予算委員会 第15号
- 発言数
- 489 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1963/03/19
会議録
○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について御報告いたします。本日田上松衛君、赤松常子君及び松澤兼人君がそれぞれ辞任され、その補欠として田畑金光君、向井長年君及び岡田宗司君がそれぞれ選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) 昭和三十八年度一般会計予算、昭和三十八年度特別会計予算、昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。
○田畑金光君 私は、最初に外務大臣に対しまして、日韓交渉に臨む今後の政府の態度についてただしたいと思います。 軍政の失敗を自認いたしまして、大統領の出馬もみずから断念いたしました朴議長が、去る十六日再び四年の軍政を延長したことに関連しまして、今後政府は、日韓会談にどう対処されようとする御方針なのか。政府は韓国の政情不安については、民政移管を前にした陣痛の悩みである、こうして説明をされて、その前提の上に立って交渉を継続すると説明されてきましたが、その前提がくずれたわけでございます。その現実に際し、政府はどういう方針をもって今後臨まれようとするのか、それを承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 今御指摘のように、民政移管ということを目標にいたしましてスケジュールを立ててこられたようでございますが、去る十六日の提案によって軍政を延ばすということが提案されているわけでございまして、早期の民政移管ということを希望いたしておりました私どもにとりましても、たいへんこれは残念なことであると思っております。しかし、この過程を拝見して見ますと、民政移管の時期あるいは移された民政の政権の性格等について議論があったわけでございますので、私どもが重々本院を通じて申し上げておりますように、これは民政移管への陣痛であるということに間違いはないと思うのでございます。民政移管を断念したわけではないと判断いたしております。しかし、それにいたしましても、その動揺の振幅がわれわれの予想以上に幅広いものでありかつ目まぐるしいものであったということもいなめないと思うのでございます。こういう情勢を前にいたしまして、これからの会談の進め方でございますが、わが国としての態度は、きのうも本委員会で申し上げましたとおり、先方が合理的なかつ建設的な御提案を持って参りますならば、私どもとして討議を続けていくにやぶさかでないという態度は不安でございます。ただ、先方がそのような御提案を今おまとめになって会談に臨み狩る情勢かどうかという点につきましては、若干の懸念もございますけれども、日本政府としての態度は、従来申し上げたとおり、不変な姿勢で臨んでおるわけでございます。
○田畑金光君 向こうから建設的な提案があり、あるいは合理的な話し合いが、申し込みがなされる場合には政府は応ずるが、そうでなければ日本政府の側から積極的な話し合いをやるという条件もないし、政府としてもその気持はない、こういう受け取り方をしてよろしいわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) いろいろの懸案につきまして、一応こちらの提案はいたしてあるわけでございます。それに対してどういう反応を示すかというのは、向こう側の問題になっておるわけでございます。
○田畑金光君 韓国の政情不安と韓国民の朴政権に対する批判というものはいよいよきびしく、また、深刻化しておるようにわれわれは見るわけでございます。こういう状態のもとで日韓交渉を継続するということは不適当であり、交渉妥結の強行というものは決していい結果をわれわれは生むとは見ていないわけです。こういう状況であるからして、わが党は、先般来政府に対し、交渉の停止を申し入れてきたわけでございまするが、私たちは、今日この事情のもとにおいては、当分の間事態の静観をはかるという意味において交渉の停止をはかることが賢明ではないかと、こう思いますけれども、この点について見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 事態を注視し、観察するということは大事でございまするが、そうしておって日韓の間の問題が片づくわけではございません。きのう本委員会でも申し上げましたとおり、懸案は依然としてあるし、それをどう解きほぐして参るかという努力はあらゆる瞬間忘れてはならぬことと心得ておるわけでございまして、御提案のように、当方においてこれを中止する、停止するという考えは毛頭ございません。
○田畑金光君 去る十六日の朴政権の声明を見ましても、近く国民投票によって、軍政を継続することを認めるか認めないか、国民投票に待つと、こう言っておるわけでございますが、少なくとも国民投票により韓国民の意思が明らかになる、こういう状態を政府としては見きわめることが必要だと考えますが、そのことも待たないで、従前どおり話し合いを継続していこうという意味なのかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 朴提案なるものにつきましては、きのうもここで申し上げたとおり、これがどういう理由で、どういう手順で御提案されたものかどうか、そうしてそれを韓国民がどのように受けとめてどういう反応をお示しになるのか、そういうような点につきましては、これからの推移を十分注視して参りたいと思います。そのことと、これが見きわめがつくまで停止しろということとは、また別な話でございまして、私ども日韓の間に問題がある以上、これをどうこなしていくかということについて先方からもし建設的な御提案がございますれば、それを討議して悪いなんということはないと思うのでございます。むしろ討議しないほうがおかしいわけでございまして、日本政府の態度は、先ほども申しましたように、不変の姿勢で対処して参りたい、そう考えています。
○田畑金光君 十六日の朴議長の声明と同時に、御承知のように、韓国政府は非常事態収拾のための臨時措置法というものを公布して、民間の一切の政治活動を禁止するとともに、政治的な言論、出版はもとより、デモや集会についてもきびしい制限を加えておるわけです。こういう背景のもとに、たとえ軍政延長の可否を問う国民投票に訴えたといたしましても、国民の正しい意思表示を期待することは不可能であると考えておるわけです。そういう背景のもとで日韓の諸懸案の話し合いを進めるということに私は非常な疑問が残るし、また、危険なことも予測されるわけで、それだけに私たちは、今日の新たな情勢に処して、政府の従来の態度についてはもう一度慎重に再検討をはかることが賢明であると考えますが、どうでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 韓国は今容易ならぬ内政上の問題に直面しておるということはよくわかるわけでございます。しかしながら、私どもとしては、これは韓国の問題でございまして、韓国民が処理すべき問題なのでございまして、私どもは関心を持ってそうして自分たちの責任としております問題は、それにもかかわらず、先ほど申しましたように、日韓の間に懸案がありこれをどう解決し消化していくかということを究明していくことなのでございまして、その努力は、先方の政情がどうございましても、日本政府としてのこの責任を懈怠していくというようなことは、お言葉を返して恐縮でございますが、賢明ではないと思います。
○田畑金光君 しからばお尋ねいたしますが、昭和三十六年の十月に本国会において承認されました日比通商航海条約は、批准書が交換をきれて効力を発生したのかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 日本側の批准はちょうだいいたしましたが、フィリピン側のほうはまだこれを批准するというところまで遺憾ながら参っておりません。
○田畑金光君 フィリピンの国会または政府でこの日比通商航海条約の批准を渋っておるのは一体いかなる事情によるのか。この条約が衆議院の、あるいは参議院の外務委員会で審議された節に、政府は、日比の友好を促進するためぜひ早期に国会の承認を得たいからというので、当時慎重論を吐いた野党の意見を押えられて、日本国会の承認手続を得たわけです。しかるに相手側のフィリピンはこの条約の批准をとっておりませんが、これはいかなる事情によるのか、明らかにしてもらいたいと思うのです。
○国務大臣(大平正芳君) フィリピン政府におきまして政権の交代がございましたが、フィリピン政府としては、この条約をぜひ批准に持ち込みたいという御意向は非常に強いようでございます。したがって、先方の国会の状況を見ながら、この条約が円満に批准に持ち込み得る時期等を今勘案されておると承っております。
○田畑金光君 いつごろ批准ができる見通しに立っておると見ておられるわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、先方の政府はできるだけ早く批准をしたいという気持を持っておるわけでございまして、先方の政府の誠意に私どもは信頼をいたしておるわけでございまして、いつごろ批准に持ち込み得るかどうかという判断につきましては、これはフィリピン政府の問題でございますから、私どもからとやかく申し上げる筋合いではないと思います。
○田畑金光君 日本とアルゼンチンとの通商航海条約も、昨年の二月本国に提案されて審議未了になっておるわけです。その理由は、アルゼンチンの政情不安のためだと聞いておるわけでございますが、これをひとつ、どういう事情によってこうなったか、明らかにしてもらいたいと思うのです。
○国務大臣(大平正芳君) アルゼンチンの政変がございましたけれども、政変後におきましても日ア関係というのはきわめて良好でございまして、特に私どもが心配しなければならぬような問題の生起は今見ておりません。したがって、この日ア通商条約の問題も先方で時期を見て批准されるものと私どもは期待いたしておるわけでございます。
○田畑金光君 今の外務大臣の答弁でも明らかなように、通商航海条約でする調印後批准までにはいろいろな障害があり、これを阻害する事情が発生しておりまするわけです。ましてや日韓正常化については、通商航海条約に比べますと、一そう重要な内容を含むものであり、国家間の基本的な問題を規律するものであり、それだけか、数億ドルに上りまする多額の国民の税金による負担を国民としては払わなければならぬわけです。したがって、私は、こういうような大事な国家間の基本的な関係を規律する条約の批准については、慎重な上にも慎重を期することが賢明であると考えておるわけでございますが、もう一度外務大臣の御意見を承りたいわけです。
○国務大臣(大平正芳君) お説ごもっともでございまして、慎重にやらなければならぬ重大な案件だと心得ております。慎重にやらなくていいなどということは毛頭考えていないわけでございます。私どもは、終始、重要な問題であるという認識と、そしてこれは慎重に運ぶべきだという態度を堅持いたしまして事に当たっておるわけでございます。
○田畑金光君 従来の政府の態度を聞いておりますと、韓国側に交渉の熱意があり、交渉妥結の希望があるので、池田内閣はその情にほだされて交渉を継続するのだ、こういう政府の対韓交渉の継続性には、こういうような非常に冷酷な関係を律するのに浪花節的な感情論というものが強く出ているように見受けるわけです。日米関係を見ましても、日米間は安保条約によって一心同体的な運命にあると、こう言っておりますが、一たび経済関係の面をごらん下さい。綿製品交渉の問題については、この間から本委員会でも質疑応答がありましたように、一たび国家国民の利益の問題になってきますると、アメリカはきぜんたる態度をとっておるわけです。私がこういうことを考えたときに、もっとお隣の韓国の交渉というものは、われわれはできれば早く円満に話し合いをつけたいとは思うけれども、今のような情勢のもとにおいて話を進めるということは、非常な危険性を将来残しやせぬか。この際、日本政府としては一服することも考えてみる道じゃなかろうかと、こう思っておるわけです。どうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 先方が困難な事情があればあるほど、先方が容易ならぬ状況にあればあるほど、日本の態度といたしましては、最善の敬意、善意を持って臨んで差し上げるということが、当然の外交的な儀礼であると私は心得ます。
○田畑金光君 三月十一日に朝海駐米大使は、トーキング・ペーパーで、日本政府の対韓交渉についての見解を米側に通告しておりますが、わざわざそうしなければならない理由は何であるのか。その理由と、さらに、どういう説明を向こうにしたのか、その内容を明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(大平正芳君) お互いに外交関係を持っておる国々におきましては、それぞれ共通の関心を持っておる問題につきまして、インフォーメーションの交換をし合うということは、当然の外交儀礼であるばかりでなく、実質的にも情勢判断に資するところが多いわけでございます。他国からはインフォーメーションを十分ちょうだいして、日本側からインフォーメーションを差し上げないというようなことは、筋が通らない話でございます。日韓問題につきましては、しばらく先方と意見の交換がなかったわけでございますが、この間、ここ数カ月のわれわれたどってきた経緯というものを先方にインフォーメーションとして差し上げたというにすぎないわけでございます。
○田畑金光君 その内容を同時に明らかにしてもらいたいと言っておるわけです。
○国務大臣(大平正芳君) 今申し上げましたとおり、最近のたどりました経過を申し上げたものでございます。私どもの将来に対する意見を含んでおりません。
○田畑金光君 なぜアメリカだけにそのような経過を伝えなければならぬ立場にあるのか、それを承りたい。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカと韓国との関係は、米韓協定を結んで特別な関係にあることは田畑さん御承知のとおりでございまして、アメリカが韓国に対して、対韓政策としてどういうことを考えているかということは、私どもとしても承知していなければなりませんし、日本と韓国との間の問題がどのように取り運びつつあるかということも、アメリカ政府に知らして差し上げるということは、当然の外交儀礼だと私は考えております。
○田畑金光君 私は、今の大臣の答弁をお聞きいたしましても、日韓交渉を強行するというのが、ほんとうに日本のためからではなくして、むしろアメリカに対する義理立てからやっておるんじゃないかという疑いが国民の中に生まれてくるのも、私は無理からぬことだと見るわけです。また十三日の夕刊新聞によりますと、アメリカは、ぜひとも朴政権のもとで交渉を妥結させることを必要とするという見解を発表しておるわけであります。私はいこういうようなアメリカの態度というものが、全く主権国家の体面を無視したような態度に見受けられることはまことに遺憾であって、これこそ政府のアメリカに対する外交政策が、追随を万事やってきたというところに、こういうような姿が生まれてきたと私は考えるわけでございますが、この点、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 田畑さんほどの方がそんなことを言われることは、非常に政府として迷惑でございます。私どもは、日本が主権国家として、自主的に外交を進めるという、基本の決意と方針で進んでおるわけでございまして、政府がそういう態度でやっておりますにもかかわらず、アメリカ追随じゃないかなんということを、あなたのようなお立場の方から、そう言われることは、非常に心外でございます。
○田畑金光君 私も、非常に幾らお聞きしても、そういう答弁で終始されることは、まことに遺憾であり、心外でございます。 そこで、私は、少し今度は角度を変えて、請求権の問題について、若干お尋ねしたいと思いますが、二月二日の衆議院の予算委員会で、わが党の春日委員の質問に対しまして池田首相は、軍令三十三号による在韓私有財産の侵害行為は、「不法な行為であったということはわれわれも考えております。」と答えて、その不法行為を認めております。これはヘーグ陸戦法規の四十六条の精神に基礎を置いて考えておると思います。しかし、私はさらに同規則四十三条に違反する疑いがあると思うわけです。すなわち、四十三条によりますと、「国ノ権力カ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ占領者ハ絶対的ノ支障ナキ限占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ」とあるわけです。これは占領者に対する義務規定であって、占領者は、絶対の支障なき限りは、占領地の現行法律を尊重しなければならない当然の義務があるわけです。すなわち、旧帝国憲法におきましても主権の尊重は確保され、法律もこれを保護しているわけです。そこで政府に質問いたしますが、アメリカ占領軍が軍令三十三号によって在韓財産の一切を没収したということは、ヘーグの陸戦規則第四十三条に基づいて、絶対的な支障のない限り――すなわち、没収する絶対的必要があったのかどうか。絶対的な必要があったと、政府としても同じような見解を持っておるかどうか。この点をひとつ承りたいと思うわけです。
○政府委員(中川融君) ただいまのお尋ねでございますが、ヘーグ陸戦法規は、御承知のように、これは第一次戦争前にできたものでございます。その当時の軍事占領というものは、大体、戦争遂行中に行なわれる軍事占領でございます。その期間も、そう長いものじゃなかったわけでございます。しかしながら、今回の第二次世界大戦後の占領、これは韓国の場合、日本の場合と、いずれも相当長く行なわれたのでございまして、ことに韓国につきましては、アメリカの累次の声明その他で明らかでございますが、日本と韓国との関係を一応断ち切ってしまう必要がある、そうして韓国を独立させる、こういう、いわばアメリカにとっては非常に重大な使命を占領軍として考えていたようでございます。したがって、今のいわば陸戦法規の規定からいえば、逸脱するような諸行為、日本の私有財産を没収してしまうというような行為、あるいは日本人を全部日本に帰してしまうというような行為、これはいずれも韓国を日本から切り離してしまう、この目的から出た措置でございまして、これは当時、アメリカ軍に対しましては、一般的に陸戦法規を尊重せよという訓令は出ていたのでございますが、この日本との関係を断ち切るほうの措置というものは、大統領からの直接の命令で行なわれておる、こういう説明を私ども聞いておるわけでございます。いわば、第二次戦争後の特殊の事態に処するための特殊の措置である、かように考えるわけでございます。
○田畑金光君 大統領の行政命令がかりにアメリカ占領軍にあったとしても、それはアメリカ国内の関係であって、大統領の行政命令が直ちに国際条約に優先し、他国を規制することはできないと考えますが、一体、そのことができるのかどうか。
○政府委員(中川融君) 御指摘のように、たとい、大統領の命令がございましても、それはアメリカ国内の問題でございます。あるいは連合国内部の問題でございまして、日本としては、その当時占領治下にありました関係もあり、これと直接何らの関係もないわけでございますが、日本として関連が生じましたのは、サンフランシスコの平和条約におきまして、アメリカのとりました措置を平和条約の条章によって日本が承認したというところに関連が出てくるわけでありまして、占領中の行為は、国際法規あるいは陸戦法規等を逸脱した行為でありましても、日本は、平和条約の条章でこれを承認したのでありまして、したがって、国際法に違反したかどうかという問題はすでに水に流されておる、かように考えております。
○田畑金光君 従来の国際法規に違反している、したがって、違法行為であるということを承知上で、不法行為ということを承知の上で、条約第四条で、政府はこれをのんだのかどうか、のむという結果になったのかどうか、それをお尋ねしたいわけです。
○国務大臣(大平正芳君) たびたび申し上げておりまするように、サンフランシスコの平和条約というものを全一体として評価してみますと、当時の環境のもとにおける日本が国際社会に再復起するという場合の条件としては、全一体として判断した場合に、比較的寛大な措置である。米英その他賠償も含んでおりませんし、という判断であったわけでございます。しかし、この全一体としての条約の個々の条章という点を一々検討してみますれば、御指摘のように、不満な個所が相当ございます、第一、私どもが今問題にして苦労いたしておりまする日韓の間の問題にいたしましても、本来やはり平和条約で解決しておいていただけば、今回苦労する必要はないわけでございまするが、とにかく、不満足な点はたくさんございますけれども、当時、日本が国際社会に復帰する場合には、多少の不満はありましても、この条約を受諾するということによって国際社会に復帰するほうが、日本にとって妥当な道であり、有利な道であるという大局的な判断に立たれて、今度の条約全部を承認するという態度に出ことだと思うのでございます。そうして、そのことは、その後の歴史の経過を見ますと、御承知のように、わが国の対外的な発展という、内外呼応して復興、発展して参ったわけでございまして、この決意、選択というものは、私は、日本の歴史にとりましてすぐれた判断であったと、こう思います。
○田畑金光君 私の質問している具体的な問題に対して、一般論でもってお答えされては、答えにならないわけです。軍令三十三号というのは、ヘーグ陸戦法規等の国際法規に違反する不法行為であることは承知であったけれども、条約第四条で、いろいろな情勢の上に立ってこれを認めたということに、結果としてはなったのかどうか。不法行為であることを知りながら、この不法行為の既成事実を承認したことになるのかどうか、これを私は率直に承っておるわけです。
○国務大臣(大平正芳君) 今お答えいたしましたように、そういう不満なことは重々承知の上でございますけれども、角をためて牛を殺すことのないように、全体として承認するということが日本の基本的な利益であるという判断に立ってそういう決意をいたしたわけでございます。
○田畑金光君 イタリアの裁判所では、多くの判例が、国際法上許されないような徴発命令は法的効果が発生し得ないというようなことが主張されておるわけです。また、占領軍が違法に徴発した財産を後に個人に譲渡しても、それは財産の権限を移転する効果はないと判決されている事実があるわけです。また、学説の中にも、国際法違反の占領軍の法令は、すでに占領中から無効であって、かりに占領中占領軍の権力によって実施させられていても、それは事実問題にすぎず、解釈上は当然無効であるという説を唱えた有力な学者の説もあるわけです。私は、かりにそうした法律関係は無効とされないという立場をとったにいたしましても、占領者の自由裁量権に基づく不法行為に対しまして損害賠償の問題が提起されてしかるべきだと考えるわけです。それは陸戦、法規慣例ニ関スル条約第三条が、ヘーグ陸戦規則に違反した交戦国は、損害あるときは、これが賠償の責めを負うものとするということをはっきり規定しておるわけです。でありますから、当然これは損害賠償の責任をアメリカ側に要求する法的な立場が確保されていると私は考えますが、この点はどのように見ておられますか。
○国務大臣(大平正芳君) 陸戦法規との関連におきましてこの問題だけを厳密に取り上げられるとすれば、あなたのような立論も成り立つと思います。ただ、私が今申し上げましたように、講和条約は全体として受け入れるかどうかという局面に立たされたわけでございまして、日本政府としては、日本政府が選択した道というものは日本の基本的な利益になるという判断でやったわけでございまして一つ一つの問題については、先ほども申しましたように、了解いたしかねる不満な点も多々ございますけれども、全一体としてこれを認めることが有利だという判断に立ってやったわけでございます。先ほど条約局長が言われましたように、すでにこの問題は片づいた問題で、日本の条約を承認するということによって最終的に片づいた問題だと心得ております。
○田畑金光君 あらためてその点についてお尋ねしたいわけでございますが、明らかにそれが不法行為であるということがわかっておりましても、これを承認するならば、それは正当化され、かつ、適法な法律行為に転化するのかどうか、その点をひとつ承りたいわけです。
○国務大臣(大平正芳君) 日米の間では最終的に片づいたものと承知いたしております。
○田畑金光君 たとえ平和条約において日本は特殊な立場に立っておるとは申しましても、明らかに不法行為である事実を承認したという政府の行為は正しかったと、こういうように政府は今でも考えておられますかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほども申し上げましたように、たとえば平和条約でアメリカが対日賠償権を請求するというようなことになれば、これはもうたいへんな問題になるわけでございまして、私が申し上げましたように、講和条約を全一体と見まして、これを全体としてのむことが日本の基本的利益になるという判断でやったわけでございまして、個々の案件を検討いたしましてこれを一つ一つ相手について是非をきめるという性質のものでございません。平和条約全体をのむかのまないかという決断を迫られた場合、政府のとりました選択ということは、私は大局的に賢明だったと思います。
○田畑金光君 私は、戦勝国家とか敗戦国家とかという関係ではなくて、法の前には平等という立場に立って考えました場合に、たとえ平和条約第四条(b)項によって政府は不法行為を認めたといたしましても、これとは別の立場から、すなわち、先ほど申し上げたようにヘーグの陸戦法規の立場から見ますならば、私は日本は損害賠償の請求権というものが現存しておると、こう解釈すべきであると考えるわけなんです。この点についてもう一度ひとつ見解を承りたい。
○政府委員(中川融君) ヘーグの陸戦に関する条約第三条によれば、御指摘のように、このへーグ陸戦規則に違反した交戦者に対しては、損害賠償の義務を課しておるわけでございます。しかしながら、同時に、個々の戦争の結果といたしましては平和条約というものが結ばれるわけでございまして、その平和条約によってその戦争の間に起きましたあらゆる権利、義務の関係を清算するわけでございます。平和条約によりまして、通例、戦勝国は戦敗国に対して賠償等も課しますが、同時に、戦勝、戦敗双方通じましてこの戦争中に起きました権利、義務関係は全部平和条約をもって締め切りにして、これでもって終止符を打つということをするわけでございます。これによって、従来の戦争事態が平和事態に切りかわるわけでございます。戦争事態の残滓を平和事態にまで持ち越すことのないように、例外として賠償はございますが、それ以外はそういう残滓を残さないようにするというのがこの平和条約の考え方であるわけでございます。日本に対する平和条約におきましても、第十九条におきまして、戦争中に起きた行為及び占領中に起きた行為に基づく日本国及び日本国民の請求権は一切これを放棄すると日本は規定しておるのでありまして、これによってあらゆる戦争中の行為に基づく日本の請求権はなくなっておると言わざるを得ないのでございます。
○田畑金光君 平和条約第四条の規定を読みますと、請求権の取りきめというのは、日本と韓国だけの問題ではなくして、日本と台湾、日本と旧北方領土との関係すなわち、日本と旧植民地との全体の関係について規定しているわけです。しかるに、第四条(b)項で韓国との特殊な関係を規定したというのは、一体これはどういう事情によるのか、それを明らかにしてもらいたい。
○政府委員(中川融君) 第四条は、御指摘のように、日本と韓国だけの規定ではございませんで、日本から分離いたします地域と日本との間の請求権問題の解決について規定しておるのでございます。その(a)項につきましては、ただいま御指摘のような地域が全部対象になるわけでございます。(b)項は、書き方から見れば、別に地域を限定しておりません。日本から分離されます地域につきまして、アメリカ合衆国軍司令官がいたしました日本財産についての処理の効力を承認するという規定になっておるわけでございます。したがって、たとえば沖繩でありますとか、あるいは小笠、原、あるいは旧委任統治地域等におきましてアメリカ軍司令官が何らか日本財産について措置をとっておれば、それを承認するわけでございます。しかし、この規定自体の入りました経緯は、御指摘のように、これは韓国から注文があって入れた規定であるというふうに承知しておりますので、この実際上のねらいは、韓国の軍令第三十三号の効力を日本に認めさせるためであったと考えるのでございます。規定の姿からすれば、ただいま申しましたように、これは一般的な規定になっておるわけでございます。
○田畑金光君 昭和二十七年の八月発効いたしております日華平和条約の第三条には、明確に請求権について両国相互取りきめの議題に供するということを約束しているわけです。同じ植民地の台湾に対しては相互取りきめの対象にし、現に平和条約の相互取りきめの議題として明確にうたっておるわけです。しかるに、韓国に対してのみこのような特殊な事情を認めなければならなかったというこのことについて、日本政府の立場から言うならば、同じ旧植民地であったわけです。台湾にいたしましても、韓国にいたしましても、台湾政権に対して、韓国政権に対して、平等の取り扱いをなすのが、これは条約の建前から見ても、歴史的な事情から見ても、当然の措置じゃなかろうかと見るわけですが、どうしてこんな違った取り扱いをしたわけですか。
○政府委員(中川融君) 平和条約は、連合国が起草いたしまして、日本に一応それは提示もいたしましたが、日本と交渉するという格好で締結されたものではなくて、日本はいわば敗戦国として向こうの提示いたしましたものを最終的にはのまされた、のんだということになっておるのでございます。したがって、ただいま御指摘のような台湾と朝鮮との財産請求権についての措置が違う点のほんとうの先方の意向というものは、これは推測する以外にないのでございますが、考えまするに、朝鮮は、日本から独立してそれ自体が一つの独立国になるわけでございます。したがって、先ほど申しましたような日本との関係を全部一応きれいに断っておく必要があると考えたようでございます。台湾は、これは日本の領土であることには同じでございまましたが、中華民国に要するに返還するという思想であったわけでございまして、中華民国に対して台湾というものがいわば付加される格好になるわけでございまして、したがって、台湾における財産権問題をきれいさっぱり日本との関係を断ち切っておくという必要は当時連合国としては認めなかったのじゃないか。たとえば、日本から切り離されました旧委任統治地域あるいは北方領土等と同じような思想で台湾は扱われたものと一応推定されるわけでございます。
○田畑金光君 和解と信頼の条約と言われたサンフランシスコ平和条約が今の答弁を聞いておりますと、日本政府の意思も正しく反映されないままに、早期に取りきめましょうというところでこの条約を結んだということは、まことに遺憾なことだと思いますが、外務大臣の御見解いかん。 同時に、日華平和条約第三条によれば、請求権の処理は両国政府の取りきめの議題になると明確に規定しておるにかかわらず、この条約による話し合いがなされたのかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 敗戦という冷厳な事実をふまえてかからなければいかぬと思うのでございまして、私どもは連合国のほうで起草いたしました平和条約草案と対等な立場で交渉する立場になかったということは御了承いただきたいと思うのでございます。 第二番目の御質問は、台湾の問題ですか。
○田畑金光君 そうです。日華平和条約第三条の……。
○国務大臣(大平正芳君) その問題につきましては、終始交渉を続けておりまするが、こちらからもたびたび督促をいたしておりますが、先方のほうが交渉の軌道に乗ってくるという情勢では今ないようでございますが、極力機会あるごとに督促を続けております。
○田畑金光君 督促を続けておるというが、いつごろ督促なさったわけですか。今までこの条約が結ばれてからもう十年以上経過しておりますが、何回くらい話し合いの申し入れをして、それがそのたびにどうなっておるのか。
○政府委員(後宮虎郎君) 平和条約以来、私の記憶する限りでも数回申し入れておりますが、一番最近申し入れましたのは昨年十二月末に書面をもって要求いたしておりますが、まだ向こうのほうからは交渉の軌道に乗る回答がございません。
○田畑金光君 政府としては、この条約に基づく第三条の履行を将来どういう角度で取り組んでいこうとする御方針なのか。
○政府委員(後宮虎郎君) この問題は非常に困難な問題でございまして、先方がなぜ今まで交渉の軌道に乗ってこないかということにつきましても、はっきりとした公式の説明は聞いておらないのでございますが、いろいろ情報がございまして、一つには、御承知のとおり、日華平和条約によって国府は対日賠償請求権等を放棄しております。そういうような関係がございまして、日華間で大きくこの問題を取り上げる時期が来るまではなかなかこの問題だけを切り離しまして交渉に乗ってくるのはむずかしいというのが向こうの立場であるやに聞いております。
○田畑金光君 結果においては、そういうように話し合いの申し入れをやって向こうが断わってくる、そんなことを続けていて、結局この条約は、この条文に関する履行ができなくなる、こう見るわけですが、この点どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 極力向こうの翻意を促すように努力いたしたいと思います。
○田畑金光君 日韓請求権問題については、無償、有償五億ドルということに話し合いがついたわけでございますが、この結果、韓国側の自然人、法人の対日請求権というのも一切処理済みになると政府はいわれておりますが、そうなるのか。そうなるとすれば、それは将来条約ができた場合に条約前文の中に入れる手続をとるのかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 条約とか協定というものは、両政府間の合意でございまして、それで自然人まで当然にそれによって拘束できるかということに理論上少なくとも問題があると思うのでございまして、私どもといたしましては、あとに問題を残さないように、一切きれいさっぱり片づけたいと思うわけでございまして、要すれば、そういう条約協定というようなもののほかに、国内立法も考えなければならない場合が起こるかと考えておりますけれども、そういうことは最終的に内容が固まりましてからの話でございますので、どういうことにするかまでに最終的にきめておりません。
○田畑金光君 かりに請求権問題の話し合いがついたとしますと、日韓両国の国と国との関係における問題は処理されたといたしましても、わが国のたとえば海外に居住していた法人、自然人が日本政府に対する請求権の問題というものは厳然としてやはり生きてきょうかと、こう思うわけです。なぜなれば、これらの請求権は国家の条約締結行為によって一切失ったのであるし、しかも、これらの財産権というものは国民全体の負担で払うべき国家目的の用に充当されたのであるから、当然そこにこれらの私権の問題をどう処理するかということは重大な問題になってきょうと考えておるわけです。その事情は、先ほど未法律的な解釈等を見ましても、政府の答弁はあいまいであり、要領を得ていないわけです。根拠がないわけです。この点はどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 純法律的な問題といたしましては、日本政府がその在外財産を日本政府の意見によってたとえば公益目的に提供せしめるというようなことをやっていないわけでざいまして、これは米軍が没収した、そうしてその事実を認めたという関係になっておりますので、純法律的には直ちに政府の責任はないものと思います、ただしかし、そういう問題が政治問題としてあるということは私もそのとおりだと思います。
○田畑金光君 一九四七年十一月に発効いたしましたイタリアの平和条約を見ますと、第七十九条ないし第八十四条には、在外財産が戦勝国家の賠償に充てられた場合には、その賠償の限度において国家が補償すると、イタリアの平和条約は明確に規定しておる。これに基づきましてイタリアにおいては現に一九五三年十月法律ができて、その法律に基づく私有財産の問題に対する補償措置が行なわれておるわけです。私は同じ敗戦国であるイタリアと日本の場合が、このように大きな違いがあるという点においては非常な疑問を持っておるわけですが、この点についてはどう考えておられるか。
○国務大臣(大平正芳君) イタリアの例をお引きでございますが、それはイタリアといたしましてはそのような措置を講じられたと思うのでございますが、わが国といたしましては、先ほど申しましたように、政治問題としてこれは残りますが、国内政治問題として問題があるということでございまして、純法律的には政府が直ちに責任を負うという建前をとっていないわけでございます。
○田畑金光君 この二、三日内、新聞を拝見いたしますと、在外財産問題審議会の設置の問題が与党の中でも議論されておるやに聞いておるわけです。この点について政府はどのように考えておられるか、大蔵大臣から承りたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 政府与党である自由民主党の政調の中でも、在外財産に対する審議会を設置をしたいという動きのあることは承知いたしております。しかし、毎度申し上げておりますように、政府は海外からの引揚者に対しましては、内閣に設けられました審議会の答申を求めまして、去る三十二年に約五百億に及ぶ補償措置を行なっておりますので、これらの問題に対しては政府の責任は完結しておるものと認めておるわけであります。
○田畑金光君 三十二年の法律に基づく云々というお話がありましたが、昭和三十一年に、在外財産問題審議会のおりに、その審議会の中でどのように議論され、それがどういう形の答申になったかということです。当時、大平外務大臣も審議会の委員であられたし、私も委員でありましたが、そのとき政府は在外財産というのは今後交渉の結果返還される見通しもあるのだ、返還されるために日本政府は外交上の努力を払うのだ、したがって、今日この段階において返還しないという前提で補償措置を講ずることは時期尚早である、こういう見解に立ってこの問題は取り組まれておるはずです。日韓交渉を見ましても、あなた方の答弁を見れば、軍令三十三号に基づく明らかに不法な行為に対しても、損害賠償の要求もやり切れないわけです。そういうことを見まして、あの三十二年の引揚者給付金等支給法というもののよってきた、審議会の議論というものは、大きく今日は事情を変更しておると見ておりますが、その点はどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 当時の会議に私は出ておりませんから、つまびらかにいたしませんが、その当時の問題を現在考えてみますと、アメリカにおいて戦時中に日本人の私人財産を没収せられておるような例がありまして、アメリカの議会に対して請願等が行なわれておったようであります。現在でもこれに対してはアメリカ政府もアメリカの議会でも非常に好意的な立場でございまして、法律を作ってこれを返還しようというような動きがありますことも御承知のとおりでございます。これが返還をせられる場合、当然もとの所有主である私人に返還をせられるのでございまして、これらの事態を指してそのような御発言や審議があったものと理解をいたします。
