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43回国会参議院1963/06/10

予算委員会 第20号

発言数
239
登壇者
18
会派数
6
開催日
1963/06/10

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  去る三月三十日浅井亨君、和泉覚君が辞任され、北條雋八君、鈴木一弘君が選任されました。  四月八日久保勘一君、二木謙吾君、豊田雅孝君が辞任され、小林英三君、小山邦太郎君、河野謙三君が選任されました。  五月八日久保等君、阿部竹松君が辞任され、稲葉誠一君、大倉精一君が選任されました。  五月二十日下村定君が辞任され、米田正文君が選任されました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、理事の補欠互選を行ないたいと存じます。  現在、当委員会におきましては、理事が二名欠員になっておりますが、本日は、都合によりまして一名の補欠互選を行ないたいと思います。その互選につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、米田正文君を理事の補欠に指名いたします。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、予算の執行状況に関する調査を議題といたします。  お手元にお配りしてあります刷りもののとおり先般の理事会において調査を行なうことに決定いたしました。  ただいま報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。それでは、これより質疑に入ります。羽生三七君。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 物価の上昇が、今日日本の経済の重要な課題となっており、また、国民にとっても非常な脅威であることは言うまでもありません。またそれは、池田内閣にとっても最重要の課題であると思います。そこで、物価問題を中心にお尋ねするわけでありますが、質問の第一は、先日、宮澤企画庁長官は、物価の上昇は個別対策で片づく問題ではない。これは構造上の問題に起因をしておると、こう語られております。そこで、その構造上の問題とは何ぞやということは、あとから長官に承ることとして、最初に池田総理にお尋ねしたいことは、総理としては、宮澤長官の御発言をどういうように判断されておるか。つまり、個別対策ではない、構造上の問題だというこの宮澤長官の見解に対して、まず最初に総理の御所見をお伺いいたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、企画庁長官から、構造上の問題であって、個々の対策ではないという新聞発表があったやに聞いておりますが、直接には本人から聞いておりません。問題は、構造変化上の問題もございましょう。しかし、だからといって、個々の物価に対しての措置をしないという意味ではございません。たとえば、公共料金につきましては極力押える。あるいは個々の品物、すなわち野菜につきましても、特定の物につきましては、生産増強について個々の措置をとる。いろいろな個別的な措置をとると同時に、片一方には構造変化上の問題も考えていかなければならぬ。私はこう受け取っておるのでございますが、もし何だったら、直接企画庁長官にお聞き下さい。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 長官からひとつ。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 従来、公共料金あるいは生鮮食料品、とかく問題となっております物価の上昇に寄与率の多いものについて、微力ではありますが、いろいろやって参ったつもりであります。それにもかかわらず、経済成長のときはもちろんとして、景気調整の時期においても、一般の消費者物価水準というものがなかなか落ちつかないということが過去の事実であります。そこで、私どもとしては、問題のある項目について今後とも努力を傾けるのは当然でありますけれども、それとともに、何か全般に共通したところの消費者物価を突き上げる原因があるのではないかということをしばらく前から考え始めておったわけでございます。で、表面に現われておりますところを見ますと、第一次産業でありますとか、あるいは一般に申しまして、中小企業あるいはサービス業等において、相当名目賃金の上がりというものがございまして、このことは、賃金格差是正ということから、意識的に成長政策の中でどっちかといえば奨励をして参った種類のことでありますが、それが非常に急激でありまして、そういう業種については、生産性の上がりをこの二年ばかり名目賃金の上がりのほうが追い越しておるということが事実となって現われて参りました。このことは、ヨーロッパ諸国、OECD加盟諸国においては、すでに一九六〇年ごろから注目されておったところでございまして、各国とも生産性と賃金の問題としてこれを取り上げ、いろいろな機構で問題を処理しつつあるわけでございますが、わが国の場合、たまたま労働の流動性というものが非常に乏しいということから、現実の姿は完全雇用ではないにもかかわらず、あたかもOECD諸国が面面しておるような事態、そういうものと非常に似たものになりつつある。現実にコスト・プッシュが起こっておるというふうには考えませんが、そういうところへすでに入っていこうとする傾向が全般的に見える、このように判断をいたしましたので、これは、構造的な原因がやはり根本に一つあるのではないか、こういうことを考えておるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 宮津長官御答弁のような問題があることは、ある程度この現象面に現われておることは事実でありますが、私は、構造上の問題ということをそういうふうに判断する立場をとりません。そこで、この物価値上がりの原因は、今長官の指摘された点も一つあるとは思いますが、問題は、構造上の問題をどう把握するか、どう認識するか、これが重要であります。この消費者物価上昇の実態は、今長官もお話があったように、またこれは、周知のように、中小企業あるいは零細企業、あるいはサービス分野、あるいは生鮮食料品等が中心になって値上がりしていることは言うまでもありません。これは、根本的には高度成長そのものが検討の対象となるのではないでしょうか。問題は、その高度成長そのものが大企業中心の成長政策であったこと、これに起因しておる。今日まで大企業中心の高成長のために、この国家財政あるいは金融政策が惜しみなく投入されて、そうして中小零細企業等はむしろしわ寄せを受ける状態に置かれていたんです。したがって、物価上昇の抑制のためには、そういう意味での産業構造上の矛盾あるいは二重構造を解消するために、この独占、寡占の大企業中心の成長政策から立ちおくれた中小零細企業の強化、この方向に国としては思い切った施策を財政、金融両面を通じて徹底的に遂行しなければならぬのではないか。今もし景気行き過ぎを論ずるなら、今は景気行き過ぎを論じているときでもないでしょうが、そういう立場でもし行き過ぎを論ずるのなら、大企業偏重政策の是正こそ、これが景気調整の場合の対象となるべきだ。まあこの場合、野菜や畜産物等も、この中小零細企業、サービス部門等とともに問題検討の対象となることは当然であります。もしこれらの問題をこのままにとどめておく場合には、ある種の物価を一時押えましても、条件そのものが解消しない限り、再び値上がりが表面化することは避けられない状態であります。高度成長のテンポそのものも、この物価問題とともに、国際均衡の面で問題になることは当然であります。しかし私は、これはあとから詳しく触れるつもりでありますが、この高度成長率だけで言うわけではない。高度成長の内容、性格を中心に、そういう意味で経済政策を再検討し、政策の転換を行なうべき段階だと、こう判断いたしておりますが、総理の御見解を承ります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点が、私には十分あれなんでございますが、高度成長というものは大企業の高度成長だ、こういうお話でございますが、率は違いますが、やはり農村のほうの生産も相当伸びております。中小企業につきましても伸びております。しかも、大企業の生産が相当伸びております関係上、卸売物価は上がっておりません。どちらかといったならば、小売物価、そうして最も上がったのは、消費者物価のうちで、小売物価よりもまたサービスのほうの料金がうんと上がっているのであります。したがって、高度成長が即物価上昇か。大体間度成長というものの目的とするところは、やはり所得格差をなくする。業種別格差を少なくしようというところでございます。高度成長があったからこそ、私は、賃金の規模別格差が非常に少なくなった。とにかく三十人未満のものは、大企業に対しまして半分以下の賃金であったものが、近ごろは六割近くまで行こうとしている。これは高度成長のおかげでございます。しこうして高度成長の弊害の国際収支はどうかということになりますと、これは一時心配したことはありましたが、大体において国際収支もそう心配要らない。手放しの安心はもちろん禁物でございますけれども、国際収支では、そう外国から見ても、また国内的にも不信を抱かれるということはない。だから私は、高度成長があったからこそ非常にいい面もある。しこうしてまた、高度成長が賃金格差あるいは所得格差の解消という目的の点はある程度成就した。したがって、今後の問題としては、国際収支の均衡をはかりながら、高度成長をやりつつ、そうして消費者物価の急激な上昇を押えていくということがわれわれとして努むべき問題じゃないかと思います。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。  北條雋八君、小平芳平君及び小林篤一君がそれぞれ辞任され、その補欠として和泉覚君、辻武寿君及び市川房枝君がそれぞれ選任されました。     —————————————

