予算委員会第三分科会 第2号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1963/03/26
会議録
○主査(後藤義隆君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。 本日は、午前農林省、午後建設省の所管について審査を行ないます。 それでは、昭和三十八年度総予算中、農林省所管を議題といたします。 まず、政府の説明を求めます。農林大臣。
○国務大臣(重政誠之君) 昭和三十八年度農林関係予算についてその概要を御説明申し上げます。 最初に各位の御協力を得て御審議をいただくに当たり、予算の裏づけとなっております農林水産施策の基本方針について申し上げたいと存じます。 まず、わが国農業の最近における動向は、さきにこの国会に提出いたしました「昭和三十七年度農業の動向に関する年次報告」に明らかなように、昭和三十六年度においては農業生産の増大、農産物価格の上昇、交易条件の有利な推移等を反映して、農業所得、農外所得がともに増加したため、農家所得の伸長はめざましいものがあり、農業従事者の生活水準は大きく上昇いたしております。しかし、農業は他産業の急速な成長と歩調を合わせられなかった点もあり、また、農業自体においても農産物の需給と価格の不安定、農業人口の他産業への流出に伴う労働力の質的劣弱化、兼業化の進行、その他土地資本装備、経営担当者等に関する経営条件が十分に整っていない等の諸現象が現われております。このような動向に対処して農業の一そうの発展をはかるためには、その生産性の向上と経営の合理化を指向して、農業構造の改善を推進することが喫緊の要務であると考えられるのであります。以上の点は事情に若干の差はありましても、林業及び漁業についてほぼ同様であると思われます。 また、農林水産業をめぐる国際情勢に目を転じますと、農林水産物に対する貿易自由化の要請はかなり強いものがあります。政府はこれに対処して農林水産物についてもこれまで段階的な自由化を進めて参りました。現在自由化されずに残されている物資は自由化の困難なものが多く、なかんずく米麦、酪農製品、牛豚肉等については、農家所得の形成上の重要性、零細経営に基づく生産性の低いこと等により現段階で直ちに自由化することが適当でなく、可及的に輸入制限を存続する方針であります。また、加工品についても同様の配慮を必要とするものもあると存じます。しかしながら、農林水産物についての貿易自由化に関する国際的要請は、今後ますます強くなることを考慮するならば、わが国の農林水産業をいつまでも現状のままに放置することはできないのでありまして、さしあたっては、農林漁業保護のため関税率の調整その他所要の措置を講ずる所存でありますが、基本的には農林水産物の生産、流通、加工の各部面を通ずる合理化により早急にその生産性を向上し、国際競争力を強化することがきわめて必要であると考えます。 この意味におきましても農林漁業の構造改善をはかることがまず重要な課題となるわけであります。さて、構造改善と申しましても、これに関する施策は多岐にわたっておりますので、諸施策が脈絡ある組み合わせをもって円滑かつ強力に展開されることにより、真の効果が発揮されると存じます。このような考え方に基づきまして、昭和三十八年度におきましては、生産の選択的拡大、生産基盤の整備、技術の高度化、経営の近代化、価格の安定、流通の合理化等農林漁業の構造改善をはかる上において重要と考えられる諸施策を相互に連係をとりつつ推進し、農林漁業者が安心してその体質の改善に邁進できるよう基本的諸条件を着々整備いたして参りたいと考えております。特に構造改善には長期低利の資金の確保が必要でありますので、これを第一義的に取り上げ、農林漁業における資本装備の充実をはかる所存であります。 このようにして、農林漁業の構造改善を弾力かつ安定的に進めるための体制を整備することを基本方針とし、昭和三十八年度予算を編成いたした次第であります。 まず一般会計における農林関係予算の総体について申し上げます。 農林省所管合計といたしましては、二千二百五十七億円となっておりますが、これに総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省所管を加えた農林関係予算合計は二千五百三十一億円となり、これを昭和三十七年度第一次補正後の予算二千四百九十三億円に比較すると、三十八億円の増加、また昭和三十七年度当初予算二千四百五十九億円に比較すると七十二億円の増加となっております。このように総額の上では前年度予算に比し、著しい増加とはなっておりませんが、前年度の経費で昭和三十八年度には減額となりますものが、食糧管理特別会計繰り入れで百七十五億円、伊勢湾高潮対策及び災害復旧事業等で七十二億円、農山漁村建設総合対策で十六億円、大豆なたね交付金で十億円、その他で十二億円、合計二百八十五億円でありますので、これにさきに申し上げました三十八億円を加えた三百二十三億円が実質的な増加額となっており、これが昭和三十八年度の新規施策及び既定施策遂行のための増額の財源に充当されているわけであります。 詳細な説明はお手元にお届けしてあります資料に載せてありますので、それで御覧いただくこととして、以下農林関係予算の重要事項についてその概要を御説明申し上げます。 まず、農林漁業にわたるものといたしましては、農業、沿岸漁業及び林業の構造改善に関する予算であります。農業構造改善事業促進対策費としては七十八億九千六百万円を計上し、昭和三十八年度は新たに三百市町村を加え、前年度からの継続分と合わせ農業基盤の整備、農業経営近代化施設の導入等、構造改善に必要な事業の総合的実施をはかることといたしております。沿岸漁業の構造改善対策費としては十億三千六百万円を計上し、漁場利用の高度化、経営の近代化、協業の促進等、その構造改善を推進する所存であります。また、林業につきましては、いわゆる林業地域における林業生産性の向上、林業従事者の生活水準の向上をはかるため、その構造改善を積極的に推進することとし、三十八年度は調査を実施するための所要経費七百万円を計上いたしております。 なお、以上のほか農業構造改善事業につきましては、これを強力に推進するため国と地方公共団体との一そう緊密な協力体制を確立するとともに、農民負担の一そうの軽減に資するため、農業構造改善事業の中核をなす土地基盤整備事業については、その事業費に対する国庫補助五割に加え、新たに都道府県費による補助二割を可能ならしめるため、これに要する都道府県の財政需要額を地方財政計画及び地方交付税の配分に際し、織り込むこととするほか、農業構造改善事業において市町村が事業主体となって実施する適債事業に対しては、起債の対象とすることといたしております。 また、農業及び沿岸漁業の構造改善を強力に促進するため、次に申し述べますような金融制度の改善をはかることといたしました。すなわち、従来農業近代化資金制度によって貸し付けられていたものを含め、農林漁業の構造改善の促進に特に必要な資金を系統融資機関の資金事情等に左右されない財政資金によって農林漁業金融公庫を通じ、あとう限りの長期かつ低利の条件をもって融通することとして、今回新たに農林漁業経営構造改善資金融通制度を創設し、その融資ワクを三百億円といたしたのであります。この制度は、資金の種類としては、農業及び沿岸漁業の構造改善事業推進資金、果樹園経営改善資金、畜産経営拡大資金、農地、未墾地及び林地の収得資金等であります。利率は構造改善事業推進資金は融資単独事業三分五厘、補助残事業六分五厘、土地取得資金は農業構造改善事業に関連するものは四分、その他のものは四分五厘、果樹園経営改善及び畜産経営拡大資金は据置期間中五分五厘、償還期間中六分とし、また、償還期限は、農業構造改善事業推進資金は二十年以内、土地収得資金は二十五年以内にそれぞれ延長し、貸付限度額は、農業構造改善事業推進資金につき個人の場合二百五十万円、協業の場合一千万円、また果樹園経営改善資金及び畜産経営拡大資金につき二百五十万円、土地取得資金につき八十万円とする等貸付条件の大幅な緩和をはかることといたしております。 なお、農林漁業金融公庫は、さきに申し上げました三百億円に従来から融資をいたしております種類の資金を加えますと、昭和三十八年度の融資総額は八百七十億円となり、前年度に比し百六十億円増額いたしております。また、昭和三十八年度における同公庫資金の原資は政府出資二百二十億円、資金運用部特別会計等からの借入三百六十六億円、自己資金二百二十億円を予定いたしております。 このほか、農業近代化資金につきましては、最近における農家の預貯金の状況から見て地方銀行等にも相当な額の預金が預け入れられておりますし、農家資金の農業への還元という制度本来の趣旨からして、この際政府の助成にかかる農業近代化貸金の融資機関の範囲を拡大し、組合系統金融機関のほか地方銀行、信用金庫等を融資機関として加えることとするとともに、融資ワクを五百二十億円に増額いたし、利子補給、近代化助成資金繰り入れ等に要する経費として百二十六億四千五百万円を計上いたしております。 次に、構造改善を安定的に進めるための体制整備の一環として農林水産物の流通の合理化に関する諸施策を整備強化するための予算について申し上げます。 まず家畜、畜産物につきましては、畜産振興事業団が流通改善等に資する事業を行なうため同事業団に対する交付金を増額するほか、食肉、食鶏、牛乳等について産地における出荷、処理施設、消費地における処理保管施設等の設置を助成して需給の調整、流通の合理化をはかるとともに、家畜市場再編整備等につき引き続き助成することとし、これらに要する経費十七億五千万円を計上いたしております。 青果物については、青果物生産安定事業を引き続き促進するほか、野菜の大都市への供給確保、果実の安定的供給のための措置等を整備することとし、これらに要する経費二億五千五百万円を計上いたしております。 次に、水産物については、引き続き産地における貯蔵運搬施設の整備を進めるとともに、新たに産地の加工施設等の設置、消費地における大衆魚の貯蔵のための冷蔵庫の建設をはかることとし、これら水産物の流通対策費として三億六千九百万円を計上いたしております。このほか、中央卸売市場についてもその施設整備を強力に推進することとし、所要経費二億五千万円を計上いたしております。 以上に申し上げましたもののほか農業、林業及び水産業のそれぞれに関する予算について御説明申し上げます。まず農業についてでありますが、第一に農業生産の選択的拡大に関する予算について申し上げます。 畜産関係としては、さきに申し上げました畜産経営拡大資金の融資額三十億円のほか、畜産生産振興対策費として三十八億六千四百万円を計上し、飼料自給度の向上及び飼養規模の拡大を目途として家畜の導入、施設等の整備を推進するとともに、国、都道府県及び民間の密接な連繋のもとに家畜改良増殖を推進する体制を確立することとしております。 また、果樹農業の生産振興については、さきに述べました果樹園経営改善資金の融資額三十億円のほか三千九百万円を計上し、その生産の安定的発展をはかるため、計画的かつ集団的な果樹園経営を育成するための措置を講ずることとしております。 さらに、テンサイ等の甘味資源作物については、貿易自由化の方向に即応し、生産性の向上に努めつつ生産の振興をはかることとし、所要経費八億六千万円を計上するとともに、テンサイ及びカンショについて生産基盤を整備するために行なう土地改良事業費十一億一千五百万円を予定しております。また、従来に引き続き養蚕生産の合理化について八百万円、菜種、トウモロコシ、二条大麦等の省力栽培技術の導入とその普及を推進して、生産の合理化を進める等のため四千六百万円を計上いたしております。 第二に、農業の生産性の向上と総生産の増大に関する予算について申し上げます。まず、農業基盤の整備関係といたしましては、総額六百五十六億万千六百万円を計上しておりますが、土地改良で三百九十六億七千八百万円、干拓で百七億五千二百万円、農用地開発で百四十八億九千六百万円等となっております。これらの事業は国営、県営、団体営の各事業を通じ、事業進進の調整に留意しつつ既着工地区の早期完成に重点をおき、事業の計画的かつ効率的な実施をはかるとともに、既着工地区の工事の進捗状況を勘案し、新規地区の採択を行なうことといたしております。このほか圃場整備事業の新設、農道の整備拡充をはかるための補助率引き上げ等の措置を講ずることといたしております。 次に、試験研究の整備強化のための予算としては、農業関係で六十一億円を計上し、その重点を水田作を初めとする機械化作業体系の確立並びに畜産、園芸及び利用加工の分野におき、また基礎的研究を充実することとし、その一環として植物ウイルス研究所を新設することとしております。 さらに、農業技術の普及については、農業改良普及職員等の増員、農業改良普及職員の任用資格の引き上げ、研修の強化、農業改良普及員に対する手当の支給等により、農業改良普及事業の刷新強化をはかることとし、三十四億五千五百万円を計上いたしました。このほか、畜産経営技術指導に要する経費一億八百万円、蚕糸技術の改良普及に要する経費四億八千六百万円を計上いたしております。 第三に、農産物の価格の安定及び農業所得の確保に関しましては、米、麦、澱粉及びカンショ生切干、畜産物、繭糸、大豆、菜種等について、引き続き食糧管理特別会計、畜産振興事業団、糸価安定特別会計等の現行制度により価格の安定と所得の確保の措置を講ずることとし、これに伴い一般会計からする食糧管理特別会計への繰り入れ五百三十五億円、畜産振興事業団出資五億円、大豆、菜種交付金十五億円等を計上いたしております。また、甘味資源に関連する農産物については、その生産振興の諸施策とあわせて価格支持等のための措置を講ずる所存であります。 以上申し述べましたもののほか、次代をになう農業経営者の養成のため農業講習所、農村青年研修館、経営伝習農場等の整備充実、大型トラクター運転技術者養成施設設置等の助成を行なうこととし、これらに要する経費三億五千七百万円を計上するとともに、開拓地の営農振興のための経費十五億二千三百万円、その他所要の経費を計上し、従来から継続実施しております各種の施策についても、その充実と円滑な推進をはかりたいと存じます。 林業についての施策を遂行するための予算といたしましては、第一に林道の開設、改良を積極的に推進するため、総額四十二億七千万円の経費を計上いたしておりますが、特に昭和三十八年度からは利用区域が広く、かつ、道路網構成のかなめとなるものを基幹林道として取り上げ、新たに助成の道を開くほか、一般林道、山村振興林道についてもその事業の一そうの推進をはかる所存であります。 また、災害の発生を防止し、国土の保全を期するため治山事業の拡充実施に要する経費として百十九億一千百万円、今後における木材需要の増大に対処し、森林資源の維持培養をはかるための造林事業に要する経費として五十八億六千九百万円をそれぞれ計上いたしております。 第二に、林業金融の円滑化をはかるため、農林漁業金融公庫による融資を拡充するほか、新たに林業信用基金を設置して木材及び種苗等の生産流通に必要な運転資金につき債務保証を行なうこととし、政府がこの基金の一部に充てるため三億五千万円を出資することとしております。 また、近代的機械の導入等、林業経営の改善をはかるため一億四千二百万円、林業の試験研究及び普及指導事業の強化のため十二億六千万円、森林組合の合併促進等のため四千二百万円、保安林整備管理、森林計画等森林資源の維持増強対策に七億二千二百万円を計上し、それぞれ施策の強化をはかっております。 水産業についての施策といたしましては、すでに述べたとおり、沿岸漁業の構造改善と流通改善のための施策を推進して参りますが、このほか、まず遠洋漁業については、関係諸国との協調をとりつつ、資源の保持に努め、また、資源の科学的な調査研究を推進し、漁場の維持開発を行なうために要する経費として一位五千四百万円を計上いたしました、水産資源対策としては内水面主要資源の維持培養、サケ、マスの人工孵化放流事業等を拡充するとともに、瀬戸内海栽培漁業センターを増設し、沿岸重要魚種の保護培養と漁業栽培化技術の普及をはかるほか、新たに水産資源保護に関する啓蒙普及活動に対して助成することとし、これらに要する経費として四億二千八百万円を計上いたしております。このほか試験研究の強化に六億二千八百万円、改良普及事業の拡充に七千五百万円、漁村青壮年実践活動促進費として一千九百万円を計上いたしております。 さらに、漁港の整備につきましては、三百八十港について新計画を樹立し、その重点的整備をはかるとともに、新たに漁港改修事業を計画的に実施することとし、局部改良事業とあわせて漁港施設の整備拡充をはかっておりますが、この際特定第三種漁港については、その重要性にかんがみ補助率の引き上げを行なうこととし、漁港整備関係の経費として総額六十八億九千九百万円を計上いたしております。 以上のほか農業災害補償制度についてはその運営を改善するとともに、農家負担の軽減をはかるため農業共済団体等の事務費に対する国庫負担額を増額することとし、総額百四十四億八千五百万円の農業保険費を計上いたしております。また、災害復旧、海岸事業等災害対策公共事業に要する経費といたしましては百九十三億八千万円を計上いたし、災害による国土荒廃の防止、被災地等の復旧を促進する所存であります。 以上で昭和三十八年度農林関係一般会計予算の概要についての説明を終わります。 次に農林関係財政投融資計画について御説明申し上げます。 昭和三十八年度における農林関係財政投融資計画は、農林漁業経営構造改善資金融通制度の新設に伴い、農林漁業金融公庫への出資は一般会計から十四億円、産業投資特別会計から二百六億円、計二百二十億円で、前年度百三十三億円に比し八十七億円増額いたしますほか、資金運用部特別会計等からの借入金は、農林漁業金融公庫三百六十六億円、愛知用水公団十八億円、開拓者資金融通特別会計三十八億円、特定土地改良工事特別会計七十五億円で、財政投融資総学は七百十七億円となり、前年度五百六十三億円に比し、百五十四億円の増となっております。 最後に昭和三十八年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。 第一に食糧管理特別会計について申し上げます。まず、国内産米の管理につきましては、現行方式を継続することとして昭和三十八年度における米の集荷目標は、六百九十万トン、売却数量は現行の配給限度数量を維持することとして六百七十九万九千トンとし、昭和三十八年産米の政府買い入れ価格(予算単価)は、三十七年産米についての買い入れ決定価格と同額の百五十キログラム当たり二万二千百七十七円、消費者価格は現行どおりといたしております。 国内産麦の管理につきましては、現行方式を前提として買い入れ予定数量は、大麦、はだか麦、小麦を合わせて百四十七万トン、売却数量は、飼料用として売却される大麦、はだか麦を含めて百六十八万四千トンとし、昭和三十八年産麦の政府買い入れ価格(予算単価)は、前年産麦の買い入れ決定価格と同額といたしております。 輸入食料の管理につきましては、国内における米麦の需要及び国内産米麦の供給事情を勘案して必要限度の数量(外米十一万五千トン、外小麦百七十六万三千トン)を輸入することとし、輸入食糧の買い入れ価格は最近の実績及び今後の見通しにより算定いたしました。 なお、卸、小売業者の販売手数料及び保管料については、昭和三十八年二月から、集荷手数料については、昭和三十八年産米麦からそれぞれ諸経費の増加等を考慮し、必要な改訂を行なうこととしております。 これにより、昭和三十八年度におけるこの会計の食糧管理勘定、すなわち国内米、国内麦、輸入食料の三勘定の損失額は合計六百四十三億円と見込まれ、前年度の当初損失見込額七百一億円に比べ五十八億円の減となっておりますが、この損失額の処理に充てるべき調整資金といたしましては、百六十八億円が昭和三十八年度に持ち越されますので、昭和三十九年度への持ち越しを十五億円と予定し、一般会計から四百九十億円を新たに繰り入れることとした次第であります。 また、澱粉、カンショ生切干等の農産物につきましては、従来の方針を継続してその価格の安定をはかることといたしておりますほか、飼料につきましても畜産の進展に対応し、外国産ふすま二十万トン、小麦八十六万四千トン等、合計百二十八万九千トンの買入れを予定するとともに、ほぼこれに見合う数量の売却を行ない、その需給の安定をはかることといたしております。 右の措置に伴い、農産物等安定勘定につきましては、昭和三十八年度において飼料関係で三十五億円、その他農産物関係で十億円、合計四十五億円の損失が見込まれますので、その補てんのため一般会計から同勘定へ四十五億円を繰り入れることといたしております。 第二に、農業共済再保険特別会計について申し上げます。農業勘定といたしましては、歳入、歳出ともに百二十五億七千万円でありまして、うち一般会計からの繰り入れは、八十四億八百万円となっております。また、家畜勘定につきましては、歳入、歳出ともに、三十四億二千四百万円で、うち一般会計からの繰り入れは、家畜加入推進奨励金二億二千万円を含め九億三千一百万円であります。 第三に、開拓者資金融通特別会計につきましては、現行の開拓営農振興対策に改善を加え、既入植者の営農の安定と生活環境の整備促進をはかるため、この特別会計による昭和三十八年度の融資ワクを三十五億五千三百万円、一般会計からの繰り入れ八億六千三百万円を予定して、この会計の歳入、歳出はともに五十八億五千一百万円といたしております。 第四に、国有林野事業特別会計について申し上げます。国有林野事業勘定につきましては、昭和三十六年度に策定した「国有林野における木材増炭計画」に基づき、歳入状況の見通しを考慮して、昭和三十八年度予算を編成いたしており、総収穫品は二千三百五万三千立方メートルを予定いたしております。 なお、この会計の資金を活用いたしまして、引き続き民有林行政への協力をいたすこととし、特別積立金の取りくずしにより、融資造林の拡大のための農林漁業金融公庫への出資十四億円、水源林造成事業を森林開発公団に実施せしめるため同公団への出資二十億円、及び林業信用基金への出資三億円、その他の林業振興費財源を含めて四十二億円を一般会計を通じて支出することといたしております。このため国有林野事業勘定の歳入歳出は九百三十三億七千二百万円となっております。 また、治山勘定につきましては、その歳入歳出額百八億三千二百万円を計上し、治山事業を計画的に実施することといたしております。 以上のほか、特定土地改良工事、森林保険、自作農創設特別措置、漁船再保険、糸価安定、中小漁業融資保証保険等の各特別会計につきましては、それぞれ前年度に引き続きほぼ同様の方針で予算を計上いたしております。 これをもちまして昭和三十八年度農林関係予算及び財政役融資計画の概要の御説明を終わります。 よろしく御審議下さいますようお願い申し上げます。 —————————————
○主査(後藤義隆君) 分科担当委員の変更について御報告をいたします。 昨二十五日、瀬谷英行君及び光村甚助君が辞任せられ、その補欠として北村暢君及び戸叶武君が指名せられました。また、本二十六日、浅井亨君が辞任せられ、その補欠として北條雋八君が指名せられました。 —————————————
○主査(後藤義隆君) ただいまの御説明に対し、質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○戸叶武君 重政農林大臣は、農政の基本方針は、先年制定された農業基本法に従って年産性の向上と農家所得の増大をはかり、他産業との格差をできるだけ縮少し、農家生活水準の向上をはかることにしたと述べておりますが、三十八年度の農林予算を検討してみるのに、農林省所管合計が二千二百五十七億円、他省所管分を含めて二千五百三十一億円というので、国の総予算に占める比率はわずか八・九%というふうに落ち込んでおるのでありまして、このような貧しい農林予算によっては、その農業基本法に盛られている大目的を達成することはきわめて困難だと思いますが、農林大臣は、これでも目的達成はできるとお考えですか。
○国務大臣(重政誠之君) ただいも御説明をいたしましたとおりに、実質的の三十八年度の新規財源といたしましては、約三百億前後のものがあるわけであります。さらに、融資の方面におきまして相当の融資額の拡大をいたしておるような関係もありまして、三十八年度予算としては、まずわれわれが実行しようとする仕事に要する経費は大体これでまかなえるのではないか、こう考えておるわけであります。構造改善事業等、今後年々増加をいたしていくと思いますので、将来の予算といたしましては、相当の増加を示していくものと考えます。
○戸叶武君 私は、やはり一九五五年に西ドイツで農業基本法が通りましたときに、その翌年に西ドイツ連邦を訪れておりますが、西ドイツでは一九九六年——その翌年には農林予算が一・八倍、約二倍にふえ、一九五七年には二・五倍、約二倍半にふえているのです。それは落ち込んでいるところの農業の生産基盤というものを培養して、そうして他産業との所得の格差をなくさせるというのには、それぐらい思い切った施策をやらなければできないという具体的な要請に応じて、恐い切った私は手段を講じたと思うのですが、こういうふうに日本の現状というものは、池田さんの高度経済成長の結果現われているのは、やはり大企業の、独占企業のほうはぐっと伸びているが、特に農業のほうはその生産性というものも三分の一にも達しないという程度へ落ち込んでいて、農家の所得というものも非常に少ないので、農業基本法でうたったところの格差を是正するということはこんなことじゃ私はできないと思うのですが、農林大臣はそれがあたかもできるように言っておりますが、たとえば三百億からの予算を新たに組んだとか、または三百億程度の融資のことも問題にとり上げているといいますが、たとえば構造改善事業についての融資の問題でも、一戸当たりの貸し付け金額は二百五十万円程度、これを三百億としても一万二千戸ぐらいにしか振り向けられませんけれども、一万二千戸というと六百万農家の五百分の一ぐらいにしか当たらないのじゃないかと思いますが、こういうスズメの涙のようなものをちょびりちょびりとたらしても、今の急激な貿易自由化のあらしの中に、それに対して対処していかなけりゃならない日本の農業の構造改善というものが可能だと思うのですが、まあ間に合わせ仕事としてやっているという程度ですか。
○国務大臣(重政誠之君) 農業の体質改善の問題、農業構造改善という事業は、これは御承知のとおり、相当に難事業でございます。でありますが、ただいまお話のように、どうしてもこれは日本農業の国際環境に置かれておる地位、あるいは国内環境に置かれておる地位にかんがみて、どうしてもこれはやらなければならぬ問題であります。でありますが、なかなかこれはむずかしい問題でありますから、そう総花的に一度にこれをやろうとしても、なかなか実際の問題としては私は成果を得ることはできない。そこで、どうしてもこれはその地方、地域々々において、非常に熱意を持っておる農家諸君の計画をまず第一にとり上げなければならぬ、そうしてこれに対して総力をあげてその改善計画の実行を効果あらしめるようにしなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、したがって、当初はその数も自然にそういうことによって少ないと思いますが、年々私はこれは末広がりにその数も多くなる。したがって、これに要する予算額及び融資額も多くなる、こういうふうに私は考えておるのであります。
○戸叶武君 また、政府のうたっているうその具体的事例として、農業所得の上昇率はたとえば、農業白書の中において、三十六年度は前年に比し四%増加し、政府は国民所得倍増計画の年成長に相応する高さで農業事業者の生活水準の上昇はなったというふうに誇っておりますが、この農家所得と言っておりますが、農家所得は政府の統計にも出ているように、むしろ農業外の兼業勤労収入の増加ということによってこの農家収入というものがふえているのじゃないでしょうか。その農業収入と農業外収入の比率は数字的にどうなっております。
○政府委員(林田悠紀夫君) 農業所得と農外所得の比率でございまするが、三十六年度におきましては、農業所得が五一・五%で、農外所得が四八・五%でございます。