○田畑金光君 この問題については、また別の機会にさらに詳しく追及したいと思いますが、時間の関係もありますので、別の問題に移ります。韓国により拿捕された漁船、抑留者というのは、一体今日までどの程度になっておるのか、数字的に明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(重政誠之君) 数字にわたりますから政府委員をして御答弁いたします。
○政府委員(庄野五一郎君) お答えを申し上げます。 韓国によりまする拿捕漁船の総数は、現在までに至ります数字といたしまして三百四隻に相なっております。それで、抑留されました船員は三千六百八十九名、こういうことになっておりますが、そのうち帰還いたしました分が百二十一隻、帰還いたしました漁船乗組員が三千六百三十八人、こういうことに相なっております。それで未帰還の漁船が現在におきまして百八十一隻、抑留中の船員が四十三名、こういうことに相なっております。
○田畑金光君 抑留されておる船員が四十三名も現在おるわけですが、現在この乗組員の人方が乗っていた船は、どういう船だったのか、それから、当時どういう事情のもとで拿捕されたのか、それを明らかにしてもらいたい。
○政府委員(庄野五一郎君) 拿捕、抑留されました漁船は、李ラインの内あるいは李ライン付近におきまして漁業操業中の船、こういうことに相なっております。それで、これらの船は御承知のように以西底びきあるいはまき網等漁船でございまして、それが操業中に拿捕された、こういうことに相なっております。
○田畑金光君 私の調べたところによれば、第百七十七明石丸あるいは第十五新栄丸等、現在拿捕された漁船は、現に操業中ではなくして黄海のエビ漁場に向かって航行中であったにもかかわらず、韓国の警備艇に不当不法に拿捕されたといういきさつになっておると聞いておりますが、その点はどうですか。
○政府委員(庄野五一郎君) 中にはそういうのもございまして、そういう漁場に到達するために航海中だ、こういうのも過去においてあったわけでございますが、そういう点につきましては事情を説明し、短期抑留で返還になっている分が相当あると存じております。
○田畑金光君 これらの拿捕された漁船の送還、抑留者の即時帰還について、政府はどういう措置をとっておりますか、農林大臣。
○国務大臣(重政誠之君) 日韓交渉が開始をせられまして、その途中でこういうような事件が起こりますことは、まことに遺憾に存じておるのであります。そういう事件が起こりますと、直ちに厳重にその返還、送還を要求をいたして参っておるようなわけであります。
○田畑金光君 ちょうど今、日韓交渉についても、先ほど外務大臣のお話によれば、話し合いはやめないで進行中であると、しかも聞くところによれば、漁業問題の話し合いがその専門家会議等でなされておると聞いておるわけです。そういうさなかに、このような漁船の拿捕であるとか、漁船員の抑留であるとかいう事件が頻発するということは、まことに遺憾であると見ているわけですが、これなんか外務省の外交折衝を通じて未然に処理できないものかどうか。こういうような話し合い等は、今の話し合いの進行の過程で、当然、話し合いの進行中はこういうようなことをお互いやめようじゃないかということぐらいはできそうなものですが、どうでしょうか、外務大臣。
○国務大臣(大平正芳君) そういう不幸な事件が起こったら、そのつど私どもとしては先方に賠償金を留保しつつ善処を要求し続けてきておるわけでございます。先方は翻意されずに、そういう事件が間々起こって参るということは、はなはだ遺憾に思います。問題は、日韓の間の友好関係、その基礎をなす理解の問題だと思うのでございまして、私どもは、韓国側の対日感情というようなものが冷静になり、正常な姿に返ることを衷心から希望いたしておるわけでございまして、そういう情勢を招致いたしますために終始善意をもって事に当たるという態度を失わずに堅持して参りたいと思います。
○田畑金光君 農林大臣にお尋ねいたしますが、李ラインの設定前、あるいは設定後、一体わが国の船舶の拿捕や、あるいは船員の抑留、あるいは人命の損失、精神的な損失等いろいろありますが、一体この船体の拿捕、その他による物的な被害総額というものはどの程度に上っておるのか。
○政府委員(庄野五一郎君) お答え申し上げます。 拿捕によります漁船につきましては、先ほど申し上げた数字になっております。それで、これにつきましては、物的な損害と人的な損害があるわけでございますが、明らかに漁船として物的な損害というふうに算定されるもの、これは漁船の船体、あるいはそれに当時漁獲して積んでおりました漁獲物、こういったものにつきましては、大体現在のところ算定しまして十四億程度、こういうふうに算定いたしております。その他、人命あるいはそれによりまして操業ができないこういった損害もあるわけでございます。それはなかなか、いろいろな損害の額の算定ということにつきまして問題があろうかと存じますが、われわれといたしましても、そういう点の損害につきましても検討はいたしておりますが、明らかに漁船その他の物的損害というのが十四億程度、こういうふうに考えております。
○田畑金光君 今の水産庁長官の言われた損害額というものは、非常に少な過ぎる評価じゃありませんか。船体装備の評価額は十四億三千万程度だとわれわれは聞いておりますが、その他、拿捕された船舶に積んでいたいろいろな積載物、漁具であるとか漁獲物、乗組員の私物もありましょうし、あるいはまた義務的な出費もありましょう、たとえば抑留中の賃金、見舞金、その他、あるいはもし稼働したとすればこれだけかせいでいただろうと想定する金額もあるわけです。これらを総計いたしますと、十四億前後の低いものではありません。正確な数字をひとつ示して下さい。
○政府委員(庄野五一郎君) ただいまお答え申し上げました十四億三千万円、こういう数字につきましては、これは明らかに漁船の船体、あるいはエンジン、その他の装備、あるいは漁獲物、こういったもので、それをただいま漁船保険で算定いたしておりまする評価基準等を用いて算定いたしますと十四億をちょっと上回る、こういうふうに相なるわけでございます。その他、漁具とか、あるいは人的な損害、あるいは抑留されたために操業ができなくて、得べかりし収入の損害、こういったものが考えられるわけでございますが、それにつきましていろいろと評価方法がありまして、明確にまだ幾らと、こういうふうには申し上げかねるわけでございますが、大体の推定されておりますところを見ますると、大体十四億を含めまして、そういうものを入れて七十億前後に相なろうか、こういうふうに承知いたしております。
○田畑金光君 七十億と大体推定されるといたしまして、このほかに抑留された者とか、現に抑留中の者、あるいは死亡した者の遺家族の受けた精神的な損失、当然こういうようなものは、日本政府が韓国政府に対し、損害賠償の要求ができるはずだと私は考えておるわけです。日韓交渉の中で、請求権問題は処理されたといたしましても、それは終戦当時を基準とする財産権その他の問題であって、戦後の通常の通商貿易からきた債権債務関係、あるいは今私が申し上げましたような不当な漁船の拿捕、船員の抑留等からくる損害賠償の要求、これは当然日韓交渉の重大な議題の内容だと、こう考えますが、外務大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、この問題は平和条約第四条の請求権の問題ではございません。終戦後の問題と心得ておりまして、で、先ほども私も申し上げましたように、事件がありまして、そのつど私どもとしては善処を求めると同時に、賠償請求権は留保いたしてあるわけでございます。日韓交渉における問題の一つだと心得ております。
○田畑金光君 今のお話は、現に日韓の漁業交渉の中で取り上げて並行的にやっているという意味ですか。
○国務大臣(大平正芳君) 漁業交渉の一環として取り上げております。
○田畑金光君 昭和三十年の二月十四日に韓国軍艦に追突され沈没させられた第六あけぼの丸の損害賠償措置については、その後どういうような取り扱いをしてこられたのか。
○政府委員(後宮虎郎君) 詳しくは後刻調べまして御報告いたしますが、私の記憶しておりますところでは、一応原則的には、その問題については韓国側は責任を認めたものでございます。金額その他については、具体的の話し合いがついていないというふうに了解しております。いずれ詳しく調べまして御報告いたします。
○田畑金光君 今の局長の御答弁は、まあ非常に満足できる答弁でもなく、内容もはっきりしないので不満ですが、念を押したいことは、この第六あけぼの丸の損害賠償請求については、政府としてはこれを放棄するのじゃなくて、あくまでもこれは外交折衝の結果、損害賠償措置をとるという方針なのかどうか、現に日韓会談の漁業専門家会議等において、これは取り上げているのかどうか、これをお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりにいたしたいと思います。
○田畑金光君 日本の漁船員が銃撃によって即死した者が五名に上っております。抑留中の死亡者が八名に上っておりますが、こういう人々に対する措置はこれはどうなっておるのか。
○政府委員(庄野五一郎君) 抑留中におきまする死亡船員に対しまする救護措置でございますが、これにつきましては死亡者一人七万五千円という見舞金を出しております。これは閣議決定によりまする措置でございますが、いずれ損害賠償の内払いと、こういったような形で一時の見舞金として七万五千円を支給いたしております。
○田畑金光君 今の御答弁にありましたように鳩山内閣の時代でございまして、昭和三十年十二月十六日の閣議決定で、特定海域における被災漁船乗組員遺族に対する特別支出金に必要な経費として四百五十七万五千円、遺家族一人について七万五千円、その弔慰金を支給しただけでこの問題はその後お茶を濁されておるわけです。しかも今御答弁になりましたように、支給の条件としては、将来当該国から損害賠償がなされた場合には差し引く、こういうことになっておるわけで、その損害賠償の話し合いは、やりますやりますと言っておるが、さっぱり進捗していないわけです。そんなことで遺家族の人方は黙って泣いておらなければならないのかどうか。これは大蔵大臣、外務大臣、ひとつ御答弁願いたいと思うのです。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように漁業問題の討議の場において最善を尽くしたいと思います。
○田畑金光君 こういう問題は、外務大臣、戦後に起きた問題であって、これは個別的にもこういう話し合いについては解決の糸口が見出し得ないはずはないと思うのですが、これも全般的な話し合いの中でなければそれはできないというわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 個別的な問題として取り上げる空気、そういう理解に到達すれば、これは非常にけっこうなことでございますけれども、目下の状態といたしましては、その他の懸案と一緒に一切解決しようということにつきまして、先方もそういうお気持になってきておるわけでございます。したがって、重要問題の一環として解決に努力しよという態度を堅持いたしております。
○田畑金光君 私は農林大臣にお尋ねしたいと思いますが、これは外務大臣の関係ももちろんあります。例の日米加三国漁業条約は十年間の有効期間が満了することになります。同条約が北太洋における漁業資源の持続的な生産を確保する、それが人類共通の利益、締約国の利益に合致するということでこの条約は結ばれておりますが、御承知のように西経百七十五度以東の広大な大洋からわが国の漁船操業が不当に遮断されておるわけです。これが日韓両国の漁業交渉にはね返り、日ソの北西太平洋の漁業条約交渉にはね返っていることは御承知のとおりであります。これの改定について政府の今後の方針はどういう方針なのか。
○国務大臣(重政誠之君) 公海における漁業につきましては、政府といたしましては資源の保護、公海における資源の平等利用という、この原則に基づきまして、従来とも関係国と協力をいたしてやって参っておるわけであります。 ただいま御指摘になりました日米加の北西太平洋の漁業条約は、いわゆる自発的抑止原則というのが条約の骨子になっておりますので、これは公海における漁業資源を平等に利用する、公平に利用する、こういう建前からいけば遺憾の点があると考えておるのであります。したがって、近く参ります漁業交渉におきましては、この原則を改定をいたして参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○田畑金光君 今、農林大臣の御答弁の中で一番大事な点は、自発的抑止の原則を万難を排して撤廃させることが漁業条約の交渉における一番大事な基本的な問題だと考えますが、政府としてはこの不当な、大洋に一線を引いて公海の自由な操業を禁止しているこの原則を撤廃させるという基本線を、あくまでも貫くという決意であるかどうか、あためて念を押しておきたいと思います。
○国務大臣(重政誠之君) それは米加の漁業におきましても非常にこれが重大な問題のようでございます。われわれにとりましてもこれは重要な問題でございますので、できるだけ誠意をもって交渉をいたして、そうしてこの条約の改定をいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○田畑金光君 もう一つ大事な点は、現行条約の中に抑止の条件の一つとしていますこの条約の効力発生直前の二十五年間の実績があったかどうかということが、将来にわたり、北太平洋東部の公海の漁業から日本が排除されるということになるわけで、この点も海洋法の原則に反すると考えておりますが、当然こういう規定も排除されねばならぬと思いますがどうですか。
○国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおりにすでに本年からオヒョウ、ニシンにつきましては、この抑止原則から除くというような相談もまとまっておりまして、おそらくここ一、二カ月以内にはそういうことが実施されると思うのであります。いろいろ細目にわたりましては十分検討の余地があると考えますが、それらの点は十分慎重に検討いたしまして、誠意をもって米加と折衝いたしております。
○田畑金光君 今、大臣の御答弁の中にありましたように、昨年の十一月に開かれた北太平洋漁業国際委員会において、米加の両国はわが国に対し自発的抑止原則の一部を排除する建前に立って、オヒョウの操業についてある程度の譲歩を見たわけです。ところが本津の二月十九日に三国漁業委員会の中間会議において、オヒョウの資源の共同保存措置ということもお互いに取りきめたわけでございますが、聞くとこちによむますと、このオヒョウの共同保存措置の取りきめは、米加両国の中では批准手続がなかなか難航して、できそうでない、したがって操業期を目の前にして、日本の漁船が準備は完了しているが行けないという状態にあるわけです。この見通しはどうなっておるわけですか。もし米加両国がこの取りきめの批准手続をとらないということになれば、結局取りきめは取りきめに終わってしまって、何らの実効も発生せぬということになるが、これはどういう見通しですか。
○国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおりに、この条約によって構成せられておりますこの委員会において、抑止原則からオヒョウについてはこれをはずす、そして資源保護の立場から、いかにしてこの資源を保護するかということの相談を委員会においていたしたわけであります。その委員会において相談がまとまりましたものを三国政府に対して勧告をいたしておるのであります。おそらくアメリカでは、私どもの得ておる情報では、すでに大統領のところまで、何と申しますか、承諾の書類が送達をせられておるというようなことも聞いておるのであります。おそらく今月内にアメリカからは受諾の手続がとられるのではないか、こういうふうに考えております。ただ問題はカナダでありますが、カナダは御承知のとおりに国会が解散になりまして、この四月が選挙であります、そういう関係もありますので、幾らかカナダのほうはおくれはしないかと思って非常に心配をいたしておるような次第であります。
○田畑金光君 今の点は、ひとつ米加両国がせっかくオヒョウについてある程度の操業の自由を認めた取りきめを結んだわけですから、この三月の漁期には必ず操業ができるように、政府としてもさらに外交、折衝その他を通じ努力を願いたい、こう考えているわけです。ただ米加両国がオヒョウで一部譲歩したのは、サケ、マスに関する抑止原則だけは、あくまでもこれは防衛しなければならぬ、そういう米加両国の国家的な利害という打算から戦術的に日本に譲歩したのではないか、こういわれているわけです。そうなってきますと、先ほど冒頭に質問いたしました自己抑止の原則というものが今後ともつながっていくということになるわけで、まことにこれは大事な点と考えておりますが、その点、あらためて農林大臣の見解を承りたいわけです。
○国務大臣(重政誠之君) お話のような憶測も行なわれておることを承知いたしておりますが、私はあくまでもこれは善意に解しておるのであります。抑止原則から、オヒョを除いたというのも、これもやはり科学調査によりまして、調査の結果これは除くことにいたしたわけであります。戦術的な意味からこれを除いたとは私は考えておらないわけであります。ただ、サケ、マスについての抑止原則を改定するという問題につきましては、御承知のとおりにサケ、マスというのは回遊をいたしております、百七十五度以東だけにおるのではなしに、以西のほうにもきておるわけでありまして、いろいろむずかしい実情がございますので、なかなか簡単にはこれは参りません。参りませんが、前々から申しますとおり、誠意をもって両国と折衝し、協定をいたしたい、こう考えておる次第であります。
○向井長年君 関連。サケ、マス漁業の問題とははずれるのですが、先ほどから韓国漁船の拿捕の問題につきましてもお述べになりましたが、これに関連してきょうの読売新聞にも出ております。あるいは昨夕のニュースでも明確にされておりますが九州の福徳船員組合から正式に声明を発表いたしております。これは韓国の不法拿捕に対しての、いわゆる政府の態度が非常になまぬるい、これではわれわれ自体で自衛の立場をとらなければならぬ。こういうことで、今後韓国の警備艇に対して、みずから追突と申しますか、激突をして、そうして自分たちを守るんだ、こういうことを正式に発表いたしております。非常に問題が大きいので、国際的な問題にもなるかと思いますが、これについて政府はどういう態度をもって考えるのか、この点ひとつ外務大臣なり、あるいは農林大臣もあわせて御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 今御指摘のような声明がなされたということは承っておるわけでございますが、私どもは日韓の間にいろいろ不祥事件が将来にわたって起こされることがないように、理解と友情を招来すべく、忍耐をもって関係の調整、打開に努力をいたしておるわけでございますので、そういった性急な行動に出られることのないように希望いたしておるわけです。
○向井長年君 希望はいいのですが、それに対する今まで日本の海上保安ですか、こういうところにおいての、いわゆるこれに対する警備、警護ですね、この点について万遺漏なくやっておるかどうか、こういう点が過去におきましても、そういう日本の保安部の警備艇の中においても、これが拿捕された、こういう実例があるわけです。したがって、みずから自衛の立場をとらなければならぬというような積極的な行動に出てくるゆえんのものは、わが国のそれに対するところの警備というものが非常に緩慢である、こういうところに原因しているので、この点あわせてひとつ御答弁を願いたいと思います。今後の態度。
○国務大臣(大平正芳君) 警備当局のほうには、十分周到な用意をもって臨まれるように要請いたしたいと思います。
○田畑金光君 私は時間の関係もありますので、次に沖繩の問題について若干お尋ねしたいと思いますが、最初に外務大臣にお尋ねします。 ちょうどきょう三月十九日は、ケネディ大統領の沖繩新政策が発表されて一年目に当ります。同じ日に、昨年のきょう、当時の大平官房長官は、自治の拡大、民生福祉の向上について、わが国政府、国民の要望が大幅にいれられたものとして非常に歓迎の談話を発表されたわけでありますが、経済援助、民生向上の以外に、具体的に対沖繩の政策についてどういう新たなものがこの一年間に加わったのか、それをお尋ねしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 沖繩の民生福祉の向上につきましては、日本政府各省の御協力を得まして、大幅な前進を見ましたことは田畑んさも御承知のとおりでございます。アメリカ側におきましても、当初政府が提案いたしました沖繩援助費が国会におきまして削減を懸念いたしましたけれども、しかし日本政府と同様に、対沖繩援助は大幅な増額を見たことも御案内のとおりでございます。それと同時に、わが国におきましても、沖繩に大幅な援助をいたしまする上におきまして、専門家を三回にわたりまして現地に派遣いたしまして、沖繩の事情をつぶさに調査させていただいたわけでございまして、そういう知識を基礎にいたしまして、有効な沖繩援助をやろうということで進んで参った次第でございます。一方日米の間におきましては、東京に協議会を作り、現地に技術委員会を作りまして、日米双方が見解を調整して有効な援助をやろうというお話し合いになりまして、目下その人選中であるわけでございます。そういう対沖繩援助の基礎固めというようなことで、過去一年間相当の進展を見たと私どもは考えております。
○田畑金光君 今の御答弁にありましたように、日米の協議会、あるいは現地には日米琉技術委員会が設置されるというお話ですが、なぜ一年間もこの協議会の設置がこのように延び延びになってきたのか。ほんとうに今度は具体的に発足できる段階まで話し合いができておるのかどうか、その点ひとつお尋ねいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 日本政府の予算編成、先方のプライス法改正案の国会審議等の事情がございまして、できるだけ早く発足させたいという希望を持っておりましたが、御指摘のように若干おくれておりますけれども、今せっかく人選がまとまりかけておりまするし、関係各省の協議も一、二点を除きまして大体まとまって参りましたので、遠からずこれは発足できるものと考えております。
○田畑金光君 三月九日、この委員会でわが党の永末委員が例の五日の金門クラブにおけるキャラウエー高等弁務官の発言について「非難に値しないという場合には、政府は強くアメリカ側に抗議をする意思があるかどうか、」と総理に尋ねたところが、総理は「もちろん調査いたしまして、事実無根であったり何かしたら抗議をする、あるいは反省を促すことは当然でございます。」と答えているわけです。その後キャラウェー発言について、政府は事実調査をなされたと思いますが、どのように見られておりますか。
○政府委員(徳安實藏君) ただいまの御質問にお答えいたします。高等弁務官の発言に対しまして、先般この委員会でも、御質問がございました。政府はすぐに沖繩の出先機関に対しましてその調査を命じたわけでございますが、順次その内容につきまして報告がきております。その内容等につきましては、事務当局から御説明さしたいと思いますが、要するに両方とも、何か聞いておりますと言い分があるようでございまして、日本政府といたしましては、今直ちにどちらにどういう歩があるとか、どっちが悪い、いいということが言いかねるような状態のものでございますので、まだ勧告とか、あるいは反省を求めるような措置には出ておりません。必要でございますれば、その内容等につきまして御報告いたしたいと思います。
○田畑金光君 私も内容全部読んで質問しているわけで、今さら内容の説明を聞かなくてもよくわかっているわけです。ただ池田総理も事実を調査して、その中で当を得てない面があれば抗議する、あるいは反省を求めることもやぶさかでないと言われた炉、あなた方は、全部弁務官のあの話は無理からぬことだと、こう一方的に判断されたわけですか。
○政府委員(徳安實藏君) 高等弁務官の演説内容でございますが、一部にはいろいろ曲解もされているようでありますけれども、正しく認識いたしますれば、自分の育てている子供に忠告をしたというような意味合いでされたようでございまするし、また受けましたほうも、やはり報告を聞きますというと、多少言い分もあるようでございますので、別に今政府のほうであらためてこの問題について、事荒々しい処置をすることは適当でないと実は考えまして、ただいままだその処置には出ていないわけでございます。
○田畑金光君 弁務官演説の中で、たとえば立法方法も非難されている面があるわけです。その実例として医療法案、保険法案が例示されておりますが、これに対しまして立法院の議長の長嶺秋夫氏は、長文の反駁論文を現地の新聞に載せておりまして、だんだん弁務官の非難に対し反駁しているわけです。要するにこの二つの法律については、本土法、すなわち日本の法律をも十分検討し、日本の法律にならってこうすることが医療の大衆化をはかり、労働者の労働災害補償について全きを期することができるという前提でわれわれは立法措置を考えたが、これが反対をされた、こう言っている、堂堂と反駁しているのです。こういうふうなことについて、何ですか、もっともだと、親心だと、こういうような注意として皆さんは受けているわけですか、どうですか。
○政府委員(徳安實藏君) 高等弁務官の演説に対しまして副主席等から、あるいは立法院の議長等から意見が、あるいは反駁等が一部出ておりますことも承知はいたしております。その反駁に対して、私ども日本政府がもっともだといって買って出るべき性格のものでであるかどうかというような問題につきましては、きわめて慎重な態度が必要であると考えます。なおその判断等につきましても、考える人と、見る人によりましては相当の違いがあると思いますが、政府といたしましては、今申し上げましたように、この問題に深く、どちらがいいとか悪いとか言って、肩を持って出るような処置に出ることは今のところ妥当でないと、かように考えまして、事態を見守っているわけでございますが、一方のこうした反論に対しまして、政府の見方等に対しまする考え方がもし必要でございましたら、事務的に書類にとっておりますから、お答えいたしたいと思います。
○田畑金光君 あの演説の内容を見ますと、施政権下においては自治の拡大は不可能だという前提に立っておるわけです。私たちは、施政権のもとにおいても自治権の拡大は可能だという判断で国会でも議論しておりますが、大平外務大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 沖繩がアメリカの施政権のもとにある、したがいまして、沖繩における自治はそのワク内においてあるのだということは当然のことだと思うわけでございまして、この前の委員会で私もお答えいたしましたように、無制限の自治というようなものは本来考えられないのじゃないか。そうして自治を主張いたします場合には、やはりその主張するほうの側に、自治に耐える責任、能力というものをちゃんとふまえて、ちゃんと確立していくべきものである、そういう意味において高等弁務官は言及されたものと考えます。
○田畑金光君 私のお尋ねしておりますのは、施政権のもとにあっても、自治権の拡大ということは当然考えられるし、努力すべきであるし、政府も努力してきたと今まで答弁されておるが、その点はどうですかと聞いておるわけです。
○国務大臣(大平正芳君) それはあなたが先ほど御指摘の三月十九日のケネディ声明におきましても、アメリカ側が留保する必要のない権限は、すみやかに移していくように関係者の間で検討を進めるべきであるといわれておるわけでありまして、琉球政府が自治に耐えると、そうしてアメリカが留保する必要がないというものにつきましては、自治権の拡大はあり得るものと私は考えております。
○田畑金光君 キャラウエー発言の中には、立法府あるいは行政府、琉球政府の能力と責任の自覚がない、だから権限移譲、機能の移譲はできぬ、こういう前提に立っておりますが、そこで、政府は人的交流等を通じ、公務員の能力向上に資しようというお考えがございますが、この点はどうでございますか、近く徳安総務長官も現地に参っていろいろ話をしてくると新聞等では報道されておりますが、その点はどうですか。
○政府委員(徳安實藏君) 先ほど外務大臣が御説明されましたように、施政権がアメリカ側にあります関係から、日本偶が進んであまり深くものごとに介入することもいかがかと考えるわけでございますが、先ほどお話がございましたようないろいろな施策の上において満足できないような点がありまして、そこで、アメリカ側が自分の施政権をお持ちになっておるのでありますから、力一ぱいこれを指導し、援助されることはもちろんあたりまえだと思います。そこで、私どもも望むらくはそれを望むわけでありますが、もし先方のほうで日本の力を借りたいというような御意向がありますれば、人事交流等におきまして御援助いたしたいという気持をもって、ときに触れてその話はいたしておりますが、今のその問題について、先方から日本のほうに、力が足らないから日本のほうから人を寄こせという段階には至っておりません。できるだけ日本のほうでも予算を多額に入れておるわけでありますから、この施行等にあたりましてむだがないように適正を期するためには、琉球政府が完全な機能を発揮し得るような、またアメリカから参りましたものを十二分に消化し得るような機能を持つことが必要でございますので、そうした点について、もしアメリカ側で欠けるところがあるというお考えがあって、日本のほうに協力を求められる場合には、日本のほうでは進んで協力してよろしい、こういうふうに考えておるわけであります。
○田畑金光君 外務大臣にお尋ねいたしますが、この第二次世界大戦の結果、沖繩のような地位に置かれている事例があるのかどうか。南洋群島やあるいはその他の委任地域、信託地域や、自治領地域のように低開発地域には信託統治地域なんというものがあるようでございますが、しかし経済、文化、教育の面において高い水準を持ち、人口九十万を持つ沖繩のようなところが、第二次世界大戦の結果、ああいう地位に置かれているところがあるのかどうか、事例があったらひとつ教えてもらいたいと思います。
○政府委員(中川融君) 第二次戦争の結果、いわゆる連合国から見まして旧敵国と称せられる国から分離されました地域で、沖繩のように信託統治に付せられる場合にはそれに同意する、そういうことが実現するまではこの連合国の一つが立法司法行政の三権を行使する、こういうような制度のもとに置かれた地域は沖繩だけでございます。
○田畑金光君 そこで私は外務大臣にお尋ねいたしますが、平和条約第三条は、信託統治制度のもとに置くということが主目的であり、アメリカの施政権の行使は暫定措置として認められておるわけです。暫定措置であるからして、施政権者としては強い権限が与えられ、国連の監督も何も受けないことになっておるわけです。したがって、第三条前段の趣旨が事情変更によって大きく実現ができなくなった今日の事情におきましては、当然暫定措置についてこれを何らか改定するという努力は当然とられてしかるべきだと私は考えますが、この点についてどう外務大臣は考えておられるか。 ことに第三条は、外務大臣いいですか。第三条は初めから信託統治制度のもとに置くことはできぬということを計算済みでやっているわけで、アメリカの考えていたのは、おそらく後段の暫定措置を恒久化する、そもそも初めからそんなねらいでやっていたのだと私たちは見るわけです。かりに前段を読むならば、信託統治と、こういわれておりますが、今も条約局長のお話がありましたように、国連憲章の第七十六条を見れば信託統治の目的というものがはっきりうたわれておるわけで、沖繩のような場合は明らかにこれには当てはまらぬわけです。したがって、私はこの際条約第三条の精神に基づいて暫定措置としての施政権問題については再検討すべき時期に来ておると、こう考えておるが、外務大臣の所見を承っておきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 条約解釈問題でございますので、条約局長から説明いたさせます。
○政府委員(中川融君) ただいま御指摘のような御意見もあるのでございますが、政府といたしましては、やはり条約三条の規定いたしますところは、あそこに書いてあるとおり信託統治が行なわれればそれに同意する、このようなことが実現するまではアメリカの立法司法行政の三権を認めるということでございまして、したがって、まだ信託統治が行なわれるに至っておりません以上、やはりアメリカの立法司法行政の三権が引き続いて行なわれるということが条約上の規定からしてやはりこれは当然の結果であろうと思うのでございます。ただいまこれを改定するというようなことは考えていないわけでございます。
○田畑金光君 ちょっと一言断わっておきます。防衛庁長官並びに労働大臣に質問の通告をしておきましたが、時間の関係もありますので、後日また適当な機会に質問することにいたします。
○杉原荒太君 関連。ただいまの田畑委員の御質問に関連しまして、ただ一つだけ簡単にお尋ねをいたしたいと思います。それは占領軍の権力に関する戦時法上の限界のうち、私有財産尊重のいわゆる原則に関してであります。この点についてヘーグ条約が結ばれた当時、実際に国際間に行なわれておった慣行を取り入れてあの規定になっておるのであります。そして古い国際法の教科書などには、あれが国際法のルールということで書いているのがあるのでありますが、その後の実際を見ますというと、第一次大戦、ベルサイユ条約、また第二次大戦もそうでありますが、実際に国際間に行なわれておる慣行というものは、非常な大きな変動を来たしております。そこで今日一体私有財産に関する国際法のルールは何であるかという点は簡単に言い切れないものがあるんじゃないか、割り切れぬものがあるんじゃないか、という疑いを私はかねて持っております。そこでお尋ねをするわけでありますが、一体今日ユニバーサルな国際法のルールとして、一体いわゆる私有財産尊重ということは完全に確立しておると解しておられるのかどうか。 またヘーグの条約の締約国間においてヘーグ条約の規定は終戦処理のための、たとえばわが国の場合降伏文書などのような一種の国際約束また平和条約のような国際条約の規定をオーバーライドする一体効力があると解するのかどうか。 さらにまた第二次大戦以前の戦争形態のもとにおける古い形態の占領と違って、第二次大戦後の、ことに日本の場合は降伏文書というようなものが一つあるのですから、それに基づいての新しい型の占領の場合にも、古典的ないわゆる占領の場合を予想したヘーグ条約の規定というものが、そのまま完全に一体適用されるのかどうか。 なお最後に念のためお尋ねをしておきますが、ヘーグの陸戦法規に関する条約について、アメリカは一体締約の当事国となっておるかどうか。その四点をお尋ねいたします。
○政府委員(中川融君) ただいま杉原委員のお尋ねの点でございますが、先ほどの私の答弁で申し上げたとおり、いわゆるヘーグ陸戦法規ができました当時は、戦争の遂行中における比較的短期間の占領でございまして、その占領にあたっての順守すべきルールをきめたものでございます。その後、第一次大戦があり、さらに第二次大戦がありまして、その戦後処理にあたりましては、ベルサイユ条約におきまして、あるいは今次の戦後のイタリア、日本あるいは西独についての平和処理につきましても、私有財産尊重の原則というものは相当大幅に侵蝕されているわけでございます。したがってこの私有財産尊重というルールは、確立された国際法上のルールとしていわゆる戦後処理に当てはまるものとして存在するかどうかということにつきましては、実際慣行上は相当疑問ありと言わざるを得ないと思うのでございます。しかしながら、同時に今次戦争にあたりましても、戦闘行為それ自体につきましては、やはりヘーグの陸戦法規というものが、一つの大きな準則になっていることは、これはまた事実でございます。ヘーグ陸戦法規というものは、主として軍事行動中のルールとしては今言ったように確立されているけれども、戦後処理の扱い方としては必ずしもあのとおりにいっていない事例のほうがむしろ普通になてきている、こう見ざるを得ないのであります。 なお、アメリカについての御質問でございますが、アメリカも陸戦法規につきましては、これを順守するという立場をとっておりまして、現にマッカーサー司令官に対する訓令の中で、陸戦法規を順守すべしということがございまして、マッカーサー司令官もその旨の訓令を摩下の部隊に出しております。しかしながら、この平和処理に関する分、韓国等の財産権あるいは在外資産等につきましては、別にまた大統領から直接の命令が出ているわけでございまして、したがって最近の慣行は、大体杉原委員の御指摘になっているように考えております。
○委員長(木内四郎君) 田畑委員の質疑は終局いたしました。 暫時休憩いたします。 午前十一時二十五分休憩 ―――――・――――― 午後一時十二分開会
○委員長(木内四郎君) これより予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。 先刻の杉原委員の関連質問に対し答弁漏れがありますので、この際、条約局長から補足答弁を願います。
○政府委員(中川融君) 先ほどの杉原委員の御質問に対して答弁が漏れましたので、つけ加えて答弁さしていただきます。 アメリカはヘーグの陸戦法規に一九〇九年加盟しております。
○委員長(木内四郎君) 杉原委員よろしゅうございますか……。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) それでは鈴木強君。
○鈴木強君 官房長官にお伺いしますが、今国会に提出を予定しております法締案のうち、まだ未提出になっている法律案がたくさんあると思いますが、大体いつごろまでに御提出のめどが立っておりますか。
○政府委員(黒金泰美君) 鈴木さんのお尋ねの点でございますが、今度の国会に提出を予定しておりましたものが百八十二件ございます。そのうち予算関係の法案が九十四件になりますが、きょうまでに提出済みのものが、今申し上げた百八十二件のうち百四十七件でございます。で予算関係のものは御承知のように二月二十三日に全部提出済みになっております。したがいまして、未提出のものが残り三十五件ございまして、まあだいぶ残っておいて、はなはだ恐縮ではございますが、これにつきましては、できるだけ三月中に提出をするように関係方面を督励いたしております。なお、今われわれが心づもりにしておりますものは、ここ一両日中に出せますものが一件、二十二日の閣議で決定を予定しておりますものが七件、二十六日の閣議で決定を予定しておりますものが五件、二十九日の閣議決定を予定しておりますものが十五件ございます。残りの七件は実はまだ未定なのであります。こんなような状況で恐縮でございますが、できるだけ急ぎますので御審議願いたいと思います。
○鈴木強君 非常に政府の提案がおくれているために、国会の審議との関係で問題が出てくると思うのですが、宮居長官は、ことしのこれからの国会の見通しの中で、はたして十分に五月二十二日までの会期中に審議ができると思われますか、何か対策は立てておりますか。
○政府委員(黒金泰美君) 今申し上げましたとおりで、例年に比べますればそれほど悪い提出率でもないのでございますけれども、しかし、何分にもまだ三十五件も残っておりますことは事実でございまして、まあできます限り早く提出いたしますので、国会のほうにおかれましても、どうか御審議賜わりたいとお願いする次第であります。
○鈴木強君 御審議を賜わりたいと言ったって、提出時期がおそくなれば審議ができないのですから、ちょっと矛盾を感じませんか。
○政府委員(黒金泰美君) 仰せのとおりでございますから、できるだけ急いで提出をいたします。
○鈴木強君 そうすると政府のほうでは今国会中に、今言っているその方針で進んでいるわけですね。