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私どもも、政府の経済政策がすべて全部あやまちだったと、そんなこと言うのじゃないのです。功罪についてはそれぞれ正当な評価をしておるつもりであります。それから経済発展に寄与した点は十分認めております。しかしそれにもかかわらず、まず十分思い起こしていただきたいことは、所得倍増計画は出発点においてどう行っているかということです。物価と貨幣価値の安定についての根本的な認識が、もうその出発点で欠けておった。それが、今日の結果を招来した基本的な原因であると私は考えておりますから、そういう意味で批判をしておるのであります。たとえばこう言っております。所得倍増計画では、「総供給と総需要が最終的に均衡して、長期的には物価水準が安定的に維持される」、これは出発点なんです。それから、これはあとからまた詳しく触れるつもりでありますが、結局中小零細企業、サービス部門では値上がりが招来するかもしれないが、しかし大企業中心に生産性が上がって物価を下げ得るから、それでプラス・マイナス平均して物価上昇は大した変動がないものと見るという、そういう想定に立って所得倍増計画というものが出発しておる。ところが、その計画が物価面からくずれて、しかも官澤長官の言うところによれば、今後数年値上がりの趨勢が続くかもしれぬと言っている。明らかにこれは倍増計画の破綻であります。むしろ私は、この際率直にこの計画の再検討を表明されてしかるべきものと思います。今、総理は卸売物価は横ばいであると言いましたが、横ばいではいけないのです。むしろこれは、内容的には私触れる時間がありませんが、これはむしろ下げなければいけない。生産性の上がった部分をどういうふうに配分するか、それはいろいろ批判のあるところでありますが、とにかくある程度下げなければいけない。全然下げなかった、ときに微騰した。そうした条件をそのままにしておいて、そうしてその一面において中小零細企業、サービス分野あるいは生鮮食料品等が上がった。それで卸売物価の引き下げでプラス・マイナスできなかった。これがやはり根本的な失敗の原因であろうと思うので、この際私は、率直に計画の再検討をされるべきだと思います。いかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 二つの問題を御提起になったわけであります。所得倍増計画が物価の動きについてはなはだ楽観的であったということは、私は御指摘のとおりだと思います。そのことは倍増計画を立てましたときに、わが国の経済の非常に大きなエネルギーをやはり正当に評価していなかったということに、より根本的な原因があると考えます。すなわち七・二%程度の年率の成長というものも相当野心的な計画であるというふうに考えられたのでありますが、事実はそれをはるかに上回った成長が行なわれた。そのことを見のがしましたがゆえに、したがって物価のほうについても、ほぼこれを中立的な考え方をとっていいであろうという考え方が出てきたものと思います。で、そういう意味で経済の根本的な成長力を見誤っておったところに問題があるわけでありますから、ただいまアフター・ケアをいたしますときに、特に物価と賃金の関係については一つの部会を設けて、その点を、御指摘のように問題があったわけでありますから、十分検討をすでに始めております。それから卸売物価につきましては。それは御指摘の独占とか寡占とかいうことにつながるわけでございますが、鉄鋼とか非鉄金属については昭和三十五年を一〇〇といたしまして、現在九〇を割っておるのであります。明らかに卸売物価はそういうものについて下がっておりますし、その他機械あるいは石油製品などにつきましても一〇〇を割っておるというわけでございますから、独占、寡占の結果下がるべかりし卸売物価が下がっていないということは私はないように思います。木材などについて例外があるだけではないかと考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは一部物によっては下がっておるものもあります。しかし全体として卸売物価が下がっていると判断されることは、これはいかがかと思います。先ほどのことをもう一度正確に——私、所得倍増計画に計いてある点をもう一度正確に申し上げてみますと、こういうことであります。賃金の上昇に伴ってサービス料金その他一部の消費関係価格が上がるから、大企業製品のような近代化、合理化でコストを下げ得る部面では価格を安くして、全体として物価水準は安定的に持っていく。これが倍増計画の出発点であります。ところが今申し上げたように、これは独占、寡占、あるいは独占、寡占のもとにおける管理価格等を中心に物価は下がらなかった。それはビッグ・ビジネスが利潤分を製品などの引き下げに回さずに、投資に次ぐ投資をもってして、マーケット・シェア競争から無計画な投資、あるいは二重投資を繰り返してきた結果が今日の事態を招来していると思う。そのことを私は高度成長と言っている。だから高度成長が寄与した部面も認めておりますが、しかし全体的にこういうことから今日の物価騰貴を招来した根本原因があるのだから、その根本原因を無視して、構造上の問題ということを賃金問題だけに先ほどウエートを置かれておりましたが、それは明らかに誤りであります。構造上の問題を再検討するというのなら、この問題をまず基本的に反省し、ここから出発しない限り、私は問題の解決にはならない、もう一度このことを指摘いたしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 工業製品の価格——卸売物価が下がっておりますことは、先刻申し上げたとおりでありますが、それにもかかわらず、ただいま羽生さんの御指摘のことはそのとおりだと思います。経済の正常な運営を診断する尺度が卸売物価であるといたしますならば、企業の正常な運営をはかる尺度はやはり利潤点ということであると思います。採算ということであると思います。高度成長を背景にいたしまして、幾つかの大企業が採算点を無視して、いわゆるシェア競争というようなものに走ったというようなことは事実でありまして、そのことが企業の生産性をその面から下げて、採算点をその面から悪くしたということは、長期的な効果はともかくといたしまして、短期的には確かに事実であったと思いますから、その点は反省を求めるべき点が多々あるということはおっしゃるとおりだと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで結局、構造上の問題ということになるわけですが、この物価値上がりの原因が構造上の問題という場合、これは高度成長政策を抜きにして私は論ずることはできないと思う。私は高成長を批判する場合には、先にもちょっと触れましたけれども、成長率だけを問題にしているわけではないのであります。これはさらにあとで詳しく述べます。問題はその高成長の性格、その内容であります。この構造上の問題から値上がりが起こったとすれば、この矛盾を招来した構造上の欠陥そのものを除去あるいは変革しない限り、問題の根本的な解決があるはずはないのであります。したがって、そのことは当然従来の政策の再検討を意味するのではないか、私はこう思います。これは池田総理からお伺いいたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 物価の問題で重要な卸売物価は、まだ羽生さんは日本銀行の統計をごらんになっているようでありますが、企画庁の三十—三十二年を基準にしたのは、基準年次を一〇〇にいたしまして、九一、二でございます。非常に下がっているわけでございます。しこうしてまた、投資を見ましても、三十四年、三十五年は企画庁の分でも相当下がっている。私は、卸売物価は今の高度成長の影響で非常に安定し、国際的にも非常に強味を増していると思います。また高度成長の、何と申しますか、政策を変更する——高度成長は何であるか、今お話しになりました所得倍増計画のときにはいわゆる七。二%でも相当強い。しかし自分としては三十七、八、九の成長の増加ということを考えまして、九%と出したわけであります。しかしそれが、その後三年間平均一五%、こういうことで、私は一五%の高度成長は、これは改めなければいかぬと思う。七%程度——十年間倍増計画を改める考えは毛頭持っておりません。そしてその計画に沿うようにいろいろな施策をやっていかなければならない。だから三十七年度におきましても、ある程度の調整をした、十年間以内の倍増計画という方針を私は変える考えは持っておりません。その間におきましての物価の上昇等につきましてはできるだけ押える。しこうしてまた、実質賃金がマイナスにならない、国民所得は物価が上がっても、それよりも所得の増加を上にしていくように、こういう方針でございます。そうしてその間に格差をなくす、この方針を変える考えはございません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 宮澤長官は、どこかの座談会で、安定的成長の必要性を説いておられます。その安定的成長はけっこうですが、きょうまで、その成長政策が論ぜられた場合は、高度成長というこの表現に対比して、安定的成長ということが言われてきたのであります。したがって、単なる言葉のあやではないと思います。基本的には私は政策の転換だと思う。いかがでありますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) それは、ただいま総理が答弁されましたように、十何%というような成長というものは、やはり益もございましたが、反面相当な害も残したわけでございますから、やはりそういうものは正常な成長ではない。今後のわが国にとって必要なことは、やはりそういうとっぴなものでなく、安定した成長であろう。ただその場合、西欧諸国が三%ないし四%というものを相当高度な成長と考えておりますけれども、わが国の場合には、その度合いはもう少し高くてしかるべきもので、その程度で安定した成長がやっていける、こう考えておるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そうすると、宮澤長官の言われている安定的成長ということは、こう理解していいのですか。つまり、総理の先ほどの御答弁にもありましたが、七・二%の成長率は今後とも維持する。ただ従来のように、たとえば、三十六年一四%、実質です。三十七年四・二%と、こういうような激しい振幅を避けて、安定的な路線に定着させる、それが安定的成長だと、こう言っておられるのか。先ほど私が触れましたように、従来、高度成長と対比して言われた安定的成長、そういうことではなしに、成長率は変えないけれども、振幅の差を縮めるように努力する、それが安定的成長と、こういうことを言っておられるのですか。そういう意味で、あらゆる機会に最近宮澤長官の言われていることは、そういうものと理解してよろしいのですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 政策目標としては、そのようなものであるべきだと考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、この機会にもう一度、私、私見を申し述べさせていただきますが、先ほども触れたように、高度成長を私が言う場合に、成長の率だけをダウンすれば、それで問題が解決するという考え方じゃないのであります。なぜならば、全体の姿を縮小しても、内部構成の比重が変わらなければ全然問題にならない。これは先ほども触れたとおりであります。私の言いたいことは、やはりもう一度申し上げますが、高度成長の性格とその内容であります。この高度成長の場合のその性格や構造的諸要因との関連でこそ成長率が問題になる。だから、今日まで国際競争力の強化ということを至上命令として、ビッグ・ビジネスの近代化、合理化を推進をされて、投資が投資を呼ぶという形で高成長が続いてきたわけであります。したがって、近代化、合理化の速度に追いつくことのできない業種、取り残された分野、つまりいわば二重構造の底辺がおびただしく生まれたとしても不思議ではないのであります。したがって、それゆえに、構造的変化を伴わない単なる縮小均衡、成長率だけちょっと下げればいいというような、構造的変化を伴わない単なる縮小均衡で問題が解決するはずがないのであります。なぜならば、問題を提起した要因そのものは依然としてそのまま温存されるからであります。したがって、必要なことは、財政金融等、各般の諸施策の性格とウエートが変わることであります。中小零細企業、サービス分野、生鮮食料品関係流通機構、その他広く社会資本の分野にわたって行き届いた施策が浸透することが必要であります。この場合、これは、私しろうとでありますから、あるいは判断の誤りがあるかもしれませんが、そうした場合には投資効率との関係で成長率そのものはダウンするかもしれません、鈍化するかもしれません。しかし、個人の生活水準、生活環境はよくなるはずはありません。問題は、国際均衡と国内均衡を不断にバランスさしていく、そこに問題があるのではないか。ですから、私の言うのは、一がいに成長率を少し下げればすべて問題が解決するという議論ではないのであります。それは問題は、縮小均衡させるだけで問題そのものの本質は全然変わらない。だからその内容、性格を根本的に再検討するということで私は今問題にしておるのです。そういう意味では、今日まで国際競争力強化を至上命令としてきた従来の行き方、これはもちろん国際競争力の強化も大事でありますが、そういう国際均衡と、今申し上げましたような国内均衡とバランスさせることが重要ではないか、こういう判断をしておるのでありますが、これは一つ総理から伺わせていただきます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほどお答えしたように、国際均衡は大体バランスしておると思います。しこうして、われわれが多年にわたって念願しておった国内均衡、いわゆる所得格差の是正、農民、中小企業、自由職業その他非常な低い所得を上げていくのには、どうやったらいいかという問題が、われわれ数年来考えてきた問題であります。しこうしてそれには、私は、所得十年倍増ということが一番格差をなくするゆえんのものだ、こういうので行きついたわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたような国内均衡は、所得の倍増計画によりましてだんだんよくなりつつある、これは一つの実績でございます。私は、国内均衡をこういう方向でやっていきたい。そのときに今問題は、消費者物価でございます。消費者物価がどうして上がるかということは、やはりこれは国内均衡の問題が最もよく現われておる、いわゆる小売物価の上昇が卸売物価より上昇する、非常に高くなる、卸売物価は下がっておるにもかかわらず、小売物価は一割五、六分上がっておる。そしてサービス業が二割——二十数%上がっておる。それで今の二一%の上昇ということになっておるのであります。これは物価——消費者物価高という一つの悪い面がございますが、国内均衡というものには相当な働きをしておると思います。したがいまして、この国内均衡をはかる上におきまして相当物価を、できるだけ上がらないように、上がり方を少なくしていく、そして所得の格差をなくそう、これは私がもう数年前から考えておることであります。その度が少し過ぎましたが、この度は、九%というのが平均一五%になりました。これはわれわれの指導もよくなかったかもわかりませんが、日本国民のいわゆるポテンシャル・エナージーの表われだ、それをだんだんためていくというのが私の政策で、根本の所得倍増計画というものは、私は自分で成功と言っては笑われるかもわかりませんが、自分の予期したところを歩みつつある。ただ、消費者物価の点について自分の予期以上のことがあったから、これを押えていく、全体として私は国内の均衡、格差是正ということに進んでいっておると思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 長官、どうですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま羽生委員の仰せられましたことは、私は大筋でおっしゃるとおりであるというふうに考えます。ただ、私どもはそれを政策の転換とも考えませんし、何か根本的な変化であるとも考えていないわけでございます。三月であったと思いますが、御質問の際に、これからはやはり設備の更新というものは中小企業のほうに回っていくべきものであるし、また、そういうふうに政策の指導が行なわれるべきであると考えると申し上げましたのは、やはりこれがわが国の経済の二重構造の底辺でもありますし、また輸出を支える力でもあります。また、それらの部門に一番労賃の高騰がこたえておるものでもございますから、中小企業あるいは構造改善による農業またはサービス業、それらの部門に対して生産性の向上に資するような諸施策が、これからそちらのほうに回っていかなければならない時期に来たと、こう考える旨を申し上げたと思いますが、そういう問題の認識の仕方については、私は羽生委員の仰せられましたことは、概して私どもの考えておるところだと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 じゃ、私、所得倍増計画が物価面から非常に大きな問題を提起したことを申し上げましたが、逆に総理は大いに成功だ、従来の政策を変える意思はない、こういうお考えでありますが、これはいかがかと思います。そこで、もう少し具体的に述べてみたいと思います。これは私のほうの見解を少し申し上げてみたいと思います。  第一点は、まず先ほど来何回も申し上げるように、高度成長の性格、内容が再検討されるべきではないか。  第二に、それとの関係で、中小零細企業、サービス部門等の生産性を高めるための重点的な配慮が必要ではないか。  第三には、これは先ほど卸売物価は下がったと言われましたが、生産性の商いビッグ・ビジネスの各種の価格を引き下げるように今後とも一そう努力すべきではないか。  第四に、土地価格の高騰を押えること。  第五に、流通機構を改革すること。  第六に、公共料金の値上げをさらに抑制すること。  なお、先日どっかで、衆議院ですか、これに大蔵大臣が答弁されておったように、都市への人口の過度の集中、それに見合う交通、運輸、その他流通機構等の対策が伴っておらなかったというような問題もあるだろうと思います。  それから第八に、値上げの激しい生鮮食料品等については、価格保証を中心に計画をさらに一段と高度化する。ただこの場合、農民は、野菜や畜産物等について無制限の値上げを求めているわけではないのであります。よいと思って作ればすぐ価格が暴落して変動の差が激しいので、安心をして作れない。だから、適当な価格で保証措置をとればよろしい。安定帯価格を想定して、それが破れたような場合の保証措置であります。それからこのことは、今農村から激しい勢いで他産業に流出をしておる人口、これが先ほど二の場合に触れた中小企業の近代化、合理化によって労働人口の再配分が可能となる。それで今日の農業の停滞性が打破される。そうしてこれらの諸問題をこれはある程度政府でもやっております。程度の差はあってもやっておりますが、これを徹底的に推進をする、このことが必要じゃないでしょうか。それをおざなりといってははなはだ失礼かもしれませんが、適当におやりになって、先ほど総理が弁解をされておりましたけれども、やはり依然として大企業中心のいわゆる国際競争力の強化というこの一点にほとんど日本の数年来の経済政策の根幹が仕組まれてきておる。ウエートはことごとにそこに置かれておる。ほかのものもそれとの関連で若干の配慮をしておるだけで、根本的な性格は、国際競争力の強化、大企業の育成、この一点に集中されておった。したがって、そういう点に今日、問題の物価値上げを招来した根本的な原因があるのだから、その意味で私は、もう単なる抽象的な政府の責任追及だけをやっておるわけじゃありません。今具体的に幾つかの例をあげたわけであります。そういう問題を総合的に、計画的に、徹底的におやりにならぬ限り、この問題は解決しないと思います。総理はもっとこれを推進される意思はありませんか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今羽生さんのおあげになりました八項目全部私はそのとおりだと思います。そうして問題の農業基本法あるいは中小企業基本法等々、また、野菜に至るまで安定帯とは申しませんが、過去三年間の平均で価格補償、出荷奨励、いろいろなおあげになった点は全部やっている、今後も十分これをやっていきたい。ただ一番問題は、今土地価格の問題だけは、なかなかこれはいい知恵がありませんが、これもできるだけやっていこうとしておるのであります。  それから底辺の問題、すなわち中小企業、農業等におきましても、最近の中小企業問題なんかはよほど進んで参りました。たとえば大銀行の預金のふえ方の割合よりも、相互銀行、信用金庫のほうが非常にふえている。こういう点も底辺の側が相当潤っていることを意味し、そうして今後の中小企業の設備拡充と合理化、近代化がどんどん進んでいくかと思いますが、政府といたしましても、中小企業基本法等によりまして今後ともその点を十分やっていきたい。そうして私は、また消費者物価の問題で、今羽生さんの言われた点にもう一つつけ加えたいことは、これからの租税政策であります。関税の一括引き上げとか、あるいは消費税の問題等々をかみ合わせていきたいと考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、物価の値上がりと関連してもう一つ問題がありますが、これはいつも総理のおきらいになる問題でありますが、貨幣価値の問題であります。金融界でも物価の値上がりは自由化よりも重大で、それは貯蓄や生命保険業界に及ぼす影響ということであります。ところが、私どもに言わせると、実にそのものずばりで資本家的、経営者的感覚でものを言っておる。国民の立場から言えば、これから貯蓄が減るかどうか、あるいは保険の業績が悪くなるかどうかという前に、現に預金しあるいは保険を契約しておる被保険者はどうなるか。この三年間で二〇%程度の貨幣価格が物価の値上がりで失ったことになる。労賃の場合でも、三十八年度の一般会計では、税収見積もりを一人当たり給与額の六%増を基礎として税収を計算しておる。しかし、このままでいけば、前年度の六・九%程度になるかどうか。とにかく六%前後の物価格上がりになる。そうすると、三十八年度の平均六%増の給与は物価値上がりで失うことになる。年金者も同様であります。なぜ私が特にこれを申し上げるかというと、長官は先日の記者会見ですか、今後数年この物価騰貴の趨勢が続くと言っておられる。ですから私は、実はこの問題は、衆議院でも質問があり、総理の答弁があったからここで私は同じことを繰り返すのもいかがと思って避けようとした。ところが、その後、宮澤長官の発言を新聞で見ますと、今後数年は続くとあります。それなら貨幣価値の変更、こういう問題があります。そういう意味で、もしこのまま数年続くならば、この物価と貨幣価値の調整のために何らかの処置が必要になるのじゃないか。また、賃金で言えば、きょうは時間がないので安定賃金制には深く触れることはいたしませんが、当面ここで問題になっておる安定賃金制よりも、賃金スライド制のほうが必要になるのじゃないか。総理は衆議院の段階で、経済の成長度合いが高くなれば二年や三年物価騰貴があることはやむを得ないと言っておられますが、しかし、今後これが趨勢的に、数年継続的に今の上昇率が、程度の差は若干あっても続くとすれば、貨幣価値というものは非常に重要な問題になってくる。何らの処置がなくてもいいのか。まずこの点をひとつ承らしていただきます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 物価と貯蓄の問題でございますが、お話のとおり、衆議院の予算委員会でも聞かれましたが、私は、何も貯蓄と物価が全然無関係だとはもちろん申しません。相当な関係がございますが、今の貯蓄性向を見ますと、やはり各階層によって違いますが、やはり病気の問題とかあるいは老後の問題とか、子供の教育の問題とか等々が貯蓄増強の基本的問題になっております。で、今消費者物価が上がったから——小売物価とサービス物価はだいぶ違いますけれども、これによって今貯蓄が非常に衰えるとは考えておりません。しかし、それだからといって、消費者物価を上がりっぱなしにほうっておくというわけじゃございません。宮澤君の言ったのも、消費者物価の値上がり傾向は今後も続くだろう、下らぬというだけであって、五%も六%も続いて上がるということは企画庁長官も考えていないと思います。そこでわれわれといたしましては、貯蓄の奨励をすると同時に、消費者物価の上昇をできるだけ押さえていくという考え方で進んでいこうとしておるのであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで、長官がおっしゃったのは——これは長官にお伺いいたしますが、しかし、今総理が言った程度のようなことでそうたいして心配はないということですが、今までのような趨勢が、程度の差はあっても相当続くならば、これは物価の上昇と貨幣価値の問題で何らかの調整処置が必要になってくることは当然だと思う。どういう意味で言われたのか、もう一度伺わしていただきたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 私が申しましたのは、このまま放置すればそういう心配があるので、したがって、賃金にしても、名目賃金でなく実質賃金を考えるように、生産性との関連において賃金というものを考えていかなければならない。それをしかるべく行なうならば、われわれも西欧諸国程度の値上がりでこれをとどめていくことができるであろうし、その点を放置するならばそういう危険がある、こういうことを申したわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その今お話しになった生産性と賃金との関係ですが、これを対比する場合、生産性と賃金を対比する場合、いつも名目賃金で比較されておる。これは実質賃金で比較すべきではないでしょうか。私は若干のいろいろの人の研究結果をここに持っておりますが、時間の関係で省略いたします。たとえば三十六年です。生産性の上昇一二・一%に対して、賃金の上昇率は実質ではわずかに五・一%です。名目賃金の上昇が問題となったのは、逆に消費者物価の上昇が原因であります。私に判断させれば。かりにもし名目賃金とするときは、生産性が不変——変化がなくて、消費者物価上昇の場合、これは賃金のアップは認められないことになるでしょう。また、実質賃金維持のために名目賃金の引き上げがインフレ要因となるというこの非論理的な問題が提起される。これは政府は、名目と実質といずれをとられるのか、今後これは重要なことであります。しかもこの問題はいろいろな問題を提起しておりますが、時間の関係ですべて省略をして、ただその一点、名目か実質か、どちらを生産性と対比する場合におとりになるか、これを承ります。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 生産性は付加価値なりあるいは出席数量なりを雇用で除したものでありますから、それ自身は貨幣的な表現で行なわれておるわけであります。したがって、それと対比すべきものは当然貨幣的な表現であるところの名目賃金でなければならないと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは私は専門家でないからよくわかりませんが、今後十分この問題は研究したいと思います。私は意見を異にしております。  そこで、やはり安定賃金問題が、今、日経連を中心に出ておりますから、一言だけ触れておきたいと思います。  そこで、これは今日まで、先ほども触れましたように、大企業は財政金融面で非常な国家からの支援を受けてきました。特に最近では、これは大蔵大臣に関係があることですが、賃金コストを軽減するために引き続いて金利の引き下げが計画されておる。さらに近くは企業減税が行なわれようとしておる。しかもこの利潤の配分については何らの制約もない。実に至れり尽くせりの優遇であります。ところが、物価が上昇、消費舌物価が上がってきたら、その要因を労賃に理由づけるような傾向が非常に顕著になってきている。これは非常な誤りです。そこで私としては、今、日経連が提唱しておる安定賃金制度の問題はいろいろな議論があるでしょうが、政府としてはどう考えておるのか。こまかい内容的なことは要りません。当面の問題とされるのか、されないのか。これは単に労使間の問題だということでなしに、政府としては、まだその時期でない、時期尚早と考えられておられるのか。これは総理から承ります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 生産性と賃金の問題は各国でも大きい問題として検討されております。しかし、私といたしましては、その問題もさることながら、日本の労働条件、日本の置かれた、とにかく業種間の労働人口の移動、そうしてまた、年令別の問題、そして年功序列型という古い慣行等々、新しい頭でこれをひとつ考え直すべきじゃないか。もちろん生産性と賃金との関係もございますが、日本の置かれた特殊の労働問題を頭に入れながら全体の問題として検討を続けていかなければならない、こういう考えでおるのであります。したがいまして、党内におきましてそういう研究会を設け、政府もまた所得倍増、物価の問題等々あわせて企画庁で検討いたしておるのであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは時間がありませんので、重ねてこれに触れておるいとまがないので、次の機会に同僚議員等からお願いすることにして、次の問題に移ります。  この物価値上がりの一環として問題になるのは、ちょっとこまかな——こまかくはないかもしれませんが、国鉄定期旅客運賃の問題であります。これは同僚議員から、あとから詳細に触れると思いますが、問題は、この値上げは政府としてどう対処されるのか。これは影響は非常に甚大だと思います。おそらく国鉄諮問委員会の答申を待ってとおっしゃるに違いないのでありますが、国鉄諮問委員会でその必要性を答申された場合には、総理としてはどういう態度をおとりになるか、この機会に承っておきます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) この問題は、私は新聞で見ただけでございまして、運輸大臣は閣議にお諮りにならずに、自分の独断の考えで国鉄総裁にお話しになったようでございます。まだ閣議の問題としては出ておりません。御承知のとおり、定期の割引につきましてはいろいろ階級がございますが、法律に定められた五〇%−六〇%をこえて、ある種のものは九〇%もやっている。こういうことは、前から議論のあったところでございます。したがいまして、今後の国鉄の運営につきまして、定期割引料率は問題になると思います。私は、新聞で見ますと、この分は会社負担だからたいしたことはないというふうに出ておりましたが、ある閣僚に、公務員はそうではないじゃないか。したがって、それの及ぼす影響について調査をしてみろ、こういうことを私自身で言ったことがございますが、今定期割引をどうするかということにつきましては、まだ具体的な検討を政府としては始めておりません。運輸大臣のほうでお考えのようでございますが、閣議でもまだ問題になっておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは、閣議の問題になっているとか、運輸大臣から話がないとか、そういう問題じゃない。かりにそうなったらどうするかという非常に大きな問題だと思う。それを私は言っているのであります。先走り過ぎているかもしれませんが、先ほど来、公共料金の値上げ抑制については大いに熱意を示すという総理の答弁を、そのまま信ずるとすれば答えは明らかだと思いますが、もう一度いかがでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げたように、今調査中であります。いかなる影響を及ぼすか。個人、そうして会社に、そうして今度は公務員、こういうことを研究しなければ、今どうするというお答えはできません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それに関連して、先日衆議院のわが党議員の質問の段階で、総理は、近く物価問題懇談会を発足させる、こういうふうに言われておりましたが、その後、官房長官の談話か何かちょっと出ておって、これは宮澤長官の私的機関だ、こう出ておりますが、私はいかがかと思う。物価問題が今日これほど国民の重要な関心事となっている際に、単なる懇談会や私的機関では適当でないのではないか。しかも、国民生活向上対策審議会の部会では、消費者行政について相当重要な答申を準備していると聞いております。しかも西欧においては消費者省ですか、専任の大臣も置かれている、あるいは特別の機関がたくさんあります。諸外国みなそうである。消費者保護に対しては、非常な積極的な取り組みをやっている。したがって、物価問題について真に国民の各階層の声を反映させ、さらにそれを権威あるものとするためには、しかもそれが消費者行政に効果的に反映させるようにするためには、これを設置法に基づいて何らかの委員会、あるいはその他必要な法的措置を講ずる必要があると思う。