予算委員会 第19号
- 発言数
- 187 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1963/03/29
会議録
○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。市川房枝君。
○市川房枝君 前回に続いて、選挙及び政治と金の問題、売春問題、女子の労働問題等について伺いたいと思っておりますが、その前に、現在行なわれております都知事選挙について、ちょっと自治大臣にお伺いしたいと思います。 私の関係しておりまする婦人団体が、青年団体と一緒に、告示の日に、東、阪本両都知事候補者の事務所を訪問いたしまして、公明選挙をやって下さいという申し入れに参りました。そのとき入口で、「応援弁士資料」という謄写版刷りのものを三枚もらって参りました。これは、道を通る人にも配っておいでになっていたそうでありますが、それには「応援弁士資料」とは書いてありまするけれども、やっぱりこれは文書違反ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。 それから、この資料の内容が、阪本さんの個人攻撃のものが多いのですが、これは勢いそういうことになるのかもしれませんけれども、そういう選挙の争い方は、どうも公明選挙には反する、望ましくないと思いますけれども、大臣の御意見を伺います。
○国務大臣(篠田弘作君) ただいまおっしゃった点につきましては、どういう資料が配付されておるものか、今初めて承りまして、資料の内容等もわかりませんが、各党ともまちまちな応援をやらないために、おそらくそういう資料を作ったものと思われます。中に個人攻撃の点があるといたしますれば、政策の争いを主とした選挙でありますから、程度によりましては選挙民がそれを判断するであろう。あまりひどい個人攻撃のようなものがあれば、選挙民のほうが賢明でございますから、そういうことは選挙民が判断すると思います。 何しろ今初めて承りまして、どういう資料がまかれておるかということは、私存じておりません。
○市川房枝君 この資料はここにありますから、あとでお目にかけます。有権者のもちろん判断によりますけれども、公明選挙を指導しておいでになる自治省としては、やはりそういうこともお考えおき願いたいと思います。それからもう一つ、東都知事は、数日前に、例の緑のおばさんと申します、子供たちの交通の安全を守ることをやっている人たち、そういう人たちが千七百人ばかり集まりました所で、都知事としてこの制度は自分が作ったのだ、あるいは健康保険は四月から実施するのだ、いろいろそういうお話があって、自分に投票をしろと言わんばかりのことだったということを聞きました。まあこの種のことは、まだほかにも私聞いておりますけれども、これは、ある意味からいえば、公務員の地位利用ということにもなるのじゃないか。まあその候補者が現職の知事である、そして候補者であるという場合に、こういう問題が特に起こるのでありまして、これは、知事をやめてそして立候補をするということが望ましいのでありますけれども、こういう点について、自治大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(篠田弘作君) どういう集会で東知事が述べられたか、これも今初めて承りまして、よくわかりません。ただ、自分に投票してくれるというような依頼がなければ、これは、そういう集会に出て何らかの話をしたからといって、直ちに違反になるとは思われません。
○市川房枝君 その問題はその程度にしておきまして、次には、前回申し上げておりました昨年七月の参議院選挙の結果と金の問題でございます。この問題については、総理にお伺いしたいと思うのですが、この宏池会と申しますのは、総理を支持する団体ですが、この会は、選挙に関する届出を今度もちゃんとなさっておられます。これはけっこうだと思うのですが、その宏池会のこの間の参議院選挙の費用は、四千六百二十八万円お使いになっているのですが、これは、衆議院のときと比べますと、衆議院のときには八千九百八十二万円で、大体半分ぐらい。参議院は候補者の数が少ないのですから、当然少なくなっていいと思うのでありますが、この届出の内容を見ますると、その候補者に対してまあ援助費とか、組織活動費とか、借室費とかということで金が出ております。ただ、参議院選挙のときには、前と変わりまして、御本人でなくて、その秘書の名前で支出をなさっていらっしゃるのがちょっと目につきますが、そのお名前は一応保留しておきますが、そこで、そういうふうに宏池会という一つの政治団体から選挙に対して援助の支出をなさいました金が、そういう方々の選挙に対する報告届出に入っていないのでございます。この前も調べましたら、入っていない。今度も入っていないのであります。そうしますと、これは、この間主税局長の答弁にありましたように、書いてあれば税金は要らないけれども、もし届出がなければ、やっぱり所得税を払わなくちゃいかぬ、こういうことになると思いますけれども、総理は税金のことはお詳しいのですから、それは一体どうでございますか。
○国務大臣(池田勇人君) あなたがお話しになっておりますように、宏池会というのは池田勇人を後援する政治団体でございますが、内容については私は存じません。向こうがやることでございます。これはお聞きになるのが筋違いでございますまいか。私は後援会をこしらえられたが、しかし、私は直接選挙費用を出してもらっちゃおりません。向こうの宏池会の代表者がやることでございまして、私は存じません。
○市川房枝君 そういうことに表向きはなるのかもしれませんが、しかし、全然報告をお聞きになっていないとはちょっと思われないのですが、これは池田さんの宏池会だけでなく、ほかの方々のいわゆる派閥の組織も結局同じようなことになりますか、そのほかの方の場合でもやはり届出が出てないのですけれどもね。で、これは、——何といいますか、国民の場合には非常にこまかくやかましく国税庁から取り立てられる。そういう国民の立場から見ますと、相当大きな金が政治家にといいますか、候補者といいますか、出されておるのに、それが税金を免がれているということでは、私は国民はちょっと納得しないと思うのですけれども、これはどうでございましょうか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は自民党の総裁になりまして、宏池会には一切足を入れておりませんし、また、経理の内容も一度も聞いたことはございません。ほかの会のことは存じませんが、所管の大臣から答えさせます。
○市川房枝君 私は、今は宏池会のことを伺ったのじゃなくて、宏池会を初めそういうふうになっているのだけれども、それは総理といいますか、あるいは自民党総裁でもいいんですが、そういうふうに税金を払うべきものがもし払わないでいったとすれば、それをどうお考えになるかということを伺っているのです。
○国務大臣(池田勇人君) やはり事態を見て、経理の内容その他を見ないと、ここで初めて聞いたことで税法上の解釈を下すのは少し早過ぎると思います。どういう支出の形式をとっておりますか、これは私は税法は少しは知っておりますが、事態を知らぬのに、この税法上どうと言うわけにいきません。専門家にお聞きになったらいかがかと思います。
○市川房枝君 それじゃ、税金の問題はまた別の機会に伺うことにしまして、次は、もう一つ総理に、今度は選挙だけでなく、政治団体と金の問題について伺いたい。 私は今まで主として選挙と金の問題について少し調べてきたのですが、今度は各政党、派閥、いわゆる政治団体の政治資金といいますか、それをこのごろ少し見ておるんですが、今出ておりますのは、三十七年の上半期のが出ております。それを見まするというと、政党の支出についても問題があると思いますが、特に私は自民党のいわゆる派閥八個師団とよく世間で言っておりますが、その金の収入、支出の点で私はずいぶん問題があると実は考えさせられております。たとえば三十七年の一月から六月の末までが上半期でありまするけれども、その間の——今池田さんは知らぬとおっしゃったけれども、宏池会は一億九百二十二万円収入がありました。河野さんの第一国政研究会は一億四千七百八十万円、三木さんの新政治経済研究所は七千八十五万円、石井さんの蓬庵会は五千百八十五万円、津さんの十日会——これは解散されましたけれども、上半期には四千五百六十万円、藤山さんの国際政治経済文化研究会は四千百六十二万円、佐藤さんの岡山会は一億九千三百七十八万円、大野さんの睦政会は六千三百九十二万円というふうな収入になっておるのですが、この収入はいずれも財界の、大会社といいますか、銀行から出ておって、そうしてそれはどの会派にも寄付されておる。もちろん会派によって多いところと少ないところがありまして、それによってどの会派はどの会社が支持しているというようなことが出てくるわけでありますが、そういうのを発見する。それから支出のほうを見まするというと、その中で飲食費、まあ赤坂の長谷川だとかあるいは中川とか、いろいろなそういう料理屋でのツケといいますか、会計が出ております。あるいはまあ交際費というものは相当出ております。そういうのを私は拝見すると、どうもそういう金が政治活動——総理のよくおっしゃる政党活動といいますか、政治活動にそういう金が必要なのかどうか。まあいずれこれは全部整理をして分析してまたお目にかけようと思っておりますが、こういう実情では、実際今の政界というのは財界に養われておるのだ、財界から金をもらってそれを使っていると、こういう印象を私は受けるのであって、この日本の政治というもののあり方について非常に疑問を持ち、残念に思うのですけれども、総理はその点どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(池田勇人君) いろいろな点でいろいろな批判がございましょうが、私は自由民主党の総裁になりましてから、いわゆる国民協会というのを作りましてそのほうに精進しております。宏池会のほうは、先ほども申し上げましたとおり、一切足を踏み入れぬ、こういうことにいたしております。国民協会のほうがだんだん私は進んでいけば、政党の政治活動毛公正にできるものだと、こういう信念で国民協会を発足し、だんだんその緒について、これをもっと推し進めていけば政治の公明化が期される、こういう方針で進んでおります。
○委員長(木内四郎君) 委員の変更について御報告いたします。 ただいま岡田宗司君が辞任され、その補欠として阿部竹松君が選任されました。
○市川房枝君 まあ国民協会のできたことは私もけっこうだと思っておりますが、しかし、派閥からは国民協会には金が入っていないのですよ。みんな財界から直接に入っている、こう私は拝見をするのでありますが、まあこの派閥の問題は総理もお考えになっていると思いますけれども、何とかひとつこういうものはなくして、政党一本で活動なさるように希望したいと思います。 次は売春問題について、総理、法務、警察庁長官にお伺いしたいと思います。 昨年の暮れでありましたか、自民党の広報部長をしてあられます小泉純也氏がテレビで、赤線を復活したほうがいい、こうおっしゃったので、婦人団体から公開質問状というようなものを出したようですけれども、とうとう逃げられてしまったといいます。総理はそのことを御存じかどうか知りませんけたども、一体赤線を復活できるかどうか、していいのかどうか、まあそれについての御意見を伺っておきます。
○国務大臣(池田勇人君) これは売春禁止法ができているのに、私はそういうことはよくないと思います。しかし、民主主義の時代でございますから、いろいろの議論はございます。私には復活の考えはございません。
○市川房枝君 まあ総理御存じのとおりに、日本は国際連合の人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する国際条約というものを三十三年に批准しておりますから、その限りにおいては、日本は現在の売春防止法を緩和したり、あるいはこれを廃止したりして、いわゆる赤線を復活するということは、これは私はできないと思うのでありまするけれども、しかし、政治家の間にそういう議論があるということは、私はやはり非常に問題だと思う。せんだって、前の自民党の法務政務次官でありました松原一彦さんから私に対して、このごろ政治家の間にオリンピックが来るから赤線復活したらいいという議論があるぞと、こういうことなんです。私どもはむしろ、オリンピックが来て、そうして世界から青年たちが来るので、そういう人たちに性病というおみやげを持たして帰していくのではまことに申しわけない、日本の恥だからぜひこの問題をもっと真剣にやってほしいと、こういうのとまるで逆なんでありますが、で、もう一つこの復活論については、四月の文芸春秋に、黒岩重吾氏が「売春新残酷物語」というのをお書きになっております。今、暴力売春団が強力に組織されて、そうして女たちを悲惨な境遇に追い込んでいる。そこで、その結論がですね。人身売買も搾取も伴わない赤線を国が完備したらどうだ、こういう意見を出しておられます。私は、赤線の復活ができないというのだったら、そういう事態を一体どうしたらいいのか、問題があることは私も十分承知をしているのでありまするが、私は、政府が、総理が、といいましょうか、この問題についてもっと確固たる方針をお示し下さって、そうして総理の陣営の中から、復活論なんか出てこないようにしたいと思いますし、この際私は、やはりもう一ぺんこの問題を再検討する、前向きの姿で再検討することが必要でないかと思うのですが、それについて総理並びに法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 再検討するという御質問の趣旨がわかりませんが、われわれは、売春禁止法は、これはまあずっと続けていく、しこうして今の実態を聞くところによりますれば、そういう議論が起こったり、そういう社会悪がまだ根絶できないというもののおもな原因は、やはり麻薬の関係だと思います。そこで私は、そういう社会悪の起こらない、また起こった場合にも、これをとめ得るのには、やはり麻薬の撲滅が一番の近道だというので、政府がこの麻薬の取り締まりにつきまして極力力を入れておる。これがやはりこの問題を具体的に、また現象的にやめさすような一番のいい方法だ、こう考えて、売春禁止に関係のある重大施策としての麻薬の取り締まりを始めておるのであります。
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。 、再検討してはどうかというお尋ねでございますが、おそらく売春禁止法の改正を指摘されておると思うのでございまして、そういう声がございますので、法務省といたしましては、事務当局に命じまして、同法の不備欠陥等の調査検討を命じておるのでございます。先ほど市川さんの御指摘どおりに、この法律が国際水準から見ましても相当に程度の高い考え方から立法されておるということでございますので、これをたとえば単純売春のようなものまで直接取り締まることができるようにしたらどうかという議論もございますけれども、これにつきましては、いろいろなまたかえって害をまき起こすような点等もございますので、非常に慎重を要すべきだと思うのです。 それから、先ほど総理がお答えがありました、非常に悪質なものに対しましては、今の法律の運用によりまして、取り締まり当局の熱意と申しますか、これで十分やれると思うのです。問題は、法律の改正もさることでございますが、経済的、社会的、教育的、衛生的、やはりそういう諸条件等を勘案いたしまして、転落していく婦女をいかにして防止するか、こういうこと等を考えた総合的な政策が必要であろうと、かように考えておるのでございます。
○市川房枝君 総理が麻薬の問題が非常に関係があるとおっしゃって、それは私どもも認めております。だから、その麻薬のほうをやって下さったのは、たいへんけっこうだと思うのです。しかし、麻薬を取り上げたから売春が解決するわけではなくて、これは、売春は売春の問題としてやはり考えていただきたい。今、法務大臣がおっしゃいましたけれども、私が法の再検討と言いましたのは、やはり法の改正といいますか、現実の状態と法とを比べてみて、そして今の法でいいのかどうかというようなことなんかを少し本気でやっていただきたい、こういう意味でございます。法務大臣の今の御意見は、法改正といいますか、私が今申し上げたような線でひとつ十分やっていただきたいと思います。 それから、せんだって映画「温泉芸者」が問題になったことは御存じかと思いますが、製作会社あるいは映倫は、あの映画をごらんになりませんとわかりませんが、あれは風俗喜劇だと称している。私ども見ましたら、あれはすべて売春防止法違反であります。その中で、売春防止法のいわゆるざるの穴がここにあるぞということをちゃんと教えておる。そうしてそれを非常にからかっているというようなものでございまして、一体その法律というものがあるのか、あるいは日本は法治国家なのかという疑問さえ持ったのでありますが、これは、一方からいえば、取り締まり当局の手薄といいましょうか、ということをあざ笑っているということにも私はなるかと思うのですが、警察庁、長官、あるいは保安部長でもよろしいですが、この映画をごらんになりましたなら、その感想と、それから今後の取り締まりについての意見を伺いたい。
○政府委員(野田章君) 映画の「温泉芸者」につきましては、私も見ておりますが、お話のとおり、これはやはり売春防止法というものを無視している、あるいは軽視しているという感じがいたします。あの中にあります形態というものは、確かに売春防止法による管理売春あるいは売春の契約、あるいは売春のあっせんという、あらゆる違反を含んでおるわけでございまして、ああいう事態というものに対しましては、その実証のあがる限り厳重に取り締まって参りたいと考えております。
○市川房枝君 次は、企画庁長官に、人的能力政策に関する婦人労働問題をちょっと伺いたいと思います。この一月十四日に、経済審議会の会長の石川さんから総理大臣に対しまして、人的能力政策に関する諮問に対して答申があったようでございますが、これは、いわゆるマンパワー部会の報告だと思うのですが、人口の半分を占めております婦人の能力を経済、社会のすべての分野において活用することは、人的能力政策の重要な課題の一つだと思いますが、この報告では、婦人の労働力をどういうふうに評価し、どういうふうに活用しようとしているか、簡単にまとめてちょっと伺いたいのです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 人的能力の活用につきましての答申は、ごく簡単に御紹介をいたしますと、ただいま御指摘のように、婦人は人口の半分を占めておるが、従来母として、あるいは妻としてのいろいろな制約、及びわが国に在来からございました一種の特殊の既成観念からして、職業の機会を与えることが十分でなかった。そこで、今後の問題としては、第一に、経済情勢の変転によって、第一次産業から労働力というものは第二次ないし第三次産業に移りつつあり、及び技術革新ということが起こりつつあるので、これらはいずれも、肉体労働力というものに従来ほどたよらない種類の新しい職業というものが生まれつつある。他方において、婦人の教育水準が高くなり、相当高度の教育を受けている婦人も多くなっているし、職業意識も高揚しておるので、この二つのことから考えて、将来にわたって婦人が職業の分野に大いに活躍をする環境というものは徐々に生まれつつあると考える。そういう環境において、国としてなすべきことは、一つは、そのような婦人の職業意識の高揚あるいは環境の整備等について大いに努力をすること、それは職業訓練をも含むわけでございますが、またそういう問題についての啓蒙、情報の提供などを行なう必要があるし、また企業においても、これは雇用者としての政府も同じでありますが、雇用者の側においては単なる性別ということから差別を設ける考えをやめて、そのような婦人の労働力に対してそれに適した配置あるいは昇進の方法、そういうことについて十分考慮すべきである、こういうことを答申をしておるわけでございます。
○市川房枝君 その答申の要旨といいますか、婦人に関する問題について政府としてはそのうちのどれをおとりになるか、いつから着手をなさるといいますか、そういう具体的なものがございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この答申は非常に将来にわたって意義の深い答申であるというふうに考えておるわけでございまして、閣議にも報告をいたしまして、当然政府各機関、いろいろ関係省も多いことでございますが、これから婦人の職業の問題を考えていきます上に、全面的にこれはいろいろな機会に引用され、かつ施策の基本になっていくものであろう。私どもの役所としてはそういうふうに考えておるわけでございます。
○市川房枝君 何でも聞いておりますところでは、いわゆる政府の所得倍増政策に対しての労働力をお考えになった場合に、四十五年をピークとして若年労働者が減ってくるだろう、そうするとその穴埋めは婦人の中高年層をもってこれを補充しなければならぬ。こういうふうなことを聞いているわけですけれども、そんなふうなことも出ています。四十五年といいますと、まだだいぶ先でありますけれども、私ども婦人側からいうと、さあ労働力が足りないからといって、いきなり家庭にいる婦人を引っぱり出されても困るので、もっと早目に、そういう見通しがあるならばどういうふうにするか具体的に着々と進めていただきたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 直接には労働大臣の御所管かと思いますけれども、所得倍増計画を立てますときに、目標年次において婦人の就業人口に占める比率がはたしてただいまから低下の線をたどるであろうか、あるいは比率が大きくなるであろうかということは多少議論されたようであります。しかも、その議論が必ずしも一つにまとまりませんで、片方においては男子の所得の水準が高まるから、したがって家計補助的な意味での婦人の労働は減るのではないかという意見があり、また他方においては、しかしわが国の経済構造が変わりますので、むしろ婦人の就業率というものは高まるであろうというような議論がありましたようでありまして、いずれとも所縁倍増計画では示しておりません。しかし考えてみますと、確かに経済構造が変わりつつございますし、若年労働力が減ること、それは仰せのとおりでございますけれども、それよりもむしろ婦人の教育水準の向上、それから労働内容が肉体労働からそうでないものに明らかに移行しつつあること、職業意識の向上、それから何といっても所得が高くなってきておるということから考えて、婦人の就業率というものはどうも私は高くなるのではないかという印象を持っております。これは男子が減りますその穴埋めをするといったような考え方でなく、むしろそういう考え方はもはや通用しませんで、やはり適性を持った者に適職を与えるという、そういう形での教育及び職業訓練を通じての対等といいますか、性別のハンディキャップがない形での婦人労働力というものが考えられていくのではないか。穴埋めをするために余っている者を動員するというようなことではございませんし、またそういうことではおそらくは職業につけないだろう、そういう種類の経済構造になるだろうと考えられるわけでございます。
