力を入れましていろいろの指導をしておりますが、これにつきましても、そういうアフター・ケアを強化していくことをやっております。それからさらに新規学卒の定着化の一つとして、やはり向学心に燃え、あるいは知識技能が身につけられるようなところを望むわけでございます。そこで事業内の共同職業補導の強化、定時制高校への進学なり、そういう勉学の機会を与えてやるように指導しているわけでございます。いずれにいたしましても、この新規学卒につきましては、将来に中小企業に対しては不足するということはもう客観的事実だと思います。したがって代替雇用をどういうふうにしていくかということに私たちは努力をいたしていきますとともに、せっかく就職した新規の学卒につきましては安定化するような対策を強力に推し進めていきたいというふうに考えております。
○鈴木強君 大体わかりましたが、なお少しお尋ねいたしますが、一斉閉店とか一斉週休という方法ですね最近中小企業などでもおとりになってきております。それから政府の最低賃金制の実施ですね。それから退職共済制度の問題とか、いろいろ中小企業に対して労働者がやはり魅力を感ずるような体質改善ということをやられておると思うのですけれども大体今一斉閉店をやっているところですね、それから一斉週休などをやっているところ、あるいは最低賃金制の実施などをやっているところ、およそどのくらい全国でございますか、もし概数おわかりでしたら、お答え願いたいと思います。
○政府委員(大島靖君) 一斉週休制を実施いたしておりますのが、現在団体の数で一万四千百八十一、事業所の数で申し上げますと八十二万事業所、これにカバーされます労働者の数が二百五万人という、これは昨年の春ごろの調査でございます。一斉閉店制を実施いたしておりますのが三十六年の都道府県にわたっておりますが、実施いたしております事業所の数が三十六万事業所、これにカバーされます労働者数が六十九万人と相なっております。それから最低賃金制の実施状況でありますが、今年の二月末の現在で最低賃金制にカバーされます労働者が約百九十六万人、こういう数字に相なっております。
○鈴木強君 退職共済制度ですね、これはどのようになっておりますか、それから五人未満の事業所で失業保険の、これはどなたか知りませんが、保険を適用しているところはどの程度ございますか。
○政府委員(堀秀夫君) 退職共済制度の現状について申し上げますが、三十七年十二月現在の加入実績で申しますと、従業員数が七十九万六千五百九十五人、企業数にいたしまして五万五千百二十一、こういう実情になっております。毎日着々とおかげさまで増加いたしております。 なお、先ほどの御質問に対してお答えをちょっと追加さしていただきますが、規模別の組合結成の状況、組織率でございまするが、これは推定でございまして、三十五年当時のものでございますが、これで見ますと、公務員、公労協等を入れまして全体の組織率は三六・二%でございまするが、これらを除きました民間事業所の組織率を見ますると二六・三%でございます。その内訳を申し上げますると、五百人以上が六九・一%、百人から四百九十九人が三八・五%、三十人から九十九人が八・九%、二十九人以下三・二%、このようになっております。その後組織率は若干拡大しておりますので、現在はこの率よりも多少高くなっております。推定数でございまするが、ただいま申し上げましたように推定しております。
○政府委員(三治重信君) 五人未満の失業保険の適用状況につきまして御説明申し上げます。昨年の七月で事業所数が八万八千事業所、被保険者数が十七万九千五百人ほどでございます。これは三十三年の改正によりまして、失業保険事業事務組合制度を法制上できるようにいたしまして適用いたしております。毎年若干ずつは増加しておりますが、急速な伸びはなかなかむずかしいところでございます。本年度におきましては、昨年この専務組合のための経費として二千七百万円ほどしたのを四千百五十九万円に伸ばしましておりますが、いずれにしても、この関係につきまして顕著な実績が上がったというふうにはなかなかいかぬと思いますが、それにいたしましても、始めたときにはわずか九万人のところでございましたが、現在、先ほど申し上げたような数字でございます。 なお、これにつきましては、各方面から強い要請がございますが、われわれといたしましては、やはり事業所が非常に多くて、しかも労働者の移動が激しく、なかなかこの関係につきましての労使の関心が十分でないというふうないろいろ実務上の問題がございますので、直ちに強制適用にまでなかなか踏み切れないわけでございますが、厚生省のほうとも十分連絡いたしまして、今後こういう五人未満の事業所の適用につきましては、できるだけ早く実施できるように努力していきたい、こういうふうに考えております。
○鈴木強君 労政局長、この三十五年当時の今御説明があったのですけれども、これはあれですか、もう三十八年ですね、ことしは。もう少し的確な中小企業の労働者数というもの、組織されている数とそれからそれは限定の仕方が、どこで筋を引くかということがあるからむずかしいと思うのですけれども、何か中小企業のもう少し的確な資料というのがほしいのですが、やっぱり何をやるにもデータですから、その意味で——人が足りないのだろうと思うのですよ、そういう調査をするのに。金もないんだろうと思うのですけれども、それはどういう理由でしょうね。
○政府委員(堀秀夫君) 労働組合の結成状況、それから組合数その他につきましては、毎年六月に労働省内の官房の労働統計調査部におきまして、労働組合基本調査、これを実施いたしまして、それによって毎年の数を出しておるわけでございます。先ほど申し上げましたのは三十五年六月の基本調査に基づきました推定でございまするが、ただいまのところ昨年の分の集計が概数が出たわけでございます。ただ、これは今申し上げましたよう規模別の推定はまだやっておりませんが、ただいま御指摘の御趣旨もありまするので、どのくらいの組織率であるかというような検討を、私ども既存の資料によりましていたしてみたいと思います。それによりましてなるべく近い数字を把握いたしたいと考えております。
○鈴木強君 できるなら私はこの中小企業の労働者のうち男女別にどの程度の労働者がいるのか、そのうち組織されている労働者が男女別にどの程度か、そういうものを調べて、そして女子は女子としてのやはり特性があるのですから、それに適合する職場環境というものを作ってやる必要があるのですから、そういう意味で三十七年六月の資料は、今すぐというわけにはいかんでしょうけれども、去年の六月のやつですから、その集計はもうできているのですか、今できつつあるのですか・その点どうですか。
○政府委員(堀秀夫君) 三十七年六月の集計はできております。ただそのうちの規模別の推定がしてございませんが、それは検討してみたいと思います。なお、男女別という仰せでございますが、これは実は昨年の分につきまして男女別の集計はいたしておらなかったと記憶しております。 なお、こまかいことは統計調査部から、もし御必要ならば申し上げまするが、したがいまして、今までの統計をもとにいたしまして男女別の組織率というものは把握が困難ではないかと思っておりますが、なお、その組合基本調査以外の個別的な調査等もしておりまするので、御趣旨のような線に沿って推定ができるだろう、これは十分に検討してみたいと思っております。
○鈴木強君 時間の関係で、少しこの問題は伺いたかったのですけれども、検討されるということですから、私はぜひ、もし組織された組合の中の男女別がわからないとしても、中小企業に従事する労働者の男女別はどうかということは、ぜひこれは必要だと思いますから、それはもし今後やられる場合、やってなかったらぜひ資料の中に入れてもらいたいと思います。どうしてできないのか、だめならだめと言って下さい。
○国務大臣(大橋武夫君) 今までは、申し上げたようにやっておりませんでしたが、これから男女別は少くともやるようにいたします。
○鈴木強君 そこで、きょうは時間が少なくてあまり言えないのですけれども、いろいろと中小企業対策についてお伺いしましたので、それが具体的に進んで参りますれば、相当な効果が出てくると思うのですけれども、問題は一中小企業の経営者の皆さんの労務管理に対する考え方にも僕はあると思うのです。 ここに一つの例ですけれども、今日、中卒者がなかなか中小企業にこなくて求人難で困っているというのに、この会社は大入満員でどうして選考するか、断るのに大へんだという事業所もある。これはある地方のカメラの部品と撮影機の製造をしている従業員の規模は五九人くらいの小さい会社なんですけれども、ここは製作所の社長さんというのが非常に進歩的な方でして、中卒で入ってきた諸君には全部定時制の高校で勉強させる。しかもここにも書いてありますけれども、月謝五百円と給食費の月額七百円を全額負担してやったり、あるいは修学旅行に大体一人五千円くらいかかるそうですけれども、これについても、社長は、その金を経済的に援助してやる、こういうようなことをやっておるものですから、日本じゅうからそれを知って、わんさわんさと押しかけてる、こういうのを私は新聞で見て知っているのですね。ですから、今日、中小企業に人が集まらぬと言って騒いでおるけれども、一体集まらない原因はどこにあるのかということを厳密に考えて、それぞれの事業主の方々も、これは、山梨県の大月というところにある堀江製作所というところです。この堀江勇という社長さんのような気持をもって人を集めたらいいと思うのです。定時制を卒業すると、なお大学もあり、あそこに都留という短期大学があるのですけれども、そこまで勉強しなさいと言ってやってやる。多くのところは、定時制に行くと言ったら、行っちゃいかんと言って反対したり、とんでもないことだと言ってやるような人が多い中に、こういう人たちは奇特な人だと思うのですけれども、私はこういうふうな気分を持ってくれれば、若い人たちも希望を持って一生懸命仕事をする、だから生産も上がるし、能率も上がるし、会社の成績もどんどんよくなって、一生懸命、伴み時間も一時間やるというのを五十分にして十分は節約しても仕事をするという気持に若い子供たちがなるのですね。私はこれが経営のいわゆる妙だと思うのです。 だから、こういういい例もあるのですから、ひとつ労働省のほうもこういうふうな人もあるのだから、やったらどうかというくらいの行政指導というものを私は大いに、さっきの施策の中で、特に新規学卒者に進学の機会を与えるということもうたっておりますので、そういう点もぜひ、ひとつ加えていただいて、中小企業、それから貿易の自由化その他大きな荒波を受けて一番困難な立場におられる人たちですから、これはひとつ、あらゆる角度からあたたかい政策を立ててやるという方向に勇断をもってやっていただきたい、こう思います。これに対しては大臣からのお答えを願います。
○国務大臣(大橋武夫君) かねてから、中小企業の労務対策は、わが国といたしまして最も力を入れなければならん状況にあると存じておったのであります。きょうは大へんいいお話を伺いまして、労働省といたしましても、十分に実情を調査いたしまして、できるだけ一般の事業主にも実情を知らして、将来の参考に資したいと存じます。
○鈴木強君 次に私は、婦人労働者の問題について少しお尋ねをしたいのですが、大臣、今婦人少年局長さんはどなたがやっておられるのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 婦人少年局長は谷野せつという女性がなっております。この人は内務省社会局時代から三十数年間ずっとおって、今ちょうど海外に出張いたしております。
○鈴木強君 今、婦人少年局には女の課長さんは何人、係長さんは何人おるのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 女性の課長は二人です。
○鈴木強君 係長さんは。
○説明員(大羽綾子君) 課長補佐が各課大体二人おりまして、課長補佐が七名でございます。
○鈴木強君 局長が不在中は、だれが事務を代行するのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 庶務課長が代行いたしております。
○鈴木強君 そうすると、御答弁いただけるのは婦人問題は庶務課長さんがやるというのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 庶務課長がお答えいたします。
○鈴木強君 日本には約半数女性がいる。今から私が伺いたいのですけれども、婦人労働者というものは一体、日本の労働者の構成の中で何百万人で何%になるのですか。
○説明員(海野将親君) 現在約八百万人でございまして、全労働者の三〇%に当たっております。
○鈴木強君 これはいつの調査ですか、三六%というのは。
○説明員(大羽綾子君) 三〇%でございます。一九六二年の十一月の数字でございますが、三六%でございません、全労働者の三〇%でございます。
○鈴木強君 それで、これは欧米諸国と比べてパーセンテージは多いのですか、少ないのですか。
○説明員(大羽綾子君) 大体、アメリカも三〇%くらいでございまして、欧米に比肩いたします。
○鈴木強君 男女間の賃金の格差について、現実に日本の場合はあると思うのですけれども、これは課長さんどうなっておりますか。男子の労働者の何%ぐらいになっておりますか。
○説明員(大羽綾子君) 約四二%ぐらいでございます。
○鈴木強君 そうすると、西欧はどの程度ですか。
○説明員(大羽綾子君) 西欧はいろいろでございますが、一九六一年の数字でございますが、フランスが時間当たり八四・七%、西ドイツが六一・九これは週当たりでございます。イギリスが五〇・七%、これも週当たりでございます。それからデンマークが六六・七でございます。
○鈴木強君 この点はどうも西欧のほうがずっと日本よりかいいですね。婦人課長さんは不満じゃないですか、これをどういうふうにして——男女同一労働、同一賃金ということ国際労働憲章にもきめられておるし、日本の労働基準法第四条にもその趣旨を盛って規定されておると思うのですけれども、一体こんな差別待遇をされて怒らないでいるのですか。
○政府委員(大島靖君) 基準法の問題にも関連いたしますので、私からお答え申し上げることをお許し願いたいと思います。ただいま申し上げました数字は、平均賃金における男女間の格差でございます。男女それぞれの属性あるいは産業別等によっていろいろ違いますので、一概に男女の賃金格差が四十数パーセントということも正確を欠くと思うのでありますが、さればといいまして、産業を同じくし、たとえば年令を同じくし、学歴、勤続年数を同じくいたしまして比較いたしましても、これまたなかなか判定のむずかしい問題でございます。私、かつて個人的に試算いたしましたところでは、大体六〇%ないし、七〇%というような数字も出ております。ただ、それにいたしましても、さらに労働の質という問題がからんで参りますので、世界各国におきましても、男女間のほんとうの格差があるかないかというような問題については、学問的にも実際的にも非常にむずかしい問題とされておるわけでございます。ただ、私どもも男女の賃金にあまり差があるということは好ましくないので、これが合理的な理由がある場合は別でございますが、合理的な理由なくして差別されることは好ましくない、したがって、そういう面につきましては、基準行政といたしましても、また婦人行政といたしましても協力いたしまして、今後とも監督なり指導なりをいたして参りたいと考えております。
○鈴木強君 あなたは婦人労働課長の言われた四〇%を否定するようなことを言っているんですけれども、否定するなら否定してもいいです。あなたは個人的に調査したものが六〇%か七〇%か、こういう公の席上で言われているけれども、この四〇%というのは、今婦人労働課長が言われたのだから、私は具体的ないつの調査か、どういうものを対象にしたのか、それはわかりませんけれども、あなたに伺いたいのは、一体日本の男女同一賃金、同一労働という精神をくんだ第四条——あなたはその監督の一番の責任者なんですね、局長なんだから。国際的にも国際労働憲章でそういうことがきめられている。一体日本の賃金は実態的にどれだけの差があるかということをあなたははっきりと資料をもって説明して下さい。
○政府委員(大島靖君) 男女別の賃金格差といいます場合、一般的に平均賃金の格差で表示するよりいたし方ないと思うのであります。私も先ほど申し上げました四二%という数字を否定する意味で申し上げたわけではないのであります。ただその格差というものが、男女の労働者の所属いたします産業にもよりましょうし、規模にもよりましょう、またその男女のそれぞれの労働者の属性、すなわち年令とか、学歴、勤続年数、これの構成にもよりますわけです。したがって、そういう意味合いにおきまして、四二%というものを理解すべきだという意味において申し上げたわけです。ですから一般的に男女格差を申し上げますときは、やはり一応平均賃金の格差で申し上げるのが、それは今申しましたような意味合いにおいて妥当であろうかと思います。
○鈴木強君 ですから、国会で答弁を少なくともなさるときに、労働省としては、かくかくかくかくの調査によって実態的に調査いたしまして、かくのごとき結論が出ております。したがって、これは、何%ですという、こういう答弁をすべきでしょう。それがあなたのほうでは、資料になると、人が足りないのか、金がないのかしらぬけれども、二年も三年も前の資料を出してみたり、個人的に調べてみたらということで、要するに男女の差が少ないということをあえて立証するために・個人的な調査まで引っぱり出して、四二%を六〇%ないし七〇%と言ってみたり、そんなことはやめて、一体国際労働憲章なり、基準法なりにあなたは違反しているんだよ、はっきり言うならば。今の男女同一賃金、同一労働をやってないということで、その方向に労働省は、基準局はどうしたら男女の賃金の差が縮まるかということを積極的に推進しなければ、そのためには実態調査をしないでできますか、そんな個人的にやればあなたのポケットの金が要るから、個人的に調べる必要は毛頭ない、堂々と国の予算で、この憲章と基準法実施上において必要なデータだから、人がなかったら大臣に要求しなさい。そして完璧なやはりデータというものを作っていただいて、そして私は男女間の賃金格差をなくするように、局長さんは大いに努力してもらいたいと思うから言うのです。決して私はあなたに対して答弁の仕方がまずいとか、そういうことで言っているわけではないです。ですからもう少し実態的な調査というものを労働省全体として——これだけではないです、さっきの女子の労働者が何名あるか、それだってよくわからないのではないですか、そういうような点をもう少し具体的なデータ、特に池田さんというのはデータがなければ承知しない人だから、あなた方データを作るというと予算をくれると思う。要するに日本には科学的なデータはないのです。役所としては総理府統計局や各官庁はやっておりますけれども、もっと金をかけてもいいから、日本では大々的な科学的な調査をやるべきだと僕は持論を持っているくらいです。それを官庁に分散してやるのはめんどうだから、不経済だから一もっと統計局なんというものはりっぱな、拡大してやればいいのです。こういうふうな考え方を持っておりますから、ぜひそういう実態調査に基づいて、かくのごとき結論になる、かくのごとく今後改革していくんだ、こういうふうにひとつしていただいたら、皆さんの御苦労はよかったということになるのです。そういう資料がおそらくないと思うのです。ですからその点はぜひ、次年度からでも調査ができるような実態調査をひとつやってもらいたいと思います。どうですか。
○政府委員(大島靖君) ただいま鈴木先生から御指摘がありましたような方向におきまして、私どもも今後とも分析、研究もいたし、また行政上の努力もいたしたいと思います。
○鈴木強君 婦人労働者の平均年令とか、それから勤続年数はおわかりですか。
○説明員(大羽綾子君) 一九六一年現在で、平均年令は、女子は二十六・二才。男子が三十一・五才。
○鈴木強君 勤続年数は……。
○説明員(大羽綾子君) 勤続年数は、一九六一年、女子が三・六年。男子が六・七年でございます。
○鈴木強君 大臣ね、ILO第百三号という条約があるのですけれども、これは母性保護に関する条約で、まだ日本は批准をしていないと思うのですけれども、これを批准する御意思はございますか、早い機会に。——では、その御答弁をいただく前に、働く婦人の家というのをお作りになるそうで、これは私は非常にけっこうなことだと思うのですけれども、今、現在、働く婦人の家というのは、幾つあるのでございますか。それから三十八年度で幾つお作りになるのか。それから働く婦人の家の利用できる施設といいますか、大体ちょっと子供さんを連れて行ってお茶でも飲んだりできるとか、本でも読みに行くとか、そういうここの施設でやる仕事とかいうふうなものがわかりますか。
○説明員(海野将親君) お答えいたします。働く婦人の家は、昭和三十七年度におきまして八カ所でございまして、三十八年度においてさらに二カ所設置する予定でございます。 なお、施設の内容でございますが、働く婦人の方がその施設に来られまして、その教養を高めるための施設、あるいはまた娯楽をいたしましてレクリエーションをするような施設、そういったこと、さらに、必要に応じまして、お子さんのある方々に対しましては託児施設等をも設けて利用いただいております。
○鈴木強君 これは、年間一つの施設でどのくらいの予算が組んであるのですか。
○説明員(海野将親君) これは定額補助になっておりまして、一カ所三百万円補助いたしております。
○鈴木強君 これの過去八カ所の利用状況はどうなんでございますか。
○説明員(大羽綾子君) 今、手元に持っておりませんので、数字は申し上げられませんですけれども、いずれもみな中小企業の密集地域に設置されておりますので、たいへんよく利用されておりまして、初めのころにできたものは、もう施設を広げなければ足りないほど繁盛いたしております。
○鈴木強君 しかし、まあ一カ所三百万円のこの予算だと、そうたいしたこともできないと思うのですけれども、託児施設もあるというのですけれども、これは一般の託児所と違って、その婦人の家で何名ぐらい一日に頼めるのですか、預かれるのですか。
○説明員(大羽綾子君) 現在桐生で一カ所やっておりますが、そこは、最初二十名から始めまして、現在四十名預かっております。
○鈴木強君 まあ、これは非常に喜ばれているそうだから、もう少し予算もとって、もうちょっとりっぱなものにしてやったらいいではないかと思います。 それからもう一つ、家庭婦人の手内職というのがありますね。あれは、聞いてみますと、非常にえらい仕事をして安い労賃、手間賃でもってやっておるのですけれども、これは家内労働法か何か、そういう具体的な保護立法というものを作らぬと、終局的には問題の解決にはならないと思うのですけれども、しかし、今のような格好を放置しておくことも、私は社会問題だと思う。実際に、あれはただ働きのようなもので、ひどい人があるものです。何かそれに対して打つ手はないものでしょうか。
○政府委員(大島靖君) ただいま、先生御指摘のように、家内労働の問題は、家内労働者は賃金労働者ではないわけでございますが、労働行政の周辺にある問題として、労働省としても、切実な関心を持っております。現在私どものほうで、全国的に調査いたしました結果によりますと、大体家内労働者の数が八十五万人と思われます。もっとも、この家内労働の定義自体が非常にむずかしく、また変動も激しいのですが、大体八十五万人、この中で専業的な家内労働者の数が十万人、それから今、先生のおっしゃいました内職が六十八万人、それから農家の副業的なものが約七万人、こういう数字になっておりまして、内職関係が圧倒的に多数を占めております。この家内労働の問題といたしましては、工賃の問題がございます。労働時間の問題、それからさらに仲介人の問題もございます。それから安全衛生上の問題もございます。こういった各種の問題が非常に錯雑してむずかしい問題でございますので、私どものほうでも、家内労働についての専門的な知識を持っていらっしゃいます先生方あるいは経営者の方々あるいは労働組合の方々、こういう方々の御意見をいろいろ承っておるわけなんです。実は、その先生方の御意向によりまして、あまり実態が錯雑し複雑なもので、かりに家内労働法というものを作りましても非常に空転する、から回りするおそれもある。したがって、当面行政措置でもってできるだけの行政指導といいますか、行政措置をやってみてはどうかということで、昨年来私どものほうでいろいろ、たとえば家内工賃の協定をさせるとか、あるいは家内労働手帳をこしらえてみるとか、そういった各種の行政措置の試みをいたしております。なお、その専門的な先生方には引き続きいろいろ実態の調査も願い、御検討も願っておりますので、いずれそのうちに、その先生方から総合的な家内労働対策といったような形での御意見を承れることと期待いたしております。それによりまして私どもも今後の措置をきめて参りたい、かように考えております。
○鈴木強君 その工賃ですけれども、一番安いのはわかっていますか、百何ぼというのがあるらしいですけれども。
○政府委員(大島靖君) 専業のほうの工賃というのは比較的高いのでございます。ただ内職のほうの工賃になりますと、非常に低いものから、かなりのものもございますが、大体のところ、私どもの調べましたところでは、少し前の調査になるわけでございますが、大体八十円から二百四十円程度、このくらいのところが多いようでございます。