単なる私的懇談会ではいかがかと思う。特に私は、こういう懇談会の設置を長官に指示された総理の、問題を一歩前進されたことには敬意を表します。また、その善意も信じます。しかし、それにもかかわらず、その直後の経済閣僚懇談会ですか、閣議だか閣僚懇談会では、生活が困るなら、マグロをやめてイワシかサンマを食えとか、あるいは五十円のラーメンを食べれば安くつくじゃないかという発言があったそうであります。しかしこれは、冗談にしても不謹慎であります。本気であったならばその感覚を疑う。そういう際でありますから、むしろ私は、この際、設置法に基づいて何らかの法的措置をとり、積極的にその意見が行政の上に反映するような機関を設置する必要があると思います。総理の御見解を承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 物価問題は重要な問題でございますので、一応主管庁の企画庁が主としてやっておりますので、企画庁長官にどういうふうに取り扱うかということを言っているのであります。閣議で、マグロが高いとか、五十円のラーメンというのは出たようでございますが、私はその問題は、消費者物価と生計費ということとのはき違いの議論だと思って、あえて気にはとめませんでした。これは消費者物価の問題ではありません。生計費の問題でございます。これは雑談でございますから、閣議が終わったあとの閣僚の雑談で、そういうように生計費が上がっているということの証拠で言われたと思います。これは直接消費者物価の問題ではないということは、これは当然のことでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 直接委員会で何か法的処置をするということはないのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今、機構の問題については、企画庁長官に検討させております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 時間がわずかしかありませんので、申し上げたいこと、半分くらいしか述べられないのでありますが、そこで大蔵大臣にちょっとお伺いしますが、今後とも金利を引き下げる意向を表明されたようでありますが、最近の景気回復過程における最近の経済情勢、あるいは国際収支の観点から、さらに引き続き金利を引き下げても影響がないという確信があるのかどうか、これを承ります。  そこで、ついでに一緒にお伺いしますが、この場合、大蔵省の三十八年度の経済見通し試算は政府改訂見通しを上回っている。単なる試算で、どうこう特別の意思はないと、こうおっしゃるかもしれませんが、上回る成長率を想定しているわけであります。そこで、この貿易、為替の自由化に対処して、企業間の国際競争力を強化する、そういう意味で低金利政策の推進が必要だと、こういうことだろうと思う。しかし、その結果、設備投資の関係から、再び調整を必要とするような事態が起こらないかどうか。そういう自信があるのかどうか。また、そういう情勢が起こった場合、物価値上がり抑制の要請と逆行するでしょう。そういうことは全然ないという確信をお持ちなのかどうか、これを承りたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 金融環境の安定化、政府はずっと続けておるのでありまして、御承知のとおり、昨年の十一月から公定歩合が四回にわたって引き下げられたわけであります。しかし、この公定歩合が引き下げられたことにつきましては、低金利という考え方よりも、金融環境整備によって、当然安定化の方向に進めるということは、当時の私の談話にも発表いたしておるとおりでございます。御承知の貿易、為替の自由化を前にして、国際金利とわが国の金利を見ますと、非常に割高でありますので、国際競争力をつけるためにも、また、あなたが先ほど言われたとおり、消費者物価抑制のためにも、中小企業やその他の金利負担が非常に大きいということを考えますと、金融環境の整備をはかりながら、国際金利にさや寄せをしていくという方針は、これは不変のものとして進めていかなければならないと考えます。しかし、一方的に、一方交通で低金利政策を推し進めているのではないのでありまして、環境の整備を待ちながら金融環境、金利水準の国際水準へのさや寄せをはかっております。でありますから、環境の整備の度合いを待ちつつ、引き続いて国際金利へのさや寄せの方向を進めて参りたいと考えます。  それから、金利を引き続いて引き下げていくというような、下がっていくというような方向を進めた場合、また景気過熱、設備投資が行き過ぎるというようなことはないかということでありますが、このようなことがあってはならないということで、先般来、大蔵省は大蔵省として、また通産省は通産行政の上から、農林省は農林省の立場から、国際収支の見通しというものに対しては、非常にテンポの早い、国際経済の状況でありますので、一ぺんきめたものは三カ月も五カ月も十カ月も、それを一筋に守って、それを目標としていくべきものではない。非常にテンポが早い。そのテンポに合わせながら、随時試算を立てながら、将来、誤りなき施策を行なわなければならないという方針で試算を行なっているわけであります。低金利政策、いわゆる国際金利にさや寄せということが、経済を過熱に導くということは絶対にあってはならないという考えで、行政を進めておるわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 時間がないので、あと一、二問ですが、項目的に言いますから簡単にお答え願います。  そこで、今の御答弁ですが、預金金利を引き下げることなしに、さらに金利引き下げを進める自信があるかどうか。もう一つは、政府は明年度企業減税を行なう予定であるが、その規模はどの程度か。また、企業減税だけで個人の所得税の減税はやらないのかどうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 金利引き下げの問題につきましては、先ほども申し上げたとおりでありますが、預金金利は大幅に貸出金利が引き下がっている場合、当然預金金利も相対的な問題として引き下げを行なわなければならなくなることは、当然の議論でありますが、現在まで四厘引き下げた状況においては、金融機関の合理化によって十分貸出金利を下げられるということで、現在の段階においては預金金利を引き下げておらないわけであります。  減税の問題は、貿易自由化に対処しまして、産業育成の立場で十分考えなければならない問題だと思っておりますが、御承知のとおり、内閣に設けられた税制調査会が今検討いたしておりますので、この答申を待って、しかるべく処置したいと考えております。所得税もまたそのとおりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう時間が終わりますので、最後に要約をして総理にお尋ねをいたしますが、そうすると、きょうの私の質問なり御答弁を通じて、総体的に言うというと、従来の成長政策は変える意思はないと、しかし、きめこまかくそれぞれの対策はとる、こういうことと、もう一つは、安定的成長ということを宮澤長官が言われましたが、従来私が申し上げましたように、高度成長に対して安定的成長ということが言われておる。そういう形でいくと、長官の言われたことは大きな変化ですけれども、それは単なる十何パーセントからまた極端に下がるという振幅の幅を縮めるという意味で安定的という意味なのか。そういうことについて、最終的にもう一度総理から、きょうの私の質問全体として、総理はどういうふうに受け取られたか、御見解を承ります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 高度成長という意味はいろいろ使われておるようでありますが、十年間所得倍増というのは、高度成長でございます。今の過去三年平均一五%というのは超高度成長で、私の期待してない、想像してなかった成長量。そういうことのないように努めます。したがいまして、いわゆる高度成長、所得十年倍増、七・二%前後の成長を続けていって、昭和三十五年には、私が打ち出しました所得倍増というのは、ほかの国に比べては非常な超高度成長かもしれませんが、日本として七%前後の成長は、私は安定した成長を続けていく。したがって、今までの超高度成長による消費者物価の上昇というのは、これはできるだけ押さえて、そうして実質賃金がだんだん上がっていく、国民所得が物価の上昇よりもうんと上がっていくという今までの政策を堅持する。その間におけるお話しのとおりの十項目ばかりございますああいう線を強力に進めていこう、これが私の政策でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう時間がありませんので、これで終わります。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 羽生委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次は稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 私は、今度の東京都の知事選挙その他の選挙違反等を中心として、これは主として総理その他の大臣にお尋ねをしたいと思います。  今回の地方選挙、特に東京都の知事選挙等においては、にせ証紙の使用、はがきの買い占め、組織的な演説妨害、あるいは大臣の秘書官まで逮捕されると、こういうようなことで、過去の選挙にも類のない大胆な悪質なものであった。これらは自民党が関係していると言われ、また、買収、供応は圧倒的に自民党に多いというようなことが言われておるわけであります。  私は、文藝春秋をきのう買ったんでありまするが、その七月号に、あなたの党の代議士であります福家俊一という人が、「自民党の黒い血」という随筆を書いておるわけであります。これは、この問題に関連をして言っております。ちょっと読んでみますると、「しかし、問題は、犯罪者の刑罰の軽重ではなく、斯くのごとき刑法上の犯罪まで犯して選挙運動の実際指揮を行った者が、党の名において党本部の建物の中で、党の選挙対策を担当した党本部の全国組織委員会の主任であり、また青年部員であった事実に対し、党は、対社会的に、如何なる政治的責任を負うかという点にかかる。」と、こう言っておりまして、最後のところで、「今度の事件の法的処置は第二として、第一に、党が、その政治的、社会的責任を明らかにすることだ。党の体臭を拭い去ることだ。悪血を洗い去ることだ。汚れた自分の体に、自分自身でメスを入れることだ。それが反省というものだ。」こう書きまして、最後のところに、「先ず、反省を強く深く行う政治的良心が存在しているかどうかが先決問題である。私は自由民主党に所属するものの一人として、深く反省し襟を正して国民の前に詑びる。」、これが自民党の代議士の雑誌に書いた随筆であります。あなたの党の代議士がこうやって書かれておる。総理は、ここにも書いてありますように、「深く反省し襟を正して国民の前に詑びる。」という、この考え方をあなたはとられるかどうか。あなたの御見解をまず最初にお聞きをしておきたいのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 新聞で見まして、わが党の専務員がああいう犯罪を犯したことにつきましては、総裁としてもうほんとうにわびておるのであります。ただ、具体的にどういう方法をとりますということにつきましては、検察当局の判断がきまってから措置をとりますが、それまでにおきましても、自分としては総裁として非常に反省し、国民に対してわびております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今までのあなたの本会議、予算委員会等における答弁を聞いておりますと、自民党の総裁として国民にわびるという形のものが出てこなかった。きょう初めて出てきた。今まではまるで——大いに反省し、今後こういうことのないようにしなければならないということは当然であるとは言っておりまするが、すべての候補者、国民が反省すべきであるというような言葉に問題をすりかえて言っておるように聞こえるわけであります。  そこで、これもまたあなたの党の問題でありまするが、たとえば千葉三郎氏であるとか、木村篤太郎氏であるとか、そういう人たちの素心会というグループがある。その素心会というグループが二、三日前に決議かなんかをされた中に、この悪質な買収、供応等の選挙違反は、八〇%以上は自由民主党にあるんだということを言われておるように拝見をしたわけであります。私は、八〇%以上という数字は少し低いと思う。もっと多いものがあなたの党にあると考えるわけです。これは、ここでその統計的な数字を出してこいという、きてほしいということを言うのはいささか失礼に当たりますから、それは私遠慮いたしますけれども、いずれにいたしましても、あなたの党の人自身が、こういうふうにあなたの党に悪質な選挙違反が非常に多いということを言っておられる。そこで私は総裁としてのあなたにお尋ねをするのでありまするが、一体なぜ自由民主党にはこういう悪質な選挙違反が多いのでしょうか。この点あなたは総裁としてどうお考えなんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 御承知のとおり、ポスター、にせ証紙の問題、あるいははがきの問題等は、昨年の参議院の選挙から始まったんであります。今までこういう例はなかったのでございます。まあ犯罪数の多いのは、やはり候補者数も相当多いのでございます。これによって逃げるわけではございません。ただ、統計的には候補者がたくさんあればなんでしょうが、やはり自民党の職員並びにその関係者あるいは候補者等が法の違反についての非常に強い、何といいますか、認識が足りない点があるのじゃないか。したがいまして、党の近代化等の名のもとに今後そういうあやまちを犯さないように努力を今続けておるところであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 総理はよく党の近代化ということを言われるわけです。これはまああなたの党の近代化について私は干渉するわけでは決してございませんけれども、しかし、少なくともあなたの党が今政権を取っている以上、あなたの党の近代化というのは一体何なのか。それは国民が知りたいところだと、こう思うわけです。総裁として、一体近代化というのは具体的にどういう内容で、どういうふうにしようとお考えになっておるのでありましょうか、国民の前に明らかにしていただきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 党の組織の問題、資金の問題、また犯罪を犯しました党職員の規律の問題等々、何と申しますか、昔からの古い惰性になじまない、ほんとうにすっきりした党にしようというので今検討を加えておるのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 東京都の知事選挙、こんな場合に非常に大がかりな悪質な違反が起きたわけであります。これは一体なぜ起きたんでしょうか。総裁はどうお考えでしょうか。大野伴睦という人がおられます。これはどういう人か私よく知りませんが、二月十五日の週間朝日、特に東知事の選挙対策の問題に関連をして、目的のためには手段を選ばぬという談話を発表しておられるようであります。目的のために手段を選ばぬという談話をあなたどういうように理解されておるでしょうか。こういうように頭から法を無視した態度がこのように大きな違反を生む温床を作り出したと、こういうふうに私は考えざるを得ないと思うのですけれども、総理の御見解はいかがでしょう。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 目的のために手段を選ばぬということは、やはり法治国家でございますから、法の範囲内におきましての問題だと私は考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 目的のために手段を選ばぬということが、法治国だから法の範囲内でやるべきことを言っておるということなら、これはそういうときにこの日本語は使うのじゃないでしょう。どんな違法行為でも何でもやってかまわぬというときにこの言葉は通常使われておるのじゃないですか。法治国だから法律の範囲内でやる場合だというなら、こんな言葉を使わないはずですよ。これは国語の先生方、きょうここにいるかどうかわかりませんが、国語の問題だって私はおそらくそうだと思う。これは総理としてはここで、あなた、いかに何でも、それは目的のためには手段を選ばぬというのは、どんな違法行為をやってもまあつかまらなければいいんだと、そういうような意味を含んでいるのですとは答弁できない。それは気持はわかりますけれどもね、気持はわかるのですけれども、普通この言葉はそういう意味に使わないのじゃないですが、通常の場合は。どうですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私の頭の中では、通常の場合にはやはり法律の範囲内においてそののりを越えてはいかぬということは、もう当然のことだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まあ今のその問題、ここで論議しても、これはいずれいろんな形の中で明らかになってくることだと私は思うのですが、そこでひとつお尋ねをしたいのは、松崎長作という人がおるわけです。これは総理に一応お尋ねしますが、この人は自民党の中でどういう資格を取っておった人なんでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 不敏にして私は存じませんが、選挙に関係した人だと思います。私は、総裁になりまして三年近くなりますが、一度顔を見たことがあるだけで、あまり話したことはございませんで、どういう地位か、後ほど調べてお答えするようにいたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃ、これは法務大臣。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。  松崎長作は、自民民主党本部事務局全国組織委員会事務主任の立場にあった者であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この組織委員会事務主任というのは、どういう仕事をする人なんですか。それが選挙と一体どういう関係があるのですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 党の正式な機関でありまして、党の組織を担当する委員会の事務局の主任であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは松崎氏が起訴されましたときにおいても、なお事務主任をやっておられたのですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) さようであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 しかし、松崎氏に対しては、すでに事務主任はやめたんだというふうなことを言っているのじゃないでしょうか、小川半次という人は。これは、そういう点は御存じありませんか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) そのようなことは聞いておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この人が東京都の知事選挙に関係するようになったのは、これはだれの命令でこうなったのでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) だれの命令を受けたわけでもなく、自発的にやったように聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それはちょっと常識的に話が違いますね。だって、組織委員会というのは、全国の組織を整備するかなんかの責任ある地位にある人でしょう。それが重要な東京都の知事選挙にどういう形か入っていたというのは、自発的にやるというのはこれは話がおかしい。だれかが命令をしていなきゃならぬわけです。しかも、この人は、今までの立場で、聞くところによりますると、ある方面との非常に接触の深い人だということがいわれているんじゃないですか。だれがこの人を東の選対のほうにどういう形かで送り込んだのか、これはおわかりになりませんか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 地方の統一選挙でございますから、党をあげて私は応援に携わったと思います。だれが大阪、だれが東京、だれが福岡ということは、幹事長のところで、あるいは選挙対策委員会の者できめたかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 個別的にこの人を東の選挙に従事させたということが、だれがやったかは別として、しかしそれは、従事させたということについては、総裁であるあなたにいわば包括的な一つの責任があると思う。その人が事件を起こせば、だれが個人的に任命したかは別として、結局は総裁がそういうふうなことに従事させたんだと、究極的にはそういうふうに解釈してよろしいでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 総裁でございまするから、それが委任を受けて、幹事長なりあるいは選挙対策委員が任命いたしましても、総裁がそれに対しての責任を負う。しかし、悪いことをしろというふうなことにつきましては、委任も何もいたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 おとといですか、川島管理庁長官の秘書官をやっておられた根本米太郎という方が、秘書官を七日の日に依願免でやめられたようでございます。これはどういうふうな理由でやめられたのでしょうか。大臣の秘書官がおやめになるのですから、総理のところにもこれはお話があったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) あとから、辞表が出たということは聞きました。詳しくは存じません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それでは、これは川島さんの秘書官ですから川島さんに、この人が秘書官をやめた理由なり、日時なり、そういうようなことをお聞きしたいと思います。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 根本秘書官が、選挙に関係があって疑惑があると新聞にも出ましたので、非常に迷惑をかけて申しわけないからひとつやめたい、こういう申し出が七日の日にありましたので、即日免官にしたのであります。これは官房長官と相談しました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この根本氏がやめたのは、ちょっとはっきりしないのですが、選挙で迷惑がかかるおそれがあるというのですか。迷惑をかけたからというのですか。あした検察庁に呼ばれているから、場合によってはどうなるかわからぬから、御迷惑をかけてはいけないからやめたい、こういうようなお話でございましょうか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 先般、読売新聞に根本に関する記事が出ましたし、また衆議院でも予算委員会で質問がありました。御迷惑をかけているからやめたい、こういうことであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それでは、根本氏が五月何日かに検察庁の調べを受けたことがあるようです。家宅捜索を受けたとか出ておりますが、このことについて衆議院の予算委員会では、川島さんが本人から何か報告を受けたのだというお話でございましたね。それは具体的にどんなことなのでしょうか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 根本君から受けました報告は、検察庁で調べられたその当時の調べが、金銭には全然関係ありませんと、こういう報告を受けました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 家宅捜索の点についてはどうでしたか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 家宅捜索を受けたように言っておりました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは法務大臣にお尋ねするのですが、私が法務省に対して、根本氏がいつ検察庁の取り調べを受けたか、家宅捜索を受けたか、その事実を確かめようと思って、あなたのところに連絡をしたわけです。そうしたら、八日が逮捕の日でしたか、八日の朝、これは極秘であるからお答えするわけにはいかない。それで私は、そのことを予算委員会で質問すると言ったけれども、質問をされてもお答えするわけにはいきませんといって、あなたは断わられたわけです。これはどういうわけでしょうか。家宅捜索を受けたこと、あるいは取り調べを受けたこと、その日時はおわかりになりませんか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 根本君か家宅捜索を受けたことも、また取り調べを受けたことも、それは事実でありますが、非常に徹底的な追及をいたしておりまして、本人も今身柄を拘束して捜査中であります。厳正公平な態度でやっておりますから、それらのことについては、いましばらくの御猶予を願いたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これから根本氏がどういうことで逮捕されたとかなんとかいうことを聞くのではないので、その前の段階、まだ逮捕されない前に調べられたことがあるか、家宅捜索を受けたかどうかということを私は確かめたのです。そうしたら、それは極秘だから話しできないというわけです。そうすると、八日の午後二時かに逮捕されたということも極秘なので、これはここでも説明できない、こういうことになりますか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 新聞等によりまして、すでに一般常識的にはあなたは知っておられると思うのでありますが、公式に法務省なり私のほうの東京地検なりが公表したことはないのでありますが、できるだけ、こういう重要な捜査でありますから、捜査をば順調に進めていく上にも必要と思いまして、公開を禁止いたしまして捜査をしておるところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは警察当局にお尋ねするわけですが、篠田さん、あなたでなくても警察庁でもどっちでもいいですが、四月に三沢のところを押収捜索したことがありますね。そのときに肥後関係のいろいろな文書、メモ類を押収したことがあると思うのです。それを一部肥後本人に返しておるわけですが、その間の経緯をひとつ御説明願いたいと思います。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 御質問の要旨がよくわかりませんから、もう一ぺん……。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) お答えいたします。  四月十七日と記憶いたしますが、公印偽造の疑いをもちまして三沢のところを捜索いたしました。その際、相当押収をして参ったのであります。その日肥後より、自分のこの事件に無関係のものがあるからという申し入れを受けまして、翌十八日に一部の書類を仮還付いたしたのであります。その際は、われわれのほうにおきましては、あくまでも公印偽造の疑いをもって捜査し、それ以外の事件というものはその当時われわれ承知いたしておりません。その後肥後のはがきの横流し事件というものが出て参りまして、肥後を逮捕いたしましたのは、五月四日逮捕いたしました。その後そういうふうな状況というものが捜査の過程において出てきたのでありまして、還付いたしました状況においてはやむを得なかったかと考えるのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 やむを得なかったかやむを得たかは、これはあとの問題でお聞きするのですが、三沢氏の公印偽造かで家宅捜索をしたときに、肥後の配下みたいな中山、高田、この二人の選挙事務所が三沢の印刷所の中にあったわけでしょう。どういうことからこの二人の選挙事務所が三沢のところにあったのか。同じところにあったわけですね。そこで押収捜索をした、こういうことになるわけでしょう。メモ類として押収捜索したのは全部で三十二袋、そのうち返したのは二袋ですね。二袋だけ肥後亨に仮還付しているわけです。仮還付する前に、一体何を、この肥後亨に返した二袋のメモ類というのは一体何なのか、それが問題だと思うのですが、返すに至った経過を、一体だれが返したのか、だれに相談をして返したのか。これは前の日に肥後亨が築地署に夜出頭しているわけです。出頭して、自分のものだから返してくれと言ったのだけれども、上司と相談して検討しなければ返せないというので、あくる日に返したわけです。警視庁が押収捜索をやったんだから、当然築地署だけでなくて警視庁の幹部と相談して返したに違いないと思うわけです。二袋の具体的内容というのは一体何なのですか。それの内容をよく検討して返したのか。これが今大きな問題となっている肥後メモじゃないですか。この間のことを明らかにしていただきたい、こういうことなのです。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) 先ほども申しましたように、捜索をいたしました当時に、われわれ捜索令状の内容並びにわれわれのほうで持っておりました疑いは、これはあくまでも公印偽造であります。捜索の個所におきましては、御承知のように、ある程度その疑いのあるという判断をもちましてわれわれのほうで押収いたしたのであります。その後直ちに肥後のほうから、その事件並びにその所有物は自分に関係がないという申し出があった。したがって、警視庁におきましては、もちろん、担当官ではなくて内部で相談——これは築地署でございますが、内部で相談いたしまして、当面われわれは公印偽造の観点以外に疑う余地がございませんでしたから、その観点から二袋のものを仮還付いたした、こういう経過でございます。その後、肥後及び関係者の捜査が進むにつれまして、結果的に郵便はがきの横流しという問題が出てきて、初めて肥後を五月四日に逮捕いたしたのでございます。事件の経過はそういうふうになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 私の聞くのは、築地署だけで相談をして返したのか、警視庁とでも相談して返したというなら、警視庁は一体だれと相談して返したのか、内容をどういうふうに検討したのか。返したのはただメモ類だけではなくて、その内容がはっきりしていなければならなかったわけです。伝えられるところによれば、これに金銭の収支を書いた内容のものがあったということが伝えられているじゃないですか。これはあとで聞きますけれども、そのために、伝えられるところによれば、あるところの家宅捜索が行なわれたと、こういうじゃないですか。何なんです。この返したものは。だれが責任を持って返したのですか。そこをはっきりさしていただきたいと思います。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) これは築地署におきまして内部で検討をした結果、直ちに——重ねて申しますが、公印偽造以外の容疑をわれわれ当時署としては持っておりませんでしたから、公印偽造の見地から検討いたしまして返したのであります。内部におきまして、築地署としては正当な措置をとって仮還付をいたしたのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃ、聞きたくないので遠慮したのですが、この押収捜索が警視庁としては違法だったというのですか、どうなんですか、その点は。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) 三沢の宅を押収いたしまして、その押収いたします経過におきまして、一応必要ありはしないかと、その押収の現場というものにつきましては短時間にいたすべきものでございますから、そういう判断のもとにおいて持って参りましたけれども、なお肥後亨からそれは関係がないという申し出がありましたので、検討を加えて返したということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 検討を加えてというのはいいですが、違法であるか違法でないかということは、あなたも答えにくいでしょうから、私はそれ以上聞きませんが、公印偽造で押収捜索なさったところで、それに付随的に、あなたのほうで証拠物件になるから、幾らでも新しい犯罪が出てくる可能性があるじゃないですか。