○市川房枝君 今長官もおっしゃいますように、将来私ども婦人の就業率はやはりふえると思っております。ところが、その受け入れ態勢が、若年はいいのですけれども、そうでない中高年層になりますと、なかなか婦人は就職できない。そういう雇用者の側である政府でも、例の上級試験を。ハスしましても、官庁がなかなか女だからというので採用しないという現象もあること、それから男女平等に試験が受けられることになっておる今の人事院の中級、初級の試験では、婦人を何か除外しているというようなことで、婦人有職連盟という団体が抗議を申し込んだという事実もございますし、政府の婦人に対する採用というものの人数もあまりふえませんし、またお茶くみ程度のはあるんですが、管理職といいますか、そういう方面のは終戦直後に比べましてもむしろ減っていると思う、ふえていないんです。だから、そういうふうな政府の婦人に対する現状といいますか、あるいはもう少しさかのぼれば文部省は婦人に家庭科というものを——もちろん家庭科は家庭科でいいのですけれども、男のほうは職業、婦人のほうは家庭科ということで、むしろ婦人を家庭に帰すといいますか、うしろ向きのような考え方で教育が行なわれているように感ずる点もあるのです。だから、そういう点も含めて私は、婦人の労働というものを新しい経済秩序というか、新しい機械革命の上でもう一ぺん考え直すというようなこと、これが必要でないか。これはどこがそういうことを、もしやって下さるならばやって下さるかわかりませんけれども、これも真剣にひとつそういうことと取り組んでいただきたい。今のマン・パワー委員会の中で婦人の問題が論議されたのですけれども、婦人の問題は問題として、それこそ男とは区別いたしまして、いろいろな問題がありますから、これは別個にまた考えるべき必要があるんじゃないかと思いますが、それは総理大臣もいかがお考えでございましょうか、総理と企画庁長官の御意見を伺います。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私どもの長期の経済計画と申しますか、見通しから考えますと、家庭もむろん大事でございますから、それを全然ないがしろにするということではございませんが、そのときになって足りなくなったから穴埋めに婦人を使おうというような心がまえでおりますと、そのときになって国民経済全部が非常に困るだろうということは明らかだと思います。
○市川房枝君 時間がなくなりましたから、あと一つだけお許しを願いたいと思います。 これは労働大臣に伺いたいのですが、今度国会に職業安定法及び緊急失業対策法の改正案が出ております。いわゆる日雇い労務者の固定化を防ぐというような案がこしらえられておるようであります。その日雇い労務者三十六万人くらいの中の約半数、十五万何千人というものが婦人でありまして、しかも未亡人だとか、あるいは体の弱い人だとか、中高年層の婦人がそこにたまっておるわけであります。それで労働省はこういう婦人たちをどういうふうにして再就職させるのか、訓練して下さるのか、幾ら考えて下すっても結局残ってしまうのじゃないかというふうに心配するのですが、その点をちょっと伺います。
○国務大臣(大橋武夫君) 仰せのごとく、現在失対事業に従事しておられまする婦人就労者につきましては、大多数が未亡人であり、したがって母子家庭の方、前職経験のない方が過半数を占めておるような状況でございます。したがいまして、男子に比べまして一そう就職が困難であると存ずるのであります。しかし今回の失対事業の改善につきましては、できるだけ就職させるということが建前になっておりますので、婦人の特別の対策としまして約一億円を計上いたしまして、千五百六十人に対して家事サービスの訓練を大都市地域を中心としてやってみたいと思っておるのであります。しかし一般的にはこれは直ちに行ない得ませんので、さしあたりは地区々々によりまして婦人に適当した仕事を考えまして、そのほうで失対事業として続いて就労いただきたい。特に保育所の保母の助手的な仕事、こういうような仕事について今調査をいたしております。
○市川房枝君 まだ少しありますけれども、また別な機会に……。
○委員長(木内四郎君) 市川委員の質疑は終了いたしました。
○委員長(木内四郎君) ただいま阿部委員から選挙法等に関しまして発言を求められておりますので、この際特にこれを許可いたします阿部君。
○阿部竹松君 ただいまから若干時間をいただきまして公明選挙の点についてお尋ねいたしますが、四、五日前に衆議院におきまして公明選挙に関する決議がなされました。ところが地方選挙が始まると同時に、常に新聞に記事が載っておるわけですが、選挙違反にかかわるらしき報道が常になされておるわけです。特にけさの産経新聞に出ておる記事等に至りましては、相当問題点がございますので、これから総理大臣並びに自治、あるいは法務大臣にお尋ねするわけですが、お尋ねする根拠として選挙法の第百三十八条の三、「何人も、選挙に関し、公職に就くべき者を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。」次にこれに関連いたしまして、第百四十八条になりますが、前段ははぶくといたしまして、「新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由」という条文の中に、「但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」このように公職選挙法に明確になっておるわけですが、特にはなはだしい、けさの産経新聞によりますると、大阪の場合には三百六十万人のうちの千名の人から世論調査をした。東京においては約六百万の有権者の中から千名の方々の意見をきいて、これが世論だということで出しておるわけであります。私は、当然この今朗読いたしました選挙法に適用されるというように考えておるわけですが、総理大臣並びに法務大臣の御見解を承りたいわけであります。
○国務大臣(池田勇人君) 人気投票ということがいかなるものかということがキー・ポイントだと思います。私は新聞社の行なう世論調査というものは人気投票というべきものではないのじゃないかと思いますが、法律問題でございますので、関係の大臣よりお答えいたさせたいと思います。
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。産経新聞に報道されました東京都知事の選挙につきましての記事でありますが、私も拝見をいたしまして、つまり人気投票と世論調査という見解の分岐点でありますが、これが法律上の公職選挙法の違反になるかならないかということは、世論調査の場合には、内容に虚偽の報道をしておる、故意に報道をされておるというような点はやはりまぎらわしい問題として、私これは指摘されると思うのでありますけれども、単に世論調査が従来のように正確に行なわれたものであるということであれば、これは人気投票とは全然内容を異にするものでありまして、公職選挙法の取り締まりの対象になるとは考えられません。
○阿部竹松君 総理大臣並びに法務大臣の御答弁は、私の朗読いたしました第一項の、第百三十八条の三の点について人気投票云々という条項だけの御答弁なんです。私は、その次にお尋ねいたしましたとおり、百四十八条に「新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由」という項目に当てはまるのではないかということをお尋ねしておる。大百万の有権者、これが東京都の有権者なんです。その中から千人の方々の世論を調査して、これが正しいとおっしゃるのですか、法務大臣。
○国務大臣(中垣國男君) 御承知のとおり、世論調査の形におきまして記事が報道されますことは、従来におきましても同じような形のものは黙認されてきたわけであります。ただ世論調査の場合に、先ほど申し上げましたように、捏造されたり、故意あるいはまた誤った記事が報道されるということであれば、私はまぎらわしい行為として指摘されると思うのでありまするけれども、いわゆる世論調査が正確に行なわれておる、それを言論の自由という立場で報道されるということは、選挙違反になるとは考えておりません。
○阿部竹松君 虚偽という条項について今答弁があったわけですが、「事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」と、こう書いてある。六百万近い有権者の中の千人の人の世論を調べて、どちらが有利とか不利とかいう、そういう世論、これが正しいという記事は、これはもう当然法にかかりますよ。どうですか、その点。
○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。千人の人を対象にして世論調査方式によって聞いたのでありまして、もし千人を対象にして調べたにもかかわらず、六百万人のこれが意向の反映だということになりますならば、あなたの御指摘のとおりであると思います。ただこの際は、六百万人のうちの千人の人の意向を明らかにしたのでありますから、それ自体が事実を歪曲したものであるとか、あるいはまた故意に報道されたものであるとか、そういうふうに解釈するのは妥当ではないと思います。
○阿部竹松君 法務大臣の御答弁が、私はその新聞を見ていませんということを前提にして答弁されておるなら話はわかるが、私もその産経新聞を読みましたと、こういうことを前提条件にしてあなたは答弁なさっておる。そうすると「調査の方法」という方法まで書いておるわけなんです。これは当然あなたの答弁と全然食い違っておる。そうすると、したがってこれは法の二百三十五条の二の項にかかるように判断するわけですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(中垣國男君) 先ほど申し上げましたように、世論調査をいたしまして、それをごく少数の世論をもちまして全体の世論であるといったような、そういうまぎらわしい報道であれば御指摘のとおりかと思うのでありますけれども、今度の場合は私はそうではないと信じております。
○阿部竹松君 それに関連して篠田自治大臣にお尋ねいたします。さいぜんも市川委員からも質問が若干あったようですが、三月二十七日、日比谷公会堂に緑のおばさん方が集まって、東知事が出られた。しかし、そこに都の労政局長が、東さんをよろしく頼むという推薦のあいさつを行なっている。過日きまった決議等においては、高級公務員の地位を利用する選挙活動云々について、厳に戒めている。都の労政局長ですから、当然荷扱公務員になるわけですが、これは今回の決議案とどう関係がありますか。
○国務大臣(篠田弘作君) そういう事実は全く初めて伺いまして、私はそういう事実を知りませんが、もしそういう事実があれば、それは選挙違反になるものであるか、ならないものであるか、調査をいたさせます。
○横川正市君 関連して。公職選挙法は、議会で与野党それぞれ選挙の公明の実を上げるために、また、民主主義の基盤をくずさないための適正な方法を、英知をしぼって作ったのが選挙法なんです。その中で、少なくとも高級公務員の地位利用については、前回の改正法案で明確にこれは違法とされているわけです。ですから、今あなたの答弁を聞いておりますと、そういう事実は今聞いたからというけれども、千七百人の緑のおばさんが、出席した人たちが一様にそれは証人になるわけでしょう。それから、おそらくこれは一回もそういう場所に知事が出たことはないという、こういう前例もあるわけでしょう。そういう事実が明らかになっているときに、なるかならないかは検討してみましょうじゃなくて、私はそういう事実があれば、間違いなくこれは公職選挙法に違反したと、こう結論づけるのが、私は法を作られたときの議会の意思ではないかと私は思うのでありますけれども、もう一度ひとつ御答弁をいただきたい。
○国務大臣(篠田弘作君) 遺憾であるとか、ないとか、そういう個人的な考えではなしに、そういう高級公務員が法律に違反した行為があるならば、当然警察でもって調査をいたしまして、しなければならないわけであります。私は、今初めてその事実を聞きますので、そういうことがはたしてどういう内容をもったものであるかということはわからないわけであります。そこで、そういう疑わしい事実があれば、警察が調査をいたしまして、そうしてそれが公務員の地位利用であれば当然処罰される、こういうように考えております。
○阿部竹松君 ただいま質疑のような内容ですが、これに対する法務大臣の御見解はいかがですか。
○国務大臣(中垣國男君) 公職選挙法におきまして、公務員の地位利用の禁止が明らかになっているわけでありますが、ただいまのような問題につきまして、警察庁が事実を調査いたしまして、そのとおりであるということであれば、当然選挙法に触れるわけであります。したがって、そういう結果が出ましたならば、処置すべきだと考えております。
○山本伊三郎君 ちょっと関連、これにちょっと関係はないのですが、池田総理にちょっとお教えを願いたいのですが、実は地方選挙を通じて、各地へ閣僚が、また、政府の、政務次官なんか参られますと、自民党に籍のある人、あるいはそれに準ずるような人が、知事または市長になれば、中央が自民党の政府だから非常に有利である、こういう演説なりをされております。私も長い間地方自治体におりましたが、どうもその点が理解ができませんので、どういう点が有利になるのかということを具体的に二、三例をあげて、総理から御説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 有利ということは聞いたことはございませんが、私自身のことを申します。やはり同志の人のほうが意思疎通がしやすい。もちろん国と自治団体とは離れてあるべきものではございません。対立すべきものではございません。政府といたしましては、地方団体に密接に協力共同して、地方団体の育成発展をはかるべきことは原則でございます。その場合におきまして、われわれと知った人で、何でも話し合いやすい人が、常に意見の交換の機会を持たれる人のほうがよりいいと私は言っております。ベターと言っております。こういうことを、ほかの人はいいと言ったかもしれません。私はよりいいと言っております。
○委員長(木内四郎君) 今この問題ではありませんから、山木委員簡単にやって下さい。
○山本伊三郎君 それは重要な、われわれ非常に問題というよりも、われわれ理解できないのです。そうすると池田さん、こういうわけですか。自民党に籍のある人、また、準ずる人であれば話をしやすい、逆に言うと、それ以外の人では話しにくいということになるのですか、それでは私は地方自治というものは発展しないと思うのですが、私はその点、これ以上しつこく食い下がりませんが、その点は十分政府も反省しなければ、今後の地方自治の発展に大きい阻害を来たすと思いますが、個人的に話をしやすいという意味か、公人として話をしやすいという意味か、この点だけ、もう一回だけひとつ御答弁願いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 話しにくいとお考えになるのがいけない。ベターと言っているのはそういう意味です。話しにくいのじゃない。たとえば、よそでも申し上げましたが、知事会議を開いても、社会党に籍を置いている人のほうが出席率が非常に少ないです。出席率が少のうございます。それは代理は出しましょう。それから出られても、なかなかお話しにおいでになりません。私は、過去二年半の経験から見てそういうことを私は言っているのでございます。しかし、おいでになれば何でも話はいたします。私は一視同仁です。ですから話しにくいというのじゃない。話がよりしよい、こういうことなんです。これは君、当然じゃございませんか。私は、このごろは総評その他の労働者の関係の人も、要求があれば常にいつでも話をしましょう。こういうふうになってこなければいかぬ。そうならないのが実情だということを私は言っているのです。
○阿部竹松君 私どもが国会でいかに公明選挙に関する決議を行なっても、やはり行動に移し、実行しなければ何もならぬわけです。ですから私どもが率先遂行するのは当然ですが、国民のやはり理解と協力もいただかなければならない。その国民の理解と協力の中で、新聞社がやはり一番先頭に立って、常に天下の公器とおっしゃっているのですから、一番私どもに協力しなければならぬ新聞がこういう記事を出すということは、総理にお尋ねする前に、私は産経新聞の編集者の良心を疑うわけですが、しかし、こういうことを総理大臣あっていいか悪いかということをひとつお尋ねしたいわけです。これは新聞ですから、掲載の自由、報道の自由ということもありましょう。しかし、六百万の人の中から千人、三百六十万の中から千人、この世論調査をして、片方は六分、片方は四分であるとか、創価学会がどうであるとか、さながら全部の投票の結果が終わったようなことを産経新聞が出している。私は、今申し上げましたとおり、産経新聞はきわめて遺憾な編集方法だと思いますが、総理大臣の御心境をこの際伺っておきたいと思うわけです。
○国務大臣(池田勇人君) 時代が進むにつれまして、報道機関もいろいろなことをやります。アメリカのギャラップの世論調査というものは、世界的に有名でございます。しこうして、最近に至りましては、各新聞社ともやっておられるようであります。池田内閣の批判というようなことは、もう常にやっております。しかし、これもやはり調査方法をきめてやっておられるのであります。しこうして、調査方法をはっきり書いております。これが何百万人のうちで一万人ならいいとか、千人なら悪いとか言うべきものではない。やはり世論というものは常に進んでおりますから、その調査方法を見ながら御判断なさるでしょう。私はこういうふうなことが、人気投票にはなりませんし、こういうことはやはりあっていいと思います。池田内閣の批判なんかというものは、岸内閣、吉田内閣ずっとありますが、いつどうやってどういう結果が出た、とにかくいろいろなことを調べているのが民主政治のあれじゃございますまいか。これをあまり気にかけるより、やはりこれを見ていって、お互いに自分の主義主張をもっと徹底さそうと努力するところがいいのであって、人のやったことをどうとかこうとかいうことは末の末だと思います。しかし、法律に違反すれば別だと、これは取り締まらなければなりません。私の見るところでは、世論調査としてこういう調査方法を出しておられます。そうして抽出方法いろいろな方法がございますが、これが選挙法の違反であるということは私は考えておりません、したがって、選挙法の違反とは考えておりません。したがって私は、公職選挙法ですか、私はこういうものはやはり良識で判断すべきものだと考えます。
○阿部竹松君 池田の批判も出ているじゃないか、こうおっしゃるわけですが、池田総理に対する批判は、池田さん一人だけ調べれば池田総理がどうだということはわかる。これは百パーセントわかる。しかし、私が主張して総理にお尋ねしているのは、六百万人の有権者がおる中で千人調べて、これが六百万人の意向である、六百万人の行動がこうなりますよということを書いてあるから、これはいかぬというのです。ですから、あなたが今総理大臣として御答弁になったことは、自分の批判とこう比較して御答弁になったが、そういうことになると、これがよろしいことになると法が泣きますよ。新聞社がいかに天下の公器だって、事実を捏造したり、否定したりしてはいかぬというふうに書いてあるのですから、そうすると、大阪の場合には三百六十万人のうち千人を調べて大阪はどうなりますというようなことを書くのは、全くこれは総理大臣のようによろしいということにはならない。そういうことをよろしいということなら、新聞の報道の自由という論から公職選挙法についてはこうすべきだ、こうなければならぬと、こうやった場合には、二百三十五条の二項に照らしまして罰せられますよという法文の条項は必要がないわけです。池田さんのさいぜんの答弁は私は理解しがたい点があるわけですが、それが本心ですか。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げたのが私の本心でございます。
○阿部竹松君 その次に、法務大臣にお尋ねいたしますが、さいぜん日比谷で緑のおばさんの点についてお尋ねしましたが、今度似たようなことが大阪に行なわれているわけです。一月十五日の成人の日に、成人になられる若い成人式に臨む青年男女に対して、当時の助役、今、聞くところによると、大阪市長候補に立候補しでやっておられるそうですが、その人が西成区役所の吏員をたくさん使って、成人式に臨む若い人々に全部手紙を出しておる。あいさつ状、お祝い状、おめでとうございます。吏員を使ってそういうことをやってもいいわけですか。
○国務大臣(中垣國男君) 成人式の際に、現役の助役が、その青年の前途を祝しましてお祝いの言葉を手紙で申し述べること自体は、少しもこれは選挙法等には関係がないと思います。吏員を使ってどうかということでございますが、それは吏員が承諾をして、それに、そういう手紙の連絡に当たったものであるといたしますれば、これは何も選挙法に触れるというようなことは考えられません。
