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43回国会参議院1963/03/20

予算委員会 第16号

発言数
447
登壇者
29
会派数
2
開催日
1963/03/20

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昨日の理事会におきまて、締めくくりの総括質疑の取り扱いについて協議いたしましたので、その内容について御報告いたします。  審査期間につきましては、来たる二十八日及び二十九日の両日にわたりこれを行なうことといたしました。質疑順位につきましては、一般質疑と同様にすることにいたしました。また、質疑総時間は三百分とし、その各会派への割当時間は、自由民主党百十八分、社会党百二分、公明会三十分、第二院クラブ及び民主社会党それぞれ二十分、共産党十分でございます。  以上御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議、ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。大森創造君。

大森創造日本社会党

○大森創造君 外務大臣にと思ったのでございますが、まだお見えでないようで、ございますから、郵政大臣のほうから始めます。  在日米軍が使用している専用設備のうち、終戦処理費及び安全保障諸費支弁で作られたものに対する料金の問題でございますが、これは、あなたのほうの所管で回収していない金額はどのくらいになりますか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) まだ基本問題がきまっておりませんので、料金の基本問題をどうするかという問題は別といたしまして、官庁と同額、そういうふうな基準で計算いたしますと、三十六年度末で約五十五億になるわけでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 電話料金の未収は何ぼになりますか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) ただいまのが電話料金の未収金でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 なぜ交渉が妥結いたしませんか。終戦から現在まででございましょう。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) 在日米軍の使用しております専用設備のうち、ただいま大森先生のおっしゃいました終戦処理費及び安全保障諸費支弁で作られました施設に関しまして、料金の適用につきまして、地位協定の解釈上、日米両国間に見解の差異があるのでございます。その見解の差異がありまして、そのような場合の正規な処理機関であります日米合同委員会あるいはその下にあります通信分科委員会、そういうところを通じまして、日米間で話し合いを進めてきているわけでございますけれども、現在まで結論を得ないというような実情でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 その交渉はどういう機関で、こちら側はだれが当たって、何回くらいやりましたか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) その交渉機関は日米合同委員会でございまして、その下部に通信分科委員会がございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 何回ぐらいやって、だれが出ているのですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) こまかいことは政府委員に説明いたさせます。

武田功郵政大臣官房長

○政府委員(武田功君) お答えいたします。  合同委員会の中の通信分科委員会でございますが、二十七年の五月以来二十八年の二月、またさらに三十年七月、あるいは三十年の九月、三十一年八月、最近では三十四年十月、こういったような回数になっております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 アメリカ側の見解が日本側と違うというのは、向こうがどういうことを言っているのですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) 日米間で見解の相違をしておる点を申し上げます。  在日米軍の使用しておる専用設備のうちで、終戦処理費及び安全保障諸費支弁で作られました設備に対する料金の適用につきましては、地位協定の解釈上、日米両国間に見解の相違がありまして、米側は、地位協、定の第二条にいう施設、区域の運営に必要な設備、備品及び定着物とみなすことによりまして無償でこれを使用することができるというのが向こうの見方であります。われわれのほうからいいますと、一般の公衆通信電話料金を支払うべき理由といたしまして、公益事業及び公益の役務の提供のための施設であるというふうにわれわれは考えております。でございますから、地位協定第七条によりまして、日本政府の各省各庁並みの条件で提供してもらいたいというのがこちらの主張でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 今郵政大臣のお述べになったとおりだと思うのです。私は、日米の関係においては、綿製品の問題や、いろいろございますが、こういう問題は、日本側の主張をさっさと認めさせにゃいかんと思うのです。これは、大臣みずからこの問題にかかるなり、あとから外務大臣おいでになりますが、こういうもらうべきものはちゃんと取っておいたほうがいいと思います。どうお考えですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) 私のほうも、当然これはもらうべきものと思いまして、それで、これまでずっと努力を続けてきたわけ合いでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これはひとつ、あとから外務大臣が来たらお尋ねいたしますが、小沢郵政大臣にお願いしますが、これは、もらうべきものはちゃんともらったらいいですよ。しっかりやってくれますな。もらうべきものはもらい、やるべきものはやると、いかがですか。

小沢久太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小沢久太郎君) われわれのほうは、そのつもりで努力しておるつもりでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 大体終戦から今まで、でれでれでれでれ交渉していて、自分の金じゃございませんから、五十五億というのは。電話料金の値上げなんかしなくてもいいのだ、こういう金をもらえば。これは、ひとつ外務大臣と相談して、ちゃんと解決して下さいね。一種の怠慢だ。その問題については打ち切ります。  その次は、自治大臣にお伺いしますが、中央に直結する政治というのはどういう意味でございますか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 元来中央と地方というものは、二つの別々な対立するものではなくして、混然一体として有機的に運営されることが最も望ましいし、また、それが国民のためにも、また行政の能率を上げる上においても非常にいい姿である、おそらくそういう意味だろうと私は思っております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 池田総理が、北九州の市長選挙のみならず、その他の選挙に行って、これはうたい文句にしているのだな。中央に直結する政治、だからひとつこの方を応援してくれろ、鵜崎知事などは顔も知らない、こういうことを言うておるのだけれども、あなたは、これについてどうお考えですか。いい発言と思いますか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 私は、申し上げましたとおりの意味に解釈しております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 端的にお伺いしますが、中央に直結しない知事というのは、社会党の知事みたいなものを言うのだろうが、その知事が出たときには、あるいは市長が出たときには、別扱いするんですか。何か違うところがあるんですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 社会党の知事であるからといって、別扱いはいたしません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうすると、中央に直結する政治、自民党の気心の知れた知事が出ても出なくても、実際の効果は何ら変わりがないということでございますね。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) たとえば法律にきめられた交付税の配分であるとか、あるいは豪雪、あるいは何らかの特殊的な事情による特別交付税の配付であるとか、そういったようなものについてはもちろん社会党の知事であるから、自民党の知事であるからといって、それは区別をすべきものでもない。また、区別を事実上いたしません。ただ総理の言われる意味は、先般のこの委員会におきましても私申し上げたとおり、政府でありますから、地方の自治団体に対してはもちろん平等であり、また、愛情をもって臨んでおるわけでありますが、しかし、先般も申し上げましたように、いかに愛情のある母親でもすやすや寝ておる子供を起こして背中をかく者はない。やはり子供がむずかるから、ああそうかと、どこがかゆいか、ここがかゆいかと言って目をさまして、眠い目をこすって背中をかくという事情もありまして、やはり全然来ない、政府の意思の通じない地方の首長、あるいは常に政府に反対をしておる地方の首長と、そうでない人との間に、やはり意思の疎通の工合というものは違って、そういう場合におきましては、やはり寝ている子がかいてくれといったようなことがあり得ると思うし、そういうことはまた世間一般の人間生活においてあり得ると、こういう考えです。

大森創造日本社会党

○大森創造君 前回は全然別扱いをしないという言葉のうしろから、今度は衣のそでの下からよろいがちらちら出るように、自民党の荒武者の篠田さんのよろいがちらちらするような御答弁でございますが、私はあまり感心しない。陳情政治なんていうのはあなたはどう思いますか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 国民には請願の権利が認められております。陳情は一種の請願でありますから、国民の一つの権利であろうと思います。しかしながら、地方の特殊事情を非常に強調しまして、むだな経費を使ってぞろぞろ予算の時期等に地方から中央にやってくる、あるいはまた、圧力団体が来て圧力をかける、こういうような陳情のやり方というものには賛成をいたさないのであります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 一つ具体的な例をお伺いいたしますが、岐卓県で東京近郊のゴルフ・クラブの会員になるに必要な出資金百四十万円の予算が三十八年度予算に盛り込まれたという記事がございますが、そうしてそのゴルフに中央のお役人をさそってやるということ、これは岐阜県ばかりではないと思うんです。こういう問題について、これは適当だとお考えになりますか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) そういう新聞を数日前に見ました。この事の起こりは、岐阜県の東京事務所が、ゴルフ場に入会をして、いろいろな人を接待するために入会しようとして、その予算を要求したもののようであります。それに対しまして、岐阜県側から自治省の財政局長にあてて、こういうことは適当であるかないかということを聞いてきたそうであります。財政局長は、そういうことは適当でないという返事をしたそうでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 適当でなければどういう処置をするかあとでお伺いいたしますと同時に、僕は前に戻りまして、統一地方選挙が、ございます。中央に直結する政治をひとつやりなさい、気心の知れない者ではまずいですというようなことを言う。これは自民党総裁、あるいは副総裁の大野伴睦氏ならわけのわからないこともないんだけれども、どうですかな、内閣総理大臣、肉体は同じですからな。そうすると陳情においでなさいということだろうと思うんだな、これは逆に言えば。地方民主主義の基盤というものは地方自流の確立にあると思うんです。憲法で保障した地方自治、これを確立するというのが当面の義務ですよ。で、交付税がどうだとか、三割しか自主財源がないということは、あなたや歴代の内閣のお力で、地方自治確立の方向に向かわなければならぬというときに、中央に直結したものを選べという言葉、あなた適当と思いますか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) それはおそらく選挙のときの応援演説かなんかで言ったのじゃないですか。ふだんから政府が施政演説において、中央に直結しろとか、あるいはまた、国会においてそういうことを主張しているわけじゃないと思う。特定の候補者を当選させる目的をもって、そうして応援演説に行ったというような場合、これはしばしばオーバーな言葉が用いられます。先般も申し上げましたが、この委員会等におきまして、池田総理のことをつかまえて、サル回しのサルだと言ったことが速記録に載っております。こういうことは普通の常識では発言されることでもないし、また、一般の社会ではそんなことを許しません。失礼な話であります。しかし、それが場所が変わって国会ということになると、そういう言葉が平気で使われており、また、選挙になるというと、自民党は資本家の犬であるとか、国賊であるなんということを言う人もあります。しかし、われわれは、国賊と言われたからといって国賊と思っていないし、向こうもほんとうに国賊であると思って言っているかどうかわからない。だから選挙というものは、自分の特定の応援する候補者を勝たせるために、ということでありますから、それはよほど理屈に合わないとか、あるいはまた、非常に非人道的なことでも言っていれば別でありますけれども、普通の発言をつかまえて、そうしてそれが総理が言ったことだから、選挙の応援演説で言ったことをつかまえてかれこれ言うということは、私は行き過ぎじゃないか。それならば各党派ともそういう行き過ぎはお互いに選挙の前に言わないのだ、政策以外にはお互い言わないということで、はっきり自分の政策だけを述べるようにすればいいけれども、与党の総裁がしゃべったことであれば、個人的な発言もけしからぬ、野党の言うたことであれば、どんなことを言ってもいいと、そういうようなものでは私はないと思うのです。だから私は、それは施政演説でしゃべったとか、あるいはそういう態度を国会において表明したというような場合は別でありますけれども、選挙の応援に行って、特定の候補を勝たせるために、実はこの人は私と懇意だと、だから当選したら私は一生懸命めんどうを見ますからよろしく頼むというような、個人的なことを言うこともあるだろうし、あるいはまた、中央と直結すれば非常に仕事がやりやすいというようなことを言う場合もあるでありましょう。いずれにしても善悪の問題ではなくて、多少オーバーな応援演説が行なわれたということにすぎないと私はそう考えます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そのあなたのいうことに、サル回しのサルと総理を言ったということと、それから総理が閣僚を連れていって、そうしてその中央に直結する政治、気心の知れない者はどうもまずいというふうなことを言ったのは、これは同時に論ぜられないと思うのだ。国会で池田総理がサル回しのサルだと言ったことと、総理が中央に直結する政治ということを強調するという、裏を返して言えば、これは陳情政治を促進することになる。住民のための地方自治の確立という点からして総理のこういう言葉は不適当だと、あんた適当だと思っていますか、自治大臣。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 今申したとおり、選挙の応援演説で言われたことに対して、私は責任ありません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 官房長官どう思う。

黒金泰美自由民主党内閣官房長官

○政府委員(黒金泰美君) 先ほど自治大臣からお話しありましたように、われわれは、地方の自治を尊重いたしますけれども、地方の政治と国の政治とは完全に相対立するものとは考えておりません。したがいまして、私どもとすれば、地方の政治も自民党の政策で行なわれるほうがいいと、これはまあ自民党員の総理であればそうお考えになるのはあたりまえだと思うのであります。したがいまして、国の政治も、自民党が国民の御信頼を受けて今政治をやっております以上は、同じ自民党の方々が地方の政治、これは自治でありますから、地方でおきめになることでありますけれども、御担当願ったほうがよりいいんじゃないか、これはまあ当然のことではないかと私どもは思っておりますが、しかし、まあオーバーな言い過ぎその他につきましては、これはいろいろ考えなければいかぬと思いますけれども、根本においては、そういうことじゃございますまいか。したがいまして、地方自治と、それから国の政治というものは、やはり相協力して、お互いに助け合っていくべきものであり、国のほうが、自民党の政治が行なわれています以上は、やはり地方のほうも行なわれるほうが、われわれ自民党の内閣の者としては、よりよいことである、こう考えておる次第でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 自治大臣とあなたの御答弁を聞いていると、どうもしっくりしない。差別待遇をするやら、しないやらわからない。利益誘導的な言葉ですからね。これは差別待遇をするのですか、しないのですか。前とあとのほうとニュアンスが違うのですが、篠田さんの御答弁もう一回確認しておきたい。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 国務として、あるいは一般の行政として、差別待遇なぞはいたしません。ただし、今申しましたような、そういう知り合いと知り合いでない者との間に、あるいは多少の何か個人的な了解とかなんとかというものがそれはあるということは、人間の通有性でありますから、そういうことまでわれわれは妨げるものではありませんけれども、自治省が行なう行政といたしまして、差別待遇は絶対にいたしません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 押し問答になるから、私はこの問題はやめますが、東京事務所というものがあって、北海道は五十五人、少ない県で七人、これは各県の食糧費でもって、少ないところで数百万円、多いところで数千万円使っている。これは陳情政治でしょう。いつか総理にお伺いしましたときに、陳情政治ということはまずいと言ったのですけれども、これは自治大臣なりあるいは官房長官のほうで、国会で、総理大臣がサル回しのサルだなんということを売り言葉に買い言葉で言ったようなものと同日の比でないと思います。地方自治の根源に関する重大問題と思いますので、これは総理が来たときに保留いたしまして、その次の問題に移ります。  経済企画庁の宮澤さんにお伺いいたします。  経済企画庁予算のうちで、国土総合開発事業調整費として、三十八年度十三億五千万円計上されておりますが、これはどういうものでございますか。お教えをいただきたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) おくれまして、どうも済みません。  昭和三十八年度に十三億五千万円の調整費を組んでおるわけでございますが、これは毎年、こういう調整費を経済企画庁に組んでおるわけでございますが、この性格は、各種の、主として公共事業でございますが、公共事業が、幾つか一つの場所に行なわれまして、その間の橋渡しを、調整をいたしますことによって、全体の総合的な効果が上がると判断をいたしました場合に、各種の公共事業費の予算の割付がきまりましたあと、この調整費から便宜その橋渡しの分を支出するという性格のものでございます。したがいまして、過去におきましても、建設省、運輸省、農林省、その他これに関係のあります役所のおのおのの支出が決定いたしましたあと、この調整費が、その橋渡しの意味で使われて累年きておるわけでございます。そこで、今年ややこれが増額をいたしておりますのは、基本的には、公共事業費が全体として増額されて、その割合に従ってこれが増額されておる、こういう性格のものでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 わかりましたけれども、この交付基準というものがございますのでしょうね、それをおっしゃって下さい。交付基準。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これは毎年、調整費の使用の基準につきましては、その年度ごとに大蔵省と詳しく基準を決定をいたしております。これは非常に長文のものでございますが、資料で差し上げますか、あるいは概要を政府委員から御説明申し上げますか、いずれにいたしましょうか。

大森創造日本社会党

○大森創造君 資料でよろしいです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) それでは資料で……。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そこで肝心なことを私伺いますが、そういう総合開発事業調整という宮澤さんのおっしゃるような費用は、各省ごとに仕事をやって、その調整がとれないのだからやるといって出したら、僕は何百億もかかるだろうと思うのだが、どうなんですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これは、たとえば干拓事業が行なわれると、そこへまた国道が通るといったような場合に、両方の仕事の継ぎ目がうまくつかないといったようなときに使われる、本来この二つの所管衣異にするところの公共事業の間を調整するものでございますから、本来的にはそのいずれかの部分、両方の公共事業がおもなる部分を占めまして、その間をつなぐという意味で立てられておるわけでございます。ですからこの調整費そのものは、本来、独自の機能を持つものではございませんで、二つの公共事業をつなぐことによって、総合的な効果をより多く上げ得るというときに用いておるわけでございますから、本来的にはあまり大きな金額になるべきものでなく、やはり公共事業費全体のワクの増減に従って増減いたすべきものかというふうに思っております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私の考えでは、こういう調整費などという抽象的なものでなくて、予算編成期前にその調整が必要であるということが判明しておれば、当然予算編成上調整を加えるべきであるし、予算成立後に調整が必要になれば、これは予備費でまかなって、国会で事後承諾を求めるという形式が、私は原則だと思う。これはどうも変則ですね。この問題についてのあり方は、あなたはどうお考えですか。そうして、なぜ経済企画庁でお持ちなんですか、こういう予算を。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これは、沿革的には国土総合開発法が昭和二十五年からあるわけでございますが、そういう総合開発的な見地というものが一つございまして、それに一見沿いながら、しかし各省の公共事業というものは、個々別々に行なわれていくわけでございますから、総合開発の見地から、それに、あるいは二以上の公共事業をその問間つなぐ、橋をつけるという意味で、やはり本来調整的なものである、そういう機能から、経済企画庁に置かれたものと承知をいたしております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 交付基準というやつは、あとからひとつ資料としてお出し願うとして、そうしてこれを具体的に、どこの県の何に使うということの決定は、だれがやるのですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) それは毎年、この交付基準を調整するときの支出基準は、大蔵省と企画庁との間で決定をいたすわけでございます。毎年、内容は似たようなものでございますけれども、そのつどいたしております。そうしてその上で、各省の公共事業の個所づけがきまって参りますと、今度は、その関係公共事業を持っております各省と大蔵省と企画庁が協議をいたすわけで、その協議が整いますと、経済企画庁からそれだけの費用を、その関係の公共事業を持っております当該省へ移しかえをする、そういう形できまっております。したがって、法律的には、企画庁と大蔵省と合議の上——法律上の非常に正確な表現でないかもしれませんが、実質上は相談の上でやっております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 大蔵省と企画庁と相談の上やっていると、そうすると、普通の予算項目のように項目も何もきまっていないで、そうして十三億五千万円の金があるのだから、ははあ、今度は山形県のこういうところにぽんと五千万円出そうとか、今度は岐阜県の大野伴睦さんのところへ三千万円くれてやろうなんていうことは、実際は可能なんですね。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これは、大森委員も御承知でいらっしゃるかと思いますが、本来沿革的には、今からだいぶ前に、主として東北地方であったわけでございますけれども、いわゆる特定地域の開発というものが盛んに言われた時代がございまして、そのことから起こりまして、ああいう特定地域にできるだけこの調整費で公共事業のつなぎをつけようということから起こって参りました。しかし、その後に各地方に開発計画がほとんどございまして、今地方開発計画がカバーをしている部分というのは全国非常に少ない部分でございますから、法律的にはどこでも使えるということは仰せのとおりだと思います。ただ、そういう二つ以上の公共事業がそこでその間のつなぎを求めておるというような実情がなければならないわけでございます。で、御質問に対して率直に答えますならば、従来から後進地域を中心にしておもに使われて参りましたけれども、かなり二つの公共事業をつなぎ合わせ得るという意味で機動的に使える費目であることは、これは御指摘のとおりだと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 こういう予算の組み方は、私は不適当だと思うのです。後段申し上げますが、非常に会計検査院の指摘事項も倍増しておりまするし、これは大蔵大臣にお伺いしますが、ほんとうの厳密な意味で、こういう調整費というようなものは、さっき申し上げたように、国会の承認を得るような形式にしたほうがいいと思うのです。事後承諾を得るような形式にしたほうがいいのじゃないか。実際は大蔵大臣と企画庁長官のほうで相談すればできると言ったって、これは今度あそこで知事選挙がある、さあどうしようということになると、調整費ということになると思うのです。どうですか、これに対する感想は。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、戦後の財政法は非常に厳密な規定をいたしております。戦前の臨時軍事費というような、大ざっぱな項目の中で適宜に支出をしてかまわないというようなことではなく、一般会計の予備費以外の予備費的な性格を持ったものに対しては、非常にこまかく規定をいたしておるわけでございます。でありますが、この調整費ができました過程の事情を十分お考えになっていただければわかるのでございますが、必要やむを得ずこの費目を認めておるわけでございます。これは公共事業が各省にまたがっておりまして、この問題は、当該年度において施行される計画が完全に合っておればこういうものは必要ないではないかと言い得るのでございますが、しかし、例を申し上げると、鉄道が河川をまたいで橋をかける。こういう場合に、鉄道橋に合わせて道路橋を作ろうとか、それから河川の工事でもって、河口側からずっと工事を進めておるときに、年次計画としては三年、五年後に行なうということになっておるような個所に対して、農林省が直轄工事として導水路を作る、それで川をまたがなければならないというような場合に、その川との合流点の改修工事が必要になるわけでございますが、建設省や府県が行なっておる河川の工事費として計上せられる場合には、三年も五年も後になるという個所でありますが、農林省と建設省がぶつかる合流点に対して同時に工事を行なうことが、非常に合理的であり安く行なえる。これはもう建設省、農林省がばらばらで行なっておればそこが災害のもとになる。こういうことでありますので、この問題は、もう必要上やむを得ず、また現行の財政法上認められる限りのいわゆる予備費的な性格で、かつ予備費的に流用せられないように厳密なワクをかけて実績に徴して当該年度の調整費のワクをきめておるのでございまして、現在の状態では、各省に予備費を認めるか、認めるよりも、経済企画庁で公共事業に関してのみ、必要やむを得ざる範囲で支出するものでございますから、調整費の制度はやむを得ないというふうに考えます。あなたが今言ったとおり、ではひとつ選挙だからどこをやろう、こういうことは事実不可能でございます。これは二省以上、複数以上の工事がその計画の上で交差をする、その地点にのみ投資をせられるものでございますから、これからかりに北海道とか九州とか、どこかに、ひとつ橋もやらせる、川もやらせる、何もやらせるというようなことで、三省、四省のものを一ぺんにその地点に集中をして、その上になおプラス・アルファとして調整費を乗せるというようなことは事実不可能でございまして、そういう懸念は全くありません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それではお伺いしますが、宮澤さん、三十六年度で公園整備費に一千五百万円使っておる。それから、秋田の団体のときに空港設置の要望があって、県議会で議決したんだけれども、補助金が三年かかるというときで、経済企画庁のほうに泣きついたら三千万円出たんですね。こういうのは、今大蔵大臣が言うような調整費から出していいのか。いけないと思うんだが、どうですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 三十六年度の基準が幾らであったか記憶いたしませんけれども、一般に三千万円以上ということを抽象的な基準としておりますし、工事が継続事業であることを前提としておることは毎年そうでございますから、両方とも当然該当いたすと思いますし、また現、実に支出いたしたと承知しております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 先ほど自治大臣と問答しましたが、中央に直結する政治だ、鵜崎知事は私は顔も知らないんだ、手心を加えるようなことを盛んに自治大臣はおっしゃっている。そういうときに、田中さんは頭がいいからべらべらもっともらしいことをおっしゃっておりますが、具体的にこの調整費というやつは私は勝手にできると思う。こういう調整を要するということで、ここの個所で調整費を使おうということになれば、これはあなたとそれから企画庁なり、あるいは川島さんのほうで、ああ、あそこへ使おうじゃないかということになれば、これは使える費目ですね。やろうとすればできますね。できないですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) そういうことはいたしておりません。この問題に対しては、財政法に準拠して各省との間に厳密な査定も行ない、また個所の決定も行ない、基準によって支出しておるのでございますし、総額が非常に少ないのであります。公共事業という何百億というものの中に対して、一体この調整費の持つものが何百億であるならば、これはそういう議論も起きるでございましょうが、とても知事選挙や何かを左右するような、そういう調整費が使い得るかどうかということは、もうこれはすぐお考えになっても、私がべらべらしゃべることで、ごまかしておるんではなく、事実そのとおりでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 会計検査院、来ておりますか。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 来ております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 会計検査院にお伺いしますが、会計検査のあり方について、改善を要すべき点はございませんか。