○鈴木強君 まあお話のとおり、今直ちにといっても、実態をやはり調べる必要があるので、その専門的な方々の御報告等を待って家内労働問題の全般的な問題についてはやっていただくとして、当面やはり行政指導の面で、今お話のあったように、具体的な工賃の問題あるいは労働手帳ですか、そういったものを支給してある程度コントロールするとか、そういうようなことが必要だと思いますから、できるだけ早い機会に、でき得るものをひとつ手を打っていただく、こういうふうに強く私は期待しておきます。それから、さっきの百三号のは、おわかりになりましたか。
○政府委員(大島靖君) 百三号の母性保護の条約は、日本はまだ批准をいたしておりません。批准をいたしておらない理由は、家内労働が、この条約によりますと家内労働者を含むことに相なっておりますので、基準法の建前といたしまして、家内労働は含まれておりませんので、その関係で、ただいまのところ、批准はいたしていないのでございます。ただ内容とする母性保護の点につきましては、私どもも行政上今後とも努力をいたして参りたいと考えております。
○鈴木強君 そこで、むずかしい家内労働の問題が今日宙に浮いちゃっておる。したがって、これを早く片づけて百三号の母性保護条約の批准というものに持っていくというお話ですけれども、この条約の趣旨というのは、やはりあくまでも母体を保護しようという精神に置かれておると思う。あるいは日本の場合、生理休暇とか産前、産後の休暇、こういったものはつわり休暇とか、いろいろ各事業場なんかによっては言っておるようですけれども、これの実態というのはわかりますか。私は、生理休暇、産前産後の休暇、これは有給でやるか無給でやるかということについては、これまた論議がありますよ。そのことは、私は一応次の段階において、そういう休暇は有給であるか無給であるかは別としても、母体保護のためにやはりやっていくという考え方が、私はこの条約の精神だと思うのですね。ですから、条約を結ばなくても、批准しなくても、その精神で具体的に推進していただいておると思うのですけれども、まだまだ生理休暇とか、あるいは産前産後の休暇については、世間全体としての理解も私は足りない点があると思うのですよ。ですから、とかく男子のほうから逆に批判が出たりする、この点は、生理休暇をもらってそれを使う側の女子労働者の良心的なやはり生理休暇の使い方というやつは、これは当然考えておかぬと、生理休暇をもらって山登りに行ったり、映画館に行ったりということになると、これはやはり問題がありますけれども、そうでなくて、やはり母体保護のために必要な生理休暇というものは、たとえ二日でも一日でも、個々人によって生理が違うのだから、必ずしもそれを全部とらなければならぬということもないようだから、そこらは労働課長はよくわかっておると思うから、そういう実態に基づくような指導をして、そうして母体を保護していくという方向に持っていってもらいたいと思うのですけれども、一体、全女子労働者のうちで生理休暇をとっているのはどのくらいあるのですか。それで有給と無給に分けて、もしわかっておったら知らして下さい。
○説明員(大羽綾子君) お答えしたします。労働省の婦人少年局におきまして、毎年女子保護実施状況調査というのを、全国調査で定期的に行なっております。その数字によりますと、三十六年の数字でございますが、生理休暇の請求人員は、女子労働者全体に対しまして、昭和三十六年が一八・四%でございます。これは、一年の間に一日でも生理休暇をとったものという数字でございます。規模によってだいぶん違いますが、全体としてはそのくらいの数字でございます。 私どものほうの指導方針といたしましては、先ほど先生のおっしゃいましたように、女子労働者の保護をまじめにとってもらわなければ困るのですが、経営者のほうに対しての指導は、いつでも必要なときにはとれるようにしておいてほしい、しかし私どものほうとしては、同時に、婦人労働者に対する教育も、経営者のほうでもやるべきであるというような指導をしております。
○鈴木強君 これは、事務的な仕事をしている方と、それから実際の作業場に入って、重い機械を使ってやっている現業第一線で働いている人と分けた場合、なるほど事務的な仕事をしている方は、ある程度生理の点についても、苦痛はあっても、どうにかしのげられると思うのですけれども、実際職場の中でやっている人なんかの作業環境というのは、非常に悪いんですね。中小企業なんかに行って見ると、ああいうところで、生理休暇をもらわないで、頭が痛かったり目まいがしたりする中で仕事をするというのは、やはりこれは母体保護の点からいって、私は非常にまずいことだと思います。生理休暇が直ちにとれないとすれば、その事業場の母体保護のための休養施設、生理のときに休暇をくれない、やむを得ず出てくる、どうしても気分が悪いというときには、やはり経営者と話し合って、たとえ一時間でも二時間でもベットへ行って静かに休める、僕は、そういう事業場のあたたかい思いやりを持って、生理衛生に対する施策を積極的にやる必要があると思う。ところが、そういう点が今日の場合には非常に欠けている。これは労働大臣、非常に問題があるので、私は、これはひとつ強力なそういう点に対する指導というものをやってもらいたいと思うのです。この条約が批准されれば、また趣が変わってくると思いますけれども、その段階においてやるべきことは、やはり行政指導の面でやるよりないと思う。これは、基準監督局長さんもおられるので、何か智恵をしぼってそういう面を大臣として御指導いただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(大橋武夫君) 実は、わが国におきまする生理休暇の制度は、昭和十七年に、私が労働局の課長をしておりましたときに、その必要を認めまして、これを総動員勅令によりまして、強制いたした制度の一つでございます。したがいまして、この問題につきましては、私も相当関心を持っておりまして、ただいまお話の次第もございましたので、今後十分留意をいたしたいと思います。
○鈴木強君 それから、時間が大体十二時半くらいまでですか、私のいただく時間はあと十五分しかないので、ちょっと質問に戸惑うのですが、もう一つ、労働時間短縮のことで伺いたいのですが、ILOが一九六二年の総会で、一週間四十時間の労働制の勧告を正式にきめているのですけれども、現在日本の場合は、一週四十八時間をこえて労働している労働者というのがどのくらいおりますか。 それからもう一つ、四十八時間以上でなくて、もっと六十時間以上も長い勤務をしているという人がいるというふうに聞いていますが、事実かどうかわかりませんが、そういう人がどのくらいおられるか、統計的にわかっておったらひとつ示して下さい。
○政府委員(大島靖君) 労働力調査の結果によりますと、四十九時間から五十九時間までが三二%、それから六十時間以上が一二%になっております。ただ、この労働力調査は、個人個人について調べますので、その主たる仕事のほかに従たる仕事を含んでおりますので、これが直ちに工場とか会社における労働時間とはいえないと思います。調査の結果によりますと、ただいま申し上げたような数字に相なっております。
○鈴木強君 四十九時間から五十九時間が三二%、人員にしたらおそらく何千万という人じゃないかと思うのですければも、その人員についての数はおわかりになりませんか。
○政府委員(大島靖君) 四十九時間から五十九時間が三百二万人、六十時間から六十九時間が八十六万人に相なっております。
○鈴木強君 ちょっと数が少ないように私は思うのですけれども、これは調査のとり方によってでしょうが、私どもがちょっと握っている調査では、一週四十八時間をこえて働いている人たちが二千万人以上、六十時間以上の人たちが千二百万人以上おる、こういうふうになっておるのですが、これは資料がいずれもちょっと適確性を欠いておりますから、ここで私は資料によっての査問はやめますけれども、いずれにしても、四十八時間以上の労働時間ということは、ILOの条約によっても、週四十時間という一つの方向がきめられておるし、その際に、できるだけ現在四十八時間以上勤務しておるものは、四十時間にするようにしなさいという、そういう決議も実はやられておるわけでして、日本のように六十時間以上も働くなんという、あるいは週四十九時間から五十九時間も働くなんというのは、ちょっとほかの国に例がないことだと思いますが、こういうことが勢い失業者との関連として問題を起こしてくると思うのです。現在、潜在を含めて失業者というのは何千万おるのでしょうか、何百万おるのでしょうか。
○政府委員(三治重信君) 完全失業者の数字は、労働力調査によりますと、非常に少ない数字でございまして、三十七年の四月から十二月の平均でいきますと、三十六万人という非常に少ない数字になっております。それからひとつ、臨時調査によりますと、われわれが不完全就業者といっておりますいわゆる本業を希望して、しかも、調査期間中求職活動をする、そういうふうな不全完就業者は、三十七年度の調査で百四十四万と推定しております。
○鈴木強君 これはどうでしょうかね、日本の失業状況というのは、労働時間の面と関係があるのですけれども、たとえば臨時工とか社外工とか、そういうような人たちが、最近のパーセンテージによっても、年々ふえていっているように思うのです。こういうところに非常に不安定な労働条件の中に日本の労働者が呻吟しているという姿が出てきていると思うのですけれども、やはり根本的には、何といっても労働時間の短縮ということは、もう世界の世論ですし、日本においても、その方向に今進みつつあるわけですから、週四十時間ということは、今すぐむずかしいとしても、できるだけ四十八時間以下に抑えていくというような、そういう努力をすることによって臨時工とか社外工とか、あるいは完全、不完全の失業者というものがそれだけ救われて、全体としての労働条件がよくなっていくということになるわけですね。ですから、それとの関係でひとつ十分これは労働省としても、時間短縮の問題について、決意を新たにしてやっていただきたいと思いますが、大臣、具体的にどうでしょうか。先だって・千葉県の加納さんがなくなられたのですが、週五日制というものをおきめになって、何日かやったのですけれども、中央政府の圧力か何かあったようで、ついにあの人は中止したのですが、その後なくなられてしまったのだが、もしあの人が週五日制をやっておったとするならば、不幸にしてもしなくなられたとしても、これは歴史に、世界に名がとどろいたと思う。日本の全勤労階級は、神社ぐらい作って祭ったかもしれぬ。それを政府はどうも圧力を加えてやめさせてしまって、それから死んだものだから、だいぶ価打が下がったけれども、やったこと自体は、私ら非常に賛成ですね。非常に進歩的な知事だなと思って私は感心したのですが、週五日制とか、あるいは四十時間制というのは、もうすでに日本でもかなりやっておると思う。やっているところは、逆に四十八時間やるよりも成績がよくなっておる。これは、労働者の心理というのはそこにある。だから、そういうような方向に基準法を改正になりますか、基準局長さんはどうですか。それはやれませんか、大臣どうですか、それを相談してやれませんか。
○国務大臣(大橋武夫君) 実は、日本の労働時間が四十八時間以上になっておるということは、統計上明らかでございまして、これは労働基準法の建前から申しましても、まことにゆゆしい問題であると考える次第でございます。もちろん一般の労働時間の統計には、雇用形態にない実際上の労務の従事者、すなわち農家の労働に従事する者、あるいは営業者及びその家族というような人たちの労働時間も、労働時間統計に入って参る場合が多うございまして、その場合に、四十八時間以上の労働者が千万人とかいう統計はあるようでございますが、しかし、雇用形態による労働者といたしましては、先ほど数字で御説明したような統計になっております。それにしても、平均が四十八時間をこえておりまするので、労働省といたしましては、この労働基準法を基礎にいたしまして、できるだけ現在の制度のもとにおける労働時間を、四十八時間以内におさめるというのが、まず第一の段階ではなかろうか、これには労働基準法を十分に励行し、また、時間外をできるだけ自粛していくような、行政的な指導を行なう必要があるのではないか、こう思っておるのでございます。したがいまして、さしあたり基準法の四十八時間を短縮することはまだ考えておりませんが、しかし、行政指導によりまして、四十八時間以内に平均労働時間をおさめていくこと、また、そういう方向に、各使用者に対してもできるだけ指導を行なっていくというような措置を講じまして、時間短縮を実行上の措置によって効果をおさめて参りたい、かように考えておる次第であります。
○鈴木強君 最後に一つ伺いたいのは、ILO八十七号条約のことですけれども、これは大臣に、もう時間がないから私は結論的にあなたの考え方を聞きたいのですが、いずれこの委員会だけでなしに、お聞きする機会があると思いますけれども、問題は、過去十二回ですか、ILOからも勧告を受けておられ、何とかこの国会で批准したい。ところが政府の考え方と、また自社両党の考え方が違っておるということで、非常に今日難航をきわめておるんですけれども、ILOの総会というのは、おそらく六月にあるのじゃないですか。私も一度労働代表で出たことがありますけれども、あれは国際舞台において、やはり日本の国内的な問題についてのいろいろな批判をお互いに受けることはつらいものですよ。ですから、できるだけ早く批准を済ましておくことが絶対必要だと思うのです。ところがあなたのほうでは、例の国会の対策になるかもしれませんけれども、意見が自社両党と合わないために、今日審議の方法もきまっておらないということで自然休会を迎えようとしているが、一体、六月のILO総会までに、あなたとしては批准できて、そして今まで何回も何回もやります、やりますといってやれなかったその違約行為というものを、今度の総会ではっきりとこうやりましたという、明快に世界に向かって答弁ができるようなことができますか。——できますかといいますか、やらなければならぬと思うのですが、あなたは一体今どういう心境でおられるのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) ILOにつきましては、池田総理もたびたび申しておられますとおり、政府といたしましては、ぜひ今国会において批准にこぎつけたい・かように考えておるわけでございまして、今国会の会期も、地方選挙等がございますので、おそらく延長の措置も行なわれるかもしれませんが、いずれにいたしましても、今国会中にぜひ片づけたいというのが、池田総理の強い考えでございます。
○鈴木強君 結局今の行き詰まった状態を打開するのには、政府として勇断をもってやはりあなたのほうの与党に話す必要があると思う。ああいう国内法の五つの改悪を同時にくっつけてくるから問題があるので、要するに八七号そのものずばり批准する措置がとれないのですか。あなたは労働大臣ですから、党の立場と不離一体かもしらぬけれども、しかし、ここまで問題がこじれてきているのだから、大臣としては、この際批准というものをまず考えてもらいたいということで、まあ公労法、地公労法の第五条ですか、あれをひとつ変えるということになったら、あしたにもできるわけだから、そうして日本もよくやったというふうに、国際信用を挽回するためにも、あなた自体として、そういうふうな具体的に解決する案を出してやる決意はないですか。そうぜんとこれはとても無理ですよ、ああいうふうにからめてきたら。
○国務大臣(大橋武夫君) 何分にも御承知のような政治問題になっておりまして、自社両党内においても、いろいろな複雑な事情がございますようでございます。これらを打開いたして批准にまでこぎつけるには相当努力を必要とすると存じます。私も、さような意味におきまして、できるだけ努力をいたしたいと思っておりまするが、しかし、その努力の内容につきましては、今ここで申し上げることは、かえっていかがかと存じます。
○鈴木強君 努力の内容を僕は今言ったのです。あなたが、こうしたら解決しますよということを、それが一番早いことだ。あなたは労働大臣として、党の立場とは多少違うわけだ。国務大臣として国政を担当しているわけですから、その立場からして今日のILOを解決するためには、これしかない。担当大臣としては、ひとつ八十七号ずばり批准をしてもらいたい、こういう国内法の問題については、これはILOの精神に反するのだからということでやはり閣内を党一し、与党を説得しておやりになったら、これはもうすぐ批准できますよ。ことしのILO総会は大いばりで、だれが出席するかしれぬが、政府代表も肩身の狭い思いをしないで出席できますよ。こういう妙案を私は今大臣に示して聞いているわけだ。答弁そらさないでひとつ願いたい。
○国務大臣(大橋武夫君) 御趣旨はよくわかるのでございますが、政府といたしましては、さきにILOの条約批准案件と同時に、国内法の関係の五法案を一括提出いたしておるわけでございます。この問題は、ただいま国会の審議の過程にありまするので、この際これらの問題につきまして、私がこれらのいきさつと離れた新しい意見をここで申し上げることは、はたして問題の解決にプラスであるかマイナスであるか、この点の見通しも立ちませんので、まことに恐縮でございますが、この際は、この問題についてこれ以上発言することを控えさしていただきたいと思います。
○鈴木強君 まあ私はこれはもういいです。それ以上言いません。妙案を教えてあげたから、それを聞くか聞かないかは、聞いたほうがいいということを申し上げたので、時間の関係で幾つかの問題についても、まだ申し上げたかったのですが、お聞きしたかったのですが、時間がありませんので、これでやめますが、特に当面公労協の賃金紛争については、大臣に本会議でもお答えいただいたのですけれども、ひとつ積極的にいろいろと御高配いただいたことについては感謝しますけれども、早急にひとつ紛争が解決できるような方向で御努力いただきたいと思います。まあ労働省というのは労働者の味方なんだから、あくまでもこの立場に立ってひとつ今後とも大臣以下皆さんががんばっていただくようにお願いで、これで終わります。どうもありがとうございました。
○山本杉君 この際ちょっと労働大臣に伺ってみたいと思いますことを二、三関連で伺えばよかったのでございますが、あとにまとめさしていただきましたが、第一は、日本のこの労使関係でございますが、これがこのような状態でいいとは私どもは考えられないのでございまして、この労使関係の安定と近代化ということで労働問題懇話会などをお設けになって、そうして、予算を計上していただきましたことは、たいへんけっこうでございますが、私は、むしろこれをもう少し思い切ったことにしていただいて、労使の間の共同決定法的な経営の仕方へ持っていっていただくようなお考えはございませんでしょうか。西ドイツでその法律を作ってやっておりますが。
○国務大臣(大橋武夫君) 労使関係は、その国々によりましていろいろ考え方もあるようでございますが、お話の点につきましては、労働省といたしましても、今後十分に研究をいたしたいと思います。
○山本杉君 次に、今後この中小企業の問題はだんだん深刻になってくると思うのでございますけれども、先ほどお話が出ましてお答えがございましたが、ちょっとこの予算で拝見しただけでも、日本労働協会の強化等というようなところに、ロとハで出て参りますし、それから中小企業労働者の福祉対策の推進というところで、新規で、資質の向上とか、労使関係の安定をはかるというふうなことが出ております。また年少労働者の保護や福祉の増進ということでも出て参りますが、労働省の中だけでも、こういうふうに各局でいろいろと御計画になっているというようなことは、この年少労働者に対するいろいろな施策が不徹底になるのじゃないかしらということが考えられるのでございますが、もっと徹底的にこれをなさる意味においておまとめいただくというようなことはできませんですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 実は昨年労働省といたしまして、三十八年度の新規の予算を要求いたします際に、各局でいろいろ企画いたしておりました。それにつきまして労働省といたしましては、できるだけこれをまとめて、そうして中小企業に対する対策をできるだけわかりいい形に整理をして予算要求をいたした次第でございます。中小企業に対する労働対策を全部まとめるということになりますと、事実上労働省の各局全体の仕事にわたっておりますので、なかなかまとめるということもむずかしいと思いますが、しかし、官房等で世話役をきめまして、実施に際しましては、よく全体の局の活動が総合的に行なわれるようにする必要があると存じます。予算実行に際しましては、十分それらの点を検討いたしまして、省内で体制を十分整えて参るようにいたしたいと思います。
○山本杉君 もう一つ伺いたいのですが、それは、今後の日本の婦人労働をどういうふうに向けていくかということでございますが、賃金の格差という点から見ても、それから就業業種別、こういう面から見て、また就業年令の平均を見ても、家内労働の状況を見ましても、あらゆる面から見て、日本の経済がここまで成長したという中で婦人労働というものが下積みだということがわかる。労働者の数も相当でございますし、けっこう働いていながら、やっぱりあまり重要視されていないということが考えられます。そうして、いろいろな施策もお考えいただいておりますけれども、どうも末梢的な手当じゃないかしらと思われる点が多いのであります。たとえば働く婦人の家にいたしましても、要望はずいぶんあっても、ちょっと不徹底じゃないか。労働省は、働く婦人と銘打ってなさいますし、厚生省のほうでは、一般婦人ということで、三十七年度にも休養ホームみたいなものを二カ所ばかりこしらえて、たいへん喜こばれているそうでございますが、こういうようなとこから考えてみましても、私は、今後の日本の婦人労働のあり方がこれでいいのかどうか、大臣としては、どういうふうにお向け下さるおつもりであるか、ちょっと伺ってみたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 日本の労働界の過去の状況から考えまして、今までとかく婦人労働というものは、男子の労働の補充的なような考え方を免れなかったと思うのでございます。もちろんこれは結婚というようなことで労働の時期が終わるというような慣習もございました。しかし、今後の日本の産業の成長、また、日本の社会生活というようなものを考えますると、婦人労働というものの地位は、男子に劣らず重要なものになるということは、これは当然考えなければならぬ事柄でございまして、今後婦人労働の問題につきましては、そういった観点からいろいろな施策を行なって参る必要があろうと存じます。従来労働省でも、そこまで手が届いておりませんでしたが、今後そうした方面にできるだけ勉強をいたしたいと思っております。
○大竹平八郎君 中小企業の従業員の労働問題は、御承知のとおり、日の当たるところに出ていないという立場がありますので、それだけに日本の労働問題としては非常に深刻であろうと思うのでありますが、しかし、その根本になりますものは、中小企業自体の実態というものをどう把握されるか。したがって、同じ中小企業でも、古川橋あたりで四人とか五人、旋盤工を使っているというようなものも中小企業の中に入ってくる。それから今度のいわゆる基本法にうたわれておりまする中小企業、これは資本金が五千万円以下そういうように非常に格差が激しいわけですね。したがって、中小企業と総称しておる従業員の中においても、その取得する賃金というものは非常に段階が多いわけなんです。私じもは、かつて五、六年前だと記憶しておりますが、商工委員会の理事をしておるときに、中小企業のそういう意味において、従業員また経営者を含めての必要度から、実態調査をわれわれは政府に建言をして、まあ当時四千万円でしたか・その予算をとって実態調査をしたことがあるのです。大体それを基準に今も中小企業のいろいろな調査というものはやられておると思うのでありますが、どうなんですか、かつて戦前には、中小企業という言葉をばく然と使わないで、中小というのは、つまり中小の商いですね、中商工業者と小商工業者、こういう段階で、この商工業者を完全に二つに分けて政府がこれに対処したことがあるわけです。当時の東京市の調査などは全部それでレポートが出ていたのですが、今のような状況で、ただ中小企業云々というような立場で、そうしてしかも、その中身の従業員をいろいろに調査しようと思ったって、実際にできないと思うのです。そういう意味で思い切ってここでこれは通産省との関係もあるし、また関連官庁との関係もありますが、このばく然とした中小企業というような呼び方でなく、そういう意味ではっきりまあ零細といってもいいかもしれませんが、零細というといろいろな関係もありましょうし、小商工業、中商工業、こういう建前をとられて、そうして今後その一番問題になっている従業員の実態調査というものをされる必要が私はあるのじゃないかと思うのですが、大臣のお考えはいかがですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 確かにおっしゃるような点があると存じます。労働省といたしましては、大体従業者五人というのがいろいろな法規の適用の基準になっておりまして、失業保険でございますとか、こういうものも、まあ五人未満のものをどうするかということがずいぶん大きな問題です。それから賃金等につきましても、五人以下というのがずいぶん格差がふえております。したがいまして、中小というよりも小が一番焦眉の急としていろいろ施策を充実しなければならぬ点があるわけでございますが、今の日本の各界におきましては、中小企業と一まとめにいうのがはやりでございまして、予算の要求等におきましても、それが一番わかりやすいというのでこういうふうに申しておりますが、しかし、中身につきましては、確かにお示しのとおり、中、小いろいろ特徴も違う面もございますので、それらの点をよくわきまえまして、それぞれに適切な指導を行なうようにいたしたいと存じます佃