○阿部竹松君 当時市長が欠席で、助役がおやりになったというならまだ話がわかる、市を代表してやったということで。厳然として市長がおるにもかかわらず、助役の名前でその市を代表してあいさつ状を送ったということは納得できぬわけで、明らかに表面上の理由はどうあろうとも、法の精神にそむくというように私は考えますが、法務大臣その点はどうでしょう。
○国務大臣(中垣國男君) 現行公職選挙法の規定のどの箇条にそういう問題が触れるという性質のものじゃございませんけれども、政府はかねて公明選挙運動につきましては非常に力を入れておるわけでありまして、もしその人がその当時から何らかの公職選挙法による選挙に立候補されるというようなことでありましたならば、そういうまぎらわしい行為は自粛すべきものであって、ただいまのところ、法律上の何条の違反者であるというわけには参らないと思います。
○阿部竹松君 次は、篠田自治大臣にお尋ねいたしますが、さいぜんの池田さんの御答弁、今の法務大臣の答弁、二つは、質問の内容は違いまするけれども、公職選挙法、これは自治省の管轄、百四十八条に、さいぜん申し上げましたとおり、いかに新聞社が自由であっても、この点はいかぬということを書いてあるわけです。この百四十八条の解釈は自治大臣はどういうようになさっておるわけですか。
○国務大臣(篠田弘作君) 端的に申せば、百四十八条の解釈に、別に違反しておらないと思います。その理由は何であるかと申しますと、新聞の言論の自由というものは、特に言論機関のいろいろな記事の書き方、いろいろの立場においてこれは批判されております。たとえば、先般投票日の前の日に、池田内閣の世論調査というものが発表されまして、非常に人気が落ちたということを書いた新聞もあります。それから、われわれの選挙で、もうあしたが投票日だというのに、もう篠田弘作は当選しないのだということを書かれる新聞もあります。しかし、それを一々腹を立てまして文句を言いましても、これはもう実際憲法に保障された新聞の自由であるということであれば、個人的には非常にしゃくにさわることもありますけれども、法律的にはこれは別に違法ではありません。 それから、産経の場合におきましてもそのとおりでありまして、六百万人のうちから一千人を抽出してこれが六百万人の意見であると書けば、これは非常に悪徳でもあるし、同時にまた、新聞の言論の自由を乱用したものと言わなければなりません。しかし、やり方をはっきりと明記いたしまして、世論調査の方法もいろいろありましょうが、六百万人のうちから千人を抽出した、あるいはまた、三千人を抽出した、あるいは八千人を抽出したと、いろいろありますが、六百万人の意見を全部聞くわけにいかぬのでございますから、それは幾ら新聞が大きな機構を持っておりましても六百万人の意向までは聞けません。多かれ少なかれその中から何人かを抽出するということになりまして、その抽出方法を書いてあります。したがいまして、これを読んだ人間はたった千人か、こういうふうに考えます。たった千三百人か、多くたって一万人じゃないか、こういうように考えますから、新聞がこれは世論であると言いましても、読者のほうから見ればこれは千人の世論であるということはよくわかっておる。そういう面から見まして、人気投票をやって、東が人気があるか、あるいは阪本があるかというようなことをやって公表したのならば、これは明らかに百三十八条の二項に触れるわけでありますけれども、そうでないのでありますから、今申し上げたとおり、百四十八条の規定に触れるものではないと私はそうはっきり解釈しております。 それから、今の市長さんがおられるのに助役さんの名前で出した。率直に言いまして、私はそれは正しいやり方でないと思います。それは市長が出すべきものだ。市長が代表すべきものだ。しかし、そういう事柄は日常茶飯事のごとく行なわれておるということは事実であります。それが選挙違反になるかならないかということになりますと、これは法律の問題でございますから、おのずからここで私は見解を述べるべきではなく、これは警察なり検事局なり裁判所なんかがきめるべき問題である、これははっきりそう思います。
○阿部竹松君 自治大臣が日常茶飯事のごとくというお話ですから、それほど膨大であるなら大事ですが、とても短い時間で解決できませんが、それは別として、市長さんがおって助役がやった。そうすると、ほかの人がやっても差しつかえないわけですね。つまり、吏員を使ったというところにも問題があるのです。助役が出したということと、そこの市の西成区の区役所の吏員を使って、全部あて名を書かせて、公費をもって自分の名前でやったというところに問題があるのですから、その点の御見解はどうですかと、こう言うのです。
○国務大臣(篠田弘作君) 今申し上げ一ましたように、市を代表して出すとす刷れば、当然現役市長がおるのでありますから、現役市長の名をもって出すべきものである。それから助役個人として出されたものであるならば、それはもちろん自分の費用で出すべきものである、私はそう解釈いたします。それから、吏員を使うということの問題は、これはお互いの関係ですから、それはもう、ちょっと君、手伝ってくれないかと言った場合に、よろしゅうございますと言って手伝えば、これは別に何も地位利用でも何でもないです。それは吏員を使うという場合、たとえば自分の手紙を書く場合にも、君、頼む上手は下手に使われるという昔からことわざがある。背の高い者は、高いところにあるものを取ってくれとか、字の上手な者は、ちょっと手紙を代筆してくれとか、足の速い者は、ちょっと使いに行ってくれとか、そういうことは世間でよく行なわれている。だから、同じ吏員でありましても、懇意な吏員であって、(「命令したんだよ」と呼ぶ者あり)まあちょっとあなた待ちなさい。そういうことで、君ひとつ頼むというようなことで、本人がよござんす、やりましょうと言ってやったんなら、これはどうも自治大臣の管轄じゃありませんよ。
○阿部竹松君 自治大臣の管轄でないということで御答弁が終ったわけですが、そういう小さいことが、自治大臣、大切なんですよ。地方の一市といえども、一町といえども、そういうことはやはりあなたの——私も全部目が届いていると思いませんけれども、また時間的余裕もないけれども、そういうことは自治大臣の管轄でありませんということが僕は誤りでないかと思う。そういう根本の、やはり政治の根本はずっと日本全国にあるんですから、その元締めがあなたでしょう。そのはがきも、三千枚とか四千枚出したんなら僕は文句言いませんよ。吏員を使って、しかも市長がおるにもかかわらず、助役が、八時間なら八時間の拘束時間の中で膨大な数を書かしたんだから、これはいかぬのじゃないですかと言っている。ただ単に頼まれて十枚出したとか五十枚出したとか、そんなことなら言いません。しかし、膨大な数量の文書を、執務中にこれを書けということをやっておる。これは問題じゃないですか。これは自民党がいいとか、社会党が悪いとか、そういうことでなしに、選挙法に照らしてどうかと、そういうことをお尋ねしているわけです。
○国務大臣(篠田弘作君) 仕事中にそういうことをさしたということがいいか悪いかということであれば、仕事中にさせるということは、あまりいいことではもちろんない。しかしながら、今、自治大臣の監督下と言いますけれども、それじゃそういう日常の問題にまでわれわれが干渉した場合に、あなた方は、これは自治権の侵害だと言ってやはり反発するんです。だから、この場合において、私はそういう、何も子供じゃありませんから、僕らのほうから言えば、それが選挙法に触れるか触れないかという問題、あるいはまた選挙の公明化というものを害するか害さないかという問題に立って、私は公人としてそれを回答するわけであります。でありますから、先ほど申しましたように、市長がおる、その市長の承諾をもし受けないで勝手にやったとしたら悪いですよ。しかし、市長が市を代表するというのが建前でありますけれども、何らかの事情によって助役が代表したということになれば、別にそれは法律に触れないということを申し上げておる。しかし、そういう行き方は必ずしもまあほめた行き方ではないと、こういうふうに思います。
○阿部竹松君 時間が参りましたから、これを最後としますが、そうしますと、篠田自治大臣は、この新聞の記事は、六百万のうちの千人である、大阪の場合は三百六十万のうちの千人であると、したがってだれもそれをほんとうにしまい。こういうことで、ほんとうにする有権者はおらないだろうと、こういう答弁なんですね。ですから、この新聞の記事はでたらめで、取り上げてわあわあ騒ぐほうがおかしいと、こういうことなんですね。産経新聞など取り上げて、ここで、六百万のうちの千人の世論を聞いていいとか悪いとか言うことは話のほかだと、こういうふうに解釈してもいいんですか。
○国務大臣(篠田弘作君) あなたはそういう自分勝手な解釈をして、そうして私にそれを押しつけようということをやろうとしておられますが、そうではありません。新聞の世論の調査というものは、いろいろな方法がある。抽出調査でありますから、それが千人であるか、三千人であるか、あるいは一万人であるか、そういう多少数の大小はあるとしても、六百万を全部調査するというわけにいきません。でありますから、その方法が書いてあれば、読者が、ああこれは千人の調査だな、ああこれは一万人の調査だなということを判断すると申し上げておるのであって、世論調査はあくまでも厳正に行なわれたものであって、たとえそれが千人であろうと、三千人であろうと、新聞がこれを世論として新聞でまめじに書いている以上は、それはそんなものは値打がないとかあるとか、そういうことを申し上げているのではありません。ただ、千人という数字を出している。だから、別に六百万の意見だというふうにはならないだろう、こう申し上げたのであります。
○阿部竹松君 私が一方的に押しつけると言うけれども、あなたも一方的に私に押しつけている。その千人なら千人の世論がこうだと言って、千人と出しているなら僕は何も言わないのです。千人の世論を書いて、六百万人がこうなります。あるいは三百六十万人がこうなりますと書いているから悪いと言うのだ。千人が千人東さん好きだとか、千人が千人阪本さんがいいと書いているのなら、僕は何とも言わない。それが全部千人の世論調査によって大勢がきまった、こう書いているから、これはけしからん、したがって、この四百四十八条に抵触するのではないか。——大臣、今ごろ時間がなくなってから新聞を読んでも、どうもそういうことは私は遺憾ですが、百四十八条に該当するのじゃないかと言っているのだ。千人の世論がこうだと言って書いているなら僕は言いませんよ。それが全部を支配するように書いているから、僕は抵触するのではないか。特に産経新聞のお好きなような大阪府とか東京都のように、力を入れなきゃならんところは書いている。大阪の市のほうとか横浜とか、産経新聞があまり好きでないところは、顕微鏡で見なけりゃわからんようなところに書いている。あまりにも身勝手過ぎる。ですから、選挙法に違反だ、こう思うわけですね。今ごろ新聞読んで自信ありげに発言を求められたっておかしいよ。
○国務大臣(篠田弘作君) 今読んだわけじゃありません。けさ、ちゃんと読んでおります。私も十八年新聞記者をやりましたが、大体新聞の編集で、活字の大小から見出しのつけ方まで、まあ批判は勝手でありますけれども、それがいいの悪いのなんてことは、私ら聞いたことはありません。 それからもう一つ、ここに「調査の方法」として書いている、「調査の対象となった人は、東京都全域、大阪府全域からそれぞれ千人。これらの人びとが母集団の正確な縮図となるように「層化二段抽出法」で選び出した。」まあなかなかむずかしいのでありますが、そういう方法で選び出しておる。こういうことを明らかにしてある以上は、これはもう新聞の世論調査というものは、多かれ少なかれ、先ほど来申し上げているように、有権者全部に意見を聞くのは選挙だけでございまして、世論調査と申しましてもいろいろなやり方があるわけですから、その調査の方法に読者のほろが納得しない場合は、それはもうそれで、その世論調査というものの信頼性というものは読者が判断するのであって、われわれだって、当選しないだろうと書かれたって、ちゃんともう最高点で当選しているのですから、それはあまり問題にする必要はないのじゃないか。また、あまりこういうことを問題にすると、結局憲法で保障された言論の抑圧という問題になってくるのじゃないか、私はそう考えます。これはもう各自が、十分他人の言論の自由、あるいは公器である新聞の言論の自由を尊重して、自分の判断においてそれは決定すべきものである、これが民主主義である、こう思います。
○委員長(木内四郎君) 阿部委員、だいぶ時間が過ぎましたが……。
○阿部竹松君 自治大臣、あなたは新聞記者生活を十七年だとか、十八年もやられたと、自信と確信に満ちた御答弁をなさっているが、あなたは——こう言ったらおしかりを受けるかもしれませんが、十八年やったというのは、ほとんど太平洋戦争中で、ほとんど勝った、勝ったという記事しか書いておられないでしょう。今の民主主義時代になってからは、あなた、新聞記者十何年のうちにないと思う。こう言っても怒られんようにしてもらいたいのですが、私は今のあなたの言でこれはわかりました。しかし、産経新聞の今後のあり方云々とか、あるいは一般新聞のあり方よりも、法があるのですから、公職選挙法はこうしなきやならんといって、この間国会できめたばかりなんです。何回も何回もきめるが、それを実行するには、われわれがやはり率先垂範しなければならないけれども、やはり国民の協力も得なければならん。こういうことで、特に新聞の力をいただきたいと私は考えておったのです。それをこういうでたらめな記事で、千人の世論でもって東京都の六百万人が支配されるというような記事を書いているから、僕は総理大臣並びにあなたにお尋ねしたので、もう答弁は要りませんよ。
○国務大臣(篠田弘作君) いや、そんなことはありませんよ。あなたはたいへん私を若く見ていただいて、たいへん僕はうれしいわけです。私は太平洋戦争が始まったときはもう新聞記者をやめておりました。勝った勝ったなんという記事は一ぺんも書いたことはございません。答弁が、要らないというのであれば、それだけ弁明して私はやめます。
○委員長(木内四郎君) 阿部委員の質疑は終了いたしました。 これにて休憩いたします。 午後零時四十分休憩 —————・————— 午後一時四十五分開会
○委員長(木内四郎君) これより予算委員会を再開いたします。 委員の変更について御報告いたします。 市川房枝君が辞任され、その補欠として小林篤一君が選任されました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。向井長年君。
○向井長年君 日米カ漁業委員会の中間会議の模様につきまして、まず農林大臣に聞きたいのですが、三月の二十五日に、水産庁からオヒョウ漁業の船団に対して操業中止指令を出されております。この委員会は三国の協定、いわゆる条約的な委員会である。こう私たちは理解しておりますが、この中止命令を出した理由と、なおそれに対して日本政府がどういう態度をもって措置をしたか、この二点をまずお聞きしたい。
○国務大臣(重政誠之君) その日米カ北太平洋の漁業条約につきましては、昨年の年次会議によりまして、いわゆる自主的の抑止原則を適用する魚種のうちから、オヒョウ、それから東ベーリング海にありますニシンでありますが、ニシンを適用の対象魚類から除くということを昨年の委員会においてきめまして、それを三国に委員会から勧告が出ております。それに基づきまして、抑止原則からこれをはずすけれども、オヒョウについての資源の保護をいかにするかということについて、先般来東京におきまして三国の会議が行なわれておったわけであります。その委員会におきまして、大体オヒョウについての資源の保護として漁獲のやり方その他につきまして意見がまとまりまして、そのことを委員会からさらに三国に勧告をいたしたわけであります。そこで、たしか去る三月の二十五日でありましたか、アメリカがそれを受諾するということを言って参ったわけであります。日本も受諾する、ところが、カナダがまだその受諾をするという意思表示をいたして参っておりません。これは日本で、委員会の会議中に向う側の主席全権である漁業省の次官がホテルで死んだわけであります。そういうこともありまするし、またこの四月が総選挙になるという——たしか四月の七日であったかと思いますが、それが投票日になっております。そういうようなことがありまして、カナダ側の受諾する意思表示がおくれておるわけであります。ところが、私どもといたしましては、漁期が大体今月の終わりから、もう四月から始まるわけであります。そこで、漁船が出ます前に受諾の意思表示が両国からあった場合には、直ちに約束に従いましてオヒョウをとることができるのでありますから、方法等も十分打ち合わせまして、すぐ無電でそのことを知らせてオヒョウをとらす、こういう手はずでみんな出漁いたしたわけであります。ところが、ちょうど出動期にカナダからその受諾の意思表示がないものでありますから、一応そのオヒョウを漁獲する、とることを差し控えろ、こういうことの電報を打ったわけであります。つけ加えて申しますが、オヒョウはそういうわけで、現存漁獲するわけには参りませんが、その他の底魚は、油ガレイでありますとか、カレイでありますとか、あるいはメヌケでありますとかいうような底魚は、これはとって差しつかえないわけでありますから、これは従来どおり漁獲をやる、こういうことになるわけであります。
○向井長年君 この日米カナダ三国の中間会議といいますか、ここでそういう結論が出されて、これに対しましては、カナダのなくなられたそうですが、漁業次官が出席されて、これは一つの条約としての効力は発しておるものと解釈するわけですが、これがカナダのいわゆる内部実情から締約不履行のような状態を現わしている。こういう状態が現われていると思うんですが、そうすると、この委員会の性格はどういう性格になりますか。
○国務大臣(重政誠之君) これは条約ができたわけではないのでありまして、その委員会は条約に基づいて委員会ができておるのであります。その委員会できめたことをそれぞれ本国に委員会が勧告をいたしまして、そうして三国がこれを受諾いたしますれば、条約の附属書で魚種をきめておりますが、その附属書で削除なら削除の効力が発生するということになるのであろうと思うのであります。私は条約の専門家でありませんから、法律的なはっきりしたことは申し上げかねますが、しかし、委員会できめましたことが直ちにその条約の附属書の変更とか何とかいうことにならないんです。これは勧告をすることだけなんです。でありますから、先ほど申されたことはちょっと誤解があるのじゃないかと思います。
○向井長年君 条約できめられて、そして日も三月二十五日だ、操業の開始が。そういうことになると、これは十年前の条約ですね。したがって、当然これに対しましては、その期日までにこれを実施しないということになれば、少なくともその船団は二十五日に操業しようとしてもう出発し、操業の開始の時期にあたっておるわけです。そういうことになると、この条約のいわゆる履行という問題は、少なくともこれは効力を、この中間会議の決定によって効力を生じておる、こういうように私たちは解釈するんですが、大臣はどう考えますか。
○国務大臣(重政誠之君) 条約の解釈になりますから、政府委員をして御答弁させます。
○説明員(橘武夫君) 条約の規定のことでございますから、私のほうからお答えを申します。 日米カ漁業条約の七条というのに今の御質問のことに関します規定がございまして、この規定によりますると、条約の附属書に今のオヒョウが抑止原則の対象として現在規定されておるわけであります。その附属書を改正するには、その改正につきまして委員会が勧告をいたし一その勧告はすでにあったわけでございます。その勧告をそれぞれの政府が、すべての締約国から、三カ国のすべてからその勧告を受諾するという報告を委員会が受け取ると、その受け取った日に条約の附属書が修正されるという効果を発揮するということが条約の七条で規定されてございます。わが国とアメリカからはすでに受諾があったわけでございます。カナダからはまだ受諾がございませんので、その三国の受諾がそろいませんと、附属書からオヒョウが落ちるという効果は発生しないことに条約の規定ではなっております。
○向井長年君 そうなりますと、三月二十五日がオヒョウの漁獲の開始時期である、そういうことで、当日までこないということになれば、それに対するやはり損害というものが起こってくるわけです。それは日本政府がやはりカナダ政府に対して、そういう条約なり、あるいは勧告の趣旨に従って、少なくとも操業を開始すべくその船団を向こうに出した。そうして当日になってだめなんだ、こういうことになりますと、どっちかというとこれは背信的な行為になるんじゃないですか。こういう点は、大臣どうですか。
○国務大臣(重政誠之君) それはちょっとわけが違うんです。今、参事官が申しましたように、条約の附属書からオヒョウが削除せられるのは、三カ国から受諾の通知があって初めて削除されるわけであります。だから、受諾の通知がカナダからこないのでありますから、現在はやはり抑止原則の対象魚種にオヒョウがなっておるのであります。でありますから、大体条約が変わっておらぬわけですから、損害があるもないもないわけであります。 それから、なお実質的には日本から船団を出しておりますが、これはオヒョウをとるためだけに出しておるんじゃないんです。先ほどもちょっとつけ加えて申し上げましたように、従来から底魚をとるためにたくさんの船団を出しておるわけであります。で、この条約の今の附属書からオヒョウが削除せられる効果が発生しますと同時に、その船団を使ってオヒョウをとらそう、こういうふうにやっておるわけでありますから、そこで損害賠償というような考え方はちょっと生まれて参らないわけであります。