○戸叶武君 今の数字でも明らかなように、日本の農業というものがすでに農業という名に値しないほどその内部において農家経営というものが四八・五%の農業外収入というものに依存しなければならなくなってきているのです。この現実というものを直視して、今までの素朴な農本主義的な考え方によって日本の農政というものを進めていくべきではないと思うのです。今政府は経営構造改善事業というものに非常に力を入れておりますが、非常にけっこうだと政府が宣伝することに対して農民が足ぶみをしている向きが非常に多いのは、その負担に耐えかねることと、もう一つはその経営構造を改善していっても、先行きの見通しというものに不安定があるし、それから、たとえば酪農なんかでも、酪農、果樹への転換というものを政府が提唱したが、うっかり豚を飼ったり、うっかり乳牛を飼ったり、果樹を植えたりしても値段が不安定でもって、結局はその金は借りるが、あとでもって相当の利子だし、返せなくなって田畑を売らなくちゃならなくるのじゃないかという恐怖感や、それから地方自治団体の負担にも耐えかねるような一つの問題点があると思うのですが、政府は非常に楽観的に一両だけをとらえておりますが、何がゆえにこの問題に対して農民がちゅうちょしておるかという問題に対して、農林大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(重政誠之君) 御指摘の点はごもっともなことでありますが、私どももそういうような心配の向きもあろうかと考えまして、そして価格安定の施策は今豚の例があがりましたが、これは畜産振興事業団においてある一定の価格を維持するために買い上げをやるという制度を作っております。豚のみならず、あるいは乳製品につきましても、同様の機能を事業団をして発揮せしめておるわけであります。その他価格の安定につきましては先ほども述べましたように、できるだけこれはその制度を拡充していく。それから構造改善事業に対する補助でありますが、これは先ほど述べましたように、政府は五割の補助をする、府県がそれに二割の補助のかさ上げをやる。その財源は地方交付税等においてこれを考える。こういうことで補助額も増加いたしております。さらに流通機構において、市場その他取引関係において生産者が不利になっておるというような点も考慮いたしまして、これらの流通機構の改善という面にも施策を実行していこう、こう考えておるわけであります。さらに資金の問題につきましては、低利長期の資金制度を創設いたしまして、これによりまして農家の負担を軽減していこう、こういうふうに考えて、まあただいま御指摘になりましたような心配がないように政府としてはできるだけの施策を応じていく。そうしてこの構造改善事業を推進しよう、こういうふうに考えておる次第であります。
○戸叶武君 御説明だけを開いていると非常にけっこうですが、そのごけっこうな政府の思いつきに対して、地方自治団体等において簡単に飛びつけない状態でいるのには、そこに私はやはり問題点があると思います。時間がありませんから別な機会にまたその点は指摘しますが、問題は今の具体的にこれに対する一つの解答としての現われは、農業人口の激減の問題です。農業人口の激減の問題に関しては、まあ池田さんが一大預言者であって、六、七割は十年間に減るというので、私はそういうふうに政府は持っていっているのじゃないかと思うのです。それが今の農村におきまして、これは日本だけの私は問題じゃない。どうも日本にだけいると、池田さんのせいばかりと思っていたが、池田さんのせいばかりではないようです。私が一番驚いたのは、昨年デンマークを訪れまして、デンマークの農業団体の中心事物にあらかじめ予約して会見を申込みましたが、デンマークにおいても一九五五年から一九六〇年六一年の間に、あれほど世界で一番先進的な存酪農経営の農業国と言われているところにおいても、工業部門に農業部門が追い抜かれまして、農業の所得並びに農業労働に従事している労働者の賃金というものが大体三〇%のアンバランスを来たした。これでもって日本よりは経営規模が大きいのですから、一番困ったのは、経営規模の大きいところの農業労働者というものがなだれをうって他産業に移行してしまった。そしてこの農業経営というものが非常なピンチに襲われてきたので、とりあえずデンマークとしては素朴な方式であるけれども、酪農製品の輸出ということがあの国においてはきわめて重要なことであるから、とりあえずこの六%の補助金、国の予算の六%の補助金対策を講じた。これはイギリスがEECで問題になっている国の予算の五%の補助金を上回るものであります。乳牛一頭一万円というふうにかなり具体的な形においてこの農業経営が成り立つような応急処置を講じてきたのであります。このことはやはりEECの中において、フランス、イギリスおのおのの農業保護の問題を中心としてなかなかむずかしい調整困難な面があるようですが、あれは私は農業そのものが工業部門なり商業部門なりと比較すると、普通の形においてはデンマークのような進んだ国においても成り立っていかないのでして、これをやはり徹底的に国の責任において政府が保護政策をやらなくちゃならない。当初のフイジオクラットの農業政策とは角度が違うが、今の農業政策というものは、日本で今日とっているようなこんな不徹底なやり方だと、全く日本の農業というものは、今後数年間においてもうひどい荒廃状態に陥ると思うので、今農村に青壮年がいなくなったという現実は、割に合わない農業に従事する者がなくなってしまったので、すでにこの三十七年度の農家漁家出身の新規学校の卒業者の動向調査によると、中学卒業生で農業就業者はわずか四万八千人、高卒が二万八千人、すなわち中卒を高卒の者が百十万一千人のうち、わずか七万六千人というところまで落ち込んでしまった。十四分の一ですか、こういうふうにもう年寄りと女手によって農村というものが荒廃した形において置き去りを食っておるというこの現実は、政府だけの責任でないと政府は言うかもしれませんが、このあらしの中に押しつぶされていくところの農業に対して、明確に農業保護政策というものを打ち出さないところに私は大きな原因があると思いますが、農林大臣はこの現状というものをどういうふうに見ておりますか。
○国務大臣(重政誠之君) 御指摘のとおりに、農業に就業する人口は、近年相当に減少いたしておりますが、私は就業人口が減少することで非常に心配はいたしておりません。就業人口が減少することによって、農業経営の基盤の拡大もできることであり、構造改善事業をこのときこそ推進すべき時期である、こう考えておるのであります。ただ問題は、ただいまも御指摘になりました青壮年の減少の傾向が著しいということであります。これは何といたしましても農業そのものに魅力を持たす、希望を持たすということが最大の要点であろうと思うのであります。それにはまず農業の収益が増大を漸次していくということでなければならぬ。そしてまた、農業の経営のやり方をここで革新をして、構造改善をして革新をしていくような農業経営をやれば、相当なこれは見込みがある、こういうことを引火に私は示す必要があると思うのであります。さらに機械化、農業機械の保管あるいは運用というようなものについて十分な知識を注入するいろいろ方策が私はあると思うのでありますが、そういう点につきましては、先ほども御説明を申し上げましたとおりに、伝習農場を強化をするとか、いろいろの方法、施設に対して助成の道を強化いたしまして、青壮年が農村に必要な程度はとどまってもらうようにいたしたい、こういう考えでやっておるわけあでります。
○戸叶武君 重政さんは河野さん譲りの蛮勇を農政に加えようとしているように見受けられますが、要するに農業就業人口が減ることをさして心配していないと言われていますが、私は別にあげ足を取るのじゃない、私は減っていってよろしいと思う。私があげたのは、具体的に青壮年の減少という現実というものが、あなたが言っておるように、魅力も希望もなくなっているというような日本のこれは農政がもたらしてきた灰色の世界ですよ、絶望の世界ですよ。しかも、これは流れ出ていく者が一つの工場に行っても、まともな待遇をされないで、産業予備軍というふうに低賃金でもって臨時工的に使われているという現実、こういうことを無視しては私はいけないと思います。 そこで一国の農業政策というものが、要するに価格政策の方向へきて、新たなる補助金その他の保証政策のほうへきておるのですが、日本の農政は官僚にまかされているものだから、うっかり価格支持政策なり保護政策、補助金政策というようなものをやると、結局財政面において行き詰まってしまう、アメリカでも行き詰まって大失敗をしておる。イギリスでも手をやいておる。そういう事例だけを見てきて、形式的な予算面におけるところの、あるいは財政投融資の面における苦悩というものを避けるために、安易な道を選んでいくのが今のやり方ですけれども、私たちはやはり額に汗して働く農民の所得を安定させるという政策が農政の基本として出てこなくちゃならない。日本においては農業収入の五〇%に近い米価が食管制度において安定しているということが一つの大きな安定力を生んでいられるんですが、麦の問題だって今非常にえさという形において、これをどう取り上げていくかということになっているんでしょうが、むずかしい段階になっているときに、非常に具体的な形において、米だけでなく、今日本においてほとんど契約栽培という形で一つの定着しているところの、たとえば麦の中におけるビール麦、あるいは専売公社に関係のあるタバコ、こういう片方は独占資本であり、片方は公社であるが、こういうふうに契約栽培をしているような作物におけるところの価格というものは、もっと私は生産農民と会社側なり公社側なりと団体交渉のようなものを通じて、ガラス張りの形において生産農民が満足するような、米に準ずるような生産費所得補償方式の価格というものが積み上げられなければならないと思うんです。ビール会社はべらぼうなもうけ方をして、あれほどの高配当をしていながら、難くせをつけながら実際上下請機関的なビール麦耕作組合、あの典型的な坪山徳弥なんという人物がありますが、ああいうボス的な人物が操作して、生産農民からの収奪をやっておるんです。ビール麦一俵に対して十七円のピンはねを行なって、ボスの手には年に二千万円も三千万円もころがり込むような形、私は農協系統の共販の形というものを、農協法違反の問題を引っ下げてこれを撃破していったら、小さな村の単協でも七十万円、八十万円もうかるんです。今ほんとうに生産農民というものが苦しんでいるときに、この農協にあぐらをかいた、ほんとうにボス勢力というものが、どんなに生産農民というものをむしばんでいるかわからないし、またタバコ耕作組合というものも、ほとんど専売公社の下請機関的なビール麦耕作組合と同じように、その下請機関のボスを選挙に出すための買収選挙の母体になっているじゃないですか。これは参議院選挙が行なわれるごとに、一番ひどい選挙違反を出すのはこの団体です。そういうところに私は明確な性格が出ていると思うんですが、こういう問題に対して政府は、おおむねそういうことをやっているのは自民党関係のボスだから、親類筋だからかまわんというので目をつぶって、そういうビール麦耕作組合なり、タバコ耕作農民なり生産農民に対する指導機関となっているのに対して、何ら農林省というものはこれを監視し、監督するようなことはしないのですか。
○国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおりに農協と、ビール麦協会でありますかビール会社でありますか、その間に契約栽培、契約をして必要な麦の栽培が行なわれておるわけであります。私はこの契約栽培というのは、御指摘になりましたタバコ及びビール麦、こういうものについて行なわれておるといって差しつかえないと思うのでありますが、これは私は悪いことではない。非常に安定を農家がする。経営が安定する上においては、こういう一つの方式というものはけっこうなことであると私は考えております。値段をきめるのは、これは政府が内地の小麦を買い上げます食管法にあの方式によりまして政府は小麦の買い上げ値段をきめますが、その上にあるいは四百円とかあるいは五百円というものを加算をしたもので農家からビール麦を買い上げておるように私は承知をいたしております。そこで、その間において、農協というものがピンはねをしているかどうかということは、実は私どの程度やっておられるのかということははっきり承知いたしておりませんが、農協もしかしたくさんありますので、たくさんの中にはそういうものもないとは申し上げかねますけれども、どれもこれもそうであるとは考えられぬように私は思うのでありますが、お話の点は十分ひとつ調査をいたしまして、ひどいものがありますれば、それに対しては適切なひとつ注意を払いたい、こういうふうに考えます。
○戸叶武君 私は三年来、具体的事実を突きつけて農林大臣と問答を重ねておりますが、これはだるまさんと禅問答するように、八年間くらいたたなければ政府の悟りは開かれそうもないのですから、これからは手きびしく追及します。 この問題と類似したのに、やはり乳価の問題があります。これは貿易自由化に備えてやはり四大メーカーが力をつけなければならないという口実が基礎になっているのでしょうけれども、生産農民の手取りを少なくするようなたたき方をやっている、それらのメーカーたちが今年の三月におけるところの売り上げやもうけがどうなっているか、明治牛乳業の売り上げは二百億円、前年同期の四割増、利益も六億円と前年同期四億円を大幅に上回っている。一月一日で半額増資が完了したが、増資後も一割二分を安定配当として据え置く。森永乳業は売り上げが百九十五億円、前年同期百四十六億円、利益五億四千万円、同前年同期は五億円。雪印乳業が年一回決算で四百七十五億円、前期三百九十五億円、利益八億、前期六億。いずれも増収益で、森永は配当二割一分、雪印は一割据え置き、こういうふうに、この独占資本が経営が上手な理由もあるでしょうけれども、とにかくこれだけもうけておきながら、貿易自由化に備えて自分たちに力をつけるという口実のもとに、生産農民というものからの収奪をゆるめていない。しかもこれらの大手会社というものは、バターやチーズや粉牛乳などというものは、貿易自由化で影響を受けるからといって、明治を中心として市乳なりアイスクリームというものに力を入れて相当もうけているのです。こういうふうな形にあるときに、むしろ私はこれは逆攻勢で、先手を打って生産農民にもっと金をやらなくちゃならない、その要求が出ない前に、けんかをするときにけんかの上手なやつは、相手の鼻柱っを先に折ってかかると思うのです。そういう先制攻撃をかけたのじゃないかと思います。全世界どこを見ても、生産農民に対して市販で売られる価格の半分以下というところはないです。これは日本において酪農がまだ十分発展していないからとか何とかいう理由でされておりますが、徐々にその方向へ私は進めていかないと、ほんとうに農林大臣に、私はこの次にはもっと……、農林省に前からいっているけれども、統計をなかなか出してくれませんけれども、乳牛を買って、そうして餌をやって育てた農家の手取りがどのくらいが妥当か、それからメーカーのところで低温殺菌、あるいは集荷なり、そういうものがどれだけで妥当か、それから市販に出ているところの小売りがどれだけ取ったら妥当か、一びん当たりに対してとにかく配達費はどれほどかかるか、もっと丁寧なきめのこまかい私はデータを農林省が持って……、牛乳というものは大衆に密接な関係があるのです。こういう問題に対して私は科学的な結論を政府のほうでも用意してもらいたいと思いますが、政府としては、今日のこの乳価騒動をめぐって、もう少し私は真剣に乳価問題の解決に対して考えるところがなければいかぬと思うが、いかがな御所見ですか。
○国務大臣(重政誠之君) ごもっともな御意見であります。しかも日本の酪農経営というものは、根本的に私は考えなければ、今にして考えなければ将来とんだことになるというふうに考えております。乳価の問題につきましても、科学的に今のお話のような各段階段階での調査を十分にやる必要があると私も考えております。現在のところでは、今のお話のような調査をやってはおりますが、不徹底であり、酪農民の調査の戸数も対象が少ないというようなことでありまして、十分これは拡充をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
○戸叶武君 次に、生産農民を虫ばんでいる農協ボスの政治活動及び農業会議等を利用しての政治活動の限界について承りたいのです。この予算書を見ると、農協中央会なり、農業会議なり、その他の農協団体に対して、政府からの金というものが相当いっているのです。県からもいっているのです。そういう公けの金をいただいているところの団体が、純然たる経済団体であるにもかかわらず、あたかも政治団体と同じような形において、それを政治基盤とし、政治基盤とするだけじゃなく、政治活動の機関として、最近は保守党のボスが農協を食いものにしている傾向が非常に強い。今度の選挙を通じて全部それが明らかになるでしょうから、全国的に私のほうも統計をとりますけれども、こういう悪傾向に対して、これは労働組合の場合とは違いますよ、国なり県なり公けの金をいただていたり、扱っていたりしておる公的機関のその中心人物が、あるいはその団体が、政治活動をどの程度までやっていいか、農林大臣から御所見を承りたい。
○国務大臣(重政誠之君) なかなか限度ということはむずかしいことであろうと思うのでありますが、少なくとも農業会議とかあるいは農協とかいうものがその名において政治運動をするということは、これは適当でないと私は考えておるのであります。
○戸叶武君 国鉄あたりの公社でも、労働組合の幹部が県会議員なりあるいは代議士に立つ場合にはやめさせられているくらいだと思うのです。やめなくてもいいのだと思いますが……。それなのに農業会議のような、あるいは農協中央会のような役員が、その他位を利用して選挙運動をやる、そうしてそれが終わってもそれをやめない、それでやっている。こういう形は、これはきょうは法制局長官に出てもらうように頼んでおりましたが、法制局のほうではどういう御見解ですか。こういうところから乱れが来ておりますから……。
○政府委員(山内一夫君) 農業協同組合につきましては、中小企業等協同組合なんかと違って、特定の政党のために利用してはならないという規定はございませんけれども、私は精神はやはり同じだろうと思います。個々の役職員の方が政治活動をする、こういうことは、私はこれは個人の政治活動の自由でありまして、これを農協の円満なる運営のために、そういった役職員についておられる方の政治活動を禁止するということも一つの立法政策ではございましょうけれども、現在そういう規定がない以上、個々の役職員の方が個人的な立場で政治活動をなさるのは、これは自由だと思います。農協自身としての、組織としての政治活動ということになりますと、今大臣がおっしゃいましたように、特定の政党のスローガンを支持し、特定の政党を支持するということは、やはり農業協同組合の建前からいって、私はおかしいのじゃないかと思います。それから農業協同組合が一つの農業上の経済活動をするについて、それはやはり何といっても政治と関連し、立法政策と関連することがございますので、ある農業協同組合の利益になるような政策をある程度支持するというのも、これは政治活動と常識的には言うのかもしれませんが、その辺の範囲のことは私は許されるのではないかというふうに考えております。個人の政治活動になるか、組織としての政治活動になるかということの判別は、やはり個々具体的な問題だと思いますが、その資金が協同組合の資金を使われているか、あるいは大臣がおっしゃいましたように、協同組合の名が使われているか、そういういろいろな各種のファクターを具体的に検討して決定する以外にはないのじゃないかと、かように考えております。
○戸叶武君 政治活動において公然として名が使われていることも明らかです。農協団体の単位から巨万の資金が吸い上げられているのも事実です。こういう歴然たる事実は、調べればわかるのだが、ほおかぶりしているほうが都合がよいというのが現政府の見解ですか。そういう形だと、今後私は農協団体というものにいろいろ不正事件や何かが起きても、これは政府では取り締まる資格がなくなってくるのじゃないかと思うのです。こういうくずれ方に対して、ただ精神的にどうこうなんというのじゃなくて、ある程度のやはり法律は作らないにしても、それがための監督官庁としての農林大臣が存在している、農林大臣が政党人であることは一向差しつかえないけれども、そういう形の農協団体の運営で一向差しつかえないという御見解を重政さんはお持ちですか。
○国務大臣(重政誠之君) 具体的な問題になりますと、たとえば政治活動というのが選準のことだけでありますか、その他のことも考えますと、たとえば米の生産者米価を決定する場合に、一儀何円でこれを取り上げて、そうしてそれを運動資金に使ってやられておる。これは一つの例ですが、そういうことはほかにもあろうと思うのです。けれども、これが系統農協の仕事としてやっておるのか、あるいはそれと別の何かそういう団体を作ってやっておるようにも考えられるのでありまして、これがどうも一俵なんぼで金を集めることは、あまり私は感心はいたしませんが、それが非常に違法であるというわけにも私はいかぬのじゃないかと思うのです。それは、選挙の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおりに、農協の名において選挙運動をやるということはどうも穏やかではない、役員諸公が個人としてやられる、あるいは組合員が個人としてこの選挙運動をやるということは、これはどうも今の制度のもとにおきましては、当然これは適法なものとして考えなければならぬ、こういうふうに考えられるのでありまして、組合の経理につきましては、農林省において随時検査をいたしております。県におきましてもまた単協の検査をいたしておる次第であります。
○戸叶武君 この前の参議院選挙で、栃木県の農業委員会の農業会議の幹部は全部選挙違反でぶち込まれました。その上の会長が坪山氏です。坪山氏は栃木県農協中央会長、栃木県の経済連の会長、県拓殖連の会長、県農業会議の会長、県畜産会の会長、県農業信用基金協会長、県拓殖基金協会理事長、全国麦耕運会長と全くマンモス会長で、独占しちゃっている。こういう人物は弓削道鏡以来ないという人物です。怪物です。こういう形で全部で有力な十二団体の会長をやっていて、八つかの農協、団体等からだけでも吸い上げるのは、大体月に四十万以上じゃないかとも言われております。独禁法というのもこのごろは池田内閣になると、きばを抜かれてしまったが、農協の民主化というものはこういうところからくずれてきているのだが、農協部長というのは、このごろは農協を指導する資格がなくて、農協部というものは廃止されてしまったそうですが、農協を担当している一つの責任者は、このような方式で農協というものをボス支配にじゅうりんさせるような統合を考えているのですか。統合に対する予算がだいぶ出ていますが、こういう形でのボス支配の統合費ならば、びた一文も国会はこの費用に出す必要はないと考えますが、どういう考えで農協指導をやっているのですか。
○国務大臣(重政誠之君) 今の農協の合同等の予算を、助成金を計上いたしておりますが、これは単位農協の合同であります。今の戸叶さんの御指摘になりましたのは、県単位の各種連合体の会長、理事長というようなものの兼任をせられておる例であると思うのでありますが、それらの合同ということは考えておりません。
○戸叶武君 デンマークのような農業協同組合の本家のようなところでも、単位農協を強める以外に農協運動の発展の道はないというので、最低限度、今まで相当広範囲の農協でしたが、これを三倍化する運動をやっておりますが、中国の合作社の運動から人民公社運動への発展を見てもそれはわかりますが、それで、今のデンマークにおいてはもう二段階主義で、単位農協を強めて中央農協というものは連絡機関になっているだけです。県単位のボス支配なんというものは必要ないという結論が出ております。日本においては今日本の農協でも、中央会でも、信連会長でも、行ってごらんなさい、総理大臣が乗らないような外車に乗っている。私は単位農協の貧しい下の組織のところに行ってびっくりしたのは、あんまり大きなりっぱな外車なんで、道に入らないんだ。農民のところへ届かないような、天皇陛下も皇太子も、総理大臣も乗ってないような車へ乗って、しかも、ぼてんなボスが、そういう者がいなかにおいて豪奢をきわめているというこの農協の不健全性というものは、全く今の農林当局というものが、今の農協のボス支配化というものに対して、生産農民から遊離したところの腐敗堕落に対して一つも監督しないで、監督していた良心的な部長はとても勤まらないということで部長は置かなくしちゃって、農林省も責任の所在がなるたけなくなるようにぼかしてしまった。農林大臣の責任はこれによって回避されないんですよ。今度の地方選挙というものは日本初まって以来、この前の参議院選挙に次ぐ一番腐敗選挙ですから、だんだん悪くなる。この中で非常な問題が起きてきますから、農林大臣、そのときになってから責任を自分は知らぬ存ぜぬでは——こういうふうな形において農協をどうこうと言っても、単位農協を強めるためには、こういう県段階の農協のボス支配の腐敗勢力というものを農協からつまみ出さなけりゃ、農協は健全化しないです。これは世界じゅうの一つの農協運動の趨勢です。こういう問題に対して、もっと今度はこまかい話ですが、中央だけで大臣が国産車に乗ってもだめです。農協のボスについて承りたいのは、今の農協役員、中央段階、県段階の有力な農協の役員の報酬はどのくらいになっているか。それから、末端農協の農協職員という人ほど気の毒な人は、またない。山間における農協の職員は食っていけない。家で女房に食わせてもらっているぐらいだ。この数字があったら、農林省はそれまで知らぬと言えないでしょうが、この際明らかにしてもらいたい。
○政府委員(齋藤誠君) 役職員の月額給与がどのようになっているかという御質問だと思いますが、私のほうで調べましたところによりますと、三十六年四月現在の調査でございますが、まず職員についてみますと、総合農協では約一万二千円、それから県連段階でありますると約一万九千円、全国連の段階で二万円から三万円となっております。それから、役員報酬でございますが、これは三十六年七月現在の調査でございまして、総合農協では平均月額が約二万円となっています。それから県連段階、全国連段階では単位の総合農協よりは相当上回っておりまして、県段階は必ずしも明確でございませんが、全国連の常勤理事の報酬月額は約十万円以上となっております。
○戸叶武君 もう時間がありませんから結論を急ぎますけれども、建物がりっぱになったことなんかはいいと思いますけれども、ひとつ車のことも調べて下さい。地方の県庁や市役所にもばか者がいますけれども、農協のボスほどばかなことをやっているものは私はないと思うんです。おそらくは、外車でも何でも買うにも、中古あたりの五万円か十万円のやつを二百万円だ三百万円だと買ってもわかりゃしない。これは県にもそういう不正がいっぱいありますけれども、こういう農協を今いろいろ指導したり取り締まらなくちゃならない重要な段階に、この農協を指導する部長をどうして首をなくしちゃったんです。農林大臣。農林省になくなっちゃったんです。首なしですか。
○政府委員(林田悠紀夫君) 農協部長は、先般参事官ということにいたしまして、現在参事官の職務で農協の仕事を担当しております。将来におきましては、地方農政局が設置されますと、これにつきまして次長のポストに移っていくということにいたしております。
○戸叶武君 何も部長とか参事とかいう、そんな名前にこだわるわけじゃありませんが、今農業のあらしの中において農協指導というものが一番重要なときに、責任の主体となるものを首なし存在にしてしまうなんということは、全く今の重政農政の責任回避行政といいますか、その典型的な私は現われだと思うんです。やはり私は今の日本の農業団体、今の農協がいいというんではないんですが、どの国でも一つの農協、農業団体、特に生産農民の利益を守る経済団体をどういうふうに指導していくかは、国の政策の中の私は大きな部門だと思うんです。ほかのところにはだれが居眠りをしておっても、めったやたらに部長や局長を並べておいて、一番大切なところに目玉を抜いてしまうというのは、これは軍政農政の中で画龍点睛を欠くというやつですが、目玉だけは光るようにつけてほしい。農政の目玉がなくては困りますから、それだけ要請をしておきます。