○大竹平八郎君 それから今の問題に関連してですが、この予算面を見ますると、労働省自体が直接調査をやっておるということよりも、何か関係方面に依頼をしておる調査というものが多いように考えられるのですが、実際はこれはどういうふうに調査をされておるのですか、この中小企業の従業員の実態という問題は。
○説明員(山下不二男君) 中小企業の労働に関する調査につきましては、通産省で中小企業総合基本調査という非常に大きな製造工業を中心にした調査を三年置きぐらいに、三年ないし五年置きにやっております。ことに商業につきましては、商業の基本調査をここ二、三年続けてやっております。中小企業につきましては、単に労働面の賃金、労働時間につきましては、私のほうで毎月勤労統計調査といたしまして、三十人以上及び五−二十九人につきましては毎月、それから一−四人につきましては年に一ぺん調べておりますけれども、中小企業問題を総合的につかまえますために、労働時間、賃金だけでなく、そのほかのいろいろな生産統計、付加価値とか、生産性とか、総合的に見ていかなかればなりませんので、通産省の工業統計その他のいろいろな資料を参考にしながら検討をしていく、こういう状況でございます。
○大竹平八郎君 そうすると、労働省として直接おやりになっているのは、どういう点ですか。
○説明員(山下不二男君) 賃金と労働時間あるいは福利施設、こういう労働に関連する側面の調査でございます。
○大竹平八郎君 そうすると、あとはその関係官庁と、それからなんですか、その地域の工業会とか、そういうものを通じて資料を集めておる、こういうことですか。
○説明員(山下不二男君) そのとおりでございます。
○大竹平八郎君 時間がありませんから、あと一、二点簡単に伺いたいのですが、労働省として海外派遣員が何人かおるわけでありますが、いよいよ、いやでもおうでも、この秋には、日本はもう全面的な自由化をしなければならぬような状態になってきて、したがいまして、その近代設備、それに伴う労働問題というようなものが、いよいよ大きな問題になってくるのでありますが、現在海外に派遣せられておりまするところは、どことどこで、それから今度はこの自由化に対応いたして、さらに新しく派遣をするという動きがあるのかどうか、この点をちょっと伺いたい。
○政府委員(松永正男君) ただいま海外に常駐をいたしまして勤務いたしております労働省の職員が四人でございます。ロンドンとボンとジュネーブとワシントン、四カ所におります。 なお、その他の国々につきましても、必要に応じて派遣をいたしたいという検討はいたしておりますが、三十八年度におきまして、それをさらに増員する、あるいはよその国に常置するという計画は目下のところございません。
○大竹平八郎君 直接でなくとも、あるいは海外調査会とかなんとか、そういうところに委託をして、特に労働省から必要な項目をお願いして調査を依頼しておる、そういうような向きもあるわけですか。また・そういうこともこの三十八年度の予算の中に見込まれておりますか。
○政府委員(松永正男君) 直接労働省から職員を派遣していない国の大使館に対しましても、外務大臣を通じまして必要なデータの収集等を依頼いたしております。ヨーロッパではOECDであるとか、あるいはEECとか、いろいろな関係がございますものについて、大使館を通じての資料の収集は必要に応じてやっております。それから、さらに日本労働協会におきまして、これは労働省直接ではございませんが、海外との交流の人事と申しますか、海外の労働関係の方々に日本に来ていただく、あるいはこちらからいくというような予算を計上いたしておりまして、そういうような調査視察あるいは講習、講演といったような形で海外の知識を吸収するというような計画もいたしております。
○大竹平八郎君 それから、これは今行政管理庁でも非常な全般的な問題として問題になっておるわけですが、労働省としては、これは国会の承認を得て委員を任命するという問題もありますし、それからそれを含めて労働省自体で委員を任命をいたして作っておる調査会ですね、その調査会というものは大体幾つぐらいありますか。
○政府委員(松永正男君) ただいま労働省設置法によりまして設置いたしております審議会あるいは協議会が十三ございます。これにつきましては、それぞれ目的に応じまして、たとえば労、使、学識経験者といったような三者構成の場合と、そうでない場合とございますが、大体においては三者構成でございます。そのほかにつきましては、予算上労働問題懇話会といったようなものが載っておりますが、これは審議会、協議会とは異なりまして、そのつど労使あるいは学識経験者の方にお集まりを願って懇談をするといったような性質のものでございます。法律に基づきますものと、それからそのつど懇談会を開くといったようなものとあわせて運営いたしておるわけでございます。
○大竹平八郎君 最後にいま一点。これは全話然は違うのですが、最近、たしか二、三日前の新聞に出ていたのですが、私も忙しくて内容は見ていなかったのですが、例の、昔よく問題になりました監獄部屋という問題ですね、これは二、三日前の新聞で、どこの請負か知りませんが、だいぶ深刻なようなものが出ていたのでありますが、こういうような状態というものは今でもやはりあるのですか。あるとすると、こういうのは大体やはり土木請負とかなんとかというような組織だったものでなく、親分子分のような格好で労務者を集めてきたというようなところがえてして多いと思うのでありますが、この点いかがでございますか。
○政府委員(大島靖君) 強制労働は、労働基準法で明らかに禁止されております。私どもといたしても、基準法の各条章の中でも、強制労働のごとき規定は最も重要なものと考えておるのであります。現在まで基準法施行十六年くらいになるわけでありますが、最近におきまして、強制労働、すなわち強制力をもって就業させ、あるいは離れていくことを抑圧するという意味の強制労働、これは、私どもとしては、ほとんどもうなくなっておるかと考えておるのでありますが、ただいま御指摘のように、間々建設業その他ではある模様でありますので、今後ともこれらの点は、私どもとしては絶滅を期して参りたいと思っておりますが、今後とも十分の努力をいたしたいと考えております。
○成瀬幡治君 大臣、一言だけ。大蔵大臣からすでに御連絡等ありいろいろやっておられると思いますが、例の所得税法の改正にからむ少額恩典の社内預金にそれが及ぶか及ばないかというそういう問題ですが、これは御案内のとおり、僕らの意見も大蔵省の見解も、そういうことは、恩典は社内預金には好ましくないのじゃないかという、大体大蔵省の意向はすでに御承知だと思います。私たちもそう考えておるわけですが、なるほど、社内預金のいい悪いの問題ではなくて、その恩典をどうするかということについて、まあ大臣は結論を出しておいでになると思いますが、どうなっておりますか。
○政府委員(大島靖君) ちょっと私から答弁させていただきます。社内預金の少額貯蓄としての免税措置の問題、この点は、社内預金そのものについてもいろいろの御意見があろうかと思いますが、ただ、貯蓄としてはやはり貯蓄であり、また、その貯蓄されましたお金が、社内預金としまして相当部分労働者の副利施設に流れておることでありますし、貯蓄としてはやはり少額貯蓄の意味を持つものでありますから、したがって、他の預金と同じようにやはり免税の特典を与えていただきたい、労働省としては、こういうふうな考えでおります。
○成瀬幡治君 それはあなたのほうの公式見解ですか。大蔵省ともすでに話し合われて出された結論なんですか。これからまだ折衝の余地を残しておられるかどうか。
○政府委員(大島靖君) 大蔵省と話し合いの結果、少額貯蓄として免税措置をしていただくような形で大蔵省と話し合いをいたしております。話し合いは、銀行局長と私どもの間でできるだけそういう形でやってもらいたいということで了解いたしております。
○成瀬幡治君 そうすると、本質的に、社内預金が、あなたがおっしゃるように、労働者に対して副利厚生施設等に回って非常にいい意味もあるということに主点を置かれておるが、悪い半面は、あなた十分御承知だと思うのですよ。どちらが多いかということです。将来、基準法にあるから、あなたはどうもお聞きしていると、社内預金というものを奨励をし進めていくことが、正しい労使慣行になってくるんだというようなふうに聞こえて、非常に遺憾に思うのですよ。結局これは予算委員会の分科会で、こんなことで議論はしたくないんですけれども、そういうことだけしっかり申し上げて、労働省は間違った労働行政をやっている、このことだけを申し上げておきます。
○主査(小平芳平君) 先ほどの鈴木君要求の資料につきましては、できるだけすみやかに御提出を願います。 ほかに御質疑のおありの方はございませんか。——別に御発言もございませんので、労働省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 午前の質疑はこの程度にいたし、午後は二時から再開し、文部省所管について、審査を行ないます。 暫時休憩いたします。 午後一時休憩 ————◇————— 午後二時十九分開会
○主査(小平芳平君) これより予算委員会第四分科会を再開いたします。 昭和三十八年度総予算中、文部省所管を議題といたします。 まず、政府より説明を求めます。荒木文部大臣。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 昭和三十八年度文部省所管予算案の大要について御説明申し上げます。 昭和三十八年度文部省所管の予算額は、三千五百七億二千七百八十二万三千円でありまして、これを前年度当初予算額二千八百九十五億二千百七十四万八千円に比較いたしますと、六百十二億六百七万五千円の増加となっております。また、この文部省所管予算の一般会計総予算に占める比率は一二・三%となっております。 次に、昭和三十八年度予算案のうち重要な事項について申し述べたいと存じます。 第一は、初等中等教育の改善充実に必要な経費であります。 義務教育水準の維持向上をはかるため、前年度に引き続き、公立義務教育諸学校の教職員定数の充足及び施設の整備に必要な経費を計上いたしましたほか、小学校第一学年から第三学年までの児童に対する教科書を無償とするために必要な経費を計上いたしております。 まず、義務教育費国庫負担金といたしましては、標準法の完全実施をはかるため、学級編制の基準を、小・中学校いずれも五十人とし、また所定の定数増をはかるほか、小規模学校教員の充実、充て指導主事の増員、給与改訂の実施、諸手当、旅費の増額等に必要な経費を含めまして給与費千七百十二億三千五百万円、教材費二十二億三千四百万円、また共済年金制度の平年度化のため、共済組合負担金六十九億三千九百万円を計上いたしたのであります。 次に、公立文教施設につきましては、その整備に必要の経費百二十九億八千四百十九万九千円を計上いたしたのであります。 すなわち、小・中学校校舎の整備に二十一億七千八百六十六万五千円、学校統合に伴う校舎等の整備に三十七億千四百六十八万六千円、危険校舎の改築に三十五億三千八十九万八千円、工業高等学校の一般校舎整備に十一億千四百五十五万円等を計上いたしましたが、建築費単価の引き上げ、構造比率の改訂等は、特に配意した点であります。 次に、義務教育教科書の無償給与につきましては、調査会の答申に基づきまして、国公私立学校を通じ、義務教育児童生徒の全員を対象として、年次的にその完全実施をはかることとし、昭和三十八年度は、三十九年度における小学校及び特殊教育諸学校の小学部の第一学年から第三学年までの児童に全教科書を無償給与するため必要な経費として二十七億千八十三万六千円を計上いたしております。 なお、教育内容の面につきましては、小学校及び中学校における道徳教育の充実強化をはかるため、必要な経費として四千二百二十三万九千円を新たに計上いたしております。 第二は、科学技術教育の振興に必要な経費であります。 まず、初等中等教育におきましては、理科教育及び産業教育の振興に重点を置き、それぞれの振興法に基づく補助金を十一億八千四十八万七千円及び三十七億二千三百二十六万四千円と増額計上いたしたのであります。特に、産業教育につきましては、中堅技術者の不足に対処するため、前年度に引き続き、高等学校の機械学科七十九、電気学科九十七、工業化学学科四十二、建築学科十、土木学科八、合計二百三十六学科を新設することとし、また、高等学校における農業教育の近代化を促進するための補助金を増額計上いたしております。 次に、高等教育につきましては、国立工業高等専門学校を昭和三十八年度において十二校、昭和三十九年度において五校を創設することといたしましたほか、理工系学部の創設一、学科の新設二十一、拡充改組十四及び農業近代化のため農学部系学部の体質改善をはかり、二千七百七十人の学生増募を行ない、専門技術者の養成をはかることといたしました。また、私学における科学技術教育の拡充振興をはかるため、私立大学等理科特別助成及び私立大学研究設備助成に必要な経費を増額計上いたしましたほか、公立の大学、短期大学に対しましては、理工系学部学科整備のため、補助金を新規計上いたしたのであります。 科学研究の面におきましては、原子力、基礎電子工学、防災科学、宇宙科学等の重要基礎研究を推進するとともに、数理解析研究所、原子炉実験所、及び内分泌研究所を新設する等の措置を講じ、また、国際的な学術研究の協力体制を推進するため、南極地域観測再開準備並びに日米科学協力研究事業に必要な経費を計上いたしたのであります。なお、科学研究費交付金等に必要な経費として二十七億五千七百万円を、在外研究員の派遣に必要な経費として二億千二十六万円を、また民間学術研究団体補助金として二億八千三百万円をそれぞれ計上いたしたのであります。 第三は、国立学校の拡充整備に必要な経費であります。 まず、国立学校運営費でありますが、これは、国立大学七十二、国立短期大学五、国立高等専門学校二十四、国立高等学校八、大学附置研究所六十四、大学附属病院二十三を運営するために必要な経費でありまして、昭和三十八年度におきましては、東京大学等七国立大学に学長としてそれぞれ国立大学総長を置き、これを認証官として、その処遇の改善をはかり、また大学院担当教官に対し、俸給の調整額を支給することといたしましたほか、新たに横浜国立大学ほか五大学に大学院修士課程を設置することといたしました。また、さきに申し述べましたように、科学技術教育振興の線に沿いまして、埼玉大学に工学部を創設することといたしましたほか、北海道大学ほか十八大学に理工系の二十学科を、宇都宮工業短期大学に理工系の一学科をそれぞれ新設し、また昭和三十八年度において八戸市ほか十一地区に、昭和三十九年度には秋田ほか四地区にそれぞれ高等専門学校を創設いたしますとともに、共同利用研究施設として京都大学に数理解析研究所及び原子炉実験所を、また群馬大学に内分泌研究所を、それぞれ創設することといたしたのであります。また、教官当たり積算校費を初め学生当たり積算校費、設備費等の基準的諸経費につきましても、それぞれ予算の増額を行ない、内容の充実をはかったのであります。 以上申し述べました経費を含め、国立学校の運営に必要な経費総額は九百二十一億七千九百七十四万四千円でありまして、国立学校の項に六百六十億七千二百八十三万五千円を、大学附属病院の項に百七十四億九千八百七万五千円を、大学附置研究所の項に八十六億八百八十三万四千円をそれぞれ計上いたしたのであります。 次に、国立文教施設整備につきましては、施設の現状にかんがみ予算の大幅の増額をはかることといたしましたが、科学技術振興の見地から理工系学部の施設を重点的に整備するとともに、一般施設の整備、病院施設の整備、老朽建物の改築等のため百八十七億千八百四十五万三千円を計上いたしたのであります。 なお、諸物価の動向、公立及び私立学校における授業料等の額を考慮し、昭和三十八年度国立学校入学者から授業料、入学金等の額を引き上げることといたしております。 第四は、教育の機会均等と人材開発に必要な経費であります。 優秀な学従で経済的に困窮している者に対して国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため、日本育英会に対する奨学資金の貸付と、その事務費の補助に必要な経費として八十億三千六百五十三万五千円を計上いたしたのでありますが、昭和三十八年度は特別奨学生を増員することによって育英奨学制度の拡充をはかることとし、さらに高等学校、大学を通じ一般奨学資金の単価の引き上げ等を行ない、また、日本育英会の奨学金返還業務の推進をはかることといたしております。 次に、義務教育の円滑な実施をはかるためには、経済的理由により就学困難な状況にある児童生徒に対して特別の援助を行なう必要があるのでありますが、この援助の範囲につきまして、準要保護児童生徒の対象率五%を七%に引き上げるとともに、内容の改善を行なうこととし、教科書については四億八千二百四十九万八千円、給食費については十一億五千三百八十六万八千円、修学旅行費については三億三千四百三万千円、医療費については二億二千六十四万八千円、学殖品費については十三億二千九百八十二万七千円、通学費については千七百九十四万四千円、寄宿舎居住費については千三百八十五万四千円を補助することといたしたのであります。 次に、僻地教育の充実をはかるため、僻地教員宿舎建築費五百八十八戸分、テレビ受像機設置費四百校分、その他火力発電の施設、スクールバス、ボートに対する補助等を継続いたしますとともに、新たに飲料水給水設備について補助を行なうこととし、これらに要する経費として一億八千二百七十四万五千円を計上いたしたのであります。 次に、盲学校、聾学校および養護学校への就学奨励につきましては、新たに幼稚部の交通費、寄宿舎居住費を援助の対象とする等のため必要な経費を加えて三億三百六十六万六千円を、さらに、養護学校、特殊学級等の設備の整備費並びにスクールバス購入費に対する補助を合わせまして七千六百七十一万円を、また、盲学校および聾学校における新職業開拓のための補助金として五百八十五万六千円を計上する等、特殊教育の振興をさらに推進することといたしたのであります。 第五は、勧労青少年教育振興に必要な経費であります。 勤労青少年教育の振興は、学校教育と社会教育の両面において推進しなければなりませんが、学校教育の面におきましては、従来に引き続き、放送利用による高等学校通信教育の普及のための経費として千六百九十八万六千円、定時制高等学校設備費及び通信教育運営費の補助として一億二千二百八十二万千円、定時制教育または通信教育に従事する校長、教員に対する定時制教育及び通信教育手当の補助として二億四千五十四万六千円を計上いたしますとともに、新たに、一定範囲の通信教育受講生徒に対しましては教科書および学習書を無償給与することとし、これに要する経費を計上いたしました。また、夜間定時制高等学校に関しては給食施設設備の補助として四百六十四万三千円を、生徒に対するミルク、パン及び添加物の給与に要する経費の補助として二億八千百九十七万九千円を計上いたしましたほか、新たに運動場照明施設整備に補助を行なうこととして、これに要する補助金二千五百二十万円を計上いたしたのであります。 次に、社会教育の面におきましては、前年度に引き続き青年学級等の充実振興に必要な経費として一億四千三十八万三千円を計上いたしましたほか、社会通信教育の振興をはかるため千八十二万六千円を計上いたしたのであります。 第六は、社会教育の振興に必要な経費であります。 社会教育の振興につきましては、青年学級及び社会通信教育の振興に要する経費のほか、成人教育振興のため千五百三十二万四千円、婦人学校の開設、婦人の国外研究活動等を助成するため九千六百七十万九千円、青少年団体および婦人団体その他の社会教育関係団体の行なう事業を助成するため八千五十万円、さらに、公民館、図書館、博物館、青年の家等の社会教育施設設備を整備するため二億三千三百七十三万七千円、教育放送等視聴覚教育の積極的な活動を助成するため七千四百六十二万円、芸術振興のため千四百六十四万三千円をそれぞれ計上いたしましたほか、九州阿蘇地区に国立青年の家を増設するために必要な経費二億円を計上いたしたのであります。 第七は、体育の振興に必要な経費であります。 体育は、国民の健康を維持増進し、その生活を明るくする上に重要な意義を持つものでありますが、まず、オリンピック東京大会を明年に控え、その実施準備諸費として国立競技場の整備、屋内総合競技場の建設、戸田漕艇場の改修、朝霞射撃場の整備、日本青年館の改修、オリンピック組織委員会の運営、競技技術の向上等に要する経費を含めまして二十四億四千二百八十九万千円を計上いたしました。また、スポーツの振興をはかるため、体育館十六カ所、プール百七十カ所及び運動場三カ所の整備に要する補助として三億三百二十二万円、スポーツ教室の育成等のため五千四百四十六万四千円をそれぞれ計上いたしたのであります。なお、学校給食につきましては、施設設備の整備の促進をはかるとともに、小麦についての従来の国庫補助を継続することとして、所要経費三十四億千七十一万四千円を計上いたしましたほか、新たにミルク給食を義務教育諸学校について全面的に実施するための経費四十億円を計上いたしたのであります。 第八は、私立学校教育の振興助成に必要な経費であります。 私立学校教育の重要性につきましは、改めて申すまでもないところでありますが、まず、私立学校の施設及び設備の整備に要する資金に充てるため、私立学校振興会に対する政府出資金として十二億円を計上いたしますとともに、財政投融資から二十億円の融資を受けることといたしております。また、私立学校における科学技術教育を拡充振興するため私立大学等理科特別助成として十四億九千二百一万七千円、私立大学研究設備助成として八億二千五百万円を、さらに私立学校教職員の福祉増進のため、私立学校教職員共済組合に対しその給付費および事務費の一部を補助するに必要な経費一億二千百七十八万五千円を、それぞれ計上いたしたのであります。 次に、文化財保存事業につきましては、前年度に引き続き、国宝、重要文化財等の保存修理、防災施設の整備を行なうとともに、歴史上貴重な遺跡である平城宮跡の一部買い上げ、文楽の保護等無形文化財の保存活用に必要な経費を含めて十二億五千五百二万二千円を計上いたしました。また、国立劇場の建設促進のために、前年度に引き続き五千五百万円を計上いたしております。 以上のほか、教育研究団体の助成、国際文化の交流、ユネスコ事業等について、それぞれ所要経費を計上いたしたのであります。なお、沖繩教育協力援助費につきましては、本年度から、総理府所管として計上いたしております。 以上文部省所管に属する昭和三十八年度予算案の大要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ十分御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
○主査(小平芳平君) この際お諮りいたします。 久保等君から、委員外委員として発言したい旨の申し出があります。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
○担当委員外委員(久保等君) 私は、学校給食問題について、若干文部当局に御質問をいたしたいと思いますが、学校給食法が制定せられて、今年でちょうど十年になるわけで、いろいろこの給食問題について議論も出ておりますし、学校給食の一つの曲りかどに来ているともいわれているわけなのですが、たまたま昨年栄養士法等の改正が行なわれまして——栄養改善法並びに栄養士法の改善等も行なわれたといういきさつにかんがみまして、学校給食問題について、この際特に文部省としても、従来よりも思い切って学校給食の、いわば完全給食という方向に向かって努力をいたすべき段階にあると思うのです。ところが、全国いろいろながめてみますと、学校給食も地域的に、あるいはまた義務教育といいましても、小学校、中学校、こういったようなところを見てみましても、だいぶ、こうアンバランスといいますか、必ずしも普遍的に学校給食が実施せられておらないというような状況もあるわけでありまして、こういったことについて、この際、私、これから逐次御質問をいたしたいと思うのですが、特に最初に文部大臣にお尋ねいたしたいと思うのですが、やはり学校給食の問題については義務教育諸学校並びに夜間の高校等に対しての完全給食という方向で特別の御努力をいただかなければならないと思うのですが、この問題について、大臣としてどういう基本的なお考えを持っておるか、最初に伺いたいと思うのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お説のとおり、特に小中学校の児童生徒、夜間定時制生徒に対します給食が完全給食の方向をたどりながら、なるべくすみやかに整備されねばならない課題であると心得ております。御案内のごとく、学校給食が日本で始まりましたのは、戦後食糧難、の時代に、発育盛りの子供に弁当も持たさないで、ろくろく食べ物がないままで教育を施すことの重大さを思って、いわば応急的な食糧難対策として始まったと承知いたしておりますが、出発点はそうでありましても、だんだん実施してみて、実績をたどってみますれば、目に見えて、児童生徒の体位の向上という見地から、また衛生的な観点からいたしましても、きわめて顕著な効果があることが実証されましたがために、当初の食糧難の応急救済対策的な性格から、行く行くは完全給食に持っていくべき性格に置きかえるべきであるという線に移行して、今日に参っておると承知いたしております。昨年給食関係につきましての調査審議会を設けまして、専門家もお集まりいただいて御検討いただいた結論からも、今申し上げましたような趣旨がきわめて強力に打ち出されまして、小中学それぞれ五年、十年の計画で、年次的に完全給食へたどり着くべきであるという趣旨の答申もいただいております。そういうことで、御指摘のとおりの重要さを念願に置きながら前進しで参りたいと考えております。