○向井長年君 そうすると、これは日本政府の責任になって参りますね。いわゆる五千トン、捕獲量のきめが、そうすると、五千トンとるために、出漁した。ところが、それを中止せよ、そうなりますと、出漁してもいいということを日本政府は認めているわけでしょう。そうすると、それに対する損失というものはやはり政府の責任になるんじゃないですか。
○国務大臣(重政誠之君) これは附属書からオヒョウが落ちた場合に、例の三カ国会議で五千トンを、はえなわでとることができる。その他でもいろいろあるわけでありますが、そういう条件がついて出漁をしておるわけなんです。しかも、それだけに行っておるのではないのでありまして、ほかのヒラメでありますとか、あるいはメヌケでありますとか、いろいろ底魚を従来ともとっておったわけでありますから、それをとるために出ておるんですから、だから日本の政府の責任とか何とかいうものでは私はないと思う。初めからそういう状態であることを承知の上で、米カの勧告受諾の返事があったら附属書から削除せられまして、その効力を発生しますから、直ちに無線をもって私どもはこれを通知しよう、こういう約束の上で出ておるわけであります。で、今回それを注意的にまだ効力が発生しないということを言ったの・は、誤解があって受諾がないのにオヒョウをとるということになりますと、条約違反のおそれがございますので、念のために私どもは注意を漁船に対していたしておるわけであります。
○向井長年君 他の魚をとるために、オヒョウが目的でない、こういうわけなんですが、しかし、五千トンという一つの漁獲量をきめられて、それに対する船団を出したということは、これも大きな要素となっているわけです。したがって、こういういわゆる捕獲の問題については三国間で、しかも三国がオリンピック競争をやるんでしょう。そういう漁獲であるならば、日にちの問題が三月二十五日ときめられておるならば、事前にそういう受諾がないということは、これは明確にわかっておるんだから、それに対して、日本政府はカナダ政府に対してどういう態度であるか、いわゆる出るまでにどういうカナダ政府の態度であるかということをなぜ明確にしなかったかということ、こういう点をお尋ねいたします。
○国務大臣(重政誠之君) 私どもは漁期に間に合うようにカナダ政府からの受諾の通知が委員会に到達することを期待いたしておったのでありますが、いろいろカナダの事情のためにその受諾の通知が来ておらないことは遺憾であります。そこで日本政府としては、先般、はなはだその受諾がおくれておることは遺憾であるという趣旨の文書を、大使を通じて向こうの政府に渡したわけでありますが、事情はそういうふうになっておるわけであります。これは損害賠償とか、あるいは日本政府の手落ちとかいうよよな問題には私はならないと思うのです。
○向井長年君 この問題は今後の問題として非常に重要だと思うのですよ。少なくとも勧告をなされ、それに対しての受諾がない。しかし期日が迫って操業に出る。そうしたその準備をするが、だめである、こういうことをいわれると、これは大きな日本としても損失になるし、したがってこういう問題については、今後アブステンションですか、こういう中で、明確にやはり日本政府はそういう問題を中心にして強くこれを出すべきでないかと思いますが、大臣の所見を聞きたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) これはただいまも申し上げますとおりに、オヒョウを附属書から抑止原則の対象魚種にしないという効力が発生しないのですから、これはどうもいかんとも仕方がないわけであります。ただ私どもといたしましては、委員会を開いて魚種の保存の問題、あるいは漁獲の問題等につきまして一応結論を得たのでありますから、すみやかに受諾の通知があることを期待をいたしておるわけであります。それが漁期に間に合わなかったものでありますから、さらに催促を今いたしておるわけであります。
○向井長年君 そうすると、大臣ね、五千トンの抑止というのは、いわゆるオリンピック競争ですから、その間やはり漁獲はその他の国が先にとってしまう。そうすると、非常にこれに対しておくれるわけですから、そのおくれただけは五千トン以上にとれるというような形の、日本政府としての態度を示されますか。
○国務大臣(重政誠之君) それは話が違うことでありまして、五千トンとれるというのは、オヒョウが附属書から削除せられて初めてそういう状況が発生するのでありますから、まだ現行条約におきましてはオヒョウはやはり抑止原則の適用魚種になっておるのです。でありますから、その漁期に間に合わないから、五千トンより上をとってもいいようなことを相談するなんて、それは話が違うわけであります。あなたの考えでは、もう委員会できめたら、直ちにその効力を発生したかのごときお考えじゃないかと思うのでありますが、条約はそうなっておらないのです。でありますから、向こうからやはり受諾の通知がなければ、オヒョウはとってはならぬということになっておるのです。条約上。そういうことです。
○向井長年君 そういうことじゃないんですよ。いわゆる条約はそうなっておっても、少なくとも操業開始の日まで船団は向こうに行って準備をしていると。本来それを中止するならば、出るまでに言うべきだというのですよ。したがって他の国はそれでとっておりますから、その三角地点においては魚がなくなる、オヒョウがなくなる。したがって五千トンというやつは、やはり量をふやしてやらなければ損失をこうむるじゃないか、こういう意見を言っておるわけです。
○国務大臣(重政誠之君) そういうことは初めから承知して出ておるのです。漁船は。それで、もしも極端なことをいえば、ほかの底魚をとることができないで、わざわざそれだけのために出るというのじゃ、これは漁業会社も考えるだろうと思うのです。まだとれるやらとれぬやらわからぬのに、それだけのために出るということでは、それは考えるかもわからぬと思うのでありますが、実情はそうではないのでありまして、従前もやはり数十隻のものが出て、そうして底魚をとっておった、それを今度は条約が改定になってオヒョウがとれるようになるというと、プラスそれがとれることになるのでありますから、それだから事情は、全然それだけのために船団が出ておるという状態ではないのであります。その点ひとつよく御了承を賜わりたいと思います。
○向井長年君 どちらにしても、やはり大きな損失をこうむっておることは事実なんですが、いわゆるこの抑止原則があるためにこういう結果になったと思うのです。この条約はことしの六月十二日にもう満了するのでしょう、したがって、次にはこの抑止政策を廃止すべきですね。これはひとつ日本政府としてやるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(重政誠之君) これはしばしば本委員会においても申し上げましたように、公海の漁業につきましては、日本政府といたしましては、魚族の保持という点、さらに公海における資源は各国が平等にこれを利用すべきものであるという、この二つの原則に立脚をいたしまして、今日まで関係各国と協力をいたして参っておるわけであります。この日米加漁業条約におきましても、こういう原則に立脚をいたしまして、そうして魚族を保護し、そうしてまた、できるだけ現行条約の緩和をいたし、その方針に従ってこれを改定をいたしたい、こういう心がまえで、そういうことを申し入れるつもりでおるわけであります。
○向井長年君 特にこういう問題がたびたび起きては困るので、すみやかに今後のこの改定時期にあたって、日本政府は抑止原則を撤廃する、こういうことに努力をしていただきたいと思います。 次に公共企業体争議に対しましての最高裁の判決が三月十五日に出ておるわけでありますが、これに対しまして、特にこれは非常に注目すべき新判例でございますので、質問を申し上げたいと思います。 もちろんわれわれは三権分立の建前から、最高裁の判決は、これは権威あるものと考え、尊重しなければならぬとは考えております。また・現状の公共企業体の労組におきましても若干の行き過ぎがあることもわれわれは認めておるわけであります。こういうような観点に立ちまして質問をいたしたいのでございますが、今回の最高裁の判決は、多くの欠陥を持つ公労法を基礎として出されたものと考えるわけであります。最高裁の判決によれば、公労法の第十七条で禁止されておる争議行為を行なった場合には、労組法一条二項の適用はないのだ、こういうことを明確にいたしておるのであります。したがって刑事罰の対象になるということを出しておるわけでございますが、これはあまりにも公労法を拡大解釈をされておるのじゃないか。したがって最高裁の判決を私たちは問題にするのじゃなくて、その基礎となった公労法の欠陥をわれわれは指摘するわけなんです。そういう意味で拡大解釈と考えないか、この点をひとつ法務大臣なり労働大臣から御答弁を願いたい。
○国務大臣(大橋武夫君) 公労法におきましては、公共企業体がその業務の運営というものが公益に重大なる関係のあることにかんがみまして、公共企業体に従事いたしておりまする従業員に対しては争議権を否定いたしておることは御承知のとおりでございます。しこうして、労働組合法一条第二項というものは、正当なる争議行為に基づく結果に対しまして一定の限度内におきまして民事及び刑事の免責を規定し、これによりまして憲法に基づく労働者の基本的権利である争議権を保護しておるわけでございます。したがいまして、最高裁の判決ですが、争議権を禁止せられておる公労法のこの公共企業体の職員に対しまして、争議権を擁護するための組合法一条二項は適用すべきでない、こういう判断をされましたのは、これは、かねてから私ども政府としましてもそう解釈すべきものと考えておったのでございまして、たまたま政府の従来の解釈が最高裁においても確認された、こう思っております。特にこれが拡張解釈であるというふうには考えておりません。
○国務大臣(中垣國男君) 公労法十七条一項の規定が、最高裁の判決によりまして、新判例として刑事免責の規定がないということになったのでありますが、これは常に政府で一貫して解釈して参りましたところと一致した判決をしておると解釈しておるのでありまして、特に拡大解釈をして裁判所がさような判決をしたというふうには考えておりません。
○向井長年君 この公共企業体の職員の当該争議行為の中で、明らかに刑法に触れるという問題があった場合は、これは別だと思うのですよ。ということは、その中で極端にいうならば人を殺したとか、こういう刑法上の問題が明確になるならば、そういう形は刑法しでいえるかと思うのであります。しかし、禁止をしているから、すべてそれに対する違反の問題は刑事罰になるのだというような一般的な考え方は、これは公労法の解釈というものを、やはりあまりにも先ほど言ったように拡大解釈しておるじゃないか、こういうことを私は言っているわけです。いかがですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 公労法といたしまして争議権を否認いたしておるのでございまして、争議権擁護の建前からできておりまする労働組合法一条二項というものは、したがって公共企業体関係の争議行為には、もともと適用がないわけでございます。この労働組合法一条二項の適用がないということになりますと、すべての刑罰法令は、なまでそのまま適用されるのでございまして、刑法上の免責理由が成り立たないのでございますから、各本条に該当する罪に対しまして刑罰が科せられるのは当然でございます。
○向井長年君 公労法の十七条で、これに違反した行為は十八条で明確に処罰規定があるわけでございます。解雇規定が。それのあるにもかかわらず、先ほど申しましたように、公労法に示されない問題については労組法の第一条二項を適用する、こういうことになっておるでしょう。そうなりますと、一般的にすべてがこの最高裁の判例にこの問題が関連するということは、どうしても解釈上おかしいと思うのですが、この点いかがですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 労働組合法の一条二項というのは、憲法上の労働権すなわち憲法上保障されておりまする争議権を労働組合が行使した場合に、これを擁護するという趣旨でできたものでございます。ところが、公労法によりまして争議権を否定されておりまする公共企業体関係の労働争議にあたりましては、もともと労働組合法の一条二項というものの適用がないわけでございますから、お示しのような解釈は出てこないと存じます。
○向井長年君 公労法の中で十七条違反行為に対して刑事罰を置いておりません。こういうことはどういう立法精神から出ておるのですか。
○国務大臣(大橋武夫君) 公労法は争議行為の正当性というものを規定いたしておるのでございまして、一般に労働組合法によりまして労働権が認められておるのでございますが、しかし公共企業体の労働関係においては、争議行為はこれは認められない、こういうことを十七条に規定いたしております。そうしてその違反行為がありました場合、すなわちこの十七条の規定に違反して行なわれたる争議にあたりましては十八条が規定されておるのでございますが、この十八条におきましては、労使関係について解雇その他の処分をすることができるということを明らかにいたしておるのでございます。したがって、刑罰法令というものにつきましては、もっともと公労法の十八条は規定をいたしておりません。刑罰法令の適用がないというのは、十七条からきておるわけでございます。労働組合法の一条二項からきておるわけでございます。その労働組合法の一条二項というものは公共企業体の労働争議においては適用すべきものではないという趣旨が、公労法の十七条によって解釈上当然に出てくるわけでございます。したがって、各木条に該当する罪は刑法三十五条の免責に当たらない、処分を免れないという解釈が当然出てくるわけだと思います。
○国務大臣(中垣國男君) 公労法の法律の本旨から見ましても、国民の福祉を著しく、阻害するという行為に対する禁止規定でありまして、したがってその争議の違反の内容というものがどうのこうのという問題は、もう全然これはないわけであります。しこうしまして、憲法二十八条の争議権の問題につきましては、これは当然政府といたしましても最大の尊重をしなければなりませんけれども、しかしながらまた一方、公共の福祉をば擁護するという建前に立ち、そういう公労法の考え方も当然尊重されるべきものでありまして、憲法の違反でもなければまた先ほど指摘されました解釈上の拡大でもない、かように考えております。
○政府委員(林修三君) ちょっと補足させていただきます。 公労法は、実は立案の当初から私どもも参画した法律でございまして、その当時の立法上の沿革からも、ただいま労働大臣あるいは法務大臣からお答えがあったとおりの実は解釈をしておるわけでございます。このことは、あれは第三回国会だったと思いますが、当時の、あるいはその後における政府委員の答弁にも実は出ておるところでございまして、要するに公労法では第十七条でいわゆる争議行為を禁止している。これに対して十八条はいわゆる民事制裁と申しますか、「解雇されるものとする。」という、いわゆる民事上の処分規定を置いてあり、刑事上の処分規定は公労法自体には置いておりません。濃いておりませんことは、これはしかしいわゆる刑事法令の評価にまかせるという趣旨でありまして、例としては郵便法とか公衆電気通信法なんという法律がございますけれども、そういう刑事法令の構成要件に該当する場合には、労働組合法一条二項のいわゆる違法性阻却の適用はないのだと、こういうふうな解釈を当時からしておるわけでございます。それで、その点につきましては、下級審の判決が二つに分かれたのは御承知のとおりでございます。両方の判決が出ております。労働組合法一条二項の適用がこの際にもあるのだという判決と、また今度の最高裁判決のような考え方で、一条二項の適用がないのだという判決と、両方出ております。今まで、一条二項の適用があるのだという説の根拠は、これは御承知と思いますが、公労法の三条に労働組合法の一条二、項の適用は排除していないのじゃないかということだと思います。これは立法当時からもこの点は議論されたところでございますが、当初の政府等の考え方から申せば、一条二項の問題は、実はストライキ行為だけではございません。いわゆる団体交渉あるいは団体協約その他の問題がございます。したがいまして、一条二項を、すべての公労協関係の団体交渉、団体協約その他のこともありますので、明文で排除するのはおかしい。それは排除しない。しかし、ストライキというものは、公労法第十七条で禁止されておりますから、禁止されたものが労働組合法の一条二項で正統になるということはあり得ない。これは解釈上、当然あり得ない、そういう解釈で、これは考えておるわけでございます。
○向井長年君 今、法制局長官が言われたように、これにつきましては、いろいろな学説もあれば、また下級裁判所の意見も対立しておるわけです。非常にこれはむずかしい解釈があると思います。しかし、どちらにしても、私たちが考えるのは、十七条できめられているのに、刑事罰を掲げてないということは、今後この労働組合運動に対する不当ないわゆる制裁があってはいけなという立場から、公労法の精神がここに出てきていると、こう私たちは解釈している。そういうような意見に従って、いろいろ解釈が出、あるいは下級裁判所の対立した意見があるわけなんです。したがって、何はともあれ、一応そういう最高裁の判決が出ておりますけれども、これにつきましては公労法の欠陥という問題が現われることと思います。したがって、今後公労法を早急に撤廃して、そして一般労組法に適用すると、こういう形に移行すべきであろうかと思います。 なお、これと並行いたしまして、先般ILOの結社の自由委員会から勧告されております。 「特に日本政府は同条約の批准まで同条約に含まれる諸原則に違反するおそれのある措置をとることを避け、かつ特に労働組合活動を理由とする逮捕、解雇または懲戒々避けるように努力すべきである」、こういう勧告がなされておりますが、これと先ほどから申されました最高裁の判決との関連は、国際的に問題はございましょうが、労働大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(大橋武夫君) 結社の自由委員会の第六十四次報告のF項の問題でございますが、このF項は、わが国の国内法において、合理的な理由に基づいて、、正当でないとされている組合活動を理由として逮捕等が法律で認められている場合、これをも避けるように努力しろということを慫慂した趣旨のものではないのでございまして、このことは、当時のILO理事会において、政府代表がこの趣旨を述べて記録にとどめたところでありまして、明らかでございます。公共企業体等の職員の争議行為は、これは公共の福祉を擁護するという合理的理由に基づいて禁止されたものでございまして、この禁止が憲法二十八条に違反しないということは、すでに最高裁の判決でも明らかにされておりますので、これに反して行なわれる争議行為が正当じゃないことは自明のことなのであります。したがって、かかる違法な争議行為について刑事訴追が行なわれるのは当然でありまして、今度の最高裁の判決はこのことを明らかにしたと、こう思っております。 で、政府といたしましては、したがって、このことは公労法の当初から予想し、またそういうような適用の行なわれることが公共企業体の労使関係から見て適当である、こういう考えのもとに、この公労法ができているのでございまするから、この際、これを改正する考えはございません。
○向井長年君 この最高裁の判決が出て、その後各種の新聞の世論も、一斉にこれに対して注目と批判的な立場をとっておるのであります。この正当な組合活動が刑事責任を問われないということは、これはもう今や世界的な常識になっている。したがって、ただいま労働大臣から、これを撤廃する考え方はない、こう言っておりますけれども、これは公労法、あるいはまた憲法、あるいは務働法、ILOの条約、こういう建前から考えて、特に批准をする前にこれはやはり撤廃をすべきだと思うのですが、あるいはまたこれに対しての今後の運用という問題についても、今公労法につきましては実に、何と申しますか、いろいろな労働問題に対する要求をして、これに対しての団交は行なうけれども、これに対する回答がない、こういう中から、仲裁なりあるいは調停に持ち込まれておりますけれども、少なくとも労使と申しますか、当局との解決策というものは、自主的に平和的に交渉をし、その中からお互いに理解し合っての解決が望ましいのですが、そういう形をとれる要素を持っておらない。一方におきましては、御承知のごとく、今回の公労協のいろいろな要求に対しましても、当局はゼロ回答をした。仲裁に待とうではないか、こういう態度をもって持ち込んでいるような状態であると思います。したがって、こういう公労法の正しい運営をするためには、少なくとも現状の労使慣行と申しますか、この問題については大きな欠陥があると思います。こういう点について、労働大臣はどうお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(大橋武夫君) 公共企業体の行なっている業務の性質を考えまして、公共の福祉を増進し擁護するために、公共企業体関係の労使の問題が一般民間の労使関係とある程度異なった制約を受けることは、これはやむを得ないものと存ずるのでございます。公共企業体の関係の労使双方におかれまして、これらの点をよく理解され、今後正常な労使関係を確立されることを望むのであります。また、労働省といたしましても、そういう方向にできるだけ協力いたしたいと考えております。
○向井長年君 この問題につきましては、また別の機会にいろいろと申し上げたいと思います。 これに伴いまして、もう一点、労働大臣あるいは法務大臣にお聞きしたいのは、この電気事業と石炭事業の労働者に対するスト規制法の問題でございます。これは二十八年に、御承知のごとく若干の組合の行き過ぎがあった、こういう立場から、三年間の時限立法でこれが制定せられ、当時倉石労働大臣が、同じ自民党の中ですが、これは現在の時限の立法であって、その後労使慣行がうまくいくということになれば、これを廃止するのだ、一日も早く廃止すべきだ、こういうことを言われて制定され、三十一年に再びこれは恒久立法の形で制定されております。少なくとも、現在の社会情勢なり労使慣行の認識から考えて、一日も早く撤廃して、対等の立場で、やはり平和的に物事を解決するようにしなければならぬと思いますが、この点についてどう考えておられますか。