○国務大臣(重政誠之君) 戸叶さんの今の根本の御意見、生産農民のための農業団体でなければならぬということは、全く私も同感であります。ただ、農協の監督権ということになりますと、法律によって一応制限をせられておりますので、農林大臣が何でもかんでも命令ができるというわけのものでないことは御承知のとおりであります。が、根本のお考えについては私は全く同感でありまして、そういうお考えからいきますと、現在の農協のあり方というものが、必ずしもそういうお考え方に合っていない活動をしておるものも中にはあるということを私は認識をいたしております。その根本精神に従いまして、いかにして真の農業団体としてのあり方にこれを持っていくかということについて、私もいろいろ検討もいたし意見もあるわけでありますが、これらの点につきましては、十分に今後におきましても各方面の意見も承りまして、善処をして参りたいという考えを持っております。 —————————————
○主査(後藤義隆君) 分科会担当委員の変更について報告をいたします。 本日、久保等君が辞任され、その補欠として松本賢一君が指名されました。 —————————————
○北村暢君 私はごく簡単に御質問いたしたいと思いますが、まずお伺いいたしたいのは、農政の基本問題もいろいろ意見がありますけれども、きょうは時間が制約されておりますから一切やらないで、今閣議でも非常に問題になっております生鮮食料品の価格の値上がりの問題でございます。政府の物価対策といたしましても、経済企画庁長官の説明によるというと、最近の物価値上がり、五、六%の値上がりをしておるわけですが、その九〇何パーセントまでは生鮮食料品の値上がりによるんだ、したがって抜本的な対策を講じなければならない、こういうことを予算委員会でも言っておるわけです。したがって、これに対する農林省の物価政策についての根本的な対策というものは一体どのように検討されておるのか、まずこの点についてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) 魚につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、消費地におきましても大型の冷蔵庫を作りまして、そうして市場に出回ります荷物の調整をしたいと考えております。産地におきましてもやはり冷蔵庫を作って出荷の調整をいたしております。さらに冷蔵貨車を二百数十両三十八年度は作ることにいたしておりますが、そういうことによりまして、申すまでもなくいずれの魚もこれは季節的なものでありますから、とれるときにはどっととれる、とれぬときにはとれぬということで、市場に出荷をせられますその荷物も、時期によっていろいろ変動がございますので、できるだけ需給のバランスをとって、生産者もその価格の変動をむやみにしないように、消費者におきましても消費地におきましても、価格は異常の高騰をしないように、安定した価格で消費者が手に入れることができるように持っていきたい、こういうのでいろいろそういうことを考えております。 それから野菜、くだものにつきましては、野菜につきましては北村さん御承知のようにタマネギについて一応の方式をやっております。三十八年度からリンゴについても冷蔵庫を設けて出荷調整をやろう、こう考えておるわけであります。その他の野菜につきましては、これはなかなか御承知のとおりむずかしい問題でありますが、大消費地に対する入荷、出荷が、平均的といっては言い過ぎでありますが、入荷が非常に少なかったり多かったりすることを、やはり平均的にやりたい、こういう考えで、さらに大消費地においては入荷の量が非常に減らないようにというので、産地にこの指定地区を設けまして、そこで作った野菜は東京市場へ入れるというようなこともやっておるわけであります。しかし、何さま御承知のとおりにあるいは旱害があったりあるいは豪雪があったり、いろいろなことがあって、天候により、災害によって、必ずしも予定どおりのものがいかない、入荷がないというようなことで、時には若干の値上がりがあると思うのであります。しかし、先ほどお話のように、生鮮食料品だけが非常に高いというのではないのでありまして、野菜のごときものでも前年に比べますなら安いのであります。でありますから、これはいろいろ私も検討いたしておりますけれども、統計のとり方も非常にこれは問題があると思うのであります。できるだけ安定した価格で消費者の手に渡るようにしたいと考えておるわけであります。これは消費するほうの側でも考えてもらわなければならないと私は思う。季節はずれのものをほしがってみたり、あるいは端境期になって大根が少ないのはわかっている、端境期はものが高いことはわかっておる、それをやはり大根を食う、高ければ食わなければいいと私は思うのでありますが、何か別のものを……。野菜は総量としては出ておる。ただ、その中でいろいろな関係で、災害があったりあるいは端境期で少ない品目のものがある、そういうものをことにあげられて野菜が高いと言われたのでは、まことに農林大臣としては心外とするわけでございます。全体といたしましては、私は去年よりは現在でも野菜は安いというふうに考えております。
○北村暢君 大臣の、魚にしても野菜にしても価格が安定してそして平均的に物が入ってくる、そういう努力をするという、これはまことに賛成なんで、おっしゃるとおりだと思うのです。ところが、これが物価値上がりの大きな要因であると、こういうことで宣伝されているために、非常に今大臣がおっしゃるように迷惑する点もあるのじゃないか。したがって、企画庁の見方と農林当局のこれに対する対処の仕方と、このニュアンスが非常に違っておるのです。しかしながら、一般のジャーナリストは高いと、こういう宣伝で、生鮮食料品は高いのだと、こういうことのようですね。私は、この間の予算委員会の流通機構の流通革命という問題についての林助教授の意見等も聞いておりまして、生鮮食料品というのは高いのはあたりまえなんだと、外国ではカン詰が一番安い、昔はカン詰は病人かなんかしか食べなかったが、今日はもうすでに食品は加工食品の時代になっているのだ。貧乏人は加工したものを食べる、加工したものが一番安い、そういう時代だ、したがってなま野菜を食べようなんというのは金持が食べるのだ、こういう観念に変わってきたということを、この間の林助教授は言っている。したがって手をかけて、そしてああいうふうに見た目もきれいにして、イチゴにしても何にしても、ああやってくれば高くなるのがあたりまえなんです。それを原価を割って安く食べようといっても無理な話です。これはできないのです。今おっしゃるように時節はずれのものを安く食べようということ自体が、それはもう話にならない。そういう点の認識というものが非常に私は抜けているのじゃないか、宣伝が非常にへたなんじゃないか、一つはこういうふうに思いますね。それだから私は物が高くていいと、こういうようなことを言っているのじゃない。ただ問題は、おっしゃるとおり野菜等については特にそうなんですけれども、一割増産になれば値が半値になってしまう、二割増産になればもうただになってしまう、そういう状態です。したがって農家からすれば、大根を山ほど積んできて秋等においては買い手がなくて市場に投げていかなければならない、運ぶだけでもだめなんで、畑に置いたままで、だれか勝手に持っていってくれ、抜くだけ損だと、こういう事態です。そういうものに対して安いときにはだれも安いとは言わない。そして高いときだけは——今、大根は一本五十円、市場では八十円も九十円もする大根は幾らでもある。そういう高いときだけ高い高いと、こう言う。これはやはり大根でも野菜でも統制しているならそれでいいかもしれないけれども、完全なこれは自由価格ですよ。自由価格なんですから、品物がなくなれば高くなるのはあたりまえの話です。今のようにたくさんとれて豊作になったときには、二割豊作になればほとんど欠損になる、こういう事態です。この流通の誤りというもの——誤りというか、今までの状態というものを政策的に何とかしなければならない問題だと思うのです。したがって、非常にむずかしいのでありますけれども、この生鮮食料品、特に野菜等の価格安定対策というものは、これはひとつ真剣に対処していただきたい。先ほどおっしゃられる需給ということについての安定をさしていくという大臣の考え方、これは賛成なんだけれども、これは実際にはできていない。ことしニンジンの値がよければ、来年はもう生産過剰で値ががったり、農民というものはそういうふうになっていますね。それを調整して、今何県かを指定して、計画出荷ができるように指導されておる、まことにけっこうですが、実際にはなかなかそれがいかないのです。ですからここら辺の指導というものがひとつなされなければならない根本の問題があるんじゃないか、このように思います。 そこでお伺いしたいのは、一体この果樹にしてもそれから野菜にしても、高い高いと、流通機構面に欠点がある、こういうのです。一体その流通機構のどこを大臣は改めれば、この野菜なり果物が安くなり値下がりをしていくのか、この点がまことに薄ぼんやりしておる。大臣は、衆議院の予算委員会の分科会で、松浦周太郎議員の、質問の、野菜についての手取りが、デンマークでは七割五分、それからドイツが六割五分ないし七割、日本はたった生産者は三割だと、こういう状態なんだ、流通機構に何らかの欠陥があるんじゃないかということに対して、大田は、御指摘の点は全くそのとおりでありまして、流通機構改善は重大な問題であります。こういうふうに答弁している。一体御指摘の点は全くそのとおりでございますと言って、さっきから戸叶委員の質問に対しても、御指摘の点全くそのとおりというのはずいぶん出てきたようだけれども、そういう抽象的な問題については、この御指摘の点全くそのとおりとすぐ認めてしまうけれども、一体大臣は、この流通機構の一体どこに欠陥があるのか、どこを改めればこの価格が安定し、値が下がるか、この具体的な方針、考え方を持っておられるのか、この点をひとつお伺いいたしたい。
○国務大臣(重政誠之君) これは第一に市場でありますが、市場の設備の問題もあります。それから取引の方法なり、つまりせりのやり方の問題、それから今お話のあるマージンの問題、いろいろ取引の方式の内容に入っての問題の改善、それから物的施設についての改善、いろいろあろうと思うのでありますが、まあ設備の問題、場所を広くするとか、あるいは機械設備をやるとかいうようなことは、三十八年度の予算に若干の計上を、先ほど申し上げましたとおりいたしておりますが、取引方法の内容の問題につきましては、これは相当困難な問題がたくさんあると思います。私が全くそのとおりでありますと言ったから、あしたからそれができるものでもないのでありまして、これはやはりねばり強く、しんぼう強く関係者の理解を得てやらなければならぬ、こう私は考えておるのでありまして、まあ逐次それらの問題も関係者の協力を得て改善していこう、こういう考えであります。
○赤松常子君 ちょっと関連して。この問題については、前の河野農林大臣にも非常に御関心をお待ちなさいまして、御自分で市場の視察もなさいましたわけです。われわれ婦人の立場からどういう施策がどういうふうに現われてくるか、実は関心を持ってその行方をながめていたわけであります。これは大臣でなくともけっこうでございます。事務当局の方でいいんですが、その後、河野農林大臣はこの流通機構の改革に対してどういう研究をなされ、どういうようにその具体化にお努めになりましたかを、事務当局の適当な方からちょっと御報告願いたいと思います。
○政府委員(林田悠紀夫君) 第一点は東京都の標準小売店を作るということでございますが、小売のマージンが非常に大きいわけでございますから、標準小売店を作りまして、これにより、卸売から仲買いを経て小売に参りますマージンを適正化して参るということでございます。店頭表示をやりまして、これは相当影響力を持っているというふうに考えております。 それからその次は、そういう小売商を一カ所にまとめまして、公設の市場を作って参りたいということでございます。それで、特に大臣から言われましたことは、公務員の宿舎でもそこに提供しまして、下を小売の集まる市場にしまして、その上に人が住むというような場所を作って、早くあちこちに作るべきだというようなことがございまして、農林省の住宅もそういうものに提供いたしましたり、あるいは東京都の住宅もそういうことを計画しております。それから、そういう公設市場を団地にあちこちで設けるようにするのがいいということで、そういうことも住宅公団で行なっておるような次第でございます。 それから市場をよくするということでございまして、これは先ほど大臣からございましたように、今回予算を取りまして、築地の市場を大きくして参るとか、あるいは大阪の東部分場を新たに設けるとかというようなことをやっております。その他に、本年度の予算によりまして、魚につきましては消費地に大きな冷蔵庫を設けまするとか、あるいは食肉につきましては食肉の共同処理販売施設を設けますとか、あるいは牛乳につきましては小売業者の共同販売施設を設けるとか、多方面の施策を講じておる次第でございます。
○赤松常子君 そういう具体的なお店も私一、二拝見いたしたのでございますけれども、これが緒についたばかりだとおっしゃればそれまででございますけれども、一般の主婦、一般の家庭では、非常にこの問題について頭を悩ましておりまして、どうぞそれが逐次早く一般化するように御留意願いたいとお願い申し上げます。
○北村暢君 そこで、私はお伺いしたいのですが、実は価格面における流通機構の内容がどのように検討されておるかということは非常に問題なんです。で、最近のリンゴ、ミカン——これは野菜というものはちょっと品種が複雑で、しかも価格が非常に上下差がありますから、むずかしいのだろうと思いますが、それも私はきのう農林省に資料要求をしておったのですが、なかなか出さないようです。きょうもこの委員会の席上で出してくれるはずになっておるのですけれども、出してくれないから、こまかく私は聞きますけれどもね、それに一つ答えていただきたい。最近のリンゴ、ミカンの生産者の手取りが一体どういうようなことになっているのか、それから出荷経費、それから中央卸売市場の卸売人の手数料、それから仲買人の占める部分、それから小売の段階における……。それについてひとつ最近どういうような傾向に変わっているのか、これは古いものは私持っておるのです。非常に古いのですが、三、四年前のものですからわかりませんが、どのように改善されておるか比較したいわけなんですけれども、ひとつ、それをパーセントで調べていただきたい。出荷経費については選別、荷作り、貯蔵、検査費、それから出荷団体の経費、それから輸送費、こういうものがあるようですが、そういうもののパーセントが、一体どういうふうになっているか、これは資料要求して、出ておればこういう質問はしないのですが、出さないから質問するので、ひとつ答えて下さい。
○政府委員(林田悠紀夫君) ミカンとリンゴにつきましての中間経費を説明せよということでございますが、最近のものといたしましては、昨年臨時生鮮食料品の流通市場調査を実施したわけであります。その事例によるものでございますが、中間経費は、御承知のように品目とかあるいは出荷地とか出荷時期等によりまして、いろいろ異なっている次第でございまするが、大体のところを申し上げますと、ミカンにつきましては温州ミカンについて生産者の手取り率としましては五〇%をこえる場合が大部分でございます。これは愛媛県産でございます。温州ミカンの和歌山県産につきましては、四七%をこえる場合が大部分でございます。次に卸売手数料でございますが、これは大体八%という線でございます。それから仲買いのマージンといたしましては、大体二ないし六%が多いようでございます。それから小売のマージンが高低区々でございまするが、低いものは五・四%とか一二%程度のものがございまするが、三〇%をこえるものが割合多いようでございます。それから出荷経費といたしましては一〇%前後から一三%程度のものが大部分でございます。 それからリンゴにつきましては、紅玉と国光によりまして異なっているようでございまするが、紅玉の青森県産のものにつきましては、生産者の手取り率が、三〇%台が多いようでございます。それから国光の長野県産につきましては四五%をこえる場合が大部分でございます。卸売手数料は、ミカンと同じように大体八%、仲買いマージンの率につきましても大体二ないし六%が多いようでございます。それから小売マージンの率でありますが、三〇%未満が割合多いようでございます。それから出荷経費は一四・五%から三〇・五%程度まで及んでおりますが、二〇ないし二五%程度が大部分を占めております。
○北村暢君 そこで、私は大臣に認識を新たにしていただきたいと思うのは、今のリンゴ、ミカンについての価格に占めるパーセントがはっきりしない。それで、中央卸売市場が狭いとか何とかに金をかけて整理をする。そのことによって、値段にどういうふうに響くか、これは響かないのです。大臣は生産者の手取りはおおむね三〇%だと、こういうことで、ごもっともでございますと、こう言っている、そうじゃなくて、ミカンについては五〇%、これは生産者自体のですよ。そしてこの場というのは委託販売ですから、あそこに並べるまでは一切経費は生産者持ちなんです。したがって、この出荷経費というのは生産者のまあ事業費なんですね、これは事業費なんです。だから、そういうものまで含んで、したがって大体この果樹園等では、六〇%から七〇%は生産者の手へ入っている。そして事業費が二〇%か三〇%かかっている、こういうことなんです。したがって、この中央卸売市場の手数料というものは八%と、こう言いましたけれども、これは八%ではないんじゃないですか、これは法律で何%というものはきまっているのでありまして、量が多ければ手数料は多く入ってくるかもしれません。しかし、率というものは勝手に卸売業者が上げたり下げたりすることはできないんです。これははっきり法律なり業務規定できまっているんです。だから、一体中央卸売市場のパーセントのきまっておるものをどういうふうに合理化しようというんですか。合理化すると言うのだけれども、この手数料をまだ下げようと言うんですか、パーセントを。これは六%なり八%といいますけれども、これは生産者に対して、出荷団体に対して、このうち二%は出荷奨励金として返しているのが事実なんです。したがってこれは六%なり八%じゃないのですよ。六%ないし八%であれば、そのうちの二%は出荷団体に逆に返っていっておる。実際は。そういう仕組みになっておる。これはほんとうはそういうことをやるべきじゃないですね。しかしながら、これは卸売人といえども競争でやっておるんですから、これを出さないと荷物が来ないということで、これは出しておるんですね。したがって個々の卸売人の手数料というものを合理化するといっても、一体どうやって合理化するか。合理化のしようがない。この六%のものを五%に下げるとか八%のものを六%に下げる。こういうことをやりましてもそれ以上には響かない。一〇〇%のうち一%下がるか二%下がるかの問題、ここを合理化してもどうにもならないのです。これは大幅に値が下がるということにはならないのです。この点は大臣の認識が、市場は狭いからこれは整備をするので、そういうふうに整備をすれば安くなるだろうなんて思っていたら大間違いだ。そんなことにはならないのです。したがって大臣の認識は私は非常に違っておるんじゃないかと思いますので、この点ははっきりしておきたい。それから仲買いは二%から六%の手数料だということですね。これは私は相当まだ改善を要するんではないかと思います。大体仲買いの口銭、私の資料いただいたときには、一・五%から三%というんですよ。したがって最近二%から六%というのならば、かえって仲買いの手数料はふえているんですね。それならこれは合理化する必要がある。こういうふうには出てくると思うのです。したがって、これはひとつ十分検討してもらいたい。 それから小売り業者の場合ですけれども、くだものは専門店が相当あるわけです。しかしながら野菜、魚屋というものが今日流通革命が起きて、先ほどおっしゃったように標準店を設けあるいは市場を設ける、公設市場を設ける。これもけっこうでしょう。しかしこの流通革命が起こって、スーパー・マーケットその他が出てくるんでありますけれども、一体生鮮食料品に、そのスーパー・マーケットの流通革命がどう価格に影響してくるか。大量消費があれば安くなる。そういう考え方であるんだろうと思うのだけれども、大体スーパー・マーケットにおける生鮮食料品の取り扱いというものは、スーパー・マーケット自身がやってないんですよこれはやはり魚は、株式会社にしたり何かにして、二、三のものが共同したりということでそこのスーパー・マーケットに場所を借りて入る。そうしてその中に入って会社の人になるのかもしれませんが、とにかく従来のものが入らないというと、魚だの野菜だのの生鮮食料品というのは、簡単にスーパー・マーケットの経営者は同時に経営するということはできないのです。これはもうほとんどのスーパー・マーケット見てもらえばわかる。そういう状態なんですから、末端の小売業者の流通革命における合理化というのは、案外ほかのものと違って合理化がしにくい。したがって、小売業者がそのスーパー・マーケットの中に入っていったというだけの話で、たいした形にはならないのじゃないかと思うのです。したがってそういう点についての施策について、小売段階における公設市場あるいは標準店、いろいろな施策がありましたけれども、そういう流通機構の面についての具体的な施策、これをひとつ真剣に、やっぱり今言ったようなことをやっていないというと、今大臣の説明を開いておっても、実にばく然としていて、どこを改革すれば値が下がるかということがはっきりしないのですよこれはもうみんな高い、高い、こう言っているでしょう。新聞を見てもみんなそう書いているのですけれども、一体どこを改革したらいいかということは、だれもまだはっきり言うものがいないのです。したがってこの面についてはひとつ十分検討されて、これははっきりしていただきたい。それでない限りわからないままで、ただ高い、こういうことになってしまう。したがってそれをひとつ私ははっきりすべきじゃないか、農林省はまたそれを宣伝すべきじゃないか、こう思うのですね。したがってそういうような面におけるひとつ大臣の見解を聞きたい。
○国務大臣(重政誠之君) 実ははっきりしておるのですよ。今の市場の設備をよくする、場所を広くするというようなことも、これは申すまでもなく市場というのは公正な価格が設定をせられるということが市場の第一の目的である。第二は、多量の品物を短時間に分散するという二つの使命を持っている。その第一の公正な価格が設定せられるということは、つまり現在でとられている方法でいえば、せりでありますが、このせりが公正に行なわれるということにならないといかないのでありまして、現在私も市場を見ましたが、神田市場に行きましても、同じネギのせりが一ぺんに五所ぐらいで行なわれておったり、魚でもサンマが三所でせりが行なわれているというようなことで、値段がみんな別々につく。標準店を設けましても、これがそれぞれの系統がありまして荷を持ってくる。卸売、それから仲買いというもの、甲の小売と乙の小光と違っておれは値段が違っているというようなことになるわけです。そこで、どうしてもこれはせりを公正にやっていくということで、相なるべくは値段が同じ値段で小売に持っていかれるというような状況まで時っていかなければならぬ、こう考えておるわけであります。それからこれは肉について申し上げればもっとはっきりすると思うのでありますが、豚の肉を九州の鹿児島のほうから芝浦の屠場へ持ってくる。肉にして持ってこずに、生体のままで持ってくる、こういうことになるから、よくわからない。でありますから、そういうことはやめて肉の取引であるから、産地においてすでに肉にして東京へ持ってくる。極端に申しますれば、枝肉ではない、肉の固まりでいいのだから、骨も取ってそれを持ってくる。そうしてあそこでせって公正な値段をつける、こういうところまでいかないと、なかなかこれはその合理化をせられたとは申しがたいのでありまして、したがって先ほども申し上げましたように、産地において肉の処理場を方々に作ることにいたしましたのもそういうわけであります。中央市場の改善ということは何としてもこれは焦眉の急であります。それから先ほどこまかい取引のマージンのお話が出ましたが、生産者の手取りがあるいは五割あるいは四割五分というようなことの説明をいたしましたが、それは純粋の手取りでありまして、そのほかに一割ないし一割五、六分の箱代でありますとか、あるいは運賃でありますとかというようなものは、その五割、四割五分のこれは外になっております。したがって、これらの容器、包装そういうものについても実は大いに改善の余地が私はあると思うのであります。これをできるだけ安いような容器、包装をやらしむべきである、こう考えておるわけであります。それからまた仲買人の問題、それからあるいは小売のマージンの問題、いろいろあるでありましょうが、こういう問題は、やはり市場の協議会といいますか、そういうようなものも現在あるわけでありますから、東京都あるいは大阪府と十分に相談をいたしまして、そうして歩調を合わせてこれは改善に向かわなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。
○北村暢君 そういういろいろな処置をとられる、まことにけっこうですね。また中央卸光市場の混雑をしている実態、これもごらんのとおり、特に年末のミカン、リンゴ等の入ってきたときにはもう市場にはないですね。もう延々と神田駅の付近の道路が市場になってしまっている。そういう実態、これはごらんになったとおりですよ。したがって、果樹振興で近く二倍、三倍になるというのだけれども、これは作ったものがさばき切れないという問題が実際問題として出てくる。したがって、これはもう市場問題としては、今言ったような公正なせりをするために混雑しないで大量のものを迅速に処理する、これはあたりまえの話ですね。これはもちろん整備をしてもらわなければならない。しかし、今の東京都の中央卸売市場の実態では、早晩これはもうどうにもこうにも手のつけられない段階になってしまうだろう。これはもう明らかなんですね。生産してもさばき切れない。したがって、これももう何だかんだいっても、直売店——生産地から中央卸売市場へ出ないで、直接小売店のほうに持って行く。スーパー・マーケットなり何なりそういうふうな所へ持っていく。こういう問題が私は出てくるだろうと思うのです。さばき切れないのですから、そういう問題が出てくると思う。しかも今度の最近における流通革命という中から、大資本の進出によるスパー・マーケットが出てくるのですから、そうすれば、この中間経費を少なくするという形で中央卸売市場なり地方市場なり仲買いなり、こういう中間的なものは省略してしまう、こういうことも考えられないこともないわけであります。したがって、これはもう今日において、流通革命の時代において、流通機構そのものが実は混乱状態にあるのです。流通機構そのものがもう混乱状態に陥ろうとしている。したがって、中央卸売市場の将来性というものについて一体どうなるのだろうというので、市場関係者は、非常に落ちついた人もあるが、また非常に心配している人もおるわけだ。そういう実態なので、中央卸売市場法そのものについて、これはもう抜本的な改正をするということで附帯決議がついている。ところがいまだにこれは出てこない。今度の国会でも出てこない。この時代においてまだかたかなの何々すべしというのが中央卸売市場法なんですよ。法律を見てもらえばわかる。そういう流通革命のスーパーマーケットの出てくる時代に、かたかなの法律で何々すべしなんという法律で物事を処理するというのは、まことに不見識もはなはだしい。したがって、この点はやかましく言っているのだけれども、どうしても出さないのですね。重大な問題です。私どもがこれを抜本的に改正しろと言ったときと今日とでは、もう流通問題について非常に違いがある。ここ二、三年といえない。そういう段階において、農林省は一体この消費者物価の仕上がりについて、物価対策として一体どういうふうに真剣に取り組むかということについて、実はいろいろあるのですと、おっしゃったとおりなんです。いろいろおっしゃったことが、実際それでは効率的にどういうように改善するのかといった場合に、私はこの農林省の考え方というものは、近くこの問題について結論を出されなければならない問題だと思うのですが、中央卸売市場法についても抜本的に改正されなければならない、こう思うのですが、ひとつ所見をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(重政誠之君) 市場の問題は、おっしゃるとおり、現在の、たとえば築地の市場は東京都の人口が五百万を前提にしてできたもので、今日は一千万をこえるというような状態でありますから、このままでいけないことは当然であります。でありますが、しからば、これを大きな市場をひとつ具体的にどこに開設するかということでいろいろ検討いたしておるのでありますが、これとてもそう短期間ではできないのです。そこで先ほども申しましたように、とりあえず築地の市場を四、五千坪広げるとかなんとかということを中間的にやっておるわけでありますが、将来の問題としては、これは北村さんのおっしゃるとおり、今から私どももその覚悟で、一千万をこえる人口にマッチした市場をひとつ作ろうというので、いろいろ検討を重ねておる次第であります。 それから卸売市場法の改正の問題でありますが、これもおっしゃるとおり、いろいろの問題があるわけであります。これも先ほど申しましたように、中央卸売市場につきましては、その協議会がございまして、都と農林省とで十分連絡をとりつつ、この協議会において問題点を検討をしてもらっておる次第でありまして、いずれ成案を得ますれば、市場法の改正を必要とするものにつきましては市場法の改正、こういうことに相なろうかと考えます。