芥川治会計検査院長

○会計検査院長(芥川治君) ただいまの御質問でありますが、本年度の決算検査報告におきまして、院法三十四条、三十六条を適用いたしまして、改善の処置要求並びに改善の意見の表示をして検査報告に掲記いたしてあり、今後もその方向において改善の意見表示、処置要求をして参りたいと考えます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 たとえば建設省なら建設省、あるいは鳥取県なら鳥取県の県庁の何かを監査するというときに、具体的にどういう順序、手続でやりますか、お教えいただきます。

芥川治会計検査院長

○会計検査院長(芥川治君) 各県の補助金等の検査におきましては、各県ごとに実地検査に参るわけであります。これは検査を指定をいたしまして、各主管課、ことに各県に参りまして検査をいたしますので、事前にどこどこの県を検査するということを通告して参っております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そうすると、検査をするときには事前に通告をするのですね。何日くらい前に通告しますか。

芥川治会計検査院長

○会計検査院長(芥川治君) お答えいたします。  大体において二、三週間前に通告をいたして参ります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 通告を受けた官庁は、その後どういうことをやりますか。実際やっておりますか。

芥川治会計検査院長

○会計検査院長(芥川治君) 会計検査は、御承知のように、出向きまして、その関係者のものがそろっておりまして、また、関係書類が検査する場所にありませんと検査ができませんので、各受検庁の協力を得て初めて実際の検査ができるのでありまして、その準備を受検庁ではして、その準備を受検庁ではしておるのであります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私の調べたところによると、こういうことになりますね。三週間前に、今度あなたのところを検査することになるぞと言うと、その出先の官庁は、本省のほうに連絡をして、本省のほうでは会計検査院係みたいなものがいて、そして、あなたのほうといろいろ話を事前にするのだ。そうして、本省のほうで、今度会計検査が行なわれるので、出先のほうに行って自己監査を遂げちゃうのだな。そうして、あなた方が来るのをお出迎えをする。そうして、でき上がった書類を出す。こういうことになっておりますね。そうでしょう。

芥川治会計検査院長

○会計検査院長(芥川治君) ただいま大森委員からのお話しのように、たとえば私どもが年度末にやりまする査定検査、ことに今年度は、昨年度もそうでありましたが、非常に災害が多いのでありまして、この災害に対する補助金が府県に交付されておるわけでありますが、それをわれわれが実地に検査に行く前に、二、三週間前に実地検査の場合は通告をいたしますので、あらかじめ本省とも打ち合わせをして自己監査をやられておるという事実は、私も承知いたしております。しかし、自己監査をそれまでやってなかったのが、二、三週間前に通告したことによって、検査院が実地検査に参りましたときに、それだけよくなっておるということは、これはけっこうなことだと思います。われわれがさらにそれ以上に検査した結果が、検査報告に載っておるわけであります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私の調べたところによると、自己監査して、そうして書類を整備をして、会計検査院のおいでをお待ちするということになる。そこで、これは全部ではありませんが、このケースが非常に多い。ほとんど会計検査というやつは何とも感じないのですね。茶番劇みたいなものと各省考えておる。そうなんでしょう。相当責任のある者がそう言っている。会計検査か、よろしい。それでは相済まないから、会計検査院のほうにおみやげと称するものをやるのだ。これは国会のほうや内閣のほうでこういうことは指摘されても差しつかえないものをなあなあでやる。このケースが非常に多いのだな。あなたわかりますか。えらいからわかりませんかな。

芥川治会計検査院長

○会計検査院長(芥川治君) そういうことは私は承知いたしておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 承知しなければだめですよ、会計検査院長は。私だってわかるのだ。きょうは私はどぎつくはやらないつもりだけれども、それでてんで多いのですよ。おみやげと称するもので、今度はパスだと、しかし、わざわざおいで願ったのにこれくらい出さなければいかぬというのでこれやるのだな。それをお調べになってごらんなさい。一千何百人の会計検査院の長は、お上品なことばかり言って天井向いていたのじゃできませんよ。私の接している会計検査院、それから私が聞いておる限りでは、これが圧倒的に多いのだな。それが、去年が八億何千万円なのに、今年は十八億何千万、倍以上になっておる。しかも、それが八%しか検査していないのだから……。これは国づくり、人づくりということの半面、ぐんぐんこれはふえているのですな、実際。これはそういうことが圧倒的に多いのですよ、今の会計検査の方法というのは。国会の場所に引っぱり出すというときは、そういうことはないと言って公式的な答弁をすることになりますが、そうでない。今私が申し上げたような会計検査が圧倒的に多いのです。これはひとつお調べ願いたいと思うのです。そんなことどうもいいということじゃまずいので、そういうことは比百無とは言い切れますまいな。

芥川治会計検査院長

○会計検査院長(芥川治君) ただいま大森委員からの御発言でいろいろと御注意がありました。そういうことがありまするならば、私といたしましても厳に注意して、そういうことのないように努力いたしたいと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 所得倍増ムードとかなんとか言うていい気分になっている半面、官庁に非常に汚職が多い。汚職の内容を一々言いませんが、それでちょこっと、こう約束ごとみたいに会計検査をやるというと、その指摘件数ですら、昨年の金額は二倍半ぐらいになっているのだな。私はこれはやっぱり池田内閣の失政だと思うのだな。何となくふわふわしたような空気を出させている。ひどいものですよ。だから、会計検査院にひとつお願いしますがね、だめですよ、下情に通じないというと、会計検査院は。天井ばかり向いて、上を向いて歩こうようでは、下のほうにはみぞがありますから、よほど渋く考えないといけません、今の政党政治下における行政というものは。覚悟のほどをお示し願いたい、私は決算委員だから。

芥川治会計検査院長

○会計検査院長(芥川治君) 大森委員の御批判なり御意見なりは、つつしんで拝聴いたします。その方向に努力して参りたいと思います。  なお、先ほど通告して行くと、必ずしもそれだけではございません。もちろん、現地に参りまして無通告で検査をする場合もありまして、今後もその方向に努力して参りたいと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 大蔵大臣にお伺いしますが、地主に報償するというのはどういうふうになっているのですか、簡単に言ってくれませんか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私がお答えいたしますのは、毎度お答えいたしておりますとおり、農地被買収者に関しては、何らかの報償措置を必要とすると思うがというところまで内閣が意思決定をいたしておりまして、三十八年予算には、一億八千九百万円の調査費を計上いたしておるわけでございます。その調査のやり方等につきましては、総務長官に依頼をいたしておりますし、また、総務長官の所管の予算として計上いたしておりますので、現在総務長官の手元で、予算が通過をした直後から行なう調査の方法その他具体案を立案中でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 報償するということに決定はまだですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 報償を決定いたしておりません。調査費の実行により調査をし、国民世論に十分耳を傾けて、しかる後に結論を出したいと、このように政府は考えておるのでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 報償は未決定であると、調査の後、報償するかしないかきめるということですね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) そのとおりでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それでは、引揚者の在外私有財産に対する問題ですね。これはどういうふうにお考えですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 昭和三十二年に内閣に設けられました審議会の答申に基づいて、五百億に近い金を交付いたしておりますので、法律的政府の責任は完了いたしておる、このような見解をとっております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは国家賠償に私有財産が引き充てられているという事実はお認めになりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 国家賠償ということになるかどうかは法律的に問題がありますが、いわゆるサンフランシスコ条約によりまして日本政府は放棄をいたしておるということはございます。これは敗戦によるものでございまして、国家賠償——憲法でいう国家賠償というようなものに該当するかどうかは、つまびらかにいたしません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私は、サンフランシスコにおける平和条約第十四条(a)項により逐次締結されていく賠償協定によって国家賠償に引き充てられていくということは、理論的に言えるんじゃないかと思うんです。そこで、憲法第二十九条に明示されているとおり、私有財産は没収しないんだということになっているんだから、地主の報償だか補償だか知らないが、それより必然性があると思うんだが、あなたはどう思うんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 重要な問題として考えておりましたので、内閣は、審議会の答申に基づいて五百億円の報償的なもの、補償——いわゆる交付金を交付をいたしたわけでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 どうも田中さんの予算編成というやつは、ちょぴり調査費が出ると、あとから続々と氷山が出てくるんですな。そういう項目が非常に多い。これもあと二、三年過ぎるとものになっちゃうんじゃないですかな。どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) なるかならないかは、国民世論の動向によって決定いたすわけでございまして、少なくとも大多数の方々が容認しないものは、予算化されるというようなことは、私の考えにおいてはないと考えます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 防衛庁にお伺いいたします。自衛隊のヘリコプターとそれからF86F戦闘機の事故が非常に多いのでございますが、これはどういうことでございますか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) 昨日の委員会におきましても同様なお尋ねがありました。私は、最近相次いで起こりますこのF86あるいはヘリコプターの事故の発生につきましては、非常に国民に対して遺憾に感じておるのであります。航空機の事故の原因はいろいろございまするが、何と申しましても、操縦士の過誤と申しましょうか、これが第一でございます。第二は、機材整備の欠陥、それから第三は、監督上の指導に遺憾な点があった。第四は、常に気象が急変するのでございまして、これらに基づいて最近相次いで航空機の事故が発生いたしたものでございますが、これはあえて弁明、弁解をするために申し上げるのではないのでございますが、外国のそれに比して日本の航空機の事故は必ずしも多くはないのでありますが、しかしながら、どうもここ二、三年来の統計を見まするというと、二月、三月、こうした月に集中するきらいがございまして、非常に目立って事故が多いように一般に思われ、また実際に多いのでございますが、アメリカなどの航空機の事故に比較しては、非常に日本の事故は少ないことだけを、あえて申し添えておく次第であります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それでは、こないだの事故ですな、宮崎県の新田原にある第五航空団所属のF86F、ジェット戦闘機の事故、これはどういうことでございますか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) 目下、特別調査委員会を設けまして鋭意その原因の追及に努めておるのでございますが、この事故は、宮崎県の上空を航行中に、片方の羽が根元から、何と申しましょうか、取れて、それが原因で墜落した事故でございまして、F86は日本で生産をいたしておるのでございまするので、全部の機材について目下検討を加えておる最中でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは天候やその他自然的な条件でなくて、ぽんと突然翼がすっ飛んだということでございますから、この特別事故調査委員会というものの結論を一日も早く私は聞きたいと思うのだが、ここでお伺いしますが、ではF104Jですね、こいつと、西独で採用しているF104Gと——これはだれか係の人にお答え願いたいと思うの、たが、どういうふうに性能が違いますか。

伊藤三郎防衛庁装備局長

○政府委員(伊藤三郎君) お答えいたします。日本のF104Jも、西独のF104Gも、同じように104Cを原型といたしておりますが、主として異なります点は、日本の104Jは空対空の戦闘の任務を持っておるわけでございますが、西独の場合は、空対空以外に、空対地の戦闘に協力するという任務を持っております。この点が一番大きな違いでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 まあグラマンかロッキードかということでだいぶ騒いだのでございますが、まあロッキード社のF104Jということになったのですが、ここで、そのF104Gですね、そのジャーマンのようは、大体性能は似ているのだが、これはべらぼうに事故が多いことを御存じですか、西独のほうのは。

伊藤三郎防衛庁装備局長

○政府委員(伊藤三郎君) ドイツのG104の事故につきまして、外国の雑誌等でいろいろ事故があったことは承知いたしておりますが、公式に——と申しますか、権威のある発表としてはそれほどは、ございませんで、先般一番大きな事故でありましたのは、四機編隊中に墜落した事故がございましたが、これは編隊飛行中に接触をしたために事故を起こしたというふうに承知をいたしております。そのほかにもいろいろ事故はあるということは、雑誌等で承知いたしております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 どうもあぶなっかしい御答弁だと私は思うのだが、あれほど騒いだ結果、ロッキード会社にきまったのだが、これは源田実さんが会長でやっているあのウィングという雑誌によるというと、べらぼうに事故が多いのですね、これは。それでF86型が盛んに事故を起こしていて、今度はこの104Jというやつは何機できて、二百機完成するのはいつですか、これは。それから、次期戦闘機、第三次防衛計画にもそれは入れるのですか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) F104ジェット戦闘機の生産計画は、四十一年度で二百機生産を終了する予定に相なっております。それから、もう一つお尋ねがございました第三次計画は、この委員会で何度も私はお答え申し上げているとおり、現在考えておりません。いずれは考える時期が来ると思いまするが、現在のところ第三次防まで考える余裕はございません。第二次防を着実にこれを遂行することが私の大きな仕事でございまして、したがって、F104ジェット戦闘機を第三次防で継続して生産するかどうか、これもしたがって全然考えておらぬところでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 まあそれはその御答弁も問題であるが、私の問題にしたいのは、そのF104Gですね、西独のほうの。これは今装備局長か何か御答弁願ったが、その程度では信憑性がない。商売会社のロッキード会社の反論によっても、これは四十機のうちの十何機事故を認めているのですよ。商売会社の反論、私は持っておりますがね。これは貴重な税金でこんなにお金を使って事故の多いことを、実際あなた調べてみたことありますか。雑誌なんか見たってわからないですよ、ロッキード社の雑誌だから。

小幡久男防衛庁教育局長

○政府委員(小幡久男君) お答えいたします。104Jの事故率は、一万時間六件という数字になっております。ただいまの西独の事故につきましては、私どもの入手しました情報によりますと、当初は十数機というような風評もございましたが、その後、ロッキード自身が、実際の数字を発表いたしましたが、現在までのところでは、先ほど、装備局長が話しました四機を含めまして、七機であります。そのうちの一機が修理可能という報告を受けております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 源田さんが会長をやっておる新聞によるというと、西独では、四十機のうち十七機が落ちておるというのだな。それで、その同じ雑誌のほうに、ロッキード社から、今度は、反論が出ておる。それによっても、十何機墜落しておるということが、ロッキード会社のほうのPRに出ておるのですよ。そこで、これは相当信憑性があると思うのですね。ロッキード会社が、そんなことは、過当に事故を言っているのだから、実際はこれだけだと言うけれども、これだけだという数が十何機あるのですよ。これは、あなたのほうの資料によるというと、こうだ、ああだという。私のほうはこうだということで、繰り返したって始まらないが、これは、どうですか。非常に私は重大問題だと思うのです。何百億という金を使って、同一機種の飛行機を採用するということになるのだが、これは、一回、しっかりした調査をする意思はございませんか、西独に行って。

小幡久男防衛庁教育局長

○政府委員(小幡久男君) お答えいたします。  ただいまの情報では、先ほど申し上げたとおりでございますが、自衛隊からも欧州方面にたびたび出張いたしますので、できるだけの正確な情報は集めたいと思っております。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(志賀健次郎君) ただいまの大森先生のお話はもっともな次第でございますが、私といたしましても、これは何も西独だけで現在用いておる飛行機ではございません。カナダも用いておるし、ベルギーも用いておるし、その他においても、現在これは使用いたしておる航空機でございまするので、製作の責任者でありますロッキード本社はもとより、各方面の資料を十分に整えまして、いずれは国会にも報告をいたしたいというふうに思っております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私は、これは重大問題だと思うのですよ。ロッキードかグラマンかということは、安全度などという見地から争われたのじゃなくて、別な観点から争われていたのだが、そこで事故がこうあって、貴重な人命がそこなわれるというときに、二百機使って、さらに今度は、第三次防衛計画でも、新聞の他によりまするというと、同一機種を採用するというときに、この飛行機と同一機種が断然事故が多いということが、私の得た情報によると、四十機のうち十六、七機、それに対して、同じ雑誌のほうにロッキード社が、そんなことはないと言っておる事故が、四十機のうち十機以上なんですよ。だから、商売会社がこれは認めているんだから、これは大まかに考えないで、防衛庁長官、あなたがお乗りになるんじゃないからというて、しばらく戦争もないし、いいじゃないか、こんなのという感覚ではいかんので、がっちりこの点は調べていただきたいの、だが、もう一回お伺いします。念を押したい。

伊藤三郎防衛庁装備局長

○政府委員(伊藤三郎君) ただいま手元にあります点で、私どもが調べた状況を申し上げますと、デーリー・テレグラフに、これは三十七年の十一月でありますが、西独に納入された五十六機のうち十八機が墜落した、そういう記事に関しまして、西独大使館付の駐在官から防衛庁に連絡がございまして、そういう事実はないと西独の空軍当局は否定しているというようなことがございます。さらに、ことしの一月三十日付のウイングに、来日した英国の民間人の発言ということで、F104G四十機のうち、十四機から十七機が墜落事故を起こした、こういうような記事が出ております。これに関しまして、私のほうでロッキードに照会しましたところ、これは小牧の駐在の該社の担当者からの連絡でございますが、三十八年一月二十八日現在、事故数は五件、八機このうちには、先ほど申しました、編隊中に墜落した四機を含んでおります。そういう情報を得ておりますのでございますが、お話しの点もございますので、われわれもF104Gについては十分関心を持ってその状況を注視していきたいと考えております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 十分ひとつ御注意を願うと同時に、もう一つだけお伺いしますが、このF104Jというのは、離着陸のときに二千数百メートルの滑走路を要すると思うのだが、そうでしょう。すると、どことどこの飛行場が使えますか、日本では。