○担当委員外委員(久保等君) 今、大臣の御答弁の中に、学校給食制度調査会を作られて、そこで答申を得られたという御答弁があったので、ちょっとその問題について若干御説明を願いたいと思うのですが、その学校給食制度調査会というものがいつ作られたのか、またその構成メンバーにどういう人たちが入っておられるのか、またその構成メンバーがどういう学識経験をお持ちの方なのか、課長さんでも、どなたでもけっこうなんですが、ひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
○政府委員(前田充明君) 学校給食制度調査会は、三十六年初めにできまして、三十六年八月三十一日に御答申があったのでございます。で、会長は木下一雄先生でございまして、各省の関係の方々、たとえば農林省のような関係の役所の方、それから学識経験者——学識経験者の中には、従来とも学校給食に御関係のあった学者、それから栄養の関係の学者、そういう方々が二十人でございます。先ほど申し上げましたように、三十六年の八月三十一日に御答申があったのでございます。
○担当委員外委員(久保等君) ただいま二十名で構成をせられて、それぞれの専門家で作られておるようなお話なんですが、手元に資料をお持ち合わせでなければ、また適当な後日に、氏名と、どういう学識経験をお持ちになっておるのか、ひとつ御提出を願いたいと思うのです。私時間をとりますからその点についてあまり内容をこまかくお尋ねすることを省略したいと思うのですが、ただ、一昨年の八月三十一日に出された答申というものを、私もちょっと先ほど拝見をしたのですが、それぞれの関係の権威者をもって構成をせられておるとは言うのですが、答申の内容についていろいろ私どもも疑問を持つ点があるので、はたしてどの程度慎重に検討せられて出された答申なのか、その点若干疑問に思っているわけなんですが、それも一つ一つ指摘をしてお尋ねしたいと思うのですけれども、これも時間の関係から省略をいたしますが、ただ一つ取り上げて申し上げますと、学校給食について、特に米食を取り上げて参ることを推奨しておられるように見受けられるのですが、この点については、今日特にパン食を学校給食の場合には支給をして参っているのですが、パン食と米食の栄養面から見た評価というものは、私はだいぶ達うのじゃないかと思うのです。私も専門家じゃありませんが、ただ学校給食問題について、この答申によりますると、米食を非常に重く見、かつこれを奨励をするような内容を含んでいるのですが、この点についてはいろいろと議論も分かれると思うのですが、ただ、発育盛りの児童あるいは生徒等に対する給食の、しかも主食であるパンなりあるいはまた米なりという問題については、栄養上からいろいろ私は重要な問題があるのじゃないかと思うのです。この問題について、文部省当局としては、この答申についてどういうお考えを持っているのか、その点だけを簡単に一つお伺いをしておきたいと思うのです。
○政府委員(前田充明君) ここの御答申の中で、米の問題については、今おっしゃるお話の趣旨の表現の仕方から申しまして、「わが国は元来未の生産国であり、近年その需給状況は緩和しているから、学校給食においても米を使用することをも考慮することは望ましい。」、こういうふうに書いてあるところからおっしゃっておられることと思うのでございますが、従来学校給食は、全くパン一本で参っておりまして、米というものを使わないで参ったわけでございますが、しかし、こういうような事情で、米を使用することも考慮することは望ましい、むしろどっちかと申しますれば、今度の問題で、米が非常にできた場合にはそうすることが望ましいというふうな考え方でございまして、決して、米でいったほうがいいんだ、こういう考え方で申しているとは私ども考えておらないのでございますので、その辺御了承いただきたいと思うのでございますが。
○担当委員外委員(久保等君) ただいまの項目についての問題は、ただいまの答弁を私了承するわけではございませんが、そのもう一つ前の、パン食か、米食かということは、第二義的な問題であると——学校給食においては、そういう表現も使っているのですが、結局、パン食であっても、米食であっても、たいした問題ではないのだというような評価の仕方をしているのですが、ここらは、われわれ普通しろうとは比較的従来そういう考え方であったかもしれないのですが、しかし、これを栄養的な立場から眺めて参りますと、私は相当問題があるのじゃないか。特に、最近白米なんかの場合に、中に含まれているビタミン、特にB1が、最近農林省で制定をせられた特選米なんかの場合については、ほとんどもうゼロというような状態になって、栄養上非常に問題があるのだというようなことが今指摘されているのですが、そういう際に、学校給食においては、パン食であっても、米食であっても、そんなことはたいして問題ではないので、第二義的だというように軽く扱われているのは、いかにもこれは乱暴な議論のように実は感じるわけなんです。これは栄養学上の問題として、私はたいして議論のない問題なので、学校給食の立場からいくなら、米食よりむしろパン食のほうが、これはもう栄養にはるかに優位にあることは、それは否定できないのじゃないかと思うのですが、案外、こういった専門家が集まって答申せられたのだというけれども、パン食か米食かというような問題についてきわめて荒っぱい結論を出しているというようなことについては、これは非常に私は問題があるのじゃないかと実は思うのです。この点についても、どんなふうに体育局長お考になっておりますか。
○政府委員(前田充明君) 米の栄養と、それからパン、小麦の栄養という問題につきましては、私も専門家でございませんので、りっぱに、上手にお答えいたしかねるのでございますが、こういう問題、第二義的な問題だというふうにここに書いてございますのは、栄養問題の根本は、動物性の蛋白質とか、ビタミンとか、カルシウムとか、そういうものをとることが日本の現在の食糧について非常に一番大きい問題であって、主としてカロリーを考えるところの米か小麦かという問題については、第二の問題である、こういうふうに申しておられると、私ども解釈をいたしておるのでありまして、その当時のこまかい議論を、直接担当しておりました学校給食課長がおりますので、もし御必要であれば、どういうふうに具体的に議論されたかについても御説明はできるかと思いますが、一応私といたしまして、ここに書いてある文章として私どもが常に解釈いたしておりますのは、動物性蛋白が特にそうでございますが、そこに問題があるのだというふうな意味合いで申しておるというふうに解釈いたしております。
○担当委員外委員(久保等君) それは、学校給食の材料全体の問題として議論した場合に、今体育局長の御意見のような解釈も成り立つかと思うのですが、しかしやはり、主食の米食かパン食かという問題だけについて考えてみても、これに対する評価というものは、特に専門的な立場であれば、私は相当はっきりした根拠を持って答申を出されてしかるべきだと思うのですが、そういう感じでながめますと、非常に答申そのものが、相当大胆な、むしろ乱暴だと思われるような答申をされておるなという印象を受けるわけなんです。私まあその審議会におけるいろいろ審議の過程その他を承る余裕がございませんから、そういったことは別にして、この学校給食制度調査会の一体制度というものは、このとき答申をもらって、もう任務が終わってしまった調査会なのか、それとも、何かずっと今後も特別諮問をし、それに対して答申をまたもらうというようなものなんですか、どういう性格のものなんですか。
○政府委員(前田充明君) 制度調査会といたしましては、これで任務が終わりましたので、なくなったわけでございます。ただ、学校給食につきましては、保健体育審議会という諮問機関が文部省に設置されておりまして、保健体育審議会の中に学校給食分科会というのがございますので、それが一応、学校給食のことに関しまして、一般的に私ども諮問をし、建議を願っておるような状況でございます。
○担当委員外委員(久保等君) 私は、結論として、この問題について申し上げたいことは、学校給食というものがどういう効果を現わし、また今後これをどう発展させていくかということについては、もう少し文部省としても私は勉強してもらいたという気がするわけなんです。この制度調査会一つをとってみても、どうも専門的な立場でどの程度突っ込んで研究をせられた結果に基づく答申であるのか、若干疑問を持つような面もあるわけなんです。そういう点から考えて、文部省はもちろん栄養問題の専門者の大ぜいおられる所管省ではございませんから、当然専門家のいろいろ意見をお聞きになるにしても、もう少し学校給食の問題についてひとつ真剣に取り組んで研究してもらえぬだろうかという気がするわけなんです。そのことを私注文を申し上げて、次の問題に移りたいと思うのですが、学校給食は何といっても、国民の健康増進をし、しかも食生活の改善をはかるという一つのモデル的な私は場だと思うのです。そういう点を考えますと、学童を特に一番発育盛りの時をとらえて、十分にこれに対して栄養を与えていくというようなことは、国民全体のそれこそ健康を保持しないしは増進をして参る根本的な施策として非常に重要だと思うのです。しかもそれは、とにかく地域的な恵まれないところ、そういったところについては、格別の配慮かこれは必要だと思うのです。それからまた、中学校、小学校の場合を例にとって考えると、むしろ小学校の児童以上に中学校の生徒というものは非常に発育盛りであって、年令的にいって私は非常に重要な段階だと思う。ところが、その普及状態を見ると、中学校が非常にりょうりょうたる状態で、もちろん小学校のほうがまだまだ十分であるとは私申すわけではないのですが、特に小学校、中学校の二つを比較してみても、中学校の場合が非常にまだ成績が悪いというようになっておるのは、一体文部省としてはどうお考えになっておるんですか。これは何だったら大臣からく答えをいただきたいのですが、基本的な問題だと思うのですが。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 基本的な立場から再検討を、もっと腰を落ちつけて総合的に再検討したらどうだという御意向も含めての先ほど来からの御意見は、私も内心同感でございます。これは先刻も触れましたように、学校給食というものが、日本で独自の立場で、あらゆる資料をしさいに集め、現状を把握しながら、食糧制度等密着した総合的な基本政策の上に立って、将来にわたっての、学校給食のみならず、日本人全体の主食の方向をどう持っていくか。パン食とするにしましても、聞くところによりますれば、国内産の麦ではうまいパンができないというふうに聞かされております。国内産小麦そのものの改善方策にも問題がございましょうし、それがないならば、学校給食を通じて児童生徒がおとなになりましても、やはり粉食ということで育っていき、おとなになって死んでいくとするならば、国内産小麦でパンができない限りは、すべて生命の基本的なかてを外国に依存するということではたしていいだろうか。刑にアウタルキーを主張するわけではございませんけれども、みすみす主食原料があるのに、それを切りかえるという決意をするためには、農業政策の面でもじっくりと考えられたその基本線に立って考えらるべきじゃなかろうかという疑問も実は私見でございますが内心ございます。それと、先刻申しましたように、食糧難救済の応急措置ということから発展しまして、現実問題として完全給食の方向へという意欲を持って歩いておりますが、完全給食とはしからば何だ、どうすればいいんだ、小学校、中学校それぞれ御指摘のとおり違うはずだが、最も合理的な内容は何だ、地域的にもおのずから実行上の諸問題があろうかと思いますが、それらすべてを本気で考えてもらうような専門家の落ちついた検討がなされた上に・・ゆるぎない年次計画が立てられて、着々として前進していくということが必要かと思いますが、必ずしも、今までの文部省の検討においては、今申し上げた意味においての確信を持った理想図というものは持ち合わせていないと申し上げても過言じゃないかしらと思うわけであります。そういう意味で、さらに検討を要する課題が残っておると心得まして、当面部分的ななし得ることを推進しながら、完全給食へ向かって一歩々々前進していく、こういう現実の働きであると申し上げざるを得ないと思います。もっと体系づけけたものは将来の検討に待たしていただきます。
○担当委員外委員(久保等君) 大臣に私の特にお尋ねしているのは、小学校と中学校との給食の実施状況をお尋ねしたのですが、要するに、小学校の場合には全体の児童数に対して大体七〇%程度学校給食が実施せられておる。ところが、片や中学校の場合には、中学生の全体にしてわずか一二%程度しか実施されておらないという状況にあるわけなんです。これは一体文部省としてはどういうふうにこの状況に対してお考えになっておるのか。私は先ほども申し上げましたように、小学生、中学生というものを人間のちょうど年令的に申し上げれば、中学生というのは、これは実に、われわれ家庭で自分の子供等をながめておっても、ほんの一、二カ月で、特に中学の二、三年生ごろには、ぐっと目立って伸びるほど発育的に目ざましい成長を遂げる期間に当たっておると思う。したがって、そういう点からいえば、そういうときこそ学校給食の重要性というものが特に強調されなくてはならぬと思うのです。もちろん、特にこれは小学校と中学校との成長期の比較の問題ですから、決して小学生の場合を軽視していいというわけじゃないのですが、そういう非常に十五、六才ごろという特に成長期に当たる中学生の場合——人間の一生で最も目立って伸びるのは、おそらく私は中学生時代じゃないかと思うのです。これはわれわれの経験に徴しても、そういう経験を持っておるわけなんですが、そうだとすると、ただいま申し上げましたように、小学生に対しては七〇%、中学生に対しては一二%、現在の給食の実施状況というものに渇してどうお考えになっておるのか。私はもちろん差別をしろということを申し上げておるのじゃなくて、小学生が七〇%であるならば、中学生も七〇%というところには少なくとも給食が実施せられなければならないと思うのですが、その間非常に大きなアンバランスになっておるということについてどうお考えになっておるのか、またどういうところからこういう原因がきておるとお考えになっておるのか、大臣がつまびらかにしておられなければ、体育局長のほうからでもけっこうですが、実情をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(前田充明君) おっしゃるとおり、中学校は非常に少なくて、小学校は七〇%までいっておるわけでございますが、これでは私どもいけないので、もちろん、お話しのとおり、中学校もどんどん推進しなければならないと思っております。なお、先ほど来の学校給食制度調査会におきましても、冒頭のほうに書いてございますが、小学校は五年計画で、中学校は十年計画で、全部完全にするようにということが御答申になっておりますので、私どもとしてはもうできるだけその線に沿いましてやることを努力をいたしておる状況でございまして、そういうふうになった一体原因はどこかというようなお話でございますが、その点につきましては、先ほど来大臣からお話を申し上げたとおり、当初のときには、小学校の学校給食ということで、いわゆるララ物資をもらいまして始まったのがもとでございますが、その時代から小学校を中心にして参っておったものですから、小学校のほうが実は早く発達いたしまして、そうして中学校のほうがあとから追っかけたわけでございますが、実は中学校についてはそこがまだ追いつかない事情でございまして、それじゃなぜ追っつかないかという問題になりますと、はなはだむずかしい問題だと思うのでございますが、何といっても一つの歴史が古いということで小学校のほうが早く進んでおると、これは一つの一番大きい原因じゃないかと思うのでございますが、それから町村あたりの考え方を伺っておりますと、小学校をまず全部やって中学へとかかってくる、こういうようなお考えが割合強いのでございます。これは並行的に初めからもう線をそろえてやるということは、私どもとしてはけっこうなことだと思うのでございますが、何と申しましても、同じ町村の中で、片っ方の小学校はやり、片っ方の小学校はやらないと、そういう不公平はまずいから、小学校をまず全部そろえようと、こういうふうなお考えが地方のほうも相当多いのでございます。そういうような点でさらにおくれる——おくれると申しますか、先に小学校が走っておるという実態がございます。また、学校の教育の内容から申しまして、小学校でございますといわゆる全科教育をいたしておりますし、中学校でございますと各科教育をいたしておるわけでございますが、そういうような教育の仕方も幾分違うわけでございますので、そういう点もあるいは理由の一つとしてあげられるのではないかと私どもも考えております。 大体以上申し上げたようなことが主たる原因ではないかと、かように考えております。
○担当委員外委員(久保等君) 先ほど大臣の御答弁にもあった、学校給食の始まった当初の考え方、そうして今日の状態、こういったことについてはあらましお答えがあったのですが、私は、その食糧難対策という点でスタートした、これは確かそのとおりだと思うのです。しかし、学校給食法が制定せられてすでにもう十年にことしでなろうとするのですが、学校給食法が制定せられた当時というものは、これはもう昭和二十九年ですから、当時必ずしも食糧難対策という面からじゃなくて、やはり私は相当学校給食というものを真剣に考えて法制定まで行なったと思うのです。ところが、この法制定が行なわれて十年になるわけです。したがって、私が学校給食問題については曲がりかどに参っておるということを当初申し上げたのも、どうもここのところ十年ばかり、学校給食法が制定せられながら、やはり、先ほど大臣からお話しがあったように、食糧難対策当時のような雰囲気から抜け切れないままにじんぜん日を送ってきておるという感じがするのです。ぜひひとつ、もう終戦後も二十年になろうとしているわけですが、学校給食のほんとうの本来の使命を考えていただいて真剣に取り組んでいただかぬと、ただいま申し上げた中学校と小学校との関係の問題にしてみたところで、今までやってきた経過がこうなっておるのだという話なれば、それはそのとおりだと思うのです。しかし、この経過では、一体学校給食のねらっておる本来の目的というものが十分に果たせるかどうかということになると、とてもとても問題に私はならぬと思うのです。そこで、この際やはり、学校給食の問題については、先ほど私がちょっと指摘した制度調査会の答申も若干私は手ぬるいと思うし、むしろ問題点を若干含んでおるのじゃないかと思うのですが、しかし、その制度調査会でも、一つの年次計画を立てて、強力に推進しなさい、完全給食を目ざして、小学校の場合は五年、中学校の場は十年のひとつ計画を立てるべきであろうということも答申が出ておるわけです。この年限が、はたして妥当であるかどうか——若干ゆうちょうな気もするのですが。さらにまた、小学校と中学校と、これも一つの差別というか、扱い方を別にして、中学校の場合は十年、小学校の場合は五年というふうになっておるのですが、これはまあ現在のところ、スタートするところがだいぶ違うから、かかる年数に差を設けたのだろうと思うのですけれども、この年次計画を作って完全給食について努力をせられる御意思が大臣おありになりますかどうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど来弁解がましく申し上げておりますが、文部省として少なくとも答申の線に沿った年次計画を定めて前進したいという意欲をもちろん持っております。ただ、ありよう申し上げれば、たとえば小麦に対する百グラムについて一円の補助金——金額にすればかなりかさみますけれども、わずかに百グラムについて一円の補助でしかない。それすらも維持するのに容易ではないという楽屋裏の事情もございます。それをさらに竿頭数歩を進めて、答申にありますがごとく、少なくとも国が二分の一を補助するという線に立って、完全給食の中身を確立して、そうして年次計画を定めるには、もっと具体的な検討が文部省自体としてなされませんと、年次計画それ自体の組み方も容易でない事柄でございます。そういうことを悩みながら、なかなか目に見えて計画的な、五年計画、十年計画の第一歩が着実に前進したんだと申し上げ得るような内容にならないゆえんもそこら辺にあるのであります。これはこういうところで申し上げる事柄ではございませんけれども、あるいはそういう悩みの中に時日を経過しておるわけですけれども、ただじんぜん月を送ろうとする気持ではございません。今後ともベストを尽くしたい、こういう意欲のあることを申し上げておきたいと思います。
○担当委員外委員(久保等君) 大臣の一応腹の中の気持だけはわかるような気がするのですが、もう少しちょっとお尋ねをしたいと思うのは——私の質問をいたしておりますのことも、きわめて常識的な範囲を出ない質問だと思いますけれども、しかも制度調査会のほうでも出された答申があるわけなんですが、そういう方向でこの際思いを新たにして馬力をかけて努力をせられるということの御言明は大臣からいただけますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃることを含めて申したつもりでございます。
○担当委員外委員(久保等君) それで、まだ問題がいろいろたくさんあるわけなんですが、まあ学校給食の内容等についても、これまた、はたして子供が喜んで食べておるかどうかという問題もあると思うのです。ところが、これが明けても暮れても同じようなもので、まずいものを食べさせれば、いかに育ち盛りの子供といっても、最近、御承知のように、一般の食生活の水準が非常に高くなってきておりますから、子供がやはり喜んで食べる給食の内容でなければならぬと思うのです。これについても、いろいろ批判を私どもは耳にするわけですが、こういうことについても、当然政府が若干の補助も行なって、しかも高邁な理想のもとに学校給食をやろうというならば、これはやはり子供が弄んで食べる学校給食にしなければならぬと思うのです。その点については、給食の内容の改善の問題があろうと思うのです。このことについても、やはり学校の一般の先生方に片手間に学校給食を押しつけてやらせておるというような状態では、これまた給食の効果そのものが私は上がらないと思うのです。したがって、この給食内容の問題については、一つには単価を引き上げるという経費の問題があると思うのです。もう一つは、やはり給食を扱っている給食婦なり、そのほか栄養の問題を扱う栄養士の問題——人の問題があると思うのです。調理士の問題も含めてですが、そういうような人の問題があると思う。こういうことについて、一体どんなふうにお考えになっていますか。特に、ことしは学校給食の単価は幾らになっておりますか。
○政府委員(前田充明君) 去年と比較して申し上げますが、小学校につきましては、父兄負担が、昨年度十九円七十六銭ということにして、今年度二十円六十銭ということにいたしました。中学校につきましては、父兄負担が、二十五円三十四銭に対しまして、二十六円二十一銭、そういう計算をいたしております。これは御承知の準要保護児童に対する補助金の基準でございますが、しかし、実際問題として、これは学校によって、これよりも高いところもございますし、安いところもある、そういう現状でございます。
○担当委員外委員(久保等君) この単価も、一円足らず、一円にも満たない程度の単価しか上がっておりませんが、こういう程度では、最近の特に食糧等の値上がりを考えますと、私はきわめて問題にならないと思う。むしろ従来の材料そのものを十分にそろえることができるのかどうか疑問にさえ思われるのですが、少し上がり方が少ないことは、まあ前々からいつも少ないのですけれども、少しひど過ぎやしませんか、体育局長。