○北村暢君 最後に、私は問題は流通革命が起こってきて、先ほど言ったように、当初抜本的に中央卸売市場法の改正ということを考えた当時と非常に状況が変わっている。現在卸売市場なり何なりについて兼業禁止というか、兼業については届出制ということになっておる。そうしてスーパー・マーケットというような形で流通機構が非常に変わってきているわけでありますから、それで卸売市場のものだけが営業の自由というものの非常な制約を受ける。むしろあの当時は兼業を禁止としてしまえ、そして中央卸売市場に専念すべきだ、そして信用を高めるべきだ、こういう意見のほうが強かった。ところが最近はそうではなくなってきているようですね。かえって営業の自由というものがなぜ押えられなければならないか。私どもも兼業なんというのは禁止したほうがいいという意見です。特に資本とのつながりの問題がある。禁止したほうがいいという意見だった。しかし最近の状況は非常に変わって参りますので、これは一概にどうという結論は今申し上げかねますけれども、これらの問題も、やはり基本問題として、十分時代に合った、異常な変わり方に対して真剣にやはり検討すべき段階じゃないだろうか、こういうふうに思いますので、この点については、ひとつ検討されますよう御要望を申し上げておきたいと思います。私の質問を終わります。
○北條雋八君 私は、最近農業構造改善事業の進展に伴いまして、特に飼料の自給度の向上をはかる要請からいたしまして、国有林の開放を初め、林地を農用地に転換するという問題が起こっておりますので、この問題について二、三伺いたいと思います。まず、昨年報告されたと伝えられております土地利用区分に関する基準についての調査、いつ提出されたのでございましょうか。また政府とされまして、これをどう取り扱う方針であるのかを伺いたいと思います。
○政府委員(林田悠紀夫君) 土地利用区分の調査という御質問でございますが、これは農林省におきましては、三十一年ごろからそのための特別の委員会を作っておりまして、土地利用区分をいかにしてやっていくかという基準を作ることに専念をしたわけでございます。それで、ようやく昨年その基準ができまして、これからその基準に基づいてここは農地とするとか、あるいは林地にそのままやっていくとか、あるいは草地にしていくとか、そういうふうな、一つの土地をめぐりまして、どういうふうにその土地を利用していくのが最も効率的であるかということにつきまして、おのおの担当の局でその基準を適用して考えていくという運びになっておるわけであります。
○北條雋八君 そうしますと、まだほんとうの報告というものは出てないのでございましょうか。何か三十七年三月ごろに中間報告をされた、そしてその実現化については目下検討中であるというふうに聞いておるのですが……。
○政府委員(林田悠紀夫君) 先生おっしゃるとおりでございまして、中間的の報告は昨年出したわけでございます。これは農林省の農林水産技術会議というところがございまして、そこで手分けしてできたのでございますが、そこにおきまして発表をいたしまして、それに基づきまして今度おのおの各所管の局におきましてそういう仕事をやっていこうということで検討しておるわけでございます。
○北條雋八君 そうしますと、ほんとうの、正式の報告が出るのはいつごろのお見込みでございましょうか。
○政府委員(林田悠紀夫君) 土地利用をいかにしてやっていくかという問題は非常にむずかしい問題でございまして、御承知のように、その土地の地勢なり、水分なり、非常に広範な問題がある。そのほかに経済的な問題もあるわけでございます。したがいまして、非常にむずかしい問題でございまするから、五年ぐらいかけて、あちこちを選定いたしまして、それでその実施をやってきたわけでございます。で、試験的に適用をいたしてみまして、ようやく中間的な報告の段階までこぎつけたわけでございまして、なおそれを十分現地に今後も適用してみまして、それに基づいてやれるということが出ましたならば、それで大規模にやっていきたいという考えでございます。
○北條雋八君 土地利用区分の基準を科学的に決定するということは、この際、構造改善事葉の円滑な進展にきわめて望ましいことでありますから、なるべく早く合理的に基準を決定されるように希望しておきます。 次に、いわゆる選択的拡大の立役者としまして、畜産振興が輿望をになっておりますけれども、飼料の状況を見ますと、その輸入量は最近五〇%前後の顕著な伸び率を示している。農業の動向報告によりますと、金額にして一億五千万ドル。これに飼料用の輸入小麦を加えますと、まさに三億というような金額に達する輸入を仰いでおるわけでございます。国内の飼料に対する輸入飼料の割合は、どのぐらいになっておるか。また、本年度使う全飼料は、どのくらい使われるのか。また、その全飼料に対して、そのうちで牧草と野草の占める割合は、どのくらいになっておりますか。それを伺いたい。
○政府委員(林田悠紀夫君) 三十八年度の飼料の需給計画で御説明申し上げますると、国内産の飼料が、これは可消化養分総量でございまするが、一千三十七万四千トンでございます。それから輸入飼料が三百六十三万八千トン。したがいまして、粗飼料の供給率、これが四二%でございます。それから輸入飼料の供給率が二六%ということでございます。
○北條雋八君 それでは、ことしの飼料の使用量に対する、何と申しますか、自給飼料として使う草の飼料の量ですね、それがどのくらいの割合になっておるか。
○政府委員(林田悠紀夫君) 粗飼料で申し上げていいと思いますが、粗飼料供給率が、今申し上げました四二%でございます。
○北條雋八君 このように、畜産振興の最大のきめ手の一つが、飼料自給度の向上であるということは申し上げるまでもないことでございまして、三十八年度予算においても、かなりその点の配慮の跡が見えますけれども、輸入品がこのように膨大になってきては、国際収支の上からも、また飼料の国際価格の動向からも、ゆゆしい問題の起こるおそれがあると考えるのであります。で、飼料自給度向上のためには、飼料作物の増産と、牧野及び草地の改良による牧草の増産が最も大きな柱になると考えられるわけです。畜産局といたしまして、自給飼料七〇%という目標を立てておりますけれども、今後それに対しては、どのくらい採草地をふやす見通しなんですか。その点を伺いたいと思います。
○政府委員(林田悠紀夫君) 四十六年を目標にいたしまして、現状の自給率は、四〇ないし五〇%でございまするが、それを八〇%程度まで引き上げたいという計画を持っているわけでございます。それで四十六年におきましては、既耕地で大体百万町歩を考えております。それから、草地の造成面積というものを五十万町歩と考えております。大体合わせまして百五十万町歩ということでございます。
○北條雋八君 五十万町歩ということは、かつて畜産局で言われておりましたけれども、そうすると、現在においても五十万町歩の造成ということは変わりがないわけでございますか。
○政府委員(林田悠紀夫君) その計画で今後毎年草地をふやしていきたいということにいたしております。
○北條雋八君 このように、将来相当採草地をふやしていかなければならない、特に農業構造改善が、基本法にのっとって進展する上からは、なお一そうこういう土地が要請される関係から、国有林の開放等が問題になってきたことと思うのですが、一体国有林から草地へ転換するその面積はどのくらいであるかということは、一応検討をされたことがありましょうかどうか。
○国務大臣(重政誠之君) これは一応の検討はいたしております。いたしておりますが、御承知のとおりに国有林の開放をやるといいますと、便乗せられて、いろいろ払い下げの問題が起こってきたりなどいたしますので、どの程度のものをすると言っても、これは抽象的に言ったのでは、実は非常に誤解を招き、話になりません。そこで、現実に構造改善をやる、現実に畜産の拡大をやる。そのために現実に個々の国有林の払い下げが必要である。こういうことになりますれば、私は、できるだけその計画の実効性等を勘案いたしまして払い下げをやろう、こういう考えでおるわけであります。現にこの構造改善業の計画の中へ織り込んでこられておりますものは、ほとんどその御要求のように払い下げをすることに決定をいたしております。
○北條雋八君 そうしますと、特に今、パイロット地区その他の一般地区においてもそれぞれ決定したものもありますが、現時点におきまして国有林の開放を要請してきた、そういうものは一体どのくらいあるのでありますか。
○国務大臣(重政誠之君) 今まで決定をいたしましたものは、まだごくわずかではないかと思いますが、まだ十五件で、約一千町歩程度になっております。これはこれから年々増加して参ると思います。ただいま申し上げました数字は、農業構造改善事業計画としてのものでありまして、畜産の拡大のために国有林の払い下げを要求したものはその中に入っておらない。
○北條雋八君 時間がありませんから次に移ります。 一方におきまして林業の現在の情勢を見ますと、木材の需要はやはり逐年増加をいたしまして、年々成長量の二倍以上を過伐している。この需給のアンバランスを調整するために、あるいは木材の需要の集約化あるいは代替林の利用あるいは外材の輸入によってこれを調整していくという現状でありまして、三十六年の木材の輸入量は、粗材に換算して約一千万立方メートル、石にしますと三千六百万石という莫大なものになっております。これまた木材生産の増強が強く打ち出されておるわけでございまして、国土の保全、災害防止の上からいっても、林業上からも、非常に影響するところがはなはだ大きいと思うのでございます。昨年発表されました森林計画や木材の長期需要の見通しでは、林地の面積は現状維持で四十年間変わらないという計画になっておりますが、変わらないということを前提として四十年間の計画ができておるわけですが、四十年後の人工造林地が現在より六百万町歩拡大して、千三百万町歩になる。それからまた木材の輸入もだんだんふえていって、そうして二十年後に一審ピークになりまして、それからだんだん下がっていって、四十年後にはなお千三百万立方米を輸入しなければバランスがとれないというような計画になっているように思うのです。これによって見ますと。もちろん林業の重要性、特に生産性の向上がいかに重要であるかということは再認識しなければならないと思います。ところが、今も伺ったわけでございますが、せんだっての農林水産の委員会で、農林大臣のお話によりますと、広義の意味での農業構造改善に国有林を開放する方針であると述べられておりまして、今伺うと、まだ今は少ないのでございまするが、今後相当国有林の払い下げをしなければならない。したがって、林地の面積が相当減ってくるのじゃないかというふうに私は心配するわけであります。で、三十八年度以降、国有林につきましては今のところは心配ございませんが、今後まあどのくらい国有林を草地その他に転換しなければならぬか。また、どのくらいまでなら減らせるかということは、検討されたことがありますならば伺いたいと思うのです。
○国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおりに山は今お話の、木材を生産するということも重要な使命でありますが、同時に、保安林等によりまして国土を保全するといういわゆる治山事業をやらなければならぬということもあります。そういう意味におきまして、森林としてこれを保存し、森林として経営するのに適するものを、これを他の用途に使用するということは、よほどのことでないとそれはできません。ところが、森林の経営には適さない、しかし、今のように採草地とするのには——草地としてこれに放牧をしたりなどするのには適するというような地域が相当あるわけでありまして、やはり日本のように七割以上も山のある国では、この山をいかに利用するかということを考えることは、日本経済の発展のためにはきわめて重要な要点であろうと思うのであります。そういう意味におきまして、森林を経営するのに適当であり、またそうしなければならぬところの払い下げということは毛頭考えておらないのであります。ただ、森林を経営するのに適さないが、他の用途に使用するには適するというようなものにつきましては、草地としてこれを払い下げていこう、こういう考えでありますから、おのずから国有林の経営にといいますか、全体の面積が非常に減るというようなところまでは、なかなか私は実際問題としてはいかないのじゃないか、こう考えておるのでありますが、大体机の上でのメドは立てておるのです。この採草地に払い下げるとすれば、それの反別というようなものはどのくらいになるだろうかということは、一応の机の上でのメドは立てておりますが、これは全体からいえばそう驚くほどの数字ではございませんが、ただ、私がこれを一般に発表いたしませんゆえんのものは、先ほどもちょっと申しましたように、これは具体性がないと、ただ払い下げて、あとはその土地をなおざりにする、あるいは採草地でなしに、ほかのことに使うというようなことをやられたんではかないませんので、具体的にそこで放牧をする、それを草地に改良をして酪農の経営をやるとか畜産の経営をやるという計画があり、それが実効的なものであるものについては払い下げをいたします。こういうので、現にそういう計画があるものに対しては、どしどし払い下げをやっておる、こういうわけであります。
○北條雋八君 そういたしますと、林産物の需給に関する長期見通しというこの計画で見ますと、初年度から林地の面積というものは二千四百六十五万二千町歩ということになって、四十年たってもやはりその面積でいっている。そうすると、今度は、こういうふうな方針が打ち出されれば、幾分でも、これに影響してくると思うのです。そうしますと、やはり木材の需給計画まで、それにならって変わってこなければならないというふうに思うのですが、ただいま伺えば、そうさしたる面積の移動はないのだとおっしゃるので、私はこの上伺いませんけれども、そういう点も私は心配だと思って伺ったわけであります。林産物需給の長期見通しにつきましては、今申し上げたわけでございますが、この問題につきましてはこの程度にいたします。 最後に、最近の国有林の開放の風潮というものが流れまして、ややもすれば民有林を含めた林野の開放を便乗的に宣伝する傾向を起こすおそれが強いのでありまして、森林の経済的並びに国土保全的使命の重要性を考えますときに、この風潮が安易な方向に流れることないように戒めなければならないと思います。政府におかれましては、林野の耕地への転換は、真に有効適切なものに限るよう、制度的にも、また運用上にも万全の措置をとられることを希望いたします。ただいま大臣からは、そのようなお答えをいただきましたので、私もその点は安心したわけでございます。 時間がございませんが、次に一点だけ伺いたいことは、テンサイ糖について伺いたいと思うのですが、これは長期の計画が打ち出されまして、もうことしで四年目を迎えておるのでございますが、一向に進展しない。三十七年度の実績だけを見ましても、作付面積で八千八百八十六ヘクタール、総収量が三十六万一千トンも計画を下回っておるわけであります。その点につきまして、その原因と、それに対して政府がどういうふうに今後考えていかれるのか伺いたいと思います。 続けて伺いますが、特に九州地方のビートを集荷していた新光てん菜工場、ここなどは昨年の十一月閉鎖されまして、そして新工場建設計画も行き詰まってしまったということを聞いておりますが、こういうことを考えますと、このテンサイ糖が、今後農業構造改善の成長農産物として、はたして適しているのかどうかということが非常に疑われるわけで、農林省が調べた重要農産物の生産費調査というのがございますが、それを見ますと、テンサイ糖それから、米、大豆、アズキと、これを比較してみたわけでございますが、これを見ますと、一日当たりの労働報酬ということを比較してみますと、テンサイ糖が六百十一円、米が千五十三円、大豆が千百二十七円、それからアズキが千八百八十七円、アズキが一番よくて次が大豆で、それから次がお米で、テンサイ糖が一番悪い。それからまた、その表で反当の所得を比較してみますと、テンサイ糖が四千九百八十七円、米が一万九千七百五十七円、それから大豆が五千十五円、アズキが七千三百三十六円、これはお米の一番ということはもちろんですが、二番目が大豆で、三番目がアズキで、最後の四番目がテンサイ糖だ。そういうふうなことから考えてみますと、まだビートについては日本では研究も浅いし、特に暖地ビートなんというものは、まだ調査して人を派遣したりなんかして研究中のものでもございますので、そういう先行きわからないものを力を入れて作らせるということは、この農業基本法は農業の基本になるもの、特に農民の収入をふやすというのが目的でありまして、砂糖を自給自足するというのは昔の話でありますから、そういう点から考えて、はたしてこれでいいのかなというふうに考えますから、その点をひとつ政府の御所存を伺いたい。大丈夫なのか、これは普通のものを作るよりこれがいいのかということを伺いたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) もちろん本年度北海道でのビートの作付は四万五千町歩前後のものがあるわけでございます。北海道におきましては、酪農経営とこのビートの作付と生産というものがやはり結びついて、農業経営として重要な一つの役割を果たしているわけでありまして、そういう意味から申しますと、今も北海道の農業経営の中に、このビートの栽培というのが溶け込んでいるというような実情でございます。したがって、やはりこの畜産との関連におきまして、ビートというものは重要な一つの農産の品種として取り扱わなければならぬというふうに考えているわけであります。 ただ、先ほど御指摘になりました暖地ビートの問題でありますが、これは現在までの経過を見てみますというと、九州の南部地方を除いては、現時点においては、これを大いに奨励するというところまでは参らない、こういうふうに私は感じております。この技術的な試験研究を目下続けて行なっているというふうなわけであります。この結果によりましては、いい品種が見つかって、しかも暖地においても十分栽培して採算がとれるということにならなければ、一般的に御指摘のとおりに、ビートを奨励するというわけには参らぬ、こういうように私は考えております。
○北條雋八君 暖地ビートでも工場のほうが先にできた場合が多いわけですね、それで、ともかく農村には作れ作れと言っています。どこに工場ができるのかわからないうちから作れ作れというようなことで奨励しておるのですが、それは非常に私は無責任なことだと思うのです。このテンサイ糖については、イタリアその他に調査団を派遣して現在調査をしておられる段階なんでありますから、その点、今後あまり奨励をするのは、この際は控え目にしておいたほうがいいんじゃないか、むしろ研究費を使って、一刻も早くいいか悪いか、またどこの土地が適しているのか、どういう種がいいのかということを知ることが大事なことじゃないかと思うのですが、どうぞその点は十分お考え願いたいと思います。 時間が過ぎましたから、私はこの程度で終わります。
○松野孝一君 テンサイ糖のお話がありましたから、ちょっと関連してお尋ねしたいのですが、今の北條委員のお話のように、内地におけるテンサイ糖の奨励、いろいろ困難な問題があると思います。私の郷里は秋田ですが、秋田においても小さいテンサイ糖の工場が、百町歩か二百町歩栽培をいたしておるわけです。導入当初でありますから、栽培面におきましても、ことに初めての作物であります。それが酪農とかあるいは畜産、その他の作物とか、栽培体系というか、うまく取り入れていないような現状にある。それを極力打開する。奨励する。ある所ではかなりよくなってきています。ヘクタール当たり三トン以上もずっととっているところもあります。まだ平均は二トンくらいです。しかし、私はこう思うのです。内地におけるテンサイ糖の奨励、それは栽培、その他作物との関係、いろいろありますけれども、それも必要ですが、また工場ですね。工場が最初から千二百トンとか、あるいは七百トンとか、大きな工場を設けると、周辺の、時ってくるテンサイ糖が不足していっているのですね、岡山、大分がその例に載っているように思うのですが、秋田では小工場を作る、それは百トンくらい、そうすると四百町歩くらいで何とかやっていけるというようなことで、まことにけっこうだと思っておるのですが、ただ生産費の関係、これは私も農林省に聞くと、生産費が、コストが高くなるんじゃないかとか、いろいろ言っていますが、工場主のほうではそうでもないと言うて説明をしているが、私も詳しくはわかりませんが、内地のようなところでは、四年に一回か五年に一回のテンサイ糖を作るには、広い面積がなければいかぬし、私は何といっても小工場を奨励するようにしなければ、内地におけるテンサイ糖の伸びというものはむずかしい点があるんじゃないかというような気がするのですが、これもコスト関係もあるし、いろいろその点をどういうふうに御研究して——結論までまだいっていないかもしれませんけれども、ぜひその点を御検討をしていただきたいというふうに思っております。
○国務大臣(重政誠之君) 今、現在の時点で、現在までの研究の結果を見てみますというと、内地におけるビートの栽培は、ただいまお話のありましたのは、青森、秋田、岩手というような、つまり東北の北部ですね。それから九州の南部においては栽培の可能がやや有望である、東北の北部は、これは北海道並みにいけるということであります。その他の地方は、これはなお研究の余地が大いにある、こういうのが結論であります。 それから、先ほども北條さんからお話が出ましたし、ただいまもお話のありました大分とか、岡山とかは、大きな工場を、千二百トンも一ぺんに作って、それで大分では工場の閉鎖をした。しかし、これは何も農林省で工場を作れと言って奨励したのではないのですから、この点はひとつ御理解を賜わっておきたいと思うのであります。ただしかし、全国にちょいちょいビートの栽培が行なわれております。各県で知事が非常に力を入れてやったところがあり、あるいはまた精糖会社がやったところもある。そういうようなものが行なわれておりますから、これはそういうふうにまあ知事にしても精糖会社にしても奨励をしてやったものにつきましては、今の東北と南九州を除いた地点において栽培せられておるものでも、むろん積極的に奨励するつもりは全然ございませんが、しかし、それを一度にすぐ全部つぶしてしまうというわけにも参らないと思うのであります。それはお話のとおりに、農業経営の中に入っておる部面もあると思うのです。そこで、これは研究の結果を待って、ひとつ最後の結論を各地方においても出したい、こういうふうに考えております。
○赤松常子君 たいへん時間がございませんから、スピーディに御質問申し上げたいと思っております。私、農林行政の中で婦人の方々が参加しておいでになる生活改善の問題で、一、二ちょっとお伺い申したいと思っております。 私この間、第十一回でございますか、生活改善普通員の全国発表大会に拝聴に参りまして、毎年私出るつもりでおりましたけれども、ずっと十一年間続いて参りませんでした。しかし、参加者の中には、こういう声が聞かれたのです。私、重政農林大臣のごあいさつも拝聴いたしまして、たいへん生活改善普及員の方々を励まし、そうして、政治の最後の目標は農村の個々人の方々の物心、ともに豊かな生活の建設にある、こういう言葉をおっしゃったということを、ずっと出席していた普及員の人から聞きまして、大臣から直接ああいう言葉をお聞きしたのは、この十年間今度が初めてですと、たいへん感謝していらっしゃいまして、ほんとうにありがとうございました。そういうわけで、私農林行政の中で、農家の生活の実態をよくする、こまかくこれを分けて、たとえば主婦の、あるいは子供の、あるいは夫の、そういう人間関係をよくするということも大事でございますけれども、それが土台でありますけれども、農家自体の生活をほんとうによくするというための考え方というものが、農林行政の全体の中にどの程度一体取り上げられているのか、考えられているのか、これをざっと伺いたいと思っております。
○国務大臣(重政誠之君) やはり農山漁家の生活を改善するという仕事をやっていただいておるのは、生活改善普及員の方々であります。これは、ただいまもお述べになりましたように、予算も従来はそうたくさんございません。そして普及員の人数も比較的少ないのであります。そこで三十八年度初めてのことでありましたが、若干の増員もいたし、そしてまた普及員の方々の手当も若干増額をするという予算を計上をいたしておるわけでありまして、これは農村だけに限ったことはないのでありますけれども、先ほど来野菜や無の話も出ましたけれども、都会だって何と申しましても国民所得がふえております。そうすると、イワシやサンマを食わずにやっぱりマグロの刺身とこうやられるものだから、そこで自然生活費がふえるということになるわけです。これは栄養が十分ついてけっこうなことでありますが、どうも科学的に見て、農村での食生活でも、どうも栄養的に見ても、また保健的に見ても感心しないような食生活が従来とも行なわれておる、そういうようなものの指導をやっていただきますとか、あるいは農家の家の構造を改善をするとか、いろいろ非常にこまかい、そうして重要ではありますが、厄介な仕事を担当していただいておるのであります。私は、せいぜいこれがやはり農村の生活の基本問題を解決する重要な部面である、こういうふうに考えて、まあ若干ではありましたが、予算の増額もいたした次第でございます。
○赤松常子君 ありがたいお話でございましたけれども、どうぞそれがほんとうに実践されるようにお願いしたいと思うんです。特に、もうしばしば申されておりますように、今農村は深刻な転換期にきておりまして、ほとんど主婦が中心の農事従業者という形になっておりまして、だんだん聞いてみますと、やはり家事、家政がおろそかになる、子供の養育に目が届かない、こういう悲しい面が出ているのでございます。であるからこそ、ほんとうにこの農家の生活自体の近代化、こういうことが要望されてきているのでございまして、どうぞ農林行政の全体の中で、こういう面——幾ら農業基本法で農産物の生産向上をうたいましても、家族が不健康であったり人間関係がうまくいきませんでしたら、ただそれはお題目にすぎません。ほんとうにこういう点の問題が今農村に渦巻いている。農村はそういうことを要求している。こういうことにこたえるべくよき施策をどんどん行なっていただきたい。生活の問題を農林行政の全体の中で相当重要度に取り上げていただきたい。これを私ぜひ大臣にお願いしたいと思います。 それから今度は局長さんに伺いたいんでございますが、今生活改善普及員が一人当たり何戸の農家の相談相手になっておりましょうか。
○政府委員(齋藤誠君) 現在の普及員を今度三十八年度から百七十名増員することといたしまして、全体で生活改善普及員が二千五十名ということに相なっております。大体一人当たりの担当戸数が三千戸くらいに相なっております。
○赤松常子君 それで、百七十人の増員もなかなか紆余曲折があったように承っております。しかし、増員になりましたことは非常にけっこうでございますが、三千戸ということになりますと、あれでございますね、ほんとうに農事技術員もなかなかの担当の戸数を持っていらっしゃるが、この数字と比較いたしますと、非常に多うございますね。これは平坦部でそうでございましょうか。山間僻地を加えると、もっともっとたくさんの戸数を一人の普及員が持っていらっしゃることになるのでございましょうか。