○国務大臣(大橋武夫君) いわゆるスト規制法は、これは当時の実情に即応して制定されたものでございます。労使関係の法制は、申すまでもなく、社会の実情の変化に伴いまして、常に検討をいたさなければならぬものであることは申すまでもございません。政府といたしましては、かような見地に立ちまして、この法律につきましても、常に検討を怠らない考えでございますが、現在直ちに本法を廃止するということはまだ考えておりません。
○向井長年君 もちろんこの法律をしかれた趣旨は、公共の福祉に反するというような行動がたびたびあった、こういうことが原因になったと思いますが、本来ならば労働基本権から考えると憲法二十八条に触れてくるわけですが、まあこの憲法論争はやめまして、現在の社会情勢から考えて、少なくとも国際的にもこういう法律は恥かしいと思います。少なくとも労使が公共の福祉に反するようなことはできるだけ避けるというのが当然であって、今の電気の場合を申し上げますと、少なくともこれは片手落ちな、平和的に解決しようとするにもかかわらず、一方に大きな保護をし、一方はこれに対して非常にやりにくい、力の均等というものが物事の解決のために大きく欠けておると思います。一日も早くこういう国際的に恥かしい法律はなくすべきだと思いますが、この点考慮されるかどうか。特に、ILOの八十七号批准にも若干伴うと思いますが、この点いかがでしょう。
○国務大臣(大橋武夫君) たしかにこういう法律が当然なければならない、どこの国にもなければならないという法律ではないと思います。こういう法律が特に必要であったというところに、わが国の労使間の特殊事情があったことは、これは否定はできないと思うのでございまして、労働省といたしましては、この問題につきましては、常にそのときどきの状況を検討いたしまして、将来とも改廃については十分考えたいと思っております。しかし、現在の段階で直ちに廃止すべきものとは考えておりません。
○向井長年君 労働大臣、現在の考え方ということは、そうすると、まだまだ労使慣行がうまくいっていない、したがって非常に危険であるという、こういう立場からそういう意見が言われているのか。いわゆる電気の場合において、特に電気が中心ですが、電気の組合と会社、この中でいわゆる労使慣行がうまくいっていないから、まだまだこれは置いておかなければ社会情勢上不安である、こういう立場からそう言われておるのか、この点は現状の認識の上に立ってどう考えられるか。
○国務大臣(大橋武夫君) これらの法律につきましては、労使関係ばかりでなく、やはりこの法律によって間接に保護されておりまする一般国民大衆の空気というものも考える必要があると思いますので、これらすべてを十分に検討いたしまして、将来そのときどきに適切な処置を怠らないようにいたしたいと存じます。
○向井長年君 時間がございませんから次に進みますが、またいずれこの問題は別の機会に譲りたいと思います。 特に、今度は総理大臣にお聞きをしたいのですが、貿易自由化に備えて、各産業に対して政府はいろいろな施策を今講じられておるわけでございまして、わが国のあらゆる産業の基幹産業である電力事業は、直接今の自由化の問題にはならぬかと思います。しかしながら、自由化に備えてのコストの問題等が非常に大きな関連性を持っておるわけでございます。そういうような重大な影響を持つというこの産業が、今後三十八年度以降どういう電力行政をとろうとするのか、この点をお聞きいたしたいわけでございます。特に現在、十年たちましたが、九電力一電発、こういう形で地域的に運営をされて、いわゆる経済の原則に合致しない水力電源や、あるいはまた大ユニットの火力が建設されつつあるわけなんです。こういうような中で、非常にあらゆる施設設備の投資からくるところの原価の高騰、いわゆる金利あるいは補償、あらゆる諸問題から何としても料金制度にはね返ってくるおそれがあるわけです。先般来、九州あるいは東京の値上げが済み、東北の値上げが今般済んだ。これに対しましても、国民世論は非常に大きく反対の意向が示された。これはおそらく九州、東京、東北ではおさまらないと思います。ここ一、二年すれば、必ずこれまたその他の会社にも料金問題が出てくるわけですが、この電力離業に対して、基幹となる電力事業に対してどういう施策を今後とろうとするのか、ひとつ総理大臣から経済政策の一環としてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 貿易自由化によりまして電力事業関係で起こる問題は、直接のあれとしては、超電電発電機の問題でございます。これは今から十年くらい前は、日本では十万キロ以上の発電機というものはできませんでした。昭和二十七、八年ごろ、十五万キロの技術を入れましてから急速に軍発電機の技術が進みまして、今ではもう二十五万キロも国産でできるようになるし、また十万キロ程度のものは、外国と競争して、低開発地域の競争ではほとんど日本が勝つという状態でございます。ただ、これが火力で四十万キロ以上ということになりますと、まだこれはちょっと日本では太刀打ちできぬ、この問題がやはり貿易自由化で残る問題でございます。したがいまして、これは技術ということよりもやはり原材料の問題があるようでございます。この点は、極力技術と材料の進歩をはかりまして、早晩は自由化しなければならぬものだと思います。 それから次には、貿易為替の自由化ということよりも、国内の電気事業のあり方がどうか、九分割がどうかという問題でございます。差し向き値上げの問題についてのお話でございますが、非常にいい例は、東北電力の値上げの問題のときに、東京と東北との関係は只見川水系の調整によりましてよほどこれは調整できて、一時、東京と東北は合併したらどうかという議論もほのかには聞いておりましたが、あえて合併しなくても、こういうふうな調整でうまくいったではないかと結果的には言い得るようなわけでございます。なお、東京電力の内容は最近非常によくなって参った。関西はもちろんでございます。九州も私は早晩……。中国電力も、ある中国電力の社長が、私が社長をしている間は値上げをしないと、こう言っておりますので、大体私は本年、来年に九電力会社には電力料金の値上げという問題は起こってこない。私の見通しでは、ここ本明年度にはそういうことが起こってこない状態でございます。電力事業、電力会社の内容というものは、今のところこれはもう非常にいいのだ。そうよくないのもございますけれども、大体において、私は木明年度中は大丈夫という気持でおるのであります。しかも水力のほうでも、高度のいわゆる火力発電、ことに重油、原油を用いる火力発電四十万キロ以上のものが非常に安くできるようになっております。送電のロスも非常に最近少なくなってきておるようで、電力会社の今の九分割が、これは会社の内容によって、遺憾ながら合併とか何とかいう議論はないことはございませんが、大体おさまっておるのじゃないか。しかし長い目で見て、よりよくするための議論はございます。しかし焦眉の問題ではございません。しかしある人は、長い目で見て早くやったほうがいいということもございますが、これはなかなか合併とか何とかいうことはおいそれとはいかない。経済面ばかりじゃございません。労働問題もありますし、感情問題も入りまして、なかなか地域間のあれがありましてむずかしいのでございます。今のところ、電力は貿易為替の自由化によって会社の合併ということは直接には起こってこないと思います。
○向井長年君 総理の答弁ですが、もちろん直接貿易為替自由化の問題からきておるわけじゃないのですが、このコストをきめるのはやっぱり基幹産業として大きな影響を持つと、こういう立場から質問したわけなんですが、今、総理は、非常に安泰だ、こういうことを言われておるのです。しかしこの需要の伸びというのは、これは大体今も約一二%伸びておる。それからこれに対しての開発計画が、少なくとも本年度運転開始を含めまして四十二年までの五カ年計画が三千八百万キロワット、これを計画しております。で、これに対する資金は、これは少なくとも今の場合におきましては約年間四千億必要である。この四千億というのも自己資本が二千八百億、そして他人資本と申しますか、開銀なり、あるいはその他でこの問題につきましては千三百億、こういう実態なんです。六割五分以上はこれはやはり自己資本である。だから自己資本というものは、少なくとも今資産の食いつぶしなり、あるいはまた労働者の賃金も押え、あるいは人を少なくして合理化をするというか、こういう形においての現在その運用をやっておる、こう私たちは見ておるわけなんです。したがって正常に安定じゃなくて、いわゆる開発をして、そのコストが、御承知のごとくこれを換算すれば、売るあれと原価主義をとっている以上は、これは開発すればするほど赤字を出すと、こういう現況が出てくるわけなんです。こういう問題はやはり現在の電気事業のあり方、あるいは形態、そういう問題にも大きな問題があろうかと思いますが、こういう点についてどうお考えになりますか。
○国務大臣(池田勇人君) そういう電気事業、すなわち手つとり早く言えば九分割についての再検討、これは先ほど来申しましたように全然ないとは申しませんが、今電力会社の内容その他、非常によくなって参りまして、その声はどちらかといったら、ここ七、八カ月の間は下火のような傾向じゃございますまいか。それはなぜかと申しますと、電気事業に対しまする一般大衆の見方、ことに日本の電力会社に対する世界、ことにアメリカの市場の認識の向上、これが非常に上がってきたために、日本の電力会社は相当私は安定してきたと、これは株価の問題を見ましても、また関西電力がADRをやって、そうして今相当の価格の上昇、あるいは東電に対しまする外資の導入等々から見まして、私は今九分割に対しての議論は、あるいはまた今度の再編成の議論は、今少しは下火になったくらいに自分は見ております。しかし、これが将来永久にいいとか悪いとかいう問題じゃございません。そういう関係で今の発電の経費のほうも、ここ二、三年前、あるいは昨年の今ごろよりよほどよくなってきた、こう私は見ておるのでございます。そして、もちろん電力の需要の形態が変わって参りまして、料金の高い電灯用の需要が相当ふえてきておるのであります。こういう点から申しまして、私は今のところ一応安泰の状態だと考えます。しかし理想的に、これはたとえば小さいほうをやったほうがいいとか、近くの大小のものを一緒にしたほうがいいとかいう議論は、私は聞いておりますけれども、しかしそこには地域的の問題、そして職員の問題等々がございまして、なかなか今すぐおいそれという結論は出ないと思います。
○向井長年君 今電気事業は非常によくなってきているということは、外国の認識、あるいは世論という形で言われておりますが、これは特に料金問題とか、こういう問題が現われてくると世間は騒ぎ出すと思うのです。世論は。現在はそういう問題が若干済んだから下火になっておるわけでございます。これはやはり根本的に検討しなければならぬ時期がきているので、池田内閣としましても、今度作られた電力審議会に対して、再々編成も含めてひとつ検討してくれといってこの審議会に委託しておるように私は聞いておる、この点いかがでしょう。
○国務大臣(池田勇人君) 私はこういう事項、こういう事項で諮問したかどうか詳しいことは存じません。まあいろいろな問題をああいうところで審議願うことは適当だと思います。具体的にどういう問題ということは聞いておりません。通産大臣が来ておるから通産大臣からお答えいたします。
○国務大臣(福田一君) ただいま総理からお答えがございましたとおり、具体的な問題でこれこれといってはしておりません。
○向井長年君 通産大臣、それはちょっとおかしいです。先般私は商工委員会で質問いたしましたときに、再々編成も含めてこれは有沢審議会において検討してもらっております。こういう答弁があったはずでございます。
○国務大臣(福田一君) もちろん電力の問題についてでございますから、そういうような再々編成の問題も含めて、すべて電力業界のあり方について検討は進めて参っておりますが、項目をあげて、この問題、この問題、この問題というふうな諮問をしておらないということを申し上げたわけでございます。
○向井長年君 通産大臣、詭弁だけれども、これはいいとしまして、総理大臣、実は石炭問題なり、あるいは料金問題なりで、この問題は相当一時沸騰いたしまして、池田内閣の中にも再々編成をやるべきだ、こういう意見が先般来出ております。これは御承知のごとく、河野建設大臣なり、あるいは自治大臣なり、あるいは宮澤企画庁長官なり、ここらが合併論なりあるいは再々編成を出して参りました。こういうふうにして、やはり相当閣僚の中にもそうしなければいかぬという意見もあるわけなんであります。しかし、今直ちにの問題ではなくても、これはやはり再々編成をしてコストを下げる、あるいはまた料金の値上げを抑制すると、こういう立場にも考えられるわけなんです。今広域運営等をもって若干の融通の問題とか、いろいろ是正はいたしておりますけれども、これは限度があると思う。したがって、少なくとも今後エネルギー行政、そうしてやはり特に公益的な電力料金という、こういう二つの問題を持っておるこの事業に対しましては、少なくとも一元的経営をやらなければ、地域的に格差を生じるような料金制度ではおかしいじゃないか、あるいは開発もおのおの自分の力によって適宜やっている。したがって、電発と一般配電の競合が出てくるというような、こういう狭い国において九つの電力会社、そうして一つの水力だけにまかされた電発、こういう中においては相当問題点を残しているかと思います。したがって、こういうような根本的な、この電力の事業のあり方、あるいは形態、この問題をやはり閣僚の中でも意見がまちまちでございますので、これはわれわれは日本の産業の基幹産業として必要な問題であろうと思います。したがって、一元的運営、いうならば、開発に対しましては国の融資をもって水火力ともやっていく、そうして配電には民間がこれに当たっていく、こういう形において考えるべきだと思いますが、ひとつ池田総理の所見と、それから企画庁長官のちょっと御意見をお聞きしておきたい。
○国務大臣(池田勇人君) こういう問題は総理大臣、企画庁長官の言論は自由でございますが、なかなかおいそれと返事のできるもんじゃございません。私もこういう問題について、通産大臣時代、あるいはまた総理大臣になったころはいろいろ考えましたが、この合併ということはなかなかむずかしいものでございます。たとえば新聞紙上によりますと、ある大きいビール会社が二つ合併しようという、どうなるかと思いましたら、今度合併は一時やめだと、こうなる。私設会社ならそういうこともありましょうが、公益事業会社で、軽々しく、理論的にはこうだからこれがいいという考え方もありましょう。しかし、実際問題を考えるとなかなか地域的にむずかしい問題がある、感情的にこの分とこの分とが一緒になったらいいという議論がありましても、やっぱりいろいろの関係がありまして、なかなかあそこと一緒になるということはいやだというようなことがありまして、これは先ほど申しましたように机の上の議論、経済上の議論もさることでございますが、今の伝統と職員関係、地域関係、いろいろな点がございますので、私は今通産大臣が話しておりますとおり、電気事業全般についての諮問をしておるそうでございますから、そういうところで研究をされた結果を見てから、意見を申し上げたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年東北電力の料金改訂を検討いたしましたときに、先ほど総理がかなり詳しく説明をされましたが、只見川の水系の電力の利用について、いわゆる徹底した広域運営ができないかということをずいぶん申したわけでございますが、当時はなかなか困難であるという話でございました。しかし、その後にいろいろなことがありまして、まあ主として感情のもつれが解決をされた結果と思いますが、非常にみごとに只見の広域運営ということができることになりました。その結果、東北としても新しい火力をしばらく作らなくてもいい。なお経理が非常に改善されました。東京のほうは、これはピークの電力が必要だったわけでございますが、したがって、安積水系の開発をしばらくしなくてもいいというようなことから、まず今両者の関係、電発が一つ入っておるわけでありますが、非常に合理的な運営をされることになったと思います。全体としては送電技術の改善でありますとか、大火力の誕生でありますとか、十年前とはかなり違った要素が入ってきておるわけでございますけれども、私ども見ますところ、広域運営というものが現在東京、東北、電発問で行なわれておりますような形で行なわれていくならば、何も私企業についてとやかくこうしたほうがいいんじゃないか、といったようなことを企業形態に立ち入って申す必要は、私どもの立場からはないのではないかと。もちろん有沢審議会が全般的な検討をされた上で結論を出されるのは、それを待つわけでございますけれども、ただいまとしてはそう思っておるわけでございます。
○向井長年君 じゃまた別な機会にもっと具体的に質問したいと思いますから、大蔵大臣を呼び出しておきまして時間がなくて申しわけございません。じゃ終わります。
○委員長(木内四郎君) 向井委員の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 次に須藤五郎君。
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表しまして質問をいたしたいと存じます。 まず第一に、総理に質問をいたします。ここに自民党の選挙にあたってのパンフレットがあります。この中にはきわめて露骨なことが書いてあるのです。「地方自治を支える自民党」、この十六ページに、「国の政治に反対し、これと対立するような立場の人が首長や議員に選ばれるならば、国の十分な協力や援助を期待できなくなるのは当然であって、地方の発展も、地域住民の福祉増進も困難となります。」こう書いてあるわけです。池田総理の指導する政府与党が、選挙にあたって公然とこういう暴言をはいているのです。これは明らかに利益誘導であり、また民主的知事、市長、地方議員に対する攻撃であります。今日でも自民党内閣によりまして、地方自治体は憲法と住民の意思を踏みにじり、制度的に、法律的、財政的に破壊されており、知事の仕事も八割は、すでに中央政治の下請となっております。これをさらに全面的にしようとするものであります。この自民党のパンフレットは、地方自治を攻撃し、破壊し、また民主勢力の進出を、国家機関と国家財政をえさに阻止しようとするものであります。もし総理がそうでないと言うなら、第一に、この部分は明らかに誤りであるということを認められるかどうか。 第二に、どんな人が選出されても、地方住民の意思としてこれを尊重し、憲法、地方自治法に基づいてこれに協力することを言明されたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) この問題につきましては、午前中たびたび申しております。また、その他の機会におきましても申しておりますが、やはり同志の方がおやりになったほうがよりよいということは、私もそういう気持を持っております。しかし、反対党の人がなられたからといって、これは国がじゃまするというわけではございません。先ほど申し上げましたように、政府というものは、国民一視同仁で中央と地方との連絡を緊密にするように努力することは、当然のことでございます。
○須藤五郎君 この第二段については、今の総理の答弁で大体了解することができると思いますが、第一段の件は、総理はとやかく言わないであっさりと取り消されたほうがよろしいのではないでしょうか。これほど前代未聞、厚顔無知な政策を選挙に打ち出すとは、もってのほかだと思うわけです。権力を利用した公然買収と世間で騒がれるのも無理がないと思います。この際、総理は取り消されたほうがよろしいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(池田勇人君) 私の考え方を裏腹で書いていると思っております。私は先ほどから申しておりますとおり、同志の人がおやりになったほうがベターだと、こういう気持を持っておるのであります。この考え方に違いはございません。
○須藤五郎君 政府自民党は、この選挙で、地域開発、新産業都市などをはやし立て、「中央と地方を結ぶ国づくり」と盛んに宣伝しておりますが、昨年十月五日の閣議で決定しました全国総合開発計画につきまして、防衛庁は軍事的見地から意見書を経済企画庁に提出しております。この防衛庁が提出した意見書の内容は、一、通常兵器の場合でも当てはまるが、特に核兵器による攻撃に対しては都市を分散し、被害を極力少なくすることが必要である。二、外敵からの侵攻が行なわれた場合、本上が寸断されても、産産業経済活動を継続できるよう、地方ブロックごとに、ある程度独立性を持たせることが必要である。三、表日本、裏日本を結ぶ道路が現状では少ないので、有事の際、人、物の輸送を能率的に行なうよう、なるべく最短距離の道を増設すべきである。四、道路と橋は、重量の重い大型戦車や重砲などの移動が円滑にできるよう幅を広げ、堅固なものを作るべきである。また航空機が離着陸できるよう配慮すべきである。五、民間飛行場を県ごとに設け、有事の際自衛隊が使用できるようにする。六、港湾を造、整備し、ことに戦略的見地から自衛隊専用の港湾を確保する。という驚くべき内容のものであります。私は、政府の総合開発計画に、すでにこのことが織り込み済みではないかと思いますが、池田総理の明快な答弁を求めるものであります。
○国務大臣(池田勇人君) わが国を守るということは、政治の根本でございます。そういう意味から、いろいろの意見が所管の省から出てくることは、当然でございます。私は新産業都市建設につきましては、各所管大臣の意見並びに国民の気持も十分くんで決定いたしたいと思います。
○須藤五郎君 池田総理はこの意見書が出ておるということを、それでははっきりとここでお認めになったわけでございますね。