海原治防衛庁防衛局長

○政府委員(海原治君) F104J飛行隊のための滑走路といたしましては、二千四百メートルあれば一応間に合う。しかし、先ほどからお話が出ておりますが、高価な機体のみならず、何ものにもかえがたい人命の安全という見地から考えますというと、さらに三百メートル程度は、ほかの条件が許すならば、これは延長したい、こういうことを二年ほど前の国会のいろいろな委員会で御説明しております。現在もそのように考えております。したがいまして、二千四百ないし二千七百メートルの滑走路を持つ飛行場にF104の部隊は展開する、こういうことでございます。北から申しますというと、この二千四百メートル以上ということになりますと、千歳、松島、現在建設中の茨城県の百里でございます。それから小松、小牧、静岡県の浜松、さらに九州の新田原、この辺の飛行場は全部二千四百メートル以上でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 そのうち百里原だけ間違いだな。これは反対しているから、とても貸すことはできないのだ。  私は、飛行機ばかり作ったって、それを飛ばせないような心配があるのだから、これはあとで内閣委員会でもお伺いすることにして、外務大臣に韓国の問題、変転目まぐるしいのだけれども、大体衆議院、参議院の予算委員会、外務委員会での問答など私は聞いておりますが、一カ月前に、軍政をやめて一個の軍人になるのだということを言った。ところが、この間の十六日、ばんと四年間の軍政延長ということになった。政府は、今後の見通しとしてどういうふうにそれをお考えでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 最近の韓国の政情が、予想を越えた振幅をもって変動いたしておりますことは、御指摘のとおりでございます。これは軍政から民政への切りかえの時期、切りかえられた民政の性格等について論議がありまして、それを契機にいろいろの動揺があるようでございまして、私どもは、軍政から民政への移管の道程において苦悶をしているというように判断いたしまして、両院におきましても、そういうことで御答弁申し上げて参ったのでございます。その限りにおいて、私どもの判断に間違いはないと思いまするが、ただ、最近の振幅がいろいろ幅が広い、あるいは速度が非常に早いということは、私どもが予想しておりましたより激しいものがあるということは、率直に認めるわけでございますが、一体こういった動揺が、そういう幅、そういう速度において行なわれている原因が一体どこにあるのか、どういう背景からそういう状態になっておるのかということにつきましては、私どもが入手いたしておりまする情報は、マスコミに報道されておる域をいまだ出ておりません。できる限り広く情報を収集して的確な判断をしてみきたいと考えておるわけでございまして、今の段階で御指摘のように今後どういう見通しかということにつきましては、まだ申し上げられるようにはない段階であります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 こんとんとして変転きわまりない政情をお調べにあなたの部下がこの間行ったはずなんだけれども、その部下が帰って来てのお話で、今日あることを予想できなかったのですか。どういう報告を受けましたか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まだ帰っておりませんので、まだ報告は受けておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私は、大平さん、そういう態度で日韓問題についておるということは、私は率直に言って非常に残念です。これは、あなたと金鍾泌と無償、有償合わせて五億ドルという金額をきめて、交渉相手がばたばた変わってきて、あと一週間先もわからないということですから、これは重大な責任だと私は思うのですよ。八月民政移管ということを全的な前提条件として、それがくずれてしまったのだから、とんでもないことですよ、これは。アメリカに引っ張られて合法性の糸にすがりながら今までやってきたこの責任は私は重大だと思う。幾らあなたは人格がりっぱであっても、この問題については私は実に重大だと思うのです。そこで、あなたの不信任案ということで衆議院でやったのだけれども、これは多数で否決された。あなたが学生時代の外務大臣ならば、これは責任をとりますな。今から二十年くらい前の外務大臣ならきっとそうですよ。あなたの親分の池田さんは、中小企業の三人や四人は死んでもしかたがないと言ったから、これはぽんと大臣やめちゃった。総体的に安定しておるからといって、日韓会談は前提が全部くずれてしまって、それで交渉相手がふらついていて、この政治責任は免れないと思う。多数で社会党の不信任案は否決されたけれども、しかし、民主政治というものは責任政治ですよ。このことについて責任をとらないほど私は日本国民は——どうも幾らお人のいい大平さんでも、これは限度があると思う。おかしいですよ。こういう交渉でそうしてこうなりましたということではおかしいと思う。どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私の責任は、あらゆる国々とあらゆる瞬間におきまして最大の敬意と善意をもって外交をいたすのが私の責任でございます。韓国もその例外でないことはお認めいただけると思うのでございます。日韓の間には、たびたび申し上げますように、正常化をはばんでおるもろもろの懸案がございますので、その懸案は両国の悠久の友好関係を打ち立てるためにはどういう解決の方式があるものかということを究明して参るということは、当然の私の責任だと思っておるのでございまして、もしそういうことを懈怠しておれば、私は責任に値すると思うのでございます。問題は、こういう懸案につきまして先方が誠意をもってリーズナブルな提案をいたして参ります場合には、いつでもこれを討議をするのが私の責任であるわけでございまして、そういうことをただいままでやってきたわけでございます。日韓の関係は、正常化のあとばかりでなく、今日の時点におきましても、事実上貿易もございまするし、人の交流もございます。のみならず、日韓両国民の感情の中には、日本を思い、韓国を思う心があるわけでございまして、そういう日韓の間の関係というものを悪い方向に持っていくというようなことをいたしたならば、外務大臣として私は責任に問われなければならないと思うのでございまして、どういう状態におきましても最大の善意と敬意をもって臨むということが当然の私の責任、だと心得て終始行動いたしておるわけでございます。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。  向井長年君、豊瀬禎一君、渋谷邦彦君及び鈴木一弘君がそれぞれ辞任され、その補欠として赤松常子君、稲葉誠一君、北條雋八君がそれそれ選任されました。     —————————————

大森創造日本社会党

○大森創造君 まあ善意をもってやったんだということはわかりまするけれども、私は簡単に申し上げますというと、この半分くらいだって今から二十年くらい前の内閣のときなら的確に総辞職ものだと私は思っているんです。一体、社会党などが、民政移管が八月といっているのだからそれまで待ったらいいじゃないかと言ったのに対して、あなたは、金額をきめていろいろなことをやってきた。結果的に見ると、何にもならないじゃないですか。ことに日本の外交の当局の権威のなさを暴露したみたいなものだ、結果的にいうと。そうではないか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 懸案の究明をしていっておるわけでございまして、一つ一つの懸案についてどういう方式が可能か妥当かということを仕上げつついっておるわけでございます。また、その過程でございまして、すべての懸案は同時に解決するという基本方針に立っておりますことは御案内のとおりでございまして、ただいまの段階は、そういうことを案を作業しつつあるという段階でございまして、その責任を問われる覚えは私は毛頭ございません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 まあ善意でやったかもしれぬけれども、完全に見通しが誤った。現在こういうことになっておる場合に、あなたは責任をとる覚えはないということは、私はどうも感覚がおかしいと思う。あなたの人格と人のよさは認めるけれども、それとは別個に、これは責任問題ですよ。そうでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) その根拠をお尋ねいたしたいと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 大体、八月民政移管を全的な前提条件にして、そうしてわれわれの反対にもかかわらず五億ドルの無償、有償をきめちゃって、そうして現在どうかといえば、われわれの言うとおりになっておる。八月民政はできないんだということになれば、完全な見通しの失敗ではないか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 大森さんも御承知のとおり、私は予言者じゃございませんから、先の見通しを明確につかんでそのとおり世の中が動くというように私はオールマイティではございません。ただ、私が先ほどからあなたに申し上げておるのは、日韓の間に終戦を契機としまして各種の懸案があるので、それをどのようにほぐしていくかという課題と取つ組んでおるわけでございまして、そういう過程におきまして先方から提案がございますれば、それを検討する、これはきわめてあたりまえのことではないかと思うのでございますが、そういうことをするのがいけないという理由は私は理解できません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 大体、私は、このことについて責任を感じないなんという外務大臣はおかしいと思う。私は、平行線をたどるから、これ以上言いませんが、僕はこの問題については重大な責任があると思う。議会政治は責任政治である。こういうことについててんとして責任を感じないなんという態度は、これは私はたけだけしいと思う。これでは国民の信頼を得られませんよ、こういう交渉をやったら。中止の宣言でもしたらどうですか、中止の宣言を、暫時。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) どういう状態にございましても、最大の敬意と善意をもって外交に当たるのが責任だと思うのでございまして、外交は便宜主義に堕してはいけないと思います。友情と善意をもって終始事に当たるのが当然の責務だと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 その問題の押し問答はやめますが、私は重大な責任だと思っておる。これに責任を感じなければ、議会政治というのは何だか私はわからないと思う。  それでお伺いしますが、英国のヒューム外相とそれからフランスのクーブドミュルビル外相がおいでになりますが、そのフランスの外相が来たときに、ガット三十五条援用撤回に関する対仏条約の調印をやるおつもりでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 対仏の通商交渉はずっと続けておるわけでございまして、ようやく成案に近づきつつあることは事実でございまして、できるだけ早く妥結に持ち込みたいと念願いたしております。フランスの外務大臣が御来日の機会にどうかということでございますが、私どもといたしましては、できるだけ早く妥結に持ち込みたいということでやっておるわけでございまして、一日も早くというめどを持っておるわけじゃございません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 フランスの外相が来るその機会に大体その問題について条約を締結するというめどはお持ちになりませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいまの進捗工合からいきまして、そういう機会までにまとまることができれば非常にしあわせだと思っております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 その場合に、英国の場合と同じように、ガット三十五条援用撤回に関する条約もそれと同じような形式になるでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今、内容につきましては、鋭意先方との間に交渉中でございますので、どういう内容のものになるかという点につきましては、まだここで言明申し上げるわけには参りません。先方の御了解がなければ申し上げるわけには参りません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 興国との条約の内容でございますが、これは衆議院のほうで審議中でございますが、セーフガードとか、それから過渡的な輸入制限、それから自主規則という問題について、いろいろな要求を英国がしておるということになりますと、ガット援用撤回に関する条約ができても、実質的な効果はそれほどないのじゃありませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ガット三十五条援用撤回ということは、大森さんも御承知のように、完全に両国がガット関係に入るということでございます。ガット関係に入りますと、今後のやりとりはギブ・アンド・テークになりまするから、日本が一方で譲れば英国もまた一方でその対価として譲り合わなければならぬという関係になるわけでございまして、私どもが今差別待遇撤廃をねらっておる根拠は、すべての国とガットの一般関係に入りたい、対等の立場に立たなければならぬということでございまして、日英関係におきましてはそういう大原則が認められたということは、実質的な大きな利益であり、前進であると思います。ただ、御指摘のように、経過的に輸入制限品目があるということ、それからセーフガード条項があるということでございまして、こういうものがなければそれはないにこしたことはないわけでございますが、今日まで輸入制限されておった品目が大幅に自由化いたし、品目がずっと縮小いたしておりますことも、大森さん御承知のことと思うのでございます。それからセーフガード条項につきましては、これは過去の先例から申しましても、こういう伝家の宝刀はかつて抜かれたことはないわけでございます。私どもはこれが発動するなんということを予想いたしておりませんけれども、わが国の商品の国際的な競争力というものの先方の評価が、まだ無条件に輸入の自由化をするということにつきまして若干の疑念を持っておられることも事実でございますので、ある過渡期間そういうセーフガード条項を認めざるを得ない立場にあるわけでございますが、これは、先ほども申しましたように、そうむやみに実行されるものではございません。発動されるというようなことを私は予想いたしておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、大蔵省は、今後貿易交渉がガット中心になるということなので、対抗関税制度を新設するための関税定率法改正案を四月国会に提出するということが言われておりますが、これは事実でございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 現在まだ決定をいたしておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 行管の長官に、お待せいたしましたが、お伺いいたします。公団、公庫の問題が非常に問題になっておりますが、そこでお伺いしたいのは、事業亀と役員数が比例していないのです。行管が既存の公庫、公団などについて調査して、合理的な基準を私は作るべきだと思うのだけれども、それについてどう思いますか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 公社、公団、公庫等が、事業量と人間の分量とが比例してないというお説でありますが、私は事実を知りませんから、一応内容を政府委員から答弁させます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) ちょっと間違いがございましたから、訂正をいたします。  関税定率法等の一部を改正する法律案は、現に国会に提案をしております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それでは、お答えが違ったのだから、あらためてひとつお伺いいたしますが、そうすると、こういう英、仏の外相が来日するというこの際にあたって、そういう対抗関税制度を新設するという措置をすることは適当だと思いますか、お伺いいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) まあ適当であるか適当でないかという問題に対しては議論があると思いますが、これは外国がわが国の輸出品に対してガット十九条の緊急措置をとった場合にこちらが対抗措置をとり得るようにということでございますので、こちらが自主的にまずやろうという趣旨のもとではありませんので、外国が日本の輸出品にとる態度に対して対抗できるようにということであり、政府限りで弾力的にこれをか行なおうということでございますので、これは外国からそういう方々が来るからという問題ではなく、当然なし得る規定を整備をしておこうというにすぎませんので、あまり考慮する必要もないのではないかと感ぜられます。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 公社、公団、公庫、事業団など、比較的小規模のものでも、役員の数が相当あるそうでございます。従来、新設のときに行政管理庁としましてはこの審査をいたしておりませんので、そうした不公平の結果が出たかと思うのでありますが、この国会に法案を提案いたしまして、今後新設する公庫、公団、公社等は一切行政管理庁の審査を要すると、こういうふうに改正いたすつもりでありますからして、今後はそういう点のバランスをよく考えてやりたいと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 野放しの新設抑制ということでこの改正案を行管で作ったのだが、これはけっこうです。ところが、できるものは全部できてしまったのですね、公社、公団なんていうのは。私の考えでは、既存のものを整理統合しなければいけないと思うのです。これは非常にむずかしいと思いますが、それについてのお考えはどうですか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 行政管理庁といたしましては、公社、公団、公庫のみならず、全部の行政機構に対しまして体質改善をただいま考えております。それがために臨時行政調査会を作ったのでございまして、そのほうでもこういう問題を取り上げて検討願っておるわけであります。御趣旨のとおり考えております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 愛知用水公団なんていうのは、ほとんど事業は終わった。それでも役員は減らしてない。これはいわくつきの公団です。事業がほとんどなくなってもやはり役員はいる。水資源の役員が十二人。これはおわかりだろうと思いますけれども、建設省と農林省と厚生省と大蔵省でがたがたやった、それでとうとうお預けということになって、総理府所管ということになったのだが、役員は、建設省、農林省、厚生省、大蔵省、皆比例配分している。こういうのは、国民の立場からすると不経済至極、非常に困ったものだと思う。こういうのを、私は今後の新規のものを抑制するのでなく、今までのやつにメスを当ててほしいと思うが、その点はどうですか。ほんとうにやってくれますかね。はっきりしろうとが見てわかるのだ、こういうのは。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) ただいま申し上げましたとおり、個々の問題についてここで御説明申し上げるわけには参りませんが、公社、公団、公庫全体として体質改善を検討いたしておるわけでございます。  それから、先般の閣議において申し合わせいたしたのでありますが、これから新しくできる公庫、公団、公社、事業団、並びに従来のものでも、役員全体には直接監督しておる役人は天下りしない、こういうことを決定いたしております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これはどうも公社、公団の役員のあれというのは、みんな、私が調べると、五百五十人のうち五百人が役人、高級官吏だね。これは相撲の年寄株みたいなものだね。あなたはそう思いませんか。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) もともと公社、公団、公庫、事業団等は、民間人をなるべく採用して民間の知識経験というものを化かすということが一つの趣旨になっております。しかし、民間からはたして適任者が得られるかというと、なかなか困難でありまして、すでに引退している人は別でありますが、現に第一線で働いておる民間人が比較的安い給料でしかも監督がきびしくて思うように手腕が発揮できないで来るかというと、なかなか来にくいのでありまして、なるべく民間の人にもおいでを願うようになっておりますけれども、今までの選任は勢い役人の天下りということになってきたわけでございますが、これは決して公社、公団、公庫の正しい役員の姿ではございませんので、これを是正しようと今努めておるわけでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 公社、公団の問題については川島さんはいろいろお考えであろうと思いますけれども、退職金の支給基準が、月給の百分の六十五に在職月数を掛けたもので、在職中の業績とは無関係です。これは公団の事業の能率を非常にはばんでいる原因になっていると思う。不正の原因になっていると思う。この退職金などは、大臣が役員の在職中の実績を勘案して退職金をきめるようにしたらいかがですか。具体的にお伺いいたします。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 退職金の問題につきましては、私どもの所管ではございませんので、それぞれの主管大臣がきめていることでありますが、お説のようなこともあろうかと思いますからして、ひとつ調査いたしまして、今後の資料にいたしたいと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 行管のほうで知っている人はお答え願いたいと思いますが、五百人が役人からの天下りであるが、この月給は平均して何ぼくらいになりますか。大ざっぱなところでけっこうです。

山口酉行政管理庁行政監察局長

○政府委員(山口酉君) 公社、公団、事業団等の役員の俸給につきましては、大体大蔵省のほうで統制をとっておりますので、ほぼ均衡を得ておるようでございますが、最高は三十三万円、これは月額ですが、下のほうは大体十三万円程度でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは内容を言うと切りがないと私は思いますけれども、ひとつ川島さんにお願いいたしますが、野放し新設抑制ということでやることもけっこうだが、できるものはできちゃっておるのですから、それで事業がなくなったのに役員はいる。それから同じような仕事をやっているのがいる、各省の縄張りで。こういうものは、行管でもってひとつ勇断をもってやっていただきたいと思う。これは実に大事なことであると思うから、もう一言あなたの決意のほどを承りたい。

川島正次郎自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(川島正次郎君) 私も御趣旨のように考えてやっているが、なかなか思うようにいかないで困っておりますが、しかし、十分必要は認めておりますから、今後とも努力いたします。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 大森委員の質疑は終了いたしました。  これにて休憩いたします。    午後一時十七分休憩      —————・—————    午後二時二十一分開会