○政府委員(齋藤誠君) 御指摘のとおり一般農業改良普及員でございますと、現在一万九百三十七名でございますので、五百五十戸くらいの一人当たりの農家戸数になっております。それに比べまして生活改善普及員は、今申し上げましたように二千五十名でございますので、一人当たりの担当農家は三千戸くらいになる。これは平均でございますので、もちろん地域によりましては四千名になるというようなところもあるわけでございます。
○赤松常子君 それで、これが十分に任務を果たすためには、あなた様はどのくらい増員すべきだ、どのくらいあれば十分できるとお思いでいらっしゃいますか。
○政府委員(齋藤誠君) 具体的にどのくらいの戸数がいいか、今の農業改良普及員の担当戸数もこれでまだ足りないという意見もありますし、もうこれで十分だという意見もございます。しかし、いずれにいたしましても、生活改善普及員につきましても、今の数では少なくとも不十分であるとこう考えておりまして、来年度以降におきましても生活改善普及員につきましては何とか増員をいたしたいというように考えております。
○赤松常子君 一応目安は立っていらっしゃるのでございましょう、今までの経験から。
○政府委員(齋藤誠君) まあ計画といたしましてどのくらいの戸数がいいかということにつきましては、いろいろ試算なり検討はいたしておりますけれども、それで十分であるのかあるいはそれでも足らないのか、いろいろ意見もございますので、十分今検討をいたしているところでございます。
○赤松常子君 その結論が出たらどうぞおっしゃって下さいませ。 もう一つ。きょう御説明なさいました中に、農業技術の普及についていろいろ職員の養成、そういう費用を十分組んでいらっしゃいます。その中で農業講習所及び農村青年研修館、経営伝習農場等の整備充実としてございますが、これらの対策は女子になされなければいけないのではないでしょうか。その辺の考慮をされていらっしゃいましょうか。
○政府委員(齋藤誠君) お話のとおり今後女子の教育につきましても、一そう必要になって参るわけでございまして、一番手っ取り早い実演、展示をする。生活改善の展示あるいは実習をするというふうな施設といたしまして、生活近代化センター、これは将来は一県に二カ所ずつ作るということにいたしたいと思っておりますが、昨年度に引き続きまして本年は十カ所予算を計上いたしたわけでございます。 それから各種の婦人の研修でございますが、これには施設によるもの、それから活動によって、つまりグループ活動によって今後育成していきたいもの、二つ考えておるわけでございます。経営伝習農場におきましてもたしか十七ございますが、女子部を設けておりまして、今後この面においてもいわゆる農家のいい嫁さんを養成していくというようなこともあわせて考える必要がある。それから青年のいわゆるグループ活動、これもまた生活改善には重要な要素でございます。これには技術の交換会あるいは生活改善の実験発表であるとか、こういったようなことを、相互練摩をするという意味でグループ活動が考えられる。この青年対策約一億につきましては、もちろん女子も対象にして考えて参りたい、かように思っております。
○赤松常子君 それではこれでよろしゅうございます。
○主査(後藤義隆君) 他に御発言はございませんか。——他に御発言もなければ、農林行所管に関する質疑は終了したものと認めます。 これにて暫時休憩いたします。 午後一時四十二分休憩 —————・————— 午後三時八分開会
○主査(後藤義隆君) 休憩前に引き続き分科会を再開いたします。 分科担当委員の変更について御報告いたします。 本日、戸叶武君及び北村暢君が辞任せられ、その補欠として瀬谷英行君及び田中一君が指名されました。 —————————————
○主査(後藤義隆君) 昭和三十八年度総予算中建設省所管を議題といたします。 建設大臣の説明は、時間の都合上これを省略して、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととし、直ちに質疑に入りたいと思います。 なお、建設大臣の説明資料は、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと思いますが、このように取り運ぶことに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(後藤義隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 これより質疑を行ないます。質疑がおありの方は、順次御発言を願います。
○田中一君 御承知のように、三十八年度の予算を大体拝見いたしますと、通じて宅地政策に相当大きなウエートをかけておるように見受けられます。そこで、宅地収得を容易にするためのいろいろな立法化もあわせてなされておりまして、現在までに出ておるものとしては、土地区画整理法——いわゆる民間の力によって市街地を形成させると、これに対する無利子の融資をすることとか、あるいは住宅公団、住宅金融公庫等に宅地債券の発行を許そうとするとか、また、まだ国会には提案されておりませんけれども、新住宅市街地開発法案とか出ておりますが、私は、この傾向は、当面の問題を解決するための一つの施策であって、この背後には当然、国全体の、また申しますならば、産業構造というものはどうあるべきかというところから出発しなければならぬという長期計画があるはずであります。したがって、部分的な政策のうち、ただ単に宅地を造成すればよろしいんだというもの以外に、思想的な何らかがなければ、これらの施策が取りまとめていかれないと、こう考えるんです。で、今申し上げた三つの施策をからめて、宅地を造成するには、たとえば一つのモデルでけっこうです。どこどこにどういう方法でどういうものを目途にこれらの政策を推進するのかという点について説明を願いたいんです。先ほど建設委員会でこの点に多少触れましたけれども、宅地がたくさんできるならば土地の暴騰は抑制されるではないかというような発言も大臣からありましたけれども、私はそう思っておらないんです。宅地化される前の土地問題、国土問題、これはあらゆる用途に供せられている国土そのものでございます。それについてひとつ御意見を伺っておきます。
○国務大臣(河野一郎君) だんだん御質問でございますが、御承知のとおり、わが国の住宅問題は、戦争によりまして非常に破損されたもの、急激に海外から引き揚げられた方等、にわかに宅地や住宅を必要とする方が非常に多くなりましたために、これらの諸君の住宅問題を解決することを最近までの目途として実施せられてきたことと考えます。したがって、これらの問題が今なお未解決のままであるものもございますけれども、この段階になりますと、今お話しのように、積極的にこれからのわが国の国づくりの一環として、どういう方面に、どういう方向で宅地を造成し、住宅問題を解決していくかということが、当然考えられるべき段階に来ておると私も考えます。その一環として、政府におきましては、つとに、たとえば首都圏整備委員会を作りまして、東京を中心にした関東一円の広域にわたって、この東京の稠密した人口、もしくは困難しておる住宅地等をどういうふうにするかということについて検討を加えておるわけであります。この点につきましては、他の大都市についても、その点は十分都市局あたりを中心にして研究を進めておるのでございますが、さらにわが政府におきましては、産業都市をどういうふうにこれから決定をし、育成をして参るかということで、地方と中央との格差を是正すると同時に、地方に地方産業の発展を企図しつつ、これを中心に、ここに住宅地を造成して解決をしていくということを当面の方向として考えつつ、われわれは、住宅問題の基盤を、宅地問題の基盤を、ここに置いでおるわけであります。
○田中一君 今の建設大臣の考え方、いわゆる住宅問題からくるものがもとをなして宅地対策ができ上がった、同時にまた、広域の都市構造と申しますか、産業改革をいたして、そこに一緒に住宅問題を解決しようというような構想でありますけれども、宅地を求めるために、宅地を造成するために、宅地の価格が上がるということは、これはもう当然なんです。私は、ある面では、たとえば東京都、いわゆるその首都圏整備法によるところの拡大人口というものを抑制するための施策もできて、これはいわゆる社会増というものを抑制しようという考え方、これはまあ当然の問題です。もしも宅地だけを求めるならば、もっとほかに方法があるのじゃないかと思うのです。やはりやすきについているということは言えるのではないかと思う。たとえば、東京の卑近な例を申しますと、オリンピック関連道路として計画されておるところの駒沢から三宅坂と申しますか、この返まで来るところの放射四号線にしても、これに対する用地の買収によって、補償金によって、各住民が陸続事務所を作っている。事務所はもう飽和状態です。余っております。だから、渋谷から赤坂見附まで来る間の両側で、新しい道路の拡幅による補償金によって建てられた不燃建築が、おおむねあき家です。同時にまた考えてみますと、なるほど四十メーター道路に開口部を持つ住宅なんというものは、その騒々しさ、それから砂ぼこりの吹き込んでくるところには、住むにたえない。だから事務所だということになっておりますけれども、私はこれは基本的な方法で解決されると思っているのです。で、都心の再開発を考えないで、ただ平面的な宅地を造成しよう、宅地造成を助成しようという政策は、いたずらに、宅地そのものの地価の値上がりでなくて、山林原野その他の、むろん農地は含まれておりますが、その他のものが当然値上がりされる。私はここで言いたくないことでありますけれども、河野さんがかつて大臣に就任直後に、あなたの地元である平塚において住宅公団が造成した、たいした規模でもない工場団地を、政令を改正して原価主義であるべき分譲価格を時価主義に改めたという事実を、私は指摘しなければならぬと思うのです。これは河野さんは、地元の陳情者に対して、要求する権利が筋が通るならば、当然買収価格の値上がりも認めようという、こういう答弁をしておるように聞いておりますが、これは筋じゃございません。三年前に一定の価格をもって買収した土地というものが、造成され、宅地化されたあとに、これをどう売ろうとも、幾らで売ろうとも、これは何らの権限も相手方にございません。しかし、あなたの言葉を伺うと、一般の市民に与えるところの住宅の宅地は従来どおり原価主義でいく、いわゆる買収価格に造成費を加えたものを分譲価格としてそれを払い下げていく、そして住宅の建設促進のための一助にするのだ。工場団地は、いわゆる資本家であるという表現でございましょうね。だから、倍額で売って、時価主義でもいいではないかというような発言があったように聞いておりますが、そこなんです。そうして現在は大体原価の倍で分譲されておるように聞いておりますが、なるほど、個人の住宅でなくして一つの企業に売りつける宅地であるから倍でいいという考え方は、ちょっと取っつきますと、何か資本家には重く、一般大衆には軽くというようなことに見えますけれども、しかし問題は、結局宅地の値上がりということ、土地の値上がりということを招くということにならざるを得ないと思うのですよ。したがって、住宅公団、住宅金融公庫等が、今後住宅債券をもってどの地点にどういう形でどういうものを造成するかということになりますと、工場団地に対する農民の——これは農地とするならば、農民が少なくとも時価主義によるところの価格に見合うものでなければ売らないということになります。この問題を、河野さん、一体どういう解決をしようとするのですか。
○国務大臣(河野一郎君) 私は、お話ですが、今も私の処置したように処置することが行政上正しいのであって、原価主義で年限が相当経過して、その間に物価の変遷がありまするものを、別のほうから申しますと、東京その他京浜の中小の工場を移転するという目的、非常に大きな目的、その目的に主眼を置いてやる場合には、そこに多少の価格が——原価主義であって安く与える場合もあり得てもよろしい、しかし、それが中小でなくて、平塚の場合のように、五万坪、六万坪、しかもそれは日本の有数な大会社というようなものに、事実時価が倍もしておるときに、それを原価主義で与えるということは適当でないということのために処置をとったのであって、私は、今お話しのように、ただ問題をいれずに重点を置くかということでものの判断をすべきものでなくて——一面だけでものの判断をなさいますと、今申し上げるように、どっちがどっちかということになりますと、そのときに聞くほうはいろいろ解釈もできると思うのであります。したがって、私は、それがもし千坪、二千坪の中小の工場ならば、あえてそういう処置をとる必要はない。もしも初めから住宅公団をして大都市の中小工場を疎開せしめることが目的で行なったのだ、その大きな目的にすべてが利用せられるとするならば、それでよろしいということになりますけれども、そうでなしに、大工場にもそれを利用せしめるというような場合が起こってきたとする場合には、今申し上げるような大工場に原価主義で与えるということは必ずしも適当でない、国家がそういうものに協力する必要はないという場合がありますので、今お話しになりましたような処置をとった、こういうことでございます。
○田中一君 それも一面の理屈です。筋が通っているかのごとく見受けられます。しかし、日本の産業が軍需生産をしておらないのが今日の事実であって、国民生活に直接関係の深い生産をしているということになりますと、たとえ資本あるいは経営形態から見て少ないものであっても、物価の値上がりを招来するのは当然であります。ましてや、私が申し上げているのは、一面を河野さんは見ていると言うけれども、私は、今後工場団地の予定地、これに対して農民が公団に売ろうとする土地の価格が上がってくると言っているのです。当然上がってくるのです。なるほど売却の場合には、そういうことも、社会党のわれわれとしては、中小企業育成のためにとか、あるいは大企業に対しては少しは負担を重くしたっていいではないかということになると、ちょっと飛びつきやすくなりますけれども、よく考えてみますと、われわれは、大企業も中小企業も全部、私どもの感覚としては、同じようによい政治のもとに包含していくという気持を持っておりますから、特別に大企業を敵視したり、それから余分に取ってもいいではないかという考え方はとっておらぬのです。ただ、それはそれとしても、土地を公団が収得するための原価が高くなるということです。初めからこの土地は倍にして売るのだ、原価の倍に売るのだ、あるいはこれは一年たち二年たち三年たった後には再評価をして、そのときの金利その他が価格にプラスされて売るのだということになると、当然現在持っている農民なりあるいは山林を持っている者にいたしましても、公団に売り払おうとするところの価格が高くなるということを言っているわけです。これは河野さんでも、一面の事実としてお認めにならなければならぬと思うのです。その点はどうお考えになっていますか。
○国務大臣(河野一郎君) 別に高くは売ろうとした事実はないのであります。別に高く売った事実はない。時価で売ったのです。だから、その周囲の田畑をもし公団があらためてそのときに買うとすると、その値段でというので売るのですから、無理に時価をつり上げるというようなことになるとは思わぬのであります。三年前に安かったときに買って、それが三年間いろいろな都合で処分がおくれた、その間に周囲の地価が上がった、上がったから上がった値段で売るというだけであって、別にその間にひどく値段をつり上げて売ったという事実は、私はそういう指導をした覚えはないのであります。しかも、会社の名前を言っていいかどうか知りませんが、そのとき売買しようとしたのはビール会社です。もしあのときにビール会社に今言うような値段で処分しておったら、おそらく世間から私は非難されたのではないかと思うのです。ビール会社に、実際倍しているものを、それを半分の値段で売って何億ももうけさしたら、けしからぬじゃないかと今ごろ逆につるし上げられているのではないかと私は思うのですが、そうじゃないでしょう。
○田中一君 河野さん、それはあなたの人柄を批判するのであって、それは事実は、公団が現在あるところの政令で規定しているところの価格で売るのに、何もそれは非難されることはございません。私は逆のことを言うと、河野さんの選挙区でなければ——これはまああなたがあそこを選挙区とするところの政治家であり、また私はあそこだけが自分の選挙区でないという全国区の議員だから、感覚が違うかもわからない。あなたが、今のように、大会社に原価で、時価とすればうんとより安いものを売ったと。これはむろん、法律の命ずるところによってその価格をきめ、売ったものでありましょうけれども、これはかえって非難されるのじゃないかというお気持をお持ちになるでしょうが、私は逆に、高く売ったということによって、これに隣接するところの多くの農地、山林原野等の所有者が、それを標準にして山林などの価格を想定する場合に、当然倍なり三倍なりで売れるという見方をするならば、高く買ってもらおうということにならざるを得ないと思うのです。これは見方が違うというけれども、私はそう思う。高く買ってもらおうということにならざるを得ないと思う。でなければ、現在、三年前に売り払った農民が、どうもあまり質のいい農民じゃないらしいけれども、農民が原価主義だから公団に売ったと。しかしながら、それは原価の倍で売るならば、その分の、政令できめる前の、改正する前の剰余金というものはおれのほうにもう少し分け前をよこせという要求も、これまた感情論としては認めなければならぬということになると思うのです。しかし、あなたが言っている筋の問題、理論の問題では、当然そんなことは幾らで売ろうと知ったことじゃない。こちらは、行政面の責任者としては、政令を変えて売ったんだから河も文句ないじゃないかというならば、文句は何にもございません。しかし、そのために、今後宅地を造成しようというための宅地取得が、なかなか高くなって取得困難になりはしないかという見方、高くなるであろうという見方を私は持っているのです。これは、その土地に、その地域に、何というか、非常に近い関心と遠い関心との違いかもしれませんが、今後時価主義であるならば、今までは三千円で売ったけれども、どっちみち三年たったならば二万円になるから、三千円では売れない、一万円でなければ売らないという気持が土地の所有者に起こるんではないかということを心配しているわけです。
○国務大臣(河野一郎君) 三年前に買うときも、何も安く値切って買ったわけじゃない。地主も喜んで売ったのです。今度これが、三年たたないうちに、一年くらいで造成されて、一年くらいで処分して交換されておったら、こういう事実はなかったと私は思うのです。常に地価が上がるといっても、地価がそんなに一年間で動くわけはないのですから。ところが、造成もおくれたのでしょうし、売り渡しもおくれている。三年の間に地価がそれだけ変動したというのですから、別にまわりの値段をつり上げて買おうという意思もむろんありませんし、つり上げて売ろうという意思もない。どこまでも時価主義でいく。これはすべてみんな時価主義じゃないでしょうか。道路の敷地を買うにしても、何にするにしても、みんな地価主義でいくよりほかに方法がないじゃないでしょうか。
○田中一君 これは、改正される前の政令というものは原価主義になっておりました。工場宅地、住宅地という差別はございません。宅地は原価主義で売るのだということになっておりました。それが今回の政令改正までの姿です。だから、これは政治的にあなたがそういうほうをとった、自信を持ってとったというのは、あなたの権限でおやりになったんですから、一向差しつかえありません。ただ、そのために土地の値上がりに拍車をかける方法だと言わざるを得ないということを言っておるのです。
○国務大臣(河野一郎君) 問題は、今までの法律は、そんなに造成して売るまでに三年もかかるとか、そんなに土地の値段が異常な変動が起こるような事態が来るとかいうことを想像しないで、売る場合にはどうするかといえば、時価で買ったものに、一定の道路分の償却をとるとか、金利を払うとかして計算して、そこで原価主義で売りますということが一番合理的だと思うのです。ところが、そういうふうに合理的であるように法律を書いておいたところが、たまたま三年の間に地価に非常に変動期のありましたために倍に上がっておったと、倍にまで地価が上がっておるものを、周囲の地価が倍に上がっているものを半分の値で処分するとなると、行政上あまりにもそこに変則が起こってきておるということから、しかも私は、最初に申し上げたとおり、それが中小の工場が大都市から移転するというのであれば、安くても、それは奨励としてやるのだからいいじゃないかということで、私もあえてこれについて考慮しようという気持は少なかった。ところが、何にしても、今申し上げるようなビール会社が一口に五万坪、六万坪というものを造成された事情、隣の地所の半分の値段でこれは買って、そこに工場を建てるということになったら、社会通念からいって非常におかしいだろう、それでは納得されぬだろうという気が起こったもんですからとった処置であって、今あなたのおっしゃるように、それがかえってまた因となり果となって周囲の地価を上げることになったら、これはわれわれの非常に欲せざるところですから、そういう点で特に注意して、そういうことのないようにこれから努めます。
○田中一君 したがって、たくさんの宅地政策をお出しになる、私は具体的に方針を一本すべきであると思うのですよ。それはなるほど、戦後の各会社等も資産の再評価をしております。しかし、国のその施策というものは——一般の土地会社が利潤追求のために安い宅地を買って造成する、いい環境を作って、そして時流に乗った価格で売って利潤を上げることのほうは、一般の土地会社がやっております。しかし、これまた今日では底をついております。せめて国の施策だけは、そのかわり誘致する工場も、今言うとおり、大会社よりも中小企業者のほんとうに必要な生産をしているもののほうを誘致することのほうが望ましいと思います。ただ、一般の土地会社と同じような形の公式論で売ることはかえっていかぬ。たとえば、公営住宅の家賃というものは原価主義でございます。原価主義で、非常に低廉でございます。時価がどう上がろうと、公営住宅の家費というものは、原価主義でもって家賃を算定しております。私これでも不十分だと思います。もう少し原価を割ってもいいから、低所得層に対しては、公営住宅は安い家賃でいかなければならない。しかし、一面住宅公団住宅あるいはその他の施策のものは、まあ中流の所得層に与えるならば、その収入に見合った多少家賃による余剰金が出て、そうしてまた次に住宅を求める人のために——これはあなたのさっきの思想ですね、ために家賃を多少高くてもいいではないかという考え方もありますけれども、少なくとも国がやるもの並びに国の機関がやるものは、単なる住宅ばかりじゃございません、宅地という想定でありますから、考えなきゃならぬと思うのです。しかも、今後これらもまだ、評価鑑定という制度を設けて合理化をしようということになっております。五千五百円が原価のものを二万一千円で売ることがはたして正しいか正しくないかの問題も、これはそれぐらいいいだろうということだと思うのです。ほかのところは下がっている土地もたくさんございます。ちょうどことしの春あたりは。したがって、今後評価鑑定士法という法律が通って、大体社会的にも認められる価格というものが発見できるならば、これによって売るんだということを言ったって、一向差しつかえないと思うのです。根拠が明らかであり、かつまた法律の前には大資本家も小資本家も同一であるという思想に立ってもらわぬと困ると思うのですよ。僕は、おそらく河野さんは、自分の選挙区であるから、どうも遠慮したんじゃないかと思うのです。今後ともひとつ、選挙区なんということを考えずに、やっぱり宅地政策というものを日本の国土計画の一つとしての大きな計画を打つように僕はして、ほしいと思うのです。
○国務大臣(河野一郎君) 私は選挙区なんということを考えて今までものを判断したことはございませんから、この点御了承いただきたいと思うのですが、ただ問題は、大日本ビールということが頭にぴんときたのです。ビール会社に五万坪、六万坪という国家の造成した工場敷地をやる必要はないじゃないか、しかもそれを半分値で売る必要はないじゃないかというのが頭にぴんときて、正直のところやったのです。これが初めから東京の疎開工場の敷地であるということであれば、私は決してそういうことをしなかっただろうと互います。全部がそうであるならば。また、問題はその一点だろうと思うのです。宅地を造成しても、千坪、二千坪の宅地を要求する人であったら、やっぱり私は安く売ることは好まない。やはり中小の最もわれわれが宅地を造成して差し上げようという方ならば、私はいかようにも努力もし、便宜もはかろうという気持がありますけれども、金を幾らでも出せる男なら、勝手に自分で行って宅地を作ったらいいだろう、そんな世話をするひまは建設大臣ございませんという私は態度です。したがって、問題は、今言うとおり、大会社で、自分でどんどんやったらいい。大会社の工場敷地までこっちが世話してやって、こしらえてやる労力は、建設省としてはしたくない、また住宅公団にさせたくない。たまたまそういう話があれば、それが時価ならば、これは文句言うわけにはいかないけれども、特価でなくて安くするということは同意しがたい、こういうことを言うたのです。そういうことは別にして、今後、いろいろ御注意もございますから、問題は、建設省が意図し、公団等に、宅地として考慮する、施策せしめるものは、中小の宅地要求者である。この要求を充足するためにわれわれが考えているのである。われわれが建設省として取り扱う宅地というものは、いわゆる中小の住宅を建設しようとする人の宅地を充足しようとするのであるということにひとつ考えたいものと私は思います。
○田中一君 次に今度は、建設大学を作りますね。建設研修所を建設大学にするということ、これはおそいくらいです。そこで、ちょっと局長からでも報告してほしいのは、産業開発百年隊の実績が今日どうなっているかという点と、建設大学が、単なる建設省部内の行政、技術両面の大学課程、だから学校としての大学じゃなくて、付属機関としての大学ですね。これは、その構成範囲というか、研修範囲というか、そういう点をちょっと説明してほしいと思うのです。
○政府委員(町田充君) 産業開発青年隊の現状について簡単に御説明申し上げますと、現在産業開発青年隊には、幹部隊、地方隊、中央隊と、こういう三隊の区分がございまして、幹部隊はもっぱら指導要員の教育訓練、それから地方隊は各地方に働きますところの青年の教育訓練、中央隊では主として海外に出ていこうという希望を持っております青年、それから地方隊が置かれておらないところの地域からの青年、こういう者を対象にして主として教育訓練をやっているわけでございます。大体幹部隊が二十五名、地方隊四百六十名、中央隊が百二十五名ということで、全体として六百十名くらい、これを年間通じまして教育訓練をしている、こういう状況でございます。 なお、予算の措置といたしましては、約五千七百万円程度の費用で教育訓練をやっているわけでございます。
○田中一君 それで、大学のほうをちょっと。
○政府委員(山本幸雄君) 大学校には実はまだなっていないのですが、建設研修所というような名前で、建設関係の要員の訓練をやっているわけでございます。研修所におきまする教育訓練といたしましては、計画用地等の建設行政に関する教育、それから土木建築、建設機械等の建設技術に関する教育、それから測量技術に関します教育ということと、さらにただいまお話がありました産業開発青年隊の隊員に対する教育、こうしたものを行なっているのでございます。教育訓練の体系といたしましては、建設技術者の新規の養成、いわば初任の養成と、現在すでに職員となっておりまする者に対する再教育とに分けまして、それぞれ教育訓練を行なっているわけでございますが、新規の養成部門におきましては、いろいろコースがございますが、四カ月ないし六カ月というような課程によりまして、土木技術者あるいは測量技術者の新規養成をやりまして、わずかながらも技術者不足に対処する訓練をいたしております。また再教育部門におきましては、計画用地、土木建築、あるいは建設機械、測量ということにわたりまして、所要の教育訓練を行なっているわけでございます。ただいままでコースは、相当いろいろのコースがございまして、長い教養期間のものもございますし、比較的短期間のものもございますが、三十七年度におきましては、人口にいたしまして千五両名の訓練をいたしておるのであります。三十八年度におきましては、さらに千九百名程度の訓練を実施をいたしたい、かように考えておる次第でございます。なお、これらは、建設省あるいは産業開発青年隊に所属する職員のみならず、地方公務員につきましても、これらのコースに入れまして——全部ではございませんけれども、相当数をコースに入れまして、教育訓練を実施をいたしておるわけでございます。