○国務大臣(池田勇人君) その意見書のことを申しません。各所管大臣が国を守り、その所管のことについて意見を出すことは当然だと思います。それが出ている、出ていないの答えはいたしておりません。そういう意見を各省大臣が出すことは当然だと、そういう文書が出ているか出ていないかは私見ておりません、知りません。
○須藤五郎君 防衛庁長官、防衛庁長官はどうですか、この意見書を出したのか、出さなかったのか。防衛庁がこれをまとめたことは明らかであり、新聞にも詳細に報道されておる点でありますが、防衛庁長官の意見を聞きたい。
○国務大臣(志賀健次郎君) 私は、具体的な内容は承知いたしておりません。ただ、わが国の総合開発計画を実施するにあたりまして、国の防衛を考慮するということは、これは当然でございまして、そういう見地から経済企画庁に一般的な要望書は、これは出しておりますが、ただいまたくさんの事例をあげましたが、それは国民の常識として研究しておることでございまして、私は、具体的な内容は承知しておらないのであります。
○須藤五郎君 防衛庁長官が防衛庁から出した意見書の内容を知らないということは、はなはだおかしいと思う。はなはだ不勉強だと思うのです。幾ら防衛庁長官が否定しましても、事実は明らかであります。現に、今日政府が国会提出を準備している地方行政連絡会議法案では、警察庁の下部機関である管区警察局長を参加させることをきめ、当初案では自衛隊の方面総司令部の参加さえ計画していたのではありませんか。つまり池田内閣の総合開発計画は、一つは、独占資本のために中央、地方をあげて奉仕させようというものであり、一つは、政治的、軍事的性格を持ったまことに危険なものであると思いますが、防衛庁長官は、絶対にこのような要求をしないと約束できますかどうですか。池田総理は、総合開発計画にこのような軍事的、警察的性格を持たせないと約束できますかどうですか、お答えを願いたいと存じます。
○国務大臣(志賀健次郎君) ただいまお話になりましたような具体的な内容は、防衛庁から経済企画庁には出しておりません。
○須藤五郎君 総理の答弁を求めます。
○国務大臣(池田勇人君) 私は、国民とともに国を守り、治安を確保する責任がございますから、そういう観点から新産業都市のことも考えなければなりません。したがって、そういう問題であなたとお約束することはまっぴらでございます。できません。
○須藤五郎君 このあなたたちの計画の中にこういう軍事的な性格を持ったということが、非常に危険だと私は思う。だから、そういう内容があるかないかという点をここで確かめておるのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど答えたとおりに、わが国を自衛する私は重大な責務がございます。そういう意味から新鹿業都市も考えます。あなたとは考え方が違っておりますから、要求に沿うわけにはいきません。
○須藤五郎君 今の答弁ですと、新産業都市計画の中にこういう軍事的な面も含まれているということを総理はお答えになっておるように思います。そう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 自衛あるいは公安問題は、当然考えなければなりません。
○須藤五郎君 政府自民党のスローガン、中央に直結する地方政治の第一は、日米安保条約に地方自治体を縛りつけることであると考えます。政府が米軍基地を置こうとすれば、地方自治体もこれをおとなしく受け入れよ、地方自治体が反対するのはけしからぬというのですから、そのとおりなんです。政府が原子力潜水艦の寄港を認めれば、地方自治体の住民もこれに従えという、まことに危険なスローガンだと考えます。しかし、今日、米軍基地に対して、平和を望む国民の反対と不満はますます強まろうとしております。そこでお聞きしたいことは、この住民の要求を入れ、地方議会が、米軍基地撤去、廃止を決議し、地方自治法九十九条二項に従って意見書を提出した場合、政府は虚心にこれを受け入れ、再検討することを約束するかどうか、これは単なる仮定の問題ではなく、現実的な問題であります。はっきりと答弁をしていただきたいと思います。特に、ほとんどの在日米軍の主要基地は占領中から引き継がれ、地方自治体の何らの同意もなく、一方的に決定されていること、あるいは安保条約、地位協定、いわゆる行政協定は全土基地を法的にきめておりますが、そうだからといって、個々の基地が安保条約、地位協定で絶対的に拘束されるわけではありません。政府が、地方自治体と住民の意思を正当に取り上げて努力するなら、個々の基地は廃止することもできるのであります。そういう意味で私はこの質問をしておりますので、どうかしっかりとお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 米軍の基地はだんだん減ってきております。そうして、また、いろいろな問題につきましても、できるだけ民意を尊重する考えでおります。
○須藤五郎君 地方議会が撤去の決議をして総理のところへ持ってきたときは、それをよく検討するというお約束をなさいますか、どうですか。
○国務大臣(池田勇人君) これは民意を聞きまして検討することは政治家の務めでございます。
○須藤五郎君 最後に、もう一点お聞きいたしますが、人事院が三月二十三日に各省庁に対して、このたびの地方選挙にあたっては、国家公務員の政治活動を国公法百二条及び人事院規則十四の七によって取り締まること、違反行為者はすみやかに報告することという通達を出し、続いて自治省も、同日、都道府県に対し同趣旨の通達を出しました。そもそも人事院規則十四の七は占領政策の遺物であり、憲法違反であります。だから今まで政府は、これを非公然にしか使用してきませんでした。制定当時、人事院の事務総長は、この規則の乱用禁止について詳細な通達まで出しております。しかるに、政府は、今回地方選挙を前にして、この通達に反して、初めて公然とこの規則の乱用、拡大適用を表明しました。これは昨年の公選法の改悪と相待って、人事院規則十四の七の乱用、拡大適用の既成事実を新たに作り上げようとするものであり、地方選挙に対する政府の公然たる抑圧、選挙干渉だと考えます。この公務員の政治活動を禁止しました人事院規則十四の七は、憲法に保障された基本的人権を侵すものであり、また、人事院事務総長の通達にも矛盾していると考えます。政府は、この人事院と自治省の通達を即時取り消すべきであると思いますが、どうですか。
○国務大臣(篠田弘作君) 公務員は、公職選挙法によりまして、その地位を利用して選挙運動をすることは禁止されております。また、一般職の職員については、国家公務員法及び地方公務員法によりまして、投票の勧誘運動、署名運動、寄付金の募集等、政治的行為が制限されております。公務員は、憲法に規定されているように、全体の奉仕者であり、一部の奉仕者ではないので、中立を守るべきものであり、政治活動の制限を受けることは当然であります。これが憲法に違反することは絶対にありません。それは、たとえば国民は、憲法によって、すべて法の前に平等であるというような規定があります。しかし、選挙法におきましては、満二十才以上にならなければ有権者にはなりません。あるいは二十五才以上にならなければ被選挙権はない、あるいは未成年者の場合に、同じ国民であるから、十八才で酒を飲んでもいいか、こういう問題がありますが、それは公共の福祉のために酒を飲んではいけない、あるいはたばこをのんではいけないという規定がある。社会公共の福祉のため、あるいはその人間が置かれている立場によって、法律により、いろいろの制限を受けるということは、これは当然でありまして、憲法違反ではありません。 —————————————
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。小林健三君、小山邦太郎君及び田中一君が辞任され、その補欠として、久保勘一君、二木謙吾君及び戸叶武君が選任されました。 —————————————
○須藤五郎君 憲法の選挙権の問題、被選挙権の問題は、それは年令による制限でしょう。身分による制限じゃないでしょう。公務員は身分による制限じゃないですか。それは憲法で保障された問題と全く違うじゃないですか。
○国務大臣(篠田弘作君) 公職選挙法は、公務員の地位利用による選挙運動というものを禁止しておるわけであります。身分によって禁止されるものもあります。年令によって禁止されているものもあります。それは法律によって禁止した場合には憲法違反ではございません。
○須藤五郎君 それでは、制定当時、人事院事務総長は、この規則の乱用禁止について詳細な通達まで出している。なぜそういうことをしたのですか。
○国務大臣(篠田弘作君) 規則というのは乱用してはいけないのであります。したがいまして、乱用をしないように通達を出したわけであります。
○須藤五郎君 それは詭弁もはたはだしいものです。そういう乱用を、今日、今回自民党がやったような乱用をするから、乱用してはいけないということになっているのです。その趣旨を踏みにじり、人事院事務総長のその意思を踏みにじり、乱用しているのはあなたたちじゃないですか。だから私たちは乱用だと言っているのです。
○国務大臣(篠田弘作君) 私は、乱用したことは一度もございません。
○須藤五郎君 乱用の最たるものです。
○委員長(木内四郎君) 須藤委員の質疑は終了いたしました。 締めくくりの総括質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって締めくくりの総括質疑は終了したものと認めます。 以上をもちまして、昭和三十八年度総予算三案の質疑は終局いたしました。
○委員長(木内四郎君) これより討論に入ります。討論の通告がございますので、これより順次雅言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。 —————————————
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。河野謙三君が辞任されまして、その補欠として豊田雅孝君が選任されました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 北村暢君。
○北村暢君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和三十八年度一般会計等、予算三案に対して反対の討論をいたします。 まず、第一は、予算の背景をなす政府の外交政策について簡単に申し上げます。その一は、核実験停止並びに軍縮の問題であります。昨年のキューバの危機は、ソ連の譲歩によって辛うじてこれを避けることができました。しかしながら、その後の米ソ間の核停交渉は遅々として進まず、反面、フランスのサハラの核実験並びに中国の原子爆弾の保有が伝えられるなど、核兵器に対する国民の不安は一そう強まっております。しかるに、政府は、この国民の不安を解消するために何らの積極的対策もなく、放任していることは、まことに遺憾であります。政府は、すみやかにこの問題を検討する機構を設け、世界の世論喚起に努むべきであります。 その二は、米原子力潜水艦の寄港の問題であります。政府の態度は、安保条約の規定によって、安全措置と損害補償について了解に達すれば、アメリカの要請どおりこれを認めようとしております。学術会議並びに原子力科学者は、原子力潜水艦の安全性について多くの疑問のあることを声明し、政府の善処を要望しております。政府は国民の不安を除くために、一日も早くこれを拒否すべきであると思います。 その三は、日韓会談についてであります。政府は日韓会談の早期妥結をはかり、韓国との国交正常化を企図したのでありますが、朴政権下の目まぐるしい政情不安のために、その見通しすらつかない状態であります。請求権問題に対し、すでに有償無償五億ドルの経済援助の内諾を与え、最も困難視されている漁業問題竹島問題等、全面同時解決を主張している政府の態度は、いかに交渉技術とはいいながら、拙劣きわまりないものであります。政府は、韓国の政情不安の本質を再検討し、全朝鮮統一のためにも、日韓会談は即時中止すべきであります。 その四は、経済外交についてであります。政府は国内経済の高度成長に伴い、国際的地位の向上を謳歌しております。しかし、政府の経済外交は欧米諸国から一方的に貿易為替の自由化を押しつけられ、相手国の対日差別撤廃については、見るべき実績をあげていないのであります。政府は八条国移行による経済外交が、いかに重大で、困難であるかを再認識すべきであります。また、経済外交の重点を欧米資本主義国に変更することなく、アジア、アフリカ等に対する経済協力外交並びに中ソ共産圏貿易についても、真剣に検討すべき段階にあることを指摘しなければなりません。 第二に、予算の規模についてであります。三十八年度予算は、一般会計二兆八千五百億、財政投融資計画一兆一千九億円と、三十六、三十七年度に続き、大型積極予算が誕生したのであります。その背景には、いろいろ理由はありましょうが、過剰生産設備の顕在化によって、不況が深刻化し、長期化したため、財政面から積極的に景気浮揚力を持たせようと企図したことは明らかであります。ここにおいて、当初の健全均衡予算の編成方針は、完全に有名無実化したのであります。そして、予算財源確保のために、いろいろの矛盾に満ちた金づくり政策が強行されたのであります。すなわち、政策的に経済成長率を一%引き上げ、名目八・一、実質六・一%とし、税の自然増収をはかったこと、減税額をできるだけ小幅にとどめたこと、電池関税の引き上げ、消費者米価の値上げをしたことなどがあげられます。さらに、一般会計で足りず、財政投融資計画の金づくりに発展しているのであります。この財政投融資計画の借金政策は、国内の公募債と外債であります。日本銀行の賢いオペ方式によって、公募債発行のためのインフレ防止策を実施しておりますが、賢いオペ方式は運用を誤ると、政府保証債の日銀引き受けと、実質的に変わらないことになり、さらに、赤字公債引き受けに発展し、インフレ要因を誘発する危険性があります。 以上述べましたような金づくり政策は、翌年に繰り越される余剰金の食いつぶしとなり、三十九年度の予算財源難は必至であります。予算審議の過程で、池田総理は、公債、発行を罪悪視するのは間違いであると発言しております。このことは、三十九年度の公債発行の予防線とも見られるのであります。 第三は、減税について申し上げます。その一は、政策減税についてであります。今回の政策減税は、利子研糧に対する分離課税の特例と、配当所得に対する源泉徴収率の特例を今後二年間存続することにし、さらに両者の税率現行一〇%を五%に引き下げることにしております。これによって利子所得課税の分七十六億円、配当所得課税分百二十五億円、計二百一億円の減税を実施しようとするものであります。実は、この二つの減税特別措置は、そもそも本年度末で期限切れになることになっていたのでありますから、減税の恩典は、二百一億円にとどまらず、期限切れとなった場合に比べますというと、利子所得の分三百六十億円、配当所得の分二百十億円、計五百七十億に達する膨大な減税の恩恵を受けることになるのであります。しかも、過去における減税効果については、あまりはっきりいたしておらないのであります。配当所得課税の特別措置についても同様でありまして、現行の一〇%の源泉徴収税率は、甚大税率の二〇%に戻すべきであるといわれているのであります。いずれにいたしましても、今回の政策減税は、全然税負担の公平の原則を無視し、低金利政策の代替的裏づけとして、銀行資本、大企業、高額所得者に対する不当な優遇措置であるといわなければなりません。 その二は、所得税の減税についてであります。税制調査会は、所得税減税額を初年度三百九十三億円、平年度四百六十二億円を答申したのでありますが、政府は、これを初年度二百七十七億円、平年度三百二十億円に減額したのであります。それは、税制調査会の答申の基礎控除、配偶者控除、扶養控除、専従者控除の各控除額一万円引き上げを配偶者控除以下の控除を五千円に引き下げたことによるのであります。そのため、標準世帯の課税最低限は、給与所得者の場合、現行四十一万六千円を四十三万八千円に引き上げられただけにとどまっているのであります。同じく配当所得者の場合は、百六十五万円まで無税であることと比較すれば、いかに矛盾しているかが明白であります。また、所得税納税者数は、昭和三十年ごろ一千万人であったものが、昭和三十六年には千二百四土万人、三十八年度には千八百五十万人に急増するものと推定されているのであります。この点一つ見ましても、実費増税の実態がはっきりするのであります。税制調査会の中山伊知郎氏は、衆議院大蔵委員会で、三十八年度の政府減税案は、消費者物価の値上がり分を埋め合わせることができず、実質的には増税だときめつけたが、池田総理は、野党の質問に対し、政府の減税案は最善のものだと答弁した。最弄の減税案とはよく言えたものだ。およそ庶民の生活感情とはかけ離れた高飛車な言い方だ。納税の苦労を骨身にこたえて体験しておれば、もっと何とかしたかったが、がまんして下さいとしみじみとしたことが言えそうなものだと、ある一流新聞が批評をしております。全く実感のこもった一文でありまして、総理の真摯な反省を求める次第であります。 第四は、公共投資についてであります。今回、景気対策として、公共投資は大幅に増額されました。高度成長下における私的資本は、無政府的合理化競争によって急速に進んだのであるが、一方、道路、港湾、用水、用地等の産業基盤に対する社会資本のおくれがひどくなり、せっかくの生産設備の拡大も、生産力を十分発揮できないようなアンバランスを生じたのであります。したがって、今次予算において、産業基盤整備のための公共投資が重点的に取りしげられたことは必ずしも反対はいたしません。しかしながら、今日、国民生活の現状は、電化製品は国際的水準に達し一流国、衣類は二流国だが食べ物は三流国、住宅は四流国、そして生活環境施設は等外国であると表現されているのであります。公共投資の内容において、産業旋盤と民生関係とのアンバランスが拡大しているところに問題があります。三十八年度予算においても、一般会計の公共事業関係費は、道路、港湾を中心として、産業基盤整備費は五千百三十三億円に達しているのに、環境衛生、文教施設、住宅対策などの国民の生活基盤費は、わずかに五戸六十一億円であることから本明瞭であります。また、財政投融資計画の公共役資を加えると、その差はさらに拡大することは言うまでもありません。高度成長の犠牲になっている民生安定関係費の画期的増額を断行すべきであります。 第五は、農林予算の大幅後退についてであります。農林関係一般会計予算額は二千五百三十一億円で、前年度予算に比較し七十二億円の増額となり、対前年増加率は一〇三%でありまして、前年度一三一%に比較して非常に低いのであります。また、国の総予算に占める比率は八・九%で、前年度の一〇・一%に比べ、大幅に後退しているのであります。 政府の農林政策の重点は、もちろん農業基本法の指向する選択的拡大、所得均衡、構造改善の三点にあることは言うまでもありません。そのうち、予算的重点は構造改善であります。三十八年度予算を見ましても、構造改善事業 実施第二年目を迎え、農業構造改善促進対策費三十六億円、なお農林公庫の融資ワク八百七十億円、前年度七百十億円に比し拡大をし、これに必要な政府出資を二百二十億円に増額し、熱意のほどを示しているようであります。しかし、最近における農村労働力の不足と労賃の高騰とは、農業経営に深刻た打撃を与えております。反面、政府の指導する構造改善事業実施要領は、官僚的、画一的で指定地区において多くの問題を起こしております。十分な成果をあげていない状態であります。これにもまして問題なのは、構造改善事業の内容が全く不徹底で、本格的中型トラクターを入れて農業を近代化し、経営を高度化するような態勢にはないのであります。構造改善事業を真正面から取り組もうとすれば、次の諸点が問題になると思います。 一つは、まず農用地を拡大し、経営規模を拡大することであります。これからの農業発展は選択的拡大の成長部門とされている畜産、果樹であります。そのためには、山林原野の草地化と樹園地化が重要であります。しかるに農用地造成については、政府の施策ははなはだ貧弱であります。山林原野の利用権を農民に開放する政策を強力に推進する必要があります。 二は、本年の農業報告にも明らかなように、農業人口は急速に減少の傾向にあるにかかわらず、一方では兼業農家が増加の傾向をたどっているのであります。このことは、農業人口は都市に移動しているけれども、移動先その職場不安のために、老人と婦女子は農村に残り、農業を捨て切れないのであります。そのことを意味しているのであります。この零細兼業農家が、不安なしに離農するためには、農業政策以外の雇用政策並びに社会保障制度の画期的な強化が必要であります。これと並行して、農民の納得する農地移動の諸施策が講ぜられなければならないと思うのであります。自作農創設資金の拡大並びに農協の農地信託制度の実績がしがっていないことなどを強く反省すベきであります。 三つは、農用地造成と並行して農地集団化が行なわれないと、構造改善は無理であります。したがって、計画的な農地管理制度がどうしても必要になってくるが、政府の施策には、これらの諸点が一つも反映されていないことは重大であります。 以上のように、政府は構造改善事業を推進している中で、農地に関係ある困難な問題は、なるべく避けて通ろうとする節が見られます。日本農業の最大の欠点である零細農耕体制の改革なくして、機械化も有畜化も共同化もあり得ないのであります。しかも一般地区の農業改善事業といえども、パイロット地区と大同小異で、指定市町村の全域にわたって事業を実施されるわけではなく、ごく限られた一部の地区に実施されるのでありますから、これを農家全体に普遍化するためには、膨大な財政資金と民間資金が必要であります。もちろん現在の予算規模では問題になりません。現在のような総花的、いわば一セットをもって、これを農民に押しつけるような、かつての新農村建設聖業を思わせる古い村づくりをするようなことではお話になりません。村の古い制度と執着を断ち切って、近代的、自主的、創造的新しい農家を作り、ほんとうに国際農業に太刀打ちできる農業構造改善計画を実現するために、政府の抜本的再検討を強く要請するものであります。 地方財政並びに中小企業等の関係は、本会議の討論に譲りまして、最後に、政府の予算編成の態度について注意を喚起しておきたいと思います。 予算編成権が政府にあることは、今さら申し上げるまでもありません。予算編成作業にあたり、大蔵事務当局は、当初、健全中立均衡予算方針を掲げていたのであります。しかるに復活折衝の段階では、またたく間に八百億の復活が認められ、田中蔵相はきっぷのいい大ばんぶるまいを展開したのであります。かくて前年度に続き、大型のたっぷり予算が誕生したわけであります。しかも、予算の中身は大好評を拍したのであり、産業保護の不況対策、選挙対策用の自民党の政治、要求、圧力団体のきげんとりの農地補償等、財界にも与党にも圧力団体にも、まんべんなくあいきょうを振りまいた、財源難どこ吹く風の、総花べたつけ予算と酷評をされているのであります。政府の予算編成権はどこへいったのか。与党と圧力団体に振り回され、空前の分取り予算になっているのであります。 特に旧地主の農地補償の調査費はわずか一億八千万ではありますけれども、予算がまさに成立しようとする今日、なおその内容がはっきりせず、これに関連し、報償という名の予算を伴うところの与党議員の提出法案が、すでに衆議院副議長の手元で抑えられ、いつ出てくるかわからぬというような状態は、民主議会に対する大きな汚点を残したものと言わなければなりません。池田首相が民主政治家をもつて自負するならば、圧力団体に耳をかす以前に、まず庶民のための減税、声なき消費者の保護のための物価対策等について、真剣に対処すべきであると思うのであります。池田首相の猛省々促して私の反対討論を終わる次第であります。(拍手)