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) これより予算委員会を再開いたします。  この際、御報告いたします。  先般、委員長に御一任いただいておりました分科会担当委員の選定につきましては、お手元にお配りしてございます刷りもののとおりに決定をいたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。  山本伊三郎君、山高しげり君がそれぞれ辞任せられ、その補欠として千葉信君、大竹平八郎君がそれぞれ選任せられました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大蔵大臣はまだ来ないのですか。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 大蔵大臣は本省を出て、ただいまこちらに向かっている途中だそうでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それでは、日韓問題を中心に外務大臣に最初にお尋ねをいたします。  経済協力によって四条の(a)項の請求権が消滅をする、こう言われるのですが、具体的には(a)項のどういうような形の請求権が消滅するのか、ひとつ平和条約の条文に即して御説明願いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 経済協力と請求権とは関係がないわけでございます。請求権が消滅するというのは、文字どおり請求権が消滅するわけでございまして、平和条約四条にいうところの意味におきましては、両国が取りきめるということになっておりまして、その消滅ということで取りきめがそういう形でできるというふうに私は了解いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 消滅をするというのが具体的に何かということ、たとえば韓国政府の日本の政府に対する請求権、あるいは韓国政府の日本の法人に対するもの、日本の個人に対するもの、韓国法人の日本政府に対するもの、韓国法人の日本法人に対するもの、韓国法人の日本個人に対するもの、韓国の個人の日本政府に対するもの、日本の法人に対するもの、日本個人に対するもの、こういう内容があると思うのですが、これらがいずれも消滅することが大平・金の合意で確定をしている、こういうことでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういった今あげられたような一切のものを解決したいということでございます。そこで両国で取りきめた場合に、それが直ちに協定であれば、協定によって全部消滅したあとに問題が残らないかということでございますが、理論的にそのままの姿で、はたして個人の請求権というようなものは始末がつくかどうかといいますと、場合によりましては、国内立法をしなければならぬ場合も起こってくるかと思うのでございますが、私どものねらいは、一切がっさい、そういうものは始末がつくというものにしたい、そういう大筋におきましては、先方も同意されておるものと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 韓国の日本に対する請求権が消滅するようにしたいというのですか。大平・金の合意で消滅したことに合意ができておるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは稲葉さん御承知のように、一切の懸案を同時に解決する、一括して解決するということでございますので、請求権問題につきましては、こういう方針でいこうという一応のしぼりができておるということでございますから、今あなたがおっしゃるように、われわれが過程的に合意したことで、一切消滅したというものでないことは御案内のとおりでございます。一括解決の時点におきまして、すべての問題の始末をつけるということにおいて、先方も同意をしておると了解いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 どうも、こまかく突いてくると、あいまいになってくると思うんですが、そうすると、三億ドル、二億ドルの合意によって、今まではあらゆる請求権というものは消滅するんだと説明しておったのじゃないですか。今は消滅するようにしたい、こういうことになるわけですか。  もう一点は、場合によっては、個人の請求権に関連しては国内法を必要とする、こう言われましたね。すると、場合によっては国内法を必要としない、場合によっては国内法によって個人の請求権を消滅させる、こういうふうになるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 一括解決、全部の懸案がその合意をみた段階におきまして、そういう時点において、一切の問題の始末がつくというふうになると思うのでございます。現在の時点では、そのようにいたしたいということでいこうじゃないかということでございます。  それから国内立法の問題でございますが、私は法律の専門家でございませんので、どういう姿になるか、事務当局から補足説明をお願いいたしますが、私はこのように了解いたしているのです。両国の間で協定なら協定ができるということになりまして、先ほど申しましたように、それで一切の請求権が消滅して、何らもんちゃくが起こらないということになればよろしいのですけれども、両国の、国と国との間の取りきめでございますから、国を拘束することは当然でございますし、それからただ個人の場合に、裁判所に請求をするというような問題が起こりはしないか、その場合に、それを日本の裁判所でどのように扱うかという問題も、理論的には考えられるのではないかと思うのでございまして、そういう場合に裁判の基準というものが国内立法の姿であれば、そういう問題が起こった場合の最終的な始末をりっぱにつけ得るというように考えるわけでございまして、そういう点につきましては、専門家の検討を待っていたしたいと思います。要するに、一切もんちゃくが起こらぬように、一切の懸案の始末をつけたい、こういうことで進んでいるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 三億ドル、二億ドルの合意が成立したと、しかしそうすると、四条(a)項の韓国の日本に対するいろいろな請求権、法律的に今分別しましたが、それが消滅するのかしないのかについては、まだ十分な合意に達しておらないのだ、こういうことになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 経済協力と請求権の関係は無関係でございます。請求権は一切がっさい始末をつけるということでございまして、あとに問題を残さないようにしようということで進めておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、日本にいる韓国人の請求権、これは消滅するのですか、しないのですか。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) 今回交渉いたしておりますのは、平和条約四条(a)項に基づく請求権でございますので、韓国の住民と日本との関係の請求権でございまして、日本におります韓国人はこれに当てはまらないのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、もと韓国にいて現在日本に来ておる韓国人、これの日本の政府なり個人なり法人に対する請求権はどうなんですか。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) 平和条約発効の日を起点といたしまして、それまでに日本に来ておりました者、こういう者は韓国の住民ではないわけでございまして、これは今度の条約、今度の日韓間の請求権取りきめの対象にはならないわけでございます。韓国にそのときまでおりまして、その後日本に来た者、こういった人たちにつきましては、やはり平和条約発効の日を起点といたしますので、それまでに持っておりました対日本関係の請求権というものは今度の協定の対象になると、かように考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃ、今の問題はその程度にして、外務大臣にお尋ねしたいのは、日本の政府は八月の韓国の民政移管を既定の事実として、それまでの過渡政権として朴政権を認めて交渉していくわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 八月に民政に移管するというスケジュールは韓国が立てたことでございまして、私どもはそういう方向に進むことを希望いたしておりました。ただ八月に民政に移管するということを言ったから、この分でいけると、相手にするのだということでは、厳密にそういうことではございませんで、民政に移管する暫定軍事政権であるのだというふうに朴政権を見ておったわけでございます。ただ日韓の間の交渉というのは現に韓国を支配しておる政権との交渉でございまして、その政権がどういうことを、どういうスケジュールをとるかということはわれわれの交渉する要件ではございません。ただ政権をどう見ておるかという場合のお尋ねだといたしまするならば、それは民政移管への暫定政権であるというふうに私どもは観測いたしております。こうお答え申し上げるより仕方がございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、民政移管のスケジュールが大幅に狂ってきたならば、日本の政府の態度はそれにつれて当然変わるべきだとこう存じますが、これはいかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そのように私は考えておりません。それは先方の問題でございまして、私どもといたしましては、どの国との間におきましても、現に支配しておる、成立いたしておりまする政権を相手といたしまして外交交渉をやっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 日本の政府としては韓国が民主的な、まあ民政のほうがよろしいというか、希望するのか、あるいは軍政のままであってもかまわない。で韓国がそういうふうな軍政、民政であっても、それは全く関係がないんだと、こういうことですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本政府といたしましては、韓国ができるだけ早い機会に民政に移管されることを希望いたします。しかし現実の交渉はどの国もそうでございまするが、現政府とやっておるわけでございまして、韓国もその例外ではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 現政府とやるのは、これはきまっていることですけれども、その現政府が日本としては交渉を進めていく上に安定していることが望ましいのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) もとより安定していることを望ましいと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の韓国の政情は、それでは安定をしているとお考えでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 振幅の激しい動揺を経験しておると、したがって今日の韓国の政権が安定して——政情が安定いたしておるというようには見ておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 きのう韓国の崔外務部参事官ですか、外務省に来られて、いろいろ申し入れというか、本国の意向を伝えられましたね、どういうことでしょうか。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) ただいまアジア局長おりませんので、かわって御答弁申し上げます。崔参専官がアジア局長のところに参りまして、それで韓国の大体最近の動きにつきましてお話があったわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 もう少し——私ども国会で国民の声を代表して聞いておるんですから、真実を答えてほしいわけです。軍政延長は一昨年の革命以上の決意をもって実行するものであるという韓国の駐日代表部からの申し入れがあったんじゃないですか。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) アジア局長のところへ崔参事官が参りましての話の大体の骨子は、今回朴議長がああいう声明を出して、軍政を国民が希望するなら引き続き四年間、違った形ではあるけれども、継続するということになっておる、もちろんその結果は国民投票によってきまるわけであるけれども、自分からとしては、この韓国の政情はああいうことで、大体日本も信頼してやられてけっこうだと思う、したがって会談は引き続き日本のほうも継続していただきたい、こういうことを申し入れてきた。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 韓国の今言ったああいう声明というんですけれども、韓国はたくさん声明が次から次へと出るから、一体どれがどれだかわからないが、ああいう声明というのはどれですか。今月いっぱいまで軍政の延長については待つという声明ですか。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) それは今朝の新聞に出ております今月いっぱいはまだ猶予期間として認めるというあの声明のあります前の事態のことを言っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、崔外務部参事官が日本へ来て、そういうことを言っておるときに、すでに本国では今月いっぱい延長するということは言われておったわけですか、これは外務大臣どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういうことだろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 あなたのところの大野副総裁、この人が、十七日大阪でこういうことを言っているようですね。自民党総決起大会へ出席したときですか、「韓国の軍政四年延長は日本にとっては非常によいことだ。」大野さんはこう言っているようですね。どうなんですか、これは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 大野副総裁に直接お目にかかってそういう問題で懇談したことはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 あなたのところの大野副総裁は、この前、韓国へも自民党を代表して行かれた方でしょう。その人がこう言われたことの新聞記事が出ておる。十七日の大阪の自民党総決起大会でそういう話をしているということが三月十八日の読売新聞。韓国の軍政延長は必要、こういうようなことを大野さんが話しておったという新聞記事あるいはそういうようなことに対するニュース、これはあなたはお聞きになったことがないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 新聞を通じて読みました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは私も新聞を通じて読んだんだから……。これはあなたどうお考えになりますか。自民党の統一意思でございますか、これは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政党内閣でございますから、政府と与党たる自由民主党は一体でなければなりません。したがって、政府、与党の間には、いろいろの仕組みによりまして政策の帰一をはかっておるわけでございます。そして私は、外務大臣としてそれを代表いたしまして、国会に対し、国民に対し、外国に対しまして、責任者として行動いたしておるわけでございます。私に対しまして、今言われたような御意見が与党側から参っておりませんし、そういう問題は政府と与党の間で始末すべき問題でございまして、これが外に出る場合には、私を通じて出るものと思うのでございまして、私の言明を御信頼いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 金鍾泌氏が、この前、先月ですか、日本へ来たときに、大野さんや河野さん会ったわけですね。大野さんの談話によると、金鍾泌氏が外遊の途中日本に立ち寄ったときの話で今日あることはわかっておった、こう言っていますよ。これは軍政四年延長の話ですかな。何の話ですか。自民党の中では、韓国の情勢についてどういうように把握していたのですか。あるいは、あなた、外務省としては、韓国はこの軍政を延長するというような話があるとか、こういうようなことについての見通しはあったのですか。どうなんでしょう、これは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今御指摘のことは新聞でも拝見いたしましたけれども、その問題につきまして金鍾泌氏とお目にかかった方々から、お目にかかってそういうお話を聞いたことはございません。それから韓国の情勢の見通しでございますが、たびたび申し上げておりますように、軍政から民政への移管の過程におきまして、その時期、あるいは移管後の民政の性格等について、諸種の論議が韓国において行なわれておるということは承知いたしておりますし、またしたがって、本院におきましても、民政移管への道程における苦悶であり陣痛であると、こういう意味でお答えを申し上げてきたわけでございまして、その限りにおいて、私どもの申し上げましたことに間違いはないと思います。ただ、たびたび申し上げておりますように、振幅の幅というか、速度というか、そういうものは、われわれの予想を越えて非常に激しいものがあるということ、したがって、その原因は何か、背景は何かというようなことについては、とくと究明していかなければならぬと思いまするが、ただいま私どもが了承しておりますところでは、まあマスコミに報道されている以上の域を出ておりませんので、できるだけ広範囲に資料を集めまして検討してみたいと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 金鍾泌氏が日本へ来たときに、大野さんと河野さんと会って、その結果のことについてあなたはお聞きになっておらないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 伺っておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 外務大臣としてはそれは必要なかったんですか。韓国のいろいろな情勢を把握する上においてですよ、金鍾泌氏が来て大野さん、河野さんに会っていろいろ話をしておる、その結果をあなたは聞くことは必要ないとお考えになったんでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まだそういう機会を持っておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そういう機会を持っておらないと言って、もうだいぶ前のことでしょう。当然そういうようなときにどういう話があったかということをあなたがキャッチしておれば、ある程度韓国の政情に対する見通しもできたんじゃないですか。これはお話を聞いているはずでしょう。ただ、ここでは聞いたとも言えないから、聞かないと言っておられるのじゃないですか。聞かないというの、おかしいじゃないですか、あなた外務大臣として。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 事実まだ伺っておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 朝海大使が十一日ですか、アメリカの国務省へ何かトーキング・ペーパー、こういうようなもの出されたそうですね。これは外務大臣の命令で出したのですか。アメリカ側の要請で出したのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私の指示でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 アメリカに対してあなたが指示して日韓会談の経過をなぜ報告しなきゃならないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは本委員会でもたびたび御答弁申し上げておりますように、外交関係を持っておる国々では、相互に大きな問題につきましては情報の交換をやっておるわけでございます。日本は情報の提供をしないで、相手国からばかりもらうというわけに参りませんので、相互に情報の交換をするという一環のことでございまして、特別に新たなる措置ではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃ相互に情報を交換するなら、アメリカ側から日本に対してどういう申し入れとかあるいは文書とかが、この十一日の朝海大使のトーキング・ペーパーに対してあったわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 朝海大使が先方にインフォームいたしましたことは、去年の秋以来今一までの経過を説明いたしたものでございまして、特別に先方の意見を求めるというようなものではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、朝海大使がアメリカに説明した経過、文書、これは国会で今まであなたが答えておることと同じことですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 大体同じでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大体同じなら、朝海大使がアメリカに報告した文書を私どもにぜひ見せていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいままで政府がとっておる方針、日韓交渉の経過等につきましては、よく本院におきましても説明を申し上げておるわけでございまして、そういったものを要約したものでございます。こういうものを国会にお示しすべきものかどうかという点については、これは外交関係の文書になりまするので、出していいものかどうか、ちょっとこれは検討さしていただきたいと思います。内容は今申しましたようなもので、今までの経過を要約しておるにすぎないものでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 特に今の時期に朝海大使を通じてそうしたものをアメリカに出した意味はどういう意味でございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御承知のように朝海氏は帰朝命令を出しまして、三月十六日にワシントンをたつということになっておりましたので、今まで日韓交渉のインフォメーションを差し上げなかったので、今までの経過を帰任の前に一度インフォームすることが礼儀だろうと思ったにすぎないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、今の文書ですね、出すか出さないかは検討するというのですが、検討して出すようにひとつしていただきたい、こう思います。国会で今まで言ったこととちっとも違わないなら出したって別に問題はないと思う。もう一つ。それに対して十二日にアメリカの国務省から意見の表明があったのじゃないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういうことは承知いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 三月十三日の毎日新聞によると、ワシントン、十三日、石塚特派員、「米国務省筋は十二日「日韓会談は韓国の民政務官のメドとなっている八月十五日ごろより前に実質的に妥結されることが望ましく、それ以降に延びると見通しが立たなくなる恐れがある」との見解を表明した。」こうなっておりますが、この新聞記事、お読みになったのでしょう、おそらく。日本の三大新聞ですからお読みになったと思うんですが、そうなってくると、この記事について、アメリカの国務省がどういう見解を表明いたしたか、あなたは外務省として確かめられたことでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 確かめておりません。また、当方に対しまして先方からそういうような申し入れはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だって今までの経過をアメリカに報告しているなら、それに対してアメリカがどういうふうな考え方かということが当然くるのが普通じゃないですか。しかも、ちゃんと新聞で、こういう見解を表明したと、こうなっているんですから、これは事実かどうかということについてあなた確かめる方法をとったことはないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先方の政府の見解表明について一々政府側の見解を求めるというようなことはいたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 朝海大使のその文書は、これは三月十二日の朝日新聞ですが、「日本は韓国側に誠意がありさえすれば、交渉をあくまで継続する。しかし韓国側の内情はあまりに複雑かつ不安定で、早期妥結は期待できない」と、こういうふうに結論として書いて、そうしてアメリカに渡したのじゃないですか、どうなんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは国会でも私は申し上げておりますとおり、日本側といたしましては、先方から合理的かつ建設的な御提案がございますれば、いつでも協議に応じますという態度でおりますということは、たびたび答えてあるとおりでございます。しかして、先方の政局が動揺いたしておりまして、はたして先方が今の時点においてそういう提案をする姿勢にあるかどうかということにつきましては、私も多少疑問を持っておるという意味のことを申し上げるのでございまして、今日の交渉が実質的な進展を見ないということから御判断いただければ、今、朝海大使が語られたという新聞の報道でございまするが、諸般の消息を述べたものと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっとはっきり聞き取れなかったので念を押すんですが、多少疑問を持っているというのは、朝海大使がアメリカに渡した文書の中に書いてあることなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 一々の文章を私記憶いたしておりませんけれども、ただいままでたどってきた経過というものを要約してインフォームいたしたわけでございまして、私が今述べたような消息を伝えてあると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、今までの経過を要約して出した。結論的には、日韓交渉の前途については多少日本としては韓国の政情その他からいって疑問を持っておる、こういうことに承ってよろしいわけですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいま遺憾ながら実質的な進展を見ていないことは事実でございますが、一日も早く安定いたしまして、進展を見るように希望をいたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 きょうの一番新しい夕刊を見ると、アメリカ政府は新対韓政策の基本線について決定を下したようだ。それによるとこれ以上韓国における軍政の存続を許さない。アメリカは朴最高会議議長に去る二月二十七日の民政移管公約を履行させるため積極的に介入する。この公約の修正は一切認めない。こういう強硬な方針をアメリカ政府が決定したということが伝えられているんです、夕刊にね。こういうことについては、外務省はどういうふうにお聞きになっているんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まだ伺っておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは、伺っておらないけれども、確かめるつもりはございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私どもも、必要に応じ、アメリカのみならず他の国交を結んでおる国々からインフォーメーションを求めておりますし、先方もまた自発的に連絡をして参る場合もございます。したがって、アメリカの対韓政策という点につきましては、私どもも重大な関心を持っておりますので、そういったものが固まって参りますれば、何らかの形で私どもにもインフォームされるものだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 向こうからインフォームされるのを待っているわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私どものほうで積極的に求める場合もございまするし、向こうから自発的に持ってくる場合もございます。事は韓国問題という日本に近接いたしました問題でございますので、当然先方から連絡があるものと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の韓国の政情きわめて不安定な政権ここに経済協力で金をつぎ込むことは、泥沼に金をつぎ込むようなことだろうし、いろいろな角度からいっても、現在においてはこの日韓会談を一時中止をすべきである、こう考えるのですが、そういうことについては政府はどう考えておられますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それはたびたび申し上げておりますように、あらゆる国とどういう瞬間におきましても、また、先方の政情がどうでございましても、先方の政権に対しましては最大の礼儀と友情を持ってお付き合いをするのが当然だと思うのでございます。先方の政情が不安定だからしばらく交渉は中断するのだというようなことは、私どもとしてはそういう気持はないわけでございまして、先方が早く安定を取り戻しまして、交渉に、実質的な交渉に入られることを希望いたしておるわけでございます。こちらから中断するとか、停止するとかいうようなつもりは寸毫もございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 中断しなくても現在のような情勢のもとでは事実上進展をしない、これは事実として認めざるを得ないでしょうね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、実質的な進展を見ていないのは非常に遺憾でございまして、こういう事態が早く打開されるように希望いたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃあ問題を変えまして、今度は自治大臣。政治資金のことに関連して少しくお尋ねをしますが、この政治資金規制法の届け出をずっと見ますと、宏池会とか、周山会とかいうのがあるんです。これは一体なんでしょうか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 宏池会は池田勇人君、周山会は佐藤榮作君を中心とした会だということを聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは法律上どういう性質のものですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) これは法律上の政治規制法の規定に基づく団体でありまして、御承知のとおり、現在の規制法は届け出をいたしまして、そしてその収支について明確な記入をし、そしてそれを自治省に届け出をするということによって成り立つことになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そういう意味じゃなくて、個人か法人かという意味でお聞きしているんですが。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) それは個人でもないし、法人でもないと言っちゃおかしいが、ひとつの団体でありますが、法人の届け出はしないと私は考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 個人でもない、法人でもないというものは何でしょうか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) まああなたは検事さんですから、くどく言われたら私も答弁に困りますが、一般にいう、いわゆる法人というものとはちょっと意味が違うんじゃないか、いわゆる政治団体である、まあこういうふうに考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃあ大蔵大臣にお尋ねするんですが、こういう会が一年間非常な金を集めているわけですね。たとえば年間大体まあ少ないところで二億ですね。大きいところは四億か五億——届け出だけですよ。一つの会がこれを集めていても所得税かからぬでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 自由民主党のごとく、社会党のごとく、共産党のごとく、政治団体は届け出をしていれば課税の対象になりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 課税の対象にならないという根拠。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 法律問題でありますから政府委員をして答弁ぜしめま。

松井直行大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(松井直行君) お答え申し上げますが、今おっしゃいました政党の中にありますそういうものは、一応人格のない社団と考えまして、税法上明確にどういう扱いをするかということは書いてございませんが、所得税法上はこれを法人とみなして扱っております。それから同じように法人税法上におきましても、法人として一応扱いますけれども、これはまあ政治団体の事業でございまして、収益事業ではないから法人に扱わない、こういう扱いをしているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは宏池会や周山会が金を集めた場合に税金がかからないのは収益事業じゃないから税金がかからない。これは簡単なんですが、じゃあ池田勇人個人、佐藤榮作個人がそれだけの金をもらうでしょう、もらった場合税金かかるんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 個人が受けた場合、選挙等で届出が必要であるものに対して届け出ておれば課税の対象にいたしておりませんが、届出がない場合は当然課税の対象になります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 話が違いますよ。公職選挙法で、選挙に際して届出がある場合にはこれは課税の対象にならないけれども、選挙以外の場合、選挙に関連がなくて、たとえば年間四億とか五億という金を池田さんなり佐藤さん、あるいはあなたでもいい、失礼だけれども。僕でもいい。僕はもらいっこないから。あなたでもいいけれども、もらった場合、税金がかかるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 課税の対象になります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうするとおかしいのですよ。個人がもらえばかかるものが、政党なら、自由民主党なら自由民主党という政党がもらった場合にかからないというなら話がわかる。一つの派閥というか、後援会というか、そういうものが、実質的に池田勇人あるいは佐藤寡作とちっとも変わりないものに、そういう会を作っておれば、その会に入ってくれば税金がかからない。個人がもらえば税金がつく。脱税のためにそういう会を作っているとしか考えられないじゃないか、結果として。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 脱税のために会を作っておるという理論が成り立つかどうかわかりませんが、いやしくも政治活動をしている人が政治団体に、何らかの政治団体に所属しておりますから、こういうものは必要であり、またそういうものが収益事業でないとして課税をしておらないということは事実でございます。これが周山会とか宏池会というものは個人の後援団体というふうに見ておりますが、現在の考え、現在までの御認識では、自由民主党、日本社会党、教員、職員団体の政治団体その他も周山会も届出をしている、宏池会も同列でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 政党が寄付なんか受けた場合にかからないのは、政党政治の育成ということから理解できるのですが、そうじゃない、そういう会が金をもらった場合に税金がかからないというのは、ちょっと筋がおかしいと思うのですが、それはそれであとにしましょう。そうすると、今度は出すほう、法人が出すでしょう、金を。それは日本の税法上はどういうふうな取扱いになっているのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 一定基準以内のもの、いわゆる政治資金で出したとか、その使途の支出をした、状況は別にして、一定額以内であれば損金処分になることになっておりますから、一定割合以上をこしたものに対しては課税の対象になっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、一定割合の範囲内なら損金に算入されるということ、それで、政治献金を非常にやりやすくしているわけですね、日本の税法は。こういうものは、寄付金に対する取扱いはほかの国でやっているのでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) ほかの国でやっているかどうかは私は今つまびらかにしませんから、これらの事情は、よくわかることであれば、当局をして答弁させます。