○田中一君 職業訓練局員来ていますか。実はこれはもう二、三年前からの問題といわれておりますけれども、そうでなくて、建築技能者に青年が志望しなくなっているのは事実なんです。そこで、職業訓練法に基づく建築技能者の訓練をやっておりますけれども、公共職業訓練所には全然もう志望者はないのです。なぜかとなると、結局雇用関係が不安定だということなんですね。そこで、建設省の三十八年度から大幅に——今まで三十六年度くらいから逐次そういう傾向になってきておりますけれども、工事が機械化、大型化されてきて、現在ある二万五千人程度の技能職人を含める直用部門の人たちが大体減ってきております。直営部門の仕事が減ってきて、大体において請負形式にのっとる施工方式に変わってきているのが事実なんですね。そこで、このままではなり手がございません。何といっても、日雇い的な立場でもって、町場の建築職人にしても、野丁場の清水や大林の下請に雇用されている職人にしても、仕事が終われば散ってしまって、また新しい仕事を探さなければならないということになる。ただ、労働対策の一つとして、労働省だけにこの問題をあずけておいていいかという問題であります。職業訓練法ができてからもう三年になります。三年たっても、他の産業の機械とか電気というのは割合にいい成績を時っておりますけれども、就労も安定する、訓練所を出て、一応安定した職に、労働につけますけれども、建設関係の労働者はとても安定した就労が行なわれないということです。建設大臣、あなたの所管する公共事業に相当大幅な技能者の不足というものが伝えられているのですが、ただ請負形式でいくから請負人にまかしておけばいいのだということでは済まないと思う。労働省だけにまかしておくだけでは済まないと思うのです。職業訓練法に基づく公共職業訓練所、または事業内訓練所等にも、事建設技能者のことに関しては建設省と打ち合わすのだということに、法律を作るときにも十分に条件をつけ、かつまたその申し合わせがなされているはずですけれども、一向に志望者がおらぬということは、われわれの社会生活を非常に不安にするわけです。これに対する何か対策をお考えになりませんか。これひとつ考えていただきたいのです。この点をどうしても考えてほしいのです。これは大臣が当然お考えがあろうと思うから、大臣からひとつ答弁してもらいたい。 それと、今の建設大学との関連を考えてくれ。ただ修業したからといっても、直用形式が減ってきておるから、建設省の場合には。しかし、どこかに出さなければならぬ。就労条件というものを、かつてのように、直営部門を、各地建の仕事をどんどん重点的にやるなら、これは割合に比較的楽に条件づけられるのですが、あなたが言ったように、また公務員が多くなるとか何とかいって、だいぶ行政管理庁あたりも意見があるようですから、何とかひとつ新しい職業分野としてこれを確立する方針を考えてほしいと思う。
○国務大臣(河野一郎君) ごもっともな御意見と拝聴いたします。実は私はあまり考えておりませんでした。しかし、大いに考慮する必要があるので、さっそくひとつ各有力な建設業界の代表者とも懇談いたしまして、政府だけでなしに、民間と相協力して、これらを充足するに足る施設を作ることに私も深い興味と関心を持ってこれに当たるということを申し上げます。
○田中一君 労働省は、業者に働きかけて、業者から寄付金を募りまして、この職業訓練センターを作っている——千葉と、たしか名古屋周辺です。これは焼け石に水です。これすら、卒業後の就労条件というものはゼロです。何もない。やはり野放しにされ、日雇いの境涯に陥っているわけです。そうして、この労働者は日雇い的雇用契約を結んでおるから、現在あるところの社会保険なんかも一つも適用されておらない。日本の労働者でありながら、重要な産業に従事する労働者でありながら、社会保険の一つも適用されないという労働者がいることは、これは今日の日本の文化水準からいっても恥であります。そうしてかつまた、なぜそうなったかと申しますと、今言うとおり、雇用条件が日雇い的立場だからということ、そうして現在の保険制度というものが、ことごとく工場労働者を中心にしたところの保険制度です。長期雇用というものがなければ加入できないという法の盲点がある。また、現在の、今お話のあったような請負人も、施工業者も、自分が直用しておらない、一人もしておらない。常用的な雑務をやる者は直用しておるけれども、あとは全部下請、またその下請の下請、またその下請の下請の下請が労働者を日雇い的契約によって保有しているにすぎないのであって、この点は、今お話しの業者等にも相談してやるということも一つの方法でありましょうけれども、せっかく建設大臣で作られるのですから、技能者をどういう新しい法律を作ってもいいから社会保険を完全に適用し得るものに直すということ——これは建設省の権限ではございません。しかし、建設大臣としては、その技能を残すためにも、保持するためにも、当然な要求だろうと思う。 それから、この業態の労働者は労働組合法の適用を受けられない境涯にあるわけです。なぜならば、同じように、雇用契約条件というものが不明確である日雇い的契約であるために、このために——労働三法というものは、非常に、われわれにしても、部分的には議論があっても、一応いい法律ですが、この法律にすら保護を受けないという形の労働者があるということも、十分にひとつ御認識願いたいと思う。 三十八年度の仕事も相当伸びております。これに従事するところの技能労働者が減って参りますと、必然的にくる問題は、単価が上がるということです。労働者が不足になりますと、どうしても単価が上がってくるということになりますから、その点、今御答弁になりましたけれども、今後は十分に考えていただきたい。 そこで、今度は、これに関連いたしますけれども、工事が大型化するについての契約の問題です。最近アメリカ駐留軍の工事には、占領軍時代からそうですけれども、ジョイント・ヴェンチャー方式をとっているのです。共同請負施工方式と申しますか、こういうものをとってきておるのです。ところが、建設省は、今日、日本にある会計法に縛られて、まだそうした形のものを採用しておらない。会計法の解釈というものは、私はおそらく共同請負施工方式は可能だと思うのです。それを政府がとっておらない。民間では、相当大型の事業というものが、その方式をとっております。どうしてもこの際、むちゃくちゃな競争を排除する意味におきましても、共同請負施工という制度をとる意思はございませんか。
○国務大臣(河野一郎君) 共同請負制度というものは、たいへんけっこうな制度であって、建設省としてもそれを奨励して参りたいと考えます。
○田中一君 御承知のように、数年前に、ある政治家がある業者を無理に押し込んで、東宮御所の入札のときにですね、八千何百万という仕事を一万円で落札したことがございました。相当話題を呼んだものでございます。この人は、建築、専門の業者じゃなくして、土木専用の、土木のほうに比重のかかっている業者が入って、一万円で落札した。これは当然できます。当時の建設大臣がそれを政治的に辞退させまして、そして東宮御所は今言う共同請負施工方式でもって完成したものでありました。私は、皇居造営について、同じような、何といいますか、天皇崇拝の思想から——今度の宮殿は、新宮殿は天皇のものではございません、国民のものでございます。天皇が国事を扱う事務所兼集会所でありまして、しかしまたこれ天皇崇拝の人たちもたくさんおります。そこで、またこれも、仕事をする場合に、大体において九十六、七億かかるはずでありますが、これはまあ一万円で入れる人はないと思いますけれども、一万円で入れても、とにかく一昨年の会計法の改正によってこれは阻止できるようになりましたけれども、同じような競争が熾烈になります。熾烈になりますと、結局よい仕事ができなくなりますので、皇居造営等にも、おそらく建設大臣は造営審議会かあるいはそれ以上上の機関に参画しておられると思うのですが、新宮殿の造営などには、ぜひとも、国民の総意を盛り上げる意味においても、ジョイント・ヴェンチャー方式というものをとっていただきたいと思うのですが、建設大臣、どういう御意見をお持ちですか。
○国務大臣(河野一郎君) よく検討いたしまして御返事申し上げます。
○田中一君 いや、そういう程度じゃ困るなあ。
○国務大臣(河野一郎君) 今係に聞きましたらば、建設省としては技術的応援であって、宮内庁が直接施工の任に当たるそうでございますから、そういう点については、意見は申すことはありますけれども、よく検討した上で処理しようと思います。
○田中一君 次に、これは昨年大臣に伺って、まだ答弁漏れになっておる問題でありますけれども、建設業法の政令で、零細なる請負工事は事業登録を受けないでもよろしいということになっている。その限度額が五十万円になっている。五十万円までは請負工事をしても業者の登録をしないでよろしい、いわゆる職人が自分でできるんだということです。形式は請負です。いわゆる請負事業です。これに見合うように、国税庁が五十万円以下の請負工事は事業税の対象にしない、こうなっております。それが、ことしの春から、この三月十五日の事業税申告ですね、このときからですよ、百万円に伸ばしてあるんです。国税庁は、各税務署に、百万円までは事業税の対象にしないということになっておるんです。そういう通牒が出ております。ところが、建設省は——建設大臣はとしいて言ってもいいと思うんです。一昨年から私はこの問題を大臣に中央建設業審議会で審議していただきたいと言って要求しているにもかかわらず、いまだにそれを持っておりません。一方みつぎ取りというものは、国民の怨嗟の的です。そのみつぎ取りであるところの国税庁が、建設省に先んじて、百万円までの請負事業というものは事業税の対象にしないと明らかに通告を出して、この三月十五日の申告がその基準でもって税金を取ろうとしているんです。非常に減額されます。建設大臣はそういう事実をおそらく知っておると思うんですが、なぜ政令を変えないんですか。私は非常に不勉強であると思うんですよ。これは町田君の所管かもしらぬけれども、再三再四言っている。それを、あまり国民に親しくない、税金を取るほうの側から率先して実行しているにもかかわらず、いまだに政令を改正していない。百万円の工事をした者は当然事業税の対象にならないんだから、路銀をしないでよろしいという改正をすべきである、その点についてどうお考えですか。
○国務大臣(河野一郎君) 御意見、しごくごもっともに考えますが、今聞きますと、三十六年に一回諮問したところが、否決をされたという事実がありますものですから、実はおくれておりました。即刻新たに諮問いたしまして、御期待に沿うように取り計らいます。
○田中一君 御意見のとおりということだと、何ですけれども、国税庁の事業の認定どおりですか。百万円限度までということですか。
○国務大臣(河野一郎君) 百万円です。
○田中一君 百五十万円にしなさいよ。税務署ですら百万円といっているんですよ。それは百五十万円にしなさいよ。それこそ河野さんが建設大臣になったということになるんですよ。
○国務大臣(河野一郎君) 諮問をいたしまして、審議会の結果、百万円になりますか、百五十万円になりますか、審議会の結論を得て善処いたします。
○田中一君 もう一つの問題は、これはやはり労働省に関係があると思いますが、建設労働災害が非常に激しいということですね。これはとても私は労働省にまかしておけないと思う。むろん、災害保険等があって、けがをしたら、労働者はちゃんと、死んじゃ困りますけれども、すっかり手当をしてくれる、保険で支払ってくれるんだということだけじゃ済まないんです。とにかくあまりにも最近は、公益専業、公営企業というものが盛んなためもありましょうし、それから、あなたがいつも言っているように、道路等は昼間やるな、夜やれというような考え方からくるものもありましょうし、どうも建設労務管理と申しますか、これが不十分なために災害が多過ぎます。これは労働省ばかりでない、建設省が、事業を担当する役所として、どういう考えで今後ともどうしようとするか。相変わらず労働災害として労働省にまかすんだということにしようとするのか。これは非常に重大な問題です。そのために、その中には、ただ労働者であるからその適用を受けるのだというばかりでなくて、一般の善良な市民が建設という事業のためにたいへんな災害を受けているということ、これらを含めて何らかの措置をとるべきである。ことに、三十八年度の予算というものは相当伸びております。これらの災害がますますふえる。河野建設大臣は、工期の短縮を叫んでいる。工期の短縮を叫べば叫ぶほど、こういうような災害がふえる傾向にあるということを私は憂えている。その点について、ただ労働行政にまかせればいいんだじゃなくて、適切な措置を三十八年度、ことしこそとっていただきたいと思うのですが、大臣の意見はどうですか。
○国務大臣(河野一郎君) お話、ごもっともで、私は工事の早期完成について極力督励をいたしております。その督励の結果不祥事が起こるということは、私ども最もとらざるところでございますが、そうなりがちであるという御意見も、私はこれを否定するわけには参らぬと思います。で、中央建設業審議会から、現場事故防止対策について答申がございました。その趣旨について業者を指導しておるわけでございますが、内容についてもし必要なら、局長から答弁をいたしますが、昨年の四月局長名をもってそれぞれの業者に通達をして、十分指導はいたしておるつもりでございます。
○田中一君 それほど熱意を持って指導しておっても、なおこのような、それも程度を越えた災害が起こっておるということは、答申が不十分なのか、あるいは建設省が、単なる自分の事業ばかりじゃありません、他の全般の事業に対する熱意と、それから監督という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、それが不十分だということを言わざるを得ないのですが、その点はもっと積極的な、しいて言うならば立法化くらいを考えて——罰則じゃございませんよ、法律を作って、罰則をもって云々じゃなくて、もっと助成する意味において、災害を防止する意味において、何らかの施策をとるべきだと思うのですが、今は不十分です。
○国務大臣(河野一郎君) なかなかむずかしい問題でございまして、田中さんも御承知のとおり、最近建設事業が機械技術等が急激に発達して参りまして、同じ建設業者の中にも、非常に仕事のうまい、下手、注意、不注意というようなことが私は起こっておると思います。一々これを指名入札の際に、たとえばダムのようなものならば、経験のあるものというようなことに重点を置いてやりますけれども、都内等において事故が起こります地下鉄の工事等につきまして、一々これを区分けすることはなかなか困難でございます。で、十分注意はいたしておりますけれども、ときに、未熟の業者と申しては語弊があるかもしれませんが、注意の足らないところにそういう問題が起こると思うのでございます。われわれとしては、御承知のとおり、都内で事業をいたしておりますものにつきましては、あらゆる角度からやかまし過ぎるくらい注意いたしておるわけであります。その点については、各方面からもまあ多少は御了解願っておると思うのでありますが、事故等の起こりますことは、何さま仕事もむずかしくなりますし、工事も従来以上に困難な工事がだんだん出てくるわけであります。したがって、これがなれてくればだんだんよくなると思いますけれども、まだ十分なれない業者もある。なれない業者はやらさぬというわけにもいかない点がありますので、そういうようなことのないように今後とも十分ひとつ注意するように指導していきたいというふうに考えておりますが、何さま今申し上げたような事情でございますから、しばらくすればみなそれぞれの技術を体得しますし、事情にもなれてくるでしょうと思いますからして、また再び三たび同じような事故を繰り返しておるわけではないので、ことに東京のように地盤の悪いところでございますから、思わぬ事故があるというようなことがありますので、遺憾でございますけれども、この上とも十分注意をいたしたいと思います。
○田中一君 注意だけでは済まないのです。もっと具体的な施策を考えてもらいたい。注意々々と言って、注意ができないからこういうことが起こるのじゃないですか。
○政府委員(町田充君) 具体的な施策とおっしゃられますと、多少当てはまらないかもしれませんが、私どもそういう現場事故のあったということを承知いたしますと、必ず施工業者の代表者に来ていただいて詳細に事情を聴取すると、聴取した結果、安全措置の上に手落ちがあるというようなことがわかりましたら、さっそくその場で注意をし指導をするというふうなことを、個々の事故の起こった際、個別にそういう措置をとっておるわけでございます。したがいまして、今大臣からお話のありましたように、そういう一たん事故を起こした業者に対してそういう措置をとっておりますから、その業者がまた二度と同じ事故を繰り返すというようなことはだんだん減ってきておるわけであります。
○田中一君 事故が起きたら呼ぶのだと、だめですよ。査察とか、そんな窮屈なことを言うのじゃなくて、事故防止のために、人間を、建設大臣、教育なさいよ。それこそ優秀な技術家がたくさんいるじゃないですか。机の上にばかりすわってないで、現場を常に歩くということが河野さんの主張じゃないですか。それこそ、そういう具体的な行跡を打つのが、建設大臣の役目なんです。書類上の問題ばかりじゃございません。
○国務大臣(河野一郎君) 私もその点全く同感でございまして、ここまで申し上げるのはいいか悪いかわかりませんが、実は現場については常に採点をいたしております。したがって、十分業者にも注意をして、そして監督者に現場ごとに採点をせしめまして、その採点を累積、だんだん計算いたしまして、次の指名に参考にするというところまで、じみちに実は事務当局をして指導いたしておるわけでございまして、これはおそらく工事施行者も十分知っておるはずでありますから従来も相当きくところはきいていると実は思っていますから、しばらく、十分注意をいたしますから……。
○田中一君 そこで、一方工事の促進は、あなたのがんばりでやられると、たいてい非常に促進していますね。これは非常に、どこにそういうあなたの力があるのかわからぬけれども、実によく仕事が進んでいます。ところが、仕事を進める反面に、安全工程というものが、おそらく河川局長なんかも地建に長くおったんだからよく知っておるだろうし、ことに営繕局長は現場にずいぶんおったんだからわかっているはずなんですが、あまり事務屋ばかり多く局長にしないで、ひとつそういう技術屋も局長に持ってくることを順番くらいにやったっていいと思うのですよ、今こうやって見ると、ここにいるのは事務屋さんのほうが多い。技術屋さんに、技術官庁だから、ひとつ局長並みの待遇を与えて、全国的に災害を防止するということをしなければならぬと思うのです。同時にまた、工事を今度促進させるということになりますと、契約の問題です。契約の問題が起こってくると、工程は、はっきりと単価と工程というものが認められた契約をしているのであって、河野さんが、最近というか、あなたが就任以来しばしば工期の短縮を行なっておりますが、その働くには、大体突貫工事に入りますと、どうしても余分な経費がかかる。人間を集めるにしても、経済的な労働力の集積でなくて、不経済な労働力の集結をしなければならぬことになりますから、その際には契約を更改して、足りない金は出して、追加してやっているのですか。
○国務大臣(河野一郎君) 追加をいたしておりません。追加をする必要が明瞭にある場合には、私は追加をすることもあえていといませんが、まだ追加をしなければならぬという事態に達しておりません。そういう事態があれば、むろん追加することにはやぶさかでない。私はどうしても早期完成のほうが国家的に有利であるという考えを持っておりますから、指導としてはそういう指導をしたいと思っております。
○田中一君 私もそう思います。今の追加すべきものは追加するのだという御答弁でけっこうです。ただ、そのために災害が起きる危険性も多分にありますから、どうかその点も十分に御考慮願いたいと思うのです。私が災害災害というのは、ただ現場における労働者の災害ばかりじゃなくて、善良な市民がそこに巻き込まれて、生命を失うことが、最近多々ございます。これらの者に対しては、今日までも労働災害でもってこれはきめられないで、非常に上不幸な目にあっているのです。殺され損になって、たいした報われ方をしておらぬのが現状でありまして、その点もあわせて、施工業者に対しても十分に手落ちのないような施策をひとつお示し願いたいと思うのです。
○国務大臣(河野一郎君) 承知いたしました。
○田中一君 ちょっと一つだけ変なこと聞きますが、現在国土地理院ではアメリカ駐留軍の要請によって地図の調製をしておりますか。これは端的に。官房長あまりそこでよけいなことを言うな。
○国務大臣(河野一郎君) 私わかりませんから、事務当局をして答弁させます。
○政府委員(山本幸雄君) 国土地理院では、五万分の一の地形図の修正をやっております。これは、昭和三十五年の二月の十八日に外務省と駐日アメリカ大使との間に取りかわされました交換公文によりまして、三十五年度から五カ年計画で、総額二億五千二百万円でもって、ただいま申した五万分の一の地形図四百三十四面というものを作っておるのでございます。これらの予算は、今申し上げる交換文——これは余剰農産物協定に基づく米側使用円の使途変更に関する交換公文に基づいておるものでありまして、三十八年度——来年度におきましては、六十九面を、主として東海、関東地方について作成するという予定になっております。この経費につきましては、歳出予算同額が当省主管の歳入に入っておるということになっております。
○田中一君 このほかに、地図の調製ばかりじゃなくて、アメリカ駐留軍の要請によって、その他の委託調査は受けておりますか。どんなものがございますか。
○政府委員(山本幸雄君) 国土地理院につきまして、そういうものを聞いておりません。ないと思います。
○田中一君 土木研究所は、アメリカ駐留軍からの委託研究がございますか。
○政府委員(山本幸雄君) 聞いておりません。
○田中一君 これは建設大臣に伺いますが、このアメリカから依頼を受けている地図の調整は、今官房長の話を聞くと、地形図になっておりますが——地形図だと言いましたな。地図ですか、どっちです。非常に目的が違うのですよ。
○政府委員(山本幸雄君) これは地図です。
○田中一君 今後ともアメリカからの注文は受ける——地図ぐらいならばいいという受け方をするのですか。あるいは地形図なんかの場合、地図以外のものですね、当局といたしてはどんな心がまえを持っているのですか。これはやむを得ませんか。
○政府委員(山本幸雄君) 三十八年度ただいま六十九面と申しましたが、あと若干残っておりますが、これ以外につきましては、ただいまのところそういう約束はございません。
○田中一君 せんだって建設委員会で、東京都の飲料水の問題について東京都の関係者に質問した場合に、これは建設大臣に質問する時間がなかったのですが、首都圏整備委員長としての建設大臣にひとつ伺うわけなんですが、東京を一体どうしようと思います。東京の水の問題をどうしようという考えなんです。これは河川局長その他から全部まとめた伺い方をしたいと思いますが、せんだっても申し上げているように、相模川の水を契約を越えて十万トンを導流する、江戸川の水を三十万トンかっぱらっているという事実は、これはもう厳としてあるのですから、建設大臣も、好ましくないと言い、かっぱらっておりませんと言わない。こういう程度でもってやるならば、もっとこれを協定として、明らかに江戸州の水が余っているならばもらったらいいじゃないか。何も逡巡する必要はないと思うのですよ。こういう点は、東京都民が不安に思うのです。したがって、首都圏整備委員会として、首都圏整備委員長として、当然、相模川の水にしても、江戸川の水にしても、首都圏内の問題です。
○国務大臣(河野一郎君) 建設省といたしましては、また首都圏整備委員長といたしましても、東京、千葉、埼玉の間に協定いたしております江戸川用水の利用ということにつきましては、協定についてはわれわれも了承しておりますけれども、お話の協定以外の分についてはわれわれ関知いたしておりませんので、これについてどうも御答弁はいたしかねます。
○田中一君 東京都のおととい降った雨はどれぐらいになりますか、またデータ出ておりますか、河川局長。水源地で降ったやつ。
○政府委員(山内一郎君) 雨量で三十ミリ程度というふうに聞いております。
○田中一君 時間的に言って、それは何日ぐらいたってどのくらいの貯水量になります。
○政府委員(山内一郎君) 詳細については、調査したあとお答えしたいと思います。
○田中一君 現在で四千五百万トン割っているのです。東京都民が今日使っている水というのは、大体百五十万トンが標準です。多少制限して、百二十万トンから百三十万トン程度です。十日たちますと、せんだっても東京都では雨を待つ以外にございませんと言っている。とすると、十日たつと千五百万トン減るのです。そのほか死に水がまだ、三百万トンあるそうでございますけれども、とにかくこのままでいったら東京の人間は一体どうするのですか、水の問題は。新しく利根川の水を導流するという考え方もあるようですが、それはもう間に合うものではないのです。
○政府委員(山内一郎君) 昨年も非常に渇水でございまして、何とか水源の手当をしたい、こういうことで、建設省といたしまして、従来いろいろ調査をしました結果、中川と江戸川の両水系の水をおのおの活用することによりまして、金町から四十万トン取れる、こういう手当をしております。 なお、その次の段階としては、御承知のように、矢木沢、下久保ダム建設をいたしております。これによりまして、おそくとも四十二年には一日百二十万トンの水が取れる。その後の手当といたしましては、いろいろダムを調査しておりますが、合同ダム、それから利根川の河口に作ります河口せき、 これらのうちでまかなっていく、まかなえるようになる、こういうような考え方で調査並びに建設をやっております。
○田中一君 あすの水の問題をどうしますか。四十年までにはまだ二年かかりますよ。水、どうするのですか。
○政府委員(山内一郎君) 先ほどの九万トンのやつは四月一日から取れるようになりますが、四十万トン中川、江戸川の水の活用、これは水の手当はすでに済んでおりますので、厚生省の所管として、東京都の上水道を極力建設中でございます。
○田中一君 私はこれはこのままじゃ困ると思うのです。建設大臣も、東京都の東知事あたりの答弁を聞いても、まことに困ったということをおっしゃっています。実際、今、水の給水制限をしておりません。野放しです。十日たったら、二十日たったら、都民は水の問題をどうするかと考えますと、りつ然たるものです。そういう人が都知事に出たりするのだから、どうもおかしなものだと思うのですが、おそらく東さんが当選したあとは急激に水の制限をしてくるのじゃないかという不安を持っているわけなんですが、これは何とか、今の相模川の水を十万トン暗黙の了解で導流しているということ、江戸川の水を三十万トン、埼玉県にも、茨城県にも、千葉県にも話しないでこっそりとやみ水を使っているということ、建設大臣としては、これは水の問題です。何とかこれを厚生大臣なり、あるいは工業用水も使っていると思いますから、通産大臣にも相談して、むろん農林大臣にも相談しなければならぬ、この問題の現在盗泉の水を何とかひとつ解決する方途をとるべきであると思うのです。閣議で問題にして下さい。
○国務大臣(河野一郎君) さっそくよく関係閣僚とも相談いたしまして、善処いたします。
○田中一君 今労働省から見えたそうですから、あまり質問してくれるなということがありましたけれども、一応ここで質問しておかぬと困ることがあるので……。 いわゆる地域的職種別一般賃金の問題が、ようやく、もう十年近く要求して参りましたけれども、どうやら今度日の目を見ることになったらしいですね。その経緯と、それから現状はどうなっているか、伺いたいと思います。これは賃金部長に聞きます。