○政府委員(前田充明君) とにかく全体としても、二十円なり、まあこのほかに国費の負担分がございますが、いずれにいたしても、全体としても、なかなかこの程度では、たいへんむずんむずかしいと申しますか、努力をしなければならない単価でございますが、ただ私ども考えますのは、おかずが非常にいわゆる物価と関係が深いのでございますが、おかずだけといたしましては、一応二八%程度ふやすだけでございまして、決して弁解のようなことを申し上げるわけではございませんが、大体おかずではこの程度で昨年と比較すればまかなえるのではないかというふうに考えております。
○担当委員外委員(久保等君) それから、特に人の問題を先ほどお尋ねをしたのですが、この問題にしても、一体文部省としてはどういう計画をお持ちになっておるのですか。
○政府委員(前田充明君) 学校給食の従事員と栄養士の二つの人の問題としては、まず第一に考えるべき問題かと思っておりますが、従事員については、現在小学校は、従来とも交付税で一応積算をいたしまして、今年から中学校も交付税で積算いたすことになったわけでございます。人数の点で、小学校は九百人で三・五人、中学校は七百五十人で一人ということになっておりまして、金額で一応約百億円になっておりますが、これだけでは足りないので、もっとふやすべきであるというふうな考えは持っております。したがいまして、今後ともこの点についての努力はさらにいたしたいと思います。 なお、栄養士につきましても、同様でございまして、先ほどお話がございましたが、栄養士法の改善がございまして、学校給食に栄養士をできるだけ使わなければならないわけでございまして、各県においても、市町村におきましても、現在ある程度はございますが、もっとふやさなければなりませんし、なお、文部省といたしましては、交付税として一応今年はわずかに積算をいたしたわけでございますが、今後はさらにこれをふやさなければならない、大いに努力をいたしたいと思っております。
○担当委員外委員(久保等君) まあその栄養士積算を毎年やっちゃあきておるけれども、一向に日の目を見ないという状況ですが、一体どのくらい従来から努力をしてこられているのですか。
○政府委員(前田充明君) 栄養士につきましては、一つの学校には栄養士を少なくとも一人ずつ置くことは最も望ましいことであると考えておりますが、現在では小学校において約千五百名程度でございますから、非常にりょうりょうたるものでございまして、この点については、十分地方に対して指導をいたして参っておりますが、先ほど来申し上げましたとおり、まだはなはだこういう状況でございまして、今後努力いたしたいと思っております。なお、今年度交付税として積算をいたしましたのは、十万都市におきまして一名の栄養士を置きまして、そしてこの人が各学校を巡回指導をいたしてやるような方式を私ども考えております。そして三十校ごとに一人ずつ増す、そういうような積算をいたしております。
○担当委員外委員(久保等君) 金額は幾らになりますか。
○政府委員(前田充明君) 約一億円になっております。
○担当委員外委員(久保等君) それは何ですか、六校につき一名の栄養士を配置して、一億円ぐらいですか。
○政府委員(前田充明君) 今交付税で積算されておりますのは、十万都市において、その教育委員会に一人置きまして、その人が巡回をいたすのでございますので、六校とおっしゃたのは、おそらく私どもが当初考えた案のことかと存じます。
○担当委員外委員(久保等君) じゃ、何名になるんですか。もう少しひとつていねいに説明してもらいたい。十万都市に何名の要求ですか。
○政府委員(前田充明君) 全国の総数が具体的に何人かという点についての資料ちょっと持ってきておりませんので、すぐ調べまして御答弁申し上げます。
○担当委員外委員(久保等君) 十万都市以下のところは全然置かないという考え方ですか。
○政府委員(前田充明君) 現在の積算では・そういう地方交付税の積算では入らないわけでございます。
○担当委員外委員(久保等君) そうあまり事務的に積算のところではなくて、考え方を少し聞かしてもらいたいと思うのですが、そういう数字だけ寄せ集めた数字をただ説明するだけじゃなくて、そこに私は栄養政策というものを持ってもらいたいと思うのですが、学校給食に対する。十万都市以上というようなことになってくると、栄養問題が、先ほど申し上げるように、特に僻地といったようなところに非常に問題があると思うのです。ただ単にこの予算をできるだけ少なく済ませるように頭のところだけちょっとこう出すというような考え方では、根本的な学校給食の私は意義がなくなってしまうと思うのです。どちらかといえば、国民の食生活にしても、大都市とそれから農村というものを比較すれば、これはいろいろ例外はあるでしょうが、総体的にはやはり都市のほうが一般的にはいい、農村のほうがむしろ非常に栄養上問題がある、国民健康上も問題があるというのが、具体的な例で私は出ていると思うのです。そういう立場から考えて、一体学校給食をどう取り扱っていくかという、そこに政策を考えていくべきだと思うのです。ところが、十万都市で切った、あるいは二十万都市以上で切ったということは、予算をはじき出す場合に、できるだけ削って削って削っていく上の技術に過ぎないと思うのです。削る立場の大蔵省あたりはそういう考え方を持つかもしれないですか、文部省として、学校給食をほんとうに意義あらしめるという責任者の立場からいえば、もう少し私はその点について政策というものを加味していかなければならぬと思うのです。それが、一体どういう根拠で十万都市という根拠をはじき出したのか。人数は、概算ちょっと数字をはじいただけで、おそらく私は千人ぐらいだと思うのですが、だから一体どういう根拠でそういう予算のはじき方をしたのか、それを御説明願いたいと思うのです。
○政府委員(前田充明君) 政策的にどう考えておるかというお話でございますが、私ども、当初と申しますか、今後考えたいと思っております方向と申しますのは、これは理想的には、もちろん、各学校に全部栄養士がおって、その人の指導のもとに調理士が調理することが最もいい形であるというふうに考える。まあできるだけそういうふうに指導はして参ってきつつあるわけでございますが、少なくとも、特に最近におきまして私どもの考えました考え方は、一週間に一回学校へ栄養士が来て、そして巡回をする。六校に一人ということになれば、まあとにかく何とか方法が考えられるのではないか、こういうふうな考え方を持っておったのでございます。十万都市に一人と申しますのは、おおむね三十校程度になるかと思うのでございますが、これによりますと、結局一カ月に一回くらい学校へ回るという程度になりますので、よほど栄養士のいい方を選択し、そして十分な指導をいたさなければならないし、そういたすように努力いたしたいと思っております。
○担当委員外委員(久保等君) その十万都市というところに線を引いたのは、どういう理由なんですか。
○政府委員(前田充明君) 自治省との折衝の経過になりますが、十万都市というのは、ただいま申し上げましたように、一カ月に一回ぐらい何とか学校を視察するという程度にとどまったわけでございまして、十万都市に一人あればこれで十分であるというような考え方ではございません。
○担当委員外委員(久保等君) 説明になっておらないし、同時に、何ですか、ずっとこれは毎年々々こういう方針で予算要求をやってきたのですか、十万都市について一名という。
○政府委員(前田充明君) 今年は、当初考えましたのは、六校に一人ということで考えて参ったわけでございます。
○担当委員外委員(久保等君) 去年、おととしあたりは、どういう……。
○政府委員(前田充明君) 少なくとも六校に一人ということで考えて参ったわけでございます。
○担当委員外委員(久保等君) じゃ、ことしは十万都市について一人という要求をしたのですか。十万都市に一名を配置するという要求をしたのは、ことし初めてですか。
○政府委員(前田充明君) 今年は、当初六校に一人ということで要求したわけでございます。
○担当委員外委員(久保等君) 当初とか何とか言っておるのですが、当初も終わりもないので、三十八年度予算を要求した態度というのは、どういう態度だったのですか。
○政府委員(前田充明君) 六校に一人でございます。
○担当委員外委員(久保等君) そうすると、十万都市に一人というのは、どういうことなんですか。
○政府委員(前田充明君) 折衝の結果、まあ今年は最初の年で、芽を出したという程度の結果になったわけでございます。
○担当委員外委員(久保等君) そうすると、その数はおわかりになりましたか、要求の通った予算人員。
○政府委員(前田充明君) 全国で二百十六名でございます。
○担当委員外委員(久保等君) これがことし初めて通った数ですか。
○政府委員(前田充明君) さようでございます。
○担当委員外委員(久保等君) これが一億円ということになりますと、どういうことになりますか——一人当たりの単価。これは大ざっぱな質問の仕方だけれども。
○政府委員(前田充明君) 一人月額二万二千百円という計算でございます。
○担当委員外委員(久保等君) これでは、九牛の一毛という言葉がありますが、あまりにもちょっとどうも問題にならない微々たる数だと思うのです。しかも、三十校を一人の栄養士でもって担当するといっても、これはどうなんですか。一月に一ぺん——こういう積算の根拠というものは、少し現実離れしておりませんか。実際の活用ができますか、できると思っておりますか。
○政府委員(前田充明君) 具体的に、きょうの献立についてどういうふうに調理したらいいか、あるいはあしたの献立並びに調理にどういう注意をしたらいいかというところまでの指導は不可能であろうと思います。ただ、私ども考えておりますのは、文部省からいろいろ献立ないしは栄養の問題について指導もいたしますが、そのほかいろいろの、各県におきましても各種の研究集会等指導しているわけでございますが、そういういわゆる中央からの指導では、やはり何と申しても、事はもちろん具体的なことでございますが、抽象化しやすいと思うのでございます。ただ、その市町村に栄養士の専門家がおりまして、経験を積んだ人であれば、もっと具体的な点についての指導ができるのではないか。したがって、直接の指導はできませんが、全般的な立場に立っての具体的な指導は一応できるんではないかと思っております。
○担当委員外委員(久保等君) 特に昨年、先ほど体育局長も御説明があったように、栄養士法と栄養改喜法が改正せられて、御承知のように、一回百食以上、一日二百五十食以上の集団給食を行なう施設を持っておられるところについては栄養士一名を置くように努めなきゃならぬ、あるいは一回三百食、一日七百五十食以上給食をする集団給食施設を持っておる施設者は管理栄養士を一名置くように努めなきゃならぬというような法改正が行なわれたのです。私はこれは決して現実離れのした法改正だとは思っておらないし、この法改正にあたっても、数年間いろいろと検討に検討を加えた結果、そういう改正がなされて、現にその法律が施行せられておるわけなんです。ところが、そういう情勢——情勢というか、そういう制度下に置かれておる。片や、ただいまのお話を聞くと、これは実にどういうところに目標を置いておられるのか、全然どうも一体方向がわからないような、問題にならない程度の栄養士、たった二百十六人という者しか認めていかないというようなことになってくると、全く学校給食の問題についての文部当局の誠意と努力のあとがうかがわれないというふうに私は指摘をせざるを得ないと思うのですよ。だから、それとの関連において、どういう一体プログラムをもって今後やっていかれようとするのですか。
○政府委員(前田充明君) 栄養指導の点につきましては、今後私ども考えなければならない方向は、先ほどの栄養改善法で法改正がなされましたように、各学校に栄養士を置くということは第一に考えるべきであろうと思います。しかし、これを全国的に置くということになりますと、相当な数でもございますし、一挙に参るということは相当困難もございます。したがいまして、町村に栄養士を置きまして、これが学校給食の巡回指導をする、これは先ほど来申しているとおりでございますが、そういう二本建てと申しますか、そういう方向で栄養指導をいたしたいと思っております。
○担当委員外委員(久保等君) さっきの一億円というのは、この予算書の何ページのどこに載っているのですか、ちょっと教えて下さい。
○政府委員(前田充明君) 最初から申し上げておりますように、学校従事員にいたしましても、この学校栄養士に いたしましても、これは地方交付税でございますので、表面には出てないのでございます。
○担当委員外委員(久保等君) そういう程度では、これは全く問題にならぬと思うのですよ。だから、文部省で従来要求しておられる方針——あま内容的には非常に貧弱なものです。しかし、私は、特に昨年、ことしあたりの情勢は、先ほど来何回も申し上げるように、ずいぶんとやはり従来と違った新しい段階に立っておると思うのです。しかも、片や、今言う栄養改善法等の改正が行なわれたという、そういう情勢もあって、文部省としてはこういうときにこそ私はやはりこの学校給食の問題を推進をしなければならぬ責任があると思うのですよ。十年一日のごとく、ただ毎年々々何か一億五千万円程度の要求を、栄養士設置の問題について数年にわたって何か要求をしてこられておったそうでありますが、どうも落ち着くところが、ただいまのような程度で、その場を糊塗するというか、全く問題にならない程度でお茶を濁した形でことしは終わっておると思うのです。特に、この問題についてある程度年次計画を立てて、今申し上げましたような栄養改善法にうたわれたような姿が一日も早く実現するように努力をせられなければならぬ責任があると私は思う。したがって、このことについて、ほんとうにこの際ひとつ真剣にやろうとする御意思があるのかないのか、これは大臣も先ほどから私の伺っている経過から状況はある程度御存じになったと思うのですが、大臣のお考えをこの際承っておきたいと思います。栄養士の設置の問題について、大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 決意はございます。努力をいたします。
○担当委員外委員(久保等君) 特に、参議院の文教委員会で学校給食法が制定されたときに、それから学校給食法が改正をせられた昭和三十二年にも、実はただいま申し上げたような決議が行なわれている。衆議院でも決議が行なわれている。すなわち、学校給食の問題に関する栄養士の設置の問題、それからまた学校給食に関する補助金等の問題について十分に措置を行なえという決議が、衆参両院で昭和三十二年に行なわれている。この決議が行なわれてから、すでに数年を経過している。ところが、改善のあとは何ら見られない。今年は特に、自民党の政調会長のお骨折りで、粉乳の問題について、百グラムについて四円の補助金が出るようになったようであります。それ以外の問題をとってみても、ここ何年間の間全然進歩のあとが見られない——金額の面でも、内容の面でも。そういったことを考えますると、この際、私は、学校給食については、よほどの勇断をもって事に当たられたい。大臣のただいまの御答弁は、きわめて簡潔です。きわめて簡潔だから、私文句を言うわけではないのですが、今までやってこられた程度の努力ではどうにもならぬと思う。したがって、これこそ決意を新たにして、ただいま申し上げたように、具体的に一例をあげれば、栄養士設置の問題については、文部省から出されている六校に一人ということでは、これは一週間に一ぺん巡回するという程度だと思う。これではやはり、学校給食を内容の面で、あるいはまた運用の面で改善をするという理想からまだまだはるかに遠いと思う。特に、学校の先生方にしても、一般の教師の方々は、学校給食を自分の本来の授業以外に受け持たなければならぬということで、オーバー労働になっているし、非常に煩瑣な仕事をやらなければならぬ。年額何百万円という金額を扱わなければならぬというような事務的な労働もかかっております。そういった面から、本来のどうしたって仕事のほうからは、私はいろいろと問題が出てくると思う。したがって、そういう意味を考えあわせても、学校給食は学校給食の専門家にやらせていくという方向で緒につけなければ、何年たっても中途半端の形になって、子供自体も学校給食の内容がまずいからそっぽを向くという形になって、せっかくの給食も十分な効果が上げ得ない。それからまた、扱う先生方は、これまた、一般の仕事でたいへんなところに、その上に加えて学校給食というものをやらせられると、それなら中学校で学校給食のないところに小学校から転勤していきたいというようなことにも、現実の問題としては私はなってくるだろうと思う。だから、それらの問題を考えると、この際思い切って、私がただいま申し上げましたような意味において、大臣の格段のひとつ御努力を願いたい。その御努力願う方法としては、やはり計画を立てていただきたい。たとえば何年間で実現をするのか、そういうことについて計画を立ててもらって、御努力を願いたいと思うのですが、そういうことについて大臣どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど来の御意見を含めた御質問、よくわかるのであります。また、今まで文部省必ずしも努力の成果を上げていないことも、御指摘のとおりと思います。これは、いささか弁解申し上げれば、やはり、学校給食について法律までも制定されたとは申しながら、現実問題としますと、何としても現場で、それぞれの学校、あるいは市町村が、学校給食の教育的な効果を十二分に認識の上に立って、むしろ逆に県なり文部省に攻め寄せるくらいの熱意があってもらえば、やりやすいわけでありますけれども、ともかく家からにぎりめし弁当を持っていけばどうにかなるという昔からの考え方が、末端に行けば行くほど実情としてはありまして、近代的な前向きの、将来永遠を見通したような学校給食の効果といったものの認識は、必ずしも十分でないと思います。そのことすらもが、学校給食の効果を教育的に理解しておるべき文部省の立場からすれば、PRが足りないではないかという点は免れないと思う。それやこれやもいろいろあろうかと思いますが、かつまた年次計画を定めることは当然あらゆる努力をしてやらねばならぬと思います。その年次計画も、都会地であれ、農村地帯であれ、あるいは僻地学校なおさらですけれども、そういうことを含めて、現地の実情を十二分に現実的にとらえて、そうして着々と前進できるような年次計画。さらにまた、調理士であれ、手伝い人も要りましょうし、児童生徒に協力させるにいたしましも、手伝い人は何人か要るであろうことも想像にかたくない。いわんや、栄養士までも配置してやらなければ、何百人あるいは千数百人を少なくともこえるであろうところの学校の給食ですから、完全給食の姿に三百六十五日維持していきますためには、特に好ききらいのおとな以上にあろうところの児童生徒に喜んで食べさせるようなものは何だということまでも念頭に置きましての実施計画——現実性ある実施計画を基礎に、年次を定めてやっていきます。その計画それ自体の検討さえもが、容易ならざることと思います。ですけれども、その困難を乗り越えて御指摘のとおり着々前進していく努力をする責任は文部省にあると思います。そういう考え方に立って、事務当局を督励しまして、なるべくすみやかにそういう方向づけをしたいものだと、その努力をいたしたいと思います。
○担当委員外委員(久保等君) 私質問を終わりますが、最後に一音だけ申し上げておきたいと思うのですが、食生活の改善という問題は、われわれ日本人一般があまり栄養学的に関心がなかったんじゃないかと思います。したがって、特に農村方面あたりで、学校給食の一体価値がどういうものかというようなことについても、なかなか理解のない面が私はあろうと思うのです。だからこそ、なおさら、そういう一つのPRを行なっていくという面を考えても、栄養士をやはり活用していくということが私は必要だと思う。単に文部省だけが、いかに熱心であっても、やはり地方自治体あるいは一般の家庭等における理解が全然ないということだったら、なかなかこれは実現が困難だと思います。したがって、そういう面からも、一体食生活を改善することについての方法を考える場合に、やはりこれに対する理解なり認識というものを持ってもらわなければならぬと思うのですが、そのことのためにもまず手がける必要があるのは、私はやっぱり栄養士の問題だと思うのです。こういう専門的な立場から十分に食生活改善についての理解を深めていく、それと相並行しながら学校給食をさらに充実していく、こういう方法をとるべきだと思うのです。そういう点から、栄養士の設置の問題については、これはひとつ最優先的な施策として、ぜひ、今大臣の一般的なお話がございましたが、具体的な問題として、ひとつ積極的に御尽力を願いたい、このことをつけ加え、重ねて私は要望いたしまして、時間がないようですから、私の質問を終わりたいと思います。
○成瀬幡治君 私は、急増対策、主として地方財政との関係、二つ目は青少年の不良化と申しますか、そういうような点に関連してお尋ねしたいと思います。そして、時間は大体一時間の予定でございます。 第一にお尋ねしたい点は、昭和三十七年度に中学浪人は出ているのか、どのくらいの数なんでしょう。
○政府委員(福田繁君) いわゆる中学浪人という定義を下されるものにつきまして考えますに、一ぺん高等学校を受験いたしましたけれども落ちて、またその学校を受けるというような、そういう者、あるいは病気等によりまして志願の機会を失して、そうしてその次にまた高等学校を受けるというような、そういう者であろうと思います。そういうことで考えますと、三十七年度の高等学校の入学について、私ども、統計上、中学浪人が出たという数字を持ち合わしておりません。わずかに、三十六年度におきまして、今申しましたような範囲で考えますと、大体、いわゆる過年度の入学——その前年度に受けて、あるいはまた病気等によって受けられなくて、その次にもう一ぺん受けたという者は、三十六年度で一万六千人程度ございます。数字上出ております。三十七度は、考えますに、いろいろ私立等におきましても相当収容力を増して参っておりますので、表面統計上からはそういう数が出ていない結果になっておるようでございます。
○成瀬幡治君 三十六年度とおっしゃることは、三十七年の四月に一年遊んで高等学校へ入学のできた者が一万六千名ある、こういうことなんですか。
○政府委員(福田繁君) そうじゃございませんで、三十六年度ございます。
○成瀬幡治君 度ということは。
○政府委員(福田繁君) 三十六年の四月。
○成瀬幡治君 三十六年の四月に高等学校に入学できた者が一万六千名……。
○政府委員(福田繁君) ですから、お尋ねのものより一年前でございます。
○成瀬幡治君 今年度出るのであろう中学浪人、逆に言えば、来年もう一度遊んで高等学校の試験を受けるであろうと思われる者はどのくらいに踏んでおられますか。
○政府委員(福田繁君) これはまだわかりませんで、申し上げかねますが、私どもの大体推定しておりますところを申し上げますと、大体高等学校への入学希望者が百六十二万人おるわけでございます。これは都道府県の教育委員会等を通じまして調べた数でございます。それに対しまして、募集人員が公私立合わせまして大体百五十五万——これは政府の計画と大体合っている数字でございますが、したがいまして、百五十五万人そのまま入学さしたとすれば、入学志願者が百六十二万人でございますから、その差は約七万人であるということでございますが、しかしそれが全部浪人になるというふうには私どもは考えてないのでございまして、これはやはり、一応志望いたしましても、家業につくという者もございましょうし、あるいは就職する者もございますものですから、そういう意味で、例年、過年度の入学者として出て参ります数は推定はできませんけれども、三十六年度の一万六千人等からあわせ考えますと、そう多くの数ではなかろうというふうに私どもは考えております。
○成瀬幡治君 三十六年の四月のときには一万六千名の中学浪人が入学をされておる、三十七年の四月はまだ統計が出ておらぬ、こういうお話ですか、そういうことですね。
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、三十七年の四月は、中学浪人といわれるような過年度のものがないということでございますが、これは、入学収容力が非常に増した結果、ほとんど全部収容できた、全国的にいいますと——そういうことでございます。
○成瀬幡治君 大臣がお見えになりませんから、あなたにお尋ねしておくのですが、いわゆる百パーセント入学じゃないのだ、九六%に押えておられるわけですね。そうしますと、文部省も、酒田総理も認めておるのは、六、七万の中学浪人が出るということは、本会議の答弁でも明らかにされておるのですが、あなたの今のお話を聞いておると、何か私学等のいろんなものがふえたからそんな心配はないのだというふうにもおっしゃっておらるれのですが、どうなのですか。
○政府委員(福田繁君) 私申し上げましたのは、ことしの春、この三月、四月の問題でございますが、それについてはまだ推定できませんけれども、先ほど申し上げましたように、この一月に調べました志願者の数が大体百六十二万人、したがって、収容計画と比較いたしますと、約七万人の差がございますが、その七万人の差が直ちにいわゆる浪人として勘定できるものかどうかということには、非常に疑問を持っておるわけでございます。したがって、かりに浪人がありましても、ごく少数ではなかろうかというように考えておることを申し上げたわけでございます。