その検討をするというのは当然の仕事じゃないですか。それを検討しないで返してしまった。何を返したのか、わかっておりますか。ただメモ類だけで二袋。何を返したかわかっておりますか。そういうところに今本件の捜査が、行き詰まっているといっては語弊がありますけれども、発展がおくれているといえばそこに原因がある。何を返したんですか。具体的に内容はわからないのですか。わからなければわからないでもいいですよ。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) その当時は事件の全貌が詳しくわかっておりませんので、経過的にわかってきたことであって、その当時といたしましては、公印偽造に関係のない書類であるということの判断においてのものとして返したのでありまして、詳細には私のほうにコピーをとるわけにも法律上、押収捜索令状に入っていないものでございますから、一応そういう令状に、記載事実に関係がないということにおいて返したのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ここでそれを押し問答をするのも私もあまりあれじゃありませんから、しませんけれども、おかしいですよ。それは仮還付でしょう。仮還付というのは、必要なときには何どきにても提出しますという条件のもとに返すのですよ。だから、もう一ぺんあとで警察なり検察当局が必要だから出せということが言えるわけです。言ったときに、何を返したのかわからなければ、何を持ってきたのかさっぱりわからないじゃないですか。そんな仮還付というものはありませんよ。基本に警察のやり方が間違っているのですよ。おかしい問題が起きてきますよ。  それでは、法務大臣にお尋ねしますが、いいですか、このメモを仮還付だから出してくれと、こういう要求を東京地検は捜査の過程でしたと思うのですがね。ところが、そのメモはある人に預けたといって、なかったと、こういう経過があるのじゃないですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。  御指摘のようなそういう申し入れをしたことがあるそうでありますが、そういうことを含めまして、捜査中でありますから、御答弁をお許しさせていただきます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、根本前秘書官、これを家宅捜索されたわけですが、これは認められましたね。それは伝えるところによると、証拠隠滅の容疑で家宅捜索をされたと紙上伝えられているわけです。それはこのメモと関係があるのじゃないですか。肥後亨はこのメモをだれかに預けたということを言ったわけですが、あなたの東京地検ではメモを返してくれということを言った。肥後はだれかに預けたということを言った。そこで、証拠隠滅という問題が起きてきて、これは私も聞きたくないのですけれども、家宅捜索が行なわれたのじゃないですか。その間の事実関係、どうです。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。  根本君を家宅捜索いたしましたのは、先ほど警察庁刑事局長からもお答えがあったと思いますが、いろいろほかの事犯について調査中に派生的にその問題が出て参りまして、そういうことに対しまして家宅捜索する必要があるからということで家宅捜索をやったようであります。まあ具体的な問題につきましては、どうかひとつ御遠慮いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは法務大臣、そう頭を下げられると、僕も何かほこ先が鈍ってしまうようでやりづらいのですが、結局あなたの認められた範囲で、こういうことは認めましたね。肥後に仮還付したと。東京地検では、そのメモ類が必要になってきたので、返してくれと言うと、肥後はメモはだれかに預けたと言った。その問題で根本氏は証拠隠滅ということで家宅捜索をされたと。ここまでの事実はもう明らかになったのじゃないですか、どうですか。それ以上は聞きませんよ。そこまでは明らかになったのじゃないですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) まだ実はそういう詳細については私は報告を受けておりませんので、今お答えができません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まああなたの今までの答弁から、私なり聞いておられる方は大体もう判断ができたのじゃないかと、こう思いますので、今度その問題に関連をしてですが、六月八日の毎日新聞に、根本川島長官前秘書官を逮捕という記事が出ておる。その中で、川島長官の話というのが載っているわけです。「選挙関係の仕事は根本にまかせている。秘書官としてこれまでのつきあい上の義理から金を出したものと思う。いずれにしても、私には事前に報告はなかったし、検察の手をかりるような事件を起こしたのは遺憾である。」、これあなたの談話として載っているわけです。この談話はあなたの真意をお伝えになっているでしょうか。これはたいへん失礼なことを聞くのですけれども、私が聞きたいのは、ここにありまする「秘書官としてこれまでのつきあい上の義理から金を出したものと思う。」ということですね。あなたの秘書官と肥後亨という人とはつき合いの義理上から。逮捕事実としては百万円と書いてありますが、百万円ぐらいの金を選挙の違反のために出すようなそういうおつき合いをしておられたのでしょうか。それはあなたはどうなんでしょうか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 私はこの問題につきまして、新聞記者会見で意見を言ったことはございません。ただ、私の郷里では、千葉県の選挙に関しましては、幾人かの秘書がおりまして、それに全部まかせてある。私としては、千葉県選挙には全然関係いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 あなたが千葉県の選挙に関係したかしないか、これはまあ関係という言葉の範囲にもよると思うのですが、これは私聞いているのじゃないのですよ。ここに書いてある談話は、だから、私はあなたの真意から出たものであろうかということを最初にお尋ねしたのです。何ですか、これはこんなことを毎日新聞の記者に話をしたことはないというのですか。毎日新聞が勝手に書いたと言われるのでしょうか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 毎日新聞が勝手に書いたか書かないかは別問題でありまして、私は今回の事件につきまして、自分の意見らしいことを新聞記者に言っておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは今のあなたのお話からすると、新聞社としてももう黙っていられないと思うのですが、大きな問題ですね。これによると、「秘書官としてこれまでのつきあい上の義理から金を出したものと思う。」とはっきり書いてある。  それじゃ、この談話は別として、あなたの秘書官の根本氏と肥後亨とは一体どういう関係があったのですか。あなたと肥後亨との関係は、これはまたあとでお聞きしましょう。秘書官と肥後亨との関係はどうだったのですか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 私のところには肥後君以外にいろいろ政治・団体の人が出入りしておりまして、秘書官でありますから、それでいろいろ話し合ったりしておりますけれども、その関係の程度は私はよくわかりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 あなたがまあその根本氏と肥後との関係をしゃべりたがらないのは、これはよく私もわかるわけです。立場はわかります。しかし、ちょっとそれでは私どもは納得いかないわけです。  それじゃ、たいへん失礼なことをお聞きするわけですけれども、あなたと肥後亨との関係ですね、これはいろいろ疑惑を持っている人も多いわけです。むしろ、あなたのためにもその疑惑を晴らすという形でお答え願ったほうが私はいいと思うのですが、肥後亨とあなたとのいろいろな最初の結びつきから、どうか率直にお話し願いたいと思うのです。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 私は三年間幹事長をやっておりました。幹事長時代からして、ああいう団体の諸君は始終私のところに出入りしておりました。多数出入りしております。肥後君はその一員であります。特に肥後君が深い関係があるということはありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、千葉工業大学というのがございますね。あなたが今でも理事長をやっておられるのでしょうが、肥後亨がそこの理事をやっておったそうですね。これは事実ですか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 数年前に千葉工業大学の理事の間に紛糾がありまして、その際肥後君が中に入っていろいろやっておったようであります。大学が困りまして、私のところに、ぜひ千葉工業大学立て直しのために理事長を引き受けてもらいたいという話がございました。私は再三断わったんでありますが、教授陣、校友会、生徒代表などが来まして、いろいろ懇願されましたので、選挙区のことでもありますので、理事長を引き受けました。私が引き受けて、肥後君を罷免いたしました。そういう関係です。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 肥後を罷免さしたということ、これは衆議院でもあなたお話しておられました。それはそのとおりだと思うんですが、あなたに失礼ですけれども、理事長になってほしいといって来られた中に肥後亨もいたんだと、こう言う人もおるわけですがね。そこはどうなんでしょうか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 初めに私に千葉工業大学理事長を依頼してきましたのは、千葉県選出の元代議士佐久間徹、これまた千葉工業大学の理事でございました佐久間徹君から頼まれました。引き続いて、今お話ししたように、学校関係者多数来られまして頼まれました。当時の文部次官からも頼まれた。現在の理科教育の事情を考えて、引き受けたんでございまして、肥後君に関係ありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それでは、やめさせたのはどういう理由ですかね。これはここで特に問題にすることじゃありませんから、やめさしたことはいいです。何かあってやめさしたんでしょう。やめさすときに、肥後から何か、あなたが理事長やっておられた、条件が出てきたんじゃないですか。ただやめさすわけにいかない。やめるからどうこうしてくれというような、何か条件が出てきたんじゃないでしょうか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 肥後君のみならず、当時の理事幾人かをやめさせました。肥後君はその一員でありました。何も条件はありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ただ、やめるのについて、さあっとやめていくわけがない。そこで、何か今までやっていたんだから退職金をくれとかなんとかいう話が出たんじゃないですか。そういうようなことも巷間伝えられているわけですね。それをあなたが断わられた。断わられたのはいいですよ。肥後亨のやっていた信用金庫かなにかに、どっかのお金を預けるような形が出てきた、こういうようなことも巷間伝えられているわけですが、その間の関係はどうなんでしょうか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 肥後亨がやっている金庫に千葉工業大学が預金したかどうか、私は全然知りません。私は、会計のほうは全然見ておりません。経理部長は知りません。おそらくないんだろうと思うんです。肥後君が理事をやめるときは、全然条件はありません。けれども、その後数カ月たちまして、理事会の席で幾らか肥後君に渡しております。これは当時検察庁でも問題になった事件でありまして、千葉の検察庁の了解も得て渡しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 肥後亨の事務所がその後、これはグランド・ホテルに移った。これは、今度の肥後亨が松崎から金をもらったのはグランド・ホテル、今度の根本氏との関係の金銭の授受もグランド・ホテルと書いてありますね、逮捕状などには。失礼ですけれども、あなたの事務所もグランド・ホテルにあられる。あなたの事務所の部屋のすぐそばに肥後亨の事務所があとから入ってこられた。そういうようなことが一体あるんですか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 私は十年ほど前からグランド・ホテルに事務所を持っております。肥後君の事務所は三階じゃありません。幾階か知りませんけれども、上のほうにあるようです。それが肥後君の事務所であるのか、ときどき泊まる部屋なのか、そういうことも全然知っておりません。私の隣にそんなもの全然ありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そこで、今の問題は今後の取り調べですね、どういうふうに進むかということになってくるんですが、法務大臣は衆議院の本会議の中で、さらに検察庁を督励いたしまして厳正公平な立場からやりたいということを言っておられるわけですね。さらに検察庁を督励するというあなたの具体的な方法というのは、どういうことなんでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいた  します。  衆議院の本会議でお答えをいたしました当時、捜査部の中で検事並びに検察事務官が少し人手が足りないというようなことを聞いておりましたので、その後検事もふやし、事務官もふやしたわけなんですが、つまり人員並びに経費等を十分措置することによって捜査が円滑に進めるような、そういうことを意味してお答えを申し上げたのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だいぶこれは疲労から病人も出ておる、地検では。そういうことも伝えられるわけです。ですから、さらに陣容も第一線のいい検事を引っぱってきてもらって、陣容を強化して徹底的にこの事件を糾明すると。これはいろいろの疑惑に包まれておる。それは疑惑に包まれておるから、かえって明らかにすることは、これは自民党のために、また政府のためであるかもしれませんから、そういうわけで、徹底的に陣容を強化して明らかにするという考えは、あなたおありですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) そのとおり考えて、そのとおりやっておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 いろいろ聞いて参りましたが、時間もなくなって参りますので、総理にちょっとお尋ねいたしたいのは、公職選挙法の改正の問題、これについて選挙制度審議会はありますけれども、総理としてはどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。その点明らかにさしていただきたいと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 選挙制度審議会で今各方面から検討を加えていただいております。しかし、こういう事件が起こりますと、また与野党の間で改正の必要があれば私は応じて、こういう違反の起こらないように措置することが適当じゃないかと思います。あくまでこういうことは国会でお打ち合わせ、検討をしていただいてけっこうだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは自治大臣はいかがでしょうか。この公職選挙法改正の委員会、五月二十九日の衆議院では、あなたは、選挙公営の趣旨を拡大するためにいろいろなこういうこともやりたい、こういうこともやりたいということを言われておりますね。どうなんでしょうか、その点は。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 御承知のとおり、選挙の啓蒙運動をずいぶんやりまして、公明選挙運動はずいぶん盛り上がりましたが、結果的に選挙そのものは違反者が前よりもよけい出ておる。そういうようなことからいろいろ考えまして、公明運動もやらなければならないけれども、しかし、同時にまた、どういうわけでそういう欠陥が出ておるのかというようないろいろな問題を検討して、それをできるだけなくするためには、選挙というものは大体候補者個人が立候補しておるわけでありますから、言論、文書、二つに分けてみて、言論のほうからは何も違反が出ておらない。立会演説で違反が出たとか、そういうようなこともない。ただ、立会演説の場合においてヤジが多かったというような問題が起きておる。したがって、選挙は文書とかポスターとか、そういう面から違反が、特に悪質なものが起こった。こういうものを、たとえばはがきの横流しというようなことも起こっておる。だから、これを公営にして合理的に直していけば、横流しをしたくても、はがきというものは公営をやれば横流しをするわけにいかない。ポスターのにせ証紙という問題も、ポスターを公営にして選挙管理委員会が刷ってはるということになれば、またはる場所も一定するということになれば、少なくもそういうところから起こる違反というものは減ってきて、違反の範囲というものは非常に限定されてくるんじゃないか、こういうふうに私は考える。そういうことからいいまして、何も個人がやらなくて済むようなものは、これはできるだけ費用の面からいっても、手間の面からいっても、違反の面からいっても、私は公営にすべきだ、こういうことを考えております。しかし、これは自治大臣一人の考え方でできるものではありませんから、もちろん選挙制度審議会並びに国会、あるいは国会の各派、各党というものの話し合いによって、もしそういうことが可能であるならば、私は、できるだけ早くそういうことをやりたい、こう考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今度は問題は別になるのですけれども、選挙の無効の問題を中心に聞きたいと思いますが、選挙が無効になる場合、当選無効の場合もありますが、具体的にどういう場合があるでしょうか。これは選挙局長でもいいです。どっちでもいいですよ。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) お答えします。選挙が無効になりますのは、一般的には、選挙管理委員会、あるいは選挙のその他の投票管理者、開票管理者等の選挙管理機関が、選挙の管理執行に関する規定の違反があったというようなこと、それから第二に、その結果として選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるということ、この二つの条件がある場合に選挙の無効というものが起こるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃもう一つ、当選無効ですけれども、法定費用を超過した場合には、これは当選無効になることはわかり切っていますね。お聞きしたいのは、今度の選挙は、東京都知事の場合、七百万円が法定費用ですが、東さんのほうの届出の収支は一体幾らになっておるでしょうか。収入は幾らで、支出は幾らになっていますか。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 東京都の選挙管理委員会に東候補から届け出られたところによりますと、収入支出とも五百四十三万五千四百四十三円、こういうことになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 収入は違うんじゃないですか。収入は七百六十万円じゃないですか。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 失礼しました。収入のほうは七百六十万円、支出が五百四十三万五千四百四十三円。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、これは収入のほうが二百万円ばかり多いですか。七百六十万円入って五百四十三万円使って、東さん、この知事選挙で二百万円プラスと言うと語弊があるかもしれないが、に、なったという計算ですね。それはいいとして、そこで今度束さんの後援会の事務局長の岡安ですか、副知事が逮捕されている。この調べによって、たとえばこれが二百万円なら二百万円というような買収資金が出てくる、あるいは松崎の調べによって出てくる、こういうような形になれば、直ちにそのことによって法定費用の超過にはもちろんなりません。候補者なり出納責任者と意思を通じておれば、法定費用に加算されて、これは法定費用の超過になりますね。そうなると当選無効になる可能性がある、こういうことは言えるわけですな。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) そういう場合に出納責任者が法定額違反ということになりまして、そうなりますると、連座の規定で、当選者の当選無効ということが起こり得る余地がございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の問題は、後援会の事務局長なり、東選対へ金を出したとすれば、だから出納責任者との意思の連絡があったかなかったかが問題になると思うのです。これは事実認定ですね。しかし、普通の場合、後援会の事務局長が買収資金をたくさん出したということになれば、出納責任者と意思の連絡があったと通常の場合には推定をされる。だから、特別な反証をあげない限りは、それは連絡があったと認められるのが普通の法律的な解釈ではないかと、こう思うわけですが、これは別として、もう一つの問題は、あなたの言われた選挙の規定に違反することがあるときという解釈、これは選挙管理の任に当たる機関の過失だけではなくて「選挙法の基本理念たる選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときを指すものと解するを相当とする。」昭和二十三年六月二十六日、昭和二十七年の一月二十四日、両方の最高裁の判決があります。これは自治省の選挙局から僕が借りてきたから間違いないわけですがね。こんな資料をなぜ貸したのかといって自治大臣おこらないで下さい。これによると、単に規定に違反しただけでなくて、選挙の自由公正の原則が著しく阻害された場合は選挙は無効になるわけです。二つあるわけです。そこで、前の選挙の規定に違反するというのを、今度の場合、自治大臣いいですか、東京都の選管は選挙の規定に違反しなかったと、こうあなたは言い切れますか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 私は、実情を見て、おらないから、言い切るとか言い切れぬとか、そういうことは申せないのであります。少なくとも、ヤジが多かったということは聞いております。聞いておるけれども、ヤジが多いということが、同時に選挙の公正に違反するというのなら、北海道なんかの炭鉱で私たちが演説するときなんかは、ほとんどできない、そういうこともありますから、ヤジが多いということだけで選挙の公正が阻害されたというふうには私は考えておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 いいですか、選管は選挙の規定に一つ違反してますよ。二つあると思うが、一つは、肥後亨が立候補の届け出をしたのは三月二十三日にしたわけです。これは三十四年の東京都の知事選挙によって公民権が停止になっているわけです。停止になっている者を、東京都の知事選挙ですから、公民権が停止になっているかどうかは、当然東京都の選管はわかっていなければならないはずです。それを過失によって受け付けている、これは三月二十三日に受け付けて、三月二十七日に却下しております。そのかわり、はがきがどんどん渡されて、そのはがきが横流しをされているわけです。いいですか、しかも、これは虚偽の宣言で告発をもって論ずるの罪です。公職選挙法でこの告発を東京都の選管はいつしたのですか。一カ月半以上おくれて、五月六日になって告発しているじゃないですか。こういうようなことは東京都選管の怠慢、怠慢は過失ではないかもしれません、手続の違反とは別かもしれませんけれども、三十四年の都知事選挙で公民権が停止になっていることだから、当然東京都の選管はわかっていなければならないはずです。それをわからないでおいて受け付けて、四、五日たって却下し、はがきなどは全部渡してしまったということは、東京都選管の選挙に関する手続の違反じゃないですか。こういうことはだれから見ても考えられるでしょう。しかも、選挙が自由公正に行なわれたか。単にヤジだけの問題じゃないですよ。はがきの横流しの問題もある、証紙の問題もあります。組織的なヤジ、単なるヤジではない、選挙妨害じゃないですか。こういうようなことでは自由公正に選挙が行なわれたということは言えないわけじゃないですか。こういう二つの面から言っても、これは当然選挙無効の問題が起きてくると、こう考えてよろしいと思うわけです。一つ一つ答えて下さい。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 第一の、肥後候補の立候補の問題でございますが、肥後候補が公民権が停止されているであろうというようなことは、ほぼわかっておったようでございます。ただ、本人が公民権を停止されておるならば、立候補の届け出を却下しなければならないように昨年の選挙法の改正からなっておりますので、こういう重大な措置をとりますには、これを確認いたさなければならない、そこで、東京都の選挙管理委員会といたしましては、たしか鹿児島県が肥後候補の本籍になっておりますが、鹿児島県の本籍地の市町村に照会いたしまして、その照会をした結果、公民権停止中ということを確実に把握いたしましたので、その結果、直ちに立候補を却下したわけでございます。  それから、第二の問題、私は、先ほど選挙の無効になるのはという場合に、一般的にはという注釈をつけたはずでございますが、仰せのように、特別な場合、選挙区全般にわたって組織的、計画的買収とか、まあその他が行なわれる、そして根本的に選挙の自由公正が全く阻害されておったと、こういうふうに裁判所のほうで認定があった場合に選挙無効というものが起こり得ることは考えられます。過去におきましては、戦争中の翼賛選挙で、ある県の警察部が選挙の干渉を大々的にやりました。この件がたしか一件あったように記憶いたしております。まあそういうことでございますので、今度の知再選挙が、はたして東京都の全選挙区にわたってこの自由公正が根本からくつがえされるような事柄にあったのであるかどうか、これはまあ一つの事実認定でございますから、私ここで意見をとやかく言うべき事柄でないと思いますが、そういう問題に関連して、そういう選挙無効というものが、あるいは裁判所の裁判の結果として起こり得るかもしれない、こういうことは言えるかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 東京都の選管のとった手続は、肥後亨が立候補するということは、もうだれが見てもわかりきっているのじゃないですか。で、前もって東京都に住んでいるわけですから、本籍が鹿児島であるとしても、当然ふだんから、一体だれが公民権停止になっているかということは、選管として全国的に一律にわかっていなければならないわけですよ、そういう点は調査していなければ。それを調査していないということは、私はおかしいと思うのです。  それから、告発は、これはどうしてこんなふうにおくれたのですか。それが一つ。それと、はがきはずっと渡ったわけでしょう。そのはがきを返してくれというようなことについて選管としてどういう手続をとったのですか。  いろいろ聞きたいことがありますが、もう一つ、あなたは適当というか、自分に不利なことはあまり言わないですけれども、これは自治大臣としても言わないのでしょうけれども、「選挙の結果に異動を及ぼす虞ある場合」というのは、一体どういう場合を言っているのですか。「必ずしも選挙の結果に異動を及ぼすことが確実であることを要しない」、これは最高裁の判例ですよ、昭和二十七年の十二月五日。それから「現実に不正行為が行われたと否とにかかわらず、右選挙の結果に異動を及ぼすおそれある場合」でいいんだ、この「おそれ」というのは異動を及ぼすことが確実でなくてもいいんだ、「選挙の結果につきあるいは異った結果を生じたかも知れぬと思料せられる場合をいうのである」、こういうふうに最高裁はいっております。これは、だから、この選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるというのは、非常に広く解釈しいてるのじゃないですか、選挙の公正ということからいって。その点どうですか。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 肥後候補の公民権の問題でございますが、これは肥後候補はよく選挙に立ちますからそうおっしゃるかもしれませんが、一つの選挙にだれが立候補するかということは、立ってみなければわかりません。そこで立候補届け出を出した者について、選挙管理委員会として、あらためて重大な措置をとるのでございますから、ただ、知っておるとか推測程度では、これは不都合でございますから、現地について念のために確実に調べたわけでございます。  なお、肥後亨のはがきの問題、これは詳しくは私存じませんが、聞くところによりますと、東京都の選挙管理委員会が立候補を却下したときにはがきを返すように求めたところ、はがきの枚数だけは全部返っておるそうです。これはただまあその間、肥後一派の間に、はがきのかれこれ融通があったかどうか、それは知りませんが、枚数だけは戻っておるようでございます。  それから、あとの告発の問題でございますが、告発の問題につきましては、まあこれは東京都の選挙管理委員会にそれをする権限があるわけでございますが、これは十分いろいろな観点から考慮した結果、少し時日はたちましたが、告発をしたと、こういうふうに聞いております。  それから、選挙無効の問題でございますが、今お話の、選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるというのはまあ最高裁の判例どおりで、これはもちろんいいのですが、その問題に入る前に、この第一の要件、私が先ほど申しました二つの要件のある場合の、その第一の要件が存在するということがあって、それから、その次に選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるかそうか、こういう第二の要件の審議をいたすわけでございますので、ただ第二の要件があるというだけでは、これでは選挙の無効にならないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 もう時間がありませんので、これで終わるわけですけれども、今言ったようないろいろな解釈からいっても、東京都の都知事選が無効になる可能性が相当あるわけです。これは選管としても、早くこれは厳正な結論を出していただきたいと、こういうふうに考えるわけです。  以上質問をして参りましたが、結局こうやってみますると、どうも東京都の知事選その他は、非常に大胆悪質に、今までに例のないような形で選挙戦が行なわれている。これはもう自由民主党の総裁である総理としても、あなたの党内からこんなにたくさんの違反者を出しており、悪質な選挙が行なわれているということは、国民に対して私は謝罪をすべきだと、こう思う。あなた最初にお詫びをされましたから、これ以上追及いたしませんけれども、その道義的責任というものを十分自覚をされて、単に捜査当局にまかせてあるから、その結果を待つというような消極的態度ではなくて、さらに積極的に自民党としてもこの問題に取っ組み、真相を明らかにし——国会でも明らかにしますが、明らかにして、国民に対する私は当然の責務を果たさなければいけない、こういうふうに考えるわけであります。その点についての総理の御見解を最後にお聞きいたしまして、私の質問を終わります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今回の統一選挙におきましていろいろ不正事件が出たことは、まことに遺憾でございます。しこうして、私は、今回の選挙を待つまでもなく、やはり党の近代化、政治資金の問題等々につきまして検討を加え、りっぱな政党、りっぱな選挙ということに向かって努力を続けておるのであります。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 稲葉委員の質疑は終了いたしました。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後零時四十九分開会