○説明員(辻英雄君) ただいま御質問のございました一般職種別賃金、俗にPWと申しておりますが、ただいま御指摘がありましたように、かねてからこれを廃止することに対する御要望が各方面にございまして、私どものほうもかねてから廃止する方向で検討をいたしておりましたのでございますが、政府部内でいろいろ協議を進めておりまして、おおむね成案を得る段階になっておりますので、今国会に提案できますよう進めて参っておる次第でございます。
○田中一君 これに対する建設省の意向は、もう再三にわたって廃止してくれということの要望が出ておったわけでありますから、そこでこれにかわるべき職安登録の労働者に対する賃金はどういう基準できめて参ろうという考えですか。
○説明員(辻英雄君) 安定法の、ただいま国会に提案されておりまする職業安定法一部改正法案の中では、そのための審議会を労働省に設けまして、それによって賃金をきめていくという案になって、国会の御審議をいただくことになっております。
○瀬谷英行君 河川法——これは大臣が行っちゃったのですけれども、河川法の問題について一つお伺いしたいと思うのですが。 この間の予算委員会では、とにかく河川法については既定方針どおりに改正を進めるということでございましたけれども、知事会等が反対をしております。私自身も、自分の県の知事から反対であるという趣旨の説明を受けたことがあります。しかし、問題は河川の管理の問題でありますから、何とかその辺話し合いでというのが建設大臣の当時の答弁でありましたけれども、知事の主張としては、従来どおり知事が河川を管理するということを主張しておるのであります。一方では、これは建設大臣が河川を管理すると、こういうことでありますから、基本的にずいぶん違っているわけなんです。その基本的な違いを調整をするとしても、最後的にまとめる基本線というものはどちらかにしなければならぬだろうと、こう思います。そうすると、知事会等で言っている反対の趣旨というものはどういう点にあって、それらの問題はどのように調整をして納得をさせるということなのか、あるいはまた関係各省との間でもこれらの点について若干の異見がもしあったとするならば、それらの調整はどのようにして行なわれようとするものかという点についてお伺いをしたいと思います。ちょうど大臣が見えましたから、これは大臣のほうからお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 実は、河川法の改正につきましては、各省との間、今お話しの地方長官との間等につきまして、事務的に極力意見の調整をするように指導いたし、調整中でございます。だんだん経過をたどりまして、目下詰まったところといたしましては、まず府県知事との間に、といいますか、自治省との間におきましては、水利権の問題を従来どおり地方長官に所属するようにしてほしいということが大体の御要望でございます。それから大蔵省との間の意見の懸隔といたしましては、一級河川の、といいますか、直轄河川といいますか、今度は一級と言いますが、建設省の直轄する河川の数があまり多くなりますと、予算関係において非常に困難があるから、これをどうするかという点について意見が未調整でございます。それから農林省との関係におきましては、農業水利等の関係もございます関係もありまして、一級河川をどうするかというような面は、これを総理大臣の所管のもとに、内閣所管のもとに最終決定をするようにしてほしいというように農林省側が主張をいたしております。この三点でございます。他の各省との間の意見調整は終わりました。 そこで、本日の閣議におきまして、私から、さらに事務次官の段階におきまして、内閣官房長官があっせん役として事務次官段階においてこれらの調整をしてほしいということを提案いたしまして、きょうの閣議におきまして、官房長官が主宰する関係各省の次官会議において最終調整をして、成案を得るということにいたしておる次第でございます。
○瀬谷英行君 この前の予算委員会のときに、自治大臣等の答弁では、自治大臣も建設大臣の考えに全く賛成であるというふうな答弁をされたわけなんです。ところが、新聞の解説なんかでは、建設省は重要水系の大臣管理を打ち出したが、自治省は地方自治の立場から反対だ、通産、農林、厚生省も反対だ、大蔵省も国庫負担の増大を理由にしぶるものとみられる、こういうふうにこまごまと解説がしてあるわけです。 私は、河川の管理は、たとえば従来どおりに府県知事がやるようにというのは知事会等の意向であるように思われますけれども、この点は、従来どおりにするか、大臣の管理にするかという大きな点は結着をつけなければならない点ではないかと思うのです。この基本線をどうきめるかということによって、あとはどのように調整をしていくかということにおのずからなってくるのじゃないか、こういう気がするのです。まあわれわれは、常識的に考えてみても、一つの河川を県別に管理をして、そこの個所だけはわがものであるというような意識を持つこと自体は多少疑問を持たざるを得ない。これは、たとえば鉄道にいたしましても、東海道線なんかを県別にちょん切って、そうして府県別の管理経営をしていくというようなことになると、やりにくかろうと思う。河川にしても、府県別に性格が違うわけじゃないので、流れは同じでありますから、その意味では、大臣が管理をするということは、理屈の上からはわかるような気がする。こういうものを、しかし知事がたいへんと熱心に主張をしておりますことは、やはり従来の既得権ということもありましょうけれども、非常に数多くの不安をここに披瀝をしてきておるわけであります。その地方の知事であるとか、県議会等で打ち出しておるところの不安を解消するという点については、大かた自治省初めの、関係各省のみならず、各地方、府県等においても納得のできるような了解ができているものかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) ただいまお話しでございますが、私は決して予測や虚偽の報告をいたしたことはございません。たとえば、通産省にしても、厚生省にしても、それぞれの大臣から了承を得てここに報告して、新聞があとから、どういうわけでああいうことを掲げたのかわかりませんが、新聞に書いてあることは、私はうそだということをはっきりここで申し上げることができると思います。これは、通産大臣等からは文書でもって私はいただいておりますから、現在文書はそれぞれ事務当局に渡してありますから、これは間違いであるとは考えられない。ただ、今申し上げましたように、今残っておるのは、大蔵、農林、自治の三省でございます。これは、きょうの閣議でもそういうことを明確に申し上げて、三省の間の調整を内閣官房長官にお願いする、こういう段階に相なっておることは間違いない事実でございます。今お話のありましたように、河川法を改正するとすれば、これらの河川の水利権等について、これを、知事さんが言うように、従来どおりにしたら、河川法の改正は骨抜きで、何をやったのかわからぬことになりますから、そんなことは今問題になることじゃない。これをどうするかという問題だろうと思うのであります。 そこで、問題は、非常に誤解のありましたことは、水利権、たとえばきょうなども閣議で自治大臣から発言があったのですが、山形県で一年に八千万円も、水利権といいますか、水の使用料が県に入っているのだ、それを国に取ってしまうのはひどいじゃないかという地方長官の声もあるが、この点はどうかという御質問がございましたが、そういうことはだれも考えておりません。大蔵大臣も同席の閣議でございますが、私は明確に、各県が従来水利権として県に納めておられたものについては、当然今後引き続きそれぞれの県に帰属すべきものである。また、将来についても、そういうことを考慮しつつ運営していくことが適当である、こういうふうに私は自治大臣に申して上げた。それならば私は文句はない、事務当局との間にも自治省としては相当話をしておりますからということを自治大臣から閣議でも御発言があったようなわけであります。また、地方長官につきましても、河川局初め、事務次官も、地方長官会議に出席をせしめて、それぞれの地方長官に十分話し合いをいたしておるのでございまして、決して話し合いをしたから全部了解しておられるとは申し上げません、申し上げませんが、しかし、その数は割合少ないのでございます。これは御了承いただけるように、この案に反対の県は、どことどことどこだということでございまして、知事会が反対だといったところで、全部の知事が全部反対ということでございませんというようなわけでございますから、私はここ数日中に最終的な調整を終わって、できるだけ早い機会に提案いたしたい、こう努力いたしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 それでは、新聞の解説はいろいろあるけれども、それはうそだというふうに思い切って言われましたが、それはそれでけっこうです。 そうすると、やはり問題になるのは最後的には、大蔵省、自治省、建設省、ここがやはり一番中心になるというふうに思われるわけなんですけれども、そうすると、自治省のほうで了承しているということは、従来までの知事が管理しておった諸問題等について仕事を取り上げる、あるいはいろいろな利権を取り上げるというようなことはないというような点で了承しているということであれば、地方の府県においても、この問題は一応解消したというふうに解釈してよろしいのかどうかというのが第一点。 第二点としては、大蔵省の問題でありますけれども、この法の改正によりまして、どうしても予算を伴うということでなければ、これは意味をなさないのであって、当然これは予算が大きな問題になってくると思う。その場合に、大蔵省の考え方、予算面でどのくらいの食い違いができておるのか。これはどこの省の場合でも、最後的には大蔵省との折衝ということが一番手間取るようでありますけれども、この河川法の場合でも、予算的には、一体どういう点でどの辺まで今話が煮詰まっておるのか。その調整は近いうちに片づくような状態にあるというふうに考えられておるのかどうか。その辺について、二点についてお伺いいたします。
○国務大臣(河野一郎君) 第一点は、私は、その問題が済んだら地方関係の問題が一切解消したとは考えられません。というのは、ほかにもあるかもしれませんから。しかし、由来こういう問題がありますときに、各県の知事が個々に発言されますもの全部について了承を得て法案を提出するということはあり得ません。大体自治省が各地方の代表をして意見を述べられ、自治大臣が賛成されれば、それによって法案を議会に提出するということが従来の慣行と私は心得ております。したがって、私は、自治省との間に意見の調整が済めば、それによって議会に法案を提出してよろしいものと心得ております。もちろん、各県について、有力な御意見、もしくは私として考慮しなければならぬ点をお聞かせいただけば、むろんそれは考慮するのにやぶさかでございませんけれども、いまだかつて私のところに御発言がないのでございます。いずれも自治省を通じて御発言があるものでございますから、私は自治省を通じてお答えを申し上げておるということに尽きております。 第二の点でございますが、これは、お話でございますけれども、私はそう考えておりません。河川法を改正することによって、一級河川、二級河川にいたします。こういたします。ああいたしますと申し上げましても、それなるがゆえに河川に関する予算を非常に一時に膨大にしなければならないということはない。従来とても、必要な河川の水防についての所要の予算はやってきておるのでございます。決して、河川法が従来の河川法であるから金を使わない、必要な危険な堤防をほってあるというようなことはございません。したがって、従来とてもやってきたことをこれからもやるというのでございます。ただ、従来に増して、明年度から新五ケ年計画を立てて、さらに河川水防については積極的にひとつ意図していきたい、こういうふうに私は考えておりますので、その新五カ年計画と相見合って、今回の法案の改正もしていきたい、こう考えておりますので、一方において新たな治水五カ年計画を計算しつつ、一方において河川法の改正をやっておる、それとこれとの間には関係がないとは申しませんけれども、絶対に新河川法によるからこれだけの金が要るのであって、こういうふうに予算が要るというふうには考えておりません。
○瀬谷英行君 私は、河川の管理に必要な予算というものは、どこでやったって、これは同じことなんであって、府県でやろうと国でやろうと、これはかまわぬ。これは同じわけなんです。だから、それがあっちから、こっちへ回ったからといって、それによって、その仕事の面で大きな影響があるとか何とかということは、これはなかろうと思います。ただ、この府県知事と地方の代表が大臣にいろいろ申し上げたことは今までもないそうですれども、それはよっぽど建設大臣がおっかないから直接言う度胸のある知事がいないのじゃないかと、こう思うわけでありますけれども、これ、いろいろなことを今まで言ってきておると、それが自治省を通じて発言をされており、それがまたその出身の議員に対して、しかもこれは与党、野党を問わず働きかけがあるということは、何にもないのにそういうことを言っておるとは思われないので、私どもが聞いてみたくなるわけであります。で、予算の問題は、まあ私がここではっきりしたいのは、大蔵省との関係でもって調整する余地があるとすれば、どういう点についての問題かということをひとつお聞きしたい。
○国務大臣(河野一郎君) 道路につきましても、同様に私は考えておるのでございますが、今度の河川法につきましても、特に御留意をいただきたいと思いますことは、今までのように県でやっても国でやっても同じじゃないか——これは同じじゃないのでございます。たとえば、今まででございましたらば、国が三分の二持って地元三分の一でございます。富裕県ならば大威張りで三分の一の負担をしてどんどん進みます。これが財源の乏しい県でございますと、御承知のとおり、受け切れない。でございますから、同じ堤防、同じ必要性があっても、積極的な県もあれば消極的な県もあります。断わられることはございませんけれども、事情やむを得ないものはむろんやりますけれども、積極的にどんどん河川の改修をやりたいという強い要求があるものと、そうでないものがあることはあるのでございます。道路にいたしましても、御承知のとおり、国道において、四分の三負担、三分の二負担というようなものでもって国の負担率が違って参りますから、それが県によって、道路に熱心な県を不熱心な県と、予算は国で、別に国のほうが、こっちによけい出したからこっちは出してやらぬというわけじゃないのでございますけれども、全国お歩きになって、道路皆違うというようになっております。こういうことは、私は決していいことじゃない。国家全体をながめて、道路においても、必要性のあるところには同様の道路ができていくべきものであり、河川の改修についても、必要に応じて国家的見地から、重要河川、大きな河川については、みないくようにしていかなきゃならぬ。 これらは、一方、水利でも、むしろ治水のほうに重点を置いて考えた場合に、河川法の改正は絶対にやらなければならぬものだ。それが、いわんや、議論が利水の方面に重点を置かれて、治水が従になって利水が主になって議論されておりますことは、必ずしも私は適切な議論じゃないのじゃないかというふうに考えるのでございます。ところが、そういう見地から議論をいたし、そういう見地からものを考えて参りますと、従来のように国家が全額負担することにいたしまするから、どうしても国家負担が大きくなって参ります。同様の量をやるとすれば、それだけ国家負担が多くなります。そこで、大蔵省は、その負担にたえ得るか得ぬかということで、大蔵省としては消極的であって、なるべく従来どおりでいいじゃないかという議論もないことはないというのが大蔵省の立場でございまして、私は、この際絶対にこれは大蔵省にまげて協力を願って、河川法の改正をやりたいと考えておりますのは、その点でございます。何とかまとめたいと思って努力いたしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 そうすると、どうも今のお話の、大臣の結論を聞くと、大蔵省の考え方というのが、まるきり——まるきりというわけじゃないけれども、府県の知事なんかが言っておったような立場と同じような立場をとっているもののように聞こえる。で、やはりねらいというのは、これは府県の負担をむしろ軽くして、そうして国が責任をもって河川の管理、治水、利水両方を通じてやるというように持っていかなければ、改正の趣旨というものには沿わないのじゃないか。その意味では、予算面で従来どおりであれば、名目だけ変わってみても、河川法改正の意味をなさないのじゃないかという気がするわけなんです。だから、その点について、大蔵省との間の話し合いがつかぬことには、これは形式的だけのものになるのじゃないかと気づかわれるわけでございますが、その点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(河野一郎君) 先ほど申し上げましたとおりに、河川については新五カ年計画を立てまして、今までよりも積極的に予算をふやしてやる意図でございます。そういう所存でございますので、新五カ年計画を立てることについては、大蔵省も一応了承いたしておるのであります。ただ、大蔵省の心配するのは、どこまで大きく一級河川をふくらまして持ってくるだろうか、それが目安がつかなければというので、一級河川をどの程度にふやすつもりか、そこのところをわかるようにしてくれというのが、大蔵省側の言い分でございます。ところが、われわれのほうとすれば、今申し上げますように、府県で負担のできないものはなるべく一級河川にして、そうして国で治水の完璧を期したいということを言っておりますから、そこに問題も残っております。 そこで、私の考えとしては、結論としては、これらのどれを一級河川にし、どれを二級河川にするかということは、河川審議会を設けて、その審議会で最終的にきめるようにしようじゃないかということを、今申しているのでございます。
○瀬谷英行君 そういうことで大蔵省も納得したということでありますか。そこまで行かないのですか。
○国務大臣(河野一郎君) 納骨しないから、今調整中でございますと言っておるのでございまして、納骨すれば問題はないのでございます。それを今納得させる努力をいたしておるということでございます。
○田中一君 河川法の問題は、私は質問をしないつもりなんです。なぜならば、今、建設大臣の考え方に同調する面のほうが私個人としては大きいのです。それで、いわゆる法律案が出てきてからの審議にしようという心がまえを持っているのですが、ただ、地方財政、それから架空なものらしく見受けられるけれども、いわゆる管理権というものが相当大きな、地方にとっては魅力なんですね。政治は、何も金だけあれば、ものはいいのだというわけにはいかないのであって、やはりそれによる行政面の魅力というものが精神的に大いに影響するものが多いのであって、そういう意味の政治的醜悪は、一番大先輩である河野さんは相当知っていらっしゃると思うので、その点十分に考慮されて善処してほしいと思うのです。大蔵省はおそらく反対したいでしょう、今までの通念では。だから、そういうふうな問題もひとつお考えになって……。その中には完全に死んでいる水利権があるのです。これは、おそらく河川局長も十分調べられておると思うけれども、水利権と称して、中に単なる水利権としてだけの架空の権利が存在しておる。これは、水利権というものは、許可して一年たって着工しなければ、消滅すべきものなんですよ。たとえば、発電なんかの問題も。それが死なないで生きているという事実があるのです。こういうことは、河野さん、ひとつきれいにしていただきたいのですよ。
○国務大臣(河野一郎君) だんだん勉強いたしますと、非常に複雑でございまして、困難な問題が次から次に実は出て参ります。しかし、これを一々その引っかかりのために全体を殺すわけには参りませんから、そこで審議会等によって結論を出していただくようにして、まず、ふろしきへくるんで、一応改正をしてもらわなければしょうがないじゃないかと、こう思うのです。たとえて申しますと、釈迦に説法ですが、これは選挙区のことを申して恐縮ですが、私のおります相模川−馬入川と申しますが、この川の河川敷には私有地が非常に多い。だから、砂利の採掘にしても、川の中の砂利を、私有地の砂利を掘っているので、この河川敷の砂利を掘っているのではない。私有地を買収するというのも非常に莫大なものだそうでありまして、そういうものを買収するにはどうするかというようなことも実はあるようでございます。したがって、そういうものを、全国的に特殊な例を一つ一つ待ち出しますと、いろいろな問題が起こってきます。したがって、何十年も放っておいてある法律でございますから、その間に一つ一つこなしていけば片がついておった問題でございましょうけれども、そういうことで非常にめんどうな問題があるようでございますが、そうかといって、これからやらなければ、ますます困難になるだけであって、私はだめだろうと思います。したがって、これはひとつ党派をこえて、この際ひとつまとめるように御協力いただきたい。私も、決して原案にこだわるわけでもございません。どう離してもよろしい。どう直してもいいから、まとまる最大公約数で持って出ようじゃないかという態度をとっておるのでございます。したがいまして、きょうは、最終段階において私は官房長官に一切まかした。まかしたから各省の間を調整してくれたまえ、決して原案にこだわらない、こういうことを私は言っております。また国会に提案されましても、また社会党さんの十分な御意見は拝聴します。ぜひ直さなければならぬものがあるなら、われわれも直すべきだと思うなら、直すのに私はちっともやぶさかではございません。どうか、そういう意味で、いずれにしても、まとめ上げるということにひとつ御協力をいただきたいと、切にお願い申し上げる次第であります。
○瀬谷英行君 それから、水道の問題について一言だけお聞きしたいと思います。 河川法の問題は、結局、大臣の御答弁では、大蔵省が納得しないから今調整中だということであれば、答弁では、各省ともこの問題について意見は一致しているというふうにきれいごとを言われても、結論的には、なに、大蔵省だって知事の連中と立場を同じにしているということになってしまう。だから、この問題の解決については、これは別に私は反対とか賛成とかいう、何もまだ立場を明らかにして申し上げているわけではないので、疑問点を解明したいということで、純粋なる意味での質問でありますから、その点は御了承をいただきたいと思います。 それから、この河川法の改正のヒントとなっているのかどうかわかりませんけれども、先般東都知事がここの建設委員会へ来られたとき、水道の問題についていろいろお話がありましたが、その際、江戸川のほうの水は、田中さんの質問に答えて、三十万トン、これはただで然ってもらっているのじゃないかと、こういう質問に対して、黙ってもらっているのじゃなくて、黙認の了解を得ていると、こういうふうに、都の水道局長であったか、答えたわけです。黙認の了解と、黙ってもらっているのと、どう迷うかということはわかりませんけれども、私は同じものだと思うのであります。そうすると、その黙認の了解を得ているというようなことは、これまたそのまま黙認をして、今日そのまま済ませられるものかどうか。水の問題だから水に流そうということで片づくようなものであるなら黙認の了解もいいかもしれませんけれども、東京都の水道のことだけであれば、まあまあということもあるかもしれませんけれども、今のように水が足りないという状態は、これは東京だけではなくて、関東一円の問題でありますから、水の問題で、それこそ県と都との間に意見が食い違うといったような問題が生じてこないとも限らないわけであります。そういう場合に、この水道の水の問題でありますが、一体どのように処理をされるものか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) どうも、水道の質問が先ほどからあるのでありますけれども、建設大臣の所管、所掌の中には、私は水道はないと思うのであります。水防ならば私の所管でございますから、水が流れ出して迷惑をかけているというなら、これは何とかせぬわけにいきませんが、水道は厚生大臣の所管でございますから、どうかひとつ厚生大臣のほうに御質問願いまして、どうも私ちょっと……。
○瀬谷英行君 建設大臣でなくてもいいのですよ、それは。私のほうは。
○主査(後藤義隆君) 委員外議員の発言要求についてお諮りいたします。 田上松衞君から委員外議員として発言したい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(後藤義隆君) 御異議ないものと認め、発言を許します。