○政府委員(黒金泰美君) できます限り早く出しまして御審議をお願い、成立をお願いいたしたいと思います。実際問題として、非常におくれますようでしたらば、われわれのほうの提出も、まあやめると申しましょうか、やめていかなければならぬ場合も起こりましょうし、今申し上げたように、今月一ぱいには残りの三十五件ほとんど全部出したいと思っておりますけれども、状況によっては、整理しなければならぬ場合もあるかもしれぬ、できるだけ早く出しますので、御審議のほどをお願いしたいと思います。
○鈴木強君 次に、宮内庁の長官にお尋ねをいたしますが、先般ある雑誌に、小山さんの掲載をしておりました小説、「美智子さま」という小説が掲載されておったのでありますが、それに対して、宮内庁のほうから中止をしていただきたいという御要望があったそうでございますが、一体これはどこが宮内庁の気にさわったのでございますか。
○説明員(宇佐美毅君) ただいまお尋ねのございました点につきまして、その経過から申し上げて私どもの考え方も申し上げたいと存じます。 問題になりました小説は、実はある雑誌におきまして二十六年の初めから連載をいたしているのでございますが、最近同じ会社の週刊誌におきまして、二月二十三日の浩宮様のお誕生の特集号といたしまして発行されましたものに大部分のものを再録いたしたものでございます。この小説は、小説ということでございまするけれども、事実を追って書いたといわれているのでございまして、いわゆる実名小説というものにつきましては、われわれは全体としてあまり歓迎しない態度でございます。初め書かれるときに、宮内庁のある係りに見えたことがございまして、そのときに、そういう実名小説を書かれることにつきましては遠慮を願いたいということをお話しをいたしたのでありますが、毎月連載されるに至ったわけで、そこでわれわれといたしましても経過を見ておったのでございます。この小説が、小説という名におきながら実際を書いたという立場をとっておりまして、いわゆる語録的な感じを与えておるわけであります。その中にいろいろ事実と違い、あるいは事実が曲がって述べられておる、あるいは相当の私的な点に深く入り過ぎるという点がございまして、われわれは、こういう出版、言論に対しましては慎重な態度で見ておったのでございますが、最近におきまして、放置しておきましては、いろいろな世間に誤解も与え、また皇室の方々に御迷惑もかかるという判断をいたしまして、出版社に対しましてこの掲載を中止し、これを一本にまとめて発行することを遠慮願いたいということを申し入れたわけであります。こういう点につきまして、出版社のほうも検討の結果、これを了承されまして、そういう措置をとるということに回答をいただいたわけでございます。私どもといたしましては、さらにこれを雑誌協会というのがございますので、そのほうの理事会のほうにも関係のものが出まして経過を説明して、今後においてもそういう点についての了承を願ったのでありますが、幸いに理事会といたしましては、それを全部了承されまして、近く総会にも話をするということでございます。私どもは、皇室に関する問題は、いわゆる天皇制でございますとか、皇室制度というものがまじめに論議されることにつきまして何も言うことはございません。これは当然なことだと考えております。ただ、非常に興味本位、あるいは営利のにおいがするような報道、あるいは写真報道というものに対しましては、やはり一定の限界を、良識のある限界を保ってもらいたいといういう考えを持つわけでございます。一々こまかく事実に違うとか、あるいは若干の相違というものをこまかくほじくる気はございません。昨年度来私どもは個々に対する問題よりも、そういった雑誌協会等におきまして、そういう点をよく考えていただいて、そういう少さなことでも積み重なりますと間違った判断を読者に与えるということも出て参りますし、私どもは、もう一つ皇室の方々は特殊な地位におられますから、われわれは私人よりもいわゆる私的な問題についても報道されるのは、ある点においてはやむを得ませんけれども、しかし、やはりある一定の線というのは守るのはお互いの生活においても当然ではないかと考えるわけであります。そういうふうに発行されまして二年もたってどうかという御批評もあろうかと思いますが、われわれとしては、きわめて慎重に推移を見守り、そしてこの事件を解決すればよいというのではなく、今後において世論の動きも十分見きわめ、社会全体がこういう問題について理解ある態度をとっていただくように願うことを、むしろ本願として今回のことをいたしたわけでございます。
○鈴木強君 長官の御説明でよくわかりました。ただ私が心配するのは、長官もお述べになっておりましたように、世論がこれをどう見るかというところにあると思うのです。一面には言論の自由とか表現の自由とかいうことがございます。一面には、今、長官のお述べになったような点がございます。したがって、これをどういうふうに調整していくかということが今後の問題であると思います。私はこの小説を書かれる前に、すでに事前にお話があったということを聞きましてまたよくわかりましたので、少なくとも昭和三十六年の一月号から掲載されて今日に至っているのですから、その過程において、そういう論及すべき筋書を作者は持っていたと思います。ですから、そういうことがもう少し当初早目にお話し合いの機会があったらよかったんじゃないかという気がいたします。それはともかくとして、私はこの点を聞きたいのです。雑誌社のほうにお話をしておやりになったそうですが、むしろ作者ともじっくりあなたのほうでお話をするような措置をとったほうがよかったんじゃないかと私は思うのですね。こういう点についてはおやりになったのでございましょうか。私ども聞いておる範囲では、社のほうとお話をして掲載を中止する、それからまとめた発行はやらない、こういうことで、社のほうで了承したそうでございますけれども、その点はいかがでございますか。
○説明員(宇佐美毅君) ただいま御質問にございましたとおりに、言論の自由を尊重すべきことはもちろんでございます。しかし、自由というものは、やはり社会におきましては他人の自由、権利を侵害してもいいとは考えませんので、しかし、その限界はお話のとおり非常にむずかしい問題でございまして、私どもも今後におきましても、簡単にただ抗議すればいいというような態度は持ちたくないと考えております。この問題につきましても、まあ作者に対しましては直接にいたしておりません。出版社を通じて、出版社から作者に話していただくようにお願いいたしました。要するに、一つの文章を雑誌に公表をし、あるいはその他に公表をする、要するに、社会に公表されるという点において第一に問題がある、問題が出てくるわけであります。そういう点からお話は直接はまだいたしておりません。おそらくはこういうことにつきまして、作者自身も将来においてお考えいただけるものと私どもは期待をいたしておるわけでございまして、ただ将来のことはわかりませんが、まあそういう気持で、ただ抗議すればいいということでなく、これが効果を上げ世論においても反省をしていただくという点において私どもはむしろ重点を置いたわけでございます。お説の点は、今まで少しそういう懇談がおそかったじゃないかという御指摘は、確かにそうでございますが、私どもはただ小さな欠点を拾い上げるということでなく、全体として慎重にいたしたつもりでございますが、今回の問題につきましては、よき参考としてわれわれも反省すべき点は反省して、そしてある場合にはやはりきぜんたる態度でいきたいというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木強君 この問題に関係があると思いますが、いろいろと世間では、宮内庁がこの不敬罪などの法律の復活を考えているのじゃないかとか、そういうようなわさも聞くのですけれども、そういうことに対する長官の御所心と、それから時間の関係で、たびたびお立ち願うのは恐縮ですから、もう一つお伺いしたいのは、義宮様の御結婚のことですが、非常に国民は関心を持っておると思います。私はこの予算との関連でお聞きしたいのですが、もし御結婚が行なわれることになった場合に、予算的にはどういう措置をとられるのでございますか。その点もひとつお答えいただきたいと思います。
○説明員(宇佐美毅君) 不敬罪に関する私の意見をお尋ねでございますが、この前一つの事件がございまして、国民的にそういう要望が非常に高まっておるということは私も十分承知しておりまして、これは今後の一つの高度の政策の問題になりますので、私がこの席において意見を申し上げることは差し控えさしていただきたいと考えております。ただ、私どもは、よき社会慣習ができて、そういうものが必要でなければ一番いいと考えておる次第でございます。 もう一つは、義宮様の件でございますが、義宮様が御年令から申しまして御結婚の時期は迫っておると私ども考えていろいろ御準備をいたしておるわけでございますが、まだ具体的な結論が出るまでに至っておりません。時期もはっきりいたしませんので、予算的には現在の予算には何ら計上されておりまん。ただ今回の予算におきましては、新しい皇居を作りますために、現在お住まいになっておりますところをどうしても移転しなけりゃなりません。御移転先は、一応もと皇太子殿下がお住まいでございました常磐松御用邸に、この秋くらいからお引越しを願いたいということで、若干の修理費をお願いを申し上げておる次第でございます。
○鈴木強君 次に、大蔵大臣に承りますが、きょうの新聞を見ると、あなたのほうでは公定歩合を一厘ほど今月中に引き下げるというような御方針のようですけれども、その理由と、さらに秋前にもう一度一厘引き下げるというような御構想を持っておるようでございますが、この点についてお答えいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 公定歩合の問題は、御承知のとおり金融の情勢を見まして、広範な立場で日本銀行の総裁が行なうものでございまして、現在までの間において新聞に報道せらておるような、今月中に一厘引き下げるというような具体的な問題について合意をいたしておりません。
○鈴木強君 そうしますと、けさほどの新聞は大臣もお読みになったと思いますけれども、あれは真実と違うということでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 新聞が違うということを申し上げておるわけではございませんが、公定歩合の問題は、もう普通の国ですと事情によって間髪を入れず行なわれるのでございますが、御承知のとおり、戦後は日本銀行の総裁の固有の権限ではありますが、政策委員という制度もございますし、政策委員を呼び出すとか、一体、政策委員が欠員の場合、補充するのかしないのか、補充を急いでおれば公定歩合が早いのじゃないか、補充を急がなければまだやらないな、こういうふうないろいろ各国に例を見ないほど、これらの問題に対しては細大漏らさず報道せられておるようでございます。これはまあ新しい社会制度の中で活発に議論をせられておるわけでありますが、先年の十一月に公定歩合の引き下げをいたしましたときから来年の三月の尻を見て、十五、六億ドル以上になれば二厘を引き下げるだろうとか、十二月にもう一厘引き下げようといっておったらしいのだけれども、引き下げないから、もう一月二月と待っておったけれども引き下げないできておろから、三月の末か四月には引き下げるのだろうというようなことを、まあきょうの朝刊に出ておることだけではなく、ずっとこの問題は去年の十月ごろから引き続いて間断なく報道せられておる問題でございますので、まあ相当な経済的な面、金融の面等、データを積み重ねて報道をせられておるものと思いますが、大蔵省としては、先ほど申し上げたとおりでございまして、この問題に対して決定はいたしておりません。
○鈴木強君 大蔵大臣は、この日本の金利が国際水準から見て非常に高い、そういうふうにお考えだと思うのですね。したがって、そこにさや寄せをして、できるだけ近ずけていこうという、そういう考え方、思想をもってやっておるということは、これは間違いないでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 三十八年度予算案を提出いたすに際しまして、総理大臣が施政方針演説でも申し上げましたとおり、八条国移行、自由化に対処して国際金利にさや寄せをするように金融環境の整備を急いでおるということは事実でございます。
○鈴木強君 それから預金金利の問題については、あなたはどう思いますか。
○国務大臣(田中角榮君) 貸付金利が高いのでありまして預金利金そのもの外国と比べては低くありません。低くないということは、高いということでございます。でありますが、貸付金利が高いというのは一体何で高いのかということを端的に申し上げると、需要、供給の問題で、需要のほうが非常に強い場合は金利が高くなるということでございますので、金融環境の整備を急いでおるわけでございます。預金金利につきましては、前から申し上げておりますが、貸出金利を下げる場合、当然、預金金利を下げなければ貸出金利が下がらないわけであります。現在の状態で合理化によりコール等が下がるというような、また日銀の買いオペレーションの制度によりまして金融がゆるんでおるというような状況で、合理化の結果、貸出金利を下げ得る程度がどの程度であるかということは、金融機関自体としては十分検討いたしておりますし、大蔵省でもそのような問題に対しては検討いたしております。しかし、どこまでも預金金利を下げないで貸出金利を下げるということは、理屈にならないわけでございます。しかし、二面において貯蓄増強ということをやっておりますし、そのためには御批判を受けながらも、税制上の特別措置さえもやっておるのでございますので、預金金利の引き下げという問題に対しては、ただ貸出金利を下げるから自動的に下げるのだというように、端的に割り切るべきものではないというような考えに立っております。
○鈴木強君 大蔵大臣はちょっとお預けをしまして建設大臣……。
○羽生三七君 ちょっと関連。今の鈴木委員の質問に直接関連はないのですが、たまたま銀行あるいは公定歩合の問題が出たので、間接的なことですが、アメリカの連邦銀行あるいはイギリスのイングランド銀行等とスワップ協定を結ばれるかどうか、その点をお伺いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 戦後、各国の中央銀行間でスワップ協定を結んでおりますし、またアメリカ側からもそのような意見がございました。この問題に対しましては、世銀を中心にし、またIMF等を中心にしまして、これら主要十カ国というような、いわゆる共同の責任で自由化を行ない、差別待遇を排除し、ガット三十五条の援用の撤回等、あらゆる角度からお互いが協力し合う、そうして財政金融、貿易経済一面にわたってお互いが調整機能を遺憾なく発揮しようというような立場において、各国間においてスワップ協定を行ないたいということが議題になっておりますので、大蔵省としても、この問題に対して現在検討をいたしておる段階でございます。
○鈴木強君 次に建設大臣にお尋ねをいたします。道路整備五カ年計画の建設資金は揮発油税に相当依存していると思われるのでありますが、このことが勢い地方財政のほうを圧迫するのじゃないかという懸念がございます。この点について大臣はどのようにお考えでございましょうか。それからもう一つは、既定五カ年計画を、輸送量とか交通量が非常に増加しておりますので、修正をするというようなお考え方はございますか、どうですか。
○国務大臣(河野一郎君) お話のように最近非常に輸送量が増加いたして参りました。したがいまして、明年度かから新たに五カ年計画を再編成して、そうして大幅に建設を急いで参りたい。
○鈴木強君 資金的な点……。
○国務大臣(河野一郎君) 資金につきましては、御承知のとおりだいぶふやしておりますが、これは一面に通路公債というようなお話もありますけれども、私はそういうことを考えておりませんで、なるべく財務当局からお世話願いまして、ことしあたりのように外資を導入するとか、財政投融資の大幅の繰り入れとかいうようなことをやって参りたい。どうしてもいけなければ、道路公債発行というようなことになるだろうと思いますが、そこらのところは大蔵大臣のほうから正確な御答弁があると思います。
○鈴木強君 問題は、輸出量がふえるし、交通量がふえるし、できるだけ道路を拡充していこうということは、これはだれも異存ないところでしょう。しかし、そのためには相当な予算が必要になるわけですから、そこに一つの悩みが出てくると思いますが、今の建設大臣のお考えはお考えとして私たちわかりました。ただ、その裏づけになるのは、これはやはり資金の問題であるし、お説のように、さらに大蔵省関係の点もやはり考えておかぬと、ただ拡大修正するというだけが能じゃないと思うんですね。裏づけのある資金計画を立てた上で計画を立てるということが私は当然のことだと思います。そういう場合に五カ年計画を建設省のほうでは修正をしていこうということを考えておるようですけれども、その際、当然、大蔵省にも御相談があると思うんですね、資金的な問題については。大蔵大臣としては今にわかにお答えいただけないかもわかませんけれども、やはりそういう方向については、建設大臣の言われるような点をお認めになって、支援しようとするようなお考えでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 道路五カ年計画につきましては、現在五カ年計画どおり、五カ年間に二兆一千億案を進めておるわけでございますが、三十八年度予算要求の当時から、与党である自由民主党でも五カ年計画の改訂案につきまして強い要求がありますことはそのとおりでございます。まあ三十九年度には道路整備五カ年計画を改訂しなければならないというような機運にありますことは、そのまま認めているわけでございます。しかし、この財源につきましては、本年は、今、建設大臣が申し述べられましたように、国債、外貨債をもってまかなっておりますものを、世銀からの借り入れ七千五百万ドルの問題もございますし、まあ財政投融資その他財源の確保に十分留意をして参り、当然五カ年計画が改訂せられればその財源は裏打ちする必要がございます。現在の二兆一千億の財源につきましても、当該年度のガソリン税収入で相当額を計上するようになっておりますので、当然五カ年計画の裏づけ財源というものは確保してかかるべきであるということを考えております。しかし、改訂五カ年計画の中でもってどう分類するかという問題がございます。これは今のように東京、大阪、大きな都市の非常にメーター当たりの単価のかかるところを全部直轄でやらなければならないのか、環状八号線のような都市周辺だけを国が現在のような状態でやって、中は別の財源をもって地方公共団体がやるようにするのか、その裏づけをどうするのか、その場合、地方債は出すのか、これは非常に問題がたくさんありますので、当然起こり得る問題に対処してこれらの問題を検討をいたしておりますが、国債として発行してなければならないというような結論は出しておりません。
○鈴木強君 もう一つ建設大臣にお尋ねしますが、すでにお骨折りをいただいております中央自動車道のうちで東京-富士吉田間の第一期工事はすでに着工していただいております。非常にありがたいわけでありますが、第一期工事の終点にインターチェンジを作る計画を持っておりますが、二級国道の甲府-古田線の中間の赤坂というところを予定せられているようですけれども、ここは非常に人家が密集しておりますし、何か聞くところによりますと、坪単価も、土地が高いと聞いておるのです。したがって、山梨県の県当局のほうで、さらに六百メートルばかり先に延ばしていただいて、剣丸尾という県有地でございますが、そこへインターチェンジを作っていただくという要請を建設当局にしていると思いますけれども、これについて変更に応じられるような見通しでございましょうか。
○国務大臣(河野一郎君) 御承知のように、インターチェンジは非常に広い土地を必要としますので、なるべくそういう人家がチ密しているとこは適当でございません。なるべく県有地であるとか、その他、地価の安いところがあれば、多少のズレはありましても私はそのほうがいいと思います。
○鈴木強君 次に、三公社の総裁と、大蔵、運輸、郵政、それと行政管理庁の長官にお尋ねをいたします。 まず、三公社の経営について、たとえば予算的な問題、経営の能率的な問題について、総裁と各大臣は、現行の公社経営というものはそれでいいというふうに御判断をなさっておらぬと思うのですよ。したがって、今までの経験に徴して、今申し上げましたような点について今日どうお考えになっておりますか。ぜひこれは一つお聞かせいただきたいと思うのです。
○説明員(十河信二君) 国鉄は公共企業体として昭和二十四年に改組せられたのでありますが、その後いろいろな審議会ができまして、各方面からいろいろ審議をせられて、いろいろな問題が出ておりまして、そのうち審議会の意見に従って改めたものもありますし、今日なお検討中のものもあります。今日の公社のあり方について、一体、公社でいいのかどうか、企業性というものと公共性というものとを一体どう調整すべきか、これが一番大きな問題でありまして、この問題はどういうふうに調整したらいいかということはなかなかむずかしい問題であります。これは審議会で御意見が出ましたところによりまして、ただいまも諮問委員会というものができておりまして、この諮問委員会にかけて今検討しておるところでありまして、それがまあ一番大きな問題だと思います。
○説明員(大橋八郎君) お答え申し上げます。電電公社の立場として、現在の制度その他について満足しているかというお尋ねかと存じますが、いろいろこまかく検討すると、いろいろ希望その他のことは考えられるのでありますが、公社になった後の仕事のことと官営時代のことを比較して考えますと、まず、大体において公社になったときに予期せられた程度のよさというものは現われておるかと私は考えております。仕事をやる上においては、確かに官営時代よりも私たちの立場からいいますと、仕事はやりよくなっているということだけは申し上げてよかろうと思います。ただ、現在が非常に完全であるかといわれますと、またいろいろ考え方によりまして、いろいろな点で希望を申し述べたい点もありますし、まだこの点をこうしろ、あの点をこうしろという具体的な点まで熟しているわけではありませんから、この場合にどういう点を希望するかということを申し上げることは差し控えたいと思います。
○委員長(木内四郎君) 専売公社の総裁はオリンピック委員会のほうに出席してこちらにおられませんが、管理部長でようございますか。
○鈴木強君 ええ。
○説明員(山口竜夫君) 専売公社につきましては、そういうような問題に関しましても専売制度調査会から答申がございまして、その趣旨で申し上げますと、現行の予算制度の上でも相当の弾力性を与えられているので、その中で改善に努力するのがまず第一であるというような御答申でございまして、現在の制度の中で努力をするということで努力して参っております。 根本的な問題につきましては、ただいま委員長からもお話がございましたように、総裁が見えておちませんので、私から申し上げるのは不適当かと思います。
○鈴木強君 じゃ、監督している大臣からひとつ伺っておきます。
○国務大臣(綾部健太郎君) 国鉄を監督いたしております運輸大臣としてお答え申し上げます。 国鉄に対しましては、予算、決算、重要工事の施行、重要財産の処分等、重要問題については運輸省の趣旨によってやっておりますが、それ以外は、重要なる大部分のことにつきましては国鉄に権限を委任しております。しこうして、国鉄をどうするかということにつきましては、先ほど国鉄総裁が述べられたような点に研究をし、善処するように承知いたしております。
○国務大臣(小沢久太郎君) 郵政省といたしましては、関係する公社は電電公社でございます。電電公社は、申し上げるまでもなく、政府がその資本の全部を出資しておりまして、非常に、独占性といいますか、独占性もあるし、それからまた公共性を有するものでありますから、合理的に、かつ効果的に体制を作らなければならぬというふうにわれわれ考えている次第でございます。そういう点にかんがみまして、公社発足以来そういう線で従っているわけでございますけれども、まだまだ問題点がないでもございません。たとえば経営規模の問題とか、財政制度の問題とか、あるいはつまり監督といいますか、つまり郵政省とそれから電電公社との関係とか、そういう点で、いろいろ問題点は残っております。そういう点につきまして長期的にどういうふうにしたらいいかというようなこと炉残っておりますので、われわれのほうといたしましては、検討いたしまして能率的な機構を作りたい、そういうふうに考えている次第でございます。
○国務大臣(田中角榮君) 公社、公団につきましては、御承知のとおり、政府でも国会の中でも、これが制度の運用に万全を期すために種々対策を考究中でありますことは御承知のとおりでございます。しかし、公社、公団というものが非常にたくさんできましたからといって、その生々発展の歴史を見ますと、戦後の産物ではございますが、一般会計の中にあったものの中で特に公共性を持ちながら企業面の濶達な運用が期せられるものに対して、よりその面を要求せられるものに対して、公社、公団の制度に転じたわけでございます。一番初めは占領軍のメモケースのものであるとはいいながら、電電公社の例で見るように、非常に設置目的、法律の趣旨どおりに発展をしているものもありますので、一がいに公社、公団というものが乱造というような、そういう考え方からだけで律していっていいものかどうかということに対しては、十分検討すべきであろうと考えております。現在の公社、公団の中でもう少し自由な意思が働き得るように制度を改正しなければならない面もございますし、特に経理部面に対しましても相当な問題があると思います。 大蔵省関係としては専売がございますが、これはいろいろ御議論がありますけれども、財政収入を得るという面から考えまして、専売公社でもそれほど不自由をかこってもおらないようでございますし、不満もないようでございます炉、といって、大蔵省の一般会計の中にあったときと同じじゃないかというような御意見もありますので、専売制度調査会等の審議の結果を待ちながら善処して参りたい、こう考えておるわけであります。
○鈴木強君 私は非常に、今六名の方から御意見を承りまして、心外に思うくらいな点があります。今日この公社制度、私はこの公団については大いに田中さんと意見を異にしますが、しかし、私は時間の関係できょうは三公社にしぼりますが、すでに公社制度が発足をして長い期間をたっております。したがって、この公社制度そのものに対する根本的な改革は今日まで長い間叫ばれてきておる。すでに昭和二十九年臨時公共企業体合理化審議会の原安三郎会長から吉田茂当時の総理大臣に対して答申が出ておるし、また、越えて昭和三十二年の石坂泰三氏から岸当時の内閣総理大臣に対して、各公共企業体公社制度はかくあるべきだというかなり思い切った答申がなされておるのであります。私は国会に出ましてからちょうど七年目になりますが、毎年この答申について、政府に対しても強く是正すべき点は是正し、改善すべき点は改善をして、公社本来の経営がほんとうにできるような体制を作ってもらいたいという意見を述べて参ったのでありますが、今日まだ検討しておるとか、審議会を作ってそこでやっておるから意見が出せないとか、そんな不勉強な答弁をいただくとは思っていなかった。これはひとつ、総理はきょうおられませんので、私は残念ながら総理にはただせませんけれども、総括的に、公社制度についても絶えず検討していただいております行政管理庁の長官として、一体今の三公社制度そのものについてどういうふうに直していったらいいと思いますか。
○国務大臣(川島正次郎君) 公社につきましては、数年間毎年監察をいたしております。今年度といたしましても昨年九月から始めまして、現に材料を収集して事務的に結論を出そうと思っております。今公社をどうしようかということにつきましては結論を得ませんが、私ども監察の目的は、こうした国民生活に直接重大な影響がある仕事でありますからして、簡素、能率化いたしまして、国民に便利な仕事をするようにということを主眼として監察いたしております。各監督官庁の監督の状況、またそれぞれの公社の業務運営の内容並びに契約業務などにつきまして、それぞれ適切な監察をし、また結果を得まして、各省庁に勧告をしようと考えておりまして、ここで直ちに三公社をどうするかということにつきましては、私としてはまだ結論を得ておりません。
○鈴木強君 去る十七日のNHKのテレビ放送によりますと、行管は近く公社経営に対して勧告を出す、その中に、現在の予算制度についてももっと企業予算にすることと、それから公社に対する自主権をもっと与えることと、こういう二つの点について勧告をするというニュースを聞きました。これは間違いないですか。
○国務大臣(川島正次郎君) 今事務的に整理中でありますからして、調査の内容につきましては主任の局長から……。
○政府委員(山口酉君) ただいま公社、公団等につきまして監察を実施いたしまして、その結果を検討いたしております。で、近く結論に到達いたすつもりでございますが、先般報道されましたことにつきましては、これはまだその段階までに至っておらないのでございます。内容につきましても、あの報道のとおりになるかどうか、今のところまだ検討中でございますので、申し上げられませんが、なるべく早く結論を得たいと思って、事務的に努力いたしております。
○鈴木強君 どれもこれも検討中で、ちっとも進まない。いつ出すのですか、それは。
○政府委員(山口酉君) 作業の手順といたしまして、およそ、今後そう長くはかからないと思いますけれども、なお一、二週間の検討は必要であると考えております。
○鈴木強君 私は、報道されている範囲における勧告でも、かつてない進歩的なものだと思うのです。だから、十年間もたなざらしして検討中で終わったのだから、せめてその罪の償いに、どうですか、行政管理庁長官、勇断をもって改革に進んでいただきたいと思いますが、御決意のほどを承りたいと思います。
○国務大臣(川島正次郎君) 監察の結果、まだ私のところへ報告がございませんが、報告を受けましてよく検討しまして、今後の公社の改善に資したいと、かように考えております。
○鈴木強君 新幹線の運転開始の時期と、それからダイヤをどうするか、それから特別急行料金をどうやるのか、それから貨物輸送はやらないといっているのだが、それはどういう理由か、国鉄から聞きます。
○説明員(十河信二君) 新幹線は、おかげさまで工事は順調に進んでおります。明年の秋ごろまでに営業開始ができるという見通しを立てております。列車の運行計画等につきましては、まだ何もきまったものはありません。運賃料金は、運賃は現在の、基本運賃は現在の運賃でやることになっておりまして、急行料金というようなものにつきましては、若干今の何とスピードその他の点において違いますから、変えたいと思っておりますが、これを今どうするかということは国鉄部内においてもまだきまっておりません。したがって、監督官庁の認可を得るところへ至っておりません。貨物の点につきましては、当初予定しておりました貨物のヤード等がなかなか入手ができません。最初から、貨物は少しおくれると、こう思っておりました。貨物のほうは少しおくれて営業開始するというつもりでおりますが、どれほどおくれるかというところはまだ検討がついておりません。
○鈴木強君 もう一つ、陸運行政について伺いますが、各県にございます陸運事務所は、陸運局の職員であり、また陸運局の予算によって支弁されている職員ですけれども、実際には各県の知事の管轄下に入って、知事の指揮を得てやっていろ。非常におかしな格好があるのですけれども、これを、運輸大臣、是正する必要が私はあると思いますが、どうお考えですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。 お説のとおりでありまして、私どもも、これは占領的行政の遺物でございますし、一日も早く是正して一本化いたしたい。ことに今日のように自動車の非常に激増しました場合におきまして、監督上これを強力に一元化することが必要と存じまして、本年度も相当定員増と予算増を要求したのでございますが、いれられなくて、実は弱っておるというのが現状であります。私は、あなたの説に従って、今日の自動車行政を一元化し、もって陸運事務所の直轄のものにしたいということを念願して、それを実現すべく努力しております。
○鈴木強君 この点はよくわかりました。私も全く同感です。これももう六年近く国会でも論議されて、そのつど検討するということになっておりまして、今日まだ実現を見ておらない。これもひとつ勇気をもってやってもらいたいと思います。 それから、電電公社に伺いますが、今電話は、百六万も申し込んでもつかない電話があります。一体公社はこれをどういうふうに充足していこうとしておるのか、その計画の大綱だけでいいですから、お示しをいただきたい。
○説明員(大橋八郎君) お答え申し上げます。 御承知のように、電電公社といたしましては、第一次第二次五カ年計画を本年度でもって終わりまして、来年度から第三次の拡充計画に取りかかるということになっております。ただいまの御指摘の、申し込んでもなおその年度内につかないで翌年度以降に持ち越す、申し込みの滞っておるものが百万内外あるわけでございます。しかも、一般国民の電話に対する需要は非常に熾烈なるものがあります。このままこれを放置しておくわけに参りませんので、私どもとしてはぜひこの百万の積滞を解済し、近代的な電話とするがために、この際さらに拡充計画を新たにして、いま少しく大規模の拡充をやらなければならぬ、かように考えたわけでございます。したがって、第三次拡充計画を立てるにあたりまして、大体三つの目標を、根本的目標を立てております。 一つは、今後電話としては、ぜひ、申し込めば、すぐ、近い、そう遠からないうちに、一週間なり二週間なり、あるいは一月のうちに、そう長く待たせないうちにすべて架設する電話でなければならない。で、これは先ほど申し上げました申し込み積滞の解消ということにつながるわけでございます。また、第二の目標といたしましては、市外通話についても、長く待たせるという電話ではいけない。かければすぐ話のできる市外通話でなければいけない。これは市外通話の即時化ということでございます。またさらに、それにつけ加えて、交換手の手をわずらわさないで、できるだけ、ほとんど日本全国の電話も、でき得るならばダイヤルを回しただけで接続できるような電話でなければならない。これはいわゆる電話の自動化でございます。この三大目標を、今後十年間に一〇〇%、ほぼ一〇〇%に近いまでにこれを完成したいというのが私どもの考え方でございます。 そこで、その十年間のうちに、その上半期として第三次拡充計画を立てたわけでございます。その内容をさらに申し上げますと、この五カ年間に加入電話五百万を増設することにいたしております。また、市外画線の増設は二千百八十万キロメートルを増設することにいたしまして、これによって市外通話については全国五百余の主要都心間の即時通話、即時化をはかることにいたします。なお、東京と県庁所在地との間を自動即時化を行なうようにしたい、かように考えております。これに必要な電話局の建設は約千五百二十局に達する見込みであります。 なお農山漁村の電話普及対策といたしましては、農村公衆電話三万個の増設及び地域団体加入電話の増設によって、極力対処することにいたしております。 これらの建設資金は総額一兆七千八百七十五億円を予定しております。大体以上であります。
○鈴木強君 計画はわかりましたが、この一兆七千八百億のうち自己資金と外部資金の割合はどうなりますか。
○説明員(大橋八郎君) 資金の計画といたしまして、総額は先ほど申し上げましたように一兆七千八百七十五億円でありますが、そのうち内部資金が一兆三百十五億、これは減価償却引当金、債券発行差損金引当金及び損益勘定からの受け入れ金、この三者を含んだものでございます。それから、外邦資金といたしましては、七千五百六十億でありまして、そのうち財政投融資が千九百五十億、その他は加入債券と設備料金とでございます。
○鈴木強君 大蔵大臣、この千九百五十億というものを財政投融資に電電公社が依存しようとしておるのは、五年間に一体これは大丈夫ですか。
○国務大臣(田中角榮君) 財政事情及び電電公社の資金事情等、十分勘案をして、これが五カ年計画の達成に努力いたしたいと考えております。
○鈴木強君 合理化というのが出て参りまして、相当にこの市内の電話も自動になっていく、市外のほうも自動になってダイヤルでどこへも通ずる、こうなることはけっこうでございますが、ただ一面、それによって相当数の要員の削減が考えられると思いますけれども、それはこの五年間に一体どのくらいの人が減ったり動いたりするのですか。
○説明員(大橋八郎君) この五カ年計画によりますと、この五カ年間に増員が六万六千者見込まれておるのであります。一面、電話交換に従事する職員は約六千名の減員になるわけでございます。これは御承知の自動化によって実際減員が生ずるわけでございます。したがって、差引増加する頭数は六万でございます。公社の直轄局のものであります。そこで、このほかに御承知のとおり小局につきましては、郵便局に委託しております仕事がありますので、それらのものも加えますと、結局交換人員だけにつきましては三万三千名の要措置人員がそこに生じてくるわけであります。これらの措置人員は、私どもとしては、でき得る限り各種の手段を講じて吸収をいたしまして、もちろん配置転換、職種転換等も含めてあらゆる手段を講じて、もちろん首切り等のことは考えておりませんが、全部これを消化いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○鈴木強君 女子が合理化によって対象になって参りますから、確かに六万名近い定員増があるとしても、実際に女子の職場がなくなってくる。そうかといって、女子をどこへでも雇えるものじゃないと思います。ですから、そういう面で合理化に伴う要員措置については公社も苦労されておると思いますが、一体三万三千層の流動要員に対して、そのうち私どもの聞くところによれば一万四千人の配置転換も職種転換もできない人がおる。一体、首は切らないといっても、そういう配転、職転もできないという人をどう措置しようとしておるのか。私はあなたの言っておることに矛盾を感じておる。
○説明員(大橋八郎君) ただいま御指摘のとおり、何と申しましても、相手が大部分女子でございますので、非常に男子の場合と異なって配置転換等は困難であります。これが男子でありますと、とにかく六万名も増員があるのでございますから、比較的簡単に職転、配転ができると思いますが、女子であるためにそこに困難性が生ずるわけでございます。しかし、この分につきましては、先ほど申し上げましたように、組合との間にいろいろ交渉によって、将来配転等によって首切り等はむろんやらない、こういう話し合いになっております。私どもも、むろんその方向でこれに当たっておるわけであります。今後いろいろな手段を講じて配転、職転をやってもなお残るという人間、そういう者も想像できぬわけではありませんので、これらにつきましては、いわゆる調整要員の運用によりこれをできるだけ措置いたしまするほかに、なお電話の自動化のためにやむなく退職をするという、希望をする者に対しては、何らか特別の手当金を増額する、給付するということの手段が必要かと考えまするので、関係方面にいろいろお願いをしておる段階でございます。
○鈴木強君 それから、この電話料金については世上いろいろと議論が出ておるようですけれども、第三次五カ年計画中に現行の電話料金を改正する意図はありますか。
○説明員(大橋八郎君) 将来のことでありますから、直ちに的確なことは申し上げかねますけれども、非常に事情のはなはだしい変化のない限り、これを変更する考えはございません。