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) これより予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。辻武寿君。

辻武寿公明会

○辻武寿君 さきに行なわれました四月の地方統一選挙の結果は、政府の期待に反して予想外の選挙違反を出したと思うのであります。私もあれほど選挙違反が出るとは思わなかった。一体政府は、今回の地方選挙にあたってどのような公明選挙の推進の仕方をしたのか、公明選挙のPRの仕方について説明願いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 従来衆議院、参議院の総選挙におきましては、検察当局その他、非常に取り締まりを事前、ことに事後においてやっておりますが、地方の選挙は何と申しましても、その取り締まりが私は少な過ぎるのじゃないか。そしてまた、選挙自体は衆議院であろうが参議院であろうが、あるいは地方統一選挙であろうが同じでございます。公明選挙というものを将来徹底的に行なう意味におきましては、一応地方選挙につきましても、十分取り締まりを厳にしなきゃいかぬ、こう考えまして、特に今までに例がなく、多分予備費から九千万円程度出したのじゃないかと思います。正確な数字は覚えておりません。そういうふうに非常に熱を入れまして、厳正な取り締まりを励行するように、こういう建前で進んだのでございますが、お話のとおりに違反が非常に出てきたということは、非常に残念なことでございますが、しかし、こういうことによって今後違反の少なくなるように一つのエポックを作りたいくらいに私は考えておるのであります。

辻武寿公明会

○辻武寿君 予備費から九千万円の支出をして公明選挙の推進をしたそうでありますが、それほどのPRをしたにもかかわらず、結果はさっぱり効果が上がらなかったということになるわけであります。一体今回の選挙違反の実情についてはどういう実情であるか、警察庁のほうでもいいですから、選挙違反の実情をひとつ説明して下さい。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) お答えいたします。五月二十日現在におきまして、われわれのほうに集計いたしました統計によりますというと、違反件数におきまして二万三千三百二十八、人員におきまして四万四千八百三十八名でございます。で、これは中間報告でございますので、この数字をもって直ちに選挙の全般的傾向を論ずることはできませんけれども、三十四年に行なわれました地方選挙の状況とある推定を入れまして比較いたしましたときに、件数において約二倍、人員におきまして一・二五倍となっておるのでございます。