松井直行大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(松井直行君) お答え申し上げます。現在、法人にある一定限度の寄付金を損金扱いにする、一々、営業活動をやります場合に、どれが損金かどうかということを区分けすることは非常にむずかしゅうございますので、一定の営業活動をする限りにおいてはこういうものが必要だということで、損金扱いにしておるわけでございます。したがいまして、政治献金だからどう、あるいは宗教に対するものだからどうという損金に対する扱いはこれは世界各国ともいたしておりません。営業上の必要なための寄付というものについてある一定限度を置きまして損金扱いしているということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ほかの国では政治献金というものを認めてないんじゃないですか、西ドイツが一部認めているだけで。どうですか、これは自治省のほうが詳しければ自治省の方。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) アメリカ等におきましては政治献金を一定の額を定めて認めております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 アメリカでも、イギリスでも認めてないんじゃないですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 私の知る範囲では認めております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃ、アメリカのどういう法律で認めてますか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 会社でありましても個々の人であっても、一定の額、すなわち一人に対して五千ドル以上は寄付してはならないというふうに認めておると、そういうふうに記憶しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まあ今ここで詳しい論争をしても時間がたちますから、またいずれ別の会議でありますけれども、だいぶそれは違いますよ。そこで問題は、この政治資金の取り扱い、ことに会社が自由民主党なら自由民主党という政党へ出すならまた話は別ですけれども、こういういろいろな派閥に金を出す、こういうことをやめさせなくちゃいけないということが選挙制度審議会の中で相当大きく意見が出たんじゃないですか。長谷部忠さんがやめたのはそのことによるんじゃないですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 審議会の中では政治資金規正についてはあまり議論はなかった。長谷部君がやめましたのは、答申を無視したのはけしからぬと言ってやめた、こういうふうに承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だから、どういう答申をしたのをどういうふうに無視したんですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) たとえば連座の問題であるとか、まあ主として連座の問題であると思いますが、政府が修正をいたしまして提案したときに、実は、答申無視であるということでやめたということが一つございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 長谷部さんの善いたものを読んでごらんなさいよ。政治資金の規正が第一で、池田総理はこいうことについて熱意を持っておらないんだ、だからやめたんだということを言ってますよ、はっきり。そうじゃないんですか。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 長谷部委員が審議会をおやめになりましたのは、ただいまお話がございましたように、選挙制度審議会の答申を相当部分にわたって修正をして政府が提案したからという理由でございまして、その中には政治資金を、国または地方団体等から財政的援助を受けている会社等の寄付制限について、選挙制度審議会では無制限にこれを禁止することに答申しておったのを、選挙に関し、こういうふうに直した点とか、また高級公務員の立候補制限を、これを規定の趣旨を変えて提案した点、それからただいま大臣がおっしゃいました連座制の問題について答申の個所を変えた点、こういうことをおもな内容といたしておりますが、必ずしも政治資金の問題だけではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 政治資金の届け出の官報をお持ちだと思いますが、これを見ると、たとえば総収入がその一つは周山会だと約四億ですね、一年間に。ところが主たる寄付者として記入してあるのは、それはわずかに二千万ぐらいしか記入していないんですよ。あとの金をどうしたんですか。どうしてこの官報に記載しないのですか、それは。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 官報には政党政治団体から収支の届け出があったとおりに記載しているわけでございます。寄付の中で掲げてありませんのは、小口のものは掲げていないわけでございます。したがいまして、ただいまのお話の点につきましては、寄付が小口であったか、あるいは会員の会費として取ったものであるか、まあそういうふうに推測されます。これは届け出があったとおりを官報に出しているわけでございまして、私どものほうで手心を加えているわけでございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは私見て実におかしいと思うんですよ。四億の収入があったように届け出してあるわけだ、たとえば周山会。宏池会だと年間約二億か。そのうちに、主たる寄付先としてはいろいろ書いてあるのは二千万か三千万くらいしかないですよ。あとの金というのは、たとえば周山会でえば三億幾らというものはどこから入ってきたのかさっぱりわからない。官報に書いてないですよ。こういう記載の仕方というのは私はおかしいと思うんですよ。会員から一口百円か二百円か知らぬけれども、そういう金が入ってきたというのはちょっと常識では考えられないのですよ。いろいろな大口の寄付があってもそれを書くと工合が悪いから書かないのじゃないのですか。だれが見てもそういうふうに考えられすすよ、どうです、それは。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) これはただいま申し上げましたように、政治資金規正法は政党政治団体から届け出のあったそのままを書いているわけでございまして、その内容につきましては、これは調査する権限もございませんので、そのとおり出しているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、さらに角度を変えまして、国有財産の払い下げの問題に関連して聞くわけです。昭和三十六年十一月に出た「国有財産地方審議会の審議経過第5集」、これは大蔵省で国会議員に配ったらしいのですけれども、いつ配ったのですか、これは。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 国会に報告したのは昭和三十六年十一月印刷のものでございます、これは三十七年の半ばごろ国会議員にお配りしたんであろうという事務当局の説明でございます。法律に基づいた配付文書でありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これを見ると、三十六年のこれは三月末までの集計です。こういう書類ができるのがどうしてこんなにおくれるんですか。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 印刷がおくれましたのはまことに申しわけないと思いますが、全国の財務局からの報告をまとめまして、これをそれぞれ整理いたしまして、その上で印刷に出しますので、若干時日が経過した次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、この関東地方の最初のところがありますね。十三ページ、十四ページ、第一の「売払」の一から十七までありますが、これは公共団体に払い下げたのを除いて、全部が全部随意契約で払い下げていますね。どうしてこう随意契約でやっているわけですか、これは。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 国有財産の払い下げにつきましては、一般競争入札で払い下げるという考え方と、契約で払い下げるという考え方がございます。国有財産の土地は非常に重要性がございまするし、それぞれ個性的な具体的な特色もございまするので、これを高度的に利用するという考え方から、それぞれ具体的に審議決定すると、こういう方針をとっております。戦後の国有財産といたしまして、公共用、公用、その他一般の民生安定あるいは経済の復興、こういった方向に寄与するべく転換をはかってきたわけでございまして、したがいまして、これらにつき策しては、それぞれ具体的に国有財産審議会の意見を聞きまして、その上で決定をいたすと、かようにいたしておる次第でございまして、ただいま御報告の点は、それぞれ審議会において決定いたしたものでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そういう抽象論なら何も聞く必要ないわけですよ。それじゃ一つ一つお尋ねしますが、最初の一のところの熊谷にある飛行場の土地ね。日立金属と、この書物が出たあとに日本鋼管に払い下げていますね。そうでしょう。日本鋼管に払い下げるに至った経過を説明して下さい。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 埼玉県熊谷市所在の旧陸軍飛行学校御稜威原飛行場所属の土地十万坪でございますが、これにつきましては国有財産審議会の意見を求めまして、本項に書いてありまするような会社に払い下げることが適当であるという答申を得まして、払い下げた次第でございます。これは特殊鋼等の製造工場建設ということで申請がございましたので、経済産業復旧のために寄与するものと考えまして、予算決算及び会計令の九十六条二十号により、産業の保護奨励に該当するものだという認定のもとに払い下げした次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それはここに書いてあるのです。書いてあることをあなた読んでいる。そんなことはわかり切っていますがね。そうじゃなくて、日本鋼管へも払い下げているでしょう。ここに書いてないでしょう。その払い下げした経過を聞いているのです。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 経過というお尋ねでございますが、それぞれの会社からの申請に基づきまして検討いたしました結果、審議会の意見を聞いて決定した次第でございまして、お尋ねの点、経過とおっしゃいますが、以上につきまして私ども決定いたしておる次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 あなたはそういうこと言うなら、自治大臣、日本鋼管から自由民主党の本部と十日会、十日会に対して三十六年度に五百万、自由民主党本部に対して二百万政治献金がありますね、その日にちは一体いつだか、調べて答えて下さい。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 調査の上御報告申し上げます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 調査の上じゃないですよ。この問題について僕は聞くから、日にちを調べてくれとはっきり言ってるじゃないですか。だめですよ、そんなことじゃ。ですから、ちゃんと前から言ってますよ。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 私のほうは連絡を受けておりません。ここに資料を持ってきておりますから、しばらく調べさしていただきます。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 今ここに持ってきました資料を調査いたしましたところ、お尋ねの点は、三十六年七月一日から三十六年の十二月までの分だけしかありませんで、それには十日会が二百万円寄付を受けておる、こういう届け出があります。政党関係は、この中にはありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっと待って下さい。三十七年の十一月十五日の官報、あるでしょう。そこの三百六十一ページを見てごらんなさい。十日会に対して日本鋼管が三百万円出しておりますよ。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) お尋ねのものは上期でありまして、今こちらに持ってきている資料は下期でありますから、その上期の資料は自治省に参らないとないわけであります。そこでさっそく調べて取り寄せます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 三十六年十一月三十日の官報、これに政治資金規正法の届け出でが出ておりますね。その七ページのところに、二百万円、日本鋼管株式会社とありますよ。これ貸してあげてもいいですよ、二つありますから。使って下さい。  そこで、一体、この熊谷の陸軍飛行学校の国有財産々巨本鋼管へ払い下げたのはいつなんですか。幾らで、どういう経過で払い下げたのですか。これには書いてないのですけれども、どうなんです。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 日本鋼管に払い下げましたのは、昭和三十六年の八月二十九日付の契約でございますが、審議会で決定いたしましたのは三十四年の九月でございます。払い下げ価格は千百円と相なっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 全額ですよ。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 日本鋼管の分は、土地が十九万六千坪で、二億千五百万、坪当たり千百円となっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 あなたは、ことしの二月二十六日の衆議院の予算委員会第一分科会では、日本鋼管に払い下げたのは昭和三十六年五月だと、こう言っているじゃないですか。速記録ありますよ。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 日本鋼管に払い下げましたのは三十六年の五月二十九日でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 あなたは今八月とか…

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) あるいは言い間違えたかもわかりませんが、五月二十九日でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、今私が言った、自由民主党へ二百万、十日会二百万と三百万、合計七百万、金が行っているわけです。その具体的な日時を至急調べて下さい。先に質問を進めておきますので、調べておいて下さい。  それから、大蔵大臣、十四ページ、五番ですが、中島飛行機のところろの小泉飛行場跡の売り払いについて、東京の三洋電機というのに払い下げた。この経過はどういう経過ですか。どういう関係で随意契約になっているのですか。これは何か前から関係があったのですか。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 三洋電機に払い下げましたのは、やはり、先ほど申し上げましたように、産業の保護奨励ということで、随意契約の条項によりまして払い下げたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは産業の保護奨励によって払い下げるのはきまっておりますよ。みんなそうですよ。私の聞いているのは、なぜ三洋電機が随意契約の中で払い下げを受けるような経過になってきたかということを聞いているのですよ。すでにこの工場を使っていたとか、この飛行場跡を使っていたとか、何か特別の理由があれば私も納得しますけれども、なぜこれが随意契約で払い下げを受けるのかということを聞いているのです。これは日にちがいつで、金額が幾らですか。  日本鋼管の場合も、ただ産業保護ということでなくして、なぜ日本綱管が随意契約の中に入ってきているのか。随意契約というのは日本綱管だけですね、前のやつは。結局だれかの紹介がなければ随意契約という形にならないのです。そこらはどうなっていますか。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 先ほどからもお答え申し上げておりますように、国有財産払い下げにつきましては、それぞれの会社からの申請に基づきまして、国有財産審議会の意見を聞いて決定いたしておる次第でございまして、三洋電機につきましては、昭和三十六年の九月、土地約二万一千坪、建物その他を売り払っておりますが、売り渡し価格は十三億九千万円でございまして、坪当たり千二百円と相なっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは、なぜこの審議経過に——これは審議経過だから、直接関係がないといえば関係がないかもわからぬけれども、売り渡し代金をどうして書かないのですか。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) これは、国有財産審議会に提出いたしました内容の要約でございます。審議会につきましては、価格まで審議することもございますけれども、どこにどれだけの土地を払い下げるかということだけを決定いたしまして、その後、評価につきましては、それぞれの手続によりまして適正な価格を評価いたしまするので、売り払いの時点におきまして評価をいたすということに相なっておりまするので、関東地方審議会につきましては、その価格を審議会に諮っておりません。そういう関係上、この報告書には価格が掲載せられていないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それはまたおかしいじゃないですか。何のために審議会を設けたのです。ただここを払い下げるといったって、具体的に幾らの価格が妥当であって、それで払い下げるということを審議会が、いろいろな民間の人なんか集まって公平妥当にきめるということが必要なんじゃないですか。そのために設けられたのでしょう。そうじゃなくて、価格の点についてはあとで大蔵当局が勝手にやれるとなれば、そこのところに幾らでも政治的ないろいろなものが介入してくることが考えられてくるじゃないですか。そういう建前でやっているのですか、どうなのですか。

白石正雄大蔵省管財局長

○政府委員(白石正雄君) 国有財産の審議会に諮問をいたすにつきましては、どういう国有財産をどういう方途に利用したらいいかということを審議いたしまして、そしてその転活用の方針をきめるということでいたしておる次第でございます。価格につきましては、適正な時価によってこれを売り払いするということに相なっておりまするので、別途に手続上厳正な方途によりまして価格を決定いたすということにいたしております。これを決定するにつきましては、相続税の評価の基準の価格がございます。固定資産税の評価の基準の価格がございます。また、付近の売買実例等の価格がございます。さらに、不動産関係の精通者の意見を聴取いたしまして、このような諸般の指数によりまして適正な価格を決定をいたすということで、別途その価格の適正を期しておる次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ三洋電機からこれはもうほんのわずかな金額ですけれども、宏池会に二百万円献金されていますね。自治大臣どうですか。いつですか、この日にちは。三十七年十一月十五日の官報、三百五十七ページ。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 三十六年の下期において、確かに今仰せの二百万円が寄付されております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると私が調べた範囲で二つの例ですけれども、国有財産の払い下げを受けるためには、前もって政治献金をしていくとか、あるいはあとからお礼で献金をするとか、まあわずかの金額といえばわずかかもしれませんが、そういうことが二つたけでも出てきたわけですね。一体、こういうふうなことが日本の政治の姿勢の上からいいことなんですか。どういうふうに考えたらいいんですかね。だれに聞いたらいいのか。総理大臣がいないから、どうです自治大臣は。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) その国有財産の払い下げと政治献金とが結びつくかどうかという問題のほうが、私は大事だと思うのでありますが、しかし、同じ時期にやはりそれだけではなしに政党にもいろいろ寄付されている場合がありましょうし、それが偶然そういうことがあったからといって、必ずしも献金しなければ国有財産を払い下げないというものでもないし、また、たまたまそういうことをやったからといってその人の言うことを審議会が聞くものでもない。だからそういうふうに合わせれば合わないことはないかもしれませんが、私はそういうことのためにいわゆる審議会が侵されるなんていうことは絶対にない、そういうふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 審議会が侵されるとか侵されないとか、私は聞いていませんよ。そういうふうに、偶然の一致かもしれないけれども、国民に疑惑を持たせるようなことが現実に行なわれておること、これは選挙制度という立場からいっても、選挙の粛正という建前からいってもどういうふうなものか、こういうふうに聞いているのです。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) もちろん因果関係があれば、そういうことは決していいことじゃありません。しかしそこに因果関係があったかどうか。たまたま政治献金があって、一方においてまた審議会なり役所の事務の一つとしてそういうことが行なわれた。あるいはそれが偶然一致したということがあり得るかもしれない。しかし、そこに因果関係が結びつくとすればもちろんそれはいいことではありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 因果関係が結びつくか結びつかないかは、これは客観的に時日の経過を追ってみれば大体見当がつくのじゃないですか。そういうことを言えば私はもっとお尋ねしますよ。じゃあ、三洋電機で今まで審議会なら宏池会に金が献金されたことがあるのですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) それはちょっとわかりませんから、よく調べます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 話をじゃあ別にしましょう。せっかく自治大臣が一生懸命答弁されているのですから、もう少し別なことを聞きます。  実は栃木県で参議院の補選が行なわれている。そうすると、自由民主党の候補者は公営の立会演説会を拒否してきた。そこでいろいろお尋ねしたいのですが、一つは、公営の立会演説会を設けた趣旨は、どういうところにあるのでしょうか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 政党あるいは各候補者の政策というものを比較検討する場合において、立会演説というものが最もいい方法であるということで始められたと考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 始められたと考えるといったって、あなたの所管じゃないですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 現在は私の所管でありますが、始めたときは私の所管ではありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、そういう立会演説会に参加することは、政治家として国民に対する一つの義務として受け取ってよろしいでしょうか。義務というのは、法律的な義務という意味じゃないですよ。道徳的な義務じゃないでしょうか、どうでしょうか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 義務ということはできないと思います。しかしながら、事情が許す範囲内におきまして立会演説に出ることが望ましい、こう考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 事情が許す限りというのだけれども、栃木県では自民党の候補者が立会演説会に出ない、これはどういう事情でしょうか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 個人の事情を一々調べているわけじゃありませんが作戦の都合上そういうことをやる場合があります。たとえば非常に離れた、自分にあまり関係のない場所で立会演説会が行なわれる。そういう場所に行って、百人か二百人の聴衆を相手にして、汗かくよりは、むしろ自分の地盤において街頭演説や個人演説会をやったほうが有利であるとすれば、それがそういうことをやっても、作戦ですからやむを得ない。そういう例は、栃木県ばかりでなくたくさんありますね。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、参議院や衆議院の選挙で、公営の立会演説会を拒否した例というのがたくさんあるのですか。全部ですよ。初めから終わりまで全部拒否してしまうんですよ。たまたま遠いところに行くとか何とかいうんじゃありませんよ。そうでないんですよ。そういう例が全国でたくさんあるんですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 私の例を引きますと、私は全部立会演説会に出ます。しかし室蘭だけは出ません。なぜ出ないかというと、同僚の南篠君がおりまして、そこへ行って与党同士立会演説やってもしょうがないから、そういう特殊な地盤には、室蘭だけ出ない。あとは全部出ています。それから東京都などにおきましても、立会演説を拒否された方があります。それからまた、こういうことは実際上あり得ると思います。相手の人が非常に雄弁家であって、自分が話が下手だ。立会演説をやれば票が減るという場合には、そんな危険を冒す人はありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 雄弁家であろうとなかろうと、自分の考えを立会演説会という制度で国民に述べるのが、政治家としての道義的な義務じゃないでしょうか。そうじゃないでしょうか。作戦のほうが上なんですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 自分の考えを述べるという方法は、たくさんあります。たとえば選挙公報によって述べておる、あるいはラジオの放送において述べておる、あるいは新聞広告においても若干述べられる。あるいは個人演説会においても述べられる、街頭演説においても述べられる。だから、立会演説だけが自分の意見を述べる場所ではもちろんないです。そこで立会演説の好きな人ときらいな人があります。これは仕方がない。私なんか立会演説会が大好きだから、もう初めから終わりまで立会演説会をやっている。ところが、立会演説会がきらいな人がおりまして、今申しましたように、選挙というのは道楽でやっているのじゃありませんから、自分の票がほしくてやっているのですから、どうしたら票が取れるかという立場から立会演説をやっているということになれば、自分が不利であれば拒否するということは、私は個人に与えられた自由だと思う。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、公職選挙法は、立会演説会に候補者全員が参加してくれるということを期待をして、予想をしてできているのじゃないのでしょうか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) もちろんそのとおりであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それを破るのに、個人的な作戦だとかへただとかということで破っていいものでしょうか、政治家としては。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) しかし、それは各党とも、都合によりましてやっておりますよ。たとえばわれわれのところでも、かりに、人の名前を言っちゃ悪いですけれども、私と同じ地盤である社会党の渡辺君と岡田君と、それから山中日露史君と三人おる。そういう場合に、やはり立会演説会へ全部は出てない。社会党が定めた地盤と申しますか、そこの立会演説には出るけれども、それから先の立会演説会には出ない。だから、要するに個人であるか党が定めたかというだけの違いでありまして、そういうことはたくさんあるのです、実際問題として。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 同じことを質問していても始まりませんから、栃木県の場合は、自民党の方は御老体なんですよ。七十二か三ですよ。そういう関係で立会演説会に出られなかったのですか。これは防衛庁長官知っておるかもしれないけれども。どうですか、自治大臣。選挙局長が向こうへ電話をかけて調べているのじゃないですか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 不敏にして、どういう人が立っておるかということは実は私は知らない。それで、七十何才で、立会演説もできないということであれば、それは選挙民が批判をするでしょう。演説しても批判をするし、演説しなくても批判をするし、問題は立会演説というものはなるべく出るほうがいい。しかし、個人の都合とか、政党の都合によっちゃ出ない場合もあり得る。これは何も法律で、どうしても出なくちゃならぬという義務を負わしているものじゃありませんから、今申しましたように、政党の都合で、ここからここまで出る、それから先は出ないという場合もありましょうし、個人の作戦上の都合で出ないという場合もありましょう。また健康とか老体とか、そういう関係で出ない場合もある。だからこれを、栃木県の自民党が出なかったから、あなたは今それを取り上げておられると思うが、社会党が出なかったら、おそらく取り上げておられないと思う。どうでしょうか。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 社会党はそういうことはしません。われわれ言論で堂々と所信を述べてやるのです。自民党のようにそういうやり方はしないですね。これは自治大臣はわかっているのじゃないですか。  そこで、もう一つのことですが、投票率が非常に低いというわけですね。そういうことを避けるために、選挙管理委員会が部落ごとに段階をつけて、投票率の優秀なところに金をやっているのですよ。栃木県ではそういう例があるのですが、お聞きですか。具体的にどんなことをやっているでしょうか。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 私どもの聞いているところでは、栃木県のある町で、知事選挙が行なわれました際に、各部落に報奨金のようなものを、これは千円から三千五百円程度の金でございますが、これを出して、投票率のよかったところへは高く三千五百円、三千円、二千円と、こう順序をつけて出したように聞いております。ただ、聞くところによると、何か品物のようなものでもということを考えたそうでございますが、部落のほうで品物ですと、一つしかないものですから、現金をもらえれば、お祭りとかその他の行事において、みんなで一緒に食事でもできるからと、こういうような趣旨で、そういうようにやったようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは自治大臣、知事選挙で自民党と共産党しか出なかったわけです。だから自民党の投票率が低いと、全体の投票が前は三十六万票取ったけれども、それより至らないと不信任というような印象を与えるので、かり出しをやった、こういうふうに、投票をするのに金を出すという行き方はおかしいじゃないですか。あなたは非常にまつ正直な、竹を割ったような人だから、その点明快にひとつ答弁してほしいですね。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) おだてられて言うわけではありませんが、そういうことは行き過ぎだと思いまして実はこの前公明選挙の会合、あるいはまた地方の管理委員会の会合等におきまして、現金のことは私初めて聞いて、知らないのですが、マッチを配ったということを聞いておりますから、マッチなんてものはどこにでもあるじゃないか、そんなものを配るために公明選挙費用を出しているのじゃない。だからもっと有効に使ってくれという勧告はしてあります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 関連して。去年の参議院選挙でも、私の聞いた範囲では、商品を、商品というわけではないけれども、品物をくれて大いに投票の能率を上げる、こういう試みがあったということを聞いているわけです。別に私の地元でそういうことがあったというわけではないんですけれども、ある候補が、自分の出身のところでは物をくれる。その結果だかどうか知らぬけれども、非常にそこでは投票の率がよかったという例がある。今の自治大臣の答弁からすると、今後の選挙でも、金であるとか物であるとか、そういうものを出して投票の率を上げるということは、これはよろしくないと、そのように考えられるのですけれども、今後の問題としては、そういうことは許さないということが、自治省の方針として指導されるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) 私の個人的趣味にはきわめて合わないことではありますけれども、今までやはりそういうことをやっているそうであります。さきに申しましたように、そういうことはできるだけよしたらどうかという勧告を、私自身はいたしております。しかし、これは別に選挙法等によってとめるような条項は私はないと思います。ただ、自治大臣の指導といたしましては、そういうことはよせと、こういう指導をしておりますが、私が自治大臣になりましてからは、そういうことはないだろうと、こういうふうに考えております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 関連。私は、国会のやり取りとして、そういうことを何げなしに言うておるけれども、僕は重大問題だと思うのです。私は、金だの物だのを配って投票率を高めるなんていう措置は、日本の自治省にはとってもらいたくないと思う。そんなことはやってはいかぬですよ。法律がどうのこうのでなくて、そんなのは厳重に取り締まって下さいよ。えらいことになりますよ。さっき質問者が言われたように、投票率が商いということになると、自民党が勝つということが新聞にも出ている、黒金官房長官初め皆さんに申し上げるが、これはアンフェアですよ。そんなことをやったらフェアな選挙ではありませんよ。自治省の方針としては、法律に差しつかえないからというようなことで、うやむやにはできませんよ。だから金だの物だの使って投票率を上げるような措置はとってもらいたくない。これはやらなければおかしいですよ。しっかりやってもらえませんか。