○鈴木強君 次に、大蔵大臣と会計検査院長にお尋ねしますが、昭和三十五年までの間に会計検査院が指摘をした各省庁別の批難事項の金額は一体幾らになっておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 昭和二十四年度以降昭和三十五年度までの会計検査院から指摘を受けた批難金額は、一千三百三十億一千二百万円でございます。それから、職員の不正によって国が損害を受けた額は十四億七千百万円でございます。不正行為によるうち、国損を受け、しかも回収済みのものが七億九千四百万円、未回収が六億七千七百万円でございます。これは省別に申しましょうか、いいですか……。
○鈴木強君 職員の不正行為によって国に損害をかけた額が何と十五億円も昭和二十四年以来あるということであります。まことに、これはあぜんといたします。で、そのうち八億は回収をされておりますが、六億七千万円はまだ未回収である。この中には、もうなくなってしまって、どうにもこうにも返すことができないものがあると思うのですけれども、一体どういう事由で六億七千万円もまだ回収できないのですか。
○国務大臣(田中角榮君) 大蔵省は、これが返済の促進を、国に納付をしてもらうことを促進すべく、各省庁と連絡をとりながら鋭意行なっておるわけでございますが、何分にも当事者が刑事処分等を受けまして服役中であるというような状態、使い尽くされてしまって財産がないというようなことで事実上残っておるものに対して、内容は個々別々でありますが、なかなか回収のむずかしいという特殊な事情も存在をするわけでございます。
○鈴木強君 会計検査院のほうは、大体年間どの程度の検査ができるものでございますか。
○会計検査院長(芥川治君) 御質問のどの程度検査ができるかということでございますが、これは取り方によって数字が違って参りますが、今まで国会に御報告を申し上げた数字では、全体が大体において検査対象の約八%であります。ただ、重要な個所につきましては五〇%、平均して大体三〇%以上は検査が実施されておるわけでございます。
○鈴木強君 三十三年から三十六年の検査の状況を拝見しましても、大体八%程度しかやられておりません。実際の検査対象個所は大体三万五千ぐらいあるのですけれども、そのうち二千八百ぐらいしかやられていない。これでこれだけの批難金額、千三百億の批難事項と十五億に近い不正金額が出ておるのですから、実際一〇〇%検査したらこの倍から三倍の金が出てくると思う。一体こういうことを放置しておくことは、まことに私は許せぬと思う。したがって、もう少し会計検査院の陣容を整備すると同時に、綱紀の粛正、国民の税金を使うんだという観念を政府全体として、また国の機関あるいは関係機関すべてが自覚をしてもらわなければ、こういうものは私は絶えぬと思うのです。会計検査院として、一体どういうようにしたら、こういうふうな不正行為や批難事項がなくなるというふうにお考えですか。
○会計検査院長(芥川治君) お答えいたします。 検査院の検査能力の増強につきましては、毎年予算も要求いたしまして、今年においても、要求どおりではありませんでしたが、増強の道をたどっております。私どもといたしましては、会計経理の適正を期しまして、できるだけ是正改善に努力して参っておりますのでありますが、まだ十分な結果が出ないわけでございます。理想といたしましては、批難件数が一件もなくなることが理想であるわけでありまして、現在の段階におきましては、私どもといたしまして陣容も増強する方向に年々努力して参っておる次第でございます。 いつも御質問のあります点でありまするが、これを絶滅するのにはどうしたらいいか。かりに検査院が、今お話しのように、人員を相当ふやして、検査対象を一〇〇%検査するということは、これはたいへんな予算が要るわけでありまして、必ずしもこれは策を得たものでないと私は考えるのであります。要は、政府当局におかれまして十分この点を留意されて、自己監査についても努力をしていただく、また会計経理の職員についても十分指導していただくということが、一番大切なことではないかと考えまして、私どもといたしましても、会計経理職員の指導には若干の力をいたしております。また、それぞれの相互牽制制度、あるいは自己監査の制度等につきましては、三十六年度の検査報告の結果、相当手を打たれた向きもあるように伺っておりますので、たいへん意を強ういたしておる次第であります。将来これが批難件数がなくなる時期が来れば、これは最も望ましいことでありまするが、先ほど申しましたように、今後ともわれわれは会計経理の適正に努力し、是正改善の方向に今進みつつあるわけでありますが、私どもとしましては、絶えず照会をいたし、すぐ直るものはこれを是正させてきております。今年度の検査報告もごらんになるとおわかりになりまするが、さらに一歩を進めまして、院法の三十四条、三十六条を適用して、各関係向きに対しまして、是正改善の措置の要求並びに是正改善の意見を表示することを今年度から始めたわけでありまして、これについて政府当局において十分御協力いただければ次第によくなるのではないかと考えているわけであります。
○鈴木強君 大蔵大臣、この会計検査院の人員と旅費を私ちょっと調べてみたのですが、昭和三十一年に千百七十八名で、当時の予算規模は一兆八百億、今日三十八年度は二兆八千億、二・八倍の増加に対して定員は千百九十二名で、わずかに十四名ぐらいしかふえていない。これはちょっと私は酷だと思うのですよ。もちろん、今院長も言われたような、基本的な姿勢を正すことが残るわけでしょうけれども、それと同時に、やはりこういう検査を厳重に施行して、全部のものに会計検査の意が渡ることになれば、それだけ事項はもう少し減ってくるのではないかと思うのです。そういうことを考える必要があるのではないか。あなたのほうは予算の査定をするのですから、私はこういうのはそのまま認めてやったらいい、そしてほんとうに国民の血税をむだに使わせないという一つのファクターとして活用したらいいと思う。そういうところには国民は人をふやしても文句は言わないと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 会計検査院の三十八年度分予算につきましては、相当程度配意をしたつもりでございますが、しかし御指摘のような点がございますから、三十八年度以降に対しては十分配慮いたしたいと考えます。これは会計検査院だけではなく、会計検査院法の問題もございますが、支出する側の制度上の問題もございますし、気がまえの問題もございますので、こういう問題も総合的に国損を来たさないようにということを十分考えてやらなければならないと考えます。
○鈴木強君 次に、三十八年度の各省庁別の交際費と調査費はどうなっているか、ひとつ聞きたい。
○政府委員(石野信一君) お手元に三十八年度各省別交際費及び調査費調というのが提出をいたしてあると思いますが、申し上げますと、交際費が、皇室費が百八十三万円、国会が四千六百七十四万八千円、裁判所六百五十万円、会計検査院が百五十万円、内閣が二千六百二十四万四千円、総理府が二千二百七十一万八千円、法務省七百十七万五千円、外務省が五億一千三十二万七千円、大蔵省九百四十一万円、文部省が八百二十三万円、厚生省二百五十六万円、農林省三百五十五万円、通商産業省三百二万円、運輸省四百八十六万七千円、郵政省二百九十万円、労働省三百十五万円、建設省二百八十万円、自治省二百六十九万一千円。 それから、調査費といたしましては、調査活動費、それから捜査費、情報調査委託費というふうに分類いたしてございますが、調査活動費は、法務省の公安調査庁の関係で六億五千七百一万一千円、それから厚生省の麻薬関係の千二百五十三万五千円、それから捜査費は総理府の警察関係十億七千百四十六万一千円、大蔵省の国税庁税関関係で千七百五十六万五千円、それから運輸省が海上保安庁の関係八百十七万円、それから内閣の情報調査委託費が四億一千六百一万八千円でございます。
○鈴木強君 交際費のトータルちょっと……。
○政府委員(石野信一君) 全体のトータルですか。
○鈴木強君 ええ。
○政府委員(石野信一君) ちょっと今計算していませんが、すぐ調べて計算いたします。 交際費の合計をとりあえず申し上げますと、六億六千六百二十二万円でございます。
○鈴木強君 交際費、調査費という名目で計上されているトータルが二十八億四千万円あるのですが、このうち外務省関係は、これは国際的な問題がありますから、私もよくわかるのです、交際費の要ることは。しかし、内閣の四億とか、総理府の十億なんというのは、一体内容が何なのか、非常に私はわからないのですけれども、これはどうですか、大蔵大臣わかりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 内閣における情報調査委託費総額四億一千六百万円。この内訳は内外情報調査のため一億二千六百万円、それからマスコミ論調調査四千七百万円、それから資料収集するために一億四千三百万ということでございます。 警察の捜査費は、犯罪の捜査の費用に充てるものであって、調査本部の設置に要する実費、捜査員の活動に要する実費、情報資料の提供者に対する謝礼等でありまして、三十八年度十億七千百万円。公安調査庁の調査活動費は、公安調査官が破壊活動防止法に基づきまして行なう破壊的団体の調査の費用に充てるものでありまして、情報資料の提供者に対する実費の弁償、それからこのような提供者を得るまでに必要な仕事の実費、調査官が直接みずから行なう調査活動に要する実費及び関係機関との情報連絡に要する経費等でありまして、三十八年度五億九千八百万円であります。
○鈴木強君 じゃあ農林大臣にちょっとお尋ねしますが、山梨県の野呂川の奥地の県有林を、あなたのほうで買収するという話がございまして、折衝を続けてきていると思いますが、最初に山梨県とお話し合いしたときの合意に達した点は、どういう点ですか。
○国務大臣(重政誠之君) 詳細は林野庁長官からお聞き取り願いたいと思いますが、約二年ほど前に、水源涵養保安林にしようというので、県有林約五千町歩を国有林に買収をしようという話が始まりまして、そして約二千万円ほどの調査費を計上いたしまして、調査をいたして参っている。その後、最近に至るまでいろいろ折衝をいたしているようであります。詳細は林野庁長官からお聞きとり願います。
○政府委員(吉村清英君) 若干補足してお説明申し上げたいと思います。三十六年度の八月に保安林の買い入れの話が出ましたのでございまして、大臣の御説明のとおりでございます。それで三十七年の七月に、県議会で国に売り払うという議決がされました。その後八月から十月まで、現地の調査を営林局でしております。その後、県にその調査の結果に基づきまして折衝をいたしているところでございます。目下折衝を続けているところでございます。
○鈴木強君 共同で調査をなさって、その結果あなたのほうの言い分と、県の言い分との対立点はどういうところですか。
○政府委員(吉村清英君) 先ほど申し上げましたように、三十七年の七月に県議会で議決になったのでございますが、八月に東京営林局と県との評価の方法に対する覚書をかわしてございます。それに基づいて評価をいたしまして、折衝をいたしておったのでございますが、おもな対立点は、林道にかかります経費の控除についての点、それから国立公園の地域に指定をされます予定でございますが、その場合の森林に対する制限に関する点、おもな点はそういうことでございます。
○鈴木強君 この林道の問題と、国立公園予定地を含むか、含まないかという問題だと思いますけれども、その評価について、県当局と折衝、合同というか調査をやられたわけですね。ですからお互いに理解し合ってきたら、そういう結論は出ないと思うのですが、どうしてそういう食い違いが出てきたのですか。
○政府委員(吉村清英君) この点は、根本的な評価の方法の問題がございますが、これはすでに覚書をかわして理解しておるはずだったわけです。その後、折衝の経過から、そういう食い違いが出て参りました。現地の立木在籍調査その他は共同でやっておりますので、その点については、全く異論はないのでございます。
○鈴木強君 国立公園予定地は、最初から除くということで始まったのですか。あなたのほうで測量してみたら、実際に石数が多くなってきた、したがって、そこだけ引くというように態度が変わったのじゃないですか。
○政府委員(吉村清英君) この地域は、全部が国立公園の区域に含まれる予定でございます。その中で特別地域それから特別保護地域、そういった地域、地区の計画が出て参ります。その地域、地区によりまして森林に対する制限、たとえば禁伐になりますとか、あるいは択伐になりますとか、そういった制限が出て参りますわけでございます。したがいまして、その価格には変動が起こるということになるわけでございます。
○鈴木強君 私は大臣もお急ぎのようでございますから、ここで具体的なことについては触れませんけれども、いずれにしても、当初話が出まして、県の議会でも了承してスタートしたことですから、相手方は県の県有林でございますから、その点も思いをいたしていただいて、ひとつお互いに妥協しなければ結論は出ないと思いますので、さらに一そうこの問題について積極的に解決できるように、大臣の決定を聞きたいのですけれども、どうでございますか。
○国務大臣(重政誠之君) ただいま林野庁長官から御答弁申し上げましたように、当初は私の受けております報告では、六、七億くらいでということで、両方ともそういうことで共同調査を始めたようでありますが、今日に至ると、その数倍というような話が出てきて、どうも初めと全然話が違うというので、ちょっと交渉も難航しておるように聞いておりますが、要するに、ただいまお話しになりましたように、適正な合理的な価格で、国としてはこれを水源涵養林、保安森として引き受けたいという希望でございますから、なお折衝をひとつ続けて参ることにいたします。
○鈴木強君 次に、国鉄総裁、運輸大臣、会計検査院長おりますね。お尋ねいたしますが、最初に日豊本線の複線化の用地買収にからむ汚職事件でありますが、最近国鉄本社にこれが波及しまして、調査役とかあるいは元国鉄の監査委員をしておった方まで逮捕、取り調べを受けるというような遺憾な問題が出ているようでありますが、この真相について簡単に説明してもらいたいと思います。
○説明員(十河信二君) 日豊本線を複線化いたしますにつきまして、約九キロばかりの線路用地を買収する必要が起こっているのであります。そのうちの八キロばかりは買収が済みましたが、一キロばかりどうしても買収のできないところがあるのであります。この土地について、今お話しの問題が起こっているのでありまして、交換をしてくれとか何とかいうふうな申し出があって、買収には容易に応じないということで問題になっているのでありますが、事実はどういう、真相はどういう真相かよくわかりませんが、ただいま西という調査役が逮捕されて、元監査委員の小野木氏は呼び出されたという話でありますけれども、それは私よく存じません。
○鈴木強君 一体こういうふうな問題が起きてくるのは、国鉄の内部牽制組織等において、多少考えなければならぬ点があるのじゃないでしょうか。
○説明員(十河信二君) 私は、こういう問題が起こる前から、絶えず綱紀の粛正について反省をいたしております。いろいろな、たとえば評価委員を設けるとか、あるいは契約審査役を設けるとかいうふうなことをして、お互いに勝手なことのできないように制度上もやっております。力及ばずして、こういうふうな疑惑を受ける事件を起こしたということは、まことに遺憾千万申しわけないと思っております。今後さらに一そう綱紀の粛正に努力いたしたいと存じます。
○鈴木強君 次に、新幹線関係の問題で、国鉄当局が近江鉄道に二億五千万円の金を概算払いとして一昨年三十六年暮れと、昨年三十七年六月に支払っておりますが、これは事実ですか。その内容はどういうものですか、承りたいと思います。
○説明員(十河信二君) 内容は、今お話しのありましたとおりであります。先方の、近江鉄道の申し出は、非常に巨額な申し出、かつ、この区間でなく、全線を買収するか、あるいは遠くのほうへ離して作るかしろということでありましたけれども、遠くのほうへ離して作りますと、多数の国民に御迷惑をかける。なるべく近江鉄道の用地を使わしてもらいたいということで、種々折衝いたしましたところ、しからば、京阪神鉄道のように、近江鉄道の低いのを高架にしてくれという要求がありました。これを高架にいたしますにも非常に巨額の、四億もの金がかかるということでございまして、種々折衝いたしました結果、二億五千万円で話をつけたということでございます。
○鈴木強君 会計検査院はこの事実は間違いないですか。
○会計検査院長(芥川治君) 御質問の点でありますが、私の承知しておりますところでは、二億五千万円のうちの一億五千万円は、用地買収及び踏切り設備新設等の補償として三十六年度において概算払いをいたしたものでありまして、これにつきましては、用地の境界が未確定などのために、まだ精算を了しておりません。したがって、検査院といたしましては、その確定を待って最終的な判定を出すことといたしまして、ただいま検討しているところであります。また、残る一億円につきましては、今後の検査において十分検討いたして参りたいと考えております。
○鈴木強君 この二億五千万円概算払いをした法的根拠はどこにありますか。
○説明員(十河信二君) 近江鉄道の用地を一部分使わしてもらう。近江鉄道の用地を七キロ半ですか、近江鉄道の用地を使わなければならぬ。そうしますると、踏切にも警報機をつけるとか番人をつけるとかいうようなことをしなければならぬ。それから近江鉄道はまた観光のお客が減るということを主張いたしまして、それで四億あるいは五億というふうな金を請求して参ったのであります。私たちといたしましては、全体の近江鉄道に与える損害を補償する意味で四億以上かかるという高架にする費用の中で、できるだけ少なくしようということで折衝いたしました結果、二億五千万円ということに落ちついた次第であります。
○鈴木強君 新幹線に交差をする個所は三十カ所あると思うのです。したがって、そういう交差する場所は、大なり小なり国鉄との関係で問題が出てくると思うのですが、そういうところにも同じような要求があれば支払いますか。
○説明員(十河信二君) 近江鉄道と同じような場合は、近江鉄道のほかに京阪神の鉄道があるだけであります。その他はただ線路を横切るというだけでございまして、近江鉄道の場合及び京阪神鉄道の場合は、向こうの土地を一部分使って並行して新幹線を敷設するということでありますから、ほかにはそういう例はないのであります。
○鈴木強君 これは地方鉄道軌道整備法というのがございますね。これに準拠してこういうものはあらかじめ補償するということが私は考えられておったと思うのですね。この地方鉄道整備法というのは、国鉄が地方鉄道に接近して走る場合に、鉄道の敷設によって損害を与える場合に、こういう場合にはこうしなさい、こういう場合にはこうしなさいという準拠規定がある。そういうものがあるにもかかわらず、全然この整備法にのっとらず、何かしらぬが相当の金を要求してきたから二億五千万円払って解決したのだというような、何か漠としてひとつもわれわれ国民にはわからないのですが、ちょっとその根拠をもう少し明確にしてもらいたい。また、これは運輸大臣からも伺いたい。
○説明員(十河信二君) 地方鉄道整備法の関係は、競争になるから、お客が減って損害を受けるという場合でありまして、私どもの今申し上げている場合はそうではなく、近江鉄道の川地を一部分使って、これにくっついて一方は高架を作る、一方は現線の低いままになっておるということのために起こる損害を補償するという意味でありますから、これは別のもの、地方鉄道整備法は適用されないものと存じております。
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいまの問題は、先ほど国鉄の能率化運営方針等について質問がありましたときお答えいたしました国鉄の総裁に委任しておることでございまして、私は実はこの国会で、衆議院の運輸委員会で問題になったので、その後調査いたしましたところ、ただいま国鉄総裁が述べられたようなことは私は仕方がないと理解いたしております。
○鈴木強君 仕方がないと理解したというのですけれども、それはあなたが自信を持てるほどの法的根拠と、それから現地の実情等も視察されましたか。私の見るところによれば、近江鉄道というのはそんなに、五十幾つもの踏切があって、その踏切をどうしても補償しなければならぬようなものはないと思う。ですから、この当不当というものは、会計検査院でもいずれ三十七年度の決算で指摘されると思いますけれども、実地調査もされるでしょう。せんだって運輸委員会で質問があって自分も聞いてみたけれどもやむを得なかった、そんなことでいいのですか。もう少し実情を調査してみて、その上でそういう御回答をなさるほうが私はいいのじゃないかと思うのですけれども、それだけ自信はおありですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) もちろん、私すぐ調査をいたさせまして、そしてお答えするのですが、私は国鉄の総裁がやむを得ずとった処置と考えております。と申しますのは、新幹線は二千数百億円かかるのです。そのことが停頓しているために全体の計画がおくれるというような、その資本を寝かせておくことによる損害その他を考えてやったのだろうと私は思っております。しかし、実際は事実私は見ておらぬのでございますから、よく以後調査せしめるということも考えております。
○鈴木強君 私もこれだけの大きな工事をやっていただく国鉄の御苦労やいろいろな困難があることは、十分わかります。しかし、一面この新幹線に必要な建設資金の利子は、特に一般会計から補てんをしてやっておる。三十六年度も三億円の金が税金として利子の補給に使われているはずであります。だから、この金が有効に使われることを国民が念願して、国鉄に感謝しつつ新幹線の開通を待っているということだと思います。ですから、私はそういう気持を持ちながらも二億五千万という何かわれわれが聞きましても、理屈に会わないような金の支払いがあるということが問題じゃないかと思います。まょうはこの委員会予算委員会ですから、いずれ私は決算委員会においてなお詳細な御質問もしたいと思いますが、ただここでお聞きしておきたいのは、そういうむずかしいものでありますから、責任体というものもかなり制約というとあれですけれども、限られた部門においてやっているようにも思われる。一体この新幹線の予算を使うのは、どういうシステムで使われているのですか。
○説明員(十河信二君) 新幹線の予算は、たとえば根岸線とか東海道線、少しこちらは大きいのですけれども、一括して幹線総局長に予算を配賦しまして、幹線総局長がそれを各工事の進捗状況等を考えまして四つの工事局長に分散するのであります。ちょうど支社長が一括して割り当てた、予算を工事局長に配賦すると同じようなやり方をやっております。
○鈴木強君 そうしますと、幹線の総局長が、いうならば全責任を持って金が使えるというようなシステムだと思いますけれども、そもそもそういうところに問題があるのじゃないですか。最終的にそのことに対して総裁は断を下してやるようになっておるのですが、大石さんという方が総局長をやっているというようですけれども、その大石さんが判こを押せば、適当と思えば、やれるようなシステムになっているんですか。――そうして、このときは、あなたは知っておったんですか、了承して判を押して出たんですか、二億五千万というものは。
○説明員(十河信二君) たとえば線路をどうするとか、どこへ駅を置くとかいうような重大な問題は、もちろん相談してやりますが、用地の買収とか補償とかいうものは、無数に多いたくさんの件数があるわけであります。これは先ほど申し上げましたような、いろいろな契約審査役とかなんとかいうお互いにチェックする機関は設けてありますけれども、それは大体新幹線総局長を信頼して、これにまかせてやらしておるのであります。
○鈴木強君 もう一つ伺っておきたいんですけれども、どうも私たち常識的に考えて、今の総裁の答弁は納得できません。用地買収のむずかしさはわかりますから、普通、たいして問題のない場合の措置は、それは私は総局長にまかしてもいいと思います。一々、総裁と相談しなくてもいいと思いますけれども、少なくとも地方鉄道軌道整備法を適用するかしないか相当疑義のあるような、こういう問題については、少なくとも総裁がこれを知らなかったというようなことは、これはあってはならぬと思う。私はもう、すでに用地買収のほうは終わってますから、今から言っても、死んだ子の年を数えるようになるんだが、今後の問題と関連して、少なくとも私は、そういうシステムはおかしいと思うんです。こういう重大な問題について、総裁が知らない間に総局長がやるなんていう、そういうことをやらしておくところに、こういう問題が出てくるんですよ。もっと言うならば、私は何かその背後に、いろいろな問題があるじゃないかというような気がしますよ。そんなごね得で、粘っておって取ればいいというような、そういうものがあるんじゃないかと私は思うんですがね。――これはまあ私の推察ですから、ここでお答えしていただくわけにいかぬと思いますけれども、それは考えて下さい、総裁。そんな、大石さんに、すべてまかしておくなんていうやり方は改めなさいよ。どうですか。
○説明員(十河信二君) なお、今後のことにつきましては、そういう点に十分注意いたしたいと存じます。
○鈴木強君 それから次に、文部大臣にお尋ねしますが、南極観測をやられまして、その成果はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(小林行雄君) 三十一年に南極の予備観測を実施いたしましてから三十六年まで、逐次南極地域観測を行なって参りましたが、この観測の結果、得られましたいろいろな資料につきましては、観測の事項ごとに、それぞれ分析、調査、研究を行なっております。これらは御承知のように日本半術会議のシンポジウムで公表いたしまして、また、いろいろな資料等で公表をいたしております。で、国内的にも、また国際的にも相当評価をされておる実情でございます。特に日本が使用いたしております昭和基地が、特殊な地帯にあるものでございますのでそれに基づいて行なわれておりますところの高層物理、特に超高層物理の研究については非常に評価をされておるようでございます。また、第六次の調査で行ないましたところの南極大陸の七十五度までの調査結果等についても、国際的に高く評価されている実情でございます。
○鈴木強君 なお観測を再開し、これを強力にやっていくというお考えはあるのでございますか、文部大臣、南極観測について。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。使用船舶が非常に古くて危険であるということからいたしまして中止をいたしているわけでございますが、何とか砕氷能力のあるりっぱな船を用意いたしまして、ヘリコプター等も十分に備えまして、ぜひ再開したいという含みであったわけでございますが、三十八年度の予算に五千万円の準備費を組んで御審議願っておりますのは、単なる調査でなしに、積極的に再開するという意図のもとに具体的な準備に着手したい、こういう考え方でいるのであります。
○鈴木強君 そうすると大臣、三十八年度予算に組まれている、この費用を活用して、再開のための準備をされているということですが、そうすると、三十九年度中には、まあやれるというふうに見ていってよろしいですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。三十八年度に具体的に準備に着手すると申しますのは、新しく船をどんな設計であったらばよろしいかというのを主たる内容といたしまするので、それに基づいて三十九年度中に、要すれば船を作り上げたい。専門家の話を聞きますと、ちょっと無理があるようにも聞きますけれども、可能な限りすみやかに、今申したようにやりたい、こういうふうに思っております。
○鈴木強君 次に、私学振興対策についてお尋ねいたしますが、本年度予算三十六億円助成費を組んでありますが、うち二十億は財投からのものでありますが、これでは大臣、少し少ないのじゃないでしょうか。最近特に入学さしてみて、子供を持つ親の立場からしましても、かなり施設費等が取られているのでありまして、これはやはり確かに問題はありますと思いますけれども、もう一段と、私学振興対策を政府として考えてよかろうと私は思うのですけれども、その点、いかがでございましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。御指摘のとおりに思います、私学側の推計によりますれば、相当膨大な資金ないしは助成を期待しておられるようでございますが、何さま毎年の財政規模が、おのずから限度があるものでございますから、毎年の積み重ねで漸進していくよりほかない状態にあることは遺憾でございます。そこでまあ御指摘もございましたように、三十八年度から、財政投融資の道を開くということで二十億円予定しているわけでございますが、これも、逐年増加するよう努力をしますと同時に、政府出資も並行的に進めて参りまするし、さらに税法上の優遇措置を、さらにできれば拡大することも考えまして、民間の浄財が集まりやすくするということ等のことを合わせまして、膨大な資金需要ないしは助成の希望にこたえていきたい。繰り返し申し上げますが、御指摘のとおり、三十八年度の予算そのものすらも、はなはだ不満なわけでございます。努力が足りないと思っております。今後に向かって努力いたします。
○鈴木強君 これは局長さんからでもいいんですが、今義務教育を実際に受けられない、貧乏で小学校に通えない少年の数は何人いるか、わかっていますか。
○政府委員(福田繁君) お答えいたします。準要保護児童として就学奨励の対象にいたしております児童、生徒の数は、大体七十五、六万ぐらいでございます。
○鈴木強君 そのうち、夜間中学等をやっているところがあるようですけれども、そういうところに通っている生徒の数は何名ですか。
○政府委員(福田繁君) お答えいたします。最近の調査したところによりますと、大体生徒数は千人ぐらいでございます。
○鈴木強君 大臣、七十五万も義務教育が受けられないような少年がいるそうです。そのうち、千名程度が夜間の中学に通っておる。非常に気の毒な層だと思いますが、こういう層に対する対策はどうなっておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。どうも今御指摘の事柄は、正面切ってあからさまに論議するのをはばかるような状態であると申し上げざるを得ません。はなはだ遺憾でございますが、今お答え申し上げたような数は、わずかでございましょうとも、あるわけであります。その根源は、結局家庭の事情によることが主たる原因のようでございます。もっと社会保障施設、あるいは収入の道を増大するような努力が別途なされることによって、義務教育年限内の児童、生徒が、夜間の、いわばやみの中学に入らないでも済むようにということが根本の課題であろうかと思います。制度上は許されざるものではございますけれども、現実にありまする以上、何とかこれを解消する努力は政府全体としてやらねばなるまい。もっとも、年々ある程度の減少をみておるとは聞いておりますが、これまた今後の課題として、解決に努力したいと思います。
○鈴木強君 憲法に義務教育をうたっておりながら、現実にこういう姿があることは、大臣と同じように、私も非常に残念なことであるし、また、何といいますか、日本は教育が非常にどうとかこうとか論じられておりますけれども、一面こういう層があることについては、非常に私は遺憾に思います。これは国全体の対策にも関係しますが、やはり文部省としても、さらに一そうひとつ対策を強化していただくことをお願いしたいと思います。 それから、定時制の生従数が最近だんだん減っているということを聞いておりますが、一体、今日定時制の生徒数は何名おって、その減っていくというのはどういうところに原因があるのか、文部省で把握されておりましたらお答えいただきたいと思います。
○政府委員(福田繁君) お答え申し上げます。定時制高校に在籍しております者は、最近の調査では約四十万強でございます。昭和三十三、四年ごろから年々入学者が減って参っておりますが、三十七年度では、入学者は大体十三万ぐらいと考えておりますが、以前は十五、六万ぐらいあったと思います。しかしながら、その内容を申し上げますと、夜間の定時制におきましては、むしろふえている傾向にございます。昼間の定時制高校については減少しているという現状でございます。この原因につきましてはいろいろな点が考えられるわけでございますが、やはり最近の都市、農村の社会的な移動と申しますか、農村の子弟が都市に流れていくというような傾向がその減って参ります原因の一つに数えられると思いますが、そういう原因のほかに、やはり勤労青少年教育でございますので、その内容から申しまして、やはり勤労青少年の実態にぴたり合ったような教育がなかなかむずかしいわけでありまして、そういう点でまだいろいろ反省の余地があろうかと思います。おもな原因はそういう点にあろうかと考えております。
○鈴木強君 大臣、十五日の閣議で、定時制高校卒業生の就職の際、差別扱いをしない、非常にいいことをきめていただいたのですが、少しおそかったですけれども、いいことはいい。そこで、現在官庁や政府機関の中で、そういう差別待遇をしているところがあるように聞いているのですけれども、実態は調べておられますか。それから、中小企業、大企業等に分けて、どうなっておりますか。もしわかっておったらお知らせ願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。日経連の調査がございますが、昭和三十七年三月、定時制課程の卒業者について、その調査に回答のございました会社が八百一社、無記入のまま返ってきましたものが百十五社、それを除きまして、六百八十六社が具体的に調査の対象になっておりますが、以前から折りに触れて慫慂はいたしておりましたが、三十七年度の今申し上げる実績によると、それだけの六百八十六社のうちに、受験の機会を与えましたものが三四%、二百三十五社、三十七年から新たに受験の機会を与えましたものを特に申し上げますと、四十一社、六%の前年度からの増加になっているようであります。全然その機会を与えないものが四百一社、六〇%となっておりますことは、今お話のとおり、はなはだ残念でございます。これをお尋ねの規模別について調べておるのを見ますると、従業員三百人未満の企業が九十九社のうち四十八社、これが受験の機会を与えていないものの割合でございます。なお、三百人から九百九十人までの企業について同じように見ますと、二百三十六社のうち、百二十二社が実施いたしておりません。千人以上の企業は、三百四十一社のうち、二百四十社となっているようであります。なお、関西の経営者協会が、三月八日に差別撤廃を申し合わせましたことは、すでに御案内のごとくであります。官庁、政府機関におきましては、絶無とはむろん申し上げられないと思いますけれども、具体的に調査した資料がございませんので、ただいまお答え申し上げる資料がございません。 以上でございます。
○鈴木強君 大学の夜間部ですね、二部の学生、これは定時制高等学校と同じように私は考えるのですけれども、これについては大臣どうでございますか。むしろ大学卒業生のほうが非常に差別扱いをしているでしょう、高校より以上に。これについて閣議は同じように考えるということで決定したのでございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。大学についても、お話の夜間部については、問題は類似のケースだと存じます。ところで、大学の課程の夜間部の学生は、ほとんどがすでに職場を持っておる人たちが勉強しておる姿でございまして、その意味においては、就職の機会を平等に与えるという角度からする、何といいましょうか、不公平さなり弊害というものは量的には少ない、こう見得ると思うのであります。大学の夜間部につきましては、ずいぶん以前から、世論としましても、やかましく指摘されたところでございまして、この問題についての協議会を、たとえば大学協会、私学協会、あるいは日経連、経団連、文部省も加わりまして協議会を設置しておりまして、それを通じて年々慫慂し続けておるわけでございます。さっき御披露しました定時制高校並みの実数を申し上げる材料はございませんけれども、大局から見ますると、以上申し上げたような状況でございます。
○鈴木強君 大臣、確かに働きながら学校に行っている人もおりますけれども、しかし、そういう人たちも、大学卒業と同時に、自分の欲するところにまた試験を受けて入ろうという希望を持っておりますから、そういうものをひとつ十分勘案していただいて、今後ひとつ同じように私は扱っていただくような御配意をいただきたいと思います。時間がないから、これだけにします。 最後に、昭和四十一年度までに小中学校生徒の全員に教科書を無償にする、こういうことでございますが、年度別に計画がありましたらおっしゃっていただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。予算の措置から申し上げますと、三十七年度が第一年度、小学校一年生全員に教科書を無償で給付する。それを第一年度といたしまして、第二年度が三十八年度の予算でございますが、三十八年度におきましては、予算的に一、二、三年まで、さらに続けて三十九年度の予算で次の二学年、すなわち四年、五年、ですから、一年から五年までを実施する。四十年度の予算でもって残りの小学校六年と中学一年、次に五年目の年度の予算でもって中学の二、三年ということで、五カ年計画のもとに実施したいと存じております。もっとも、これには注釈を加えなければなりませんが、政府全体として確定しました五カ年計画として申し上げたわけではございません。大蔵省とは、まだ今も申し上げたとおりの内容であらかじめ決定しておるということではございません。しかし、文部省といたしましては、今申し上げたとおりに実現をはかりたい、かように思っております。 なお、また、ちょっと申し添えますと、御案内の、この前の通常国会で御決定いただきました教科書無償の根本の法律、これに基づいて調査会を設置するということになりまして、調査会ができ、審議されました結論が答申として出ておりますが、その中に、圧倒的多数の委員の意見は、全部なるべく早い機会に国費でもって無償給付を実現するようにという趣旨の答申でございますが、少数意見として、全部国費でスタートをすべきであるが、国費と公費と経費を分担してやるという事柄も検討をしてはどうかという内容の答申も出ております。そういうことからしまして、文部省と大蔵省の意見が完全に一致した姿で今御披露しました計画ができ上がっているのじゃない、そういう意味に御理解をいただきたいと思います。
○鈴木強君 総理府総務長官お見えになりますね。 NHKから、沖繩における放送局の再開及びマイクロ回線優先使用についてという要請を受けておりますが、これに対して総理府はどういう見解を持っていますか。
○政府委員(徳安實藏君) 沖繩の八重山方面にはラジオもテレビも日本のものが参りません。その関係から、地元から強い要請もございまするし、沖繩には民放がございますけれども、これらの放送が、そういう地域にまで放送あるいはテレビが参っておりませんので、NHKから最近そうした希望が出ておりますが、これは外務省を通じて、アメリカとも了解を得ねばなりませんし、また、事柄の所管が郵政省でございますから、そちらの方面ともよく御相談をいたしたいと考えております。いろいろ困難な問題はあろうかと思いますが、できれば、やはり私どもの同胞でございますから、日本のテレビ、日本のラジオ、こういうものをなるべく早く聞かせるような努力を払いたい、かように考えております。
○鈴木強君 これは二つあると思います。沖繩にNHKの放送局を再開することと、十一月ごろに完成を見るマイクロウェーブによってNHKに優先的に使用してもらいたい、こういう二つの内容になっていると思いますが、御存じのとおり、沖繩には琉球放送と沖繩テレビと二つ民放がありますから、これと国内の民間放送とのネットワークの問題、こういう点との関連がございます。これについて長官はどうお考えですか。どういうふうにマッチしてやっていくかです。