辻武寿公明会

○辻武寿君 公明選挙を推進しておるにもかかわらず、件数において二倍、人員において一・二五倍の選挙違反者を出した。公明選挙の都市宣言をしたところもたくさんあると思いますが、それは幾つくらいあるか。また都市宣言をしながら、その町内において、村内ですか、じゅずつなぎになったところもあるようでありますが、その公明選挙宣言都市を宣言しながら、そのような効果がさっぱり上がらないということは、公明選挙のPRなんか、かえってやらないほうがいいのじゃないか、だまってやらしたほうがまだ違反が少ないかもしれない、こういうふうにも考えられるのでありますが、この辺についての実態と御意見を総理にお伺いします。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 公明選挙都市宣言を行ないましたところは、これは県の宣言も含めてでございますが、百九十九地方団体ございます。県は高知、岐阜、福島の三県でございます。そこで、まあこれらの公明選挙宣言をしたところで違反があったということですが、まあ一部の地域では確かにございましたけれども、しかし、私は今度の統一地方選挙においては、国民の間に公明選挙への機運というものが非常に盛り上がっておったことは、具体的に数字をもって示すわけにいきませんけれども、これはこう認めていいのではないかというふうに感じております。今申しました公明選挙宣言につきましても、そのほとんど大部分は住民からの働きかけによって議会で議決するに至ったのでございまして、この一つの事実もそのことを示しておるのではなかろうかと思います。まあ、ただ選挙の結果は違反が相当出た、これは非常に遺憾でございますけれども、これは私は選挙が公明化していく一つの過程であって、国民の間に公明選挙への気持というものが非常に盛り上がっておるという事実は、私はこれを肯定してしかるべきではないか、こういうふうに考えております。したがって、そういう意味で公明選挙運動は、なお一そう強力に——もちろんその方法について研究をして、少しでも効果が上がるようにすべきことは当然でございますが、これをますます進めていくことは、これは当然ではなかろうか、そういうふうに考えております。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 選挙の公明は、民主主義の理想でございますから、あくまでも、違反者があるからといってやめるべきではございません。違反者が多ければ多いほど、公明選挙に私は努力していくべきだと思います。

辻武寿公明会

○辻武寿君 公明選挙の推進の仕方について、九千万円の予備費を使っても、この違反者が倍増するようであっては、金の使い方を考えなければならないのではないかと私は言っているのであります。選挙違反の内容ですね、買収その他についてデータがあったらここで述べてもらいたいと思います。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) 件数におきまして約二万三千中買収、利害誘導をもって検挙いたしましたのは一万九千四百九十四件、人員にいたしまして三万九千五百六十一人となりまして、今回の選挙におきましては、比較的買収、利害誘導の占める割合が高くなっております。あとは選挙の自由妨害、これは三百三十八件、四百七十五名、戸別訪問一千五百六十八件、二千三百七十三名、文書等の違反千九十五件、一千四十一名という状況でございまして、その点につきましては、前回と比較いたしまして、まだ中間状態ではございますが、そう前回の選挙と差異がないような数字にはなっております。

辻武寿公明会

○辻武寿君 今度の違反では、買収が圧倒的であります。ところで、今回の選挙の特色は、東京都の都知事選及びその他の県にも知事選をめぐって、にせ証紙を使用した違反が非常に問題になっております。先ほどもその点についていろいろやりとりがあったわけでありますが、東京都の今の段階並びにその他の県におけるにせ証紙の事件、並びに検印のないポスターに対する違反があったそうでございますが、その実情調査はどの程度に進んでおるか御説明をしてもらいたい。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) 四月に施行されました統一地方選挙におきまして、公印偽造として私どものほうで捜査いたしました事件が七件あるのでございます。これは府県名で申しますと、これは知事選に限りませんけれども、青森、福島、北海道、福岡、警視庁管内でございます。こういうことでございます。

辻武寿公明会

○辻武寿君 にせ証紙をめぐって知事選における違反をしたものはどの県にもある。また検印のない。ポスターについて、九州のほうでは今非常に問題になっていると聞いているのでありますが、そういう事実はあったのか、またその調査ほどういうふうな進行状態であるか、それをお聞きしたいと思います。

宮地直邦警察庁刑事局長

○政府委員(宮地直邦君) 福岡知事選挙の一候補につきまして、これはきわめて少ない数字でございますが、一部に無検印のポスターが張られたということでございます。これにつきましては、ある程度の捜査をいたしておりますが、一つの事件のほうにつきましては、まだその捜査が終わっておらない状況でございます。

辻武寿公明会

○辻武寿君 私は、今度の知事選をめぐって、元副知事や現職大臣の秘書官を勤めたような人が逮捕されたり、自民党本部の事務局の幹部が逮捕されるようなことでは非常に遺憾であり、政府に対しても、自民党の総裁が今総理大臣をしているわけでありますから、国民が疑惑を持つのは、信頼がなくなるのは当然であると思います。総理も先ほど責任を感じられた言葉をここでお述べになりましたけれども、自治大臣としては、今後こういう違反をなくすためにどのような対策を持っておられるか、自治大臣の御意見を承りたいと思います。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 先ほども申しましたように、いわゆる選挙の公明化の運動を一方においてより一そう有効に推し進めるとともに、一方において制度的にまた欠陥があるわけでありますから、そういう面も検討いたしまして、個人のいわゆる言論というようなものは、これはもう選挙の一番重要な建前でありますから、これを十分に守りながら、他の形式的なポスターであるとか、はがきであるとか、あるいは演説会場あるとか、その他いろいろな文書等に関する問題につきましては、でき得る限りの公営を促進いたしまして、そうして個人的な選挙からむしろ公営的な選挙に持っていく、同時に個人の選挙から政党の選挙に持っていくというような、ほんとうに政策的なもののみを個人が争う、あるいは政党がそれを争うというような方向に持っていくのが一番いいと、できれば来年か、あるいはまたいつかはわかりませんけれども、早い機会の選挙に間に合わせるように、選挙制度審議会なり、国会なり、政党なりにおいて御検討を願いたい、こういうふうに考えております。

辻武寿公明会

○辻武寿君 次に、これは別な問題でありますが、去る六月三日の衆議院の予算委員会において、島上委員より発言があったことと関連するのでありますが、宗教団体におさい銭を上げて知事選や地方議員の投票を依頼した事実があるように伺っております。一体そういうような事実があったのかどうか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 新聞その他におきまして、そういうことを見ましたが、また委員会においてもそういう質問がありましたが、私は何にもそういうことを承知いたしておりませんし、報告も受けておりません。

辻武寿公明会

○辻武寿君 もっとも、宗教団体といってもたくさんありますから、中には神や仏を利用してそういうことをやるところもあるかもしれませんが、一体、宗教団体は日本に今どれくらいありますか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) それは所管違いでございまして、全然わかりません。

辻武寿公明会

○辻武寿君 たしか十八万幾つあるというふうに私は伺っておるのでありますが、中にはそんないかがわしいことをやっておる、それで害毒を流す宗教団体もあり得ると思うから、よく調査してもらいたいと思います。  もう一つ聞きたいことは、創価学会という宗教団体におさい銭を上げて都知事選その他のことについて、自民党が取引をしたような事実はありますか。この前の委員会の発言を見ると、あたかも創価学会がそういうようなおさい銭という形で選挙に関して取引でもしたような印象を与えておる。こういうことがあったかどうか、池田総理にお伺いいたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 自由民主党としては、そういうことは一切いたしておりません。したがって、そういうことはないと思います。

辻武寿公明会

○辻武寿君 もし宗教を利用して、おさい銭とかにかこつけて選挙の取引をするような団体があれば、それはまさしく最も悪質な買収行為でありますから、そういう宗教団体は徹底的に調査して公明選挙を実現してもらいたいと思うのであります。創価学会は私の調査したところによれば、非常に潔癖であり、そういう事実は全然なかった。しかし、たくさんの宗教団体の中にはそういうところがあるかもしれないから、それを徹底的に調査するように私は要望いたします。  次に、政府は選挙法の改正を考えておるようであるが、どのような改正案であるか、また、いつごろ提出するつもりであるか、具体的にお伺いいたします。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 現在、選挙制度審議会におきまして三つの小委員会を作って、一つは地区に関する問題、一つは定数に関する問題、あるいはこの地区と定数を除いた問題に関する委員会、三つに分けて小委員会を作って検討しております。聞くところによりますと、そのうち、定数に関する、いわゆるアンバランスの問題でありますが、答申はこの秋ごろまでには出せるのじゃないかというふうに聞いております。そのほか、先ほど私が申し上げましたことは、まだ具体的な検討を始めておりません。ただ、私の考え方を御質問に対してお答えしたのでありますが、私自体は、できるだけ早くこれを具体化して、次の衆議院総選挙に間に合うものならば間に合わしたい、こう考えております。

辻武寿公明会

○辻武寿君 その選挙制度改正案は金のかからないような選挙をやるためにそういうことを考えているのであるか。それとも、ほかの目的があるか。目的をはっきりしてもらいたいと思います。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 選挙に金がかかるということが、いわゆる政界腐敗のもとでありますから、公明選挙ということは、まず第一に金のかからない選挙ということは、これはいえることであります。その次は、この間の東京都知事の選挙に見られましたように、いわゆる泡沫候補なるものが、当選の意思もなく、何のために出たかわからないような候補が、たくさん選挙ごとに出ます。やはりこういう泡沫候補というものを整理をすると申しますか、そういうふざけたような立候補者が出ないようにひとつやっていくためにも改正が必要であります。それからもう一つは、やはり違反がたくさん出ておりますが、この違反というものを少なくする、制度の面において少なくするということは可能ではないか。はがきを三万枚ずつあるいは三万五千枚ずつ渡しますから、売るやつが出てくる。はがきがなくなれば売るやつはなくなるわけでありますから、そういう面もやはり検討しなくちゃいけない。それから個人々々の演説会等におきまして、いろいろ妨害とかそういうものが出てきますが、こういう演説会というものも個人の主催でなくいたしまして、公営にできるだけ持っていけば、いわゆる選管のほうにおきましてその整理とか聴衆に対するいろいろな問題についても責任を持つわけでありますから、そういう点等につきましても、私はやはり選挙が非常に静かに平和に行なわれるようになるんじゃないか。そういうものを一切を含めまして検討してみたい、こう考えております。

辻武寿公明会

○辻武寿君 買収等の違反が非常に多いということは、原因はどこにあると思いますか。自民党の総裁である総理大臣お願いします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) まあ当選したいという心情からだと思います。

辻武寿公明会

○辻武寿君 当選したいから買収が多くなる、それだけでは、私はあまり簡単過ぎて納得できませんが、自治大臣は、そういう点、いろいろ研究していると思いますが、買収の違反が非常に多いということは、最大原因はどこにあるか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 選挙違反というものに対するいわゆる認識が、まだ選挙民の間に、また候補者の間に、足りないのではないか。たとえば交通事故の問題でありますが、自分がもし手を下して何らかの方法で人を殺したり、けがをさしておった場合には、非常な良心の苛責、あるいは罪の意識、後悔、反省というものが非常に行なわれるだろうと思います。ところが、それが自分の直接の手でなしに、自分の乗っている車で引いた場合には、殺人を犯したとか、傷害をやったとか、そういう感じが非常に減っているようであります。言いかえれば、交通事故で人を殺したのは殺人ではないというような考え方が一般にあるんじゃないか。それと同時に、選挙違反というものも、また政治のこれは古い日本の因習も一つあります。そういう、何と申しますか、いわゆる選挙権というものが限られていた制限選挙のようなときの習慣が、ずっと続いているのじゃないかと思いますが、選挙違反というものは犯罪ではないという、そういう意識がまだ日本に残っているのじゃないか。これをひとつやはり交通の問題と同じに、選挙違反というのは、これは重大なる犯罪である。同時にまた、破廉恥であるとかいうことを、もっともっと徹底させて、選挙民も候補者も運動員も、みなそれを意識するようになれば、私はそういう恥ずべき違反というものは減少してくるのではないか、こう考えます。

辻武寿公明会

○辻武寿君 政府は、小選挙区制や比例代表制は金がかからない、そういうふうに考えているやに聞いているのでありますが、私は、それだけでもって金のかからない選挙を期待することは無理ではないかと思います。公明会でも、こういう点、選挙法に対して重大な関心を持って、三月に一部改正法案を提出したのでありますが、政治資金を規正することが一番大切じゃないか、また楽しい選挙をやらせることが一番大切じゃないか、こういうふうに考えて提出したわけでありますが、政府としても十分に私は検討してもらいたいと思います。  なお、こういうふうに選挙をやるたびに選挙違反がだんだん倍増していく、しかも買収行為がふえて、悪質な選挙違反が数が多くなっていくということは、これはただごとではない。しかも衆議院の選挙もそろそろ皆考えているようでありますが、この次の衆議院の選挙に、今回にまさるような選挙違反を出すとすれば、これは重大な責任になってくるのであります。この次の選挙のためにも、万全の手配をしてもらいたと思いますが、総理は、一体いつ解散するつもりでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 解散のことは考えておりません。

辻武寿公明会

○辻武寿君 選挙についてはその程度にいたしまして、災害のことについて少々お伺いします。  災害対策基本法が三十六年の十一月にできているわけでありますが、中央防災会議がたびたび開かれて、いろいろ検討していると思いますが、地方防災会議については、一体その体制が整っているのかどうか、総務長官お願いします。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 各都道府県の防災会議は、本年の三月二十二日、香川県を最後にいたしまして、全都道府県ともこの会議の設立が完了いたしております。それから市町村におきましては、約三分の二くらい会議ができたという報告を受けておりますが、まだその詳細につきましては、各市町村別には報告は参っておりませんけれども、ただいま督促をいたしておりますので、少なくとも今月の末ごろまでには大よその市町村におきまして防災会議ができ、そうしてそれに基づいて防災計画が樹立されると思います。なお、各府県を数県にまたがりまする地域の防災会議というものも、すでに八県出て、総理大臣に協議を求めて参っておりますが、そのほかにも順次相談中でございますので、これもおそらくはこの災害を控えまして、近いうちに各危険のありそうなところは全部出そろうのではないか、かように考えておりますので、これが出ましたならば、さっそく検討いたしまして、それぞれの処置をとりたいと考えております。

辻武寿公明会

○辻武寿君 災害対策基本法ができてから、もう一年半もたつわけであります。ところで、災害は毎年々々やってくる。現に現在もやってきつつあるわけでありますが、県の地方防災会議ができたのが三月二十二日とは、あまりにもおそ過ぎる。なお、市町村においていまだに三分の二しか体制が整っていないということは、どうしても政府は怠慢じゃないか、こういうふうに思われるわけであります。地方防災会議の体制が整っていなくても、災害防止ができるんならば、何も地方防災会議を作る必要はない。作るという以上は、それによって今までよりも違った、万全を期することができるからだと私は思うのであります。このことは、すみやかに促進してもらいたいと思います。  なお、現在の法律では個人災害に対する補償というものがないのでありますが、政府としては個人災害に対する補償を考えておるか、特別立法でもするようた気持がないかどうか、それを伺います。

徳安實藏自由民主党総理府総務長官

○政府委員(徳安實藏君) 災害に対する個人の問題につきましては、ただいまのところ、低家賃住宅の供給でありますとか、農地等生産施設の復旧補助でありますとか、長期低利資金の貸付でありますとか、減税等によりまして、復興意欲を振作するために、いろいろな施策は講じておりますが、ただいまのお話のような個人の災害に対しまする補償的な処置につきましては、現段階におきましては考えておりませんので、これは個人財産の問題等につきましては、保険その他相互扶助方式等によりまして処理をしていただきたい、これがまあ適当な方法ではなかろうかということで、その方針で進んでいるわけであります。

辻武寿公明会

○辻武寿君 時間がありませんので、これで終わりますが、災害は直接国民の生命財産に影響するものであり、一刻もゆるがせにできないものでありますから、どうか一そう体制を強く整えていただきたいと思います。なお、個人災害等についても、十分にすみやかに研究していただくことを要望いたしまして私の質問を終わります。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 辻委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に大竹平八郎君。