篠田弘作自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(篠田弘作君) ただいま申しましたように、従来そういうことが行なわれておったという事実はあるのでありまして、私としましては、そういうことは絶対にやってもらいたくない、こういう指導をいたしておるわけでありまして、今後もそういうことをやらないように、厳重に通達するつもりであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大蔵大臣に尋ねるのですが、今後の今年の経済の成長、あるいは見通し、こういうものに関連をして、あなたと経済企画庁長官との間に意見の相違がありますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 現在のところございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 企画庁長官どうですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 今、大蔵大臣がお答えをされたとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 企画庁長官、あなた日米経済合同委員会へ行ったときに、これは朝月新聞に「ワシントンの三日間」という文章を書いていますね、あなたの名前を入れて。この中に、「田中蔵相と私が、今後の経済見通しで所見を異にするのを見て、」云々と、これをあなた書いているでしょう。どういう点が違っていたのですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) その文章は確かに私が書きましたし、そのとおりであります。日米経済合同委員会で、お互いの国の経済の見通しを述べ合いましたときに、私が、来年度、すなわち昭和三十八年度の経済見通しについて、その段階で考えておることを申したわけでございます。ちなみに、それは十二月の初句、最初の何日かであったと思います。当時、経済企画庁でいろいろな試算をいたしておりまして、三十八年度の経済というものは設備投資が相当に落ちそうである、在庫投資も、うっかりするとなかなか前年度並みを維持することはむずかしいじゃないか。したがって、よほど財政その他でしっかりやり、輸出環境がよくならないと、経済というものはなかなか上向かないということを考えてこういうことを申したのであります。それに対して、田中大蔵大百は、これはもちろん対外的な御考慮もあったと思います。正直を申して、対外的な御考慮もあったと思いますが、そうむやみに財政の金を使うわけにもいかない。しかし、自分の見るところでは、ある程度財政というものをやれば、経済企画庁長官が言ったごとく、そう悲観しないでも、経済というものは、上がり出せば相当上がるのじゃないだろうか、こういう趣旨の説明をされました。田中さんも、おそらくは、だれが自分の話を聞いておるか、相手方を意識して話されたでありましょうし、私も若干そういう気味はございましたが、二人で申したことが、確かにその聞き取り方では違った印象を与える、そのことはアメリカ側にも同じようなことがあったのでございますが、これはフリー・ディスカッションという建前から、私は、むしろお互いの理解を深める意味において、悪いことではなかったと考えております。なお、その後に、正規の政府の経済の見通しを昨年の十二月にいたしました。一月に最終を決定いたしたものでございまして、それは各大臣とも異議なく一致しておる、これが国会に提示をいたしました見通しでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃあ企画庁長官、十二月の初旬にあなたがアメリカへ行ったときに、大堀事務次官が池田総理に対して、経済成長の見通しを資料を出して説明しましたね。それと十二月二十二日に閣議決定になったのが今の六・一%の経済成長ですか、違いがあるじゃありませんか。そのところを説明してくれませんか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 経済企画庁が三十八年度の経済見通しの作業をあの当時続けていたしておったわけでございますが、その間、私は、総理大臣のヨーロッパ訪問、日米経済合同委員会の出席等で、ほぼ一カ月留守をいたしておりました。作業を進めることを指示して留守をしておったわけであります。その間、企画庁では作業をいたしておりまして、結局作業の一番中心となりますこの分かれになりましたのは、三十七年の十月ごろの鉱工業生産の指数がどの辺に落ちつくだろうか、その点についての見きわめを立てることであったのであります。この点が十一月中にはっきりわからなかったのでありますが、これについては弱気、強気、両方の見通しがございまして、たしか当時の指数で三〇〇というものを割るであろうか、あるいは三〇〇に乗せるであろうかというのが議論の焦点であったと思うのであります。私は、そうやって作業を継続させながら、自分が帰りまして、そのころに鉱工業の生産の動きもほぼ明らかになりました。そこで、最終的に私どもの経済企画庁の意見を統一いたしたわけであります。したがって、作業の途中においていろいろ意見が出ましたことはもちろんでございまして、ただいま御指摘のような事実もおそらくはあったであろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 おそらくはあったというふうにあなたは言葉を濁さないで、あなたの留守中、十二月の初旬に経済成長を経済企画庁でまとめたのは、五・一%くらいでまとめたんじゃないですか。それは十二月二十二日の閣議決定の六・一%とはずいぶん違いがあるんじゃありませんか。端的に答えてくれませんか。私は違っていいと言っているんですよ。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) そういうことは何度もございますから、おそらくあったろうと申し上げたのでございますが、幾らもそういうことはございます。最終的には責任を持っております私が決定をいたすことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 あなたの留守中か知らぬけれども、企画庁として経済成長の率を研究して、まとめて池田総理に報告しておるでしょう。聞いてごらんなさいよ。事務次官おりませんか。聞いて下さいよ。その数字と、同じ二十日くらいしかたたないうちに数字がもう変わってきたんじゃありませんか。端的に答えて下さいよ。何回も変わったというなら、変わった経過を説明して下さい、それならば。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問の意味がよくわからないわけでございますが、おそらくはそういうことはあったでありましょうし、しばしばあることでございます。これは別に不思議ではございませんので、私が帰りまして、諸指標が出たその最も新しい諸指標で見通しを最終的に決定をしたわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 私は端的に聞いているんです。それでは大堀事務次官が、あなたがアメリカに行っておる十二月の初旬に、経済企画庁のまとまった経済成長として池田総理に報告したことがありますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 私が立ちますときに、作業は継続するようにと、そして作業の中途において、必要があれば総理の意見も聞くようにということをむろん申して出ましたから、そういうことはおそらくあったであろうということを申しておるのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 おそらくあったであろうということでなくて、具体的に何パーセントというふうに報告したんですか、データを出したんですか、そのときに。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) それはそのつど、その時点で見えるところの結果を申しておるのでございましょうから、五・一%であったこともあるかもしれません。私は少しもそれは間違いでないし、不思議とも思っておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だれも不思議だと言わないですよ。経済企画庁の見通しと大蔵省の見通しが違っても私はいいと思う。立場が違うのですからね。もう少し事実をすなおに認めてくれればいいじゃないですか。  それでは所得倍増計画、これについて、十五日ですか、あなたのところの向坂計画局長が、経済審議会で、七項目にわたって所得倍増計画と実績とのズレについて説明しておりますね。それをどういう点を説明したのか、ちょっと説明してくれませんか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま資料に基づきまして私から御説明いたします。  第一は、過去における国民総生産の推移につきまして、その個人消費、民間設備投資及び国民総生産、その三つが実績と計画で予想しておったところといかに乖離をしたかということについて説明をいたしました。  第二は、国民経済の成長には、そのどういう要素が成長に寄与したか。それは消費でありますとか、設備投資でありますとか、政府の資本支出でありますとか、輸出入、いろいろございますが、その寄与率の過去基準年次から三十六年度までの平均した実績と、倍増計画において基準年次から四十五年度までの平均の寄与率と、奇与率のおのおのの要素についてどのように異なったかという説明をいたしております。それから、その次に、鉱工業生産——機械、鉄鋼、化学繊維等でございますが、この生産の見通しが、計画で考えましたものと実績とがいかに離れたかということを説明しております。それから、第四には、わが国の経済の重工業化のテンポが、計画しておったことと実績とどういうふうに離れたかという説明をいたしております。第五には、行政投資と企業設備投資、すなわち政府企業、電電、国鉄などを含みますところのいわゆる経済的な企業設備投資と、それから行政投資、これは治山治水、道路その他でありますが、そういうものがどういう割合で過去の数年間推移したか。申します意味は、十カ年計画では、最終的には二対一にすることが望ましいということを申しておるわけでありますが、それがはたしてどういうふうに動いてきておるか、こういう説明をいたしております。それから、第六には、製造工業における企業規模別の賃金の格差がどのように縮まってきたか。あるいは、中学の新卒業者の企業の規模別の就業状況がどういうふうに変化しておるか、こういうことを説明いたしております。第七には、輸出入の動きについて、見通しをしておりましたものと実績とがどのように離れてきたか、このような説明をいたしております。なお、消費者物価の動きについても説明をいたしたようでございます。  以上でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今説明したその資料をぜひ私どもいただきたいと、こう思うんです。検討したいと思うので、いただきたいと思います。  そこで、今の消費者物価の問題、所得倍増計画の中では、消費者物価はどういうふうな状態になると見ておったんですか、最初計画を立てるときね。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 説明は、以上申しました七つのことをグラフにいたしまして、口頭で説明をつけ加えたわけでございますが、その提示いたしましたグラフをそのまま当委員会に提出いたすことにいたします。  それから、所得倍増計では消費者物価をどう考えておったかというお尋ねでございますが、実は、この点が所得倍増計画の一番現在問題とされておる点でございます。倍増計画の中には、サービス料金、あるいは公共料金等の動き、改定によって消費者物価というものは、ある程度上がる要素を含んでおる。しかしながら、他方で大量生産せられるところの工業製品は、価格が下がるか、あるいは同じ価格であっても、内容が向上するか、いずれかであろうから、したがって、長期的に見る限り、消費者物価というものは、まずプラスとマイナスが相殺をするであろうと書いてございませんが、まあするというような一応の考え方をしておるように見えるのであります。したがって、消費者物価の動きがどうなるであろう、あるいはどうなるべきであろうというようなことは、結論的には述べられておりません。この点は、おそらくそれを御指摘なさるのであろうと思いますが、まさに御指摘のとおり、倍増計画に非常に問題があるところでございます。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。大森創造君が辞任され、その補欠として近藤信一君が選任されました。     —————————————

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 具体的に、消費者物価は、所得倍増計画ができてからどういうふうになってきたんですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 年度で申し上げますが、一九五六年度といいますと、今から七年前でございますから、昭和三十一年度でございますか、昭和三十五年を一〇〇といたしまして、昭和三十一年度が九三・七、三十二年度が九六・〇、三十三年度が九五・六、三十四年度が九七・三、三十五年度が一〇一・〇、三十六年度が一〇七・三、三十七年度はあと一、二カ月残っておりますが、念のために三十七年暦年を申しますと一一二・五になっております。これは全都市につきましての平均でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、所得倍増計画を組むときに、物価は実際に横ばいになる、こういうふうに見ていたんですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) これは非常に微妙なことが書いてございまして、先ほどちょっと申し上げたとおりでございますが、もう少し正確に、簡単でございますから読みますと、「競争代替関係にあるものがなく、生産性向上にも限度のあるサービス関係などについては価格が上昇することもありえよう。また、現行の公共料金は、」「長期的観点から是正も必要となろう。  このように価格上昇の傾向にあるものがある反面、生産性向上の余地が大きく、これから量産体制にはいる生産財や耐久消費財においては価格はむしろ低下する可能性がある。」途中を飛ばしまして、したがって、「先進国型の物価体系に移行しつつ、あるものは上昇、あるものは低下すると予想されるが、全体としての物価水準はできるだけ上がらないよう努力する必要がある。」こういうことが書いてございます。先ほどこの内応を説明したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、ことしの消費者物価は二・八%の上昇を見ているわけです。これはたとえばきのうだかの毎日新聞の社説なんかによると、ことしは消費者物価は六%上がるだろう、こう見ております。二・八%の上昇で押えられるあなたは確信というのがあるんですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) それは生きものでございますから、確信という言葉を使うことは適当でないかもしれませんけれども、このように経済が比較的に沈静をしておりますときに、五%とか六%という年度間の消費者物価の値上がりがあるということが本来不自然なのでありまして、昨今その証拠に、消費者物価の値上がりのほとんど九割ないし九割四分くらいが生鮮食料品の値上がりに基づいておるわけでございますから、そういう問題について、これは経済全体からいえば一局部の問題でございますが、政策さえよろしきを得れば、二・八%程度の消費者物価の動きでやっていけないはずはない、こういうふうにいまだに考えております。私は三十八年度の見通しについて申し上げておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 政策さえよろしきを得れば二・八%で済む。それじゃそれ以上に消費者物価が上がったら、今の自由民主党の政府の政策がよろしくなかったんだと、こう私どもは結論づけるわけですが、よろしいですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 二・八という数字確言を云々ということを申し上げましたのは、そういう意味で申したのでありますが、いずれにしても、高度成長はそれなりに成功しておりますけれども、この年間を通じて五%とか六%という消費者物価の上がりがあるということは、これは政治としてまずい政治だと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 池田さんは、所得がふえれば物価は上がるのはあたりまえだと、こう言っていますね。所得がふえれば物価が上がるのはあたりまえだというのに、物価が上がるということを前提としなかった所得倍増計面というのはどういうわけです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣がしばしばお答えを申し上げておることは、確かに消費者物価は上がりました。しかし、それよりも名目所得の上がりが大きいから、実質所得の上がりは、つまりそれだけプラスになって実質所得が向上しておる、逐年そうでございましたということを申し上げておるわけでございます。  そこで、しかしながら——さはさりながら、いかに実質所得が上がっても、年間に五%も六%も消費者物価が上がるということは、これは何かその方面の対策が欠けておるということになは変わりがないのでございますから、私はやはり過去の実績を顧みても、この点は、政治としては上手な政治でなかったというふうに考えるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、従来どういう点が欠けていたのですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 最初には、まず消費者物価の上がりということについての分析が欠けておったように考えるわけでございます。過去三、四年間分析して見ると、このうちには、当然是正すべかりし公共料金を押えておったこと、あるいはサービス料金の値上げというのは、むしろ所得格差を改善するための経済が先進国型化する必然的な結果でありますから、これらは私どもは、ある程度認めていいものであったということ——現実に、また認めて参ったわけでありますが、それと、それ以外の政策の至らざるために生じている部分とがあるわけでありまして、まずこの二つを分析して分けるということが必要であったわけであります。  で、現在の段階になりますと、大体その点の認識が、私どもにもはっきりいたして参りました。ことにこの数カ月非常にはっきりして参りましたのは、上がる要素はもっぱら——九〇%以上でありますから——も、ばら主食以外の生鮮食料品、それも魚でなく、野菜とくだものであるということが非常に明確になって参りましたから、対策の焦点は、ここにしぼられなければならない。これが安定いたしますと、ここ数カ月の実績に見る限り、消費者物価が上がるという要素は、ほとんどない、こういうふうに今考えているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大蔵大臣、総理大臣は、労働者や農民は所得はふえているのだ、むしろ困っているのは大企業だ、こう答弁しておりますね、本会議で。大企業が困っているというのは、どういう理由からでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 総理大臣が、どういう比較で申されたかはよく承知をしませんが、大企業が困っているというのは、金融の面、資本圧力の面、それから自由化に対処して合理化計画が予定どおりに進まないというような問題に対して困っておるということを言われたのだろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大企業は困っているというのは、そうすると、政府に責任があるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 政府は万般の施策をやっておりますから、責任があるなどと考えておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、大企業が困っているのは、大企業が悪いから困っているのだ、こういうことになるのじゃないですか。それを国の責任において何も救助しなければならぬ筋合いのものじゃないのじゃないかと、こう私は思うのですが。  もう一つ、大企業の中でも、困っているものと困っておらないものとあるわけですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 困っておるとか困っておらないとかということよりも、政府が考えなければならないのは、輸出産業として国際競争力を培養していかなければならない。そうすることが大産業、大企業のためというよりも、日本国のためであり、日本人のために、そうしなければならないのだという問題がありまして、これは大企業と中小企業を分けておるのではございません。これは輸出産業に対して、すべてその基盤の強化を必要としておるわけでございます。  それから、もう一つの考え方は、昨年の十一月ごろ造船企業というものが非常に困ったという場合、造船企業に何らかのてこ入れをしないと、どういうことになるかというと、二百万人、二百五十万人に及ぶ中小企業の関連産業が参ってしまうので、社会政策上としても、また将来の日本の輸出企業の基盤強化のためにも、政府の施策が要望せられたわけでございます。これはもう、石炭産業においても電力産業においても、重電産業においても、肥料商業においても、そのとおりでございますが、大企業なるがゆえに政府がめんどうを見なければならないというのではなく、輸出の問題とか、それから社会の問題とか、国民自体の経済発展の基盤を築くというような角度から、これに対して施策を行なう必要が生ずるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 もう一点だけ。  じゃ、在外資産の補償の問題で三十二年だかに、すでに五百億支給してありますね。あれはやはり補償ということになるわけですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 補償というよりも、(「報償」と呼ぶ者あり)補償というより、何ですかね、いずれにしても、引揚者の実態に徴して、政府が法律を国会に提案しまして、法律の制定によりまして交付をいたしましたわけでございまして、在外資産に対する政府の法律的責務を果たさなければならないという観点に立ってやったものではございません。これは敗戦という事実の中から生まれた事象に対して、国会の議決を経て、政府がこれに対する援助の措置を行なったと、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、その法律的責務はあるのですか、今。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 戦争によって在外財産を失った者に対して、政府が法律上の責任があるというような考えは、憲法、法律、過去の例に徴しても、そういう責任が政府にあるとは考えておりません。これは戦争に負けたという例がないものですから、そういうところに日本の法制が整備をしておらぬのだといえば、それきりでございます。これは西ドイツやイタリーは、敗戦という結果、講和条約等に対して、賠償放棄をしたというような場合、政府は、これに対して何らかの補償措置をする、またしておる例もございますが、何分にも、日本は負けたという例がないものですから、そういう慣例を求めようとしてもありませんし、実際の例もないし、また法律的にも、そういう場合などということを全然考えておらなかったので、憲法上も法律上も、かかる場合、政府は補償の責めに任ずべしというような規定は全然ないのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 終わりました。どうぞ。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 稲葉委員の質疑は終了いたしました。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に藤田藤太郎君。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、水資源利用の問題について、きょうはお聞きをしたいと思うのです。日本は雨量に恵まれた国でございます。年間に降雨量は六千億トンと政府の報告を見ると出ているわけでございます。ところが今日、水の不足というのは、上水道、工業用水、それからまたは環境衛生の立場から、市内の河川の浄水の問題、非常に水不足というものは、私は深刻だと思うのです。特に大都市中心に水の不足というものは、非常に深刻なものがあると思います。東京都の今日の水の状態をみますと、貯水量は、需要量を七割五分ぐらいに制限をいたしておりますけれども、それでいって二カ月足らずしかない。雨が降れば満たしてくれるという、自然の願いを込めておる、これにもおのずから限度があると思う。ですから、何としても東京都が今三つの、ダム、利根川の水を利用できる可能性があるのかどうかという問題も重要な問題だと私は思います。それから工業用水に至りましては、大阪や新潟や東京都の地盤沈下というものも、地下水のくみ上げからきて、これはたいへんに深刻なものだと私は思う。そこで、そういう立場から考えまして、この水資源の利用計画というものは、日本の経済の発展、社会の発展のために重要欠くべからざるものだと思います。  そこで、これは経済企画庁で、そういう方向をお出しになっていかれるのだと思うのでありますけれども、経済企画庁として、国全体の上水道、または工業用水、その他の用水という工合に、その水資源利用の計画、今後の状態ということをお答えを願いたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま藤田委員から御指摘のように、推計によりますと、わが国の一年間の総降雨量は六千億立方メートルあるわけでございますが、その中で、現実に利用されておりますのは、推計によりますと一〇%ぐらいなところのようでございます。非常な大きなロスをいたしておるわけでございますから、何としましても基本的には、この現実にありますところの水を、水源から河口に至るまでの河川の総合的な開発によって、河川の水の供給が最大限になるように措置をするということが最も大事なことだと思います。このためには、需要と供給についての長期的、また基本的な計画を立てまして、そして水資源の開発計画に基づいて、ダムでありますとか、河口ぜきでありますとか、多目的用水路など、そういう開発のための諸施設の建設を促進するということが必要であると思います。次に他方、国民経済が成長いたし、文化の発展あるいは環境衛生の向上など、そういう利用の促進合理化、排水の必要など、または水質の保全など、そういう問題もございますから、そういう面でも措置をしていかなければならぬと思いますが、基本的にはやはり現実にあるところの水を、どうやって最大限に利用するか、そのための総合的な開発利用の計画の確立が必要であると思っております。  それから現在までのところ、御指摘のように利根川と淀川につきまして、供給量、需要量の測定並びに供給量の拡大について、若干の仕事が水資源公団の手によって着手されたという状況でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そこで企画庁としては、たとえば、問題をしぼってお尋ねしたほうが、いいと思いますが、東京都の上水道の不足、それから京浜間の工業用水の問題をどうするか、それから阪神間の水の不足、上水または工業用水不足をどうするかという計画について、水資源公団が手をつけておるわけでありますけれども、私はどうも、この水資源公団のおやりになろうとしていることが、沿線の農民や住民に、たとえば淀川水系であれば、納得しないような格好で事が行なわれて、非常に大もめをして、何とか格好がついたということでございますけれども、こういう点は、私は河川を管理されておるのは建設省でございます。それから沿線の工業用水も必要でありますし、厚生省は上水道の関係をお持ちになっておるわけですが、こういう水資源公団の運用をやっていくのには、各省がほんとうに取り組んで計画をお立てになっているかどうかということが、私は、どうもその点は、少し真剣さが足らないような気がするわけでございますが、その点は、どうでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 利根川水系につきましては、現在推計してあります利水の状況は八百三十トンくらいでございますが、これは毎秒でございます。さらに百トンあまりのものが不足をしておるというのが現状であろうと思いますので、御承知のように下久保、矢木沢ダムの建設を急いでおるわけであります。また、淀川水系につきましては、現に利水の状況が四百トンくらいで七十トンくらいの不足がある。これは高山ダム等の上流ダムあるいは琵琶湖の開発等が考えられておるわけでございます。現実に、これらの東京及び阪神の場合を考えましても、確かに各省間の権限の錯綜ということが事業の急速な実行に非常に害になっておるわけでございまして、今日、現実に東京に対する利根川の給水に関して四つの関係省の権限の調整を、私ども調整役という意味から、目下急ぎつつあるのでございますけれども、相当な問題がなお残っておるわけでございます。私ども考えますのに、やはり抜本的には河川の管理について、ことにいわゆる国の直轄と申しますか、一級の河川と考えられるべきものについては、国がそれに対して管理権を持つ、長い間の問題でございますけれども、この問題いろいろなそれはそれに必要とする措置がございましょうけれども、そこをまずしっかり、そういう新しい制度に改めてもらうことが、この問題についての複雑な権限調整をいたします基本的な政策でなければならぬ、こういうふうにこれは現場をいたしております経験から切実に感じておるわけでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 根本的な水資源をもっと高度に利用するために、多目的ダムその他のダムの建設、その他がやはりその水資源を利用する立場から十分に効果をあらしめるようにしなければならぬと私は思うのです。しかし、今日淀川水系を一つとってみましても、何といっても私は上水道が第一だと思うのです。それからその流域沿線の開発、農業用水の問題が十分に考えられなければならぬと私は思う。その上に立って工業に対する工業用水の問題を、そこらを十分に考えながら持っていくということでなければならないと私は思うのです。ところが、たとえば淀川水系の一つの木津川の高山ダム建設を水資源公団がおやりになった。そうしたら、そこでたまる水は工業用水に直通に阪神間に持っていくという、沿線の農業用水もたな上げという格好でこの計画がなされた。沿線その他が非常に議論をして、ようやく話はついたのでありますけれども、農林大臣は無関心であってはいかぬと私は思うのです。こういうことで、地域の人が騒いでから事がおさまるということであれば、水資源の沿線の農民のことなどは農林省はダムの問題についてはお考えになっていないのじゃないか。これは一つの例でございます。将来こんなことが起きるとすれば、私はたいへんなことだと思う。あの高山ダムのいきさつについて、企画庁長官と農林大臣の意見を聞きたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 淀川水系の利用状況について見ますと、確かに農業用水が現在三百五十トンくらい、それに比較いたしますと、工業用水が十トン、上水道が五十トンくらいでございますから、農業用水の利用が圧倒的に多い。これはそういう現実を示すものだと考えます。高山ダムの開発について、これは水資源公団の中にもいろいろ行き届かなかったところがあるように聞きますが、十分に地元との了解を取れずに、そこから紛争が起きたということは、これは行政の仕方にも適当でなかったところがあると思います。この点は反省をいたします。これは弁解として申すわけではなく。と同時に、しかし琵琶湖の総合開発にいたしましても、淀川の利用にいたしましても、そうでありますが、水というもの、少なくとも相当大きな水資源というものは、一県あるいは一地方にその全面的な権利が帰属しているものであるという考え方は、どこかで改めていかなければならないと思います。沿革的にいろいろな権利がございますし、またそういうものを取り上げるという考え方に立つものではございませんけれども、国がそれに関係しておるたくさんの都道府県のためにできるだけその資源の利用を最高度になるように調整をするというのは、これは国にとって、むしろ一つの政府としての義務ではないかとすら思うのでございますから、これを強権をもってやるという意味ではなく、それぞれ沿革は、尊重しながら、しかし最終的な調整権は政府が持つという、そういうものの考え方を確立することは私はやはり大切であるというふうに考えるのであります。