○政府委員(徳安實藏君) 十一月にはマイクロウェーブは完成することになっておりますので、これをめぐりましていろいろな問題があろうかと思います。こうした問題につきましては、当事者間並びに琉球政府、民政部等でいろいろとお考えをいただいておるようでございますので、できることならば、話し合いで仲よくやっていただきたいという考え方でおりますが、郵政関係の問題も多分に含まれておりますから、詳しいことは郵政大臣のほうからお聞きとり願うことが適当ではないかと思います。私どもとしましては、できれば今申し上げたとおりに、早く日本のラジオ、テレビ等を沖繩にも見せたいということで協力する体制を確立しているわけであります。
○国務大臣(小沢久太郎君) NHKが沖繩に放送局を開設することに関しましては、日本の電波法が沖繩には適用がありませんので、沖繩にはまた沖繩の電波法がございまして、向こうで電波の割当をやっておりまして、そうして沖繩の電波法によりまして、NHKは向こうでつまり放送局の開設ができないようなふうになっているわけでございまして、非常に困難な事情にあるわけでございます。しかし、われわれといたしましては、沖繩の住民がその開設を希望するものであるならば、ぜひとも当局といたしましては、その実現にできるだけひとつ邁進したい、そういうふうに考えておる次第でございます。 それから、現在、沖繩で民間テレビが二社ございます。そうしてテレビ放送を行なっておりまして、これに対して、わが国からはNHK及び一般放送事業者から、マイクロを用いないで、フイルムでただいま若干の番組を送っております。今後マイクロ画線が開設いたしまして、これによって番組の提供が可能になりますれば、沖繩の住民に対しまして非常に喜びとするところであると私は思います。それで、マイクロ回線の使用方法に関しましては、沖繩の希望を十分にしんしゃくしなければならぬというわけ合いでございまして、政府といたしましては、外交ルートによりまして、これを確認した上に処置したい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○鈴木強君 この問題は外交折衝等も必要になると思うのですが、この点はどうなりますか。外務大臣、ひとつ積極的に交渉してもらいたいと思いますけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 郵政大臣がお述べになりましたように、なお国内的にも検討すべき問題があるようでございますので、そういう検討が済みまして、政府側の意見がまとまりますれば、私どもとして交渉するにやぶさかでございません。
○鈴木強君 時間の関係で、外務大臣、もう一つのやつはやりませんから…、郵政大臣もうけっこうです、また他の機会に……。 最後に防衛庁と科学技術庁に重複する点もありますから、一緒にお尋ねしますが、まず防衛庁に対して自衛隊の定員と実在員、それから欠員の状況を陸海空別にひとつ教えて下さい。
○国務大臣(志賀健次郎君) 陸海空自衛隊の総計から申しますると、定員は二十四万四千名、これに対して現在員が二十一万三千名でございまするから、差引三万一千名の欠員になっておる次第であります。
○鈴木強君 この欠員が非常に多いようですが、どういうところに原因があるのですか。また、その対策はどうなさっておりますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) まあ欠員の問題でございまするが、私が防衛庁に参りました昨年の四月当時は、かなり先行きが非常に困難でありましたけれども、その後好転して参りまして、現在におきましては、いわゆる募集難というようなものはないのであります。むしろいろいろ全般的な関係から、予算で押えておきまして、その予算の範囲内では、十分に確保ができておるのでございます。むしろ昨今の動向によりまするというと、予算に押えられておる結果、採用しかねておるものも相当数あるのでございまして、今日募集難と申しましても、海のほうは約一千名でございます、欠員は。それから空のほうが二千たしか二、三百名と思います。もっとも募集難というか、充足率の十分でないのは陣上でございまして、現在陸上自衛隊の志願兵が圧倒的に多くなるように、いろいろな施策を講じておる次第でございます。昨日も本委員会において申し上げましたが、陸上自衛隊の隊員は、何年かたちますると、社会に復帰しなければならない一つの宿命を持っておるのでございまして、これらの若い諸君に公の資格を与え、やがて社会に帰る場合において、社会がもろ手をあげて歓迎でき得るような、こういう仕組を考えておるのであります。従来も職業訓練を徹底しておりましたけれども、それを一歩、むしろ数歩前進せしめまして、三十八毎度からは公的な資格を、四十六ぐらい現在予定されておりますが、昨日の本委員会でも申し上げましたように、三十八年度中には、陸上自衛隊の若い諸君に、自動車運転者の公的な免許を持たして、これらが社会へ復帰する場合には、すぐに職場で働き得るような措置も講じようといたしておるのであります。このような対策を講じつつ陸上自衛隊に若い諸君が、あげて志願でき得るような対策を講じておる次第でございます。
○鈴木強君 ヘリコプターや飛行機がよく落ちますけれども、その原因はどういうわけですか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 御指摘の航空機の事故につきましては、まことに国民に対して申しわけない、私は衷心からおわびを申し上げておるのでございます。航空機の事故を防止し、あるいはこれを事故の起こらないようにすることが非常に、めんどうないろいろな問題がございまするが、しかし、これを克服しなければ事故の絶滅はないのでございまして、御承知のとおり、今年に入りましてからは五件の航空機事故がございまして、そのうち陸上、海上は、それぞれ一件、航空自衛隊が三件と相なっておるのでありますが、これら五件の事件を調べてみまするというと、第一にあげられまするのは、パイロットの過誤と申しますか、操縦上の誤まりや、あるいはいろいろな落度、これが圧倒的に多いのでございます。第二番目にあげられますのは、航空機機材の不十分、整備の不十分というようなものがあげられるのであります。第三には、気象の問題でありまして、去る十六日香川県の室浜の岬の山林に衝突炎上しましたあの痛ましい事故も、湖の急変によるものと現在のところでは判断をいたしておるのでございまして、そこで、対策といたしまして、とりあえずヘリコプターの事故を絶滅することを期待して、来たる二十日から二十一日埼玉県の入間の救難対策航空基地に、幹部全員を集めまして、二日間にわたりまして、徹底的に今後の事故の起こらないような対策について、いろいろ協議しようということに相なっております。特に私の考えているところは、これらの二日間の協議を通じて、パイロットの再訓練、あるいは整備士の再訓練の徹底を期して参りたい。また、気象の問題でございますが、これは国の主要な機関なり、あるいは民間航空機会社その他の気象関係との連絡を講じながら、気象の連絡の強化が、非常にこれは大事でございまして、これらをもあわせまして、防衛庁は今後全力を賭して、国民にその都度おわびするのではなくして、事故の起こらないような、非常な決意を持って当たる所存でございます。
○鈴木強君 装備や何かについては、きょうは時間がないのでお伺いできませんが、一口に言って、長官は、今の自衛隊は旧陸海空に比べて強いと思いますか、弱いと思いますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) 非常にむずかしい御質問でございまして、ことに私は、旧軍人の生活を一日もやったことはございません。ただ、昔の軍隊と今日の軍隊の違いますのは、機動力と申しましょうか、装備力、こういうものが根本的に変わっているのでございまして、旧軍人と今日の軍人が、どこが強いか、どこが弱いかということを判断することは、少なくとも、しろうとの、軍人生活をやったことのない志賀防衛庁長官としては、判断のつきかねるところでございます。
○鈴木強君 四年前に赤城宗徳防衛庁長官は、私の記憶に誤まりがなければ、もう今の自衛隊は、昔の軍隊より強いということを言われている。そういう点は後退したんですか。
○国務大臣(志賀健次郎君) ただ、こういう点は言い得ると、私はひそかに確信を持っている。と申しまするのは、昔の軍人は、二十一才になると、われわれも兵隊検査をやったんでありますが、甲種合格になれば、いやおうなしに強制的に、これは徴兵制度でございまするが、兵隊になる。ところが、今日の自衛隊は志願兵でございます。しかも、民主主義の体制のもとに運営される自衛隊でございまして、その心がまえが違うのであります。一人一人の兵と申しましょうか、あるいは軍人と申しましょうか、昔の軍人は、強制的に国の守りについた、今日の若い青少年の諸君は、みずから自分の国を自分の手で守ろう、少なくともそういう気迫できている。何万人の中には、ひょろひょろと志願した者が中に何人かあるか知りませんが、昨今では、私の信じております限り、非常な決意を持って入ってきておる。それはそのはずでございます。今日、日本の自衛隊の待遇というものは、決してこれはよろしいものではない。むしろ非常に低いものでございまして、そういうものを目当てにするならば、自衛隊に来る今日の青少年というものはないのでありまして、そういう精神力の七から申しますれば、少なくとも昔の軍人よりは、今日の自衛隊の隊員は非常に強いということだけは、ひそかに私は確信を持っておるのであります。
○鈴木強君 近藤長官にお尋ねします。科学技術基本法が、国会へ提案がおくれておりますけれども、これはどういう理由ですか。
○国務大臣(近藤鶴代君) あまり声が小さくて聞こえなかったのですが、何とおっしゃったのですか。
○鈴木強君 基本法が国会へ提案がおくれているのは、どういうわけですかと聞いたのです。
○国務大臣(近藤鶴代君) ただいまのお尋ねの基本法の点でございますが、これは従来から、非常に大事な問題であるというので、あらゆる角度から検討されており、科学技術審議会等それぞれの機関を通じての結論が、まだ出ておらないわけなのでございます。よく、私どもも気になっておりますので、できるだけ今国会に提案して、御審議を仰ぎたいというので、調査を督促をいたしておりますけれども、ただいまのところ、審議会の答申を待って結論をきめなければならないというような問題がございますので、まだ、その見通しも十分でないというような状態でございます。で、決して、これは科学技術基本法をおろそかにしているわけではございませんで、先生方の十分なる御意思も反映しながら、りっぱなものに作り上げて参りたいという気持から、少しおくれておるということを御了承いただきたいと思います。
○鈴木強君 文部大臣、これに対して、どう考えますか。あなたほうの関係から……。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日本学術会議からも建議が出ておる課題でございますが、科学技術庁との間に相談をしながら、結論を見出すべく努力中でございます。特に、文部省の立場から申し上げますと、基本法もとよりけっこうでございますが、一面、学問研究の自由という課題と、どういうふうに結びつけるか、あるいは調整するかというふうな問題もあろうかと思うのでございまして、できれば、この通常国会にという意向で、政府内部では相談しておりましたが、まだ最終結論に到達しない状況でございます。
○鈴木強君 ブレーキをかけているのは、あなたのほうじゃないのですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いや、別に文部省がじゃましているということはございません。一緒になってよきものを作りたいというとこで相談中でございます。
○鈴木強君 核爆発の放射能の降下物の環境衛生に与える影響と、それから人間に、どういう影響を与えるかということに対しての調査、研究は、どうなっておりますか。これは近藤科学校技術庁長官。
○国務大臣(近藤鶴代君) ただいまお尋ねのフォールアウトの人体に対する影響がどうかということでございますが、御承知のとおりこの問題は、自然にあるものと、それから特別の実験その他によってできたものとの両方を勘案いたしまして検討しなければならないものでございますから、ただいま私どもが、ここで申し上げます資料は、国連の科学委員会で昨年発表いたしましたものについて申しますと、最近の核実験によるフォールアウトによって人体が受ける線量と、それから自然放射能から受けるものとを比較して、相対的な危険度を求めた結果といたしまして、その影響度は、遺伝的影響につきましては、自然放射能による影響度の約十分の一。それから身体的影響につきましては、約十分の二となっておりますが、絶対的な影響の度合いは、核実験からのフォールアウトのように低い線量を長期間にわたって及ぼすものにつきましては、未知の問題が多く、今後の研究に待たなければならないと思います。 で、わが国の場合におきまするフォールアウトによる環境汚染の状況につきましては、現在、対策を必要とする段階ではございませんが、放医研等において、積極的に調査研究を実施しております。たとえて申しますと、牛乳中に含まれるストロンチウム九〇の除去とか、あるいは米麦のストロンチウム吸収の抑制とか、あるいは乳幼児の被爆線量等につきまして調査研究を行なっておるような状態でございます。
○鈴木強君 日本でやっているのはどうなんですか。それは外国のやつでしょう。
○国務大臣(近藤鶴代君) ただいま申しましたように、「わが国においては」ということを申し上げたところからは日本の研究なんです。
○鈴木強君 日本における科学技術の開発ということについては、どうも私は少しなまぬるいように思われてしようがないのです。しかも、その方針が、確たるものがない。基本法一つ作れない、こういう状態であります。したがって何とかひとつ、近藤さんも、二人目の女大臣で技術庁長官になったのだから、もうちょっと科学技術の一元化ということも考えて、大なたを振ってやったらどうかと思うのですが、その点、あなたどう考えますか。
○国務大臣(近藤鶴代君) 科学技術の一元化をはかって、どんどんやったらいいじゃないかという激励をいただいたわけでございますが、私は、今の段階で、科学技術庁が果たしていかなければならない役割は、いわゆる総合調整というのが、大きな役割になっておりますから、各役所において、それぞれの目的をもってなされておりますところの研究というものを、うまく総合し調整して、一段高いところからというと、ちょっと語弊がありますけれども、一段高いところから、むだのないように、効果的にということを考えていけばいいのじゃないかと考えております。
○鈴木強君 防衛庁と科学技術庁では、今、メーザの開発は、どういうところまで進んでおりますか。
○国務大臣(志賀健次郎君) メーザですか。メーザとレーザと両方あるそうですが。
○鈴木強君 メーザ……。
○国務大臣(志賀健次郎君) メーザの開発は、私の承知する限りでは、きわめて基礎的なものでございまして、これは、御承知のとおりレーダーの性能を高めるための基礎研究でございますが、詳細のことは、装備局長から、専門でございますから説明させます。
○鈴木強君 ちょっと先に科学技術庁のほうから伺いたい。
○国務大臣(近藤鶴代君) メーザの研究につきましては、現在、昭和三十七年度におきましては、工業技術院において、鉱工業技術試験研究補助金として四百二十万円、これを日本電気の固体レーザ発振器の研究に交付して、その助成を行なっておりますが、この研究は、光メーザを将来通信とかあるいはレーダー等に応用することを考慮して、ルビーを使用したレーザ発振器の試作研究を行なうものでありまして、この種の補助金は、公募によって行なうものでございますから、昭和三十八年度の分についてはまだ未定でございます。 それから、直接科学技術庁の関係の深いところで取り扱っておりますものといたしましては、工業技術院の計量研究所において、昭和三十八年度に、長さ標準に関する研究の一環として、光メーザ方式の光源に関する研究を予定し二百八十六万円を充てております。 それから、理化学研究所におきましては、混合ガス中における発光過渡現象の研究外部反射鏡による発振モードの基礎研究、光メーザの通信、高速度写真、精密工作法などへの利用に関する応用研究に関して、昭和三十八年度に千二百七十四万円を計上いたしております。 その他、大学の研究所あるいは郵政省のほうの研究が幾らかなされておるように思っております。
○政府委員(伊藤三郎君) 防衛庁でやっておりますメーザ関係の研究でございますが、マイクロ波、ミリ波の領域におきます電波の増幅方式、これが御承知のようにメーザでございますが、これにつきましては、レーダーの性能を向上させるため研究をいたしております。三十四年度に増幅実験装置八百五十万円、試作費として計上実行いたしております。この付帯装置等を入れまして三十四年度にそういう装置を入れております。その後、基礎研究を続行いたしております。 次に、いわゆる光メーザ、レーザの研究でございますが、御承知のように、赤外線及び可視光線の領域における増幅と申しますか、集中の方式でございますが、これにつきましては、三十七年度から研究をいたしております。三十七年度では、暗視視度測定器、この一部としてレーザの研究をいたしております。暗視視度測定器八百二十五万円の一部としてレーザ関係は百三十七万円でございます。これは暗視としまして、赤外線を利用して戦車から射撃する場合の照準とかあるいは人間が照準用に使うものである。そういうような研究もあわせてやっておるわけでございます。三十八年度にも引き続いてレーザの研究を実施したい、さように考えます。
○鈴木強君 科学技術庁のほうは、平和的な目的に利用するための研究だと思うのですが、防衛庁のほうは、いわゆる自衛力のために、自衛戦力というか、自衛力というか、兵器としての使命を有効ならしめるための研究だと思う。だから、両方の目的は私は違っておると思うのですけれども、その点はどういうふうに理解したらいいのですか。
○政府委員(伊藤三郎君) 防衛庁で研究いたしますのは、もちろん装備品としての研究になるわけでございます。でありますが、メーザあるいはレーザのような基礎理論を本としまして、それからすぐに発展する技術というものにつきましては、相当研究自体としては共通した点が多いと思います。でありますが、防衛庁としましては、先ほど申しましたように、兵器、これは通信機も含めた意味でございますが、そういう装備品としての研究を目的として基礎研究を実施しておるわけでございます。
○鈴木強君 防衛庁では昭和三十七年十一月十五に、日米間に赤外線、暗視赤外線の技術協定というのを締結されておりますが、これによって具体的にアメリカから技術の指導を受けたことはどういうことですか。
○政府委員(伊藤三郎君) 昨年の十一月に、技術資料交換協定、いわゆるDDEPをアメリカとの間に締結をいたしまして、糧食赤外線等四項目につきまして資料の交換を行なうということになったのでございます。その後、アメリカとの間に話し合いを進めておりますが、具体的に赤外線につきましてまだ資料をもらっておりません。わがほうの研究課題から見まして、どういう資料が欲しいかということを具体的に検討いたしまして、そういうものについて今後技術資料の提供を受けるということになります。また一方、わがほうで研究いたしました成果で、先方で要請するものがあれば交換して渡すということになるわけでございます。
○委員長(木内四郎君) 時間が終わりましたが……。
○鈴木強君 十秒あるですよ、まだ。
○委員長(木内四郎君) 時間が終わったのですが……、簡単ですか。
○鈴木強君 ええ、簡単。これは非常に大事なことですから、ひとつぜひ防衛庁も、科学技術庁も考えていただきたいと思うのですが、すでに日本でも昭和十三年から二十年ごろの間に、殺人光線としてのレーザの開発は相当行なわれております。それでこの実験においてもネズミを二十分ぐらいで殺すとか、そういうところまで成功している。だから、一面大きな磁電管を使ってやることですから、人体に与える影響等もかなりあると思うのです。そういうふうな防衛措置というものを十分考えないと、これに問題が起こると思います。たとえば防衛庁が持っているレーダー・サイトの中でも二百メートル以内に入った場合は人体に影響を与えるのがありますよ。これは前の委員会でも防衛庁が明らかに答弁しているのですから……。ですから、アメリカでも今度太平洋のある島で二十七キロの地域をそういう危険があるものですから、特に指定して、そこで大々的なミサイル兵器を要撃するような、弾道弾を要撃するような開発をやっておるようです、研究を進めておる。だから、そういう点を怠っておっては、これは目に見えないからわかりませんけれども、放射能の問題と同じように、私は磁気的な体力に与える影響というものは重大な問題があると思いますから、その点もひとつ十分考慮して開発を進めるなら進めていかなきゃならぬと思いますし、その点だけ特に私は主張しておきます。 委員長、ありがとうございました。終わります。
○委員長(木内四郎君) 鈴木委員の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) 次は、小林武治君でございますが、都合により順序を変更しまして、先に松本賢一君に発言をしていただきまして、そのあとで小林君の発言を行なっていただきたいと思います。松本賢一君。
○松本賢一君 私、国務大臣への質問に入ります前に、ちょっと議事進行について委員長にお尋ねなり、お願いなり申し上げたいと思います。というのは、この部屋が非常に暗くて困るということ、委員会の審議は、口と耳だけでは進行しないので、しばしば目でものを読む必要がある。私もこうして原稿を持っておりますが、ふだんめがねを用いないものですから今もめがねを持っておりません。そこで、今こうやってライトを照らしていただいているので明るいのですけれども、消えると非常に困るのです。何ルックスでどういうような理屈は抜きにいたしまして、もっと明るい照明をするように取り計らっていただけませんでしょうか。お尋ねなりお願いなりいたしたいと思います。今のことでないのですが、早急にやっていただけるかどうか。もっとも、委員の皆さんがこの薄暗いムードを必要なさるのでしたらやむを得ないのですけれども、委員長どうでございましょうか。
○委員長(木内四郎君) 委員長は理事諸君と御相談いたしまして、できるだけのことをいたしたいと思います。
○松本賢一君 どうもありがとうございました。ひとつできるだけ早急にお取り計らいを願います。ただし、安っぽい螢光灯なんかお使いになることはごかんべん願いたいと思います。この電球を明るいものと取りかえるだけでもけっこうと存じます。先ほどちょっと数えてみましたら九十四個ございます。お願いいたします。 それから、外務大臣が非常にお急ぎのようですから、まず外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。きょうは、私、予算委員という専門家というような立場でなく、まあ一国民としてざっくばらんにお尋ねいたしたいと思いますので、大臣も気軽にざっくばらんに御答弁をいただきたいと思います。それは各大臣の方々にもそういうふうに私はお願い申し上げたいと思います。 世界連邦建設のことについてお尋ねいたしたいと思うのです。世界平和確立のために世界連邦建設運動というものが、現在、共産圏はあまり入っていないようですが、それを除く世界各国民の間において熱心に行なわれており、毎年世界大会というものが開催されておりますことは、大臣の御承知のとおりであります。とりわけ、わが国におきましては、この運動が比較的活発に、かつ大規模に行なわれておりまして、現在、民間の代表的団体としての世界連邦建設同盟というもののほかに、国会内に、自民党八十二名、社会党四十三名、民社党二十六名、無所属二名という、各党を含む百五十三名の議員によって世界連邦日本国会委員会というものが組織され、さらに、地方公共団体においては、世界連邦都市全国協議会というものを組織して、東京都、京都府を初めとする十六の都府県、また、京都市、広島市などを初めとする二百四十四の市区町村が、それぞれ議会の決議によって世界連邦都市宣言をやって、この協議会に加盟しておりますことも、大臣御承知であろうと思います。ことに、今年の八月には、各国代表がこの東京に集まって世界大会が行なわれる予定になっております。こういった世界連邦運動の内外の情勢に対しまして、外務大臣はどのように考えられ、またどのように対処していかれようとしているか、まずお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) ただいまお示しのような運動が展開されておりますことは承知いたしております。私どもといたしましては、この世界平和達成というこの運動が指向しておりまする目標、目的につきましては共感を覚えるものでございますが、ただ世界連邦と申しますが、一体その具体的な構造はどういうものか。たとえば各主権国家が世界連邦政府にどの程度みずからの主権を委譲するのか、あるいは世界連邦を形成して参る具体的な方法、言いかえれば、国連の憲章を改正していくという方法を通じてその目的を達成しようとするのか、それとも新たに世界憲法を採択するというために、世界人民会議を開くとかいうようなことによるのか。今御指摘の関係団体で必すしも帰一していないところがあるように思うわけでございます。私どもの感じといたしましては、まあそういう高遠な目標を追求することよりも、むしろもっと手近に、政治、経済、文化等の各領域におきまして世界の交流、接触が進んで参る。あるいは国連、その他の国際機関の協力体制を固めていくという手近な方法によりまして、世界平和の達成に接近して参るというようなほうが、かえって着実で、かつ効果的ではないかと考えてもお勢ます。したがって冒頭に申しましたように、この運動が指向する目的については共感を覚えておりますけれども、政府としてこの運動を何らかの形で支援するというようなことは、目下のところ考えておりませんし、外国の例をいろいろ調べましても、そういう例はないようでございます。
○松本賢一君 大臣がそういうふうにおっしゃることも、ごもっともかとも思うのでございますが、今世界連邦運動をしておる人たちの考え方が一致してないということも、確かにあると思いますが、こまかい点では一致はしていないけれども、大体夢のような運動から現在ではだいぶん現実的な運動に変わってきて、国連憲章を改正してやっていくという方向に、大体の大勢がなってきつつあると私は判断しております。おそらく大臣もそういうことは御存じじゃないかと思うのでございますが、それはそれといたしましても、大臣は今、ほかの国にも政府が直接そういう連動を援助しておるようなこともないから、私どもも援助するような考えは今はないというようなお答えでございましたが、これは私は日本が最も進んだ連動をしておる国だと思うわけでございまして、現に国会議員が百五十三名もこれに参加しており、そして十六都府県、二百四十四の市町村というものが連邦都市宣言をやっておるといったような現実は、これは世界中にない現実でございます。と申しますのも、日本の憲法が御承知のとおりに理想を掲げて、この理想のためには国の名誉をかけるのだというようなことをはっきりとうたっておる。そういった憲法を持っておる日本として、これは世界で最も先頭を切って進むべき国ではないかと私は思うのでございます。現に自分のことを言うようですが、私が三年ほど前に世界連邦の日本代表としてケルンの世界大会に臨みましたときに、英国のアトリーさんが、日本こそは世界連邦運動の先頭に立ってもらわなくちゃならぬ国だ、というようなことを私におっしゃったことがありますが、私もそういうふうに考えておるわけなんで、そういった日本の現実、世界の先頭を切っている現実というものから考えまして、この理想を日本の国際的な一つの理想として、やはり私は、政府が先題に立って掲げていくのがいいのじゃないかと思うわけでございまして、具体的な問題としてお尋ねいたしますが、ちょうど各市町村なり都道府県がやっておりますような宣言というものをまとめたような形で、国会宣言なり国家宣言なんというようなものを行なって、そして今回、ことし行なわれる世界大会というものに対しまして、大きくアピールしていくというようなことは、私は非常にいいことだと思うのでございますが、そういう点につきまして大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) この運動に関係を持たれておる方々の御熱意というものはよくわかります。ただ私が申し上げたいのは、この運動が世界上平和を希求するという普遍的な運動でございますれば、その限りにおいて何ら問題はないわけでございますけれども、具体的に世界連邦政府建設というふうなことになりますると、今わが国が堅持いたしておりまする国連中心外交という外交の基本方銭と抵触を来たすようになるわけでございまして、この運動の展開の仕方いかんによりまして、現に政府が政府の政策としてとっておる政策と抵触して参るというようなことが、起こり得る可能性があるわけでございまいます。したがいまして、各都市におきまして市議会等で決議される、そして世界平和を願望するというようなことは、一向差しつかえないばかりでなく、歓迎すべきことでございますけれども、その決議なるものが現在政府がとっておる外交の基本方針というふうなものに抵触して参ると、にわかにこれを支持するというわけには参らぬと思うわけでございまして、問題はこの運動でどのような展開の姿になるかということを具体的に見ないと、政府の見解を前もって申し上げるということはむずかしいと思います。
○松本賢一君 まあ現実は現実として、私もよくわかるのでございます。しかし理想は理想としてうたっても一向差しつかえないじゃないか。それで現実の外交に支障を来たすということは、私はないと存ずるわけでございます。まあしかし、非常にお急ぎのようで時間もございませんので、簡単に最後にお尋ねいたしますが、そうすると、まあ政府の提案で、こういうことを国会に諮るというようなことは、とてもできないという今のお答えでございましたが、そうすると議員提案で、仮りに国会においてそういった宣言が議決された場合には、大臣もこれに対して御賛同の意は表せられるものと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 国会は国権の最高機関でございますから、国会の御決議になりましたことに異議を唱えることは毛頭考えておりません。
○松本賢一君 それでは、これで外務大臣に対する質問は打ち切ります、お急ぎのようですから、 次に、文部大臣にお尋ねいたしたいと思います。人づくりということについてまずお伺いしたいのですが、池田総理大臣が去年の夏でしたか、人づくりという言葉をお使いになりましてから、非常にまあ人づくりという言葉が流行いたしました。池田さんという方は流行語を作ることが非常にお上手のようでございまして、麦飯論以来、池田さんのおっしゃることは非常に流行するのでございまして、私もその点は非常に勘のいいことに敬意を表するものでありますが、ところが前に月給二倍論とか、あるいは今盛んに言っておられます所得倍増というようなことをおっしゃられたときには、そのことについて月給二倍論のときに、もうたしか私の記憶では、池田さんがみずから筆をとって新聞に投稿なさるというようなことまでなさった。また所得倍増については折に触れて得意の論法でいろいろと御説明をきれておるんですが、この人づくりということについては言葉を作られた切りで、その後あまり具体的な説明がなされていないと思うんです。 〔委員長退席、理事斉藤昇君着席〕 ただ学校教育や社会教育、家庭教育を通じて、りっぱな日本人を作るんだというような、まあいわばありふれた説明がなされておるだけでございまして、どうも国民には所得倍増のようにぴんとこないのでございます。そこできょうは、池田さんがお見えになっておりませんので、文部大臣にお聞きするんですが、池田総理のいわゆる人づくりとは具体的にいうと、どういうことなのか、広い意味での教育ということは想像されるんでございますけれども、いまさら事新しく人づくりということを言い出された理由はどこにあるのか、今までの人づくりのどこが足りないから、これからはどうするんだというような、いわば池田式人づくりの具体的な内容について、なるべく詳細に文部大臣の御説明をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。総理が国づくりは人づくりにあるんだという趣旨のことを公表しましたらば、松本さん御指摘のとおり、国民の大多数が理屈抜きにそうだというような気持で受け取っておるものと、私もわかるような気がするのであります。総理は国会で同じようなお尋ねに対しまして申しておりますことは、その人づくりというのは別に輪郭がはっきりしない、内容がわからないじゃないかとおっしゃいますけれども、わからないところがいいんだとはむろん申し上げませんが、一人々々がみずからを省みて、人として、日本人としてりっぱになる努力をすることだと。国の立場におきましては家庭教育、学校教育、社会教育を通じ、さらにはまた職場におきましても一人々々が、あるいは職場の幹部が職場内の青少年に対し、というがごとく、日本人全部が、一人々々が努力してりっぱな者になっていくということ。国はそのことに対して、もろもろの人づくりに必要な条件を、特に学校教育の場では整備することに力を入れる、そういうふうにお答えをしておるようでございますが、私もそういうことで、わからないようで実は十分にわかっているんじゃなかろうか、そういうふうに受け取れるわけでございます。もう少し注釈を加えさせていただけば、人づくりと申せば、何か具体的な形を持った、鋳型にはめたような条件を要求するがごとく聞こえる面もございますけれども、そういうことは初めから一つも考えていないので、いわばりっぱな日本人になるように努力をしていこうということに含まれる内容で、人おのおの千差万別の受け取り方があろうかと思いますけれども、いわば理想的人間像に向かっての努力の歩みを続けるんだ、そういうことだと私は考えております。
○松本賢一君 文部大臣の御説明も非常に抽象的で、非常に精神主義的で、どうもこれもぴんとこないんでございますが、政治としてのやはり人づくりというものは、私はそういうものじゃないんで、人づくりというものを政策の重要なものとしてお掲げになる限りにおいては、何かそこに具体的な政策というものが――あえて言えば、予算を伴った具体的な政策というものがこれこれ、これだというふうに現われてこなければいけないんじゃないかと、私は思うんでございます。ことに、これは言葉じりをとらえるわけじゃないんですが、池田総理が衆議院において片鶴さんの質問に対しまして、昨年来文教につきましては最も力を入れておるのであります。という答弁をなさっておられるんですが、この最も力を入れておるということは、やはり、これは具体的な政策を立てて、そしてそれに対する予算を考えるということでなくちゃならぬわけなんで、私はそういったふうな人づくりに対する強力な進め方というものをどういうふうになさるのか、それをお伺いしたいのであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。弁解をするようでございますが、人づくりとは何だというお尋ねには、予算の金額でかれこれ申し上げるのは適切でないかしらんと、かように存じまして先ほど来お答え申し上げております。そこでまあ、文部省で担当します分野は、社会教育の一環としての家庭教育、幼稚園から始まって大学に至りまする学校教育、さらには一般的に言われる青少年を中心とする、大人も含めましての社会教育ということであろうと思います。そこで精神面での人つくりに関連する課題もむろんあろうかと思いますが、それは一言にして申し上げれば、教育内容、学校教育法第二十条以下に規定します教科に関すること、そのことは実質的には関連を持ってくるものと思います。算数、国語から道徳教育に至りまするまでの知能の啓発ないし徳性の涵養という角度からとらえる教育内容のことであろうと思います。で、これにつきましても、道徳教育の充実を初め、予算的にも三十八年度に何がしかの新規のものも御審議をお願いしつつあるところでございます。同時に今度は、教育の場で物的なことを申し上げますれば、ボロ校舎よりもりっぱな校舎で勉強したほうが能率が上がるといいましょうか、効果を期待できるとむろん言えるわけでございますから、学校の施設設備の整備につきましても、前年度より力こぶを入れたつもりでおるわけでございます。同時に教育効果を、学校教育を通じてあげますためには、教育者そのものがりっぱな能力を持ち、人徳を身につけた方であることが期待されるわけでありまして、そういう立場からも指導者ないしは教育者の養成、現職教育等も行ないながら、教員の一人一人の努力に待ちながら、教える側の、指導する側の質の向上を期しいとていきた思っておるのであります。さらに科学技術教育、あるいは義務教育、後期中等教育の場における諸条件の整備等、申し上げればいろいろとあるわけでございますが、拡張して申し上げれば、学校給食のことから体育の振興に至りますまでが、学校における人つくりに関連した事柄だと存じまして、そういう面にも予算的措置を従来以上に努力をしてつけておるつもりでございます。
○松本賢一君 あんまり時間もございませんので、いろいろ聞いてみたいこともございますが、今予算の問題が出ましたので、大まかなことだけお聞きしておきたいと思いますが、三十八年度の予算の中に占める教育費の全額というものがどのくらいで、どのくらいの比率を占めている、それは三十七年度と比べてどう違ったかということだけ簡単に御説明願いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。一般会計の予算規模は三十七年度二兆四千二百六十八億円というのが三十七年度でございます。三十八年度が二兆八千五百億円、伸び率が一七・四%であることはすでに御承知でございます。これに対応しまして文教、科学技術の振興という課題で一括して申し上げますれば、三十七年度三千八十三億円、三十八年度三千七百十七億円、伸び率で申し上げれば二〇・五%でございます。したがって一般会計予算の総括的な伸びに比べまして、今申し上げた程度の伸び率に向上いたしておるということで、一応物語っておろうかと思うわけであります。
○松本賢一君 その全体の予算については、もうこれ以上お尋ねいたしませんが、次に、さっき大臣の言葉の中にもありました学校の施設について多少お尋ねしてみたいと思います。それは現在国立あるいは公立の大学、またはいろいろな学校におきまして学生生徒の一人当たりどのくらいの公費――これは国費じゃなくて国費と地方団体のあれを合わせまして、生徒とか学生一人当たりどれくらい使われておるかということを、大学、高等学校、中学校、小学校というふうに分けて、これは事務当局のほうからでけっこうですから、その数字をお教え願いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 事務当局で作ってもらいました資料がございますから申し上げます。便宜これは決算で申し上げたほうが具体的に物語るものと思いますので、三十六年度の決算で見てみますると、小学校で一人当たり二万三千九百三十三円、中学校で三万一千八十二円、高等学校、これは全日制でございますが、五万四千百六十八円、定時制でみますると四万五千六百八十五円、大学は国立大学をとりましたが、短大を含めまして平均しますると二十七万四千百九十三円ということに相なっております。
○松本賢一君 今の数字は、大学、高等学校の場合、授業料を払っているわけですね、学生生徒が。それを差し引いてあるわけですか。これは大した金でないかもしれませんけれども……。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 授業料を含んでおるようであります。
○松本賢一君 そうすると、差し引くと、どのくらいになりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 授業料を差し引きましても、大学で二十七万四千円がやはり二十万見当であろうかと思います。