大竹平八郎第二院クラブ

○大竹平八郎君 質問の時間がきわめて制限されておりますので、私はできるだけまとめて、二、三の点につきまして政府当局の御意向を伺いたいと思いますが、まず最初に、総理並びに宮澤企画庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  安定賃金政策、物価、倍増計画、これらの問題に関連する構造計画、こういう点につきましてお尋ねをいたしたいのでありますが、宮澤長官がガットの理事会からお帰りになりまして記者団に語った安定成長の基礎としての安定賃金の理論は、池田総理の従来の高度成長政策の転換の前ぶれのようにわれわれは受け取っておるのでありますが、この際、総理の倍増計画ないし高度成長政策のねらいを、あらためて伺っておきたいのであります。と申しまするのは、一、二年突拍子もない高度成長を続けておりましたとたんに国際収支の赤字となり、そうして金融引き締めをしなければならないような、いわゆる手放し周度成長は、私どもは困るのでありまして、たとえ成長率はスローでありましても、安定した経済成長が望ましいのでございます。そうかと申しまして、安定経済成長の道を進むといたしましても、そこにはただいま大きな問題となっておりまする物価の問題があるわけでございます。宮澤長官の見て参りました西欧諸国は、いずれも超完全雇用経済でありまして、成長率も日本と比べまして、はるかに低いのであります。労働生産性の年々の向上も、あまり大きくないのであります。そこで、労働不足の圧力による賃金上昇率が、労働生産性を上回り、結局物価を引き上げていくと、こういうことになるのであります。そこで、賃金の上昇を生産性の範囲に押えていくことが物価抑制の条件であり、それから成長率実現の前提でもあるわけであります。翻りまして日本の場合は、一部に労働不足の現象はすでにあるのでございます。近年の賃金上昇率が労働生産性を上回ろうとする気配が決してないわけではございません。しかし、賃金の上がりと生産性がマッチをしないのは、中小企業やサービス部門あるいは農業、漁業部門等であります。これは先ほど総理も指摘をしたとおりであります。そこには、日本経済の質的向上のためにどうしても解決をしなければならない二重構造、それから企業の格差、そして産業間所得の格差という問題があるわけであります。宮澤長官が欧米で見た賃金、それから物価の高騰、それから成長率鈍化、こういう現象上似たものが日本にも見られますが、根本的な相違は、今申し上げました二重構造の名のもとにかくれておりまする労働力の不合理な使用配量にあるのではないか、かように私は考えております。私どもは、池田総理の所得倍増計画の構造の真のねらいが単なる各人の所得が倍になるというような単純なものでなく、成長過程を通じて不合理なこの二重構造の解消、それから農業や商業の合理化を実現することにあると解しておるのでございます。そういたしますと、賃金の上昇にあわててブレーキをかけるということは、妥当かどうかという問題になるのでありまして、中小企業やサービス産業などは、今日では生産性の向上で吸収し切れない高賃金を支払うように強制をせられておるのであります。彼らは、それにたえるためには、生産設備を近代化し、企業の規模を改めなければならないわけでありまして、日本の低生産性産業部門から、合理化、近代化により労働力が解決をされるならば、日本の労働不足の実現する日はまだ私はかなりの先のことであると考えざるを得ないのであります。私は物価問題を決して軽く見ているつもりはないのでありますが、物価問題には短期的なそれと長期的な構造的なものがございます。それをいわゆる突っ込みにいたしまして、物価上昇は賃上げが大幅過ぎるからであるときめつけて政策を立てると、倍増計画の持つ構造改革的側面が失われてしまうおそれがあるのではないか、これらの点につきまして御意見を伺いたいと存じます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 大体大竹委員のお考えのとおりだと思います。こまかく分析しますと、やはり大企業の生産性の向上と賃金の問題、また中小企業の生産性の向上と労務者並びに設備資金等の問題、いろいろありますが、大体お話のとおりの考え方を私は持っております。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) けさほど羽生委員にお答え申し上げました点を、重復を避けまして、前提にして申し上げます。  確かに欧米諸国の労働事情とわが国の労働事情とは、仰せのとおり異なっておる点があると思います。欧米諸国では大体一九五七年ごろから賃金と生産性の上がりが交差しまして、賃金の上がりのほうが大きくなって今日に及んでおるわけであります。そしてそのゆえに六〇年、六一年ごろから、この問題をいかにすべきかということが各国で考えられ始めたわけでありまして、六一年までそういう現象の起こっていなかったのはイタリーくらいのものではないかと思います。おそらくは。しかし、イタリアも六二年にはそうなったのではないかと、これは想像をいでませんが、そういうふうに考えられます。  そこで、わが国の場合には、確かにまだ完全雇用というような状態ではございません。また、農村から毎年三十万あまりの労働力の流出があるということも確かでございます。それに対比して欧米諸国の場合には、移民によってある程度労働力の増強をはかってきた、こういうことが実情であったと思うのであります。それでもし、わが国の場合、労働の流動性ということがもう少し自由であるといたしますと、御指摘のように、まだ欧米諸国に比べて労働力の需給関係にかなりの余裕があるはずでございますが、けさほど総理大臣が指摘されましたように、給与の体系あるいは社会的慣行その他から、大企業においてすら労働の流動性というものは、はなはだ欠けておるわけでございます。なお、また新規労働力がここ二、三年に増加いたすわけでございますが、それがともすれば大企業にとられやすいということも御存じのとおりでございます。したがって、との間にありますもの、いわゆる中高年齢層といわれるところの労働力をいかようにして再教育するかという問題が一つ大きな問題であると思いますし、また農村から流出するところの労働力についても同じような問題があると思います。これらは施策よろしきを得れば、しこうして相当の時間をかければ行ない得るはずのことでございますけれども、何分にも非常にかけ足で経済が成長してきたということから、十分それに対応するだけの労働力の転換ということが現在までできてきておらないというのが実情であったと思うわけでございますから、片方で私どもは実質賃金の安定的な向上ということを考えますとともに、こういうまだ数の上では余裕のあるところの労働力を、いかにして新しく教育するかということがゆるがせにできない課題だと考えるわけでございます。  その他自由化あるいは関税率の引き下げなどについても問題があるわけでございますが、そういうふうな処置をとりつつも、しかし、これは相当の時間の経過を要する問題でありますから、欧米諸国とその点が相当に違いながらも、なおわれわれが当面しておる問題は、西欧諸国と相当に型の似た問題であるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。

大竹平八郎第二院クラブ

○大竹平八郎君 そこで宮澤さんにお尋ねいたしますが、いわゆる二重構造の名のもとに隠れておる現在、先ほど私が指摘をいたしました労働力の不合理な使用配置という問題なんですが、これは刻下の非常に大きな問題なんですが、これについて政府が特に配慮せられる点があれば、この際、お話し願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これは労働政策にも関係いたしますし、したがって、広く戦後のわが国のあり方全部に関係いたしますから、私がただ経済の効率の点からばかり論じてはならない点だと思います。しかしながら、経済の効率の観点からのみに限って申しますならば、やはり一つは実質賃金というものをいかにして安定的に成長させるか、名目でなく生産性との関係においていかに成長させるかということ。それから各企業における給与の体系、それがいわゆる年功序列的なものから職務給にどうやって変わっていけるかというような問題、あるいは企業年金の問題でありますとか、広く労働力の流動性の確保の問題であると思いますし、また労使間における、これは両者ともに問題があると思いますが、やはり信頼の問題であるとか、さらに施策としては、労働力が新しい需要に対処できるように、これをいかに教育訓練するかといったような、そういう多岐にわたる施策が必要であると考えます。この点は繰り返して申し上げますが、経済上の観点からのみ申しましたわけでございます。

大竹平八郎第二院クラブ

○大竹平八郎君 時間がありませんので、総理にお尋ねをいたしたいんでありますが、今の物価対策につきましては、最近消費者物価対策協議会等ができまして、すでに発表しておりまする砂糖の輸入の問題とかあるいは洗濯代とか、理髪代の値下げ、都市ガスあるいは放送料の値下げ、これらに取り組んでいるようでありますが、最近の物価の値上がりの大半は、これは農水産物製品、さらに中小企業製品でありますことは、これはもうたびたび各方面から指摘をせられているのでありますが、そこで、お聞きをしたいのは、この物価の問題につきまして、政府が従来とってこられ、また今後とっていかれんとする生産者に対しての方針というものを、ただ強圧的な抑制という点もいかないでありましょうが、要は、何か生産者方面のみは肝放しでないかというような感もするのでありますが、この生産者に対しての措置はどういうふうなことをとっておられるか。  それから、いま一つ、これは全くの私見でございますが、たとえば、国民大衆が使っているもので、必ずしも上等なものの必要でない場合もある。たとえてみますれば砂糖でございますが、これは欧米あたりを回りましても、世界で日本ほど上等な砂糖を使っているところはないのです。そういうわけで、この品質とかあるいは規格とかいうものを落とす、ただ単に、今度の措置が関税の引き下げと輸入の臨時措置というようなものをとられているようでございまするが、関税を引き下げましても、最近の砂糖相場は、ニューヨークの昨年の十月三セントのものが十四セント、最近下がりまして、漸く八セント幾らというような状態で、これは関税を全部下げましても消費者に与えるあれは少ないのであります。私は技術者でございませんから、わかりませんが、今ほどのああいう上精製せられたものが必ずしも必要でないんじゃないかという点からいって、規格とか品質、これは砂糖に例をとったんですが、そういう点において物価面を押さえていくという方法もあるのではないかと思うのでありますが、これに対して御所見々承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今まで日本の産業行政というものが生産行政に片寄っておったということは、これは否定できないことであると考えます。したがいまして、私は、今後はやはり消費者の行政ということを相当考えていかなければならぬと思っております。そうして、大産業の生産物はいつも下がっていないというお話しでありますが、下がっているものもありますし、下がり方の少ないものもありますが、総じて中小企業のそれよりも下がっていると思います。ただ、私は問題は、操短等々の大企業の価格維持のための措置につきましては、今後十分考えていかなければいかぬと思います。産業行政の面から。そうして、また消費者行政のほうも相当強く見ていろいろな施策を講ずるのがこれからの政策だと思います。  次に砂糖の問題、お話しのとおり、日本が一番いい砂糖を、東京では使っている、私このごろいなかのことはよく知りませんが、ヨーロッパ諸国の首都と比べて、東京の砂糖の品質は最上でございます。砂糖ばかりではございません。一般有識者、中産階級以上のものの食事は、ヨーロッパのそれに比べて非常に上であるということはたしかでございます。そういう点は、これは物価の問題であるということよりも、生活費の問題もございますから、一般にやはり少し考えてみなければならぬ点があるのではないかと思います。しかし、全体を申しますと、大衆の食事ということになりますと、日本の中産以下のほうの生活は、向こうに比べて相当落ちることは事実でございます。したがいまして、私は消費者物価が上がるということは押えなければなりませんが、底辺の側の生活が上がっておるということもこれは大きい事実でございます。政治の目標が前からそこにあったのでございますから、一がいに消費者物価が上がったから、これは政策を変えなければならぬというのじゃなしに、やはり消費者物価もある程度はやむを得ないというような上がり方を、底辺の大衆の生活を上げていかなければならぬ、それには所得倍増だと考えておるのでございます。