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) ただいま企画庁長官がお答えを申し上げたとおりでありまして、工業用水も大切であり、また水道の用水も大切であり、同時に農業用水も重要でありまして、これらを調整をいたしまして、それぞれ高度に水を利用するという行き方にならなければならぬと思うのであります。今回の河川法の改正問題につきましても、農業用水の立場から、私どもといたしましては十分に協議をいたし、農業経営に不便を感じないようにする、こういう建前で協議をいたしておるような次第であります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そういう一般的な返事を私は農林大臣から聞こうと思っていないのです。それならなぜ高山ダムで、あのようにもめる前に——今のようなあなたの御発言を聞くならば、政府の間で、あの計画を立てるときに、ちゃんとそのことを地元が納得するような格好でなぜ計画をお立てにならないか、そういう無関心なところを聞いておるのです、農林大臣に。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、基本的にはその関係者に対する補償の問題について十分な了解を取りつけずに、仕事が始まったというところに私どもの手落ちがあったように聞いておるのでありますから、その点は反省しなければならないと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 もう一つ、淀川水系の総合的な問題について、私は意見を聞いておきたいと思うのでありますけれども、今、淀川が平常流水しておるのは百二十トンだと聞いております。その中の九十トン余りが市内の汚水の浄化のために使っておる。そうしてあとは水道に使われておるというのが淀川の大阪における実情のようでございます。大阪の実情は、何といっても戦後、ひどいところは一メートル五十も六十も沈下をしておる。これはたいへんな問題だと思う。だから淀川水系ばかりでなく、工業用水の地下水くみ上げ規制によって、この問題を処理しなければならぬ。これは通産省の関係でございましょうが、一応法律はできましたけれども、十分な効果をあげていないという問題がございます。で、こういうものを一番下流に控えて、そうして沈下の問題や、沿線の衛星都市の発達によって上水の水の問題もこれは出てくるわけでございます。そこで今大都市、大工場地帯を中心に水を動員しようという考え方が淀川治水計画の中に出てきておると私は思う。ところが農林省も建設省も御存じのとおり、淀川というのは三つの川から成り立っておるのです。今申し上げました木津川は高山ダムで一応の洪水時のコントロールをするということで、それで水の利用という計画が一応立ったわけです。それから宇治川の水源地の琵琶湖でございます。琵琶湖の、滋賀県の農民の問題や生活の問題や、またあの沿線の問題がございます。これも天ヶ瀬ダムによって一応水道の問題やその他の問題が計画されておるわけです。もう一つのウエートの大きい川は桂川という、淀川水系の桂川というのがございます。ところがこの川は洪水時におきましては、上流においては秒速四千トンくらいの水が流れておる。四千トンの水が亀岡市まで流れてくるわけでありますけれども、その亀岡から下へ下がる嵐峡という十六キロほどの狭いところがある。保津川下りで有名なところ。そこへ入る水というのは千八百トンか二千トン足らずしか入らない。ですから雨が少し降ると、あの山陰線の亀岡駅のホームの屋根の上まで雨が降るとつかり、たんぼの三分の二まで、またはあの辺の人家はほとんど水没する。雨が降るたびに水没する。こんなところが日本の全土にあるだろうかと私は思うわけであります。その住民の感情というのは、あれを少し開きさえすれば水が下へ流れるので、死活問題から開くという、それを開けば大阪市または京都市や、主として大阪市に影響がありますけれども、淀川のあの河川が持たないという問題になってくるわけです。河川も持たないし、そんなら大阪の重大事件になる。しかし、そういうことはいまだに手をつけないでほうっておるわけです。三十七、三十六、三十五というのは三年も続いて水がつかっておる。それもまだ何の手もつけていない。ただ、水だけは大阪の地盤沈下や工業用水に必要だ、そういうものの考え方で私は水資源を開発する、水の利用をするというところに、非常に足らないものがあるではないか、政府の計画に。だから淀川の水域を、水資源を利用するなら、上流の沿岸の問題、洪水時をどう防ぐか。雨が降るたびに町が水没し鉄道が水没するという自然現象、日本始まって以来の状態の中においておる。そういうものの考え方で水資源公団が利用する、そんなことでは私はならない、こう思う。これは建設省の関係だと思うのですが、多目的ダムやその他の治水計画、農林省にも関係がある。雨が降ったら沿線みんなつかってたんぼが流されたり、たいへんなことになるわけですから、私はこういうようなものこそ、水資源公団が琵琶湖の水を利用し木津川の水を利用するというなら、あわせて日本にないようなこの状態を、やはり第一に政府は手をつけるべきだと私は思うのですが、これはどうですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 水資源公団の仕事に関係があるということについてお答え申し上げます。大阪の地盤沈下というものが地下水のくみ取りから生じておることは明らかだと思います。現に、したがって、大阪市内には地下水の採取の規制が行なわれておるわけでございますし、また他方でこれらのくみ取りの相当大きな部分が暖房冷房用水に使われておるわけでございますから、最近のクーリング・タワーの方式によって、これは今後はそういう需要はかなりふえていくであろうということは考えてよろしいかと思いますが、いずれにいたしましても、しかし、そういう地下水の採取を最小限度にしてもらいますためには、それだけの水資源というものを淀川の利水計画の中に取り入れていかなければならないわけであります。淀川によって供給しなければならないわけでありますから、それは十分私ども淀川の需給計画を立てます上に計算に入れてやっていかなければならない。そういうふうに解決をしなければならないというふうに考えております。   〔委員長退席、理事斎藤昇君着席〕

重政誠之自由民主党農林大臣

○国務大臣(重政誠之君) 淀川水系に関係いたします農業用水につきましては、その改善をはかりますために、三十八年度から千数百万円の予算を計上いたしまして調査をいたす。その完璧を期することにいたしております。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) 御承知のように、私のほうも計画はやっておるのですが、地元の調整が十分、御意見がやかましいので、工事が進まないことははなはだ遺憾に存じますが、努力はいたしております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 まあ私は淀川水系の一つの例を申し上げたのです。だから日本はこのように各川を開発して参りますれば、一番下流の淀川の地盤沈下を防ぐことができる、防ぐことができるけれども、そういうものがほうってあるといいましょうか、だから洪水のときに水がむだに流れてしまうといいましょうか、そして沿線が今のような超自然の状態の中で町がつかっておるというようなことも、いまだにほうっておるということは、私はそういうところから水資源公団といいましょうか、開発というものは、そういう総合的な立場に立って問題を処理しなければいかぬのじゃないかということを申し上げたいわけでございます。  そこで、上水の問題に入りますが、東京都の、私がきょう東京都からお聞きしたところによると、三月十九日現在で貯水量は四千四百四十一万トンしかない。一日の水の利用度は百八十五万トン、こうなりますと、もうダムの底までさらえてみても二十日足らずの水しかないわけですね。大きな雨が降って水がたまればこれも解消するわけでございますけれども、しかし、これはいつ幾日降るときまったものではないわけです。これは東京都の水の不足というのは、二一五%制限しておるわけでありますけれども、この点についてどういう工合に一計画を立てられておるか、たとえば利根川水系の水を取ってくるというなら、どういう計画で利根川水系の水を持ってくるかということが出てくると思うのです。だから総合的に、東京都の水不足の解消について、これは厚生省でございますか、厚生省の御意見を承りたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 実は、貯水池の貯水能力は相当にあると思うのですが、三十五年、三十六年、三十七年とずっとまあいわゆる雨がたくさん降らなかったのです、台風が来ないということです。そして今言うように、小河内初めダムが満水にならない、今おっしゃいましたように、一億二千万トンの有効貯水量があるのに、今四千万トンくらいしかないのですから、今後雨が降らなければどうなるか心配はいたしております。今二五%の制限をいたしております。しかし、この四月には江戸川水系から金町の増設をやります、これは九万五千トン。それから引き続いて三十九年、来年の七月ごろまでにさらに中川、江戸川水系、中川の通水路ができましたので、それがやはりこれは大きく四十万トン、やはり金町でございますが、四十万トンの能力ができるわけでございます。そうしますと、非常にまあ助かるわけでございます。それからもう一つ、やはり根本的には利根川の水系から水を引かないと、どうしても小河内のほうが雨を待つばかりでございますので、利根川から東村山に利根川水系を取りたいということで、利根川水系から、今、公団でやろうといたしておるのは、見沼台の前の農業用水道を、あそこを利用して、そうして荒川のを引くわけです。荒川に落として荒川の途中から東村山まで持ってくるわけです。そのうちで利根川から大々的に取るのは今申しました下久保のダムとか、その上のダムとかができ上がりませんと取れませんが、しかし、荒川の固有の水がありますので、荒川の固有の水を三十万トンぐらい取ることは、荒川から東村山の貯水池まで引く工事を今急ぎたいと、こう思ってやっておるのであります。普通の状態でいきますと、まあ四十年ぐらいまでかかるのでありますけれども、少し金をつぎ込みまして、急ピッチでやればまあ三十九年のオリンピックぐらいまでには三十万トンぐらいの水が取れるんじゃないか。そうしますと、今の羽村経由が東村山から来るやつです、それが助かるのであります。したがいまして、その工事を急ぐために少し起債のほうも奮発してもらいたいということを大蔵大臣にお願いいたしておる次第でございます。いずれにいたしましても、東京都の根本的な問題は、どうしても利根川水系から、今の計画としては百二十万トン取る、そういうことに最終的にはなっておりまするが、それがダムのでき上がるのも相当に日にちがかかりますので、とりあえず、利根川からのあれを待たずに、荒川固有の水を三十万トン取ることを急ぎたい。前に申しました金町のやつは二つとも確実にこれはいけるわけであります。そうすると、水の制限もなくなるんじゃないかと、かように思っておる次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そういたしますと、江戸川水系が九万五千トン、ことしの四月から入ってくるわけでありますけれども、しかし、今のこういう工合の事態を考えますと、その次の中川、江戸川水系のやつは、来年の八月ですね。で、今の荒川のほうはいつから実現するのか知りませんけれども、今一の事態において大体厚生大臣は、東京都の水の、現時点において雨量を期待するわけでありますけれども、大体心配ないということですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 全然心配ないわけじゃありませんが、今二五%制限をいたして様子を見ておるわけであります。ずっと引き続いてこれが梅雨どきになっても雨が一滴も降らないというようなことになれば、また制限をきつくしなければなりませんけれども、普通の状態ですと、やはり下がりまして四千万トンになり、三千五百万トンになると、これはいかない、雨が降りそうにないということになると、それはそのときに応じてしぼりをしなければなりませんけれども、例年からいけば、五月になり六月になり梅雨どきになれば、私のほうは、一応どういう状況になるだろうかといってカーブを書いて、下がればどこまでいくだろうか、その時点において考えまして、使用亀をもう少し制限をきつくするということを考えなければならぬですが、全然心配がないということはありませんが、しかし、天候次第だというようなことでも困るのですが、さあ今困るからといって、すぐ方法がないわけでございます。しかし、皆さんにお願いしたいことは、節水をやっぱり少ししていただきたいということもお願いしたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そこで、上水の問題をもう少し厚生大臣に聞いておきたいと思う。今、日本の水道の普及率は四四%ですか、そこで、何といっても環境衛生の立場からこの上水道の普及というのは、一般の水道、簡易水道という工合にして努力をされているところでございますけれども、厚生省がこの水道の普及計画を、いつまでにどれくらいにするのだという計画があったらお示しを願いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 大体所得倍増計画に見合った水道計画をいたしましたのですが、昭和三十六年度におきましては五三%、三十七年度は、まだ少しはっきりした数字は出ておりませんが、所得倍増計画の最終年度、四十五年度には、少なくとも八〇%にしたい、こういう計画をいたしておるのであります。しこうして、十年先のことではこれは間に合いそうにない。最近の状況といたしましては、都市にますます人口は集中しますし、そういう状態に対応するまでには、やはり年度を少し早めてやりたいのだというようなことで関係省ともいろいろ交渉をいたしておりまするが、一応今までまとまった皆さんから了承を得ているものにつきましては、四十五年に八〇%までは達成したいということをモットーとして、しかも、最近の状況では、付近からの水が取れない、どうしても水源地を探すということで、やはり工事が非常に大工事になるということでございまするが、これは水のことでございまするから、一生懸命ひとつ最善の努力をいたさなければならぬ、かように考えておる次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 水の問題は、生活上まず第一の問題です。ですから水道の普及ということは、私は文化生活においてまず第一の解決しなければならぬ問題だと思う、いろいろ問題がありますけれども。そこで、今普通の一般水道には補助金も、また援護もないわけです。しかし、簡易水道には四分の一、特に困難なところには四割までという計画をお立てになっているようでありますけれども、私はもっと零細——零細と言っちゃどうもなんですけれども、財源の乏しい町村が水道を引くのに、非常にこれじゃ困るのではないか、だから、もう少し政府がめんどうを、簡易水道については特にみてあげなければいかぬのではないか。それともう一つは、あれは人口五千人単位ですから、ちょっとした町になりますと、簡易水道というのはむずかしくなってくるわけです。だから、町村というのはおのずからもう山村にあるのが常でございまして、今度の地方自治法の地方自治体合併の中で町が大きくなっているわけでありますけれども、これは少し私は、古い旧町村ならその恩典はあったけれども、ちょっと大きくなってくると恩典がない、こういううらみがあって、厚生省もいろいろ勘案をされているようでありますけれども、この際町村の簡易水道については、もう少し人口のワクをふやして、そうしてもう少し政府が、国がめんどうをみてあげるというようなお考えはどうでございましょうか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 簡易水道は四分の一の補助をいたしておるわけでございます。それから補助率を上げてもらいたいというお話かもしれませんが、まあ直ちにどうということは申し上げられません。離島におきましては十分の四を補助いたしております。それから上水道は、起債ばかりでやっております。今までずっと起債ばかりでやってきたのであります。起債一本でいくのですから、それは起債の多寡によるのでありまして、これに補助をつけるかどうかということは、これはまあどうも今考えているわけじゃございません。いずれにいたしましても、金をよけいつけて工事を進めるということで、簡易水道につきましては、これは補助をいたしておるわけでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そうじゃない、厚生大臣。一般の水道は補助はないと、簡易水道の補助は四分の一だけれども、もう少しめんどうをみてあげたほうが、町村の自治体の財源が非常に窮屈だから、そうすれば水道がもう少し進むのじゃありませんか。だから、そういう点どうですかと、こう言っているのです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) まあ補助率の問題につきましては、これは大蔵省とのやはり合議になります。地方財政は非常に苦しいから、補助率を進める意味におきましては、そういうことも必要かと思いますが、直ちにここで補助率をどうこうするということは、私としては申し上げられませんが、簡易水道は、今の補助率でも相当に進んで参っております。しかし、地方財政が苦しいから、   〔理事斎藤昇君退席、委員長着席〕 もっと考えたらどうかという御意見は、一応承っておきます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そこで、上水道の問題があって、東京都の問題その他にもあると思いますけれども、その程度にしておきます。  そこで、今度は、工業用水の問題について、通産省にお尋ねをしたい。地下水くみ上げについて一応の法律ができましたけれども、なかなか十分な成果を上げていないように私は思うのですが、通産省の御意見を承りたい。

上林忠次自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(上林忠次君) お答えいたします。工業用水法ができまして以来、確実に実行いたしておりまして、今のお話のような点がございますならば、御注意をお願いたしたいと思います。工業用水法を確実に実行しているというのが、通産省の答えでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 それではお尋ねしますが、大阪の市内にある工場は、地下水をくみ上げておりませんか。あなたのほうで管理監督をきちっとしていますか。

上林忠次自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(上林忠次君) 淀川の工業用水道は、四月一日から完成する。まだ完成いたしておりませんので、十分な効果を上げておりませんが、計画としては、四月一日からいよいよ発動することになっております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 淀川の工業用水の水路ができてきたら、大阪市の工場の地下水は一しずくも上げさせない——戦後一メートル半も一メートル八十も下がっている大阪市のことが、監督がきちっとできますか。

上林忠次自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(上林忠次君) 工業用水道ができ上がったときは、五百メール以上でなかったらくみ上げさせないということになりますから、今のお話のような結果になるのじゃないかと考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 具体的に私は、大阪市の地盤沈下の問題をお尋ねしますけれども、大阪市が戦後先ほど申し上げましたほど沈下をしている。これは、計画的に、四月一日から工業用水の水路ができて、対策が立つということになりますれば、通産省は大阪の地盤沈下はぴしゃっとこれをとめることの計画はできていますか、それを聞いているのです。

上林忠次自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(上林忠次君) 現在すでにビ用水の規制をやっておりまして、これですでにもう一割以上の規制ができたというような効果を上げておりますので、この調子でいくなら、地下水の規制ができますならば、目的どおりの措置ができるのではないかと考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 どうも私は、確信を持って理解することができないのです。淀川の水の問題もですよ、今日の状態で、淀川水系で工業用水ができる、それが大阪市へ入れば、あの辺の地盤沈下がぴしゃっととまるという、そんなのなら、無理をして、沿線の農民までほうっておいて、水だけ大阪へ持っていこう、阪神へ持っていこうというような、無理なダム計画をせぬでもいいと私は思う。そんななまやさしいことじゃない。一メートル半も一メートル八十も、戦後今日まで下がってきたのを、どう食いとめるかということです。東京でもよく新聞に出るでしょう、ゼロ地帯といって。東京都もどんどん地盤沈下しているじゃありませんか。この問題は、どういう工合にお考えになっていますか、東京都の地盤沈下の問題。