○成瀬幡治君 大臣、昭和三十七年の一月二十六日の閣議決定と、昭和三十八年の一月二十二日の間に、閣議が決定をされて、急増対策について修正をされておるわけですよ。その経緯ですが、一応見込みでやってきた、ところがこうこういうわけになったんだという、根本的に変えなければならなくなった根本的なものは何でございましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 当初閣議決定しましたときには、すでに御承知のことでございますが、お答えもしたかと思いますけれども、進学率六〇%と押えまして、それは昭和三十五年度の実績に基づいた見込みでございます。三十六年度の実績もむろんございますが、それは急増時期になるから、三十六年度から都道府県としましてはある程度の急増対策をやり始めたことも、御承知のとおりであります。そういうことのために、全国平均をとる立場から見ました進学率として押えるのには、三十六年度の数字は適切ではない、一般論としては、一番手近な根拠のある実績とならば三十五年度であろう、こう判断しましたのが六〇%をとったゆえんでございます。前向きに三十六年、七年両年度を通じまして三十八年度を迎えるという態勢でございますから、その立場から、前向きの姿勢のための、国なり県なりのそれぞれの分担においての対策を考えます場合には、それに間に合う時期に、しかも信憑性のある根拠とならば、三十五年度たらざるを得ないから、六〇%でやった。ところが、だんだん時が経過いたしまして、各都道府県もそれぞれの自分の地域内における進学希望の状況等も具体的に把握し、そうして六〇%ではあるまい、もっと進学率は高いであろうというふうなことを見込みながら、六年度、七年度と計画を立て、実施し、あるいは立てた内容を知事会等を通じて自治省、文部省等にも連絡があるということから、その後の実情の推移を見まわして——実情と申しますのは、各都道府県の具体的なその地域内における見込みに基づく計画、それが一番具体性を持ったその次の構想性ある主要根拠だと思われるわけでございます。そこで、知事会ともずいぶん、御承知のとおり、何回となく相談をいたしまして、そうして詰めていきましたのが、六一・八%と見込めば——全国的でございますが、全国的な立場から見れば、そう見込めば、おおよそ三十五年と同様、入学率をとりますれば、おそらく八六%の入学率は国公私立を通じて確保できるであろう、そういうふうな結論に到達しましたので、その線に沿っての再検討の結論等を、仕事量の上で当初の五百五十三億を六百八十二億でございましたかに修正をいたしまして、それに必要な処置を講じた。原因は、ですから、当初の推定をなるべく、依然として推定ではございますが、現実性に近い推定に修正したいということが、六一・八%にした根源でございます。そのほかに、もちろん、建築単価なり構造比率の改善、改定もございました。
○成瀬幡治君 私は、この問題については相当議論もしておりますので、重ねてお尋ねするのはいかがかと思いますが、結局、六一・八%に抑えて六二%に持っていくというこの進学率というものが、一体一〇〇%になることはないと思うのです。IQの問題やその他もろもろの問題があってだと思いますが、それで私マキシマムがおのずからあると思う。一体、都市と農村とによって違うことはわかりますが、全国平均としてはマキシマムはどれくらいになっているだろうということについては、一応御検討になっておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) マキシマムとおっしゃいますと——もうちょっと具体的に。
○成瀬幡治君 たとえば七〇%に最高は持っていくというのか、文化基準が高くなりますと、入学率というのはどんどんふえていくわけですね。そうして最高限は、八〇%とか、八五%とか、あるいは九〇%になっていくということになるのか、そういうような進学率を——何年か先には最高限に達するだろうと思うのです一それを何%と押えてお考えになったことがあるかということです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体、数年前まではたしか毎年一%ずつくらいの進学率の伸びがあろうという推定で来ておったようでございます。ところで、六一・八%に押えました以後の進学率は、毎年大体約二%ずつ伸びていくであろう、こういう推定をいたしております。
○成瀬幡治君 大臣、ちょっと事務的なほうのことをお伺いしますが、私は教育学者や何かでも、百人学級の生徒がおったら、百人全員が高等学校に行けるかどうか、決してそういうことはないのです。ということは、IQ問題やいろいろな問題がございますから、そうとは思わない。したがって、理想な姿と申しますか、文化、あるいは生活、いろいろなものから出てきたときにも、おのずから何%くらいというパーセントというものは押えて、高等学校等の計画というものがあってしかるべきだと思うのですよ。ところが、それを、二%ずつふえていくのだから、しまいには九九%になりますよというような数字は出てこぬだろうと、そこをどれだけに押えておいでになるかということが聞きたい。
○政府委員(福田繁君) ただいま大臣からお答えがございましたが、御指摘のように、国民生活の水準がだんだん向上いたします。それからまた文化水準もそれに伴いまして向上いたしますので、だんだんに将来の方向としては上がってくると思います。これを教育計画の中にどの程度織り込んでいくかという問題が一つあるわけでございます。したがって、私どもは、そういう問題になりますと、長期の見通しとしては、昭和四十五年には大体七二%程度に進学率が上がっていくであろう、それまでには、先ほど大臣が申されましたように、過去においては割合に進学率の伸びは一%ないしそれに近いくらいの伸びでありましたが、今後は、最近のテンポから見ますと少なくとも二%ぐらいは毎年伸びていくであろう、こういうような考え方で、十年先の四十五年には七二%になるであろう、これは所得倍増計画でもそういう考え方をしているわけでございます。それを一応教育計画の中に取り入れましてやっているわけでございますが、今御指摘の問題は、さて、高等学校に今度志願して入学する者の知能的な問題、あるいは学力の問題、そういう面から見ますと、御指摘のように、学力が非常に低いとか、あるいはIQの問題もございますので、そういう点から考えますと、今までの過去の例から申しましても、大体志願者の九五%ないし六%ぐらいしか入っていない。したがって、数字から申しますと、三%ないし四%は少なくともそういう高等学校の教育に耐えない者があるであろう、こういう観点から考えているわけでございまして、大体志願者の九五・六%入れば、過去の実績から申しましても一応妥当な線ではなかろうか、こういうように考えておるわけであります。
○成瀬幡治君 どうもあなたと私のほうとピントがはずれているんですが、四十五年のときに大体七二%ぐらいとおっしゃいますが、全国ではそうかもしれませんが、都市と農村とではアンバランスがあります。都市は、ここ十年先のことではなくて、もう四、五年先に——これは教育学者等と文部省は検討してもらいたいのだが、八五%ぐらい、百人中十五人ぐらいは知能指数の問題からいって高等学校に確かに行けぬと思うのですよ。ですから、八五%なら、これは私の勘の数字ですから、そこら辺がマキシマムだろうと思っているわけです。そうなら、もうここ四、五年先に大都市ではそれだけの者が高等学校に行くのですから、できるだけそれとにらみ合わせて公立なりあるいは私学の高等学校の収容能力を作っていかなければならぬと思っているわけです。ですから、そういう数字をあなたのほうで検討せずにおって、二%とか一%伸びていくのではないかというような、過去の実績を積み上げておやりになっていると思いますけれども、少なくともそこに私は今言う行政面と現実面とのズレが出てくると思いますから、これはひとつ文部省のほうに、私は今どうこうということじゃなくて、十分ひとつマキシマムがどのくらいになってくるかということを検討していただいて、それに合うような適切な指導をしていただかないと、ますます入学難というものが出てくるし、中学校が予備校に壇、してしまうというようなことですから、これはお願いにとどめておきたいと思いますが、ぜひひとつ研究して、何%ぐらいかということを出して下さい。
○政府委員(福田繁君) 御要望の点はよくわかりますが、なかなかその具体的な計数としては出しにくいのではないかと思います。しかしながら、将来の方向として七〇%あるいは七二%にだんだん上がっていくという、その中身におきましては、もちろん都市といなかのほうでは非常に違うわけでございまして、おっしゃいますように、東京あたりは非常に高いわけです。これは高ければ高いだけに、将来のやはり目標を置いて計画をしているわけです。地方の非常に進学率の低いところでも、急増期に際会しまして、この機会に高等学校教育を普及したいというような非常な熱意を持って、従来おくれておりました県が、この機会に一挙にひとつ普及させたいというような考え方で、非常に高めているところもございます。したがって、それぞれの県の意欲なり地方の実情というものも十分考えなければなりませんので、その計画をぴしゃっときめて、それでそれ以上はまかりならぬというような考え方はこれは少し行き過ぎかもしれませんが、そういうことでなく、大体の方向としては、おっしゃるように、私どもは、都市、農村等の実情を考えて、この辺まではやはり将来の学校の計画というものを進めなければならぬという目標を立てたいと考えております。
○成瀬幡治君 これは、あなたのほうを押えるというのではなくて、都市は早くなっていくから、それに合わせるようにしていかなければたいへんなことですから、そういうことではなくて、まじめに教育学者等をして検討していただきたいと思うのですが、それはそれとして、資料をいただきましたが、大体事業量は六百八十二億円ですか、これは昭和四十一年までにやるわけですね。
○政府委員(杉江清君) さようでございます。
○成瀬幡治君 そこで、自治省の方お見えになっておりましょうか、お尋ねしたいのですが、これだけのうち、純地方自治体が負担をするものはどのくらいでございましょうか、この文部省の計画に基づいて。
○説明員(松島五郎君) 昭和三十八年度で申し上げますと、二百十二億のうち、国庫補助金が三十一億でございますので、あとの残りました百八十一億が地方の負担になると、かようなことになっております。
○成瀬幡治君 いやいや、資料は、二百十二億で、おっしゃるように三十一億が国庫補助金で、交付税が九十一億あるのでしょう、これは国からの金と見る。それは基準財政需要額に入っているのですから、私はこれは国からめんどうを見てもらえると思います。起債は借金ですから、地方自治体は返さなければならぬと思いますから、そうだと思いますが、そうではなくて、たとえば構造比率の問題、構造単価の問題や、敷地等の問題がありますから、そういったものに対して地方自治体がどれだけ負担をしなければならないかと、こういうことをお尋ねしているのです。
○説明員(松島五郎君) ただいま申し上げました二百十二億のうち、国庫補助金は三十一億でございますから、差引いたしまして百八十一億が地方団体の一応負担になるわけでございます。そのうち、交付税の基準財政需要額に算入をすることを予定いたしておりますのが九十一億でございまして、あとの残額九十億は地方債を財源にするというふうに考えております。土地はこの計画の外になっておりますが、昭和三十七年度で大体大きな部門は、土地につきましては終わっているのではないかと思いますが、この土地につきまして、起債を当初四十六億予定いたしておりましたが、後に二億追加いたしまして、さらに交付公債という制度でもって処理できますものは、それを充てることを許可をいたしたいと考えておりますので、土地分は五十三億七千万円程度の起債を予定しております。なお、三十八年度にも若干土地の取得費が残るかと思いますが、これはただいま各府県に対して照会中でございます。大体金額としては、三十七年度の半分以下であろうと推定をいたしております。
○成瀬幡治君 そうすると、松島参事官、地方自治体はおっしゃるように五十三億七千万円で大体土地の手当はした、しかしめんどうを見さえすれば地方自治体はその半分ぐらいの負担になるであろうということと、ここにある九十億は、これは借金ですから、どっちみち地方自治体が負担するんですから、これで事は足りるのですか。
○説明員(松島五郎君) 急増対策の財源措置といたしましては、政府が立てました計画に即するものといたしましては、ただいまお答えをいたした、明年度におきまして、二百十二億のうち、国庫補助金三十一億を引き、交付税九十一億、地方債九十億、そのほかに土地を若干起債で予定いたしております。問題は、それだけで、はたしてできるのかできないのかというお尋ねかと思いますが、その点は、従来も、当初の政府の計画では急増対策の全きを期せられないということで、知事会等からも強い是正の要望があったわけでございます。その点にかんがみまして、先ほど大臣からお答えがございましたように、進学率、あるいは構造比率、単価というようなものを、全体を勘案いたしまして、全体の計画の再改定を行なったわけでございまして、私どもはこれによって県が急増対策をしていただくことを強く期待いたしておるわけでございます。
○成瀬幡治君 私は、自治省から、どのくらい今度の急増対策の問題について純自治体が持ち出しをするかということがお聞きをしたいのですよ。赤裸々な、自治体がこれだけしわ寄せされるのだと、だから今度地方財政法の改正等も自治省としては出さざるを得ないのだということを正直におっしゃっていただきたいと思うのです。それは何も政府の資料ではなくて、県が示されたものよりも、なお地方自治体では、確かに入学難の問題を、急増対策をしなければならないといって、認めてもらえなくてやっておる。あるいは、御承知のとおり、七〇%しか見ないでしょう、あなたのほうは。まあ今度は七七%ぐらい見るのかもしれませんけれども、そういうようなものも補助金の問題についてあると思うのです。ですから、そういうものをひっくるめて、純自治体が——純粋に負担するものが差引でどれだけ残るのだという数字は出ませんか。
○説明員(松島五郎君) 私どもも的確な数字を把握いたしたいと考えまして、何度か、文部省においても御調査になり、私どものほうでも調査をいたしました。また、私どものほうでも、交付税を担当しております者が調査をしたり、あるいは起債の担当をしている者が調査をしたり、いろいろやっておりますけれども、昨年の段階でございますと、それぞれの県がまだ確定的な計画という段階に至っていなかったという事情もあるのか、報告のたびに数字が若干がずつ違っているという状態でございましたので、私どもとしても、なかなか的確なほんとうにどれだけの金がかかるかということがつかみにくい状況でございました。なお、知事会が昨年急増対策の計画の是正を要望いたしました際には、府県の計画では三百二十六億でございます。三十七年度で三百二十六億を予定しておる。それに対して、政府の計画は百五十四億であるので、百七十二億足りない。そのうち起債の対象になる事業とならない事業と分けて、起債の対象となる事業だけをとれば百四十八億、約百五十億政府の計画が過小であるということを訴えていたのであります。それに対して、先日改定になりました政府の計画では昭和三十七年度分では約六十億増額をいたしましたので、差引をいたしますと百億程度三十七年度では、県の計画が言っておることのとおりといたしますならば、足りないという形になろうかと思います。ただ、この問題をそれではどう考えるかということでございますが、御承知のとおり、先ほど大臣からもお話がございましたが、急増対策を立てます際に、進学率の問題をどう見るかということが一つ問の題になったわけでございますが、進学率は、御承知のとおり、終戦後今日まで毎年一%程度の上昇を見てきておるわけでございます。その一%程度の進学率の上昇そのものを、急増対策という意味に見るのか、あるいはその部分は府県、市町村に対する地方財源の一般的な増強に伴なう行政水準の向上と見るのかという問題があり得ると思うのでございます。したがいまして、たとえば六〇%が六一%になり二%になり三%になるということは今後とも続くといたしましても、それは急増対策とは別個の行政水準の向上という問題ではなかろうか。そうなれば、急増対策というのは、ある段階における進学率を維持するとして、生徒の、中学卒業生のふえる側から起こる問題を処理するのが急増対策ではないかという考え方もあり得るわけでございます。従来の進学率の上昇につきましては、府県の財源も強化されて参ってきておりますので、毎年決算を見ますと、百億以上の金を注ぎ込んで仕事をやってきておられるわけでございますので、この三百二十億の中にもそういう部分があるとすれば、それは従来どおりそれぞれの府県がやってきたと同じ財源をこの面に投入すればできるのではないか、こういう見方もできるわけでございまして、したがいまして、急増対策分だけでも比較するのが正しいのか、あるいはそういった今申し上げました面もあわせ考えて財源として十分であるかどうかということを考えるのが正しいか、その辺に考え方の多少問題があろうかと思いますが、私どもといたしましては、従来県としては、急増対策の問題がなかったときにおいても、一般財源の増強によって百億以上の金が高等学校の施設整備に回されてきた。したがいまして、急増対策としての分と、実際実績で回してきた分と合わせれば、大体支障なくやっていけるのではなかろうか、かように判断をいたしておるわけでございます。
○成瀬幡治君 ちょっとわからないのは、その百億というのは、県が——私は、交付税というものは基準財政需要額に入っておりますから、国からくるものですから、そういうものはこれは別にして、純粋に自治体が負担しているということは、基準財政需要額からのけますから、そういうものが約百億あったのですか。それは構造比率の問題やあるいは単価の問題などを入れてですよ。あるいは坪数がありますね、生徒一人に対して何坪というものに対して、それをそうでなく、もうちょっとりっぱなものを作ろう、大きなものを作ろうということ独自にやっているものまで含めて大体百億ですか、毎年。
○説明員(松島五郎君) 決算額で高等学校の建設費に回りました決算額で今申し上げたわけであります。その決算額の財源は何かといえば、一部分は起債もございますが、大部分はその団体の一般財源、すなわち地方税及び交付税をもって処理をしてきているわけでございます。それに回っておりますものが、従来大体百億程度あったということでございます。
○成瀬幡治君 私のお尋ねしているのは、交付税や補助金やそういうものではなくて、純粋に地方自治体が一般会計から出しておる、その額というものはつかめないですか。
○説明員(松島五郎君) 三十七年度から本格的に始まりまして、まだ三十七年度の決算も終わっておりませんし、都道府県では、一応計画を作りましても、中には十二月に追加したというような県もございまして、実際事業繰り越しになると思われるものもございますので、三十七年度につきましては、決算が出て参りませんと、正確にお答えすることが困難ではなかろうかと、かように考えております。
○成瀬幡治君 地方行政等でいろいろとあると思うものですから、どうも私の聞きたいことがわからなくて残念ですけれども、まあそうどうという問題ではございませんからやめまして、もしかりに、非常に何と申しますか、公立にも入れなかった、私学にも入れなくてたいへんだというので、私学等にお願いして二次募集をやってくれというような県が出てきたり、あるいはもう少しやってみたけれども、公立のほうに二次募集をやっていこう。また、文部省の計画、政府の計画しておられるよりも上回った計画を県がやったとかりにいたしますね、そういうところに対しては、国はめんどうを見られる用意がございますか。
○説明員(松島五郎君) この六一・八%という全国的な進学率でもって考えていくという問題は、どこまでも全国的に見てそういう数字を出しておるわけでございます。しかしながら、個々の県における状況ということになりますと、政府が、六一・八%を基礎にして、あなたの県は何%にしろ、あなたの県は何%以下にしろとか以上にしろとかいう指示をそれぞれして仕事をしておるわけじゃございませんので、一応全体としてはこの線だ——しかし、それぞれの団体が、自治団体としてその団体の判断に基づいて仕事をやっていくわけでございますから、今のような問題が起きました場合に少なくとも、それならば政府の計画を越えておるとか越えてないという判断をいたすことは、なかなか個々の現実には困難ではなかろうかと、かように考えております。
○成瀬幡治君 どうもずばりそのものじゃなくて、ごまかされておるわけですからね。それは確かに地方自治体によって進学率が違いますから、都市と農村は、同じ都市であっても、東京と青森の市とは違うと思うのです。その地方々々によって進学率が違うと思うのです。ですから、何とか若干は余裕があって、少しは補正をしてやろうと、こういう気持はあるわけですね。
○説明員(松島五郎君) 現在も交付税の算定をいたします場合に、全国三十五年度の進学率をそれぞれ県ごとにとりますが、全国平均以下のところにつきましては、その平均と現実の進学率との半分に達するまでのところを、補正をもって増加し得るようにしております。こういうように低いところはできるだけ前進させようという、実態に即するように考えて参りたいと、かように考えております。
○成瀬幡治君 起債とか、あるいは交付税の話は、今お聞きしてわかりましたのですけれども、確かに六一%あるいは六〇%以下のところがあるから、そういうところはなるべく進学率を高めるようにあなたのところが内面的に努力される、これは非常にけっこうな話です。それはしかし、高いところに対しては、それはおれのほうはめんどうを見ないというような態度なのか、もう少し起債等でめんどうを見ましょう——交付税の問題はなかなかやりくりがあって、いろいろむずかしいと思いますけれども、起債等ではめんどうを見てもいいと思いますけれども、どうなんでしょう、そこらあたりは。起債でやるということですか。
○説明員(松島五郎君) 起債等につきましては、そういった事情も十分勘案してやっておるつもりでございますが、ただ進学率が高い低いといいましても、公私立を合わせた場合には、必ずしも的確に実態が把握しにくいような事情があるのではないかというふうに私どもも考えております。と申しますのは、東京のような場合は、非常に進学率が高くなっておりますが、公立の進学率は全国的に見れば必ずしも高くなって、私立の進学率と申しますか、それが非常に高いというようなこともございますので、そういった実態も十分考えながら処理をいたしたいと考えます。
○成瀬幡治君 大臣、こういう例があるのですよ。試験は試験で受けてみた、自分は公立も受けるつもりだと、しかし、実際はうちが貧しいからなるべく公立を受けてくれ、公立へ行ってくれ、しかし私立も受けてみようと、私学には受かった、ところが残念ながら公立にはすべってしまった、私学には入学金その他たくさん取られて——名古屋でですよ。名古屋で、いろいろ計算してみて、あれこれやると、結局十万円の金がないと今の私学の高等学校にはちょっと入れないわけです。そこで、親はやめてくれと、こういうようなことが現実に起きておるわけでありますね。 そこで、六一・八%の進学率は見る、そうして三六・四%は全日制の高等学校に行けるのだと、こういうことを言うのだ、その残はあくまでも私学に行くのですか。私学に対して、私はそういうことが頭から悪いという意見、あるいは入学金を返せというような、いろいろな運動があると思いますが、その是非を判断する前に、国が私学に対してなすべきことをやっておるかどうかということが先の問題だと思うのです。 そこで、私学に対して、こういう急増対策等の問題について、どれだけの力を注いでおいでになるのか、国庫補助金は四億だと、交付税の中では利子補給の十億を見た、あるいは私学振興会に対して財投のほうから二十億も回すようにしたというようなことは承っているわけですが、これでもう私学は万全だ、いいというお考えなのか。学校債やいろんなものをとらなければ私学はやっていけぬ、こう言っている。ところが、文部省のほうでは、もうこれで十分であろうからと……この違いをどういうふうに大臣はつかんでおられるのでありましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今、御指摘のような、国からの資金の融通なり補助金の支給、それで万全だとは思いません。正確な数字を申し上げかねますけれども、おそらくは、一千億になんなんとする資金が私学全体としては必要であるというふうに推定され、また要望もされていると思います。それを一年度でそれだけ要るわけじゃむろんございませんけれども、それの約一千億くらいなものを年次的に必要とするものを提供するという努力は政府側として足りてないという考え方で私学問題には取っ組まねばなるまい、こういうように考えておりますけれども、なかなか前進の速度が早く行きませんので申しわけないのですけれども、今で十分であるとはむろん思いません。おっしゃるとおり、入学金が十万円も高等校で取られるということが、はたしていいかどうかということもございましょうし、そんなに取らなければならないという根源が、今申しましたような意味もむろん関連をいたしていると思います。 そこで、先ほどお答えしたような考え方で、極力私学の振興、公立との格差を合理的な範囲まで近づける、格差をなくするというふうな目標を持って努力すべき課題であると必得ます。ただ、国公私立、それぞれございますが、国公立と私立との差となれば、なかなかデリケートな問題もあるようでございますが、何にいたしましても、経常費は、入学金とか授業料とか、さらには民間浄財の寄付が相当まとまって入りますれば、その金利で経常費を支弁するというふうなことができますれば理想的だと思うのですけれども、いずれにしましても、国公立とほょっとその辺は違わざるを得ない本質を持っておりますから、同じようにするということは不可能であるにいたしましても、なるべく格差が合理的な線まではなくなるような、少なくなるような努力をする、こういう考え方で対処したいと思います。