大竹平八郎第二院クラブ

○大竹平八郎君 次に、運輸大臣に鉄道建設公団の問題につきまして、ごく要点をお尋ねをいたしたいのであります。  鉄道建設公団が私はふいに出たわけじゃないと思いますけれども、とにかく本国会中において私は最重要な法律案だと考えておるわけであります。そういう観点に立ちまして一、二点伺いたいのでありますが、まあ国鉄のいわゆるこの新線工事費というものがたとえば七十五億予定せられても、これは完全に消化をせられていないというのが従来の例でございまするが、これは御承知のとおり、ほとんど赤字、着工線は極端に言えば全部ですが赤字路線だという点に尽きると思うのでございます。で、私が調べたものを見ましても、四十七着工線を調べまして、そのうちにとにかく黒字になっておりまするものはわずかに丸森線一つにすぎないのであります。福島と槻木の間、五十六・二キロでございます。工事費が約四十一億七千万円であります。あとは全部赤字でございます。それから調査線を見ますと、十五線を見ましても、十五線のうちに一線も黒字線がないと、こういうわけでございます。そこで今度できまする鉄道建設公団がこれをあとを引き受けて、この着工線あるいはこの調査線を、これを実現をするということになりましても、結局赤字はどこまでいっても赤字じゃないか、こう思うのであります。そこでいわゆる黒字になる、法律にはいろいろ書いてありますが、一体めどというものは何年後にどういう点にあるのかという点と、それから無償有償という問題が、国鉄にとってはこれはたいへんな問題であります。これはこまかく申しませんが、法律の二十三条にございます。「ただし、運輸大臣が後進地域その他特定の地域の開発等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した鉄道施設は、無償で貸し付けることができる。」と、こういうことがあるのでございます。時間がございませんので、一々速記録を申し上げませんが、この間の衆議院の予算委員会におきまして、田中大蔵大臣は、「特別の理由とは、先ほど申し上げておるように赤字が出る、こういうものであります。」と、こういうことを率直に答弁をせられておるのでありますが、私どもの見通しからいえば、すべてが赤字だ、そういう意味で、赤字はあくまでも無償で、そうして償却費とかあるいは利子とかは公団が負担をし、そして経営上の赤字だけを国鉄が負担をする、こう解釈してよろしゅうございますか。この点をひとつお伺いしたい。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。建設公団をもって新線を建設するようにいたしました経緯は、御承知のように、運輸省にありますところの新線建設審議会の要望によりまして、現状のままでは国鉄がいかにもあまりにも膨大過ぎる組織と、それからやらねばならぬ保守、改善、安全等のために、集中して新線建設をやっていくことに欠くるところがありはせぬかという趣旨に基づきまして、別個の何か機関をこしらえて建設を促進すべしというその決議に基づきまして、今回提案いたしております日本鉄道建設公団法案を御審議願っておる次第でございます。それから御指摘のように、新線はほとんど私はやはり赤字であると思います。その赤字がいつごろ黒字になるかということは、その土地にその鉄道を通ずることによりまして、その地方にたとえば処女林があるとか、それから未利用の鉱物資源があるということのために、思ったより早く黒字になるのじゃないかという希望は持っておりますが、ただいまのところ大部分が私は赤字だと思っております。そこで、あの法律に書いてある有償を原則とし、無償を例外とするというのが、大蔵大臣も答弁されましたように、逆になるのじゃないかというような感じもいたしますが、なるべく有償にしてやって参りたい。黒字になる見通しは、ただいま申し上げたとおりでありますが、赤字線につきましては、経営上の費用だけを国鉄に持たすようにして、その他は建設公団のほうでやっていきたい、かように考えております。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 大竹委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、田畑金光君。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 時間の関係がありますので、私は二、三の問題について簡潔に総理にお尋ねしたいと思いますが、最初に新産業都市指定の問題について、この指定については昨年の十二月すでに基本方針を決定されて、本年二月以来、関係各県当局を経済企画庁を中心に各省に招いて、そして要請地の事情を調査して、事務的段階はすでに煮詰まっていると聞いていますが、この指定は今日、当面大きな政治問題になっておるわけでございますが、一月指定の予定が五月に延び、さらに今日では七月内閣改造前に指定をなされるということを私は新聞で承知いたしておりますが、指定の最終責任者であります池田総理は、七月指定に断行される決意であるかどうか、これを承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 各閣僚の意見がまとまって私のところに報告しましたら、あるいは日にちの制限はつけませんで、一日も早くやりたいと思っております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 この推定にあたりましては、法律の趣旨に基づき、冷静、合理的に事務的に割り切って指定されるのか、それとも巷間いろいろ伝わっておりますが、政治的圧力によって左右される危惧はないかどうか、総理の心境を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 事務的とか政治的とかいうことはございません。私の責任においてやります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 区域指定について、当面の運用の基本方針によりますると、当面は臨海性工業の開発を中心とするものに指定の重点を置き、数はおおむね十カ所程度ということをうたっております。この点を強く貫くといたしますと、内陸地点が取り残される危険があるわけです。しかし、法律の本来の趣旨、あるいは指定基準から見ますならば、臨海地区、内陸地帯、そういう地勢的な条件よりも、産業の立地条件や土地、施設、あるいは雇用の安定に必要であり、しかも、地域格差の是正に役立つ地区を指定するという姿勢が私は必要であると考えておりまするが、この点について承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 何も臨海地区に限ったことはございません。あなたのお話しになりましたような問題、その他にも多々あると思いますが、万般の事態を見て結論を出したいと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 また、指定個所についてはおおむね十カ所というようなことがいわれておりますが、投資効果の重点的な発揚という点から見ますると、場所をできるだけ限定するということが効果的であるかもしれません。しかし、わが国の数多い後進地域の地域開発、所得の向上という点から見ますると、指定の場所についても、もっと弾力的な考慮を払うこともまた立法の建前から見て当然であると私は考えるわけですが、この点について御見解を承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 四十カ所余り出ておるようでございます。したがいまして、全部検討いたしましてきめたいと思いますが、これは重点的にやれという議論もありますし、今のお話のように、十に限らずもっとたくさんやったらどうかという議論もあるように、私は、どの問題にもそういうことがありますので、先ほど来申し上げましたように、各関係省の調査が済みまして報告を受けたときに、私として、万般の事態を検討いたしまして最後の決定をいたしたいと思っております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 これは企画庁長官でけっこうでありますが、指定地域に指定されますと、どのぐらい先行投資あるいは公共投資が一区域に行なわれようとするのか、巷間伝うるところによりますと、五十年までに一地域一千五百億とか、三十八年度には三十億を予定しておるとの話を聞くのでありまするが、この点どのように考えておられるのか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 指定から生じますところの利益と申しますか、そういうものが非常にいろいろな種類のものでございますので、これを一般的にならして何千億になるかと申し上げることは、私は非常に困難であると思います。さしずめ、今年度におきましては、一応取っかかりの予算として六億ばかりを用意いたしておるわけでございます。しかし、これはほんとうにある意味で調査費から幾らも上回らないものでございますから、私どもといたしましては、なるべく投資効率を上げまするように、数を多くせずに、財政資金その他を有効に使いたいという心組みておりますけれども、ただいま田畑さんのおあげになりましたような計数あるいは事実とそう遠くない数字かと思いますが、これは算出が非常に困難でございますので、私からこのくらいと申し上げることができないというのが正確なお答えではないかと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 次に、私はILO条約八十七号批准の問題について総理にお尋ねしたいと思います。  ILOの理事会は、今月の一日、十四回目の対日勧告を行なっております。その内容は、この延長国会の会期中に、ILO総会終了直後に開かれる、できれば六月二十八日の理事会に審議ができるようにという希望を付して期限付の勧告を行なっております。この国会の会期も四十五日間の大幅延長になりましたが、会期延長の主たる理由は、ILO条約の批准の問題であったと私は見ております。ところが、すでに会期もあと一カ月足らずの今日このような状態にありまするが、総理は、現在の事態に照らしまして、どういうお考えでこの国会中に批准の実現をおはかりになろうとする気持であるか、この点をまず承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 国会劈頭の施政方針演説で申したとおり、ぜひ今国会において解決をはかりたいと考えております。したがいまして、国会における審議より前に関係当事者がいろいろ話し合いをして、今国会で無事に通過するよう今努力をしておるところでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 関係者の中で話し合いをしている、その話し合いを待つという総理の態度でありますが、私は今までの時点であるならばそれでも了解できます。しかし、会期もあと一カ月足らずの今日において、なおかつ、窓口の話すらもついていないというこの事態について、総理はどのようにお考えになっておられるかということを私はお尋ねしたいのであります。ことに総理も御承知のように、ILO関係については、わが国に勧告がありましたのが、昭和三十四年五月三十日が初めてであります。あれから足かけ五年になっております。また、御承知のように岸内閣のときに、昭和三十五年四月、初めて国会に条約と関係法案を出したのでありまするが、池田内閣になりましても、今回これで三回目の国会提出ということであります。三月二日に、今国会においては条約と関係法案が提案されたにかかわらず、今なお窓口の話し合いよりも前に党と党との話し合いが進められておる。これではいつ国会の審議の軌道に乗せるのかということをわれわれは深く憂えるわけです。この点について池田総理はどのように感じておられましょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) なるべく早く審議に乗せるよう努力しておるのでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 そういうような誠意のない答え方では合点がいきません。御承知のように、私の申し上げたいのは、こういう重要な案件は、三月二日に国会に提案した以上は、そうしてまた、あと会期も一カ月足らずという今日の時点において考えるならば、当然国会の上において審議すべきではありませんか。それが国会の上における審議をやらずして、自民党と社会党が話し合いをしておる。はなはだしきは、自民党と総評という、一労働団体が話し合いをしておる、こういうようなことでは、私は議会政治における正常な審議というものは期待できないと考えるのです。こういうやり方は、総理はどう思っておられますか。そういうやり方でなお話し合いがつかぬにもかかわらず、できるだけ早く審議に乗せたいということでは、総理のこの問題に対するかまえとして、姿勢として、私は納得いきません。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) ILOだけでなしに他の法案でも、議会へ提案しまして二カ月ぐらい審議が行なわれぬ場合が多いのでございます。そういう場合が多いとは申しませんが、あります。でありますから、私は、こういうことをなくするために、また、しこうして乗っかった場合には、早くスムーズに審議ができるよう、いろいろ今努力いたしておるのであります。今いつ出しますとか、どういうことをいたしますとかいうことを言うと、せっかく話し合いをしているのが、変になってもいけませんし、私は、国会で審議しやすいように準備工作を今しているところであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私は端的にお尋ねしたいのでありまするが、こういうような重要な条約、法律案の取り扱いを、国会の審議の中でかれこれ論議をしないで、議会の外において党と党との話し合い、党と労働団体との話し合い、こういうことでその話し待ちというようなことで、議会というものがその権威を保持することができましょうか。そのことを端的にお尋ねしたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 議会運営の手段といたしまして、本会議であるいは委員会で論議する前に下打ち合わせとか、意思の疎通をはかるということもあり得ます。これは絶対にいかぬという筋合いのものじゃないと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 昨年の十二月の臨時国会は、池田総理御承知のように、石炭国会でございました。その石炭国会においても、重要な法律案の審議というものが国会の中で行なわれないままに、与党と野党との間に行なわれていたわけです。それは与党と社会党、与党と民社党との間において、四点をめぐる修正の話し合いが進められていたわけです。ところが、あの問題はどういう結末になりましたか。議会の外においてそういうことをやるのはけしからぬ、すべての話を御破算にして最終的には与党が一方的に押し切ったのが、ついこの間の臨時国会のいきさつじゃありませんか。あの臨時国会を契機に、こういう問題についてはあくまでも議会の爼上においてものを論議しよう、こういうお互いに反省を加えたはずです。趣旨が一貫しないじゃありませんか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 一事が万事という問題はございません。やはり重要な案件は、そして多年の懸案の問題は、やはり与野党間でいろいろ話をして出す場合もあります。また、直ちにそういう話し合いじゃなく国会の爼上に上げる場合もあります。いろいろの方法があると思います。それがやっぱり議会の運営正常化への一つの過程だと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私は、時間の関係でこれ以上追及いたしませんが、ただ願わくば、先ほど午前中にやりとりがございましたように、目的のためには手段を選ばない、こういう言葉の解釈でやりとりが行なわれておりましたが、同じような総理の答え方のかまえです。私は、そういうことであってはならないと考えるわけです。ただ私が強く総理に要請したいことは、すでにこの問題については、第四十国会において、われわれといたしましては窓口の話し合いがつかぬという時点に照らして、少なくとも条約と公労法、地公労法関係は、特別委員会に付託して審議する、その他の関係法案については、関係委員会で審議する、こういうことをわれわれは自社両党に申し入れたことが衆議院であります。このことは、すでに清瀬衆議院議長の話し合いの一つの提案という形にもなっておるわけです。こういうような事柄等も、総理としてはもっと積極的にお考えなさったらどうか、これが一つであります。  それからもう一つ、私は、結局この問題がこのようにこじれておるこの時点において考えなければならぬことは、昭和三十四年一月十八日だったと記憶いたしますが、労働問題懇談会が政府に答申を出しました。その答申は、条約の批准には条約と関係法だけの、公労法及び地公労法の改正で事足れりとする、こういう答申であります。そして昭和三十四年二月でありましたか、時の岸内閣は、当初その答申に基づいて批准手続をとるという決定をされておりましたが、その後与党からの突き上げで関連法案がたくさん改正ということで出てきたわけです。私はこの際、池田総理がもう一度労働問題懇談会の答申の線に沿ってこの問題についてこの国会でぜひ成立せしめるという心がまえで取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) いろいろ経過もあり、また、いろいろの議論のあるところでございます。私は、五法案を一括して特別委員会に付すという党の決定により与野党で今話をしているのであります。今その段階で方向転換するとここで申し上げるわけにはいきません。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 念を押すために私は総理にお尋ねいたしますが、この国会中には総理としては必ずこの条約を批准する、批准してもらいたい、こういう御決意であるのかどうか。この問題は、もはや国際的信用問題でありまするし、池田総理の昨年の十一月ヨーロッパ旅行からのいきさつを見ましても、総理自身の信用の問題だと思いますが、あくまでもそういうお気持でこの会期の末に対処されるおつもりなのかどうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 特に今国会の初め、施政方針演説にも申し述べたことでございます。それから私の気持は変わっておりません。その後党の関係者にもその旨をたびたび申しております。今国会で通過するよう努力さしておるのであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 時間の関係でこれ以上この問題は追及しませんが、そこで最後に、総理のお得意の経済問題について一、二点お尋ねしたいと思いますが、これも先ほど来いろいろ承りまして、結局、今消費者物価の問題、物価問題というのが当面の政治、経済の一番大事な問題に登場してきたわけです。多くの経済学者あるいは経済評論家等の意見を総合しますと、結局この物価問題は、小手先の処理では何ともならない、基本的なかまえとしては、やはり池田内閣の所得倍増あるいは高度成長政策というものに対する一つの反省がなければ、いかんともこの問題は乗り切れないであろうというのが、一般的な私は見方だと、こう思うのです。ことに私は、今の経済成長は設備投資を中心に成長を遂げております。やはり経済成長というのは、その結果に基づく社会的あるいは政治的あるいは経済的な目的に合致するというところに私は経済成長のねらいがあろうと思うのです。言うならば、量的な拡大だけでなくして、経済の質的な問題というものもあわせて考慮すべき問題だと、私はかように考えるわけです。ところが、今までの池田内閣の高度成長政策というのは、資本主義の純粋の理論だけを追及して伸びれば伸びるほどけっこうだという考え方であったと思うのです。私はそれが二重投資を招き、過剰投資を招き、そうして極端な景気の変動を招いている大きな原因だと思うのです。端的にやはり私は、池田内閣が今日までとってこられた高度成長政策というその姿勢を正さなければ、物価問題の本質的な解決というものは期待できぬと、こう思うのですが、この点はどうでございましょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 池田内閣の高度経済成長政策というのは十年間倍増、七・二%の高度成長政策あるいはその範囲内における初年度以降三カ年間九%の高度成長政策で、それがいかぬとおっしゃるのでございますか。私はその点につきましてはそうたいした反発や非難は当たらないと思います。平均三カ年一七%ないし一三%、あの超高度成長政策、これは私の予期せざるところでございました。これに対する批判は、一般世論のみならず私も批判して、そういうことがあってはいかぬと前から言っておる。腹八分目にしなければいかぬということを言っておる。したがいまして、平均三カ年間一五%というのは、これは大いにためなければなりません。所得十年以内の倍増ということは、私は国の政策としてこれは堅持していくつもりでございます。その間に起こるいろんな摩擦につきましては、極力これを是正して、国際収支につきましては十分効果を上げております。  今、その次に来たった消費者物価につきましても、多年低所得者層、底辺層の労務者あるいは中小企業、農民は非常によくなったと思います。ただ一部大企業、その他のいわゆる低額所得者あるいはまた賃金のそう上がらない、あるいは何といいますか、もっとよくすべきだという議論に対しましては、ある程度非難される点があるかもわかりません。私はこの方針で続けていきたい。しこうして、この批判に対しましては、なるべくわれわれは批判に耳を傾けて、悪いところを是正すると同時に、後世の批判に待ちたいと私は考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私の端的に申し上げたいことは、七・二%とか九%とかを考えられたにかかわらず、それが一四%なり一五%になったということ、それを池田総理みずからも批判している、けしからぬ姿になったと言われているが、私は池田総理は批判する立場じゃないと思う。池田総理はみずからの経済政策の失敗がこのような結果を招いたと反省する立場に立ってもらわなければ議論がどうもマッチしないと、こう思うのです。  時間が参りましたので、私は最後に一言だけお尋ねしたいと思いますが、この高度成長政策が急激な経済成長をもたらし、その結果、種々の矛盾、摩擦が生まれてきております。特に、労働面では、第一に、それが労働力の不足を深刻化し、第二に、そのために賃金水準の上昇、ことに中小企業、サービス業において、それをもたらしております。第三に、消費者物価の異常な、しかも大幅な上昇で実質賃金を低下せしめておるわけです。まあ、こういう傾向は、先進諸国にも見られる傾向であるとはいいましても、しかし、この二、三年来の日本の消費者物価の上がり方というものは、世界第一という姿であります。こういうような段階においても、なおかつ池田総理は、消費者物価の上昇は、経済成長の範囲内であり、国民就業構造高度化の産物である、むしろこれを誇りにすら今日まで唱えておられたわけです。卸売物価さえ安定しておれば大丈夫だ、こういうような考え方で今日まできておられたわけでありまするが、この考え方は、今もなお変わりないのか。変わりないとすれば、何も今、騒々しく内閣が物価問題に取り組むという態度も、あるいは経済企画庁に物価問題懇談会を置かねばならぬとか、あるいは物価庁を設置するなどということも、これはおかしい話だと思いますが、こういうような消費者物価の上昇は、経済成長の範囲内であり、国民の就業構造高度化の産物であるというような手放しの楽観だけではもはや許されない段階にきておるので、あらためて物価問題に政府は真剣に取り組む姿勢を今作りつつあるのだ、このように理解してよろしいかどうか、それを承っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今ごろ取り組み出したのではございません。昨年の四月、十三項目にわたる総合物価対策を講じたのもそれからでございます。私は過去一年半、二年前からこれを言っております。ことに、最近の問題の生産性と賃金の上昇、生産性を上回る賃金の上昇というものは、おととしの暮れにもう私は言っていることでございます。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 田畑委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、須藤五郎君。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私の割当時間はきわめて短いので、一括質問をいたしたいと思います。総理のお手元に項目別質問要項を差し上げてありますので、一つ一つについて明確な答弁をしていただきたい、このことを初めに要求して、質問に入ります。  問題は、アメリカの原子力潜水艦日本寄港問題であります。  政府は、先日、中間報告なる文書を発表いたしましたが、これはわが党を初め、国会と国民の要求している日米往復文書の原文の公開ではなく、外務省のごまかしの宣伝的作文にすぎないもので、絶対に認めるわけにはいきません。政府は、原子力潜水艦日本寄港に関するアメリカの要求は、安保条約に基づくアメリカの権利であり、日本の義務であるという立場をとっています。大平外務大臣の談話でも、政府としては安保条約により、その寄港に異議を唱える筋合いではないと言っており、国会答弁でも、しばしば安保条約上許可するとか許可しないとかの問題ではない、こう言っておるのであります。政府がこういう立場に立つ限り、事態はまことに重大になります。  第一に、この原子力潜水艦は、安保条約と地位協定、つまり行政協定によって、他の在日米軍と同様に、包括的な権利、権能を持つことができることになります。  第二に、したがって、この原子力潜水艦は、一年中日本に出入りし駐留し得ることになるし、これを条約上、日本政府は拒否できないことになります。中間報告で一カ月に一回、一週間くらいなどと言っていることは、単にごまかしにすぎません、また、この原子力潜水艦は、中間報告でいわれている横加賀、佐世保だけでなく、たとえば神戸港でも、大阪港でも、どこでも在日米海軍基地には、アメリカの都合で自由に入港することになりますし、日本政府は条約上拒否できないことになります。  第三に、政府の見解によれば、在日米軍基地は、すべて直接、戦闘、作戦行動に使用する以外は、事前協議の対象にならないことになっています。その考え方でいくと、原子力潜水艦基地は、少なくとも直接、戦闘、作戦行動以外の軍事基地として使用することができることになります。だから、中間報告のごとく、乗組員の休養と補給のための寄港などということは、全く欺瞞にすぎません。しかも、実際には、潜水艦基地が戦闘、作戦行動に使われているかどうかということを認定することは、現実的に不可能であるばかりか、アメリカの原子力潜水艦は、軍の命令によって、常に臨戦体制に置かれていることは、天下周知のことでありますから、実際には原子力潜水艦の基地が、戦闘、作戦行動に使われることは、きわめてはっきりしていることであります。  第四に、さらに重大なことは、この安保条約第六条は、「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」となっています。つまり、政府がアメリカの原子力潜水艦寄港要求を安保条約上当然の権利であり、日本の義務であるとする限り、政府の宣伝とは全く逆に、在日米原子力潜水艦基地は、恒久的基地として、極東の平和と安全、つまりアメリカの極東戦略のための軍事基地となるのであります。これは明らかにアメリカの核戦略、極東戦略の一環として、日本が縛りつけられることを意味します。このことは、政府の中間報告にも、その一端が現われております。中間報告の寄港目的には、日本の安全のためという言葉すら見当たりません。これは、今回の原子力潜水艦の寄港が日本の安全と何のかかわり合いもないことをはしなくも暴露しているのであります。問うに答えず語るに落ちるということは、このことだと思います。  以上私の四項目にわたる指摘を、政府は、安保条約及び行政協定上はっきり否定できるかどうか。もし否定できるならば、その根拠を明確に示していただきたい。  最近の池田内閣の政策は、アメリカの核戦略に基づく対日要求を積極的に受け入れ、これを進んで実行しています。そのために安保条約をあの手この手でごまかし、抜け穴を拡大し、安保条約のただ一つのごまかしである事前協議すらかなぐり捨てておるのであります。この政府の態度は、日本の平和と安全をますます危険なものとしています。これに対し、当然のことながら国民はあげて反対をしております。私は、明らかに核兵器である原子力戦水濫やF105戦闘爆撃機の日本配置を政府が即時拒否するとともに、進んで日本国民の災いの根源である安保条約を破棄することを要求し、答弁を求めるものであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 外務大臣の日米間の交渉経過は、ごまかしものではございません。また、安保条約を守ることは、日本国民の義務でございます。しかしてまた、日本国民の核爆発に対しまする非常な不安も、私はだれよりも劣らないほど考えております。したがいまして、安保条約を守りながら、日本の国民の感情を考えつつ善処しようとしておるのが、今の状態でございます。詳しくは関係大臣よりお答えいたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 安保条約の交換公文における事前協議の対象は、そもそも須藤さんも御承知のように、重要なる装備の変更とうたってございまして、私どもは、単に原子力を艦船の推進力としておる潜水艦あるいは近代化いたしましたF105というようなものは、これは兵器の近代化の当然の帰結でございまして、これは重要なる兵器の装備の変更であると、かように解釈はとっておりません。  それから第二点として、あなたはアメリカの極東戦略との関連において今度の問題を評価されておるようでございますが、私どもさようには考えていないのでございます。今申し上げたように、時代の進歩とともに通常の兵器が近代化しておる一環としてこのようなことが行なわれておるにすぎないわけでございます。言うところのアメリカの核戦略は、これは戦争をやるためのものではなく、戦争を抑制するためにやっておることでございまして、私どもそれをかたく信じておるわけでございます。こういう抑制力があればこそ、今日ただいま私どもは平和を享受いたしておるわけでございまして、これは日本を防衛し、日本の安全を守るために営々としてやっておるわけでございますので、核戦略の一環として日本の基地が使用されるというような事態を抑止するために、抑制するためにこそ、私どもは努力しておるという点を御了承いただきたいと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 僕の質問の中心点に答えていないと思うのです。あなたたちは、ポラリスが来るのも、F105戦闘爆撃機が来るのもこれは安保条約の手前、問題にならないんだ、こういうふうに答えて、安保条約、行政協定の結果、日本が断わる筋合いのものでないということをあなたたちは言っているんです。そういう筋合いならば、一月に一ぺんとか二月に一ぺんとか、それも一週間、そういうことで日本へ来るんではない、アメリカが来ようと思うならば、毎月でも毎日でも補給と静養に名をかりるならば来ることができる、そういうことになっておるのではないかということを私は中心として質問しているのです。それを一月に一ぺん、二月に一ぺん、一週間ぐらいしか来ないなどと言っていることは、これは国民をごまかすことであって、実際は毎月でも毎日でも来ることができるのではないか。それを日本政府は拒否できないのではないか。それは安保条約、行政協定の手前、拒否できないのではないか。アメリカが来ようと思ったらできるのじゃないか。もしもそれを拒否することができるというならば、その拒否できるところの根拠をここで示してもらいたい、こう私は言っておるのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 安保条約上、重要な装備の変更でないという判断に立っておりまするから、須藤さんおっしゃるように、事前協議の対象になるものでもございませんし、私どもはこれを拒否するという立場にないことは、あなたも御指摘されたとおりでございます。  それから寄港の目的、頻度等につきましては、先方に照会いたしましたところ、そういう返事がございましたので、そのまま申し上げたわけでございます。これを国民を欺瞞するものであるとかいうようなあなたの御指摘でございますが、私どもも国民多数の支持を得て政局を担当いたしておるわけでございまして、国民を欺瞞するなんという大それたことは釐毫も考えておりません。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 時間が参りました。須藤委員の質疑は終了いたしました。  それでは、本日はこの程度にいたしまして、明十一日午後一時から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十四分散会

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