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。 北條雋八君及び鈴木一弘君が辞任され、その補欠として浅井亨君及び和泉覚君が選任されました。
○委員長(木内四郎君) 次に、川上為治君。
○川上為治君 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和三十八年度予算三案に対しまして賛成の意を表明せんとするものであります。 景気の過熱による国際収支の悪化を救うために、一昨年秋、政府がとりました金融引き締め政策は、その後予想どおりの効果をおさめましたが、引き締めが解除されましてから、すでに五カ月を経過しております。そして、今や経済界には、景気早期回復の期待感すら強まっておるのであります。このような時期において、財政に期待されるところは、いわゆるなべ底の状態から景気を上向きに転ぜしめるための浮揚力をつけることであります。ことに、経済白書も指摘しておりますように、わが国の経済は、いわゆる転型期を迎えており、民間の設備投資を中心とした高度成長から、財政支出にささえられた安定成長へと重点を切りかえる時期に差しかかっておりますだけに、新年度予算に寄せられる期待は、一そう大きなものがあると言わなければなりません。私見によりますと、政府の提出にかかる予算三案は、この期待にこたえるものと思うのであります。 昭和三十八年度一般会計予算の規模は、二兆八千五百億で、前年度当初予算二兆四千二百六十八億円に比しまして一七・四%の増額であります。景気調整のあとを受けて、昭和三十八年度はあまり大きな歳入の増加は期待できないであろうというのが、一般の観測でありましたが、一方において五百四十億円の国税の減税を行ないながら、なお前年度に比し四千二百億円の予算規模の拡大が可能となりましたのは、三十八年度の経済が着実に上昇級をたどり、名目で八%程度の成長が見込まれるに至ったからであります。また、財政投融資計画は、一般会計よりも積極的な拡充を見込み、総計一兆一千九十七億円と、三十七年度当初計画よりも二千四十五億円の増、すなわち二二・六%の拡大となっております。三十七年度の当初計画は、三十六年度の当初計画に比べて千三百四億円の増加でありましたから、今回の増額は、まさに画期的な拡充と申すべきであります。その結果といたしまして、政府の経済見通しによりますと、三十八年度の財政支出は四兆四千八百億円と、今年度よりも一四%の増加を予想されるのでありまして、経済の安定成長をささえる柱となるものと信ずるのであります。 次に、予算の内容につきまして考察いたしますと、まず、歳入の面におきましては、国税において五百四十億円、地方税におきましても電気ガス税の軽減等約百億円以上の減税を行なおうといたしております。国税の減税は、中小所得階層の負担軽減をはかるための一般減税と、各種のいわゆる政策減税からなっております。一般減税か政策減税かという問題は、予算案編成の当時相当に議論の的となったところでありますが、今回の減税は、両者にほぼ同等の比重を置いておるのであります。いわゆる政策減税とは、申すまでもなく、国民経済の当面の緊切な要請を満たすための租税の軽減であります。すなわち、資本の蓄積と企業の資本充実ということが事業の体質改善と経済拡大の前提条件であるという観点から、利子所得と配当所得に対する軽減措置を講ずることといたしております。また、新技術企業化に関する特別償却、輸出に関する割増し償却その他三十七年度末に期限の到来する特別措置を延期したほか、中小企業設備近代化のための機械設備及び工場用建物の償却範囲の増額、企業合併に関する課税の繰り延べ、公共用のための土地等の譲渡に伴う譲渡所得課税の軽減措置など、幾つかの新しい特別措置を設けたのも、わが国経済の緊急の要請にこたえたものでありまして、きわめて適切な措置と考えるものであります。 次に、歳出面におきましては、重点の第一は、社会資本の充実、産業基盤の整備であります。この目的のためには、公共事業の大幅な拡充がはかられております。すなわち、公共事業関係費におきましては、過年度災害の復旧が相当進捗した関係で災害復旧事業費が大きく減少しておりますが、これを除いた一般公共事業費のほうは、三十七年度に比べて七百七十八億の増額が行なわれておりまして、その伸び率二〇・六%は、一般会計予算総額の伸び率一七・四%をはるかに上回っておるのであります。また、財政投融資の面におきましても、社会資本造成のための資金投入は、著しく増額されておりまして、たとえば道路公団のごとき、三十七年度当初の投融資計画四百十六億円に対しまして、三十八年度計画は六百二十四億円と、ちょうど五割の大幅な増額をはかることといたしております。これによりまして、経済成長の隘路をなしております道路、港湾、鉄道等の整備、治山治水事業の一そうの促進、地域格差の是正に役立つべき後進地域の開発等の事業は、顕著な前進を遂げることを信じて疑わないものであります。 重点の第二は、人つくり政策の前進をはかるための文教施策の充実、社会保障の拡充であります。三十八年度文教関係予算の総額は三千七百十七億円でありまして、前年度当初予算に比し六百三十四億円、すなわち二〇%以上の増額となっております。特に注目すべき施策としましては、義務教育教科書の無償給与の制度がいよいよ本格的に実施に移されることを初めとし、高校生急増対策がさらに促進され、ことに新規の建設は、すべて鉄筋建築としたこと、育英奨学のため奨学生の人員の増加、単価の引き上げが行なわれたこと、小中学校の全児童にミルク給食が実施されること、国立高等専門学校が新たに十七校設置されること等々、著しい前進が見られるのであります。 次に、社会保障の面におきましては、一般会計の社会保障関係費の総額は、三十七年度当初の三千三億円から三千六百七十九億円へと六百七十六億円の増額、すなわち二二%に上る大幅な増額が行なわれております。これによりまして、生活扶助基準の一七%の引き上げ、国民健康保険の世帯主の給付率の五割から七割への引き上げ、福祉年金の増額と支給制限の緩和、その他各種の改善がはかられております。また、雇用対策の面におきましては、一般失対事業の新規の失業者吸収を抑制して、常用雇用に復帰させるための措置を講じ、これまで問題の多かった臨時就労事業を廃止するなど、失業対策の根本的な刷新改善がはかられた点が特に注目すべきであります。 重点の第三は、国内産業体制の整備であります。すなわち、まず石炭対策におきましては、すでに三十七年度補正予算におきまして、当面必要な対策費が計上されましたが、三十八年度は、一般会計だけでも約百八十億円が計上され、石炭鉱業の合理化、離職者のための対策が一そう充実されることとなっております。また、海運事業が国際収支の改善に非常に大きな貢献をなすものであるにかかわらず、長らく不振を続けているのにかんがみまして、この際思い切った対策としまして、海運業の集約化を助長するため、集約化を実行した企業に対しましては、第十七次造船以前の開銀融資の利子を五年間だけ徴収を猶予することとし、また、第十八次造船以後集約化を行なった船主に対しましては、国庫より利子補給を行なって、海運業の国際競争力の強化をはかったのであります。 また、貿易自由化のための対策といたしまして、貿易自由化によって圧迫を受けるわが国非鉄金属鉱業の再建育成々はかるため、探鉱融資事業団を設け、また、外国からの延べ払いによる機械の売り込みの競争激化に対抗しまして、国産機械についても延べ払いを行なわせるために、開銀、長銀を通じて延べ払い資金を融通させる措置を講ずることといたしております。 そのほか、中小企業につきましても、中小企業の工場等の集団化、商業集団化、商工業の協業化に必要な資金を確保するため、中小企業高度化資金融通特別会計を新設するという画期的措置が講ぜられるほか、中小企業投資育成会社の新設、設備近代化補助の増額、小規模事業対策の改善充実、経営管理者及び技術者の研修事業への助成措置、その他中小企業基本法の制定と並行いたしまして、中小企業対策の予算面においても格段の拡充がはかられておるのであります。 最後に、中小企業と並んで農林漁業の対策としましても、また力強く推進されることになっております。特に農業基本法に基づく新しい事業としまして、三十七年度から開始されました農業構造改善事業も、実施地区を大幅に増加するとともに、新たに農林漁業金融公庫に三百億円の資金ワクを設け、最低は三分五厘というきわめて低い金利で長期貸付を行なうことといたしております。 そのほか、土地改良等の農業基盤の整備、畜産の振興を中心とする農業生産の選択的拡大の促進、食肉センターの設置その他農林水産物の流通改善のための諸施策、また、農漁村におきましてもりっぱな業績をあげ、非常な歓迎を受けております農業改良普及員及び生活改善普及員の増員と待遇の改善等々、注目すべき施策が講ぜられることになっております。中小企業者と農林漁業者とは、国民の中堅階層であります。この人々の生活の安定向上こそは、為政者の最も深い関心事でなければなりません。私は、昭和三十八年度の予算及び財政投融資を通じて、この点に深い配慮が払われていることを認めるものであります。 以上、私は、昭和三十八年度予算の重点項目について、きわめて簡単な概観を試みたにすぎませんが、ただいま申し述べましたところから判断いたしましても、この予算は、わが国経済の現状にかんがみまして、きわめて適切な内容を盛ったものであると申すべきであります。また、その効果といたしましては、景気の浮揚力としての作用を十分に果たし得るものとして大きな期待が寄せられるのであります。 私は、予算三案に対しまして心からの賛意を表するものであります。(拍手)
○委員長(木内四郎君) 次に、小平芳平君。
○小平芳平君 私は、公明会を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十八年度一般会計予算等三案に対し、反対の討論をするものであります。 以下、反対の理由を簡単に申し上げます。 まず第一に、経済政策についてであります。日本経済が高度成長をとげてきたことは周知の事実であります。しかしながら、この高度成長の過程において、池田内閣のとってきた経済政策には、幾多の失敗があったのであります。昭和三十五年、六年と高度成長が続いたが、三十六年には国際収支の面からまず破たんを来たし、同年秋から引き締め政策をとらざるを得なくなったのであります。三十七年から八年にかけて、ようやく長い調整の過程を経て景気が立ち直るかに見えますが、こうした急角度の景気上昇と、その反動としての下落とは、いたずらに経済を疲弊混乱させる結果が生じたのであります。すでに日本経済には多くの遊休設備をかかえており、これでは何のための高度成長かと疑わざるを得ない状態が生じております。しかも、この景気変動のあおりを受け、苦境に追い込まれ、倒産した企業さえ出たのであります。高度成長の陰には国民生活を圧迫する幾多の問題が提起され、三十七年度厚生白書には、生活環境の変化、消費者物価の高騰などにより、生活の不安や相対的な貧困感が強まりつつあると述べていることが、如実にこのことを物語っておるのであります。 さらに一方では、大企業中心の政策が強力に進められてきました。高度成長政策は、その当初においては二重構造の格差の是正を考慮したのではありましょうが、現実は、政府自身も認めているように、生産性の格差は拡大する傾向を示しておるのであります。これは大企業等は、租税特別措置等多くの恩恵を受ける機会はあっても、中小企業ではなかなか恩典に浴し得ないのが原因と考えられるのであります。三十八年度予算でも、政策減税その他の政策により中小企業と大企業との格差を一そう増大し、そうでなくても弱い立場にある中小企業をますます弱い立場に立たすであろうことは火を見るよりも明らかなことであります。 次にあげられますことは、政府の無計画な成長政策は、社会資本の立ちおくれ、人口の過度集中による都市問題を惹起したのであります。大都市における住宅難、交通地獄、水資源の不足、スモッグ等、重大な社会問題となっておるのであります。一方低開発地域においては、若い労働力がなく、ますます貧困に陥っている現状であります。このような日本経済に内在する矛盾に目をふさぎ、数字のみにとらわれて程々としている政府の態度こそ、国民のためには無慈悲なものと言わざるを得ないのであります。日本を取り巻く国際経済環境を考えてみても、貿易の自由化の推進やIMF八条国移行に伴う為替の自由化という市大な問題をかかえております。三十八年度予算において、この点に相当の重点が置かれたことは認めるにやぶさかではありませんが、しかし、その内容に立ち入ったとき、たとえば重要産業振興法とか中小企業投資育成会社等、上質の企業の保護育成に重点を置き、自由化の波を最終的に受ける中小企業の対策費はわずか八十四億二千万円にすぎないのは承服しかねることであります。さらにまた、アメリカの赤字財政政策、イギリスのEEC加盟失敗等、容易ならぬ事態が続いております。この中にあって、日本経済が健全な成長をとげるためには、輸出の振興が第一であることは申すまでもありません。しかし、政府の対米一辺倒の貿易政策といい、わずかな輸出振興関係費等、いずれもきわめて不満の状態にあります。 次に、減税について申し上げます。日本経済の高度成長のためには、その成長の基盤となって働いた勤勉なる労働者がおります。その大多数の人たちはいまだに重税にあえいでいるのであります。最近の税負担率の推移を見ても、昭和三十二年を頂点として、三十三年、三十四年と下がってきた負担率も、三十五年ごろからまた順次上昇してきております。三十八年度は幾らか下がるかと期待を持って見ておりましたが。これもまたよくて横ばいかあるいは上昇するかと見通しが立てられております。試みに減税の内容を検討してみても、年収三十万円の独身者で月額五十円、年収五十万円の標準世帯で月額百円の減税でしかないのであります。月にたばこ一個ぐらいの減税で、これが勤労意欲を高めるための重点的減税と言えるであろうか。またこれに反して大幅に取り上げられた減税は、政策減税という美名に隠れたところの、大企業、大資本家優遇のための減税や特別措置であります。はたしてこのような減税において利益を受けるのはどのようだ階層の人か。それは一般サラリーマン階級でないことは一目瞭然であります。一般サラリーマン等の低所得階級は、その日その日の生活に追われ、貯蓄などは思いもよらない現状であります。政府は景気を建て直す意味において、一般所得税よりも政策減税に力を入れなければならなかったと弁明しておりますが、一般国民にとっては、最近の景気が悪くても物価は上昇しておるのであります。この程度の減税ではかえって生活は苦しくなっていくのであります。もっと国民生活を中心にした租税の制度を再検討するよう強く要望するものであります。 次に、国民生活に密接な諸問題について二、三の意見を申し上げます。 まず第一に、住宅の困窮状態は大都市においてはいまだにひどい状態にあります。特に宅地価の上昇は目に余るものがあります。この責任は政府の無策がその原因であり、今日を招来さしたにもかかわらず、政府は明確な計画を打ち出すことなく、ただ所得倍増十カ年計画のムードに乗せて、十年間一千万戸住宅建設を唱えておりますが、そのうち六百万戸を民間自力建設に依存し、最初の五年間の目標は全体の四割に置くというなどは、まことに無責任の政策であると言わざるを得ません。三十八年度予算におきましても、政府施策住宅は二十八万戸で、前年度に比較し、わずか二万戸程度の増加にとどまるものであります。その上、住宅建設を困難ならしめている宅地価高騰の抑制策に打ち出した宅地債券も、とうてい低所得者階層の手に届くをものではありません。われわれは十カ年計画を改め、民間建設の比重を軽く、政府施策住宅を積極的に推進することを強く要望するものであります。 次に、社会保障についてであります。池田首相初め、政府、自民党首脳部は、社会保障制度の拡充は重点政策の大切な三木の柱の一つであると強調されてきました。その具体策として三十八年度予算においては総額七百六億何がしを計上した生活保護費を一例に見ましても、生活保護家庭は確かに一七%、二千円アップはされたけれども、東京など一級地の標準四人世帯の月額一万四千二百八十円で、はたしてどれだけの生活ができるだろうか。米の値上がり分を勘定に入れても、一日分の食費はわずかに七十円、田舎に行けば五十円の計算になるのであります。その上、もろもろの控除基準の引き上げはあったものの、きわめてわずかな額であり、一刻も早く一人立ちさせてあげるために思い切って控除など全廃させる勇気と慈愛の手を差し延べるべきであると主張するものであります。さらに福祉年金は総額三百九十一億円で、前年より五十五億増額となっておりますが、消費者物価の値上がりを考えるならば、もっと大幅に増額を期待したいところであり、またもろもろの福祉施設に働く従業員の給与ベースも、特殊な環境に身を投げ打っての献身的な労働に報ゆるものとはとうてい言い得ないものであります。 次に、都市問題についてであります。世界に誇った日本の桜も道路工事やスモッグのために花が咲くかどうかと言われておるところもあります。東京の月平均煤塵量はロンドンよりはるかに多く、川崎、大阪、尼崎、福岡等でもほとんど同様でありますが、これらに対する施策がまた皆無にひとしいのであります。これと並んで都市に住む人を悩ますものは地盤沈下の問題があります。これも東京に例をとれば、江東方面の住民たちは日夜浸水に悩まされ、安閑としておられないのであります。満潮時には都民のうち百万人、八十五平方キロが海面下に住む状態となっております。このまま伊勢湾台風級の台風が来たならば、たちまち都の全域に未曾有の大災害を招くことは必然であるにもかかわらず、その対策はあまりにも立ちおくれているのであります。工業用水のみならず、飲料水にも事欠き、対策はただ一つ、天から雨の降るのを待つという状態であります。さらに都市計画の放任は、交通麻痺、殺人的な混雑の通勤電車など、いつ解消できるか、見通しも立たない状態であります。 次に、文教政策について申し上げます。 第一に、教科書無償配付についてであります。政府は無償配付五カ年計画の第二段階として、三十八年度予算では、小学校三年生まで二十七億円計上しているわけであります。しかし、政府の考える年次計画で進めて参りますと、三十八年度における小学校六年生以上、中学三年生までには何ら益する施策ではないのであります。すなわち昭和四十二年度の中学三年生は昭和三十八年度における小学五年生だからであります。要するに政府はベビー・ブームの過ぎ去ってから、卒業してしまってから、全体に教科書を無償にしようとしているのであります。 次に、高校生急増対策の立場から申し上げますと、政府は三十八年度予算で進学率を一・八%引き上げ、単価も一割増にしたが、教育に実際に携わる当事者の声とは依然として差を残した中途半端な計画であります。進学率の認定の誤りは、すし詰め教室を作らしめ、建築単価の格差は、父兄負担となるのであります。学校給食についても義務教育は無償といいながら、父兄負担を期待しているのであります。地方財政法第二十七条の三で設置者負担の父兄負担への転嫁禁止により、父兄負担全略への動向にありながら、研校生急増対策、学校給食等父兄負担を前提としたともいえるような予算に全く反対せざるを得ないのであります。 最後に、外交について考えても、池田内閣の国連中心外交は、いたずらに欧米追随外交の域を出ていない。最近における日韓交渉の失敗なども最もその例であります。対共産圏との貿易の拡大を初め、政府の努力すべき事柄が山積しております。政府は、地球の民族は一体であるとの理想を掲げ、わが国独自の外交路線を打ち立てなければならないと考える次第であります。 以上、若干の意見を申し述べて、反対討論を終わります。(拍手) —————————————
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。稲葉誠一君が辞任され、その補欠として久保等君が選任されました。 —————————————
○委員長(木内四郎君) 次に、大竹平八郎君。