河野一郎自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり、東京都の地盤沈下は、たとえば月島の辺で関東震災以来二メートルぐらい下がっております。したがいまして、一年にかさ上げをするだけで約六億くらいかかります一という状態でございますので、よほど抜本的にこれを解決する必要があるという所存からいたしまして、三カ年計画の一部を着手することにいたしておりますけれども、その埋め立てと道路とを併用いたしまして、東京湾干拓というものをやりまして、これからあるところまで多少入っていくところに水門をつけて、そうして抜本的にやりたいと考えておりますが、これをいたしますには相当年限がかかりますので、三カ年計画といたしまして、今年度の予算の中に、二メートル地帯までを八メートルの潮まで防止し得るように一応目標を立てまして、これを私ども三カ年計画でやりたいということで予算を計上いたしておるというのが、一応の案であります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そのように、通産省が実際は工業用水を使う、計画は建設省がおやりになる、これは水資源利用の法律ができて、さしあたり淀川水系と利根川水系になっていますけれども、こういう点はどこで——企画庁で調整をするわけですか、これは通産省と建設省ばらばらということですか、企画庁長官。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま地盤沈下のお話であったわけでございますが、それを防ぐために必要な水の量を供給する、そういう需給の見合いを立てながら資源の開発をする、そういうところは企画庁の所管であると思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 だから、企画庁長官、僕はこれ以上企画庁に言いませんけれども、大阪は四月から工業用水道ができたらまるで地盤沈下はぴしゃっととまるようなお話なんですが、どうも私はそうとは理解ができないような気がするわけです。たいへんなことだ。あれ以上大阪でも下がったらたいへんだ。東京もそうだと思います。だから、その地盤沈下を防ぐための計画というものは、一つは生産工場その他に対するきびしい規制、一つはやはり水をその規制にうらはらに補給する、その水資源を開発してそこに注入するということになれば、総合計画にならざるを得ない、私はそう思うのです。それは企画庁でおやりになるということでありますけれども、実際の行政の出先では、どうもその点が私らの聞かんとするような返事にはなってこないから、あなたに質問をしているわけです。だから、今の大阪の地盤沈下の方向というのは、どうなっていますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたこと等を含めまして、淀川水系の利用にかかる分であの地方の増加必要量は、毎秒やはり七十トンくらいは要るように計算をしているわけでございますが、高山ダム等を作りましても、七十トンまでの供給は、実は確保できないわけでございます。やはり琵琶湖というものを実はどうかしなければならないわけでございますから、高山ダムが完成いたしましても、問題はこれで解決いたしましたというわけには参らないのが実情でございます。そこで、地盤沈下につきましては、私どもが先ほど申し上げましたように、関係しております点は、そういう地下用水のくみ取りをどうやって別の方法でカバーしていくかということでございますから、総体の需要がそれだけある以上は、それ以上の——高山ダム等による以上の水源を求めなければならないわけでございまして、この点は総合開発計画等を立てる必要がありましょうが、やはり琵琶湖の利用ということに帰着せざるを得ないというふうに考えるわけでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、今のようなお話を聞いておると、地盤沈下というものがなかなかちょっとしばらくとまらない。実際に大阪は今一メートル五から一メートル八ですけれども、もし大阪の中心街が三メートルくらい地盤沈下したらどうなりますか、想像されているでしょうかね。たいへんなことですよ。だから、こういうことこそ積極的に国は金を注ぎ込んでやらなければいかぬのじゃないかと私は思う。それには、今おっしゃったように、その水系の開発をやって、十分に水の資源を開発して、もっと計画を積極的にやって、その水を注ぎ込まなければ、何ぼ水をくみ上げるなといっても、工場がとまってしまいますから、どうにもならぬのですから、もっと積極的な面に、少なくとも水資源公団が利根川と淀川を二大水不足地に取り上げられたのだから、そこにはもっと思い切った方策をおやりにならなければいかぬのじゃないかということを私は申し上げておきたい。所見があったらお聞かせ願いたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 淀川水系そのものの総合的な利用については、さらに努力すべきところがむろんあると存じます。しかし、繰り返すようでございますが、やはり基本的には琵琶湖というもののあり方を考えざるを得ないのではないかということは、なお思っているわけでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 どうも時間がたってしまったので、琵琶湖の問題を考えざるを得ないというお話がありましたが、私はこれ以上質問いたしませんけれども、その事態がもう明らかになっているのだから、もっと積極的にお取り組みにならなければ、努力しております、そうしたらよろしゅうございますという返事以外に、何物もないのではないかと私は思うのです。これは一段とひとつ努力をして——関西一千万の人口があるわけです、東京周辺は千五百万以上あるわけですが、この期待にこたえるようにしていただきたいと思います。  それでは次に、厚生大臣にあと二つほど聞いておきたいと思います。  一つは、今ガンと高血圧の問題が成人病のトップをなしている。ガンというものに対する成人の恐怖というものはたいへんなものだと思うのです。厚生省はガンと高血圧に対する施策をどうお考えになっておりますか、研究その他お答え願いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) いわゆる成人病と称せられる高血圧、心臓病、ガンでございますが、これら三つの病気は非常に今どうも多いのでございますが、なかんずくガンが問題でございますが、昭和三十三年と三十五年に実態調査をしたのでございます。その結果、非常にまとめますとよくわかりましたことは、日本におけるガンの分布が非常に地域的に偏在しているということ、それからもう一つわかりましたことは、胃ガンが非常に多いということでございます。したがいまして、こういうような実態調査をするということをまずやらなければなりません。いずれにいたしましても、ガンは早期発見、早期治療、これがもうガンの治療の常識的なことになっております。医療のことで、私も詳しく知りませんけれども、これは早期発見すれば絶対にガンでは死なぬというようなことで、早期発見、早期治療、そのためにはどうしても実態調査をするということを心がけなければならぬと思います。幸いなことに、日本といたしまして、国立のガン・センターができました。ガン・センターができて、相当にこれは効果を上げておりまして、外国からも相当にほめられているくらいなガン・センターでございます。したがいまして、地方にも、たとえばブロック別に、大阪であるとか、あるいは名古屋であるとかいうようなところは、これは国立ガン・センターを作るというわけにいきませんが、国立は東京のガン・センターとして、地方にはやはり大きいそれに見合ったような地方のガン・センターの中心を作りたい。お互いにそれらがネットワークになって、そうして今後研究を進めていきたい。そうすれば、中央のガン・センターも非常に生きるのじゃないか、こう考えている次第でございまして、大阪、名古屋、福岡——来年度はまあ大阪、名古屋等にできることになりますれば、国家といたしましても、これに補助をいたしたい、かように考えている次第でございます。地域的に偏在をしている。それからそれぞれの研究者が地方に散らばっておりますので、なるべく治療網としてもネットワークを作っていきたい、かように考えて、力をいたしている次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 厚生大臣、今ガン・センターができて、地方にもおやりになるということですけれども、これは私はひとり日本の問題だけではないと思うのです。これこそ、人道上の問題として、世界じゅうの国が力を入れている問題で、私は医学や医術の問題まで議論を進めようとは思いませんけれども、しかし、ガンの問題についてはいろいろの角度から議論がされております。しろうとなりに考えて、あなたのおっしゃったように、早期発見、早期治療で、これなら百パーセントもうなおるようなお話を伺いました。それならまことにけっこうなんですけれども、われわれが受けている印象は、そんな簡単なものでもなさそうでございます。しかし、専門家の——厚生大臣は専門家ではありませんけれども、厚生省の専門的意見としておっしゃるなら、それは信用するといたしましても、もっともっと人道上の問題として、今は成人病で一番死亡率が高いのです。ガンとわかったら、もうほんとうに死刑の宣告を受けたような状態なんです。だから、もっともっと、それなら、早期発見なら早期発見に対してどういう工合にしたらいいかというやはり行政上の国民に対する指示があってしかるべきだと私は思うのです。もう一つは、日本のガン・センターができたとこはけっこうでありますけれども、このガンや高血圧に対する、高血圧からくる狭心症ですか、これに対して一番成人が困っている、この問題、動脈硬化について、もっともっと私は国民の皆さんに呼びかけて、研究をし、世界でも研究されていることですから、そういう点もうんとやはり取り組んでいただかなければいかぬのではないか。外国はたとえばどういうことをやっているかも、ちょっとお聞かせ願いたい。ガンの問題です。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) ガンの問題につきましては、先般の日米科学技術委員会におきましても、これは共同研究として取り上げられた問題でございます。これはもう国際的にやはり互い互いに研究成果を発表し合ってやろうじゃないかというので、共同研究の一つのテーマに取り上げられた問題でございます。したがいまして、日本としては、その方面の優秀な方もたくさんおるわけでございます。私は、外国が、アメリカあるいはその他先進国はどういうことをやっておるかということはよく知りませんが、少なくとも、日本におきましては、今あげました三つの成人病につきましては、特に力を入れておるわけであります、厚生省としては。なかんずくガンの問題につきましては、相当に力を入れておるわけでございます。アメリカの事情が、どういうふうな方法でやっておるかということは、専門的になりますので、私は知りませんが、もし必要ならば、政府委員からお答えさせます。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○政府委員(尾村偉久君) お答えいたします。  大体、ごく最近の、先ほど大臣からお答え申し上げました国立のガン・センターあるいは地方の大きなガン・センター等々の現状は、種類につきましては、大体アメリカ、英国がガン対策としてやっておる種類とほぼ同様になっておる次第でございます。ただし、その規模、大きさについては、日本はごく最近できたものでございますから、まだまだ今後内容を充実していく必要はあるわけでございますが、大体最近の文明国の線にそった、こういう状況でございます。なお、これは国と公共団体のみならず——日本もそうでございますが、かねて二十年以上前から、法人でございますが、ガン研究会の、ガン研とか言っておったもの、こういうような種類のものが、やはり諸外国でも、民間の有志の寄付その他によりまして並行して行われている。これも大体日本と同じように、問題は、内容充実と、またそういう種目が、数が全国的にもっとふえること、これが非常に必要である。それから研究内容につきましては、これは国々によりまして特徴を持っております。これは日本は胃ガンが男の場合には六〇%を占める、アメリカにおいてはむしろ肺ガンのほうがより多いというようなことで、研究種目もそれぞれ国々の特徴があります。また、分担したほうが世界的に見て能率的だ。治療法にいたしましても、日本では治療薬、ことに化学療法剤の研究が世界的に非常に進んでおるということで、現在国立の予防衛生研究所でこの研究もまた分担してやっておりますが、次々と新しい新発見も続いておる、こういうような状況でございます。今後ますます発展する基盤が今できた、以上のような状況でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 ちょっと関連して質問いたしますが、先ほどの厚生大臣の答弁を聞いておりますというと、早期発見をすればなおる可能性もあるのだ、こういうことのようでございますが、現在、私も全然しろうとでわからないのですが、ガンを早期に発見する方法というのは、一体そう簡単に発見できるような予防医学的に方法があるのか。私のしろうと的に聞いている範囲でも、ガンにかかっていても、ガンが自覚症状としてわかった段階では、もう相当ガンが進んでおったということで、それ以外の自覚症状のないときにこれを発見するということは、相当多くの医者にかかって、相当進んだ時期でないというとガンであるということがわからないというような経験が非常にたくさんあるのじゃないかと思っておるのです。したがって、現在結核なら結核のような形で早期発見をするという、集団検診なり何なりというような方法で、ガン対策として早期発見の制度というものが今日あるのか。また、そういうものに対して、予算的には一体どういうような措置がなされているのか。この点についてお伺いいたしたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) お答えします。  やはり実態調査を三十三年も三十五年もやったんですが、それからこれをやはり続けるということでございまして、それは一般の健康診断から発見される場合があるのです。したがいまして、組織的に今毎年やるというふうにはなっておりませんが、とにかく、それを組織化してやはりやるようなことにすれば、もう少し健康診断のようにやはり発見することもあるわけであります。よほどひどくなったら、症状が出てくれば、これはもう……。その程度にもよりますけれども。したがいまして、私たちとしては、今後そのガンの撲滅を期するといいますか、それにはやはり組織的に健康診断を、集団診断をやるということをしなければならぬと思いますが、これには相当に金もかかりますことでございますので、私たちが、今、ガン治療のネット・ワークを持ちたいというものも、そういうことの一つの現われでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 もう一つ。  今の御説明では、制度的には早期発見するのはない、健康診断の際に発見するものもある、こういう程度で、ガン対策として早期発見するということはないようです。大体ガンを早期に簡単に発見するには、健康診断のように外部から見たとか何とかではわからない。やはり、血液検査とか何とかをガンの発見のためにやらなければできないんじゃないですか。ガンを発見するためのそういう医学的な手段が非常にむずかしいのじゃないかと私は想像している。そのために、普及して一般的にやるとしても、相当な金がかかる。そういうことで、早期発見するといっても、ぴんぴんしていればガンになってもわからない場合が往々にしてある。痛くなれば、痛くなるガンだったらばわかるのですけれども、痛くならないガンがあるわけですね。自覚症がないわけです。そういうような場合が往々にしてあるわけですから、そういう制度的なものは、今の御答弁では、ちょっと全然ないように思うのですが、また、そうして簡単に発見する組織というものがあるのかないのか。これをお尋ねしているわけです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) だいぶ専門的なことになりましたが、私もそう詳しいわけじゃございませんが、それは早期発見ということをPRしておるのは、やはりわかりやすくして、ひとつ早く見てもらって、しっかりしたところに一こういうことなんでございまして、わからないものもそれはもちろんあると思います。したがいまして、発見の仕方等は、政府委員をして、今やっておる方法等に関して御説明させます。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○政府委員(尾村偉久君) お管えいたします。  ただいまの御質問のうちの、医学的な方法で結核の集団検診ないしはそれに続く精密検診のように、的確な、ごく初期のガンを発見する方法が今できておるかへこういうお尋ねのようでございます。  この点は、部位によって非常に難易の差がございます。日本で一番多い胃ガンが、ちょうどその難易の中では中くらいに当たっておる。現在は、ごくびんびんしている間に、たとえば年に何度かというくらいに受けまして、三つ方法を今総合的に講じれば、まず的確にわかるという方法が大体完成しつつあります。一つは、バリウムという造影剤を飲みまして、エックス線でとる。それからこれとあわせまして、胃の中にゴム風船のようなものを入れまして、これが胃の中に入ってからふくらませて粘膜に密着させますと、粘膜の悪い部分がゴム風船につく、これを空気を抜いて取り出して、ついた細胞を顕微鏡検査をするという検査、組織診断でございます。三番目は、胃の中に小さなカメラを、飲み込めるカメラを入れます。非常な精巧なものが出ておるわけであります。これによりまして、胃の壁のカラー写真を四方八方とる。これによりまして、直接色の変化から形の工合までとる。この三つを総合いたしてやりますと、大体ごく初期のガンまで発見できる。こういうことであります。もちろん、自覚症状がないときによくわかります。  大体そういうことで現在各地方で、法人による対ガン協会とか、あるいは私どもが指導をいたしまして、県の事業といたしてガンの自動車を運行して、相当な集団検診をやっておる。三つともやらしておる地方もございます。このうちの二つ程度を組み合わして今相当やっておる。これらの実績も集計中でございまして、この正確度を、私どものほうで持っております成人病予防対策の協議会、予算的にもあるのでありますが、これよりまして、基準になる——その確度が高く、割合短時間でこなせる、こういう基準を大体三十八年度中に作り上げて、これによって集団検診を間違いなく方々に普及させたい。こういう計画を今進めておる。  それから制度上のお話でございましたが、これのほうは、現在は、まだ結核のような法律はございませんので、強制的、義務的に集団検診を一定年令の者は必ず受けるということになっておりません。しかし、現在でも、を中心に、このガンのほうはかなり進んで、地域の団体を結成して、専門家の検診を受ける、こういうふうなものが、たとえば大阪方面でございますと、箕面の大きな団体が定期的に年に二度ずつ受けまして、相当発見されておる。こういうようなところが今ちょうど進みつつあるところでございます。これらの成績がそう間違いなくて、いたずらにガンの恐怖心を起こすということでなくして、むしろプラスになるというようなことが明確になれば、これの制度的なほうも考えていかなければいかぬ、こう思っておるわけでございます。  婦人科のガンとか、乳ガンとか、それぞれ検査方法が違いますが、要は、今の組織診断と、それから光学的ないろいろな機械を使うというようなことが中心でございまして、まだ血液反応で的確にガンを持っておるかどうか、あるいは皮膚の反応も少し——日本で有名な松原反応というのがございますが、それだけで的確にガンかどうか見つけるというような簡便法はまだ承認されておりません。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 ですから、私はここ二、三年の国民の問題というのはポリオだったと思う。ポリオが生ワクチンによって一応見通しが立った。何とか防げるという格好になった。そうなってくると、私は今度はガン、成人病としてのガンとか、それから心臓病というんですか、高血圧その他の狭心症による、動脈硬化からくる死亡率が非常に高いですね。現に、このガンというのは、年寄りばかりじゃなしに、若い人もなるわけですから、もうなって、自覚症状があったら、これはもうだめだというようなのが常ですね。だから、これは、何とか防ぐための医学、学術的な研究を進めてもらうことと、今おっしゃったように、やはり大臣のように、早期発見、早期治療したら大体みななおるんだというようなことを言えば、それはまことに国民は喜ぶでしょうけれども、しかし、そんならそれで対策を立ててもらわなければいかぬのではないか、こう思う。それでなければ、早期発見、早期治療といったところで実効が上がらない、私はそう思う。これはまあ問題点として積極的な行政を期待したいと思います。  それからもう一つの問題で、きょうここでお尋ねしておきたいのは、公害の、要するに煤煙とか自動車のガスからくるスモッグ、これは、外国へ行きますと、系統的に調査しておりますね。まあ、日本もだんだんと——私も東京の空を見てみたわけでありますけれども、新聞社の好意で見せてもらったわけでありますけれども、地上から五百メートルから八百メートルのところは、飛行機が飛んでも前が見えぬほどスモッグが固まっているわけですね。これが移動して行き、これが自然に落ちてきて、イギリスのロンドンなんかはたいへんなことだと思いますが、この煤煙の降下最の検査をして対策を立てるとか、日本はその手当は何もしていないわけですから、これについて厚生省は何か計画をお持ちでないですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) 煤煙のことにつきましては、昨年も煤煙の法律が十一月に制定されました。今、そのうちで、この有毒ガスだとか何だとかいうことだけは政令で出しましたが、あと、あの法律の適用の地域をやるのと、それから排出基準の問題をきめる、それからこれは通産省と大いに関係がありますので、せっかく今やって、なるべく早くこの指定と基準の設定をやりたいと、こう考えております。  しかし、まあ今のうちで一番——そうすれば、まあ工場等につきましてはある程度規制ができましても、東京都のやつは、自動車の煤煙が相当に影響しておると思うのです。しかし、あの法律からは、煤煙規制法の中からは自動車は除外されておるのです。自動車は、また、車両法等によって、煤煙を出しちゃいけないということを書いてあるだけで、それ以上のことは書いておりませんが、しかし、厚生省といたしましては、もちろんあの法律、煤煙規制法のために若干の予算は見ておりますとともに、来年度は、この自動車の排気を調べたい。これは、自動的に調べるメーターでもって有毒ガスの状況を調べるということで、約二千四、五百万円の予算を持っておりますので、したがいまして、東京都の適当なところにその自動メーターをつけまして調べたい、かように思っておる次第でございます。  どちらかと申しますと、工場にいたしますと、大工場につきましては、割合集塵装置をつけたところが今は多い。しかし、中小企業は、工場が古いので、しかも、集塵装置があまり簡単でなく金がかかるので、東京でも、中小企業が集まっている荒川流域が最もひどい。もちろん、川崎近郊の中小企業の寄った所が相当にひどいのであります。したがいまして、集塵装置を、もっと高いものでなく、機械的に安い集塵装置をつけたら効果が上がるのではなかろうかということで——これはしかし、行政機関にわたって関係の個所がありますので、関係の行政機関で連絡会を作らせております。科学技術庁を中心といたしまして連絡会を作らせておりますから、何とか、あまりひどくならないところでひとつ効果を上げたい、かように考えておる次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 この規制の法律はできました。しかし、規制法はできたけれども、実際問題としては、その効果の面から見ると、やっぱり大阪の空も東京の空もスモッグはあまり減っていない。だからやっぱりこれの実効を上げるということになれば、それはよほどかまえをしっかりしなければできない問題です。だから、煙突の煤煙をどの程度にまで規制する、もう少し私は、これはもう道義に訴えてでも、何とか規制していくという格好のものを私はやってもらいたいのです。もう一つは、外国で調べておりますように、どこの地域で一キロ平方メートルにどれだけ、何日にはなんぼという工合に、きちっと統計を出すように科学的調査をしておりますね、外国では。だから、そういうものもやっぱり私は、厚生省は本腰を入れておやりになる必要があるのではないか、私はそう思うのです。その点もひとつ厚生大臣の奮起を促しておきたい。時間がありませんから、これでやめます。

西村英一自由民主党厚生大臣

○国務大臣(西村英一君) これは、積もり積もってこういう状況になったのでございまするが、最近は、やはり工場のほうの考え方もだいぶ違ってきております。したがいまして、私は、関係省が多いのですが、厚生省といたしましては、あまりひどくならないうちに、もう相当ひどくなっておりますが、十分ひとつ注意をいたして効果を上げたいと、かように思っておる次第でございます。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 藤田委員の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、一般質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって、一般質疑は終局したものと認めます。  明後二十二日より分科会に入りますので、次回の本委員会は、来たる二十七日午後一時に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会

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