○成瀬幡治君 おっしゃるように、父兄負担の問題が一番大きいのですね、公立と私学で言えば。それは私学の特色があっていいと思う。特色のある教育をやることが望ましい、父兄の方の側から言えば。しかし、そうは言うけれども、負担は、公立と私立においてあまり極端な差がないように。ところが、今は、入学のときに例をとりますと、あまりにもあり過ぎるということです。だから、片一方では、入学金を取るということはけしからぬことだから返せというふうに運動しておいでになる。これもやはり私は一つの声だと思うのです。 そこで、政府としては、文部省としては、そういうことの起こらぬような格好でめんどう見ていけるような、別の言葉で言えば、公立にかわって私学の人たちが努力してくれるという点もあると思うのですから、そういうことについて努力すると、こうおっしゃるから、もうこれ以上私も言いようがないわけですが、それにしては、あなたも遅々として進まない、こうおっしゃるし、何とも言いようがございませんけれども、一つ重大な私は問題であろうかと思いますから、今後とも努力していただく、こういうことで言うよりほかにないと思うのですから、これはこの問題でとどめたいと思います。 それから次にお尋ねしておきたい問題は、これは厚生省にからむかもしれませんか、せっかく高等学校を——生活保護を受けておって高等学校に入学する者があるのです。それはもう生活保護の対象にならぬというようなことを、どうも厚生大臣が言ったとか何とかいうことをいわれているのですが、これはどうなんでしょうか。文部省のほうでは、これは厚生省の問題でございますから、何とも御連絡受けておられませんか。
○政府委員(福田繁君) ただいまの点につきましては、厚生大臣の御発言を私は知りませんが、厚生省の係官のお話では、高等学校につきましても、漸次そういうものを事実上みていくように措置している、こういうような御連絡でございます。
○成瀬幡治君 非常に安心しました。 それから定時制のことで少しお尋ねしておきたいと思いますが、定時制の入学試験の時期をいつにするかということが、一つは重大な問題になるのですよ。特に、大都市になればなるほど、職安を通して来るのがあるわけです。ところが、もう試験は——まあよそのことは知りませんが、私のおる名古屋や愛知県は、もう済んじゃっておるわけですが、こういうことに対して、文部省は何か積極的にこうすべきだという指導方針を持っておみえになりますか。
○政府委員(福田繁君) 最近特にその試験期日の問題につきまして、教育委員会に対して指導したことはございません。と申しますのは、やはり定時制の特質から申しまして、大体全日制を受験したものも定時制のほうにかなり受けるという実態がございますので、そういった意味から・大体地方では定時制の試験期日をあとにする県が相当ございます。もちろん東京あたりは一緒にいたしておりますが、補欠募集程度でございますが、そういう県がございますので、実情に応じて各都道府県の教育委員会がきめてしかるべきものと考えております。したがって、特段の指導はいたしていないのでございます。
○成瀬幡治君 県にいろいろ折衝してみたところ、県は競争率がえらいわけです。実際いうと、そんな高率の競争——高率のと言っちゃおかしいのですが、競争率がなかなかえらくて、一・五とか二に近い数字です。中小企業の人たちは、もう求人難で悩んでいるわけです。そうして、来たらお前は夜間の定時制の学校に入れてやろうというような一つの条件をつけて、中小企業の人たちは大体求人採用するわけです。ところが、東京、大阪、名古屋、大体大都市のところは先に試験が済んじゃっている。一年遊んで翌年から入れるというような、そういうような格好になっておるわけです。そういうような問題は地方教育委員会がやるべきことであって、文部省は何も知らぬというような御意向のように今承ったのですが、私は、文部省はいろいろなことにちょいちょい口を出してみえるのですが、それがそういう問題については口を出さぬ、こういう態度なのか、この点一ぺん伺っておきたい。
○政府委員(福田繁君) そういう意味じゃございませんで、もちろん、必要があれば相談いたしたいと思いますが、就職の時期は、御承知のように、高等学校でございますと、十月に大体きまるわけでございます。したがって、そういう就職決定の時期と、それから実際に試験を受ける時期とに相当時間があるわけでございます。したがって、もしそういう必要があれば、もちろん各都道府県の教育委員会と、都市でございましょうと思いますが、相談をして一向差しつかえないわけであります。東京都の場合等におきましては、全日制と一緒の期日に試験をいたしますけれども、もちろん補欠募集等をやっております。全然道がふさがっておるものではないと思っております。さらにそれを適当な時期にずらす必要があるというような実情になっておれば、これはもちろん相談をしてやっていきたいと考えております。
○成瀬幡治君 この問題については、私意見を申しませんが、ひとつ善処していただきたいと思います。 次に、この資料をいただきました警察関係のことであります。 この資料で見ますと、凶悪犯のうち、殺人が、十四才から十八才までで、昭和三十七年には七人あった、三十六年は八人あった、こういうふうに大体この資料を見ていっていいと思いますが、その横に百十九とか百五十八という数字は、これは何でしょうかな。
○政府委員(野田章君) この表にありますのは、左側のほうは十四才未満の少年の殺人、それから右側の数字は十四才から十八才までの少年の殺人、各項ともそういう年令別でございます。
○成瀬幡治君 そうすると、十四才未満で昭和三十七年には七件あって、十四才から十八才までは百十九件であるということですか。
○政府委員(野田章君) さようでございます。もちろん、これは、殺人と殺人未遂、あるいは殺人予備、そういうものを全部含んでおります。実際に被害者が殺されてしまったという数字だけではなくて、殺人未遂、あるいは殺人予備というものも含んでの件数でございます。
○成瀬幡治君 これは、全国的じゃなくて、世界の水準からいくと、どうなんですか。なかなかいいところの水準なんですか。いいところなんと言っちゃ非常に悪いのですが、世界的に見て……。
○政府委員(野田章君) 国際的な統計との比較ははっきり申し上げられませんが、まあ、アメリカなんかと比べますれば、日本のほうがまだ少ないのではないかと思います。
○成瀬幡治君 実は、正直に申しまして、私は、凶悪犯というのは、十四才未満で昭和三十二年や三年ごろにはないと思っておったのですよ。ところが、これをいただいて実は驚いておるんです。しかもそれが、統計的に見れば、凶悪犯が七百五十件も十四才未満では三十七年度にあり、片一方では、三千五百四十三件は十四才から十八才。ちょっと驚いておるわけです。しかもそれは、ふえたり減ったりというわけじゃなくて、でこぼこになっているわけですが、しかし大ざっぱなことを言えば、だんだんふえていくという傾向ですね。
○政府委員(野田章君) 少年犯罪の大体の趨勢を申し上げますと、まあ、戦後は戦前の約倍にふえましたものが、昭和二十六年ごろを最初のピークにしまして、二十七年、二十八年ころからずっと下がって参りました。二十九年ごろからもう一度上がり出しまして、最近ずっと上がってきております。ただ、この数字の中で申し上げますと、たとえば、昨年の少年の凶犯だけでなくて、刑法犯罪全体を見ますと、少年の刑法犯罪が、三十七年におきましては約十六万二千人、これは、三十六年の十五万八千人に比べますと、約四千人の増加でございます。年々増加しております。ただ、非常に問題になりますのは、ただいまも御指摘がありましたように、昨年の十六万二千人の中で、十四才、十五才という少年の犯罪が約一万五千件ふえております。そういう面から見ますと、総数で約四千件の増でございますから、十六才、十七才、十八才、十九才という比較的年上の少年の犯罪は約一万一千件減って、そして十四才、十五才という年令の低い少年の犯罪が一万五千件ふえて、総数で四千件ふえた。最近の少年犯罪の趨勢の非常に著しい特徴の一つは、今申しましたようなところから、非常に年令の低い少年の犯罪が激増しておるこういうことが申し上げられると思うのです。で、この年の低い少年の犯罪では、ここにあります凶悪犯はもとより、暴行、傷害、恐喝、粗暴犯、あるいは窃盗犯、あるいは詐欺というような知能犯、風俗犯、いずれもふえております。
○大竹平八郎君 関連。今の十六万幾らの犯罪におきまして、起訴せられた確定数はどれぐらいですか。
○政府委員(野田章君) 三十七年につきましては、まだ報告を見ておりませんが、従来少年の犯罪事件は、一応全部家庭裁判所に回しまして、その特に重いものが検察官のほうに逆に送致されてくるわけですが、大観してみますと、大体約七割ぐらいが審判の不開始、不処分という形で終わりまして、残りの三割の中で約一割ぐらいが保護観察というような状態になりますので、実際に体刑になるというような少年というのは、全体からみれば一割未満ぐらいというのが今までの例でございます。おそらく昨年の例もそういう形になるのじゃないかと思います。
○大竹平八郎君 三十六年は、たしか今の経過からいって、最後に起訴されたものが八千を突破していると思うのですが。八千幾らと記憶しているのですが。
○政府委員(野田章君) 後ほどお調べしてお答え申し上げます。
○成瀬幡治君 私は、いろんなこまかいことよりも、大臣にその結論を急ぎたいのです。時間がきてしまうから。 とにかく、いろんな面が私はあると思うのですよ。要するところは、文化がだんだん欄熟してくるといいますか、進歩してくるという言葉でもいいでしょう、とにかく、文化水準の高いところは青少年問題はつきものである、だんだんとふえてくると、こう思うわけですよ。どうやったらいいかということなんですが、いつも、戦争のあとは大体いろんな問題が出てくると思う。そこで、大臣が、こういう問題について、今内閣に青少年問題協議会もある、おれのほうは中教審も持っている、いろんな問題があると思うが、こういう問題について、何か根本的なことを一度討議して、私は、根本的な政治、経済、いろんな問題をひっくるめてやらないと、とても解決ができぬのじゃないかと思っておるのですが、そういうことについて、何か根本的な構想をお持ちになっておりましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私自身、特別に、おっしゃるような、総合的、学問的な検討も必要かと思いますが、そういう総合性を持った検討を加えた結果に基づいての示唆も受けたものはございません。また、個人的にも、特別にそういうふうに突っ込んでおっしゃるような方向でもって検討したこともございません。ただ私は、文教を預かります立場において、自分なりに、直観的なこと以上に出ませんけれども、考えますことは、どうも終戦以来、親が自分の子供に対してしつけをするということを、少なくとも忘れていないまでも、何らか遠慮気がねをする、そのことが民主主義であるというふうなばく然たる混迷が長く続いておるのじゃないかということを思います。したがって、自分の最愛の子供に対しては、親としての立場から、少なくとも親が身につけておる一つのしつけの能力があるわけでございますから、率直に、愛すればこそ、しつけをもっと積極的にやってもらったらどうだろう、その辺の努力が、私は家庭的には欠けているのじゃないかということをおそれるものであります。 それからさらに特に義務教育の場におきまして、親がしつけをすべき年令、特にしつけの必要な年令が小学校の児童生徒の年令だと思いますが、制度上親の手元から、いわばもぎ取って、一定の時間学校に収容しておる、そういう意味の学校における先生方も、戦後の教育が非常にアメリカナイズされた考え方で、それ自身いいことだとしろうとながら思いますけれども、アメリカの社会事情、家庭事情あるいは宗教、情操教育等と日本の実情とはおのずから違うはずだ。それを、アメリカ的な自主性を特にたっとんで教えるという考え方で新しい教育が行なわれきたっておると思いますけれども、それがどうも、日本人の二千数百年来の習慣性といいますか、まあ細胞の末端までしみついたような民族性と遊離した教え方あるいは学校教育の態度ではなかろうか。先生一人々々がけしからぬとか、日教組を悪口言う意味であえて申し上げているのじゃございませんが、教育の考え方があまりにも輸入色が強過ぎたために、その間に、いわば親にかわるしつけをするということは学校の先生の職分じゃないなどという理屈を言う方もあることは知っておりますが、その理屈は離れまして、義務教育の場では、年令的に親にかわってしつけをするくらいの気持で先生が人間性を陶治していただく必要があるだろう、対症療法的に。それが日本の実情じゃなかろうか。 ことに戦争に負けまして、一般的にぼう然としております際でありましたから、過去においてはなおさら必要があり、今でもある程度そういう意味は残っておるのだろうと思いますが、そういうことで、家庭と特に義務教育の場における先生のしつけと申しますか、徳性の涵養、人格形成というか、ともかく家庭教育と学校教育、なんづく義務教育の場が理想的に、児童生徒のために運営されますならば、中学を卒業して、ここに出ておりますような十四才から十八才ぐらいまでの年令のものに、こういうおとなも顔負けするような凶悪犯罪はもちろん、非行事件等は起こさないで済みはしないか、まあ希望的には、そういうものを一人でも出さないという気持で教育と家庭のしつけが行なわれるべきでなかろうかと、そういう気持から言いますと、先ほど来申し上げますような意味で、家庭も学校も、ちょっとなすべきことがなされないでおる。そのことが、不幸にして児童生徒のこういういまわしい事件となって現われる根源の大部分はそこにあるのじゃないかというふうな気持がいたします。 一々具体的に事例を押えて細密に検討した結論でも何でもございませんから、直観的な気持でしかございませんけれども、しかし、そういう心がまえで臨むだけでも、ずいぶん違うのじゃないかという、その期待を私は持ってそうに思うわけであります。そこで幾分職掌柄らしいことを申し上げれば、先刻も予算の御説明で申しましたように、道徳教育というものを、今申し上げた気持も含めたやり方で、もっとみっちりやるべきじゃないかというふうに思うわけであります。 さらにもうちょっと、長くなっておそれ入りますけれども、補足さしていただけば、私は、先生方も、一週間に一時間の道徳教育の時間はできたけれども、それは優秀な人は別としまして、一般的には、その時間をもてあましておる、そういう悩みをまじめに訴えている人も相当あると伝え聞いております。ですから、先生方が、今申した意味で子供に教えていただく。勢い徳目教育的になるかもしれませんけれども、少なくとも道徳教育の場における、幾何学でいうならば、定理、公理に属するがごときものはどうしても教えていただく、善悪の判断としての、一つのものさしとしての定理、公理的なもの、そういうことをともかくやったらどうだろう、そこで、その意味における必要な資料を先生方に提供する、ということを文部省としては考えなければいかぬじゃないかというふうに思うわけであります。さらに、児童生徒自身も、活字になった——教科書といえばいろいろ語弊がございますけれども、だれが見ても、そういうものがあるなら非常にいいなとおぼしきものを、専門家その他実務家等にお願いをして作っていただく、それをあわせ支給して、先生と生徒が気持を合わせて、家庭と一体をなしたような気持でやっていただくならば、ずいぶん違うのじゃないか、そういうことを私は思うわけであります。
○成瀬幡治君 大臣ね、実はそういうことを言えば私は切りがないと思うのです。たとえば、入学難だから、就職組と進学組と分けられちゃったら、勉強はもういやだ、深夜喫茶にでも行こうということになる。こんなことが許されていいものかどうか。睡眠薬を飲んだり、麻薬にいくでしょう。ギャンブル行為がどうなっておるとか、あるいは映画、テレビがどうなっておる、読みものがどうなっておるとか、何にしても、肉体と精神的なものとのアンバランスですね。栄養がよくなってきておりますからね。ともかく、今いろいろなことがあると思う。そこで、それでは深夜喫茶に対しては、文部大臣はどう思っておるか、これをどうされるのか。特にオリンピックを控えて、いろいろな問題があります。これをどう考えているのか。どうしたらいいのかということを聞いてみたいと思っているのですが、予定の時間になったようですから、やめますが、大臣にこの際お願いしておきたい。 大田がうんと道徳教育に熱心なことはよくわかります。しかし、それだけでは事が解決せぬじゃないか。親のしつけがどうのといったって、それでは解決せぬじゃないか。今、青少年の問題について根本的な対策を、内閣、文部省がやらなくても、とにかくどこかが真剣に取り組んでやらなければたいへんなことになりやせぬか。内閣のほうには青少年問題協議会があって、何かやっておる。それから中教審がある。それからまた、大臣が覆ったように、道徳教育をやろう、そういうふうにいろいろなものがあるが、そういうものを、一貫した何か総合的な対策を打ち出すときがきておるのじゃないか。そういうことに対して、大臣として、今後何かやろうとされるお気持があるのか。大圏が努力されておるということは、私はよく認めます。その上に、なお大きい網を打っての対策をお立ていただく、そういう必要なときじゃないでしょうか、こういうことを私はお尋ねしておるわけなんです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点は、御指摘のとおり、一文部省という立場でなしに、むしろ政府全体として、おっしゃるような角度から、真剣に取り組むべき課題であると思います。それはしかし、すでに義務教育課程を終わった青少年の現実の問題をとらえながら、どうするかということに主眼点が置かれるであるだろうと思います。それからまた、そういっている間に、もうすでに中学を卒業して社会に出る人もむろん含まれますけれども……。ですから、すでにそういうふうな悪に染み始めている青少年に対する課題としての問題が特に当面の深刻な課題として御指摘になっておることだと思います。これは学校教育の場ではどうにもなりません。社会教育——文部省だけでいえば社会教育の場でございましょう。それだけでむろんいかぬことはお説のとおり。法務省といい、あるいは公安委員会の問題でもありましょうし、厚生省も関係してきましょうし、もろもろのこれは政府全体でもっと真剣に取り組んで、具体的に効果のある着実な政策が行なわるべきものと思います。ただ、また再来年出ないように、再来来年出ないようにどうするかということを中心に申せば、学校の先生と親が全責任を持って、青少年は一切いまわしい考えを持たないように、こういうばかなことをやらないようにするということを目標に、真剣に取り組むべきであろう、こう思うわけです。
○成瀬幡治君 私は、全然こまかい話ですけれどもね。中学校で先生がもてあましてしまって、謹慎をさせたりしておりますね。これは、義務教育でこういうことのいい悪いというのは非常に問題もあるでしょうし、片一方では、むろん、昔でいえば、中学じゃ退学を命じたこともある。年令的に見れば、今でいえば中学校の三年生ぐらいになると思うのですね。あるいは肉体的精神的な発達度合いからいえば、昔の十五才は今の十五才とはむろん違うと思います・そういうことがいいか悪いか、これは私は、これからのいろいろな問題に出てくる問題であろうと思います。これはいいでしょうか、悪いでしょうか、謹慎させて、学校へ来ちゃいかぬということ、停学なんですね、一種の。このことはどういうふうにお考えなのですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 少なくとも、義務教育の場では望ましいことじゃないと思います。そういうことをするくらいならば、先生方御迷惑かしらぬけれども、停学を命ずるようなことをしないで、よくわからせるような努力をしていただくことのほうがより効果的じゃなかろうかというふうに思います。これは思いつきでして、よくほんとうのところはわかりませんけれども、即席で申し上げれば、私は感じとしてはそう思います。
○成瀬幡治君 私は少年院に——少年法の改正にも、私は個人的に意見を言えば、反対なんです、今でも。この資料を見ても、驚きましたけれども、反対なんです。それから少年院に入れることも私はいかぬと思う。青少年の犯罪というものは、少なくとも国家の罪だ、おとなの罪だ、あなたの言葉でいえば親の罪だと思います。ですから、そういうことのないように努力せよ、だから、先生がそういうことについて努力せなければいかぬ、こうおっしゃることは、私はまことに同感の至りなんです。しかし、現実の問題としては、それだけじゃいかぬ。今言ったように、少年院があるじゃないか、片一方ではそう言われると思います。ですから、これは私はきょう御答弁をいただこうと思いません。これらを課題として、中学校ではたして謹慎、別の言葉でいえば停学を命ずることが許されるかどうか、今後そういうことがあってもいいのか、あるいは文部省としては認めていくのかどうか、都道府県の教育委員会の自主性においてやる問題だから知らぬということは、私は文部省としては言えぬだろうと思います。これは、後刻文教委員会で承ればけっこうですから、御検討をお願いして、私は質問を終わります。
○大竹平八郎君 時間もありませんから、簡単に私は、文化財保護関係について二、三点伺いたいと思います。 かつて河井さんが委員長のときだと思いますが、私は予算委員会で質問を申し上げたことがあるのですが、そのときの一つの具体例といたしまして、天下の三勝の一つといわれる宮城県の松島に、突如として人造温泉が建って非常に問題になったことがあるのですが、それに関連いたしまして、芝公園の徳川霊廟が、御承知のとおり、最近はあっという間にゴルフ場になってしまった。そういうような歴史的なところが、至るところに、近代スポーツの名により、あるいはまた、いろいろな理屈においてこれが破壊され、また破損されつつあるというような状況を指摘をしたことがあるのですが、現在、具体的にそういう問題に関連して今問題になっておる点がありまするならば、この際ひとつお示しを願いたい。
○政府委員(宮地茂君) ただいまの御質問でございますが、現在先ほどお引きになられましたような例が起こっておる場所があるかという御質問でございますが、その点につきましては、現時点においてはございません。ただ、指定はされていないけれども、古墳等で、いわゆる文化財であるものが、産業開発とか、あるいは宅地造成、いろんなことで、多少棄損されておるといったようなことは、一、二耳にいたしておりますが、指定されておるものが今御指摘のような事態になっておるという例はございません。 ただ、昨年一月でございましたか、鹿児島市の城山の、史跡として指定されております城山の土塁を、一観光業者が駐車場のためにこわしたという例がございまして、これもまあ裁判ざたになっておりましたが、昨年の十一月末に解決を見まして、無断でそのようなことをやった観光業者に対しましては、会社に対しまして三万円の罰金、それからその事業を実施いたしました実施の責任者に対しましては懲役八カ月、ただし執行猶予三年でございますが、それが最近に起こりました事例でございます。現時点にはございません。
○大竹平八郎君 松島問題はどうされたのですか。
○政府委員(宮地茂君) 松島の例のタワーの問題につきましては、業者が無断でああいう塔を建てようとした、これは、法律にもございますように、いわゆる史跡、名勝、天然記念物、こうしたものの現状変更をする場合は文化財保護委員会の許可を得ることになっております。にもかかわりませず、再三許可を得るようにというような注意をいたしましたが、それをがえんじないで塔をたてている。したがいまして、これの取りこわしを命じておりましたが、関係者、特に県知事さん方のごあっせん等もございまして、最小限度、塔の高さをあまり高くしない、建てておりました塔の一部を、取りこわしまして、一応名勝としての景観を保ち得る限度で許可をして落着をしたということでございます。
○大竹平八郎君 そうすると、松島問題は、温泉場を作るとかいうことよりも、そのタワーの問題が問題になっていたのですか。
○政府委員(宮地茂君) 私も実はこの一、二カ月、まだ二カ月になりませんが、ただいまのポストにかわりましたので、詳細を存じませんが、私の聞きましたところでは、温泉問題というよりも、この塔のように聞いております。
○大竹平八郎君 それから芝公園の霊廟跡ですが、これは指定対象にはならないのですか。一
○政府委員(宮地茂君) その点は現在形式的には指定した文化財ではございません。