○大竹平八郎君 私は昭和三十八年度一般会計歳入歳出予算外二案につきまして、賛成の立場より、討論を行なわんとするものであります。 御承知のとおり、三十八年度一般会計歳出予算規模は二兆八千五百億円でありまして、前年度当初予算額に比較いたしますと四千二II二十二億円の増加であります。また、財政投融資計画額は一兆一千九十七億円と、これまた二千四十五億円を増加いたしております。比率で申しますと、一般会計の伸び率が一七・四%、財政投融資の伸びが二二・八%でありまして、三十七年度のそれは、前者が二四・二%、後者が一八%であります。予算の規模並びに編成方針として、今回の予算は大体妥当であると思うのであります。それは、日本経済が昨年の調整過程を経て沈静ぎみであり、設備投資も在庫投資も活発でないところから、財政支出の拡大によって増大した供給力との均衡をはかるということはけだし当然であるからであります。しかし、調整期のあとを受けておりますから、税収等の伸びは前々年度あるいは前年度のごとく巨額には達しませんので、支出の伸びを一般会計よりも財政投融資計画に大きくかけたのも一部理解されるところであります。三十五年から続きました嵐のごとき日本経済の高度成長が終わりを告げ、今後やや低いが安定成長への曲がりかどにおいて組まれた三十八年度予算といたしましては、その意味におきましてこれは正しい姿勢であると思うのであります。この予算が早期に実施いたされまするならば、経済の上昇機運を促進する力は相当に期待されてよいと思うのであります。 予算の内容に触れます前に、予算の編成のあり方につきまして二点だけ申し述べたいと思います。 第一は、予算と景気調節との問題であります。池田内閣の倍増計画には景気変動への配慮が欠けておるということであります。高度成長の中に景気波動は吸収されて、しまうような安易な考え方があったが、実際はそうではございません。成長が激しければ、景気変動の振り幅というものも大きくなるのであります。財政政策において予算を組む場合、一つの景気循環を頭に置いておかないと、好況期には税収の伸びというものが大きいにまかせて歳出が膨張いたし、それがまた景気を刺激し自然増収がさらに大きくなると、こういうことになるわけです。私は、今回の予算の規模は、景気調整の見地が十分組み入れられた予算だと思いますが、三十六年度、三十七年度予算、またその年度間の補正予算の組み方にありましては、景気調節の見地からは必ずしも妥当なものとは言えないものがあったのではないかと思うのであります。そこで、私は、先日の本委員会の質疑で申し上げましたとおり、景気額環の上に立った長期予算のビジョンが必要であり、制度的に承景気調整資金というようなものを今から考えておくべきであると思うのであります。 第二は、公債の問題であります。政府は政府保証債の増発やあるいは外貨債の発行によって三十八年度財政投融資計画を組んだのでありますが、内国債の発行はやっておらないのであります。三十八年度は大きな前年度剰余金や三千億円の自然増収があったからおさまったのでありますが、三十九年度以降となりますと、内債発行は絶対にやらないとすましておるわけには参らないのであります。無公債の予算が何も健全財政ではありません。このことは、衆議院段階でも、また本院でも、しばしば論議をせられたところであります。私は、理論の問題よりも、今日の金融情勢のもとでは必要な国債の発行ができないという点にこそ真の問題があるであろうと思うのであります。金融の正常化、あるいは長短金利の是正、公社債市場の育成の必要という言葉は、これまで幾たび私どもは聞かされて参りました。政府や中央銀行当局の努力が私は足らなかったのではないかと思うのであります。少しその方向に動きましても、すぐにこれが逆戻りになっているというのが今までの現状であります。私は、大蔵大臣に、いつでも必要な額だけ外貨債でもあるいは内国債でも発行できるような条件を整備することに最大の努力を払われんことを強く希望いたしたいのであります。 次に、減税の問題でありままが、減税の幅といたしまして、今年度は、五百四十二億円はやむを得なかったと思います。しかし、減税の配分におきまして、所得税の一般減税において税制調査会の答申の線より後退をし、利子配当金その他特別措置の強化のほうへ重点をかけ過ぎているということは、一般国民の共感を呼び得ないところでございます。特に、利子税の引き下げと資本蓄積の関係について、合理的な裏づけが乏しいのに、政府の一方的判断を押しつけているという感じは免れないのであります。 また、今回の減税が不評であった理由には、一昨年来の消費者物価騰貴の問題と、それから地方税、特に住民税の賦課基準が国税から切り離され、その結果高くなったということであります。 物価対策は、何と申しましても、池田内閣の私は黒星であると断言せざるを得ないのであります。総理は、卸売物価さえ安定いたしまするならばインフレではないとされておりますが、二年間に消費者物価で一五%も上がるという現実に国民消費生活は圧迫されておるのであります。一昨年来の顕著な物価騰貴の上に、超高度成長がもたらしましたアンバランスは遺憾なく反映しておると思うのであります。物価の安定につきましては、政府はあらゆる施策を講じてもらいたいと思います。それでも上がる部分につきましては、これを社会保障なりあるいは税制なりあるいは賃金政策等において十分にカバーする施策が必要であると思うのであります。 経済の安定成長と国民生活の安定が政策目標たるべきであって、すぐに息切れをするような高度成長が経済政策でないことは、この際特に申し上げておきたいの、であります。 時間の関係上、歳出面の個々につきましては触れられませんが、政府が予算編成方針でうたっているところの社会保障の充実は六百七十六億円二二・五%、社会資本の充実と産業基盤の強化に七百七十八億円二〇・六%、文教科学振興費が六百三十四億円二〇%のごとく、増加経費の重点配分が考慮されております。それから、自由化を控えました輸出の振興、中小企業の対策、また農業構造改善を中心といたします農業対策費、それから石炭、海運、金属鉱業等不況産業に対する措置も講ぜられております。しかし、重点的に予算がつけられました公共事業も、道路、河川、住宅、環境衛生施設と、その内容を見ていきますと、現在の交通難、住宅難、あるいは水飢饉、上下水道の不足等々の行き詰まりを打開するものとは決して言いがたいのであります。したがいまして、これら社会資本の充実にはさらに巨額の財政投資を必要とするのでありますが、他面この程度の一般会計及び財政投融資による公共事業を行なっていくにいたしましても、それがはたして、地価の暴騰、あるいはセメント、石材など建築資材の騰貴、さらに建設労賃の高騰なくしてやり得るかに、大きな危惧を禁じ得ません。私は、政府が、今後直面する社会投資の規模を考えます場合、地価の抑制対策、公正なる補償、機械化の徹底的な採用によりまして、この建設工事の合理化に最大の努力を払われんことを希望するものであります。 なお、農地被買収者補償の問題が本委員会におきましてもしばしば論ぜられましたが、私は、政府の御説明どおり正確な実態調査を行ない、旧地主の実情や農地移動の実態を明らかにし、国民世論の動向を十分に聞いた上、慎重にかつしかもフェアに措置を決定されんことを望むのであります。この問題は、何と申しましても、戦争と戦後処理の際に生じました複雑広範な問題の一つでありまして、旧地主だけが占領政策の犠牲者では決してないのであります。とれらの点を十二分に考慮の上、かつわが国の財政負担の点も勘考いたしまして、全国民が納得のいく決断を下されんことを切望する次第であります。 最後に、外交問題に触れる余裕がなかったのでありますが、両院を通じて最も論議の的となりました日韓交渉の現状につきましては、私どもは、隣国である韓国の政情が動揺を続けていることに対し、韓国民に真に同情にたえぬと存するのであります。隣国の政情不安を取り上げて私は政争の具とすることは好みません。国交交渉の相手が軍事政権がよいか民主政権がよいかは、理論の問題ではなく、要は約束を完全に履行し得る政権であるかどうかという点にかかっております。日韓交渉に不安があるといたしまするならば、あまりに激しい韓国の政情につきまして、外務省がはたして十分な情報を得ているのかどうか不安でありまして、この点外務省の一そうの努力を要望いたしたいのであります。 なお、韓国は、政情不安の上、経済情勢も危機的様相であると伝えられておるのであります。この際こそ、わが国といたしましては、政治を離れて経済上なし得る援助の手を差し伸べることが道徳的義務であり、かつ両国親善のきずなとなるであろうと信じ、政府の善処を希望いたします。 以上多くの希望を政府に申し述べましたが、これをもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
○委員長(木内四郎君) 次に田畑金光君。
○田畑金光君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の昭和三十八年度予算三案に対し、反対討論をいたすものであります。 私が政府案に反対する第一の理由は、政府案がよって立つところの基本政策は、今や政府みずからが改定しつつあり、したがって政府予算案も政府みずからが修正せねばならない情勢に立ち至っております。 政府は、すでに経済審議会を開いて、所得倍増計画の改定問題を持ち出しております。倍増計画は、経済成長率を年平均七・二%、最初の三年間は年平均九%と想定したにもかかわらず、三十六年度は実質一四%、三十七年度は実質四%という乱調子であります。また、消費者物価は三十六、七両年を通じ引き続き六%以上も上昇し、この結果国民の消費生活は多大の犠牲を強要される事態を招いております。そこで、ついに政府は、基本政策の改定に着手せざるを得なくなったのであります。われわれは、このような前提の大きくくずれた根拠をもとに編成された予算案を承認し得ないのは当然であります。 また、政府は、張る二十五日に特定産業振興臨時措置法案を国会に提案いたしましたが、この案の実質は、特定産業の国際競争力強化を名目とする大企業基本法案でありまして、現在の経済秩序の根幹ともいうべき独占禁止法に大幅の除外例を設け、むしろ一般法規としての役割を果たすところに、危険性がございます。池田総理は、今国会の劈頭、一月二十三日の施政方針演説において、経済政策としては、格差是正と産業の高度化を強調され、特に中小企業基本法案を提出して、中小企業の近代化と合理化を進める根本方針を明らかにされました。ところが、それから約二カ月後の一二月二十五日には、この中小企業基本法案の目ざす方向を阻害し、経済格差拡大を促進する特定産業振興臨時措置法案を提出されましたことは、基本政策の朝令暮改とも称すべく、無定見、無責任と極言せざるを得ません。私は、このように政府予算案のよって立つ基本政策がすでに抜けがらとなり、ばらばらとなっておる事実にかんがみまして、政府案に反対せざるを得ません。 私が政府案に反対する第二の理由は、政府の予算編成の内容それ自体は、国民経済に悪影響を招来する要因がむしろ多いという点であります。 なるほど、政府案は、一般会計予算案において、公共投資、文教費、社会保障費関係においてそれぞれ六百億を上回る増額を行ない、また国民健康保険や中小企業設備近代化などについて部分的改善を加えていることは事実であります。しかし、これらの部分的改善は、政府施策の根幹をなしている大企業本位の政策によって著しく効果を削減されております。すなわち、金融面における買いオペ政策、日銀公定歩合の再々引き下げ、また一般会計予算案に計上されている産業投資特別会計への四百九十七億円の繰り入れ、外貨債の発行増額、資本蓄積免税の断行など、これらは緊密に組み合わされて、大企業の財務経理安定のための刺激策として貢献せんとしております。最近機械発注高が上昇してきたので、これを景気上昇の先行指標であると見る声を聞きますが、私はむしろ、過去三たびにわたるわが国の経済の大きな景気変動の経験にかんがみ、政府の景気刺激策に刺激された大企業の設備投資競争がまた始まったのではないかと、危惧なきを禁じ得ません。政府は、一方において、大企業の設備投資の過大から所得倍増計画の失敗を招き、今やこれが計画改定の必要を認めながら、再び同じような失敗コースをたどろうとしております。その失敗の要因が、明年度予算編成と、それに関連する財政経済政策にあることを強く指摘したいと思います。 池田総理は、施政方針演説において、本年秋には景気は回復するときわめて大胆に所信を表明されましたが、国の予算は短期的な景気刺激に奉仕するために編成すべきものではありません。ましてや、選挙目当てのものであってはなりません。今や、わが国の工業生産力は飛躍的に拡大し、作れば売れるという時代から、作ったものが余るのが通常の状態となるといういわゆる過剰供給、設備過剰が、現在のわが国の経済の実情であります。したがって、短期的には景気変動による国民経済の損失を防止し、長期的にはわが国商品の国際競争力を強化し、経済的、社会的諸格差の是正と、国民生活の向上をはかるためには、国民経済の計画的調整、運営という角度から財政政策がとらるべきであると考えます。国の予算がこの重大な任務を果たすためには、国の予算規模が大型化し、経済政策全体の主導権を発揮し得るような態勢を整えることが必要であると思います。 なるほど、政府予算案の規模は大型化しております。しかし、その内容は、大企業の財務経理の改善に奉仕せんがための大型化であります。肝心な点は、大型予算をもって国民経済のゆがみをいかに調整し健全なる発展を促進するかにあるはずでありますが、この点政府案は国民の期待に逆行するものであります。 わが党は、政府案の内容のこのような根本的欠陥に着目し、政府案をして真に国民福祉と経済格差是正に役立たしめるにはいかなる具体策が必要であるかという立場から、衆議院においては組みかえ要求の動議を提出いたしたわけであります。私はそれをここで繰り返す煩瑣を避けますが、わが党は、政府が、予算編成にあたりまして、もっともっと勤労国民の立場に立ち、完全雇用、国民所得の均衡化、社会保障制度の充実強化を柱とする福祉国家の建設に寄与する予算編成に移行すべきであると考えます。 私は、政府案が、第一に社会保障と文教制度の拡充、中小企業と農業経営の近代化促進等経済二重構造の解消、第二に不況産業と離職者対策の確立、第三に財政投融資計画と市中金融の一体化の方向を目ざす金融調整、第四に地方自治体の自主財源の増強等、これらの四点に関し強く反省されんことを要望いたしまして、私の反対村論を終わるものであります。(拍手)
○委員長(木内四郎君) 次に、須藤五郎君。
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表しまして、昭和三十八年度一般へ会計予算、特別会計予算及び政府関係機関予算に反対をするものであります。 池田首相は、今国会の施政演説で、日本は自由主義陣営の重要な一員として、三木柱の一つにならねばならぬと大いに力んでおられます。これは、ケネディの中ソ封じ込め政策に従い、反共軍事同盟で重要な役割を果たすことであり、人民を大国意識であおり立て、対米従属と海外侵略の野望に協力させることであります。そうして、人民に対しては、首切り、合理化、低賃金、労働強化で収奪し、反動政治体制の強化で、独占の集中、蓄積の強化を押し進めることであります。 政府が三本の柱の一つになろうと力んでいるちょうどそのときに、国内では過剰生産が深刻になり、国際的には主要資本主義国そろって経済発展が停滞し、市場争奪戦が激しくなっております。アメリカの要求に応じて、貿易の百パーセント自由化や為替の自由化、関税の一括引き下げをやらなければならなくなっております。池田内閣は、この自由化を武器として、日本商品に対する差別の撤廃を相手国に要求し、海外進出をはかっているのですが、進出するどころか、反対に、日本に国内市場が、アメリカやEECの進出に脅かされております。昨年十一月の日米貿易経済合同委員会では、日本独占の要求はてんで相手にされなかったばかりか、ケネディ大統領に中ソ封じ込め戦略に協力するよう指図されてしまったのであります。 三十八年度の予算と法律案は、このような過剰生産と自由化の切迫という困難な情勢の中で、池田内閣がアメリカの世界戦略に忠実に従い、経済的にも従属を強めながら、人民からの一大収奪で、日本独占の蓄積と海外膨張のための高度成長、所得倍増、軍国主義、治安対策強化政策を一そう露骨に押し進めようとしておることを示しております。 まず歳出の内容であります。 第一に、防衛費であります。防衛費の今年度の予算は、日米安保条約に従って、日米共同作戦を行なうための自衛隊の核武装化、近代化を目標とする第二次防衛計画の第二年度目の実行のため、膨大な血税を注いでいるのであります。政府は、防衛庁費と防衛支出金を合わせた防衛関係費を二千四百十二億円とし、三百二十七億円、一五・七%も増額したのであります。さらに、その質については、新師団の機動力向上、陸海空装備の近代化、ミサイルなど新しい兵器の開発などに重点を置き、自衛隊の宣伝や軍国主義思想の普及にも力を入れようとしているのであります。陸上自衛隊では、地対空ミサイル、ナイキ、ホークの装備に十八億円、国庫債務負担行為百六十億円、航空自衛隊では、新主力戦闘機F104八十二機などの購入のために二百三十五億円、国庫債務負担行為十三億円、ミサイルなど新兵器開発に三十七億円、国庫債務負担行為十五億円、海上自衛隊では、対潜水艦無人ヘリコプター積載護衛艦三千総トン一隻、潜水艦千六百総トン一隻の建造に約四十億をそれぞれ支出し、軍国主義的基礎を一段と強めようとしているのであります。 第二に、公共投資であります。 政府は、一般会計で公共事業費を六百十億円ふやして五千九十三億円、さらに財政投融資を含めた広い意味での公共投資は、総額一兆一千八百億円に達し、前年度より二〇%ふやしたのであります。公共投資といえば聞こえはいいが、独占資本の大もうけと高度蓄積のため、社会資本すなわち道路や港湾に莫大な予算を組んでいる一方では、住宅や生活環境施設にはスズメの涙ほどの予算を組むだけでごまかしております。公共投資の主力は道路であり、道路整備費は二千二百五十一億円と二一%もふえて、これに財政投融資分を含めると、道路予算は三千二百二十億円という膨大なものになるのであります。道路と並んで、港湾には二三・七%も予算をふやし、独占資本のための六大港を中心として整備を行なおうとしており、また国鉄に対しては、二一%増の千九十八億円の財政投融資を振り向け、そのうち八百八十五億円は東海道新幹線に充て、改良工事はおざなりにし、三河島の事件のような惨事を引き起こす条件は、依然としてなくならないのであります。 第三に、新産業秩序づくりのための体制金融と称して、独占資本に十分の国家資金をみついでやろうとしているのであります。 開発銀行への財政投融資は、前年度より三〇%もふえ、八百七十六億円となり、自己資金を含めて一千百三十億円の貸付のワクから、開銀は電力、海運、地域開発などに巨額の融資をし、三十八年度の自由化対策として、まず自動車と石油化学の両産業における独占集中を促進するため、体制金融として三十億円を行なおうとしておりますなど、独占集中のために至れり尽くせりの措置をとろうとしているのであります。 第四に、政府は社会保障関係費として、総額は二二・四%増の三千六百十四億円を支出しようとしています。しかし、生活保護の扶助基準一七%の引き上げは、消費者物価の上昇によって消され、実質的には切り下げられるのであります。さらに、失対労働者の賃金一日四百八十五円は、わずか三十三円の引き上げに過ぎず、実質的に切り下げられるだけでなく、逆に失対打ち切りをやろうとしているのであります。 第五に、政府は、労働者に対して、新しい労働政策によって首切り合理化を促進し、安い労働力を独占資本へ引き渡すための転職対策と職業訓練をやろうとしており、農漁民に対しては、資本主義農業の育成と零細農民の流民化を促進させるものであります。また、中小企業対策は、独占資本のために役立つ一部中小企業のみを育成し、大部分の零細企業は切り捨てようとするものであります。 最後に、これらの支出は、すべて独占集中を進め、独占資本のための環境を整備してやる政策であり、国民には貧困と生活困難を押しつけるものであります。 かかる歳出を満たすための歳入は、租税及び印紙収入二兆三千五十三億円、その他専売益金収入など二千八百二十億円、前年度剰余金受け入れ二千六百二十七億円であり、歳入の八〇%が租税であります。これは大増税であって、これによって、戦前に比しても、諸外国に比較しても、ずば抜けて高い所得税は、ますます高くなり、納税者は百万人も増加し、国民所得に対する税負担率も、税制調査会が妥当と認めた二〇%の線をはるかにこえ続けるのであります。 このように、国民からきびしく税を取り立てる一方では、独占資本家に対しては、政策減税と称し、利子、配当所得の優遇強化、合併に伴う清算所得、公共事業への譲渡所得などへの特例などの特別措置による減税を、さらにつけ加えようとしているのであります。 以上のように、本予算案は、一言で言えば、アメリカ帝国主義に従属しつつ、軍国主義、帝国主義復活を強行するために、人民への収奪をますます強め、国民生活に一そうの重圧を加えるものであります。わが共産党は、このような反民族的、反人民的予算案に対して、断固反対するものであります。(拍手)
○委員長(木内四郎君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、三案の討論は終局したものと認めます。 これより採決を行ないます。昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して問題に供します。三案を、衆議院送付どおり可決することに賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(木内四郎君) 起立多数でございます。よって三案は、多数をもって、衆議院送付どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、ただいま可決すべきものと決定いたしました三案の議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例によりまして、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十二分散会