○松本賢一君 お答えいただけますか、詳しいことを。
○政府委員(福田繁君) 高等学校につきましては、ただいま申し上げました数字から約八千円引いていただきますと、授業料を引いた分でございます。国立の大学につきましては九千円でございます、差し引いていただきますと……。
○松本賢一君 そうしますと、義務教育である小学校や中学校よりも、上級の学校のほうが一人当たり公費の負担がずっと大きいということになるわけです。それは主としてどういうところからきているのでございましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 上にいくに従いまして、申すまでもなく教育内容が高度化し、複雑化して参りますために、学校の建物は一応別としましても、設備、特に理工系統の実験実習設備等に莫大な経費もかかるわけでございまして、そういうことからきます、当然と申しましょうか、やむを得ない一人当たりの経費の増となって現われることと思います。
○松本賢一君 それは当然なことで、私もその点は初めからわかるのでございますが、私が特にこういうことをお尋ねしてみたいのは、教育上どうしても必要なものはともかくとして、今の実験室だとかそういったようなものが、それは小学校にはりっぱなものがなくて大学にりっぱなものがある、これはもうあたりまえのことでございますけれども、そういったような教育上絶対に必要なものにたくさん金がかかる、これはよくわかるのですけれども、そうでなしに、私どもしろうとの感じで見ますと、そうでない一般施設と申しますか、教室の作り方だとか、ほかのいろいろな、便所の作り方にしましても、また、冬の寒いときに大学では暖房があるけれども、小学校は寒いところでやっておるといったようなことが、どうも私ちょっと納得がいかないのです。それで、もう一ぺん数字をお尋ねしたいのですが、今の建物の問題ですが、今の教育費の中に建築費の単価というものが、あるいはまた、暖房の設備費といったようなものが、一体大学から小学校までの段階でどのくらいの違いがあるものか、ひとつお教えを願いたいと思うのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと私直接お答えいたしかねますので、政府委員からお答え申し上げます。
○政府委員(杉江清君) まず、小中学校校舎の建築単価を申し上げますと、鉄筋で本年度単価が六万七千八百円、鉄骨で五万一千九百円、木造で三万七千八百円であります。それに対しまして高等学校の単価は、鉄筋で七万一千四百円、鉄骨で五万五千七百円、木造で四万三千円になっております。大学につきましては、建物によりましていろいろな単価を用いておりますが、八万から十万近く、建物の種類によって差を設けてございます。
○松本賢一君 それから、ついでに尋ねました暖房の設備に対しては、どういうふうに予算を見ておられますか。
○政府委員(杉江清君) ただいまその資料を持ち合わせておりません。
○松本賢一君 それじゃお聞きいたしますが、私どもの感じでは、大学や高校ではどうも暖房が設備されておるように思いますが、小中学校ではほとんど設備せられていないのが現状だと思うのです。そういうふうに判断してよろしゅうございますか。
○政府委員(杉江清君) 大学につきましてもすべて暖房設備をいたしてはおりません。寒冷地のみについて暖風設備をいたしております。小中学校につきましては、これはそれぞれの地方によりまして異なりますけれども、やはり寒冷地においては暖房をいたしておるものが多いわけでございます。
○松本賢一君 こまかいことをごたごた言うのはよしますが、要するに、私が大臣にお聞きしたいのは、大臣はいつも義務教育優先というふうにおっしゃっておられるし、これは私もそう思います。そこで、今の数字を見てもわかりますように、どうも実際には義務教育優先ということが行なわれていないように思うのです。大きい子供に対するほうが、小さい子供に対するよりもどうもいい待遇をなさっている。さっき言いましたように、学問の研究上絶対必要なもの、これはもう別でございますが、そうでなくて、一般の学校内における生活状態というものが、大きい子供ほどいい待遇を受けているというように、しかも一方は義務教育であり、一方は義務教育でないという点の相違があるにもかかわらず、そういうふうに行なわれている。これは一軒屋の中においてでも、書斎は、大学生と小学生と二人子供がおりますと、大学生のほうが大きい机で勉強して、本をたくさん買ってやる。これはあたりまえのことだと思うのです。しかし、大学生のほうにはストーブをつけてやるけれども、小学生のほうには火鉢でがまんせいといったようなことは、普通の母親はあまりやらぬだろうと思うのです。そういう点について、大臣どういうふうにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 政府委員が申し上げましたように、学校施設の当然の施設内容としては、全国一律に暖房設備等をやっていないわけでございますが、その地域の寒冷の度に応じましては暖房設備をやっている。私なんか、九州在なものですから、小中学校を通じまして暖房のある部屋で勉強したことはございませんが、地域によって、必ずしも暖房がなければ冬が越せないというものではないように思います。また、そのことが、制度として当然暖房をつけるということをしてないゆえんでもあろうかと思います。しかしこれは、私の昔の体験を申し上げて済むものじゃございませんので、御指摘の点は、もっと一般的な問題として検討を加えていきたいと思います。
○松本賢一君 ぜひ検討を加えていただきたいと思うのですが、私は特に申し上げたいのは、暖房の問題だけじゃなくて、いろいろな点において義務教育で勉強している子供たちが、それと違う学校の子供たちと比べて、同じ国なり公共団体なりが金を出してやっているのに、そこに義務教育重点ということがまるで逆になっているような感じのするようなのが、私どものしろうとの勘としていつも感じられるので、そういう点をひとつ今後大いにやっていただきたいと思うのです。これには相当大きな予算を伴うと思うのでございますが、そういう点、ひとつ大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 総理からも文部大臣からも申し述べておりますとおり、人つくり、国づくりの基本は教育に置いているのでございまして、教育の予算増額につきましては、三十八年度も格段の配慮をしたつもりでございますが、これだけをもって万全だと考えているのではございませんので、これから連年の予算編成に際して十分重点的に配意して参りたい、こう考えるわけでございます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまの大蔵大臣のお答えに、別の角度から補足的に申し上げてみたいと思います。 先ほど来のお尋ねに対しまして、一人当たりの設備施設等の費用を申し上げましたが、それは先ほど申し上げたとおり、だんだんと上の学校に行くに従いまして、やむを得ざる経費がかさんでくることが大部分の理由であって、暖房の問題もさることではございますけれども、大勢には、数字的にはそう影響ないのじゃなかろうかというふうな感じを持つわけであります。それを、今度は別に、何だか義務教育のほうが虐待されているような感じでのお尋ねでもございますから、その御疑問に答える一つの資料かと思いますので、申し上げてみたいと思います。 ずいぶん古いことから申し上げてどうかと思いますが、明治二十三年、これを一〇〇と見まして、生徒一人当たりの教育費の指数を一応比較してみました。明治二十三年を、それぞれ初等、中等、高等――中等は高等学校のことであります、昔の中学校でございますが、三つに分けまして、一〇〇と見て、戦前に一番近い昭和十五年の指数を見てみますと、初等で二四六、中等で五九、高等――すなわち大学程度でございます、高等で一〇二ということになりますが、昭和三十六年に同じ一〇〇を基本とします指数で見ますると、初等すなわち義務教育課程におきましては一一一九、中等で二〇五、高等で一七七、すなわち数十年の足取りをたどって比較しますると、初等は一〇倍、中等は二倍、高等――大学程度のものは一倍半強、二倍弱ということでございまして、総額としましては、数が多いせいもむろんございますけれども、相当の努力が従来教育界の先覚者たちによって続けられてきておることだけは申し上げられると思います。今後もこういう傾向をたどらせるべきものだと思います。 〔理事斎藤昇君退席、委員長着席〕
○松本賢一君 今の数字、非常におもしろい数字だと思うのですけれども、明治時代と今とでは、ものの考え方がまるで違うわけなんで、明治時代の大学生というものは、もうこれは、将来おれたちは日本をしょって立つのだといったような、学生というよりはむしろ一人前の紳士の扱いを受けておったというものであって、しかも、学生の数は非常に少なくて、最高学府というようなことで、たいしたものであったわけなんで、そういうころの大学生、それから逆に小学校は、もう雨の降る日も風の吹く日もといったような・歌にあるように、鍛練々々で、寒いのがいいんだと、夏は暑いのがいいんだというような教育の仕方、ものの考え方をしておったわけなんで、そういう時代と今とを比較することはできないと思うし、そして、大学のほうが今おっしゃったように、非常に伸び方が少ないということは、今の大学生が全く気の毒な状態に置かれていると私は思うのです。もっともっと今の大学生というものは、いい環境で勉強ができるようなものにしてやるべきだと思います。しかし、そうかといって、小学校のほうはそれだけ伸びているのだから、この程度でじりじりと伸ばしていけばいいんだというわけには参らないと私は思うわけなんで、現実にやっぱり教育上必要な施設は別として、一般生活的な施設という面にも、少なくとも多少の差はついておるわけなんで、そういう点について、今後格段の改善を施していかれるようにひとつお願いを申し上げて、この問題は終わることにいたします。 それから次に、これも人つくりの問題の一環でございましょうが、学者の優遇ということについて、一つの例をあげてお尋ねしてみたいと思うのです。 学者を優遇するということが、学問を進歩させ、それがまた国や国民を進歩させるという、いわば人つくり、国づくりのもとになるということは、これはもう大臣も異論のないところだと思います。歴代の総理も、文部大臣も、みんなよくそういうことを口になさるわけでございます。まことにけっこうなことだと思いますが、ところが、実際問題になりますと、政府は一体どれだけ学者を優遇する措置を講じておるかということになりますと、これは、私はすこぶるまだまだの感が深いだろうと思うのでございます。で、ほかのことは申しませんが、先日学士院賞というものの本年度の受賞の発表があったわけでございます。毎年一回行なわれるいわばわが国最高の表彰でございますが、この一流の学者が粒々辛苦して研究した成果に対して、これに対しましてその賞金がただの十万円ということでございます。これはもう、私はほんとうにあいた口がふさがらない思いがするのでございます。この点、文部大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。結論は、御同感の意を表します。今の十万円ということは、学者の日本一である方に、当然世界的にも高いレベルをうたわれるような成果を上げた人に対する学士院賞十万円なりがいかに貧弱であるかということは、御同感に存じます。ただ、いささか弁解させていただきますると、この学士院賞は、今申し上げたような意味で、りっぱな学問的業績を上げられた方を、学士院という立場で表彰する。それに副賞十万円がついているというような受け取り方で、今日まで来ていると思います。その点だけを高く大きい声で申し上げれば、一応割り切って考えられないこともない。しかし、その表彰に対する副賞であるといたしましても、何としても、金がたくさんあったほうが研究成果もさらに上がるという効果はいなみ得ないと思いますが、そういう点から、将来を考えます場合には、御指摘のとおり、あまりにも貧弱だと、こういうふうに思うわけでございます。もっとも、新聞社から十万円出してもらって、二十万円ということではございますが、人のふんどしで相撲をとるようなことを申し上げておそれ入りますけれども、合わせて二十万といたしましても、なおかつ御指摘のような角度から申し上げますれば貧弱です。何とか、将来もうちょっと増額するチャンスをねらいたいと思います。
○松本賢一君 将来増額するチャンスをねらいたいとおっしゃるのでございますが、実は私、予算書を見たのです。ところが、日本学士院の予算というものは、七千六百九十三万四千円、そのうち会員の年金というものが六千万円、これは会員の方々、非常に大先輩の学者を優遇なさるということ、これは非常にけっこうなことだと思いますが、これは会員お一人幾らでございますか。ちょっと聞いておきたいのでございます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 会員の年金は、院長七十万円、幹事六十万円、部長五十万円、一般会員四十万円ということになっております。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) 大蔵大臣から発言を求められております。大蔵大臣。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど鈴木強議員から、公定歩合の問題につきましてお尋ねがございましたが、当時は未定の事項でございましたので、その当時の時点で、御答弁を申し上げておったわけでございますが、ただいま銀行局長から報告がありまして、私もこれを決裁いたしましたので、あらためてここで申し上げておきたいと存じます。 本日、日本銀行におきまして、輸出貿易手形を含む公定歩合の一厘引き下げを決定いたしました。明日から実施をすることにいたしたわけでございます。この措置は、最近における経済金融の情勢を慎重に勘案した結果とられたものでありまして、わが国の当面する国際経済環境に対処し、貿易為替自由化の大勢に即応して、わが国経済の安定的成長を推進するために、金利水準の国際水準へのさや寄せをはかりますとともに、金融本来の機能の一そうの弾力化と、金利体系の正常化の一段の促進を目的としたものでございまして、時宜を得たものと考えておるわけでございます。 なお、あわせて、商業手形割引歩合日歩一銭八厘でございましたものを一銭七厘に、輸出貿易手形割引歩合の一銭二厘でございましたものを一銭一厘に、輸出貿易手形を担保とする貸付利子歩合一銭三厘以上であったものを一銭二厘以上に、輸入貿易手形を担保とする貸付利子歩合一銭八厘以上であったものを一銭七厘以上に、第五といたしまして、国債または特に指定する地方債、社債その他の債券を担保とする貸付利子歩合一銭九厘以上でありましたものを一銭八厘以上に、なお、その他のものを担保とする貸付利子歩合日歩二銭以上でありましたものを一銭九厘以上に引き下げることを、日銀のきょう四時からの政策委員会に付議をし、決定した通知がありましたので、これをあらためて御報告を申し上げておきます。
○鈴木強君 何時ですか。
○国務大臣(田中角榮君) 四時過ぎに政策委員会が開かれまして、そこで決定をしたようでございますので、ただいま政府委員から私に報告があり、私もこれを了解いたしましたので、国会の発言と異なることが同日行なわれたことは、国会の威信にも関する問題でもありますので、あらためて発言を求めて申し上げたわけであります。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) 松本君。
○松本賢一君 今、文部大臣からお答えがあって、学士院の院長なり会員の方々の年金がわかったんでございますが、その年金とこの賞金とは性質が違うかもしれません。違うかもしれませんが、予算の「説明」によりますと、この年金に関しては、「学術上功績顕著な科学者を優遇する」というような表現がなされており、二番目に「論文、著書その他の研究業績に対する授賞、」という表現がなされておるわけです。ところが、一番目の年金については六千万という予算が組まれておるにもかかわらず、二番目の授賞のほうにはたった七十万円の予算しか組んでないわけでございます。そのほかいろんな予算が組まれて七千六百九十万という予算になっておるわけですが、私は、これだけの予算の中からたった七十万円しか出せぬというのは、少しおかしいと思いますし、名誉だ、名誉だと言ってみたところで、それだけじゃちっとも学者を優遇することにはならないのでございまして、早い話が、さっきあなた明治時代のことをおっしゃいましたけれども、明治時代のことはともかくとしまして、昭和十年ごろに、この学士院賞というものが、たしか一千円だったか二千円だったかと思うんです。かりに一千円だとしても、今の金に直しますと、大体五十万円の値打があると思うんです。そうしますと、今日の十万円というものはその五分の一にしか当たらぬということです。戦前は非常に学者が冷遇されておった時代なんですが、その時代に五十万円の金を出しておって、現在同じ学士院賞としてその五分の一しか出ないということは、戦前よりももっともっと冷遇しておるんじゃないかと言えるわけで、こういうことはひとつどうしても考え直してもらわなければならぬと思うんです。御承知のとおり、ノーベル賞というものがありますが、世界ではノーベル賞、日本では学士院賞ということになっておるわけですが、そのノーベル賞の賞金は、御承知のとおり、三万五千ドルと聞いております。三万五千ドルと言えば千二百六十万円、そうすると、日本の学士院賞もせめてこの十分の一やそこらはお出しになっても私は罰が当たらぬと思うのであります。そういうことで、もし大臣、今お話し申し上げたことに御賛同いただけますならば、直ちにこれを改めて、将来機会をつかまえてといったようなことをおっしゃらずに、これは直ちにこれを改めて、この間新聞に名前の出た方方、先生方から、もう百万円でも二百万円でも、とにかく予算の許す限りお出しになることをひとつお考えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) さっきも申し上げましたように、御説同感でございます。十万円はあまりにも貧乏たらしいと思います。大蔵大臣にもとくと御督励をあわせてお願いを申し上げたい次第であります。――十万円をせめて十倍くらいにはもっていきたいものだという気持だけを申し上げておきます。
○松本賢一君 それでは、文部大臣がせっかくそういうふうにしたいとおっしゃいますから、この質問はこれで打ち切ります。どうもありがとうございました。 次に、やはり文部大臣にお聞きしたいんですが、これは厚生大臣にもお聞きしたいと思います。――精神薄弱児童の対策についてでございます。この問題は非常に重要な問題でございますので、そしてまた、各省にわたる問題なので、総理大臣にお聞きしたいんですけれども、きょうお見えになっておりませんので残念ですが、きょう文部大臣と厚生大臣にお尋ねしたいと存じます。 まず、文部大臣にお尋ねしますが、この問題も人づくりの問題、これは置き去りにできない問題だと思います。そこで現在、精薄児と言われておるお子さんたちが一体どのくらいあるものであるか。また、それに対する養護学校とか特殊学級というものがどのくらい設置されて、そして全体の何パーセントくらいがその恩恵に浴しておるか、これをお教えいただきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
○政府委員(福田繁君) お答え申し上げます。 大体該当児童生徒の数は七十万以上と考えておりますが、養護学校につきましては、学校数は本校、分校合わせまして四十六校でございます。学級数にいたしまして約三百七十学級でございます。
○松本賢一君 そうすると、今お答えがあったんですか、私が聞き漏らしたんですか、精薄児童の何パーセントくらいがその恩恵に浴しておるかということですね。
○政府委員(福田繁君) 精薄児童生徒につきましては、大体就学率は四・四%くらいでございます。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) ただいま委員の変更がございました。近藤信一君が辞任され、その補欠として大森創造君が選任されました。 ―――――――――――――
○松本賢一君 四・四%というと、二十四、五分の一ということになると思うのですが、そういうことで、これは情けないと思うのでございます。そこで率直に大臣にお聞きしたいのですが、この養護学校、特殊学級というものを設置するのを、義務づけるといいますか、ぜひどこにも設置するのだというふうなことをひとつ考えていただけませんでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 将来そこまで持っていきたいという考え方は、以前から文部省としてはございます。ただ、実際問題として、義務制にいきなりしたから、四%強の就学率が一〇〇%になるということでもないようでございまして、松本さん御自身もよく御承知のとおり、まだ精薄児の教育についての積極的な育成ということについて、親の立場で毛ぎらいする向きも非常に多いと聞いております。何だか恥ずかしさが先に立って、ひた隠しに隠すような傾向もあるように承知いたしております。そういう受け取り方それ自体の啓蒙も必要でありますのみならず、特殊教育、特に精薄児の教育に従事する先生は非常に数が少ない。その養成からしてかからなければ、義務制までたどりつけないという実情もあるようでございまして、毎年何がしの努力はむろんいたしておりますけれども、先生の獲得からやりませんと、そこまではたどりつけないということが難点だと思います。その難点を克服しながら、方向としては、お説のとおり義務制ということまでもやれるような条件を整備したいと存じます。
○松本賢一君 すぐにやろうと思っても、なかなか先生もいないということも今おっしゃいましたし、それから、父兄のほうでなかなか自覚が得られないということも確かにございましょう。確かにございましょうけれども、何と申しましても、この四・四%という数字はあまりにも哀れな数字でございまして、これはもう最近非常に父兄のほうも自覚をしてきておりますし、一般の社会でも、そういう子供たちに対して変な目をもって見るというようなことが急速度に減りつつある現状であると私は判断しておりますので、その点はひとつぜひとも、どのくらいの速度で進めていらっしゃるつもりか知りませんけれども、ひとつスピードを早めてやっていっていただきたいと思います。ことに、各大学で養護学校の教員を養成するというようなことがまず必要だと思いますが、それについてどういう計画でおられるか、ひとつお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 養護教諭は、これまた精薄の場合も含めてのことと思いますが、数が足りなくて弱っておる原因の大きなものでございますが、今までその養成というのが必ずしも計画的になされておらなかったと思うわけでございますけれども、三十八年度の予算で、国立大学、確か四カ所と記憶いたしますが、必要ならばあとで政府委員が申し上げますけれども、養護教諭の養成に具体的に着手したいと考えてはおります。そういたしまして、これまた先刻申し上げましたように、養護教諭の養成からして、特殊学級あるいは養護学校の整備に力こぶを入れていきたいと思っておるところであります。
○松本賢一君 いろいろ申し上げたいこともありますけれども、時間が迫って参りましたので、ひとつ積極的にお進め下さることを、要望しておきます。 次に、厚生大臣にお尋ねしたいと思うのですが、同じ精薄児の問題に関しまして、各種施設の現在の状況と今後の方針についてあらましお教えを願いたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 精神薄弱児の概数でございまするが、私のほうは約百万人と踏んでおるのでございます。しかし、これは非常に推定でございまして、実は今文部大臣から言いましたように、やはり非常に確実な調査が行なわれておらぬので、推定でございます。そのうちでもって、大体私のほうの児童福祉の対象にいたしまして施設に収容したいという児童が、六万くらいおるわけであります。そのうちで一万二千人、約五分の一が収容施設に収容され、あるいは通園をしておるのであります。今厚生省で百六十五カ所の収容施設と四十二カ所の通園の施設を持っているわけでございます、それに一万二千人が入っているわけでございます。 学校教育との関係ですが、おもに収容施設は生活の指導と学習指導と職業指導、その三つを柱にして収容所で指導いたしておりまして、学習指導につきましては、これはもちろん学校ではございませんけれども、中に分校として認めていただいているところが三十校ほどありまして、そこに先生を派遣して学校教育をやっているような次第でございます。実は、この精薄の問題は非常に今大きな問題になっております。施設も非常におくれております。したがいまして、今後三十八年度の予算につきましても、相当施設を増すように計画はいたしておりますが、この実態調査をもう少しよくやりまして、私のほうの施設と、それから文部省のほうの特殊学校というものをもう少し連絡をとりまして、組織的にやりたい、かように思っておる次第でございます。中で一番精薄として問題になりまして、預かりにくいものは、精薄といいましてもピンからキリまでありまして、非常に軽度の者、中度の者、重度の者――非常に重い者、重度の者につきましては、これはほんとうにもう生涯めんどうを見なければならぬという方でありまして、預かりにくいのでございますが、三十八年度におきましては、現在東京にあります島田療育園が百ベッドほどありますが、新たに三十八年度は琵琶湖学園を作って、そこに四、五十人ベッドをもちまして、これを新しく開設したい、重度の精神薄弱児についても多少考えたいということで、予算を来年度は計上いたしておるのでございます。
○松本賢一君 そこで時間も迫りましたので、簡単に要望申し上げておきますが、こういう施設というものが現在まだまだ不足しておるということは事実であります。また、施設の中の子供たちの処遇、あるいはまたそこで働いておる保母さんとかいったような人たちの待遇なんというものが、非常に不十分であるというわけなんで、そういう点、これはまあ結論的に申しますけれども、要するに、この精薄児の問題につきまして、文部大臣も、厚生大臣も、ほかの内閣全体の問題といたしまして、ひとつ今後総合的な計画を積極的に進めていっていただきたいと要望いたしまして、この問題の質問を打ち切ります。 次に、自治大臣にお尋ねしたいのでございますが、公職選挙法に関しましてお尋ねしたいと思いますが、その前に、地方選挙が近づいてこれに対する取り締まりを警察庁のほうでいろいろ準備をやっておられるようでございますけれども、それに対して一応どういう御計画でおやりになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(篠田弘作君) 統一地方選挙の取り締まりに関しましては、さきに全国警察本部長会議、またその後におきまして局長会議あるいは捜査の主任会議、その他各地方の警察本部におけるいろいろな選挙取り締まりの会合等におきまして、私のほうから、悪質のものについては徹底的にこれを追及する、もちろん悪質的な買収、供応のことを言っているわけですが、その他軽度のものについては犯罪にならないうちに警告をし、警告をしても聞かないようなものは検挙する、こういう取り締まり方針をきめまして、これを下部の取り締まり機関に流しております。そのほかに、法務省としてやっております。また、自治省としては、これと関連いたしまして、いわゆる選挙の公明化に向かって、全国の選挙管理委員会、あるいはまた公明化推進本部その他民間の有志、あるいは新聞、雑誌、ラジオ、テレビ等のマスコミの協力を得まして、選挙の公明化の問題を徹底さしていきたい、こう考えております。
○松本賢一君 今自治大臣が悪質なものを重点的に取り締まるとおっしゃった、これはもうまことに同感でありまして、どうかひとつちっぽけな魚を追っかけ回して呑舟の大魚を逸しないようにお願いしたいと思います。 それから選挙法違反についてちょっとお尋ねしたいのでございますけれども、大体今日の選挙法というものは、選挙は金のかからぬように明朗にやるのがいいというのは、これはわかり切ったことでございますが、今の公職選挙法というものを見ますと、もう何十条というものがいろんなことを禁止しておるし、また、それに対して罰則がごたごたと述べてあるわけでございます。ちょっと常識では判断のできかねるような禁止事項や罰則がたくさんあるわけです。しかも、去年はよかったが、ことしはいけないのだとか、前の選挙はよかったが今度からはいけないのだというようなことが、いわゆる朝令暮改、繁文縛礼といったようなそういうことがぴたり当てはまるようなことが今の公職選挙法だと私は思うのでございます。そこで、選挙を明朗にやるといったようなことは、とても今のようなむずかしい選挙法があったのじゃ私はやれないと思うのでございます。こんなややこしい選挙法というものは、一体諸外国にはあるのでございましょうか。私は知らないのですが、その点ひとつ教えていただきたいと思うのです。
○国務大臣(篠田弘作君) アメリカあたりの選挙を見ますと、もっと非常にのんびりしておりまして、御承知のように、大統領の選挙でも、ブラスバンドをつけて女優さんが花電車に乗って歩くというようなこともやっているようであります。日本の選挙におきまして、自由な明朗な気持のいい選挙を一つの国民の義務として、また権利として、選挙権を持っているということの喜びを表現するような、そういう選挙が望ましいことは、言うまでもありません。しかしながら、日本の現在の選挙界を見ますというと、これを野放しにするということに対して非常な不安と危険を感ずるということは、これは識者でなくとも、一般の国民がそう考えるであろうと思います。いかに禁止をしても、いかに取り締まっても、いかに啓蒙をしましても、悪質違反というものがなかなか跡を断ちません。こういうときに、全部これを手綱をはずして野放しにしてしまうというと、ほんとうに好き勝手なことをやってしまって、民主主義の根本である選挙運動というものが今日より以上に汚されるおそれがなしとしないわけであります。そこで、政府だけの責任ではございませんで、これは全部の、候補に立つ者、これを選ぶ者、あるいはまた国民全般の責任において民主主義を育てなければならないわけでありますが、国民の大多数が、世論を初めといたしまして、今日相当のワクを選挙にはめなければならないというのが選挙制度審議会の答申でございまして、これに対して国会あるいはまた一般社会におきましても相当その必要を痛感しておる。理論的には、今申しましたように、国民の権利を楽しく行使するということが理想でありますけれども、現実におきましてまだそこまでいかない。遺憾ではあるけれども複雑なる選挙法というものができてくるゆえんであると、こういうふうに考えます。
○松本賢一君 私の聞かないことまでお答えいただいたのでございまして、アメリカでももっと明朗に選挙をやっているがという一つの外国の例をあげていただいたのでありますが、ほかの国でも私はおそらく日本のようにしちめんどうくさい選挙法はどこにもないだろうと思うのでございますが、ともかくこれをどうしたらいいかという問題について私は自治大臣の御意見をちょっと承っておきたいのですけれども、要するに、悪質な犯罪というものはこれはいけません。これはだれが見ても悪い問題で、買収、供応とか、あるいはまた公務員が地位を利用して圧力をかけるといったようなこういうことは、これは絶海に私はいかぬと思いますけれども、その他の常識で考えたらよさそうなことが悪かったりするようなそんなようなことは、これはもう一切そういう制限ははずしてもいい。そのかわり、大幅に選挙の公営ということをやりまして、選挙の公営をやって候補者の名前を宣伝してやるとかなんとかというようなこと、新聞、ラジオ、テレビ、あらゆる方法を通じて政府がやってやるということにして、もうあと形式犯というものは犯そうにも意味をなさぬといったようなところまで公営の範囲というものを広げていくべきじゃないか。そうすると、選挙というものが非常に明朗になってきて、ほんとうに悪い悪質なものだけは、だれが考えても悪いことなんですから、これだけは厳重に取り締まっていくということで私は行くべきじゃないかと思います。そこで、それについての御意見を承りたいのと、それから時間がもうないそうでございますので、最後に、私はその目的のために、選挙にテレビを活用するということが非常に有効だと思うのです。テレビをやりさえすれば、どの家庭でも顔や声が聞こえるわけなんですから、ほかのことにたいして努力をしなくても済むようなことにもなりますけれども、ぜひテレビの利用ということを考えてもらいたいと思うのですけれども、この点について御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(篠田弘作君) 悪質違反と形式的な違反というものを区別して取り締まらなければならぬということ、これは当然の話であります。形式的な違反の中にも知能的なものもないわけではありませんが、主として形式犯というものは、警告を発しましてその警告が聞かれなければあるいは検挙をするという場合もあるのでありましょうが、現在、警察、検察庁におきましては、もちろんこれを区別して取り締まっております。 選挙の公営につきましては、私は大賛成であります。公営が徹底すれば違反は非常に少なくなる。ことに形式犯なんというものはおそらくなくなってしまう。自分でポスターを作って選挙運動員に張らせる、あるいはまた、ビラを書いて張る、選挙演説会場を知らせる、あるいは何万枚のはがきも、これは公営の一つでありますけれども、自分のところで書いておる、こういうこともありますから形式犯も起こるわけでありますが、それら一切のことを公営でやってくれる、これはもう非常に私はけっこうだと思います。その方法といたしまして、これもよけいなことかもしれませんけれども、各候補者が使っておる現在の選挙費、これは候補者によって程度はありますが、莫大なものだと思う。だから、今の公営費用といいますが、供託金というようなものをかりに五倍、十倍に上げましても、選挙公営をするということのほうがいいのであって、私はもう選挙は徹底的に公爵にすべきと、こういう議論であります。ただ、その場合におきまして、参衆両院議員だけを公営にするか、あるいはそれを府県会あるいは知事まで及ぼすか、あるいはそれを応長まで及ぼすか、あるいは五大市長でとめるかというような技術的な問題、これは非常に問題であります。しかしながら、少なくも国会議員の選挙というものは公営にすべきであるという私は信心を持っておるわけであります。 それからテレビを使うということは、ラジオは今使っておりますが、これに加えるにテレビを使うということは、私は非常に大賛成である。ただ、このテレビというのは、今広い地域でやっておりまして、東京のたとえば一区の候補者は一区だけを放送すればいいわけでありますが、これが関東全部に行っちまうというようなこと、テレビの費用というものが、非常に、われわれの想像する以上に、どうしてそんなに高いのかと思うほど高いのであります。そういう問題と、一つの選挙区に放送をできるテレビというようなことからいいますと、私はしろうとでわかりませんが、そこにいろいろな技術的なむずかしい面があるんじゃないか。しかし、これも科学の今日でありますから、克服しましてテレビを使う。ただし費用はもう少し安くしなければいけない。こういうことを考えております。
○松本賢一君 時間がないそうでございますから、最後に、大蔵大臣が見えたので、大蔵大臣に質問いたします。大蔵大臣の留守の間にお尋ねした、初めのほうはお聞きになったと思うのですが、例の学士院の授賞の問題です。学士院の授賞がたった十万円しかいかない、お一人の学者に対してあれはあまりひどいじゃないか、学者をばかにし過ぎているじゃないか、それでせめて十倍上げるようにしたらどうかという話をしたわけです。文部大臣は賛成なんです。何とかやりたいとおっしゃっておるのですが、お金を持っていらっしゃる大蔵大臣のほうはどういうふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 研究すべき問題でございます。十分研究をいたしたいと思っております。これは今まででもこういう問題は検討せられたんですが、これは学士院会員というようなもの、特に芸術に対しては記章、勲章は差し上げます。あるいはこれは文化勲章授賞者に対しても同じことなんですが、栄典は金が伴わないという戦後の制度がございますので、そういうもの等の論争を相当やりましたが、一応今幾ばくかの金額を出すということになっておるわけでございます。確かに、全く気は心という程度でありますので、これに報いるためにどういうことをすべきであるかということは議論せられておりますので、財政当局といたしましても、検討いたします。
○松本賢一君 それと、今の文部大臣のあれについては、ひとつぜひ研究をして、これはもう研究していただいたら必ず出していただけますと私は信じております。そういうふうにやっていただきたいと思います。 それと、最後の選挙公営の問題について、これも国費がたくさん要ることだろうと思います。ところが、そうすれば個々の選挙候補者というものは金を使わないで済むことになって、全体としてはどっちが金がたくさん要るかということになるわけですが、そういう点についてもひとつ大蔵大臣としても十分に御研究をいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) この問題で一つだけ御答弁申し上げたいと思いますが、選挙公営は私も賛成でございますし、公営費用も相当出しておりますし、PRの費用も相当計上いたしておるわけでございます。なお、啓蒙費といたしましては予備費支出もいたしておる例もございますから、十分その意見には賛成でございますが、ここで一言だけ申し上げますが、いつでも公営をやるという議論がありながら実際行なえなくなるのはどういうことかという供託金の問題とうらはらになっておるからでございます。供託金を財政収入のような意味で私は供託金を上げろなどという議論をしておるのではございません。これは当選した人間に返るのでございますから、そうでない。先ほどのテレビの利用の問題も同じことでございますが、宣伝を目的として立候補せられる者をどういうふうにして排除するかという問題を解決しないと、この問題は戦後十何年間検討しておりながら――新しいお医者さんが看板をかけたならば、二、三百万円だったらテレビに出たいというようなこと、こういうような議論のために公営の問題が常におじゃんになっておるのでありまして、私はやはり踏み切るところは踏み切るということでないと、これらの問題は長年検討しておって片づかない問題だろうというふうにも考えられるわけであります。
○松本賢一君 要するに、大きなプラスがあれば、少数のマイナスは覚悟の上でひとつ断行していただきたい。 これで私の質問を打ち切ります。
○小平芳平君 関連して。自治大臣から先ほど選挙の問題について御答弁ありましたですが、選挙の公明化また選挙法の改正という問題について、私たちも非常な関心を持っておるわけであります先ほど大臣の御答弁の中で悪質な選挙違反は厳重に取り締まる、軽いものはそのつど警告を発し、聞かないものは取り締まるというふうな御答弁がありましたですが、悪質なものは厳重に取り締まるということ、これはもちろんです。それからそのほかの形式的な違反などは、まず警告を発して、聞かなければ取り締まるというそういう方針は、何か捜査当局がそういう方針で自主的におやりになっていらっしゃるわけですか、それとも、大臣からそういう御指示があったわけですか。また、当然のこととしておやりになっておるわけでしょうか。