○大竹平八郎君 そうすると、自由にやっていいというわけですね。
○政府委員(宮地茂君) これは、まあ文化財保護法の規定を待つまでもないと思いますが、特に文化財保護法の趣旨をいいましょうか、精神としましても、いわゆる歴史的な遺物、遺跡、こういったようなもので、学術的にも価値のあるもの、これを文化財ということに定義をいたしております。その文化財のうちで重要なものが重要文化財として、あるいは史跡、名勝、天然記念物として指定される。その中でも特に重要なものが国宝になりましたり、あるいは特別史跡といったような段階になる。文化財保護法では、いわゆる指定されました文化財についての規定が多いのでございますが、いわゆる歴史的なそういう遺物で、指定はされてなくても、学術的、芸術的等で価値があるものは文化財である、こうした文化財に対しては、国民がやはり、法律に規定を設けて一定の行為を禁止してはおりませんけれども、できることならば、そういうものが保存されれば望ましい、というのが精神であろうと思います。しかし、したがいまして、指定されてないものは取りこわしてもいいのかという御質問にはお答えしにくいのですが、法律には触れませんが、気持としましては、指定されなくてもそうした歴史的な価値のあるものは、いろいろな産業開発とか、その他公益上のいろいろの問題でやむを得なければ別として、一応残せるものは残しておいたほうがいいのではないか。したがいまして、御質問の、指定されてないものは何をやってもいいかという御質問に対しましては、ケース・バイ・ケースでございますが、気持としましては、法律には触れないけれども、残せるものなら国民的な遺産ですから、残したほうが望ましいというふうに考えます。
○大竹平八郎君 これから観光ブームに乗って、いよいよますますそういう傾向というものは強くなってくると思うのです。そこで、私どもは、やはり日本の長い間の歴史的文化というものは、何らかの形において、やっぱり保存していかなければならぬ。したがって、あなたのほうの直接な監督下にないもので、広い意味において、やはり府県庁等を通して、やはりこの意思表示を時によってはやる必要があると思うのですが、その点はいかがですか。
○政府委員(宮地茂君) 文化財保護法の規定によりましても、国が正式な指定をしたものではなくても、緊急に必要があるというふうな場合におきましては、都道府県の教育委員会が仮指定をするというような規定もございます。また、それとは別に、国の指定ではございませんが、やはり地方々々におきまして、国家的には絶対にというものではないが、地方的には価値があるといったような観点から、都道府県教育委員会で都道府県の文化財として指定されておるものもございます。したがいまして、国の指定といいますのは、やはり指定をいたしますと、いろいろ所有権その他を制限いたします。そういうようなことから、絶対に指定しておかなければいけないものと、それほどまで制約をすることよりも、まあ国民的な保護しようという気持にまかせておいて足りるものと仕分けをいたしておりますので、いろいろな会合等でも、国が指定したもの以外でも、地方的に価値があるものは保護されるようにといったようなことを話し合ってもおりますし、また通達もされておりますし、また地方でそういうようなお話がございますれば、国としては指定しないが、価値があるものだから地方的にも保存しなさい、といったような指導等を行なっておる次第でございます。
○大竹平八郎君 重要文化財に対しまして、新年度、これは予算を見ても、なかなかちょっとわれわれにはつかめないのですが、全体で補助金はどのくらい出しておるのですか。数は非常に多いと思いますが、概略でいいです。
○政府委員(宮地茂君) 約六億五千万円でございます。
○大竹平八郎君 全部で……。
○政府委員(宮地茂君) はい。
○大竹平八郎君 この重要文化財が、市のものか、あるいは村のものか、そういう公有的なものならばよいのだが、たとえば個人ですね。個人が持っている刀剣が指定されたとか一あるいは仏像が指定されたというような場合があるんですが、これなんかが、なまなかわずかな補助金をもらっているというようなために、なかなか売ろう——といいますか、たとえば極端に言えば、どうもうちの調子が悪くなってきた、これでもひとつ売らなきゃ背に腹はかえられないというような場合ができてきまして、これを売ろうとするのにも、そういういろんな制約があって困るというような実例をわれわれはよく聞くのですが、これは、保護委員会としてはどういう工合に御指導されておるのですか。
○政府委員(宮地茂君) まず、所有者がいろいろ修理等をする場合の補助金でございますが、これは、学校建築等のように、たとえば国が二分の一補助するとか、三分の二補助するといったような定率補助はなかなかむずかしゅうございます。文化財の特殊性で一律に参りません。しかしながら、従来の実績を申し上げますと、非常に所有者が貧しい、経済的負担能力が少ないといったような場合には、八〇%をこしまして九〇%ぐらいまでも国の補助金を出しておるといったような実例がございます。したがいまして、二分の一以下の補助金というのは文化財にはほとんどございません。したがいまして、一般の補助金よりは相当高率になっております。 それから第二番目の、所有者が、刀剣等で文化財のものを売りたいというような場合でございますが、この場合には、まず所有者は国に売却を申し出ることになっております。したがいまして、国といたしましては、刀に例をとりますと、その刀剣を所有者が百万円で売りたいという意思表示をして参りますと、国として、もちろん予算に制限がございますので、無制限には参りませんが、それを評価委員会にかけまして、これはいわゆる刀剣の学問的な専門屋もございますが、またそういうことを商売にしておられる方も交えまして、適正な見積り額を出していただきまして、それらの平均値でそれを買い取るというふうにいたしております。したがいまして、国が買います場合、非常にたたいて買うといったようなことはいたしておりません。しかし、予算がございませんので、それは買えないというふうになれば、その他の一般人に売却してもよろしいという手続で売らせております。
○大竹平八郎君 大臣にお尋ねしたいのですが、無形文化財もいろいろ指定されていると思うのですが、特に文楽が指定されている。これは日本の古典芸術を保存するという意味で非常にけっこうだと私は思うのです。しかし、これから国立劇場の計画もありますし、その文楽に劣らない日本の古典芸術というものは何かということを言いますと、やはり古典歌舞伎じゃないかと思うのですね。私どもも外国に行って、わからないながらも、各国の国立オペラを見て回ると、わからぬけれども何かやはりつかんでくるんですね。それから外国人が日本に来られて、そして歌舞伎が、このごろだんだん、特定の観客層だけの古典歌舞伎をやってちゃいかぬもんだから、いろいろまた新しい脚本で書き直されたものを演ずるというようなものには、あまり外国人も印象に残らない、ほんとうのやはり「勧進帳」とか、「鳴神」とか、あるいは「暫」というような、いわゆる歌舞伎十八番ものに非常に心酔をするというような面が多いので、これは、私どもが外国へ行って受けてくる感じと同じなんで、その国その国の、どうすることもできない一つの伝統というものが、優艶な伝統というものが私はあると思う。そういう意味で、歌舞伎は何でもいいからやれとは私は申しませんが、特にすぐれたものなどは、この際、文楽と同じように、何か一つ文化財というようなものにして、私は残しておいていただいたらどうかと、こう思うのですが。 それから、かって私は、これは文部省にちょっとお世話になったことがあるんですが、昭和八年か九年だと思いましたが、なくなられた有名な清元の家元に延寿太夫という人がおられたわけですね。有名な延寿太夫の「隅田川」という曲があるわけなんですが、これを、当時としては珍しく文部省としても画期的なことをやられたわけなんですが、皇后陛下の前で延寿太夫が「隅田川」を語られた。これがそのまま録音をされまして、今でも文部省に残っておると思うのですが、これは非常に好評を内外から受けけたことがあるのです。こういうようなことで、私は、やはり日本の古典歌舞伎というものは・これから今の若い人たちが育っていくに連れて、決して観客層というものは、少なくなれこそすれ、多くなるということは考えられない。そういう意味からいっても、古典歌舞伎のごく一部のものに対しては、やはり文楽と同じように、ひとつ無形文化財というふうに指定するというようなお考えはお持ちかどうか、この際お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お話は私も同感でございます。ちょっと聞いてみましたところ、映画やテープに文化財保護委員会として記録をして一部保存をいたしているようでございます。また。人間文化財としては、二代目市川寿海と六代目市川団之助の二人が人間文化財ということに指定されていると、今ちょっと教えられましたが、人間文化財の指定は、今後もりっぱな人たちには続けていくべきものと思います。同時にまた、文楽等と同じような趣旨で、日本の古典芸能として温存し、後世に伝えていくべき値打のあるものと、私も御同感の意を表します。
○大竹平八郎君 それから宮地局長に伺います。 最近、御承知のとおり、日本の至るところにお城ブームというのがある。昔どこどこの癖であったという何々市に、こういう有名な城があったんだというので、それを復元するということは、これは一応わかると思うのですけれども、ところが、城なんか一体あったこともなし、あるいは歴史上も何の関係のないところに、このごろじゃんじゃんコンクリートの城が建つというような傾向というものが非常に多くなっているのですが、これは、主として観光客を当てにしての計画だと思うのですが、こういうことに対して、どういう考えを持っておりますか。
○政府委員(宮地茂君) 御指摘のような事例がございます。そのような場合には、実は、いわゆる天守閣等は現存はいたしておりませんが、それがあった跡地、これは、多くは石垣なり、堀が残っている程度のお城跡が多いのです。そういったものは、大部分が史跡に指定されております。したがいまして、そういう、堀が残ったり、石垣が残っている、その跡にこういうお城があったであろうというようなことから、そういう場所にお城を復元したいというお話が二、三現在でもございます。この場合、文化財といたしましては、復元されるといいましょうか、お建てになる城そのものは、これは指定をいたしておりません。しかしながら、その辺の住民といたしましては、戦災で焼けるまでは、あれが町なり市のシンボルであった、朝な夕な、あの天守閣を見て市民は非常に元気づけられておったのだといったような、非常に郷土愛的な特有な感情があるんだ、したがって、ぜひ復元したいのだ、といったようなお話もございますし、単に観光的な見地からなさる場合もあるんでしょうが、大体そのようなお話でございます。私どもといたしましては、せっかく残っております石垣なりお堀なりというものは、史跡でございますので、その史跡に、あまりいかがかと思われるようなお城を作られるよりは、作られないで、廃墟ではございましても、そのままな形で史跡として保存したい、あまり変なものを作られるのは感心しないというような、まあ原則としてはそういう気持を持っておりますが、しかし、やはりそこに復元可能な図面があったり、郷土愛的な市民感情として、ぜひ復元したいといったような教育的な見地から、単に観光ということ、銭もうけということでなくて、教育的な意義も認められる申請をされます場合には、むげにこれを断わるのもいかがかというようなことで、まあお話があれば、ケース・バイ・ケースで、よく相談申し上げて、全然そこへ建てられたのでは、周囲の景観もそこなうし、あるいは全く観光的なものであるというふうに考えますときには、不許可にいたしますが、教育的に意義もあり、あるいはある程度復元可能な図面も持っておられて、非常にまじめなお話であれば許可するといったような、ケース・バイ・ケースで進んでおります。
○大竹平八郎君 最後に文部大臣に、これは、非常に実現をするということは、なかなか困難があると思うのでありますが、しかし、やろうと思えば、そうまたむずかしいことでもないと思うので申し上げたいと思うのでありますが、御承知のとおり、今中国が二つになって中共と台湾による国民政府と、二つになったわけでありますが、そこで、中共と国府が分かれるときにあたって、いわゆる北京の故宮博物院、それから南京の博物館、このものが大体——これは、私はしろうとでよくわかりませんが、七〇%から八〇%くらいは、大体現在台湾の台中にあるわけなんですね。これは、戦前も、御承知のとおり、イギリスで展覧会をやるというので、ロンドンでもやったことがあるわけです。このときは、駆逐艦が何ばいかついて持って行った。それで、中国の文化というものは、そのまま日本人が御承知のとおりわかる文化であって、それからまた、日本の情操教育という立場から言いましても、非常な私は大きな意義があると思うのです。 そこで私は昭和三十二年ですか、その文物館の館長をやられておる人が孔子さんのいわゆる七十七代の裔孫になっている孔徳成先生がやっておるわけです。私は、いろいろの関係で特別親しくしておるのですが、そこで翌年私呼ばれまして台中に行って、われわれしろうとでわかりませんけれども、できるだけたくさんの宝物を見せていただいたわけです。三十二年に私どもが呼んで、日本の重要美術だとか、建築だとか、ありとあらゆるところを、私は日本じゅうを案内したんですけれども、今から八百年前だとか、千年前だとかいうようなことには、ちっとも何の感じもないんですね。ことに日光に行って、今から二百七十年前の建物だと言ったら、笑って、まるで博覧会というか、何か余興の建物を見るようなつもりで、ちっとも日本のものに感動しなかった。そこで私は呼ばれて台中に行って、初めて向こうのものを見せられて……。たとえば四千年、五千年前くらいのものは、極端に言うと、片っ端からある。点数にいたしまして全体で約四千数百点あったのですね。これを、私は何とか——日本と一衣帯水にあるわけです。そして日本の文化の親玉でもあるのだから、何とかこれをひとつ日本に、たとえ百点でも二百点でも、持ってきて、そうして日本で展覧会でも開く、むろん新聞社等の後援も得なければならぬけれども、そういうことを実はつくづく感じたわけなんです。そういう私は計画を持っていた。 ところが、去年、アメリカに約二百五十点ばかり持っていったわけですね。アメリカで、約半年にわたって各地で展示会を開いて、東洋文明のいわゆる象徴として各方面で大きな反響を呼んだわけです。私、先般ちょっと向こうに用事があったものですから、再び参りまして、あらゆるものを見せていただきまして、一そうその感を実は強くいたしたわけなんですがね。これはむろん、両国が一ただ単に後援団体がどうのこうのといってできるものじゃなくて、両国政府のほんとうの立場をはっきりしなければ、なかなか実際は開催できないと思いますが、しかし、両国政府がほんとうにやるという気持があれば、とにかく船に積めば三日か四日で来るところですから。私はこれをやったら非常な影響があると思います。今、日本は、朝日新聞か何かの主催のエジプト美術五千年展が行なわれているのですけれども、とにかく、最も日本にいろんな意味において近い中国の文化というものがまのあたりにあるわけなんで、将来こういうものが具体化されて、そうしてそのうちの百点でも二百点でも、代表的なものが日本に持ってこられて、そうして日本で展示会ができるような構想が、いろんな方面で達せられるようになれば、ひとつ、文部省としても、特段の援助をしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは、外務大臣と相談してしか御返事できないような工合でざごいますが、事柄としましては、むろん私も大竹さんよりはるかにしろうとでございますから、わかりませんけれども、お話を聞いただけでも、何かよだれが出るような気持がいたします。文化財保護委員会が中心になろうかと思いますが、文部省及ばずながら、そういうときには御協力申し上げてしかるべし、こう思います。
○政府委員(野田章君) 先ほど御質問がありました三十六年の刑法犯の少年の起訴人員は、一万二千五百四十四人でございます。そのほかに、特別法犯で、交通事件で起訴されましたものが、八万八千四百四十六人でございます。
○山本杉君 もう時間がおそうございますから、簡単に二点だけ御質問申し上げたいと思いますが、この御説明いただきました一番最初のをおまくりになっていただくと、指導主事というのが出てくるのです。この指導主事というのは、どういう仕事をするのでございますか。
○政府委員(福田繁君) お尋ねの点は、充て指導主事のことであろうかと思いますが、指導主事は、御承知のように、教育委員会におりまして、教育内容について学校の先生方なり、現場を指導するという役目を持っております。充て指導主事ということになりますと、これはやり方でございますが、教員の身分をそのまま持っておりまして、そして教育委員会の指導主事にそれを任用する、それを「充てる」と略して申しておりますが、そういう趣旨のものでございます。
○山本杉君 この充て指導主事というのかどうか、私にはよくわかりませんが、これと社会教育主事とは、待遇がどう違うのですか。
○政府委員(福田繁君) 私の申し上げました充て指導主事は、学校教育の指導をやるものでございます。したがいまして、これは、充て指導主事でございますと、一般の教員の俸給表によってこれはさまっております。社会教育主事のほうは、これは、足りなければあとで社会教育局長からお答え申し上げますが、地方の市町村に置かれております場合には、市町村の吏員その他と一本になりまして、そして交付税法によって単価がきまっておるものでございます。大体最高はほぼ同じだろうと思いますが、これは別に俸給表になっております。
○山本杉君 私にはよくわからないのですが、地方などに行きましたときに、社会教育主事の待遇が悪い、これに比べて悪いということを聞くんですが、同じようになさるおつもりはございませんか。
○政府委員(齋藤正君) 社会教育主事は、都道府県及び市町村の教育委員会に置かれる専門職員でございまして、一言で言えば、学校教育における指導主事ということに相当する職であろうかと思います。ただ、給与の点に関しましては・特に先ほどお話のありました充て指導主事等は、教員の俸給表のままで、あるいは負担制度が、義務教育の職員でありますれば、それがからむ問題になって参りますが、社会教育主事につきましては、これは、一般の市町村なり都道府県の吏員と同じでございます。給与の支払い額、あるいはそれが団体独自の給与条例に基づくという点では同じでございます。ただ、文部省といたしましては、社会教育主事の専門性にかんがみまして、できるだけこれが高く格づけされるようには指導いたしておりますが、これは、それぞれの団体の給与条例が最終的にきめることでございますので、高いところもあれば、それほど十分でないところもあるという実情だろうと思います。
○山本杉君 次に、大臣に伺いたいのでございますが、人口一万以下の市町村に対して、三十八年度中に社会教育主事を必置ということがきめられているということを伺っております。この社会教育というものが、地域社会や、また家庭の民主化というものに戦後果たしてきた役割はずいぶん大きいと思うのです。それで、伺いますところによりますと、三十八年度以降、だいぶたくさんの教員があまるということで、これに対しては本会議でも質問が出て、大臣はお答えになっておりますし、本委員会でもすでに質問が出ているのでございますが、この七万人余るという教員の処理でございますが、これは、文部大臣からのお答えではクラス人員を少なくして、教員の余分を出さないというような御意見のように承りすましたけれども、この人たちの中から適当な人を社会教育主事としてお回しになるお考えはございませんか。それを伺ってみたいと思います。
○政府委員(齋藤正君) 現在でも、教員の方で社会教育に熱心な方、あるいは能力のある方は、ことに都道府県の場合には、相当教員のほうから回っております。それからまた、市町村におきましても、特に県に頼みまして、社会主事に配置をしてもらうということはいたしております。ただ、ご質問の意味は、当初、お話に出ましたように、充て指導主事というような、そういう仕組みで、市町村の負担の軽減をはかりながら、適材を得る道はないかというふうに伺ったのでございますが、この問題につきましては、社会教育主事の養成あるいは研修あるいは給与制度等、全般の問題として私ども検討して参りたいと思います。
○山本杉君 大臣に伺いたいのですが、どうお考えでしょうか。学校の先生がたくさん余るのを社会教育のほうにお回しになるというお気持はございませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 定員がはみ出すから、おっしゃるように余るから、気の毒だから、ルンペンになすよりも社会教育主事にしたらどうだというような意味でございますと、ちょっと答えが困難でございますが、そうでなしに、三十八年度でもって、小中学校のいわゆる、すし詰め教育解消という課題が、五カ年計画の最終年度を迎えるわけでございます。ベビー・ブームが小中学校にありました当時からの懸案であったわけでございますが、それがどうやら一学級五十名とするということにたどりつきました。三十八年度も、ある程度はみ出す者がございますが、これは、各都道府県で十分に、はみ出さないような措置を講じてもらうように指導をいたしております。三十八年度としては、ですから、原則的にはみ出す者はない。問題は、三十九年度以降のことでございます。いよいよ児童、生徒数が減ってくる、だとすれば、五十名のままでいきますれば、どうしてもはみ出さざるを得ない。その問題が、今、特に教員組合の課題として登場しておるわけでございます。 ところで、一方、学級編制が五十名で将来もよろしいかとなりますと、教育的な効果を期待する意味におきましては、五十名では多過ぎる。しからば、何名が一番理想的であるかといえば、あるいは四十名といい、あるいは三十名という説もむろんございますけれども、一挙にそこまでいきますことは不可能に近いことでございますので、さしより文部省として考えておりますのは、三十九年度以降五カ年計画で四十五名の編制にしたい、そのためには、いわゆる、定数法という法律の改正を必要といたしますので、かつまた、予算の課題としても相当膨大な金も必要といたしますので、大蔵省等とも相談中でございまして、できればこの国会に御審議願うような法律改正案をお出ししたい、こういう課題がございますので、これは単に将来の懸案として検討するという問題じゃなしに、九年度以降は具体的にそういう計画に踏み切らざるを得ない。それは、失業救済ということでなしに、教育効果を上げる、戦争に負けまして、学級編制が余儀なくベビー・ブームを小中学校がかかえておりましたときに、はなはだしきは六十五名もあったものがたくさんございましたそうですが、それを五十名までたどりついて、できるだけ効果を上げる方向をたどらねばならぬ課題でございますから、むしろ、先生のおっしゃることよりも、せっかくいる先生を学校の場に温存したい、そうして教育効果を上げたいという問題でございますので、端的に申せば、社会教育主事のほうに回る人はおりませんというようなことかと存じます。 しかし、実際問題といたしまして、教員として勉強した人が、社会教育のほうに主事として回ってもらうことは望ましいことではあります。その一つ一つの問題としては、そういうふうに指導もいたしましょうし、望ましい方向づけもいたしたいと思います。ただ、御質問が、余るから困るだろうから、こういうふうにしたらどうだろうかというお説でございますと、余らないようにすることが教育上必要だ、こう申し上ぐべきかと思います。
○山本杉君 余るからルンペンになるとかわいそうだから、という意味じゃなくて、それが論議されておりますから、それを最もよく活用していただくという意味でちょっと伺ってみたんで、私の気持は、社会教育主事が、今まで、婦人教育の場であるとか、あるいは公民館で果たして参りましたその業績は、非常に大きいのでございますから、さっきから話題に出ております青少年対策や、いろいろな意味でもっともっと日本人の教育というものを徹底させる意味で、社会教育主事の待遇をよくしていただくということ、それからまた、一万以下の市町村にも必置しなければならぬという御趣旨を徹底させていただく意味からも、そういうふうなお考えがあるかどうかと伺ってみたのでございますので、どうもありがとうございました。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その意味でならば、人材を教育界に決めて、よき人を社会教育の主事のほうに持ってきて充実していく、そのために、待遇改善のことも当然努力さるべきもの、そういうふうに思います。
○山本杉君 ありがとうございました。
○主査(小平芳平君) ほかに御質疑のおありの方はございませんか。——別に御発言もないようですから、文部省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 明日は、午前十時に開会し、午前は厚生省所管、午後は自治省所管について審査を行ないます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十三分散会