○委員以外の議員(田上松衞君) 委員外議長の立場でこの時刻に特に御質問申し上げるというゆえんは、質問のための質問では断じてないことでありまして、きょうをのがしてしまうならば、きわめて最近に好ましからざる騒ぎを国民の中に起こすだろう、そのことが、建設省としても予想できない大きな疑惑と迷惑を招くであろう危険信号を認めてしまったので、これを防止したいという意味合いを含めて、あえて質問するわけであります。委員の皆さん初め、たくさんの方々に御迷惑をおかけすることをまことに申しわけなく思っておるわけなんですけれども、おわび申し上げます。 おそらく事件の実態は建設大臣が御承知ないことだろうと考えまするので、事件の全貌を一応きわめてかいつまんで御紹介申し上げ、なお、あとで私が質問申し上げることに対しての答弁は、大臣でなくして、これは無理だと思いまするから、担当者からでけっこうだということを申し上げておきます。 そう申し上げる内容は、狩野川放水路の開さく工事の問題ですが、このことは、数年前、いわゆる昭和の怪奇事件として大きく世間を騒がしてしまって、結果的には、当時の水産係長の退職、あるいは協同組合係長らの更迭、そういうことで、このことからきまする被害者である漁民たちの憤激をやわらげて、一時騒ぎを静めたような格好になっておったわけであります。だけれども、本質の問題解決の上には一歩の進展も見せずして、再びこの騒ぎを再燃さしてしまって、まさに爆発寸前の姿にあるのが実態でございます。こうしたことにもかかわらず、被害者漁民が正面に騒ぎをしないで、数年間涙をのみつつ静かな陳情、抗議というような形で今日に及んだという理由は、三十三年の例の狩野川台風、千百余名を死亡さしてしまったあの大きな事件ですが、その原因というものが、主として関係漁民が放水路開さくに反対したためだ、したがって、狩野川木流のはんらんを予防することが不可能だった、そこに大きな原因があったのだということを故意に地方新聞等が書きたてたことのために、善良な漁民は、そのことが全く的はずれの中傷であると憤激を感じておったのであるけれども、あえて世論に抗するかのような誤解を来たしてはいかぬということをおそれまして、そこで、建設省及び静岡県を無条件に信頼してしまって、さっき申し上げた、きわめて静かな陳情を繰り返して時を過ごしてしまった、このことが実相なのです。 簡単に、この実態の一部を御紹介してみまするならば、被害者側に立ちまするところの漁民のほとんどは、と申し上げていいでしょう、一部の人を除いた大部分の人々は、あの開さく、いわゆる放水路開さくについて、建設省と静岡県との間にどのような契約やあるいは条件が取りきめられておったのか、漁民に対して損害事前補償と名づけたものが二億五千四百万円ですか、というようなものがあったのだが、それはどういう基準の上で計算されたものであったのか、さらに、ここには漁民がどんな権利の主張が慰められておるのか、等々の問題については全然説明もございません。したがって、これを検討することの方法もなくして、さらにまた、静岡県対組合間の条件や契約についても、それと同じように全然わからず、わずかに昭和三十四年七月十一日付ですか、でなされた覚書という形でもって作られているものを、これを、もうこの紛争が起こってからきわめて最近になって私のほうも実態を知ったので、そんなばかなことはあるはずがないじゃないかというので探してみたら、ごく最近に至って、このわけのわからぬような文書を見たというような状態にあって、まあ、一部だけの話をしますけれども、現実には見たこともない二億数千万円というものを受領する及び受領したと、この文書に判を押さされたり、私は特に押さされたと言っておきます。このことから納得した者もあるし、あるいは押さなかった者もありますが、そういう姿の中でどんどん仕事は進められてきた。こういうのであって、とても今日の普通人には了解に苦しむほど心良な、というより、むしろ哀れなほどの漁民の無知につけ込まれて、さらには、次から次にいろいろ不明朗な不可解な事件を発生さしてしまったということであります。 まあ、言葉の上に責任を持たなければならぬから、そのことについても、ちょっと申し上げます。たとえば、前に触れました被害者漁民に対する損害事前補償二億五千四百万円、これの一人々々の漁民に対する分配について、漁民が全然知らない間に——これは二千数百名ですよ、その間に、はっきりと申し上げますけれども、斎藤県知事、この斎藤県知事ときわめてじっこんの間柄にあった当時の海区漁業調整委員会委員の立場にあった田内民之助というボスがおったのです。このボスとが勝手に取りきめてしまったものであって、まあ、これはいろいろありますよ。金は今申し上げましたが、これは金じゃなくて船になっているんですね。二隻の漁船に化けてしまったわけです。とんでもないことをやったわけですが、とにかくこの金をどうしたのかということについては、これは特に配分という言葉を使いますけれども、結果的には、そのボスの田内が組合長をやっていた内浦漁業協同組合というところの内浦漁港区域というのがありますけれども、ここは三百人余りですね、これは完全に半農半漁の、漁業専業者じゃないのです。それらについては一人当たり四十万から百万までというような金額をきめている。これに対して、田内ボスが関係しないところのほかの地域の人々、幾つかの組合があります。全部で五つの組合がありますが、それらの組合の人々、大多数を占める二千余名、これらのものは、これは全くの専業漁民です。これに対しては、その一割にも及ばないところの二万円から最高六万五千、こういう格好で、実に本末転倒というか、信じられないような数字を出してきているわけなんです。 事件が表面化いたしまして、収拾できなくなってしまって騒動を起こしたという、この動機はそこから始まったわけですけれども、まあ、幾ら心臓の強い斎藤知事でも、こんなでたらめな行き方に対する漁民の憤激に対抗できなかったかして、これを手直しをするという約束をして、そうして一時これは押えかけたのであるけれども、それでも手直しをしたと称する金額は、前に述べました田内が関係している半農半漁の三百数十名に対する最低四十万から百万まで、まあ軒並み百万やっておりますが、そういうようなことには手を触れずして、漁業専業者でありまする、さっき申し述べた二千余名の者に対しては二万円から最高六万五千。たいへんな迷いでしょう。これを、二万円を五万円に、それから六万五千というのを、これまた何百名近くですけれども、これを八方ないし一番上が九万というのがありますけれども、こういう工合に引き上げただけのことであって、依然として、その比較は一割近く。繰り返すようですけれども、半農半漁のものに対して百万、専業の一番大きな被害者に対して最高九万、最低五万、こういう金額を割り出してきておるのですし一体ここで不思議に考えますることは、もともと建設省が出したという金は、御承知のとおり、出したのは二億五千四百万円だったはずだ。そのもとが変わりないのに、とにかく数の多いことですから、この手直しをしたために、幾千万円という大きな金額の差が出てくるわけですが、一体どうしてこんなものが化けてどこから飛び込んできたのか。これは、実に奇術師以上の不可解事なんです。だれが聞いても。ここにも大きな疑惑が打たれておる。私は、そういう問題については、これはまさに昭和の怪奇事件だと騒がれた事件だけに、今でもあぜんとしておるのですが、この問題については、きょうの場で言うことではございませんから、この程度にしておきます。 問題は、その次に、これは建設省に責任があることですが、計画変更をしておるわけです。二本の放水路を作るというのを三本にふやしてしまった。こうした内容をもちまする計画変更をしているのですが、このことも漁民には全然知らされないで、全く中部地建が一方的に工事を強行しておるという状態、何といいますかね。これはいわゆる帝国主義軍政下にも見られないような風景だと言っても過言じゃない、こういうことなんです。繰り返したように、この場では、これらの本質的な問題の究明は、今のこうした時間のことでもありますし、御迷惑をかけることですから、これはきょうはしないで、いつか機会がありましたら、さらに場合によれば建設大臣にこまかにこの実態をお知らせすることもあるかと思いまするし、あとに渡ることにしますが、とにかく、爆発寸前の状況にある関係漁民の憤激に際会いたしまして、当面する不祥事件を防止したいという、さっき申し上げました誠実な熱情と、あわせて二千数百名の漁民が強くこの真相をもって私のところに持ち込んで要望しておるのでございまして、これに基づいて、ほんの最小限度の事項についてきょうはただしておくということにとどめたいと思います。こういう前提に立って若干の質問を申し上げたいと思います。 第一点は、狩野川放水路の建設を直轄河川工事として計画されたのは一体いつごろか、及びその計画の内容はどうなんですか。
○国務大臣(河野一郎君) ちょっと発言してよろしゅうございますね。——今事情はつぶさに承りました。さっそく事実を取り調べまして、そして御心配していらっしゃることも、よく私も正しく認識いたしたいと思いますから、その点御了承いただきたいと思います。あとは、事務当局から御質問に対してはお答え申し上げるということで御了承下さい。
○委員以外の議員(田上松衞君) 建設大臣に私がお願いしたいということは、さっき急いで申し上げたので、言葉は足りないですけれども、気持はおわかりになったでしょうから、その実態を十分に調査して下さって、とにかく後手にはなってしまっておるけれども、問題は、この工事こそ、国の直轄事業として、治水事業特別会計の設置に伴う治水事業五カ年計画の中に組まれて、少なくとも昭和三十九年度には全工事を終了しなければならぬという、これは最重点的な一つの治水工事の中のことです。ですから、こういう事柄でありまするので、さっき申し上げたような十分調査をいただいて、そしてこの工事目的を達成されるということに重点を置かれ、これはあとで申し上げますが、なお静岡県がいろいろ漁民の間に、約束といいますか、妥協的な上にやったこともありますが、全然これを放置しておりますから、約束を履行したらどうだということを督励されたり、場合によれば、国が関係を持つ仕事のことですから、国も、これに対して、こうした事柄は国民の納得がないとできぬことですから、必要な協力まで与えて下さって、そうして事態をいまわしい問題の起こらない間に何とかさしていくということも必要かと、こう考えますので、さっきお言葉をいただきましたので、ぜひそのことを要望しておきます。 あとの問題については、大臣からは十分その御意思をいただいたから、どうか私はこれは心から期待を申し上げます。
○国務大臣(河野一郎君) 承知いたしました。
○委員以外の議員(田上松衞君) 以下は、建設大臣が退席になっても、あとは関係御当局から、きわめて要点だけ申し上げますから、御答弁をいただきたいと思います。 さっきの質問に返りますが、申し上げました狩野川放水路の建設が直轄河川工事として計画されたのは一体いつごろだったか。それからその計画の内容、大まかでいいですから、どういうふうになっているか。
○政府委員(山内一郎君) 計画はずいぶん前からやっておりまして、終戦前から調査し、計画をしていたのでありますが、ただいまの放水路によります漁業の被害の点につきまして、なかなか着工に至らず、活発に仕事が始められたのはこの数年だと思います。その計画は現在変更になっておりますが、変更の前の計画は、放水路の入口の前の点におきまして、計画流量で申し上げますと、毎秒一千九百六十立方メートル、これを、このうち放水路に千立方メートルを流し込みまして、その残りは九百六十立方メートルになりますが、これは従来の川に流す、こういう計画になっておったわけであります。 その計画でやっておりますときに、昭和三十三年に大洪水がございまして、いろいろ調査をいたしました結果、変更いたしております。計画洪水流量を四千立方メートル、毎秒にいたしまして。そのうち、放水路に二千立方メートル、本川のほうに残りの二千立方メートルを流す、こういう計画で現在仕事を進めておる段階でございます。何とか早く通水をいたしまして、効果が上がるようにいたしたいと思っておりますが、現在では、三十九年度中に放水路の通水をはかりたいと、こういうふうに考えております。
○委員以外の議員(田上松衞君) 地建がいろいろ漁民の押しかけに対して説明した内容が、もうそこから大きく狂っているわけです。狂っていると言えばいいのかな……。私は立方メートルとトンとの相違がよくわかっていませんが、あとで地建が説明したのは、二本のときの最高限度は毎秒千トンだということなんです。一千九百六十立方メートルとこれはどうなりますか。
○政府委員(山内一郎君) 放水路に分かれる前の地点におきまして千九百六十立方メートル毎秒でございまして、そのうち、千立方メートルを放水路のほうへ流す、それからしたがって、残り九百六十は従来の川のほうへ流す、こういう計画でございます。
○委員以外の議員(田上松衞君) これはあとでいいわけですが、計画後のこれの説明も、お話の四千立方メートルというのと全然また食い違って、これはもっとも向こうでわかっておるのかわからぬのか、さっぱりもう漁民をばかにし切ってやっておる傾向の中で説明しておるのですから、いいかげんなものだったろうとは思うのですけれども、ことほどこの場においては、かわいそうなほど無知な、抵抗のない——これはほかによく見るような、ハチの巣城、ああいうような問題と違って、実に善良な漁民がやっている。それにつけ込んでやってしまっているわけなんです。まあ、そのことはさっきも言っておきましたから、よしましょうが、失態は、まあそういうことを御承知になっておると思います。 そこで、私がさっき建設大臣列席の上で、放水路の建設計画というものが、大部分の漁民には全然知らされてもいない。了解も取りつけていないというような工合に説明したのですが、あなたのほうのお調べでは、どういう方式で漁民に説明し、あるいは漁民の同意、了解、これを取りつけたということになっておりますか。
○政府委員(山内一郎君) 昭和二十九年に一応漁業補償の解決を見ているわけでございますが、そのときには、十分漁民の皆さん方に計画の内容、それから予想被害といいますか、そういうものを説明をいたしまして、解決をしているわけでございます。その後の計画の変更については、おそらく地建のほうから漁民の皆さんには話はしてないのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。
○委員以外の議員(田上松衞君) 説明をしている、了解をしてもらったということですけれども、これは局長自身がやったのじゃなくて、地建の回答だと承知しておけばいいわけですね。
○政府委員(山内一郎君) そのとおりでございます。
○委員以外の議員(田上松衞君) そこにもたいへんな大きな違いがあるのです。全然そういうようなことになってきていないで、さっき申し上げましたように、当初のあれについては紛争後においてやってきて最近に至って、どこからか、とにかくそんなばかなことはないだろうからといって、ああだこうだといって探しておったのですが、もちろんこの間にはこれは内部のことだということにも一応はなるかもしれませんがね。みんな当時の責任者は雲隠れしちゃったり、いろいろやっておりますから、それをどこからか発見したやつを見ますと、いいかげんな、わけのわからぬものを、本省のほうにはしかつめらしいものをやっているかもしれませんけれども、全然それはしていないんだ。私は、これを引き出して、たくさんの漁民に対して、だれかこれを覚えがあるのか、まあ二十年も三十年も前のことじゃないのですから、たかだか数年前のことですから、記憶があるであろうと思うのですけれども、だれもこれを知らないで、おやおやということなんで、そこにも違いがあります。これは、あとで、大臣がさっき言明をされた十分調査をするということになっておりますから、参考までに申し上げておきます。 お聞きしたい第三点は、放水路開さく工費によって生ずるいわゆる排土排岩の量はどのくらいになるのか。ついでに申し上げますけれども、その排土岩を処理する方法として、漁民の漁場であり、あるいは漁船のつなぎ場、そういうところの江ノ浦湾内の沿岸にこれを捨てる。結果的には、埋立地を造成するという計画のようですが、それによってでき上がる埋立地の面積は、一体どのくらいの計画になっておるか、あわせて、その埋め立てられた土地の利用ないしは取得権利関係ですね、そういうものは、一体どういう工合にお考えになっておったか。
○政府委員(山内一郎君) 放水路の延長は、約三千メートルでございますので、それから出て参ります土量は、約一千万立方メートル、そういうようなことになると思います。これをやはり海岸に捨てまして、利用できる面は利用するような捨て方をしておりますが、その辺の詳細につきまして、その土地がどういうふうになるか、こういう点につきましては、現在資料がございませんので、資料に基づいて別の機会に申し上げたいと思います。
○委員以外の議員(田上松衞君) 中部地建が漁民の詰問といいますか、これに対して、あとで作り上げたその印刷物が本省のほうにも届いていると思いますが、それによりますると——今のお話は一千万立米ですか、それによりますと、こういうことが書いてあるのですよ。昭和三十六年末までの掘さく土岩の量は、約百十五万立米、それで、わざわざ内訳を書いて、排水路が九十万立米、それから墜道が二十五万立米のものであるけれども、三十七年以降これを完成するまでの間には、なお八十五万立米、それは、排水路のほうが六十万立米、隧道が二十五万立米、そうしてこれをトータルして二百万立米ですか、こんなことになるわけですがね。一千万立米というと、その差はどうなりますか。
○政府委員(山内一郎君) ただいま田上さん、この場で概算をいたしました結果を申し上げましたが、重要な数字でございますので、その辺もあらためて調査をしてお答えいたしたいと思います。
○委員以外の議員(田上松衞君) いずれにせよ、その数量はどうあるにいたしましても、捨て土する場所ないしは条件、これらについては、当然被害者となる漁民に対して、これは同意と、了解を取りつけなければならぬ性質のものと考えておりますが、特にこれは、計画変更後においても、変更前においても、この事柄自体は、これは、変わりない条件であったと考えているのですが、これに対してどういうような方法で、どういう了解を取りつけておると御承知になっているか。
○政府委員(山内一郎君) 土量の変更につきましては、従来の場所にさらに捨てたか、あるいは新しい場所に捨てたか、ただいま私の記憶にございませんので、この辺も、恐縮でございますが、そういう調査をした上お答えしたいと思います。
○委員以外の議員(田上松衞君) いずれにせよ、十分調査していただくということになっておるんですが、実際私は、現場を見まして、こまかにここらがどういう工合になっているということは、資料は十分持っておるんです。ですけれども、これはきょうの短い時間では説明では説明は省いておきます。完全にここにこれだけのことをやっている。だが、これを総括して申し上げると、前に護岸を作らずして、ただそこへ投げ込む、まるきり、何といいますか、陸上でいえば、くぼ地にごみ捨てをするよりかひどい状態になっておるわけなんです。もう想像するだけでも、私は現場を見ておりますけれども、あなた方これは御想像する人々が多いわけですが、だれが考えてみても、たいへんなことだと思います。埋め立て地を作らなければならぬということになるならば、三つ子が考えたって、土を受けるところのものが完全でなくしても、いわゆるその土どめをやって捨てなければ、そんなものはとんどん江ノ浦湾に流れていって——実情から申し上げますと、今日では多いときには三百隻からの漁船が入るわけですね、あそこは。駿河湾一帯でやっておったものが、少し風が強くなると、みんなあそこへ逃げてくるわけですから。普通であるならば、四十隻ないし五十隻ぐらいしか係留場所のないところに向かってきて、三百隻、それ以上の船が判り込んで押しかけてきたりするのですが、かろうじてそれが流れないで済むのは、みんなつなぎ合わしている。エンジンをフルにかけまして、尻を突っ込んでしまってやっているので持っておるけれども、少しゆるんでしまうと、いかりを落としても、もういかりが下に食い込まないのです。そんな状態である。一日に起こりまする船の損傷あるいは危険、これはもう思うだにりつ然たるものがある。そんな格好になってしまっているわけです。やり方についても、実にこれが、今日の経済成長がどうの、設備投資がどうのというけれども、あそこに関する限りは、これは全く未開発地のひどいところだという感じがするのですが、これは参考までに申し上げておく程度にしたいと思います。 とにかく、大量な排土岩を海に投じてしまうならば、さっき申し上げたような事態は、言うまでもなく、これは漁民にとってはまさに死活問題だ、もう説明の必要もないことであります。この点についても十分ひとつ調査対象として御記憶願いたい。 次には、当初の計画であった二本の放水路の開さくの場合の漁民に対する損害、事前補償とこれは銘打っておるわけですが、この一億五千四百万円という算定の基礎はどこにおいたのですか。これは、建設省自体がやったのか、中部地建にまかしたのか、どうなんですか。
○政府委員(山内一郎君) 補償を算定します考え方でございますが、放水路のほうへ洪水が入りますのは、本川の水が毎秒二百立方メートル以上になりますと、放水路のほうへ水が入る、こういうふうな構造になっています。したがって、一年の間に二百立方メートル以上の洪水が何回出るか。その回数によりまして、それが出た場合に漁業ができない。したがって、漁業の減収額というのは幾らになるか。これは業の種数によってだいぶ違うようでございますが、いろいろ区分をいたしまして、そのおのおのを算定して集計をし、こういうことで、やはりこれは地建だけでは非常な大問題でございますので、本省ともよく打ち合わせをいたしまして、二億五千四百万円という算定をする、こういうことでございます。
○委員以外の議員(田上松衞君) 意見として申し上げますけれども、私が承知している範囲では、大雨というものは年二回くらいしかないだろう、そこで、漁民が操業不能に陥る日数は十四日と見た、局地降雨の場合は年三回が常識だ、そこで操業不能に陥るのは六日間だ——まあ私は、御承知のとおり、科学技術の特別委員長をやっているわけなんですが、何百人という学者たち、気象学者等について、真剣に取り組んで今研究しているわけですけれども、それでも、日本に年二回しかないとか三回しかないとか、そんなことは神様でない限りできないと言っているのですよ。ここにも実にナンセンスなものがあるのですね。これはまあ地建だけでできないから、本省と相談したと言われるけれども、それは今までの実例等をかき集めてやられたのかもしれませんけれども、とにかく、あとで、さっき申し上げました、発見したところのあの覚書の中にあっては、今後どのようなことがあっても不服は申し上げません——きめつけているのですね。そうしてそれに何か代表者に判を押さしてしまっているのですよ。異議は申し立てはしません、損害賠償は申し立てません、こんな乱暴なことをやっているのですね。まあこういうことは、あとで調査して、いろいろ御協力願わなければならぬという大臣の気持からするならば、今このことは強く糾明しようとは思いませんが、とにかくこういうことになっているのです。この算定についても、実際は実情によるあれでやってもらいたいと考えているわけなんです。 よけいなことを申すようですけれども、雪は、北海道あるいは北陸、東北だけにあるものだという昔の常識は変わりまして、九州に一メートルも二メートルも雪が降るなんというばかげたことになってしまっているのですよ。科学者たちは知らなかったことなんです。これを、大雨は年に二回しかない、局地降雨は年に三回しかない、そうすると、操業不能は年に六日とか十四日であるとかとして、その上に積算して、そうして三億五千四百万円をはじき出したということは、これは私は、知れば知るほど、さっき申し上げましたいわゆる帝国主義、軍政下におけるやり方だったと、まあ攻撃したくなってくるわけです。参考までに申し上げます。算定のことについてもこれは十分お考え願いたい。 それから二本の放水路設計計画が三本に計画変更されたという時期は、さっきちょっと言われたようだったけれども、これは一体いつごろだったのか。そうして、なぜこれを変更しなければならぬのか。ついでに申し上げますけれども、変更することによって、いわゆる放水量の差というものができてこないのか。逆に言うならば、放水効果の上に大きな違いができるという見込みだったのかどうか。
○政府委員(山内一郎君) 三十三年度の狩野川台風後、計画を変更いたしております。その変更は、先ほども申し上げましたが、放水路の最大洪水流量が、千立方メートル毎秒を、二千立方メートル毎秒に変更いたしました。
○委員以外の議員(田上松衞君) 要点だけ申し上げますから御答弁もきわめて簡単でいいです。皆さん御迷惑されるようですから、重要な点だけ申し上げます。 放水量の差というものは、漁民がこうむるところの損害とは無関係でやるということなのかどうか。
○政府委員(山内一郎君) この点も先ほど申し上げましたが、二百立方メートル以上の洪水が来た場合に、初めて放水路の中に洪水が流れ込む。それ以外は、本川をずっと下りまして、河口に出るわけでありますが、そういう回数が何回あるか、これが補償の基準になっておるわけであります。二百立方メートル以下の回数はたくさんございますが、それ以上のものは一年間に平均をして二回である。それで、三十三年の洪水の経緯を見ましても、従来の二回という算定が、やはり三十五年の洪水も加味いたしてもやはり二回である。その一回の休漁日数は、先ほど先生のいわれました七日間、こういうことでございますので、最高流量というものは変更いたしておりますが、その他の条件は全く同じである、こういうふうに考えられます。
○委員以外の議員(田上松衞君) ただ水を流すというだけのことでなくして、いうまでもなく、狩野川は沼津に行くあの線の間はきわめて傾斜が少ないので、それで、大雨が降るならば、むしろ逆流してきて、そして水と一緒にたいへんな土量が、川の運んだ泥がどんどん流れ込んでいくというのが実情ですから、この辺についてもひとつお調べを願っておきたい。これは要望にとどめておきます。 それから非常にみんなが強調している点は、一歩間違うならば大きな問題になりかねない。専門家等についての意見が、何しろ二千名近い人々のことですから、非常に意見があって困っておるので、ぜひ私は聞いておかなければならぬのですが、憲法一千九条のいわゆる私権の尊重、不可侵の保障、こういうものについて十分この問題に取り組んで、これをおやりになったか。漁民のこういう了解を得ることなく、これを一方的に強行してしまったということであるとするならば、私権の侵害という、憲法違反に発展するかもしれないという心配をしているのです。そうした憲法違反にあらずという確信を持っておるか。あれば法的な根拠をどこに置かれるか、簡単でいいですから。
○政府委員(山内一郎君) 昭和二十九年の漁業補償の解決のときには、十分漁民の皆さんに納得していただけたように私は聞いております。したがって、私権の侵害にはならないと思います。
○委員以外の議員(田上松衞君) 今私が申し上げるのは、むしろそれでなしに、そうした一方的な計画変更等によってこれを強行するという点に重点を置いておるのでありまして、皆さんがこうして無理におつき合い願っておるところに御迷惑ですから、このことについても十分ひとつ調査研究を遂げてもらいたいという程度にとどめておきます。 ほんの一、二点だけぜひ聞いておきたいことだけ言っておきますが、静岡県がだんだん妥協的な態度に変わらざるを得なかったということに出発して、最近になって、漁民の要望事項というものを六項目とにかく受け取っておるわけなんだが、その内応をお聞きですか。
○政府委員(山内一郎君) 聞いておりません。
○委員以外の議員(田上松衞君) 聞いていなければ、私はこれを説明したかったのですが、さっきも申し上げたような時間的な関係で、六項目の内容については相当な時間を要すると思いますから、それは省略いたしまして、後刻機会を得まして私のほうから詳しく説明いたしますから、十分この点について検討をしていただきたい。 問題は、これは申し上げておきたいことは、いやな話ですけれども、静岡県知事としては、たまたま選挙があったわけですね。たまたま一月何日でしたか、選挙の最中にこれが再燃しかかって、これをぐいぐいやったところが、この六項目を受けるがごとく、においをかがして巧みに態度を引き延ばしておったわけです。検討してみますとか、考慮いたしますとかという言葉を使ってきたと思うのですが、いよいよあそこで選挙が終わって、斎藤知事が再選されることになってしまったところが、選挙に対するあれが一応おさまったら、にわかに今度はベールを脱いで、ついせんだって、三月二十三日の出来事でありますが、今の漁業協同組合連合会のときに、役員が全部そろって、そうして県庁に押しかけて行ったわけです。どうしてくれる……。結局、あれはどうなったかということをいったら、知事は土木部長をして会見せしめて、その六項目の中の一番ちいちゃな一項目だけはわかりました。承諾いたします。実行いたします——あとは全面的に拒否する態度に豹変してしまっているのです。 そこで、劈頭申し上げましたように、漁民の怒りはほんとうにもう爆発寸前になってしまったという状態に陥っているのですが、そこで、こういうことについて、私をして言わしめれば、これらの要求は当然にやるべきことで、かわいそうに、どうにもならないから、今度は漁民たちが御自分でもって、そうして一つの山を業者に提供いたしまして、そうして土はその山から取ってくれぬか、そうしてあそこの——これは大久保崎の問題ですが、大久保崎の突堤を作って、そうしないと、さっき申し上げたように、これは近く台風等がやってくると、どうにもこうにも危険状態が辿ってきますから、そこに防波堤をこしらえて避難場所を作ろうということに、四月一日からもうその工事に実際にかかるまで準備してやっているわけです。もういいの悪いのと言ったって、全滅してしまう。こうした問題に入り込んでやっているのです。 私から言わしめれば、県や建設省のやることは、よかれあしかれ、幸いというか、よき工合に土がそういう所にたいへんな量があるわけでございますから、手っ取り早く護岸等を、土受けを作ってやればいろいろな利用価値があると思うし、何のかんの言ったって、あとには、いろいろな利益が静岡県としてもあることだろうし、国としても、せっかくの国民の血税を使ってむだにならないということが、やりようによってはできるということになりますので、そういう点をあらかじめ御承知の上で善処願いたい。 時間がこれ以上長くなっちゃ非常に御迷惑、相済まぬと考えますので、ただ、これは重ねて局長の、ほうから聞くまでもないのですが、建設大臣が言明されたのですから、これらについて、いろいろ漁民たちが——どうせこの会議録等を取り寄せて、そうしてその中に納得を求めたいという効果面もあると思いますので、くどいようですが、重ねて局長から御誠意を披瀝していただきたいと思うのです。
○政府委員(山内一郎君) もう少し十分調査いたしまして漁民の皆さんに御納得いけるようなものにしたいと考えます。
○委員以外の議員(田上松衞君) 相当時間御迷惑かけて皆さん済みませんでした。この程度で、また余事にわたっては、直接本省との間に相談を重ねたいと思います。ありがとうございました。
○主査(後藤義隆君) 他に御発言はございませんか、——他に御発言もなければ、建設省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 以上をもちまして、昭和三十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省、運輸省、郵政省及び建設省所管に関する審査は全部終了いたしました。 なお、予算委員会における報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、先例により、主査に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(後藤義隆君) 御異議ないものと認めます。 これにて散会いたします。 午後六時一分散会 —————・—————