○国務大臣(篠田弘作君) その方針には変わりありませんが、たとえば同じ形式犯でも、組織的にやるようなものについては、相当厳重に取り締まりをするわけであります。その他の偶発的な形式犯につきましては、今言ったように、警告をする、それを聞かなければさらに検挙する、こういうようなことであります。
○小平芳平君 そういう意味でなくて、その方針は捜査当局の方針ですかとお聞きしておるわけです。
○国務大臣(篠田弘作君) 私から警察当局に指示をいたしまして、警察当局がそういう方針でやっておるわけであります。
○委員長(木内四郎君) 松本委員の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) 次に、小林武治君。
○小林武治君 最初に厚生大臣にお伺いいたしますが、御案内のように、昨年地方公務員共済組合法というのが成立をしたのでございまして、それに関連して同様の類似の仕事をしておる地方の六団体あるいは国民健康保険団体の従業員にも共済組法合を適用しよう、こういう説がございまして、昨年衆参両院の委員会でも附帯決議をつけておるのでございまして、私どもはことしはこれをぜひひとつ実施してやりたい、こういう考え方を持っておるのでありまするが、これについて厚生大臣はどういう御意見を持っておるか。
○国務大臣(西村英一君) 年金保険をそれぞれの職場でいろいろ分立させるということにつきましては、国が所得保障をやろうという、推進していこうという建前からいけば、あまり賛成はできないわけでございます。まあ国家公務員の現在共済組合があります。共済組合がありますけれども、公務員のやつは、これはやはり公務員の特別な身分から恩給というものを引き継いでやれるという制度でございます。しかし一方におきまして、知事会その他六団体の共済組合も年来希望があるということも私は承知をいたしておるのでございます。そこでどうしてそういうことになるかという根本は、やはり要するに共済組合が厚生年金よりも非常に給付水準が高い、掛金も高いけれども、給付水準も高いということであろうと思うのであります。小林さんも御承知のように、来年は厚生年金の再計算の時期でございますので、これを、厚生年金の給付改善につきましてせっかく今いろいろ検討をいたしておるのでございます。したがいまして、まあどうしてもこれは給付水準を大幅に引き上げなきゃならぬであろうというような態度で検討いたしておるのでございまして、もしこの改正の結果、これがどうなりますか、今予言はできませんが、少なくとも給付の改善は行なわれる。しこうして、そののちにおきましても、なおかつ特殊な団体がその職域においてやはりこの共済組合を作らなければならぬというようなことになれば、その時期にあらためて検討をしたい、かように考えておるのでございまするが、あまり各職域で全部分立するということになれば、現在もこの年金制度の根本にも触れる問題でございますので、いろいろな職域における御希望はわかりますけれども、慎重に取り扱いたい、かように思っておる次第でございます。
○小林武治君 昨年もそういうお話しになって一年延ばしておる。ことしはぜひやりたいというような、また同じようなことを言うて、また一年延ばしてもらいたい。私どもはなぜ厚生省当局がこういう人がいいことをやろうということに反対するか、また一年延ばしたところで、厚生年金の改正をしても、今の倍程度になるのがせいぜいであって、この給付の程度というものは、共済組合によってやるのとはまた違う、相当な格差がある、こういうわけでありまして、地方公務員がこの共済組合法ができたために、同じようなものだからぜひやってほしいということでございますので、何かどうも私は厚生省がただえこじになわ張りを減らすことは困る、こういうふうな考え方としかわれわれには考えられないのであります。非常に私は厚生省の態度が納得がいかないのでございます。ただ、ことし延ばしてくれと言うても、また来年も同じようなことを繰り返すにすぎない、こういうふうに思うのでありまするが、一体大臣は来年そういうことができるという保証をはたしてできるかどうか、また延ばしてみたところが、同じことであるというふうにわれわれは予想しておるのであります。したがいまして、去年やろうと思っても、一年延ばして見ておったが、できないからしてぜひひとつことしはやらしてもらいたい。ことに先般、自治大臣も地方行政委員会におきまして、これはやってやりたいと、こういうような御意見も持っておって、さような答弁をされておるのでございますが、これは政府部内のお話でありまするし、私どももできるならひとつ政府の、厚生省の御了解を得てやりたいと、こういうふうな考え。しかし、ことしは政府の提案ができなければ、われわれ議員立法でやりたいということで、いろいろの準備をいたしておるのでございまするが、何とかひとつ了解をして、ことしこういうふうな多数の人の要望にかなうように、ひとつ御配慮願いたいと思うのでありますが、これに対して、自治大臣と厚生大臣の御意見をひとつ伺っておきたい。
○国務大臣(西村英一君) 厚生年金の給付の内容が悪いから、これをひとつ早いとこやらなければならぬということで、ある時期におきましては、再計算の時期を待たず、三十八年度にもやろうというようなことを言ったようなこともあったのでございまするが、いろいろな準備の都合、その他非常に改正にむずかしいところがありますので、三十九年度を目標にしてやっておるのでございます。しかし、それは来年はもうぜひともこれは厚生年金の改正はやらなければならぬ、かように考えております。それで、ひとつ慎重に考えたらどうか。今ある職域を対象にしてやりますれば、厚生年金の改正につきまして、やはりいろいろ地の職域にも影響を及ぼす。そうすれば、この年金保険というものが非常に分立を作って、御承知のように、年金保険は長期間の所得保障でございますので、そういう点で慎重に考えておるので、ただ単に私たちはそういう職域を取り込みたいからという、そういう意思は毛頭ないのでございます。これは国の政策としても慎重に取り扱わなければならぬ。国家公務員が共済組合を作っておったからといって、他の職域がすべてそういうふうになるということにつきましてはどうであろうか、したがって、来年の改正を待ってひとつ検討いたしたい、かように思う次第でございます。
○国務大臣(篠田弘作君) この問題ではどうも厚生省と多少われわれは意見が食い違います。政府部内の不統一であるというわけではないと思いますが、まあ私どものほうは六団体の職員というものは公務員ではないわけですが、しかし、知事会とか市長会とか、そういうところの仕事をしておる職員でありますから、やはり地方自治体の親戚ぐらいに考えておる。そういう面から見れば、この六団体の職員が希望するというのであれば、決してそれを無理に阻止する必要はないのじゃないか、こういうふうに自治省としては考えておるわけであります。しかし厚生省のほうが、今お聞きのとおりのような考え方であります。したがって、政府部内におけるひとつの意見の一致というものを見出して私のほうはやりたい、こう考えておるのであります。ただし議員立法でお出しになる分には何も私のほうには意見はありません。
○小林武治君 厚生大臣のお話もありますが、私どもは厚生省の今の考え方は納得できません。私どもは議員立法でひとつやりたいと、ことに参議院ではひとつ共同提案でやりたいというふうな話まで今進んでおります。ぜひひとつ厚生省もあまり何か、なわ張り争いみたいに見られないように、まだ時間もございますからして、十分ひとつ協議をしていただきたい。これはいいとか悪いとかいうことは事務的の問題じゃありません。一つの常識問題です。こういうものに共済組合法をやらせるということは、大臣などが考える常識問題で、事務的な問題じゃありません。現在すでに私立学校共済組合法もあり、また農林漁業共済組合法もあって、こういう団体の例があるのです。なぜこういうものをいけないというふうにがんばるか、私どもにはわからない。重ねて申しますが、これは大臣の判断すべき常識の問題であるのでありまして、事務などに引きずられておられるべき問題でないということをひとつ重ねて申し上げて、まだ時間もあることであるから、十分ひとつ御協議を願いたい。それだけ申し上げておきます。
○国務大臣(西村英一君) 事務的の問題ではありません。これは政治的問題でございます。昨年の社会保障制度審議会におきましても、これは医療保険にしましても、年金保険にしましても、総合調整の段階にきております。したがって、その総合調整をしなければならぬ。これは統合してしまうまでいきません。総合調整する段階に、特殊な職域だけを云々ということについて検討いたしておるのでございます。事務屋がそう言うからといって、私はそれに引っぱられているわけではありません。非常にその組合の、そういう団体、職域の要望炉長年続いておったということは十分私はしんしゃくの上で慎重に取り扱いたい、こう申し上げたいのであります。
○小林武治君 今の問題はそれだけにいたしておきます。 次は、農林大臣に伺いたいのでありますが、ただいま大臣が来られないということで非常に残念に思いますが、政務次官にひとつお聞きしておきます。農林省では、ことし園芸局などを作って果樹等の永年作物の振興、こういうことに力やこれから注ごう、こういうことでありますが、この果樹等の問題は農業構造改善の問題としても、非常に重要な問題でありますが、私はまだ農林省の力の入れ方が足りない、配慮が足りない、こういうふうに思っておるのであります。あなた、政務次官はリンゴの国だからこういうことは同感、共鳴できると私は思いますが、これらの問題、ことにことしは豪雪もありましたが、われわれ果実県におきましては異常な寒波によりまして、ミカンあるいはお茶が影響を、損害を受けておる。静岡県だけを勘定しましても八十八億円も損害があると、こういうふうにいわれておりまして、これは広島県、愛媛県、みな柑橘栽培県には同様な問題が出ておるのでありますが、これらの被害が非常に大きい、あるいは葉が落ちた、枯れた、あるいは木全体が枯死した、こういう実態を農林省はすでに調査して把握しておるかどうか、こういうことを伺います。
○政府委員(津島文治君) お答え申し上げます。今回の豪雪及び寒冷に対する農産物及び農業施設、この両方の被害はまことに甚大なものがございます。被害を受けられた方々の御心配は察する余りあるものがございます。ただいままで農林省が調べたところによりますと、農水山林産物の損害は三百七十億。それから施設でございますが、これはまだ雪のあるところもございます。判然といたしていない面もございますが、とにかく四十二億というような被害でございます。さらにまた果樹のほうは百十一億くらいの損害であろう、こういう概略のことでございますが、そういうことに承知をいたしております。
○小林武治君 そういうふうな損害がある、こういうことの実態を、もし、つかまれたとするならば、これに対する対策を何かお立てになったかどうか、これを聞いておきたい。
○政府委員(津島文治君) これの対策といたしましては、何といたしましても、被害の強いところに対しましては天災法を発動をいたしまして、それに対して融資の道を開くというのが第一であろうと思います。 その次は農林漁業金庫からの融資を仰ぐというのが第二であろうと思います。 それから自創資金がございます。これは今年の使い残りが二億円ほどございまして、これはすでに配付を終えたのでございます。さらに今年もまた配付が七十億くらいございますが、これはできる限り迅速にかつまた正確に融資をしたい、かように考えております。 それからもう一つは、御承知のとおり果樹振興法に基づきまして、これは申し上げるまでもないことでございますが、その府県の知事が承認しました果樹園に対しましては、果樹の育成資金を融資をするということに相なっております。これらの方途を用いまして融資を申し上げたい。 それから融資だけではなくして、補助の道はないだろうかということをいろいろと考えておるのでありますが、補助に該当しない――する面もございますが、目下のところでははなはだその金額が不足のようでございます。被害をこうむりました農家に対しましては、まことに僅少過ぎるような気がいたして検討をいたしておるような次第でございます。
○小林武治君 果樹の被害は、ほかの単年作物と違って、ことし被害を受ければ来年も再来年も収穫が減る、こういう特質を持っておることは十分御承知だと思いまするので、そういうふうなことを前提としてひとつ考えていただきたい、こういうことであります。で、さような、たとえば八十八億円、すなわち全収入見込み額の五〇%も減っておる、減収が出る、こういうことでありますから、大蔵大臣、ひとつ聞いていただきたいのですが、税の延納とか、分納とかいう問題、また来年になれば減免税の問題も起きてくるから、これはお答え要りませんが、そういうこともあるということをひとつお含みおき願いたいと思うのであります。 それからここに一つ申し上げなければならんのは、天災融資法とかいいますが、天災融資法で融資する基礎は、これは収入見込額に対する減収額、こういうことになっておりまして、果樹のような、何年もたたなければ実がならない幼木の果樹園があるが、これらについては今のところ、これが枯れたりあるいはその成長が止まったり、あるいは格別の肥料をほどこしたり、こういうことに対する融資の道がない。したがって、私はひとつ農林省によく申し上げておきたいのでありますが、こういうふうな幼木の育成が止まる、こういうことについても、ひとつ天災融資法を適用できるように改正をしてもらいたいということと同時に、もう一つは、農林漁業金融公庫法の改正案が今出ておりますが、この中で、果樹の育成に対しても資金を貸し付ける、こういうことになっているが、育成が止まったような場合、すなわち災害にあったような場合に対する融資の道が開かれておらない。したがって、この二つの法律につきましても、ぜひひとつこういうふうなまだ実のならない、樹齢の若い木の損害についても融資の道を開けるように法律改正をしてもらいたい、こういうふうに思っておりますが、その点はいかがですか。
○政府委員(津島文治君) ただいまの果樹の幼齢樹でございます。これに対する被害が起きた場合におきましては、ただいまの天災融資法では融資の道はないのは申し上げるまでもないのでありますが、しかし、これは考えますというと、幼齢樹である、果実は木になっていないから直接の損害はないということではいかぬのでございまして、やはり幼齢樹といえども、非常に被害をこうむりましたときは、それだけ将来果実を得る期間というものがおくれて参ります。そういう意味からいたしまして、ただいま先生のお話のごとく、この問題はやはり十分今後取り上げて検討をしてみる必要のある問題である、かようにかたく考えている次第でございます。
○小林武治君 検討してみるのでなくて、そういうふうにやるように、ぜひ、ひとつお願いをしておきたいし、また、その必要は十分あると思いますので、そういう要望を特にしておきます。私は、要するに、これからの農業として非常に大事な果樹に対する政府の配慮というものをさらに重くするようにということを注文をしておきまして、特に申し上げておきたいのであります。ことに最初申し上げましたように、政務次官は十分これは御理解を持っていただけると思いますので、一そうひとつ注意を喚起してもらいたいと思います。それだけにいたしておきます。 次に、私は、経済企画庁長官に願いたいのでありますが、新産業都市の指定の問題でありますが、これは、私の聞くところによれば、新産業都市の指定は、全国に十個所にするとか、あるいは多少開発の進んでいる地域には、これを置かない、たとえば東海とか近畿には置かない。指定しないというようなことをちょぼちょぼ新聞等で見るのでありますが、せっかくこの法律を作ったところが、あなたがおっしゃるか、あるいは新聞が特に出すのか、一喜一憂させている、こういうふうなことでは、私はあまり好ましくない状態と思うのでありますが、その点は、何か十個所とか、あるいはもうすでに開発も進んでおるところには置かないのだ、こういうふうな考え方が相当固まっておるかどうか、こういうことをお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 関係大臣がたくさんおられるわけでございますが、便宜私から答弁を申し上げます。 昨年の暮れに関係各大臣が集まりまして決定いたしました新産業都市の指定に関する当面の基本方針、これは開発審議会の議を経て決定いたしたわけでございますが、おおむね十カ所程度とすること、及び開発地域を優先することという趣旨のことが述べられてあるわけでございます。十カ所程度と申しますことは、ある程度幅があることでございますし、開発地域を優先するという意味は、開発地域に限る、整備地域は一切排除するという意味ではないというふうに解釈しております。
○小林武治君 今のお話、私はそれがしかるべき問題だと思います。それで、これは開発地域だけにしなければならぬという考え方はやめるべきである、ことに、私どもこの法案を審議する際には、さようなこともあまり問題になっておらなかったのでありまして、要するに高いところから国民経済的の視野から、どうしたら日本の国民経済を高めることができるか、こういうふうな建前でやるんだ、要するに、後進地域を開発するんだというような建前でやったんではない、こういうふうに思うのでありまして、後進地域の問題については、今の工業開発の法律も別に出ておる、そういうことでありまして、たとえば東海や近畿には、これを置かないのだ、こういうふうな考え方はぜひやめてもらいたいということと同時に、これが何カ所になるか、やがてまた第二次の指定もあり得ると思いまするが、そういうことを期待してもいいかと、また、そういう時期がいつ来るかと、こういうようなことについて、もしお考えがあったらお聞きしたいのであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 法律の第一条には、これはもう小林委員よく御承知のとおり、大都市における人口、産業の過度の集中を排除して、並びに地域格差の是正をはかるとともにと、かなり地域格差の是正ということが法律の考え方として重く出ているように考えているわけでございます。しかし、他方で投資効率の問題から申しますと、実はこれとは若干一致しない面が出てくるわけでございまして、かように五年、七年先を考えて地域格差の是正をはかるということに重きを置くといたしましても、それよりもっと手近な、いわゆる、さらに可能性の熟度の高い地域についてこれを全く放置してよろしいかどうか、経済効率は当面そのほうが高いことは明らかでございます。そういう問題がございます。したがって、新産業都市の第一回の指定そのものを開発地域に限り、その他のものは排除するという考え方はとっておりませんし、また、その他の方法によって同等の効果を上げ得るような財政その他の措置が考えられないものかどうかということも、実は内々で相談をしておるところでございます。 それから、将来の、新産業都市の指定が一ぺん限りのものであるかということにつきましては、もとより法律の建前はさようではないと考えます。将来においてまた指定があり得るということではあると思いますが、本来この乱に流れないようにという両院の御決議というものは、あまりたくさんの地方を指定することによって、財政あるいは財政投融資等を分散させないほうがよろしいという御趣旨と考えますので、今回の指定において、一方において新産業都市を指定するとともに、他方においてそれと並行して何らかの措置をとることによって整備地域にあるもの、当面投資の効率の非常に高いところなどについても救済措置を講じていきたい、救済と申しますか、処置を講じていきたい。先々第二回目の指定は当然あり得ることでございますけれども、ただいまそれがいつということについては申し上げられない状態でございます。
○小林武治君 ただいまの長官の御答弁に期待してこの問題はこの程度にいたしておきます。 総務長官にひとつお伺いしますが、昨年激甚災害の法律ができまして、この法律による災害指定の基準が全国的あるいは数府県にわたると、こういうことでありまして、この基準になる金額が二百億とか百億とか、相当大きな金額になっておるのでありまして、きのうも問題になりましたが、局部的の集中豪雨とかあるいは豪雪とか、こういう問題が起きてきまして、一つの県内でも数市町村にわたって非常な激甚な災害を与えると、こういう問題がありまして、従来なら、これについても当然特別法が出て適用されるのでありますが、激甚災害法が出てかえってこういうものが落ちてしまうと、こういう非常な不都合な結果を生じておるのでありまして、昨年来、私は、こういうふうな一つの町村あるいは一つの市が財政がもう立ち行かないと、その町の収入の何倍にも及ぶような災害があっても適用がないと、こういうことでありまして、非常に不公平な結果を生じておるのであります。ことしは自治省に頼んでいろいろ特別交付税の手当もしてもらったんでありますが、それでもとうてい及ばない、こういう次第でありまして、これらの問題は公平の点から言うても、こういう県内の集中豪商というふうな被害についても、この法律が適用されるようにぜひひとつ改正をしてもらいたいと、このことは昨年、私、自民党の会合においても述べ、また、総理府にもいろいろ注文をしておるのでありますが、まだ実現を見ておりません。ことしもまた同様の問題が必ず出てくると思うのでありまするが、法律改正によって、これに適用するというふうな道を開くという必要があると考えますが、お考えはいかがでしょうか。
○政府委員(徳安實藏君) 最近の災害が、非常に予期しないような多岐多様な様相を呈しておりますので、したがって、勢い災害対策も、その災害の実態に即してこれに適応した処置をとることが望ましいということは、申し上げるまでもございません。現行激甚法におきましても、昨年十月発生しました福江市の大火のごときは、たとえそれが局地的なものでございましても、激甚災害の指定をした等のこともございまして、局地的な災害だからといって、必ずしも全部が全部激甚法の適用を受けないというわけではないのでありますが、御指摘のような激甚法の第二章、つまり公共土木施設等の災害復旧費補助の特例、あるいは第五条の農地等の災害復旧費補助の特例、こういう処置につきましては、従来の例にかんがみまして災害復旧関係の母法で処理するほうが適当であろうというような考え方で処理しておるわけでありまして、また、市町村の財政状態等を勘案いたしまして、それらに対しては、特別交付税の交付によってこれを処置するというようなことで、これで大体いけるだろうという見通しで今日まで運用してきておるわけであります。しかし、先ほどお話がございましたように、局地的に数村あるいは数カ町村、全く壊滅にひとしいような集中豪雨がありますとか、今回の予期せざる雪害等がございまして、法の上にも何か手直しをせねばならぬものがあるということは、私どもも感ぜられますし、また、災害特別委員会やその他の委員会でも、しばしば指摘されております。この問題は、各党とも私どももよく相談いたしまして、そうして実態に即し得るような処置をとるためには、どうしたらいいか、政府側の見解も述べ、また、各党側の御意見等も伺いまして、激甚法あるいはその他の法律にも、適当な修正あるいは改正等を加えるならば加えたいというような気持を持っておりますので、これはいずれ適当な機会に、そうした処置をとるような御相談会でもいたしたい。で、今回の豪雪等につきましても、近く最後の会議を開きまして、未解決になっております等のものも取り上げて、そうしてそれを課題にして、今後の処置をとるよう相談会を開こう、こう考えておるわけであります。 今お話の点も、まことに私もごもっともだとは考えておりますが、そういう特別交付税等によって処置ができるものであろうという考え方で現在やっておるわけでありますけれども、それが実態に沿わないということで、非常に一部の者に不公平な取り扱いを与えておるというようなことが事実のようでございますので、こういうものには、どういう処置をとることが適当であるか等につきましては、ひとつ再検討をさしていただきたい。これは私どもばかりじゃございません。各党ともよく話し合っていたしたいと考えております。
○小林武治君 これは一年待ってみろということで、待ってみて、特別交付税の問題も出たってみましたが、やはり間に合わない、こういうふうな事実が出てきておりますので、ことしもまた同じような問題が必ず起きてきますからして、ぜひひとつ適当なこの法律の適用のできるようにお考えを進めていただきたい。これは、相談をしておったって、なかなか手間が取れますから、できるだけ早い機会に、ことし間に合うように何か考えてもらいたい、こういうことをひとつ要望をしておきます。以上で私の質疑を終わります。 委員長(木内四郎君) 小林委員の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) 次に、鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 初めに、学齢前教育の問題について伺いたいのですが、まず、文部大臣にお伺いしたいのですが、現在の幼稚園の設置数というのが、統計によれば七千三百七十二、幼児の数が、約八十五万六千人程度といわれております。現在小学校へ入学してくる方の中でも幼稚園に通っている数が非常に多くなってきている。あるいは幼稚園を探すために入学難で非常に困っている。幼稚園の入学難というような問題まで起きてきているという状態でありますが、学齢直前の現在の幼稚園に収容されている園児の数はどのくらいなのか、学齢直前の数。それと、いま一つは、小学校へは三十八年度の入学予定数があると思いますが、その入学予定数に対して、どの程度学齢直前の園児の数があるのか、パーセントでひとつ言っていただきたいのですけれども。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。 小学校に入学した者の数に対する比率から申し上げますと、幼稚園を経て小学校に入りました者は、その中の三三%、三十七年四月の調べであります。
○鈴木一弘君 そうすると、今年度は大体どのくらいの見込みになりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 本年度の見込みは、私はまだ聞いておりませんので、要すれば政府委員から申し上げます。
○政府委員(福田繁君) 三十七年度について申し上げますと、百六十四万の小学校一学年入学者の中で、五十四万人ぐらいであります。したがいまして、従来の比率も大体三三%程度でございますので、三十八年度におきましても、そう大きな開きはなかろうと思っております、五十万人台であろうと考えております。
○鈴木一弘君 その次に、これは厚生大臣にちょっとお伺いしたいのですが、保育所が現在約一万カ所あるということであり、定員が七十五万人をこえているということでありますけれども、その保育所のうちで、学齢直前の収容児数は、今どの程度になっておりますか。
○国務大臣(西村英一君) 大体保育所の措置人員は七十万ぐらいでございまして、三八%で、約二十六万ぐらいが大体退所いたしますから、それを学齢前児童、大体そう見ております。
○鈴木一弘君 そこで、幼稚園と保育所と、この両方合計すると、今幼稚園のほうが五十万をこえるであろう。三十七年度が五十四万人ということでありますので、保育所のほうが二十六万ということ、合わせると約八十万人をこえている。小学校への収容数が、百六十万程度と見られておりますので、大体五割以上、五〇%をこえるというような状態になってきていると思うのですけれども、これは文部大臣に伺いたいのですが、この幼稚園を通り、保育所を通って小学校へ入るその生徒数の中におけるパーセントでありますけれども、この率が毎年々々向上してきているのではないか、このように思うのでございますが、その辺の事情がわかりましたら言っていただきたいのですが。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的な数字は後ほど政府委員から申し上げますが、昭和三十四年度から五カ年計画でもって、幼稚園の普及向上をはかるべく予算的措置を年次計画でやって参っております。もちろん、その金額も僅少でございまして、多くを期待できません程度ではありますけれども、そういうことからいたしましても、年年何がしかが増加しておることは確かでございます。実数は政府委員から申し上げます。
○政府委員(福田繁君) 最近の数字について申し上げますと、小学校に入る者の数から申しますと、昭和三十一年度が大体幼稚園終了者が二一%強でございましたが、年々向上の一途をたどりまして、先ほど申し上げましたように、三十七年度におきましては三三%程度まで、数にいたしまして約五十四万一千人くらいになっております。したがいまして、幼稚園としては幼児数も年々ふえて参っておりますが、文部省といたしましては、それにつきまして、公立の幼稚園の場合におきましては、施設の整備費として、三十八年度は約千七百万程度でございますが、施設の建設の場合の援助を続けて参っております。また、私立の幼稚園につきましても、私立学校振興会を通じまして、三十八年度は約三千五百万程度になると思いますが、融資をいたしておりまして、その他若干でございますが設備費等の補助もいたしたこともございます。援助をできる限りいたしたいというようなことで、従来やって参っておるわけでございます。
○鈴木一弘君 そこで考えられることは、文部大臣の御答弁の中からも、何がしか向上している。今の政府委員からの答弁によれば、三十一年が二一%である、それが三十七年度には三割三分に上がってきておるという。ところで、そうなって参りますというと、すでに幼稚園が三割三分、またそのほか保育所を入れるというと五〇%をこえている。しかも、これが累年、年を追うごとに増加してきているという状態でございます。そうなりますというと、この将来を考えてみたときに、教育の機会均等というような一つの立場がありますし、それから、これは社会主義の国でありますけれども、ソビエトあたりでは多分幼稚園までが義務化しておったんじゃなかったかと思いますが、そういうような例もございますし、そこで将来のことを考えてみるというと、当然準義務化をしていくなり、あるいは義務化というような考え方に幼稚園の行政というものは考えていかなければならない。学齢直前の教育ということに真剣に取っ組んで、義務あるいは準義務というような考え方に立たなければならないと思うわけでありますけれどもその辺の考え方、また将来どれほどのめどを置くか、それはわかりませんけれども、これは研究に待たねばならぬとは思いますが、義務化するべきではないか、このようにも考えておるわけでありますが、その辺についての文部大臣の御所見をお願いしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この幼児教育が、従来の義務教育以前の幼児教育というものが非常に効果があり重要であるということを専門家から聞かされておるわけでありますが、御指摘のように、将来の課題としては、義務制と申しますか、そこら辺まで発展性を持った課題であると思います。明らかにその目標を立ててやっておるわけじゃございませんけれども、先刻来御答弁申し上げたように、年々歳々普及しつつある、普及させることを必要であるとして前進いたしております。行く行くは義務制にしてよろしい条件が整う時期が来るものと思いますが、もっと普及しました時期に義務制に持っていくという考え方で前進いたしておるわけでございます。年次計画で何年後にそうするとは申し上げかねますけれども、方向としては御指摘のような方向をたどるべきものと心得ております。
○鈴木一弘君 方向として、将来普及したならば、そのような目標は立てられないけれども、義務化したい、そういうようなお考えのようでありますけれども、ぼつぼつ方向が立てられるのじゃないか、目標が立てられるのじゃないかという感じがいたします。といいますのは、先ほどの答弁の中にありましたように、パーセンテージの伸びというものが累年追ってきておりますし、また実際の、これは収容されている、また通園しているところの園児数、収容児数についての資料でありますが、実際は行きたいけれども超満員のために入れないとか、そういうような、どこへ行ったらいいかわからなくて非常に困っている、ありさえすればそこに行きたいのだ、入園させたいという潜在的な園児の数というものはかなりあるわけだと思います。そうしますと、これは、この辺でぼつぼつ本格的に検討されて、目標をはっきりお立てになったほうがいいんではないか、このように思うわけですが、もう一度お願いしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今この席でもっとはっきり言えとおっしゃいましても、申し上げる具体的材料を持たないわけでございますから申し上げません。しかし、方向としては、そういう方向をたどらしむべき課題だと思います。第一、教員組織の整備にいたしましても問題がございましょうし、いわば幼児でございますから、通学の距離の問題からいたしましても、義務制にしますための施設、設備の整備等が、さよう簡単でもございますまいし、いろいろ弁解がましく申し上げれば、いろいろな課題がもっとあろうかと思います。そういう問題を一々取り上げまして、整備計画を持った上でないと、申し上げかねる課題かと思います。繰り返し申し上げますようですが、方向としては、そういう方向を漸進的にたどっていく。相当の普及率になりました場合に、初てめ義務制ということに踏み切る時期が参るであろう、かように思うわけであります。
○鈴木一弘君 今の段階での御答弁ではそうだと思いますけれども、まあ整備計画というようなものに着手していきたいとようような考え方でやっていただきたいと思うわけです。 そこで、続けて伺いたいのですが、まあ幼稚園の場合と保育所の場合とでは、性格的に非常に内容が違っております。幼稚園の場合は、学校教育法にも規定されておりますし、一つには学校教育の一環としてやられておりますけれども、保育所の場合は、これはあくまでも委託保育ということが目標になってきている。少なくも、小学校へ上がりますというと、まあこのほかに在宅の生徒があるわけでありますけれども、保育所から出てきたのと幼稚園から出てきたのとでは、生徒の集団訓練あるいはそのほかの面において非常に保育所のほうが見劣りしている。そこで、経済的な理由から考えても、また機会均等ということから考えていきましても、幼稚園と保育所の少なくとも中身でもね、学令直前の生徒について、幼児については、内容を一元化していくべきではないか。たとえば集団訓練の問題にしても、ただ預かっておくというのでなくて、訓練を行なうべきではないかというふうに思うわけでありますが、そういうような同一の機会というものを与えていくという考え方――現在は二元になっておりますが、それについて文部大臣はどんなふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。これも、具体的結論としては、今のお尋ねにはお答えいたしかねるわけでございます。通り一ぺんになりますが、今も御指摘のとおり、保育所は保育所本来の目的意識を持ってやっております。国家的な立場におきましても保育所の設置が必要であるという角度からとらえておる。幼稚園は、学校教育法にいうところの学校の一つであると明記されている教育目的に立って育成していくという立場でございます。担当の官庁も違う。いわばなわ張りが違うわけでございまして、これを一緒にするのだと言おうものなら、これはたいへんだという課題でもございます。しかし、その対象とする子供たちは、同じように義務教育適齢前の幼児であることには違いはない。目的は本来違うにいたしましても、やっていることは、重複してやっておる分野がかなりあることも聞いておる。そこで、そういういろいろな問題を別にいたしまして、何とか同じように国民の血税でこれを育成していくということならば、一緒にできるものならやって効果的にやったらどうであろうかという問題があろうかと思います。今のお尋ねに即座にお答えする段階でございませんので、以上のお答えで、御了承願います。
○鈴木一弘君 それでは、保育所のほうの関係の厚生大臣にお伺いしたいのですが、今のように保育所に回るのは経済的理由のほうもございます。働く婦人の立場に立っているので、そちらに預ける場合もございますしいたしますが、実際に学校に入学したときに差が出てきておる。それは、保育所が学校教育法に定められたものではございませんので、やれないものとは思いますけれども、少なくとも、学齢直前の幼児については、同一内容の訓練ということ、あるいは教育というようなことを考えるべきじゃないか。それは今文部大臣に対しても言った質問でありますけれども、厚生大臣のほうはどう考えておられるか。
○国務大臣(西村英一君) ちょっと考えると一緒にしたらいいように思われるのですが、それはなかなか違うのです。というのは、保育所は、預かる子供の年令を問わないで、働く婦人のことを考えて、すぐ赤ちゃんを預けていくという工合になっている。しかし、学童前の人は幼稚園でも保育所でも一緒じょないかというようなちょっと気持はするのですが、まあしかし、いなか等におきましては、幼稚園はありませんし、ほとんど保育所でやっているわけでございます。まあ調節をすべきところは確かにあろうと思います。他の保育所におきましても、ただ子供を集めて遊ばせるわけではいまござせんので、やはりある程度の子供の教育と申しますか、教育それ自身じゃありませんが、社会性の涵養だとか、あるいは情緒を養うとか、あるいはいい習慣をつけるとか、そういう意味の教育はやっているのであります。調節をすべきところはありまするけれども、全然階層も違うし、いろいろ違うところはあるのであります。さように私ども心得て、文部省と調節はとっていきたい、かように思っております。
○鈴木一弘君 私は、保育所と幼稚園とを全く内容を同じようにしてしまえというわけじゃありません。その特色は特色でございますし、設置目的が違うわけでありますので、同一歩調にならないでしょうけれども、少なくも、学令直前において、今のお話のように、調整をとられるなら十分調整をとられて、そうして訓練、教育という点について一そうの意を注がなければならないのではないか。というのは、保育所に対しての収容の希望が、幼稚園がないところであればなおのこと、行きたという要求が多いわけであります。そういう面のことも考えられてやってもらいたい。そのように調整されてれるということでありますので、留意さしてやっていただきたい。 その問題はそれだけにしておきますが、大蔵大臣にこの問題についてお伺いしたいのですが、公立幼稚園施設整備費補助金、本年度――三十七年度は千五百万円であった。それが三十八年度は、現在審議中のが千七百万円ということになっております。そのような補助になっておりますけれども、幼稚園それ自体というものは、えらく私立の場合は非常に値段が高いわけです。小学校へ入れるよりは、毎日の持っていくお金にいたしましても、掛りにいたしましても、かなり高過ぎるという声は、これは周知の事実でございます。しかも一方、百二十人とか何とかいう定員があるようでありますけれども、三百人ぐらい収容して、マスプロダクションでもって幼稚園を経営しているところも出てくる。行ったけれどもかえって子供の質が悪くなったというところも出てきております。しかも、もう一方では、よい幼稚園探しということでもって、親のほのは狂奔している。そういうような状態でございますし、一方保育所のほうを見ると、同じように、現在ものすごく並んでいるわけです。受付や何か見ましても、親のほうの何とか入れたいという要望がものすごいわけでありますが、これも不足である。その点で、公立の幼稚園というものの施設をさらにさらに強化拡大すべきだと思うんですが、その点について、千七百万円ということは、昨年度に比べて二百万円しか多くないわけでありますけれども、財政をあずかる大蔵大臣として、この学齢前教育についての考えをどのようにお持ちか、伺いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 公立幼稚園につきましては、ただいまお示しのとおりでございます。千五百万円を千七百万円、いずれにしても千万円台の金額でありまして、これで一体いいのかどうかという問題に対しては、確かに少ないような感じはいたします。公立幼稚園という問題に対しては、先ほども御説があったようでございますが、小学校との問題もございますし、子供よりも親のほうが町場などではいろいろいいところを追いかけ回しておるというような問題もございます。しかし、実際、働いておる家庭、それらか一人子で、ほかの子供となじまないで困っておるもの、それから農山村というようなところは、幼稚園というよりも、いわゆる託児所式な考え方で、生活からくる問題として、非常に深刻なものも考えられるわけでございます。私たちも、その実例をよく知っております。そういう意味で、いわゆる幼稚園、それから保育所、託児所というようなものは、将来どういうふうに問題にすべきか、またどういうふうに育成させていくべきかということを割り切れば、これらの問題に対して、千五百万円から千七百万円というような、二百万円はふえておりますというようなことで片づけられる問題ではないと思いますので、まあこれらの問題は、ただいまの御説等を十分広い視野で検討をしながら、いわゆる幼稚園や託児所の悪い面は――少なくとも、大都会の親のほうが入学するようなつもりでやっておるものは別として、実質的に必要な幼稚園というもの対しては、十分検討して、これが設備の充実をはかっていくべきだと考えます。
○鈴木一弘君 大蔵大臣がだいぶ公立について積極的な考え方をお持ちのようですので、一応安心いたしますのですけれども、厚生大臣、現在の保育所が非常に足りないという実情だと思うのでありますけれども、その保育所についての年次的な計画、そういうものがおありでしたら、聞かしていただきたいのですが。
○国務大臣(西村英一君) だんだんやはり既婚の御婦人方が職業につかにやならぬとか、あるいはまた農村におきましてもいろいろ勤めに出るというようなことで、ますます保育所の重要性が増してきたように思うのであります。で、ただいままで認可しておる保育所が一万二百カ所ほどありますが、三十七年度が百五十カ所増しまして、来年の予算には百六十カ所の認可保育所をやるようになっております。しかし、希望はそれ相当にまだありますので、どちらかと申しますと、全国的に見ましてやはり偏在しておる傾向もありますので、非常に少ないところにたくさん持っていけと私は言っておるわけでございます。 その他、正式な保育所でなくて、僻地の保育所、あるいは子供を季節的に預けたいというような季節保育所というようなところにつきましても、相当に来年度は考えておりまして、少なくとも、ひとつ仕事がうまくできるようにという配慮をいたしているのであります。また、東北地方におきましては、認可保育所は児童六十人以上というような基準がありますために、三十人ぐらい以上児童がいる、そういうようところはどうするかという問題がありますので、いろいろ、厚生省としては、今まで悩んできておったのでありますが、来年度からは新たに児童館というような、正式な保育所ではないけれども、とにかく子供に寄って遊んでもらう、それに対して国家が幾分かの補助をしようという児童館という制度を作りまして、それを百四十カ所ほど、来年度は大蔵省との話し合いができまして、やることになっているのであります。こうしますると、東北方面のような、寒い、児童の一カ所に集まることが少ないようなところは、非常に利益するところがあろうと思います。 なお、計画的にも、漸次保育所を増していきたい。まだやはり二千カ所ぐらい要望があると思います。かように思って、徐々にふやしていきたいと、かように考えている次第でございます。
○鈴木一弘君 自治大臣に伺いたいのですが、公立幼稚園の施設整備費の補助金は、三分の一の国庫補助でございます。三分の二は地方団体の負担となるわけでありますが、その点について、財政上から見ても、さらに今度は需要の上から見ても、どんどん作らなければならぬ、こういう状況にあると思うのでありますけれども、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(篠田弘作君) 幼稚園の建設につきましては、二分の一の補助であり、経営については、今おっしゃったように三分の一の補助である。しかしながら、それにつきましては、起債あるいは交付税等においてみることになっておりますから、そういう関係から、地方公共団体が公立幼稚園を建てることの障害になるというふうには、今のところ考えられないわけであります。
○鈴木一弘君 私が大臣に伺ったのは、非常に需要が大きいけれども、十分やっていけますかという意味なんでございます。それはよくわかりました。 次に、文部大臣に伺いたいのですが、私立学校法によりますというと。幼稚園から大学までが、私立学校法一本できめられております。ところが、評議員の選出の問題あるいは理事、監事の数までが、大体法律で規定されているような形でありますけれども、法定数だけでは、小規模の私立学校、いわゆる幼稚園程度については、とうていこれは望めないし、また、私立学校法の四十四条によりますというと、「(評議員の選任)」の中で、「当該学校法人の設置する私立学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者」というような一項がございます。幼稚園から後年齢二十五年以上になって初めてその学校法人の評議員になる、こういうふうなことになるわけでありますので、その点からいくと、何となく、小規模の幼稚園あるいは幼稚園の評議員の問題になるというと、この法文は空文のような感じがいたします。 そこで、大学、幼稚園、各学校全部を、一律にこの法律で取り扱うのは、これはまずいのではないかということが、教育刷新審議会の報告書にも書かれておりますけれども、その点についてどのように考えられるか、何か弾力性の持たせる方法がないものかどうかということです。その点について向いたいのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私立学校ということで画一的に制度化されております関係から、特に幼稚園が大学並みの制度でもって規制されることがおかしいじゃないかという御指摘かと思います。これはどううも、一々の私立の幼稚園の現実を把握しておりませんと、お答えがしにくいのでございますが、ちょっとお尋ねに対してぴったりお答えすることができないような気がいたしますので、政府委員からお答えさしていただきます。
○政府委員(杉江清君) 御指摘のように、私立学校法四十四条において、当該学校法人の設置する私立学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから選任された者を評議員に加えることにいたしております。で、このことは幼稚園等においては無理ではないかという御指摘でございますが、三十五才以上に達した者のない場合にはこの規定は働かない。その意味においては、確かにその期間はこの規定は働かないわけでございますが、しかし、それだけに幼稚園等の特殊事情が認められたということも言えますし、また、二十五年の歴史を経れば、相当その幼稚園の出身者も数多くあるわけでございますから、その中から適当な人を選ぶということも実際上できょうと考えられるわけでございます。 で、確かに私立学校法は、幼稚園から大学まで一本で規定いたしておりますことについては、御批判の余地もあろうかと思いますけれども、できるだけその共通的な要素を選んで規定いたしております。たとえば、理事の数とか、評議員の数等についても、何人以上ということで低く押えておりますので、幼稚園等においても、その程度の理事、評議員は備えられるし、またその卒業生から選ぶという規定も、今のように解釈すれば、実際上それほど無理ではない、こういうふうに考えられますので、現在のところ、この規定によって処理してさしつかえない、かように考えております。
○鈴木一弘君 つまり、今一つの項目の条文だけをあけただけでございますけれども、四十四条の二号などは、幼稚園などには空文じゃないか。実際の規定は働かないということであります。それで十分だというお考えのようですけれども、まあ、私としては、幼稚園から大学までと一つの私立学校法で縛る――縛るというか、規定するという行き方それ自体に疑問を持つわけなんです。 ここで、大学の問題に移っていきたいと思いますのですが、大学というのは、ほかの学校とは違う価値があるわけでございますし、学術、文化の発展というような中心の場所である。そういうふうになっていくと思う。そういうものが、同列に、幼稚園と同じような扱いでその法律の中できめられていくということになると、実に非常に奇妙に思うわけでありますけれども、私立学校法等の改正についての意図といいますか、そういうものは文部大臣はお持ち合わせがないかどうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 今御指摘になりました、幼稚園から大学まで一律であるからどうだという角度だけから特別に再検討をせねばならないと今まで思っているわけではございませんが、ただ一般的に、常に一方的な立場から、既存の法律も改善されるべき課題でもございますから、ことに今御指摘の点もございますから、さらに検討する一つの課題にいたしたいと思います。
○鈴木一弘君 ことし出ました中教審の答申を見ますと大学の問題について伺っていきたいのですが、大学については、学術研究、職業教育、市民的教養、人間形成を行なうという理念に基づいている。まあそういうようなふうにいわれていますし、そこで、大学の持っている行き方といいますか、三つに大体分かれてきている答申になっています。一つは、大学院大学のような考え方、あるいは学部大学のような考え方、短期大学のような考え方、そういうような三つの考え方に基づいてこの中教審の答申が始まってきておりますけれども、文部大臣は、こういういわゆる高度の学問研究と、研究者の養成を主とするという大学院、あるいは上級の織業人養成というような学部、職業人養成と実際生活に必要な高等教育をするという短大、こういう三つの答申が出ているわけでありますけれども、それについての大臣としての見解、政府としての見解というのは、どういうようにごらんになっていらっしゃるか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。 終戦後、新しい学制が六三三四の名でスタートしまして今日に参っておりますが、そのあり方について、中教審の検討されました結論を今御指摘になったわけでございますが、やはり中教審の答申は、答申であるから尊重せねばならないという大づかみの気持ももちろんありますけれども、内容を、御指摘の点をあらためて考えましても、中教審の答申が実際的であり、かつまた合理的であろうかとも思うわけであります。しかしながら、中教審の答申を、いきなりそのままの姿で実現することも困難なところがございますので、今後検討いたしました上で、たとえば大学院大学を純粋に分離した形で置く問題、あるいは四年制大学に大学院をくっつけた姿の大学のあり方の問題、純粋の四年制大学の問題、さらには二、三年を予定しております短期大学、これも、中教審はそれ自身の存在理由は認めておるようでございますが、特に短大につきましては、女子の職業人教育と申しましようか、社会人教育、高度の市民教育という角度からとらえました短大というものは、中教審の答申を待つまでもなく、現実に一般国民的立場から支持され、今後も継続して存在すべきものと、かように受け取るのであります。それと相並びまして、高等専門学校の制度も創設させていただいたわけですが、これらは、それぞれの特色を持ちながら使命を果たす姿で整備されて参るべきもの、そういう方向に立って今後の措置を検討して参りたいと思っております。
○鈴木一弘君 大体中教審の答申の、新制大学を三つに分けていくという考え方については、基本的に賛成だというように、そのようにとってよろしいですね。 そこで今度は、この答申を見ていきましてもわかるわけでありますけれども、二つの相反する目的あるいは性格というものがあるように見られるわけです。一つは、社会の進歩の要求にこたえて高度の学術研究を行なっていくという学術研究の部門、一方においては、広い階層の人々に高い職業教育と市民教養を与えるという、いわゆる機会均等の考え方に立つ部門、そういうような二つの考え方が、大学制度というものを検討していくときに、非常なかみ合いになっているのではないか。一方においては、高度の学術研究をするアカデミックなものにしなければならぬ、いわゆる西欧タイプのようなものに考えるべきであるという考え方と、もう一つは、広く機会均等で、アメリカ式に多くの人を教育させていきたい、高度の教育を授けたいという、二つの相反するといいますか、そういうような感じがいたすわけでありますけれども、その辺のかみ合いについての政府としての考え方というものはどういう考えを持っていらっしゃるか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大学が高度の学術の研究の府であるという性格と、今お話にも出ましたように、これまた高度の職業人教育と申しましょうか、そういう目的と両面のものがあることはお話のとおりだと思います。そこで、現在の六三三四の形の四年制大学というもので、いわば、のっぺらぼうに、同じように取り扱われておりますことに対する中教審の答申が、先刻御指摘になりましたような形で出ておることがより合理的じゃなかろうかということは、先刻申し上げたわけでありますが、現状からいたしますと、高度の学術研究の府としての大学とならば、各学部に大学院を置いているという形からいえば、そういうものが一番典型的なものだろうと思います。今までの多年の歴史の上に積み重ねられままして、旧制の大学が名実ともにそれに当たろうかと思います。その数は、教育の機会均等という角度からとらえた大学というものと、ちょっと趣きを異にするものと思われることは御指摘のとおりでございます。しかし、それ以外のいわゆる新制大学におきましても、その内容が充実して参るに従って、やはり高度の学術の研究を主とする大学の列に加わって参ることは、これは制限すべきものでもないと思います。その限度がどこまでかということは別問題として、むずかしいことではありますけれども、二種類に分けて考えれば、そういうものと、高度の職業人、社会人を育成するという純粋の教育の立場からとらえた大学というもの、それがおっしゃるところの教育の機会均等という国家目的に対応すべき大学、そういうことで今後考えられていくべきものじゃなかろうかと、こういうふうに思います。
○鈴木一弘君 今の問題は大学の今後についての一番重要な問題になって参ります。といいますのは、生徒数をふやすという行き方で、池田総理が言われたように、西欧よりは大学の数が多い、また卒業生も多い、ヨーロッパ全部よりは大学が多いというように、非常に進んでいると、このようにも申されておりますけれども、ソビエト、アメリカに次いで日本が三番目である、そういうようにも言われております。人口当たりの大学の数でありますけれども、そういうような機会均等ということに重点を置いていくのか、あるいは西欧式な方式、いわゆる学術研究というアカデミックな考え方でいくのか。ここで両方のかみ合いが、非常に両方尊重されるという行き方でございますけれども、わが国独自の基本的な考え方としては、一体現在の大学の数は多過ぎるのではないか、あるいは足らないのか、また大学、短大というものの生徒の数については少ないのか多いのか、そういう検討が、その考え方からきまってくると思う。 そこで、基本的な考え方と一緒に、大学の数、生徒数についての適正な判断と規模というものはどのように考えていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先刻からお話が出ておりますように、大学を高度の学術研究の府としてとらえます場合、先ほどお答え申し上げたような国立の場合は数がわずかでありますが、私立大学におきましても、それに比すべきものがあることは、すでに御案内のごとくであります。そういう高度の学術研究の府として、四年制大学なるがゆえに公私立ともすべてそうでなければならないということは、可能であれば必ずしも否定し得ないことかもしれませんけれども、これは結局国力の限度との問題でもございましょうし、はたしてまた最高の学術研究の府が現在あります大学の数だけなければならぬかということをあらためて考えますれば、私はその意味では多過ぎると思います。おのずから局限さるべき本質を持っておると思うわけであります。それを除きまして、世界で一、二を争うくらいの大学の数を持っておりますことそれ自身は、御指摘のとおり、教育の機会均衡等という角度からとらえました場合は、それは非難さるべきものではなく、喜ばしき現象だというふうに私は言い得ると思うわけであります。それとても、ただ数が多いだけが能ではないので、中身が、施設、設備等、あるいは教員組織も大学にふさわしいものが整備されている限りにおいて、しかも、青少年が大学に入学するという希望があり、また大学に通わせる経済的な条件も整っておって、世界で一、二を争うような数の多い大学でも、今申し上げたような条件を整備されながら継続していかれる限りにおいては、高度の職業人養成機関という意味においては、さらにまた教育の機会均等という意味においては、これは歓迎すべきことではなかろうかというふうに受け取っております。
○鈴木一弘君 そうすると、大臣、構想がおありかどうかわかりませんが、いわゆる学術研究の分野として、数は現在は多過ぎる、限らるべきであるというふうなお答えであったわけでありますが、その面から見た場合、その適正な数というのはどの程度を予定されておりますか、また御構想があったら伺いたいわけですが。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学術研究の府として、もっと具体的に申せば、博士課程の大学院を中心として考えました意味の大学というのはおのずから限度があると申し上げましたが、幾つがいいかということは申し上げかねます。たとえば、先刻も触れました旧制の大学が、人文、社会、自然の各分野について、各学部に対して大学院があり博士課程があるという人的、物的設備の充実ぶりというものは、明治以来の数十年にわたる年々歳々の大学それ自体の努力、国立なら国家経済の許す範囲内においてそれに注ぎ込まれた血税の蓄積によって現在あるわけでありまして、それだけの年限と多年の研さんの成果としてしか存在し得ないはずのものでございますから、おのずから限度があるものと思うわけであります。これも先刻触れましたように、その他の大学といえども、人的、物的な設備、能力というものがこれに肩を並べるぐらいになりますれば、それを推さねばならないことは申すまでもございませんが、続々と博士課程の大学院というがごときものが出てくるものでもないということで、おのずから限度があろうと思います。私立の大学につきましても、同断だと思います。具体的に限度がしからばどれだけだ言ってみろと言ってみても、ちょっとお答えしかねる課題だろうと思います。
○鈴木一弘君 現在、短大、大学合わせて五百をこえております。生徒の数でも、七十万、八十万近くいるわけであります。学生の数が、先ほどからのお話ですと、いわゆる大学院、大学というものを中教審の答申から考えられていくということはわかるのですが、それが、今の御答弁から類推すれば、いわゆるもとの帝国大学、あるいはそのほかの私立の中でも、早稲田とか、慶応とか、そういうような歴史と伝統のあるような、またそういうごく一部のものに限られて、学術研究の府である、こういうふうになさるというように聞こえるのでありますけれども、それでよろしゅうございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 端的に申し上げれば、そういうふうにおとりいただいても差しつかえのないことを申し上げたつもりでございます。
○鈴木一弘君 そこで、次に、国立大学の問題についてですが、今回の国立大学の管理法というものが流れたわけであります。短大も反対であるということでありますけれども、現在の国立大学というのは、考えてみると、国立とは言っておりますけれども、官立ではないか。ということは、文部省に経営管理権というものがある。官立であるとすれば、当然、その中にいる教授にしても、助教授にしても、国家目的に合わせて動くべきであろうし、そうなってきますと、学問の自由あるいは自治活動というような面も当然統御されなければならない、こういう面が出てくる。ところが、一方大学においては、学問の自由というものの尊厳、あるいは大学の自治というものの尊厳がなければ、進歩というものは当然望めないわけであります。そこで、その相反するものを持っているので、むしろ運輸省が国鉄に対して監督権だけを持っておる、こういうような例もございます。国家は国立大学に対しては監督権だけを認め、ほかの管理権そのほか一切は別個の――公社といえばおかしゅうございますが、運輸省に対する国鉄の公社というような考え方、そういうような考え方はできないものか。そうすれば、一方においては大学の自治あるいは学問の自由ということも十分保障されるし、国立と言いながら中身は官立であるというような面も消えて参ります。その点、監督権だけにとどめたらいいのではないかと思うのでありますけれども、この間の管理法によれば、かえってさらに強く、監督権どころでなく、管理権にまで相当立ち至っているように思うのでありますが、そういうような考え方はできないものかどうか、その点について伺いたいのですが。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 中教審の答申の線に沿いましての大学のいわゆる管理運営に関する法律案の提案は、一年見送りました。しかし、あの私どもの考え方――中教審の答申の線そのままですけれども、あの考え方というものは、いわゆる憲法二十三条に保障しております学問の自由、それにはむろんノー・タッチである。また、学問の自由と関連して、沿革的に存在しておると理解される大学の自治、それについても、格別新たなる管理権を及ぼそうというのではないのでございます。今おっしゃることが、監督権とおっしゃいますことが、大学の自治ないしは学問の自由との関連において、どういうふうに分別して、仕分けをしてお尋ねであるかが、はっきりつかめないのでございますけれども、私立大学といえども、学校法人対大学、学校というものの関係と、国立の場合に、国の立場と大学における学問の自由ないしは大学の自治との関係は、ほぼ同じようなものであろうと解釈いたします。したがって、人事につきましても、国家公務員であります限り、政府が任命するという形をとる。ただ、大学なるがゆえに、教授会等の推薦を経て、経た者でないならば任命という形は出てこないという慎重さをとられておることは当然のことでありまして、そういうことは従来どおりに尊重し、むしろ大学の学長という行政長官――大学行政の行政長官であるはずですが、学長の地位、責任と申しますことは、大学という一つの営造物、有機体を責任を持って運営していく責任者であるという意味における学長の立場も、従来制度上明確でございません。古い大学においては慣習上あるようでございますけれども、たくさんの大学、ことに新しくできました大学等につきましては、慣例もない、慣習法も成り立っていないという現実に即しまして、適正な制度を立てたら、責任の限界、権限、あるいは教授会の機能もまたしかり、そういうことで整備することが、真の意味の学問の自由を保障し、大学の自治もまた保障するゆえんである、むしろそのことのために協力するという制度があってしかるべきものであろうというのが、考えました法案でもありましたし、中教審の答申の趣旨でもあろうと理解するわけでありまして、お尋ねの点からちょっと逸脱した点もございまますけれども、ものの考え方はそういうものであろうと思っております。
○鈴木一弘君 それもよくわかるのですけれども、私が心配いたしますのは、今学校の教授、助教授といえども、国家公務員であるわけであります、国立大学の場合は、これを自由に許すということになるわけでありますし、その点、むしろはずして、準公務員的な立場に立たせてあげるほうがいいのではないか、そのほうがなお一そう学問の進歩発達も望めるのではないか、そういう意味でお尋ねしたわけなんであります。今の御答弁からいけば新しい管理法案で、十分その点は、公務員の身分であっても、自由奔放にふるまえる、このように解釈していっていいわけですね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 詳しくはあらためて御審議願う機会に譲らしていただくほかにはございませんけれども、先ほど来申し上げますように、公務員でございましょうとも、私学の大学の教授、助教授等でありましょうとも、学問の自由という立場においては、何ら名実ともに変わらないというふうに持っていくべきものと思います。大学の自治にいたしましても、その学問の自由を達成するに必要な方法として編み出されたものでございますから、それを制限したり何かということは、新たに考えられる必要はないものと思うのであります。むしろ、その輪郭がはっきりしないために混乱していることがありとせば、輪郭をはっきりすることによって、大学本来の機能を、あるいは教授、助教授、講師、助手に至るまで、行動しやすくなる、輪郭不分明のゆえの無用の混乱をなくするという意味において、むしろ役立つものだという考え方に立って立法措置を講ずるとすれば講ずべきであって、より以上の御心配のようなことをなすべきではない。したがって、国家公務員であります関係からして、新たな立法をするといたしましても、御心配のことのないようにするということであらねばならぬ。したがって御懸念御無用だという気がいたすのであります。
○鈴木一弘君 次に、短大のことについて伺いたいのですが、前に、大学とは別の新制度で、専科大学というような制度ということで、これはつぶれてしまったわけでありますけれども、現在の短大を見ると、当然大学にはっきり入れられるようなごとき立場のものがある、また現在ある専門学校のほうに入れられる立場のものもある、こういうように考えられるわけでありますけれども、この短大の改革については、どのようなお考えがおありになりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。短大は、二年制度、三年制度のものがあるようでございますが、制度上は四年制大学と同種のものなりという制度のもとにあるわけでございます。修業年限が違うというのが、違いといえば違いだというわけでございまして、お話のごとく、むしろ、四年制大学に昇格と申しますか、変えたらどうだという内容のものも、あるいはあるかもしれません。あるいは、高等専門学校に切りかえたらどうだろうというものも、なしとは言えないと思います。だけれども、短大そのものは、先刻もちょっと触れましたが、中教審も検討の結果答申をしていただいておりますが、短大は短大なりに大学としての共通性の中にありますけれども、四年制大学と違った意味における大学の目的を達し得る独自の制度として温存されるべきものである――これは私は正しい理解ではないかと思うのであります。特に、女子の高等職業教育の場としての短期大学というものは、これは温存されるのに最もふさわしい内容のものかと思うわけでございまして、短期大学が、当分の間とあるから、いずれは消えてなくなるべきものだとは思っておりません。
○鈴木一弘君 その次に、高校教育と大学教育の関連の問題でありますけれども、高校教育についても、学校教育法の中で、人格完成までの完成教育ということをはっきりうたわれております。一方、大学についても、同様な完成教育である。ところで、そういうような、おのおのが完成教育を目ざしておりますので、高等学校での習った科目といいますとおかしゅうございますが、それを再び大学でもって教授しなければならぬというような実態も一部には出てきております。ところが、高等学校の教育の基礎の上に立って大学というものの教育というものはあるべきものである、このように思うわけでありますが、その科目の関連性といいますか、そういうものについての話し合いがほとんどなされていない。ほとんどどころか、新制高等学校、新制大学ができて以来、一度かそこらしか、そういう関連性について、教育内容についての関連性の話し合いが、大学側と高等学校側でなされていないという実情であるようでありますけれども、その点については、もっと関連性を持たせるべきではないか、このように思うわけでありますし、その点についての文部省の指導といいますか、助言といいますか、そういったことについてはどのようにお考えでありますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 お話しのとおり、高等学校は、高等学校で終着駅だということに、建前としてはなっており、大学またしかりでございますが、しかし、大学の入学資格は高等学校卒業ということを条件といたしておりますことからいきましても、お話しのとおりに、制度論としては別個でありましょうとも、教育内容においては実質的につながりを持たしていくべきだ、本質的にそうであるべきものだと、私は理解するわけでございます。しかし、現実には、つまり、入学試験の問題をとっても、高等学校の教育内容をマスターしておてても受からない、とんでもない問題が出るじゃないかなど、そういった意味においてつながりがないじゃないかという御懸念もあろうかと思いますが、それはそれとして検討して、実質的にはつながりのあるものとすべきものだと思います。それにつきましては、制度の上で、当然に大学と高等学校が相談しながらやっていくというようにはなっておりませんけれども、実際問題としては、文部省が中に立ちまして、大学及び高等学校の関係者と協議しながら、実質上の連係がとれるように指導して、今日に至っておることは事実でございますから、その成果があまり上がっていないじゃないかというような意味において、御指摘の点もあるいはあろうかと思います。制度は別といたしましても、実質上のつながりを持たせるということは必要なことだと思います。
○鈴木一弘君 次に、講座制のことについて。大学の教育内容は、講座制と学科目制とある。ところが、特に講座制の場合でありますけれども、どうしても独立性の強いところというところでは独裁制あるいは能力無視というような形も出てきているわけであります。そこで、まあ極端な話をいえば、主任教授が酒が好きであるといえば、それに伴って助手、助教授も同じく酒が好きでなければ引き上げてもらえない、まあ極端な話でありますけれども、そういうような面がある。特に独立性の強いところ、伝統の強いところほど、そういうふうに独裁的になって、人材の開発というものが無視されている。こういう面が考えられるのであるけれども、アメリカあたりでは、大学の教授を募集するのに、公募をして募集しているというような状態もございます。そういう点から考えて、この人材開発という点からみて、講座制について、これはある程度風穴をあけてあげる必要があるのではないかと思いますけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 まあ講座制の場合、主任教授以下助教授、講師、助手となって縦の系列で学問研究が行なわれる形だと理解いたしますが、これは縦の関係でございますから、独裁的ということは当たるか当たらぬかということは別といたしましても、本来そういう立て方のものであって、その立て方においての長所を最大限度に生かしていくことが可能である限りにおいては、一つのやり方であると思います。これは、先刻来のお話に出したように、高度の学問研究の府としての大学の研究体制のあり方としては、まさしく沿革的な遺産でもありますが、それだけにまた特徴があって、いい主任教授があります場合には、研究成果というものは非常に多くを期待できるやり方ではなかろうか、そう考えられるのであります。まあ科目制は横のほう、並列的な立て方だと聞かされておりますが、これはまたそれなりの特徴が当然期待されておればこそのことで、これは、これまた先刻お話が出ました高度の職業人、社会人教育という教育を中心に考えます場合には、むしろ講座制よりもはるかに適切な立て方だと、こういうふうに考えるわけでございまして、それぞれ特徴を生かしながら、その特徴がぴったり当てはまるようなふうに持っていくことが適切じゃなかろうか、かように思います。酒飲みの例をお出しになりましたけれども、それはおのずから別個の問題で、自粛自戒することによって救済される事柄じゃなかろうかと思います。
○鈴木一弘君 自治大臣に伺いたいんですが、現在地方公共団体立の大学がございます。この大学がかなり経済上立ちいかないようなものも出て参りまして、そのために、それを有している地方公共団体が非常に困っているというような状態も出ているはずだと思います。そこで、そういうような地方公共団体立の大学というのは、国立に移すべきではないか、このように私ども思うわけであります。特に地方財政を圧迫している面もありますので、その点についての大臣のお考えをひとつ。
○国務大臣(篠田弘作君) まあ主として大都市あるいは府県がやっている大学でありますが。これは、私も従来見てきたところでありますけれども、やはり非常に科学の研究あるいはその他原子力その他の進歩によりまして、そういうものに追いついていこうとすれば、どうしても設備とかその他、教育にいたしましても、非常に外国の新しい知識を年じゅう輸入しなければならない、そういうような関係もありまして、いわゆる府県立あるいは市立の大学というものが財政的に非常に苦しんでいるといこうとは事実だと思います。端的に言えば、私は、義務教育は市町村において、高等学校は府県において、大学は国においてやるべきものだと、こういうように考えております。
○鈴木一弘君 そこで大蔵大臣に、国家財政の上から見て、どういうふうに考えられるか、国立移管の問題でありますが。
○国務大臣(田中角榮君) 篠田自治大臣は、しごくわかり切った、ものわかりのいい答えをされまして、私も、党人としてはその発言は十分理解はするのでございますが、事実の問題からすると、そう簡単に国立移管にできるような状態にはございません。今の公立大学は、御承知のとおり、施設の改良改善等やらなければならない問題等たくさんございますが、財政負担が非常に大きいので地方でも困っており、これを国立移管ということに相当希望はございます。ございますが、国のやらなければならない国立大学そのものがまだ理想的なところまでいっておらないのでございますので、こういう問題をまず先に内容拡充をやらなければならないという観点に立っておりますので、現在の時点において、公立大学を国立にすぐ移管をするというようなことは、財政負担上考えられないという立場をとっておるわけであります。
○鈴木一弘君 財政負担上国立に移管はとうてい考えられないということでありますけれども、実際問題、公立の問題は、施設も設備もだいぶおくれておりますし、その面では、大蔵大臣考え直してもらいたいと思うわけであります。 それから次に文部大臣に伺いたいのですが、大学運営法あるいは管理法案というようなものを次期国会に提出するということを、この前言われておりますのですが、むしろ学校教育法あたりの改正にとどめる、あるいは設置基準の改正ということで済ますということができないものかどうか。あるいは、用意せられた管理法案を次期国会には必ず提出する、しかも直して提出するのか、その点のことについて伺っておきたいのですが。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 学校教育法の改正は、これは御案内のごとく、国公私立を通じた通則でございまして、国立大学だけの管理運営を初めとする、先ほど来御指摘の、目的、性格、設置、編制、その他もろもろの課題が六項目にわたって、まあ三年越し、足掛け四年の検討が加えられた中教審の努力の結晶が答申となって現われたわけでありまして、やはりこの大学の管理運営だけが、特にマスコミ的ににぎにぎしく扱われますけれども、これは別に政治的な意図をもってどうということじゃない、中教審が国民にかわり、文部省にかわり客観的な立場で慎重審議されました結論そのものが、立法措置を講ずべきものは講ずるという形で出てくるわけでございまして、大学の学長さん方が自主的に、今までの誤りがあるならば改める努力をするのだと言われることもいいことの一つ、それとあわせて、立法措置も、その大学側の努力に協力する意味において、あわせて一本というのが中教審の答申の線だとまあ考えておるのでありまして、いろいろな配慮でもって提案は一応見送りましたけれども、なるべくすみやかな機会に御提案申し上げて御審議願って、せっかくの国立大学側の良心的な努力にさらに花を添えるような作用を実現しなきゃなるまいと、かように心得ておるのであります。
○鈴木一弘君 次に、三十八年度の予算書には、能力開発研究所に、補助金として三百十六万六千円が出るようになっておりますけれども、この能力開発研究所でもって大学入試の統一テストを行なうと、ことしから始まって四十一年に本格的にテストをやりたいということでありますのですが、この検定をどうせ行なうならば、高等学校卒業した者が在学中に受けるというような統一テストでなくて、戦前ございましたし、現在もございますけれども、大学受験資格検定試験ですか、それを全部引っくるめたものにしたらどうか、そうして能力開発研究所あるいはそのほかの団体でもけっこうでありますけれども、大幅に拡張をして、大学入試を受けられる資格があるものであるという、進学適性試験とは違いますけれども、おまえは行ってよろしいというようにしたらどうか。むしろ高校生に限らず、高校に入っていないで中学を卒業した者も同一に受けられて、その試験を受ければ資格が生まれるというようなものにまで拡大をしていくべきである。昔に見てみますというと、小学校から卒業しないでもって大学試験検定を通って大学を卒業したという方もかなりおるわけでありますし、そういう面からこの能力開発研究所のテストについて、統一テストをさらに広げていってそういう資格検定にまで全部したらどうか。たとえ高等学校を卒業していても、受けてもこの統一テストにすべる、能力がないとみなされたときには、大学へ行かない、行かれない、こういうふうにまですべきがいいんではないかと思うのでありますけれども、その点について、検定制度との関連、ひとつどういう考え方があるか伺いたいのでございます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。 大学入学資格検定の制度は、家庭の事情等によって高等学校に行けない人で、お話のように中学だけでかりに終わりましても、自分で勉強して、そうして高等学校卒業資格を得たい人に対する、高等学校卒業程度と同じだということを認定する制度であることは申し上げるまでもないわけであります。いわば高等学校に行かないが、高等学校卒業した者という立場に立つわけであります。能力開発研究所の統一テストをやります目的は、御案内のごとく、大学入学試験がまあたいへんな騒ぎでございます。そのために、青年学生がいかにいたずらにエネルギーを消耗しておるかという点に着目された、その社会的な、社会問題化したそれを解決しようとする手段としての考案でございますから、むしろ高等学校卒業生あるいは在学者、あるいは今御指摘の、大学入学資格の検定を受けた者そのものを一緒にしまして、能力開発研究所の統一テストを受けることによって、進学適性を全国大の視野からとらえて、無用の入学試験地獄を解消するということに、むしろそのほうに、高等学校卒業者と同じ立場においてテストが受けられるという相互関係に立つものと思うのでございます。したがって、能力開発研究所の統一テストが軌道に乗って、それが実用されることになりましても、大学入学資格検定制度は、あくまでも高等学校に行けなかった人々に対する関門として温存されていくべきもので、両立すべきものと考えておるのでございます。
○委員長(木内四郎君) 鈴木委員の質疑は終了いたしました。 本日はこの程度にいたします。明二十日は午前十一時に委員会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時二十四分散会